以下、実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
〔処理装置〕
本実施形態に係る電子部品の処理装置1は、所謂ダイソータであり、ダイシングなどの前工程で形成された電子部品Wを搬送しながら、外観検査、電気特性検査、マーキング等の処理を施した上でテープ、コンテナチューブ等に梱包する装置である。図1に示すように、処理装置1は、回転搬送部10と、複数の処理部20と、コントローラ100とを備える。
回転搬送部10は、電子部品Wを搬送用円軌道CR1に沿って移動させる。回転搬送部10は、ターンテーブル11と、複数の電子部品保持部12と、旋回駆動部19とを有する。
ターンテーブル11(旋回部)は、搬送用円軌道CR1の中心軸Ax1まわりに旋回可能である。ターンテーブル11の外周は、搬送用円軌道CR1よりも内側に位置している。例えば搬送用円軌道CR1は水平な円軌道であり、中心軸Ax1は鉛直である。
複数の電子部品保持部12は、中心軸Ax1まわりの所定の角度ピッチで搬送用円軌道CR1に位置するようにターンテーブル11の外周部分に設けられている。電子部品保持部12は、例えば電子部品Wを上方から保持するように構成されている。一例として、図2に示すように、電子部品保持部12は、保持部13と、ホルダ17と、スプリング18とを有する。
保持部13は、鉛直な昇降ロッド14と、中心軸Ax1から遠ざかる方向に向かって昇降ロッド14の下端部から延出したアーム15と、アーム15の端部に設けられた吸着部16とを有する。アーム15の端部はターンテーブル11の外周よりも外に位置しており、吸着部16は搬送用円軌道CR1に位置している。吸着部16は、アーム15の端部の下側に設けられており、例えば負圧により電子部品Wを吸着する。
ホルダ17は、ターンテーブル11の外周部に固定され、保持部13の昇降ロッド14を昇降可能に保持する。スプリング18は、その弾力により、保持部13の下降に抗する。スプリング18は、昇降ロッド14の上端部に下向きの外力を付与された場合には昇降ロッド14の下降に応じて弾性変形し、下向きの外力がなくなると弾性復帰して昇降ロッド14を加工前の高さに押し戻す。
図1に戻り、旋回駆動部19は、例えば電動モータを動力源とし、ギヤを介さないダイレクトドライブによって中心軸Ax1まわりにターンテーブル11を回転させる。これにより、搬送用円軌道CR1まわりに並ぶように設定された複数の処理位置PPに電子部品Wが移動する。複数の処理位置PPは、複数の電子部品保持部12と同じ角度ピッチで並ぶ複数の処理位置P1(第1グループの処理位置)と、複数の処理位置P1同士の間にそれぞれ位置する複数の処理位置P2(第2グループの処理位置)とを含む。より具体的に、複数の処理位置P2は、複数の処理位置P1により区画された複数の円弧状軌道にそれぞれ配置されている。例えば、各処理位置P2は、円弧状軌道を2等分する位置に配置されている。
複数の処理部20のそれぞれは、いずれかの処理位置PPにおいて、電子部品Wに対し予め定められた処理を実行する。ここでの「処理」は、電子部品Wの状態を変化させるあらゆる行為を含む。例えば電子部品Wにマーキング等を施すこと、電子部品Wを電子部品保持部12に保持させること、及び電子部品保持部12が解放した電子部品Wを回収することは「処理」に該当する。また、電子部品Wの保持位置を補正することも「処理」に該当する。更に、電子部品Wに対する何らかの検査を実行することも、検査データが未知の状態を検査データが既知の状態に変化させるので「処理」に該当する。
図2〜図5に示すように、処理部20は、昇降駆動部21と、処理装置22とを有する。昇降駆動部21は、処理対象の電子部品Wを昇降させる。例えば昇降駆動部21は、電子部品保持部12が処理位置PPに位置する状態にて昇降ロッド14の上に位置するように配置されている。昇降駆動部21は、例えば電動モータ又はエアシリンダ等を動力源として昇降ロッド14の上端部に下向きの力を付与する。これにより、保持部13が下降する。昇降ロッド14の上端部に下向きの力を付与した状態を昇降駆動部21が解除すると、スプリング18の弾力によって保持部13が上昇する。処理装置22は、処理位置PPに配置された電子部品Wに対し予め定められた処理を実行する。複数の処理部20は、複数の要退避処理部30と、複数の退避不可処理部40とを含む。
要退避処理部30は、電子部品Wへの処理に際し電子部品保持部12の退避が必要とされる処理部である。電子部品保持部12の退避とは、電子部品Wが配置された処理位置PPからの退避を意味する。電子部品保持部12の退避が必要とされるとは、電子部品保持部12が退避しない限り処理を実行し得ないことを意味する。複数の要退避処理部30はいずれも複数の処理位置P1のいずれかに設けられている。
退避不可処理部40は、電子部品Wへの処理に際し電子部品保持部12が必要とされる処理部である。電子部品保持部12が必要とされるとは、電子部品Wが配置された処理位置PPに電子部品保持部12が存在することが必要とされることを意味する。複数の退避不可処理部40はいずれも複数の処理位置P2のいずれかに設けられている。
複数の処理部20は、少なくとも一つの退避不要処理部50を含んでいてもよい。退避不要処理部50は、処理位置PPに電子部品保持部12が存在した状態及び処理位置PPに電子部品保持部12が存在しない状態のいずれにおいても電子部品Wに処理を実行することが可能な処理部である。退避不要処理部50は処理位置P1,P2のいずれに設けられていてもよい。
要退避処理部30の具体例としては、電気特性検査部310と、上面検査部320とが挙げられる。電気特性検査部310は、電子部品Wを上下から挟む挟持型の処理部である。
図2に示すように、電気特性検査部310は、下コンタクト311と、上コンタクト312と、昇降駆動部313とを有する。下コンタクト311は処理位置P1において下方から電子部品Wに接し、上コンタクト312は処理位置P1において上方から電子部品Wに接する。昇降駆動部313は、例えば電動モータまたはエアシリンダ等を動力源として上コンタクト312を昇降させ、下コンタクト311と上コンタクト312との間に吸着部16が進入可能な受渡状態と、上コンタクト312及び下コンタクト311が電子部品Wを挟持する検査状態(図3参照)とを切り替える。
電気特性検査部310は、上コンタクト312及び下コンタクト311が電子部品Wを挟持した状態にて、電圧の印加等により電子部品Wの電気特性を検査する。上コンタクト312及び下コンタクト311により上下から電子部品Wを挟むためには、処理位置P1からの電子部品保持部12の退避が必要である。このため、電気特性検査部310は要退避処理部30に該当する。
上面検査部320は、電子部品Wの上面の外観等の検査を行う処理部である。図4に示すように、上面検査部320は、保持部321と、カメラ322とを有する。保持部321は、処理位置P1において電子部品Wを下方から保持する。カメラ322は、保持部321が保持する電子部品Wを上方から撮像する。保持部321が保持する電子部品Wを上方から撮像するためには、処理位置P1からの電子部品保持部12の退避が必要である。
このため、上面検査部320は要退避処理部30に該当する。なお、上面検査部320は、カメラ322による撮像画像に基づいて、電子部品Wの位置の補正を更に行うように構成されていてもよい。
退避不可処理部40の具体例としては、ピックアップ部410と、位置補正部420とが挙げられる。ピックアップ部410は、ダイシングテープ又はパーツフィーダ等から電子部品Wを取り出して処理位置P2に搬送し、当該処理位置P2に位置する電子部品保持部12に保持させる。処理位置P2に電子部品保持部12が存在しないと、電子部品保持部12に電子部品Wを保持させることはできない。このため、ピックアップ部410は退避不可処理部40に該当する。
位置補正部420は、電子部品保持部12における電子部品Wの位置を調節する。例えば位置補正部420は、処理位置P2において電子部品保持部12から電子部品Wを受取り、水平方向における電子部品Wの位置を調節して電子部品保持部12に戻す。図5に示すように、位置補正部420は、保持部421と位置調節部422とを有する。保持部421は、電子部品保持部12から受け取った電子部品Wを下方から保持する。位置調節部422は、例えば電動モータ等を動力源として、水平方向における保持部421の位置を変更する。処理位置P2に電子部品保持部12が存在しないと、電子部品Wの受け渡しを実行することができない。このため、位置補正部420は退避不可処理部40に該当する。
退避不要処理部50の具体例としては、回収部510,520が挙げられる。回収部510,520は、電子部品保持部12から電子部品Wを回収して袋詰め等の処理を行う。
電子部品Wの回収処理においては、電子部品保持部12から解放された電子部品Wを再度電子部品保持部12に戻す必要はない。このため、電子部品Wが電子部品保持部12から解放された後の処理は、電子部品保持部12の有無に関わらず実行可能である。回収部510,520の少なくとも一方は、いずれかの検査結果が所定の基準を満たさない電子部品Wを単に受け入れるボックスであってもよい。なお、図1において、回収部510,520は処理位置P2に設けられているが、回収部510,520の少なくとも一方が処理位置P1に設けられていてもよい。
コントローラ100は、複数の電子部品保持部12を複数の処理位置P2から複数の処理位置P1に移動させる第1の回転駆動と、複数の電子部品保持部12を複数の処理位置P1から複数の処理位置P2に移動させる第2の回転駆動と、第2の回転駆動と逆向きで複数の電子部品保持部12を複数の処理位置P2から複数の処理位置P1に移動させる第3の回転駆動と、第1の回転駆動と同じ向きで複数の電子部品保持部12を複数の処理位置P1から複数の処理位置P2に移動させる第4の回転駆動とを旋回駆動部19に繰り返し実行させることと、第1の回転駆動により要退避処理部30に配置された電子部品保持部12に電子部品Wを解放させ、第3の回転駆動により要退避処理部30に配置された電子部品保持部12に電子部品Wを保持させることと、第2の回転駆動の後、第3の回転駆動の前に、複数の要退避処理部30及び複数の退避不可処理部40のそれぞれに処理を実行させることとを実行するように構成されている。
図6に例示するように、コントローラ100は、機能上の構成(以下、「機能ブロック」という。)として、旋回制御部111と、受渡制御部112と、処理制御部113とを有する。旋回制御部111は、上記第1の回転駆動と、上記第2の回転駆動と、上記第3の回転駆動と、上記第4の回転駆動とを、この順序で旋回駆動部19に繰り返し実行させる。以下、第1の回転駆動におけるターンテーブル11の回転方向を「正方向」といい、正方向とは逆の回転方向を「逆方向」という。
旋回制御部111は、第2の回転駆動においてターンテーブル11を正方向及び逆方向のいずれに回転させてもよい。第2の回転駆動においてターンテーブル11を正方向に回転させる場合、旋回制御部111は第3の回転駆動においてターンテーブル11を逆方向に回転させる。第2の回転駆動においてターンテーブル11を逆方向に回転させる場合、旋回制御部111は第3の回転駆動においてターンテーブル11を正方向に回転させる。
旋回制御部111は、第1の回転駆動と第2の回転駆動との間と、第2の回転駆動と第3の回転駆動との間と、第3の回転駆動と第4の回転駆動との間と、第4の回転駆動と第1の回転駆動との間と、において、第2の回転駆動と第3の回転駆動との間の時間を最長にし、第4の回転駆動と第1の回転駆動との間の時間を最短にするように旋回駆動部19を制御してもよい。
旋回制御部111は、第4の回転駆動と第1の回転駆動との間の時間をゼロにするように旋回駆動部19を制御してもよい。具体的には、旋回制御部111は、第4の回転駆動と第1の回転駆動とを、途中で停止させることなく1ステップで実行してもよい。換言すると、旋回制御部111は、第2の回転駆動及び第3の回転駆動の後に、これらの回転駆動の2倍のピッチにて正方向にターンテーブル11を回転させてもよい。
なお、第1の回転駆動と、第2の回転駆動と、第3の回転駆動と、第4の回転駆動とをこの順序で繰り返すことは、必ずしも第1の回転駆動と、第2の回転駆動と、第3の回転駆動と、第4の回転駆動のみを繰り返すことに限られない。少なくとも、1サイクルの回転駆動が、1セットの第1の回転駆動、第2の回転駆動、第3の回転駆動、及び第4の回転駆動をこの順序で含んでいればよい。例えば1サイクルの回転駆動において、第1の回転駆動と第2の回転駆動との間に他の回転駆動が含まれていてもよい。一例として、第1の回転駆動と第2の回転駆動との間に複数回の第1の回転駆動が含まれていてもよい。この場合、第1の回転駆動同士の間に正方向への第2の回転駆動が更に含まれていてもよい。
受渡制御部112は、第1の回転駆動により要退避処理部30に配置された電子部品保持部12に電子部品Wを解放させ、第3の回転駆動により要退避処理部30に配置された電子部品保持部12に電子部品Wを保持させる。例えば受渡制御部112は、第1の回転駆動により要退避処理部30に配置された電子部品保持部12に電子部品Wを解放させ、電子部品保持部12が解放した電子部品Wを要退避処理部30に保持させる。また、受渡制御部112は、第3の回転駆動により要退避処理部30に電子部品保持部12が配置された状態にて、要退避処理部30に電子部品Wを解放させ、電子部品Wが解放した電子部品Wを電子部品保持部12に保持させる。
処理制御部113は、第2の回転駆動の後、第3の回転駆動の前に、複数の要退避処理部30及び複数の退避不可処理部40のそれぞれに処理を実行させる。処理制御部113は、複数の要退避処理部30及び複数の退避不可処理部40の少なくともいずれかにおいて、処理の全工程を第2の回転駆動の後、第3の回転駆動の前に実行させてもよい。また、処理制御部113は、複数の要退避処理部30及び複数の退避不可処理部40の少なくともいずれかにおいて、処理の一部の工程を第2の回転駆動の後、第3の回転駆動の前に実行させ、当該処理の残りの一部を第2の回転駆動の期間中に実行させてもよく、当該処理の残りの一部を第3の回転駆動の期間中に実行させてもよい。すなわち処理制御部113は、複数の要退避処理部30及び複数の退避不可処理部40のそれぞれに処理の少なくとも一部を実行させればよい。一例として、上記上面検査部320が、カメラ322による電子部品Wの撮像と、カメラ322による撮像画像に基づく電子部品Wの位置補正とを実行する処理部である場合に、処理制御部113は、第2の回転駆動の後、第3の回転駆動の前にカメラ322による電子部品Wの撮像を上面検査部320に実行させ、第3の回転駆動の期間中に電子部品Wの位置補正を上面検査部320に実行させてもよい。
図7は、コントローラ100のハードウェア構成を例示するブロック図である。図5に示すように、コントローラ100は回路120を有する。回路120は、一つ又は複数のプロセッサ121と、メモリ122と、ストレージ123と、入出力ポート124とを含む。ストレージ123は、例えばハードディスク、又は不揮発性の半導体メモリ等、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体を有する。ストレージ123は、予め設定された制御手順で回転搬送部10及び複数の処理部20を制御することをコントローラ100に実行させるためのプログラムを記憶している。このプログラムは、上記第1の回転駆動と、上記第2の回転駆動と、上記第3の回転駆動と、上記第4の回転駆動とを旋回駆動部19に繰り返し実行させることと、第1の回転駆動により要退避処理部30に配置された電子部品保持部12に電子部品Wを解放させ、第3の回転駆動により要退避処理部30に配置された電子部品保持部12に電子部品Wを保持させることと、第2の回転駆動の後、第3の回転駆動の前に、複数の要退避処理部30及び複数の退避不可処理部40のそれぞれに処理を実行させることとをコントローラ100に実行させるように構成されている。
メモリ122は、ストレージ123の記憶媒体からロードしたプログラム及びプロセッサ121による演算結果を一時的に記憶する。プロセッサ121は、メモリ122と協働して上記プログラムを実行することで、コントローラ100の各機能ブロックを構成する。入出力ポート124は、プロセッサ121からの指令に従って、保持部13、旋回駆動部19、要退避処理部30及び退避不可処理部40との間で電気信号の入出力を行う。なお、回路120は、必ずしもプログラムにより各機能を構成するものに限られない。例えば回路120は、専用の論理回路又はこれを集積したASIC(Application Specific Integrated Circuit)により少なくとも一部の機能を構成してもよい。
〔処理装置の制御手順〕
続いて、電子部品の処理方法の一例として、コントローラ100が実行する制御手順を例示する。この制御手順は、回転搬送部10により電子部品Wを搬送させる搬送制御手順と、要退避処理部30により電子部品Wに処理を実行させる要退避の処理制御手順と、退避不可処理部40により電子部品Wに処理を実行させる退避不可の処理制御手順とを含む。以下、各手順を詳細に例示する。
(搬送制御手順)
この手順は、上記第1の回転駆動と、上記第2の回転駆動と、上記第3の回転駆動と、上記第4の回転駆動とを旋回駆動部19に繰り返し実行させることを含む。図8に示すように、コントローラ100は、ステップS01,S02,S03,S04,S05,S06,S07を順に実行する。
ステップS01では、旋回制御部111が、旋回駆動部19に第1の回転駆動を実行させる。例えば旋回制御部111は、複数の電子部品保持部12が複数の処理位置P2にそれぞれ位置する状態にて、旋回駆動部19により、上記角度ピッチ(電子部品保持部12の角度ピッチ)の半分の角度ピッチ(以下、「半ピッチ」という。)だけ正方向にターンテーブル11を回転させる。これにより、複数の電子部品保持部12のそれぞれが処理位置P2から処理位置P1に移動する。
ステップS02では、所定の受渡時間が経過するのを旋回制御部111が待機する。この受渡時間は、要退避処理部30に配置された電子部品保持部12が電子部品Wを解放し、電子部品保持部12が解放した電子部品Wを要退避処理部30が保持するまでの時間以上の長さに予め設定されている。旋回制御部111は、所定の受渡時間を待機するのに代えて、電子部品Wの受け渡しが行われる全ての要退避処理部30において、要退避処理部30が電子部品Wを保持するのを待機してもよい。
ステップS03では、旋回制御部111が、旋回駆動部19に第2の回転駆動を実行させる。例えば旋回制御部111は、複数の電子部品保持部12が複数の処理位置P1にそれぞれ位置する状態にて、旋回駆動部19により、上記半ピッチだけ正方向又は逆方向にターンテーブル11を回転させる。これにより、複数の電子部品保持部12のそれぞれが処理位置P1から処理位置P2に移動する。
ステップS04では、所定の処理時間が経過するのを旋回制御部111が待機する。この処理時間は、各処理部20が電子部品Wに処理を実行する時間において最長の時間以上の長さに予め設定されている。処理時間は、上記受渡時間よりも長い。旋回制御部111は、所定の処理時間を待機するのに代えて、電子部品Wに処理を実行する全ての処理部20において、電子部品Wに対する処理が完了するのを待機してもよい。
ステップS05では、旋回制御部111が、旋回駆動部19に第3の回転駆動を実行させる。例えば旋回制御部111は、複数の電子部品保持部12が複数の処理位置P2にそれぞれ位置する状態にて、旋回駆動部19により、第2の回転駆動と逆向きで上記半ピッチだけターンテーブル11を回転させる。これにより、複数の電子部品保持部12のそれぞれがステップS03の実行前の位置に戻る。
ステップS06では、所定の受渡時間が経過するのを旋回制御部111が待機する。この受渡時間は、要退避処理部30が電子部品Wを解放し、要退避処理部30に配置された電子部品保持部12が電子部品Wを保持するまでの時間以上の長さに予め設定されている。この受渡時間は、ステップS04の処理時間より短い。また、この受渡時間は、ステップS02の受渡時間と同等であってもよい。旋回制御部111は、所定の受渡時間を待機するのに代えて、電子部品Wの受け渡しが行われる全ての要退避処理部30において、電子部品保持部12が電子部品Wを保持するのを待機してもよい。
ステップS07では、旋回制御部111が、旋回駆動部19に第4の回転駆動を実行させる。例えば旋回制御部111は、複数の電子部品保持部12が複数の処理位置P1にそれぞれ位置する状態にて、旋回駆動部19により、上記半ピッチだけ正方向にターンテーブル11を回転させる。これにより、複数の電子部品保持部12のそれぞれが処理位置P1から処理位置P2に移動する。
その後、コントローラ100は処理をステップS01に戻す。以後、上述した手順にて、第1の回転駆動と、第2の回転駆動と、第3の回転駆動と、第4の回転駆動とがこの順序で繰り返される。上述した手順においては、第1の回転駆動と第2の回転駆動との間にはステップS02の受渡時間が設けられ、第2の回転駆動と第3の回転駆動との間にはステップS04の処理時間が設けられ、第3の回転駆動と第4の回転駆動との間にはステップS06の受渡時間が設けられ、第4の回転駆動と第1の回転駆動との間には待機時間は設けられていない。このため、第1の回転駆動と第2の回転駆動との間と、第2の回転駆動と第3の回転駆動との間と、第3の回転駆動と第4の回転駆動との間と、第4の回転駆動と第1の回転駆動との間と、において、第2の回転駆動と第3の回転駆動との間の時間が最長であり、第4の回転駆動と第1の回転駆動との間の時間が最短である。
(要退避の処理制御手順)
この手順は、各要退避処理部30において実行される手順であり、第1の回転駆動により要退避処理部30に配置された電子部品保持部12に電子部品Wを解放させ、第3の回転駆動により要退避処理部30に配置された電子部品保持部12に電子部品Wを保持させることと、第2の回転駆動の後、第3の回転駆動の前に、要退避処理部30に処理を実行させることとを含む。
図9に示すように、コントローラ100は、ステップS11,S12,S13,S14,S15,S16,S17,S18,S19,S21を順に実行する。ステップS11では、受渡制御部112が、旋回駆動部19による第1の回転駆動の完了を待機する。ステップS12では、受渡制御部112が、要退避処理部30に配置された保持部13を昇降駆動部21により下降させる。ステップS13では、受渡制御部112が、吸着部16により電子部品Wを解放させ、吸着部16が解放した電子部品Wを要退避処理部30により保持させる。ステップS14では、受渡制御部112が、昇降駆動部21により保持部13を上昇させる。ステップS15では、処理制御部113が、旋回駆動部19による第2の回転駆動の完了を待機する。ステップS16では、処理制御部113が、電子部品Wに対する処理を要退避処理部30に実行させる。
ステップS17では、受渡制御部112が、旋回駆動部19による第3の回転駆動の完了を待機する。ステップS18では、受渡制御部112が、要退避処理部30に配置された保持部13を昇降駆動部21により下降させる。ステップS19では、受渡制御部112が、要退避処理部30により電子部品Wを解放させ、要退避処理部30が解放した電子部品Wを吸着部16により保持させる。ステップS21では、受渡制御部112が、昇降駆動部21により保持部13を上昇させる。
その後、コントローラ100は処理をステップS11に戻す。以後、旋回駆動部19によるターンテーブル11の回転駆動に同期して、要退避処理部30による電子部品Wへの処理が繰り返される。
(退避不可の処理制御手順)
この手順は、第2の回転駆動の後、第3の回転駆動の前に、退避不可処理部40に処理を実行させることとを含む。図10に示すように、コントローラ100は、ステップS31,S32を実行する。ステップS31では、処理制御部113が、旋回駆動部19による第2の回転駆動の完了を待機する。ステップS32では、処理制御部113が、電子部品Wに対する処理を退避不可処理部40に実行させる。ここでの処理が電子部品Wの保持及び解放の少なくとも一方を含む場合、処理制御部113は、退避不可処理部40の制御に同期して、吸着部16により電子部品Wを保持又は解放させる。
その後、コントローラ100は処理をステップS31に戻す。以後、旋回駆動部19によるターンテーブル11の回転駆動に同期して、退避不可処理部40による電子部品Wへの処理が繰り返される。
(変形例)
以上に示した制御手順はあくまで一例であり、適宜変更可能である。例えば、間に待機時間を含まない複数ステップの回転駆動を1ステップにまとめることが可能である。例えば図11においては、第4の回転駆動とその直後の第1の回転駆動とが1ステップにまとめられている。具体的には、図8のステップS01がステップS07に組み込まれている。
図11の手順では、コントローラ100は、まずステップS02,S03,S04,S05,S06と同様のステップS41,S42,S43,S44,S45を実行する。コントローラ100は、次にステップS46を実行する。ステップS46は、ステップS07にステップS01を組み込んだステップである。ステップS46では、旋回制御部111が、第4の回転駆動と第1の回転駆動とを、途中で停止させることなく1ステップで実行する。換言すると、ステップS46では、旋回制御部111が、第2の回転駆動及び第3の回転駆動の後に、これらの回転駆動の2倍のピッチにて正方向にターンテーブル11を回転させる。その後、コントローラ100は処理をステップS41に戻す。
処理装置1は、同一の処理を行う複数の要退避処理部30により、複数の電子部品Wに対する処理を分担して実行するように構成されていてもよい。以下、同一の処理を行う複数の要退避処理部30を「複数の並列処理部」という。この場合、複数の並列処理部に複数の電子部品Wが配置されるまでは、電子部品保持部12から並列処理部への電子部品Wの引き渡しと、その後に電子部品保持部12の退避をさせるための第2の回転駆動と、その後の第3の回転駆動とを実行する必要がない。このため、ターンテーブル11の1回転において、ターンテーブル11の往復動作(第2の回転駆動及び第3の回転駆動による往復動作)の回数を削減することができる。
図12は、複数の並列処理部により複数の電子部品Wに対する処理を分担して実行する場合における電子部品Wの搬送制御手順を例示するフローチャートである。図12に示すように、コントローラ100は、まずステップS51,S52を順に実行する。ステップS51では、旋回制御部111が、旋回駆動部19に第1の回転駆動を実行させる。ステップS52では、旋回制御部111が、旋回駆動部19に、正方向への第2の回転駆動を実行させる。
第2の回転駆動が完了すると、退避不可処理部40において電子部品Wに対する処理が実行される。そこでコントローラ100は、次にステップS53,S54を実行する。ステップS53では、上記処理時間が経過するのを旋回制御部111が待機する。ステップS54では、旋回制御部111が、ターンテーブル11を正方向に半ピッチ移動させれば複数の並列処理部のそれぞれへの電子部品Wの配置が完了するか否かを確認する。
ステップS54において、ターンテーブル11を正方向に半ピッチ移動させても複数の並列処理部のそれぞれへの電子部品Wの配置が完了しないと判定した場合、コントローラ100は処理をステップS51に戻す。以後、複数の並列処理部のそれぞれへの電子部品Wの配置が完了する直前の状態となるまで、第1の回転駆動と、第2の回転駆動とが繰り返される。
ステップS54において、ターンテーブル11を正方向に半ピッチ移動させれば複数の並列処理部のそれぞれへの電子部品Wの配置が完了すると判定した場合、コントローラ100は、ステップS01,S02,S03,S04,S05,S06,S07と同様のステップS55,S56,S57,S58,S59,S61,S62を実行する。その後、コントローラ100は処理をステップS51に戻す。
以上の手順によれば、ターンテーブル11の1回転において、ターンテーブル11の往復動作(第2の回転駆動及び第3の回転駆動による往復動作)の回数を削減することができる。また、ステップS51,S52の間においては電子部品保持部12から並列処理部への電子部品Wの引き渡しが不要であるため、ステップS51,S52の間に待機時間を設ける必要がない。従って、回転搬送部10による電子部品Wの搬送効率が向上する。
この手順にて電子部品Wを搬送する場合、コントローラ100は、ステップS51における第1の回転駆動が完了した後には上述した退避用の処理制御手順を実行せず、ステップS55における第1の回転駆動が完了した後に退避用の処理制御手順を実行する。具体的には、上述のステップS11において、受渡制御部112が、ステップS55における第1の回転駆動の完了を待機する。これにより、複数の電子部品Wに対する同一の処理が、複数の並列処理部により同じタイミングで実行される。
なお、図12の手順においても、間に待機時間を含まない複数ステップの回転駆動を1ステップにまとめることが可能である。例えば、図13に示すように、ステップS62における第4の回転駆動と、その直後に実行されるステップS51,S52を1ステップにまとめてもよい。
図13の手順では、コントローラ100は、まずステップS53,S54と同様のステップS71,S72を実行する。ステップS72において、ターンテーブル11を正方向に半ピッチ移動させれば複数の並列処理部のそれぞれへの電子部品Wの配置が完了すると判定した場合、コントローラ100は、ステップS55,S56,S57,S58,S59,S61と同様のステップS73,S74,S75,S76,S77,S78を実行する。
コントローラ100は、次にステップS79を実行する。ステップS79は、ステップS62にステップS51,S52を組み込んだステップである。ステップS79では、旋回制御部111が、第4の回転駆動と、第1の回転駆動と、正方向への第2の回転駆動とを、途中で停止させることなく1ステップで実行する。換言すると、ステップS79では、旋回制御部111が、第2の回転駆動及び第3の回転駆動の後に、これらの回転駆動の3倍のピッチにて正方向にターンテーブル11を回転させる。
更にその後に繰り返される第1の回転駆動と第2の回転駆動とについても、その1組ずつを1ステップにまとめてもよい。例えば、図13に示すように、ステップS51及びステップS52に代えて、ステップS51にステップS52を組み込んだステップS81を実行してもよい。例えば、コントローラ100は、ステップS72において、ターンテーブル11を正方向に半ピッチ移動させても複数の並列処理部のそれぞれへの電子部品Wの配置が完了しないと判定した場合にステップS81を実行する。ステップS81では、旋回制御部111が、第1の回転駆動と、正方向への第2の回転駆動とを、途中で停止させることなく1ステップで実行する。ステップS79又はステップS81の後に、コントローラ100は処理をステップS71に戻す。
〔本実施形態の効果〕
以上に説明したように、電子部品の処理装置1は、電子部品Wの搬送用円軌道CR1の中心軸Ax1まわりに旋回可能なターンテーブル11と、所定の角度ピッチで搬送用円軌道CR1に位置するようにターンテーブル11に設けられた複数の電子部品保持部12と、複数の電子部品保持部12と同じ角度ピッチで並ぶ処理位置P1と、処理位置P1同士の間にそれぞれ位置する処理位置P2とに複数の電子部品保持部12を移動させるようにターンテーブル11を回転させる旋回駆動部19と、いずれかの処理位置PPにおいて電子部品Wに処理を行う複数の処理部20と、を備え、複数の処理部20は、電子部品Wへの処理に際し電子部品保持部12の退避が必要とされる複数の要退避処理部30と、電子部品Wへの処理に際し電子部品保持部12が必要とされる複数の退避不可処理部40とを有し、複数の要退避処理部30はいずれも処理位置P1に設けられ、複数の退避不可処理部40はいずれも処理位置P2に設けられている。
処理装置1によれば、処理位置P1の要退避処理部30に電子部品Wを配置した電子部品保持部12を、搬送用の旋回駆動部19によって処理位置P2に退避させることができる。また、電子部品保持部12が処理位置P2に退避する期間を利用して、退避不可処理部40による処理を実行することができる。従って、装置構成の簡素化と、処理効率との両立に有効である。
処理装置1は、複数の電子部品保持部12を処理位置P2から処理位置P1に移動させる第1の回転駆動と、複数の電子部品保持部12を処理位置P1から処理位置P2に移動させる第2の回転駆動と、第2の回転駆動と逆向きで複数の電子部品保持部12を処理位置P2から処理位置P1に移動させる第3の回転駆動と、第1の回転駆動と同じ向きで複数の電子部品保持部12を処理位置P1から処理位置P2に移動させる第4の回転駆動とを旋回駆動部19に繰り返し実行させる旋回制御部111と、第1の回転駆動により要退避処理部30に配置された電子部品保持部12に電子部品Wを解放させ、第3の回転駆動により要退避処理部30に配置された電子部品保持部12に電子部品Wを保持させる受渡制御部112と、第2の回転駆動の後、第3の回転駆動の前に、複数の要退避処理部30及び複数の退避不可処理部40のそれぞれに処理を実行させる処理制御部113と、を更に備えていてもよい。この場合、処理位置P1の要退避処理部30に電子部品Wを配置した電子部品保持部12が処理位置P2に退避する期間における退避不可処理部40による処理を、自動制御によって確実に遂行させることができる。従って、装置構成の簡素化と、処理効率との両立に更に有効である。
旋回制御部111は、第1の回転駆動と第2の回転駆動との間と、第2の回転駆動と第3の回転駆動との間と、第3の回転駆動と第4の回転駆動との間と、第4の回転駆動と第1の回転駆動との間と、において、第2の回転駆動と第3の回転駆動との間の時間を最長にし、第4の回転駆動と第1の回転駆動との間の時間を最短にするように旋回駆動部19を制御してもよい。この場合、不要な停止期間を最短にすることができるため、処理効率を更に向上させることができる。
旋回制御部111は、第4の回転駆動と第1の回転駆動との間の時間をゼロにするように旋回駆動部19を制御してもよい。この場合、処理効率を更に向上させることができる。
以上、実施形態について説明したが、本発明は必ずしも上述した形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。