JP2021002435A - スパークプラグ - Google Patents

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Abstract

【課題】被覆部の耐剥離性および耐火花消耗性を向上できるスパークプラグを提供すること。【解決手段】スパークプラグは、中心電極と、中心電極へ向けて突出する突出部を有し、中心電極との間に火花ギャップを形成する接地電極と、を備え、突出部は、接地電極のうち中心電極に対向する第1面から隆起する凸部と、凸部を覆い貴金属を含有する被覆部と、を備え、凸部は、第1面と同じ方向を向く端面と、端面の外縁と第1面とを接続する側面と、を備え、被覆部は、端面を被覆する端面被覆部と、側面を被覆する側面被覆部と、を備える。凸部の端面の重心を通り第1面に垂直な平面で切断した切断面において、第1面の位置における側面被覆部の厚さT2、第1面の位置における凸部の幅の半分の値Wは0.1≦T2/W≦0.4を満たす。【選択図】図1

Description

本発明は内燃機関用のスパークプラグに関するものである。
中心電極へ向かって隆起する凸部と、凸部を覆い貴金属を含有する被覆部と、を有する接地電極を備えるスパークプラグが特許文献1に開示されている。
特開2017−182995号公報
しかし、特許文献1の技術において、凸部を覆う被覆部の耐剥離性や耐火花消耗性に改善の余地がある。
本発明はこの要求に応えるためになされたものであり、被覆部の耐剥離性および耐火花消耗性を向上できるスパークプラグを提供することを目的としている。
この目的を達成するために本発明のスパークプラグは、中心電極と、中心電極へ向けて突出する突出部を有し、中心電極との間に火花ギャップを形成する接地電極と、を備え、突出部は、接地電極のうち中心電極に対向する第1面から隆起する凸部と、凸部を覆い貴金属を含有する被覆部と、を備え、凸部は、第1面と同じ方向を向く端面と、端面の外縁と第1面とを接続する側面と、を備え、被覆部は、端面を被覆する端面被覆部と、側面を被覆する側面被覆部と、を備える。凸部の端面の重心を通り第1面に垂直な平面で切断した切断面において、第1面の位置における側面被覆部の厚さをT2とし、第1面の位置における凸部の幅の半分の値をWとしたときに、0.1≦T2/W≦0.4を満たす。
請求項1記載のスパークプラグによれば、凸部の端面の重心を通り第1面に垂直な平面で切断した切断面において、第1面の位置における側面被覆部の厚さT2、及び、第1面の位置における凸部の幅の半分の値Wが0.1≦T2/W≦0.4を満たすことにより、被覆部の耐剥離性および耐火花消耗性を向上できる。
請求項2記載のスパークプラグによれば、凸部の端面の重心を通り第1面に垂直な平面で切断した切断面において、凸部の成分と被覆部の成分とが混ざった拡散層が、凸部と被覆部との間に形成される。軸線に対して垂直な方向の拡散層の厚さは、凸部の端面の位置の方が第1面の位置よりも厚い。これにより請求項1の効果に加え、被覆部のうち凸部の端面の外縁付近を覆う部分の剥離を抑制できる。
請求項3記載のスパークプラグによれば、凸部の端面の重心を通り第1面に垂直な仮想直線と交わる位置における端面被覆部の厚さT1は、0.4≦T2/T1≦0.95を満たす。これにより請求項1又は2の効果に加え、着火性および耐火花消耗性を向上できる。
一実施の形態におけるスパークプラグの片側断面図である。 図1のIIで示す部分を拡大した中心電極および接地電極の断面図である。 図2のIIIで示す部分を拡大した突出部の断面図である。 図3のIVで示す部分を拡大した突出部の断面図である。 図3のVで示す部分を拡大した突出部の断面図である。
以下、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照して説明する。図1は一実施の形態におけるスパークプラグ10の軸線Oを境にした片側断面図である。図2は図1のIIで示す部分を拡大した中心電極及び接地電極の断面図である。図1では、紙面下側をスパークプラグ10の先端側、紙面上側をスパークプラグ10の後端側という(図2から図5においても同じ)。図1に示すようにスパークプラグ10は、中心電極20と接地電極30とを備えている。中心電極20は絶縁体11に保持され、接地電極30は、絶縁体11を保持する主体金具23に接続されている。
絶縁体11は、軸線Oに沿う軸孔12が形成された略円筒状の部材であり、機械的特性や高温下の絶縁性に優れるアルミナ等のセラミックスにより形成されている。軸孔12に挿入された中心電極20は、絶縁体11から先端が突出している。
中心電極20は、絶縁体11の軸孔12に後端部が係止される棒状の部材である。中心電極20は、Niを主成分とする有底円筒状の母材が、銅を主成分とする芯材を覆っている。母材はNiを50wt%以上含む組成を有する。芯材を省略することは可能である。
図2は図1のIIで示す部分を拡大した中心電極20及び接地電極30の軸線Oを含む断面図である。図2は中心電極20及び接地電極30の全断面図である。中心電極20の先端に、貴金属を主成分とするチップ21が設けられている。チップ21は、Pt,Rh,Ir,Ru等の貴金属のうちの1種または2種以上を50wt%以上含む組成を有する。
図1に戻って説明する。中心電極20は、軸孔12内で端子金具22と電気的に接続されている。端子金具22は、高圧ケーブル(図示せず)が接続される棒状の部材であり、導電性を有する金属材料(例えば低炭素鋼等)によって形成されている。端子金具22は、先端側が軸孔12に挿入された状態で、絶縁体11の後端に固定されている。
主体金具23は、導電性を有する金属材料(例えば低炭素鋼等)によって形成された略円筒状の部材である。主体金具23は絶縁体11の先端側を取り囲み、絶縁体11を内側に保持する。主体金具23の外周面に、おねじ24が形成されている。おねじ24は、エンジン(図示せず)のねじ穴に螺合する部位である。屈曲した接地電極30が主体金具23に接続されている。
図2に示すように接地電極30は、中心電極20に対向する第1面31と、第1面31の反対の第2面32と、を備える棒状の部材である。第2面32には、第1面31に向かって落ち込んだ窪み33が形成されている。第1面31には、窪み33に対応する部位に、中心電極20に向けて突き出た突出部34が形成されている。突出部34と中心電極20との間に火花ギャップGが形成されている。
突出部34は、凸部35と、被覆部40と、を備えている。凸部35は接地電極30の第1面31から中心電極20に向けて隆起しており、接地電極30と一体に形成されている。本実施形態では凸部35は略円柱状である。凸部35は、第1面31と同じ方向を向く端面36と、端面36と第1面31とを接続する側面37と、を備えている。凸部35は被覆部40に覆われている。
被覆部40は、凸部35の端面36を覆う端面被覆部41と、凸部35の側面37を覆う側面被覆部42と、を備えている。被覆部40は、貴金属を主成分とする。被覆部40は、Pt,Rh,Ir,Ru等の貴金属のうちの1種または2種以上を50wt%以上含む組成を有する。
図3は図2のIIIで示す部分を拡大した突出部34の軸線Oを含む断面図である。図3に示すように凸部35の端面36の周縁36aは、端面36の全周に亘って丸みが付されている。凸部35の端面36は、周縁36aを除いて平面である。本実施形態では、軸線Oは、周縁36aを除く端面36の重心39を通り、第1面31に垂直である。重心39は、端面36のうち周縁36aを除く部位を平面図形としたときの、周知の手段で算出される点である。
図3において、凸部35の端面36の外縁38は、凸部35の側面37を延長した仮想直線47と周縁36aとが共有する点のことをいう。図3において、周縁36aの曲率半径Rは、R≧0.1mmであることが好ましく、0.1mm≦R≦0.45mmであることがより好ましい。一例を挙げると突出部34の直径は0.7mm程度、第1面31からの突出部34の高さは0.8mm程度である。
被覆部40は、端面被覆部41と、側面被覆部42と、端面被覆部41と側面被覆部42との間を接続する接続部43と、を備えている。図3において、接続部43は、端面36の外縁38を通り第1面31に平行な仮想直線46と仮想直線47との間に挟まれた部位である。埋設部44は側面被覆部42に連なる部位であり、接地電極30の第1面31から第2面32(図2参照)に向かって埋め込まれている。埋設部44は被覆部40と同じ成分からなる。埋設部44のうち第1面31に露出する面は、第1面31と滑らかに連なっている。
被覆部40は、凸部35の材料よりも線膨張係数が小さい材料によって作られている。凸部35は、例えばニッケル合金、銅合金、鉄合金などによって作られる。被覆部40の線膨張係数と凸部35の線膨張係数との差αは、3.3×10−6/K≦α≦4.5×10−6/Kを満たすことが好ましい。
スパークプラグ10の接地電極30は、例えば以下のような方法によって製造される。まず、接地電極30の第1面31に、薄い板状の被覆部40の素材を抵抗溶接により接合する。次に、第1面31をダイ(図示せず)に押し当て、第2面32にパンチ(図示せず)を押し当てて、接地電極30及び素材の塑性変形により突出部34を形成する。このときにパンチによって第2面32に窪み33が形成される。突出部34の形状や大きさは、ダイの形状や大きさによって適宜設定される。被覆部40の厚さは、被覆部40の素材の厚さによって適宜設定される。
図3において、第1面31の位置における凸部35の幅の半分の値W、及び、接地電極30の第1面31の位置における側面被覆部42の厚さT2は、0.1≦T2/W≦0.4を満たす。値Wは、第1面31を延長した仮想直線48が、凸部35の側面37によって切り取られた線分の長さ(凸部35の幅)の半分の値である。厚さT2は、側面被覆部42で仮想直線48が切り取られた線分の長さである。0.1≦T2/W≦0.4を満たすことにより、被覆部40の耐剥離性および突出部34の耐火花消耗性を向上できる。
図3において、凸部35の端面36の重心39を通り第1面31に垂直な軸線Oと交わる位置における端面被覆部41の厚さT1及び厚さT2は、0.4≦T2/T1≦0.95を満たす。厚さT1は、端面被覆部41で軸線Oが切り取られた線分の長さである。0.4≦T2/T1≦0.95を満たすことにより、着火性および突出部34の耐火花消耗性を向上できる。
図4は図3のIVで示す部分を拡大した突出部34の断面図である。図5は図3のVで示す部分を拡大した突出部34の断面図である。図4及び図5に示すように凸部35と被覆部40との間には拡散層45が形成されている。拡散層45によって凸部35に被覆部40が接合される。拡散層45は、凸部35の成分と被覆部40の成分とが混ざった層であり、接地電極30の第1面31に被覆部40の素材を抵抗溶接によって接合するときに生じる。凸部35と被覆部40とが溶け合ってなる溶融部も拡散層45に含まれる。
側面被覆部42を凸部35に接合する拡散層45の第1面31(図2参照)の位置における厚さT3(図4参照)は、拡散層45によって仮想直線48が切り取られた線分の長さである。換言すれば、厚さT3は、凸部35の軸線Oに対して垂直な方向の、第1面31の位置における拡散層45の厚さである。
なお、側面被覆部42の厚さT2に拡散層45の厚さT3は含まれない。また、側面被覆部42の厚さT2に、側面被覆部42と埋設部44とがなす隅の部分の厚さは含まれない。同様に、端面被覆部41の厚さT1(図3参照)、及び、凸部35の幅の半分の値Wに拡散層45の厚さは含まれない。
凸部35の端面36(図5参照)の外縁38の位置における拡散層45の厚さT4は、拡散層45によって仮想直線46が切り取られた線分の長さである。換言すれば、厚さT4は、凸部35の軸線Oに対して垂直な方向の、外縁38の位置における拡散層45の厚さである。
拡散層45の厚さT4は、拡散層45の厚さT3に比べて厚い。抵抗溶接のときに、例えば被覆部40の素材の中央の表面粗さをその周りの表面粗さに比べて大きくして、素材の中央と接地電極30との接触抵抗を増加させて発熱量を大きくすることにより、凸部35の端面36の位置の拡散層45の厚さT4を厚さT3より厚くできる。拡散層45の厚さT4を厚さT3より厚くすることにより、凸部35の端面36の外縁38付近の応力集中を拡散層45が緩和する効果を高められるので、被覆部40のうち凸部35の端面36の外縁38付近を覆う部分の剥離を抑制できる。
本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
(試験1)
第1実施形態におけるスパークプラグ10を用いて、側面被覆部42の厚さT2を凸部35の幅の半分の値Wで除した値(T2/W)が、被覆部40の耐剥離性に与える影響を調べる試験を行った。Niを主成分とするNi合金(例えばインコネル(INCONELは登録商標))で円柱状の凸部35が形成され、Ptを主成分とする貴金属合金で被覆部40が形成されたスパークプラグ10のサンプル1−6を作製した。サンプル1−6は、Wは一定にしてT2/Wの値を異ならせた。但しサンプル1−6は、側面被覆部42の厚さT2を端面被覆部41の厚さT1で除したT2/T1の値は0.6となるように一定にした。
各サンプルの突出部34の近傍をバーナーで2分間加熱した後、空気中で1分間放置して冷却することを1サイクルとして、1000サイクルの加熱冷却を繰り返す冷熱試験を行った。バーナーで加熱したときの突出部34の温度が1050℃に到達するように、予めバーナーを設定した。
冷熱試験後、各サンプルの突出部34の切断面を顕微鏡で観察して、凸部35と被覆部40との界面の全長のうち被覆部40が凸部35に接合されている界面の長さの割合(以下「接合割合」と称す)を算出した。被覆部40が剥離した界面は酸化されているので、接合が維持されている界面と剥離した界面とを判別できる。サンプル1−6のうち接合割合が50%以上のサンプルはAと評価し、接合割合が50%未満のサンプルはBと評価した。結果は表1の「剥離」の欄に記した。
Figure 2021002435
(試験2)
サンプル1−6を用いて、突出部34の耐火花消耗性にT2/Wが与える影響を調べる試験を行った。初めにCTスキャナーを用いて、サンプル1−6の突出部34の体積V1をそれぞれ測定した。
次に、排気タービン式過給機の付いた排気量2.0リットル、筒内気流10m/sのガソリンエンジンに各サンプルを取り付け、フルスロットル(回転数6000rpm)によるエンジンの1分間の作動とアイドリング状態の1分間の作動とを150時間繰り返した後、エンジンをフルスロットル(回転数6000rpm)で100時間作動させる耐久試験を行った。なお、フルスロットルでエンジンを作動したときに、スパークプラグ10の接地電極30の先端から主体金具23側に1mm離れた部位の温度が1000℃に到達するように、燃料の噴射量などの条件を予め設定した。
耐久試験後はCTスキャナーを用いて、試験後の各サンプルの突出部34の体積V2を測定し、消耗比(V1−V2)/V1を算出した。サンプル1−6のうち消耗比が0.2未満のサンプルはAと評価し、消耗比が0.2以上のサンプルはBと評価した。結果は表1の「消耗」の欄に記した。
表1の「剥離」の欄によれば、T2/Wが0.5のサンプル6は、T2/Wが0.4以下のサンプル1−5に比べ、凸部35と被覆部40との界面が長く剥離した。サンプル6は、サンプル1−5に比べて側面被覆部42が厚いので、側面被覆部42の線膨張係数と凸部35の線膨張係数との違いによって側面被覆部42と凸部35の側面37との界面に作用する力が大きくなり、側面被覆部42が凸部35の側面37から剥がれやすくなったものと推察される。これに対し、T2/Wが0.4以下のサンプル1−5は、サンプル6に比べて側面被覆部42が薄いので、側面被覆部42と凸部35の側面37との界面に作用する力が小さく、被覆部40の耐剥離性が向上したと推察される。
表1の「消耗」の欄によれば、T2/Wが0.05のサンプル1は、T2/Wが0.1以上のサンプル2−6に比べ、消耗が大きかった。サンプル1は、サンプル2−6に比べて側面被覆部42が薄いので、中心電極20と突出部34との間の火花放電によって側面被覆部42が消耗し、凸部35の側面37が露出して凸部35が消耗したものと推察される。これに対し、T2/Wが0.1以上のサンプル2−6は、サンプル1に比べて側面被覆部42が厚いので、突出部34の耐火花消耗性が向上したと推察される。従って、0.1≦T2/W≦0.4を満たすことで、被覆部40の耐剥離性、及び、突出部34の耐火花消耗性を向上できることが明らかになった。
(試験3)
第1実施形態におけるスパークプラグ10を用いて、側面被覆部42の厚さT2を端面被覆部41の厚さT1で除した値(T2/T1)が、突出部34の耐火花消耗性に与える影響を調べる試験を行った。Niを主成分とするNi合金(例えばインコネル(INCONELは登録商標))で円柱状の凸部35が形成され、Ptを主成分とする貴金属合金で被覆部40が形成されたスパークプラグ10のサンプル7−15を作製した。サンプル7−15は、W及びT1は一定にしてT2/T1の値を異ならせた。なお、サンプル7−15は0.1≦T2/W≦0.4を満たす。
サンプル7−15について、試験2と同じ耐久試験を行い、消耗比(V1−V2)/V1を算出した。サンプル7−15のうち消耗比が0.2未満のサンプルはAと評価し、消耗比が0.2以上のサンプルはBと評価した。結果は表2の「消耗」の欄に記した。
Figure 2021002435
(試験4)
サンプル7−15を用いて、着火性にT2/T1が与える影響を調べる試験を行った。排気量2.0リットル、6気筒のDOHCガソリンエンジンに各サンプルを取り付け、エンジンの回転数2000rpm、吸気圧−47kPaの条件のもと、空燃比を次第に上げていき、点火信号に対して失火が1%に達した空燃比を調べた。失火の検出は、エンジンの燃焼室の筒内圧力を測定する圧力センサによって行った。サンプル7−15のうち、失火が1%に達した空燃比が22.0以上のサンプルはAと評価し、その空燃比が22.0未満のサンプルはBと評価した。結果は表2の「着火」の欄に記した。
表2の「消耗」の欄によれば、T2/T1が0.3のサンプル7は、T2/T1が0.4以上のサンプル8−15に比べ、消耗が大きかった。サンプル7は、サンプル8−15に比べて側面被覆部42が薄いので、中心電極20と突出部34との間の火花放電によって側面被覆部42が消耗し、凸部35の側面37が露出して凸部35が消耗したものと推察される。これに対し、T2/T1が0.4以上のサンプル8−15は、サンプル7に比べて側面被覆部42が厚いので、突出部34の耐火花消耗性が向上したと推察される。
表2の「着火」の欄によれば、T2/T1が1.0のサンプル15は、T2/T1が0.95以下のサンプル8−14に比べ、希薄燃焼が困難であった。サンプル15は、サンプル8−14に比べて側面被覆部42が厚いので、突出部34が太くなり、高い空燃比のもとでは着火性が低下したものと推察される。これに対し、T2/T1が0.95以下のサンプル8−14は、サンプル15に比べて側面被覆部42が薄いので、突出部34を細くすることができ、着火性が向上したと推察される。従って、0.4≦T2/T1≦0.95を満たすことで、着火性および突出部34の耐火花消耗性を向上できることが明らかになった。
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば突出部34の直径や高さは一例であり、この数値に限定されるものではない。
実施形態では、凸部35の形状が円柱状の場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。凸部35の形状は、ダイやパンチ(いずれも図示せず)の形状によって、三角柱や四角柱などの多角柱、円錐台、多角柱台など適宜設定される。凸部35の形状に伴い、被覆部40の形状も適宜設定される。
実施形態では、凸部35の端面36が、接地電極30の第1面31と平行である場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。第1面31に対して凸部35の端面36が傾いていても良い。但し、第1面31に対して凸部35の端面36が傾いている場合も、凸部35の端面36は中心電極20に対向していることが好ましい。
実施形態では、凸部35の端面36の周縁36aに、全周に亘って丸みが付されている場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。丸みの代わりに、周縁36aに面取りを施すことは当然可能である。この丸みや面取りの大きさは適宜設定される。端面36の周縁36aの丸みや面取りを省略して、端面36の外縁38を角張らせることは当然可能である。
実施形態では、被覆部40に連なる埋設部44が、接地電極30の第1面31に埋め込まれる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。凸部35を形成するときのダイ(図示せず)の大きさと被覆部40の素材の大きさとを調整して、埋設部44を省略することは当然可能である。
実施形態では、抵抗溶接によって被覆部40の素材を接地電極30に接合して突出部34を形成する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。被覆部40の素材を接地電極30に接合する手段としては、アーク溶接や拡散接合など適宜設定される。
実施形態では、凸部35の端面36の重心39を通り第1面31に垂直な仮想直線が、スパークプラグ10の軸線Oと一致する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。スパークプラグ10の軸線Oが、凸部35の端面36の重心39を通る必要はない。
10 スパークプラグ
20 中心電極
30 接地電極
31 第1面
34 突出部
35 凸部
36 端面
37 側面
38 端面の外縁
39 端面の重心
40 被覆部
41 端面被覆部
42 側面被覆部
45 拡散層
G 火花ギャップ
O 軸線(仮想直線)
T1 端面被覆部の厚さ
T2 側面被覆部の厚さ
T3 拡散層の厚さ
T4 拡散層の厚さ
W 凸部の幅の半分の値

Claims (3)

  1. 中心電極と、
    前記中心電極へ向けて突出する突出部を有し、前記中心電極との間に火花ギャップを形成する接地電極と、を備え、
    前記突出部は、前記接地電極のうち前記中心電極に対向する第1面から隆起する凸部と、前記凸部を覆い貴金属を含有する被覆部と、を備え、
    前記凸部は、前記第1面と同じ方向を向く端面と、前記端面の外縁と前記第1面とを接続する側面と、を備え、
    前記被覆部は、前記端面を被覆する端面被覆部と、前記側面を被覆する側面被覆部と、を備えるスパークプラグであって、
    前記凸部の前記端面の重心を通り前記第1面に垂直な平面で切断した切断面において、
    前記第1面の位置における前記側面被覆部の厚さをT2とし、前記第1面の位置における前記凸部の幅の半分の値をWとしたときに、0.1≦T2/W≦0.4を満たすスパークプラグ。
  2. 前記凸部と前記被覆部との間に、前記凸部の成分と前記被覆部の成分とが混ざった拡散層が形成され、
    前記切断面において、
    前記凸部の幅方向における前記拡散層のうち軸線に対して垂直な方向の厚さは、前記端面の位置の方が前記第1面の位置よりも厚い請求項1記載のスパークプラグ。
  3. 前記切断面において、
    前記凸部の前記端面の重心を通り前記第1面に垂直な仮想直線と交わる位置における前記端面被覆部の厚さをT1としたときに、0.4≦T2/T1≦0.95を満たす請求項1又は2に記載のスパークプラグ。
JP2019114212A 2019-06-20 2019-06-20 スパークプラグ Active JP7109146B2 (ja)

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JPH08339880A (ja) * 1995-06-12 1996-12-24 Nippondenso Co Ltd 内燃機関用スパークプラグ
JP2008027870A (ja) * 2006-07-25 2008-02-07 Tanaka Kikinzoku Kogyo Kk スパークプラグ用の貴金属合金チップ及びその製造方法
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