JP2021002021A - 重合性液晶組成物、硬化物、光学フィルム、偏光板および画像表示装置 - Google Patents

重合性液晶組成物、硬化物、光学フィルム、偏光板および画像表示装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2021002021A
JP2021002021A JP2019130378A JP2019130378A JP2021002021A JP 2021002021 A JP2021002021 A JP 2021002021A JP 2019130378 A JP2019130378 A JP 2019130378A JP 2019130378 A JP2019130378 A JP 2019130378A JP 2021002021 A JP2021002021 A JP 2021002021A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
liquid crystal
carbon atoms
polymerizable
compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2019130378A
Other languages
English (en)
Inventor
寛 稲田
Hiroshi Inada
寛 稲田
祐貴 中村
Yuki Nakamura
祐貴 中村
達也 岩▲崎▼
Tatsuya Iwasaki
達也 岩▲崎▼
義高 前田
Yoshitaka Maeda
義高 前田
峻也 加藤
Shunya Kato
峻也 加藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Publication of JP2021002021A publication Critical patent/JP2021002021A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polarising Elements (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

【課題】本発明は、コントラストおよび耐久性のいずれにも優れた画像表示装置を作製することができる、重合性液晶組成物、硬化物、光学フィルム、偏光板および画像表示装置を提供することを課題とする。【解決手段】逆波長分散性を有する液晶化合物と、重合性基を4個以上有する重合性化合物とを含有し、分子動力学計算により算出した、液晶化合物1分子と重合性化合物1分子との体積比が、0.4〜1.2であり、重合性化合物の含有量が、液晶化合物100質量部に対して1〜50質量部である、重合性液晶組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、重合性液晶組成物、硬化物、光学フィルム、偏光板および画像表示装置に関する。
光学補償シートおよび位相差フィルムなどの光学フィルムは、画像着色解消または視野角拡大のために、様々な画像表示装置で用いられている。
光学フィルムとしては延伸複屈折フィルムが使用されていたが、近年、延伸複屈折フィルムに代えて、液晶化合物からなる光学異方性層を有する光学フィルムを使用することが提案されている。
このような光学異方性層として、例えば、特許文献1には、スメクチック相を示す重合性棒状液晶化合物を1種類以上含む重合性組成物を用いた光学異方性層が記載されている([請求項1])。
また、特許文献2には、「重合性基を有する液晶性化合物と重合開始剤とを含有する重合性液晶組成物を重合して得られる層」が記載されており([請求項1])、また、画像表示装置のコントラストが向上する理由から、重合性液晶組成物をスメクチック相に配向した後に重合(配向を固定化)して得られる層が好適態様として記載されている([0045])。
特開2015−200861号公報 国際公開第2017/150613号
本発明者らは、特許文献1および2に記載された光学異方性層について検討したところ、これを有する画像表示装置のコントラストは良好であるが、更に耐久性(特に、湿熱耐久性)を向上させる観点から多官能重合性化合物を用いて形成した光学異方性層について検討したところ、これを有する画像表示装置のコントラストが低下してしまうことを明らかとした。
そこで、本発明は、コントラストおよび耐久性のいずれにも優れた画像表示装置を作製することができる、重合性液晶組成物、硬化物、光学フィルム、偏光板および画像表示装置を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、逆波長分散性を有する液晶化合物とともに、分子動力学(molecular dynamics:MD)計算により算出される体積比が所定の範囲となる重合性化合物、または、長軸方向の原子数が20〜84となる重合性化合物を含有する重合性液晶組成物を用いることにより、作製される画像表示装置のコントラストおよび耐久性がいずれにも良好となることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、以下の構成により上記課題を達成することができることを見出した。
[1] 逆波長分散性を有する液晶化合物と、重合性基を4個以上有する重合性化合物とを含有し、
分子動力学計算により算出した、液晶化合物1分子と重合性化合物1分子との体積比が、0.4〜1.2であり、
重合性化合物の含有量が、液晶化合物100質量部に対して1〜50質量部である、重合性液晶組成物。
[2] 分子動力学計算により算出した、液晶化合物1分子と重合性化合物1分子との体積比が、0.7〜1.2である、[1]に記載の重合性液晶組成物。
[3] 逆波長分散性を有する液晶化合物と、重合性基を4個以上有する重合性化合物とを含有し、
重合性化合物の長軸方向の原子数が20〜84であり、
重合性化合物の含有量が、液晶化合物100質量部に対して1〜50質量部である、重合性液晶組成物。
[4] 液晶化合物の長軸方向の原子数が20〜84である、[3]に記載の重合性液晶組成物。
[5] 液晶化合物の長軸方向の原子数と、重合性化合物の長軸方向の原子数との比が、0.4〜1.5である、[3]または[4]に記載の重合性液晶組成物。
[6] 重合性化合物が、環構造を2個以上有する化合物である、[1]〜[5]のいずれかに記載の重合性液晶組成物。
[7] 液晶化合物が、後述する式(I)で表される化合物である、[1]〜[6]のいずれかに記載の重合性液晶組成物。
[8] 液晶化合物が、スメクチック相の液晶状態を示す化合物である、[1]〜[7]のいずれかに記載の重合性液晶組成物。
[9] 重合性化合物が、後述する式(II)で表される化合物である、[1]〜[8]のいずれかに記載の重合性液晶組成物。
[10] 重合性化合物が有する重合性基が、後述する式(P−1)〜(P−9)のいずれかで表される重合性基である、[1]〜[9]のいずれかに記載の重合性液晶組成物。
[11] [1]〜[10]のいずれかに記載の重合性液晶組成物を硬化してなる、硬化物。
[12] [11]に記載の硬化物を有する、光学フィルム。
[13] [12]に記載の光学フィルムと、偏光子とを有する、偏光板。
[14] [12]に記載の光学フィルム、または、[13]に記載の偏光板を有する、画像表示装置。
本発明によれば、コントラストおよび耐久性のいずれにも優れた画像表示装置を作製することができる、重合性液晶組成物、硬化物、光学フィルム、偏光板および画像表示装置を提供することができる。
図1Aは、本発明の光学フィルムの一例を示す模式的な断面図である。 図1Bは、本発明の光学フィルムの一例を示す模式的な断面図である。 図1Cは、本発明の光学フィルムの一例を示す模式的な断面図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において、各成分は、各成分に該当する物質を1種単独でも用いても、2種以上を併用してもよい。ここで、各成分について2種以上の物質を併用する場合、その成分についての含有量とは、特段の断りが無い限り、併用した物質の合計の含有量を指す。
[重合性液晶組成物]
本発明の第1の態様に係る重合性液晶組成物は、逆波長分散性を有する液晶化合物(以下、「逆分散液晶化合物」とも略す。)と、重合性基を4個以上有する重合性化合物(以下、「多官能重合性化合物」とも略す。)とを含有する組成物である。
また、本発明の第1の態様に係る重合性液晶組成物は、MD計算により算出した、逆分散液晶化合物1分子と多官能重合性化合物1分子との体積比(多官能重合性化合物の体積/逆分散液晶化合物の体積)が、0.4〜1.2となる組成物である。
更に、本発明の第1の態様に係る重合性液晶組成物は、多官能重合性化合物の含有量が、逆分散液晶化合物100質量部に対して1〜50質量部となる組成物である。
ここで、MD計算による算出結果は、以下のプログラムを用い、以下の条件で算出した結果を採用する。
<プログラム>
分子動力学(MD)計算プログラムは、フリーソフトGROMCS(version4.5.5)を使用する。
力場は、J.Wang,R.M.Wolf,J.W.Caldwell,P.A.Kollman,D.A.Case,J.Comput.Chem.25,1157(2004).の記載に従い、汎用力場general Amber force field(GAFF)を使用する。
MDで用いる電荷は、Gaussian 16,Revision B.01,を用いた量子化学計算HF/6−31G*法の結果から算出したRESP電荷を使用する。
初期の各分子の配向ベクトルを得るための液晶粗視化MD計算のGay−Berneモデルの計算は、OCTA8を使用する。
<条件>
(1)初期構造の用意
以下の手順に従い、5個の初期構造を用意する。
(ア)Gay−Berneモデルで液晶分子の初期の各分子の配向ベクトルを得る。Gay−Berneモデルでは分子が単なるベクトル(矢印)になる。256個のGay−Berneモデルの分子で計算を行い、配向度0.9の構造を得る。この256個の中からランダムに分子を間引き、165個だけ残した構造を得る。
(イ)逆分散液晶化合物および多官能重合性化合物について、Gaussian16でHF/6−31G*法で構造最適化し、真空中で孤立した一分子の構造を得る。なお、MD計算で用いるRESP電荷も、この最適化構造に対して計算する。
(ウ)上記手順(ア)で得られた構造と、上記手順(イ)で得られた一分子の構造から、下記手順(エ)でMD計算を行うための初期構造を作成する。なお、MD計算を行う構造は、逆分散液晶化合物75個、多官能重合性化合物25個の合計100個の分子を1辺が13.6nmの立方体のセルに入れたものである。
(エ)逆分散液晶化合物と多官能重合性化合物のそれぞれの分子の重心位置と主軸ベクトルの方向と、上記手順(ア)で得られた構造中、165個からランダムに選んだベクトルの方向とを一致させる。この操作を逆分散液晶化合物に対して75回、多官能重合性化合物に対して25回繰り返して初期構造を得た。この作成方法を5回繰り返すことにより、5個の初期構造を用意する。この計算で得られる初期構造の計算セルの各辺の長さは13.6nmである。境界条件は周期境界条件である。
(2)構造データの取得
以下の手順に従い、構造データを取得する。
(ア)各初期構造に対してMD計算で構造緩和計算を行い、液晶の混合構造を得る。最初に体積を一定に保ってSteepest descent methodでエネルギー緩和を行う。それに引き続いて、セル変形とNPTアンサンブル(定温定圧アンサンブル)とNVTアンサンブル(カノニカルアンサンブル)での計算を下記表1に示した計算条件を順次用いた連続計算で行う。ここで、NPTおよびNVTのための圧力制御法と温度制御法は、Parrinello−Rahman法とNose−Hoover法である。なお、用いた計算パラメータは下記表2に示す通りである。
(イ)構造緩和後の初期構造に対して、温度400Kおよび1気圧の定温定圧計算を2ナノ秒行い、得られた計算結果から2ピコ秒周期で構造を取り出すことにより、スナップショットファイルで1000個の構造データを得る。
(ウ)上記(ア)および(イ)と同様の操作を5個の初期構造に対して行い、5000個の構造データを得る。
(3)体積比の計算
5000個の構造データに含まれる各分子中の原子の座標データから、以下の手順に従い、体積比を計算する。
(ア)1個の構造データに含まれている液晶化合物の75個の分子から1つの分子を選択する。選択した分子中の各原子の座標データを主成分分析して固有値を求めて、上記固有値のうち値が大きなものから順に、第1固有値、第2固有値および第3固有値とした時に、上記第1固有値の平方根の絶対値λ1と上記第2固有値の平方根の絶対値λ2と上記第3固有値の平方根の絶対値λ3との積を体積Vと定義する。
(イ)上記手順(ア)で定義される体積Vを1個の構造データに含まれている液晶化合物の75個の分子に対して算出する。
(ウ)上記手順(イ)と同様の操作を5000個の構造データに対して行い、算出された全ての体積Vの平均値を上記液晶化合物の体積とする。
(エ)上記手順(ア)〜(ウ)と同様の操作を上記重合性化合物に対しても行い、上記重合性化合物の体積を算出する。
(オ)上記液晶化合物の体積に対する上記重合性化合物の体積の比率を体積比として計算する。
上記手順(ア)においては、上述した通り、選択した分子中の各原子の座標データを主成分分析して固有値を求める。より具体的には、座標データから得られる後述する分散共分散行列で主成分分析を行い、主成分軸およびその固有値を求める。つまり、座標データから得られる後述する分散共分散行列の固有値を求める。
ここで、主成分分析とは、N個の各データがn次元空間の中のn成分ベクトルである時に、n次元空間中でデータの広がり度合いが大きい方向を順次得る方法である。本発明のように分子を対象とする場合は、xyzの3次元空間なので、nは3となり、Nは分子に含まれる原子の数となる。
主成分分析の具体的な手順としては、座標データに基づいて、以下の式で表される分散共分散行列σを得て、得られた分散共分散行列σを対角化して、3つの固有値および3つの固有ベクトルを得る。3つの固有値のうち最も大きなものを第1固有値、次に大きいものを第2固有値、最も小さいものを第3固有値とし、第1固有値に対応するベクトルを第1固有ベクトル、第2固有値に対応するベクトルを第2固有ベクトル、第3固有値に対応するベクトルを第3固有ベクトルとする。
ここで、式中、Nは構造部位に含まれる原子数を表し、iは各原子を指定するインデックスで1からNの値を持ち、x、y、zは重心を原点とした各原子の座標を表す。
本発明の第2の態様に係る重合性液晶組成物は、第1の態様と同様、逆分散液晶化合物と、多官能重合性化合物とを含有する組成物である。
また、本発明の第2の態様に係る重合性液晶組成物は、多官能重合性化合物の長軸方向の原子数が20〜84となる組成物である。
更に、本発明の第2の態様に係る重合性液晶組成物は、第1の態様と同様、多官能重合性化合物の含有量が、逆分散液晶化合物100質量部に対して1〜50質量部となる組成物である。
ここで、本発明の第2の態様において「長軸方向の原子数」とは、分子の最も長い方向の原子数をいい、例えば、以下に示す多官能重合性化合物の場合、長軸方向の原子数は48である。
本発明においては、上述した通り、逆分散液晶化合物とともに、MD計算により算出される体積比が0.4〜1.2となる多官能重合性化合物、または、長軸方向の原子数が20〜84となる多官能重合性化合物を含有する重合性液晶組成物を用いることにより、作製される画像表示装置のコントラストおよび耐久性のいずれにも良好となる。
これは、詳細には明らかではないが、本発明者らは以下のように推測している。
すなわち、上述した2つの態様で規定する多官能重合性化合物が、逆分散液晶化合物の構造と同程度の大きさであることにより、配向する逆分散液晶化合物の隙間に収まりやすくなり、その結果、逆分散液晶化合物の配向を乱さずに、逆分散液晶化合物同士の架橋に寄与し、耐久性が向上したためと考えられる。
以下、本発明の第1の態様に係る重合性液晶組成物および本発明の第2の態様に係る重合性液晶組成物(以下、特に区別を要しない場合はこれらをまとめて単に「本発明の重合性液晶組成物」とも略す。)の各成分について詳細に説明する。
〔逆分散液晶化合物〕
本発明の重合性液晶組成物が含有する逆分散液晶化合物は、逆波長分散性を示す液晶化合物である。
ここで、本明細書において「逆波長分散性を示す液晶化合物」とは、これを用いて作製された位相差フィルムの特定波長(可視光範囲)における面内のレターデーション(Re)値を測定した際に、測定波長が大きくなるにつれてRe値が同等または高くなるものをいう。
逆波長分散性を示す液晶化合物の種類は特に制限されないが、その形状から、棒状タイプ(棒状液晶化合物)と円盤状タイプ(円盤状液晶化合物)に分類できる。さらにそれぞれ低分子タイプと高分子タイプがある。高分子とは一般に重合度が100以上のものを指す(高分子物理・相転移ダイナミクス,土井 正男 著,2頁,岩波書店,1992)。
本発明では、いずれの液晶化合物を用いることもできる。2種以上の棒状液晶化合物、2種以上の円盤状液晶化合物、または、棒状液晶化合物と円盤状液晶化合物との混合物を用いてもよい。
本発明においては、逆分散液晶化合物の逆波長分散性がより向上し、また、作製される画像表示装置の耐久性がより良好となる理由から、逆分散液晶化合物が、下記式(I)で表される化合物であることが好ましい。
−SP−D−(Aa1−D−(Gg1−D−Ar−D−(Gg2−D−(Aa2−D−SP−L ・・・(I)
上記式(I)中、a1、a2、g1およびg2は、それぞれ独立に、0または1を表す。ただし、a1およびg1の少なくとも一方は1を表し、a2およびg2の少なくとも一方は1を表す。
また、上記式(I)中、D、D、D、D、DおよびDは、それぞれ独立に、単結合、または、−CO−、−O−、−S−、−C(=S)−、−CR−、−CR=CR−、−NR−、もしくは、これらの2つ以上の組み合わせからなる2価の連結基を表し、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、または、炭素数1〜12のアルキル基を表す。
また、上記式(I)中、GおよびGは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数6〜20の芳香環、または、置換基を有していてもよい炭素数5〜20の2価の脂環式炭化水素基を表し、脂環式炭化水素基を構成する−CH−の1個以上が−O−、−S−または−NH−で置換されていてもよい。
また、上記式(I)中、AおよびAは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数6〜20の芳香環、または、置換基を有していてもよい炭素数5〜20の2価の脂環式炭化水素基を表し、脂環式炭化水素基を構成する−CH−の1個以上が−O−、−S−または−NH−で置換されていてもよい。
また、上記式(I)中、SPおよびSPは、それぞれ独立に、単結合、炭素数1〜12の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基、または、炭素数1〜12の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基を構成する−CH−の1個以上が−O−、−S−、−NH−、−N(Q)−、もしくは、−CO−に置換された2価の連結基を表し、Qは、置換基を表す。
また、上記式(I)中、LおよびLは、それぞれ独立に1価の有機基を表し、LおよびLの少なくとも一方は重合性基を表す。ただし、Arが、下記式(Ar−3)で表される芳香環である場合は、LおよびLならびに下記式(Ar−3)中のLおよびLの少なくとも1つが重合性基を表す。
上記式(I)中、a1、a2、g1およびg2は、いずれも1であることが好ましい。
上記式(I)中、D、D、D、D、DおよびDの一態様が示す2価の連結基としては、例えば、−CO−、−O−、−CO−O−、−C(=S)O−、−CR−、−CR−CR−、−O−CR−、−CR−O−CR−、−CO−O−CR−、−O−CO−CR−、−CR−O−CO−CR−、−CR−CO−O−CR−、−NR−CR−、および、−CO−NR−などが挙げられる。R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、または、炭素数1〜12のアルキル基を表す。
これらのうち、−CO−、−O−、および、−CO−O−のいずれかであることが好ましい。
上記式(I)中、GおよびGの一態様が示す炭素数6〜20の芳香環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナンスロリン環などの芳香族炭化水素環;フラン環、ピロール環、チオフェン環、ピリジン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環などの芳香族複素環;が挙げられる。なかでも、ベンゼン環(例えば、1,4−フェニル基など)が好ましい。
上記式(I)中、GおよびGの一態様が示す炭素数5〜20の2価の脂環式炭化水素基としては、5員環又は6員環であることが好ましい。また、脂環式炭化水素基は、飽和でも不飽和でもよいが飽和脂環式炭化水素基が好ましい。GおよびGで表される2価の脂環式炭化水素基としては、例えば、特開2012−21068号公報の[0078]段落の記載を参酌でき、この内容は本願明細書に組み込まれる。
また、上記式(I)中、GおよびGについて、炭素数6〜20の芳香環または炭素数5〜20の2価の脂環式炭化水素基が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子などが挙げられる。
アルキル基としては、例えば、炭素数1〜18の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基等)がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基であることが更に好ましく、メチル基またはエチル基であるのが特に好ましい。
アルコキシ基としては、例えば、炭素数1〜18のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜8のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−ブトキシ基、メトキシエトキシ基等)がより好ましく、炭素数1〜4のアルコキシ基であることが更に好ましく、メトキシ基またはエトキシ基であるのが特に好ましい。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、中でも、フッ素原子、塩素原子であるのが好ましい。
上記式(I)中、AおよびAの一態様が示す炭素数6〜20以上の芳香環としては、上記式(I)中のGおよびGにおいて説明したものと同様のものが挙げられる。
また、上記式(I)中、AおよびAの一態様が示す炭素数5〜20の2価の脂環式炭化水素基としては、上記式(I)中のGおよびGにおいて説明したものと同様のものが挙げられる。
なお、AおよびAについて、炭素数6〜20の芳香環または炭素数5〜20の2価の脂環式炭化水素基が有していてもよい置換基としては、上記式(I)中のGおよびGが有していてもよい置換基と同様のものが挙げられる。
上記式(I)中、SPおよびSPの一態様が示す炭素数1〜12の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、メチルヘキシレン基、へプチレン基などが好適に挙げられる。なお、SPおよびSPは、上述した通り、炭素数1〜12の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基を構成する−CH−の1個以上が−O−、−S−、−NH−、−N(Q)−、もしくは、−CO−に置換された2価の連結基であってもよく、Qで表される置換基としては、上記式(I)中のGおよびGが有していてもよい置換基と同様のものが挙げられる。
上記式(I)中、LおよびLが示す1価の有機基としては、例えば、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基などを挙げることができる。アルキル基は、直鎖状、分岐状または環状であってもよいが、直鎖状が好ましい。アルキル基の炭素数は、1〜30が好ましく、1〜20がより好ましく、1〜10が更に好ましい。また、アリール基は、単環であっても多環であってもよいが単環が好ましい。アリール基の炭素数は、6〜25が好ましく、6〜10がより好ましい。また、ヘテロアリール基は、単環であっても多環であってもよい。ヘテロアリール基を構成するヘテロ原子の数は1〜3が好ましい。ヘテロアリール基を構成するヘテロ原子は、窒素原子、硫黄原子、酸素原子が好ましい。ヘテロアリール基の炭素数は6〜18が好ましく、6〜12がより好ましい。また、アルキル基、アリール基およびヘテロアリール基は、無置換であってもよく、置換基を有していてもよい。置換基としては、上記式(I)中のGおよびGが有していてもよい置換基と同様のものが挙げられる。
上記式(I)中、LおよびLの少なくとも一方が示す重合性基は、特に限定されないが、ラジカル重合またはカチオン重合可能な重合性基が好ましい。
ラジカル重合性基としては、一般に知られているラジカル重合性基を用いることができ、好適なものとして、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基を挙げることができる。この場合、重合速度はアクリロイルオキシ基が一般的に速いことが知られており、生産性向上の観点からアクリロイルオキシ基が好ましいが、メタクリロイルオキシ基も重合性基として同様に使用することができる。
カチオン重合性基としては、一般に知られているカチオン重合性を用いることができ、具体的には、脂環式エーテル基、環状アセタール基、環状ラクトン基、環状チオエーテル基、スピロオルソエステル基、および、ビニルオキシ基などを挙げることができる。中でも、脂環式エーテル基、または、ビニルオキシ基が好適であり、エポキシ基、オキセタニル基、または、ビニルオキシ基が特に好ましい。
特に好ましい重合性基の例としては、下記式(P−1)〜(P−9)のいずれかで表される重合性基が挙げられる。
上記式(I)中、耐久性がより良好となる理由から、上記式(I)中のLおよびLが、いずれも重合性基であることが好ましく、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基であることがより好ましい。
一方、上記式(I)中、Arは、下記式(Ar−1)〜(Ar−5)で表される基からなる群から選択されるいずれかの芳香環を表す。なお、下記式(Ar−1)〜(Ar−5)中、*は、上記式(I)中のDまたはDとの結合位置を表す。
上記式(Ar−1)中、Qは、NまたはCHを表し、Qは、−S−、−O−、または、−N(R)−を表し、Rは、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表し、Yは、置換基を有してもよい炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、置換基を有してもよい炭素数3〜12の芳香族複素環基、または、置換基を有してもよい炭素数6〜20の脂環式炭化水素基を表し、脂環式炭化水素基を構成する−CH−の1個以上が−O−、−S−または−NH−で置換されていてもよい。
が示す炭素数1〜6のアルキル基としては、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、および、n−ヘキシル基などが挙げられる。
が示す炭素数6〜12の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、2,6−ジエチルフェニル基、ナフチル基などのアリール基が挙げられる。
が示す炭素数3〜12の芳香族複素環基としては、例えば、チエニル基、チアゾリル基、フリル基、ピリジル基などのヘテロアリール基が挙げられる。
が示す炭素数6〜20の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロヘキシレン基、シクロペンチレン基、ノルボルニレン基、アダマンチレン基などが挙げられる。
また、Yが有していてもよい置換基としては、上記式(I)中のGおよびGが有していてもよい置換基と同様のものが挙げられる。
また、上記式(Ar−1)〜(Ar−5)中、Z、ZおよびZは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20の1価の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基、炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基、炭素数6〜20の1価の芳香族複素環基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、−OR、−NR、−SR10、−COOR11、または、−COR12を表し、R〜R12は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表し、ZおよびZは、互いに結合して芳香環を形成してもよい。
炭素数1〜20の1価の脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜15のアルキル基が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基がより好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ペンチル基(1,1−ジメチルプロピル基)、tert−ブチル基、1,1−ジメチル−3,3−ジメチル−ブチル基が更に好ましく、メチル基、エチル基、tert−ブチル基が特に好ましい。
炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基、メチルシクロヘキシル基、エチルシクロヘキシル基等の単環式飽和炭化水素基;シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、シクロオクテニル基、シクロデセニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキサジエニル基、シクロオクタジエニル基、シクロデカジエン等の単環式不飽和炭化水素基;ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、ビシクロ[2.2.2]オクチル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デシル基、トリシクロ[3.3.1.13,7]デシル基、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデシル基、アダマンチル基等の多環式飽和炭化水素基;等が挙げられる。
炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基としては、具体的には、例えば、フェニル基、2,6−ジエチルフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基などが挙げられ、炭素数6〜12のアリール基(特にフェニル基)が好ましい。
炭素数6〜20の1価の芳香族複素環基としては、具体的には、例えば、4−ピリジル基、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基などが挙げられる。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、中でも、フッ素原子、塩素原子、臭素原子であるのが好ましい。
一方、R〜R10が示す炭素数1〜6のアルキル基としては、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、および、n−ヘキシル基などが挙げられる。
およびZは、上述した通り、互いに結合して芳香環を形成してもよく、例えば、上記式(Ar−1)中のZおよびZが互いに結合して芳香環を形成した場合の構造としては、例えば、下記式(Ar−1−1)で表される基が挙げられる。なお、下記式(Ar−1a)中、*は、上記式(I)中のDまたはDとの結合位置を表す。
ここで、上記式(Ar−1a)中、Q、QおよびYは、上記式(Ar−1)において説明したものと同様のものが挙げられる。
また、上記式(Ar−2)および(Ar−3)中、AおよびAは、それぞれ独立に、−O−、−N(R13)−、−S−、および、−CO−からなる群から選択される基を表し、R13は、水素原子または置換基を表す。
13が示す置換基としては、上記式(I)中のGおよびGが有していてもよい置換基と同様のものが挙げられる。
また、上記式(Ar−2)中、Xは、水素原子または置換基が結合していてもよい第14〜16族の非金属原子を表す。
また、Xが示す第14〜16族の非金属原子としては、例えば、酸素原子、硫黄原子、置換基を有する窒素原子、置換基を有する炭素原子が挙げられ、置換基としては、具体的には、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アルキル置換アルコキシ基、環状アルキル基、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基など)、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、アルキルカルボニル基、スルホ基、水酸基等が挙げられる。
また、上記式(Ar−3)中、DおよびDは、それぞれ独立に、単結合、または、−CO−、−O−、−S−、−C(=S)−、−CR−、−CR=CR−、−NR−、もしくは、これらの2つ以上の組み合わせからなる2価の連結基を表し、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、または、炭素数1〜12のアルキル基を表す。
ここで、2価の連結基としては、上記式(I)中のD、D、D、D、DおよびDにおいて説明したものと同様のものが挙げられる。
また、上記式(Ar−3)中、SPおよびSPは、それぞれ独立に、単結合、炭素数1〜12の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基、または、炭素数1〜12の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基を構成する−CH−の1個以上が−O−、−S−、−NH−、−N(Q)−、もしくは、−CO−に置換された2価の連結基を表し、Qは、置換基を表す。置換基としては、上記式(I)中のGおよびGが有していてもよい置換基と同様のものが挙げられる。
ここで、アルキレン基としては、上記式(I)中のSPおよびSPにおいて説明したものと同様のものが挙げられる。
また、上記式(Ar−3)中、LおよびLは、それぞれ独立に1価の有機基を表し、LおよびLならびに上記式(I)中のLおよびLの少なくとも1つが重合性基を表す。
1価の有機基としては、上記式(I)中のLおよびLにおいて説明したものと同様のものが挙げられる。
また、重合性基としては、上記式(I)中のLおよびLにおいて説明したものと同様のものが挙げられる。
また、上記式(Ar−4)〜(Ar−5)中、Axは、芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも1つの芳香環を有する、炭素数2〜30の有機基を表す。
また、上記式(Ar−4)〜(Ar−5)中、Ayは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、または、芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群から選択される少なくとも1つの芳香環を有する、炭素数2〜30の有機基を表す。
ここで、AxおよびAyにおける芳香環は、置換基を有していてもよく、AxとAyとが結合して環を形成していてもよい。
また、Qは、水素原子、または、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を表す。
AxおよびAyとしては、国際公開第2014/010325号の[0039]〜[0095]段落に記載されたものが挙げられる。
また、Qが示す炭素数1〜20のアルキル基としては、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、および、n−ヘキシル基などが挙げられ、置換基としては、上記式(I)中のGおよびGが有していてもよい置換基と同様のものが挙げられる。
上記式(I)で表される逆分散液晶化合物としては、具体的には、例えば、特開2010−084032号公報に記載の一般式(1)で表される化合物(特に、段落番号[0067]〜[0073]に記載の化合物)、特開2016−053709号公報に記載の一般式(II)で表される化合物(特に、段落番号[0036]〜[0043]に記載の化合物)、および、特開2016−081035公報に記載の一般式(1)で表される化合物(特に、段落番号[0043]〜[0055]に記載の化合物)等が挙げられる。
これらのうち、上記式(I)で表される逆分散液晶化合物としては、下記式(1)〜(8)で表される化合物が好適に挙げられ、具体的には、下記式(1)〜(8)中のK(側鎖構造)として、下記表3に示す側鎖構造を有する化合物がそれぞれ挙げられる。
また、上記式(I)で表される逆分散液晶化合物としては、上記式(I)中のGおよびGならびにAおよびAが、それぞれ独立に、炭素数6以上のシクロアルカン環を表す重合性液晶化合物であることが好ましく、上記式(I)中のGおよびGならびにAおよびAが、それぞれ独立に、炭素数6以上のシクロアルカン環を表し、かつ、上記式(I)中のDおよびDが、いずれも単結合を表す重合性液晶化合物であることがより好ましい。
このような重合性液晶化合物としては、例えば、下記式(11)〜(22)で表される化合物が好適に挙げられ、具体的には、下記式(11)〜(22)中のK(側鎖構造)として、下記表4および表5に示す側鎖構造を有する化合物がそれぞれ挙げられる。
なお、下記表4および表5中、Kの側鎖構造に示される「*」は、芳香環との結合位置を表す。
また、下記表4中の4−2および下記表5中の5−2で表される側鎖構造において、それぞれアクリロイルオキシ基およびメタクリロイル基に隣接する基は、プロピレン基(メチル基がエチレン基に置換した基)を表し、メチル基の位置が異なる位置異性体の混合物を表す。
本発明においては、作製される画像表示装置のコントラストがより良好となる理由から、逆分散液晶化合物が、スメクチック相の液晶状態を示す化合物であることが好ましい。
また、本発明(特に本発明の第2の態様)においては、作製される画像表示装置のコントラストがより良好となる理由から、逆分散液晶化合物の長軸方向の原子数が20〜84であることが好ましい。
ここで、上述した通り、「長軸方向の原子数」とは、分子の最も長い方向の原子数をいうが、例えば、以下に示す逆分散液晶化合物の場合、上記式(I)中のArに相当する中心(コア)部分については、長軸方向の原子数が最短となる原子数でカウントするものとする。なお、以下に示す逆分散液晶化合物の長軸方向の原子数は56である。
更に、本発明においては、逆分散液晶化合物は、上記式(I)にも示す通り、重合性基を有していることが好ましいが、重合性基の数は、得られる光学フィルムに柔軟性を付与できる理由から、3個以下であることがより好ましく、2個であることが更に好ましい。
〔多官能重合性化合物〕
本発明の重合性液晶組成物が含有する多官能重合性化合物は、重合性基を4個以上有する重合性化合物である。
ここで、本発明の第1の態様においては、MD計算により上述した条件で算出した、逆分散液晶化合物1分子と多官能重合性化合物1分子との体積比(多官能重合性化合物の体積/逆分散液晶化合物の体積)が0.4〜1.2を満たす、多官能重合性化合物を用いる。
また、本発明の第2の態様においては、上述した通り、長軸方向の原子数が20〜84となる多官能重合性化合物を用いる。
本発明においては、逆分散液晶化合物との相溶性が良好となる理由から、多官能重合性化合物が、環構造を2個以上有する化合物であることが好ましく、環構造を2〜7個有する化合物であることがより好ましく、環構造を3〜5個有する化合物であることが更に好ましい。
また、本発明においては、逆分散液晶化合物との相溶性が良好となる理由から、多官能重合性化合物が、下記式(II)で表される化合物であることが好ましい。
n1−SP−(D−Aa3−D10−SP−L n2 ・・・(II)
上記式(II)中、a3は、2以上の整数を表し、複数のDは、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、複数のAは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
また、上記式(II)中、n1およびn2は、それぞれ独立に、1または2を表す。n1が2である場合、複数のLは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。n2が2である場合、複数のLは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
また、上記式(II)中、LおよびLは、それぞれ独立に、1価の有機基を表す。
また、上記式(II)中、SPおよびSPは、それぞれ独立に、単結合、炭素数1〜12の直鎖状もしくは分岐状の連結基、または、炭素数1〜12の直鎖状もしくは分岐状の連結基を構成する−CH−の1個以上が−O−、−S−、−NH−、−N(Q)−、もしくは、−CO−に置換された連結基を表し、Qは、置換基を表す。
また、上記式(II)中、DおよびD10は、それぞれ独立に、単結合、または、−CO−、−O−、−S−、−C(=S)−、−CR−、−CR=CR−、−NR−、もしくは、これらの2つ以上の組み合わせからなる2価の連結基を表し、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、または、炭素数1〜12のアルキル基を表す。
上記式(II)中、a3は、2以上の整数であるが、2〜7の整数であることが好ましく、3〜5の整数であることがより好ましい。
上記式(II)中、LおよびLが示す1価の有機基としては、例えば、上記式(I)中のLおよびLが示す1価の有機基と同様のものが挙げられる。
上記式(II)中、SPおよびSPの一態様が示す炭素数1〜12の直鎖状もしくは分岐状の連結基は、n1およびn2がいずれも1である場合、2価の連結基となるが、2価の連結基としては、例えば、上記式(I)中のSPおよびSPにおいて説明したアルキレン基と同様のものが挙げられる。
同様に、上記式(II)中、SPおよびSPの一態様が示す炭素数1〜12の直鎖状もしくは分岐状の連結基は、n1およびn2がいずれも2である場合、3価の連結基となるが、3価の連結基としては、例えば、2−メチルオクタン−1,2,8−トリイル基などが挙げられる。
また、上記式(II)中、SPおよびSPは、炭素数1〜12の直鎖状もしくは分岐状の連結基を構成する−CH−の1個以上が−O−、−S−、−NH−、−N(Q)−、もしくは、−CO−に置換された連結基であってもよい。Qで表される置換基としては、上記式(I)中のGおよびGが有していてもよい置換基と同様のものが挙げられる。
上記式(II)中、DおよびD10の一態様が示す2価の連結基としては、例えば、上記式(I)中のD〜Dが示す2価の連結基と同様のものが挙げられる。
一方、上記式(II)中、Aは、それぞれ独立に、置換基Xを有していてもよい炭素数6〜20の芳香環、または、置換基Xを有していてもよい炭素数5〜20の2価の脂環式炭化水素基を表し、脂環式炭化水素基を構成する−CH−の1個以上が−O−、−S−または−NR−で置換されていてもよく、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基を表す。
上記式(II)中、Aの一態様が示す炭素数6〜20以上の芳香環としては、上記式(I)中のGおよびGにおいて説明したものと同様のものが挙げられる。
また、上記式(II)中、Aの一態様が示す炭素数5〜20の2価の脂環式炭化水素基としては、上記式(I)中のGおよびGにおいて説明したものと同様のものが挙げられる。
また、炭素数6〜20の芳香環または炭素数5〜20の2価の脂環式炭化水素基が有していてもよい置換基Xは、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、カルボキシル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、または、−D11−SP−Lを表す。
ここで、D11は、それぞれ独立に、単結合、または、−CO−、−O−、−S−、−C(=S)−、−CR−、−CR=CR−、−NR−、もしくは、これらの2つ以上の組み合わせからなる2価の連結基を表し、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、または、炭素数1〜12のアルキル基を表す。なお、2価の連結基としては、例えば、上記式(I)中のD〜Dが示す2価の連結基と同様のものが挙げられる。
また、SPは、単結合、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基、または、炭素数1〜12の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基を構成する−CH−の1個以上が−O−、−S−、−NH−、−N(Q)−、もしくは、−CO−に置換された2価の連結基を表し、Qは、置換基を表す。なお、アルキレン基としては、上記式(I)中のSPおよびSPにおいて説明したものと同様のものが挙げられる。置換基としては、上記式(I)中のGおよびGが有していてもよい置換基と同様のものが挙げられる。
また、Lは、1価の有機基を表す。なお、1価の有機基としては、例えば、上記式(I)中のLおよびLが示す1価の有機基と同様のものが挙げられる。
ただし、L、LおよびLが示す1価の有機基は、合計して4個以上が重合性基を表す。なお、重合性基の数は、4〜8個であることが好ましく、4〜6個であることがより好ましく、4個であることが更に好ましい。
本発明においては、多官能重合性化合物が有する重合性基が、下記式(P−1)〜(P−9)のいずれかで表される重合性基であることが好ましい。
これらのうち、耐久性がより良好となる理由から、下記式(P−1)で表されるアクリロイルオキシ基または下記式(P−2)で表されるメタクリロイルオキシ基であることがより好ましい。
本発明においては、多官能重合性化合物の含有量は、上述した逆分散液晶化合物100質量部に対して1〜50質量部であり、2〜30質量部であることが好ましく、5〜20質量部であることがより好ましい。
本発明の第1の態様においては、作製される画像表示装置のコントラストおよび耐久性がいずれもより向上する理由から、MD計算により上述した条件で算出した、逆分散液晶化合物1分子と多官能重合性化合物1分子との体積比が、0.7〜1.2であることが好ましい。
本発明(特に本発明の第2の態様)においては、作製される画像表示装置のコントラストがより良好となる理由から、上述した逆分散液晶化合物の長軸方向の原子数と、上述した多官能重合性化合物の長軸方向の原子数との比(多官能重合性化合物の長軸方向の原子数/逆分散液晶化合物の長軸方向の原子数)が、0.4〜1.5であることが好ましい。
ここで、本発明の重合性液晶組成物が、逆分散液晶化合物を2種以上配合している場合は、上述した、逆分散液晶化合物の長軸方向の原子数と多官能重合性化合物の長軸方向の原子数との比(多官能重合性化合物の長軸方向の原子数/逆分散液晶化合物の長軸方向の原子数)は、逆分散液晶化合物のそれぞれの長軸方向の原子数と、多官能重合性化合物の長軸方向の原子数との比をいう。
〔重合開始剤〕
本発明の重合性液晶組成物は、重合開始剤を含有していることが好ましい。
使用する重合開始剤は、紫外線照射によって重合反応を開始可能な光重合開始剤であるのが好ましい。
光重合開始剤としては、例えば、α−カルボニル化合物(米国特許第2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許第4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書記載)、アシルフォスフィンオキシド化合物(特公昭63−40799号公報、特公平5−29234号公報、特開平10−95788号公報、特開平10−29997号公報記載)等が挙げられる。
また、本発明においては、重合開始剤がオキシム型の重合開始剤であることも好ましく、その具体例としては、国際公開第2017/170443号の[0049]〜[0052]段落に記載された開始剤が挙げられる。
〔溶媒〕
本発明の重合性液晶組成物は、後述する本発明の硬化物(例えば、光学異方性層)を形成する作業性等の観点から、溶媒を含有するのが好ましい。
溶媒としては、具体的には、例えば、ケトン類(例えば、アセトン、2−ブタノン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノンなど)、エーテル類(例えば、ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、脂肪族炭化水素類(例えば、ヘキサンなど)、脂環式炭化水素類(例えば、シクロヘキサンなど)、芳香族炭化水素類(例えば、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼンなど)、ハロゲン化炭素類(例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジクロロベンゼン、クロロトルエンなど)、エステル類(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、水、アルコール類(例えば、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノールなど)、セロソルブ類(例えば、メチルセロソルブ、エチルセロソルブなど)、セロソルブアセテート類、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシドなど)、アミド類(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
〔レベリング剤〕
本発明の重合性液晶組成物は、後述する本発明の硬化物の表面を平滑に保ち、配向制御を容易にする観点から、レベリング剤を含有することが好ましい。
このようなレベリング剤としては、添加量に対するレベリング効果が高い理由から、フッ素系レベリング剤またはケイ素系レベリング剤であることが好ましく、泣き出し(ブルーム、ブリード)を起こしにくい観点から、フッ素系レベリング剤であることがより好ましい。
レベリング剤としては、具体的には、例えば、特開2007−069471号公報の[0079]〜[0102]段落の記載に記載された化合物、特開2013−047204号公報に記載された一般式(I)で表される化合物(特に[0020]〜[0032]段落に記載された化合物)、特開2012−211306号公報に記載された一般式(I)で表される化合物(特に[0022]〜[0029]段落に記載された化合物)、特開2002−129162号公報に記載された一般式(I)で表される液晶配向促進剤(特に[0076]〜[0078]および[0082]〜[0084]段落に記載された化合物)、特開2005−099248号公報に記載された一般式(I)、(II)および(III)で表される化合物(特に[0092]〜[0096]段落に記載された化合物)などが挙げられる。なお、後述する配向制御剤としての機能を兼ね備えてもよい。
〔配向制御剤〕
本発明の重合性液晶組成物は、必要に応じて、配向制御剤を含有することができる。
配向制御剤により、ホモジニアス配向の他、ホメオトロピック配向(垂直配向)、傾斜配向、ハイブリッド配向、コレステリック配向等の種々の配向状態を形成することができ、また、特定の配向状態をより均一かつより精密に制御して実現することができる。
ホモジニアス配向を促進する配向制御剤としては、例えば、低分子の配向制御剤や、高分子の配向制御剤を用いることができる。
低分子の配向制御剤としては、例えば、特開2002−20363号公報の[0009]〜[0083]段落、特開2006−106662号公報の[0111]〜[0120]段落、および、特開2012−211306公報の[0021]〜[0029]段落の記載を参酌することができ、この内容は本願明細書に組み込まれる。
また、高分子の配向制御剤としては、例えば、特開2004−198511号公報の[0021]〜[0057]段落、および、特開2006−106662号公報の[0121]〜[0167]段落を参酌することができ、この内容は本願明細書に組み込まれる。
また、ホメオトロピック配向を形成または促進する配向制御剤としては、例えば、ボロン酸化合物、オニウム塩化合物が挙げられ、具体的には、特開2008−225281号公報の[0023]〜[0032]段落、特開2012−208397号公報の[0052]〜[0058]段落、特開2008−026730号公報の[0024]〜[0055]段落、特開2016−193869号公報の[0043]〜[0055]段落などに記載された化合物を参酌することができ、この内容は本願明細書に組み込まれる。
一方、コレステリック配向は、本発明の重合性液晶組成物にキラル剤を加えることにより実現することができ、そのキラル性の向きによりコレステリック配向の旋回方向を制御できる。
なお、キラル剤の配向規制力に応じてコレステリック配向のピッチを制御することができる。
配向制御剤の含有する場合の含有量は、組成物中の全固形分質量に対して0.01〜10質量%であることが好ましく、0.05〜5質量%であることがより好ましい。含有量がこの範囲であると、望む配向状態を実現しつつ、析出や相分離、配向欠陥等が無く、均一で透明性の高い硬化物を得ることができる。
〔その他の成分〕
本発明の重合性液晶組成物は、上述した成分以外の成分を含有してもよく、例えば、界面活性剤、チルト角制御剤、配向助剤、可塑剤、および、架橋剤などが挙げられる。
[硬化物]
本発明の硬化物は、上述した本発明の重合性液晶組成物を硬化してなる硬化物である。
硬化物の形成方法としては、例えば、上述した本発明の重合性液晶組成物を用いて、所望の配向状態とした後に、重合により固定化する方法などが挙げられる。
ここで、重合条件は特に限定されないが、光照射による重合においては、紫外線を用いることが好ましい。照射量は、10mJ/cm〜50J/cmであることが好ましく、20mJ/cm〜5J/cmであることがより好ましく、30mJ/cm〜3J/cmであることが更に好ましく、50〜1000mJ/cmであることが特に好ましい。また、重合反応を促進するため、加熱条件下で実施してもよい。
なお、本発明においては、硬化物は、後述する本発明の光学フィルムにおける任意の支持体上や、後述する本発明の偏光板における偏光子上に形成することができる。
本発明の硬化物は、下記式(III)を満たす光学異方性層であることが好ましい。
0.50<Re(450)/Re(550)<1.00 ・・・(III)
ここで、上記式(III)中、Re(450)は、光学異方性層の波長450nmにおける面内レターデーションを表し、Re(550)は、光学異方性層の波長550nmにおける面内レターデーションを表す。なお、本明細書において、レターデーションの測定波長を明記していない場合は、測定波長は550nmとする。
また、面内レターデーションおよび厚み方向のレターデーションの値は、AxoScan OPMF−1(オプトサイエンス社製)を用い、測定波長の光を用いて測定した値をいう。
具体的には、AxoScan OPMF−1にて、平均屈折率((Nx+Ny+Nz)/3)と膜厚(d(μm))を入力することにより、
遅相軸方向(°)
Re(λ)=R0(λ)
Rth(λ)=((nx+ny)/2−nz)×d
が算出される。
なお、R0(λ)は、AxoScan OPMF−1で算出される数値として表示されるものであるが、Re(λ)を意味している。
また、このような光学異方性層は、ポジティブAプレートまたはポジティブCプレートであることが好ましく、ポジティブAプレートであることがより好ましい。
ここで、ポジティブAプレート(正のAプレート)とポジティブCプレート(正のCプレート)は以下のように定義される。
フィルム面内の遅相軸方向(面内での屈折率が最大となる方向)の屈折率をnx、面内の遅相軸と面内で直交する方向の屈折率をny、厚み方向の屈折率をnzとしたとき、ポジティブAプレートは式(A1)の関係を満たすものであり、ポジティブCプレートは式(C1)の関係を満たすものである。なお、ポジティブAプレートはRthが正の値を示し、ポジティブCプレートはRthが負の値を示す。
式(A1) nx>ny≒nz
式(C1) nz>nx≒ny
なお、上記「≒」とは、両者が完全に同一である場合だけでなく、両者が実質的に同一である場合も包含する。
「実質的に同一」とは、ポジティブAプレートでは、例えば、(ny−nz)×d(ただし、dはフィルムの厚みである)が、−10〜10nm、好ましくは−5〜5nmの場合も「ny≒nz」に含まれ、(nx−nz)×dが、−10〜10nm、好ましくは−5〜5nmの場合も「nx≒nz」に含まれる。また、ポジティブCプレートでは、例えば、(nx−ny)×d(ただし、dはフィルムの厚みである)が、0〜10nm、好ましくは0〜5nmの場合も「nx≒ny」に含まれる。
光学異方性層がポジティブAプレートである場合、λ/4板として機能する観点から、Re(550)が100〜180nmであることが好ましく、120〜160nmであることがより好ましく、130〜150nmであることが更に好ましく、130〜140nmであること特に好ましい。
ここで、「λ/4板」とは、λ/4機能を有する板であり、具体的には、ある特定の波長の直線偏光を円偏光に(または円偏光を直線偏光に)変換する機能を有する板である。
[光学フィルム]
本発明の光学フィルムは、本発明の硬化物を有する光学フィルムである。
図1A、図1Bおよび図1C(以下、これらの図面を特に区別を要しない場合は「図1」と略す。)は、それぞれ本発明の光学フィルムの一例を示す模式的な断面図である。
なお、図1は模式図であり、各層の厚みの関係や位置関係などは必ずしも実際のものとは一致せず、図1に示す支持体、配向膜およびハードコート層は、いずれも任意の構成部材である。
図1に示す光学フィルム10は、支持体16と、配向膜14と、硬化物としての光学異方性層12とをこの順で有する。
また、光学フィルム10は、図1Bに示すように、支持体16の配向膜14が設けられた側とは反対側にハードコート層18を有していてもよく、図1Cに示すように、光学異方性層12の配向膜14が設けられた側とは反対側にハードコート層18を有していてもよい。
以下、本発明の光学フィルムに用いられる種々の部材について詳細に説明する。
〔硬化物〕
本発明の光学フィルムが有する硬化物は、上述した本発明の硬化物である。
本発明の光学フィルムにおいては、上記硬化物の厚みについては特に限定されないが、光学異方性層として用いる場合には、0.1〜10μmであるのが好ましく、0.5〜5μmであるのがより好ましい。
〔支持体〕
本発明の光学フィルムは、上述したように、硬化物を形成するための基材として支持体を有していてもよい。
このような支持体は、透明であるのが好ましく、具体的には、光透過率が80%以上であるのが好ましい。
このような支持体としては、例えば、ガラス基板やポリマーフィルムが挙げられ、ポリマーフィルムの材料としては、セルロース系ポリマー;ポリメチルメタクリレート、ラクトン環含有重合体等のアクリル酸エステル重合体を有するアクリル系ポリマー;熱可塑性ノルボルネン系ポリマー;ポリカーボネート系ポリマー;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー;ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマー;ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体等のポリオレフィン系ポリマー;、塩化ビニル系ポリマー;ナイロン、芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー;イミド系ポリマー;スルホン系ポリマー;ポリエーテルスルホン系ポリマー;ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー;ポリフェニレンスルフィド系ポリマー;塩化ビニリデン系ポリマー;ビニルアルコール系ポリマー;ビニルブチラール系ポリマー;アリレート系ポリマー;ポリオキシメチレン系ポリマー;エポキシ系ポリマー;またはこれらのポリマーを混合したポリマーが挙げられる。
また、後述する偏光子がこのような支持体を兼ねる態様であってもよい。
本発明においては、上記支持体の厚みについては特に限定されないが、5〜60μmであるのが好ましく、5〜30μmであるのがより好ましい。
〔配向膜〕
本発明の光学フィルムは、上述した任意の支持体を有する場合、支持体と硬化物との間に、配向膜を有しているのが好ましい。なお、上述した支持体が配向膜を兼ねる態様であってもよい。
配向膜は、一般的にはポリマーを主成分とする。配向膜用ポリマー材料としては、多数の文献に記載があり、多数の市販品を入手することができる。
本発明において利用されるポリマー材料は、ポリビニルアルコール又はポリイミド、及びその誘導体が好ましい。特に変性又は未変性のポリビニルアルコールが好ましい。
本発明に使用可能な配向膜については、例えば、国際公開第01/88574号の43頁24行〜49頁8行に記載された配向膜;特許第3907735号公報の段落[0071]〜[0095]に記載の変性ポリビニルアルコール;特開2012−155308号公報に記載された液晶配向剤により形成される液晶配向膜;等が挙げられる。
本発明においては、配向膜の形成時に配向膜表面に接触しないことで面状悪化を防ぐことが可能となる理由から、配向膜としては光配向膜を利用することも好ましい。
光配向膜としては特に限定はされないが、国際公開第2005/096041号の段落[0024]〜[0043]に記載されたポリアミド化合物やポリイミド化合物などのポリマー材料;特開2012−155308号公報に記載された光配向性基を有する液晶配向剤により形成される液晶配向膜;Rolic Technologies社製の商品名LPP−JP265CPなどを用いることができる。
また、本発明においては、上記配向膜の厚さは特に限定されないが、支持体に存在しうる表面凹凸を緩和して均一な膜厚の光学異方性層を形成するという観点から、0.01〜10μmであることが好ましく、0.01〜1μmであることがより好ましく、0.01〜0.5μmであることがさらに好ましい。
〔ハードコート層〕
本発明の光学フィルムは、フィルムの物理的強度を付与するために、ハードコート層を有しているのが好ましい。具体的には、支持体の配向膜が設けられた側とは反対側にハードコート層を有していてもよく(図1B参照)、光学異方性層の配向膜が設けられた側とは反対側にハードコート層を有していてもよい(図1C参照)。
ハードコート層としては特開2009−98658号公報の段落[0190]〜[0196]に記載のものを使用することができる。
〔紫外線吸収剤〕
本発明の光学フィルムは、外光(特に紫外線)の影響を考慮して、紫外線(UV)吸収剤を含むことが好ましい。
紫外線吸収剤は、本発明の硬化物に含有されてしてもよいし、本発明の光学フィルムを構成する硬化物以外の部材に含有されていてもよい。硬化物以外の部材としては、例えば、支持体が好適に挙げられる。
紫外線吸収剤としては、紫外線吸収性を発現できる従来公知のものがいずれも使用できる。このような紫外線吸収剤のうち、紫外線吸収性が高く、画像表示装置で用いられる紫外線吸収能(紫外線カット能)を得る観点から、ベンゾトリアゾール系またはヒドロキシフェニルトリアジン系の紫外線吸収剤を用いることが好ましい。
また、紫外線の吸収幅を広くするために、最大吸収波長の異なる紫外線吸収剤を2種以上併用することができる。
紫外線吸収剤としては、具体的には、例えば、特開2012−18395公報の[0258]〜[0259]段落に記載された化合物、特開2007−72163号公報の[0055]〜[0105]段落に記載された化合物などが挙げられる。
また、市販品として、Tinuvin400、Tinuvin405、Tinuvin460、Tinuvin477、Tinuvin479、および、Tinuvin1577(いずれもBASF社製)等を用いることができる。
[偏光板]
本発明の偏光板は、上述した本発明の光学フィルムと、偏光子とを有するものである。
また、本発明の偏光板は、上述した本発明の硬化物としての光学異方性層がλ/4板(ポジティブAプレート)である場合、円偏光板として用いることができる。
また、本発明の偏光板は、上述した本発明の硬化物としての光学異方性層がλ/4板(ポジティブAプレート)である場合、λ/4板の遅相軸と後述する偏光子の吸収軸とのなす角が30〜60°であることが好ましく、40〜50°であることがより好ましく、42〜48°であることが更に好ましく、45°であることが特に好ましい。
ここで、λ/4板の「遅相軸」は、λ/4板の面内において屈折率が最大となる方向を意味し、偏光子の「吸収軸」は、吸光度の最も高い方向を意味する。
〔偏光子〕
本発明の偏光板が有する偏光子は、光を特定の直線偏光に変換する機能を有する部材であれば特に限定されず、従来公知の吸収型偏光子および反射型偏光子を利用することができる。
吸収型偏光子としては、ヨウ素系偏光子、二色性染料を利用した染料系偏光子、およびポリエン系偏光子などが用いられる。ヨウ素系偏光子および染料系偏光子には、塗布型偏光子と延伸型偏光子があり、いずれも適用できるが、ポリビニルアルコールにヨウ素または二色性染料を吸着させ、延伸して作製される偏光子が好ましい。
また、基材上にポリビニルアルコール層を形成した積層フィルムの状態で延伸および染色を施すことで偏光子を得る方法として、特許第5048120号公報、特許第5143918号公報、特許第4691205号公報、特許第4751481号公報、特許第4751486号公報を挙げることができ、これらの偏光子に関する公知の技術も好ましく利用することができる。
反射型偏光子としては、複屈折の異なる薄膜を積層した偏光子、ワイヤーグリッド型偏光子、選択反射域を有するコレステリック液晶と1/4波長板とを組み合わせた偏光子などが用いられる。
なかでも、密着性がより優れる点で、ポリビニルアルコール系樹脂(−CH−CHOH−を繰り返し単位として含むポリマー。特に、ポリビニルアルコールおよびエチレン−ビニルアルコール共重合体からなる群から選択される少なくとも1つ)を含む偏光子であることが好ましい。
本発明においては、偏光子の厚みは特に限定されないが、3μm〜60μmであるのが好ましく、5μm〜30μmであるのがより好ましく、5μm〜15μmであるのが更に好ましい。
〔粘着剤層〕
本発明の偏光板は、本発明の光学フィルムにおける硬化物と、偏光子との間に、粘着剤層が配置されていてもよい。
硬化物と偏光子との積層のために用いられる粘着剤層としては、例えば、動的粘弾性測定装置で測定した貯蔵弾性率G’と損失弾性率G”との比(tanδ=G”/G’)が0.001〜1.5である物質のことを表し、いわゆる、粘着剤やクリープしやすい物質等が含まれる。本発明に用いることのできる粘着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール系粘着剤が挙げられるが、これに限定されない。
[画像表示装置]
本発明の画像表示装置は、本発明の光学フィルムまたは本発明の偏光板を有する、画像表示装置である。
本発明の画像表示装置に用いられる表示素子は特に限定されず、例えば、液晶セル、有機エレクトロルミネッセンス(以下、「EL」と略す。)表示パネル、プラズマディスプレイパネル等が挙げられる。
これらのうち、液晶セル、有機EL表示パネルであるのが好ましく、液晶セルであるのがより好ましい。すなわち、本発明の画像表示装置としては、表示素子として液晶セルを用いた液晶表示装置、表示素子として有機EL表示パネルを用いた有機EL表示装置であるのが好ましく、液晶表示装置であるのがより好ましい。
〔液晶表示装置〕
本発明の画像表示装置の一例である液晶表示装置は、上述した本発明の偏光板と、液晶セルとを有する液晶表示装置である。
なお、本発明においては、液晶セルの両側に設けられる偏光板のうち、フロント側の偏光板として本発明の偏光板を用いるのが好ましく、フロント側およびリア側の偏光板として本発明の偏光板を用いるのがより好ましい。
以下に、液晶表示装置を構成する液晶セルについて詳述する。
<液晶セル>
液晶表示装置に利用される液晶セルは、VA(Vertical Alignment)モード、OCB(Optically Compensated Bend)モード、IPS(In−Plane−Switching)モード、又はTN(Twisted Nematic)であることが好ましいが、これらに限定されるものではない。
TNモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向し、更に60〜120゜にねじれ配向している。TNモードの液晶セルは、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。
VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of tech.Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)及び(4)SURVIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。また、PVA(Patterned Vertical Alignment)型、光配向型(Optical Alignment)、及びPSA(Polymer−Sustained Alignment)のいずれであってもよい。これらのモードの詳細については、特開2006−215326号公報、及び特表2008−538819号公報に詳細な記載がある。
IPSモードの液晶セルは、棒状液晶分子が基板に対して実質的に平行に配向しており、基板面に平行な電界が印加することで液晶分子が平面的に応答する。IPSモードは電界無印加状態で黒表示となり、上下一対の偏光板の吸収軸は直交している。光学補償シートを用いて、斜め方向での黒表示時の漏れ光を低減させ、視野角を改良する方法が、特開平10−54982号公報、特開平11−202323号公報、特開平9−292522号公報、特開平11−133408号公報、特開平11−305217号公報、特開平10−307291号公報などに開示されている。
〔有機EL表示装置〕
本発明の画像表示装置の一例である有機EL表示装置としては、例えば、視認側から、偏光子と、本発明の光学異方性層からなるλ/4板(ポジティブAプレート)と、有機EL表示パネルとをこの順で有する態様が好適に挙げられる。
また、有機EL表示パネルは、電極間(陰極および陽極間)に有機発光層(有機エレクトロルミネッセンス層)を挟持してなる有機EL素子を用いて構成された表示パネルである。有機EL表示パネルの構成は特に制限されず、公知の構成が採用される。
以下に実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
[実施例1]
〔保護フィルム1の作製〕
<コア層セルロースアシレートドープ1の調製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し攪拌して、各成分を溶解し、コア層セルロースアシレートドープ1を調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――
コア層セルロースアシレートドープ1
――――――――――――――――――――――――――――――――
・アセチル置換度2.88のセルロースアセテート 100質量部
・エステルオリゴマー(下記化合物1−1) 10質量部
・耐久性改良剤(下記化合物1−2) 4質量部
・紫外線吸収剤(下記化合物1−3) 3質量部
・メチレンクロライド(第1溶剤) 438質量部
・メタノール(第2溶剤) 65質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――
化合物1−1
化合物1−2
化合物1−3
<外層セルロースアシレートドープ1の調製>
上記のコア層セルロースアシレートドープ190質量部に、下記のマット剤分散液1を10質量部加え、外層セルロースアシレートドープ1を調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――
マット剤溶液
――――――――――――――――――――――――――――――――
・平均粒子サイズ20nmのシリカ粒子
(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製) 2質量部
・メチレンクロライド(第1溶剤) 76質量部
・メタノール(第2溶剤) 11質量部
・コア層セルロースアシレートドープ1 1質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――
<保護フィルム1の作製>
上記コア層セルロースアシレートドープ1とその両側に外層セルロースアシレートドープ1とを3層同時に流延口から20℃のドラム上に流延した。ドラム上のフィルムの溶剤含有率略20質量%の状態で、ドラム上からフィルムを剥ぎ取り、得られたフィルムの幅方向の両端をテンタークリップで固定し、フィルム中の残留溶剤が3〜15質量%の状態で、フィルムを横方向に1.2倍延伸しつつ乾燥した。その後、得られたフィルムを熱処理装置のロール間を搬送することにより、厚さ25μmのセルロースアシレートフィルムを作製し、保護フィルム1とした。
〔ハードコート層付き保護フィルム1の作製〕
ハードコート層形成用の塗布液として、下記表6に記載のハードコート用硬化性組成物1を調製した。
上記表6中、UV開始剤1の構造を以下に示す。
上記ハードコート用硬化性組成物1を、上記にて作製した保護フィルム1の表面上へ塗布し、その後、100℃で60秒乾燥し、窒素0.1%以下の条件でUVを1.5kW、300mJにて照射し、硬化させ、膜厚5μmのハードコート層を有するハードコート層付き保護フィルム1を作製した。なお、ハードコート層の膜厚の調整は、スロットダイを用い、ダイコート法において塗布量を調整することにより行った。
〔片面保護膜付き偏光板1の作製〕
<フィルムのケン化>
作製したハードコート層付き保護フィルム1を37℃に調温した4.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液(ケン化液)に1分間浸漬した後、フィルムを水洗し、その後、0.05mol/Lの硫酸水溶液に30秒間浸漬した後、さらに水洗浴に通した。そして、得られたフィルムに対して、エアナイフによる水切りを3回繰り返し、水を落とした後に70℃の乾燥ゾーンに15秒間滞留させて乾燥し、ケン化処理したハードコート層付き保護フィルム1を作製した。
<偏光子の作製>
特開2016−148724号公報の実施例に従い、2対のニップロール間に周速差を与え、長手方向に延伸し、膜厚は15μmの偏光子を調製した。このようにして作製した偏光子を偏光子1とした。
<貼り合わせ>
このようにして得た偏光子1と、ケン化処理したハードコート層付き保護フィルム1とを、PVA((株)クラレ製、PVA−117H)3%水溶液を接着剤として、偏光軸とフィルムの長手方向とが直交するようにロールツーロールで貼りあわせて、片面保護膜付き偏光板1(以下、単に「偏光板1」とも略す。)を作製した。このとき、保護フィルムのセルロースアシレートフィルム側が、偏光子側になるように貼り合わせた。
〔片面保護膜付偏光板2の作製〕
保護フィルム1の表面上へハードコート層を設けなかった以外は、偏光板1の作製と同様の方法で偏光板2を作製した。
なお、以下の実施例および比較例では、特に断りのない場合は視認側に偏光板1を用い、バックライト側に偏光板2を用いて液晶表示装置を作製した。
〔保護フィルム2の作製〕
<コア層セルロースアシレートドープ2の調製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して、各成分を溶解し、コア層セルロースアシレートドープ2を調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――
コア層セルロースアシレートドープ2
――――――――――――――――――――――――――――――――
・アセチル置換度2.88のセルロースアセテート 100質量部
・下記ポリエステル 12質量部
・上記耐久性改良剤(上記化合物1−2) 4質量部
・メチレンクロライド(第1溶剤) 430質量部
・メタノール(第2溶剤) 64質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――
ポリエステル(数平均分子量800)
<外層セルロースアシレートドープ2の調製>
上記のコア層セルロースアシレートドープ2の90質量部に下記のマット剤溶液を10質量部加え、外層セルロースアシレートドープ2を調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――
マット剤溶液
――――――――――――――――――――――――――――――――
・平均粒子サイズ20nmのシリカ粒子
(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製) 2質量部
・メチレンクロライド(第1溶剤) 76質量部
・メタノール(第2溶剤) 11質量部
・コア層セルロースアシレートドープ 1質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――
<保護フィルム2の作製>
上記コア層セルロースアシレートドープ2と上記外層セルロースアシレートドープ2を平均孔径34μmのろ紙および平均孔径10μmの焼結金属フィルターでろ過した後、上記コア層セルロースアシレートドープ2とその両側に外層セルロースアシレートドープ2とを3層同時に流延口から20℃のドラム上に流延した(バンド流延機)。
次いで、ドラム上のフィルムの溶剤含有率略20質量%の状態で、ドラム上からフィルムを剥ぎ取り、フィルムの幅方向の両端をテンタークリップで固定し、横方向に延伸倍率1.1倍で延伸しつつ乾燥した。
その後、得られたフィルムを熱処理装置のロール間を搬送することにより、さらに乾燥し、膜厚40μmのセルロースアシレートフィルム2を作製し、保護フィルム2とした。
保護フィルム2の位相差を測定した結果、Re=1nm、Rth=−5nmであった。
〔第1光学異方性層1の作製〕
<光配向膜用組成物1の調製>
酢酸ブチル/メチルエチルケトン(80質量部/20質量部)に対して、下記共重合体C1を8.4質量部と、下記熱酸発生剤D1を0.3質量部添加し、光配向膜用組成物を調製した。
共重合体C1(重量平均分子量:40,000)
熱酸発生剤D1
<光学異方性層形成用組成物1の調製>
下記組成の光学異方性層形成用組成物1を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
光学異方性層形成用組成物1
―――――――――――――――――――――――――――――――――
・下記逆分散液晶化合物R1 42.00質量部
・下記逆分散液晶化合物R2 42.00質量部
・下記多官能重合性化合物T1 4.00質量部
・下記重合性化合物A1 12.00質量部
・下記重合開始剤S1 0.50質量部
・下記レベリング剤P1 0.15質量部
・ハイソルブMTEM(東邦化学工業社製) 2.00質量部
・NKエステルA−200(新中村化学工業社製) 1.00質量部
・メチルエチルケトン 424.8質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
なお、下記逆分散液晶化合物R1およびR2のアクリロイルオキシ基に隣接する基は、プロピレン基(メチル基がエチレン基に置換した基)を表し、下記逆分散液晶化合物R1およびR2は、メチル基の位置が異なる位置異性体の混合物を表す。
逆分散液晶化合物R1(長軸方向の原子数:56)
逆分散液晶化合物R2(長軸方向の原子数:56)
多官能重合性化合物T1
重合性化合物A1
重合開始剤S1
レベリング剤P1
<第1光学異方性層1の作製>
保護フィルム2の片側の面に、先に調製した光配向膜用組成物1をバーコーターで塗布した。塗布後、120℃のホットプレート上で5分間乾燥して溶剤を除去し、厚さ0.2μmの光異性化組成物層を形成した。得られた光異性化組成物層に対して偏光紫外線を照射(10mJ/cm、超高圧水銀ランプ使用)することで、光配向膜1を形成した。
次いで、光配向膜1上に、先に調製した光学異方性層形成用組成物1をバーコーターで塗布し、組成物層を形成した。形成した組成物層をホットプレート上でいったん110℃まで加熱した後、60℃に冷却させて配向を安定化させた。その後、得られたフィルムを、60℃に保ち、窒素雰囲気下(酸素濃度100ppm)で紫外線照射(500mJ/cm、超高圧水銀ランプ使用)によって配向を固定化し、厚さ2μmの第1光学異方性層1を作製した。
得られた第1光学異方性層1の面内レターデーションRe1(550)は130nmであり、Re1(450)/Re1(550)は0.85であった。
〔第2光学異方性層1の作製〕
第1光学異方性層1の塗布側の面を放電量150W・min/mでコロナ処理を行い、コロナ処理を行った面に以下の組成で調製した光学異方性層形成用組成物2をワイヤーバーで塗布した。
次いで、組成物の溶剤の乾燥および液晶化合物の配向熟成のために、70℃の温風で90秒加熱した。窒素パージ下、酸素濃度0.1%で40℃にて紫外線照射(300mJ/cm)を行い、液晶化合物の配向を固定化し、第1光学異方性層1上に第2光学異方性層1を作製した。
得られた第2光学異方性層1の厚み方向のレターデーションRth2(550)は−100nmであり、Rth2(450)/Rth2(550)は0.95であった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
光学異方性層形成用組成物2
―――――――――――――――――――――――――――――――――
・上記逆分散液晶化合物R1 10.0質量部
・上記逆分散液晶化合物R2 54.0質量部
・下記液晶化合物R3 28.0質量部
・上記重合性化合物A1 8.0質量部
・下記化合物B1 1.5質量部
・下記単量体K1 8.0質量部
・下記重合開始剤S2 5.0質量部
・下記重合開始剤S3 2.0質量部
・下記界面活性剤P2 0.4質量部
・下記界面活性剤P3 0.5質量部
・アセトン 175.0質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 75.0質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
液晶化合物R3
下記液晶化合物(RA)(RB)(RC)の83:15:2(質量比)の混合物
化合物B1
単量体K1:A−600(新中村化学工業社製)
重合開始剤S2
重合開始剤S3
界面活性剤P2(重量平均分子量:15000,構造式中の数値:質量%)
界面活性剤P3(重量平均分子量:11,200)
〔第1偏光板の作製〕
作製した第1光学異方性層1と第2光学異方性層1との積層体の第2光学異方性層1側の面を、作製した片面保護膜付偏光板1の偏光子面と、偏光子の吸収軸と光学異方性層の遅相軸が平行な方向になるように接着剤を用いて貼り合わせた。
第1光学異方性層1の保護フィルム2を剥離し、実施例1の第1偏光板を作製した。
接着剤としては、PVA((株)クラレ製、PVA−117H)3%水溶液を用いた。このとき、偏光子と光学補償層は、実用上十分な接着性であった。
〔保護フィルム3の作製〕
<PMMA(ポリメタクリル酸メチル)ドープの調製>
下記のドープ組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して、各成分を溶解し、PMMAドープを調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――
PMMAドープ
―――――――――――――――――――――――――――――――
・PMMA樹脂 100質量部
・スミライザーGS(住友化学社製) 0.1質量部
・ジクロロメタン 426質量部
・メタノール 64質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――
<PMMAフィルムの作製>
調製したPMMAドープをステンレス製のバンド(流延支持体)に流延ダイから均一に流延した(バンド流延機)。流延膜中の溶剤含有率略20質量%の状態でフィルムを剥ぎ取り、フィルムの幅方向の両端をテンタークリップで固定し、横方向に延伸倍率1.1倍で延伸しつつ乾燥した。その後、得られたフィルムを熱処理装置のロール間を搬送することにより、さらに乾燥し、膜厚20μmのPMMAフィルムを作製し、保護フィルム3とした。
〔第2偏光板の作製〕
<接着剤液の調製>
下記化合物を記載の比率で混合し、接着剤液Aを作製した。
アロニックスM−220(東亜合成株式会社製):20質量部
4−ヒドロキシブチルアクリレート(日本化成株式会社製):40質量部
アクリル酸−2−エチルヘキシル(三菱化学株式会社製):40質量部
Irgacure907(BASF製):1.5質量部
KAYACURE DETX−S(日本化薬株式会社製):0.5質量部
保護フィルム3の偏光子貼合面を放電量150W・min/mでコロナ処理してから、接着剤液Aを、膜厚0.5μmになるように塗設した。その後、接着剤塗布面を片面保護膜付偏光板2の偏光子面と貼り合わせ、大気雰囲気下40℃にて保護フィルム3の基材側から紫外線を300mJ/cm照射した。その後、60℃で3分間乾燥し、実施例1の第2偏光板を作製した。
〔液晶表示装置の作製〕
市販の液晶表示装置(iPad(登録商標)、Apple社製)(FFSモードの液晶セルを含む液晶表示装置)からの表裏の偏光板を剥がして、上記作製した第1光学異方性層および第2光学異方性層を含む第1偏光板を視認側に、第2偏光板をバックライト側に、それぞれの偏光板中の偏光子の吸収軸が互いに直交するように、かつ、液晶セル内の液晶の配向方向が第1偏光板中の偏光子の吸収軸と直交するように20μmのアクリル系粘着剤で貼り合わせ、実施例1の液晶表示装置を作製した。
なお、液晶表示装置中の液晶セルには、第1偏光板側の基板にカラーフィルター層、および第2偏光板側の基板にTFT層が含まれており、それぞれのRth(550)は10nmおよび2nmであった。また、液晶セル内の液晶化合物のΔn・dは340であり、液晶化合物の基板面とのチルト角は0.1°であった。
〔評価〕
<コントラスト>
評価の基準とするため、ポジティブAプレートおよびポジティブCプレートを貼り合わせない偏光板0を直接液晶表示装置に貼合した。
白表示におけるパネルに対して垂直方向からの輝度(Yw)及び黒表示におけるパネルに対して垂直方向からの輝度(Yb)を市販の液晶視野角、色度特性測定装置Ezcontrast(ELDIM社製)を用いて測定し、パネルに対して垂直方向のコントラスト比(Yw/Yb)を算出し、正面コントラストとし、以下の基準で評価した。結果を下記表7に示す。
A:正面コントラストが偏光板0に対して95%以上
B:正面コントラストが偏光板0に対して85%以上95%未満
C:正面コントラストが偏光板0に対して75%以上85%未満
D:正面コントラストが偏光板0に対して75%未満
<耐久性>
液晶表示装置に貼合された偏光板の上に、さらに粘着材を用いてガラスを貼合し、85℃で500時間経過させた後、下記斜め色変化を評価した。
(斜め色変化)
暗室内で液晶表示装置の黒表示時に測定機(EZ−Contrast XL88、ELDIM社製)を用いて色度を計測した。具体的には極角60°における方位角0°から345°まで15°刻みで色度u’、v’を算出し、高温に曝していない同様のサンプルのu’(F)、v’(F)から以下の式で各方位角での色変化Δu’v’を算出する。
Δu’v’=√((u’−u’(F))2+(v’−v’(F))2)
各方位角の中でΔu’v’が最も大きい値をΔu’v’maxと定義し色味変化を判定した。結果を表7に示す。
AA:Δu’v’<0.10
A:0.10≦Δu’v’<0.15
B:0.15≦Δu’v’<0.2
C:0.2≦Δu’v’
[実施例2]
第1光学異方性層に下記光学異方性層形成用組成物3を使用した以外は実施例1と同様の手順で実施例2の液晶表示装置を作製し、実施例1と同様の方法で評価を行った。結果を下記表7に示す。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
光学異方性層形成用組成物3
―――――――――――――――――――――――――――――――――
・上記逆分散液晶化合物R1 42.00質量部
・上記逆分散液晶化合物R2 42.00質量部
・下記多官能重合性化合物T2 4.00質量部
・上記重合性化合物A1 12.00質量部
・上記重合開始剤S1 0.50質量部
・上記レベリング剤P1 0.15質量部
・ハイソルブMTEM(東邦化学工業社製) 2.00質量部
・NKエステルA−200(新中村化学工業社製) 1.00質量部
・メチルエチルケトン 424.8質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
多官能重合性化合物T2
[実施例3]
第1光学異方性層に下記光学異方性層形成用組成物4を使用した以外は実施例1と同様の手順で、実施例3の液晶表示装置を作製し、実施例1と同様の方法で評価を行った。結果を下記表7に示す。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
光学異方性層形成用組成物4
―――――――――――――――――――――――――――――――――
・上記逆分散液晶化合物R1 42.00質量部
・上記逆分散液晶化合物R2 42.00質量部
・下記多官能重合性化合物T3 4.00質量部
・上記重合性化合物A1 12.00質量部
・上記重合開始剤S1 0.50質量部
・上記レベリング剤P1 0.15質量部
・ハイソルブMTEM(東邦化学工業社製) 2.00質量部
・NKエステルA−200(新中村化学工業社製) 1.00質量部
・メチルエチルケトン 424.8質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
多官能重合性化合物T3
[実施例4]
第2光学異方性層に下記光学異方性層形成用組成物5を使用した以外は実施例1と同様の手順で、実施例4の液晶表示装置を作製し、実施例1と同様の方法で評価を行った。結果を下記表7に示す。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
光学異方性層形成用組成物5
―――――――――――――――――――――――――――――――――
・上記逆分散液晶化合物R1 10.0質量部
・上記逆分散液晶化合物R2 47.0質量部
・下記液晶化合物R4 35.0質量部
・上記多官能重合性化合物T1 8.0質量部
・上記化合物B1 4.5質量部
・上記単量体K1 10.0質量部
・下記重合性化合物C1 5.0質量部
・上記重合開始剤S1 1.5質量部
・上記界面活性剤P2 0.4質量部
・上記界面活性剤P3 0.5質量部
・アセトン 175.0質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 75.0質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
液晶化合物R4:下記式で表される液晶化合物(Paliocolor LC−242、BASF社製)
重合性化合物C1
[比較例1]
第1光学異方性層に光学異方性層形成用組成物5を使用した以外は実施例1と同様の手順で、比較例1の液晶表示装置を作製し、実施例1と同様の方法で評価を行った。結果を下記表7に示す。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
光学異方性層形成用組成物5
―――――――――――――――――――――――――――――――――
・上記逆分散液晶化合物R1 42.00質量部
・上記逆分散液晶化合物R2 42.00質量部
・下記多官能重合性化合物T5〔NKエステルA−TMMT
(新中村化学工業社製)〕 4.00質量部
・上記重合性化合物A1 12.00質量部
・上記重合開始剤S1 0.50質量部
・上記レベリング剤P1 0.15質量部
・ハイソルブMTEM(東邦化学工業社製) 2.00質量部
・NKエステルA−200(新中村化学工業社製) 1.00質量部
・メチルエチルケトン 424.8質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
多官能重合性化合物T5
[比較例2]
第1光学異方性層に光学異方性層形成用組成物6を使用した以外は実施例1と同様の手順で、比較例2の液晶表示装置を作製し、実施例1と同様の方法で評価を行った。結果を下記表7に示す。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
光学異方性層形成用組成物6
―――――――――――――――――――――――――――――――――
・上記逆分散液晶化合物R1 42.00質量部
・上記逆分散液晶化合物R2 42.00質量部
・上記重合性化合物A1 16.00質量部
・上記重合開始剤S1 0.50質量部
・上記レベリング剤P1 0.15質量部
・ハイソルブMTEM(東邦化学工業社製) 2.00質量部
・NKエステルA−200(新中村化学工業社製) 1.00質量部
・メチルエチルケトン 424.8質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
上記表7に示す結果から、第1光学異方性層1を形成する重合性液晶組成物として、多官能重合性化合物を配合しない場合は、耐久性が劣ることが分かった(比較例2)。
また、多官能重合性化合物を配合する場合であっても、逆分散液晶化合物1分子と多官能重合性化合物1分子との体積比(多官能重合性化合物の体積/逆分散液晶化合物の体積)が0.4〜1.2の範囲外であると、耐久性は改善するものの、コントラストが劣ることが分かった(比較例1)。
これに対し、逆分散液晶化合物1分子と多官能重合性化合物1分子との体積比(多官能重合性化合物の体積/逆分散液晶化合物の体積)が0.4〜1.2の範囲内となるように多官能重合性化合物を配合した場合、または、長軸方向の原子数が20〜84となる多官能重合性化合物を配合した場合は、コントラストおよび耐久性がいずれも良好となることが分かった(実施例1〜4)。
また、実施例1〜4の対比から、逆分散液晶化合物1分子と多官能重合性化合物1分子との体積比(多官能重合性化合物の体積/逆分散液晶化合物の体積)が0.7〜1.2の範囲であると、耐久性がより良好となることが分かった。
更に、実施例1と実施例4との対比から、第1光学異方性層1および第2光学異方性層1を形成する重合性液晶組成物に含まれる、逆分散液晶化合物1分子と多官能重合性化合物1分子との体積比(多官能重合性化合物の体積/逆分散液晶化合物の体積)が、いずれも0.4〜1.2の範囲内である場合、または、第1光学異方性層1および第2光学異方性層1を形成する重合性液晶組成物に、長軸方向の原子数が20〜84となる多官能重合性化合物をいずれも配合した場合は、耐久性が更に良好となることが分かった。
10 光学フィルム
12 光学異方性層
14 配向膜
16 支持体
18 ハードコート層

Claims (14)

  1. 逆波長分散性を有する液晶化合物と、重合性基を4個以上有する重合性化合物とを含有し、
    分子動力学計算により算出した、前記液晶化合物1分子と前記重合性化合物1分子との体積比が、0.4〜1.2であり、
    前記重合性化合物の含有量が、前記液晶化合物100質量部に対して1〜50質量部である、重合性液晶組成物。
  2. 分子動力学計算により算出した、前記液晶化合物1分子と前記重合性化合物1分子との体積比が、0.7〜1.2である、請求項1に記載の重合性液晶組成物。
  3. 逆波長分散性を有する液晶化合物と、重合性基を4個以上有する重合性化合物とを含有し、
    前記重合性化合物の長軸方向の原子数が20〜84であり、
    前記重合性化合物の含有量が、前記液晶化合物100質量部に対して1〜50質量部である、重合性液晶組成物。
  4. 前記液晶化合物の長軸方向の原子数が20〜84である、請求項3に記載の重合性液晶組成物。
  5. 前記液晶化合物の長軸方向の原子数と、前記重合性化合物の長軸方向の原子数との比が、0.4〜1.5である、請求項3または4に記載の重合性液晶組成物。
  6. 前記重合性化合物が、環構造を2個以上有する化合物である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の重合性液晶組成物。
  7. 前記液晶化合物が、下記式(I)で表される化合物である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の重合性液晶組成物。
    −SP−D−(Aa1−D−(Gg1−D−Ar−D−(Gg2−D−(Aa2−D−SP−L ・・・(I)
    ここで、前記式(I)中、
    a1、a2、g1およびg2は、それぞれ独立に、0または1を表す。ただし、a1およびg1の少なくとも一方は1を表し、a2およびg2の少なくとも一方は1を表す。
    、D、D、D、DおよびDは、それぞれ独立に、単結合、または、−CO−、−O−、−S−、−C(=S)−、−CR−、−CR=CR−、−NR−、もしくは、これらの2つ以上の組み合わせからなる2価の連結基を表し、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、または、炭素数1〜12のアルキル基を表す。
    およびGは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数6〜20の芳香環、または、置換基を有していてもよい炭素数5〜20の2価の脂環式炭化水素基を表し、前記脂環式炭化水素基を構成する−CH−の1個以上が−O−、−S−または−NH−で置換されていてもよい。
    およびAは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数6〜20の芳香環、または、置換基を有していてもよい炭素数5〜20の2価の脂環式炭化水素基を表し、前記脂環式炭化水素基を構成する−CH−の1個以上が−O−、−S−または−NH−で置換されていてもよい。
    SPおよびSPは、それぞれ独立に、単結合、炭素数1〜12の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基、または、炭素数1〜12の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基を構成する−CH−の1個以上が−O−、−S−、−NH−、−N(Q)−、もしくは、−CO−に置換された2価の連結基を表し、Qは、置換基を表す。
    およびLは、それぞれ独立に1価の有機基を表し、LおよびLの少なくとも一方は重合性基を表す。ただし、Arが、下記式(Ar−3)で表される芳香環である場合は、LおよびLならびに下記式(Ar−3)中のLおよびLの少なくとも1つが重合性基を表す。
    Arは、下記式(Ar−1)〜(Ar−6)で表される基からなる群から選択されるいずれかの芳香環を表す。
    ここで、前記式(Ar−1)〜(Ar−5)中、
    *は、DまたはDとの結合位置を表す。
    は、NまたはCHを表す。
    は、−S−、−O−、または、−N(R)−を表し、Rは、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。
    は、置換基を有してもよい炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、置換基を有してもよい炭素数3〜12の芳香族複素環基、または、置換基を有してもよい炭素数6〜20の脂環式炭化水素基を表し、前記脂環式炭化水素基を構成する−CH−の1個以上が−O−、−S−または−NH−で置換されていてもよい。
    、ZおよびZは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20の1価の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基、炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基、炭素数6〜20の1価の芳香族複素環基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、−OR、−NR、−SR10、−COOR11、または、−COR12を表し、R〜R12は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表し、ZおよびZは、互いに結合して芳香環を形成してもよい。
    およびAは、それぞれ独立に、−O−、−N(R13)−、−S−、および、−CO−からなる群から選択される基を表し、R13は、水素原子または置換基を表す。
    Xは、水素原子または置換基が結合していてもよい第14〜16族の非金属原子を表す。
    およびDは、それぞれ独立に、単結合、または、−CO−、−O−、−S−、−C(=S)−、−CR−、−CR=CR−、−NR−、もしくは、これらの2つ以上の組み合わせからなる2価の連結基を表し、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、または、炭素数1〜12のアルキル基を表す。
    SPおよびSPは、それぞれ独立に、単結合、炭素数1〜12の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基、または、炭素数1〜12の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基を構成する−CH−の1個以上が−O−、−S−、−NH−、−N(Q)−、もしくは、−CO−に置換された2価の連結基を表し、Qは、置換基を表す。
    およびLは、それぞれ独立に1価の有機基を表し、LおよびLならびに前記式(I)中のLおよびLの少なくとも1つが重合性基を表す。
    Axは、芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも1つの芳香環を有する、炭素数2〜30の有機基を表す。
    Ayは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、または、芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群から選択される少なくとも1つの芳香環を有する、炭素数2〜30の有機基を表す。
    AxおよびAyにおける芳香環は、置換基を有していてもよく、AxとAyとが結合して環を形成していてもよい。
    は、水素原子、または、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基を表す。
  8. 前記液晶化合物が、スメクチック相の液晶状態を示す化合物である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の重合性液晶組成物。
  9. 前記重合性化合物が、下記式(II)で表される化合物である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の重合性液晶組成物。
    n1−SP−(D−Aa3−D10−SP−L n2 ・・・(II)
    ここで、前記式(II)中、
    a3は、2以上の整数を表し、複数のDは、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、複数のAは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
    n1およびn2は、それぞれ独立に、1または2を表す。n1が2である場合、複数のLは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。n2が2である場合、複数のLは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
    およびLは、それぞれ独立に、1価の有機基を表す。
    SPおよびSPは、それぞれ独立に、単結合、炭素数1〜12の直鎖状もしくは分岐状の連結基、または、炭素数1〜12の直鎖状もしくは分岐状の連結基を構成する−CH−の1個以上が−O−、−S−、−NH−、−N(Q)−、もしくは、−CO−に置換された連結基を表し、Qは、置換基を表す。
    およびD10は、それぞれ独立に、単結合、または、−CO−、−O−、−S−、−C(=S)−、−CR−、−CR=CR−、−NR−、もしくは、これらの2つ以上の組み合わせからなる2価の連結基を表し、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、または、炭素数1〜12のアルキル基を表す。
    は、それぞれ独立に、置換基Xを有していてもよい炭素数6〜20の芳香環、または、置換基Xを有していてもよい炭素数5〜20の2価の脂環式炭化水素基を表し、前記脂環式炭化水素基を構成する−CH−の1個以上が−O−、−S−または−NR−で置換されていてもよく、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基を表す。
    置換基Xは、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、カルボキシル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、または、−D11−SP−Lを表す。
    11は、それぞれ独立に、単結合、または、−CO−、−O−、−S−、−C(=S)−、−CR−、−CR=CR−、−NR−、もしくは、これらの2つ以上の組み合わせからなる2価の連結基を表し、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、または、炭素数1〜12のアルキル基を表す。
    SPは、単結合、炭素数1〜12の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基、または、炭素数1〜12の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基を構成する−CH−の1個以上が−O−、−S−、−NH−、−N(Q)−、もしくは、−CO−に置換された2価の連結基を表し、Qは、置換基を表す。
    は、1価の有機基を表す。
    ただし、L、LおよびLが示す1価の有機基は、合計して4個以上が重合性基を表す。
  10. 前記重合性化合物が有する重合性基が、下記式(P−1)〜(P−9)のいずれかで表される重合性基である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の重合性液晶組成物。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の重合性液晶組成物を硬化してなる、硬化物。
  12. 請求項11に記載の硬化物を有する、光学フィルム。
  13. 請求項12に記載の光学フィルムと、偏光子とを有する、偏光板。
  14. 請求項12に記載の光学フィルム、または、請求項13に記載の偏光板を有する、画像表示装置。
JP2019130378A 2019-06-19 2019-07-12 重合性液晶組成物、硬化物、光学フィルム、偏光板および画像表示装置 Pending JP2021002021A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019113867 2019-06-19
JP2019113867 2019-06-19

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2021002021A true JP2021002021A (ja) 2021-01-07

Family

ID=73993976

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019130378A Pending JP2021002021A (ja) 2019-06-19 2019-07-12 重合性液晶組成物、硬化物、光学フィルム、偏光板および画像表示装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2021002021A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021054909A (ja) * 2019-09-27 2021-04-08 富士フイルム株式会社 液晶組成物、光学異方性層、光学フィルム、偏光板および画像表示装置
WO2024070463A1 (ja) * 2022-09-29 2024-04-04 富士フイルム株式会社 ポリマー、組成物

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021054909A (ja) * 2019-09-27 2021-04-08 富士フイルム株式会社 液晶組成物、光学異方性層、光学フィルム、偏光板および画像表示装置
JP7182533B2 (ja) 2019-09-27 2022-12-02 富士フイルム株式会社 液晶組成物、光学異方性層、光学フィルム、偏光板および画像表示装置
WO2024070463A1 (ja) * 2022-09-29 2024-04-04 富士フイルム株式会社 ポリマー、組成物

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2021060432A1 (ja) 液晶組成物、光学異方性層、光学フィルム、偏光板および画像表示装置
JP6754845B2 (ja) 重合性液晶組成物、光学異方性膜、光学フィルム、偏光板、画像表示装置および有機エレクトロルミネッセンス表示装置
JP7182533B2 (ja) 液晶組成物、光学異方性層、光学フィルム、偏光板および画像表示装置
WO2021060427A1 (ja) 重合性液晶組成物、硬化物、光学フィルム、偏光板および画像表示装置
JP6961786B2 (ja) 光学異方性膜、光学フィルム、偏光板および画像表示装置
WO2021060424A1 (ja) 光学異方性層、光学フィルム、偏光板および画像表示装置
WO2021060437A1 (ja) 光学異方性層、光学フィルム、偏光板および画像表示装置
WO2019167926A1 (ja) 積層体、有機電界発光装置、液晶表示装置
JPWO2020022422A1 (ja) 重合性液晶組成物、光学異方性膜、光学フィルム、偏光板および画像表示装置
JPWO2017150613A1 (ja) 光学フィルム、偏光板および画像表示装置
WO2021060448A1 (ja) 光学異方性層、光学フィルム、偏光板、画像表示装置
JP6970828B2 (ja) 液晶組成物、光学異方性膜、光学フィルム、偏光板および画像表示装置
WO2018101207A1 (ja) 重合性液晶組成物、光学異方性膜、光学フィルム、偏光板、画像表示装置および有機エレクトロルミネッセンス表示装置
JP2021002021A (ja) 重合性液晶組成物、硬化物、光学フィルム、偏光板および画像表示装置
JPWO2020145297A1 (ja) 偏光板、液晶表示装置、有機電界発光装置
WO2021193825A1 (ja) 光学異方性層、光学フィルム、偏光板および画像表示装置
JP7033043B2 (ja) 光学積層体、液晶表示装置および有機電界発光装置
WO2019163878A1 (ja) 重合性液晶組成物、光学異方性膜、光学フィルム、偏光板および画像表示装置
JP7355835B2 (ja) 重合性液晶組成物、光学異方性層、光学フィルム、偏光板および画像表示装置
JP7158486B2 (ja) 位相差フィルム、位相差フィルムの製造方法、偏光板および液晶表示装置
WO2021193538A1 (ja) 重合性液晶組成物、光学異方性層、光学フィルム、偏光板および画像表示装置
JP6910527B2 (ja) 重合性液晶組成物、光学異方性膜、光学フィルム、偏光板および画像表示装置
WO2020054459A1 (ja) 重合性液晶組成物、光学異方性層、偏光板、液晶表示装置および有機電界発光装置
JP2020052208A (ja) 光学フィルム、偏光板および画像表示装置
JP2020143205A (ja) 重合性液晶組成物、光学異方性膜、光学フィルム、偏光板および画像表示装置