SAWセンサは、受動電子デバイスである。入力電気信号は、パッドに印加される。トランスデューサは、電気信号を表面弾性波(SAW)と呼ばれる機械信号に変換する。センサの応答は、機械波の特性変化(位相、振幅、及び周波数又は遅延)に相当する。例えば、受信信号(RX)及び/若しくは励起信号のパルス間の振幅、位相、周波数又は時間遅延のうちの少なくとも1つのバラつきである。例えば、多重化SAW測定システム(multiplexing SAW measurement system)は、相互及び/又は励起信号に対する複数のパルスの各々に対応する位相を決定することができる位相検出を含み得る。例えば、SAWセンサ間の遅延線の長さの差によって、受信信号(RX)のパルス間の時間遅延が生じる。圧縮パルス列のパルス間の時間ドメインにおけるシフトは、特定のSAWセンサに関連付けられた位相シフトに対応する。位相シフトは、例えば、ソフトウェアプログラム又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)ハードウェアを用いて決定され得る。
一態様では、本開示は、圧電基板と、圧電基板に取り付けられ、圧電基板の表面に配置された複数の表面弾性波(SAW)センサとを含むSAWデバイスを提供し、複数のSAWセンサは、第1の表面弾性波を伝搬させるように構成された第1の遅延線を備える第1のSAWセンサ、及び第2の表面弾性波を伝搬させるように構成された第2の遅延線を備える第2のSAWセンサを含み、第1の遅延線の長さが第2の遅延線の長さよりも長い。
実施形態において、第1のSAWセンサは、第1の遅延線に沿って第1の表面弾性波を伝送するための第1のトランスデューサと、第1の遅延線に沿った第1の表面弾性波の伝搬に応じて第1の表面弾性波を受信するための第2のトランスデューサとを含む。
実施形態において、第1のSAWセンサは、基板に位置決めされたトランスデューサと、トランスデューサに対向して基板に位置決めされた反射物とを備え、トランスデューサが第1の遅延線に沿って第1の表面弾性波を伝送し、トランスデューサは、第1の表面弾性波が反射物で反射して第1の遅延線に沿って2回伝搬した後の第1の表面弾性波を受信する。
実施形態において、反射物は第1の反射物であり、第1のSAWセンサが、トランスデューサに対して第1の反射物近傍で基板に位置決めされた第2の反射物をさらに備え、トランスデューサが、第2の反射物で反射して第1の遅延線に沿って2回伝搬することに応じて、第1の表面弾性波を受信するように構成される。
実施形態において、第1の反射物は第1の周波数を有する表面弾性波を反射するように構成され、第2の反射物は第2の周波数を有する表面弾性波を反射するように構成される。
実施形態において、第1のSAWセンサは第1の対の電気コンタクトを備え、第2のSAWセンサは第2の対の電気コンタクトを備え、第1及び第2の電気コンタクトの対は電気的に接続される。
実施形態において、SAWセンサの各々は、励起信号を受信するように構成される。
実施形態において、励起信号は、パルス電圧、正弦波電気信号、周波数変調、線形周波数変調、双曲周波数変調、直交周波数コーディング、ランダム変調、連続位相変調、周波数シフトキー、マルチ周波数シフトキー、位相シフトキー、ウェーブレット変調又は広帯域周波数信号のうちの少なくとも1つを含む。
実施形態において、SAWセンサの各々は、励起信号を同時に受信するように構成される。
実施形態において、デバイスは第1のSAWセンサ及び第2のSAWセンサの各々と通信する1以上のプロセッサをさらに含み、1以上のプロセッサは、第1のSAWセンサ及び第2のSAWセンサから受信された信号に少なくとも部分的に基づいて受信信号を生成するように構成される。
実施形態において、1以上のプロセッサは、さらに、受信信号に少なくとも部分的に基づいて少なくとも1つの分析物を決定又はモニタリングするように構成される。
実施形態において、1以上のプロセッサは、励起信号に対応するパルス、第1のSAWセンサに対応するパルス又は第2のSAWセンサに対応するパルスのうちの少なくとも2つの間の振幅、位相、周波数又は時間遅延のバラつきを検出することによって、少なくとも1つの分析物を決定、モニタリング又は識別するように構成される。
実施形態において、受信信号は、複数のパルスを有する圧縮パルス列を備える。
実施形態において、圧縮パルス列の複数のパルスは、第1のSAWセンサに対応する第1のパルス及び第2のSAWセンサに対応する第2のパルスを含む。
実施形態において、第1のパルスのタイミングは第1の遅延線の長さに少なくとも部分的に基づき、第2のパルスのタイミングは第2の遅延線の長さに少なくとも部分的に基づく。
実施形態において、圧縮パルス列の複数のパルスは、励起信号に対応するパルスを備える。
実施形態において、圧電基板は、36°Y石英、36°YXリチウムタンタライト、ランガサイト、ランガテイト、ランガナイト、チタン酸ジルコン酸鉛、硫化カドミウム、ベルリナイト、ヨウ素酸リチウム、四ホウ酸リチウム又は酸化ビスマスゲルマニウムのうちの少なくとも1つを備える。
実施形態において、圧電基板は、圧電結晶層を備える。
実施形態において、圧電結晶層は、非圧電基板にラブ波侵入深度よりも大きい厚みを備える。
実施形態において、デバイスは、第1の遅延線に位置し分析物と付着又は反応するように構成された検知領域をさらに含む。
実施形態において、デバイスは、検知領域に添加された分析物の関数として表面弾性波の位相応答を測定するための検出器をさらに含む。
実施形態において、検知領域は、液体媒体から分析物を捕獲するための生物学的感応性界面を備える。
実施形態において、検知領域は、液体媒体から分析物を吸収するための化学的感応性界面を備える。
実施形態において、デバイスは、第1の遅延線に導波層をさらに含む。
実施形態において、導波層は、ポリマー、SiO2又はZnOのうちの少なくとも1つを備える。
実施形態において、第1のSAWセンサに対応する第1の表面弾性波は、100MHzよりも高い、300MHzよりも高い、500MHzよりも高い又は1000MHzよりも高い周波数を備える。
一態様では、本開示は、励起信号を生成するステップと、表面弾性波(SAW)デバイスに励起信号を送信するステップであって、SAWデバイスが、第1の表面弾性波を伝搬させるように構成された第1の遅延線を含む第1のSAWセンサ、及び第2の表面弾性波を伝搬させるように構成された第2の遅延線を含む第2のSAWセンサを備え、第1の遅延線の長さが第2の遅延線の長さよりも長い、ステップと、SAWデバイスの出力信号を受信するステップであって、出力信号は、第1の遅延線、第2の遅延線の長さ、又は第1のSAWセンサ若しくは第2のSAWセンサのうちの少なくとも一方に露出された分析物のうちの少なくとも1つを示す、ステップと、SAWデバイスの出力信号に少なくとも部分的に基づいて分析物を決定又はモニタリングするステップとを含む方法を提供する。
一態様では、本開示は、励起信号を受信するステップと、SAWデバイスの第1のSAWセンサの第1の遅延線にわたって伝搬するための第1の表面弾性波を生成するステップと、SAWデバイスの第2のSAWセンサの第2の遅延線にわたって伝搬するための第2の表面弾性波を生成するステップであって、第1の遅延線の長さが第2の遅延線の長さよりも長い、ステップと、第1の遅延線にわたる伝搬後の第1の表面弾性波を受信するステップと、第2の遅延線にわたる伝搬後の第2の表面弾性波を受信するステップと、受信された第1の表面弾性波、受信された第2の表面弾性波又は励起信号のうちの少なくとも1つに少なくとも部分的に基づいて信号を生成するステップとを含む方法を提供する。
実施形態において、第1のSAWセンサは第1の表面弾性波を反射するように構成された反射物を備え、前記第1の表面弾性波を受信するステップは第1の表面弾性波が反射された後に行われる。
実施形態において、第2のSAWセンサは第2の表面弾性波を反射するように構成された反射物を備え、前記第2の表面弾性波を受信するステップは第2の表面弾性波が反射された後に行われる。
一態様では、本開示は、励起信号を生成するステップと、表面弾性波(SAW)デバイスに励起信号を送信するステップであって、SAWデバイスが、第1の表面弾性波を伝搬させるように構成された第1の遅延線を含む第1のSAWセンサ、及び第2の表面弾性波を伝搬させるように構成された第2の遅延線を含む第2のSAWセンサを備え、第1の遅延線の長さが第2の遅延線の長さよりも長い、ステップと、SAWデバイスにおける励起信号を受信するステップと、第1の遅延線にわたって伝搬するための第1の表面弾性波を生成するステップと、第2の遅延線にわたって伝搬するための第2の表面弾性波を生成するステップと、第1の遅延線にわたる伝搬後の第1の表面弾性波を受信するステップと、第2の遅延線にわたる伝搬後の第2の表面弾性波を受信するステップと、受信された第1の表面弾性波又は受信された第2の表面弾性波のうちの少なくとも一方に少なくとも部分的に基づいて信号を生成するステップであって、信号は、第1の遅延線、第2の遅延線の長さ、又は第1のSAWセンサ若しくは第2のSAWセンサのうちの少なくとも一方に露出された分析物のうちの少なくとも1つを示す、ステップと、生成された信号に少なくとも部分的に基づいて分析物を決定又はモニタリングするステップとを含む方法を提供する。
一態様では、本開示は、分析物を備える試料媒体にSAWデバイスの少なくとも一部を露出するステップであって、SAWデバイスが、励起信号に応じて第1の表面弾性波を伝搬させるように構成された第1の遅延線を含む第1のSAWセンサ、及び励起信号に応じて第2の表面弾性波を伝搬させるように構成された第2の遅延線を含む第2のSAWセンサを備え、第1の遅延線の長さが第2の遅延線の長さよりも長く、第1の遅延線又は第2の遅延線の少なくとも一方の感応性領域は、第1の表面弾性波又は第2の表面弾性波の少なくとも一方が変化するように分析物に対して反応する、ステップと、SAWデバイスの出力に対応する信号を受信するステップと、受信された信号の第1のパルスを識別するステップであって、第1のパルスが第1のSAWセンサに対応する、ステップと、受信された信号の第2のパルスを識別するステップであって、第2のパルスが第2のSAWセンサに対応する、ステップと、受信された信号の第3のパルスを識別するステップであって、第3のパルスが励起信号に対応する、ステップと、第1のパルス、第2のパルス又は第3のパルスのうちの少なくとも2つの、位相、周波数、振幅又はタイミングのうちの少なくとも1つを決定するステップと、前記決定するステップに少なくとも部分的に基づいて分析物を識別又はモニタリングするステップとを含む方法を提供する。
実施形態において、分析物を識別又はモニタリングするステップは、第1のパルス、第2のパルス又は第3のパルスのうちの少なくとも2つの間の振幅、位相、周波数又は時間遅延のうちの少なくとも1つにおけるバラつきを決定するステップを備える。
一態様では、本開示は、異なる遅延線にマルチプレクサを介して順次ルーティングされる励起信号を順次生成するステップであって、受信電子機器に同じ又は異なるマルチプレクサを介して順次ルーティングされる応答を生成するステップを含む方法を提供する。
表面弾性波(SAW)デバイスは、圧電基板と、圧電基板に取り付けられ、圧電基板の表面に配置された複数のSAWセンサとを含む。複数のSAWセンサは、第1のSAWデバイスと、第2のSAWデバイスとを含む。第1のSAWセンサは、第1の表面弾性波を伝搬させるように構成された第1の遅延線を含む。第2のSAWセンサは、第2の表面弾性波を伝搬させるように構成された第2の遅延線を含む。第1の遅延線の長さは第2の遅延線の長さよりも長く、又は第2の遅延線の長さは第1の遅延線の長さよりも長い。
先行する段落のデバイスはまた、ここで説明する他の特徴のうち、この段落で説明する以下の特徴の任意の組合せも含み得る。ある実施形態では、第1のSAWセンサは、第1の遅延線に沿って第1の表面弾性波を伝送するための第1のトランスデューサと、第1の遅延線に沿った第1の表面弾性波の伝搬に応じて第1の表面弾性波を受信するための第2のトランスデューサとをさらに含む。
先行する段落の任意のデバイスはまた、ここで説明する他の特徴のうち、この段落で説明する以下の特徴の任意の組合せも含み得る。ある実施形態では、第1のSAWセンサは、基板に位置決めされたトランスデューサと、トランスデューサに対向して基板に位置決めされた反射物とをさらに含んでもよい。トランスデューサは第1の遅延線に沿って第1の表面弾性波を伝送するように構成され、トランスデューサはさらに、第1の表面弾性波が反射物で反射して第1の遅延線に沿って2回伝搬した後の第1の表面弾性波を受信するように構成される。ある実施形態では、反射物は第1の反射物であり、第1のSAWセンサが、トランスデューサに対して第1の反射物近傍で基板に位置決めされた第2の反射物をさらに含む。トランスデューサは、第2の反射物で反射して第1の遅延線に沿って2回伝搬することに応じて、第1の表面弾性波を受信するように構成される。ある実施形態では、第1の反射物は第1の周波数を有する表面弾性波を反射するように構成され、第2の反射物は第2の周波数を有する表面弾性波を反射するように構成される。
先行する段落の任意のデバイスはまた、ここで説明する他の特徴のうち、この段落で説明する以下の特徴の任意の組合せも含み得る。ある実施形態では、第1のSAWセンサは第1の対の電気コンタクトを含み、第2のSAWセンサは第2の対の電気コンタクトを含む。第1及び第2の対の電気コンタクトは、電気的に接続される。ある実施形態において、SAWセンサの各々は、励起信号を受信するように構成される。ある実施形態において、励起信号は、パルス電圧、正弦波電気信号、周波数変調、線形周波数変調、双曲周波数変調、直交周波数コーディング、ランダム変調、連続位相変調、周波数シフトキー、マルチ周波数シフトキー、位相シフトキー、ウェーブレット変調又は広帯域周波数信号のうちの少なくとも1つを含む。ある実施形態では、SAWセンサの各々は、励起信号を同時に受信するように構成される。
先行する段落の任意のデバイスはまた、ここで説明する他の特徴のうち、この段落で説明する以下の特徴の任意の組合せも含み得る。ある実施形態では、SAWデバイスは、第1のSAWセンサ及び第2のSAWセンサの各々と通信する1以上のプロセッサをさらに含む。1以上のプロセッサは、第1のSAWセンサ及び第2のSAWセンサから受信された信号に少なくとも部分的に基づいて受信信号を生成するように構成されてもよい。ある実施形態では、1以上のプロセッサは、さらに、受信信号に少なくとも部分的に基づいて少なくとも1つの分析物を決定又はモニタリングするように構成される。ある実施形態では、1以上のプロセッサは、さらに、励起信号に対応するパルス、第1のSAWセンサに対応するパルス又は第2のSAWセンサに対応するパルスのうちの少なくとも2つの間の振幅、位相、周波数又は時間遅延のバラつきを検出することによって、少なくとも1つの分析物を識別するように構成される。
先行する段落の任意のデバイスはまた、ここで説明する他の特徴のうち、この段落で説明する以下の特徴の任意の組合せも含み得る。ある実施形態では、受信信号は、複数のパルスを有する圧縮パルス列を含む。ある実施形態では、圧縮パルス列の複数のパルスは、第1のSAWセンサに対応する第1のパルス、及び第2のSAWセンサに対応する第2のパルスを含む。ある実施形態では、第1のパルスのタイミングは第1の遅延線の長さに少なくとも部分的に基づき、第2のパルスのタイミングは第2の遅延線の長さに少なくとも部分的に基づく。ある実施形態では、圧縮パルス列の複数のパルスは、励起信号に対応するパルスを含む。
先行する段落の任意のデバイスはまた、ここで説明する他の特徴のうち、この段落で説明する以下の特徴の任意の組合せも含み得る。ある実施形態では、圧電基板は、36°Y石英、36°YXリチウムタンタライト、ランガサイト、ランガテイト、ランガナイト、チタン酸ジルコン酸鉛、硫化カドミウム、ベルリナイト、ヨウ素酸リチウム、四ホウ酸リチウム又は酸化ビスマスゲルマニウムのうちの少なくとも1つを含む。ある実施形態では、圧電基板は、圧電結晶層を含む。ある実施形態では、圧電結晶層は、非圧電基板にラブ波侵入深度よりも大きい厚みを含む。
先行する段落の任意のデバイスはまた、ここで説明する他の特徴のうち、この段落で説明する以下の特徴の任意の組合せも含み得る。ある実施形態では、SAWデバイスは、第1の遅延線に位置して分析物と付着又は反応するように構成された検知領域をさらに含む。ある実施形態では、検知領域は、液体媒体から分析物を捕獲するための生物学的感応性界面を含む。ある実施形態では、検知領域は、液体媒体から分析物を吸収するための化学的感応性界面を含む。ある実施形態では、SAWデバイスは、検知領域に添加された分析物の関数として表面弾性波の位相応答を測定するための検出器をさらに含む。ある実施形態では、SAWデバイスは、第1の遅延線に導波層をさらに含む。ある実施形態では、導波層は、ポリマー、SiO2又はZnOのうちの少なくとも1つを含む。ある実施形態では、第1のSAWセンサに対応する第1の表面弾性波は、100MHzよりも高い、300MHzよりも高い、500MHzよりも高い又は1000MHzよりも高い周波数を含む。
ここで説明するように、方法は、励起信号を生成するステップと、表面弾性波(SAW)デバイスに励起信号を送信するステップとを含み得る。SAWデバイスは、第1の表面弾性波を伝搬させるように構成された第1の遅延線を有する第1のSAWセンサ、及び第2の表面弾性波を伝搬させるように構成された第2の遅延線を有する第2のSAWセンサを含む。第1の遅延線の長さは第2の遅延線の長さよりも長く、又は第2の遅延線の長さは第1の遅延線の長さよりも長い。方法は、SAWデバイスの出力信号を受信するステップをさらに含む。出力信号は、第1の遅延線、第2の遅延線の長さ、又は第1のSAWセンサ若しくは第2のSAWセンサの少なくとも一方に露出された分析物のうちの少なくとも1つを示す。方法は、SAWデバイスの出力信号に少なくとも部分的に基づいて分析物を決定又はモニタリングするステップをさらに含む。
ここで説明するように、方法は、励起信号を受信するステップと、SAWデバイスの第1のSAWセンサの第1の遅延線にわたって伝搬するための第1の表面弾性波を生成するステップとを含み得る。方法は、SAWデバイスの第2のSAWセンサの第2の遅延線にわたって伝搬するための第2の表面弾性波を生成するステップをさらに含み得る。第1の遅延線の長さは第2の遅延線の長さよりも長く、又は第2の遅延線の長さは第1の遅延線の長さよりも長い。方法は、第1の遅延線にわたる伝搬後の第1の表面弾性波を受信するステップと、第2の遅延線にわたる伝搬後の第2の表面弾性波を受信するステップとをさらに含む。方法は、受信された第1の表面弾性波、受信された第2の表面弾性波又は励起信号のうちの少なくとも1つに少なくとも部分的に基づいて信号を生成するステップをさらに含む。
先行する段落の方法はまた、ここで説明する他のステップ又は特徴のうち、この段落で説明する以下のステップ又は特徴の任意の組合せも含み得る。ある実施形態では、第1のSAWセンサは第1の表面弾性波を反射するように構成された反射物を含み、前記第1の表面弾性波を受信するステップは第1の弾性波が反射された後に行われる。ある実施形態では、第2のSAWセンサは第2の表面弾性波を反射するように構成された反射物を含み、前記第2の表面弾性波を受信するステップは第2の弾性波が反射された後に行われる。
ここで説明するように方法はまた、励起信号を生成するステップと、表面弾性波(SAW)デバイスに励起信号を送信するステップとを含み得る。SAWデバイスは、第1の表面弾性波を伝搬させるように構成された第1の遅延線を含む第1のSAWセンサ、及び第2の表面弾性波を伝搬させるように構成された第2の遅延線を含む第2のSAWセンサを含む。第1の遅延線の長さは第2の遅延線の長さよりも長く、又は第2の遅延線の長さは第1の遅延線の長さよりも長い。方法は、SAWデバイスにおける励起信号を受信するステップと、第1の遅延線にわたって伝搬するための第1の表面弾性波を生成するステップと、第2の遅延線にわたって伝搬するための第2の表面弾性波を生成するステップと、第1の遅延線にわたる伝搬後の第1の表面弾性波を受信するステップと、第2の遅延線にわたる伝搬後の第2の表面弾性波を受信するステップと、受信された第1の表面弾性波又は受信された第2の弾性波のうちの少なくとも一方に少なくとも部分的に基づいて信号を生成するステップとをさらに含む。信号は、第1の遅延線、第2の遅延線の長さ、又は第1のSAWセンサ若しくは第2のSAWセンサのうちの少なくとも一方に露出された分析物のうちの少なくとも1つを示す。方法は、生成された信号に少なくとも部分的に基づいて分析物を決定又はモニタリングするステップをさらに含む。
ここで説明するように方法はまた、複数の励起信号を生成するステップと、励起信号を1以上のSAWデバイスに順次送信するステップとを含み得る。無線周波数マルチプレクサは1以上の遅延線を備える第1のSAWデバイス区画を1以上の励起信号を含む第1の区画に接続し、マルチプレクサは1以上の遅延線を備える第2のSAWデバイス区画を第2の励起信号区画などに接続する。各SAWデバイス区画は、同じ又は異なるSAWデバイスにあってもよく、同じ又は異なる長さの1以上の遅延線を備える。方法は、SAW区画の出力に対応する信号を順次受信するステップをさらに含む。SAWデバイスのどの区画が活性であるか判定するのに、マルチプレクサのルーティングが用いられる。
ここでの技術によると、方法はまた、分析物を備える試料媒体にSAWデバイスの少なくとも一部を露出するステップも含み得る。SAWデバイスは、励起信号に応じて第1の表面弾性波を伝搬させるように構成された第1の遅延線を有する第1のSAWセンサと、励起信号に応じて第2の表面弾性波を伝搬させるように構成された第2の遅延線を有する第2のSAWセンサとを含む。第1の遅延線の長さが第2の遅延線の長さよりも長く、又は第2の遅延線の長さが第1の遅延線の長さよりも長い。第1の遅延線又は第2の遅延線の少なくとも一方の感応性領域は、第1の表面弾性波又は第2の表面弾性波の少なくとも一方が変化するように分析物に対して反応するように構成される。方法は、SAWデバイスの出力に対応する信号を受信するステップと、受信された信号の第1のパルス、第2のパルス及び第3のパルスを識別するステップとをさらに含む。第1のパルスは、第1のSAWセンサに対応する。第2のパルスは、第2のSAWセンサに対応する。第3のパルスは、励起信号に対応する。方法は、第1のパルス、第2のパルス又は第3のパルスのうちの少なくとも2つの、位相、周波数、振幅又はタイミングのうちの少なくとも1つを決定するステップと、前記決定するステップに少なくとも部分的に基づいて、分析物を識別又はモニタリングするステップとをさらに含む。
先行する段落の方法はまた、ここで説明する他のステップ又は構成のうち、この段落で説明する以下のステップ又は構成の任意の組合せも含み得る。ある実施形態では、前記分析物を識別又はモニタリングするステップは、第1のパルス、第2のパルス又は第3のパルスのうちの少なくとも2つの間の振幅、位相、周波数又は時間遅延のうちの少なくとも1つにおけるバラつきを決定するステップを備える。
ここで開示されるようなSAWデバイスの実施形態又は方法の実施形態のいずれも限定することなく含む、この出願に開示される配置又は実施形態のいずれかの構成、構成要素又は詳細はいずれも、新規な配置及び実施形態を形成するように、ここで開示される配置又は実施形態のいずれかの任意の他の構成、構成要素又は詳細と相互に交換可能に組み合わせ可能である。
とりわけ、「can」、「could」、「might」又は「may」などの条件付き言語は、特に断りがなく、あるいは用いられる背景内でそれ以外に理解されない限り、一般的には、特定の構成、要素及び/又はステップを他の実施形態は含まないが特定の実施形態は含むことを伝えるものである。したがって、そのような条件付き言語は、一般的に、構成、要素及び/若しくはステップが1以上の実施形態に必要とされる何らかのものであること、又は1以上の実施形態が、ユーザ入力若しくはプロンプティングによって若しくはそれによらず、これらの構成、要素及び/若しくはステップが任意の特定の実施形態において実行されるように含まれるかそのようなものであるかを決めるための論理を必ず含むことを意味するのを意図しいている。
用語「備える」、「含む」、「有する」などは、同義であり、制約がない形態で包括的に用いられ、追加的要素、構成、挙動、動作その他を除外しない。また用語「又は」は、例えば、要素の一覧を結合するのに用いられた場合に、用語「又は」が一覧における要素の1つ、一部又は全部を意味するようにその包括的趣旨で(及びその除外的趣旨でなく)用いられる。あるいは、2以上の項目の一覧に関する用語「及び/又は」は、単語の以下の解釈のすべての、一覧における項目の任意の1つ、一覧における項目のすべて及び一覧における項目の任意の組合せを網羅する。さらに、ここで用いられる用語「各々」は、その一般的な意味を有することに加えて、用語「各々」が適用される要素の組の任意の部分集合を意味し得る。その上、単語「ここで」、「上で」、「下で」及び同様の意味の単語は、この出願で用いられた場合には、この出願の任意の特定の部分ではなく全体としてこの出願を参照する。
文脈が明らかにそれ以外を必要としない限り、説明及び特許請求の範囲の全体を通じて、単語「備え」、「備える」などは、除外又は排他的趣旨とは対照的な包括的趣旨で、すなわち、「限定することなく含む」の趣旨で解釈されるものである。ここで用いられるように、用語「接続される」、「結合される」、「取り付けられる」又はそれらの任意の変形は2以上の要素間で直接又は間接的のいずれかの任意の接続又は結合を意味し、要素間の結合又は接続は物理的、論理的又はそれらの組合せであり得る。
単数又は複数を用いる上記の詳細な説明における単語はまた、文脈が許容する場合には、複数又は単数もそれぞれ含み得る。2以上の項目の一覧に関する単語「又は」は、単語の以下の解釈のすべての、一覧における項目の任意の1つ、一覧における項目のすべて及び一覧における項目の任意の組合せを網羅する。あるいは、2以上の項目の一覧に関する用語「及び/又は」は、単語の以下の解釈のすべての、一覧における項目の任意の1つ、一覧における項目のすべて及び一覧における項目の任意の組合せを網羅する。
実施形態に依存して、ここで説明されるアルゴリズムのいずれかの特定の動作、挙動、イベント又は機能は、異なる順序で実行可能であり、追加、統合又は完全に除外可能である(非限定的な例では、アルゴリズムの実践には必ずしもすべてが必要ではない)。さらに、特定の実施形態では、動作、挙動、機能又はイベントは、例えば、マルチスレッド処理、割込み処理又は複数のプロセッサ若しくはプロセッサコアを通じて、又は他の並列アーキテクチャにおいて逐次的ではなく同時に実行可能である。
ここで開示される実施形態に関連して説明する種々の説明的な論理的ブロック、モジュール、ルーチン及びアルゴリズムステップは、電子的ハードウェアとして、又は電子的ハードウェア及び実行可能ソフトウェアの組合せとして実現可能である。この互換性を明示するために、種々の説明的な構成要素、ブロック、モジュール及びステップは、それらの機能性の観点で概略として上記で説明した。そのような機能性がハードウェアとして、又はハードウェア上で稼働するソフトウェアとして実行されるのかについては、システム全体に与えられた特定の用途及び設計の制約に依存する。説明する機能性は、各特定の用途に対して様々な方法で実施可能であるが、そのような実施の決定は、開示の範囲からの逸脱をもたらすように解釈されてはならない。
さらに、ここで開示される実施形態に関連して説明する種々の説明的な論理的ブロック及びモジュールは、ここで説明する機能を実行するようにプロセッサデバイス、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)若しくは他のプログラマブル論理デバイス、ディスクリートゲート若しくはトランジスタ論理、ディスクリートゲートハードウェアコンポーネント又はそれらの任意の組合せなどの機械によって実施又は実行され得る。プロセッサデバイスはマイクロプロセッサであり得るが、代替的には、プロセッサデバイスは、コントローラ、マイクロコントローラ又はそれらの組合せなどであってもよい。プロセッサデバイスは、コンピュータ実行可能命令を処理するように構成された電気回路を含み得る。他の実施形態では、プロセッサデバイスは、コンピュータ実行可能命令を処理することなく論理オペレーションを実行するFPGA又は他のプログラマブルデバイスを含む。プロセッサデバイスはまた、コンピューティングデバイスの組合せ、例えば、DSP及びマイクロプロセッサの組合せ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと併用する1以上のマイクロプロセッサ、又はそのような任意の他の構成としても実現可能である。ここでは主にデジタル技術に関して説明したが、プロセッサデバイスは、主にアナログ構成要素も含み得る。例えば、ここで説明する信号処理アルゴリズムの一部又は全部は、アナログ回路構成又は混合アナログ及びデジタル回路構成において実施され得る。コンピューティング環境は、限定することなく、いくつか例を挙げると、マイクロプロセッサ、メインフレームコンピュータ、デジタル信号プロセッサ、携帯式コンピューティングデバイス、デバイスコントローラ、又は電化製品内の計算エンジンに基づくコンピュータシステムを含む、任意のタイプのコンピュータシステムを含み得る。
ここで開示される実施形態に関連して説明する方法、処理、ルーチン又はアルゴリズムの要素は、ハードウェア、プロセッサデバイスによって実行されるソフトウェアモジュール、又はその2つの組合せにおいて直接具現化可能である。ソフトウェアモジュールは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、CD−ROM、又は他の任意の形式の非一時的コンピュータ可読記憶媒体に常駐可能である。例示的な記憶媒体は、プロセッサデバイスが記憶媒体から情報を読出し及び記憶媒体に情報を書き込むことができるようにプロセッサデバイスに結合可能である。代替的には、記憶媒体は、プロセッサデバイスに対して一体化可能である。プロセッサデバイス及び記憶媒体は、ASICに常駐可能である。ASICは、ユーザ端末に常駐可能である。代替的には、プロセッサデバイス及び記憶媒体は、ユーザ端末における個別の構成要素として常駐可能である。
さらに、図示するシステムの種々の構成要素の処理は、複数の機械、ネットワーク及び他のコンピューティングリソースにわたって分散可能である。その上、システムの2以上の構成要素は、より少数の構成要素に組み合わされてもよい。図示するシステムの種々の構成要素は、専用のコンピュータハードウェアシステム及び/又はコンピューティングデバイスではなく、1以上の仮想マシンにおいて実施可能である。
ここで提供される範囲は、その範囲内の値のすべての省略表現であるように理解される。例えば、1〜50の範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49又は50と、さらに例えば、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8及び1.9などの前述の整数の間のすべての介在する小数とからなるグループによる任意の数、数の組合せ又は部分範囲を含むように理解される。部分範囲に関して、範囲のいずれかの端点から拡大する「ネスト化された部分範囲」が、具体的には考えられる。例えば、1〜50の例示的な範囲のネスト化された部分範囲は、一方の方向に1から10、1から20、1から30及び1から40、又は他方の方向に50から40、50から30、50から20及び50から10を備え得る。
添付の提出書類に列挙され得るいずれも含む上述のいずれの特許及び出願並びに他の文献は、参照としてここに組み込まれる。本開示の態様は、必要に応じて上記の種々の文献のシステム、機能及び概念を採用するように変更して、本開示のさらに他の実施例を提供することができる。
システムの詳細は、ここでは本開示に含まれつつもその特定の実施例において大幅に変更し得る。上述のように、本開示のある構成又は態様を説明する場合に用いられる特定の専門用語は、専門用語がその専門用語が対応付けられた本開示の任意の特定の特徴、構成又は態様に限定されるようにここで再定義されていることを示すように用いられるべきではない。一般的に、以下の特許請求の範囲で用いられる用語は、上記の詳細な説明の節でそのような用語を明確に定義していなければ、明細書に開示される特定の例に本開示を限定するように解釈されるべきではない。したがって、本開示の実際の範囲は、開示される例だけでなく、特許請求の範囲の下で本開示を実行又は実施するすべての均等の方法も含む。
フレーズ「X、Y又はZのうちの少なくとも1つ」などの離接語は、特に記載されていなければ、項目、用語などが、X、Y若しくはZのいずれか又はその任意の組合せ(非限定的な例ではX、Y及び/又はZ)であり得ることを一般的に示すのに用いられるようなコンテキストで理解される。したがって、そのような離接語は、特定の実施形態がXの少なくとも1つ、Yの少なくとも1つ又はZの少なくとも1つが各々存在することを必要とすると示すことを一般的には意図しておらず、示すべきではない。
明示されない限り、「a」又は「an」などの冠詞は、説明する1以上の項目を含むように一般的には解釈されるべきである。したがって、「ように構成されたデバイス」などのフレーズは、記載される1以上のデバイスを含むように意図される。そのように記載される1以上のデバイスはまた、記載の詳細を実行するようにまとめて構成されることも可能である。例えば、「詳細A、B及びCを実行するように構成されたプロセッサ」は、詳細B及びCを実行するように構成された第2のプロセッサとともに稼働して詳細Aを実行するように構成された第1のプロセッサを含み得る。
上記の詳細な説明は種々の実施形態に適用されるように新規の構成を図示、説明及び指摘したが、それは本開示の趣旨を逸脱することなく、説明するデバイス又はアルゴリズムの形式及び詳細事項の様々な省略、置換及び変化がなされ得ると理解できる。認識できるように、ここで説明する特定の実施形態は、一部の構成が他のものとは別に使用又は実施可能であるので、ここで記載される構成及び利点のすべては提供しない形式内で具現化可能である。ここで開示する特定の実施形態の範囲は、前述の説明によるのではなく、添付の特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲と等価の意味及び範囲内のすべての変化が、それらの範囲内に含まれるようになる。
表面弾性波(SAW)センサ又はバルク弾性波(BAW)センサは、液体の、固体の、気体の又は生物学的な媒体などの媒体に存在する分析物(標的材料といわれることもある)を決定又はモニタリングするのに利用される。SAWセンサは、SAWセンサの表面において1以上の分析物に結合するように構成されたレセプターを含み得る。1以上の分析物を含む試料媒体がSAWセンサに載置された場合には、分析物とレセプターの間に物理的、化学的又は電気的反応が生じる。その結果により生じる変化は、分析物の含有量を決定又はモニタリングするのに用いられる。
SAWデバイスは、圧電基板、圧電基板の表面の一部分における入力インターデジタルトランスデューサ(IDT)(送信IDTといわれることもある)及び圧電基板の他の部分における出力IDT(受信IDTといわれることもある)を含み得る。送信IDTは、励起信号で励起可能である。例えば、励起信号は、限定することなく、パルス電圧、正弦波電気信号、周波数変調、線形周波数変調、双曲周波数変調、直交周波数コーディング、ランダム変調、連続位相変調、周波数シフトキー、マルチ周波数シフトキー、位相シフトキー、ウェーブレット変調、広帯域信号など含む多様な信号を含み得る。圧電効果に起因して、送信IDTは、受信IDTの方向のIDT間の空間(一般的に、遅延線といわれる)に沿って伝搬する表面弾性波を生成する。表面弾性波の波長は、遅延線に沿った伝搬の後に、分析物とレセプターの間の物理的、化学的又は電気的反応に起因して変化し得る。表面弾性波は受信IDTに到達し、圧電効果によって受信IDTが、弾性波を電気信号などの受信信号に変換する。
ある実施形態では、レセプター(感応性層ともいわれる)は、遅延線に載置される。感応性層は、特定の気体、化学的材料、生物学的材料などのような分析物に露出された場合には、表面弾性波が遅延線に沿って伝搬するにつれて、感応性層が表面弾性波を変調又は変化させるように、感応性層には定量化可能な変化が生じる。例えば、表面弾性波の位相、速度、振幅又は周波数は、表面弾性波が感応性層を伝搬するにつれて変更可能である。
励起信号及び受信信号を比較することによって、分析物の特徴は定量化可能である。例えば、表面弾性波の速度又は振幅の変化は、励起信号と比較して、受信信号における振幅、周波数、位相シフト又は時間遅延の変化に対応し得る。したがって、SAWセンサは、有利なことに、SAWの伝搬に影響を及ぼすとともに出力電気信号の変化をもたらし得るほとんどいずれの物理的又は化学的干渉も測定する能力を与える。
さらに、表面弾性波が遅延線に沿って伝搬するにつれて、励起信号と比較して、受信信号には顕著かつ測定可能な遅延がある。この遅延は、遅延線の長さに少なくとも部分的に起因し得る。したがって、ある実施形態では、複数のSAWセンサが利用され、各々が異なる長さの遅延線を有する。遅延線の長さは受信信号の遅延に影響を及ぼすので、複数のSAWセンサの受信信号の各々が異なる遅延を有し得る。したがって、ある例では、SAWデバイスは、(異なる遅延線の長さを有する)複数のSAWセンサを同時に利用して複数の分析物を測定することができる。
ある実施形態では、受信IDTが反射物に置き換えられる。表面弾性波は、遅延線を通過し、反射物で反射し、送信IDTに戻って到着する前に遅延線を通じて戻る。
バイオセンサについて、タンパク質、抗体、抗原、デオキシリボ核酸(「DNA」)、リボ核酸(「RNA」)、細菌、動物細胞、ウイルス又は組織などの生体分子、及びそれらから生成される毒素がバイオセンサの表面に結合した場合には、センサの表面質量が変化し、それによってセンサでは信号ドリフトが生じる。その結果、バイオセンサは、標的材料の含有量を決定又はモニタリング可能である。
一方向SAWセンサ
図1Aは、ある実施形態による表面弾性波(SAW)デバイス100の図である。SAWデバイス100は、圧電基板(不図示)と、異なる長さ112、114、116、118、120の遅延線126を有するSAWセンサ102、104、106、108、110のアレイとを含む。ここでのある例では、SAWデバイス100を、センサに102に関して説明する。ただし、他のSAWセンサ104、106、108、110の一部又は全部は、SAWセンサ102に関して説明するものと同様の又は異なる構成要素又は構成を有し得る。
SAWセンサ102は、基板上にあり、表面弾性波を圧電基板に励起する送信インターデジタルトランスデューサ(IDT)122を含む。SAWセンサ102はまた、基板を通じた伝搬後の表面弾性波を検出する受信IDT124、及びIDT122、124を電気構成要素に電気的に接続するための2対の電気コンタクト132、134も含む。
SAWデバイス100は、36°Y石英、36°YXリチウムタンタライト、128°YXリチウムナイオベート、ランガサイト、ランガテイト、ランガナイト、チタン酸ジルコン酸鉛、硫化カドミウム、ベルリナイト、ヨウ素酸リチウム、四ホウ酸リチウム又は酸化ビスマスゲルマニウムのうちの1以上の組合せなどの種々の圧電基板を含み得る。ある実施形態では、SAWデバイス100は、複数のSAWセンサ102、104、106、108、110が取り付けられた単一の圧電基板を利用する。ある実施形態では、SAWセンサ102、104、106、108、110のうちの1以上は、異なる圧電基板を利用可能である(例えば、第1のSAWセンサ102は第1の圧電基板に取り付けられ、第2のSAWセンサ104は第2の圧電基板に取り付けられる)。
送信IDT122(入力IDTといわれることがある)は、励起信号を表面弾性波に変換し、その表面弾性波を、表面弾性波が遅延線126に沿って基板を通じて伝搬するように圧電基板に伝送する。励起信号は、ここで説明するように波形生成器などのハードウェアによって生成可能であり、限定することなく、パルス電圧、正弦波電気信号、周波数変調、線形周波数変調、双曲周波数変調、直交周波数コーディング、ランダム変調、連続位相変調、周波数シフトキー、マルチ周波数シフトキー、位相シフトキー、ウェーブレット変調などを含む多様な信号を含み得る。ある実施形態では、SAWデバイス100の送信IDT122の各々は、単一の励起信号で同時に励起される。例えば、励起信号はRFスイッチによって受信可能であり、それは送信IDT122の一部又は全部にわたって送信を同期させる。ある実施形態では、SAWセンサ102、104、106、108、110の少なくとも一部は、同時には励起されない。例えば、SAWセンサ102、104、106、108、110のうちの2以上が、順次励起され得る。
送信IDT122は、電気コンタクト132(例えば、コンタクトパッド)を介して励起信号を受信可能である。例えば、SAWセンサ102は、励起信号を受信するための第1の対の電気コンタクト132を含み得る。電気コンタクト132の対は、電圧源などの内部又は外部の電気構成要素と送信IDT122を電気的に接続するのに用いられ得る正及び負の構成要素を含む。例えば、表面弾性波を生成するために、電圧源が、電気コンタクト132を通じて、励起源の正の電圧に接続するための正のコンタクト及び負の電圧に接続するための負のコンタクト(例えば、システムの電気的アース)を含む送信IDT122に接続される。
送信IDTのアレイは、励起されると(例えば、電圧又は励起信号が印加された場合に)、各SAWセンサ102、104、106、108、110の遅延線126に沿って基板を通じて伝搬する複数の表面弾性波を生成する。非限定的な例として、第1の表面弾性波はSAWセンサ102に対応する第1の遅延線に沿って生成及び伝送され、第2の表面弾性波はSAWセンサ104に対応する第2の遅延線に沿って生成及び伝送され、第3の表面弾性波はSAWセンサ106に対応する第3の遅延線に沿って生成及び伝送され、第4の表面弾性波はSAWセンサ108に対応する第4の遅延線に沿って生成及び伝送され、第5の表面弾性波はSAWセンサ110に対応する第5の遅延線に沿って生成及び伝送される。表面弾性波は、種々の周波数を有し得る。例えば、表面弾性波の周波数は、約50、100、150、200、250、300、350、400、500、600、700、800、900又は1000MHz(+/−約25MHz)であり得る。同様に、表面弾性波の周波数は、100MHz未満、100MHzより大きい、300MHzより大きい、500MHzより大きい又は1000MHzより大きくてもよい。
ある例では、表面弾性波の周波数は、圧電基板のタイプ又は組成に少なくとも部分的に依存し得る。例えば、表面弾性波の周波数は、純粋又は漏洩横波型モード生成を励起する圧電基板(非限定的な例:36°Y石英、36°YXリチウムタンタライト、ランガサイト、ランガテイト、ランガナイト、チタン酸ジルコン酸鉛、硫化カドミウム、ベルリナイト、ヨウ素酸リチウム、四ホウ酸リチウム及び酸化ビスマスゲルマニウム)を有するSAWセンサに対して100MHzより大きくなり得る。
ある実施形態では、SAWデバイス100は、基板を通じて伝搬するにつれて表面弾性波を制限する薄い導波層(不図示)を含む。
受信IDT124(出力IDTといわれることがある)は、ある有限時間の遅延後の(例えば、表面弾性波が送信IDT122から遅延線を通じて受信IDT124に伝搬した後の)表面弾性波を受信する。受信IDT124は、伝搬した表面弾性波(例えば、遅延線126に沿って伝搬した後の表面弾性波)を受信信号(例えば、電気信号)に変換する。ここで説明するように、ある実施形態では、SAWデバイス100の表面弾性波のすべてが、異なる遅延線の長さ112、114、116、118、120に起因して別々の時間において対応する受信IDT124に到着又は到達可能である。例えば、送信IDT122の各々は、遅延線126に沿って表面弾性波を同時に伝送可能である。遅延線の長さ112、114、116、118、120は各SAWセンサ102、104、106、108、110に対して異なり得るので、表面弾性波は、対応する受信IDT124に到達する前に対応する遅延線126にわたって伝搬する異なる期間を必要とする。したがって、受信信号(又は受信信号のパルス)の種々の遅延は、異なるSAWセンサ102、104、106、108、110の遅延線126の間の長さの変動に少なくとも部分的に基づき得る。
SAWデバイス100は、遅延線126の各側部における電気コンタクト132、134(例えば、コンタクトパッド)のアレイを含み得る。例えば、SAWセンサ102は2対の電気コンタクト132、134を含んでもよく、各対は正及び負の構成要素を有する。正及び負の構成要素は、いくつか例を挙げると、電圧源又は位相検出集積回路などの内部又は外部の電気構成要素とのIDT電気接続に用いられ得る。例えば、表面弾性波を生成するために、電圧源は、電気コンタクト132を通じて、励起源の正の電圧に接続するための正のコンタクト及び負の電圧に接続するための負のコンタクト(例えば、システムの電気的アース)を含む送信IDT122に接続される。同様に、基板を通じて伝搬した後の表面弾性波を受信するために、受信IDT124は、(RFスイッチ又はRF増幅器などの)外部測定システムの正及び負の電極と接続するための2つのコンタクト(正及び負)を含み又はそれに接続される。
ある実施形態では、コンタクト132、134の数は、SAWセンサ102、104、106、108、110の数が増加するのに比例して増加する。例えば、SAWデバイス100は5つのSAWセンサ102、104、106、108、110を含んで示されるが、任意数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれ以上)のSAWセンサを利用可能である。したがって、コンタクトの数はSAWセンサの数が増加するのに比例して増加するので、コンタクトのサイズ又は数はSAWデバイス100のサイズにとって制限要因となることがある。
したがって、図1Aには図示していないが、ある実施形態では、多重化SAWデバイス100のSAWセンサ102、104、106、108、110の一部又は各々のコンタクト132、134は、ともに結合又は接続される。これにより、有利なことに、多重化SAWデバイス100の小型化、(例えば、コストはチップサイズに比例して増加するので)コスト削減、又は可能なSAWセンサ102、104、106、108、110の数の増加が可能となる(それによって、検出可能な分析物の数を増加させる)。例えば、送信IDTの各々の正のコンタクトパッドはともに結合可能であり、送信IDTの各々の負のコンタクトパッドもともに結合可能である。同様に、受信IDTの各々の対応する正又は負のコンタクトパッドは、ともに結合可能である。この接続は、(多層金属被覆処理及び共通コンタクトパッドを有する圧電基板などにおけるように)SAWデバイス100自体に生じ得るものであり、又は(外部のプリント回路基板(PCB)によるように)SAWデバイス100から外れて生じ得る。共通コンタクトパッドの接続(例えば、正と正、負と負)は、SAWデバイス100のチップの小型化に寄与する。例えば、図1Aを参照して、外部接続に対するSAWデバイス100のコンタクトの総数は、4つのタイプ(例えば、送信IDT122に対して正と負のコンタクト、及び受信IDT124に対して正と負のコンタクト)に減少され得る。コンタクトの総数は、SAWデバイス100におけるSAWセンサの数に関わらず、4つに減少可能である。
SAWセンサ102、104、106、108、110は、遅延線の長さ112、114、116、118、120が第1のセンサ102から最後のセンサ110へとサイズを徐々に増加させるシーケンスフォーマットで配置されるが、SAWセンサ102、104、106、108、110は任意の順序(例えば、遅延線の長さ112、114、116、118、120に対応する順番でない)で配置可能であることには留意すべきである。さらに、各SAWセンサ102、104、106、108、110の遅延線の長さ112、114、116、118、120は図示する例では異なるが、ある実施形態では、遅延線の長さ112、114、116、118、120の1つ以上が同じであってもよい。
ある実施形態では、遅延線126は、アルミニウム若しくは金の層、又はポリマー、SiO2若しくはZnOを有する導波層を含む。遅延線は、流体による分析物と結合する抗体、タンパク質、アプタマー又はリガンドなどのレセプターの層と接合することによって生物学的に活性となる。同様に、センサは、化学的感応性界面への結合を通じて流体における化学物質を検出可能である。
ある実施形態では、遅延線126(又は遅延線に若しくはその近傍に位置決めされた導波層、感応性層若しくは検知エリア)は、(液体などの)媒体による(生物学的又は化学的分析物などの)分析物の付着のメカニズムをもたらす。例えば、図1Aは、SAWセンサ106のアレイの少なくとも一部(例えば、遅延線126の一部)を被覆する流体セル128を示し、遅延線126又は検知エリアへ分析物の伝達を与えるように構成される。
ある実施形態では、感応性層は、送信IDT122と受信IDT124の間でSAWセンサの各々の表面に(例えば、遅延線126に)取り付けられる。感応性層は要素(非限定的な例:気体、化学的材料、生物学的材料)に露出され、感応性層は、伝搬波に(例えば、振幅、速度などに)定量化可能な変化を引き起こすように変更される。変化は、例えば、振幅、位相、周波数又は時間遅延の観点で励起信号及び受信信号のバラつきを検出することによって測定可能である。
ある例では、単一のSAWデバイスを用いて複数の分析物を同時に検出、モニタリング又は測定することが望ましいはずである。例えば、複数の分析物を検出することは、いくつか例を挙げると、感染性疾患の診断又は揮発性有機化合物の検出などの生物学的材料にとって有益となり得る。ここで説明するようにある実施形態では、複数の分析物は、SAWデバイス100によって同時に検出及び測定可能である。例えば、各SAWセンサ102、104、106、108、110の異なる遅延線の長さ112、114、116、118、120によって、有利なことに、SAWセンサ102、104、106、108、110に関連付けられた受信信号の間に時間遅延が生じる。時間遅延によって各々分離されるように受信信号を遅延させることによって、SAWデバイス100は、有利なことに、例えば、試料媒体における1以上の分析物の試験を可能とする。例えば、受信信号は、圧縮パルス列に組み合わされ得る。圧縮パルス列のパルスは各々、遅延線の長さの差に対応する特定の時間遅延を有する。ある実施形態では、圧縮パルス列の位相又は他の情報が抽出され得る。
図1Bは、ある実施形態による図1AのSAWデバイス100に対応する時間ドメイン励起信号(TX)156、158及び受信信号(RX)140、150を示す。ここで説明するように、図1AのSAWデバイス100は5つのSAWセンサ102、104、106、108、110のアレイを含み、各々が異なる長さ112、114、116、118、120の遅延線126を有する。例えば、各遅延線の長さは以下の式1:
Delay line length=L1+(n−l)*ΔL
から決定可能であり、ここでL1は最短遅延線の長さ(例えば、長さ112)であり、nはSAWセンサ102、104、106、108、110のすべてが最短遅延線から最長遅延線に分類される場合のSAWセンサの順序番号に対応する数(例えば、最短遅延線112を有するSAWセンサ102に対してn-=1であり、次の最短遅延線114を有するSAWセンサに対してn-=2であり、最長遅延線120を有するSAWセンサ110に対してn-=5である)であり、ΔL130はSAWセンサ102、104、106、108、110が遅延線の長さによって順序付けられた場合の後続のSAWセンサ間の遅延線の長さの差である。ただし、遅延線の長さ112、114、116、118、120の各々は図示する例ではΔL130の因数によって異なるが、遅延線126は、任意の長さを有してもよく、それによって横並び又は他のパターンで増加させる必要はないことに留意すべきである。したがって、遅延線の長さを決定するための式1は、特定の遅延線の長さに依存して変化し得るという結果になる。あるいは、遅延線の長さ112、114、116、118、120の各々を決定するための式が、利用可能でない場合もある。ある実施形態では、遅延線の長さはメモリに記憶される。ある実施形態では、遅延線の長さは予め決められる。
図1A及び1Bを引き続き参照すると、励起信号(TX)156はSAWデバイス100によって受信され、SAWセンサ102、104、106、108、110の各々が同時に励起される。この例では、励起信号(TX)156はパルス電圧である。ただし、ここで説明するように、励起信号(TX)156は種々の信号のうちの1以上であり得る。例えば、励起信号(TX)156は、周波数のスペクトルをカバーする周波数変調された信号であり得る。ある実施形態では、周波数変調された信号は、有利なことに、固定周波数の励起信号よりも高いパワー利得を提供可能である。
励起信号(TX)156は、送信IDT122のアレイを励起し、各SAWセンサ102、104、106、108及び110の遅延線126に沿って伝搬する表面弾性波のアレイを生成する。受信IDT124は、伝搬した表面弾性波を受信し、その表面弾性波を受信信号(RX)140、150のパルス141、142、143、144、145に変換する。ここで説明するように、各SAWセンサ102、104、106、108、110の遅延線の長さ112、114、116、118、120は異なる。したがって、表面弾性波は、種々の時間において種々の受信IDT124に到達することになる。これにより、受信信号(RX)140の個々のパルス141、142、143、144、145は、遅延線126の異なる長さ112、114、116、118、120に対応する異なる期間によって各々遅延される。受信信号(RX)140の個々のパルス141、142、143、144、145の間のこの時間の遅延は、SAWセンサ102、104、106、108、110が同時に励起される場合でも生じる。
換言すれば、SAWセンサ102、104、106、108、110は、遅延線126の異なる長さ112、114、116、118、120の伝搬遅延に起因して、電気信号のパルス列141、142、143、144、145を生成する。図1Bの例に関して、励起パルス(TX)156と受信信号(RX)140の第1のパルス141(例えば、最短長112の遅延線126を有するSAWセンサ102に対応するパルス141)との間の時間遅延(Td)136は以下の式2:
Td=L1/v
によって与えられ、ここでL1は最短遅延線の遅延線の長さ(例えば、長さ112)であり、vは表面弾性波速度であり、波動の表面弾性波速度(v)は(例えば、基板を通じて)特定の空間において表面弾性波が伝搬する速度である。
受信信号(RX)140の後続のパルス141、142、143、144、145の各々の間の時間遅延(ΔTd)138は以下の式3:
ΔTd=ΔL/v
によって与えられ、ここでΔL130はSAWセンサ102、104、106、108、110が遅延線の長さによって順序付けられた場合の後続のSAWセンサ間の遅延線の長さの差であり、vは表面弾性波速度である。
第1のパルス141と励起信号156の間の時間遅延(Td)136は、多様な方法で測定可能である。例えば、時間遅延(Td)136は、中心と、開始と、終了との、すなわち各パルス間の時間の差に対応し得る。ある例では、時間遅延(Td)136は、パルス141、156の各々の対応する領域間の時間の差に対応し得る。時間遅延(ΔTd)138は、同様の技術を用いて決定可能である。
非限定的な例として、センサは、4mmの最短遅延線の長さ(L)(例えば、SAWセンサ102の遅延の長さ112)を有し、36°LiTaO3圧電基板に取り付けられる。36°LiTaO3圧電基板を通じて移動する表面弾性波は、4212m/secの速度(v)を有する。したがって、最短長(L1)112の遅延線は、一方向SAWセンサに対して第1のパルス141を約0.95μs遅延させることになる。さらに、約0.3mmの遅延線の長さの差(ΔL)130では、受信信号(RX)140の各受信パルス141、142、143、144、145の間の時間遅延(ΔTd)が約71nsである。
ある実施形態では、SAWセンサ102、104、106、108、110は、複数の受信信号(RX)140、150を生成するように、一定周期(Tp)152、154で(例えば、10、20、30、40、50、100、200、400又は500μsの間隔で)連続的に励起される。これらのような例では、受信信号(RX)140、150(例えば、受信信号140、150におけるパルス141、142、143、144、145)は、例えば、受信ノイズが低減した受信信号(RX)を決定するように平均化され得る。ある実施形態では、時間遅延(例えば、Td、ΔTd)は、nsからμsのオーダーであり得る。
双方向SAWセンサ
図2Aは、ある実施形態による表面弾性波(SAW)デバイス200の図である。多重化SAWデバイス200は、圧電基板(不図示)及びSAWセンサ202、204、206、208、210を含み、各SAWセンサ202、204、206、208、210の遅延線の長さ212、214、216、218、220が異なる。ここでのある例では、SAWデバイス200をセンサ202に関して説明する。他のSAWセンサ204、206、208、210の各々は、SAWセンサ202に関して説明するものと同様の又は異なる構成要素又は構成を有し得る。
SAWセンサ202は、表面弾性波を圧電基板に伝送し、反射されたSAWを検出する送信/受信IDT222を含み得る。SAWセンサ202はまた、SAWを送信/受信IDT222に向けて反射し戻す反射物224、及びIDT電気接続のための1対の電気コンタクト232も含み得る。
SAWデバイス200は、36°Y石英、36°YXリチウムタンタライト、128°YXリチウムナイオベート、ランガサイト、ランガテイト、ランガナイト、チタン酸ジルコン酸鉛、硫化カドミウム、ベルリナイト、ヨウ素酸リチウム、四ホウ酸リチウム又は酸化ビスマスゲルマニウムのうちの1以上の組合せなどの種々の圧電基板を含み得る。ある実施形態では、多重化SAWデバイス200は、複数のSAWセンサ202、204、206、208、210が存在する単一の圧電基板を利用する。ある実施形態では、SAWセンサ202、204、206、208、210のうちの1以上は、異なる圧電基板を利用する(例えば、第1のSAWセンサ202は第1の圧電基板に存在し、第2のSAWセンサ204は第2の圧電基板に存在する)。
送信/受信IDT222は、励起信号を表面弾性波に変換し、その表面弾性波を、表面弾性波が遅延線226に沿って基板を通じて伝搬するように圧電基板に送信する。励起信号は、限定することなく、パルス電圧、周波数変調された信号、正弦波電気信号などを含む多様な信号を含み得る。ある実施形態では、SAWデバイス200内のSAWセンサ202、204、206、208、210の送信IDTの各々は、例えば、送信を同期させるRFスイッチを用いて励起信号で同時に励起される。ある実施形態では、SAWセンサ202、204、206、208、210の少なくとも一部は、同時には励起されない(例えば、SAWセンサ202及び204が順次励起され得る)。
送信/受信IDT222は、電気コンタクト232(例えば、コンタクトパッド)のアレイを介して励起信号を受信可能である。例えば、SAWセンサ202は、励起信号を受信するために1対の電気コンタクト232を含み得る。1対の電気コンタクト232は、送信/受信IDT222を電圧源などの内部又は外部の電気構成要素と電気的に接続するために用いられ得る正及び負の構成要素を含む。例えば、表面弾性波を生成するために、電圧は、電気コンタクト232を通じて、励起源の正の電圧に接続するための正のコンタクト及び負の電圧に接続するための負のコンタクト(例えば、システムの電気的アース)を含む送信/受信IDT222に接続される。コンタクト232はまた、(RFスイッチ又はRF増幅器などの)外部測定システムの正及び負の電極と接続するためにも利用可能である。
送信/受信IDTのアレイは、励起されると、各SAWセンサ202、204、206、208、210の遅延線226に沿って基板を通じて伝搬する表面弾性波のアレイを生成する。表面弾性波は、種々の周波数を有し得る。例えば、表面弾性波の周波数は、約50、100、150、200、250、300、350、400、500、600、700、800、900又は1000MHz(+/−約25MHz)であり得る。同様に、表面弾性波の周波数は、100MHz未満、100MHzより大きくてもよく、300MHzより大きくてもよく、500MHzより大きくてもよく、又は1000MHzより大きくてもよい。
ある例では、表面弾性波の周波数は、圧電基板のタイプ又は組成に少なくとも部分的に依存し得る。例えば、表面弾性波の周波数は、純粋又は漏洩横波型モード生成を励起する圧電基板(非限定的な例:36°Y石英、36°YXリチウムタンタライト、ランガサイト、ランガテイト、ランガナイト、チタン酸ジルコン酸鉛、硫化カドミウム、ベルリナイト、ヨウ素酸リチウム、四ホウ酸リチウム及び酸化ビスマスゲルマニウム)を有するSAWセンサ206に対して100MHzより大きくなり得る。
ある実施形態では、多重化SAWデバイス200は、基板を通じて伝搬するにつれて表面弾性波を制限する薄い導波層(不図示)を含む。
送信/受信IDT222はまた、表面弾性波が反射物224で反射し、その表面弾性波が基板を通じ伝搬して戻った後の表面弾性波も受信する。送信/受信IDT222は、伝搬した弾性波を受信信号に変換する。ある実施形態では、複数の表面弾性波の各々が、別々の時間において複数の送信/受信IDTに到着又は到達する。例えば、上記のように、送信/受信IDTの各々は、表面弾性波を基板に同時に送信することができる。SAWセンサ202、204、206、208、210の遅延線の長さ212、214、216、218、220は各SAWセンサ202、204、206、208、210に対して異なるので、表面弾性波は、異なる遅延線の長さにわたって伝搬し、遅延線の長さのバラつきに基づいて種々の時間で送信/受信IDTの各々に到達する。圧縮パルス列は、受信信号から生成可能である。圧縮パルス列のパルスは、遅延線の長さの差に対応する特定の時間遅延を有し得る。ある実施形態では、圧縮パルス列の位相又は他の情報が抽出され得る。
SAWデバイス200は、遅延線226の各側部に電気コンタクト232(例えば、コンタクトパッド)のアレイを含む。例えば、SAWセンサ202、204、206、208、210の各々は1対の電気コンタクト232を含んでもよく、各対は正及び負の構成要素を有する。正及び負の構成要素は、いくつか例を挙げると、電圧源又は位相検出集積回路などの内部又は外部の電気構成要素とのIDT電気接続に用いられ得る。例えば、表面弾性波を生成するために、電圧は、電気コンタクト232を通じて、励起源の正の電圧に接続するための正のコンタクト及び負の電圧に接続するための負のコンタクト(例えば、システムの電気的アース)を含む送信/受信IDT222に接続される。同様に、送信/受信IDT222の正及び負のコンタクトは、(RFスイッチ又はRF増幅器などの)外部測定システムの正及び負の電極と接続可能である。
ある実施形態では、コンタクト232の数は、SAWセンサ202、204、206、208、210の数が増加するのに比例して増加する。例えば、SAWデバイス200は5つのSAWセンサ202、204、206、208、210を含んで示されるが、任意数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれ以上)のSAWセンサを利用可能である。したがって、コンタクトの必要数はSAWセンサの数が増加するのに比例して増加し得るので、コンタクトのサイズ又は数はデバイスのサイズにとって制限要因となることがある。
したがって、図2Aには図示していないが、ある実施形態では、多重化SAWデバイス200のSAWセンサ202、204、206、208、210の一部又は各々のコンタクトパッドは、ともに結合又は接続される。これにより、有利なことに、SAWデバイス200の小型化、(例えば、コストはチップサイズに比例して増加するので)コスト削減、又は可能なSAWセンサの数の増加が可能となる(それによって、検出可能な分析物の数を増加させる)。例えば、送信/受信IDTの各々の正のコンタクトパッドはともに結合可能であり、送信/受信IDTの各々の負のコンタクトパッドもともに結合可能である。この接続は、(多層金属被覆処理及び共通コンタクトパッドを有する圧電基板などにおけるように)SAWデバイス200自体に生じ得るものであり、又は(外部のプリント回路基板(PCB)によるように)SAWデバイス200から外れて生じ得る。共通コンタクトの接続(例えば、正と正、負と負)は、センサチップの小型化に寄与する。例えば、外部接続に対するコンタクトの数は、多重化SAWデバイス200におけるSAWセンサ202、204、206、208、210の数に関わらず、2つのタイプ(例えば、送信/受信IDTに対して正と負のコンタクト)に減少され得る。
各SAWセンサ202、204、206、208、210の異なる遅延線の長さ212、214、216、218、220によって、表面弾性波は別々の時間において送信/受信IDT222に到達することになる。したがって、各SAWセンサからの受信信号は、遅延線の長さのバラつきに基づいて種々の時間で遅延される。圧縮パルス列は、遅延線の長さの差により特定の時間遅延で生成可能である。圧縮パルスの位相又は他の情報が、抽出され得る。
SAWセンサ202、204、206、208、210は、遅延線の長さ212、214、216、218、220が第1のセンサから最後のセンサへと徐々に増加するシーケンスフォーマットで配置されるが、SAWセンサ202、204、206、208、210は任意の順序(例えば、遅延線の長さ212、214、216、218、220に対応する順番でない)で配置可能であることには留意すべきである。さらに、各SAWセンサ202、204、206、208、210の遅延線の長さ212、214、216、218、220は図示する例では異なるが、ある実施形態では、遅延線の長さの1つ以上が同じであってもよい。
ある実施形態では、遅延線226は、アルミニウム若しくは金の層、又はポリマー、SiO2若しくはZnOを有する導波層を含む。遅延線は、流体による分析物と結合する抗体、タンパク質、アプタマー又はリガンドなどのレセプターの層と接合することによって生物学的に活性となる。同様に、センサは、化学的感応性界面への結合を通じて流体における化学物質を検出可能である。
ある実施形態では、遅延線226(又は遅延線に位置決めされた導波層、感応性層若しくは検知エリア)は、(液体などの)媒体による(生物学的又は化学的分析物などの)分析物の付着のメカニズムをもたらす。例えば、図2Aは、SAWセンサ202、204、206、208、210のアレイの少なくとも一部(例えば、遅延線226の一部)を被覆する流体セル228を示し、遅延線226又は検知エリアへ分析物の伝達を与えるように構成される。
ある実施形態では、感応性層は、送信/受信IDT222と反射物224の間でSAWセンサ202、204、206、208、210の各々の表面に(例えば、遅延線226に)ある。感応性層は要素(非限定的な例:気体、化学的材料、生物学的材料)に露出され、感応性層は、伝搬波に(例えば、振幅、速度などに)定量化可能な変化をもたらすように変更される。変化は、例えば、振幅、位相、周波数又は時間遅延の観点で入力及び出力電気信号のバラつきを検出することによって測定可能である。
ある例では、単一のSAWデバイスを用いて複数の分析物を同時に検出、モニタリング又は測定することが望ましいはずである。例えば、単一のSAWデバイスは、より時間効率が高くなり得る。さらに、複数の分析物を検出することは、いくつか例を挙げると、感染性疾患の診断又は揮発性有機化合物の検出などの生物学的材料にとって有益となり得る。ここで説明するようにある実施形態では、複数の分析物は、SAWデバイス200によって同時に検出又は測定可能である。例えば、各SAWセンサ202、204、206、208、210の異なる遅延線の長さ212、214、216、218、220によって、有利なことに、SAWセンサ202、204、206、208、210に関連付けられた受信信号の間に時間遅延が生じる。時間遅延によって各々分離されるように受信信号を遅延させることによって、SAWデバイス200は、有利なことに、複数の分析物の試験を可能とする。例えば、受信信号は、圧縮パルス列に組み合わされ得る。圧縮パルス列のパルスは各々、遅延線の長さの差に対応する特定の時間遅延を有する。ある実施形態では、圧縮パルス列の位相又は他の情報が抽出され得る。
図2Bは、ある実施形態による図2AのSAWデバイス200に対応する時間ドメイン励起信号(TX)256、258及び受信信号(RX)240、250を示す。ここで説明するように、図2AのSAWデバイス200は5つのSAWセンサ202、204、206、208、210のアレイを含み、各々が異なる長さ212、214、216、218、220の遅延線226を有する。例えば、各遅延線の長さは以下の式4:
L2+(n−l)*ΔL2
から決定可能であり、ここでL2は最短遅延線の長さ(例えば、長さ212)であり、nはSAWセンサ202、204、206、208、210のすべてが最短遅延線から最長遅延線に分類される場合のSAWセンサの順序番号に対応する数(例えば、最短遅延線212を有するSAWセンサ202に対してn-=1であり、次の最短遅延線214を有するSAWセンサに対してn-=2であり、最長遅延線220を有するSAWセンサ210に対してn-=5である)であり、ΔLはSAWセンサ202、204、206、208、210が遅延線の長さによって順序付けられた場合の後続のSAWセンサ間の遅延線の長さの差である。ただし、遅延線の長さ212、214、216、218、220の各々は図示する例ではΔL2230の因数によって異なるが、遅延線226は、任意の長さを有してもよく、それによって横並び又は他のパターンで増加させる必要はないことに留意すべきである。したがって、遅延線の長さを決定するための式4は、特定の遅延線の長さに依存して変化し得るという結果となる。あるいは、遅延線の長さ212、214、216、218、220の各々を決定するための式が利用可能でない場合もある。
図2A及び2Bを引き続き参照すると、励起信号(TX)256はSAWデバイス200によって受信され、SAWセンサ202、204、206、208、210の各々が同時に励起される。この例では、励起信号(TX)256はパルス電圧である。ただし、ここで説明するように、励起信号(TX)256は種々の信号の1以上となり得る。例えば、励起信号(TX)256は、周波数のスペクトルをカバーする周波数変調された信号であり得る。ある実施形態では、周波数変調された信号は、有利なことに、固定周波数の励起信号よりも高いパワー利得を提供可能である。
励起信号(TX)256は、表面弾性波のアレイを生成する送信/受信IDT222のアレイを励起する。表面弾性波は、反射物224に到達する前に各SAWセンサ202、204、206、208、210の遅延線226に沿って伝搬する。反射物224は、表面弾性波を遅延線に沿って反響又は反射し戻す。表面弾性波は、(例えば、表面弾性波を電気信号に変換することによって)受信信号を生成する送信/受信IDT222によって受信される前に、遅延線226を通じて再度伝搬する。ある例では、反射遅延線SAWセンサ(例えば、反射物を有するSAWセンサ)は、複数のIDT(例えば、送信IDT及び受信IDT)又は送信及び受信する単一のIDTを含み得ることに留意すべきである。
送信/受信IDT222は、伝搬した表面弾性波を受信し、その表面弾性波を受信信号(RX)240、250のパルス241、242、243、244、245に変換する。ここで説明するように、各SAWセンサ202、204、206、208、210の遅延線の長さ212、214、216、218、220は異なる。したがって、表面弾性波は、種々の時間において種々の受信IDT222に到達することになる。これにより、受信信号(RX)240の個々のパルス241、242、243、244、245は、遅延線226の異なる長さ212、214、216、218、220に対応する異なる期間によって各々遅延される。受信信号(RX)240の個々のパルス241、242、243、244、245の間のこの時間の遅延は、SAWセンサ202、204、206、208、210が同時に励起される場合でも生じる。
換言すれば、SAWセンサ202、204、206、208、210は、遅延線226の異なる長さ212、214、216、218、220の伝搬遅延に起因して、電気信号のパルス列241、242、243、244、245を生成する。図2Bの例に関して、励起パルス(TX)256と受信信号(RX)240の第1のパルス241(例えば、最短長212の遅延線226を有するSAWセンサ202に対応するパルス241)との間の時間遅延(Td)236は以下の式5:
Td=2*L2/v
によって与えられ、ここでL2は最短遅延線の遅延線の長さ(例えば、長さ212)であり、vは表面弾性波速度である。表面弾性波は遅延線を2回伝搬するので、遅延線の長さが同じであっても、時間遅延(Td)236は(一方向SAWセンサを有する)SAWデバイス100の時間遅延(Td)136の2倍となる(例えば、図1B及び2B参照)。
受信信号(RX)240の後続のパルス241、242、243、244、245の各々の間の時間遅延(ΔTd)238は以下の式6:
ΔTd=2*ΔL2/v
によって与えられ、ここでΔL2は、SAWセンサ202、204、206、208、210が遅延線の長さによって順序付けられた場合の後続のSAWセンサ間の遅延線の長さの差であり、vは表面弾性波速度である。表面弾性波は遅延線を2回伝搬するので、遅延線の長さが同じであっても、時間遅延の差(ΔTd)238は(一方向SAWセンサを有する)SAWデバイス100の時間遅延の差(ΔTd)138の2倍となる。
第1のパルス241と励起信号256の間の時間遅延(Td)236は、様々な方法で測定可能である。例えば、時間遅延(Td)236は、中心と、開始と、終了との、すなわち各パルス間の時間の差に対応し得る。ある例では、時間遅延(Td)236は、パルス241、256の各々の対応する領域間の時間の差に対応し得る。時間遅延(ΔTd)238は、同様の技術を用いて決定可能である。
非限定的な例として、センサは、4mmの最短遅延線の長さ(L)(例えば、SAWセンサ202の遅延の長さ212)を有し、36°LiTaO3圧電基板に取り付けられる。36°LiTaO3圧電基板を通じて移動する表面弾性波は、4212m/secの表面弾性波速度(v)を有する。したがって、最短長(L2)212の遅延線は、一方向SAWセンサに対して第1のパルス241を約1.9μs遅延させることになる。さらに、図2Aに示すように、約0.3mmの遅延線の長さの差(ΔL2)230では、受信信号(RX)240の各受信パルス241、242、243、244、245の間の時間遅延(ΔTd)238が約142nsである。
ある実施形態では、SAWセンサ202、204、206、208、210は、複数の受信信号(RX)240、250を生成するように、一定周期(Tp)252、254で(例えば、10、20、30、40、50、100、200、400又は500μsの間隔で)連続的に励起される。これらのような例では、受信信号(RX)240、250(例えば、受信信号240、250におけるパルス241、242、243、244、245)は、例えば、受信ノイズが低減した受信信号(RX)を決定するように平均化され得る。ある実施形態では、時間遅延(例えば、Td、ΔTd)は、nsからμsのオーダーである得る。
図3A〜3Bは、ある実施形態による多重化SAW測定システムのブロック図を示す。図3Aの多重化SAW測定システム300Aは、波形生成器360、第1の増幅器362、SAWセンサのアレイ364、第2の増幅器366、逆畳み込みモジュール368、フィルタモジュール370及び位相検出モジュール372を含む。図3Bの多重化SAW測定システム300Bは、RFスイッチ376をさらに含む。
波形生成器360は、励起信号を生成する。例えば、励起信号は、(例えば、図1A及び2Bに示すような)パルス電圧、周波数変調された信号(例えば、線形周波数変調、双曲周波数変調など)、チャープ信号などを含み得る。ある実施形態では、波形生成器は、1以上のハードウェアプロセッサを含み得るコントローラ(非限定的な例、開始ボタン)によって制御可能である。波形生成器360は、多数の周波数の任意の1つの信号を生成することができる。例えば、波形生成器360は、約50、100、150、200、250、300、350、400、500、600、700、800、900又は1000MHz(+/−約25MHz)の周波数の信号を生成し得る。追加的又は代替的に、波形生成器は、周波数のスペクトルをカバーする周波数変調された信号を生成し得る。ある例では、周波数のスペクトルは、固定周波数よりも高いパワー利得を有する。
第1の増幅器362は、波形生成器360によって生成される励起信号を増幅する。ある実施形態では、増幅器362は、無線周波増幅器(RF増幅器)である。
増幅された励起信号は、SAWセンサのアレイ364に適用される。SAWセンサのアレイ364は、ここで説明するようなSAWセンサのいずれかと同様であり得る。例えば、SAWセンサのアレイ364は、SAWセンサが受信IDTとは反対側の送信IDTを含むように(例えば、図1Aに関して説明するような)送信遅延線を有するSAWセンサを含み得る。SAWセンサのアレイ364は、追加的又は代替的に、SAWセンサが反射物とは反対側の送信/受信IDTを含むように(例えば、図2Aに関して説明するような)反射遅延線を有するSAWセンサを含み得る。ここで説明するように、アレイ364のSAWセンサの各々は、異なる長さの遅延線を有し得る。励起信号はSAWセンサのアレイ364によって受信され、SAWセンサのアレイ364は図1B及び2Bに関して説明した受信信号(RX)140、240などの受信信号(RX)を生成する。
ある実施形態では、図3Bに示すように、システム300Bは、SAWセンサの各々に励起信号を同時に適用するようにRFスイッチ376を含み得る。例えば、RFスイッチ376は、励起信号をセンサアレイ364に同期させることができる。励起信号をセンサアレイ364に同期させることよって、結果として生じる(以下で説明するような)位相検出は、センサアレイ364の非同期の励起と比較してより正確な測定値を提供可能である。
第2の増幅器366は、SAWセンサのアレイ364によって生成される受信信号(RX)を増幅する。ある実施形態では、増幅器366は、RF増幅器である。受信信号(RX)は、圧縮パルス列を生成するように、信号の逆畳み込み368とそして整合フィルタ370とでさらに処理される。
信号の逆畳み込み368は、例えば、伝搬中の表面弾性波に影響を及ぼした物理的又は化学的干渉の効果を逆転させるのに利用可能である。例えば、(例えば、環境温度、粘度、応力、圧力、速度などに関連付けられた)物理的又は化学的干渉は表面弾性波の伝搬に影響を及ぼすことがあり、それによって受信信号を変更する。(例えば、図4に関して説明するように)ある例では、参照チャネルは、測定される分析物に関連付けられていない物理的又は化学的干渉を測定するのに利用可能である。物理化学的干渉を測定又は決定することによって、受信信号は、干渉によって引き起こされた変更を取り除くように信号の逆畳み込み368中に調整可能である。
ここで説明するように、受信信号(RX)は、SAWセンサのアレイ364のSAWセンサの各々に対応する複数のパルス又は信号を含む。パルスは、他のパルス及び/又は励起信号との間の振幅、位相、周波数又は時間遅延の少なくとも1つのバラつきを決定するのに用いられ得る。例えば、多重化SAW測定システム300A、300Bは、相互に及び/又は励起信号に関して複数のパルスの各々に対応する位相374を決定可能な位相検出372を含む。例えば、SAWセンサ間の遅延線の長さの差によって、受信信号(RX)のパルス間に時間遅延が生じる。圧縮パルス列のパルス間の時間ドメインのシフトは、特定のSAWセンサに関連付けられた位相シフトに対応する。位相シフトは、例えば、ソフトウェアプログラム、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)ハードウェア、ハードウェアプロセッサなどを用いて決定され得る。
その結果によるシステム300A、300Bは、同時の励起及び検知の効果をもたらす。整合フィルタシステムにおける受信センサ信号(RX)の測定は、複数の標的物又は生物学的薬剤を同時に検知することを可能とする。したがって、個々のセンサは、特異的に反応する個々の物質の存在を示すことができる。物質が存在する量に関する表示は、測定信号の位相変化によって提供され得る。したがって全体として、センサチップ(例えば、SAWデバイス100、SAWデバイス200、SAWセンサのアレイ364)はその複数の個々のセンサ素子を有する検出器を構成し、検出器は単一のテスト手順中に種々の多数の物質を同時に識別可能である。
図4は、ある実施形態によるSAWデバイス400の図を示す。SAWデバイス400は、反射遅延線420、427、410、417を有する複数のSAWセンサ402、404を含む。SAWデバイス400は、検知チャネル480として作用する2つの遅延線を含み、遅延線の表面に特定の分析物を捕獲するために(抗体などの)生体材料が固定化された。SAWデバイス400はまた、温度、応力などのような任意の環境的影響を測定するために、参照チャネル482として作用する2つの遅延線も含む。ここでのある例において、SAWデバイス400をセンサ402に関して説明する。他方のSAWセンサ404の各々は、SAWセンサ402に関して説明するものと同様の又は異なる構成要素又は構成を有し得る。
SAWセンサ402又は検知チャネル480は、2つのIDT483、484と、2つの遅延線420、427と、4つの反射物424、425、421、423と、検知エリア428とを含む。図示するように、ある実施形態では(非限定的な例:励起信号が広帯域である場合には)、遅延線は複数の反射物を有し得る。例えば、遅延線420は、第1の反射物424及び第2の反射物425を含む。第1の反射物424は第1の周波数で表面弾性波を反射するように構成可能であり、第2の反射物は第2の周波数(例えば、第1の周波数とは異なる)で表面弾性波を反射するように構成可能である。ある例では、単一の遅延線における複数の反射物の統合は、有利なことに、整合フィルタの性能を向上させる。SAWセンサ404又は参照チャネル482は、2つのIDT485、486と、2つの遅延線410、417と、4つの反射物414、415、411、413と、参照エリア429とを含む。図示するように、SAWデバイス400の参照チャネル及び検知チャネルのすべての遅延線は、異なる長さ412、419、416、418を有する。
ある例では、検知チャネル480は、図2Aの遅延線226と同一又は類似の構成を有し得る。例えば、検知チャネル480は、検知エリア428に付着した分析物を検出又は測定するのに利用可能である。表面弾性波は、検知チャネル480において遅延線420、427に沿って伝送される。生体材料などの分析物は、検知エリア428に載置され得る。表面弾性波が遅延線に沿って伝搬するにつれて、分析物は波動を変調させる(例えば、位相、周波数、振幅の変調など)。SAWセンサ402は、変調された表面弾性波に対応する受信信号を生成することができる。そして、受信信号は、分析物によってどのように受信信号が変調されたか判定するように、励起信号と比較され得る。さらに、分析物の特徴が、受信信号の変調に少なくとも部分的に基づいて決定され得る。
ある例では、参照チャネル482は、測定される分析物に関連付けられていない物理的又は化学的干渉を測定するのに利用可能である。例えば、物理的又は化学的干渉は、表面弾性波の伝搬に影響を及ぼし、それによって受信信号を変更し得る。物理化学的干渉(例えば、環境温度、粘度、応力、圧力、速度などに関連付けられている)を測定又は決定することによって、受信信号は、干渉によって引き起こされた可能性がある変更を取り除くように調整可能である。
例えば、SAWセンサは、とりわけ環境温度変動、圧電基板に印加される応力又は歪み、(全血、血清及び尿などの)生物学的液体の粘度などの影響に感応的であり得る。したがって、参照チャネル482は、検知チャネル480とともに用いられ得る。検知チャネル480の表面弾性波は、上記のように、分析物と、さらに環境的、化学的又は物理的干渉とによって変調又は変性されることになる。ある例では、参照チャネル482は、表面弾性波が分析物によっては変調されないが、検知チャネルと同じ干渉によって変調されるように利用され得る。そして、検知チャネルによる結果として生じる受信信号は、参照チャネル482で決定された干渉を補償するように変更され得る。
図5は、ある実施形態による図4のSAWデバイス400に対応する励起信号(TX)556及び受信信号(RX)540のグラフ500を示す。上記のように、SAWデバイス400は、反射遅延線を有する2つのSAWセンサ402、404を含む。各SAWデバイス400は、2つのチャネル(検知チャネル480及び参照チャネル482)を有する。検知チャネル420、427は、遅延線の表面に特定の分析物を捕獲するための(抗体などの)生体材料が固定化された場所に対応する。参照チャネル410、417は、温度、応力などのような任意の環境的影響を測定するためのものである。各チャネルは対応する遅延線420、427、410、417を有し、遅延線の各々は長さ412、419、416、418が異なる。
この例では、SAWデバイス400は、中心周波数520MHz及び帯域幅56MHzを有するチャープ信号(TX)556で励起された。SAWデバイス400によって生成される応答信号(RX)540は、8つの反射物(例えば、4つの遅延線の各々に対して2つの反射物)からのコード化された情報を含んでいた。最短遅延線の長さ(L)(例えば、図4の長さ419)は約5.4mmであり、反射物間で長さの差(ΔL)は約0.4mmである。したがって、応答信号(RX)540の第1のピーク又はパルスは、励起信号(TX)556が送信された後に、約2.63μs(Td)で受信された。さらに、約0.2μsの遅延(ΔTd)が、各後続のピーク間に存在する。
図6は、図5の受信信号(RX)540に対応する圧縮パルス列(RX)640のグラフ600を示す。この例では、図3A〜3Bに関して説明したような逆畳み込み及び整合フィルタの処理が、圧縮パルス列(RX)640を生成するように図5の信号に対して実行された。図示するように、圧縮パルス列(RX)640は8つのピーク又はパルス641、642、643、644、645、646、647、648を有し、各々は図4のそれぞれの反射物421、423、424、425、411、413、414、415に対応する。
非限定的な双方向の例
図7は、例示的な実施形態による検知チャネル780及び参照チャネル782のリアルタイム位相シフトのグラフ100を示す。非限定的な例として図4を参照すると、SAWアレイは、厚さ500μm及び直径100mmの36°YカットX伝搬リチウムタンタライト(LiTaO3)ウエハに標準的なフォトリソグラフィ技術を用いて製造された。SAWデバイス400は、周波数525MHzを有する励起信号で励起された。ウエハは、まず、バレル型アッシャーにおいて洗浄され、1用量パーセントのフッ化水素酸(HF)に浸漬された。そして、フォトレジストが、ウエハに付加され、フォトリソグラフィ処理と、続いてチタン(10nm)/アルミニウム(70nm)のメタライゼーション及びリフトオフ処理とでパターニングされて、IDT、アルミニウム導波管及び反射物を形成した。そして、ウエハは、個々のダイにダイシングされた。
図7は、デバイスが、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)バッファ、10pgのヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)、並びに0秒、1分及び5分に100pgのHCGとともに導入された場合のリアルタイム応答を示す。センサ402、404(例えば、図4参照)は、図3A及び3Bに関して説明したような波形生成器としてのRFリーダ及びRFスイッチを用いて測定された。SAWデバイス400は、RFリーダとSAWセンサ402、404との間の送信及び受信信号を同期させるRFスイッチを通じてRFリーダに接続された。RFリーダは、中心周波数520MHz及び帯域幅56MHzの線形周波数変調チャープ信号を提供した。
データ取得システムは、全4チャネルを同時に測定した。データは、レート56MHzの12ビットA/D変換器と、デスクトップコンピュータとを用いてリアルタイムで記録され、逆畳み込み及び整合フィルタが、ソフトウェアプログラムを用いて実行されて位相シフトを抽出した。
SAWデバイス400は表面を活性化するように酸素プラズマで処置され、デバイス全体はシランPEG−600ビオチン(Nanocs社)で被覆された。検知チャネルの遅延線の中央エリア(例えば、約1.5mm×1mm)は、ニュートラアビジンと、続いてビオチン化抗HCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)抗体とで固定化された。過剰な抗HCGは、HPLC水で洗い流された。そして、ポリジメチルシロキサン(PDMS)製の液体セル(ほぼ幅1.5mm、長さ4mm及び厚さ0.25mm)が、液体導入のために上部に載置された。検知チャネル780及び参照チャネル782の双方の位相シフト並びに差784が記録された。
ブロック図
図8は、例示的な実施形態による多重化SAWデバイスのブロック図800である。図示するように、SAWデバイス802は、複数のSAWセンサ810、812、814を含み得る。SAWデバイス802は、励起信号806を受信可能である。例えば、励起信号は、ここで説明するように、波形生成器から直接又は間接的に送信され得る。図8に示すように、ある実施形態では、励起信号は、SAWデバイス802の1以上のコンタクトに送信される。ある実施形態では、励起信号は、RFスイッチ(不図示)に送信される。RFスイッチは、SAWデバイス802の1以上のSAWセンサ810、812、814にわたって励起信号の送信を同期可能である。ある実施形態では、SAWデバイス802は、内蔵RFスイッチ(不図示)を有する。
ここで説明するように、複数のSAWセンサ810、812、814は、励起信号806を受信し、電気信号820、822、824を生成する。ハードウェアプロセッサ804は、ここで説明するように、電気信号820、822、824を受信し、受信信号808を生成する。例えば、受信信号808は圧縮パルス列を含み得るものであり、パルスの各々はSAWセンサ810、812、814のうちの少なくとも1つに対応する。ある実施形態では、SAWデバイス802は、内蔵ハードウェアプロセッサを含む。
フロー図
図9は、異なる長さの遅延線を有する複数のSAWセンサを用いて1以上の分析物を決定又はモニタリングするために、多重化SAWデバイスによって実施される処理900の実施形態を示すフロー図である。当業者は、処理900について概説される要素が、(プロセッサなどの)多重化SAWデバイスの1以上のコンピューティングデバイス又は構成要素によって、他のコンピューティングデバイスによって、ソフトウェアにおいてなどの態様で実施され得ることが分かるはずである。したがって、処理900はプロセッサによって一般的に実行されるものとして論理上関連しているので、以下で説明する実施形態は限定的なものと解釈されるべきではない。
ブロック902では、処理900が励起信号を生成する。ある実施形態では、励起信号は、ここで説明するような波形生成器などのハードウェアによって生成される。ある実施形態では、励起信号がソフトウェアによって生成される。ここで説明するように、ある実施形態では、励起信号は、限定することなく、パルス電圧、正弦波電気信号、周波数変調、線形周波数変調、双曲周波数変調、直交周波数コーディング、ランダム変調、連続位相変調、周波数シフトキー、マルチ周波数シフトキー、位相シフトキー又はウェーブレット変調を含む多様な信号のうちの少なくとも1つを含む。
ブロック904では、処理900が、励起信号をSAWデバイスに送信する。励起信号は、SAWデバイスに(例えば、他の要素を通じて)直接又は間接的に送信され得る。例えば、ある実施形態では、励起信号は、SAWデバイスの正及び負のコンタクトなどのSAWデバイスの1以上のコンタクトに送信される。ある実施形態では、励起信号は、RFスイッチに送信される。RFスイッチは、SAWデバイスの1以上のSAWセンサにわたって励起信号の送信を同期させることができる。
ブロック906では、処理900が、SAWデバイスから出力信号を受信する。ある実施形態では、信号は、SAWデバイスのSAWセンサの遅延線の長さの1以上の差を示す。例えば、ここで説明するように、SAWデバイスは、複数のSAWセンサを含み得る。各SAWセンサは、異なる長さの遅延線を含む。励起信号が遅延線にわたって伝搬するにつれて、遅延線にわたる伝搬の後に受信される信号は各々相互に対して時間遅延される。例えば、時間遅延は、遅延線の長さの差に対応する。ある実施形態では、SAWデバイスから受信される信号は複数の部分を含み、各部分がSAWデバイスの各SAWセンサに関連付けられ時間遅延した信号に対応する。例えば、信号は圧縮パルス信号を含み得るものであり、パルスの各々が異なるSAWセンサに対応し、パルス間の時間の差はSAWセンサの遅延線の長さの差に対応する。
ある実施形態では、SAWデバイスから受信される信号は、SAWデバイスに添加された試料における1以上の分析物を示す。例えば、SAWデバイスの各SAWセンサは、SAWセンサの表面の1以上の分析物に結合するように構成されたレセプター(感応性層ともいわれる)を含み得る。1以上の分析物を含む試料媒体がSAWセンサに載置された場合に、分析物とレセプターの間で物理的、化学的又は電気的な反応が生じる。この物理的、化学的又は電気的な反応は、表面弾性波が物理的、化学的又は電気的な反応に対応する遅延線に沿って伝搬するにつれて、表面弾性波を(例えば、位相、周波数又は振幅において)変更し得る。したがって、SAWデバイスから受信される信号は、分析物とレセプターの間の物理的、化学的又は電気的な反応に応じることによって1以上の分析物を示し得る。
ブロック908では、処理900が、SAWデバイスの出力信号に少なくとも部分的に基づいてSAWセンサに導入される1以上の分析物を決定又はモニタリングし得る。ここで説明するように、出力信号は、位相、周波数、振幅などにおいて1以上の差を有する信号の部分を含み得る。出力信号及び/又は励起信号の部分間の位相、周波数、振幅などにおける差は、1以上の分析物を決定又はモニタリングするように分析され得る。
ここで説明する種々のブロックは多様な順序で実施可能であり、処理900は、所望により、ブロックの1以上を同時に実施し及び/又は順序を変化させ得ることが理解される。さらに、処理900の一部として、より少ない、より多い又は異なるブロックが用いられ得ることも理解される。例えば、処理900は、処理1000、1100、1200のものと同様のブロックを含み得る(例えば、図10参照)。
図10は、異なる長さの異なる遅延線を有する複数のSAWセンサを有する少なくともSAWデバイスを用いて受信信号を生成するために、多重化SAWデバイスによって実施される処理1000の実施形態を示すフロー図である。当業者は、処理1000について概説される要素が、複数のSAWセンサ又はハードウェアプロセッサを有するSAWデバイスによって、(ハードウェア又は他のプロセッサなどの)多重化SAWデバイスの1以上のコンピューティングデバイス又は構成要素によって、他のコンピューティングデバイスによるなどしてハードウェアにおいて、ソフトウェアにおいてなどの態様で実施され得ることが分かるはずである。したがって、処理1000はプロセッサによって一般的に実行されるものとして論理上関連しているので、以下で説明する実施形態は限定的なものと解釈されるべきではない。
ブロック1002では、処理1000が、励起信号を受信する。ある実施形態では、処理1000は、ここで説明するように、波形生成器からのようにハードウェアから直接又は間接的に励起信号を受信する。励起信号は、限定することなく、パルス電圧(例えば、TX156、TX256)、チャープ信号(TX556)、正弦波電気信号、周波数変調、線形周波数変調、双曲周波数変調、直交周波数コーディング、ランダム変調、周波数のスペクトルをカバーする信号、連続位相変調、周波数シフトキー、マルチ周波数シフトキー、位相シフトキー又はウェーブレット変調を含む多様な信号のうちの少なくとも1つを含む。ある実施形態では、処理1000は、1以上のSAWセンサの1以上のIDTなどのSAWデバイスにおいて励起信号を受信する。
ある実施形態では、励起信号は、SAWデバイスの正及び負のコンタクトなどのSAWデバイスの1以上のコンタクトにおいて受信される。ある実施形態では、励起信号は、RFスイッチにおいて受信される。RFスイッチは、SAWデバイスに含まれても含まれなくてもよい。RFスイッチは、SAWデバイスの1以上のSAWセンサにわたって励起信号の送信を同期させることができる。
ブロック1004では、処理1000が、複数の表面弾性波を生成する。例えば、1以上のIDTの各々は、励起信号を表面弾性波に変換可能である。処理1000(例えば、1以上のIDT)は、複数のSAWセンサの遅延線にわたって表面弾性波を伝送する。ある実施形態では、SAWセンサの各々は、異なる長さの遅延線を含む。ある実施形態では、遅延線の1以上は同一又は略同一の長さである。
ブロック1006では、SAWデバイスは、表面弾性波を反射するように構成された1以上の反射物を含む。例えば、複数のSAWセンサの各々は、各々が反射物を含むような双方向センサアレイを含み得る。反射物は、IDTとは反対側の基板にあり得る。表面弾性波は、IDTから伝送され、反射物に到達する前に基板を通じて伝搬する。反射物は表面弾性波のエコーを生成し(又は波動を反射し)、それによって表面弾性波は反射物からIDT(例えば、送信IDT、受信IDTなど)に伝搬する。したがって、ある実施形態では、表面弾性波は、基板を通じて又は遅延線にわたって複数回伝搬する。ある実施形態では、SAWデバイスは反射物を含まないことに留意すべきである。代わりに、SAWセンサは、表面弾性波が基板を通じて1回伝搬してから、例えば、IDTで受信されるような一方向センサアレイを含み得る。
ブロック1008では、処理1000が、複数の表面弾性波を受信する。ある実施形態では、双方向センサアレイを含むSAWセンサによるなどして、表面弾性波は、遅延線にわたって2回伝搬した後にIDTによって受信される。ある実施形態では、一方向センサアレイを含むSAWセンサによるなどして、表面弾性波は、遅延線にわたって1回伝搬した後にIDTによって受信される。ここで説明するように、遅延線の異なる長さに起因して、各表面弾性波の伝搬時間は異なる。
ブロック1010では、処理1000が、受信された表面弾性波に少なくとも部分的に基づいて受信信号を生成する。例えば、処理1000は、伝搬した波動の各々を電気信号に変換することができる。例えば、伝搬した波動は、複数のIDTによって受信され得る。複数のIDTは、伝搬した表面弾性波を電気的又は他の信号に変換し得る。ある実施形態では、電気的又は他の信号の各々が、(受信信号と呼ばれる)単一の信号に組み合わされる。ある実施形態では、処理1000は圧縮パルス列を生成し、パルスの1以上がSAWデバイスの異なるSAWセンサに対応する。例えば、各パルスは異なるSAWセンサに対応し得る。追加的又は代替的に、パルスは各々、対応する遅延線の長さに基づいて異なる時間遅延を含み得る。ある実施形態では、各SAWセンサに対応する電気信号は、圧縮パルス列において組み合わされる。ある実施形態では、信号処理ソフトウェアは、圧縮パルス列の信号又はパルスを分離する。
ここで説明する種々のブロックは多様な順序で実施可能であり、所望により、処理1000はブロックの1以上を同時に実施し及び/又は順序を変化させ得ることが理解される。さらに、処理1000の一部として、より少ない、より多い又は異なるブロックが用いられ得ることも理解される。例えば、処理1000は、例えば、SAWデバイスが一方向センサアレイを含むので、ブロック1006を含まないこともある。追加的又は代替的に、処理1000は、処理900、1100、1200のものと同様のブロックを含み得る。
図11は、異なる長さの遅延線を有する複数のSAWセンサを用いて1以上の分析物を決定又はモニタリングするために、多重化SAWデバイスによって実施される処理1100の実施形態を示すフロー図である。当業者は、処理1100について概説される要素が、(ハードウェアプロセッサ又は他のプロセッサなどの)多重化SAWデバイスの1以上のコンピューティングデバイス又は構成要素、他のコンピューティングデバイスによって、ハードウェア、ソフトウェアにおいてなどの態様で実施され得ることが分かるはずである。したがって、処理1100はプロセッサによって一般的に実行されるものとして論理上関連しているので、以下で説明する実施形態は限定的なものと解釈されるべきではない。
ブロック1102では、処理900のブロック902と同様に、処理1100が励起信号を生成する。ある実施形態では、励起信号は、ここで説明するような波形生成器によってなど、ハードウェアによって生成される。ある実施形態では、励起信号は、ソフトウェアによって生成される。ここで説明するように、ある実施形態では、励起信号は、限定することなく、パルス電圧、正弦波電気信号、周波数変調、線形周波数変調、双曲周波数変調、直交周波数コーディング、ランダム変調、連続位相変調、周波数シフトキー、マルチ周波数シフトキー、位相シフトキー又はウェーブレット変調を含む多様な信号のうちの少なくとも1つを含む。
ブロック1104では、処理900のブロック904と同様に、処理1100が、SAWデバイスに励起信号を送信する。励起信号は、(他の要素を通じて)SAWデバイスに直接又は間接的に送信され得る。例えば、ある実施形態では、励起信号は、SAWデバイスの正及び負のコンタクトなどのSAWデバイスの1以上のコンタクトに送信される。ある実施形態では、励起信号は、RFスイッチに送信される。RFスイッチは、SAWデバイスの1以上のSAWセンサにわたって励起信号の送信を同期させることができる。
ブロック1106では、処理1000のブロック1002と同様に、処理1100が励起信号を受信する。ある実施形態では、処理1100は、ここで説明するような波形生成器からなど、ハードウェアから直接又は間接的に励起信号を受信する。励起信号は、限定することなく、パルス電圧、正弦波電気信号、周波数変調、線形周波数変調、双曲周波数変調、直交周波数コーディング、ランダム変調、連続位相変調、周波数シフトキー、マルチ周波数シフトキー、位相シフトキー又はウェーブレット変調を含む多様な信号のうちの少なくとも1つを含む。ある実施形態では、処理1100は、1以上のSAWセンサの1以上のIDTなどのSAWデバイスにおいて励起信号を受信する。
ある実施形態では、処理1100は、1以上のSAWセンサの1以上のIDTなどのSAWデバイスにおいて励起信号を受信する。ある実施形態では、励起信号は、SAWデバイスの正及び負のコンタクトなどのSAWデバイスの1以上のコンタクトにおいて受信される。ある実施形態では、励起信号は、RFスイッチにおいて送信される。RFスイッチは、SAWデバイスに含まれ、又は含まれなくてもよい。RFスイッチは、SAWデバイスの1以上のSAWセンサにわたって励起信号の送信を同期することができる。
ブロック1108では、処理1000のブロック1004と同様に、処理1100が複数の表面弾性波を生成する。例えば、1以上のIDT各々は、励起信号を表面弾性波に変換することができる。処理1100(例えば、1以上のIDT)は、複数のSAWセンサの遅延線にわたって表面弾性波を伝送する。ある実施形態では、SAWセンサの各々は異なる長さの遅延線を含む。ある実施形態では、遅延線の1以上は、同一又は略同一の長さである。
ブロック1110では、処理1000のブロック1006と同様に、SAWデバイスが、表面弾性波を反射するように構成された1以上の反射物を含む。例えば、複数のSAWセンサの各々は、各々が反射物を含むような双方向センサアレイを含み得る。反射物は、IDTとは反対側の基板上にあり得る。表面弾性波は、IDTから伝送され、反射物に到達する前に基板を通じて伝搬する。反射物は表面弾性波のエコーを生成し(又は波動を反射し)、それによって表面弾性波は反射物からIDT(例えば、送信IDT、受信IDTなど)に伝搬する。したがって、ある実施形態では、表面弾性波は、基板を通じて又は遅延線にわたって複数回伝搬する。ある実施形態では、SAWデバイスは反射物を含まないことに留意すべきである。代わりに、SAWセンサは、表面弾性波が基板を通じて1回伝搬してから、例えば、IDTとともに受信されるような一方向センサアレイを含み得る。
ブロック1112では、処理1000のブロック1008と同様に、処理1100が複数の表面弾性波を受信する。ある実施形態では、双方向センサアレイを含むSAWセンサと同様に、表面弾性波は、遅延線にわたって2回伝搬した後にIDTによって受信される。ある実施形態では、一方向センサアレイを含むSAWセンサのように、表面弾性波は、遅延線にわたって1回伝搬した後にIDTによって受信される。ここで説明するように、遅延線の異なる長さに起因して、各表面弾性波の伝搬時間は異なる。
ブロック1114では、処理1000のブロック1010と同様に、処理1100が、受信された表面弾性波に少なくとも部分的に基づいて受信信号を生成する。例えば、処理1100は、伝搬した波動の各々を電気信号に変換することができる。例えば、伝搬した波動は、複数のIDTによって受信され得る。複数のIDTは、伝搬した表面弾性波を電気的又は他の信号に変換し得る。ある実施形態では、電気的又は他の信号の各々が、(受信信号と呼ばれる)単一の信号に組み合わされる。ある実施形態では、処理1100は圧縮パルス列を生成し、パルスの1以上がSAWデバイスの異なるSAWセンサに対応する。例えば、各パルスは異なるSAWセンサに対応し得る。追加的又は代替的に、パルスは各々、対応する遅延線の長さに基づいて異なる時間遅延を含み得る。
ブロック1116では、処理900のブロック906と同様に、処理1100が、SAWデバイスから信号を受信する。ある実施形態では、信号は、SAWデバイスのSAWセンサの遅延線の長さの1以上の差を示す。例えば、ここで説明するように、SAWデバイスは、複数のSAWセンサを含み得る。各SAWセンサは、異なる長さの遅延線を含む。励起信号が遅延線にわたって伝搬するにつれて、遅延線にわたる伝搬の後に受信される信号は各々相互に対して時間遅延される。例えば、時間遅延は、遅延線の長さの差に対応する。ある実施形態では、SAWデバイスから受信される信号は複数の部分を含み、各部分がSAWデバイスの各SAWセンサに関連付けられた時間遅延した信号に対応する。例えば、信号は圧縮パルス信号を含み得るものであり、パルスの各々が異なるSAWセンサに対応し、パルス間の時間の差はSAWセンサの遅延線の長さの差に対応する。
ある実施形態では、SAWデバイスから受信される信号は、SAWデバイスに添加された試料における1以上の分析物を示す。例えば、SAWデバイスの各SAWセンサは、SAWセンサの表面の1以上の分析物に結合するように構成されたレセプター(感応性層ともいわれる)を含み得る。1以上の分析物を含む試料媒体がSAWセンサに載置された場合に、分析物とレセプターの間で物理的、化学的又は電気的な反応が生じる。この物理的、化学的又は電気的な反応は、表面弾性波が物理的、化学的又は電気的な反応に対応する遅延線に沿って伝搬するにつれて、表面弾性波を(例えば、位相、周波数又は振幅において)変更し得る。したがって、SAWデバイスから受信される信号は、分析物とレセプターの間の物理的、化学的又は電気的な反応に応じることによって1以上の分析物を示し得る。
ブロック1118では、処理900のブロック908と同様に、処理1100が、SAWデバイスの出力信号に少なくとも部分的に基づいてSAWセンサに導入される1以上の分析物を決定又はモニタリングする。ここで説明するように、出力信号は、位相、周波数、振幅などにおいて1以上の差を有する信号の部分を含み得る。出力信号及び/又は励起信号の部分間の位相、周波数、振幅などにおける差は、1以上の分析物を決定又はモニタリングするように分析され得る。
ここで説明する種々のブロックは多様な順序で実施可能であり、処理1100は、所望により、ブロックの1以上を同時に実施し及び/又は順序を変化させ得ることが理解される。さらに、処理1100の一部として、より少ない、より多い又は異なるブロックが用いられ得ることも理解される。例えば、処理1100は、処理1000、1100、1200のものと同様の又は異なるブロックを含み得る。
図12は、異なる長さの遅延線を有する複数のSAWセンサを用いて1以上の分析物を決定又はモニタリングするために、多重化SAWデバイスによって実施される処理1200の実施形態を示すフロー図である。当業者は、処理1200について概説される要素が、(プロセッサなどの)多重化SAWデバイスの1以上のコンピューティングデバイス又は構成要素、他のコンピューティングデバイスによって、ソフトウェアなどにおいて実施され得ることが分かるはずである。したがって、処理1200はプロセッサによって一般的に実行されるものとして論理上関連しているので、以下で説明する実施形態は限定的なものと解釈されるべきではない。
ブロック1202では、処理1100のブロック1106及び処理900のブロック906と同様に、処理1200が、SAWデバイスから信号を受信する。ある実施形態では、信号は、SAWデバイスのSAWセンサの遅延線の長さの1以上の差を示す。例えば、ここで説明するように、SAWデバイスは、複数のSAWセンサを含み得る。各SAWセンサは、異なる長さの遅延線を含む。励起信号が遅延線にわたって伝搬するにつれて、遅延線にわたる伝搬の後に受信される信号は各々相互に対して時間遅延される。例えば、時間遅延は、遅延線の長さの差に対応する。ある実施形態では、SAWデバイスから受信される信号は複数の部分を含み、各部分がSAWデバイスの各SAWセンサに関連付けられた時間遅延した信号に対応する。
ブロック1204では、処理1200が、受信信号の1以上のパルスを識別又は決定する。例えば、受信信号は、ここで説明するような圧縮パルス列を含み得る。ピーク又はパルスの各々は、異なる長さの遅延線にわたって伝搬した異なる表面弾性波に対応し得る。したがって、遅延線は異なる長さのものであるため、パルスの各々は異なる時間に圧縮パルス列において生じる。
ブロック1206では、処理1200が、受信信号の識別されたパルスの各々を、1以上のパルス又は励起信号の他の1つと比較する。非限定的な例として、SAWデバイスは複数のSAWセンサを含み、各々が異なる長さの遅延線を有する。SAWセンサの少なくとも一部はまた、1以上の分析物に結合するように構成されたレセプターも含む。試料媒体(1以上の分析物を含む可能性がある)は、SAWセンサの1以上のレセプターに接触するようにSAWセンサに導入される。1以上の分析物を含む試料媒体がSAWセンサに載置された場合に、分析物とレセプターの間で物理的、化学的又は電気的な反応が生じる。励起信号は、波形生成器を用いてSAWデバイスに導入される。励起信号がSAWデバイスに導入された場合には、SAWセンサの各々は、各々が励起信号から表面弾性波を生成するように同時に励起される。表面弾性波は、遅延線に沿って、試料媒体が1以上の分析物を含むか否かに応じて伝搬し、表面弾性波の一部は、位相、周波数、振幅などにおいて変更され得る。識別されたパルスの各々は、変更された表面弾性波の少なくとも1つに対応する。したがって、ブロック1206では、処理1200は、パルス又は励起信号の各々の位相、周波数、振幅などを比較可能である。
ブロック1208では、ステップ1206における比較に少なくとも部分的に基づいて、処理1200が、1以上のパルス又は励起信号間の位相、周波数、振幅などにおける1以上の差を決定する。例えば、SAWデバイス又はシステムは、相互に対する複数のパルス及び/又は励起信号の各々に対応する位相を決定可能な位相検出を含み得る。例えば、SAWセンサ間の遅延線の長さの差によって、受信信号(RX)のパルス間に時間遅延が生じる。圧縮パルス列のパルス間の時間ドメインのシフトは、特定のSAWセンサに関連付けられた位相シフトに対応する。位相シフトは、例えば、ソフトウェアプログラム又はFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)ハードウェアを用いて決定され得る。
ブロック1210では、処理1200が、SAWデバイスに導入された試料媒体の内容を決定又はモニタリングする。例えば、ここで説明するように、分析物が試料中に存在する場合には、それはレセプターと物理的、化学的又は電気的な反応を形成することになり、それによって最終的には受信信号の少なくともパルスを変更する。例えば、表面弾性波の速度又は振幅の変化は、励起信号と比較して、受信信号における振幅、周波数、位相シフト又は時間遅延の変化に対応し得る。パルスを、他のパルスと、又は励起信号と比較することによって、処理1200は、表面弾性波が、遅延にわたって伝搬するにつれてどのように変更されたか(仮にそうだとしても)を決定可能である。この情報を用いて、処理は、試料中に存在する分析物を識別することができ、又は試料中の分析物をモニタリングすることができる。例えば、処理1200は、ここで説明するように、表面弾性波が特定の物理的、化学的又は電気的な反応によってどのように変更された可能性があるかについての情報を含むローカル又はリモートデータベースを利用し得る。処理1200は、どのように表面弾性波(又はパルス)が変更されたか決定すると、その変更点をデータベースにおいて識別された変更点に対して整合又は比較する。ある例では、処理は、決定された結果に基づいてデータベースを更新可能な学習構成を含み得る。
その結果によるシステムは、同時の励起の効果をもたらし、複数の分析物、標的物又は生物学的薬剤を同時に検知することを可能とする。したがって、SAWセンサは、特異的に反応する個々の物質の存在を示すことができる。物質が存在する量に関する表示は、測定信号の位相変化によって提供され得る。したがって全体として、センサチップ(例えば、SAWデバイス100、SAWデバイス200、SAWセンサのアレイ364)はその複数の個々のセンサ素子を有する検出器を構成し、検出器は単一のテスト手順中に種々の多数の物質を同時に識別可能である。
ここで説明する種々のブロックは多様な順序で実施可能であり、処理1200は、所望により、ブロックの1以上を同時に実施し及び/又は順序を変化させ得ることが理解される。さらに、処理1200の一部として、より少ない、より多い又は異なるブロックが用いられ得ることも理解される。例えば、処理1200は、処理900、1000、1100のものと同様の又は異なるブロックを含み得る
ここで説明する種々の実施形態は、表面弾性波、SAWセンサ及び/又はSAWデバイスを参照するが、ここで説明する実施形態のいずれも、バルク弾性波、BAWセンサ及び/若しくはBAWデバイス、又はBAW及びSAWセンサ若しくはデバイスの組合せに適合可能であることが理解される。したがって、ここで説明する実施形態は、表面弾性波に限定されるべきでない。