JP2020524696A - C5a活性のインヒビターでの炎症性疾患の処置 - Google Patents

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Abstract

本願発明は、C5a活性のインヒビターおよび対象において皮膚、好中球性、炎症性疾患の処置におけるそれらの使用に関する。

Description

技術分野
本願発明は、C5a活性のインヒビターおよび対象において皮膚、好中球性、炎症性疾患の処置におけるそれらの使用に関する。
発明の背景
炎症における標的C5a
C5aは、その「マザー分子」C5の74アミノ酸にわたる分解産物であり、補体活性化カスケードの1つのエンドポイントを示す。それは、少なくとも3つのよく説明される経路(代替、古典およびMBL経路)の活性化を介して生成することできる。全ての経路は、C3のレベルで統合し、C5または代替C5転換酵素を形成し、C5のC5aおよびC5bへの開裂をもたらす。後者は、C6、C7、C8および複数のC9分子と結合し、例えば細菌膜において孔の形成を最後にもたらす(末端膜侵襲複合体=MAC)。補体系が炎症および他の免疫学的および炎症性障害/疾患の状況において活性化されるとき、C5aは生成される。
補体活性化産物の中で、C5aは、最も強力な炎症性ペプチドの1つであり、広範囲の機能を有する(Guo and Ward, 2005)。C5aは、高親和性C5a受容体(C5aRおよびC5L2)を介してその効果を発揮する(Ward, 2009)。C5aRは、7回膜貫通セグメントを有するG−タンパク質−共役受容体のロドプシンファミリーに属する;C5L2は、同様の構造を有するが、G−タンパク質−共役ではないようである。現在、生物学的応答がほとんどC5a−C5L2相互作用に対して見られないため、C5aはC5a−C5aR相互作用を主に介してその生物学的機能を発揮すると考えられている。しかしながら、最新のレポートは、C5L2活性化も介するシグナル伝達を証明している(Rittirsch and others, 2008)。
C5aRは、好中球、好酸球、好塩基球、および単球を含む骨髄細胞、および多くの臓器、とりわけ肺および肝臓における非骨髄細胞上に広範に発現され、C5a/C5aRシグナル伝達の重要性を示す。C5aR発現の広範囲にわたる上方制御は、敗血症の発症中に起こり、抗−C5a、または抗−C5aR抗体、またはC5aRアンタゴニストによるC5a/C5aR相互作用の遮断は、敗血症の齧歯動物モデルにおいて保護効果を高度に与える(Czermak and others, 1999; Huber-Lang and others, 2001; Riedemann and others, 2002)。
C5aは、種々の生物学的機能を有する(Guo and Ward, 2005)。C5aは、好中球に対する強力な化学誘引物質であり、また単球およびマクロファージに対する走化性活性を有する。C5aは、好中球において酸化的破壊(O消費)を引き起こし、食作用および粒状酵素の放出を増強する。C5aはまた、血管拡張薬であることが見いだされている。C5aは、種々の細胞型からのサイトカイン発現の調節に関与すること、および好中球における接着分子発現の発現を増強することが示されている。高用量のC5aは、好中球の非特異的走化性「脱感作」を引き起こし、それにより広範な機能障害を引き起こすことができる。敗血症、急性肺損傷、炎症性腸疾患、リウマチ性関節炎などを含む多くの炎症性疾患は、C5aの効果に起因する。敗血症の実験的状況において、好中球のC5aへの暴露は、好中球機能障害およびシグナル伝達経路のまひを引き起こし、NADPHオキシダーゼの集合欠損、MAPKシグナル伝達カスケードのまひ、酸化的破壊の重大な鬱病、食作用および走化性を引き起こすことができる(Guo and others, 2006; Huber-Lang and others, 2002)。胸腺細胞のアポトーシスおよび遅延性好中球アポトーシスは、敗血症発症のための2つの重要な病原性事象であり、これらはC5aの存在に依存する。実験的敗血症中、C5aは、好中球におけるβ2−インテグリン発現を上方制御し、臓器への細胞遊走を促進し、これは多臓器機能不全(MOF)の主な原因の1つである。C5aが実験的敗血症において起こる凝固経路の活性化に起因することも見いだされる。C5aは、ヒト白血球からの、炎症性サイトカイン、例えばTNF−α、IL−1β、IL−6、IL−8、およびマクロファージ遊走阻止因子(MIF)の合成および放出を刺激する。補体活性化が急性炎症の発症中に発生する事象であるため、C5aはほとんどの炎症性「サイトカイン・ストーム」の出現前に作用し始める可能性がある。C5aが、サイトカインネットワークの能力および全身性炎症反応症候群(SIRS)の形成を調整することおよび増幅することにおいて重要な役割を果たすようである。
適応免疫につながる免疫学的調節ネットワークにおいて、C5aは樹状細胞(DC)およびδεT細胞間のクロストークに影響し、これが炎症性メディエーター、例えばIL−17の大量生産をもたらし得る(Xu and others, 2010)。C5aに対して重要な役割は、全身性エリテマトーデス(SLE)における病原性Th17応答の生成において確立および定義されている(Pawaria and others, 2014)。加えて、C5aが、Treg増殖および誘導の強力な抑制効果を提供するTreg細胞に対する重要な調節因子であることが報告されている(Strainic and others, 2013)。TregおよびTH17が自己免疫疾患状況において重要なプレーヤーであるという事実を考慮すると、C5aシグナル伝達の阻害は、自己免疫疾患において過活動免疫状態を有意に低下させることが期待される。
IFX−1
IFX−1は、可溶性ヒト補体分解産物C5aに特異的に結合するキメラモノクローナルIgG4抗体である。IFX−1は、1328アミノ酸から構成され、およそ148,472ダルトンの分子量を有する。IFX−1のCDRおよびFR配列は、以下の表3に記載されている。
IFX−1は、組換えタンパク質として哺乳動物CHO細胞系において発現され、静脈内投与のためにリン酸緩衝生理食塩水溶液において最後に製剤化される。ヒトC5aへのこの抗体の結合は、その対応する細胞結合受容体へのC5a結合および該受容体との反応を無効にすることによって、C5a誘導生物学的効果の非常に効果的な遮断を促進する。
(IFX−1を使用する)インビトロ/エキソビボ試験およびカニクイザルにおけるGLP毒物学テストを含むインビボ試験に分類することができる様々な非臨床試験が実施され、IFX−1の薬理学的および毒物学的局面を評価した。実施された非臨床テストおよび試験は、IFX−1に対して毒物学的または安全性の懸念を示さなかった。ヒト第I相試験は、安全性実験室パラメーター、バイタルサインおよびECGパラメーターが、臨床的に関連する時間または用量依存的変化を示さなかったことを示した。
IFX−1のインビトロ分析は、可溶性ヒトC5aへの強い結合能力ならびにC5a誘導生物学的効果、例えば、ヒト好中球からのリゾチーム放出またはヒト全血における好中球においてCD11b上方制御の高い遮断活性を証明する。1つのIFX−1抗体は、実験的インビトロ状況においてほぼ100%効率で2分子C5aの効果を中和する能力に達する。IFX−1での臨床試験は、敗血症性臓器機能障害を含むいくつかの炎症性疾患および複雑な心臓手術におけるその臨床的有効性を試験するために継続している。
好中球
循環中に短い寿命を有する最終分化細胞である好中球は、人体において最も豊富な白血球である。侵入微生物に対する防御の最前線として、好中球は、食細胞として作用し、顆粒から溶菌酵素を放出し、および刺激時に活性酸素種を生成する能力により特徴付けられる。微生物産物に加えて、免疫複合体などの他の刺激もまた、好中球において呼吸バーストを誘導し、増強した炎症および炎症性細胞の補充をもたらすことができる(Kaplan, 2013)。
炎症組織に浸潤した後、好中球は、多数の他の細胞型、例えばマクロファージ、樹状細胞(DC)、ナチュラルキラー細胞、リンパ球および間葉性幹細胞に関与し、自然および適応免疫応答を制御する。例えば、好中球はDC成熟およびT細胞の増殖および極性化を調節することができ、そしてそれらはまた抗原特異的Tヘルパー1型およびTヘルパー17型細胞を直接的にプライミングすることもできる(Abi Abdallah and others, 2011)。C5a、ホルミル−メチオニル−ロイシル−フェニルアラニン(FMLP)、リポ多糖類、血小板活性化因子、および腫瘍壊死因子(TNF)を含む種々の刺激が、好中球脱顆粒を誘導する(Kaplan, 2013)。好中球活性化から生じるサイトカインおよびケモカインと共に脱顆粒および酸化種から放出される内容物は、組織損傷を引き起こす主要な炎症性メディエーターであり、このメカニズムは、多くのタイプの炎症性組織傷害に起因すると考えられている。
汗腺膿瘍(HS)
HSは、アポクリン腺が豊富な領域に影響を与える慢性的な壊滅的な皮膚障害であり、好中球関連皮膚炎症性疾患の1つと考えられている。小節が影響された領域に出現し、膿の放出により腫脹および破裂が進行する。このプロセスは、繰り返し起こり、洞管の形成および瘢痕に至る(Jemec, 2004)。この疾患の経過は、患者だけでなく、医師にとっても苛立たしい状況を作り出す。点有病率は、1%および4%間の範囲であると報告される(Jemec and others, 1996)。
HSの正確な病態生理学は、明確に定義されていない。喫煙、食習慣および遺伝的素因は、HSと全て関連している(Kurzen and others, 2008; Slade and others, 2003)。健常コントロールと比較して、NK細胞のパーセントは増加し、CD4−リンパ球のパーセントは減少しており、障害に対する自己免疫性の好みの存在を恐らく意味する。IL−1βおよびIL−17は、インフラマソームの活性化と関連するHSの病変において上方調節されることが見いだされている(Lima and others, 2016)。汗腺膿瘍(HS)は、炎症を起こした皮膚、とりわけ疾患の後期において多数の好中球浸潤物でみられる(Lima and others, 2016; Marzano, 2016)。活性化された好中球は、この疾患状況において活動性T細胞およびTH17などの他の効果細胞に対する直接的な有害効果または間接的な調節効果を介する組織損傷を引き起こす重要なエフェクター細胞型であり得る。
HSの病因におけるいくつかの自己免疫性または自己炎症性メカニズムの関連に関する仮説は、過去数年にわたって作成されている。仮説は、中等度から重度のHSを有する患者においてアダリムマブ(腫瘍壊死因子αに対する抗体)の承認をもたらす、前向きプラセボ対照試験においてTNFアンタゴニストの投与からの肯定的な結果によってさらに強化される。1つの主ないまだ解明されていない疑問は、好中球が罹患皮膚損傷にどのように動員されるか、および、活性化された好中球が疾患の発症にどの程度寄与するかである。
様々な試験によって示唆される広範な起こりうる病原性メカニズムは、HSが外因性因子よりもむしろ宿主メカニズムと関連することを意味し得る。抗感染性(抗生物質)および前感染性(抗−TNF、コルチコステロイド、免疫抑制剤)治療の両方が役立つ可能性があるというパラドックスを考慮すると、HSは毛包先天免疫の欠陥に基づく自己炎症性疾患として現れることがあり(Revuz, 2009)、前炎症性サイトカイン、例えばインターロイキン(IL)−1β、および腫瘍壊死因子−α(TNF−α)が病変および病変周囲の皮膚において著しく増加しているという事実によって支持される(Wollina and others, 2013)。
好中球性皮膚症
好中球性皮膚症(ND)は、組織学的実験が感染の証拠がない好中球から主に構成される激しい炎症性浸潤物を表す、皮膚損傷により特徴付けられる障害のグループである。NDは、スイート症候群(SS)、壊疽性膿皮症(PG)、角層下膿疱症(SPD)、他の明確な実体(entities)、およびこれらの非典型的または移行形態を主に含む(Prat and others, 2014)。汗腺膿瘍(HS)は、最近、炎症を起こした皮膚において観察される多数の好中球浸潤物に基づいてNDのファミリーに割り当てられた(Lima and others, 2016; Marzano, 2016)。
壊疽性膿皮症(PG)および汗腺膿瘍(HS)は、皮膚における好中球の蓄積の特徴で本来、自己炎症性疾患と見なされる原型の好中球性皮膚症である(Braun-Falco and others, 2012; Marzano and others, 2014)。自己炎症性症候群は、自己免疫性、アレルギー性、および感染症と異なる炎症状態の新たなグループを示す。病態生理学的観点から、全ての自己炎症性症候群、例えばPAPA(化膿性関節炎、PGおよびアクネ)、PASH(PG、アクネおよび汗腺膿瘍)またはPAPASH(化膿性関節炎、アクネ、PGおよび汗腺膿瘍)は、先天性免疫系の過剰活性化および「無菌」好中球が富む皮膚炎症からなる共通のメカニズムを共有する(Cugno and others, 2017)。
BADAS(腸関連皮膚病−関節炎症候群(bowel-associated dermatosis-arthritis syndrome))は、発熱、インフルエンザ様症状、関節炎および炎症性皮膚関与により特徴付けられる。後者は、丘疹およびプラーク(スイート症候群)、膿疱および潰瘍(壊疽性膿皮症)または結節、膿瘍または瘻(汗腺膿瘍)などの様々な好中球性皮膚病を想起する病変により特徴付けられる。加えて、アクネおよび好中球性脂肪織炎は関連する可能性がある。患者は、通常、主に小さな関節と関与する対称性非びらん性多発性関節炎を経験する(Cugno and others, 2018)。
滑膜炎、アクネ、膿疱症、骨化過剰症および骨炎(SAPHO)症候群は、1987に最初に記載された。SAPHO症候群は、恐らく誤診による、稀な状態である。その病因はまだとらえどころのないものであるが、SAPHOは他の自己炎症性疾患と類似性を共有するという理解が高まっている(Cugno and others, 2018)。
好中球および自己免疫疾患
自己免疫疾患は、自己および非自己分子の不完全な区別により定義され、外来構造としての自己分子および組織の不適当な認識、および宿主器官に対する同時免疫攻撃をもたらす。自己免疫疾患の病因は、一般的に、免疫化相およびエフェクター相の2つの相に分類することができる。免疫化相は、自己反応性Tリンパ球の出現により特徴付けられる。次に、これらのT細胞は、種々の他の細胞型(B細胞、細胞毒性T細胞、NK細胞、好中球、マクロファージ、破骨細胞、繊維芽細胞など)を活性化することによって、組織損傷相に至る二次応答を引き起こす。自己反応性T細胞によるこれらのエフェクター細胞の活性化は、自己抗体生産、サイトカインネットワークまたは直接的な細胞−細胞接触を含む複数のレベルによって介在することができるエフェクター相として考慮することができる(Nemeth and Mocsai, 2012)。
自己免疫疾患の病態生理学的発症における好中球の役割は、限定的に定義されているが、ますます認識されている。好中球は、抗原提示、他の免疫細胞型の活性の制御、および直接的な組織損傷を含む、自己免疫疾患プロセスの複数の工程に参加することができる。好中球は、活性化されるとき、またはアポトーシスで死ぬとき、または好中球細胞外トラップ(NET)の形成中に、自己抗原を暴露/放出することができる。それらはまた、自己抗体の組織沈着に寄与することができるか、またはエフェクター細胞型として、組織損傷自体を誘導することができる。累積試験により、好中球が、自己免疫疾患、例えば、リウマチ性関節炎(RA)、全身性エリテマトーデス(SLE)、水疱性類天疱瘡、後天性表皮水疱症、ANCA関連脈管炎、家族性地中海熱、クリオピリン関連周期性障害(CAPS)および痛風などの発症において積極的な役割を果たすことを証明されている(Nemeth and Mocsai, 2012; Nemeth and others, 2016)。皮膚が免疫応答に対する容易な標的であるため、皮膚炎症はこれらの自己免疫疾患によって示される最も頻繁な症候群の1つである。しかしながら、リウマチ性好中球性皮膚症は、重度のリウマチ性関節炎を有する患者において稀な皮膚兆候である。それは、主に重度の血清反応陽性リウマチ性関節炎を有する患者、主に女性(比率2:1)に影響を及ぼすが、血清反応陰性リウマチ性関節炎においても観察されている(Cugno and others, 2018).
本願発明の根底にある技術的問題
上記で説明されたように、先行技術において、好中球性皮膚症、例えば汗腺膿瘍(HS)、および皮膚好中球性自己免疫疾患の処置のための効果的な治療のための必要性が存在した。
本願発明者らは、今回、驚くべきことに、C5aシグナル伝達を阻害する分子、例えば抗−C5a抗体が、汗腺膿瘍の処置に非常によく適していることを見出した。本願発明者らは、さらに、好中球活性化に至る生理学的メカニズムを研究し、C5aが好中球活性化の重要な原動力(driver)であることを見出した。
したがって、本願発明者らは、C5a活性を阻害することが、種々の好中球性障害、とりわけ皮膚、好中球性、炎症性疾患の処置のための適当な治療アプローチであろうことを予期する。
発明の概要
第1の局面において、本願発明は、対象において皮膚、好中球性、炎症性疾患の処置における使用のための化合物であって、化合物は、C5a活性のインヒビターであり、皮膚、好中球性、炎症性疾患は、汗腺膿瘍(HS);壊疽性膿皮症(PG);PAPA(化膿性関節炎、PGおよびアクネ);PASH(PG、アクネおよび汗腺膿瘍);PAPASH(化膿性関節炎、アクネ、PGおよび汗腺膿瘍);スイート症候群(SS);角層下膿疱症(SPD);後天性表皮水疱症、持久性隆起性紅斑(EED);好中球性脂肪織炎;腸関連皮膚病−関節炎症候群(BADAS);SAPHO(滑膜炎、アクネ、膿疱症、骨化過剰症、および骨炎)症候群;リウマチ性好中球性皮膚症;家族性地中海熱、クリオピリン関連障害、痛風、およびシュニッツラー症候群からなる群から選択される、化合物に関する。
第2の局面において、本願発明は、対象において皮膚、好中球性、炎症性疾患の処置のための方法であって、それを必要とする対象に治療量の化合物を投与する工程を含み、化合物は、C5a活性のインヒビターであり、皮膚、好中球性、炎症性疾患は、汗腺膿瘍(HS);壊疽性膿皮症(PG);PAPA(化膿性関節炎、PGおよびアクネ);PASH(PG、アクネおよび汗腺膿瘍);PAPASH(化膿性関節炎、アクネ、PGおよび汗腺膿瘍);スイート症候群(SS);角層下膿疱症(SPD);後天性表皮水疱症、持久性隆起性紅斑(EED);好中球性脂肪織炎;腸関連皮膚病−関節炎症候群(BADAS);SAPHO(滑膜炎、アクネ、膿疱症、骨化過剰症、および骨炎)症候群;リウマチ性好中球性皮膚症;家族性地中海熱、クリオピリン関連障害、痛風、およびシュニッツラー症候群からなる群から選択される、方法に関する。
第3の局面において、本願発明は、皮膚、好中球性、炎症性疾患の処置のための医薬組成物の製造のための化合物の使用であって、化合物は、C5a活性のインヒビターであり、皮膚、好中球性、炎症性疾患は、汗腺膿瘍(HS);壊疽性膿皮症(PG);PAPA(化膿性関節炎、PGおよびアクネ);PASH(PG、アクネおよび汗腺膿瘍);PAPASH(化膿性関節炎、アクネ、PGおよび汗腺膿瘍);スイート症候群(SS);角層下膿疱症(SPD);後天性表皮水疱症、持久性隆起性紅斑(EED);好中球性脂肪織炎;腸関連皮膚病−関節炎症候群(BADAS);SAPHO(滑膜炎、アクネ、膿疱症、骨化過剰症、および骨炎)症候群;リウマチ性好中球性皮膚症;家族性地中海熱、クリオピリン関連障害、痛風、およびシュニッツラー症候群からなる群から選択される、使用に関する。
この発明の概要は、本願発明の全ての特徴を必ずしも説明しない。他の態様は、次の詳細な説明の説明から明らかになるであろう。
血中好中球における組換えヒトC5a(rhC5a)誘導CD11b上方調節に対するIFX−1の遮断活性。IFX−1−004およびIFX−1−012は、2つの異なる生産バッチを示す。ヒト全血を、バッファー、抗体単独、rhC5a単独、または異なる抗体濃度およびrhC5aの組合せとインキュベートした。インキュベーション後、細胞を抗−マウスCD11b:FITCで染色し、CD11b MFIをフローサイトメトリーによって分析した。結果は平均±SDとして示される。C5a誘導CD11b発現のIFX−1遮断活性のパーセントはマークされている(矢印)。統計的差異は一元配置分散分析によって計算され、p<0.05のp値は統計的に有意であった。
好中球における内因性C5a(eC5a)駆動CD11b上方調節に対するIFX−1の遮断活性。ザイモサン活性化ヒト血漿(ZAP)をeC5aの供給源として使用した。全血を、バッファー、IFX−1単独、ZAP単独、またはIFX−1およびZAPの組合せとインキュベートした。インキュベーション後、細胞を抗−マウスCD11b:FITCで染色し、フローサイトメトリーによって分析した。結果は平均±SDとして示される。eC5a誘導CD11b発現のIFX−1遮断活性のパーセントはマークされている(矢印)。統計的差異は一元配置分散分析によって計算され、p<0.05のp値は統計的に有意であった。
ザイモサンによる血中好中球の活性化およびIFX−1遮断活性。全血を、HBSS、rhC5aおよびザイモサンA単独、または異なるIFX−1濃度およびrhC5aまたはザイモサンAの組合せとインキュベートした。インキュベーション後、細胞を抗−マウスCD11b:FITCで染色し、CD11b MFIをフローサイトメトリーによって分析した。結果は平均±SDとして示される。C5a誘導CD11b発現のIFX−1遮断活性のパーセントはマークされている(矢印)。統計的差異は一元配置分散分析によって計算され、p<0.05のp値は統計的に有意であった。
IFX−1は、ヒト全血においてIL−8のザイモサン誘導産生を阻害する。IL−8濃度を、IFX−1の存在(白丸)または非存在(黒丸)下において、ヒト全血とx軸にて示されるとおりのザイモサンAの異なる濃度とのインキュベーション後にELISAによって得た。結果は平均±SDとして示された。
14人の健常コントロールおよび54人の汗腺膿瘍(HS)を有する患者の血漿におけるC3a(A)、C5a(B)およびC5b−9(C)の濃度。円は外れ値を示し、アステリスクは極値を示す。P値は、患者およびコントロール間の有意な差異を表す。
血中好中球活性化に対するHS血漿の効果およびC5aの起こりうる役割。HS血漿サンプルをIFX−1の存在および非存在下においてヒト全血とインキュベートし、血中好中球におけるCD11b発現をフローサイトメトリー分析によって決定した。コントロールおよびHSサンプルにおいてC5aレベルは、組み込まれた表において表示されている。
HS患者におけるIFX−1処置後のHiSCR応答。HiSCR応答者は、ベースラインと比較して、炎症病変数(膿瘍+炎症性小結節)の50%減少、および膿瘍または排液性瘻孔の増加なしとして定義される。
様々な抗−C5aR抗体を介するC5a誘導CD11b上方調節の遮断。好中球の供給源としての全血を、それぞれの抗−C5aR抗体の非存在または存在において(スパイクされた−)血漿サンプルとインキュベートした。それぞれのインヒビターの遮断活性を、対応するサンプルに対してパーセンテージとして示した。
C5aRアンタゴニストPMX−53を介するC5a誘導CD11b上方調節の遮断。好中球の供給源としての全血を、低濃度(A)または過剰濃度(B)C5aRアンタゴニストPMX−53の非存在または存在において(スパイクされた−)血漿サンプルとインキュベートした。PMX−53の遮断活性を、対応するサンプルに対してパーセンテージとして示した。
C5a遮断抗体IFX−1を介するC5a誘導CD11b上方調節の遮断。好中球の供給源としての全血を、IFX−1の非存在または存在において(スパイクされた−)血漿サンプルとインキュベートした。IFX−1の遮断活性を、対応するサンプルに対してパーセンテージとして示した。
C5aRインヒビターAvacopanを介するC5a誘導CD11b上方調節の遮断。好中球の供給源としての全血を、Avacopanの非存在または存在において(スパイクされた−)血漿サンプルとインキュベートした。Avacopanの遮断活性を、対応するサンプルに対してパーセンテージとして示した。
発明の詳細な説明
定義
本願発明を以下に詳細に説明する前に、本願発明が、変化できるとき本願明細書に記載されている特定の方法論、プロトコールおよび試薬に限定されないことを理解されたい。本願明細書において使用される用語が、特定の態様のみを説明する目的のためであり、添付の特許請求の範囲のみによって限定される本願発明の範囲を限定することを意図しないことも理解されたい。他に定義されていない限り、本願明細書において使用される全ての専門および科学用語は、本願発明が属する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
好ましくは、本願明細書において使用される用語は、“A multilingual glossary of biotechnological terms: (IUPAC Recommendations)”, Leuenberger, H.G.W, Nagel, B. and Kolbl, H. eds. (1995), Helvetica Chimica Acta, CH-4010 Basel, Switzerland)に記載されているとおりに定義される。本願明細書および添付の特許請求の範囲を通して、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、用語「含む」、および「含み」および「含むこと」などの変形は、記載されている整数もしくは工程または整数もしくは工程の群の包含を意味するが、あらゆる他の整数もしくは工程または整数もしくは工程の群の除外をされないと理解される。
いくつかの文書(例えば:特許、特許出願、科学刊行物、製造業者の説明書、指示書、GenBank受入番号配列寄託など)は、本願明細書の本文を通して引用されている。本願明細書において、本願発明が以前の発明の理由でかかる記載に先立つ権利がないという承認として解釈されるべきでない。本願明細書に引用される文書のいくつかは、「出典明示により包含させる」として特徴付けられる。かかる組み込まれた文献の定義または教示と本願明細書に引用される定義または教示間で矛盾がある場合、本願明細書の本文が優先される。
配列:本願明細書において言及される全ての配列は、添付の配列表に記載されており、その全体の内容および記載と共に、本願明細書の一部である。
本願発明の文脈において、C5aは、特にヒトC5aを指す。ヒトC5aは、以下のアミノ酸配列を有する74個のアミノ酸ペプチドである:
(配列番号:1)
ヒトC5のアミノ酸配列は、受入番号UniProtKB P01031(CO5_ヒト)の下に見ることができる。
本願明細書において使用されるとき、「C5a活性のインヒビター」なる用語は、C5aの活性を何らかの形で減少させるあらゆる化合物を指す。この活性減少は、C5aの濃度を直接的または間接的に低下させることによって、またはC5aの活性を減少させることによって、またはその受容体の1つ以上に対する(例えばC5aRまたはC5L2に対する)その効果を発揮することからC5aを防止することによって、またはC5aの1つ以上の受容体の濃度または活性を減少させることによって、なし遂げることができる。
本願発明の文脈において、「C5a受容体」なる表現は、細胞表面上のあらゆる可能性のあるC5a結合リガンド、とりわけC5aが該受容体に結合し、反応(例えば受容体の活性化または阻害)を引き起こす可能性があるあらゆる受容体タンパク質を指す。「C5a受容体」なる用語は、特に、2つの受容体C5aRおよびC5L2を含む。C5aRの代替名は、C5aR1およびCD88である。C5L2の代替名は、C5aR2である。
本願発明の特定の態様は、(例えばC5a受容体に結合することによって、またはC5a受容体の発現を遮断することによって)C5a受容体を妨げるC5aのインヒビターを指す。これらの文脈において、「C5a受容体」なる用語は、(i)C5aRまたは(ii)C5L2または(iii)C5aRおよびC5L2の両方を指すことができる。これは、C5aのいくつかのインヒビターはC5a受容体の1つのみ(すなわちC5aRまたはC5L2のいずれか)を妨げるが、一方、C5aの他のインヒビターはC5a受容体の両方(すなわちC5aRおよびC5L2の両方)を妨げるということを意味する。
本願発明の文脈において、「タンパク質リガンド」なる表現は、別の分子に特異的に結合することができる、分子の総サイズにかかわりなく、ペプチド結合によって連結されるアミノ酸から構成されるあらゆる分子を指す。したがって、「タンパク質リガンド」なる表現は、オリゴペプチド(100アミノ酸)およびポリペプチド(>100アミノ酸)を含む。「タンパク質リガンド」なる表現はまた、それらのサイズにかかわりなく、環状ペプチドを含む。「タンパク質リガンド」なる表現は、特に、抗体、抗体の抗原結合フラグメント、抗体様タンパク質、およびペプチド模倣物を含む。
本願明細書において使用されるとき、第1の化合物(例えばタンパク質リガンドまたは核酸アプタマー)は、1mM以下、好ましくは100μM以下、好ましくは50μM以下、好ましくは30μM以下、好ましくは20μM以下、好ましくは10μM以下、好ましくは5μM以下、さらに好ましくは1μM以下、さらに好ましくは900nM以下、さらに好ましくは800nM以下、さらに好ましくは700nM以下、さらに好ましくは600nM以下、さらに好ましくは500nM以下、さらに好ましくは400nM以下、さらに好ましくは300nM以下、さらに好ましくは200nM以下、よりさらに好ましくは100nM以下、よりさらに好ましくは90nM以下、よりさらに好ましくは80nM以下、よりさらに好ましくは70nM以下、よりさらに好ましくは60nM以下、よりさらに好ましくは50nM以下、よりさらに好ましくは40nM以下、よりさらに好ましくは30nM以下、よりさらに好ましくは20nM以下、およびよりさらに好ましくは10nM以下の第2の化合物への解離定数Kを有するとき、第2の化合物(例えば標的タンパク質)に「結合する」と考えられる。
本願発明による「結合」なる用語は、好ましくは、特異的結合に関する。「特異的結合」は、化合物(例えばタンパク質リガンドまたは核酸アプタマー)が、別の標的への結合と比較して特異的である標的、例えばエピトープにより強く結合することを意味する。化合物は、第2の標的に対する解離定数よりも低い解離定数(K)を有する第1の標的に結合するとき、第2の標的と比較して第1の標的により強く結合する。好ましくは、化合物が特異的に結合する標的に対する解離定数(K)は、化合物が特異的に結合しない標的に対する解離定数(K)よりも、10倍以上、好ましくは20倍以上、さらに好ましくは50倍以上、よりさらに好ましくは100倍、200倍、500倍または1000倍以上低い。
本願明細書において使用されるとき、「K」(通常「mol/L」において測定される、ときどき「M」として略される)なる用語は、化合物(例えばタンパク質リガンド)と標的分子間の特定の相互作用の解離平衡定数を指すことを意図される。
化合物の結合親和性を決定するための、すなわち解離定数Kを決定するための方法は、当業者に知られており、例えば当分野で知られている以下の方法から選択することができる:表面プラズモン共鳴(SPR)ベースの技術、バイオレイヤー干渉法(BLI)、酵素免疫吸着法アッセイ(ELISA)、フローサイトメトリー、等温滴定熱量計(ITC)、分析超遠心分離、放射免疫測定法(RIAまたはIRMA)および増強化学発光(ECL)。典型的に、解離定数Kは、20℃、25℃、30℃、または37℃で決定される。他に具体的に示されていないとき、本願明細書に記載されるK値は、ELISAによって20℃で決定される。
抗原性決定因子としても知られている「エピトープ」は、免疫系により、具体的には抗体、B細胞、またはT細胞により認識される高分子の一部である。本願明細書において使用されるとき、「エピトープ」は、本願明細書に記載されている化合物(例えば抗体またはその抗原結合フラグメント)に結合することができる高分子の一部である。この文脈において、「結合」なる用語は、好ましくは特異的結合に関する。エピトープは、通常、分子、例えばアミノ酸または糖側鎖の化学的に活性な表面グループからなり、通常、特定の三次元構造的特性、ならびに特定の電荷特性を有する。立体および非立体構造エピトープは、後者ではなく前者への結合は変性溶媒の存在下で喪失されることにおいて区別することができる。
「パラトープ」は、エピトープに結合する抗体の一部である。本願発明の文脈において、「パラトープ」は、エピトープに結合する本願明細書に記載されている化合物(例えばタンパク質リガンド)の一部である。
「抗体」なる用語は、一般的に、ジスルフィド結合によって相互連結された少なくとも2つの重(H)鎖および2つの軽(L)鎖を含む糖タンパク質、またはその抗原結合部分を指す。「抗体」なる用語はまた、抗体の、特に本願明細書に記載されている抗体、例えば原核生物において発現される抗体、非グリコシル化抗体、真核生物(例えばCHO細胞)において発現される抗体、グリコシル化抗体、および以下に記載されるあらゆる抗原結合抗体フラグメントおよび誘導体の全ての組換え形態を含む。それぞれの重鎖は、重鎖可変領域(本願明細書においてVHまたはVと省略される)および重鎖定常領域で構成される。それぞれの軽鎖は、軽鎖可変領域(本願明細書においてVLまたはVと省略される)および軽鎖定常領域で構成される。VHおよびVL領域は、フレームワーク領域(FR)と称されるより保存されている領域で散在される相補性決定領域(CDR)と称される超可変性の領域にさらに細分化することができる。それぞれのVHおよびVLは、3つのCDRおよび4つのFRで構成され、アミノ−末端からカルボキシ−末端に以下の順番において配置される:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。抗体の定常領域は、免疫系の種々の細胞(例えば、エフェクター細胞)および古典的補体系の最初の成分(C1q)を含む宿主組織または因子への免疫グロブリンの結合を媒介し得る。
本願明細書において使用されるとき、抗体の「抗原結合フラグメント」なる用語(または単に「結合部分」)は、抗原に特異的に結合する能力を保持する抗体の1つ以上のフラグメントを指す。抗体の抗原結合機能は、完全長抗体のフラグメントによって行うことができることが示されている。抗体の「抗原結合部分」なる用語内に包含される結合フラグメントの例は、(i)VL、VH、CLおよびCHドメインからなる一価のフラグメントであるFabフラグメント;(ii)ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結される2つのFabフラグメントを含む二価のフラグメントであるF(ab’)フラグメント;(iii)VHおよびCHドメインからなるFdフラグメント;(iv)抗体の単一アームのVLおよびVHドメインからなるFvフラグメント、(v)VHドメインからなるdAbフラグメント(Ward et al., (1989) Nature 341: 544-546);(vi)単離された相補性決定領域(CDR)、および(vii)所望により合成リンカーによって連結されてもよい2つまたはそれ以上の単離されたCDRの組合せを含む。さらに、Fvフラグメントの2つのドメインであるVLおよびVHが別々の遺伝子によってコードされるが、それらは、組換え方法を使用して、VLおよびVH領域が対になって一価の分子を形成する単一のタンパク質鎖として作ることが可能である合成リンカーによって連結することができる(一本鎖Fv(scFv)として知られる;例えば、Bird et al. (1988) Science 242: 423-426;およびHuston et al. (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85: 5879-5883参照)。かかる一本鎖抗体はまた、抗体の「抗原結合フラグメント」なる用語内に包含されることを意図される。さらなる例は、(i)免疫グロブリンヒンジ領域ポリペプチドに融合される結合ドメインポリペプチド、(ii)ヒンジ領域に融合される免疫グロブリン重鎖CH2定常領域、および(iii)CH2定常領域に融合される免疫グロブリン重鎖CH3定常領域、を含む結合ドメイン免疫グロブリン融合タンパク質である。結合ドメインポリペプチドは、重鎖可変領域または軽鎖可変領域であってよい。結合ドメイン免疫グロブリン融合タンパク質は、US 2003/0118592およびUS 2003/0133939にさらに記載されている。これらの抗体フラグメントは、当業者に知られている慣用の技術を使用して得られ、フラグメントは、無傷な抗体と同じ様式において有用性についてスクリーニングされる。「抗原結合フラグメント」のさらなる例は、単一のCDRに由来する、いわゆるマイクロ抗体である。例えば、Heap et al., 2005は、HIV−1のgp120エンベロープ糖タンパク質に対する抗体の重鎖CDR3に由来する17アミノ酸残基マイクロ抗体を記載している(Heap C.J. et al. (2005) Analysis of a 17-amino acid residue, virus-neutralizing microantibody. J. Gen. Virol. 86:1791-1800)。他の例は、好ましくはコグネイトフレームワーク領域によって、互いに融合される2つまたはそれ以上のCDR領域を含む小さい抗体模倣物を含む。コグネイトV FR2によって連結されるV CDR1およびV CDR3を含むかかる小さい抗体模倣物は、Qiu et al., 2007によって記載されている(Qiu X.-Q. et al. (2007) Small antibody mimetics comprising two complementary-determining regions and a framework region for tumor targeting. Nature biotechnology 25(8):921-929)。
したがって、本願明細書において使用されるとき、「抗体またはその抗原結合フラグメント」なる用語は、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分、すなわち抗原に免疫特異的に結合する抗原結合部位を含む分子を指す。例えば、標的分子または標的エピトープに特異的に結合するファージディスプレイを含む、技術を介して選択される免疫グロブリン様タンパク質も包含される。本願発明の免疫グロブリン分子は、免疫グロブリン分子のあらゆるタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、好ましくはIgG2aおよびIgG2b、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)またはサブクラスであってよい。
本願発明において使用可能な抗体およびその抗原結合フラグメントは、鳥および哺乳動物を含むあらゆる動物起源由来であってよい。好ましくは、抗体またはフラグメントは、ヒト、チンパンジー、齧歯動物(例えばマウス、ラット、モルモット、またはウサギ)、ニワトリ、シチメンチョウ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ラクダ、ウシ、ウマ、ロバ、ネコ、またはイヌ起源からのものである。抗体がヒトまたはマウス起源であることが特に好ましい。本願発明の抗体はまた、1つの種、好ましくはヒトに由来する抗体定常領域が、別の種、例えばマウスに由来する抗原結合部位と組み合わせられているキメラ分子を含む。さらに、本願発明の抗体は、非ヒト種に由来する(例えばマウスに由来する)抗体の抗原結合部位が、ヒト起源の定常およびフレームワーク領域と組み合わせられているヒト化分子を含む。
本願明細書に例示されるとき、本願発明の抗体は、抗体を発現するハイブリドーマから直接的に得ることができるか、または宿主細胞(例えば、CHO細胞、またはリンパ球細胞)においてクローニングさせるおよび組換え的に発現させることができる。宿主細胞のさらなる例は、微生物、例えば大腸菌、および真菌、例えば酵母である。あるいは、それらは、トランスジェニック非ヒト動物または植物において組換え的に生産することができる。
「キメラ抗体」なる用語は、重鎖および軽鎖のアミノ酸配列のそれぞれの1つの部分が特定の種に由来するかまたは特定のクラスに属する抗体において対応する配列と同種であるが、鎖の残りのセグメントが別の種またはクラスにおいて対応する配列と同種である抗体を指す。一般的には、軽鎖および重鎖の両方の可変領域は哺乳動物の1つの種に由来する抗体の可変領域を模倣するが、定常部分は別の種に由来する抗体の配列と同種である。かかるキメラ形態の1つの明確な利点は、例えばヒト細胞調製物に由来する定常領域と組み合わせて、非ヒト宿主生物からの容易に利用できるB細胞またはハイブリドーマを使用して、可変領域が現在知られている供給源に便利に由来することができることである。可変領域が調製の容易さの利点を有し、特異性が供給源によって影響されないが、ヒトである定常領域は、非ヒト供給源からの定常領域よりも、抗体が注射されるときヒト対象から免疫応答を引き起こす可能性が低い。しかしながら、定義は、この特定の例に限定されない。
「ヒト化抗体」なる用語は、非ヒト種からの免疫グロブリンに実質的に由来する抗原結合部位を有し、分子の残りの免疫グロブリン構造がヒト免疫グロブリンの構造および/または配列に基づく、分子を指す。抗原結合部位は、定常ドメイン上に融合される完全な可変ドメインまたは可変ドメインにおいて適当なフレームワーク領域上にグラフトされる相補性決定領域(CDR)のみのいずれかを含んでよい。抗原結合部位は、野生型であってもよく、または1つ以上のアミノ酸置換によって修飾されてもよく、例えばより密接にヒト免疫グロブリンに似るように修飾されてもよい。ヒト化抗体のいくつかの形態は、全てのCDR配列(例えばマウス抗体からの全ての6つのCDRを含むヒト化マウス抗体)を保存している。他の形態は、起源抗体に対して変化されている1つ以上のCDRを有する。
抗体をヒト化するための種々の方法は、Almagro & Fransson, 2008, Frontiers in Bioscience, 13:1619-1633(その内容を出典明示によりその全体において本願明細書に包含させる)により説明されるとおり、当業者に知られている。Almagro & Franssonによるレビュー記事は、国際特許出願WO 2011/063980 A1の国内段階事項であるUS 2012/0231008 A1において簡潔に要約される。US 2012/0231008 A1およびWO 2011/063980 A1の内容を出典明示によりそれら全体において本願明細書に包含させる。
本願明細書において使用されるとき、「ヒト抗体」は、ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列に由来する可変および定常領域を有する抗体を含む。本願発明のヒト抗体は、ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基(例えば、インビトロでランダムまたは部位特異的突然変異誘発またはインビボで体細胞突然変異によって導入される突然変異)を含んでよい。本願発明のヒト抗体は、例えばKucherlapati & Jakobovitsによる米国特許第5,939,598号に記載されているとおりの、ヒト免疫グロブリンライブラリーまたは1つ以上のヒト免疫グロブリンに対してトランスジェニック動物から単離され、内因性免疫グロブリンを発現しない、抗体を含む。
本願明細書において使用される「モノクローナル抗体」なる用語は、単一の分子組成物の抗体分子の調製物を指す。モノクローナル抗体は、特定のエピトープに対する単一の結合特異性および親和性を示す。1つの態様において、モノクローナル抗体は、不死化細胞に融合された非ヒト動物、例えばマウスから得られるB細胞を含むハイブリドーマにより生産される。
本願明細書において使用されるとき、「組換え抗体」なる用語は、組換え手段によって調製、発現、作成または単離される全ての抗体、例えば、(a)免疫グロブリン遺伝子に対してトランスジェニックまたはトランス染色体である動物(例えば、マウス)またはそこから調製されるハイブリドーマから単離される抗体、(b)例えばトランスフェクトーマから、抗体を発現するように形質転換された宿主細胞から単離される抗体、(c)組み換えコンビナトリアル抗体ライブラリーから単離される抗体、および(d)免疫グロブリン遺伝子配列の他のDNA配列へのスプライシングを含む他の手段によって調製、発現、作成または単離される抗体を含む。
本願明細書において使用されるとき、「トランスフェクトーマ」なる用語は、抗体を発現する組換え真核宿主細胞、例えばCHO細胞、NS/0細胞、HEK293細胞、HEK293T細胞、植物細胞、または酵母細胞を含む真菌を含む。
本願明細書において使用されるとき、「異種抗体」は、かかる抗体を生産するトランスジェニック生物に関して定義される。この用語は、トランスジェニック生物からならない生物体において見いだされたものに対応し、一般的にトランスジェニック生物以外の種に由来するアミノ酸配列を有する抗体またはコードする核酸配列を指す。
本願明細書において使用されるとき、「ヘテロハイブリッド抗体」は、異なる生物起源の軽鎖および重鎖を有する抗体を指す。例えば、マウス軽鎖を伴うヒト重鎖を有する抗体は、ヘテロハイブリッド抗体である。
したがって、本願発明における使用のための適当な「抗体およびその抗原結合フラグメント」は、限定はしないが、ポリクローナル、モノクローナル、一価、二重特異性、ヘテロコンジュゲート、多特異的、組換え、異種、ヘテロハイブリッド、キメラ、ヒト化(特にCDRグラフト化)、脱免疫化、またはヒト抗体、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab’)フラグメント、Fab発現ライブラリーによって生産されるフラグメント、Fd、Fv、ジスルフィド連結Fv(dsFv)、一本鎖抗体(例えばscFv)、ダイアボディまたはテトラボディ(Holliger P. et al. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 90(14), 6444-6448)、ナノボディ(単一ドメイン抗体としても知られている)、抗−イディオタイプ(抗−Id)抗体(例えば、本願明細書に記載されている抗体に対する抗−Id抗体を含む)、および上記のいずれかのエピトープ結合フラグメントを含む。
本願明細書に記載されている抗体は、好ましくは、単離されている。本願明細書において使用される「単離された抗体」は、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない(例えば、C5aに特異的に結合する単離された抗体は、C5a以外の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に含まない)抗体を指すことを意図する。しかしながら、ヒトC5aのエピトープ、アイソフォームまたは変異体に特異的に結合する単離された抗体は、他の関連抗原、例えば他の種からの抗原(例えばC5a種ホモログ、例えばラットC5a)に対して交差反応性を有してもよい。さらに、単離された抗体は、他の細胞物質および/または化学物質を実質的に含まなくてもよい。本願発明の1つの態様において、「単離された」モノクローナル抗体の組合せは、異なる特異性を有し、明確な組成物において組み合わせられている抗体に関する。
物体に適用されるとき、本願明細書において使用されるとき、「天然」なる用語は、物体が自然界で見つけることができるという事実を指す。例えば、自然界で供給源から単離することができる生物体(ウイルスを含む)において存在する、および研究室においてヒトによって意図的に修飾されていない、ポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列は、天然である。
本願明細書において使用されるとき、「核酸アプタマー」なる用語は、標的分子に結合するように、インビトロ選択またはSELEX(指数関数的増加によるリガンドの系統的展開)の繰り返し処理を介して操作されている核酸分子を指す(説明のために、参照:Brody E.N. and Gold L. (2000), Aptamers as therapeutic and diagnostic agents. J. Biotechnol. 74(1):5-13)。核酸アプタマーは、DNAまたはRNA分子であってよい。アプタマーは、修飾、例えば修飾ヌクレオチド、例えば2’−フッ素−置換ピリミジンを含んでよく、および/または標準D−リボース単位(またはD−デオキシリボース単位)の代わりにL−リボース単位(またはL−デオキシリボース)を有する1つ以上のヌクレオチドを含んでよい。
本願明細書において使用されるとき、「抗体様タンパク質」なる用語は、標的分子に特異的に結合するように、(例えばループの突然変異誘発により)操作されているタンパク質を指す。一般的に、かかる抗体様タンパク質は、タンパク質スカフォールドに両末端で付着された少なくとも1つの可変ペプチドループを含む。この二重構造の制限は、抗体に匹敵するレベルに抗体様タンパク質の結合親和性を顕著に増加させる。可変ペプチドループの長さは、一般的に、10から20アミノ酸からなる。スカフォールドタンパク質は、良い溶解度特性を有するあらゆるタンパク質であってよい。好ましくは、スカフォールドタンパク質は、小さい球状のタンパク質である。抗体様タンパク質は、限定されないが、アフィボディ、アフィリン、アフィマー、アフィチン、アルファボディ、アンチカリン、アビマー、DARPins(設計されたアンキリン反復タンパク質)、ファイノマー、クニッツドメインペプチド、およびモノボディを含む(説明のために、参照:Binz H.K. et al. (2005) Engineering novel binding proteins from nonimmunoglobulin domains. Nat. Biotechnol. 23(10):1257-1268)。抗体様タンパク質は、突然変異体の大型ライブラリーから得ることができ、例えば大型ファージディスプレイライブラリーからパニングすることができ、および、通常の抗体と同様に単離することができる。また、抗体様結合タンパク質は、球状のタンパク質における表面に暴露された残基のコンビナトリアル突然変異誘発により得ることができる。抗体様タンパク質は、ときどき、「ペプチドアプタマー」または「抗体模倣物」として称される。
本願明細書において使用されるとき、「ペプチド模倣物」は、ペプチドを模倣するように設計された小さいタンパク質様鎖である。ペプチド模倣物は、一般的に、分子の特性を変更するために既存のペプチドの修飾から生じる。例えば、それらは、分子の安定性または生物学的活性を変化させるように修飾から生じ得る。これは、既存のペプチドからの薬物様化合物の開発において役割を有することができる。これらの修飾は、天然に起こらないペプチドへの変化を含む(例えば変更された骨格および非天然アミノ酸の取り込み)。
本願発明の文脈において、「小分子」なる用語は、2kDa以下の分子量、好ましくは1kDa以下の分子量を有する分子を指す。「小分子」なる用語は、特に、オリゴペプチドでもオリゴヌクレオチドでもない分子を指す。
本願発明の文脈において、(例えば、「該抗体またはその抗原結合フラグメントは、C5aへの結合について(a)の下に示される抗体の1つと競合する」なる表現において)、「Aは、Cへの結合についてBと競合する」なる一般的な表現は、位置Aに列挙された化合物の結合特性を定義するために使用される。該化合物AはCに結合し、化合物BもまたCに結合するが、化合物Aおよび化合物Bは同時にCに結合することができない;すなわち、AおよびBはC上の同じエピトープに(または少なくとも重複エピトープに)結合する。結合においてかかる競合は、競合ELISAまたは表面プラズモン共鳴(SPR)ベースの技術または結合親和性の決定の文脈において上記他の技術のいずれかによって決定することができる。他に明記しない限り、化合物の競合結合特性は、2つの競合する化合物の等モル濃度を使用して20℃でELISAによって決定される。
本願明細書において使用されるとき、「皮膚、好中球性、炎症性疾患」は、該疾患を患っている個体の皮膚の炎症とおよび皮膚への(例えば表皮への)好中球浸潤と関連するあらゆる疾患を指す。「皮膚、好中球性、炎症性疾患」なる用語は、特に、汗腺膿瘍(HS);壊疽性膿皮症(PG);PAPA(化膿性関節炎、PGおよびアクネ);PASH(PG、アクネおよび汗腺膿瘍);PAPASH(化膿性関節炎、アクネ、PGおよび汗腺膿瘍);スイート症候群(SS);角層下膿疱症(SPD);後天性表皮水疱症、持久性隆起性紅斑(EED);好中球性脂肪織炎;腸関連皮膚病−関節炎症候群(BADAS);SAPHO(滑膜炎、アクネ、膿疱症、骨化過剰症、および骨炎)症候群;リウマチ性好中球性皮膚症;家族性地中海熱、クリオピリン関連障害、痛風、およびシュニッツラー症候群を指す。
本願明細書において使用されるとき、「HS関連疾患」なる表現は、限定はしないが、壊疽性膿皮症(PG);PAPA(化膿性関節炎、PGおよびアクネ);PASH(PG、アクネおよび汗腺膿瘍);PAPASH(化膿性関節炎、アクネ、PGおよび汗腺膿瘍);スイート症候群(SS);および角層下膿疱症(SPD)を含む。
IFX−1(代替名:CaCP29; InflaRx GmbH、Germany)は、C5aに特異的に結合する抗体である。IFX−1のCDR配列およびFR配列は、WO 2015/140304 A1(表3)に記載されており、この内容をその全体において出典明示により本願明細書に包含させる。
INab708(InflaRx GmbH、Germany)は、C5aに特異的に結合する別の抗体である。INab708のCDR配列およびFR配列はまた、WO 2015/140304 A1(表3)に記載されており、この内容をその全体において出典明示により包含させる。
MEDI−7814(MedImmune)は、組換えヒト化抗−C5a抗体である。MEDI7814との複合体におけるヒトC5aの結晶構造は、4UU9の下にRCSB Protein Data Bank(DOI: 10.2210/pdb4uu9/pdb)で利用できる。
ALXN−1007(Alexion)は、ヒト化抗−C5a抗体である。
NOX−D21(Noxxon)は、配列40kDaPEG−アミノヘキシル−GCG AUG (dU)GG UGG UGA AGG GUU GUU GGG (dU)GU CGA CGC A(dC)G C(配列番号:34)を有するペグ化混合L−RNA/DNA−アプタマー(Spiegelmer TM)である。NOX−D21は、C5aを標的とする(Hyzewicz J, Tanihata J, Kuraoka M, Nitahara-Kasahara Y, Beylier T, Ruegg UT, Vater A, and Takeda S. 2017. Low-Intensity Training and the C5a Complement Antagonist NOX-D21 Rescue the mdx Phenotype through Modulation of Inflammation. Am. J. Pathol., 187(5):1147-1161;印刷物の前に電子的に発行された: March 18, 2017)。
エクリズマブ(代替名:Soliris TM、5G1−1; h5G1.1; Alexion Pharmaceuticals)は、マウス骨髄腫細胞培養によって生産され、標準バイオプロセス技術によって精製される組換えヒト化モノクローナルIgG2/4κ抗体である。エクリズマブは、ヒトC5に特異的に結合する。エクリズマブは、ヒトIgG2配列およびヒトIgG4配列からのヒト定常領域およびヒトフレームワーク軽鎖および重鎖可変領域上にグラフトされたマウス相補性決定領域を含む。エクリズマブは、2つの448アミノ酸重鎖および2つの214アミノ酸軽鎖から構成され、約148kDaの分子量を有する。エクリズマブの重鎖および軽鎖は、例えばWO 2016/061066 A1においてそれぞれ配列番号:1および配列番号:34として、記載されている。エクリズマブの重鎖および軽鎖をコードする核酸は、例えば米国特許第6,355,245号において、記載されている。
ALXN1210(代替名:BNJ441; Alexion Pharmaceuticals)は、抗−C5抗体である。ALXN1210の重鎖および軽鎖は、WO 2016/209956 A1においてそれぞれ配列番号:14および11として記載されている。
ALXN5500(Alexion)は、ヒト化抗−C5抗体である。それは、次世代のエクリズマブ候補物である。
LFG316(代替名:Tesidolumab、NOV−4; Morphosys、Novartis)は、抗−C5抗体である。
CoversinTM(代替名:EV 576; PAS−coversin; rEV 576; Tissue targeted CoversinTM − Akari; Akari Therapeutics、Evolutec)は、宿主免疫学的応答を引き起こすことなく寄生生物の給餌を手助けする、Ornithodros moubataダニからの唾液分子に由来する組換えタンパク質分子(16.7kDa)である。EV576タンパク質(すなわちCoversin)のアミノ酸配列ならびにそのコードヌクレオチド配列は、WO 2008/029167の図2に示されている。CoversinTMは、C5に結合する。
RA101495(Ra Pharma)は、C5の大環状合成ペプチドインヒビターである(Ricardo A, Arata M, DeMarco S, Dhamnaskar K, Hammer R, Fridkis-Hareli M, Rajagopal V, Seyb K, Tang G-Q, Tobe S and Treco D. 2015. Preclinical Evaluation of RA101495, a Potent Cyclic Peptide Inhibitor of C5 for the Treatment of Paroxysmal Nocturnal Hemoglobinuria. Blood 126:939)。
Zimura(登録商標)(代替名:抗−C5アプタマー; ARC−187; ARC−1905; Avacincaptad pegol sodium; OphthoTech Corporation、Archemix Corporation)は、補体因子C5を阻害するペグ化RNAアプタマーである。ARC1905(すなわちZimura)のヌクレオチド配列は、例えばWO 2005/079363 A2において配列番号:67として、示されており、その構造は、WO 2005/079363 A2の図22において示されている。
AMY−201(Amyndas Pharmaceuticals)は、調節および表面認識ドメインに直接的に連結するH因子の操作された形態である;したがって、それは、ミニFH分子の一種である。
Mirococept(代替名:APT070およびAPT 070C;発案者:Adprotech;開発者:Inflazyme Pharmaceuticals)は、組換え細菌において製造され、天然膜結合ミリストイル静電スイッチペプチドに基づく膜標的両親媒性ペプチドで修飾される、ヒト補体受容体1の最初の3つの短いコンセンサスドメインからなる(Souza DG, Esser D, Bradford R, Vieira AT, and Teixeira MM. 2005. APT070 (Mirococept), a membrane-localised complement inhibitor, inhibits inflammatory responses that follow intestinal ischaemia and reperfusion injury. Br J Pharmacol 145(8):1027-1034)。
BikacioMab(Novelmed)は、NM001と称される抗−Bb因子抗体のF(ab)フラグメントである。抗体NM001は、ATCC受入番号PTA−8543の下に寄託されたハイブリドーマ細胞系1D3によって生産される。
Lampalizumab(代替名:抗−D因子Fab; FCFD4514S; RG7417; TNX−234;発案者:Tanox、開発者:Genentech)は、D因子上のエキソサイトへの結合を介して、D因子および代替補体経路を阻害するヒト化抗−D因子Fabフラグメントである。
ALN−CC5(Alnylam)は、ヒト、霊長類および齧歯動物C5を標的とするRNAi治療物である。C5遺伝子を標的とする例示的なiRNA組成物は、WO 2016/044419に記載されている。
Avacopan(名前CCX168; Chemocentryxによっても知られる)は、式I:
による構造を有する小分子(MW=581.66g/mol)である。avacopanのIUPAC/化学名は、(2R,3S)−2−[4−(シクロペンチルアミノ)フェニル]−1−(2−フルオロ−6−メチルベンゾイル)−N−[4−メチル−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−3−カルボキサミドである。Avacopanは、C5aRの選択的インヒビターである。本願発明の文脈において、「avacopan」なる用語は、式Iによる化合物ならびにその生理学的に許容される塩を指す。
本願発明を実施するために適当でもあるAvacopanと類似の化合物は、国際特許出願WO 2010/075257 A1およびWO 2011/163640 A1に記載されており、これらの内容をそれら全体において出典明示により本願明細書に包含させる。したがって、いくつかの態様において、C5a活性のインヒビターは、式II
[式中、
は、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、ヘテロアリール基は、N、OおよびSから選択される環員として1−3つのヘテロ原子を有し;該アリールおよびヘテロアリール基は、所望により1から3つのR置換基で置換されており;
は、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、ヘテロアリール基は、N、OおよびSから選択される環員として1−3つのヘテロ原子を有し;該アリールおよびヘテロアリール基は、所望により1から3つのR置換基で置換されており;
は、C1−8アルキルまたはヘテロアルキル、C3−8シクロアルキル、C3−8シクロアルキル−C1−4アルキル、アリール、アリール−C1−4アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール−C1−4アルキル、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル−C1−4アルキルからなる群から選択され、ヘテロシクロアルキル基または部分は、N、OおよびSから選択される1−3つのヘテロ原子を有し、ヘテロアリール基は、N、OおよびSから選択される環員として1−3つのヘテロ原子を有し、それぞれのCは、所望により1−3つのR置換基で置換されており;
それぞれのRは、独立して、ハロゲン、−CN、−R、−CO、−CONR、−C(O)R、−OC(O)NR、−NRC(O)R、−NRC(O)2R、−NR−C(O)NR、−NRC(O)NR、−NR、−OR、および−S(O)NRからなる群から選択され;それぞれのRおよびRは、独立して、水素、C1−8アルキル、およびC1−8ハロアルキルから選択され、または同じ窒素原子に結合されるとき、N、OまたはSから選択される環員として0から2つのさらなるヘテロ原子を有する5または6−員環を形成するように窒素原子と結合されてよく、所望により1または2つのオキソで置換されており;それぞれのRは、独立して、C1−8アルキルまたはヘテロアルキル、C1−8ハロアルキル、C3−6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、R、RおよびRの脂肪族および環状部分は、所望により1から3つのハロゲン、ヒドロキシ、メチル、アミノ、アルキルアミノおよびジアルキルアミノ基でさらに置換されており;所望により2つのR置換基が隣接する原子であるとき、融合5または6−員炭素環式またはヘテロ環式環を形成するように結合され;
それぞれのRは、独立して、ハロゲン、−CN、−NO、−R、−CO、−CONR、−C(O)R、−OC(O)NR、−NRC(O)R、−NRC(O)、−NRC(O)NR、−NRC(O)NR、−NR、−OR、および−S(O)NRからなる群から選択され;それぞれのRおよびRは、独立して、水素、C1−8アルキル、およびC1−8ハロアルキルから選択され、または同じ窒素原子に結合されるとき、N、OまたはSから選択される環員として0から2つのさらなるヘテロ原子を有する5または6−員環を形成するように窒素原子と結合されてよく、所望により1または2つのオキソで置換されており;それぞれのRは、独立して、C1−8アルキルまたはヘテロアルキル、C1−8ハロアルキル、C3−6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、R、RおよびRの脂肪族および環状部分は、所望により1から3つのハロゲン、ヒドロキシ、メチル、アミノ、アルキルアミノおよびジアルキルアミノ基でさらに置換されており、所望により2つのR基が隣接する原子であるとき、5または6−員環を形成するように結合され;
それぞれのRは、独立して、ハロゲン、−CN、−R、−CO、−CONR、−C(O)R、−C(O)R、−OC(O)NR、−NRC(O)R、−NRCO、−NRC(O)NR、−NR、−OR、−OR、−S(O)NR、−X−R、−NH−X−R、−O−X−R、−X−NR、−X−NHR、−X−CONR、−X−NRC(O)R、−X−CO、−O−X−CO、−NH−X−CO、−X−NRCO、−O−X−NRCO、−NHRおよび−NHCHからなる群から選択され、XはC1−4アルキレンであり;それぞれのRおよびRは、独立して、水素、C1−8アルキルまたはヘテロアルキル、C3−6シクロアルキルおよびC1−8ハロアルキルから選択され、または同じ窒素原子に結合されるとき、N、OまたはSから選択される環員として0から2つのさらなるヘテロ原子を有する4−、5−または6−員環を形成するように窒素原子と結合されてよく、所望により1または2つのオキソで置換されており;それぞれのRは、独立して、C1−8アルキルまたはヘテロアルキル、C1−8ハロアルキル、C3−6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され;それぞれのRは、C3−6シクロアルキル、イミダゾリル、ピリミジニル、ピロリニル、ピペリジニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、およびS,S−ジオキソ−テトラヒドロチオピラニルからなる群から選択され、R、R、RおよびRの脂肪族および環状部分は、所望により1から3つのハロゲン、メチル、CF、ヒドロキシ、C1−4アルコキシ、C1−4アルコキシ−C1−4アルキル、−C(O)O−C1−8アルキル、アミノ、アルキルアミノおよびジアルキルアミノ基でさらに置換されており、所望により2つのR基が隣接する原子であるとき、5−または6−員環を形成するように結合され;そして
Xは、水素またはCHである]
を有する化合物およびその薬学的に許容される塩、水和物および回転異性体(rotomer)である。
Avacopanと類似の化合物は、改善された溶解度プロフィールを有するが、WO 2017/176620 A2に記載されており、これらの内容をその全体において出典明示により本願明細書に包含させる。したがって、いくつかの他の態様において、C5a活性のインヒビターは、以下の式III:
[式中、
は、H、−O−CH−O−P(O)OROR、−O−C(O)−C1−6アルキレン−L−X、O−P(O)OROR、および−O−C(O)−A−(C1−3アルキレン)−C4−7ヘテロシクリルからなる群から選択され、C4−7ヘテロシクリルは、所望により1から6つのR基で置換されており;
は、C6−10アリール、C3−10シクロアルキル、C5−10ヘテロアリールおよびC5−10ヘテロシクリルからなる群から選択され、これらのそれぞれは、所望により同じか、または異なっていてよい1から5つのRで置換されており;
n=0または1;
は、独立して、結合、−O−C(O)−C1−6アルキレン−、および−NR−C(O)−C1−6アルキレン−からなる群から選択され;
は、独立して、−NR、−P(O)OROR、−O−P(O)OROR、および−COHからなる群から選択され;
は、H、−L−C1−6アルキレン−L−X、−L−(C1−6アルキレン)−A−X、−P(O)OROC(O)−C1−6アルキル、−P(O)ORNRおよび−P(O)ORORからなる群から選択され;
は、独立して、−C(O)−O−、および−C(O)−からなる群から選択され;
は、独立して、結合、−O−C(O)−C2−6アルケニレン−、−O−C(O)−C1−6アルキレン−、および−NR−C(O)−C1−6アルキレン−からなる群から選択され、−NR−C(O)−C1−6アルキレン−および−O−C(O)−C1−6アルキレン−におけるC1−6アルキレンは、所望によりNRで置換されており;
は、独立して、−NR、−P(O)OROR、−O−P(O)OROR、および−COHからなる群から選択され;
m=0または1;
は、C6−10アリール、C3−10シクロアルキル、C5−10ヘテロアリールおよびC5−10ヘテロシクリルからなる群から選択され、これらのそれぞれは、所望により同じか、または異なっていてよい1から5つのRで置換されており;
は、Hまたは−L−P(O)ORORであり、Lは、独立して、結合および−CH−O−からなる群から選択され;
それぞれのRは、独立して、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C1−6ヘテロアルキル、CN、NR、SRおよびORからなる群から選択され;
それぞれのRは、独立して、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C1−6ヘテロアルキル、CN、NR、SRおよびORからなる群から選択され;
それぞれのR、R、R、R、R、R、R、R、RおよびRは、独立して、HおよびC1−6アルキルからなる群から選択され;
それぞれのRは、独立して、HおよびC1−6アルキルからなる群から選択され、C1−6アルキルは、所望により、独立してCOH、NR、C6−10アリール、C3−10シクロアルキル、C5−10ヘテロアリールおよびC5−10ヘテロシクリルから選択される1から5つの置換基で置換されており、それぞれのRおよびRは、独立して、HまたはC1−6アルキルであり;
、RおよびRの2つはHであり、そしてR、RおよびRの1つはH以外である]
の化合物またはその薬学的に許容される塩である。
PMX−53は、C5aR(CD88)の強力なアンタゴニストである。それは、以下の配列:Orn−2およびArg−6間でラクタム橋を有するAc−Phe−環化(Orn−Pro−D−Cha−Trp−Arg)を有する、6つのアミノ酸から構成される環状ペプチドである。PMX−53が少なくとも1つのD−アミノ酸(すなわちD−Cha)を含むため、それは、本願の包含される配列表に含まれていない。PMX−53は、bio-techne GmbH (Wiesbaden-Nordenstadt, Germany), Cat. No. 5473によって市販されている。
本願発明を実施するために適当でもあるPMX−53と類似の化合物は、国際特許出願WO 99/00406 A1、WO 03/033528 A1、およびWO 2008/009062 A1に記載されており、これらをそれら全体において出典明示により本願明細書に包含させる。したがって、いくつかの態様において、C5a活性のインヒビターは、式IV
[式中、
Aは、H、アルキル、アリール、NH、NH−アルキル、N(アルキル)、NH−アリール、NH−アシル、NH−ベンゾイル、NHSO、NHSO−アルキル、NHSO−アリール、OH、O−アルキル、またはO−アリールであり;
Bは、アルキル、アリール、フェニル、ベンジル、ナフチルまたはインドール基、またはD−またはL−アミノ酸の側鎖であるが、グリシン、D−フェニルアラニン、L−ホモフェニルアラニン、L−トリプトファン、L−ホモトリプトファン、L−チロシン、またはL−ホモチロシンの側鎖ではなく;
Cは、D−、L−またはホモ−アミノ酸の側鎖であるが、イソロイシン、フェニルアラニン、またはシクロヘキシルアラニンの側鎖ではなく;
Dは、中性D−アミノ酸の側鎖であるが、グリシンまたはD−アラニンの側鎖、大きな平面的(bulky planar)側鎖、または大きな荷電性(bulky charged)側鎖ではなく;
Eは、大きな(bulky)置換基であるが、D−トリプトファン、L−N−メチルトリプトファン、L−ホモフェニルアラニン、L−2−ナフチル L−テトラヒドロイソキノリン、L−シクロヘキシルアラニン、D−ロイシン、L−フルオレニルアラニン、またはL−ヒスチジンの側鎖ではなく;
Fは、L−アルギニン、L−ホモアルギニン、L−シトルリン、またはL−カナバニンの側鎖、またはその生物学的等価体(bioisostere)であり;そして
は、−(CHNH−または(CHS−(ここでnは1から4の整数である);−(CHO−;−(CHO;−(CH−;−(CH−、−CH−COCHRNH−:または−CH−CHCOCHRNH−(ここでRは任意の一般的なまたは非一般的なアミノ酸の側鎖である)である]
の環状ペプチドまたはペプチド模倣物化合物である。
この文脈において、「一般的なアミノ酸」なる用語は、標準遺伝子コードにより定義される20のタンパク質構成アミノ酸を指す。「非一般的なアミノ酸」なる用語は、限定はしないが、D−アミノ酸、ホモ−アミノ酸、N−アルキルアミノ酸、デヒドロアミノ酸、フェニルアラニン、チロシンおよびトリプトファン以外の芳香族性アミノ酸、オルト−、メタ−またはパラ−アミノ安息香酸、オルニチン、シトルリン、カナバニン、ノルロイシン、δ−グルタミン酸、アミノ酪酸、L−フルオレニルアラニン、L−3−ベンゾチエニルアラニン、およびα,α−二置換アミノ酸を含む。
本願発明を実施するために適当なC5aR(CD88)の特定のアンタゴニストは、WO 2008/009062 A1に記載されている、PMX95、PMX218、PMX200、PMX273、PMX205、およびPMX201を含む。
クローン(clone)S5/1は、C5aに対するヒト受容体(CD88)を認識するモノクローナル抗体である。クローンS5/1は、C5aRのN−末端ドメイン(Met1−Asn31)を含む合成ペプチドに対して生じた。抗体は、その受容体へのC5aの結合を阻害することが示されている。それは、Hycult Biotech (Uden, The Netherlands), Cat. No. HM2094を介して市販されている。
クローン7H110は、C5aに対するヒト受容体(CD88)を認識するモノクローナルマウス抗体である。それは、Biomol GmbH (Hamburg, Germany); Cat. No. C2439-60Nを介して市販されている。
本願明細書において使用されるとき、「患者」は、本願明細書に記載されている化合物での(すなわち本願明細書に記載されているC5a活性のインヒビターでの)処置から利益を得ることができるあらゆる哺乳動物または鳥を意味する。好ましくは、「患者」は、実験動物(例えばマウスまたはラット)、家畜動物(例えばモルモット、ウサギ、ニワトリ、シチメンチョウ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ラクダ、ウシ、ウマ、ロバ、ネコ、またはイヌを含む)、またはチンパンジーおよびヒトを含む霊長類からなる群から選択される。「患者」がヒトであることが特に好ましい。
本願明細書において使用されるとき、疾患または障害の「処置する」、「処置すること」または「処置」は、以下のものの1つ以上を達成することを意味する:(a)障害の重症度および/または期間を減少させること;(b)処置される障害の症状特性の発現を限定または防止すること;(c)処置される障害の症状特性の悪化を阻害すること;(d)以前に障害を有していた患者において障害の再発を限定または防止すること;および(e)障害に対して以前に症候的であった患者において症状の再発を限定または防止すること。
本願明細書において使用されるとき、疾患または障害の「防止する」、「防止すること」、「防止」、または「予防」は、障害が対象において起こることを防止することを意味する。
「有効量」は、意図される目的をなし遂げるために十分な治療剤の量である。所定の治療剤の有効量は、薬剤の性質、投与経路、治療剤を受ける動物のサイズおよび種、および投与の目的などの要因で変化する。それぞれの個々の場合において有効量は、当分野で確立された方法によって当業者により経験的に決定することができる。
「薬学的に許容される」は、連邦政府または州政府の監督官庁によって承認されているか、または動物、さらに特にヒトにおける使用のための米国薬局方または他の一般的に認識された薬局方に列挙されていることを意味する。
本願発明の態様
本願発明は、ここにさらに説明される。以下の段落において、本願発明の異なる局面は、さらに詳細に定義される。以下に定義されるそれぞれの局面は、明確に反対の指示がない限り、あらゆる他の1つの局面または複数の局面と組み合わせてよい。特に、好ましいまたは有利であると示されているあらゆる特徴は、好ましいまたは有利であると示されているあらゆる他の1つの特徴または複数の特徴と組み合わせてよい。
第1の局面において、本願発明は、対象において皮膚、好中球性、炎症性疾患の処置における使用のための化合物であって、化合物は、C5a活性のインヒビターであり、皮膚、好中球性、炎症性疾患は、汗腺膿瘍(HS);壊疽性膿皮症(PG);PAPA(化膿性関節炎、PGおよびアクネ);PASH(PG、アクネおよび汗腺膿瘍);PAPASH(化膿性関節炎、アクネ、PGおよび汗腺膿瘍);スイート症候群(SS);角層下膿疱症(SPD);後天性表皮水疱症、持久性隆起性紅斑(EED);好中球性脂肪織炎;腸関連皮膚病−関節炎症候群(BADAS);SAPHO(滑膜炎、アクネ、膿疱症、骨化過剰症、および骨炎)症候群;リウマチ性好中球性皮膚症;家族性地中海熱、クリオピリン関連障害、痛風、およびシュニッツラー症候群からなる群から選択される、化合物に関する。
第2の局面において、本願発明は、対象において皮膚、好中球性、炎症性疾患の処置のための方法であって、それを必要とする対象に治療量の化合物を投与する工程を含み、化合物は、C5a活性のインヒビターであり、皮膚、好中球性、炎症性疾患は、汗腺膿瘍(HS);壊疽性膿皮症(PG);PAPA(化膿性関節炎、PGおよびアクネ);PASH(PG、アクネおよび汗腺膿瘍);PAPASH(化膿性関節炎、アクネ、PGおよび汗腺膿瘍);スイート症候群(SS);角層下膿疱症(SPD);後天性表皮水疱症、持久性隆起性紅斑(EED);好中球性脂肪織炎;腸関連皮膚病−関節炎症候群(BADAS);SAPHO(滑膜炎、アクネ、膿疱症、骨化過剰症、および骨炎)症候群;リウマチ性好中球性皮膚症;家族性地中海熱、クリオピリン関連障害、痛風、およびシュニッツラー症候群からなる群から選択される、方法に関する。
第3の局面において、本願発明は、皮膚、好中球性、炎症性疾患の処置のための医薬組成物の製造のための化合物の使用であって、化合物は、C5a活性のインヒビターであり、皮膚、好中球性、炎症性疾患は、汗腺膿瘍(HS);壊疽性膿皮症(PG);PAPA(化膿性関節炎、PGおよびアクネ);PASH(PG、アクネおよび汗腺膿瘍);PAPASH(化膿性関節炎、アクネ、PGおよび汗腺膿瘍);スイート症候群(SS);角層下膿疱症(SPD);後天性表皮水疱症、持久性隆起性紅斑(EED);好中球性脂肪織炎;腸関連皮膚病−関節炎症候群(BADAS);SAPHO(滑膜炎、アクネ、膿疱症、骨化過剰症、および骨炎)症候群;リウマチ性好中球性皮膚症;家族性地中海熱、クリオピリン関連障害、痛風、およびシュニッツラー症候群からなる群から選択される、使用に関する。
本願発明の任意の局面のいくつかの態様において、C5a活性のインヒビターは、
−C5の濃度を低下させる(例えば、C3転換酵素の形成および/または活性を阻害することにより;C5転換酵素の形成および/または活性を阻害することにより;C5遺伝子の転写を阻害することにより;C5 mRNAの翻訳を遮断することにより;C5 mRNAの分解を増加させることにより;C5タンパク質の分解を増加させることにより;または肝臓からのC5の分泌を防止することにより);
−C5のC5aおよびC5bへの開裂を阻害する(例えば、C5転換酵素を阻害することにより、またはC5上の切断部位に結合し、それにより開裂を遮断することにより);
−C5aの濃度を低下させる(例えば、C5aタンパク質の分解を増加させることにより);
−C5aおよびC5a受容体間の結合を阻害する(例えば、C5aに結合することにより、またはC5a受容体に結合することにより);
−C5a受容体の濃度を低下させる(例えば、C5a受容体遺伝子の転写を阻害することにより;C5a受容体 mRNAの翻訳を遮断することにより;C5a受容体 mRNAの分解を増加させることにより;C5a受容体タンパク質の分解を増加させることにより);および/または
−C5a受容体の活性を阻害する。
本願発明の任意の局面のいくつかの態様において、C5a活性のインヒビターは、タンパク質リガンド(上記定義のとおりの);オリゴヌクレオチド;および小分子(上記定義のとおりの)からなる群から選択される。C5a活性のインヒビターとして作用するオリゴヌクレオチドは、例えば核酸分子に結合することにより(それにより転写および/または翻訳を阻害する)またはタンパク質に結合することにより(例えばオリゴヌクレオチドが核酸アプタマーであるとき)、阻害効果をなし遂げることができる。
本願発明の任意の局面のいくつかの態様において、C5a活性のインヒビターは、C5タンパク質、またはC5aタンパク質、またはC5a受容体タンパク質に特異的に結合するタンパク質リガンドである。さらなる態様において、タンパク質リガンドは、
(i)抗体(例えば抗−C5抗体、抗−C5a抗体、抗−C5aR抗体、または抗−C5L2抗体)、
(ii)抗体の抗原結合フラグメント、
(iii)抗体様タンパク質、
(iv)C5aの阻害変異体、
(v)C5a受容体の阻害変異体(例えばデコイ受容体)、
(vi)補体経路に作用するタンパク質(例えばCoversin);および
(vii)ペプチド(例えばRA101495(Ra Pharma、Cambridge、MA));PMX−53(bio−techne GmbH (Wiesbaden−Nordenstadt、Germany))
からなる群から選択される。
本願発明の任意の局面のいくつかの態様において、C5a活性のインヒビターは、ヒトC5aのアミノ酸配列NDETCEQRA(配列番号:2)およびSHKDMQL(配列番号:3)によって形成される立体構造エピトープに特異的に結合する、タンパク質リガンドまたはオリゴヌクレオチド、好ましくはタンパク質リガンドである。配列番号:2および3によるアミノ酸配列によって形成される立体構造への結合は、タンパク質リガンドまたはオリゴヌクレオチドが、配列番号:2によるアミノ酸配列内の少なくとも1つのアミノ酸および配列番号:3によるアミノ酸配列内の少なくとも1つのアミノ酸に結合することを意味する。配列番号:2は、ヒトC5aのアミノ酸30−38に対応する。配列番号:3は、ヒトC5aのアミノ酸66−72に対応する。
本願発明の任意の局面のいくつかの態様において、タンパク質リガンドまたはオリゴヌクレオチド、好ましくはタンパク質リガンドは、DETCEQR(配列番号:4)によるアミノ酸配列内の少なくとも1つのアミノ酸に結合する。配列番号:4は、ヒトC5aのアミノ酸31−37に対応する。
本願発明の任意の局面のいくつかの態様において、タンパク質リガンドまたはオリゴヌクレオチド、好ましくはタンパク質リガンドは、HKDMQ(配列番号:5)によるアミノ酸配列内の少なくとも1つのアミノ酸、さらに好ましくはアミノ酸配列KDM内の少なくとも1つのアミノ酸に結合する。配列番号:5は、ヒトC5aのアミノ酸67−71に対応する;配列KDMは、ヒトC5aのアミノ酸68−70に対応する。
本願発明の任意の局面のいくつかの態様において、タンパク質リガンドまたはオリゴヌクレオチド、好ましくはタンパク質リガンドは、アミノ酸配列DETCEQR(配列番号:4)内の少なくとも1つのアミノ酸およびアミノ酸配列HKDMQ(配列番号:5)内の少なくとも1つのアミノ酸に結合する。
本願発明の任意の局面のいくつかの態様において、タンパク質リガンドまたはオリゴヌクレオチド、好ましくはタンパク質リガンドは、アミノ酸配列DETCEQR(配列番号:4)内の少なくとも1つのアミノ酸およびアミノ酸配列KDM内の少なくとも1つのアミノ酸に結合する。
本願発明の任意の局面のいくつかの態様において、C5aの立体構造エピトープを形成する2つの配列(例えば配列番号:2および3;配列番号:4および5;または配列番号:4および配列KDMによる配列対)は、本願発明の結合部分への結合において参加しない1−50個の隣接するアミノ酸によって分離される。以下において、本願発明の結合部分への結合において参加しないかかるアミノ酸は、「結合しないアミノ酸」と称される。立体構造エピトープを形成する2つの配列は、好ましくは6−45個の隣接する結合しないアミノ酸、さらに好ましくは12−40個の隣接する結合しないアミノ酸、さらに好ましくは18−35個の隣接する結合しないアミノ酸、さらに好ましくは24−30個の隣接する結合しないアミノ酸、さらに好ましくは25−29個の隣接する結合しないアミノ酸、よりさらに好ましくは26−28個の隣接する結合しないアミノ酸、およびより好ましくは27個の隣接する結合しないアミノ酸によって分離される。
本願発明の任意の局面のいくつかの態様において、C5aの立体構造エピトープに特異的に結合する、タンパク質リガンドまたはオリゴヌクレオチド、好ましくはタンパク質リガンドは、10nM以下、好ましくは9nM以下、さらに好ましくは8nM以下、さらに好ましくは7nM以下、さらに好ましくは6nM以下、さらに好ましくは5nM以下、さらに好ましくは4nM以下、さらに好ましくは3nM以下、さらに好ましくは2nM以下、およびよりさらに好ましくは1nM以下のK値でのヒトC5aへの結合定数を有する。本願発明の任意の局面のいくつかの態様において、結合部分およびヒトC5a間の解離定数Kは、1pM(ピコモル)および5nM(ナノモル)間、さらに好ましくは2pMおよび4nM間、さらに好ましくは5pMおよび3nM間、さらに好ましくは10pMおよび2nM間、さらに好ましくは50pMおよび1nM間、さらに好ましくは100pMおよび900pM間、さらに好ましくは200pMおよび800pM間、さらに好ましくは300pMおよび700pM間、およびよりさらに好ましくは400pMおよび600pM間である。
本願発明の任意の局面のいくつかの態様において、C5aに特異的に結合する、タンパク質リガンドまたはオリゴヌクレオチド、好ましくはタンパク質リガンドは、1つの分子C5a、特にヒトC5aによって誘導される生物学的効果に対して少なくとも75%遮断活性、好ましくは少なくとも80%遮断活性、さらに好ましくは少なくとも85%遮断活性、さらに好ましくは少なくとも90%遮断活性、さらに好ましくは少なくとも95%遮断活性を示す。これらの特定の遮断活性は、結合部分がC5a、好ましくはヒトC5aに結合する単一のパラトープを含むこれらの態様に言及する。結合部分が2つまたはそれ以上のC5a特異的パラトープを含む態様において、少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、さらに好ましくは少なくとも85%などの該遮断活性は、1つの結合部分分子が結合部分に存在するC5a特異的パラトープの数と等しい多くのC5a分子と接触されるとき、なし遂げられる。言い換えれば、本願明細書に記載されている結合部分のパラトープおよびC5aが当モル濃度で存在するとき、結合部分は、C5aによって誘導される生物学的効果に対して少なくとも75%遮断活性、好ましくは少なくとも80%遮断活性、さらに好ましくは少なくとも85%遮断活性、さらに好ましくは少なくとも90%遮断活性、およびさらに好ましくは少なくとも95%遮断活性を示す。遮断される好ましい生物学的効果は、ヒト全血細胞からのC5a誘導リゾチーム放出である。このC5a誘導リゾチーム放出およびその遮断を決定するためのアッセイは、例えばWO 2011/063980 A1および対応するUS国内段階出願US 2012/0231008 A1において記載されている。
本願発明の任意の局面のいくつかの態様において、タンパク質リガンドは、抗体またはその抗原結合フラグメントであり、該抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(i)配列番号:6に示されている重鎖CDR3配列;または
(ii)配列番号:7に示されている重鎖CDR3配列;
を含み、重鎖CDR3配列は、所望により、1、2、または3つのアミノ酸交換、好ましくは保存的アミノ酸交換、1、2、または3つのアミノ酸欠失、および/または1、2、または3つのアミノ酸付加を含む。
本願発明の任意の局面のいくつかの態様において、タンパク質リガンドは、抗体またはその抗原結合フラグメントであり、該抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(iii)配列番号:8に示されている軽鎖CDR3配列;または
(iv)配列番号:9に示されている軽鎖CDR3配列;
を含み、軽鎖CDR3配列は、所望により、1、2、または3つのアミノ酸交換、好ましくは保存的アミノ酸交換、1、2、または3つのアミノ酸欠失、および/または1、2、または3つのアミノ酸付加を含む。
本願発明の任意の局面のいくつかの態様において、タンパク質リガンドは、抗体またはその抗原結合フラグメントであり、該抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(i)配列番号:6に示されている重鎖CDR3配列および配列番号:8に示されている軽鎖CDR3配列;または
(ii)配列番号:7に示されている重鎖CDR3配列および配列番号:9に示されている軽鎖CDR3配列;
を含み、重鎖CDR3配列は、所望により、1、2、または3つのアミノ酸交換、好ましくは保存的アミノ酸交換、1、2、または3つのアミノ酸欠失、および/または1、2、または3つのアミノ酸付加を含み;および
軽鎖CDR3配列は、所望により、1、2、または3つのアミノ酸交換、好ましくは保存的アミノ酸交換、1、2、または3つのアミノ酸欠失、および/または1、2、または3つのアミノ酸付加を含む。
本願発明の任意の局面のいくつかの態様において、タンパク質リガンドは、抗体またはその抗原結合フラグメントであり、該抗体またはその抗原結合フラグメントは、少なくとも1つの以下の配列:
(v)配列番号:10による重鎖CDR2配列;
(vi)配列番号:11による重鎖CDR2配列;
(vii)配列番号:12による軽鎖CDR2配列;
(viii)配列番号:13による軽鎖CDR2配列;
(ix)配列番号:14による重鎖CDR1配列;
(x)配列番号:15による重鎖CDR1配列;
(xi)配列番号:16による軽鎖CDR1配列;または
(xii)配列番号:17による軽鎖CDR1配列;
を含み、重鎖CDR2配列は、所望により、1、2、または3つのアミノ酸交換、好ましくは保存的アミノ酸交換、1、2、または3つのアミノ酸欠失、および/または1、2、または3つのアミノ酸付加を含み;
軽鎖CDR2配列は、所望により、1、2、または3つのアミノ酸交換、好ましくは保存的アミノ酸交換、1、2、または3つのアミノ酸欠失、および/または1、2、または3つのアミノ酸付加を含み;
重鎖CDR1配列は、所望により、1、2または3つのアミノ酸交換、好ましくは保存的アミノ酸交換、1、2、または3つのアミノ酸欠失、および/または1、2、または3つのアミノ酸付加を含み;および
軽鎖CDR1配列は、所望により、1、2、または3つのアミノ酸交換、好ましくは保存的アミノ酸交換、1、2、または3つのアミノ酸欠失、および/または1、2、または3つのアミノ酸付加を含む。
特定の態様において、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:11、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16、および配列番号:17によるアミノ酸配列のそれぞれ1つにおいて上記列挙されたこれらの所望の変化の総数、すなわちそれぞれの配列において交換、欠失および付加の総数は、1または2である。
特定の態様において、抗体またはその抗原結合フラグメントにおいて存在する全てのCDRについて合計された交換、欠失および付加の総数は、1から5つの間(例えば1、2、3、4、または5つ)である。
本願発明の任意の局面のいくつかの態様において、タンパク質リガンドは、抗体またはその抗原結合フラグメントであり、以下の表1に列挙された重鎖CDR3、重鎖CDR2、および重鎖CDR1配列のセットAからHの1つを含み、
それぞれの重鎖CDR3配列は、所望により、1、2、または3つのアミノ酸交換、好ましくは保存的アミノ酸交換、1、2、または3つのアミノ酸欠失、および/または1、2、または3つのアミノ酸付加を含み;
それぞれの重鎖CDR2配列は、所望により、1、2、または3つのアミノ酸交換、好ましくは保存的アミノ酸交換、1、2、または3つのアミノ酸欠失、および/または1、2、または3つのアミノ酸付加を含み;および
それぞれの重鎖CDR1配列は、所望により、1、2、または3つのアミノ酸交換、好ましくは保存的アミノ酸交換、1、2、または3つのアミノ酸欠失、および/または1、2、または3つのアミノ酸付加を含む。
表1:本願発明の抗体またはそれらのフラグメントにおける使用のために適当な重鎖CDR配列のセット

本願発明の任意の局面のいくつかの態様において、タンパク質リガンドは、抗体またはその抗原結合フラグメントであり、表2に列挙された軽鎖CDR3、軽鎖CDR2、および軽鎖CDR1配列の以下のセットIからIVの1つを含み、
それぞれの軽鎖CDR3配列は、所望により、1、2、または3つのアミノ酸交換、好ましくは保存的アミノ酸交換、1、2、または3つのアミノ酸欠失、および/または1、2、または3つのアミノ酸付加を含み;
それぞれの軽鎖CDR2配列は、所望により、1、2、または3つのアミノ酸交換、好ましくは保存的アミノ酸交換、1、2、または3つのアミノ酸欠失、および/または1、2、または3つのアミノ酸付加を含み;および
それぞれの軽鎖CDR1配列は、所望により、1、2、または3つのアミノ酸交換、好ましくは保存的アミノ酸交換、1、2、または3つのアミノ酸欠失、および/または1、2、または3つのアミノ酸付加を含む。
表2:本願発明の抗体またはそれらのフラグメントにおける使用のために適当な軽鎖CDR配列のセット
抗体IFX−1のCDR2軽鎖配列(配列番号:12)が抗体INab708のCDR2軽鎖配列(配列番号:13)と同一であるため、配列番号:13を含むセットは、配列番号:12を含むセットと冗長であるはずである。したがって、表は、軽鎖CDR配列の4つのセットのみを列挙する。

本願発明の任意の局面のいくつかの態様において、タンパク質リガンドは、抗体またはその抗原結合フラグメントであり、上記表1に列挙された重鎖CDRセットA−Hの1つおよび上記表2に列挙された軽鎖CDRセットI−IVの1つ、すなわちセットの以下の組合せの1つ:A−I、A−II、A−III、A−IV、B−I、B−II、B−III、B−IV、C−I、C−II、C−III、C−IV、D−I、D−II、D−III、D−IV、E−I、E−II、E−III、E−IV、F−I、F−II、F−III、F−IV、G−I、G−II、G−III、G−IV、H−I、H−II、H−III、またはH−IV(ここで、組合せA−IおよびH−IVがとりわけ好ましい)を含み、
それぞれの重鎖CDR3配列は、所望により、1、2、または3つのアミノ酸交換、好ましくは保存的アミノ酸交換、1、2、または3つのアミノ酸欠失、および/または1、2、または3つのアミノ酸付加を含み;
それぞれの重鎖CDR2配列は、所望により、1、2、または3つのアミノ酸交換、好ましくは保存的アミノ酸交換、1、2、または3つのアミノ酸欠失、および/または1、2、または3つのアミノ酸付加を含み;
それぞれの重鎖CDR1配列は、所望により、1、2、または3つのアミノ酸交換、好ましくは保存的アミノ酸交換、1、2、または3つのアミノ酸欠失および/または1、2、または3つのアミノ酸付加を含み;
それぞれの軽鎖CDR3配列は、所望により、1、2、または3つのアミノ酸交換、特に保存的アミノ酸交換、1、2、または3つのアミノ酸欠失、および/または1、2、または3つのアミノ酸付加を含み;
それぞれの軽鎖CDR2配列は、所望により、1、2、または3つのアミノ酸交換、好ましくは保存的アミノ酸交換、1、2、または3つのアミノ酸欠失、および/または1、2、または3つのアミノ酸付加を含み;および
それぞれの軽鎖CDR1配列は、所望により、1、2、または3つのアミノ酸交換、好ましくは保存的アミノ酸交換、1、2、または3つのアミノ酸欠失および/または1、2、または3つのアミノ酸付加を含む。
本願発明の任意の局面のいくつかの態様において、タンパク質リガンドは、抗体またはその抗原結合フラグメントであり、(i)IFX−1のVHドメインまたは(ii)INab708のVHドメインを含む、本質的にからなる、またはからなるVHドメインを含む。
IFX−1およびINab708のVHドメインを定義するFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、およびFR4配列は、以下の表3に示される。
本願発明の任意の局面のいくつかの態様において、タンパク質リガンドは、抗体またはその抗原結合フラグメントであり、(i)IFX−1のVLドメインまたは(ii)INab708のVLドメインを含む、本質的にからなる、またはからなるVLドメインを含む。
IFX−1およびINab708のVLドメインを定義するFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、およびFR4配列は、以下の表3に示される。
表3:抗体IFX−1およびINab708のCDRおよびFR配列(Chothia分類モード)

本願発明の任意の局面のいくつかの態様において、C5a活性のインヒビターは、C5、またはC5a、またはC5a受容体に特異的に結合するオリゴヌクレオチドである。さらなる態様において、オリゴヌクレオチドは、核酸アプタマーである。核酸アプタマーは、DNA−アプタマー、D−RNAアプタマー、およびL−RNAアプタマー(例えば、SpiegelmersTM)からなる群から選択されてよい。
本願発明の任意の局面のいくつかの態様において、C5a活性のインヒビターは、C5タンパク質またはC5a受容体タンパク質の発現を減少させる。さらなる態様において、C5タンパク質またはC5a受容体タンパク質の発現を減少させる該C5a活性のインヒビターは、アンチセンスDNA、アンチセンスRNA、siRNA、およびmiRNAからなる群から選択されるオリゴヌクレオチドである。
本願発明の任意の局面のいくつかの態様において、C5a受容体は、C5aRおよび/またはC5L2である。本願発明の任意の局面の好ましい態様において、C5a受容体は、C5aR(CD88またはC5aR1としても知られている)である。
本願発明の任意の局面のいくつかの態様において、C5a活性のインヒビターは、
(a)IFX−1、INab708、MEDI−7814、ALXN−1007、またはNOX−D21、またはそれらの抗原結合フラグメント;
(b)C5aへの結合について(a)の下に示される抗体の1つと競合する、抗体またはその抗原結合フラグメント;
(c)エクリズマブ、ALXN1210、ALXN5500、またはLFG316、またはそれらの抗原結合フラグメント;
(d)C5への結合について(c)の下に示される抗体の1つと競合する、抗体またはその抗原結合フラグメント;
(e)CoversinまたはRA101495;
(f)C5への結合について(e)の下に示されるタンパク質またはペプチドの1つと競合する、抗体またはその抗原結合フラグメントまたはタンパク質または大環状ペプチド;
(g)Zimura;
(h)C5への結合についてZimuraと競合する、抗体またはその抗原結合フラグメントまたはアプタマー;
(i)AMY−201またはMirococept;
(j)C3bへの結合について(i)の下に示されるタンパク質の1つと競合する、抗体またはその抗原結合フラグメントまたはタンパク質;
(k)Bikaciomab;
(l)Factor Bへの結合についてBikaciomabと競合する、抗体またはその抗原結合フラグメント;
(m)Lampalizumab;
(n)Factor Dへの結合についてLampalizumabと競合する、抗体またはその抗原結合フラグメント;
(o)ALN−CC5;
(p)Avacopanまたは式IIまたは式IIIに記載の化合物またはPMX−53または式IVに記載の化合物;
(q)C5aRへの結合についてavacopanまたはPMX−53と競合する、抗体またはその抗原結合フラグメント;
(r)クローン S5/1またはクローン 7H110、またはその抗原結合フラグメント;および
(s)C5aRへの結合について(r)の下に示される抗体の1つと競合する、抗体またはその抗原結合フラグメント
からなる群から選択される。
本願発明の任意の局面のいくつかの態様において、皮膚、好中球性、炎症性疾患は、
−自己炎症性疾患(より正確には:皮膚、好中球性、自己炎症性疾患);または
−皮膚炎症を伴う自己免疫疾患(より正確には:皮膚、好中球炎症を伴う自己免疫疾患)
である。
本願発明の任意の局面のいくつかの態様において、皮膚、好中球性、炎症性疾患は、汗腺膿瘍(HS);壊疽性膿皮症(PG);PAPA(化膿性関節炎、PGおよびアクネ);PASH(PG、アクネおよび汗腺膿瘍);PAPASH(化膿性関節炎、アクネ、PGおよび汗腺膿瘍);スイート症候群(SS);角層下膿疱症(SPD);後天性表皮水疱症、持久性隆起性紅斑(EED);好中球性脂肪織炎;腸関連皮膚病−関節炎症候群(BADAS);およびSAPHO(滑膜炎、アクネ、膿疱症、骨化過剰症、および骨炎)症候群からなる群から選択される自己炎症性疾患である。
本願発明の任意の局面のいくつかの態様において、皮膚、好中球性、炎症性疾患は、壊疽性膿皮症(PG);PAPA(化膿性関節炎、PGおよびアクネ);PASH(PG、アクネおよび汗腺膿瘍);PAPASH(化膿性関節炎、アクネ、PGおよび汗腺膿瘍);スイート症候群(SS);および角層下膿疱症(SPD)からなる群から選択されるHSまたはHS関連疾患である。
本願発明の任意の局面のいくつかの態様において、皮膚、好中球性、炎症性疾患は、リウマチ性好中球性皮膚症;家族性地中海熱、クリオピリン関連障害、痛風、およびシュニッツラー症候群からなる群から選択される皮膚炎症を伴う自己免疫疾患である。
本願発明の第1または第3の局面のいくつかの態様において、化合物は、1週間に1回800mgの用量でまたは1週間に2回800mgの用量で投与される。第1または第3の局面のさらなる態様において、
−C5a活性のインヒビターは、C5aに特異的に結合する化合物である(好ましくは、IFX−1、INab708、MEDI−7814、ALXN−1007、NOX−D21、およびそれらの抗原結合フラグメントからなる群から選択される;さらに好ましくは、C5a活性のインヒビターは、IFX−1、INab708、MEDI−7814、ALXN−1007およびそれらの抗原結合フラグメントからなる群から選択される;よりさらに好ましくは、C5a活性のインヒビターは、IFX−1およびその抗原結合フラグメントからなる群から選択される;より好ましくは、C5a活性のインヒビターは、IFX−1である);および
−皮膚、好中球性、炎症性疾患は、汗腺膿瘍(HS)である;および
−化合物は、1週間に1回800mgの用量でまたは1週間に2回800mgの用量で投与される。
第1または第3の局面のさらなる態様において、C5a活性のインヒビターは、静脈内に投与される。第1または第3の局面のさらなる態様において、C5a活性のインヒビターは、処置の第1の週において800mgの用量で1週間に2回および処置の第2および後の週において800mgの用量で1週間に1回投与される。第1または第3の局面のさらなる態様において、処置の総期間は、5から12週間(例えば5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、または12週間)である。
本願発明の第2の局面のいくつかの態様において、化合物は、1週間に1回800mgの用量でまたは1週間に2回800mgの用量で投与される。第2の局面のさらなる態様において、
−C5a活性のインヒビターは、C5aに特異的に結合する化合物である(好ましくは、IFX−1、INab708、MEDI−7814、ALXN−1007、NOX−D21、およびそれらの抗原結合フラグメントからなる群から選択される;さらに好ましくは、C5a活性のインヒビターは、IFX−1、INab708、MEDI−7814、ALXN−1007およびそれらの抗原結合フラグメントからなる群から選択される;よりさらに好ましくは、C5a活性のインヒビターは、IFX−1およびその抗原結合フラグメントからなる群から選択される;より好ましくは、C5a活性のインヒビターは、IFX−1である);および
−皮膚、好中球性、炎症性疾患は、汗腺膿瘍(HS)である;および
−化合物は、1週間に1回800mgの用量でまたは1週間に2回800mgの用量で投与される。
第2の局面のさらなる態様において、C5a活性のインヒビターは、静脈内に投与される。第2の局面のさらなる態様において、化合物は、処置の第1の週において800mgの用量で1週間に2回および処置の第2および後の週において800mgの用量で1週間に1回投与される。第2の局面のさらなる態様において、処置の総期間は、5から12週間(例えば5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、または12週間)である。
医薬組成物および投与様式
本願発明の任意の局面の実施において、化合物(例えば本願明細書に記載されているC5a活性のインヒビター)または該化合物を含む医薬組成物は、患者において化合物の十分なレベルを提供する当分野で確立されたあらゆる経路によって、患者に投与されてよい。全身的または局所的に投与することができる。かかる投与は、非経腸的、経粘膜的、例えば、経口、経鼻、経直腸、膣内、舌下、粘膜下的、経皮、または吸入的であってよい。好ましくは、投与は、例えば、静脈内または腹腔内注射を介する、限定はしないが、動脈内、筋肉内、皮内および皮下投与も含む、非経口である。本願明細書に記載されている化合物(例えば本願明細書に記載されているC5a活性のインヒビター)または該化合物を含む医薬組成物が局所的に投与されるとき、処置される臓器または組織に直接的に注射することができる。
経口投与のために適合される医薬組成物は、カプセルまたは錠剤;粉末または顆粒;溶液、シロップまたは懸濁液(水性または非水性液体中);食用のフォーム(foam)またはホイップ;またはエマルジョンとして提供されてよい。錠剤または硬ゼラチンカプセルは、ラクトース、デンプンまたはその誘導体、ステアリン酸マグネシウム、サッカリン酸ナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウム、ステアリン酸またはその塩を含んでよい。軟ゼラチンカプセルは、植物油、ワックス、脂肪、半固体、または液体ポリオールなどを含んでよい。溶液およびシロップ剤は、水、ポリオールおよび糖を含んでよい。
経口投与のために意図される活性剤は、胃腸管において活性剤の分解および/または吸収を遅延させる物質(例えば、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルが使用され得る)でコーティングまたはと混合されてよい。したがって、活性剤の持続放出は、数時間にわたってなし遂げられることができ、必要な時、活性剤は、胃内で破壊されることから保護されることができる。経口投与のための医薬組成物は、特定のpHまたは酵素条件によって特定の消化器位置で活性剤の放出を容易にするように製剤化されてもよい。
経皮投与のために適合される医薬組成物は、長期間、レシピエントの表皮との密接な接触でとどまることを意図される別々のパッチとして提供されてよい。局所投与のために適合される医薬組成物は、軟膏、クリーム、懸濁液、ローション、粉末、溶液、ペースト、ゲル、スプレー、エアロゾルまたはオイルとして提供されてよい。皮膚、口、眼または他の外部組織への局所投与のために、局所軟膏またはクリームが好ましくは使用される。軟膏において製剤化されるとき、活性成分は、パラフィンまたは水混和性軟膏ベースのいずれかで使用されてよい。あるいは、活性成分は、水中油型ベースまたは油中水型ベースでクリームにおいて製剤化されてもよい。眼への局所投与のために適合される医薬組成物は、点眼薬を含む。これらの組成物において、活性成分は、適当な担体、例えば、水性溶媒において溶解または懸濁させることができる。口において局所投与のために適合される医薬組成物は、ドロップ、トローチおよび口内洗浄液を含む。
経鼻投与のために適合される医薬組成物は、固体担体、例えば粉末(好ましくは20から500ミクロンの範囲の粒径を有する)を含んでよい。粉末は、嗅ぎ薬を取る様式において、すなわち、鼻の近くに保持された粉末の容器から鼻を介する迅速な吸入により、投与することができる。あるいは、経鼻投与のために採用される組成物は、液体担体、例えば、鼻腔用スプレーまたは点鼻薬を含んでよい。これらの組成物は、活性成分の水性または油性溶液を含んでよい。吸入による投与のための組成物は、活性成分のあらかじめ決められた用量を提供するように構築することができる、限定はしないが、加圧エアロゾル、噴霧器または吸入器を含む、特別に適合されるデバイスにおいて供給されてよい。医薬組成物はまた、鼻腔を介して肺へ投与されてよい。
経直腸投与のために適合される医薬組成物は、坐薬またはかん腸剤として提供されてよい。膣内投与のために適合される医薬組成物は、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォームまたはスプレー製剤として提供されてよい。
非経口投与のために適合される医薬組成物は、抗酸化剤、バッファー、静菌剤および組成物を意図されるレシピエントの血液と実質的に等張にさせる溶質を含んでよい、水性および非水性滅菌注射可能な溶液または懸濁液を含む。このような組成物において存在してもよい他の成分は、例えば、水、アルコール、ポリオール、グリセリンおよび植物油を含む。非経口投与のために適合される組成物は、単位用量または複数用量の容器、例えば密封アンプルおよびバイアルにおいて提供されてよく、および使用の直前に、注射のための滅菌液体担体、例えば滅菌塩水の付加のみを必要とするフリーズドライされた(凍結乾燥された)状態において保存されてよい。即時注射溶液および懸濁液は、滅菌粉末、顆粒および錠剤から調製されてよい。
好ましい態様において、本願明細書に記載されている化合物(例えば本願明細書に記載されているC5a活性のインヒビター)は、ヒトへの静脈内投与のために適合される医薬組成物として日常的な処理にしたがって製剤化される。一般的には、静脈内投与のための組成物は、滅菌等張水性バッファーの溶液である。必要なとき、組成物はまた、注射の部位に痛みを和らげるために、可溶化剤および局所麻酔、例えばリドカインを含んでよい。一般的には、成分は、例えば、活性剤の量を示すアンプルまたは小袋(sachette)などの密封容器において凍結乾燥粉末または無水濃縮物として、単位投与形態において別々にまたは互いに混合されてのいずれかで提供される。組成物が注入により投与される場合、滅菌医薬品グレード水または塩水を含む注入ボトルで分配することができる。組成物が注入により投与される場合、投与前に成分を混合することができるように、滅菌塩水のアンプルが提供されてもよい。
他の態様において、例えば、化合物(例えば本願明細書に記載されているC5a活性のインヒビター)または該化合物を含む医薬組成物は、制御放出システムで送達することができる。例えば、化合物は、静脈内注入、移植可能な浸透圧ポンプ、経皮パッチ、リポソーム、または他の投与様式を使用して、投与されてもよい。1つの態様において、ポンプを使用してもよい(Sefton (1987) CRC Crit. Ref. Biomed. Eng. 14: 201; Buchwald et al. (1980) Surgery 88:507; Saudek et al. (1989) N. Eng. J. Med. 321: 574参照)。他の態様において、化合物は、小胞、特にリポソームにおいて送達することができる(Langer (1990) Science 249:1527-1533; Treat et al. (1989) in Liposomes in the Therapy of Infectious Disease and Cancer, Lopez-Berestein and Fidler (eds.), Liss, N.Y., 353-365; WO 91/04014; U.S. 4,704,355参照)。他の態様において、ポリマー物質を使用することができる(Medical Applications of Controlled Release (1974) Langer and Wise (eds.), CRC Press: Boca Raton, Fla.; Controlled Drug Bioavailability, Drug Product Design and Performance, (1984) Smolen and Ball (eds.), Wiley: N.Y.; Ranger and Peppas (1953) J. Macromol. Sci. Rev. Macromol. Chem. 23: 61参照; Levy et al. (1985) Science 228:190; During et al. (1989) Ann. Neurol. 25: 351; Howard et al. (1989) J. Neurosurg. 71: 105も参照)。
さらに他の態様において、制御放出システムは、治療標的、すなわち、標的細胞、組織または臓器の近接に置くことができ、したがって全身用量の一部のみを必要とする(例えば、Goodson (1984) 115-138 in Medical Applications of Controlled Release, vol. 2参照)。他の制御放出システムは、Langer (1990, Science 249: 1527-1533)によるレビューにおいて説明される。
特定の態様において、処置を必要とする領域に局所的に、本願明細書に記載されている化合物(例えば本願明細書に記載されているC5a活性のインヒビター)または該化合物を含む医薬組成物を投与することが望ましい可能性がある。このことは、例えば、限定ではなく、手術中の局所注入、例えば、手術後の創傷被覆材と共に、局所適用、注射により、カテーテルの手段により、坐薬の手段により、またはインプラントの手段によりによってなし遂げられてよく、該インプラントは、シラスティック膜などの膜、または繊維を含む、多孔性、非多孔性、またはゼラチン状物質である。
好ましい有効用量の選択は、当業者に知られるいくつかの因子を考慮することに基づいて当業者によって決定される。かかる因子は、医薬組成物の特定の形態、例えばポリペプチドまたはベクター、およびその薬物動態パラメーター、例えばバイオアベイラビリティ、代謝、半減期などを含み、医薬化合物について規制当局の承認を得ることにおいて一般的に使用される通常の開発処理中に確立される。用量を考慮することにおけるさらなる因子は、防止およびまたは処置される状態または疾患または正常個体においてなし遂げられる利益、患者の体重、投与経路、投与が急性または慢性であるか、併用投薬、および投与される医薬品の有効性に影響することがよく知られている他の因子を含む。したがって、正確な用量は、標準臨床技術によって、例えば個々の患者の状態および免疫状態に依存して、開業医の判断およびそれぞれの患者の状況にしたがって決定されるべきである。
実施例
以下の実施例は、本願発明のさらなる説明のために提供される。しかしながら、本願発明は、これらに限定されず、以下の実施例は、上記記載に基づいて本願発明の実施可能性を単に示す。
1. 方法
1.1 ザイモサンA貯蔵溶液およびザイモサンA活性化血漿(ZAP)の調製
ザイモサンAを50ml滅菌塩水において2mg/mlに溶解し、100℃で1時間沸騰させた。遠心分離後、上清を廃棄し、ペレットを50ml滅菌塩水に再懸濁した。第2の遠心分離工程後、ペレットを5ml滅菌塩水に再懸濁し、20mg/ml貯蔵溶液を得た。貯蔵溶液をアリコートし、使用まで−20℃で貯蔵した。血漿を活性化するために、ザイモサンA貯蔵溶液および100μl血漿を混合し、37℃で30分間インキュベートした。インキュベーション後、チューブを遠心し、上清をアリコートし、使用まで−20℃で貯蔵した。
1.2 刺激物としてrhC5aまたはZAPを使用するCD11bアッセイ
ヒト全血をrhC5aまたはZAPで刺激した。rhC5aに対するIFX−1および関連のないコントロールIgG4の遮断活性を試験するために、抗体を1:1および0.5:1の最終Ab/Agモル比に希釈した。eC5aに対するIFX−1の遮断活性を試験するために、IFX−1を希釈し、約4:1/3:1/2:1/1:1/0.5:1の最終Ab/Agモル比に到達させた。バッファーのみを有する血液が非刺激コントロールとして役割を担い、ベースラインCD11b発現を評価した。抗体単独を有する血液を使用し、非刺激条件下で抗体のCD11b発現の効果を決定した。完全な混合物(Ab/Ag/血液)を37℃で20分間インキュベートし、CD11bのC5a誘導上方制御を評価した。抗−マウスCD11b:FITCの付加後、サンプルを氷上で30分間インキュベートし、背景染色を最小限にした。顆粒球をゲートし(gated)、FITC標識(CD11b発現)顆粒球の平均蛍光強度(MFI)をフローサイトメーターにより試験した。
1.3 全血においてrhC5aまたはザイモサンAを使用するCD11bアッセイ
ヒト血液をrhC5aまたはザイモサンAで刺激し、完全な混合物(Ab/Ag/血液)を37℃で20分間インキュベートし、CD11bのC5a誘導上方制御を刺激した。インキュベーション後、2μlの抗−マウスCD11b:FITCまたはアイソタイプ:FITCコントロールを加え、サンプルを氷上で30分間インキュベートし、背景染色を最小限にした。溶解後、フローサイトメーターを使用して細胞を分析した。FSC/SSC ドット−プロット(dot-plot)に関して、顆粒球をゲートし(gated)、FITC標識(CD11b発現)顆粒球の平均蛍光強度(MFI)を全サンプルセットについて試験した。
1.4 サイトカインIL−8 ELISA
取扱説明書において「Assay procedure」(eBioscience Inc., San Diego, CA)の下に推奨されるとおりに、ヒトIL−8 ELISAを行った。簡潔には、100μl 1x 捕捉抗体を使用して一晩4℃で被覆を行った。200μl 1x アッセイ希釈剤を使用してRTで1時間プレートをブロックした。標準貯蔵溶液を1x アッセイ希釈剤で所望の濃度に希釈し、次に6連続1:2希釈した。必要に応じて1x アッセイ希釈剤においてサンプル上清を希釈した。「Assay procedure」によると、100μlの標準希釈物およびサンプル希釈物を被覆プレートに加え、RTで1時間インキュベートし、次に、100μl 1x 検出抗体(RT、1時間)および100μl 1x アビジン−HRP(RT、30分)とインキュベーションした。暗所でRTで10分間100μlTMB基質溶液で発色を行い、100μl停止溶液で終了させた。450nmでプレートリーダーを使用して、吸光度を30分以内に読み出した。全ての標準およびサンプルからゼロ標準値(ブランク)を引いた。サンプルのサイトカイン濃度を、含まれる標準サンプルのlog(x)/log(y)標準曲線を使用して計算した。
1.5 C5a ELISA
精製された抗−ヒトC5aモノクローナル抗体(InflaRx GmbH, Jena, Germany)を、ELISAプレート上で0.5μg/mLの最終濃度で一晩被覆した。アッセイ希釈剤(0.05% Tween 20および2% 加熱不活性化FBSを有する1x PBS)での遮断後、アッセイ希釈剤において希釈されたキャリブレーションサンプル(組換えヒトC5a、Sigma, Taufkirchen, Germany)およびサンプルを室温で90分インキュベートした。アッセイ希釈剤において2μg/mLに希釈されたマウス抗−ヒトC5/C5a抗体 クローン561(Hycult Biotech, Uden, The Netherlands)を、室温で60分間インキュベーションに関して一次検出抗体として適用し、次にアッセイ希釈剤において0.05μg/mLに希釈された二次セイヨウワサビペルオキシダーゼ標識抗体(ヤギ抗−マウスIgG2aポリクローナル抗体、SouthernBiotech, Birmingham, USA)と30分インキュベーションした。テトラメチルベンジジン基質溶液(TMB, Biozol, Eching, Germany)で発色を行い、3.7N硫酸で停止させた。Tecan MagellanTMを備えたTecan Infinite(登録商標) 200 reader(Tecan Group, Maennedorf, Switzerland)により450nmの吸光度としてODを読んだ。社内で開発されたC5a ELISAを、生物学的分析方法検証に関するEMAガイドラインにしたがって検証した。
5つの異なる濃度で試験されたアッセイ内およびアッセイ間精度は、それぞれ6および18回の繰り返しに対して0.65%から4.96%および1.50%から4.88%の変動係数(CV)を示した。バッファーにおけるスパイクされた組換えヒトC5aの回収分析は、定量化の下限で86.98±1.20%(平均±SD)および定量化の上限で91.50±3.29%の回収をもたらした。C3、C3aおよびC4についての交差反応性は無いことが検出され、C5b−6について<0.01%の交差反応性が検出された。ヒトIgG4抗体は、アッセイを妨げなかった。20人のヒトボランティアからのクエン酸血漿中の平均C5aレベルは、7.52ng/mLから30.17ng/mLの範囲で17.08ng/mL±6.96ng/mLである。
1.6 補体活性化産物の測定
補体活性化産物C3a、C5aおよび膜侵襲複合体C5b−9の濃度を、ELISAにより測定した。C3a ELISA(BD OptEIATM Human C3a ELISA Kit、BD Bioscience, Germany)を、製造業者の指示にしたがって行った。BD OptEIATM Human C5b−9 ELISA Set(BD Bioscience)に基づくInflaRxにより検証されたC5b−9 ELISAを使用して、C5b−9濃度を決定した。上記InflaRxにより確立および検証されたC5a ELISAを使用して、C5a濃度を測定した。
1.7 統計分析
全ての結果を平均±標準偏差として示した。グループ間の統計的差異を、ベースライン補正後、Tukeyの多重比較試験を含む一元配置分散分析により、または2グループについてスチューデントのt検定により計算した。0.05のp値を計算において使用して、任意の2グループ間の有意な差異があるか否かを決定した。グラフの作成および統計分析を、GraphPad PRISM(登録商標) V6.05 (CA, USA)で行った。
2. 前臨床関連データ
2.1 C5aによる好中球活性化およびIFX−1の遮断効果
CD11b上方制御が好中球活性化について感受性特徴であるため、好中球におけるCD11bレベルを使用して、好中球活性化を評価した。この試験において、ヒト全血モデルを使用して、組換えヒトC5a(rhC5a)に対するIFX−1の遮断活性を評価した。ヒト全血をバッファー、抗体単独、rhC5a単独、または異なる抗体濃度およびrhC5aの組合せとインキュベートした。インキュベーション後、細胞を抗−マウスCD11b:FITCで染色し、CD11b MFIを血中好中球の活性化レベルについて確認するフローサイトメトリーにより分析した。図1に示されるとおり、組換えヒトC5aは、ヒト好中球におけるCD11b上方制御を強く刺激する。この効果は、抗−ヒトC5a抗体 IFX−1の存在下で完全に遮断することができる。この阻害は強く特異的であり、不適切なヒトIgG4抗体は遮断活性を示さなかった。
内因性C5a(eC5a)の供給源として、ザイモサン活性化血漿(ZAP)を使用して、血中好中球を刺激した。ZAPにおけるeC5aの量を、市販のC5a ELISA Kitを使用して測定した。ここに提示されたデータ(図2)は、ZAPにおけるeC5aがrhC5aに匹敵するレベルのCD11b上方制御を誘導したことを指摘する。IFX−1の存在は、0.5:1のAb:Agモル比であっても、ヒト好中球におけるCD11b発現を有意に減少させた。ZAP誘導CD11b上方制御に対するIFX−1の総遮断活性は、Ab:Ag比率に依存して、100%から82%の範囲であった。ZAPにおいて高レベルのeC3aおよび他の補体活性化産物の存在にもかかわらず、IFX−1は、CD11b上方調節を最大100%特異的に遮断することができる。したがって、eC5aはZAP刺激時の好中球活性化の唯一の原動力であり、IFX−1はそれを完全に遮断することができると結論付けることができる。
2.2 C5a遮断は、ヒト全血においてザイモサン誘導炎症性応答を弱力させる
活性な真菌壁構成成分としてのザイモサンAは、高められたサイトカインおよびケモカインのレベルでの好中球の活性化により特徴付けられるように、ヒト全血において強い炎症性応答を誘導することができる。この試験において、ヒト全血をIFX−1の存在または非存在下でザイモサンAとスパイクし、血中好中球におけるCD11b発現をフローサイトメトリー分析により測定した。図3に示されるとおり、血中好中球におけるCD11bは、ザイモサンの存在でヒト全血において強く上方制御された。ザイモサン刺激によるCD11b上方調節は、加えられたIFX−1の濃度に依存して79%−93%に抑制することができる。ポジティブコントロールとして、rhC5aによって刺激されたCD11b上方制御は、IFX−1によって100%遮断された。したがって、ザイモサンA刺激時の血中好中球におけるCD11b上方制御はeC5aによって主に引き起こされることが肯定される。加えて、eC5aは、ザイモサンAによって全血において生成されると、最初にIFX−1に結合し、それによりその天然受容体へのその接近を遮断すると結論付けることができる。
同じ実験設定において、IL−8レベルを測定し、使用して、炎症性応答を評価した。種々の用量のザイモサンA刺激後のIL−8濃度は、IFX−1の非存在下で458pg/mlから3218pg/mlの範囲であった。図4に示されるとおり、IFX−1の存在は、種々の濃度のザイモサンAでの刺激時にIL−8生成を有意に低下させ、最大54%の減少率が観察された。したがって、炎症の全血環境において、ザイモサン誘導炎症性応答はC5aの存在に大きく依存する。
3. 臨床関連データ
3.1 臨床サンプルから得られるデータ
3.1.1 HS患者における補体活性化
HSを有する合計54人の患者および14人の健常者を、試験において登録した。患者をギリシャのATTIKON大学病院の感染症の免疫の外来部門において追跡下である。試験は、病院の倫理委員会によって承認された。書面によるインフォームドコンセントが全ての患者によって提供された。HSの診断は、以下の基準:a)思春期後の早期発症;b)アポクリン腺にて豊富な皮膚の領域における皮下結節の存在;およびc)患部からの膿の反復性排膿の適合履歴、に基づいた。
補体因子C3aおよびC5aならびに膜侵襲複合体sC5b−9の循環濃度を、54人の患者および14人の健常コントロールの血漿において、ならびに7人の患者の膿において決定した。図5に示されるとおり、循環C5aは、コントロール血漿よりも患者血漿において有意に大きく(P<0.01)、患者およびコントロール間のC3aおよびC5b−9の違いは、同様の有意性であった。したがって、全身補体活性化がHSにおいて起こると結論付けることができる。自然免疫および適応免疫における補体活性化の本質的な役割を考慮すると、本願発明者らは、補体活性化の標的化がHSの処置のための新規な治療戦略となる可能性があると想定した。
しかしながら、上記結果から、C3a、C5aまたはC5−9bまたは他の補体活性化産物のどの1つがこの新規な治療戦略のための最も有望な標的であるか、およびこれらの因子の1つのみを標的化することが十分であるか否か、または補体活性化に関与する2つまたはそれ以上の因子が標的化されるべきであるか否かは、不明であった。
3.1.2 HS血漿によって誘導される血中好中球におけるCD11b上方調節の遮断
好中球活性化にてHS血漿サンプルにおいてC5aの役割を決定するために、高レベルのC5aを有するHS血漿サンプルを選択し、ヒト全血モデルを使用することによって評価した。図6に示されるとおり、低いC5aレベルを有するコントロール血漿サンプル(Ctrl 008およびCtrl 012)と対照的に、高レベルのC5aを有するHS血漿サンプル(Pat.088およびPat.092)は、血中好中球におけるCD11b発現を強く上方調節した。組換えヒトC5aをポジティブコントロールとして使用し、一方、健常者からの血漿をネガティブコントロールとして使用した。HS血漿によって誘導されるCD11b上方調節は、IFX−1によって100%抑制することができ、C5aが好中球活性化を開始するためのHS血漿において最も重要な活性化因子であることを示す。これらの新規な結果から、本願発明者らは、HS患者においてC5aの遮断が、好中球活性化の強い抑制をなし遂げるために十分であると結論付けた。
3.2 臨床試験から得られるデータ
3.2.1 試験設計
中程度から重度の汗腺膿瘍を有する11人の患者においてオープンラベル第II相試験を、ギリシャのATTIKON大学病院の内科で実施した。
試験の一次的な目的は、8週間にわたって投与されるIFX−1の安全性および忍容性を調査することであった。試験の二次的な目的は、IFX−1の薬物動態学および薬力学を評価すること、ならびにさらなる仮説を生成するために臨床エンドポイントにおけるIFX−1の有効性の予備データを生成すること(例えば、HiSCR、DLQI、疾患状態についてVAS、疼痛についてVAS、HS−PGA、修飾されたSartorius Score)であった。登録された患者を、最初の週に800mg IFX−1で2回および合計8週間処置のためにその後1週間に1回で処置した;すなわち、IFX−1を1、4、8、15、22、29、36、43、および50日目に800mg IFX−1の9回静脈内用量において投与した。全ての患者を、さらに12週間追跡した。
スクリーニングでの包含基準:
1.男性または女性患者18歳
2.書面によるインフォームドコンセント
3.少なくとも1年間のHSの診断
4.1つがHurley Stage IIまたはIIIである少なくとも2つの異なる解剖学的領域のHS病変
5.総AN(膿瘍および小節)数
6.生物学的処置の一次的または二次的機能不全のいずれかを有する、または他の生物学的処置に適していない患者
注意:一次的機能不全は、効果なしの生物学的化合物での少なくとも12週処置として、二次的機能不全は、生物学的化合物での少なくとも12週処置後の最初の反応を成し遂げ、次に再発として定義される
7.以前の抗菌剤処置の失敗
スクリーニングでの除外基準:
1.150kgを超える体重または60kg未満の体重
2.ベースラインでの30以上の排液性瘻孔数を有する
3.次の24週以内に計画される外科的操作
4.過去14日間以内に静脈内抗菌剤処置に至るHSの再燃の発生
5.試験製品の評価、結果評価、または試験の満足な実施を妨げる可能性のある他の疾患および状態
a)活動性感染
b)重度の鬱血性心不全(すなわち、NYHAクラスIV)
c)鬱病
d)全身性エリテマトーデスまたはリウマチ性関節炎の病歴
e)免疫不全疾患
f)活動性血液または固形悪性腫瘍
g)患者は、HSの評価を妨げる可能性のある他の活動性皮膚疾患または状態(例えば、細菌、真菌、またはウイルス感染)を有していてはならない
6.次の異常な検査結果の1つ
a)白血球数<2,500/mm
b)好中球数<1000/mm
c)血清クレアチニン>3x正常上限(UNL)
d)総ビリルビン>2xUNL
e)アラニン−アミノトランスフェラーゼ(ALAT)>2xUNL
f)B型肝炎、C型肝炎、またはHIV 1/2について陽性スクリーニング試験
7.過去3月において生物学的化合物の事前投与
8.過去3週間の1mg/kg以上のプレドニゾンまたは同等物の1日摂取として定義されるコルチコステロイドの摂取;
9.過去30日間以内の免疫抑制剤の摂取(例えば、シクロスポリン、タクロリムス)
10.一般的な除外基準
a)妊娠中(妊娠可能性のある女性において、尿妊娠検査が実施されるべきである)または授乳中の女性
b)試験に参加している間、適当な避妊手段を実践する意思がない(例えば、インプラノン、注射、経口避妊薬、子宮内避妊具、精管切除術パートナー、自制)妊娠可能性のある女性(最後の月経から2年以内と定義される)
c)過去3か月以内の介入臨床試験への参加
d)既知の静脈内薬物乱用
e)治験実施施設の従業員、治験スタッフ(例えば、治験担当医、治験分担医師、または治験看護師)の配偶者/パートナーまたは親族、またはスポンサーとの血縁関係
3.2.2 臨床試験結果
IFX−1は、HS患者によって良好な忍容性である。処置期間にわたって報告された薬物関連の重篤な有害事象はなかった。
汗腺膿瘍臨床反応(HiSCR)において一般的に使用される有効性パラメーター。HiSCRは、(基準を定義する)病変の3種の状態:膿瘍(流動性、排膿の有無にかかわらず、圧痛または疼痛)、炎症性小結節(圧痛、紅斑、化膿性肉芽腫病変)および排液性瘻孔(洞管、皮膚表面への伝達あり、排液性膿性液)により定義される。処置に対する応答者(HiSCR達成者)の提案される定義は、(i)ANにおいて少なくとも50%減少、(ii)膿瘍の数において増加なし、および(iii)ベースラインから排液性瘻孔の数の増加なしである。HiSCRは、HSの炎症性兆候の応答性のおよび臨床的に意味のあるエンドポイントとして、最近、検証されている(Kimball and others, 2014)。
8週間の処置期間にわたるHiSCR応答がこの試験において調査され、最大56日まですでに処置された11人の患者のうち8人が応答し、これは72.7%の応答率および43%から91%の95%信頼区間を示す。これらの結果を病歴データと比較するために、有効性パラメーターとしてHiSCRを使用したプラセボ対照臨床試験を検出するために文献検索を行った。以下の表4は、最近完了された5つの試験を要約する:
表4.有効性パラメーターとしてHiSCRを使用する完了された臨床試験


Humira EMA 評価レポート:
http://www.ema.europa.eu/docs/en_GB/document_library/EPAR_-_Assessment_Report_-_Variation/human/000481/WC500195564.pdf
アナキンラ試験(Tzanetakou and others, 2016)
プレスリリース XBiotech(http://investors.xbiotech.com/phoenix.zhtml?c=253990&p=irol-newsArticle&ID=2246777)
合計で179人の患者が、これらの試験のプラセボグループにおいて19.0%の応答率で14%から25%の95%信頼区間で処置されている。両方の信頼区間(例えば、病歴プラセボ患者およびIFX−1で処置された患者)が重複しないため、IFX−1の有意な処置効果を結論付けることができる。
患部の写真記録は、処置後の炎症肥大および発赤の視覚的減少によって証明されるとおり、皮膚において高度に低下した炎症によりこれらの見出したことを確認した。
したがって、抗C5aは、HSの疾患環境における強力な抗炎症剤を示す。この臨床的所見は、C5aの遮断が、好中球の活性化を低下させるために高度に有効であり、それにより皮膚好中球炎症性疾患を効果的に緩和するということを証明する。
4. C5A−C5AR軸阻害を介する汗腺膿瘍患者における活性化された補体因子によって誘導されるCD11B上方調節の遮断
4.1 目的
以下の試験の目的は、抗−ヒトC5aモノクローナル抗体IFX−1、抗−ヒトC5a受容体C5aR(CD88)抗体、およびC5aRアンタゴニストならびにC5aRインヒビターによる、好中球の表面における汗腺膿瘍(HS)患者血漿誘導CD11b上方調節の遮断を証明することであった。
4.2 アッセイ原理
炎症の部位での好中球の蓄積は、CD11b(インテグリンアルファMとしても知られている)を含む接着分子の発現に依存する(Larson and Springer, 1990; Carlos and Harlan, 1990)。細胞内プールから好中球の表面へのCD11b/CD18の上方調節および動員は、ヒト好中球のローリング作用および移動に不可欠である(Smith et al., 1989)。したがって、CD11b/CD18の発現の増強は、炎症を引き起こす事象を反映する。ヒトCD11bアッセイは、好中球の表面上のFITC−コンジュゲートされた抗−CD11b抗体を検出するために、フローサイトメトリーを使用して行われる。HS患者血漿サンプルにおいて活性化された補体産物、とりわけ上昇した内因性C5a(eC5a)は、好中球における受容体C5aR(CD88)へのC5aの結合を介するCD11b発現を強く上方制御することができる。結果として、C5a−C5aR軸の遮断は、好中球の表面上のCD11b上方調節を廃止または減衰すると予期される。
臨床開発に導入される最初の抗−ヒトC5aモノクローナル抗体としてのIFX−1は、組織および臓器の損傷を引き起こす炎症性応答を制御することを証明されている。この抗体は、現在、中等度または重度の汗腺膿瘍を有する患者についてフェーズIIb試験において評価されている。それは、末端補体アナフィラトキシンC5aを特異的および直接的に中和し、急性および慢性炎症性疾患の両方において重要な炎症性メディエーターとしてのその有害な効果を遮断する(Klos et al., 2009; Guo and Ward, 2005; Riedemann et al., 2017)。
C5aは、高アフィニティーC5a受容体(C5aRおよびC5L2)との相互作用を介してその効果を発揮する(Guo and Ward, 2005)。C5aRは、7つの膜貫通セグメントを有するG−タンパク質−共役受容体のロドプシンファミリーに属し、C5L2は、G−タンパク質共役ではない。C5a−C5aRシグナル伝達は、炎症結果の病因において非常に重要であると一般的に理解される(Ward, 2009)。したがって、C5aRを標的とすることは、補体依存性炎症性疾患を阻害するための別の戦略である。C5aのC−末端に由来する一連の小分子は、C5aRアンタゴニストとして開発された。その中で、リード化合物の環状ヘキサペプチドPMX−53(AcF−[OP(D−Cha)WR])(Finch et al., 1999)は、静脈内、皮下、腹腔内、および経口投与後の炎症の多くの動物モデルにおいて損傷を軽減することが示された(Proctor et al. 2006)。C5aと構造的類似性で、かかるアンタゴニストは、好中球におけるC5a受容体に対してC5aと競合する(March et al., 2004)。加えて、抗−C5aR抗体は、C5aRへのC5aの結合をブロックし、それにより骨髄由来サプレッサー細胞および好中球の蓄積および活性化を低下させることができた(Markiewski et al., 2008)。2つの市販されているモノクローナル抗−C5aR抗体であるクローンS5/1および7H110をこの試験において試験した。それらは、C5aRのN−末端細胞外ドメイン(Met1−Asn31)および組換えヒトC5aR(Met1−Val350)をそれぞれ含む合成ペプチドに対してマウスにおいて産生され、両方の抗体が中和抗体として記載された。Avacopan(CCX168)は、補体C5a受容体(C5aR)を選択的に阻害する経口的に投与される小分子薬物候補物であり、炎症性疾患および自己免疫疾患のために開発されている(Bekker et al., 2008; Jayne et al., 2017)。
C5a−C5aR軸を標的とするこれらの遮断薬の阻害効果を、好中球におけるCD11b上方調節の遮断についてフローサイトメトリーを介してモニターした。
4.3 実験の詳細
4.3.1 サンプル
Hidradenitis Suppurativa Foundation 2009のコンセンサス定義および診断基準によると、2人のHS患者(Pat. 088 & Pat. 092)および2人の健常コントロール(Ctrl 009 & Ctrl 010)の血漿サンプルをこの試験に含んだ。補体系は、C3a、C5aおよびC5b−9の上昇したレベルに現れるように、HSの病因において活性化された(以下の表5参照)。患者088および092(それぞれ93.77ng/mLおよび70.01ng/mL)のC5aレベルは、健常コントロールのもの(21.02ng/mLおよび11.77ng/mL)よりも優位に高い。
表5.試験対象の血漿サンプルにおいて測定された補体因子の濃度


4.3.2 試薬
・AnalaR水、VWR (Darmstadt、Germany)、Cat. No. 102923C、NORMAPUR 分析用、滅菌フィルター済
・ACD、Sigma Aldrich (Taufkirchen、Germany)、Cat. No. C3821−50ML
・フローサイトメーターのための試薬
○ FACS Flow Sheat Fluid、BD Bioscience (NJ、USA)、Cat. No. 342003
○ FACS Shutdown溶液、BD Bioscience (NJ、USA)、Cat. No. 334224
○ FACS Clean溶液、BD Bioscience (NJ、USA)、Cat. No. 340345
○ ラット抗マウスCD11b:FITC、BD Bioscience (NJ、USA) Cat. No. 553310、0.5mg/mL
○ 10×FACS Lysing 溶液、BD Bioscience (NJ、USA)、Cat. No. 349202 → 希釈標準溶液: 1× FACS Lysing溶液 (AnalaR水において1:10希釈された)
○ Stainingバッファー:1×PBS溶液における 1% 加熱不活性化FBS + 0.1% アジ化ナトリウム
・FBS、Thermo Fisher Scientific (Darmstadt、Germany)、Cat. No. 10099133 熱不活性化: 56℃、30分
・PBS粉末、Sigma Aldrich (Taufkirchen、Germany)、Cat. No. P3813−10PAK
・アジ化ナトリウム、VWR (Darmstadt、Germany)、Cat. No. 1.06688.0250
・組換えヒトC5a(rhC5a)、Hycult Biotech (Uden、Netherlands)、Cat. No. HC2101、滅菌AnalaR水に溶解された大腸菌において発現された
・0.9% 滅菌塩化ナトリウム (塩水)、B.Braun (Melsungen、Germany)、Cat. No. 3200950
・IFX−1、コントロールとして適用される抗−ヒトC5a抗体、InflaRx (Jena、Germany)、PBS + 0.05% Tween80中10mg/mL
・PMX−53、bio−techne (Wiesbaden−Nordenstadt、Germany)、Cat. No. 5473
・抗−C5aR(CD88)抗体 クローン S5/1、Hycult Biotech (Uden、Netherlands)、Cat. No. HM2094
・抗−C5aR(CD88)抗体 クローン 7H110、biomol (Hamburg、Germany)、Cat. No. C2439−60N
・Avacopan、MedKoo Biosciences Inc. (Morrisville、USA)、Cat. No. 319575
・12% ACDを含む健常ドナーからのヒト血液(即時使用)
・Jena University Hospitalからのヒト血漿プール(クエン酸血漿)
4.3.3 装置
フローサイトメーター(DIVA ソフトウェア V6.1.2を備えたFACS Canto II)
4.3.4 手順
a)ヒトCD11b効力アッセイ(フローサイトメトリーアッセイ)
2人の患者血漿サンプルPat. 088およびPat. 092(5μL)を、100μLの全容量においてC5a−C5aR軸ブロッカー(抗−C5a抗体IFX−1、抗−C5aR抗体クローン S5/1およびクローン 7H110、C5aR アンタゴニスト PMX−53、およびC5aRインヒビター Avacopan; 10μL)の非存在または存在において、新鮮なヒト血液(60μL、好中球の供給源として)とインキュベートした。患者サンプルに適用される手順にしたがって調製される2つのコントロール血漿サンプル(Ctrl 009およびCtrl 010、5μL)は、非特異的活性化のためのコントロールとして機能した。塩水のみ(40μL)または正常ヒト血漿プール(huPP 5μL + 塩水 35μL)を有する血液は、CD11bのベースライン発現を定義するために非刺激コントロールとして機能した。正常ヒト血漿プールを有し、組換えヒトC5a(rhC5a)でスパイクされた血液サンプルは、刺激する条件を模倣した。全てのサンプルを、CD11b上方調節を活性化するために、37℃で20分間インキュベートした。氷上で冷却後、2μLのFITC−コンジュゲートされた抗−マウスCD11b抗体をサンプルに加えた。バックグラウンドシグナルを最小限にするために、標識されたサンプルを暗所でさらに30分間氷上に放置した。次に、赤血球を室温で10分間で1× FACS Lysing 溶液で溶解した。2mL Stainingバッファーを使用して、残りの細胞を2回洗浄した。2500rpmで3分間遠心分離後、細胞を0.5mL Stainingバッファーに再懸濁し、FACS分析の準備をした。FSC対SSCプロットにゲートを設定して、好中球のサイズを有する細胞のみを分析できるようにした。
C5a−C5aR軸遮断試験物質の遮断活性(BA)のパーセントを以下の式を使用して計算した。ここで、MFIは、好中球におけるCD11b結合FITCから放出される平均蛍光強度である。
BA(%)=(MFI患者血漿−MFI試験物質スパイク患者血漿)÷(MFI患者血漿−MFIhuPP)×100
b)統計分析
グラフは、GraphPad Prism 7 (CA、USA)で作成された。
4.4 結果および考察
好中球におけるインテグリンCD11bの発現
好中球におけるCD11b発現を、2人の健常血液ドナー(Ctrl 009およびCtrl 010)および2人の診断されたHS患者(Pat. 088およびPat. 092)からの血漿サンプルで評価した。Ctrl−サンプルの平均蛍光強度(MFI)は2156.9±114.3であり、これは非刺激CD11bベースライン発現範囲内にある(MFI3500)。対照的に、CD11b発現の2.3から3.9倍の上昇が、HS患者サンプル(Pat. 088、Pat. 092)または20nM 組換えヒトC5a(rhC5a)のいずれかによって誘導された(図8、9、10および11;表6、7および8)。これらのデータは、有意に上方調節されたCD11b発現がHS患者において炎症性因子によって介在されたことを示唆する。補体活性化産物、とりわけC5aは、CD11b上方調節において主な役割を果たすと仮定される(表5)。
表6.補体因子誘導CD11b上方調節に対する抗C5aR抗体 クローン S5/1および7H110、およびC5aRアンタゴニストPMX−53の遮断活性


表7.補体因子誘導CD11b上方調節に対する抗C5a抗体 IFX−1およびC5aRアンタゴニストPMX−53の遮断活性


抗ヒトC5aRモノクローナル抗体、C5aRアンタゴニストおよびC5aRインヒビターによるCD11b上方調節の阻害
図8に示されるとおり、rhC5a(20nM)および高レベルのeC5aを有する2つのHS患者血漿サンプル(Pat. 088およびPat. 092)は、血液好中球におけるCD11b発現を強く上方調節したが、50nMの最終濃度でのC5aRを標的とする遮断抗体の存在は、rhC5aまたはHS患者血漿サンプルのいずれかによって駆動されるCD11b発現を有意に弱めることができた。71%から79%の範囲である高い遮断活性が抗−C5aR抗体、クローン 7H110およびクローン S5/1を使用することによって成し遂げられた(図8、表9および6)。対照的に、小さなヘキサペプチドであるC5aRアンタゴニストPMX−53は、C5aR特異的モノクローナル抗体ほど効果的ではなかった。同じ濃度のPMX−53(50nM)によって得られた遮断活性は、50%から57%内であった(図9A、表9および6)。C5aR阻害を介してCD11b上方調節の廃止がなし遂げることができるか否かを試験するために、高濃度のPMX53(20μM)を同じ実験セットアップで遮断活性についてさらに評価した。結果として、HS患者血漿サンプルならびにrhC5aによって誘導されるCD11b上方調節は、高レベルのPMX−53の存在において完全に無効にされた(図9B、表9および7)。同様のデータが、C5aRインヒビターであるAvacopanの存在下でなし遂げられた(図11、表8および9)。100μM Avacopanの存在下での遮断活性が77%から80%内であり、HS患者血漿によって誘導されるCD11b上方調節は500μM Avacopanの存在下で完全に遮断された(図11、表8および9)。
これらの結果は、C5a/C5aR軸が血液好中球におけるCD11b上方調節に主に関与すること、およびC5aRがC5a活性を遮断するための可能性のある標的として役割を果たすことができることを示唆した。
表8.補体因子誘導CD11b上方調節に対するC5aRインヒビターであるAvacopanの遮断活性


表9.HS患者血漿またはrhC5aスパイクされた健常ヒト血漿によって誘導されるCD11b上方調節における全てのC5a−C5aR軸遮断試験分子の要約された遮断活性(%)


抗ヒトC5aモノクローナル抗体であるIFX−1は、HS誘導CD11b上方調節を完全に遮断した
上記と同じ実験設定を使用することによって、予期されるとおり、rhC5aおよびHS患者血漿サンプル(Pat. 088およびPat. 092)は血液好中球におけるCD11b発現を強く活性化し、20nMという低濃度でのIFX−1の付加はCD11b上方調節を完全に無効にすることができた(図10)。これらの結果は、IFX−1がC5a/C5aR駆動炎症性応答を阻害することにおいてより効率的であることを示す。
4.5 結論
総合すれば、我々の結果は、C5a標的アプローチ、すなわち抗C5aモノクローナル抗体であるIFX−1の適用がC5a介在CD11b上方調節を効果的に無効にすることを示す。さらに、抗C5aR抗体、C5aRアンタゴニストならびにC5aRインヒビターはまた、同じ実験条件下で強い遮断活性を示した。したがって、遮断抗体またはアンタゴニストでのC5aRの標的化は、炎症状態、例えばHS下でC5a/C5aR軸を遮断する代替戦略を示す。
参考文献


Claims (14)

  1. 対象において皮膚、好中球性、炎症性疾患の処置における使用のための化合物であって、化合物は、C5a活性のインヒビターであり、皮膚、好中球性、炎症性疾患は、汗腺膿瘍(HS);壊疽性膿皮症(PG);PAPA(化膿性関節炎、PGおよびアクネ);PASH(PG、アクネおよび汗腺膿瘍);PAPASH(化膿性関節炎、アクネ、PGおよび汗腺膿瘍);スイート症候群(SS);角層下膿疱症(SPD);後天性表皮水疱症、持久性隆起性紅斑(EED);好中球性脂肪織炎;腸関連皮膚病−関節炎症候群(bowel-associated dermatosis-arthritis syndrome)(BADAS);SAPHO(滑膜炎、アクネ、膿疱症、骨化過剰症、および骨炎)症候群;リウマチ性好中球性皮膚症;家族性地中海熱、クリオピリン関連障害、痛風、およびシュニッツラー症候群からなる群から選択される、化合物。
  2. C5a活性のインヒビターが、
    −C5の濃度を低下させる;
    −C5のC5aおよびC5bへの開裂を阻害する;
    −C5aの濃度を低下させる;
    −C5aおよびC5a受容体間の結合を阻害する;
    −C5a受容体の濃度を低下させる;および/または
    −C5a受容体の活性を阻害する
    請求項1に記載の使用のための化合物。
  3. C5a活性のインヒビターが、C5、またはC5a、またはC5a受容体に特異的に結合するタンパク質リガンドである、請求項1または2に記載の使用のための化合物。
  4. タンパク質リガンドが、
    (i)抗体、
    (ii)抗体の抗原結合フラグメント、
    (iii)抗体様タンパク質、
    (iv)C5aの阻害変異体、
    (v)C5a受容体の阻害変異体、
    (vi)補体経路に作用するタンパク質;および
    (vii)ペプチド
    からなる群から選択される、請求項3に記載の使用のための化合物。
  5. C5a活性のインヒビターが、C5、またはC5a、またはC5a受容体に特異的に結合するオリゴヌクレオチドである、請求項1または2に記載の使用のための化合物。
  6. オリゴヌクレオチドが、DNA−アプタマー、D−RNAアプタマー、およびL−RNAアプタマーからなる群から選択される、請求項5に記載の使用のための化合物。
  7. C5a活性のインヒビターが、C5タンパク質またはC5a受容体タンパク質の発現を減少させる、請求項1または2に記載の使用のための化合物。
  8. 該C5a活性のインヒビターが、アンチセンスDNA、アンチセンスRNA、siRNA、およびmiRNAからなる群から選択されるオリゴヌクレオチドである、請求項7に記載の使用のための化合物。
  9. C5a受容体が、C5aRおよび/またはC5L2である、請求項2から8のいずれかに記載の使用のための化合物。
  10. C5a活性のインヒビターが、
    (a)IFX−1、INab708、MEDI−7814、ALXN−1007、またはNOX−D21、またはそれらの抗原結合フラグメント;
    (b)C5aへの結合について(a)の下に示される抗体の1つと競合する、抗体またはその抗原結合フラグメント;
    (c)エクリズマブ、ALXN1210、ALXN5500、またはLFG316、またはそれらの抗原結合フラグメント;
    (d)C5への結合について(c)の下に示される抗体の1つと競合する、抗体またはその抗原結合フラグメント;
    (e)CoversinまたはRA101495;
    (f)C5への結合について(e)の下に示されるタンパク質またはペプチドの1つと競合する、抗体またはその抗原結合フラグメントまたはタンパク質または大環状ペプチド;
    (g)Zimura;
    (h)C5への結合についてZimuraと競合する、抗体またはその抗原結合フラグメントまたはアプタマー;
    (i)AMY−201またはMirococept;
    (j)C3bへの結合について(i)の下に示されるタンパク質の1つと競合する、抗体またはその抗原結合フラグメントまたはタンパク質;
    (k)Bikaciomab;
    (l)Factor Bへの結合についてBikaciomabと競合する、抗体またはその抗原結合フラグメント;
    (m)Lampalizumab;
    (n)Factor Dへの結合についてLampalizumabと競合する、抗体またはその抗原結合フラグメント;
    (o)ALN−CC5;
    (p)Avacopanまたは式IIまたは式IIIに記載の化合物;またはPMX−53または式IVに記載の化合物;
    (q)C5aRへの結合についてavacopanまたはPMX−53と競合する、抗体またはその抗原結合フラグメント;
    (r)クローン S5/1またはクローン 7H110、またはその抗原結合フラグメント;および
    (s)C5aRへの結合について(r)の下に示される抗体の1つと競合する、抗体またはその抗原結合フラグメント
    からなる群から選択される、請求項1から9のいずれかに記載の使用のための化合物。
  11. 皮膚、好中球性、炎症性疾患が、汗腺膿瘍(HS);壊疽性膿皮症(PG);PAPA(化膿性関節炎、PGおよびアクネ);PASH(PG、アクネおよび汗腺膿瘍);PAPASH(化膿性関節炎、アクネ、PGおよび汗腺膿瘍);スイート症候群(SS);角層下膿疱症(SPD);後天性表皮水疱症、持久性隆起性紅斑(EED);好中球性脂肪織炎;腸関連皮膚病−関節炎症候群(BADAS);およびSAPHO(滑膜炎、アクネ、膿疱症、骨化過剰症、および骨炎)症候群からなる群から選択される自己炎症性疾患である、請求項1から10のいずれかに記載の使用のための化合物。
  12. 皮膚、好中球性、炎症性疾患が、壊疽性膿皮症(PG);PAPA(化膿性関節炎、PGおよびアクネ);PASH(PG、アクネおよび汗腺膿瘍);PAPASH(化膿性関節炎、アクネ、PGおよび汗腺膿瘍);スイート症候群(SS);および角層下膿疱症(SPD)からなる群から選択されるHSまたはHS関連疾患である、請求項1から10のいずれかに記載の使用のための化合物。
  13. 皮膚、好中球性、炎症性疾患が、リウマチ性好中球性皮膚症;家族性地中海熱、クリオピリン関連障害、痛風、およびシュニッツラー症候群からなる群から選択される皮膚炎症を伴う自己免疫疾患である、請求項1から10のいずれかに記載の使用のための化合物。
  14. 化合物が、1週間に1回800mgの用量でまたは1週間に2回800mgの用量で投与される、請求項1から13のいずれかに記載の使用のための化合物。
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