JP2021003215A - 調製装置 - Google Patents

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Shinya Aoki
伸也 青木
賢吾 後藤
Kengo Goto
賢吾 後藤
博實 神野
Hiromi Jinno
博實 神野
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Abstract

【課題】煩雑な操作を必要とすることなく、内容物を効率的に撹拌できる調製装置を提供する。【解決手段】調製装置は、組成物を調製するための材料が収容される容器2と、前記容器内を移動自在なベース部材33と、一端が前記ベース部材に固定され、他端が前記容器に固定された渦巻き状の撹拌部材32と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、骨セメントに例示される組成物を調製する、調製装置に関する。
従来、種々の用途に組成物が使用されている。例えば医療用に使用される組成物として、生体骨に人工関節を固定する材料、骨充填材、又は人工骨材料等がある。
医療用の組成物の一つとして骨セメントがある。骨セメントは、一般的に粉末材料、液体モノマー材料及び重合開始剤の3つの材料を撹拌することで調製される。例えば、人工関節と生体骨との固定に骨セメントを使用する場合には、これらの3つの材料を撹拌した直後、完全に硬化(重合)する前の未だ軟らかい状態(軟塊状態又は生地状態という)の骨セメントが生体骨の髄腔内に埋め込まれる。続いて、人工関節のステムが生体骨に挿入される。そして、髄腔内に埋め込まれた骨セメントが完全に硬化すると、この骨セメントを介して人工関節と生体骨とが接合される。
このように完全に硬化する前に髄腔内へ埋め込むことができるよう、骨セメントは、施術(髄腔内への埋め込み)毎に必要量だけ、施術直前に調製される。
そこで、施術の現場において必要量だけ骨セメントを容易に調製できるよう、密閉された容器内において複数の材料を撹拌部材により撹拌して骨セメントを調製する小型の調製装置が種々提案されている(例えば特許文献1)。
米国特許出願公開第2016/0374741号明細書
特許文献1の調製装置では、高粘度の生地状態の骨セメントを効率的かつ均一に撹拌するためには、撹拌翼と繋がる把持部を、長手方向のみならず、水平方向に回転させる必要があり、操作が比較的煩雑となるおそれがある。
本発明は、煩雑な操作を必要とすることなく、内容物を効率的に撹拌できる調製装置を提供することを目的とする。
上記従来の課題を解決するために、本発明の調製装置は、組成物を調製するための材料が収容される容器と、前記容器内を移動自在なベース部材と、一端が前記ベース部材に固定され、他端が前記容器に固定された渦巻き状の撹拌部材と、を備える。
本発明によれば、煩雑な操作を必要とすることなく、内容物を効率的に撹拌できる。
骨セメント調製装置の縦断面図であって、撹拌部材が容器内で上下方向に伸張している状態を示す図。 分解された撹拌具及び蓋部の斜視図。 骨セメント調製装置の縦断面図であって、撹拌部材が容器内で自由状態である状態を示す図。 図3の第1の渦巻き部を4Aの方向から見た図。 図1の第1の渦巻き部を4Bの方向から見た図。 骨セメント調製装置の使用方法を説明する図。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。以下に示す実施の形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施の形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除するものではない。また、実施の形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。さらに、実施の形態の各構成は、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることができる。
以下では、組成物として骨セメントを調製する骨セメント調製装置を、本発明の調製装置の実施の形態として説明する。また、骨セメント調製装置を、後述の把持部が上側に、後述の容器が下側に配置された姿勢で使用されるものとして説明する。また、骨セメント調製装置の各構成要素も、骨セメント調製装置に組み立てられた状態を基準に、骨セメント調製装置に倣い上下を規定する。
なお、実施の形態を説明するための全図において、同一要素は原則として同一の符号を付し、その説明を省略することもある。
[1.構成]
以下、図1及び図2を参照して骨セメント調製装置1の構成について説明する。図1は、骨セメント調製装置1をその長手方向に沿って切断した縦断面図であって、撹拌部材32が容器2内で上下方向に伸張している状態を示す図である。図2は、分解された撹拌具3及び蓋部21の斜視図である。
骨セメント調製装置1は、材料(本実施形態では、粉末材料,液体モノマー材料及び重合開始剤)を撹拌して骨セメントを調製するためのものである。骨セメント調製装置1は、材料が収容される内部空間2s(以下「撹拌室2s」と称する)を有するシリンダ形状の容器2と、容器2内に挿入され、材料を撹拌する撹拌具3とを備える。
なお、本実施形態では、容器2の底部にスタンド4が装着されている。スタンド4は、骨セメント調製装置1を、作業者が撹拌操作をしやすいように直立状態に支持するものである。スタンド4は、例えば円錐台形に形成され、その上面には、容器2の底部が内側に嵌まり込む筒部4aを有している。
[1−1.容器]
図1及び図2に示すように、容器2は、容器本体20と、蓋部21とを備える。
容器本体20は、シリンダ20aと、プランジャ20bとを備える。シリンダ20aには、組成物を調製するための材料が収容される。シリンダ20aは、その中心軸が鉛直方向に沿うように配置される。シリンダ20aの上端は開放されている。すなわち、シリンダ20aはその上端に開口20cを有している。
シリンダ20aの下端も開放されているが、下端はプランジャ20bが嵌め込まれている。このプランジャ20bの筒状の外周面にはリング状のシール部材SD1がはめ込まれている。シール部材SD1は、例えば、Oリングである。シール部材SD1の外周面はシリンダ20aの内周面に密着しており、シール部材SD1の内周面は、プランジャ20bの外周面に密着している。つまり、シール部材SD1によって、撹拌室2sの下部が密封されている。
シリンダ20aの上部の外周面には、後述する管状部21a3に対向する位置に通気口H1が形成されている。この通気口H1を介して、撹拌室2s内の気体が撹拌室2s外に流出したり、撹拌室2s外の気体が撹拌室2s内に流入したりする。
また、シリンダ20aの上部の外周面には雄ねじ20dが形成されている。
プランジャ20bは、平面状の天井壁で一方の開口が覆われた略筒状形状である。プランジャ20bは、後述するように、シリンダ20aに取り付けられたセメントガンから加えられた圧力により、撹拌室2s内を開口20cに向かって移動させられ、撹拌室2sで調製された骨セメントを射出するのに使用される。
プランジャ20bは、係合部(不図示)を有している。また、スタンド4は、この係合部が係合する被係合部(不図示)を有している。スタンド4が骨セメント調製装置1を支持する際、係合部が被係合部に係合する。よって、撹拌室2s内の圧力が負圧になっても、プランジャ20bは、シリンダ20aの外部の圧力によって上方向に押し上げられない。
蓋部21は、容器本体20の開口20cを閉じる部材である。蓋部21は、本体部21aと、固定具21bと、支持蓋21cとを備える。
本体部21aは、天井壁21a1と、側壁21a2と、管状部21a3と、突出部21a4とを備える。
天井壁21a1は、容器本体20の上部を覆う部位である。側壁21a2は、天井壁21a1の外周部から垂下していて、円筒状の形状を有する。なお、天井壁21a1と、側壁21a2とは、一体化して構成されている。側壁21a2の内周面には容器本体20の雄ねじ20dにはまり込む雌ねじ21a2aが形成されている。したがって、蓋部21を容器本体20の上部にねじ込むことで、蓋部21を容器本体20に取り付けることができる。
管状部21a3は、側壁21a2から水平方向に延出している。管状部21a3の内部空間は側壁21a2を貫通している。これにより、側壁21a2には、通気口H2が形成されている。したがって、通気口H1及びH2を介して、撹拌室2s内部と容器2の外部とが通気可能になる。
なお、側壁21a2の内周面とシリンダ20aの外周面との間には、シール部材SD2が設けられている。シール部材SD2は、例えば、Oリングである。シール部材SD2の外周面と側壁21a2の内周面とが密着しており、シール部材SD2の内周面とシリンダ20aの外周面とが密着している。
突出部21a4は、略円筒状の形状を有しており、蓋部21の天井壁21a1の中央部分から天井壁21a1に対して垂直に突出している。突出部21a4には、後述する撹拌具3の軸部材31が挿通される開口21a4aが形成されている。また、天井壁21a1の下面から突出部21a4の内周側にかけて、凹み部21aaが形成されている。凹み部21aaには、固定具21b及び後述するシール部材SD3が嵌まるように形成されている。
固定具21bは、フランジを有する円筒状の部材である。固定具21bは、支持蓋21cと突出部21a4の間に、凹み部21aaに嵌め込まれて設けられている。固定具21bの中央部には、後述の撹拌具3の軸部材31が挿通する開口21baが形成されている(図2参照)。
シール部材SD3は、固定具21bの上面と凹み部21aaとの間に配置されている。シール部材SD3は、例えば、Oリングである。シール部材SD3の外周面と凹み部21aaとが密着しており、シール部材SD3の内周面と後述する撹拌具3の軸部材31の外周面とが密着している。つまり、シール部材SD3によって、突出部21a4の開口21a4aが密封されている。
支持蓋21cは、固定具21bを支持する。支持蓋21cは、天井壁21a1の下面とシリンダ20aの上面に挟まれるように設けられている。支持蓋21cは、環状の部材である(図2参照)。支持蓋21cの中央部には、後述の撹拌具3の軸部材31が挿通する開口21caが形成されている(図2参照)。
[1−2.撹拌部材]
図1及び図2に示すように、撹拌具3は、軸部材31と、撹拌部材32と、ベース部材33と、把持部34とを備える。
軸部材31は、その中心軸を鉛直方向に向けた姿勢で撹拌室2s内に挿入される。軸部材31の形状は、その軸方向に延在する中空部31aを有する中空形状である。軸部材31は、シール部材SD3の穴、開口21a4a、21ba、21ca、及び撹拌部材32の内側の空間を挿通している。
撹拌部材32は、シリンダ20a内部に収容された内容物(例えば、骨セメントの材料)を撹拌する渦巻き状の部材である。撹拌部材32は、帯状の部材が渦巻き状に巻かれて形成されている。撹拌部材32は、第1の渦巻き部32aと第2の渦巻き部32bとを備えている。第1の渦巻き部32aと第2の渦巻き部32bとは、一体形成されている。
第1の渦巻き部32aは、その外側端がベース部材33に固定されていて、その固定部分から次第に内側に向かうように軸部材31の周囲を数回取り巻いている。第1の渦巻き部32aの内側端は、軸部材31から最も近い部位であり、第1の渦巻き部32aの外側端は、軸部材31から最も離れた部位である。
第2の渦巻き部32bは、第1の渦巻き部32aの内側端から次第に外側に向かうように軸部材31の周囲を数回取り巻いている。第2の渦巻き部32bの外周端は、支持蓋21cに固定されている。第2の渦巻き部32bの内側端は、軸部材31から最も近い部位であり、第2の渦巻き部32bの外側端は、軸部材31から最も離れた部位である。
第1の渦巻き部32aは、上側から見て時計回りに内側に向かうように取り巻かれていて、第2の渦巻き部32bは、上側から見て時計回りに外側に向かうように取り巻かれている。つまり、第1の渦巻き部32aの内側端と、第2の渦巻き部32bの内側端は、折り返されずにつながっている(図2参照)。
なお、第1の渦巻き部32aと第2の渦巻き部32bとは互いに別部材であり、撹拌部材32は、第1の渦巻き部32aと第2の渦巻き部32bとが接続されることで形成されていてもよい。
また、図1に示されている撹拌部材32は、自由状態から上下方向に伸張されて弾性変形した状態にある。
ベース部材33は、挿入部33a及び平面部33bを備える。挿入部33aは、平面部33bの中央部から垂直に突出している。挿入部33aは、下側から軸部材31の中空部31aに挿入されている。軸部材31の内周面と挿入部33aの外周面とは固定されている。軸部材31の内周面及び挿入部33aの外周面は、どんな方法で固定されていてもよく、例えば、接着剤によって固定されていてもよいし、ツメなどにより軸部材31に挿入部33aが係合することによって固定されていてもよい。これにより、ベース部材33は、軸部材31に固定される。したがって、ベース部材33は、軸部材31が上下方向に移動するとともに容器2内を上下方向に移動する。つまり、ベース部材33は、軸部材31が操作されることで、容器2内を移動自在に配置されている。
平面部33bは、略円盤状の形状である(図2参照)。平面部33bは、その外周部から内周部にかけて通過溝33b1が形成されている。通過溝33b1は、平面部33bの上面から下面にかけて平面部33bを貫いている。通過溝33b1は、ベース部材33が容器2内を移動する際に容器2内の骨セメントが流通する溝である。
把持部34は、撹拌部材32及びベース部材33を操作する際に作業者が把持する部位であり、軸部材31の上端に固定されている。作業者が把持部34を把持して、軸部材31を上下に押し引きすることを繰り返すことで、ベース部材33が上下に往復移動する。
[2.使用方法]
以下、骨セメント調製装置1の使用方法について説明する。
まず、作業者は、蓋部21、及び撹拌具3が装着されていない状態において、容器本体20をスタンド4に取り付ける。このとき、スタンド4に対してプランジャ20bが係合構造によって係合する。これにより、スタンド4にプランジャ20bが固定される。
次に、作業者は、蓋部21及び撹拌具3が装着されていない状態において、組成物を調製するための材料、ここでは骨セメントの材料を容器本体20に収容する。
次に、作業者は、蓋部21が装着された撹拌具3を容器本体20の撹拌室2sに挿入し、蓋部21を螺合により容器本体20に取り付ける。なお、撹拌具3が容器本体20に挿入されたとき、ベース部材33は、図3に示されているように、支持蓋21cの近傍に位置する。図3は、骨セメント調製装置1の縦断面図であって、撹拌部材32が自由状態である状態を示す図である。このとき、内側端及びその周辺の部位を除く第1の渦巻き部32aの各部位は、互いに略同一平面状に位置している。同様に、内側端及びその周辺の部位を除く第2の渦巻き部32bの各部位は、互いに略同一平面状に位置している。
図4Aは、図3の第1の渦巻き部32aを4Aの方向から見た図である。図4Aに示されている第1の渦巻き部32aの巻き数は4回半である。図4AのX1は、自由状態の第1の渦巻き部32aの中心軸から内側端の中心点O1までの寸法を示している。なお、骨セメント調製装置1が図3に示されている状態にあるときの第2の渦巻き部32bも第1の渦巻き部32aと同様の状態にある。
次に、作業者は、管状部21a3に吸引管を介してポンプを接続する。そして、ポンプが動作することで、撹拌室2s内の気体が管状部21a3及び吸引管を介して吸引される。これにより、撹拌室2s内の圧力が負圧になる。ポンプによる吸引動作が継続されることで撹拌室2s内は負圧に維持される。よって、作業者は、撹拌室2s内部を負圧に維持したまま骨セメントを調製することができる。撹拌室2s内が負圧に維持されることで、調製される骨セメントに気泡が入り込みにくくなる。
続いて、作業者は、把持部34を把持して軸部材31を押していく。軸部材31が容器2内に押されることで、ベース部材33が容器本体20内を支持蓋21cの近傍から下方向に移動していく。これに伴って、第1の渦巻き部32aの外側端が下方向に引っ張られ、撹拌部材32は自由状態から上下方向に伸張して弾性変形した状態になる。なお、撹拌部材32が上下方向に伸張しても、撹拌部材32の長さ、つまり、撹拌部材32のベース部材33に固定された端部と支持蓋21cに固定された端部との間の長さは、略変化しない。
軸部材31がさらに押されていくと、ベース部材33がプランジャ20bの近傍に到達する。このときの骨セメント調製装置1の状態は、図1に示されている。このときの第1の渦巻き部32aの状態は、図4Bに示されている。図4Bは、図1の第1の渦巻き部32aを4Bの方向から見た図である。図4Bに示されている第1の渦巻き部32aの巻き数は5回半である。また、図4BのX2は、弾性変形した第1の渦巻き部32aの中心軸から内側端の中心点O2までの寸法を示している。なお、骨セメント調製装置1が図1に示されている状態にあるときの第2の渦巻き部32bも第1の渦巻き部32aと同様の状態にある。ここで、寸法X2は、寸法X1よりも短い。
つまり、撹拌部材32が図3に示されている自由状態から図1に示されている弾性変形した状態に移行する過程で、撹拌部材32は上下方向に伸張されながら撹拌部材32の各部位が軸部材31に近づいていく。このため、撹拌部材32は、ベース部材33が下方向に移動するとともに、撹拌部材32の内側に位置する骨セメントの材料を絞るように動作する。これにより、骨セメントの材料は、撹拌部材32によって軸部材31の延在方向に対して斜め方向にせん断されるように撹拌される。よって、撹拌部材32は、上下方向だけでなく、左右方向について骨セメントの材料を撹拌できる。
また、ベース部材33が下方向に移動していく際に、ベース部材33の下側に位置する骨セメントの材料は通過溝33b1を通過してベース部材33の上側に移動していく。このベース部材33の作用によっても、骨セメントの材料は撹拌される。
次に、軸部材31が上方向に引かれてベース部材33がプランジャ20bの近傍から上方向に移動していくと、撹拌部材32は、上下方向に伸張した状態から次第に緩められていく。ベース部材33が上方向に移動している間、撹拌部材32によって、軸部材31の延在方向に対して斜め方向にせん断するように骨セメントの材料を撹拌する。また、ベース部材33の上側に位置する骨セメントの材料が通過溝33b1を通過してベース部材33の下側に移動していく。このベース部材33の作用によっても、骨セメントの材料は撹拌される。
軸部材31が引かれてベース部材33が支持蓋21cの近傍に位置するようになると、撹拌部材32は図3に示されているように、自由状態になる。
以後、作業者は、軸部材31の押し引きを繰り返す。これにより、ベース部材33は、把持部34の動作とともに上下に往復移動する。撹拌部材32は、ベース部材33の往復移動に応じて、図3に示されている状態から図1に示されている状態への移行、及び図1に示されている状態から図3に示されている状態への移行を繰り返す。その過程で、撹拌部材32及びベース部材33の作用により、撹拌室2s内の材料が撹拌され、完全に硬化(重合)する前の軟塊(生地)状態の骨セメントが調製される。
骨セメントの調製が終わると、骨セメント調製装置1の使用方法を説明する図である図5に示されているように、作業者は、容器本体20からスタンド4を取り外す。このとき、係合構造よるスタンド4に対するプランジャ20bの係合が解除される。これにより、スタンド4に対してプランジャ20bが上方向に移動可能な状態になる。
次に、作業者は、骨セメント調製装置1が図3に示されている状態になるまで軸部材31を引く。このとき、撹拌室2s内部の圧力は負圧であるため、撹拌室2sの外部の圧力によってプランジャ20bは、組成された骨セメントSとともに上方向に押し上げられる。プランジャ20bは、撹拌室2sの内部の圧力と撹拌室2sの外部の圧力とが釣り合う位置(高さ)に達したときに移動を停止する(図5参照)。
次に、作業者は、線SL(図3の破線)の近傍で軸部材31を折る。その後、ポンプの吸引動作が停止され、管状部21a3からポンプ及び吸引管が外される。
次に、蓋部21が、撹拌部材32及びベース部材33とともに容器本体20から取り外される。なお、骨セメントSの調製が終わった後、作業者は、骨セメント調製装置1が図3に示されている状態になるまで軸部材31を引いた後、軸部材31を折らずに蓋部21を取り外してもよい。
次に、図5に示されているように、ノズル6が容器本体20の上部に取り付けられる。
次に、容器本体20にセメントガン等の治具が取り付けられる。このセメントガンの引き金が手技的に引かれることで、プランジャ20bに圧力が加えられる。この圧力により、プランジャ20bがノズル6側に押し込まれると、容器2内の骨セメントSが、ノズル6から例えば髄腔内等の患部に直接射出される。
上述したように、骨セメントの調製が終わった後、プランジャ20bが骨セメントSとともに押し上げられる。したがって、空打ちをしなくても、セメントガンの引き金を引くことですぐに骨セメントSを射出することができる。
なお、撹拌室2s内の骨セメントを射出するための治具として、セメントガンの他に、整形外科用セメント注入器、又は、整形外科用セメントディスペンサ等を使用することができる。
[3.作用効果]
本発明の一実施形態の骨セメント調製装置1によれば以下のような作用効果が得られる。
撹拌部材32は、渦巻き状の部材であり、一端が容器2を移動自在なベース部材33に固定され、他端が容器2の一部に固定されている。このため、ベース部材33が容器2内を移動するとともに、撹拌部材32の各部位が上下方向に移動するだけでなく、軸部材31の延在方向に対して垂直な方向、つまり、水平方向に移動しながら軸部材31に近づいたり、軸部材31から遠ざかったりする。よって、作業者は、軸部材31の押し引きをするだけで、上下方向及び水平方向に撹拌部材32の各部位を移動させて、容器2内の骨セメントの材料を斜め方向にせん断するように撹拌することができる。したがって、作業者による煩雑な操作を必要とすることなく、容器2内の骨セメントの材料を効率的に撹拌することができる。
撹拌部材32は、2つの渦巻き部32a、32bを備える。したがって、渦巻き部を一つのみ備える撹拌部材で撹拌するときよりも、骨セメントの撹拌に寄与する撹拌部材の体積を増やすことができる。したがって、より効果的に骨セメントの材料を撹拌することができる。また、撹拌部材32は複数の渦巻き部32a、32bを備えるため、渦巻き部の中心から渦巻き部の外側端までの寸法が短くなるように撹拌部材32を形成することができる。したがって、使用する骨セメント調製装置1のシリンダ20aの内径寸法が比較的短いとしても、撹拌部材32をシリンダ20a内に配置することができる。
撹拌部材32の2つの渦巻き部32a、32bの外側端が、それぞれベース部材33及び容器2の一部に固定されている。したがって、撹拌動作中、骨セメントの材料からの圧力による撹拌部材32の撓み及び/又はふらつきを小さくすることができる。したがって、撹拌部材32の撹拌効果を高めることができる。
平面部33bには、ベース部材33が容器2内を移動する際に容器2内の骨セメントが流通する通過溝33b1が形成されているため、ベース部材33は骨セメントの材料を撹拌することができる。
[4.変形例]
作業者による軸部材31を回転させる動作などの煩雑な操作を必要とすることなく、撹拌室2s内の骨セメントの材料を効率的に撹拌する観点からは、撹拌部材32が1つ以上の渦巻き部を備えていればよい。同様の観点から、撹拌部材32は、偶数個の渦巻き部を備える場合、最も上側の渦巻き部の内側端がベース部材33に固定され、最も下側の渦巻き部の内側端が支持蓋21cに固定されていてもよい。また、渦巻き部がある程度、軸部材31の延在方向に広がった状態が自由状態となるように撹拌部材32が形成されていてもよい。
撹拌部材32は、棒状の部材が渦巻き状に巻かれて形成されていてもよい。また、第1の渦巻き部が、帯状の部材が渦巻き状に巻かれて形成されていて、第2の渦巻き部が、棒状の部材が渦巻き状に巻かれて形成されていてもよい。
ベース部材33の平面部33bの形状は、ベース部材33が容器本体20内を移動している際に、平面部33bの一方側から他方側に及び他方側から一方側に骨セメントの材料が流通可能であればどのような形状であってもよい。例えば、平面部33bは、十字形状や、平面部33bの一方の平面から他方の平面にかけて貫通する穴が形成された円盤形状であってもよい。
本発明は、骨セメント以外の医療用の組成物、骨の欠損部への充填材、骨補填材、人工骨等のみならず、種々の用途の様々な組成物を調製する装置に適用可能である。骨セメント以外の医療用の組成物は、例えば、硬組織同士の接着、硬組織内への充填、硬組織と金属製人工物との接着及び/又は接合、硬組織と軟組織等の他の組織との接着及び/又は接合を行うためのものである。
本発明は、例えば骨セメントを調製する調製装置として好適に利用される。
1 骨セメント調製装置
2 容器
2s 撹拌室
3 撹拌具
4 スタンド
4a 筒部
6 ノズル
20 容器本体
20a シリンダ
20b プランジャ
20c 開口
20d 雄ねじ
21 蓋部
21a 本体部
21a1 天井壁
21a2 側壁
21a2a 雌ねじ
21a3 管状部
21a4 突出部
21a4a 開口
21aa 凹み部
21b 固定具
21ba 開口
21c 支持蓋
21ca 開口
31 軸部材
31a 中空部
32 撹拌部材
32a 第1の渦巻き部
32b 第2の渦巻き部
33 ベース部材
33a 挿入部
33b 平面部
33b1 通過溝
34 把持部
S 骨セメント
SD1,SD2,SD3 シール部材
H1,H2 通気口
X1,X2 寸法
O1,O2 中心点

Claims (5)

  1. 組成物を調製するための材料が収容される容器と、
    前記容器内を移動自在なベース部材と、
    一端が前記ベース部材に固定され、他端が前記容器に固定された渦巻き状の撹拌部材と、
    を備える調製装置。
  2. 前記撹拌部材は、次第に内側に向かう第1の渦巻き部と、前記第1の渦巻き部の内側端から次第に外側に向かう第2の渦巻き部とを備える請求項1に記載の調製装置。
  3. 前記一端は、前記第1の渦巻き部の外側端であり、前記他端は、前記第2の渦巻き部の外側端である請求項2に記載の調製装置。
  4. 前記ベース部材が移動する際に前記容器内の内容物が前記ベース部材の一方側から他方側に及び前記他方側から前記一方側に流通する請求項1から3のいずれか一項に記載の調製装置。
  5. 前記容器は、容器本体と、前記容器本体の開口を閉じる蓋部とを備え、
    前記他端は、前記蓋部に固定されている請求項1から4のいずれか一項に記載の調製装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114669227A (zh) * 2022-03-24 2022-06-28 奥精医疗科技股份有限公司 一种骨水泥的制备方法

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