JP2021000067A - 渋柿の発酵組成物、およびその処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 渋柿の脱渋と加熱加工による渋戻り現象を簡易に処理して、渋柿に新たな作用や機能性を付与した渋柿の組成物の生産およびその処理方法を提供することを課題とする。【解決手段】 渋柿、又は、渋柿果皮に麹菌、ペクチン分解酵素、コラーゲンペプチドの3種併合発酵法を用いることにより、抗酸化作用、血糖上昇抑制作用、血圧上昇抑制作用、抗肥満作用を有効成分として含有する、渋みの抜けた渋柿の発酵組成物を生産する。【選択図】図1
Description
本発明は、渋柿の果実、又は果皮を用い、麹菌及びペクチン分解酵素、コラーゲンペプチド等の3種併合発酵による、渋柿の発酵組成物の取得、およびその処理方法に関するものである。
柿果実は栄養価が高く、ビタミンCおよびミネラルが豊富で健康に良いとされ、古くから干し柿や柿酢など加工食品とするため、南は九州地方から東北北部まで全地域で広く栽培され、近年は、人体に有用とされる柿ポリフェノール等の機能性成分に富むことが知られ、柿の果実を処理した新たな機能を有する飲食物を作り出されることが期待されている。
柿の飲食品の加工方法については、例えば[特許文献1、参照]には、干し柿を水に浸漬して膨潤した柿果実を破砕、ペクチン分解酵素を添加して液状化させ、酵母を加えてアルコール醗酵させる柿ワインの製造法が記載されている。又、[特許文献2、参照]では、柿果実をペースト状に破砕して、植物由来の乳酸菌を用いて乳酸発酵させ、柿の抗酸化活性機能を増強させる製造法が記載されている。[特許文献3、参照]では、柿の果実を麹菌で醗酵した処理物にアルコールを接触させて有効成分を抽出する柿果実の製造法が記載されている。[非特許文献1、参照]では、柿果実由来乳酸菌を用いた柿シロップ乳酸発酵飲料が報告されている。
福岡県工業技術センター、研究報告 NO26(2016)
渋柿には可溶性(水溶性)タンニンが含まれ、そのままでは渋く食することができず、一般的にはアルコールや炭酸ガス等を用いて、渋柿に含まれる可溶性タンニンを縮合させる「渋抜き」処理が行われて飲食用に用いられている。
ところが、可溶性タンニンを縮合させ「渋抜き」した柿果実であっても、加熱処理を加えると可溶性タンニンに戻る「渋戻り」現象が生ずるため、安易に加熱加工が出来ない難点があり、渋柿の商品開発の妨げとなっている。
そこで本発明は、加熱処理しても渋戻りせず常温でも長期の保存が可能な、渋柿の柿果実、又は、渋柿の加工時に廃棄処分される柿果皮の新規な処理方法を提供することにある。
本発明は、渋柿の発酵組成物の取得、およびその処理方法にあって、その代表的な工程の概要を説明すれば、次の通りである。
工程1:原料となる渋柿の蔕を除去し洗浄する。工程2:蔕を取った部分にアルコールを塗布し、密封袋入れて冷凍保存する。工程3:解凍、破砕、加水、加熱殺菌する。工程4:麹菌、ペクチン分解酵素、コラーゲンペプチドを併合し培養する。工程5:圧搾採汁する。工程6:加熱処理(酵素失活)する。工程7:製品加工する。
この処理方法によれば、加熱処理による渋戻り現象を抑制し、柿本来の独特の風味を具えた組成物を得ることができる。
アルコールを塗布した渋柿、又は、果皮はそのまま冷凍保存されるので長期の保存が可能で、年間を通じた計画生産が実現出来る。
渋柿の加工処理後に発生する搾汁残渣は、残存する栄養素を活かした飲食品等の副材料として活用することができ、新規な渋柿の利用法を提供することができる。
本発明は、これまで利用されることなく樹上放棄されていた渋柿などが、本願発明により、年間を通じて製造が可能で新規な渋柿の加工食品を得ることができ、何倍、何十倍もの付加価値のある柿加工食品として流通させることができる。よって、その地域の生活に密着した地域資源を活用して、生産者の所得を引き上げ、その地域を活性化することに貢献することができる。
以下、本発明の実施形態を、図面1のフローチャート図に基づいて説明する。ただし、以下の説明は、本質的な例示に過ぎず、本発明の範囲の適用物あるいはその用途を制限するものではない。
工程1:原料となる渋柿は、生の渋柿であればその品種や産地を問わず、規格外の渋柿、又は、干し柿を製造した際に廃棄される果皮であっても良い。
工程2:蔕を取った渋柿、又は、干し柿を製造した際に排出される果皮に含まれる可溶性タンニンを不溶化させる目的からアルコールを塗布し密封袋入れて冷凍保存する。
工程3:凍結状態の前記渋柿、又は、果皮を解凍し、破砕作業時に原料となる渋柿及び果皮に含まれるペクチン等の作用による粘性の高まりを抑制し作業性を容易にするため、渋柿の果実、又は、果皮と同量、又は、適量の水を加え破砕する。得られた破砕物を100℃〜120℃で10分以上加熱殺菌後、品温を50℃〜57℃まで冷却する。
工程4:前記加熱処理した渋柿、又は果皮の処理物に、麹菌、ペクチン分解酵素、コラーゲンペプチドの各々を0.5/重量%〜3/重量%を添加し、50℃〜57℃で4〜12時間、3種併合発酵する。麹菌、ペクチン分解酵素、コラーゲンペプチドの添加量は、渋柿の果実、果皮の蛋白質、ペクチン、水分量によって左右されるが、総じて各々の2/重量%が好ましく、発酵時間も8時間が最も好ましい。
麹菌(アスペルギルス・オリゼ)は、昔から日本酒、味噌、醤油、漬物などの醗酵食品に利用されてきており、微生物の生産するマイコイキシンなどの毒性が含有されないという安全性が証明されている数少ない微生物の一つであり、本発明においては、アスペルギルス・オリゼに属する白麹菌を用いているが、黄麹菌等の何れを用いても良く、活性の高い麹菌であればこれに限定するものではない。
本発明においてのペクチン分解酵素は、ペクチナーゼPL「アマノ」(天野エンザイム株式会社製)の製品を用いているが、渋柿のペクチンを分解する酵素であればこれを限定するものではない。
本発明においてのコラーゲンペプチドは、魚由来のコラーゲンペプチドでニッピペプタイドFCP−G(株式会社ニッピ製)の製品を用いているが、柿の渋戻り現象を抑止する、加水分解コラーゲンであれば良くこれを限定するものではない。
工程5:本発明においての圧搾採汁は、濾布を敷いた油圧圧搾採汁法を用い採汁濾液を静置沈殿させる精製法を採用しているが、必要に応じて遠心分離器などによる粗精製、濾過等による個液分離など行えばよい。本願においては如何なる方法でも良くこれに限定するものではない。
工程6:本発明の酵素発酵処理物に対して加熱処理を行うことがよい。これは、発酵処理物の殺菌及び酵素失活を目的とし、加熱処理は100℃〜120℃で10分以上の条件で行うのが好ましい。
工程7:上述の工程で得られた発酵飲食物は、そのまま飲食料として用いてもよいが、該発酵飲食物を更に濾紙やフィルターを用いた濾過法、遠心分離法、限外ろ過膜法などで精製して柿果汁飲料とすることも可能で、これ等の手法に限定されるものではない。
本発明の渋柿、又は、渋柿果皮に麹菌、ペクチン分解酵素、コラーゲンペプチドの3種併合発酵して得る渋柿の発酵果汁には、図面の図2〜3図の分析結果から、抗酸化作用、血糖上昇抑制作用、血圧上昇抑制作用、抗肥満作用など人体への作用を有する知見をえた。
また、上述で得られた飲食物および搾り滓等は希釈や濃縮、又は、凍結乾燥など施して飲食料品の加工用素材として用いることができる。
Claims (4)
- 渋柿の果実、該果皮を原料に用い、麹菌及びペクチン分解酵素、コラーゲンペプチド等の3種併合発酵によって得られる、渋柿の組成物の生産。
- 前記の麹菌はアスペルギルス属である請求項1に記載の渋柿の組成物の生産。
- 渋柿の果実、該果皮を原料に用い、麹菌及びペクチン分解酵素、コラーゲンペプチド等の3種併合発酵によって得られる渋柿の組成物の生産処理方法。
- 前記記載の渋柿の組成物の生産処理方法で得られる組成物中に、抗酸化作用、血糖上昇抑制作用、血圧上昇抑制作用、抗肥満作用を有効成分として含有する請求項1〜3に記載する、渋柿の飲食物の生産およびその処理方法。
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JP2019127959A JP2021000067A (ja) | 2019-06-21 | 2019-06-21 | 渋柿の発酵組成物、およびその処理方法 |
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JP (1) | JP2021000067A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN115153000A (zh) * | 2022-07-05 | 2022-10-11 | 北京农业职业学院(中国共产党北京市委员会农村工作委员会党校) | 一种柿子酵素制备方法及其产品 |
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2019
- 2019-06-21 JP JP2019127959A patent/JP2021000067A/ja active Pending
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CN115153000A (zh) * | 2022-07-05 | 2022-10-11 | 北京农业职业学院(中国共产党北京市委员会农村工作委员会党校) | 一种柿子酵素制备方法及其产品 |
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