JP2021004147A - 切断ガラス板の製造方法、及びガラス板の切断装置 - Google Patents

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多門 宏幸
Hiroyuki Tamon
宏幸 多門
前田 泰志
Yasushi Maeda
泰志 前田
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Abstract

【課題】熱衝撃を用いたガラス板の切断方法において、亀裂の蛇行や切断面のソゲを生じさせずにフルボディ切断する方法を提供すること。【解決手段】切断ガラス板の製造方法において、切断予定線の始端を含むガラスエッジに初期亀裂を形成する工程1、該切断予定線上に加熱光を集光照射し、該切断予定線に沿って該初期亀裂を伝播させた伝播亀裂2bを形成する工程2、該伝播亀裂を該切断予定線に沿って該切断予定線の終端の手前まで伝播させる工程3、該工程3の後に、該切断予定線上の終端を含むガラスエッジに表面亀裂2cを形成する工程4、及び該伝播亀裂によって得られた対向する切断面を密着させる方向に外力を加える工程A、を有し、該工程3の後に該工程Aを実施し継続した状態で該工程4を実施する、又は該工程4の後に該工程Aを実施することにより、該伝播亀裂を該切断予定線の終端まで伝播させてガラス素板Gを切断する、切断ガラス板の製造方法。【選択図】図6

Description

本発明は、熱衝撃を用いたガラス板の切断方法に関するものであり、熱衝撃を利用して切断予定線上に亀裂を伝播させ、ガラス板をフルボディで切断する切断方法に関するものである。
従来、一般的な建築用板ガラス(例えばJIS R3202に記載の板ガラス)として用いられる、厚み2mm以上、25mm以下程度のガラス板を切断する方法は、タングステンカーバイトや多結晶ダイヤモンドなどの超硬工具刃によって、切断予定線上の表面にスクライブ線(傷)を入れ、スクライブ線に直行する方向に曲げ応力を加えて折割るという、機械的な手法が用いられて来た。
ところが、上記のような超硬工具刃を用いてスクライブ線を入れると、ガラス板の表層部が必要以上に抉られる事になり、目に見えないような微細なクラックが生じると共に、微小なガラス屑が発生してしまう。クラックは切断面の強度を低下させたり、切断後のガラス板のガラスエッジ品質を悪化させたりすることがある。また、ガラス屑は切断面を汚染し、切断面に新たな傷を生じさせたり、洗浄によって除去し難くなるという問題があった。
そこで、超硬工具刃等を用いずにガラス板を切断する方法が検討されている。良好な切断面を得られる代表的な方法として、熱衝撃を利用して切断を行う種々の手法が挙げられる。例えば特許文献1には、ガラスリボンを割断して矩形状のガラス板を得る割断方法が開示されている。当該文献によると、ガラス板のガラスエッジに予備亀裂を形成し、該予備亀裂の端部近傍に局所的な加熱を加え、その加熱点を移動させることにより亀裂を伝播させ、最後に折割りを行ってガラス板を割断している。尚、局所的な加熱手段としては、レーザや燃焼炎が挙げられている。
また、本出願人も、熱衝撃を利用したガラス板の切断装置や切断方法に係る発明について特許出願している(特許文献2、3)。特許文献2、3では赤外線ラインヒーターを切断予定線上に集光照射し、ガラス板をフルボディで切断する事を可能としており、得られる切断ガラス板はキリコ(切粉)やマイクロクラック等を生じないものである。また、赤外線ラインヒーターやガラス板を搬送させて、亀裂を切断予定線に沿って伝播させる方法、及びその装置を開示している。
上記のように切断予定線が加熱点や加熱光源の長さよりも長い場合、亀裂を伝播させてガラス板をフルボディ切断するが、このような場合、切断予定線の終端部では亀裂の伝播速度が低下したり、亀裂の伝播が止まり、切り残しが生じたりするという問題がある。当該問題に対して、例えば特許文献2では、加熱しながら終端部の表面にエアー等を吹きつけることによって、強い引っ張り応力をガラス板表面に生じさせ、表面亀裂を該終端部に伝播させた後、割断面を開く方向に外力を加えて、ガラス板をフルボディ切断する方法を開示している。
また、例えば特許文献4には、亀裂の伝播が停止した直後に、切断予定線の回りに曲げモーメントを加えて、ガラス板をフルボディ切断する方法が開示されている。
また、例えば特許文献5には、ガラス板の切断予定線の終端部に、割断面を開く方向に外力を加えて、ガラス板をフルボディ切断する旨が開示されている。
特開平8−231239号公報 国際公開2016/125609号公報 特開2018−8842号公報 特開平8−175837号公報 特開2000−281375号公報
前述したように、熱衝撃を利用して切断予定線上に亀裂を伝播させ、ガラス板をフルボディで切断する場合、切断予定線の終端部で亀裂の伝播速度が低下したり、亀裂の伝播が止まって切り残しを生じてしまったり、という問題がある。
上記問題を解決しないでそのままガラス板をフルボディ切断しようとすると、切断予定線の終端部において、亀裂の蛇行や切断面のソゲが発生してしまう可能性が高くなる。その結果、切断ガラス板が製品規格を満たすことができなかったり、形成したソゲの排除に手間を必要としたり等、切断ガラス板の生産ペースが低下する要因になる。
そこで本発明は、熱衝撃を用いて亀裂を伝播させるガラス板の切断方法において、上記問題を解決し該亀裂の蛇行や切断面のソゲを生じさせずにガラス素板をフルボディ切断する方法の提供を目的とした。
本発明者が、ガラス素板の切断予定線の始端部に初期亀裂を形成し、赤外線ラインヒーターを用いて初期亀裂を伝播させたところ、亀裂の伝播とともに始端側に形成された切断面間の距離が離れていく現象が見られた。そこで、亀裂がガラス素板の終端手前まで伝播した際に、ガラス素板の切断予定線の終端部に表面亀裂を入れ、さらに離れている切断面をくっつけるようにガラス素板に外力を加えると、亀裂が蛇行することなくガラス素板の切断予定線の終端まで伝播し、ガラス素板が切断面のソゲを生じることなくフルボディ切断されることがわかった。
すなわち本発明は、熱衝撃により該ガラス素板を切断する、切断ガラス板の製造方法において、
該切断予定線の始端を含むガラスエッジに初期亀裂を形成する工程1、
該切断予定線上に該加熱光を集光照射し、該切断予定線に沿って該初期亀裂を伝播させた伝播亀裂を形成する工程2、
該伝播亀裂を該切断予定線に沿って該切断予定線の終端の手前まで伝播させる工程3、
該工程3の後に、該切断予定線上の終端を含むガラスエッジに表面亀裂を形成する工程4、及び
該伝播亀裂によって得られた対向する切断面を密着させる方向に外力を加える工程A、
を有し、
該工程3の後に該工程Aを実施し継続した状態で該工程4を実施する、又は該工程4の後に該工程Aを実施することにより、該伝播亀裂を該切断予定線の終端まで伝播させて該ガラス素板をフルボディ切断する、切断ガラス板の製造方法である。
また、本発明は、ガラス素板を載置する載置台と、加熱光を該ガラス素板へ照射可能に設置された加熱光源と、該加熱光源の加熱光を集光させる集光装置と、該加熱光源を相対的に移動させる搬送機構と、を有する、熱衝撃によるガラス素板のフルボディ切断装置において、
熱衝撃により形成した伝播亀裂によって得られた対向する切断面を密着させる方向に外力を加えることが可能な外力付与装置を有する、ガラス素板の切断装置である。
本発明により、熱衝撃を用いて亀裂を伝播させるガラス板の切断方法において、亀裂の蛇行や切断面のソゲを生じさせずにガラス素板をフルボディ切断することが可能となった。
ガラス素板に形成した初期亀裂から、伝播亀裂を伝播させている状態を説明するための平面模式図である。 伝播亀裂が伝播するにつれて、対向する切断面が離れている状態を説明するための平面模式図である。 流体噴出装置を用いて、ガラス素板の切断予定線の終端部に表面亀裂を形成している状態を説明するための平面模式図である。 流体噴出装置によって噴出した流体が、ガラス素板の裏面に回り込み、ガラス素板に表面亀裂を形成している状態を説明するための側面模式図である。 ガラス素板の切断予定線の終端部に表面亀裂を形成した後に、外力付与装置を用いて、ガラス素板端部に外力を付与している状態を説明するための斜視模式図である。 本発明のガラス素板の切断装置の好適な実施形態の1つの平面模式図である。 本発明のガラス素板の切断装置の好適な実施形態の1つの側面模式図である。 本発明の外力付与装置の好適な実施形態の1つの斜視模式図である。
1:用語の説明
本明細書で用いる用語を、図1、2を参照して以下に説明する。
(各方向)
本明細書では、伝播亀裂2bの伝播方向をX軸方向、該X軸方向と直交する方向をY軸方向、及びX−Y面と直交する方向をZ軸方向とする。また、Z軸方向のマイナス側を「上」、プラス側を「下」と記載することもある。また、X軸方向やY軸方向を「水平方向」と記載することもある。また、ガラス素板Gの面のうち、上側のX−Y面を「表面」、下側のX−Y面を「裏面」と記載することもある。
(ガラス素板)
ガラス素板Gとは、切断の対象とするガラス板のことを指すものとする。例えば、採板直後のフロート板ガラスや、所定形状のガラス板を得る為に材料となるガラス板等が挙げられる。
(切断ガラス板)
切断ガラス板とは、前述したガラス素板Gを切断して得たガラス板を指すものとする。また、本発明によって得られる切断ガラス板は、切断直後の切断面に鏡面を有する。
(切断予定線、切断予定面)
切断予定線Lとは、ガラス素板Gを切断する位置を定めた直線のラインを指すものとする。また、「切断予定線の始端L」とは、切断予定線LのX軸のマイナス方向側の端部を指し、「切断予定線の終端L」とは、切断予定線LのX軸のプラス方向側の端部を指すものとする。また、「切断予定線上」とは、X−Y面の切断予定線Lの表面を指すものとする。また、「切断予定面」とは、切断予定線Lを含むX−Z面を指すものとし、亀裂が伝播した後に「切断面」となる。
(ガラスエッジ)
ガラスエッジとは、ガラス素板Gの稜部を指すものとする。一般的に、ガラスエッジはガラス素板G内で比較的強度が弱いとされている部分である。
(初期亀裂、伝播亀裂、表面亀裂)
初期亀裂2aは、切断予定線の始端Lを含むガラスエッジに形成された亀裂を指すものとする。また、伝播亀裂2bは、該初期亀裂2aが切断予定線Lに沿って伝播した亀裂を指すものとする。また、伝播亀裂2bは、ガラス素板Gの表面から裏面に亘る亀裂であるとしてもよい。また、表面亀裂2cは、切断予定線Lを含み、かつガラス素板G表面に形成された亀裂を指すものとする。また、該表面亀裂2cの亀裂の深さはガラス素板Gの板厚未満としてもよいが、該ガラス素板Gの表面側の表面亀裂2cと裏面側の表面亀裂2cとが繋がる場合もあり、そのような亀裂も本明細書では「表面亀裂2c」と記載するものとする。
(フルボディ切断)
本明細書の「フルボディ切断」とは、切断されたガラス素板が分割され、元のガラス素板が複数に分離可能になったことを指すものとする。
2:ガラス素板の切断装置
ガラス素板を載置する載置台と、加熱光を該ガラス素板へ照射可能に設置された加熱光源と、該加熱光源の加熱光を集光させる集光装置と、該加熱光源を相対的に移動させる搬送機構と、を有する、熱衝撃によるガラス素板のフルボディ切断装置において、
熱衝撃により形成した伝播亀裂によって得られた対向する切断面を密着させる方向に外力を加えることが可能な外力付与装置を有する、ガラス素板の切断装置である。
本発明のガラス素板の切断装置について、図6〜8を参照して以下に記載する。なお、図6、7では加熱光源及び集光装置として赤外線ラインヒーターを用いているが、他の加熱光源や集光装置を用いてもよい。
また、本発明のガラス素板の切断装置は、前記外力付与装置が、前記ガラス素板を固定するガラス固定部と、該ガラス固定部に圧力を加えることによって、前記外力を加える外力付与部と、を有する装置であることが好ましい。
また、本発明のガラス素板の切断装置は、前記加熱光源が、赤外線ラインヒーター又は赤外線スポットヒーターであることが好ましい。
(ガラス素板G)
ガラス素板Gとしては、一般的な建築用板ガラス(例えばJIS R3202に記載の板ガラス)として用いられる、厚み2mm以上、25mm以下の板状のガラスを用いるのが好ましい。ただし、この厚みに限定されるものではなく、より厚いガラス板でも切断可能である。
ガラス素板Gとしては、加熱光を吸収するものであれば特に限定するものではないが、例えばソーダライムガラス、石英ガラス、ホウ珪酸ガラス、アルミノシリケートガラス等が挙げられる。また、ガラスのように加熱光を吸収し、熱歪みが生じる脆性材料であれば、ガラス素板G同様に切断可能であると考えられる。このような脆性材料としては、例えばアルミナ板等の各種セラミック板が挙げられる。
(載置台40)
載置台40は、ガラス素板Gを所定位置に保持するものである。図6、7ではガラス素板Gの搬送レール41を複数設置し載置台40として用いているが、搬送機能のない通常の作業台でもよい。また、図6、7の搬送レール41は、長尺部材上に回転ロール41aを複数設けているが、搬送機構は当該形態に限定されるものではない。例えば、ロールや球状の車輪等の回転体を複数設けたものでも、搬送時のみ下からエアー等を噴射させてガラス素板Gを浮かせて移動させるものでもよい。
また、Z軸マイナス側から見た時に切断予定線Lと重なる(以下、「切断予定線Lの直下」と記載することもある)ガラス素板Gの裏面部分については、大気中へ露出させることで、加熱光を集光照射している際にガラス素板Gの温度が上がり過ぎるのを抑制することが可能になると考えられる。そのため、少なくともガラス素板Gの切断予定線Lの直下では、載置台40とガラス素板Gの裏面部分とが、接触しないようにするのが好ましい。また、図6、7には記載していないが、ガラス素板Gに対する加熱光源の焦点の位置を所望の位置にする目的で、該載置台40にガラス素板Gを昇降させる昇降機構を設けてもよい。
(加熱光源)
加熱光源は、発する加熱光を切断予定線L上及び切断予定面に照射することが可能であればよく、ガラス素板Gの表面と該加熱光源とを非接触にした状態で加熱すればよい。該加熱光源がガラス素板Gの表面と非接触になるように配置することによって、ガラス素板Gの表面が大気中に露出することになり、該表面からの放熱が生じ易くなる。この放熱によってガラス素板Gの表面及び裏面に引っ張り応力が生じ易くなり、初期亀裂2aや伝播亀裂2bの発生を促進させることが可能となる。例えば、図7に示すように、加熱光を波長780〜4000nmの赤外光11とし、加熱光源として赤外線ラインヒーター10や赤外線スポットヒーター(図示しない)等を用いるのが好ましい。上記の加熱光源の中でも、効率的な加熱が可能であることからハロゲンヒーターを用いるのが特に好適である。
また、加熱光源は、加熱光の照射領域が切断予定線Lに沿ったライン状となるものを用いるのが好ましい。伝播亀裂2bを伝播させる際、ガラス素板Gの温度をある程度上昇させる必要がある。そのため、特に加熱光源をガラス素板Gに対して相対的に搬送させる際は、該照射領域が長い方が加熱の範囲が広くなり、効率的にガラス素板Gの温度を上昇させることが可能なためより好適である。当該照射領域をライン状にするために、加熱光源のランプ等の熱源を、長尺を有するライン状とするのが好ましい。また、後述する集光装置で照射領域がライン状になるように集光照射を行なってもよい。また、図6、7には記載していないが、ガラス素板Gに対する加熱光源の焦点の位置を所望の位置にする目的で、赤外線ラインヒーター10を昇降させる昇降機構を設けてもよい。
(集光装置)
集光装置は、加熱光源からの加熱光を、切断予定線L上に集光させるものであればよいが、例えば凹面鏡等の反射鏡が挙げられる。反射鏡を用いる場合は、加熱光源を挟んでガラス素板Gの照射面と向き合うように設置する。また、加熱光源から発する加熱光を無駄なく集光させるために、加熱光源を覆うように反射鏡を設置するのが好ましい。
また、上記の反射鏡の他にも、例えばシリンドリカルレンズ等の各種レンズを用いてもよい。シリンドリカルレンズを用いる場合は、加熱光源とガラス素板Gとの間に設置する。なお、図6、7では、集光装置と加熱光源とが一体化した赤外線ラインヒーター10を用いている。
(冷却装置)
また、加熱光源は、光源のフィラメントを冷却可能な冷却装置(図示しない)を備えるのが好ましい。該冷却装置はフィラメントを冷却可能であればよく、例えばフィラメント近傍に流路を備え、該流路に冷却水を流す循環冷却装置が挙げられる。フィラメントの発熱が過ぎると、加熱光源の寿命を短くしたり、装置の故障等の原因となるが、上記の循環冷却装置を用いると過度の発熱を抑制することが可能となる。また、該冷却装置は既存のものであれば特に限定するものではなく、上記の冷却水を用いる装置の他に風冷装置等であってもよい。
(搬送機構)
図6、7では、赤外線ラインヒーター10の搬送機構として門型フレーム50及び搬送レール51を備えている。上記の門型フレーム50は、架橋ロッド50aと支持柱50bを備え、赤外線ラインヒーター10と連結具53によって連結した第1スライダ54を介して、架橋ロッド50aに沿って該赤外線ラインヒーター10をY軸方向へ動かす。また、搬送レール51は門型フレーム50をX軸方向へ動かすのを可能とする。
(門型フレーム50)
門型フレーム50はガラス素板Gを幅方向(Y軸方向)に横切るように配置され、赤外線ラインヒーター10とガラス素板Gの表面とが、所定間隔を隔てて平行に配置されるように赤外線ラインヒーター10を保持する。
門型フレーム50は、ガラス素板Gの真上をY軸方向に移動可能な第1スライダ54を備える。第1スライダ54はY軸方向に貫通孔を有し、架橋ロッド50bが該貫通孔に挿通されている。
また、第1スライダ54は赤外線ラインヒーター10と連結具53によって連結することによって、赤外線ラインヒーター10のX軸方向及びZ軸方向の位置を固定し、同時に第1スライダ54によって赤外線ラインヒーター10をY軸方向へ移動させ、Y軸方向の位置決めを可能としている。
また、該門型フレーム50や第1スライダ54、連結具53等に振動抑制構造(図示しない)を設け、該門型フレーム50をX軸方向へ動かす際に、赤外線ラインヒーター10の振動を抑制することが好ましい。
また、図6、7では、赤外線ラインヒーター10と第1スライダ54との間に連結具53を有している。当該連結具53に回転機能を持たせると、赤外線ラインヒーター10の向きを変えたり、位置を調整することが可能であるため好ましい。
(搬送レール51)
上記の門型フレーム50は、赤外線ラインヒーターの搬送レール51上を移動可能に設置される。門型フレーム50は支持柱50bの下部に第2スライダ52を備え、第2スライダ52を介することによって、赤外線ラインヒーターの搬送レール51上をX軸方向へ移動する。ガラス素板Gを搬送させないで加熱光を照射する場合や、搬送させながら加熱光を照射して伝播亀裂2bの伝播速度を調整する場合等に有効である。
また、門型フレーム50は、赤外線ラインヒーター10を昇降させる昇降装置(図示しない)を有してもよい。赤外線ラインヒーター10を昇降可能とすることによって、加熱光の焦点位置を自在に調整することができる。
(外力付与装置30)
外力付与装置30は、図5に示すように、ガラス素板Gに対し、ガラス素板Gに形成した伝播亀裂によって得られた対向する切断面を密着させる方向に外力Fを加える装置である。図5〜7では、外力付与装置30をガラス素板の切断予定線の始端L側に設けている。前述した外力Fを付与可能であれば、設置位置は特に限定されるものではないが、切断予定線の始端Lに近い程、切断予定線の終端L側に効率良く引っ張り応力を生じさせ、終端亀裂を発生させ易くなることから、外力Fを付与する位置が切断予定線の始端Lに近くなるように該外力付与装置30を設けるのが好ましい。
図6〜8には、外力付与装置30の一例を示している。当該外力付与装置30は、切断予定線の始端側のガラス素板Gの端部に位置する1対のガラス固定部31と、当該ガラス固定部31によってガラス素板Gの端部を挟持した状態で外力Fを加える外力付与部32とを有し、ガラス固定部31と外力付与部32は、連結部31eを介して一体化されている。
さらに、当該外力付与装置30は、ガラス固定部31をY軸方向に移動可能とする固定部用ガイドバー33と、固定部用ガイドバー33の両端側を支持し、固定部用ガイドバー33をZ軸方向へ移動可能とする支持柱34aと、支持柱34aの下端に設けたスライダ34bと、スライダ34bを介して支持柱34aをX軸方向に移動可能とする搬送レール34cとを有している。固定用ガイドバー33、支持柱34a、スライダ34b、及び搬送レール34cにより、ガラス固定部31を、ガラス素板端部を挟持可能な位置に調整することができる。
なお、図中では、外力付与装置30はガラス固定部31を用いてガラス素板Gを固定しているが、ガラス素板Gに外力Fを付与出来るのであれば、ガラス固定部31を用いる装置に限定されない。
また、外力付与装置30は、加熱光源の照射範囲に近づいたり、場合によっては一部が加熱光源の照射範囲内に入ったりすることがあるため、加熱されることがある。そのため、少なくとも表面に耐熱性を有する材料や加熱光を反射しやすい材料を設けるのが好ましい。
(ガラス固定部31)
図6〜8に示したガラス固定部31は、ガラス素板Gの端部を固定する部材であり、上面固定部31a、下面固定部31b、固定部基台31c、接触部材31d、及び連結部31eを有し、該連結部31eの貫通孔に固定部用ガイドバー33を挿通させることで、該固定部用ガイド33バーに沿って、該連結部31eと一体化されているガラス固定部31をY軸方向へ移動させることが可能である。
この時、切断予定線Lが中心になるようにして、Y軸プラス方向及びY軸マイナス方向に等距離に、上記ガラス固定部31を配置するのが好ましい。
上面固定部31aと下面固定部31bは、固定部基台31cに取り付けられた部材であり、Z軸方向に移動可能である。該上面固定部31aと下面固定部31bとをZ軸方向に移動させることによって、上下の接触部材31d間を閉じて、接触部材31dを介してガラス素板Gの端部を挟持して固定する。また、固定部基台31cは上面固定部31aと下面固定部31bがガラス素板Gを挟持した状態で固定可能な締結部(図示しない)を有する。当該締結部はネジや磁力、エアー等を用いて圧力を加えるものでも、電気信号等で任意の部材を動かして圧力を加えるものでもよい。
当該ガラス固定部31は、図6〜8に示したような上面固定部31aと下面固定部31bで挟持して固定するものでも、トグルクランプ等の各種クランプを用いて挟持して固定するものでもよい。また、図示しないバキュームパッド等を介して、吸着装置を用いて挟持して固定するものでもよい。なお、ガラス固定部31は必要に応じて3個以上を用いてもよく、対になっていなくともよい。
なお、前述したように吸着装置を用いて固定する場合は、上面固定部31a及び下面固定部31bのような、ガラス素板Gを表面及び裏面から挟持する部材を必ずしも有している必要はない。また、当該吸着装置を用いる場合は、上記の締結部ではなく、バキュームパッド等を介してガラス素板Gを吸着することによって固定を行なうことが可能である。
上記の接触部材31dは、ガラス素板Gの表面及び裏面との間に摩擦力を生じ、かつ該ガラス素板Gを損傷しない材質や形状とすればよく、特に限定するものではない。例えば、一般的なゴム材(天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム、アクリルゴム、ネオプレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム)などを用いることが出来る。
連結部31eは、固定部基台31cと一体化した部分であり、外力付与部32から加えられる圧力を受ける部分である。また、該連結部31eが固定部基台31cと一体化していることにより、該連結部31eが受けた圧力を固定部基台31cへ伝えることが可能であり、これによって、ガラス素板Gに前述した外力Fを付与することが可能となる。
また、前述したように図6〜8では、連結部31eは貫通孔(図示しない)を有しており、該貫通孔に固定部用ガイドバー33が挿通されることによって、ガラス固定部31をY軸方向へ移動可能としている。ガラス固定部31がガラス素板Gの所望の位置に設置できるのであれば、当該形態に限定するものではない。
(外力付与部32)
図6〜8に記載した外力付与部32は、一対のガラス固定部31が互いに近づく方向及び互いに離れる方向に圧力を加える加圧装置32a、該加圧装置32aから圧力を受けてY軸方向に伸縮する加圧アーム32b、及びガラス固定部31の連結部31eと加圧アーム32bとを連結させるアーム連結部32cを有する。外力付与部32が加えた圧力によって、ガラス固定部31をY軸方向へ動かし、ガラス固定部31が挟持して固定しているガラス素板Gに、前述した外力Fを加えることが可能となる。
外力付与部32は、図6〜8に記載したように、1対のガラス固定部31を互いに近づけるように引っ張ったり、遠ざけるように押し出したりできるものが好ましい。また、図6〜8では、1対の連結部31eの中間に外力付与部32を設けているが、外力付与部32の設置位置はこれに限定されるものではなく、1対のガラス固定部31を互いに近づけたり、遠ざけたりできる位置であればよい。例えば、どちらか一方もしくは両方の連結部31eの上に設けるものでも、下に設けるものでも、X軸マイナス側に設けるものでもよい。
加圧装置32aは、連結している加圧アーム32b及びアーム連結部32cを介して、連結部31eを互いに近づける又は互いに遠ざける方向に、圧力を加える装置である。
以下は1対の連結部31eを互いに近づける方向に圧力を加える方法について具体的に説明する。連結部31eを互いに遠ざける方向に圧力を加える場合は、加圧装置32aに対して行う動作を逆にすればよい。
加圧装置32aが連結部31eを互いに近づける方向に圧力を加える方法としては、加圧装置32aからエアーを噴出させることにより加圧アーム32bを収縮させ、連結部31eを互いに近づける方法や、加圧装置32aに電磁石、加圧アーム32bに磁石を内蔵させ、加圧装置32aに電気信号を加えることで磁気的吸引作用を発生させ、連結部31eを互いに近づける方法等が挙げられる。
また、ガラス固定部31をY軸プラス方向及びY軸マイナス方向へ手動で動かすことで連結部31eを移動させてもよい。ただしその場合、加圧装置32aは不要である。
加圧装置32aが加える圧力の大きさは、ガラス素板Gからガラス固定部31が外れない程度であれば、特に限定する必要はない。また、ガラス素板Gに加えられる外力Fの大きさは、上記圧力の大きさ、ガラス固定部31がガラス素板Gを挟持して固定する圧力の大きさ、接触部材31dとガラス素板Gとの接触面積や摩擦係数、固定後のガラス固定部31の間隔等によって変化する。その為、外力Fの大きさを調整する際は、ガラス素板Gのサイズや重量、目的とする切断ガラス板に合わせて圧力の大きさを適宜調整するのが簡便であり好ましい。また、上記外力Fが、ガラス固定部31の接触部材31dとガラス素板Gとの間に生じる摩擦力よりも小さくなるように、加圧装置32aが加える圧力、接触部材31dの材質、接触部材31dの設置面積等を調整してもよい。
(固定部用ガイドバー33)
図6〜8において、固定部用ガイドバー33は、ガラス固定部31の連結部31eに挿通し、該ガラス固定部31をY軸方向に移動可能とするものである。また、該固定部用ガイドバー33は支持柱34aに支持されている。また、支持柱34aが固定部用ガイドバー33をZ軸方向に移動可能とすることによって、ガラス固定部31のZ軸方向の位置を調整することが可能となる為好ましい。
また、図6、7では、該支持柱34aはその下端に設けたスライダ34bと連結し、該スライダ34bがX軸方向に設けた外力付与装置の搬送レール34c上を動くことによって、該支持柱34aをX軸方向に移動させることが可能となる。
(流体噴出装置60)
流体噴出装置60は、ガラス素板Gの切断予定線の終端Lに対して流体61を噴出し、表面亀裂2cを形成する装置である。また、図面のXプラス側、すなわち赤外線ラインヒーター10の進行方向に配置されるのが好ましい。
流体噴出装置60は、上記の切断予定線の終端Lに流体61を噴出可能であればよく、加熱光源や搬送機構に設置しても、作業者が手持ち等により加熱光源と別個に操作するものであっても良い。
また、流体噴出装置60を配置する数は、複数であってもよい。ただしその場合、流体噴出装置60は全てガラス素板Gの切断予定線L上を冷却できる位置にあるものとし、その内少なくとも1つは切断予定線の終端Lを冷却できる位置にあるものとする。
また、流体噴出装置60が噴出する流体61は、圧縮空気に限らず、圧縮していない空気でも、他の気体であってもよい。また、ガラス素板Gの表面の温度を下げることができればよいので、例えば水やミスト等を用いてもよい。
3:切断ガラス板の製造方法
本発明は、熱衝撃により該ガラス素板を切断する、切断ガラス板の製造方法において、
該切断予定線の始端を含むガラスエッジに初期亀裂を形成する工程1、
該切断予定線上に該加熱光を集光照射し、該切断予定線に沿って該初期亀裂を伝播させた伝播亀裂を形成する工程2、
該伝播亀裂を該切断予定線に沿って該切断予定線の終端の手前まで伝播させる工程3、
該工程3の後に、該切断予定線上の終端を含むガラスエッジに表面亀裂を形成する工程4、及び
該伝播亀裂によって得られた対向する切断面を密着させる方向に外力を加える工程A、
を有し、
該工程3の後に該工程Aを実施し継続した状態で該工程4を実施する、又は該工程4の後に該工程Aを実施することにより、該伝播亀裂を該切断予定線の終端まで伝播させて該ガラス素板をフルボディ切断する、切断ガラス板の製造方法である。以下、各工程について、図6〜8の実施形態を参照して説明する。
(工程1)
工程1は、切断予定線の始端Lを含むガラスエッジに、初期亀裂2aを形成する工程である。当該工程は、ガラスカッター等を用いて浅く加傷を行うものでも、各種加熱光を集光照射して亀裂を発生させるものでも、これらをあわせたものでもよい。初期亀裂2aの長さや深さは、ガラス素板Gの強度を低下させることが出来れば特に限定するものではないが、表面に浅く短い傷をつける程度でも十分初期亀裂2aとすることができる。特に、ガラスカッター等の工具を用いて切断予定線の始端Lを含むガラスエッジに物理的に浅く加傷して初期亀裂2aを形成すると、作業時間を短縮することができるため好ましい。
また、ガラスカッター等の工具を使用せず、ガラスエッジを含む切断予定線の始端L上に加熱光を所定時間集光照射することによって初期亀裂2aを得てもよい。これは、一般的にガラス板のガラスエッジは他の部分と比較して強度が低く、引っ張り応力が誘起された際に亀裂の始端となり易いためである。上記の「所定時間」はガラス素板Gの厚みやガラス素板Gの種類、加熱光の光源のパワー等によって異なるが、例えば集光照射した照射領域の最も高い温度の部分が100〜120℃程度以上になるまで加熱を行うと、当該初期亀裂2aを生じることが可能となる。
(工程2)
工程2は、切断予定線L上に該加熱光を集光照射し、該切断予定線Lに沿って該初期亀裂2aを伝播させた伝播亀裂2bを形成する工程である。
当該工程では、加熱光を切断予定線L上に所定時間集光照射する。この時、加熱光を動かしても良いが、亀裂の伝播が生じるまで加熱光を動かさず、固定照射を行うのが好ましい。集光照射された加熱光は、ガラス素板G内への入射時に一部吸収され、吸収されなかった加熱光はガラス素板G内部を進行する。また、ガラス素板G内部を進行する加熱光についても一部吸収され、吸収されなかった加熱光はさらにガラス素板G内部を進行することになる。このようにして、吸収された加熱光は照射点や切断予定面の温度を上昇させる。また、ガラス素板Gの空気と接触する面では放熱が生じ、ガラス素板G表面は僅かに温度が低下する。そして、照射点のガラス素板Gの最も温度の高い部分が約60〜70℃以上になると、加熱光の照射領域に十分な引っ張り応力が生じ、初期亀裂2aの伝播が発生し伝播亀裂2bとなる。
この時、加熱光を集光照射したガラス素板G上の照射領域は、初期亀裂2aよりもX軸プラス側とするのが好ましい。上記の照射領域は、初期亀裂2aと重なっていても、該初期亀裂2aよりも数センチ程度X軸プラス側に離れていてもよい。初期亀裂2aと離れた位置を照射する場合は、伝播亀裂2bを切断予定線L上に生じさせることが可能であれば、初期亀裂2aとの距離は特に限定するものではないが、例えば20mm程度以下としてもよい。
(工程3)
工程3は、工程2で生じた伝播亀裂2bを該切断予定線Lに沿って伝播させ、該切断予定線の終端Lを含むガラスエッジの手前まで伝播させる工程である。また、前述したように、伝播亀裂2bが切断予定線の終端L側へ近づくに伴い、切断予定線の始端L側に形成された対向する切断面間の距離が離れていく。
伝播亀裂2bの伝播は、前述した工程2と同様に、伝播亀裂2bよりもX軸プラス側の切断予定線L上を加熱光で集光照射することによって、生じさせることが可能である。ガラス素板Gを加熱し、伝播亀裂2bが伝播可能なだけの引っ張り応力を生じさせればよい為、加熱光の照射領域が伝播亀裂2bと重なっていても、重なっていなくてもよい。
また、当該工程3では、加熱光を切断予定線Lに沿って相対的に移動させるのが好ましい。照射領域のX軸方向の長さが切断予定線Lの長さに対して小さい場合は、加熱光源及び集光装置を複数用いても良いが、加熱光を相対的に移動させると様々なサイズのガラス素板Gに対応可能な為好ましい。また、加熱光を固定照射すると、照射時間が長くなるにつれてガラス素板Gの温度が過度に上がってしまい、伝播亀裂2bが蛇行してしまう場合がある。すなわち、工程3は、切断予定線Lに沿って、前記加熱光を前記ガラス素板Gに対して相対的に移動させ、伝播亀裂2bを進展させるのに適切な温度を保ちながら、前記伝播亀裂2bを伝播させる工程を含むのが好ましい。移動はガラス素板Gを動かすものでも、加熱光自体を動かすものでもよい。
また、当該工程3では、伝播亀裂2bが切断予定線の終端Lに近付くにつれて、伝播速度が低下、又は停止する。なお、前述した「手前」とは、上記の「亀裂の伝播速度が低下、又は停止」する切断予定線L上の位置を指すものとする。本発明では、伝播亀裂2bが上記の「手前」まで伝播した時、すなわち伝播速度の低下や伝播の停止が確認されたら、後述する工程4又は工程Aを行うものとする。また、例えば、伝播亀裂2bをガラス素板Gの切断予定線の終端Lから長くとも50mm程度離れた位置まで伝播させた後、工程4又は工程Aを行うとしてもよい。これは、工程3を終了させた際の伝播亀裂2bの位置がガラスエッジから過度に離れていると、工程3より後に工程Aを実施する際、より大きな外力Fが必要になるためである。
(工程4)
工程4は、工程3が完了した後に、切断予定線上の終端Lを含むガラスエッジに表面亀裂2cを形成する工程である。具体的には、ガラスカッターや熱衝撃によって表面亀裂2cを形成することが挙げられるが、直線性が良好であることから熱衝撃を用いて形成するのが好ましい。
上記のように熱衝撃を用いて表面亀裂2cを形成する場合の一例について以下に説明する。
工程3が完了した後、加熱光の集光照射を継続した状態のまま、流体噴出装置60をガラス素板Gの切断予定線の終端L付近に配置する。この時、流体噴出装置60は、ガラス素板Gの中心部から切断予定線の終端Lに向かって流体61を噴出できる位置に配置されていることが好ましい。
次に、流体噴出装置60から流体61を噴出し、切断予定線の終端L付近を冷却し、表面亀裂2cを形成する。噴出した流体61は、図5のようにガラス素板Gの裏側に回り込むように移動するため、流体61をガラス素板Gの表面に噴出するだけで、ガラス素板Gの端部の表面、側面及び裏面に表面亀裂2cを形成することができる。
また、表面亀裂2cの形成については、切断予定線の終端Lの表面温度をガラス素板Gの内部温度より60〜80℃低くすることができるならば、冷却工程を行う前に加熱光の集光照射を停止してもよい。
上記の工程4により、表面亀裂2cが伝播亀裂2bから伝播するように形成される。当該工程4の後に、後述する工程Aを実施すると、外力Fによって亀裂の蛇行やソゲの発生頻度を抑制し、ガラス素板Gをフルボディ切断することが可能になる。
また、工程3の後で工程Aを実施して継続し、その後工程4を実施した場合でも、表面亀裂が形成すると同時に伝播亀裂が切断予定線の終端まで伝播し、ガラス素板Gをフルボディ切断することが可能である。
(工程A)
工程Aは、外力Fを、伝播亀裂2bを形成することによって得られた対向する切断面を密着させる方向に、切断予定線の始端側Lのガラス素板端部に加える工程である。外力Fを加えることによって、切断予定線の終端L側の切断速度を向上させ、亀裂の蛇行や切断面のソゲを生じさせずにガラス素板をフルボディ切断することが可能になる。
上記の「継続」とは、工程Aにおいて、外力Fを、伝播亀裂2bを形成することによって得られた対向する切断面を密着させる方向に、ガラス素板に加え続けることを指す。
まず、切断予定線の始端L側のガラス素板端部に、外力付与装置30の1対のガラス固定部31を切断予定線の両側にそれぞれ配置する。この時、切断予定線Lが中心になるようにして、Y軸プラス方向及びY軸マイナス方向に等距離に、上記ガラス固定部31を配置するのが好ましい。
次に、ガラス固定部31の上面固定部31aと下面固定部31bを閉じてガラス素板Gの端部を挟持する。この時、後にY軸方向へ圧力を加えることが出来るようにするため、ガラス固定部31が水平方向に容易に動かない程度の力で固定するのが望ましい。
次に、外力付与部32を用いて、該ガラス固定部31に圧力を加える。この時、対になったガラス固定部31が切断予定線Lに向かう方向に力が加わり、該ガラス固定部31を介して切断予定線の始端L側のガラス素板G端部に外力Fを加える。外力Fの大きさは、外力付与装置30によって加えることが可能であり、かつガラス素板Gを破損させたり、ガラス固定部31がガラス素板Gから外れたりしない程度であればよく、特に限定されるものではない。
工程Aは、ガラス素板Gを切断するために、工程3の後に実施して継続するものでも、工程4の後に実施するものでもよい。また、切断予定線の終端Lを含むガラスエッジに対して、一種類の応力を順序立ててかけた方がより蛇行の少ない亀裂を形成することができるため、工程Aは工程4の後に実施することが好ましい。
また、工程Aを工程4の後に実施する場合は、前記加熱光の集光照射を停止した後に工程Aを行うものであるのが好ましい。これは、前記加熱光の集光照射を停止せずに工程Aを開始すると、切断予定線の終端L付近において、過剰にガラス素板Gが加熱されて伝播亀裂2bが蛇行する場合があるからである。
工程1、工程2、工程3、工程4、及び工程Aを実施することによって、伝播亀裂2bが切断予定線の終端Lまで伝播し、ガラス素板Gをフルボディ切断した切断ガラス板を得ることが可能になる。
本発明の実施例及び比較例を以下に示す。使用した各種装置と、ガラス素板は以下の通りである。
ガラス素板:フロートガラス板(ソーダライムガラス、300mm(W辺)×1000mm(D辺)、厚み25mm)
加熱光源及び集光装置:赤外線ラインヒーター(ハイベック社製HYL25−12、ランプ長:12cm、出力:1.0kW、焦点距離:25mm)
実施例1
まず、図6,7に示すような装置を用いて、ガラス素板を載置台の上に載せ、W辺をY軸方向、D辺をX軸方向とした。また、W辺の中心(150mm)の位置を切断予定線(1000mm)の始端とした。また、外力付与装置の1対のガラス固定部をY軸方向に動かし、該切断予定線からY軸プラス方向及びY軸マイナス方向にそれぞれ40mmの位置になるように設置した。また、この時のガラス素板のX軸マイナス側の端部を、上記のガラス固定部で挟持できるように、ガラス固定部のX軸、Z軸方向の位置を調節した。
(工程1)
次に、上記の切断予定線の始端を含むガラスエッジをガラスカッターで加傷して初期亀裂を形成した。
(工程2)
次に、赤外線ラインヒーターの焦点が該ガラス素板の表面になるようにZ軸方向の高さを合わせ、赤外光の照射範囲が初期亀裂と重なるように、該赤外線ラインヒーターのX軸方向の位置を調節した。また、この時切断予定線の始端側から赤外線ラインヒーターをX軸方向へ侵入させ、切断予定線の始端側を0mmとする時、赤外光の照射領域の切断予定線上の長さが約60mmになるように、該赤外線ラインヒーターのX軸方向の位置を調整した。
次に、赤外線ラインヒーターを点灯させ、切断予定線上に赤外光を集光し固定照射した。照射開始から10〜15秒後に初期亀裂から伝播亀裂が生じた。
(工程3)
次に、赤外線ラインヒーターをXプラス方向へ移動させながら伝播亀裂をさらに伝播させた。この時、加熱光の照射領域が伝播亀裂よりもXプラス側になるようにし、伝播亀裂の伝播速度に合わせて該赤外線ラインヒーターをXプラス方向へ移動させた。
切断予定線の終端LからXマイナス方向へ50〜60mm離れた地点まで伝播亀裂が伝播したところで、顕著な伝播速度の低下が見られた。
(工程4)
次に、赤外線ラインヒーター10の後端に取り付けた流体噴出装置60より、ガラス素板Gの中心部から切断予定線の終端Lに向かって圧縮空気を噴出し、ガラス素板Gの端部の表面、側面及び裏面の順に表面亀裂を形成した。
(工程A)
次に、赤外線ラインヒーターの照射を止めて、前述した外力付与装置のガラス固定部でガラス素板の始端側端部を挟持し、外力付与部を操作して切断予定面と直交する両方向へ、該ガラス素板の切断面を閉じる方向に外力(約10〜20N)を加えたところ、切断予定線の終端Lのガラスエッジまで伝播亀裂が伝播し、ガラス素板のフルボディの等分切断が完了した。
上記のガラス素板の切断を2回行なったところ、得られた切断ガラス板(150mm×1000mm)は、いずれもキリコ等の発生はなく、切断面は鏡面を有し、切断予定線の終端付近に亀裂の蛇行がなく、またソゲのない切断面であった。また、赤外線ラインヒーターの照射開始からフルボディ切断が完了するまで52〜56秒であり、切断ガラス板の生産ペースを向上させることができた。また、切断予定線の始端側は、工程4実施前の時点で切断面同士が約1mm程度Y軸方向に離れていた。
比較例1
表面亀裂の形成及び外力付与装置で外力Fを加えなかった他は、実施例1と同様の方法でガラス素板をフルボディで等分切断した。また、工程3ではフルボディ切断が完了するまで赤外線ラインヒーターを固定照射した。
上記のガラス素板の切断を2回行なったところ、得られた切断ガラス板は、いずれもキリコ等の発生はなく、切断面は鏡面を有するものであった。また、切断予定線の終端付近に若干の蛇行(約5mm程度のソゲ)が見られた。また、赤外線ラインヒーターの照射開始からフルボディ切断が完了するまで66〜72秒であった。
以上より、切断予定線の始端側のガラス素板端部にガラスの切断面を閉じる方向に外力を付与することで、切断速度が向上することがわかった。また、切断予定線の終端側については、伝播速度の低下が抑制された為に加熱光を照射する時間が従来の方法より短くなり、その結果ガラス素板の温度が過度に上昇しなくなった為、亀裂の蛇行が抑制されたと考えられる。
比較例2
工程4の表面亀裂を形成しなかった他は、実施例1と同様の方法でガラス素板のフルボディで等分布切断を試みた。工程1〜3までは実施例1と同様の挙動を示し、切断予定線の終端LからXマイナス方向へ50〜60mm離れた地点まで伝播亀裂が伝播したところで、顕著な伝播速度の低下が見られた。ここで赤外線ラインヒーター10の照射を止めて、工程Aの前述した外力付与装置のガラス固定部で切断予定線の始端側ガラス素板端部を挟持し、外力付与部を操作して切断予定面と直交する両方向へ、該ガラス素板の切断面を閉じる方向に外力(約10〜100N)を加えたが、切断予定線の終端Lのガラスエッジまで伝播亀裂が伝播せず、ガラス素板のフルボディ切断ができなかった。
G:ガラス素板、L:切断予定線、L:切断予定線の始端、L:切断予定線の終端、F:外力、
2a:初期亀裂、2b:伝播亀裂、2c:表面亀裂
10:赤外線ラインヒーター、
11:赤外光、
30:外力付与装置、
31:第一のガラス固定部、31’:第二のガラス固定部、31a:上面固定部、31b:下面固定部、31c:固定部基台、31d:接触部材、31e:連結部、
32:外力付与部、32a:加圧装置、32b:加圧アーム、32c:アーム連結部、
33:固定部用ガイドバー、
34a:支持柱、34b:外力付与装置のスライダ、34c:外力付与装置の搬送レール、
40:載置台、
41:ガラス素板の搬送レール、41a:回転ロール、
50:門型フレーム、50a:懸架ロッド、50b:支持柱、
51:赤外線ラインヒーターの搬送レール、
52:第2スライダ、
53:連結具、
54:第1スライダ
60:流体噴出装置
61:流体

Claims (10)

  1. 熱衝撃により該ガラス素板を切断する、切断ガラス板の製造方法において、
    該切断予定線の始端を含むガラスエッジに初期亀裂を形成する工程1、
    該切断予定線上に該加熱光を集光照射し、該切断予定線に沿って該初期亀裂を伝播させた伝播亀裂を形成する工程2、
    該伝播亀裂を該切断予定線に沿って該切断予定線の終端の手前まで伝播させる工程3、
    該工程3の後に、該切断予定線上の終端を含むガラスエッジに表面亀裂を形成する工程4、及び
    該伝播亀裂によって得られた対向する切断面を密着させる方向に外力を加える工程A、
    を有し、
    該工程3の後に該工程Aを実施し継続した状態で該工程4を実施する、又は該工程4の後に該工程Aを実施することにより、該伝播亀裂を該切断予定線の終端まで伝播させて該ガラス素板をフルボディ切断する、切断ガラス板の製造方法。
  2. 前記工程Aが、前記工程4の後に実施するものである、請求項1に記載の切断ガラス板の製造方法。
  3. 前記工程3は、前記切断予定線に沿って、前記加熱光を前記ガラス素板に対して相対的に移動させながら、前記伝播亀裂を伝播させる工程を含む請求項1又は請求項2に記載の切断ガラス板の製造方法。
  4. 前記表面亀裂が、熱衝撃によって形成するものである、請求項1から請求項3のいずれかに記載の切断ガラス板の製造方法。
  5. 前記外力が、前記切断予定線の始端側のガラス素板端部に加えるものである、請求項1から請求項4のいずれかに記載の切断ガラス板の製造方法。
  6. 前記工程4は、前記表面亀裂を形成した後に、前記加熱光の集光照射を停止させる工程を含む、請求項1から請求項5のいずれかに記載の切断ガラス板の製造方法。
  7. 前記ガラス素板は、厚みが2〜25mmである請求項1から請求項6のいずれかに記載の切断ガラス板の製造方法。
  8. ガラス素板を載置する載置台と、加熱光を該ガラス素板へ照射可能に設置された加熱光源と、該加熱光源の加熱光を集光させる集光装置と、該加熱光源を相対的に移動させる搬送機構と、を有する、熱衝撃によるガラス素板のフルボディ切断装置において、
    熱衝撃により形成した伝播亀裂によって得られた対向する切断面を密着させる方向に外力を加えることが可能な外力付与装置を有する、ガラス素板の切断装置。
  9. 前記外力付与装置が、前記ガラス素板の切断予定線の両側にそれぞれ配置されて始端側端部を挟持して固定する1対のガラス固定部と、該1対のガラス固定部が互いに近づく方向及び互いに離れる方向に前記外力を加える外力付与部と、
    を有するものである請求項8に記載のガラス素板の切断装置。
  10. 前記切断装置が、前記ガラス素板の切断予定線上の終端を含むガラスエッジに表面亀裂を形成することが可能な流体噴出装置を有する、請求項8又は請求項9に記載のガラス素板の切断装置。
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