JP2023018042A - 寛容原性ペプチドを用いた治療方法 - Google Patents

寛容原性ペプチドを用いた治療方法 Download PDF

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Abstract

【課題】免疫寛容の喪失をもたらす、内因性又は外因性タンパク質に対する異常、過敏性、又は病的免疫反応に関連する状態を治療又は予防するために使用され得る寛容原性ペプチドを用いた治療方法を提供する。特に、本発明は、寛容原性ペプチドについての投与計画に関する。【解決手段】対象において異常な免疫寛容に関連する状態(自己免疫疾患)を治療又は予防する方法であって、1日目:約15~約40μgの1回目の用量とし、126日±7日目:約600~1500μgの10回目の用量までの用量漸増プロトコルにより寛容原性ペプチドを患者に投与することを含む、方法である。【選択図】なし

Description

本発明は、寛容原性ペプチドを用いた治療方法に関する。特に、本発明は、寛容原性ペプチドについての投与計画に関する。当該治療方法は、免疫寛容の喪失をもたらす、内因性又は外因性タンパク質に対する異常、過敏性、又は病的免疫反応に関連する状態を治療又は予防するために使用され得る。
免疫系は、疾患を防ぐ生物内のシステムである。適切に機能するために、免疫系は、ウイルスから寄生虫まで多種多様な病原体を検出し、それらを生物自体の健康な組織と区別しなければならない。
しかし、免疫学的反応は外来抗原に対し引き起こされ得る一方、免疫反応が生物自体の「自己」組織から引き起こされるのは望ましくない。異常又は病的免疫反応を防止するために、「免疫寛容」又は「免疫学的寛容」という現象が発達している。
免疫寛容とは、免疫反応を引き起こす能力を有する物質又は組織に対し免疫系が反応しない状態をいう。「免疫寛容」との用語は、体が特定の因子に対する免疫反応を低下させる又は除去する生理学的機構の範囲を包含する。それは、自己と非自己の区別の基礎となり、アレルギー反応を抑制し、拒絶及び排除の代わりに慢性感染を許容し、母体の免疫系による胎児への攻撃を防止する現象を記述するために使用される。
自然又は「自己」寛容とは、体自体のタンパク質及び他の抗原を攻撃しないことである。免疫系が「自己」に反応すれば、自己免疫疾患が生じ得る。従って、免疫寛容は正常に機能しない可能性があり、異常な免疫寛容が生じ得る状況がある。例えば、全身性エリテマトーデス(SLE)等の自己免疫状態では、体は自己及び非自己の抗原を正確に区別しない、即ち、個体がそれ自身の自己抗原に対する免疫寛容を欠く点において不正確な又は異常な免疫寛容が存在する。
誘導性寛容(induced tolerance)とは、免疫系を意図的に操作することにより作り出した外部抗原に対する寛容である。例えば、食品(例えば落花生)、昆虫刺傷及び草花粉(枯草熱)等に対する不快な又は危険なアレルギー反応を防ぐことは重要である。
さらに、誘導性寛容は、移植臓器(例えば、腎臓、心臓、肝臓)が新たな受容者内において生き残ること;即ち、移植片拒絶を回避することを可能にするために重要である。
免疫学的寛容は、単に抗原を認識できないというものではない;それは、特定のエピトープに対する能動的な反応であり、免疫反応と同じくらい特異的なものである。
従って、免疫寛容が正確に機能しない場合、これは病理学的帰結を与え得る。
この点に関しては、可溶形態でのペプチドエピトープの投与により特定のペプチドエピトープに対する免疫学的寛容を誘導することが可能であることが示されている。通常の適応免疫反応では、Tリンパ球はタンパク質抗原の内部エピトープを認識する。抗原提示細胞(APC)はタンパク質抗原を取り込み、それらを短いペプチド断片に分解する。
ペプチドは、細胞内で主要組織適合性複合体(MHC)クラスI又はII分子に結合し、細胞表面に輸送され得る。ペプチドは、MHC分子と共に細胞表面に提示さると、(T細胞受容体(TCR)を介して)T細胞により認識され得、この場合、当該ペプチドはT細胞エピトープである。このようなペプチド形態のエピトープは、免疫学的寛容を誘導するために使用され得る。
実際、可溶性ペプチド抗原の投与は、実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE-多発性硬化症(MS)のモデル)(Metzler及びWraith (1993) Int. Immunol. 5:1159-1165; Liu及びWraith (1995) Int. Immunol. 7:1255-1263; Anderton及びWraith (1998) Eur. J. Immunol. 28:1251-1261);並びに関節炎、糖尿病及びぶどう膜網膜炎の実験モデル(上記のAnderton及びWraith (1998)に概説される)において疾患を阻止する有効な手段として実証されている。これはまた、EAEにおいて進行中の疾患を治療する手段としても実証されている(上記のAnderton及びWraith (1998))。
疾患を治療又は予防するための寛容原性ペプチドの使用は、大きな注目を集めてきた。この1つの理由は、ある寛容原性エピトープが同一組織内の異なる抗原に対するT細胞の反応を下方調節し得ることが示されたことにある。「バイスタンダー抑制」として知られるこの現象は、特定の寛容原性ペプチドを用いて、所与の抗原内の1個を超えるエピトープ(好ましくはすべてのエピトープ)、及び所与の疾患についての1個を超える抗原に対する寛容を誘導することが可能であるはずであることを意味する(上記のAnderton及びWraith (1998))。これは、特定の疾患内のすべての病原性抗原を特定することを不要にする。
ペプチドはまた、その比較的低いコストと、改変された免疫学的特性を有するペプチド類似体を製造し得るという事実のために、治療に対する好適な選択肢である。ペプチドは従って、MHC又はTCRとの相互作用を変えるために改変され得る。
本発明は、免疫寛容の喪失をもたらす、内因性又は外因性タンパク質に対する異常、過敏性、又は病的免疫反応に関連する疾患又は状態の治療又は予防において使用され得る寛容原性ペプチド又は寛容原性ペプチドの組み合わせについての特定の投与計画であって、本明細書に記載の特定の量で特定の回数投与される、投与計画に関する。
本発明者らは驚くべきことに、特定の緩徐な用量漸増プロトコルは、より短期間の/速い用量漸増プロトコルよりも優れた有効性を示すことを見出した。本願実施例に論じるように、最大用量を投与する前に4週間にわたって2回の投与を伴うより短期間の用量漸増プロトコル(全体で新たな病変数の54%の減少)よりも、最大用量を投与する前に8週間にわたって4回の投与を伴うより緩徐な用量漸増プロトコルが、優れた有効性をもたらした(全体で新たな病変数の78%の減少)。
さらに、本発明者らは驚くべきことに、最大用量の投与を延長することにより、最後の用量後、新たな病変の持続的抑制が改善される、即ち、最後の用量の投与後、有効性が延長されることを見出した。
本発明は、従って、延長された最大用量の投与と組み合わせたより長期間の用量漸増プロトコルの組み合わせを含む。
本発明は、そのため、対象において異常又は病的免疫寛容に関連する状態を治療又は予防する方法であって、以下の用量で寛容原性ペプチドを対象に投与することを含む、方法を提供する:
1日目:約15~約40μgの1回目の用量;
14日±7日目:約35~65μgの2回目の用量;
28日±7日目:約80~120μgの3回目の用量;
42日±7日目:約300~500μgの4回目の用量;
56日±7日目:約300~1800μgの5回目の用量;
70日±7日目:約300~1800μgの6回目の用量;
84日±7日目:約300~1800μgの7回目の用量;
98日±7日目:約300~1800μgの8回目の用量;
112日±7日目:約300~1800μgの9回目の用量;及び
126日±7日目:約300~1800μgの10回目の用量。
本明細書に記載の発明の一態様では、5~10回目の用量は約600~1500μgであり得る。
「±7日」との記載は、明記された日(即ち、1日目と見なされる1回目のペプチドの投与後の明記された日)に関することが意図されており、明記された日の7日前を含む7日前まで、又は7日後を含む7日後までに投与が行われ得る。従って、投与は、明記された日の7、6、5、4、3、2若しくは1日前、又は1、2、3、4、5、6若しくは7日後に行われ得る。
本明細書に記載の発明の一態様では、「±7日」との記載は、好ましくは「±3日」である。即ち、明記された日の3日前を含む3日前まで、又は3日後を含む3日後までに投与が行われ得る。従って、投与は、明記された日の3、2若しくは1日前、又は1、2若しくは3日後に行われ得る。
本発明の好ましい実施形態では、対象において異常又は病的免疫寛容に関連する状態を治療又は予防する方法は、以下の用量で寛容原性ペプチドを患者に投与することを含む:1日目:約25μgの1回目の用量;
14日目:約50μgの2回目の用量;
28日目:約100μgの3回目の用量;
42日目:約400μgの4回目の用量;
56日目:約800μgの5回目の用量;
70日目:約800μgの6回目の用量;
84日目:約800μgの7回目の用量;
98日目:約800μgの8回目の用量;
112日目:約800μgの9回目の用量;及び
126日目:約800μgの10回目の用量。
一態様では、5~10回目の用量は、代わりに約400μgであり得る。
代替的な態様では、5~10回目の用量は、代わりに約1600μgであり得る。
従って、本発明の一実施形態では、対象において異常又は病的免疫寛容に関連する状態を治療又は予防する方法は、以下の用量で寛容原性ペプチドを患者に投与することを含む:
1日目:約25μgの1回目の用量;
14日目:約50μgの2回目の用量;
28日目:約100μgの3回目の用量;
42日目:約400μgの4回目の用量;
56日目:約400μgの5回目の用量;
70日目:約400μgの6回目の用量;
84日目:約400μgの7回目の用量;
98日目:約400μgの8回目の用量;
112日目:約400μgの9回目の用量;及び
126日目:約400μgの10回目の用量。
本発明の更なる実施形態では、対象において異常又は病的免疫寛容に関連する状態を治療又は予防する方法は、以下の用量で寛容原性ペプチドを患者に投与することを含む:
1日目:約25μgの1回目の用量;
14日目:約50μgの2回目の用量;
28日目:約100μgの3回目の用量;
42日目:約400μgの4回目の用量;
56日目:約1600μgの5回目の用量;
70日目:約1600μgの6回目の用量;
84日目:約1600μgの7回目の用量;
98日目:約1600μgの8回目の用量;
112日目:約1600μgの9回目の用量;及び
126日目:約1600μgの10回目の用量。
本発明の「方法」に関する本願明細書における教示はいずれも、本発明により包含される上述の「使用」に同様に適用できる。
本明細書に記載の発明の更なる態様では、約300~1800μg、好ましくは約600~1500μg、好ましくは約1200μg、より好ましくは約400、800又は1600μgの11回目の用量が、140日±7日目、好ましくは140日±3日目、より好ましくは140日目に投与される。好ましい態様では、用量は約800μgである。
さらにより好ましい態様では、約300~1800μg、好ましくは約600~1500μg、好ましくは約1200μg、より好ましくは約400、800又は1600μgの12回目の用量が、154日±7日目、好ましくは154日±3日目、より好ましくは154日目に投与される。好ましい態様では、用量は約800μgである。
さらに好ましい態様では、約300~1800μg、好ましくは約600~1500μg、好ましくは約1200μg、より好ましくは約400、800又は1600μgの13回目の用量が、168日±7日目、好ましくは168日±3日目、より好ましくは168日目に投与される。好ましい態様では、用量は約800μgである。
さらに好ましい態様では、約300~1800μg、好ましくは約600~1500μg、好ましくは約1200μg、より好ましくは約400、800又は1600μgの14回目の用量が、182日±7日目、好ましくは182日±3日目、より好ましくは182日目に投与される。好ましい態様では、用量は約800μgである。
上述のような追加の用量は、例えば1ヶ月~20年の期間、例えば1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年、11年、12年、13年、14年、15年、16年、17年、18年、19年又は20年の期間、必要に応じて投与され得る。
或いは、本発明は、対象における異常又は病的免疫寛容に関連する状態の治療又は予防における使用のための寛容原性ペプチドであって、以下の用量での投与のためのものである、寛容原性ペプチドを提供する:
1日目:約15~約40μgの1回目の用量;
14日±7日目:約35~65μgの2回目の用量;
28日±7日目:約80~120μgの3回目の用量;
42日±7日目:約300~500μgの4回目の用量;
56日±7日目:約600~1500μgの5回目の用量;
70日±7日目:約600~1500μgの6回目の用量;
84日±7日目:約600~1500μgの7回目の用量;
98日±7日目:約600~1500μgの8回目の用量;
112日±7日目:約600~1500μgの9回目の用量;及び
126日±7日目:約600~1500μgの10回目の用量。
本明細書に記載の発明の一態様では、5~10回目の用量は約600~1500μgであり得る。
本発明はまた、異常又は病的免疫寛容に関連する状態の治療又は予防における使用のための医薬の製造における寛容原性ペプチドの使用であって、前記医薬は、以下の用量での投与のためのものである、使用に関する:
1日目:約15~約40μgの1回目の用量;
14日±7日目:約35~65μgの2回目の用量;
28日±7日目:約80~120μgの3回目の用量;
42日±7日目:約300~500μgの4回目の用量;
56日±7日目:約300~1800μgの5回目の用量;
70日±7日目:約300~1800μgの6回目の用量;
84日±7日目:約300~1800μgの7回目の用量;
98日±7日目:約300~1800μgの8回目の用量;
112日±7日目:約300~1800μgの9回目の用量;及び
126日±7日目:約300~1800μgの10回目の用量。
本明細書に記載の発明の一態様では、5~10回目の用量は約600~1500μgであり得る。
本発明の「方法」に関する本願明細書における教示はいずれも、本発明により包含される上述の「使用」に同様に適用できる。
図1は、MRIにより測定した新たなGd病変の数が、第IB相臨床試験(n=21)においてATX-MS-1467治療により有意に低下することを示す。ATX-MS-1467についての投与プロトコルもまた示される(μg)。 図2は、第IIA相臨床試験(n= 17)における、MRIにより測定した新たなGd増強病変に対するATX-MS-1467の効果を示す。ATX-MS-1467についての投与プロトコルもまた示される(μg)。平均及びSEMは逆変換した。SEMは統計モデルから算出された。分析は、受診を固定要素とし、患者を対象として、一般化線形混合モデルにより行った。P値は、このモデルをフィッティングした後の未調整のワルド検定である。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001。
第一の態様では、本発明は、以下の用量で寛容原性ペプチドを患者に投与することを含む、対象において異常又は病的免疫寛容に関連する状態を治療又は予防する方法に関する:
1日目:約15~約40μgの1回目の用量;
14日±7日目:約35~65μgの2回目の用量;
28日±7日目:約80~120μgの3回目の用量;
42日±7日目:約300~500μgの4回目の用量;
56日±7日目:約300~1800μgの5回目の用量;
70日±7日目:約300~1800μgの6回目の用量;
84日±7日目:約300~1800μgの7回目の用量;
98日±7日目:約300~1800μgの8回目の用量;
112日±7日目:約300~1800μgの9回目の用量;及び
126日±7日目:約300~1800μgの10回目の用量。
本明細書に記載の発明の一態様では、5~10回目の用量は約600~1500μgであり得る。
上記及び本明細書において論じるように、本発明による投与計画は、用量漸増プロトコルの有効性を最大化する。本発明による投与計画は、より短期間の用量漸増が用いられる投与計画と比べ、有効性を改善し有効性を延長する。
本願実施例が示すところによれば、最後の用量の後、本発明による投与計画は、臨床効果の観察される減少、例えばGd病変形成(Gd lesion formation)、の時間又は期間を延長する。本明細書に記載の発明の一態様では、投与計画は、臨床効果の減少の時間又は期間を延長するためのものである。一態様では、Gd病変の形成の減少が延長され得る。
寛容原性ペプチド及び寛容
本明細書で用いられる場合、「寛容原性」との用語は、特定の抗原に対する寛容を誘導することができることを意味する。
寛容とは、抗原に対して反応できないことである。自己抗原に対する寛容は免疫系の本質的な特徴であり、これが失われると、自己免疫疾患が生じ得る。適応免疫系は、それ自体の組織内に含有される自己抗原の自己免疫攻撃を回避しつつ、きわめて多種多様な感染因子に反応する能力を維持しなければならない。これは大部分が、胸腺におけるアポトーシス細胞死に対する未熟Tリンパ球の感受性により制御されている(中枢性寛容)。しかし、すべての自己抗原が胸腺において検出されるわけではなく、したがって自己反応性胸腺細胞の死は不完全なままであり、それにより、例えば自己免疫障害がもたらされ得る。
末梢組織において寛容が成熟自己反応性Tリンパ球により獲得され得る機序(末梢性寛容)も存在する。中枢性及び末梢性寛容の機序の概説はAndertonら(1999) (Immunological Reviews 169:123-137)に記載されている。
寛容は、少なくとも一部のCD4+ T細胞におけるアネルギーの誘導に起因し、又はそれにより特徴づけられ得る。T細胞を活性化するために、ペプチドは、T細胞に対し2つのシグナルを伝達することができる「プロフェッショナル」APCと結合しなければならない。第1のシグナル(シグナル1)は、APCの細胞表面上のMHC-ペプチド複合体により伝達され、TCRを介してT細胞により受け取られる。第2のシグナル(シグナル2)は、CD80及びCD86等のAPCの表面上の共刺激分子により伝達され、T細胞の表面上のCD28により受け取られる。T細胞はシグナル2がない状態でシグナル1を受け取ると、活性化されず、実際アネルギーになるという仮説が立てられる。アネルギーT細胞はその後の抗原チャレンジに対し不応であり、他の免疫反応を抑制することが可能であり得る。アネルギーT細胞は、T細胞寛容の媒介に関与すると考えられる。
アピトープ(apitope)は寛容原性ペプチドである
本発明の一態様では、寛容原性ペプチドはアピトープである。
上で論じたように、Tリンパ球はタンパク質抗原の内部エピトープを認識することができる。抗原提示細胞(APC)はタンパク質抗原を取り込み、それらを短いペプチド断片に分解する。ペプチドは細胞内で主要組織適合性複合体(MHC)分子に結合し、細胞表面に輸送され得る。ペプチドは、MHC分子と共に細胞表面に提示されると、(T細胞受容体(TCR)を介して)T細胞により認識され得、この場合、当該ペプチドはT細胞エピトープである。
本発明者らが以前に示したところによれば、ペプチドエピトープは、抗原プロセシングされることなく未熟APCにより提示されるのに適切な大きさである場合、免疫学的寛容を誘導し得る(国際公開第02/16410号-本明細書において参照により組み込まれる)。
更なるプロセシングを必要としないエピトープは、寛容を誘導することができ、発明者らにより「アピトープ」(抗原プロセシング非依存的エピトープ(Antigen Processing Independent epiTOPES))と命名された。
抗原プロセシング非依存的提示系(ANTIGEN PROCESSING INDEPENDENT PRESENTATION SYSTEMS (APIPS))
寛容原性ペプチド又はアピトープは、従って、抗原プロセシングされることなくin vitroでMHC分子に結合し、T細胞に提示されることができる。
「プロセシングフリー」の系を用い、あるペプチドが抗原プロセシングされることなくMHC分子に結合することができるか否か試験することができる。このような系は、T細胞に対しMHC分子を介して抗原を提示することができるが、抗原をプロセシングすることはできないはずである。従って、抗原プロセシング非依存的提示系(APIPS)を用い、ペプチドが、抗原プロセシングされることなくin vitroでMHC分子に結合しT細胞に提示されることができるか否か試験され得る。
APIPSの例には、
a) (CD28に対する抗体を用いる、又はそれを用いない)固定されたAPC
b) (CD28に対する抗体を用いる、又はそれを用いない)クラスI又はII MHC分子を含有する脂質膜、及び
c) (CD28に対する抗体を用いる、又はそれを用いない)プレート結合形態の精製された天然MHC又は組み換えMHC
が含まれる。
例えば、ポリペプチド内の最小エピトープを調べるための試験において、短縮されたペプチドに対する反応を測定することにより、T細胞反応を調べるために固定されたAPCを用いることは既知である(Fairchild等(1996) Int. Immunol. 8:1035-1043)。APCは、例えばホルムアルデヒド(通常はパラホルムアルデヒド)又はグルタルアルデヒドを用いて固定され得る。
(平面膜又はリポソームであり得る)脂質膜は、人工脂質を用いて調製され得る、又はAPC由来の原形質膜/ミクロソーム分画であり得る。
使用の際、APIPSは組織培養プレートのウェルに加えられ得る。その後ペプチド抗原が添加され、APIPSのMHC部分に対するペプチドの結合が、選択されたT細胞株又はクローンの添加により検出される。T細胞株又はクローンの活性化は、当該技術分野において既知の任意の方法、例えば3H-チミジン取り込み又はサイトカイン分泌を介して測定され得る。
あるペプチドがAPIPSによりT細胞に提示され得るならば、それは抗原プロセシングされることなくMHC分子に結合でき、アピトープである。
理論に縛られることは望まないが、MHC分子と共に提示され得る前にプロセシングを要するペプチドは、成熟抗原提示細胞により処理されなければならないため、寛容を誘導しないという仮説が立てられる。成熟抗原提示細胞(マクロファージ、B細胞及び樹状細胞等)は、抗原プロセシングを行うことができるが、T細胞にシグナル1及び2の両方を伝達することもでき、T細胞の活性化をもたらす。一方、アピトープは、未熟APC上のクラスII MHCに結合することができるだろう。従って、それは共刺激なしでT細胞に提示され、T細胞アネルギー及び寛容をもたらすであろう。
当然、アピトープは成熟APCの細胞表面でMHC分子に結合することもできる。しかしながら、免疫系は成熟APCより大量の未熟APCを含有する(樹状細胞の10%未満が活性化されていることが示唆されている、Summers等 (2001) Am. J. Pathol. 159: 285-295)。従って、アピトープに対するデフォルトの見解は、活性化ではなくアネルギー/寛容であるだろう。
ペプチドの吸入、又は皮内若しくは皮下投与により寛容が誘導されると、抗原特異的CD4+ T細胞の増殖能が低下することが示されている。また、これらの細胞によるIL-2、IFN-γ及びIL-4産生の産生量は下方調節されるが、IL-10の産生量は増大する。ペプチド誘導性寛容の状態にあるマウスにおいてIL-10を中和すると、疾患に対する感受性が完全に回復することが示されている。制御性細胞集団は、IL-10を産生し免疫調節を媒介する寛容状態で持続することが提唱されている(Burkhart等 (1999) Int. Immunol. 11:1625-1634)。
従って、寛容の誘導は以下を含む様々な方法によりモニターされ得る:
(a) そのペプチドがin vivo で標的エピトープである疾患に罹患する感受性の低下;
(b) CD4+ T細胞におけるアネルギーの誘導(それは、それに続くインビトロにおける抗原投与により検出され得る);
(c) 以下を含む、CD4+ T細胞集団の変化
(i) 増殖の低下;
(ii) IL-2、IFN-γ及びIL-4の産生量の下方調節;及び
(iii) IL-10の産生量の増大。
T細胞エピトープを含むペプチドの特定
所与の抗原内のT細胞エピトープを特定するための、当該技術分野において既知の多数の方法がある。
天然にプロセシングされたエピトープは、抗原を載せたAPCから溶出させたペプチドの質量分光光度分析により特定され得る。これらは抗原を取り込むよう促された、又は適切な遺伝子での形質転換により細胞内でタンパク質を生産することを強いられたAPCである。典型的には、APCは、溶液中の、又は適切にはAPC細胞表面を標的とするタンパク質と共にインキュベートされる。37℃でインキュベーション後、界面活性剤中で細胞は溶解され、クラスIIタンパク質が、例えばアフィニティークロマトグラフィーにより精製される。
適切な化学培地(例えば、酸性条件)で精製MHCを処理することにより、MHCからペプチドが溶出する。このペプチドのプールは分離され、特性が、同様に処理された対照APC由来のペプチドと比較される。(例えば質量分析により)前記タンパク質を発現する/与えられる細胞に特有のピークが分析され、ペプチド断片が特定される。この手順は通常、抗原プロセシングにより特定の抗原から生成されるペプチドの範囲についての情報(通常「入れ子集合(nested sets)」において見出される)を生成する.
エピトープを特定するための他の方法は、in vitroアッセイにおいて、重複し、かつ抗原全長にわたるペプチドの合成ライブラリーをスクリーニングすることである。例えば、15アミノ酸長であり、5又は10アミノ酸が重複するペプチドが使用され得る。当該ペプチドは、抗原提示細胞及びT細胞を含む抗原提示系において試験される。例えば、抗原提示系は、マウス脾細胞の調製物、扁桃腺又はPBMC由来のヒト細胞の標本であり得る。或いは、抗原提示系は、特定のT細胞株/クローン及び/又は特定の抗原提示細胞種を含み得る。
T細胞活性化は、(例えばH-チミジン取り込みを用いる)T細胞増殖又はサイトカイン産生により測定され得る。TH型CD4+ T細胞の活性化は、例えば、ELISPOTアッセイ等の標準的な方法により検出され得るIFNγ産生により検出され得る。
重複ペプチド試験は通常、エピトープが位置する抗原の領域を示す。そして、特定のT細胞についての最小エピトープは、短縮されたペプチドに対する反応を測定することにより評価され得る。例えば、重複ライブラリー中の1~15残基を含むペプチドに対する反応が得られている場合、両端が短縮されたセット(即ち、1-14、1-13、1-12等、及び2-15、3-15、4-15等)が最小エピトープを特定するために使用され得る。
ペプチド
「ペプチド」との用語は通常の意味で使用され、典型的には隣接するアミノ酸のα-アミノ基とカルボキシル基の間のペプチド結合により互いに連結された典型的にはL-アミノ酸の一連の残基を意味する。この用語には改変ペプチド及び合成ペプチド類似体が含まれる。
本発明による使用のためのペプチドは、さらにプロセシングされることなくMHC分子に結合することができる任意の長さであり得る。
MHCクラスI分子に結合するペプチドは典型的には7~13、より一般的には、8~10アミノ酸長である。ペプチドの結合は、ペプチドの主鎖の原子とすべてのMHCクラスI分子のペプチド結合溝の不変部位の間の接触によりその2つの末端で安定化される。ペプチドのアミノ及びカルボキシ末端に結合する溝の両末端には不変部位がある。ペプチド長のバリエーションは、多くの場合、必要とされる柔軟性を与えるプロリン又はグリシン残基での、ペプチド骨格のねじれにより調整される。
MHCクラスII分子に結合するペプチドは典型的には、8~20アミノ酸長、より一般的には10~17アミノ酸長であり、それよりもはるかに長いこともあり得る。これらのペプチドは、(MHCクラスIペプチド結合溝とは異なって)両末端で開いているMHC IIペプチド結合溝に沿って延びた立体構造で存在する。ペプチドは、主に、ペプチド結合溝に沿って並ぶ保存された残基との主鎖原子の接触により、定位置に保たれる。一態様では、ペプチドは、9~30アミノ酸長であり得る。
本発明に従って使用するためのペプチドは、化学的方法を使用して作製され得る(Peptide Chemistry, A practical Textbook. Mikos Bodansky, Springer- Verlag, Berlin)。例えば、ペプチドは固相法(Roberge JY等 (1995) Science 269: 202-204)により合成され、樹脂から切断され、分取高速液体クロマトグラフィーにより精製され得る(例えば、Creighton (1983) Proteins Structures And Molecular Principles, WH Freeman and Co, New York NY)。自動合成は、例えば、ABI 43 1Aペプチド合成装置(Perkin Elmer)を製造業者が提供する説明書に従って使用して達成され得る。
或いは、ペプチドは、組換え手段により、又はより長いポリペプチドからの切断により作製され得る。例えば、ペプチドは、標的抗原からの切断により取得され得る。ペプチドの組成は、アミノ酸分析又はシーケンシング(例えば、エドマン分解法)により確認され得る。
好ましい実施形態では、ペプチドは、標的抗原から誘導できる。標的抗原は、疾患の経過中にAPCによりプロセシングされT細胞により認識される分子(例えば、タンパク質又は糖タンパク質)である。標的抗原は、当然、対象疾患によるだろう。好ましくは、ペプチドは、APCによる抗原の天然プロセシングにより生じる抗原の断片から誘導できる。
本発明に従って使用するための適切なペプチドの例は、当該分野において既知である。例えば、国際公開第2009/071886号、国際公開第2014/072958号及び国際公開第2010/133834号(参照によりすべて本明細書に組み込まれる)は、血友病の治療において有用性を有する、第VIII因子タンパク質から得られる寛容原性ペプチドに関する。これらのペプチドは、本発明に従って使用され得る。
一態様では、対象は多発性硬化症又は視神経炎を有していてもよく、従って、寛容原性ペプチドは、ミエリン塩基性タンパク質から誘導可能であり得る。ミエリン塩基性タンパク質(MBP)は、ヒト脳の白質から単離可能な18.5kDaのタンパク質である。その成熟タンパク質は170アミノ酸を有し、その配列は文献で広く入手可能である(例えば、以下を参照: Chou 等 (1986) J. Neurochem. 46:47-53, 図1; Kamholz 等 (1986), PNAS 83:4962-4966, 図2; 米国特許第5,817,629号, 配列番号1; Roth 等 (1987), J. Neurosci. Res. 17:321-328, 図4; Medeveczky 等 (2006), FEBS Letters 580:545-552, 図3B)。
特に、寛容原性ペプチドは、以下から選択され得る:
MBP 30-44: H-Pro-Arg-His-Arg-Asp-Thr-Gly-Ile-Leu-Asp-Ser-Ile-Gly-Arg-Phe-NH2 (配列番号1)
MBP 83-99: H-Glu-Asn-Pro-Val-Val-His-Phe-Phe-Lys-Asn-Ile-Val-Thr-Pro-Arg-Thr-Pro-NH2 (配列番号2)
MBP 131-145: H-Ala-Ser-Asp-Tyr-Lys-Ser-Ala-His-Lys-Gly-Phe-Lys-Gly-Val-Asp-NH2 (配列番号3); 及び
MBP 140-154: H-Gly-Phe-Lys-Gly-Val-Asp-Ala-Gln-Gly-Thr-Leu-Ser-Lys-Ile-Phe-NH2 (配列番号4)。
これらのペプチドはまた、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2009/056833号に記載される。
MBP 30-44はATX-MS-01とも称され、MBP83-99はATX-MS-04とも称され、MBP 131-145はATX-MS-06とも称され、MBP 140-154はATX-MS-07とも称される。
本明細書に記載の発明の1つの好ましい態様では、MBP 30-44、83-99、131-145及び140-154の4種すべてが、本明細書に記載の発明の投与計画に従って対象に投与される。いくつかの場合、4種すべてのペプチドの組み合わせは、本明細書において「ATX-MS-1467」と称される。
一態様では、4種のペプチドを含む組成物が、本発明に従って対象に投与される。
一態様では、対象はグレーブス病を有していてもよく、従って、寛容原性ペプチドは、甲状腺刺激ホルモン受容体(TSHR)に由来し得る。
TSHRは、そのリガンドである甲状腺刺激ホルモン(TSH)が結合するとcAMPシグナルカスケードを介してチロキシン(T4)及びトリヨードチロニン(T3)の産生を刺激する、甲状腺内の甲状腺濾胞細胞上のGタンパク質共役受容体である。APCによりTSHRが内在化され、分解され、提示されると、T細胞が活性化され、自己反応性B細胞と相互作用し、その結果、B細胞がTSHRに対する刺激性アゴニスト自己抗体を産生する。甲状腺刺激性免疫グロブリンは、TSHと同じ受容体ポケットに結合し、TSHR媒介シグナル伝達を活性化し、甲状腺からの過剰な甲状腺ホルモンの産生及び甲状腺増殖をもたらす。
従って、一態様では、寛容原性ペプチドは以下から選択され得る:
KKKKYVSIDVTLQQLESHKKK (配列番号5)
GLKMFPDLTKVYSTD (配列番号6)。
KKKKYVSIDVTLQQLESHKKK (配列番号5)は、本明細書においてRNB-5D-K1とも称される。
GLKMFPDLTKVYSTD (配列番号6)は、本明細書においてRNB-9Bとも称される。
一態様では、配列番号5及び配列番号6の両方のペプチドを含む組成物が、本発明に従って対象に投与される。
前記組成物において、ペプチドの相対比(MBP 30-44:MBP 83-99:MBP 131-145:MBP 140-154又はRNB-5D-K1: RNB-9B)は、それぞれ約1:1:1:1又は1:1(重量比又はモル比)であり得る。或いは、各ペプチドの相対比は、例えば、寛容原性反応を特定のサブセットの自己反応性T細胞にしぼるために、又は特定のHLA型において1つのペプチドが他のペプチドよりも効果があることが見出された場合、変更され得る。
「MBP 30-44」、「MBP 83-99」、「MBP 131-145」、「MBP 140-154」、RNB-5D-K1及びRNB-9Bとの用語は、改変ペプチドを包含する。例えば、未改変ペプチドのMHC結合特異性が、T細胞に提示される能力と共に保持される限り、ペプチドはアミノ酸挿入、欠失又は置換により変異され得る。ペプチドは、例えば、未改変の配列から5、4、3、2、1又は0個の変異を有し得る。
或いは(又はさらに)、改変は、ペプチドのアミノ酸配列を変更することなく行われ得る。例えば、Dアミノ酸又は他の非天然のアミノ酸が含まれてもよく、通常のアミド結合はエステル又はアルキル骨格結合により置換されてもよく、N-又はC-アルキル置換基、側鎖修飾、並びにジスルフィド架橋及び側鎖のアミド若しくはエステル結合等の拘束(constraint)が含まれ得る。このような変更により、ペプチドのin vivoでの安定性が高くなり、生物学的寿命(biological lifetime)が長くなり得る。
エピトープの改変は、http://www-bimas.dcrt.nih.gov/cgi-bin/molbio/ken_parker_comboformで得ることができる、K.Parker(NIH)により考案されたプログラム「Peptide Binding Predictions」(Parker, K. C 等 1994.J.Immunol. 152:163も参照)を用いて導き出された、より効率的なT細胞誘導についての予測に基づき、行われ得る。
本発明による使用のためのペプチドは、配列番号1~6のいずれかのペプチドと少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み得る、又はそれからなり得る。一態様では、ペプチドは配列番号1~6のいずれかと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%又は100%の配列同一性を有する。
配列同一性は任意の都合の良い方法により評価され得る。しかし、配列間の配列同一性の程度を決定するためには、配列の多重アライメントを行うコンピュータプログラム、例えば、Clustal W(Thompson等, (1994) Nucleic Acids Res., 22: 4673-4680)が有用である。ALIGN(Myers等, (1988) CABIOS, 4: 1-17)、FASTA(Pearson等, (1988) PNAS, 85:2444-2448; Pearson (1990), Methods Enzymol., 183: 63-98)及びギャップ付BLAST(Altschul等, (1997) Nucleic Acids Res., 25: 3389-3402)のような配列の対を比較し整列させるプログラムもこの目的には有用である。さらに、欧州バイオインフォマティクス研究所のダリサーバーは、タンパク質配列の構造ベースのアライメントを提供する(Holm (1993) J. Mol. Biol., 233: 123-38; Holm (1995) Trends Biochem. Sci., 20: 478-480; Holm (1998) Nucleic Acid Res., 26: 316-9)。
複数の配列アライメント及びパーセント同一性の計算は、標準BLASTパラメータを使用して(入手可能なすべての生物由来の配列、Blosum 62行列、ギャップコスト: 存在(existence) 11、伸長(extension) 1を使用して)決定され得る。
或いは、以下のプログラム及びパラメータが使用され得る:プログラム:Align Plus 4、version 4.10(Sci Ed Central Clone Manager Professional Suite);DNA比較:グローバル比較、標準線形スコア行列(Standard Linear Scoring matrix)、ミスマッチペナルティ= 2、ギャップ開始ペナルティ(Open gap penalty)= 4、ギャップ伸長ペナルティ(Extend gap penalty)= 1;アミノ酸比較:グローバル比較、BLOSUM 62スコア行列。
したがって、バリアントが親の機能的活性を保持している、すなわち、バリアントが機能的に等価である、言い換えると、バリアントが本明細書において定義される親ペプチドの活性を有する又は示す限りにおいて、述べられた又は所与の配列のバリアントは本発明の範囲に含まれる。そのようなバリアントは、例えば1つ以上、例えば1~14アミノ酸の、親配列のアミノ酸置換、付加又は欠失(一方又は両方の末端での短縮化を含む)を含み得る。
1つ以上のアミノ酸が化学的に誘導体化されている、例えば、化学基で置換されている機能的に等価な誘導体も含まれる。
従って、本発明のペプチドは、ペプチドが必要な活性を保持していることを条件に、配列番号1~6の一部又は断片を含み得る。配列番号1~6の断片又は一部は、例えば、6~14残基長、例えば、6、7、8、9、10、11、12又は13残基長であり得る。
本発明のペプチドは8~30アミノ酸、例えば、8~25アミノ酸、8~20アミノ酸、8~15アミノ酸又は8~12アミノ酸を含み得る。一態様では、本発明のペプチドは、従って、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30アミノ酸長であり得る。
ペプチドは中性又は塩形態として組成物に製剤化され得る。薬学的に許容可能な塩には、酸付加塩(ペプチドの遊離アミノ基と形成される)が含まれ、酸付加塩は、例えば、塩酸若しくはリン酸等の無機酸、又は酢酸、シュウ酸、酒石酸及びマレイン酸等の有機酸と形成される。遊離のカルボキシル基と形成される塩はまた、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、又は水酸化第二鉄等の無機塩基、並びにイソプロピルアミン、トリメチルアミン、2-エチルアミノエタノール、ヒスチジン及びプロカイン等の有機塩基に由来し得る。
国際公開第2015/019302号(参照により本明細書に組み込まれる)は、グレーブス病の治療において有用性がある、ヒト甲状腺刺激ホルモン受容体(TSHR)から誘導可能な寛容原性ペプチドに関する。国際公開第2015/019302号に記載のペプチドは、本発明による使用に適している。国際公開第2016/103213号に記載のペプチドもまた、本発明による使用に適している。
標的疾患
本明細書に記載のペプチドは、異常又は病的免疫寛容に関連する状態を治療又は予防するために、本発明に従って使用される。上に論じたように、免疫寛容とは、免疫反応を引き起こす能力を有する物質又は組織に対し免疫系が反応しない状態である。
MHCクラスIについてのアピトープは、例えば寛容を生じるような方法で抗ウイルスCD8+ 反応を調整するために使用され得る。
MHCクラスIIについてのアピトープは、CD4+ T細胞反応により媒介される疾患において特に有用である可能性が高い。例えば、不適切な又は過剰なCD4+ T細胞反応により確立又は維持される疾患。
このようなペプチドは、過敏性障害の治療において特に有用である可能性が高い。過敏性反応には、以下が含まれる:
(i) 無害の外来物質に対する不適切な反応に起因する、アレルギー;
(ii) 自己反応性T細胞による自己組織抗原に対する反応に起因する、自己免疫疾患;及び(iii) 移植に対する反応に起因する、移植片拒絶。
アレルギーの例には、限定されないが、以下が含まれる:枯草熱、外因性ぜんそく、昆虫咬傷及び刺傷アレルギー、食物及び薬剤アレルギー、アレルギー性鼻炎、気管支ぜんそく、慢性気管支炎、アナフィラキシー症候群、蕁麻疹、血管性浮腫、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、結節性紅斑、多形性紅斑、スティーヴンズ・ジョンソン症候群、鼻結膜炎、結膜炎、皮膚壊死性細静脈炎(cutaneous necrotizing venulitis)、炎症性肺疾患、並びに水疱性皮膚疾患。
自己免疫疾患の例には、限定されないが、以下が含まれる:リウマチ性関節炎(RA)、重症筋無力症(MG)、多発性硬化症(MS)、全身性エリテマトーデス(SLE)、自己免疫性甲状腺炎(橋本甲状腺炎)、グレーブス病、ぶどう膜炎(中間部ぶどう膜炎を含む)、炎症性腸疾患、自己免疫性ぶどう膜網膜炎、多発性筋炎及び特定の型の糖尿病、全身性血管炎、多発性筋炎-皮膚筋炎、全身性硬化症(強皮症)、シェーグレン症候群、強直性脊椎炎及び関連の脊椎関節症、リウマチ熱、過敏性肺炎、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、無機塵肺症(inorganic dust pneumoconioses)、サルコイドーシス、自己免疫性溶血性貧血、免疫学的血小板障害、クリオフィブリノゲン血症等の寒冷症、並びに自己免疫性多腺性内分泌障害。
本発明の好ましい実施形態では、対象は多発性硬化症及び/又は視神経炎を有する。好ましい態様では、対象は、好ましくは多発性硬化症を有する。
本発明の別の好ましい実施形態では、対象はグレーブス病を有する。
腎臓、肝臓、心肺、皮膚、角膜及び骨髄を含む、様々な組織が臨床医学において一般に移植される。現在、角膜及び一部の骨髄の移植片を除きすべての移植片は、通常長期間の免疫抑制を要する。
多発性硬化症
多発性硬化症(MS)は、CNS白質中に散在する多数の脱髄病変により特徴づけられる慢性炎症性疾患であり、様々な部位に様々な回数生じる(McFarlin及びMcFarland, 1982 New England J. Medicine 307:1183-1188及び1246-1251)。
ミエリンの段階的な破壊は、脳及び/又は脊髄全体にわたって断片的に生じ、神経接続性を妨げ、筋肉衰弱、協調及び言語能力の喪失(loss of coordination and speech)及び視覚障害をもたらす。
本明細書における多発性硬化症又はMSとの記載は、再発寛解型、一次進行型、二次進行型及び進行再発型を含む4つの型の多発性硬化症を包含するよう意図されている。
再発寛解型MSは、最も一般的な形態であり、初めて当該疾患と診断された者の約85%に発症し、MSを持って生きている人の約60%に発症する。大抵の新たな多発性硬化症の診断は再発寛解型に分類されるが、個体は時がたつにつれ別の形態の疾患を発症し得る。
再発寛解型多発性硬化症では、患者は、再発と称される活動的な症状(active symptoms)の期間を経験後、寛解と称される無症状の期間を経験する。再発寛解型多発性硬化症を有する人の中には、再発と再発の間が1年以上である者もいれば、より頻繁に再発を生じる者もいる。
二次進行型MSに関しては、再発寛解型の患者は大抵、再発寛解型多発性硬化症の最初の診断の約10~15年後に二次進行型多発性硬化症を発症する。ひとたび二次進行型多発性硬化症と診断されると、人々は疾患のパターンの変化に気づくだろう。一部の急性発作(増悪)及び寛解の期間は依然として発生し得るが、それらはより低頻度で起こるようになり、回復はより完全でなくなり、症状は慢性的になり時がたつにつれ徐々に悪化する。
約10%のMS患者が、一次進行型多発性硬化症と診断されている。この多発性硬化症のより重症な形態では、再発寛解型MSを有する人において見られる増悪又は発作は、たとえ発生したとしても、稀である。その代わりにMSの症状は時がたつにつれて悪化し、徐々に身体障害をもたらす。
進行再発型MSは、多発性硬化症の最も一般的でない型である。一次進行型MSのように、この形態の多発性硬化症は、時がたつにつれ症状が徐々に悪化することにより特徴づけられるが、この型のMSを有する患者はまた増悪及び寛解も経験するだろう。しかし、再発寛解型MSとは異なり、進行再発型多発性硬化症を有する人は、典型的には、症状再発後に完全な機能性を取り戻すことはない。進行再発型MSでは、疾患の進行及び発作後の不完全な回復の組み合わせにより身体障害がもたらされる。
本明細書に記載の発明の一態様では、対象は再発型MSを有する。「再発型MS」との記載は、再発寛解型MSを有する患者、並びに再発寛解型MSから二次進行型MSに移行している患者を包含する。
視神経炎
視神経炎(ON)は眼の網膜を支配する視神経の脱髄を伴う炎症である。それは不定の状態であり、任意の以下の症状を呈し得る:視野のぼやけ、視力の低下、一部又はすべての色覚の喪失、完全な又は部分的な失明、及び眼の奥の痛み。
視神経炎は、多発性硬化症が最も頻繁に呈する症状の1つであり、MSの発症時に最も一般的な症状である。しかし、ONは、虚血性視神経障害等のMS以外の原因となり得る。
ONは、症例の70%で、片側だけに(片目のみに)存在する。
最も典型的には、視神経炎は初め、15~50歳の人に発症する。この年齢群では、研究が示すところによると、50%を超える患者が15年以内に多発性硬化症に変化するだろう。MSと同様に、女性は男性の約2倍ONを呈しやすく、白人の有病率は他の人種群よりも高い。
視神経炎の主要な症状は以下である:
・視力の低下(視野のぼやけ);
・眼痛;
・色弱(色覚の低下);
・運動及び音眼閃(Movement and sound phosphenes)(左右の眼の運動又は音によりもたらされる、視覚による閃光の感覚);
・熱又は極度の疲労で症状が悪化する、ウートフ徴候(Uhthoff's symptom)。
本発明による組成物でのONの治療により、任意のこれらの症状が予防、低減又は改善され得る。ONの進行をモニターするために、スネレン視力表を用いて視力が便利に測定され得る。
グレーブス病
本発明の一態様では、対象はグレーブス病を有する。
グレーブス病は、甲状腺に発症する自己免疫疾患である。グレーブス病は過活動性の甲状腺を特徴とし、これにより甲状腺ホルモンが過剰量産生され甲状腺が拡大する(甲状腫)。こうして生じる甲状腺機能亢進の状態が広範囲な神経心理学的症状及び身体症状を引き起こし得る。グレーブス病は甲状腺機能亢進の最も一般的な原因であり(あらゆる症例の60~90%)、通常中年期に現われるが、子供、青年、及び高齢者にも現われる。グレーブス病は女性人口の最大で2%までに発症し、女性では男性の5倍~10倍好発する。小児グレーブス病は、米国(US)で約6000人の子供、欧州連合(EU)で6000人が罹患している。グレーブス病は重症甲状腺機能亢進の最も一般的な原因でもあり、これはより穏やかな形態の甲状腺機能亢進と比べて多くの臨床徴候及び症状並びに検査所見異常を伴う。グレーブス病には強い遺伝的要素が関連している。グレーブス病に関する最近の人口調査はないが、甲状腺機能亢進に関する少数の準人口調査は存在し、したがって、グレーブス病の発生率及び有病率についての概算はすべて近似値である。甲状腺機能亢進の発生率は26:100,000から93:100,000までの変動幅があり、全体の有病率は1.3%で、症例の40%が顕性で60%が不顕性であると推定されている。
グレーブス病に罹っている人の約30~50%が、片目又は両目が突出するグレーブス眼症(グレーブス眼窩疾患又は甲状腺眼症としても知られる)(GO)にも罹る。GOの多くの症例が軽度で自然治癒するが、症例の20%が著しい/中等度~重度の疾患を抱え、これらの少なくとも半数がステロイドを必要とし、GO患者の3~5%が甲状腺性視神経症のある有痛性の視力を脅かす疾患を抱えている。眼が膨隆すると夜に瞼を閉じることができないので角膜の重度の乾燥を引き起こすことがある。視神経への圧力が増すと視野欠損及び視力喪失をもたらす可能性がある。GOは脛骨前粘液水腫とも関連があり得る。
グレーブス病の症状及び兆候はほぼすべてが甲状腺機能亢進の直接的及び間接的効果から生じ、主な例外はGO、甲状腺腫及び脛骨前粘液水腫である。甲状腺機能亢進の症状には、不眠症、手の震え、運動亢進、脱毛、多汗、熱不耐及び食欲亢進にもかかわらず体重減少が含まれ得る。さらなる徴候は、最も一般的には散在性肥大(通常対称性)非圧痛性甲状腺、閉眼遅延、GOによる過剰流涙、心臓の不整脈及び高血圧である。甲状腺中毒患者は、精神病、激越、及び鬱などの行動及び人格変化を経験することがある。より穏やかな甲状腺機能亢進では、患者は顕性の少ない徴候、例えば、不安、落ち着きのなさ、易刺激性及び情緒不安定を経験することがある。
本発明の好ましい態様では、本方法の対象は哺乳類、好ましくはネコ、イヌ、ウマ、ロバ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウシ、マウス、ラット、ウサギ又はモルモットであるが、最も好ましくは、対象はヒトである。
本明細書において定義されるように、「治療」とは、治療前の症状に比べ、治療される状態の1個以上の症状を低減、緩和又は除去することを指す。
「予防(prevention)」(又は予防(prophylaxis))とは、状態の症状の発症を遅らせること又は妨げることを指す。予防は、(状態が発生しないように)完全であってもよく、一部の個体においてのみ、又は限られた時間のみ有効であってもよい。
投与計画
本発明は、複数の用量が濃度を上げながら患者に与えられる、「用量漸増」投与計画に関する。
本発明によれば、以下の投与計画が用いられる:
1日目:約15~約40μgの1回目の用量;
14日±7日目:約35~65μgの2回目の用量;
28日±7日目:約80~120μgの3回目の用量;
42日±7日目:約300~500μgの4回目の用量;
56日±7日目:約300~1800μgの5回目の用量;
70日±7日目:約300~1800μgの6回目の用量;
84日±7日目:約300~1800μgの7回目の用量;
98日±7日目:約300~1800μgの8回目の用量;
112日±7日目:約300~1800μgの9回目の用量;及び
126日±7日目:約300~1800μgの10回目の用量。
本明細書に記載の発明の一態様では、5~10回目の用量は約600~1500μgであり得る。
従って、1日目に約15~約40μgの寛容原性ペプチドが1回目の用量として投与される。好ましい実施形態では、約25μg、例えば約17~35、18~33、20~30、22~28又は24~26μg、が投与される。最も好ましい実施形態では、25μgが投与される。
2回目の用量は、14日±7日目、好ましくは3日目に投与され、即ち、「1日目」の後、各「日」は約24時間として数えられる。好ましい実施形態では、2回目の用量は14日目に投与される。
用量は、1日の同じ時間に又は1日の異なる時間に投与され得る。好ましくは、1、2、3回目及び後続の用量は1日の同じ時間に投与される。
2回目の用量は、約35~約65μgの寛容原性ペプチドである。好ましい実施形態では、当該用量は約37~60、40~58、42~56又は45~55μgである。特に好ましい実施形態では、2回目の用量は、約50μg、例えば、45、46、47、48、49、51、52、43、54または55μgである。最も好ましい実施形態では、2回目の用量は50μgである。
3回目の用量は、28日±7日目、好ましくは3日目に投与され、即ち、「1日目」の1回目の用量の後、各「日」は約24時間として数えられる。好ましい実施形態では、3回目の用量は28日目に投与される。
3回目の用量は、約80~約120μgの寛容原性ペプチドである。好ましい実施形態では、3回目の用量は約85~115、87~113、90~110、92~107、95~105又は97~102μgである。特に好ましい実施形態では、3回目の用量は、約100μg、例えば、95、96、97、98、99、101、102、103、104、又は105μgである。最も好ましい実施形態では、3回目の用量は100μgである。
4回目の用量は、42日±7日目、好ましくは3日目に投与され、即ち、「1日目」の後、各「日」は約24時間として数えられる。好ましい実施形態では、3回目の用量は42日目に投与される。
4回目の用量は、約300~約500μgの寛容原性ペプチドである。好ましい実施形態では、4回目の用量は約320~480、350~450、365~440、370~430、380~420又は390~410μgである。特に好ましい実施形態では、4回目の用量は、約400μg、例えば、395、396、397、398、399、401、402、403、404又は405μgである。最も好ましい実施形態では、4回目の用量は400μgである。
4回目の用量の後、後続の約300~約1800μgの寛容原性ペプチドの用量が、おおよそ14日±7、好ましくは3、日毎に投与される。少なくとも6回の約300~約1800μgの用量が投与される。本明細書に論じるように、約300~約1800μgの用量はまた、6回を超えて投与されてもよく、例えば、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20回の用量が投与されてもよい。上に論じたように、当該用量は、例えば20年までの期間、繰り返され得る。
従って、本発明による用量の間隔は、約14日又は2週間であり得る。当該間隔は、期間を通して同一であり得る、又は異なり得る。例えば、異なる間隔の組み合わせが用いられてもよく、例えば、1回目の後続の用量は14日間隔であり得る一方、2回目の後続の用量は15日間隔で投与され得る。最も好ましい実施形態では、後続の用量は14日毎、又は2週間毎に投与される。
後続の用量、5~10回目の用量(及び任意で11、12、13及び14回目の用量)は、約300~約1800μgの寛容原性ペプチドである。好ましい実施形態では、5~10回目(及び任意で11、12、13及び14回目)の用量は、各々約400、500、600、800、1000、1200又は1600μg、例えば400~1600、600~1200、600~1000又は600~800μgである。一態様では、5~10回目(及び任意で11~14回目)の用量は、各々約350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1050、1100、1150、1200、1250、1300、1350、1400、1450、1500、1550、1600又は1650μgである。特に好ましい実施形態では、5~10回目(及び任意で11~14回目)の用量は、各々約800μg、例えば785、786、787、788、789、790、791、792、793、794、795、796、797、798、799、801、802、803、804、805、806、807、808、809、810又は815μgである。最も好ましい実施形態では、5~10回目の用量は800μgである。
代替的な実施形態では、5~10回目(及び任意で11~14回目)の用量は、各々約400μg、例えば385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、401、402、403、404、405、406、407、408、409、410又は415μgである。最も好ましい実施形態では、5~10回目の用量は400μgである。
代替的な実施形態では、5~10回目(及び任意で11~14回目)の用量は、各々約1600μg、例えば1585、1586、1587、1588、1589、1590、1591、1592、5193、194、1595、1596、1597、1598、1599、1601、1602、1603、1604、1605、1606、1607、1608、1609、1610又は1615μgである。最も好ましい実施形態では、5~10回目の用量は600μgである。
本発明の代替的な態様では、上に論じた用量の後に更なる用量が投与される。即ち、対象は、上に論じた最初の用量の後、用量を投与され続けてもよい。
用量は、当該技術分野において当業者に既知の方法により、必要に応じて適宜調整され得る。
in vivoにおける本明細書に記載のペプチドの投与のためには、当該技術分野において一般的又は標準的な任意の投与様式、例えば経口、静脈内、筋肉内、皮下、舌下、鼻腔内、皮内、座薬経路又は移植、が使用され得る。
本明細書に記載の発明の好ましい実施形態では、投与は皮内であり、例えば皮内注射による。皮内投与は、当該技術分野において既知の通常の方法により行われ得る。
本方法は、その全部が適切な間隔を置いた後複数回(例えば2、3又はそれを超える回数)行われ得る、又は本方法の一部は必要に応じて繰り返され得る。
一実施形態では、本方法は以下の工程を含む:
(i) 状態について抗原を特定すること;
(ii) 抗原について寛容原性ペプチドを特定すること;及び
(iii) 本発明に従って対象に寛容原性ペプチドを投与すること。
更なる実施形態では、本方法は、異常又は病的免疫寛容に関連する状態を有する対象を特定すること、又は異常又は病的免疫寛容に関連する状態を発症する可能性が高い対象を特定することを含む。
ペプチドは、1種以上の薬学的に許容可能な希釈剤、担体又は賦形剤を含む組成物の形態であり得る。これらの組成物は、例えば1種以上の薬学的に許容可能な希釈剤、担体又は賦形剤を用い、製薬分野において既知の方法及び手順に従って任意の都合の良い方法で製剤化され得る。
組成物は、注射可能な液状の溶液又は懸濁液として調製され得る;注射前に液体に溶解又は懸濁させるのに適した固体形態もまた調製され得る。調製物はまた乳化され得る、又はペプチドはリポソームにカプセル化され得る。或いは、ペプチドは担体中にカプセル化され得る、又は担体、例えばナノ粒子の表面に結合し得る。活性成分は、薬学的に許容可能で活性成分に適合性の賦形剤と混合され得る。
本明細書に記載される「薬学的に許容可能」とは、組成物の他の成分に適合性であり、かつ、受容者にとって生理学的に許容可能である成分を指す。
適切な賦形剤は、例えば、水、食塩水(例えばリン酸緩衝食塩水)、デキストロース、グリセロール、エタノール等、及びそれらの組み合わせである。
さらに、必要であれば、組成物は少量の補助物質、例えば湿潤剤若しくは乳化剤、及び/又はpH緩衝剤を含有し得る。緩衝塩には、リン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩が含まれる。pH調整には塩酸及び/又は水酸化ナトリウムが使用され得る。安定化のために、スクロース又はトレハロース等の二糖類が使用され得る。
組成物、及び担体若しくは賦形剤の材料等の性質は、選択及び所望の投与経路、治療目的等に従い、通常の方法で選択され得る。
ペプチドは、アジュバントの非存在下で可溶形態で投与され得る。
本発明者らが予測するところによると、「バイスタンダー抑制」にかかわらず、効果的に寛容を誘導するためには、多くの異なるT細胞クローンを標的とすることが必要である可能性がある。従って、複数のペプチド、即ち1種を超えるペプチドが、疾患を予防又は治療するために個体に投与され得る。
医薬組成物は、例えば、1~50種のペプチド、好ましくは2~15種のペプチドを含み得る。ペプチドは、同一の又は異なる標的抗原から得られるものであってもよい。好ましくは、ペプチドは、さらにプロセシングされることなく、すべてMHCクラスIに結合することができ、又はすべてMHCクラスIIに結合することができ、即ちそれらはアピトープである。好ましい実施形態では、医薬組成物中のすべてのアピトープは、さらにプロセシングされることなくMHCクラスI又はクラスIIに結合することができる。
医薬組成物は、本発明による使用のためのキットの形態であってもよく、そのキットではいくつかの又は各々のペプチドが同時、個別又は連続投与のために個別に提供される。
或いは(又はさらに)、医薬組成物(又はその任意の一部)が複数の用量で投与される場合、各用量は個別に包装され得る。
医薬組成物は、治療上又は予防上有効な量の、その又は各々のペプチド、及び任意で薬学的に許容可能な担体、希釈剤又は賦形剤を含み得る。
また、本発明の医薬組成物では、その又は各々のペプチドは、任意の適切な結合剤、潤滑剤、懸濁化剤、コーティング剤又は可溶化剤と混合され得る。
以下の実施例は本発明を例示するために役立つものであるが、本発明を限定するものと解釈すべきではない。本発明は特に、これらの実施例に記載の特定の実施形態に関する。
<実施例1>
再発型多発性硬化症を有するHLA DRB115陽性である40人の患者において、ATX MS 1467の安全性、免疫学、及びイメージングベースの有効性のバイオマーカー(ガドリニウム増強MRIスキャニング)に対する効果の非盲検用量漸増評価を行った。
方法:
第I相の非盲検用量漸増試験。8週間の漸増期間(14±3日の間隔で25、50、100、400及び800μgを投与);6週間の完全用量治療期間(14±3日の間隔で5回800μgを投与);28週間の経過観察期間(試験医薬での治療なし)。コホート1の患者は、皮内で(i.d.)ATX-MS-1467で処理した;コホート2の患者は、皮下で(s.c.)ATX-MS-1467で処理した。それぞれ最初の10人及び20人の患者に最後の800μgの用量を投与した後、コホート1についての安全性データを組み合わせて、データモニタリング委員会(DMC)による中間安全審査(interim safety review)に供した。
Figure 2023018042000001
パーセンテージは試験集団における患者数に基づく。
**パーセンテージはITT集団における患者数に基づく。
i.d. = 皮内、ITT = 治療意図(intention-to-treat)、MRI = 磁気共鳴イメージング、PP = パープロトコル、s.c. = 皮下
診断及び主要な選択基準:
診断:McDonald基準により定義され、神経科医により評価されるRMSを有し、ヒトリンパ球抗原(HLA)-DRB115陽性
主要な選択基準:
・>1000カウント毎分(cpm)であり、バックグラウンドに比べ、>3の刺激指数を有すると定義される、MBPに対する反応におけるT細胞増殖の高いベースラインレベル。
・罹患期間≦10年(最初の臨床事象から)
・過去12か月間に少なくとも1回の再発の記録、又はスクリーニングの前の過去24か月以内に2回の再発。
・拡大障害状態尺度(Expanded disability status scale、EDSS)スコア≦5.5
・インフォームドコンセントの際に18歳以上55歳以下
・プロトコルに定義されるような、男性及び女性についての避妊具の使用。
書面によるインフォームドコンセントを提供する用意があり、提供することができる。
試験製品、用量及び投与様式:
ATX-MS-1467A:リン酸緩衝食塩水(PBS)中の等量のペプチドATX-MS-01、ATX-MS-04、ATX-MS-06及びATX-MS-07で作製した4 mg/mLの混合物。
ATX MS 1467B:PBS中の等量のペプチドATX-MS-01、ATX-MS-04、ATX-MS-06及びATX-MS-07で作製した0.5 mg/mLの混合物。
Figure 2023018042000002
投与様式:
コホート1:i.d.
コホート2:s.c.
治療期間:
患者は、16週間、14±3日の間隔で1又は2回のATX-MS-1467の注射を受ける予定であった。
評価基準:
有効性
磁気共鳴イメージング
・MRI 新たなGD増強病変、T2高強度病変、T1低強度病変。-4週目、試験1日目;4週目及び8週目の受診前の週又はその受診の週;12、16、20、28、36及び48週目の受診、すべての経過観察受診の前の週;早期中止時の受診。MRIは、安全性及び有効性の一部として評価した。
安全性
・有害事象(AE):重症度、ATX-MS-1467との関連、転帰、取った処置、発症、消退日、重篤度。試験を通して記録した。
・注射部位反応:すべての注射時。
・バイタルサイン:心拍数、収縮期及び拡張期血圧、体温。スクリーニング時、-4週目、各注射受診時。
・身体検査: スクリーニング時、-4週目、各注射受診時;早期中止の受診時。
・12誘導心電図:スクリーニング時、及び-4週目。
・神経学的検査:Kurtzke機能系(Kurtzke Functional System、KFS)及び(Kurtzke)拡大障害状態尺度(EDSS)。スクリーニング時、-4週目、試験1日目、12週目、すべての経過観察受診;早期中止の受診時。
・血液学:赤血球数、ヘモグロビン、ヘマトクリット値、平均赤血球ヘモグロビン[MCH]、平均細胞ヘモグロビン濃度(mean cell hemoglobin concentration)[MCHC]、総白血球数及び白血球百分率、血小板数。すべての受診時。
・臨床化学:尿素、ナトリウム、カリウム、塩化物、重炭酸塩、クレアチニン、総ビリルビン、ALT、AST、アルカリホスファターゼ[ALP]、血清タンパク質、尿酸、カルシウム、リン酸塩。すべての受診時。
・尿検査:すべての受診時
・甲状腺機能検査:T3、T4及びTSH。スクリーニング時、異常な結果がスクリーニング時に得られた場合-4週目、48週目;早期中止の受診時。
・抗ペプチド抗体検査:スクリーニング時。スクリーニング時にHLA-DRB115陽性であった患者について、16週目、20週目。
・MS発作:-4週目からのすべての受診時。
・尿妊娠検査:スクリーニング時、-4週目、各注射受診時、最初の経過観察受診時(20週目);早期中止の受診時。
統計的方法:
正式な標本サイズの計算及び正式な中間解析は行わなかった(確認的な統計的検定は行わなかった)。P値は、記述的な目的のためだけに示した。試験調査は探索的であり、結論は、完全な一連の患者の証拠に基づいていた。
カテゴリー変数は、適用できる場合は非欠損の観測値の数(n)又は集団中の患者数(N)、及び百分率(%)を用いて示した。パーセンテージは小数点第2位で四捨五入した。関連する場合、両側95%の信頼区間(CI)を与えた。連続変数は、非欠損観測値の数(n)、算術平均(Mean)、標準偏差(SD)、最小値(Minimum)、中央値(Median)、Q1~Q3、及び最大値(Maximum)により記載した。
有効性の分析は、PP集団(即ち評価可能患者)に基づいていた。脳病変のMRI評価の分析(原理の証明)は、MRI集団に基づいていた。すべての安全性の分析は、ITT集団に基づいていた。他に明記されない限り、総括表に示す各患者のベースライン値は、計画外の又は繰り返しの評価を含む、試験1日目のIMP開始前の特定のパラメータについての患者の最新の非欠損評価値であると定義した。
ITT集団は、適格性及び他のプロトコル基準に適合しているかに関わらず、試験中任意の時に少なくとも1回のIMPの投与を受けたすべての患者と定義した。安全性エンドポイントの総括については、安全性集団はITT集団として示される。PP集団(評価可能患者)は、20週目の受診時を含めその時までにプロトコルに適合した(即ち、重大なプロトコル違反がなく、選択/除外基準を満たし、完全な治療計画を受け、治療段階中にステロイド又は他の禁止医薬を服用しなかった)すべてのITT患者と定義した。MRI集団は、PP集団及びPD評価について重大な違反があった患者と定義した。MRI集団は、脳病変を分析するために用いた(原理の証明)。
結果の総括
有効性、MRI
コホート1のMRI集団では、新たな又は持続的なGd増強病変の平均数が、ベースラインでの3.4 (SD: 8.23)から48週目/ETでの2.5(SD: 4.91)に、全体的に減少した;ベースラインから16週目の減少(0.9病変;SD:1.67)は、統計的に有意であった(p = 0.030)。これらの傾向はITT集団でも見られ、新たな又は持続的なGd増強病変の平均数が試験1日目(5.0、SD:9.76)から16週目(1.2、SD:1.81;p<0.001)に統計的に有意に減少し、16週目から48週目/ETを通して3.2(SD:5.33)に増大した。コホート1におけるGd増強病変の総体積もまた、ベースラインでの304.8mm3から48週目での200.1mm3に、-104.8mm3と全体的に減少した。
コホート2では、新たな又は持続的なGd増強病変の平均数が、ベースライン(2.3;SD:5.47)から48週目/ET(2.1;SD:3.63)まで同程度であった。ベースライン(2.3病変)から16週目(3.5病変;SD:7.09)までの新たな又は持続的なGd増強病変の平均数の増大は、病変の平均数のわずかな変化であるにもかかわらず、統計的に有意であった(p = 0.012)。コホート2のITT集団の傾向はまた、コホート2のMRI集団において見られた傾向を反映していた。両時点において見られた実際の病変数は同程度であったが(試験1日目:2.1病変;SD:5.25;16週目:3.2病変;SD:6.80)、新たな又は持続的なGd増強病変の平均数の増大は統計的に有意であった(p =0.010);新たな又は持続的な病変の平均数は16週目から48週目/ET(2.0病変、SD:3.48)までに減少した。コホート2におけるGd増強病変の平均総体積は、ベースライン(188.6mm3)から48週目(201.0mm3)まで同程度であった(+13.3mm3の全体的な変化)。
コホート1(MRI集団)における新たな又は新たに拡大したT2高強度病変の平均数は、8週目(5.1病変;SD:8.35)から48週目(5.2病変;SD:9.44)まで同等であった。コホート2では、病変の平均数は8週目(3.5;SD:7.07)から48週目(4.1;SD:6.64)にわずかに増大した。
新たなT1低強度病変の平均累積数(48週目のみにおいてベースラインと比較して評価した)は、コホート1では7.2(SD:12.79)であり、コホート2では7.8(SD:9.21)であった;48週目における新たなT1低強度病変の総数は7.5(SD:10.87)であった。
コホート1のMRI集団では、GD増強病変がない患者の割合は試験1日目で52.9%(9/17)から48週目で70.6%(12/17)に増大した。コホート2では、GD増強病変がない患者の数が試験1日目(65.0%、13/20)及び48週目(59.5%、22/37)で同程度であった。
コホート1では、T2病変がない患者の割合は、28週目(52.9%、9/17)及び48週目(56.3%、9/16)で同程度であった。コホート2では、T2病変がない患者の割合は28週目(35.0%、7/20)から48週目(27.8%、5/18)で僅かに減少した。
T1病変がない患者の評価は、48週目に/48週目までにのみ行った。この時点では、MRI集団のすべての患者の38.2%(13/34)が病変なしであり、これにはコホート1の患者の50.0%(8/16)及びコホート2の患者の27.8%(5/18)が含まれていた。
安全性:
治療中に発現した有害事象
治療中に発現した有害事象の包括的な概要-ITT集団
Figure 2023018042000003
発症日が最初にATX-MX-1467を投与した日、又はその日の後であり、発症日が20週目の受診日の後に発生したものでない場合、AEは治療中に発現したものと定義した。薬剤関連の有害事象とは、治験責任医師により試験薬剤に、関連する「かもしれない」、「おそらく」関連する、又は「明らかに」関連すると評価された、又はその関係が記録されていない場合のものであった。AE = 有害事象、i.d. = 皮内、IMP = 調査医薬品、ITT = 治療意図、s.c. = 皮下
重度のTEAE;死に関連するAE又はSAE;治療関連のSAE;及び投与の中止又は試験からの離脱をもたらすAEはなかった。いずれのコホートでも、ATX-MS-1467に対する任意のペプチドに対する抗体反応はなかった。1人の患者のみ(2.3%;コホート1)が薬剤の中断をもたらすAE(14週目に800μgの試験医薬が投与されてから1週間後に掻痒性の皮疹)を有した。試験中の検査値、バイタルサイン又はKurtzke機能(Kurtzke function)(平均値又はベースラインからの平均の変化)に見られる臨床的に関連する変化はなかった。MS再発の数は、この患者集団については予想外ではなかった。
1人の患者のみが治療中に発現したSAEを経験した(コホート1;MS再発;17週目に800μg);その事象はATX-MS-1467に関連しないと評価された。
治療中に発現した用量毎の有害事象-ITT集団
Figure 2023018042000004
概して、コホート1においてTEAEを報告している患者の数がより大きかったのは、注射部位反応の数がより多かったことによる。AEを報告している患者の数は、組み合わされた800μg用量レベルにおいて最も高い傾向があったが、組み合わされた800μgの用量には、5つの時点(8、10、12、14及び16週目)からのデータが含まれることに注意することが重要である。
コホート1では、すべての用量レベルで最も頻繁に報告されたTEAEは、全身障害及び投与部位の状態SOCに見られ、すべての用量レベルで望ましい期間(preferred term)で最も頻繁に報告されたTEAEは、注射部位紅斑であった。鼻咽頭炎は、800μg用量レベルのみにおいて3人の患者(14.3%)により経験された。2人の患者(9.5%)により経験された多発性硬化症再発もまた、800μg用量レベルにおいてのみ見られた(14週目及び16週目)。コホート1には、1人を超える患者により報告された望ましい期間で他のTEAEはなかった。
コホート2では、全体で最も頻繁に報告されたTEAEは、神経系障害SOCにおいて見られ、望ましい期間で最も頻繁に報告されたTEAEは頭痛であった。多発性硬化症再発は、400μg用量レベルで1人の患者(4.5%)、800μg用量レベルを合わせた中で3人の患者(13.6%)(8週目に2人の患者、16週目に1人の患者)により経験された。コホート2には、1人を超える患者により報告された望ましい期間での他のTEAEはなかった。
コホート1における2人の患者及びコホート2における3人の患者は、治療中に発現したMS発作を経験した。コホート1では、どちらの患者も800μgでの治療後にMS発作を経験した。コホート2では、1人の患者が400μgでの治療後にMS発作を経験し、3人の患者が800μgでの治療後であった。どの事象も治療に関連すると評価されず、どの事象も試験医薬の投与に関していかなる作用ももたらさず、すべての患者が回復した;1事象のみ(コホート1)が重篤と評価された。すべての発作は、軽度又は中等度の重症度と評価された。
治療関連の有害事象
コホート1において治療関連のAEの数が多かったことは、このコホートにおいて経験された注射部位反応の数が多かったことにより推進された。コホート1では、すべての用量レベルにおいて最も頻繁に報告された薬剤関連のTEAEは、注射部位紅斑であった(100μg:n=8、38.1%;800μg投与を合わせて:n=9、42.9%)。1人の患者(4.8%)は治療関連の発熱を報告し(50μg)、1人の患者は治療関連のインフルエンザ様疾患を報告した(100μg)。
コホート2では、最も頻繁に報告された薬剤関連の報告された事象はまた、注射部位紅斑であった(800μg投与を合わせて:n = 3、13.6%)。コホート2では、どの用量レベルでも、1人を超える患者により報告された他の薬剤関連の事象はなかった。コホート2では、治療関連の発熱又はインフルエンザ様疾患の報告はなかった。
どちらのコホートでも、すべての治療中に発現した注射部位反応は軽度と評価された。インフルエンザ様疾患及び発熱のすべてのTEAEは中等度の重症度であった。どちらのコホートでも、薬剤関連のMS再発の報告はなかった。
治療中に発現した注射部位反応、コホート1-ITT集団
Figure 2023018042000005
治療中に発現した注射部位反応、コホート2-ITT集団
Figure 2023018042000006
Figure 2023018042000007
発症日が20週目の受診の日の後であった場合、AEは、治療中に発現したものでなく、治療後に始まったものと定義した。
薬剤関連有害事象とは、治験責任医師により試験薬剤に、関連する「かもしれない」、「おそらく」関連する、又は「明らかに」関連すると評価された、又はその関係が記録されていない場合のものである。
AE = 有害事象、i.d. = 皮内、ITT = 治療意図、s.c. = 皮下
治療後、重度のAE;死に関連するAE又はSAE;試験からの離脱をもたらすAE;注射部位反応;及び治療関連のSAEはなかった。
コホート1における4人の患者及びコホート2における4人の患者はMSの治療後再発を経験した;コホート1における2人の患者は、複数の治療後再発を経験した。コホート1患者により経験された2つの治療後再発は、治療に関連するかもしれないと評価されたが、重篤ではなかった。コホート1における2人の患者は重篤と評価された治療後再発を経験したが、いずれの事象も治療に関連すると評価されなかった。コホート2において見られた治療後再発はどれも、試験治療に関連すると評価されなかった。コホート2における1人の患者により報告された1つの治療後再発は重篤と評価された。すべての発作は中等度と評価された。
<実施例2>
ATX-MS-1467(MSC2358825A)の安全性及び再発型多発性硬化症を有する対象における免疫寛容に対する効果を評価するために、非盲検、単群、プルーフオブコンセプト試験を行った。
方法:
これは、再発型MSを有する対象における多施設共同非盲検第IIa相試験である。試験は5つの期間から成っていた;対象は48週間試験を継続した。
スクリーニング期間(4週間):ベースラインコントロール期間に入る前に、対象をスクリーニングして最初の適格性を確立した。対象は、2回目の受診時の最初のMRIスキャンの少なくとも30日前にコルチコステロイドでの前治療を完了させていることを求められた。1回目の受診時に他の許可されていないMS治療を受けていた対象は、対象がヒト白血球抗原(HLA)DRB115遺伝子型を有し、2回目の受診時のMRIスキャンに基づき試験に適格であることが確認された後、可能な限り早急にすべてのこのような投薬を中止した。
ベースラインコントロール期間(8週間/3回受診):HLA陽性であった対象は、3回の脳MRIスキャンを受け(連続するスキャンの間は最低でも28日の間隔を置いて)、MRI活性の程度に基づき対象の適格性を判定した。MRI基準について対象の適格性を確認した後、対象は、脳脊髄液(CSF)の回収のために随意の腰椎穿刺を受けることができた。ベースラインコントロール期間中、対象はMSのための治療を受けなかった。
漸増期間(4週間/3回受診):ベースラインコントロール期間の完了後、適格な対象は、ATX-MS-1467 IDを以下のスケジュールに従って開始用量(50μg)から最大用量(800μg)まで2週間に1回投与する漸増期間に入った:
1日目:ATX-MS-1467 50μg ID
15日目:ATX-MS-1467 200μg ID
29日目:ATX-MS-1467 800μg ID。
治療期間(16週間/8回受診):治療期間中、対象は、16週間ATX-MS-1467 800μg IDの投与を2週間に1回受け、2週間間隔で投与及び安全性評価のために試験受診に参加した;MRIスキャンを含む追加の臨床評価は、治療期間中に3回行った。
経過観察期間(16週間/4回受診):治療期間の完了後、対象は16週間の経過観察期間に入った。対象はこの期間中試験治療を中止し、任意の治療効果の維持について評価された。MRIスキャンは経過観察期間中3回行った。
早期にATX-MS-1467での治療から離脱した、即ち漸増又は治療期間中に離脱した対象は、8週間の安全性経過観察期間(2回受診)に入った。
対象の数:
少なくとも15人の評価可能な対象を、試験参加のために計画した。
合計93人の対象を試験参加のためにスクリーニングし、37人(39.8%)の対象を試験に登録し、ベースラインコントロール期間を開始した。漸増期間に入り、それを完了し、治療期間に入った対象は19人であった。治療した19人の対象はすべて、治療意図(ITT)、修正ITT(Modified ITT、mITT)、及び安全性分析セットに含まれた。
診断及び主要な選択基準:
McDonald診断基準(2010)に基づき、再発寛解型MS(RRMS)又は二次進行型MS(SPMS)を有し、最近のMS活性の臨床的証拠、2回目の受診時のMRIにおける少なくとも1つのコントラスト増強病変(contrast-enhanced lesion、CEL)、2回目の受診から4回目の受診に少なくとも1つの新たなCELが存在する18歳以上65歳以下の男性及び女性の外来患者は、試験参加に適格とした。対象は、試験治療の開始前に0~5.5の拡大障害状態尺度(EDSS)スコアを有し、HLA DRB115陽性であり、神経学的に安定でなければならなかった。対象が、一次進行型MS、ガドリニウム(Gd)の投与を阻む腎臓状態、治療前の受診時に<500/μLのリンパ球数若しくは<1500/μLの好中球数、又は試験参加を阻む他の根本的な医学的状態を有していた場合、対象はこの試験に適格でないとした。
試験1日目の前8週間以内のβインターフェロン、血漿交換、若しくは静脈内γグロブリン;2回目の受診時のMRIスキャンの前30日以内のステロイド若しくは副腎皮質刺激ホルモン;又はMSの治療のためのグラチラマー酢酸塩、細胞毒性剤、フィンゴリモド、ラキニモド、テリフルノミド、全身リンパ照射、幹細胞若しくは骨髄移植、モノクローナル抗体療法、フマル酸ジメチル、ジルコチド、任意の疾患関連T細胞ワクチン、又はペプチド寛容化剤での過去の治療は許可しなかった。
試験製品:用量及び投与様式、バッチ番号:
調査医薬品はATX-MS-1467であり、合計20週間、2週間に1回ID投与し、50μgの開始用量から4週間かけて増量し800μgの最終用量にした。個別のバッチ番号は要求に応じて入手可能である。
治療期間:
1回目の受診から19回目の受診まで、最大の試験参加期間は48週間であった。試験治療期間は20週間であった。
参照治療、用量及び投与様式、バッチ番号:
適用せず。
評価基準:
有効性:
主要エンドポイントは、3つのベースラインのスキャン(2、3及び4回目の受診)におけるT1 CELの平均数と比べた、最後の3つの治療中のスキャン(12、16及び20週目)におけるT1 CELの平均数の変化であった。
副次的エンドポイントには以下が含まれた:
・MRI
・予定されたベースライン後のMRI受診各々におけるT1 CELの総数
・予定されたベースライン後のMRI受診各々におけるT1 CELの総数の、ベースライン(3つのベースラインのスキャン、2、3及び4回目の受診の平均)からの変化
・予定されたベースライン後のMRI受診各々におけるT1 CELの総体積の、ベースライン(3つのベースラインのスキャン、2、3及び4回目の受診の平均)からの変化
・予定されたベースライン後のMRI受診各々における、新たな又は新たに拡大したT2病変の総数
・予定されたベースライン後のMRI受診各々における、T1 CELの総数の4回目の受診からの変化
・予定されたベースライン後のMRI受診各々における、T1 CELの総体積の4回目の受診からの変化
・臨床
・20週目における平均の年間再発率(ARR)
・最初の再発までの時間
・20週目における合計のEDSSスコアのベースラインからの変化
・20週目における合計の多発性硬化症機能複合(Multiple Sclerosis Functional Composite、MSFC)スコアのベースラインからの変化。
以下の探索的エンドポイント(exploratory endpoint)もまた考慮した:
・反応者のサブグループにおける28及び36週目の治療中止後のMRIパラメータに対するATX-MS-1467の効果の維持
・末梢血/末梢血単核細胞(PBMC)及びCSFにおける免疫学的マーカー(例えば、サイトカイン、抗体)の経時的調節
・末梢血及びCSFにおける疾患マーカー(例えばOCB、免疫グロブリンG [IgG] 指標、脱髄)の経時的変化
・11、20及び24週目の血清抗ペプチド抗体レベル
・MBP誘導PBMC増殖の経時的変化
・20週目のMBP誘導PBMC増殖のベースラインからの変化
・36週目/試験終了時のMBP誘導PBMC増殖の20週目からの変化。
安全性:
安全性エンドポイントには以下が含まれた:
・治療中に発現した有害事象(TEAE)の性質、頻度、及び重症度
・注射部位反応の頻度及び重症度
・バイタルサイン測定値、身体検査の所見、臨床検査変数(clinical laboratory variable)、心電図、及び時期尚早の試験の終了の頻度及びタイミング。
統計的方法:
この試験についての標本サイズは、3つの前提に基づいていた:(1) 3つのベースラインのスキャンにおけるCELの平均数と比べ、CELの数が70%低下するという治療効果;(2)ベースラインにおけるCELの平均数は5であり、標準偏差(SD)は6である; 及び(3)治療後の期間(24~36週目)中のCELの平均数は1.5であり、SDは1.8である。両側5%レベルを用いると、模擬試験の>80%及び>90%が、それぞれ12人及び14人の対象の標本サイズで、統計的に有意な結果を示した。従って、15人の対象の標本サイズを選択した。
反応者集団を用いて行った反応の維持の評価、及び安全性集団に基づいていた安全性分析を除き、主要及び副次的エンドポイントの分析は、mITT集団に基づいていた。反応者は、20週目におけるT1 Gd増強病変の数(12、16及び20週目における最後の3つの治療中のスキャンの平均)が、ベースライン(2、3及び4回目の受診における3つのベースラインのスキャンの平均)から≧60%減少した対象と定義した。
符号付き順位統計量の正確な分布に基づき(ここで、分布はスケーリングされた二項分布の畳み込みである)m治療効果による位置変化の検定についてノンパラメトリックなWilcoxonの符号付き順位検定を用い、主要エンドポイントを分析した。負の二項及びポアソンリンク関数(negative binomial and Poisson link functions)を用いた一般化推定方程式(GEE)線形回帰モデルを使用して、ベースラインコントロール期間と比較した、治療期間中の新たなT1 Gd増強病変の平均の百分率減少を推定するために補助的な分析を行った。
新たなT1 Gd増強病変に基づき、主要有効性エンドポイントのために使用した同一のノンパラメトリック手順を行った。mITT分析セットに該当する各受診における副次的エンドポイントについて、記述統計量を示した。
連続変数は、観測数、平均、SD、95%信頼区間(CI)、中央値、最小値及び最大値を用いて記述的に概括した。カテゴリー変数は、頻度数及び百分率を用いて概括した。事象変数までの時間は、Kaplan Meierプロット、生存の中央値、及び95%CIとして示した。
要約及び結論:
対象の性質(Subject Disposition):
試験参加のためにスクリーニングされた対象は93人であった;37人(39.8%)の対象を登録した。19人(51.4%)の対象が漸増期間に入り、それを完了し、18人(48.6%)の対象が治療期間を完了した。1人の対象(2.7%)は、下痢の有害事象(AE)のために調査医薬品(IMP)を中止した。別の1人の対象(2.7%)は、治療期間の完了後、同意を取り下げた。19人の適格な対象はすべて、ITT、mITT、及び安全性分析セットに含まれた。20週目において≧60%のT1 Gd増強病変数のベースラインからの低下を実証した7人の対象が、反応者分析セットに含まれた。
人口統計及びベースライン特性
試験における対象の平均年齢は、27.1歳(19~38歳に及ぶ)であり、対象の大部分は<30歳であった(73.7%)。大抵の対象は女性であり(78.9%)、すべての対象は白色人種であった。19人の対象はすべてRRMSの診断を有しており、対象の大部分(89.5%)は、2回目の受診前24カ月間に1~2回の再発を報告していた。ベースラインにおけるEDSSスコアの中央値は2.00(1.5~3.5に及ぶ)であった。国立多発性硬化症協会(National Multiple Sclerosis Society、NMSS)参照集団に基づくベースラインにおけるMSFCスコアの中央値は0.470(-0.95~1.21に及ぶ)であった。T1 Gd増強病変の平均数及び平均体積は、それぞれ7.4(1~31に及ぶ)及び0.838mL(0.05~3.65mLに及ぶ)であった。
有効性の結果:
mITT分析セットを用いたノンパラメトリック分析に基づき、治療中(12、16及び20週目)のT1 Gd増強病変の平均数は、ベースラインに比べ統計的に有意に減少した(p = 0.0143)。位置変化のHodges-Lehmann推定値(95% CI)は、-1.3 (-6.3, 0.0)であった。同様に、新たなT1 Gd増強病変の平均数は、統計的に有意に減少した(p = 0.0106)。位置変化のHodges-Lehmann推定値(95% CI)は、-1.3 (-5.7, 0.0)であった。新たなT1 Gd増強病変の補助的分析の結果は、一次分析と一致していた。
すべての投与後評価において、平均のT1 Gd増強病変の数及び体積のベースラインからの数値減少が認められた。ベースラインにおける病変の平均数は7.4(1~31に及ぶ)であり、病変数のベースラインからの平均変化は-4.6~-1.6であった。ベースラインにおける平均病変体積は0.838mL(0.05~3.65mLに及ぶ)であり、病変体積のベースラインからの平均変化は-0.579~-0.225mLであった。同様に、0週目から各投与後評価までに平均のT1 Gd増強病変及び体積の数値減少が認められた。病変数の0週目からの平均変化は-3.5~-0.9であり、病変体積の0週目からの平均変化は-0.473~-0.157mLであった。新たなT1 Gd増強病変の数の中央値は、12週目(1.5)から試験終了まで同様であった(28週目の0.0~試験終了時の2.0)。新たな/拡大したT2病変数の中央値は12週目の8.0(0~89に及ぶ)から16週目の1.0(0~20に及ぶ)に減少し、その後の受診において数の中央値は1.0~3.0であった。
試験治療の間、3人(15.8%)の対象において単回の再発が生じた;残りの16人の対象については治療中の再発は報告されなかった。推定の平均ARRは2.60であった。これら3人の対象については、再発の発症が50日、59日及び89日目に起こり、再発を経験しない確率のKaplan-Meier推定値は、4週目の1.00から20週目の0.84に減少した。
ベースラインから治療終了時の受診までのEDSSスコアの変化は、統計的に有意でなかった。同様に、登録した対象から得たベースライン値、又はNMSSタスクフォースデータベースから得られた値を参照として用いた場合、ベースラインから治療終了時の受診までのMSFCスコアの変化は、統計的に有意でなかった。
反応者と考えられる7人の対象のうち4人(57.1%)について、維持された治療効果の平均百分率は≧85%であった。
安全性の結果:
全体として、78.9%の対象が試験の遂行中に少なくとも1つのTEAEを報告した;57.9%の対象におけるTEAEは、IMPに関連すると評価された。最も頻繁に報告されたTEAEは、注射部位紅斑(26.3%)、頭痛(21.1%)、及び鼻咽頭炎(15.8%)であった。
死亡、重篤なTEAE、又は深刻な強さ(severe intensity)のTEAEは報告されなかった。1人の対象は、下痢のTEAEのためにIMPを中止した。それは持続期間が長く、強さが中等度でありIMPに関連すると評価された。
大抵の対象についてTEAEの発症は、IMPの開始から<26日であった。
試験中のすべての注射部位反応(対象の36.8%)は軽度であり、最も頻繁に報告された症状は、紅斑、掻痒及び硬化であった。
3人の対象は、試験中に≧7%の体重減少を有した;その他の点では、臨床検査、バイタルサイン、又は心電図パラメータの臨床的に関連する変化はなかった。
結論:
ベースラインコントロール期間に比べた、治療期間中のT1 Gd増強病変の減少の中央値は、ノンパラメトリックなWilcoxonの符号付き順位検定に基づき、統計的に有意であった(p = 0.0143)。位置変化のHodges-Lehmann推定値(95% CI)は、-1.3 (-6.3, 0.0)であった。
負の二項及びポアソンGEEモデルを用いた補助的分析は、一致した結論をもたらした。ベースラインコントロール期間に比べ、治療期間中の新たなT1 Gd増強病変の平均の百分率低下は、統計的に有意であった(p値 = 0.0109)。負の二項モデルを用いたGEE推定の平均の百分率低下(95% CI)は、38.4%(10.6%, 57.6%)であった。
すべての投与後評価において、平均のT1 Gd増強病変の数及び体積の、ベースライン及び0週目からの数値減少が認められた。
新たな/拡大したT2病変の数の中央値は、12週目の8.0から16週目で1.0に減少し、その後の受診では1.0~3.0であった。
少数の対象(15.8%)のみが、試験中に再発を経験した。20週目までに再発を経験しないKaplan-Meier推定確率は、0.84である。
EDSS又はMSFCスコアでは、ベースラインから治療終了時の受診までの統計的に有意な変化は認められなかった。
反応者と考えられた7人の対象については、維持された治療効果の平均百分率は≧50%であった;しかし、これらの対象のうち3人は、極めて低いベースライン病変数を有していたため、100%の低下を達成した。
2週間毎にID投与されたATX-MS-1467 800μgでの治療後、安全性又は耐性の懸念は特定されなかった。
<実施例3>
実施例1及び2における2つの試験の結果を比較した。図1及び2に示されるように、新たな病変が有意に減少しており、両試験において有効性が確認された。しかし、図1は、用量漸増計画が有効性を最大化するのに重要であることを示している。1回目の試験で用いたより用量漸増は、新たな病変数の78%の低下をもたらしたのに対し、図2は、2回目の試験で用いた短期間の用量漸増計画がこのレベルの低下をもたらさなかったことを示している。一方、図2は、最大用量(800μg)での反復治療が有効性を引き延ばしたことを示している。従って、最大の有効性のためには、1回目の試験のより長期間の用量漸増を、2回目の試験で用いた最大用量での長期治療と組み合わせて用いるべきである。
<実施例4>
グレーブス病を有し、現在抗甲状腺療法で治療されていない男性及び女性の対象における、ATX-GD-59の安全性及び原理の証明の試験:皮内注射により投与する5つを超える用量レベルでの漸増を用いた非盲検試験。
方法:
HLA-DRB115、HLA-DRB103及び/又はHLA-DRB104陽性であり、現在抗甲状腺療法で治療されていない、グレーブス病を有する約12人の評価可能な対象における、ATX-GD-59の安全性、耐性及び有効性の非盲検用量漸増評価。
本明細書に記載の「ATX-GD-59」は、配列番号5及び6のRNB-5D-K1及びRNB-9Bペプチドを含む。
最初の4人の対象は、各対象の1回目の投与の間を最低48時間空けて、順番にリクルートした。最初の対象が2回目の投与を受け、安全性の懸念が特定されなければ、残りの対象の投与を開始した。
ATX-GD-59を5つの用量レベル(25、50、100、400及び800μgの注射)で漸増した後、800μgの注射をさらに5回注射した。すべての容量は全てのペプチドに基づく。
すべての用量は、14+/-3日間隔で皮内注射により投与した。
選択基準
1. 臨床及び検査所見から医師により評価されたグレーブス病の、及び抗甲状腺治療を受けていないという、診断。
2. 定量化可能なレベルのTSHR抗体。
3. 検出不可能なレベルの甲状腺刺激ホルモンを含む、遊離T3及び/又は遊離T4のレベルの上昇(それぞれ15 pmol/L及び35 pmol/Lを超えない)。
4.HLA-DRB115、HLA-DRB103及び/又はHLA-DRB104陽性。
5.インフォームドコンセントの時に18歳以上65歳以下。
6.対象は書面によるインフォームドコンセントを提供する意思があり、それをすることができ、プロトコルの評価/手順に従う意思がなければならない。
7.男性の対象は(生物学的に又は外科的に)不妊でなければならない、或いは、試験期間中、ATX-GD-59の最後の投与の少なくとも90日後までは信頼できる産児制限法の使用を約束しなければならない。
8.出産可能な女性の対象は、:
- 妊娠も、授乳も、妊娠を試みることもしていてはならず、かつ
- 試験の全期間にわたって及びATX-GD-59の最後の投与後の少なくとも90日間、以下に定義する非常に効果的な避妊法を使用しなければならない
除外基準
1.妊娠又は授乳している対象、及び/又は産後期間の対象。
2.治験責任医師の意見で、対象の試験への参加を除外する、反応の既往歴又は過敏性反応。
3.試験1日目の前の過去3か月以内の、任意の抗甲状腺薬、例えばカルビマゾールでの治療。
4.放射性ヨウ素での過去の治療、又は(部分的若しくは完全な)甲状腺摘出。
5.ステロイドを要する視神経圧迫及び/又は臨床活性スコア>3を含む中等度又は重度の眼窩疾患の徴候。
6.嚥下困難又は呼吸困難等の局所的な症状をもたらす巨大かつ圧縮性の甲状腺腫。
7.試験1日目の前3か月以内の、吸入ステロイドを除いた、ステロイド(経口及び/又は非経口経路により投与される)又は副腎皮質刺激ホルモンでの治療。
8.甲状腺機能亢進以外の原因を有しない錯乱、発熱等の甲状腺クリーゼ(thyroid storm)の症状及び徴候。
9.甲状腺中毒症の緊急治療を必要とする重大な心疾患、及び/又は心房細動。
10.リツキシマブを含む生物学的又はペプチドベースの治療法を用いた過去の治療。
11.グレーブス病を治療するための疾患関連T細胞ワクチン又はペプチド寛容化剤の以前の使用。
12.ATX-A内の任意のペプチドに特異的な血漿中の検出可能なレベルの抗体、重要な薬剤アレルギー暦。
13.試験1日目の前3か月以内の、任意の調査薬剤の使用、又は任意の臨床試験への参加。14.試験1日目の前3か月以内の、任意のサイトカイン又は抗サイトカイン療法での治療。15.スクリーニング受診時の、正常値の上限の>3倍の総ビリルビン、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)又はアルカリホスファターゼにより定義される、不適切な肝機能。
16.治験責任医師の意見で、試験への参加を不可能とする、又はインフォームドコンセントを提供する能力を害する、重大な医学疾患又は精神状態;任意の他の臨床的に明らかな自己免疫疾患を有する対象。
17.ATX-GD-59の最初の投与(試験1日目)の前4週間以内に、治験責任医師により判定された、臨床的に明らかな疾患。
18.活動性又は慢性の感染性疾患又は免疫機能を損なう任意の疾患(例えば、HIV+、HTLV-1、ライム病、潜伏性又は活動性TB、肝炎)の既往歴。
19.スクリーニング受診前4週間における大手術。
20.既知の骨粗しょう症又は代謝性骨疾患。
21.離脱基準
22.対象が、彼/彼女が継続することを妨げる重篤な又は重度の有害事象を経験する。
23.対象が、試験を継続することにより対象に対するリスクの増大をもたらす重大なプロトコル違反を招く。
24.対象が早期の中止を求める。
25.治験責任医師又は出資者の要請(例えば、対象の健康が試験を続けることにより損なわれる、又は対象がプロトコル若しくは試験手順に従う意思がない、若しくはそれをすることができない、と考えられる場合)。
26.対象が経過観察できなくなる。
27.対象が除外基準又はプロトコルにより禁止されている治療を必要とする。
28.対象が、ATX-GD-59のいずれかのペプチドに対し、有害な免疫反応の臨床徴候を伴う、抗薬剤抗体アッセイにおける強く増大した陽性反応を示す。これらは、ATX-GD-59での治療後の原因不明の悪寒、熱又はインフルエンザ様症状であり得る。
29.対象が妊娠する。
30.スクリーニング受診時のGD-59。
試験中の甲状腺中毒症の管理
・症状のある患者は、頻脈又は他の症状を制御するよう調整されたプロプラノロール(1日当たり160mgまで)で治療することができる。別のβアドレナリン受容体遮断が必要な場合は、これは試験医療監視者と合意されなければならない。
・β遮断薬の使用に禁忌がある場合(例えば、喘息)、律速カルシウムチャネル遮断薬(rate limiting calcium channel blocker)(例えばジルチアゼムMR、1日120~240mg)を代わりに使用することができる。これもまた、試験医療監視者と合意されなければならない。
以下の場合に、試験中の抗甲状腺薬の投与を指示する:
・対象が、2連続の計画された又は計画されていない受診において、トリガーレベルの遊離T3(>20pM)及び/又は遊離T4(>45pM)を有する。
・ベースライン(試験1日目)から>5kgの継続的な体重減少。
・>120bpmの持続性頻脈。
・甲状腺中毒症の緊急治療が必要となる重大な心臓事象。
・治験責任医師又は治療医師が、試験中任意の時点で、抗甲状腺薬を投与することが適切であると考える場合。
治療期間:
試験は、スクリーニング受診、18週間の投与期間、4週間後(最後の投与後)の有効性評価、及び8週間の経過観察期間から成る。
用量及び投与様式:
ATX-GD-59は、皮内注射の前に注射のために用量に応じて2つの異なる濃度のうち1つを与えるよう診療所で再構成される、2つのペプチドの凍結乾燥等モル混合物である。
用量強度(dose strength):
それぞれ注射用水及び0.9%食塩水で再構成された場合、4mg/mL及び0.5mg/mLの総ペプチド含有量。
安全性モニタリング及び分析:
対象を試験薬の投与後少なくとも2時間診療所で観察し、最初の1時間については15分間隔で、次の1時間については30分間隔で、バイタルサインを記録する。(治験責任医師の意見で)対象が良好である場合は、対象が診療所から去ることを許す。緊急電話番号を有する連絡カードを各対象に提供する。
対象は、家に持ち帰る日誌を与えられ、試験薬注射後少なくとも24時間の注射部位反応を記録する。
各対象の1回目の投与の間を最低48時間空けて、最初の4人の対象を順番にリクルートする。最初のATX-GD-59の投与後、及びその後、2回目(10週目)及び3回目(12週目)の800μgの投与の間に、治験責任医師及び出資者若しくは出資者の代理人により個々の対象の安全性データが確認される。最初の対象が2回目の投与(2週目)50μgを受け、安全性の懸念が特定されなかった場合にのみ、残りの対象の投与を開始する。
最初の5人の対象については、2回目の800μgの投与(10週目)後3回目(12週目)の800μgの投与前に、組み合わせた個々の対象の安全性データが治験責任医師及び出資者若しくは出資者の代理人により確認される。
最初の5人について組み合わせた安全性データは、最後の800μg(18週目)の用量の投与後、データモニタリング委員会(DMC)による中間検査に付される。
第一の目的
本試験の主要エンドポイントは、まず第一に、皮内投与経路による試験薬への暴露がグレーブス病に罹患した集団に害を及ぼさないことを保証する、安全性評価である。
22週目まで継続的に評価される、安全性エンドポイントは、以下である:
・日誌カードにおいて対象により報告される注射部位反応。
・治療関連の有害事象(Adverse Event)、重篤な有害事象、及びベースラインと比べた検査所見異常の発生。
・(継続的に報告され、ベースライン/スクリーニング時と比較される)身体検査の結果及びバイタルサイン。
・治療及び/又は試験の早期の終了及び早期の終了の理由。
第二の目的の評価基準:
・TSHR抗体レベル。
・抑制性TSHR抗体に対する刺激性TSHR抗体の比率。
・遊離T3、遊離T4及びTSH血清レベル。
探索的目的の評価基準:
・TSHR誘導PBMC T細胞活性。
・T細胞サイトカイン特性(cytokine signature)。
・IL-10経路及び関連遺伝子(mRNA)。
投与計画:
Figure 2023018042000008
結果
DMCにより、最初の5人の患者について、安全性データが分析された。安全性の問題は特定されなかった。
さらに、遊離T3並びにTSHR Abレベル(TRAB)データは以下を示した:
・5人の対象のうち3人が、T3及びTRABの減少を有した
・すべての対象が、刺激性TRABレベル(TSI)の減少を有した
・遊離T3及びTRABの%変化の間には強い相関(0.92)があった
・遊離T3及びTSIの%変化の間には優れた相関(0.84)があった
Figure 2023018042000009
本明細書において言及したすべての出版物は、参照により本明細書に組み込まれる。本発明の記載した方法及び使用の様々な改変及び変更は、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく当業者にとって明らかであろう。本発明は、特定の好ましい実施形態に関連して説明されているが、特許請求の範囲に記載の発明は、そのような特定の実施形態に過度に限定されるべきでないことは理解されるはずである。実際、分子生物学、免疫学、又は関連分野における当業者にとって明らかな、本発明を実施するための記載した様式の様々な改変は、特許請求の範囲に含まれることが意図される。
配列表
<110> WORG PHARMACEUTICALS (HANGZHOU) CO., LTD.

<120> THERAPEUTIC METHOD USING TOLEROGENIC PEPTIDES

<130> PA22-576

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<170> PatentIn version 3.5

<210> 1
<211> 15
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Synthetic peptide

<400> 1

Pro Arg His Arg Asp Thr Gly Ile Leu Asp Ser Ile Gly Arg Phe
1 5 10 15


<210> 2
<211> 17
<212> PRT
<213> Artificial sequence

<220>
<223> Synthetic peptide

<400> 2

Glu Asn Pro Val Val His Phe Phe Lys Asn Ile Val Thr Pro Arg Thr
1 5 10 15


Pro



<210> 3
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<212> PRT
<213> Artificial sequence

<220>
<223> Synthetic peptide

<400> 3

Ala Ser Asp Tyr Lys Ser Ala His Lys Gly Phe Lys Gly Val Asp
1 5 10 15


<210> 4
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<212> PRT
<213> Artificial sequence

<220>
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1 5 10 15


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<212> PRT
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Lys Lys Lys Lys Tyr Val Ser Ile Asp Val Thr Leu Gln Gln Leu Glu
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Ser His Lys Lys Lys
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<212> PRT
<213> Artificial sequence

<220>
<223> Synthetic peptide

<400> 6

Gly Leu Lys Met Phe Pro Asp Leu Thr Lys Val Tyr Ser Thr Asp
1 5 10 15
また、本発明の医薬組成物では、その又は各々のペプチドは、任意の適切な結合剤、潤滑剤、懸濁化剤、コーティング剤又は可溶化剤と混合され得る。
本発明は以下の態様も提供する。
[1] 対象において異常な免疫寛容に関連する状態(自己免疫疾患)を治療又は予防する方法であって、以下の用量で用量漸増プロトコルにより寛容原性ペプチドを患者に投与することを含む、方法:
1日目:約15~約40μgの1回目の用量;
14日±7日目:約35~65μgの2回目の用量;
28日±7日目:約80~120μgの3回目の用量;
42日±7日目:約300~500μgの4回目の用量;
56日±7日目:約600~1500μgの5回目の用量;
70日±7日目:約600~1500μgの6回目の用量;
84日±7日目:約600~1500μgの7回目の用量;
98日±7日目:約600~1500μgの8回目の用量;
112日±7日目:約600~1500μgの9回目の用量;及び
126日±7日目:約600~1500μgの10回目の用量。
[2] 1回目の用量が約25μg、好ましくは25μgである、[1]に記載の方法。
[3] 2回目の用量が約50μg、好ましくは50μgである、[1]又は[2]に記載の方法。[4] 3回目の用量が約100μg、好ましくは100μgである、[1]~[3]のいずれかに記載の方法。
[5] 4回目の用量が約400μg、好ましくは400μgである、[1]~[4]のいずれかに記載の方法。
[6] 約600~10001500μgの11回目の用量が140±7日目に投与される、[1]~[5]のいずれかに記載の方法。
[7] 約600~1500μgの12回目の用量が154±7日目に投与される、[1]~[6]のいずれかに記載の方法。
[8] 約600~1500μgの13回目の用量が168±7日目に投与される、[1]~[8]のいずれかに記載の方法。
[9] 5、6、7、8、9及び10回目、並びに任意で11、12及び13回目の用量が、各々約800μg、好ましくは800μgである、[1]~[8]のいずれかに記載の方法。
[10] ペプチドの投与が皮内である、[1]~[9]のいずれかに記載の方法。
[11] 対象がヒトである、[1]~[10]のいずれかに記載の方法。
[12] 寛容原性ペプチドが、MBP 30-44 (配列番号1); 83-99 (配列番号2); 131-145 (配列番号3)及び140-154 (配列番号4)から選択される、[1]~[11]のいずれかに記載の方法。
[13] MBP 30-44; 83-99; 131-145及び140-154が投与される、[12]に記載の方法。[14] 寛容原性ペプチドが、RNB-5D-K1 (配列番号5)及びRNB-9B (配列番号6)から選択される、[1]~[11]のいずれかに記載の方法。
[15] RNB-5D-K1 (配列番号5)及びRNB-9B (配列番号6)が投与される、[14]に記載の方法。
[16] 前記状態が、過敏性障害である、[1]~[15]のいずれかに記載の方法。
[17] 過敏性障害が、アレルギー、自己免疫疾患、及び移植若しくは移植片拒絶から選択される、[16]に記載の方法。
[18] アレルギーが、枯草熱、外因性ぜんそく、昆虫咬傷及び刺傷アレルギー、食物及び薬剤アレルギー、アレルギー性鼻炎、気管支ぜんそく、慢性気管支炎、アナフィラキシー症候群、蕁麻疹、血管性浮腫、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、結節性紅斑、多形性紅斑、スティーヴンズ・ジョンソン症候群、鼻結膜炎、結膜炎、皮膚壊死性細静脈炎(cutaneous necrotizing venulitis)、炎症性肺疾患、並びに水疱性皮膚疾患から選択される、[17]に記載の方法。
[19] 自己免疫疾患が、リウマチ性関節炎(RA)、重症筋無力症(MG)、多発性硬化症(MS)、全身性エリテマトーデス(SLE)、自己免疫性甲状腺炎(橋本甲状腺炎)、グレーブス病、ぶどう膜炎(中間部ぶどう膜炎を含む)、炎症性腸疾患、自己免疫性ぶどう膜網膜炎、多発性筋炎及び特定の型の糖尿病、全身性血管炎、多発性筋炎-皮膚筋炎、全身性硬化症(強皮症)、シェーグレン症候群、強直性脊椎炎及び関連の脊椎関節症、リウマチ熱、過敏性肺炎、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、無機塵肺症(inorganic dust pneumoconioses)、サルコイドーシス、自己免疫性溶血性貧血、免疫学的血小板障害、クリオフィブリノゲン血症等の寒冷症、並びに自己免疫性多腺性内分泌障害から選択される、[17]に記載の方法。
[20] 前記状態が、多発性硬化症又は視神経炎、好ましくは多発性硬化症である、[1]~[19]のいずれかに記載の方法。
[21] 前記状態が、グレーブス病である、[1]~[19]のいずれかに記載の方法。
[22] 移植臓器が、腎臓、肝臓、心肺、皮膚、角膜及び骨髄から選択され、及び/又は移植片が、角膜及び骨髄から選択される、[17]に記載の方法。
[23] 異常な免疫寛容に関連する状態の治療又は予防における使用のための寛容原性ペプチドであって、以下の用量での用量漸増プロトコルによる投与のためのものである、寛容原性ペプチド:
1日目:約15~約40μgの1回目の用量;
14日±7日目:約35~65μgの2回目の用量;
28日±7日目:約80~120μgの3回目の用量;
42日±7日目:約300~500μgの4回目の用量;
56日±7日目:約600~1500μgの5回目の用量;
70日±7日目:約600~1500μgの6回目の用量;
84日±7日目:約600~1500μgの7回目の用量;
98日±7日目:約600~1500μgの8回目の用量;
112日±7日目:約600~1500μgの9回目の用量;及び
126日±7日目:約600~1500μgの10回目の用量。
[24] 異常な免疫寛容に関連する状態の治療又は予防における使用のための医薬の製造における寛容原性ペプチドの使用であって、任意で前記状態は、多発性硬化症ではなく、前記医薬は、以下の用量での用量漸増プロトコルによる投与のためのものである、使用:
1日目:約15~約40μgの1回目の用量;
14日±7日目:約35~65μgの2回目の用量;
28日±7日目:約80~120μgの3回目の用量;
42日±7日目:約300~500μgの4回目の用量;
56日±7日目:約600~1500μgの5回目の用量;
70日±7日目:約600~1500μgの6回目の用量;
84日±7日目:約600~1500μgの7回目の用量;
98日±7日目:約600~1500μgの8回目の用量;
112日±7日目:約600~1500μgの9回目の用量;及び
126日±7日目:約600~1500μgの10回目の用量。
[25] ペプチドの用量が[2]~[9]のいずれかに定義される通りであり、投与経路が[10]に定義される通りであり、対象が[11]に定義される通りであり、ペプチドが[12]~[15]のいずれかに定義される通りであり、及び/又は前記状態が[16]~[22]のいずれかに定義される通りである、[23]に記載の使用のための寛容原性ペプチド、又は[24]に記載の医薬の製造における寛容原性ペプチドの使用。

Claims (25)

  1. 対象において異常な免疫寛容に関連する状態(自己免疫疾患)を治療又は予防する方法であって、以下の用量で用量漸増プロトコルにより寛容原性ペプチドを患者に投与することを含む、方法:
    1日目:約15~約40μgの1回目の用量;
    14日±7日目:約35~65μgの2回目の用量;
    28日±7日目:約80~120μgの3回目の用量;
    42日±7日目:約300~500μgの4回目の用量;
    56日±7日目:約600~1500μgの5回目の用量;
    70日±7日目:約600~1500μgの6回目の用量;
    84日±7日目:約600~1500μgの7回目の用量;
    98日±7日目:約600~1500μgの8回目の用量;
    112日±7日目:約600~1500μgの9回目の用量;及び
    126日±7日目:約600~1500μgの10回目の用量。
  2. 1回目の用量が約25μg、好ましくは25μgである、請求項1に記載の方法。
  3. 2回目の用量が約50μg、好ましくは50μgである、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 3回目の用量が約100μg、好ましくは100μgである、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 4回目の用量が約400μg、好ましくは400μgである、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 約600~10001500μgの11回目の用量が140±7日目に投与される、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 約600~1500μgの12回目の用量が154±7日目に投与される、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 約600~1500μgの13回目の用量が168±7日目に投与される、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
  9. 5、6、7、8、9及び10回目、並びに任意で11、12及び13回目の用量が、各々約800μg、好ましくは800μgである、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
  10. ペプチドの投与が皮内である、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 対象がヒトである、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 寛容原性ペプチドが、MBP 30-44 (配列番号1); 83-99 (配列番号2); 131-145 (配列番号3)及び140-154 (配列番号4)から選択される、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
  13. MBP 30-44; 83-99; 131-145及び140-154が投与される、請求項12に記載の方法。
  14. 寛容原性ペプチドが、RNB-5D-K1 (配列番号5)及びRNB-9B (配列番号6)から選択される、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
  15. RNB-5D-K1 (配列番号5)及びRNB-9B (配列番号6)が投与される、請求項14に記載の方法。
  16. 前記状態が、過敏性障害である、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
  17. 過敏性障害が、アレルギー、自己免疫疾患、及び移植若しくは移植片拒絶から選択される、請求項16に記載の方法。
  18. アレルギーが、枯草熱、外因性ぜんそく、昆虫咬傷及び刺傷アレルギー、食物及び薬剤アレルギー、アレルギー性鼻炎、気管支ぜんそく、慢性気管支炎、アナフィラキシー症候群、蕁麻疹、血管性浮腫、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、結節性紅斑、多形性紅斑、スティーヴンズ・ジョンソン症候群、鼻結膜炎、結膜炎、皮膚壊死性細静脈炎(cutaneous necrotizing venulitis)、炎症性肺疾患、並びに水疱性皮膚疾患から選択される、請求項17に記載の方法。
  19. 自己免疫疾患が、リウマチ性関節炎(RA)、重症筋無力症(MG)、多発性硬化症(MS)、全身性エリテマトーデス(SLE)、自己免疫性甲状腺炎(橋本甲状腺炎)、グレーブス病、ぶどう膜炎(中間部ぶどう膜炎を含む)、炎症性腸疾患、自己免疫性ぶどう膜網膜炎、多発性筋炎及び特定の型の糖尿病、全身性血管炎、多発性筋炎-皮膚筋炎、全身性硬化症(強皮症)、シェーグレン症候群、強直性脊椎炎及び関連の脊椎関節症、リウマチ熱、過敏性肺炎、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、無機塵肺症(inorganic dust pneumoconioses)、サルコイドーシス、自己免疫性溶血性貧血、免疫学的血小板障害、クリオフィブリノゲン血症等の寒冷症、並びに自己免疫性多腺性内分泌障害から選択される、請求項17に記載の方法。
  20. 前記状態が、多発性硬化症又は視神経炎、好ましくは多発性硬化症である、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
  21. 前記状態が、グレーブス病である、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
  22. 移植臓器が、腎臓、肝臓、心肺、皮膚、角膜及び骨髄から選択され、及び/又は移植片が、角膜及び骨髄から選択される、請求項17に記載の方法。
  23. 異常な免疫寛容に関連する状態の治療又は予防における使用のための寛容原性ペプチドであって、以下の用量での用量漸増プロトコルによる投与のためのものである、寛容原性ペプチド:
    1日目:約15~約40μgの1回目の用量;
    14日±7日目:約35~65μgの2回目の用量;
    28日±7日目:約80~120μgの3回目の用量;
    42日±7日目:約300~500μgの4回目の用量;
    56日±7日目:約600~1500μgの5回目の用量;
    70日±7日目:約600~1500μgの6回目の用量;
    84日±7日目:約600~1500μgの7回目の用量;
    98日±7日目:約600~1500μgの8回目の用量;
    112日±7日目:約600~1500μgの9回目の用量;及び
    126日±7日目:約600~1500μgの10回目の用量。
  24. 異常な免疫寛容に関連する状態の治療又は予防における使用のための医薬の製造における寛容原性ペプチドの使用であって、任意で前記状態は、多発性硬化症ではなく、前記医薬は、以下の用量での用量漸増プロトコルによる投与のためのものである、使用:
    1日目:約15~約40μgの1回目の用量;
    14日±7日目:約35~65μgの2回目の用量;
    28日±7日目:約80~120μgの3回目の用量;
    42日±7日目:約300~500μgの4回目の用量;
    56日±7日目:約600~1500μgの5回目の用量;
    70日±7日目:約600~1500μgの6回目の用量;
    84日±7日目:約600~1500μgの7回目の用量;
    98日±7日目:約600~1500μgの8回目の用量;
    112日±7日目:約600~1500μgの9回目の用量;及び
    126日±7日目:約600~1500μgの10回目の用量。
  25. ペプチドの用量が請求項2~9のいずれか1項に定義される通りであり、投与経路が請求項10に定義される通りであり、対象が請求項11に定義される通りであり、ペプチドが請求項12~15のいずれか1項に定義される通りであり、及び/又は前記状態が請求項16~22のいずれか1項に定義される通りである、請求項23に記載の使用のための寛容原性ペプチド、又は請求項24に記載の医薬の製造における寛容原性ペプチドの使用。
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