JP2020534427A - 生体適合性材料、並びにそれを作製及び使用する方法 - Google Patents

生体適合性材料、並びにそれを作製及び使用する方法 Download PDF

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Abstract

ヒドロゲルを形成することが可能な1つ以上のポリマーを含む組成物、並びに前記ヒドロゲルを作製及び使用する方法。より具体的には、長時間の粘膜滞留性(mucosal retention)を有するヒドロゲルを形成することが可能な1つ以上のポリマーを含む組成物、並びに前記ヒドロゲルを作製及び使用する方法。【選択図】なし

Description

生物医学的用途に使用される多くのポリマーがヒドロキシルを有する水溶性ポリマーである。ヒドロキシルを有する水溶性ポリマーの例としては、ヒアルロン酸(HA)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール、アルギネート、シクロデキストリン等が挙げられる。ヒドロキシルを有する水溶性ポリマーは、一般的に非毒性であり、一般的に、ヒドロキシル基により、これらのポリマーが水性環境で可溶性となる。しかしながら、ヒドロキシルを有する水溶性ポリマーは通常、単独では動物細胞又は組織に対して機能性を有さず、所望の特性を示すように修飾する必要がある。
例えば、ヒドロキシルを有する水溶性ポリマーは、ヒドロゲルとして使用するために修飾することができる。ヒドロゲルに使用されるヒドロキシルを有する水溶性ポリマーの修飾は従来、費用がかかり、生物医学的用途に適切ではない可能性がある、複雑な化学及び厳しい条件を伴う。
このため、適切に修飾したヒドロキシルを有するポリマーを含む、所望の特性を有するヒドロゲルを生成する必要がある。
本開示は、ヒドロゲルを形成することが可能なポリマー(例えば、生体適合性ポリマー)を含む組成物、並びにそれを作製及び使用する方法を提供する。例えば、組成物は、組成物中で少なくとも3dL/gの固有粘度[η](例えば、ウベローデ粘度計によって測定される)を有する1つ以上のヒドロゲル形成ポリマーを含み得る。組成物中のヒドロゲル形成ポリマーの濃度Cは、多くとも約5mg/mlであり得る。より具体的には、本開示は、柔らかいヒドロゲルを形成することが可能なポリマー(例えば、生体適合性ポリマー)を含む組成物、並びにそれを作製及び使用する方法を提供する。本開示に従って形成されるヒドロゲルは、比較的低いG’(例えば、約10.0Pa未満のG’)、G’’と比較して高いG’(例えば、G’’/G’<1)を有する一方で、比較的大きい降伏歪み(例えば、10%以上)を有することができる。したがって、本開示に従って形成されるヒドロゲルは、表面への塗布に適切である。加えて、本開示に従って形成されるヒドロゲルは、自己修復性(self-healing)であり得る。本開示のヒドロゲルは、高い剪断速度で低い粘度(例えば、約0.2Pa・s以下の複素粘度)を有することができ、僅かな力で表面全体に容易に塗布し得ることが示される。加えて、本開示によるヒドロゲルの粘度は、低い剪断速度に対して指数関数的に増大させることができ、静止時に安定し得ることが示される。さらに、本開示のヒドロゲルは、水中で溶解することなく自由に動くことを可能とすることができ、長時間(例えば、24時間以上)にわたって水に浸漬した後であっても、この特性を示し得る。
一態様では、本開示は、ヒドロゲルを形成することが可能なポリマーを含む組成物であって、ポリマーが約0.1mg/ml〜約5mg/ml(例えば、約0.2mg/ml〜約5mg/ml、約0.3mg/ml〜約5mg/ml、約0.4mg/ml〜約5mg/ml、約0.5mg/ml〜約5mg/ml、約0.6mg/ml〜約5mg/ml、約0.7mg/ml〜約5mg/ml、約0.8mg/ml〜約5mg/ml、約0.9mg/ml〜約5mg/ml、約1.0mg/ml〜約5mg/ml、約1.0mg/ml〜約4mg/ml、約1.0mg/ml〜約3mg/ml、約1.0mg/ml〜約2mg/ml、約0.3mg/ml〜約0.8mg/ml、約0.3mg/ml〜約0.6mg/ml、又は約0.3mg/ml〜約0.5mg/ml)の濃度Cを有する、組成物を提供する。
別の態様では、本開示は、組成物中で少なくとも3dL/g(例えば、少なくとも5dL/g、少なくとも8dL/g、少なくとも10dL/g、少なくとも12dL/g、少なくとも15dL/g、少なくとも16dL/g、少なくとも17dL/g、少なくとも18dL/g、少なくとも19dL/g、少なくとも20dL/g、少なくとも25dL/g、又はそれ以上)の固有粘度[η]を有する1つ以上のヒドロゲル形成ポリマーを含む組成物であって、組成物中のかかるヒドロゲル形成ポリマーの濃度Cが多くとも約5mg/ml(例えば、多くとも約4mg/ml、多くとも約3mg/ml、多くとも約2mg/ml、多くとも約1.5mg/ml、多くとも約1mg/ml、多くとも約0.9mg/ml、多くとも約0.8mg/ml、多くとも約0.7mg/ml、多くとも約0.6mg/ml、多くとも約0.5mg/ml、多くとも約0.4mg/ml、多くとも約0.3mg/ml、多くとも約0.2mg/ml、多くとも約0.1mg/ml、又はそれ以下)である、組成物を提供する。固有粘度[η]は、ウベローデ粘度計によって測定されるようなものであり得る。
別の態様では、本開示は、ヒドロゲルを形成することが可能な1つ以上のポリマーを含む組成物であって、組成物中の1つ以上のポリマー(例えば、ヒドロゲル形成ポリマー)の濃度C(例えば、全濃度)が多くとも約5mg/ml(例えば、多くとも約4mg/ml、多くとも約3mg/ml、多くとも約2mg/ml、多くとも約1.5mg/ml、多くとも約1mg/ml、多くとも約0.9mg/ml、多くとも約0.8mg/ml、多くとも約0.7mg/ml、多くとも約0.6mg/ml、多くとも約0.5mg/ml、多くとも約0.4mg/ml、多くとも約0.3mg/ml、多くとも約0.2mg/ml、多くとも約0.1mg/ml、又はそれ以下)であり、1つ以上のポリマーの少なくとも1つが、組成物中で少なくとも約3dL/g(例えば、少なくとも約5dL/g、少なくとも約8dL/g、少なくとも約10dL/g、少なくとも約12dL/g、少なくとも約15dL/g、少なくとも約16dL/g、少なくとも約17dL/g、少なくとも約18dL/g、少なくとも約19dL/g、少なくとも約20dL/g、少なくとも約25dL/g、又はそれ以上)の固有粘度[η]を有する、組成物を提供する。
幾つかの実施の形態では、1つ以上のポリマーは各々、組成物中で少なくとも3dL/g(例えば、少なくとも約5dL/g、少なくとも約8dL/g、少なくとも約10dL/g、少なくとも約12dL/g、少なくとも約15dL/g、少なくとも約16dL/g、少なくとも約17dL/g、少なくとも約18dL/g、少なくとも約19dL/g、少なくとも約20dL/g、少なくとも約25dL/g、又はそれ以上)の固有粘度[η]を有する。
幾つかの実施の形態では、組成物中のポリマーについて、その濃度Cは、濃度Cの約0.8倍〜約5倍(例えば、約0.8倍〜約4.5倍、約0.8倍〜約4.0倍、約0.8倍〜約3.5倍、約0.8倍〜約3.0倍、約0.8倍〜約2.5倍、約0.8倍〜約2.0倍、約0.8倍〜約1.5倍、約1.0倍〜約1.2倍、約1.8倍〜約2.0倍又は約1.0倍〜約2.0倍)であり、ここでC=1/([η])であり、該[η]はポリマーの固有粘度である。
幾つかの実施の形態では、組成物中のポリマーは、少なくとも3dL/g(例えば、少なくとも5dL/g、少なくとも8dL/g、少なくとも10dL/g、少なくとも12dL/g、少なくとも15dL/g、少なくとも16dL/g、少なくとも17dL/g、少なくとも18dL/g、少なくとも19dL/g、少なくとも20dL/g、少なくとも25dL/g、又はそれ以上)の[η]を有する。
幾つかの実施の形態では、前記ヒドロゲル形成ポリマーの少なくとも一部(some of)が、前記組成物において、形成されたヒドロゲル中に含まれる。
ヒドロゲルは、以下のうち少なくとも1つを有し得る:
1)動的振動剪断試験において測定される、約10.0Pa以下(例えば、約8.0Pa以下、約7.0Pa以下、約6.0Pa以下、約5.0Pa以下、約4.0Pa以下、約3.0Pa以下、約2.0Pa以下、約1.0Pa以下、約0.8Pa以下、約0.7Pa以下、約0.6Pa以下、約0.5Pa以下、又はそれ以下)の貯蔵弾性率G’;
2)動的振動剪断試験において測定される、約10.0Pa以下(例えば、約8.0Pa以下、約7.0Pa以下、約6.0Pa以下、約5.0Pa以下、約4.0Pa以下、約3.0Pa以下、約2.0Pa以下、約1.0Pa以下、約0.8Pa以下、約0.7Pa以下、約0.6Pa以下、約0.5Pa以下、又はそれ以下)の損失弾性率G’’;
3)約100rad/s未満(例えば、約90rad/s未満、約80rad/s未満、約70rad/s未満、約50rad/s未満、約40rad/s未満、約30rad/s未満、約20rad/s未満、約10rad/s未満、又はそれ以下)の周波数(frequency)で動的振動剪断試験において測定される、約0.2Pa・s以下(例えば、約0.1Pa・s以下、約0.08Pa・s以下、約0.07Pa・s以下、約0.06Pa・s以下、約0.05Pa・s以下又は約0.04Pa・s以下)の複素粘度;
4)動的振動歪み掃引試験(dynamic oscillatory strain sweep test)において測定される、少なくとも約10%(例えば、少なくとも約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.2%又は0.1%)の降伏歪み。
幾つかの実施の形態では、ヒドロゲルは、動的振動剪断試験において測定される、その貯蔵弾性率G’の約100%以下の損失弾性率G’’を有する。
幾つかの実施の形態では、前記ポリマーは親水性及び/又は水溶性である。
幾つかの実施の形態では、前記ポリマーは多糖、ポリ(アクリル酸)、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、エラスチン、コラーゲン、それらの誘導体及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される。例えば、ポリマーはポリ(アクリル酸)、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、それらの誘導体及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される。
幾つかの実施の形態では、前記ポリマーはヒアルロン酸、グアーガム、デンプン、キトサン、コンドロイチン硫酸、アルギネート、カルボキシメチルセルロース、それらの誘導体及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される。例えば、ポリマーはヒアルロン酸、グアーガム、アルギネート、カルボキシメチルセルロース、それらの誘導体及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される。
幾つかの実施の形態では、前記ポリマーはヒアルロン酸、その誘導体及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される。
幾つかの実施の形態では、ポリマーはアクリレート、マレイミド、ビニルスルホン、N−ヒドロキシスクシンイミド、アルデヒド、ケトン、カルボジイミド、カーボネート、ヨードアセチル、メルカプトニコチンアミド(mercaptonicotinamide)、キノン、チオール、アミン及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される1つ以上の修飾(modification)で修飾される(例えば、ポリマー誘導体)。例えば、ポリマーはマレイミド、ビニルスルホン、N−ヒドロキシスクシンイミド、アルデヒド、メルカプトニコチンアミド、キノン、チオール、アミン及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される1つ以上の修飾で修飾される。
例えば、前記ポリマーはアクリレート、マレイミド、ビニルスルホン、N−ヒドロキシスクシンイミド、アルデヒド、ケトン、カルボジイミド、カーボネート、ヨードアセチル、メルカプトニコチンアミド、キノン、チオール、アミン及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される1つ以上の修飾で修飾された誘導体を含むことができる。例えば、ポリマーはマレイミド、ビニルスルホン、N−ヒドロキシスクシンイミド、アルデヒド、メルカプトニコチンアミド、キノン、チオール、アミン及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される1つ以上の修飾で修飾された誘導体を含み得る。
前記誘導体は約3%〜約50%(例えば、約4%〜約45%、約5%〜約40%、約6%〜約40%、約7%〜約40%、約8%〜約39%、約8%〜約38%、約8%〜約35%、約9%〜約32%、約8%〜約30%、約10%〜約30%、約12%〜約30%、約13%〜約30%、約14%〜約30%、約15%〜約35%、又は約15%〜約30%)の平均修飾度(DM)を有することができる。
幾つかの実施の形態では、ポリマーは、少なくとも第1の修飾で修飾されたポリマーを含む第1のポリマー集団(population)と、第2の修飾で修飾されたポリマーを含む第2のポリマー集団とを含み、第1の修飾は第2の修飾とは異なり、第1のポリマー集団のポリマーが第2のポリマー集団のポリマーと反応してヒドロゲルを形成する。幾つかの実施の形態では、第1のポリマー集団に含まれるポリマーと第2のポリマー集団に含まれるポリマーとの比率は、約10:1〜約1:10(例えば10:2、10:3、10:4、10:5、10:6、10:7、10:8、10:9、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9又は1:10)である。幾つかの実施の形態では、第1のポリマー集団に含まれるポリマーと第2のポリマー集団に含まれるポリマーとの比率は、約3:1〜約1:3である。例えば、第1のポリマー集団に含まれるポリマーと第2のポリマー集団に含まれるポリマーとの比率は、約2:1〜約1:2であり得る。
上記比率は質量比、モル比、体積比及び/又はDM比であり得る。例えば、比率は、約3:1〜約1:3又は約2:1〜約1:2、例えば約1:1であり得る。DM比は、第1のポリマー集団のポリマーの平均DMと第2のポリマー集団のポリマーの平均DMとの比率を指す。
幾つかの実施の形態では、組成物は、少なくとも第1のポリマー誘導体と第2のポリマー誘導体とを含み、該第1のポリマー誘導体が第1の修飾を含み、前記第2のポリマー誘導体が第2の修飾を含み、該第1の修飾が前記第2の修飾とは異なり、前記第1のポリマー誘導体が前記第2のポリマー誘導体と反応して前記ヒドロゲルを形成することが可能である。
組成物中の第1のポリマー誘導体と第2のポリマー誘導体との質量比は、約10:1〜約1:10(例えば10:2、10:3、10:4、10:5、10:6、10:7、10:8、10:9、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9又は1:10)、例えば約3:1〜約1:3又は約2:1〜約1:2、例えば約1:1であり得る。
組成物中の第1のポリマー誘導体と第2のポリマー誘導体とのモル比は、約10:1〜約1:10(例えば10:2、10:3、10:4、10:5、10:6、10:7、10:8、10:9、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9又は1:10)、例えば約3:1〜約1:3又は約2:1〜約1:2、例えば約1:1であり得る。
組成物中の第1のポリマー誘導体と第2のポリマー誘導体との体積比は、約10:1〜約1:10(例えば10:2、10:3、10:4、10:5、10:6、10:7、10:8、10:9、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9又は1:10)、例えば約3:1〜約1:3又は約2:1〜約1:2、例えば約1:1であり得る。
幾つかの実施の形態では、第1のポリマー誘導体が第1のDM(DM1)を有し、第2のポリマー誘導体が第2のDM(DM2)を有し、第1のDM(DM1)と第2のDM(DM2)との比率は、約10:1〜約1:10(例えば10:2、10:3、10:4、10:5、10:6、10:7、10:8、10:9、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9又は1:10)、例えば約3:1〜約1:3、又は約2:1〜約1:2、例えば約1:1である。
幾つかの実施の形態では、前記第1の修飾及び前記第2の修飾は、独立してアクリレート、マレイミド、ビニルスルホン、N−ヒドロキシスクシンイミド、アルデヒド、ケトン、カルボジイミド、カーボネート、ヨードアセチル、メルカプトニコチンアミド、キノン、チオール、アミン及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される。
幾つかの実施の形態では、第1の修飾及び第2の修飾は、独立してマレイミド、ビニルスルホン、N−ヒドロキシスクシンイミド、アルデヒド、メルカプトニコチンアミド、キノン、チオール、アミン及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される。
幾つかの実施の形態では、ポリマーはヒアルロン酸であり、第1のポリマー集団は、1つ以上のビニルスルホン基で修飾されたヒアルロン酸を含み、第2のポリマー集団は、1つ以上のチオール基で修飾されたヒアルロン酸を含み、第1のポリマー集団のポリマーが第2のポリマー集団のポリマーと反応してヒドロゲルを形成することが可能である。
例えば、1つ以上のポリマーがヒアルロン酸誘導体であってもよく、第1のポリマー誘導体は、1つ以上のビニルスルホン基で修飾されたヒアルロン酸であってもよく、第2のポリマー誘導体は、1つ以上のチオール基で修飾されたヒアルロン酸であってもよく、第1のポリマー誘導体が第2のポリマー誘導体と反応してヒドロゲルを形成することが可能である。
幾つかの実施の形態では、ポリマーは、約100000ダルトン〜約5000000ダルトン(例えば、約120000ダルトン〜約5000000ダルトン、約200000ダルトン〜約5000000ダルトン、約300000ダルトン〜約5000000ダルトン、約400000ダルトン〜約5000000ダルトン、約500000ダルトン〜約5000000ダルトン、約600000ダルトン〜約5000000ダルトン、約670000ダルトン〜約5000000ダルトン、約1000000ダルトン〜約5000000ダルトン、約1500000ダルトン〜約5000000ダルトン、約2000000ダルトン〜約5000000ダルトン、約2500000ダルトン〜約5000000ダルトン、約2600000ダルトン〜約5000000ダルトン、約3000000ダルトン〜約5000000ダルトン、約3500000ダルトン〜約5000000ダルトン、約3600000ダルトン〜約5000000ダルトン、約2000000ダルトン〜約4000000ダルトン、約2500000ダルトン〜約3500000ダルトン、約2600000ダルトン〜約3600000ダルトン、約1000000ダルトン〜約2600000ダルトン、約800000ダルトン〜約2600000ダルトン、約700000ダルトン〜約2500000ダルトン、約670000ダルトン〜約2600000ダルトン、又は約600000ダルトン〜約2500000ダルトン)の平均分子量を有する。
幾つかの実施の形態では、ポリマーは、約3%〜約50%(約4%〜約45%、約5%〜約40%、約6%〜約40%、約7%〜約40%、約8%〜約39%、約8%〜約38%、約8%〜約35%、約9%〜約32%、約8%〜約30%、約10%〜約30%、約12%〜約30%、約13%〜約30%、約14%〜約30%、約15%〜約35%又は約15%〜約30%)の平均修飾度を有し得る、修飾を有するポリマー(ポリマー誘導体)を含む。
幾つかの実施の形態では、組成物は、架橋剤(例えば、組成物中のポリマーとは異なる架橋剤)を更に含む。架橋剤は小分子架橋剤(small molecule crosslinker)、高分子架橋剤又はそれらの任意の組合せであり得る。
例えば、前記架橋剤は、アクリレート、マレイミド、ビニルスルホン、ヒドロキシスクシンイミド、アルデヒド、ケトン、マルチカルボジイミド(multi-carbodiimide)、カーボネート、ヨードアセチル、メルカプトニコチンアミド、キノン、チオール、アミン及びそれらの任意の組合せから選択される基を有する分子を含む小分子架橋剤であり得る。
幾つかの実施の形態では、前記架橋剤は、アクリレート、マレイミド、ビニルスルホン、ヒドロキシスクシンイミド、アルデヒド、ケトン、マルチカルボジイミド、カーボネート、ヨードアセチル、メルカプトニコチンアミド、キノン、チオール、アミン及びそれらの組合せから選択される基を有する高分子を含む高分子架橋剤である。
幾つかの実施の形態では、前記架橋剤は、ジチオトレイトール、ジシステイン、PEG−ジチオール、4又は8アームPEGチオール、ジビニルスルホン、ビス(ビニルスルホニル)メタン、PEG−VS、及び4又は8アームPEGVSからなる群から選択される。
幾つかの実施の形態では、ポリマーは、1つ以上のビニルスルホン基で修飾され、架橋剤は、チオール含有分子である。例えば、架橋剤はジチオトレイトール、ジシステイン、PEG−ジチオール、及び4又は8アームPEGチオールからなる群から選択され得る。
幾つかの実施の形態では、ポリマーは、1つ以上のチオール基で修飾され、架橋剤は、ビニルスルホン含有分子である。例えば、架橋剤はジビニルスルホン、ビス(ビニルスルホニル)メタン、PEG−VS、及び4又は8アームPEGVSからなる群から選択される。
幾つかの実施の形態では、組成物は、組成物中のポリマーとは異なる架橋剤を全く含まない。例えば、組成物は、小分子架橋剤又はPEG系架橋剤を含まない。
幾つかの実施の形態では、本開示のポリマー以外に、組成物は、付加的な架橋剤を全く含まない。
幾つかの実施の形態では、組成物は緩衝液を含む。緩衝液は、リン酸緩衝液であり得る。
幾つかの実施の形態では、組成物は、約3.5〜約9.0(例えば、約4.0〜約9.0、約4.5〜約9.0、約5.0〜約9.0、約5.5〜約9.0、約6.0〜約9.0、約6.5〜約9.0、約7.0〜約9.0、約7.5〜約9.0、約8.0〜約9.0、約8.5〜約9.0、約7.0〜約7.8、又は約7.4)のpHを有する。
別の態様では、本開示は、本開示の組成物によって形成されるヒドロゲルに関する。
幾つかの実施の形態では、ヒドロゲルは生体適合性である。
幾つかの実施の形態では、ヒドロゲルは、動的振動剪断試験において測定される、約10.0Pa以下(例えば、約8.0Pa以下、約7.0Pa以下、約6.0Pa以下、約5.0Pa以下、約4.0Pa以下、約3.0Pa以下、約2.0Pa以下、約1.0Pa以下、約0.8Pa以下、約0.7Pa以下、約0.6Pa以下、約0.5Pa以下、又はそれ以下)の貯蔵弾性率G’を有する。
幾つかの実施の形態では、ヒドロゲルは、動的振動剪断試験において測定される、その貯蔵弾性率G’の約100%以下(例えば、約90%以下、約80%以下、約70%以下、約60%以下、約55%以下、約50%以下、約45%以下、約40%以下、約35%以下、約30%以下、約25%以下又は約20%以下)である損失弾性率G’’を有する。
幾つかの実施の形態では、ヒドロゲルは、約100rad/s超の周波数で動的振動剪断試験において測定される、約0.2Pa・s以下(例えば、約0.1Pa・s以下、約0.08Pa・s以下、約0.07Pa・s以下、約0.06Pa・s以下、約0.05Pa・s以下又は約0.04Pa・s以下)の複素粘度を有する。
幾つかの実施の形態では、ヒドロゲルは、動的振動歪み掃引試験において測定される、少なくとも約10%(例えば、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約100%、少なくとも約110%、又はそれ以上)の降伏歪みを有する。
別の態様では、本開示は、ヒドロゲル(本開示のヒドロゲル等)を作製する方法に関する。該方法は、a)本開示の組成物を準備することと、組成物をヒドロゲルの形成を可能にする条件に曝すこととを含み得る。
幾つかの実施の形態では、曝すことは、組成物を約30℃〜約45℃(例えば、約32℃〜約40℃、約35℃〜約40℃、例えば約37℃)でインキュベートすることを含む。
幾つかの実施の形態では、方法は、1)第1のポリマー集団及び第2のポリマー集団(例えば、第1のポリマー集団中のポリマーは、約2600000ダルトンの分子量及び約30%の修飾度を有する、1つ以上のビニルスルホン基で修飾されたヒアルロン酸を含んでいてもよく、第2のポリマー集団中のポリマーは、約2600000ダルトンの分子量及び約30%の修飾度を有する、1つ以上のチオール基で修飾されたヒアルロン酸を含んでいてもよい)を水中で作製し、pHを約7.4に調整する(例えば、緩衝溶液を添加することによる)ことと、2)第1のポリマー集団のポリマーと第2のポリマー集団のポリマーとを約1:1の比率(例えば、質量比)で混合することと(ポリマーの濃度C(例えば、全濃度)は、約0.3mg/ml〜0.5mg/mlである)、3)混合物を約37℃で約24時間インキュベートすることとを含み得る。
幾つかの実施の形態では、方法は、1)第1のポリマー集団及び第2のポリマー集団(例えば、第1のポリマー集団中のポリマーは、約2600000ダルトンの分子量及び約8%の修飾度を有する、1つ以上のビニルスルホン基で修飾されたヒアルロン酸を含んでいてもよく、第2のポリマー集団中のポリマーは、約2600000ダルトンの分子量及び約8%の修飾度を有する、1つ以上のチオール基で修飾されたヒアルロン酸を含んでいてもよい)を水中で作製し、pHを約7.4に調整する(例えば、緩衝溶液を添加することによる)ことと、2)第1のポリマー集団のポリマーと第2のポリマー集団のポリマーとを約1:1の比率(例えば、質量比)で混合することと(ポリマーの濃度(例えば、全濃度)Cは、約0.3mg/ml〜0.5mg/mlである)、3)混合物を約37℃で約24時間インキュベートすることとを含み得る。
本開示の付加的な態様及び利点は、本開示の例示的な実施形態のみを示し、説明する以下の発明を実施するための形態から当業者に容易に明らかとなる。認識されるように、本開示では他の種々の実施形態が可能であり、その幾つかの細部を全て本開示から逸脱することのない様々な明白な点で変更することが可能である。したがって、図面及び本明細書は限定的なものではなく、本質的に例示的なものであるとみなされる。
参照による援用
本明細書に記載の全ての刊行物、特許及び特許出願は、それぞれ個々の刊行物、特許又は特許出願が具体的に及び個々に引用することにより本明細書の一部をなすことが示された場合と同じ程度において引用することにより本明細書の一部をなす。
本発明の新規の特徴は添付の特許請求の範囲に詳細に記載される。本発明の特徴及び利点は、本発明の原理が利用される例示的な実施形態を記載する以下の発明を実施するための形態及び添付の図面(さらに、本明細書での「図」("figure" and "FIG."))を参照することによってより良好に理解される。
HA−VSポリマーの合成を示す図である。 HA−SHポリマーの合成を示す図である。 本開示のヒドロゲルの合成を示す図である。 本開示のヒドロゲルの弾性率を示す図である。 本開示のヒドロゲルの弾性率を示す図である。 本開示のヒドロゲルの弾性率及び複素粘度を示す図である。 本開示のヒドロゲルの歪み掃引試験及び周波数掃引試験を示す図である。 本開示のヒドロゲルの歪み掃引試験及び周波数掃引試験を示す図である。 ヒドロゲルの機械的特性を説明する例を示す図である。
本明細書では本発明の様々な実施形態を示して説明したが、かかる実施形態は例としてのみ提供されていることは当業者には明らかであろう。当業者は、本発明から逸脱することなく、多数の変形、変更、及び置換を想到するであろう。本明細書に記載される本発明の実施形態の様々な代替物を使用できることを理解されたい。
「生体適合性の」又は「生体適合性」という用語は、本明細書で使用される場合、一般的に、毒性でなく、傷害性でなく若しくは生理学的に反応性でなく、及び/又は免疫学的拒絶を引き起こさないという点で生体組織又は生体系に適合する状態(condition)を指す。
「ポリマー」という用語は、本明細書で使用される場合、一般的に、重合によって形成され、反復構造単位から本質的になる化学化合物又は化合物の混合物を指す。
「ヒドロゲル」という用語は、本明細書で使用される場合、一般的に、水溶液(例えば、水)に懸濁された1つ以上のポリマーを含むゲル又はゲル状構造を指す。
「粘度」という用語は、本明細書で使用される場合、一般的に、流体又は半流体(semifluid)中の流れに対する抵抗の特性を指す。
「固有粘度」という用語は、本明細書で使用される場合、一般的に、系(例えば、溶液)の粘度への物質(例えば、ポリマー)の寄与の尺度を指す。本開示では、固有粘度[η]は、ウベローデ粘度計又は示差粘度計によって測定することができる。代替的には、固有粘度[η]は、固有粘度と分子量との間の確立された関係によるマーク−フウィンクの式から算出することができる。
「ヒドロゲル形成ポリマー」という用語は、本明細書で使用される場合、一般的に、ヒドロゲルの形成に関与するポリマーを指す。ヒドロゲル形成ポリマーは、ヒドロゲルを形成することが可能な天然ポリマー又は合成ポリマーであり得る。ヒドロゲル形成ポリマーは、ヒドロゲル形成に寄与するポリマー(複数の場合もある)を含み得る。幾つかの実施形態では、ヒドロゲル形成ポリマーは、本開示の組成物中に存在する場合であっても、ヒドロゲル形成に関与することが可能でないポリマー、及び/又はヒドロゲルを形成することができないポリマーを含まない。場合によっては、ヒドロゲル形成ポリマーは、「骨格ポリマー」とも称され得る。
「C」という用語は、本明細書で使用される場合、一般的に、組成物中のポリマー(単数又は複数)の全濃度を指す。例えば、ヒドロゲル形成ポリマーのCは、本開示のヒドロゲルを形成する及び/又は形成したポリマーの全濃度を指し得る。例えば、Cは、本開示の組成物中に存在するヒドロゲル形成ポリマーの全濃度を指し得る。場合によっては、本開示の組成物は、既にヒドロゲルを形成したヒドロゲル形成ポリマー、及び/又は未だヒドロゲル中に組み込まれていないヒドロゲル形成ポリマーを含んでいてもよく、ヒドロゲル形成ポリマーのCは、組成物中に存在するヒドロゲル形成ポリマー(例えば、既にヒドロゲル中に組み込まれたポリマー及び未だ組み込まれていないポリマーの両方を含む)の全濃度を指し得る。別の例では、少なくとも3dL/gの固有粘度[η]を有するヒドロゲル形成ポリマーのCは、少なくとも3dL/gの固有粘度[η]を有するヒドロゲル形成ポリマーの全濃度を指し得る。
「貯蔵弾性率」という用語は、本明細書で使用される場合、一般的に、測定される貯蔵エネルギーを表し、弾性部分を表す。
「実質的な」という用語は、本明細書で使用される場合、一般的に、最小限の又は僅かな量よりも多いことを指し、「実質的に」は一般的に、最小限又は僅かによりも多いことを指す。「の実質的な部分」という用語は、本明細書で使用される場合、一般的に、対応する対象の全体の量、数量、配列、長さ、濃度等の少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%である、対象の一部の量、数量、配列、長さ、濃度等を指す。
「蛍光物質(fluorescer)」又は「蛍光部分」という用語は、本明細書で使用される場合、一般的に、検出可能な範囲で蛍光性を示すことが可能な物質又はその一部分を指す。検出可能な標識としての使用に適切な例示的な検出可能部分は、例えばアフィニティタグ及び蛍光タンパク質を含み得る。
「から本質的になる」という用語は、本明細書で使用される場合、一般的に、実質的な部分が指定の構成要素又は成分でできていることを指す。
「損失弾性率G’’」という用語は、本明細書で使用される場合、一般的に、測定される損失エネルギーを指し、粘性部分を表す。
「降伏歪み」という用語は、本明細書で使用される場合、一般的に、材料が塑性変形し始める歪みを指し、降伏点は、非線形(弾性及び塑性)変形が始まる点である。降伏点より前では、材料は弾性変形し、加えられた応力が除去されると、その元の形状に戻る。
「親水性」という用語は、本明細書で使用される場合、一般的に、水に対する親和性を有し、水を吸収するか又は水で濡れることが可能であることを指す。親水性の分子又は分子の一部分は、水及び他の極性物質との相互作用が油又は他の疎水性溶媒との相互作用より熱力学的に有利なものである。
「平均修飾度(DM)」という用語は、本明細書で使用される場合、一般的に、ポリマー中のペンダント基を有する反復単位のパーセンテージを指す。DMは、ヒドロゲル形成ポリマー誘導体の修飾の程度を反映し得る。
「架橋剤」という用語は、本明細書で使用される場合、一般的に或るポリマー鎖を結合により別のポリマー鎖に連結する作用物質を指す。架橋剤は、共有結合又は非共有結合を介した架橋を達成することができる。「ポリマー鎖」は、合成ポリマー又は天然ポリマー(タンパク質等)を指す場合がある。高分子化学では、合成ポリマーが「架橋される」場合、通常はポリマーのバルク全体が架橋法に曝されたことを意味する。生じる機械的特性の変化は、架橋密度に強く依存する。架橋は熱、圧力、pHの変化又は放射線によって開始する化学反応によって形成することができる。
「約」という用語は、数値との関連で使用される場合、一般的に、指定の値を1%〜15%未満(例えば、1%未満、2%未満、3%未満、4%未満、5%未満、6%未満、7%未満、8%未満、9%未満、10%未満、11%未満、12%未満、13%未満、14%未満又は15%未満)上回る又は下回る値を指す。
「柔らかいヒドロゲル」という用語は、本明細書で使用される場合、一般的に、比較的低いG’(例えば、1Pa未満又は約1Pa)及び/又はG’’と比較して高いG’(例えば、G’’/G’<1)を有する一方で、比較的大きい降伏歪み(例えば、10%以上、20%以上、50%以上、70%以上、又は更には100%以上)を有するヒドロゲルを指す。例えば、柔らかいヒドロゲルは、特に表面への塗布に適切であり得る。
値の範囲(例えば、数値範囲)が提示される場合、文脈上明らかに別段の指示がない限り、下限の単位の10分の1までの、その範囲の上限と下限との間にある各々の値、及びその提示の範囲内の任意の他の提示される又は間にある値が本発明に包含されることが理解される。提示の範囲内の限界が具体的に除外される場合、これらのより小さな範囲の上限及び下限を、独立してこのより小さな範囲内に含めることができ、同様に本発明に包含される。提示の範囲が一方又は両方の限界を含む場合、これらの含まれる限界の一方又は両方を除外する範囲も本発明に含まれる。
他に規定のない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと同様又は同等の方法及び材料を本発明の実施又は試験に使用することができ、好適な方法及び材料を次に説明する。本明細書で言及される全ての刊行物は、それによって引用される刊行物と関連して上記方法及び/又は材料を開示及び説明するため引用することにより本明細書の一部をなす。
本明細書で使用される場合、文脈上他に明らかに指示されない限り、数量を特定していない単数形(The singular forms "a," "and" and "the")は、複数の指示対象を含む。このため、例えば、「粒子(a particle)」への言及は、複数のかかる粒子を含み、「配列(the sequence)」への言及は、1つ以上の該配列及び当業者に既知のその均等物等への言及を含む。
本開示を読むことで当業者に理解されるように、本明細書に記載及び説明される個々の実施形態は各々、本発明の範囲又は趣旨を逸脱しない限り、他の幾つかの実施形態のいずれかの特徴部から容易に分離するか又はそれと組み合わせることができる個別の構成要素及び特徴部を有する。任意の記載の方法を記載の事象の順序又は論理的に可能な任意の他の順序で行うことができる。これは、全てのかかる組合せを支持することを意図したものである。
本開示は、ヒドロゲルを形成することが可能なポリマーを含む組成物、並びにそれを作製及び使用する方法を提供する。例えば、組成物は、組成物中で少なくとも3dL/gの固有粘度[η](例えば、ウベローデ粘度計によって測定される)を有する1つ以上のヒドロゲル形成ポリマーを含み得る。組成物中のヒドロゲル形成ポリマーの濃度Cは、多くとも約5mg/mlであり得る。より具体的には、本開示は、柔らかいヒドロゲルを形成することが可能なポリマーを含む組成物、並びにそれを作製及び使用する方法を提供する。
一態様では、本開示は、ヒドロゲルを形成することが可能なポリマーを含む組成物、例えばヒドロゲルを形成することが可能な1つ以上のポリマーを含む組成物を提供する。組成物中のポリマー又は1つ以上のポリマーは、多くとも約5mg/ml(例えば、多くとも約4mg/ml、多くとも約3mg/ml、多くとも約2mg/ml、多くとも約1.5mg/ml、多くとも約1mg/ml、多くとも約0.9mg/ml、多くとも約0.8mg/ml、多くとも約0.7mg/ml、多くとも約0.6mg/ml、多くとも約0.5mg/ml、多くとも約0.4mg/ml、多くとも約0.3mg/ml、多くとも約0.2mg/ml、多くとも約0.1mg/ml、又はそれ以下)の濃度Cを有し得る。例えば、組成物中のポリマー又は1つ以上のポリマーは、約0.05mg/ml〜約5mg/ml(例えば、約0.1mg/ml〜約5mg/ml、約0.2mg/ml〜約5mg/ml、約0.3mg/ml〜約5mg/ml、約0.4mg/ml〜約5mg/ml、約0.5mg/ml〜約5mg/ml、約0.6mg/ml〜約5mg/ml、約0.7mg/ml〜約5mg/ml、約0.8mg/ml〜約5mg/ml、約0.9mg/ml〜約5mg/ml、約1.0mg/ml〜約5mg/ml、約1.0mg/ml〜約4mg/ml、約1.0mg/ml〜約3mg/ml、約1.0mg/ml〜約2mg/ml、約0.3mg/ml〜約0.8mg/ml、約0.3mg/ml〜約0.6mg/ml又は約0.3mg/ml〜約0.5mg/ml)の濃度Cを有し得る。
別の態様では、本開示は、1つ以上のヒドロゲル形成ポリマーを含む組成物を提供する。かかるヒドロゲル形成ポリマーは、組成物中で少なくとも3dL/g(例えば、少なくとも約5dL/g、少なくとも約8dL/g、少なくとも約10dL/g、少なくとも約12dL/g、少なくとも約15dL/g、少なくとも約16dL/g、少なくとも約17dL/g、少なくとも約18dL/g、少なくとも約19dL/g、少なくとも約20dL/g、少なくとも約25dL/g、又はそれ以上)の固有粘度[η](例えば、ウベローデ粘度計によって測定される)を有し得る。幾つかの実施形態では、固有粘度[η]は、示差粘度計によって測定される。代替的には、固有粘度[η]は、固有粘度と分子量との間の確立された関係によるマーク−フウィンクの式から算出することができる。
組成物中のヒドロゲル形成ポリマー(複数の場合もある)(例えば、少なくとも3dL/gの固有粘度[η]を有するヒドロゲル形成ポリマー)の全濃度は、Cである。Cは、多くとも約5mg/ml(例えば、多くとも約4mg/ml、多くとも約3mg/ml、多くとも約2mg/ml、多くとも約1.5mg/ml、多くとも約1mg/ml、多くとも約0.9mg/ml、多くとも約0.8mg/ml、多くとも約0.7mg/ml、多くとも約0.6mg/ml、多くとも約0.5mg/ml、多くとも約0.4mg/ml、多くとも約0.3mg/ml、多くとも約0.2mg/ml、多くとも約0.1mg/ml、又はそれ以下)であり得る。例えば、Cは、約0.05mg/ml〜約5mg/ml(例えば、約0.1mg/ml〜約5mg/ml、約0.2mg/ml〜約5mg/ml、約0.3mg/ml〜約5mg/ml、約0.4mg/ml〜約5mg/ml、約0.5mg/ml〜約5mg/ml、約0.6mg/ml〜約5mg/ml、約0.7mg/ml〜約5mg/ml、約0.8mg/ml〜約5mg/ml、約0.9mg/ml〜約5mg/ml、約1.0mg/ml〜約5mg/ml、約1.0mg/ml〜約4mg/ml、約1.0mg/ml〜約3mg/ml、約1.0mg/ml〜約2mg/ml、約0.3mg/ml〜約0.8mg/ml、約0.3mg/ml〜約0.6mg/ml、又は約0.3mg/ml〜約0.5mg/ml)であり得る。
場合によっては、組成物中のポリマー、1つ以上のポリマー、又はヒドロゲル形成ポリマーは、約0.01%(w/v)〜約4%(w/v)、例えば、約0.02%(w/v)〜約4%(w/v)、約0.03%(w/v)〜約4%(w/v)、約0.04%(w/v)〜約4%(w/v)、約0.05%(w/v)〜約4%(w/v)、約0.06%(w/v)〜約4%(w/v)、約0.07%(w/v)〜約4%(w/v)、約0.08%(w/v)〜約4%(w/v)、約0.09%(w/v)〜約4%(w/v)、約0.1%(w/v)〜約4%(w/v)、約0.11%(w/v)〜約4%(w/v)、約0.12%(w/v)〜約4%(w/v)、約0.13%(w/v)〜約4%(w/v)、約0.14%(w/v)〜約4%(w/v)、約0.15%(w/v)〜約4%(w/v)、約0.2%(w/v)〜約4%(w/v)、約0.25%(w/v)〜約4%(w/v)、約0.3%(w/v)〜約4%(w/v)、約0.4%(w/v)〜約4%(w/v)、約0.5%(w/v)〜約4%(w/v)、約0.6%(w/v)〜約4%(w/v)、約0.7%(w/v)〜約4%(w/v)、約0.8%(w/v)〜約4%(w/v)、約0.9%(w/v)〜約4%(w/v)、約1%(w/v)〜約4%(w/v)、約2%(w/v)〜約4%(w/v)、約3%(w/v)〜約4%(w/v)、又は約3.5%(w/v)〜約4%(w/v)の濃度Cを有し得る。
ポリマー、1つ以上のポリマーの少なくとも1つ、又はヒドロゲル形成ポリマーは、組成物中で少なくとも約3dL/g(例えば、少なくとも約5dL/g、少なくとも約8dL/g、少なくとも約10dL/g、少なくとも約12dL/g、少なくとも約15dL/g、少なくとも約16dL/g、少なくとも約17dL/g、少なくとも約18dL/g、少なくとも約19dL/g、少なくとも約20dL/g、少なくとも約25dL/g、又はそれ以上)の固有粘度[η]を有し得る。
場合によっては、1つ以上のポリマー、又はヒドロゲル形成ポリマーのそれぞれは、組成物中で少なくとも3dL/g(例えば、少なくとも約5dL/g、少なくとも約8dL/g、少なくとも約10dL/g、少なくとも約12dL/g、少なくとも約15dL/g、少なくとも約16dL/g、少なくとも約17dL/g、少なくとも約18dL/g、少なくとも約19dL/g、少なくとも約20dL/g、少なくとも約25dL/g、又はそれ以上)の固有粘度[η]を有し得る。
例えば、組成物中に1種類のポリマー(例えば、ヒドロゲル形成ポリマー)のみが存在する場合、このポリマーは、組成物中で少なくとも3dL/g(例えば、少なくとも約5dL/g、少なくとも約8dL/g、少なくとも約10dL/g、少なくとも約12dL/g、少なくとも約15dL/g、少なくとも約16dL/g、少なくとも約17dL/g、少なくとも約18dL/g、少なくとも約19dL/g、少なくとも約20dL/g、少なくとも約25dL/g、又はそれ以上)の固有粘度[η]を有し得る。組成物中に2種類以上のポリマー(例えば、ヒドロゲル形成ポリマー)が存在する場合、それらの1つ以上、又は更にはそれらの各々が、組成物中で少なくとも3dL/g(例えば、少なくとも約5dL/g、少なくとも約8dL/g、少なくとも約10dL/g、少なくとも約12dL/g、少なくとも約15dL/g、少なくとも約16dL/g、少なくとも約17dL/g、少なくとも約18dL/g、少なくとも約19dL/g、少なくとも約20dL/g、少なくとも約25dL/g、又はそれ以上)の固有粘度[η]を有し得る。
組成物中のポリマー(例えば、ヒドロゲル形成ポリマー)について、その濃度Cは、濃度Cの約0.8倍〜約5倍(例えば、約0.8倍〜約4.5倍、約0.8倍〜約4.0倍、約0.8倍〜約3.5倍、約0.8倍〜約3.0倍、約0.8倍〜約2.5倍、約0.8倍〜約2.0倍、約0.8倍〜約1.5倍又は約1.0倍〜約1.2倍)であってもよく、ここでC=1/([η])であり、[η]はポリマーの固有粘度である。
例えば、組成物中に2種類以上のポリマー(例えば、ヒドロゲル形成ポリマー)が存在する場合、組成物中のそれらの全濃度は、Cとすることができ、各種類のポリマーが濃度Cを有し得る。1種類のポリマーの濃度Cが別の種類のポリマーの濃度Cとは異なる場合がある。各種類のポリマーについて、その濃度Cは、濃度Cの約0.8倍〜約5倍(例えば、約0.8倍〜約4.5倍、約0.8倍〜約4.0倍、約0.8倍〜約3.5倍、約0.8倍〜約3.0倍、約0.8倍〜約2.5倍、約0.8倍〜約2.0倍、約0.8倍〜約1.5倍又は約1.0倍〜約1.2倍)であってもよく、ここでC=1/([η])であり、[η]はポリマーの固有粘度である。
場合によっては、ヒドロゲル形成ポリマー(例えば、組成物中の少なくとも3dL/gの固有粘度[η]を有するヒドロゲル形成ポリマー)の全濃度Cは、多くとも約5mg/ml(例えば、多くとも約4mg/ml、多くとも約3mg/ml、多くとも約2mg/ml、多くとも約1.5mg/ml、多くとも約1mg/ml、多くとも約0.9mg/ml、多くとも約0.8mg/ml、多くとも約0.7mg/ml、多くとも約0.6mg/ml、多くとも約0.5mg/ml、多くとも約0.4mg/ml、多くとも約0.3mg/ml、多くとも約0.2mg/ml、多くとも約0.1mg/ml、又はそれ以下)であり得る。例えば、少なくとも3dL/gの固有粘度[η]を有するヒドロゲル形成ポリマーの全濃度Cは、約0.05mg/ml〜約5mg/ml(例えば、約0.1mg/ml〜約5mg/ml、約0.2mg/ml〜約5mg/ml、約0.3mg/ml〜約5mg/ml、約0.4mg/ml〜約5mg/ml、約0.5mg/ml〜約5mg/ml、約0.6mg/ml〜約5mg/ml、約0.7mg/ml〜約5mg/ml、約0.8mg/ml〜約5mg/ml、約0.9mg/ml〜約5mg/ml、約1.0mg/ml〜約5mg/ml、約1.0mg/ml〜約4mg/ml、約1.0mg/ml〜約3mg/ml、約1.0mg/ml〜約2mg/ml、約0.3mg/ml〜約0.8mg/ml、約0.3mg/ml〜約0.6mg/ml、又は約0.3mg/ml〜約0.5mg/ml)であり得る。
組成物は、約3.5〜約9.0、例えば、約4.0〜約9.0、約4.5〜約9.0、約5.0〜約9.0、約5.5〜約9.0、約6.0〜約9.0、約6.5〜約9.0、約7.0〜約9.0、約7.5〜約9.0、約8.0〜約9.0、約8.5〜約9.0、約7.0〜約7.8、又は約7.4のpHを有し得る。
別の態様では、本開示は、本開示の組成物によって形成されるヒドロゲルを提供する。ヒドロゲルは、生体適合性であり得る。
場合によっては、初めに、組成物中のヒドロゲル形成ポリマーは、非架橋形態で存在していてもよく(例えば、ヒドロゲルが未だ形成されていない)、或る特定の処理の後に(例えば、或る特定の時間、例えば12時間以上にわたって例えば37℃でインキュベートした後に)、ヒドロゲル形成ポリマーの一部が化学的及び/又は物理的に架橋してヒドロゲルを形成することができる。或る特定の実施形態では、ほぼ全てのヒドロゲル形成ポリマーが化学的及び/又は物理的に架橋してヒドロゲルを形成する。
このため、場合によっては、組成物は、形成されたヒドロゲルを含んでいてもよい。このような場合には、ヒドロゲル形成ポリマーの少なくとも一部が組成物において形成されたヒドロゲル中に含まれる。例えば、組成物中のヒドロゲル形成ポリマーは、既にヒドロゲルを形成したポリマー、及び未だヒドロゲル中に組み込まれていないが、或る特定の反応条件下で(例えば、37℃で或る特定の時間、例えば12時間にわたってインキュベートした後に)ヒドロゲルを形成することが可能なポリマーの両方を含むことができる。このような場合には、既にヒドロゲルに含まれるヒドロゲル形成ポリマー及び未だヒドロゲル中に組み込まれていないヒドロゲル形成ポリマーの両方の全濃度Cは、多くとも約5mg/mlであり得る。
場合によっては、組成物中のほぼ全てのヒドロゲル形成ポリマーが、ヒドロゲルを形成していてもよい(例えば、化学的及び/又は物理的架橋による)。
本開示によるヒドロゲルは、1つ以上の特定の特徴/特性を有し得る。
例えば、本開示のヒドロゲルは、動的振動剪断試験において測定される、約10.0Pa以下(例えば、約8.0Pa以下、約7.0Pa以下、約6.0Pa以下、約5.0Pa以下、約4.0Pa以下、約3.0Pa以下、約2.0Pa以下、約1.0Pa以下、約0.8Pa以下、約0.7Pa以下、約0.6Pa以下、約0.5Pa以下、又はそれ以下)の貯蔵弾性率G’を有し得る。
本開示のヒドロゲルは、動的振動剪断試験において測定される、その貯蔵弾性率G’の約100%以下(例えば、約90%以下、約80%以下、約70%以下、約60%以下、約55%以下、約50%以下、約45%以下、約40%以下、約35%以下、約30%以下、約25%以下又は約20%以下)の損失弾性率G’’を有し得る。
本開示のヒドロゲルは、約100rad/s未満(例えば、約90rad/s未満、約80rad/s未満、約70rad/s未満、約50rad/s未満、約40rad/s未満、約30rad/s未満、約20rad/s未満、約10rad/s未満、又はそれ以下)の周波数で動的振動剪断試験において測定される、約0.2Pa・s以下(例えば、約0.1Pa・s以下、約0.08Pa・s以下、約0.07Pa・s以下、約0.06Pa・s以下、約0.05Pa・s以下又は約0.04Pa・s以下)の複素粘度を有し得る。
本開示のヒドロゲルは、動的振動歪み掃引試験において測定される、少なくとも約10%(例えば、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約100%、少なくとも約110%、又はそれ以上)の降伏歪みを有し得る。
例えば、動的振動剪断試験では、正弦波力(sinusoidal force)(例えば、応力)を材料に加えることができ、生じる変位(歪み)を測定することができる。完全弾性の固体については、生じる歪み及び応力は、完全に位相が一致し得る。純粘性流体については、応力に対する歪みの90度の位相遅れが存在し得る。中間の特徴を有する粘弾性ポリマーは、試験中に位相遅れを有する場合があり、それに応じて貯蔵弾性率を算出することができる。
動的機械分析装置(DMA)を貯蔵弾性率の測定に使用することができ、動的振動剪断試験に使用することができる。別の例では、DMA分析装置は、計器プローブが磁気コアを通過することで生じる電圧の変化を測定することができる変位センサー(線形可変差動変圧器等)を備えていてもよい。DMA分析装置は、温度制御システム又は炉、駆動モーター(例えば、加えられた力のローディングをもたらすことができるプローブローディングのためのリニアモーター)、ドライブシャフト支持体、及びモーターからサンプルへの力のガイドとして働く誘導システム、及び試験されるサンプルを保持するための1つ以上のサンプルクランプを更に備えていてもよい。
様々なタイプのDMA分析装置を使用することができる。例えば、強制共鳴(forced resonance)分析装置又は自由共鳴(free resonance)分析装置を使用することができる。自由共鳴分析装置では、サンプルを保持し(suspending:吊り下げ)揺動させることにより、試験されるサンプルの減衰の自由振動を測定することができる。強制共鳴分析装置では、サンプルを或る特定の周波数で振動させることができ、温度掃引を確実に行うことができる。分析装置は、応力(力)及び歪み(変位)制御の両方のためのものであってもよい。例えば、歪み制御では、プローブを動かすことができ、生じるサンプルの応力を、異なる軸を用いることができる力平衡変換器を実装することによって測定することができる。応力制御では、一定の力を加えることができ、幾つかの他の実験条件(温度、周波数又は時間)を変更することができる。応力及び歪みは、ねじり(torsional)又は軸(axial)分析装置により加えることができる。ねじり分析装置では、力がねじり運動で加えられる。軸分析装置は曲げ、引張及び/又は圧縮試験に用いることができる。
温度掃引試験、周波数掃引試験、動的応力−歪み試験又はそれらの組合せ等の様々な試験モードを用いてポリマーの粘弾性特性を精査することができる。例えば、動的応力−歪み試験では、振動振幅を漸増させることにより、動的応力−歪み測定を行うことができる。応力の増大に伴う貯蔵弾性率及び損失弾性率の変動を材料の特性評価に用いることができ、材料の線形応力−歪みレジームの上限を決定するために用いることができる。
様々な機械的特性をDMAによって決定することができる。これらの特性としては、貯蔵弾性率(G’)、損失弾性率(G’’)、複素弾性率(G)、損失角(tan(δ))、複素粘度(η)、その同相分(η’)及び異相分(η’’)、複素コンプライアンス(J)、貯蔵コンプライアンス(J’)、損失コンプライアンス(J’’)等が挙げられる。
別の態様では、本開示は、ヒドロゲル(例えば、本開示のヒドロゲル)を作製する方法を提供する。該方法は、組成物(例えば、本開示の1つ以上のポリマーを含む組成物)を準備することと、組成物をヒドロゲルの形成を可能にする(例えば、ヒドロゲルを形成するポリマーの架橋を可能にする)条件に曝すこととを含み得る。例えば、該条件は、組成物を約30℃〜約45℃(例えば約32℃〜約40℃、約35℃〜約40℃、例えば約37℃)でインキュベートすることを含み得る。
方法は、本開示において規定されるポリマーを緩衝液中で作製し、ポリマー溶液を形成することを更に含み得る。溶液は、1種類以上のポリマーを含んでいてもよい。ポリマー溶液中のポリマー(例えば、ヒドロゲル形成ポリマー)は、多くとも約5mg/ml(例えば、多くとも約4mg/ml、多くとも約3mg/ml、多くとも約2mg/ml、多くとも約1.5mg/ml、多くとも約1mg/ml、多くとも約0.9mg/ml、多くとも約0.8mg/ml、多くとも約0.7mg/ml、多くとも約0.6mg/ml、多くとも約0.5mg/ml、多くとも約0.4mg/ml、多くとも約0.3mg/ml、多くとも約0.2mg/ml、多くとも約0.1mg/ml、又はそれ以下)の全濃度Cを有し得る。
例えば、ポリマー溶液中のヒドロゲル形成ポリマーは、約0.1mg/ml〜約5mg/ml(例えば、約0.2mg/ml〜約5mg/ml、約0.3mg/ml〜約5mg/ml、約0.4mg/ml〜約5mg/ml、約0.5mg/ml〜約5mg/ml、約0.6mg/ml〜約5mg/ml、約0.7mg/ml〜約5mg/ml、約0.8mg/ml〜約5mg/ml、約0.9mg/ml〜約5mg/ml、約1.0mg/ml〜約5mg/ml、約1.0mg/ml〜約4mg/ml、約1.0mg/ml〜約3mg/ml、約1.0mg/ml〜約2mg/ml、約0.3mg/ml〜約0.8mg/ml、約0.3mg/ml〜約0.6mg/ml、又は約0.3mg/ml〜約0.5mg/ml)の全濃度Cを有し得る。
場合によっては、ヒドロゲル形成ポリマーの全濃度Cは、約0.3mg/ml〜0.5mg/ml、又はそれ以下であり得る。
場合によっては、方法は、ポリマーを溶液中で架橋してヒドロゲルを生成することを含み得る。例えば、ヒドロゲルの形成を可能にする条件は、溶液中のポリマーの架橋も可能にし得る。
緩衝液は水溶液であってもよく、水と水溶液のpH又は緩衝能の調整に有用な適切な塩とを含み得る。幾つかの実施形態では、緩衝液は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)等のリン酸緩衝液を含む。
このため、本開示による組成物は、リン酸緩衝液、例えばリン酸緩衝生理食塩水(PBS)等の緩衝液を更に含み得る。
本開示の方法では、ポリマー溶液は、約3.5〜約9.0、例えば、約4.0〜約9.0、約4.5〜約9.0、約5.0〜約9.0、約5.5〜約9.0、約6.0〜約9.0、約6.5〜約9.0、約7.0〜約9.0、約7.5〜約9.0、約8.0〜約9.0、約8.5〜約9.0、約7.0〜約7.8、又は約7.4のpHを有し得る。
場合によっては、ポリマー溶液は、約6〜10、例えば約6.5〜10、約7〜10、約7.1〜10、約7.2〜10、約7.3〜10、約7.4〜10、約7.5〜10、約7.6〜10、約7.7〜10、約7.8〜10、約7.9〜10、約8.0〜10、約8.5〜10、約9〜10、又は約9.5〜10のpHを有し得る。幾つかの実施形態では、ポリマー溶液は、約7〜8、例えば約7.4のpHを有する。
本開示の方法では、架橋は、ポリマー溶液を約20℃〜約50℃、約25℃〜約50℃、約30℃〜約50℃、約31℃〜約50℃、約32℃〜約50℃、約33℃〜約50℃、約34℃〜約50℃、約35℃〜約50℃、約36℃〜約50℃、約37℃〜約50℃、約38℃〜約50℃、約39℃〜約50℃、約40℃〜約50℃又は約45℃〜約50℃でインキュベートすることを含み得る。幾つかの実施形態では、架橋は、ポリマー溶液を約30℃〜約40℃、例えば約35℃〜約39℃、例えば約37℃の温度でインキュベートすることを含む。
本開示の方法では、架橋は、ポリマー溶液を少なくとも約1時間、例えば少なくとも約2時間、少なくとも約3時間、少なくとも約4時間、少なくとも約5時間、少なくとも約6時間、少なくとも約7時間、少なくとも約8時間、少なくとも約9時間、少なくとも約9.5時間、少なくとも約10時間、少なくとも約10.5時間、少なくとも約11時間、少なくとも約12時間、少なくとも約13時間、少なくとも約14時間、少なくとも約15時間、少なくとも約16時間、少なくとも約17時間、少なくとも約18時間、少なくとも約19時間、少なくとも約20時間、少なくとも約24時間、又はそれ以上インキュベートすることを含み得る。
例えば、本開示の方法では、架橋は、ポリマー溶液を約30℃〜約40℃(例えば、約35℃〜約39℃、例えば約37℃)の温度で少なくとも5時間(例えば、少なくとも約10時間以上、例えば約24時間以上)インキュベートすることを含み得る。
例えば、方法は、1)第1のポリマー集団(又は第1のポリマー誘導体)及び第2のポリマー集団(又は第2のポリマー誘導体)(例えば、第1のポリマー集団中のポリマーは、1つ以上のビニルスルホン基で修飾されたヒアルロン酸を含んでいてもよく、第2のポリマー集団中のポリマーは、1つ以上のチオール基で修飾されたヒアルロン酸を含んでいてもよい)を水中で作製し、pHを調整する(例えば、緩衝溶液を添加することによる)ことと、2)第1のポリマー集団(又は第1のポリマー誘導体)のポリマーと第2のポリマー集団(又は第2のポリマー誘導体)のポリマーとを事前に設定した比率で混合することと(組成物中のポリマーの濃度は、本開示において規定される通りである)、3)混合物を本開示によるヒドロゲルの形成を可能にする条件下でインキュベートすることとを含み得る。
本開示のいずれかの態様によると、本開示のポリマーは、親水性及び/又は水溶性であり得る。
本開示のいずれかの態様によると、ポリマー(例えば、ヒドロゲル形成ポリマー)は、多糖、ポリ(アクリル酸)、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、エラスチン、コラーゲン、それらの誘導体及びそれらの任意の組合せからなる群から選択され得る。例えば、組成物中のポリマー(例えば、ヒドロゲル形成ポリマー)は、以下の1つ以上を含み得る:多糖、1種類以上の多糖誘導体、ポリ(アクリル酸)、1種類以上のポリ(アクリル酸)誘導体、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、1種類以上のポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)誘導体、エラスチン、1種類以上のエラスチン誘導体、コラーゲン及び1種類以上のコラーゲン誘導体。
例えば、ポリマー(例えば、ヒドロゲル形成ポリマー)は、ヒアルロン酸、グアーガム、デンプン、キトサン、コンドロイチン硫酸、アルギネート、カルボキシメチルセルロース、それらの誘導体及びそれらの任意の組合せからなる群から選択され得る。例えば、組成物中のポリマー(例えば、ヒドロゲル形成ポリマー)は、以下の1つ以上を含み得る:ヒアルロン酸、1種類以上のヒアルロン酸誘導体、グアーガム、1種類以上のグアーガム誘導体、デンプン、1種類以上のデンプン誘導体、キトサン、1種類以上のキトサン誘導体、コンドロイチン硫酸、1種類以上のコンドロイチン硫酸誘導体、アルギネート、1種類以上のアルギネート誘導体、カルボキシメチルセルロース及び1種類以上のカルボキシメチルセルロース誘導体。幾つかの実施形態では、組成物中のポリマー(例えば、ヒドロゲル形成ポリマー)は、以下の1つ以上を含む:ヒアルロン酸及び1種類以上のヒアルロン酸誘導体。
本開示のいずれかの態様によると、ポリマー(例えば、ヒドロゲル形成ポリマー)を1つ以上の修飾で修飾し、例えば本開示のポリマー誘導体とすることができる。一例では、本開示のポリマー(例えば、ヒドロゲル形成ポリマー)を1つ以上のビニルスルホン基(又は1つ以上のビニルスルホン基を含む分子)で修飾することができる。別の例では、本開示のポリマー(例えば、ヒドロゲル形成ポリマー)を1つ以上のチオール基(又は1つ以上のチオール基を含む分子)で修飾することができる。
例えば、本開示のポリマーをアクリレート、マレイミド、ビニルスルホン、N−ヒドロキシスクシンイミド、アルデヒド、ケトン、カルボジイミド、カーボネート、ヨードアセチル、メルカプトニコチンアミド、キノン、チオール、アミン及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される1つ以上の修飾で修飾することができる。
例えば、ポリマーは、アクリレート、マレイミド、ビニルスルホン、N−ヒドロキシスクシンイミド、アルデヒド、ケトン、カルボジイミド、カーボネート、ヨードアセチル、メルカプトニコチンアミド、キノン、チオール及び/又はアミンで修飾された多糖であり得る1つ以上の多糖誘導体を含んでいてもよい。場合によっては、ポリマーは、アクリレート、マレイミド、ビニルスルホン、N−ヒドロキシスクシンイミド、アルデヒド、ケトン、カルボジイミド、カーボネート、ヨードアセチル、メルカプトニコチンアミド、キノン、チオール及び/又はアミンで修飾されたポリ(アクリル酸)であり得る1つ以上のポリ(アクリル酸)誘導体を含んでいてもよい。場合によっては、ポリマーは、アクリレート、マレイミド、ビニルスルホン、N−ヒドロキシスクシンイミド、アルデヒド、ケトン、カルボジイミド、カーボネート、ヨードアセチル、メルカプトニコチンアミド、キノン、チオール及び/又はアミンで修飾されたポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)であり得る1つ以上のポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)誘導体を含んでいてもよい。場合によっては、ポリマーは、アクリレート、マレイミド、ビニルスルホン、N−ヒドロキシスクシンイミド、アルデヒド、ケトン、カルボジイミド、カーボネート、ヨードアセチル、メルカプトニコチンアミド、キノン、チオール及び/又はアミンで修飾されたエラスチンであり得る1つ以上のエラスチン誘導体を含んでいてもよい。場合によっては、ポリマーは、アクリレート、マレイミド、ビニルスルホン、N−ヒドロキシスクシンイミド、アルデヒド、ケトン、カルボジイミド、カーボネート、ヨードアセチル、メルカプトニコチンアミド、キノン、チオール及び/又はアミンで修飾されたコラーゲンであり得る1つ以上のコラーゲン誘導体を含んでいてもよい。
一実施形態では、ポリマーは、1つ以上のチオール基で修飾されたヒアルロン酸の誘導体(HA−SH)を含み、場合によっては、HA−SHは、HA−SH系ポリマー−ポリマー型ヒドロゲルを適当な条件下で形成することができる。別の実施形態では、ポリマーは、1つ以上のビニルスルホン基で修飾されたヒアルロン酸の誘導体(HA−VS)を含み、場合によっては、HA−VSは、HA−VS系ポリマー−ポリマー型ヒドロゲルを適当な条件下で形成することができる。別の実施形態では、ポリマーは、1つ以上のチオール基で修飾されたヒアルロン酸の誘導体と1つ以上のビニルスルホン基で修飾されたヒアルロン酸の誘導体とを含み、場合によっては、HA−SH及びHA−VSは、適当な条件下で互いに反応して、ポリマー−ポリマー型ヒドロゲルを形成することができる。
前記誘導体が約3%〜約50%(例えば、約4%〜約45%、約5%〜約40%、約6%〜約40%、約7%〜約40%、約8%〜約39%、約8%〜約38%、約8%〜約35%、約9%〜約32%、約8%〜約30%、約10%〜約30%、約12%〜約30%、約13%〜約30%、約14%〜約30%、約15%〜約35%、又は約15%〜約30%)の平均修飾度(DM)を有することができる。
本開示のいずれかの態様によると、本開示のポリマー(例えば、ヒドロゲル形成ポリマー)は、少なくとも第1の修飾で修飾されたポリマーを含む第1のポリマー集団と、第2の修飾で修飾されたポリマーを含む第2のポリマー集団とを含み得る。第1の修飾は、第2の修飾とは異なっていてもよい。第1のポリマー集団のポリマーが第2のポリマー集団のポリマーと反応してヒドロゲルを形成することができる。第1のポリマー集団に含まれるポリマーと第2のポリマー集団に含まれるポリマーとの比率(例えば、質量比、体積比、モル比及び/又はDM比)は、約10:1〜約1:10、例えば約8:1〜約1:10、約6:1〜約1:10、約5:1〜約1:10、約4:1〜約1:10、約3:1〜約1:10、約2:1〜約1:10、約1.75:1〜約1:10、約1.5:1〜約1:10、約1.25:1〜約1:10、約1:1〜約1:10、約1:1.25〜約1:10、約1:1.5〜約1:10、約1:1.75〜約1:10、約1:2〜約1:10、約1:3〜約1:10、約1:4〜約1:10、約1:5〜約1:10、約6:1〜約1:6、約5:1〜約1:5、約4:1〜約1:4、約3:1〜約1:3、約2:1〜約1:2、約1.75:1〜約1:1.75、約1.5:1〜約1:1.5、約1.25:1〜約1:1.25又は約1.1:1〜約1:1.1であり得る。
例えば、第1のポリマー集団に含まれるポリマーと第2のポリマー集団に含まれるポリマーとの比率(例えば、質量比、体積比、モル比及び/又はDM比)は、約3:1〜約1:3であり得る。例えば、比率は、約2:1〜約1:2(例えば、約1:1)であり得る。
例えば、組成物は、少なくとも第1のポリマー誘導体と第2のポリマー誘導体とを含み得る。第1のポリマー誘導体が第1の修飾を含み、第2のポリマー誘導体が第2の修飾を含み得る。第1の修飾は、第2の修飾とは異なっていてもよい。第1のポリマー誘導体が第2のポリマー誘導体と反応してヒドロゲルを形成することが可能であり得る。例えば、第1のポリマー誘導体は、1つ以上のビニルスルホン基で修飾されたポリマー(例えば、ヒアルロン酸)であり得る。第2のポリマー誘導体は、1つ以上のチオール基で修飾されたポリマー(例えば、ヒアルロン酸)であり得る。
組成物中の第1のポリマー誘導体と第2のポリマー誘導体との質量比は、約10:1〜約1:10(例えば10:2、10:3、10:4、10:5、10:6、10:7、10:8、10:9、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9又は1:10)、例えば約3:1〜約1:3又は約2:1〜約1:2、例えば約1:1であり得る。
組成物中の第1のポリマー誘導体と第2のポリマー誘導体とのモル比は、約10:1〜約1:10(例えば10:2、10:3、10:4、10:5、10:6、10:7、10:8、10:9、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9又は1:10)、例えば約3:1〜約1:3又は約2:1〜約1:2、例えば約1:1であり得る。
組成物中の第1のポリマー誘導体と第2のポリマー誘導体との体積比は、約10:1〜約1:10(例えば10:2、10:3、10:4、10:5、10:6、10:7、10:8、10:9、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9又は1:10)、例えば約3:1〜約1:3又は約2:1〜約1:2、例えば約1:1であり得る。
場合によっては、第1のポリマー誘導体が第1のDM(DM1)を有し、第2のポリマー誘導体が第2のDM(DM2)を有し、第1のDM(DM1)と第2のDM(DM2)との比率は、約10:1〜約1:10(例えば10:2、10:3、10:4、10:5、10:6、10:7、10:8、10:9、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9又は1:10)、例えば約3:1〜約1:3、又は約2:1〜約1:2、例えば約1:1であり得る。
幾つかの実施形態では、組成物中の第1のポリマー誘導体及び第2のポリマー誘導体は、本開示において規定される質量比、本開示において規定されるモル比、本開示において規定される体積比及び/又は本開示において規定されるDM比を有し得る。
本開示のいずれかの態様によると、前記第1の修飾及び前記第2の修飾が各々独立してアクリレート、マレイミド、ビニルスルホン、N−ヒドロキシスクシンイミド、アルデヒド、ケトン、カルボジイミド、カーボネート、ヨードアセチル、メルカプトニコチンアミド、キノン、チオール、アミン及びそれらの任意の組合せからなる群から選択され得る。第1の修飾及び第2の修飾は、互いに異なっていてもよい。
したがって、第1のポリマー誘導体(又は第1のポリマー集団中のポリマー)は、1つ以上のビニルスルホン基(又は1つ以上のビニルスルホン基を含む分子)で修飾された本開示のポリマーであってもよく、第2のポリマー誘導体(又は第2のポリマー集団中のポリマー)は、1つ以上のチオール基(又は1つ以上のチオール基を含む分子)で修飾された本開示のポリマーであってもよい。第1のポリマー誘導体(又は第1のポリマー集団中のポリマー)が第2のポリマー誘導体(又は第2のポリマー集団中のポリマー)と反応してヒドロゲルを形成することが可能であり得る。
別の例では、第1のポリマー誘導体(又は第1のポリマー集団中のポリマー)は、1つ以上のチオール基(又は1つ以上のチオール基を含む分子)で修飾された本開示のポリマーであってもよく、第2のポリマー誘導体(又は第2のポリマー集団中のポリマー)は、1つ以上のビニルスルホン基(又は1つ以上のビニルスルホン基を含む分子)で修飾された本開示のポリマーであってもよい。第1のポリマー誘導体(又は第1のポリマー集団中のポリマー)が第2のポリマー誘導体(又は第2のポリマー集団中のポリマー)と反応してヒドロゲルを形成することが可能であり得る。
幾つかの実施形態では、ポリマーがヒアルロン酸であり、第1のポリマー集団(又は第1のポリマー誘導体)は、1つ以上のビニルスルホン基で修飾されたヒアルロン酸を含む。第2のポリマー集団(又は第2のポリマー誘導体)は、1つ以上のチオール基で修飾されたヒアルロン酸を含む。第1のポリマー集団のポリマー(又は第1のポリマー誘導体)が第2のポリマー集団のポリマー(又は第2のポリマー誘導体)と反応してヒドロゲルを形成することが可能である。
別の例では、ポリマーがヒアルロン酸であり、第1のポリマー集団(又は第1のポリマー誘導体)は、1つ以上のチオール基で修飾されたヒアルロン酸を含む。第2のポリマー集団(又は第2のポリマー誘導体)は、1つ以上のビニルスルホン基で修飾されたヒアルロン酸を含む。第1のポリマー集団のポリマー(又は第1のポリマー誘導体)が第2のポリマー集団のポリマー(又は第2のポリマー誘導体)と反応してヒドロゲルを形成することが可能である。
本開示のいずれかの態様によると、組成物中のポリマーは、約100000ダルトン〜約5000000ダルトン、例えば、約120000ダルトン〜約5000000ダルトン、約200000ダルトン〜約5000000ダルトン、約300000ダルトン〜約5000000ダルトン、約400000ダルトン〜約5000000ダルトン、約500000ダルトン〜約5000000ダルトン、約600000ダルトン〜約5000000ダルトン、約670000ダルトン〜約5000000ダルトン、約1000000ダルトン〜約5000000ダルトン、約1500000ダルトン〜約5000000ダルトン、約2000000ダルトン〜約5000000ダルトン、約2500000ダルトン〜約5000000ダルトン、約2600000ダルトン〜約5000000ダルトン、約3000000ダルトン〜約5000000ダルトン、約3500000ダルトン〜約5000000ダルトン、約3600000ダルトン〜約5000000ダルトン、約2000000ダルトン〜約4000000ダルトン、約2500000ダルトン〜約3500000ダルトン、約2600000ダルトン〜約3600000ダルトン、約1000000ダルトン〜約2600000ダルトン、約800000ダルトン〜約2600000ダルトン、約700000ダルトン〜約2500000ダルトン、約670000ダルトン〜約2600000ダルトン、又は約600000ダルトン〜約2500000ダルトンの平均分子量を有し得る。
本開示のポリマーは、1つ以上の修飾を含んでいてもよく(本開示においてポリマー誘導体とも称される)、約3%〜約50%、例えば約4%〜約50%、約5%〜約50%、約6%〜約50%、約7%〜約50%、約8%〜約50%、約9%〜約50%、約10%〜約50%、約11%〜約50%、約12%〜約50%、約13%〜約50%、約14%〜約50%、約15%〜約50%、約16%〜約50%、約17%〜約50%、約18%〜約50%、約19%〜約50%、約20%〜約50%、約21%〜約50%、約22%〜約50%、約23%〜約50%、約24%〜約50%、約25%〜約50%、約26%〜約50%、約27%〜約50%、約28%〜約50%、約29%〜約50%、約30%〜約50%、約31%〜約50%、約32%〜約50%、約33%〜約50%、約34%〜約50%、約35%〜約50%、約36%〜約50%、約37%〜約50%、約38%〜約50%、約39%〜約50%、約40%〜約50%又は約40%〜約50%の平均修飾度を有し得る。
例えば、組成物は、少なくとも第1の修飾で修飾されたポリマー(すなわち、第1のポリマー誘導体)を含む第1のポリマー集団と第2の修飾で修飾されたポリマー(すなわち、第2のポリマー誘導体)を含む第2のポリマー集団とを含み得る。組成物中のポリマー(例えば、ヒドロゲル形成ポリマー)の全濃度Cは、多くとも約5mg/ml(例えば、多くとも約4mg/ml、多くとも約3mg/ml、多くとも約2mg/ml、多くとも約1.5mg/ml、多くとも約1mg/ml、多くとも約0.9mg/ml、多くとも約0.8mg/ml、多くとも約0.7mg/ml、多くとも約0.6mg/ml、多くとも約0.5mg/ml、多くとも約0.4mg/ml、多くとも約0.3mg/ml、多くとも約0.2mg/ml、多くとも約0.1mg/ml、又はそれ以下)であり得る。第1のポリマー誘導体は、約3%〜約50%(例えば、約5%〜約35%、約8%〜約35%、約10%〜約35%、約12%〜約35%、約15%〜約35%、約20%〜約35%、約25%〜約35%又は約30%〜約35%)の平均DMを有することができ、平均分子量は約100000ダルトン〜約5000000ダルトン(例えば、約120000ダルトン〜約5000000ダルトン、約200000ダルトン〜約5000000ダルトン、約300000ダルトン〜約5000000ダルトン、約400000ダルトン〜約5000000ダルトン、約500000ダルトン〜約5000000ダルトン、約600000ダルトン〜約5000000ダルトン、約670000ダルトン〜約5000000ダルトン、約1000000ダルトン〜約5000000ダルトン、約1500000ダルトン〜約5000000ダルトン、約2000000ダルトン〜約5000000ダルトン、約2500000ダルトン〜約5000000ダルトン、約2600000ダルトン〜約5000000ダルトン、約3000000ダルトン〜約5000000ダルトン、約3500000ダルトン〜約5000000ダルトン、約3600000ダルトン〜約5000000ダルトン、約2000000ダルトン〜約4000000ダルトン、約2500000ダルトン〜約3500000ダルトン、約2600000ダルトン〜約3600000ダルトン、約1000000ダルトン〜約2600000ダルトン、約800000ダルトン〜約2600000ダルトン、約700000ダルトン〜約2500000ダルトン、約670000ダルトン〜約2600000ダルトン、又は約600000ダルトン〜約2500000ダルトン)である。第2のポリマー誘導体は、約3%〜約50%(例えば、約5%〜約35%、約8%〜約35%、約10%〜約35%、約12%〜約35%、約15%〜約35%、約20%〜約35%、約25%〜約35%又は約30%〜約35%)の平均DMを有することができ、平均分子量は約100000ダルトン〜約5000000ダルトン(例えば、約120000ダルトン〜約5000000ダルトン、約200000ダルトン〜約5000000ダルトン、約300000ダルトン〜約5000000ダルトン、約400000ダルトン〜約5000000ダルトン、約500000ダルトン〜約5000000ダルトン、約600000ダルトン〜約5000000ダルトン、約670000ダルトン〜約5000000ダルトン、約1000000ダルトン〜約5000000ダルトン、約1500000ダルトン〜約5000000ダルトン、約2000000ダルトン〜約5000000ダルトン、約2500000ダルトン〜約5000000ダルトン、約2600000ダルトン〜約5000000ダルトン、約3000000ダルトン〜約5000000ダルトン、約3500000ダルトン〜約5000000ダルトン、約3600000ダルトン〜約5000000ダルトン、約2000000ダルトン〜約4000000ダルトン、約2500000ダルトン〜約3500000ダルトン、約2600000ダルトン〜約3600000ダルトン、約1000000ダルトン〜約2600000ダルトン、約800000ダルトン〜約2600000ダルトン、約700000ダルトン〜約2500000ダルトン、約670000ダルトン〜約2600000ダルトン、又は約600000ダルトン〜約2500000ダルトン)である。組成物中の第1のポリマー誘導体と第2のポリマー誘導体との比率(例えば、質量比、体積比、モル比及び/又はDM比)は、約10:1〜約1:10(例えば約3:1〜約1:3、又は約2:1〜約1:2、例えば約1:1)であり得る。第1のポリマー誘導体が第2のポリマー誘導体と反応してヒドロゲルを形成することが可能であり得る。加えて、第1のポリマー誘導体は、上記組成物中で少なくとも3dL/g(例えば、少なくとも約5dL/g、少なくとも約8dL/g、少なくとも約10dL/g、少なくとも約12dL/g、少なくとも約15dL/g、少なくとも約16dL/g、少なくとも約17dL/g、少なくとも約18dL/g、少なくとも約19dL/g、少なくとも約20dL/g、少なくとも約25dL/g、又はそれ以上)の固有粘度[η]を有し得る。第2のポリマー誘導体は、上記組成物中で少なくとも3dL/g(例えば、少なくとも約5dL/g、少なくとも約8dL/g、少なくとも約10dL/g、少なくとも約12dL/g、少なくとも約15dL/g、少なくとも約16dL/g、少なくとも約17dL/g、少なくとも約18dL/g、少なくとも約19dL/g、少なくとも約20dL/g、少なくとも約25dL/g、又はそれ以上)の固有粘度[η]を有し得る。
第1のポリマー誘導体の濃度Cは、濃度Cの約0.8倍〜約5倍(例えば、約0.8倍〜約4.5倍、約0.8倍〜約4.0倍、約0.8倍〜約3.5倍、約0.8倍〜約3.0倍、約0.8倍〜約2.5倍、約0.8倍〜約2.0倍、約0.8倍〜約1.5倍又は約1.0倍〜約1.2倍)であってもよく、C=1/([η])であり、[η]は第1のポリマー誘導体の固有粘度である。
第2のポリマー誘導体の濃度Cは、濃度Cの約0.8倍〜約5倍(例えば、約0.8倍〜約4.5倍、約0.8倍〜約4.0倍、約0.8倍〜約3.5倍、約0.8倍〜約3.0倍、約0.8倍〜約2.5倍、約0.8倍〜約2.0倍、約0.8倍〜約1.5倍又は約1.0倍〜約1.2倍)であってもよく、C=1/([η])であり、[η]は第2のポリマー誘導体の固有粘度である。
場合によっては、組成物は、組成物中のポリマー(例えば、第1のポリマー誘導体又は第2のポリマー誘導体)とは異なる架橋剤を全く含まない。
幾つかの実施形態では、組成物は、小分子架橋剤又はPEG系架橋剤を全く含まない。
特定の例では、第1のポリマー誘導体は、1つ以上のビニルスルホン基で修飾されたヒアルロン酸(例えば、HA−VS)であり、第2のポリマー誘導体は、1つ以上のチオール基で修飾されたヒアルロン酸(例えば、HA−SH)である。
場合によっては、本開示の組成物又はポリマー溶液は、架橋剤(例えば、組成物中のポリマーとは異なる架橋剤)を含んでいてもよい。
架橋剤は、小分子架橋剤、高分子架橋剤又はそれらの組合せであり得る。幾つかの実施形態では、架橋剤は小分子架橋剤であり、アクリレート、マレイミド、ビニルスルホン、ヒドロキシスクシンイミド、アルデヒド、ケトン、マルチカルボジイミド、カーボネート、ヨードアセチル、メルカプトニコチンアミド、キノン、チオール、アミン、及び/又はそれらの組合せから選択される基を有する分子を含み得る。
幾つかの実施形態では、架橋剤は高分子架橋剤であり、アクリレート、マレイミド、ビニルスルホン、ヒドロキシスクシンイミド、アルデヒド、ケトン、マルチカルボジイミド、カーボネート、ヨードアセチル、メルカプトニコチンアミド、キノン、チオール、アミン、及び/又はそれらの組合せから選択される基を有する高分子を含み得る。
例えば、組成物は、1つ以上のチオール基で修飾された本開示のポリマー(例えば、本開示のポリマー誘導体)と架橋剤とを含んでいてもよく、架橋剤は、ビニルスルホン含有分子であってもよく、例えば、架橋剤はジビニルスルホン、ビス(ビニルスルホニル)メタン、PEG−VS、及び4又は8アーム−PEGVSからなる群から選択することができる。
別の例では、組成物は、1つ以上のビニルスルホン基で修飾された本開示のポリマー(例えば、本開示のポリマー誘導体)と架橋剤とを含んでいてもよく、架橋剤は、チオール含有分子であってもよく、例えば、架橋剤はジチオトレイトール、ジシステイン、PEG−ジチオール、及び4又は8アームPEGチオールからなる群から選択することができる。
本開示のヒドロゲルは、表面(例えば、粘膜表面)での排水に対する材料の耐性を高めることができる。本開示のヒドロゲルは、水溶液と同様の優れた流体特性を有することができる。本開示のヒドロゲルは、排水に対抗する優れた特性を有することができる。
このため、本開示は以下の実施形態にも関する:
1. ヒドロゲルを形成することが可能なポリマーを含む組成物であって、該ポリマーが濃度Cの約0.8倍〜約5倍の濃度Cを有し、ここでC=1/([η])であり、[η]は上記ポリマーの固有粘度である、組成物。
2. 上記ポリマーが濃度Cの約0.8倍〜約1.5倍の濃度Cを有する、実施形態1による組成物。
3. 上記ポリマーが濃度Cの約1.0倍〜約1.2倍の濃度Cを有する、実施形態1による組成物。
4. 上記ポリマーが濃度Cの約1.8倍〜約2.0倍の濃度Cを有する、実施形態1による組成物。
5. 上記ポリマーが少なくとも3dL/gの[η]を有する、先行する実施形態のいずれかによる組成物。
6. 上記ポリマーが少なくとも5dL/gの[η]を有する、先行する実施形態のいずれかによる組成物。
7. 上記ポリマーが少なくとも20dL/gの[η]を有する、先行する実施形態のいずれかによる組成物。
8. 前記ポリマーが親水性及び/又は水溶性である、先行する実施形態のいずれかによる組成物。
9. 前記ポリマーが多糖、ポリ(アクリル酸)、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、エラスチン、コラーゲン、及びそれらの組合せからなる群から選択される、先行する実施形態のいずれかによる組成物。
10. 前記ポリマーがポリ(アクリル酸)、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、及びそれらの組合せからなる群から選択される、先行する実施形態のいずれかによる組成物。
11. 前記ポリマーがヒアルロン酸、グアーガム、デンプン、キトサン、コンドロイチン硫酸、アルギネート、カルボキシメチルセルロース、及びそれらの組合せからなる群から選択される、先行する実施形態のいずれかによる組成物。
12. 前記ポリマーがヒアルロン酸、グアーガム、アルギネート、カルボキシメチルセルロース、及びそれらの組合せからなる群から選択される、先行する実施形態のいずれかによる組成物。
13. 上記ポリマーがヒアルロン酸である、先行する実施形態のいずれかによる組成物。
14. 前記ポリマーがアクリレート、マレイミド、ビニルスルホン、N−ヒドロキシスクシンイミド、アルデヒド、ケトン、カルボジイミド、カーボネート、ヨードアセチル、メルカプトニコチンアミド、キノン、チオール、アミン及びそれらの組合せからなる群から選択される1つ以上の修飾で修飾される、先行する実施形態のいずれかによる組成物。
15. 前記ポリマーがマレイミド、ビニルスルホン、N−ヒドロキシスクシンイミド、アルデヒド、メルカプトニコチンアミド、キノン、チオール、アミン及びそれらの組合せからなる群から選択される1つ以上の修飾で修飾される、先行する実施形態のいずれかによる組成物。
16. 上記ポリマーが、少なくとも第1の修飾で修飾された上記ポリマーを含む第1のポリマー集団と、第2の修飾で修飾された上記ポリマーを含む第2のポリマー集団とを含み、上記第1の修飾が上記第2の修飾とは異なり、上記第1のポリマー集団のポリマーが上記第2のポリマー集団のポリマーと反応してヒドロゲルを形成する、先行する実施形態のいずれかによる組成物。
17. 上記第1のポリマー集団に含まれるポリマーと上記第2のポリマー集団に含まれるポリマーとの比率が約10:1〜約1:10である、実施形態16による組成物。
18. 上記第1のポリマー集団に含まれるポリマーと上記第2のポリマー集団に含まれるポリマーとの比率が約3:1〜約1:3である、実施形態17による組成物。
19. 上記第1のポリマー集団に含まれるポリマーと上記第2のポリマー集団に含まれるポリマーとの比率が約2:1〜約1:2である、実施形態18による組成物。
20. 前記第1の修飾及び前記第2の修飾が独立してアクリレート、マレイミド、ビニルスルホン、N−ヒドロキシスクシンイミド、アルデヒド、ケトン、カルボジイミド、カーボネート、ヨードアセチル、メルカプトニコチンアミド、キノン、チオール、アミン及びそれらの組合せからなる群から選択される、実施形態16〜19のいずれかによる組成物。
21. 前記第1の修飾及び前記第2の修飾が独立してマレイミド、ビニルスルホン、N−ヒドロキシスクシンイミド、アルデヒド、メルカプトニコチンアミド、キノン、チオール、アミン及びそれらの組合せからなる群から選択される、実施形態16〜19のいずれかによる組成物。
22. 上記ポリマーがヒアルロン酸であり、上記第1のポリマー集団が1つ以上のビニルスルホン基で修飾されたヒアルロン酸を含み、上記第2のポリマー集団が1つ以上のチオール基で修飾されたヒアルロン酸を含み、上記第1のポリマー集団のポリマーが上記第2のポリマー集団のポリマーと反応してヒドロゲルを形成する、実施形態21による組成物。
23. 上記ポリマーが約100000ダルトン〜約5000000ダルトンの平均分子量を有する、先行する実施形態のいずれかによる組成物。
24. 上記ポリマーが約120000ダルトン〜約5000000ダルトンの平均分子量を有する、先行する実施形態のいずれかによる組成物。
25. 上記ポリマーが約670000ダルトン〜約5000000ダルトンの平均分子量を有する、先行する実施形態のいずれかによる組成物。
26. 上記ポリマーが約2600000ダルトン〜約5000000ダルトンの平均分子量を有する、先行する実施形態のいずれかによる組成物。
27. 上記ポリマーが約3600000ダルトン〜約5000000ダルトンの平均分子量を有する、先行する実施形態のいずれかによる組成物。
28. 上記ポリマーが約2600000ダルトン〜約3600000ダルトンの平均分子量を有する、先行する実施形態のいずれかによる組成物。
29. 上記ポリマーが約670000ダルトン〜約2600000ダルトンの平均分子量を有する、先行する実施形態のいずれかによる組成物。
30. 上記ポリマーが修飾を有するポリマーを含み、該ポリマーが約3%〜約50%の平均修飾度を有する、先行する実施形態のいずれかによる組成物。
31. 上記ポリマーが修飾を有するポリマーを含み、該ポリマーが約8%〜約35%の平均修飾度を有する、先行する実施形態のいずれかによる組成物。
32. 上記ポリマーが修飾を有するポリマーを含み、該ポリマーが約15%〜約35%の平均修飾度を有する、先行する実施形態のいずれかによる組成物。
33. 上記ポリマーが修飾を有するポリマーを含み、該ポリマーが約15%〜約30%の平均修飾度を有する、先行する実施形態のいずれかによる組成物。
34. 上記ポリマーが約0.1mg/ml〜約5mg/mlの濃度Cを有する、先行する実施形態のいずれかによる組成物。
35. 上記ポリマーが約0.3mg/ml〜約0.6mg/mlの濃度Cを有する、先行する実施形態のいずれかによる組成物。
36. 架橋剤を更に含み、架橋剤が小分子架橋剤、高分子架橋剤又はそれらの組合せである、先行する実施形態のいずれかによる組成物。
37. 前記架橋剤がアクリレート、マレイミド、ビニルスルホン、ヒドロキシスクシンイミド、アルデヒド、ケトン、マルチカルボジイミド、カーボネート、ヨードアセチル、メルカプトニコチンアミド、キノン、チオール、アミン及び/又はそれらの組合せから選択される基を有する分子を含む小分子架橋剤である、実施形態36による組成物。
38. 前記架橋剤がアクリレート、マレイミド、ビニルスルホン、ヒドロキシスクシンイミド、アルデヒド、ケトン、マルチカルボジイミド、カーボネート、ヨードアセチル、メルカプトニコチンアミド、キノン、チオール、アミン及び/又はそれらの組合せから選択される基を有する高分子を含む高分子架橋剤である、実施形態36による組成物。
39. 上記ポリマーが1つ以上のビニルスルホン基で修飾され、上記架橋剤がチオール含有分子である、実施形態36による組成物。
40. 前記架橋剤がジチオトレイトール、ジシステイン、PEG−ジチオール、及び4又は8アームPEGチオールからなる群から選択される、実施形態39による組成物。
41. 上記ポリマーが1つ以上のチオール基で修飾され、上記架橋剤がビニルスルホン含有分子である、実施形態36による組成物。
42. 前記架橋剤がジビニルスルホン、ビス(ビニルスルホニル)メタン、PEG−VS、及び4又は8アームPEGVSからなる群から選択される、実施形態41による組成物。
43. 前記組成物が前記ポリマーとは異なる架橋剤を含まない、実施形態1〜35のいずれかによる組成物。
44. 緩衝液を含む、先行する実施形態のいずれかによる組成物。
45. 上記緩衝液がリン酸緩衝液を含む、実施形態44による組成物。
46. 約3.5〜約9.0のpHを有する、先行する実施形態のいずれかによる組成物。
47. 約7.0〜約7.8のpHを有する、先行する実施形態のいずれかによる組成物。
48. 約7.4のpHを有する、先行する実施形態のいずれかによる組成物。
49. 実施形態1〜48のいずれかによる組成物によって形成されるヒドロゲル。
50. 上記ヒドロゲルが生体適合性である、実施形態49によるヒドロゲル。
51. 動的振動剪断試験によって測定される、約10.0Pa以下の貯蔵弾性率を有する、実施形態49又は50によるヒドロゲル。
52. 動的振動剪断試験によって測定される、約5.0Pa以下の貯蔵弾性率を有する、実施形態49〜51のいずれかによるヒドロゲル。
53. 動的振動剪断試験によって測定される、約1.0Pa以下の貯蔵弾性率を有する、実施形態49〜52のいずれかによるヒドロゲル。
54. 動的振動剪断試験によって測定される、約0.6Pa以下の貯蔵弾性率を有する、実施形態49〜53のいずれかによるヒドロゲル。
55. 動的振動剪断試験によって測定される、貯蔵弾性率の約100%以下の損失弾性率を有する、実施形態49〜54のいずれかによるヒドロゲル。
56. 動的振動剪断試験によって測定される、貯蔵弾性率の約50%以下の損失弾性率を有する、実施形態49〜55のいずれかによるヒドロゲル。
57. 動的振動剪断試験によって測定される、貯蔵弾性率の約25%以下の損失弾性率を有する、実施形態49〜56のいずれかによるヒドロゲル。
58. 約100rad/s超の周波数で動的振動剪断試験によって測定される、約0.2Pa・s以下の複素粘度を有する、実施形態49〜57のいずれかによるヒドロゲル。
59. 約100rad/s超の周波数で動的振動剪断試験によって測定される、約0.1Pa・s以下の複素粘度を有する、実施形態49〜58のいずれかによるヒドロゲル。
60. 約100rad/s超の周波数で動的振動剪断試験によって測定される、約0.05Pa・s以下の複素粘度を有する、実施形態49〜59のいずれかによるヒドロゲル。
61. ヒドロゲルを作製する方法であって、実施形態1〜48のいずれかによるポリマーを含む組成物を準備することと、上記組成物を、ヒドロゲルを形成する上記ポリマーの架橋を可能にする条件に曝すこととを含む、方法。
62. 上記曝すことが上記ポリマー溶液を約30℃〜約45℃でインキュベートすることを含む、実施形態61による方法。
63. 上記曝すことが上記ポリマー溶液を約37℃でインキュベートすることを含む、実施形態62による方法。
64. 生成するヒドロゲルが実施形態49〜60のいずれかによるものである、実施形態61〜63のいずれかによる方法。
以下の実施例は、当業者に本発明の製造方法及び使用方法の完全な開示及び説明を提供するために記載されており、本発明者らが自身の発明とみなす範囲を限定することを意図するものではなく、また以下の実験は行われる全て又は唯一の実験であることを表すことを意図するものでもない。使用される数値(例えば、量、温度等)に関して正確性を確保するための努力がなされたが、幾らかの実験誤差及び偏差を考慮しなくてはならない。特に明記しない限り、部は重量部であり、分子量は重量平均分子量であり、温度は摂氏度であり、圧力は大気圧又はほぼ大気圧である。標準の略語、例えばbp、塩基対(複数の場合もある);kb、キロベース(複数の場合もある);pl、ピコリットル(複数の場合もある);s又はsec、秒(複数の場合もある);min、分(複数の場合もある);h又はhr、時間(複数の場合もある);aa、アミノ酸(複数の場合もある);nt、ヌクレオチド(複数の場合もある);i.m.、筋肉内(筋肉内に);i.p.、腹腔内(腹腔内に);s.c.、皮下(皮下に)等が使用される場合もある。
実施例1 HAサンプルの測定
1.1. [η]の測定
[η]は、毛細管粘度計を用いて直接測定することができる。例えば、3つのHAサンプル、すなわちサンプルA、サンプルB及びサンプルCをウベローデ粘度計によって測定した。これらのHAサンプルは、Bloomage Freda Biopharm Co. Ltd.(Shandong,China)から購入した。ポリマーは、供給業者により欧州薬局方に従って測定された。表1にウベローデ粘度計によって測定されたサンプルA、サンプルB及びサンプルCの固有粘度([η])を示す。
Figure 2020534427
1.2 ポリマーの分子量の推定
ポリマーの分子量(MW)を、ウベローデ粘度計によって測定された固有粘度値から、マーク−フウィンク−桜田の式:
[η]=K(MW)
(式中、K及びa(マーク−フウィンク−桜田の指数)は、所与のポリマー−溶媒対についての定数である)を用いて算出した。
サンプルA、B及びCのMWは、その結果、サンプルA、B及びCについて2.6MDa、670kDa及び120kDaであることが算出された。
実施例2 ポリマー誘導体の作製
2.1 HA−VSの作製
ヒアルロン酸(HA)を、Yu and Chau(Biomacromolecules 2015, 16(1), 56-65)に記載されるようにペンダントVSで修飾した。簡潔に述べると、HAを脱イオン水(DI水)に溶解した。濃度は、HAの分子量(MW)に応じて1mg/ml〜40mg/mlであった。高MW HA(例えば、MW>500kDa)では、濃度がより低く(例えば、1mg/ml〜5mg/ml)、低MW HA(例えば、MW<500kDa)では、濃度がより高かった(例えば、5mg/ml〜40mg/ml)。
完全な溶解後に、5M NaOHをポリマー溶液に0.1Mの最終濃度で滴加した。ジビニルスルホン(DVS)を即座に激しく混合しながら添加した。代替的には、DVSを初めにDI水に1mg(DVS)/8ml(水)で溶解し、即座に激しく混合しているポリマーに添加した。DVSとHAのヒドロキシル基(OH)とのモル比は、少なくとも1.25:1であった。低濃度のHAでは、モル比は6:1以上であった。反応時間は、標的修飾度(DM)に応じて選択した。所与の反応時間について、修飾度もHA及びDVSの両方の濃度、温度、並びに最終NaOH濃度によって決まるものであった。
HAサンプルC(分子量120kDa)では、HA濃度は20mg/mlであり、DVSとHAのOHとのモル比は1.5:1であり、HAサンプルB(分子量670kDa)では、HA濃度は10mg/mlであり、DVSとHAのOHとのモル比は約3:1であり、HAサンプルA(分子量2.6MDa)では、HA濃度は2.5mg/mlであり、DVSとHAのOHとのモル比は約6:1であった。
反応を6M HClの添加によって停止させた。ポリマーを、透析袋を用いた膜分離、又はDI水(pH約5.5)若しくはHClによって調整したpH約4の酸性DI水に対するタンジェンシャルフロー濾過によって精製した。精製したポリマーを溶液として4℃で保管した。修飾度(DM)の測定のために、HA−VSを凍結乾燥し、HNMRによって測定した。
2.2 HA−SHの作製
ヒアルロン酸(HA)を、Yu and Chau(Biomacromolecules 2015, 16(1), 56-65に記載されるようにペンダントSH基で修飾した。簡潔に述べると、HAを初めにHA−VSへと修飾した(実施例2.1に記載の通り)。HA−VS溶液をNで少なくとも20分間パージした。VS基の10倍モル過剰又は0.05M DTT溶液を作製するのに必要とされる量のジチオトレイトール(DTT)(どちらのDTT濃度が高いかによる)を水(pH約5.5)に約400mg/mlで溶解し、Nで少なくとも5分間パージし、HA−VS溶液に添加した。HA−VS/DTT溶液のpHは、およそ4であり、系をNでパージし続けた。その後、HA−VSの容量の1/10の0.5M リン酸緩衝液(PB)をNで少なくとも5分間パージし、HA−VS/DTT溶液に添加した。反応を少なくとも25分間行った。反応を、1M HClを添加してpHを3.5〜4.5まで低下させることによって停止した。ポリマーを、透析袋を用いた膜分離、又はDI水若しくはHClによって調整したpH4のDI水に対するタンジェンシャルフロー濾過によって精製した。精製したポリマーを溶液として4℃で保管した。修飾度(DM)をHNMR及びエルマンアッセイ(Ellmans' assay)によってHA−SHについて決定した。
ビニルスルホン化ヒアルロン酸(HA−VS)の合成を図1に示した。また、チオール化ヒアルロン酸(HA−SH)を図2に従って合成した。
実施例3 ヒドロゲル形成
3.1. HA−VS/HA−SH系ポリマー−ポリマー型ヒドロゲルの形成
HA−VS及びHA−SHの濃度を初めに決定した。既知の容量のポリマー溶液を凍結乾燥し、ポリマーの乾燥重量を測定した。乾燥ポリマーは、正確な測定を確実にするには少なくとも4mgであった。代替的には、ポリマー濃度を以前に記載のようにCTABアッセイによって測定した(Oueslati et al., CTAB turbidimetric method for assaying hyaluronic acid in complex environments and under cross-linked form, Carbohydrate Polymers, 2014)。次いで、既知の濃度のHA−VS及びHA−SHを0.5M PBの添加によってpH7.4に調整した。PBの最終濃度は約0.02M〜0.05Mであった。次いで、25%NaClを用いてオスモル濃度を調整した。次いで、ポリマーを様々な標的体積比及び質量比で混合し、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を添加することによって標的濃度に調整した。
ポリマーをヒドロゲル形成のために37℃で少なくとも10時間インキュベートした。ヒドロゲル形成反応を図3に示す。
約2.6MDaの平均分子量を有し、約39.2dL/gの固有粘度[η](ウベローデ粘度計によって測定される)を有するHAポリマーについて、本開示のHA−VS/HA−SH系ポリマー−ポリマー型ヒドロゲルの形成のためのHAポリマー(HA−SH及びHA−VSの両方を含む)の濃度は、約0.4mg/mlと低くすることができる(すなわち、ヒドロゲル中の含水率は約99.96%超である)。
本開示では、HA−SH/HA−VSポリマー−ポリマー型ヒドロゲルのサンプルA1、A2、A3、A4、A5、A6、A7、A8及びA9を、実施例1.1におけるサンプルAのHAポリマー(約2.6MDaの平均分子量及び約39.2dL/gの固有粘度[η]を有する)に基づいて作製した。サンプルA1、A2、A3及びA4については、ヒドロゲル形成ポリマーのC(例えば、HA−VS及びHA−SHの全濃度)は、それぞれ約1.2mg/ml、0.8mg/ml、0.5mg/ml及び0.27mg/mlであり、HA−VS及びHA−SHのDMは、それぞれ約10%であり、HA−VSとHA−SHとのモル比及び質量比は1:1であった。サンプルA5については、HA−VSとHA−SHとを1:1のDM比及び1:1の質量比で混合することによってヒドロゲルを形成し、組成物中のヒドロゲル形成ポリマーの全濃度Cは、約0.5mg/mlであり、HA−VS及びHA−SHのDMは、それぞれ約20%であった。サンプルA6については、HA−VS(8%のDM)とHA−SH(8%のDM)とを1:1のDM比及び1:1の質量比で混合することによってヒドロゲルを形成し、組成物中のヒドロゲル形成ポリマーの全濃度Cは、約0.45mg/mlであった。サンプルA7については、HA−VS(30%のDM)とHA−SH(30%のDM)とを1:1のDM比及び1:1の質量比で混合することによってヒドロゲルを形成し、組成物中のヒドロゲル形成ポリマーの全濃度Cは、約0.4mg/mlであった。サンプルA8については、HA−VS(約10%のDM及び0.6mg/ml)とHA−SH(約5%のDM及び0.3mg/ml)とを混合することによってヒドロゲルを形成した。Cは約0.9mg/mlである。サンプルA9については、HA−VS(15%のDM及び0.6mg/ml)とHA−SH(10%のDM及び0.3mg/ml)とを混合することによってヒドロゲルを形成した。Cは約0.9mg/mlである。
HA−SH/HA−VSポリマー−ポリマー型ヒドロゲルのサンプルB1及びB2を、実施例1.1におけるサンプルBのHAポリマー(約670kDaの平均分子量及び約14dL/gの固有粘度[η]を有する)に基づいて作製した。サンプルB1及びB2につては、HAポリマー(HA−SH及びHA−VSの両方を含む)のCは、それぞれ約1.8mg/ml及び1.08mg/mlであった。HA−SH及びHA−VSのDMは30%であり、HA−SHとHA−VSとのモル比及び質量比は1:1であった。
HA−SH/HA−VSポリマー−ポリマー型ヒドロゲルのサンプルC1を、実施例1.1におけるサンプルCのHAポリマー(約120kDaの平均分子量及び約3.7dL/gの固有粘度[η]を有する)に基づいて作製した。サンプルC1については、HAポリマー(HA−SH及びHA−VSの両方を含む)のCは、約3.96mg/mlであった。HA−SH及びHA−VSのDMは30%であり、HA−SHとHA−VSとのモル比及び質量比は1:1であった。
3.2 HA−SH系ポリマー−ポリマー型ヒドロゲルの形成
HAポリマーのサンプルA(約2.6MDaの重量平均分子量及び約39.2dL/gの固有粘度[η]を有する)を使用した。HA−SHを実施例2.2に従って作製した。HA−SHを0.5M PBの添加によってpH7.4に調整した。PBの最終濃度は、約0.02M〜0.05Mであった。ポリマーのDMは約10%であった。次いで、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を添加することによってポリマーを標的濃度に調整した。HA−SHポリマー−ポリマー型ヒドロゲルのサンプルFを約1.7mg/mlのCで作製した。
ポリマーをヒドロゲル形成のために37℃で少なくとも10時間インキュベートした。
3.3. ポリマー−小分子架橋剤型ヒドロゲルの形成
DTTをHA−VS(HA−VSは、サンプルAのHAポリマーに基づいて作製した)と3:1のモル比(DTT:VS)で混合した。ヒドロゲルが30分後に形成された。ヒドロゲルを二重脱イオン水(double deionized water)に対して2日間透析し、回収した。HA−VSは、約1.9MDaの重量平均分子量、約24.5dL/gの固有粘度[η]及び約3.8mg/mlの全ポリマー(例えば、ヒドロゲル形成ポリマー)濃度Cを有する。HA−VSのDMは20%であった。得られたHA−SH/DTTヒドロゲルをHA−SH/DTTヒドロゲルのサンプルHと名付けた。
実施例4 ヒドロゲルの特性評価
4.1 作製されたヒドロゲルサンプルの弾性率
(1)測定用のヒドロゲルサンプルの作製
ヒドロゲル形成ポリマーを実施例3に記載のように混合した後、混合したポリマーを50mm(D)×1mm(H)のモールド上に均一に塗布した。プレートをパラフィルムで覆うことによりモールドを金属プレートに密着させた。ポリマーの付いたモールドを加湿チャンバー内に入れ、ヒドロゲルを形成させた。ヒドロゲル形成のために、ポリマーを37℃で24時間維持した。ヒドロゲル(すなわち、HA−VS/HA−SH系ポリマー−ポリマー型ヒドロゲル)の形成後に、パラフィルム−モールド−ゲルの集合体全体を金属プレートから分離し、50mmプレートフィクスチャー(fixture)上に取り付けた。次いで、パラフィルム及び形成されたヒドロゲルをフィクスチャー上に残してモールドを取り外した。次いで、パラフィルムを下部プレートに固く巻き付けた。この一式をDMA装置(ARESレオメーター、TA Instruments,New Castle,DE)に導入し、直径50mmの平行プレートを用いて機械的特性を測定した。
代替的には、ヒドロゲル形成ポリマーを実施例3に記載のように混合した後、37℃で少なくとも10時間(例えば、指定のない限り24時間)、遠心分離管内でインキュベートした。次いで、形成されたヒドロゲル(すなわち、HA−VS/HA−SH系ポリマー−ポリマー型ヒドロゲル)をコーンプレート、二重ギャップ又は同心円筒フィクスチャーの下部プレート又は下部バケットに導入し、機械的特性をAnton Paarのレオメーターによって測定した。
(2)HA−VS/HA−SH系ポリマー−ポリマーヒドロゲルの弾性率
HAポリマーの3つのサンプル(すなわち、上記実施例1.1及び1.2に記載のサンプルA、B及びC)を実施例2.1及び2.2に従って修飾し、修飾ポリマーを使用して、実施例3.1に従って本開示のヒドロゲルを形成し、形成されたヒドロゲルを実施例4.1に従って測定した。ポリマーがポリマー溶液として残留するのではなくヒドロゲルを形成するかを調べるために、DMA測定及び/又は直接観察(サンプルが水のように流れ、DMA装置に取り付けることができないか否かを確かめるため)を用いた。DMA測定については、線形粘弾性領域(linear viscoelastic region;LVR)領域でのG’’値と比較して高いG’値(例えば、G’’/G’<1)をヒドロゲル形成の指標として用いた。
結果を下記表2にまとめる。ゲルのLVR領域で機械的特性を測定した。本発明者らは、驚くべきことに、組成物中のヒドロゲル形成ポリマーの固有粘度[η]が比較的高く(例えば、少なくとも約3dL/g、ウベローデ粘度計によって測定される)、組成物中のヒドロゲル形成ポリマー(例えば、HA−VS及びHA−SH)の全濃度Cが比較的低い(例えば、約5mg/ml未満、例えばそれぞれ1.2mg/ml、0.8mg/ml、0.5mg/ml、1.8mg/ml、1.08mg/ml及び3.96mg/ml)場合、ヒドロゲルのG’及びG’’によって示されるように、非常に柔らかいヒドロゲルが形成され得ることを見出した。G’及びG’’は10.0Pa以下であり、ヒドロゲルの形成が示された。
Figure 2020534427
図4に、実施例3.1に従って作製されたHA−VS/HA−SH系ポリマー−ポリマー型ヒドロゲルのサンプルA1、A2及びA3の弾性率(周波数掃引試験を用いた)を示すが、ヒドロゲルの弾性率は、Anton PaarのMCR502レオメーターにより、同心円二重ギャップフィクスチャーを用いて測定した。歪みは、全試験について1%であった。
図5に、Anton PaarのMCR502を使用し、同心円二重ギャップフィクスチャーを用いた、実施例3.1に従って作製されたHA−VS/HA−SH系ポリマー−ポリマー型ヒドロゲルのサンプルA8の弾性率(歪み掃引試験を用いた)を示す。周波数は1rad/sであった。HA−VS/HA−SH系ポリマー−ポリマー型ヒドロゲルのサンプルA8のCは0.9mg/mlであり、5mg/mlよりも低かった。G’及びG’’の両方が10.0Pa以下であった。また、G’’はG’未満であり、ヒドロゲルの形成が示された。
図6A及び図6Bに、Anton PaarのMCR302を使用し、50mmコーンプレートフィクスチャーを用いた、実施例3.1に従って作製されたHA−VS/HA−SH系ポリマー−ポリマー型ヒドロゲルのサンプルA9の弾性率及び複素粘度(歪み及び周波数掃引試験を用いた)を示す。歪み掃引試験についての周波数は5rad/sであり、周波数掃引試験についての歪みは5%であった。HA−VS/HA−SH系ポリマー−ポリマー型ヒドロゲルのサンプルA9のCは0.9mg/mlであり、5mg/mlよりも低かった。G’及びG’’の両方が10.0Pa以下であった。また、G’’はG’未満であり、ヒドロゲルの形成が示された。
(3)HA−SHポリマー−ポリマーヒドロゲルの弾性率
図7A及び図7Bに、実施例3.2に従って作製された10%DMのHA−SHポリマー−ポリマー型ヒドロゲルのサンプルFの歪み掃引試験及び周波数掃引試験を示す。図7において、G’、G’’及びEtaは、それぞれ貯蔵弾性率、損失弾性率及び複素粘度を指す。ヒドロゲルは、Anton PaarのMCR 302レオメーターを使用し、50mmコーンプレートフィクスチャーを用いて測定した。歪み掃引試験では5rad/sで測定し、周波数掃引試験では5%の歪みで測定した。HA−SHポリマー−ポリマー型ヒドロゲルのサンプルFのCは1.7mg/mlであり、5mg/mlよりも低かった。G’及びG’’の両方が10.0Pa以下であった。また、G’’はG’未満であり、ヒドロゲルの形成が示された。
(4)HA−SHポリマー−小分子架橋剤型ヒドロゲルの弾性率
図8A及び図8Bに、実施例3.3に従って作製されたHA−SH/DTTヒドロゲルのサンプルHの歪み掃引試験及び周波数掃引試験を示す。歪み掃引試験では1rad/sで測定し、周波数掃引試験では5%の歪みで測定した。ここで、G’、G’’及びEtaは、それぞれ貯蔵弾性率、損失弾性率及び複素粘度を指す。HA−SH/DTTヒドロゲルのサンプルHのCは約3.8mg/mlであり、5mg/mlよりも低かった。G’及びG’’の両方が10.0Pa以下であった。また、G’’はG’未満であり、ヒドロゲルの形成が示された。
上記の結果から、試験した全てのヒドロゲルについて、約0.1rad/s〜約10rad/sの周波数での動的振動剪断試験において貯蔵弾性率(G’)がその対応する損失弾性率(G’’)よりも高く、G’の値が比較的一定であることが示され、材料が実際に粘性の溶液ではなく、ゲル(すなわち、非常に柔らかい固体状の架橋ネットワーク)であることが示される。
4.2 ヒドロゲルの降伏歪み
降伏歪みは、歪み掃引試験によって評価することができる(図5〜図8)。例えば、図5及び図7の結果から、ヒドロゲルが低い降伏応力(約0.1Pa〜約1Pa)と共に比較的高い降伏歪み(約30%)を有することが示される。
4.3 歪み掃引試験によるヒドロゲルの降伏からの回復
低い降伏点から、本開示のヒドロゲルが機械的に不安定であることが予測され得た。驚くべきことに、本開示のヒドロゲルの機械的特性は、破壊の前後で同様であり得る。本実施例では、実施例3.1に従って作製されたHA−VS/HA−SH系ポリマー−ポリマー型ヒドロゲルのサンプルA3を使用して、歪み掃引試験によるヒドロゲルの降伏からの回復を試験した。
HA−VS/HA−SH系ポリマー−ポリマー型ヒドロゲルのサンプルA3を、Anton PaarのMCR502上の同心円二重ギャップフィクスチャーに導入した。歪み掃引試験を0%から5000%まで行い、ヒドロゲルを破壊する前後に、時間掃引試験(1%の歪み及び1rad/s)を行い、ヒドロゲルの弾性率を評価した。ヒドロゲルを各測定の前に約5分間平衡化した。破壊前のG’及びG’’は約0.11Pa及び0.02Paであり、破壊後は0.11Pa及び0.05Paであった。結果から、弾性率が破壊の前後でほぼ同一であったことが示される。
4.4 ヒドロゲルの複素粘度
図6〜図8に示されるヒドロゲルの周波数掃引試験から、ヒドロゲルの複素粘度が比較的遅い周波数で小さくなる(例えば、約10rad/s〜100rad/sの周波数でEta<0.01Pa)ことが示される。これらの結果から、本開示のヒドロゲルが僅かな力で表面全体に容易に塗布され得ることが示される。加えて、本開示によるヒドロゲルの粘度は、低い剪断速度に対して指数関数的に増大し、静止時に安定していることが示される。
実施例5 蛍光色素コンジュゲーションの作製
5.1. ポリマーへの蛍光プローブのタグ付け
本開示のヒドロゲルを、蛍光色素を本開示のポリマー上にタグ付けすることによって蛍光性にした。チオール修飾フルオレセインを色素の例として使用した。色素は、HOBT/HBTUによって触媒されるDMF中でのアミノフルオレセインとN−アセチル−S−トリチル−L−システインとの反応によって作製した。生成物をエーテル中で3回沈殿させ、真空乾燥させた。乾燥させた生成物をTFA:HO:TIPSの混合物(18:1:1)で1時間脱保護した。最終生成物をエーテル中で沈殿させ、真空乾燥させ、4℃で保管した。反応の進行を質量分析によって調べた。
5.2. 蛍光色素コンジュゲーション
一例では、HA−VSを、pH8.8の1.5M Tris緩衝液を0.15Mの最終緩衝液濃度まで添加することによってpH8.8に調整した。溶液をNで少なくとも30分間パージした。その後、実施例5.1に従って作製された又はGL Biochem(Shanghai) Ltd.から購入したビニルスルホン反応性色素(リシン側鎖のアミノ基がフルオレセインとコンジュゲートし、アミノ末端基がアミドでキャップされたシステイン−リシンジペプチド、すなわちAC−Cys−Lys(FAM))をTris緩衝液に溶解し、ポリマーに添加して12時間反応させた。コンジュゲーション効率が高くなく、反応により全てのVS基が覆われないため、色素とVS基とのモル比は、低DM(例えば、DM=8%)ポリマーについては最大1:1とすることができる。理想的には、VS基の少なくとも80%が反応後に色素で覆われないものとする。次いで、ポリマーを、HClを用いてpH約4に調整したDI水に対して透析した。精製した蛍光標識ポリマーの保管条件は、HA−VSと同じであった。次いで、蛍光標識HA−VSをHA−SHと混合し、ヒドロゲルを形成させた(実施例3に記載の通り)。
形成されたヒドロゲル(例えば、HA−VS(8%のDM)とHA−SH(8%のDM)とを1:1のDM比及び1:1の質量比で混合することによって形成されたサンプルA6、組成物中のヒドロゲル形成ポリマーの全濃度Cは約0.45mg/mlであった)は、その特別な機械的特性(例えば、上記実施例4において論考される特性)のために水での希釈に抵抗性を示すことが観察された。図9A〜図9Dに示されるように、本開示のヒドロゲルは、水中で溶解することなく自由に動くことが可能であり(図9A及び図9B)、24時間後にヒドロゲルは溶解せず、依然として水中で溶解することなく自由に動くことができた(図9C及び図9D)。
本発明の好ましい実施形態が本明細書において示され、説明されたが、かかる実施形態は例としてのみ提供されることは当業者には明らかであろう。本発明が本明細書内で提供される具体的な例によって限定されることを意図するものではない。上記の明細書を参照して本発明を説明したが、本明細書の実施形態の記載及び実例は、限定的な意味で解釈されることを意図していない。ここで、当業者は本発明から逸脱することなく、多数の変形、変更、及び置換を想到するであろう。さらに、本発明の全ての態様は、様々な条件及び変項に依存する本明細書に規定される具体的な描写、構成又は相対的割合に限定されないことを理解されたい。本明細書に記載される本発明の実施形態に対する様々な代替物が、本発明を実施する際に利用され得ることを理解されたい。したがって、本発明は、任意のかかる代替、修正、変形又は均等物も網羅することが企図される。添付の特許請求の範囲は、本発明の範囲を定義し、特許請求の範囲内の方法及び構造、並びにそれらの同等物がそれによって網羅されることが意図される。

Claims (29)

  1. ウベローデ粘度計によって測定される、少なくとも3dL/gの固有粘度[η]を組成物中で有する1つ以上のヒドロゲル形成ポリマーを含む組成物であって、前記組成物中の前記ヒドロゲル形成ポリマーの濃度Cが多くとも約5mg/mlである、組成物。
  2. 前記ヒドロゲル形成ポリマーの少なくとも一部が、前記組成物において、形成されたヒドロゲル中に含まれる、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記ポリマーが親水性及び/又は水溶性である、請求項1又は2に記載の組成物。
  4. 前記ポリマーが多糖、ポリ(アクリル酸)、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、エラスチン、コラーゲン、それらの誘導体及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
  5. 前記ポリマーがヒアルロン酸、グアーガム、デンプン、キトサン、コンドロイチン硫酸、アルギネート、カルボキシメチルセルロース、それらの誘導体及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
  6. 前記ポリマーがヒアルロン酸、その誘導体及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
  7. 前記ポリマーが、アクリレート、マレイミド、ビニルスルホン、N−ヒドロキシスクシンイミド、アルデヒド、ケトン、カルボジイミド、カーボネート、ヨードアセチル、メルカプトニコチンアミド、キノン、チオール、アミン及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される1つ以上の修飾で修飾された誘導体を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
  8. 前記誘導体が約3%〜約50%の平均修飾度(DM)を有する、請求項7に記載の組成物。
  9. 少なくとも第1のポリマー誘導体と第2のポリマー誘導体とを含み、前記第1のポリマー誘導体が第1の修飾を含み、前記第2のポリマー誘導体が第2の修飾を含み、前記第1の修飾が前記第2の修飾とは異なり、前記第1のポリマー誘導体が前記第2のポリマー誘導体と反応して前記ヒドロゲルを形成することが可能である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
  10. 前記組成物中の前記第1のポリマー誘導体と前記第2のポリマー誘導体との質量比が約10:1〜約1:10である、請求項9に記載の組成物。
  11. 前記組成物中の前記第1のポリマー誘導体と前記第2のポリマー誘導体とのモル比が約10:1〜約1:10である、請求項9又は10に記載の組成物。
  12. 前記組成物中の前記第1のポリマー誘導体と前記第2のポリマー誘導体との体積比が約10:1〜約1:10である、請求項9〜11のいずれか一項に記載の組成物。
  13. 前記第1のポリマー誘導体が第1のDMを有し、前記第2のポリマー誘導体が第2のDMを有し、前記第1のDMと前記第2のDMとの比率が約10:1〜約1:10である、請求項9〜12のいずれか一項に記載の組成物。
  14. 前記第1の修飾及び前記第2の修飾が各々独立してアクリレート、マレイミド、ビニルスルホン、N−ヒドロキシスクシンイミド、アルデヒド、ケトン、カルボジイミド、カーボネート、ヨードアセチル、メルカプトニコチンアミド、キノン、チオール、アミン及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項9〜13のいずれか一項に記載の組成物。
  15. 前記1つ以上のポリマーがヒアルロン酸誘導体であり、前記第1のポリマー誘導体が1つ以上のビニルスルホン基で修飾されたヒアルロン酸であり、前記第2のポリマー誘導体が1つ以上のチオール基で修飾されたヒアルロン酸であり、前記第1のポリマー誘導体が前記第2のポリマー誘導体と反応して前記ヒドロゲルを形成することが可能である、請求項14に記載の組成物。
  16. 前記ポリマーが約100000ダルトン〜約5000000ダルトンの平均分子量を有する、請求項1〜15のいずれか一項に記載の組成物。
  17. 前記1つ以上のポリマーとは異なる架橋剤を更に含み、前記架橋剤が小分子架橋剤、高分子架橋剤又はそれらの任意の組合せである、請求項1〜16のいずれか一項に記載の組成物。
  18. 前記架橋剤がアクリレート、マレイミド、ビニルスルホン、ヒドロキシスクシンイミド、アルデヒド、ケトン、マルチカルボジイミド、カーボネート、ヨードアセチル、メルカプトニコチンアミド、キノン、チオール、アミン及びそれらの任意の組合せから選択される基を有する分子を含む小分子架橋剤である、請求項17に記載の組成物。
  19. 前記架橋剤がアクリレート、マレイミド、ビニルスルホン、ヒドロキシスクシンイミド、アルデヒド、ケトン、マルチカルボジイミド、カーボネート、ヨードアセチル、メルカプトニコチンアミド、キノン、チオール、アミン及びそれらの任意の組合せから選択される基を有する高分子を含む高分子架橋剤である、請求項17に記載の組成物。
  20. 前記架橋剤がジチオトレイトール、ジシステイン、PEG−ジチオール、4又は8アームPEGチオール、ジビニルスルホン、ビス(ビニルスルホニル)メタン、PEG−VS、及び4又は8アームPEGVSからなる群から選択される、請求項17に記載の組成物。
  21. 前記組成物が前記1つ以上のポリマーとは異なる架橋剤を全く含まない、請求項1〜16のいずれか一項に記載の組成物。
  22. リン酸緩衝液を含む、請求項1〜21のいずれか一項に記載の組成物。
  23. 約3.5〜約9.0のpHを有する、請求項1〜22のいずれか一項に記載の組成物。
  24. 請求項1〜23のいずれか一項に記載の組成物によって形成されるヒドロゲル。
  25. 生体適合性である、請求項24に記載のヒドロゲル。
  26. 以下の少なくとも1つを有する、請求項24又は25に記載のヒドロゲル:
    1)動的振動剪断試験において測定される、約10.0Pa以下の貯蔵弾性率G’、
    2)約100rad/s超の周波数で動的振動剪断試験において測定される、約0.2Pa・s以下の複素粘度、及び、
    3)動的振動歪み掃引試験において測定される、少なくとも約10%の降伏歪み。
  27. 前記ヒドロゲルが、動的振動剪断試験において測定される、その貯蔵弾性率G’の約100%以下の損失弾性率G’’を有する、請求項24〜26のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
  28. ヒドロゲルを作製する方法であって、
    a)請求項1〜23のいずれか一項に記載の組成物を準備することと、
    b)前記組成物を前記ヒドロゲルの形成を可能にする条件に曝すことと、
    を含む、方法。
  29. 前記曝すことが前記組成物を約30℃〜約45℃でインキュベートすることを含む、請求項28に記載の方法。
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