JP2021005453A - 端子付き電線 - Google Patents

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洋人 中田
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Abstract

【課題】適正な導通性能を確保することができる端子付き電線を提供することを目的とする。【解決手段】端子付き電線100は、絶縁被覆部W2で導体部W1を被覆した電線Wと、相手部材と電気的に接続される電気接続部、絶縁被覆部W2の端末から露出する導体部W1に対して圧着される導体圧着部46、及び、絶縁被覆部W2に対して圧着される被覆圧着部48を含む圧着端子1とを備え、圧着端子1は、母材10によって電気接続部、導体圧着部46、及び、被覆圧着部48が一体で形成され、少なくとも電気接続部の相手部材との接点部位にメッキ11が施され、少なくとも導体圧着部46の導体部W1側の面において母材10がメッキ11から露出しており、導体部W1は、アルミニウム又はアルミニウム合金によって構成され、母材10は、銅又は銅合金によって構成され、メッキ11は、すずによって構成されることを特徴とする。【選択図】図3

Description

本発明は、端子付き電線に関する。
従来の端子付き電線に関する技術として、例えば、特許文献1には、端子長手方向の前部に電気接続部が設けられ、この電気接続部の後部に電線の端末の導体に圧着して接続される導体圧着部が設けられた圧着端子が開示されている。導体圧着部は、底板と、一対の導体加締片とで断面略U字状に形成されると共に、導体圧着部の内面に凹状のセレーションが設けられている。
特許第5890992号公報
ところで、上述の特許文献1に記載の圧着端子は、例えば、より適正な導通性能の確保の点で更なる改善の余地がある。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、適正な導通性能を確保することができる端子付き電線を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る端子付き電線は、絶縁性を有する絶縁被覆部で導電性を有する導体部を被覆した電線と、相手部材と電気的に接続される電気接続部、前記絶縁被覆部の端末から露出する前記導体部に対して圧着される導体圧着部、及び、前記絶縁被覆部に対して圧着される被覆圧着部を含む圧着端子とを備え、前記圧着端子は、母材によって前記電気接続部、前記導体圧着部、及び、前記被覆圧着部が一体で形成され、少なくとも前記電気接続部の前記相手部材との接点部位にメッキが施され、少なくとも前記導体圧着部の前記導体部側の面において前記母材が前記メッキから露出しており、前記導体部は、アルミニウム又はアルミニウム合金によって構成され、前記母材は、銅又は銅合金によって構成され、前記メッキは、すずによって構成されることを特徴とする。
また、上記端子付き電線では、前記メッキは、さらに、前記導体圧着部の前記導体部側とは反対側の面、前記被覆圧着部の前記絶縁被覆部側の面、及び、前記被覆圧着部の前記絶縁被覆部側とは反対側の面に施されているものとすることができる。
本発明に係る端子付き電線は、導体圧着部が導体部に圧着され、被覆圧着部が絶縁被覆部に圧着されることで、圧着端子が電線の端末に圧着される。そして、端子付き電線は、圧着端子の電気接続部に相手部材が電気的に接続される。このような構成において、圧着端子は、母材によって電気接続部、導体圧着部、及び、被覆圧着部が一体で形成され、少なくとも電気接続部の相手部材との接点部位にメッキが施され、少なくとも導体圧着部の導体部側の面において母材がメッキから露出している。そしてここでは、電線の導体部は、アルミニウム又はアルミニウム合金によって構成され、圧着端子の母材は、銅又は銅合金によって構成され、圧着端子のメッキは、すずによって構成される。この構成により、圧着端子は、導体圧着部の導体部側の面においては、アルミニウム又はアルミニウム合金によって構成される導体部と結晶構造が略同じである銅又は銅合金によって構成された母材がメッキから露出することとなる。この結果、圧着端子は、導体圧着部と導体部との接合密着性を向上することができる。一方、圧着端子は、電気接続部と相手部材との接点部位においては、電気接続部と相手部材との間にすずによって構成されたメッキが介在することとなる。この結果、圧着端子は、適正な接続信頼性を確保することができる。以上の構成により、端子付き電線は、適正な導通性能を確保することができる、という効果を奏する。
図1は、実施形態に係る端子付き電線の概略構成を表す斜視図である。 図2は、実施形態に係る端子付き電線の圧着端子圧着前の状態を表す分解斜視図である。 図3は、実施形態に係る端子付き電線の概略構成を表す模式的な部分断面図である。 図4は、実施形態に係る端子付き電線の圧着端子に成形する前の条材の概略構成を表す模式的な平面図である。 図5は、実施形態に係る端子付き電線の圧着端子に成形する前の条材の概略構成を表す模式的な平面図である。
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
なお、以下の説明では、互いに交差する第1方向、第2方向、及び、第3方向のうち、第1方向を「軸線方向X」といい、第2方向を「幅方向Y」といい、第3方向を「高さ方向Z」という。ここでは、軸線方向Xと幅方向Yと高さ方向Zとは、相互に略直交する。軸線方向Xは、典型的には、圧着端子が設けられる電線(導体部、絶縁被覆部)の軸線C(図1参照)に沿う軸線方向、当該電線が延在する延在方向、圧着端子と相手部材との挿抜方向等に相当する。幅方向Yと高さ方向Zとは、軸線方向Xと交差する交差方向に相当する。また、以下の説明で用いる各方向は、特に断りのない限り、各部が相互に組み付けられた状態での方向を表すものとする。
[実施形態]
図1、図2、図3に示す本実施形態に係る端子付き電線100は、車両に使用されるワイヤハーネス等に適用されるものである。ここで、ワイヤハーネスは、例えば、車両に搭載される各装置間の接続のために、電源供給や信号通信に用いられる複数の電線Wを束にして集合部品とし、コネクタ等で複数の電線Wを各装置に接続するようにしたものである。本実施形態の端子付き電線100は、電線Wと、当該電線Wの端末に圧着された圧着端子1とを備える。そして、本実施形態の端子付き電線100は、圧着端子1を構成する母材10にメッキ11を施すと共に、あえて一部の領域で当該メッキ11を施さずに母材10を露出させることで、適正な導通性能の確保を図ったものである。以下、各図を参照して端子付き電線100の各構成について詳細に説明する。
電線Wは、例えば、導電性を有する線状の導体部W1と、当該導体部W1の外側を覆う絶縁性を有する絶縁被覆部W2とを含んで構成される。電線Wは、絶縁被覆部W2で導体部W1を被覆した絶縁電線である。本実施形態の導体部W1は、導電性を有する金属素線を複数束ねた芯線であるが、当該複数の金属素線を撚り合わせた撚り芯線であってもよい。絶縁被覆部W2は、導体部W1の外周側を被覆する電線被覆である。絶縁被覆部W2は、例えば、絶縁性の樹脂材料(PPやPVC、架橋PE等。耐摩耗性や耐薬品性、耐熱性等に配慮して適宜選定される。)等を押出成形することによって形成される。電線Wは、軸線Cに沿って線状に延在し、延在方向(軸線方向X)に対してほぼ同じ径で延びるように形成される。電線Wは、導体部W1の断面形状(軸線方向Xと交差する方向の断面形状)が略円形状、絶縁被覆部W2の断面形状が略円環形状となっており、全体として略円形状の断面形状となっている。電線Wは、少なくとも導体部W1の一方の端末において、絶縁被覆部W2が剥ぎ取られており、当該導体部W1の一方の端末が絶縁被覆部W2から露出しており、当該露出している導体部W1の端末に圧着端子1が設けられる。
圧着端子1は、電線Wが電気的に接続され、導電性を有する相手部材Tが接続される端子金具である。圧着端子1は、電気接続部2と、連結部3と、電線圧着部4とを備える。電気接続部2と連結部3と電線圧着部4とは、全体が一体で導電性を有する金属部材によって構成される。圧着端子1は、一枚の板金(例えば、後述する図4、図5に示す条材200)を、電気接続部2、連結部3、電線圧着部4等の各部に対応した形状にあわせて打ち抜き加工、プレス加工、折り曲げ加工等の各種加工によって成形することで各部が立体的に一体で形成される。圧着端子1は、軸線方向Xに沿って一方側から他方側に向かって、電気接続部2、連結部3、電線圧着部4の順で並んで相互に連結される。
電気接続部2は、相手部材T(図1参照)と電気的に接続される部分である。本実施形態の相手部材Tは、例えば、相手側端子である。すなわちここでは、本実施形態の電気接続部2は、相手部材Tである相手側端子に対して電気的に接続される端子接続部として構成される。電気接続部2は、雄型の端子形状であってもよいし、雌型の端子形状であってもよい。本実施形態の電気接続部2は、雌型の端子形状として図示しており、雄型の端子形状の相手部材Tと電気的に接続される。なお、相手部材Tは、相手側端子でなくてもよく、例えば、アース部材等の種々の導電性の部材であってもよい。この場合、電気接続部2は、例えば、相手部材であるアース部材等に締結されるいわゆる丸形端子(LA端子)形状であってもよい。
連結部3は、電気接続部2と電線圧着部4との間に介在し、当該電気接続部2と当該電線圧着部4とを連結する部分である。圧着端子1は、電気接続部2と電線圧着部4とが連結部3を介して電気的に接続され、当該電線圧着部4を介して電気接続部2と電線Wの導体部W1とが電気的に接続され導通される。
電線圧着部4は、電線Wが接続され、当該電線Wの端末と圧着端子1とを電気的に接続する部分である。電線圧着部4は、電線Wの端末に加締められ圧着される。電線圧着部4は、基部41、及び、二組の一対のバレル片部42、43、44、45を含んで構成される。電線圧着部4は、基部41と二組の一対のバレル片部42、43、44、45とによって電線Wに対して加締められ圧着される。さらに言えば、電線圧着部4は、基部41、及び、二組の一対のバレル片部42、43、44、45によって、導体圧着部46、中間部47、及び、被覆圧着部48が構成される。言い換えれば、電線圧着部4は、基部41、及び、二組の一対のバレル片部42、43、44、45によって構成される導体圧着部46、中間部47、及び、被覆圧着部48を含んで構成される。導体圧着部46は、基部41の一部、及び、一対のバレル片部42、43によって構成される。中間部47は、基部41の一部によって構成される。被覆圧着部48は、基部41の一部、及び、一対のバレル片部44、45によって構成される。電線圧着部4は、軸線方向Xに沿って電気接続部2側から反対側に向かって、導体圧着部46、中間部47、被覆圧着部48の順で並んで相互に連結される。そして、本実施形態の電線圧着部4は、中間部47を介して一対のバレル片部42、43と一対のバレル片部44、45とが分断されたいわゆる別体バレル型の圧着部を構成する。
具体的には、基部41は、軸線方向Xに沿って延在し、圧着端子1の圧着前の状態(図2等参照)において、略U字状に形成された電線圧着部4の底壁となる部分である。基部41は、板厚方向が高さ方向Zに沿う板状に形成される。基部41は、圧着加工の際に電線Wの端部が載置される。基部41は、軸線方向Xの一方側に連結部3を介して電気接続部2が連結される。基部41は、各部において幅方向Yの両端部が高さ方向Zに沿って立ち上がっている(図2等参照)。より具体的には、基部41は、軸線方向Xに沿って、導体圧着部46、中間部47、及び、被覆圧着部48に渡って連続する。つまり、基部41は、導体圧着部46を構成する第1基部41a、中間部47を構成する第2基部41b、被覆圧着部48を構成する第3基部41cが軸線方向Xに沿って連なって構成される(図3参照)。基部41は、第1基部41aの軸線方向Xの一方の端部に電気接続部2が連結される。また、基部41は、圧着加工前の状態において、第3基部41cの軸線方向Xの他方の端部にキャリア(例えば、後述する図4、図5のキャリア200C)が連結されており、例えば、圧着加工時にキャリアから切断される。
一対のバレル片部42、43は、基部41の一部である第1基部41aと共に導体圧着部46を構成する部分である。導体圧着部46は、電線圧着部4において軸線方向Xの一端側、ここでは、電気接続部2側に設けられ電線Wの導体部W1に対して加締められ圧着される部分である。更に言えば、導体圧着部46は、導体部W1に対して加締められ圧着されることで、当該導体部W1と電気的に接続される部分である。一対のバレル片部42、43は、当該導体圧着部46において第1基部41aから幅方向Yの両側にそれぞれ帯状に延びて形成され、第1基部41aとの間に電線Wの導体部W1を包んで加締められ圧着される部分である。バレル片部42、43は、圧着加工前の状態において、U字状に形成された電線圧着部4の側壁となる部分である。バレル片部42は、第1基部41aから軸線方向Xと交差する幅方向Yの一方側に延びる。バレル片部43は、第1基部41aから幅方向Yの他方側に延びる。バレル片部42、43は、電線Wの導体部W1に対して加締められ圧着される前の状態(図2参照)では、第1基部41aに対して曲げ加工が施され当該第1基部41aとあわせて略U字状に成形されている。本実施形態の一対のバレル片部42、43は、導体部W1に対して巻き付けられて加締められ、圧着された状態で、互いに重なり合わない(オーバーラップしない)ように第1基部41a側の根元から先端までの長さが設定されている。導体圧着部46は、第1基部41a、及び、一対のバレル片部42、43によって、一対のバレル片部42、43の間に配置された電線Wの導体部W1の外側を包んで導体部W1に対して加締められ圧着される。ここでは、一対のバレル片部42、43は、いわゆるBクリンプと称する加締め圧着がなされるものとして図示している。導体圧着部46は、Bクリンプでは、第1基部41aと一対のバレル片部42、43とによって導体部W1を包んで圧着された状態で、バレル片部42、43のそれぞれが第1基部41a側に向けて折り曲げられた状態とされる。そして、導体圧着部46は、この状態で当該一対のバレル片部42、43の先端がそれぞれ導体部W1に接触して押しつけられるように加締められ圧着される。導体圧着部46は、第1基部41a、及び、一対のバレル片部42、43において導体部W1と接触する部分に、導体部W1との接触面積を増やし接触安定性を向上すると共に凝着強度を向上するための複数のセレーション46a等を有していてもよい。セレーション46aは、導体圧着部46において、第1基部41a、バレル片部42、43の導体部W1側の面に、凹部状に形成される。
一対のバレル片部44、45は、基部41の一部である第3基部41cと共に被覆圧着部48を構成する部分である。被覆圧着部48は、電線圧着部4において軸線方向Xの他端側、ここでは、電気接続部2側とは反対側に設けられ電線Wの絶縁被覆部W2に対して加締められ圧着される部分である。一対のバレル片部44、45は、当該被覆圧着部48において第3基部41cから幅方向Yの両側にそれぞれ帯状に延びて形成され、第3基部41cとの間に電線Wの絶縁被覆部W2を包んで加締められ圧着される部分である。バレル片部44、45は、圧着加工前の状態において、U字状に形成された電線圧着部4の側壁となる部分である。バレル片部44は、第3基部41cから軸線方向Xと交差する幅方向Yの一方側に延びる。バレル片部45は、第3基部41cから幅方向Yの他方側に延びる。バレル片部44、45は、電線Wの絶縁被覆部W2に対して加締められ圧着される前の状態(図2参照)では、第3基部41cに対して曲げ加工が施され当該第3基部41cとあわせて略U字状に成形されている。本実施形態の一対のバレル片部44、45は、絶縁被覆部W2に対して巻き付けられて加締められ、圧着された状態で、互いに重なり合わない(オーバーラップしない)ように第3基部41c側の根元から先端までの長さが設定され、かつ、軸線方向Xにずらされて形成される。被覆圧着部48は、第3基部41c、及び、一対のバレル片部44、45によって、一対のバレル片部44、45の間に配置された電線Wの絶縁被覆部W2の外側を包んで絶縁被覆部W2に対して加締められ圧着される。
ここでは、電線圧着部4は、軸線方向Xに対して当該被覆圧着部48と導体圧着部46との間に中間部47が介在する。中間部47は、導体圧着部46と被覆圧着部48との間に介在し、当該導体圧着部46と当該被覆圧着部48とを連結する部分である。中間部47は、第2基部41bによって構成され、当該第2基部41bの軸線方向Xの一方側の端部に導体圧着部46の第1基部41aが連結され、他方側の端部に被覆圧着部48の第3基部41cが連結される。そして、中間部47は、導体部W1の中間露出部W1aが露出する部分を構成する。上述したように、バレル片部42、43とバレル片部44、45とは、それぞれ、互いの間に当該中間部47が介在することで相互に間隔をあけて分断して形成される。
上記のように構成され端子付き電線100は、導体圧着部46が導体部W1に圧着され、被覆圧着部48が絶縁被覆部W2に圧着されることで、圧着端子1が電線Wの端末に圧着される。そして、端子付き電線100は、圧着端子1の電気接続部2に相手部材Tが電気的に接続される。
そして、本実施形態の圧着端子1は、上記のような構成にあって、図3に示すように、導電性を有する金属部材である母材10によって電気接続部2、連結部3、及び、電線圧着部4が一体で形成される。電線圧着部4は、上述したように、導体圧着部46、中間部47、及び、被覆圧着部48を含み、電線圧着部4においてはこれら導体圧着部46、中間部47、及び、被覆圧着部48が母材10によって一体で形成される。そして、圧着端子1は、当該母材10にメッキ11が施されている。
ここで、本実施形態の電線Wにおいて、導体部W1は、アルミニウム(Al)又はアルミニウム合金によって構成される。つまり、本実施形態の導体部W1は、アルミニウム又はアルミニウム合金によって構成された金属素線を複数束ねた芯線である。一方、本実施形態の圧着端子1において、母材10は、銅(Cu)又は銅合金によって構成され、メッキ11は、すず(Sn)によって構成される。メッキ11の下地は、銅下地、ニッケル(Ni)下地、亜鉛(Zu)下地等、いずれの下地であってもよい。
その上で、本実施形態の圧着端子1は、少なくとも電気接続部2の相手部材Tとの接点部位2a(図4参照)にメッキ11が施される一方、少なくとも導体圧着部46の導体部W1側の面において母材10がメッキ11から露出している。つまり、本実施形態の圧着端子1において、少なくとも導体圧着部46の導体部W1側の面は、メッキ11から母材10が露出した母材露出部12を構成する。当該母材露出部12は、導体圧着部46において、上述した複数のセレーション46aが形成され、電線Wへの圧着後に導体部W1と凝着する凝着部位を含む。
メッキ11が施される接点部位2a(図4参照)は、雌型の端子形状の電気接続部2にあっては、例えば、相手部材Tが挿入される箱状部の内側の面や相手部材Tと接触するバネ接点部等を含む部位であり、典型的には、電気接続部2の全体である。ここでは、メッキ11は、さらに、導体圧着部46の導体部W1側とは反対側の面、中間部47の導体部W1側の面、中間部47の導体部W1側とは反対側の面、被覆圧着部48の絶縁被覆部W2側の面、及び、被覆圧着部48の絶縁被覆部W2側とは反対側の面にも施されている。つまり、本実施形態の圧着端子1は、導体圧着部46の母材露出部12、及び、各部の板厚端面(プレス加工等によるせん断面)以外の部位に全面的にメッキ11が施されている。
図4、図5は、圧着端子1の成形前の板金を構成する条材200の一例を表している。図4は、成形後の圧着端子1において電線Wと接する側の面を表し、図5は、成形後の圧着端子1において電線Wと接しない側の面を表す。図4、図5は、向かって左側に条材200を図示している。当該条材200は、銅合金を母材10とし当該母材10の表面の所定の領域にすずによるメッキ11が施されたすずメッキ銅合金条材である。条材200は、典型的には、略矩形板状に形成され、長辺方向が条材圧延方向L1となる。また、図4、図5は、向かって右側に、当該条材200を圧着端子1の各部に対応した形状にあわせて切り出した状態を表している。
条材200は、図4に示すように、母材10の電線Wと接する側の面において、成形後に電気接続部2となる領域2A、連結部3となる領域3A、中間部47となる領域47A、被覆圧着部48となる領域48Aにメッキ11が施されるされている。そして、条材200は、母材10の電線Wと接する側の面において、成形後に導体圧着部46となる領域46Aにはメッキ11が施されておらず、母材露出部12が形成されている。母材露出部12は、条材200において条材圧延方向L1に沿ってストライプ状に形成される。
一方、条材200は、図5に示すように、母材10の電線Wと接しない側の面において、成形後に電気接続部2となる領域2A、連結部3となる領域3A、導体圧着部46となる領域46A、中間部47となる領域47A、被覆圧着部48となる領域48Aにメッキ11が施されるされている。
条材200は、例えば、略矩形板状に形成された母材10の電線Wと接する側の面において、領域46Aにマスキングが施された上で、すずメッキ11のメッキ処理やリフロー処理が施される。その後、条材200は、マスキングが除去され、打ち抜き、プレス、折り曲げ等の各種加工によって圧着端子1に成形される。そして、成形された圧着端子1は、上記のように電線Wへの圧着後の形態において、導体圧着部46の導体部W1と接する側の面に母材露出部12が形成され、当該母材露出部12、及び、各部の板厚端面以外の部位に全面的にメッキ11が施されている。
以上で説明した端子付き電線100は、導体圧着部46が導体部W1に圧着され、被覆圧着部48が絶縁被覆部W2に圧着されることで、圧着端子1が電線Wの端末に圧着される。そして、端子付き電線100は、圧着端子1の電気接続部2に相手部材Tが電気的に接続される。このような構成において、圧着端子1は、母材10によって電気接続部2、導体圧着部46、及び、被覆圧着部48が一体で形成される。そして、圧着端子1は、少なくとも電気接続部2の相手部材Tとの接点部位2aにメッキが施され、少なくとも導体圧着部46の導体部W1側の面において母材10がメッキ11から露出している。そしてここでは、電線Wの導体部W1は、アルミニウム又はアルミニウム合金によって構成され、圧着端子1の母材10は、銅又は銅合金によって構成され、圧着端子1のメッキ11は、すずによって構成される。
この構成により、圧着端子1は、導体圧着部46の導体部W1側の面においては、アルミニウム又はアルミニウム合金によって構成される導体部W1と結晶構造が略同じである銅又は銅合金によって構成された母材10がメッキ11から露出することとなる。この結果、圧着端子1は、導体圧着部46と導体部W1との接合密着性を向上することができる。ここでは、メッキ11を構成するすずは、結晶構造が体心立方格子構造(BCC:Body−Centered Cubic)である。一方、導体部W1を構成するアルミニウム又はアルミニウム合金、及び、母材10を構成する銅又は銅合金は、結晶構造が共に面心立方格子構造(FCC:Face−Centered Cubic)である。金属間の接合は、同じ結晶構造の組み合わせの方が冷間圧接時の密着性が相対的に良好となる傾向にある。このことから、金属間の接合は、例えば、すずとアルミニウム又はアルミニウム合金との組み合わせと比較すると、本実施形態の圧着端子1のように、導体圧着部46の母材露出部12において、母材10を構成する銅又は銅合金と導体部W1を構成するアルミニウム又はアルミニウム合金との組み合わせの方が圧着時に接合密着性が向上することとなる。この結果、圧着端子1は、導体圧着部46での電気的、機械的な結合力が上がるため、圧着性能(接触抵抗、電線固着力)を向上することができる。
一方、圧着端子1は、例えば、接点部位2aにおいて、銅又は銅合金によって構成された母材10を露出させると、相手部材Tとの接続時に酸化膜を破壊できず、接触信頼性が低下するおそれがある。これに対して、本実施形態の圧着端子1は、電気接続部2と相手部材Tとの接点部位2aにおいては、電気接続部2と相手部材Tとの間にすずによって構成されたメッキ11が介在することで、適正な接続信頼性を確保することができる。
したがって、端子付き電線100は、電気接続部2の接点部位2aの性能を変えることなく、導体圧着部46の接合密着性を確保することができ、導体圧着部46における接合密着性と、電気接続部2における接続信頼性とを両立することができる。この結果、端子付き電線100は、適正な導通性能を確保することができる。ここでは、端子付き電線100は、例えば、圧着端子1の電線Wへの圧着工程後に別処理を加えることなく、上記のように圧着端子1のメッキ11の領域分けで導通性能を向上することができるので、例えば、製造コストを抑制することができる。
また、以上で説明した端子付き電線100は、圧着端子1において、導体圧着部46の母材露出部12、及び、各部の板厚端面以外の部位に全面的にメッキ11が施されている。この構成により、端子付き電線100は、例えば、圧着端子1と導体部W1との接合部位に水(塩水等)が浸入した際にイオン化傾向の違いによって発生する可能性のあるガルバニック腐食において、カソードとなりうる面積を抑制することができる。この結果、端子付き電線100は、当該ガルバニック腐食の発生自体を抑制することができる。
なお、上述した本発明の実施形態に係る端子付き電線は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
以上で説明した導体圧着部46は、上述したBクリンプ形式に限らず、例えば、一対のバレル片部42、43が電線Wに対して巻き付けられて加締められ、圧着された状態で、互いに重なり合う(オーバーラップする)ように構成されてもよい。この場合、一対のバレル片部42、43は、第1基部41a側の根元から先端までの長さに関し、一方の長さが他方の長さよりも長く形成される。同様に、被覆圧着部48は、一対のバレル片部44、45が電線Wに対して巻き付けられて加締められ、圧着された状態で、互いに重なり合う(オーバーラップする)ように構成されてもよい。
以上の説明では、電線圧着部4は、中間部47を介して一対のバレル片部42、43と一対のバレル片部44、45とが分断されたいわゆる別体バレル型の圧着部を構成するものとして説明したがこれに限らない。電線圧着部4は、導体圧着部46、中間部47、被覆圧着部48において、一対のバレル片部が軸線方向Xに沿って連続し一体化されたいわゆる一体バレル型の圧着部を構成してもよい。
以上の説明では、メッキ11は、導体圧着部46の導体部W1側とは反対側の面、中間部47の導体部W1側の面、中間部47の導体部W1側とは反対側の面、被覆圧着部48の絶縁被覆部W2側の面、及び、被覆圧着部48の絶縁被覆部W2側とは反対側の面にも施されているものとして説明したがこれに限らない。メッキ11は、少なくとも電気接続部2の接点部位2aに施され、母材露出部12に施されていなければよく、例えば、導体圧着部46の導体部W1側とは反対側の面や中間部47、被覆圧着部48の両面には施されていなくてもよい。
以上の説明では、端子付き電線100は、例えば、車両等に使用されるワイヤハーネス等に適用されるものとして説明したがこれに限らない。
本実施形態に係る端子付き電線は、以上で説明した実施形態、変形例の構成要素を適宜組み合わせることで構成してもよい。
1 圧着端子
2 電気接続部
2a 接点部位
3 連結部
4 電線圧着部
10 母材
11 メッキ
12 母材露出部
41 基部
42、43、44、45 バレル片部
46 導体圧着部
46a セレーション
47 中間部
48 被覆圧着部
100 端子付き電線
200 条材
200C キャリア
C 軸線
L1 条材圧延方向
T 相手部材
W 電線
W1 導体部
W1a 中間露出部
W2 絶縁被覆部
X 軸線方向
Y 幅方向
Z 高さ方向

Claims (2)

  1. 絶縁性を有する絶縁被覆部で導電性を有する導体部を被覆した電線と、
    相手部材と電気的に接続される電気接続部、前記絶縁被覆部の端末から露出する前記導体部に対して圧着される導体圧着部、及び、前記絶縁被覆部に対して圧着される被覆圧着部を含む圧着端子とを備え、
    前記圧着端子は、母材によって前記電気接続部、前記導体圧着部、及び、前記被覆圧着部が一体で形成され、少なくとも前記電気接続部の前記相手部材との接点部位にメッキが施され、少なくとも前記導体圧着部の前記導体部側の面において前記母材が前記メッキから露出しており、
    前記導体部は、アルミニウム又はアルミニウム合金によって構成され、
    前記母材は、銅又は銅合金によって構成され、
    前記メッキは、すずによって構成されることを特徴とする、
    端子付き電線。
  2. 前記メッキは、さらに、前記導体圧着部の前記導体部側とは反対側の面、前記被覆圧着部の前記絶縁被覆部側の面、及び、前記被覆圧着部の前記絶縁被覆部側とは反対側の面に施されている、
    請求項1に記載の端子付き電線。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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