以下、発明を実施するための形態(以下、実施形態という)につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施形態により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る振動解析診断システムの診断対象となる機械設備の一例を示す図である。なお、以下の説明では、機械設備に設けられた転がり軸受11を例に説明する。
転がり軸受11は、機械設備1のハウジング15等に内嵌される外輪12と、機械設備1の回転軸に外嵌される内輪13と、外輪12と内輪13との間で転動可能に配置された複数の転動体14と、転動体14を転動自在に保持する不図示の保持器と、を有する。以下、転がり軸受11を単に「軸受11」とも称する。
図2は、実施形態1に係る振動解析診断システムの概念図である。図2に示すように、実施形態1に係る振動解析診断システム10は、基本的な概念として、複数の振動センサ21から出力される信号を個別に切り替えて、または複数の振動センサ21から出力される信号を同時に、図1に示す機械設備1の複数の部位(ここでは、軸受11)の振動を検出し、機械設備1の異常を診断する。
図3は、実施形態1に係る振動解析診断システムの概略構成を示す模式図である。図3に示すように、実施形態1に係る振動解析診断システム10は、基本構成として、機械設備1の異常を診断する情報端末装置40と、入力信号の分析結果を情報端末装置40に送信する振動分析装置20−1,20−2,・・・20−nとを備えている。本実施形態では、n個(nは、1以上の整数)の入力信号に対応して、n個の振動分析装置20−1,20−2,・・・20−nを有する構成である。なお、以下の説明において、振動分析装置20−1,20−2,・・・20−nを特に区別する必要がない場合には、「振動分析装置20」と称する。
情報端末装置40は、例えば、タブレット等の携帯情報端末装置である。また、情報端末装置40は、インターネットやWi−Fi(登録商標)等の通信回線網を介して不図示のホストコンピュータとも接続可能であり、当該ホストコンピュータから後述する振動解析診断プログラム等のアプリケーションプログラムや、後述する損傷周波数データベース等の更新データを取得して更新することもできる。
振動分析装置20と情報端末装置40との間は、通信手段100によりデータや各種指令信号の送受信が行われる。本開示において、通信手段100は、例えば、Bluetooth(登録商標)等の無線通信手段である。
図4A及び図4Bは、実施形態1に係る振動分析装置の構成の一例を示すブロック図である。図4A及び図4Bにおいて、振動分析装置20−mは、図3に示す振動分析装置20−1,20−2,・・・,20−nのうちの1つ(mは、1以上n以下の整数)を示している。以下、単に「振動分析装置20」とも称する。本実施形態において、振動分析装置20は、振動センサ21から入力される信号と、外部機器70から入力される信号とを切り替えて振動分析を行う。図4Aは、振動センサ21から入力される信号を選択しているときの状態を示している。図4Bは、外部機器70から入力される信号を選択しているときの状態を示している。
図4A及び図4Bに示すように、振動分析装置20は、フィルタ処理部22としてのハイパスフィルタ(HPフィルタ)27及びアンチエイリアスフィルタ(AAフィルタ)29、増幅器28、A/D変換回路30、演算処理回路23、内部メモリ24、送受信部26、電源31、切替部32、振動センサ駆動電源33、スイッチ回路34、スイッチ回路35、及びスイッチ回路36を主に備える。スイッチ回路34,35,36としては、例えば、電磁式のリレー回路が例示される。
振動センサ21は、例えば、圧電式加速度センサ等で構成される。振動センサ21は、振動分析装置20に取り付けられた構成であってもよい。この場合、振動センサ21が取り付けられる振動分析装置20の先端部には、例えば、不図示の雌ねじ部が形成されており、雌ねじ部に螺合する部材に磁石を取り付けることで、振動分析装置20が機械設備1のハウジング15に着脱可能な構成であっても良い。
切替部32は、スイッチ回路34,35,36を制御して、振動センサ21から入力される信号と、外部機器70から入力される信号とを切り替える構成部である。図4A及び図4Bに示す例では、振動センサ21と外部機器70との組み合わせを1つの「CH」(図4A及び図4Bでは、「CHm」)としている。
振動センサ駆動電源33は、スイッチ回路34を介して、振動センサ21を駆動するための電源を供給する構成部である。
切替部32は、演算処理回路23からの制御コマンドに応じて、スイッチ回路34、スイッチ回路35、及びスイッチ回路36を制御する。具体的に、切替部32は、振動センサ21から入力される信号を選択する場合には、図4Aに示すように、スイッチ回路34をオン制御し、スイッチ回路35をオン制御し、スイッチ回路36をオフ制御する。これにより、振動センサ駆動電源33から振動センサ21に電源が供給され、振動センサ21から入力される信号がハイパスフィルタ(HPフィルタ)27に入力される。また、切替部32は、外部機器70から入力される信号を選択する場合には、図4Bに示すように、スイッチ回路34をオフ制御し、スイッチ回路35をオフ制御し、スイッチ回路36をオン制御する。これにより、振動センサ駆動電源33から振動センサ21への電源供給が停止し、外部機器70から入力される信号がハイパスフィルタ(HPフィルタ)27に入力される。なお、切替部32を備えず、演算処理回路23がスイッチ回路34,35,36を制御する態様であっても良い。また、スイッチ回路35,36を1つのスイッチ回路で構成し、振動センサ21から入力される信号と外部機器70から入力される信号とを切り替える態様であっても良い。また、振動センサ21から入力される信号を選択する場合には、切替部32または演算処理回路23が振動センサ駆動電源33をオン制御し、外部機器70から入力される信号を選択する場合には、切替部32または演算処理回路23が振動センサ駆動電源33をオフ制御する態様であっても良い。
本実施形態において、外部機器70は、例えばPCやデータレコーダ、周波数発振器等を含む。外部機器70から入力される信号は、例えば、CDやデータレコーダ等に収録されたデジタルデータをPCやデータレコーダでDA変換したアナログ信号や、周波数発振器等により生成された正弦波信号等を含む。以下の説明において、外部機器70から入力される信号は、過去に取得されたデータや他の機械設備において取得されたデータをデコード処理したアナログ信号を想定している。なお、デコード前のデジタルデータとしては、例えば、サンプリング周波数25.6kHz以上で収録したwavデータやMP3形式等の圧縮データ等のサウンドデータであることが好ましい。
電源31は、例えばリチウム電池等で構成される二次電池であり、USB(Universal Serial Bus)ケーブル等を介して外部から充電可能である。また、振動分析装置20の側面には、電源31をON/OFFする不図示のスイッチが設けられている。
切替部32において振動センサ21を選択すると、振動センサ駆動電源33からスイッチ回路34を介して振動センサ21に電源が供給される。これにより、振動センサ21から入力される信号を取得することができる。一方、切替部32において外部機器70を選択すると、振動センサ駆動電源33から振動センサ21への電源供給が停止し、外部機器70から入力される信号を入力できる状態になる。切替部32において切り替えられた信号(以下、単に「入力信号」とも称する)は、HPフィルタ27、増幅器28、AAフィルタ29、及びA/D変換回路30の順に通過する。このため、入力信号は、フィルタ処理部22を構成するHPフィルタ27及びAAフィルタ29がバンドパスフィルタとして機能することで特定の周波数帯域が抽出され、増幅器28によって増幅され、さらにA/D変換回路30によってデジタル信号に変換されて、演算処理回路23に送られる。
演算処理回路23は、例えばMCU(Micro Control Unit)等のマイクロコントローラやDSP(Digital Signal Processor)等のマイクロプロセッサにより構成される回路である。
演算処理回路23は、入力信号の時間波形(振動加速度)を振動信号として取得する。このとき、演算処理回路23は、加速度振動値として、10Hz以上20kHz以下の周波数範囲の実効値、ピーク値、及び波高値(ピーク値/実効値)を算出し、内部メモリ24に一時的に記憶する。また、演算処理回路23は、速度振動値として、10Hz以上1kHz以下の周波数範囲の実効値、ピーク値、及び波高値(ピーク値/実効値)を算出し、内部メモリ24に一時的に記憶する。また、演算処理回路23は、変位として、10Hz以上1kHz以下の周波数範囲の両振幅値を算出し、内部メモリ24に一時的に記憶する。
演算処理回路23は、フィルタ処理機能を備え、HPフィルタ27及びAAフィルタ29によって抽出された特定の周波数帯域に対してフィルタ処理を行う。したがって、本実施形態では、演算処理回路23のフィルタ処理機能が、本開示のフィルタ処理部22の一部として機能する。
また、演算処理回路23は、フィルタ処理後の信号を、必要に応じて、絶対値化処理やエンベロープ処理を行った後、FFT解析してスペクトルデータを生成する。算出されたスペクトルデータは、内部メモリ24に一時的に記憶される。なお、本実施形態において、スペクトルデータは、指数平均を用いて平均化処理されている。
送受信部26は、例えば、情報端末装置40からの各種指令信号を受信すると共に、演算処理回路23の分析機能により得られたスペクトルデータ等の信号を情報端末装置40へ送信する。なお、本開示では、上述したように、振動分析装置20と情報端末装置40との間は、無線通信手段である通信手段100によりデータや各種指令信号の送受信が行われる例について説明するが、振動分析装置20と情報端末装置40との間の通信は、有線で行われてもよい。
図5は、実施形態1に係る情報端末装置の構成の一例を示すブロック図である。図5に示すように、情報端末装置40は、送受信部42、演算処理回路43、内部メモリ44、表示操作部(表示部)45、及びスピーカ46を主に備える。
送受信部42は、振動分析装置20との間で、各種指令信号の送信や、スペクトルデータ等の信号の受信等を行う。
表示操作部45は、例えば、タッチ検出機能付きの液晶パネル等で構成される。表示操作部45は、情報端末装置40に内蔵する制御ソフトにより画面表示が切り替え可能である。表示操作部45は、振動値、診断結果、各種波形等の処理結果を表示すると共に、診断対象とする軸受11の振動解析診断機能における各種設定情報、例えば、軸受11の名番、回転輪の回転速度等の各情報を選択して入力することができる。表示操作部45は、本開示における表示部に対応する。
演算処理回路43は、例えばMCU(Micro Control Unit)等のマイクロコントローラやDSP(Digital Signal Processor)等のマイクロプロセッサにより構成される回路である。
演算処理回路43は、振動分析装置20の送受信部26から受信したスペクトルデータに基づいて、内部メモリ44に記憶された損傷周波数データベース(DB)を参照し、軸受11の異常の有無、及び異常部位を診断する。演算処理回路43は、本開示における軸受診断部(診断部)に対応する。
なお、内部メモリ44の損傷周波数データベース(DB)に記憶されている損傷周波数は、軸受11の所定の回転速度を基に換算した、軸受11の部位ごとの換算損傷周波数であり、診断に使用される損傷周波数は、換算損傷周波数を、軸受11の実際の回転速度を用いて計算することで得られる。
図6は、軸受の部位と損傷周波数との関係を示す図である。例えば、図6に示す関係式を用いて、内部メモリ44の損傷周波数データベース(DB)に登録されている軸受11の名番の内部諸元(図6に示す関係式に必要な寸法、転動体の数等)から予め算出しておいた単位回転速度時の内輪傷成分Si、外輪傷成分So、転動体傷成分Sbを換算軸受損傷周波数とする。内部メモリ44に記憶される損傷周波数データベース(DB)には、機械設備1の複数の軸受11に対応して設けられた各振動センサ21と、軸受11ごとの各換算軸受損傷周波数とが関連付けられて、DLL(Dynamic Link Library)として保存されている。
軸受11の名番入力は、表示操作部45に表示される名番一覧表から選択してもよく、個別に手動入力することもできる。なお、名番が登録されていない軸受11については、軸受11の諸元と、機械部品の実際の回転速度とを直接入力することで、図6に示す所定の関係式を用いて、軸受11の部位ごとの損傷に起因する損傷周波数を計算することができる。また、名番が登録されていない軸受11については、換算損傷周波数を入力してもよい。この場合、内部メモリ44には、図6に示す所定の関係式が保存されている。若しくは、名番が登録されていない軸受11については、外部で計算した所定の回転速度における換算損傷周波数を表示操作部45から直接入力しておき、演算処理回路43が、この換算損傷周波数を用いて、機械部品の実際の回転速度を基に損傷周波数を算出するようにしてもよい。何れにおいても、名番が登録されていない軸受11の換算損傷周波数は、実際の機械設備1の運転時に呼び出せるように、名番と共に、内部メモリ44に保存されることが好ましい。
次に、本実施形態に係る振動解析診断システム10及び振動解析診断方法における初期設定手順について説明する。
図7は、実施形態1に係る振動解析診断システムにおける初期設定手順の一例を示すフローチャートである。図8は、実施形態1に係る振動解析診断プログラムの初期画面の一例を示す図である。図9は、実施形態1に係る振動解析診断プログラムのユーティリティ画面の一例を示す図である。図10A、図10B、図10C、及び図10Dは、実施形態1に係る振動解析診断プログラムの診断条件設定画面の一例を示す図である。なお、図7に示す初期設定手順の前に、振動解析診断対象の機械設備の複数箇所に各振動センサ21が設置されているものとする。
操作者が情報端末装置40の表示操作部45(図5参照)を操作し、実施形態1に係る振動解析診断プログラムを起動すると(ステップS1)、情報端末装置40は、図8に示す振動解析診断プログラムの初期画面2を表示する(ステップS2)。
図8に示すように、振動解析診断プログラムの初期画面2には、例えば、診断条件読み込みボタン201、診断開始ボタン202、ユーティリティボタン203、終了ボタン204等が表示される。
診断条件読み込みボタン201は、予め設定した診断条件の読み込みを行うための操作ボタンである。診断開始ボタン202は、振動解析診断の開始を指示するための操作ボタンである。ユーティリティボタン203は、図9に示すユーティリティ画面3を表示させるための操作ボタンである。終了ボタン204は、振動解析診断プログラムを終了させるための操作ボタンである。
操作者が初期画面2上のユーティリティボタン203を操作して、「ユーティリティ」を選択すると(ステップS3)、情報端末装置40は、図9に示す振動解析診断プログラムのユーティリティ画面3を表示する(ステップS4)。
図9に示すように、振動解析診断プログラムのユーティリティ画面3には、例えば、診断条件設定ボタン301、保存データ読み出しボタン302、データ送信ボタン303、測定点情報更新ボタン304、戻るボタン305等が表示される。
診断条件設定ボタン301は、診断条件の設定を行うための操作ボタンである。保存データ読み出しボタン302は、振動解析処理後の保存データを読み出すための操作ボタンである。データ送信ボタン303は、例えばデータサーバー装置(不図示)に保存データを送信するための操作ボタンである。測定点情報更新ボタン304は、図10Aから図10Dに示す診断条件設定画面において設定した測定点の情報を更新するための操作ボタンである。戻るボタン305は、図8に示す振動解析診断プログラムの初期画面2を再表示させるための操作ボタンである。
操作者がユーティリティ画面3上の診断条件設定ボタン301を操作して、「診断条件設定」を選択すると(ステップS5)、情報端末装置40は、図10Aに示す診断条件設定画面4−1を表示する(ステップS6)。なお、図10Aに示す診断条件設定画面4−1、図10Bに示す診断条件設定画面4−2、図10Cに示す診断条件設定画面4−3、及び図10Dに示す診断条件設定画面4−4は、任意に切替可能である。また、図10Aに示す診断条件設定画面4−1、図10Bに示す診断条件設定画面4−2、図10Cに示す診断条件設定画面4−3、及び図10Dに示す診断条件設定画面4−4は、各振動センサ21毎に表示される。なお、図10A、図10B、図10C、及び図10Dに示す例では、3つの入力信号にそれぞれ対応した「CH1」、「CH2」、「CH3」の何れかを選択可能となっている。図10A、図10B、図10C、及び図10Dでは、「CH1」の入力信号が選択された例を示している。
図10Aに示すように、振動解析診断プログラムの診断条件設定画面4−1には、例えば、基本設定ウィンドウ401−1、保存ボタン402、取り消しボタン403等が表示される。
図10Bに示すように、振動解析診断プログラムの診断条件設定画面4−2には、例えば、軸受設定ウィンドウ401−2、保存ボタン402、取り消しボタン403等が表示される。
図10Cに示すように、振動解析診断プログラムの診断条件設定画面4−3には、例えば、測定条件設定ウィンドウ401−3、保存ボタン402、取り消しボタン403等が表示される。
図10Dに示すように、振動解析診断プログラムの診断条件設定画面4−4には、例えば、判定条件設定ウィンドウ401−4、保存ボタン402、取り消しボタン403等が表示される。
図10Aに示す基本設定ウィンドウ401−1は、振動解析の基本設定を行う表示領域である。基本設定ウィンドウ401−1で入力される基本設定項目としては、例えば、入力信号、振動センサの種類、入力信号に対するゲイン設定、感度、プラント、診断対象設備、測定部位等の情報を含む。
図10Bに示す軸受設定ウィンドウ401−2は、診断対象の軸受に関する情報を設定する表示領域である。軸受設定ウィンドウ401−2で入力される軸受設定項目としては、例えば、モード、軸受の名番、回転数、回転輪等を含む。
図10Cに示す測定条件設定ウィンドウ401−3は、振動測定を行う際の測定条件を設定するための表示領域である。測定条件設定ウィンドウ401−3で入力される測定条件設定項目としては、例えば、最大周波数、各種フィルタのカットオフ周波数、平均化回数等を含む。
図10Dに示す判定条件設定ウィンドウ401−4は、異常判定を行う際の判定条件を設定するための表示領域である。判定条件設定ウィンドウ401−4で入力される判定条件設定項目としては、例えば、加速度(平均値)における判定閾値、加速度(ピーク値)における判定閾値等を含む。
以下、診断条件設定画面4−1,4−2,4−3,4−4を特段に区別しない場合には、「診断条件設定画面4」と称する。また、基本設定ウィンドウ401−1、軸受設定ウィンドウ401−2、測定条件設定ウィンドウ401−3、及び判定条件設定ウィンドウ401−4を特段に区別しない場合には、「設定ウィンドウ401」と称する。なお、各設定ウィンドウ401において設定可能な各項目は一例であり、各設定ウィンドウ401において設定する項目により本開示が限定されるものではない。
図10A、図10B、図10C、及び図10Dに示す保存ボタン402は、各設定ウィンドウ401において設定した各種設定を保存し、図9に示す振動解析診断プログラムのユーティリティ画面3を再表示させるための操作ボタンである。
図10A、図10B、図10C、及び図10Dに示す取り消しボタン403は、各設定ウィンドウ401において設定した各種設定を取り消し、図9に示す振動解析診断プログラムのユーティリティ画面3を再表示させるための操作ボタンである。
操作者が情報端末装置40の表示操作部45を操作して、例えば、診断条件設定画面4上の設定ウィンドウ401をタップすると、表示操作部45にキーボードウィンドウ(不図示)が表示され、設定ウィンドウ401内の各種基本設定項目が入力可能となる。
操作者は、情報端末装置40の表示操作部45を操作して、診断条件設定画面4上の設定ウィンドウ401内の各種設定項目を入力する。このとき、振動センサ21から入力される信号と、外部機器70から入力される信号と、のうちの何れか一方を入力信号として選択する(ステップS7)。
なお、切替部32の動作は、選択された入力信号によって異なる。振動センサ21を選択すると、振動センサ駆動電源33から振動センサ21に電源を供給する。これにより、振動センサ21から入力される信号を取得し演算処理をすることができる。一方、切替部32において外部機器70を選択すると、振動センサ駆動電源33からの電源供給が停止し、外部機器70から入力される信号が演算処理される。なお、外部機器70から入力される信号としては、データレコーダやICレコーダから出力されるAC信号以外に、WAV形式やMP3形式などのサウンドデータをPCで再生して使用できる。
操作者が診断条件設定画面4上の保存ボタン402又は取り消しボタン403を操作して、各種設定の「保存」又は「取り消し」を選択すると(ステップS8)、情報端末装置40は、図9に示す振動解析診断プログラムのユーティリティ画面3を再表示する(ステップS9)。ここで、操作者が診断条件設定画面4上の保存ボタン402を操作して、各種設定の「保存」を選択すると、情報端末装置40は、診断条件設定画面4上の設定ウィンドウ401内で入力された各種設定項目を内部メモリ44に記憶する。
さらに、操作者がユーティリティ画面3上の戻るボタン305を操作して、「戻る」を選択すると(ステップS10)、情報端末装置40は、図8に示す振動解析診断プログラムの初期画面2を再表示する(ステップS11)。
そして、操作者が初期画面2上の終了ボタン204を操作して、「終了」を選択すると(ステップS12)、情報端末装置40は、実施形態1に係る振動解析診断プログラムを終了し、振動解析診断システム10における初期設定手順を終了する。
次に、本実施形態に係る振動解析診断システム10及び振動解析診断方法における振動解析診断手順について説明する。
図11は、実施形態1に係る振動解析診断システムにおける振動解析診断手順の一例を示すフローチャートである。
操作者が情報端末装置40の表示操作部45(図5参照)を操作し、実施形態1に係る振動解析診断プログラムを起動すると(ステップS21)、情報端末装置40は、図8に示す振動解析診断プログラムの初期画面2を表示する(ステップS22)。
操作者が初期画面2上の診断条件読み込みボタン201を操作して、「診断条件読み込み」を選択すると(ステップS23)、情報端末装置40は、内部メモリ44に記憶された各種設定を読み出す(ステップS24)。
各種設定の読み出しを行っている間、情報端末装置40は、初期画面2上の診断開始ボタン202を、表示操作部45上においてグレーアウト表示とし、「診断開始」を選択不可とする。
内部メモリ44に記憶された各種設定の読み出しが終了すると、情報端末装置40は、読み出した各種設定に基づき振動分析装置20の設定を行う。このとき、情報端末装置40の演算処理回路23は、選択された入力信号に応じた動作をするように、切替部32を制御する。具体的には、上述したように、振動センサ21を選択すると、振動センサ駆動電源33から振動センサ21に電源が供給されるように制御し、外部機器70を選択すると、振動センサ駆動電源33からの電源供給を停止するように制御する。これにより、後述する本実施形態に係る振動解析診断システム10における振動解析診断処理において、入力信号に応じた演算処理が行われる。振動分析装置20の設定後、情報端末装置40は、初期画面2上の診断開始ボタン202を、表示操作部45上においてグレーアウト表示を解除し、「診断開始」を選択可能とする。
操作者が初期画面2上の診断開始ボタン202を操作して、「診断開始」を選択すると(ステップS25)、情報端末装置40は、上述した初期設定手順で設定した各CHの入力信号に対し、順次、本実施形態に係る振動解析診断システム10における振動解析診断処理を実施する。
ここで、本実施形態に係る振動解析診断システム10における振動解析診断機能について説明する。図3に示した本実施形態に係る振動解析診断システム10は、振動分析装置20及び情報端末装置40を用いた振動解析診断機能として、軸受診断機能、振動値測定機能、簡易診断機能、周波数分析機能の各機能を主に備える。
軸受診断機能は、軸受の内外輪、及び転動体の損傷の有無、及びその損傷部位を診断する機能である。
振動値測定機能は、振動の変位、速度、加速度などの実効値、ピーク値、波高率を測定する機能である。
簡易診断機能は、検出された振動の変位、速度、加速度などの実効値、ピーク値、波高率を、予め設定されている閾値と比較して、回転部のアンバランスや転がり軸受の異常の有無を簡易的に診断する機能である。
周波数分析機能は、FFTなどにより振動波形を周波数分析したFFT波形を表示する機能である。
本実施形態において、振動解析診断システム10は、振動解析診断機能として、少なくとも上述した軸受診断機能、振動値測定機能、簡易診断機能、周波数分析機能の1つを実現する。
具体的に、情報端末装置40(図5参照)は、例えば、上述した初期設定手順において「CH1」に設定されたCHの入力信号を選択し(ステップS26)上述した振動解析診断機能を実現するための振動解析診断処理を実施する(ステップS27)。
まず、軸受診断機能による軸受診断処理について、図12を参照して説明する。図12は、軸受診断処理の一例を示すフローチャートである。
情報端末装置40の演算処理回路43は、選択されたCHの入力信号に対応する軸受診断指令を送受信部42に出力する。送受信部42は、選択されたCHの入力信号に対応する振動分析装置20(図5参照)に対して、軸受診断指令を送信する(ステップS102)。
送受信部26を介して軸受診断指令を受信した振動分析装置20の演算処理回路23は、軸受診断処理を開始する(ステップS103)。
振動分析装置20は、入力信号の時間波形(振動加速度)を振動信号として取得する(ステップS104)。
取得された振動信号は、HPフィルタ27及びAAフィルタ29によりフィルタ処理され(ステップS105)、特定の周波数帯域が抽出される。演算処理回路23は、抽出された所定の周波数帯域に対して周波数分析を行い、FFT波形を算出する(ステップS106)。その後、演算処理回路23は、特定の周波数帯域から、演算処理回路23のフィルタ機能(不図示のHPフィルタ及びLPフィルタの組み合わせ、もしくは、バンドパスフィルタ等によるフィルタ処理)で所定の周波数帯域をさらに抽出し(ステップS107)し、エンベロープFFT波形を算出する(ステップS108)。
なお、FFT波形は、指数平均を用いて、平均化処理が行われている。演算処理回路23は、振動信号の周波数スペクトルを算出するFFT演算部でもあり、FFTアルゴリズム及びエンベロープ分析に基づいて振動信号の周波数スペクトルを算出する。
振動分析装置20は、演算処理回路23が算出した周波数スペクトルを、スペクトルデータとして送受信部26から情報端末装置40に送信する。情報端末装置40に送信されるデータはスペクトルデータである(図3参照)ので、時間波形を直接情報端末装置40に送信する場合に比べて送信するデータ量が大幅に削減されている。このため、データの転送時間が短くなり、通信時間が短縮される。また、後述する情報端末装置40の演算処理回路43における処理が軽減されるため、情報端末装置40の異常発熱やフリーズを未然に防ぐことができる。
情報端末装置40の送受信部42で受信されたスペクトルデータは、演算処理回路43に入力される。演算処理回路43は、内部メモリ44に記録されている損傷周波数データベース(DB)を参照し、診断対象である軸受11の異常の有無等を診断する(ステップS107)。
具体的に、演算処理回路43は、軸受11の部位ごとの損傷に起因する軸受損傷周波数を、軸受に対応する換算軸受損傷周波数と、軸受11の実際の回転速度とを用いて予め計算する。そして、振動分析装置20から受信したスペクトルデータを対象に、軸受損傷周波数ごとの照合(「ピーク周波数=軸受損傷周波数」の成否)により、軸受11の傷等の異常の発生有無及びその部位を特定する。
ここで、軸受11の軸受損傷周波数成分には、軸受傷成分、すなわち、内輪傷成分Si、外輪傷成分So、及び転動体傷成分Sbがあり、各周波数成分のそれぞれのレベルを抽出することになる。そして、異常の部位が、外輪12、内輪13、転動体14のいずれかであるかを特定する。
そして、演算処理回路43は、上述のようにして得た軸受11の診断結果を振動解析診断処理結果として内部メモリ44に記憶し(ステップS108)、図11に示す振動解析診断手順に戻る。
次に、振動値測定機能による振動値測定処理について、図13を参照して説明する。図13は、振動値測定処理の一例を示すフローチャートである。
情報端末装置40(図5参照)の演算処理回路43は、選択されたCHの入力信号に対応する振動値測定指令を送受信部42に出力する。送受信部42は、選択されたCHの入力信号に対応する振動分析装置20(図4参照)に対して、振動値測定指令を送信する(ステップS202)。
送受信部26を介して振動値測定指令を受信した振動分析装置20の演算処理回路23は、入力信号の時間波形(振動加速度)を振動信号として取得する(ステップS203)。
続いて、演算処理回路23は、振動の加速度や速度の実効値(rms)、ピーク値(peak)、波高率(c.f.)、及び変位のピーク値(peak)の少なくとも一つの振動値を算出する(ステップS204)。
そして、振動分析装置20は、演算処理回路23が算出した振動値を、振動値データとして送受信部26から情報端末装置40に送信する。
情報端末装置40の送受信部42で受信された振動値データは、演算処理回路43に入力される。演算処理回路43は、上述のようにして得た振動値算出結果を振動解析診断処理結果として内部メモリ44に記憶し(ステップS205)、図11に示す振動解析診断手順に戻る。
次に、簡易診断機能による簡易診断処理について、図14を参照して説明する。図14は、簡易診断処理の一例を示すフローチャートである。
情報端末装置40(図5参照)の演算処理回路43は、選択されたCHの入力信号に対応する簡易診断指令を送受信部42に出力する。送受信部42は、選択されたCHの入力信号に対応する振動分析装置20(図4参照)に対して、簡易診断指令を送信する(ステップS302)。
送受信部26を介して簡易診断指令を受信した振動分析装置20の演算処理回路23は、入力信号の時間波形(振動加速度)を振動信号として取得する(ステップS303)。
続いて、演算処理回路23は、簡易診断において使用される診断パラメータである振動値を算出する(ステップS304)。具体的に、演算処理回路23は、診断パラメータとして、振動の加速度や速度の実効値(rms)、ピーク値(peak)、波高率(c.f.)、及び変位のピーク値(peak)の少なくとも一つの振動値を算出する。
そして、振動分析装置20は、演算処理回路23が算出した振動値を、振動値データとして送受信部26から情報端末装置40に送信する。
情報端末装置40の送受信部42で受信された振動値データは、演算処理回路43に入力される。振動値データに含まれる加速度、速度、及び変位の診断パラメータから、簡易診断機能によるISO基準(例えば、ISO 10816−1等)の絶対値判定が可能となる。また、任意の閾値を用いて簡易診断を行うことも可能である。例えば、演算処理回路43は、加速度や速度の実効値(rms)、ピーク値(peak)、波高率(c.f.)、及び変位のピーク値(peak)を、それぞれの閾値と比較して簡易診断を行う(ステップS305)。具体的に、演算処理回路43は、「実効値(rms)、ピーク値(peak)、波高率(c.f.)>各閾値」であるときには、回転部あるいは軸受11の異常有りと判定し、各値が閾値以下である場合には、異常なしと判定する。この場合、各閾値は、内部メモリ44に保存されていることとすればよい。
そして、演算処理回路43は、上述のようにして得た簡易診断結果を振動解析診断処理結果として内部メモリ44に記憶し(ステップS306)、図11に示す振動解析診断手順に戻る。
なお、ステップS305における簡易診断は、振動分析装置20の演算処理回路23で行ってもよい。
次に、周波数分析機能による周波数分析処理について、図15を参照して説明する。図15は、周波数分析処理の一例を示すフローチャートである。
情報端末装置40(図5参照)の演算処理回路43は、選択されたCHの入力信号に対応する周波数分析指令を送受信部42に出力する。送受信部42は、選択されたCHの入力信号に対応する振動分析装置20(図4参照)に対して、周波数分析指令を送信する(ステップS402)。
送受信部26を介して周波数分析指令を受信した振動分析装置20の演算処理回路23は、入力信号の時間波形(振動加速度)を振動信号として取得する(ステップS403)。
取得された振動信号は、HPフィルタ27及びAAフィルタ29によりフィルタ処理され(ステップS404)、特定の周波数帯域が抽出される。その後、演算処理回路23は、周波数分析を行い、FFT波形を算出する(ステップS405)。演算処理回路23は、振動信号の周波数スペクトルを算出するFFT演算部であり、FFTアルゴリズムに基づいてFFT波形を算出する。なお、FFT波形は、指数平均を用いて、平均化処理が行われている。また、エンベロープ処理を選択的に実行可能である。
そして、振動分析装置20は、演算処理回路23が算出したFFT波形を、FFT波形データとして送受信部26から情報端末装置40に送信する。
情報端末装置40の送受信部42で受信されたFFT波形データは、演算処理回路43に入力される。演算処理回路43は、上述のようにして得たFFT波形を振動解析診断処理結果として内部メモリ44に記憶し(ステップS406)、図11に示す振動解析診断手順に戻る。
本実施形態において、振動解析診断システム10は、振動解析診断機能として、上述した軸受診断処理(図12参照)、振動値測定処理(図13参照)、簡易診断処理(図14参照)、周波数分析処理(図15参照)のうちの1つ以上を実現する。
図11に示す振動解析診断手順に戻り、情報端末装置40は、上述した初期設定手順において設定された全てのCHの入力信号、具体的には、「CH1」、「CH2」、「CH3」に設定された各入力信号において、振動解析診断処理が終了したか否かを判定する(ステップS28)。振動解析診断処理が終了していないCHの入力信号があれば(ステップS28;No)、ステップS26の処理に戻り、全てのCHの入力信号の振動解析診断処理が終了するまで、ステップS26からステップS28までの処理を繰り返し実施する。
図16は、実施形態1に係る振動解析診断プログラムの診断処理終了画面の一例を示す図である。
全てのCHの入力信号の振動解析診断処理が終了すると(ステップS28;Yes)、情報端末装置40は、図16に示す振動解析診断プログラムの診断処理終了画面5を表示し(ステップS29)、振動解析診断システム10における振動解析診断手順を終了する。
図16に示すように、振動解析診断プログラムの診断処理終了画面5には、例えば、各CHの入力信号の簡易診断結果、図16に示す例では、図14に示す簡易診断処理によって取得された、「CH1」、「CH2」、「CH3」の各入力信号の簡易診断結果501−1,501−2,501−3、再測定(個別CH)ボタン502、再測定(全CH)ボタン503、個別に再測定を行うCHの入力信号を選択するための選択ボタン504等が表示される。
再測定(個別CH)ボタン502は、選択ボタン504により選択されたCHの入力信号(ここでは、「CH1」、「CH2」、「CH3」の何れか)において個別に再測定を行うための操作ボタンである。再測定(全CH)ボタン503は、全てのCHの入力信号(ここでは、「CH1」、「CH2」、「CH3」)において再測定を行うための操作ボタンである。
操作者が診断処理終了画面5上の選択ボタン504を操作して、CH(ここでは、「CH1」、「CH2」、「CH3」の何れか)を選択し、再測定(全CH)ボタン503を操作して、「再測定(個別CH)」を選択することで、選択したCHの入力信号の振動解析診断処理を再実施することができる。また、操作者が診断処理終了画面5上の再測定(全CH)ボタン503を操作して、「再測定(全CH)」を選択することで、全てのCHの入力信号(ここでは、「CH1」、「CH2」、「CH3」)の振動解析診断処理を再実施することができる。診断処理終了画面5において「再測定(個別CH)」「再測定(個別CH)」を選択することによって取得された振動解析診断処理結果は、上述した振動解析診断手順によって取得された振動解析診断処理結果と同様に、内部メモリ44に記憶される。
次に、本実施形態に係る振動解析診断システム10及び振動解析診断方法における保存データ表示手順について説明する。
図17は、実施形態1に係る振動解析診断システムにおける保存データ表示手順の一例を示すフローチャートである。図18は、実施形態1に係る振動解析診断プログラムの保存データ表示画面の一例を示す図である。図19は、実施形態1に係る振動解析診断プログラムの振動解析診断処理結果表示画面の一例を示す図である。
操作者が情報端末装置40(図5参照)の表示操作部45を操作し、実施形態1に係る振動解析診断プログラムを起動すると(ステップS31)、情報端末装置40は、図8に示す振動解析診断プログラムの初期画面2を表示する(ステップS32)。
操作者が初期画面2上のユーティリティボタン203を操作して、「ユーティリティ」を選択すると(ステップS33)、情報端末装置40は、図9に示す振動解析診断プログラムのユーティリティ画面3を表示する(ステップS34)。
操作者がユーティリティ画面3上の保存データ読み出しボタン302を操作して、「保存データ読み出し」を選択すると(ステップS35)、情報端末装置40は、図18に示す振動解析診断プログラムの保存データ表示画面6を表示する(ステップS36)。
図18に示すように、振動解析診断プログラムの保存データ表示画面6には、例えば、保存データ表示ウィンドウ601、表示ボタン602、削除ボタン603、編集ボタン604等が表示される。
上述した振動解析診断手順、及び、振動解析診断プログラムの診断処理終了画面5において「再測定(個別CH)」「再測定(全CH)」を選択することによって取得された振動解析診断処理結果は、当該振動解析診断処理結果を取得した「日付/時刻」、「プラント」、「設備」、「測定位置」、及び入力信号の「CH」等の情報と関連付けられて内部メモリ44に記憶されている。保存データ表示ウィンドウ601には、振動解析診断処理結果を取得した「日付/時刻」、「プラント」、「診断対象設備」、「測定部位」、及び入力信号の「CH」等の情報がタグとして表示され、各振動解析診断処理結果が一覧表示される。操作者は、保存データ表示ウィンドウ601に表示されたタグの左端に設けられたチェックボックスをチェックすることで、各振動解析診断処理結果を選択することができる。
表示ボタン602は、保存データ表示ウィンドウ601において選択された振動解析診断処理結果を表示するための選択ボタンである。削除ボタン603は、保存データ表示ウィンドウ601において選択された振動解析診断処理結果を削除するための選択ボタンである。編集ボタン604は、保存データ表示ウィンドウ601において選択された振動解析診断処理結果を編集するための選択ボタンである。
操作者が保存データ表示画面6上の保存データ表示ウィンドウ601を操作して、左端のチェックボックスをチェックして振動解析診断処理結果を選択し(ステップS37)、さらに、操作者が保存データ表示画面6上の表示ボタン602を操作して、「表示」を選択すると(ステップS38)、情報端末装置40は、図19に示す振動解析診断プログラムの振動解析診断処理結果表示画面7を表示して(ステップS39)、振動解析診断システム10における保存データ表示手順を終了する。
図19に示すように、振動解析診断プログラムの振動解析診断処理結果表示画面7には、例えば、振動解析診断処理結果表示ウィンドウ701、振動解析診断機能ボタン702−1,702−2,702−3,702−4等が表示される。図19では、「CH1」の振動センサ21における簡易診断機能による簡易診断処理結果が振動解析診断処理結果表示ウィンドウ701に表示され、軸受診断機能、振動値測定機能、周波数分析機能、聴音機能(後述)の各機能を表示するためのボタンが振動解析診断機能ボタン702−1,702−2,702−3,702−4としてそれぞれ割り当てられた例を示している。
操作者が振動解析診断処理結果表示画面7上の振動解析診断機能ボタン702−1,702−2,702−3,702−4を操作することで、軸受診断機能、振動値測定機能、簡易診断機能、周波数分析機能、聴音機能(後述)の各振動解析診断機能における振動解析診断処理結果を選択して振動解析診断処理結果表示ウィンドウ701に表示することができる。
(第1変形例)
図20は、実施形態1の第1変形例に係る情報端末装置の構成を示すブロック図である。図20に示す情報端末装置40aは、図5に示す構成に加え、フィルタ処理部47を備えている。
実施形態1の第1変形例に係る振動解析診断システム10は、振動解析診断機能として、上述した軸受診断機能、振動値測定機能、簡易診断機能、周波数分析機能の各機能に加えて、上述した聴音機能を備える。聴音機能は、軸受11の運転音をスピーカ46によって再生する機能である。
聴音機能による運転音再生処理について、図21を参照して説明する。図21は、運転音再生処理の一例を示すフローチャートである。
図11に示す振動解析診断処理(ステップS27)を実施する際、情報端末装置40aの演算処理回路43aは、選択されたCHの入力信号に対応する周波数分析指令を送受信部42に出力する。送受信部42は、選択されたCHの入力信号に対応する振動分析装置20に対して、運転音再生指令を送信する(ステップS502)。
送受信部26を介して運転音再生指令を受信した振動分析装置20(図4参照)の演算処理回路23は、入力信号の時間波形(振動加速度)を取得する(ステップS503)。
振動分析装置20は、演算処理回路23が取得した振動の時間波形(振動加速度)を、時間波形データとして送受信部26から情報端末装置40aに送信する。
情報端末装置40aの送受信部42で受信された時間波形データは、演算処理回路43aに入力される。演算処理回路43aは、振動の時間波形(振動加速度)の繰り返し使用を可能とするため、時間波形データを振動解析診断処理結果として内部メモリ44に記憶し(ステップS504)、図11に示す振動解析診断手順に戻る。
操作者が図19に示す振動解析診断プログラムの振動解析診断処理結果表示画面7において聴音機能が割り当てられた振動解析診断機能ボタン702−4を操作して、「聴音機能」を選択すると、情報端末装置40aのフィルタ処理部47は、操作者が聴音を希望する特定の周波数帯域を抽出するフィルタ処理を行う(ステップS505)。演算処理回路43aは、FFTアルゴリズムに基づいて、フィルタ処理後の振動信号のFFT波形を算出し(ステップS506)、スピーカ46に出力する。これにより、スピーカ46から診断対象の軸受11の運転音が再生される(S507)。
情報端末装置40aの演算処理回路43aは、操作者からの入力待機状態に移行し(ステップS508)、入力待機状態において操作者が行った操作が聴音機能の停止操作であるか否かを判定する(ステップS509)。
操作者が聴音機能の停止操作を行うと(ステップS509;Yes)、演算処理回路43aは、運転音の再生を停止させる(ステップS510)。
操作者が聴音機能の停止を選択しなかった場合に(ステップS509;No)、入力内容に応じた処理を行う。ここでは、例えば、操作者が聴音を希望する周波数帯域を変更した場合には、ステップS505に戻る。すなわち、ステップS505において、操作者が聴音を希望する特定の周波数帯域を抽出するフィルタ処理を行い、ステップS506以降の処理を行う。
このように、情報端末装置40aにフィルタ処理部47を設け、演算処理回路43aでFFT解析を行うようにすることで、操作者が所望する周波数帯域での運転音を再生することができる。
(第2変形例)
実施形態1の第2変形例では、振動解析診断システム10における各演算処理の正当性を検証する手法について説明する。
図22は、校正処理の一例を示すフローチャートである。実施形態1の第2変形例では、例えば、図11に示す振動解析診断手順において、図12から図15に示す各振動解析診断処理に代えて、図22に示す校正処理を実施することを想定している。
実施形態1の第2変形例において、切替部32で外部機器70が選択されることによって入力される信号は、周波数発振器等により生成された正弦波信号を想定している。なお、外部機器70としては、例えば、周波数発振器であっても良いし、例えば、CDやデータレコーダ等に収録されたデジタルデータをPCやデータレコーダでDA変換したアナログ信号であっても良い。この場合、デコード前のデジタルデータとしては、例えば、サンプリング周波数25.6kHz以上で収録したwavデータやMP3形式等の圧縮データ等のサウンドデータであることが好ましい。外部機器70の態様により本開示が限定されるものではない。
具体的に、情報端末装置40(図5参照)の演算処理回路43は、選択されたCHの入力信号、すなわち、ここでは、正弦波信号が入力されたCHの入力信号に対応する校正指令を送受信部42に出力する。送受信部42は、選択されたCHの入力信号に対応する振動分析装置20(図4参照)に対して、校正指令を送信する(ステップS602)。
送受信部26を介して校正指令を受信した振動分析装置20の演算処理回路23は、入力信号の時間波形(振動加速度)を振動信号として取得する(ステップS603)。
続いて、演算処理回路23は、振動の加速度や速度の実効値(rms)、ピーク値(peak)、波高率(c.f.)、及び変位のピーク値(peak)の少なくとも一つの振動値を算出する(ステップS604)。
演算処理回路23は、取得された振動信号に対して周波数分析を行い、FFT波形を算出する(ステップS605)。
そして、振動分析装置20は、演算処理回路23が算出した振動値を振動値データとして、また、演算処理回路23が算出したFFT波形をFFT波形データとして、送受信部26から情報端末装置40に送信する。
情報端末装置40の送受信部42で受信された振動値データ及びFFT波形データは、演算処理回路43に入力される。演算処理回路43は、上述のようにして得た振動値データ及びFFT波形を校正処理結果として内部メモリ44に記憶し(ステップS606)、図11に示す振動解析診断手順に戻る。
上述した校正処理における校正処理結果は、図16に示す振動解析診断プログラムの診断処理終了画面で確認することができる。
例えば、振動センサ21として、感度が5mV/m/s2の圧電式加速度振動センサの信号を振動分析装置20に入力することを想定した場合、振動加速度実効値が10m/s2 rms、FFTスペクトル上に周波数159Hzでそのピークレベルが50mVrmsの周波数成分、時間波形には6.28msec周期の正弦波形が表示されていれば、振動分析装置20及び情報端末装置40の各部の演算処理が適正であると判断できる。
(第3変形例)
実施形態1の第3変形例では、診断対象を回転体として、振動解析診断システム10を用いて、診断対象とする回転体の回転数を計測する手法につい説明する。
図23は、回転数計測処理の一例を示すフローチャートである。実施形態1の第3変形例では、例えば、図11に示す振動解析診断手順において、図12から図15に示す各振動解析診断処理に代えて、図23に示す回転数計測処理を実施することを想定している。
実施形態1の第3変形例において、切替部32で外部機器70が選択されることによって入力される信号は、診断対象の回転体の回転周期を示すパルス信号を想定している。なお、外部機器70としては、例えば、回転検出センサであっても良いし、例えば、回転検出センサから出力された信号がCDやデータレコーダ等に収録されたデジタルデータをPCやデータレコーダでDA変換したアナログ信号であっても良い。この場合、デコード前のデジタルデータとしては、例えば、サンプリング周波数25.6kHz以上で収録したwavデータやMP3形式等の圧縮データ等のサウンドデータであることが好ましい。外部機器70の態様により本開示が限定されるものではない。
具体的に、情報端末装置40(図5参照)の演算処理回路43は、選択されたCHの入力信号、すなわち、ここでは、診断対象の回転体の回転周期を示す矩形パルス信号が入力されたCHの入力信号に対応する回転数計測指令を送受信部42に出力する。送受信部42は、選択されたCHの入力信号に対応する振動分析装置20(図4参照)に対して、回転数計測指令を送信する(ステップS702)。
送受信部26を介して回転数計測指令を受信した振動分析装置20の演算処理回路23は、入力信号の時間波形(振動加速度)を振動信号として取得する(ステップS703)。
続いて、演算処理回路23は、振動の加速度や速度の実効値(rms)、ピーク値(peak)、波高率(c.f.)、及び変位のピーク値(peak)の少なくとも一つの振動値を算出する(ステップS704)。
演算処理回路23は、取得された振動信号に対して周波数分析を行い、FFT波形を算出する(ステップS705)。
そして、振動分析装置20は、演算処理回路23が算出した振動値を振動値データとして、また、演算処理回路23が算出したFFT波形をFFT波形データとして、送受信部26から情報端末装置40に送信する。
情報端末装置40の送受信部42で受信された振動値データ及びFFT波形データは、演算処理回路43に入力される。演算処理回路43は、上述のようにして得た振動値データ及びFFT波形を校正処理結果として内部メモリ44に記憶し(ステップS706)、図11に示す振動解析診断手順に戻る。
上述した回転数計測処理における回転数計測処理結果は、図16に示す振動解析診断プログラムの診断処理終了画面で確認することができる。
例えば、回転体の回転数が1200min−1の場合、回転検出センサで検出した矩形パルス信号の周期は0.05sとなり、FFTスペクトル上には周波数が20Hz間隔の周波数成分が表示される。これらの情報を用いて、診断対象の回転体の回転数を逆算することができる。
以上説明したように、実施形態1に係る振動解析診断システム10は、入力信号の振動分析を行い、振動分析結果を無線送信する振動分析装置20と、振動分析装置20から無線送信された振動分析結果を受信し、当該振動分析結果に基づき診断対象の異常を診断する情報端末装置40,40bと、を備える。振動分析装置20は、診断対象の振動を検出する振動センサ21から出力される信号と、外部機器70から入力される信号と、のうちの何れか一方を入力信号として選択する切替部を備える。
これにより、振動センサ21から入力される信号と外部機器70から入力される信号をと切り替えて振動解析を行うことができる。
また、情報端末装置40,40aは、複数の振動分析装置20から無線送信された振動分析結果を受信し、複数の振動分析装置20における振動分析結果に基づき診断対象の異常を診断する。
上記構成により、診断対象の複数部位の振動分析を行うことができ、機械設備1の異常診断を1つの情報端末装置40,40aで行うことができる。これにより、情報端末装置40,40aにおける処理を軽減することができる。
また、外部機器70から正弦波信号を入力することで、振動分析結果を用いて振動解析診断システム10を校正することができる。
また、外部機器70から回転体の回転周期を示す矩形パルス信号を入力することで、振動分析結果を用いて回転体の回転数を検出することができる。
また、実施形態1に係る振動解析診断方法は、診断対象の振動を検出する振動センサ21から入力される信号と、外部機器70から入力される信号と、のうちの何れか一方を入力信号として選択するステップと、入力信号の振動分析結果に基づき振動解析診断処理を実施するステップと、振動解析診断処理の結果を、少なくとも振動解析診断処理を実施した日時、診断対象の機械設備、及び測定部位の情報を含むタグとして表示するステップと、タグが選択されることにより、振動解析診断処理の結果を表示するステップと、を有する。
これにより、振動センサ21から入力される信号と外部機器70から入力される信号をと切り替えて振動解析を行うことができる。また、振動解析診断処理結果を、振動解析診断処理を実施した日時、診断対象の機械設備、及び測定部位の情報を含むタグとして表示することで、診断対象の機械設備の保全管理が容易となる。
このように、本実施形態によれば、振動センサ21から入力される信号と外部機器70から入力される信号をと切り替えて振動解析を行うことができる振動解析診断システム10及び振動解析診断方法が得られる。
(実施形態2)
図24は、実施形態2に係る振動分析装置の構成を示すブロック図である。
実施形態2に係る振動分析装置20aは、図24に示すように、振動センサ21の出力を増幅して出力する増幅器61と、増幅器61の出力を外部出力する端子部62とを有する構成である。
図24に示す実施形態2に係る振動分析装置20aの構成では、例えば、端子部62を介して、増幅器61の出力をICレコーダやデータデコーダ等に出力することができる。このため、例えば、振動センサ21で取得した信号をICレコーダやデータデコーダ等でデジタルデータとして収録し、上述した振動解析診断処理において、収録したデジタルデータをデコード処理したアナログ信号を外部機器70から出力することができる。これにより、過去に取得されたデータや他の機械設備において取得されたデータを用いて振動解析診断処理を行うことができる。
以上説明したように、実施形態2に係る振動分析装置20aは、振動センサ21によって取得された信号を増幅する増幅器61と、増幅器61の出力を外部出力する端子部62とを備える構成とすることで、振動センサ21で取得した信号をICレコーダやデータデコーダ等でデジタルデータとして収録し、上述した振動解析診断処理において、収録したデジタルデータをデコード処理したアナログ信号を外部機器70から出力することができる。これにより、過去に取得されたデータや他の機械設備において取得されたデータを用いて振動解析診断処理を行うことができる。