[035] 本発明の実施形態を詳細に記載する前に、本発明の実施形態が実施され得る環境例を提示することが有益である。
[036] 図1は、リソグラフィ装置LAを模式的に描く。この装置は、
−放射ビームB(例えば、UV放射又はEUV放射)を調節するように構成された照明系(イルミネータ)ILと、
−パターニングデバイス(例えばマスク又はレチクル)MAを支持するように構築され、且つ特定のパラメータに従って、パターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに接続されたサポート構造(例えばマスクテーブル)MTと、
−基板(例えばレジストコートウェーハ)Wを保持するように構築され、且つ特定のパラメータに従って、基板を正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWに接続された基板テーブル(例えばウェーハテーブル)WTと、
−パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付与されたパターンを基板W(例えば、1つ又は複数のダイを含む)のターゲット部分C上に投影するように構成された投影系(例えば屈折投影レンズ系)PSと、
を含む。
[037] 照明系は、放射の誘導、整形、又は制御を行うための、屈折、反射、磁気、電磁、静電又は他のタイプの光学コンポーネント、又はそれらの何れかの組み合わせなどの様々なタイプの光学コンポーネントを包含してもよい。
[038] サポート構造は、パターニングデバイスを支持する、すなわちパターニングデバイスの重量を支える。サポート構造は、パターニングデバイスの配向、リソグラフィ装置の設計、及び例えばパターニングデバイスが真空環境で保持されるか否かなどの他の条件に依存したやり方で、パターニングデバイスを保持する。サポート構造は、例えば投影系に対して、パターニングデバイスが所望の位置にあることを確実にしてもよい。本明細書における「レチクル」又は「マスク」という用語の使用は、より一般的な用語である「パターニングデバイス」と同義であると見なしてよい。
[039] 本明細書で使用される「パターニングデバイス」という用語は、放射ビームの断面にパターンを付与して基板のターゲット部分にパターンを生成するために使用され得るあらゆるデバイスを指すと広く解釈されるものとする。放射ビームに付与されるパターンは、例えば、パターンが、位相シフトフィーチャ、又はいわゆるアシストフィーチャを包含する場合には、基板のターゲット部分の所望のパターンに正確に対応しない場合があることに留意されたい。一般に、放射ビームに付与されるパターンは、集積回路などのターゲット部分に生成されるデバイス(又は幾つかのデバイス)内の特定の機能層に対応する。パターニングデバイスは、透過型又は反射型のものであってもよい。パターニングデバイスの例は、マスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパネルを包含する。
[040] 本明細書で使用される「投影系」という用語は、使用されている露光放射に対して、又は液浸液の使用又は真空の使用などの他のファクタに対して適切に、屈折、反射、反射屈折、磁気、電磁及び静電光学系、又はそれらの何れかの組み合わせを包含するあらゆるタイプの投影系を対象に含めると広く解釈されるものとする。本明細書における「投影レンズ」という用語の使用は、より一般的な用語である「投影系」と同義であると見なすことができる。
[041] ここで描かれるように、本装置は、透過型のものである(例えば、透過型マスクを用いる)。代替的に、装置は、反射型のものであってもよい(例えば、上で言及したタイプのプログラマブルミラーアレイを用いる、又は反射マスクを用いる)。
[042] リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)又はそれより多い基板テーブル(及び/又は2つ以上のマスクテーブル)を有するタイプのものであってもよい。このような「マルチステージ」機械では、追加のテーブルが同時に使用されてもよく、或いは1つ又は複数の他のテーブルが露光に使用されている間に、1つ又は複数のテーブル上で準備ステップが行われてもよい。
[043] リソグラフィ装置は、基板の少なくとも一部が、投影系と基板との間の空間を満たすために、比較的高い屈折率を有する液体(例えば水)によって覆われてもよいタイプのものであってもよい。液浸液は、リソグラフィ装置の他の空間、例えば、マスクと投影系との間に与えられてもよい。投影系の開口数を増加させる液浸技術が、当該分野においてよく知られている。本明細書で使用される「液浸」という用語は、基板などの構造が、液体中に沈められなければならないことを意味するのではなく、単に、液体が、露光中に、投影系と基板との間に位置することを意味する。
[044] イルミネータILは、放射源SOから放射ビームを受ける。放射源及びリソグラフィ装置は、例えば放射源がエキシマレーザである場合に、別個のエンティティでもよい。そのような場合には、放射源は、リソグラフィ装置の一部を形成するとは見なされず、及び放射ビームは、例えば適切な誘導ミラー及び/又はビームエキスパンダを含むビームデリバリシステムBDを用いて、放射源SOからイルミネータILへと渡される。他のケースでは、放射源は、例えば放射源が水銀ランプである場合に、リソグラフィ装置の一体化部分であってもよい。放射源SO及びイルミネータILは、必要であればビームデリバリシステムBDと共に、放射システムと呼ばれる場合がある。
[045] イルミネータILは、放射ビームの角度強度分布を調整するためのアジャスタADを含んでもよい。一般に、少なくともイルミネータの瞳面内の強度分布の外側及び/又は内側半径範囲(通常、それぞれσ-outer及びσ-innerと呼ばれる)が調整されてもよい。加えて、イルミネータILは、インテグレータIN及びコンデンサCOなどの、様々な他のコンポーネントを含んでもよい。イルミネータは、放射ビームの断面に所望の均一性及び強度分布を有するように、放射ビームを調節するために使用されてもよい。
[046] 放射ビームBは、サポート構造(例えば、マスクテーブルMT)上に保持される、パターニングデバイス(例えば、マスクMA)に入射して、パターニングデバイスによってパターンが付与される。マスクMAを横断した後に、放射ビームBは投影系PSを通過し、投影系PSは基板Wのターゲット部分Cにビームの焦点を合わせる。第2のポジショナPW及び位置センサIF(例えば、干渉デバイス、リニアエンコーダ又は静電容量センサ)を用いて、例えば、異なるターゲット部分Cを放射ビームBのパス内に位置決めするように、基板テーブルWTa/WTbを正確に移動させることができる。同様に、第1のポジショナPM及び別の位置センサ(図1には明示的に描かれていない)は、例えば、マスクライブラリの機械検索後に、又はスキャン中に、放射ビームBのパスに対してマスクMAを正確に位置決めするために使用される。一般に、マスクテーブルMTの移動は、第1のポジショナPMの一部を形成する、ロングストロークモジュール(粗動位置決め)及びショートストロークモジュール(微動位置決め)を用いて実現されてもよい。同様に、基板テーブルWTa/WTbの移動は、第2のポジショナPWの一部を形成する、ロングストロークモジュール及びショートストロークモジュールを使用して実現されてもよい。ステッパの場合(スキャナとは対照的に)、マスクテーブルMTは、ショートストロークアクチュエータのみに接続されてもよく、又は固定されてもよい。マスクMA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を使用してアライメントされてもよい。図示の基板アライメントマークは、専用のターゲット部分を占有するが、ターゲット部分(フィールド)間及び/又はターゲット部分内のデバイス領域(ダイ)間の空間に位置してもよい。最終的にはこれらのラインに沿ってスクライブすることによって個々の製品ダイが互いに切り離されるため、基板アライメントマークは、スクライブラインアライメントマークとして知られている。同様に、2つ以上のダイがマスクMA上に設けられる状況では、マスクアライメントマークがダイ間に位置してもよい。
[047] 描かれた装置は、以下のモードの少なくとも1つで使用され得る:
1.ステップモードでは、放射ビームに付与されたパターン全体が、一度にターゲット部分C上に投影される間に、マスクテーブルMT及び基板テーブルWTが、基本的に静止状態を保つ(すなわち、単一静的露光)。次に、異なるターゲット部分Cを露光することができるように、基板テーブルWTが、X及び/又はY方向にシフトされる。ステップモードでは、露光フィールドの最大サイズが、単一静的露光で結像されるターゲット部分Cのサイズを限定する。
2.スキャンモードでは、放射ビームに付与されたパターンが、ターゲット部分C上に投影される間に、マスクテーブルMT及び基板テーブルWTが、同期してスキャンされる(すなわち、単一動的露光)。マスクテーブルMTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影系PSの拡大(縮小)及び像反転特性によって決定されてもよい。スキャンモードでは、露光フィールドの最大サイズが、単一動的露光のターゲット部分の幅(非スキャン方向の)を限定し、スキャン動作の長さが、ターゲット部分の高さ(スキャン方向の)を決定する。
3.別のモードでは、放射ビームに付与されたパターンが、ターゲット部分C上に投影される間に、マスクテーブルMTは、プログラマブルパターニングデバイスを保持して基本的に静止状態を保つとともに、基板テーブルWTが、移動又はスキャンされる。このモードでは、一般にパルス放射源が用いられ、及びプログラマブルパターニングデバイスが、基板テーブルWTの各移動後に、又はスキャン中の連続した放射パルス間で、必要に応じて更新される。この動作モードは、上述のタイプのプログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを利用するマスクレスリソグラフィに簡単に適用することができる。
[048] 上記の使用モード又は完全に異なる使用モードの組み合わせ及び/又はバリエーションが用いられてもよい。
[049] 2つの基板テーブルと、ステーション間で基板テーブルが交換され得る2つのステーション(露光ステーション及び測定ステーション)とを有するいわゆるデュアルステージタイプのリソグラフィ装置。一方の基板テーブル上の1つの基板を露光ステーションで露光している間に、別の基板が測定ステーションにおける他方の基板テーブル上に装填され、結果として、様々な準備ステップが行われてもよい。準備ステップは、高さセンサを用いて基板の表面高さをマッピングすることと、アライメントセンサを用いて基板上のアライメントマークの位置を測定することとを含んでもよい。測定は時間がかかり、2つの基板テーブルを設けることによって、装置のスループットの大幅な向上が可能となる。基板テーブルが測定ステーションにあるとき及び露光ステーションにあるときに位置センサIFが基板テーブルの位置を測定できない場合には、基板テーブルの位置を両方のステーションで追跡できるように第2の位置センサが設けられてもよい。
[050] 装置は、記載する様々なアクチュエータ及びセンサの全ての移動及び測定を制御するリソグラフィ装置制御ユニットLACU206をさらに含む。LACUはまた、装置の動作に関連する所望の計算を実施する信号処理及びデータ処理能力を含む。実際、制御ユニットLACUは、装置内のサブシステム又はコンポーネントのリアルタイムデータ取得、処理及び制御を各々が扱う、多数のサブユニットのシステムとして実現される。例えば、1つの処理サブシステムを基板ポジショナPWのサーボ制御専用にしてもよい。個別のユニットが粗動及び微動アクチュエータ又は異なる軸を扱ってもよい。別のユニットを位置センサIFの読み出し専用にしてもよい。装置の全体的な制御は、これらのサブシステム処理ユニットと、オペレータと、リソグラフィ製造プロセスに関わる他の装置と通信する、中央処理ユニットによって制御されてもよい。
[051] 図2は、半導体製品のための工業生産設備の文脈でのリソグラフィ装置LAを符号200で示している。リソグラフィ装置(又は略して「リソツール」200)内では、測定ステーションMEAは符号202で示されており、露光ステーションEXPは符号204で示されている。制御ユニットLACUは符号206で示されている。生産設備内では、装置200は、装置200によるパターニングのために感光性レジスト及び他のコーティングを基板Wに塗布するためのコーティング装置208も含む「リソセル」又は「リソクラスタ」の一部を形成する。装置200の出力側には、露光パターンを物理的なレジストパターンに現像するためのベーキング装置210及び現像装置212が設けられる。
[052] パターンが適用されて現像された時点で、パターン付与された基板220は、符号222、224、226で示すような他の処理装置に移送される。典型的な製造設備の様々な装置によって、多様な処理ステップが実施される。装置222は、本実施形態では、エッチングステーションであり、且つ装置224は、エッチング後の洗浄及び/又はアニーリングステップを行う。さらなる物理的及び/又は化学的処理ステップは、さらなる装置226などにおいて適用される。実際のデバイスを作製するために、例えば、材料の堆積、表面材料特性の修正(酸化、ドーピング、イオン注入など)、化学機械研磨(CMP)などの、数多くのタイプの動作が必要となる可能性がある。装置226は、実際には、1つ又は複数の装置において行われる一連の異なる処理ステップを表し得る。
[053] よく知られているように、半導体デバイスの製造は、適切な材料及びパターンを用いて基板上の層毎にデバイス構造を構築するために、そのような処理を多数繰り返すことを伴う。よって、リソクラスタに達した基板230は、新たに準備された基板であってもよく、又は基板230は、このクラスタで若しくは全く別の装置で既に処理された基板であってもよい。同様に、必要な処理に応じて、装置226から出た基板232は、後続のパターニング動作のために同じリソクラスタに戻されてもよく、異なるクラスタでのパターニング動作が予定されているか、又はダイシング及びパッケージングのために送られる完成品(基板234)であってもよい。
[054] 製品構造の各層は、プロセスステップの異なる1セットを必要とし、且つ各層で使用される装置226は、タイプが完全に異なってもよい。さらに、異なる層は、エッチングすべき材料の詳細に応じた、異なるエッチングプロセス、例えば化学エッチング、プラズマエッチング、及び例えば、異方性エッチングなどの特別な要件を必要とする。
[055] 前述のように、以前の及び/又は後続のプロセスは、他のリソグラフィ装置で行われてもよく、異なるタイプのリソグラフィ装置で行われてもよい。例えば、解像度及びオーバーレイなどのパラメータにおいて要求が非常に多いデバイス製造プロセスにおける幾つかの層は、要求の少ない他の層よりも高度なリソグラフィツールで行われてもよい。それゆえ、幾つかの層は液浸型リソグラフィツールで露光されてもよく、その一方で、その他は「ドライ」ツールで露光される。幾つかの層はDUV波長で動作するツールで露光されてもよく、その一方で、その他はEUV波長放射を使用して露光される。
[056] メトロロジデータ、設計データ、プロセスレシピなどを受信する、監視制御システム238の制御下で設備全体を稼働させてもよい。監視制御システム238は、基板の1つ又は複数のバッチに製造プロセスを実施するように装置の各々に指令を出す。
[057] また、製造プロセスにおける所望の段階で製品のパラメータの測定を行うために提供されるメトロロジ装置240が図2に示されている。最新のリソグラフィ生産設備におけるメトロロジ装置の一般的な例は、スキャトロメータ、例えば角度分解スキャトロメータ又は分光スキャトロメータであり、メトロロジ装置は、装置222でのエッチングに先立って現像後の基板220の特性を測定するために利用されてもよい。メトロロジ装置240を使用して、例えば、オーバーレイ又はクリティカルディメンジョン(CD)などの重要な性能パラメータが、現像後のレジストの指定された精度要件を満たさないことが分かることがある。エッチングステップに先立って、現像後のレジストを剥離し、リソクラスタによって基板220を再処理する機会が存在する。また、よく知られているように、装置240からのメトロロジ結果242は、制御ユニットLACU206が長期にわたる小調整を行い、それにより、製品が規格外れになって再加工が必要になるリスクを最小限に抑えることによって、リソクラスタでのパターニング動作の高精度の性能を維持するために信号252を生成する高度プロセス制御(APC)システム250で使用されてもよい。メトロロジ装置240及び/又は他のメトロロジ装置(図示せず)は、処理済み基板232、234及び投入基板230の特性を測定するために利用されてもよい。
[058] 高度プロセス制御(APC)システム250は、例えば、個々のリソグラフィ装置を較正するように、且つ異なる装置をより交換可能に使用できるように構成されてもよい。装置の焦点及びオーバーレイ(層間のアライメント)の均一性に対する改善が安定性モジュールの実装によって近年達成されており、所与のフィーチャサイズ及びチップ用途のためのプロセスウィンドウの最適化をもたらし、より小さくより高度なチップの継続的な作成を可能にする。安定性モジュールは、一実施形態では、一定の間隔で(例えば毎日)、システムを事前に定義されたベースラインに自動的にリセットする。安定性モジュールを組み込むリソグラフィ及びメトロロジ方法のさらなる詳細は、米国特許出願公開第2012008127A1号にて見つけることができる。
[059] メトロロジを可能にするために、1つ又は複数のターゲットを基板上に設けることができる。ある実施形態では、ターゲットは、特別に設計され、及び周期構造を含んでいてもよい。ある実施形態では、ターゲットは、デバイスパターンの一部(例えばデバイスパターンの周期構造)である。ある実施形態では、デバイスパターンは、メモリデバイスの周期構造(例えば、バイポーラトランジスタ(BPT)、ビットラインコンタクト(BLC)などの構造)である。
[060] ある実施形態では、基板上のターゲットは、現像後に、周期構造フィーチャが、固体レジストラインから形成されるように印刷された1つ又は複数の1D周期構造(例えば格子)を含んでいてもよい。ある実施形態では、ターゲットは、現像後に、1つ又は複数の周期構造が、固体レジストピラー又はレジストのビアから形成されるように印刷された1つ又は複数の2D周期構造(例えば格子)を含んでいてもよい。バー、ピラー、又はビアは、代替的に、基板内に(例えば、基板上の1つ又は複数の層内に)エッチングされてもよい。
[061] ある実施形態では、パターニングプロセスの関心のあるパラメータの1つは、オーバーレイである。オーバーレイは、0次回折(鏡面反射に対応する)がブロックされ、及びより高次のものだけが処理される暗視野スキャトロメトリを用いて、測定することができる。暗視野メトロロジの例は、その全体が本明細書により援用されるPCT特許出願公開第2009/078708号及び第2009/106279号に見つけることができる。さらに、この技術のさらなる発展が、その全体が本明細書により援用される米国特許出願公開第2011−0027704号、米国特許出願公開第2011−0043791号及び米国特許出願公開第2012−0242970号に記載されている。回折次数の暗視野検出を用いた回折ベースのオーバーレイは、より小さなターゲットに対するオーバーレイ測定を可能にする。これらのターゲットは、照明スポットよりも小さくてもよく、及び基板上のデバイスプロダクト構造によって取り囲まれていてもよい。ある実施形態では、一度の放射キャプチャで複数のターゲットを測定することができる。
[062] 例えばオーバーレイを測定するための実施形態での使用に適したメトロロジ装置が、図3Aに模式的に示される。ターゲットT(格子などの周期構造を含む)及び回折光線が、図3Bにより詳細に図示される。メトロロジ装置は、スタンドアローンデバイスでもよいし、又は例えば測定ステーションでリソグラフィ装置LAに、又はリソグラフィックセルに組み込まれてもよい。装置全体を通して幾つかの分岐を有する光軸が、点線Oによって表される。この装置では、出力11(例えば、レーザ又はキセノンランプなどの放射源、又は放射源に接続された開口)によって放出された放射は、レンズ12、14、及び対物レンズ16を含む光学系によって、プリズム15を介して基板W上に誘導される。これらのレンズは、4F配置のダブルシーケンスで配置される。異なるレンズ配置は、それでもそれが基板の像を検出器上に提供するならば、使用することができる。
[063] ある実施形態では、レンズ配置は、空間周波数フィルタリングの中間瞳面のアクセスを可能にする。従って、放射が基板に入射する角度範囲は、本明細書で(共役)瞳面と呼ばれる基板面の空間スペクトルを示す面内の空間強度分布を定義することによって選択することができる。具体的には、これは、例えば、対物レンズ瞳面の後方投影像である面内で、レンズ12と14との間に適切な形態のアパーチャプレート13を挿入することによって行うことができる。図示例では、アパーチャプレート13は、異なる形態(13N及び13Sと表示される)を有し、異なる照明モードが選択されることを可能にする。本例の照明系は、オフアクシス照明モードを形成する。第1の照明モードでは、アパーチャプレート13Nが、単なる説明目的で「北」と指定された方向から、オフアクシス照明を提供する。第2の照明モードでは、アパーチャプレート13Sを用いて、「南」と表示された反対方向から同様の照明が提供される。異なるアパーチャを用いて、他の照明モードが可能である。瞳面の残りの部分は、所望の照明モード外の不必要な放射が所望の測定信号を妨げ得るので、望ましくは暗い。
[064] 図3Bに示されるように、ターゲットTは、基板Wが対物レンズ16の光軸Oに対して実質的に垂直な状態で設置される。軸Oから外れた角度からターゲットTに衝突する照明光線Iは、0次光線(実線0)と、2つの1次光線(一点鎖線+1及び二点鎖線−1)とを生じさせる。オーバーフィルされた小ターゲットTの場合、これらの光線は、メトロロジターゲットT及び他のフィーチャを含む基板のエリアをカバーする多くの平行光線の1つにすぎない。プレート13のアパーチャが、(放射の有用な量を受け入れるのに必要な)有限幅を有するので、入射光線Iは、実際には、ある角度範囲を占有し、及び回折光線0及び+1/−1は、若干広がる。小ターゲットの点像分布関数に従って、各次数+1及び−1は、ある角度範囲にわたり、さらに広がる(図示されるような単一の理想光線ではない)。なお、周期構造のピッチ及び照明角度は、対物レンズに入る1次光線が中心光軸と厳密にアライメントされるように、設計又は調整することができる。図3A及び3Bに図示される光線は、単に図中でそれらをより簡単に区別することができるように、若干オフアクシスに示される。基板W上のターゲットによって回折された少なくとも0次及び+1次が、対物レンズ16によって収集され、及びプリズム15を通して戻るように誘導される。
[065] 図3Aに戻り、第1及び第2の照明モードの両方が、北(N)及び南(S)と表示された正反対のアパーチャを指定することによって図示される。入射光線Iが光軸の北側からのものである場合、すなわち、第1の照明モードが、アパーチャプレート13Nを用いて適用される場合、+1回折光線(+1(N)と表示される)が、対物レンズ16に入る。対照的に、第2の照明モードが、アパーチャプレート13Sを用いて適用される場合、−1回折光線(−1(S)と表示される)が、レンズ16に入る回折光線である。従って、ある実施形態では、測定結果は、特定の条件下で、例えば、−1次及び+1次の回折次数強度を別々に取得するために、ターゲットを回転させた後、又は照明モードを変更した後、又は結像モードを変更した後に、ターゲットを2回測定することによって取得される。あるターゲットに関してこれらの強度を比較することにより、ターゲットの非対称性の測定が提供され、及びターゲットの非対称性は、リソグラフィプロセスのパラメータ(例えばオーバーレイ)の指標として使用することができる。上記の状況では、照明モードが変更される。
[066] ビームスプリッタ17は、回折ビームを2つの測定分岐に分割する。第1の測定分岐では、光学系18は、0次及び1次回折ビームを用いて、第1のセンサ19(例えば、CCD又はCMOSセンサ)上にターゲットの回折スペクトル(瞳面像)を形成する。像の処理が次数を比較及び対比させることができるように、各回折次数は、センサ上の異なる点に当たる。センサ19によって捕捉された瞳面像は、メトロロジ装置の焦点を合わせる、及び/又は強度測定を規格化するために使用することができる。瞳面像は、以下にさらに記載されるように、再構築などの他の測定目的に使用することもできる。
[067] 第2の測定分岐では、光学系20、22は、センサ23(例えば、CCD又はCMOSセンサ)上に、基板W上のターゲットの像を形成する。第2の測定分岐では、開口絞り21が、対物レンズ16の瞳面と共役な面内に設けられる。開口絞り21は、センサ23上に形成されるターゲットの像が、−1又は+1次ビームから形成されるように、0次回折ビームをブロックするように機能する。センサ19及び23によって測定された像に関するデータは、プロセッサ及びコントローラPU(これの機能は、行われる測定の特定のタイプに依存する)に出力される。なお、「像」という用語は、広い意味で使用される。そのため、−1次及び+1次の一方のみが存在する場合、周期構造フィーチャ(例えば、格子ライン)の像は、形成されない。
[068] 図3に示されるアパーチャプレート13及び絞り21の特定の形態は、単なる例である。別の実施形態では、ターゲットのオンアクシス照明が用いられ、及びオフアクシスアパーチャを有した開口絞りを用いて、実質的にたった1つの1次回折放射がセンサに送られる。さらに他の実施形態では、1次ビームの代わりに、又は1次ビームに加えて、2次、3次及びそれより高次のビーム(図3では不図示)を測定で使用することができる。
[069] 照明をこれらの異なるタイプの測定に適応できるようにするためには、アパーチャプレート13は、ディスク(これは、所望のパターンを適所に持ってくるために回転する)の周囲に形成される幾つかのアパーチャパターンを含んでいてもよい。なお、アパーチャプレート13N又は13Sを用いて、ある方向(セットアップに応じてX又はY)に配向されたターゲットの周期構造が測定される。直交周期構造の測定の場合、90°及び270°を通るターゲットの回転が実施されてもよい。異なるアパーチャプレートが、図3C及びDに示される。図3Cは、2つのさらなるタイプのオフアクシス照明モードを図示する。図3Cの第1の照明モードでは、アパーチャプレート13Eが、単なる説明目的で、前述の「北」に対して「東」と指定された方向から、オフアクシス照明を提供する。図3Cの第2の照明モードでは、アパーチャプレート13Wを用いて、「西」と表示された反対方向から同様の照明が提供される。図3Dは、2つのさらなるタイプのオフアクシス照明モードを図示する。図3Dの第1の照明モードでは、アパーチャプレート13NWが、前述の通り「北」及び「西」と指定された方向から、オフアクシス照明を提供する。第2の照明モードでは、アパーチャプレート13SEを用いて、前述の通り「南」及び「東」と表示された反対方向から同様の照明が提供される。これらの使用、並びに装置の多数の他のバリエーション及び適用例が、例えば、上述の以前に公表された特許出願公開に記載されている。
[070] 図4は、基板上に形成された複合メトロロジターゲットTの例を描く。複合ターゲットは、共に近接して位置付けられた4つの周期構造(この場合、格子)32、33、34、35を含む。ある実施形態では、周期構造レイアウトは、測定スポットよりも小さくされてもよい(すなわち、周期構造レイアウトが、オーバーフィルされる)。従って、ある実施形態では、周期構造は、それらが全て、メトロロジ装置の照明ビームによって形成される測定スポット31内に位置するほどに共に近接して位置付けられる。従って、この場合、4つの周期構造は、全て同時に照明され、及び同時にセンサ19及び23上に結像される。オーバーレイ測定専用の例では、周期構造32、33、34、35は、それら自体が、上に重なる周期構造によって形成される複合周期構造(例えば複合格子)であり、すなわち、周期構造が、基板W上に形成されるデバイスの異なる層において、及び1つの層の少なくとも1つの周期構造が、異なる層の少なくとも1つの周期構造にオーバーレイするようにパターン形成される。このようなターゲットは、20μm×20μmの範囲内、又は16μm×16μmの範囲内の外寸を有していてもよい。さらに、全ての周期構造を用いて、ある特定の1対の層間のオーバーレイが測定される。ターゲットが、2対以上の層を測定できることを容易にするためには、周期構造32、33、34、35は、複合周期構造の異なる部分が形成される異なる層間のオーバーレイの測定を容易にするために、異なってバイアスされたオーバーレイオフセットを有していてもよい。従って、基板上のターゲットの全ての周期構造を用いて、1対の層が測定され、及び基板上の別の同じターゲットの周期構造の全てを用いて、別の1対の層が測定され、異なるバイアスが、層ペア間の区別を容易にする。
[071] 図4に戻り、周期構造32、33、34、35は、入ってくる放射をX及びY方向に回折するために、図示されるように、それらの配向が異なっていてもよい。一例では、周期構造32及び34は、それぞれ+d及び−dのバイアスを有したX方向周期構造である。周期構造33及び35は、それぞれ+d及び−dのオフセットを有したY方向周期構造であってもよい。4つの周期構造が図示されるが、別の実施形態は、所望の精度を得るために、より大きなマトリックスを包含していてもよい。例えば、3×3アレイの9つの複合周期構造が、バイアス−4d、−3d、−2d、−d、0、+d、+2d、+3d、+4dを有していてもよい。これらの周期構造の個別の像は、センサ23によって捕捉される像において識別することができる。
[072] 図5は、図3の装置において図4のターゲットを用いて、図3Dのアパーチャプレート13NW又は13SEを用いて、センサ23上に形成され、及びセンサ23によって検出され得る像の一例を示す。センサ19は、異なる個々の周期構造32〜35を分解することはできないが、センサ23は、それを行うことができる。暗い長方形は、センサ上の像のフィールドを表し、その中で、基板上の照明スポット31が、対応する円形エリア41に結像される。これの中で、長方形エリア42〜45は、周期構造32〜35の像を表す。ターゲットは、スクライブライン内ではなく、又はスクライブライン内に加えて、デバイスプロダクトフィーチャ間に位置付けることができる。周期構造が、デバイスプロダクトエリア内に位置する場合、デバイスフィーチャは、このイメージフィールドの周辺においても目に見える場合がある。プロセッサ及びコントローラPUは、パターン認識を用いて、これらの像を処理することによって、周期構造32〜35の個別の像42〜45を識別する。このように、像は、センサフレーム内のある特定の場所で非常に厳密にアライメントされる必要はなく、これは、測定装置全体としてのスループットを大きく向上させる。
[073] 周期構造の個別の像が識別されると、これらの個々の像の強度は、例えば識別されたエリア内の選択されたピクセル強度値の平均値又は総計を求めることによって、測定することができる。像の強度及び/又は他の特性は、互いに比較することができる。これらの結果を組み合わせて、リソグラフィプロセスの異なるパラメータを測定することができる。オーバーレイ精度は、そのようなパラメータの一例である。
[074] ある実施形態では、パターニングプロセスの関心のあるパラメータの1つは、フィーチャ幅(例えばCD)である。図6は、フィーチャ幅の決定を可能にすることができるメトロロジ装置(例えばスキャトロメータ)のかなり概略の例を描く。それは、放射を基板W上に投影する広帯域(白色光)放射プロジェクタ2を含む。再誘導された放射は、例えば左下のグラフに示されるような鏡面反射放射のスペクトル10(波長の関数としての強度)を測定するスペクトロメータ検出器4に渡される。このデータから、検出されたスペクトルを生じさせる構造又はプロファイルが、プロセッサPUによって、例えば、厳密結合波分析及び非線形回帰によって、又は図6の右下に示されるようなシミュレーションスペクトルのライブラリとの比較によって、再構築されてもよい。一般に、再構築のためには、構造の一般形態が既知であり、且つ幾つかの変数が、構造が作られたプロセスの知識から推測され、測定データから決定される、構造の数個の変数のみが残されている。このようなメトロロジ装置は、法線入射メトロロジ装置又は斜め入射メトロロジ装置として構成されてもよい。さらに、再構築によるパラメータの測定に加えて、プロダクトのフィーチャ及び/又はレジストパターンの非対称性の測定において、角度分解スキャトロメトリが有用である。非対称性測定のある特定の適用例は、オーバーレイの測定に関するものであり、ターゲットは、周期フィーチャの別の1セット上に重畳された周期フィーチャの1セットを含む。このような非対称性測定の概念は、例えば、その全体が本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2006−066855号に記載されている。
[075] 図7は、代替的メトロロジ装置一例を図示する。このタイプのメトロロジ装置の動作の原理は、その全体が本明細書に援用される米国特許出願公開第2006−033921号及び米国特許出願公開第2010−201963号において、さらに詳細に説明される。装置全体を通して幾つかの分岐を有する光軸が、点線Oによって表される。この装置では、放射源110(例えばキセノンランプ)によって放出された放射は、レンズ系120、アパーチャプレート130、レンズ系140、部分反射面150及び対物レンズ160を含む光学系によって介して、基板W上に誘導される。ある実施形態では、これらのレンズ系120、140、160は、4F配置のダブルシーケンスで配置される。ある実施形態では、放射源110によって放出された放射は、レンズ系120を用いてコリメートされる。所望であれば、異なるレンズ配置を使用することができる。放射が基板に入射する角度範囲は、基板面の空間スペクトルを示す面内の空間強度分布を定義することによって選択することができる。具体的には、これは、対物レンズ瞳面の後方投影像である面内で、レンズ120と140との間に適切な形態のアパーチャプレート130を挿入することによって行うことができる。異なるアパーチャを用いることによって、異なる強度分布(例えば、環状、ダイポールなど)が可能である。半径方向及び周辺方向の照明の角度分布、並びに、放射の波長、偏光及び/又はコヒーレンスなどの特性は全て、所望の結果を取得するために調整することができる。例えば、例えば400〜900nm、又はさらに低い200〜300nmなどの範囲内の関心のある波長を選択するために、放射源110と部分反射面150との間に、1つ又は複数の干渉フィルタ130(図9を参照)を設けることができる。干渉フィルタは、異なるフィルタの1セットを含むのではなく、調節可能であってもよい。干渉フィルタの代わりに、格子が使用されてもよい。ある実施形態では、関心のある偏光を選択するために、放射源110と部分反射面150との間に、1つ又は複数のポラライザ170(図9を参照)を設けることができる。ポラライザは、異なるポラライザの1セットを含むのではなく、調節可能であってもよい。
[076] 図7に示されるように、ターゲットTは、基板Wが対物レンズ160の光軸Oに対して垂直な状態で設置される。従って、放射源110からの放射は、部分反射面150によって反射され、及び対物レンズ160を介して、基板W上のターゲットT上の照明スポットS(図8を参照)に焦点が合わせられる。ある実施形態では、対物レンズ160は、望ましくは少なくとも0.9又は少なくとも0.95の高開口数(NA)を有する。液浸メトロロジ装置(水などの比較的高い屈折率の流体を用いる)は、1を超える開口数を有していてもよい。
[077] 軸Oから外れた角度から照明スポットに焦点が合わせられた照明光線170、172は、回折光線174、176を生じさせる。これらの光線は、ターゲットTを包含する基板のエリアをカバーする多くの平行光線の1つにすぎないことを忘れてはならない。照明スポット内の各要素は、メトロロジ装置の視野内にある。プレート130のアパーチャが、(放射の有用な量を受け入れるのに必要な)有限幅を有するので、入射光線170、172は、実際には、ある角度範囲を占有し、及び回折光線174、176は、若干広がる。小ターゲットの点像分布関数に従って、各回折次数は、ある角度範囲にわたり、さらに広がる(図示されるような単一の理想光線ではない)。
[078] 基板W上のターゲットによって回折された少なくとも0次が、対物レンズ160によって収集され、及び部分反射面150を通して戻るように誘導される。光学要素180は、0次及び/又は1次回折ビームを用いて、センサ190(例えば、CCD又はCMOSセンサ)上にターゲットTの回折スペクトル(瞳面像)を形成する光学系182に、回折ビームの少なくとも一部を提供する。ある実施形態では、アパーチャ186は、ある特定の回折次数がセンサ190に提供されるように、特定の回折次数を除去するために設けられる。ある実施形態では、アパーチャ186は、実質的に、又は主に0次放射のみがセンサ190に到達することを可能にする。ある実施形態では、センサ190は、基板ターゲットTの二次元角散乱スペクトルを測定することができるように、二次元検出器であってもよい。センサ190は、例えば、CCD又はCMOSセンサのアレイであってもよく、及び例えば1フレームにつき40ミリ秒の積分時間を用いてもよい。センサ190を用いて、単一波長(又は狭い波長範囲)の再誘導放射の強度、複数の波長で別々の、又はある波長範囲にわたって積分された強度を測定してもよい。さらに、センサを用いて、TM(transverse magnetic)及び/又はTE(transverse electric)偏光の放射の強度、及び/又はTM偏光放射とTE偏光放射との間の位相差を別々に測定してもよい。
[079] 任意選択的に、光学要素180は、センサ230(例えば、CCD又はCMOSセンサ)上に基板W上のターゲットの像を形成するために、回折ビームの少なくとも一部を測定分岐200に提供する。測定分岐200は、メトロロジ装置の焦点を合わせる(すなわち、基板Wが対物系160と焦点が合うことを可能にする)などの様々な補助機能のため、及び/又は導入部で述べられたタイプの暗視野結像のために使用することができる。
[080] 格子の異なるサイズ及び形状に対してカスタマイズされた視野を提供するために、調整可能視野絞り300が、放射源110から対物レンズ160へのパス上のレンズ系140内に設けられる。視野絞り300は、アパーチャ302を含み、及び照明スポットがアパーチャ302の像となるように、ターゲットTの面と共役な面内に位置する。像は、拡大係数に従って拡大されてもよく、又はアパーチャ及び照明スポットは、1:1のサイズ関係にあってもよい。照明を異なるタイプの測定に適応できるようにするためには、アパーチャプレート300は、ディスク(これは、所望のパターンを適所に持ってくるために回転する)の周囲に形成される幾つかのアパーチャパターンを含んでいてもよい。代替的に、又は追加的に、同じ効果を達成するために、プレート300の1セットが、設けられ、交換されてもよい。追加的に、又は代替的に、変形可能なミラーアレイ又は透過型空間光変調器などのプログラマブルアパーチャデバイスも使用することができる。
[081] 一般的に、ターゲットは、Y軸と平行に、又はX軸と平行に伸びるそれの周期構造フィーチャとアライメントされる。それの回折挙動に関して、Y軸と平行な方向に延在するフィーチャを備えた周期構造は、X方向に周期性を有するが、X軸と平行な方向に延在するフィーチャを備えた周期構造は、Y方向に周期性を有する。両方向で性能を測定するために、両方のタイプのフィーチャが、一般に設けられる。分かりやすくするために、ライン及びスペースへの言及があるが、周期構造は、ライン及びスペースから形成される必要はない。さらに、各ライン及び/又はライン間のスペースは、より小さなサブ構造から形成された構造であってもよい。さらに、周期構造は、一度に二次元の周期性を有して形成されてもよい(例えば、周期構造は、ポスト及び/又はビアホールを含む)。
[082] 図8は、一般的なターゲットTの平面図と、図7の装置の照明スポットSの範囲を図示する。周囲の構造の干渉を受けない回折スペクトルを取得するためには、ターゲットTは、ある実施形態では、照明スポットSの幅(例えば直径)よりも大きい周期構造(例えば格子)である。スポットSの幅は、ターゲットの幅及び長さよりも小さくてもよい。つまり、ターゲットは、照明によって「アンダーフィル」され、及び回折信号は、基本的に、ターゲット自体の外側で、プロダクトフィーチャなどからの信号を含まない。これは、ターゲットの数学的再構築を、それを無限と見なすことができるので、単純化する。
[083] 図9は、メトロロジを用いて取得された測定データに基づいて、ターゲットパターン30’の関心のある1つ又は複数の変数の値の決定のプロセス例を模式的に描く。検出器190によって検出された放射は、ターゲット30’の測定放射分布108を提供する。
[084] あるターゲット30’に関して、放射分布208は、例えば数値マクスウェル解法210を用いて、パラメータ化数学モデル206から計算/シミュレーションすることができる。パラメータ化数学モデル206は、ターゲットを構成する、及びターゲットに関連する様々な材料の層の例を示す。パラメータ化数学モデル206は、変動し得る、及び導出され得る検討中のターゲット部分のフィーチャ及び層に関する変数の1つ又は複数を包含していてもよい。図9に示されるように、変数の1つ又は複数は、1つ又は複数の層の厚さt、1つ又は複数のフィーチャの幅w(例えばCD)、1つ又は複数のフィーチャの高さh、1つ又は複数のフィーチャの側壁角α、及び/又はフィーチャ間の相対位置(本明細書では、オーバーレイを考察した)を包含していてもよい。図示されないが、変数の1つ又は複数は、限定はされないが、層の内の1つ又は複数の屈折率(例えば、実又は複素屈折率、屈折率テンソルなど)、1つ又は複数の層の吸光係数、1つ又は複数の層の吸収、現像中のレジスト損失、1つ又は複数のフィーチャのフッティング、及び/又は1つ又は複数のフィーチャのラインエッジラフネスをさらに包含していてもよい。幅、長さ、形状又は3Dプロファイル特性の値などの、1D周期構造又は2D周期構造の1つ又は複数のパラメータの1つ又は複数の値が、パターニングプロセス及び/又は他の測定プロセスの知識から再構築プロセスに入力されてもよい。例えば、変数の初期値は、測定されているターゲットに関する、1つ又は複数のパラメータのそれらの予想値(CD、ピッチなどの値など)でもよい。
[085] 場合によっては、ターゲットは、ユニットセルの複数のインスタンスに分割することができる。その場合のターゲットの放射分布の計算を簡単にするために、モデル206は、ターゲットの構造のユニットセルを用いて計算/シミュレーションを行うように設計することができる(ユニットセルは、ターゲット全体にわたり、インスタンスとして繰り返される)。従って、ターゲットの放射分布を決定するために、モデル206は、1つのユニットセルを用いて計算を行い、及びその結果をコピーして、適切な境界条件を用いてターゲット全体のフィッティングを行うことができる。
[086] 再構築の際に放射分布208を計算することに加えて、又はそれに替えて、再構築の際に使用するための放射分布のライブラリを作成するために、検討中のターゲット部分の変数の複数のバリエーションを目的として、複数の放射分布208を事前計算することができる。
[087] 測定放射分布108は、次に、212において、計算放射分布208(例えば、その時点の近くで計算された、又はライブラリから取得された)と比較されて、二者間の差が決定される。差があれば、パラメータ化数学モデル206の変数の1つ又は複数の値の変動の可能性があり、測定放射分布108と放射分布208との間に十分な一致が存在するまで、新しい計算放射分布208が取得され(例えば、演算され、又はライブラリから取得され)、及び測定放射分布108と比較されてもよい。その時点で、パラメータ化数学モデル206の変数の値は、実際のターゲット30’のジオメトリの良好な又は最適の一致を提供する。ある実施形態では、測定放射分布108と計算放射分布208との間の差が許容閾値の範囲内である時に、十分な一致が存在する。
[088] これらのメトロロジ装置では、測定動作中に基板Wを保持するために、基板サポートが設けられてもよい。基板サポートは、図1の基板テーブルWTと形態が類似していてもよく、又は同一であってもよい。メトロロジ装置がリソグラフィ装置と一体化されたある例では、それは、同じ基板テーブルであってもよい。測定光学系に関連して基板を正確に位置決めするために、粗動及び微動ポジショナが設けられてもよい。例えば関心のあるターゲットの位置を獲得して、且つそれを対物レンズの下の位置に至らせるために、様々なセンサ及びアクチュエータが設けられてもよい。一般的に、基板Wにわたる異なる場所で、ターゲットに対して多くの測定が行われる。基板サポートは、異なるターゲットを獲得するためにX及びY方向に、及び光学系のフォーカスに対するターゲットの所望の場所を取得するためにZ方向に移動させることができる。例えば、実際には光学系が実質的に静止したままでもよく(一般的にX及びY方向において、ただし、場合によってはZ方向においても)、且つ基板のみが移動する場合に、対物レンズが基板に対して異なる場所に移動させられるかのように考えること、及び動作を表現することが便利である。基板及び光学系の相対位置が正しいと仮定すると、原理上、現実の世界においてそれらのどちらが移動しているか、又は両方が移動しているか、又は光学系の一部が、光学系の残りの部分が静止した状態で移動し(例えば、Z及び/又は傾斜方向に)、及び基板が移動する(例えば、X及びY方向に、ただし任意選択的にZ及び/又は傾斜方向にも)という組み合わせかは重要ではない。
[089] ある実施形態では、ターゲットの測定精度及び/又は感度は、例えば、放射ビームの波長、放射ビームの偏光、放射ビームの強度分布(すなわち、角度又は空間強度分布)などの、ターゲット上に提供された放射ビームの1つ又は複数の特性に対して変動し得る。従って、例えばターゲットの良好な測定精度及び/又は感度を望ましく取得する特定の測定方式を選択することができる。
[090] 少なくとも1つのパターン転写ステップ(例えば光リソグラフィステップ)を包含するパターニングプロセス(例えばデバイス製造プロセス)をモニタリングするために、パターン形成された基板が検査され、及びパターン形成された基板の1つ又は複数のパラメータが測定/決定される。1つ又は複数のパラメータは、例えば、パターン形成された基板の中又は上に形成された連続する層間のオーバーレイ、例えばパターン形成された基板の中又は上に形成されたフィーチャのクリティカルディメンジョン(CD)(例えば臨界ライン幅)、光リソグラフィステップのフォーカス又はフォーカスエラー、光リソグラフィステップのドーズ又はドーズエラー、光リソグラフィステップの光学収差、配置誤差(例えばエッジ配置誤差)などを包含していてもよい。この測定は、プロダクト基板自体のターゲット上、及び/又は基板上に設けられた専用メトロロジターゲット上で行われてもよい。この測定は、レジストの現像後であるが、エッチングの前に行うことができ、又はエッチング後に行うことができる。
[091] ある実施形態では、測定プロセスから取得されたパラメータは、測定プロセスから直接決定されたパラメータから導出されたパラメータである。一例として、測定パラメータから取得された導出パラメータは、パターニングプロセスのエッジ配置誤差である。エッジ配置誤差は、パターニングプロセスによって生じた構造のエッジの場所の変動量を提供する。ある実施形態では、エッジ配置誤差は、オーバーレイ値から導出される。ある実施形態では、エッジ配置誤差は、オーバーレイ値とCD値との組み合わせから導出される。ある実施形態では、エッジ配置は、オーバーレイ値と、CD値と、局所変動量(例えば、個々の構造のエッジラフネス、形状非対称性など)に対応する値との組み合わせから導出される。ある実施形態では、エッジ配置誤差は、オーバーレイ及びCDの誤差の組み合わせの極値(例えば、3標準偏差、すなわち3σ)を含む。ある実施形態では、構造を作ることを含む、及び構造と関連したパターニングプロセスによって提供されるパターンのエッチングにより構造の一部を除去することによって構造を「カットする」ことを含むマルチパターニングプロセスにおいて、エッジ配置誤差は、以下の形態を有する(又は以下の項の1つ又は複数を含む):
式中、σは、標準偏差であり、σoverlayは、オーバーレイの標準偏差に対応し、パターニングプロセスで作られた構造のクリティカルディメンジョン均一性(CDU)の標準偏差に対応し、σCDUcutsは、もしあれば、パターニングプロセスで生じたカットのクリティカルディメンジョン均一性(CDU)の標準偏差に対応し、σOPE,PBAは、光近接効果(OPE)及び/又はピッチでのCDと、基準CDとの間の差である近接バイアス平均(PBA)の標準偏差に対応し、及びσLER,LPEは、ラインエッジラフネス(LER)及び/又は局所配置誤差(LPE)の標準偏差に対応する。上記の公式化は、標準偏差と関連するが、分散などの異なる同等の統計的方法で公式化を行うことができる。
[092] 走査電子顕微鏡、像ベースの測定ツール及び/又は様々な専用ツールの使用を包含する、パターニングプロセスで形成された構造の測定を行う様々な技術が存在する。上述の通り、専用メトロロジツールの高速及び非侵襲的形態は、放射ビームが基板の表面上のターゲット上に誘導され、及び散乱(回折/反射)ビームの特性が測定される形態である。基板によって散乱される放射の1つ又は複数の特性を評価することによって、基板の1つ又は複数の特性を決定することができる。これは、回折ベースメトロロジと称される場合がある。この回折ベースメトロロジの上記のような1つの適用例は、ターゲット内のフィーチャ非対称性の測定におけるものである。これは、例えばオーバーレイの測定として用いることができるが、他の適用例も知られている。例えば、非対称性は、回折スペクトルの正反対の部分を比較すること(例えば、周期格子の回折スペクトルの−1次及び+1次を比較すること)によって測定することができる。これは、上記の通り、及び例えばその全体が本明細書に援用される米国特許出願公開第2006−066855号に記載される通りに行うことができる。回折ベースメトロロジの別の適用例は、ターゲット内のフィーチャ幅(CD)の測定におけるものである。このような技術は、図6〜9について上に記載された装置及び方法を使用することができる。
[093] ところで、これらの技術は効果的であるが、ターゲット内のフィーチャ非対称性(オーバーレイ、CD非対称性、側壁角非対称性など)を導出する代替的測定技術を提供することが望ましい。この技術は、特別に設計されたメトロロジターゲットにとって、又はおそらくより著しく、デバイスパターンに関して直接フィーチャ非対称性を決定することにとって効果的となり得る。
[094] 図10を参照して、オーバーレイ実施形態の文脈において、この測定技術の原理を説明する。図10Aでは、ターゲットTの幾何学的に対称なユニットセルが示される。ターゲットTは、ユニットセルのたった1つの物理的インスタンスを含んでもよく、又は図10Cに示されるようにユニットセルの複数の物理的インスタンスを含んでもよい。
[095] ターゲットTは、特別に設計されたターゲットでもよい。ある実施形態では、ターゲットは、スクライブラインのためのものである。ある実施形態では、ターゲットは、インダイ(in-die)ターゲットであってもよく、すなわち、ターゲットは、デバイスパターンの中(及び従ってスクライブライン間)にある。ある実施形態では、ターゲットは、デバイスパターンフィーチャと同等のフィーチャ幅又はピッチを有し得る。例えば、ターゲットフィーチャ幅又はピッチは、デバイスパターンの最小フィーチャサイズ又はピッチの300%以下、デバイスパターンの最小フィーチャサイズ又はピッチの200%以下、デバイスパターンの最小フィーチャサイズ又はピッチの150%以下、又はデバイスパターンの最小フィーチャサイズ又はピッチの100%以下でもよい。
[096] ターゲットTは、デバイス構造でもよい。例えば、ターゲットTは、メモリデバイス(これは、多くの場合、以下にさらに説明されるように、幾何学的に対称である、又は幾何学的に対称となり得る1つ又は複数の構造を有する)の一部でもよい。
[097] ある実施形態では、ターゲットT又はユニットセルの物理的インスタンスは、2400平方ミクロン以下の面積、2000平方ミクロン以下の面積、1500平方ミクロン以下の面積、1000平方ミクロン以下の面積、400平方ミクロン以下、200平方ミクロン以下、100平方ミクロン以下、50平方ミクロン以下、25平方ミクロン以下、10平方ミクロン以下、5平方ミクロン以下、1平方ミクロン以下、0.5平方ミクロン以下、又は0.1平方ミクロン以下の面積を有していてもよい。ある実施形態では、ターゲットT又はユニットセルの物理的インスタンスは、50ミクロン以下、30ミクロン以下、20ミクロン以下、15ミクロン以下、10ミクロン以下、5ミクロン以下、3ミクロン以下、1ミクロン以下、0.5ミクロン以下、0.2ミクロン以下、又は0.1ミクロン以下の基板面と平行な断面寸法を有する。
[098] ある実施形態では、ターゲットT又はユニットセルの物理的インスタンスは、5ミクロン以下以下、2ミクロン以下、1ミクロン以下、500nm以下、400nm以下、300nm以下、200nm以下、150nm以下、100nm以下、75nm以下、50nm以下、32nm以下、22nm以下、16nm以下、10nm以下、7nm以下又は5nm以下の構造のピッチを有する。
[099] ある実施形態では、ターゲットTは、ユニットセルの複数の物理的インスタンスを有する。従って、ターゲットTは、一般的に、ここにリストされる高次元を有し得る一方で、ユニットセルの物理的インスタンスは、ここにリストされる低次元を有する。ある実施形態では、ターゲットTは、ユニットセルの50,000以上の物理的インスタンス、ユニットセルの25,000以上の物理的インスタンス、ユニットセルの15,000以上の物理的インスタンス、ユニットセルの10,000以上の物理的インスタンス、ユニットセルの5,000以上の物理的インスタンス、ユニットセルの1000以上の物理的インスタンス、ユニットセルの500以上の物理的インスタンス、ユニットセルの200以上の物理的インスタンス、ユニットセルの100以上の物理的インスタンス、ユニットセルの50以上の物理的インスタンス、又はユニットセルの10以上の物理的インスタンスを含む。
[0100] 望ましくは、ユニットセルの物理的インスタンス又はユニットセルの複数の物理的インスタンスは、集団で、メトロロジ装置のビームスポットを埋める。その場合、測定結果は、基本的に、ユニットセルの物理的インスタンス(又はそれの複数のインスタンス)からの情報のみを含む。ある実施形態では、ビームスポットは、50ミクロン以下、40ミクロン以下、30ミクロン以下、20ミクロン以下、15ミクロン以下、10ミクロン以下、5ミクロン以下、又は2ミクロン以下の断面幅を有する。
[0101] 図10Aのユニットセルは、基板上で物理的にインスタンスが作成された、又は作成される少なくとも2つの構造を含む。第1の構造1000は、ラインを含み、及び第2の構造1005は、楕円型形状を含む。もちろん、第1及び第2の構造1000、1005は、描かれたものとは異なる構造でもよい。
[0102] さらに、この例では、第1の構造1000と第2の構造1005との間の、それらの予想位置からの相対的シフトが、オーバーレイエラーを有するような基板上への別々の転写により、存在し得る。この例では、第1の構造1000は、第2の構造1005よりも基板上の高い層に位置する。従って、ある実施形態では、第2の構造1005は、パターニングプロセスの第1の実行において第1の下層で製造することができ、及び第1の構造1000は、パターニングプロセスの第2の実行において、第1の下層よりも上の第2の層で製造することができる。ここで、第1及び第2の構造1000、1005は、異なる層に位置する必要はない。例えば、ダブルパターニングプロセス(例えば、それの一部としてエッチングプロセスを包含する)において、第1及び第2の構造1000、1005は、基本的に単一パターンを形成するために同じ層で製造され得るが、それでもやはり、同じ層内のそれらの相対的配置の観点から、「オーバーレイ」問題が存在し得る。この単一層の例では、第1及び第2の構造1000、1005の両方が、例えば、第1の構造1000に関して図10Aに示されるようなラインの形態を有し得るが、第1のパターン転写プロセスによって既に基板上に設けられた第2の構造1005のラインは、第2のパターン転写プロセスで設けられる構造1000のラインでインタリーブされ得る。
[0103] 重大なことに、ユニットセルは、軸又は点に対して幾何学的対称性を有する、又は有することが可能である。例えば、図10Aのユニットセルは、例えば軸1010に対して鏡映対称性を有し、及び例えば点1015に対して点/回転対称性を有する。同様に、図10Cにおけるユニットセルの物理的インスタンス(及び従って、ユニットセルの複数の物理的インスタンスの組み合わせ)が、幾何学的対称性を有することが分かる。
[0104] ある実施形態では、ユニットセルは、ある特定のフィーチャ(オーバーレイなど)に関して幾何学的対称性を有する。本明細書における実施形態は、ユニットセルが幾何学的に対称である時にオーバーレイが0であるユニットセルに注目する。しかし、代わりに、ユニットセルは、ある特定の幾何学的非対称性に関してオーバーレイが0であってもよい。その場合、ユニットセルが、ある特定の幾何学的非対称性を有する時にオーバーレイが0であるユニットセルを説明するために、適切なオフセット及び演算が用いられる。適切な方法で、ユニットセルは、特定のフィーチャ値に応じて、対称性の変化(例えば、非対称になる、又はさらに非対称になる、又は非対称状態から対称になる)が可能であるべきである。
[0105] 図10Aの例では、ユニットセルは、オーバーレイが0の場合に幾何学的対称性を有する(ただし、それは、オーバーレイが0である必要はない)。これは、第1の構造1000のラインが、第2の構造1005の楕円型形状に対して均等にアライメントされる(及びこの均等なアライメントは、少なくとも部分的に、ユニットセルが図10Aに示されるような幾何学的対称性を有することを可能にする)ことを示す矢印1020及び1025によって表される。従って、この例では、ユニットセルが幾何学的対称性を有する時に、オーバーレイが0である。しかし、オーバーレイにエラーがあると(例えば、非ゼロオーバーレイ)、ユニットセルは、もはや幾何学的に対称ではなく、及び当然ながら、ターゲットは、もはや幾何学的に対称ではない。
[0106] さらに、ターゲットがユニットの複数の物理的インスタンスを含む場合、ユニットセルのインスタンスは、周期的に配置される。ある実施形態では、ユニットセルのインスタンスは、格子に配置される。ある実施形態では、周期的配置は、ターゲット内に幾何学的対称性を有する。
[0107] 従って、この技術では、以下にさらに説明されるように、関心のあるフィーチャ非対称性(例えば、非ゼロオーバーレイ)に関連した幾何学的対称性の変化(例えば、幾何学的非対称性への変化、又はさらなる幾何学的非対称性への変化、又は幾何学的非対称性から幾何学的対称性への変化)を利用して、フィーチャ非対称性(例えば、非ゼロオーバーレイ)を決定することができる。
[0108] 図10Aのユニットセルの物理的インスタンスを含むターゲットは、例えば図7のメトロロジ装置を用いて、放射で照明されることが可能である。ターゲットによって再誘導された放射は、例えば検出器190によって測定することができる。ある実施形態では、再誘導放射の瞳、すなわち、フーリエ変換面が測定される。このような瞳の測定例は、瞳像1030として描かれる。瞳像1030は、ダイヤモンド型形状を有するが、それは、そのような形状を有する必要はない。本明細書における瞳及び瞳面という用語は、文脈上他の意味に解釈すべき場合(例えば、ある特定の光学系の瞳面が、識別されている場合)を除き、それらのあらゆる語形変化を包含する。瞳像1030は、事実上、再誘導放射の瞳の光学特性(この場合、強度)の観点から特定された像である。
[0109] 便宜上、本明細書の説明は、関心のある光学特性として、強度に注目する。しかし、本明細書の技術は、位相及び/又は反射率などの1つ又は複数の代替又は追加の光学特性と共に使用されてもよい。
[0110] さらに、便宜上、本明細書の説明は、再誘導放射の像、及び具体的には瞳像の検出及び処理に注目する。しかし、再誘導放射の光学特性は、像とは異なるやり方で測定及び表現することができる。例えば、再誘導放射は、1つ又は複数のスペクトル(例えば、波長の関数としての強度)の観点から処理することができる。従って、再誘導放射の検出像は、再誘導放射の光学表現の一例と見なすことができる。従って、瞳面像の場合、瞳像は、瞳表現の一例である。
[0111] さらに、再誘導放射は、偏光又は非偏光であってもよい。ある実施形態では、測定ビーム放射は、偏光放射である。ある実施形態では、測定ビーム放射は、直線偏光される。
[0112] ある実施形態では、瞳表現は、主に又は実質的に、ターゲットからの1次回折の再誘導放射のものである。例えば、放射は、ある特定の次数の放射の80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、98%以上、又は99%以上であってもよい。ある実施形態では、瞳表現は、主に又は実質的に、0次再誘導放射のものである。これは、例えば、ターゲットのピッチ、測定放射の波長、及び任意選択的に、1つ又は複数の他の条件が、ターゲットに主に0次(ただし、1つ又は複数のより高次の放射が存在し得る)を再誘導させる場合に生じ得る。ある実施形態では、瞳表現の大部分が、0次再誘導放射である。ある実施形態では、瞳表現は、0次放射及び別々に1次放射のものであり、その後、これらを線形結合(重ね合わせ)することができる。図7のアパーチャ186を用いて、放射のある特定の次数、例えば0次を選択することができる。
[0113] 第1及び第2の構造1000、1005の幾何学的に対称なユニットセルに対応した瞳像1030に関して、強度分布が、瞳像内で基本的に対称である(例えば、幾何学的構造と同じ対称型を有する)ことが分かる。これは、瞳像1030から対称強度分布部分を除去することにより(これにより、導出瞳像1035が得られる)、さらに確認される。対称強度分布部分を除去するために、ある特定の瞳像ピクセル(例えば、ピクセル)は、その特定の瞳像ピクセルの強度から、対称的に位置する瞳像ピクセルの強度を減算することによって、及びその逆によって、対称強度分布部分を除去することができる。ある実施形態では、このピクセルは、検出器(例えば、検出器190)の複数のピクセルに対応し得るが、そうである必要はなく、例えば、瞳像ピクセルは、検出器の複数のピクセルでもよい。ある実施形態では、それを挟んでピクセル強度が減算される対称点又は対称軸は、ユニットセルの対称点又は対称軸に対応する。従って、例えば、瞳像1030を考察して、対称強度分布部分は、例えば、示されたその特定のピクセルの強度Iiから、対称的に位置するピクセル(すなわち、軸1032に対して対称的に位置する)の強度Ii’を減算することによって除去することができる。従って、対称強度部分が除去された状態の、ある特定のピクセルの強度Siは、Si=Ii−Ii’である。これは、瞳像の複数のピクセル、例えば瞳像の全ピクセルに対して繰り返されてもよい。導出瞳像1035に見られるように、対称ユニットセルに対応した強度分布は、基本的に、完全対称である。従って、対称ユニットセルジオメトリ(及び該当する場合、ユニットセルのインスタンスの特定の周期性)を有した対称ターゲットが、メトロロジ装置によって測定される対称瞳応答をもたらす。
[0114] ここで図10Bを参照し、図10Aに描かれたユニットセルに対するオーバーレイのエラーの一例が、描かれている。この場合、第1の構造1000は、第2の構造1005に対してX方向にシフトされる。具体的には、第1の構造1000のラインの中心に置かれた軸1010が、図10Bにおいて軸1045へと右にシフトしている。従って、X方向にオーバーレイのエラー1040(すなわち、X方向オーバーレイエラー)が存在する。もちろん、第2の構造1005は、第1の構造1000に対してシフトされる可能性があり、又は両方が、互いにシフトされる可能性がある。いずれにせよ、その結果は、X方向オーバーレイエラーである。しかし、このユニットセル配置から認識すべきであるように、第1の構造1000と第2の構造1005との間のY方向の単なる相対的シフトは、このユニットセルの幾何学的対称性を変えない。しかし、適切な幾何学的配置を用いて、2方向の、又はユニットセルの部分の異なる組み合わせ間のオーバーレイは、対称性を変更することができ、及び以下にさらに説明されるように、決定されることも可能である。
[0115] 図10Aのユニットセルの公称物理的構成からのユニットセルの物理的構成の変化の結果として、及びオーバーレイのエラー1040によって表されるように、ユニットセルが、幾何学的に非対称となる結果となる。これは、第2の構造1005の楕円型形状が第1の構造1000のラインに対して不均等に位置することを示す、異なる長さの矢印1050及び1055から分かる。対称性は、瞳像1030の対称点又は対称軸、すなわち、その場合、ここでは軸1034と示される軸1032に対して調べられる。
[0116] 図10Bのユニットセルの物理的インスタンスは、例えば図7のメトロロジ装置を用いて、放射で照明されることが可能である。再誘導放射の瞳像は、例えば検出器190によって記録することができる。このような瞳像の一例は、瞳像1060として描かれる。瞳像1060は、事実上、強度の像である。瞳像1060は、ダイヤモンド型形状を有するが、それは、そのような形状を有する必要はなく、それは、円形状又はその他の形状でもよい。また、瞳像1060は、瞳像1030と実質的に同じ軸又は座標位置のものである。すなわち、この実施形態では、図10Aのユニットセルの対称軸1010と、図10Bのユニットセルの同じ軸は、瞳像1030、1060の対称軸1032と一致する。
[0117] 第1及び第2の構造1000、1005の幾何学的に非対称なユニットセルに対応した瞳像1060に関して、視覚的に、強度分布が、瞳像内で基本的に対称であるように見える。しかし、瞳像内に、非対称強度分布部分が存在する。この非対称強度分布部分は、ユニットセルの非対称性によるものである。また、非対称強度分布は、大きさにおいて、瞳像の対称強度分布部分よりも、大幅に低い。
[0118] 従って、ある実施形態では、非対称強度分布部分をより効果的に分離するために、対称強度分布部分を瞳像1060から除去することができ、これにより、導出瞳像1065が得られる。導出瞳像1035の取得と同様に、ある特定の瞳像ピクセル(例えば、ピクセル)は、上記で説明した通り、その特定の瞳像ピクセルの強度から、対称的に位置する瞳像ピクセルの強度を減算することによって、及びその逆によって、対称強度分布部分を除去することができる。従って、例えば、瞳像1060を考察して、対称強度分布部分は、例えば、示されたその特定のピクセルの強度Iiから、対称的に位置するピクセル(すなわち、軸1032に対して対称的に位置する)の強度Ii’を減算して、Siを得ることによって除去することができる。これは、瞳像の複数のピクセル、例えば瞳像の全ピクセルに対して繰り返されてもよい。図10A及び10Bでは、説明目的で、Siの全導出瞳像が描かれている。認識されるように、図10A又は図10Bの導出瞳像の半分は、それの残りの半分と同じである。従って、ある実施形態では、瞳像の半分のみの値を、本明細書で説明されるさらなる処理に使用することができ、及び従って、本明細書のさらなる処理に使用される導出像瞳は、Siの半分だけでもよい。瞳の値。
[0119] 導出瞳像1065に見られるように、非対称ユニットセルの物理的インスタンスを用いて測定された強度分布は、対称ではない。領域1075及び1080に見られるように、対称強度分布部分が除去されると、目に見える非対称強度分布部分が存在する。上記の通り、全導出瞳像1065が示され、及び従って非対称強度分布部分が、両半分(各半分において、大きさ及び分布の観点から、それらは互いに等しいが)に示される。
[0120] 従って、幾何学的ドメインの非対称性は、瞳の非対称性に対応する。従って、ある実施形態では、ユニットセルの物理的インスタンスの固有の幾何学的対称性を有する、又はそれが可能な周期ターゲットの光応答を用いて、ユニットセルの物理的インスタンスの幾何学的対称性の変化を生じさせる(例えば、非対称性を生じさせる、又はさらなる非対称性を生じさせる、又は非対称ユニットセルが対称となるようにする)物理的構成の変化に対応したパラメータを決定する方法が提供される。具体的には、ある実施形態では、メトロロジ装置によって測定される瞳におけるオーバーレイ起因非対称性(又はそれの欠如)を利用して、オーバーレイを決定することができる。すなわち、瞳非対称性を用いて、ユニットセルの物理的インスタンス内の、及び従ってターゲット内のオーバーレイが測定される。
[0121] 幾何学的ドメインの非対称性は、ターゲットにおけるターゲット層を通るエッチングパスの傾斜によっても生じることがあり、傾斜は、ターゲット層にパターンを形成するために使用されるエッチングプロセスでのエラー並びに/又はターゲット層及び/若しくは周囲の層における応力によって誘起される。非対称性は、傾斜を測定するために使用できる瞳に(又は散乱放射の別の検出表現に)対応する非対称性を生じさせる。さらに、傾斜によって生じる瞳の非対称性は、オーバーレイによって生じる非対称性と異なり、オーバーレイとは関係なく傾斜を抽出し且つ傾斜とは関係なくオーバーレイを抽出することを可能にする。測定された傾斜は、以下にさらに詳細に記載するように、エッチングプロセス及び/又は他のパターニングプロセスを制御するために使用することができる。
[0122] 図2に描かれるように、ある実施形態では、エッチングコントローラ223は、エッチングステーション222によって行われるエッチングプロセスでの制御のために提供される。エッチングプロセスの制御は、以下のエッチングパラメータ、すなわち、基板にわたる所望の熱パターン、エッチングプロセスで使用されるプラズマ中の所望の化学物質濃度パターン、エッチングプロセス中に基板を取り囲む所望の電界パターン、エッチングプロセス中にもう1つの電極に印加される電圧のうちの1つ又は複数を制御することを含んでもよい。これらのエッチングパラメータの各々は、エッチング方向及び/又はエッチング速度及び/又は別のエッチング因子を位置依存的に変化させるために変動させることができる。エッチングパラメータの少なくとも1つを変動させることによって、エッチングプロセスを最適化して、傾斜したエッチングパスによって生じるエラーなどの、エッチングプロセスによって導入されるエラーを減少させる又は排除することが可能である。
[0123] 図11は、エッチングプロセスによってエラーがどのように導入され得るかを図示する。図11は、基板のエッジにオーバーレイエラーがどのように導入される可能性があるかを具体的に図示する。しかしながら、エッチングプロセスによって、基板全体にわたって又は基板の縁領域以外の領域若しくは縁領域を加えた領域にエラーが導入される可能性がある。オーバーレイエラーは、エッチングプロセスによって非対称に導入されることがある。
[0124] 図11の左上に図示するように、基板220は、典型的には、パターンが埋め込まれた下層310を含む。下層310の上に、1つ又は複数のデバイス層320が付加される。パターンが装置200によって照射されて現像装置212によって物理的レジストパターンに現像されるフォトレジスト層340が付加される前に、1つ又は複数のさらなる層330が付加されてもよい。図示するように、物理的レジストパターンと下層310におけるパターンとの間にオーバーレイエラーはない。
[0125] エッチングステーション222では、化学物質、例えばプラズマで、フォトレジスト層340の物理的レジストパターンのギャップ内のデバイス層320及び任意のさらなる層330をエッチングする。図11の中央上部に図示するように、矢印350で図示するエッチング方向が基板220の上面に完全に直交しない場合、層320、330は長方形としてエッチングされず、平行四辺形としてエッチングされる。平行四辺形はそれらの上端部が物理的レジストパターンに位置的に対応するが、物理的レジストパターンと下層310におけるパターンとの間にオーバーレイエラーがないとしても、平行四辺形はその下端部が下層310のパターンと位置的に一致しない。従って、最終基板234に又はさらなる層の付加のための基板232に達するように層330、340が(さらなる装置226によって)除去されたときに、図11の右側の図に図示するように、下層310におけるパターンとデバイス層320にエッチングされたパターンとの間にオーバーレイエラーが導入される。
[0126] それゆえ、図11の右側に図示するオーバーレイは、エッチング方向350が基板220の上面に完全に直交する場合には存在しないであろう、エッチングステーション222で誘起されたオーバーレイエラーである。図11の中央下部の図は、不完全なエッチング方向350がどのように誘導され得るかを図示する。例えば、基板220の縁部では、エッチングプロセス中に使用される電界360は、(電界360が基板220の中心にある)基板220の表面に完全に直交する状態から基板220の縁部で基板220の上面に直交する方向に対して傾斜した状態まで変化し得る。
[0127] 電界の方向(ひいてはエッチング方向350)を変化させるために変動させ得る1つのエッチングパラメータは、基板220の外縁部を取り囲む電極に印加できる電圧である。これは、エッチングプロセスによって誘起されるエラーを減少させるために、エッチングプロセス(すなわち、基板220の外縁部におけるエッチング方向350)を変化させるために変動させることができるエッチングパラメータの例である。同様の概念が、例えば、エッチング中に基板を取り囲む温度制御された焦点リングに関する米国特許第6,767,844号と、基板の表面全体にわたって均一なエッチング速度を達成するためのエッジリング部材を開示する米国特許出願公開第2006/0016561号とに開示されている。
[0128] エッチング誘起オーバーレイエラーの他の理由は、エッチング中の基板220の表面上の化学エッチング剤の濃度の局所変動、エッチング中に基板220に存在する熱パターンなどを含む場合がある。基板220の表面にわたるエッチング方向の変動は、エッチングパラメータを変動させることによって減少させる又は排除することができる。
[0129] 本開示の実施形態は、オーバーレイエラーなどのエッチング誘起エラーを減少させる又は補償する方法を提供する。
[0130] 実施形態に従って、パターニングプロセス制御方法が提供される。本方法は、図11に描かれた構成の簡略化されたバージョンである、図12に概略的に描かれた状況などの状況に適用される。図12は、下層401と、ターゲット層402と、上層403とを含む3層構造の小領域の側断面図である。下層401、ターゲット層402及び上層403の各々は、分かりやすくするために均一な単一層として描かれるが、実際には、各々が1つ又は複数の層を含むことができる。下層401は、下層401に形成されたパターンの一部である、下部基準フィーチャ411を含む。上層403は、上層403に形成されたパターンの一部である、上部基準フィーチャ413を含む。ターゲット層402もまたパターンを含む。このパターンにおけるフィーチャは、図11に関して上で説明した効果などのエッチング効果に起因して傾斜している。傾斜したフィーチャは、ターゲット層402にパターンを生成するために使用されるエッチングステップがたどる、パスを画定し、このパスはエッチングパス420と呼ばれる。エッチングパス420は、下部基準フィーチャ411を上部基準フィーチャ413に接続する。エッチングパス420は、下部基準フィーチャ411と上部基準フィーチャ413との間に電気的接続をもたらすビアなどの、最終製品フィーチャを画定してもよい。エッチングプロセスでのエラーによって生じるエッチングパス420における傾斜θによって、下部基準フィーチャ411と上部基準フィーチャ413との接続が不完全になる。事実上、傾斜θは、下層401とターゲット層402との界面にh×tanθのオーバーレイエラーOVを生じさせる。傾斜θは、ターゲット層402の平面に対する垂線430(図12の配向における垂直方向)からのエッチングパス420の方向における偏差である。
[0131] 本方法は、ターゲット層402を通るエッチングパス420における傾斜の測定から生じる傾斜データを取得することを含む。ある実施形態では、本方法は、傾斜の測定を行うことを含む。ある実施形態では、傾斜の測定は、傾斜の直接測定である。代替的又は追加的に、傾斜の測定は、傾斜の非破壊測定である。傾斜データは、パターニングプロセスを制御するために使用される。制御されたパターニングプロセスは、ターゲット層402より後に(すなわち、より後の時間に)形成される、さらなる層にパターンを形成するために使用される。制御のために様々な選択肢が利用可能である。制御の選択は、測定された傾斜が基板上の位置の関数としてどれほど速く変動するかに依存し得る。異なる制御方法は、空間解像度に関して異なる能力を有する。分かりやすくするために、以下の説明は、単一のエッチングパスと、エッチングパスの対応する単一の傾斜に言及する。実際の用途では、多くのエッチングパスがあり、潜在的に、エッチングパスと関連付けられた多くの異なる傾斜がある。本方法は、複数の位置において傾斜を測定することが可能である。本方法は、例えば、ダイ又は複数のダイにわたる変動を示す測定された傾斜のマップ又はフィンガープリントを提供してもよい。
[0132] 傾斜の測定を行う特に有効な方法は、図10A〜図10Cに関して上で説明したように、検出瞳表現(又は散乱放射の他の検出表現)の非対称性を使用することによるものである。従って、傾斜の測定は、放射で構造の照明を行って、構造によって再誘導された(散乱された)放射を検出することを含んでもよい。検出放射は、主に0次放射を含んでもよい。図10A〜図10Cに関して上で説明した方法は、傾斜情報又はオーバーレイ情報などの、非対称性情報が0次放射から導出されることを可能にする。0次放射の使用によって、固有の長さスケール又は周期性が小さな構造での測定が可能となり、それにより、デバイス構造における傾斜又はデバイス構造を含む基板ダイ内に位置する非デバイス構造(すなわち、デバイス構造と同程度の大きさの固有の長さスケール又は周期性を有する非デバイス構造)における傾斜を測定することが可能となる。ある実施形態では、傾斜は、検出瞳表現、例えば瞳像の強度分布の非対称性などの、構造によって再誘導された放射の検出表現の非対称成分から抽出される。非対称性は、鏡面対称面に関するものであってもよい。非対称性は、傾斜と相関関係があるので、傾斜の抽出を可能にする。このアプローチはまた、層の厚さが傾斜及び/又はオーバーレイと同時に抽出されることを可能にする。測定された傾斜を補正するために、次に形成される層に適用すべき補正の大きさを決定するのに、層の厚さが必要となる場合がある。
[0133] ある種の実施形態では、測定された傾斜は、傾斜が測定されたターゲット層402より後であるが構造の同じインスタンス上に形成される層にパターンを形成するために使用されるパターニングプロセスを制御するために使用される。このシナリオは、図13に概略的に描かれる。この例では、パターニングプロセスは、上層403におけるパターンを下層401に対して左側にシフトさせるように調整(制御)される。このシフトは、異なる層に生成されたパターン間の公称オーバーレイを変化させる制御の例である。このタイプの制御は、例えばリソグラフィパターン転写ステップを制御することによって実施されてもよい。制御の結果、基準フィーチャ413のシフトの結果として左側にシフトされる、傾斜したエッチングパス420が下部基準フィーチャ411と良好にアライメントされる。
[0134] 別の種の実施形態では、測定された傾斜は、次に形成される構造のインスタンス内又は上(例えば、異なる基板又はウェーハ上)の層にパターンを形成するために使用されるパターニングプロセスを制御するために使用されてもよい。図14及び図15は、そのような制御の例を描く。
[0135] 図14の例では、パターニングプロセスは、下層401におけるパターンを上層403に対して右側にシフトさせるように調整(制御)される。このシフトは、異なる層(この場合は下層401及び上層403)に生成されたパターン間の公称オーバーレイを変化させる制御のさらなる例である。制御の結果、傾斜したエッチングパス420が下部基準フィーチャ411と良好にアライメントされる。
[0136] 従って、制御されるパターニングプロセスは、リソグラフィパターン転写ステップを含んでもよい。リソグラフィパターン転写ステップは、例えば図1に関して上に記載したように、放射ビームの断面にパターンを付与して基板に転写すべきパターンを画定するために、パターニングデバイスMAを使用してもよい。このタイプの実施形態では、測定された傾斜θは、リソグラフィパターン転写ステップを制御するために使用される。制御は、(図13に描かれるように)ターゲット層より後に構造上に形成された層303でのパターンの形成中に適用されてもよい。代替的又は追加的に、次に形成される構造のインスタンスにリソグラフィパターン転写ステップが適用される場合、制御は、次に形成される構造のインスタンスのターゲット層402より先に形成された層401におけるパターンの形成中に、又は次に形成される構造のインスタンスのターゲット層402より後に形成された層403におけるパターンの形成中に適用されてもよい。
[0137] ある実施形態では、リソグラフィパターン転写ステップの制御は、パターニングデバイスMAを修正することを含む。パターニングデバイスMAは、全く新しいパターニングデバイスMAを作り直すことなく修正することができる。ある実施形態では、修正は、パターニングデバイスMAを選択的に加熱してパターニングデバイスMA内に局所応力を誘起することによって実施される。パターニングデバイスMAをどのように修正できるかについてのさらなる詳細は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、国際公開第2017/067765A1号において提供されている。パターニングデバイスMAは、ダイ内の位置の関数として急速に変動する測定された傾斜(すなわち、比較的高い空間周波数の傾斜変動)を補正するために修正することができる。
[0138] 上述のように、リソグラフィパターン転写ステップの制御は、リソグラフィパターン転写ステップによって層に形成されたパターンと異なる層におけるパターンとの間の公称オーバーレイを変化させることを含んでもよい。パターニングデバイスMAを修正することによって制御が実施される場合、公称オーバーレイの変化は、測定された傾斜の位置の関数としての変動に追従させるために、ダイ内を含む、基板全体にわたる位置の関数として変動させてもよい。代替的又は追加的に、公称オーバーレイの変化の全て又は変化への寄与は、各ダイに対して又はさらには基板全体にわたって均一に適用されてもよい。リソグラフィパターン転写ステップを修正してオーバーレイに均一なシフトを適用するための技術は、当該技術分野においてよく知られている。測定された傾斜を補正するためにオーバーレイに均一なシフトを適用することは、基板上の位置と共に比較的ゆっくりと変動する傾斜への寄与を補正するのに有効であり得る。オーバーレイに適用される均一なシフトは、ダイ毎に異なってもよく、その結果、各ダイが、そのダイに最適なオーバーレイシフトを受ける。
[0139] 代替的又は追加的に、リソグラフィパターン転写ステップの制御は、以下、すなわち、放射ビームによって適用されるドーズ量、放射ビームの焦点、放射ビームに付与される1つ又は複数の光学収差のうちの1つ又は複数を修正することを含む。例えば、ドーズ量の修正は、選択されたフィーチャをより大きくして傾斜したエッチングパスの存在下で装置の異なる層間に信頼性の高い電気的接続がもたらされる可能性を高めるために使用されてもよい。
[0140] 他の実施形態では、制御すべきパターニングプロセスは、材料層を堆積させる堆積ステップを含む。例えば図2に関して上に記載されたコーティング装置208を使用して堆積が実施されてもよい。従って、パターニングプロセスの制御は、コーティング装置208の制御を含んでもよい。ある実施形態では、測定された傾斜は、構造上のターゲット層402より後に形成される、層403の形成中に堆積ステップを制御するために使用される。代替的又は追加的に、堆積ステップが、次に形成される構造のインスタンスに適用される場合、制御は、次に形成される構造のインスタンスのターゲット層402より先に形成された層401の形成中に、次に形成される構造のインスタンスのターゲット層402の形成中に、又は次に形成される構造のインスタンスのターゲット層402より後に形成された層403の形成中に適用されてもよい。ある実施形態では、堆積プロセスの制御は、堆積ステップによって堆積させた材料層における応力分布を制御することを含む。この堆積プロセスの制御は、例えば、堆積中の材料の温度、材料を堆積させる速度、又は応力分布に影響を及ぼす他の任意の因子を制御することによって達成されてもよい。ある実施形態では、堆積プロセスの制御は、代替的又は追加的に、堆積ステップによって堆積させた材料層における以下、すなわち、高さ分布、密度分布、組成分布のうちの1つ又は複数を制御することを含む。
[0141] 図15の例では、パターニングプロセスは、エッチングパス420自体における傾斜を変化させるように調整(制御)される。図示の例では、傾斜が完全に除去される。傾斜の除去(又は減少)は、下部基準フィーチャ411とのエッチングパス420のより良好なアライメントをもたらす。傾斜は、エッチングパス420を形成するために使用されるエッチングプロセスを制御することによって又はターゲット層402若しくはターゲット層402を取り囲む層の応力分布を修正することによって変化させてもよい。
[0142] ある実施形態では、測定された傾斜は、基板上に次に形成される構造のインスタンスに適用されたエッチングプロセスを制御するために使用される。制御は、次に形成される構造のインスタンス内のターゲット層402より先に形成された層401におけるパターンの形成中に、次に形成される構造のインスタンス内のターゲット層402におけるパターンの形成中に、又は次に形成される構造のインスタンス内のターゲット層402より後に形成された層403におけるパターンの形成中に適用されてもよい。ある実施形態では、測定された傾斜は、エッチングプロセスの1つ又は複数のエッチングパラメータを制御するために使用される。ある実施形態では、図2に関して上に記載したように、エッチングプロセスはエッチングステーション222によって行われ、エッチングコントローラ223に制御信号を渡すことによって制御が適用される。ある実施形態では、エッチングプロセスの制御は、以下、すなわち、基板にわたる熱パターン、エッチングプロセスで使用されるプラズマ中の化学物質濃度パターン、エッチングプロセス中に基板を取り囲む電界パターン、エッチングプロセス中に1つ又は複数の電極に印加される電圧のうちの1つ又は複数を制御することを含む。
[0143] 図2に描き且つ上に記載したプロセスフローでは、本開示の実施形態は、エッチングステーション222から出力された基板(パス420)、エッチング後の洗浄及び/若しくはアニーリングのステーション224から出力された基板(パス421)、並びに/又はさらなる下流処理装置226から出力された基板(パス422)の傾斜の測定を行うことによって実施されてもよい。
[0144] 本開示の実施形態では、傾斜が直接測定される。従って、傾斜は、異なる構造上で異なる時間に行われた測定を比較する必要なしに決定される。例えば、傾斜の測定は、ターゲット層のエッチングに先立ってターゲット層上で行われるメトロロジ測定と傾斜したエッチングパスが存在するときに又は傾斜したエッチングパスが使用されて基板の後続の処理に影響を与えた後にターゲット層上で行われるメトロロジ測定との合間に比較を行う必要がない。傾斜の測定は、傾斜したエッチングパスが形成される前と形成された後に行われたオーバーレイ測定の比較を必要としない。
[0145] 傾斜の直接測定は、複数のエッチングステップがオーバーレイなどのエラーに累積的に寄与する場合に特に有益である。複数の全てのエッチングステップ前に取得されたオーバーレイ値と複数の全てのエッチングステップ後に取得されたオーバーレイ値とを比較することに依存する代替的なアプローチは、エッチングステップの1つでの傾斜によって生じるオーバーレイと、別のエッチングステップでの傾斜によって生じるオーバーレイとを区別できない。従って、そのようなアプローチを使用して得られた、エッチングステップの1つによって形成された構造における傾斜の予測では、他のエッチングステップの1つと傾斜が異なる可能性があるため、エラーが発生しやすい。シナリオ例については、図16〜図20に関して以下で説明する。
[0146] 図16は、複数のエッチングプロセス前の構造例を描く。構造は、下層401と、ターゲット層402と、上層403と、パターン付与された層404とを含む。パターン付与された層404は、第1のエッチングステップにおいてマスクとして機能する。第1のエッチングステップでは、図17に示すように、上層403にパターンがエッチングされる。この実施形態では、エッチングされた上層は、ハードマスク層423と呼ばれる場合がある。第1のエッチングステップでは、傾斜したエッチングパスがハードマスク層423に形成される。
[0147] 第2のエッチングステップでは、パターンは、ターゲット層402内にエッチングされる。ハードマスク層423内のパターンである、上層403内にエッチングされたパターンは、ターゲット層403内にエッチングされたパターンを画定する。従って、ハードマスク層423は、第2のエッチングステップにおいてマスクとして機能する。図18は、第2のエッチングステップの完了後の構造を描く。第2のエッチングステップでは、傾斜したエッチングパスがターゲット層402に形成される。第1のエッチングステップで使用されるエッチングパラメータは、第2のエッチングステップで使用されるエッチングパラメータと異なってもよい。従って、第1のエッチングステップによって生成されるエッチングパスの傾斜は、第2のエッチングステップによって生成されるエッチングパスの傾斜と異なってもよい。
[0148] 図16の構造及び図18の構造のオーバーレイ測定を行うことができる。図16の構造のオーバーレイ測定では、層404と層401との間にオーバーレイエラーが生じる可能性がある。図18の構造のオーバーレイ測定では、層402の重心と層401との間にオーバーレイエラーが生じる可能性がある。2つの測定の組み合わせでは、層404と層402の重心との間にオーバーレイエラーが生じる。図19を参照すると、そのような測定は、(傾斜が互いに補償し合うように)層423の傾斜が層402の傾斜とは反対方向にあるので、層402の傾斜によって実際に発生したシフトよりも小さくなる、層404に対する層402のシフト440を示唆する。この結果のみに基づいて第2のエッチングステップを制御することで、図20に示す右側のパス441で描かれるように、ターゲット層402に傾斜が残る。
[0149] ターゲット層402における傾斜を直接測定するために本開示の方法が適用される場合、図20に示す左側のパス442に描かれるように、このエラーを回避してターゲット層402における傾斜のより正確な減少をもたらすことが可能である。
[0150] ある実施形態では、本方法は、ターゲット層402を通るエッチングパスにおける傾斜の測定とは関係なく構造の異なる層におけるパターン間のオーバーレイを測定することをさらに含む。図16〜図20に関して上で説明した文脈などの複数のエッチングステップを含むパターニングプロセスの文脈では、オーバーレイの測定は、ターゲット層以外の層(図16〜図20の例におけるハードマスク層423など)のエッチングパスにおける傾斜を推定するために、ターゲット層402における測定された傾斜及び該当する層に関する幾何学的情報(例えば、厚さ)と組み合わせて使用されてもよい。推定された傾斜は、次に形成される構造のインスタンスの形成中にターゲット層以外の前記層にパターンを形成するために使用されるパターニングプロセスを制御するために使用される。上記の例では、このように、第1のエッチングプロセスによって生じる傾斜が推定され得る。推定された傾斜は、ターゲット層402における傾斜に関連して上で説明した方法の何れかでパターニングプロセスを制御するために(例えば、傾斜を減少させるために)使用されてもよい。代替的又は追加的に、ターゲット層402以外の層における推定された傾斜を補償するために、ターゲット層402と異なる層との間の公称オーバーレイを変化させる。
[0151] 図21を参照し、コンピュータシステム3200が、示される。コンピュータシステム3200は、バス3202又は情報を通信するための他の通信機構と、情報を処理するためにバス3202と結合されたプロセッサ3204(又は複数のプロセッサ3204及び3205)とを包含する。コンピュータシステム3200は、ランダムアクセスメモリ(RAM)又は他の動的ストレージデバイスなどの、プロセッサ3204によって実行される情報及び命令を保存するためにバス3202に結合されたメインメモリ3206も包含する。メインメモリ3206は、プロセッサ3204によって実行される命令の実行中に、一時変数又は他の中間情報を保存するためにも使用されてもよい。コンピュータシステム3200は、リードオンリーメモリ(ROM)3208、又はプロセッサ3204のための静的情報及び命令を保存するためにバス3202に結合された他の静的ストレージデバイスをさらに包含する。情報及び命令を保存するための磁気ディスク又は光ディスクなどのストレージデバイス3210が設けられるとともに、バス3202に結合される。
[0152] コンピュータシステム3200は、バス3202を介して、情報をコンピュータユーザに表示するための、陰極線管(CRT)、フラットパネル、又はタッチパネルディスプレイなどのディスプレイ3212に結合されてもよい。英数字及び他のキーを包含する入力デバイス3214が、情報及びコマンド選択をプロセッサ3204に通信するためにバス3202に結合される。別のタイプのユーザ入力デバイスは、プロセッサ3204に方向情報及びコマンド選択を通信するため、及びディスプレイ3212上でカーソルの移動を制御するための、マウス、トラックボール、又はカーソル方向キーなどのカーソル制御部3216である。この入力デバイスは、一般的に、2つの軸(第1の軸(例えばx)及び第2の軸(例えばy))において、デバイスがある面内で位置を特定することを可能にする2つの自由度を有する。タッチパネル(スクリーン)ディスプレイが、入力デバイスとして使用されてもよい。
[0153] コンピュータシステム3200は、メインメモリ3206に含まれる1つ又は複数の命令の1つ又は複数のシーケンスを実行するプロセッサ3204に応答して、本明細書における処理装置として機能するのに適し得る。このような命令は、ストレージデバイス3210などの別のコンピュータ可読媒体からメインメモリ3206に読み込まれてもよい。メインメモリ3206に含まれる命令のシーケンスの実行は、プロセッサ3204に本明細書に記載のプロセスを行わせる。メインメモリ3206に含まれる命令のシーケンスを実行するために、多重処理構成の1つ又は複数のプロセッサが用いられてもよい。代替実施形態では、ソフトウェア命令の代わりに、又はソフトウェア命令と一緒に、ハードワイヤード回路が用いられてもよい。従って、実施形態は、ハードウェア回路及びソフトウェアの特定の組み合わせに限定されない。
[0154] 本明細書で使用される「コンピュータ可読媒体」という用語は、実行のためにプロセッサ3204に命令を提供することに関与するあらゆる媒体を指す。このような媒体は、限定されないが、不揮発性媒体、揮発性媒体、及び伝送媒体を含む、多くの形態をとり得る。不揮発性媒体は、例えば、ストレージデバイス3210などの光又は磁気ディスクを含む。揮発性媒体は、メインメモリ3206などの動的メモリを含む。伝送媒体は、同軸ケーブル、銅線及び光ファイバ(バス3202を含むワイヤを含む)を含む。伝送媒体は、無線周波数(RF)及び赤外線(IR)データ通信中に生成されるものなどの、音波又は光波の形態もとり得る。コンピュータ可読媒体の一般的形態は、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、その他の磁気媒体、CD−ROM、DVD、その他の光媒体、パンチカード、紙テープ、孔のパターンを有したその他の物理媒体、RAM、PROM、及びEPROM、FLASH(登録商標)−EPROM、その他のメモリチップ又はカートリッジ、以下に記載されるような搬送波、又はコンピュータが読み取ることができるその他の媒体を含む。
[0155] コンピュータ可読媒体の様々な形態が、実行のためにプロセッサ3204に1つ又は複数の命令の1つ又は複数のシーケンスを搬送することに関与してもよい。例えば、命令は、最初は、リモートコンピュータの磁気ディスクにある場合がある。リモートコンピュータは、命令をそれの動的メモリにロードし、及びモデムを使用して電話回線上で命令を送ることができる。コンピュータシステム3200にローカルなモデムが、電話回線上のデータを受信し、及び赤外線送信機を用いてデータを赤外線信号に変換することができる。バス3202に結合された赤外線検出器が、赤外線信号で搬送されたデータを受信し、及びそのデータをバス3202にのせることができる。バス3202は、データをメインメモリ3206に搬送し、そこからプロセッサ3204が、命令の読み出し及び実行を行う。メインメモリ3206によって受信された命令は、任意選択的に、プロセッサ3204による実行の前又は後に、ストレージデバイス3210に保存されてもよい。
[0156] コンピュータシステム3200は、バス3202に結合された通信インターフェース3218も包含してもよい。通信インターフェース3218は、ローカルネットワーク3222に接続されたネットワークリンク3220に結合する双方向データ通信を提供する。例えば、通信インターフェース3218は、対応するタイプの電話回線にデータ通信接続を提供するデジタル総合サービス網(ISDN)カード又はモデムでもよい。別の例として、通信インターフェース3218は、互換性のあるLANへのデータ通信接続を提供するローカルエリアネットワーク(LAN)カードでもよい。ワイヤレスリンクが実施されてもよい。このような実施において、通信インターフェース3218は、様々なタイプの情報を表すデジタルデータストリームを搬送する電気、電磁、又は光信号の送信及び受信を行う。
[0157] ネットワークリンク3220は、一般的に、1つ又は複数のネットワークを通して、他のデータデバイスにデータ通信を提供する。例えば、ネットワークリンク3220は、ローカルネットワーク3222を通して、ホストコンピュータ3224又はインターネットサービスプロバイダ(ISP)3226によって操作されるデータ機器への接続を提供することができる。ISP3226は、次に、ワールドワイドパケットデータ通信ネットワーク(現在、一般に「インターネット」3228と呼ばれる)によるデータ通信サービスを提供する。ローカルネットワーク3222及びインターネット3228は共に、デジタルデータストリームを搬送する電気、電磁、又は光信号を使用する。コンピュータシステム3200に対して、及びコンピュータシステム3200からデジタルデータを搬送する、様々なネットワークを通る信号、及びネットワークリンク3220上の、及び通信インターフェース3218を通る信号は、情報を運ぶ搬送波の形態例である。
[0158] コンピュータシステム3200は、ネットワーク、ネットワークリンク3220、及び通信インターフェース3218を通して、メッセージを送信すること、及びプログラムコードを包含するデータを受信することができる。インターネット例では、サーバ3230は、インターネット3228、ISP3226、ローカルネットワーク3222、及び通信インターフェース3218を通して、アプリケーションプログラムの要求コードを送信する場合がある。1つ又は複数の実施形態によれば、そのようなダウンロードされたあるアプリケーションは、例えば本明細書に開示されるような方法を提供する。受信されたコードは、受信された際にプロセッサ3204によって実行されてもよく、及び/又は後で実行するためにストレージデバイス3210又は他の不揮発性ストレージに保存されてもよい。このようにして、コンピュータシステム3200は、搬送波の形態のアプリケーションコードを取得してもよい。
[0159] 本開示の実施形態は、本明細書に開示されるような方法を記述する機械可読命令の1つ又は複数のシーケンスを含むコンピュータプログラム、又はそのようなコンピュータプログラムを内部に保存したデータストレージ媒体(例えば、半導体メモリ、磁気又は光ディスク)の形態を取ってもよい。さらに、機械可読命令は、2つ以上のコンピュータプログラムにおいて実施されてもよい。2つ以上のコンピュータプログラムは、1つ又は複数の異なるメモリ及び/又はデータストレージ媒体に保存されてもよい。
[0160] 1つ又は複数のコンピュータプログラムが、リソグラフィ装置の少なくとも1つのコンポーネント内に位置する1つ又は複数のコンピュータプロセッサによって読み取られる際に、本明細書に記載のコントローラは、各々、又は組み合わせて動作可能であってもよい。これらのコントローラは、各々、又は組み合わせて、信号の受信、処理、及び送信を行うのに適した任意の構成を有していてもよい。1つ又は複数のプロセッサは、これらのコントローラの少なくとも1つと通信するように構成される。例えば、各コントローラは、上記の方法のための機械可読命令を包含するコンピュータプログラムを実行するための1つ又は複数のプロセッサを包含していてもよい。コントローラは、そのようなコンピュータプログラムを保存するためのデータストレージ媒体、及び/又はそのような媒体を受け入れるハードウェアを包含していてもよい。従って、コントローラは、1つ又は複数のコンピュータプログラムの機械可読命令に従って動作することができる。
[0161] 本文において、ICの製造におけるメトロロジ装置の使用に対して具体的な言及がなされる場合があるが、本明細書に記載のメトロロジ装置及びプロセスは、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンス及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造といった他の適用例を有し得ることが理解されるものとする。当業者は、このような代替適用例の文脈において、本明細書の「ウェーハ」又は「ダイ」という用語の使用を、それぞれ、より一般的な用語である「基板」又は「ターゲット部分」と同義であると見なすことができることを認識するだろう。本明細書で言及される基板は、露光の前又は後に、例えばトラック(一般的に、レジストの層を基板に塗布し、及び露光レジストを現像するツール)、メトロロジツール、及び/又は1つ又は複数の様々な他のツールにおいて処理されてもよい。適用可能な場合、本明細書の開示は、上記及び他の基板処理ツールに適用されてもよい。さらに、基板は、例えば多層ICを作成するために、2回以上処理されてもよく、そのため、本明細書で使用される基板という用語は、複数の処理された層を既に含む基板を指す場合もある。
[0162] 上記において、光リソグラフィの文脈での本開示の実施形態の使用に対して具体的な言及がなされる場合があるが、本開示は、例えばナノインプリントリソグラフィといった他の適用例において使用されてもよく、及び状況が許せば、光リソグラフィに限定されないことが認識されるだろう。ナノインプリントリソグラフィの場合、パターニングデバイスは、インプリントテンプレート又はモールドである。
[0163] 本明細書で使用される「放射」及び「ビーム」という用語は、紫外線(UV)(例えば、約365、355、248、193、157、又は126nmの波長を有する)及び極端紫外線(EUV)(例えば、5〜20nmの範囲の波長を有する)を包含するあらゆるタイプの電磁放射、並びにイオンビーム又は電子ビームなどの粒子ビームを対象に含める。
[0164] 「レンズ」という用語は、状況が許せば、屈折、反射、磁気、電磁及び静電光学コンポーネントを包含する様々なタイプの光学コンポーネントの何れか1つ又は組み合わせを指す場合がある。
[0165] 本明細書における閾値と交差すること、又は閾値を通過することへの言及は、何かが、ある特定の値未満の、又はある特定の値以下の値を有すること、何かが、ある特定の値を上回る、又はある特定の値以上の値を有すること、何かが、例えばパラメータに基づいて何か他のものよりも高く、又は低くランク付けされること(例えば、ソーティングにより)などを包含する場合がある。
[0166] 本明細書におけるエラーを補正すること、又はエラーの補正は、エラーを排除すること、又は許容範囲内にまでエラーを減少させることを包含する。
[0167] 本明細書で使用される「最適化すること」及び「最適化」という用語は、リソグラフィ又はパターニング処理の結果及び/又はプロセスが、より望ましい特性(基板上の設計レイアウトの投影のより高い精度、より大きなプロセスウィンドウなど)を有するように、リソグラフィ装置、パターニングプロセスなどを調整することを指す、又は意味する。従って、本明細書で使用される「最適化すること」及び「最適化」という用語は、少なくとも1つの関連のメトリックにおいて、向上(例えば、局所最適)を提供する1つ又は複数の変数の1つ又は複数の値を、上記1つ又は複数の変数の1つ又は複数の値の初期セットと比較して識別するプロセスを指す、又は意味する。「最適」及び他の関連の用語は、それに応じて解釈されるものとする。ある実施形態では、最適化ステップは、1つ又は複数のメトリックにおいて、さらなる向上を提供するために反復的に適用することができる。
[0168] システムの最適化プロセスでは、システム又はプロセスの性能指数は、費用関数として表すことができる。最適化プロセスは、費用関数を最適化する(例えば、最小化又は最大化する)システム又はプロセスのパラメータ(設計変数)の1セットを求めるプロセスに帰着する。費用関数は、最適化の目標に応じた適切な形態を有することができる。例えば、費用関数は、システム又はプロセスの特定の特性(評価点)の意図された値(例えば、理想値)に対する、これらの特性の偏差の重み付けされた二乗平均平方根(RMS)でもよい。費用関数は、これらの偏差の最大値(すなわち、最悪の偏差)でもよい。本明細書における「評価点」という用語は、システム又はプロセスのあらゆる特性を包含するように広く解釈されるものとする。システムの設計変数は、システム又はプロセスの実施の実用性により、有限範囲に制限することができ、及び/又は相互依存であってもよい。リソグラフィ装置又はパターニングプロセスの場合、上記制限は、多くの場合、調節可能な範囲及び/又はパターニングデバイス製造可能性設計ルールなどのハードウェアの物理的性質及び特性に関連付けられ、及び評価点は、基板上のレジスト像上の物理的点、並びにドーズ及びフォーカスなどの非物理的特性を包含してもよい。
[0169] 本開示の具体的な実施形態を上記に記載したが、本開示は、記載された以外の方法で実施されてもよいことが認識されるだろう。例えば、本開示は、上記に開示されたような方法を記述する機械可読命令の1つ又は複数のシーケンスを含むコンピュータプログラム、又は内部にそのようなコンピュータプログラムを保存したデータストレージ媒体(例えば、半導体メモリ、磁気又は光ディスク)の形態を取ってもよい。
[0170] ブロック図では、図示されたコンポーネントが離散機能ブロックとして描かれるが、実施形態は、本明細書に記載される機能性が図示通りに編成されるシステムに限定されない。各コンポーネントによって提供される機能性は、現在描かれているものとは異なるように編成されたソフトウェア又はハードウェアモジュールによって提供されてもよく、例えば、そのようなソフトウェア又はハードウェアは、混合、結合、複製、分割、配布(例えば、データセンター内で、又は地理的に)が行われてもよく、或いは、異なって編成されてもよい。本明細書に記載の機能性は、タンジブルで非一時的な機械可読媒体に保存されたコードを実行する1つ又は複数のコンピュータの1つ又は複数のプロセッサによって提供されてもよい。場合によっては、サードパーティコンテンツ配信ネットワークが、ネットワーク上で伝達される情報の一部又は全てをホスティングしてもよく、その場合、情報(例えばコンテンツ)が供給される、或いは提供されると言われている範囲で、コンテンツ配信ネットワークからその情報を読み出す命令を送ることによって、情報が提供されてもよい。
[0171] 特に別段の記載のない限り、上記説明から明らかなように、本明細書全体を通して、「処理する」、「計算する」、「演算する」、「決定する」などの用語を利用した説明は、専用コンピュータ又は類似の専用電子処理/計算デバイスなどの特定の装置の動作又はプロセスを指すことが認識される。
[0172] 読み手は、本出願が幾つかの発明を記載することを認識するはずである。これらの発明を複数の分離した特許出願に分けるのではなく、出願人は、これらの発明を、それらの関連した主題が出願プロセスの経済性に適しているという理由で、単一の文書にまとめている。しかし、このような発明の異なる利点及び局面は、1つにまとめられないものとする。場合によっては、実施形態は、本明細書に記載された欠点の全てに対処するが、これらの発明は、独立して有用であり、幾つかの実施形態は、このような問題の一部にのみ対処し、又は本開示を精査する当業者には明白となる他の言及されていない利点を提供することが理解されるものとする。コストの制約により、本明細書に開示される幾つかの発明は、現在請求されていない場合があり、及び継続出願などの後の出願で、又は現在の請求項の補正により、請求される場合がある。同様に、スペースの制約により、本文書の要約書部分及び発明の概要部分のどちらも、上記発明の全て、又は上記発明の全ての局面の包括的リストを含むと見なされるべきものではない。
[0173] 本発明の更なる実施形態は、以下の番号付きの実施形態のリストにおいて開示される。
1.基板上の構造のターゲット層を通るエッチングパスにおける傾斜の測定から生じる傾斜データを取得することであって、前記傾斜が、前記ターゲット層の平面に対する垂線からの前記エッチングパスの方向における偏差を表す、前記取得することと、
前記傾斜データを使用して、さらなる層にパターンを形成するために使用されるパターニングプロセスを制御することと
を含む、パターニングプロセス制御方法。
2.前記パターニングプロセスがエッチングプロセスを含み、且つ前記傾斜データが、前記エッチングプロセスを制御するために使用される、実施形態1に記載の方法。
3.前記エッチングプロセスの前記制御が、前記エッチングプロセスによる前記ターゲット層より上の層におけるパターンの形成中に適用される、実施形態2に記載の方法。
4.前記エッチングプロセスの前記制御が、前記エッチングプロセスによる次に形成される前記構造のインスタンス内又は上の層におけるパターンの形成中に適用される、実施形態2又は3に記載の方法。
5.前記エッチングプロセスの前記制御が、以下、すなわち、基板にわたる熱パターン、前記エッチングプロセスで使用されるプラズマ中の化学物質濃度パターン、前記エッチングプロセス中に基板を取り囲む電界パターン、前記エッチングプロセス中に1つ又は複数の電極に印加される電圧のうちの1つ又は複数を制御することを含む、実施形態2〜4の何れか一つに記載の方法。
6.前記パターニングプロセスが、放射ビームの断面にパターンを付与してリソグラフィパターン転写ステップによって転写すべきパターンを画定するためにパターニングデバイスが使用される前記リソグラフィパターン転写ステップを含み、前記傾斜データが、前記リソグラフィパターン転写ステップを制御するために使用される、先行する実施形態の何れか一つに記載の方法。
7.前記リソグラフィパターン転写ステップの前記制御が、前記リソグラフィパターン転写ステップによる前記ターゲット層より上の層におけるパターンの形成中に適用される、実施形態6に記載の方法。
8.前記リソグラフィパターン転写ステップの前記制御が、前記リソグラフィパターン転写ステップによる次に形成される前記構造のインスタンス内又は上の層におけるパターンの形成中に適用される、実施形態6又は7に記載の方法。
9.前記リソグラフィパターン転写ステップの前記制御が、前記パターニングデバイスを修正することを含む、実施形態6〜8の何れか一つに記載の方法。
10.前記リソグラフィパターン転写ステップの前記制御が、以下、すなわち、前記放射ビームによって適用されるドーズ量、前記放射ビームの焦点、前記放射ビームに付与される1つ又は複数の光学収差のうちの1つ又は複数を修正することを含む、実施形態6〜9の何れか一つに記載の方法。
11.前記リソグラフィパターン転写ステップの前記制御が、前記リソグラフィパターン転写ステップによって層に形成されたパターンと異なる層におけるパターンとの間の公称オーバーレイを変化させることを含む、実施形態6〜10の何れか一つに記載の方法。
12.前記パターニングプロセスが、材料層を堆積させる堆積ステップを含み、且つ前記測定された傾斜が、前記堆積ステップを制御するために使用される、先行する実施形態の何れか一つに記載の方法。
13.前記堆積ステップの前記制御が、前記堆積ステップによる前記ターゲット層より上の層の形成中に適用される、実施形態12に記載の方法。
14.前記堆積ステップの前記制御が、前記堆積ステップによる次に形成される前記構造のインスタンス内又は上の層の形成中に適用される、実施形態12又は13に記載の方法。
15.前記堆積ステップの前記制御が、前記堆積ステップによって堆積させた前記材料層における以下、すなわち、応力分布、高さ分布、密度分布、組成分布のうちの1つ又は複数を制御することを含む、実施形態12〜14の何れか一つに記載の方法。
16.前記構造は、
パターンが前記ターゲット層より上の層内にエッチングされる第1のエッチングステップと、
パターンが前記ターゲット層内にエッチングされる第2のエッチングステップと
を含むエッチングプロセスであって、
前記ターゲット層より上の前記層内にエッチングされた前記パターンが、前記ターゲット層内にエッチングされた前記パターンを画定する、
前記エッチングプロセスによって形成される、
先行する実施形態の何れか一つに記載の方法。
17.前記ターゲット層を通る前記エッチングパスにおける傾斜の前記測定とは関係なく前記構造の異なる層におけるパターン間のオーバーレイを測定することをさらに含む、実施形態16に記載の方法。
18.前記測定されたオーバーレイが、前記第1のエッチングステップによってエッチングされた前記層におけるエッチングパスの傾斜を推定するために前記ターゲット層における前記測定された傾斜と組み合わせて使用される、実施形態17に記載の方法。
19.前記推定された傾斜が、次に形成される前記構造のインスタンスの形成中に前記第1のエッチングプロセスを制御するために使用される、実施形態18に記載の方法。
20.前記推定された傾斜を補償するために、前記ターゲット層と異なる層との間の公称オーバーレイを変化させる、実施形態18又は19に記載の方法。
21.前記ターゲット層を通る前記エッチングパスにおける傾斜の前記測定とは関係なく前記構造の異なる層におけるパターン間のオーバーレイを測定することをさらに含む、実施形態1〜15の何れか一つに記載の方法。
22.傾斜の前記測定が、傾斜の直接測定を含む、先行する実施形態の何れか一つに記載の方法。
23.傾斜の前記測定が、傾斜の非破壊測定を含む、先行する実施形態の何れか一つに記載の方法。
24.傾斜の前記測定を行うことを含む、先行する実施形態の何れか一つに記載の方法。
25.傾斜の前記測定が、放射で前記構造の照明を行って、前記構造によって再誘導された放射を検出することを含む、先行する実施形態の何れか一つに記載の方法。
26.前記検出放射が、主に0次放射である、実施形態25に記載の方法。
27.前記傾斜が、前記構造によって再誘導された放射の検出表現の非対称成分から抽出される、実施形態25又は26に記載の方法。
28.前記検出表現が、前記検出瞳表現を含む、実施形態27に記載の方法。
29.前記構造がデバイス構造を含む、先行する実施形態の何れか一つに記載の方法。
30.前記構造が、デバイス構造を含む基板ダイ内の非デバイス構造を含む、先行する実施形態の何れか一つに記載の方法。
31.基板上のターゲット層を含む構造を形成することと、
前記ターゲット層を通るエッチングパスにおける傾斜の測定から生じる傾斜データを取得することであって、前記傾斜が、前記ターゲット層の平面に対する垂線からの前記エッチングパスの方向における偏差を表す、前記取得することと、
前記傾斜データを使用して、さらなる層にパターンを形成するために使用されるパターニングプロセスを制御することと
を含む、デバイス製造方法。
32.そこに命令を有するコンピュータ非一時的可読媒体を含むコンピュータプログラム製品であって、前記命令が、コンピュータによって実行されたときに、実施形態1〜30の何れか一つに記載の方法を実施する、コンピュータプログラム製品。
[0174] 本明細書及び図面は、本発明を開示された特定の形態に限定することを意図したものではなく、逆に、その意図は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神及び範囲内に入る全ての変更形態、等価形態、及び代替形態を対象に含めることと理解されるものとする。
[0175] 本発明の様々な局面の変更形態及び代替実施形態は、本明細書に鑑みて、当業者には明らかとなるだろう。従って、本明細書及び図面は、単なる例示と見なされるべきものであり、及び本発明を実施する一般的な態様を当業者に教示する目的のものである。本明細書に図示及び記載される本発明の形態は、実施形態の例と見なされるべきであることが理解されるものとする。本発明の本明細書の恩恵を受けた後に全て当業者には明らかとなるように、要素及び材料が、本明細書に図示及び記載されたものの代わりに使用されてもよく、部品及びプロセスの反転又は削除が行われてもよく、特定のフィーチャが独立して利用されてもよく、及び複数の実施形態又は複数の実施形態のフィーチャが組み合わせられてもよい。以下の特許請求の範囲に記載されるような本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、本明細書に記載された要素に変更が行われてもよい。本明細書に使用される見出しは、単なる構成目的のものであり、本明細書の範囲を限定するために使用されることは意図されない。
[0176] 本出願全体を通して、「してもよい(may)」という語は、義務的な意味(すなわち、「しなければならない(must)」の意味)ではなく、許容の意味(すなわち、「〜する可能性がある」の意味)で使用される。「含む(include)」、「含んでいる(including)」、及び「含む(includes)」などの語は、「限定されることなく含んでいること」を意味する。本出願全体を通して、単数形「a」、「an」、及び「the」は、内容が明らかにそうでないことを示さない限り、複数の指示対象を含む。従って、例えば、「1つの(an)」要素又は「1つの(a)」要素に対する言及は、「1つ又は複数の(one or more)」などの1つ又は複数の要素に対する他の用語及びフレーズの使用にもかかわらず、2つ以上の要素の組み合わせを含む。「又は(or)」という用語は、別段の指示のない限り、非排他的であり、すなわち、「及び(and)」と「又は(or)」の両方を包含する。例えば、「Xに応答して、Y」、「Xに際して、Y」、「もしXであれば、Y」「Xの時にY」などといった条件関係を表す用語は、先行詞が必要な因果条件であり、先行詞が十分な因果条件であり、又は先行詞が結果の一因となる因果条件である(例えば、「条件Yの獲得に際して、状態Xが生じる」は、「Yに際してのみXが生じる」及び「Xが、Y及びZに際して生じる」を包括する)因果関係を包含する。このような条件関係は、一部の結果が遅延され得ることから、先行詞の後にすぐさま続く獲得する結果に限定されず、条件文において、先行詞はそれらの結果に関係があり、例えば、先行詞は、結果が生じる可能性に関係する。複数の属性又は機能が複数の対象に対応付けられる文(例えば、1つ又は複数のプロセッサが、ステップA、B、C、及びDを行う)は、別段の指示がない限り、全てのそのような属性又は機能が、全てのそのような対象に対応付けられること、及び属性又は機能のサブセットが、属性又は機能のサブセットに対応付けられることの両方(例えば、全プロセッサのそれぞれが、ステップA〜Dを行うこと、及びプロセッサ1がステップAを行い、プロセッサ2がステップB及びステップCの一部を行い、及びプロセッサ3がステップCの一部及びステップDを行うケースの両方)を包含する。さらに別段の指示がない限り、1つの値又は動作が別の条件又は値に「基づく」文は、その条件又は値が、唯一の因子である場合、及びその条件又は値が、複数の因子の中の1つの因子である場合の両方を包含する。別段の指示のない限り、ある集団の「各々の」例が、ある特性を有するという文は、より大きな集団の他の点では同一又は類似のメンバーがその特性を持たないケースを排除すると解釈されるべきではなく、すなわち、「各々」は、必ずしも、「ありとあらゆる」を意味しない。
[0177] 特定の米国特許、米国特許出願、又は他の資料(例えば、論文)が援用された範囲で、上記米国特許、米国特許出願、及び他の資料の本文は、上記資料と、本明細書に明記された記載及び図面との間に矛盾のない範囲でのみ援用される。そのような矛盾の際には、上記援用された米国特許、米国特許出願、及び他の資料におけるそのような矛盾する本文は、厳密には本明細書に援用されない。
[0178] 上記の記載は、制限するものではなく、説明のためのものであることが意図される。従って、当業者には、以下に記載される請求項の範囲から逸脱することなく、記載された本開示に修正が行われてもよいことが明らかとなるだろう。