JP2020530846A - 方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、対象における、特に多発性硬化症(MS)、認知症及び/又は脱髄を有する対象における、認知障害の治療又は予防における使用のための、ミエリンの構成要素、即ちミエリン塩基性タンパク質(MBP)、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)又はミエリンプロテオリピドタンパク質(PLP)、から誘導可能なペプチドに関する。ペプチドは、認知障害を有する対象を治療するか、若しくは特にMSを有する対象において認知障害を予防する方法、認知症を有する対象を治療するか、若しくは認知症を予防する方法、及び/又は対象において脱髄を治療するか、若しくは対象において脱髄を予防する方法に使用され得る。【選択図】 なし

Description

本発明は、対象における、特に多発性硬化症(MS)、認知症及び/又は脱髄を有する対象における、認知障害の治療又は予防における使用のための、ミエリンの構成要素、即ちミエリン塩基性タンパク質(MBP)、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)又はミエリンプロテオリピドタンパク質(PLP)、から誘導可能なペプチドに関する。ペプチドは、認知障害を有する対象を治療するか、若しくは特にMSを有する対象において認知障害を予防する方法、認知症を有する対象を治療するか、若しくは認知症を予防する方法、及び/又は対象において脱髄を治療するか、若しくは対象において脱髄を予防する方法に使用され得る。
ニューロン、又はニューロン若しくは神経細胞は、電気及び化学シグナルを通して情報を処理及び伝達する細胞である。ニューロンは、中枢神経系(CNS)の脳及び脊髄、並びに末梢神経系の自律神経節の主要な構成要素である。ニューロンは電気的に興奮することができる。ニューロンは互いにつながって神経回路網を形成することができ、ニューロン間のシグナルはシナプスを介して生じる。
典型的なニューロンは、細胞体(cell body)(細胞体(soma))、樹状突起、及び軸索からなる。神経突起との用語は、特に未分化段階において、樹状突起又は軸索を記載するために使用される。樹状突起は細胞体から生じる細い構造であり、多くの場合、数百μm伸び、複数回枝分かれし、複雑な「樹状突起樹(dendritic tree)」をもたらす。軸索(有髄の場合神経線維とも称される)は、軸索小丘において細胞体から生じる特殊な細胞伸長部(突起)であり、ヒトでは1メートルもの距離、又は他種ではさらに長い距離にわたって伸びる。
ミエリンは、いくつかの神経細胞の軸索を囲む脂肪性の白質であり、ミエリン鞘として知られる電気絶縁層を形成する。それは神経系が適切に機能するのに不可欠である。
ミエリン鞘の生成は、ミエリン化又はミエリン形成による。ヒトでは、ミエリン化は妊娠第3期(3rd trimester)の早期に開始するが、出生時ミエリンは脳にほとんど存在しない。乳児期にミエリン化は迅速に起こり、最初の年のハイハイ及び歩行を含む、子供の急速な成長をもたらす。ミエリン化は、青年期を通して継続する。
脱髄は、脱髄化という作用、又は神経を絶縁するミエリン鞘の欠損であり、いくつかの神経変性疾患の特徴である。ミエリンが分解すると、神経に沿ったシグナルの伝導が低下又は喪失される場合があり、神経は最終的に衰える。これは、多発性硬化症及び慢性炎症性脱髄性多発性神経障害等の特定の神経変性障害をもたらす。
脱髄は、ニューロンに対する免疫学的攻撃に起因し得る。
多発性硬化症(MS)は、神経軸索の脱髄により特徴づけられる、中枢神経系に発症する慢性変性疾患である。認知変化はMSの一般的な症状である。
脱髄はまた、認知症、並びにアルツハイマー病及びパーキンソン病等の状態に関与し得る。
(特にMSを有する対象における)認知機能障害、認知症及び/又は脱髄を対象において治療又は予防するための治療選択肢が、当技術分野で必要とされる。
本発明者らは、ミエリンに対する免疫学的寛容を促すミエリン由来の特定のペプチドによって、抗炎症性サイトカインが上方調節され、それは制御性T細胞の上方調節と比例することを示した。本願実施例は、中枢神経系で抗炎症性サイトカインがミエリン由来ペプチドの投与とともに増大し、炎症性サイトカインが低減されることを示す。実施例はまた、ミエリン由来ペプチドにより中枢神経系の炎症が低減されること、T及びB細胞浸潤がペプチドの投与とともに低減されることを示す。さらに、実施例は、ミエリンに由来する特定のペプチドの投与によって多発性硬化症を有する対象において認知機能障害が有意に改善されることを示す。
図1に示されるように、活性化エフェクター免疫細胞は、ミエリン及びニューロンに損傷をもたらすことが提唱される。制御性T細胞の上方調節又は活性化(抗炎症性サイトカインの増大と比例する)によって、免疫エフェクター細胞の応答が低減され、それによりミエリンに対する損傷が減少することが提唱される。
Dombrowski等(Nature Neuroscience 2017, 20: 674-680)は、制御性T細胞が中枢神経系においてミエリン再生を促進することを報告している。当該著者らは、制御性T細胞がオリゴデンドロサイト分化及び再ミエリン化を促進することを見い出した。Treg欠損マウスは、再ミエリン化及びオリゴデンドロサイト分化の実質的な低下を示した。この発見によって、CNSにおけるTregの新たな再生機能が明らかとなった。
Dansokho等(Brain 2016, 139:1237-1251)はまた、制御性T細胞は、アルツハイマー様の病理において疾患の進行を遅らせることを報告している。当該著者らは、制御性T細胞がアルツハイマー病の病態生理学において有益な役割を果たすことを示唆している。
さらに、Spani等(Acta Neuropathalogica Communications 2015, 3:71)は、アルツハイマー病では、アミロイドβペプチドの蓄積及び病理学的凝集が免疫応答の誘導を伴うことを記載している。当該著者らにより行われた実験作業は、機能的適応免疫細胞を欠くマウスではアミロイドβペプチドの病理が低減され、脳のアミロイドβペプチドレベルが低下していることを明らかとした。
Zhan等(J Alzheimer’s Dis. 2015, 44:1213-1229)は、灰白質中のミエリン及び軸索がアルツハイマー病の脳において損傷されることを実証した。AD灰白質及びADニューロン中にミエリン塩基性タンパク質の分解の証拠があり、損傷された軸索がアミロイドβ前駆体タンパク質の供給源である可能性があるということ、MBP及び分解されたMBPが骨髄斑(myeloid plaque)及びアミロイドβ前駆体タンパク質と関連するということ、これらの分子がアミロイド斑の形成と関連し得るということが結論づけられた。
Laurent等(Brain 2017, 140:184-200)は、海馬のタウ(tau)病理が、ケモカイン産生及び実質性T細胞浸潤と関連することを実証し、アルツハイマー病におけるタウ誘発性の認知障害での免疫の役割を示唆した。
Bryson及びLynch (Curr. Opin. Pharmacol. 2016, 26:67-73)もまた、T細胞をアルツハイマー病と関連付けている。
さらに、パーキンソン病については、ミエリン蛋白質に対する抗体力価が増大しており、ミエリン鞘の進行中の炎症性神経変性過程を確認したことがいくつかの論文に記載されている(例えば、Papuc E等, Ann Agric Environ Med. 2016; 23(2), Papuc E等 , Neurosci Lett, Apr 30, 2014を参照されたい)。この抗体の増大はパーキンソン病における認知症と関連することが示唆されている(Maetzler等, J Alzheimer, 26, 2011を参照されたい)。Gagne及びPower (Neurology 2010, 74:995-1002)はまた、パーキンソン病の病因において考えられる神経炎症経路を示唆している。Ding等(Eur. Rev. Med. Pharmacol. Sci. 2015, 19:2275-2281)は、パーキンソン病における神経変性及び認知について総説した。
従って、本明細書に記載のミエリン由来ペプチドにより促進される制御性T細胞応答の増大又は活性化は、認知機能障害、認知症及び/又は脱髄の治療又は予防に有益であるだろうことが提唱される。
従って、ミエリンに由来するペプチドが、認知機能障害、認知症及び/又は脱髄の治療又は予防における治療選択肢として本願において提案される。
従って、本発明は、対象において認知機能障害、認知症及び/又は脱髄を治療又は予防するための方法であって、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)及びミエリンプロテオリピドタンパク質(PLP)から選択されるミエリンの構成要素に由来するか、又はそれから誘導可能なペプチドを対象に投与することを含む、方法を提供する。
本発明は、このようなミエリンに由来するペプチドが認知機能障害、認知症及び/又は脱髄の治療に使用するために提案されていることを初めて示し、認知機能障害、認知症及び/又は脱髄の治療又は予防、及び再ミエリン化の促進における重要な治療選択肢を示す。
他の態様では、本発明は、対象における認知障害、認知症及び/又は脱髄の治療又は予防における使用のための、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)及びミエリンプロテオリピドタンパク質(PLP)から選択されるミエリンの構成要素に由来するか、又はそれから誘導可能なペプチドを提供する。
一態様では、認知障害、認知症及び/又は脱髄の治療又は予防における使用のための医薬の製造における、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)及びミエリンプロテオリピドタンパク質(PLP)から選択されるミエリンの構成要素に由来するか、又はそれから誘導可能なペプチドの使用が提供される。
一態様では、対象において認知障害、認知症及び/又は脱髄を治療又は予防するための、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)及びミエリンプロテオリピドタンパク質(PLP)から選択されるミエリンの構成要素に由来するか、又はそれから誘導可能なペプチドの使用が提供される。
本明細書で論じるように、本発明による使用のためのペプチドは、ミエリンの構成要素MBP、MOG又はPLPに関して免疫学的寛容をもたらすことが過去に実証されている。
認知機能障害、認知症及び/又は脱髄は、ニューロンに対する免疫学的攻撃による神経変性に起因し得る。一態様では、認知機能障害、認知症及び/又は脱髄は、アルツハイマー病又はパーキンソン病の結果として起きるものである。
一態様では、対象は脱髄疾患を有する。脱髄疾患は、ニューロンに対する免疫学的攻撃に起因する神経変性をもたらす任意の状態を含み得る。
一態様では、脱髄疾患には、アルツハイマー病又はパーキンソン病が含まれ得る。
本発明の一態様では、脱髄疾患は、多発性硬化症である。
一態様では、対象はヒト対象である。
一態様では、本発明は、例えば前記ニューロンを本明細書に記載のペプチドと接触させることにより、ニューロンの再ミエリン化を促進するための方法を提供する。ニューロンは脱髄を経ていても良い。一態様では、方法はin vitroの方法である。
本発明はまた、対象において認知機能障害、認知症及び/又は脱髄を治療又は予防するためのキットであって、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)及びミエリンプロテオリピドタンパク質(PLP)から選択されるミエリンの構成要素に由来するか、又はそれから誘導可能なペプチドを含む、キットを提供する。キットのペプチドは、同時、個別又は連続投与のためのものであり得る。
いずれかの態様によるペプチドは、組成物、例えば医薬組成物の形態であり得る。
一態様では、ペプチドは配列番号1、2、3及び4から選択される。本明細書に記載の本発明の一態様では、配列番号1、2、3及び4のペプチドが前記対象に投与される。
従って、一態様では、組成物はMBP30-44、MBP83-99、MBP131-145及びMBP140-154(その組み合わせは本明細書で「ATX-MS-1467」とも称される)を含む。一態様では、組成物中のペプチドは、MBP30-44、MBP83-99、MBP131-145及びMBP140-154からなるか、又はそれらから本質的になる。
一態様では、組成物は、MBP30-44、MBP83-99、MBP131-145及びMBP140-154に加えていかなる他のペプチドも含まない。
好ましい実施形態では、本発明は、多発性硬化症を有する対象において認知機能障害を治療するための方法であって、前記対象にMBP30-44、MBP83-99、MBP131-145及びMBP140-154ペプチド、好ましくはMBP30-44、MBP83-99、MBP131-145及びMBP140-154ペプチド(配列番号1、2、3及び4)を含む組成物、を投与することを含む、方法を提供する。
好ましい実施形態では、本発明は、対象において認知症を治療するための方法であって、前記対象にMBP30-44、MBP83-99、MBP131-145及びMBP140-154ペプチド、好ましくはMBP30-44、MBP83-99、MBP131-145及びMBP140-154ペプチド(配列番号1、2、3及び4)を含む組成物、を投与することを含む、方法を提供する。
好ましい実施形態では、本発明は、対象において脱髄を治療するための方法であって、前記対象にMBP30-44、MBP83-99、MBP131-145及びMBP140-154ペプチド、好ましくはMBP30-44、MBP83-99、MBP131-145及びMBP140-154ペプチド(配列番号1、2、3及び4)を含む組成物、を投与することを含む、方法を提供する。
他の態様では、前記ペプチドは、配列番号7、8、9及び10から選択される。配列番号7、8、9及び10のペプチドが前記対象に投与されても良い。
更なる態様では、ペプチドは配列番号12、16、18、23、24、25、26、27、28、29、30及び31から選択される。
図1は、脱髄が起こるメカニズムを描く(Oliver Neuhaus等, Trends in Pharmacological Sciences Volume 24, Issue 3, Pages 131-138 (March 2003)に倣う)。 図2は、MSFCスコアを用いて測定した全体的な障害度低減の強い傾向を裏付ける、PASAT値により評価された認知の有意な改善を示す。示される認知のデータは、中央値+四分位範囲である;P = 0.0101 Wilcoxonの対応した符号付き順位検定両側。 図3は、認知の改善は、比較的低いスコアで試験を開始する対象においてより大きいことを示す。 図4は、MBPのs.c.注射の2時間後のDR2/Ob1Het/Hetマウスの血清中のサイトカインの用量依存的分泌を示す。データは、Dunnettの多重比較検定が引き続いて行われるANOVAにより分析した。*及び**は、リン酸緩衝食塩水(PBS)処置群に対し、それぞれp<0.05及び0.01を示す。 図5は、100μg/マウスでのATX-MS-1467でのs.c.処置後の血清におけるサイトカイン放出の経時変化を示す。データは、Dunnettの多重比較検定が引き続いて行われるANOVAにより分析した。******及び****は、PBS処置群に対し、それぞれp<0.05、0.01、0.001及び0.0001を示す。 図6は、100μg/マウスでのATX-MS-1467での単回又は複数回の処置の2時間後の血清サイトカインレベルを示す。DR2/Ob1Het/Hetマウスは、3回/週のレジメンに従って、ATX-MS-1467での処置を1〜10回受けた。データは、Dunnettの多重比較検定が引き続いて行われるANOVAにより分析した。******及び****は、PBS処置群に対し、それぞれp<0.05、0.01、0.001及び0.0001を示す。 図7は、一連のATX-MS-1467の10回投与(100μg/マウス、週3回)(マウスがいかなる処置も受けない2、7、14又は21日続く期間によりチャレンジと隔てられる)の後のPBS又はATX-MS-1467(100μg/マウス)でのチャレンジの2時間後の血清サイトカインレベルを示す。ウォッシュアウト期間の長さは、矢印により示す。データは、Dunnettの多重比較検定が引き続いて行われるANOVAにより分析した。******及び****は、PBS処置群に対し、それぞれp<0.05、0.01、0.001及び0.0001を示す。#、##、###及び####は、ATX-MS-1467での単回処置を受けた群に対し、それぞれp<0.05、0.01、0.001及び0.0001を示す。 図8は、一連のATX-MS-1467(100μg/マウス、週3回)又はHLAbp(25μg/マウス、週3回)の10回投与(マウスがいかなる処置も受けない2、7、21又は42日続く期間によりチャレンジと隔てられる)の後のPBS又はMBP(300μg/マウス)でのチャレンジの2時間後の血清サイトカインレベルを示す。ウォッシュアウト期間の長さは、矢印により示す。データは、Dunnettの多重比較検定が引き続いて行われるANOVAにより分析した。**及び****は、PBSでチャレンジした群に対し、それぞれp<0.05及び0.0001を示す。#及び##は、寛容化していない群(即ち、前処置の非存在下でのMBPでのチャレンジ)に対し、それぞれp<0.05及び0.01を示す。 図8-1の続き。 図9は、方法に記載のようにSCHで免疫化し、PBS又はATX-MS-1467で処置したDR2/Ob1Het/Hetマウスの脾臓から得たLag3発現CD4+リンパ球の%を示す。***は、PBS処置群に対し、p<0.001を示す。 図10は、ATX-MS-1467での予防的処置が、LewisラットEAEモデルにおいて疾患の発症を遅らせたことを示す。(A)疾患誘導(免疫化)の3週間前から週1回又は3回ATX-MS-1467処置した場合の毎日の臨床スコア測定値。(B)疾患誘導の3週間前から週1回又は3回ATX-MS-1467処置した場合の疾患の発生率(CS>1)。*Kruskal-Wallis及びDunnの事後比較分析を用い、ビヒクルに対しp,0.05。は、ログランク(Mantel-Cox)検定を用いて決定したビヒクル処置に対する有意性を示す。CS、臨床スコア;EAE、実験的自己免疫性脳脊髄炎;qw、週1回;SEM、平均の標準誤差;tiw、週3回;veh、ビヒクル。 図11は、ATX-MS-1467が、二重トランスジェニック「ヒト化」マウスにおいてSCH誘導性EAEにおける疾患重症度を有意に低減したことを示す。(A)0日目(免疫化)から週2回ATX-MS-1467処置した場合の毎日の臨床スコア測定値。(B)麻痺の初期徴候後からのATX-MS-1467での週2回の処置。*ビヒクルに対しp,0.05。**ビヒクルに対しp,0.01。biw、週2回;EAE、実験的自己免疫性脳脊髄炎;SCH、脊髄ホモジネート;SEM、平均の標準誤差。 図12は、ATX-MS-1467が、MBP82-98又はGA処置よりも効果的に二重トランスジェニックヒト化マウスにおいて疾患の重症度を低減したことを示す。(A,B)0日目からのATX-MS-1467(100μg/マウス)、MBP82-98(12μg又は100μg/マウス)、又はビヒクル対照の週1回の投与。(C,D)0日目からのATX-MS-1467での処置(100μg/マウス、週2回)は、ビヒクル又はGA(75μg/マウス、毎日)と比べ、EAEを有意に低減した。*ビヒクル又はGAに対しp,0.05。**ビヒクルに対しp,0.01。biw、週2回;EAE、実験的自己免疫性脳脊髄炎;GA、グラチラマー酢酸塩;HED、ヒト等価用量;MBP、ミエリン塩基性タンパク質;qw、週1回;SEM、平均の標準誤差。 図12-1の続き。 図13は、0日目(免疫化)からのATX-MS-1467処置が、二重トランスジェニックヒト化マウスにおいて中枢神経系におけるEAE誘導性免疫細胞集団を低減したことを示す。(A)臨床スコア。(B-E)15日目に採取した脊髄から得た細胞浸潤物。*ビヒクル又はGAに対しp,0.05。***ビヒクルに対しp,0.001。EAE、実験的自己免疫性脳脊髄炎; qw、週1回;SEM、平均の標準誤差。 図13-1の続き。 図14は、dpi7からのATX-MS-1467の予防的投与後のDR2/Ob1het/hetマウスにおけるSCH誘導性EAEの疾患重症度の用量依存的減衰を示す。A:Dunnの検定が引き続いて行われるKruskal Wallisによる活性体対照群の比較。B:ログランク検定による活性対対照の比較。群の大きさ:n=10〜14。(*=P<0.05、***=P<0.001)。 図15は、DR2/Ob1het/hetマウスにおけるSCH誘導性EAEにおける脊髄サイトカイン濃度に対するATX-MS-1467での処置の効果を示す。#、##及び###=Bonferroniが引き続いて行われるANOVAにより、ビヒクルで処置したマウスに対し、それぞれp<0.05、0.01及び0.001。群の大きさ(n=7〜13)。C-X-Cモチーフケモカイン(CXCL)、インターロイキン(IL)、インターフェロン(IFN)、単球走化性タンパク質-1(monocyte chemotactic protein-1、MCP-1)。 図16は、予防的(dpi7に開始)又は治療的(dpi14に開始)投与パラダイムでの、DR2/Ob1Het/HetマウスにおけるSCH誘導性EAEにおけるATX-MS-1467の効果を示す。***及び***= Dunnの検定が引き続いて行われるKruskal Wallisにより、対照群に対し、それぞれp<0.05、0.01及び0.001。群の大きさ(n=20〜28)。 図17は、ATX-MS-1467での予防的(dpi7に開始)又は治療的(dpi14に開始)処置後の脊髄における病理学的変化を示す。***=Bonferroniが引き続いて行われるANOVAにより、ビヒクルで処置したマウスに対し、p<0.001(n=18〜20)。ルクソールファストブルー(LFB)。 図17-1の続き。 図18は、DR2/Ob1het/hetマウスにおけるSCH-EAEにおけるBBBの漏出の特性化を示す。臨床スコア(A)を測定し、示された時点でイメージングを行った。BBBの漏出を、dpi7の25%のマウスにおいて、及びその後の時点の100%のマウスにおいて検出した(図示せず)。小脳におけるGd+漏出の総体積は、dpi10と14の間で増大したが(B)、一方、シグナルの強度はすべての時点で同等であった(C)。dpi22における、代表的なT1加重Gd+のシグナル変化(赤色の矢印により示す)(D)。 図19は、BBBの漏出に対する予防的ATX-MS-1467処置の効果を示す。ATX-MS-1467でのdpi0からの予防的処置は、DR2/OB1het/hetマウスにおけるSCH EAEにおけるBBBの漏出を防止した(A〜C)。ATX-MS-1467処置したマウスは、臨床スコア、小脳漏出の総体積、及び病変内のGd+の強度の観点から、PBS処置したマウスと比べて疾患重症度の低減を示した。臨床スコア対漏出体積(r2=0.48、F=0.57)及び臨床スコア対Gd+強度(r2=0.57、F=17.3)には有意な相関が観察された(D)。dpi14における、代表的なGd+ MRI (E)。 図20は、ex-vivoでの抗原特異的サイトカイン分泌を示す。***及び***= Bonferroniの事後検定が引き続いて行われる二元配置ANOVAにより、それぞれp<0.05、0.01及び0.001を示す。群の大きさ(n=5〜6)。インターロイキン(IL)、インターフェロン(IFN)。
アピトープ(apitope)
以前、本発明者らは、ペプチドがさらにプロセシングされることなくMHC分子に結合しT細胞に提示される能力と、in vivoで寛容を誘導するペプチドの能力との間には関連があることを見い出した(WO 02/16410)。ペプチドが長すぎてさらにプロセシング(例えばトリミング)されることなくMHC分子のペプチド結合溝に結合できない場合、又はペプチドが不適切なコンフォメーションで結合する場合、そのペプチドはin vivoで寛容原性ではないだろう。一方、ペプチドがMHCペプチド結合溝に直接結合しT細胞に提示されるのに適切な大きさ及びコンフォメーションである場合、このペプチドは寛容誘導に有用であることが予測され得る。
アピトープ(抗原プロセシング非依存的epiTOPE)は、さらに抗原プロセシングされることなくMHC分子に結合しT細胞からの応答を刺激することができる。
本発明者らは、MBP、MOG又はPLPから誘導可能なアピトープは、寛容を誘導することができることを、過去に示している(例えば、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2002/016410号、国際公開第2003/064464号、国際公開第2009/056833号、国際公開第2014/111841号及び国際公開第2014/111840号を参照されたい)。
本願実施例は、MBPペプチドは、対象に投与された場合、予想外にもそれらの対象において認知障害の有意な改善をもたらすことを実証する。MOG及びPLPアピトープはMBPと同様の特性を有することが示されているため、MOG及びPLPアピトープでも同じ認知障害に対する効果が達成されるだろうことが予測できる。従って、本発明は、本明細書に記載の認知障害、認知症及び/又は脱髄を治療するための使用又は方法のためのアピトープとして機能するMBP、MOG及びPLP由来のペプチドに関する。
ミエリン
ミエリンは、層、ミエリン鞘を、通常ニューロンの軸索の周囲にのみ形成する誘電性(絶縁)材料である。それは神経系が適切に機能するのに不可欠である。ミエリンを構成する一部のタンパク質は、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)及びプロテオリピドタンパク質(PLP)である。
ミエリン塩基性タンパク質(MBP)
ミエリン塩基性タンパク質(MBP)は、ヒト脳白質から単離可能な18.5kDaのタンパク質である。成熟タンパク質は170アミノ酸を有し、配列は文献において広く入手可能である(例えば以下を参照されたい:Chou等(1986) J. Neurochem. 46:47-53, Figure 1; Kamholz等(1986), PNAS 83:4962-4966, Figure 2;米国特許第5,817,629号, SEQ ID NO: 1; Roth等(1987), J. Neurosci. Res. 17:321-328, Figure 4; Medeveczky等(2006), FEBS Letters 580:545-552, Figure 3B)。本発明による使用のための適切なMBPペプチドは、例えば国際公開第2002/016410号、国際公開第2003/064464号及び国際公開第2009/056833号に記載されており、それらは参照により本明細書に組み込まれる。
従って、本発明に従って使用され得るペプチドは以下の通りであっても良い:
MBP 30-44:
Figure 2020530846
MBP 83-99:
Figure 2020530846
MBP 131-145:
Figure 2020530846
MBP 140-154:
Figure 2020530846
用語「MBP 30-44」、「MBP 83-99」、「MBP 131-145」及び「MBP 140-154」は改変ペプチドを包含し得る。例えば、非改変ペプチドのMHC結合特異性がT細胞に提示される能力と共に保持される限り、ペプチドはアミノ酸挿入、欠失又は置換によって変異させられても良い。ペプチドは、例えば、非改変配列から5、4、3、2、1又は0個の変異を有し得る。
或いは(又はさらに)、ペプチドのアミノ酸配列を変更することなく修飾が行われ得る。例えば、Dアミノ酸又は他の非天然アミノ酸が含まれても良く、通常のアミド結合がエステル又はアルキル骨格結合に置き換えられても良く、N-若しくはC-アルキル置換、側鎖修飾及び拘束(constraint)、例えばジスルフィド架橋及び側鎖アミド若しくはエステル結合、が含まれても良い。このような変更によって、ペプチドのin vivoでの安定性が高くなり、生物学的寿命が長くなる可能性がある。
エピトープの修飾(modification)は、http://www-bimas.dcrt.nih.gov/cgi-bin/molbio/ken_parker_comboformで見つけることができるK. Parkerにより考案されたプログラム「ペプチド結合予測(Peptide Binding Predictions)」(NIH)を用いて導き出された、より効率的なT細胞誘導のための予測に基づいて行われ得る(Parker, K. C等 1994.J.Immunol. 152:163も参照されたい)。
本明細書に記載のMBPペプチドは、中性又は塩形態として組成物に製剤化され得る。薬学的に許容可能な塩には、例えば塩酸若しくはリン酸等の無機酸、又は酢酸、シュウ酸、酒石酸及びマレイン酸等の有機酸と形成される、(ペプチドの遊離アミノ基と形成される)酸付加塩が含まれる。遊離カルボキシル基と形成される塩はまた、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、又は水酸化第二鉄等の無機塩基、並びにイソプロピルアミン、トリメチルアミン、2-エチルアミノエタノール、ヒスチジン、及びプロカイン等の有機塩基に由来し得る。
本明細書に記載の本発明の方法及び使用では、ペプチド又は組成物は、用量漸増プロトコルに従って投与され得る。「用量漸増」プロトコルでは、複数の用量が、濃度を上げながら患者に与えられる。このようなアプローチは、例えばハチ毒アレルギーに対する免疫療法の適用におけるホスホリパーゼA2ペプチドに関して、用いられている(Muller等(1998) J. Allergy Clin Immunol. 101:747-754及びAkdis等(1998) J. Clin. Invest. 102:98-106)。
一態様では、ペプチドは、以下の用量で用量漸増プロトコルで投与され得る:
1日目:約15〜約40μgの1回目の用量;
14日±7日目:約35〜65μgの2回目の用量;
28日±7日目:約80〜120μgの3回目の用量;
42日±7日目:約300〜500μgの4回目の用量;
56日±7日目:約400〜2000μgの5回目の用量;
70日±7日目:約400〜2000μgの6回目の用量;
84日±7日目:約400〜2000μgの7回目の用量;
98日±7日目:約400〜2000μgの8回目の用量;
112日±7日目:約400〜2000μgの9回目の用量;及び
126日±7日目:約400〜2000μgの10回目の用量。
一態様では、ペプチドは以下のように投与され得る:
1日目:約25μgの1回目の用量;
14日目:約50μgの2回目の用量;
28日目:約100μgの3回目の用量;
42日目:約400μgの4回目の用量;
56日目:約800μgの5回目の用量;
70日目:約800μgの6回目の用量;
84日目:約800μgの7回目の用量;
98日目:約800μgの8回目の用量;
112日目:約800μgの9回目の用量;及び
126日目:約800μgの10回目の用量。
代替的な態様では、1日目に約50μgの1回目の用量が投与され、続いて15日目に約200μgの2回目の用量が投与され、続いて29日目に約800μgの3回目の用量が投与され得る。一態様では、対象はまた、それ以降約2週間に1回又は14日に1回、例えば少なくとも16週間、約800μgの用量を投与され得る。
ペプチドのうち2種、MBP 30-44及び131-145は、HLA-DQ6結合性であり、2種(MBP 140-154及び83-99)はHLA-DR2結合性であることが見い出されている。これらのアピトープを併用することにより、単一ペプチドでの療法よりも、MS患者に見られる様々な主要組織適合性複合体(MHC)ハプロタイプの広範なカバーが提供される。
ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)
ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)は、単一の細胞外Ig可変ドメイン(Ig-V)を有するI型の膜内在性タンパク質である。MOGのアミノ酸配列は動物種間で高度に保存されており(>90%)、重要な生物学的機能を示す。MOGは、CNSでミエリン鞘の最外層板並びにオリゴデンドロサイトの細胞体及び突起上に特異的に発現する。
成熟MOGの配列(29アミノ酸のシグナルペプチドを欠く)を以下に与える(配列番号5)。
Figure 2020530846
本発明による使用のためのペプチドは、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質の領域40〜60から誘導可能であり得る。ペプチドは、抗原提示細胞による抗原の天然のプロセシングにより生じる抗原の断片から誘導可能であり得る。
MOGの領域40〜60は、以下の配列を有する:
Figure 2020530846
ペプチドは、以下のペプチド:MOG 41-55、43-57、44-58及び45-59由来の最小エピトープを含み得る。
MOG 41-55、43-57、44-58及び45-59の配列は以下である:
Figure 2020530846
配列番号7、8、9及び/又は10を含むペプチドが、本明細書に記載の発明の方法及び使用に従って使用され得る。一態様では、1種又は複数種のペプチドは、配列番号7、8、9及び/又は10からなる。
本発明による使用のためのペプチドは、MOG 41-55由来の最小エピトープを含み得る。ペプチドはMOG 41-55(配列番号7)からなり得る。
ミエリンプロテオリピドタンパク質(PLP)
中枢神経系(CNS)ミエリンの最も豊富なタンパク質であるミエリンプロテオリピドタンパク質(PLP)は、疎水性の膜内在性タンパク質である。
ヒトPLPの配列は、配列番号11:
Figure 2020530846
に示される。
本発明による使用のためのペプチドは、PLP配列の親水性領域から誘導可能であり得る。ペプチドは、抗原提示細胞による抗原の天然のプロセシングにより生じる抗原の断片から誘導可能であり得る。
PLPの親水性領域から誘導可能なペプチドは以下:
Figure 2020530846
Figure 2020530846
である。
ペプチドは、以下のプロテオリピドタンパク質(PLP)領域:
Figure 2020530846
のすべて又は一部分を含み得る。
ペプチドは、これらの領域のうちの1つに由来する最小エピトープを含み得る。
ペプチドは、以下の領域:
Figure 2020530846
の一部分を含み得る。
一態様では、ペプチドは、以下のPLPペプチド:
Figure 2020530846
から選択され得る。
ペプチドは、これらのペプチドのうちの1つに由来する最小エピトープを含み得る。
特に、ペプチドは、以下:
Figure 2020530846
のうち1つに由来する最小エピトープを含むか、それからなるか、又はそれを含み得る。
脱髄疾患
本発明により治療される疾患は、脱髄疾患である。このような疾患には、上述のように、アルツハイマー病及びパーキンソン病が含まれ得る。このような疾患にはまた、白質消失病及び多発性硬化症(MS)が含まれ得る。一態様では、疾患は多発性硬化症である。
多発性硬化症
多発性硬化症(MS)は、中枢神経系(CNS)の慢性変性疾患であり、MSでは、通常侵入生物の撃退を担う免疫系が、ニューロンを覆い高速のニューロン間情報伝達を促進する保護絶縁体である体内のミエリン鞘を攻撃する。ミエリンがニューロンを補助及び保護しなければ、我々が環境と相互作用することを許す脳及び脊髄シグナルは正常に機能しない。
MSは、多数の身体及び精神症状を引き起こす場合があり、身体障害及び認知機能障害の両方に進行することが多い。疾患発症は、通常若年成人(20〜40歳)に起こり、女性によく見られ、世界中で100万人を超える人が罹患している。MSは現在、身体固有の免疫系がミエリンを攻撃し損傷する免疫介在障害であると考えられている。
MSの疾患経過は、経時的に変化し、休止状態であるか、又は着実に進行し得る。MSのいくつかのサブタイプは、進行のパターンに基づいて説明されてきた。
CNS中の損傷の程度及び位置に応じて、MSを有する患者は多種多様な症状を経験し得る。診断の際に最も一般的に報告される症状は、かすみ目、ヒリヒリ感及び/又はしびれ、並びに協調性の喪失(loss of coordination)である。疾患が進行すると、MSを有する患者は一般的に、倦怠感、痙性、歩行困難、及び認知機能障害を経験する。1993年までは、MSの承認された治療は存在しなかった。現在では、9つのFDA承認の疾患修飾治療のうち8つはMSにおける臨床症状悪化の頻度を低減するよう設計されており、1つは歩行能力を改善するために承認されている。しかし、MSを有する人々においてよく見られる認知機能障害を標的とする治療はない。
MSには、疾患進行により定義される4つのサブタイプがある。再発寛解型MS(RR-MS)は最も一般的であり、このサブタイプは、MSを有するすべての人々のうちの約85%の最初の診断結果である。RR-MSでは、患者は、ある期間疾患症状の再燃を経験し、続いて完全な回復又は寛解を経験する。RR-MSと診断された患者の大半は、10〜20年以内に二次進行型MS(SP-MS)を発症する。SP-MSでは、RR-MSと同様に、患者は疾患症状の再燃又は再発を経験するが、再発と再発の間に疾患の重症度は着実に増大する。最初の発現時に診断される2番目に一般的なサブタイプは一次進行型MS(PP-MS)であり、PP-MSでは患者は疾患発症時から症状の重症度の着実な増大を経験する。最後の最も稀なMSのサブタイプ、進行再発型MS(PR-MS)は、疾患の着実な進行を中断させる断続的な再発を伴う。MSの進行型のサブタイプを有する患者は一般に認知機能障害を経験する可能性がより高いが、PP-MS及びPR-MSを有する患者の更なる研究が必要とされる。より早期にMSが発症すると、患者がMS関連の認知機能低下を発症する可能性が増大する。
本発明に従って治療される対象は、MSを有し得る。一態様では、対象は再発寛解型MSを有する。
一態様では、対象は二次進行型MSを有し得る。一態様では、対象は一次進行型MSを有し得る。一態様では、対象は進行再発型MSを有し得る。
認知障害
MSにおける障害度(disability)は、多発性硬化症機能複合(Multiple Sclerosis Functional Composite、MSFC)スコアにより測定され得る。MSFCは、神経学的機能を定量化するための当技術分野において既知の方法であり、参照により本明細書に組み込まれるCutter等 Brain (1999) 122, 871-882に記載されている。MSFCの実施(administration)及びスコアリングについてのマニュアルは、国立多発性硬化症協会(National Multiple Sclerosis Society)からも入手可能であり(2001年10月に改訂)、Fisher J., Jak A., Kniker J., Rudick R.及びCutter Gにより作成されている。このマニュアルもまた、参照により本明細書に組み込まれる。
MSFCにより定量化される態様(aspect)のうちの1つは、認知である。本発明者らにより行われた臨床試験では、障害度は最初、MSFCスコアを用いて測定された。治療群ではベースラインと比較して障害度が有意に低減されること、障害度の改善は認知障害の有意な改善に大きく起因することが見い出された。
認知機能障害の概念は当技術分野において既知であり、例えばRahn等 Cerebrum 2012:14に論じられている。
「認知」とは、情報を学習及び記憶し、組織化し(organize)、計画を立て、課題解決し、注意を集中させ、維持し、移し、言語を理解し、用い、環境を正確に認識し、計算を行う能力を含む、高次の脳機能の範囲を意味する。
認知変化は、MSの一般的な症状である−MSを有するすべての人の過半数が認知に関する問題を生じる。一部にとっては、それはMSの最初の症状でさえあり得る。特定の機能は他よりも影響を受ける可能性が高い:
・情報処理(五感により集められる情報を処理すること)
・記憶(新たな情報を取得し、保持し、取り出すこと)
・注意及び集中(特に分割的注意)
・実行機能(計画を立て優先順位をつけること)
・視空間機能(視知覚及び構成能力)
・言語流暢性(単語発見)
認知機能障害はMSのすべての段階で起こり得る。認知的問題を有する対象は以下の症状のうち1以上に気付くことがある:
・出来事又は会話の記憶における問題
・名前の記憶における問題
・マルチタスクに関する問題
・新たな材料の学習に関する問題
・注意持続時間に関する問題
・方向(direction)の学習に関する問題
・意思決定に関する問題
認知機能障害は、「PASAT」試験(定速聴覚的連続加算試験(Paced Auditory Serial Addition Test))を用いて評価され得る。この試験は当技術分野において既知であり、MSFCの構成要素である。当該試験及びそれを実施する方法は、当分野の当業者に知られているだろう。基本的に、PASATは、聴覚情報処理の速度及び柔軟性並びに計算能力を評価する認知機能の1つの尺度である。それは1977年にGronwellにより開発され、その後1989年にMSに使用するためにRaoらにより採用された。PASAT試験は、刺激提示の速度の標準化を保証するために、オーディオカセットテープ又はコンパクトディスクを用いて提示される。1桁の数字が3秒毎に提示され、患者は新たな1桁の数字各々を、その直前のものに加算しなければならない。より短い刺激間の間隔、例えば2秒以下もまたPASATで使用されているが、タスクの難易度を増大させる傾向にある。PASATが1回以上繰り返される場合の刺激項目に対する潜在的な慣れを最小化するために2つの代替的な形態が開発されている。
本発明による方法は、多発性硬化症等の脱髄疾患のための他の治療の前若しくは後に、又はそれと組み合わせて使用され得る。
本発明の好ましい実施形態では、本発明のいずれかの方法の対象は、哺乳動物、好ましくは、ネコ、イヌ、ウマ、ロバ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウシ、マウス、ラット、ウサギ又はモルモットであるが、最も好ましくは、対象はヒトである。
本明細書で定義する場合、「治療」とは、認知障害の1以上の症状を、治療前の症状に比べ低減、緩和又は除去することを意味する。
「予防(prevention)」(又は予防(prophylaxis))とは、認知機能障害の発症を遅らせるか、又は妨げることを意味する。例えば、予防は、認知機能低下の証拠がある前であるが認知機能低下をもたらすニューロンの欠損のリスクがある際の早期介入を意味し得る。予防は完全であってもよく、一部の個体にのみ、若しくは限られた時間のみ有効であっても良い。
「認知障害を治療すること」とは、本明細書で使用する場合、認知障害のいずれかの態様、例えば限定されないが本明細書に記載の認知の態様のいずれかの障害の改善を意味することが意図される。非限定的な例として、これらは情報処理、記憶、注意及び集中、実行機能、視空間機能並びに/又は言語流暢性を含み得る。
認知症
単語「認知症」は、記憶喪失及び思考、問題解決若しくは言語困難を含み得る一連の症状を表す。これらの変化は最初は小さいことが多いが、認知症を有する人にとってそれらの変化は日常生活に影響を与えるのに十分なくらい重度になっている。認知症を有する人はまた、気分又は行動の変化を経験し得る。
認知症は、アルツハイマー病又は一連の脳卒中などの疾患により脳が損傷された場合に起こり得る。アルツハイマー病は認知症の一般的原因であるが、唯一の原因ではない。認知症を有する人が経験する具体的な症状は、損傷を受ける脳の部位、及び認知症の原因となっている疾患によるだろう。
認知症を有する人の数は着実に増加している。
UKでは認知症を有する人が850,000人存在し、2025年までにその数は増加し100万人を超えると推定される。これは2051年までに200万人に増加すると予想される。225,000人が今年認知症を発症するだろうが、これはおよそ3分間に1人に相当する。80歳を超える6人に1人が認知症を有する。
各人は独特であり、独自の方法で認知症を経験する。異なる種類の認知症は、特に初期段階では、異なる影響を人々に及ぼす傾向がある。
認知症を有する人は、認知症状(思考及び記憶に関する)を有する場合があり、以下のいくつかに関する問題を有する場合がある:
・日常的な記憶−例えば最近起こった出来事を思い出すのが困難であること
・集中、計画立案、又は組織化−例えば意思決定し、問題解決し、又は一連のタスクを実行すること(例えば食事を作ること)が困難であること
・言語−例えば会話についていくこと、又は何かに対する適切な単語を発見することが困難であること
・視空間能力−例えば、距離(例えば階段上)を判断し立体的に物体を見ることにおける問題
・見当識(orientation)−例えば曜日又は日付が分からなくなること、又はどこにいるか混乱してくること。
認知症を有する人はまた、気分の変化を有する場合がある。例えば、彼らは苛立つか若しくは短気になり、無関心になるか若しくは引きこもるようになり、不安になり、簡単に動揺し、又は異常に悲しくなる場合がある。いくつかの種類の認知症では、その人は実際にはそこにないものを見る(幻視)か、又は真実ではないことを強く信じる(妄想)場合がある。
認知症は進行性であり、即ち、症状が経時的に徐々に悪くなる。どのくらい速くこれが起こるかは人によって大きく異なる。認知症が進行すると、その人は、異常又は普段の性格とはかけ離れていると思われる行動をするようになる場合がある。これらの行動には、何度も同じ質問をすること、ペーシング(pacing)、不穏(restlessness)又は焦燥性興奮(agitation)が含まれ得る。
認知症を有する人は、特に後期段階では、筋力低下又は体重減少等の身体症状を有する場合がある。睡眠パターン及び食欲の変化もまた一般的である。
本明細書で定義する場合、「治療」とは、認知症の1以上の症状を、治療前の症状に比べ、低減、緩和又は除去することを意味する。このような症状には、限定されないが、本明細書に記載の任意の症状が含まれる。
「予防(prevention)」(又は予防(prophylaxis))とは、認知症の発症を遅らせるか、又は妨げることを意味する。例えば、予防は、認知症の証拠がある前であるが認知症をもたらすニューロンの欠損のリスクがある際の早期介入を意味し得る。予防は完全であっても良く、一部の個体にのみ、若しくは限られた時間のみ有効であっても良い。
「認知症を治療すること」とは、本明細書で使用する場合、認知症のいずれかの態様、例えば限定されないが本明細書に記載の態様のいずれか、の改善を意味することが意図される。
認知症には単一試験がない。診断は、以下の事項の組み合わせに基づく:
・病歴の聴取−医師が、その人及びその人をよく知る誰かに対し、その人の問題がどのように生じたか、それらが現在どのようにその人の日常生活に影響を及ぼしているかについて話す
・その人の症状の考えられる他の原因を排除するための身体検査及び試験(例えば、血液試験)
・知能の試験(例えば記憶、思考)−簡単な試験が看護師又は医師により行われ、より専門的な試験が心理学者により行われる
・診断するのに必要な場合、脳のスキャン。
共通の根本病理/原因を有する様々な形態の認知症がある:
アルツハイマー病−これは認知症の最も一般的な原因である。日常的な記憶に関する問題が大抵最初に気付かれる事ではあるが、他の症状としては、適切な単語を発見し、問題解決し、意思決定し、又は立体的に物を認識することが困難であることを挙げることができる。
血管性認知症−脳への酸素供給が、血管の狭窄又は閉塞のために低下した場合、一部の脳細胞は損傷を受けるか、又は死ぬ。これが血管性認知症において起こることである。症状は、1回の大きな脳卒中の後に突然生じる場合がある。或いは、症状は、一連の小さい脳卒中により徐々に生じる場合がある。血管性認知症はまた、脳深部の微小血管に発症する疾患によりもたらされる場合もあり、皮質下血管性認知症として知られる。血管性認知症の症状は様々であり、アルツハイマー病の症状と重複する場合がある。多くの人は、問題解決又は計画立案し、迅速に考え、集中することが困難である。彼らはまた、短時間非常に混乱することがある。
混合型認知症−これは、ある人が2種以上の認知症、及びそれらの種類の症状の混合を有する場合である。アルツハイマー病及び血管性認知症の両方を共に有することは一般的である。
レビー小体型認知症(Dementia with Lewy bodies)−この種類の認知症は、脳細胞内部に形成される微小な異常構造(レビー小体)を伴う。それらは脳の化学的性質(the chemistry of the brain)を破壊し、脳細胞の死をもたらす。初期症状としては、1日の間で変動する注意力、幻覚、及び距離の判断が困難であることを挙げることができる。日常的な記憶は通常、アルツハイマー病の初期段階よりも影響されにくい。レビー小体型認知症はパーキンソン病に密接に関連しており、運動困難を含むいくつかの同じ症状を有する場合が多い。
前頭側頭型認知症(ピック病を含む)−前頭側頭型認知症では、脳の前部及び側部が損傷される。異常なタンパク質の塊が脳細胞内部に生じ、細胞を死に至らしめる。最初は、性格及び行動の変化が最も明らかな徴候であり得る。脳のどの領域が損傷を受けるかによって、その人は流暢な発話が困難であるか、又は単語の意味を忘れる場合がある。
認知症をもたらし得る多数の他の疾患が存在する。これらは稀である−それらは合わせて、すべての認知症の約5%を占めるに過ぎない。それらは、認知症を有するより若い人(65歳未満)の間でより一般的である傾向がある。これらの稀な原因としては、大脳皮質基底核変性症、進行性核上性麻痺、HIV感染、ニーマン・ピック病C型、及びクロイツフェルト・ヤコブ病(CDJ)が挙げられる。
パーキンソン病又はハンチントン病を有する人もまた、疾患が悪化すると認知症を発症する場合がある。ダウン症候群を有する人もまた、年を取るとアルツハイマー病を発症する特別なリスクがある。
本発明の一態様では、対象は、アルツハイマー病又はパーキンソン病を有する。
本発明による方法は、認知症のための他の治療の前若しくは後、又はそれらと組み合わせて使用され得る。
例えば、軽度〜中等度のアルツハイマー病、又はアルツハイマー病が主因である混合型認知症を有する患者は、3種の異なる薬:ドネペジル、リバスチグミン又はガランタミンを処方され得る。中等度又は重度のアルツハイマー病では、ある人はメマンチンを提供され得る。
ドネペジル、リバスチグミン及びガタンタミンはまた、苦痛な幻覚若しくは妄想を有するか、又は挑戦する行動(例えば焦燥性興奮又は攻撃性)を有する、レビー小体型認知症を有する人にとって有用であり得る。
血管性認知症に関しては、認知症を引き起こす根本的な医学的状態を治療するために薬が提供され得る。これらの状態は、高血圧、高コレステロール、糖尿病、又は心臓の問題を含む場合が多い。これらを制御することは、認知症の進行を遅らせるのに役立つ可能性がある。
様々な他の薬剤が、認知症を有する人に対し異なる時に処方され得る。これらには、鬱若しくは不安のための薬剤、睡眠錠剤又は抗精神病薬が含まれる。
例えば情報、アドバイス、支援、療法及び活動を含む、ある人が認知症と共により良く生きるのを助けることができる様々な非薬剤治療もまた利用可能である。
本明細書に記載の本発明による方法及び使用は、認知症のための既存の治療又は療法と共に使用され得る。
本発明の一態様では、認知症はアルツハイマー病の結果である;即ち、対象はアルツハイマー病を有する。
本発明の一態様では、認知症はパーキンソン病の結果である;即ち、対象はパーキンソン病を有する。
本発明の好ましい実施形態では、本発明のいずれかの方法の対象は哺乳動物、好ましくは、ネコ、イヌ、ウマ、ロバ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウシ、マウス、ラット、ウサギ又はモルモットであるが、最も好ましくは、対象はヒトである。
本発明のペプチドで治療される認知症、アルツハイマー病又はパーキンソン病の動物モデルは、臨床スコアの改善を示すことが予想される。
脱髄
本発明は、対象において脱髄を改善、治療又は予防することができる。
脱髄は、罹患したニューロンの機能により決定される多様な症状をもたらす。それは、脳と体の他の部分との間のシグナルを遮断する;症状は患者によって異なり、臨床観察上及び臨床検査において異なる提示(presentation)を有する。典型的な症状としては以下が挙げられる:
・眼球運動時の痛みを伴う場合がある、片眼にのみ発症する中心視野のぼやけ
・複視
・視力/聴力の喪失
・脚、腕、胸又は顔の奇妙な感覚、例えばヒリヒリ感又はしびれ(神経障害)
・腕又は脚の脱力
・発話障害及び記憶喪失を含む認知障害
・熱感度(症状が、熱いシャワー等の熱への暴露後悪化又は再発する)
・器用さの喪失
・協調運動困難又は平衡障害
・排便又は排尿制御困難(difficulty controlling bowel movements or urination)
・倦怠感
・耳鳴り
本明細書で定義される場合、「治療」とは、脱髄の1以上の症状を、治療前の症状に比べ、低減、緩和又は除去することを意味する。このような症状には、限定されないが、本明細書に記載の任意の症状が含まれる。
「予防(prevention)」(又は予防(prophylaxis))とは、脱髄の発症を遅らせるか、又は妨げることを意味する。予防は完全であっても良く、一部の個体にのみ、若しくは限られた時間のみ有効であっても良い。
「脱髄を治療すること」とは、本明細書で使用する場合、例えばニューロンの再ミエリン化を介した脱髄の改善を意味することが意図される。
本発明による方法は、脱髄のための他の治療の前若しくは後に、又はそれと組み合わせて使用され得る。
本明細書に記載の本発明による方法及び使用は、脱髄のための既存の治療又は療法と共に使用され得る。
脱髄は、多発性硬化症、急性散在性脳脊髄炎、視神経脊髄炎、横断性脊髄炎、慢性炎症性脱髄性多発性神経障害、ギラン・バレー症候群、橋中心ミエリン症(central pontine myelinosis)、白質ジストロフィー等の遺伝性脱髄疾患、シャルコー・マリー・ツース病、悪性貧血、及びカナバン病等の神経変性自己免疫疾患に関与する。
脱髄は、認知症、並びにアルツハイマー病及びパーキンソン病等の状態に関与する場合もある。
本発明の一態様では、対象は多発性硬化症を有する。
本発明の一態様では、対象はアルツハイマー病を有する。
本発明の一態様では、対象はパーキンソン病を有する。
本発明の好ましい実施形態では、本発明のいずれかの方法の対象は、哺乳動物、好ましくは、ネコ、イヌ、ウマ、ロバ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウシ、マウス、ラット、ウサギ又はモルモットであるが、最も好ましくは、対象はヒトである。
本発明のペプチドでの脱髄疾患の動物モデルの治療は、ニューロンの再ミエリン化を促進することが予想される。
ペプチド
「ペプチド」との用語は通常の意味で使用され、典型的には隣接するアミノ酸のα-アミノ基とカルボキシル基の間のペプチド結合により互いに連結される一連の残基、典型的にはL-アミノ酸を意味する。この用語には改変ペプチド及び合成ペプチド類似体が含まれる。
ペプチドは、化学的方法を使用して作製され得る(Peptide Chemistry, A practical Textbook. Mikos Bodansky, Springer-Verlag, Berlin)。例えば、ペプチドは固相法(Roberge JY等 (1995) Science 269: 202-204)により合成され、樹脂から切断され、分取高速液体クロマトグラフィーにより精製され得る(例えば、Creighton (1983) Proteins Structures And Molecular Principles, WH Freeman and Co, New York NY)。自動合成は、例えば、ABI 43 1Aペプチド合成装置(Perkin Elmer)を製造業者が提供する説明書に従って使用して達成され得る。
或いは、ペプチドは、組換え手段により、又はより長いポリペプチドからの切断により作製され得る。例えば、ペプチドは、関連タンパク質からの切断により取得されても良く、続いて一方又は両方の末端に修飾が行われても良い。ペプチドの組成は、アミノ酸分析又はシーケンシング(例えば、エドマン分解法)により確認され得る。
一態様では、本発明による使用のためのペプチドは、本明細書に記載のペプチドのいずれかに対して少なくとも約60、65、70、75、80、85、90、92、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の同一性を有し得る。
配列同一性は任意の都合の良い方法により評価され得る。しかし、配列間の配列同一性の程度を決定するためには、配列の多重アライメントを行うコンピュータプログラム、例えば、Clustal W(Thompson等, (1994) Nucleic Acids Res., 22: 4673-4680)が有用である。ALIGN(Myers等, (1988) CABIOS, 4: 1-17)、FASTA(Pearson等, (1988) PNAS, 85:2444-2448; Pearson (1990), Methods Enzymol., 183: 63-98)及びギャップ付BLAST(Altschul等, (1997) Nucleic Acids Res., 25: 3389-3402)のような配列の対を比較し整列させるプログラムもこの目的には有用である。さらに、欧州バイオインフォマティクス研究所のダリサーバーは、タンパク質配列の構造ベースのアライメントを提供する(Holm (1993) J. Mol. Biol., 233: 123-38; Holm (1995) Trends Biochem. Sci., 20: 478-480; Holm (1998) Nucleic Acid Res., 26: 316-9)。
多重配列アライメント及びパーセント同一性の計算は、標準BLASTパラメータを使用して(入手可能なすべての生物由来の配列、Blosum 62行列、ギャップコスト: 存在(existence) 11、伸長(extension) 1を使用して)決定され得る。
或いは、以下のプログラム及びパラメータが使用され得る:プログラム:Align Plus 4、version 4.10(Sci Ed Central Clone Manager Professional Suite)。DNA比較:グローバル比較、標準線形スコア行列(Standard Linear Scoring matrix)、ミスマッチペナルティ= 2、ギャップ開始ペナルティ(Open gap penalty)= 4、ギャップ伸長ペナルティ(Extend gap penalty)= 1。アミノ酸比較:グローバル比較、BLOSUM 62スコア行列。
バリアントが親の機能的活性を保持している、即ち、バリアントが機能的に等価である、言い換えると、バリアントが本明細書において定義される親ペプチドの活性を有する又は示す限りにおいて、述べられた又は所与の配列のバリアントもまた、本発明の範囲に含まれる。そのようなバリアントは、親配列のアミノ酸置換、付加又は欠失(一方又は両方の末端での短縮化を含む)を含み得る。
1以上のアミノ酸が化学的に誘導体化された、例えば化学基で置換された機能的に等価な誘導体もまた、含まれる。所与のアミノ酸配列の「バリアント」とは、ペプチドがその由来の親ペプチドの機能的活性を保持するよう、例えば1又は2個のアミノ酸残基の側鎖が(例えばそれらを別の天然アミノ酸残基の側鎖又はある他の側鎖と置換することにより)改変され得ることを意味することが意図される。
バリアントは、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、及びバリンの残基から選択される1以上の残基によるアミノ酸残基の置換を含み得る。
このようなバリアントは、相同置換(homologous substitution)、即ち、塩基性から塩基性、酸性から酸性、極性から極性等の同種/保存的置換から生じ得る。非相同置換、即ち、あるクラスの残基から別のクラスの残基への非相同置換、或いはオルニチン、ジアミノ酪酸、ノルロイシン、ピリジルアラニン、チエニルアラニン、ナフチルアラニン、及びフェニルグリシン等の非天然アミノ酸の包含を伴う非相同置換もまた生じ得る。
置換は保存的置換であり得る。本明細書で用いる場合、「保存的置換」とは、所与の位置においてアミノ酸の同一性を変更してほぼ同等の大きさ、電荷及び/又は極性のアミノ酸と置換することを意味する。アミノ酸の天然の保存的置換の例としては、(慣用の一文字表記により表される)以下の8つの置換群が挙げられる:(1) M、I、L、V; (2) F、Y、W; (3) K、R、(4) A、G; (5) S、T; (6) Q、N; (7) E、D;及び(8) C、S。1以上のアミノ酸が化学的に誘導体化された、例えば化学基で置換された機能的に等価な誘導体もまた、含まれる。機能的に等価な誘導体は、ペプチドの合成の前又は後に特定のアミノ酸を反応させることにより化学的に修飾され得る。例は、例えばR. Lundblad, Chemical Reagents for Protein Modification,第3版 CRC Press, 2004 (Lundblad, 2004)に記載のように、当技術分野において既知である。アミノ酸の化学修飾には、限定されないが、アシル化、アミジン化、リジンのピリドキシル化(pyridoxylation)、還元的アルキル化、2,4,6-トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)でのアミノ基のトリニトロベンジル化(trinitrobenzylation)、カルボキシル基のアミド修飾及びシステインのシステイン酸への過ギ酸酸化によるスルフヒドリル修飾、水銀誘導体の形成、他のチオール化合物との混合ジスルフィドの形成、マレイミドとの反応、ヨード酢酸若しくはヨードアセトアミドでのカルボキシメチル化、及びアルカリ性pHでのシアン酸塩でのカルバモイル化による修飾が含まれるが、これらに限定されない。
本発明のペプチドは8〜30アミノ酸、例えば、8〜25アミノ酸、8〜20アミノ酸、8〜15アミノ酸又は8〜12アミノ酸を含み得る。従って、一態様では、本発明のペプチドは、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30アミノ酸長であり得る。
実用的な目的のために、ペプチドが示し得る様々な他の特性がある。例えば、ペプチドは、治療上有用であるためにin vivoで十分に安定であることが重要である。in vivoでのペプチドの半減期は、少なくとも10分、30分、4時間又は24時間であり得る。
ペプチドはまた、in vivoで優れた生物学的利用能を示し得る。ペプチドは、予測される障害(due hindrance)なしに細胞表面でMHC分子に結合することを可能とするin vivoでのコンフォメーションを維持し得る。
一実施形態では、ペプチドは、ペプチドのドラッグアビリティ(druggability)を改善又は最適化し得る任意のアミノ酸を含んでも良く、例えば、天然又は人工アミノ酸はペプチドの可溶性を改善することができる。適切な修飾は当業者に既知であろう。例えば、国際公開第2015/019302号及び国際公開第2014/072958号を参照されたい。
例えば、ペプチドは、以下の式:
KKG/KKK-ミエリン由来ペプチド-GKK/KKK
を有し得る。ペプチドは組成物、好ましくは医薬組成物の形態であり得る。
ペプチドは中性又は塩形態として組成物に製剤化され得る。薬学的に許容可能な塩には、(ペプチドの遊離アミノ基と形成される)酸付加塩が含まれ、酸付加塩は、例えば、塩酸若しくはリン酸等の無機酸、又は酢酸、シュウ酸、酒石酸及びマレイン酸等の有機酸と形成される。遊離のカルボキシル基と形成される塩はまた、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、又は水酸化第二鉄等の無機塩基、並びにイソプロピルアミン、トリメチルアミン、2-エチルアミノエタノール、ヒスチジン及びプロカイン等の有機塩基に由来し得る。
或いは(さらに)、医薬組成物(又はそのいずれかの部分)が複数の用量で投与される場合、各用量は個別に包装され得る。
また、本発明の医薬組成物では、ペプチド又は各ペプチドは、適切な結合剤、潤滑剤、懸濁化剤、コーティング剤、又は可溶化剤と混合され得る。
製剤化
本明細書に記載の本発明による組成物は、注射可能な液状の溶液又は懸濁液として調製され得る;注射前に液体に溶解又は懸濁させるのに適した固体形態もまた調製され得る。調製物はまた乳化され得る、又はペプチドはリポソームにカプセル化され得る。或いは、ペプチドは担体中にカプセル化され得る、又は担体、例えばナノ粒子の表面に結合し得る。活性成分は、薬学的に許容可能で活性成分に適合性の賦形剤と混合され得る。適切な賦形剤は、例えば、水、食塩水(例えばリン酸緩衝食塩水)、デキストロース、グリセロール、エタノール等、及びそれらの組み合わせである。
さらに、必要であれば、組成物は少量の補助物質、例えば湿潤剤若しくは乳化剤、及び/又はpH緩衝剤を含有し得る。緩衝塩には、リン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩が含まれる。pH調整には塩酸及び/又は水酸化ナトリウムが使用され得る。安定化のために、スクロース又はトレハロース等の二糖類が使用され得る。
組成物では、ペプチドの相対比率は約1:1であり得る。或いは、各ペプチドの相対比率は、例えばあるペプチドが特定のHLA型で他よりもよく作用することが分かった場合、変更され得る。
製剤化後、ペプチド又は組成物は、滅菌容器に組み込まれ、次いで密封され、低い温度、例えば4℃で保存されても良く、又はそれは凍結乾燥されても良い。
好都合には、組成物は、凍結乾燥(フリーズドライ)粉末として調製される。凍結乾燥は、安定化形態での長期保存を可能にする。凍結乾燥手順は、当技術分野において周知であり、例えばhttp://www.devicelink.com/ivdt/archive/97/01/006.htmlを参照されたい。マンニトール、デキストラン又はグリシン等の充填剤が、一般に、凍結乾燥前に使用される。
ペプチド又は組成物は、都合の良い方法で、例えば経口、静脈内(水溶性の場合)、筋内、皮下、舌下、鼻内、皮内若しくは坐剤経路、又は(例えば徐放性分子を用いた)埋め込みにより投与され得る。
ペプチド又は組成物は、有利には、鼻内、皮下又は皮内経路を介して投与され得る。好ましい実施形態では、投与は皮内投与である。
本明細書に記載のペプチド又は組成物は、典型的には、「有効量」、即ち、特に治療的効果又は予防的効果のうちのいずれか1以上を誘発するのに有効な量で、投与される。当業者は、通常の実験により、医薬組成物に含められるべき、又は所望の転帰のために投与すべき、有効で無毒な量を決定することができるであろう。概して、本明細書中に開示されるペプチド又は組成物は、投与経路及び受容者の身体的特徴(健康状態を含む)に適合するように、かつ所望の効果を誘発するように(即ち、治療上有効及び/又は保護的な方法で)、投与され得る。例えば、組成物の適切な投与量は、限定されないが、被験体の身体的特徴(例えば、年齢、体重、性別)、及び当業者により認識され得る他の因子を含む様々な因子に依存し得る。例えば、組成物の適切な投与量を決定する際に考慮され得る一般的な検討事項の他の例示的な例は、Gennaro(2000, "Remington: The Science and Practice of Pharmacy", 第20版, Lippincott, Williams, & Wilkins;及びGilman等, (編者), (1990), "Goodman And Gilman's: The Pharmacological Bases of Therapeutics", Pergamon Press)により議論されている。
キット
好都合には、本発明によるペプチド、例えば配列番号1、2、3及び/又は4の4種のMBPペプチドは、混合組成物又はカクテルの形態で共に投与され得る。しかし、同時、個別、連続、又は併用投与のために、キットの形態でペプチドを別々に提供することが好ましい場合もあり得る。
例えば、キットは、配列番号1、2、3及び4の4種のペプチド等のペプチドを、個別の容器中に、又は各々2種のペプチドを含む2つの容器中に含み得る。容器の内容物は投与前に混合されても良く、又は混合されなくても良い。
キットは、混合及び/又は投与手段(例えば鼻内投与のための気化器;又は皮下/皮内投与のための注射器及び針)も含み得る。キットはまた、使用説明書を含み得る。
説明した本発明の様々な改変及び変形は、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく当業者にとって明らかであろう。本発明は、特定の好ましい実施形態に関連して説明されているが、特許請求の範囲に記載の発明は、そのような特定の実施形態に過度に限定されるべきでないことは理解されるはずである。実際、化学若しくは生物学又は関連分野における当業者にとって明らかな、本発明を実施するための記載した様式の様々な改変は、本発明にカバーされることが意図される。上述のすべての出版物は、参照により本明細書に組み込まれる。
[実施例1−再発型多発性硬化症を有する対象におけるATX-MS-1467の安全性及び免疫寛容に対する効果]
非盲検、単群、プルーフオブコンセプト試験を行い、再発型多発性硬化症を有する対象におけるATX-MS-1467(MSC2358825A)の安全性及びその免疫寛容に対する効果を評価した。
<治験責任医師/試験センター:>
本臨床試験は、ロシアの7施設及びラトビアの1施設の合計8つの試験施設で行った。治験調整医師はNatalia N. Maslova医学士、博士であった。
<試験期間(年):>
2014年2月5日(最初の対象のスクリーニング)〜2016年4月11日(最後の対象の最後の受診)
<開発のフェーズ:>
IIa
<目的:>
本試験の主目的は、合計20週間、皮内(ID)投与され、2週間毎に(2週間に1回)800μgの用量まで漸増されるATX-MS-1467の、再発型多発性硬化症(MS)を有する対象における治療を受けていない(off-treatment)ベースラインコントロール期間と比べた1.5テスラ(T)磁気共鳴イメージング(MRI)パラメータに対する効果を評価することであった。
本試験の副次的目的は、以下であった:
・合計20週間、ID投与され、2週間に1回800μgの用量まで漸増されるATX-MS-1467の、他のMRIパラメータに対する効果を評価すること
・合計20週間、ID投与され、2週間に1回800μgの用量まで漸増されるATX-MS-1467の、臨床パラメータに対する効果を評価すること
・合計20週間、ID投与され、2週間に1回800μgの用量まで漸増されるATX-MS-1467の安全性を評価すること。
本試験の探索的目的は、以下であった:
・反応者におけるMRIパラメータに対するATX-MS-1467のいずれかの効果が、16週間の治療を受けない経過観察期間中維持されるか評価すること
・経時的に末梢血及びCSF中の疾患マーカー(例えばオリゴクローナルバンド[OCB]、免疫グロブリンG[IgG]インデックス、脱髄)に対する治療効果を探索すること
・経時的にATX-MS-1467の免疫原性を(血清抗ペプチド抗体レベルに基づいて)探索すること。
<方法:>
これは、再発型MSを有する対象における多施設共同非盲検第IIa相試験である。試験は5つの期間から成っていた;対象は48週間試験を継続した。
スクリーニング期間(4週間):ベースラインコントロール期間に入る前に、対象をスクリーニングして最初の適格性を確立した。対象は、2回目の受診時の最初のMRIスキャンの少なくとも30日前にコルチコステロイドでの任意の前治療を完了させていることを求められた。1回目の受診時に任意の他の許可されていないMS治療を受けていた対象は、対象がヒト白血球抗原(HLA)DRB115遺伝子型を有し、2回目の受診時のMRIスキャンに基づき試験に適格であることが確認された後、可能な限り早急にすべてのこのような投薬を中止した。
ベースラインコントロール期間(8週間/3回受診):HLA陽性であった対象は、3回の脳MRIスキャンを受け(連続するスキャンの間は最低でも28日の間隔を置いて)、MRI活性の程度に基づき対象の適格性を判定した。MRI基準について対象の適格性を確認した後、対象は、脳脊髄液(CSF)の回収のために随意の腰椎穿刺を受けることができた。ベースラインコントロール期間中、対象はMSのための治療を受けなかった。
漸増期間(4週間/3回受診):ベースラインコントロール期間の完了後、適格な対象は、ATX-MS-1467 IDを以下のスケジュールに従って開始用量(50μg)から最大用量(800μg)まで2週間に1回漸増する漸増期間に入った:
・1日目:ATX-MS-1467 50μg ID
・15日目:ATX-MS-1467 200μg ID
・29日目:ATX-MS-1467 800μg ID。
治療期間(16週間/8回受診):治療期間中、対象は、16週間ATX-MS-1467 800μg IDの投与を2週間に1回受け、2週間間隔で投与及び安全性評価のために試験受診に参加した;MRIスキャンを含む追加の臨床評価は、治療期間中に3回行った。
経過観察期間(16週間/4回受診):治療期間の完了後、対象は16週間の経過観察期間に入った。対象はこの期間中試験治療を中止し、任意の治療効果の維持について評価された。MRIスキャンは経過観察期間中3回行った。
早期にATX-MS-1467での治療から離脱した、即ち漸増又は治療期間中に離脱した対象は、8週間の安全性経過観察期間(2回受診)に入った。
<対象の数:>
少なくとも15人の評価可能な対象を、試験参加のために計画した。
合計93人の対象を試験参加のためにスクリーニングし、37人(39.8%)の対象を試験に登録し、ベースラインコントロール期間を開始した。漸増期間に入り、それを完了し、治療期間に入った対象は19人であった。治療した19人の対象はすべて、治療意図(ITT)、修正ITT(Modified ITT、mITT)、及び安全性分析セットに含まれた。
<診断及び主要な選択基準:>
McDonald診断基準(2010)に基づく再発寛解型MS(RRMS)又は二次進行型MS(SPMS)、最近のMS活性の臨床的証拠、2回目の受診時のMRIにおける少なくとも1つのコントラスト増強病変(contrast-enhanced lesion、CEL)、及び2回目の受診から4回目の受診に少なくとも1つの新たなCELの存在を有する18歳以上65歳以下の男性及び女性の外来患者は、試験参加に適格とした。対象は、試験治療の開始前に0〜5.5の拡大障害状態尺度(EDSS)スコアを有し、HLA DRB115陽性であり、神経学的に安定でなければならなかった。対象が、一次進行型MS、ガドリニウム(Gd)の投与を阻む腎臓状態、治療前の受診時に<500/μLのリンパ球数若しくは<1500/μLの好中球数、又は試験参加を阻む他の根本的な医学的状態を有していた場合、対象はこの試験に適格でないとした。
試験1日目の前8週間以内のβインターフェロン、血漿交換、若しくは静脈内γグロブリン;2回目の受診時のMRIスキャンの前30日以内のステロイド若しくは副腎皮質刺激ホルモン;又はMSの治療のためのグラチラマー酢酸塩、細胞毒性剤、フィンゴリモド、ラキニモド、テリフルノミド、全身リンパ照射、幹細胞若しくは骨髄移植、モノクローナル抗体療法、フマル酸ジメチル、ジルコチド、任意の疾患関連T細胞ワクチン、又はペプチド寛容化剤での過去の治療は許可しなかった。
<試験製品:用量及び投与様式、バッチ番号:>
調査医薬品はATX-MS-1467であり、合計20週間、2週間に1回ID投与し、50μgの開始用量から4週間かけて増量し800μgの最終用量にした。
個別のバッチ番号は要求に応じて入手可能である。
<治療期間:>
1回目の受診から19回目の受診まで、最大の試験参加期間は48週間であった。試験治療期間は20週間であった。
<評価基準:>
有効性:
主要エンドポイントは、3つのベースラインのスキャン(2、3及び4回目の受診)におけるT1 CELの平均数と比べた、最後の3つの治療中のスキャン(12、16及び20週目)におけるT1 CELの平均数の変化であった。
副次的エンドポイントには以下が含まれた:
・MRI
・予定されたベースライン後のMRI受診各々におけるT1 CELの総数
・予定されたベースライン後のMRI受診各々におけるT1 CELの総数の、ベースライン(3つのベースラインのスキャン、2、3及び4回目の受診の平均)からの変化
・予定されたベースライン後のMRI受診各々におけるT1 CELの総体積の、ベースライン(3つのベースラインのスキャン、2、3及び4回目の受診の平均)からの変化
・予定されたベースライン後のMRI受診各々における、新たな又は新たに拡大したT2病変の総数
・予定されたベースライン後のMRI受診各々における、T1 CELの総数の4回目の受診からの変化
・予定されたベースライン後のMRI受診各々における、T1 CELの総体積の4回目の受診からの変化
・臨床
・20週目における平均の年間再発率(ARR)
・最初の再発までの時間
・20週目における合計のEDSSスコアのベースラインからの変化
・20週目における合計の多発性硬化症機能複合(Multiple Sclerosis Functional Composite、MSFC)スコアのベースラインからの変化。
以下の探索的エンドポイント(exploratory endpoint)もまた考慮した:
・反応者のサブグループにおける28及び36週目の治療中止後のMRIパラメータに対するATX-MS-1467の効果の維持
・11、20及び24週目の血清抗ペプチド抗体レベル
安全性:
安全性エンドポイントには以下が含まれた:
・治療中に発現した有害事象(TEAE)の性質、頻度、及び重症度
・注射部位反応の頻度及び重症度
・バイタルサイン測定値、身体検査の所見、臨床検査変数(clinical laboratory variable)、心電図、及び時期尚早の試験の終了の頻度及びタイミング。
<統計的方法:>
この試験についての標本サイズは、3つの前提に基づいていた:(1) 3つのベースラインのスキャンにおけるCELの平均数と比べ、CELの数が70%低下するという治療効果;(2)ベースラインにおけるCELの平均数は5であり、標準偏差(SD)は6である; 及び(3)治療後の期間(24〜36週目)中のCELの平均数は1.5であり、SDは1.8である。両側5%レベルを用いると、模擬試験の>80%及び>90%が、それぞれ12人及び14人の対象の標本サイズで、統計的に有意な結果を示した。従って、15人の対象の標本サイズを選択した。
反応者集団を用いて行った反応の維持の評価、及び安全性集団に基づいていた安全性分析を除き、主要及び副次的エンドポイントの分析は、mITT集団に基づいていた。反応者は、20週目におけるT1 Gd増強病変の数(12、16及び20週目における最後の3つの治療中のスキャンの平均)が、ベースライン(2、3及び4回目の受診における3つのベースラインのスキャンの平均)から≧60%減少した対象と定義した。
符号付き順位統計量の正確な分布に基づき(ここで、分布はスケーリングされた二項分布の畳み込みである)治療効果による位置変化の検定についてノンパラメトリックなWilcoxonの符号付き順位検定を用い、主要エンドポイントを分析した。負の二項及びポアソンリンク関数(negative binomial and Poisson link functions)を用いた一般化推定方程式(GEE)線形回帰モデルを使用して、ベースラインコントロール期間と比較した、治療期間中の新たなT1 Gd増強病変の平均の百分率減少を推定するために補助的な分析を行った。
新たなT1 Gd増強病変に基づき、主要有効性エンドポイントのために使用した同一のノンパラメトリック手順を行った。mITT分析セットに該当する各受診における副次的エンドポイントについて、記述統計量を示した。
連続変数は、観測数、平均、SD、95%信頼区間(CI)、中央値、最小値及び最大値を用いて記述的に概括した。カテゴリー変数は、頻度数及び百分率を用いて概括した。事象変数までの時間は、Kaplan Meierプロット、中央値、及び95%CIとして示した。
<要約及び結論:>
対象の性質(Subject Disposition):
試験参加のためにスクリーニングされた対象は93人であった;37人(39.8%)の対象を登録した。19人(51.4%)の対象が漸増期間に入り、それを完了し、18人(48.6%)の対象が治療期間を完了した。1人の対象(2.7%)は、下痢の有害事象(AE)のために調査医薬品(IMP)を中止した。別の1人の対象(2.7%)は、治療期間の完了後、同意を取り下げた。19人の適格な対象はすべて、ITT、mITT、及び安全性分析セットに含まれた。20週目において≧60%のT1 Gd増強病変数のベースラインからの低下を実証した7人の対象が、反応者分析セットに含まれた。
人口統計及びベースライン特性
試験における対象の平均年齢は、27.1歳(19〜38歳に及ぶ)であり、対象の大部分は<30歳であった(73.7%)。大抵の対象は女性であり(78.9%)、すべての対象は白色人種であった。19人の対象はすべてRRMSの診断を有しており、対象の大部分(89.5%)は、2回目の受診前24カ月間に1〜2回の再発を報告していた。ベースラインにおけるEDSSスコアの中央値は2.00(1.5〜3.5に及ぶ)であった。国立多発性硬化症協会(National Multiple Sclerosis Society、NMSS)参照集団に基づくベースラインにおけるMSFCスコアの中央値は0.470(-0.95〜1.21に及ぶ)であった。T1 Gd増強病変の平均数及び平均体積は、それぞれ7.4(1〜31に及ぶ)及び0.838mL(0.05〜3.65mLに及ぶ)であった。
有効性の結果:
mITT分析セットを用いたノンパラメトリック分析に基づき、治療中(12、16及び20週目)のT1 Gd増強病変の平均数は、ベースラインに比べ統計的に有意に減少した(p = 0.0143)。位置変化のHodges-Lehmann推定値(95% CI)は、-1.3 (-6.3, 0.0)であった。同様に、新たなT1 Gd増強病変の平均数は、統計的に有意に減少した(p = 0.0106)。位置変化のHodges-Lehmann推定値(95% CI)は、-1.3 (-5.7, 0.0)であった。新たなT1 Gd増強病変の補助的分析の結果は、一次分析と一致していた。
すべての投与後評価において、平均のT1 Gd増強病変の数及び体積のベースラインからの数値減少が認められた。ベースラインにおける病変の平均数は7.4(1〜31に及ぶ)であり、病変数のベースラインからの平均変化は-4.6〜-1.6であった。ベースラインにおける平均病変体積は0.838mL(0.05〜3.65mLに及ぶ)であり、病変体積のベースラインからの平均変化は-0.579〜-0.225mLであった。同様に、0週目から各投与後評価までに平均のT1 Gd増強病変及び体積の数値減少が認められた。病変数の0週目からの平均変化は-3.5〜-0.9であり、病変体積の0週目からの平均変化は-0.473〜-0.157mLであった。新たなT1 Gd増強病変の数の中央値は、12週目(1.5)から試験終了まで同様であった(28週目の0.0〜試験終了時の2.0)。新たな/拡大したT2病変数の中央値は12週目の8.0(0〜89に及ぶ)から16週目の1.0(0〜20に及ぶ)に減少し、その後の受診において数の中央値は1.0〜3.0であった。
試験治療の間、3人(15.8%)の対象において単回の再発が生じた;残りの16人の対象については治療中の再発は報告されなかった。推定の平均ARRは2.60であった。これら3人の対象については、再発の発症が50日、59日及び89日目に起こり、再発を経験しない確率のKaplan-Meier推定値は、4週目の1.00から20週目の0.84に減少した。
ベースラインから治療終了時の受診までのEDSSスコアの変化は、統計的に有意でなかった。同様に、ベースラインから治療終了時の受診までのMSFCスコアの変化は、統計的に有意ではなかったが、NMSSタスクフォースデータベースから得られた値を参照として用いた場合、強い改善傾向を示した。
安全性の結果:
全体として、78.9%の対象が試験の遂行中に少なくとも1つのTEAEを報告した;57.9%の対象におけるTEAEは、IMPに関連すると評価された。最も頻繁に報告されたTEAEは、注射部位紅斑(26.3%)、頭痛(21.1%)、及び鼻咽頭炎(15.8%)であった。
死亡、重篤なTEAE、又は深刻な強さ(severe intensity)のTEAEは報告されなかった。1人の対象は、下痢のTEAEのためにIMPを中止した。それは持続期間が長く、強さが中等度でありIMPに関連すると評価された。
大抵の対象についてTEAEの発症は、IMPの開始から<26日であった。
試験中のすべての注射部位反応(対象の36.8%)は軽度であり、最も頻繁に報告された症状は、紅斑、掻痒及び硬化であった。
3人の対象は、試験中に≧7%の体重減少を有した;その他の点では、臨床検査、バイタルサイン、又は心電図パラメータの臨床的に関連する変化はなかった。
結論:
ベースラインコントロール期間に比べた、治療期間中のT1 Gd増強病変の減少の中央値は、ノンパラメトリックなWilcoxonの符号付き順位検定に基づき、統計的に有意であった(p = 0.0143)。位置変化のHodges-Lehmann推定値(95% CI)は、-1.3 (-6.3, 0.0)であった。
負の二項及びポアソンGEEモデルを用いた補助的分析は、一致した結論をもたらした。ベースラインコントロール期間に比べ、治療期間中の新たなT1 Gd増強病変の平均の百分率低下は、統計的に有意であった(p値 = 0.0109)。負の二項モデルを用いたGEE推定の平均の百分率低下(95% CI)は、38.4%(10.6%, 57.6%)であった。
すべての投与後評価において、平均のT1 Gd増強病変の数及び体積の、ベースライン及び0週目からの数値減少が認められた。
新たな/拡大したT2病変の数の中央値は、12週目の8.0から16週目で1.0に減少し、その後の受診では1.0〜3.0であった。
少数の対象(15.8%)のみが、試験中に再発を経験した。20週目までに再発を経験しないKaplan-Meier推定確率は、0.84である。
ベースラインから治療終了時の受診までのEDSS又はMSFCスコアの統計的に有意な変化は認められなかったが、MSFCの強い改善傾向はあった(p=0.0542)。
次いで、上記の副次的エンドポイントとして取得したMSFC結果を、Wilcoxonの対応した符号付き順位検定(Wilcoxon matched-pairs signed rank test)を用いてさらに分析した。認知の有意な改善(p=0.010)が、MSFCスコアを用いて測定した全体的な障害度低減の強い傾向を裏付けることが分かった。これらの結果は図2に示される。わずか6カ月後に何らかの改善が見られることは極めて稀であった。
2週間毎にID投与されるATX-MS-1467 800μgでの治療後、安全性又は忍容性についての懸念は特定されなかった。
[実施例2-ATX-MS-1467での治療は、IL-10放出を持続的に引き起こすが炎症性サイトカイン放出は持続的に引き起こさない]
<方法>
本明細書でDR2/Ob1Het/Hetと称される二重トランスジェニックヘテロ接合体マウスをこれらの試験に用いた。これらのマウスは、マウス主要組織適合性(MCH)-IIプロモーター下でヒト白血球抗原(HLA)アイソタイプDRA*0101及びDRB1*1501を発現し、マウスTCRα及びβプロモーター/エンハンサーエレメント下で発現されるMBP84-102特異的TCR(Ob.1A12)を発現する。
DR2/Ob1Het/Hetマウスを、100μgのATX-MS-1467若しくは25μgのEAEと関連がないHLA結合タンパク質(HLAbp)、及び/又は30〜1000μgのミエリン塩基性タンパク質(MBP, Sigma, M1891)の単回又は複数回の皮下(s.c.)注射により、処置及び/チャレンジした。治療パラダイムは、試験及び群によって異なった(各試験における詳細を参照されたい)。ATX-MS-1467又はHLAbpでの慢性治療は、週3回のレジメンに従った。
様々な時点でDR2/Ob1Het/Hetマウスの血清におけるサイトカインレベルを、Milliplex MAPマウスサイトカイン/ケモカイン磁性キット(MCYTOMAG-70-PMX)を用いて定量化した。簡単のため、4種の代表的なサイトカインのみを図4に示す。
脊髄ホモジネート(SCH)/完全フロイントアジュバント(CFA)を含有するエマルジョンで免疫化し、免疫化後4〜14日でATX-MS-1467(100μg、3回/週)又はビヒクルで処置したDR2/Ob1Het/Hetマウス由来のCD4+脾臓リンパ球についてゲーティングするMACSQunatアナライザーにおいて、白血球活性化遺伝子3(Leukocyte activation gene 3、LAG3)発現を評価した。
<結果>
MBP(図4)又はATX-MS-1467(図5)でのDR2/Ob1Het/Hetマウスの急性治療は血液中の炎症性及び抗炎症性サイトカインの両方の分泌を誘導することが分かった。
図5はまた、サイトカイン放出は一過的であり、治療後2時間でピークとなり、治療後4〜24時間でベースライン値に戻ることを示している。
これらのデータは、DR2/Ob1Het/Hetマウスには、MBPと、及びATX-MS-1467中に存在するペプチド配列のうち少なくとも1つと反応できる状態にあるT細胞のプールがあることを示唆する。
ATX-MS-1467の単回注射は、血液中のIL-2、IL-17及びIFN-gの分泌を誘導するが、炎症性サイトカイン放出は後続の投与(3回/週)後に低下する。逆に、投与を繰り返しても、ATX-MS-1467は、抗炎症性サイトカインであるIL-10の分泌を誘導し続ける。
図7に示すように、慢性処置を受けたマウスにおける最大21日のウォッシュアウト期間後の新たなATX-MS-1467チャレンジ後のサイトカイン分泌は、急性処置したマウスにおける反応と比べて少なかった。それにもかかわらず、3週間のウォッシュアウト群の点(wash-out group point)では統計的に有意なIL-2及びIFN-γの放出があり、僅かであるが有意な寛容の喪失が明らかとなった。
図7は、ATX-1467の持続的な寛容原性効果を示唆する。図8では、マウスがATX-MS-1467での慢性治療を受け、続いて2〜42日続くウォッシュアウト期間を経た後、全長MBPでマウスをチャレンジした。全長MBPでのチャレンジが続いて行われるATX-MS-1467での慢性治療はまた、チャレンジが最大6週間のウォッシュアウト期間後に行われても、MBPに対する寛容化効果を示す。ATX-MS-1467を、MBPと関連がないHLA結合タンパク質と置き換えると、寛容を誘導しなくなり、これは当該効果の抗原特異性を示している。
LAG3は、MHC-IIと相互作用し、Tリンパ球において内因性の抑制分子として作用し、IL-10を分泌する誘導性T-regの集団上で発現し、寛容の発現に関与することが知られている細胞表面分子である。Lag3発現CD4+脾臓リンパ球の頻度の増大(図9)は、本発明者らが過去に示したATX-MS-1467で処置したマウスの脾細胞培養からのIL-10分泌の増大の証拠と併せて、Tregの誘導がATX-MS-1467の作用の考え得るメカニズムであることを示唆する。
<結論>
データは、ATX-MS-1467での慢性治療が血液中のサイトカイン反応を長く持続する寛容化状態に変えることを示す。
この状態は、抗原特異的チャレンジ後IL-10産生が検出可能であるにも関わらず炎症性サイトカイン放出が低い又は実質的に存在しないというパターンにより、特徴づけられる。
治療により寛容化されたエピトープ配列内に含まれる特異性を有するT細胞は、CNSにおいてその同種抗原(cognate antigen)に暴露されると、同様のパターンのサイトカイン分泌を示すと予測することは合理的であり、有益な治療の可能性を強調する。
[実施例3-ATX-MS-1467は、疾患の進行を停止させ、中枢神経系の炎症を低減する]
<方法>
Lewisラットにおいて、ATX-MS-1467及び完全フロイントアジュバント(CFA)の乳化を用いて0日目に実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)を誘導した。ラットはまた、0及び2日目に百日咳毒素注射を受けた。
二重トランスジェニック(DTg;ヒトHLA-DR15/MBP特異的T細胞受容体)「ヒト化」マウスにおいて、脊髄ホモジネート(SCH)及びCFAの乳化を用いて0日目にEAEを誘導した。マウスはまた、0及び2日目に百日咳毒素注射を受けた。
試験を通して、神経学的欠損は標準化された臨床スコア尺度を用いて測定した:0=臨床徴候なし、1=尾の弛緩(limp tail)、2=立直り反射障害、3=部分的な後肢麻痺、4=完全な後肢麻痺、5=瀕死/死亡。
動物が4のスコアに達した場合、その動物を安楽死させ、人道的エンドポイントに至った。
ラットは、EAE誘導の3週間前から、皮下(sc)リン酸緩衝食塩水(PBS)ビヒクル又はATX-MS-1467で予防的に処置した(治療群当たりn=10)。マウスは、皮下ビヒクル、ATX-MS-1467、MBP82-98(ジルコチド)又はグラチラマー酢酸塩(GA [Copaxone(登録商標), Teva Neuroscience, Inc., North Wales, PA, USA])で予防的に(誘導日から)、又は治療的に(誘導後7日から)処置した(治療群当たりn=9〜10)。
ATX-MS-1467は、MBP82-98及びGAとhead-to-headで試験した。MBP82-98は、MBPと同一の17アミノ酸の合成ペプチドであり、GAは、MBPに見られる4種のアミノ酸のランダム重合体である。両方の化合物について、ヒト等価用量(HED)を体表面積に基づき計算した:MBP82-98=12μg/用量及びGA=75μg(3.75mg/kg)/用量。
作用メカニズムを調査するために、0日目からビヒクル又はATX-MS-1467(100μg1回/週)を投与したDTg EAEマウス由来の試料においてマルチカラーフローサイトメトリーを用い細胞浸潤物を調べた。疾患のピーク中の15日目にマウスを安楽死させ(治療群当たりn=6)、脊髄/脳を分析のために採取した。簡単に説明すると、ダブレット及び死細胞(ヨウ化プロピジウム染色)を排除した後、CD11bの発現レベルがそれぞれ高いか低いかによって、マクロファージをミクログリア(CD11b+及びCD45+の両方)と識別した。リンパ球亜集団(GR1-)をCD19(B細胞)、CD4及びCD8マーカー(T細胞)を用いて定義した。
経時的な治療による臨床スコア及び累積臨床スコア(曲線下面積)の有意差についての統計分析は、Kruskal-Wallis及びDunnの事後比較分析(Kruskal-Wallis with Dunn’s post hoc analysis of comparisons)を用いて行った。疾患発症は、Kaplan-Meier曲線により分析し、有意差はログランク(Mantel-Cox)検定を用いて決定した。細胞脳浸潤物はStudentのt検定により分析した。統計的有意性は、*p,0.05、*p,0.01及び***p,0.001で考慮した。
<結果>
Lewisラットを、EAE誘導の3週間前から、週1回又は週3回、ビヒクル又はATX-MS-1467(100μg/用量、sc)で処置した(群当たりn=10)。週3回のATX-MS-1467の投与は、ビヒクル処置と比べ、疾患の重症度を有意に低減した(図10A)。さらに、ビヒクルと比べ、ATX-MS-1467を週3回投与したラットでは、疾患発症が有意に遅延した(図10B)。
<EAEのDTgヒト化マウスモデル>
ATX-MS-1467(100μg/用量、sc)での前処置(免疫化の日、0日目に始まる)又はその治療的投与(免疫化の7日後に始まる)は、DTgヒト化マウスにおいてSCH誘導性EAEを低減した。ビヒクル処置した対照と比べ週2回のATX-MS-1467処置により、疾患の重症度は有意に低減した(図11A)。
ATX-MS-1467での週2回の処置はまた、処置を麻痺の最初の徴候が生じた後に開始しても、ビヒクルと比べて疾患の重症度を有意に低減した(図11B)。
ATX-MS-1467の週1回の投与(100μg/用量、sc)は、ビヒクル処置と比べて疾患の重症度を有意に低減したが、MBP82-98(12μg又は100μg/用量)を用いた同じ投与レジメンはこの試験では有意な効果を示さなかった(図12A、12B)。
別の試験では、0日目からの週2回のATX-MS-1467での処置(100μg/マウス、sc)は、ビヒクル又は計算されたHED(75μg/用量、sc)のGAでの毎日の処置と比べて疾患の重症度を有意に低減した(図12C、12D)。
免疫化の日(0日目)からのATX-MS-1467での処置(100μg/用量、週1回)は、中枢神経系(CNS)のEAE誘導性炎症細胞浸潤を低減し、それは臨床スコアの低下と関連していた(図13A)。
15日目に、マウスを安楽死させ、マルチカラーフローサイトメトリーを用いて脳浸潤物を分析するために脳及び脊髄を採取した。ATX-MS-1467で処置したマウスでは、ビヒクル処置したマウスと比べ、マクロファージ、T細胞、及びB細胞の数が有意に低下していた(図13B〜13E)。
[実施例4-ATX-MS-1467は、多発性硬化症のマウスモデルにおいて、病理学的変化を改善し、サイトカイン産生を阻害する]
<方法>
<疾患誘導>
疾患は、DR2/Ob1het/hetマウスにおいて、同系の脊髄ホモジネート(SCH)を含有するアジュバントエマルジョンの皮下注射により誘導した。臨床障害度(clinical disability)は主観的な0〜5の尺度で測定した。
<治療>
試験に応じて、免疫化後0、7又は14日(days post immunization、dpi)から3回/週、ATX-MS-1467を3、10、30又は100μg/マウスで皮下注射した。
<組織学的分析>
各マウスにつき10個の脊髄切片を、炎症についてはヘマトキシリン及びエオジン(H&E)によって、ミエリン含量の評価についてはルクソールファストブルー(LFB)染色によって、又はT細胞若しくはB細胞についてはそれぞれCD3及びCD45Rに対する免疫反応性によって染色した。切片をスキャンし(Nanozoomer 2.0 HT)、盲検法で半定量的に分析した。対象の細胞がヘマトキシリン染色された核、CD3+又はCD45+細胞であることを除き、HE、CD3及びCD45B染色には同様の尺度を適用した。H&E、CD3及びCD45B尺度:0=免疫細胞の浸潤物なし、1=髄膜を覆う免疫細胞(immune cells lining meninges)、2=+血管周囲細胞、3=+小さな多発性の白質(WM)浸潤、4=+複数かつ広範囲のWM浸潤物、5=灰白質浸潤物。脱髄に関しては、背側、腹側、右及び左側WMに個別にスコアを付けた後、値を加算した。LFB尺度:0(脱髄なし)、0.5(脱髄領域(DA)≦10%)、1(>10% DA ≦ 20%)、2(>20% DA ≦40%)、3(>40% DA ≦60%)、4(>40% DA ≦80%)、5(>80% DA ≦100%)。
<磁気共鳴イメージング>
通常のT1加重ガドリニウム増強(Gd+)及びT2加重マルチスライスMRIシーケンスを用いて、それぞれ血液脳関門(BBB)の漏出及び病変発生に対するATX-MS-1467の効果を調べた。BBBの漏出は、Gd+注射後10分以内に評価した;それより後の時点を用いても更なる増強は示されなかった。
<脾細胞培養>
ATX-MS-1467又はリン酸緩衝食塩水(PBS)をdpi0〜dpi7に3回/週で注射したSCH免疫化マウス由来の脾細胞を採取し、ATX-MS-1467の存在下で48又は72時間刺激し、その時点でELISAによるサイトカイン定量化のために上清を回収した。細胞増殖を、3H-チミジン溶液で上清を一部置き換え、その後8時間培養し、続いて細胞中の放射能を定量化することにより、評価した。
<結果>
図14〜20を参照されたい。ATX-MS-1467での処置は、DR2/Ob1het/hetマウスにおいてSCH誘導性EAEの重症度を用量依存的に抑制し、及び/又はその発症を予防することが分かった。それらの効果は、中枢神経系(CNS)における炎症性サイトカインの濃度の低減と関連していた。
ATX-MS-1467の治療効果は、疾患のピーク後に処置を開始した場合にも観察され、炎症、T及びB細胞浸潤並びにミエリン損傷の評価のための脊髄の病理学的分析によって確認された。
ATX-MS-1467での予防的処置は、T1加重Gd+ MRIにより測定して、MSのヒト化モデルにおいてBBBの漏出を防止した。
MRIリードアウト及びデータは、ヒトにおける第1b相データと一致しており、このような前臨床エンドポイントは臨床試験のための予測情報を提供し得ることが示唆された。
ATX-MS-1467で処置したマウスの脾細胞から得た細胞増殖及びサイトカイン分泌のデータにより、その作用メカニズムが抗炎症性サイトカインIL-10の合成の増大、並びにIL-2及びIFN-γの合成の阻害を含み得ることが示唆された。

Claims (41)

  1. 対象において認知機能障害を治療又は予防するための方法であって、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)及びミエリンプロテオリピドタンパク質(PLP)から選択されるミエリンの構成要素に由来するか、又はそれから誘導可能なペプチドを対象に投与することを含む、方法。
  2. 前記対象が、脱髄疾患を有する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記対象が、多発性硬化症、アルツハイマー病又はパーキンソン病を有する、請求項2に記載の方法。
  4. 前記ペプチドが、配列番号1、2、3及び4から選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 配列番号1、2、3及び4のペプチドが前記対象に投与される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記ペプチドが、配列番号7、8、9及び10から選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  7. 配列番号7、8、9及び10のペプチドが前記対象に投与される、請求項1〜3及び6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記ペプチドが、配列番号12、16、18、23、24、25、26、27、28、29、30及び31から選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記治療が、前記対象に対しPASATスコアの改善をもたらす、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 対象における認知障害の治療又は予防における使用のための、請求項4〜8のいずれか1項に定義されるペプチド。
  11. 対象において認知障害を治療又は予防するための医薬の製造における、請求項4〜8のいずれか1項に定義されるペプチドの使用。
  12. 前記対象が脱髄疾患を有する、請求項10に記載の使用のためのペプチド、又は請求項11に記載のペプチドの使用。
  13. 前記対象が、多発性硬化症、アルツハイマー病又はパーキンソン病を有する、請求項12に記載の使用のためのペプチド又はペプチドの使用。
  14. 前記治療が、前記対象に対しPASATスコアの改善をもたらす、請求項11〜13のいずれか1項に記載の使用のためのペプチド又はペプチドの使用。
  15. 請求項4〜8のいずれか1項に定義されるペプチドを含む、対象における認知障害の治療又は予防における使用のためのキット。
  16. 対象において認知症を治療又は予防するための方法であって、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)及びミエリンプロテオリピドタンパク質(PLP)から選択されるミエリンの構成要素に由来するか、又はそれから誘導可能なペプチドを対象に投与することを含む、方法。
  17. 前記対象がアルツハイマー病を有する、請求項16に記載の方法。
  18. 前記対象がパーキンソン病を有する、請求項16に記載の方法。
  19. 前記ペプチドが、配列番号号1、2、3及び4から選択される、請求項16〜18のいずれか1項に記載の方法。
  20. 配列番号1、2、3及び4のペプチドが前記対象に投与される、請求項16〜19のいずれか1項に記載の方法。
  21. 前記ペプチドが、配列番号7、8、9及び10から選択される、請求項16〜18のいずれか1項に記載の方法。
  22. 配列番号7、8、9及び10のペプチドが前記対象に投与される、請求項16〜18及び21のいずれか1項に記載の方法。
  23. 前記ペプチドが、配列番号12、16、18、23、24、25、26、27、28、29、30及び31から選択される、請求項16〜18のいずれか1項に記載の方法。
  24. 対象における認知症の治療又は予防における使用のための、請求項19〜23のいずれか1項に定義されるペプチド。
  25. 対象において認知症を治療又は予防するための医薬の製造における、請求項19〜23のいずれか1項に定義されるペプチドの使用。
  26. 前記対象がアルツハイマー病を有する、請求項24に記載の使用のためのペプチド、又は請求項25に記載のペプチドの使用。
  27. 前記対象がパーキンソン病を有する、請求項24に記載の使用のためのペプチド、又は請求項25に記載のペプチドの使用。
  28. 請求項19〜23のいずれか1項に定義されるペプチドを含む、対象における認知症の治療又は予防における使用のためのキット。
  29. 対象において脱髄を治療又は予防するための方法であって、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)及びミエリンプロテオリピドタンパク質(PLP)から選択されるミエリンの構成要素に由来するか、又はそれから誘導可能なペプチドを対象に投与することを含む、方法。
  30. 前記対象が神経変性疾患を有する、請求項29に記載の方法。
  31. 前記対象が、多発性硬化症、アルツハイマー病、又はパーキンソン病を有する、請求項29に記載の方法。
  32. 前記ペプチドが、配列番号号1、2、3及び4から選択される、請求項29〜31のいずれか1項に記載の方法。
  33. 配列番号1、2、3及び4のペプチドが前記対象に投与される、請求項29〜32のいずれか1項に記載の方法。
  34. 前記ペプチドが、配列番号7、8、9及び10から選択される、請求項29〜31のいずれか1項に記載の方法。
  35. 配列番号7、8、9及び10のペプチドが前記対象に投与される、請求項29〜31及び34のいずれか1項に記載の方法。
  36. 前記ペプチドが、配列番号12、16、18、23、24、25、26、27、28、29、30及び31から選択される、請求項29〜31のいずれか1項に記載の方法。
  37. 対象における脱髄の治療又は予防における使用のための、請求項32〜36のいずれか1項に定義されるペプチド。
  38. 対象において脱髄を治療又は予防するための医薬の製造における、請求項32〜36のいずれか1項に定義されるペプチドの使用。
  39. 前記対象が神経変性疾患を有する、請求項37に記載の使用のためのペプチド、又は請求項38に記載のペプチドの使用。
  40. 前記対象が、多発性硬化症、アルツハイマー病、又はパーキンソン病を有する、請求項37に記載の使用のためのペプチド、又は請求項38に記載のペプチドの使用。
  41. 請求項32〜36のいずれか1項に定義されるペプチドを含む、対象における脱髄の治療又は予防における使用のためのキット。
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