JP2021004767A - 放射性核種の製造方法及び装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】電子線加速器を利用した放射性核種製造装置を基本として、さらなる製造効率の向上を図る。【解決手段】電子線の照射方向に対し、種類の異なる複数の原料を並べて配置し、複数の原料のうち、初段の原料として、後段の原料よりも原子番号または密度が小さいものを用いる。初段の原料に電子線が照射されることにより制動放射線が生成し、この制動放射線により初段の原料が核反応を起こし放射性核種が生成される。また制動放射線の一部は初段の原料を透過して後段の原料に照射され、これにより後段の原料から核反応により別種の放射性核種が生成される。【選択図】図1

Description

本発明は、ガンマ線、アルファ線、ベータ線等の放射線を放出する放射性核種を製造する技術に係り、特に電子線加速器を利用した放射性核種の製造方法及び装置に関する。
テクネチウム99m(Tc−99m)に代表されるガンマ線を放出する放射性核種は診断用薬剤として、アクチニウム225(Ac−225)に代表されるアルファ線を放出する放射性核種は治療用薬剤として、広く用いられている。
これら放射性核種は、従来、原子炉を利用して核分裂生成物として製造されてきたが、原子炉を利用した製造施設は、世界中でも少数且つ偏在しており、また施設運転に関するリスクの問題や多大な投資及び維持費が必要となるなどの問題から、核分裂反応を利用しない製造方法が開発されている。
例えば、テクネチウム99mはモリブデン99(Mo−99)の崩壊によって生成されるので、このモリブデン99を、中性子を用いてモリブデン98を放射化する方法(Mo−98(n,γ)Mo−99)やモリブデン100と中性子の反応を利用して生成する方法(Mo−100(n,2n)Mo−99)などがあり、これらの製造方法では、中性子を加速する加速器を用いることで実現できる。しかし、中性子を利用する方法は、大型の加速器が必要であり、またターゲットであるMo−98やMo−100の周囲に大きな遮蔽を必要とし装置が大型化するという課題がある。
加速器を用いた他の製造方法として、Mo−100に加速した陽子を照射する方法も研究されているが、この方法では、Mo−99及びTc−99mが生成すると同時に、テクネチウム99(Tc−99)も生成してしまい、比放射能の高いTc−99mを製造することができない。
一方、アクチニウム225については、現在、臨床に利用可能な量を供給可能な施設は、ドイツの超ウラン研究所(ITU:Institute for Transuraniumu Element)など3箇所の研究所のみであり、加速器を用いた製造方法の開発が望まれている。加速器を用いたAc−225の製造では、天然に存在するラジウム226(Ra−226)と陽子との反応(R−226(p、n)Ac−225)を利用したサイクロトロンによる製造試験が進められているが、陽子のエネルギーを効率よく利用するために種々の課題が存在し、実用化には至っていない。
加速器を用いたアクチニウム225の製造方法として、Ra−226(n,2n)Ra−225反応を利用して製造したRa−225のベータ崩壊によりアクチニウム225を製造する手法も検討されているが、この反応では、サイクロトロンにより加速した重陽子を炭素やトリウム吸蔵金属等のターゲットに照射することで高速中性子を発生させるので、大量に発生する高速中性子の遮蔽などが必須となり、装置が大型化し、また装置構造物全体が放射化されてしまう等の課題がある。
上述した中性子あるいは陽子との反応を利用した製造方法の課題を解決するものとして、特許文献1には、電子線加速器により生成した高速電子線と、電子の照射により制動放射線を発生する物質(ターゲット)とを組み合わせ、制動放射線照射により中性子を発生する反応(γ,n)を利用して放射性核種を製造する方法が開示されている。電子線加速器は、中性子や陽子の加速器に比べはるかに小型かつ軽量であり、また中性子を照射する装置のような大規模な遮蔽等を必要としないため、製造装置の小型化、軽量化が可能となる。
特開2015−99117号公報
特許文献1記載の技術により、放射性核種製造装置の小型化と軽量化が可能となったが、治療用薬剤の原料として需要の大きいアクチニウム225や診断用薬剤の原料として需要の大きいテクネチウムTc99mを製造するためには、さらに製造効率を向上することが望まれている。
本発明は、電子線加速器を利用した放射性核種製造装置を基本として、さらなる製造効率の向上を図ることを課題とする。
本発明は、電子線の照射方向に対し、種類の異なる複数の原料を並べて配置し、複数の原料のうち、上流側に配置される原料として、下流側に配置される原料よりも原子番号または密度が小さいものを用いることにより、上記課題を解決する。
即ち、本発明の放射性核種の製造方法は、電子線加速器から放出される電子を原料に照射し、それによって原料から生成する制動放射線と原料との反応を利用して、放射性核種を製造する方法であって、前記原料として複数の原料を電子の照射方向に対し重ねて配置し、初段の原料として原子番号及び密度の少なくとも一方が後段の原料よりも大きい原料を用いることを特徴とする。
また本発明の放射性核種製造装置は、電子線加速器と、前記電子線加速器からの電子線が照射される位置(照射位置)に、放射性核種を生成する原料を収納し、電子線を利用して放射性核種を生成させる反応を行う反応室と、を備え、前記原料は、前記電子線の照射方向に沿って、上流側に配置される第一の原料と、下流側に配置される第二の原料とを含み、前記第一の原料は、原子番号及び密度の少なくとも一方が前記第二の原料よりも小さいことを特徴とする。
さらに本発明は、複数の原料を適時に取り出す機構を備えた放射性核種製造装置を提供する。即ち、本発明の放射性核種製造装置は、電子線の照射方向に対し並べて配置した種類の異なる複数の原料のうち、少なくとも一つの原料を、電子線の照射方向から退避させる機構を備える。
本発明によれば、同一の製造工程において、複数の原料から放射性核種の製造が可能になり、製造効率が向上する。複数の原料として種類の異なる原料を用いた場合には、複数種の放射性核種を製造することが可能となる。また本発明によれば、原料の取り出し機構を設けることにより、原料によって反応時間が異なる場合にも、適切な時期に所望の原料のみを取り出し、交換等を行うことができる。この取り出しの間にも、他の原料については、電子線照射を利用した反応が継続するので、電子線エネルギーを無駄にすることなく製造が継続される。
本発明の放射性核種の製造方法の一実施形態を説明する図 第一実施形態の放射性核種製造装置の構成を示す図 初段の原料の厚さと、2段目の原料における制動補斜線強度との関係を示すグラフ 第一実施形態の変形例を示す図 第二実施形態の放射性核種製造装置の構成を示す図 第二実施形態の放射性核種製造装置の初段原料の形状を説明する図 第二実施形態の放射性核種製造装置の初段原料またはその容器の形状の変形例を示す図 第二実施形態の放射性核種製造装置の初段原料またはその容器の形状の別の変形例を示す図 第二実施形態(変形例)の放射性核種製造装置の原料取出しを説明する図 第三実施形態の放射性核種製造装置の構成図 第三実施形態の放射性核種製造装置の原料交換タイミングを説明する図 第三実施形態の放射性核種製造装置の原料取り出しの制御フローを示す図 第三実施形態の変形例を示す図 第四実施形態の放射性核種製造装置の構成図 第四実施形態の放射性核種製造装置の変形例を示す図
以下、本発明の放射性核種製造方法及び装置の実施形態を説明する。
<放射性核種製造方法の実施形態>
最初に本発明の放射性核種の製造方法の基本的な実施形態について説明する。
本発明の放射性核種の製造方法は、電子線加速器から放出される電子を原料に照射し、それによって原料から生成する制動放射線と、その制動放射線による反応及び当該反応によって生成する中性子との反応を利用して、同一の反応系において種類の異なる複数の原料からそれぞれ異なる放射性核種を製造する。
複数の原料20(21、22)は、図1に示すように、電子線加速器10から放出された電子が照射される位置に、電子線11の照射方向に対し、重ねて配置される。ここで「重ねて配置」は、電子線照射方向と交差する方向にずれている場合も含み、また密着している場合、間に例えば電子線や放射線を透過する物質、反応室内の気体や原料の容器或いは原料を支持するための機構の一部等、が介在する場合も含む。
複数の原料を位置により区別する際に、電子線11の上流から下流に向かって、初段、2段目、・・・の原料といい、2段目以降の原料を総括して後段の原料ともいう。
初段の原料21は、電子線の照射を受けて制動放射線(主にγ線)を生成するとともに、その制動放射線との反応によって放射性核種を生成するとともに中性子を放出する物質であり、後段に配置された原料22は、初段の原料から放出される制動放射線との反応によって放射性核種を生成する物質である。初段の原料は、後段の原料よりも原子番号及び密度の少なくとも一方が大きい物質を用いる。これにより初段の原料において強度の高い制動放射線を生成することができ、初段だけでなく後段の原料においても核反応を進行させることができ、核種製造効率を上げることができる。
以下、2つの原料21、22が用いられる場合について、具体的な原料の例を説明する。この例では、治療用薬剤の原料として需要の大きいAc−225と、診断用薬剤の原料として需要の大きいMo−99及びTc−99mを製造する場合を説明する。初段には、Ac−225の原料であるRa−226及び/又はその化合物を含む原料(以下、総括してRa−226を含む原料という)を配置し、2段目には、Mo−99及びTc−99mの原料となるMo−100及び/又はその化合物を含む原料(以下、総括してMo−100を含む原料という)を配置する。
まず初段の原料に電子線を照射することで、Ra−226を含む原料において制動放射線が生成する。Ra−226において生成した制動放射線は、生成とともにRa−226に照射され、制動放射線とRa−226との核反応により中性子を発生する反応(Ra−226(γ,n) Ra−225)により、Ra−225が製造される。製造されたRa−225のベータ崩壊によりAc−225が製造される。
初段に、密度及び原子番号が大きい原料であるRa−226を含む原料を設置することで、密度及び原子番号が小さい原料と比較して、強度の強い制動放射線が生成することから、Ra−225、及び、そのベータ崩壊により生成されるAc−225を大量に製造することが可能となる。
Ra−226を含む原料により生成した制動放射線のうち、Ra−226との核反応に使われなかった残りが、2段目に設置されたMo−100を含む原料に照射される。照射された制動放射線とMo−100との核反応により中性子を発生する反応(Mo−100(γ,n) Mo−99)により、Mo−99が製造される。製造されたMo−99のベータ崩壊によりTc−99mが製造される。
初段において、上述したように、強度の強い制動放射線が生成することから、2段目に設置したMo−100またはその化合物に、強い強度の制動放射線が照射される。従って、Mo−99、及び、そのベータ崩壊により生成されるTc−99mも大量に製造することが可能となる。
このように、初段の原料の反応によりAc―225の製造に加えて、Tc−99mも同時に製造可能となり、電子線加速器を用いて生成される制動放射線を効率的に使うことができ、製造システムの小型化が可能となる。
初段の原料から生成したRa−225は、14.88日の半減期で子孫核種であるAc−225となる。Ac−225は、治療用薬剤の原料として代表的なアルファ線放出核種であり、これを療用薬剤用に提供する際は、分離精製することにより、アルファ線を放出する核種では無く治療に不要な放射性核種製造用原料Ra−225及び生成したRa−225を分離する。分離精製は、例えば、特許文献1に記載された方法を採用することができる。なお、Ac−225も所定の半減期を経て、フランシウムFr−221、アスタチンAt−217、ビスマスBi−213等の子孫核種にアルファ崩壊するが、これら子孫核種もアルファ線を放出する核種であり、治療に用いることができる。
後段の原料の反応により生成したMo−99は、66時間の半減期で子孫核種であるTc−99mとなる。Tc−99mは診断用薬剤の原料核種として代表的なガンマ線放出核種であり、これを治療用薬剤用として提供する際は、診断に不要な核種である原料Mo−99及びMo−100から分離精製する。
Ac−225及びTc−99mをそれぞれ分離精製した後に残るRa−226及びMo−99は、原料として再利用することができる。これにより比較的高価な放射性核種製造用原料であるMo−99及びRa−226の使用量を低減することができる。
以上の説明では、原料が2種類であって、初段の原料がRa−226を含む原料、2段目の原料がMo−100を含む原料である場合を説明したが、初段の原料が2段目の原料よりも原子番号または密度の高い原料であって、電子線を受けて制動放射線を生成するとともに制動放射線との核反応により放射性核種を生成するものであれば、Ra−226を含む原料に限定されるものではない。また2段目の原料の後段に、2段目の原料を透過した制動放射線と反応し放射性核種を生成する原料を配置するなど、3種以上の原料を配置することも可能である。3種以上の原料を重ねて配置する場合には、2段目の材料として、制動放射線を遮蔽しない材料、具体的には原子番号或いは密度が低い材料を用いることが好ましい。具体的な原料の組み合わせや配置については後述の装置の実施形態で詳述する。
本発明の放射性核種の製造方法によれば、電子線の照射方向に対し複数の原料を重ねて配置することにより、製造効率を向上することができる。また同一の反応系において、異なる種類の放射性核種を製造することが可能となる。さらに初段に、強い制動放射線を生成する原料を配置することでさらなる製造効率の向上を図ることができる。
また本発明の放射性核種の製造方法は、従来法と比較して以下の利点がある。
まず本発明の放射性核種の製造方法は、陽子加速器または重粒子加速器を用いる方法と比較した場合、同じ加速エネルギーであれば、陽子加速器または重粒子加速器と比較して小型化が可能な電子線加速器を用いているので、加速器の小型化が可能である。また、Ra−226からRa−225を生成する反応(Ra−226(γ,n)Ra−225)の反応断面積は、Ra−226に加速した陽子を照射し、2個の中性子を放出する反応(Ra−226(p,2n) Ac−225)により直接Ac−225を製造する方法の反応断面積と同程度であることから、放射性核種製造部分の小型化が可能である。
また、高速中性子を発生させて利用する方法と比較した場合、例えば、Ra−226に高速中性子を照射し、高速中性子を2個放出する反応(Ra−226(n,2n)Ra−225)を利用する方法では、反応断面積は、本発明の製造方法が利用する反応(Ra−226(γ,n)Ra−225)よりも一桁弱大きい値となっているが、大量の高速中性子を発生させるために、サイクロトロンにより加速した重陽子を、炭素のターゲットや、トリチウムを吸蔵させた金属等のターゲットに照射する必要があり、また、大量に発生する高速中性子の遮蔽が必要なため、装置が大型になってしまう。さらに、大量の高速中性子により、装置構造物全体が強く放射化されてしまう等の課題がある。この課題は、Mo−100に高速中性子を照射し、照射した高速中性子を含めて高速中性子を2個放出する反応(Mo−100(n,2n) Mo−99)を利用する場合にも同様である。これに対し、本発明の製造方法では小型の電子線加速器を用いるため、これらの課題が解決される。
<放射性核種製造装置の実施形態>
以上の製造方法を踏まえ、以下、本発明の放射性核種製造装置の具体的な実施形態を説明する。
<第一実施形態>
本実施形態の放射性核種製造装置100は、図2に示すように、高速の電子線を放出する電子線加速器10と、放射性核種を生成するための原料を配置した反応室30と、を備える。電子線加速器10は、電子銃から放出した電子を加速管に打ち込み、加速管内の電場により加速して電子線11として放出する装置であり、種々のビームエネルギーのものが入手可能に提供されている。本実施形態の放射性核種製造装置は、これら公知の電子線加速器を使用することができる。
反応室30は、電子線加速器10と近接して配置され、電子線加速器10から放出される電子線11を透過する開口部31を有し、内部に原料を支持する機構(点線で示す)を備えている。本実施形態では、電子線加速器10から放出される電子線11の照射方向は水平であり、原料20は、支持機構によって、電子が照射される位置に水平方向に、即ち電子線の照射方向に沿って重なるように配置されている。支持機構は、単に、原料を載置する板状の部材や原料を横から支持するアーム状の部材でもよく、電子線の照射を阻害しないものであれば、その機構や形状は問わない。また支持機構には原料を取り出すための移動機構や回転機構が設けられていてもよい。反応室30は、電子線や放射性核種生成過程で発生する放射線を遮蔽する材料で構成されるか覆われている。
原料20は、種類の異なる複数の原料21、22が電子の照射方向に対し重ねて配置されている。複数の原料のうち、最も上流側、即ち初段に配置された原料は、電子線の照射を受けて制動放射線を生成するとともに、その制動放射線との反応によって放射性核種を生成するとともに中性子を放出する物質であり、下流側、即ち後段に配置された原料は、初段の原料から放出される制動放射線との反応によって放射性核種を生成する物質である。原料20として具体的には、例えば、製造方法の実施形態で例示したRa−226及び/又はその化合物を含む原料、Mo−100及び/又はその化合物を含む原料のほか、ハフニウムHf−178及び/又はその化合物を含む原料、ゲルマニウムGe−70及び/又はその化合物を含む原料、亜鉛Zn−68及び/又はその化合物を含む原料、などが挙げられる。なお化合物としては、例えば、酸化物、塩、錯体などを用いることができる。
ハフニウムHf−178及び/又はその化合物を含む原料の場合には、制動放射線とHf−178との核反応により陽子を発生する反応(Hf−178(γ,p)Lu−177)により、ルテチウムLu−177が製造される。Ge−70及びその化合物を含む原料を用いた場合は、制動放射線とGe−70との核反応により2個の中性子を発生する反応(Ge−70(γ,2n) Ge−68)により、Ge−68が製造され、製造されたGe−68の電子捕獲反応によりガリウムGa−68が製造される。原料として、亜鉛Zn−68及びその化合物を含む原料を用いた場合は、制動放射線とZn−68との核反応により陽子を発生する反応(Zn−68(γ,p)Cu−67)により、銅Cu−67が製造される。いずれを初段とするか2段目とするかは、原料の原子番号或いは密度によって決定する。
これら原料は、粉体等の固体である場合には板状に成型したものを用いることができる。また容器内に設置してもよい。容器の材料としては、制動放射線の遮蔽効果を小さくするために、密度または原子番号の小さい、ベリリウム、炭素、及び、アルミニウム等、及び、それらの酸化物やホウ素化物等の化合物を用いることが望ましい。容器内に原料21、22を収納することで、液体状の原料を用いた場合、または、固体状の原料が、液体状に変化した場合においても、安全性を保つことができる。
原料或いはその容器の形状や大きさは、特に限定されないが、初段の原料については、電子の照射方向における原料の厚さが2段目の原料の表面における制動放射線強度を最大化する厚さとすることが好ましい。制動放射線強度の最大化について図3を参照して説明する。
図3は、初段の原料21の厚さに対する2段目の原料22の原料21側表面における制動放射線強度を示す図である。図示するように、初段の原料21の厚さが厚くなるに従って、2段目の原料22表面における制動放射線強度は強くなるが、さらに初段の原料21の厚さを厚くすると、制動放射線に対する原料21による遮蔽効果、及び、原料22の原料21側表面と原料21の電子線側表面との距離が離れることによる効果により、制動放射線強度が弱くなる。従って、原料21の厚さを、原料22の原料21側表面における制動放射線強度を最大にする厚さに設定することで、原料22で製造される核種の製造量を最大にすることができる。
本実施形態の放射性核種製造装置は、上述した放射性核種の製造方法に従って、電子線加速器10から放出される電子線を、その照射方向に配置された複数の原料20(21、22)に照射することにより、初段の原料、後段の原料のそれぞれにおいて、(γ,n)反応、(γ,2n)反応、(γ,p)反応などを利用して、異なる放射性核種を製造することができる。これにより装置の小型化、放射性核種の製造効率の向上を図ることができる。
また本実施形態の放射性核種製造装置は、初段の原料として原子番号及び密度の少なくとも一方を後段の原料よりも大きい材料とすることで、初段で生成する制動放射線の強度を高いものとすることができ、複数の原料でそれぞれ生成する放射性核種の製造量を高めることができる。特に初段の原料の厚さを適切に設計することによって、放射線の遮蔽効果を小さくして、且つ制動放射線の強度の最大化を実現することができる。
<第一実施形態の変形例>
第一実施形態では、反応室に2つの原料を配置したが、3つの原料を配置してもよい。それ以外の装置の構成は、第一実施形態と同様であり、異なる点を説明する。また本変形例を説明する図において、第一実施形態と共通する構成の一部は図示を省略する。
図4に示すように、本実施形態でも第一の原料21、第二の原料22、及び第三の原料23がこの順で電子の照射方向に沿って重なるように配置される。初段の原料21は、第一実施形態と同様に、原子番号及び密度の少なくとも一方を後段の原料よりも大きい材料を用いる。2段目の原料22は、原子番号又は密度が小さい原料を用いる。2段目の原料22は、初段の原料21に電子線加速器10で加速された電子線11が照射されることによって生成する制動放射線が照射されることによって、例えば(γ,n)反応により放射性核種を生成するが、制動放射線の生成は殆ど起こらない。従って、初段の原料21から生成した制動放射線を3段目の原料23に到達させるために、2段目の原料として原子番号又は密度が小さい原料を用いることで、制動放射線の遮蔽効果を低減する。これにより初段の原料21で生成し、3段目の原料23に到達する制動放射線の強度を維持することができ、原料23から製造される放射性核種の製造量を増加させることができる。
2段目の原料の具体的な例としては、例えば、ゲルマニウムGe−70及び/又はその化合物を含む原料、亜鉛Zn−68及び/又はその化合物を含む原料を用いてもよいし、それ以外の原料であっても液状として密度を低くしたものを用いてもよい。
本変形例によれば、同一製造工程において製造可能な放射性核種の種類をさらに増加させることができる。また初段のみならず、中間に位置する原料の密度や原子番号を適切に選択することで、複数の原料全てにおいて製造量を低下させることなく製造効率を向上することができる。
<第二実施形態>
本実施形態は、第一実施形態やその変形例の構成を基本として、原料の発熱を考慮した機構を含むことが特徴である。図5及び図6を参照して、発熱を抑制するための機構を含む本実施形態の放射性核種製造装置100Aの構成を説明する。発熱抑制のための機構以外は、第一実施形態(図2)と同様である。
本実施形態でも、複数(図では2つ)の原料21,22を電子線11の照射方向に重ねて配置することは第一実施形態と同様であるが、最初に電子線加速器10で加速された電子線11が照射される初段の原料21は、その一部のみに電子線11が照射される面積(照射面積)よりも大きな面積を有し、照射位置を変更可能にする移動機構によって支持されている。
電子線加速器10で加速された電子線11を初段の原料21に照射することで制動放射線(図示しない)が生成し、制動放射線の生成とともに電子のエネルギーが原料21に付与されることで、原料21は発熱する。しかし、原料21の一部の領域のみに電子線11が照射され、その照射位置が移動機構によって原料21内で変化することにより、発熱箇所を分散させることができ、発熱に伴う原料の劣化を防止することができる。
図5及び図6は、一例として、原料21又はその容器を円盤状の内部を円柱状に取り除いた形状とし、その円周方向の一部が電子線照射位置となるように配置した場合を示している。またこの例では照射位置を変更するための移動機構として回転機構40を設けている。
原料21の形状は、図6に示すように、円盤状の外径L1から、内部の円柱状の外径L2を引いた長さの半分{(L1−L2)/2}を、照射する電子線の直径Dと同程度、または、それ以上の大きさとする。また回転機構40は、モーター41に回転軸42を取り付け、回転軸42が原料21の中心に位置するように設置し、接続治具43を介して、原料21を回転軸42に取り付ける。電子線11照射時に、原料21を回転させることで、電子のエネルギーの付与が原料21中で分散され、発熱が緩和され、原料21の健全性を保つことが可能となる。
一方、電子のエネルギーのほとんどが原料21に付与されることから、原料21の後段に設置している原料22には電子のエネルギーがほとんど付与されず、また、制動放射線により付与されるエネルギーは非常に小さいことから、原料22では、ほとんど発熱が起こらない。従って第一実施形態と同様に、原料21で生成される制動放射線の照射を受けて(γ,n)反応等により連続した放射性核種の製造が可能となる。
本実施形態によれば、電子線のエネルギーによって初段の原料に生じる発熱を効果的に抑制することができ、冷却等の設備を反応室内に設置する必要がなく、原料の劣化を防止することができる。
<第二実施形態の変形例>
なお図6では、原料21の形状が円周方向に連続する形状である場合を示したが、例えば、図7や図8に示すように、円盤状の形状を円周方向に分割した形状としてもよい。この場合、分割された複数の部分(分割部分)21a〜21b或いは21a〜21dの中心部分に回転軸42を設け、回転軸42と各分割部分を接続する治具43を設ける。治具43は各分割部分を着脱可能に支持する取り出し機構(不図示)が備えられ、各分割部分は取り出し機構を介して治具43に接続される。着脱可能な取り出し機構としては、メカニカルチャックや真空チャック等の公知のチャック装置などを採用することができる。
本変形例では、回転軸42を適切な位置で一時的に静止させることで、図9に示すように、原料21の分割部分のうち、一つの部分21aが電子線に照射されている状態で、電子線に照射されていない他の部分21bを取り外し、電子線に未照射である新しい原料21の分割部分に交換することが可能となる。原料21の分割部分のいずれかが、電子線に照射されている状態を保ちながら、電子線に照射された原料21を取り外すことができ、後段の原料22に制動放射線が照射されるのを中断することなく、原料21で製造された核種を取出すことが可能となる。
また図6〜図8では原料の形状が、円盤状である場合を示したが、原料の形状は円盤状には限定されず、例えば、長方形や長円形のような形状とし、移動機構として回転機構ではなく、電子線の照射方向と直交する方向(一方向或いは二方向)に往復動させる機構を採用することも可能である。
<第三実施形態>
本実施形態は、初段の原料の後段に、第二或いは第三の原料を配置した場合において、それら後段の原料を取り出すための移動機構を加えたものであり、さらに各原料の移動機構を制御する制御部を備えることができる。
以下、本実施形態の放射性核種製造装置の具体的な構成を、図10を参照して説明する。図10において図2の要素と同じ機能を持つ要素は同じ符号で示し、重複する説明は省略する。図10に示すように、本実施形態の放射性核種製造装置100Bは、電子線加速器10と、電子線加速器10の電子線放出口に連結された反応室30とを備え、反応室30には、3種の原料21〜23を電子線照射方向に重ねて配置するための支持機構が設けられている。本実施形態においても、電子線加速器1で加速された電子線11を初段の原料21に照射することで制動放射線が生成し、生成した制動放射線が、後段に設置した原料22及び原料23に照射され、それぞれ放射性核種が生成する。
本実施形態では、原料21〜23をそれぞれ支持する支持機構に回転機構を設けて、原料21〜23が、電子線が照射される位置(電子線照射位置)から原料を取り出したり新しい原料に交換したりするための位置(取り出し位置)に移動可能にする。回転機構は、マニュアルで操作してもよいが、支持機構を制御する制御部60が備えられている場合には、制御部60により自動で制御される。
3種の原料のうち、初段の原料は、第二実施形態の変形例で説明したように、円盤状の形状を円周方向に分割した形状であり、その支持機構は、第二実施形態の回転機構40と同様に、回転モーター41と、回転モーター41によって回転する回転軸42と、回転軸42に固定され、原料21またはその容器に取り付けられた接続治具43とを備える。接続治具43は、図示を省略するが原料21を着脱自在に固定する機構(取り出し機構)が備えられていてもよい。着脱機構としては、メカニカルチャックや真空チャック等の公知のチャック装置を採用することができる。初段の原料21は、この回転機構40により、複数の分割された部分のうち一部が電子線の照射位置にあるように位置づけられ、回転軸42の回転に伴い、照射位置にある部分が変化する。
後段の原料22、23は、電子線が照射される面の面積が電子線の照射面積と同じかそれよりやや大きい形状を有し、回転モーター41とは別の回転モーター44に取り付けたそれぞれ別々の回転軸45に、接続治具46を介して着脱可能に取り付けられる。回転軸45の回転によって、原料22,23は、それぞれ、電子線照射位置と原料の取り出し位置との間で移動することができる。
回転機構の回転モーター41及び回転モーター44は、反応室30の外側に配置され、回転軸42及び回転軸45は、それぞれ、反応室30の密閉性を維持した状態で一部が反応室30の外側に配置されたモーター41、44に接続されている。反応室30は、原料取り出し時に反応室30の密閉性を維持するために、原料取り出し位置に反応室30と気密性を維持できる開閉扉を備えた予備室35を備えていてもよい。この場合、反応室30と予備室35との間を開放した状態で、原料を予備室35に移動し、反応室30と予備室35との間を閉鎖した後、予備室35から原料を取り出す或いは予備室にて原料の交換を行う。
原料の取り出しや交換のタイミングは、原料の種類によって必要製造量に達する時間や交換すべき時間が異なるので、ロボットアーム等を介して手動で原料の取り出し/交換作業を行う場合には、操作者の時間管理のもとで作業を行う。また予め必要製造量に達する時間や交換期間が分かっている場合には、その情報をもとに制御部60が自動制御することも可能である。
以下、制御部60による自動制御の一例を説明する。
図11は、製造核種ごとの原料交換時刻の一例を示す。図中、横軸は電子線照射開始からの時刻、縦軸は核種製造量である。核種の製造量は、原料の量、制動放射線の強度、及び、生成断面積の大きさによって変わり、図示するように、短時間で核種が製造される原料Bでは必要製造量に達する時間が速く、交換時刻も早い。また初段の原料のように分割されていて、各分割部分の一回転あたりの電子線照射時間が短いものでは、交換時刻は遅くなる場合もある。このように核種によって異なる製造量は、予め実験的に或いはシミュレーション等によって求めておくことが可能であり、制御部60は予め求めたデータを用いて回転軸42、46の回転速度、回転数、回転開始、及び、回転静止などを制御する。
制御の一例を図12に示す。反応室内に原料をセットした後、製造を開始する。まず電子線照射を開始するとともに(S101)、初段の原料21の回転機構(回転モーター41)を駆動し、原料21を回転させながら核反応を進行させる(S102)。製造終了の指示が与えられていなければ(S103)、原料の交換時期を監視し、3つの原料のいずれかが交換時刻に達したか否かを判断する(S104)。交換時刻に達した原料が初段の原料であった場合、初段の原料において所定量の核種が製造された場合には(S105)、初段の原料21の回転機構40の回転モーター41の駆動を制御し、初段の原料の分割数で決まる角度毎に間歇回転を行い、取り出し位置に順次移動してくる分割部分を新たな原料の分割部分に交換する(S107)。全ての分割部分の交換が終了するとステップS102に戻り、回転機構40を連続回転に切り替える。この間も電子線照射(S101)は継続しており、電子線照射位置にある初段の分割部分とそれより後方に配置された原料22、23を用いた核種製造は継続する。
一方、初段の原料以外の原料において所定量の核種が製造された場合には、交換対象となる原料の回転機構の回転モーター44を駆動し、回転軸42を電子線照射位置から取り出し位置までに対応する回転角度だけ回転させて、製造核種を含む原料を取り出し位置に移動させて、新たな原料に交換する(S108)。原料の交換が終了した後(S109)、回転軸42を再度回転させて、新たな原料を取り出し位置から電子線照射位置に位置づける。この間、初段の原料21と交換対象外の原料22又は23は、電子線照射位置にあり核種製造は継続する。
最終的に製造終了の指令があるまで(S103)、上記ステップを継続する。
このように本実施形態によれば、原料毎に独立して駆動可能な取り出しのための機構を設けることにより、それぞれの製造核種の必要製造量に応じて、所望のタイミングで別々に取り出すことができる。これにより、それぞれの核種に対して製造量不足や製造過多の無い最適な製造が可能となる。
また本実施形態によれば、取り出しのための機構を制御する制御部を備えることにより、自動的な制御が可能となる。
<第三実施形態の変形例>
第三実施形態では、2段目以降の原料22及び23の移動機構として回転モーター、回転軸及び治具を備えた回転機構を用いたが、移動機構はこのような回転機構に限定されるものではなく、原料を電子線照射位置から取り出し位置に移動可能にする機構であればよい。例えば、図13に示すように、棒状または板状の伸縮部47とそれらの駆動装置48を用いてもよい。伸縮部47は原料毎に設けられ、駆動装置48により独立して駆動され、図中矢印で示すように、電子線照射方向と交差する方向に伸縮可能或いはスライド可能である。原料を取り出す際は、伸縮部47の一端に着脱可能に固定されている原料22、23を、それぞれ独立して、電子線照射位置から原料取り出し位置側に移動する。このように棒状または板状の伸縮部47を、駆動装置48により伸縮或いは往復動作させることで、それぞれ任意の時間に、原料(製造核種を含む)を取り出すことができる。この場合にも、第三実施形態と同様に、手動の操作を行うことも制御部60による自動制御を行うことも可能である。
<第四実施形態>
第一〜第三実施形態を説明する図においては、反応室30における電子線の照射方向が水平方向である場合を示したが、本実施形態の放射性核種製造装置は電子線の照射方向が垂直方向となるように電子線加速器10と反応室30及び原料の配列とが配置されていることが特徴である。原料の種類や電子線やそれによって生じる制動放射線との反応は、上述した実施形態と同様であり、ここでは説明を省略する。
図14に示すように、本実施形態の放射性核種製造装置100Cは、電子線加速器10が反応室30の上部に縦置きに設置されており、原料21〜23は電子線の照射方向(垂直方向)に沿って、重なるように配置されている。本実施形態においても、初段の原料21は、電子線照射方向から見た形状が、2つの同心円で囲まれたドーナツ様の形状であり、回転モーター41の回転軸42aに治具43aを介して固定されている。後段の原料22,23は、それぞれ回転軸42aと同軸の回転軸42b、42cに治具43aを介して固定されている。回転軸用モーター41は、回転軸42a〜42cそれぞれの回転速度、回転数、回転開始、及び、回転静止をそれぞれ別々に制御する。これにより、任意の時間に、所定の製造量に達した核種を原子線照射位置から取り出し位置に移動させて、治具から取り外すことができる(図14の下側の図)。
本実施形態によれば、第三実施形態と同様の効果に加えて、各原料を移動させるための機構として同軸の回転機構を採用したことにより、機構の小型化を図ることができる。また各原料の取り出し側を一箇所に集中することができ、装置の簡素化をはかることができる。なお複数の原料の移動機構を同軸とする構成は、例えば、第三実施形態の図10に示す製造装置においても採用することができ、同様の効果を得ることができる。逆に本実施形態においても、初段以外の原料について、移動機構として伸縮部を備えた伸縮機構を採用することも可能である。
また本実施形態によれば、電子線の照射方向が垂直であることから、例えば原料が液体や粉体などの場合でも電子線照射面に対し均等に容器内に配置することができ、むらのない電子線照射を行うことができる。
<第四実施形態の変形例>
図14では、電子線加速器10を反応室30の上部に縦置きにしたが、図15に示すように、電子線加速器10を横置きとし、その電子線放出口15と反応室30に設けた上部開口35との間に電子線の方向を偏向させる偏向磁石装置70を配置してもよい。この場合にも反応室30における原料の配置は第四実施形態と同様であり、原料は電子線の照射方向に重なるように配置され、垂直方向に電子線が照射される。これにより、比較的重量のある電子線加速器10を反応室30上部に設置するための堅牢な支持機構を不要とすることができる。また、反応室30を放射線遮蔽された地下室等に配置し、その上の階に電子線加速器10を設置し、偏向磁石装置70で連結するなど、製造装置を設置する施設に応じて電子線の照射方向を選択することが可能となり、電子線加速器と反応室との設置場所や配置等の自由度が増す。
以上、本発明の放射性核種製造装置の種々の実施形態を説明したが、これら実施形態で説明した各要素の構成は、適宜、組み合わせることが可能であり、それらも本発明に包含される。また上記実施形態の放射性核種製造装置は、いずれも本発明の放射性核種製造方法を基本とするものであって、実施形態で説明した原料等は、本発明の放射性核種製造方法に適用される原料であれば、全て適用可能である。
10:電子線加速器、11:電子線、20(21、22、23):放射性核種製造用の原料、30:反応室、40:移動機構(回転機構)、60:制御部、70:偏向磁石装置、100:放射性核種製造装置。

Claims (15)

  1. 電子線加速器から放出される電子を原料に照射し、それによって原料から生成する制動放射線と原料との反応を利用して、放射性核種を製造する方法であって、
    前記原料として複数の原料を電子の照射方向に対し重ねて配置し、初段の原料として原子番号及び密度の少なくとも一方が後段の原料よりも大きい原料を用いることを特徴とする放射性核種の製造方法。
  2. 請求項1に記載の放射性核種の製造方法であって、
    前記原料は、ラジウムRa−226、モリブデンMo−100、ハフニウムHf−178、ゲルマニウムGe−70、及び、亜鉛Zn−68またはそれらの化合物から選ばれる1種以上であることを特徴とする放射性核種の製造方法。
  3. 請求項2に記載の放射性核種の製造方法であって、
    前記初段の原料はラジウムRa−226及び/又はその化合物を含む原料であり、前記後段の原料はモリブデンMo−100及び/又はその化合物を含む原料である放射性核種の製造方法。
  4. 請求項1に記載の放射性核種の製造方法であって、
    前記初段の原料の、前記電子線の照射方向の後方に、2種以上の原料を重ねて配置し、2段目の原料として、前記2種以上の原料のうち原子番号及び密度が最小の原料を用いることを特徴とする放射性核種の製造方法。
  5. 電子線加速器と、前記電子線加速器からの電子線が照射される位置に、放射性核種を生成する原料を収納し、電子線を利用して放射性核種を生成させる反応を行う反応室と、を備え、
    前記原料は、前記電子線の照射方向に沿って、上流側に配置される第一の原料と、下流側に配置される第二の原料とを含み、
    前記第一の原料は、原子番号及び密度の少なくとも一方が前記第二の原料よりも大きいことを特徴とする放射性核種製造装置。
  6. 請求項5に記載の放射性核種製造装置であって、
    前記第一の原料の、前記照射方向の厚みは、電子線の照射を受けて前記第一の原料から発生する制動放射線が最大となる厚みであることを特徴とする放射性核種製造装置。
  7. 請求項5に記載の放射性核種製造装置であって、
    前記第一の原料及び前記第二の原料の少なくとも一方は、容器に収納されていることを特徴とする放射性核種製造装置。
  8. 請求項5に記載の放射性核種製造装置であって、
    前記第一の原料又は前記第一の原料を収納する容器は、前記電子線の照射方向から見た形状が径の異なる同心円で囲まれた形状であって、前記電子線の照射方向に対し偏心し、円周方向の一部の領域に前記電子線が照射されるように配置され、前記同心円の中心を回転軸として回転可能に支持されていることを特徴とする放射性核種製造装置。
  9. 請求項8に記載の放射性核種製造装置であって、
    前記第一の原料は、前記同心円の周方向に、複数に分割されていることを特徴とする放射性核種製造装置。
  10. 請求項9に記載の放射性核種製造装置であって、
    前記第一の原料を前記回転軸を中心に回転させる回転機構と、
    前記第一の原料の分割された複数の部分のうち、前記電子線の照射位置以外の位置にある部分を取り出す取り出し機構と、をさらに備えることを特徴とする放射性核種製造装置。
  11. 請求項5に記載の放射性核種製造装置であって、
    前記電子線の照射方向に沿って、前記第二の原料の後方に配置された第三の原料をさらに含み、
    前記第二の原料及び前記第三の原料の少なくとも一方を、前記電子線の照射位置から原料取り出し位置に移動する移動機構と、前記移動機構の動作を制御する制御装置と、をさらに備えることを特徴とする放射性核種製造装置。
  12. 請求項11に記載の放射性核種製造装置であって、
    前記移動機構は、前記第二の原料及び前記第三の原料、または、前記第二の原料及び前記第三の原料を収納する容器を、前記電子線の照射方向と平行な軸を回転軸として回転させる回転機構、または、前記電子線の照射方向と直交する方向に平行移動する伸縮機構、であることを特徴とする放射性核種製造装置
  13. 請求項5に記載の放射性核種製造装置であって、
    前記電子線の照射方向は、水平方向であって、前記第一の原料及び前記第二の原料は水平方向に添って配置されていることを特徴とする放射性核種製造装置。
  14. 請求項5に記載の放射性核種製造装置であって、
    前記電子線の照射方向は、垂直方向であって、前記第一の原料及び前記第二の原料は垂直方向の上下に配置されていることを特徴とする放射性核種製造装置。
  15. 請求項14に記載の放射性核種製造装置であって、
    前記電子線加速器は、電子線の照射方向が水平方向となるように配置されており、前記電子線加速器と前記反応室との間に電子線の照射方向を変える偏向磁石装置が配置されていることを特徴とする放射性核種製造装置。
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