[0048] 実施形態を詳細に記載する前に、実施形態が実施され得る環境例を提示することが有益である。
[0049] 図1は、リソグラフィ装置LAを模式的に描く。この装置は、
-放射ビームB(例えば、UV放射又はDUV放射)を調節するように構成された照明系(イルミネータ)ILと、
-パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持するように構築され、且つ特定のパラメータに従って、パターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに接続されたサポート構造(例えばマスクテーブル)MTと、
-基板(例えばレジストコートウェーハ)Wを保持するように構築され、且つ特定のパラメータに従って、基板を正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWに接続された基板テーブル(例えばウェーハテーブル)WTと、
-パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付与されたパターンを基板W(例えば、1つ又は複数のダイを含む)のターゲット部分C上に投影するように構成された投影系(例えば屈折投影レンズ系)PSであって、基準フレーム(RF)上に支持される投影系と、
を含む。
[0050] 照明系は、放射の誘導、整形、又は制御を行うための、屈折、反射、磁気、電磁、静電又は他のタイプの光学コンポーネント、又はそれらの何れかの組み合わせなどの様々なタイプの光学コンポーネントを包含してもよい。
[0051] サポート構造は、パターニングデバイスの配向、リソグラフィ装置の設計、及び例えばパターニングデバイスが真空環境で保持されるか否かなどの他の条件に依存したやり方で、パターニングデバイスを保持する。サポート構造は、機械的、真空、静電又は他のクランプ技術を用いて、パターニングデバイスを保持することができる。サポート構造は、必要に応じて固定されてもよく、又は移動可能であってもよいフレーム又はテーブルでもよい。サポート構造は、例えば投影系に対してパターニングデバイスが所望の位置にあることを確実にすることができる。本明細書における「レチクル」又は「マスク」という用語の使用は、より一般的な用語である「パターニングデバイス」と同義であると見なすことができる。
[0052] 本明細書で使用される「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分にパターンを付与するために使用することができるあらゆるデバイスを指すと広く解釈されるものとする。ある実施形態では、パターニングデバイスは、基板のターゲット部分にパターンを生成するために、その断面にパターンを有した放射ビームを付与するために使用することができるあらゆるデバイスである。放射ビームに付与されるパターンは、例えば、パターンが、位相シフトフィーチャ、又はいわゆるアシストフィーチャを包含する場合には、基板のターゲット部分の所望のパターンに正確に対応しない場合があることに留意されたい。一般に、放射ビームに付与されるパターンは、集積回路などのターゲット部分に生成されるデバイス内の特定の機能層に対応する。
[0053] パターニングデバイスは、透過型又は反射型でもよい。パターニングデバイスの例は、マスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパネルを包含する。マスクは、リソグラフィにおいてよく知られており、及びバイナリ、レベンソン型(alternating)位相シフト、及びハーフトーン型(attenuated)位相シフトなどのマスクタイプ、並びに様々なハイブリッドマスクタイプを包含する。プログラマブルミラーアレイの一例は、小型ミラーのマトリックス配置を採用し、各小型ミラーは、入射する放射ビームを異なる方向に反射するように個々に傾斜させることができる。これらの傾斜ミラーは、ミラーマトリックスによって反射される放射ビームにパターンを付与する。
[0054] 本明細書で使用される「投影系」という用語は、使用されている露光放射に対して、又は液浸液の使用又は真空の使用などの他のファクタに対して適切に、屈折、反射、反射屈折、磁気、電磁及び静電光学系、又はそれらの何れかの組み合わせを包含するあらゆるタイプの投影系を対象に含めると広く解釈されるものとする。本明細書における「投影レンズ」という用語の使用は、より一般的な用語である「投影系」と同義であると見なすことができる。
[0055] 投影系PSは、不均一となり得る(これは、基板W上に結像されるパターンに影響を与え得る)光学伝達関数を有する。非偏光放射の場合、このような影響は、投影系PSを出射する放射の透過(アポディゼーション)及び相対位相(収差)を、それの瞳面内での位置の関数として記述する2つのスカラーマップによって、かなり良く表すことができる。透過マップ及び相対位相マップと呼ばれる場合があるこれらのスカラーマップは、基底関数の完全なセットの線形結合として表現することができる。特に便利なセットは、単位円上で定義される直交多項式のセットを形成するゼルニケ多項式である。各スカラーマップの決定は、そのような展開における係数を決定することを含んでもよい。ゼルニケ多項式は、単位円上で直交するので、ゼルニケ係数は、各ゼルニケ多項式と測定されたスカラーマップの内積を順に演算し、これを、当該ゼルニケ多項式のノルムの二乗で除算することによって決定されてもよい。
[0056] 透過マップ及び相対位相マップは、フィールド及びシステムに依存する。すなわち、一般に、各投影系PSは、各フィールド点に対して(すなわち、それの像面における各空間位置に対して)異なるゼルニケ展開を有する。瞳面内の投影系PSの相対位相は、例えば、投影系PSの対物面(すなわち、パターニングデバイスMAの面)内の点状放射源から投影系PSを通して放射を投影することによって、及びシヤリング干渉計を用いて波面(すなわち、同じ位相を持つ点の軌跡)を測定することによって決定されてもよい。シヤリング干渉計は、共通経路干渉計であり、従って、有利に、波面の測定に二次基準ビームが必要とされない。シヤリング干渉計は、投影系の像面(すなわち、基板テーブルWT)内に回折格子(例えば二次元グリッド)と、投影系PSの瞳面と共役な面内で干渉パターンを検出するように配置された検出器とを含んでもよい。干渉パターンは、シヤリング方向の瞳面内の座標に対する放射の位相の導関数に関連する。検出器は、例えば電荷結合デバイス(CCD)などのセンシング要素のアレイを含んでもよい。
[0057] リソグラフィ装置の投影系PSは、可視フリンジを生じさせないことが可能であり、従って、波面の決定の精度は、例えば、回折格子を移動させるなどの位相ステッピング技術を用いて向上させることができる。ステッピングは、回折格子の面内で、及び測定のスキャン方向に垂直な方向に行われてもよい。ステッピング範囲は、1格子周期でもよく、及び少なくとも3つの(均一に分布された)位相ステップが使用されてもよい。従って、例えば3つのスキャン測定が、y方向に行われてもよく、各スキャン測定は、x方向の異なる位置に対して行われる。回折格子のこのステッピングは、位相変動を強度変動に効果的に変換し、位相情報が決定されることを可能にする。検出器を較正するために、格子は、回折格子(z方向)に垂直な方向にステッピングされてもよい。
[0058] 瞳面内の投影系PSの透過(アポディゼーション)は、例えば、投影系PSの対物面(すなわち、パターニングデバイスMAの面)内の点状放射源から投影系PSを通して放射を投影することによって、及び検出器を用いて投影系PSの瞳面と共役な面内の放射の強度を測定することによって決定されてもよい。収差を決定するための波面の測定に使用されたのと同じ検出器が使用されてもよい。
[0059] 投影系PSは、複数の光学(例えばレンズ)要素を含んでもよく、及び収差(フィールド全体の瞳面にわたる位相変動)を補正するために光学要素の1つ又は複数を調整するように構成された調整機構AMをさらに含んでもよい。これを達成するために、調整機構は、投影系PS内の1つ又は複数の光学(例えばレンズ)要素を1つ又は複数の異なるやり方で操作するように動作可能でもよい。投影系は、光軸がz方向に延びる座標系を有してもよい。調整機構は、以下の何れかの組み合わせを行うように動作可能でもよい:1つ又は複数の光学要素を変位させること;1つ又は複数の光学要素を傾斜させること;及び/又は1つ又は複数の光学要素を変形させること。光学要素の変位は、任意の方向(x、y、z又はそれらの組み合わせ)のものであってもよい。光学要素の傾斜は、一般的に、x及び/又はy方向の軸周りを回転することによって(z軸周りの回転は、非回転対称非球面光学要素に使用されてもよい)、光軸に対して垂直な面から外れる。光学要素の変形は、低周波形状(例えば非点収差)及び/又は高周波形状(例えば自由形状非球面)を包含してもよい。光学要素の変形は、例えば、1つ又は複数のアクチュエータを用いて光学要素の1つ又は複数の側面に力を及ぼすことによって、及び/又は1つ又は複数の加熱要素を用いて光学要素の1つ又は複数の選択された領域を加熱することによって行われてもよい。一般に、アポディゼーション(瞳面にわたる透過変動)を補正するために投影系PSを調整することが可能ではない場合がある。リソグラフィ装置LA用のパターニングデバイス(例えばマスク)MAを設計する際に、投影系PSの透過マップが使用されてもよい。計算機リソグラフィ技術を用いて、パターニングデバイスMAは、少なくとも部分的にアポディゼーションを補正するように設計されてもよい。
[0060] ここに描かれるように、本装置は、透過型のものである(例えば、透過型マスクを用いる)。代替的に、本装置は、反射型のものであってもよい(例えば、上述のタイプのプログラマブルミラーアレイを用いる、又は反射マスクを用いる)。
[0061] リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)又はそれより多いテーブル(例えば、2つ以上の基板テーブルWTa、WTb、2つ以上のパターニングデバイステーブル、例えば、測定及び/又は洗浄などを容易にすること専用の基板を持たない投影系の下の基板テーブルWTa及びテーブルWTb)を有するタイプのものであってもよい。このような「マルチステージ」機械では、追加のテーブルが同時に使用されてもよく、又は1つ又は複数の他のテーブルが露光に使用されている間に、1つ又は複数のテーブル上で準備ステップが行われてもよい。例えば、アライメントセンサASを用いたアライメント測定、及び/又はレベルセンサLSを用いたレベル(高さ、傾斜など)測定が、行われてもよい。
[0062] リソグラフィ装置は、基板の少なくとも一部が、投影系と基板との間の空間を満たすために、比較的高い屈折率を有する液体(例えば水)によって覆われてもよいタイプのものであってもよい。液浸液は、リソグラフィ装置の他の空間、例えば、パターニングデバイスと投影系との間に与えられてもよい。投影系の開口数を増加させる液浸技術が、当該分野においてよく知られている。本明細書で使用される「液浸」という用語は、基板などの構造が、液体中に沈められなければならないことを意味するのではなく、単に、液体が、露光中に、投影系と基板との間に位置することを意味する。
[0063] 図1を参照して、イルミネータILは、放射源SOから放射ビームを受ける。放射源及びリソグラフィ装置は、例えば放射源がエキシマレーザである場合に、別個のエンティティでもよい。そのような場合には、放射源は、リソグラフィ装置の一部を形成するとは見なされず、及び放射ビームは、例えば適切な誘導ミラー及び/又はビームエキスパンダを含むビームデリバリシステムBDを用いて、放射源SOからイルミネータILへと渡される。他のケースでは、放射源は、例えば放射源が水銀ランプである場合に、リソグラフィ装置の一体化部分であってもよい。放射源SO及びイルミネータILは、必要であればビームデリバリシステムBDと共に、放射システムと呼ばれる場合がある。
[0064] イルミネータILは、放射ビームの角度強度分布を調整するように構成されたアジャスタADを含んでもよい。一般に、少なくともイルミネータの瞳面内の強度分布の外側及び/又は内側半径範囲(通常、それぞれσ-outer及びσ-innerと呼ばれる)を調整することができる。加えて、イルミネータILは、インテグレータIN及びコンデンサCOなどの様々な他のコンポーネントを含んでもよい。イルミネータを用いて、放射ビームが、その断面に所望の均一性及び強度分布を持つように調節してもよい。
[0065] 放射ビームBは、サポート構造(例えばマスクテーブル)MT上に保持されるパターニングデバイス(例えばマスク)MAに入射し、及びパターニングデバイスによってパターン形成される。パターニングデバイスMAを横断した後、放射ビームBは、ビームの焦点を基板Wのターゲット部分C上に合わせる投影系PSを通過する。第2のポジショナPW及び位置センサIF(例えば、干渉デバイス、リニアエンコーダ、2Dエンコーダ又は静電容量センサ)を用いて、例えば異なるターゲット部分Cを放射ビームBのパス内に位置決めするように、基板テーブルWTを正確に移動させることができる。同様に、例えばマスクライブラリの機械検索後に、又はスキャン中に、第1のポジショナPM及び別の位置センサ(図1では明確に描かれていない)を用いて、放射ビームBのパスに対してパターニングデバイスMAを正確に位置決めすることができる。一般に、サポート構造MTの移動は、第1のポジショナPMの一部を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)及びショートストロークモジュール(微動位置決め)を用いて実現されてもよい。同様に、基板テーブルWTの移動は、第2のポジショナPWの一部を形成するロングストロークモジュール及びショートストロークモジュールを用いて実現されてもよい。ステッパの場合は(スキャナとは対照的に)、サポート構造MTは、ショートストロークアクチュエータのみに接続されてもよく、又は固定されてもよい。パターニングデバイスMA及び基板Wは、パターニングデバイスアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を用いてアライメントされてもよい。図示されるような基板アライメントマークは、専用ターゲット部分を占有するが、これらは、ターゲット部分間の空間に位置してもよい(これらは、スクライブラインアライメントマークとして知られている)。同様に、2つ以上のダイがパターニングデバイスMA上に設けられる状況では、パターニングデバイスアライメントマークは、ダイ間に位置してもよい。
[0066] 描かれた装置は、以下のモードの少なくとも1つで使用され得る:
1.ステップモードでは、放射ビームに付与されたパターン全体が、一度にターゲット部分C上に投影される間に、サポート構造MT及び基板テーブルWTが、基本的に静止状態を保つ(すなわち、単一静的露光)。次に、異なるターゲット部分Cを露光することができるように、基板テーブルWTが、X及び/又はY方向にシフトされる。ステップモードでは、露光フィールドの最大サイズが、単一静的露光で結像されるターゲット部分Cのサイズを限定する。
2.スキャンモードでは、放射ビームに付与されたパターンが、ターゲット部分C上に投影される間に、サポート構造MT及び基板テーブルWTが、同期してスキャンされる(すなわち、単一動的露光)。サポート構造MTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影系PSの拡大(縮小)及び像反転特性によって決定されてもよい。スキャンモードでは、露光フィールドの最大サイズが、単一動的露光のターゲット部分の幅(非スキャン方向の)を限定し、スキャン動作の長さが、ターゲット部分の高さ(スキャン方向の)を決定する。
3.別のモードでは、放射ビームに付与されたパターンが、ターゲット部分C上に投影される間に、サポート構造MTは、プログラマブルパターニングデバイスを保持して基本的に静止状態を保つとともに、基板テーブルWTが、移動又はスキャンされる。このモードでは、一般にパルス放射源が用いられ、及びプログラマブルパターニングデバイスが、基板テーブルWTの各移動後に、又はスキャン中の連続した放射パルス間で、必要に応じて更新される。この動作モードは、上述のタイプのプログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを利用するマスクレスリソグラフィに簡単に適用することができる。
[0067] 上記の使用モード又は完全に異なる使用モードの組み合わせ及び/又はバリエーションが用いられてもよい。
[0068] 図2に示されるように、リソグラフィ装置LAは、基板に対して露光前又は露光後プロセスを行う装置も包含する、時には、リソセル又はクラスタとも呼ばれるリソグラフィックセルLCの一部を形成してもよい。従来、これらは、1つ又は複数のレジスト層を堆積させる1つ又は複数のスピンコーターSC、露光されたレジストを現像するための1つ又は複数のデベロッパDE、1つ又は複数の冷却プレートCH及び/又は1つ又は複数のベークプレートBKを包含する。基板ハンドラ又はロボットROは、入出力ポートI/O1、I/O2から1つ又は複数の基板を受け取り、それらを異なるプロセス装置間で移動させ、及びそれらをリソグラフィ装置のローディングベイLBに届ける。大抵の場合トラックと総称されるこれらの装置は、それ自体が監視制御システムSCS(これは、リソグラフィ制御ユニットLACUにより、リソグラフィ装置も制御する)によって制御されるトラック制御ユニットTCUの制御下にある。従って、異なる装置を動作させることにより、スループット及び処理効率を最大限にすることができる。
[0069] リソグラフィ装置によって露光される基板が、正確に、且つ一貫して露光されるために、露光された基板を検査して、オーバーレイ(これは、例えば、重なり合う層の構造間、又は同じ層内の、例えばダブルパターニングプロセスによってその層とは別に設けられた構造間に存在し得る)、ライン厚さ、クリティカルディメンジョン(CD)、フォーカスオフセット、材料特性などの1つ又は複数の特性を測定又は決定することが望ましい。それに応じて、リソセルLCが位置する製造施設は、一般的に、リソセルで処理された基板Wの一部又は全てを受け取るメトロロジシステムMETも包含する。メトロロジシステムMETは、リソセルLCの一部であってもよく、例えば、それは、リソグラフィ装置LAの一部であってもよい。
[0070] メトロロジ結果は、監視制御システムSCSに直接又は間接的に提供されてもよい。エラーが検出されると、後続の基板の露光に対して(特に、バッチの1つ又は複数の他の基板がまだこれから露光されるほど直ちに且つ迅速にインスペクションを行うことができる場合に)、及び/又は露光された基板の後続の露光に対して調整が行われてもよい。また、既に露光された基板は、歩留まりを向上させるために、はがされ、及び再加工が行われてもよく、又は破棄されることによって、欠陥があると分かっている基板に対してさらなる処理を行うことが回避されてもよい。基板の幾つかのターゲット部分にのみ欠陥がある場合には、良好なターゲット部分のみにさらなる露光が行われてもよい。
[0071] メトロロジシステムMET内で、メトロロジ装置を用いて、基板の1つ又は複数の特性、及び具体的には、異なる基板の1つ又は複数の特性がどのように変動するか、又は同じ基板の異なる層が、層毎にどのように変動するかが決定される。メトロロジ装置は、リソグラフィ装置LA又はリソセルLCに組み込まれてもよいし、又はスタンドアローンデバイスであってもよい。高速測定を可能にするために、メトロロジ装置が、露光直後に、露光されたレジスト層の1つ又は複数の特性を測定することが望ましい。しかし、レジストの潜像が、低コントラスト(放射に露光されたレジストの部分と、放射に露光されていないレジストの部分との間に、ごく小さな屈折率の差異が存在するのみである)を有し、及び全てのメトロロジ装置が、潜像の有用な測定を行うのに十分な感度を有するわけではない。従って、測定は、習慣的に露光された基板に対して行われる最初のステップであり、及びレジストの露光部分と非露光部分との間のコントラストを増加させるポストベークステップ(PEB)後に行われてもよい。この段階では、レジストの像は、半潜像的と呼ばれる場合がある。現像されたレジスト像の測定を行うことも可能であり(この時点で、レジストの露光部分又は非露光部分は、除去済みである)、又はエッチングなどのパターン転写ステップ後に行うことも可能である。後者の可能性は、欠陥のある基板の再加工の可能性を限定するが、それでも有用な情報を提供する場合がある。
[0072] メトロロジを可能にするために、1つ又は複数のターゲットを基板上に設けることができる。ある実施形態では、ターゲットは、特別に設計され、及び周期構造を含んでいてもよい。ある実施形態では、ターゲットは、デバイスパターンの一部(例えばデバイスパターンの周期構造)である。ある実施形態では、デバイスパターンは、メモリデバイスの周期構造(例えば、バイポーラトランジスタ(BPT)、ビットラインコンタクト(BLC)などの構造)である。
[0073] ある実施形態では、基板上のターゲットは、現像後に、周期構造フィーチャが、固体レジストラインから形成されるように印刷された1つ又は複数の1D周期構造(例えば格子)を含んでいてもよい。ある実施形態では、ターゲットは、現像後に、1つ又は複数の周期構造が、固体レジストピラー又はレジストのビアから形成されるように印刷された1つ又は複数の2D周期構造(例えば格子)を含んでいてもよい。バー、ピラー、又はビアは、代替的に、基板内に(例えば、基板上の1つ又は複数の層内に)エッチングされてもよい。
[0074] ある実施形態では、パターニングプロセスの関心のあるパラメータの1つは、オーバーレイである。オーバーレイは、0次回折(鏡面反射に対応する)がブロックされ、及びより高次のものだけが処理される暗視野スキャトロメトリを用いて、測定することができる。暗視野メトロロジの例は、その全体が本明細書により援用されるPCT特許出願公開第2009/078708号及び第2009/106279号に見つけることができる。さらに、この技術のさらなる発展が、その全体が本明細書により援用される米国特許出願公開第2011-0027704号、米国特許出願公開第2011-0043791号及び米国特許出願公開第2012-0242970号に記載されている。回折次数の暗視野検出を用いた回折ベースのオーバーレイは、より小さなターゲットに対するオーバーレイ測定を可能にする。これらのターゲットは、照明スポットよりも小さくてもよく、及び基板上のデバイスプロダクト構造によって取り囲まれていてもよい。ある実施形態では、一度の放射キャプチャで複数のターゲットを測定することができる。
[0075] 例えばオーバーレイを測定するための実施形態での使用に適したメトロロジ装置が、図3Aに模式的に示される。ターゲットT(格子などの周期構造を含む)及び回折光線が、図3Bにより詳細に図示される。メトロロジ装置は、スタンドアローンデバイスでもよいし、又は例えば測定ステーションでリソグラフィ装置LAに、又はリソグラフィックセルLCに組み込まれてもよい。装置全体を通して幾つかの分岐を有する光軸が、点線Oによって表される。この装置では、出力11(例えば、レーザ又はキセノンランプなどの放射源、又は放射源に接続された開口)によって放出された放射は、レンズ12、14、及び対物レンズ16を含む光学系によって、プリズム15を介して基板W上に誘導される。これらのレンズは、4F配置のダブルシーケンスで配置される。異なるレンズ配置は、それでもそれが基板の像を検出器上に提供するならば、使用することができる。
[0076] ある実施形態では、レンズ配置は、空間周波数フィルタリングの中間瞳面のアクセスを可能にする。従って、放射が基板に入射する角度範囲は、本明細書で(共役)瞳面と呼ばれる基板面の空間スペクトルを示す面内の空間強度分布を定義することによって選択することができる。具体的には、これは、例えば、対物レンズ瞳面の後方投影像である面内で、レンズ12と14との間に適切な形態のアパーチャプレート13を挿入することによって行うことができる。図示例では、アパーチャプレート13は、異なる形態(13N及び13Sと表示される)を有し、異なる照明モードが選択されることを可能にする。本例の照明系は、オフアクシス照明モードを形成する。第1の照明モードでは、アパーチャプレート13Nが、単なる説明目的で「北」と指定された方向から、オフアクシス照明を提供する。第2の照明モードでは、アパーチャプレート13Sを用いて、「南」と表示された反対方向から同様の照明が提供される。異なるアパーチャを用いて、他の照明モードが可能である。瞳面の残りの部分は、所望の照明モード外の不必要な放射が所望の測定信号を妨げ得るので、望ましくは暗い。
[0077] 図3Bに示されるように、ターゲットTは、基板Wが対物レンズ16の光軸Oに対して実質的に垂直な状態で設置される。軸Oから外れた角度からターゲットTに衝突する照明光線Iは、0次光線(実線0)と、2つの1次光線(一点鎖線+1及び二点鎖線-1)とを生じさせる。オーバーフィルされた小ターゲットTの場合、これらの光線は、メトロロジターゲットT及び他のフィーチャを含む基板のエリアをカバーする多くの平行光線の1つにすぎない。プレート13のアパーチャが、(放射の有用な量を受け入れるのに必要な)有限幅を有するので、入射光線Iは、実際には、ある角度範囲を占有し、及び回折光線0及び+1/-1は、若干広がる。小ターゲットの点像分布関数に従って、各次数+1及び-1は、ある角度範囲にわたり、さらに広がる(図示されるような単一の理想光線ではない)。なお、周期構造のピッチ及び照明角度は、対物レンズに入る1次光線が中心光軸と厳密にアライメントされるように、設計又は調整することができる。図3A及び3Bに図示される光線は、単に図中でそれらをより簡単に区別することができるように、若干オフアクシスに示される。基板W上のターゲットによって回折された少なくとも0次及び+1次が、対物レンズ16によって収集され、及びプリズム15を通して戻るように誘導される。
[0078] 図3Aに戻り、第1及び第2の照明モードの両方が、北(N)及び南(S)と表示された正反対のアパーチャを指定することによって図示される。入射光線Iが光軸の北側からのものである場合、すなわち、第1の照明モードが、アパーチャプレート13Nを用いて適用される場合、+1回折光線(+1(N)と表示される)が、対物レンズ16に入る。対照的に、第2の照明モードが、アパーチャプレート13Sを用いて適用される場合、-1回折光線(-1(S)と表示される)が、レンズ16に入る回折光線である。従って、ある実施形態では、測定結果は、特定の条件下で、例えば、-1次及び+1次の回折次数強度を別々に取得するために、ターゲットを回転させた後、又は照明モードを変更した後、又は結像モードを変更した後に、ターゲットを2回測定することによって取得される。あるターゲットに関してこれらの強度を比較することにより、ターゲットの非対称性の測定が提供され、及びターゲットの非対称性は、リソグラフィプロセスのパラメータ(例えばオーバーレイ)の指標として使用することができる。上記の状況では、照明モードが変更される。
[0079] ビームスプリッタ17は、回折ビームを2つの測定分岐に分割する。第1の測定分岐では、光学系18は、0次及び1次回折ビームを用いて、第1のセンサ19(例えば、CCD又はCMOSセンサ)上にターゲットの回折スペクトル(瞳面像)を形成する。像の処理が次数を比較及び対比させることができるように、各回折次数は、センサ上の異なる点に当たる。センサ19によって捕捉された瞳面像は、メトロロジ装置の焦点を合わせる、及び/又は強度測定を規格化するために使用することができる。瞳面像は、以下にさらに記載されるように、再構築などの他の測定目的に使用することもできる。
[0080] 第2の測定分岐では、光学系20、22は、センサ23(例えば、CCD又はCMOSセンサ)上に、基板W上のターゲットの像を形成する。第2の測定分岐では、開口絞り21が、対物レンズ16の瞳面と共役な面内に設けられる。開口絞り21は、センサ23上に形成されるターゲットの像が、-1次又は+1次ビームから形成されるように、0次回折ビームをブロックするように機能する。センサ19及び23によって測定された像に関するデータは、プロセッサ及びコントローラPU(これの機能は、行われる測定の特定のタイプに依存する)に出力される。なお、「像」という用語は、広い意味で使用される。そのため、-1次及び+1次の一方のみが存在する場合、周期構造フィーチャ(例えば、格子ライン)の像は、形成されない。
[0081] 図3に示されるアパーチャプレート13及び絞り21の特定の形態は、単なる例である。別の実施形態では、ターゲットのオンアクシス照明が用いられ、及びオフアクシスアパーチャを有した開口絞りを用いて、実質的にたった1つの1次回折放射がセンサに送られる。さらに他の実施形態では、1次ビームの代わりに、又は1次ビームに加えて、2次、3次及びそれより高次のビーム(図3では不図示)を測定で使用することができる。
[0082] 照明をこれらの異なるタイプの測定に適応できるようにするためには、アパーチャプレート13は、ディスク(これは、所望のパターンを適所に持ってくるために回転する)の周囲に形成される幾つかのアパーチャパターンを含んでいてもよい。なお、アパーチャプレート13N又は13Sを用いて、ある方向(セットアップに応じてX又はY)に配向されたターゲットの周期構造が測定される。直交周期構造の測定の場合、90°及び270°を通るターゲットの回転が実施されてもよい。異なるアパーチャプレートが、図3C及びDに示される。図3Cは、2つのさらなるタイプのオフアクシス照明モードを図示する。図3Cの第1の照明モードでは、アパーチャプレート13Eが、単なる説明目的で、前述の「北」に対して「東」と指定された方向から、オフアクシス照明を提供する。図3Cの第2の照明モードでは、アパーチャプレート13Wを用いて、「西」と表示された反対方向から同様の照明が提供される。図3Dは、2つのさらなるタイプのオフアクシス照明モードを図示する。図3Dの第1の照明モードでは、アパーチャプレート13NWが、前述の通り「北」及び「西」と指定された方向から、オフアクシス照明を提供する。第2の照明モードでは、アパーチャプレート13SEを用いて、前述の通り「南」及び「東」と表示された反対方向から同様の照明が提供される。これらの使用、並びに装置の多数の他のバリエーション及び適用例が、例えば、上述の以前に公表された特許出願公開に記載されている。
[0083] 図4は、基板上に形成された複合メトロロジターゲットTの例を描く。複合ターゲットは、共に近接して位置付けられた4つの周期構造(この場合、格子)32、33、34、35を含む。ある実施形態では、周期構造レイアウトは、測定スポットよりも小さくされてもよい(すなわち、周期構造レイアウトが、オーバーフィルされる)。従って、ある実施形態では、周期構造は、それらが全て、メトロロジ装置の照明ビームによって形成される測定スポット31内に位置するほどに共に近接して位置付けられる。従って、この場合、4つの周期構造は、全て同時に照明され、及び同時にセンサ19及び23上に結像される。オーバーレイ測定専用の例では、周期構造32、33、34、35は、それら自体が、上に重なる周期構造によって形成される複合周期構造(例えば複合格子)であり、すなわち、周期構造が、基板W上に形成されるデバイスの異なる層において、及び1つの層の少なくとも1つの周期構造が、異なる層の少なくとも1つの周期構造にオーバーレイするようにパターン形成される。このようなターゲットは、20μm×20μmの範囲内、又は16μm×16μmの範囲内の外寸を有していてもよい。さらに、全ての周期構造を用いて、ある特定の1対の層間のオーバーレイが測定される。ターゲットが、2対以上の層を測定できることを容易にするためには、周期構造32、33、34、35は、複合周期構造の異なる部分が形成される異なる層間のオーバーレイの測定を容易にするために、異なってバイアスされたオーバーレイオフセットを有していてもよい。従って、基板上のターゲットの全ての周期構造を用いて、1対の層が測定され、及び基板上の別の同じターゲットの周期構造の全てを用いて、別の1対の層が測定され、異なるバイアスが、層ペア間の区別を容易にする。
[0084] 図4に戻り、周期構造32、33、34、35は、入ってくる放射をX及びY方向に回折するために、図示されるように、それらの配向が異なっていてもよい。一例では、周期構造32及び34は、それぞれ+d及び-dのバイアスを有したX方向周期構造である。周期構造33及び35は、それぞれ+d及び-dのオフセットを有したY方向周期構造であってもよい。4つの周期構造が図示されるが、別の実施形態は、所望の精度を得るために、より大きなマトリックスを包含していてもよい。例えば、3×3アレイの9つの複合周期構造が、バイアス-4d、-3d、-2d、-d、0、+d、+2d、+3d、+4dを有していてもよい。これらの周期構造の個別の像は、センサ23によって捕捉される像において識別することができる。
[0085] 図5は、図3の装置において図4のターゲットを用いて、図3Dのアパーチャプレート13NW又は13SEを用いて、センサ23上に形成され、及びセンサ23によって検出され得る像の一例を示す。センサ19は、異なる個々の周期構造32~35を分解することはできないが、センサ23は、それを行うことができる。暗い長方形は、センサ上の像のフィールドを表し、その中で、基板上の照明スポット31が、対応する円形エリア41に結像される。これの中で、長方形エリア42~45は、周期構造32~35の像を表す。ターゲットは、スクライブライン内ではなく、又はスクライブライン内に加えて、デバイスプロダクトフィーチャ間に位置付けることができる。周期構造が、デバイスプロダクトエリア内に位置する場合、デバイスフィーチャは、このイメージフィールドの周辺においても目に見える場合がある。プロセッサ及びコントローラPUは、パターン認識を用いて、これらの像を処理することによって、周期構造32~35の個別の像42~45を識別する。このように、像は、センサフレーム内のある特定の場所で非常に厳密にアライメントされる必要はなく、これは、測定装置全体としてのスループットを大きく向上させる。
[0086] 周期構造の個別の像が識別されると、これらの個々の像の強度は、例えば識別されたエリア内の選択されたピクセル強度値の平均値又は総計を求めることによって、測定することができる。像の強度及び/又は他の特性は、互いに比較することができる。これらの結果を組み合わせて、リソグラフィプロセスの異なるパラメータを測定することができる。オーバーレイ精度は、そのようなパラメータの一例である。
[0087] ある実施形態では、パターニングプロセスの関心のあるパラメータの1つは、フィーチャ幅(例えばCD)である。図6は、フィーチャ幅の決定を可能にすることができるメトロロジ装置(例えばスキャトロメータ)のかなり概略の例を描く。それは、放射を基板W上に投影する広帯域(白色光)放射プロジェクタ2を含む。再誘導された放射は、例えば左下のグラフに示されるような鏡面反射放射のスペクトル10(波長の関数としての強度)を測定するスペクトロメータ検出器4に渡される。このデータから、検出されたスペクトルを生じさせる構造又はプロファイルが、プロセッサPUによって、例えば、厳密結合波分析及び非線形回帰によって、又は図6の右下に示されるようなシミュレーションスペクトルのライブラリとの比較によって、再構築されてもよい。一般に、再構築のためには、構造の一般形態が既知であり、且つ幾つかの変数が、構造が作られたプロセスの知識から推測され、測定データから決定される、構造の数個の変数のみが残されている。このようなメトロロジ装置は、法線入射メトロロジ装置又は斜め入射メトロロジ装置として構成されてもよい。さらに、再構築によるパラメータの測定に加えて、プロダクトのフィーチャ及び/又はレジストパターンの非対称性の測定において、角度分解スキャトロメトリが有用である。非対称性測定のある特定の適用例は、オーバーレイの測定に関するものであり、ターゲットは、周期フィーチャの別の1セット上に重畳された周期フィーチャの1セットを含む。このような非対称性測定の概念は、例えば、その全体が本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2006-066855号に記載されている。
[0088] 図7は、本明細書に開示される発明の実施形態での使用に適したメトロロジ装置100の一例を図示する。このタイプのメトロロジ装置の動作の原理は、その全体が本明細書に援用される米国特許出願公開第2006-033921号及び米国特許出願公開第2010-201963号において、さらに詳細に説明される。装置全体を通して幾つかの分岐を有する光軸が、点線Oによって表される。この装置では、放射源110(例えばキセノンランプ)によって放出された放射は、レンズ系120、アパーチャプレート130、レンズ系140、部分反射面150及び対物レンズ160を含む光学系によって、基板W上に誘導される。ある実施形態では、これらのレンズ系120、140、160は、4F配置のダブルシーケンスで配置される。ある実施形態では、放射源110によって放出された放射は、レンズ系120を用いてコリメートされる。所望であれば、異なるレンズ配置を使用することができる。放射が基板に入射する角度範囲は、基板面の空間スペクトルを示す面内の空間強度分布を定義することによって選択することができる。具体的には、これは、対物レンズ瞳面の後方投影像である面内で、レンズ120と140との間に適切な形態のアパーチャプレート130を挿入することによって行うことができる。異なるアパーチャを用いることによって、異なる強度分布(例えば、環状、ダイポールなど)が可能である。半径方向及び周辺方向の照明の角度分布、並びに、放射の波長、偏光及び/又はコヒーレンスなどの特性は全て、所望の結果を取得するために調整することができる。例えば、例えば400~900nm、又はさらに低い200~300nmなどの範囲内の関心のある波長を選択するために、放射源110と部分反射面150との間に、1つ又は複数の干渉フィルタ130(図9を参照)を設けることができる。干渉フィルタは、異なるフィルタの1セットを含むのではなく、調節可能であってもよい。干渉フィルタの代わりに、格子が使用されてもよい。ある実施形態では、関心のある偏光を選択するために、放射源110と部分反射面150との間に、1つ又は複数のポラライザ170(図9を参照)を設けることができる。ポラライザは、異なるポラライザの1セットを含むのではなく、調節可能であってもよい。
[0089] 図7に示されるように、ターゲットTは、基板Wが対物レンズ160の光軸Oに対して垂直な状態で設置される。従って、放射源110からの放射は、部分反射面150によって反射され、及び対物レンズ160を介して、基板W上のターゲットT上の照明スポットS(図8を参照)に焦点が合わせられる。ある実施形態では、対物レンズ160は、望ましくは少なくとも0.9又は少なくとも0.95の高開口数(NA)を有する。液浸メトロロジ装置(水などの比較的高い屈折率の流体を用いる)は、1を超える開口数を有していてもよい。
[0090] 軸Oから外れた角度から照明スポットに焦点が合わせられた照明光線170、172は、回折光線174、176を生じさせる。これらの光線は、ターゲットTを包含する基板のエリアをカバーする多くの平行光線の1つにすぎないことを忘れてはならない。照明スポット内の各要素は、メトロロジ装置の視野内にある。プレート130のアパーチャが、(放射の有用な量を受け入れるのに必要な)有限幅を有するので、入射光線170、172は、実際には、ある角度範囲を占有し、及び回折光線174、176は、若干広がる。小ターゲットの点像分布関数に従って、各回折次数は、ある角度範囲にわたり、さらに広がる(図示されるような単一の理想光線ではない)。
[0091] 基板W上のターゲットによって回折された少なくとも0次が、対物レンズ160によって収集され、及び部分反射面150を通して戻るように誘導される。光学要素180は、0次及び/又は1次回折ビームを用いて、センサ190(例えば、CCD又はCMOSセンサ)上にターゲットTの回折スペクトル(瞳面像)を形成する光学系182に、回折ビームの少なくとも一部を提供する。ある実施形態では、アパーチャ186は、ある特定の回折次数がセンサ190に提供されるように、特定の回折次数を除去するために設けられる。ある実施形態では、アパーチャ186は、実質的に、又は主に0次放射のみがセンサ190に到達することを可能にする。ある実施形態では、センサ190は、基板ターゲットTの二次元角散乱スペクトルを測定することができるように、二次元検出器であってもよい。センサ190は、例えば、CCD又はCMOSセンサのアレイであってもよく、及び例えば1フレームにつき40ミリ秒の積分時間を用いてもよい。センサ190を用いて、単一波長(又は狭い波長範囲)の再誘導放射の強度、複数の波長で別々の、又はある波長範囲にわたって積分された強度を測定してもよい。さらに、センサを用いて、TM(transverse magnetic)及び/又はTE(transverse electric)偏光の放射の強度、及び/又はTM偏光放射とTE偏光放射との間の位相差を別々に測定してもよい。
[0092] 任意選択的に、光学要素180は、センサ230(例えば、CCD又はCMOSセンサ)上に基板W上のターゲットの像を形成するために、回折ビームの少なくとも一部を測定分岐200に提供する。測定分岐200は、メトロロジ装置の焦点を合わせる(すなわち、基板Wが対物系160と焦点が合うことを可能にする)などの様々な補助機能のため、及び/又は導入部で述べられたタイプの暗視野結像のために使用することができる。
[0093] 格子の異なるサイズ及び形状に対してカスタマイズされた視野を提供するために、調整可能視野絞り300が、放射源110から対物レンズ160へのパス上のレンズ系140内に設けられる。視野絞り300は、アパーチャ302を含み、及び照明スポットがアパーチャ302の像となるように、ターゲットTの面と共役な面内に位置する。像は、拡大係数に従って拡大されてもよく、又はアパーチャ及び照明スポットは、1:1のサイズ関係にあってもよい。照明を異なるタイプの測定に適応できるようにするためには、アパーチャプレート300は、ディスク(これは、所望のパターンを適所に持ってくるために回転する)の周囲に形成される幾つかのアパーチャパターンを含んでいてもよい。代替的に、又は追加的に、同じ効果を達成するために、プレート300の1セットが、設けられ、交換されてもよい。追加的に、又は代替的に、変形可能なミラーアレイ又は透過型空間光変調器などのプログラマブルアパーチャデバイスも使用することができる。
[0094] 一般的に、ターゲットは、Y軸と平行に、又はX軸と平行に伸びるそれの周期構造フィーチャとアライメントされる。それの回折挙動に関して、Y軸と平行な方向に延在するフィーチャを備えた周期構造は、X方向に周期性を有するが、X軸と平行な方向に延在するフィーチャを備えた周期構造は、Y方向に周期性を有する。両方向で性能を測定するために、両方のタイプのフィーチャが、一般に設けられる。分かりやすくするために、ライン及びスペースへの言及があるが、周期構造は、ライン及びスペースから形成される必要はない。さらに、各ライン及び/又はライン間のスペースは、より小さなサブ構造から形成された構造であってもよい。さらに、周期構造は、一度に二次元の周期性を有して形成されてもよい(例えば、周期構造は、ポスト及び/又はビアホールを含む)。
[0095] 図8は、一般的なターゲットTの平面図と、図7の装置の照明スポットSの範囲を図示する。周囲の構造の干渉を受けない回折スペクトルを取得するためには、ターゲットTは、ある実施形態では、照明スポットSの幅(例えば直径)よりも大きい周期構造(例えば格子)である。スポットSの幅は、ターゲットの幅及び長さよりも小さくてもよい。つまり、ターゲットは、照明によって「アンダーフィル」され、及び回折信号は、基本的に、ターゲット自体の外側で、プロダクトフィーチャなどからの信号を含まない。これは、ターゲットの数学的再構築を、それを無限と見なすことができるので、単純化する。
[0096] 図9は、メトロロジを用いて取得された測定データに基づいて、ターゲットパターン30’の関心のある1つ又は複数の変数の値の決定のプロセス例を模式的に描く。検出器190によって検出された放射は、ターゲット30’の測定放射分布108を提供する。
[0097] あるターゲット30’に関して、放射分布208は、例えば数値マクスウェル解法210を用いて、パラメータ化数学モデル206から計算/シミュレーションすることができる。パラメータ化数学モデル206は、ターゲットを構成する、及びターゲットに関連する様々な材料の層の例を示す。パラメータ化数学モデル206は、変動し得る、及び導出され得る検討中のターゲット部分のフィーチャ及び層に関する変数の1つ又は複数を包含していてもよい。図9に示されるように、変数の1つ又は複数は、1つ又は複数の層の厚さt、1つ又は複数のフィーチャの幅w(例えばCD)、1つ又は複数のフィーチャの高さh、1つ又は複数のフィーチャの側壁角α、及び/又はフィーチャ間の相対位置(本明細書では、オーバーレイを考察した)を包含していてもよい。図示されないが、変数の1つ又は複数は、限定はされないが、層の内の1つ又は複数の屈折率(例えば、実又は複素屈折率、屈折率テンソルなど)、1つ又は複数の層の吸光係数、1つ又は複数の層の吸収、現像中のレジスト損失、1つ又は複数のフィーチャのフッティング、及び/又は1つ又は複数のフィーチャのラインエッジラフネスをさらに包含していてもよい。幅、長さ、形状又は3Dプロファイル特性の値などの、1D周期構造又は2D周期構造の1つ又は複数のパラメータの1つ又は複数の値が、パターニングプロセス及び/又は他の測定プロセスの知識から再構築プロセスに入力されてもよい。例えば、変数の初期値は、測定されているターゲットに関する、1つ又は複数のパラメータのそれらの予想値(CD、ピッチなどの値など)でもよい。
[0098] 場合によっては、ターゲットは、ユニットセルの複数のインスタンスに分割することができる。その場合のターゲットの放射分布の計算を簡単にするために、モデル206は、ターゲットの構造のユニットセルを用いて計算/シミュレーションを行うように設計することができる(ユニットセルは、ターゲット全体にわたり、インスタンスとして繰り返される)。従って、ターゲットの放射分布を決定するために、モデル206は、1つのユニットセルを用いて計算を行い、及びその結果をコピーして、適切な境界条件を用いてターゲット全体のフィッティングを行うことができる。
[0099] 再構築の際に放射分布208を計算することに加えて、又はそれに替えて、再構築の際に使用するための放射分布のライブラリを作成するために、検討中のターゲット部分の変数の複数のバリエーションを目的として、複数の放射分布208を事前計算することができる。
[0100] 測定放射分布108は、次に、212において、計算放射分布208(例えば、その時点の近くで計算された、又はライブラリから取得された)と比較されて、二者間の差が決定される。差があれば、パラメータ化数学モデル206の変数の1つ又は複数の値の変動の可能性があり、測定放射分布108と計算放射分布208との間に十分な一致が存在するまで、新しい計算放射分布208が取得され(例えば、演算され、又はライブラリから取得され)、及び測定放射分布108と比較されてもよい。その時点で、パラメータ化数学モデル206の変数の値は、実際のターゲット30’のジオメトリの良好な又は最適の一致を提供する。ある実施形態では、測定放射分布108と計算放射分布208との間の差が許容閾値の範囲内である時に、十分な一致が存在する。
[0101] これらのメトロロジ装置では、測定動作中に基板Wを保持するために、基板サポートが設けられてもよい。基板サポートは、図1の基板テーブルWTと形態が類似していてもよく、又は同一であってもよい。メトロロジ装置がリソグラフィ装置と一体化されたある例では、それは、同じ基板テーブルであってもよい。測定光学系に関連して基板を正確に位置決めするために、粗動及び微動ポジショナが設けられてもよい。例えば関心のあるターゲットの位置を獲得して、且つそれを対物レンズの下の位置に至らせるために、様々なセンサ及びアクチュエータが設けられてもよい。一般的に、基板Wにわたる異なる場所で、ターゲットインスタンスに対して多くの測定が行われる。基板サポートは、異なるターゲットインスタンスを獲得するためにX及びY方向に、及び光学系のフォーカスに対するターゲットの所望の場所を取得するためにZ方向に移動させることができる。例えば、実際には光学系が実質的に静止したままでもよく(一般的にX及びY方向において、ただし、場合によってはZ方向においても)、且つ基板のみが移動する場合に、対物レンズが基板に対して異なる場所に移動させられるかのように考えること、及び動作を表現することが便利である。基板及び光学系の相対位置が正しいと仮定すると、原理上、現実の世界においてそれらのどちらが移動しているか、又は両方が移動しているか、又は光学系の一部が、光学系の残りの部分が静止した状態で移動し(例えば、Z及び/又は傾斜方向に)、及び基板が移動する(例えば、X及びY方向に、ただし任意選択的にZ及び/又は傾斜方向にも)という組み合わせかは重要ではない。
[0102] ある実施形態では、ターゲットの測定精度及び/又は感度は、例えば、放射ビームの波長、放射ビームの偏光、放射ビームの強度分布(すなわち、角度又は空間強度分布)などの、ターゲット上に提供された放射ビームの1つ又は複数の特性に対して変動し得る。従って、例えばターゲットの良好な測定精度及び/又は感度を望ましく取得する特定の測定方式を選択することができる。
[0103] 少なくとも1つのパターン転写ステップ(例えば光リソグラフィステップ)を包含するパターニングプロセス(例えばデバイス製造プロセス)をモニタリングするために、パターン形成された基板が検査され、及びパターン形成された基板の1つ又は複数のパラメータが測定/決定される。1つ又は複数のパラメータは、例えば、パターン形成された基板の中又は上に形成された連続する層間のオーバーレイ、例えばパターン形成された基板の中又は上に形成されたフィーチャのクリティカルディメンジョン(CD)(例えば臨界ライン幅)、光リソグラフィステップのフォーカス又はフォーカスエラー、光リソグラフィステップのドーズ又はドーズエラー、光リソグラフィステップの光学収差、配置誤差(例えばエッジ配置誤差)などを包含していてもよい。この測定は、プロダクト基板自体のターゲット上、及び/又は基板上に設けられた専用メトロロジターゲット上で行われてもよい。この測定は、レジストの現像後であるが、エッチングの前に行うことができ、又はエッチング後に行うことができる。
[0104] ある実施形態では、測定プロセスから取得されたパラメータは、測定プロセスから直接決定されたパラメータから導出されたパラメータである。一例として、測定パラメータから取得された導出パラメータは、パターニングプロセスのエッジ配置誤差である。エッジ配置誤差は、パターニングプロセスによって生じた構造のエッジの場所の変動量を提供する。ある実施形態では、エッジ配置誤差は、オーバーレイ値から導出される。ある実施形態では、エッジ配置誤差は、オーバーレイ値とCD値との組み合わせから導出される。ある実施形態では、エッジ配置誤差は、オーバーレイ値と、CD値と、局所変動量(例えば、個々の構造のエッジラフネス、形状非対称性など)に対応する値との組み合わせから導出される。ある実施形態では、エッジ配置誤差は、オーバーレイ及びCDの誤差の組み合わせの極値(例えば、3標準偏差、すなわち3σ)を含む。ある実施形態では、構造を作ることを含む、及び構造と関連したパターニングプロセスによって提供されるパターンのエッチングにより構造の一部を除去することによって構造を「カットする」ことを含むマルチパターニングプロセスにおいて、エッジ配置誤差は、以下の形態を有する(又は以下の項の1つ又は複数を含む):
式中、σは、標準偏差であり、σ
overlayは、オーバーレイの標準偏差に対応し、σ
CDUstructuresは、パターニングプロセスで作られた構造のクリティカルディメンジョン均一性(CDU)の標準偏差に対応し、σ
CDUcutsは、もしあれば、パターニングプロセスで生じたカットのクリティカルディメンジョン均一性(CDU)の標準偏差に対応し、σ
OPE,PBAは、光近接効果(OPE)及び/又はピッチでのCDと、基準CDとの間の差である近接バイアス平均(PBA)の標準偏差に対応し、及びσ
LER,LPEは、ラインエッジラフネス(LER)及び/又は局所配置誤差(LPE)の標準偏差に対応する。上記の公式化は、標準偏差と関連するが、分散などの異なる同等の統計的方法で公式化を行うことができる。
[0105] 走査電子顕微鏡、像ベースの測定ツール及び/又は様々な専用ツールの使用を包含する、パターニングプロセスで形成された構造の測定を行う様々な技術が存在する。上述の通り、専用メトロロジツールの高速及び非侵襲的形態は、放射ビームが基板の表面上のターゲット上に誘導され、及び散乱(回折/反射)ビームの特性が測定される形態である。基板によって散乱される放射の1つ又は複数の特性を評価することによって、基板の1つ又は複数の特性を決定することができる。これは、回折ベースメトロロジと称される場合がある。この回折ベースメトロロジの上記のような1つの適用例は、ターゲット内のフィーチャ非対称性の測定におけるものである。これは、例えばオーバーレイの測定として用いることができるが、他の適用例も知られている。例えば、非対称性は、回折スペクトルの正反対の部分を比較すること(例えば、周期格子の回折スペクトルの-1次及び+1次を比較すること)によって測定することができる。これは、上記の通り、及び例えばその全体が本明細書に援用される米国特許出願公開第2006-066855号に記載される通りに行うことができる。回折ベースメトロロジの別の適用例は、ターゲット内のフィーチャ幅(CD)の測定におけるものである。このような技術は、図6~9について上に記載された装置及び方法を使用することができる。
[0106] ところで、これらの技術は効果的であるが、ターゲット内のフィーチャ非対称性(オーバーレイ、CD非対称性、側壁角非対称性など)を導出する新しい測定技術を提供することが望ましい。この技術は、特別に設計されたメトロロジターゲットにとって、又はおそらくより著しく、デバイスパターンに関して直接フィーチャ非対称性を決定することにとって効果的となり得る。
[0107] 図10を参照して、オーバーレイ実施形態の文脈において、この測定技術の原理を説明する。図10Aでは、ターゲットTの幾何学的に対称なユニットセルが示される。ターゲットTは、ユニットセルのたった1つの物理的インスタンスを含んでもよく、又は図10Cに示されるようにユニットセルの複数の物理的インスタンスを含んでもよい。
[0108] ターゲットTは、特別に設計されたターゲットでもよい。ある実施形態では、ターゲットは、スクライブラインのためのものである。ある実施形態では、ターゲットは、インダイ(in-die)ターゲットであってもよく、すなわち、ターゲットは、デバイスパターンの中(及び従ってスクライブライン間)にある。ある実施形態では、ターゲットは、デバイスパターンフィーチャと同等のフィーチャ幅又はピッチを有し得る。例えば、ターゲットフィーチャ幅又はピッチは、デバイスパターンの最小フィーチャサイズ又はピッチの300%以下、デバイスパターンの最小フィーチャサイズ又はピッチの200%以下、デバイスパターンの最小フィーチャサイズ又はピッチの150%以下、又はデバイスパターンの最小フィーチャサイズ又はピッチの100%以下でもよい。
[0109] ターゲットTは、デバイス構造でもよい。例えば、ターゲットTは、メモリデバイス(これは、多くの場合、以下にさらに説明されるように、幾何学的に対称である、又は幾何学的に対称となり得る1つ又は複数の構造を有する)の一部でもよい。
[0110] ある実施形態では、ターゲットT又はユニットセルの物理的インスタンスは、2400平方ミクロン以下の面積、2000平方ミクロン以下の面積、1500平方ミクロン以下の面積、1000平方ミクロン以下の面積、400平方ミクロン以下、200平方ミクロン以下、100平方ミクロン以下、50平方ミクロン以下、25平方ミクロン以下、10平方ミクロン以下、5平方ミクロン以下、1平方ミクロン以下、0.5平方ミクロン以下、又は0.1平方ミクロン以下の面積を有していてもよい。ある実施形態では、ターゲットT又はユニットセルの物理的インスタンスは、50ミクロン以下、30ミクロン以下、20ミクロン以下、15ミクロン以下、10ミクロン以下、5ミクロン以下、3ミクロン以下、1ミクロン以下、0.5ミクロン以下、0.2ミクロン以下、又は0.1ミクロン以下の基板面と平行な断面寸法を有する。
[0111] ある実施形態では、ターゲットT又はユニットセルの物理的インスタンスは、5ミクロン以下、2ミクロン以下、1ミクロン以下、500nm以下、400nm以下、300nm以下、200nm以下、150nm以下、100nm以下、75nm以下、50nm以下、32nm以下、22nm以下、16nm以下、10nm以下、7nm以下又は5nm以下の構造のピッチを有する。
[0112] ある実施形態では、ターゲットTは、ユニットセルの複数の物理的インスタンスを有する。従って、ターゲットTは、一般的に、ここにリストされる高次元を有し得る一方で、ユニットセルの物理的インスタンスは、ここにリストされる低次元を有する。ある実施形態では、ターゲットTは、ユニットセルの50,000以上の物理的インスタンス、ユニットセルの25,000以上の物理的インスタンス、ユニットセルの15,000以上の物理的インスタンス、ユニットセルの10,000以上の物理的インスタンス、ユニットセルの5,000以上の物理的インスタンス、ユニットセルの1000以上の物理的インスタンス、ユニットセルの500以上の物理的インスタンス、ユニットセルの200以上の物理的インスタンス、ユニットセルの100以上の物理的インスタンス、ユニットセルの50以上の物理的インスタンス、又はユニットセルの10以上の物理的インスタンスを含む。
[0113] 望ましくは、ユニットセルの物理的インスタンス又はユニットセルの複数の物理的インスタンスは、集団で、メトロロジ装置のビームスポットを埋める。その場合、測定結果は、基本的に、ユニットセルの物理的インスタンス(又はそれの複数のインスタンス)からの情報のみを含む。ある実施形態では、ビームスポットは、50ミクロン以下、40ミクロン以下、30ミクロン以下、20ミクロン以下、15ミクロン以下、10ミクロン以下、5ミクロン以下、又は2ミクロン以下の断面幅を有する。
[0114] 図10Aのユニットセルは、基板上で物理的にインスタンスが作成された、又は作成される少なくとも2つの構造を含む。第1の構造1000は、ラインを含み、及び第2の構造1005は、楕円型形状を含む。もちろん、第1及び第2の構造1000、1005は、描かれたものとは異なる構造でもよい。
[0115] さらに、この例では、第1の構造1000と第2の構造1005との間の、それらの予想位置からの相対的シフトが、オーバーレイエラーを有するような基板上への別々の転写により、存在し得る。この例では、第1の構造1000は、第2の構造1005よりも基板上の高い層に位置する。従って、ある実施形態では、第2の構造1005は、パターニングプロセスの第1の実行において第1の下層で製造することができ、及び第1の構造1000は、パターニングプロセスの第2の実行において、第1の下層よりも上の第2の層で製造することができる。ここで、第1及び第2の構造1000、1005は、異なる層に位置する必要はない。例えば、ダブルパターニングプロセス(例えば、それの一部としてエッチングプロセスを包含する)において、第1及び第2の構造1000、1005は、基本的に単一パターンを形成するために同じ層で製造され得るが、それでもやはり、同じ層内のそれらの相対的配置の観点から、「オーバーレイ」問題が存在し得る。この単一層の例では、第1及び第2の構造1000、1005の両方が、例えば、第1の構造1000に関して図10Aに示されるようなラインの形態を有し得るが、第1のパターン転写プロセスによって既に基板上に設けられた第2の構造1005のラインは、第2のパターン転写プロセスで設けられる構造1000のラインでインタリーブされ得る。
[0116] 重大なことに、ユニットセルは、軸又は点に対して幾何学的対称性を有する、又は有することが可能である。例えば、図10Aのユニットセルは、例えば軸1010に対して鏡映対称性を有し、及び例えば点1015に対して点/回転対称性を有する。同様に、図10Cにおけるユニットセルの物理的インスタンス(及び従って、ユニットセルの複数の物理的インスタンスの組み合わせ)が、幾何学的対称性を有することが分かる。
[0117] ある実施形態では、ユニットセルは、ある特定のフィーチャ(オーバーレイなど)に関して幾何学的対称性を有する。本明細書における実施形態は、ユニットセルが幾何学的に対称である時にオーバーレイが0であるユニットセルに注目する。しかし、代わりに、ユニットセルは、ある特定の幾何学的非対称性に関してオーバーレイが0であってもよい。その場合、ユニットセルが、ある特定の幾何学的非対称性を有する時にオーバーレイが0であるユニットセルを説明するために、適切なオフセット及び演算が用いられる。適切な方法で、ユニットセルは、特定のフィーチャ値に応じて、対称性の変化(例えば、非対称になる、又はさらに非対称になる、又は非対称状態から対称になる)が可能であるべきである。
[0118] 図10Aの例では、ユニットセルは、オーバーレイが0の場合に幾何学的対称性を有する(ただし、それは、オーバーレイが0である必要はない)。これは、第1の構造1000のラインが、第2の構造1005の楕円型形状に対して均等にアライメントされる(及びこの均等なアライメントは、少なくとも部分的に、ユニットセルが図10Aに示されるような幾何学的対称性を有することを可能にする)ことを示す矢印1020及び1025によって表される。従って、この例では、ユニットセルが幾何学的対称性を有する時に、オーバーレイが0である。しかし、オーバーレイにエラーがあると(例えば、非ゼロオーバーレイ)、ユニットセルは、もはや幾何学的に対称ではなく、及び当然ながら、ターゲットは、もはや幾何学的に対称ではない。
[0119] さらに、ターゲットがユニットの複数の物理的インスタンスを含む場合、ユニットセルのインスタンスは、周期的に配置される。ある実施形態では、ユニットセルのインスタンスは、格子に配置される。ある実施形態では、周期的配置は、ターゲット内に幾何学的対称性を有する。
[0120] 従って、この技術では、以下にさらに説明されるように、関心のあるフィーチャ非対称性(例えば、非ゼロオーバーレイ)に関連した幾何学的対称性の変化(例えば、幾何学的非対称性への変化、又はさらなる幾何学的非対称性への変化、又は幾何学的非対称性から幾何学的対称性への変化)を利用して、フィーチャ非対称性(例えば、非ゼロオーバーレイ)を決定することができる。
[0121] 図10Aのユニットセルの物理的インスタンスを含むターゲットは、例えば図7のメトロロジ装置を用いて、放射で照明されることが可能である。ターゲットによって再誘導された放射は、例えば検出器190によって測定することができる。ある実施形態では、再誘導放射の瞳、すなわち、フーリエ変換面が測定される。このような瞳の測定例は、瞳像1030として描かれる。瞳像1030は、ダイヤモンド型形状を有するが、それは、そのような形状を有する必要はない。本明細書における瞳及び瞳面という用語は、文脈上他の意味に解釈すべき場合(例えば、ある特定の光学系の瞳面が、識別されている場合)を除き、それらのあらゆる語形変化を包含する。瞳像1030は、事実上、再誘導放射の瞳の光学特性(この場合、強度)の観点から特定された像である。
[0122] 便宜上、本明細書の説明は、関心のある光学特性として、強度に注目する。しかし、本明細書の技術は、位相及び/又は反射率などの1つ又は複数の代替又は追加の光学特性と共に使用されてもよい。
[0123] さらに、便宜上、本明細書の説明は、再誘導放射の像、及び具体的には瞳像の検出及び処理に注目する。しかし、再誘導放射の光学特性は、像とは異なるやり方で測定及び表現することができる。例えば、再誘導放射は、1つ又は複数のスペクトル(例えば、波長の関数としての強度)の観点から処理することができる。従って、再誘導放射の検出像は、再誘導放射の光学表現の一例と見なすことができる。従って、瞳面像の場合、瞳像は、瞳表現の一例である。
[0124] さらに、再誘導放射は、偏光又は非偏光であってもよい。ある実施形態では、測定ビーム放射は、偏光放射である。ある実施形態では、測定ビーム放射は、直線偏光される。
[0125] ある実施形態では、瞳表現は、主に又は実質的に、ターゲットからの1次回折の再誘導放射のものである。例えば、放射は、ある特定の次数の放射の80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、98%以上、又は99%以上であってもよい。ある実施形態では、瞳表現は、主に又は実質的に、0次再誘導放射のものである。これは、例えば、ターゲットのピッチ、測定放射の波長、及び任意選択的に、1つ又は複数の他の条件が、ターゲットに主に0次(ただし、1つ又は複数のより高次の放射が存在し得る)を再誘導させる場合に生じ得る。ある実施形態では、瞳表現の大部分が、0次再誘導放射である。ある実施形態では、瞳表現は、0次放射及び別々に1次放射のものであり、その後、これらを線形結合(重ね合わせ)することができる。図7のアパーチャ186を用いて、放射のある特定の次数、例えば0次を選択することができる。
[0126] 第1及び第2の構造1000、1005の幾何学的に対称なユニットセルに対応した瞳像1030に関して、強度分布が、瞳像内で基本的に対称である(例えば、幾何学的構造と同じ対称型を有する)ことが分かる。これは、瞳像1030から対称強度分布部分を除去することにより(これにより、導出瞳像1035が得られる)、さらに確認される。対称強度分布部分を除去するために、ある特定の瞳像ピクセル(例えば、ピクセル)は、その特定の瞳像ピクセルの強度から、対称的に位置する瞳像ピクセルの強度を減算することによって、及びその逆によって、対称強度分布部分を除去することができる。ある実施形態では、このピクセルは、検出器(例えば、検出器190)の複数のピクセルに対応し得るが、そうである必要はなく、例えば、瞳像ピクセルは、検出器の複数のピクセルでもよい。ある実施形態では、それを挟んでピクセル強度が減算される対称点又は対称軸は、ユニットセルの対称点又は対称軸に対応する。従って、例えば、瞳像1030を考察して、対称強度分布部分は、例えば、示されたその特定のピクセルの強度Iiから、対称的に位置するピクセル(すなわち、軸1032に対して対称的に位置する)の強度Ii’を減算することによって除去することができる。従って、対称強度部分が除去された状態の、ある特定のピクセルの強度Siは、Si=Ii-Ii’である。これは、瞳像の複数のピクセル、例えば瞳像の全ピクセルに対して繰り返されてもよい。導出瞳像1035に見られるように、対称ユニットセルに対応した強度分布は、基本的に、完全対称である。従って、対称ユニットセルジオメトリ(及び該当する場合、ユニットセルのインスタンスの特定の周期性)を有した対称ターゲットが、メトロロジ装置によって測定される対称瞳応答をもたらす。
[0127] ここで図10Bを参照し、図10Aに描かれたユニットセルに対するオーバーレイのエラーの一例が、描かれている。この場合、第1の構造1000は、第2の構造1005に対してX方向にシフトされる。具体的には、第1の構造1000のラインの中心に置かれた軸1010が、図10Bにおいて軸1045へと右にシフトしている。従って、X方向にオーバーレイのエラー1040(すなわち、X方向オーバーレイエラー)が存在する。もちろん、第2の構造1005は、第1の構造1000に対してシフトされる可能性があり、又は両方が、互いにシフトされる可能性がある。いずれにせよ、その結果は、X方向オーバーレイエラーである。しかし、このユニットセル配置から認識すべきであるように、第1の構造1000と第2の構造1005との間のY方向の単なる相対的シフトは、このユニットセルの幾何学的対称性を変えない。しかし、適切な幾何学的配置を用いて、2方向の、又はユニットセルの部分の異なる組み合わせ間のオーバーレイは、対称性を変更することができ、及び以下にさらに説明されるように、決定されることも可能である。
[0128] 図10Aのユニットセルの公称物理的構成からのユニットセルの物理的構成の変化の結果として、及びオーバーレイのエラー1040によって表されるように、ユニットセルが、幾何学的に非対称となる結果となる。これは、第2の構造1005の楕円型形状が第1の構造1000のラインに対して不均等に位置することを示す、異なる長さの矢印1050及び1055から分かる。対称性は、瞳像1030の対称点又は対称軸、すなわち、その場合、ここでは軸1034と示される軸1032に対して調べられる。
[0129] 図10Bのユニットセルの物理的インスタンスは、例えば図7のメトロロジ装置を用いて、放射で照明されることが可能である。再誘導放射の瞳像は、例えば検出器190によって記録することができる。このような瞳像の一例は、瞳像1060として描かれる。瞳像1060は、事実上、強度の像である。瞳像1060は、ダイヤモンド型形状を有するが、それは、そのような形状を有する必要はなく、それは、円形状又はその他の形状でもよい。また、瞳像1060は、瞳像1030と実質的に同じ軸又は座標位置のものである。すなわち、この実施形態では、図10Aのユニットセルの対称軸1010と、図10Bのユニットセルの同じ軸は、瞳像1030、1060の対称軸1032と一致する。
[0130] 第1及び第2の構造1000、1005の幾何学的に非対称なユニットセルに対応した瞳像1060に関して、視覚的に、強度分布が、瞳像内で基本的に対称であるように見える。しかし、瞳像内に、非対称強度分布部分が存在する。この非対称強度分布部分は、ユニットセルの非対称性によるものである。また、非対称強度分布は、大きさにおいて、瞳像の対称強度分布部分よりも、大幅に低い。
[0131] 従って、ある実施形態では、非対称強度分布部分をより効果的に分離するために、対称強度分布部分を瞳像1060から除去することができ、これにより、導出瞳像1065が得られる。導出瞳像1035の取得と同様に、ある特定の瞳像ピクセル(例えば、ピクセル)は、上記で説明した通り、その特定の瞳像ピクセルの強度から、対称的に位置する瞳像ピクセルの強度を減算することによって、及びその逆によって、対称強度分布部分を除去することができる。従って、例えば、瞳像1060を考察して、対称強度分布部分は、例えば、示されたその特定のピクセルの強度Iiから、対称的に位置するピクセル(すなわち、軸1032に対して対称的に位置する)の強度Ii’を減算して、Siを得ることによって除去することができる。これは、瞳像の複数のピクセル、例えば瞳像の全ピクセルに対して繰り返されてもよい。図10A及び10Bでは、説明目的で、Siの全導出瞳像が描かれている。認識されるように、図10A又は図10Bの導出瞳像の半分は、それの残りの半分と同じである。従って、ある実施形態では、瞳像の半分のみの値を、本明細書で説明されるさらなる処理に使用することができ、及び従って、本明細書のさらなる処理に使用される導出瞳像は、瞳のSi値の半分だけでもよい。
[0132] 導出瞳像1065に見られるように、非対称ユニットセルの物理的インスタンスを用いて測定された強度分布は、対称ではない。領域1075及び1080に見られるように、対称強度分布部分が除去されると、目に見える非対称強度分布部分が存在する。上記の通り、全導出瞳像1065が示され、及び従って非対称強度分布部分が、両半分(各半分において、大きさ及び分布の観点から、それらは互いに等しいが)に示される。
[0133] 従って、幾何学的ドメインの非対称性は、瞳の非対称性に対応する。従って、ある実施形態では、ユニットセルの物理的インスタンスの固有の幾何学的対称性を有する、又はそれが可能な周期ターゲットの光応答を用いて、ユニットセルの物理的インスタンスの幾何学的対称性の変化を生じさせる(例えば、非対称性を生じさせる、又はさらなる非対称性を生じさせる、又は非対称ユニットセルが対称となるようにする)物理的構成の変化に対応したパラメータを決定する方法が提供される。具体的には、ある実施形態では、メトロロジ装置によって測定される瞳におけるオーバーレイ起因非対称性(又はそれの欠如)を利用して、オーバーレイを決定することができる。すなわち、瞳非対称性を用いて、ユニットセルの物理的インスタンス内の、及び従ってターゲット内のオーバーレイが測定される。
[0134] ユニットセルの幾何学的非対称性を生じさせる物理的構成の変化に対応したパラメータの決定方法を考察するために、瞳像のピクセルの強度を、そのピクセルに影響を与えるターゲットの物理的特性の観点から考察することができる。それを行うために、オーバーレイの例が考察されるが、これらの技術及び原理は、ユニットセルの幾何学的非対称性(例えば、非対称側壁角、非対称底壁傾斜、コンタクトホールの楕円度など)を生じさせる物理的構成の変化に対応した別のパラメータに拡張することができる。
[0135] 図10A及び10Bのユニットセルを再び参照し、瞳像1060のピクセルの強度Ii、I’iは、ユニットセルの異なる物理的特性に起因する強度コンポーネントの組み合わせとして分析的に評価されることが可能である。具体的には、対称ユニットセルから非対称ユニットセルへの物理的構成の変化を評価して、どのように強度分布が変化するか(具体的には瞳像内で)を決定することができる。
[0136] 従って、これらの原理を例示する非常に単純な例では、ユニットセルプロファイルの物理的構成の幾つかの変化を評価することができる(ただし、もちろん、より多くの、又は異なる物理的構成の変化が生じ得る)。考察される物理的構成の変化の1つは、Δxhで表されるZ方向の構造1000の高さの変化である。しかし、重大なことに、この高さの変化は、一般に、ユニットセルの物理的インスタンスにわたり均一である。すなわち、Δxhは、対称軸又は対称点の一方の側において、対称軸又は対称点の別の側と同じ変化のユニットセルの物理的構成をもたらす。同様に、CD、側壁角などの変化などの他の物理的構成の変化も、一般に、ユニットセルの物理的インスタンスにわたり均一であり、及び従って、対称軸又は対称点の一方の側において、対称軸又は対称点の別の側と同じ変化のユニットセルの物理的構成を生じさせる。従って、便宜上、Δxhのみが考察されるが、それは、ユニットセルにわたり均一な多数の他の物理的構成の変化を代表するものである。
[0137] 関心のあるユニットセルの物理的構成の変化の別の1つは、構造1000と構造1005との間の相対的シフト、つまり、オーバーレイの変化1040である。このオーバーレイシフトは、Δxovと呼ばれる。もちろん、オーバーレイは、異なる、又は追加の方向で考察されることが可能である。重大なことに、Δxovは、対称軸又は対称点の一方の側において、対称軸又は対称点の別の側とは異なるユニットセルの物理的構成をもたらし、対称ピクセルの各ペアは、オーバーレイに関する情報を有する。重大なことに、ほとんどのターゲットプロファイルパラメータ(CD、高さなど)の変化が、瞳において対称変化を引き起こす(及び従って、対称パラメータと見なされることが可能である)のに対して、オーバーレイの変化は、測定瞳において非対称変化をもたらす。従って、オーバーレイの変化は、非対称瞳応答を生み出す。さらに、全てではないが、ほとんどの他のユニットセルプロファイルパラメータは、ユニットセルの非対称性又は瞳応答を生じさせない。しかし、それらは、測定オーバーレイ値に影響を与え得る。下記に説明される通り、1次に対して、他のユニットセルプロファイルパラメータは、影響を及ぼさない場合がある。ある実施形態では、2次又はそれより高次に対して、他のユニットセルプロファイルパラメータは、オーバーレイ値の決定に影響を与える。従って、下記により詳細に説明されるように、瞳非対称性を測定することによって、そこからオーバーレイを決定することができる。
[0138] 具体的には、どのように測定瞳非対称性からオーバーレイを決定することができるかを評価するために、瞳像1060のピクセルiの強度I
iを、
と定義することができ、式中、I
0は、照明放射に起因するベース強度であり、及びa、e、f及びgは、係数である。従って、同様に、瞳像1060の相補対称ピクセルの強度I’
iは、
と定義することができ、式中、係数a’、b’、c’、d’、e’及びf’は、相補対称ピクセルの強度I’
iに固有のものであり、及び瞳像1060のピクセルの強度I
iの係数a、b、c、d、e及びfに関連する。
[0139] 瞳像1060の対称ピクセル間の強度の差
は、
として評価することができる。例えば対称性により、方程式(3)に見られるように、eΔx
hなどの対称パラメータのみを含有し得る全ての項が消えることが発見された。さらに、例えば対称性により、偶数乗のオーバーレイを有する項が、対称的に位置付けられたピクセルにとって等しいことが発見され、及び従って、
などの項が同様に消える。これにより、対称パラメータとオーバーレイの組み合わせを有する項と、奇数乗の(例えば、1、3、5、7などの指数の)オーバーレイのみを有する項とが残される。
[0140] 上記の方程式(3)では、強度の差Siが、主に、aΔxovに従属することが発見された。すなわち、強度の差Siは、大部分が、オーバーレイに線形従属し、又はより重大なことに、オーバーレイは、大部分が、強度(具体的には、強度の差Si)に線形従属する。従って、ピクセルの強度の組み合わせは、適切な変換係数と線形結合されると、オーバーレイの良好な推定を生じさせることができる。
[0141] 従って、ある実施形態では、適切に重み付けされた(重み付け自体が、オーバーレイへの強度の変換係数として振る舞い、又は強度からオーバーレイへの変換係数と結合させることができる)ピクセルの強度の組み合わせからオーバーレイを決定することができることが発見された。ある実施形態では、オーバーレイ信号を、
M=Σ
iw
iS
i (4)
と記述することができ、式中、オーバーレイ信号Mは、測定瞳の信号コンポーネントS
iの重み付け結合であり、及びw
iは、各信号コンポーネントS
iのそれぞれの重みであり(及び重みは、信号コンポーネントとオーバーレイとの間の変換係数として機能し、上記の通り、代わりに、変換係数が、信号コンポーネントをオーバーレイに変換するように機能しない重みと組み合わせて使用されることも可能である)。ある実施形態では、重みw
iは、大きさがオーバーレイに関連したベクトルである。上記の通り、信号コンポーネントS
iは、測定瞳の半分に対して決定することができる。ある実施形態では、信号コンポーネントS
iが、対称ピクセル(N)の全てのペア(N/2)に対して実質的に同じ大きさを有する場合、信号コンポーネントS
iは、総オーバーレイを得るための以下の式:
に従って、平均値が求められ、及び信号コンポーネントS
iの合計からオーバーレイへの変換係数Cと結合されてもよい。従って、ある実施形態では、重みは、2つの役割を有し得る(1つは、ピクセルペアにつき、オーバーレイのそれの測定に関する信頼として、及び他方の役割は、信号コンポーネントの光学特性(例えば強度レベル、例えば階調)の値をオーバーレイ値(例えばナノメートルを単位として)に変換することである)。上記で説明した通り、第2の役割は、変換係数に委託することができる。
[0142] しかし、例えば信号コンポーネントSiが、全ての対称ピクセルペアに対して実質的に同じ大きさを持たない場合、測定瞳の全ピクセルを等しく重み付けすることは、低信号対雑音比(不十分な精度)をもたらし得る。従って、オーバーレイに対して感度が高いピクセルを、オーバーレイの演算により大きく寄与するように重み付けすることが望ましい。従って、ある実施形態では、オーバーレイに対して感度が高いピクセルは、オーバーレイに対して感度の低いピクセル(事実上、非アクティブピクセル)とは異なる(例えば、より高い)重みを得る。上記の通り、導出瞳1065の領域1075及び1080のピクセルは、オーバーレイに対して比較的高い感度を有するが、領域1075及び1080のピクセルと比較して強度が低い又は0の導出瞳1065の残りのピクセルは、オーバーレイに対して感度が低い(及びそれに応じて、オーバーレイの決定に対して低い寄与を持つように重み付けされるべきである)。
[0143] ある実施形態では、重みは、効果的に、方程式(3)のaΔxov項に対して決定される。ある実施形態では、aΔxov項、並びにbΔxovΔxh(及び一般的に、CD、側壁角などの他のパラメータに関する他の同等の項)に対して決定されるように、重みを拡張することができる。しかし、この演算は、効果的に方程式(3)のaΔxov項に対してのみ重みを決定することよりも複雑となり得る。また、非線形プロセスに対するロバスト性(対称パラメータに関する)と、オーバーレイの決定の精度(すなわち、決定された値が、同じ実際のオーバーレイの各決定に対して、どれくらい近いかの観点から)との間のトレードオフが存在する。従って、この演算を用いて、ロバスト性の向上のための精度の犠牲が存在し得る。従って、精度を向上させるため(例えば、線形項の影響を最大にし、及び非線形項を抑制する)、ロバスト性を向上させるため(例えば、非線形項を最大にする)、又は両者のバランスを見つけるために、最適化を行うことができる。しかし、いずれにせよ、関連の重み付けと線形結合された強度の組み合わせの使用は、それが、単に、瞳の獲得と、方程式(4)の単純な演算とを必要とするだけなので、オーバーレイの迅速な決定をもたらすことができる。
[0144] ある実施形態では、より高次の項が有意となる場合、非線形解法を採用して、
及び/又は他のより高次の項を有する方程式(3)を解くことができる。認識されるように、非線形解法は、単純に、測定瞳の各信号コンポーネントS
iを、各信号コンポーネントS
iのそれぞれの重みw
iで乗算し、その後、それらの全てを合計することよりも複雑となり得る。また、ここでも、非線形プロセスに対するロバスト性と、オーバーレイの決定の精度(すなわち、決定された値が、同じ実際のオーバーレイの各決定に対して、どれくらい近いかの観点から)との間のトレードオフが存在する。従って、この演算を用いて、ロバスト性の向上のための精度の犠牲が存在し得る。従って、精度を向上させるため、及び/又はロバスト性を向上させるために、最適化を行うことができる。
[0145] 従って、オーバーレイによって生じるユニットセルの幾何学的非対称性がもたらす非対称性強度分布の実現により、この非対称強度分布に注目した分析を用いて、オーバーレイのエラーを決定することができる。従って、オーバーレイに関連したターゲットの物理的構成の変化により生じた非対称強度分布からオーバーレイを決定する技術をこれより説明する。
[0146] 図11を参照し、重みを決定する方法が模式的に描かれる。重みの決定を可能にするために、図9に関して上に記載された再構築技術が利用される。つまり、ある実施形態では、CDの再構築を用いて、非対称ユニットセルの物理的インスタンスの瞳像からオーバーレイ信号が分離される。
[0147] 図11の方法は、2つのプロセスを含む。第1のプロセス1100は、パターニングプロセスの一部として基板上で露光されたターゲットの(及び従って、その中のユニットセルの1つ又は複数の物理的インスタンスの)公称プロファイルを導出するために、ターゲットのCD及び/又は1つ又は複数の他のプロファイルパラメータに対して再構築技術を用いることを含む。ターゲットの公称プロファイルを用いて、プロセス1110において、再構築技術の基本エンジンを用いて重み付けが導出される。次に、重み付けを用いて、図12に関連してさらに記載されるように、測定瞳からオーバーレイを導出することができる。
[0148] 従って、プロセス1100において、ターゲットとして上に設けられた、関心のあるユニットセルの1つ又は複数の物理的インスタンスを有する基板の測定1130が取得される。ある実施形態では、測定は、エッチング後のターゲットのものである。ある実施形態では、測定は、現像後であるが、エッチング前のターゲットのものである。ある実施形態では、ターゲットは、デバイス構造である。ある実施形態では、測定は、図7のメトロロジ装置などのメトロロジ装置を用いて行うことができ、又は既に行われたものである。例えば、ターゲットは、図10A又は図10Bのユニットセルの物理的インスタンス(例えば、単一インスタンス)、又は図10Cに示されるような複数の隣接するインスタンスを含んでいてもよい。ある実施形態では、複数のターゲットインスタンスの(及び従ってユニットセルの複数の物理的インスタンスの)測定が、取得される。ある実施形態では、測定は、基板にわたり分布した複数のターゲットインスタンスのものである。ある実施形態では、各々が1つ又は複数のターゲットインスタンス(各ターゲットインスタンスが、ユニットセルの1つ又は複数の物理的インスタンスを有する)を備えた複数の基板が、測定される。従って、ある実施形態では、放射分布108が、各測定ターゲットに対して取得される。
[0149] 次に、図9に、及び図9に関して記載された再構築プロセスなどの、1100の再構築プロセスを用いて、図9のプロファイル206に相当する、ユニットセルの物理的インスタンスの公称プロファイルを導出する。再構築プロセスは、再構築プロセスを開始し、及び容易にするために、ユニットセルの物理的インスタンスの予想プロファイル1120を取得する。ある実施形態では、1つ又は複数の基板にわたるターゲットインスタンスのプロファイルの平均から、導出公称プロファイルを取得する。例えば、各ターゲットの放射分布108を処理することによって、ターゲットのそのインスタンスの特定のプロファイルを導出することができ、次に、ターゲットの複数のインスタンスのプロファイルの平均値をまとめて求めることによって、公称プロファイルを導出することができる。ある実施形態では、公称プロファイルは、ターゲットの幾何学的プロファイルを少なくとも含む。ある実施形態では、幾何学的プロファイルは、3Dプロファイルである。ある実施形態では、公称プロファイルは、物理的ターゲットを構成する1つ又は複数の層の1つ又は複数の材料特性に関する情報を含む。
[0150] 従って、ある実施形態では、基板にわたる、及び任意選択的に2つ以上の基板上のターゲットの多数のインスタンスの測定から取得されたターゲット(及び従って、ユニットセル)のプロファイルの様々なパラメータの値の重心として、公称プロファイルを見なすことができる。しかし、ある実施形態では、公称プロファイルは、異なる形態を有していてもよく、及びより具体的であってもよい。例えば、公称プロファイルを、ターゲットの1つ又は複数の特定のインスタンスに関して定義することができる(例えば、複数の基板の同じターゲット場所からの値を用いることによって)。別の例として、公称プロファイルを、ある特定の基板に関して定義することができる(例えば、その基板のみからの値を用いることによって)。ある実施形態では、図12のプロセスの一部として、ある特定のターゲット及び/又は基板に関して公称プロファイルを調節することができる。例えば、ターゲット及び/又は基板が、図12のプロセスの一部として測定される場合、再構築技術を測定データと共に使用することにより、そのターゲット及び/又は基板の公称プロファイルを微調節することができ、次に、微調節された公称プロファイルを本明細書の公称プロファイルとして用いることにより、重みを決定することができ、次に、これらの重みを同じ測定データと共に用いることにより、1つ又は複数のオーバーレイ値を得ることができる。
[0151] 次に、再構築された公称プロファイル1140は、プロセス1110に提供される。従って、ある実施形態では、プロセス1110は、ターゲットの導出公称プロファイル、例えば測定データから導出された、デバイスのユニットセルの幾何学的エッチング後プロファイルを使用する。ある実施形態では、公称プロファイルは、測定されたユニットセルに従ってパラメータ化されたモデル206のような、パラメータ化モデルの形態でもよい。従って、ある実施形態では、プロセス1110は、ユニットセルの導出プロファイルモデル、例えば、測定データから導出された、デバイスのユニットセルの物理的インスタンスの幾何学的エッチング後プロファイルのモデルを使用する。
[0152] プロセス1110において、本明細書に記載される再構築技術の基本エンジンを、導出プロファイル又は導出プロファイルモデルと共に使用することにより、重み付けを導出する。ある実施形態では、導出プロファイル、又は導出プロファイルから導出された導出プロファイルモデルを用いて、ユニットセルにおけるオーバーレイに感度が高い瞳ピクセルを決定する。具体的には、ある実施形態では、瞳応答のオーバーレイに対する感度が、公称プロファイルの引き起こされたオーバーレイの変化に対する瞳応答の変化を決定するために、シミュレーション(例えば、マクスウェル解法)を用いて決定される。
[0153] これは、ある特定量のオーバーレイ変化がモデルにおいて引き起こされる(例えば、1nm)ように、導出プロファイルモデルを変化させ、導出プロファイルモデルの他の全てのパラメータ/変数を変化させないことにより、達成することができる。これは、効果的に、対称ユニットセルを非対称にし、又は既に非対称のユニットセルが対称となるよう)、対称性を変化させる(さらに非対称にすること、又は非対称状態から対称にすることを包含する)。
[0154] 次に、オーバーレイ変化が引き起こされた導出プロファイルモデルに基づいて、メトロロジ装置で予想されるような瞳(例えば、ある測定ビーム波長、測定ビーム偏光、測定ビーム強度などの放射に対して)を導出することができる(例えば、マクスウェル解法、ライブラリサーチ又は他の再構築技術を用いて)。ユニットセルの物理的インスタンスがビームスポットよりも小さい場合、再構築は、ユニットセルの物理的インスタンスで満たされているかのようにビームスポットを扱うことができる。ある実施形態では、導出瞳は、シミュレーション瞳像1060及び/又はシミュレーション瞳像に基づいた導出瞳像1065でもよい。
[0155] 次に、導出瞳を用いて、オーバーレイ変化に対する複数の瞳ピクセルにおける強度の感度を、例えば、オーバーレイが引き起こされないユニットセルの導出瞳(例えば、オーバーレイが引き起こされないユニットセルの導出瞳は、シミュレーション瞳像1030及び/又はシミュレーション瞳像に基づいた導出瞳像1035でもよい)と比較することによって、決定することができる。ある実施形態では、これらの感度は、重み付けの基礎を成す。
[0156] ある実施形態では、瞳のピクセル(及び従って、ピクセル強度、信号コンポーネントSiなど)を、ベクトルとして表現することができる。その場合、ある実施形態では、重み付けを、モデリングで生成されたヤコビアン行列から導出することができる。ある実施形態では、重み付けを、モデリングで生成されたヤコビアン行列のムーア・ペンローズ擬似逆行列から導出することができる。従って、重みは、効果的に、方程式(3)のaΔxov項に対して決定される。ヤコビアン行列、又はヤコビアン行列のムーア・ペンローズ擬似逆行列から導出された重み付けは、比較的少量のオーバーレイ変動(例えば、±3nmの範囲内、又は±4nmの範囲内、又は±5nmの範囲内)に対して上手く当てはまるように思われる。
[0157] ある実施形態では、aΔxov項、並びにbΔxovΔxh(及び一般的に、CD、側壁角などの他のパラメータに関する他の同等の項)に対して決定されるように、重みを拡張することができる。この場合、重み付けは、ヤコビアン行列に加えて、モデリングで生成されたヘッセ行列であり、又はそれから導出することができる。ヘッセ行列は、別の(対称)パラメータ(CDなど)のある量の変化により、オーバーレイに対する応答がどのように変化するかを示す。従って、このようなパラメータ毎に、ヘッセ行列において1つの列が存在する。ある実施形態では、(より)ロバストになるように、重みは、ユニットセルが高感度を有する列(パラメータ)に対して、それらがより直交となるように変更されてもよい。より直交となるために、1つ又は複数の高感度の列をヤコビアン行列に連結することができ、次に、ムーア・ペンローズ擬似逆行列を、ヤコビアン行列に連結された、ヘッセ行列からの1つ又は複数の列を有したこのヤコビアン行列から計算することができる。この計算から、重みが得られる。しかし、この演算は、より複雑となることが可能で、及び従って、オーバーレイ値が実際には、ヤコビアン行列(のムーア・ペンローズ擬似逆行列)から導出された重み付けが良好な結果を示すオーバーレイ変動範囲を超えることが予想される状況に適し得る。
[0158] ある実施形態では、方程式(3)の他の項に対して決定されるように、重みを拡張することができる。その場合、重み付けは、ヤコビアン行列に加えて、モデリングで生成された3次導関数であり、又はそれから導出することができる。
[0159] 上記の通り、公称プロファイルは、ターゲット又は基板毎に微調節された公称プロファイルでもよい。例えば、図12のプロセスの一部として、特定のターゲット又は基板が測定される場合、再構築技術を測定データと共に使用することによって、そのターゲット又は基板の公称プロファイルを微調節することができる。ここで、この微調節に応じて、重みを(再)決定することができ、及び/又は行われる重み付けのタイプの選択(例えば、ヤコビアン行列、又はヤコビアン行列及びヘッセ行列の組み合わせ)を行うことができる。例えば、微調節されなかった公称プロファイルに基づく重みは、Δxhの影響を抑制するために以前は選択されたかもしれないが、微調節が、ターゲット及び/又は基板のΔxhの識別及び更新を行った場合、Δxhの影響は、抑制される必要がないかもしれない。従って、ロバスト性よりも精度をより好む重みが、選択され得る。
[0160] 従って、プロセス1110から、重みwiの集まり(例えばベクトル)を出力することができる。重みwi自体は、オーバーレイへの強度の変換係数として機能することができ、又はそれらを、強度からオーバーレイへの変換係数(この変換係数は、同じモデリングの一部として導出することができる)と結合することができる。瞳像1065から認識されるように、領域1075及び1080のピクセルは、領域1075及び1080の外側のピクセルよりも、オーバーレイに対する比較的高い感度を有し、及び従って、それらの重み付けは、領域1075及び1080の外側のピクセル(これらのピクセルは、オーバーレイに対して比較的低い感度を有する)の重み付けとは著しく異なる(例えば、より高い)。従って、重みが、ユニットセルの1つ又は複数の物理的インスタンスを有するターゲットの測定強度値と結合されると(方程式(4)に従ってなど)、特定のターゲット(ユニットセルの物理的インスタンスを有したデバイスパターンなど)に関するオーバーレイ信号を取得することができる。
[0161] さらに、ターゲットの測定強度値を取得する際に使用する測定方式を構築するために、1つ又は複数の測定パラメータを決定することができる。1つ又は複数の測定パラメータは、ピクセルのオーバーレイ感度に影響を与え得る。例えば、オーバーレイ感度は、異なる測定ビーム波長にわたり変動する。従って、ある実施形態では、1つ又は複数の測定パラメータ(波長、偏光、ドーズ、ターゲットの特定の1つの照明の検出器センサによって取得された幾つかの光学特性の示度数(示度数は、一般的に、ターゲットの測定の平均光学特性値を提供するために平均値が求められる)など)は、モデリングプロセス1110の一部として変動し得る。例えば、ある特定の引き起こされたオーバーレイ変化に関して、1つ又は複数の測定パラメータを調べることによって、例えば、重み付けが1つ又は複数のパラメータのある値に対するものである場合に取得されたオーバーレイと、重み付けが1つ又は複数のパラメータの別の値に対するものである場合に取得されたオーバーレイとの間の残差を、最小に、又は特定の閾値未満に減少させる1つ又は複数の測定パラメータの値を決定することができる。従って、精度を向上させる1つ又は複数の測定パラメータの値を取得することができる。
[0162] さらに、プロセス変動に対するロバスト性は、1つ又は複数の測定パラメータの異なる値にわたって異なる。例えば、具体的には、プロセス変動に対するロバスト性は、測定ビーム波長及び/又は測定偏光の異なる値にわたって異なる。従って、ある実施形態では、重み付けスキームは、少なくとも、プロセス変動に対するロバスト性の欠如の主要なコントリビュータに対処すべきである。従って、精度の向上のために1つ又は複数の測定パラメータの値を決定することに加えて、又はそれに替えて、異なる特定の引き起こされたオーバーレイ変化の値に対して(及び/又はCD、側壁角などの変化などの導出プロファイルモデルの1つ又は複数の他のパラメータの特定の引き起こされた変化に対して)1つ又は複数の測定パラメータを調べることにより、プロセス変動に対する向上したロバスト性を有する重み付けを用いて結果を可能にする1つ又は複数の測定パラメータの値を取得することができる。例えば、異なる量の引き起こされたオーバーレイ変化に対して、1つ又は複数の測定パラメータの様々な値を評価することにより、1つ又は複数の測定パラメータの値に関連付けられた重み付けを用いて、決定されたオーバーレイの最小限の(又は閾値未満の)変動を生じさせる1つ又は複数の測定パラメータの値を決定することができる。もちろん、1つ又は複数の測定パラメータの値の選択において、精度とロバスト性の向上との間のバランスを用いることができる。例えば、精度を目的として決定された1つ又は複数の測定パラメータの値(例えば、精度を測定する性能測定基準に適用される重み)と、ロバスト性の向上を目的として決定された1つ又は複数の測定パラメータの値(例えば、ロバスト性を測定する性能測定基準に適用される重み)との間で、重み付けを適用することができ、次に、例えば、最大の組み合わせや、トップランクの組み合わせなどを選択することができる。そしてもちろん、事実上、測定方式全体の中に複数の異なる測定方式が存在するように、1つ又は複数の測定パラメータの複数の値を決定することができる。複数の値は、1つ又は複数の性能測定基準に従ってランク付けされてもよい。従って、任意選択的に、ユニットセルの1つ又は複数の物理的インスタンスを有するターゲットの測定強度値を取得する際に使用するために、測定方式をプロセス1110から出力することができる。
[0163] さらに、CD、側壁角などの1つ又は複数の非オーバーレイパラメータが、強度信号をオーバーレイにマッピングするために使用される重みに影響を与え得る。上記の通り、この状況における重みを決定する方法例は、ヘッセ行列及び/又は3次導関数を使用することである。従って、ある実施形態では、良好なオーバーレイ値を依然維持するように1つ又は複数の非オーバーレイパラメータを考慮に入れるために、様々な可能な重み付けスキームが可能である。ある実施形態では、オーバーレイの情報を提供するオーバーレイピクセル及びそれらの重み付けを、オーバーレイ決定の精度を目的として最適化することができる。これは、良好なモデルの質、すなわち、非オーバーレイパラメータの良好な推定を必要とする場合がある。ある実施形態では、オーバーレイの情報を提供するピクセル及びそれらの重みを、例えば非オーバーレイパラメータにおけるプロセス変動に対するロバスト性の向上を目的として最適化することができる。これは、精度を犠牲にし得る。
[0164] ある実施形態では、例えば、図9に関連して記載された再構築技術を用いて、1つ又は複数の非オーバーレイパラメータの推定を行い、及びそれらをフィードフォワードして、導出プロファイル又は導出プロファイルモデルを調節することができる。例えば、CD再構築は、基板のある特定の場所のターゲットのCD、及び/又はパターニングプロセス設定(例えば、露光ドーズ、露光フォーカスなど)のある特定の組み合わせのCDを推定し、及びそのCD推定を用いて、導出プロファイル又は導出プロファイルモデルのCDパラメータを調節することができる。ある実施形態では、正確な導出プロファイル又は導出プロファイルモデルパラメータの反復再構築を行うことができる。
[0165] 図12を参照して、幾何学的に対称であることが可能なユニットセルの1つ又は複数の物理的インスタンスを有するターゲットのオーバーレイ値を決定する方法。この方法は、2つのプロセス1200及び1210を含む。プロセス1200は、ユニットセルの1つ又は複数の物理的インスタンスを有するターゲットの測定を取得することを含む。プロセス1210は、プロセス1200からのターゲットの測定に基づいて、測定ターゲットのオーバーレイ値を決定することを含む。
[0166] プロセス1200は、入力として、幾何学的に対称であることが可能な本明細書に記載されるようなユニットセルの1つ又は複数の物理的インスタンスを包含する、測定されるターゲット1220を受け入れる。ある実施形態では、ターゲットの1つ又は複数のインスタンスを備えた基板が、図7のメトロロジ装置などのメトロロジ装置に提供される。
[0167] 任意選択的に、プロセス1200は、入力として、ターゲット用に指定されたある特定の測定方式1230を受け入れる。ある実施形態では、測定方式は、測定ビーム波長、測定ビーム偏光、測定ビームドーズ、及び/又はターゲットの特定の1つの照明のメトロロジ装置の検出器センサによって取得された幾つかの光学特性の示度数から選択された1つ又は複数などの、1つ又は複数の測定パラメータの値を指定することができる。ある実施形態では、測定方式は、各々が1つ又は複数の測定パラメータの値を指定する、複数の測定方式を含んでもよい。測定方式を用いて、ターゲットを測定することができる。
[0168] 次に、プロセス1200は、任意選択的な測定方式に従って、メトロロジ装置を用いてターゲットを測定する。ある実施形態では、メトロロジ装置は、再誘導放射の瞳表現を取得する。ある実施形態では、メトロロジ装置は、瞳像1030(例えば、ターゲットがオーバーレイのエラーを有さない場合)、又は瞳像1060(例えば、ターゲットがオーバーレイのエラーを有する場合)などの瞳表現を生成することができる。従って、ある実施形態では、プロセス1200は、放射の瞳表現などのターゲットからの再誘導放射に関する光学情報1240を出力する。
[0169] 次に、プロセス1210が、光学情報1240を受信し、及び光学情報を処理して、ターゲットのオーバーレイ値1260を決定する。ある実施形態では、プロセス1210は、入力として、図11の方法から決定された重み付け1250を受信し、次に、これらが、光学情報1240から取得された、又は導出された1つ又は複数の光学特性値(例えば強度)と結合される。
[0170] ある実施形態では、プロセス1210(又はプロセス1200)は、光学情報を処理して、光学情報から生オーバーレイ信号を導出することができる。ある実施形態では、生オーバーレイ信号は、光学情報の差分、すなわち、対称軸又は対称点を挟んだ対称ピクセル間の光学特性値の差を含む。ある実施形態では、導出瞳像1035(例えば、ターゲットがオーバーレイのエラーを有さない場合)、又は導出瞳像1065(例えば、ターゲットがオーバーレイのエラーを有する場合)を取得することができる。
[0171] ある実施形態では、重み付け及びターゲットによって再誘導された放射に関する光学情報(例えば、プロセス1200からの光学情報、又は生オーバーレイ信号などのプロセス1200からの光学情報の処理バージョン)を組み合わせて、オーバーレイ値が決定される。ある実施形態では、関連の重み付けと線形結合された再誘導測定ビーム強度の組み合わせの使用は、オーバーレイの迅速な決定をもたらすことができる。例えば、ある実施形態では、オーバーレイ値Mを、各信号コンポーネントSiに対してそれぞれの重みwiを用いて、生オーバーレイ信号からの信号コンポーネントSiの重み付け結合として計算することができる方程式(4)を用いて、オーバーレイ値を導出することができる。
[0172] ある実施形態では、プロセス1200から収集された光学情報を追加的に用いることにより、オーバーレイ以外の1つ又は複数のターゲット関連パラメータを導出することができる。例えば、プロセス1200から収集された光学情報を再構築プロセスで使用することにより、CD、側壁角、底床傾斜などのターゲットの何れか1つ又は複数の幾何学的プロファイルパラメータを導出することができる。従って、ある実施形態では、インダイエッチング後ターゲットなどのターゲットから収集された同じ光学情報セットを用いることにより、オーバーレイ、CD及び/又はターゲット(デバイス構造など)の1つ又は複数の他の幾何学的プロファイルパラメータを決定することができる。
[0173] 上記の通り、強度に注目したが、ある実施形態では、光学特性は、反射率であってもよく、放射は、偏光されてもよく、及び測定は、交差偏光測定であってもよい。例えば、ある直線偏光に露光されたターゲットを、その偏光を用いて、又は異なる偏光で測定することができる。従って、対称ピクセルp
i及び
(アポストロフィは、対称的な場所を示す)の場合、それらのピクセルの反射率Rは、以下のように測定することができ、
式中、sは、s偏光を示し、及びpは、p偏光を示す。従って、反射率R
ssは、ターゲットがs偏光を用いて照明された際に測定されたs偏光放射の反射率Rに対応し、反射率R
spは、ターゲットがp偏光を用いて照明された際に測定されたs偏光放射の反射率Rに対応するなどである。また、これらの測定を、異なる波長で行うことができる。そして、特定の実施形態では、オーバーレイの変化に応答して対称性を変化させる対称ユニットセルのオーバーレイを、合同R
ps及びR
spから求めることができ、及び決定することができることが発見された。
[0174] さらに、非線形性が、オーバーレイから、及び/又は他のパラメータから生じ得る。上記で説明した通り、特定の非線形性は、重み付けの適切な選択により、例えば、ヘッセ行列及び/又は3次導関数を用いて重み付けを導出することによって、対処することができる。ある実施形態では、非線形性は、非線形解を用いて、ターゲットからの再誘導放射の測定光学情報からオーバーレイを導出することにより、対処することができる。
[0175] ある実施形態では、公称プロファイルを導出するために使用される、上記のような再構築エンジンを用いることによって、オーバーレイを決定することができる。例えば、導出公称プロファイル及び/又は導出公称プロファイルモデルに基づいたモデルから機能する非線形解法を用いて、関心のあるターゲットからの再誘導放射から予想される光学情報のシミュレーションバージョンを導出することができ、これは、関心のあるターゲットの測定光学情報と比較することができる。上記の通り、関心のあるターゲットは、対称となることができ、及びオーバーレイの影響下で対称性を変化させるユニットセルの1つ又は複数の物理的インスタンスを含む。その場合、ある閾値内の一致が存在しなければ、幾何学的プロファイルパラメータ(例えばオーバーレイ)は、変動する可能性があり、及び閾値内の一致が存在するまで、光学情報のシミュレーションバージョンを、再計算し、及び測定光学情報と比較することができる。同様に、関心のあるターゲットの測定光学情報を、関心のあるターゲットからの再誘導放射から予想される光学情報のライブラリと比較することができる(このライブラリは、一般的に、非線形解法を用いて導出される)。その場合、ある閾値内の一致が存在しなければ、幾何学的プロファイルパラメータ(例えばオーバーレイ)は、変動する可能性があり、及び閾値内の一致が存在するまで測定光学情報と比較される光学情報のシミュレーションバージョンを求めて、ライブラリを再度参照することができる。
[0176] ある実施形態では、関心のあるターゲットからの測定光学情報と共に、再構築エンジンを使用することは、上記のように(例えば、各ピクセルの光学特性値から、対称点又は対称軸を挟んで対称的に位置するピクセルの光学特性値を減算することによって)放射の対称分布が除去された測定光学情報を使用する。従って、光学情報は、実質的に、放射の非対称分布のみに関連する。同様に、光学情報のシミュレーション又はライブラリバージョンは、実質的に、放射の非対称分布のみに関連する。これは、演算の速度を促進し、及び/又は光学情報のかなりの部分としての比較は、それが差分により消去されるので、演算又は評価される必要がない。
[0177] 非線形解のさらなる実施形態では、方程式(3)の展開は、Δxovを導出するための非線形解法を用いて解くことができる。具体的には、方程式(3)の(a-a’)、(b-b’)、(c-c’)など(該当する場合は)の値を、関心のあるユニットセルの導出公称プロファイル及び/又は導出公称プロファイルモデルの決定の一部として決定することができる。例えば、非線形再構築の一部として、導出公称プロファイルが決定されると、導出公称プロファイルに対応した(例えば、ある特定のオーバーレイの変化(例えば、Δxov)に対する導出公称プロファイルの摂動に対応した)瞳のシミュレーション又はライブラリ光学情報を取得することができ、次に、例えば、残差を最小にするために解を繰り返し処理する(例えば、オーバーレイの1つ又は複数の摂動(例えば、Δxov)に応答して)非線形解法を用いて、瞳の各ピクセルに対して、a、b、cなど(該当する場合は)の値を決定することができる。その結果は、該当する場合、瞳のa値(各a値は、瞳のピクセルに対応する)のベクトルであり、瞳のb値(各b値は、瞳のピクセルに対応する)のベクトルであり、瞳のc値(各c値は、瞳のピクセルに対応する)のベクトルであるなどである。次に、これらのベクトルを、関心のあるユニットセルを有するターゲットの測定瞳から決定されたSi値のベクトルと結合させることができる。例えば、残差を最小にするために解を繰り返し処理する非線形解法は、これらの入力ベクトルを採用し、次に、オーバーレイΔxovについて解くことができる。
[0178] 上記の説明は、ユニットセルの物理的プロファイルをモデリングするモデルに注目したが、ある実施形態では、重み付けを、物理的プロファイルモデリングを必要としないデータ駆動技術を用いて導出することができ、又は物理的プロファイルモデリングを補うデータ駆動技術を用いて導出することができる。従って、ある実施形態では、データ駆動技術は、有利に、物理的プロファイルモデルを必要としないことが可能であり、これは、例えば、物理的プロファイルモデリングが、ユニットセルがデバイスパターン構造である場合に機密情報となり得るユニットセル(及び従ってターゲット)に関する詳細から始まり、及びその詳細を決定するので、秘密情報の共有を制限するのに有用となり得る。ある実施形態では、データ駆動技術は、例えば、測定光学情報(例えば瞳強度)をパターニングプロセスパラメータ(例えばオーバーレイ)に変換するための、上記で説明したような重みの比較的迅速な決定を可能にすることができる。ある実施形態では、データ駆動技術は、以下に説明されるように、データ駆動技術が、測定データ及び関連の基準のみを必要とし得るので、初期段階でのパターニングプロセスパラメータの決定を可能にする。
[0179] 従って、ある実施形態では、データ駆動技術は、関心のあるパターニングプロセスパラメータ(例えばオーバーレイ)の1つ又は複数の特定の設定値を用いて、1つ又は複数のターゲットとして上にパターン形成された関心のあるユニットセルの物理的インスタンスを有する1つ又は複数の基板から測定されたデータ(「入手」データ)を処理することを含む。パターンを生成するための特定のパターニングプロセスパラメータ(例えばオーバーレイ)の「設定」意図的値と、それらのパターンから測定されたデータ(「入手」データ)とのこの組み合わせは、「設定-入手」プロセスと呼ばれる。例えば、ユニットセルの物理的インスタンスのある特定量のオーバーレイが、パターニングプロセスの一部として生成され、及び次に、ユニットセルの物理的インスタンスを有するターゲットが測定されることにより、例えば、それの瞳像(すなわち、「入手」データ)を取得する。ある実施形態では、複数の基板のパターン形成及び測定を、このように行うことができる。ある実施形態では、オーバーレイの複数の異なる設定値が生成され、これらの異なるオーバーレイの値は、例えば、1つの基板に関するものであってもよく、異なる基板にわたっていてもよい。ある実施形態では、各基板は、測定される複数のターゲットインスタンスを有し、例えば、複数の瞳像を生じさせる。ある実施形態では、ユニットセルの物理的インスタンスの異なる部分のパターニング間で、設計倍率からの倍率変更を引き起こすことによって、オーバーレイを生成することができる。ある実施形態では、ユニットセルの物理的インスタンスの異なる部分のパターニング間で、設計位置決めからの意図的な並進をもたらすことによって、オーバーレイを生成することができる。従って、その結果は、例えばリソグラフィ装置によって引き起こされたターゲットにおける作為的な印加オーバーレイである。
[0180] ある実施形態では、一般に、測定データ及び関連の基準値が取得される。従って、ある実施形態では、異なるオーバーレイが存在するが、それらのオーバーレイが、別の手段によって(例えば、走査電子顕微鏡から)決定される場合には、作為的なオーバーレイが設けられる必要はない。ある実施形態では、対応する基準データ(例えば、CD-SEMに由来する)を備えたクリティカルディメンジョン均一性基板を入力データとして使用することができる。測定データ及び基準値を用いて、データ駆動アプローチは、本明細書で説明されるように、推測オーバーレイ値が基準値に類似するように重みを求めることができる。従って、データ駆動技術の説明は、測定光学情報及び意図的に設定されたオーバーレイ値で取得された瞳表現に注目するが、一般に、それらをより一般的な測定データ及び関連の基準値(測定されたものであろうと、意図的に設定されたものであろうと)に適用することができる。
[0181] さらに、ここでの技術は、ある特定のオーバーレイ(例えば、X方向のオーバーレイ)に関連するが、対応する測定データ及び基準値を用いて、ここでの技術を異なるオーバーレイ(例えば、Y方向のオーバーレイ、異なる層の構造間のオーバーレイなど)に対して繰り返すことができることが認識されるだろう。従って、異なるオーバーレイに対して、異なる重みセットを決定することができる。
[0182] 従って、図13を参照し、データ駆動技術の一実施形態のハイレベルフローが描かれる。1300では、測定光学情報(例えば瞳強度)をパターニングプロセスパラメータ(例えばオーバーレイ)に変換するための、上記で説明したような重みを導出するために、演算が行われる。具体的には、演算は、幾つかの入力を使用する。これらの入力の1つは、関心のあるユニットセルの物理的インスタンスを有するターゲットの設定-入手プロセスの設定値1320である。上記の通り、1つ又は複数の基板にわたり、ターゲットの複数のインスタンスを測定することができ、ターゲットの1つ又は複数のインスタンスは、ターゲットの1つ又は複数の他のインスタンスとは異なるパターニングプロセスパラメータの意図的な設定値の値を有する。さらなる入力は、異なる設定値でのターゲットの上記インスタンスの測定光学情報1310である。ある実施形態では、光学情報1310は、各々がターゲットの1つのインスタンスに対応した複数の瞳表現である。その場合、データ駆動技術で入力1310及び1320を処理することにより、重み1330を得る。このようなデータ駆動技術の例を以下に説明する。
[0183] ある実施形態では、重みのベクトル
を求めるためのデータ駆動技術の一例は、以下の目的又はメリット関数を最小にすることにより、重み
:
を得ることである。
式中、
は、パターニングプロセスパラメータ(例えばオーバーレイ)を決定するために測定光学特性(例えば強度)の値と組み合わせるための重みのベクトルであり、各重みは、瞳のピクセル値に対応し、P
iは、パターニングプロセスパラメータのある特定の設定値を取得するようにパターン形成された基板iから取得されたターゲットのインスタンスの測定瞳からの測定光学特性のピクセル値を各列が含有した行列であり(この行列は、次に、列が、瞳のピクセルとなり、行が、基板上のターゲットの1つ又は複数のインスタンスとなり、及び行列の値が、それぞれのピクセルにおける測定光学特性の値であるように転置される)、
は、1つ又は複数の基板i上のターゲットの1つ又は複数のインスタンスのパターニングプロセスパラメータの対応する設定値を含有したベクトルであり、各設定値は、パターニングプロセスパラメータ値に対応し、
は、設定値の数のサイズのユニットベクトルであり、及びc
iは、各基板のパターニングプロセスパラメータの設定値と、パターニングプロセスパラメータの推測値
との間のオフセット差であり、及びDは、測定される基板の数である。行列P
iは、ターゲットの各インスタンスの異なる結果の組み合わせでもよい。例えば、異なる波長、異なる偏光などを用いて、ターゲットを測定することができる。従って、例えば、単一の列が、第1の波長及び第1の偏光を用いて測定されたターゲットの瞳のピクセルの値を有することができ、これらの後に、第2の異なる波長を用いて測定された瞳のピクセルの列の値が続き、又は第2の異なる偏光を用いて測定されたターゲットの瞳のピクセルの列の値が続く(及びこれらの後に、1つ又は複数の異なる偏光及び/又は波長でのさらなる値が続いてもよい)ように、これらの結果を各列に連結することができる。
[0184] 従って、事実上、この関数は、各基板iの推測値
が、オフセットc
iから離れた設定値
と可能な限り類似して見えるように(L2正則化ノルムの意味で)、重みベクトル
を求める。原則として、行列反転により、最適な重み及びオフセットを計算することができる。1つ又は複数の特定のメトロロジ装置を用いて、測定光学特性のピクセル値を得ることができるので、取得された重みを較正データによって規格化することによって、結果に対する上記特定のメトロロジ装置自体の影響を減らすことができる。
[0185] データ駆動技術として、目的又はメリット関数を使用することにより、上記に記載したような重みを求める代わりに、又はそれに加えて、データ駆動技術は、ニューラルネットワークのような機械学習アルゴリズム、又は関心のあるパターニングプロセスパラメータ(例えばオーバーレイ)における意図的に設けられた差を有したターゲットの測定瞳に基づいて重みを決定する非線形方法を用いることができる。
[0186] ある実施形態では、訓練(すなわち、目的又はメリット関数、又は機械学習アルゴリズムを用いる)後に、他のデータを用いて重みをチェックすることができる。訓練がオーバーフィットをもたらす可能性があり、データ駆動アプローチは、「単に」データを設定値にフィットさせる。従って、相互検証が行われる。既知の設定値を用いた新しいデータを使用して、重みをチェックする。この新しいデータは、手元にある基板のサブセットでもよい。従って、ある実施形態では、訓練は、基板のサブセットに対して行われ、及び検証は、基板の別の(分離した)サブセットに対して行われる。
[0187] 図14は、物理的幾何モデルと組み合わせたデータ駆動技術の一実施形態のハイレベルフローを描く。この実施形態では、図13に関連して記載されたようなデータ駆動技術を用いて、物理的幾何モデル(例えば、物理的幾何モデルのヤコビアン行列(のムーア・ペンローズ擬似逆行列))からの重みが、データ駆動技術によって決定された重みと同じであるように、又は類似するように(例えば、値において、統計的になど)、物理的幾何モデルを調節する(例えば、ヘッセ行列を使用して、より良いモデル公称値を取得することによって、モデル公称値を変更することによってなど)ために使用される重みを導出することができる。従って、ある実施形態では、ヤコビアン行列(のムーア・ペンローズ擬似逆行列)が(スケーリングされた)重みベクトル
と類似するように物理的幾何モデルが調節されるように、(スケーリングされた)重みベクトル
を用いて、物理的幾何モデルを微調節することができる。
[0188] 従って、ある実施形態では、1400において、データ駆動技術(それの例は、上記に記載される)を行うことにより、上記で説明したように重みが導出される。演算は、幾つかの入力を使用する。これらの入力の1つは、関心のあるユニットセルの物理的インスタンスを有するターゲットの設定-入手プロセスの設定値1420である。上記の通り、1つ又は複数の基板にわたり、ターゲットの複数のインスタンスを測定することができ、ターゲットの1つ又は複数のインスタンスは、ターゲットの1つ又は複数の他のインスタンスとは異なるパターニングプロセスパラメータの意図的な設定値の値を有する。さらなる入力は、異なる設定値でのターゲットの上記インスタンスの測定光学情報1410である。ある実施形態では、光学情報1410は、各々がターゲットの1つのインスタンスに対応した複数の瞳表現である。その場合、データ駆動技術で入力1410及び1420を処理することにより、重み1430が得られる。
[0189] 重み1430を用いて物理的幾何モデルを微調節するために、重み1430が、プロセス1440に入力される。プロセス1440は、ユニットセルの物理的プロファイル1450を取得し(プロセス1440は、これを用いて、物理的プロファイルモデルを導出する)、又はユニットセルの物理的プロファイルモデル1450を取得する(プロセス1440は、これを使用する)。ある実施形態では、物理的プロファイルは、上記で説明した通り、ユニットセルの導出公称プロファイル及び/又は導出公称プロファイルモデルである。
[0190] プロセス1440は、物理的幾何モデルを用いて、重み1430に対応する重みを導出する。次に、これらの重みは、重み1430と比較される。この比較は、大きさのマッチング、統計的分析、フィッティング評価などを含み得る。大きな差があれば(例えば、閾値に対する比較の評価により)、物理的プロファイルの1つ又は複数のパラメータを調節することができる。例えば、比較の結果が、例えばある閾値よりも近くなる、又はある閾値と等しくなるように、1つ又は複数の物理的プロファイルパラメータ(例えば、CD、側壁角、材料高さなど)を調節することができる。ある実施形態では、ヘッセ行列を用いて、この微調節を行うことができ、又は非線形解法(1つ又は複数の順方向コール(例えば、マクスウェル解法)を包含する)を用いて行うことができる。閾値に適合する又は閾値と交差するまで、この調節及び比較を反復することができる。次に、調節された物理的幾何モデルは、パターニングプロセスパラメータ値を導出するために関心のあるターゲットの測定光学情報と組み合わせて使用するための更新重み1460を出力することができる。
[0191] 図15は、物理的幾何モデルと組み合わせたデータ駆動技術のさらなる実施形態のハイレベルフローを描く。物理的幾何モデルが測定データと同様に挙動する場合、物理的幾何モデルを用いて、プロセス変動の影響を予測することができる。従って、ある実施形態では、物理的幾何モデルのヘッセ行列を用いて、物理的幾何モデルを調節するために使用される重みを取得するためにデータ駆動技術で使用されたデータ中に存在しなかったプロセス変動に対して重みが(より)直交となるように、重みを調節することができる。
[0192] 重みを調節するためにヘッセ行列を使用するこのアプローチは、データ駆動技術を用いずに行うこともできる。すなわち、重みを更新するためにヘッセ行列を使用するこの技術を、図11に関連して記載された物理的幾何モデルアプローチと共に行うことができる。この場合、例えば、上記で説明したように、ユニットセルの導出公称プロファイル及び/又は導出公称プロファイルモデルを取得するために使用されたデータ中に存在しなかったプロセス変動に対して重みが(より)直交となるように、重みを調節することができる。このような調節により、重みは、物理的幾何モデルを生成するために使用された測定データにおいて観察されなかったプロセス変動に対してよりロバストとなる。
[0193] 従って、ある実施形態では、1500において、データ駆動技術(それの例は、上記に記載される)を行うことにより、上記で説明したように重みが導出される。演算は、幾つかの入力を使用する。これらの入力の1つは、関心のあるユニットセルの物理的インスタンスを有するターゲットの設定-入手プロセスの設定値1510である。上記の通り、1つ又は複数の基板にわたり、ターゲットの複数のインスタンスを測定することができ、ターゲットの1つ又は複数のインスタンスは、ターゲットの1つ又は複数の他のインスタンスとは異なるパターニングプロセスパラメータの意図的な設定値の値を有する。さらなる入力は、異なる設定値でのターゲットの上記インスタンスの測定光学情報1505である。ある実施形態では、光学情報1505は、各々がターゲットの1つのインスタンスに対応した複数の瞳表現である。その場合、データ駆動技術で入力1505及び1510を処理することにより、重み1515が得られる。
[0194] 重み1515を用いて物理的幾何モデルを微調節するために、重み1515が、プロセス1520に入力される。プロセス1520は、ユニットセルの物理的プロファイル1525を取得し(プロセス1520は、これを用いて、物理的プロファイルモデルを導出する)、又はユニットセルの物理的プロファイルモデル1525を取得する(プロセス1520は、これを使用する)。ある実施形態では、物理的プロファイルは、上記で説明した通り、ユニットセルの導出公称プロファイル及び/又は導出公称プロファイルモデルである。
[0195] プロセス1520は、物理的幾何モデルを用いて、重み1515に対応する重みを導出する。次に、これらの重みは、重み1515と比較される。この比較は、大きさのマッチング、統計的分析、フィッティング評価などを含み得る。大きな差があれば(例えば、閾値に対する比較の評価により)、物理的プロファイルの1つ又は複数のパラメータを調節することができる。例えば、比較の結果が、例えばある閾値よりも近くなる、又はある閾値と等しくなるように、1つ又は複数の物理的プロファイルパラメータ(例えば、CD、側壁角、材料高さなど)を調節することができる。ある実施形態では、ヘッセ行列を用いて、この微調節を行うことができ、又は非線形解法(1つ又は複数の順方向コール(例えば、マクスウェル解法)を包含する)を用いて行うことができる。閾値に適合する又は閾値と交差するまで、この調節及び比較を反復することができる。
[0196] しかし、認識されるように、パターニングプロセスは、実行中に、及びパターニングプロセスの異なる実行に対して異なるように変動し得る。従って、データ駆動技術のために取得されたデータは、全ての可能なパターニングプロセス変動から成るわけではない。しかし、測定データと同様に挙動するように、物理的幾何モデルの調節が行われると、物理的幾何モデルを用いて、プロセス変動の影響を予測し、及びそれに応じて重みを調整することができる。
[0197] 従って、ある実施形態では、1535において、調節された物理的幾何モデル1530を用いて、調節された物理的幾何モデルのヘッセ行列が計算される。次に、1545において、ヘッセ行列1540を用いて、物理的幾何モデルを調節するために使用される重みを取得するためにデータ駆動技術で使用されたデータ中に存在しなかったプロセス変動に対して、重みが(より)直交(すなわち、ロバスト)となるように、重みを調節する。つまり、基板がプロセス変動を受ける場合でも、基板からの測定データと組み合わせられた場合に正確な結果を生じさせる可能性が高いように、重みが調節される。
[0198] どのようにヘッセ行列を用いて重みを微調節することができるかの非限定的例を、ここではオーバーレイの文脈で記載している。必要に応じて、異なるパターニングプロセスパラメータが使用されてもよい。この例では、たった1つのオーバーレイのタイプ(例えば、X方向のオーバーレイ)が評価されると仮定される。複数のオーバーレイタイプを用いた微調節も可能である。
[0199] ヘッセ行列を用いて重みを微調節するこの実施形態では、オーバーレイ応答が、1つ又は複数の設定-入手基板から測定されたデータから、そのデータに単一値分解を適用することによって推定される。固有ベクトル
(長さ1を有する)がオーバーレイ応答に対応すると仮定される。次に、以下の方程式を解くことにより、ベクトル
:
が求められる。
式中、
は、オーバーレイパラメータに対するヤコビアン行列であり、及びヘッセ行列
は、列がプロセス変動(例えば、CD、材料高さなどの変動)及びオーバーレイパラメータに対する偏導関数を含有する行列である(ヤコビアン行列及びヘッセ行列の両方が、上記のようなモデルから取得される)。決定されたベクトル
は、更新(例えば、より良い)モデルを取得するためにモデルの非オーバーレイパラメータに適用されるデルタパラメータに対応する。
[0200] 重みをプロセス変動に対してロバスト(すなわち、プロセス変動に対して直交)にするために、以下の技術を用いることができる。以下の2次テイラー展開によって、瞳
を定義することができる。
式中、
は、オーバーレイパラメータに対するヤコビアン行列であり、及び
は、列がプロセス変動(例えば、CD、材料高さなどの変動)及びオーバーレイパラメータに対する偏導関数を含有する行列である。ベクトル
は、対応するプロセス変動を含有する。従って、所与の構造に関して、及びオーバーレイ値oを有した所与のプロセス変動インスタンス
に関して、瞳は、(ほぼ)
に等しい。認識されるように、上記の公式化は、より多くのオーバーレイパラメータに対して、これらの寄与を同様に追加することによって拡張することができる。また、テイラー展開におけるより高次は無視されるので、この公式化は、近似である。
[0201] ところで、プロセス変動の影響が小さければ、重みは、ヤコビアン行列
のペンローズ・ムーア逆行列を用いて計算される。オーバーレイパラメータが1つのみの場合、重みは、
に等しい。そして実際には、瞳を用いた重み付け平均(内積)は、オーバーレイ値oをもたらす。
、すなわち
しかし、プロセス変動が大きな影響を持つ場合、オーバーレイ応答は、変化する。
これらの変動に対して重みをロバストにするためには、
である。
これは、行列
の擬似逆行列の第1の行に等しい重み
を採用することによって達成することができる。つまり、ヘッセ行列
は、反転前のヤコビアン行列に連結される。このようにして、重みは、プロセス変動に対して直交となる(ただし、精度を多少犠牲にして)。
[0202] 従って、パターニングプロセスパラメータ値を導出するために関心のあるターゲットの測定光学情報と組み合わせて使用するために、調節された重み1550が、調節1545から出力される。
[0203] 図16は、物理的幾何モデルと組み合わせたデータ駆動技術のさらなる実施形態のハイレベルフローを描く。この実施形態では、データ駆動技術へのデータ入力は、パターニングプロセスのプロセス変動(例えば、パターニングプロセス変動は、CD測定から取得することができる)を含有する合成光学情報(例えば、瞳表現)を包含することによって拡張される。合成光学情報が単独で、又は測定光学情報と組み合わせて使用されることにより、データ駆動技術を用いて新しい重みを求めることができる。
[0204] 従って、ある実施形態では、1500において、データ駆動技術(それの例は、上記に記載される)を行うことにより、上記で説明したように重みが導出される。演算は、幾つかの入力を使用する。これらの入力の1つは、関心のあるユニットセルの物理的インスタンスを有するターゲットの設定-入手プロセスの設定値1510である。上記の通り、1つ又は複数の基板にわたり、ターゲットの複数のインスタンスを測定することができ、ターゲットの1つ又は複数のインスタンスは、ターゲットの1つ又は複数の他のインスタンスとは異なるパターニングプロセスパラメータの意図的な設定値の値を有する。さらなる入力は、異なる設定値でのターゲットの上記インスタンスの測定光学情報1505である。ある実施形態では、光学情報1505は、各々がターゲットの1つのインスタンスに対応した複数の瞳表現である。その場合、データ駆動技術で入力1505及び1510を処理することにより、重み1515が得られる。
[0205] 重み1515を用いて物理的幾何モデルを微調節するために、重み1515が、プロセス1520に入力される。プロセス1520は、ユニットセルの物理的プロファイル1525を取得し(プロセス1520は、これを用いて、物理的プロファイルモデルを導出する)、又はユニットセルの物理的プロファイルモデル1525を取得する(プロセス1520は、これを使用する)。ある実施形態では、物理的プロファイルは、上記で説明した通り、ユニットセルの導出公称プロファイル及び/又は導出公称プロファイルモデルである。
[0206] プロセス1520は、物理的幾何モデルを用いて、重み1515に対応する重みを導出する。次に、これらの重みは、重み1515と比較される。この比較は、大きさのマッチング、統計的分析、フィッティング評価などを含み得る。大きな差があれば(例えば、閾値に対する比較の評価により)、物理的プロファイルの1つ又は複数のパラメータを調節することができる。例えば、比較の結果が、例えばある閾値よりも近くなる、又はある閾値と等しくなるように、1つ又は複数の物理的プロファイルパラメータ(例えば、CD、側壁角、材料高さなど)を調節することができる。閾値に適合する又は閾値と交差するまで、この調節及び比較を反復することができる。
[0207] 従って、ある実施形態では、1535において、調節された物理的幾何モデル1530を用いて、調節された物理的幾何モデルのヘッセ行列を計算する。次に、1610において、ヘッセ行列1600を用いて、合成光学情報(例えば、1つ又は複数の瞳表現)が生成される。合成光学情報は、シミュレーション光学情報である。合成光学情報は、パターニングプロセスにおける1つ又は複数の予想プロセス変動を模倣することを目的とする。ある実施形態では、パターニングプロセスにおける1つ又は複数のプロセス変動に関するデータ1620をヘッセ行列1600と組み合わせて使用することにより、合成光学情報を導出することができる。ある実施形態では、合成瞳
は、上記の方程式(8)において、異なるオーバーレイ値o及び異なるパラメータ変動Δpを代わりに使用することによって、生成することができ、ここでは、重みは、
に対応する。上記の方程式(8)は、単一のオーバーレイパラメータを対象にするが、この技術は、より多くのオーバーレイパラメータに対して、それらの寄与を同様に追加することによって拡張することができる。さらに、方程式(8)を用いたこの技術は、テイラー展開におけるより高次は無視されるので、近似である。データ1620は、例えば、プロセス変動の種類及び範囲を表す情報(例えば、オーバーレイ、CD等がある割合で変動し得るという表示)を含み得る。データ1620は、パターニングプロセスの測定(例えば、オーバーレイ、CDなどの測定)によって取得することができる。従って、データ1620をヘッセ行列1600と共に用いることにより、予想プロセス変動を包含するシミュレーション光学情報1630が生成される。合成光学情報1630は、合成光学情報1630と関連付けられた1つ又は複数の関連推定設定値も包含することができる。次に、合成光学情報1630(及び任意の関連の設定値)が、単独で、又は測定光学情報と組み合わせて、分析のためにデータ駆動技術1500に入力されることにより、データ駆動技術を用いて、新しい重みが求められる。
[0208] 図17は、物理的幾何モデルと組み合わせたデータ駆動技術のさらなる実施形態のハイレベルフローを描く。この実施形態は、ヘッセ行列を計算する代わりに、合成光学情報を取得するために、プロセス変動毎に、非線形解法(例えば、マクスウェル解法)に対する順方向コールが行われることを除き、図16の実施形態と同様である。
[0209] 従って、ある実施形態では、1500において、データ駆動技術(それの例は、上記に記載される)を行うことにより、上記で説明したように重みが導出される。演算は、幾つかの入力を使用する。これらの入力の1つは、関心のあるユニットセルの物理的インスタンスを有するターゲットの設定-入手プロセスの設定値1510である。上記の通り、1つ又は複数の基板にわたり、ターゲットの複数のインスタンスを測定することができ、ターゲットの1つ又は複数のインスタンスは、ターゲットの1つ又は複数の他のインスタンスとは異なるパターニングプロセスパラメータの意図的な設定値の値を有する。さらなる入力は、異なる設定値でのターゲットの上記インスタンスの測定光学情報1505である。ある実施形態では、光学情報1505は、各々がターゲットの1つのインスタンスに対応した複数の瞳表現である。その場合、データ駆動技術で入力1505及び1510を処理することにより、重み1515が得られる。
[0210] 重み1515を用いて物理的幾何モデルを微調節するために、重み1515が、プロセス1520に入力される。プロセス1520は、ユニットセルの物理的プロファイル1525を取得し(プロセス1520は、これを用いて、物理的プロファイルモデルを導出する)、又はユニットセルの物理的プロファイルモデル1525を取得する(プロセス1520は、これを使用する)。ある実施形態では、物理的プロファイルは、上記で説明した通り、ユニットセルの導出公称プロファイル及び/又は導出公称プロファイルモデルである。
[0211] プロセス1520は、物理的幾何モデルを用いて、重み1515に対応する重みを導出する。次に、これらの重みは、重み1515と比較される。この比較は、大きさのマッチング、統計的分析、フィッティング評価などを含み得る。大きな差があれば(例えば、閾値に対する比較の評価により)、物理的プロファイルの1つ又は複数のパラメータを調節することができる。例えば、比較の結果が、例えばある閾値よりも近くなる、又はある閾値と等しくなるように、1つ又は複数の物理的プロファイルパラメータ(例えば、オーバーレイ、CD、側壁角など)を調節することができる。閾値に適合する又は閾値と交差するまで、この調節及び比較を反復することができる。
[0212] 従って、ある実施形態では、1720において、調節された物理的幾何モデル1700を用いて、上記で説明したような合成光学情報を計算する。上記で説明したように、パターニングプロセスの1つ又は複数のプロセス変動に関するデータ1710を、調節された物理的幾何モデル1700と組み合わせて使用することにより、合成光学情報を導出することができる。例えば、データ1710は、プロセス変動の種類及び範囲を表す情報(例えば、オーバーレイ、CD等がある割合で変動し得るという表示)を含み得る。データ1710は、パターニングプロセスの測定(例えば、オーバーレイ、CDなどの測定)によって取得することができる。上記の通り、1720のプロセスは、合成光学情報を取得するために、プロセス変動に関して、非線形解法(例えば、マクスウェル解法)に対する順方向コールを用いることができる。従って、データ1710を、調節された物理的幾何モデル1700と共に用いることにより、予想プロセス変動を包含するシミュレーション光学情報1730が生成される。合成光学情報1730は、合成光学情報1730と関連付けられた1つ又は複数の関連推定設定値も包含することができる。次に、合成光学情報1730(及び任意の関連の設定値)が、単独で、又は測定光学情報と組み合わせて、分析のためにデータ駆動技術1500に入力されることにより、データ駆動技術を用いて、新しい重みが求められる。
[0213] 図10A~10Cでは、基本的に一方向のみのオーバーレイが、ユニットセルの対称性の変化を生じさせたユニットセルの比較的単純な例が提示された。具体的には、図10A~10Cのユニットセルでは、X方向のオーバーレイ変化が、ユニットセルの対称性/非対称性の変化をもたらしたが、Y方向のオーバーレイ変化は、ユニットセルの対称性の変化をもたらさない。これは、基本的に一方向のみのオーバーレイが、ユニットセルの対称性の変化を生じさせたような特定の幾何学的方法で構成された2つの構造1000、1005を有する図10A~10Cのユニットセルの結果である。もちろん、これは、構造の適切な選択により、このように設計することができる。しかし、基本的に一方向のみのオーバーレイがユニットセルの対称性の変化を生じさせるような特定のジオメトリを有する、デバイス構造のような既存の構造を識別することができることが考えられる。従って、基本的に一方向のみのオーバーレイ(これは、X方向である必要はない)の決定を可能にする様々なユニットセルを選択又は設計することができる。
[0214] しかし、有利なことに、2つ以上の異なるオーバーレイに対して、ユニットセルの対称性の変化が生じるように構成されたユニットセルを識別又は設計することができる。ある実施形態では、異なるオーバーレイは、異なる方向のものであってもよい。具体的には、ある実施形態では、第1のオーバーレイは、X方向のものであってもよく、第2のオーバーレイは、Y方向のものであってもよい。ある実施形態では、異なるオーバーレイはそれぞれ、ユニットセルの構造又は部分の異なる組み合わせ間のものであってもよい。ある実施形態では、これらの構造は、ターゲットの同じ層及び/又は異なる層に存在してもよい。具体的には、ある実施形態では、第1のオーバーレイは、ユニットセルの第1の構造と、第2の構造との間であってもよく、及び第2のオーバーレイは、ユニットセルの第1の構造(又は第2の構造)と、第3の構造との間、又はユニットセルの第3の構造と、第4の構造との間であってもよい。この場合、第1のオーバーレイ及び第2のオーバーレイは、同じ方向のものであってもよい。当然ながら、異なる方向の異なるオーバーレイの組み合わせ、及びユニットセルの構造の組み合わせによる異なるオーバーレイが存在してもよい。例えば、第1のオーバーレイは、第1の層の第1の構造及び第2の下層の第2の構造に関して、X方向のものであってもよく、及び第2のオーバーレイは、第1の層の第1の構造及び第2の層よりも下の第3の層の第3の構造に関して、Y方向のものであってもよい。従って、ユニットセル(及び従ってターゲット)の適切な識別又は設計により、オーバーレイの多数の組み合わせを決定することができる。
[0215] また、認識されるように、X方向及びY方向のオーバーレイの決定は、適切な組み合わせにより、総オーバーレイ(X及びYの)の決定を可能にすることができる。同様に、複数の異なる構造(それらの間でオーバーレイが生じ得る)の総オーバーレイの決定を可能にするために、それらの構造の各々のオーバーレイが、決定される必要がある。従って、一例として、それらの間でオーバーレイが生じ得る4つの層(これらの層の1つは、基準層である)内の4つの別個の構造を有するユニットセルの場合、ユニットセルの総オーバーレイの決定を可能にするために、6つのオーバーレイ(各層に対してX及びY)が決定され得る。もちろん、4つの層間で関心のある1つ又は複数の異なるオーバーレイを得るために、要望に応じて、サブコンビネーションが決定されてもよい。
[0216] 図18は、ターゲットの多重オーバーレイユニットセルの実施形態例を描く。図10A~10Cのユニットセルのように、このユニットセルは、第1の構造1000及び第2の構造1005を含む。さらに、このユニットセルは、本実施形態では、第1及び第2の構造1000、1005よりもZ方向に上の層に存在する第3の構造1800を有する。この実施形態では、このユニットセルの非対称性は、1つ又は複数の異なるオーバーレイによって生成され得る。例えば、X方向における構造1005と構造1800との間の相対的シフトは、非対称性を生じさせるX方向のオーバーレイをもたらし得る。別の例として、Y方向における構造1005と構造1000との間の相対的シフトは、非対称性を生じさせるY方向のオーバーレイをもたらし得る。さらなる例として、Y方向における構造1000と構造1800との間の相対的シフトは、非対称性を生じさせるY方向のさらなるオーバーレイをもたらし得る。
[0217] 図19は、ターゲットの多重オーバーレイユニットセルのさらなる実施形態例を描く。図10A~10Cのユニットセルのように、このユニットセルは、第1の構造1000及び第2の構造1005を含む。さらに、図18のユニットセルのように、このユニットセルは、本実施形態では、第1及び第2の構造1000、1005よりもZ方向に上の層に存在する第3の構造1800を有する。さらに、このユニットセルは、本実施形態では、第1、第2及び第3の構造1000、1005、1800よりもZ方向に上の層に存在する第4の構造1900を有する。図18のユニットセルのように、この実施形態では、このユニットセルの非対称性は、1つ又は複数の異なるオーバーレイによって生成され得る。例えば、X方向における構造1005と構造1800との間の相対的シフトは、非対称性を生じさせるX方向のオーバーレイをもたらし得る。別の例として、X方向における構造1005と構造1900との間の相対的シフトは、非対称性を生じさせるX方向のオーバーレイをもたらし得る。別の例として、Y方向における構造1005と構造1000との間の相対的シフトは、非対称性を生じさせるY方向のオーバーレイをもたらし得る。さらなる例として、Y方向における構造1000と構造1800との間の相対的シフトは、非対称性を生じさせるY方向のさらなるオーバーレイをもたらし得る。
[0218] 従って、ある実施形態では、図18又は図19のユニットセルの照明された物理的インスタンスの測定は、実際に複数の異なるオーバーレイが存在する場合に、潜在的に複数の異なるオーバーレイを包含し得る光学情報をもたらす。例えば、図18を参照して、図18のユニットセルの対称性が、ゼロオーバーレイを表し、及びそのゼロオーバーレイ位置から、上に重なる構造に対して、構造1005のX及びYのシフト(例えば、0、90、180又は270度ではない方向のシフト)が存在する場合、このシフトは、X方向における構造1005と構造1800との間の相対的シフト、及びY方向における構造1005と構造1000との間の相対的シフトによる非対称性を生じさせる。従って、X及びY方向両方の構造1005に関するオーバーレイ(この組み合わせは、構造1005の総オーバーレイをもたらす)を決定することが望ましい。
[0219] 以下に説明されるように、光学特性値から、ユニットセルの物理的インスタンスの第1のオーバーレイの値を、同じ光学特性値から同様に取得可能なユニットセルの物理的インスタンスの第2のオーバーレイとは切り離して、決定することができ、第1のオーバーレイは、第2のオーバーレイとは異なる方向にあり(例えば、X方向オーバーレイ及びY方向オーバーレイ)、又は第2のオーバーレイとは異なるユニットセルの部分の組み合わせの間にある(例えば、構造1005と構造1800との間の第1のオーバーレイ、及び構造1005と構造1000との間、又は構造1000と構造1800との間の第2のオーバーレイ、ここでは、第1のオーバーレイ及び第2のオーバーレイは、場合によっては、同じ方向にある可能性がある)技術が提示される。
[0220] すなわち、ある実施形態では、光学特性値の第1のオーバーレイ情報を、同じ光学特性値の第2の(又は追加の)オーバーレイ情報から切り離すために、重みが決定される。従って、ある実施形態では、特別に選択された重みを適用することにより、光学特性値と重みの組み合わせは、同じ光学特性値の他のあり得るオーバーレイ情報とは区別して、関心のある特定のオーバーレイをもたらす。事実上、重みは、関心のあるオーバーレイを目立たせ、且つ1つ又は複数の他のオーバーレイを減少させる。もちろん、複数の光学特性値を処理することにより、関心のある異なるオーバーレイの各々に対して異なる値をもたらすことができるように、関心のある各オーバーレイに対して異なる重みのセットを構築することができる。
[0221] この技術を、図20のグラフに関して記載する。図20のグラフは、技術のグラフ表現を提示するが、実際には、グラフを作成する必要なく、全ての処理を数学的に行うことができるので、グラフが構築される必要はない。さらに、この技術を、図11のモデルに関して記載する。しかし、本明細書の他の図面に関して記載されるモデル(及び関連の他の技術)が、使用されてもよい。
[0222] さらに、この例は、モデルから重みの線形バージョンを導出するという観点から提示される。つまり、ある実施形態では、重みは、ヤコビアン行列(のムーア・ペンローズ擬似逆行列)から導出される。
[0223] 従って、この線形ケースでは、ある方向のオーバーレイなどの特定のパラメータを再構築するために、ヤコビアン行列を反転させることができる。しかし、関心のあるパラメータの列が、どのように残りの列と相互に関連付けられるかが、このパラメータの再構築がどのくらい簡単となるかを決定する。
[0224] 従って、例えば関心のあるユニットセル(例えば、図18のユニットセル)の公称プロファイルモデルを有する場合、少なくとも2つのベクトルを生成することができる。第1のオーバーレイベクトル
は、ユニットセル内の関心のある第1のオーバーレイ(例えば、X方向オーバーレイ)を表し、及び第2のオーバーレイベクトル
は、関心のある第2のオーバーレイ(例えば、Y方向オーバーレイ)を表す。認識されるように、関心のある追加のオーバーレイのために、さらなるベクトルが生成されてもよい。
[0225] さらに、2つのオーバーレイベクトルの各々に対して、ユニットセルの物理的インスタンスの予想測定に対応した瞳表現の1つ又は複数のピクセルが、選択される。この実施形態では、各オーバーレイベクトルに対して、1つのピクセルペアが選択され、各ピクセルペアは、前述のように、対称的に位置するピクセルを含む。望ましくは、上記で説明したように、ピクセルペアは、瞳表現の非対称放射分布部分から選択される。
[0226] ところで、第1のオーバーレイベクトル
は、第1のオーバーレイベクトルに関する関心のある第1のオーバーレイの変化に対する(他の全てのパラメータは変化しない、すなわち、関心のある第2のオーバーレイの変化はない)、ピクセルペアにおける応答(この場合、1つのペアを成すピクセル間の非対称信号)に対応する。この応答は、関心のある第1のオーバーレイの変化(例えば、1nmの変化)を引き起こし、次に、その変化に対するピクセルペアの光応答(例えば強度)を演算することにより、公称プロファイルモデルを用いて生成することができる。
[0227] 同様に、第2のオーバーレイベクトル
は、第2のオーバーレイベクトルに関する関心のある第2のオーバーレイの変化に対する(他の全てのパラメータは変化しない、すなわち、関心のある第1のオーバーレイの変化はない)、ピクセルペアにおける応答(この場合、1つのペアを成すピクセル間の非対称信号)に対応する。この応答は、関心のある第2のオーバーレイの変化(例えば、1nmの変化)を引き起こし、次に、ピクセルペアの光応答(例えば強度)を演算することにより、公称プロファイルモデルを用いて生成することができる。
[0228] 横軸uが、第1のピクセルペアの対称的に位置付けられたピクセル間の非対称強度(I
i-I
i’)に対応し、及び縦軸vが、第2のピクセルペアの対称的に位置付けられたピクセル間の非対称強度(I
i-I
i’)に対応する図20において、得られたベクトルを、グラフに描く。従って、図20は、2つの高度に相関するベクトル
及び
を示す。
[0229] 従って、ピクセルペアに対する、関心のある第1及び第2のオーバーレイの寄与の切り離し及び分離を行うために、ベクトル
が、ベクトル
(これは、ベクトル
に直交するベクトルである)上に後方投影されることにより、ベクトル
が形成され、及び投影ベクトル
の長さが、ベクトル
と
との間の角θ
1のコサインで除算される。次に、このベクトルは、ピクセルペア(及び拡張により、瞳表現中の他のピクセルペア)の強度から、関心のある第1のオーバーレイを分離するのに役立つ。
[0230] 追加的に、又は代替的に、ベクトル
が、ベクトル
(これは、ベクトル
に直交するベクトルである)上に後方投影されることにより、ベクトル
が形成され、及び投影ベクトル
の長さが、ベクトル
と
との間の角θ
2のコサインで除算される。次に、このベクトルは、ピクセルペア(及び拡張により、瞳表現中の他のピクセルペア)の強度から、関心のある第2のオーバーレイを分離するのに役立つ。
[0231] 従って、方程式(3)及び(4)を再び参照して、S
iは、1つのピクセルペアの対称的に位置付けられたピクセル間の非対称強度(I
i-I
i’)を表す。従って、第1のオーバーレイベクトル
は、関心のある第1のオーバーレイの変化に対する、U
0のS
iを有する第1のピクセルペア及びV
0のS
iを有する第2のピクセルペアにおける応答に対応し得る。同様に、第2のオーバーレイベクトル
は、関心のある第2のオーバーレイの変化に対する、上記第1及び第2のピクセルペアにおける応答に対応し得る。従って、ベクトル
及び/又はベクトル
を構築することができる。ここでは、両方が、説明目的で構築される。ベクトル
及びベクトル
は、U
0に対応する第1のピクセルペアに対応する強度uの観点から、及びV
0に対応する第2のピクセルペアに対応する強度vの観点から定義される。従って、ベクトル
及びベクトル
は、
として規定することができる。
従って、これより、上記の線形文脈で、及び方程式(4)を参照して、次に、関心のある第1のオーバーレイのオーバーレイ値を、U
0、V
0、及びベクトル
及び
に基づいて、以下のように定義することができる。
追加的に、又は代替的に、次に、関心のある第2のオーバーレイのオーバーレイ値を、U
0、V
0、及びベクトル
及び
に基づいて、以下のように定義することができる。
従って、方程式(14)から、関心のある第1のオーバーレイを決定するための重みは、それぞれU
0及びV
0に対して、以下の通りである。
さらに、方程式(15)から、関心のある第2のオーバーレイを決定するための重みは、それぞれU
0及びV
0に対して、以下の通りである。
従って、認識されるように、これは、関心のある第1のオーバーレイのための重みw
iのセット
を得る、及び/又は関心のある第2のオーバーレイのための重みw
iのセット
を得るために、瞳表現中の全ての、又は実質的に全てのピクセルペアに対して繰り返すことができる。次に、方程式(4)に従って、これらの内の一方又は両方が、測定光学特性値に適用されることにより、関心のある各オーバーレイのオーバーレイ値を得ることができる。もちろん、関心のある1つ又は複数のさらなるオーバーレイを評価することができ、及び1つ又は複数の適切な重みセットを、それらのために決定することができる。認識されるように、ある実施形態では、関心のある異なるオーバーレイの全てに対する感度(例えば、ヤコビアン行列)が、関心のある特定のオーバーレイの重み定義に包含される。
[0232] 従って、例えば、4つの層(これらの層の1つは、基準層である)を有するユニットセルの場合(X及びY方向における各層のシフトは、対称性の変化を生じさせる(例えば、非対称性を生じさせる、又はさらなる非対称性を生じさせる、又は非対称ユニットセルを対称にする)可能性がある)、6つのベクトル(各々が、異なるピクセルペアに関連付けられる)を生成することができ、これら6つのベクトルは、各層に対するX方向オーバーレイベクトルと、各層に対するY方向オーバーレイベクトルとを含む。従って、各オーバーレイを導出するために、6つの重みセットが存在し得る。もちろん、ベクトルの1つに関心がなければ、重みセットの全てを導出する必要があるわけではない(しかし、ある実施形態では、関心のある異なるオーバーレイの全てに対する感度(例えば、ヤコビアン行列)が、関心のある特定のオーバーレイの重み定義に包含される)。次に、これらのオーバーレイの2つ以上の適切な数学的組み合わせによって、その他のオーバーレイを決定することができる。
[0233] 認識されるように、ユニットセルの層の一部のシフトは、対称性の変化を生じさせず、従って、ユニットセルから、このシフトに対応したオーバーレイを決定することができない。従って、当然、このようなシフトに対して、ベクトルは定義されない。従って、図18を例にとり、そのユニットセルに関して、3つのベクトル(1つは、X方向オーバーレイに関して、及び2つは、異なるY方向オーバーレイに関して)が、定義され得る。従って、測定光学特性値と組み合わせられた場合に、X方向のオーバーレイを提供する重みの1セットを決定することができる。或いは、測定光学特性値と組み合わせられた場合に、Y方向のオーバーレイの一方を提供する重みの1セットを決定することができ、及び/又は測定光学特性値と組み合わせられた場合に、Y方向のオーバーレイの他方を提供する重みの1セットを決定することができる。もちろん、全3つの重みのセット又は2つだけが、決定されてもよい。
[0234] 上記の説明は、デバイスの構造から構成される対称ユニットセルの1つ又は複数のインスタンスによって形成されたターゲットに注目した。このようなターゲットは、オンプロダクトターゲットによって再誘導された放射のオンプロダクト測定により、パターニングプロセスパラメータのオンプロダクト値の決定を可能にすることができる。しかし、上記の通り、ターゲットは、デバイス構造のみから構成される必要はない。つまり、構造がデバイス構造のみを含まない非プロダクトターゲットが設けられてもよい。例えば、ある実施形態では、ターゲットは、デバイスを形成するために使用されないが、測定のためだけに使用される構造から特別に作られてもよい。このようなターゲットは、例えば、デバイスから離れたスクライブラインに設ける(及び従って、デバイスパターンから離れたデバイスパターニングパターンの一部に設ける)ことができる。ある実施形態では、ターゲットは、デバイスパターンの中に設ける(及び従って、パターニングデバイスパターンのデバイスパターンのフィーチャの中に設ける)ことができる。必要に応じて、非プロダクトターゲットは、1つ又は複数のデバイス構造と、デバイスを形成するためには使用されないが、測定のためだけに使用される、特別に作られた1つ又は複数の構造とを含むことができる。
[0235] 非プロダクトターゲットは、例えば、パターニングプロセスパラメータが、対称ユニットセルインスタンスを提示できないデバイスパターンに関して決定されている場合に、有用となり得る。別の例として、非プロダクトターゲットは、例えば、パターニングプロセスパラメータが、そのパターニングプロセスパラメータの測度を与えることができる、上記のように対称ユニットセルを持たないデバイスパターンの部分に関して決定されている場合に、有用となり得る。例えば、エッチング後のオーバーレイが、上記の対称ユニットセル方法を用いて決定されることが望ましいが、対称性を持たない構造のケースが存在し得る。例えば、論理回路又は構造は、各々が、構造の対称性を破壊し得る異なるオーバーレイコンポーネントを導入することができる多くのプロセス層/ステップを有する。例えば論理回路の場合、デバイスパターンの測定は、一般的に、論理回路構造の対称ユニットセルの欠如により、行うことができない。
[0236] さらなる例として、非プロダクトターゲットは、対称ユニットセルインスタンスを提示できる(及びユニットセルが、関心のある全てのパターニングプロセスパラメータの測度を与えることができる場合でも)デバイスパターンとの関連で使用することができる。これは、例えば、デバイスパターンが複雑である(これは、多大な計算時間を必要とし得る)場合に使用される可能性がある。さらに、デバイスパターンは、関心のないパターニングプロセスパラメータの信号と潜在的なクロストークを示し得る。一例として、異なるオーバーレイコンポーネントの瞳相関は、非常に大きいため、異なるオーバーレイエラーを分離することは不可能かもしれない。
[0237] 従って、非プロダクトターゲットは、ビームスポットに関する対称ユニットセルのインスタンスを有するデバイスパターンと共に、又はビームスポットに関する対称ユニットセルのインスタンスを提示できないデバイスパターンと共に使用することができる。非プロダクトターゲットの構成、設計、測定、及び使用の詳細は、本明細書においてその全体が参照により援用される、2017年2月28日に出願された米国特許出願第15/445,612号に詳細に記載される。
[0238] ターゲットの測定確度及び/又は感度は(プロダクトターゲットであれ、或いは非プロダクトターゲットであれ、及びそのターゲットが本明細書で論じるように特定のパラメータ(オーバーレイなど)によって表される特定の物理的現象によって壊される対称性を有するか否かに関わらず)、ターゲット自体の1つ若しくは複数の属性、及び/又はターゲット上に提供される測定放射の1つ若しくは複数の属性、例えば、放射の波長、放射の偏光、放射の強度分布(すなわち、角度若しくは空間強度分布)、及び/又は測定放射の主光線の入射角に対して変化し得る。一実施形態では、放射の波長範囲は、ある範囲から選択される(例えば、約400nm~900nmの範囲から選択される)1つ又は複数の波長に限定される。さらに、放射ビームの異なる偏光(例えば、TE偏光放射、TM偏光放射、垂直直線偏光、水平直線偏光など)の選択を提供することができ、例えば複数の異なるアパーチャを使用して、様々な照明分布及び/又は角度を提供することができる。
[0239] 従って、そのような選択及び測定を可能にするために、測定システムを使用して測定の1つ又は複数のパラメータを指定するメトロロジレシピが、使用され得る。一実施形態では、「メトロロジレシピ」という用語は、測定自体の1つ若しくは複数のパラメータ、測定されるターゲットのパターンの1つ若しくは複数のパラメータ、又はそれら両方を含む。
[0240] この文脈で、測定されるターゲットのパターン(「ターゲット構造」とも呼ばれる)は、光学的に測定されるパターン、例えば、その回折が測定されるパターンでもよい。測定されるターゲットパターンは、測定目的のために特別に設計又は選択されたパターンでもよい(非プロダクトターゲットなど)。ターゲットの複数のコピーが、基板にわたる多くの場所(例えば、基板にわたる複数のダイ内又はそれらの付近)に配置されてもよい。
[0241] 一実施形態では、メトロロジレシピが測定自体の1つ又は複数のパラメータを含む場合、測定自体の1つ又は複数のパラメータは、測定を行うために使用される測定ビーム及び/又は測定装置に関する1つ又は複数のパラメータを含み得る。例えば、メトロロジレシピで使用される測定が回折ベースの光学測定である場合、測定自体の1つ又は複数のパラメータは、測定放射の波長、及び/又は測定放射の偏光、及び/又は測定放射強度分布、及び/又は測定放射の基板に対する照明角度(例えば、入射角、方位角など)、及び/又は回折測定放射の基板上でのパターンに対する相対配向、及び/又はターゲットの幾つかの測定点若しくはインスタンス、及び/又は基板上で測定されたターゲットのインスタンスの場所を含み得る。測定自体の1つ又は複数のパラメータは、測定に使用されるメトロロジ装置の1つ又は複数のパラメータを含む場合があり、これは、検出器感度、開口数などを含み得る。
[0242] 一実施形態では、メトロロジレシピが、測定されるパターンの1つ又は複数のパラメータを含む場合、測定されるパターンの1つ又は複数のパラメータは、1つ又は複数の幾何学的特徴(パターンの少なくとも一部の形状、及び/又はパターンの少なくとも一部の配向、及び/又はパターンの少なくとも一部のピッチ(例えば、下部周期構造の層よりも上の層における上部周期構造のピッチ、及び/又は下部周期構造のピッチを含む、周期構造のピッチ)、及び/又はパターンの少なくとも一部のサイズ(例えば、CD)(例えば、上部周期構造及び/又は下部周期構造のフィーチャのCDを含む、周期構造のフィーチャのCD)、及び/又はパターンのフィーチャのセグメント化(例えば、下位構造への周期構造のフィーチャの分割)、及び/又は周期構造若しくは周期構造のフィーチャの長さ)、及び/又はパターンの少なくとも一部の材料特性(例えば、屈折率、吸光係数、材料タイプなど)、及び/又はパターンの識別(例えば、あるパターンと別のパターンとの区別)などを含み得る。
[0243] メトロロジレシピは、(r1,r2,r3,…rn;t1,t2,t3,…tm)のような形で表現することができ、ここで、r1は、測定の1つ又は複数のパラメータであり、tjは、測定される1つ又は複数のパターンの1つ又は複数のパラメータである。理解されるように、n及びmは、1でもよい。さらに、メトロロジレシピは、測定の1つ又は複数のパラメータと、測定される1つ又は複数のパターンの1つ又は複数のパラメータとの両方を有する必要はない。それは、測定の1つ又は複数のパラメータのみを有してもよく、或いは測定される1つ又は複数のパターンの1つ又は複数のパラメータのみを有してもよい。
[0244] ターゲットは、2つのメトロロジレシピA及びBを用いて測定を受けることができ、例えば、ターゲットが測定される段階が異なり(例えば、Aは、ターゲットが潜像構造を含む場合にターゲットを測定し、Bは、ターゲットが潜像構造を含まない場合にターゲットを測定する)、及び/又はそれらの測定のパラメータが異なり得る。メトロロジレシピA及びBは、少なくとも、測定されるターゲットが異なり得る(例えば、Aは、第1のターゲットを測定し、Bは、第2の異なるターゲットを測定する)。メトロロジレシピA及びBは、それらの測定及び測定されるターゲットのパラメータが異なり得る。メトロロジレシピA及びBは、同じ測定技術に基づいていなくてもよい。例えば、レシピAは、回折ベースの測定に基づいてもよく、レシピBは、走査電子顕微鏡(SEM)又は原子間力顕微鏡(AFM)測定に基づいてもよい。
[0245] 記載したように、特定の基板は、ターゲットの複数のインスタンスを有する。従って、一実施形態では、一般的に、例えば測定プロセスのスループットを促進するために、基板の測定のための基板上のターゲットインスタンスのサブセットを選択するサンプリングスキームが存在する。
[0246] 上記で論じた通り、関心のある1つ又は複数のパラメータ(CD及び/又はオーバーレイなど)は、ターゲット(例えば、プロダクトパターン内の回折ターゲット、又は測定のために特別に設計され、且つデバイスパターンとは分離した回折ターゲット)の構造から、ターゲットの照明を行い、対物レンズを用いて構造から再誘導放射を収集し、及び対物レンズのフーリエ面内の瞳検出器によって再誘導放射を検出することによって、決定され得る。このような測定された瞳は、例えば、そこから信号コンポーネントを取得する、本明細書に記載するような推論方法を用いて処理することができ、この信号コンポーネントは、適切な重みのセットと結合され、例えば、オーバーレイ値が得られる。追加的又は代替的に、図9に関して記載したような方法は、このような測定された瞳を使用して、例えばCDを決定することができる。
[0247] 一実施形態では、ターゲットの照明を行うために使用される放射は、直線偏光電磁放射である。直線偏光は、伝搬方向に沿った単一面に限られた電磁放射の電場を有する。一実施形態では、伝搬方向に垂直な第1の方向の第1のタイプの直線偏光が、本明細書では、便宜上「H」又は水平直線偏光と表され、及び第1の方向に対して直交し、且つ伝搬方向に対して垂直な第2の方向の第2のタイプの直線偏光が、本明細書では、便宜上「V」又は垂直直線偏光と表される。当然、放射は、垂直又は水平である必要はない。第1の直線偏光は、p偏光でもよく、第2の直線偏光は、s偏光でもよい。当然、第1及び第2の直線偏光は、他の記号で表示されてもよい。
[0248] 回折構造(例えば、回折格子)及び他の同様に複雑な構造は、照明放射の偏光状態を変える。従って、一実施形態では、調査中の構造を含むターゲットの光学的特徴は、以下のように反射率行列によって特徴付けられ得る。
ここで、Rは、反射率であり、及び下付き文字は、適用可能な直線偏光に対応する。具体的には、下付き文字の最初の添え字は、ターゲットから出射する放射の偏光状態を指し、下付き文字の二番目の添え字は、ターゲット上への照明放射の偏光状態を指す。例えば、R
HVは、V偏光照明からのH偏光に対する反射率を意味する。この行列の各要素は、波長、並びに入射の極角及び方位角に依存する。当然、構造は、s及びp偏光基準又は他の基準の反射率行列によって特徴付けられ得る。さらに、本明細書では、反射率に関して実施形態を説明するが、反射率以外の異なる又は追加の光学特性が使用されてもよく、この異なる又は追加の光学特性は、異なる照明偏光及び出射偏光で、同様の点について決定され得る。さらに、本明細書では、2つの異なるタイプの直線偏光に関して実施形態を説明するが、3つ以上の直線偏光が使用されてもよい。
[0249] メトロロジ装置では、検出器によって観察可能な量は、総反射強度となり得る。すなわち、検出は、偏光感応性ではない。従って、照明がH偏光である場合、検出される強度は、
|RHH|2+|RVH|2 (19)
に正比例し、照明がV偏光である場合、検出される強度は、
|RVV|2+|RHV|2 (20)
に比例する。しかし、異なる偏光チャネル(すなわち、反射率行列の異なる要素)が、CD及び/又はオーバーレイなどの関心のあるパラメータに関する異なる情報を保持することが予期される。従って、一実施形態では、例えばより多くのプロファイルパラメータを個別に非相関にし(例えば、推論方法の一部として)、及びそれらに対する感度を上げるために、ターゲットから出射するH直線偏光及びV直線偏光放射を検出することが有益である。従って、一実施形態では、RHH、RVH、RVV、及びRHV(又は上記のような追加若しくは異なる光学特性)から選択された少なくとも2つに関連付けられた値の組み合わせを使用して、関心のあるパラメータ(例えば、オーバーレイ、CDなど)が導出される。理解されるように、この組み合わせを使用して、関心のあるパラメータの単一値を導出することができる。一実施形態では、RHH、RVH、RVV、及びRHVに対応する値を共に使用して、関心のあるパラメータが導出される。代替の実施形態では、RVH及びRHVに対応する値のみを使用して、関心のあるパラメータが導出される。
[0250] 従って、図21は、ターゲットからの出射H偏光及びV偏光の個別の検出を可能にする、一実施形態による例示的メトロロジ装置を模式的に描く。本実施形態は、幾つかの変更を有して図7のメトロロジに類似する。具体的には、一実施形態では、メトロロジ装置は、第1の直線偏光を有する第1の部分196及び第2の異なる直線偏光を有する第2の部分198へと放射の出射偏光状態を分離するために、瞳センサ190の前に交差偏光要素192を含む。これは、ターゲットに水平直線偏光照明放射を当てること、及び同じターゲットに垂直直線偏光照明放射を別に当てることによって、RHH、RVH、RVV、及びRHVに個別に関連付けられた値(それぞれ、|RHH|2、|RVH|2、|RVV|2、及び|RHV|2など)を測定する能力を意味する。従って、H偏光の場合、交差偏光要素192は、出射するV偏光及びH偏光が個別に測定されて、それぞれ|RVH|2及び|RHH|2が取得されることを可能にする。同様に、V偏光の場合、交差偏光要素192は、出射するV偏光及びH偏光が個別に測定されて、それぞれ|RVV|2及び|RHV|2が取得されることを可能にする。
[0251] 一実施形態では、異なる偏光がターゲットに交互に提供され得る。例えば、一実施形態では、放射源110は、交互に間に合うようにH偏光及びV偏光を提供し得る。一実施形態では、放射源110とターゲットとの間の光路にある偏光要素を使用して、交互に間に合うようにH偏光及びV偏光を提供する(例えば、図9に描くような、並びに図7及び図21において放射源110と対物系160との間に同様に設けられ得るポラライザ170を使用して)ことができる。
[0252] 一実施形態では、複数の照明スポットが平行に提供されてもよく、これらの照明スポットの1つ又は複数が、H偏光を有し、及びこれらの照明の他の1つ又は複数がV偏光を有する。従って、一方のスポットがV偏光を有し、且つ他方がH偏光を有する2つの照明スポットを有する一実施形態では、交差偏光要素192が、個別に各スポットから偏光を分割して、直線偏光の4つのセット(V照明に関するターゲットからのV偏光出射放射、V照明に関するターゲットからのH偏光出射放射、H照明に関するターゲットからのV偏光出射放射、及びH照明に関するターゲットからのH偏光出射放射)を測定することができる。
[0253] 一実施形態では、交差偏光要素192は、異なるように配置され得る。例えば、それは、特定の直線偏光が、第1の方向にある1つのセンサ190に向けて第1の方向にビーム分割面を通過し、及び直交直線偏光が、第2の方向にある別のセンサ190に対して第1の方向に実質的に直交する第2の方向にビーム分割面を反射する偏光ビームスプリッタ型配置でもよい。他のビーム誘導コンポーネントを含む他の配置が可能である。
[0254] しかし、交差偏光検出単独では、それらの絶対値のみが測定されるので、反射率係数の位相に対して感度が高くない。少なくとも幾つかの相対位相を測定することができるために、位相板194(例えば、4分の1波長板)が、交差偏光要素192の前に位置付けられる。このような位相板194及び交差偏光要素192の構成においては、2つの出力強度チャネルは、ターゲットのH偏光照明に関して、
であり、及びターゲットのV偏光照明に関して、
である。干渉項は、反射率行列の対角チャネルと非対角チャネルとの間の相対位相に関する情報を保持する。従って、位相板194及び交差偏光要素192の構成は、一般的に扁桃エリア(例えば、エリア1075及び1080)だけに見られる比較的強い信号を利用する本明細書に記載のメトロロジ技術(例えば、重み付けと結合された瞳からの信号コンポーネントに基づいたオーバーレイ推論方法)において、位相板194を持たない構成(すなわち、交差偏光要素192を有するが、位相板194は持たない)と比較して、それが、瞳の比較的広いエリアにわたり関心のあるパラメータ(例えば、オーバーレイ)信号のエネルギーを広げるため、特に有用となり得る。
[0255] 図22は、交差偏光要素を使用してターゲットから測定された放射から導出された放射信号エネルギー分布の例示的瞳(例えば、ヤコビアン瞳)を模式的に描く(すなわち、これらの瞳は、例えば、交差偏光要素192を有するが位相板194を持たない配置のためのものである)。図22の瞳は、ターゲットの特定のオーバーレイパラメータ(ターゲットにおける2つの構造間のX方向のオーバーレイなど)に対応する。一実施形態では、瞳は、本明細書に記載するようなモデルから計算され、及びオーバーレイなどの関心のあるパラメータに対する強度瞳の導関数である(例えば、ヤコビアン瞳)。一実施形態では、瞳は、上記のオーバーレイ推論方法のヤコビアン行列に対応し、それのために重みがそれに由来する信号コンポーネントに関して決定され、並びにそれから信号コンポーネント及び信号コンポーネントのための重みを結合することによってオーバーレイが決定される。瞳2200は、H偏光照明放射及びターゲットからの測定されたH偏光出射放射に対応する。瞳2210は、V偏光照明放射及びターゲットからの測定されたH偏光出射放射に対応する。瞳2220は、H偏光照明放射及びターゲットからの測定されたV偏光出射放射に対応する。瞳2230は、V偏光照明放射及びターゲットからの測定されたV偏光出射放射に対応する。見て分かるように、比較的高い信号エネルギーが、瞳2210の対角線上に位置する比較的小さな扁桃エリア2212及び瞳2220の対角線上に位置する比較的小さな扁桃エリア2222に位置する。
[0256] 次に、図23は、交差偏光要素及び位相板を使用してターゲットから測定された放射から導出された放射信号エネルギー分布の例示的瞳(例えば、ヤコビアン瞳)を模式的に描く(すなわち、これらの瞳は、例えば、交差偏光要素192及び4分の1波長板の形の位相板194を有する配置のためのものである)。図23の瞳は、ターゲットの特定のオーバーレイパラメータ(ターゲットにおける2つの構造間のX方向のオーバーレイなど)に対応する。一実施形態では、瞳は、本明細書に記載するようなモデルから計算され、及びオーバーレイなどの関心のあるパラメータに対する強度瞳の導関数である(例えば、ヤコビアン瞳)。一実施形態では、瞳は、上記のオーバーレイ推論方法のヤコビアン行列に対応し、それのために重みがそれに由来する信号コンポーネントに関して決定され、並びにそれから信号コンポーネント及び信号コンポーネントのための重みを結合することによってオーバーレイが決定される。瞳2300は、H偏光照明放射及びターゲットからの測定されたH偏光出射放射に対応する。瞳2310は、V偏光照明放射及びターゲットからの測定されたH偏光出射放射に対応する。瞳2320は、H偏光照明放射及びターゲットからの測定されたV偏光出射放射に対応する。瞳2330は、V偏光照明放射及びターゲットからの測定されたV偏光出射放射に対応する。位相板を持たない図22の瞳と比較して、関心のあるパラメータ(例えば、オーバーレイ信号)に関連付けられたエネルギーは、図23の瞳において瞳のより大きなエリアにわたり広がるが、図22の瞳では、関心のあるパラメータ(例えば、オーバーレイ信号)に関連付けられたエネルギーは、比較的小さな扁桃エリア2212及び2222に集中する。従って、図23の瞳では、関心のあるパラメータに関連付けられたエネルギーが、扁桃エリア(図22の瞳における扁桃エリア2212及び2222など)から瞳軸上のエリアへと(瞳2310及び2330などにおいて)、又は瞳の内部へと(瞳2300及び2320などにおいて)広がる。
[0257] しかし、この交差偏光要素192及び位相板194の構成は、複数の異なるオーバーレイ(例えば、それぞれ様々な方向における、第1の層と第2の層との間のオーバーレイ、及び第2の層と第3の層との間のオーバーレイ)を測定する際には、全てのパラメータの信号エネルギーが瞳にわたってより均一に広がる場合に複数のオーバーレイパラメータを非相関にすることがより難しくなるため、価値が下がり得る。それに対して、位相板194を持たない交差偏光要素192の構成は、より高い非相関能力を提供することができるが、瞳の比較的小さなエリア(通常、較正が難しい扁桃)における信号の局所化を犠牲にする。つまり、交差偏光要素192及び位相板194の構成、並びに位相板194を持たない交差偏光要素192の構成は、所望のオーバーレイ信号に対応する測定放射の強さと、測定放射からの異なるオーバーレイ信号を非相関にする能力との間の異なるバランスを提供する。従って、交差偏光要素192及び位相板194の構成、並びに交差偏光要素192の構成は、適用例に依存する。
[0258] それに応じて、一実施形態では、位相板194は、異なる時点で異なる位相を与えるように構成される。例えば、一実施形態では、位相板は、ある構成においてある位相を与え、及び別の構成において別の位相(位相なしを含む)を与えるように切り替え可能である。例えば、位相板は、回折放射のパス内及びパス外に移動可能であってもよい。一実施形態では、位相板は、第1の位相を与える第1の位相板要素と、第2の位相を与える第2の位相板要素を含んでもよく、第1及び第2の位相板要素は、回折放射のパス内及びパス外に移動可能である(例えば、第1及び第2の位相板要素を有する構造の回転によって)。一実施形態では、位相板は、回折放射の光路内で回転可能である。検出分岐におけるこのような切り替え可能又は回転可能な位相板を用いて、特定の適用例に関する反射率コンポーネントの所望の線形結合を切り替えること、又は微調整することができる。
[0259] 異なる光学要素を用いて位相板の利点の1つ又は複数を取得することが望ましい場合がある。例えば、位相板は、利用可能ではない場合がある。従って、例えば、単一オーバーレイの適用例において、位相板を用いることなく、信号対雑音比の点で性能がより良い、交差偏光要素及び位相板の構成の利点の1つ又は複数を実現することが望ましい場合がある。或いは、位相板と組み合わせて使用する異なる光学要素を用いて、位相板の機能性の一部を取得することが望ましい場合がある。
[0260] 従って、一実施形態では、交差偏光要素は、位相板の機能性の全て又は一部を提供する。一実施形態では、交差偏光要素の偏光分割軸は、H軸及びV軸と角度を成す。一実施形態では、この角度は、0度よりも大きく、且つ90度未満の範囲から選択される(10~80度の範囲から、20~70度の範囲から、30~60度の範囲から、又は40~50度の範囲から選択されるなど)。一実施形態では、この角度は、約45度である。
[0261] 図24Aは、H軸及びV軸と角度を成す偏光分割軸を有する交差偏光要素199を含む、一実施形態による例示的メトロロジ装置を模式的に描く。任意選択的に、位相板194も設けられてもよい。一実施形態では、交差偏光要素199は、偏光分割軸がH軸及びV軸と角度を成すようにさせた又は構成された点を除いて、交差偏光要素192と同じである。一実施形態では、交差偏光要素199は、特定の角度に固定された偏光分割軸を有してもよい。一実施形態では、この角度は、可変である。例えば、一実施形態では、交差偏光要素199は、異なる時点で異なる角度を提供するように構成される。例えば、一実施形態では、交差偏光要素199は、ある構成において特定の角度を提供し、及び別の構成において異なる角度(角度なしを含む)を提供するように切り替え可能である。例えば、交差偏光要素199は、回折放射のパス内及びパス外に移動可能であってもよい。一実施形態では、交差偏光要素199は、第1の角度を提供する第1の交差偏光要素部分と、第2の角度を提供する第2の交差偏光要素部分を含んでもよく、第1及び第2の交差偏光要素部分は、回折放射のパス内及びパス外に移動可能である(例えば、第1及び第2の交差偏光要素部分を有する構造の回転によって)。一実施形態では、交差偏光要素199は、回折放射の光路内で回転可能である。検出分岐におけるこのような切り替え可能又は回転可能な交差偏光要素199を用いて、特定の適用例に関する反射率コンポーネントの所望の線形結合を切り替えること、又は微調整することができる。すなわち、一実施形態では、所望の適用例に合わせて反射係数の線形重ね合わせを調整できるように、異なる時点で異なる角度を提供するために、切り替え可能又は回転可能な交差偏光要素199を有することが有益となる。
[0262] 一実施形態による照明放射の偏光の軸に対して角度を成した偏光軸を有する交差偏光要素の効果が、図24Bにかなり模式的に描かれている。図24Bに見られるように、H軸及びV軸に従って定義された偏光を有する照明放射170、172が、ターゲットTに提供される。上述の通り、放射は、H軸に沿った直線偏光又はV軸に沿った直線偏光を有し得る。一実施形態では、H軸に沿った直線偏光が、第1の照明において提供されてもよく、及びV軸に沿った直線偏光が、後続の第2の照明において提供されてもよく、又はその逆も同様である。
[0263] この照明放射は、ターゲットによって再誘導されて、放射174、176となり、H軸及びV軸に対して角度θを成す偏光分割軸を有する交差偏光要素199に進む。交差偏光要素199の効果は、偏光の座標系を図示された直交軸1及び2を有する座標系へと効果的に回転させることである。軸1及び2を有する座標系は、H軸及びV軸に対して角度θ分だけ回転される。従って、直線H又はV偏光入力及び2つの直交直線偏光出力を提供する角度θを成す偏光分割軸を有する交差偏光要素199を使用して、検出器190が、1軸に沿った直線偏光及び2軸に沿った直線偏光を効果的に測定し、直交軸1及び2は、H軸及びV軸に対して角度θ分だけ回転される。
[0264] 従って、交差偏光要素の偏光分割軸の角度が、センサの光軸を中心として45度である場合(及び位相板を使用することなく)、検出される強度は、ターゲットのH直線偏光照明に関して、
に比例し、式中、R
1は、1軸(図24Bを参照)に沿った偏光を有する交差偏光要素199からの測定放射に対応し、R
2は、2軸に沿った偏光を有する交差偏光要素199からの測定放射に対応し、1軸及び2軸は、H軸及びV軸に対して45度であり、ターゲットのV直線偏光照明に関して、
である。当然、これらの式は、45度以外の異なる角度に関して適宜の三角関数を用いて必要に応じて調節される。この場合、対角及び非対角反射率係数は、交差偏光要素192及び位相板194の構成の場合とは異なるやり方であるが、交差偏光要素192及び位相板194の構成と同様に干渉する。しかし、これらの干渉項は、同様の役割を果たす(すなわち、それらは、瞳内部で信号エネルギーを広げる)。
[0265] 図25は、H軸及びV軸と45度の角度を成す交差偏光要素の偏光分割軸を有する交差偏光要素を使用してターゲットから測定された放射から導出された放射信号エネルギー分布の例示的瞳(例えば、ヤコビアン瞳)を模式的に描く(すなわち、これらの瞳は、例えば、交差偏光要素199を有する配置のためのものである)。図25の瞳は、ターゲットの特定のオーバーレイパラメータ(ターゲットにおける2つの構造間のX方向のオーバーレイなど)に対応する。一実施形態では、瞳は、本明細書に記載するようなモデルから計算され、及びオーバーレイなどの関心のあるパラメータに対する強度瞳の導関数である(例えば、ヤコビアン瞳)。一実施形態では、瞳は、上記のオーバーレイ推論方法のヤコビアン行列に対応し、それのために重みがそれに由来する信号コンポーネントに関して決定され、並びにそれから信号コンポーネント及び信号コンポーネントのための重みを結合することによってオーバーレイが決定される。瞳2500は、H偏光照明放射及びターゲットからの測定された1軸偏光出射放射に対応する。瞳2510は、V偏光照明放射及びターゲットからの測定された1軸偏光出射放射に対応する。瞳2520は、H偏光照明放射及びターゲットからの測定された2軸偏光出射放射に対応する。瞳2530は、V偏光照明放射及びターゲットからの測定された2軸偏光出射放射に対応する。上記のように、1軸及び2軸は、H軸及びV軸に対して角度(この場合、45度)を成す。
[0266] 照明放射の偏光方向に対して0度の角度を成し、且つ位相板を持たない交差偏光要素を用いた図22の瞳と比較して、比較的高い信号エネルギーが、瞳2510に関するエリア2512などの著しくより大きなエリア、瞳2520に関する著しくより大きなエリア2522、及び瞳2530に関する著しくより大きなエリア2532に位置する。さらに、瞳2500に関するエリア2502における信号エネルギーは、一般に、より低いが、それでも一般に良く分布されている。また、信号エネルギーは、一般に、図22の瞳と比較して、瞳の内部エリアにおいてより大きい。さらに、図23の瞳と比較して、瞳2510及び2530に関して、信号エネルギーが、一般に、より大きく、且つ扁桃エリアの外でより多く分布されていることが分かる。従って、図23と比較して、図25の瞳は、一般に、より大きな信号エネルギーを生み、その信号エネルギーが、瞳の内部においてより大きな分布を有する。瞳2500及び2520に関しては、信号エネルギーは、一般に、図23の瞳2300及び2320と比較したよりも少なくなり得るが、信号エネルギーは、それでも、瞳全体にかなり良く分布される。
[0267] 一実施形態では、H軸及びV軸に対して角度を成す偏光分割軸を有する交差偏光要素199を用いた測定方法は、照明放射の適用可能なH軸又はV軸に対して角度を成さない偏光分割軸を有する交差偏光要素199を用いた測定方法よりも、較正が簡単となり得る。これは、例えば、信号コンポーネント及び重み付けを用いた推論方法を使用した実施形態において、推論が、対角反射率及び非対角反射率に基づき、その結果、強度に関して出力チャネルのバランスを取るためである。一実施形態では、対角反射率コンポーネントと非対角反射率コンポーネントとの間の相対位相に対する感度が高いため、H軸及びV軸に対して角度を成す偏光分割軸を有する交差偏光要素199は、照明放射の適用可能なH軸又はV軸に対して角度を成さない偏光分割軸を有する交差偏光要素199よりも、様々なCD、オーバーレイなどのパラメータに対してより良い感度(及び/又はより良い非相関能力)を提供し得る。
[0268] 従って、一実施形態では、位相板を用いた交差偏光検出の1つ又は複数の利点が、位相板以外の(例えば、位相板自体の必要性のない)光学要素、すなわち、H軸及びV軸に対して角度を成す偏光分割軸を有する交差偏光要素199を用いて得られ得る。任意選択的に、交差偏光要素199は、反射率コンポーネントの適用例に依存する線形結合を可能にするために、H軸及びV軸からの可変偏光分割軸角度を提供するように構成される。一実施形態では、H軸及びV軸に対して角度を成す偏光分割軸を有する交差偏光要素199を使用して、デバイスパターン自体の一部であるターゲットが測定される(すなわち、デバイス内メトロロジ)。
[0269] 決定されたパターニングプロセスパラメータ値(例えば、オーバーレイ値)及び本明細書の技術は、多数の目的に使用することができる。例えば、パターニングプロセスを可能にすることの重要な態様は、プロセス自体を開発すること、それをモニタリング及び制御用にセットアップすること、及び次に実際にプロセス自体のモニタリング及び制御を行うこと(例えば、パターニングプロセスパラメータ値に基づいて、欠陥の可能性を予測すること)を包含する。パターニングプロセスパラメータ値及び本明細書の技術は、これらの態様の何れにおいても使用することができる。さらに、1つ又は複数のパターニングデバイスパターン、1つ又は複数のレジストタイプ、ポストリソグラフィプロセスステップ(現像、エッチングなど)などのパターニングプロセスの基本の構成を想定した場合、パターンを基板上に転写するためのパターニングプロセスで装置をセットアップし、プロセスをモニタリングするために、1つ又は複数のメトロロジターゲットを現像し、メトロロジターゲットを測定するためにメトロロジプロセスをセットアップし、及び測定に基づいて、プロセスをモニタリング及び/又は制御するプロセスを実施することが望ましい。パターニングプロセスパラメータ値及び本明細書の技術は、これらのプロセスの何れにおいても使用することができる。
[0270] 本出願の議論は、基板上に形成されているデバイスのオーバーレイを測定するように設計されたメトロロジプロセス及びメトロロジターゲットの実施形態を考慮するが、本明細書の実施形態は、対称構造における様々な他の非対称性(側壁角非対称性、底床傾斜角の非対称性、CDの非対称性など)を測定するためのプロセス及びターゲットなどの他のメトロロジプロセス及びターゲットにも等しく適用可能である。それに応じて、本明細書におけるオーバーレイメトロロジターゲット、オーバーレイデータなどへの言及は、関心のある異なる種類のパラメータ(CD、エッジ配置誤差など)を決定するために、他の種類のメトロロジプロセス及びターゲットを可能にするように適切に修正されると考えられるべきである。
[0271] 一実施形態では、第1の方向に直線偏光を有する放射を用いてメトロロジターゲットの構造の照明を行うことと、構造から交差偏光要素へと再誘導された放射を受けることであって、交差偏光要素が、第1の方向に直線偏光を有する回折放射を、第1の方向に実質的に直交する第2の方向に直線偏光を有する再誘導放射とは別に、センサシステムに提供し、交差偏光要素が、第1及び第2の方向に対して角度を成す偏光分割軸を有する、受けることと、センサシステムを用いて、第1の方向に直線偏光を有する再誘導放射及び第2の方向に直線偏光を有する再誘導放射の光学特性を測定することと、を含む方法が提供される。
[0272] 一実施形態では、この方法は、第2の方向に直線偏光を有する放射を用いて、別に構造の照明を行うことによって、再誘導放射を生じさせることと、交差偏光要素を用いて、第2の方向に直線偏光を有するこのような再誘導放射とは別に、第1の方向に直線偏光を有するこのような再誘導放射をセンサシステムに提供することと、センサシステムを用いて、第1の方向に直線偏光を有するこのような再誘導放射、及び第2の方向に直線偏光を有するこのような再誘導放射の光学特性を測定することと、をさらに含む。一実施形態では、この方法は、第2の方向に直線偏光を有する照明放射を用いて取得された第1の方向に直線偏光を有する再誘導放射から測定された光学特性、及び第1の方向に直線偏光を有する照明放射を用いて取得された第2の方向に直線偏光を有する再誘導放射から測定された光学特性のみを使用して、メトロロジターゲットを形成するために使用されるパターニングプロセスの関心のあるパラメータを決定することをさらに含む。一実施形態では、角度は、40~50度の範囲から選択される。一実施形態では、ターゲットは、デバイスパターン自体の一部である。一実施形態では、構造は、公称物理的構成において幾何学的対称性を有し、公称物理的構成とは異なる、パターニングプロセスによって生じる構造の物理的構成が、光学特性の検出表現において非対称光学特性分布を生じさせ、及び光学特性の検出表現から関心のあるパラメータを決定することであって、関心のあるパラメータが、物理的構成における変化を測定する、決定することを含む。一実施形態では、この方法は、第1の方向に直線偏光を有する再誘導放射の測定された光学特性、及び第2の方向に直線偏光を有する再誘導放射の測定された光学特性を用いて、メトロロジターゲットを作成するために使用されるパターニングプロセスの関心のあるパラメータの値を決定することをさらに含む。
[0273] 一実施形態では、第1の方向に直線偏光を有する放射を用いてメトロロジターゲットの構造の照明を行うことと、構造から交差偏光要素へと再誘導された放射を受けることであって、交差偏光要素が、第2の方向に直線偏光を有する回折放射を、第2の方向に実質的に直交する第3の方向に直線偏光を有する再誘導放射とは別に、センサシステムに提供し、交差偏光要素が、第1の方向が第2の方向に対して角度を成すように偏光分割軸を有する、受けることと、センサシステムを用いて、第2の方向に直線偏光を有する再誘導放射及び第3の方向に直線偏光を有する再誘導放射の光学特性を測定することと、を含む方法が提供される。
[0274] 一実施形態では、この方法は、第1の方向に直交する第4の方向に直線偏光を有する放射を用いて、別に構造の照明を行うことによって、再誘導放射を生じさせることと、交差偏光要素を用いて、第3の方向に直線偏光を有するこのような再誘導放射とは別に、第2の方向に直線偏光を有するこのような再誘導放射をセンサシステムに提供することであって、交差偏光要素が、第4の方向が第3の方向に対して角度を成すように偏光分割軸を有する、提供することと、センサシステムを用いて、第2の方向に直線偏光を有するこのような再誘導放射、及び第3の方向に直線偏光を有するこのような再誘導放射の光学特性を測定することと、をさらに含む。一実施形態では、この方法は、第1の方向に直線偏光を有する照明放射を用いて取得された第3の方向に直線偏光を有する再誘導放射から測定された光学特性、及び第4の方向に直線偏光を有する照明放射を用いて取得された第2の方向に直線偏光を有する再誘導放射から測定された光学特性のみを使用して、メトロロジターゲットを形成するために使用されるパターニングプロセスの関心のあるパラメータを決定することをさらに含む。一実施形態では、角度は、40~50度の範囲から選択される。一実施形態では、ターゲットは、デバイスパターン自体の一部である。一実施形態では、構造は、公称物理的構成において幾何学的対称性を有し、公称物理的構成とは異なる、パターニングプロセスによって生じる構造の物理的構成が、光学特性の検出表現において非対称光学特性分布を生じさせ、及び光学特性の検出表現から関心のあるパラメータを決定することであって、関心のあるパラメータが、物理的構成における変化を測定する、決定することを含む。一実施形態では、この方法は、第2の方向に直線偏光を有する再誘導放射の測定された光学特性、及び第3の方向に直線偏光を有する再誘導放射の測定された光学特性を用いて、メトロロジターゲットを形成するために使用されるパターニングプロセスの関心のあるパラメータの値を決定することをさらに含む。
[0275] 一実施形態では、第1の方向に直線偏光を有する放射をターゲットの構造上に提供するように構成された光学要素と、構造から再誘導された放射の光学特性を測定するように構成されたセンサシステムと、構造から再誘導された放射を受け、及び第2の方向に直線偏光を有する再誘導放射を、第2の方向に実質的に直交する第3の方向に直線偏光を有する再誘導放射とは別に、センサシステムに提供するように構成された交差偏光要素であって、第1の方向が第2の方向に対して角度を成すように偏光分割軸を有する交差偏光要素と、を含むメトロロジ装置が提供される。
[0276] 一実施形態では、角度は、40~50度の範囲から選択される。一実施形態では、ターゲットは、デバイスパターン自体の一部である。一実施形態では、構造は、公称物理的構成において幾何学的対称性を有し、公称物理的構成とは異なる、パターニングプロセスによって生じる構造の物理的構成が、光学特性の検出表現において非対称光学特性分布を生じさせ、及び光学特性の検出表現から関心のあるパラメータを決定するように構成されたプロセッサシステムであって、関心のあるパラメータが、物理的構成における変化を測定する、プロセッサシステム。一実施形態では、メトロロジ装置が、第2の方向に直線偏光を有する再誘導放射の測定された光学特性、及び/又は第3の方向に直線偏光を有する再誘導放射の測定された光学特性を使用して、メトロロジターゲットを作成するために使用されるパターニングプロセスの関心のあるパラメータの値を決定するように構成されたプロセッサシステムを含む。一実施形態では、プロセッサシステムは、第4の方向に直線偏光を有する放射をターゲットの構造上に別に提供することによって再誘導放射を生じさせるように構成され、交差偏光要素は、第3の方向に直線偏光を有するこのような再誘導放射とは別に、第2の方向に直線偏光を有するこのような再誘導放射をセンサシステムに提供するように構成され、交差偏光要素は、第4の方向が第3の方向に対して角度を成すように偏光分割軸を有し、センサシステムは、第2の方向に直線偏光を有するこのような再誘導放射、及び第3の方向に直線偏光を有するこのような再誘導放射の光学特性を測定するように構成され、並びにプロセッサシステムは、第1の方向に直線偏光を有する照明放射を用いて取得された第2の方向に直線偏光を有する再誘導放射、第4の方向に直線偏光を有する照明放射を用いて取得された第2の方向に直線偏光を有する再誘導放射、第1の方向に直線偏光を有する照明放射を用いて取得された第3の方向に直線偏光を有する再誘導放射、及び/又は第4の方向に直線偏光を有する照明放射を用いて取得された第3の方向に直線偏光を有する再誘導放射から選択された2つ以上の再誘導放射の測定された光学特性を用いて、メトロロジターゲットを作成するために使用されるパターニングプロセスの関心のあるパラメータの値を決定するようにさらに構成される。一実施形態では、プロセッサシステムは、第1の方向に直線偏光を有する照明放射を用いて取得された第3の方向に直線偏光を有する再誘導放射から測定された光学特性、及び第4の方向に直線偏光を有する照明放射を用いて取得された第2の方向に直線偏光を有する再誘導放射から測定された光学特性のみを使用して、関心のあるパラメータを決定するように構成される。
[0277] 一実施形態では、第1の方向に直線偏光を有する放射をターゲットの構造上に提供するように構成された光学要素と、構造から再誘導された放射の光学特性を測定するように構成されたセンサシステムと、構造から再誘導された放射を受け、並びに第1の方向に直線偏光を有する再誘導放射及び第1の方向に実質的に直交する第2の方向に直線偏光を有する再誘導放射に位相を与えるように構成された位相板システムであって、異なる時点で異なる位相を与えるように構成された位相板システムと、構造から再誘導された放射を受け、及び第3の方向に直線偏光を有する再誘導放射を、第3の方向に実質的に直交する第4の方向に直線偏光を有する再誘導放射とは別に、センサシステムに提供するように構成された交差偏光要素と、を含むメトロロジ装置が提供される。
[0278] 一実施形態では、位相板は、再誘導放射の光路内で回転可能である。一実施形態では、交差偏光要素は、第1及び第2の方向に対して角度を成す偏光分割軸を有する。一実施形態では、第3の方向は、第1の方向に対して角度を成し、及び第2の方向は、第4の方向に対して角度を成す。一実施形態では、ターゲットは、デバイスパターン自体の一部である。一実施形態では、構造は、公称物理的構成において幾何学的対称性を有し、公称物理的構成とは異なる、パターニングプロセスによって生じる構造の物理的構成が、光学特性の検出表現において非対称光学特性分布を生じさせ、及びセンサシステムが、光学特性の検出表現から関心のあるパラメータを決定するように構成され、関心のあるパラメータが、物理的構成における変化を測定する。一実施形態では、メトロロジ装置が、第3の方向に直線偏光を有する再誘導放射の測定された光学特性、及び/又は第4の方向に直線偏光を有する再誘導放射の測定された光学特性を使用して、メトロロジターゲットを作成するために使用されるパターニングプロセスの関心のあるパラメータの値を決定するように構成されたプロセッサシステムを含む。一実施形態では、プロセッサシステムは、第2の方向に直線偏光を有する放射をターゲットの構造上に別に提供することによって再誘導放射を生じさせるように構成され、交差偏光要素は、第4の方向に直線偏光を有するこのような再誘導放射とは別に、第3の方向に直線偏光を有するこのような再誘導放射をセンサシステムに提供するように構成され、センサシステムは、第3の方向に直線偏光を有するこのような再誘導放射、及び第4の方向に直線偏光を有するこのような再誘導放射の光学特性を測定するように構成され、並びにプロセッサシステムは、第1の方向に直線偏光を有する照明放射を用いて取得された第3の方向に直線偏光を有する再誘導放射、第2の方向に直線偏光を有する照明放射を用いて取得された第3の方向に直線偏光を有する再誘導放射、第2の方向に直線偏光を有する照明放射を用いて取得された第4の方向に直線偏光を有する再誘導放射、及び/又は第2の方向に直線偏光を有する照明放射を用いて取得された第4の方向に直線偏光を有する再誘導放射から選択された2つ以上の再誘導放射の測定された光学特性を用いて、メトロロジターゲットを作成するために使用されるパターニングプロセスの関心のあるパラメータの値を決定するようにさらに構成される。一実施形態では、プロセッサシステムは、第2の方向に直線偏光を有する照明放射を用いて取得された第3の方向に直線偏光を有する再誘導放射から測定された光学特性、及び第2の方向に直線偏光を有する照明放射を用いて取得された第4の方向に直線偏光を有する再誘導放射から測定された光学特性のみを使用して、関心のあるパラメータを決定するように構成される。
[0279] 一実施形態では、第1の方向に直線偏光を有する放射を用いてメトロロジターゲットの構造の照明を行うことと、構造から偏光要素へと再誘導された放射を受けることであって、偏光要素が、第1の方向に対して角度を成す偏光分割軸を有する、受けることと、センサシステムを用いて、再誘導放射の光学特性を測定することと、を含む方法が提供される。
[0280] 一実施形態では、偏光要素は、第1のタイプの偏光の再誘導放射及び第2のタイプの偏光の再誘導放射を個別に提供するように構成される。一実施形態では、第1のタイプの偏光は、第1の方向に対して角度を成す第2の方向の直線偏光であり、及び第2の偏光は、第2の方向に対して実質的に直交する第3の方向の直線偏光である。一実施形態では、この方法は、センサシステムを用いて、第1のタイプの偏光及び第2のタイプの偏光の再誘導放射の光学特性を測定することを含む。
[0281] 図26を参照し、コンピュータシステム3200が、示される。コンピュータシステム3200は、バス3202又は情報を通信するための他の通信機構と、情報を処理するためにバス3202と結合されたプロセッサ3204(又は複数のプロセッサ3204及び3205)とを包含する。コンピュータシステム3200は、ランダムアクセスメモリ(RAM)又は他の動的ストレージデバイスなどの、プロセッサ3204によって実行される情報及び命令を保存するためにバス3202に結合されたメインメモリ3206も包含する。メインメモリ3206は、プロセッサ3204によって実行される命令の実行中に、一時変数又は他の中間情報を保存するためにも使用されてもよい。コンピュータシステム3200は、リードオンリーメモリ(ROM)3208、又はプロセッサ3204のための静的情報及び命令を保存するためにバス3202に結合された他の静的ストレージデバイスをさらに包含する。情報及び命令を保存するための磁気ディスク又は光ディスクなどのストレージデバイス3210が設けられるとともに、バス3202に結合される。
[0282] コンピュータシステム3200は、バス3202を介して、情報をコンピュータユーザに表示するための、陰極線管(CRT)、フラットパネル、又はタッチパネルディスプレイなどのディスプレイ3212に結合されてもよい。英数字及び他のキーを包含する入力デバイス3214が、情報及びコマンド選択をプロセッサ3204に通信するためにバス3202に結合される。別のタイプのユーザ入力デバイスは、プロセッサ3204に方向情報及びコマンド選択を通信するため、及びディスプレイ3212上でカーソルの移動を制御するための、マウス、トラックボール、又はカーソル方向キーなどのカーソル制御部3216である。この入力デバイスは、一般的に、2つの軸(第1の軸(例えばx)及び第2の軸(例えばy))において、デバイスがある面内で位置を特定することを可能にする2つの自由度を有する。タッチパネル(スクリーン)ディスプレイが、入力デバイスとして使用されてもよい。
[0283] コンピュータシステム3200は、メインメモリ3206に含まれる1つ又は複数の命令の1つ又は複数のシーケンスを実行するプロセッサ3204に応答して、本明細書における処理装置として機能するのに適し得る。このような命令は、ストレージデバイス3210などの別のコンピュータ可読媒体からメインメモリ3206に読み込まれてもよい。メインメモリ3206に含まれる命令のシーケンスの実行は、プロセッサ3204に本明細書に記載のプロセスを行わせる。メインメモリ3206に含まれる命令のシーケンスを実行するために、多重処理構成の1つ又は複数のプロセッサが用いられてもよい。代替実施形態では、ソフトウェア命令の代わりに、又はソフトウェア命令と一緒に、ハードワイヤード回路が用いられてもよい。従って、実施形態は、ハードウェア回路及びソフトウェアの特定の組み合わせに限定されない。
[0284] 本明細書で使用される「コンピュータ可読媒体」という用語は、実行のためにプロセッサ3204に命令を提供することに関与するあらゆる媒体を指す。このような媒体は、限定されないが、不揮発性媒体、揮発性媒体、及び伝送媒体を含む、多くの形態をとり得る。不揮発性媒体は、例えば、ストレージデバイス3210などの光又は磁気ディスクを含む。揮発性媒体は、メインメモリ3206などの動的メモリを含む。伝送媒体は、同軸ケーブル、銅線及び光ファイバ(バス3202を含むワイヤを含む)を含む。伝送媒体は、無線周波数(RF)及び赤外線(IR)データ通信中に生成されるものなどの、音波又は光波の形態もとり得る。コンピュータ可読媒体の一般的形態は、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、その他の磁気媒体、CD-ROM、DVD、その他の光媒体、パンチカード、紙テープ、孔のパターンを有したその他の物理媒体、RAM、PROM、及びEPROM、FLASH-EPROM、その他のメモリチップ又はカートリッジ、以下に記載されるような搬送波、又はコンピュータが読み取ることができるその他の媒体を含む。
[0285] コンピュータ可読媒体の様々な形態が、実行のためにプロセッサ3204に1つ又は複数の命令の1つ又は複数のシーケンスを搬送することに関与してもよい。例えば、命令は、最初は、リモートコンピュータの磁気ディスクにある場合がある。リモートコンピュータは、命令をそれの動的メモリにロードし、及びモデムを使用して電話回線上で命令を送ることができる。コンピュータシステム3200にローカルなモデムが、電話回線上のデータを受信し、及び赤外線送信機を用いてデータを赤外線信号に変換することができる。バス3202に結合された赤外線検出器が、赤外線信号で搬送されたデータを受信し、及びそのデータをバス3202にのせることができる。バス3202は、データをメインメモリ3206に搬送し、そこからプロセッサ3204が、命令の読み出し及び実行を行う。メインメモリ3206によって受信された命令は、任意選択的に、プロセッサ3204による実行の前又は後に、ストレージデバイス3210に保存されてもよい。
[0286] コンピュータシステム3200は、バス3202に結合された通信インターフェース3218も包含してもよい。通信インターフェース3218は、ローカルネットワーク3222に接続されたネットワークリンク3220に結合する双方向データ通信を提供する。例えば、通信インターフェース3218は、対応するタイプの電話回線にデータ通信接続を提供するデジタル総合サービス網(ISDN)カード又はモデムでもよい。別の例として、通信インターフェース3218は、互換性のあるLANへのデータ通信接続を提供するローカルエリアネットワーク(LAN)カードでもよい。ワイヤレスリンクが実施されてもよい。このような実施において、通信インターフェース3218は、様々なタイプの情報を表すデジタルデータストリームを搬送する電気、電磁、又は光信号の送信及び受信を行う。
[0287] ネットワークリンク3220は、一般的に、1つ又は複数のネットワークを通して、他のデータデバイスにデータ通信を提供する。例えば、ネットワークリンク3220は、ローカルネットワーク3222を通して、ホストコンピュータ3224又はインターネットサービスプロバイダ(ISP)3226によって操作されるデータ機器への接続を提供することができる。ISP3226は、次に、ワールドワイドパケットデータ通信ネットワーク(現在、一般に「インターネット」3228と呼ばれる)によるデータ通信サービスを提供する。ローカルネットワーク3222及びインターネット3228は共に、デジタルデータストリームを搬送する電気、電磁、又は光信号を使用する。コンピュータシステム3200に対して、及びコンピュータシステム3200からデジタルデータを搬送する、様々なネットワークを通る信号、及びネットワークリンク3220上の、及び通信インターフェース3218を通る信号は、情報を運ぶ搬送波の形態例である。
[0288] コンピュータシステム3200は、ネットワーク、ネットワークリンク3220、及び通信インターフェース3218を通して、メッセージを送信すること、及びプログラムコードを包含するデータを受信することができる。インターネット例では、サーバ3230は、インターネット3228、ISP3226、ローカルネットワーク3222、及び通信インターフェース3218を通して、アプリケーションプログラムの要求コードを送信する場合がある。1つ又は複数の実施形態によれば、そのようなダウンロードされたあるアプリケーションは、例えば本明細書に開示されるような方法を提供する。受信されたコードは、受信された際にプロセッサ3204によって実行されてもよく、及び/又は後で実行するためにストレージデバイス3210又は他の不揮発性ストレージに保存されてもよい。このようにして、コンピュータシステム3200は、搬送波の形態のアプリケーションコードを取得してもよい。
[0289] 本開示の実施形態は、本明細書に開示されるような方法を記述する機械可読命令の1つ又は複数のシーケンスを含むコンピュータプログラム、又はそのようなコンピュータプログラムを内部に保存したデータストレージ媒体(例えば、半導体メモリ、磁気又は光ディスク)の形態を取ってもよい。さらに、機械可読命令は、2つ以上のコンピュータプログラムにおいて実施されてもよい。2つ以上のコンピュータプログラムは、1つ又は複数の異なるメモリ及び/又はデータストレージ媒体に保存されてもよい。
[0290] 1つ又は複数のコンピュータプログラムが、リソグラフィ装置の少なくとも1つのコンポーネント内に位置する1つ又は複数のコンピュータプロセッサによって読み取られる際に、本明細書に記載のコントローラは、各々、又は組み合わせて動作可能であってもよい。これらのコントローラは、各々、又は組み合わせて、信号の受信、処理、及び送信を行うのに適した任意の構成を有していてもよい。1つ又は複数のプロセッサは、これらのコントローラの少なくとも1つと通信するように構成される。例えば、各コントローラは、上記の方法のための機械可読命令を包含するコンピュータプログラムを実行するための1つ又は複数のプロセッサを包含していてもよい。コントローラは、そのようなコンピュータプログラムを保存するためのデータストレージ媒体、及び/又はそのような媒体を受け入れるハードウェアを包含していてもよい。従って、コントローラは、1つ又は複数のコンピュータプログラムの機械可読命令に従って動作することができる。
[0291] 本文において、ICの製造におけるメトロロジ装置の使用に対して具体的な言及がなされる場合があるが、本明細書に記載のメトロロジ装置及びプロセスは、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンス及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造といった他の適用例を有し得ることが理解されるものとする。当業者は、このような代替適用例の文脈において、本明細書の「ウェーハ」又は「ダイ」という用語の使用を、それぞれ、より一般的な用語である「基板」又は「ターゲット部分」と同義であると見なすことができることを認識するだろう。本明細書で言及される基板は、露光の前又は後に、例えばトラック(一般的に、レジストの層を基板に塗布し、及び露光レジストを現像するツール)、メトロロジツール、及び/又は1つ又は複数の様々な他のツールにおいて処理されてもよい。適用可能な場合、本明細書の開示は、上記及び他の基板処理ツールに適用されてもよい。さらに、基板は、例えば多層ICを作成するために、2回以上処理されてもよく、そのため、本明細書で使用される基板という用語は、複数の処理された層を既に含む基板を指す場合もある。
[0292] 本発明によるさらなる実施形態を以下の番号付き条項においてさらに説明する。
1. 第1の方向に直線偏光を有する放射を用いてメトロロジターゲットの構造の照明を行うことと、
構造から交差偏光要素へと再誘導された放射を受けることであって、交差偏光要素が、第2の方向に直線偏光を有する回折放射を、第2の方向に実質的に直交する第3の方向に直線偏光を有する再誘導放射とは別に、センサシステムに提供し、交差偏光要素が、第1の方向が第2の方向に対して角度を成すように偏光分割軸を有する、受けることと、
センサシステムを用いて、第2の方向に直線偏光を有する再誘導放射及び第3の方向に直線偏光を有する再誘導放射の光学特性を測定することと、
を含む、方法。
2. 第1の方向に直交する第4の方向に直線偏光を有する放射を用いて、別に構造の照明を行うことによって、再誘導放射を生じさせることと、交差偏光要素を用いて、第3の方向に直線偏光を有するこのような再誘導放射とは別に、第2の方向に直線偏光を有するこのような再誘導放射をセンサシステムに提供することであって、交差偏光要素が、第4の方向が第3の方向に対して角度を成すように偏光分割軸を有する、提供することと、センサシステムを用いて、第2の方向に直線偏光を有するこのような再誘導放射、及び第3の方向に直線偏光を有するこのような再誘導放射の光学特性を測定することと、をさらに含む、条項1に記載の方法。
3. 第1の方向に直線偏光を有する照明放射を用いて取得された第3の方向に直線偏光を有する再誘導放射から測定された光学特性、及び第4の方向に直線偏光を有する照明放射を用いて取得された第2の方向に直線偏光を有する再誘導放射から測定された光学特性のみを使用して、メトロロジターゲットを形成するために使用されるパターニングプロセスの関心のあるパラメータを決定することをさらに含む、条項2に記載の方法。
4. 角度が、40~50度の範囲から選択される、条項1~3の何れか一項に記載の方法。
5. ターゲットが、デバイスパターン自体の一部である、条項1~4の何れか一項に記載の方法。
6. 構造が、公称物理的構成において幾何学的対称性を有し、公称物理的構成とは異なる、パターニングプロセスによって生じる構造の物理的構成が、光学特性の検出表現において非対称光学特性分布を生じさせ、及び光学特性の検出表現から関心のあるパラメータを決定することであって、関心のあるパラメータが、物理的構成における変化を測定する、決定することを含む、条項1~5の何れか一項に記載の方法。
7. 第2の方向に直線偏光を有する再誘導放射の測定された光学特性、及び第3の方向に直線偏光を有する再誘導放射の測定された光学特性を用いて、メトロロジターゲットを作成するために使用されるパターニングプロセスの関心のあるパラメータの値を決定することをさらに含む、条項1、2、又は4~6の何れか一項に記載の方法。
8. 第1の方向に直線偏光を有する放射をターゲットの構造上に提供するように構成された光学要素と、
構造から再誘導された放射の光学特性を測定するように構成されたセンサシステムと、
構造から再誘導された放射を受け、及び第2の方向に直線偏光を有する再誘導放射を、第2の方向に実質的に直交する第3の方向に直線偏光を有する再誘導放射とは別に、センサシステムに提供するように構成された交差偏光要素であって、第1の方向が第2の方向に対して角度を成すように偏光分割軸を有する交差偏光要素と、
を含む、メトロロジ装置。
9. 角度が、40~50度の範囲から選択される、条項8に記載のメトロロジ装置。
10. ターゲットが、デバイスパターン自体の一部である、条項8又は9に記載のメトロロジ装置。
11. 構造が、公称物理的構成において幾何学的対称性を有し、公称物理的構成とは異なる、パターニングプロセスによって生じる構造の物理的構成が、光学特性の検出表現において非対称光学特性分布を生じさせ、及び光学特性の検出表現から関心のあるパラメータを決定するように構成されたプロセッサシステムであって、関心のあるパラメータが、物理的構成における変化を測定する、プロセッサシステム、条項8~10の何れか一項に記載のメトロロジ装置。
12. 第2の方向に直線偏光を有する再誘導放射の測定された光学特性、及び/又は第3の方向に直線偏光を有する再誘導放射の測定された光学特性を使用して、メトロロジターゲットを作成するために使用されるパターニングプロセスの関心のあるパラメータの値を決定するように構成されたプロセッサシステムを含む、条項8~11の何れか一項に記載のメトロロジ装置。
13. プロセッサシステムが、第4の方向に直線偏光を有する放射をターゲットの構造上に別に提供することによって再誘導放射を生じさせるように構成され、交差偏光要素が、第3の方向に直線偏光を有するこのような再誘導放射とは別に、第2の方向に直線偏光を有するこのような再誘導放射をセンサシステムに提供するように構成され、交差偏光要素が、第4の方向が第3の方向に対して角度を成すように偏光分割軸を有し、センサシステムが、第2の方向に直線偏光を有するこのような再誘導放射、及び第3の方向に直線偏光を有するこのような再誘導放射の光学特性を測定するように構成され、並びにプロセッサシステムが、第1の方向に直線偏光を有する照明放射を用いて取得された第2の方向に直線偏光を有する再誘導放射、第4の方向に直線偏光を有する照明放射を用いて取得された第2の方向に直線偏光を有する再誘導放射、第1の方向に直線偏光を有する照明放射を用いて取得された第3の方向に直線偏光を有する再誘導放射、及び/又は第4の方向に直線偏光を有する照明放射を用いて取得された第3の方向に直線偏光を有する再誘導放射から選択された2つ以上の再誘導放射の測定された光学特性を用いて、メトロロジターゲットを作成するために使用されるパターニングプロセスの関心のあるパラメータの値を決定するようにさらに構成される、条項12に記載のメトロロジ装置。
14. プロセッサシステムが、第1の方向に直線偏光を有する照明放射を用いて取得された第3の方向に直線偏光を有する再誘導放射から測定された光学特性、及び第4の方向に直線偏光を有する照明放射を用いて取得された第2の方向に直線偏光を有する再誘導放射から測定された光学特性のみを使用して、関心のあるパラメータを決定するように構成される、条項13に記載のメトロロジ装置。
15. 第1の方向に直線偏光を有する放射をターゲットの構造上に提供するように構成された光学要素と、
構造から再誘導された放射の光学特性を測定するように構成されたセンサシステムと、
構造から再誘導された放射を受け、並びに第1の方向に直線偏光を有する再誘導放射及び第1の方向に実質的に直交する第2の方向に直線偏光を有する再誘導放射に位相を与えるように構成された位相板システムであって、異なる時点で異なる位相を与えるように構成された位相板システムと、
構造から再誘導された放射を受け、及び第3の方向に直線偏光を有する再誘導放射を、第3の方向に実質的に直交する第4の方向に直線偏光を有する再誘導放射とは別に、センサシステムに提供するように構成された交差偏光要素と、
を含むメトロロジ装置。
16. 位相板が、再誘導放射の光路内で回転可能である、条項15に記載のメトロロジ装置。
17. 交差偏光要素が、第1及び第2の方向に対して角度を成す偏光分割軸を有する、条項15又は16に記載のメトロロジ装置。
18. 第3の方向が、第1の方向に対して角度を成し、及び第2の方向が、第4の方向に対して角度を成す、条項17に記載のメトロロジ装置。
19. ターゲットが、デバイスパターン自体の一部である、条項15~18の何れか一項に記載のメトロロジ装置。
20. 構造が、公称物理的構成において幾何学的対称性を有し、公称物理的構成とは異なる、パターニングプロセスによって生じる構造の物理的構成が、光学特性の検出表現において非対称光学特性分布を生じさせ、及びセンサシステムが、光学特性の検出表現から関心のあるパラメータを決定するように構成され、関心のあるパラメータが、物理的構成における変化を測定する、条項15~19の何れか一項に記載のメトロロジ装置。
21. 第3の方向に直線偏光を有する再誘導放射の測定された光学特性、及び/又は第4の方向に直線偏光を有する再誘導放射の測定された光学特性を使用して、メトロロジターゲットを作成するために使用されるパターニングプロセスの関心のあるパラメータの値を決定するように構成されたプロセッサシステムを含む、条項15~20の何れか一項に記載のメトロロジ装置。
22. プロセッサシステムが、第2の方向に直線偏光を有する放射をターゲットの構造上に別に提供することによって再誘導放射を生じさせるように構成され、交差偏光要素が、第4の方向に直線偏光を有するこのような再誘導放射とは別に、第3の方向に直線偏光を有するこのような再誘導放射をセンサシステムに提供するように構成され、センサシステムが、第3の方向に直線偏光を有するこのような再誘導放射、及び第4の方向に直線偏光を有するこのような再誘導放射の光学特性を測定するように構成され、並びにプロセッサシステムが、第1の方向に直線偏光を有する照明放射を用いて取得された第3の方向に直線偏光を有する再誘導放射、第2の方向に直線偏光を有する照明放射を用いて取得された第3の方向に直線偏光を有する再誘導放射、第2の方向に直線偏光を有する照明放射を用いて取得された第4の方向に直線偏光を有する再誘導放射、及び/又は第2の方向に直線偏光を有する照明放射を用いて取得された第4の方向に直線偏光を有する再誘導放射から選択された2つ以上の再誘導放射の測定された光学特性を用いて、メトロロジターゲットを作成するために使用されるパターニングプロセスの関心のあるパラメータの値を決定するようにさらに構成される、条項21に記載のメトロロジ装置。
23. プロセッサシステムが、第2の方向に直線偏光を有する照明放射を用いて取得された第3の方向に直線偏光を有する再誘導放射から測定された光学特性、及び第2の方向に直線偏光を有する照明放射を用いて取得された第4の方向に直線偏光を有する再誘導放射から測定された光学特性のみを使用して、関心のあるパラメータを決定するように構成される、条項22に記載のメトロロジ装置。
24. 第1の方向に直線偏光を有する放射を用いてメトロロジターゲットの構造の照明を行うことと、
構造から偏光要素へと再誘導された放射を受けることであって、偏光要素が、第1の方向に対して角度を成す偏光分割軸を有する、受けることと、
センサシステムを用いて、再誘導放射の光学特性を測定することと、
を含む方法。
25. 偏光要素が、第1のタイプの偏光の再誘導放射及び第2のタイプの偏光の再誘導放射を個別に提供するように構成される、条項24に記載の方法。
26. 第1のタイプの偏光が、第1の方向に対して角度を成す第2の方向の直線偏光であり、及び第2の偏光が、第2の方向に対して実質的に直交する第3の方向の直線偏光である、条項25に記載の方法。
27. センサシステムを用いて、第1のタイプの偏光及び第2のタイプの偏光の再誘導放射の光学特性を測定することを含む、条項25又は26に記載の方法。
28. 記録された命令を有するコンピュータ非一時的可読媒体を含むコンピュータプログラム製品であって、コンピュータによって実行されると、命令が、条項1~7又は24~27の何れか一項に記載の方法を実施する、コンピュータプログラム製品。
29. ハードウェアプロセッサシステムと、
機械可読命令を保存するように構成された非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体であって、実行されると、機械可読命令が、ハードウェアプロセッサシステムに条項1~7又は24~27の何れか一項に記載の方法を行わせる、非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体と、
を含むシステム。
30. パターニングプロセスのオブジェクトを測定するためのメトロロジ装置であって、条項1~7又は24~27の何れか一項に記載の方法を行うように構成されたメトロロジ装置。
31. オブジェクト表面上に放射ビームを与え、及びオブジェクト表面上の構造によって再誘導された放射を検出するように構成されたメトロロジ装置と、
条項28に記載のコンピュータプログラム製品と、
を含むシステム。
32. 放射ビームを変調するためにパターニングデバイスを保持するように構成されたサポート構造と、変調された放射ビームを放射感応性基板上に投影するように配置された投影光学系とを含むリソグラフィ装置をさらに含み、オブジェクトが基板であり、リソグラフィ装置が、メトロロジ装置及びコンピュータプログラムを用いて取得された情報に基づいて、リソグラフィ装置の設定を制御するように構成された、条項31に記載のシステム。
[0293] 上記において、光リソグラフィの文脈での本開示の実施形態の使用に対して具体的な言及がなされる場合があるが、本開示は、例えばナノインプリントリソグラフィといった他の適用例において使用されてもよく、及び状況が許せば、光リソグラフィに限定されないことが認識されるだろう。ナノインプリントリソグラフィの場合、パターニングデバイスは、インプリントテンプレート又はモールドである。
[0294] 本明細書で使用される「放射」及び「ビーム」という用語は、紫外線(UV)(例えば、約365、355、248、193、157、又は126nmの波長を有する)及び極端紫外線(EUV)(例えば、5~20nmの範囲の波長を有する)を包含するあらゆるタイプの電磁放射、並びにイオンビーム又は電子ビームなどの粒子ビームを対象に含める。
[0295] 「レンズ」という用語は、状況が許せば、屈折、反射、磁気、電磁及び静電光学コンポーネントを包含する様々なタイプの光学コンポーネントの何れか1つ又は組み合わせを指す場合がある。
[0296] 本明細書における閾値と交差すること、又は閾値を通過することへの言及は、何かが、ある特定の値未満の、又はある特定の値以下の値を有すること、何かが、ある特定の値を上回る、又はある特定の値以上の値を有すること、何かが、例えばパラメータに基づいて何か他のものよりも高く、又は低くランク付けされること(例えば、ソーティングにより)などを包含する場合がある。
[0297] 本明細書におけるエラーを補正すること、又はエラーの補正は、エラーを排除すること、又は許容範囲内にまでエラーを減少させることを包含する。
[0298] 本明細書で使用される「最適化すること」及び「最適化」という用語は、リソグラフィ又はパターニング処理の結果及び/又はプロセスが、より望ましい特性(基板上の設計レイアウトの投影のより高い精度、より大きなプロセスウィンドウなど)を有するように、リソグラフィ装置、パターニングプロセスなどを調整することを指す、又は意味する。従って、本明細書で使用される「最適化すること」及び「最適化」という用語は、少なくとも1つの関連のメトリックにおいて、向上(例えば、局所最適)を提供する1つ又は複数の変数の1つ又は複数の値を、上記1つ又は複数の変数の1つ又は複数の値の初期セットと比較して識別するプロセスを指す、又は意味する。「最適」及び他の関連の用語は、それに応じて解釈されるものとする。ある実施形態では、最適化ステップは、1つ又は複数のメトリックにおいて、さらなる向上を提供するために反復的に適用することができる。
[0299] システムの最適化プロセスでは、システム又はプロセスの性能指数は、費用関数として表すことができる。最適化プロセスは、費用関数を最適化する(例えば、最小化又は最大化する)システム又はプロセスのパラメータ(設計変数)の1セットを求めるプロセスに帰着する。費用関数は、最適化の目標に応じた適切な形態を有することができる。例えば、費用関数は、システム又はプロセスの特定の特性(評価点)の意図された値(例えば、理想値)に対する、これらの特性の偏差の重み付けされた二乗平均平方根(RMS)でもよい。費用関数は、これらの偏差の最大値(すなわち、最悪の偏差)でもよい。本明細書における「評価点」という用語は、システム又はプロセスのあらゆる特性を包含するように広く解釈されるものとする。システムの設計変数は、システム又はプロセスの実施の実用性により、有限範囲に制限することができ、及び/又は相互依存であってもよい。リソグラフィ装置又はパターニングプロセスの場合、上記制限は、多くの場合、調節可能な範囲及び/又はパターニングデバイス製造可能性設計ルールなどのハードウェアの物理的性質及び特性に関連付けられ、及び評価点は、基板上のレジスト像上の物理的点、並びにドーズ及びフォーカスなどの非物理的特性を包含してもよい。
[0300] 本開示の具体的な実施形態を上記に記載したが、本開示は、記載された以外の方法で実施されてもよいことが認識されるだろう。例えば、本開示は、上記に開示されたような方法を記述する機械可読命令の1つ又は複数のシーケンスを含むコンピュータプログラム、又は内部にそのようなコンピュータプログラムを保存したデータストレージ媒体(例えば、半導体メモリ、磁気又は光ディスク)の形態を取ってもよい。
[0301] ブロック図では、図示されたコンポーネントが離散機能ブロックとして描
かれるが、実施形態は、本明細書に記載される機能性が図示通りに編成されるシステムに限定されない。各コンポーネントによって提供される機能性は、現在描かれているものとは異なるように編成されたソフトウェア又はハードウェアモジュールによって提供されてもよく、例えば、そのようなソフトウェア又はハードウェアは、混合、結合、複製、分割、配布(例えば、データセンター内で、又は地理的に)が行われてもよく、或いは、異なって編成されてもよい。本明細書に記載の機能性は、タンジブルで非一時的な機械可読媒体に保存されたコードを実行する1つ又は複数のコンピュータの1つ又は複数のプロセッサによって提供されてもよい。場合によっては、サードパーティコンテンツ配信ネットワークが、ネットワーク上で伝達される情報の一部又は全てをホスティングしてもよく、その場合、情報(例えばコンテンツ)が供給される、或いは提供されると言われている範囲で、コンテンツ配信ネットワークからその情報を読み出す命令を送ることによって、情報が提供されてもよい。
[0302] 特に別段の記載のない限り、上記説明から明らかなように、本明細書全体を通して、「処理する」、「計算する」、「演算する」、「決定する」などの用語を利用した説明は、専用コンピュータ又は類似の専用電子処理/計算デバイスなどの特定の装置の動作又はプロセスを指すことが認識される。
[0303] 読み手は、本出願が幾つかの発明を記載することを認識するはずである。これらの発明を複数の分離した特許出願に分けるのではなく、出願人は、これらの発明を、それらの関連した主題が出願プロセスの経済性に適しているという理由で、単一の文書にまとめている。しかし、このような発明の異なる利点及び局面は、1つにまとめられないものとする。場合によっては、実施形態は、本明細書に記載された欠点の全てに対処するが、これらの発明は、独立して有用であり、幾つかの実施形態は、このような問題の一部にのみ対処し、又は本開示を精査する当業者には明白となる他の言及されていない利点を提供することが理解されるものとする。コストの制約により、本明細書に開示される幾つかの発明は、現在請求されていない場合があり、及び継続出願などの後の出願で、又は現在の請求項の補正により、請求される場合がある。同様に、スペースの制約により、本文書の要約書部分及び発明の概要部分のどちらも、上記発明の全て、又は上記発明の全ての局面の包括的リストを含むと見なされるべきものではない。
[0304] 本明細書及び図面は、本発明を開示された特定の形態に限定することを意図したものではなく、逆に、その意図は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神及び範囲内に入る全ての変更形態、等価形態、及び代替形態を対象に含めることと理解されるものとする。
[0305] 本発明の様々な局面の変更形態及び代替実施形態は、本明細書に鑑みて、当業者には明らかとなるだろう。従って、本明細書及び図面は、単なる例示と見なされるべきものであり、及び本発明を実施する一般的な態様を当業者に教示する目的のものである。本明細書に図示及び記載される本発明の形態は、実施形態の例と見なされるべきであることが理解されるものとする。本発明の本明細書の恩恵を受けた後に全て当業者には明らかとなるように、要素及び材料が、本明細書に図示及び記載されたものの代わりに使用されてもよく、部品及びプロセスの反転又は削除が行われてもよく、特定のフィーチャが独立して利用されてもよく、及び複数の実施形態又は複数の実施形態のフィーチャが組み合わせられてもよい。以下の特許請求の範囲に記載されるような本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、本明細書に記載された要素に変更が行われてもよい。本明細書に使用される見出しは、単なる構成目的のものであり、本明細書の範囲を限定するために使用されることは意図されない。
[0306] 本出願全体を通して、「してもよい(may)」という語は、義務的な意味(すなわち、「しなければならない(must)」の意味)ではなく、許容の意味(すなわち、「~する可能性がある」の意味)で使用される。「含む(include)」、「含んでいる(including)」、及び「含む(includes)」などの語は、「限定されることなく含んでいること」を意味する。本出願全体を通して、単数形「a」、「an」、及び「the」は、内容が明らかにそうでないことを示さない限り、複数の指示対象を含む。従って、例えば、「1つの(an)」要素又は「1つの(a)」要素に対する言及は、「1つ又は複数の(one or more)」などの1つ又は複数の要素に対する他の用語及びフレーズの使用にもかかわらず、2つ以上の要素の組み合わせを含む。「又は(or)」という用語は、別段の指示のない限り、非排他的であり、すなわち、「及び(and)」と「又は(or)」の両方を包含する。例えば、「Xに応答して、Y」、「Xに際して、Y」、「もしXであれば、Y」「Xの時にY」などといった条件関係を表す用語は、先行詞が必要な因果条件であり、先行詞が十分な因果条件であり、又は先行詞が結果の一因となる因果条件である(例えば、「条件Yの獲得に際して、状態Xが生じる」は、「Yに際してのみXが生じる」及び「Xが、Y及びZに際して生じる」を包括する)因果関係を包含する。このような条件関係は、一部の結果が遅延され得ることから、先行詞の後にすぐさま続く獲得する結果に限定されず、条件文において、先行詞はそれらの結果に関係があり、例えば、先行詞は、結果が生じる可能性に関係する。複数の属性又は機能が複数の対象に対応付けられる文(例えば、1つ又は複数のプロセッサが、ステップA、B、C、及びDを行う)は、別段の指示がない限り、全てのそのような属性又は機能が、全てのそのような対象に対応付けられること、及び属性又は機能のサブセットが、属性又は機能のサブセットに対応付けられることの両方(例えば、全プロセッサのそれぞれが、ステップA~Dを行うこと、及びプロセッサ1がステップAを行い、プロセッサ2がステップB及びステップCの一部を行い、及びプロセッサ3がステップCの一部及びステップDを行うケースの両方)を包含する。さらに別段の指示がない限り、1つの値又は動作が別の条件又は値に「基づく」文は、その条件又は値が、唯一の因子である場合、及びその条件又は値が、複数の因子の中の1つの因子である場合の両方を包含する。別段の指示のない限り、ある集団の「各々の」例が、ある特性を有するという文は、より大きな集団の他の点では同一又は類似のメンバーがその特性を持たないケースを排除すると解釈されるべきではなく、すなわち、「各々」は、必ずしも、「ありとあらゆる」を意味しない。
[0307] 特定の米国特許、米国特許出願、又は他の資料(例えば、論文)が援用された範囲で、上記米国特許
、米国特許出願、及び他の資料の本文は、上記資料と、本明細書に明記された記載及び図面との間に矛盾のない範囲でのみ援用される。そのような矛盾の際には、上記援用された米国特許、米国特許出願、及び他の資料におけるそのような矛盾する本文は、厳密には本明細書に援用されない。
[0308] 上記の記載は、制限するものではなく、説明のためのものであることが意図される。従って、当業者には、以下に記載される請求項の範囲から逸脱することなく、記載された本開示に修正が行われてもよいことが明らかとなるだろう。