JP2020522555A - 組み合わせ療法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、有効量のヒトICOSを標的とする薬剤および有効量のヒトPD1またはヒトPD-L1を標的とする薬剤を患者に逐次的に投与するステップを含む、それを必要とする患者での癌を治療する方法を提供する。本発明はまた、それを必要とするヒトで癌の治療での逐次的使用のための、抗ICOS抗体またはその抗原結合性断片および抗PD1抗体またはその抗原結合性断片も提供する。本発明はまた、それを必要とするヒトでの癌の治療での逐次的使用のための、抗ICOS抗体またはその抗原結合性断片および抗PD-L1抗体またはその抗原結合性断片も提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、一般的には、ヒト疾患の治療での免疫療法に関する。より具体的には、本発明は、癌の治療での、抗ICOS抗体、抗PD1抗体、および抗PDL1抗体などの免疫調節因子の連続投与の使用に関する。
癌免疫は、効果的に惹起された際には抗腫瘍応答を達成することができる、一連の負の免疫チェックポイントおよび正の共刺激受容体により厳密に調節される、マルチステッププロセスである(Mellman, I., et al. (2011) Cancer Immunotherapy Comes of Age. Nature 480(7378), 480-489)。しかしながら、腫瘍は、免疫浸潤の応答性を変化させることにより、免疫クリアランスを回避する様々なメカニズムを確立している。一部の例では、腫瘍は単一のメカニズムに強く依存するであろうが、これらのケースでは、単剤免疫調節療法を用いて著明な臨床的活性を達成できる可能性がある(Hoos, A. (2016). Development of immuno-oncology drugs - from CTLA4 to PD1 to the next generations. Nat Rev Drug Discov. 15(4), 235-47)。しかしながら、腫瘍は、多くの場合に、抗腫瘍免疫応答をブロックするための、複数の重複した冗長なメカニズムを利用するので、広範囲の腫瘍タイプにわたる耐久性のある有効性のために組み合わせ療法が必要とされることが多いであろう。したがって、新規の免疫標的化型療法が、すべての癌の治療を改善するために必要とされる。
Mellman, I., et al. (2011) Cancer Immunotherapy Comes of Age. Nature 480(7378), 480-489 Hoos, A. (2016). Development of immuno-oncology drugs - from CTLA4 to PD1 to the next generations. Nat Rev Drug Discov. 15(4), 235-47
つまり、疾患、特に癌の治療のための、免疫調節因子の投与に関する組み合わせ治療および戦略に対する必要性がある。
一態様では、本発明は、有効量のヒトICOSを標的とする薬剤および有効量のヒトPD1またはヒトPD-L1を標的とする薬剤を逐次的に患者に投与するステップを含む、それを必要とする患者での癌を治療する方法であって、ヒトICOSを標的とする薬剤の投与に続いて、ヒトPD1またはヒトPD-L1を標的とする薬剤の投与が行なわれる、上記方法を提供する。一実施形態では、ヒトICOSを標的とする薬剤は、ICOSアゴニストである。一実施形態では、ヒトPD1またはヒトPD-L1を標的とする薬剤は、PD1アンタゴニストである。
一態様では、本発明は、それを必要とするヒトでの癌の治療での逐次的使用のための、抗ICOS抗体またはその抗原結合性断片および抗PD1抗体またはその抗原結合性断片であって、抗ICOS抗体またはその抗原結合性断片の投与に続いて、抗PD1抗体またはその抗原結合性断片の投与が行なわれる、上記抗体またはその抗原結合性断片を提供する。一実施形態では、抗PD1抗体またはその抗原結合性断片は、PD1アンタゴニストである。一実施形態では、抗ICOS抗体またはその抗原結合性断片は、ICOSアゴニストである。
一態様では、本発明は、それを必要とするヒトでの癌の治療での逐次的使用のための、抗ICOS抗体またはその抗原結合性断片および抗PD-L1抗体またはその抗原結合性断片であって、抗ICOS抗体またはその抗原結合性断片の投与に続いて、抗PD-L1抗体またはその抗原結合性断片の投与が行なわれる、上記抗体またはその抗原結合性断片を提供する。一実施形態では、抗PDL1抗体またはその抗原結合性断片は、PD1アンタゴニストである。一実施形態では、抗ICOS抗体またはその抗原結合性断片は、ICOSアゴニストである。
本明細書中に記載される抗ICOS抗体/抗PD1抗体同時投与および段階的投与試験の試験設計を示す表である。 本明細書中に記載される抗ICOS抗体/抗PD1抗体同時投与および段階的投与試験の試験手順を示す模式図である。図2の下部には、試験で用いられる抗体を列記する表が示されている。 図面凡例に示される通りに、抗ICOS抗体および抗PD1抗体を、同時または逐次的な相(例えば、導入投与(lead-in dose)/継続投与(follow-up dose))で用いて処置されたマウス群ならびに対照を用いて処置された群の平均腫瘍体積を示すプロットである。 図面凡例に示される通りに、抗ICOS抗体および抗PD1抗体の同時投与を用いて処置されたマウス群ならびに対照を用いて処置された群の平均腫瘍体積を示すプロットである。 図面凡例に示される通りに、抗ICOS抗体および抗PD1抗体の段階的投与を用いて処置されたマウス群ならびに対照を用いて処置された群の平均腫瘍体積を示すプロットである。 図面凡例に示される通りに、抗PD1抗体を導入投与とし、抗ICOS抗体を継続投与とする、抗PD1抗体および抗ICOS抗体の段階的投与を用いて処置されたマウス群ならびに対照を用いて処置された群の平均腫瘍体積を示すプロットである。 図面凡例に示される通りに、抗ICOS抗体を導入投与とし、抗PD1抗体を継続投与とする、抗ICOS抗体および抗PD1抗体の段階的投与を用いて処置されたマウス群ならびに対照を用いて処置された群の平均腫瘍体積を示すプロットである。 対応する図面凡例に示される通りに、抗ICOS抗体および抗PD1抗体の同時投与を用いて処置されたマウス群ならびに対照を用いて処置された群の個別腫瘍体積を示すプロットのセットを表わす図である。図8Aは、群1(左側)および群2(右側)のマウスの個別腫瘍体積を示す。 対応する図面凡例に示される通りに、抗ICOS抗体および抗PD1抗体の同時投与を用いて処置されたマウス群ならびに対照を用いて処置された群の個別腫瘍体積を示すプロットのセットを表わす図である。図8Bは、群3(上部左側)、群4(上部右側)および群5(下側)のマウスの個別腫瘍体積を示す。 図8B−1の続き。 対応する図面凡例に示される通りに、抗ICOS抗体および抗PD1抗体の同時投与を用いて処置されたマウス群ならびに対照を用いて処置された群の個別腫瘍体積を示すプロットのセットを表わす図である。図8Cは、群6(左側)および群7(右側)のマウスの個別腫瘍体積を示す。 対応する図面凡例に示される通りに、抗ICOS抗体および抗PD1抗体の段階的投与を用いて処置されたマウス群ならびに対照を用いて処置された群の個別腫瘍体積を示すプロットのセットを表わす図である。図9Aは、群1(左側)および群2(右側)のマウスの個別腫瘍体積を示す。 対応する図面凡例に示される通りに、抗ICOS抗体および抗PD1抗体の段階的投与を用いて処置されたマウス群ならびに対照を用いて処置された群の個別腫瘍体積を示すプロットのセットを表わす図である。図9Bは、群8(上部左側)、群9(上部右側)および群10(下側)のマウスの個別腫瘍体積を示す。 図9B−1の続き。 対応する図面凡例に示される通りに、抗ICOS抗体および抗PD1抗体の段階的投与を用いて処置されたマウス群ならびに対照を用いて処置された群の個別腫瘍体積を示すプロットのセットを表わす図である。図9Cは、群11(上部左側)、群12(上部右側)および群13(下側)のマウスの個別腫瘍体積を示す。 図9C−1の続き。 すべての群(群1〜13)のマウスの生存率を示すプロットである。群中のマウスは、図面凡例に示される通りに、抗ICOS抗体および抗PD1抗体の同時投与もしくは段階的投与を用いて処置されたか、または対照を用いて処置された。 図面凡例に示される通りに、抗ICOS抗体および抗PD1抗体の同時投与を用いて処置されたマウス群ならびに対照を用いて処置された群の生存率を示すプロットである。 図面凡例に示される通りに、抗ICOS抗体および抗PD1抗体の段階的投与を用いて処置されたマウス群ならびに対照を用いて処置された群の生存率を示すプロットである。 図面凡例に示される通りに、抗PD1抗体を導入投与とし、抗ICOS抗体を継続投与とする、抗PD1抗体および抗ICOS抗体の段階的投与を用いて処置されたマウス群ならびに対照を用いて処置された群の生存率を示すプロットである。 図面凡例に示される通りに、抗ICOS抗体を導入投与とし、抗PD1抗体を継続投与とする、抗ICOS抗体および抗PD1抗体の段階的投与を用いて処置されたマウス群ならびに対照を用いて処置された群の生存率を示すプロットである。 抗ヒトICOSアゴニストモノクローナル抗体の開発を示す図である。(A)二量体ヒトICOSへのH2L5結合性。(B)二量体ヒトICOSへのヒトICOS-L結合性。(C)健常ドナー由来のCD4(**P=0.0011、t=4.183、df=13)およびCD8(**P=0.0078、t=3.686、df=7)T細胞に対する、H2L5(20μg/mL)の結合性。各記号は別個のヒトドナーを表わし、横線は中央値を示し、バーは四分位範囲である。 抗ヒトICOSアゴニストモノクローナル抗体の開発を示す図である。(D) H2L5を用いた処理後の精製された活性化型T細胞でのAKTシグナル伝達の誘導を実証する代表的ウエスタンブロット。結合型H2L5(12.5μg/mL)および抗CD3を用いて48時間処理した健常ドナーPBMCに由来する、CD69+ CD4(*P=0.0142、t=3.416、df=6)またはCD8(**P=0.0012、t=5.734、df=6)T細胞の定量(E)、ならびにKi67+ CD4(*P=0.0190、t=3.809、df=4)またはCD8(*P=0.0255、t=3.474、df=4)T細胞の定量(F)。 抗ヒトICOSアゴニストモノクローナル抗体の開発を示す図である。結合型H2L5(12.5μg/mL)および抗CD3を用いて24時間(**P=0.0041、t=4.510、df=6)または48時間(*P=0.0375、t=2.661、df=6)処理した健常被験体由来PBMCの培養上清(G)、ならびに結合型H2L5(10μg/mL)および抗CD3を用いて72時間処理したNSCLC癌患者PBMCの上清(H)由来の可溶性IFN-γの定量。(I)対応のない両側t検定により解析した、示された処理後の健常ドナーCD3+ T細胞由来のT-Bet(TBX21)(*P=0.0156、t=2.974、df=9)のRNA発現の定量。H2L5は、解離された腫瘍細胞懸濁物からのサイトカイン産生およびT細胞活性化の濃度依存的増大を誘導する。プレートは、H2L5 +/- 抗CD3またはアイソタイプ対照を用いてコーティングした。 抗ヒトICOSアゴニストモノクローナル抗体の開発を示す図である。対応のない両側t検定により解析した、示された処理後の健常ドナーCD3+ T細胞由来の(J)グランザイムB(GZMB)(**P=0.0020、t=4.292、df=9)、(K) L-セレクチン(SELL)(*P=0.0161、t=2.955、df=9)のRNA発現の定量。H2L5は、解離された腫瘍細胞懸濁物からのサイトカイン産生およびT細胞活性化の濃度依存的増大を誘導する。プレートは、H2L5 +/- 抗CD3またはアイソタイプ対照を用いてコーティングした。(L) 6日間の培養後のIFN-γ。バー=群中央値、p<0.05(一元配置分散分析による)、** P<0.05、*** P<0.0005、**** P<0.000(一元配置分散分析による)。 抗ヒトICOSアゴニストモノクローナル抗体の開発を示す図である。6日間の培養後の(M) CD8+ OX40+、(N) CD8+ CD25+。バー=群中央値、p<0.05(一元配置分散分析による)、** P<0.05、*** P<0.0005、**** P<0.000(一元配置分散分析による)。破線=CD3+アイソタイプIgG4 10μg/mL。腫瘍タイプに関しては、図S7を参照されたい。 抗体アイソタイプおよびFcγR嵌合がH2L5機能に重要であることを示す図である。(A) 5μg/mLの種々のアイソタイプの可溶性H2L5を用いて6日間処理した健常被験体由来のPBMC。増殖は、アイソタイプ対照と比較してCFSE希釈により測定した(変化倍率)。(B) 5μg/mLの種々のアイソタイプの可溶性H2L5を用いて6日間処理した、NK細胞の枯渇を伴うかまたは伴わない健常被験体由来のPBMC。 抗体アイソタイプおよびFcγR嵌合がH2L5機能に重要であることを示す図である。(C) 24時間にわたる種々のアイソタイプの可溶性H2L5(10μg/mL)およびNIR Live/Dead色素を用いたフローサイトメトリーにより測定した死滅細胞の割合(%)。ADCC媒介T細胞殺傷を誘導することが知られている抗CD52抗体を、陽性対照として含めた。(D)新たに解離させた患者TIL上でのICOS発現。CD4、CD8、Treg、およびTeff細胞集団由来のICOSの中央値蛍光強度。(腫瘍タイプ:黒三角=NSCLC(6)、黒丸=CRC(4)、黒菱形=膀胱(2)、黒四角=頭頚部(1)、白三角=RCC(4)、白丸=子宮内膜(2)、白菱形=前立腺(1)、白四角=甲状腺(1);一元配置分散分析によりp<0.05)。挿入図は、子宮内膜癌を有する患者由来のCD4(赤色)、CD8(橙色)およびTreg(青色)上でのICOS発現のヒストグラムを示す。 抗体アイソタイプおよびFcγR嵌合がH2L5機能に重要であることを示す図である。(E)両方のデータ点が利用可能であったすべてのサンプルに関する、アイソタイプ対照と比較したH2L5 IgG1アイソタイプの存在下でのPBMCおよび患者腫瘍から単離された標的細胞での、ICOS受容体総数(各細胞型についてのICOS陽性率(%)に陽性細胞当たりのICOS受容体数を乗算することにより算出)とFcγRIIIA受容体アッセイ誘導倍率との間のスペアマン相関(r2=0.681、p<0.001)。(F)抗ICOS抗体と共にインキュベートされたNSCLC患者腫瘍5001003から単離された標的細胞を用いるFcγRIIIA受容体アッセイで観察された誘導倍率。CD4 Teff、CD8 T細胞およびTregを、解離された患者腫瘍から単離し、FcγRIIIAアッセイで標的細胞として用いた。 H2L5はFcR依存的アゴニズムを示してT細胞活性化を誘導することを表わす図である。(A)示された濃度のH2L5を用いて60時間処理した健常被験体由来の単離されたCD4 T細胞(結合型アイソタイプvs.結合型H2L5:***P=0.0006、t=9.777、df=4、可溶性アイソタイプvs.可溶性H2L5:***P=0.0003、t=11.50、df=4および(#)結合型H2L5 vs.可溶性H2L5:**P=0.0017、t=7.530、df=4)。(B)可溶性H2L5(ICOS IgG4PE)またはH2L5 Fc作動不能型を10μg/mLで用いて3.5日間処理した健常被験体由来PBMC(アイソタイプ対照vs. H2L5:**P=0.0056、t=5.426、df=4)、(H2L5 vs. H2L5 Fc作動不能型:**P=0.0012、t=8.297、df=4)。(C)抗CD3抗体およびそれに続いて可溶性H2L5またはH2L5 Fc作動不能型抗体を10μg/mLで用いて処理されたMLR(アイソタイプ対照vs. H2L5:*P=0.0166、t=3.966、df=4)、(H2L5 vs. H2L5 Fc作動不能型:*P=0.0158、t=4.022、df=4)。 H2L5はFcR依存的アゴニズムを示してT細胞活性化を誘導することを表わす図である。(D)同じドナー由来の単球を含むかまたは含まずに培養し、続いて可溶性H2L5またはH2L5 Fc作動不能型を10μg/mL、および/または抗CD32もしくはFcブロッキング抗体を用いて4日間処理した、単離されたT細胞。(#) ***P=0.0009、t=8.734、df=4、($) **P=0.0031、t=6.405、df=4、(&) *P=0.0389、t=3.026、df=4、(@)アイソタイプ対照vs. H2L5 **P=0.0027、t=6.612、df=4、H2L5 vs. H2L5 Fc作動不能型:*P=0.0239、t=3.544、df=4、H2L5(対照)vs. H2L5(抗CD32):**P=0.0066、t=5.184、df=4、H2L5(抗CD32)vs. H2L5(Fcブロッキング):**P=0.0013、t=8.047、df=4およびH2L5(対照)vs. H2L5(Fcブロッキング):*P=0.0446、t=2.889、df=4。 H2L5はFcR依存的アゴニズムを示してT細胞活性化を誘導することを表わす図である。(E、F)抗CD3を用いて48時間、予め刺激され、かつヒトDCとの共培養に加えられたヒトT細胞。AlexaFlour488標識H2L5 IgG4PEを、3μg/mLで氷上の共培養物に添加し、続いて、示された時点で37℃に移した。矢印は、H2L5処理、極性化および隣接する樹状細胞に向かう移動に応答して活性化されたT細胞を示す。データは、異なるドナー細胞を用いて行なった3回の別個の実験の代表である。 H2L5が、ヒト化マウスモデルでのEM表現型および抗腫瘍活性を誘導することを示す図である。(A)アイソタイプ対照IgG4PEと比較したマウスH2L5処理の血液中ヒトCD45+CD3+細胞の定量(****P≦0.0001、F=33.57、df=24)。(B)マウスH2L5(1.2mg/kg)vs.アイソタイプ対照IgG4PEの血液由来のヒトCD45+CD3+CD69+細胞の定量(*P=0.0119、F=4.179、df=24)(C) CD4+ TCMの割合(%)(0.04mg/kg **P=0.0038、0.4mg/kg ***P=0.0002、1.2mg/kg ***P=0.0005、F=8.172、df=20。これは、それぞれ、マウス1匹当たり0.8、8および24μgに相当する)。横線は中央値を表わし、エラーバーは四分位範囲を表わす。すべての統計学的検定は、一元配置分散分析であった。 H2L5が、ヒト化マウスモデルでのEM表現型および抗腫瘍活性を誘導することを示す図である。(D)マウス脾臓中のCD8+ Tnaive/最終分化型エフェクターメモリーTTEMRA(0.004mg/kg **P=0.0036、0.04mg/kgおよび0.4mg/kg ****P≦0.0001、1.2mg/kg **P=0.0072、F=13.78、df=20)。(E) A549腫瘍を皮下的に移植され、フローサイトメトリーによりPEコンジュゲート化型マウス抗ヒトIgG4を用いて特定されたマウス中のICOS+またはPD-1+ T細胞の割合(%)。(F)全腫瘍組織中のCD8/Treg細胞の比率。横線は中央値を表わし、エラーバーは四分位範囲を表わす。すべての統計学的検定は、一元配置分散分析であった。 H2L5が、ヒト化マウスモデルでのEM表現型および抗腫瘍活性を誘導することを示す図である。(G) 13日目のHCT116腫瘍体積(0.04mg/kg)*P=0.0273、(0.4mg/kg)*P=0.0432、F=2.788、df=36。(H) 21日目のA549 腫瘍体積(0.4mg/kg)*P=0.0056、F=3.906、df=36。(I) A549腫瘍を有するヒトPBMC移植NSGマウスのカプラン・マイヤー生存曲線。横線は中央値を表わし、エラーバーは四分位範囲を表わす。すべての統計学的検定は、一元配置分散分析であった。 マウスICOS mAbのアイソタイプが、同系腫瘍での有効性に影響することを表わす図である。示された用量(5、100または200μg(それぞれ、0.5、5および10mg/kgに対応する))のマウスIgG1もしくはIgG2aバージョンの7E.17G9抗体を用いて、週2回で3週間、またはアイソタイプ対照(200μgまたは10mg/kg)を用いて処置された、マウス(A) EMT6、マウス(B) CT26同系腫瘍を有するマウスのカプラン・マイヤープロット。結果は、2回の反復実験の代表である。各記号が個々のマウスを表わす。横線は中央値を表わし、エラーバーは四分位範囲を表わす。すべての統計学的検定は、一元配置分散分析およびそれに続く特異的処置比較因子であった。 マウスICOS mAbのアイソタイプが、同系腫瘍での有効性に影響することを表わす図である。(C)腫瘍サイズ100mm3で測定されたEMT6またはCT26腫瘍中のCD8+/Tregの比率。(D) EMT6腫瘍を移植されたマウスの腫瘍中(中実丸)もしくは脾臓中(白丸)でのICOS+ CD4、CD8およびTreg細胞の割合(%)。 マウスICOS mAbのアイソタイプが、同系腫瘍での有効性に影響することを表わす図である。腫瘍サイズ100mm3で(E) CT26または(F) EMT6腫瘍を移植されたマウスの腫瘍中(中実丸)もしくは脾臓中(白丸)でのCD4、CD8およびTreg細胞上のICOSのMFI。 マウスICOS mAbのアイソタイプが、同系腫瘍での有効性に影響することを表わす図である。(G) EMT6腫瘍およびCT26腫瘍から単離されたCD4、CD8およびTreg上でのICOS発現のMFIを比較する代表的フロープロットのヒストグラム;(H) EMT6腫瘍中でも見出された抗ICOS 7E.17G9を用いた処理後に血中で増殖したTCRクローンの絶対数(10μg *P=0.0173および100μg *P=0.0483;F=3.269、df=28)。 ヒト癌での様々な細胞型上のICOS発現の評価を示す図である。(A) TCGAデータベースからICOSの発現によってランク付けした様々な腫瘍タイプでのICOS、ICOS-LおよびPD-L1の発現。(B)単独IHCによるICOS+細胞の発現およびNSCLCでのPD-L1、PD-1、CD4、CD8、FOXP3およびCD3の発現との相関。(C)様々な固形腫瘍タイプ由来の解離腫瘍中の、CD3+、B細胞、単球、NK細胞、マクロファージ、樹状細胞であるCD45+細胞の割合(%)。黒三角=NSCLC(6)、黒丸=CRC(4)、黒菱形=膀胱(2)、黒四角=頭頚部(1)、白三角=RCC(4)、白丸=子宮内膜(2)、白菱形=前立腺(1)、白四角=甲状腺(1)。(D)様々な腫瘍タイプでのCD3+CD8+、CD3+CD4+Foxp3+(Treg)の割合(%)およびCD3+、CD8+:CD3+CD4+Foxp3の比率。横線は中央値を示す。(E)多重IHCによる様々な腫瘍タイプから取得された腫瘍生検中のCD3+PD-1+ICOS+細胞の共発現の定量。(F) CD3、PD-1およびICOSについて共染色された頭頚部FFPE腫瘍サンプルの多重IHC。(G) Human PanCancer-Immune増殖パネルを用いてNanoString nCounter分析システムにより測定した場合の、抗CD3単独と比較してH2L5+抗CD3 mAbを用いて処理された精製ヒトT細胞中で示差的に発現された遺伝子の概要を示すヒートマップ(N=6ドナー)。(H)抗CD3(0.6μg/mL)+H2L5(10μg/mL)活性化型ヒトT細胞(n=6ドナー)と代理抗ICOS(7E.17G9ラットIgG2b)処理後のマウスEMT6移植可能腫瘍との間で共通の遺伝子発現変化(増加倍率)。 図20−1の続き。 図20−1の続き。 図20−1の続き。 図20−1の続き。 図20−1の続き。 ICOSアゴニストmAbがPD-1/PD-L1発現を誘導し、かつ抗PD-1の活性を強化することを示す図である。示される処理後のEMT6での、(A) PD-L1(CD274)(10μg *P=0.0137および100μg *P=0.0374;F=5.175、df=10)および(B) PD-1(Pdcd1)(10μg *P=0.0194および100μg P=0.1626;F=3.911、df=10)のRNA発現の定量。各記号が個々のマウスサンプルを表わし、横線は中央値を表わし、エラーバーは四分位範囲を表わす。すべての統計学的検定は、分散を安定化するために平方根変換データを用いた一元配置分散分析であった。(C)癌患者由来のPBMCでのアイソタイプ対照またはH2L5を10μg/mL用いて72時間処理した後のCD4+PD-1+およびCD8+PD-1+ T細胞の割合(%)。CD4+ *P=0.0128、t=3.026、df=10;CD8+ **P=0.005、t=3.548、df=10。対応のない両側t検定。(D)健常被験体と比較した、PD-1療法(ペンブロリズマブまたはニボルマブのいずれか)前および後のNSCLCまたは黒色腫患者でのCD4+ ICOS+の割合(%)。(C〜E)すべての統計学的検定は、一元配置分散分析であった。 ICOSアゴニストmAbがPD-1/PD-L1発現を誘導し、かつ抗PD1の活性を強化することを示す図である。(E) 7E.17G9 IgG1(10μg、0.5mg/kgに相当)、抗PD-1(200μg、10mg/kgに相当)または同時に投与される7E.17G9および抗PD-1の組み合わせを用いて、週2回、3週間処置されたEMT6腫瘍を有するマウス(処置群当たり、N=10)。(F)ヒトPBMCを用いて再構築され、かつH2L5を0.8μg/匹(0.04mg/kgに相当)、アイソタイプを0.8μg(0.04mg/kgに相当)もしくは抗PD-1(ペンブロリズマブ/キイトルーダ(Keytruda))を100μg(5mg/kgに相当)または両方の抗体の組み合わせを用いて処置されたNSGマウスでのA549腫瘍体積。(C〜E)すべての統計学的検定は、一元配置分散分析であった。 ICOSアゴニストmAbがPD-1/PD-L1発現を誘導し、かつ抗PD1の活性を強化することを示す図である。(G)抗CD3およびH2L5(10μg/mL)を用いて24時間処置された、分散されたNSCLC患者腫瘍からのIFN-γの定量。(#) **P=0.0100、($) ****P≦0.0001 (&) ***P=0.002、F=15.8、df=20。横線は中央値を表わし、エラーバーは四分位範囲を表わす。(H) ICOS+ペンブロリズマブvs. ICOS(**P=0.0036)、IgG4PE ICOS+ペンブロリズマブvs.ペンブロリズマブ(**P=0.0090)、ICOS+ペンブロリズマブvs. 2×IgG4PE(***P=0.0009、F=7.324、df=10)を評価するMLRアッセイ。バーは三回反復測定の平均を表わし、エラーバーは標準偏差を表わす。 H2L5 IgG4PEエピトープ結合性を示す図である。(A) MSDによるICOS-L競合アッセイは、ヒトICOS受容体に対する結合性に関して、H2L5 IgG4PEがICOS-Lと部分的に競合することを実証する。(B)活性化型T細胞を、様々な濃度の組み換えICOS-L(R&D systems社)と共にインキュベートし、続いて、H2L5と共にインキュベートし、ICOS CD4+およびCD8+細胞のMFIを、フローサイトメトリーにより測定した。 H2L5IgG4PEが、CD4およびCD8 T細胞上での(A) MSDにより測定されるサイトカイン産生:IFNγ、IL-17、IL-10、IL-4、IL-13、IL-5、IL-2、IL-6、TNFα、(B)活性化マーカー:OX40、CD25およびCD69の用量依存的増加を引き起こすことを示す図である。PBMCを、抗CD3(0.6μg/mL)および様々な濃度のH2L5 IgG4PEまたはアイソタイプ対照と共に48時間培養し、サイトカイン分析のために上清を、フローサイトメトリーのために細胞を回収した。 図23A−1の続き。 図23A−2の続き。 H2L5IgG4PEが、CD4およびCD8 T細胞上での(A) MSDにより測定されるサイトカイン産生:IFNγ、IL-17、IL-10、IL-4、IL-13、IL-5、IL-2、IL-6、TNFα、(B)活性化マーカー:OX40、CD25およびCD69の用量依存的増加を引き起こすことを示す図である。PBMCを、抗CD3(0.6μg/mL)および様々な濃度のH2L5 IgG4PEまたはアイソタイプ対照と共に48時間培養し、サイトカイン分析のために上清を、フローサイトメトリーのために細胞を回収した。 図23B−1の続き。 図23B−2の続き。 H2L5が、異なる癌患者由来の解離させた腫瘍細胞の懸濁物からのサイトカイン産生の濃度依存的な増加を誘導することを示す図である。解離された腫瘍細胞の懸濁物を、プレート結合型抗CD3(0.6μg/mL)およびIL2(100ng/mL)を用いた6日間のin vitro刺激後に、プレート結合型H2L5 IgG4PEまたはアイソタイプ対照と共に、抗CD3の存在下もしくは非存在下で培養し、続いて、MSDにより上清中の(A) IL17、(B) IL10、(C) IL5、(D) IL13サイトカインを分析した。 図24−1の続き。 H2L5が、異なる癌患者由来の解離させた腫瘍細胞の懸濁物からの(A) CD8+LAG3+(p<0.005、一元配置分散分析による)、(B) CD8+ PD-1+、(C) ICOS-L+細胞および (D) (CD4+、CD25+ Foxp3+)(p<0.05、一元配置分散分析による)の割合(%)についての濃度依存的増加を誘導することを示す図である。解離された腫瘍細胞の懸濁物を、プレート結合型抗CD3(0.6μg/mL)およびIL-2(100ng/mL)を用いた6日間のin vitro刺激後に、プレート結合型H2L5(ICOS)IgG4PEまたはアイソタイプ対照と共に、抗CD3の存在下もしくは非存在下で培養し、続いてフローサイトメトリーを行なった。破線=CD3+IgG4アイソタイプ10μg/mL。横線は中央値を表わす。 図25−1の続き。 H2L5 IgG1が、ヒトでのADCCの原因となる主要な活性化FcγR(FcγRIIIa)を介するシグナル伝達を誘導することを示す図である。(A) Jurkat-FcγRIIIA-NFAT-ルシフェラーゼエフェクター細胞および初代ヒトCD4+ T細胞を6:1の割合で、様々なアイソタイプの可溶性H2L5を用いて6時間処理した。ADCC媒介型T細胞殺傷を引き起こすことが知られている抗CD52抗体を、陽性対照として含めた。(B) Jurkat-FcγRIIIA-NFAT-ルシフェラーゼエフェクター細胞および精製した初代ヒトex vivo腫瘍由来CD4、CD8およびTregを6:1の割合で、可溶性H2L5 IgG1を用いて6時間処理した。アイソタイプ対照と比較したJurkat-FcγRIIIA-NFAT-ルシフェラーゼエフェクター細胞により産生されるルシフェラーゼ誘導の変化倍率。 H2L5が血液および腫瘍中でICOS発現性T細胞に対する用量依存的結合を引き起こすことを示す図である。各群内での、全血(A)および腫瘍組織(B)中の4回目の投与48時間後のICOS+またはPD-1+ T細胞の割合(%)を、フローサイトメトリーにより、PEコンジュゲート型マウス抗ヒトIgG4を用いて特定した。バーは各群についての中央値を表わす。 図27−1の続き。 図27−2の続き。 抗マウスICOSアゴニスト抗体の特性決定を示す図である。抗マウスICOSアゴニスト抗体(7E.17G9)は、ex vivoで60時間培養された分散されたマウス脾細胞でのIFNγ産生を誘導する。 10(0.5mg/kg)、100(5mg/kg)または200μg(10mg/kg)用量の7E.17G9抗体のマウスIgG1もしくはIg2a変異体またはアイソタイプ対照(200μg(10mg/kg))を用いて週2回、3週間、処置された(A) EMT6または(B) CT26マウス同系腫瘍についての腫瘍増殖を示す図である。*(数字)は、試験のエンドポイントで最小限検出されるかまたは検出不能であった腫瘍を有するマウスの数を示す。 図29A−1の続き。 図29A−2の続き。 図29A−3の続き。 10(0.5mg/kg)、100(5mg/kg)または200μg(10mg/kg)用量の7E.17G9抗体のマウスIgG1もしくはIg2a変異体またはアイソタイプ対照(200μg(10mg/kg))を用いて週2回、3週間、処置された(A) EMT6または(B) CT26マウス同系腫瘍についての腫瘍増殖を示す図である。*(数字)は、試験のエンドポイントで最小限検出されるかまたは検出不能であった腫瘍を有するマウスの数を示す。 図29B−1の続き。 図29B−2の続き。 図29B−3の続き。 約100mm3のCT26腫瘍を担持するマウスの腫瘍(黒丸)および脾臓(白丸)でのCD4、CD8およびTreg集団内のICOS+細胞割合(%)を示す図である。 (A)処置前血液と比較した、抗ICOS 7E17G9抗体を用いた処置後血液中で縮小したTCRクローンの絶対数を示す図である(10μg *P=0.0327および100μg *P=0.0497;F=3.033、df=28)。(B)処置前血液と比較した、処置後血液中で増殖したTCRクローンの絶対数を示す図である(10μg P=0.0975および100μg P=0.1915;F=1.958、df=28)。(C)平均T細胞画分推定数vs.平均産生クローン性を示す図である。 ウサギ抗ヒトCD278モノクローナル抗体クローンSP98(Spring Biosciences社)を用いる非小細胞肺癌(NSCLC)、乳癌(BrCA)TNBrCa、および結腸直腸癌(CRC)でのICOSのIHC単独免疫組織化学検出による、NSCLC、乳癌およびCRC中のICOS陽性細胞の発現を示す図である。アッセイは、Leica Bond RXを、関連するプラットフォーム試薬と共に用いて行なった。DAB(3,3'-ジアミノベンジジン)を、標的検出のために用いた。切片を、ヘマトキシリンを用いてカウンター染色した(すべてのスケールバー=20μm)。 抗CD3+アイソタイプ対照またはH2L5 IgG4PE抗体を12.5μg/mLで用いる処理に応答した、健常ヒトドナーPBMC由来サイトカインレベルの変化を示す図である。 アイソタイプ対照またはH2L5 IgG4PE抗体を10μg/mLで用いる72時間の処理後のNSCLC患者由来のPBMCのサイトカイン誘導を示す図である。 ヒト化H2L5抗体の様々なアイソタイプ変異体のヒトFcgRに対する結合親和性を示す図である。 様々なアイソタイプ変異体7E-17G9のマウスFcRに対する結合親和性を示す図である。 TCGA由来の様々な腫瘍病変でのICOS陽性細胞のmRNA発現を示す図である。 Nanostringにより測定した場合の、ヒトT細胞でのCD3単独と比較した抗CD3+H2L5処理に伴う遺伝子発現変化を示す図である。
定義
本明細書中で用いる場合、「ICOS」とは、いずれかの誘導性T細胞共刺激因子タンパク質を意味する。ICOS(誘導性T細胞共刺激因子;Inducible T-cell COStimulator)に対する別名としては、AILIM;CD278;CVID1、JTT-1もしくはJTT-2、MGC39850、または8F4が挙げられる。ICOSは、活性化型T細胞上で発現されるCD28スーパーファミリー共刺激分子である。この遺伝子によりコードされるタンパク質は、CD28およびCTLA-4細胞表面受容体ファミリーに属する。このタンパク質は、ホモ二量体を形成し、細胞間シグナル伝達、免疫応答、および細胞増殖の調節で重要な役割を果たす。ヒトICOS(アイソフォーム2)(登録番号:UniProtKB - Q9Y6W8-2)のアミノ酸配列は、配列番号9として以下に示される。
MKSGLWYFFLFCLRIKVLTGEINGSANYEMFIFHNGGVQILCKYPDIVQQFKMQLLKGGQILCDLTKTKGSGNTVSIKSLKFCHSQLSNNSVSFFLYNLDHSHANYYFCNLSIFDPPPFKVTLTGGYLHIYESQLCCQLKFWLPIGCAAFVVVCILGCILICWLTKKM(配列番号9)
ヒトICOS(アイソフォーム1)(登録番号:UniProtKB - Q9Y6W8-1)のアミノ酸配列は、配列番号10として以下に示される。
MKSGLWYFFL FCLRIKVLTG EINGSANYEM FIFHNGGVQI LCKYPDIVQQ
FKMQLLKGGQ ILCDLTKTKG SGNTVSIKSL KFCHSQLSNN SVSFFLYNLD
HSHANYYFCN LSIFDPPPFK VTLTGGYLHI YESQLCCQLK FWLPIGCAAF
VVVCILGCIL ICWLTKKKYS SSVHDPNGEY MFMRAVNTAK KSRLTDVTL
(配列番号10)
ICOSの活性化は、ICOS-L(B7RP-1/B7-H2)による結合を介して生じる。B7-1またはB7-2(CD28およびCTLA4に対するリガンド)のいずれも、ICOSに結合またはICOSを活性化しない。しかしながら、ICOS-Lは、CD28およびCTLA-4の両方に弱く結合することが示されている(Yao S et al., “B7-H2 is a costimulatory ligand for CD28 in human”, Immunity, 34(5); 729-40(2011))。ICOSの発現は、T細胞に限定されているように見える。ICOS発現レベルは、異なるT細胞サブセットの間で、かつT細胞活性化状態に応じて変わる。ICOS発現は、休止TH17細胞、T濾胞性ヘルパー(TFH)細胞および調節T(Treg)細胞上で示されているが;しかしながら、CD28とは異なり;ICOSは、ナイーブTH1およびTH2エフェクターT細胞集団上では多くは発現されない(Paulos CM et al., “The inducible costimulator(ICOS) is critical for the development of human Th17 cells”, Sci Transl Med, 2(55); 55ra78 (2010))。ICOS発現は、CD4+およびCD8+エフェクターT細胞上で、TCR嵌合を通じた活性化に続いて高度に誘導される(Wakamatsu E, et al., “Convergent and divergent effects of costimulatory molecules in conventional and regulatory CD4+ T cells”, Proc Natal Acad Sci USA, 110(3); 1023-8 (2013))。ICOS受容体を通じた共刺激シグナル伝達は、同時のTCR活性化シグナルを受けたT細胞でしか生じない(Sharpe AH and Freeman GJ. “The B7-CD28 Superfamily”, Nat. Rev Immunol, 2(2); 116-26 (2002))。活性化型抗原特異的T細胞では、ICOSは、IFN-γ、TNF-α、IL-10、IL-4、IL-13およびその他を含むTH1およびTH2サイトカインの両方の産生を調節する。ICOSはまた、CD28よりも低い程度ではあるが、エフェクターT細胞増殖も刺激する(Sharpe AH and Freeman GJ. “The B7-CD28 Superfamily”, Nat. Rev Immunol, 2(2); 116-26 (2002))。ICOSに対する抗体および疾患の治療での使用方法が、例えば、国際公開第2012/131004号、米国特許出願公開第20110243929号、および同第20160215059号に記載されている。米国特許出願公開第20160215059号は、参照により本明細書中に組み入れられる。アゴニスト活性を有するヒトICOSに対するマウス抗体に関するCDRは、PCT/EP2012/055735(国際公開第2012/131004号)に示されている。ICOSに対する抗体は、国際公開第2008/137915号、同第2010/056804号、欧州特許出願第1374902号、同第1374901号、および同第1125585号にも開示されている。ICOSに対するアゴニスト抗体またはICOS結合性タンパク質が、国際公開第2012/13004号、同第2014/033327号、同第2016/120789号、米国特許出願公開第20160215059号、および同第20160304610号に開示されている。米国特許出願公開第2016/0304610号の例示的抗体は、37A10S713を含む。37A10S713の配列は、配列番号14〜21として以下に再現されている。
37A10S713重鎖可変領域:
EVQLVESGG LVQPGGSLRL SCAASGFTFS DYWMDWVRQA PGKGLVWVSN IDEDGSITEY SPFVKGRFTI SRDNAKNTLY LQMNSLRAED TAVYYCTRWG RFGFDSWGQG TLVTVSS(配列番号14)
37A10S713軽鎖可変領域:
DIVMTQSPDS LAVSLGERAT INCKSSQSLL SGSFNYLTWY QQKPGQPPKL LIFYASTRHT GVPDRFSGSG SGTDFTLTIS SLQAEDVAVY YCHHHYNAPP TFGPGTKVDI K(配列番号15)
37A10S713 VH CDR1: GFTFSDYWMD(配列番号16)
37A10S713 VH CDR2: NIDEDGSITEYSPFVKG(配列番号17)
37A10S713 VH CDR3: WGRFGFDS(配列番号18)
37A10S713 VL CDR1: KSSQSLLSGSFNYLT(配列番号19)
37A10S713 VL CDR2: YASTRHT(配列番号20)
37A10S713 VL CDR3: HHHYNAPPT(配列番号21)。
「ICOSを標的とする薬剤」とは、ICOSに結合することが可能であるいずれかの化合物または生物学的分子を意味する。一部の実施形態では、ICOSを標的とする薬剤は、ICOS結合性タンパク質である。一部の他の実施形態では、ICOSを標的とする薬剤は、ICOSアゴニストである。
用語「ICOS結合性タンパク質」とは、本明細書中で用いる場合、ICOSに結合することが可能である抗体およびドメインなどの他のタンパク質構築物を意味する。一部の例では、ICOSは、ヒトICOSである。用語「ICOS結合性タンパク質」は、「ICOS抗原結合性タンパク質」と相互に交換可能に用いることができる。つまり、当技術分野で理解される通り、抗ICOS抗体および/またはICOS抗原結合性タンパク質は、ICOS結合性タンパク質と考えられるであろう。本明細書中で用いる場合、「抗原結合性タンパク質」は、ICOSなどの抗原に結合する、限定するものではないが、抗体、ドメインおよび本明細書中に記載される他の構築物をはじめとするいずれかのタンパク質である。本明細書中で用いる場合、ICOS結合性タンパク質の「抗原結合性部分」としては、限定するものではないが、抗原結合性抗体断片をはじめとする、ICOSに結合することが可能であるICOS結合性タンパク質のいずれかの部分が挙げられるであろう。
一実施形態では、本発明のICOS抗体は、以下のCDRのうちのいずれか1種または組み合わせを含む:
CDRH1: DYAMH(配列番号1)
CDRH2: LISIYSDHTNYNQKFQG(配列番号2)
CDRH3: NNYGNYGWYFDV(配列番号3)
CDRL1: SASSSVSYMH(配列番号4)
CDRL2: DTSKLAS(配列番号5)
CDRL3: FQGSGYPYT(配列番号6)。
一部の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、配列番号7に対して少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含む。好適には、本発明のICOS結合性タンパク質は、配列番号7に対して約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含むことができる。
ヒト化重鎖(V H )可変領域(H2):
QVQLVQSGAE VKKPGSSVKV SCKASGYTFT DYAMHWVRQA PGQGLEWMGL ISIYSDHTNY NQKFQGRVTI TADKSTSTAY MELSSLRSED TAVYYCGRNN YGNYGWYFDV WGQGTTVTVS S
(配列番号7)
本発明の一実施形態では、ICOS抗体は、CDRL1(配列番号4)、CDRL2(配列番号5)、およびCDRL3(配列番号6)を、配列番号8で表わされるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域中に含む。配列番号8で表わされるヒト化軽鎖可変領域を含む本発明のICOS結合性タンパク質は、「L5」と称される。つまり、配列番号7の重鎖可変領域および配列番号8の軽鎖可変領域を含む本発明のICOS結合性タンパク質は、本明細書中ではH2L5と称されることができる。
一部の実施形態では、本発明のICOS結合性タンパク質は、配列番号8で表わされるアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含む。好適には、本発明のICOS結合性タンパク質は、配列番号8に対して約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含むことができる。
ヒト化軽鎖(V L )可変領域(L5):
EIVLTQSPAT LSLSPGERAT LSCSASSSVS YMHWYQQKPG QAPRLLIYDT SKLASGIPAR FSGSGSGTDY TLTISSLEPE DFAVYYCFQG SGYPYTFGQG TKLEIK(配列番号8)
CDRまたは最小結合性単位は、少なくとも1箇所のアミノ酸置換、欠失または付加により改変されることができ、このとき、変異体抗原結合性タンパク質は、配列番号7および配列番号8を含む抗体などの、未改変型タンパク質の生物学的特性を実質的に保持している。
CDR H1、H2、H3、L1、L2、L3のそれぞれが、単独またはいずれかの他のCDRとの組み合わせで、いずれかの並べ替えまたは組み合わせで改変され得ることが理解されるであろう。一実施形態では、CDRは、最大3箇所のアミノ酸、例えば1箇所または2箇所のアミノ酸、例えば1箇所のアミノ酸の置換、欠失または付加により改変される。典型的には、改変は、置換、特に保存的置換、例えば、以下の表1に示される通りである。
抗体のサブクラスは、部分的には、補体活性化またはFc受容体(FcR)結合性および抗体依存的細胞傷害性(ADCC)などの、二次的なエフェクター機能を決定する(Huber, et al., Nature 229(5284): 419-20 (1971);Brunhouse, et al., Mol Immunol 16(11): 907-17 (1979))。特定の用途のための抗体の最適なタイプを特定する上では、抗体のエフェクター機能を考慮に入れることができる。例えば、hIgG1抗体は、比較的長い半減期を有し、補体を固定化するために非常に有効であり、かつ、FcγRIおよびFcγRIIの両方に結合する。対照的に、ヒトIgG4抗体は、比較的短い半減期を有し、補体を固定せず、かつFcRに対して比較的低い親和性を有する。IgG4のFc領域中のセリン228からプロリンへの置換(S228P)は、hIgG4について観察される不均一性を低下させ、血清半減期を延長させる(Kabat, et al., “Sequences of proteins of immunological interest” 5th Edition (1991);Angal, et al., Mol Immunol 30(1): 105-8 (1993))。ロイシン235をグルタミン酸で置換する第2の突然変異(L235E)は、残余のFcR結合性および補体結合活性を取り除く(Alegre, et al., J Immunol 148(11): 3461-8 (1992))。結果として得られる両方の突然変異を有する抗体は、IgG4PEと称される。hIgG4アミノ酸の番号付けは、EUナンバリングリファレンスに基づいた:Edelman, G.M. et al., Proc. Natl. Acad. USA, 63, 78-85 (1969). PMID: 5257969。本発明の一実施形態では、ICOS抗体はIgG4アイソタイプである。一実施形態では、ICOS抗体は、置換S228PおよびL235Eを含むIgG4 Fc領域を含み、名称IgG4PEを有する場合がある。
本明細書中で用いる場合、「ICOS-L」および「ICOSリガンド」は相互に交換可能に用いられ、ヒトICOSの膜結合型天然型リガンドを指す。ICOSリガンドは、ヒトでは、ICOSLG遺伝子によりコードされるタンパク質である。ICOSLGはまた、CD275(分化のクラスター275)とも称されてきた。ICOS-Lの別名としては、B7RP-1およびB7-H2が挙げられる。
本明細書中で用いる場合、「PD-1を標的とする薬剤」または「PD1を標的とする薬剤」とは、PD1に結合することが可能であるいずれかの化合物または生物学的分子を意味する。一部の実施形態では、PD1を標的とする薬剤は、PD1アンタゴニストである。
用語「PD1結合性タンパク質」または「PD-1結合性タンパク質」とは、本明細書中で用いる場合、PD1に結合することが可能である、抗体およびドメインなどの他のタンパク質構築物を意味する。一部の例では、PD1は、ヒトPD1である。用語「PD1結合性タンパク質」は、「PD1抗原結合性タンパク質」と相互に交換可能に用いることができる。つまり、当技術分野で理解される通り、抗PD1抗体および/またはPD1抗原結合性タンパク質は、PD1結合性タンパク質であると考えられるであろう。本明細書中で用いる場合、「抗原結合性タンパク質」は、PD1などの抗原に結合する、限定するものではないが、抗体、ドメインおよび本明細書中に記載される他の構築物をはじめとするいずれかのタンパク質である。本明細書中で用いる場合、PD1結合性タンパク質の「抗原結合性部分」としては、限定するものではないが、抗原結合性抗体断片をはじめとする、PD1に結合することが可能であるPD1結合性タンパク質のいずれかの部分が挙げられるであろう。
プログラムされた細胞死1(PD-1)タンパク質は、CD28、CTLA-4、ICOSおよびBTLAも含む受容体のCD28ファミリーの抑制性メンバーである。PD-1は、活性化型B細胞、T細胞、および骨髄細胞上で発現される(Agata et al., 上掲;Okazaki et al. (2002) Curr. Opin. Immunol 14:391779-82;Bennett et al. (2003) J Immunol 170:711-8)。このファミリーの当初のメンバーであったCD28およびICOSは、モノクローナル抗体添加後にT細胞増殖を強化することに対する機能的作用により発見された(Hutloff et al. (1999) Nature 397:263-266;Hansen et al. (1980) Immunogenics 10:247-260)。PD-1は、アポトーシス細胞での示差的発現についてのスクリーニングを通して発見された(Ishida et al. (1992) EMBO J 11:3887-95)。このファミリーの他のメンバーであるCTLA-4、およびBTLAは、それぞれ、細胞傷害性Tリンパ球およびTH1細胞での示差的発現についてのスクリーニングを通して発見された。CD28、ICOSおよびCTLA-4はすべて、ホモ二量体化を可能にする、対形成していないシステイン残基を有する。対照的に、PD-1は、他のCD28ファミリーメンバーに特徴的である対形成していないシステイン残基を有さず、単量体として存在することが示唆される。PD-1抗体および疾患の治療における使用方法は、以下の米国特許および米国特許出願公開に記載されている:米国特許第7,595,048号;同第8,168,179号;同第8,728,474号;同第7,722,868号;同第8,008,449号;同第7,488,802号;同第7,521,051号;同第8,088,905号;同第8,168,757号;同第8,354,509号;および米国特許出願公開第20110171220号;同第20110171215号;および同第20110271358号。CTLA-4抗体およびPD-1抗体の組み合わせは、米国特許第9,084,776号に記載されている。
一部の実施形態では、PD1を標的とする薬剤は、PD1アンタゴニストであり、免疫細胞(T細胞、B細胞またはNKT細胞)上で発現されたPD-1に対する癌細胞上で発現されたPD-L1の結合性をブロックし、かつ免疫細胞が発現したPD-1に対する癌細胞上に発現されたPD-L2の結合性もブロックすることができる。PD-1およびそのリガンドに対する代替名称または同義語としては、以下のものが挙げられる:PD-1に関してはPDCD1、PD1、CD279およびSLEB2;PD-L1に関してはPDCD1L1、PDL1、B7H1、B7-4、CD274およびB7-H;ならびにPD-L2に関してはPDCD1L2、PDL2、B7-DC、BtdcおよびCD273。ヒトPD-1アミノ酸配列は、NCBI遺伝子座番号:NP_005009に見出すことができる。NCBI遺伝子座番号:NP_005009のアミノ酸配列が、以下に再現されている:
mqipqapwpv vwavlqlgwr pgwfldspdr pwnpptfspa llvvtegdna tftcsfsnts
esfvlnwyrm spsnqtdkla afpedrsqpg qdcrfrvtql pngrdfhmsv vrarrndsgt
ylcgaislap kaqikeslra elrvterrae vptahpspsp rpagqfqtlv vgvvggllgs
lvllvwvlav icsraargti garrtgqplk edpsavpvfs vdygeldfqw rektpeppvp
cvpeqteyat ivfpsgmgts sparrgsadg prsaqplrpe dghcswpl (配列番号11)
ヒトPD-L1およびPD-L2アミノ酸配列は、それぞれ、NCBI遺伝子座番号:NP_054862およびNP_079515に見出すことができる。
NCBI遺伝子座番号:NP_054862のアミノ酸配列が、以下に再現されている:
mrifavfifm tywhllnaft vtvpkdlyvv eygsnmtiec kfpvekqldl aalivyweme
dkniiqfvhg eedlkvqhss yrqrarllkd qlslgnaalq itdvklqdag vyrcmisygg
adykritvkv napynkinqr ilvvdpvtse heltcqaegy pkaeviwtss dhqvlsgktt
ttnskreekl fnvtstlrin tttneifyct frrldpeenh taelvipelp lahppnerth
lvilgaillc lgvaltfifr lrkgrmmdvk kcgiqdtnsk kqsdthleet (配列番号12)
NCBI遺伝子座番号:NP_079515のアミノ酸配列が、以下に再現されている:
miflllmlsl elqlhqiaal ftvtvpkely iiehgsnvtl ecnfdtgshv nlgaitaslq
kvendtsphr eratlleeql plgkasfhip qvqvrdegqy qciiiygvaw dykyltlkvk
asyrkinthi lkvpetdeve ltcqatgypl aevswpnvsv pantshsrtp eglyqvtsvl
rlkpppgrnf scvfwnthvr eltlasidlq sqmeprthpt wllhifipfc iiafifiatv
ialrkqlcqk lysskdttkr pvtttkrevn sai (配列番号13)
本発明の態様または実施形態のうちのいずれかのPD-1を標的とする薬剤としては、PD-1に特異的に結合する、モノクローナル抗体(mAb)、またはその抗原結合性断片が挙げられる。一部の実施形態では、PD-1に対するmAbは、ヒトPD-1に特異的に結合する。mAbは、ヒト抗体、ヒト化抗体またはキメラ抗体であり得、かつヒト定常領域を含むことができる。一部の実施形態では、ヒト定常領域は、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4定常領域からなる群より選択され、好ましい実施形態では、ヒト定常領域は、IgG1またはIgG4定常領域である。一部の実施形態では、抗原結合性断片は、Fab、Fab'-SH、F(ab')2、scFvおよびFv断片からなる群より選択される。
ヒトPD-1に結合し、かつ本発明の様々な態様および実施形態で有用なmAbの例が、米国特許第8,552,154号;同第8,354,509号;同第8,168,757号;同第8,008,449号;同第7,521,051号;同第7,488,802号;国際公開第2004072286号;同第2004056875号;および同第2004004771号に記載されている。
本発明の態様および実施形態のうちのいずれかで有用な他のPD-1結合性タンパク質としては、PD-1に特異的に結合し、好ましくはヒトPD-1に特異的に結合する免疫付着因子(immunoadhesin)、例えば、PD-L1もしくはPD-L2の細胞外部分またはPD-1結合性部分を免疫グロブリン分子のFc領域などの定常領域に融合させて含む融合タンパク質が挙げられる。PD-1に特異的に結合する免疫付着分子の例は、国際公開第2010027827号および同第2011066342号に記載されている。本発明の治療方法、医薬および使用でPD-1アンタゴニストとして有用な具体的な融合タンパク質としては、AMP-224(B7-DCIgとしても知られる)が挙げられ、このタンパク質は、PD-L2-FC融合タンパク質であり、ヒトPD-1に結合する。
オプジーボ(OPDIVO)/ニボルマブは、Bristol Myers Squibb社により販売されている、負の免疫調節性ヒト細胞表面受容体PD-1(プログラムされた死滅-1またはプログラムされた細胞死-1/PCD-1)を標的とし、免疫賦活化活性を有する、完全ヒトモノクローナル抗体である。ニボルマブは、Igスーパーファミリー膜貫通型タンパク質であるPD-1に結合し、そのリガンドであるPD-L1およびPD-L2によるPD-1の活性化をブロックして、それにより、T細胞活性化および腫瘍細胞または病原体に対する細胞媒介性免疫応答を生じさせる。活性化型PD-1は、P13k/Akt経路活性化の抑制を通じて、T細胞活性化およびエフェクター機能を負に調節する。ニボルマブに関する他の名称としては、BMS-936558、MDX-1106、およびONO-4538が挙げられる。ニボルマブについてのアミノ酸配列ならびに使用方法および作製方法は、米国特許第8,008,449号に開示されている。
キイトルーダ(KEYTRUDA)/ペンブロリズマブは、Merck社によって肺癌の治療用として販売されている抗PD-1抗体である。ペンブロリズマブのアミノ酸配列および使用方法が、米国特許第8,168,757号に開示されている。
「PD-L1を標的とする薬剤」とは、PD-L1に結合することが可能であるいずれかの化合物または生物学的分子を意味する。一部の実施形態では、PD-L1を標的とする薬剤は、PD-L1結合性タンパク質である。
用語「PDL1結合性タンパク質」または「PD-L1結合性タンパク質」とは、本明細書中で用いる場合、PD-L1に結合することが可能である、抗体およびドメインなどの他のタンパク質構築物を意味する。一部の例では、PD-L1は、ヒトPD1である。用語「PD-L1結合性タンパク質」は、「PD-L1抗原結合性タンパク質」と相互に交換可能に用いることができる。つまり、当技術分野で理解される通り、抗PD-L1抗体および/またはPD-L1抗原結合性タンパク質は、PD-L1結合性タンパク質であると考えられるであろう。本明細書中で用いる場合、「抗原結合性タンパク質」は、PD-L1などの抗原に結合する、限定するものではないが、抗体、ドメインおよび本明細書中に記載される他の構築物をはじめとするいずれかのタンパク質である。本明細書中で用いる場合、PD-L1結合性タンパク質の「抗原結合性部分」としては、限定するものではないが、抗原結合性抗体断片をはじめとする、PD-L1に結合することが可能であるPD-L1結合性タンパク質のいずれかの部分が挙げられるであろう。
一部の実施形態では、PD-L1を標的とする薬剤は、PD1アンタゴニストであり、免疫細胞(T細胞、B細胞またはNKT細胞)上で発現されたPD-1に対する癌細胞上で発現されたPD-L1の結合性をブロックし、かつ免疫細胞が発現したPD-1に対する癌細胞上に発現されたPD-L2の結合性もブロックすることができる。
PD-L1は、APCおよび活性化型T細胞をはじめとする多数の細胞型上で発現されるB7ファミリーメンバーである(Yamazaki et al. (2002) J. Immunol. 169:5538)。PD-L1は、PD-1およびB7-1の両方に結合する。T細胞により発現されたB7-1のPD-L1による結合性およびT細胞により発現されたPD-L1のB7-1による結合性の両方が、T細胞阻害を生じさせる(Butte et al. (2007) Immunity 27:111)。他のB7ファミリーメンバーと同様に、PD-L1もまた、T細胞に対する共刺激シグナルを提供できるという知見もある(Subudhi et al. (2004) J. Clin. Invest. 113:694;Tamura et al. (2001) Blood 97:1809)。PD-1のリガンドであるPD-L1(ヒトPD-L1 cDNAはEMBL/GenBank登録番号AF233516により示される塩基配列により構成され、マウスPD-L1 cDNAは、NM.sub.--021893により示される塩基配列により構成される)は、活性化型単球および樹状細胞などの、いわゆる抗原提示細胞(APC)で発現される(Journal of Experimental Medicine (2000), vol. 19, issue 7, p 1027-1034)。これらの細胞は、Tリンパ球に対する様々な免疫誘導性シグナルを誘導する相互作用分子を提示し、PD-L1は、PD-1による抑制性シグナルを誘導するこれらの分子のうちの1種である。PD-L1リガンド刺激は、PD-1を発現するTリンパ球の活性化(細胞増殖および種々のサイトカイン産生の誘導)を抑制することが明らかになっている。PD-L1発現は、免疫適合性細胞のみならず、一部の種類の腫瘍細胞株(単球性白血病由来細胞株、マスト細胞由来細胞株、肝癌由来細胞株、神経芽細胞由来細胞株、および乳癌由来細胞株)でも確認されている(Nature Immunology (2001), vol. 2, issue 3, p. 261-267)。
抗PD-L1抗体およびその作製方法は、当技術分野で公知である。PD-L1に対するそのような抗体は、ポリクローナルもしくはモノクローナル、および/または組み換え、および/またはヒト化、および/または完全ヒト抗体であり得る。PD-L1抗体は、癌の治療用の免疫調節剤として開発中である。
例示的PD-L1抗体が、米国特許第9,212,224号;同第8,779,108号;同第8,552,154号;同第8,383,796号;同第8,217,149号;米国特許出願公開第20110280877号;国際公開第2013079174号;および同第2013019906号に開示されている。PD-L1(CD274またはB7-H1とも称される)に対する追加の例示的抗体および使用方法が、米国特許第8,168,179号;同第7,943,743号;同第7,595,048号;国際公開第2014055897号;同第2013019906号;および同第2010077634号に開示されている。本発明の治療方法、医薬および使用でPD-1アンタゴニストとして有用である特異的抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体としては、MPDL3280A、BMS-936559、MEDI4736、MSB0010718Cが挙げられる。
アテゾリズマブは、テセントリク(TECENTRIQ)として市販されている完全ヒト化モノクローナル抗PD-L1抗体である。アテゾリズマブは、一部の局所進行性または転移性尿路上皮癌の治療に適用である。アテゾリズマブは、PD-L1とPD-1およびCD80との相互作用をブロックする。
デュルバルマブ(Durvalumab)(以前はMEDI4736として知られていた)は、PD-L1を標的とするヒトモノクローナル抗体である。デュルバルマブは、PD-L1とPD-1およびCD80との相互作用をブロックする。デュルバルマブは、イミフィンジ(IMFINZITM)として市販されている。
PD-L1(CD274またはB7-H1とも称される)に対する抗体および使用方法が、米国特許第7,943,743号;同第8,383,796号;米国特許出願公開第20130034559号;国際公開第2014055897号;米国特許第8,168,179号;および同第7,595,048号に開示されている。PD-L1抗体は、癌の治療用の免疫調節剤として開発中である。
本明細書中で用いる場合、用語「アゴニスト」とは、限定するものではないが、抗体をはじめとする、共シグナル伝達受容体との接触に際して以下の作用のうちの1種以上を引き起こす抗原結合性タンパク質を意味する:(1)該受容体を刺激または活性化し、(2)該受容体の活性、機能もしくは存在を強化、増大もしくは促進、誘導または延長し、かつ/あるいは(3)該受容体の発現を強化、増大、促進または誘導する。アゴニスト活性は、限定するものではないが、細胞シグナル伝達、細胞増殖、免疫細胞活性化マーカー、サイトカイン産生の測定などの、当技術分野で公知の様々なアッセイによりin vitroで測定することができる。アゴニスト活性はまた、限定するものではないが、T細胞増殖またはサイトカイン産生の測定などの、代理エンドポイントを測定する様々なアッセイによりin vivoでも測定することができる。
本明細書中で用いる場合、用語「アンタゴニスト」とは、限定するものではないが、抗体をはじめとする、共シグナル伝達受容体との接触後に以下の作用のうちの1種以上を引き起こす抗原結合性タンパク質を意味する:(1)該受容体を弱体化、ブロックもしくは不活性化させ、かつ/またはその天然のリガンドによる受容体の活性化をブロックし、(2)該受容体の活性、機能もしくは存在を低減、減少または短期化し、かつ/あるいは(3)該受容体の発現を低減、減少、無効化する。アンタゴニスト活性は、限定するものではないが、細胞シグナル伝達、細胞増殖、免疫細胞活性化マーカー、サイトカイン産生の増加または減少の測定などの、当技術分野で公知の様々なアッセイによりin vitroで測定することができる。アンタゴニスト活性はまた、限定するものではないが、T細胞増殖またはサイトカイン産生の測定などの、代理エンドポイントを測定する様々なアッセイによりin vivoでも測定することができる。
本明細書中で用いる場合、用語「結合に関して交差競合する」とは、本発明の薬剤のうちのいずれかとの標的に対する結合に関して競合するであろう、抗体などのいずれかの薬剤を意味する。2種類の抗体間での結合に関する競合は、フローサイトメトリー、メソスケールディスカバリーおよびELISAをはじめとする当技術分野で公知の様々な方法により試験することができる。結合性は、直接的に測定することができ、これは、2種類以上の結合性タンパク質を共シグナル伝達受容体と接触させることができ、結合を一方またはそれぞれに関して測定することができるものを意味する。あるいは、目的の分子の結合性は、結合性または天然のリガンドに対して試験し、かつ定量的に互いに比較することができる。
用語「結合性タンパク質」とは、本明細書中で用いる場合、抗原に結合することが可能な抗体およびドメインなどの他のタンパク質構築物を意味する。
用語「抗体」は、免疫グロブリン様ドメインを有する分子(例えば、IgG、IgM、IgA、IgDまたはIgE)を指すために最も広い意味で本明細書中で用いられ、モノクローナル、組み換え、ポリクローナル、キメラ、ヒト、ヒト化、多重特異性抗体(二重特異性抗体を含む)、およびヘテロコンジュゲート抗体;単一可変ドメイン(例えば、VH、VHH、VL、ドメイン抗体(dAbTM))、抗原結合性抗体断片、Fab、F(ab')2、Fv、ジスルフィド結合型Fv、単鎖Fv、ジスルフィド結合型scFv、ダイアボディ、TANDABSTM等、および上記のうちのいずれかの改変型が挙げられる。
代替的な抗体形式としては、抗原結合性タンパク質の1個以上のCDRが、好適な非免疫グロブリンタンパク質スキャホールドまたは骨格上に配列することができる、代替的スキャホールドが挙げられ、アフィボディ、SpAスキャホールド、LDL受容体クラスAドメイン、アビマー(avimer)またはEGFドメインなどである。
用語「ドメイン」とは、タンパク質の残りの部分とは独立に、その三次元構造を保持する、フォールディングされたタンパク質構造を意味する。一般的には、ドメインは、タンパク質の個別の機能的性質を担い、多くの場合に、タンパク質および/またはドメインの残りの部分の機能喪失を伴うことなく、他のタンパク質に付加、除去または移植することができる。
用語「単一可変ドメイン」とは、抗体可変ドメインに特徴的な配列を含む、フォールディングされたポリペプチドドメインを意味する。しがたって、完全な抗体可変ドメイン(VH、VHHおよびVLなど)および改変型抗体可変ドメイン(例えば、1箇所以上のループが、抗体可変ドメインに特徴的でない配列により置き換えられている)、またはN末端もしくはC末端伸長部が切断されるかまたはこれを含む抗体可変ドメイン、ならびに全長ドメインの結合活性および特異性を少なくとも保持する可変ドメインのフォールディングされた断片が挙げられる。単一可変ドメインは、異なる可変領域またはドメインとは独立に、抗原またはエピトープに結合することが可能である。「ドメイン抗体」または「dAb(TM)」とは、「単一可変ドメイン」と同じであると見なすことができる。単一可変ドメインは、ヒトの単一可変ドメインであり得るが、げっ歯類、テンジクザメおよびラクダ科VHH dAbTMなどの、他の生物種由来の単一可変ドメインも含まれる。ラクダ科VHHは、天然で軽鎖を欠く重鎖抗体を生成する、ラクダ、ラマ、アルパカ、ヒトコブラクダ、およびグアナコをはじめとする生物種に由来する免疫グロブリン単一可変ドメインポリペプチドである。そのようなVHHドメインは、当技術分野で利用可能な標準的技術に従ってヒト化することができ、そのようなドメインは、「単一可変ドメイン」であると見なされる。本明細書中で用いる場合、VHは、ラクダ科VHHドメインを含む。
抗原結合性断片は、非抗体タンパク質スキャホールド上での1個以上のCDRの配列により提供することができる。「タンパク質スキャホールド」としては、本明細書中で用いる場合、限定するものではないが、免疫グロブリン(Ig)スキャホールド、例えば、IgGスキャホールドが挙げられ、これは、4本鎖または2本鎖抗体であり得、または抗体のFc領域のみを含むことができ、または抗体由来の1個以上の定常領域を含むことができ、この定常領域は、ヒトもしくは霊長類由来のものであり得、またはヒトおよび霊長類定常領域の人工的キメラであり得る。
タンパク質スキャホールドは、Igスキャホールド、例えば、IgG、またはIgAスキャホールドであり得る。IgGスキャホールドは、抗体のドメイン(すなわち、CH1、CH2、CH3、VH、VL)の一部または全部を含むことができる。抗原結合性タンパク質は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4またはIgG4PEから選択されるIgGスキャホールドを含むことができる。例えば、スキャホールドは、IgG1であり得る。スキャホールドは、抗体のFc領域からなるか、もしくはこれを含むことができ、またはその一部分である。
親和性は、1種類の分子、例えば、本発明の抗原結合性タンパク質が、他の分子、例えば、その標的抗原に、単一の結合部位で結合する強度である。その標的に対する抗原結合性タンパク質の結合親和性は、平衡法(例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)または放射免疫アッセイ(RIA))、または動態(例えば、BIACORETM分析)で決定することができる。例えば、実施例5に記載されるBIACORETM法は、結合親和性を測定するために用いることができる。
アビディティは、例えば、相互作用の価数を考慮して、複数の部位での2種類の分子の互い同士の結合の強度の合計である。
「単離された」とは、抗原結合性タンパク質または核酸などの分子が、天然でそれが見出され得る環境から取り出されていることを意図する。例えば、分子は、天然で通常一緒に存在するであろう物質から離れて精製されることができる。例えば、サンプル中の分子の質量は、総質量の95%であり得る。
用語「発現ベクター」とは、本明細書中で用いる場合、対象となる核酸配列がタンパク質などのペプチド鎖として発現される真核細胞もしくは原核細胞などの細胞へと、または無細胞発現システムへと、対象となる核酸を導入するために用いることができる単離された核酸を意味する。そのような発現ベクターは、例えば、対象となる核酸を含むコスミド、プラスミド、ウイルス配列、トランスポゾン、および直線状核酸であり得る。発現ベクターが細胞または無細胞発現システム(例えば、網状赤血球溶解物)へと導入されたら、対象となる核酸によりコードされるタンパク質が、転写/翻訳機構により産生される。本開示の範囲内の発現ベクターは、真核生物または原核生物発現に必須のエレメントを提供することができ、ウイルスプロモーター駆動型ベクター(CMVプロモーター駆動型ベクター、例えば、pcDNA3.1、pCEP4)およびその誘導体、バキュロウイルス発現ベクター、ショウジョウバエ発現ベクター、および哺乳動物遺伝子プロモーター(ヒトIg遺伝子プロモーターなど)により駆動される発現ベクターが挙げられる。他の例としては、原核生物発現ベクター−(T7プロモーター駆動型ベクター、例えば、pET41)、ラクトースプロモーター駆動型ベクターおよびアラビノース遺伝子プロモーター駆動型ベクターが挙げられる。当業者は、多数の他の好適な発現ベクターおよび発現システムを認識するであろう。
用語「組み換え宿主細胞」とは、本明細書中で用いる場合、細胞へのその導入前に単離された対象となる核酸配列を含む細胞を意味する。例えば、対象となる核酸配列は、発現ベクター中にあり得るが、細胞は原核細胞または真核生物であり得る。例示的真核細胞は、限定するものではないが、COS-1、COS-7、HEK293、BHK21、CHO、BSC-1、HepG2、653、SP2/0、NS0、293、HeLa、骨髄腫、リンパ腫細胞またはそれらのいずれかの誘導体などの、哺乳動物細胞である。最も好ましくは、真核細胞は、HEK293、NS0、SP2/0、またはCHO細胞である。大腸菌は、例示的原核細胞である。本開示に従う組み換え細胞は、トランスフェクション、細胞融合、不死化、または当技術分野で周知の他の手順により作製することができる。細胞へとトランスフェクションされた、発現ベクターなどの対象となる核酸配列は、染色体外にあるかまたは細胞の染色体に安定的に統合されることができる。
「キメラ抗体」とは、アクセプター抗体由来の軽鎖および重鎖定常領域と組み合わせた、ドナー抗体由来の天然に存在する可変領域(軽鎖および重鎖)を含む、1種の遺伝子操作型抗体を意味する。
「ヒト化抗体」とは、非ヒトドナー免疫グロブリン由来のそのCDR、1種以上のヒト免疫グロブリン由来の分子の残りの免疫グロブリン由来部分を有する1種の遺伝子操作型抗体を意味する。加えて、フレームワーク支持残基は、結合親和性を保存するために改変することができる(Queen et al. Proc. Natl Acad Sci USA, 86:10029-10032 (1989), Hodgson, et al., Bio/Technology, 9:421 (1991)を参照されたい)。好適なヒトアクセプター抗体は、ドナー抗体のヌクレオチドおよびアミノ酸配列に対する相同性により、慣用のデータベース(例えば、KABATTMデータベース、Los Alamosデータベース、およびSwiss Proteinデータベース)から選択されるものであり得る。ドナー抗体のフレームワーク領域に対する相同性(アミノ酸ベースで)により特徴付けられるヒト抗体は、ドナーCDRの挿入のための重鎖定常領域および/または重鎖可変フレームワーク領域を提供するために好適であり得る。軽鎖定常または可変フレームワーク領域を提供することが可能である好適なアクセプター抗体は、同様に選択することができる。アクセプター抗体重鎖および軽鎖は、同じアクセプター抗体に由来する必要はないことに留意すべきである。先行技術では、そのようなヒト化抗体を作製する数種類の方法が記載されている(例えば、EP-A-0239400およびEP-A-054951を参照されたい)。
用語「完全ヒト抗体」としては、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域および定常領域(もし存在すれば)を有する抗体が挙げられる。本発明のヒト配列抗体は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基(例えば、in vitroでランダムもしくは部位特異的突然変異導入により、またはin vivoで体細胞突然変異により導入された突然変異)を含むことができる。完全ヒト抗体は、結局はヒト起源のものであるポリヌクレオチドによってのみコードされるアミノ酸配列またはそのような配列に同一なアミノ酸配列を含む。本明細書中で意味する場合には、トランスジェニックマウス体内で生成される、マウスゲノムに挿入されたヒト免疫グロブリンコードDNAによりコードされる抗体は、完全ヒト抗体であり、なぜなら、それらは結局はヒト起源であるDNAによりコードされるからである。この状況では、ヒト免疫グロブリンコードDNAは、マウス体内で(抗体をコードするように)再構築されていることができ、体細胞突然変異が生じている場合もある。マウス体内でそのような変更がなされた元々はヒトDNAによりコードされる抗体は、本明細書中で意味する場合には完全ヒト抗体である。そのようなトランスジェニックマウスの使用は、ヒト抗原に対する完全ヒト抗体を選択することを可能にする。当技術分野で理解される通り、完全ヒト抗体は、ファージディスプレイ技術を用いて作製することができ、このとき、ヒトDNAライブラリーが、ヒト生殖系列DNA配列を含む抗体を作製するためにファージに挿入される。
用語「ドナー抗体」とは、第1の免疫グロブリンパートナーへと、可変領域、CDR、または他の機能的断片もしくはそのアナログのアミノ酸配列に寄与する抗体を意味する。したがって、ドナーは、改変型免疫グロブリンコード領域および結果として発現されるドナー抗体に特徴的な抗原特異性および中和活性を有する改変型抗体を提供する。
用語「アクセプター抗体」とは、第1の免疫グロブリンパートナーへと、その重鎖および/もしくは軽鎖フレームワーク領域および/またはその重鎖および/もしくは軽鎖定常領域をコードするアミノ酸配列の全部(またはいずれかの一部分)に寄与する、ドナー抗体に対して異種の抗体を意味する。ヒト抗体が、アクセプター抗体であり得る。
用語「VH」および「VL」は、抗原結合性タンパク質の、それぞれ重鎖可変領域および軽鎖可変領域を意味するために本明細書中で用いられる。
「CDR」は、抗原結合性タンパク質の相補性決定領域アミノ酸配列と定義される。これらは免疫グロブリン重鎖および軽鎖の超可変領域である。免疫グロブリンの可変部分には、3個の重鎖CDRおよび3個の軽鎖CDR(またはCDR領域)がある。つまり、本明細書中で用いる場合、「CDR」(複数)とは、3個すべての重鎖CDR、3個すべての軽鎖CDR、すべての重鎖および軽鎖CDR、または少なくとも2個のCDRを意味する。
本明細書全体を通して、可変ドメイン配列および全長抗体配列中のアミノ酸残基は、Kabatのナンバリング慣例に従って番号付けされる。同様に、実施例で用いられる用語「CDR」、「CDRL1」、「CDRL2」、「CDRL3」、「CDRH1」、「CDRH2」、「CDRH3」は、Kabatのナンバリング慣例に従う。さらなる情報に関しては、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed., U.S. Department of Health and Human Services, National Institutes of Health (1991)を参照されたい。
可変ドメイン配列および全長抗体配列中のアミノ酸残基に関する代替的なナンバリング慣例があることは、当業者には明らかであろう。例えば、Chothia et al. (1989) Nature 342: 877-883に説明されているものなどの、CDR配列に関する代替的なナンバリング慣例もある。抗体の構造およびタンパク質フォールディングは、他の残基がCDR配列の一部分であると見なされ、当業者にはそのように理解されるであろうことを意味する場合がある。
当業者に利用可能なCDR配列に関する他のナンバリング慣例としては、「AbM」法(バース大学)および「contact」法(ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン)が挙げられる。Kabat法、Chothia法、AbM法およびcontact法のうちの少なくとも2種類を用いて最小限の重複領域を決定して、「最小結合性単位」を提供することができる。最小結合性単位は、CDRの下位部分であり得る。
クエリ核酸配列と対象核酸配列との間の「同一性%」は、ペアワイズBLASTNアライメントが行なわれた後に、対象核酸配列が、クエリ核酸配列と100%のクエリカバー率を有する場合に、BLASTNアルゴリズムにより算出される、パーセンテージとして表わされる「同一性」値である。クエリ核酸配列と対象核酸配列との間のそのようなペアワイズBLASTNアライメントは、米国国立生物工学情報センターのウェブサイト上で利用可能なBLASTNアルゴリズムのデフォルト設定を、低複雑性領域に対するフィルターをオフにして用いることにより行なわれる。
クエリアミノ酸配列と対象アミノ酸配列との間の「同一性%」は、ペアワイズBLASTPアライメントが行なわれた後に、対象アミノ酸配列が、クエリアミノ酸配列と100%のクエリカバー率を有する場合に、BLASTPアルゴリズムにより算出される、パーセンテージとして表わされる「同一性」値である。クエリアミノ酸配列と対象アミノ酸配列との間のそのようなペアワイズBLASTPアライメントは、米国国立生物工学情報センターのウェブサイト上で利用可能なBLASTPアルゴリズムのデフォルト設定を、低複雑性領域に対するフィルターをオフにして用いることにより行なわれる。
クエリ配列は、対象配列に対して100%同一であることができ、または、対象配列と比較して特定の整数までのアミノ酸もしくはヌクレオチド変異を含み、それにより、同一性%が100%未満であることができる。例えば、クエリ配列は、対象配列に対して、少なくとも50、60、70、75、80、85、90、95、96、97、98、または99%同一である。そのような変異としては、少なくとも1箇所のアミノ酸欠失、置換(保存的置換および非保存的置換を含む)、または挿入が挙げられ、このとき、当該変異は、クエリ配列のアミノ末端部分もしくはカルボキシ末端部分またはそれらの末端部分の間のどこかで、クエリ配列中のアミノ酸もしくはヌクレオチドのうちに個別に散在しているか、またはクエリ配列内の1個以上の連続的な群として生じ得る。
同一性%は、CDRを含むクエリ配列の全長にわたって決定することができる。あるいは、同一性%は、CDRを除く場合があり、例えば、CDRは対象配列に対して100%同一であり、かつ同一性%の変動がクエリ配列の残りの部分にあり、それによりCDR配列は固定され/無傷である。
一態様では、有効量のヒトICOSを標的とする薬剤および有効量のヒトPD1またはヒトPD-L1を標的とする薬剤を逐次的に患者に投与するステップを含む、それを必要とする患者での癌を治療する方法が提供される。一実施形態では、ヒトICOSを標的とする薬剤の投与に続いて、ヒトPD1またはヒトPD-L1を標的とする薬剤を投与する。一実施形態では、ヒトPD1またはヒトPD-L1を標的とする薬剤を、ヒトICOSを標的とする薬剤の投与後の相(phase)でヒトICOSを標的とする薬剤と同時に投与する。
別の態様では、ヒトPD1またはヒトPD-L1を標的とする薬剤の投与に続いて、ヒトICOSを標的とする薬剤を投与する。一実施形態では、ヒトICOSを標的とする薬剤は、抗ICOS抗体またはその抗原結合性部分である。一実施形態では、ヒトICOSを標的とする薬剤を、ヒトPD1またはヒトPD-L1を標的とする薬剤の投与後の相でヒトPD1またはヒトPD-L1を標的とする薬剤と同時に投与する。
一態様では、それを必要とするヒトでの癌の治療での逐次的使用のための、抗ICOS抗体またはその抗原結合性断片および抗PD1抗体またはその抗原結合性断片が提供される。一実施形態では、抗ICOS抗体またはその抗原結合性断片の投与に続いて、抗PD1抗体またはその抗原結合性断片が投与される。別の実施形態では、抗PD1抗体またはその抗原結合性断片の投与に続いて、抗ICOS抗体またはその抗原結合性断片が投与される。
一態様では、それを必要とするヒトでの癌の治療での逐次的使用のための、抗ICOS抗体またはその抗原結合性断片および抗PD-L1抗体またはその抗原結合性断片が提供される。一実施形態では、抗ICOS抗体またはその抗原結合性断片の投与に続いて、抗PD-L1抗体またはその抗原結合性断片が投与される。別の実施形態では、抗PD-L1抗体またはその抗原結合性断片の投与に続いて、抗ICOS抗体またはその抗原結合性断片が投与される。
別の態様では、癌の治療のための医薬の製造での、抗ICOS抗体またはその抗原結合性部分および抗PD1抗体またはその抗原結合性部分の使用が提供され、このとき、抗ICOS抗体またはその抗原結合性部分および抗PD1抗体またはその抗原結合性部分は逐次的に投与され、かつ、抗ICOS抗体またはその抗原結合性部分の投与に続いて、抗PD1抗体またはその抗原結合性部分が投与される。
別の態様では、癌の治療のための医薬の製造での、抗ICOS抗体またはその抗原結合性部分および抗PDL1抗体またはその抗原結合性部分の使用が提供され、このとき、抗ICOS抗体またはその抗原結合性部分および抗PDL1抗体またはその抗原結合性部分は逐次的に投与され、かつ、抗ICOS抗体またはその抗原結合性部分の投与に続いて、抗PDL1抗体またはその抗原結合性部分が投与される。
本発明はまた、本発明の抗ICOS抗体、抗PD1抗体、抗PDL1抗体、または当該抗体のうちのいずれか1種の抗原結合性部分をコードするポリヌクレオチドも提供する。一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体、抗PD1抗体、もしくは抗PDL1抗体、または当該抗体のうちのいずれか1種の抗原結合性部分をコードするポリヌクレオチドを含む宿主細胞が提供される。本発明はまた、抗ICOS抗体、抗PD1抗体、もしくは抗PDL1抗体、または当該抗体の抗原結合性部分の作製方法が提供され、該方法は、以下のステップ:(a) 本発明の抗ICOS抗体、抗PD1抗体、もしくは抗PDL1抗体、または当該抗体の抗原結合性部分をコードするポリヌクレオチドを含む宿主細胞を、抗ICOS抗体、抗PD1抗体、もしくは抗PDL1抗体、または当該抗体の抗原結合性部分を発現するために好適な条件下で培養するステップ;ならびに(b) 抗ICOS、抗PD1、もしくは抗PDL1抗体、または当該抗体の抗原結合性部分を単離するステップを含む。
別の態様では、抗ICOS抗体またはその抗原結合性部分をコードするポリヌクレオチドが提供され、このとき、抗ICOS抗体またはその抗原結合性部分は、抗PD1抗体またはその抗原結合性部分と共に癌患者に逐次的に投与され、かつ、抗ICOS抗体またはその抗原結合性部分の投与に続いて、抗PD1抗体またはその抗原結合性部分が投与される。
別の態様では、抗ICOS抗体またはその抗原結合性部分をコードするポリヌクレオチドが提供され、このとき、抗ICOS抗体またはその抗原結合性部分は、抗PDL1抗体またはその抗原結合性部分と共に癌患者に逐次的に投与され、かつ、抗ICOS抗体またはその抗原結合性部分の投与に続いて、抗PDL1抗体またはその抗原結合性部分が投与される。
また別の態様では、抗PD1抗体またはその抗原結合性部分をコードするポリヌクレオチドが提供され、このとき、抗PD1抗体またはその抗原結合性部分は、抗ICOS抗体またはその抗原結合性部分と共に癌患者に逐次的に投与され、かつ、抗ICOS抗体またはその抗原結合性部分の投与に続いて、抗PD1抗体またはその抗原結合性部分が投与される。
さらに別の態様では、抗PDL1抗体またはその抗原結合性部分をコードするポリヌクレオチドが提供され、このとき、抗PDL1抗体またはその抗原結合性部分は、抗ICOS抗体またはその抗原結合性部分と共に癌患者に逐次的に投与され、かつ、抗ICOS抗体またはその抗原結合性部分の投与に続いて、抗PDL1抗体またはその抗原結合性部分が投与される。
別の態様では、本明細書中の態様のうちのいずれか1種のポリヌクレオチドを含むベクターが提供される。別の態様では、本明細書中の態様のうちのいずれか1種のベクターを含む宿主細胞が提供される。
また別の態様では、抗ICOS抗体またはその抗原結合性部分の作製方法が提供され、該方法は、(a)抗ICOS抗体またはその抗原結合性部分を発現するために好適な条件下で、本明細書中の態様のうちのいずれか1種のポリヌクレオチドを含む宿主細胞を培養するステップ;および(b)当該抗ICOS抗体またはその抗原結合性部分を単離するステップを含む。
別の態様では、抗PD1抗体またはその抗原結合性部分の作製方法が提供され、該方法は、(a)抗PD1抗体またはその抗原結合性部分を発現するために好適な条件下で、本明細書中の態様のうちのいずれか1種のポリヌクレオチドを含む宿主細胞を培養するステップ;および(b)当該抗PD1抗体またはその抗原結合性部分を単離するステップを含む。
さらに別の態様では、抗PDL1抗体またはその抗原結合性部分の作製方法が提供され、該方法は、(a)抗PDL1抗体またはその抗原結合性部分を発現するために好適な条件下で、本明細書中の態様のうちのいずれか1種のポリヌクレオチドを含む宿主細胞を培養するステップ;および(b)当該抗PDL1抗体またはその抗原結合性部分を単離するステップを含む。
本明細書中の態様のうちのいずれか1種の一実施形態では、抗ICOS抗体はICOSアゴニストである。一実施形態では、抗ICOS抗体は、配列番号7に表わされるアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一なアミノ酸配列を含むVHドメイン;および配列番号8で表わされるアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一なアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。別の実施形態では、抗ICOS抗体は、配列番号7で表わされるアミノ酸配列を含むVHドメイン;および配列番号8で表わされるアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。一実施形態では、抗ICOS抗体は、配列番号1に表わされるCDRH1;配列番号2に表わされるCDRH2;配列番号3に表わされるCDRH3;配列番号4に表わされるCDRL1;配列番号5に表わされるCDRL2および/もしくは配列番号6に表わされるCDRL3または各CDRの直接的等価物であって、該CDR中に2箇所以下のアミノ酸置換を有する、直接的等価物のうちのいずれか1種以上を含む。
本明細書中の態様のうちのいずれか1種の一実施形態では、ヒトPD1を標的とする薬剤は、抗PD1抗体またはその抗原結合性部分である。一実施形態では、抗PD1抗体は、PD1アンタゴニストである。一実施形態では、抗PD1抗体は、ペンブロリズマブである。別の実施形態では、抗PD1抗体は、ニボルマブである。本明細書中の態様のうちのいずれか1種の一実施形態では、ヒトPD-L1を標的とする薬剤は、抗PD-L1抗体またはその抗原結合性部分である。一実施形態では、抗PD-L1抗体は、PD1アンタゴニストである。一実施形態では、抗PD-L1抗体は、デュルバルマブである。
本明細書中の態様のうちのいずれか1種の一実施形態では、ヒトICOSを標的とする薬剤は、連続する2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30日間にわたって投与される。本明細書中の態様のうちのいずれか1種の一実施形態では、ヒトPD1またはヒトPD-L1を標的とする薬剤は、連続する2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30日間にわたって投与される。
一態様では、癌は、結腸直腸癌(CRC)、胃癌、食道癌、子宮頸癌、膀胱癌、乳癌、頭頚部癌、卵巣癌、黒色腫、腎細胞癌(RCC)、EC扁平上皮癌、非小細胞肺癌、中皮腫、膵臓癌、および前立腺癌からなる群より選択される。
一態様では、本発明は、それを必要とするヒトでの癌を治療する方法を提供し、該方法は、当該ヒトに、抗ICOS抗体もしくはその抗原結合性断片を投与するステップおよび/または該ヒトに抗PD1抗体もしくはその抗原結合性断片を投与するステップを含む。一実施形態では、抗ICOS抗体またはその抗原結合性断片は、T細胞増殖、拡大、および腫瘍浸潤を誘導する。別の実施形態では、抗ICOS抗体またはその抗原結合性断片は、T細胞上でのPD-1発現を増加させる。一実施形態では、抗PD1抗体またはその抗原結合性断片は、T細胞上でのICOS発現を増加させる。一実施形態では、抗ICOS抗体またはその抗原結合性断片は、IgG4アイソタイプであり、かつICOS陽性T細胞の枯渇を低減させる。別の実施形態では、抗ICOS抗体またはその抗原結合性断片は、IgG4アイソタイプであり、かつIgG1アイソタイプ抗ICOS抗体と比較して、増大した抗癌有効性を生じる。
別の実施形態では、癌は、頭頚部癌、乳癌、肺癌、結腸癌、卵巣癌、前立腺癌、神経膠腫、膠芽腫、星細胞腫、多形性膠芽腫、バナヤン・ゾナナ症候群(Bannayan-Zonana syndrome)、カウデン病(Cowden disease)、レルミット・ダクロス病(Lhermitte-Duclos disease)、炎症性乳癌、ウィルムス腫瘍、ユーイング肉腫、横紋筋肉腫、上衣腫、髄芽腫、腎臓癌、肝臓癌、黒色腫、膵臓癌、肉腫、骨肉腫、骨巨細胞腫、甲状腺癌、リンパ芽球性T細胞白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、有毛細胞白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、AML、慢性好中球性白血病、急性リンパ芽球性T細胞白血病、形質細胞腫、免疫芽球性大細胞型白血病、マントル細胞白血病、多発性骨髄腫巨核芽球性白血病、多発性骨髄腫、急性巨核芽球性白血病、前骨髄球性白血病、赤白血病、悪性リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、リンパ芽球性T細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、濾胞性リンパ腫、神経芽腫、膀胱癌、尿路上皮癌、外陰部癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、腎癌、中皮腫、食道癌、唾液腺癌、肝細胞癌、胃癌、鼻咽頭癌(nasopharangeal cancer)、口腔癌、口内癌、GIST(消化管間質腫瘍)、および精巣癌から選択される。
本発明の一部の実施形態は、少なくとも1種の新生物剤および/または少なくとも1種の免疫刺激剤を該ヒトに投与するステップをさらに含む。
一態様では、ヒトは固形腫瘍を有する。一態様では、腫瘍は、頭頚部癌、胃癌、黒色腫、腎細胞癌(RCC)、食道癌、非小細胞肺癌、前立腺癌、結腸直腸癌、卵巣癌および膵臓癌から選択される。別の態様では、ヒトは、びまん性大細胞B細胞型リンパ腫(DLBCL)、多発性骨髄腫、慢性リンパ芽球性白血病(chronic lyphomblastic leukemia)(CLL)、濾胞性リンパ腫、急性骨髄性白血病および慢性骨髄性白血病などの液性腫瘍を有する。
本開示はまた、以下の癌から選択される癌を治療するかまたその重症度を低下させる方法に関する:脳(神経膠腫)、膠芽腫、バナヤン・ゾナナ症候群(Bannayan-Zonana syndrome)、カウデン病(Cowden disease)、レルミット・ダクロス病(Lhermitte-Duclos disease)、乳癌、炎症性乳癌、ウィルムス腫瘍、ユーイング肉腫、横紋筋肉腫、上衣腫、髄芽腫、結腸癌、頭頚部癌、腎臓癌、肺癌、肝臓癌、黒色腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、肉腫、骨肉腫、骨巨細胞腫、甲状腺癌、リンパ芽球性T細胞白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、有毛細胞白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性好中球性白血病、急性リンパ芽球性T細胞白血病、形質細胞腫、免疫芽球性大細胞型白血病、マントル細胞白血病、多発性骨髄腫巨核芽球性白血病、多発性骨髄腫、急性巨核芽球性白血病、前骨髄球性白血病、赤白血病、悪性リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、リンパ芽球性T細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、濾胞性リンパ腫、神経芽腫、膀胱癌、尿路上皮癌、肺癌、外陰部癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、腎癌、中皮腫、食道癌、唾液腺癌、肝細胞癌、胃癌、鼻咽頭癌(nasopharangeal cancer)、口腔癌、口内癌、GIST(消化管間質腫瘍)、および精巣癌。
「治療する」との用語およびその文法的変形は、本明細書中で用いる場合、治療的療法を意味する。特定の状態に関して、治療することは、(1)状態または該状態の生物学的徴候のうちの1種以上を改善すること、(2) (a)該状態につながるかもしくはその原因となる生物学的カスケードのうちの1箇所以上の時点、または(b)該状態の生物学的徴候のうちの1種以上を妨害すること、(3)該状態もしくはその治療に関連する症状、作用もしくは副作用のうちの1種以上を軽減すること、または(4)該状態もしくは該状態の生物学的徴候のうちの1種以上の進行を遅らせることを意味する。本発明の方法および/または組成物を用いる予防的療法もまた意図される。当業者は、「予防」が絶対的な用語ではないことを理解するであろう。医学では、「予防」とは、状態もしくはその生物学的徴候の尤度または重症度を実質的に消滅させ、またはそのような状態もしくはその生物学的徴候の発症を遅らせるための、薬物の予防的投与を意味すると理解される。予防的療法は、例えば、被験体が癌の強い家族歴を有するか、または被験体が発癌性物質に曝露された場合などの、被験体が癌の発症に関して高リスクであると考えられる場合に、適切である。
本明細書中で用いる場合、用語「癌」、「新生物」および「腫瘍」は、相互に交換可能に用いられ、単数形または複数形のいずれかで、細胞を宿主生物に対して病原的なものにする悪性形質転換を受けた細胞を意味する。原発癌細胞は、十分に確立された技術、特に組織学的検査により、非癌細胞から容易に区別することができる。癌細胞の定義は、本明細書中で用いる場合、原発癌細胞に限らず、癌細胞先祖から誘導されたいずれかの細胞も含む。これは、転移型癌細胞、ならびに癌細胞由来のin vitro培養物および細胞株も含む。通常は固形腫瘍として現れる癌のタイプについて言及する場合、「臨床的に検出可能な」腫瘍とは、腫瘍塊に基づいて、例えば、コンピューター断層撮影(CT)スキャン、磁気共鳴映像法(MRI)、X線、超音波もしくは身体検査での触診により検出可能であるか、かつ/または患者から取得可能なサンプル中の1種以上の癌特異的抗原の発現によって検出可能であるものである。腫瘍は、造血系の(または血液学的もしくは血液学的もしくは血液関連)癌、例えば、血液細胞または免疫細胞に由来する癌であり得、「液性腫瘍」と称される場合がある。血液学的腫瘍に基づく臨床状態の具体例としては、慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病および急性リンパ性白血病などの白血病;多発性骨髄腫、MGUSおよびワルデンストレームマクログロブリン血症などの形質細胞悪性腫瘍;非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫などのリンパ腫などが挙げられる。
癌は、異常な数の芽球もしくは望ましくない細胞増殖が存在するか、またはリンパ球および骨髄球の両方の悪性腫瘍をはじめとする血液学的癌と診断される、いずれかの癌であり得る。骨髄球性悪性腫瘍としては、限定するものではないが、急性骨髄性(または骨髄球性もしくは骨髄原性もしくは骨髄芽球性)白血病(未分化型または分化型)、急性前骨髄性(または前骨髄球性もしくは前骨髄原性もしくは前骨髄芽球性)白血病、急性骨髄単球性(または骨髄単芽球性)白血病、急性単球性(または単芽球性)白血病、赤白血病および巨核球性(または巨核芽球性)白血病が挙げられる。これらの白血病は、一緒に急性骨髄性(または骨髄球性もしくは骨髄原性)白血病(AML)と称される場合がある。骨髄性悪性腫瘍としてはまた、限定するものではないが、慢性骨髄原性(または骨髄性)白血病(CML)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、本態性血小板血症(または血小板増加症)、および真性多血症(polcythemia vera)(PCV)をはじめとする、骨髄増殖性障害(MPD)も挙げられる。骨髄性悪性腫瘍としてはまた、骨髄異形成(または骨髄異形成症候群もしくはMDS)も挙げられ、これは、不応性貧血(RA)、過剰芽球を伴う不応性貧血(RAEB)、および移行期の過剰芽球を伴う不応性貧血(RAEBT);ならびに骨髄化生を伴うかもしくは伴わない骨髄線維症(MFS)と称される場合がある。
造血系の癌としては、リンパ球性悪性腫瘍も挙げられ、これは、リンパ節、脾臓、骨髄、末梢血、および/またはリンパ節外部位を侵す場合がある。リンパ球の癌としては、限定するものではないが、B細胞非ホジキンリンパ腫(B-NHL)をはじめとする、B細胞悪性腫瘍が挙げられる。B-NHLは、無痛性(または低悪性度)、中等度(または進行性)または高悪性度(非常に進行性)であり得る。無痛性B細胞リンパ腫としては、濾胞性リンパ腫(FL);小リンパ球性リンパ腫(SLL);辺縁帯リンパ腫(MZL)(節性MZL、節外MZL、脾性MZLおよび有毛リンパ球を伴う脾性MZLを含む);リンパ形質細胞性リンパ腫(LPL);および粘膜関連リンパ組織(MALTまたは節外辺縁帯)リンパ腫が挙げられる。中等度B-NHLとしては、白血病の関与を伴うかもしくは伴わないマントル細胞リンパ腫(MCL)、びまん性大細胞性リンパ腫(DLBCL)、濾胞性大細胞性(またはグレード3もしくはグレード3B)リンパ腫、および原発性縦隔リンパ腫(PML)が挙げられる。高悪性度B-NHLとしては、バーキットリンパ腫(BL)、バーキット様リンパ腫、小型非開裂細胞性リンパ腫(SNCCL)およびリンパ芽球性リンパ腫が挙げられる。他のB-NHLとしては、免疫芽球性リンパ腫(または免疫細胞腫)、原発性滲出液リンパ腫、HIV関連(またはAIDS関連性)リンパ腫、および移植後リンパ増殖性障害(PTLD)またはリンパ腫が挙げられる。B細胞悪性腫瘍としてはまた、限定するものではないが、慢性リンパ性白血病(CLL)、前リンパ球性白血病(PLL)、ワルデンストレームマクログロブリン血症(WM)、有毛細胞白血病(HCL)、大型顆粒リンパ球(LGL)白血病、急性リンパ性(またはリンパ球性もしくはリンパ芽球性)白血病、およびキャッスルマン病が挙げられる。NHLとしてはまた、限定するものではないが、特定不能(NOS)T細胞非ホジキンリンパ腫、末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)、未分化型大細胞リンパ腫(ALCL)、血管免疫芽球性リンパ性障害(AILD)、鼻内ナチュラルキラー(NK)細胞/T細胞リンパ腫、ガンマ/デルタリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、菌状息肉腫、およびセザリー症候群をはじめとする、T細胞非ホジキンリンパ腫(T-NHL)も挙げられる。
造血系癌としてはまた、古典的ホジキンリンパ腫、結節硬化型ホジキンリンパ腫、混合細胞型ホジキンリンパ腫、リンパ球優位型(LP)ホジキンリンパ腫、結節性LPホジキンリンパ腫、およびリンパ球減少型ホジキンリンパ腫をはじめとするホジキンリンパ腫(またはホジキン病)も挙げられる。造血系癌としてはまた、くすぶり型MMをはじめとする多発性骨髄腫(MM)、意義不明(または未知もしくは不明瞭)の単クローン性高ガンマグロブリン血症(MGUS)、形質細胞腫(骨、髄外)、リンパ形質細胞性リンパ腫(LPL)、ワルデンストレームマクログロブリン血症、形質細胞白血病、および原発性アミロイドーシス(AL)などの形質細胞疾患または癌も挙げられる。造血系癌としてはまた、多形核白血球(または好中球)、好塩基球、好酸球、樹状細胞、血小板、赤血球およびナチュラルキラー細胞をはじめとする、追加の造血細胞の他の癌も挙げられる。本明細書中で「造血細胞組織」と称される造血細胞を含む組織としては、骨髄;末梢血;甲状腺;および末梢リンパ組織(脾臓、リンパ節、粘膜関連リンパ組織(腸関連リンパ組織など)、扁桃腺、パイエル板および盲腸、および他の粘膜(例えば、気管支内壁)関連リンパ組織など)が挙げられる。
本明細書中で用いる場合、用語「化合物A2」とは、ヒトICOSを標的とする薬剤を意味する。一部の実施形態では、化合物A2は、ヒトICOSに対する抗体またはその抗原結合性部分である。一部の実施形態では、化合物A2はICOSアゴニストである。好適には、化合物A2とは、配列番号7で表わされる重鎖可変領域および配列番号8で表わされる軽鎖可変領域を有するヒト化モノクローナル抗体を意味する。
本明細書中で用いる場合、用語「化合物B2」とは、ヒトPD1を標的とする薬剤またはヒトPD-L1を標的とする薬剤を意味する。一部の実施形態では、化合物B2は、PD1アンタゴニストである。一部の実施形態では、化合物B2は、ヒトPD1に対する抗体またはその抗原結合性部分である。一部の実施形態では、化合物B2は、ヒトPD-L1に対する抗体またはその抗原結合性部分である。好適には、化合物B2は、ニボルマブである。好適には、化合物B2は、ペンブロリズマブである。
好適には、本発明の組み合わせが、「特定期間」(specified period)内に投与される。
用語「特定期間」およびその文法的変形は、本明細書中で用いる場合、化合物A2および化合物B2のうちの一方の投与と、化合物A2および化合物B2のうちの他方の投与との間の時間間隔を意味する。
好適には、化合物が「特定期間」内に投与され、かつ同時に投与されない場合、それらは互いに約24時間以内に両方とも投与され、この場合、特定期間は約24時間であり;好適には、それらは互いに約12時間以内に両方とも投与され、この場合、特定期間は約12時間であり;好適には、それらは互いに約11時間以内に両方とも投与され、この場合、特定期間は約11時間であり;好適には、それらは互いに約10時間以内に両方とも投与され、この場合、特定期間は約10時間であり;好適には、それらは互いに約9時間以内に両方とも投与され、この場合、特定期間は約9時間であり;好適には、それらは互いに約8時間以内に両方とも投与され、この場合、特定期間は約8時間であり;好適には、それらは互いに約7時間以内に両方とも投与され、この場合、特定期間は約7時間であり;好適には、それらは互いに約6時間以内に両方とも投与され、この場合、特定期間は約6時間であり;好適には、それらは互いに約5時間以内に両方とも投与され、この場合、特定期間は約5時間であり;好適には、それらは互いに約4時間以内に両方とも投与され、この場合、特定期間は約4時間であり;好適には、それらは互いに約3時間以内に両方とも投与され、この場合、特定期間は約3時間であり;好適には、それらは互いに約2時間以内に両方とも投与され、この場合、特定期間は約2時間であり;好適には、それらは互いに約1時間以内に両方とも投与され、この場合、特定期間は約1時間である。本明細書中で用いる場合、約45分間未満での化合物A2および化合物B2の投与は、同時投与と見なされる。
好適には、本発明の組み合わせが「特定期間」にわたって投与される場合、化合物は、「継続期間」(duration of time)にわたって共投与されるであろう。
用語「継続期間」およびその文法的変形は、本明細書中で用いる場合、本発明の両方の化合物が、示された連続する日数にわたって投与されることを意味する。別途定義されない限り、連続する日数は、治療の開始をもって開始するか、または治療の終了をもって終了する必要はなく、連続する日数が治療過程中のいずれかの時点で生じることのみが必要である。
「特定期間」投与に関して:
好適には、両方の化合物が、少なくとも1日間の特定期間内で投与され、この場合、継続期間は少なくとも1日間であり;好適には、治療過程中に、両方の化合物が、連続する少なくとも3日間の特定期間内に投与され、この場合、継続期間は少なくとも3日間であり;好適には、治療過程中に、両方の化合物が、連続する少なくとも5日間の特定期間内に投与され、この場合、継続期間は少なくとも5日間であり;好適には、治療過程中に、両方の化合物が、連続する少なくとも7日間の特定期間内に投与され、この場合、継続期間は少なくとも7日間であり;好適には、治療過程中に、両方の化合物が、連続する少なくとも14日間の特定期間内に投与され、この場合、継続期間は少なくとも14日間であり;好適には、治療過程中に、両方の化合物が、連続する少なくとも30日間の特定期間内に投与され、この場合、継続期間は少なくとも30日間である。
好適には、化合物が「特定期間」中に投与されない場合、それらは、逐次的に投与される。用語「逐次的投与」およびその文法的派生語は、本明細書中で用いる場合、化合物A2および化合物B2のうちの一方が連続する2日間以上にわたって投与され、かつ、その後に、化合物A2および化合物B2の他方が連続する2日間以上にわたって投与されることを意味する。化合物A2が投与される連続する期間中に、少なくとも1用量、少なくとも2用量、少なくとも3用量、少なくとも4用量、少なくとも5用量、少なくとも6用量、少なくとも7用量、少なくとも8用量、少なくとも9用量、または少なくとも10用量の化合物A2が投与される。化合物B2が投与される連続する期間中に、少なくとも1用量、少なくとも2用量、少なくとも3用量、少なくとも4用量、少なくとも5用量、少なくとも6用量、少なくとも7用量、少なくとも8用量、少なくとも9用量、または少なくとも10用量の化合物B2が投与される。化合物A2が投与される連続する期間中に、化合物A2を、少なくとも1日3回、少なくとも1日2回、少なくとも1日1回、または1日1回未満、例えば、2日間に1回、3日間に1回、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、または4週間に1回、投与することができる。化合物B2が投与される連続する期間中に、化合物B2を、少なくとも1日3回、少なくとも1日2回、少なくとも1日1回、または1日1回未満、例えば、2日間に1回、3日間に1回、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、または4週間に1回、投与することができる。
また、化合物A2および化合物B2のうちの一方ならびに化合物A2および化合物B2のうちの他方の逐次的投与の間に、休薬日を設けることもまた本明細書中で考慮される。本明細書中で用いる場合、休薬日は、化合物A2および化合物B2のうちの一方の逐次的投与後、かつ化合物A2および化合物B2のうちの他方の投与前であって、化合物A2または化合物B2のいずれも投与されない期間である。好適には、休薬日は、1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間および14日間から選択される期間であろう。
逐次的投与はまた、化合物A2および化合物B2のうちの一方が連続する2日間以上にわたって投与され、その後、化合物A2および化合物B2の両方が連続する2日間以上にわたって続いて投与される場合も含むことができる。逐次的投与は、化合物A2および化合物B2の両方が連続する2日間以上にわたって投与され、その後、化合物A2および化合物B2のうちの一方が連続する2日間以上にわたって続いて投与されることも含むことができる。
逐次的投与に関して:
好適には、化合物A2および化合物B2のうちの一方が、連続する1〜30日間にわたって投与され、続いて任意的な休薬日が設けられ、続いて、化合物A2および化合物B2のうちの他方が、連続する1〜30日間にわたって投与される。好適には、化合物A2および化合物B2のうちの一方が、連続する1〜21日間にわたって投与され、続いて任意的な休薬日が設けられ、続いて、化合物A2および化合物B2のうちの他方が、連続する1〜21日間にわたって投与される。好適には、化合物A2および化合物B2のうちの一方が、連続する1〜14日間にわたって投与され、続いて1〜14日間の休薬日が設けられ、続いて、化合物A2および化合物B2のうちの他方が、連続する1〜14日間にわたって投与される。好適には、化合物A2および化合物B2のうちの一方が、連続する1〜7日間にわたって投与され、続いて1〜10日間の休薬日が設けられ、続いて、化合物A2および化合物B2のうちの他方が、連続する1〜7日間にわたって投与される。
好適には、化合物B2が順序の最初に投与され、続いて任意的な休薬日が設けられ、続いて、化合物A2が投与されるであろう。好適には、化合物B2が連続する3〜21日間にわたって投与され、続いて任意的な休薬日が設けられ、続いて、化合物A2が連続する3〜21日間にわたって投与される。好適には、化合物B2が連続する3〜21日間にわたって投与され、続いて1〜14日間の休薬日が設けられ、続いて、化合物A2が連続する3〜21日間にわたって投与される。好適には、化合物B2が連続する3〜21日間にわたって投与され、続いて3〜14日間の休薬日が設けられ、続いて、化合物A2が連続する3〜21日間にわたって投与される。好適には、化合物B2が連続する21日間にわたって投与され、続いて任意的な休薬日が設けられ、続いて、化合物A2が連続する14日間にわたって投与される。好適には、化合物B2が連続する14日間にわたって投与され、続いて1〜14日間の休薬日が設けられ、続いて、化合物A2が連続する14日間にわたって投与される。好適には、化合物B2が連続する7日間にわたって投与され、続いて3〜10日間の休薬日が設けられ、続いて、化合物A2が連続する7日間にわたって投与される。好適には、化合物B2が連続する3日間にわたって投与され、続いて3〜14日間の休薬日が設けられ、続いて、化合物A2が連続する7日間にわたって投与される。好適には、化合物B2が連続する3日間にわたって投与され、続いて3〜10日間の休薬日が設けられ、続いて、化合物A2が連続する3日間にわたって投与される。
「特定期間」投与および「逐次的」投与は、反復投与がその後に続くことができるか、または交互投与プロトコールがその後に続くことができ、かつ休薬日が反復投与または交互投与プロトコールに先行することができることが理解される。
本発明の方法はまた、癌治療の他の治療方法と共に用いることもできる。
化合物A2および化合物B2は、いずれかの適切な経路により投与することができる。好適な経路としては、経口、直腸、鼻内、局所(頬内および舌下を含む)、腫瘍内、膣内、および非経口(皮下、筋内、静脈内、皮内、髄腔内、および硬膜外を含む)が挙げられる。好ましい経路は、例えば、組み合わせを投与される者の状態および治療対象の癌に応じて変わり得ることが理解されるであろう。投与される薬剤のそれぞれが、同じかまたは異なる経路により投与されることができ、化合物A2および化合物B2を医薬組成物/製剤中に一緒に組み合わせることができることもまた理解されるであろう。
一実施形態では、本発明の組み合わせのうちの1種以上の構成要素が、静脈内投与される。一実施形態では、本発明の組み合わせのうちの1種以上の構成要素が、経口投与される。別の実施形態では、本発明の組み合わせのうちの1種以上の構成要素が、腫瘍内投与される。別の実施形態では、本発明の組み合わせのうちの1種以上の構成要素が、全身性に(例えば、静脈内)投与され、本発明の組み合わせのうちの1種以上の他の構成要素が、腫瘍内投与される。例えば、本段落中の実施形態のうちのいずれかでは、本発明の構成要素は、1種以上の医薬組成物として投与される。
一態様では、治療上有効量の(i)抗ICOS抗体もしくはその抗原結合性部分を、1種以上の希釈剤、ビヒクル、賦形剤および/もしくは不活性成分に加えて、および(ii)抗PD1抗体もしくはその抗原結合性部分または抗PDL1抗体もしくはその抗原結合性部分を、1種以上の希釈剤、ビヒクル、賦形剤および/もしくは不活性成分に加えて、それを必要とするヒトに投与するステップを含む、癌の治療のための方法が提供される。一実施形態では、抗ICOS抗体またはその抗原結合性部分および抗PD1抗体またはその抗原結合性部分の逐次的投与は、単独療法としてまたは同時でのいずれかの薬剤の投与と比較して、相乗効果を提供する。一実施形態では、抗ICOS抗体またはその抗原結合性部分および抗PDL1抗体またはその抗原結合性部分の逐次的投与は、単独療法としてまたは同時でのいずれかの薬剤の投与と比較して、相乗効果を提供する。
一実施形態では、抗ICOS抗体またはその抗原結合性部分は、配列番号7で表わされるアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一なアミノ酸配列を含むVHドメイン;および配列番号8で表わされるアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一なアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
一実施形態では、抗ICOS抗体またはその抗原結合性部分が、週1回、2週間に1回、3週間に1回、および4週間に1回から選択される時間間隔で投与される、癌の治療方法が提供される。別の実施形態では、抗PD1抗体もしくはその抗原結合性部分または抗PDL1抗体もしくはその抗原結合性部分が、週1回、2週間に1回、3週間に1回、および4週間に1回から選択される時間間隔で投与される。当技術分野で理解される通り、いずれかの薬剤の投与開始は、間隔を空けることができる。間隔は、12時間、1〜6日間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、または6週間であり得る。例として、抗ICOS抗体は、治療の1日目に投与され、2週間の間隔を伴って、14日目に開始されるであろう抗PD1抗体療法を開始することができるであろう。一態様では、該抗ICOS抗体を用いる治療は、例えば、1、2、3または4週間毎の時間間隔で、単回IV注入の投与を用いて継続できるであろう。同様に、該抗PD1抗体を用いる治療は、例えば、1、2、3または4週間毎の時間間隔で、単回IV注入の投与を用いて継続できるであろう。
一実施形態では、抗ICOS抗体またはその抗原結合性部分は、IV注入として投与される。一実施形態では、抗PD1抗体またはその抗原結合性部分は、IV注入として投与される。一実施形態では、抗PDL1抗体またはその抗原結合性部分は、IV注入として投与される。一態様では、抗ICOS抗体またはその抗原結合性部分が、抗PD1抗体もしくはその抗原結合性部分または抗PD1抗体もしくはその抗原結合性部分に先立って投与される。一実施形態では、抗PD1抗体もしくはその抗原結合性部分または抗PDL1抗体もしくはその抗原結合性部分の投与は、該抗ICOS抗体またはその抗原結合性部分の投与開始後、1週間、2週間、3週間、および4週間から選択される時点で開始される。一態様では、抗PD1抗体もしくはその抗原結合性部分または抗PDL1抗体もしくはその抗原結合性部分が、抗ICOS抗体またはその抗原結合性部分に先立って投与される。一実施形態では、抗PD1抗体または抗PDL1療法の開始と抗ICOS抗体療法の開始との間の間隔は、1日、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、および6週間から選択される。
一実施形態では、抗ICOS抗体もしくはその抗原結合性部分および抗PD1抗体もしくはその抗原結合性部分または抗PDL1抗体もしくはその抗原結合性部分は、該ヒトが疾患進行または許容不能な毒性を示すまで、該ヒトに投与される。一実施形態では、該ヒトに、少なくとも1種の抗新生物剤および/または少なくとも1種の免疫調節剤を投与するステップをさらに含む、癌の治療のための方法が提供される。
典型的には、治療されている感受性の腫瘍に対する活性を有するいずれかの抗新生物剤が、本発明での癌の治療で共投与されることができる。そのような薬剤の例は、Cancer Principles and Practice of Oncology by V.T. Devita, T.S. Lawrence, and S.A. Rosenberg (編), 第10版 (December 5、2014), Lippincott Williams & Wilkins Publishersに見出すことができる。当業者は、どのような薬剤の組み合わせが、関与する薬物および癌の詳細な特性に基づいて有用であるかを見定めることができるであろう。本発明で有用な典型的な抗新生物剤としては、限定するものではないが、抗微小管剤または抗有糸分裂剤(ジテルペノイドおよびビンカアルカロイドなど);白金配位錯体;アルキル化剤(ナイトロジェンマスタード、オキサザホスホリン、アルキルスルホネート、ニトロソウレア、およびトリアゼンなど);抗生物質(アクチノマイシン、アントラサイクリン、およびブレオマイシンなど);トポイソメラーゼI阻害剤(カンプトテシンなど);トポイソメラーゼII阻害剤(エピポドフィロトキシンなど);代謝拮抗剤(プリンおよびピリミジン類似体ならびに抗葉酸化合物);ホルモンおよびホルモン類似体;シグナル伝達経路阻害剤;非受容体チロシンキナーゼ血管新生阻害剤;免疫治療剤;アポトーシス促進剤;細胞周期シグナル伝達阻害剤;プロテアソーム阻害剤;熱ショックタンパク質阻害剤;癌代謝の阻害剤;および癌遺伝子療法剤(遺伝子改変型T細胞など)が挙げられる。
本方法または組み合わせと共に併用または共投与されるさらなる活性成分(1種類または複数種類)の例は、抗新生物剤である。抗新生物剤の例としては、限定するものではないが、化学療法剤;免疫調節剤;免疫調節因子;および免疫刺激性アジュバントが挙げられる。
以下の実施例は、本発明の様々な非限定的態様を例示する。
[実施例1]
行なわれた抗ICOS抗体/抗PD1抗体同時投与および段階的投与試験の試験設計を、図1に示す。図2は、抗ICOS抗体/抗PD1抗体同時投与および段階的投与試験の試験手順の模式図である。図2の下部には、試験で用いられた抗体を列記する表が示される。図3〜7、図8A〜8C、図9A〜9C、および図10〜14では、「Rt ICOS」は「ラット抗ICOS抗体」を意味し;「Rt PD1」は「ラット抗PD1抗体」を意味する。「Rt IgG2A」は「ラットIgG2A」を意味し;「Rt IgG2B」は「ラットIgG2B」を意味する。
単剤療法:
図3、4、8B、10および11に示される通り、ラット抗マウスICOS抗体(17G9)100μgまたは10μgは、同様の腫瘍増殖速度(図3、図4、図8B)および全体生存率(40%)(図10、図11)を示した。
ラット抗マウス抗PD1抗体(200μg)は、腫瘍増殖速度に対して効果を有しなかった(図3、図4、図8A〜8B)。全体生存率は10%であった(図10、図11)。
組み合わせ療法:
10日目に、抗PD1抗体と組み合わせた抗ICOS抗体(100μgまたは10μg)の同時投与は、単剤投与または段階的投与レジメンと比較して相乗的な抗腫瘍有効性を示した(図3〜7、8A〜8C、9A〜9C)。
抗ICOS導入(lead-in)投与/抗PD1継続(follow up)投与を用いて治療された群12のマウスは、長期生存率での驚くべき予期せぬ増大を示した。マウス長期生存率(第1回投与後67日目)に関して、群12(抗ICOS導入投与に続いて抗PD1の6用量)由来マウスのうちの60%が、完全応答を示した(6匹のマウスが腫瘍を有さず、1匹のマウスは抗薬物抗体(ADA)に起因して死亡したことが見出された)(図10、図12、図14)。群11(抗ICOS導入投与に続いてラットIgG2Aの6用量)由来マウスのうちの20%が、完全応答を示し(3匹のマウスが腫瘍を有さず、3匹のマウスはADAに起因して死亡したことが見出された)(図10、図12、図14);データは、抗ICOS単独療法データと同等である。群8(抗PD1導入投与に続いて抗PD1+ラットIgG2bの3用量)由来マウスのうちの30%が、完全応答を示し(3匹のマウスが腫瘍を有しなかった)(図10、図12、図13);この群は、抗PD1の3回投与(10%、1匹の腫瘍を有しないマウス)よりも良好な全体生存率を示した。群9(抗PD1導入投与に続いて抗PD1+抗ICOSの3用量)由来マウスのうちの20%が、完全応答を示した(3匹のマウスが腫瘍を有さず、3匹のマウスはADAに起因して死亡したことが見出された)(図10、図12、図13)。ADAは、第4回および第5回の投与で生じた。
実施例1で本明細書中に記載される結果は、以下の材料および方法を用いて得られた。
マウス、腫瘍チャレンジおよび処置
すべての試験は、実験動物のケア、福祉および処置に対するGSKポリシーに従って行なわれ、GSKまたは実験が行なわれた機関での倫理審査プロセスのいずれかにより、機関の動物ケアおよび使用委員会(IACUC)により審査された。6〜8週齢の雌性BALB/cマウス(Envigo社)を、完全に認証されたAAALAC施設でin vivo試験のために用いた。
5.0×104細胞/マウスのCT26マウス結腸癌(ATCC CRL-2638)腫瘍細胞を、右脇腹に皮下接種した。腫瘍体積および体重データは、Study DirectorTMソフトウェアパッケージ(Studylog Systems, South San Francisco, CA, USA)を用いて収集した。腫瘍体積は、以下の式を用いて算出した:腫瘍体積(mm)3=0.52×l×w2(式中、腫瘍のw=幅およびl=長さ(mm))。腫瘍が約50〜100mm3に達したら、マウスを、処置の開始前に、Study LogTMソフトウェアでの層化抽出法を用いて、腫瘍体積に基づいて様々な群に無作為化した(n=10/処置群)。個々のマウスについて2000mm3を超える腫瘍測定値および/または腫瘍中の開放型潰瘍の発達および/または20%を超える体重減少が生じたら、マウスを試験から外した。投与は、無作為化の日に開始した。マウスは、無作為化の日に開始される週2回の腹腔内注入を介して、マウス抗ICOS抗体(クローン7E.17G9)および/もしくはマウス抗PD1抗体(クローンRMP1-14)または生理食塩液を投与され、それぞれ、同時投与または逐次的投与のために、合計3回の抗ICOS投与および3回または6回の抗PD1投与にわたった。抗ICOSモノクローナル抗体および抗PD-1モノクローナル抗体を組み合わせた抗腫瘍活性を評価するために、マウスに、抗ICOS(クローン7E.17G9、ラットIgG2b 100μg)またはそのアイソタイプ対照(ラットIgG2b 100μg)のいずれかを、抗PD-1(クローンRMP1-14、ラットIgG2a 200μg)またはそのアイソタイプ対照(ラットIgG2a 200μg)と共に同時に用いて、週2回投与した。逐次的投与を含む実験のために、抗PD1の3回の投与後に開始して抗ICOS抗体を投与し、これは、6回の抗PD1投与のうちの最後の3回は抗ICOSと組み合わせて行なったことを意味し、または、抗ICOS抗体の3回すべての投与が完了した後に抗PD1を投与するかのいずれかとした。適切なアイソタイプ対照もまた、同様の投与レジメンで用いられた。
データはGraphpadTMソフトウェアを用いてプロットし、統計学的解析は統計家が行なった。
[実施例2]
T細胞活性化および抗腫瘍応答を、単独で、およびPD-1遮断と共に生起する、IgG4抗ICOSアゴニスト抗体の特性決定
実施例2には、最適な効力のためのアイソタイプ選択の重要性に重点を置いて、ヒト化非枯渇型抗ICOSアゴニスト抗体の免疫刺激活性および抗腫瘍活性の特性決定が記載され、単独薬剤として、およびPD-1チェックポイント遮断との組み合わせて、癌患者でこれを調査するための強力な論拠を提供する。
誘導性T細胞共刺激因子(ICOS)は、T細胞限定的共刺激受容体であり、その発現は、T細胞受容体嵌合に際して活性化型T細胞上で誘導される。本発明者らは、抗体媒介ICOSアゴニズムが、強力なT細胞活性化、腫瘍部位へのT細胞の移動、および同系マウスモデルでの抗腫瘍応答を生起することを実証する。本発明者らのデータは、アゴニスト抗体のアイソタイプ選択が、試験された抗体のIgG1型を用いて観察される通り、Fc依存的細胞傷害性およびエフェクターT細胞(Teff)の枯渇を回避するために重要であることを示す。さらに、本発明者らのデータは、調節T細胞(Treg)上でのICOS発現レベルが、高いにもかかわらず、大多数の腫瘍でのTregの選択的枯渇に対して狭い枠を与え、これは、Teff上での重複ICOSレベルおよびチェックポイント遮断の存在下でのICOSのアップレギュレーションに起因することを示唆する。アイソタイプの探索は、臨床開発のための、ヒト化IgG4抗ICOSアゴニスト抗体(H2L5 IgG4PE)の選択を導いた。本発明者らは、このICOSアゴニスト抗体の免疫学的活性および治療的能力の特性決定を提示し、この抗体は、現在、先行するヒト臨床試験において、単独で、およびペンブロリズマブと組み合わせて調査されている。
導入
誘導性T細胞共刺激因子(ICOS)は、CD28/CTLA-4-Igスーパーファミリーに対する構造的および機能的相同性を有する共刺激受容体である(Hutloff, A. Nature 397:263-266 (1999))。ICOS発現は抗原刺激によりアップレギュレーションされ、かつICOSシグナル伝達はTH1サイトカインおよびTH2サイトカイン両方の産生ならびにエフェクターT細胞(Teff)増殖を誘導する。ICOS発現は、休止期TH17細胞、T濾胞性ヘルパー細胞(TFH)および調節T(Treg)細胞上で観察されてきたが;しかしながら、CD28とは異なり、ICOSは、大部分の休止期ナイーブT細胞およびメモリーT細胞集団では高度には発現しない(Fazilleau, N. et al. Nat Immunol. 8(7):753-61. (2007)、Paulos, C.M. et al. Sci Transl Med. 2(55): 55-78. (2010))。ICOSは、免疫応答中のTeffおよびTregの生存および増殖での重要な役割を果たし(Burmeister, Y. et al. J Immunol. 180(2): 774-82. (2008))、かつTH17の発達および機能に対して重要であることが示されている(Paulos, C.M. et al. Sci Transl Med. 2(55): 55-78. (2010)、Guedan, S. et al. Blood 124(7): 1070-80. (2014))。
抗CTLA-4抗体を用いて処置された患者から新たに得られたデータは、ICOSを発現するメモリーT細胞が、抗腫瘍免疫応答および長期生存率の媒介を助ける可能性があることを示唆する(Liakou, C.I. et al. Proc Natl Acad Sci USA. 105(39): 14987-92. (2008);Di Giacomo, A.M. et al. Cancer Immunol Immunother. 62(6): 1021-8. (2013);Carthon, B.C. et al. Clin Cancer Res. 16(10): 2861-71. (2010);Vonderheide, R.H. et al. Clin Cancer Res. 16(13): 3485-94. (2010))。ICOSは、マウスでの抗CTLA-4抗腫瘍活性に対して重要であることが示されており(Fu, T. He, Q., Sharma, P. Cancer Res. 71(16): 5445-54. (2011);Fan, X, et al. J Exp Med. 211(4):715-25. (2014))、先行報告では、組み換えマウスICOSリガンドを用いたCD4およびCD8 T細胞上のICOS活性化が、抗腫瘍能力を有するという構想が支持されている(Ara, G. et al. Int. J Cancer. 103(4): 501-7 (2003))。ヒトICOSリガンド(ICOS-L)は、ICOSに加えて、CTLA-4およびCD28の両方に結合することが示されており、このことは、ヒトでの治療薬としての組み換えICOS-Lの潜在的な使用を制限し(Yao, S. et al. Immunity 34(5), 729-40. (2011));癌を有する患者でICOSを活性化する代替的な治療アプローチが必要とされる。
ここで、本発明者らは、最小限の抗体依存的細胞性細胞傷害(ADCC)および貪食活性を伴い;それにより、Teff枯渇のリスクを低減させる、Fcγ受容体(FcγR)架橋を介する最適なICOSアゴニズム作用を提供するために設計された、先行するクラスのヒト化IgG4抗ICOSアゴニストモノクローナル抗体(mAb)H2L5 IgG4PEの免疫学的および抗腫瘍特性を記載する。本明細書中に記載される包括的な前臨床データは、現在、先行するヒト臨床試験において、単独で、およびペンブロリズマブと組み合わせて調査されている、H2L5 IgG4PEの臨床試験を補助する。
結果
強力かつ選択的抗ヒトICOSアゴニストモノクローナル抗体(mAb)の開発
本発明者らは、ICOS細胞外ドメインを用いてマウスを免疫化することによる、アゴニスト性抗ヒトICOS mAbの作製を行なった。これらのmAbのうちの1種は、ヒト化型であり、かつ生来型IgG4との抗原結合性断片(Fab)アーム交換を低減させるための2箇所のFc突然変異(残基235でのロイシンからグルタミン酸(Kabat, E. A., et al. Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. U.S. Dept. of Health and Human Services, Bethesda, MD, NIH Publication no. 91-3242. (1991))および残基228でのセリンからプロリンへの置換(EUナンバリング))を有するヒトIgG4として発現された(Manjula, P. et al. The Journal of Immunology. 164:1925-1933. (2000)、Rispens, T. et al. J. Am. Chem. Soc. 133 (26):10302-10311. (2011))。得られたH2L5 IgG4PEは、本明細書中、以下では「H2L5」と称される。
H2L5は、1.34nMの親和性でヒトICOSに結合し(図15A)、これは、生来型ICOS L/CD275相互作用の約17倍高い(図15B)。H2L5は、2種類の最も近い構造の関連タンパク質であるマウスICOSまたはヒトCD28もしくはCTLA-4には結合しなかった。このことは、生来型ヒトICOS-Lとは対照的であり、該分子は、CTLA-4およびCD28の両方に結合する(Yao, S. et al. Immunity 34(5), 729-40. (2011))。H2L5は、フローサイトメトリーによりICOS/ICOS-L結合をブロックし、MSD免疫アッセイでの1μg/mL超の濃度でICOSに対する結合でICOS-Lと部分的に(≦50%)競合した(図22A〜22B)。H2L5はまた、健常ヒトドナー由来の活性化型PBMCサンプル中のCD4およびCD8 T細胞の両方にも結合した(図15C)。ICOSは、ヒトT細胞で、ICOS-L結合に応答してAKTを活性化することが以前に示されており(Okamoto, N. et al. Biochem Biophys Res Commun. 310(3): 691-702. (2003));予め活性化された初代ヒトCD4 T細胞は、H2L5を用いた処理に応答してpAKTおよびpGSK3β増加を示した(図15D)。H2L5は、CD69発現(図15E)および増殖(図15F)により測定された場合に、抗CD3と共にプレート結合形式で用いると、CD4およびCD8 T細胞活性化を顕著に増大させた。最小限の活性化が、抗CD3処理の非存在下で、H2L5を用いて観察され、このことは、この分子が、これらのアッセイ条件下で、スーパーアゴニスト活性を有しないことを示した。
プレート結合型H2L5抗体は、TH1、TH2およびTH17サイトカイン、IFN-γ、TNF-α、IL-17a、IL-10、IL-6ならびに比較的低い程度で、IL-2、IL-5およびIL-13の、健常ドナー(HD)由来PBMCでの用量依存的増加を誘導した(図15G、図23A、図33)。類似のプロフィールのサイトカイン誘導が、NSCLC患者由来PBMCで観察され、IFN-γの強い誘導、ならびにTNF-α、IL-10およびIL-2をはじめとする他のサイトカインの比較的低いレベルの誘導が観察された(図15H、図34)。CD4およびCD8 T細胞両方でのT細胞活性化マーカー:CD25、OX40およびCD69の用量依存的増加もまた、プレート結合型抗CD3およびH2L5を用いる刺激後に、HDについて観察された(図23B)。単離されたヒトCD3+ T細胞を用いて、H2L5を用いる処置は、TH1転写因子T-Bet(図15I)ならびに細胞傷害性分子グランザイム-B(図15J)のmRNA発現の顕著な増加をもたらした。L-セレクチン発現の顕著な減少が観察され、このことは、活性化型エフェクター表現型への移行を示した(図15K)。プレート結合型H2L5抗体が、6日間の培養後の抗CD3の存在下での解離された腫瘍からex vivoで単離されたT細胞を共刺激する能力もまた評価された。IFN-γの濃度依存的かつ堅牢な増加が、9名/10名のドナーで見られ(図15L)、健常PBMCと比較したIL-17およびIL-10の比較的堅牢性に欠ける誘導、ならびに低レベル〜検出不能レベルのTH2サイトカイン(IL-5およびIL-13)を伴った(図24A〜D)。CD8+PD-1+細胞およびCD4+CD25+Foxp3+(Treg)細胞での中等度の増加に加えて(図25B〜25D)活性化マーカーOX40(図15M)、CD25(図15N)およびLAG3(図25A)の顕著な増加が、CD8 T細胞で観察された。低い割合(%)のみのICOS-L発現細胞が、大多数のドナーで観察された(図25C)。
併せて考えると、これらのデータは、H2L5が、強力なICOSアゴニストであり、T細胞活性化および増殖を駆動することが可能であるが、TCR刺激の非存在下でT細胞活性化を駆動することが可能なスーパーアゴニストではないことを示す。
抗体アイソタイプおよびFcγR嵌合(engagement)が、H2L5機能に対して重要である
FcγR媒介架橋は、アゴニスト抗体機能にとって重要である(Dahal, L.N. et al.. Immunol Rev. 268(1): 104-22. (2015);Furness A.J. et al. Trends in Immunology 35(7): 290-298 (2014))。図15に記載される結果は、プレート結合型抗体を利用しており、これは、FcγR架橋に対する必要性を克服し、かつFcγRに嵌合することができ、架橋を媒介できる抗体アイソタイプが、最適なICOSアゴニズムを達成するために重要であることを示唆する。正式にこのことを評価するために、本発明者らは、H2L5の重鎖および軽鎖可変領域をクローニングし、それらを様々なヒトIgGアイソタイプ(IgG1、IgG2、IgG4PEおよびIgG1 Fc作動不能型[アミノ酸(AA)置換L235AおよびG237A])として発現させた(Bartholomew, M. et al. Immunology 85(1): 41-8 (1995))。様々なH2L5アイソタイプ変異体の結合性を、ヒトFcγRI、FcγRIIa (H131)、FcγRIIa (R131)、FcγRIIb、FcγRIIIa (V158)およびFcγRIIIa (F158)に対して測定し、予測される結合パターンを実証した(図35)。IgG4PEは、生来型ヒトIgG4からの2箇所のAA置換を含み:残基235のロイシンからグルタミン酸(Kabat, E. A., et al. Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. U.S. Dept. of Health and Human Services, Bethesda, MD, NIH Publication no. 91-3242. (1991))および残基228のセリンからプロリンへの置換(EUナンバリング)、これは生来型IgG4との抗原結合性断片(Fab)アーム交換を低減させ(Manjula, P. et al. The Journal of Immunology. 164:1925-1933. (2000)、Rispens, T. et al. J. Am. Chem. Soc. 133 (26):10302-10311. (2011))、かつ抑制性FcγRIIbに対する結合性を保持しながら、活性化FcγRおよびC1qに対する結合性を減少させるためである。PBMCアッセイでは、H2L5 IgG1抗体は、試験したドナーのうちの50%超で、溶液中に添加した場合にCD4およびCD8 T細胞両方の増殖を減少させた(図16A)。対照的に、H2L5のIgG2、IgG4PEおよびFc作動不能型アイソタイプ変異体は、試験したいずれのドナーでもCD4またはCD8 T細胞の増殖の実質的な阻害を生じず、一方で、H2L5 IgG4PEフォーマットは、ドナーのサブセットでの増殖増加を生じた(図16A)。本発明者らは、次に、H2L5 IgG1の阻害作用が、PBMC混合物中のNK細胞を介するADCCに起因するか否かを試験した。10名の健常ドナー(HD)由来PBMCでは、CD4およびCD8集団の両方に対するH2L5 IgG1の阻害作用は、PBMCプールからNK細胞が除去された場合に失われた(図16B)。H2L5アイソタイプ変異体はまた、ヒトでのNK媒介ADCCを担う主な活性化FcγRであるFcγRIIIaの嵌合を検出するリポーターアッセイでも試験した。H2L5 IgG1が、活性化型T細胞と共にインキュベートした場合に、著明なルシフェラーゼシグナルの増大を誘導した一方で、H2L5 IgG4PE抗体またはH2L5 Fc作動不能型抗体のいずれも、FcγRIIIa媒介シグナル伝達を誘導しなかった(図26A)。加えて、H2L5 IgG1はNK細胞依存的様式でT細胞死滅を誘導したが、IgG4PEまたはFc作動不能型H2L5のいずれも、アイソタイプ対照と比較して細胞死のいかなる有意な増大も生じさせなかった(図16C)。
以前の研究で、受容体密度が、ADCCによる死滅に対するT細胞の感受性に影響を及ぼし得ることが報告されており、このことは、リンパ組織と比較して腫瘍微小環境中では異なり得る、異なるT細胞サブセットの優勢的な枯渇の可能性を導く(Furness A.J. et al. Trends in Immunology 35(7): 290-298 (2014))。様々な腫瘍から新たに単離されたCD4、CD8およびTreg上でのICOSの発現レベルを、フローサイトメトリーにより決定した。CD4およびCD8 T細胞と比較してTreg上で比較的高い発現が観察されたが、これは一部の腫瘍では不均一であり、これらの集団間で重複するレベルを示し;結果として、ICOS高発現は、Tregの際立った特徴ではなかった(図16D)。ADCCによる枯渇の可能性に対するFcアイソタイプの相対的寄与をさらに評価するために、CD4、CD8およびTreg細胞を、様々な癌患者から直接的に精製し、ICOS受容体密度のレベルを、IgG1またはIgG4PEアイソタイプのH2L5がex vivoリポーターアッセイでFcγRIIIAを刺激する能力と相関させた(図16E、図26B)。腫瘍から単離されたT細胞は、H2L5 IgG4PEアイソタイプと共にインキュベートした場合に、FcγRIIIaを刺激しなかったが;H2L5 IgG1とのインキュベートは幾分かの(ばらついた)刺激を引き起こした。一部の腫瘍では、FcRγIIIa受容体嵌合が、特に1〜10μg/mLの用量で、Treg、CD4およびCD8について見られ、このことは、CD4およびCD8に影響することのない、Tregの選択的ADCC枯渇が、すべての腫瘍で一般的に可能ではない可能性があるという考えを支持する(例えば、乳癌1001202患者サンプルの慣用的CD4 T細胞は、1〜10μg/mLの用量で、Tregと同様の刺激を誘導した;図16F、図26B)。
上記のデータに基づけば、開発のために選択されるアイソタイプは、遺伝子操作型IgG4PE抗体であるH2L5であった。
H2L5は、TCR依存的T細胞活性化のFcγR媒介アゴニズムを誘導する
プレート結合(固定化抗体)形式ならびに溶液中の両方で、単離されたヒトCD4 T細胞を用いてH2L5を試験した。膜結合型FcγR依存的架橋を刺激する固定化形式のH2L5は、可溶性抗体と比較して著明に高いレベルのIFN-γを誘導した(図17A)。最適なH2L5アゴニスト活性に対するFcγR嵌合の重要性を、活性化型ヒトPBMCアッセイでさらに確認し、このとき、H2L5は、2倍超のIFN-γ誘導をもたらしたが; Fc作動不能型のH2L5は、アイソタイプ対照と比較してサイトカイン誘導活性を有しなかった(図17B)。IgG4PEおよびFc作動不能型のH2L5を、改変型混合リンパ球応答(MLR)でも試験した。H2L5 IgG4PE mAbは、2倍超のIFN-γ誘導をもたらしたが;Fc作動不能型のH2L5 mAbは、アイソタイプ対照と比較して活性を有しなかった(図17C)。次に、CD4 T細胞/CD14単球ドナー適合共培養アッセイを用いて、FcγRを発現する単球が可溶性H2L5のアゴニスト能力を増大させるか否かを決定した。MLRアッセイ形式と同様に、H2L5はIgG4PEアイソタイプとして試験した場合にのみIFN-γを誘導し;Fc作動不能型抗体は、アイソタイプ対照と比較して有意なサイトカイン誘導を示さなかった。FcγRIIアイソフォームをはじめとするFcγRを発現することが知られている単球の添加は、T細胞単独の場合と比較して、H2L5 IgG4PEにより誘導されるサイトカイン産生の顕著な増加を生じさせた。FcγRIIBとの相互作用は、TNF-αファミリー受容体ならびにCD28を標的とする他の免疫調節性抗体のアゴニスト活性に対して重要であることが示されている(Bartholomew, M. et al. Immunology 85(1): 41-8 (1995);Bartholomaeus, P. et al. J Immunol. 192(5): 2091-8. (2014))。逆に、FcγRブロック抗体の添加は、H2L5により誘導されるサイトカイン誘導を完全に阻害した(図17D)。これらの結果は、H2L5が、他のIgG4アゴニスト抗体で見られるものと同じく、FcγRIIBを介するであろうFcγR嵌合を達成できるが(Bartholomaeus, P. et al. J Immunol. 192(5): 2091-8. (2014)、Hussain, K. et al. Blood 125 (1): 102-110 (2015))、IgG1アイソタイプで見られる通り、ICOS+ T細胞のADCC死滅を回避することを示す。
細胞表面でのその局在化および移動を評価するために、H2L5を蛍光標識し、初代活性化型ヒトCD3+ T細胞培養にDCと一緒に添加し、イメージングした。結合後、H2L5はT細胞表面へと迅速に極性化した。移動したT細胞は、樹状細胞(DC)との結合が開始するまで、培養中を走査し始めた。T細胞がDCとの細胞接触状態にある場合には、H2L5は接触点に集積した(図17E)。ヒトDCとT細胞との共培養を用いる追加の試験により、H2L5が、活性化されたT細胞の分極した頂部、ならびにその後にDCとのT細胞の結合に際して形成される免疫シナプスで、迅速に、CD28、および比較的低い程度でCD4と共局在することが実証された(図17F)。これらの結果は、ICOSが、ヒトT細胞移動を誘導し、かつT細胞活性化に続いて免疫シナプスで共局在することを示す。
H2L5は、in vivoでエフェクターメモリー表現型および抗腫瘍活性を誘導する
H2L5のin vivo機能を、A2058腫瘍を移植されたヒトPBMC生着NSGマウスモデルで評価した。このモデルは、移植片対宿主病(GVHD)応答を誘導し、エフェクターおよびメモリーT細胞活性を研究するために以前に用いられている(23)。H2L5処置マウスの血液中では、ヒトT細胞数が用量依存的様式で減少し(図18A)、CD69発現(T細胞活性化を表わす)の対応する増加が観察された(図18B)。Fc作動不能型のH2L5は、H2L5 IgG4PEよりも比較的弱くはあるものの、類似の傾向を示し、このことは、細胞の消失がADCCに起因しないことを示唆した。H2L5は、CD4+CD45R0+CD62L-エフェクターメモリー(TEM)細胞(図18C)、およびCD8+CD45RO-CD62L-最終分化型CD8エフェクター細胞(TEMRA)(図18D)の用量依存的増加を誘導した。次に、H2L5を、HCT116またはA549腫瘍のいずれかを担持するヒトPBMC生着NSGマウスで試験した。ヒト抗IgG4蛍光標識抗体による、ICOS+ T細胞(CD4、CD8およびTreg)に対するH2L5結合性の検出が、0.4mg/kgの用量で、およびより低い程度で0.04mg/kgの用量で、血液および腫瘍中で観察され、このことは、A549腫瘍を担持するマウスでの標的嵌合を実証した(図18E、図27A〜27B)。抗PD-1 IgG4抗体(キイトルーダ)を用いて処置されたマウスもまた、同じ検出試薬を用いて結合型抗体の検出を示した。H2L5を用いたマウスの処置は、A549腫瘍中のCD8:Treg比の増加を伴い、これは、抗PD-1を用いて処置されたマウスで見られたものと同等であった(図18F)。H2L5は、HCT116およびA549の両方の腫瘍モデルで、顕著な腫瘍生長阻害をもたらした(図18G〜18H)。GVHD応答が比較的重症でなかったA549モデルでは、腫瘍生長阻害は、50日間を超える生存率の用量依存的増加を生じた(図18I)。これらの実験は、ICOS受容体の嵌合成功に相当する0.4mg/kgの用量が、血液および腫瘍中でのT細胞活性化を伴うその後の薬理学的作用ならびに腫瘍生長の減少をもたらすことを示唆する。
マウス抗ICOS抗体のFcアイソタイプが、同系腫瘍での有効性に影響する
CTLA-4、PD-L1、OX40およびCD40を用いる文献中の研究では、mAbのFcアイソタイプの選択が様々な腫瘍モデルでの有効性に著明に影響し得ることが示されている(Dahal, L.N. et al. Immunol Rev. 268(1): 104-22. (2015);Furness A.J. et al. Trends in Immunology 35(7): 290-298 (2014))。FcγR結合性に関してヒトIgG4と同等な代理マウス抗ICOS抗体を作製するために、(図36)抗マウスICOS抗体7E-17G9をマウス(m)IgG1およびmIgG2aアイソタイプへとクローニングし、2種類の異なる腫瘍モデルで試験した。7E-17G9抗体は、抗CD3を用いたプレート結合型形式でアゴニスト活性を示した(図28)。EMT6モデルでは、mIgG1抗体は、特に高用量(>5mg/kg、100μg/マウス)で、mIgG2aよりも高い有効性を示し、生存率(図19A)および腫瘍生長阻害(図29A)を伴った。しかしながら、両方のアイソタイプが、CT26モデルでの単独療法としては中等度の用量依存的有効性しか示さなかった(図19B、図29B)。ヒトIgG1に関して上記した通り、mIgG2a枯渇抗体は、mIgG1よりも有効性が低い可能性があり、なぜなら、該抗体はTeffおよびTregの両方を枯渇させる能力を有するからである。CT26と比較してEMT6に関して、処置前(100mm3)に、顕著に高いCD8:Treg比(図19C)が観察され、EMT6モデルおよびCT26モデルの両方が、脾臓と比較して腫瘍中でICOS陽性CD4細胞およびCD8細胞およびTreg細胞の割合(%)の増加を示したが(図19D、図30)、IC0S CD8陽性細胞の比較的高い割合(%)が、CT26と比較してEMT6で、脾臓中で観察された(EMT6 vs CT26:80% vs 10%)。腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)由来のTreg上での高レベルのICOS発現がEMT6およびCT26腫瘍の両方で観察されたが、CD8 TIL上でのICOSレベルは、CT26よりもEMT6で約10倍高かった(EMT6 vs CT26:30,000 vs 3000 MFI)。このことは、末梢および腫瘍の両方でのCD8上の高いICOS発現は、EMT6モデルでのmIgG1抗体のアゴニスト活性を伴う応答に関連している可能性があることを示唆する(図19E〜19G)。EMT6乳房腫瘍を担持するマウスでのアゴニスト抗ICOS mAbのメカニズムをさらに調査するために、TCR多様性に対する作用を調べ;ICOS mAb処置マウスの血液中での固有の循環内TCRクローン数の著明な変化およびTCRクローン性の対応する増大が確認された(図31A〜31C)。ICOSアゴニストmAb処置に応答してマウス血液中で増殖した大部分のクローンは、腫瘍中でも見られた(図19H)。これらの知見は、腫瘍反応性T細胞クローンの小規模なプールが、ICOS mAb処置に応答して増殖することを示す。
ヒト癌でのICOS/ICOS-L経路の特性決定
抗腫瘍治療抗体としてのICOSアゴニストmAbの解釈をさらに調査するために、TCGAデータベース由来のヒト固形腫瘍を、ICOS mRNA発現によってランク付けした(図26)。最も高い発現は、頭頚部癌、胃癌、食道癌、黒色腫、NSCLC、子宮頸癌および乳癌で観察された。発現を、NSCLCで、単独IHCにより確認した(図32)。H2L5アゴニストmAbの作用様式はICOS-L活性の形質を模写するために設計されているため、ICOSおよびICOS-LについてのmRNAの共発現を、これらの腫瘍タイプで分析した(図20A)。ICOS発現は、多くの場合、ICOS-Lとは共発現せず、このことは、H2L5が、これらの腫瘍中での低レベルICOSシグナル伝達を増補する可能性があるという仮説を支持する。本発明者らはまた、同じサンプル中での、PD-L1の相対的発現も評価した。PD-L1の発現は、T細胞浸潤の増加に関連付けられ、様々な適応での抗PD-1/PD-L1処置に応答する患者で富化する予測的バイオマーカーとして用いられてきた。総合すると、PD-L1とICOS発現との間には明らかな相関があるが、これは、異なる適応間でばらついた(図20A)。これらの結果は、CD4、CD8およびFOXP3の発現についてのIHC染色により確認され、NSCLCでは免疫浸潤物中でICOSと共に局在している傾向にあった(図20B)。
腫瘍微小環境中での重要な細胞型の存在を、様々な腫瘍タイプ由来の生検でのフローサイトメトリーにより分析した。CD45+白血球集団では、CD3 T細胞が20〜80%の範囲で優勢な細胞型のようであり;B細胞、マクロファージ、単球、NK細胞およびDCなどの他の細胞型もまた存在した(図20C)。これらの細胞型は、FcγRIIbをはじめとするFcγRを発現し、これが腫瘍微小環境中でのH2L5のアゴニスト活性に必要な架橋を提供する可能性がある(Furness A.J. et al. Trends in Immunology 35(7): 290-298 (2014))。T細胞部分集団の組成は、平均するとCD4(68%)、CD8(30%)およびTreg(2%)であったが、異なる腫瘍間で無視できない不均等性があった。腫瘍タイプを別々に分析した場合、CD8とTregとの間の不均等性がNSCLCおよびRCCについて明らかであり、高いCD8/Treg比を示した(図20D)。多重IHCによるさらなる分析を行なって、異なるT細胞サブタイプのICOS発現を特性決定した。ICOSの共発現は、CD3+PD-1+細胞の一部分で、特に、頭頚部、食道、NSCLCおよび黒色腫中で観察され、このことは、抗PD-1療法を用いた組み合わせ治療に対する論拠を支持する(図20E〜20F)。
次に、精製されたヒトT細胞による遺伝子発現に対するH2L5共刺激の作用を、Human PanCancer-Immune増殖パネルを用いて測定し、ICOS遺伝子の特徴を特定した。抗CD3単独と比較して、120種類の遺伝子が示差的に誘導され、85種類がアップレギュレーションされ、35種類がダウンレギュレーションされた(図20G)。数種類の免疫関連遺伝子または経路が、抗CD3単独と比較してH2L5により誘導され、TH1サイトカイン、およびケモカイン、T細胞機能および細胞傷害性、ならびにTNFファミリーメンバーが含まれた(図38)。ヒトICOS誘導特性と重複した、7E.17G9を用いて処置されたEMT6マウス腫瘍から特定された最上位の遺伝子が、図20Hに示される。この情報は、初期臨床試験でH2L5の薬物動態作用をモニタリングするためのICOS転写特性の開発をガイドするために用いられている。
ICOSアゴニスト処置は、腫瘍中でPD-1/PD-L1を誘導し、抗PD-1遮断との組み合わせでの活性増大を実証する
公知のIFN-γ応答性遺伝子であるPD-L1ならびにPD-1は、ICOS mAb処置マウスの腫瘍中で顕著に増加した(図21A〜21B)。ヒトPBMCを6名の癌患者から回収し、H2L5を用いて処理し、これはCD4およびCD8 T細胞の両方におけるPD-1発現の顕著な増加を生じた(図21C)。加えて、抗PD-1療法を用いて治療されたNSCLC患者および黒色腫患者は、治療前と比較して、末梢血中でのCD4 T細胞上でのICOS発現の増加を示した(図21D)。したがって、本発明者らは、PD-1ブロッキング抗体との組み合わせがICOSアゴニストmAbの抗腫瘍活性を増補し得るか否かを試験した。ICOSアゴニストmAb(7E17G9 mIgG1アイソタイプ)を、確立されたEMT6腫瘍(150mm3)を有するマウスに、単独または抗PD-1抗体との組み合わせで投与した。組み合わせは、ICOSまたはPD-1抗体単独を用いる単独療法治療と比較して、抗腫瘍応答の増加および長期生存率(マウスのうちの90%)をもたらした(図21E)。H2L5と抗PD-1(ペンブロリズマブ)との組み合わせもまた、ヒト化マウスモデルで評価し、単独療法のみと比較して、A549腫瘍に対する強化された抗腫瘍応答をもたらした(図21F)。これらのデータは、ICOSアゴニスト抗体の追加が、PD-1抗体により誘導される抗腫瘍活性を著明に改善したことを示す。
ex vivoアッセイにより、NSCLCを有する6名の患者由来の初代切除腫瘍で、H2L5を単独またはペンブロリズマブとの組み合わせで、さらに試験した。H2L5を単独で用いた処理は、試験したNSCLC腫瘍サンプルのうちの4/6サンプルでIFN-γの顕著な増加をもたらしたが、H2L5とペンブロリズマブとの組み合わせは、ペンブロリズマブ単独と比較して顕著なIFN-γの増加およびH2L5処置単独と比較して5/6サンプルでの増加を生じた(図21G)。ペンブロリズマブとのH2L5の組み合わせを、改変型同種異系ヒトMLRアッセイでも試験し、ここで、組み合わせ治療は、3名中3名の異なる健常ドナーペアで、いずれかの薬剤単独と比較して、IFN-γレベルを増加させた(図21H)。
考察
本発明者らは、先行するクラスのヒト化IgG4抗ICOSアゴニストmAbであるH2L5の免疫学的活性および治療能力の最初の完全な特性決定を提示した。本発明者らは、H2L5 IgG4PEアゴニスト抗体が、in vitroおよびin vivoで、CD4およびCD8 T細胞両方の、顕著な活性化およびクローン性増殖を誘導することを実証した。これらのT細胞は、IFN-γなどのTH1サイトカインの発現上昇、ならびにグランザイムBなどの細胞傷害性因子の産生増加を介して、増大したエフェクター機能を有する。ICOS抗体活性化型T細胞は、抗腫瘍応答を生じさせる、顕著な集積および浸潤を伴って、腫瘍への増加した組織ホーミングを示した。ICOS-/-およびICOS-L-/-マウスならびにICOS-Lに対するブロッキング抗体を用いる先行技術の報告は、マウスでのCD4およびCD8 TEM細胞両方の増殖、生存および機能に対するICOSの重要性を実証している(4、24-25)。加えて、ICOSのホモ接合欠損を特徴とする、分類不能型免疫不全を有する患者が、メモリーT細胞、具体的にはCD62Llowである細胞をより少なく有することが見出されている(26)。新規なヒトICOS特異的アゴニスト抗体を用いた本発明者らの研究は、メモリーT細胞のこの集団を誘導するためのICOSの役割を確認し、ヒトでのこの重要なメカニズムを標的化するための有望な治療アプローチを提供する。
本発明者らは、生来型ヒトIgG4と比較して突然変異S228PおよびL235E(EUナンバリング)を組み入れた遺伝子操作型のIgG4が、ヒトICOSに対するアゴニスト機能を達成するために、IgG1よりも好ましい抗体アイソタイプであることを示す。これらのAA変化は、生来型IgG4内での異種交換を妨げる(Rispens, T. et al. J. Am. Chem. Soc. 133 (26):10302-10311. (2011))。IgG4PEアイソタイプはまた、ヒトIgG1と比較して、活性化FcγRおよびC1qに対する結合を減少させ、それにより、それぞれ、抗体依存的または補体依存的メカニズムを介したICOS陽性T細胞の枯渇を生じさせ得るH2L5の細胞傷害能力を消失させる(Manjula, P. et al. The Journal of Immunology. 164:1925-1933. (2000))。本発明者らのin vitro試験は、H2L5のIgG1アイソタイプ(開発用に予定された当初のH2L5アイソタイプ)が高レベルのICOSを発現する活性化型CD4およびCD8 T細胞を死滅させ、ならびにNK依存的様式でのそれらの増殖を減少させることができることを示し;これは、IgG4PEアイソタイプでは見られなかった。重要なことに、IgG4PEアイソタイプは、数種類の刺激性免疫受容体に対するアゴニスト活性を可能にするために重要であるFcγRIIb(抑制性FcγR)に対する機能的結合性を保持し(Bartholomaeus, P. et al. J Immunol. 192(5): 2091-8. (2014);Hussain, K. et al. Blood 125 (1): 102-110 (2015);Aalberse, R.C and Schuurman, J. Immunology 105(1): 9-19. (2002);Schuurman J. and Parren P.W. Curr Opin Immunol. (2016);White A.L. et al. J Immunol. 187(4):1754-63. (2011);White A.L. et al. J Immunol 193 (4): 1828-1835 (2014);Dahal R. et al. Cancer Cell. 29(6):820-31. (2016);Yu X. et al. Cancer Cell 33 (4): 664-675 (2018))、このことは、ヒトでのICOSアゴニスト活性および関連する抗腫瘍作用にも必須であり得る。IgG4PEアイソタイプの選択は、抗マウスICOS 7E17G9代理抗体を用いたin vivo試験によってもさらに支持され、この中で、マウスIgG1アイソタイプはEMT6同系モデルでの欠失性(deleting)IgG2a抗体よりも高い有効性を示した。マウスIgG1は、ヒトIgG4と類似のプロフィールを有し、活性化FcγR受容体に対する低い結合性を有しながら、抑制性FcγRIIBをはじめとする一部のFcγ受容体に対する結合性を保持し、かつFc依存的架橋を誘導して、抗ICOS抗体のアゴニズムを改善するが;マウスIgG2aは、ヒトIgG1と同様に、活性化FcγRに結合することができ、効果的な欠失を媒介することができる。CTLA-4、PD-L1、OX40およびCD40を用いて行なわれた研究は、mAbのFcアイソタイプの選択が、様々な腫瘍モデルでの有効性に著明に影響を及ぼし得るが;しかしながら、これは異なる細胞型(例えば、CD8 vs Teff vs Treg)における相対的発現レベルならびに抗体の作用様式(アゴニズム/欠失)およびエピトープ特異性に応じて、各標的毎に最適化する必要があることを示した(Dahal, L.N. et al. Immunol Rev. 268(1): 104-22. (2015)、Furness A.J. et al., Trends in Immunology 35(7): 290-298 (2014)、Yu X. et al. Cancer Cell 33 (4): 664-675 (2018))。ex vivoヒト腫瘍は、腫瘍微小環境でのH2L5に必要とされるFcγR架橋を媒介するために重要であるFcγRIIBを発現することが知られている、B細胞、マクロファージおよびDCを様々な割合で含む(Furness A.J. et al. Trends in Immunology 35(7): 290-298 (2014)、Hussain, K. et al. Blood 125 (1): 102-110 (2015)、Aalberse, R.C and Schuurman, J. Immunology 105(1): 9-19. (2002);Schuurman J. and Parren P.W. Curr Opin Immunol. (2016);White A.L. et al. J Immunol. 187(4):1754-63. (2011);White A.L. et al. J Immunol 193 (4): 1828-1835 (2014);Dahal R. et al. Cancer Cell. 29(6):820-31. (2016);Yu X. et al. Cancer Cell 33 (4): 664-675 (2018))。活性化FcγRよりも抑制性FcγRIIBが優位なバランスが、ヒト腫瘍の免疫抑制環境中でしばしば見られ、このことは、H2L5の架橋に有利になり、かつそのアゴニスト活性を強化し得る(Furness A.J. et al. Trends in Immunology 35(7): 290-298 (2014)、Dahal, L. et al. Cancer Research 77 (13) 3619-3631 (2017))。
上記のH2L5のアゴニスト活性を考えれば、考慮しなければならない1つの要素は、腫瘍微小環境中でのTreg細胞上のICOSの発現である。EMT-6およびCT26マウス腫瘍モデルでのマウス7E.17E7 IgG1代理抗体に対する応答に関してのICOS陽性T細胞サブセットの関連性が調査された。ICOS+ CD8:Tregの比較的高い比率が、CT26と比較してEMT6モデルの腫瘍中でベースラインにおいて観察され、このことは、7E.17G9 IgG1を用いて観察されるEMT6モデルでのより高い有効性をもたらす1つの要素であり得る。同様に、ヒト化マウスモデルでは、H2L5による腫瘍減少は、CD8:Treg比の上昇を伴った。このモデルでは、H2L5単独療法を用いる治療に対する応答は、抗PD-1治療と同様であった。これらの結果は、ICOS陽性Tregの存在が、ICOSアゴニストが治療上の利益をもたらす能力を妨げないことを示唆する。
ヒト腫瘍は、腫瘍タイプの間で無視できない多様性を伴って、様々な割合でCD4およびCD8 TeffおよびTregを発現する。ICOS陽性細胞の割合(%)およびICOS発現のレベルは、異なる細胞型の間で不均等であることが見出されており、Treg上での比較的高いICOSレベルの傾向があるが、多くの患者で、Treg上とCD4およびCD8 T細胞上のICOSの発現には重複があった。H2L5抗ICOS抗体の、IgG4アイソタイプではなくIgG1アイソタイプが、ex vivo精製されたTregに対して、およびある程度まではCD8およびCD4細胞に対して、ルシフェラーゼリポーターアッセイでFcγRIIIAに結合し、かつその活性化を誘導できた。このアッセイ系でのIgG1媒介活性は、CTLA-4、OX40およびGITRなどの他の標的について報告されている通り(19)、ICOS受容体密度と相関することが見出されたが、TregおよびTeffでのICOSの示差的発現は、目立つものではなかった。さらに、Teff上でのICOS発現は抗PD-1および抗CTLA-4処理により増強されるので、このことは、IgG1アイソタイプには、in vivoでTeffと比較してTregの選択的枯渇を媒介する大きな治療上の枠がない可能性があることを示唆する。上記のデータに基づくと、H2L5の開発のための戦略は、高いCD8:Treg比およびCD8 T細胞上での高いICOS発現を有する腫瘍タイプ(例えば、NSCLC)の選択ならびにTregの存在量を減少させるか、またはその機能を制限する薬剤との合理的な組み合わせの開発を含む。
本発明者らのデータにより支持される合理的組み合わせのパートナーは、PD-1/PD-L1ブロッキング抗体である。ICOSアゴニスト抗体処理は、ヒトT細胞上でのPD-1ならびに処置されたマウスの腫瘍でのPD-1およびPD-L1発現を顕著に誘導し;さらに、抗PD-1処理もまた、CD4およびCD8 Teff細胞上でのICOSの発現を誘導することが示された。マウスで観察された組み合わせ活性と同様に、PD-1ブロッキング抗体であるペンブロリズマブと組み合わせたヒトICOSアゴニストH2L5は、ex vivoヒト免疫細胞アッセイで、いずれかの薬剤単独と比較して、サイトカイン産生の増加を実証した。H2L5 IgG4PEによるIFN-γのこの堅牢な誘導は、IFN-γが、PD-L1のアップレギュレーションによる負のフィードバックに対して作用することが知られているので、抗PD-1との組み合わせの論拠を支持する(Mandal, M. et al. Clinical cancer Research 22(10):2329-2334)。
抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体を用いる単剤治療は、多数の固形腫瘍(例えば、膀胱癌、頭頚部癌、肺癌)を通じて15〜30%の応答率を実証している(Hoos, A. Nat. Rev. Drug Disc. 15(4):235-47. (2016))。PD-1またはPD-L1抗体を他の薬剤と組み合わせて用いる新たな臨床データは、一部の設定での活性増大のシグナルを示したが;しかしながら、一部の例では実質的に毒性の追加を伴った(Larkin, J. et al. N Engl J Med. 373:23-34. (2015);Forde P.M., et al. New England Journal of Medicine (2018);Xu,X. et al. Int. J Cancer. 142: 2344-2354 (2018))。数種類の予測的バイオマーカーが、抗PD-1治療に対する応答および耐性メカニズムを示し、組み合わせ治療に対する論拠を支持する(Gibney G.T. et al. Lancet Oncology 17(12): 542-551(2016);Tumeh P.C. et al. Nature. 515 (7528): 568-71. (2014);Taube, T.M. et al. Clin. Cancer Research. 20 (19):5064-5074 (2014))。腫瘍変異量(tumor mutational burden)は、内因性の腫瘍特異的レパートリーの増殖を刺激し、抗PD-1療法に対する応答に関連する新生抗原の生成との相関因子であることが示されている(Schumacher, T.N. and Schreiber, R.D. Science 348: 69-74 (2015))。腫瘍中のクローン性およびT細胞浸潤度は近年、癌の免疫療法の帰結に関する重要な正の予測因子であることが示されている(Xu,X. et al. Int. J Cancer. 142: 2344-2354 (2018))。本発明者らの知見は、マウス代理抗体を用いて、TCRクローンが増殖され、かつ血液および腫瘍の両方の間で共有されたことを実証する。さらに、T細胞増殖、拡大、および腫瘍浸潤を誘導するH2L5は、別個の作用機序を有する、他の免疫療法剤に対して補足的(complimentary)であり得る。
実施例2に記載される結果は、以下の材料および方法を用いて取得された:
材料および方法
ヒト化H2L5抗体
H2L5は、Daniel Olive(Institut Paoli-Calmettes, INSERM (Marseille, France))の研究室から取得されたマウスmAbクローン422.2のヒト化変異体である。マウス抗体は、COS7細胞を用いて組み換えヒトICOS-Fcを腹腔内投与してBALB/cマウスを免疫化することにより、標準的なハイブリドーマ技術を用いて作製された。
細胞株および初代細胞培養
マウス腫瘍細胞株EMT6(ATCC# CRL-2755)およびCT26(ATCC# CRL-2638)ならびにヒト細胞株A549(ATCC# CCL-185)、A2058(ATCC# CRL-11147)、HCT116(ATCC# CCL 247)を、増殖させ、受け取り時に凍結させ、かつマウスへの接種のために低継代数(≦10継代)で用いた。in vivo使用に先立って、細胞株をPCRにより試験し、マウス/ラット包括的CLEARパネル(Charles River Research Animal Diagnostic Services)を用いてマイコプラズマをはじめとする病原体に関して陰性であることを確認した。
すべての患者材料を、GSK社ヒト生物学的サンプル管理(HBSM)ポリシーおよびSOPに従って、適切な書面によるインフォームドコンセントを得て取得した。癌患者由来のヘパリンナトリウム管(BD Biosciences社)中の全血および外科手術で切除した腫瘍組織を、郵便により一晩輸送してAvaden Biosciences社(Seattle)から取得した。健常ヒトドナー由来の初代T細胞またはPBMCは、適切な同意およびGSK社HBSMポリシーに従って、GSK社内献血部門でヘパリンナトリウム管に採血した全血から精製した。PBMCは、Histopaqueを通して密度勾配遠心により単離した。T細胞は、結合性および機能性アッセイのためにDynabeadsTM UntouchedTMヒトT細胞キット(Life Technologies社)またはRosetteSepヒトCD4もしくはCD8 T細胞富化キット(StemCell社)を用いて、陰性選択により単離した。単離されたT細胞を、プレート結合型抗CD3(クローンOKT3、eBioscience社)および抗CD28(クローンCD28.2、eBioscience社)を用いて48〜96時間、予め活性化し、ICOS発現をアップレギュレーションさせた。
マウス、腫瘍チャレンジおよび処置
すべての試験は、実験動物のケア、福祉および処置に対するGSKポリシーに従って行なわれ、GSKまたは実験が行なわれた機関での倫理審査プロセスのいずれかにより、機関の動物ケアおよび使用委員会により審査された。6〜8週齢の雌性BALB/cマウス(Harlan社/Envigo社)を、完全に認証されたAAALAC施設でin vivo試験のために用いた。5×104細胞/マウスのCT26マウス結腸癌または1×105個のEMT6マウス乳癌腫瘍細胞を、右脇腹に皮下接種した。別途記載しない限り、腫瘍が100mm3に達したら、マウス(n=10/処置群)を、処置の開始前に、Study Directorソフトウェアパッケージ(Studylog Systems社)を用いて無作為化した。ANOVAを用いて、群間の類似性を確かめた(P>0.9)。調査者は、群の割り当ての間はブラインドであり、群の分布が試験開始に許容可能であることを確かめるために、最終結果を評価した(P>0.9)。
CT26同系モデルでの5回の分離した試験からの腫瘍生長速度での個体間のばらつきに基づいて、1群当たり10匹のマウスが、対照群と薬物処置群との間で約0.8の作用サイズを観察し、かつ統計学的に有意なデータを作成するために必要な最適数として正当化された。
腫瘍担持マウスに、異なるアイソタイプバックグラウンドのマウス抗ICOS(クローン7E.17G9)もしくはH2L5および/またはマウス抗PD-1(クローンRMP1-14)あるいはアイソタイプ対照を、生理食塩液中で、腹腔内注入を介して、無作為化の日から始めて週2回、合計6用量にわたって投与した。個々のマウスについて2000mm3を超える腫瘍測定値および/または開放型潰瘍の発達が生じたら、マウスを試験から外した。
結合性試験
ウサギFcタグ付け組み換え細胞外ヒトまたはカニクイザルICOS(社内作製)に対するH2L5結合の親和性および動態を、BiacoreTM T200(GE HealthcareTM社)を用いて測定した。ICOS結合性データを、T200データ解析ソフトウェアを用いて、1:1動態モデルに対してフィッティングした。新鮮に単離された未活性化型およびCD3/CD28活性化型CD4およびCD8 T細胞に対するH2L5の細胞表面結合は、フローサイトメトリーによりH2L5と結合する抗ヒトIgGκ軽鎖FITC(Sigma社)の検出を介して測定した。
抗体
以下の抗ヒト抗体を、フローサイトメトリー分析のために用いた:CD4(RPA-T4、BD Biosciences社)、CD8(RPA-T8、Biolegend社)、CD69(FN50、Biolegend社)、OX40(ACT-35、eBioscience社)、Ki67(B56、BD Biosciences社)、ICOS(ISA3、eBioscience社)。以下の抗マウス抗体を、フローサイトメトリー分析のために用いた:CD3(145-2C11、BD Biosciences社)、CD4(RM4 5、BD Biosciences社)、CD8(53-6.7、BD Biosciences社)、CD25(PC61、BD Biosciences社)、CD44(IM7、Biolegend社)、CD62L(MEL14、BD Biosciences社)、FOXP3(Fjk-16s、eBioscience社)、ICOS(C398.4a、Biolegend社)、Ki67(16A8、Biolegend社)。アポトーシスは、Annexin V kit with 7-AAD(Biolegend社)を用いて測定した。ヒトPBMCマウスモデルのフローサイトメトリー分析のために、以下の抗体を用いた:CD45(HI30、BD Biosciences社)、CD3(UCHT1、Biolegend社)、CD4(SK3、BD Biosciences社)、CD45RO(UCHL1、Biolegend社)、CD62L(SK11、BD Biosciences社)。p-AKT(S473、#4060およびT308、#13038)、total Akt(#9272)、pGSK3-α(#5558)、total GSK3-α(#12456)、pS6(S235/236、#2211およびS240/244、#5364)、total S6(#2317)、およびpERK(#9101)(すべてCell Signaling Technology社)を、ウエスタンブロットのために用いた。
ADCCアッセイ
全PBMCまたはNK枯渇PBMCを、プレート結合型抗CD3および抗CD28抗体を用いて活性化した。細胞を、抗ICOS抗体(H2L5 IgG1、H2L5 IgG4PEおよびH2L5 Fc作動不能型)または対照抗体を、10μg/mLの最終濃度で用いて、24時間インキュベートした。細胞を、抗CD8およびCD4抗体ならびにそれに続くNIR Live/Dead色素(Invitrogen社)とのインキュベーションにより染色した。染色された細胞をフローサイトメトリー(FACSCanto、BD Biosciences社)により分析して、NIR Live/Dead細胞色素染色に基づいてT細胞死滅を測定した。
FcγRIIIa嵌合リポーターバイオアッセイ(Promega社)では、抗CD3/CD28で予め活性化したCD4 T細胞を、抗ICOS抗体および対照抗体と共に45分間インキュベートし、その後、Jurkat-FcγRIIIA-NFAT-ルシフェラーゼエフェクター細胞をE:T細胞比=6:1で添加した。ONE-GLOルシフェラーゼ試薬を、処理の6時間後に各ウェルに加え、発光強度を測定して、Victorプレートリーダー(Perkin Elmer社)で標的T細胞とエフェクター細胞との間の嵌合を測定した。CD4、CD8およびTreg集団を、抗CD3/CD28を用いて予め活性化したドナーPBMCまたは解離腫瘍細胞のいずれかから精製し、6:1のE:T比で、IgG1またはIgG4PE H2L5抗体の存在下で、ex vivoで直接的に試験した。
機能アッセイ
新鮮に単離されたPBMCを用いる同時CD3刺激を用いるプレート結合形式、または上記の通りのCD3/CD28事前刺激PBMCでの可溶性形式のいずれかのヒトPBMCアッセイで、H2L5を試験した。癌患者由来のPBMCに関しては、処理開始前に、一晩の休止ステップを含めた。10μg/mLの可溶性ペンブロリズマブをin vitroアッセイで用いて、組み合わせの効果を調べた。これらのアッセイ由来の上清中のサイトカイン濃度は、前出のヒト多重メソスケール検出(MSD)キット(Meso Scale Diagnostics社)を用いて測定した。
ヒト単球は、T細胞:単球混合培養アッセイのために、CD14 MicroBeads(Miltenyi Biotec社)を用いて、健常ヒトドナーの全血から単離した。T細胞および単球は、ドナーを適合させた。CD3/CD28事前刺激T細胞および単球を、AIM-V無血清培地中で2:1比率で混合し、可溶性H2L5または他の対照抗体と共にインキュベートする前に、抗CD3 Dynabeads(Life Technologies社)、100IUの組み換えヒトIL-2および100ng/mLのM-CSF(Peprotech社)と共に、37℃で4日間培養した。20μg/mLヒトFcブロック(B564220)(BD biosciences社)または抗CD32 mAb(MCA1075EL、クローンAT10)(AbD serotec社)を、FcγR架橋の役割を試験するために用いた。
MLRアッセイのために、単球(Lonza, Switzerland)をGM-CSFおよびIL-4(Pepro Tech社)を添加したLGM-3培地(Lonza社)中でmDCに分化させるために9日間増殖させ、TNFα(R&D Systems社)を添加して追加の1日間置いた後、MLRアッセイで用いた。mDC-T細胞(1:10比率)ミックスを、抗CD3ビーズ(1:10のビーズ:細胞比で)(Life Technologies社)またはCEFTペプチドミックス(0.02μg/mL)(JPT Peptide Technologies社)のいずれかの存在下で、10μg/mL可溶性H2L5 Fc作動不能型抗体またはアイソタイプ対照抗体を用いて4日間処理し、その後、MSDによるサイトカイン分析のために上清を回収した。
原発患者腫瘍を、GentleMACS(Miltenyi Biotec社)組織分散器を用いて分散させた。TILをIL-2添加RPMI培地(Baldan et al., 2015)中で増殖させ、その後、抗CD3+H2L5を用いて処理した。あるいは、腫瘍分散細胞を、ex vivoで最大6日間、直接的に培養し、続いて、抗CD3+H2L5を用いて刺激し、24時間後に100ng/mL IL-2を添加した。
様々なH2L5アイソタイプを試験するPBMCアッセイのために、健常ドナー由来の非特定化された白血球コーンをNational Blood Service(Southampton General Hospital, UK)から取得し、4時間以内に使用した。ヒトサンプルの使用は、ヘルシンキ宣言に従って、地域の倫理委員会により承認された。PBMCを密度勾配遠心(Lymphoprep)により単離し、グルタミン(2mM)、ピルビン酸ナトリウム(1mM)、ペニシリンおよびストレプトマイシン(100IU/mL)を添加したRPMI培地1640(Life Technologies社)中、37℃、5%CO2で培養した。
増殖アッセイは、以前に詳述された通りに行なった(35)。簡潔には、新鮮なPBMCを、1μMカルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(CFSE)を用いて標識し、高密度(1×107個/mL)で48時間培養し、その後、抗体刺激した。PBMC刺激のために、細胞を1×105個/ウェルで丸底96ウェルプレートへと移し、1μg/mL OKT3(プレート結合型)および5μg/mL(可溶性)H2L5 mAbを用いて刺激した。6日目に、細胞を、抗CD8-e450(SK-1、eBioscience社)および抗CD4-APC(RPA-T4、Insight Biotechnology社)を用いて標識し、CFSE希釈によりFACSCantoIIフローサイトメーター(BD Biosciences社)で増殖を評価した。結果は、未刺激細胞と比較した分裂した細胞(%)として表わす。NK枯渇は、CD56マイクロビーズ(Miltenyi Biotec社)を製造業者の説明書に従って用いて、高密度培養の48時間後に行なった(Hussain et al. Blood 2014)。
免疫蛍光試験
未刺激およびCD3/CD28刺激済T細胞を、FcγR架橋の役割を試験するために、20μg/mLのヒトFcブロック(B564220)(BD biosciences社)または抗CD32 mAb(MCA1075EL、クローンAT10)(AbD serotec社)を用いてFc遮断し、続いて、6μg/mL非放射性標識抗体(抗ICOSまたはIgG4PEアイソタイプ対照)を用いて氷上で1時間処理した。細胞を、冷却したバッファー中で洗浄し、様々な時間(0、5、15、30分間および1時間)にわたって37℃に移して、タンパク質輸送を可能にし、その後、新鮮に調製した4%パラホルムアルデヒド(Sigma社)を用いて固定した。最初の37℃パルスから1時間または2時間後のサンプルを、Alexa Fluor 647標識抗ICOSと共に37℃で30分間、再パルスし、洗浄し、パラホルムアルデヒド中で固定した。細胞を、ポリ-L-リジンコーティングしたカバーガラスへと15分間移し、続いて、ProLong Gold with DAPI(Invitrogen社)中でスライド上にマウントした。サンプルの分析は、ZEISS LSM510 Meta共焦点顕微鏡を63×油浸レンズと共に用いて行なった。
ヒトT細胞遺伝子発現
GSK社内献血部門で健常ボランティアドナー(n=6)から全血を取得し、上記の通り、RosetteSepTMヒトT細胞富化カクテル(Stemcell Technologies社)を用いてT細胞を精製した。細胞を、AIM-V培養培地(Gibco社)中に再懸濁し(5×106細胞/mL)、0.6μg/mLのマウス抗ヒトCD3 mAb(eBioscience社)および10μg/mLの抗ヒトICOSまたは対応するアイソタイプ対照mAb(マウスIgG2ακ)(eBioscience社)およびIgG4PEを用いて逐次的に予備コーティングした96ウェルプレート(Falcon社)中でインキュベートした。37℃、5%CO2で24時間インキュベートした後、細胞をペレット化し、RLTバッファー(Qiagen社)中に懸濁し、RNA単離のために−80℃で保存した。総RNAを、RNeasy Mini QIAcubeキット(Qiagen社)を用いて抽出した。RNA発現レベルを、NanoString nCounter Analysis Systemにより測定した。50ngのRNAを、NanoString Human PanCancer Immune profiling CodeSetを製造業者の説明書に従って用いて、遺伝子特徴に関して各反応で用いた。未加工データを、内蔵の陽性対照およびハウスキーピング遺伝子を用いて標準化した(nCounter Expression Data Analysis Guide, NanoString)。ArrayStudio(OmicSoft社)およびGraphPad Prism(GraphPad Software社)を、さらなる解析およびグラフのために用いた。
ICOS/ICOS-L競合アッセイ
MSDプレートを、PBS中で希釈した10μg/mL組み換えICOSタンパク質(R&D Systems社)と共に、4℃で一晩インキュベートした。プレートを洗浄およびブロッキングし、その後、7点用量曲線でアイソタイプ対照またはH2L5を添加した。一晩のインキュベーションおよび洗浄後に、プレートを、1μg/mLヒトICOSリガンド(B7-H2)(R&D Systems社)と共にインキュベートし、続いて、10μg/mLビオチン化抗ヒトICOSリガンド(B7-H2)(R&D Systems社)抗体と共にインキュベートした。スルホタグ付けしたストレプトアビジンを、Diluent 100中、10μg/mLで、ビオチン化リガンドの検出のために用いた。プレートを読み取り、続いてすぐに、MSD ReadバッファーをMSD MESO Quick Plex SQ 120上で添加し、データをMSDワークベンチソフトウェアで解析した。抗CD3/CD28活性化型T細胞により発現された細胞表面ICOSとH2L5によるICOS-Lとの間の競合を調べるために、フローサイトメトリーも用いた。活性化型T細胞を、様々な濃度の組み換えICOS-Lと共にインキュベートし、続いて、H2L5と共にインキュベートし、ICOS CD4+およびCD8+ ICOS細胞のMFIを測定した。
ヒトPBMCマウスモデル
成体免疫不全NOD/SCID/IL-2Rγnull(NSG)マウス(Jackson Labs社)に、尾静脈を介する静脈内注射により、ヒトPBMC(20×106個/マウス)を注入した。ヒトPBMC注入から1〜3日間後に、マウスにヒト腫瘍細胞株A2058、A549、HCT116(1×106個)を移植し;マウスに、アイソタイプ対照または抗ヒトICOS抗体を、0.004mg/kg〜1.2mg/kgの範囲の用量で腹腔内注入により週2回、3週間投与した。腫瘍担持マウスに、様々なアイソタイプバックグラウンドのマウス抗ICOS(クローン7E.17G9)もしくはH2L5および/またはペンブロリズマブ(Merck社;NDC#0006-3026-02)抗体またはアイソタイプ対照を、生理食塩液中で腹腔内注入を介して週2回、無作為化の日から始めて合計6用量にわたって投与した。個々のマウスについて2000mm3を超える腫瘍測定値および/または開放型潰瘍の発達が生じたら、マウスを試験から外した。
2回目または4回目の抗体の投与の24時間後の安楽死の後に、脾臓および全血を回収した。機械的分散およびそれに続くLCK溶解バッファー(Lonza社)を用いたRBC溶解および抗体染色により脾細胞を単離し;全血はFACSlyse(BD Biosciences社)を用いるRBC溶解前に適切な抗体を用いて染色した。すべてのサンプルを、上記の通りに、FACScanto(BD社)でのフローサイトメトリーにより評価した。
ウエスタンブロッティング
活性化型T細胞を、H2L5またはアイソタイプ対照を用いて、最大48時間にわたって処理した。CD4+ T細胞を、CD3/CD28 Dynabeads(登録商標)(ThermoFisher社)を1:20の細胞:ビーズ比で用いて48時間にわたって予め刺激し、刺激なしで24時間休止させ、続いて、プレート結合型抗CD3抗体の存在下でアイソタイプ対照抗体またはH2L5(10μg/mL)を用いて処理した。細胞を、プロテアーゼおよびホスファターゼ阻害剤(Roche社)を含有する細胞溶解バッファー(Cell Signaling Technologies社)を用いて溶解させた。25〜30μgのタンパク質を、4〜12%Bis-Trisゲル(Invitrogen社)上で泳動し、ニトロセルロースメンブレン(Invitrogen社)にトランスファーした。メンブレンを、LI COR Odysseyブロッキングバッファーを用いてブロッキングし、その後、一次抗体および二次抗体を用いて免疫ブロットし、LI-COR Odysseyイメージングシステムでスキャンした。
FACS分析
活性化型T細胞に対する非特異的結合を、適切な場合、ヒトまたはマウスFcブロック(Miltenyi Biotec社)と共にインキュベートすることによりブロックし、続いて、様々な蛍光団にコンジュゲート化された細胞表面マーカーに対する検出抗体を用いて、氷上で30分間インキュベートした。細胞内染色のために、細胞を固定し、Transcription Factorバッファーセット(BD biosciences社)を用いて透過化した。補償後に、FACS Canto IIまたはFortessa(BD biosciences社)を用いてデータを取得し、FACSDiva(BD社)またはFlowjo(Treestar社)ソフトウェアを用いて解析した。
免疫組織化学
非小細胞肺癌(NSCLC)、乳癌(BrCA)TNBrCa、および結腸直腸癌(CRC)でのICOSの免疫組織化学検出は、ウサギ抗ヒトCD278 mAb(クローンSP98;Spring Biosciences社)を用いて、Leica Bond RXを関連するプラットフォーム試薬と共に用いて行なった。DAB(3,3'-ジアミノベンジジン)を、標的検出のために用いた。切片は、ヘマトキシリンを用いてカウンター染色した(すべてのスケールバー=20μm)。
Clarient MultiOmyxプラットフォーム(Neogenomics, California)、多重免疫蛍光(IF)アッセイを用いて、上記の通りにGSK HBSグループにより審査された供給業者から取得されたFFPE腫瘍組織上で、他のT細胞マーカーの中でも、ICOS、PD-1、CD3、CD4およびCD8の発現を評価した。反復プロセスには、Cy3およびCy5コンジュゲート化抗体をそれぞれ用いる染色およびイメージング、それに続く色素不活性化、バックグラウンド蛍光イメージングならびにバックグラウンドの除算を含み、その後、パネル中のすべてのマーカーに対してこのサイクルを反復した。
統計学的解析
一元配置分散分析またはスチューデントt検定を、図面凡例中で特定される通りに用いた。データは、GraphPad Prismソフトウェア(GraphPad社)を用いて解析し、0.05未満のp値を統計学的に有意であると見なした。(* P≦0.05;** P≦0.01;*** P≦0.005;**** P<0.0001)。

Claims (40)

  1. 有効量のヒトICOSを標的とする薬剤および有効量のヒトPD1またはヒトPD-L1を標的とする薬剤を患者に逐次的に投与するステップを含む、それを必要とする患者での癌を治療する方法であって、ヒトICOSを標的とする薬剤の投与に続いて、ヒトPD1またはヒトPD-L1を標的とする薬剤を投与する、上記方法。
  2. ヒトICOSを標的とする薬剤が、抗ICOS抗体またはその抗原結合性部分である、請求項1に記載の方法。
  3. 抗ICOS抗体が、ICOSアゴニストである、請求項2に記載の方法。
  4. 抗ICOS抗体が、配列番号7で表わされるアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一なアミノ酸配列を含むVHドメイン、および配列番号8で表わされるアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一なアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、請求項2または3に記載の方法。
  5. 抗ICOS抗体が、配列番号7で表わされるアミノ酸配列を含むVHドメイン、および配列番号8で表わされるアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、請求項2〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. ヒトPD1を標的とする薬剤が、抗PD1抗体またはその抗原結合性部分である、請求項1に記載の方法。
  7. 抗PD1抗体が、PD1アンタゴニストである、請求項6に記載の方法。
  8. 抗PD1抗体が、ペンブロリズマブである、請求項6または7に記載の方法。
  9. 抗PD1抗体が、ニボルマブである、請求項6または7に記載の方法。
  10. ヒトPD-L1を標的とする薬剤が、抗PD-L1抗体またはその抗原結合性部分である、請求項1に記載の方法。
  11. 抗PD-L1抗体が、PD1アンタゴニストである、請求項10に記載の方法。
  12. ヒトICOSを標的とする薬剤、または抗ICOS抗体もしくはその抗原結合性部分が、週1回、2週間に1回、3週間に1回、または4週間に1回投与される、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. ヒトPD1もしくはヒトPD-L1を標的とする薬剤、または抗PD1抗体もしくはその抗原結合性部分、または抗PD-L1抗体もしくはその抗原結合性部分が、週1回、2週間に1回、3週間に1回、または4週間に1回投与される、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 癌が、結腸直腸癌(CRC)、胃癌、食道癌、子宮頸癌、膀胱癌、乳癌、頭頚部癌、卵巣癌、黒色腫、腎細胞癌(RCC)、EC扁平上皮癌、非小細胞肺癌、中皮腫、膵臓癌、および前立腺癌からなる群より選択される、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. ヒトICOSを標的とする薬剤、または抗ICOS抗体もしくはその抗原結合性部分が、静脈内(IV)注入として投与される、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
  16. ヒトPD1もしくはヒトPDL1を標的とする薬剤、または抗PD1抗体もしくはその抗原結合性部分、または抗PDL1抗体もしくはその抗原結合性部分が、静脈内(IV)注入として投与される、請求項26〜33のいずれか1項に記載の方法。
  17. ヒトPD1もしくはヒトPDL1を標的とする薬剤、または抗PD1抗体もしくはその抗原結合性部分、または抗PDL1抗体もしくはその抗原結合性部分の投与開始が、ヒトICOSを標的とする薬剤、または抗ICOS抗体もしくはその抗原結合性部分の投与開始の1週間後、2週間後、3週間後、および4週間後から選択される時点で開始される、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
  18. ヒトICOSを標的とする薬剤、または抗ICOS抗体もしくはその抗原結合性部分、およびヒトPD1もしくはヒトPDL1を標的とする薬剤、または抗PD1抗体もしくはその抗原結合性部分、または抗PDL1抗体もしくはその抗原結合性部分が、前記ヒトが疾患進行または許容不能な毒性を示すまで、該ヒトに対して投与される、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
  19. それを必要とするヒトでの癌の治療での逐次的使用のための、抗ICOS抗体またはその抗原結合性断片、および抗PD1抗体またはその抗原結合性断片であって、抗ICOS抗体の投与に続いて、抗PD1抗体が投与される、上記抗体またはその抗原結合性断片。
  20. それを必要とするヒトでの癌の治療での逐次的使用のための、抗ICOS抗体またはその抗原結合性断片、および抗PD-L1抗体またはその抗原結合性断片であって、抗ICOS抗体の投与に続いて、抗PD-L1抗体が投与される、上記抗体またはその抗原結合性断片。
  21. PD-1アンタゴニストである、請求項15または16に記載の抗PD1抗体または抗PD-L1抗体。
  22. ペンブロリズマブである、請求項19または21に記載の抗PD1抗体。
  23. ニボルマブである、請求項19または21に記載の抗PD1抗体。
  24. ICOSを標的とするアゴニスト抗体である、請求項19〜23のいずれか1項に記載の抗ICOS抗体。
  25. 配列番号7で表わされるアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一なアミノ酸配列を含むVHドメイン、および配列番号8で表わされるアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一なアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、請求項19〜24のいずれか1項に記載の抗ICOS抗体。
  26. 配列番号7で表わされるアミノ酸配列を含むVHドメイン、および配列番号8で表わされるアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、請求項19〜25のいずれか1項に記載の抗ICOS抗体。
  27. 週1回、2週間に1回、3週間に1回、または4週間に1回投与される、請求項19〜26のいずれか1項に記載の抗ICOS抗体。
  28. 週1回、2週間に1回、3週間に1回、または4週間に1回投与される、請求項19〜27のいずれか1項に記載の抗PD1抗体または抗PD-L1抗体。
  29. 癌が、結腸直腸癌(CRC)、胃癌、食道癌、子宮頸癌、膀胱癌、乳癌、頭頚部癌、卵巣癌、黒色腫、腎細胞癌(RCC)、EC扁平上皮癌、非小細胞肺癌、中皮腫、膵臓癌、および前立腺癌からなる群より選択される、請求項19および21〜28のいずれか1項に記載の抗ICOS抗体および抗PD1抗体、または請求項20〜29のいずれか1項に記載の抗ICOS抗体および抗PD-L1抗体。
  30. 癌の治療のための医薬の製造での、抗ICOS抗体またはその抗原結合性部分および抗PD1抗体またはその抗原結合性部分の使用であって、抗ICOS抗体またはその抗原結合性部分および抗PD1抗体またはその抗原結合性部分が逐次的に投与され、かつ抗ICOS抗体またはその抗原結合性部分の投与に続いて抗PD1抗体またはその抗原結合性部分が投与される、上記使用。
  31. 癌の治療のための医薬の製造での、抗ICOS抗体またはその抗原結合性部分および抗PDL1抗体またはその抗原結合性部分の使用であって、抗ICOS抗体またはその抗原結合性部分および抗PDL1抗体またはその抗原結合性部分が逐次的に投与され、かつ抗ICOS抗体またはその抗原結合性部分の投与に続いて抗PDL1抗体またはその抗原結合性部分が投与される、上記使用。
  32. 抗ICOS抗体またはその抗原結合性部分をコードするポリヌクレオチドであって、抗ICOS抗体またはその抗原結合性部分が、抗PD1抗体またはその抗原結合性部分と共に、癌患者に対して逐次的に投与され、かつ抗ICOS抗体またはその抗原結合性部分の投与に続いて抗PD1抗体またはその抗原結合性部分が投与される、上記ポリヌクレオチド。
  33. 抗ICOS抗体またはその抗原結合性部分をコードするポリヌクレオチドであって、抗ICOS抗体またはその抗原結合性部分が、抗PDL1抗体またはその抗原結合性部分と共に、癌患者に対して逐次的に投与され、かつ抗ICOS抗体またはその抗原結合性部分の投与に続いて抗PDL1抗体またはその抗原結合性部分が投与される、上記ポリヌクレオチド。
  34. 抗PD1抗体またはその抗原結合性部分をコードするポリヌクレオチドであって、抗PD1抗体またはその抗原結合性部分が、抗ICOS抗体またはその抗原結合性部分と共に、癌患者に対して逐次的に投与され、かつ抗ICOS抗体またはその抗原結合性部分の投与に続いて抗PD1抗体またはその抗原結合性部分が投与される、上記ポリヌクレオチド。
  35. 抗PDL1抗体またはその抗原結合性部分をコードするポリヌクレオチドであって、抗PDL1抗体またはその抗原結合性部分が、抗ICOS抗体またはその抗原結合性部分と共に、癌患者に対して逐次的に投与され、かつ抗ICOS抗体またはその抗原結合性部分の投与に続いて抗PDL1抗体またはその抗原結合性部分が投与される、上記ポリヌクレオチド。
  36. 請求項32〜35のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
  37. 請求項36に記載のベクターを含む宿主細胞。
  38. 抗ICOS抗体またはその抗原結合性部分の作製方法であって、
    (a) 抗ICOS抗体またはその抗原結合性部分を発現するために好適な条件下で請求項32または33に記載のポリヌクレオチドを含む宿主細胞を培養するステップ;および
    (b) 抗ICOS抗体またはその抗原結合性部分を単離するステップ
    を含む、上記方法。
  39. 抗PD1抗体またはその抗原結合性部分の作製方法であって、
    (a) 抗PD1抗体またはその抗原結合性部分を発現するために好適な条件下で請求項34に記載のポリヌクレオチドを含む宿主細胞を培養するステップ;および
    (b) 抗PD1抗体またはその抗原結合性部分を単離するステップ
    を含む、上記方法。
  40. 抗PDL1抗体またはその抗原結合性部分の作製方法であって、
    (a) 抗PDL1抗体またはその抗原結合性部分を発現するために好適な条件下で請求項35に記載のポリヌクレオチドを含む宿主細胞を培養するステップ;および
    (b) 抗PDL1抗体またはその抗原結合性部分を単離するステップ
    を含む、上記方法。
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