JP2020533018A - 改善されたインビトロ転写/翻訳(txtl)システムおよびその使用 - Google Patents

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Abstract

一局面において、インビトロ転写および翻訳のための組成物が本明細書で提供され、上記組成物は、1またはこれより多くの宿主細胞(例えば、細菌、古細菌、植物または動物)に由来する処理された細胞溶解物;遺伝子の転写および翻訳のための複数の補充物;アデノシン三リン酸(ATP)を提供し再利用するためのエネルギー再利用システム;ならびに1またはこれより多くの外因性添加剤を含む。上記組成物を作製および使用するための方法がまた、提供される。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、米国仮特許出願第62/544,228号(2017年8月11日出願、その全ての開示全体は、参考として本明細書に援用される)の優先権および利益を主張する。
政府の権益についての陳述
本発明は、米国国防高等研究計画局(DARPA)により授与された契約番号W911NF17C0008、および米国国立衛生研究所(NIH)によって授与された助成金番号1R43AT00952201の下で政府の支援を得て行われた。政府は、本発明において一定の権利を有する。
分野
本開示は、無細胞組成物およびその使用、特に、無細胞(インビトロ)転写および翻訳を行うための改善された組成物に関する。
背景
合成生物学は、生物学的制御の根底にある基本的原則を読み解く有用なアプローチとして出現した。近年の努力から、多くのシステムおよびアプローチが生み出され、どのようにして生物学的機能を操作し、合成経路を効率的に最適化するかということについて相当な見識がもたらされてきた。
努力がなされ、進歩しているにも拘わらず、このような操作を実施する現行のアプローチは、しばしば骨が折れ、コストがかかり、かつ困難なものである。生物学、工学、グリーンケミストリー、農学および医学を含む多様な分野において、変容していく将来の適用のために既存の生物学的システムを再プログラミングし、新たな生物学的システムを構築し、そして遺伝子回路を試験するために必要とされるデザイン−構築−試験サイクルを加速するための、工学主導のアプローチおよびシステムを開発することには、未だ難題が残っている。
インビトロ転写−翻訳無細胞システム(Sun et al., 2013)が開発されており、これは、細胞と同様に振る舞う環境において遺伝的構築物の迅速なプロトタイプ作製を可能にする(Niederholtmeyer, Sun, Hori, & Yeung, 2015)。インビトロで作業する主な目的のうちの1つは、速い速度を生み出せることである−インビトロでは、反応は8時間かかり得、1日に数千回の反応へとスケール調整でき、これは細胞における類似の反応より何倍もの改善である。この無細胞システムの潜在的能力にも拘わらず、それは、種々の適用において使用される場合、最適な結果を達成するために微細に調整される必要がある。
従って、改善された無細胞システム、特に、改善された転写および翻訳の効率を有するシステムが必要である。
要旨
本明細書で開示されるのは、改善されたインビトロの転写/翻訳(TXTL)システムおよびその使用である。
一局面において、インビトロ遺伝子発現のための組成物が提供され、上記組成物は、細菌、古細菌、植物または動物のような宿主細胞の1またはこれより多くに由来する処理された細胞溶解物;遺伝子の転写および翻訳のための複数の補充物;アデノシン三リン酸(ATP)を提供し再利用するためのエネルギー再利用システム;ならびに極性非プロトン性溶媒、第四級アンモニウム塩、ベタイン、スルホン、エクトイン、グリコール、アミド、アミン、糖ポリマー、糖アルコール、低伸長速度RNAポリメラーゼ(RNAP)およびリボソームからなる群より選択される1またはこれより多くの外因性添加剤であって、ここで上記糖ポリマーおよび糖アルコールは、エネルギー源を提供するためではない、外因性添加剤を含む。
上記組成物は、メタゲノム的に得られた遺伝子(metagenomically derived gene)、経路を一緒に構成する複数の遺伝子、および/または合成タンパク質を発現することにおいて使用され得、ここで好ましくは上記経路は、天然生成物の合成のためにデザインされる。いくつかの実施形態において、上記遺伝子または経路は、インビトロ遺伝子発現のために最適化されていない。
いくつかの実施形態において、上記複数の補充物は、マグネシウムおよびカリウムの塩、リボヌクレオチド、アミノ酸、出発エネルギー基質(starting energy substrate)、およびpH緩衝化剤を含み得る。
ある種の実施形態において、上記1またはこれより多くの添加剤は、核酸の二次構造を調節し得、RNAPの処理性能および/もしくは安定性を改善し得、RNAPの伸長速度に影響を及ぼし得、リボソームのRNAPとの相乗効果および/もしくは安定性を改善し得、そして/または合成中のポリペプチドの安定性を改善し得る。
いくつかの実施形態において、上記低伸長速度RNAPは上記宿主細胞と同種であり得、例えば、RNA PolI、RNA PolII、RNA PolIII、および細菌RNAPである。いくつかの実施形態において、上記低伸長速度RNAPは上記宿主細胞に対して異種であり得、例えば、SP6 RNAPバリアント、T7 RNAPバリアント、およびT3 RNAPバリアントである。いくつかの実施形態において、上記低伸長速度RNAPは、好熱性生物または好低温性生物から供給され得る。いくつかの実施形態において、上記低伸長速度RNAPは、操作されたT7 RNAPバリアントおよび操作されたRNA PolIIバリアントのような合成RNAPであり得る。いくつかの実施形態において、上記低伸長速度RNAPは、指向性進化および/または合理的デザインによって操作され得る。いくつかの実施形態において、上記低伸長速度RNAPは、精製されたタンパク質として、または上記低伸長速度RNAPをコードする核酸として提供され得る。
上記組成物は、いくつかの実施形態において、上記組成物において発現されるべき外因性核酸をさらに含み得、ここで各外因性核酸は、上記低伸長速度RNAPによって認識されるプロモーターを含む。
いくつかの実施形態において、上記リボソームは、上記宿主細胞から、または上記宿主細胞とは異なる生物から供給され得、ここで好ましくは上記リボソームは、0.1μM〜100μMの濃度において提供される。
いくつかの実施形態において、上記組成物は、低伸長速度RNAPおよび外因性リボソームの両方を含み得、ここで好ましくは上記低伸長速度RNAPおよび上記外因性リボソームはカップリングされ、必要に応じてこのようなカップリングは、上記宿主細胞に対して直交する。
別の局面において、本明細書で開示される組成物を調製するための方法が提供され、上記方法は、上記処理された細胞溶解物、上記複数の補充物および上記エネルギー再利用システムを含むインビトロ転写/翻訳システムを提供する工程と;本明細書で開示される1またはこれより多くの外因性添加剤を供給する工程とを包含する。
さらなる局面において、インビトロ遺伝子発現の方法が提供され、上記方法は、本明細書で開示される組成物を提供する工程と、1またはこれより多くの発現されるべき核酸を提供する工程とを包含する。
図1は、無細胞発現の概観を提供する。無細胞発現では、宿主は、溶解物へと変換され、DNAをmRNAそしてタンパク質へと変換することを可能にする因子が供給される。
図2は、旧来の異種発現と無細胞発現との比較を提供する。
図3は、16nMの直線状DNA(sigma70−lazC)からの非モデル遺伝子の転写に対するジメチルスルホキシド(DMSO)の効果を、マラカイトグリーン(Mg)−アプタマーによって、0〜10%のDMSO(使用濃度)の存在下で示す(左)。右の図は、FloroTectTMの組み込みを追跡するSDS−PAGEによって測定したタンパク質収量を示す。
図4は、4% DMSOの存在下、800mM ベタインの存在下、400mM ベタインの存在下、および何も存在しない下(陰性コントロール)での、6nMの直線状DNA(sigma70−mcjC)のTXTL発現を示す。黒い矢印は、mcjCの予測サイズを表す。ゲル上の他のバンドは、タンパク質発現レベルを正規化するために使用され得る。
図5は、種々の濃度のベタインでの、sigma70(およびsigma70(lacO1))プロモーターからの、6nMの直鎖状DNAである多数の遺伝子(MBP、klebB、klebC、mcjB、およびmcjC)のTXTL発現を示す。黒い矢印は、各タンパク質の予測サイズを表す。ゲル上の他のバンドは、タンパク質発現レベルを正規化するために使用され得る。
図6は、Streptomyces coelicolor TXTLにおける2種のタンパク質、MBPバリアントおよびGFPの発現を示す。左:右側の3本のレーンは、1% DMSO、添加剤なし(陰性コントロール)、または400mM ベタインでの、S.coelicolor TXTLにおける15nMの直線状DNAからのMBPバリアントの生成を追跡するSDS−PAGEゲル。矢印は、MBPバリアントの予測サイズ。左側のレーンは、異なるMBPバリアントを発現するサンプルE.coli TXTLである。右:種々の濃度のベタインでの12時間後のS.coelicolor TXTLにおける6nMの直線状DNA(GFP)の発現。afuは、任意蛍光単位。
図7は、16nMの直線状DNAまたは8nMのプラスミドDNAのいずれかからGFPを発現する、多数のT7 RNAポリメラーゼ(RNAP)プロモーターバリアントのTXTL発現をプロットしたものであり、陰性コントロールの発現もまたプロットされている。エラーバーは、2回の実験からの1標準偏差を表す。
図8は、8nMのプラスミドDNAまたは16nMの直線状DNAからの、メタゲノム的コード配列のMg−アプタマー発現をプロットしたものであり、これらは、sigma70プロモーターまたはT7プロモーターのいずれかから駆動された。右:FloroTectTMを追跡するSDS−PAGEゲルであり、ゲル上で生じた、各反応から得られたタンパク質を示す。ここで黒い矢印は、予測タンパク質を示す。
図9は、2〜8nMのsigma70直線状DNAからおよび4nMのT7プロモーター直線状DNAからの非モデル遺伝子klebBおよびklebCのTXTL発現についての、FloroTectTMを追跡するSDS−PAGEゲルを示す。ここでそのT7プロモーターに関して、種々のT7 RNAPバリアントが、1〜1.5nMの直線状DNAから共発現される(野生型、Q649S、G645A、I810S)。WTは野生型、QSはQ649S、GAはG645A、ISはI810S。白い矢印は、RNAPの予測サイズを表す;黒い矢印は、klebBおよびklebCの予測タンパク質サイズを表す。
図10は、TXTLにおける、タグ化MBPへのFlAsH−EDT2の結合を追跡する動的データを示す。左:1nM〜4nMの種々の直線状DNAから発現されるT7 RNAPバリアント(WT、Q649S、G645A、I810S)と共発現した、MBP−「CCPGCC」(全て「/c」ではない)またはタグなしのMBP(「/c」)を発現する4nMの直線状DNAを示すコントロール。右:4nMの種々の直線状DNAから発現されたT7 RNAPバリアントでの、MBP−「CCPGCC」を発現する4nMの直線状DNAの発現。
図11は、8nMのsigma70−GFPについてのE.coli TXTL反応のピーク翻訳速度を示す。ここで0〜2μMの使用濃度でS70リボソームが補充され、0〜2mMでマグネシウムが補充される。afuは任意蛍光単位。
上記で同定された図面は、本明細書で開示される実施形態を示すが、考察の中で注記されるように、他の実施形態もまた企図される。本開示は、限定ではなく典型として、例証的実施形態を示す。本開示の実施形態の原理の範囲および趣旨の中に入る多くの他の改変および実施形態が当業者によって考案され得る。
詳細な説明
本明細書で開示される改善されたインビトロ転写/翻訳(TXTL)システムは、DNAから細胞機能への情報の流れをより効率的に触媒し得る。このシステムは、生物工学および生物学的発見(biodiscovery)に関するその有用性を拡げることによって、先行するシステムを改善するものである。いくつかの実施形態において、本明細書で開示されるシステムおよび組成物は、その派生生物の転写プロセス構成要素と翻訳プロセス構成要素との間の相乗効果を促進するようにデザインされる。組成の改変は、任意の生物に由来するインビトロシステムに関して実行され得る。ある種の実施形態において、そのシステムは、派生生物の単離された遺伝子発現装置を含み得、これは、インビボ代謝、細胞調節システム、および内因性DNA発現という負荷から自由であり得る。このようなシステムは、遺伝子発現、遺伝子生成物のアセンブリおよび機能を迅速に観察するために使用され得る。遺伝子発現を促進するその能力のために、本明細書で開示されるシステムおよび組成物は、インビトロ発現についての、今まで異種発現を制限していた障害、生成者である生物の培養不能性およびカップリング効率の変動性を克服する。
例えば、生物工学に適用される場合、本明細書で開示される組成物および方法は、高スループット発現および活性プロトタイプ作製を可能にし、合成生物学、代謝工学、バイオプロセス開発、または遺伝子、経路、および遺伝的エレメントの進化の収束サイクルについてのデザイン/構築/試験サイクルを加速する。生物学的発見に関して使用される場合、本明細書で開示される組成物および方法は、培養されていな生物、細菌叢、潜在遺伝子およびクラスタのライブラリーからの遺伝子の発現を介して;異種宿主における従来の遺伝子発現に対するほぼ未解決の障壁を除去でき、探索のための遺伝子配列空間の広大な領域を開く。
定義
便宜上、本明細書、実施例および添付の特許請求の範囲において使用されるある種の用語は、ここにまとめられる。別段定義されなければ、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本開示が属する分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。
冠詞「1つの、ある(a)」および「1つの、ある(an)」は、その冠詞の文法上の対象の1または1より多くのもの(すなわち、少なくとも1)に言及するために本明細書で使用される。例示によれば、「1つのエレメント(an element)」は、1つのエレメントまたは1より多くのエレメントを意味する。
本明細書で使用される場合、用語「約」とは、20%以内、より好ましくは10%以内、最も好ましくは5%以内を意味する。用語「実質的に」とは、50%より高い、好ましくは80%より高い、最も好ましくは90%または95%より高い、を意味する。
本明細書で使用される場合、「複数の(a plurality of)」とは、1より大きい、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、またはより大きい、例えば、25、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、またはより大きい、あるいはそれらの間の、任意の整数を意味する。
本明細書で使用される場合、用語「核酸」、「核酸分子」、および「ポリヌクレオチド」とは、交換可能に使用され得、1本鎖(ss)および2本鎖(ds)両方のRNA、DNAおよびRNA:DNAハイブリッドを含み得る。これらの用語は、デオキシリボヌクレオチドおよび/もしくはリボヌクレオチド、またはこれらのアナログもしくは改変を含む、種々の長さを有し得るヌクレオチドのポリマー形態が挙げられるが、これらに限定されないことが意図される。核酸分子は、全長のポリペプチドもしくはRNA、またはこれらの任意の長さのフラグメントをコードしてもよいし、非コードであってもよい。
本明細書で使用される場合、用語「遺伝子」および「コード配列」とは、交換可能に使用され得、ポリヌクレオチドの配列に言及し得、そのポリヌクレオチドの順番は、細胞(またはウイルス)が合成し得るポリペプチドまたはRNA分子におけるアミノ酸モノマーの順番を決定する。
核酸は、ヌクレオチドの天然に存在するかまたは合成のポリマー形態であり得る。本開示の核酸分子は、例えば、デオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)分子を形成するような、天然に存在するヌクレオチドから形成され得る。あるいは、その天然に存在するオリゴヌクレオチドは、それらの特性を質変化させる構造的改変を含み得る(例えば、ペプチド核酸(PNA)においてまたはロックド核酸(LNA)において)。その用語は、均等物、ヌクレオチドアナログから作製されるRNAもしくはDNAいずれかのアナログ、および記載されている実施形態に適用可能である場合、1本鎖または2本鎖のポリヌクレオチドを含むことが理解されるべきである。本開示において有用なヌクレオチドは、例えば、天然に存在するヌクレオチド(例えば、リボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチド)、またはヌクレオチドの天然のもしくは合成の改変物、または人工塩基を含む。改変物はまた、安定性を増大するためにホスホロチオエート化塩基を含み得る。
本明細書で使用される場合、別段述べられなければ、用語「転写」とは、DNAテンプレートからRNAを合成することをいう;用語「翻訳(」とは、mRNAテンプレートからポリペプチドを合成することをいう。翻訳は概して、そのmRNA転写物の5’非翻訳領域(5’−UTR)の配列および構造によって調節される。1つの調節配列は、リボソーム結合部位(RBS)であり、これは、mRNAの効率的かつ正確な翻訳を促進する。原核生物のRBSは、Shine−Dalgarno配列という、16S rRNA(30Sの小さなリボソームサブユニット内に位置する)の3’末端のUCCUコア配列に相補的な5’−UTRのプリンリッチ配列である。種々のShine−Dalgarno配列が原核生物mRNAにおいて見出されており、概して、AUG開始コドンから約10ヌクレオチド上流にある。RBSの活性は、RBSとイニシエーターAUGとを分離するスペーサーの長さおよびヌクレオチド組成によって影響を及ぼされ得る。真核生物では、Kozak配列が短い5’非翻訳領域内にあり、mRNAの翻訳を指示する。Kozakコンセンサス配列を欠くmRNAもまた、これが安定な二次構造を欠く適度に長い5’−UTRを有する場合、インビトロシステムにおいて効率的に翻訳され得る。E.coliリボソームがShine−Dalgarno配列を優先的に認識する一方で、真核生物リボソーム(例えば、網状赤血球溶解物(retic lysate)に見出されるもの)は、Shine−DalgarnoまたはKozakリボソーム結合部位のいずれかを効率的に使用し得る。
本明細書で使用される場合、用語「カップリングする(coupling)」または「カップリングされる(coupled)」とは、DNA転写およびmRNA翻訳のシステムとタンパク質の折りたたみを促進する溶解物中の固有の折りたたみ因子との協調した作用をいい、ここで忠実度、動態および協調性が、活性タンパク質の生産性を決定する。カップリングの程度は、機能的タンパク質への情報の翻訳および増幅の効率の尺度であり、活性タンパク質への遺伝子コピーの増幅の程度に等しい。いくつかの実施形態において、効率的なカップリングは、非翻訳mRNA、短縮型mRNA、mRNA二次構造の形成を最小限にし、そして/またはエンドヌクレアーゼおよび/もしくはエキソヌクレアーゼによる分解を最小限にする。種々の実施形態において、効率的なカップリングは、全長転写物合成、mRNA転写物の寿命、リボソーム翻訳伸長速度および/またはタンパク質折りたたみ効率を最適化する。
本明細書で使用される場合、用語「宿主」または「宿主細胞」とは、任意の原核生物または真核生物の単一の細胞(例えば、酵母、細菌、古細菌などの)または生物に言及する。その宿主細胞は、複製可能な発現ベクター、クローニングベクターまたは任意の異種核酸分子のレシピエントであり得る。宿主細胞は、原核生物細胞(例えば、Escherichia属またはLactobacillus属の種)、または真核生物(例えば、酵母またはタバコ)であり得る。その異種核酸分子は、目的の配列、転写調節配列(例えば、プロモーター、エンハンサー、リプレッサーなど)および/または複製起点を含み得るが、これらに限定されない。本明細書で使用される場合、用語「宿主」、「宿主細胞」、「組換え宿主」、および「組換え宿主細胞」は、交換可能に使用され得る。このような宿主の例に関しては、Green & Sambrook, 2012, Molecular Cloning: A laboratory manual, 第4版, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York(本明細書に参考として援用される)を参照のこと。
本明細書で使用される場合、宿主生物に対して「同種(homologous)」または「本来(native)」(交換可能に使用される)である品目(例えば、酵素、ポリメラーゼ、遺伝子、またはタンパク質)は、その宿主に由来するものであり、その宿主にあるオリジナルの品目と同じであるか、またはその宿主の操作されていないバリアントかまたは操作されたバリアントとして存在する。これは、その宿主生物において天然には見出されず、代わりに異なる生物または種に由来し、その本来の形態で、あるいは操作されていないバリアントかまたは操作されたバリアントとして存在し得る、「異種(heterologous)」または「本来でない(non−native)」品目と対照をなす。
本明細書で使用される場合、用語「直交する(orthogonal)」とは、その基本的構造またはそのシステム内の構成要素が互いと相互作用する様式が、天然で起こっているシステムとまったく似ていないか、またはそのシステムが比較されているシステムとまったく似ていないシステムであって、その結果、そのシステムと、天然のシステムもしくは比較されているシステムとの間の相互作用が(あるとすれば)制限されるシステムをいう。
本明細書で使用される場合、用語「sigma70」とは、本来の宿主、および/またはその本来の宿主から作製したTXTLシステムの中でハウスキーピングなシグマ因子によって認識されるプロモーターをいう。種々の実施形態において、それは具体的には、構築物#40019(Addgene)に存在するOR2OR1Prプロモーターであり得るか、またはpLacO1プロモーターもしくはバリアント(Lutz & Bujard, 1997)であり得る。このプロモーターを組み込む遺伝物質の調製は、Green & Sambrook, 2012, Molecular Cloning: A laboratory manual, 第4版, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York(本明細書に参考として援用される)および他の実験マニュアルに見出され得る。
用語「操作する(engineer)」、「操作(engineering)」または「操作された(engineered)」とは、本明細書で使用される場合、生体分子(例えば、DNA、RNAおよび/またはタンパク質)の遺伝的操作(genetic manipulation)もしくは改変、またはバイオテクノロジー分野で一般に公知の類似技術をいう。
用語「バリアント」または「バリアント形態」とは、ポリペプチドの文脈において、天然に存在する配列の1またはこれより多くの活性の少なくとも10%を有し得るポリペプチドをいう。いくつかの実施形態において、そのバリアントは、天然に存在する配列とアミノ酸配列の実質的な同一性を有するか、または実質的に同一なヌクレオチド配列によってコードされ、その結果、バリアントは、天然に存在する配列の1またはこれより多くの活性を有する。化学物質の文脈において、「バリアント」とは、1またはこれより多くの原子を1またはこれより多くの置換基で置換することによって親化学物質から生じるか、または親化学物質から実際に合成されるとみられ得る誘導体をいう。一般的な置換基としては、例えば、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、ヘテロシクロアルケニル基、シクロアルケニル基、アリール基、またはヘテロアリール基が挙げられる。
本明細書で記載される場合、「遺伝子モジュール」および「遺伝子エレメント」は交換可能に使用されてよく、任意のコード核酸配列および/または非コード核酸配列をいう。遺伝子モジュールは、オペロン、遺伝子、遺伝子フラグメント、プロモーター、エキソン、イントロン、調節配列、タグ、またはこれらの任意の組み合わせであり得る。いくつかの実施形態において、遺伝子モジュールは、コード配列、プロモーター、ターミネーター、非翻訳領域、リボソーム結合部位、ポリアデニル化テール、リーダー、シグナル配列、ベクターおよび前述のうちの任意の組み合わせのうちの1またはこれより多くをいう。ある種の実施形態において、遺伝子モジュールは、本明細書で定義されるとおりの転写ユニットであり得る。
本明細書で使用される場合、「メタゲノム的」または「メタゲノム」とは、環境サンプルに由来する遺伝物質を意味する。その遺伝物質は、代表的には、微生物に由来するが、排他的に微生物に由来しなければならないわけではない。メタゲノム的物質は、代表的には、これが異種システムおよび/または無細胞システムにおいて十分に発現するように最適化されていないという点で、「非モデル」でもある。
本明細書で使用される場合、「好熱性生物(thermophile)」とは、40℃またはこれより高い温度において最適増殖温度を有する微生物をいう。例としては、Pyrococcus、Pyroglobus、Thermococcusに由来する種が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される場合、「好低温性生物(psychrophile)」とは、15℃またはこれより低い温度において最適増殖温度を有する微生物をいう。例としては、Arthrobacter、Psychrobacter、Synechococcusに由来する種が挙げられるが、これらに限定されない。
用語「添加剤」とは、性質が化学的であろうが生物学的であろうが、天然であろうが合成であろうが、システムに提供される添加されるものをいう。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される添加剤は、外因的に、例えば、外部供給源から提供される。
本明細書で使用される場合、「極性非プロトン性溶媒」は、室温において液体であり、水素結合ドナー原子を欠き、誘電率>6を有し、双極子モーメント>1を有し、そして少なくとも1個の潜在的な水素結合アクセプター原子を含む化合物である。いくつかの実施形態において、添加されるものとしては、極性非プロトン性溶媒、ジエチルスルホキシド、アセトニトリル、アセトン、N−メチル−2−ピロリドン、テトラヒドロフラン、および/または炭酸プロピレンが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、その極性非プロトン性溶媒は、約0.1〜10% vol/volの濃度範囲で提供され得る。いくつかの実施形態において、その極性非プロトン性溶媒は、無細胞反応に対して個々の化学物質として添加され得る。いくつかの実施形態において、ジメチルスルホキシドは、本明細書で開示されるとおりの極性非プロトン性溶媒から除外される。いくつかの実施形態において、アセテートは、塩形態(例えば、酢酸マグネシウム、酢酸カリウム)として無細胞反応に添加される場合、本明細書で開示されるとおりの極性非プロトン性溶媒から除外される。
本明細書で使用される場合、「第四級アンモニウム塩」とは、アンモニウムカチオンを含む塩である。このカチオンは、永久的な正電荷を有し、4個の化学置換基に結合される窒素を含む。これらの置換基は、互いと同じであってもよいし、互いから1個、2個、3個が異なっていてもよいし、または完全に異なっていてもよい。いくつかの実施形態において、その第四級アンモニウム塩は、塩化ベンザルコニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、および/またはリン酸テトラブチルアンモニウムが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、その第四級アンモニウム塩は、約0.001〜1.5Mの濃度範囲で提供され得る。いくつかの実施形態において、ベタイン、トリメチルグリシン、および/またはベタインのバリアントが含まれる。いくつかの実施形態において、ベタイン、トリメチルグリシン、および/またはベタインのバリアントは、約0.1M〜1.5Mの濃度範囲、より好ましくは約200mM〜600mMの濃度範囲、約300〜500mMの濃度範囲、または約400mMにおいて提供される。いくつかの実施形態において、ベタイン、トリメチルグリシン、および/またはベタインのバリアントは、核酸生成物を安定化させるためではなく、むしろクラウディング試薬(crowding reagent)として働き、さもなければTXTL生成物を安定化を促進するためのものである。いくつかの実施形態において、カルドヘキサミン(caldohexamine)、テトラキス(3−アミノプロピル)アンモニウム、および/またはトリス(3−アミノプロピル)アミンは、本明細書で開示される第四級アンモニウム塩またはベタインから除外される。
本明細書で使用される場合、「スルホン」は、2個の酸素に二重結合され、そして常にではないが通常は炭素である2個のさらなる置換基に単結合される六価の硫黄原子を含む化合物である。いくつかの実施形態において、そのスルホンとしては、プロピルスルホキシド、n−ブチルスルホキシド、メチルスルホン、メチルブチルスルホキシド、スルホラン、テトラメチレンスルホキシド、および/またはエチルスルホンが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、そのスルホンは、約0.01M〜1.5Mの濃度範囲で提供され得る。
本明細書で使用される場合、「エクトイン」は、1,4,5,6−テトラヒドロ−2−メチル−4−ピリミジンカルボン酸およびその誘導体である。エクトインは、浸透圧ストレスに対する保護のために、浸透圧調節物質として微生物によって天然に生成される。いくつかの実施形態において、そのエクトインとしては、L−エクトイン、α−ヒドロキシエクトイン、および/またはホモエクトインが挙げられ得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、そのスルホンは、約0.01M〜1.5Mの濃度範囲で提供され得る。
本明細書で使用される場合、「グリコール」とは、2個より多くのまたは2個に等しい、ある数の原子によって互いから分離される2個のヒドロキシル基を有する化合物である。いくつかの実施形態において、そのグリコールとしては、グリセロール、エチレングリコール、および/またはネオペンチルグリコールが挙げられ得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、そのグリコールは、ポリエチレングリコールを、例えば、約0.1% w/volより高いが約30% w/vol未満の濃度で、そして分子量が約10,000ダルトンより大きいサイズで含み得る。いくつかの実施形態において、そのグリコールは、ポリエチレンオキシドを、約0.1% w/volより高いが約30% w/vol未満の濃度で含み得る。
本明細書で使用される場合、「アミド」は、官能基RE(O)NR’(ここでRおよびR’は、水素または非水素原子を介して結合される一般的な置換基(例えば、アルキル、アルケニルなど)のいずれかである)を有する化合物式を有する化合物であり得る。本明細書で使用される場合、そのアミンは、塩基性窒素原子上に孤立電子対を含む化合物であり得る。いくつかの実施形態において、アミドおよびアミンとしては、ホルムアミド、アセトアミド、2−ピロリドン、プロピオンアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ホルミルピロリジン、ホルミルピペリジン、および/またはホルミルモルホリンが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、アミンおよびアミドは、約0.001M〜0.05Mの濃度範囲で提供され得る。いくつかの実施形態において、スペルミジン、スペルミン、サーモスペルミン、カルドペンタミン、ホモスペルミン、ホモカルドペンタミン、プトレシン、および/またはテトラアミンは除外される。
本明細書で使用される場合、「糖ポリマー」は、同一のまたは異なる糖で連結された糖のバージョン(オリゴサッカリド、例えば、マルトデキストリン、α−シクロデキストリンなど)である。本明細書で使用される場合、「糖アルコール」(これは通常は糖に由来する)は、ポリオールである。ポリオールは、2個より多くのヒドロキシル基を含む炭化水素である。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される糖ポリマーおよび糖アルコールは、エネルギー源のために使用されず、そして/または無細胞反応によって代謝されない。いくつかの実施形態において、その糖ポリマーとしては、α−シクロデキストリンおよび/またはトレハロースが挙げられ得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、その糖アルコールとしては、キシリトール、D−トレイトール、および/またはソルビトールが挙げられ得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、その糖ポリマーは、マルトデキストリン、グリコーゲン、およびマルトースを除外し得る。
本明細書で使用される場合、「低伸長速度」ポリメラーゼは、約10〜120ヌクレオチド/秒(nt/s)の間、より好ましくは約10〜50nt/sの間のインビトロでの伸長速度を有するポリメラーゼである。このポリメラーゼは、オリジナルの宿主に由来する本来のポリメラーゼの伸長速度に可能な限り近いようにデザインされる。種々の実施形態において、「伸長速度」とは、「速度」ともいわれる。伸長速度は、秒速あたりのヌクレオチドとして、(Bonner, Lafer, & Sousa, 1994)および(Golomb & Chamberlin, 1974)(参考として援用される)に記載されるように測定され得る。
本明細書で使用される場合、ポリメラーゼの「処理性能」とは、ポリメラーゼがその基質を放出することなく連続反応を触媒する能力に言及する。処理性能は、典型的には約0.70〜1の小数として、(Bonner et al., 1994)および(McClure & Chow, 1980)(参考として援用される)に記載されるように測定され得る。「高処理性能」ポリメラーゼは、約0.80〜0.99の間、または約0.90〜0.99の間であるものをいう。
本明細書で使用される場合、「合理的デザイン」は、得られる酵素の機能を変動させるために、遺伝子において変異を作製するプロセスである。このプロセスは典型的には、所望の活性をもたらすモチーフが公知である場合に活性の物理的モデルによって知らされる。このプロセスは、(Sousa, Chung, Rose, & Wang, 1993)(参考として援用される)においてモデルポリメラーゼに関して示されている。
本明細書で使用される場合、「指向性進化」とは、所望の機能を果たすように酵素を進化させるために、淘汰圧を使用し、自然の選択を模倣するというプロセスである。このプロセスは、相当な量の遺伝的バリエーションを生じさせる工程を包含する。指向性進化法の例は、(Esvelt, Carlson, & Liu, 2011)によるファージを使う連続的進化法(phage−assisted continuous evolution)および(Renata, Wang, & Arnold, 2015)(参考として援用される)に記載される他の方法を含む。
本明細書で使用される場合、組換え核酸技術ならびに分子生物学および細胞生物学の分野で使用される他の用語は、適用可能な分野の当業者によって一般に理解される。
インビトロ転写および翻訳の組成物
インビトロ転写および翻訳システムは、細胞の状況の外側で転写および翻訳を行い得るシステムである。いくつかの実施形態において、このシステムは、「無細胞システム」、「無細胞転写および翻訳」、「TX−TL」、「TXTL」、「溶解物システム」、「インビトロシステム」、「ITT」、または「人工細胞」ともいわれる。インビトロ転写および翻訳システムは、宿主から作製されない精製タンパク質システムであるか、または「溶解物」として形成される、宿主系統から作製される精製タンパク質システムのいずれかであり得る。当業者は、インビトロ転写および翻訳が転写および翻訳が起こることを必要とし、従って、精製された酵素との反応を包含しないことを認識する。
無細胞転写−翻訳は、図1に記載される。上:DNAを取り込み、反応を触媒するタンパク質を生成する無細胞発現。下:無細胞生成の模式図および384ウェルプレートフォーマットにおいて集められたGFP発現の代表的データ。細胞アプローチと対照をなす無細胞アプローチは、図2に記載される。無細胞プラットフォームは、生細胞なしに多数の遺伝子からのタンパク質発現を可能にする。無細胞生成のバイオテクノロジー法は、組換えDNAを投入物として取り込み得る、原核生物細胞からの溶解物を生成し、カップリングされた転写および翻訳を行って酵素として活性なタンパク質を出力する。無細胞システムは、発現するのに、細胞において数日から数週間かかるものであっても、8時間しかかからない。なぜならクローニングおよび形質転換の必要性がないからである。それらはまた、細胞で実行するより少なくとも1/10安価であり、高スループットで実行され得る。なぜなら反応は試薬と同等であり、384ウェルプレートにおいて使用されるからである。原核生物システムの典型的な収量は、750μg/mLのGFP(30μM)である。多数の無細胞システムから抽出を実行でき、これは10μlから10mLまでのスケールで行われ得る。
無細胞システムの溶解物構成要素を、特に、E.coliからどのように作製するかに関する指示は、(Sun et al., 2013)(これは、本明細書に参考として援用される)に見出され得る。この手順はE.coli無細胞システムに適合されたものであるが、他の生物および宿主(原核生物、真核生物、古細菌、真菌など)からの他の無細胞システムを生成するために使用され得る。他の無細胞システムの生成の例としては、Streptomyces spp.(Thompson, Rae, & Cundliffe, 1984)、Bacillus spp.(Kelwick, Webb, MacDonald, & Freemont, 2016)、およびTobacco BY2(Buntru, Vogel, Spiegel, & Schillberg, 2014)が挙げられるが、これらに限定されない(これらの指示は、参考として援用される)。本開示における溶解物を生成するためのプロセスは、栄養豊富な培地中で宿主を対数増殖期中期まで増殖させること、続いて、洗浄、フレンチプレスおよび/またはビーズビーティングホモジナイゼーションによる溶解、ならびに清澄化を包含する。このようにして処理された溶解物は、「溶解物」、「処理された細胞溶解物」、または「抽出物」といわれ得る。
複数の補充物が、遺伝子発現を維持するために抽出物と一緒に供給され得る。これは、転写および翻訳のための必要な品目(例えば、アミノ酸、ヌクレオチド(例えば、リボヌクレオチド)、塩(マグネシウムおよびカリウム)、エネルギー源、およびpH緩衝化構成要素)を含む。補充物の総説は、(Chiao, Murray, & Sun, 2016)(参考として援用される)に見出され得る。補充物はまた、転写および翻訳を支援するオプションの品目(例えば、補因子、伸長因子、ナノディスク、小胞、および消泡剤)を含み得る。これらはまた、DNAを保護する添加剤(例えば、gamS、chiサイトDNA、または他のDNA保護剤)を含み得る。
エネルギー再利用システムは、ADPからATPへと再利用することによってATPをシステムに提供し、システムのホメオスタシスを維持することと、pHを維持することと、転写および翻訳のためのシステムを広くサポートすることとによって、mRNAおよびタンパク質の合成を駆動するために必要である。エネルギー再利用システムの総説は、(Chiao et al., 2016)(参考として援用される)において見出され得る。使用され得るエネルギー再利用システムの例としては、3−PGA(Sun et al., 2013)、PANOx(D.−M. Kim & Swartz, 2001)、およびCytomimTM(Jewett & Swartz, 2004)が挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態において、核酸(例えば、DNA)は、インビトロTXTLシステムにおいて転写および翻訳の装置を利用することによって、その核酸からポルペプチドを生成するために供給され得る。その核酸は、(Shin & Noireaux, 2012)に記載されるように、遺伝子または遺伝子フラグメント、ならびに調節領域(例えば、プロモーター(例えば、OR2OR1Prプロモーター、T7プロモーターまたはT7−lacOプロモーター)およびRBS領域(例えば、λファージに由来するUTR1))を含み得る。その核酸は、直線状であってもよいし、プラスミドの形態にあってもよい。
他の実施形態において、mRNAが供給され得、これは、インビトロTXTLシステムにおいて翻訳構成要素を利用して、ポリペプチドを生成する。このmRNAは、精製された天然供給源に由来してもよいし、合成して生成された供給源に由来してもよいし、インビトロで、例えば、インビトロ転写キット(例えば、HiScribeTM、MAXIscriptTM、MEGAscriptTM、mMESSAGE MACHINETM、MEGAshortscriptTM)から生成されてもよい。
いくつかの実施形態において、そのインビトロ転写および翻訳システムは、メタゲノム的に得られた遺伝子、1またはこれより多くの経路(例えば、1またはこれより多くの天然生成物を合成するための)を一緒に構成する複数の遺伝子、ならびに/または合成タンパク質を発現するために使用され得る。インビトロTXTLシステムを使用することによって、その遺伝子、経路、またはタンパク質は、迅速に発現され得、それらの活性および機能に関して迅速に診断され得る。機能を適切に診断するために、転写、翻訳、カップリング、および/または発現量を支援するために、外因性の添加剤が添加され得る。十分に研究されてきたある種のモデル遺伝子、経路またはタンパク質が、TXTLシステムにおいて十分に発現され得る一方で、非モデル(あまり研究されておらずかつあまり理解されていない)の遺伝子、経路またはタンパク質をどのように発現するかは、かなりの探索を要求する重大な課題のままである。メタゲノム的に得られた多くの遺伝子は、非モデル遺伝子である。非モデル遺伝子/経路を含む種々の遺伝子/経路の発現を、広くかつ予測外に改善し得る添加剤であって、これらの遺伝子/経路のインビトロTXTLを改善し、そして研究者がこれら遺伝子/経路を理解するのを助けるのに重要かつ有利な添加剤が、本明細書で提供される。
インビトロ転写および翻訳を改善するための化学的添加剤
いくつかの実施形態において、化学的添加剤は、インビトロ転写および翻訳を改善するために添加され得る。理論に拘束されることは望まないが、これらの添加剤は、DNAテンプレートおよびmRNAの二次構造を低減することによって作用し、その無細胞溶解物における転写装置の安定性を増強し、翻訳装置の安定化/増強によってその無細胞溶解物におけるタンパク質翻訳を増強し、翻訳されたタンパク質の折りたたみを促進し、そして/または翻訳されたタンパク質を安定化し、そして/または翻訳されたタンパク質のタンパク質溶解を低減する、と考えられる。
ある種の外因性の添加剤が、概してインビトロ転写および翻訳を改善し得ることは予測外である。これは、非モデル遺伝子および/またはメタゲノム的に得られた遺伝子(この場合、その遺伝子は、転写および翻訳に関して最適化されていない)に特にあてはまる。驚くべきことに、ある種の化学的添加剤が、今まで知られていなかった作用機構で転写および/または翻訳を改善し得ることが本明細書で示された。例示的な添加剤は、以下に列挙される。
インビトロTXTL反応において使用される添加剤は、インビボ実験からの条件に沿っていてもよいし、そうでなくてもよい。例えば、高分子クラウディングは、細胞内で重要な因子として公知である。高分子クラウディングは、排除体積 − 高分子クラウディング剤とのタンパク質の相互作用に起因してそのタンパク質にアクセス可能でない体積、を変動させることによって、そのタンパク質をそれらの折りたたまれた状態で安定させることを助ける。これは、細胞にとって重要である;例えば、E.coli細胞質は、300〜400mg/mLの高分子を含む。このことから、その細胞の挙動を模倣すること(例えば、CytominTMシステムに関して行われる)がTXTL反応能力を最適化し得るということが推測され得る。しかし、他の非天然エフェクター(例えば、ポリエチレングリコール)からのクラウディングが、(Sun et al., 2013)において利用されるようにTXTL反応を実行するにあたって等しく効果的であるということが示されている。従って、インビボでの知見のみから、どの添加剤がインビトロTXTL活性を改善し得るのかを推測することは、困難であり得る。
非モデルタンパク質の転写および翻訳に対する種々の添加剤の効果を試験するために使用され得る例示的なアッセイが、下記の実施例で提供される。添加剤のサブセットおよび非モデルタンパク質のサブセットが以下で例証されるに過ぎないが、当業者は、これらのアッセイが他の添加剤および他の非モデルタンパク質に適用され得ることを認識する。
インビトロ転写および翻訳を改善するための低伸長速度ポリメラーゼ
いくつかの実施形態において、低伸長速度ポリメラーゼは、インビトロ転写および翻訳の収量を改善するために利用され得る。低伸長速度ポリメラーゼは、それらの本来の対応物より遅くmRNAを生成する。これは、その利用されるポリメラーゼがファージ(これは、歴史的には、TXTL反応における転写の供給源である(例えば、T7、SP6))に由来する場合に、特に関連する。次に、これらのポリメラーゼは、典型的には、非常に処理能力が高く、高伸長速度を有する。
より高速でより多くのmRNAが生成される方が直感的にはよりよいはずであるが、低伸長速度ポリメラーゼが遺伝子、特に非モデル遺伝子の発現を改善し得ることは、本明細書で予測外にも示された。高処理性能を保持する低伸長速度ポリメラーゼを使用することによって、本来のポリメラーゼと比較して、翻訳のためのmRNAが単位時間内により少ない量で転写される。しかし、予測外にも、翻訳およびカップリングが改善される。理論に拘束されることは望まないが、これは、本来のポリメラーゼより、翻訳とmRNAの本来の宿主生成との適合がより良いことに起因すると考えられる。直感に反して、より良好なタンパク質収量が観察される。従って、その本来の宿主生物の伸長速度と適合するポリメラーゼが、インビトロ転写および翻訳を改善するために使用され得る。E.coliでは、その本来の伸長速度は、約30nt/sであるが、T7 RNAポリメラーゼの本来の伸長速度は、約240nt/sである。
いくつかの実施形態において、添加するべき低伸長速度ポリメラーゼの量は、生成されるべき転写生成物の量に依存して、例えば、約0.1nM〜10μMの間であり得る。
いくつかの実施形態において、インビトロTXTLシステムは、その溶解物が由来する1または複数の宿主生物と同種であるRNAPが補充され得る。これは、転写活性が律速である場合に、転写活性が補充されることを可能にする。例えば、1または多数の非モデル宿主から調製される溶解物が調製される場合、その反応における機能的な本来のポリメラーゼの量が律速であるかもしれず、そして/または本来のポリメラーゼを駆動するために使用される強度の高い本来のプロモーターユニットが未知であるかもしれない。これは、E.coliから作製されるTXTLにおける場合に当てはまり、強いOR2−OR1−Prプロモーターの同定が、(Shin & Noireaux, 2010)に記載され参考として援用されるように、効率的な本来の転写を駆動するために必要である。1または複数の非モデル宿主では、弱い本来のプロモーターの強度が、より多くの本来のRNAPとの反応を補充することによって、ブーストされ得る。あるいは、その本来のRNAPがTXTL調製プロセスを通じて分解されるおよび/または不活性である場合、外部で生成される機能的な本来のRNAPが、TXTL反応に対して補充され得る。
いくつかの実施形態において、そのRNAPは、その溶解物が由来する1または複数の宿主生物に対して本来ではない(例えば、異種である)。このRNAPは、本来の翻訳と適合するmRNAを生成し得、その宿主に由来するRNAPを模倣し得る。そのポリメラーゼは、速度、処理性能、および(Proshkin, Rahmouni, Mironov, & Nudler, 2010)に記載されるとおりの他の生物学的要因を考慮に入れて、そのTXTLシステムにおける下流のリボソームとのカップリングを最も促進するように選択され得る。そのポリメラーゼは、(その宿主TXTLシステムに由来するプロモーターよりむしろ)そのコグネートプロモーター(cognate promoter)の使用を要求し得る。理想的なポリメラーゼは、高処理性能を維持すると同時に低伸長速度を有する。これは、その宿主の本来のポリメラーゼに応答するプロモーターを同定する必要も、宿主ポリメラーゼ発現を最適化する必要もなしに、高発現ポリメラーゼを使用すればよいという簡潔さを可能にする。いくつかの実施形態において、このポリメラーゼは、速度に関連しないカップリングを促進するさらなる特性を有し得る(例えば、転写および/または翻訳の調節に影響を及ぼす添加剤)。
いくつかの実施形態において、供給されるRNAPは、好熱性生物または好低温性生物に由来し得る。これらの生物は、TXTLシステムにおいて異種として使用され得る安定なRNAPを有する可能性が高い。好熱性生物または好低温性生物に由来するRNAPの伸長速度があまりに速い場合、そのTXTL反応は、そのRNAPの伸長速度を低くするために、そのRNAPが供給された好熱性生物または好低温性生物の増殖に最適でない温度において実行され得る。
いくつかの実施形態において、そのTXTL反応に供給されるRNAPは、操作され得るかまたは合成であり得る。この操作されたRNAPは、そのTXTLシステムにおいて効率的な転写を駆動するにあたって有効であることが見出される本来存在するRNAPのバリアントであり得る。これは、その溶解物が由来するRNAPのバリアント、および異種RNAP(例えば、ファージRNAPおよび好熱性生物または好低温性生物のRNAP)のバリアントを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、そのRNAPは、低伸長速度および高処理性能を有するために、合理的デザインおよび/または指向性進化のいずれかによって操作され得る。
いくつかの実施形態において、そのTXTL反応に供給されるRNAPは、精製タンパク質として提供され得る。このタンパク質は、発現宿主(例えば、E.coli、酵母など)において、または別個のインビトロ反応において異種として生成され得、次いで、活性形態で精製され得、反応開始時直前にそのTXTL反応に添加され得るかまたは調製後の溶解物に添加され得る。それはまた、合成して生成され得る。いくつかの実施形態において、そのRNAPは、無細胞反応において直接発現され得る。そのRNAPをコードする核酸は、発現可能なプロモーターの下でTXTL反応に供給されて、同じTXTL反応において使用されるRNAPを生成し得る。
いくつかの実施形態において、そのTXTL反応には、その提供される低伸長速度RNAPによって認識されるプロモーターを含む核酸がさらに供給され得る。これは、そのTXTL反応において作製されるべき所望のタンパク質および/または生成物についての反応を駆動するために重要である。その供給されるRNAPによって認識される公知のプロモーターを利用することによって、その所望の生成物の転写が滴定され得る。これは、非E.coli TXTLシステムならびに/または非モデル宿主から作製されるシステム(この場合、本来の転写調節が公知でないおよび/もしくは強いプロモーターが同定されていない可能性がある)にとって特に重要である。その生成されるmRNAは、次いで、本来の翻訳装置に、または直交した翻訳装置に関連付けされ得る。
インビトロ転写および翻訳を改善するための外因性リボソーム
いくつかの実施形態において、リボソームは、転写および翻訳のカップリングならびにタンパク質収量をさらに促進するように、そのTXTL反応に補充され得る。転写および翻訳は密接に結びついていることから、その2つの間には、特に溶解物ベースのシステム(他の特性の中でも増殖条件、採取条件、採取方法からミスマッチが起こり得る)では、不均衡が存在し得る。これらのミスマッチは、(Siegal−Gaskins, Tuza, Kim, Noireaux, & Murray, 2014)に示され参考として援用されるように、無細胞反応において観察され得る。このミスマッチを軽減するために、リボソームは、例えば精製された形態で、外因的に供給され得る。理論に拘束されることは望まないが、このようにすることで、転写および翻訳の不均衡が軽減され得、カップリング(ポリメラーゼに対する臨界質量(critical mass)のリボソームの相互作用を含む)が促進され得ると考えられる。いくつかの実施形態において、添加される外因性リボソームとともに、マグネシウムおよび必要に応じてATPもまた、約1:100〜1:10000の間のモル比(添加されるリボソーム濃度:マグネシウムおよび必要に応じてATP)で添加され得る。
いくつかの実施形態において、添加されるリボソームは、その溶解物が由来する1または複数の宿主生物から供給され得るか、または異なる生物から供給され得る。添加されるリボソームは、異種的に生成され単離され得るか、別個に反応においてインビトロで生成され得るか、または合成して生成され得る。例えば、Streptomyces spp.のTXTL反応に関しては、Streptomycesリボソームは、E.coliまたは酵母において異種的に生成され得、精製され得、Streptomyces TXTL反応へと戻して添加され得る。これらのリボソームは、Streptomyces spp.に類似の生物(例えば、別の放線菌)においても有効であり得る。リボソームは高度に保存されているが、多様な種のその装置は、交差適合性であるほど十分に保存されていない可能性があることは、注記されるべきである。例えば、その宿主に由来するtRNAは外因的に供給されるリボソームを認識しないかもしれず、外因的に供給されるリボソームの調節は妨げられかもしれない。従って、リボソームは、適合性を担保するために、実施例の中で示されるアッセイに類似のアッセイにおいて予め試験されるべきである。分岐の少ない種に由来するリボソームは、添加剤としての成功の可能性がより高いと思われる。いくつかの実施形態において、リボソームの活動を可能にするさらなる添加剤が、機能的リボソーム翻訳システムを生成するために添加され得る(例えば、tRNA、調節タンパク質(例えば、Rqc2、eIF、RPGなど…))。添加されるリボソームはまた、有利な特性(例えば、標準でないアミノ酸、L型および/またはD型の化学物質)の組み込み、あるいはより効率的な翻訳)を提供するために、さらに操作され得る。
いくつかの実施形態において、その直交するかまたは補足的な翻訳システムは、その供給される転写システムに関連付けされ得る。この関連付けは、非常に効率的なカップリングされたTXTL反応を行う環境を提供するだけでなく、溶解物環境におけるタンパク質生成に由来する利点(例えば、必要なおよび/または有益な、公知のおよび/または未知の補因子の存在)をも利用する。
実施例1. TXTLシステムにおいてDMSOは、いくつかの遺伝的エレメントの発現を助けるが、他の発現は助けず、転写を調節するのみである
ジメチルスルホキシド(DMSO)は、プライマーにおける二次構造形成を回避するためにポリメラーゼ連鎖反応(PCR)においてしばしば使用される試薬であり、従って、それは、PCR収量を増大させる。さらに、DMSOは、mRNAの変性を助けることも示されている。DMSOの効果は、転写の際にある。
本発明者らは、DMSOがメタゲノム的な遺伝子および/または非モデル遺伝子の発現を増強するか否かを決定した。本発明者らは先ず、メタゲノム的に得られた遺伝子、lazC(773 配列番号1)を、sigma70レポーターおよびUTR1 RBSの下で、(Sun et al., 2013)に記載される方法によって生成したE.coli TXTLシステムにおいて発現させた。この配列は、マラカイトグリーン(Mg)アプタマーを有し、本発明者らは、(Siegal−Gaskins et al., 2014)に記載され参考として援用されるように、転写を追跡するために使用した。その設定条件は、以下である:30% eAC27 E.coli溶解物、30% エネルギーソリューション緩衝液(energy solution buffer)、30mM Mg色素、1% FloroTectTM、gamS、およびDMSO。ここでlazCは16nMで実行し、Mg−アプタマーは、プレートベースの分光光度計(例えば、Biotek H1, Biotek Synergy 2)において動的に、ならびに29℃で8時間より後のエンドポイント発現をSDS−PAGEゲルを走らせFloroTectTMの蛍光を検出することにより追跡した。図3に示されるように、中程度の量のDMSO(例えば、2%〜7%)は、Mg−アプタマーの転写効率を増強し、従って転写を改善した。その同じサンプルをSDS−PAGEゲル上で走らせるところ、これもlazCタンパク質の生成が改善したことを示す。このことは、DMSOが、転写様式においていくつかの遺伝子のタンパク質収量に影響を及ぼし得ることを示す。
しかし、DMSOは、全ての遺伝子に関して無細胞転写および翻訳を普遍的に助けるわけではない。図4では、本発明者らは、6nMのsigma70−mcjC直線状DNA構築物(728,配列番号2)を、(Sun et al., 2013)に記載される方法によって生成したE.coli TXTLシステムにおいて発現した。設定条件は、以下である:30% eAC28 E.coli溶解物、33% エネルギーソリューション緩衝液、30mM Mg色素、1% FloroTectTM、20μg/ml gamS、および4%の使用濃度の添加剤DMSO、400〜800mMのベタイン、または添加剤なし(陰性コントロール)。29℃で8時間より長い発現の後に、本発明者らは、各反応物のうちの2μLをロードした4〜12% SDS−PAGEゲルを走らせ、FloroTectTM蛍光を検出する。視覚的には、添加したDMSOは、陰性コントロール同然に作用するに過ぎず、潜在的には他の添加剤より悪い。DMSOはいくらかの遺伝子を助け得るが、DMSOはまた、他の遺伝子の発現に影響を及ぼさず、害し得る。
実施例2.他の添加剤は、DMSOとは異なる機構を介してTXTL発現を支援し得る
E.coli TXTLシステムにおいてベタインは、いくつかの遺伝的エレメントの発現を助ける
図4では、本発明者らはまた、400mM ベタインが、この量がTXTLに対して毒性レベル未満であるが発現効果を提供するには十分高いことから、sigma70−mcjCの発現を改善するように助けたことを示す。ベタインが作用する機構は、DMSOがsigma70−mcjC発現を助けないことから、DMSOとは異なる。
次いで、本発明者らは、異なる活性を有する多数の遺伝子にわたってベタインを実行した。その効果はmcjCに限定されないことを示す。本発明者らは、図4に関して記載されるものと同じ条件を利用したが、単にベタインを0mM、400mM、および800mMで試験し、sigma70(lacO1)−MBP(1066,配列番号3)、sigma70−klebB(938,配列番号4)、sigma70−klebC(939,配列番号5)、sigma70−mcjB(727,配列番号6)、およびsigma70−mcjC(728,配列番号2)について6nMの直線状DNAを走らせた。図5では、本発明者らは、ベタインが400mM濃度においてklebB、klebC、mcjB、およびmcjCを助けるが、MBPに対して認識可能な効果を有しないことを認めた。これは、ベタインがTXTLシステムにおいて多くの遺伝子の発現を助け得ることを裏付ける。
Streptomyces TXTLシステムにおいてベタインは、いくつかの遺伝的エレメントの発現を助ける
本発明者らはまた、ベタインがE.coliでないStreptomyces coelicolor TXTLシステムにおいてさらなる遺伝子の発現を改善することを示す。S.coelicolor TXTLシステムを、(Li, Wang, Kwon, & Jewett, 2017)に従って調製し、ここで代わりに増殖用にISP2培地を使用し、冷やしたWash Buffer 1(10mM HEPES−KOH pH7.5、10mM グルタミン酸マグネシウム、1M グルタミン酸カリウム、1mM DTT)中で2回、Wash Buffer 2(50mM HEPES−KOH pH7.5、10mM グルタミン酸マグネシウム、50mM グルタミン酸カリウム、1mM DTT)中で1回、Wash Buffer 3(50mM HEPES−KOH pH7.5、10mM グルタミン酸マグネシウム、50mM グルタミン酸カリウム、1mM DTT、10%(v/v) グリセロール)中で1回洗浄し、そして12,000 psiでフレンチプレスを使用して溶解を行った。エネルギーソリューションは、(Sun et al., 2013)に由来する。その設定条件は、以下である:30% eSC3 S.coelicolor溶解物、34% エネルギーソリューション緩衝液、1% FloroTectTM、および1%の使用濃度での添加剤DMSO、400mMのベタイン、または添加剤なし(陰性コントロール)。29℃で8時間より長い発現の後に、本発明者らは、各反応物のうちの2μLをロードした4〜12% SDS−PAGEゲルを走らせ、FloroTectTM蛍光を検出する。図6左では、本発明者らは、15nMの直線状DNA MBP構築物バリアント(1350,配列番号7)の発現をS.coelicolor TXTLにおいて示し、これは、ベタインなしよりベタインありでより多くのタンパク質を生成する。比較のために、異なるMBPバリアントを発現するE.coli TXTL反応を、参照のために提供する。本発明者らはまた、プレートリーダーを使用してGFP発現を追跡するために、上記のように、しかしDMSOの代わりに0〜800mMのベタインを利用し、0.1mg/mlの使用濃度のT7 RNAPを含めてTXTL反応を行う。図6右では、本発明者らは、GFPを発現する6nMの直線状DNA(配列番号14および配列番号15で増幅したAddgene 40019の直線状バージョンであるが、配列番号12のT7プロモーター配列を利用する)がまた、400mMのベタイン濃度においてより多くのGFPを生成することを示す。これは、ベタインの効果が多数の無細胞システムにわたって一般化可能であることを示す。
実施例3. 低伸長速度ポリメラーゼを利用することによるインビトロ転写および翻訳の改善は、多くの遺伝子の発現を改善する
T7 ポリメラーゼは、より高い転写物生成にも拘わらず、本来のポリメラーゼより少ないタンパク質を生成する
本発明者らは先ず、無細胞システムにおいてGFPを各々発現する、様々な強さのT7プロモーターのライブラリーを構築する。これらを、プラスミド(配列番号8)および直線状として、695:sigma70コントロールから、T7プロモーターバリアントとして、プラスミドおよび直線状として、688(配列番号9)、696(配列番号10)、697(配列番号11)、698(配列番号12)、699(配列番号13)まで番号付けする。ここで列挙している配列は、プロモーター領域を提供する。各プラスミドは、「GCAT」部位と「AAGC」部位との間の配列(配列番号8の1位〜69位)を、分子生物学の標準的な技術を使用してクローニングすることによって構築される。直線状DNAを、(Sun, Yeung, Hayes, Noireaux, & Murray, 2014)に記載され、参考として援用されるように、プライマー30810f(配列番号14)および30810r(配列番号15)を用いたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって、プラスミドを生じる各ライゲーション生成物を増幅することによって作製する。
各配列を、そのGFPの発現に関して、同じ反応において試験し、2回反復して行う。条件は以下である:(Niederholtmeyer et al., 2015)に記載されるように調製したE.coli溶解物eZS4/bZS4(全反応物の25%/25%)、3.5μMのgamS、および特注の30×ストックから使用するNEB T7 M0251L 12ユニット/mL。ここで全直線状DNAを16nMにおいて、およびプラスミドDNAを8nMにおいて試験し、無細胞発現を10時間後に測定する。図7では、直線状DNAおよびプラスミドDNAが比較される全ての場合において、GFP生成により測定されるT7の発現は、sigma70の発現より少ない。これは、T7がより高い処理性能を持つにも拘わらず、である。直線状DNAからのT7で駆動されるコード配列の発現が発現の不足を軽減しないということは、それがT7がmRNAの多数の鎖を作製する性質に起因しないことを示唆する。結果は、mRNAの配列によっても構造によっても説明されない。T7およびsigma70からの二次構造転写物は、全て同じ転写開始部位を有するから、同一である。全て、同じリボソーム結合部位も共有する。
本発明者らは次いで、多くの非モデルタンパク質に関して、本発明者らが、TXTLにおいてsigma70発現ベクターと比較して、T7発現ベクターの下で全体的により弱い発現を認めることを示す。図8では、本発明者らは、sigma70(配列番号16)およびT7(配列番号17)からメタゲノム的コード配列を発現させる。この配列は、マラカイトグリーン(Mg)アプタマー(本発明者らはこれを、転写を追跡するために使用した)を有する。その設定条件は、以下である:30% eAC27 E.coli溶解物、30% エネルギーソリューション緩衝液、30mM Mg色素および/またはFloroTectTM、特注の30×ストックから使用するNEB T7 M0251L 12ユニット/mL、およびgamS。そのコード配列を、16nMの直線状および8nMのプラスミドにおいて実行し、Biotek Synergy 2において590/35励起、645/166発光で追跡する。図8左でプロットされるのは、そのコード配列の直線状およびプラスミドの、sigma70およびT7両方の発現されたバージョンに関するMg−アプタマーシグナルである。T7で発現されたバージョンは、sigma70で発現されたバージョンより多くのmRNAを生成する。なぜならそのMg−アプタマータグは、その転写物の3’末端上に配置され、全mRNA生成を捕捉するはずだからである。しかし、対応する図8右のSDS−PAGEゲルは、T7発現したバージョンが、sigma70発現したバージョンより少ないタンパク質を生成することを示す。従って、速いほうのT7 RNAPより遅い方のsigma70ポリメラーゼに一般化可能な利点がある。
ポリメラーゼ伸長速度を遅くすると、カップリングを促進し得、増大したタンパク質を生成し得る
カップリングを促進するために、本発明者らは、転写速度と本来の翻訳速度とを適合させる低減した伸長速度を有するポリメラーゼを操作および/または供給する。
転写と翻訳との適合を試験するために、本発明者らは、(Bonner et al., 1994; Makarova, Makarov, Sousa, & Dreyfus, 1995)(参考として援用される)からの、インビトロで野生型より遅い処理性能を有することが公知であるT7 RNAPバリアントを利用した。具体的には、本発明者らは、以下の4つのバリアントを試験した:野生型(伸長速度240nt/s、処理性能0.94)、Q649Sバリアント(伸長速度160nt/s、処理性能0.88〜0.91)、G645Aバリアント(伸長速度90nt/s、処理性能0.81〜0.87)、およびI810Sバリアント(伸長速度40nt/s、処理性能0.70〜0.75)。本来のE.coliポリメラーゼ伸長速度は30nt/sで高処理性能である。1つの実験では、本発明者らは、2つのメタゲノム的タンパク質、klebBおよびklebCを、sigma70構築物およびT7構築物(sigma70−klebB,938(配列番号4)、T7−klebB,1204(配列番号18)、sigma70−klebC,939(配列番号5)、T7−klebC,1205(配列番号19))として発現した。そのT7 RNAPバリアントを、sigma70−T7WT(1381,配列番号20)として、および1381と同じ構造を有する、CDSにおいてQ649S、G645A、およびI810Sとして変異したバリアントとして、直線状DNAから発現する。T7を有するサンプルにおいて、T7 RNAP変異体を、WTバリアントに関しては1.5nMで、および上記変異体に関しては1nMで発現し、直線状のT7−klebBおよびklebCを、4nMで発現する。sigma70を有するサンプルでは、sigma70−klebBおよびklebCを、2nM、4nM(およびklebBに関しては8nM)で発現する。発現を、(Sun et al., 2013)に記載される方法によって生成したE.coli TXTL eCA1およびbACn4と、FloroTectTMおよびgamSとで行った。反応を一晩で発現させ、SDS−PAGEゲルを使用して検出した。図9では、TXTL発現の結果を示す。ここで白い矢印は、その生成されたタンパク質の予測サイズを表し、黒い矢印は、T7 RNAPまたはその変異体の生成を表す。klebCに関しては、T7 RNAP G645Aバリアントからの発現は、WTバリアントより優れている。これらは、sigma70−klebCよりなお少ない。klebBに関しては、I810Sバリアントを除く全バリアントからの発現は、類似である。これは、ポリメラーゼの伸長速度に起因する潜在的な差異を示す。
本発明者らはまた、T7−MBP遺伝子(1338,配列番号21)およびT7−MBP−FlAsH(「CCPGCC」タグ)遺伝子(1339,配列番号22)に対してT7 RNAPバリアントを試験する。ここで、本発明者らは、1nM、2nM、および4nM 濃度において、先に記載されるとおり、その直線状のsigma70−T7WT、ならびにQ649S、G645A、およびI810Sバリアントを発現する。これらは、4nMの直線状のT7−MBPまたはT7−MBP−FlAsHのいずれかと発現される。発現を、(Sun et al., 2013)に記載される方法によって生成したE.coli TXTL eCA1およびbACn4と、20μMのFlAsH試薬およびgamSとで行った。プロットしたのは、Biotek Synergy 2における428/20発光および528/20励起でのFlAsHの検出である。ここでタグへのFlAsH結合は、タンパク質生成に対して動的に追跡される。本発明者らは、図10左において、2nM 対 4nMのT7 RNAPのWTまたは変異体が、最終的なMBP検出を変化させないコントロールを認める−このことは、転写が飽和していることを本発明者らに示す。次いで、その4nMの場合を図10右で比較すると、本発明者らは、MBP−FlAsHの発現が、WTを超えてQ649Sで最良である一方で、G645AはWTに匹敵し、I810SはWTより悪いことを認め得る。その4nMの場合は、その2nMの場合と十分に合致する。これはポリメラーゼ伸長速度が異なることで、重ねて遺伝子およびポリメラーゼの変異に依存して、発現において改善をもたらし得ることを示す。
伸長速度のより遅いポリメラーゼが転写および翻訳を改善させるはずであるが、一方、さらなる添加剤も、カップリングおよびタンパク質収量をさらに促進するために添加され得る。このような添加剤としては、とりわけ、金属(例えば、マンガン、マグネシウム、コバルト)、タンパク質(例えば、シャペロン)、および化学的安定化剤(例えば、ベタイン、ポリエチレンオキシド)が挙げられ得る。これらの添加剤は、操作されたおよび/または補充された天然のポリメラーゼと組み合わせて使用され得る。
ポリメラーゼは、低伸長速度であるように合理的にデザインおよび/または進化させられ得る
適切な低伸長速度ポリメラーゼを操作するために、本発明者らは、合理的デザインに依拠し得る。T7 RNAPという具体的な場合に、(Sousa et al., 1993)に記載され、参考として援用されるように、合理的変異は、酵素の活性部位において作製され、次いで、(Makarova et al., 1995)に記載されるように、伸長速度および処理性能に関してインビトロで試験される。さらに、各変異したT7 RNAPは、MBP−FlAsH、MBP、および他のFlAsHならびに非FlAsHタグ化遺伝子に関する高スループットなフォーマットで、本明細書で記載される方法において試験され得る。ここでその新たなT7 RNAPバリアントは、野生型コントロールに対して同様に試験される。本発明者らはさらに、指向性進化によってそのポリメラーゼを操作し得る。T7 RNAPの例で続けると、T7 RNAPは、(Esvelt et al., 2011)(参考として援用される)により、ファージを使う連続的進化法を使用して操作されることが示されている。より遅い伸長速度であるが、野生型に等しい処理性能に関する選択圧が適用され得、連続的進化法の多数のサイクルが所望の特性を有するT7 RNAPを生成するために行われ得る。例えば、(Renata et al., 2015)(参考として援用される)に記載されるような、他の指向性進化法が適用され得る。
実施例4. 反応へのリボソームの補充は、転写および翻訳のカップリングおよびタンパク質収量を促進する
リボソーム添加がTXTL反応を助けるかを示すために、本発明者らは、E.coli TXTLシステムへの精製70Sリボソームの添加を示す。本発明者らは、E.coli B株から精製したリボソーム(New England Biolabs, P0763S, 13.3μM)を利用する。これらのリボソームを、20mM HEPES−KOH pH7.6、10mM 酢酸Mg、30mM KCl、および7mM b−メルカプトエタノールの緩衝液中に貯蔵する。当業者は、その緩衝液が、TXTL反応へと大きな毒性効果を導入し得る(特に、E.coli TXTL反応の場合においてグリセロール)が、ここで列挙される化学物質は、内部試験および(Sun et al., 2014)(参考として援用される)におけるデータから、毒性でないことを認識する。発現を、(Sun et al., 2013)に記載される方法によって生成したE.coli TXTL eAC28およびbACn5と、0〜2μMの使用濃度のP0763S NEBリボソームおよび0〜2mMの使用濃度のグルタミン酸Mgとで行った。8nMのsigma70−GFPコントロールプラスミド(Addgene #40019)を供給し、発現を、12時間、蛍光によって動的に追跡した。ピーク翻訳速度を、各時点間の任意蛍光単位(afu)の傾きを得ることによって決定した(データを6分間隔で集めた)。ピーク翻訳速度は、観察された最高速度である。代表的には、その最高速度は、TXTL反応の早期に認められる。1分あたりのピーク翻訳速度をプロットする図11で示されるように、リボソームの増加(および相当するMg濃度の増加)とシグナルとの間には、添加リボソーム 0mMおよび添加したグルタミン酸Mg 0mMの場合を上回って、直接的な相関関係がある。これは、リボソームの追加が、タンパク質生成のピークを増大させ得、より良好な翻訳およびカップリングを促進し得ることを示す。ATPはまた、発現を改善するために、マグネシウムと等しいモル濃度で添加され得る。
参考文献
均等物
本開示は、とりわけ、無細胞システムおよびその使用を提供する。本開示の具体的な実施形態が考察されてきたが、上記の明細書は、例証であって限定ではない。本開示の多くのバリエーションは、本明細書を検討すれば当業者に明らかになる。本開示の全範囲は、請求項に加えてそれらの均等物の全範囲、および本明細書に加えてこのようなバリエーションへの言及によって決定されるべきである。
参考としての援用
本明細書で言及される全ての刊行物、特許および配列は、各個々の刊行物または特許が具体的にかつ個々に援用されることが示されるかのように、それらの全体において参考として援用される。
配列表:

Claims (16)

  1. インビトロ遺伝子発現のための組成物であって、
    細菌、古細菌、植物または動物のような宿主細胞の1またはこれより多くに由来する処理された細胞溶解物;
    遺伝子の転写および翻訳のための複数の補充物;
    アデノシン三リン酸(ATP)を提供し再利用するためのエネルギー再利用システム;ならびに
    極性非プロトン性溶媒、第四級アンモニウム塩、スルホン、エクトイン、グリコール、アミド、アミン、糖ポリマー、糖アルコール、低伸長速度RNAポリメラーゼ(RNAP)およびリボソームからなる群より選択される1またはこれより多くの外因性添加剤であって、ここで好ましくは該糖ポリマーおよび糖アルコールは、エネルギー源を提供するためではない、外因性添加剤、
    を含む組成物。
  2. メタゲノム的に得られた遺伝子、経路を一緒に構成する複数の遺伝子、および/または合成タンパク質を発現することにおいて使用するための組成物であって、ここで好ましくは該経路は、天然生成物の合成のためにデザインされている、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記遺伝子または経路は、インビトロ遺伝子発現のために最適化されていない、請求項2に記載の組成物。
  4. 前記複数の補充物は、マグネシウムおよびカリウムの塩、リボヌクレオチド、アミノ酸、出発エネルギー基質、およびpH緩衝化剤を含む、請求項1に記載の組成物。
  5. 前記1またはこれより多くの添加剤は、核酸の二次構造を調節し、RNAPの処理性能および/もしくは安定性を改善し、RNAPの伸長速度に影響を及ぼし、リボソームのRNAPとの相乗効果および/もしくは安定性を改善し、そして/または合成中のポリペプチドの安定性を改善する、請求項1に記載の組成物。
  6. 前記低伸長速度RNAPは、前記宿主細胞と同種であり、RNA PolI、RNA PolII、RNA PolIII、および細菌RNAPなどである、、請求項1に記載の組成物。
  7. 前記低伸長速度RNAPは、前記宿主細胞に対して異種であり、SP6 RNAPバリアント、T7 RNAPバリアント、およびT3 RNAPバリアントなどである請求項1に記載の組成物。
  8. 前記低伸長速度RNAPは、好熱性生物または好低温性生物から供給される、請求項7に記載の組成物。
  9. 前記低伸長速度RNAPは、操作されたT7 RNAPバリアントおよび操作されたRNA PolIIバリアントのような合成RNAPである、請求項1に記載の組成物。
  10. 前記低伸長速度RNAPは、指向性進化および/または合理的デザインによって操作される、請求項9に記載の組成物。
  11. 前記低伸長速度RNAPは、精製されたタンパク質として、または前記低伸長速度RNAPをコードする核酸として提供される、請求項1に記載の組成物。
  12. 前記組成物において発現されるべき外因性核酸をさらに含み、ここで各外因性核酸は、前記低伸長速度RNAPによって認識されるプロモーターを含む、請求項1に記載の組成物。
  13. 前記リボソームは、前記宿主細胞から、または前記宿主細胞とは異なる生物から供給され、ここで好ましくは該リボソームは、0.1μM〜100μMの濃度において提供される、請求項1に記載の組成物。
  14. 前記組成物は、低伸長速度RNAPおよび外因性リボソームの両方を含み、ここで好ましくは該低伸長速度RNAPおよび該外因性リボソームはカップリングされ、必要に応じてこのようなカップリングは、前記宿主細胞に対して直交する、請求項1〜13のいずれか1項に記載の組成物。
  15. 請求項1〜14のいずれか1項に記載の組成物を調製するための方法であって、該方法は、
    前記処理された細胞溶解物、前記複数の補充物および前記エネルギー再利用システムを含むインビトロ転写/翻訳システムを提供する工程;ならびに
    前記1またはこれより多くの外因性添加剤を供給する工程、
    を包含する方法。
  16. インビトロ遺伝子発現の方法であって、該方法は、
    請求項1〜14のいずれか1項に記載の組成物を提供する工程、ならびに
    1またはこれより多くの発現されるべき核酸を提供する工程、
    を包含する方法。

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