JP2015536344A - 外胚葉異形成症の治療のための組成物及び方法 - Google Patents

外胚葉異形成症の治療のための組成物及び方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、EDAアゴニスト、特にEDI200の投与によって外胚葉のディスプラジアを治療するための医薬組成物及び方法に関する。記載された組成物及び方法の使用により、遺伝障害、特にXLHEDに関連した異常な表現型を矯正又は変更するためのヒト患者における治療的投薬及び投与レジメンが可能となる。

Description

本発明は、XLHEDと診断されたか又はXLHEDに罹患している個体における外胚葉異形成症の1以上の表現型像の、治療、矯正、変更、緩和、及び修正のうち少なくともいずれかを行うための、医薬化合物、組成物、組み合わせ及び製剤、方法、アッセイ並びにキットに関する。
X連鎖低汗性外胚葉異形成症(X−linked hypohidrotic ectodermal dysplasia、XLHED)は、まれなX染色体連鎖遺伝病である。これは、外胚葉性構造物の少なくとも1つの根本的な形態学的欠損という特性を有する170種を超える一連の遺伝病である外胚葉異形成症の、最も一般的なものである(非特許文献1)。外胚葉の胚発生は、表皮及び関連構造物、例えば汗腺、脂線、乳腺、瞼板腺、毛嚢及び爪などの発生に寄与する。外胚葉の派生物には、口腔の前方2/3、並びに唾液腺の上皮、歯のエナメル、舌の被覆部、及び下垂体の一部を含む構造も含まれる。XLHEDの臨床的な特性は、細く薄い毛髪(乏毛症);少数で多くの場合尖状の歯(顕著な乏歯症);生命にかかわる高体温のリスク上昇を伴う外分泌機能の減少又は欠如(発汗減少症);並びに、分泌腺機能の低下を伴う重篤で臨床的に重大な呼吸器感染症に罹患しやすい体質、である。ヒトのほかに、該疾患はイヌ、マウス及び畜牛においても同定されている。
XLHEDは、染色体座XqI2.q13.1のEDA遺伝子の突然変異を原因とする(非特許文献2)。EDA遺伝子はいくつかのスプライスバリアントをコードし、そのうち最長のものは、TNFファミリーのメンバーでありTNFファミリーの同族の受容体EDARに特異的に結合する391アミノ酸のタンパク質EDA‐A1をコードする。マウス及びイヌにおける置換研究から、EDA‐A1がEDA/EDARシグナル伝達経路を活性化するのに必要な唯一のEDA遺伝子産物であることが確認されている(非特許文献3及び4)。
EDA‐A1/EDAR対は、エクトジスプラシン‐A受容体関連デスドメイン(EDARADD)と呼ばれるアダプター分子及び転写因子の核内因子カッパB(NF‐κΒ)経路を通じてシグナル伝達を行う(非特許文献5〜8)。EDA‐A1とEDARとの相互作用は、上皮‐間充織相互作用並びに胚における外胚葉性付属器官の形成及び器官発生を調節する経路と緊密に関連した調節的役割を果たす(非特許文献9)。
したがって、機能的なEDA‐A1タンパク質を合成することのできない遺伝子型では、不完全な外胚葉発生に起因するXLHED表現型が生じる。EDA‐A1は、初期発生中に毛嚢及び歯蕾の形態形成に関与することが示されている。EDA‐A1機能障害に関連した表現型は、薄毛又は無毛、欠損歯及び奇形歯のうち少なくともいずれか、エクリン腺減形成、再発性良性感染症、並びに気管支炎及び肺炎への罹病性増大という特性を有する(非特許文献10及び11)。発汗できないことにより引き起こされる高体温に起因する患児の疾病率及び死亡率は重大である。重大な病的状態には、呼吸器感染症のリスク増大、ドライアイによる眼疾患、並びに歯の異常(晩期生歯、円錐歯冠(楔形の歯)及び乏歯症)に起因する咀嚼困難、成長遅延、外見不良(poor appearance)、及び発語障害が挙げられる。XLHEDはX染色体連鎖型の遺伝病であるので、臨床的表現型は罹患した雄においては一貫して重症であり、ヘテロ接合の雌ではランダムなX染色体不活性化の結果として変動が激しい。
XLHEDの最初のモデルは、Black6系統から大型のものを選択した結果として体毛及び歯の発達が異常な亜系統の自然出現に至ったマウスにおいて同定された。罹患動物(ヘテロ接合の雌の毛皮のパターン形成が縞柄(タビー)のネコの毛皮のパターン形成に類似していることから「タビーマウス」と命名)は、フレームシフト突然変異により機能的なEDAタンパク質を欠く結果、正常な歯、体毛及び汗腺の形態形成にとって重要な、受容体結合及びシグナル伝達に必要なドメインを持たない(非特許文献12及び13)。その結果、これらのマウスには汗腺がなく尾部に体毛がない。タビーマウスは現在XLHEDについて広く用いられているモデルである。
XLHED研究において使用されてきた該疾患のイヌモデルがある。あるジャーマンシェパードの子犬について、ヒトのXLHEDに類似の表現型を有することが同定され(非特許文献14)、かつ、その効果は後にビーグル犬の系統へ受け継がれ、該系統は実験室での実験作業により一般的に使用されている。EDA突然変異を担持しているビーグル犬は多くの重要な点においてヒトの表現型と等価な表現型を示す。イヌモデルの利点には、高いゲノコピー/フェノコピー(geno−/pheno−copy)及び誕生時にヒトの発生成熟とかなり類似していることが含まれる一方、欠点としては経胎盤的免疫グロブリン輸送がごく少ないことが挙げられる。
まとめると、XLHEDとは、生命の最初の数年における高体温及び呼吸器感染症の合併症に続発する重症かつ生命にかかわる障害と、その後の重大かつ生涯にわたる健康及び生活の質の問題である(非特許文献15)。XLHEDの患者のために承認された満足のゆく治療は存在していない。
動物モデルにおけるXLHEDに関連した表現型像の矯正、変更及び緩和のうち少なくともいずれかは、EDA受容体の組換え型リガンドの投与により遂行されている。以前に同定されたそのような組換え組成物には、2010年4月8日に出願された特許文献1に詳細に記載されたものが含まれるが、前記出願は2004年10月25日に出願された米国特許出願第10/503,999号、現在は認可された米国特許第7,736,657号の継続出願であり、前記出願は2002年8月21日に出願された国際特許出願PCT/EP2002/009354号の米国特許法第371条による米国を指定する国内移行出願であり、かつ、2002年2月10日に出願された独国特許出願第10205368.5号及び2002年2月11日に出願された独国特許出願第10205583.1号の優先権の利益を主張するものであって、これらの内容は参照によりその全体が本願に組み込まれる。
本発明は、当分野のものとは異なる組換えのアミノ酸系化合物及び組成物であって、EDI200の単量体、多量体、バリアント、フラグメント及び先述のものの組み合わせを含む、化合物及び組成物を提供する。さらに提供されるのは、外胚葉の疾患、状態又は障害を有しているか又は有している疑いのある人を、そのようなEDI200の単量体、多量体、バリアント又はフラグメントを含む医薬組成物を用いて治療する方法である。
米国特許出願第12/756,268号明細書
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発明の概要
本発明によれば、ヒトにおける外胚葉異形成症の1以上の表現型像の治療及び変更のうち少なくともいずれかを行うための、かつ具体的にはXLHEDに関連した状態の治療及び改善のうち少なくともいずれかにおける、EDAアゴニスト、特にEDI200の投与のための、方法及び組成物が提供される。
いくつかの実施形態では、本発明は、EDI200と、薬学的に許容可能な添加剤とを含む医薬組成物を含む。EDI200は、少なくとも1個のタンパク質単量体、2個のタンパク質単量体、3個のタンパク質単量体、4個のタンパク質単量体、5個のタンパク質単量体又は6個のタンパク質単量体であって、配列番号1で記載される単量体を含む。
EDI200単量体は、グリコシル化、シアル化又はその他の方法で翻訳後修飾されてもよい。グリコシル化は任意のアミノ酸についてなされうる。いくつかの実施形態では、グリコシル化は1以上のアスパラギン残基についてなされる。いくつかの実施形態では、グリコシル化はAsn76及びAsn302のうち少なくともいずれかについてなされる。
本発明によれば、1以上のEDI200ポリペプチドを含む医薬組成物を用いた疾患又は状態の治療のための方法が提供される。そのような疾患又は状態は外胚葉異形成症であってよい。いくつかの実施形態では、外胚葉異形成症はEDA‐A1の欠損を原因とする。他の実施形態では、外胚葉異形成症は、EDA受容体の遺伝子及びタンパク質のうち少なくともいずれかにおけるミスセンス、ナンセンス又はその他の変質を原因とする。いくつかの実施形態では、外胚葉異形成症のある種の表現型像又は症状発現は、EDI200医薬組成物の投与によって変更されうる。これらには、限定するものではないが、欠損歯、異常な形状の歯、汗腺の異常形態又は欠如、瞼板腺の欠如、上気道の腺の欠如、脂線の欠如、唾液腺の欠如、様々な種類の毛の欠如又は異常形態、及び脱毛が挙げられる。
いくつかの実施形態では、外胚葉異形成症はX連鎖低汗性外胚葉異形成症(XLHED)である。
EDI200医薬組成物の投薬は、薬学的に許容可能な添加剤又は送達用作用薬を備えた単位投与形態におけるものであってよい。
いくつかの実施形態では、添加剤はリン酸ナトリウム及び塩化ナトリウムを含む希釈剤である。添加剤はさらに1以上の表面活性剤及び洗浄剤のうち少なくともいずれかを含むこともできる。
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約0.5%のEDI200、約20mMのリン酸ナトリウム、約300mMの塩化ナトリウム及び体積比で約0.02%のポリソルベート20を含む。
いくつかの実施形態では、単位用量は約1mg/kg〜約200mg/kgである。いくつかの実施形態では、単位用量は約1mg/kg〜約100mg/kgである。
いくつかの実施形態では、外胚葉異形成症と診断されたか又は外胚葉異形成症の疑いのあるヒトにおいて外胚葉異形成症の1以上の表現型像を矯正、変更又は緩和する方法であって、前記ヒトにEDI200を含む医薬組成物を投与することを含む方法が提供される。EDI200医薬組成物は、注入速度が約0.1ml/kg/hr(時)〜約1ml/kg/時、約0.5ml/kg/時〜約5ml/kg/時、約1.5ml/kg/時〜約10ml/kg/時、又は約3ml/kg/時〜約20ml/kg/時からなる群から選択される連続注入を使用して静脈注射によって投与されてもよく、連続注入は、約1分〜約1時間、約5分〜約2時間、約10分〜約3時間、約30分〜約4時間、約45分〜約5時間及び少なくとも5時間からなる群から選択される期間にわたってなされうる。
いくつかの実施形態では、ヒトへの投与はそのヒトの母親への子宮内投与を経由する。いくつかの実施形態では、投与は羊水中に直接行われる。いくつかの実施形態では、投与は、羊膜腔、子宮腔、臍帯、胎盤、胎盤の絨毛、任意の構造物、内腔又は脈管であって妊娠に関連するものからなる群から選択される。この実施形態では、投与は妊娠中のいかなる時間に行われてもよい。投与は、ヒトの誕生直後、及び/又は幼年期を通じて、及び/又は成年期においても行われうる。
いくつかの実施形態では、個体への投与は罹患対象者の授乳中の母親の乳汁を経由する
。この実施形態では、投与は、妊娠中又は出産後のいずれかの母親に対し、かつ、外胚葉異形成症、特にXLHEDの治療のために罹患した子供に医薬品成分EDI200を送達するのに十分なアデュレーション(aduration)に関するものである。母親への投与の期間は、数時間、数日、数週間又は数か月にわたってもよい。
いくつかの実施形態では、母親について、投与に先立ち羊水穿刺のような当分野の方法で試験が行われる。ある実施形態では、母親又は罹患個体の家族について、本発明の化合物又は組成物の投与に先立ちマーカー、遺伝子型、パターンに関して試験が行われるか、又は表現型像について評価が行われる。
詳細な説明
別途定義されないかぎり、本明細書中で使用される技術用語及び科学用語はすべて本発明が属する分野の当業者が一般に理解しているのと同じ意味を有する。本明細書中に記載されたものに類似しているか又は等価である方法及び材料は、本発明で特記された方法の実践又は試験において使用可能であるが、適切な方法及び材料は、詳細な説明、実施例及び特許請求の範囲において以下に記載されている。
本発明は、特にXLHEDと診断されたか又はXLHEDに罹患している個体において、外胚葉異形成症の病因、臨床像又は1以上の症状の治療、矯正、変更、緩和及び修正のうち少なくともいずれかを行うための医薬化合物、組成物、組み合わせ及び製剤、方法、アッセイ並びにキットを提供する。
本発明の1つの実施形態には、EDI200を含む医薬組成物がある。EDI200は、ヒトIgG1のFc領域とEDA‐A1の受容体結合ドメイン(腫瘍壊死因子(TNF)ドメイン)とで構成されている、完全にヒト化されたFc融合タンパク質である。
いくつかの実施形態では、この生物学的に活性なタンパク質組成物はグリコシル化されており、主に、290kDaのおよその分子量を有する6個の同一の単量体分子種からなる六量体として存在する。EDI200の単量体分子種の配列は配列番号1として本明細書中に提供されている。
[本発明の化合物及び組成物]
本発明は、EDI200の単量体、多量体、バリアント、フラグメント及び前述のものの組み合わせのうち少なくともいずれかを含む、組換えのアミノ酸系(例えばポリペプチド)化合物及び組成物を提供する。
本発明によれば、用語「EDI200」は、ヒトの免疫グロブリンGの定常領域(IgG Fc)のC末端とヒトEDA‐A1の受容体結合ドメイン(腫瘍壊死因子(TNF)ドメインとの間の、完全にヒト化された融合タンパク質を指す。EDI200は主に、6個の同一の単量体ポリペチド(polypetide)からなる、グリコシル化された六量体として存在する。単量体ポリペプチドは配列番号1で表わされている。
いくつかの実施形態では、EDI200は完全に六量体のみとして存在する。いくつかの実施形態では、EDI200は、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%又は99%を超える六量体形態で存在し、かつ尚も活性を維持している。
本発明のEDI200化合物及び組成物は、単一のポリペプチド単量体、複数のポリペプチド又はポリペプチドのフラグメントであって、1以上の核酸、複数の核酸、核酸のフラグメント又は前述のもののうちのいずれかのバリアントによって独立にコードされうる
ものとして存在しうる。
本明細書中で使用されるように、「ポリペプチド」は、最も多くの場合はペプチド結合によってともに連結されたアミノ酸残基(天然又は非天然)のポリマーを意味する。該用語は、本明細書中で使用されるように、任意の大きさ、構造、又は機能の、タンパク質、ポリペプチド、及びペプチドを指す。いくつかの実例では、コードされるポリペプチドは約50アミノ酸より小さく、このとき該ポリペプチドはペプチドと称される。ポリペプチドがペプチドである場合、少なくとも約2、3、4、又は少なくとも5アミノ酸残基の長さになるであろう。よって、ポリペプチドには、遺伝子産物、天然に存在するポリペプチド、合成ポリペプチド、ホモログ、オーソログ、パラログ、フラグメント並びに前述のものの他の等価物、バリアント及びアナログが挙げられる。ポリペプチドは単一の分子であってもよいし、二量体、三量体又は四量体のような多分子複合体であってもよい。それらは単鎖又は多重鎖のポリペプチドを含むことも可能であり、かつ会合又は連結していてもよい。ポリペプチドという用語はさらに、アミノ酸ポリマーであって、1以上のアミノ酸残基が対応する天然アミノ酸の人工的化学アナログであるものにも当てはまる。
用語「ポリペプチドバリアント」は、そのアミノ酸配列が未変性又は基準の配列とは異なる分子を指す。アミノ酸配列のバリアントは、未変性又は基準の配列と比較して、アミノ酸配列内のある位置に置換、欠失、及び挿入のうち少なくともいずれかを所有しうる。通常、バリアントは未変性又は基準の配列に対して少なくとも約50%の同一性(相同性)を所有することになり、好ましくは、バリアントは未変性又は基準の配列と少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%同一(相同)となる。
いくつかの実施形態では「バリアント模倣体」が提供される。本明細書中で使用されるように、用語「バリアント模倣体」は、活性化配列を模倣するであろう1以上のアミノ酸を含有するものである。例えば、グルタミン酸は、ホスホロトレオニン及びホスホロセリンのうち少なくともいずれかの模倣体としての役割を果たしうる。別例として、バリアント模倣体は、結果的に失活を、又は模倣体を含有する不活性生成物をもたらす場合もあり、例えば、フェニルアラニンはチロシンの不活性化置換として作用してもよいし;アラニンはセリンの不活性化置換として作用してもよい。
「相同性」とは、アミノ酸配列に適用されるとき、配列をアラインメントして必要であれば最大の相同性(%)を達成するためにギャップを導入した後の、候補アミノ酸配列中の、別の配列のアミノ酸配列中の残基と同一の残基の割合(%)として定義される。アラインメントのための方法及びコンピュータプログラムは当分野において良く知られている。当然のことであるが、相同性は同一性(%)の計算に依存するが、計算において導入されたギャップ及びペナルティが原因で値が異なる場合がある。
本明細書中で使用されるように、ポリペプチド配列に適用されるとき用語「ホモログ」は2以上の生物種の間でほぼ同一であるポリペプチド配列を指す。
「アナログ」は、1以上のアミノ酸の変更、例えばアミノ酸残基の置換、付加又は欠失により異なっているポリペプチドバリアントであって、親ポリペプチド又は出発ポリペプチドの性質のうち1以上をなおも維持しているものを含むように意図されている。
本発明は、バリアント及び誘導体を含むポリペプチド系の数種類の組成物を企図している。これらには、置換型、挿入型、欠失型及び共有結合型のバリアント及び誘導体が含まれる。用語「誘導体」は用語「バリアント」と同義的に使用されるが、一般に基準分子又は出発分子に対して任意の方法で修飾及び変化のうち少なくともいずれかがなされた分子を指す。
そういうものとして、基準配列に対して置換、挿入及び/又は付加、欠失並びに共有結合性修飾を含有するポリペプチド、特に本明細書中に開示されたポリペプチド配列は、本発明の範囲内に含まれる。例えば、配列タグ又はアミノ酸、例えば1以上のリジンは、本発明のペプチド配列に(例えばN末端又はC末端に)付加されることが可能である。配列タグはペプチドの精製又は局在化のために使用可能である。リジンは、ペプチドの溶解度を上昇させるため、又はビオチン化を可能にするために使用可能である。別例として、ペプチド又はタンパク質のアミノ酸配列のカルボキシ及びアミノ末端領域に位置するアミノ酸残基が任意選択で欠失せしめられて短縮配列が提供されてもよい。ある種のアミノ酸(例えばC末端又はN末端の残基)が、配列の用途に応じて、例えば可溶性であるか又は固体支持体に連結されるより大きな配列の一部として該配列を発現するときに、選択的に欠失せしめられてもよい。
「置換型バリアント」は、ポリペプチドに言及している場合、未変性配列又は出発配列中の少なくとも1つのアミノ酸残基が取り除かれて同じ位置のその場所に異なるアミノ酸が挿入されているものである。置換は、分子中のアミノ酸が1つだけ置換される単一置換であってもよいし、同じ分子中で2以上のアミノ酸が置換される多重置換であってもよい。
本明細書中で使用されるように、用語「保存的アミノ酸置換」は、配列中に通常存在するアミノ酸についての、大きさ、電荷又は極性が類似した異なるアミノ酸による置換を指す。保存的置換の例には、イソロイシン、バリン及びロイシンのような非極性(疎水性)残基による、別の非極性残基の置換が挙げられる。同様に、保存的置換の例には、例えばアルギニンとリジンとの間、グルタミンとアスパラギンとの間、及びグリシンとセリンとの間の、一方の極性(親水性)残基による他方の残基の置換が挙げられる。加えて、リジン、アルギニン若しくはヒスチジンのような塩基性残基による別のものとの置換、又はアスパラギン酸若しくはグルタミン酸のような1つの酸性残基による別の酸性残基との置換は、保存的置換のさらなる例である。非保存的置換の例には、イソロイシン、バリン、ロイシン、アラニン、メチオニンのような非極性(疎水性)アミノ酸残基による、システイン、グルタミン、グルタミン酸又はリジンのような極性(親水性)残基の置換、及び極性残基による非極性残基の置換、のうち少なくともいずれかが挙げられる。
「挿入型バリアント」は、ポリペプチドに言及している場合、未変性配列又は出発配列中の特定の位置のアミノ酸に直接隣接して挿入された1以上のアミノ酸を備えているポリペプチドである。アミノ酸に「直接隣接して」とは、そのアミノ酸のαカルボキシ又はαアミノのいずれかの官能基に接続されることを意味する。
「欠失型バリアント」は、ポリペプチドに言及している場合、未変性又は出発アミノ酸配列中の1以上のアミノ酸が除去されたポリペプチドである。通常、欠失型バリアントは分子の特定の領域内において1以上のアミノ酸が除去されることになる。
「共有結合性誘導体」には、ポリペプチドに言及している場合、タンパク質性又は非タンパク質性の有機誘導体化剤及び翻訳後修飾のうち少なくともいずれかを用いた、未変性又は出発タンパク質の修飾が含まれる。共有結合性の修飾は、伝統的には、タンパク質の標的アミノ酸残基を選択された側鎖若しくは末端残基と反応させることができる有機誘導体化剤と反応させることにより、又は選択された組換え宿主細胞の中で機能する翻訳後修飾のメカニズムを利用することにより、導入される。得られる共有結合性誘導体は、生物学的活性、イムノアッセイ、又は組換えタンパク質のイムノアフィニティ精製用の抗タンパク質抗体の調製にとって重要な残基の同定を目的としたプログラムにおいて有用である。そのような修飾は当分野の通常の技術の範囲内にあり、過度の実験作業を伴うことなく実施される。
ある種の翻訳後修飾は、発現されたポリペプチドに対する組換え宿主細胞の作用の結果である。グルタミニル残基及びアスパラギニル残基は、翻訳後に脱アミド化されて対応するグルタミル残基及びアスパルチル残基となることが多い。別例として、これらの残基は弱酸性の条件下で脱アミド化される。上記残基のうちいずれの形態も本発明に従って生産されたポリペプチド中に存在しうる。
その他の翻訳後修飾には、プロリン及びリジンのヒドロキシル化、セリル残基又はトレオニル残基の水酸基のリン酸化、リジン、アルギニン及びヒスチジン側鎖のαアミノ基のメチル化が挙げられる(クライトン(Creighton)、T.E.、「タンパク質:構造及び分子の性質(Proteins: Structure and Molecular Properties)」、米国サンフランシスコのW.H.フリーマン社(W.H. Freeman and Co.)、1983年、pp.79−86)。
「特徴」は、ポリペプチドを指す場合、分子の個別のアミノ酸配列に基づいた構成要素として定義される。本発明のポリペプチドの特徴には、表面顕示部(surface manifestation)、局所的な立体配座形状、折り畳み構造、ループ、半ループ、ドメイン、半ドメイン、部位、末端又はこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
ポリペプチドを指す場合に本明細書中で使用されるように、用語「表面顕示部」は、タンパク質のポリペプチドに基づいた構成要素であって最も外側の表面に現われているものを指す。
ポリペプチドを指す場合に本明細書中で使用されるように、用語「局所的な立体配座形状」は、タンパク質の定義可能な空間内に位置している該タンパク質のポリペプチドに基づいた構造的顕示部を意味する。
ポリペプチドを指す場合に本明細書中で使用されるように、用語「折り畳み構造」は、エネルギーを最小化したときに結果として生じるアミノ酸配列の立体配座を指す。折り畳み構造は二次レベル又は三次レベルのフォールディングプロセスで生じうる。二次レベルの折り畳み構造の例にはβシート及びαヘリックスが挙げられる。三次の折り畳み構造の例には、エネルギー力の凝集又は分離により形成されたドメイン及び領域が挙げられる。このようにして形成された領域には疎水性ポケット及び親水性ポケットなどが含まれる。
本明細書中で使用されるように、用語「ターン」は、該用語がタンパク質の立体配座に関する場合、ペプチド又はポリペプチドの主鎖の方向を変更し、かつ1、2、3個又はそれ以上のアミノ酸残基を含みうる屈曲部を意味する。
ポリペプチドを指す場合に本明細書中で使用されるように、用語「ループ」は、ペプチド又はポリペプチドの主鎖の方向を逆転する役割を果たしうる、ポリペプチドの構造的特徴を指す。ループがポリペプチド中に見出されて単に主鎖の方向を変更するだけである場合、該ループは4個以上のアミノ酸残基を含むことができる。オリバ(Oliva)らは少なくとも5種類のタンパク質ループを同定している(オリバ(Oliva)、B.ら、ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー(J Mol Biol)、1997年3月7日、第266巻、第4号、p.814−30)。ループは開いたループであっても閉じたループであってもよい。閉じたループ又は「環状」ループは、架橋部分どうしの間に2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれ以上のアミノ酸を含むことができる。そのような架橋部分は、ジスルフィド架橋を有するポリペプチドにおいて典型的なシステイン‐システイン架橋部(Cys‐Cys)を含むこともできるし、別例として、架橋部分は、本明細書中で使用されるジブロモジリル(dibromozylyl)剤のよう
に非タンパク質系であってもよい。
ポリペプチドを指す場合に本明細書中で使用されるように、用語「半ループ」は、同定されたループの一部分であって、由来元のループの少なくとも半数のアミノ酸リザイド(resides)を有しているものを指す。当然ながら、ループは必ずしも偶数のアミノ酸残基を包含するとは限らない。したがって、ループが奇数のアミノ酸を包含するか又は奇数のアミノ酸を含むと同定された場合、その奇数型ループの半ループは、該ループの整数の部分又は次の整数の部分(ループ/2±0.5アミノ酸というアミノ酸の数)を含むことになる。例えば、7アミノ酸のループであると同定されたループは、3アミノ酸又は4アミノ酸(7/2=3.5±0.5で3又は4となる)の半ループを生じると考えられる。
ポリペプチドを指す場合に本明細書中で使用されるように、用語「ドメイン」は、1以上の同定可能な構造的又は機能的な特性又は性質(例えばタンパク質間相互作用のための部位としての役割を果たす結合能力)を有しているポリペプチドのモチーフを指す。
ポリペプチドを指す場合に本明細書中で使用されるように、用語「半ドメイン」は、同定されたドメインの一部分であって由来元のドメインの少なくとも半数のアミノ酸リザイド(resides)を有している部分を意味する。当然ながら、ドメインは必ずしも偶数のアミノ酸残基を包含するとは限らない。したがって、ドメインが奇数のアミノ酸を包含するか又は奇数のアミノ酸を含むと同定された場合、その奇数型ドメインの半ドメインは、該ドメインの整数の部分又はその次の整数の部分(ドメイン/2±0.5アミノ酸というアミノ酸の数)を含むことになる。例えば、7アミノ酸のドメインであると同定されたドメインは、3アミノ酸又は4アミノ酸(7/2=3.5±0.5で3又は4となる)の半ドメインを生じると考えられる。さらに当然のことながら、サブドメインがドメイン内又は半ドメイン内で同定される場合もあり、これらのサブドメインは、由来元のドメイン又は半ドメインにおいて同定された構造的又は機能的性質の全ては所有していない。さらに当然のことながら、本明細書中のドメインの種類のうちいずれかを構成するアミノ酸は、ポリペプチドの主鎖に沿って連続している必要はない(すなわち、隣接していないアミノ酸が構造的に折り畳まれてドメイン、半ドメイン又はサブドメインを生じる場合もある。
ポリペプチドを指す場合に本明細書中で使用されるように、アミノ酸に基づいた実施形態に関する用語「部位」は、「アミノ酸残基」及び「アミノ酸側鎖」と同義的に使用される。部位とは、ペプチド又はポリペプチド内の位置であって、本発明のポリペプチド系分子内で修飾、操作、変更、誘導体化、又は変形が施されうる位置を表わす。
本明細書中で使用されるように用語「末端(termini 又はterminus)」とは、ポリペプチを指している場合、ペプチド又はポリペプチドの端を指す。そのような端は、該ペプチド又はポリペプチドの最初又は最後の部位のみに限定されるものではなく、末端領域内のさらなるアミノ酸を含みうる。本発明のポリペプチド系分子は、N末端(遊離アミノ基(NH2)を備えたアミノ酸を終端とする)及びC末端(遊離カルボキシル基(COOH)を備えたアミノ酸を終端とする)の両方を有するものとして見なすことができる。本発明のタンパク質は、ある場合には、ジスルフィド結合又は非共有結合性の力によって寄せ集められた複数のポリペプチド鎖で構成される(多量体、オリゴマー)。この種のタンパク質は複数のN末端及びC末端を有することになる。別例として、ポリペプチドの末端は、該ポリペプチドが場合によっては有機コンジュゲートのような非ポリペプチドに基づいた構成部分で開始又は終了するように修飾されてもよい。
特徴のうちいずれかがポリペプチドの所望の構成要素として同定又は定義されると、こ
れらの特徴についてのいくつかの操作及び/又は修飾のうちいずれかは、移動、交換、反転、欠失、ランダム化又は複製により実施されうる。更に、当然ながら、特徴の操作により本発明の分子に対する修飾と同じ成果がもたらされる場合もある。例えば、ドメインを欠失することを伴った操作は、ちょうど完全長に満たない分子をコードするように核酸を修飾することでもたらされるような分子の長さの変更をもたらすであろう。
修飾及び操作は、例えば、限定するものではないが、部位特異的突然変異誘発のような当分野で既知の方法によって遂行可能である。結果として生じる修飾分子は次に、本明細書中に記載されたもののようなin vitro若しくはin vivoのアッセイ、又は当分野で既知の任意の他の適当なスクリーニングアッセイを使用して、活性に関して試験されうる。
本発明によれば、ポリペプチドは、実験作業の繰り返しによって発見されるコンセンサス配列を含むことができる。本明細書中で使用されるように、「コンセンサス」配列は、1又はそれ以上の部位における変動性を許容した集合的な配列集団を表わす単一の配列である。
当業者によって認識されるように、タンパク質フラグメント、機能性タンパク質ドメイン、及び相同タンパク質も本発明のポリペプチドの範囲内にあると考えられる。例えば、本明細書中に提供されるのは、長さが10、20、30、40、50、60、70、80、90、100アミノ酸であるか又は100アミノ酸を超える、基準のタンパク質の任意のタンパク質フラグメント(基準のポリペプチド配列より少なくとも1アミノ酸残基短いがその他の点では同一なポリペプチド配列を意味する)である。別例においては、本明細書中に記載された配列のうち任意のものに約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、又は約100%同一である、約20、約30、約40、約50、又は約100個の一続きのアミノ酸を含んだ任意のタンパク質が、本発明に従って利用可能である。ある実施形態では、本発明に従って利用されるポリペプチドは、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれ以上の、本明細書中において提供又は参照された配列のうち任意のものにおいて示されるような突然変異を含んでいる。
用語「同一性」は、当分野で知られているように、配列の比較により決定されるような、2以上のペプチドの配列の関係を指す。当分野では、同一性は、2以上のアミノ酸残基の鎖の間の一致の数によって決定されるような、ペプチド間の配列関係性の程度をも意味する。同一性は、特定の数理モデルコンピュータプログラム(すなわち「アルゴリズム」)によって扱われる、ギャップアラインメント(存在する場合)を備えた2以上の配列のうち小さいほうの間の完全一致の割合(%)の測定単位である。関係ペプチドの同一性は、既知の方法によって容易に計算可能である。そのような方法には、限定するものではないが、人々がかつて述べた方法が挙げられる(レスク(Lesk)、A.M.編、「分子計算生物学(Computational Molecular Biology)」、米国ニューヨークのオックスフォード大学出版局(Oxford University
Press)、1988年;スミス(Smith)、D.W.編、「バイオコンピューティング:情報科学とゲノムプロジェクト(Biocomputing: Informatics and Genome Projects)」、米国ニューヨークのアカデミック・プレス(Academic Press)、1993年;グリフィン(Griffin)、A.M.ら編、「配列データのコンピュータ分析、パート1(Computer Analysis of Sequence Data, Part 1)」、米国ニュージャージーのヒューマナ・プレス(Humana Press)、1994年;フォン・ハインイェ(von Heinje)、G.編、「分子生物学における配列分析(Sequence Analysis in Molecular Biology)」、アカデミック・プレス、1987年;グリブスコフ(Gribskov)、M.ら編、
「配列分析プライマー(Sequence Analysis Primer)」、米国ニューヨークのエム・ストックトン・プレス(M Stockton Press)、1991年;及びカリロ(Carillo)ら、SIAMジャーナル・オン・アプライド・マスマティックス(Applied Math, SIAM J)、1988年、第48巻、p.1073)。
いくつかの実施形態では、ポリペプチドバリアントは基準のポリペプチドと同一又は類似の活性を有することができる。別例として、バリアントは基準のポリペプチドに対して変更された活性(例えば、上昇又は低下した活性)を有することができる。一般に、本発明の特定のポリヌクレオチド又はポリペプチドのバリアントは、本明細書中に記載された当業者に周知の配列アラインメントプログラム及びパラメータによって決定されるように、その特定の基準のポリヌクレオチド又はポリペプチドに対して少なくとも約40%、45% 50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%であるが100%未満の配列同一性を有しうる。そのようなアラインメント用ツールには、BLAST一式(アルトシュル(Altschul)、S.F.ら、「Gapped BLASTおよびPSI‐BLAST:新世代のタンパク質データベース検索プログラム(Gapped BLAST and PSI−BLAST: a new generation of protein database search programs)」、ヌクレイック・アシッド・リサーチ(Nucleic Acids Res)、1997年、第25巻、p.3389−3402)が挙げられる。他のツールは本明細書中に、特に「同一性」の定義において記載されている。
BLASTアルゴリズムの初期設定パラメータとして挙げられるのは、例えば、期待値の閾値(expect threshold)は10、ワードサイズは28、マッチ/ミスマッチスコアは1、−2、ギャップコストは線形(Linear)である。生物種特異的な繰り返し(例えばヒト)については選択と同様に任意のフィルタが適用可能である。
〔同位体による変形物〕
本発明の化合物及び組成物、例えば医薬組成物は、同位体である1以上の原子を含有することができる。本明細書中で使用されるように、用語「同位体」は1以上の追加の中性子を有する化学元素を指す。1つの実施形態では、本発明の化合物及び医薬組成物は重水素化されてもよい。本明細書中で使用されるように、用語「重水素化された」は、1以上の水素原子が重水素又はトリチウム同位体に置き換えられた物質を指す。重水素及びトリチウムは水素の同位体である。水素の核は1個の陽子を含有する一方、重水素核は陽子及び中性子の両方を含有している。本発明の化合物及び医薬組成物は、安定性のような物理的性質を変化させるため、又は該化合物及び医薬組成物が診断的及び実験的適用において使用されることを可能にするために、重水素化されてもよい。
[医薬組成物及び製剤]
本発明は、EDI200及びその変形物並びに1以上の薬学的に許容可能な添加剤を含む組成物及び複合体を提供する。医薬組成物は、任意選択で1以上の追加の活性物質、例えば治療的及び予防的のうち少なくともいずれかの活性を有する物質を含むことができる。医薬の製剤化及び製造の少なくともいずれかの全般的な考察は、例えば
「レミントン:薬学の科学と実践(Remington: The Science and Practice of Pharmacy)」、第21版、リッピンコット・ウィリアムズ・アンド・ウィルキンズ(Lippincott Williams and
Wilkins)、2005年(参照により本願に組み込まれる)に見出すことができる。
いくつかの実施形態では、組成物はヒト、ヒトの患者又は対象者に投与される。本開示の目的に関しては、「有効成分」という言葉は、一般に、本明細書中に記載されるようにして送達されるべきEDI200又はその変形物を指す。
本明細書中に提供される医薬組成物の説明は主としてヒトへの投与に適した医薬組成物に関するものであるが、当業者には当然のことながら、そのような組成物は概して任意の他の動物、例えばヒト以外の動物への投与に適している。医薬組成物の投与が企図される対象者には、限定するものではないが、ヒト並びに他の霊長類及び哺乳動物(例えば商業関連の哺乳動物)のうち少なくともいずれかが挙げられる。
〔製剤〕
本発明の化合物及び医薬組成物は:(1)安定性を高めること;(2)持続放出又は遅延放出を可能にすること;(3)体内分布を変更すること(例えば有効成分を特定の組織又は細胞種に標的化すること);及び(4)in vivoでの薬物の放出プロファイルを変更すること、のために1以上の添加剤を使用して製剤化可能である。本明細書中に記載された化合物及び医薬組成物の製剤は、薬理学の分野で既知又は今後開発される任意の方法によって調製されうる。一般に、そのような調製方法は、有効成分を添加剤及び1つ以上の副成分のうち少なくともいずれかと関連付けるステップを含む。
〔添加剤〕
医薬製剤は、薬学的に許容可能な添加剤をさらに含むことが可能であり、該添加剤には、本明細書中で使用されるように、あらゆる溶媒、分散媒、希釈剤、又はその他の液体ビヒクル、分散又は懸濁助剤、界面活性剤、等張剤、増粘剤又は乳化剤、保存剤、固体結合剤、滑沢剤、リピドイド(lipidoid)、リポソーム、脂質ナノ粒子、ポリマー、リポプレックス、コア‐シェルナノ粒子、ペプチド、タンパク質、及び所望の特定の投与形態に適するようなこれらの組み合わせが挙げられる。A.R.ジェンナーロ(Gennaro)、「レミントンの薬学の科学と実践(Remington’s The Science and Practice of Pharmacy)」、第21版(米国メリーランド州バルチモアのリッピンコット・ウィリアムズ・アンド・ウィルキンズ(Lippincott Williams and Wilkins)、2006年:参照により本願に組み込まれる)には、医薬組成物の製剤化に使用される様々な添加剤及び該組成物を調製するための周知技法が開示されている。
何らかの望ましからぬ生物学的影響を生じるか又はそれ以外に医薬組成物の任意の他の構成要素と有害な様式で相互作用することなどにより、いかなる従来の添加剤も物質又はその誘導体と相容れない場合を除き、添加剤の使用は本発明の範囲内にあるものと考えられる。
いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な添加剤は少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の純度である。いくつかの実施形態では、添加剤はヒトでの使用及び獣医学的使用について承認されている。いくつかの実施形態では、添加剤は米国食品医薬品局によって承認されている。いくつかの実施形態では、添加剤は製薬グレードである。いくつかの実施形態では、添加剤は、米国薬局方(USP)、ヨーロッパ薬局方(EP)、英国薬局方、及び国際薬局方のうち少なくともいずれかの基準を満たしている。
医薬組成物の製造において使用される薬学的に許容可能な添加剤には、限定するものではないが、不活性な希釈剤、分散剤及び/又は造粒剤、界面活性剤及び/又は乳化剤、崩壊剤、結着剤、保存剤、緩衝剤、平滑剤、並びに油のうち少なくともいずれかが挙げられる。そのような添加剤は、医薬組成物中に任意選択で含まれうる。
いくつかの実施形態では、希釈剤は、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム ラクトース、スクロース、セルロース、微結晶性セルロース、カオリン、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、塩化ナトリウム、乾燥デンプン、トウモロコシデンプン、粉砂糖など、及びこれらの組み合わせのうち少なくともいずれかを含むことができる。
典型的な造粒剤及び/又は分散剤には、限定するものではないが、ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、タピオカデンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、粘土、アルギン酸、グアーガム、柑橘パルプ、寒天、ベントナイト、セルロース及び木材製品、天然のスポンジ、陽イオン交換樹脂、炭酸カルシウム、ケイ酸塩、炭酸ナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン(クロスポビドン)、カルボキシメチルスターチナトリウム(デンプングリコール酸ナトリウム)、カルボキシメチルセルロース、架橋カルボキシルメチルセルロースナトリウム(クロスカルメロース)、メチルセルロース、α化デンプン(スターチ1500(商標))、微晶質デンプン、非水溶性デンプン、カルボキシルメチルセルロースカルシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム(VEEGUM(登録商標))、ラウリル硫酸ナトリウム、第四アンモニウム化合物など、及びこれらの組み合わせのうち少なくともいずれかが挙げられる。
典型的な界面活性剤及び/又は乳化剤には、限定するものではないが、天然の乳化剤(例えばアラビアゴム、寒天、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、トラガント、コンドルクス(chondrux)、コレステロール、キサンタン、ペクチン、ゼラチン、卵黄、カゼイン、羊毛脂、コレステロール、ワックス、及びレシチン)、コロイドクレー(例えばベントナイト[ケイ酸アルミニウム]およびVEEGUM(登録商標)[ケイ酸アルミニウムマグネシウム])、長鎖アミノ酸誘導体、高分子量アルコール(例えばステアリルアルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール、トリアセチンモノステアラート、エチレングリコールジステアラート、グリセリンモノステアラート、及びプロピレングリコールモノステアラート、ポリビニルアルコール)、カルボマー(例えばカルボキシポリメチレン、ポリアクリル酸、アクリル酸ポリマー、及びカルボキシビニルポリマー)、カラギーナン、セルロース誘導体(例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、粉末セルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース)、ソルビタン脂肪酸エステル(例えばポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート[TWEEN(登録商標)20]、ポリオキシエチレンソルビタン[TWEENn(登録商標)60]、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート[TWEEN(登録商標)80]、ソルビタンモノパルミタート[SPAN(登録商標)40]、ソルビタンモノステアラート[Span(登録商標)60]、ソルビタントリステアラート[Span(登録商標)65]、グリセリルモノオレアート、ソルビタンモノオレアート[SPAN(登録商標)80])、ポリオキシエチレンエステル(例えばポリオキシエチレンモノステアラート[MYRJ(登録商標)45]、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリエトキシ化ヒマシ油、ポリオキシメチレンステアラート、及びSOLUTOL(登録商標))、スクロース脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル(例えばCREMOPHOR(登録商標))、ポリオキシエチレンエーテル、(例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル[BRIJ(登録商標)30])、ポリビニルピロリドン、モノラウリン酸ジエチレングリコール、トリエタノールアミンオレアート、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、オレイン酸エチル、オレイン酸、ラウリン酸エチル、ラウリル硫酸ナトリウム、PLUORINC(登録商標)F68、POLOXAMER(登録商標)188、臭化セトリモニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、ドキュセートナトリウムなど、並びにこれらの組み合わせのうち少なくともいずれかが挙げられる。
典型的な結着剤には、限定するものではないが、デンプン(例えばトウモロコシデンプン及びデンプン糊);ゼラチン;糖類(例えばスクロース、グルコース、デキストロース、デキストリン、糖蜜、ラクトース、ラクチトール、マンニトール);天然ゴム及び合成ゴム(例えばアラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、アイリッシュモスの抽出物、パンワール(panwar)ゴム、ガティゴム、インドオオバコ(isapol)種皮の粘液、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶性セルロース、酢酸セルロース、ポリビニルピロリドン、ケイ酸アルミニウムマグネシウム(Veegum(登録商標))、及びカラマツのアラボガラクタン(arabogalactan));アルギン酸塩;ポリエチレンオキシド;ポリエチレングリコール;無機カルシウム塩;ケイ酸;ポリメタクリラート;ワックス;水;アルコールなど;並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
典型的な保存剤には、限定するものではないが、酸化防止剤、キレート剤、抗微生物性保存剤、抗真菌性保存剤、アルコール性保存剤、酸性保存剤、及びその他の保存剤のうち少なくともいずれかが挙げられる。
典型的な酸化防止剤には、限定するものではないが、αトコフェロール、アスコルビン酸、パルミチン酸アコルビル(acorbyl palmitate)、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、モノチオグリセロール、メタ重亜硫酸カリウム、プロピオン酸、没食子酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、及び亜硫酸ナトリウムのうち少なくともいずれかが挙げられる。
典型的なキレート剤には、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、クエン酸一水塩、エデト酸二ナトリウム、エデト酸二カリウム、エデト酸、フマル酸、リンゴ酸、リン酸、エデト酸ナトリウム、酒石酸、及びエデト酸三ナトリウムのうち少なくともいずれかが挙げられる。典型的な抗微生物性保存剤には、限定するものではないが、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、ブロノポール、セトリミド、塩化セチルピリジニウム、クロルヘキシジン、クロロブタノール、クロロクレゾール、クロロキシレノール、クレゾール、エチルアルコール、グリセリン、ヘキセチジン、イミド尿素、フェノール、フェノキシエタノール、フェニルエチルアルコール、硝酸フェニル水銀、プロピレングリコール、及びチメロサールのうち少なくともいずれかが挙げられる。
典型的な抗真菌性保存剤には、限定するものではないが、ブチルパラベン、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、安息香酸カリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、及びソルビン酸のうち少なくともいずれかが挙げられる。
典型的なアルコール性保存剤には、限定するものではないが、エタノール、ポリエチレングリコール、フェノール、フェノール系化合物、ビスフェノール、クロロブタノール、ヒドロキシベンゾアート、及びフェニルエチルアルコールのうち少なくともいずれかが挙げられる。
典型的な酸性保存剤には、限定するものではないが、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、β‐カロテン、クエン酸、酢酸、デヒドロ酢酸、アスコルビン酸、ソルビン酸、及びフィチン酸のうち少なくともいずれかが挙げられる。その他の保存剤には、限定するものではないが、トコフェロール、酢酸トコフェロール、デテロキシム(deteroxime)メシル酸塩、セトリミド、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒド
ロキシトルエン(butylated hydroxytoluened)(BHT)、エチレンジアミン、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸カリウム、GLYDANT PLUS(登録商標)、PHENONIP(登録商標)、メチルパラベン、GERMALL(登録商標)115、GERMABEN(登録商標)II、NEOLONE(商標)、KATHON(商標)、及びEUXYL(登録商標)のうち少なくともいずれかが挙げられる。
典型的な緩衝剤には、限定するものではないが、クエン酸緩衝液、酢酸緩衝液、リン酸緩衝液、塩化アンモニウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、グルビオン酸カルシウム、グルセプト酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、D‐グルコン酸、グリセロリン酸カルシウム、乳酸カルシウム、プロパン酸、レブリン酸カルシウム、ペンタン酸、第二リン酸カルシウム、リン酸、第三リン酸カルシウム、水酸化リン酸カルシウム、酢酸カリウム、塩化カリウム、グルコン酸カリウム、カリウム混合物、リン酸一水素カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸カリウム混合物、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸ナトリウム混合物、トロメタミン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、アルギン酸、発熱性物質除去水、等張生理食塩水、リンゲル液、エチルアルコールなど、及びこれらの組み合わせ、のうち少なくともいずれかが挙げられる。
典型的な平滑剤としては、限定するものではないが、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、シリカ、タルク、麦芽、グリセリルベハナート(glyceryl behanate)、水素化植物油、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ロイシン、ラウリル硫酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウムなど、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
典型的な油には、限定するものではないが、アーモンド、杏仁、アボカド、ババスーヤシ、ベルガモット、ブラックカレント(black current)種子、ルリヂサ、ケード、カモミール、キャノーラ、キャラウェイ、カルナウバ、キャスター、シナモン、ココアバター、ココナッツ、たら肝油、コーヒー、トウモロコシ、綿実、エミュー、ユーカリ、マツヨイグサ、魚、アマニ、ゲラニオール、ヒョウタン、ブドウ種子、ヘーゼルナッツ、ヒソップ、ミリスチン酸イソプロピル、ホホバ、ククイナッツ、ラバンディン、ラベンダー、レモン、リツェア・クベバ、マカデミア(macademia)ナッツ、マロウ、マンゴー種子、メドウフォーム種子、ミンク、ナツメグ、オリーブ、オレンジ、オレンジラフィー、パーム、パーム実、桃仁、ピーナッツ、ケシの実、パンプキンシード、菜種、米糠、ローズマリー、ベニバナ、ビャクダン、サスカナ(sasquana)、セイボリー、シーバックソーン、ゴマ、シアバター、シリコーン、ダイズ、ヒマワリ、チャノキ、アザミ、ツバキ、ベチベルソウ、クルミ、及び麦芽の油が挙げられる。典型的な油には、限定するものではないが、ステアリン酸ブチル、カプリル酸トリグリセリド、カプリン酸トリグリセリド、シクロメチコン、セバシン酸ジエチル、ジメチコン360、ミリスチン酸イソプロピル、鉱油、オクチルドデカノール、オレイルアルコール、シリコーンオイル、及びこれらの組み合わせのうち少なくともいずれかが挙げられる。
ココアバター及び坐薬用ワックス、着色剤、コーティング剤、甘味料、調味料、及び芳香剤のうち少なくともいずれかのような添加剤は、製剤担当者の判断に応じて組成物中に存在することができる。
本開示による化合物及び医薬組成物は、調製、包装、及び販売のうち少なくともいずれかが、バルク、単回単位用量、及び複数の単回単位用量のうち少なくともいずれかとして
、行われうる。本明細書中で使用されるように、「単位用量」とは、所定量の有効成分を含む個別の量の化合物又は医薬組成物を指す。有効成分の量は、一般に、対象者に投与される有効成分投与量、及びそのような投与量の好都合な分数分、例えば、限定するものではないがそのような投与量の2分の1又は3分の1、のうち少なくともいずれかに等しくてよい。
本開示による医薬組成物中の有効成分、薬学的に許容可能な添加剤、及び任意の追加成分のうち少なくともいずれかの相対量は、治療されている対象者が誰であるか、該対象者の体格、及び該対象者の状態のうち少なくともいずれかに応じて、かつさらに投与経路に応じて、変化しうる。例えば、組成物は、約0.001%〜約100%、約0.01%〜約3.0%、約0.02%〜約4%、約0.05%〜約10%、約0.10%〜約20%、約0.15%〜約75%、約0.30%〜約60%、約0.50%〜約50%、約1.0%〜約30%、約5%〜約80%、又は少なくとも80%(w/w)の有効成分を含むことができる。いくつかの実施形態では、有効成分は、EDI200(例えば、単量体又は多量体の形態)又はそのフラグメント若しくはバリアントである。
〔ポリマー及びマトリックス〕
本発明の化合物及び医薬組成物は、天然ポリマー及び合成ポリマーのうち少なくともいずれかとともに、又は該ポリマー内で、製剤化可能である。加えて、ポリマーはその組成に依存して生物分解性の場合もあれば非生物分解性の場合もある。送達に使用されうる生物分解性ポリマーの非限定的な例には、限定するものではないが、タンパク質系ポリマー(例えば、限定するものではないがコラーゲン、アルブミン及びゼラチン)、多糖類(例えば、限定するものではないがアガロース、アルギナート、カラギーナン、ヒアルロン酸、デキストラン、キトサン及びシクロデキストリン)、ポリエステル(例えば、限定するものではないがポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸とグリコール酸とに由来するポリエステル(PLGA)、ポリ(ヒドロキシルブチラート)、ポリ(ε‐カプロラクトン)、ポリ(α‐リンゴ酸)及びポリ(ジオキサノン))、ポリ無水物(例えば、限定するものではないがポリ(セバシン酸)、ポリ(アジピン酸)、ポリ(テルフタル酸(terphthalic acid))及び様々な共重合体)、ポリアミド(例えば、限定するものではないがポリ(イミノカルボナート)及びポリアミノ酸)、リン系ポリマー(例えば、限定するものではないポリリン酸エステル、ポリホスホネート及びポリホスファゼン)、ポリ(シアノアクリラート)、ポリウレタン、ポリオルトエステル、ポリジヒドロピラン並びにポリアセタールが挙げられる。送達に使用されうる非生物分解性ポリマーの非限定的な例には、限定するものではないが、セルロース誘導体(例えば、限定するものではないが、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、酢酸セルロース、セルロースアセテートプロピオネート及びヒドロキシポルピルメチルセルロース(hydroxyporpyl methylcellulose))、シリコーン(例えば、限定するものではないが、ポリジメチルシロキサン、コロイダルシリカ、ポリメタクリラート、ポリ(メタクリル酸メチル)及びポリヒドロ(メタクリル酸エチル))、ポリビニルピロリドン、エチル酢酸ビニル、ポロキサマー並びにポロキサミンが挙げられる。
ポリマー製剤は、本発明の化合物の(例えば筋肉内又は皮下注射後の)持続放出又は遅延放出を可能にすることができる。放出プロファイルの変更により、例えば長期間にわたる受容体の活性化がもたらされうる。ポリマー製剤はさらに、有効成分の安定性を高めるために使用されてもよい。1つの実施形態では、医薬組成物は徐放性製剤であってよい。さらなる実施形態では、徐放性製剤は皮下送達用であってよい。徐放性製剤には、限定するものではないが、PLGAミクロスフェア、エチレン酢酸ビニル(EVAc)、ポロキサマー、GELSITE(登録商標)(米国フロリダ州アラチューアのナノセラピューティクス・インコーポレイテッド(Nanotherapeutics, Inc.))、HYLENEX(登録商標)(米国カリフォルニア州サンディエゴのハロザイム・セラピ
ューティクス(Halozyme Therapeutics))、外科用シーラント、例えばフィブリノーゲンポリマー(米国ジョージア州コーニーリアのエチコン・インコーポレイテッド(Ethicon Inc.))、TISSELL(登録商標)(米国イリノイ州ディアフィールドのバクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド(Baxter International, Inc))、PEG系シーラント、及びCOSEAL(登録商標)(米国イリノイ州ディアフィールドのバクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド)が挙げられる。
非限定的な例として、本発明の化合物及び医薬組成物は、調整可能な放出速度(例えば数日及び数週間)を備えたPLGAミクロスフェアを調製すること、並びに該PLGAミクロスフェア中に化合物及び医薬組成物を封入するとともに封入プロセスの間に該ミクロスフェアの完全性を維持することにより、PLGAミクロスフェア中に製剤化されうる。EVAcは非生物分解性(non−biodegradeable)の生体適合性ポリマーであり、前臨床の徐放性インプラントの適用(例えば、徐放性製品である、緑内障のためのピロカルピン眼科用挿入物Ocusert(登録商標)又は徐放性プロゲステロン子宮内デバイスprogestasert(登録商標);経皮送達システムTestoderm(登録商標)、Duragesic(登録商標)及びセレギリン;カテーテル)において広く用いられている。ポロキサマーF‐407NFは、5℃未満の温度では低い粘性を有している親水性の非イオン性表面活性剤である、ポリオキシエチレン‐ポリオキシプロピレン‐ポリオキシエチレンの3ブロック共重合体であり、15℃を超える温度では固体ゲルを形成する。ポリエチレングリコール(PEG)系の外科用シーラントは、1分で調製可能な、送達デバイス中で混合される2つの合成PEG構成要素を含んでおり、3分で封止し、かつ30日以内に再吸収される。GELSITE(登録商標)及び天然ポリマーは投与部位においてin situでのゲル化が可能である。これらはタンパク質及びペプチドの治療薬候補とイオン相互作用によって相互作用して安定化作用を提供することが示されている。
ポリマー製剤は、例えば、限定するものではないが葉酸、トランスフェリン、及びN‐アセチルガラクトサミン(GalNAc)で例証されるような様々なリガンドの発現を通じて選択的に標的化されることもできる(ブノア(Benoit)ら、バイオマクロモレキュールズ(Biomacromolecules)、2011年、第12巻、p.2708−2714;ロゼマ(Rozema)ら、米国アカデミー紀要(Proc Natl
Acad Sci USA)、2007年、第104巻、p.12982−12887;デイビス(Davis)、モレキュラー・ファーマシューティカルズ(Mol Pharm.)、2009年、第6巻、p.659−668;デイビス(Davis)、ネイチャー(Nature)、2010年、第464巻、p.1067−1070;参照により全体が本願に組み込まれる)。
〔細胞〕
本発明の化合物をコードするポリヌクレオチドはex vivoで細胞内にトランスフェクトされ、続いて該細胞が対象者に移植されてもよい。いくつかの実施形態では、赤血球、ウイルス粒子及び電気穿孔処理された細胞のうち少なくともいずれかが使用されて、実証済みの方法に従って積載物が送達される。(ゴドフリン(Godfrin)、Y.ら、エキスパート・オピニオン・オン・バイオロジカル・セラピー(Expert Opin Biol Ther)、2012年、第12巻、p.127−133;ファング(Fang)、R.H.ら、エキスパート・オピニオン・オン・バイオロジカル・セラピー、2012年4月、第12巻、第4号、p.385−9;フー(Hu)、CMら、米国アカデミー紀要、2011年7月5日、第108巻、第27号、p.10980−5;いずれも参照により全体が本願に組込まれる)。本発明の化合物の細胞に基づいた製剤は、化合物の体内分布を(例えば細胞担体を特定の組織又は細胞種に標的化することにより)変更
するために使用されうる。
ウイルス仲介型及び非ウイルス仲介型の技法を含む、様々な方法が当分野において周知であり、かつ細胞内に本発明の化合物をコードするポリヌクレオチドを導入するのに適している。典型的な非ウイルス仲介型の技法の例には、限定するものではないが、電気穿孔法、リン酸カルシウムを介した導入、ヌクレオフェクション、ソノポレーション、熱ショック、マグネトフェクション、リポソームを介した導入、マイクロインジェクション、微粒子銃を介した導入(ナノ粒子)、カチオン性ポリマーを介した導入(DEAE‐デキストラン、ポリエチレンイミン、ポリエチレングリコール(PEG)など)又は細胞融合が挙げられる。
ソノポレーション、すなわち細胞の音波処理の技法は、細胞原形質膜の透過性を改変するための音響(例えば超音波周波数)の使用である。ソノポレーション法は当業者に周知であり、in vivoで核酸を送達するために使用される。(ユン(Yoon)及びパク(Park)、エキスパート・オピニオン・オン・ドラッグ・デリバリー(Expert Opin Drug Deliv)、2010年、第7巻、p.321−330;ポステマ(Postema)及びギリヤ(Gilja)、カレント・ファーマシューティカル・バイオテクノロジー(Curr Pharm Biotechnol)、2007年、第8巻、p.355−361;ニューマン(Newman)及びベッティンガー(Bettinger)、ジーン・セラピー(Gene Ther)、2007年、第14巻、p.465−475;いずれも参照により全体が本願に組み込まれる)。ソノポレーション法は当分野において周知であり、かつ例えば細菌に関しては米国特許出願公開第20100196983号明細書に、また他の細胞種に関しては例えば米国特許出願公開第20100009424号明細書にも教示されており、前記特許文献はそれぞれ参照により全体が本願に組み込まれる。
電気穿孔技法も当分野において良く知られており、核酸をin vivo及び臨床的に送達するために使用されている(アンドレ(Andre)ら、カレント・ジーン・セラピー(Curr Gene Ther)、2010年、第10巻、p.267−280;キアレラ(Chiarella)ら、カレント・ジーン・セラピー、2010年、第10巻、p.281−286;ホフマン(Hojman)、カレント・ジーン・セラピー、2010年、第10巻、p.128−138;いずれも参照により全体が本願に組み込まれる)。
〔ヒアルロニダーゼ〕
本発明の化合物の筋肉内又は皮下局所注射液は、ヒアルロナンの加水分解を触媒するヒアルロニダーゼを含みうる。間質バリアの構成分子であるヒアルロナンの加水分解を触媒することによって、ヒアルロニダーゼはヒアルロナンの粘性を低下させ、これにより組織透過性を増大させる(フロスト(Frost)、エキスパート・オピニオン・オン・ドラッグ・デリバリー、2007年、第4巻、p.427−440;参照により全体が本願に組み込まれる)。これは注射される化合物の分散及び全身分布を促進するのに有用である。別例として、ヒアルロニダーゼは筋肉内又は皮下に投与された本発明の化合物に曝露される細胞の数を増加させるために使用可能である。
〔製剤化された送達〕
本発明の化合物及び医薬組成物は、本明細書中に記載された方法を使用して製剤化されうる。製剤は、修飾された化合物及び未修飾の化合物のうち少なくともいずれかを含有しうる。製剤はさらに、ただし限定するものではないが、薬学的に許容可能な担体、送達用作用薬、生体浸食性(bioerodible)及び生体適合性のうち少なくともいずれかのポリマー、溶媒、並びに徐放性の送達デポーを含みうる。製剤化された化合物は、当
分野で既知であり本明細書中に記載された投与経路を使用して送達されうる。
化合物及び医薬組成物は、当分野のいくつかの方法のうちいずれかにより、例えば、限定するものではないが、直接的な浸漬又は浴、カテーテル経由、ゲル剤、散剤、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、ローション剤、及び滴剤のうち少なくともいずれかにより、組成物を用いてコーティング又は含浸された織物又は生物分解性材料のような基質の使用などにより、器官又は組織へ直接送達するために製剤化されてもよい。
いくつかの実施形態では、医薬組成物及び製剤はEDI200化合物を含む。いくつかの実施形態では、治療レジメンは、化合物の組み合わせ、又はそれぞれがEDI200を含む医薬組成物の投与を含む治療レジメンの組み合わせを含む。本発明の化合物及び医薬組成物は、局所的治療又は全身的治療のいずれが望まれるかに応じて、及び治療されるべきエリアに応じて、いくつかの方法で投与されうる。本発明の化合物及び医薬組成物は方法論の組み合わせを使用して投与されてもよい。
非限定的な例として、医薬組成物は静脈内への注射又は注入、及び腹腔内への注射のうち少なくともいずれかによって投与されうる。投与は、局所(例えば経皮パッチによるもの)、経肺、例えば、ネブライザによるなどの散剤若しくはエアロゾル剤の吸入若しくは吹送によるもの;気管内、鼻内、表皮的及び経皮的、経口、又は非経口の投与であってよい。非経口投与には、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内又は筋肉内への注射若しくは注入;皮膚下(subdermal)、例えば、移植デバイスを介するもの;又は頭蓋内、例えば実質内、髄腔内若しくは脳室内、の投与が挙げられる。EDI200は、特定の組織を標的とするための方式で送達されてもよい。
局所投与のための医薬組成物及び製剤には、経皮パッチ剤、軟膏剤、ローション剤、クリーム剤、ゲル剤、滴剤、坐剤、スプレー、液剤及び散剤が挙げられる。従来の製薬用の担体、水性、粉末若しくは油性の基剤、増粘剤などは必要な場合もあれば望ましい場合もある。コーティングが施されたコンドーム、手袋なども有用な場合がある。適切な局所用製剤には、EDI200が、脂質、リポソーム、脂肪酸、脂肪酸エステル、ステロイド、キレート剤及び表面活性剤のような局所送達用作用薬との混合物であるものが含まれる。
本発明の1つの実施形態では、EDI200は、20mMのリン酸ナトリウム、300mMのNaCl及び約0.02%のポリソルベート20(例えば市販銘柄;TWEEN(登録商標)20)を含むpH7.2の溶液を用いた静脈内(intraveneous)注入用に製剤化される。
[投与及び投薬]
いくつかの実施形態では、治療を受ける生物体は哺乳動物、例えば、限定するものではないがヒトであってよい。そのような実施形態では、化合物及び医薬組成物は、治療上有効な成果をもたらす任意の経路、例えば、限定するものではないが腸内、胃腸内、硬膜外、経口、経皮、硬膜外(硬膜周囲)、大脳内(大脳の中へ)、脳室内(脳室の中へ)、上皮(皮膚上への適用)、皮内、(皮膚自体の中へ)、皮下(皮膚の下へ)、鼻腔投与(経鼻)、静脈内(静脈の中へ)、動脈内(動脈の中へ)、筋肉内(筋肉の中へ)、心臓内(心臓の中へ)、骨内注入(骨髄の中へ)、髄腔内(脊髄管の中へ)、腹腔内、(腹膜の中への注入又は注射)、膀胱内注入、硝子体内、(経眼)、陰茎海綿体注射、(陰茎の基部の中へ)、膣内投与、子宮内、羊膜外投与、経皮(全身的分布のための無傷の皮膚を通じた拡散)、経粘膜(粘膜を通じた拡散)、吹送(鼻からの吸引)、舌下、口唇下、注腸、点眼液(結膜上へ)、又は点耳液により、投与されうる。
いくつかの実施形態では、組成物は、該組成物が血液脳関門、血管関門、又はその他の
上皮性関門を横切ることが可能となる方法で投与されうる。ある実施形態では、組成物は静脈内への注入又は注射によって投与される。本発明の化合物及び医薬組成物のための非限定的な投与経路は下記に記載されている。
〔非経口的かつ注射可能な投与〕
経口及び非経口投与のための液体投与形態には、限定するものではないが、薬学的に許容可能な乳剤、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ剤、及びエリキシル剤のうち少なくともいずれかが含まれる。有効成分に加えて、液体投与形態は、当分野において一般に使用される不活性の希釈剤、例えば水又はその他の溶媒、可溶化剤及び乳化剤、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3‐ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油類(特に綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、及びゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール及びソルビタン脂肪酸エステル、並びにこれらの混合物を含むことができる。不活性の希釈剤に加えて、経口組成物は、アジュバント、例えば湿潤剤、乳化剤及び懸濁化剤、甘味料、香味料、並びに賦香剤のうち少なくともいずれかを含むことができる。非経口投与のためのある実施形態では、組成物は、可溶化剤、例えばCREMOPHOR(登録商標)、アルコール、油、変性油、グリコール、ポリソルベート(例えば、限定するものではないがポリソルベート‐20)、シクロデキストリン、ポリマー、及びこれらの組み合わせのうち少なくともいずれかと混合される。
注射可能な調製物、例えば、無菌の注射可能な水性又は油性の懸濁液は、適切な分散剤、湿潤剤、及び懸濁化剤のうち少なくともいずれかを使用して、既知の技術に従って製剤化されうる。無菌の注射用調製物は、無毒の非経口的に許容可能な希釈剤及び溶媒のうち少なくともいずれかにおける、無菌の注射可能な溶液、懸濁液、及び乳剤のうち少なくともいずれか、例えば1,3‐ブタンジオール中の溶液であってよい。使用されうる許容可能なビヒクル及び溶媒の中には、水、リンゲル液(USP)、及び等張食塩水がある。無菌の固定油は溶媒又は懸濁媒として従来通りに使用される。この目的については、合成のモノグリセリド又はジグリセリドを含む任意の無刺激の固定油が使用可能である。オレイン酸のような脂肪酸は、注射剤の調製に使用可能である。
注射可能な製剤は、例えば、細菌保持フィルタによる濾過によって、及び/又は使用前に滅菌水若しくは他の無菌の注射可能な媒体に溶解可能若しくは分散可能な無菌の固形組成物の形で滅菌剤を組込むことにより、滅菌可能である。
有効成分の効果を延長するために、皮下注射又は筋肉内注射からの有効成分の吸収を遅延させることは望ましい場合が多い。これは、水溶性に乏しい結晶質又は非晶質の液体懸濁物の使用によって為されうる。このとき有効成分の吸収速度は該有効成分の溶解速度に依存し、その溶解速度は結晶の大きさ及び結晶形態に依存しうる。別例として、非経口的に投与される化合物又は医薬組成物の遅延吸収は、油性ビヒクル中に有効成分を溶解又は懸濁することにより行われる。注射可能なデポー形態は、ポリラクチド‐ポリグリコリドのような生物分解性ポリマー中で化合物又は医薬組成物のマイクロカプセルマトリックスを形成することにより作製される。有効成分対ポリマーの比率及び使用される特定のポリマーの性質に応じて、放出の速度を制御することが可能である。その他の生物分解性ポリマーの例にはポリオルトエステル及びポリ無水物が挙げられる。注射可能なデポー製剤は、体内組織との適合性を有するリポソーム又はマイクロエマルジョン中に化合物又は医薬組成物を封入することにより調製される。
1つの実施形態では、EDI200は、20mMのリン酸ナトリウム、300mMのNaCl及び0.02%のポリソルベート20(又は約0.2%のTWEEN(登録商標)
20)を含むpH7.2の緩衝液中で注射用に製剤化される。別の実施形態では、本発明の化合物は経皮的末梢静脈カテーテルを介した注射によって投与される。別の実施形態では、本発明の化合物及び医薬組成物は、約0.1ml/kg/時〜約1ml/kg/時、約0.5ml/kg/時〜約5ml/kg/時、約1.5ml/kg/時〜約10ml/kg/時、又は約3ml/kg/時〜約20ml/kg/時の速度での注入によって投与される。さらなる実施形態では、注入時間は約1分〜約1時間、約5分〜約2時間、約10分〜約3時間、約30分〜約4時間、約45分〜約5時間又は少なくとも5時間である。
いくつかの実施形態では、本発明の化合物及び医薬組成物は標準的な室温で注入によって投与される。本明細書中で使用されるような「標準的な室温」は、摂氏15度〜25度の温度を意味し、例えば、限定するものではないが、摂氏15.0度、15.5度、16.0度、16.5度、17.0度、17.5度、18.0度、18.5度、19.0度、19.5度、20.0度、20.5度、21.0度、21.5度、22.0度、22.5度、23.0度、23.5度、24.0度、24.5度、25.0度は室温と考えられる。いくつかの実施形態では、医薬組成物は標準的な室温に至らしめられてもよい。いくつかの実施形態では、医薬組成物の投与は医薬組成物自体の温度に関係なく標準的な室温で行われてもよい。いくつかの実施形態では、投与デバイス、例えば注入システム又は注入装置が、周囲温度若しくは医薬組成物の温度を考慮して、又は周囲温度若しくは医薬組成物の温度を考慮せずに、室温又は室温付近に保持又は維持されてもよい。
〔直腸投与及び経膣投与〕
直腸投与又は経膣投与のための組成物は、典型的には、組成物を、周囲温度では固体であるが体温では液体であり、したがって直腸又は膣腔の中で融解して有効成分を放出する、ココアバター、ポリエチレングリコール又は坐剤用ワックスのような適切な無刺激性添加剤と混合することにより調製可能な坐剤である。
〔経口投与〕
経口投与用の固体投与形態には、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤、及び顆粒剤が挙げられる。そのような固体投与形態では、有効成分は、少なくとも1つの不活性で薬学的に許容可能な添加剤、例えばクエン酸ナトリウム又はリン酸カルシウム、及び/又は充填剤若しくは増量剤(例えばデンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、及びケイ酸)、結合剤(例えばカルボキシメチルセルロース、アルギナート、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロース、及びアラビアゴム)、保湿剤(例えばグリセロール)、崩壊剤(例えば寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモデンプン若しくはタピオカデンプン、アルギン酸、ある種のケイ酸塩、及び炭酸ナトリウム)、溶解遅延剤(solution retarding agent)(例えばパラフィン)、吸収促進剤(例えば第四アンモニウム化合物)、湿潤剤(例えばセチルアルコール及びモノステアリン酸グリセロール)、吸収剤(例えばカオリン及びベントナイト粘土)、並びに滑沢剤(例えばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム)、並びにこれらの混合物、と混合される。カプセル剤、錠剤及び丸剤の場合、その投与形態は緩衝剤を含む場合もある。
〔局所的又は経皮的投与〕
本明細書中に記載されるように、本発明の化合物及び医薬組成物は局所投与用に製剤化されうる。皮膚は容易にアクセス可能であるので送達の理想的な標的部位となりうる。
送達される組成物の部位は、送達の経路に応じて様々となろう。皮膚への送達のための3つの経路:(i)局所適用、(ii)皮内注射および(iii)全身性送達が一般に考えられる。本発明の化合物は当分野で既知のいくつかの異なる手法によって皮膚に送達可
能である。1つの実施形態では、本発明は、本発明の方法を好都合及び/又は効果的に実行するための様々な被覆材又は包帯(例えば粘着包帯)を提供する。典型的には、被覆材又は包帯は、使用者が対象者の複数回治療を実施するのを可能にするのに十分な量の、本明細書中に記載の医薬組成物及び化合物のうち少なくともいずれかを含むことができる。
いくつかの実施形態では、局所的及び/又は経皮的投与の前に、皮膚のような、組織の少なくとも1つのエリアが、透過性を高めることのできるデバイス及び溶液のうち少なくともいずれかに供されてもよい。1つの実施形態では、組織は、皮膚の透過性を高めるために削皮デバイスに供されてもよい(参照により全体が本願に組み込まれる米国特許出願公開第20080275468号明細書を参照)。別の実施形態では、組織は超音波式増強デバイスに供されてもよい。超音波式増強デバイスには、限定するものではないが、米国特許出願公開第20040236268号明細書並びに米国特許第6,491,657号及び同第6,234,990号明細書(参照により全体が本願に組み込まれる)に記載されたデバイスが挙げられる。組織の透過性を増強する方法は、米国特許出願公開第20040171980号及び同第20040236268号明細書並びに米国特許第6,190,315号明細書(参照により全体が本願に組み込まれる)に記載されている。
いくつかの実施形態では、デバイスは本発明の製剤を送達する前に組織の透過性を高めるために使用されうる。皮膚の透過性は、当分野で既知及び/又は米国特許第6,190,315号明細書(参照により全体が本願に組み込まれる)に記載された方法によって測定されうる。非限定的な例として、修飾mRNA製剤は、参照により全体が本願に組み込まれる米国特許第6,190,315号明細書に記載された送達方法によって送達されてもよい。
いくつかの実施形態では、組織は、該組織が透過性を増大させるデバイスに供される前、供される間、及び供された後のうち少なくともいずれかにおいて、局所麻酔薬の共融混合物(EMLA)クリームで処理されてもよい。カッツ(Katz)ら(アネスシージア・アンド・アナルギージア(Anesth Analg)、2004年、第98巻、p.371−76;参照により全体が本願に組み込まれる)は、EMLAクリームを低エネルギーと組み合わせて使用して、表部皮膚の痛覚欠如の開始が低エネルギー超音波を用いた前処理の5分後という速さで見られることを示した。
いくつかの実施形態では、増強剤は、透過性を高めるために組織が処理される前、処理される間、及び処理された後のうち少なくともいずれかにおいて、組織に適用されうる。増強剤には、限定するものではないが、輸送増強剤、物理的増強剤、及び空洞形成増強剤が挙げられる。増強剤の非限定的な例は、参照により全体が本願に組み込まれる米国特許第6,190,315号明細書に記載されている。
いくつかの実施形態では、デバイスは、免疫応答を喚起する物質をさらに含有する場合もある本明細書中に記載されるような本発明の製剤を送達する前に、組織の透過性を高めるために使用されてもよい。別の非限定的な例において、免疫応答を喚起する物質を含有する製剤は、参照により全体が本願に組み込まれる米国特許出願公開第20040171980号及び同第20040236268号明細書に記載の方法によって送達されてもよい。
組成物の局所的及び経皮的のうち少なくともいずれかの投与のための投与形態には、軟膏剤、パスタ剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、散剤、溶液、スプレー、吸入薬及びパッチ剤のうち少なくともいずれかが挙げられる。一般に、有効成分は、必要に応じて、薬学的に許容可能な添加剤、並びに任意の必要とされる保存剤及び/又は緩衝剤、のうち少なくともいずれかと、無菌条件下において混合される。加えて、本発明は、身体への
化合物の制御された送達を提供するというさらなる長所を有することの多い経皮的パッチ剤の使用を企図している。そのような投与形態は、例えば、適正な媒体における化合物の溶解及び調剤(dispensing)のうち少なくともいずれかにより調製されうる。別例として、又は追加として、速度は、律速メンブレンの提供、並びに、ポリマーマトリクス及びゲルのうち少なくともいずれかにおける化合物の分散、のうち少なくともいずれかによって制御されうる。
局所投与に適した製剤には、限定するものではないが、液体及び/又は半液体の調製物、例えばリニメント剤、ローション剤、水中油型及び/又は油中水型乳剤、例えばクリーム剤、軟膏剤及び/又はパスタ剤、並びに溶液及び/又は懸濁液、のうち少なくともいずれかが挙げられる。
局所投与可能な製剤は、例えば、約0.1%〜約100%(w/w)の有効成分を含むことができるが、有効成分の濃度はその溶媒中における該有効成分の溶解限度と同じくらい高くてもよい。局所投与のための製剤は、本明細書中に記載された追加成分のうち1つ以上をさらに含むことができる。
〔デポー投与〕
本明細書中に記載されるように、いくつかの実施形態では、組成物は長期徐放のためのデポー剤に製剤化される。一般に、特定の器官又は組織(「標的組織」)が投与の標的とされる。
いくつかの実施形態では、本発明の化合物及び医薬組成物は標的組織の内部又は近位に空間的に保持される。提供されるのは、哺乳動物の対象者の標的組織に化合物及び医薬組成物を提供する方法であって、標的組織(1以上の標的細胞を含有する)を、化合物及び医薬組成物と、有効成分が標的組織中にほぼ保持される条件であって有効成分の少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、85、90、95、96、97、98、99、99.9、99.99%又は99.99%超が標的組織中に保持されることを意味している条件下で接触させることによる方法である。例えば、哺乳動物の対象者への筋肉内注射は、本発明の有効成分を含有している水性組成物を使用して実施され、保持は筋肉組織中に存在する化合物の量を測定することにより決定される。
いくつかの実施形態では、本発明は、2回以上の注射又は分割用量の注射によって送達される本発明の化合物及び医薬組成物を提供する。
いくつかの実施形態では、本発明は小型の使い捨て式薬物リザーバ又はパッチポンプを使用して標的組織付近に保持されてもよい。パッチポンプの非限定的な例には、BDR(米国ニュージャージー州フランクリンレイクス)、インスレット・コーポレイション(Insulet Corporation)(米国マサチューセッツ州ベッドフォード)、ステディメド・セラピューティクス(SteadyMed Therapeutics)(米国カリフォルニア州サンフランシスコ)、メドトロニック(Medtronic)(米国ミネソタ州ミネアポリス)、ユニライフ(UniLife)(米国ペンシルバニア州ヨーク)、バレリタス(Valeritas)(米国ニュージャージー州ブリッジウォーター)、及びスプリングリーフ・セラピューティクス(SpringLeaf Therapeutics)(米国マサチューセッツ州ボストン)によって製造及び/又は販売されているものが挙げられる。
〔経肺投与〕
化合物及び医薬組成物は、口腔を介した経肺投与に適した製剤として調製、包装、及び販売のうち少なくともいずれかが行われてもよい。そのような製剤は、有効成分をさらに含み、かつ約0.5nm〜約7nm又は約1nm〜約6nmの範囲の直径を有する、乾燥
粒子を含むことができる。そのような組成物は、適切には、乾燥散剤を散布するために推進薬が流れ込むように方向付けられた乾燥散剤リザーバを含むデバイスを使用して、かつ/又は、自己推進性溶媒/散剤調剤コンテナ、例えば密閉コンテナ中で低沸点推進薬に溶解及び/若しくは懸濁された有効成分を含むデバイスを使用して、投与するための乾燥散剤の形態である。そのような散剤は粒子を含み、該粒子の重量比で少なくとも98%が0.5nmより大きい直径を有し、かつ該粒子の数の少なくとも95%が7nm未満の直径を有している。別例として、粒子の重量比で少なくとも95%は1nmより大きい直径を有し、かつ該粒子の数の少なくとも90%は6nm未満の直径を有している。乾燥散剤組成物は、糖のような固形微細粉末希釈剤を含む場合があり、好都合には単位用量の形態で提供される。
低沸点推進薬には、一般に、大気圧で18.3℃(華氏65度)未満の沸点を有する液体推進薬が挙げられる。一般に、推進薬は組成物の50%〜99.9%(w/w)を構成可能であり、有効成分は組成物の0.1%〜20%(w/w)を構成可能である。推進薬は、追加の成分、例えば液体の非イオン性及び/又は固体の陰イオン性の表面活性剤、並びに固体の希釈剤(有効成分を含む粒子と同程度の粒径を有しうる)のうち少なくともいずれかをさらに含むことができる。
経肺送達用に製剤化された医薬組成物は、溶液及び懸濁液のうち少なくともいずれかの小滴の形態の有効成分を提供することができる。そのような製剤は、有効成分を含む任意選択で無菌の水性及び/又は希アルコール性の溶液及び/又は懸濁液として、調製、包装、及び販売のうち少なくともいずれかが行われてもよく、かつ好都合には任意の噴霧化デバイス及び/又は微粒化デバイスを使用して投与されうる。そのような製剤は、1以上の追加の成分、例えば、限定するものではないが、サッカリンナトリウムのような香味料、揮発性油、緩衝剤、界面活性剤、及びメチルヒドロキシベンゾアートのような保存剤、のうち少なくともいずれかをさらに含むことができる。この投与経路によって提供される小滴は約0.1nm〜約200nmの範囲の平均直径を有しうる。
〔鼻内、鼻腔及び口腔投与〕
経肺送達に有用であるとして本明細書中に記載された製剤は、医薬組成物の鼻内送達に有用である。鼻内投与に適した別の製剤は、有効成分を含み、かつ約0.2μm〜500μmの平均粒子を有している粗粉である。そのような製剤は、鼻吸入がなされる方式で、すなわち鼻の近くに置かれた散剤のコンテナからの鼻通路を通した迅速な吸入によって、投与される。
鼻腔投与に適した製剤は、例えば、約0.1%(w/w)ほど〜100%(w/w)の有効成分を含むことが可能であり、かつ本明細書中に記載された追加成分のうち1以上を含むことができる。医薬組成物は、口腔投与に適した製剤として調製、包装、及び販売のうち少なくともいずれかが行われてもよい。そのような製剤は、例えば、従来の方法を使用して作製された錠剤及びロゼンジのうち少なくともいずれかの形態であってよく、かつ例えば、0.1%〜20%(w/w)の有効成分と、口腔内で溶解可能及び分解可能のうち少なくともいずれかである組成物を含む残部と、任意選択で、本明細書中に記載された追加成分のうち1以上とを含有しうる。別例として、口腔投与に適した製剤は、有効成分を含む粉末並びにエアロゾル状及び/又は霧状の溶液及び/又は懸濁液のうち少なくともいずれかを含むことができる。そのような粉末状、エアロゾル状、及び/又はエアロゾル状の製剤は、分散せしめられた時に約0.1nm〜約200nmの範囲の平均の粒径及び/又は小滴径を有することが可能であり、かつ本明細書中に記載された任意の追加成分のうち1以上をさらに含むことができる。
〔点眼投与〕
医薬組成物は、点眼投与に適した製剤として調製、包装、及び販売のうち少なくともいずれかが行われてもよい。そのような製剤は、例えば、点眼剤の形態、例えば、水性又は油性の液体添加剤中における有効成分の0.1〜1.0%(w/w)の溶液及び懸濁液のうち少なくともいずれかであってよい。そのような滴剤は、緩衝剤、塩類、及び他の本明細書中に記載された任意の追加成分のうち1以上、のうち少なくともいずれかをさらに含むことができる。有用なその他の点眼投与可能な製剤には、微晶質形態及びリポソーム調製物のうち少なくともいずれかである有効成分を含むものが挙げられる。点耳剤及び点眼剤のうち少なくともいずれかは本発明の範囲内にあるものとして企図される。
〔子宮内投与〕
本発明はさらに、本発明の化合物の子宮内投与により遺伝的疾患を好転させる方法にも関する。この方法は、特に人間医学及び獣医学において、すべての有胎盤類(Placentalia)すなわち胎盤を所有している脊椎動物に関して使用可能である。例えば絨毛膜生検若しくは羊水穿刺による胚の遺伝的疾患の診断後、又は親族、特に父親及び母親のうち少なくともいずれかの遺伝的素因に基づいて胚における遺伝的疾患が疑われる場合、本発明による方法は、予防的に胚を早期治療するため、及びその胚の遺伝的表現型を好転させるために適している。1つの実施形態では、治療は、上記に開示されるような本発明によるEDI200を、必要に応じて対応する製剤として使用して行われ、かつ理想的には妊娠中のできる限り早期に母親又は母動物に投与される。本発明によるそのような投与は、好都合には非経口的な、好ましくは静脈内又は動脈内投与である。
EDI200が投与された後、取り込まれた後に、EDI200は、典型的には胚を母親の血液循環に接続する胎盤血管を経由して胚に到達する。
用量は、その遺伝疾患自体に応じて、また、治療は好都合には胚発生のできるかぎり早期に開始するべきであるということに関連して投与の時期(胚の発生段階上にある)によって、変化する。EDI200は、妊娠第1月、第2月及び第3月のうち少なくともいずれかの間に少なくとも1回、より好ましくは規則的に、極めて具体的に好ましくは、例えば必要に応じてヒトの胚の場合に少なくとも14日間の間2日おきに、しかしながら選択される用量に応じてより長い間隔でも、投与可能である。
しかしながら、原則として本発明によるEDI200の用量は治療方法に依存する。胚発生の間の治療の場合には、EDI200の典型的な用量は、新生児における用量の元来の濃度の10分の1未満、好ましくは100分の1未満、及びより好ましくは1000分の1未満である。いくつかの実施形態では、用量には、限定するものではないが約0.0001mg/kg〜約30mg/kg、約0.00015mg/kg〜約0.15mg/kg、約0.0003mg/kg〜約0.3mg/kg、約0.001mg/kg〜約1.5mg/kg、及び約0.01mg/kg〜約3mg/kgのうち少なくともいずれかが挙げられる。
〔組み合わせ〕
本発明の化合物及び医薬組成物は、1以上の他の治療薬、予防薬、診断薬、又は造影剤と組み合わせて使用されてもよい。「組み合わせて」という場合、その作用薬が同時に投与されなければならないこと、及び/又は共に送達するために製剤化されなければならないことを示唆するようには意図されていないが、これらの送達方法は本開示の範囲内にある。化合物及び医薬組成物は、1以上の他の所望の治療薬又は医療手技と同時に、その前に、又はその後に、投与可能である。一般に、作用薬はそれぞれ、その作用薬について決定された用量及び予定時間のうち少なくともいずれかのとおりに投与されることになろう。いくつかの実施形態では、本開示は、医薬組成物、予防薬組成物、診断薬組成物、又は造影剤組成物を、該組成物の生物学的利用能の改善、該組成物の代謝の低減及び/又は改変、該組成物の排出の阻害、並びに、該組成物の体内分布の改変、のうち少なくともいず
れかをなしうる作用薬と組み合わせて送達することを包含する。
〔投薬〕
本発明は、本発明の化合物を、該化合物を必要とする対象者に投与することを含む方法を提供する。これらの化合物は、疾患、障害、及び状態のうち少なくともいずれか(例えばXLHEDに関係する疾患、障害、及び状態のうち少なくともいずれか)の予防、治療又は診断に有効な任意の投与量及び任意の投与経路を使用して対象者に投与されうる。正確な必要量は、対象者の生物種、年齢、及び全体的な状態、その疾患の重症度、その特定の組成物、該組成物の投与様式、該組成物の活性の様式などによって、対象者ごとに変わることになろう。本発明による組成物は、典型的には投与のしやすさ及び投薬の画一性のために投薬単位形態に製剤化される。しかしながら、本発明の組成物の1日当たりの合計使用量は、理にかなった医学的判断の範囲内で主治医によって決定されうることは理解されよう。任意の特定の患者についての具体的な治療上又は予防上有効な用量レベルは、様々な要因、例えば治療される障害及び該障害の重症度;使用される具体的な化合物の活性;使用される具体的な組成物;患者の年齢、体重、健康状態、性別及び食事;使用される具体的な化合物の投与時間、投与経路、及び排泄速度;治療期間;使用される具体的な化合物と組み合わせて、又は該化合物と同時に使用される薬物;並びに医学分野において良く知られた同様の要因に応じて変化しうる。
ある実施形態では、本発明による組成物は、所望の治療的、診断的又は予防的な効果を得るために、1日当たり対象者の体重(Kg)に対して約0.0001mg/kg〜約200mg/kg、約0.001mg/kg〜約0.01mg/kg、約0.003mg/kg〜約0.03mg/kg、約0.005mg/kg〜約0.05mg/kg、約0.015mg/kg〜約0.15mg/kg、約0.02mg/kg〜約0.2mg/kg、約0.03mg/kg〜約0.3mg/kg、約0.05mg/kg〜約0.5mg/kg、約0.1mg/kg〜約1mg/kg、約0.15mg/kg〜約1.5mg/kg、約0.2mg/kg〜約2mg/kg、約0.3mg/kg〜約3mg/kg、約5mg/kg〜約50mg/kg、約10mg/kg〜約60mg/kg、約15mg/kg〜約65mg/kg、約20mg/kg〜約70mg/kg、又は約30mg/kg〜約80mg/kg、約40mg/kg〜約90mg/kg、約50mg/kg〜約100mg/kg、約75mg/kg〜約150mg/kg、約100mg/kg〜約150mg/kg、又は少なくとも200mg/kgを、1日に1回以上、送達するのに十分な投与量レベルで投与されうる。所望の投与量は、1日3回、1日2回、1日1回、1日おき、3日毎、毎週、2週毎、3週毎、又は4週毎に送達されうる。ある実施形態では、所望の投与量は、複数回投与(例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14回又はそれ以上の回数の投与)を使用して送達されてもよい。いくつかの実施形態では、送達は2週間にわたって5回の投与を含む。
1つの実施形態では、本発明の化合物及び医薬組成物は分割用量を使用して投与される。本明細書中で使用されるように、「分割用量」は、単回単位用量又は合計1日用量を2回分以上の用量とする分割、例えば単回単位用量を2回以上で投与すること、である。本明細書中で使用されるように、「単回単位用量」は、1用量/1回/単一経路/単一接点、すなわち単回の投与事象において投与される任意の治療薬の用量である。本明細書中で使用されるように、「合計1日用量」は24時間の間に投薬又は処方される量である。合計1日用量は単回単位用量として投与されてもよい。
1つの実施形態では、EDI200は、1日当たり対象者の体重に対して約0.0001mg/kg〜約100mg/kg、約0.001mg/kg〜約0.01mg/kg、約0.005mg/kg〜約0.05mg/kg、約0.02mg/kg〜約0.2mg/kg、約0.05mg/kg〜約0.5mg/kg、約0.1mg/kg〜約1mg/
kg、約0.2mg/kg〜約2mg/kg、約5mg/kg〜約50mg/kg、約10mg/kg〜約60mg/kg、約20mg/kg〜約70mg/kg、又は約30mg/kg〜約80mg/kg、約40mg/kg〜約90mg/kg、約50mg/kg〜約100mg/kg、約75mg/kg〜約150mg/kg、約100mg/kg〜約150mg/kgの範囲又は少なくとも100mg/kgの適切な用量を使用して投与されることになる。
医薬組成物は、1日に1回投与されてもよいし、その日全体で適切な間隔で2回分、3回分若しくはそれ以上の回数分の少用量として、又はさらに連続的な注入若しくは制御放出製剤を通じた送達を使用して、投与されてもよい。いくつかの実施形態では、それぞれの少用量に含まれるEDI200は合計1日投与量を達成するために相応に少なくなるはずである。投薬は、1、2、3、4、5回又はそれ以上の回数分の複数回投薬スキームによるものであってもよい。
投薬は、1日、2日以上、1週間、2週間、3週間、1か月又はそれ以上かけて、適切な間隔で2回分、3回分又はそれ以上の回数分の少用量として施用されうる。投薬単位は適切な一定時間内の連続注入を使用して投与されてもよいし、制御放出製剤を用いて送達が行われてもよい。例えば、EDI200は、1分間、5分間、10分間、15分間、30分間、45分間、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間又はそれ以上にわたる連続注入を使用して投与されうる。投薬単位は、例えば数日間にわたって持続放出を提供する従来の徐放製剤を使用して、数日間にわたって送達するために製剤化可能である。徐放製剤は当分野において良く知られており、本発明の作用薬とともに使用することが考えられるような、特定の部位での作用薬の送達に特に有用である。この実施形態では、投薬単位は相応の複数日分の1日用量を含有する。
1つの実施形態では、EDI200は3週間にわたって週に2回投与される。
任意の特定の表現型又は症状に対する単回用量の効果が長期にわたり、その後の用量が3日、4日若しくは5日以下の間隔で、又は1、2、3週間若しくは4週間以下の間隔で投与されるようになっていてもよい。
当業者には当然のことであるが、ある種の要因、例えば、限定するものではないが疾患又は障害の重症度、事前の治療、対象者の全身状態及び年齢のうち少なくともいずれか、並びに存在するその他の疾患は、対象者を効果的に治療するのに必要な投薬量及びタイミングに影響を及ぼしうる。さらに、治療上有効な量の組成物を用いた対象者の治療は、単一の治療又は一連の治療を含むことができる。本発明に包含される個々の医薬組成物についての有効投与量及びin vivoの半減期の推定は、従来の方法論を用いて、又は妥当な動物モデルを使用するin vivo試験に基づいて、行われることが可能である。
1つの実施形態では、本発明の化合物の投与量は、外胚葉異形成症の動物モデルを単独で使用して、又は、DNA、RNA、若しくはタンパク質、又はこれらの組み合わせのいずれであれ全ゲノム(又は例えばEDA及びEDARシグナル伝達に特異的な経路)の配列分析に関連付けて、決定される。いくつかの実施形態では、タビーマウスはEDI200で治療され、化合物の有用性は遺伝子発現解析を使用して試験される。そのようなマウスからの皮膚生検は、EDA‐A1応答性遺伝子からの転写物レベルの変化について定量的PCR(qPCR)分析を使用して検査可能である。このモデルを使用して、EDI200用量を、治療的有用性と相関する所望の発現レベルの達成のために調整することが可能である。同様の分析は、EDA受容体活性の所望のアップレギュレーション及び結果として生じる遺伝子発現を達成するのに投与量が調整されるべきかどうかを判断するために、EDI200治療を受けているヒト患者において行なわれてもよい。いくつかの実施形態では
〔投与形態〕
本明細書中に記載された医薬組成物は、本明細書中に記載された投与形態、例えば、局所用、鼻内用、気管内用、又は注射用(例えば、静脈内、眼内、硝子体内、筋肉内、心臓内、腹腔内、皮下)の投与形態に製剤化可能である。
医薬品の製剤化及び製造の少なくともいずれかにおける一般的な考察は、例えば、「レミントン:薬学の科学と実践(Remington: The Science and
Practice of Pharmacy)」、第21版、リッピンコット・ウィリアムズ・アンド・ウィルキンズ(Lippincott Williams and Wilkins)、2005年(参照により本願に組込まれる)に見出すことができる。
〔コーティング又はシェル〕
錠剤、ドラジェ、カプセル剤、丸剤、及び顆粒剤という固体投与形態は、コーティング及びシェル、例えば腸溶コーティング及び医薬製剤化の分野において良く知られたその他のコーティングを備えて調製可能である。該コーティング及びシェルは任意選択で乳白剤を含むことが可能であり、かつ該コーティング及びシェルが有効成分のみ又は有効成分を優先的に、腸管のある特定の部分で、任意選択で遅延方式で、放出する組成のものであってよい。使用可能な包埋組成物の例にはポリマー性の物質及びワックスが挙げられる。同様の種類の固形組成物は、ラクトース又は乳糖及び高分子量ポリエチレングリコールなどのような添加剤を使用して、軟ゼラチンカプセル及び硬ゼラチンカプセル中の充填剤として使用されてもよい。
[医薬組成物の性質]
本明細書中に記載された医薬組成物は、生物学的利用能、治療濃度域及び分布容積のうち少なくともいずれかの1以上の特性を有することができる。
〔生物学的利用能〕
本発明の化合物及び医薬組成物は、本明細書中に記載されるような1以上の送達用作用薬及び添加剤のうち少なくともいずれかとともに製剤化された時、本明細書中に記載されるような送達用作用薬又は添加剤を欠く組成物と比較して生物学的利用能の増大を示しうる。本明細書中で使用されるように、用語「生物学的利用能」は、哺乳動物に投与された所定量の本発明の化合物の全身的な利用能を指す。生物学的利用能は、哺乳動物への化合物の投与後の、該化合物の未変化体の曲線下面積(AUC)又は血清中若しくは血漿中の最大濃度(Cmax)を測定することにより判断可能である。AUCは、横座標(X軸)に沿った時間に対して縦座標(Y軸)に沿って化合物の血清中又は血漿中濃度をプロットしている曲線の曲線下面積の決定である。一般に、特定の化合物についてのAUCは、当業者に既知でありかつ参照により本願に組み込まれるG.S.バンカー(Banker)、「現代の薬剤学、薬物及び薬学(Modern Pharmaceutics, Drugs and the Pharmaceutical Sciences)」、第72巻、マルセル・デッカー、ニューヨーク、インコーポレイテッド(Marcel Dekker, New York, Inc.)、1996年に記載されるような方法を使用して計算可能である。
max値は、哺乳動物に化合物を投与した後にその哺乳動物の血清又は血漿中で達せられた該化合物の最大濃度である。特定の化合物のCmax値は、当業者に既知の方法を使用して測定可能である。「生物学的利用能の増大」又は「薬物動態の改善」という言葉は、本明細書中で使用されるように、哺乳動物においてAUC、Cmax、又はCminとして測定される本発明の化合物の全身的な利用能が、本明細書中に記載されるような送達用作用薬と同時投与された場合に、そのような同時投与がなされない場合よりも大きいことを意味する。いくつかの実施形態では、本発明の化合物の生物学的利用能は、少なく
とも約2%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は約100%増大する可能性がある。
〔治療濃度域〕
本発明の化合物及び医薬組成物は、本明細書中に記載されるような送達用作用薬及び添加剤のうち少なくともいずれかを備えた組成物へと製剤化された時、投与された組成物の治療濃度域において、本明細書中に記載されるような送達用作用薬又は添加剤を欠いた組成物の治療濃度域と比較して増大を示す可能性がある。本明細書中で使用されるように「治療濃度域」とは、治療効果を誘発する可能性の高い、治療的に活性な物質の血漿中濃度の範囲又は作用部位におけるレベルの範囲を指す。いくつかの実施形態では、本明細書中に記載されるような送達用作用薬と同時投与された時の本発明の化合物及び医薬組成物の治療濃度域は、少なくとも約2%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は約100%増大する可能性がある。
〔分布容積〕
本発明の化合物及び医薬組成物は、本明細書中に記載されるような1以上の送達用作用薬及び添加剤のうち少なくともいずれかとともに製剤化された時、本明細書中に記載されるような送達用作用薬又は添加剤を欠く組成物に比べて、改善された分布容積(Vdist)、例えば低い分布容積又は目標の分布容積、を示す可能性がある。分布容積(Vdist)は、体内の有効成分の量を血液又は血漿中の有効成分の濃度に関連付けている。本明細書中で使用されるように、用語「分布容積」は、体内の有効成分の総量を血液又は血漿中と同じ濃度で含有するのに必要とされる流体の体積を指し:Vdistは、(体内の有効成分の量)/(血液又は血漿中の有効成分の濃度)に等しい。例えば、10mgの用量かつ10mg/Lの血漿中濃度については、分布容積は1リットルとなる。分布容積は、有効成分が血管外の組織中に存在する程度を反映する。大きな分布容積は、化合物が血漿タンパク質との結合と比較して組織の構成要素に結合しやすいことを反映する。臨床状況においては、Vdistは定常状態の濃度を達成するための負荷用量を決定するために使用可能である。いくつかの実施形態では、本明細書中に記載されるような送達用作用薬と同時投与された時の本発明の化合物及び医薬組成物の分布容積は、少なくとも約2%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%低下する可能性がある。
[治療適用]
本発明の化合物及び医薬組成物は、細胞間の生化学的なシグナル伝達を刺激、増強又は修復するために使用されうる。このように、本発明の化合物は、多細胞生物の様々な発生段階の間に生じる細胞の運動のような、細胞間のシグナル伝達に依存する細胞の運動を刺激、増強又は修復するために使用されうる。そのような発生には、限定するものではないが細胞の発生、原腸胚形成、器官形成、外胚葉の発生、中胚葉の発生、内胚葉の発生、胚発生、胎児の発生、出生前の発生、分娩前の発生、周産期発生、新生児の発育、幼児の発育、歩き始めの幼児の発育、幼年期の発育及び思春期の発育が挙げられる。加えて、本発
明の化合物及び医薬組成物は、ヒトの発生、マウスの発生、ラットの発生、イヌの発生、霊長類の発生(非ヒト霊長類の発生を含む)における細胞の運動を刺激、増強又は修復しうる。
1つの実施形態では、本発明の化合物及び医薬組成物は外胚葉の発生における欠陥を矯正するために使用されうる。外胚葉は一次胚葉のうちの1つであり、初期胚において形成される。胚体外胚葉における細胞の分化は、皮膚(表皮)、歯牙エナメル質及び口腔粘膜、鼻孔、肛門、毛、爪並びに汗腺など数多くの身体の外側組織の形成をもたらす。外胚葉の分化はさらに、神経系(例えば脊椎、脳及び末梢神経)の構成要素の形成をもたらす。
本発明の化合物及び医薬組成物は、外胚葉の障害、特に外胚葉異形成症を阻害又は予防するために使用されうる。外胚葉異形成を特性とするそのような障害には、限定するものではないが、皮膚紋理の欠如、爪ジストロフィ、及び掌蹠無汗症、先端腎‐外胚葉異形成症‐脂肪萎縮性糖尿病(AREDYLD)症候群、無ガンマグロブリン血症‐小人症‐外胚葉異形成症、無ガンマグロブリン血症(Aggammaglobulinemia)‐胸腺異形成症‐外胚葉異形成症、脱毛症‐無嗅覚症‐難聴‐性機能低下症、脱毛症‐爪甲形成不全‐低汗症、脱毛症‐爪甲形成不全(Onychodyaplasia)‐低汗症‐難聴、全身性脱毛症‐爪ジストロフィ‐完全白斑(Total Vitiligo)、エナメル質‐脳‐低汗症候群(Amelocerebrohypohidrotic Syndrome)、エナメル質‐爪‐低汗性異形成症、眼瞼癒着‐外胚葉異常‐口唇口蓋裂(AEC)症候群、無爪症‐異型(Bizarre)屈曲側色素沈着、関節拘縮症‐外胚葉異形成症、Baisch症候群、Bookの異形成症、Camarena症候群、Carey症候群、Christ‐Siemens‐Tourains(CST)症候群、Coffin‐Siris症候群、先天性無痛無汗症、先天性リンパ水腫、上皮小体機能減退症、ネフロタチー(Nephrotathy)、僧帽弁逸脱、及び末節骨短縮、頭蓋外胚葉症候群、巻き毛‐眼瞼癒着‐爪異形成症(CHANDS)、嚢胞性眼瞼‐掌蹠角化症‐減歯症‐乏毛症、皮膚毛髪症候群、皮膚歯異形成、先天性角化異常症、外胚葉異常‐骨格異常、頭部の外胚葉異形成症、外胚葉異形成症‐軟口蓋麻痺、外胚葉異形成症‐重症精神遅滞、外胚葉異形成症‐合指症、外胚葉異形成症候群‐四肢欠損、欠指‐外胚葉異形成症‐口唇口蓋裂(EEC)症候群、Ellis−Van Creveld症候群、Fischer‐Jacobsen‐Clouston症候群、Fischer症候群、巣状皮膚低形成(FDH)(Golts)症候群、Fried歯爪症候群、歯肉線維腫症‐多毛(Hyperrtrichosis)、歯肉線維腫症‐疎な毛髪‐歯奇形、Gorlin‐Chaudhty‐Moss症候群、成長遅延‐脱毛症‐偽無歯症‐視神経萎縮(GAPO)、Hallermann‐Streiff症候群、有毛性肘異形成症、Hayden症候群、多毛症‐歯の異常、減歯症‐爪発育不全、低汗性外胚葉異形成症‐常染色体劣性、低汗性外胚葉異形成症‐甲状腺機能低下、低汗性外胚葉異形成症‐乳頭腫及び黒色表皮症、イトウの低メラニン症、魚鱗癬様紅皮症‐難聴‐角膜炎、色素失調症、Johanson‐Blizzard症候群、Jorgenson症候群、キルギス人型皮膚骨融解症、Lenz‐Passarge異形成症、Marshall症候群I、黒白皮症(Melanoleucoderma)、中割球小人症‐骨格異常‐外胚葉異形成症、Mikaelian症候群、Naefeli‐Franceschetti‐Jadassohn異形成症、眼歯指趾(ODD)症候群I、眼歯指趾(ODD)症候群II、眼骨皮膚症候群、歯爪皮膚異形成、歯爪異形成、歯爪異形成‐脱毛症、歯爪低汗性異形成症‐正中頭皮欠損、歯‐毛髪‐四肢症候群、爪‐毛髪異形成‐好中球減少症、口腔顔指(OFD)症候群I、骨硬化症‐外胚葉異形成症、先天性爪肥厚症、掌蹠過角化症‐脱毛症、Papillon‐Lefevre症候群、捩転毛‐エナメル質減形成症、捩転毛‐爪甲形成不全、Rapp‐Hodgkin症候群、限局性外胚葉異形成症‐完全両側性裂(Total
Bilateral Cleft)、Robinson症候群、Rosseli‐Gulienetti症候群、Rothmund‐Thomsons症候群、Sabinas
脆弱毛髪‐精神薄弱症候群、Salamon症候群、Schinzel‐Giedion症候群、骨格異常‐外胚葉異形成‐成長及び精神遅滞、骨格成熟加速、発育不全、及び特異顔貌症候群、毛髪歯異形成、毛髪歯骨(TDO)症候群I、毛髪歯骨(TDO)症候群II、毛髪歯骨(TDO)症候群III、毛髪異形成‐爪甲鉤弯症‐低汗症‐白内障、毛髪‐顔‐低汗(Trichofaciohypohidrotic)症候群、毛髪眼皮膚脊椎症候群、毛髪‐歯‐爪異形成、毛髪歯爪皮膚症候群、毛髪歯爪異形成‐捩転毛、毛髪歯爪‐低汗性異形成‐白内障、毛髪‐爪‐歯(TOD)異形成、毛髪爪異形成症‐乾皮症、毛髪鼻指趾(TRP)症候群I、三指節母指‐爪ジストロフィ‐難聴、Walbaum‐Deheane‐Schlemmer症候群、乾皮症‐弯足‐エナメル質欠損、X連鎖低汗性外胚葉異形成症(XLHED)並びにZanier‐Roubicek症候群、のうち少なくともいずれかが挙げられる。
好ましい実施形態では、EDI200はXLHED又はXLEHDに関連した症状を治療、好転、改善又は予防するために使用される。EDI200を用いた出生前、新生児、幼年期、思春期及び成人の治療が企図される。
〔表現型像の変更又は修正〕
本発明は、外胚葉異形成症、特にXLHEDに関連した様々な表現型像の矯正、変更又は緩和のための化合物及び方法を提供する。
外胚葉異形成症の表現型像には、限定するものではないが、減歯症(喪失歯若しくは歯の異常形状という特性を有する、例えば、限定するものではないが、第一、第二若しくは第三大臼歯のうちいずれか、又は第一若しくは第二小臼歯、犬歯又は第一若しくは第二切歯、著しい乏歯症、小歯症、円錐歯冠、歯の異常及びエナメルの不足による発語障害)、低汗症(エクリン腺の欠如又はエクリン腺が疎であることによる発汗不能、汗腺、瞼板腺、上気道の腺、脂線、唾液腺及びその他の腺の異常形態又は欠如(若しくは減数)、環境温度に関する恒常的体温の調節不能、高熱不耐性、回帰熱、高体温、再発性良性感染症、気管支炎に対する罹病性増大、肺炎、ドライアイによる眼疾患、熱性けいれん、脳損傷及びさらには死、という特性を有する)並びに乏毛症(頭皮、眉及び身体のうち少なくともいずれかの毛が存在しないか、疎であるか、異常形態であること、及び脱毛という特性を有する)が挙げられる。表現型像にはさらに成長遅延、貧弱な咀嚼および貧弱な外観も含まれうる。
表現型像の副次的特性となりうるのは、眼の障害、例えば瞼板腺の欠如、涙の産生減少、治療しなければ角膜混濁化をもたらす慢性角膜乾燥症(乾燥結膜);鼻の障害、例えば粘膜下腺の欠如、オーノシス(oonosis)(腐敗臭)、抗生物質治療に至る鼻炎の頻発;呼吸器系の障害、例えば粘膜下腺の欠如、粘液の粘性上昇及び粘液クリアランスの減少(嚢胞性繊維症様症候群)、抗生物質治療に至る気管支肺炎の頻発;口腔の障害、例えば円錐歯、歯数減少、唾液腺の減数、咀嚼障害、発語障害、顔面異形、低自尊心、社会性障害;胃腸管の障害、例えば粘膜下腺の欠如、粘液クリアランスの減少をもたらす粘液の粘性上昇(嚢胞性繊維症様症候群におけるもの);成長及び体格の障害、例えば成長及び体格が幼時に損なわれる場合;毛髪の障害、例えば頭皮の乏しく細い毛;皮膚の障害、例えば脂線の欠如、乾燥皮膚及びアトピー様の皮膚炎、汗腺の欠如又は減数、並びに体温の調節不能である。
1つの実施形態では、EDI200は、罹患対象者において所与の表現型が発生する前に投与される。そのような実施形態では、EDI200の投与に先行して、症状を示す前の(pre−symptomatic)罹患対象者を同定するコンピュータ支援型検査技術が使用される。非限定的な例として、眼窩下のしわ又はひだ、副鼻組織の肥大、下方に付着した鼻柱、長い顔、まばらなまつ毛、長いあご、薄い眉、鼻尖の突出、広い、幅のあ
る、突出した、又は高い鼻梁、紅唇‐下口唇反転、眉の側方発育不全、低い鼻梁、短い人中、突出した眼、毛髪線高位、高い若しくは広い前頭、並びに、過度の上唇二重弓形の測定値のうち少なくともいずれかが、罹患対象者の同定のためのスコアを作出するために総合されてもよい。別の実施形態では、本発明のEDI200化合物及び医薬組成物は、罹患対象者における所与の表現型の発生を低減又は停止させるために投与される。別の実施形態では、本発明のEDI200化合物及び医薬組成物は、罹患対象者における所与の表現型の出現を好転させるために投与される。
1つの実施形態では、EDI200投与は、シグナル伝達カスケード、例えば、限定するものではないが、ソニックヘッジホッグ(Shh)及びヘッジホッグシグナル伝達のNF‐κB誘導を活性化しうる(シュミット‐ウーリッヒ(Schmidt−Ullrich)ら、ディベロプメント(Development)、2006年、第133巻、p.1045−1057)。非限定的な例として、シグナル伝達カスケードの活性化又は修飾は、エフェクター遺伝子の発現、例えば、限定するものではないが、罹患対象者の表現型を直接変更するShh、Ptch1、Ptch2、Gli1、及びEDARの誘導をもたらす。
[研究用途]
本発明の化合物及び医薬組成物は研究及び科学的発見において使用されうる。1つの実施形態では、EDI200は、EDA受容体シグナル伝達の刺激、活性化又は増強が望まれるか又は必要である研究用途で使用されてもよい。別の実施形態では、本発明の化合物はXLHEDの動物モデルと共に使用されてもよい。いくつかの実施形態では、タビーマウスの脂腺遺伝子発現の解析が有効性を評価するために使用される。
マウスでは、「タビー」マウスは最初に同定されたXLHEDのモデルであった。このマウスは、体毛及び歯の発達異常を備えた亜系統の自然発生的な出現という特性を有している。ヘテロ接合の雌は、タビーのネコに類似の特有の毛皮パターン形成を有している。これらのマウスは欠失突然変異に起因して機能的EDAタンパク質を欠いている結果フレームシフトを生じ、その結果として、正常な歯、体毛及び汗腺の形態形成にとって重要な受容体結合及びシグナル伝達に必要なドメインの欠如がもたらされる(ファーガソン(Ferguson)ら、1997年;スリバスタバ(Srivastava)ら、1997年)。その結果、これらのマウスには汗腺がなく尾に体毛がない。タビーマウスは現在XLHEDについて広く用いられているモデルである。1つの実施形態では、EDI200は、出生前、新生児及び成体のうち少なくともいずれかの治療によりこれらのマウスの表現型を好転させるために使用されうる。さらなる実施形態では、EDI200は、このモデルにおける治療として、同時に他の疾患パラメータを検査する上で、有用となりうる。
XLHEDの研究は、XLHED表現型を有することが同定されたジャーマンシェパードの系統(カサール(Casal)ら、2005年)をビーグル犬の系統と交配することにより得られた、研究室での実験作業により一般に使用される該疾患のイヌモデルにおいても行なわれる。EDA突然変異(スプライス部位の変更)を担持しているビーグルは、多くの重要な点でヒトの表現型に等価な表現型を示す。1つの実施形態では、EDI200は、これらのイヌの表現型を出生前、新生児及び成体のうち少なくともいずれかの治療により好転させるために使用されうる。さらなる実施形態では、EDI200は、このモデルにおける治療として、同時に他の疾患パラメータを検査する上で、有用となりうる。
ヒトにおいては、XLHEDに関連した最も一般的な突然変異はミスセンス突然変異である。
[製造プロセス]
EDI200の製造を含む医薬製剤の製造プロセスは、実施例1により詳細に記載され
ている。該製造プロセスは、生成物の安全性を保証するための試験及び管理を備えている。これらの試験及び管理には、限定するものではないが、マスターセルバンク(MCB)の試験、生物学的起原を有する材料の事前評価、各製造バッチの細胞培養プロセスの終了時におけるウイルス、細菌及びマイコプラズマのうち少なくともいずれかの混入物についての試験、細胞培養及び精製のプロセスを通じたプロセス内管理、レトロウイルス及びMMVのクリアランスの実証、残存不純物の検査並びにバッチリリース試験が挙げられる。
さらにバッチは、追加の物理化学的属性、例えば、限定するものではないが、グリコシル化、シアリル化、電荷不均一性、一次構造不均一性、三次構造(六量体構造の確認)、残存不純物レベル、及び生物学的活性についても特性解析されうる。非限定的な例として、生物学的活性は、BIACORE(商標)(スウェーデン国のGEヘルスケア・バイオサイエンス(GE Healthcare Bio−Sciences))結合アッセイのようなin vitroの無細胞アッセイ、又はXLHEDの表現型顕示を示すin vitroのタビーマウスモデルを使用して判断されうる。
製造プロセスはさらに、同一性、純度、生物学的活性及び安全性を保証するためにリリース試験及び安定性試験も備えうる。リリース試験には、限定するものではないが、視覚的外観、濃度(例えばUVによるもの)、pH、浸透圧重量モル濃度、サイズ排除HPLC、SDS‐PAGE、生物学的活性(例えば、ジャーカット(Jurkat)細胞がEDAR‐Fas融合タンパク質を発現するin vitroのジャーカット細胞株を用いるアッセイ)、生物負荷量、エンドトキシン、残存宿主細胞タンパク質、残存宿主細胞DNA、粉粒体及び無菌性、が挙げられる。安定性試験には、限定するものではないが、キャピラリー等電点電気泳動の画像化、温度上昇を用いる長期保管安定性が挙げられる。
[キット]
本発明の医薬組成物及び製剤はキットとして包装されてもよい。加えて、キットは、医薬組成物及び製剤の調製及び投与のための説明書を包含してもよい。
〔治療的使用のためのキット〕
キットは、1人の患者のための単回使用単位用量、特定の患者のための複数回使用として製造されてもよいし、又はキットは、複数の患者への投与に適した複数回用量を含有していてもよい(「バルク包装」)。キットの構成要素は、紙箱、ボトル、チューブなどの中に集合せしめられてもよい。キットはさらに、本明細書中に記載された任意の適応及び投薬レジメンのうち少なくともいずれかを使用して医薬組成物を投与するための説明書も含みうる。
〔診断的使用のためのキット〕
キットは診断ツールとして使用するために製造されてもよい。キットの構成要素は、紙箱、ボトル、チューブなどの中に集合せしめられてもよい。キットはさらに、所望の診断的適用を実行するための説明書も含みうる。本発明のキットは、本明細書中に記載された技法を使用して哺乳動物の体液及び組織中の生物学的かつ化学的化合物のレベルを決定するために使用されてもよい。
1つの実施形態では、本発明のキットは哺乳動物の体液及び組織中のEDI200及び抗EDI200抗体のうち少なくともいずれかを検出するために使用可能である。さらなる実施形態では、EDI200及び抗EDI200抗体のレベルは哺乳動物の血清中で検出されることも可能である。そのようなキットは、EDI200、そのバリアント又はフラグメントの使用を含む治療を受けている哺乳動物をモニタリングするのに有用ともなりうる。そのようなキットは、限定するものではないが、比色定量、放射活性、生物発光又は蛍光に基づいたEDI200又は抗EDI200抗体のレベルの検出方法を含みうる。
加えて、診断キットは、本明細書中の実施例に記載された方法によってEDI200及び抗EDI200抗体のうち少なくともいずれかの検出を実行するように設計されてもよい。
[定義]
便宜上、明細書、実施例、及び添付の特許請求の範囲において使用されるある種の用語及び言葉の意味は以下に提供される。この定義には限定する意図は全く無く、本発明のある種の態様についてのより明瞭な理解を提供する役割を果たすものである。
用語「活性化」は、本明細書中で使用されるように、シグナル伝達経路又な生体応答の任意の変更、例えば、基礎的レベルを上回る増加、抑制状態から基礎的レベルへの復旧、及び基礎的レベルを上回る経路の刺激を指す。
用語「生体試料(biological sample又はbiologic sample)」は、生物体(例えばヒト患者)から、又は生物体の構成要素(例えば細胞)若しくは体液(例えば血液、血清、唾液、尿など)から得られた試料を指す。試料は任意の生体組織、器官、臓器系又は流体のものであってよい。試料は、患者に由来する試料である「臨床試料」であってもよい。そのような試料には、限定するものではないが、唾液、血液、血球(例えば白血球)、羊水、血漿、精液、骨髄、及び組織生検若しくはコア生検、細針生検若しくは穿刺生検試料、尿、腹水、並びに胸膜液、又はこれらに由来する細胞が挙げられる。生体試料はさらに、組織学的な目的で採取された凍結切片のような組織の切片も含みうる。生体試料は「患者試料」と呼ばれる場合もある。用語「細胞種」は、所与の供給源(例えば組織、器官)に由来する細胞若しくは所与の分化段階にある細胞、又は所与の病変若しくは遺伝的性質に関連した細胞を指す。
本明細書中で使用されるように、用語「化合物」は、2以上の部分、構成要素、元素又は成分から成る物質を指す。いくつかの実施形態では、そのような構成要素には、限定するものではないが原子、分子、巨大分子、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、タンパク質サブユニット、核酸、脂質、糖及びこれらの組み合わせが挙げられる。1つの実施形態では、化合物には本明細書中に記載されるようなEDI200又はそのバリアントが含まれる。
用語「状態(condition)」は、任意の細胞、器官、臓器系又は生物体の状況を指す。状態は、疾患状態を、又は単にある実体の生理学的な所見若しくは状況を反映しうる。状態は、表現型の状態、例えば疾患又はその状態に関連した根底にある遺伝子若しくはタンパク質の発現プロファイルのような遺伝子型の状態の肉眼的な所見として見なされてもよい。状態は良性であってもよいし悪性であってもよい。
用語「相関する」又は「相関」は、本明細書中で使用されるように、2以上の確率変数又は観察されたデータ値の関係を指す。相関は、統計的手段又は検定による解析に際して、その関係が使用された統計的検定の有意な閾値を満たすことが見出される場合、統計的となりうる。
本明細書中で使用されるように、「添加剤」は、薬物又は他の有効成分若しくは組成物のビヒクル又は媒体としての役割を果たす物質又は組成物である。
用語「検出可能」は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写酵素‐(RT)PCR、ディファレンシャル・ディスプレイ、及びノーザン解析の標準的技法、又は当業者に良く知られた任意の方法によって検出可能なRNA発現パターンを指す。同様に、タンパク質発現パターンはウエスタンブロットのような標準的技法によって「検出」されうる。
治療の目的に関する「哺乳動物」は、哺乳動物として分類される任意の動物、例えばヒト、家畜及び産業動物、並びに動物園、スポーツ又はペットの動物であって例えばイヌ、ウマ、ネコ、雌牛、サルなどを指す。好ましくは、哺乳動物はヒトである。
「治療する方法」又はこれと同等の言葉は、例えばXLHEDに適用された時、個体における疾患若しくは状態に関連した表現型像及び副作用のうち少なくともいずれかを低減、除去、若しくは変更すること、又は前記疾患若しくは状態の症状を軽減することを目的とした手順又は方策を指す。疾患又は障害を「治療する方法」は、疾患若しくは障害が実際に完全に除去されること、又は疾患若しくは障害の症状が実際に完全に軽減されることを必ずしも意味しない。多くの場合、がんを治療する方法は成功の可能性が低くとも実施されることになるが、医学の歴史及び個体の推定延命期待値を考えると、それでもなお全体として有益な方策と考えられる。
「非経口投与」及び「非経口的に投与される」という言葉は、本明細書中で使用されるように、腸内投与及び局所投与以外の、通常は注射による投与方式を意味し、該投与には、限定するものではないが、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、クモ膜下、脊髄内、硬膜外及びイントラステマル(intrastemal)の注射及び注入が挙げられる。
本明細書中で使用されるように、用語「医薬組成物」は、1以上の疾患又は障害の治療、治癒、予防又は医学的診断に有用な、2以上の構成要素から成る物質を指す。1つの実施形態では、医薬組成物はEDI200及び1以上の添加剤を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、5.0mg/mlのEDI200、20mMのリン酸ナトリウム、300mMの塩化ナトリウム及び0.02%のポリソルベート20をさらに含む静脈内注入用の無菌溶液(pH7.2)を含む。
用語「表現型像(phenotypic presentation)」は、疾患の肉眼的な所見を指す。1つの実施形態では、該疾患は外胚葉異形成症であってよい。外胚葉異形成症に関連する表現型像には、欠損歯、歯の異常形状、汗腺の異常形態又は欠如(又は減数)、瞼板腺の欠如、上気道の腺の欠如、脂線の欠如、唾液腺の欠如、様々な種類の毛の欠如又は異常形態、及び脱毛、のうち少なくともいずれかが挙げられる。
用語「予測(predicting)」は、特定の事象が将来生じることになる、又は生じる可能性が極めて高いという意見又は主張を意味する。
用語「予見(prognosing)」は、特定の生物学的事象が将来生じることになる、又は生じる可能性が極めて高いという意見又は主張を意味する。
用語「進行」又は「疾患の進行」は、疾患若しくは状態の、又は疾患若しくは状態へと向かう、前進若しくは悪化を意味する。
用語「対象者」は、ヒト又は他の脊椎動物、特に哺乳動物の患者を指し、対象者としては、本発明による方法を使用して検査又は治療することが望まれる任意の個体が含まれる。しかしながら、「患者」が自動的に症状又は疾患が存在することを示唆するものではないことは理解されよう。本明細書中で使用されるように、用語「患者」は好ましくは治療を必要とするヒトを指す。
本明細書中で使用されるように用語「治療(すること)」は、別途指摘のないかぎり、疾患若しくは状態の進行を好転、緩和、抑制すること、又は疾患若しくは状態の表現型の(又はそうでなければ例えば遺伝子型の)顕示を部分的又は完全に予防すること、を意味する。本明細書中で使用されるように、用語「治療」は、別途指摘のないかぎり、治療する行為を指す。
用語「治療成果」は、1回以上の治療の結果を意味する。治療成果は良い(positive)場合もあれば悪い(negative)場合もある。「良い」成果など治療成果の性質は、客観的に測定される場合もあれば主観的に測定される場合もある。例えば、良い成果は、患者の状態についての患者の主観的な特性評価(例えば、患者がよりよく「感じる」)に反映される場合もあれば、障害の客観的な測定(例えば、髪の生育、歯の形態又は発汗能力における増大)によって表わされる場合もある。
用語「治療上有効な作用薬」は、研究者、獣医師、医師又は他の臨床家によって求められている、組織、器官、システム、生物体、動物又はヒトの生物学的又は医学的応答を誘発する化合物又は医薬組成物を指す。
用語「治療上有効な量」又は「有効な量」は、研究者、獣医師、医師又は他の臨床家によって求められている、組織、器官、システム、生物体、動物又はヒトの生物学的又は医学的応答を誘発する対象の化合物又は組み合わせの量を意味する。この文脈において、生物学的又は医学的応答には治療成果が含まれる。
用語「無症候性(の)」は、疾患又は遺伝的素因を有しているがその同じ疾患又は遺伝的素因の表現型の表立った症状を何ら備えていない個体を指す。
[等価物及び範囲]
当業者であれば、本明細書中に記載された本発明による特定の実施形態の数多くの等価物を認識するか、又は日常的な実験作業のみを用いて確認することができるであろう。本発明の範囲は、上記の説明に限定されるようには意図されず、添付の特許請求の範囲に述べられた通りである。
特許請求の範囲において、「1つの(a, an)」及び「その(the)」のような冠詞は、反対の趣旨が示されるか又は文脈からそうでないことが明白でないかぎり、1又は2以上を意味することができる。ある群の1以上のメンバーの間に「又は、若しくは(or)」を備えている請求項又は記述は、反対の趣旨が示されるか又は文脈からそうでないことが明白でないかぎり、その群のメンバーのうち1つ、2以上、又は全部が、所与の生成物若しくはプロセス中に存在するか、該生成物若しくはプロセスにおいて使用されるか、又は他のかたちで該生成物若しくはプロセスに関係している場合に、満たされるとみなされる。本発明は、その群の厳密に1つのメンバーが所与の生成物若しくはプロセス中に存在し、該生成物若しくはプロセスにおいて使用され、又は他のかたちで該生成物若しくはプロセスに関係している実施形態を含む。本発明は、2以上又は全部の群のメンバーが、所与の生成物若しくはプロセス中に存在し、該生成物若しくはプロセスにおいて使用され、又は他のかたちで該生成物若しくはプロセスに関係している実施形態を含む。
用語「〜を含む」は、オープンであることが意図されており、かつ追加の要素又はステップを含めることを許容する、ということにも留意されたい。
範囲が与えられる場合は、端点が含まれる。更に、了解されるべきなのは、そうでないことが示されるか又は文脈及び当業者の理解からそうでないことが明らかでないかぎり、範囲として表現される値は、本発明の様々な実施形態における明示された範囲内の任意の特定の値又は部分的範囲を、文脈からそうでないことが明白に示されないかぎりその範囲の下限値の単位の10分の1まで、とることが可能である。
加えて、当然のことであるが、本発明の任意の特定の実施形態であって先行技術の範囲内にあるものは、請求項のうち任意の1つ以上から明示的に除外されうる。そのような実施形態は当業者に既知であると考えられるので、該実施形態は本明細書中で除外が明示的に述べられなくとも除外されうる。本発明の組成物の任意の特定の実施形態(例えば任意
の核酸又は該核酸によりコードされるタンパク質;任意の生産方法;任意の使用方法;など)は、先行技術の存在に関係しているか否かに関わらず、任意の理由で、任意の1以上の請求項から除外可能である。
全ての引用された出典、例えば参照文献、出版物、データベース、データベース項目、及び本明細書中で引用された技術は、引用部において明記されていなくとも、参照により本願に組み込まれる。引用された出典と本願とで記述が矛盾している場合には、本願の記述が御するものとする。
節及び表の見出しは、限定的であるようには意図されない。
実施例
実施例1.EDI200の製造及び特性評価
《発現ベクターp449の構築》
EDI200発現ベクターp449は、一方はEDI200遺伝子配列を含有するPS1938に由来し、他方はインビトロジェン(Invitrogen)のプラスミドであるpEF1/myc‐HisBに由来する2つのプラスミドフラグメントのライゲーションから生じた。
EDI200遺伝子配列を含有するプラスミドPS1938はスウィー(Swee)らの文献(スウィー(Swee)LK、アンゴルド‐サラミン(Ingold−Salamin)K、タルディヴェル(Tardivel)A、ウィレン(Willen)L、ガイデ(Gaide)O、ファーブル(Favre)M、デモッツ(Demotz)S、ミッコラ(Mikkola)M、シュナイダー(Schneider)P.、ザ・ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J. Biol. Chem.)、2009年、第284巻、p.27567−27576)に記載されており、次のEDI200遺伝子配列構成要素:(1)インフルエンザA型ウイルスの血球凝集素タンパク質のシグナル配列(Swissprot受入番号P03450;アミノ酸1‐15)をコードしている遺伝子配列(この遺伝子配列はタンパク質分泌用であり、最終的なEDI200タンパク質中には存在しない);(2)ヒトIgG1 Fcタンパク質(Swissprot受入番号P01857;アミノ酸105‐330)をコードしている遺伝子配列;及び(3)EDA‐A1タンパク質の細胞外ドメインの一部(Swissprot受入番号Q92838;アミノ酸238‐391)をコードしており、EDA‐A1のTNF相同ドメイン全体を含有しているがそのコラーゲンドメインは含有していない遺伝子配列;を有している。
EDI200遺伝子を含有しているプラスミドフラグメントは、プラスミドPS1938から、プライマーAX06(5’‐ATTTAGGTGACACTATAG‐3’;配列番号2)及びAX115(5’‐TCCAGTGTGGTGGAATTCATGGCTATCATCTACCTC‐3’;配列番号3)を用いたPCR増幅の後に単離された。
EDI200遺伝子のアンプリコンの生成に加えて、増幅により5’EcoRI部位が導入された。EDI200遺伝子を含有するPCRアンプリコンは次にEcoRI及びNotIで消化され、次いでアガロースゲル電気泳動によって精製された。
プラスミドpEF1/myc‐HisBは直線状にするためにEcoRI及びNotIで消化され、得られたプラスミドフラグメントはアガロースゲル電気泳動によって精製された。得られたフラグメント(6141bp)と、EDI200遺伝子を含有するPCRアンプリコン(1194bp)とがライゲーションされて、TOP10大腸菌(インビトロジェン)の形質転換に用いられた。4個の別個のコロニーに由来するミニプレップから得られたDNAはNucleospin(登録商標)プラスミドキット(クロンテック・
ラボラトリーズ(Clontech Laboratories))を使用して抽出され、全EDI200遺伝子は、プライマーAX5(5’‐TAATACGACTCACTATAGGG‐3’;ヌクレオチド1704‐2702のための順方向プライマー;配列番号4)、AX116(5’‐CCGACGGCTCCTTCTTCC‐3’;ヌクレオチド2376‐3367のための順方向プライマー;配列番号5)、AX117(5’‐GGAAGAAGGAGCCGTCGG‐3’;ヌクレオチド1325‐2320のための逆方向プライマー;配列番号6)及びAX126(5’‐AGGCACAGTCGAGGCTGA‐3’;ヌクレオチド2043‐3033のための逆方向プライマー;配列番号7)を使用して両方向に塩基配列決定された。
両方のDNA鎖においてEDI200遺伝子全体の配列を対象とするために、順方向の塩基配列決定用の2つのプライマー(AX5及びAX116)並びに逆方向の塩基配列決定用の2つのプライマー(AX117及びAX126)が使用された。順方向及び逆方向の塩基配列決定は、ヌクレオチド1754〜2941の範囲内にあるEDI200遺伝子全体を対象とした。
配列情報に基づき、プラスミドのミニプレップのうちの1つが選ばれてプラスミドp449と改名された。このプラスミド中のEDI200遺伝子は期待されたDNA塩基配列を有しており、該プラスミドはEDI200発現細胞株の構築に使用された。
発現プラスミドp449の配列は配列番号8に示されている。該プラスミドの大きさは7336塩基対である。
プラスミドの要素には、EF‐1αプロモータの制御下にあるEDI200遺伝子、及びSV40プロモータの制御下にあるネオマイシン耐性遺伝子(選択に使用される)が含まれる。上述のように、プラスミド配列は、EDI200遺伝子全体(1754〜2941位にある)並びにEF‐1αプロモータの一部及びBGHポリアデニル化配列全体を含んでいるbpの位置1325〜3367位から確認された。
《細胞培養》
EDI200原薬は、100Lの使い捨て式バイオリアクタ(SUB)において組換えチャイニーズハムスター卵巣細胞株を使用する細胞培養法を用いて500Lスケールで製造される。
CHO‐S細胞株(インビトロジェン)は、化学的特定培地(HT補給剤(ヒポキサンチン及びチミジンを提供する)並びにグルタミンを含有するCD‐CHO培地)において培養された。培養はすべて5%COの恒温器中37℃で行なわれた。細胞株は、Opti‐MEM(登録商標)およびDMRIE‐Cを含有する24ウェルプレート中でEDI200発現プラスミドp449を用いてトランスフェクションされた。インキュベーションステップ並びにOpti‐MEM及びCHO‐Sを使用する洗浄ステップの後、Geneticin(登録商標)がT25フラスコ中での選択圧及び選択的増殖のために添加された(2日目)。10日間のインキュベーションの後、培養物は5×96ウェルプレートに移され、ウェルには細胞1000個/ウェルとして播種が行われた。
2週間のさらなる選択及び増殖の後、個々のウェルの上清についてプロテインAを用いるELISAにより生成物の力価に関する試験が行われた。上位5個のクローンが選択されて増殖せしめられた。限界希釈サブクローニングは1ウェルあたり細胞0.3個及び3個で実施された。サブクローンの増殖後、ELISAによるクローンの分析から高力価のサブクローンが選択された。少量のサブクローンが調製されてチャールス・リバー・ラボラトリーズ(Charles River Laboratories)(米国ペンシルバニア州モールヴァン)で試験された。試験結果から、このセルバンクが微生物、マイコ
プラズマ、及びウイルスの混入物などの外来物質を含まないことが示された。加えて、この細胞株がCHO由来であることが確認された。
該CHO培養物は深層濾過によって採取され、次いでプロテインAアフィニティカラム(MAbSelect SuRe(商標)樹脂)、セラミックハイドロキシアパタイト(CHTタイプ1)、陽イオン交換カラムクロマトグラフィー(SP Sepharose(登録商標)HP)、及び陰イオン交換カラムメンブレン(Mustang(登録商標)Qメンブレンフィルタ)を含む一連のカラムクロマトグラフィーステップを通じて精製された。
精製後、培養物はウイルス不活性化のための低pHステップに供されたが、該ステップはPlanova(商標)20Nウイルス除去フィルタをさらに含んでいる。限外濾過/透析濾過が実施されて生成物は濃縮されて最終的なリン酸系緩衝液中へ透析濾過され(30kDaの分子量カットオフを使用)、ここにポリソルベート20が添加された。該溶液は次いで0.2umフィルタを使用して濾過された後に容器に詰められ、−65℃以下の温度で保管された。
《EDI200の特性評価》
EDI200原薬は様々な物理化学的手法を使用して特性評価された。その結果からEDI200単量体の一次構造が確認され、かつEDI200六量体の三次構造が確認された。一次構造の不均一性及び二次構造(ジスルフィドマッピング)、並びにグリコシル化の構造及び部位占有を含む翻訳後修飾についても評価が行われた。
EDI200六量体では、2個の単量体分子種が分子のFc領域における鎖間ジスルフィド結合によって接続され、六量体構造は、鎖間ジスルフィド結合した3個の二量体の非共有結合的相互作用による会合によって形成される。9個のシステイン残基があり、6個が3個の分子内ジスルフィド結合(Cys40‐Cys100、Cys146‐Cys204、及びCys321‐Cys335)を形成している。2個のシステイン残基が分子間ジスルフィド結合を形成し(Cys及びCys)。1個の残基は対を形成しない(Cys341)。
EDI200単量体は、配列番号1のAsn76、及びAsn302においてグリコシル化されているが、4個の潜在的なN‐結合型グリコシル化部位はAsn76、Asn302、Asn333、及びAsn361に存在している。グリカンの部位占有は、Asn76についてはトリプシンペプチド、及びAsn302についてはキモトリプシンペプチドの、LC/MSによって決定された。ペプチドは、観測されたグリコペプチド質量を理論上の質量と比較して(15ppmの質量精度を限界として)同定された。グリカン構造物は質量を使用して同定され;したがって、グリカン異性体は識別されなかった。
この結果は、2つの部位がN‐グリカン構造及び部位占有において異なっていることを示している。Asn76は非グリコシル化のレベルが比較的低いことから示されるように、高度に占有されている。この部位の最も豊富なN‐グリカン構造物は、コアのフコースを備えて0、1、又は2個のガラクトース残基を終端とする二分岐型のグリカン構造物である。この部位の豊富なグリカンはいずれもシアル化されていなかった。Asn302部位も高度に占有されている。この部位の最も豊富なN‐グリカン構造物は、コアのフコース及び変動的なシアル化レベルを備えた四分岐型の構造物である。EDI200原薬における全体的なシアル酸含量はEDI200単量体1モルにつきシアル酸およそ0.7pMolであった。観察される主形態はN‐アセチルノイラミン酸であり、痕跡レベルのN‐グリコリルノイラミン酸を伴っている。1pmolのEDI200につき0.7pmolのシアル酸。
還元型の脱グリコシル化EDI200単量体の予測分子量は、理論上のアミノ酸配列に基づいて42498.2Daである。分子量はLC/MS ESI‐TOFにより42498.4Daと確認されており、これは予測分子量によく合っている。六量体のグリコシル化EDI200のおよその分子量は、サイズ排除クロマトグラフ‐多角度光散乱(SEC‐MALS)を使用して決定されている。得られた分子量(およそ290,000Da)は、6個のグリコシル化単量体で構成されている六量体構造と一致する。EDI200は電荷不均一性を示すが、主要な分子種はおよそ7.4のアイソレクトリック点(isolectric point)(pI)を有している。
最終的な原薬は、20mMリン酸ナトリウム、300mM塩化ナトリウム、pH7.2、0.02%ポリソルベート20に含めた10.0mg/mLの標的生成物濃度で供給される。
EDI薬物生成物は、20mMリン酸ナトリウム、300mM塩化ナトリウム、pH7.2、0.02%ポリソルベート20(TWEEN(登録商標)20)に含めた5.0mg/mLの目標濃度のEDI200として供給される。
EDI200無菌溶液は、透明〜わずかに不透明の、本質的に無色で無菌の非経口液(pH7.2)である。目標濃度では、該無菌溶液は1ミリリットルにつきおよそ5.0mgのEDI200を含有する。該薬物生成物は、13mmの灰色ブチル製ストッパー(プラグ上にのみFluroTec(登録商標)を備えたもの)を備え、かつ13mm径の青色のアルミニウム製の誘導切り込み線付きflip‐off(登録商標)シールで密封された、3mLの13mmネックのUSPタイプ1ホウケイ酸バイアルに入った、凍結した無菌の液体として供給される。静脈内注入用のEDI200無菌溶液は−60〜−90℃で保管される。臨床プロトコールにおいて決められたとおりに使用する前に、生成物は室温又は冷却条件下で解凍される。
《生物学的活性の確認》
生物学的活性は、当分野で既知のin vitroのジャーカット細胞を用いた方法を使用して測定された。該方法において使用される細胞株は、EDARの細胞外ドメイン及びFasの細胞内ドメインからなるキメラタンパク質を用いて形質導入された、JOM2‐2199 CL23sc20(ロットSCL‐20)と名付けられたジャーカット細胞株である。この細胞株はサブクローニングされ、ワーキングセルバンクが調製された。
アッセイを開始するために、1バイアルのワーキングセルバンクは成育培地(RPMI+9%ウシ胎児血清)中でCO恒温器にて37℃で培養された。十分な細胞量が利用可能であったら、細胞は遠心分離処理及び再懸濁され、該細胞懸濁液は、調製済みの標準品及び被験物質の入った96ウェルマイクロタイタープレートのウェルに加えられた。標準品及び被験物質は、最初に成育培地中で2700ng/mLの生成物濃度に希釈することにより調製され、その後96ウェルマイクロタイタープレートを横切って3倍希釈系列を達成するようにさらに希釈される。標準品及び被験物質についての各濃度は、細胞懸濁液の添加に先立ってプレートに三連で投入される。
細胞懸濁液及び追加の成育培地が添加された後、プレートは37℃で18〜24時間インキュベートされた。理論によって束縛されることは望まないが、インキュベーション中にEDI200はEDAR‐FasキメラのEDAR部分に係合してアポトーシス性のカスケードを誘導し、濃度依存的に細胞死を引き起こすと考えられる。
生細胞の残存率は、CellTiter96(登録商標)Aqueous One S
olution(プロメガ(Promega))の添加によって測定された。この溶液は、テトラゾリウム化合物(3‐(4,5‐ジメチルチアゾール‐2‐イル)‐5‐(3‐カルボキシメトキシフェニル)‐2‐(4‐スルホフェニル)‐2H‐テトラゾリウム分子内塩、MTSとも呼ばれる)及び電子カップリング試薬(フェナジンエトスルファート(PES))を含有している。製造業者によればPESはMTSと組み合わさって安定な溶液を形成する。MTS/PES溶液の添加後、プレートはさらに7〜8時間インキュベートされ、次いで96ウェルプレートリーダにおいて補正吸光度(A490−A650)が記録された。490nmの吸光量により測定されるようなホルマザン生成物の量は、培養物中の生細胞の数と相関する。
各試料又は試料セットについて、所定の日の細胞株の性能が許容可能であることを保証するために、被験物質として標準品を使用して内部対照プレートが調製された。内部対照プレート及び試料プレートのデータ分析は、標準品及び被験物質の平均かつ補正済みの吸光度をlog10目盛の最終EDI200濃度に対してプロットすることにより実施された。用量応答曲線は4パラメータロジスティック曲線モデルを使用してフィッティングされた。系の適合性及び試料の判定基準はSoftMax(登録商標)Proデータを使用して分析され、平行性の評価についてはPLA2.0が使用される。外れ値についての試験はディクソン(Dixon)のQテストを使用してそれぞれ三連の読取値について実施された。系の適合性の要件は、各プレートの標準曲線について、内部対照プレートについて、及びさらに被験物質について、該アッセイを許容するために確立され、例えば:a)rは≧0.950でなければならないこと;b)個々の三連の測定に関する精度の結果の要件;c)光学密度(OD)応答の変化は≧0.25でなければならないこと;d)内部標準対照は、≧0.5及び≦1.5の相対力価を生じなければならないこと;e)平行性についての検定に合格すること、が含まれる。上記の基準が満たされる場合、試験結果は許容されて試料の相対力価が次のように計算される:
相対力価(%)=100×(EC50標準品/EC50被験物質)であって、前記式中:EC50標準品=SoftMax(登録商標)Proで標準曲線から計算されたC‐パラメータ。EC50被験物質=SoftMax(登録商標)Proで被験物質曲線から計算されたC‐パラメータ。このアッセイでは、標準品はベンチスケールのプロセスを使用して調製され、組成はEDI200原薬の組成と同一であった。
《ELISAアッセイ》
生物学的活性は酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を使用して決定されてもよい。
実施例2.非ヒト霊長類におけるEDI200:血清中における検出
EDI200の測定のための定量的薬物動態学的リガンド結合法は、GLP規則のもとで非ヒト霊長類(NHP)の血清とともに使用するために開発及び検証された。該アッセイは求められる業界標準内で十分に機能することが見出され、かつ42日間の安定性を有することが検証された。該アッセイはEDI200に特異的であることが見出され、かつ許容可能な真度、精度、周囲条件における4.5時間の短時間安定性、−10〜−30℃及び−50〜−90℃における3サイクルの凍結/融解安定性、並びに−10〜−30℃及び−50〜−90℃における42日間の長期保管安定性を実証した。更に、該アッセイは、十分な範囲(3.91〜250ng/mL)を有すること、かつ高感度であって未希釈の血清中で3.91ng/mL又は39.1ng/mLの定量下限(LLOQ)を備えていることが見出された。定量限界を上回る試料は正確な結果を得るために1:160,000に希釈されて標準曲線の範囲内に収めることが可能である。
表1及び2に概説されているのは本研究に関するマトリックス及び試薬の情報である。
〈分析物の調製〉
EDI200ストック溶液調製物は、330μLの9.4mg/mL EDI200と、2772μLの20mMリン酸ナトリウム、300mM NaCl、0.02%TWEEN(登録商標)20(米国ミズーリ州セントルイスのシグマ・アルドリッチ(Sigma−Aldrich))とを組み合わせて混合し、pHを7.2に調整することにより調製された。使い捨てアリコートが調製され、該アリコートが調製されたEDI200ロットの使用期限が割り当てられ、使用時まで−70℃で保管された。
〈緩衝液及び溶液の調製〉
200mMのリン酸水素二ナトリウム七水和物は、5.36gのリン酸水素二ナトリウム七水和物(米国ミズーリ州セントルイスのシグマ・アルドリッチ(Sigma Aldrich))と100mLの超高純度脱イオン水とを組み合わせて混合することにより調製された。この試薬は室温で保管され、調製日から3か月以内に使用された。
200mMのリン酸二水素ナトリウムは、2.4gのリン酸二水素ナトリウム(米国ミ
ズーリ州セントルイスのシグマ・アルドリッチ)と100mLの超高純度脱イオン水とを組み合わせて混合することにより調製された。この試薬は室温で保管され、調製日から3か月以内に使用された。
100mMのリン酸ナトリウム緩衝液は、33mLの200mMリン酸水素二ナトリウム七水和物、17mLの200mMリン酸二水素ナトリウム及び50mLの超高純度脱イオン水を組み合わせて混合することにより調製された。この試薬は室温で保管され、調製日から3か月以内に使用された。
試薬緩衝液(20mMリン酸ナトリウム、300mM NaCl及び0.02%TWEEN(登録商標)20、pH7.2)は、50mLの100mMリン酸ナトリウム緩衝液、4.383gのNaCl(米国ミズーリ州セントルイスのシグマ・アルドリッチ)、50μLのTWEEN(登録商標)20(米国ミズーリ州セントルイスのシグマ・アルドリッチ)及び200mLの超高純度脱イオン水を組み合わせて混合することにより調製された。次いでpHが7.2±0.05に調整され、0.22μmのCAフィルタユニット(米国ニューヨーク州コーニングのコーニング(Corning))を通して濾過された。この試薬は室温で保管され、調製日から3か月以内に使用された。
10×リン酸緩衝生理食塩水(PBS)は、1包のPBS10×Ready Concentrate(米国ペンシルバニア州ピッツバーグのフィッシャー・サイエンティフィック(Fisher Scientific))を1Lの脱イオン水と組み合わせて混合することにより調製された。この試薬は室温で保管され、調製日から3か月以内に使用された。
1×PBSは、100mLの10×PBS及び900mLの脱イオン水を組み合わせて混合することにより調製された。この溶液は、0.22μmのCAフィルタ(米国ニューヨーク州コーニングのコーニング)を使用して濾過され、室温で保管され、調製日から3か月以内に使用された。
1×PBST(1×PBS中の0.05%TWEEN(登録商標)20)は、10mLのTWEEN(登録商標)20及び2Lの10×PBSを組み合わせて混合することにより調製された。該溶液は脱イオン水で最終体積20Lとされ、室温で保管され、調製日から3か月以内に使用された。
ブロッキング用緩衝液(1×PBS中の3%BSA)は、15gのBSA(シグマ・アルドリッチ、カタログ番号A7030)及び500mLの1×PBSを組み合わせて混合することにより調製された。該溶液は、0.22μmのCAフィルタユニット(コーニング、カタログ番号430513)を使用して濾過され、2〜8℃で保管され、調製から1か月以内に使用された。
〈血清の取り扱い及び調製〉
非ヒト霊長類(NHP)の血清は、商業的供給元からの正常なカニクイザル(Cynomolgus Macaque)の血清ロットを等量組み合わせて混合することにより調製された。アリコートは−20℃で保管された。
〈アッセイの構成要素の調製〉
コーティング付プレートは次のプロトコールによって調製された。1μg/mLのhEDARmFcコーティング溶液は1×PBSで調製された(例えば、11μLの1mg/mL hEDARmFcが11mLの1×PBSと組み合わされた)。この1μg/mLのhEDARmFcコーティング溶液100μLが、アッセイプレートの各ウェルに添加
された。次いでプレートは密閉されて2〜8℃で12〜24時間インキュベートされた。次に、プレートは1ウェルあたり300μLの1×PBSTで5回洗浄され、残留液を除去するために吸収材料の上でタッピングされた。150μLのブロッキング用緩衝液(1×PBS中の3%BSA)が各ウェルに添加された後、密閉されて室温で120±10分間インキュベートされた。次に、プレートは1ウェルあたり300μLの1×PBSTで5回洗浄され、残留液を除去するために吸収材料の上でタッピングされた。最後に、プレートは密閉されて使用時まで2〜8℃で保管された(1週間以内の保管)。
アッセイ用緩衝液(1×PBS中の0.1%BSA、0.05%TWEEN(登録商標)20)は、1gのBSA(米国ミズーリ州セントルイスのシグマ・アルドリッチ)を1000mLの1×PBS及び500μLのTWEEN(登録商標)20と組み合わせて混合することにより調製された。該溶液は0.22μmのCAフィルタユニット(米国ニューヨーク州コーニングのコーニング)を使用して濾過され、2〜8℃で保管され、調製1か月以内に使用された。
停止液(〜2N硫酸)は、20mLの35N硫酸(米国ペンシルバニア州ピッツバーグのフィッシャー(Fisher))及び330mLの脱イオン水を組み合わせて混合することにより調製された。この試薬は室温で保管され、調製日から1年以内に使用された。10%の血清を含むアッセイ用緩衝液は、400μLのNHP血清及び3.6mLのアッセイ用緩衝液を組み合わせて混合することにより調製された。
標準品及び品質管理用試料がアッセイのために調製された。25μg/mLのEDI200希釈液1は、1mg/mLのEDI200ストックをNHP血清で希釈することにより調製された(例えば、5μLの1mg/mL EDI200ストックが195μLのNHP血清と組み合わされた)。2.5μ/mLのEDI200希釈液2は、25μg/mLのEDI200希釈液1をNHP血清で希釈することにより調製された(例えば、30μLのEDI200希釈液1が270μLのNHP血清と組み合わされた)。
品質管理用試料(QC)は表3に従ってチューブで調製され、アッセイ標準品は表4に従ってチューブで調製された。
〈アッセイ手順〉
バリデーションのために、ELISAプレート(96ウェルマイクロタイタープレート、Nunc(商標)96F Maxisorp(商標)(米国ペンシルバニア州ピッツバーグのサーモ・フィッシャー(Thermo Fisher))は、1μg/mLのhEDARmFcコーティング溶液でコーティングされた。結合ステップについては、標準品、QC、ブランク(アッセイ用緩衝液のみ)、及びその他の所要の試料がアッセイプレートの適切なウェルに添加された。プレートはおよそ120分間インキュベートされ、次いで洗浄された。検出ステップについては、検出試薬が所要の各ウェルに添加され、プレートはおよそ60分間インキュベートされた後に洗浄された。基質ステップについては、Ultra TMB(1‐Step(商標)Ultra TMB−ELISA基質(米国ペンシルバニア州ピッツバーグのサーモ・サイエンティフィック(Thermo Scientific)))が各ウェルに添加され、プレートはおよそ20〜30分間インキュベートされた。発色は650nmでモニタリングされて、250ng/mL標準品のODが1.3〜1.4の時に発色を中止させることが可能であるようになされた。発色反応を停止するためには、2N硫酸が各ウェルに添加された。450nmにおけるODが、540nmに設定された補正用波長を用いて決定された。
試料濃度は、標準品の濃度及び吸光度から構築された標準曲線を使用して計算された。4パラメータロジスティック(4PL)曲線フィッティングが用いられた。
《結果及び議論》
〈真度及び精度〉
コアバリデーション及び予備安定性のバッチについては、2セットのQC低、QC中、及びQC高の試料がプレート上で1レベル当たり3連ウェルとして実行された。他のすべてのバッチについては、1セットのQC試料がプレート上で3連ウェルにて実行された。方法の真度及び精度は、3バッチ(バッチ2、3及び4)について、2日間にわたり、2人の別々の分析者によって、QCレベル当たり合計18回の結果について分析が行われた。反復された同じ調製物の変動を反映するアッセイ内の真度及び精度が、個々の独立した
バッチ内の各QCレベルについて計算された。同じQCレベルの複数の調製物の変動を反映するアッセイ間の真度及び精度は、3つのコアバリデーションバッチにわたって得られた値から計算された。該アッセイは、アッセイ内及びアッセイ間の両方の真度及び精度について基準を満たしている。バッチ4のQC低及びQC高の1つの個別ウェルは±20%から外れた絶対平均のバイアス(%RE)を有しており、統計データから除外された。アッセイ内及びアッセイ間の真度及び精度の結果は表5に示されている。%CVは変動係数を表わし、%REは相対誤差(%)を表わしている。
〈希釈直線性〉
試料分析の際に予想される血清中濃度の範囲が大きいことから、1回の実行範囲内で独立した2セットとして希釈直線性が実施された。第1のセットについては、22,000ng/mLの試料が未希釈の血清中で調製され、次いでアッセイ用緩衝液を用いて2200ng/mLに希釈された。この試料について10%の血清を含有するアッセイ用緩衝液を使用した系列希釈が行われて、曲線の範囲内の5つの希釈レベル(4.4〜220ng/mL)と、曲線の範囲外の2つの希釈レベルとが得られた。第2のセットについては、1000μg/mLの試料が未希釈の血清中で調製され、次いでアッセイ用緩衝液を用いて100μg/mLに希釈された。この試料について10%の血清を含有するアッセイ用緩衝液を使用した系列希釈が行われて、曲線の範囲内の5つの希釈レベル(100〜6.25ng/mL)と、曲線の範囲外の2つの希釈レベルとが得られた。この希釈直線性の試料は、真度及び精度の合格基準を満たした。これらのデータは、定量限界を上回る試料は最大で1:160,000に希釈されて標準曲線の範囲内とすることが可能であって正確な結果を得ることが可能であることを実証している。2200ng/mL及び100μg/mLの試料の調製は、未知の試料を分析するための免疫学的方法の要件を反映している(血清試料はすべて最初にアッセイ用緩衝液を使用して1:10に希釈される)。希釈直線性の結果は表6に示されている。
〈定量下限(LLOQ)及び定量上限(ULOQ)〉
概算のLLOQ及びULOQは、濃度ごとに6回反復して試験された。LLOQ及びULOQの試料は、真度及び精度のための合格基準を満たした。これらのデータは、このアッセイのLLOQ及びULOQがそれぞれ3.91及び250ng/mLであることを実証している。LLOQ及びULOQの判定結果は、以下の表7に示されている。
〈選択性〉
方法の選択性は、EDI200に関係する材料、例えば組換えヒトIgG Fc(hFc)、組換えヒトEDA‐A1エクトジスプラシンA1(EDA‐A1)、及びhFcを備えたEDA‐A1を使用して調製された試料に対するアッセイの応答性を評価することにより判断された。最初に、これらの溶液はQC高の試料と同じ濃度の100ng/mLに調製された。これらの試料からの計算結果は、EDI200について選択的であるべき該方法のLLOQの濃度を下回るべきであった。100ng/mLのEDA‐A1及び100ng/mLのEDA‐A1+100ng/mLのhFcについての当初の結果は、陽性のEDI200応答(>5ng/mL)を示した。該方法はhFc単独については検出しなかった。
さらなる選択性試験は、hFcを備えたEDA‐A1及びhFcを備えていないEDA
‐A1について実施された。この追加試験については、試料はQC高の濃度に調製されたが、得られる濃度がLLOQ未満になるまで2倍系列希釈が実施され、全ての試料について分析が行われた。EDA‐A1がhFcの存在下及び非存在下で試験された場合は同様の結果が観察され、観察された効果がhFcではなくEDA‐A1に起因することが示された。該データは、これが濃度特異的な結果であること、及び≦50ng/mLでスパイクがなされた試料がアッセイの定量限界未満(BLQ)であったことを実証している。EDI200は、ヒトIgG1のFc部分に融合せしめられたEDA‐A1のTNF相同ドメインを含有している。このアッセイで使用されたヒト組換えEDA‐A1は、コラーゲンドメイン及びTNF相同ドメインの両方(Ser160‐Ser391)を含有しているので、EDI200のEDA‐A1構成要素を完全に表すものではない。EDA‐A1スパイクがなされた試料において観察された結果は、恐らくは検出抗体と組換えヒトEDA‐A1分子との間の非特異的結合の相互作用によるものである。タンパク質供給元並びにタンパク質の配列及び構造の差を考慮すると、組換えヒトEDA‐A1を用いて観察された選択性の結果は、EDI200に含まれるEDA‐A1のTNF相同ドメインと直接的に相関し得ない。選択性の結果は以下の表8に示されている。濃度はng/mLで表されている。
〈安定性〉
安定性は、適用されうる保管条件の後のQC調製物からのデータを名目上の濃度と比較することにより判断された。加えて、QCセットはそれぞれ真度及び精度の合格基準を満たさなければならない。1セットのアリコートが、バッチ5由来の2つの10×のQC低及びQC高の濃度それぞれから調製された。短時間安定性試験は、この2セットの10×QC試料を周囲条件で少なくとも4.5時間保管し、その後新鮮な1×希釈物(アッセイ用緩衝液中)を分析することにより判断された。短時間安定性の結果は以下の表9に示されている。濃度はng/mLで表されている。
短時間安定性試料の平均の真度及び精度は、各レベルの試料セットについて許容可能であった。QC低のセットAの1つの個別ウェルは±20%から外れた%REを有しており、統計データから除外された。したがって、試料は、周囲条件で保管された時、少なくとも4.5時間の間は安定していると考えられる。
〈凍結/融解サイクル安定性〉
バッチ4由来の2つの10×のQC低及びQC高の濃度それぞれから、2セットのアリコートが調製された。1つのセットは−10〜−30℃で凍結保管され、第2のセットは−50〜−90℃で凍結保管された。凍結/融解安定性試験は、10×QC試料を3回まで融解及び再凍結することにより実施された。3回目の凍結/融解サイクルの後、新鮮な1×希釈物が調製されて分析された。凍結/融解サイクル安定性の結果は以下の表10に示されている。
凍結/融解サイクル安定性試料の平均の真度及び精度は、−10〜−30℃及び−50〜−90℃の各レベルの試料セットについて許容可能であった。したがって、試料は、いずれの保管温度でも最大3回の凍結/融解サイクルについて安定であると考えられる。
〈長期の保管及び安定性〉
バッチ4由来の2つの10×のQC低及びQC高の濃度それぞれから、2セットのアリコートが調製された。1つのセットは−10〜−30℃で凍結保管され、第2のセットは−50〜−90℃で凍結保管された。所要の凍結保管時間を置いた後、新鮮な1×希釈が調製されて分析された。長期保管安定性の結果は以下の表11に示されている。
長期保管安定性試料の平均の真度及び精度は、7、28、及び42日において−10〜−30℃及び−50〜−90℃の各レベルの試料セットについて許容可能であった。したがって、試料はいずれの保管温度においても最大42日間まで安定であると考えられる。
《結論》
該アッセイは、予想される業界標準の範囲内において十分に機能し、かつ42日間の安定性を有していることが検証されたと考えられる。該アッセイはEDI200に選択的(特異的)であり、かつ許容可能な真度、精度、周囲条件における4.5時間の短時間安定性、−10℃〜−30℃及び−50℃〜−90℃における3サイクルの凍結/融解安定性、並びに−10℃〜−30℃及び−50℃〜−90℃における42日間の長期保管安定性を実証した。更に、該アッセイは十分な範囲(3.91〜250ng/mL)を有し、かつ高感度である(LLOQが3.91ng/mL又は未希釈の血清中で39.1ng/mL)。定量限界を上回る試料は最大で1:160,000に希釈して標準曲線の範囲内とすることが可能であり、かつ正確な結果を得ることができる。
実施例3.非ヒト霊長類の血清中で抗EDI200抗体を検出するためのリガンド結合法
本研究は抗EDI200抗体を測定する方法を開発するために実施された。次いで該方法は、非ヒト霊長類(NHP)の血清マトリックスと併せての使用について検証された。
《材料及び方法》
〈マトリックス及び基準抗体の情報及び調製〉
使用されたマトリックスは非ヒト霊長類(カニクイザル)の血清に由来し、商業的供給元(米国ニューヨーク州ウエストベリーのバイオリクラメーション・インコーポレイテッド(Bioreclamation Inc))から調達された。基準抗体(高力価(hyperimmune)の抗EDI200血清)は、Fc‐EDA1を用いてタビーマウスを免疫化することにより作出された。10日目に血清が収集され、該マウスはブースト免疫された。ブースト免疫後15日に再び血清が収集された。この血清は得られたままで
使用された。必要に応じ、高力価の抗EDI200血清がNHP血清に加えられて高力価血清の1:1000希釈液が作られた。
〈分析物の調製〉
EDI200ストック溶液(9.4mg/mL、バッチ番号11‐0015、米国ワシントン州ボセルのCMC ICOSバイオロジーズ(CMC ICOS Biologies))は、20mMリン酸ナトリウム、300mM NaCL及び0.02%TWEEN(登録商標)20(米国ミズーリ州セントルイスのシグマ・アルドリッチ)を含有する緩衝液(pH7.2)中において1mg/mLに希釈された。EDI200とビオチン及びMSD(登録商標)SULFO‐TAG(商標)(米国メリーランド州ゲーサーズバーグのメソスケールディスカバリー(Meso Scale Discovery))とのコンジュゲーションは、1mg量のEDI200を用いて実行された。EDI200のマスターミックスは、ビオチン‐EDI200及びSulfotag‐EDI200をそれぞれにつき62.5ng/mLの終濃度でアッセイ用緩衝液中にて組み合わせることにより調製された。
〈さらなる抗体調製物〉
ロバ抗ヒトIgG抗体(米国ペンシルバニア州ウエストグローブのジャクソン・イムノリサーチ・ラボラトリーズ・インコーポレイテッド(Jackson ImmunoResearch Laboratories, Inc))は、最初の感度試験の代用抗体として使用された。EDAに対するマウスモノクローナル抗体(Renzo‐1)(米国マサチューセッツ州ケンブリッジのアブカム(AbCam))は、最終的な感度試験の代用抗体として使用された。マウス抗ヒトCD106抗体(米国カリフォルニア州サンディエゴのBDバイオサイエンシズ(BD Biosciences))は無関係の抗体として特異性試験に使用された。
〈緩衝液の調製〉
10×PBSは、1包のPBS10×Ready Concentrate(米国ペンシルバニア州ピッツバーグのフィッシャー・サイエンティフィック(Fisher Scientific))及び1Lの脱イオン水を組み合わせて混合することにより調製された。この試薬は室温で保管され、調製日から3か月以内に使用された。
1×PBS調製物は、100mLの10×PBS及び900mLの脱イオン水を組み合わせて混合することにより調製された。この溶液は、0.22μmのCAフィルタ(米国マサチューセッツ州テュークスベリーのコーニング・インコーポレイテッド(Corning Inc.))を使用して濾過され、室温で保管され、調製日から3か月以内に使用された。
ブロッキング用緩衝液(1×PBS中の3%BSA)は、15gのBSA(米国ミズーリ州セントルイスのシグマ・アルドリッチ)及び500mLの1×PBSを組み合わせて混合することにより調製された。該溶液は、0.22μmのCAフィルタユニット(米国マサチューセッツ州テュークスベリーのコーニング・インコーポレイテッド)を使用して濾過され、2〜8℃で保管され、調製から1か月以内に使用された。
アッセイ用緩衝液(1×PBS中の0.1%BSA、0.05%TWEEN(登録商標)20)は、1gのBSA(米国ミズーリ州セントルイスのシグマ・アルドリッチ)、1000mLの1×PBS及び500μLのTWEEN(登録商標)20を組み合わせて混合することにより調製された。該溶液は、0.22μmのCAフィルタユニット(米国マサチューセッツ州テュークスベリーのコーニング・インコーポレイテッド)を使用して濾過され、2〜8℃で保管され、調製から1か月以内に使用された。
1×PBST(1×PBS中の0.05%TWEEN(登録商標)20)は、10mLのTWEEN(登録商標)20及び2Lの10×PBSを組み合わせて混合することにより調製された。該溶液は脱イオン水で最終体積20Lとなされた。この試薬は室温で保管され、調製日から3か月以内に使用された。
〈血清の取り扱い〉
非ヒト霊長類(NHP)の血清は、等量の正常なカニクイザルの血清及び緩衝液を組み合わせて混合することによって調製された。アリコートは−20℃で保管された。
〈1:1000の高力価血清の調製〉
1μLの高力価抗EDI200(米国マサチューセッツ州ケンブリッジのエディマー・ファーマシューティカルズ(Edimer Pharmaceuticals))が999μLのNHP血清に加えられた。該溶液は小分けされて−70℃で保管された。
〈手順〉
〈アッセイの試料及び溶液〉
陰性対照(NC)は未希釈のNHP血清とした。ストックの陽性対照は、タビーマウスから得られた高力価血清であって未希釈のNHP血清を使用して1:1000に希釈したものとした。品質管理用(QC)の低(QCL)、QC中(QCM)、及びQC高(QCH)試料は、それぞれ1:40,000、1:20,000、及び1:10,000の希釈で調製された(表12を参照)。QC試料は、未希釈のNHP血清を用いてストックの陽性対照血清を系列希釈することにより調製された。QC試料は12バッチ(バッチ1、2、3、4、7、8、9、11、12、14、16及び17)に分割された。
〈プレートの調製及び電気化学ルミネセンスアッセイの手順〉
試薬は使用前に室温に温められた。ブリッジングリガンド結合法がこのアッセイのために利用された。この方法に従って、150μLのブロッキング緩衝液が、標準的なストレプトアビジンSector(登録商標)Imager2400アッセイプレート(米国メリーランド州ゲーサーズバーグのメソスケールディスカバリー(Meso Scale Discovery))の各ウェルに添加された。プレートはその後密閉され、室温でオービタルシェーカー(低速)にて60〜90分間インキュベートされた。
保管プレートは、未知試料、QC試料又はNC各々の30μLを96ウェル希釈プレートの割り当てられたウェルに加えることにより準備された。45μLのアッセイ希釈媒及び150μLのEDI200マスターミックスが続いて希釈プレートの各ウェルに添加された。保管プレートはその後密閉されてオービタルシェーカー(低速)にて室温で約1時間インキュベートされた。
インキュベーションの完了時、ストレプトアビジンアッセイプレートは1ウェルあたり
300μLの1×PBSTを用いて手作業で3回洗浄され、該プレートは残留液を取り除くために吸収材料の上でタッピングされた。
保管プレートのインキュベーションの完了時、ブランク、QC及び未知試料のウェルから50μLがストレプトアビジンアッセイプレートのウェルに移された(ブランク及びQCの試料は3連として移され、未知試料は2連として移された)。ストレプトアビジンアッセイプレートはその後密閉され、低速設定のオービタルシェーカーにて室温で約120分間インキュベートされた。
インキュベーションの後、ストレプトアビジンアッセイプレートは、1ウェルあたり300μLの1×PBSTを用いて手作業で3回洗浄され、残留液を取り除くために吸収材料の上でタッピングされた。
2×読み取り用緩衝液T(光生成の共反応物としてトリプロピルアミンを含んだトリスベース緩衝液、米国メリーランド州ゲーサーズバーグのメソスケールディスカバリー)は、4×読み取り用緩衝液Tを等体積の脱イオン水で希釈することにより調製された。150μLの2×読み取り用緩衝液Tが、ストレプトアビジンアッセイプレートの各ウェルに添加された。プレートはその後、20分以内にSector Imager2400(米国メリーランド州ゲーサーズバーグのメソスケールディスカバリー)を使用して分析された。
このアッセイでは、ストレプトアビジンプレートは飽和状態とされ、次いでビオチン化EDI200+抗EDI200抗体を含有する血清+SulfoTag‐EDI200の混合物が添加される。ビオチン化EDI200が捕捉される。Sulfotag‐EDI200は、抗EDI200抗体が存在してSulfoTag‐EDI200を固定化されたビオチン化(biotinlyated)EDI200bへと架橋する場合にのみ、捕捉される。SulfoTagは電気化学ルミネセンスによって検出可能である。
《結果》
〈マトリックスの試験及びNCOの決定〉
25個の個々の血清ロットについて未希釈のかたちで分析がなされた。試料は3連として異なる日に2回にわたって分析された。バッチ1からの結果は、その後のバッチに追加の血清ロットが含められたことから、陰性カットオフ(NCO)の計算に使用されなかった。NCOは、その応答レベル以下ではその試料が陰性であると考えられる応答レベルとして定義される。実行ごとのアッセイのばらつきを標準化するために、適切な統計学的手法によって補正係数(corrective factor ;CF)が決定された(シェンカル(Shankar)、G.ら、「生物工学的生成物に対する宿主抗体の検出に使用されるイムノアッセイのバリデーションに関する提言(Recommendations for the validation of immunoassays used for detection of host antibodies against biotechnology products)」、ジャーナル・オブ・ファーマシューティカル・アンド・バイオメディカル・アナリシス(J Pharm Biomed Anal)、2008年12月15日、第48巻、第5号、p.1267−81、電子出版2008年9月19日)。このアッセイのCFは44.4であることが見出された。この方法について実行された各プレートのNCOは、平均の陰性対照シグナルにCFを加えることにより決定された。このレベルを上回るあらゆる応答が陽性の応答であるとみなされた。マトリックスの試験の結果は以下の表13に示されている。
〈対照試料範囲の試験〉
安定性は、適用可能な保管条件を経た後のQC調製物で得られた生のシグナルを、QC試料に関するシグナル対ノイズ(S/N)比について検証された範囲と比較することにより判断される。対照試料範囲の試験は、3つの複製バッチ(バッチ5、6、及び13)について、3日間にわたり、2人の別個の分析者によって実施された。各バッチのプレートは、NC、QC低、及びQC高の32ウェルで構成された。各対照試料についての最小及び最大の応答値がバッチごとに決定された。各バッチについて、次の値すなわち
NC、QC低、及びQC高についての最大値及び最小値。
最大のQC値/最小のNC値=各QCの最大のS/N比
最小のQC値/最大のNC値=各QCの最小のS/N比
が決定された。3つのバッチ全体で最も低い最小のQC値及び比、並びに最も高い最大のQC値及び比は、各QCレベルの範囲を構成した。これらの結果に基づいて、QC低の値範囲は1107〜2693であり(比の範囲は6.9〜29.3)、QC高の値範囲は13924〜22308(比の範囲は87.0〜257.2)である。上記の比の範囲は安定性試験の際に陽性対照のQC試料の安定性を決定するために使用された。対照のレベル及びバッチはすべて、精度についての合格基準を満たしていた。範囲の試験の結果は以下の表14に示されている。
〈精度〉
コアバリデーションバッチについては、2セットのQC低、QC中及びQC高の試料がプレート上でレベルごとに3通のウェルで実行された。他のすべてのバッチについては、1セットのQC試料がプレート上で3通のウェルで実行された。該方法の精度は、3バッチ(バッチ4、7及び9)について、3日間にわたり、2人の別個の分析者によって、QCレベル当たり合計18の結果について分析された。反復全体で同じ調製物の変動を反映するアッセイ内の精度は、個々の独立したバッチ内の各QCレベルについて計算された。同じQCレベルの複数の調製物の変動を反映するアッセイ間の精度は、3つのコアバリデーションバッチ全体で得られた値から計算された。該アッセイは、アッセイ内及びアッセイ間の精度について基準を満たしている。アッセイ内及びアッセイ間の精度の結果は以下の表15に示されている。
〈薬物耐性(drug tolerance)〉
薬物耐性は、陽性対照の抗体の検出に対する遊離の被験物質の影響の尺度である。一般に、EDI200投与のタイミング及び被験物質の半減期は、免疫原性試料の収集のタイミングが血中EDI200の存在を最小限とするようなタイミングであることを確実にするように考慮される。にもかかわらず、EDI200を投与された動物が免疫原性の応答を有する(すなわちEDI200に対する抗体を産生する)場合、得られる血清試料はE
DI200及び抗EDI200抗体の両方を含有する可能性がある。したがって、アッセイが陽性の応答を検出する能力に対する遊離のEDI200の影響について試験が行われた。QC低及びQC高のレベルについて、8つのEDI200濃度を用いてスパイクがなされた後で分析された。結果は、QC試料中のEDI200の存在が高力価血清中の抗EDI200抗体の検出を妨害することを実証している。しかしながら、QC高の試料における1000ng/mLの濃度、及びQC低の試料における500ng/mLの濃度では、平均シグナルはプレートのNCOを上回り続けて、EDI200が存在していてもなお陽性の抗体応答が検出されるであろうことを示唆しており、したがってこのことは該アッセイの薬物耐性レベルを表している。結果は以下の表16に示されている。
〈感度〉
Fc‐EDA1で免疫化されたタビーマウス由来の血清であって非ヒト霊長類の血清中でさらに希釈された血清が、バリデーション全体を通じてQC試料を調製するために使用された。この高力価血清の使用は、該アッセイがEDI200に対する抗体応答を検出することを実証する。最初に、ロバ抗ヒトIgG抗体が代用陽性対照として使用されたが、これは免疫化動物における免疫応答がEDI200のヒトFc部分に対するものでもあることが予想されたからである。しかしながら、当初の感度及び特異性試験の際、この代用抗体はNHP血清中に測定可能な応答を誘発しなかった。応答の欠如は恐らく、ロバ抗ヒトIgG抗体が非ヒト霊長類の血清のIgGに結合し、かつEDI200のFc部分には結合できないことに起因するようであった。該方法の感度及び特異性を測定するための代替法として、市販の抗EDA‐1抗体であるRenzo‐1が代用陽性対照として利用された。
代用陽性対照の使用により、感度が質量単位で提供される。Renzo‐1は未希釈の血清を使用して希釈された。500〜7.81ng/mLの範囲の終濃度の合計7種の希釈物が利用されて3連で分析された。このアッセイの感度は、129.4というプレートのNCOを上回る平均シグナル値をもたらした62.5ng/mLであると考えられた。Renzo‐1を使用する感度の結果は以下の表17に示されている。
〈特異性〉
観察された陽性の応答がEDI200特異的であることを示すためにアッセイの特異性について試験が行われた。これは、1μg/mLのEDI200の存在下及び非存在下で、未希釈の血清中にスパイクされて感度の試験に使用された代用の陽性対照を、同様に調製された無関係のモノクローナル抗体(マウス抗ヒトCD106 IgG1抗体)と比較することにより達成された。
代用の陽性対照を無関係の抗体と比較することを選ぶ理由は二重にある。第1に、抗EDI200高力価血清を利用した薬物耐性の試験は、EDI200の添加が該アッセイの陽性の応答を検出する能力を妨害すること、したがって代用対照の陽性シグナルもEDI200の添加で減じられるはずであることを示した。第2に、質量単位とともに代用対照のRenzo‐1抗体を使用することにより、無関係の抗体(抗CD106)との抗体濃度における直接比較が可能となった。代用抗体及び無関係の抗体は、感度の試験の際に用いられた同じ濃度レベルである500〜7.81ng/mLの範囲の7種の濃度で試験された。代用対照の試料中のEDI200の存在は、EDI200がスパイクされた試料中の平均シグナルが同じ抗体濃度単独と比較して大幅に低いことによって実証されるように、代用陽性対照の検出を有意に減少させた。500ng/mLの濃度で調製された代用試料は、1μg/mLのEDI200の存在下で陽性の試験結果を生じた。無関係のモノクローナル抗体を使用して調製された試料は、EDI200存在下の試験であれ非存在下の試験であれ、129.4のNCOより低く、かつアッセイ範囲の決定の際に見出された陰性対照の範囲内又はそれより低い平均シグナルを備えて陰性の試験結果を生じた。このことは、該方法が抗EDI200抗体及び関係する代用抗体に特異的であることを実証している。Renzo‐1を使用する特異性の結果は以下の表18に示されている。
〈安定性〉
安定性は、適用可能な保管条件を経た後のQC調製物で得られた生のシグナルを、QC低/陰性対照比及びQC高/陰性対照比に関する許容範囲と比較することにより判断された。加えて、QCセットはそれぞれ精度に関する合格基準を満たさなければならない。
〈短時間安定性〉
バッチ7由来の2つのQC低及びQC高の濃度それぞれから1セットのアリコートが調製された。短時間安定性試験は、この2セットのQC試料を周囲条件で少なくとも4時間保管してから分析することにより判断された。短時間安定性の結果は以下の表19に示されている。
短時間安定性の試料はすべて、精度に関する合格基準を満たしていた。安定性QC試料についての平均シグナル値及び比のうち少なくともいずれかは検証された範囲内にあり、したがって、試料は周囲条件で少なくとも4時間安定であると考えられる。
〈凍結/融解サイクル安定性〉
バッチ4由来の2つのQC低及びQC高の濃度それぞれから、2セットのアリコートが調製された。1つのセットは−10〜−30℃で凍結保管され、第2のセットは−50〜−90℃で凍結保管された。凍結/融解安定性試験は、QC試料を3回まで融解及び再凍結することにより実施された。3回目の凍結/融解サイクルの後、試料は分析された。凍結/融解サイクル安定性結果は以下の表20に示されている。
凍結/融解サイクル安定性の試料はすべて、精度についての合格基準を満たしていた。安定性QC試料についての平均シグナル値及び比のうち少なくともいずれかは検証された範囲内にあり、したがって、試料はいずれの保管温度においても3回までの凍結/融解サイクルについて安定であると考えられる。
〈長期保管安定性〉
バッチ4由来の2つのQC低及びQC高の濃度それぞれから、2セットのアリコートが調製された。1つのセットは−10〜−30℃で凍結保管され、第2のセットは−50〜−90℃で凍結保管された。所要の凍結保管時間を置いた後、試料が融解されて分析された。長期保管安定性の結果は以下の表21に示されている。
長期保管安定性の試料はすべて、精度に関する合格基準を満たしていた。−50〜−90℃で保管された安定性QC試料についての平均シグナル値及び比のうち少なくともいずれかは、長期安定性の試験全体にわたって長期安定性の試験全体にわたって検証された範囲内にあった。−10〜−30℃で保管された7日間のQC低の反復試料Aについての平均シグナル値及び比は、検証された範囲をわずかに上回った。これは正常な変動性と考えられ、安定性の欠如を示すものではなかった。したがって、試料はいずれの温度でも42日まで安定であると考えられる。
《結論》
半定量的な免疫原性の方法について、非ヒト霊長類の血清中における抗EDI200抗体の存在を検出するための検証に成功した。アッセイの補正係数は、商業的供給元から調達された24ロットの非ヒト霊長類血清を使用するマトリックスの試験の際に決定された。該方法の陰性カットオフ(NCO)は、すべての他の観察値の95%がそれを下回るように概算された(すなわち95%上限値)。補正係数は、式[補正係数=NCO−個々の血清の平均の応答]を使用して算出された。したがって補正係数は44.4であると決定され、個々の試験のカットオフを決定するために個々のプレートの陰性対照の値の平均シグナルに加算された。該アッセイは抗EDI200抗体に特異的である。QC低の陽性対照試料は500ng/mLのEDI200の存在下で検出可能であり、QC高の陽性対照試料は1000ng/mLのEDI200の存在下で検出可能である。感度の試験の際、代用対照の抗体は62.5ng/mLの濃度でNCOを上回る応答を生じた。
したがって、アッセイの検出限界は62.5ng/mL以上である。アッセイは、精度及び再現性についての該アッセイの合格基準内で良好に機能した。
実施例4.EDI200のビヒクル:非ヒト霊長類における静脈内での研究
本研究の目的は、サル成体に静脈内注入として投与された時のEDI200のビヒクルの忍容性を評価することであった。
《材料及び方法》
EDI200のための無菌のビヒクルは一晩かけて融解されて投与された。このビヒクルには、20mMリン酸ナトリウム、300mM NaCl、pH7.2、及び0.02%のTWEEN(登録商標)20(米国ミズーリ州セントルイスのシグマ・アルドリッチ)(w/v)が含まれていた。静脈内シリンジポンプシステムが使用されて、該ビヒクルが、横臥スリング(recumbent sling)にて拘束されている動物の末梢静脈中に投与された。
2頭の非ナイーブなカニクイザル(1頭の雄及び1頭の雌)がMPIリサーチ(MPI
Research)のトレーニングコロニーから移送され、研究開始に先立って投薬手順に順化せしめられた。投薬期間中は職員の獣医が臨場していた。詳細な臨床評価は、移送時、注入の開始からおよそ30分後、及び注入の終了後およそ3時間において実施された。体重は移送時及び用量投与前に記録された。血圧、心拍度数、呼吸速度及び体温を含む生命徴候は、注入の開始前、注入の開始からおよそ30分後、及び注入の終了後およそ3時間において記録された。研究に関係するすべての手順が完了した後、動物はコロニーに返された。
《結果》
いずれの動物も単回用量のビヒクルの投与を受けて生き残った。投薬期間又は投薬期間後に有害な臨床所見は観察されなかった。
第1日(投薬前)には、雄(動物番号1001)は体重3.37kgであり雌(動物番号1501)は体重3.64kgであった。これらの体量は、用量及び相当する静脈注入速度を計算するために使用された。
ビヒクルの静脈内投与の間又は投与後に収集された生命徴候において、アレルギー反応又はアナフィラキシー反応の発生を示す有害な変化はなかった。血圧値は、顕著な降圧反応と相関している可能性のある一貫した変化は生じなかった。記録された生命徴候は以下の表23に列挙されている。
《結論》
EDI200のビヒクルは、非ナイーブなサルに10mL/kg/時の用量体積で静脈内注入によって1回投与された場合、いかなる有害な臨床所見も、又はアレルギー反応若しくはアナフィラキシー反応の可能性を示すいかなる生命徴候の変化も、生じなかった。この研究の結果から、該ビヒクルは試験された条件下においてサル成体に十分忍容されることが確認された。
実施例5.非ヒト霊長類における静脈内注入の研究
週に2回の静脈内(IV)注入投与後のEDI200について、毒性、回復可能性、進行、又は15日間の投与後観察期間後に遅れて出現した任意の観察された変化について評価するための研究が行なわれた。
1つの処置群の3頭の雄及び3頭の雌のカニクイザル、並びに1つの処置群の5頭の雄及び5頭の雌のサルは、30又は100mg/kg/用量のそれぞれの用量レベルで被験物質を週に2回として3週間投与された。性別ごとに5頭ずつの動物からなる追加の1群は対照群としての役割を果たし、ビヒクル(20mMリン酸ナトリウム、300mM NaCl、pH7.2、及び0.02%TWEEN(登録商標)20(米国ミズーリ州セントルイスのシグマ・アルドリッチ)(w/v))を投与された。すべての群の用量体積は20mL/kg/用量(10mL/kg/時)であった。処置期間に続いて、0及び100mg/kg/用量の2頭については15日間の回復期間の間維持された。
罹病率、死亡率、外傷、並びに食物及び水の利用度の観察は、すべての動物について1日2回行なわれた。臨床観察は、処置期間中は週2回、回復中は週1回行なわれた。体重は週1回測定及び記録された。検眼鏡による検査は試験前及び予定された各剖検の前に行なわれた。心電図検査は、試験前、第15日、及び回復時の剖検(recovery necropsy)前に行なわれた。被験物質の血清中濃度の決定用の血液試料は、第1日及び第19日、並びに回復時の剖検前の指定の時点ですべての動物から収集された。毒物動態(TK)パラメータは、被験生物種における濃度‐時間データから被験物質について
決定された。酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)による免疫原性評価のための血液試料並びに臨床病理学的評価のための血液及び尿試料は、試験前並びに終末時及び回復時の剖検の前に収集された。終末時及び回復時の剖検では、検査が実施され、臓器重量が記録され、組織は顕微鏡で検査された。肉眼的病変だけは回復時の剖検において顕微鏡で検査された。
低用量の製剤(30mg/kg/用量)は、分析的評価の結果に基づいて、目標とされた濃度で調製されていることが分かった。高用量の製剤(100mg/kg/用量)には分析が行われなかったが、希釈せずに得られたままで使用された。被験物質は分析された対照試料中には見出されなかった。
《材料及び方法》
〈ビヒクル及び被験物質の調製〉
新鮮なビヒクル(20mMリン酸ナトリウム、300mM NaCl、pH7.2、及び0.02%TWEEN(登録商標)20(w/v))が調製された。ビヒクル製剤は、無菌操作を使用して層流フード下にて研究使用のために毎週調製され、投与日に使用するために分注され、使用されない時は2〜8℃に冷却保管された。
バルクの被験物質EDI200は、アルテア・テクノロジーズ(Althea Technologies)(米国カリフォルニア州サンディエゴ)から受け取られたままで使用され、−50〜−90℃にて凍結保管された。被験物質製剤を調製する時、純度の調整は行われなかった。被験物質は希釈せずに投与されるか、又は所望の用量体積とするために無菌のビヒクルで希釈された。凍結されたストック溶液は無菌操作を使用して層流フード下で融解され、最高で2回の凍結融解サイクルを経た。適正量のストック溶液が、使用するために、又は各調製物について新たに指定の体積へ希釈するために、融解された。被験物質の製剤は1.5及び5mg/mLの名目上の濃度で投与の日に各濃度について新たに調製され、使用されない時は2〜8℃で冷却保管された。
〈動物の獲得及び順化〉
合計で15頭の雄及び15頭の雌の実験的にナイーブなカニクイザル(移送時でおよそ2歳5か月〜4歳1か月)は、MPIリサーチ・インコーポレイテッド(MPI Research, Inc.)のストックコロニーから移送された。ストックコロニーの一部としての順化の間、サル達は臨床獣医師による検査を受け、体重を測定され、健康状態及び何らかの疾患の徴候に関して毎日観察された。臨床病理学的試験、糞便浮遊試験、及び眼瞼内ツベルクリン試験が実施され、動物達が適切であると判断された後に隔離所から出された。
14日間の順化期間の間、動物達は健康状態及び何らかの疾患の徴候に関して毎日観察された。全ての動物に詳細な理学的検査、詳細な臨床検査が行われ、かつ体重及び体温が研究のための選択に先立って測定された。動物達は、被験物質の投与に先立って3回スリング装置に慣らされた。
〈ランダム化、研究への割り付け、及び維持〉
標準的な重量による測定値ランダム化手法を使用して、13頭の雄及び13頭の雌の動物達(ランダム化の時点で体重はそれぞれ2.32〜2.85kg及び2.92〜3.45kg)が表24に同定される対照群及び処置群に割り付けられた。
研究に割り付けされた動物の体重は雌雄それぞれの平均体重の±20%以内であった。研究用に入手されたが研究に用いられなかった余剰の動物はストックコロニーに返された。
1日目、投薬前に、30mg/kg/用量の1頭の雄(動物番号2001)が体重超過により交替せしめられた。交替動物として1頭のサルが利用され、独自の動物番号(2101)を割り当てられた。交替した動物についての全データは報告されていないが、研究データの中には維持されている。
受け入れ時、隔離中、及び試験中、サル達は環境上管理された部屋にあるステンレス鋼製の適正な大きさのケージ内で2、3、又は4頭(雌雄別)の群として社会的に飼育された。サル達は、個体別データ収集が必要なときは個別に収容された。サル達には、データ中に文書化されているように、隔離及び研究の間は飼育環境の強化が施された。
蛍光照明は1日当たりおよそ12時間提供された。暗期は研究に関係する活動のため断続的に中断された。温度及び湿度は、連続的にモニタリングされ、記録され、かつそれぞれ18〜29℃(華氏64〜84度)及び30〜70%のプロトコール指定された範囲内に最大限可能な程度に維持された。実際の温度及び湿度の所見は報告されていないが、研究ファイル内に保存されている。
LabDiet(登録商標)(Certified Primate Diet、米国ミズーリ州セントルイスのPMIニュートリション・インターナショナル・インコーポレイテッド(PMI Nutrition International, Inc))を、指定の期間中を除いてサル達が1日2回摂取可能とした。PrimaTreats(登録商標)(米国ニュージャージー州フレンチタウンのバイオサーブ(Bio Serv))は1日2回提供され、その他の強化飼料は定期的に提供された。これらの提供物は研究記録に文書化された。本研究に使用された各飼料ロットのロット番号が記録された。各飼料ロットの認証分析は製造業者によって実施された。水道水は、自動給水システムによって自由に摂取可能とした。時には、獣医師の勧めに従って動物達に補助食物(例えばフルーツジェム、マシュマロフラフ、ピーナッツバター、リンゴ、ブドウ、及びサツマイモ)が提供された。給水は標準操作手順書に従い定期的な間隔で指定の混入物質についてモニタリングされた。
〈被験物質の投与〉
ビヒクル及び被験物質は、経皮的末梢静脈カテーテルを介して最大用量20mL/kg
については10mL/kg/時の静脈内注入として、週2回として3週間(初日、5、8、12、15、及び19日目に)投与された。用量レベルは0、30、及び100mg/kg/用量であった。
動物は投薬用のスリング装置内に拘束された。カテーテル設置に先立ち、適切な静脈の上のエリアは必要に応じて剃毛され、クロルヘキシジンスクラブを用いて清浄化された。用量は輸液ポンプ及び無菌の使い捨て式リザーバを使用して投与された。
個々の用量は適正にラベルされたリザーバ中に吸引された。この投薬リザーバは、その日の投薬に必要な適正な体積(用量体積+余剰分)で充填された。注入される実際の体積は各動物の直近の体重に基づいて計算されて調整された。用量の説明責任については、各注入の開始前及び終了時にリザーバを計量することにより果たされた。
《結果》
〈投薬製剤濃度の分析〉
製剤の分析の結果(表25)から、その値がこの方法について期待される合格基準内(名目上の値±10%)にあることが示された。30mg/kg/用量における平均回収率は95.0〜97.5%の範囲であった。これにより、製剤が正確に調製され、動物に適正な用量レベルが投与されたことが確認された。対照群からのアリコートは定量レベル未満であり、被験物質が無いことが確認された。高用量群(100mg/kg/用量)からの濃度については、受け取られたまま希釈せず使用されたので分析されなかった。
〈死亡率〉
終末時の動物について22日目、及び回復用の動物について37日目の予定された剖検まで、全ての動物が生き残った。
〈臨床観察〉
被験物質に関係した臨床観察は本研究の過程において観察されなかった。薄い体毛の所見はすべての用量群において記録されたが;これらの所見は概ね投薬期より前に存在した。100mg/kg/用量では、3日目に3頭の雄及び16日目に3頭の雌において軟便
が見られた。この所見は各性別について一時点に限られ、またタイミングに一貫したパターンはなかったので、この所見は被験物質に関係するとはみなされなかった。被験物質に関係した体重変化、検眼鏡による所見、又は処置に関係したECGパラメータへの影響は、研究期間中に記録されなかった。
〈臨床病理学〉
被験物質に関係した影響は、末期又は回復期における血液学的パラメータ、血液凝固パラメータ、臨床化学分析物又は尿検査パラメータに対しては観察されなかった。
〈血清分析〉
血清中のEDI200の検出にはプレートを用いるリガンド結合法(ELISA)が使用された。実試料再分析(ISR)評価から、試験された全試料の3分の2超が元の値の30%以内にあることが実証された。したがって、ISRの結果は許容可能であると考えられた。
〈毒物動態分析〉
1日目若しくは19日目又は2週間の回復期間の終了時、対照動物においてEDI200の測定可能な血清中濃度は存在しなかった。EDI200の毒物動態パラメータは1日目及び19日目の雌雄のサルにおいて類似していた。
測定可能な濃度のEDI200は、1日目の初回投薬後及び19日目の最終投薬後において、30及び100mg/kg/用量でEDI200を用いて処置されたサルに存在していた。19日目の最終投薬日より前に、EDI200は、30及び100mg/kg/用量の雌雄いずれの動物においても低レベルで血清中に見出された。測定可能な濃度のEDI200は、100mg/kg/用量における2週間の回復期間の終了時に2頭の雄のうちの1頭及び2頭の雌のうち1頭において見出された。
EDI200への全身曝露は、AUC0‐∞、AUC0‐72、及びAUC0‐tlastによって概算されるように、30mg/kg/用量と100mg/kg/用量との間で用量に比例する以上に増大した。クリアランス(CL)及び(定常状態の分布容積)Vssは、30mg/kg/用量の後よりも100mg/kg/用量の後において低かった。
半減期は、1日目においては30mg/kg/用量の後よりも100mg/kg/用量の後において長かったが、t1/2は19日目ではいずれの用量レベルにおいても類似していた(表26を参照)。
〈免疫原性の分析〉
定性的な免疫原性アッセイ(ELISA)には、研究試料が抗EDI200抗体を含有するかどうかを決定するためにプレートに基づいた陰性カットオフ(NCO)が利用された(シェンカル(Shankar)、G.ら、ジャーナル・オブ・ファーマシューティカル・アンド・バイオメディカル・アナリシス(J Pharm Biomed Anal)、2008年12月15日、第48巻、第5号、p.1267−81、電子出版2008年9月19日)。プレートに基づいたNCOは、プレート上の陰性対照(未希釈の血清)試料についての平均ルミネセンスシグナルの総和及びアッセイ固有の補正係数(CF)を使用して計算された。アッセイ固有のCFはバリデーション中に決定され、44.4であることが見出された。CFは、2バッチに関して試験された24個の個々の血清ロットからのルミネセンスシグナルについての第95百分位点の概算により決定された強健なカットポイントから血清データの相加平均を差し引くことにより計算された。この方法は、およそ5%の比率の偽陽性応答を許容するものであった。陽性の抗体応答の相対的強度は、試料についての平均の応答を陰性対照の応答で除すること、すなわちシグナル:ノイズ(S/N)比によって判断された。
1頭の雌を除く全てのサルについての予備試験血清試料が抗EDI200抗体に関してELISA陰性であった。上記の動物の予備試験血清試料は、S/N比が1.92であり僅かにELISA陽性であった。この結果は、投薬前の未曝露の動物における「正常な範囲」が無いことから、意味があるとは考えられない。この試料は元の結果を確認するための再分析はなされなかった。このわずかなELISA陽性の結果は恐らく偽陽性の応答であった。
0mg/kg/用量の5頭の雄のうちの2頭は、終末時の収集において抗EDI200抗体についてELISA陽性であった。30mg/kg/用量の3頭の雄のうちの1頭は、終末時の収集において抗EDI200抗体についてELISA陽性であった。100mg/kg/用量の5頭の雄のうちの2頭及び5頭の雌のうちの3頭は、終末時の収集において抗EDI200抗体についてELISA陽性であった。終末時の収集においてELI
SA陽性の動物は全て終末時の剖検の対象であり、よって、それら個々の動物において持続するか回復するかを判断することはできなかった。0mg/kg/用量の2頭の雌のうちの1頭は、回復時の収集において抗EDI200抗体についてELISA陽性であった。100mg/kg/用量の2頭の雄のうちの1頭及び2頭の雌のうちの2頭は、回復時の収集において抗EDI200抗体についてELISA陽性であった。終末時及び回復時の収集からの陽性の試料は再分析され、再分析の結果から、全ての試料について元のELISA陽性の結果が確認された。再分析のバッチ(バッチ3)におけるルミネセンスシグナルは元の結果(バッチ2)よりも一貫して高く、これはプレート間のばらつき及びバッチが18日の間を空けて分析されていることに因る可能性が最も高い。したがって、さらなる解釈は元の結果のみを使用してなされることになろう。
0mg/kg/用量の雄は、≦2.0のS/N比を伴ったごくわずかなELISA陽性応答を示した。0mg/kg/用量の雌はより強い応答を示した(S/N比=6.5)。
生物分析の結果は、1日目及び19日目の投薬後1時間並びに回復期間の終了時におけるBLQの結果によって実証されるように、0mg/kgの/用量の動物は研究の間のどの時点でもEDI200に曝露されなかったことを示した。したがって、これらの動物で見られた陽性の応答は、特に雌の動物における、非特異的な結合に起因する可能性が高い。
30mg/kg/用量の雄のS/N比は10.5であった。終末時の100mg/kg/用量の雄のS/N比は2.9及び4.4であった一方、回復時の雄のS/N比は15.3であった。終末時の100mg/kg/用量の雌のS/N比は1.6、4.1、及び7.0であった一方、回復時の雌のS/N比は2.8及び3.9であった。S/N比の値の大きなばらつき及び0mg/kg/用量の動物からの結果を考えると、処置を受けた動物に見られた陽性の応答が非特異的な結合に因るものか、真の抗EDI200抗体反応に因るものか、又は両方の組み合わせに因るものかを決定的に判定することはできない。EDI200処置群における抗EDI200陰性の動物のほとんどは、投薬後72時間において>2000ng/mLのEDI200レベルを有していた。陽性の抗EDI200応答を備えた治療群の動物は、投薬後72時間において全身のEDI200が低レベル又はゼロであった。したがって、循環血中のEDI200が抗EDI200の応答を覆い隠したか又は枯渇させた可能性がある。
〈死後研究評価〉
被験物質に関係する肉眼的所見も臓器重量の変化もみられなかった。終末時の剖検において、下垂体重量(絶対値並びに体重及び脳重量に対する相対値)は、30及び100mg/kg/用量の雄では(統計的有意差があるかどうかは別として)対照よりもわずかに高かった。他方、30及び100mg/kg/用量の雌では体重に対する相対的な下垂体重量は対照と比較して低かった。30mg/kg/日における値だけが統計的に確認された。これらの変化は、用量反応が欠如していることから正常な生物学的変動の結果と考えられた。
終末時の剖検において、精巣上体及び精巣の重量(絶対値並びに体重及び脳重量に対する相対値)は、30及び100mg/kg/用量の雄では対照と比べてより高かった。この変化は様々な性的未熟さの程度と関係しており、被験物質に関係するとはみなされなかった。
終末時の剖検において、卵巣重量(絶対値並びに体重及び脳重量に対する相対値)は、30及び100mg/kg/用量の雌では対照と比べてより低かった。この変化は発情周期の変動と関係しており被験物質に関係するとはみなされなかった。
終末時の剖検において、胸腺重量(絶対値並びに体重及び脳重量に対する相対値)は、30及び100mg/kg/用量の雌では対照と比べてより低かった。この変化は、顕微鏡的な相関の欠如から正常な生物学的変動の結果と考えられた。
回復時の剖検において、100mg/kg/日の次の臓器重量(絶対値並びに体重及び脳重量に対する相対値)は、対照とは異なっていた(雄の副腎、下垂体、及び下顎の唾液腺、並びに雌の胸腺)。これらの変化は群の大きさが小さいことに基づく正常な生物学的変動に関係するものであった。
《結論》
週に2回として3週間にわたる非ヒト霊長類への30及び100mg/kg/用量でのEDI200の静脈内注入は、被験物質に関係する臨床的観察結果、体重変化、検眼鏡による所見、ECGパラメータの変化、臨床病理学的結果、臓器重量、又は肉眼的な剖検所見を生じなかった。被験物質に関係する顕微鏡観察結果として挙げられるのは、極小〜軽度の上皮過形成、極小〜軽度の亜急性/慢性炎症、及び注入部位における極小〜軽度の単核細胞浸潤という所見のみである。これらの変化は、一部の対照例にも該変化が生じること、及び程度が極小〜軽度であることから、有害であるとはみなされなかった。TK評価から、動物における用量依存的な全身曝露について確認された。
免疫原性評価(抗EDI200抗体)についてのSN比の値の大きなばらつき及び対照動物の結果を考えると、処置を受けた動物に見られた陽性の応答が非特異性な結合に因るものか、真の抗EDI200抗体反応に因るものか、又は両方の組み合わせに因るものかを決定的に判定することはできない。
3週間にわたる30及び100mg/kg/用量の用量レベルのEDI200への週2回の曝露後のサルにおけるこの毒性試験から得られた結果に基づき、一般毒性についての無毒性量(No−Observed−Adverse−Effect−Level)(NOAEL)は、任意の有意な毒性学的に関係する所見の欠如から、試験された最も高い用量レベルである100mg/kg/用量と考えられた。
実施例6.遺伝子発現の分析による有効なEDI200治療の分析
有効なEDI200治療は、EDA受容体シグナル伝達の活性化及びEDA‐A1応答遺伝子のアップレギュレーションをもたらす。そのような遺伝子発現変化のプロファイルを決定するために、EDI200治療を受けている対象者から得られた皮膚生検は、治療に応答したmRNA発現レベルのゲノム全体に渡る変化に関する定量的PCR(qPCR)分析によって分析される。
《マウスでの研究》
初期の研究は、EDI200治療に応答したEDA‐A1応答遺伝子の発現の変化を探すためにマウスにおいて行なわれた。新生児におけるEDI200注射治療の後、EDA受容体及びソニックヘッジホッグ(Shh)のmRNAレベルの発現は(ビヒクルと比較して)増大した後にベースラインの発現レベルに戻った(表27)。
《ヒトでの研究》
EDI200治療を受けているヒト成人男性のXLHEDの対象者では、遺伝子発現の分析は薬物の有効性を判定するために実施される。皮膚生検は、最初の治療の前、最終治療の後(全5回の治療)、及び4週間の回復期間の後に、対象者の前腕から収集される。これらの試料について、例えばRNA‐Seq技術を用いるなどのmRNA発現のゲノム全体に渡る分析が行われて、遺伝子発現パターンがEDA受容体の活性を検出するために分析される。場合によっては、ゲノムパターン全体が評価されてもよい。他の場合には、EDA又はEDARシグナル伝達経路に関連するか又は関連すると考えられている遺伝子発現経路について評価が行われる。
実施例7.XLHEDについてのEDA遺伝子分析
XLHEDはX連鎖形式で遺伝し、EDA遺伝子の突然変異を原因とする。ほとんどの突然変異はヌル突然変異であるが;もたらされる歯の表現型がより軽度である部分的機能を有するミスセンス突然変異もいくつか報告されている(ミッコラ(Mikkola)ら、2008年)。
EDA遺伝子の配列分析により、コード配列、並びに各々のコーディングエキソンについてイントロン配列中へ+15bp及び−15bpにおける、突然変異を同定することが可能である。
この試験は、DNAの試料を得るために組織標本(通常は血液)を採取することを必要とする。組織試料及び組織標本のうち少なくともいずれかには羊水も含まれうる。組織標本の選択の決定は、母親の羊水穿刺分析後に(すなわち子宮内で)行われうる。試験は、XLHEDのような外胚葉異形成症に罹患していることが既知であるか、又はその疑いのある人の家族において実施される場合もある。
このDNAは次に関連遺伝子それぞれの遺伝子配列を決定するために使用される。方法は、384ウェルプレート形式でEDA遺伝子の8個のコーディングエキソンを直接配列決定することを要する。患者の遺伝子配列はその後、該患者の臨床症状の原因である可能性のある突然変異を同定するために、正常な配列と比較される。包括的な分子試験には、EDA遺伝子の配列決定及び多重ライゲーション依存性プローブ増幅(Multiplex Ligation−dependent Probe Amplification)(MLPA(登録商標))によるコピー数分析を要する。
配列分析は、本発明の化合物を用いる治療の恩恵を得る可能性のある対象者を同定するために、本発明と共に使用される。そのような分析は、ある個体が、表現型上の特性、例
えば乏毛症(薄い体毛)、低汗症(発汗の減少)及び減歯症(歯の欠如)などにより証拠づけられるようなXLHEDに罹患している疑いのある場合に行なわれる。体毛は、多くの場合は稀薄で、成長が遅く、色の薄い頭毛、及び薄い眉又は眉の欠損である。発汗は大幅に不足し、その結果として、体温を制御するために使用される環境改良なしでは低体温症状の発現を生じる可能性がある。多くの場合、高齢になって生えるごく少数の異常な歯が形成される。この歯は典型的には円錐歯冠を備えて平均よりも小型である。女性の保因者は、発汗の機能及び分布の異常についてのモザイクパターン、多くの場合はある程度の減歯症を示し、また軽症の乏毛症を有する場合もある(カンビアーギ(Cambiaghi)ら、2000年)。罹患個体は、その他の特徴、例えば虚弱に見える皮膚、かすれ声、皮脂分泌の減少、鼻分泌の異常、並びに顔の特徴であって例えば前頭隆起、口唇の突出、鞍鼻及び落ちくぼんだ頬部などを有しうる。配列分析は、XLHEDに関連付けられた遺伝子欠損を担持する疑いのある個体によって担持された、出生前の対象者の遺伝子型を決定するためにも使用される。
実施例8.ヒト血清中のEDI200又は抗EDI200抗体を検出するためのリガンド結合法の開発及びバリデーション
ヒト血清中のEDI200又は抗EDI200抗体を測定するための薬物動態学的定量法の開発は当分野で既知の方法を使用して行なわれうる。開発されれば、そのようなアッセイは実現可能性試験及びさらなる開発のうち少なくともいずれかの対象となりうる。該方法はその後、本明細書中に教示された非ヒト霊長類の方法と類似の方式でヒト血清と併せた使用について検証される。方法の開発及びバリデーションは、一部にはFDAにより入手可能な「産業のためのガイダンス:生物分析方法のバリデーション(Guidance for Industry: Bioanalytical Method Validation)」に基づき、かつ米国食品医薬品局(FDA)安全性試験の実施に関する基準(GLP)の規則、米国連邦規則第21条第58章に従って行われうる。
実施例9.ヒト血清中の抗EDI200中和抗体の検出のための細胞を用いるアッセイの開発及びバリデーション
ヒト血清中の抗EDI200中和抗体の検出のための細胞を用いるアッセイの開発は、本明細書中に記載されるようにして行なわれうる。開発されれば、そのようなアッセイは実現可能性試験及びさらなる開発のうち少なくともいずれかの対象となりうる。該方法はその後、本明細書中に教示された非ヒト霊長類の方法と類似の方式でヒト血清と併せた使用について検証される。方法の開発及びバリデーションは、一部にはFDAにより入手可能な「産業のためのガイダンス:生物分析方法のバリデーション(Guidance for Industry: Bioanalytical Method Validation)」に基づき、かつ米国食品医薬品局(FDA)安全性試験の実施に関する基準(GLP)の規則、米国連邦規則第21条第58章に従って行われる。そのようなアッセイの開発についてのさらなる詳細はここで説明される。
〈マトリックスの説明〉
正常ヒト血清は商業的供給元から調達される。最低20ロットのヒト血清が、プールされたヒト血清供給源をブランクのマトリックスとして使用する意図でマトリックス試験において評価される。バリデーションに続いて、アッセイはXLHED患者由来の血清試料10〜15個を使用してブリッジングされる。最低10ロットのヒト血清が、プールされたヒト血清供給源を試料分析の際のブランクのマトリックスとして使用する意図でマトリックスのブリッジング試験の際に評価される。
〈中和抗体アッセイの設計〉
細胞を用いる中和抗体アッセイは、抗EDI200抗体が被験物質のアポトーシス誘導能力を中和する能力を測定するように設計される。JOM2‐2199(CL23 SC
L20)細胞株(EDARの細胞外ドメイン及びFasの細胞内ドメインで形質導入されたJurkat Fas欠損細胞株)が使用される。細胞はEDI200の存在下でインキュベートされ、EDAR‐Fas受容体及びその後のFasシグナル伝達カスケードを活性化する結果として増殖及び生存が阻害される。
アッセイの評価は、アッセイ条件の最適化、被験物質活性曲線の検討及び阻害活性曲線の検討を通じて行なわれる。最適なアッセイ条件を決定するために、細胞濃度及び細胞継代数(最大で15継代)の影響について判断がなされる。すべての追加実験は、最適な細胞濃度(1ウェル当たりの細胞数)及び最適な範囲の細胞継代数を使用して行なわれる。
中和抗体の検出のためのELISAを用いるアッセイも設計及び実施されうる。ELISAアッセイの設計及び試験は当分野において既知である。簡潔に述べると、このアッセイでは、基材がhDAR‐mFcでコーティングされた後に標準的なブロッキングが行われる。血清(〜50ng/mL)とともに予めインキュベートされた少量のbiot‐EDI200(ビオチン化されたEDI200)が添加される。遮断抗体又は中和抗体が存在すればシグナルは阻止されることになる。
〈被験物質の活性曲線〉
未希釈の陰性のヒトマトリックスプールにおけるEDI200の二倍系列希釈物は、合計4本の希釈曲線のための1試験あたり2曲線及び2回の独立した試験として、三連のウェルでアッセイされた。曲線のパフォーマンスは希釈内及び希釈間の精度によって判断され、該精度は許容可能であるために≦30%のCVでなければならない。希釈はアッセイの検出範囲にわたり、最小でも3.0〜0.2のO.D.範囲を目指している。被験物質の濃度は残りのアッセイバリデーションのために使用されるように選択される。この濃度は曲線の直線部分に入って、O.D.シグナルが様々な濃度の中和抗体の添加に応答するようになっている。
〈阻害活性の曲線〉
前もって決定された被験物質濃度は、阻害活性滴定曲線(inhibition activity titration curve)を構築するために使用される様々な濃度/滴定量の抗EDI200抗体の存在下で試験される。濃度を決定済みの被験物質試料は、様々な濃度/滴定量の抗EDI200抗体とともに室温で60±5分間プレインキュベートされてから分析される。曲線のパフォーマンスは、2日にわたり2人の独立した分析者による、3回の独立した試験について1試験当たり2本の曲線として実施された、合計6本の曲線にわたって判断される。全6本の曲線にわたる測定値から、希釈間及び希釈内の精度が計算され、≦30%のCVである場合は許容可能であると考えられる。5つの中和抗体品質管理(QC)レベルが選ばれて、曲線の直線範囲に広がるようになっている(QC高(QCH)、3つのQC中(QCM1、QCM2及びQCM3)並びにQC低(QCL))。各プレートは、中和抗体又はEDI200が存在しない状態で分析されるヒト血清プールからなる最大増殖対照(Maximum Proliferation Control)の三連ウェル、及び中和抗体は存在しないがEDI200が存在する状態で分析されるヒト血清プールからなる陰性対照(Negative Control)も含む。
最小希釈倍率(MRD)は、マトリックスの構成要素からの最小限の干渉を考慮するために、かつ細胞培養培地の非特異的結合(NSB)のシグナルに近似したシグナルを生成する最小の希釈を決定するために、決定される。最大増殖対照及び陰性対照は、細胞培養培地(非特異的結合を決定するため)、及び細胞培養培地を使用して調製された一連のヒト血清プール希釈物を使用して、三連のウェルで試験される。各試料のODシグナルが報告され、アッセイのMRDを選択するために評価される。MRDはその後全てのバリデー
ションの試験に実装されることになる。各試料について、ODシグナルの%CVは≦30%でなければならない。
〈バリデーション手順〉
陽性対照抗体を含有している5つのQCレベル(QCH、QCM1、QCM2、QCM3及びQCL)はQCセットを構成し、EDI200の存在下及び非存在下において分析される。最大増殖対照は、最大の細胞増殖を達成するためにEDI200を含まないヒト血清プールからなり、中和抗体の非存在下で分析される。陰性対照は、細胞増殖の最大阻害を達成するためにEDI200がスパイクされたヒト血清プールからなり、中和抗体の非存在下で分析される。表28は、各々の試験に三連のウェルで含められる対照条件を概説している。光学密度(OD)比は、表28に記載されているようにしてQC試料について計算される。各バリデーション試験について、ODシグナルの%CVは、各QCレベル、陰性対照及び最大増殖対照について≦30%であり、かつ以下のとおり:
NC<QCL<QCM3<QCM2<QCM1<QCH<MPC
である。
3つの陰性対照複製物の平均ODがOD比の計算に使用される。
〈マトリックスの試験〉
商業的供給元から調達された少なくとも20ロットのヒト血清が、2日にわたって二連のウェルで試験される。血清ロットはそれぞれ、表28に略述された陰性対照条件下にて二連のウェルで試験される。各試験について、ODの%CVは≦30%である。
〈陰性カットオフ(NCO)の決定〉
この細胞を用いる中和抗体アッセイについては、陰性カットオフ(NCO)ポイントは実験的に決定され、それを下回ると試料が陰性とみなされる応答レベルとして定義される。NCOポイント又は該ポイントを上回る応答値は陽性とみなされる。
NCOは、少なくとも20ロットのヒト血清からパラメトリック手法を使用して決定される。各試料についての平均の応答及び%CVが報告される。
実施例10.フェーズ1、X連鎖低汗性外胚葉異形成症(XLHED)の成人におけるEDI200の安全性及び薬物動態研究
本研究の目的は、XLHEDに罹患した成人に投与されたEDI200の安全性、忍容性、免疫原性及び薬物動態について判断することであった。本研究の探索的な目的は、XLHEDに罹患した成人に投与されたEDI200の薬力学的/生物学的活性について判断することであった。
《材料及び方法》
〈施された治療〉
EDI200は、5mg/mlの3mlガラスバイアルに入った静脈内注入用の無菌溶液として提供された。EDI200を含む全ての治験薬供給品は−60℃〜−90℃で凍結保管された。
〈手順〉
6人のXLHEDに罹患した成人が2つのコホートに分けられた。コホート1の対象者は3mg/kg/用量で投薬された。コホート2の対象者は10mg/kg/用量で投薬された。各コホートにおける投薬レジメンは、0、4、7、11、及び14日目における合計5回のEDI200のIV投与を要した。対象者は、治験薬の最初の投薬後合計6週間、治験薬の最後の投薬後およそ4週間にわたって、観察された。
《結果》
〈安全性の判断〉
安全性判断の変量は、有害事象、併用薬、生命徴候、体重、心電図(ECG)、身体検査所見、血液学、臨床化学、及び尿検査の臨床検査の結果であった。
全体として、対象者の83.3%(5/6)が治療下で発現した有害反応(TEAE、treatment emergent adverse event)20件を経験した。累積的には、20件のTEAEのうちの16件の強さは軽度であり、3件は中程度であり、1件は重度であった。重度のTEAEは治験薬とは関係ないと判定された。重篤なTEAEはなく、また治験薬の停止に結びつくTEAEもなかった。
〈薬物動態(PK)パラメータ及び免疫原性〉
薬物動態パラメータには、最大血漿中濃度(Cmax)、曲線下面積(AUC)、クリアランス、及び排出半減期(t1/2)が含まれた(表29を参照)。コンパートメントモデルはEDI200の血清中濃度データによく適合した。対象者間のばらつきは小さかった。クリアランスの典型的な値は21.4507L/日であった。平均のAUC及びCmaxの値は、前臨床研究における副作用の無いレベルの用量について報告された値より著しく小さい。
免疫原性は血清中の抗EDI200抗体の有無によって測定された。抗体価とEDI200用量又は臨床事象との相関はなかった。
〈薬力学的(PD)/生物学的活性〉
薬力学的(PD)/生物学的活性の判断の変量には、毛髪の数及び成長の特性、肺の機能及び呼気一酸化窒素(eNO)レベル、汗管密度、発汗速度、唾液の定量、流涙及びドライアイの評価、並びに発現プロファイルのための皮膚生検が挙げられる。
毛髪の数及び成長の特性は、各コホートから2人として4人の男性の被験者から得られたフォトトリコグラムで分析された。10mg/kg/用量のコホートの2人の対象者からのデータの探索的統計分析では、毛髪の成長速度において投薬前から投薬後への統計的に有意な50%の上昇が見出された。
XLHEDの男性及び女性の集団についての、ベースラインと比較したD42における肺機能(努力性肺活量及び1秒間の努力性呼気流量)並びにeNOレベルは、統計的に有意ではなかった。しかしながら、この試験全体を通じて、より高用量のEDI200を投与されているコホート2の3人の対象者全員において、肺の炎症の尺度と考えられているeNOが減少した。
統計的に有意な変化は、汗管密度又は発汗速度に関してはいずれの投薬コホートの男性においても観察されなかった。統計的に有意な変化は、唾液定量に関しては個々の治療群の間で観察されなかった。統計的に有意な変化は、涙液安定性及び涙液産生に関してはコホートの間で観察されなかった。しかしながら、より高用量のEDI200を投与されているコホート2では、検査された6つの眼のうち5つが、ベースラインからD42へと涙液産生の改善を示した。
ベースラインからD42への眼表面疾患指数(OSDI)の変化は、コホート1では改善を示さなかった。しかしながらコホート2では、両方の男性対象者がベースラインからD42への眼表面疾患指数スコアの改善を示した。
皮膚の4mm径パンチ生検は男性対象者の前腕から得られた。この皮膚生検から単離されたリボ核酸(RNA)は分子発現分析においてアッセイされた。投薬前及び投薬後の試料からの結果は、XLHEDに罹患した成人におけるEDI200生物学的応答パターンの形跡について比較された。結果は検討中である。
《結論》
XLHEDに罹患した男性及び女性に投与されたEDI200のフェーズ1試験は、2つのコホートを登録して6人の対象者それぞれにおいて5回のIV投薬の課程を完了するという目標を達成した。安全性及びPKを実証する主目的は果たされた。EDI200中和抗体の存在によって影響されるので、臨床事象又はPKの有意な変化について判断はなされなかった。EDI200の生物活性/PDのエンドポイントの統計学的評価は、この試験における個体のサンプルサイズが小さいこと、及び有効性についての検出力がない低いEDI200用量であることから、価値が限られる。
実施例11.X連鎖低汗性外胚葉異形成症(XLHED)の男児におけるEDI200の安全性、薬物動態、免疫原性及び薬動力学/有効性のフェーズ2用量漸増試験
この試験の主目的は、XLHEDに罹患した新生児に投与されたEDI200の安全性、薬物動態及び免疫原性について判断することである。この試験の薬動力学/有効性の目的は、XLHEDに罹患した新生児に投与されたEDI200の薬動力学/有効性について判断し、かつ未治療の兄弟から得られた臨床データ及び病歴を、EDI200を投与されているXLHEDに罹患した新生児のものと比較することである。
《材料及び方法》
〈施された治療〉
EDI200は静脈内注入用の無菌溶液として提供される。EDI200を含む全ての治験薬供給品は−60℃〜−90℃で凍結保管される。
〈手順〉
2〜14日齢のXLHEDに罹患した新生児6〜10人が2つのコホートに分けられる。コホート1の対象者は3mg/kg/用量で投薬される。コホート2の対象者は10mg/kg/用量で投薬される。各コホートの投薬レジメンは、0、4、7、11、及び14日目における合計5回のEDI200のIV投薬である。対象者は、治験薬の最後の投薬後1週間の間、続いてEDI200の最後の投薬後2か月、4か月、及び6か月に観察される。
《結果》
〈試験の評価〉
全対象者についての主要評価項目は安全性、PK及び免疫原性となろう。試験期間は全対象者で6か月であり、年1回の評価を提供する長期延長試験へ転じつつある。フェーズ2の新生児試験における薬動力学/有効性の目的は、6か月を超過することの多い外胚葉の発生(例えば生歯)のタイムラインによって限定されることになる。したがって、これらのエンドポイントのうちいくつかは延長試験のプロトコールに組み込まれることになる。下記の判断:(1)年齢に適した技術を使用したXLHEDにおける共通の臨床所見、例えば、成長及び発達、感染及び入院、汗管数及び刺激による発汗、治療前の生歯、並びに体温調節、に関連するエンドポイント;(2)対象者のデジタル顔面写真(付録1)に基づいた非侵襲的顔認識ソフトウェアプログラムを使用する頭蓋顔面構造におけるベースラインからの変化;並びに、(3)治験薬への曝露の前後に得られた皮膚生検試料を使用する分子発現プロファイルの変化;があるであろう。
実施例12.無症候性XLHEDのEDI200治療介入候補者を同定するためのコンピュータ支援型スクリーニング技術の開発及びバリデーション
無症候性のXLHEDに罹患した対象者を測定及び同定するコンピュータ支援型スクリーニング法の開発は、当分野で既知の方法を使用して実行されうる。対象者(例えば新生児、若年者又は成人)の顔面画像が分析されて誕生時から特徴的な無症候性の表現型を示すXLHED罹患者が同定されるスクリーニングプロセスが実施される。相対的な顔面の測定値及び比率が得られて既知の罹患者に対して相対的な診断スコアへと合成される。開発されたら、そのようなアッセイは実現可能性試験及びさらなる開発のうち少なくともいずれかの対象となりうる。該方法はその後、本明細書中に教示された非ヒト霊長類の方法と類似の方式でEDI200治療介入についてヒト新生児を同定するための使用について検証される。

Claims (22)

  1. 少なくとも1個のタンパク質単量体と、薬学的に許容可能な添加剤とを含む医薬組成物であって、前記タンパク質単量体は配列番号1を含み、かつ前記少なくとも1個のタンパク質単量体はAsn76及びAsn302の位置がグリコシル化されている、医薬組成物。
  2. 単位投与形態である、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 少なくとも3個のタンパク質単量体が前記単位投与形態を形成している、請求項2に記載の医薬組成物。
  4. 少なくとも6個のタンパク質単量体が前記単位投与形態において六量体複合体を形成している、請求項2に記載の医薬組成物。
  5. 6個のタンパク質単量体が前記単位投与形態において六量体複合体を形成している、請求項2に記載の医薬組成物。
  6. 薬学的に許容可能な添加剤はリン酸ナトリウム及び塩化ナトリウムを含む希釈剤である、請求項1に記載の医薬組成物。
  7. 1以上の表面活性剤及び洗浄剤の少なくともいずれかをさらに含む、請求項6に記載の医薬組成物。
  8. ポリソルベート20をさらに含む、請求項7に記載の医薬組成物。
  9. 約0.5%の六量体複合体、約20mMのリン酸ナトリウム、約300mMの塩化ナトリウム及び体積比で約0.02%のポリソルベート20を含む、請求項5に記載の医薬組成物。
  10. 2.1mLの体積を有している、請求項9に記載の医薬組成物。
  11. 単位用量は約0.10mg/kg〜約200mg/kgである、請求項2に記載の医薬組成物。
  12. 単位用量は、約0.15mg/kg〜約1.5mg/kg、約0.3mg/kg〜約3mg/kg、約1mg/kg〜約15mg/kg、及び約10mg/kg〜約30mg/kgからなる群から選択される、請求項11に記載の医薬組成物。
  13. 外胚葉異形成症と診断されたか又は外胚葉異形成症の疑いのあるヒトにおいて外胚葉異形成症の1以上の表現型像を矯正、変更又は緩和する方法であって、前記ヒトに請求項1に記載の医薬組成物を投与することを含む方法。
  14. 医薬組成物は単位投与形態で投与される、請求項13に記載の方法。
  15. 単位用量は、注入速度が約0.5ml/kg/時〜約5ml/kg/時、約1.5ml/kg/時〜約10ml/kg/時、又は約3ml/kg/時〜約20ml/kg/時からなる群から選択される連続注入を使用して静脈内注射によって投与される、請求項14に記載の方法。
  16. 単位用量は、注入速度が約5ml/kg/時である連続注入を使用して静脈内注射によって投与される、請求項15に記載の方法。
  17. 連続注入は約30分〜約5時間の期間にわたって行われる、請求項15に記載の方法。
  18. 期間はおよそ2時間である、請求項17に記載の方法。
  19. 投与は15℃〜25℃で行われる、請求項15に記載の方法。
  20. 外胚葉異形成症の表現型像は、欠損歯、異常な形状の歯、汗腺の異常形態又は欠如(若しくは減数)、瞼板腺の欠如、上気道の腺の欠如、脂線の欠如、唾液腺の欠如、様々な種類の毛髪の欠如又は異常形態、及び脱毛からなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
  21. 外胚葉異形成症はX連鎖低汗性外胚葉異形成症(XLHED)である、請求項12に記載の方法。
  22. XLHEDに罹患している対象者を治療する方法であって、前記対象者を請求項1に記載の医薬組成物と接触させることを含む方法。
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