JP2021001130A - 血管老化抑制用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】新規な血管老化抑制用組成物の提供。【解決手段】キサントフモール、L−スルフォラファン、4−メチルウンベリフェロン、マグノロール、ホノキオール、タンシノンI、クリプトタンシノン、タンシノンIIA、ウルソール酸、カルノシン酸、及びオロト酸からなる群より選択される1種以上を含む、血管老化抑制用組成物。【選択図】なし

Description

本開示は、血管老化抑制用組成物等に関する。
血管内皮は血管の最内層に存在しており、血液成分などの血管透過性、血管の収縮や弛緩反応、凝固線溶系に関与することによる血液凝固性の調節、血小板機能の制御等、様々な機能を有している。これらの機能は、血管内皮細胞が様々な生理活性因子を産生することと深く関与している。
サーチュインは、カロリー制限による細胞老化の抑制、寿命の延長などに関与することが知られており、サーチュインファミリーの中でも最も研究の進んでいるSirt1は、細胞死抑制、ストレス耐性、代謝調節、抗炎症、がんや細胞分化、細胞移動、うつ病、神経変性疾患、糖尿病など、多岐にわたる生命現象に関与していることが知られている。
血管内皮細胞において、Sirt1を阻害すると細胞老化が誘導され、過剰発現すると酸化ストレスによる細胞老化誘導を回避できることが知られている(非特許文献1)。また、Sirt1は、血管内皮型一酸化窒素産生酵素(eNOS)と直接結合し、その活性を上昇させ、NO産生の増加をもたらし、血管を拡張することも知られている。
Sirt1 modulates premature senescence-like phenotype in human endothelial cells., J. Mol. Cell Cardiol., 43, 571-579 (2007)
新規な血管老化抑制用組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、特定の成分がサーチュイン(Sirt1)の発現を亢進する作用を有することを見出し、さらに改良を重ねた。
本開示は、例えば以下の項に記載の主題を包含する。
項1.
キサントフモール、L−スルフォラファン、4−メチルウンベリフェロン、マグノロール、ホノキオール、タンシノンI、クリプトタンシノン、タンシノンIIA、ウルソール酸、カルノシン酸、及びオロト酸からなる群より選択される1種以上を含む、血管老化抑制用組成物。
項2.
キサントフモール、L−スルフォラファン、4−メチルウンベリフェロン、マグノロール、ホノキオール、タンシノンI、クリプトタンシノン、タンシノンIIA、ウルソール酸、カルノシン酸、及びオロト酸からなる群より選択される1種以上を含む、抗酸化ストレス用、又は抗炎症用組成物。
項3.
キサントフモール、L−スルフォラファン、4−メチルウンベリフェロン、マグノロール、ホノキオール、タンシノンI、クリプトタンシノン、タンシノンIIA、ウルソール酸、カルノシン酸、及びオロト酸からなる群より選択される1種以上を含む、活性酸素抑制用組成物。
項4.
キサントフモール、L−スルフォラファン、4−メチルウンベリフェロン、マグノロール、ホノキオール、タンシノンI、クリプトタンシノン、タンシノンIIA、ウルソール酸、カルノシン酸、及びオロト酸からなる群より選択される1種以上を含む、サーチュイン活性化用組成物。
項5.
経口組成物である、項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
項6.
食品組成物又は医薬組成物である、項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
本開示によれば、血管老化抑制用組成物を得ることができる。また本開示によれば、一実施形態において、抗酸化ストレス用組成物を得ることができる。また本開示によれば、一実施形態において、抗炎症用組成物を得ることができる。また本開示によれば、一実施形態において、活性酸素抑制用組成物を得ることができる。また本開示によれば、一実施形態において、サーチュイン活性化用組成物を得ることができる。
キサントフモール処理の有無が及ぼす、過酸化水素によって誘導される活性酸素の産生への影響を比較した結果を示す。 キサントフモール処理の有無が及ぼす、過酸化水素によって誘導される老化マーカーの発現への影響を比較した結果を示す。 キサントフモール処理の有無が及ぼす、E.coli LPSによって誘導されるCCL2の発現を示す。 キサントフモール処理の有無が及ぼす、E.coli LPSによって誘導されるICAM−1の発現を示す。
以下、本開示に包含される各実施形態について、さらに詳細に説明する。
本開示は、キサントフモール、L−スルフォラファン、4−メチルウンベリフェロン、マグノロール、ホノキオール、タンシノンI、クリプトタンシノン、タンシノンIIA、ウルソール酸、カルノシン酸、及びオロト酸からなる群より選択される1種以上を含む組成物を包含する。以下、当該組成物を、「本開示の組成物」と表記することがある。本開示の組成物は、血管老化抑制用、抗酸化ストレス用、抗炎症用、活性酸素抑制用、又はサーチュイン活性化用に好ましく用いることができる。
キサントフモールは、天然物であっても合成物であってもよく、天然物から精製したものや商業的に入手可能なものなど、特に限定されない。キサントフモールを含む天然物としては、例えばホップなどが挙げられる。また、キサントフモールとしては、キサントフモールを含有する限り、例えばホップ抽出物などを用いることができる。
L−スルフォラファンは、天然物であっても合成物であってもよく、天然物から精製したものや商業的に入手可能なものなど、特に限定されない。L−スルフォラファンを含む天然物としては、例えばブロッコリーなどが挙げられる。また、L−スルフォラファンとしては、L−スルフォラファンを含有する限り、例えばブロッコリー抽出物などを用いることができる。
4−メチルウンベリフェロンは、天然物であっても合成物であってもよく、天然物から精製したものや商業的に入手可能なものなど、特に限定されない。4−メチルウンベリフェロンを含む天然物としては、例えばブロッコリーなどのアブラナ科植物などが挙げられる。また、4−メチルウンベリフェロンとしては、4−メチルウンベリフェロンを含有する限り、例えばブロッコリー抽出物などを用いることができる。
マグノロールは、天然物であっても合成物であってもよく、天然物から精製したものや商業的に入手可能なものなど、特に限定されない。マグノールを含む天然物としては、例えばホオノキなどが挙げられる。また、マグノールとしては、マグノールを含有する限り、例えばホオノキ抽出物などを用いることができる。
ホノキオールは、天然物であっても合成物であってもよく、天然物から精製したものや商業的に入手可能なものなど、特に限定されない。ホノキオールを含む天然物としては、例えばホオノキなどが挙げられる。また、ホノキオールとしては、ホノキオールを含有する限り、例えばホオノキ抽出物などを用いることができる
タンシノンIは、天然物であっても合成物であってもよく、天然物から精製したものや商業的に入手可能なものなど、特に限定されない。タンシノンIを含む天然物としては、例えば丹参などが挙げられる。また、タンシノンIとしては、タンシノンIを含有する限り、例えば丹参抽出物などを用いることができる。
クリプトタンシノンは、天然物であっても合成物であってもよく、天然物から精製したものや商業的に入手可能なものなど、特に限定されない。クリプトタンシノンを含む天然物としては、例えば丹参などが挙げられる。また、クリプトタンシノンとしては、クリプトタンシノンを含有する限り、例えば丹参抽出物などを用いることができる。
タンシノンIIAは、天然物であっても合成物であってもよく、天然物から精製したものや商業的に入手可能なものなど、特に限定されない。タンシノンIIAを含む天然物としては、例えば丹参などが挙げられる。また、タンシノンIIAとしては、タンシノンIIAを含有する限り、例えば丹参抽出物などを用いることができる。
ウルソール酸は、天然物であっても合成物であってもよく、天然物から精製したものや商業的に入手可能なものなど、特に限定されない。ウルソール酸を含む天然物としては、例えばリンゴ、バジル、ベリー、ミントなどが挙げられる。また、ウルソール酸としては、ウルソールを含有する限り、例えばリンゴ抽出物、バジル抽出物、ベリー抽出物、ミント抽出物などを用いることができる。
カルノシン酸は、天然物であっても合成物であってもよく、天然物から精製したものや商業的に入手可能なものなど、特に限定されない。カルノシン酸を含む天然物としては、例えばローズマリー、セージなどが挙げられる。また、カルノシン酸としては、カルノシン酸を含有する限り、例えばローズマリー抽出物、セージ抽出物などを用いることができる。
オロト酸は、天然物であっても合成物であってもよく、天然物から精製したものや商業的に入手可能なものなど、特に限定されない。オロト酸を含む天然物としては、例えば牛乳、乳清などが挙げられる。また、オロト酸としては、オロト酸を含有する限り、例えば牛乳、乳清などを用いることができる。
本開示の組成物におけるキサントフモール、L−スルフォラファン、4−メチルウンベリフェロン、マグノロール、ホノキオール、タンシノンI、クリプトタンシノン、タンシノンIIA、ウルソール酸、カルノシン酸、及びオロト酸の総含有量は、例えば、0.001〜95質量%が好ましく、0.01〜90質量%がより好ましく、0.1〜80質量%がさらに好ましい。
本開示の組成物は、経口組成物として利用することができる。経口組成物としては、例えば医薬組成物、食品組成物(飲料組成物及び食品添加物組成物を包含する)などが挙げられる。
本開示の組成物は、上記成分を含み、さらに他の成分を含むことができる。当該他の成分は、当該組成物を用いる分野に応じて適宜選択することができる。例えば、薬学的又は食品衛生学的に許容される担体を用いることができる。
医薬組成物として用いる場合、他の成分としては、薬学的に許容される基剤、担体、及び/又は添加剤(例えば溶剤、分散剤、乳化剤、緩衝剤、安定剤、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤等)等が例示できる。また、医薬組成物の形態も特に制限されず、錠剤、丸剤、散剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤、カプセル剤、クリーム剤、パップ剤等が例示できる。これらの形態の医薬組成物は、必要に応じて当該他の成分とキサントフモール、L−スルフォラファン、4−メチルウンベリフェロン、マグノロール、ホノキオール、タンシノンI、クリプトタンシノン、タンシノンIIA、ウルソール酸、カルノシン酸、又はオロト酸を組み合わせて常法により調製することができる。
食品組成物として用いる場合、他の成分としては、食品衛生学上許容される基剤、担体、添加剤や、その他食品として利用され得る成分・材料などが例示できる。また、食品組成物の形態も特に制限されず、例えば加工食品、健康食品(栄養補助食品、栄養機能食品、病者用食品、特定保健用食品、機能性表示商品等)、サプリメント、病者向け食品(病院食、病人食又は介護食等)等が例示できる。これらは常法により調製することができる。特に、健康食品(栄養補助食品、栄養機能食品、病者用食品、特定保健用食品、機能性表示商品等)、又はサプリメントとして、食品組成物を調製する場合は、継続的な摂取が行いやすいように、例えば顆粒、カプセル、錠剤(チュアブル剤等を含む)、飲料(飲料パウダー、ドリンク剤、スムージー等)等の形態で調製することが好ましく、なかでもカプセル、タブレット、錠剤、飲料パウダー、ドリンク剤、ゼリー、グミの形態が摂取の簡便さの点からは好ましいが、特にこれらに限定されるものではない。なお、食品組成物の中でも食品添加物組成物として用いる場合には、その形態として、例えば液状、粉末状、フレーク状、顆粒状、ペースト状のものが挙げられる。より具体的には、調味料(醤油、ソース、ケチャップ、ドレッシング等)、フレーク(ふりかけ)、焼き肉のたれ、スパイス、ルーペースト(カレールーペースト等)等が例示できる。
本開示の組成物は、キサントフモール、L−スルフォラファン、4−メチルウンベリフェロン、マグノロール、ホノキオール、タンシノンI、クリプトタンシノン、タンシノンIIA、ウルソール酸、カルノシン酸、又はオロト酸を含有することにより、サーチュイン(好ましくは、Sirt1)の発現を亢進することができる。また、一実施形態において、本開示の組成物は、キサントフモール、L−スルフォラファン、4−メチルウンベリフェロン、マグノロール、ホノキオール、タンシノンI、クリプトタンシノン、タンシノンIIA、ウルソール酸、カルノシン酸、又はオロト酸を含有するため、酸化ストレスを抑制することができる。また、一実施形態において、本開示の組成物は、キサントフモール、L−スルフォラファン、4−メチルウンベリフェロン、マグノロール、ホノキオール、タンシノンI、クリプトタンシノン、タンシノンIIA、ウルソール酸、カルノシン酸、又はオロト酸を含有するため、炎症を抑制することができる。また、一実施形態において、本開示の組成物は、キサントフモール、L−スルフォラファン、4−メチルウンベリフェロン、マグノロール、ホノキオール、タンシノンI、クリプトタンシノン、タンシノンIIA、ウルソール酸、カルノシン酸、又はオロト酸を含有するため、活性酸素を抑制することができる。すなわち、本開示の組成物は、キサントフモール、L−スルフォラファン、4−メチルウンベリフェロン、マグノロール、ホノキオール、タンシノンI、クリプトタンシノン、タンシノンIIA、ウルソール酸、カルノシン酸、又はオロト酸を含有するため、血管老化を抑制することができる。
また、好適な一実施形態において、本開示の組成物は、ヘムオキシゲナーゼ−1(HO−1)の発現を亢進することができる。HO−1は、核因子赤血球2関連因子2(Nuclear factor erythroid 2−related factor 2;Nrf2)によって誘導されるヘム代謝の律速酵素であり、血管内皮機能を改善する効果を有することが知られている。すなわち、本開示の組成物は、HO−1の発現を亢進することにより、血管内皮機能を増強することができる。
本開示の組成物は、サーチュインを活性化(サーチュインの発現を亢進)させるために用いることができる。特に、本開示の組成物は、Sirt1を活性化(Sirt1の発現を亢進)させるために用いることができる。また、一実施形態において、本開示の組成物は、酸化ストレスを抑制させるために用いることができる。また、一実施形態において、本開示の組成物は、炎症を抑制させるために用いることができる。また、一実施形態において、本開示の組成物は、活性酸素を抑制させるために用いることができる。また、一実施形態において、本開示の組成物は、血管老化を抑制させるために用いることができる。また、一実施形態において、本開示の組成物は、Sirt1の発現を亢進することができるため、抗細胞老化作用、抗動脈硬化作用、血管拡張作用、糖尿病合併症予防などの作用を発揮することができ、本開示の組成物はこのような作用を目的とした用途に好ましく用いることができる。例えば、本開示の組成物は、抗老化用、抗動脈硬化用、血管拡張用、糖尿病合併症予防などの用途に用いることができる。また、本開示の組成物は、酸化ストレスを抑制することができるため、酸化ストレスの増加に起因する疾患(例えば、癌;高血圧症;動脈硬化症;脂質異常症;上昇高脂血症;血栓症;狭心症、心筋梗塞などの虚血性心疾患;糖尿病;糖尿病合併症;歯周病など)の予防及び/又は治療に好ましく用いることができる。また、本開示の組成物は、炎症を抑制することができるため、血管の炎症に起因する疾患(例えば、高血圧症、動脈硬化症、脂質異常症、上昇高脂血症、血栓症、糖尿病、糖尿病合併症、歯周病など)の予防及び/又は治療に好ましく用いることができる。また、本開示の組成物は、活性酸素を抑制することができるため、活性酸素の増加に起因する疾患(例えば、癌、高血圧症、動脈硬化症、脂質異常症、上昇高脂血症、血栓症、虚血性心疾患、糖尿病、糖尿病合併症、歯周病など)の予防及び/又は治療に好ましく用いることができる。また、本開示の組成物は、血管の老化を抑制することができるため、血管老化に起因する疾患(例えば、動脈硬化症;狭心症、心筋梗塞などの虚血性心疾患;脳出血、脳梗塞などの脳卒中;歯周病など)の予防及び/又は治療に好ましく用いることができる。
本開示の組成物は、その用途、効能、効果、機能、有効成分の種類、機能性成分の種類、摂取方法などに関する記載を表示したものであってもよい。「表示」とは、医薬組成物、健康食品(栄養補助食品、栄養機能食品、病者用食品、特定保健用食品、機能性表示商品等)、サプリメント、病者向け食品(病院食、病人食又は介護食等)等のそれぞれに適した表示を意味する。また、「表示」には、消費者に対して本開示の組成物の用途、効能、効果、機能等を知らせるための全ての表示が含まれる。この表示は、前段落の内容を想起・類推させ得るような表示であればよく、表示の目的、表示の内容、表示する対象物・媒体などに関わらず全ての表示を含み得る。例えば、製品の包装・容器での表示、製品に関する広告・価格表もしくは取引書類への表示およびこれらを展示もしくは頒布すること、またはこれらを電磁気的(インターネットなど)方法により提供すること等が挙げられる。
本開示の組成物が機能性表示食品である場合、例えば、「血管をしなやかに保つのを助ける(サポートする)」、「血管の柔らかさを保つのを助ける(サポートする)」、「血管の柔軟性を保つのを助ける(サポートする)」、「血管の抗酸化力を保つのを助ける(サポートする)」、「血管を若々しく保つのを助ける(サポートする)」、「血管を強くするのを助ける(サポートする)」、「血管力を保つのを助ける(サポートする)」、「血管のしなやかさが気になる方に」、「血管の柔らかさが気になる方に」、「血管の柔軟性が気になる方に」、「血管の抗酸化力が気になる方に」、「血管の若々しさが気になる方に」、「血管力が気になる方に」、「血管年齢が気になる方に」、「血管の老化防止に」、「血のめぐりをスムーズに維持する」、「血のめぐりをスムーズにするのを助ける(サポートする)」、「血流をスムーズにするのを助ける(サポートする)」、「血管本来の力を維持するために」「血管本来の力を引きだすために」、「血管の若返りのために」、「血管機能の維持を助ける(サポートする)」「血管機能の改善を助ける(サポートする)」、「血管内環境を良好にする」「血管内環境の維持を助ける(サポートする)」、「血管内環境の改善を助ける(サポートする)」、「血管の調子を整える」、「血管の調子を維持する」、「血管の調子を助ける(サポートする)」等の表示を付すことができる。なお、上述の例に限定されず、そのような意味と同義である文言を使用することができる。
本開示の組成物は、1回又は複数回(好ましくは2〜3回)に分けて摂取することができる。また、摂取対象としてはヒトが好ましいが、ヒト以外の非ヒト哺乳動物であってもよい。摂取対象としては、例えば、サーチュインの発現量が低いヒト、Sirt1の発現量が低いヒト、血液中の活性酸素量が多いヒト、血管における炎症の抑制を希望するヒト、血管の酸化ストレスの抑制を希望するヒト、酸化ストレスの増加に起因する疾患(例えば、癌;高血圧症;動脈硬化症;脂質異常症;上昇高脂血症;血栓症;狭心症、心筋梗塞などの虚血性心疾患;糖尿病;糖尿病合併症;歯周病など)を有する又は有する疑いがあるヒト、血管の炎症に起因する疾患(例えば、高血圧症、動脈硬化症、脂質異常症、上昇高脂血症、血栓症、糖尿病、糖尿病合併症、歯周病など)を有する又は有する疑いがあるヒト、活性酸素の増加に起因する疾患(例えば、癌、高血圧症、動脈硬化症、脂質異常症、上昇高脂血症、血栓症、虚血性心疾患、糖尿病、糖尿病合併症、歯周病など)を有する又は有する疑いがあるヒト、血管老化に起因する疾患(例えば、動脈硬化症;狭心症、心筋梗塞などの虚血性心疾患;脳出血、脳梗塞などの脳卒中;歯周病など)を有する又は有する疑いがあるヒト、血管老化の抑制を希望するヒトなどが挙げられる。
なお、本明細書において「含む」とは、「本質的にからなる」と、「からなる」をも包含する(The term "comprising" includes "consisting essentially of” and "consisting of.")。また、本開示は、本明細書に説明した構成要件を任意の組み合わせを全て包含する。
また、上述した本開示の各実施形態について説明した各種特性(性質、構造、機能等)は、本開示に包含される主題を特定するにあたり、どのように組み合わせられてもよい。すなわち、本開示には、本明細書に記載される組み合わせ可能な各特性のあらゆる組み合わせからなる主題が全て包含される。
本開示の内容を以下の実施例を用いて具体的に説明する。しかし、本開示はこれらに何ら限定されるものではない。下記において、特に言及する場合を除いて、実験は大気圧及び常温条件下で行っている。また特に言及する場合を除いて、「%」は「質量%」を意味する。
1.遺伝子発現に対する作用
表1に示す各試料をDMSOを溶媒として、濃度が10mMとなるように調製した。得られた調製液2μlを2容量%FBS、および10mM L−グルタミンを含有するMCDB131培地(998μl)に混合し、12ウェルプレートにて培養したヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVECs、三光純薬社製)に添加(最終濃度20μM)し、6時間培養した。対照としては、表1に示す試料を含まないDMSOを用いて同様の処理を行った。
次いで、総RNAをTotal RNA Mini Kit(BIO−RAD社製)を用いて抽出した。1本鎖のcDNAは0.5μgの総RNAよりPrimeScript RT reagent Kit(タカラバイオ社製)を使用して合成した。Sirt1及びHO−1のmRNAの定量分析は、リアルタイムPCRシステム(Applied Biosystems社製)を使用して実施した。また、Premix Ex Taq(タカラバイオ社製)、Assay−on−Demand、及びGene Expression Products(Hs01009005_m1 for Sirt1、Hs01110250_m1 for HO−1、及びHs02387368_g1 for RPS18:Applied Biosystems社製)を定量的リアルタイムPCR分析に使用した。定量データはそれぞれ、Ribosomal protein S18(RPS18)の発現レベルで補正した。対照における各遺伝子の補正後の発現量を1としたときの、表1に示す試料を用いた場合の各遺伝子の発現量(相対値)を遺伝子発現倍率として表1に示す。
キサントフモール、L−スルフォラファン、4−メチルウンベリフェロン、マグノロール、ホノキオール、タンシノンI、クリプトタンシノン、タンシノンIIA、ウルソール酸、カルノシン酸、及びオロト酸は、対照と比較して、Sirt1の遺伝子発現量を1.5倍以上増加させることが分かった。また、キサントフモール、L−スルフォラファン、4−メチルウンベリフェロン、マグノロール、ホノキオール、タンシノンI、クリプトタンシノン、タンシノンIIA、ウルソール酸、カルノシン酸、及びオロト酸は、対照と比較して、HO−1の遺伝子発現量を2倍以上増加させることが分かった。この結果から、キサントフモール、L−スルフォラファン、4−メチルウンベリフェロン、マグノロール、ホノキオール、タンシノンI、クリプトタンシノン、タンシノンIIA、ウルソール酸、カルノシン酸、及びオロト酸は、Sirt1の発現を亢進することによって、優れた血管老化抑制作用などを奏することが考察される。
2.活性酸素(ROS)の観察
10μMのキサントフモール、1容量%FBS、及び2mM L‐グルタミンを含有するMCDB131培地で24時間培養したヒト臍帯静脈内皮細胞を、PBS(−)で洗浄し、500μMの過酸化水素を含有する無血清培地で1時間刺激を行った。刺激後、PBS(−)で洗浄し、CellROX Green(Invitrogen社製)、Hoechst 33342(Invitrogen社製)を添加し、37℃で30分間インキュベートすることによってROS、および核を蛍光染色した。染色後、4重量%パラホルムアルデヒドで細胞を固定化した後、蛍光顕微鏡BZ‐II(キーエンス社製)にて蛍光観察を行った。なお、キサントフモール又は過酸化水素で処理しない細胞を対照とした。図1にキサントフモール及び過酸化水素で処理していない細胞(左上)、過酸化水素のみを処理した細胞(左下)、キサントフモールのみを処理した細胞(右上)、並びにキサントフモール及び過酸化水素で処理した細胞(右下)の観察結果を示す。
キサントフモールは、過酸化水素によって誘導されるROSの産生を抑制することが分かった。この結果から、キサントフモールは、優れた活性酸素の抑制作用などを奏することが分かった。
3.細胞老化の観察
老化細胞では、Senescence β‐Galactosidaseが過剰発現することが知られている。10μMのキサントフモール、1容量%FBS、及び2mM L‐グルタミンを含有するMCDB131培地で24時間培養したヒト臍帯静脈内皮細胞を、PBS(−)で洗浄し、500μMの過酸化水素、1容量%FBS、及び2mM L‐グルタミンを含有するMCDB131培地で24時間刺激を行った。刺激後、PBS(−)で洗浄し、Senescence β‐Galactosidase Staining Kit(Cell Signaling社製)を使用してβ‐Galactosidase染色を行い、顕微鏡観察を行った。なお、キサントフモール又は過酸化水素で処理しない細胞を対照とした。図2にキサントフモール及び過酸化水素で処理していない細胞(左上)、過酸化水素のみを処理した細胞(左下)、キサントフモールのみを処理した細胞(右上)、並びにキサントフモール及び過酸化水素で処理した細胞(右下)の観察結果を示す。
キサントフモールは過酸化水素によって誘導される老化マーカーの発現を抑制することが分かった。この結果から、キサントフモールは、優れた血管老化抑制作用などを奏することが分かった。
4.遺伝子発現に対する作用
10μMのキサントフモール、1容量%FBS、及び2mM L‐グルタミンを含有するMCDB131培地で24時間培養したヒト臍帯静脈内皮細胞を、PBS(−)で洗浄し、100ng/mLのE.coli LPS、1容量%FBS、及び2mM L‐グルタミンを含有するMCDB131培地でさらに6時間培養した。細胞をPBS(−)で洗浄後、RNeasy Mini Kit(Qiagen社製)を使用して総RNAを抽出した。1本鎖のcDNAは0.5μgの総RNAよりPrimeScript RT reagent Kit(タカラバイオ社製)を使用して合成した。CCL2およびICAM−1のmRNAの定量分析はリアルタイムPCRシステム(Applied Biosystems社製)を使用して実施した。Premix Ex Taq(タカラバイオ社製)、Assay−on−Demand,Gene Expression Products(Hs00234140_m1 for CCL2、HS00164932_m1 for ICAM−1:Applied Biosystems社製)を定量的リアルタイムPCR分析に使用した。定量データはそれぞれ、Ribosomal protein S18(RPS18)の発現レベルで補正した。なお、対照として、キサントフモール又はE.coli LPSを含有しない培地で培養した細胞を用いて同様に分析を行った。キサントフモール及びE.coli LPSのいずれも含有しない培地で培養した細胞から抽出したRPS18の発現量に対するCCL2、又はICAM−1の発現量を1としたときの、相対値を図3および図4に示す。
E.coli LPSは炎症性遺伝子である、CCL2やICAM−1の発現を誘導することを確認した。これに対して、キサントフモールは、E.coli LPSによって誘導されるCCL2やICAM−1の遺伝子発現を顕著に抑制することが分かった。この結果から、キサントフモールは、優れた抗炎症作用などを奏することが分かった。

Claims (6)

  1. キサントフモール、L−スルフォラファン、4−メチルウンベリフェロン、マグノロール、ホノキオール、タンシノンI、クリプトタンシノン、タンシノンIIA、ウルソール酸、カルノシン酸、及びオロト酸からなる群より選択される1種以上を含む、血管老化抑制用組成物。
  2. キサントフモール、L−スルフォラファン、4−メチルウンベリフェロン、マグノロール、ホノキオール、タンシノンI、クリプトタンシノン、タンシノンIIA、ウルソール酸、カルノシン酸、及びオロト酸からなる群より選択される1種以上を含む、抗酸化ストレス用、又は抗炎症用組成物。
  3. キサントフモール、L−スルフォラファン、4−メチルウンベリフェロン、マグノロール、ホノキオール、タンシノンI、クリプトタンシノン、タンシノンIIA、ウルソール酸、カルノシン酸、及びオロト酸からなる群より選択される1種以上を含む、活性酸素抑制用組成物。
  4. キサントフモール、L−スルフォラファン、4−メチルウンベリフェロン、マグノロール、ホノキオール、タンシノンI、クリプトタンシノン、タンシノンIIA、ウルソール酸、カルノシン酸、及びオロト酸からなる群より選択される1種以上を含む、サーチュイン活性化用組成物。
  5. 経口組成物である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
  6. 食品組成物又は医薬組成物である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
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