上記したコンベヤシステムでは、物品が上流側のコンベヤユニットから下流側のコンベヤユニットに乗り移った場合に、上流側のコンベヤユニットを継続して駆動させると、電力を無駄に消費することになる。従って、各コンベヤユニットに備えるセンサを用いて、物品が下流側のコンベヤユニットに乗り移った際に上流側のコンベヤユニットを停止させることが求められている。この場合、上流側のコンベヤユニットを停止させるタイミングが遅いと電力を無駄に消費してしまう。また、上流側のコンベヤユニットを停止させるタイミングが早すぎると、物品の一部がまだ上流側のコンベヤユニットに残り、上流側のコンベヤユニット上において物品を引きずってしまう。その結果、物品に対して振動等を生じさせ、物品の破損又は物品内の収容物の破損を招く場合がある。
また、物品が乗り移る前から下流側のコンベヤユニットを駆動させておくと、電力を無駄に消費することになる。従って、物品が下流側のコンベヤユニットに乗り移る際に上流側のコンベヤユニットを始動させることが求められている。この場合、下流側のコンベヤユニットを始動させるタイミングが早すぎると電力を無駄に消費してしまう。また、下流側のコンベヤユニットを始動させるタイミングが遅いと、下流側のコンベヤユニット上で物品の下流側の端部が引っ掛かり、物品のスムーズな搬送を阻害する。その結果、物品に対して振動等を生じさせ、物品の破損又は物品内の収容物の破損を招く場合がある。
本発明は、コンベヤユニットごとの停止又は始動を適切なタイミングで行うことにより、電力を無駄に消費させず、かつ、物品の振動等が生じるのを防止することが可能なコンベヤシステムを提供することを目的とする。
本発明の第1態様に係るコンベヤシステムは、物品を搬送する第1コンベヤユニットと、第1コンベヤユニットの下流側に配置され、物品を搬送する第2コンベヤユニットと、第1コンベヤユニットにより搬送される物品を第1コンベヤユニットにおける搬送方向の下流側端部から上流側に第1距離離れた位置で検出するセンサと、第1コンベヤユニットによる物品の搬送速度を制御する制御部と、を備えるコンベヤシステムであって、制御部は、第1コンベヤユニットから第2コンベヤユニットに物品が乗り移る際に、その物品がセンサにより検出された後に検出されなくなった時点から、第1距離と搬送速度とに基づいて算出される第1所定時間後に第1コンベヤユニットを停止させる。
また、第1態様において、制御部は、搬送速度をvとし、第1距離をL1とした場合、下記数式(1)により第1所定時間t1を算出してもよい。
また、第1態様において、制御部は、第1距離、搬送速度、及び第1コンベヤユニットにより搬送される物品の加速度に基づいて第1所定時間を算出してもよい。また、第1態様において、制御部は、搬送速度をvとし、第1距離をL1とし、第1コンベヤユニットにより搬送される物品の加速度をaとし、加速度aが一定の場合、下記数式(2)により第1所定時間t1を算出してもよい。
また、第1態様において、制御部は、搬送速度をvとし、第1距離をL1とし、第1コンベヤユニットにより搬送される物品の加速度をaとし、予め規定された第1速度vmaxとなるまで物品の搬送速度を加速させる場合、下記数式(3)により第1所定時間t1を算出してもよい。
また、第1態様において、制御部は、搬送速度をvとし、第1距離をL1とし、第1コンベヤユニットにより搬送される物品の加速度をaとし、予め規定された第2速度vminとなるまで物品の搬送速度を減速させる場合、下記数式(4)により第1所定時間t1を算出してもよい。
また、第1態様において、制御部は、予め定めた第1バッファ時間を加えて第1所定時間を算出してもよい。また、第1態様において、制御部は、予め定めた第2バッファ時間を差し引いて第1所定時間を算出してもよい。
本発明の第2態様に係るコンベヤシステムは、物品を搬送する第1コンベヤユニットと、第1コンベヤユニットの下流側に配置され、物品を搬送する第2コンベヤユニットと、第1コンベヤユニットにより搬送される物品を第2コンベヤユニットにおける搬送方向の上流側端部から上流側に第2距離離れた位置で検出するセンサと、第2コンベヤユニットによる物品の搬送速度を制御する制御部と、を備えるコンベヤシステムであって、制御部は、第1コンベヤユニットから第2コンベヤユニットに物品が乗り移る際に、その物品がセンサにより検出された時点から、第2距離と搬送速度とに基づいて算出される第2所定時間後に第2コンベヤユニットを始動させる。
また、第2態様において、制御部は、搬送速度をvとし、第2距離をL2とした場合、下記数式(5)により、第2所定時間t2を算出してもよい。
また、第2態様において、制御部は、第2距離、搬送速度、及び第1コンベヤユニットにより搬送される物品の加速度に基づいて第2所定時間を算出してもよい。また、第2態様において、制御部は、搬送速度をvとし、第2距離をL2とし、第1コンベヤユニットにより搬送される物品の加速度をaとし、加速度aが一定の場合、下記数式(6)により、第2所定時間t2を算出してもよい。
また、第2態様において、制御部は、搬送速度をvとし、第2距離をL2とし、第1コンベヤユニットにより搬送される物品の加速度をaとし、予め規定された第1速度vmaxとなるまで物品の搬送速度を加速させる場合、下記数式(7)により、第2所定時間t2を算出してもよい。
また、第2態様において、制御部は、搬送速度をvとし、第2距離をL2とし、第1コンベヤユニットにより搬送される物品の加速度をaとし、予め規定された第2速度vminとなるまで物品の搬送速度を減速させる場合、下記数式(8)により、第2所定時間t2を算出してもよい。
また、第2態様において、制御部は、予め定めた第3バッファ時間を差し引いて第2所定時間を算出してもよい。
また、第1態様又は第2態様において、第1コンベヤユニットは、センサの上流側に、物品の搬送方向における寸法よりも狭い間隔で搬送方向に沿って少なくとも1つの補助センサが設けられてもよい。
本発明の第3態様に係るコンベヤシステムは、物品を搬送する第1コンベヤユニットと、第1コンベヤユニットの下流側に配置されて物品を搬送する第2コンベヤユニットと、第1コンベヤユニットにより搬送される物品を第1コンベヤユニットにおける搬送方向の下流側端部から上流側に第1距離離れた位置で検出するセンサと、第1コンベヤユニットによる物品の搬送速度を制御する制御部と、を備えるコンベヤシステムであって、制御部は、第1コンベヤユニットから第2コンベヤユニットに物品が乗り移る際に、その物品がセンサにより検出された時点から、搬送方向における物品の長さと第1距離と搬送速度とに基づいて算出される第1所定時間後に第1コンベヤユニットを停止させる。
本発明の第4態様に係るコンベヤシステムは、物品を搬送する第1コンベヤユニットと、第1コンベヤユニットの下流側に配置され、物品を搬送する第2コンベヤユニットと、第1コンベヤユニットにより搬送される物品を第2コンベヤユニットにおける搬送方向の上流側端部から上流側に第2距離離れた位置で検出するセンサと、第2コンベヤユニットによる物品の搬送速度を制御する制御部と、を備えるコンベヤシステムであって、制御部は、第1コンベヤユニットから第2コンベヤユニットに物品が乗り移る際に、その物品がセンサにより検出された後に検出されなくなった時点から、搬送方向における物品の長さと第2距離と搬送速度とに基づいて算出される第2所定時間後に第2コンベヤユニットを始動させる。
上記した第1態様に係るコンベヤユニットによれば、第1コンベヤユニットから第2コンベヤユニットに物品が乗り移る際、その物品が第1コンベヤユニットのセンサにより検出された後に検出されなくなった時点から、第1距離と搬送速度とに基づいて算出される第1所定時間後に第1コンベヤユニットを停止させるので、物品が第2コンベヤユニットに乗り移った最適なタイミングで第1コンベヤユニットを停止させることができる。その結果、電力を無駄に消費させず、さらに、第1コンベヤユニット上において物品が引きずられることを防止し、物品の振動等の発生を防止できる。
また、第1態様において、制御部が、搬送速度をvとし、第1距離をL1とした場合、上記数式(1)により第1所定時間t1を算出する構成では、搬送速度及び第1距離により第1所定時間t1を算出するので、第1所定時間t1を容易に算出することができる。また、第1態様において、制御部が、第1距離、搬送速度、及び第1コンベヤユニットにより搬送される物品の加速度に基づいて第1所定時間を算出する構成では、第1コンベヤユニットにより搬送される物品の加速度も加えて第1所定時間を算出するので、第1所定時間を高精度に算出することができる。
また、第1態様において、制御部が、搬送速度をvとし、第1距離をL1とし、第1コンベヤユニットにより搬送される物品の加速度をaとし、加速度aが一定の場合、上記数式(2)により第1所定時間t1を算出する構成では、加速度が一定の場合において、第1所定時間t1を高精度に算出することができる。また、第1態様において、制御部が、搬送速度をvとし、第1距離をL1とし、第1コンベヤユニットにより搬送される物品の加速度をaとし、予め規定された第1速度vmaxとなるまで物品の搬送速度を加速させる場合、上記数式(3)により第1所定時間t1を算出する構成では、搬送速度が予め規定された第1速度vmaxとなるまで物品を加速させる場合において、第1所定時間t1を高精度に算出することができる。
また、第1態様において、制御部が、搬送速度をvとし、第1距離をL1とし、第1コンベヤユニットにより搬送される物品の加速度をaとし、予め規定された第2速度vminとなるまで物品の搬送速度を減速させる場合、上記数式(4)により第1所定時間t1を算出する構成では、搬送速度が予め規定された第2速度vminとなるまで物品を減速させる場合において、第1所定時間t1を高精度に算出することができる。また、第1態様において、制御部が、予め定めた第1バッファ時間を加えて第1所定時間を算出する構成では、第1バッファ時間を加えることにより、物品が第1コンベヤユニットから第2コンベヤユニットに乗り移るタイミングの誤差を第1バッファ時間により吸収するので、物品が引きずられるのを確実に防止できる。また、第1態様において、制御部が、予め定めた第2バッファ時間を差し引いて第1所定時間を算出する構成では、第1コンベヤユニットを停止させた後、第1コンベヤユニットの慣性による物品の搬送を利用するので、第1コンベヤユニットをより一層早く停止させることができる。
上記した第2態様に係るコンベヤユニットによれば、物品が第1コンベヤユニットのセンサにより検出された時点から、第2距離と搬送速度とに基づいて算出される第2所定時間後に第2コンベヤユニットを始動させるので、物品が第2コンベヤユニットに乗り移る最適なタイミングで第2コンベヤユニットを始動させることができる。その結果、電力を無駄に消費させず、かつ、第2コンベヤユニット上において物品の下流側の端部が引っ掛かることを防止し、物品のスムーズな搬送を確保することにより物品の振動等の発生を防止できる。
また、第2態様において、制御部が、搬送速度をvとし、第2距離をL2とした場合、上記数式(5)により、第2所定時間t2を算出する構成では、搬送速度及び第2距離により第2所定時間t2を算出するので、第2所定時間t2を容易に算出することができる。また、第2態様において、制御部が、第2距離、搬送速度、及び第1コンベヤユニットにより搬送される物品の加速度に基づいて第2所定時間を算出する構成では、第1コンベヤユニットにより搬送される物品の加速度も加えて第2所定時間を算出するので、第2所定時間を高精度に算出することができる。
また、第2態様において、制御部が、搬送速度をvとし、第2距離をL2とし、第1コンベヤユニットにより搬送される物品の加速度をaとし、加速度aが一定の場合、上記数式(6)により、第2所定時間t2を算出する構成では、加速度が一定の場合において、第2所定時間t2を高精度に算出することができる。また、第2態様において、制御部が、搬送速度をvとし、第2距離をL2とし、第1コンベヤユニットにより搬送される物品の加速度をaとし、予め規定された第1速度vmaxとなるまで物品を加速させる場合、上記数式(7)により、第2所定時間t2を算出する構成では、予め規定された第1速度vmaxとなるまで物品の搬送速度を加速させる場合において、第2所定時間t2を高精度に算出することができる。
また、第2態様において、制御部が、搬送速度をvとし、第2距離をL2とし、第1コンベヤユニットにより搬送される物品の加速度をaとし予め規定された第2速度vminとなるまで物品の搬送速度を減速させる場合、上記数式(8)により、第2所定時間t2を算出する構成では、搬送速度が予め規定された第2速度vminとなるまで物品を減速させる場合において、第2所定時間t2を高精度に算出することができる。また、第2態様において、制御部が、予め定めた第3バッファ時間を差し引いて第2所定時間を算出する構成では、第3バッファ時間を差し引くことにより、物品が第1コンベヤユニットから第2コンベヤユニットに乗り移るタイミングの誤差を第3バッファ時間により吸収するので、第2コンベヤユニット上で物品の下流側の端部が引っ掛かることを確実に防止できる。
また、第1態様又は第2態様において、第1コンベヤユニットが、センサの上流側に、物品の搬送方向における寸法よりも狭い間隔で搬送方向に沿って少なくとも1つの補助センサが設けられる構成では、第1コンベヤユニット上の物品をセンサ又は補助センサのいずれかにより検出するので、第1コンベヤユニットにおける物品の位置を容易に確認することができる。
上記した第3態様に係るコンベヤユニットによれば、第1コンベヤユニットから第2コンベヤユニットに物品が乗り移る際、物品が第1コンベヤユニットのセンサにより検出された時点から、搬送方向における物品の長さと第1距離と搬送速度とに基づいて算出される第1所定時間後に第1コンベヤユニットを停止させるので、物品が第2コンベヤユニットに乗り移った最適なタイミングで第1コンベヤユニットを停止させることができる。その結果、電力を無駄に消費させず、さらに、第1コンベヤユニット上において物品が引きずられることを防止し、物品の振動等の発生を防止できる。
上記した第4態様に係るコンベヤユニットによれば、物品が第1コンベヤユニットのセンサにより検出された後に検出されなくなった時点から、搬送方向における物品の長さと第2距離と搬送速度とに基づいて算出される第2所定時間後に第2コンベヤユニットを始動させるので、物品が第2コンベヤユニットに乗り移る最適なタイミングで第2コンベヤユニットを始動させることができる。その結果、電力を無駄に消費させず、かつ、第2コンベヤユニット上において物品の下流側の端部が引っ掛かることを防止し、物品のスムーズな搬送を確保することにより物品の振動等の発生を防止できる。
以下、本発明の実施形態について説明する。ただし、本発明は以下に説明する形態には限定されない。また、図面においては実施形態を説明するため、一部分を大きく又は強調して記載するなど適宜縮尺を変更して表現しており、実際の製品とは大きさ、形状等が異なっている場合がある。各図においては、XYZ座標系を用いて図中の方向を説明する。このXYZ座標系において、水平面に平行な平面をXY平面とする。このXY平面において物品Fの搬送方向に平行な方向をX方向と表記し、X方向に直交する方向をY方向と表記する。また、XY平面に垂直な方向はZ方向と表記する。X方向、Y方向及びZ方向のそれぞれは、図中の矢印の指す方向が+方向であり、矢印の方向と反対の方向が−方向であるとして説明する。
[第1実施形態]
第1実施形態に係るコンベヤシステム3ついて、図面を参照して説明する。図1は、第1実施形態に係るコンベヤシステム3の一例を示す側面図である。図2は、コンベヤシステム3の一例を示す平面図である。図3は、コンベヤシステム3の一例を示す機能ブロック図である。図1から図3に示すコンベヤシステム3は、物品Fを搬送する。物品Fには、例えば、半導体製造装置又は液晶製造装置等で処理されるウェハを収容するFOUP(Front−Opening Unified Pod)、及び半導体製造装置又は液晶製造装置等で用いられるレチクルを収容するレチクルポッドなどが含まれる。本実施形態では、物品FがFOUPである例を用いて説明する。
コンベヤシステム3は、図1から図3に示すように、複数のコンベヤユニット30と、複数のセンサ38と、制御部40と、を備える。複数のコンベヤユニット30は、一方向である物品Fの搬送方向D(X方向)に並んだ状態で配置される。複数のセンサ38は、コンベヤユニット30ごとにX方向に沿って所定間隔で配置される。制御部40は、各コンベヤユニット30を制御する。コンベヤシステム3は、複数のコンベヤユニット30を物品Fの搬送方向Dの上流側から下流側に並べることにより物品Fを所望の場所まで搬送する。なお、本実施形態において、「上流側」及び「下流側」は、物品Fの搬送方向Dにおける上流側(−X側)、下流側(+X側)を意味する。
また、本実施形態では、物品Fの搬送方向Dが直線方向である形態を例に挙げて説明しているが、この形態に限定されない。例えば、搬送方向Dが曲線方向であってもよいし、折れ曲がっていてもよい。複数のコンベヤユニット30は、それぞれ同一の構成部材により形成されている。その結果、規格化されたコンベヤユニット30を複数用意すればよいので、コンベヤシステム3の製造コストを低減することができる。ただし、複数のコンベヤユニット30が同一の形態であることに限定されず、コンベヤユニット30の一部の構成部材が、他のコンベヤユニット30の構成部材と異なってもよい。
また、各コンベヤユニット30は、搬送方向Dの寸法が同一であるが、互いに寸法が異なってもよい。本実施形態では、複数のコンベヤユニット30は、搬送方向D(X方向)における寸法LCが同一であり、その寸法LCが、物品Fの搬送方向Dにおける寸法LFの2倍より小さい。すなわち、寸法LC<2×寸法LFとなっている。その結果、例えば、2個の物品Fが連続して1つのコンベヤユニット30上を移動する場合、少なくとも1個の物品Fの一部がそのコンベヤユニット30から搬送方向Dの上流側又は下流側にはみ出た状態となる。
コンベヤユニット30のそれぞれは、一対の搬送ベルト35と、コンベヤローラ31と、支持ローラ34と、駆動部33と、制御部40と、通信部43と、を有する。一対の搬送ベルト35は、コンベヤユニット30において、物品Fの搬送方向と直交する方向(Y方向)の両端に配置される。一対の搬送ベルト35は、物品Fの底部における幅方向(Y方向)の両端部を支持して物品Fを搬送する。搬送ベルト35は、輪状の無端ベルトであり、それぞれが、一対のコンベヤローラ31に巻き掛けられている。なお、搬送ベルト35は、一対として用いられることに限定されない。例えば、幅が広い1つの搬送ベルト35が用いられてもよい。
一対のコンベヤローラ31は、搬送方向Dに配列され、搬送ベルト35が巻き掛けられる。図2では一対の搬送ベルト35の双方が1つのローラ部を持つコンベヤローラ31に掛けられた例を示しているが、この形態に限定されない。例えば、コンベヤローラ31は、一対の搬送ベルト35のそれぞれに対応する部分にローラ部を備え、この2つのローラ部が連結軸により連結される形態であってもよい。また、コンベヤローラ31の周面には、搬送ベルト35との間の滑りを防止するための表面処理等が施されてもよい。
支持ローラ34は、搬送方向Dにおける一対のコンベヤローラ31の間に複数設けられる。支持ローラ34は、搬送ベルト35を介して物品Fを下方から支持する。複数の支持ローラ34は、それぞれ同一の態様が用いられてもよいし、互いに異なる態様(例えば、外径が異なる態様)が用いられてもよい。また、支持ローラ34の数及び配置は任意である。また、支持ローラ34は配置されなくてもよい。
駆動部33は、一対のコンベヤローラ31のうち少なくとも一方を回転させ、搬送ベルト35を周回移動させる。搬送ベルト35上の物品Fは、搬送ベルト35の周回移動により搬送方向Dに搬送される。駆動部33としては、例えば、ステッピングモータ(パルスモータ)等が用いられる。駆動部33としてステッピングモータが用いられる場合、ステッピングモータに入力するパルス数によりコンベヤローラ31の回転角度、すなわち搬送方向Dにおける物品Fの搬送距離(搬送ベルト35の周回移動距離)が制御され、ステッピングモータに入力するパルス周波数(Hz)によりコンベヤローラ31の回転速度、すなわち搬送方向Dにおける物品Fの搬送速度(搬送ベルト35の周回移動速度)が制御される。
複数のセンサ38は、それぞれコンベヤユニット30上の物品Fの有無を検出する。1つのコンベヤユニット30には、2つのセンサ38(上流側センサ38A及び下流側センサ38B)が設けられる。上流側センサ(補助センサ)38Aは、コンベヤユニット30の上流側において物品Fが存在することを検出し、下流側センサ38Bは、コンベヤユニット30の下流側において物品Fが存在することを検出する。下流側センサ38Bは、コンベヤユニット30における搬送方向Dの下流側端部Pから上流側に第1距離L1離れて配置されている(図1参照)。
本実施形態では、コンベヤユニット30の下流側端部Pを、搬送される物品Fが搬送ベルト35から離れる位置(すなわち下流側のコンベヤローラ31の回転軸直上の位置)としているが、この形態に限定されない。例えば、下流側端部Pは、平面視において(Z方向から視て)コンベヤユニット30における+X側の縁部であってもよい。本実施形態において、「下流側端部」は、コンベヤユニット30の+X側の縁部から、コンベヤローラ31の回転軸直上の位置までを含む意味で用いている。従って、下流側センサ38Bは、コンベヤユニット30の+X側の縁部から第1距離L1離れた上流側に配置されてもよい。
センサ38の例としては、例えば回帰反射型光電センサが含まれる。本実施形態のセンサ38は、光出射部と光受光部とを有しており、光出射部から出射された光が光受光部において受光されなくなることで物品Fの有無を検出する。複数のセンサ38は、物品Fの搬送方向Dにおける寸法LFよりも短い間隔LSでX方向に沿って配列されている。すなわち、1つのコンベヤユニット30において2つのセンサ38が間隔LSで配置され、かつ、隣り合うコンベヤユニット30において搬送方向Dに並ぶ2つのセンサ38も間隔LSで配置される。その結果、コンベヤシステム3により搬送方向Dに搬送される物品Fは、何れかのセンサ38によって検出可能となる。なお、間隔LSは同一であることに限定されず、物品Fの寸法LFよりも短ければ、間隔LSは互いに異なってもよい。
制御部40は、コンベヤユニット30の動作を制御する。制御部40は、例えば、中央演算処理装置(CPU)、記憶装置(ROM、RAM)等を含むコンピュータ装置である。制御部40は、例えば、記憶装置に格納されている動作プログラムに基づいて、中央演算処理装置によりコンベヤユニット30の各部の動作を制御する。制御部40は、駆動部33を制御することにより、搬送ベルト35の周回移動速度(物品Fの搬送速度)、搬送ベルト35の停止及び始動を制御する。また、制御部40は、センサ38による検出結果、つまり、センサ38によって検出される物品Fの有無を取得する。制御部40は、これらのセンサ38の検出結果に基づいて、コンベヤシステム3における物品Fの位置を把握することができる。
制御部40は、コンベヤユニット30ごとに設けられる。少なくとも搬送方向Dに隣り合うコンベヤユニット30の制御部40同士は通信可能に設けられる。制御部40同士は、通信部43を介して有線又は無線により通信可能に設けられる。なお、複数の制御部40が同一の基板に設けられる場合がある。この場合は、基板に設けられる複数の制御部40同士が配線等により電気的に接続されるため、これらの制御部40において通信部43が設けられなくてもよい。
以下、説明の便宜のため、センサ38が物品Fを検出している状態から物品Fを検出しなくなる状態への遷移を第1遷移と称し、物品Fを検出していない状態から物品Fを検出している状態への遷移を第2遷移と称する場合がある。制御部40は、センサ38の検出結果、すなわち、センサ38における第1遷移又は第2遷移に基づいて駆動部33を制御し、コンベヤユニット30における搬送ベルト35の駆動を制御する。また、複数のコンベヤユニット30のうち、1つのコンベヤユニット30を第1コンベヤユニット30Aとし、この第1コンベヤユニット30Aの搬送方向Dの下流側に隣り合うコンベヤユニット30を第2コンベヤユニット30Bとする。
制御部40は、例えば、1つのコンベヤユニット30に1つの物品Fしか進入できないように、コンベヤユニット30における物品Fの搬送を制御する。具体的には、第1コンベヤユニット30Aに設けられる制御部40A(以下、単に「制御部40A」と称する。)は、第2コンベヤユニット30Bに物品Fが無いことを検出すると、第1コンベヤユニット30Aの駆動部33を制御して、第2コンベヤユニット30Bに物品Fを進入させる。ただし、制御部40が、このような制御を行うか否かは任意である。
本実施形態において、制御部40Aは、第1コンベヤユニット30Aから第2コンベヤユニット30Bに物品Fが乗り移る際に、その物品Fが下流側センサ38Bにより検出された後に検出されなくなった時点(すなわち、上記した第1遷移の時点)から、第1距離L1と物品Fの搬送速度とに基づいて算出される第1所定時間t1経過後に第1コンベヤユニット30A(駆動部33)を停止させる。また、制御部40Aは、第1所定時間t1を算出するに際して、物品Fの搬送方向Dにおける加速度を加味してもよい。なお、本実施形態では、「物品Fの搬送方向Dにおける加速度」を「物品Fの加速度」と称する。
制御部40Aは、物品Fの搬送速度(及び加速度)を、駆動部33の制御情報(例えばパルス周波数など)から取得してもよいし、コンベヤシステム3に設けられた速度計等から取得してもよい。また、制御部40Aは、下流側センサ38Bにおいて上記した第2遷移から第1遷移までに要した時間と、物品Fの搬送方向Dにおける寸法LFとから演算により物品Fの搬送速度(及び加速度)を取得してもよい。また、制御部40Aは、上流側センサ38Aの第2遷移から下流側センサ38Bの第2遷移までに要した時間と、上流側センサ38Aと下流側センサ38Bとの間隔LSとから演算により物品Fの搬送速度(及び加速度)を取得してもよい。
以下、第1コンベヤユニット30Aから第2コンベヤユニット30Bに物品Fが乗り移る際の4つのケース(ケース1からケース4)を例に挙げて、本実施形態の動作について説明する。まず、ケース1について説明する。制御部40Aは、物品Fの加速度が0である場合、すなわち、物品Fが一定の搬送速度で搬送方向Dに搬送される場合、物品Fの搬送速度をvとし、第1距離をL1とした場合、下記数式(1)により第1所定時間t1を算出する。
次に、ケース2について説明する。ケース2は、物品Fの上流側の端部が下流側センサ38Bを超えて第1距離L1を搬送されるまで一定の加速度aで加速又は減速される場合である。制御部40Aは、物品Fの加速度が0ではない場合、第1距離L1、搬送速度v、及び第1コンベヤユニット30Aにより搬送される物品Fの加速度aに基づいて第1所定時間t1を算出する。制御部40Aは、搬送速度をvとし、第1距離をL1とし、第1コンベヤユニット30Aにより搬送される物品Fの加速度をaとし、加速度aが一定の場合、下記数式(2)により第1所定時間t1を算出する。
次に、ケース3について説明する。ケース3は、物品Fの上流側の端部が下流側センサ38Bを超えて第1距離L1より短い所定距離を搬送されるまで一定の加速度で加速され、物品Fの上流側の端部が第1距離L1を超える前に、物品Fの搬送速度が予め規定された第1速度vmaxに達し、その後、第1速度vmaxに維持される場合である。制御部40Aは、搬送速度をvとし、第1距離をL1とし、第1コンベヤユニット30Aにより搬送される物品Fの加速度をaとし、予め規定された第1速度vmaxとなるまで物品Fの搬送速度vを加速させる場合、下記数式(3)により第1所定時間t1を算出する。
次に、ケース4について説明する。ケース4は、物品Fの上流側の端部が下流側センサ38Bを超えて第1距離L1より短い所定距離を搬送されるまで一定の加速度で減速され、物品Fの上流側の端部が第1距離L1を超える前に、物品Fの搬送速度が予め規定された第2速度vminに達し、その後、第2速度vminに維持される場合である。制御部40Aは、搬送速度をvとし、第1距離をL1とし、第1コンベヤユニット30Aにより搬送される物品Fの加速度をaとし、予め規定された第2速度vminとなるまで物品Fの搬送速度vを減速させる場合、下記数式(4)により第1所定時間t1を算出する。
続いて、上記したコンベヤシステム3の動作について説明する。図4及び図5は、上記のコンベヤシステム3の動作の一例を示す図である。図4は、物品Fの上流側の端部が下流側センサ38Bに達した状態を示す図である。図5は、物品Fの上流側の端部が第1コンベヤユニット30Aの下流側端部Pに達した状態を示す図である。図6は、第1所定時間t1を算出する手順の一例を示すフローチャートである。図7は、第1所定時間t1を算出する複数のケースを示す図である。
図6に示すように、制御部40Aは、上流側センサ38A及び下流側センサ38Bの状態を確認する(ステップS01)。第1コンベヤユニット30Aにおいて物品Fが搬送方向Dに搬送されると、まず、上流側センサ38Aが物品Fを検出し(上流側センサ38Aおける第2遷移)、次いで、上流側センサ38A及び下流側センサ38Bの双方が物品Fを検出し(下流側センサ38Bおける第2遷移)、次いで、上流側センサ38Aが物品Fを検出しなくなり(上流側センサ38Aおける第1遷移)、次いで、下流側センサ38Bが物品Fを検出しなくなる(下流側センサ38Bおける第1遷移)。制御部40Aは、上流側センサ38A及び下流側センサ38Bのそれぞれについて、物品Fを検出したこと、又は検出しなくなったことに関する情報を取得する。
制御部40Aは、第1コンベヤユニット30Aの上流側センサ38Aがオフになっており、かつ下流側センサ38Bがオフであるか否かを検出する(ステップS02)。すなわち、制御部40Aは、上流側センサ38Aにおいて第1遷移となった後(物品Fを検出した後に物品Fを検出しなくなった後)、下流側センサ38Bにおいて第1遷移となった(物品Fを検出した後に物品Fを検出しなくなった)か否かを検出する。なお、上流側センサ38Aにおいて第1遷移となった後、下流側センサ38Bにおいて第1遷移となっていない場合(ステップS02のNO)、制御部40Aは、処理を終了する。
上流側センサ38Aにおいて第1遷移となった後、下流側センサ38Bにおいて第1遷移となった場合(ステップS02のYES)、制御部40Aは、下流側センサ38Bにおいて第1遷移となった時点で加速度aが0であるか否かを判定する(ステップS03)。加速度aが0である場合(ステップS03のYES)、制御部40Aは、ケース1を適用し、図7に示すように、上記において説明したケース1の数式(1)に基づいて第1所定時間t1を算出する(ステップS04)。
加速度aが0ではない場合(ステップS03のNO)、制御部40Aは、加速度aが0より大きいか否かを判定する(ステップS05)。加速度aが0よりも大きい場合、すなわち、物品Fの搬送速度が加速されている場合(ステップS05のYES)、制御部40Aは、v2>(vmax)2−2aL1の関係を満たすか否かを判定する(ステップS06)。ステップS06において、制御部40Aは、物品Fの上流側の端部が下流側センサ38Bを超えて第1距離L1を搬送中に、予め規定された第1速度vmaxに物品Fの搬送速度が達するか否かを判定する。第1速度vmaxは、例えば、第1コンベヤユニット30Aにおいて最も速く物品Fを搬送するために設定される定格最大搬送速度である。
上記したv2>(vmax)2−2aL1の関係を満たさない場合(ステップS06のNO)、制御部40Aは、ケース2を適用し、図7に示すように、上記において説明したケース2の数式(2)に基づいて第1所定時間t1を算出する(ステップS07)。一方、上記したv2>(vmax)2−2aL1の関係を満たす場合(ステップS06のYES)、制御部40Aは、ケース3を適用し、図7に示すように、上記において説明したケース3の数式(3)に基づいて第1所定時間t1を算出する(ステップS08)。
また、ステップS05において、加速度が0よりも小さい場合、すなわち、物品Fの搬送速度が減速されている場合(ステップS05のNO)、制御部40Aは、v2<(vmin)2−2aL1の関係を満たすか否かを判定する(ステップS09)。ステップS09において、制御部40Aは、物品Fの上流側の端部が下流側センサ38Bを超えて第1距離L1を搬送中に、予め規定された第2速度vminに物品Fの搬送速度が達するか否かを判定する。第2速度vminは、例えば、第1コンベヤユニット30Aにおいて最も遅く物品Fを搬送するために設定される定格最小搬送速度である。
上記したv2<(vmin)2−2aL1の関係を満たさない場合(ステップS09のNO)、制御部40Aは、ケース2を適用し、図7に示すように、上記において説明したケース2の数式(2)に基づいて第1所定時間t1を算出する(ステップS10)。一方、上記したv2<(vmin)2−2aL1の関係を満たす場合(ステップS09のYES)、制御部40Aは、ケース4を適用し、図7に示すように、上記において説明したケース4の数式(4)に基づいて第1所定時間t1を算出する(ステップS11)。
制御部40Aが上記の制御を行うことにより、図4に示すように、物品Fが下流側センサ38Bにおいて検出された後に検出されなくなった時点(すなわち、下流側センサ38Bにおける第1遷移となった時点)において、物品Fの搬送速度v及び加速度aに応じた第1所定時間t1が求められる。この時点から第1所定時間t1が経過した後、制御部40Aは、第1コンベヤユニット30Aを停止させる。すなわち、制御部40Aは、駆動部33の駆動を停止させて、搬送ベルト35の周回移動を停止させる。
物品Fが下流側センサ38Bで検出されなくなった時点から、第1所定時間t1が経過すると、物品Fは、下流側に第1距離L1だけ移動する。この物品Fの移動により、図5に示すように、物品Fの上流側の端部は、第1コンベヤユニット30Aの下流側端部P(搬送ベルト35)から離れることになる。制御部40Aは、上記のように算出された第1所定時間t1が経過した後に第1コンベヤユニット30Aを停止させる。このとき、物品Fは、第1コンベヤユニット30Aの搬送ベルト35から離れており、第2コンベヤユニット30Bの搬送ベルト35に乗って搬送される。
このように、本実施形態に係るコンベヤユニット30によれば、第1コンベヤユニット30Aから第2コンベヤユニット30Bに物品Fが乗り移る際、その物品Fが第1コンベヤユニット30Aの下流側センサ38Bにより検出された後に検出されなくなった時点から、第1距離L1と搬送速度vとに基づいて算出される第1所定時間t1後に第1コンベヤユニット30Aを停止させるので、物品Fが第2コンベヤユニット30Bに乗り移った最適なタイミングで第1コンベヤユニット30Aを停止させることができる。その結果、第1コンベヤユニット30Aにおける電力を無駄に消費させず、かつ、第1コンベヤユニット30A上において物品Fが引きずられることを防止し、物品Fの振動等の発生を防止できる。
なお、上記のケース1からケース4において、制御部40Aは、予め定めた第1バッファ時間を加えて第1所定時間t1を算出してもよい。第1バッファ時間は、例えば、制御部40Aの記憶装置等に予め記憶されている時間を用いてもよいし、記憶装置等に予め記憶されている係数X(例えばX=0.1等)を、第1所定時間t1に掛けて算出する時間(例えば、X×t1)を用いてもよい。第1バッファ時間を加えることにより、物品Fが第1コンベヤユニット30Aから第2コンベヤユニット30Bに乗り移るタイミングの誤差を第1バッファ時間により吸収するので、物品Fが引きずられるのを確実に防止できる。
また、上記のケース1からケース4において、制御部40Aは、予め定めた第2バッファ時間を差し引いて第1所定時間t1を算出してもよい。第2バッファ時間は、例えば、第1コンベヤユニット30Aを停止させた後、第1コンベヤユニット30A(搬送ベルト35)が慣性により物品Fを搬送する時間に設定される。この第2バッファ時間は、予め定められた一定の時間が用いられてもよいし、第1コンベヤユニット30Aの停止時における物品Fの搬送速度に基づいて算出される可変の時間が用いられてもよい。第2バッファ時間を差し引くことにより、第1コンベヤユニット30Aをより一層早く停止させることができ、電力の消費をより一層低減できる。
(変形例)
次に、変形例について説明する。上記した実施形態では、物品Fが下流側センサ38Bにより検出された後に検出されなくなった時点(第1遷移の時点)を基準とする形態を例に挙げて説明しているが、この形態に限定されない。例えば、物品Fが下流側センサ38Bにより検出された時点(第2遷移の時点)を基準とする形態であってもよい。この変形例において、第1所定時間t1は、物品Fの搬送方向Dにおける寸法(長さ)LFと、第1距離L1と、搬送速度vとに基づいて算出される。第1コンベヤユニット30Aの制御部40Aは、第1距離L1に寸法LFを加えた距離と、搬送速度vとから第1所定時間t1を算出する。
この変形例において、上記のケース1からケース4の数式(1)から(4)は、「第1距離L1」を「(第1距離L1+寸法LF)」に置き換えて適用する。この変形例では、制御部40Aは、物品Fが第1コンベヤユニット30Aの下流側センサ38Bにより検出された時点(第2遷移の時点)から、上記のように算出された第1所定時間t1経過後に第1コンベヤユニット30Aを停止させる。このような変形例であっても、上記した実施形態と同様に、物品Fが第2コンベヤユニット30Bに乗り移った最適なタイミングで第1コンベヤユニット30Aを停止させることができる。その結果、この変形例においても、第1コンベヤユニット30Aにおける電力を無駄に消費させず、かつ、第1コンベヤユニット30A上において物品Fが引きずられることを防止し、物品Fの振動等の発生を防止できる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係るコンベヤシステム3Aついて、図面を参照して説明する。図8は、第2実施形態に係るコンベヤシステム3Aの一例を示す図である。コンベヤシステム3Aは、第1実施形態のコンベヤシステム3と同様の構成を有しており、制御部40Aによる制御が異なっている。従って、制御部40Aを除いて、コンベヤシステム3を構成する部材と、コンベヤシステム3Aを構成する部材とは同一又はほぼ同一であるため、同一の符号を付してその説明を省略又は簡略化する。
本実施形態において、制御部40Aは、第1コンベヤユニット30Aから第2コンベヤユニット30Bに物品Fが乗り移る際に、その物品Fが第1コンベヤユニット30Aの下流側センサ38Bにより検出された時点(すなわち、上記した第2遷移の時点)から、第2距離L2と物品Fの搬送速度とに基づいて算出される第2所定時間t2経過後に第2コンベヤユニット30B(駆動部33)を始動させる。また、制御部40Aは、第2所定時間t2を算出するに際して、物品Fの搬送方向Dにおける加速度を加味してもよい。
第2距離L2は、図8に示すように、第2コンベヤユニット30Bにおける搬送方向Dの上流側端部Qから、第1コンベヤユニット30Aの下流側センサ38Bまでの距離である。本実施形態では、第2コンベヤユニット30Bの上流側端部Qを、搬送されてくる物品Fが搬送ベルト35に乗る位置(すなわち上流側のコンベヤローラ31の回転軸直上の位置)としているが、この形態に限定されない。例えば、上流側端部Qは、第2コンベヤユニット30Bにおける−X側の縁部であってもよい。本実施形態において、「上流側端部」は、第2コンベヤユニット30Bの−X側の縁部から、コンベヤローラ31の回転軸直上の位置までを含む意味で用いている。
以下、第1コンベヤユニット30Aから第2コンベヤユニット30Bに物品Fが乗り移る際の4つのケース(ケース5からケース8)を例に挙げて、本実施形態の動作について説明する。まず、ケース5について説明する。制御部40Aは、物品Fの加速度が0である場合、すなわち、物品Fが一定の搬送速度で搬送方向Dに搬送される場合、物品Fの搬送速度をvとし、第2距離をL2とした場合、下記数式(5)により第2所定時間t2を算出する。
次に、ケース6について説明する。ケース6は、物品Fの下流側の端部が下流側センサ38Bを超えて第2距離L2を搬送されるまで一定の加速度aで加速又は減速される場合である。制御部40Aは、物品Fの加速度が0ではない場合、第2距離L2、搬送速度v、及び第1コンベヤユニット30Aにより搬送される物品Fの加速度aに基づいて第2所定時間t2を算出する。制御部40Aは、搬送速度をvとし、第2距離をL2とし、第1コンベヤユニット30Aにより搬送される物品Fの加速度をaとし、加速度aが一定の場合、下記数式(6)により第2所定時間t2を算出する。
次に、ケース7について説明する。ケース7は、物品Fの下流側の端部が下流側センサ38Bを超えて第2距離L2より短い所定距離を搬送されるまで一定の加速度aで加速され、物品Fの下流側の端部が第2距離L2に到達する前に、物品Fの搬送速度が予め規定された第1速度vmaxに達し、その後、第1速度vmaxに維持される場合である。制御部40Aは、搬送速度をvとし、第2距離をL2とし、第1コンベヤユニット30Aにより搬送される物品Fの加速度をaとし、予め規定された第1速度vmaxとなるまで物品Fの搬送速度vを加速させる場合、下記数式(7)により第2所定時間t2を算出する。
次に、ケース8について説明する。ケース8は、物品Fの下流側の端部が下流側センサ38Bを超えて第2距離L2より短い所定距離を搬送されるまで一定の加速度aで減速され、物品Fの下流側の端部が第2距離L2に到達する前に、物品Fの搬送速度が予め規定された第2速度vminに達し、その後、第2速度vminに維持される場合である。制御部40Aは、搬送速度をvとし、第2距離をL2とし、第1コンベヤユニット30Aにより搬送される物品Fの加速度をaとし、予め規定された第2速度vminとなるまで物品Fの搬送速度vを減速させる場合、下記数式(8)により第2所定時間t2を算出する。
続いて、上記したコンベヤシステム3Aの動作について説明する。図8及び図9は、上記のコンベヤシステム3Aの動作の一例を示す図である。図8は、物品Fの下流側の端部が下流側センサ38Bに達した状態を示す図である。図9は、物品Fの下流側の端部が第2コンベヤユニット30Bの上流側端部Qに達した状態を示す図である。図10は、第2所定時間t2を算出する手順の一例を示すフローチャートである。図11は、第2所定時間t2を算出する複数のケースを示す図である。
図10に示すように、制御部40Aは、上流側センサ38A及び下流側センサ38Bの状態を確認する(ステップS21)。ステップS21は、図6におけるステップS01同様である。制御部40Aは、上流側センサ38A及び下流側センサ38Bのそれぞれについて、物品Fを検出したこと、又は検出しなくなったことに関する情報を取得する。
制御部40Aは、第1コンベヤユニット30Aの下流側センサ38Bがオンであるか否かを検出する(ステップS22)。すなわち、制御部40Aは、下流側センサ38Bにおいて第2遷移となった(物品Fを検出した)か否かを検出する。なお、下流側センサ38Bにおいて第2遷移となっていない場合(ステップS22のNO)、制御部40Aは、処理を終了する。
下流側センサ38Bにおいて第2遷移となった場合(ステップS22のYES)、制御部40Aは、加速度aが0であるか否かを判定する(ステップS23)。すなわち、制御部40Aは、物品Fの下流側の端部が下流側センサ38Bを超えた後、第2距離L2の搬送中に物品Fの搬送速度が変化したか否かを判定する。加速度aが0である場合(ステップS23のYES)、制御部40Aは、ケース5を適用し、図11に示すように、上記において説明したケース5の数式(5)に基づいて第2所定時間t2を算出する(ステップS24)。
加速度aが0ではない場合(ステップS23のNO)、制御部40Aは、加速度aが0より大きいか否かを判定する(ステップS25)。加速度aが0よりも大きい場合、すなわち、物品Fの搬送速度が加速されている場合(ステップS25のYES)、制御部40Aは、v2>(vmax)2−2aL2の関係を満たすか否かを判定する(ステップS26)。ステップS26において、制御部40Aは、物品Fの下流側の端部が下流側センサ38Bを超えて第2距離L2を搬送中に、予め規定された第1速度vmaxに物品Fの搬送速度が達するか否かを判定する。
上記したv2>(vmax)2−2aL2の関係を満たさない場合(ステップS26のNO)、制御部40Aは、ケース6を適用し、図11に示すように、上記において説明したケース6の数式(6)に基づいて第2所定時間t2を算出する(ステップS27)。一方、上記したv2>(vmax)2−2aL2の関係を満たす場合(ステップS26のYES)、制御部40Aは、ケース7を適用し、図11に示すように、上記において説明したケース7の数式(7)に基づいて第2所定時間t2を算出する(ステップS28)。
また、ステップS25において、加速度が0よりも小さい場合、すなわち、物品Fの搬送速度が減速されている場合(ステップS25のNO)、制御部40Aは、v2<(vmin)2−2aL2の関係を満たすか否かを判定する(ステップS29)。ステップS29において、制御部40Aは、物品Fの下流側の端部が下流側センサ38Bを超えて第2距離L2を搬送中に、予め規定された第2速度vminに物品Fの搬送速度が達するか否かを判定する。
上記したv2<(vmin)2−2aL2の関係を満たさない場合(ステップS29のNO)、制御部40Aは、ケース6を適用し、図11に示すように、上記において説明したケース6の数式(6)に基づいて第2所定時間t2を算出する(ステップS30)。一方、上記したv2<(vmin)2−2aL2の関係を満たす場合(ステップS29のYES)、制御部40Aは、ケース8を適用し、図11に示すように、上記において説明したケース8の数式(8)に基づいて第2所定時間t2を算出する(ステップS31)。
制御部40Aが上記の制御を行うことにより、図8に示すように、物品Fが下流側センサ38Bにおいて検出された時点(すなわち、下流側センサ38Bにおける第2遷移となった時点)において、物品Fの搬送速度v及び加速度aに応じた第2所定時間t2が求められる。この時点から第2所定時間t2が経過したとき、制御部40Aは、第2コンベヤユニット30Bの制御部40Bに、第2所定時間t2が経過したことに関する第2所定時間経過情報を送る。制御部40Bは、第2所定時間経過情報を受け取ると、第2コンベヤユニット30Bを始動させる。すなわち、制御部40Bは、駆動部33の駆動を開始させて、搬送ベルト35の周回移動を開始させる。
物品Fが下流側センサ38Bで検出された時点から、第2所定時間t2が経過すると、物品Fは、下流側に第2距離L2だけ移動する。この物品Fの移動により、図9に示すように、物品Fの下流側の端部は、第2コンベヤユニット30Bの上流側端部Q(搬送ベルト35)に乗ることになる。制御部40Aは、上記のように算出された第2所定時間t2が経過したときに第2所定時間経過情報を第2コンベヤユニット30Bの制御部40Bに送っている。物品Fは、第1コンベヤユニット30Aの搬送ベルト35から離れ、第2コンベヤユニット30Bの搬送ベルト35に乗るが、この搬送ベルト35は、制御部40Bにより始動されている。従って、第2コンベヤユニット30Bに乗り移った物品Fは、搬送方向Dに継続して搬送される。
このように、本実施形態に係るコンベヤシステム3Aによれば、第1コンベヤユニット30Aから第2コンベヤユニット30Bに物品Fが乗り移る際、その物品Fが第1コンベヤユニット30Aの下流側センサ38Bにより検出された時点から、第2距離L2と搬送速度vとに基づいて算出される第2所定時間t2後に第2コンベヤユニット30Bを始動させるので、物品Fが第2コンベヤユニット30Bに乗り移る最適なタイミングで第2コンベヤユニット30Bを始動させることができる。その結果、第2コンベヤユニット30Bにおける電力を無駄に消費させず、かつ、第2コンベヤユニット30B上において物品Fの下流側の端部が引っ掛かることを防止し、物品Fのスムーズな搬送を確保することにより物品Fの振動等の発生を防止できる。
なお、上記のケース5からケース8において、制御部40Aは、予め定めた第3バッファ時間を差し引いて第2所定時間t2を算出してもよい。第3バッファ時間は、例えば、制御部40Aの記憶装置等に予め記憶されている時間を用いてもよいし、記憶装置等に予め記憶されている係数Y(例えばY=0.1等)を、第2所定時間t2に掛けて算出する時間(例えば、Y×t2)を用いてもよい。第3バッファ時間を差し引くことにより、物品Fが第1コンベヤユニット30Aから第2コンベヤユニット30Bに乗り移るタイミングの誤差を第3バッファ時間により吸収するので、第2コンベヤユニット上で物品Fの下流側の端部が引っ掛かることを確実に防止できる。
(変形例)
次に、変形例について説明する。上記した実施形態では、物品Fが下流側センサ38Bにより検出された時点(第2遷移の時点)を基準とする形態を例に挙げて説明しているが、この形態に限定されない。例えば、物品Fが下流側センサ38Bにより検出された後に検出されなくなった時点(第1遷移の時点)を基準とする形態であってもよい。この変形例において、例えば、第2距離L2が、物品Fの搬送方向Dにおける寸法LFより大きいときには、第1遷移の時点を基準とすることが可能である。
この変形例において、第2所定時間t2は、物品Fの搬送方向Dにおける寸法(長さ)LFと、第2距離L2と、搬送速度vとに基づいて算出される。第1コンベヤユニット30Aの制御部40Aは、第2距離L2から寸法LFを差し引いた距離と、搬送速度vとから第2所定時間t2を算出する。この変形例において、上記のケース5からケース8の数式(5)から(8)は、「第2距離L2」を「(第2距離L2−寸法LF)」に置き換えて適用する。この変形例では、制御部40Aは、物品Fが第1コンベヤユニット30Aの下流側センサ38Bにより検出された後に検出されなくなった時点(第1遷移の時点)から、上記のように算出された第2所定時間t2経過後に、上記した第2所定時間経過情報を第2コンベヤユニット30Bの制御部40Bに送る。制御部40Bは、第2所定時間経過情報を受け取ると、第2コンベヤユニット30Bを始動させる。このような変形例であっても、上記した実施形態と同様に、物品Fが第2コンベヤユニット30Bに乗り移った最適なタイミングで第2コンベヤユニット30Bを始動させることができる。その結果、この変形例においても、第2コンベヤユニット30Bにおける電力を無駄に消費させず、かつ、第2コンベヤユニット30B上において物品Fの下流側の端部が引っ掛かることを防止し、物品Fのスムーズな搬送を確保することにより物品Fの振動等の発生を防止できる。
以上、実施形態について説明したが、本発明は、上記した形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。上記した実施形態では、コンベヤユニット30ごとに2つの上流側センサ38A及び下流側センサ38Bが設けられる形態を例に挙げて説明しているが、この形態に限定されない。例えば、コンベヤユニット30に設けられるセンサ38が1つであってもよいし、3つ以上のセンサ38が設けられてもよい。また、コンベヤユニット30ごとに異なる数のセンサ38が設けられてもよい。
また、上記した実施形態では、コンベヤユニット30ごとに制御部40がそれぞれ設けられる形態を例に挙げて説明しているが、この形態に限定されない。例えば、複数のコンベヤユニット30の動作を1つの制御部40により制御する形態であってもよいし、コンベヤシステム3全体に対して1つの制御部40により制御する形態であってもよい。
また、上記した実施形態では、コンベヤユニット30が一対の搬送ベルト35により物品Fを搬送する形態を例に挙げて説明しているが、この形態に限定されない。例えば、コンベヤユニット30のうちの一部が、複数のローラが搬送方向Dに並べられたローラコンベヤにより物品Fを搬送する形態であってもよい。この場合、複数のローラはフリーローラであってもよいし、複数のローラのうちのいずれかは駆動ローラであってもよい。