JP2009257860A - 表面弾性波センサに厚みモード振動を付加したマイクロ圧電センサ - Google Patents

表面弾性波センサに厚みモード振動を付加したマイクロ圧電センサ Download PDF

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鐘偉 江
Abdollahi Amir
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Abstract

【課題】
質量感度を高めるために表面弾性波(SAW(Surface Acoustic Wave))と厚みモード振動を組み合わせた新しい方法を提案する。
【解決手段】
マイクロ圧電センサであって、圧電基板と、前記圧電基板の表面に形成された少なくとも1組のすだれ状電極からなる入力用IDT及び出力用IDTと、前記圧電基板に厚み方向の共振を与えるために前記圧電基板の上面に設けられた上部電極と前記圧電基板の下面に設けられた下部電極と、前記入力用IDT及び出力用IDTにより励振される弾性表面波の伝搬方向に沿って前記基板表面に設けられた質量感知領域と、を備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、表面弾性波センサに厚みモード振動を付加し、感度を向上させた表面弾性波を利用したマイクロ圧電センサに関する。
表面弾性波(SAW(Surface Acoustic Wave))素子は、高い共振周波数が得られることから高感度なセンサとすることができる。
また、最近、特にバイオテクノロジーや医療の分野において、測定対象の生体物質又は化学物質を認識する受容体の化学的又は物理的変化を検出するために、圧電素子をトランスデューサとして利用した圧電センサが用いられている。そして、トランスデューサとしてSAW素子が用いられるようになってきている(例えば、特許文献1を参照)。
また、特許文献2では、SAW素子を利用したガスセンサにおいて、ガスセンサから出力される周波数を、(1)バンドパスフィルタで処理する、(2)短時間フーリエ変換で処理する、(3)ウェーブレット変換で処理する、(4)複数個の弾性表面波デバイスを組み合わせ、各出力をバンドパスフィルタで処理する、ことのいずれかで感度の向上を図っている。
さらに、表面弾性波センサの感度は、圧電基板に生ずる表面弾性波の周波数に依存しており、感度を向上させるためには、励振する表面弾性波の周波数(共振周波数)を高くする必要がある。表面弾性波センサの共振周波数は入力用及び出力用のIDT(inter-digital transducer)(すだれ状電極)を構成するくし歯状電極の電極間ピッチに依存する。そして、共振周波数を高周波化するためには、電極間ピッチを小さくしなければならず、すだれ状電極を微細加工する必要があった。
特開平6−133759号公報 特開平8−68781号公報
圧電表面弾性波(SAW)センサを如何にして高感度に微小な質量を検知できるかは、面弾性波センサの研究開発にとって重要な課題である。本発明では、質量感度を高めるために表面弾性波と厚みモード振動を組み合わせた新しい方法を提案する。
この目的を達成するため本発明は次のように構成する。
請求項1に係る発明は、圧電基板と、前記圧電基板の表面に形成された少なくとも1組のすだれ状電極からなる入力用IDT及び出力用IDTと、前記圧電基板に厚み方向の共振を与えるために前記圧電基板の上面に設けられた上部電極と前記圧電基板の下面に設けられた下部電極と、前記入力用IDT及び出力用IDTにより励振される弾性表面波の伝搬方向に沿って前記基板表面に設けられた質量感知領域と、を備えることを特徴とするマイクロ圧電センサである。
また、請求項2に係る発明は、前記圧電基板表面上の出力用IDTと平行してその側方で、参照IDTをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のマイクロ圧電センサである。
さらに、請求項3に係る発明は、前記マイクロ圧電センサの出力電圧を前記出力用IDTと前記参照IDTとの電圧差として出力することを特徴とする請求項2に記載のマイクロ圧電センサである。
本発明は、従来技術よりも質量感度が向上し、バイオセンサや医療、環境分野などへの応用に貢献することが期待される。
さらに、表面弾性波フィルタとして小型化が進む携帯電話等の情報通信機器にも適切である。
以下、本発明の実施の形態としての実施例を添付の図面に基づいて説明する。
図1に表面弾性波と厚み方向振動を利用したマイクロ圧電センサの概念図を示す。PZT等の圧電基板の表面には、少なくとも1組のすだれ状電極からなる入力用及び出力用のIDT(inter-digital transducer)(すだれ状電極)が形成されている。そして、圧電基板に厚み方向の共振を与えるために前記基板の上面には上部電極が、また前記圧電基板の下面には下部電極が設けられている。前記入力用及び出力用のIDTにより励振される弾性表面波の伝搬方向に沿って前記圧電基板表面には質量感知領域が設けられている。
圧電基板としては、PZT以外に、例えばZnO、AlN(窒化アルミニウム)、LiTaO、LiNbO等の様々な公知の圧電材料とすることができる。
厚みモードの振動を加えることによって、センサ表面エネルギーを増やすことができ、それによってセンサの感度を向上させることができる。
しかしながら、厚みモード振動によって生じるいくつかの表面波が、主成分となる表面弾性波を干渉し、SAWセンサの出力応答を悪化させることが起こる。
SAWセンサ応答からこの影響を取り除くために、本発明では、図2に示すように、参照IDTをメインのSAWセンサの出力用のIDTの横側に設置した。この電極の役割は厚みモード振動で発生した表面波を電圧(VR)として出力し、メインのSAWセンサ出力電圧(VO)からその電圧(VR)を引くことによって高感度な出力(V−V)を求めることである。それ故、以下に示すセンサの出力電圧は、出力IDTと参照IDTとの電圧差(V−V)であると定義する。
厚みモード振動を利用するために、まず厚みモード振動によって発生する表面変位を求め、最適な厚みモード振動を決定する必要がある。このために、インパルス入力により厚みモードの共振周波数特性を調べ、最適な共振周波数を求める。図3には、Yule-Walker
法を用いて線形予測を行ない、有限要素法解析によって求めた厚みモードの振動応答から求めたスペクトル密度を示す。図3のピークに対応する主な共振周波数を表1に示す。
Figure 2009257860
一方、SAWセンサ入力電極にインパルス電圧を加え、SAWの出力電極から得られた出力応答を同様に求めたスペクトル密度を図4に示す。図4より、SAWセンサの主なモード周波数は約110MHzである。
表1に示す厚みモードのそれぞれの共振周波数と図4に示すSAWセンサの表面波モードの周波数(110MHz)を、図2で提案したセンサにそれぞれ、厚み電極と入力用IDTに入力し、センサ表面から厚み方向へのエネルギー変化を計算し、最適な厚み方向共振モードを見出すことを考える。
得られた結果を図5に示す。センサ表面でのエネルギーは厚みモード周波数が98MHzの場合は最も小さく、厚みモード振動を加えない表面波モードのみの出力(Normal)よりも低くなっている。一方、厚みモード(306MHz)において、表面でのエネルギーが最も大きく、表面波モードのみの場合よりもかなり大きくなっていることが分かる。したがって、厚みモードの306MHzはもっとも効果的なモードといえる。
そこで、表面波モード(110MHz)を評価するために、2つの厚みモード98MHz又は306MHzと組合わせた場合に得られたセンサ表面の変位応答を図6に示す。図6の(b)に示す306MHzモードで生じた変位が図6の(a)に示す98MHzの場合より大きいことが分かる。したがって、306MHzモードは98MHzモードよりも多くのエネルギーを発生させる。図5及び図6より明らかなように、厚みセンサの主たる共振モードとして306MHzモードを使用するのがよいと判断される。
質量感度を評価するために、第1モード(98MHz)と第3モード(306MHz)についてもう一つの解析を行った。
SAWセンサの入力用IDT及び出力用IDTの間(図2における質量感度領域)の質量膜に3.3ngと6.6ngの質量を与え、出力電圧の周波数応答を得た。実験は厚みモード共振がない状態での感度を得てから、振動信号を厚みモード共振器に加えて出力電圧の周波数を得た。その際の振動信号は、0.1Vの振幅で98MHzと306MHzである。また、SAWセンサのインパルス振幅は1V、インパルス間隔は4nsである。結果を表2に示す。
Figure 2009257860
表2を参照すると、306MHzモードでは、厚み方向共振がない通常のセンサと比較して質量感度が増加していることが明らかである。第3のモードのこれらの結果は、このモードは表面エネルギーを増加し、結果として質量感度値が増加するということを立証している。他の重要な点は、第1のモードでは、通常のセンサと比較して質量感度の低下を引き起こしていることである。
次に、厚みモード共振器の信号の振幅を調べた。第3のモードの306MHzの周波数の振動信号を異なる振幅で加えた。結果を表3に示す。
Figure 2009257860
表3から明らかなように、共振信号の振幅の増進に伴い質量感度が増加していることである。6.6ngの質量で5Vの振幅の振動信号を加えた場合、質量感度は通常のSAWセンサの質量感度に比較して、1060kHzから4608kHzへと約4倍に増加している。表3の結果から、質量感度と厚み方向振動への印加電圧との関係をみるため多項式曲線フィッティング法による曲線を図7に示した。図7から判るように、電圧を上げると印加電圧の二乗で質量感度が上昇する。
表面弾性波と厚み方向振動を利用したマイクロ圧電センサの概念図である。 本発明の参照IDTをメインのSAWセンサの側方に設置することを示す図である。 厚みモード共振器のインパルス振動応答を示す図である。 PZTSAWセンサのインパルス振動応答を示す図である。 厚み方向共振器とSAWセンサを統合した状態での異なる厚み方向共振モードに対するエネルギープロフィールの概略を示す図である。 (a)98MHz、(b)306MHzの2つの厚み方向の振動モードの表面変位を示す図である。 質量感度と厚み方向振動への印加電圧との多項式曲線フィッティング法による曲線を示す図である。

Claims (3)

  1. 圧電基板と、前記圧電基板の表面に形成された少なくとも1組のすだれ状電極からなる入力用IDT及び出力用IDTと、前記圧電基板に厚み方向の共振を与えるために前記圧電基板の上面に設けられた上部電極と前記圧電基板の下面に設けられた下部電極と、前記入力用IDT及び出力用IDTにより励振される弾性表面波の伝搬方向に沿って前記基板表面に設けられた質量感知領域と、を備えることを特徴とするマイクロ圧電センサ。
  2. 前記圧電基板表面上の出力用IDTと平行してその側方で、参照IDTをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のマイクロ圧電センサ。
  3. 前記マイクロ圧電センサの出力電圧を前記出力用IDTと前記参照IDTとの電圧差として出力することを特徴とする請求項2に記載のマイクロ圧電センサ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103994939A (zh) * 2014-05-23 2014-08-20 天津理工大学 全印制电子的二氧化碳气体薄膜saw传感器的制作方法
CN110869757A (zh) * 2017-05-30 2020-03-06 奥尔多·杰索尔卡 表面声波谐振传感器

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