JP2020518618A - sRAGEを分泌する幹細胞を含む神経疾患または心血管疾患の予防または治療用薬学組成物 - Google Patents

sRAGEを分泌する幹細胞を含む神経疾患または心血管疾患の予防または治療用薬学組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2020518618A
JP2020518618A JP2019560229A JP2019560229A JP2020518618A JP 2020518618 A JP2020518618 A JP 2020518618A JP 2019560229 A JP2019560229 A JP 2019560229A JP 2019560229 A JP2019560229 A JP 2019560229A JP 2020518618 A JP2020518618 A JP 2020518618A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
srage
stem cells
cells
secreting
age
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2019560229A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7084418B2 (ja
Inventor
リ,ボンヒ
バヤルサイカン,デルガー
リ,ジェソク
セイドガセム,ホッセイニサルカデー
Original Assignee
エヌセイジ コーポレーション
エヌセイジ コーポレーション
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by エヌセイジ コーポレーション, エヌセイジ コーポレーション filed Critical エヌセイジ コーポレーション
Publication of JP2020518618A publication Critical patent/JP2020518618A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7084418B2 publication Critical patent/JP7084418B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P25/00Drugs for disorders of the nervous system
    • A61P25/28Drugs for disorders of the nervous system for treating neurodegenerative disorders of the central nervous system, e.g. nootropic agents, cognition enhancers, drugs for treating Alzheimer's disease or other forms of dementia
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K35/00Medicinal preparations containing materials or reaction products thereof with undetermined constitution
    • A61K35/12Materials from mammals; Compositions comprising non-specified tissues or cells; Compositions comprising non-embryonic stem cells; Genetically modified cells
    • A61K35/28Bone marrow; Haematopoietic stem cells; Mesenchymal stem cells of any origin, e.g. adipose-derived stem cells
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K35/00Medicinal preparations containing materials or reaction products thereof with undetermined constitution
    • A61K35/12Materials from mammals; Compositions comprising non-specified tissues or cells; Compositions comprising non-embryonic stem cells; Genetically modified cells
    • A61K35/48Reproductive organs
    • A61K35/54Ovaries; Ova; Ovules; Embryos; Foetal cells; Germ cells
    • A61K35/545Embryonic stem cells; Pluripotent stem cells; Induced pluripotent stem cells; Uncharacterised stem cells

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Developmental Biology & Embryology (AREA)
  • Cell Biology (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Virology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Reproductive Health (AREA)
  • Neurosurgery (AREA)
  • Neurology (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Hematology (AREA)
  • Gynecology & Obstetrics (AREA)
  • Psychiatry (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Hospice & Palliative Care (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Medicines Containing Material From Animals Or Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Abstract

sRAGE−分泌幹細胞(sRAGE−secreting stem cell)およびそのパーキンソン病などの退行性神経疾患および/または心血管疾患の予防および/または治療のための用途が提供される【選択図】図4

Description

sRAGE−分泌幹細胞(sRAGE−secreting stem cell)およびその神経疾患および/または心血管疾患の予防および/または治療のための用途が提供される。
パーキンソン病(Parkinson’s disease;PD)は、毒性薬物で誘発される散発的要因または遺伝的要因のような多様な因子によって誘発される代表的な神経退行性疾患の一つである。PD患者は慢性的な進行性神経系破壊による運動障害を有する。このような運動障害は硬直、運動緩慢(bradykinesia)、震え(tremor)、および姿勢不安定などの特徴を有し、生活の質を低める要因になるので、PDの効果的な治療はPD患者らにより良い生活の質を提供するという面で非常に重要である。
PDの原因を明らかにするための多くの研究が行われた。例えば、遺伝的研究によれば、PD患者でSNCA、PARK2、LRRK2、PINK1などのような特定遺伝子に突然変異が起こると確認された。これら遺伝子は大部分がレビー小体(Lewy bodies)の主要成分であるアルファ−シヌクレイン(alpha−synuclein)と関連ある。レビー小体が黒質(substantia nigra、SN)で形成されればドーパミン神経細胞(dopaminergic neuron、DA)が自殺死するようになる。また、黒質部位のDAが慢性的な影響で損傷を受け、活性化された小膠細胞が神経細胞死滅に重要な役割を果たすということが確認された。慢性PD条件が脳、特に、黒質で誘発される時、ドーパミン神経細胞はサイトカインを信号分子として分泌する。
黒質と線条体(corpus striatum、CS)が共に連結されているため、SN内のDA細胞はドーパミンを生成してCSに信号を送る。したがって、SN領域周辺のDA細胞で細胞自殺死が発生すれば、SNからドーパミンが生成されずCSはそれ以上運動に反応する信号を有さなくなり、このような問題が続けば不使用萎縮(disuse atrophy)による損傷を有するようになる。
多くの研究でPDの多様な原因が報告されているが、PDでCS領域が損傷される理由を示す確実な証拠を提示できずにいる。PDの原因を理解するためにSNの神経退化が集中的に研究されたが、CSでの神経細胞死滅のメカニズムは依然として明確に確認されていない。
このように、現在まで明らかになったPDの原因に対する研究結果が制限的であるため、PD治療に限界がある。
一方、アルブミンは多機能特性を有する最も豊富な血漿タンパク質であって、肝細胞で主に合成され、間質液(interstitial fluid)、リンパ液および脳脊髄液を含む大部分の細胞外液の主な成分である。生体内でアルブミンが減少すれば肝機能低下および栄養状態が不良になるので、臨床学的にアルブミンは重患者および肝硬変患者の血管虚脱(vascular collapse)を含む危篤状態で広範囲に使用されている。
また、最終糖化産物(advanced glycation end−product;AGE)は、人体内で絶え間なく発生する複合物質であって主に炭水化物と遊離アミノ酸の反応によって発生し、化学的に非常に不安定であり反応性が強い物質であるため神経細胞の死滅を促進させる分子と知られている。また、最終糖化産物は老人や老化した動物の脳で増加すると報告されており、全ての細胞と生体分子に影響を及ぼして老化および老化関連慢性疾患の原因になる。即ち、最終糖化産物は血管透過性増加、酸化窒素妨害による血管拡張抑制、LDL酸化、大食細胞または内皮細胞などで様々な種類のサイトカイン分泌、および酸化ストレスを増加させることによって、老化、アルツハイマー病、腎臓疾患、糖尿病、糖尿病性血管合併症、糖尿病性網膜異常および糖尿病性神経異常などのような成人病と関連があると知られている。
前記のように、AGEは老人や老化した動物の組織で増加すると知られており、大部分の細胞に影響を及ぼして老化および老化関連慢性疾患の原因になると知られているので、細胞の死滅を促進して退行性疾患または虚血性疾患などに影響を及ぼすことがあると多くの研究者らによって提案されてきた。最近、様々な疾患でAGE−albuminがAGEの大部分を占め直接的に疾患を起こす原因と知られ、これを阻害する技術の開発が切実に要求されている。
一例は、sRAGE(soluble Receptor for Advanced Glycation End−products)を分泌する幹細胞(sRAGE−secreting stem cell)を提供する。一例で、前記sRAGEを分泌する幹細胞は、sRAGEを分泌するヒト幹細胞であってもよい。他の例は、sRAGEコード遺伝子が幹細胞のゲノム内に挿入された、例えば、幹細胞のゲノム中のAAVS1などのようなセーフハーバー(safe harbor)部位に挿入されたsRAGEを分泌する幹細胞を提供する。前記幹細胞は間葉系幹細胞であってもよく、例えば、臍帯血などに由来する間葉系幹細胞であってもよい。
他の例は、sRAGE分泌幹細胞またはsRAGE分泌幹細胞培養物を含む、AGE(advanced glycation end−product;最終糖化産物)−アルブミンの分泌抑制用薬学組成物を提供する。他の例は、sRAGE分泌幹細胞またはsRAGE分泌幹細胞培養物をAGE−アルブミンの分泌抑制を必要とする個体に投与する工程を含む、AGE−アルブミンの分泌抑制方法を提供する。前記AGE−アルブミンの分泌抑制は、単核食細胞系細胞(mononuclear phagocytes)内でのAGE−アルブミンの分泌抑制であってもよい。
他の例は、sRAGE分泌幹細胞またはsRAGE分泌幹細胞培養物を含む、AGE−アルブミンによる細胞死(アポトーシス)の抑制用薬学組成物を提供する。他の例は、sRAGE分泌幹細胞またはsRAGE分泌幹細胞培養物をAGE−アルブミンによる細胞死の抑制を必要とする個体に投与する工程を含む、AGE−アルブミンによる細胞死の抑制方法を提供する。前記AGE−アルブミンによる細胞死の抑制は、単核食細胞系細胞内でのAGE−アルブミンによる細胞死の抑制であってもよい。
他の例は、有効成分としてsRAGEを分泌する幹細胞またはsRAGE分泌幹細胞培養物を含む、神経疾患患者、例えば、パーキンソン病(Parkinson’s disease;PD)などのような退行性神経疾患患者での細胞死滅(アポトーシス)阻害用薬学組成物を提供する。前記組成物は、単核食細胞(mononuclear phagocytes)の末梢細胞(peripheral cells)の細胞死滅を阻害するものであってもよいが、これに制限されるのではない。前記単核食細胞の末梢細胞は神経細胞(neural cell)であってもよく、前記神経細胞は星状細胞(astrocyte)、ニューロン、ドーパミン神経細胞(dopaminergic neuron)、などからなる群より選択された1種以上であってもよいが、これに制限されるのではない。
他の例は、有効成分としてsRAGEを分泌する幹細胞またはsRAGE分泌幹細胞培養物を含む、神経疾患の予防および/または治療用薬学組成物を提供する。
他の例は、AGE(Advanced Glycation End−product)−アルブミンおよび/またはRAGE(Receptor for Advanced Glycation End−products)の合成および/または分泌の抑制、神経疾患患者での細胞死滅(アポトーシス)抑制、および/または神経疾患の予防および/または治療方法を提供し、前記方法は、sRAGEを分泌する幹細胞またはsRAGE分泌幹細胞培養物をAGE−アルブミンおよび/またはRAGEの合成および/または分泌の抑制、神経疾患患者での細胞死滅抑制、および/または神経疾患の予防および/または治療を必要とする対象に投与する工程を含むことができる。前記方法は、前記投与する工程以前に、AGE−アルブミンおよび/またはRAGEの合成および/または分泌の抑制、神経疾患患者での細胞死滅抑制、および/または退行性神経疾患の予防および/または治療を必要とする対象を確認する工程を追加的に含むことができる。
他の例は、sRAGEを分泌する幹細胞またはsRAGE分泌幹細胞培養物の(1)AGE−アルブミンおよび/またはRAGEの合成および/または分泌の阻害、神経疾患患者での細胞死滅阻害、および/または神経疾患の予防および/または治療、または(2)AGE−アルブミンおよび/またはRAGEの合成および/または分泌の阻害、神経疾患患者での細胞死滅阻害、および/または神経疾患の予防および/または治療のための薬学組成物の製造に使用するための用途を提供する。
前記神経疾患(Neurologic Disorders/Neurologic Diseases)は、神経系、即ち、脳、脊髄、および/または神経に構造的および/または機能的損傷(障害)、退行、および/または停止が生じた全ての疾患を意味するものであってもよく、例えば、パーキンソン病(Parkinson’s disease;PD)、筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis;ALS、ルーゲーリック病)、前頭側頭型認知症(frontotemporal dementia;FTD)、レビー小体認知症(dementia with Lewy bodies;DLB)、皮質基底核変性症(corticobasal degeneration)、多系統萎縮症(multiple system atrophy;MSA)、進行性核上性麻痺(progressive supranuclear palsy;PSP)、ハンチントン病(Huntington’s disease;HD)などの退行性神経疾患;脊髄損傷(spinal cord injury);アルコール中毒(例えば、アルコール性小脳変性症、アルコール性末梢神経病症など);脳卒中などからなる群より選択された1種以上であってもよい。
他の例は、sRAGE分泌幹細胞またはsRAGE分泌幹細胞培養物を有効成分として含む、心血管疾患の予防または治療用薬学組成物を提供する。
他の例は、sRAGE分泌幹細胞またはsRAGE分泌幹細胞培養物の薬学的有効量を心血管疾患の予防または治療を必要とする個体に投与する工程を含む、心血管疾患の予防または治療方法を提供する。
他の例は、sRAGE分泌幹細胞またはsRAGE分泌幹細胞培養物の心血管疾患の予防または治療、または心血管疾患の予防または治療のための薬学組成物の製造に使用するための用途を提供する。
前記心血管疾患は心血管異常で発病する病気であって、全ての虚血性心血管疾患のうちから選択でき、例えば、脳卒中、心筋梗塞、狭心症、下肢虚血、高血圧、不整脈などからなる群より選択された1種以上であってもよいが、これに制限されるのではない。
他の例は、幹細胞のゲノムにsRAGE遺伝子を導入させる工程を含む、sRAGE分泌幹細胞の製造方法を提供する。前記幹細胞のゲノムにsRAGE遺伝子を導入させる工程は、エンドヌクレアーゼ(またはこれをコードする核酸分子)とガイドRNA(またはこれをコードする核酸分子)の複合体によって行われるものであってもよい。前記エンドヌクレアーゼとガイドRNAの複合体は、CRISPR/Cas9 RNP(Ribonucleoprotein;RNA Guided Endonuclease;RGEN)であってもよい。
他の例は、前記製造方法によって製造されたsRAGE分泌幹細胞を提供する。
他の例は、前記sRAGE分泌幹細胞の製作に使用するためのエンドヌクレアーゼ(またはこれをコードする核酸分子)とガイドRNA(またはこれをコードする核酸分子)の複合体、例えば、CRISPR/Cas9 RNPを提供する。
一例は、sRAGE(soluble Receptor for Advanced Glycation End−products)を分泌する幹細胞(sRAGE−secreting stem cell)を提供する。一例で、前記sRAGEを分泌する幹細胞は、sRAGEを分泌するヒト幹細胞であってもよい。他の例は、sRAGEコード遺伝子が幹細胞のゲノム内に挿入された、例えば、幹細胞のゲノム中のAAVS1などのようなセーフハーバー(safe harbor)部位に挿入されたsRAGEを分泌する幹細胞を提供する。前記幹細胞は間葉系幹細胞であってもよく、例えば、臍帯血などに由来する間葉系幹細胞であってもよい。
他の例は、sRAGE分泌幹細胞またはsRAGE分泌幹細胞培養物を含む、AGE(advanced glycation end−product;最終糖化産物)−アルブミンの分泌抑制用薬学組成物を提供する。他の例は、sRAGE分泌幹細胞またはsRAGE分泌幹細胞培養物をAGE−アルブミンの分泌抑制を必要とする個体に投与する工程を含む、AGE−アルブミンの分泌抑制方法を提供する。前記AGE−アルブミンの分泌抑制は、単核食細胞系細胞(mononuclear phagocytes)内でのAGE−アルブミンの分泌抑制であってもよい。
他の例は、sRAGE分泌幹細胞またはsRAGE分泌幹細胞培養物を含む、AGE−アルブミンによる細胞死(アポトーシス)の抑制用薬学組成物を提供する。他の例は、sRAGE分泌幹細胞またはsRAGE分泌幹細胞培養物をAGE−アルブミンによる細胞死の抑制を必要とする個体に投与する工程を含む、AGE−アルブミンによる細胞死の抑制方法を提供する。前記AGE−アルブミンによる細胞死の抑制は、単核食細胞系細胞内でのAGE−アルブミンによる細胞死の抑制であってもよい。
他の例は、有効成分としてsRAGEを分泌する幹細胞またはsRAGE分泌幹細胞培養物を含む、神経疾患患者での細胞死滅(アポトーシス)阻害用薬学組成物を提供する。前記組成物は、単核食細胞(mononuclear phagocytes)の末梢細胞(peripheral cells)の細胞死滅を阻害するものであってもよいが、これに制限されるのではない。前記単核食細胞の末梢細胞は神経細胞(neural cell)であってもよく、前記神経疾患患者はパーキンソン病患者であってもよく、前記神経細胞は星状細胞(astrocyte)、ニューロン、ドーパミン神経細胞(dopaminergic neuron)、などからなる群より選択された1種以上であってもよいが、これに制限されるのではない。
他の例は、有効成分としてsRAGEを分泌する幹細胞またはsRAGE分泌幹細胞培養物を含む、神経疾患の予防および/または治療用薬学組成物を提供する。
他の例は、AGE(Advanced Glycation End−product)−アルブミンおよび/またはRAGE(Receptor for Advanced Glycation End−products)の合成および/または分泌の抑制、神経疾患患者での細胞死滅(アポトーシス)抑制、および/または神経疾患の予防および/または治療方法を提供し、前記方法は、sRAGEを分泌する幹細胞またはsRAGE分泌幹細胞培養物をAGE−アルブミンおよび/またはRAGEの合成および/または分泌の抑制、神経疾患患者での細胞死滅抑制、および/または神経疾患の予防および/または治療を必要とする対象に投与する工程を含むことができる。前記方法は、前記投与する工程以前に、AGE−アルブミンおよび/またはRAGEの合成および/または分泌の抑制、神経疾患患者での細胞死滅抑制、および/または神経疾患の予防および/または治療を必要とする対象を確認する工程を追加的に含むことができる。
他の例は、sRAGEを分泌する幹細胞またはsRAGE分泌幹細胞培養物の(1)AGE−アルブミンおよび/またはRAGEの合成および/または分泌の阻害、神経疾患患者での細胞死滅阻害、および/または神経疾患の予防および/または治療、または(2)AGE−アルブミンおよび/またはRAGEの合成および/または分泌の阻害、神経疾患患者での細胞死滅阻害、および/または神経疾患の予防および/または治療のための薬学組成物の製造に使用するための用途を提供する。
前記神経疾患(Neurologic Disorders/Neurologic Diseases)は神経系、即ち、脳、脊髄、および/または神経に構造的および/または機能的損傷(障害)、退行、および/または停止が生じた全ての疾患を意味するものであってもよく、例えば、パーキンソン病(Parkinson’s disease;PD)、筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis;ALS、ルーゲーリック病)、前頭側頭型認知症(frontotemporal dementia;FTD)、レビー小体認知症(dementia with Lewy bodies;DLB)、大脳皮質基底核変性症(corticobasal degeneration)、多系統萎縮症(multiple system atrophy;MSA)、進行性核上性麻痺(progressive supranuclear palsy;PSP)、ハンチントン病(Huntington’s disease;HD)などの退行性神経疾患;脊髄損傷(spinal cord injury);アルコール中毒(例えば、アルコール性小脳変性症、アルコール性末梢神経病症など);脳卒中などからなる群より選択された1種以上であってもよい。
他の例は、sRAGE分泌幹細胞またはsRAGE分泌幹細胞培養物を有効成分として含む、心血管疾患の予防または治療用薬学組成物を提供する。
他の例は、sRAGE分泌幹細胞またはsRAGE分泌幹細胞培養物の薬学的有効量を心血管疾患の予防または治療を必要とする個体に投与する工程を含む、心血管疾患の予防または治療方法を提供する。
他の例は、sRAGE分泌幹細胞またはsRAGE分泌幹細胞培養物の心血管疾患の予防または治療、または心血管疾患の予防または治療のための薬学組成物の製造に使用するための用途を提供する。
前記心血管疾患は心血管異常で発病する病気であって、全ての虚血性心血管疾患のうちから選択でき、例えば、脳卒中、心筋梗塞、狭心症、下肢虚血、高血圧、不整脈などからなる群より選択された1種以上であってもよいが、これに制限されるのではない。
他の例は、幹細胞のゲノムにsRAGE遺伝子を導入させる工程を含む、sRAGE分泌幹細胞の製造方法を提供する。前記幹細胞のゲノムにsRAGE遺伝子を導入させる工程は、エンドヌクレアーゼ(またはこれをコードする核酸分子)とガイドRNA(またはこれをコードする核酸分子)の複合体によって行われるものであってもよい。前記エンドヌクレアーゼとガイドRNAの複合体は、CRISPR/Cas9 RNP(Ribonucleoprotein;RNA Guided Endonuclease;RGEN)であってもよい。
他の例は、前記製造方法によって製造されたsRAGE分泌幹細胞を提供する。
他の例は、前記sRAGE分泌幹細胞の製作に使用するためのエンドヌクレアーゼ(またはこれをコードする核酸分子)とガイドRNA(またはこれをコードする核酸分子)の複合体、例えば、CRISPR/Cas9 RNPを提供する。
他の例は、sRAGE分泌iPSCの同時投与される幹細胞保護用途を提供する(実施例14および図21aおよび21b参照)。前記幹細胞は、sRAGE分泌iPSCと共に投与される、生体から分離された他の幹細胞であってもよい。より具体的に、sRAGE分泌iPSCを含む幹細胞保護用組成物を提供する。他の例は、分離されたsRAGE分泌iPSCを分離された幹細胞と共培養する工程を含む幹細胞保護方法を提供する。前記共培養は、in vitroで行われるものであってもよい。他の例は、通常の幹細胞治療剤およびsRAGE分泌iPSCを含む併用投与用組成物を提供する。他の例は、幹細胞治療を必要とする患者に前記幹細胞治療剤とsRAGE分泌iPSCと共に投与する工程を含む、幹細胞治療方法を提供する。前記幹細胞治療剤とsRAGE分泌iPSCは、同時にまたは順序と関係なく順次に投与されてもよい。前記幹細胞保護効果は、AGE−アルブミン蓄積による損傷から幹細胞を保護する効果であってもよい。
以下、本発明をより詳しく説明する:
前記患者は、退行性神経疾患および/または心血管疾患を患っているヒト、猿などの霊長類、ラット、マウスなどのげっ歯類を含む哺乳動物または前記哺乳動物から分離された細胞(脳細胞または、心筋または心血管細胞)または組織(脳組織または心臓組織)またはこれらの培養物のうちから選択でき、例えば、退行性神経疾患および/または心血管疾患を患っているヒトまたはこれから分離された脳細胞、脳組織、心筋または心血管細胞、心臓組織、またはこれらの培養物のうちから選択できる。
本明細書で提供される有効成分であるsRAGEを分泌する幹細胞またはこれを含む薬学組成物は経口投与または非経口投与の多様な投与経路で投与対象に投与でき、例えば、退行性神経疾患患者の病変部位(例えば、脳、心臓(心筋、心血管など)など)に注射(injection)、輸血(transfusion)、挿入(implantation)または移植(transplantation)のような、任意の便利な方式で投与されるか、血管投与(静脈投与または動脈投与)、などの投与経路で投与できるが、これに制限されるのではない。
本明細書で提供される薬学組成物は、通常の方法によって剤形化された、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン、シロップ、エアゾールなどの経口型剤形、または懸濁剤、油剤、凍結乾燥製剤、外用剤、坐剤、滅菌注射溶液、移植用製剤などの非経口用剤形などに剤形化して使用できる。
本発明の組成物使用量は治療対象の年齢、性別、体重によって異にすることができ、何よりも、治療対象個体の状態、治療対象癌の特定のカテゴリーまたは種類、投与経路、使用される治療剤の属性、および前記特定の治療剤に対する感受性に依存的であり、これを考慮して適切に処方できる。例えば、前記幹細胞は退行性神経疾患患者の体重1kg当り1×10〜1×10個、例えば、1×10〜1×10個、1×10〜1×10個、1×10〜1×10個または1×10〜1×10個の量で投与できるが、これに制限されるのではない。
前記sRAGEは、ヒト、猿などの霊長類、ラット、マウスなどのげっ歯類などを含む哺乳動物由来のsRAGEであってもよく、一例で、ヒトsRAGEタンパク質(GenBank Accession Nos.NP_001127.1(遺伝子:NM_001136.4)[Q15109−1]、NP_001193858.1(遺伝子:NM_001206929.1)[Q15109−6]、NP_001193861.1(遺伝子:NM_001206932.1)[Q15109−7]、NP_001193863.1(遺伝子:NM_001206934.1)[Q15109−4]、NP_001193865.1(遺伝子:NM_001206936.1)[Q15109−9]、NP_001193869.1(遺伝子:NM_001206940.1)[Q15109−3]、NP_001193883.1(遺伝子:NM_001206954.1)[Q15109−8]、NP_001193895.1(遺伝子:NM_001206966.1)[Q15109−3]、NP_751947.1(遺伝子:NM_172197.2)[Q15109−2]など)などからなる群より選択された1種以上であってもよいが、これに制限されるのではない。
前記幹細胞は胚性幹細胞(embryonic stem cells)、成体幹細胞(adult stem cells)、人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cells;iPS cells)、および前駆細胞(progenitor cells)を全て包括する意味として使用でき、例えば、前記幹細胞は胚性幹細胞、成体幹細胞、人工多能性幹細胞、および前駆細胞からなる群より選択された1種以上であってもよい。
胚性幹細胞(embryonic stem cells)は受精卵に由来する幹細胞であって、全ての組織の細胞に分化できる特性を有する幹細胞である。
人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cells;iPS cells)は逆分化幹細胞とも呼ばれ、分化が終わった体細胞に細胞分化関連遺伝子を注入して分化以前の細胞段階に戻すことによって、胚性幹細胞のように万能性を誘導した細胞を意味する。
前駆細胞(progenitor cells)は幹細胞と同様に特定類型の細胞に分化できる能力を有するが、幹細胞より特異的であり標的化されており、幹細胞とは異なり分裂回数が有限である。前記前駆細胞は間葉系由来の前駆細胞であってもよいが、これに制限されるのではない。本明細書で、前駆細胞は幹細胞範疇に含まれ、特別な言及がない限り‘幹細胞’は前駆細胞も含む概念として解釈される。
成体幹細胞(adult stem cell)は臍帯(へその緒)、臍帯血(へその緒血液)または成人の骨髄、血液、神経などから抽出した幹細胞であって、具体的臓器の細胞に分化する直前の原始細胞を意味する。前記成体幹細胞は、造血幹細胞(hematopoietic stem cell)、間葉系幹細胞(mesenchymal stem cell)、神経幹細胞(neural stem cell)などからなる群より選択された1種以上であってもよい。成体幹細胞は、増殖が難しくて容易に分化される傾向が強いが、その代わり様々な種類の成体幹細胞を使用して実際医学で必要とする多様な臓器再生をすることができるだけでなく、移植された後に各臓器の特性に合うように分化できる特性を有していて、難治の病/不治の病の治療に有利に適用できる。
一例で、前記成体幹細胞は、間葉系幹細胞(mesenchymal stem cell;MSC)であってもよい。間葉系幹細胞は間葉系基質細胞(mesenchymal stromal cell;MSC)とも呼ばれ、骨芽細胞(osteoblasts)、軟骨芽細胞(chondrocytes)、筋肉細胞(myocytes)、脂肪細胞(adipocytes)などのような多様な形態の細胞に分化できる多能性細胞(multipotent stromal cell)を意味する。間葉系幹細胞は、胎盤(placenta)、臍帯(umbilical cord)、臍帯血(umbilical cord blood)、脂肪組織(adipose tissue)、成体筋肉(adult muscle)、角膜基質(corneal stroma)、乳歯の歯髄(dental pulp)などのような非骨髄組織(non−marrow tissues)などに由来する多能性細胞の中から選択されたものであってもよい。
前記sRAGEを分泌する幹細胞(以下、sRAGE−分泌幹細胞)は、ヒト由来のsRAGE−分泌間葉系幹細胞(以下、ヒトsRAGE−分泌間葉系幹細胞(MSC))、ヒト由来のsRAGE−分泌人工多能性幹細胞(以下、ヒトsRAGE−分泌人工多能性幹細胞(iPSC))などからなる群より選択された1種以上であってもよい。一例で、前記間葉系幹細胞はヒト由来のものであってもよく、例えば、ヒト臍帯間葉系幹細胞または臍帯血間葉系幹細胞であってもよいが、これに制限されるのではない。
前記sRAGE−分泌幹細胞は、sRAGEコード遺伝子が幹細胞のゲノムに挿入された幹細胞、例えば間葉系幹細胞または人工多能性幹細胞であってもよい。
一例で、前記sRAGEコード遺伝子は、前記幹細胞のゲノム中のセーフハーバー(safe harbor)遺伝子部位に挿入されたものであってもよい。セーフハーバー遺伝子はこの部分のDNAが損傷(切断、および/またはヌクレオチドの欠失、置換、または挿入など)されても細胞損傷を誘発しない安全な遺伝子部位を意味するものであって、例えば、AAVS1(Adeno−associated virus integration site;例えば、ヒト染色体19(19q13)に位置するAAVS1など)などであってもよいが、これに制限されるのではない。
前記sRAGEコード遺伝子の幹細胞ゲノム内への挿入(導入)は、動物細胞のゲノム内への遺伝子導入に通常使用される全ての遺伝子操作技術を通じて行うことができる。一例で、前記遺伝子操作技術は、標的特異的ヌクレアーゼを使用するものであってもよい。前記標的特異的ヌクレアーゼは、先に説明したようなセーフハーバー(safe harbor)遺伝子部位を標的にするものであってもよい。
本明細書に使用されたものとして、標的特異的ヌクレアーゼは、遺伝子はさみ(programmable nuclease)とも呼ばれ、目的とするゲノムDNA上の特定位置を認識して切断(単一鎖切断または二重鎖切断)することができる全ての形態のヌクレアーゼ(例えば、エンドヌクレアーゼ)をひっくるめて称する。前記標的特異的ヌクレアーゼは、微生物から分離されたものまたは組換え的方法または合成的方法で非自然的生産されたもの(non−naturally occurring)であってもよい。前記標的特異的ヌクレアーゼは、真核細胞の核内伝達のために通常使用される要素(例えば、核局在化シグナル(nuclear localization signal;NLS)など)を追加的に含むものであってもよいが、これに制限されるのではない。前記標的特異的ヌクレアーゼは精製されたタンパク質形態で使用されるか、これをコードするDNA、または前記DNAを含む組換えベクターの形態で使用できる。
例えば、前記標的特異的ヌクレアーゼは、
ゲノム上の特定標的配列を認識するドメインである植物病原性遺伝子に由来したTALエフェクター(transcription activator−like effector)ドメインと切断ドメインが融合されたTALEN(transcription activator−like effector nuclease);
ジンクフィンガーヌクレアーゼ(zinc−finger nuclease);
メガヌクレアーゼ(meganuclease);
微生物免疫機構であるCRISPRに由来したRGEN(RNA−guided engineered nuclease;例えば、Casタンパク質(例えば、Cas9など)、Cpf1、など);
AGOホモログ(Ago homolog、DNA−guided endonuclease)
などからなる群より選択された1種以上であってもよいが、これに制限されるのではない。
前記標的特異的ヌクレアーゼは、原核細胞、および/またはヒト細胞をはじめとする動植物細胞(例えば、真核細胞)のゲノムで特定塩基配列を認識して二重鎖切断(double strand break、DSB)を起こすことができる。前記二重鎖切断はDNAの二重鎖を切断して、平滑末端(blunt end)または粘着末端(cohesive end)を生成させることができる。DSBは細胞内で相同組換え(homologous recombination)または非相同末端結合(non−homologous end−joining、NHEJ)機構によって効率的に修復でき、この過程に所望の変異を標的位置に導入することができる。
前記メガヌクレアーゼは、これに制限されるのではないが、自然発生メガヌクレアーゼであってもよく、これらは15〜40個の塩基対の切断部位を認識し、これは通常4個のファミリーに分類される:LAGLIDADGファミリー、GIY−YIGファミリー、His−Cystボックスファミリー、およびHNHファミリー。例示的なメガヌクレアーゼは、I−SceI、I−CeuI、PI−PspI、PI−SceI、I−SceIV、I−CsmI、I−PanI、I−SceII、I−PpoI、I−SceIII、I−CreI、I−TevI、I−TevIIおよびI−TevIIIを含む。
自然発生メガヌクレアーゼ、主にLAGLIDADGファミリーに由来するDNA結合ドメインを用いて植物、酵母、ショウジョウバエ(Drosophila)、哺乳動物細胞およびマウスで位置特異的ゲノム変形が促進されたが、このような接近法はメガヌクレアーゼ標的配列が保存された相同性遺伝子の変形(Monet et al.(1999)Biochem.Biophysics.Res.Common.255:88−93)であって、標的配列が導入される事前操作されたゲノムの変形には限界があった。したがって、医学的にも生命工学的にも関連する部位で新規な結合特異性を示すようにメガヌクレアーゼを操作しようとする試みがあった。また、メガヌクレアーゼに由来する自然発生されたまたは操作されたDNA結合ドメインが異種性ヌクレアーゼ(例、FokI)に由来する切断ドメインに作動可能に連結された。
前記ZFNは、選択された遺伝子、および切断ドメインまたは切断ハーフドメインの標的部位に結合するように操作されたジンクフィンガータンパク質を含む。前記ZFNは、ジンクフィンガーDNA結合ドメインおよびDNA切断ドメインを含む人工的な制限酵素であってもよい。ここで、ジンクフィンガーDNA結合ドメインは、選択された配列に結合するように操作されたものであってもよい。例えば、Beerli et al.(2002)Nature Biotechnol.20:135−141;Pabo et al.(2001)Ann.Rev.Biochem.70:313−340;Isalan et al、(2001)Nature Biotechnol.19:656−660;Segal et al.(2001)Curr.Opin.Biotechnol.12:632−637;Choo et al.(2000)Curr.Opin.Struct.Biol.10:411−416が本明細書参考資料として含まれ得る。自然発生されたジンクフィンガータンパク質と比較して、操作されたジンクフィンガー結合ドメインは新規な結合特異性を有することができる。操作方法は合理的設計および多様なタイプの選択を含むが、これに限定されない。合理的設計は、例えば三重(または四重)ヌクレオチド配列、および個別ジンクフィンガーアミノ酸配列を含むデータベースの利用を含み、この時、各三重または四重ヌクレオチド配列は特定三重または四重配列に結合するジンクフィンガーの一つ以上の配列と連合される。
標的配列の選択、融合タンパク質(およびそれをコードするポリヌクレオチド)の設計および構成は当業者に公知されており、参考資料として米国特許出願公開2005/0064474および2006/0188987の全文に詳しく説明され、前記公開特許の全文が本発明の参考資料として本明細書に含まれる。また、このような参考文献および当業界の他の文献に開示されている通り、ジンクフィンガードメインおよび/または多重フィンガージンクフィンガータンパク質が任意の適切なリンカー配列、例えば5個以上のアミノ酸長さのリンカーを含むリンカーによって共に連結できる。6個以上のアミノ酸長さのリンカー配列の例は米国登録特許6,479,626;6,903,185;7,153,949を参照する。ここに説明されたタンパク質はタンパク質の各ジンクフィンガーの間に適切なリンカーの任意の組み合わせを含むことができる。
また、ZFNのようなヌクレアーゼは、ヌクレアーゼ活性部分(切断ドメイン、切断ハーフドメイン)を含む。周知の通り、例えばジンクフィンガーDNA結合ドメインと異なるヌクレアーゼからの切断ドメインのように、切断ドメインはDNA結合ドメインに異種性であってもよい。異種性切断ドメインは、任意のエンドヌクレアーゼやエクソヌクレアーゼから得ることができる。切断ドメインが由来できる例示的なエンドヌクレアーゼは制限エンドヌクレアーゼおよびメガヌクレアーゼを含むが、これに限定されない。
同様に、切断ハーフドメインは、前記提示されたように、切断活性のために二量体化を必要とする任意のヌクレアーゼまたはそれの一部に由来できる。融合タンパク質が切断ハーフドメインを含む場合、一般に2個の融合タンパク質が切断に必要である。代案として、2個の切断ハーフドメインを含む単一タンパク質が用いられてもよい。2個の切断ハーフドメインは同一なエンドヌクレアーゼ(またはそれの機能的断片)に由来することも可能であり、または各切断ハーフドメインが異なるエンドヌクレアーゼ(またはそれの機能的断片)に由来することも可能である。また、2個の融合タンパク質の標的部位は、2個の融合タンパク質とその各標的部位の結合によって切断ハーフドメインが互いに対して空間的に配向されて位置することによって、切断ハーフドメインが、例えば二量体化によって機能性切断ドメインを形成することができるようにする関係で配置されるのが好ましい。したがって、一実施形態で、3〜8個のヌクレオチドまたは14〜18個のヌクレオチドによって標的部位の隣接の縁が分離される。しかし、任意の整数のヌクレオチドまたはヌクレオチド対が2個の標的部位の間に介されてもよい(例、2〜50個のヌクレオチド対またはそれ以上)。一般に、切断部位は標的部位の間に置かれる。
制限エンドヌクレアーゼ(制限酵素)は多くの種に存在し、DNAに配列特異的に結合して(標的部位で)、直ちに結合部位やその近所でDNAを切断することができる。ある制限酵素(例、Type IIS)は認識部位から除去された部位でDNAを切断し、分離可能な結合と切断可能なドメインを有する。例えば、Type IIS酵素FokIは一本鎖上の認識部位から9個のヌクレオチドで、そして残りの一本鎖上の認識部位から13個のヌクレオチドでDNAの二重鎖切断を触媒する。したがって、一実施形態で、融合タンパク質は少なくとも1個のType IIS制限酵素からの切断ドメイン(または切断ハーフドメイン)と一つ以上の亜鉛フィンガー結合ドメイン(操作されてもよく、そうでなくてもよい)を含む。
“TALEN”は、DNAのターゲット領域を認識および切断することができるヌクレアーゼを示す。TALENは、TALEドメインおよびヌクレオチド切断ドメインを含む融合タンパク質を示す。本発明で、“TALエフェクターヌクレアーゼ”および“TALEN”という用語は互換が可能である。TALエフェクターはキサントモナス(Xanthomonas)バクテリアが多様な植物種に感染する時にこれらのタイプIII分泌システムを通じて分泌されるタンパク質として知られている。前記タンパク質は、宿主植物内のプロモーター配列と結合してバクテリア感染を助ける植物遺伝子の発現を活性化させることができる。前記タンパク質は、34個以下の多様な数のアミノ酸反復で構成された中心反復ドメインを通じて植物DNA配列を認識する。したがって、TALEは、ゲノムエンジニアリングのツールのための新規プラットフォームになり得るとされる。但し、ゲノム編集活性を有する機能TALENを製作するために次のように現在まで知られなかった少数の主要媒介変数が定義されなければならない。i)TALEの最小DNA−結合ドメイン、ii)一つのターゲット領域を構成する2個の半分−位置の間のスペーサの長さ、およびiii)FokIヌクレアーゼドメインをdTALEに連結するリンカーまたは融合接合(fusion junction)。
本発明のTALEドメインは、一つ以上のTALE反復モジュールを通じて配列特異的方式でヌクレオチドに結合するタンパク質ドメインを指す。前記TALEドメインは少なくとも一つのTALE反復モジュール、より具体的には1〜30個のTALE反復モジュールを含むが、これに限定されない。本発明で、“TALエフェクタードメイン”および“TALEドメイン”という用語は互換可能である。前記TALEドメインは、TALE反復モジュールの半分を含むことができる。前記TALENに関連して国際公開特許WO/2012/093833号または米国公開特許2013−0217131号に開示された内容全文が本明細書に参考資料として含まれる。
一例で、前記sRAGEコード遺伝子の幹細胞ゲノム内への挿入(導入)は、標的特異的ヌクレアーゼ(CRISPRに由来したRGEN)を使用して行うことができる。前記標的特異的ヌクレアーゼは、
(1)RNAガイドヌクレアーゼ(またはそのコーディングDNA、または前記コーディングDNAを含む組換えベクター)、および
(2)標的遺伝子(例えば、AAVS1のようなセーフハーバー(safe harbor)位置)の標的部位(例えば、AAVS1のようなセーフハーバー(safe harbor)遺伝子内の連続する15〜30、17〜23、または18〜22個のヌクレオチド長さの核酸部位)とハイブリダイズ可能な(または相補的核酸配列を有する)ガイドRNAまたはそのコーディングDNA(またはコーディングDNAを含む組換えベクター)
を含むものであってもよい。
前記標的特異的ヌクレアーゼは、標的遺伝子の特定配列を認識しヌクレオチド切断活性を有し標的遺伝子でインデル(insertion and/or deletion、Indel)を引き起こすことができる全てのヌクレアーゼより選択された1種以上であってもよい。
一具体例で、前記標的特異的ヌクレアーゼは、Casタンパク質(例えば、Cas9タンパク質(CRISPR(Clustered regularly interspaced short palindromic repeats)associated protein 9))、Cpf1タンパク質(CRISPR from Prevotella and Francisella 1)などのようなタイプIIおよび/またはタイプVのCRISPRシステムに伴うヌクレアーゼ(例えば、エンドヌクレアーゼ)などからなる群より選択された1種以上であってもよい。この場合、前記標的特異的ヌクレアーゼは、ゲノムDNAの標的部位に案内するための標的DNA特異的ガイドRNAを追加的に含む。前記ガイドRNAは、生体外(in vitro)で転写された(transcribed)ものであってもよく、例えば、オリゴヌクレオチド二重鎖またはプラスミド鋳型から転写されたものであってもよいが、これに制限されない。前記標的特異的ヌクレアーゼは、生体(細胞)外でまたは生体(細胞)内伝達後、ガイドRNAに結合されたリボ核酸−タンパク質複合体を形成(RNA−Guided Engineered Nuclease)してリボ核酸タンパク質(RNP)形態で作用できる。
Casタンパク質はCRISPR/Casシステムの主要タンパク質構成要素であって、活性化されたエンドヌクレアーゼまたはニッカーゼ(nickase)を形成することができるタンパク質である。
Casタンパク質または遺伝子情報は、NCBI(National Center for Biotechnology Information)のGenBankのような公知のデータベースから得ることができる。例えば、前記Casタンパク質は、
ストレプトコッカスsp.(Streptococcus sp.)、例えば、ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)由来のCasタンパク質、例えば、Cas9タンパク質(例えば、SwissProt Accession number Q99ZW2(NP_269215.1));
カンピロバクター属、例えば、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)由来のCasタンパク質、例えば、Cas9タンパク質;
ストレプトコッカス属、例えば、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophiles)またはストレプトコッカス・アウレウス(Streptocuccus aureus)由来のCasタンパク質、例えば、Cas9タンパク質;
ナイセリア・メニンギチジス(Neisseria meningitidis)由来のCasタンパク質、例えば、Cas9タンパク質;
パスツレラ(Pasteurella)属、例えば、パスツレラ・ムルトシダ(Pasteurella multocida)由来のCasタンパク質、例えばCas9タンパク質;
フランシセラ(Francisella)属、例えば、フランシセラ・ノビシダ(Francisella novicida)由来のCasタンパク質、例えばCas9タンパク質
などからなる群より選択された一つ以上であってもよいが、これに制限されるのではない。
一例で、前記Cas9タンパク質がストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)由来のものである場合、前記PAM配列は5’−NGG−3’(Nは、A、T、G、またはCである)であり、前記切断される塩基配列部位(標的部位)は標的遺伝子内の5’−NGG−3’配列の5’末端および/または3’末端に隣接して位置する連続する17bp〜23bp、例えば、20bpの塩基配列部位であってもよい。
他の例で、前記Cas9タンパク質がカンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)由来のものである場合、前記PAM配列は5’−NNNNRYAC−3’(Nはそれぞれ独立してA、T、CまたはGであり、RはAまたはGであり、YはCまたはTである)であり、前記切断される塩基配列部位(標的部位)は標的遺伝子内の5’−NNNNRYAC−3’配列の5’末端および/または3’末端に隣接して位置する連続する17bp〜23bp、例えば、21bp〜23bpの塩基配列部位であってもよい。
他の例で、前記Cas9タンパク質がストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophiles)由来のものである場合、前記PAM配列は5’−NNAGAAW−3’(Nはそれぞれ独立してA、T、CまたはGであり、WはAまたはTである)であり、前記切断される塩基配列部位(標的部位)は標的遺伝子内の5’−NNAGAAW−3’配列の5’末端または3’末端に隣接して位置する連続する17bp〜23bp、例えば、21bp〜23bpの塩基配列部位であってもよい。
他の例で、前記Cas9タンパク質がナイセリア・メニンギチジス(Neisseria meningitidis)由来のものである場合、前記PAM配列は5’−NNNNGATT−3’(Nはそれぞれ独立してA、T、CまたはGである)であり、前記切断される塩基配列部位(標的部位)は標的遺伝子内の5’−NNNNGATT−3’配列の5’末端および/または3’末端に隣接して位置する連続する17bp〜23bp、例えば、21bp〜23bpの塩基配列部位であってもよい。
他の例で、前記Cas9タンパク質がストレプトコッカスアウレウス(Streptocuccus aureus)由来のものである場合、前記PAM配列は5’−NNGRR(T)−3’(Nはそれぞれ独立してA、T、CまたはGであり、RはAまたはGであり、(T)は任意に包含可能な配列を意味する)であり、前記切断される塩基配列部位(標的部位)は標的遺伝子内の5’−NNGRR(T)−3’配列の5’末端または3’末端に隣接して位置する連続する17bp〜23bp、例えば、21bp〜23bpの塩基配列部位であってもよい。
Cpf1タンパク質は、前記CRISPR/Casシステムとは区別される新たなCRISPRシステムのエンドヌクレアーゼであって、Cas9に比べて相対的に大きさが小さくてtracrRNAが必要なく、単一ガイドRNAによって作用できる。また、チミン(thymine)が豊富なPAM(protospacer−adjacent motif)配列を認識しDNAの二重鎖を切断して粘着末端(cohesive end;cohesive double−strand break)を生成する。
例えば、前記Cpf1タンパク質は、カンジダツス(Candidatus)属、ラクノスピラ(Lachnospira)属、ブチリビブリオ(Butyrivibrio)属、ペレグリニバクテリア(Peregrinibacteria)、アシドミノコッカス(Acidominococcus)属、ポルフィロモナス(Porphyromonas)属、プレボテラ(Prevotella)属、フランシセラ(Francisella)属、カンジダツスメタノプラズマ(Candidatus Methanoplasma)、またはユバクテリウム(Eubacterium)属由来のものであってもよく、例えば、Parcubacteria bacterium(GWC2011_GWC2_44_17)、Lachnospiraceae bacterium(MC2017)、Butyrivibrio proteoclasiicus、Peregrinibacteria bacterium(GW2011_GWA_33_10)、Acidaminococcus sp.(BV3L6)、Porphyromonas macacae、Lachnospiraceae bacterium(ND2006)、Porphyromonas crevioricanis、Prevotella disiens、Moraxella bovoculi(237)、Smiihella sp.(SC_KO8D17)、Leptospira inadai、Lachnospiraceae bacterium(MA2020)、Francisella novicida(U112)、Candidatus Methanoplasma termitum、Candidatus Paceibacter、Eubacterium eligensなどの微生物由来のものであってもよいが、これに制限されるのではない。
エンドヌクレアーゼとしてCpf1タンパク質が使用される場合、前記PAM配列は5’−TTN−3’(NはA、T、CまたはGである)であり、前記切断される塩基配列部位(標的部位)は標的遺伝子内の5’−TTN−3’配列の5’末端または3’末端に隣接して位置する連続する17bp〜23bp、例えば、21bp〜23bpの塩基配列部位であってもよい。
前記標的特異的ヌクレアーゼは、微生物から分離されたものまたは組換え的方法または合成的方法などのように人為的または非自然的生産されたもの(non−naturally occurring)であってもよい。前記標的特異的ヌクレアーゼは、in vitroで予め転写されたmRNAまたは予め生産されたタンパク質形態、または標的細胞または生体内で発現するために組換えベクターに含まれた形態で使用できる。一例で、前記標的特異的ヌクレアーゼ(例えば、Cas9、Cpf1、など)は、組換えDNA(Recombinant DNA;rDNA)によって作られた組換えタンパク質であってもよい。組換えDANは、多様な有機体から得られた異種または同種遺伝物質を含むために分子クローニングのような遺伝子組換え方法によって人工的に作られたDNA分子を意味する。例えば、組換えDNAを適切な有機体で発現させて標的特異的ヌクレアーゼを生産(in vivoまたはin vitro)する場合、組換えDNAは、製造しようとするタンパク質をコーディングするコドンのうちから前記有機体に発現するに最適化されたコドンを選択して再構成されたヌクレオチド配列を有するものであってもよい。
本明細書で使用された前記標的特異的ヌクレアーゼは、変異された形態の変異標的特異的ヌクレアーゼであってもよい。前記変異標的特異的ヌクレアーゼはDNA二重鎖を切断するエンドヌクレアーゼ活性を喪失するように変異されたものを意味することができ、例えば、エンドヌクレアーゼ活性を喪失しニッカーゼ活性を有するように変異された変異標的特異的ヌクレアーゼおよびエンドヌクレアーゼ活性とニッカーゼ活性を全て喪失するように変異された変異標的特異的ヌクレアーゼのうちから選択された1種以上であってもよい。このような標的特異的ヌクレアーゼの変異(例えば、アミノ酸置換など)は、少なくともヌクレアーゼの触媒活性ドメイン(例えば、Cas9の場合、RuvC触媒ドメイン)で起こるものであってもよい。一例で、前記標的特異的ヌクレアーゼがストレプトコッカス・ピオゲネス由来Cas9タンパク質(SwissProt Accession number Q99ZW2(NP_269215.1);配列番号4)である場合、前記変異は、触媒活性を有するアスパラギン酸残基(catalytic aspartate residue;例えば、配列番号4の場合、10番目位置のアスパラギン酸(D10)など)、配列番号4の762番目位置のグルタミン酸(E762)、840番目位置のヒスチジン(H840)、854番目位置のアスパラギン(N854)、863番目位置のアスパラギン(N863)、986番目位置のアスパラギン酸(D986)などからなる群より選択された一つ以上任意の他のアミノ酸で置換された突然変異を含むことができる。この時、置換される任意の他のアミノ酸はアラニン(alanine)であってもよいが、これに制限されない。
他の例で、前記変異標的特異的ヌクレアーゼは、野生型Cas9タンパク質と異なるPAM配列を認識するように変異されたものであってもよい。例えば、前記変異標的特異的ヌクレアーゼは、ストレプトコッカス・ピオゲネス由来Cas9タンパク質の1135番目位置のアスパラギン酸(D1135)、1335番目位置のアルギニン(R1335)、および1337番目位置のトレオニン(T1337)のうちの一つ以上、例えば、3個が全て他のアミノ酸で置換されて、野生型Cas9のPAM配列(NGG)と異なるNGA(NはA、T、G、およびCのうちから選択された任意の塩基である)を認識するように変異されたものであってもよい。
一例で、前記変異標的特異的ヌクレアーゼは、ストレプトコッカス・ピオゲネス由来Cas9タンパク質のアミノ酸配列(配列番号4)中、
(1)D10、H840、またはD10+H840;
(2)D1135、R1335、T1337、またはD1135+R1335+T1337;または
(3)(1)と(2)残基全て
でアミノ酸置換が起こったものであってもよい。
本明細書に使用されたものとして、前記‘他のアミノ酸’は、アラニン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、トリプトファン、バリン、アスパラギン、システイン、グルタミン、グリシン、セリン、トレオニン、チロシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、ヒスチジン、ライシン、前記アミノ酸の公知された全ての変形体のうち、野生型タンパク質が元来変異位置に有するアミノ酸を除いたアミノ酸の中から選択されたアミノ酸を意味する。一例で、前記‘他のアミノ酸’は、アラニン、バリン、グルタミン、またはアルギニンであってもよい。
本発明で、用語“ガイドRNA(guide RNA)”は、標的遺伝子内の標的部位内の特異的な塩基配列(標的配列)にハイブリダイズ可能な標的化配列を含むRNAを意味し、生体外(in vitro)または生体(または細胞)内でCasタンパク質、Cpf1などのようなヌクレアーゼと結合してこれを標的遺伝子(または標的部位)に導く役割を果たす。
前記ガイドRNAは、複合体を形成するヌクレアーゼの種類および/またはその由来微生物によって適切に選択できる。
例えば、前記ガイドRNAは、
標的配列とハイブリダイズ可能な部位(標的化配列)を含むCRISPR RNA(crRNA);
Casタンパク質、Cpf1などのようなヌクレアーゼと相互作用する部位を含むtrans−activating crRNA(tracrRNA);および
前記crRNAおよびtracrRNAの主要部位(例えば、標的化配列を含むcrRNA部位およびヌクレアーゼと相互作用するtracrRNAの部位)が融合された形態の単一ガイドRNA(single guide RNA;sgRNA)
からなる群より選択された1種以上であってもよく、
具体的に、CRISPR RNA(crRNA)およびtrans−activating crRNA(tracrRNA)を含む二重RNA(dual RNA)、またはcrRNAおよびtracrRNAの主要部位を含む単一ガイドRNA(sgRNA)であってもよい。
前記sgRNAは、標的遺伝子(標的部位)内の標的配列と相補的な配列(標的化配列)を有する部分(これをSpacer region、Target DNA recognition sequence、base pairing regionなどとも命名する)およびCasタンパク質結合のためのヘアピン(hairpin)構造を含むことができる。より具体的に、標的遺伝子内の標的配列と相補的な配列(標的化配列)を含む部分、Casタンパク質結合のためのhairpin構造、およびTerminator配列を含むことができる。前述の構造は5’から3’の順に順次に存在するものであってもよいが、これに制限されるのではない。前記ガイドRNAがcrRNAおよびtracrRNAの主要部分および標的DNAの相補的な部分を含む場合であれば、いかなる形態のガイドRNAも本発明で使用できる。
例えば、Cas9タンパク質は標的遺伝子編集のために二つのガイドRNA、即ち、標的遺伝子の標的部位とハイブリダイズ可能なヌクレオチド配列を有するCRISPR RNA(crRNA)とCas9タンパク質と相互作用するtrans−activating crRNA(tracrRNA;Cas9タンパク質と相互作用する)を必要とし、これらcrRNAとtracrRNAは互いに結合された二重鎖crRNA:tracrRNA複合体形態、またはリンカーを通じて連結されて単一ガイドRNA(single guide RNA;sgRNA)形態で使用できる。一例で、ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)由来のCas9タンパク質を使用する場合、sgRNAは少なくとも前記crRNAのハイブリダイズ可能なヌクレオチド配列を含むcrRNA一部または全部と前記Cas9のtracrRNAのCas9タンパク質と相互作用する部位を少なくとも含むtracrRNA一部または全部がヌクレオチドリンカーを通じてヘアピン構造(stem−loop構造)を形成するものであってもよい(この時、ヌクレオチドリンカーがループ構造に該当するものであり得る)。
前記ガイドRNA、具体的にcrRNAまたはsgRNAは標的遺伝子内標的配列と相補的な配列(標的化配列)を含み、crRNAまたはsgRNAのアップストリーム部位、具体的にsgRNAまたはdualRNAのcrRNAの5’末端に一つ以上、例えば、1〜10個、1〜5個、または1〜3個の追加のヌクレオチドを含むことができる。前記追加のヌクレオチドはグアニン(guanine、G)であってもよいが、これに制限されるのではない。
他の例で、前記ヌクレアーゼがCpf1である場合、前記ガイドRNAはcrRNAを含むものであってもよく、複合体を形成するCpf1タンパク質種類および/またはその由来微生物によって適切に選択できる。
前記ガイドRNAの具体的配列はヌクレアーゼ(Cas9またはCpf1)の種類(即ち、由来微生物)によって適切に選択することができ、これはこの発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に分かる事項である。
一例で、標的特異的ヌクレアーゼとしてストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)由来のCas9タンパク質を使用する場合、crRNAは次の一般式1で表現できる:
5’−(Ncas9−(GUUUUAGAGCUA)−(Xcas9−3’(一般式1)
上記一般式1で、
cas9は標的化配列、即ち、標的遺伝子(target gene)の標的部位(target site)の配列によって決定される部位(標的部位の標的配列とハイブリダイズ可能)であり、lは前記標的化配列に含まれているヌクレオチド数を示すものであって、15〜30、17〜23、または18〜22の整数、例えば20であってもよく、
前記標的化配列の3’方向に隣接して位置する連続する12個のヌクレオチド(GUUUUAGAGCUA)(配列番号1)を含む部位はcrRNAの必須的部分であり、
cas9はcrRNAの3’末端側に位置する(即ち、前記crRNAの必須的部分の3’方向に隣接して位置する)m個のヌクレオチドを含む部位であって、mは8〜12の整数、例えば、11であってもよく、前記m個のヌクレオチドは互いに同一であるか異なってもよく、それぞれ独立してA、U、CおよびGからなる群より選択できる。
一例で、前記Xcas9はUGCUGUUUUG(配列番号2)を含むことができるが、これに制限されない。
また、前記tracrRNAは、次の一般式2で表現できる:
5’−(Ycas9−(UAGCAAGUUAAAAUAAGGCUAGUCCGUUAUCAACUUGAAAAAGUGGCACCGAGUCGGUGC)−3’(一般式2)
上記一般式2で、
60個のヌクレオチド(UAGCAAGUUAAAAUAAGGCUAGUCCGUUAUCAACUUGAAAAAGUGGCACCGAGUCGGUGC)(配列番号3)で表された部位は、tracrRNAの必須的部分であり、
cas9は前記tracrRNAの必須的部分の5’末端に隣接して位置するp個のヌクレオチドを含む部位であって、pは6〜20の整数、例えば、8〜19の整数であってもよく、前記p個のヌクレオチドは互いに同一であるか異なってもよく、A、U、CおよびGからなる群よりそれぞれ独立して選択できる。
また、sgRNAは、前記crRNAの標的化配列と必須的部位を含むcrRNA部分と前記tracrRNAの必須的部分(60個ヌクレオチド)を含むtracrRNA部分がオリゴヌクレオチドリンカーを通じてヘアピン構造(stem−loop構造)を形成するものであってもよい(この時、オリゴヌクレオチドリンカーがループ構造に該当する)。より具体的に、前記sgRNAは、crRNAの標的化配列と必須的部分を含むcrRNA部分とtracrRNAの必須的部分を含むtracrRNA部分が互いに結合された二重鎖RNA分子で、crRNA部位の3’末端とtracrRNA部位の5’末端がオリゴヌクレオチドリンカーを通じて連結されたヘアピン構造を有するものであってもよい。
一例で、sgRNAは、次の一般式3で表現できる:
5’−(Ncas9−(GUUUUAGAGCUA)−(オリゴヌクレオチドリンカー)−(UAGCAAGUUAAAAUAAGGCUAGUCCGUUAUCAACUUGAAAAAGUGGCACCGAGUCGGUGC)−3’(一般式3)
上記一般式3で、(Ncas9は標的化配列であって、先に一般式1で説明したとおりである。
前記sgRNAに含まれるオリゴヌクレオチドリンカーは3〜5個、例えば4個のヌクレオチドを含むものであってもよく、前記ヌクレオチドは互いに同一であるか異なってもよく、A、U、CおよびGからなる群よりそれぞれ独立して選択できる。
前記crRNAまたはsgRNAは、5’末端(即ち、crRNAのターゲッティング配列部位の5’末端)に1〜3個のグアニン(G)を追加的に含むことができる。
前記tracrRNAまたはsgRNAは、tracrRNAの必須的部分(60nt)の3’末端に5個〜7個のウラシル(U)を含む終結部位を追加的に含むことができる。
前記ガイドRNAの標的配列は、標的DNA上のPAM(Protospacer Adjacent Motif配列(S.pyogenes Cas9の場合、5’−NGG−3’(NはA、T、G、またはCである))の5’に隣接して位置する約17個〜約23個または約18個〜約22個、例えば20個の連続する核酸配列であってもよい。
前記ガイドRNAの標的配列とハイブリダイズ可能なガイドRNAの標的化配列は、前記標的配列が位置するDNA鎖(即ち、PAM配列(5’−NGG−3’(NはA、T、G、またはCである)が位置するDNA鎖)またはその相補的な鎖のヌクレオチド配列と50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、99%以上、または100%の配列相補性を有するヌクレオチド配列を意味するものであって、前記相補的鎖のヌクレオチド配列と相補的結合が可能である。
他の例で、標的特異的ヌクレアーゼがCpf1システムである場合、ガイドRNA(crRNA)は次の一般式4で表現できる:
5’−n1−n2−A−U−n3−U−C−U−A−C−U−n4−n5−n6−n7−G−U−A−G−A−U−(Ncpf1)q−3’(一般式4)。
上記一般式4で、
n1は存在しないか、U、A、またはGであり、n2はAまたはGであり、n3はU、A、またはCであり、n4は存在しないかG、C、またはAであり、n5はA、U、C、G、または存在せず、n6はU、GまたはCであり、n7はUまたはGであり、
Ncpf1は遺伝子標的部位とハイブリダイズ可能なヌクレオチド配列を含むターゲッティング配列であって標的遺伝子の標的配列によって決定され、qは含まれているヌクレオチド数を示すものであって、15〜30の整数であってもよい。前記標的遺伝子の標的配列(crRNAとハイブリダイズする配列)はPAM配列(5’−TTN−3’または5’−TTTN−3’;Nは任意のヌクレオチドであって、A、T、G、またはCの塩基を有するヌクレオチドである)の3’方向に隣接して位置する(例えば、連続する)15〜30個の標的遺伝子の標的部位のヌクレオチド配列である。
前記一般式4で、5’末端からカウンティングして6番目から10番目までの5個のヌクレオチド(5’末端ステム部位)と15番目(n4が存在する場合、16番目)から19番目(n4が存在する場合、20番目)までの5個ヌクレオチド(3’末端ステム部位)は互いに逆平行(antiparallel)なように相補的ヌクレオチドからなって二重鎖構造(ステム構造)を形成し、前記5’末端ステム部位と3’末端ステム部位の間の3〜5個ヌクレオチドがループ構造を形成することができる。
前記Cpf1タンパク質のcrRNA(例えば、一般式4で表現される)は、5’末端に1〜3個のグアニン(G)を追加的に含むことができる。
Cpf1由来微生物によって使用可能なCpf1タンパク質のcrRNA配列の5’末端部位配列(ターゲッティング配列部位除いた部分)を表1に例示的に記載した:
本明細書で、遺伝子標的部位とハイブリダイズ可能なヌクレオチド配列は、遺伝子標的部位のヌクレオチド配列(標的配列)と50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、99%以上、または100%の配列相補性を有するヌクレオチド配列を意味する(以下、特別な言及がない限り、同一な意味として使用され、前記配列相同性は通常の配列比較手段(例えば、BLAST)を使用して確認できる)。
前記方法で、前記ガイドRNAとRNA−ガイドエンドヌクレアーゼ(例えば、Cas9タンパク質)の細胞内への形質導入は、前記ガイドRNAとRNA−ガイドエンドヌクレアーゼを通常の方法(例えば、電気穿孔など)で直接細胞に導入するか、前記ガイドRNAをコードするDNA分子とRNA−ガイドエンドヌクレアーゼをコードする遺伝子(またはこれと80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上または99%以上の塩基配列相同性を有する遺伝子)を一つのベクターまたはそれぞれ別個のベクター(例えば、プラスミド、ウイルスベクターなど)に含まれている状態で細胞に導入するか、mRNA deliveryを通じて行うことができる。
一例で、前記ベクターは、ウイルスベクターであってもよい。前記ウイルスベクターは、レトロウイルス、アデノウイルス、パルボウイルス(例えば、アデノ関連(adenoassociated)ウイルス(AAV))、コロナウイルス、オルトミクソウイルス(orthomyxovirus)のような陰性鎖RNAウイルス(例えば、インフルエンザウイルス)、ラブドウイルス(rhabdovirus)(例えば、狂犬病および小胞性口炎ウイルス)、パラミクソウイルス(paramyxovirus)(例えば、麻疹およびセンダイ(Sendai)、アルファウイルス(alphavirus)およびピコルナウイルス(picornavirus)のような陽性鎖RNAウイルス、およびヘルペスウイルス(例えば、単純疱疹(Herpes Simplex)ウイルスタイプ1および2、エプスタイン(Epstein)−バー(Barr)ウイルス、サイトメガロウイルス(cytomegalovirus))、アデノウイルスを含む二重鎖のDNAウイルス、ポックスウイルス(poxvirus)(例えば、牛痘(vaccinia)、鶏痘(fowlpox)およびカナリア痘瘡(canarypox))などからなる群より選択されたものであってもよい。
前記Cas9タンパク質コード核酸分子、ガイドRNAコード核酸分子、またはこれらのうちの一つ以上を含むベクターは、それぞれ電気穿孔法(electroporation)、リポソーム、ウィルスベクター、ナノパーティクル(nanoparticles)だけでなくPTD(Protein translocation domain)融合タンパク質方法など当業界に公知された多様な方法を使用して細胞内に伝達でき、細胞の核内伝達のために、前記Cas9タンパク質および/またはガイドRNAは適切な核局在化シグナル(nuclear localization signal)を追加的に含むことができる。
本明細書に使用された標的部位の“切断(cleavage)”は、ポリヌクレオチドのcovalent backboneの破損(breakage)を意味する。切断はホスホジエステル(phosphodiester)結合の酵素的または化学的加水分解を含むが、これに制限されず、以外の多様な多様な方法によって行うことができる。単一鎖の切断および二重鎖の切断が全て可能であり、二重鎖の切断は二つの区別される(distinct)単一鎖の切断の結果として発生できる。二重鎖の切断は、blunt endsまたはstaggered endを生成することができる。
パーキンソン病(Parkinson’s disease、PD)は神経系の進行性退行性疾患であり、神経細胞死滅に関するメカニズムはよく知られていない。本明細書ではPDでの神経細胞死滅のメカニズムを明らかにして、PD動物モデルでsRAGEを分泌する幹細胞(例えば、ヒト臍帯血由来幹細胞(human Umbilical Cord Blood derived Mesenchymal Stem cells;hUCB−MSCs))が神経細胞死滅および行動障害回復に対して効果を有するのを確認した。本明細書で提供される一実施形態で、sRAGEを分泌するhUCB−MSCsをロテノン(rotenone)によって誘導されたPD動物モデルの線条体(Corpus striatum)に移植した後、行動検査、形態学的分析、および免疫組織化学的実験を通じて神経細胞死滅減少および運動回復効果を確認して本発明を完成した。このような結果はsRAGEを分泌する幹細胞のPDを含む神経退行性疾患に対する症状緩和(改善)、進行抑制、および/または治療効果を提案するのである。sRAGEを分泌する幹細胞はsRAGEの持続的な分泌による効果と、これに加えて幹細胞(例えば、UCB−MSC)自体の脳領域(例えば、線条体領域)での神経細胞死滅抑制(神経細胞保護)効果が互いに上昇作用を示して、より優れた神経退行性疾患治療効果を得ることができる。
sRAGEは、膜貫通ドメイン(transmembrane domain)を除いてRAGEと同一なタンパク質の可溶性形態である。sRAGEの活性部位はRAGEと同一であるため、sRAGEはAGEまたはS100などのような特定リガンドに結合することができ、標的細胞でのリガンドとの結合においてRAGEと競争することができる。
AGE−RAGE関連性
多くの文献で、RAGEのリガンドが標的細胞のRAGEに結合すればapoptosis状態になって細胞死滅が行われるという報告がある。AGE−アルブミンがRAGEと結合すればRAGEが活性化され細胞死滅に関連する遺伝子発現が増加する。これは脳だけでなく他の臓器でも起こる。AGE−RAGE結合は、多様な細胞類型で細胞死滅に決定的原因になる。したがって、AGE−RAGE結合を防止して細胞を細胞死滅から保護することができる。
sRAGE分泌UCB−MSCの製作
sRAGEを分泌する幹細胞(例えば、UCB−MSC、iPSCなど)は、多くの長所を有する。sRAGEタンパク質が細胞で分泌される場合、その分泌水準が持続的に維持され、注入部位の正常組換えタンパク質と比較して持続期間が長くなる。また、このようにsRAGEタンパク質を分泌する細胞として幹細胞を採用する場合、分泌されたsRAGEは注入部の周辺部位で幹細胞と共に上昇効果を発揮してより多い利点を示すことができる。したがって、幹細胞はsRAGE分泌細胞に適用するに最も適した候補細胞の一つである。
一具体例で、PD治療のために、sRAGE分泌する幹細胞はsRAGE分泌UCB−MSCまたはiPSCなどであってもよく、この場合、sRAGE分泌水準が最も高い、sRAGEコード遺伝子としてトランスフェクション後一番目継代(passage)のUCB−MSCまたはiPSCなどを使用することができるが、これに制限されるのではない。
The AGE−RAGE関連性;アルツハイマー病(AD)、アルコール中毒、およびPD
PD動物モデルはCS領域で高いAGE形成水準を示し、このような高いAGE形成はAGE−RAGE結合による細胞死滅を誘発することができる。本明細書では、sRAGEまたはsRAGE分泌UCB−MSC(またはsRAGE分泌iPSC)を処理した動物モデルの行動試験(rotarodおよびthe pole tests)で回復結果を確認した。特に、sRAGEまたはsRAGE分泌UCB−MSC投与群でAGE−RAGE結合遮断効果が優れ、これによってsRAGEまたはsRAGE分泌UCB−MSCは細胞自殺死から神経細胞を保護する効果を有すると確認された。特に、sRAGEまたはsRAGE分泌UCB−MSCを投与したPD動物モデルのCSおよびSN領域での神経細胞の数が対照群PD動物モデル(sRAGEまたはsRAGE分泌UCB−MSC非投与群)より多いのを確認して、神経細胞自殺死に対する保護効果を確認した。
神経細胞死滅に対する保護効果の基礎になるメカニズム
マイトジェン−活性化タンパク質キナーゼ(Mitogen−Activated Protein Kinase)
マイトジェン−活性タンパク質キナーゼ(Mitogen−Activated Protein Kinase、MAPK)は真核生物のみで発見されるタンパク質キナーゼであって、基本状態である不活性状態に維持されていて、活性化する必要がある時、活性化ループでリン酸化される。PD背後の主要信号経路を確認するために次のような典型的なMAPKを観察した:ERK1/2、JNK、p38およびこれらのリン酸化された形態。観察の結果、p38、Erk1/2およびJNKタンパク質は細胞死滅メカニズムに寄与すると確認され、したがって、これらタンパク質はPD進行経路に関与すると推定することができる。
Bax
AGE−RAGE依存経路に対するsRAGEの効果を試験するために、Baxを観察した。細胞にAGE−アルブミンを処理時、Baxの発現が増加した。しかし、sRAGEがAGE−アルブミンと共に処理された場合、Baxの発現水準は若干減少し、これはsRAGEがAGE−RAGE結合を遮断することによって細胞を細胞死滅(アポトーシス)から保護するのを意味する。
一方、sRAGEタンパク質は、体内半減期があるためパーキンソン病の治療に限界を有する。このような問題を克服するために、本発明ではsRAGEを分泌する幹細胞(例えば、UCB−MSCまたはiPSCなど)を使用して持続的な分泌が可能であるようにする。
トランスフェクションされたUCB−MSCからのsRAGE分泌水準は一番目継代で最も高く示され、それ以後継代で多少減少する傾向を示した。PD動物モデルでの細胞移植は定位手術(stereotaxic surgery)によって行われた。PD動物モデルの行動能力はロータロッド(rotarod)およびポールテスト(pole test)で試験した。このような行動能力試験の結果、sRAGE分泌幹細胞投与群で未投与PD群と比較して運動能力が有意に改善されたのを確認した。また、組織学的分析の結果、sRAGE分泌幹細胞が線条体の線条細胞の細胞死に対する保護効果を有するのを確認した。
このような保護活性に関連するメカニズムを確認するために、PDの主要信号伝達経路でタンパク質発現水準を観察した。特に、MAPKタンパク質とそのリン酸化された形態の発現水準を観察した。その結果、神経細胞死滅の主要経路がMAPK経路中のp38、Erk1/2、およびJNKに関連することが明らかになった。
また、本発明による心筋または筋肉細胞死誘導阻害は単核食細胞系細胞内でAGE−アルブミンの合成または分泌を阻害して単核食細胞系細胞周辺にある細胞の細胞死(cell death)誘導を阻害することを特徴とする。
前記細胞死は、大きく壊死(necrosis)とアポトーシス(apoptosis)に分けられる。壊死は、火傷、打撲、毒劇物などの刺激によって起こる細胞の死であって、一名細胞の事故死と言える。壊死の場合には細胞外から水分が流入することによって細胞が膨張して破壊される。従来は、細胞の死を全て壊死と考えた。しかし、最近、30年余りの間に細胞には自発的な死を起こす誘発因子があるという事実が知られた。遺伝子に制御されるこのような能動的な細胞の死がアポトーシスである。壊死が長時間にかけて無秩序に起こるのに反して、アポトーシスは短時間に秩序正しく起こる。アポトーシスは細胞が縮小されながら始まる。その後、隣接する細胞の間にスキ間が生じ、細胞内ではDNAが規則的に切断されて断片化される。最後に細胞全体も断片化されてアポトーシス小体になった後、近くにある細胞に貪食されることによって死に至るようになる。アポトーシスは、発生過程で身体の形態作りを担当し、成体では正常的な細胞を更新するか異常が生じた細胞を除去することを担当している。動物の体内で起こる発生、分化の過程で遺伝的なプログラムによって起こる細胞死を予定された細胞死(PCD;programed cell death)という。予定された細胞死は、発生のある段階で致死遺伝子が動き始めてその細胞が死んだ場合などである。人の場合には、胎児の初期に手や足は杓文字形状をしていて足指や手指の間が離れておらず、後期にその間に該当する部分にあった細胞が予定された細胞死段階を経ることによって手指や足指の形態が生じる。退行性疾患は、前記2種類形態の細胞を伴うと知られている。
前記細胞死は、細胞は単核食細胞系細胞の周辺にある細胞が好ましく、前記単核食細胞系細胞の周辺にある細胞は心筋細胞などを含むが、これに限定されない。
前記AGE−アルブミンの合成阻害または分泌阻害は、アルブミンsiRNA、アルブミン抗体、AGE抗体、AGE−アルブミン抗体およびAGE−アルブミン合成阻害剤からなる群より選択された1種を用いて阻害できる。
本発明は、抗体の一種類であるsRAGE(soluble Receptor for AGE)が持続的に分泌されて、AGE−アルブミンの毒性機能を阻害させることができるsRAGE分泌幹細胞を製作し、これを用いて心筋または筋肉細胞の死滅を予防し心筋梗塞などの心血管疾患を治療することを特徴とする。
慢性状態が持続される時、CSでのAGE−RAGE依存的細胞死滅がPDの神経退化に寄与する。sRAGEはAGE−RAGE結合を防止して神経細胞の細胞死滅を防止する。したがって、本発明で提供されるsRAGEを分泌する幹細胞は、PDなどの退行性神経疾患に対する非常に有効な治療方法の一つであり得る。
また、AGE−アルブミンは心筋梗塞または下肢虚血モデルの大食細胞で合成および分泌され、AGE−アルブミンの合成および分泌が酸化的ストレスによるものであり、細胞死を誘導する。したがって、本発明のsRAGE分泌幹細胞は、心筋梗塞、下肢虚血などの心血管疾患の予防および治療に有用に使用することができる。
pZDonor−AAVS1ピューロマイシンベクターの開裂地図(A)およびsRAGEコーディング配列の挿入状態を例示的に示す模式図(B)である。 標的遺伝子トランスフェクションとCRISPR/Cas9 RNPを用いた遺伝子挿入メカニズムを示す模式図である。 UCB−MSCからのsRAGEタンパク質分泌を確認したウェスタンブロッティング分析結果であって、AはsRAGE(Flagで標識される)でトランスフェクションされたUCB−MSC細胞株の馴化培地(Conditioned media)を回収してFlag抗体で確認した結果であり、BはAで測定された強度をImage J softwareで定量した結果を示すグラフである。 対照群(正常未処理群)、PD群(未処理PD動物モデル)、sRAGE処理群(sRAGE処理されたPD動物モデル)、およびsRAGE UCB−MSC処理群(sRAGE分泌UCB−MSC処理されたPD動物モデル)に対して、動物行動を試験するためのRotarodテストで測定した維持時間(maintaining time、単位:秒)結果を示す(student T−test(p<0.05))。 対照群(正常未処理群)、PD(未処理PD動物モデル)、sRAGE処理群(sRAGE処理されたPD動物モデル)、およびsRAGE UCB−MSC処理群(sRAGE分泌UCB−MSC処理されたPD動物モデル)に対して、動物行動を試験するためのpole testで測定した維持時間(maintaining time、単位:秒)結果を示す(student T−test(p<0.05))。 Cresyl violet染色によって対照群(正常未処理群)、PD群(未処理PD動物モデル)、およびsRAGE UCB−MSC処理群(sRAGE分泌UCB−MSC処理されたPD動物モデル)のSN領域での神経細胞(neuronal cell)のpopulation変化を示すものであって、AはCresyl violet染色結果を示すイメージであり(Bar=100um)、Bはimage J softwareで計数された神経細胞の個数を示すグラフである。 Cresyl violet染色によって対照群(正常未処理群)、PD群(未処理PD動物モデル)、およびsRAGE UCB−MSC処理群(sRAGE分泌UCB−MSC処理されたPD動物モデル)のCS領域での神経細胞(neuronal cell)のpopulation変化を示すものであって、AはCresyl violet染色結果を示すイメージであり(Bar=100um)、Bはimage J softwareで計数された神経細胞の個数を示すグラフである。 対照群(正常未処理群)、PD(未処理PD動物モデル)、およびsRAGE UCB−MSC(sRAGE分泌UCB−MSC処理されたPD動物モデル)の線状体(Striatum)でのAGE(green)およびIba−1(red、activated microglial cell marker)の二重免疫染色によってAGEおよび活性化された小膠細胞の分布を示す蛍光イメージであって、AGEおよび活性化された小膠細胞の共局在化(co−localization)を示し、併合されたイメージはAGEおよびIba1が主にPD(rotenone treated mouse brain)の線状体(striatum)領域に位置するのを示す(Scale bar:White=50um、Yellow=20um)。 HT22細胞(neural cell lines)にAGE−アルブミン処理群(AA)、AGE−アルブミン/sRAGE同時処理群(AA−sRAGE)、および未処理群(対照群)の細胞生存率をMTT分析で測定した結果を示す結果であって、sRAGE処理によってAGE−アルブミン結合が阻害されるのを示す(細胞の生存率は対照群の結果を100%にした相対値で示す;MTT分析は570nm波長で行われた)。 対照群(正常未処理群)、PD群(未処理PD動物モデル)、sRAGE処理群(sRAGE処理されたPD動物モデル)、およびsRAGE UCB−MSC処理群(sRAGE分泌UCB−MSC処理されたPD動物モデル)のCS領域から収集されたMAPKタンパク質の水準をウェスタンブロッティングで分析した結果を示す(standard protein:ベータ−アクチン)。 心筋梗塞動物ラットモデルで大食細胞の増加と心筋細胞の死滅が同時に増加するのを確認した結果を示すものであって、1aは大食細胞増加を示す写真(上)とこれを定量化したグラフ(下)であり、1bは心筋細胞の死滅程度を示す写真(上)とこれを定量化したグラフ(下)である。 図11aの続きである。 心筋梗塞動物ラットモデルの心臓組織で大食細胞の周辺でAGE−アルブミンの合成および分泌量の変化を抗体を用いて免疫組織化学染色を施行した後に確認した結果である。 ヒト大食細胞でAGE−アルブミンの合成と分泌が低酸素環境の刺激を受けて増加するのをELISAを通じて確認した図である。 一次ヒト心筋細胞でAGE−アルブミンを投与した後、その受容体であるRAGEの増加を確認し、ここにsRAGEを同時に投与した時にRAGEが減少するのを示す蛍光イメージである。 免疫ブロッティング結果であり、この時、MAPK信号伝達系の中のpSAPK/JNKとp38の反応が関与するのを示すグラフである。 図14bの続きである。 sRAGE分泌間葉系幹細胞を作るためのベクター構成図である。 sRAGE分泌間葉系幹細胞のsRAGEの分泌をwestern blottingおよびELISAで確認した結果である。 蛍光染色結果を示す蛍光イメージである。 sRAGE分泌細胞製作用ベクターを伝達するためのCRISPR/Cas9 RNPを製作してJurkat細胞で移入率の増加を確認した結果を示す。 心筋梗塞モデルと心筋梗塞モデルにsRAGE−MSCを共に処理したラットの心臓組織で線維化程度を確認する染色を施行した後に観察した結果を示した図である。 下肢虚血モデルで、筋肉細胞でRAGEが増加し細胞死が増加するのを確認し、sRAGEを投与後、回復を確認した結果を示す。 下肢虚血モデルで、筋肉細胞でRAGEが増加し細胞死が増加するのを確認し、sRAGEを投与後、回復を確認した結果を示す。 sRAGEを分泌するiPSCの特性を示すものであって、図19aはsRAGEを分泌するiPSCの製作に使用された発現ベクターを模式的に示し、図19bはsRAGEコード遺伝子挿入されたpZDonor−AAVS1ベクターでトランスフェクションされたiPSCのPCR結果を示す電気泳動イメージであり、図19cはsRAGEの発現および分泌水準をウェスタンブロットおよびELISAで確認した結果である。 図19aの続きである。 図19bの続きである。 sRAGE分泌iPSC(sRAGE−iPSC)の急性心筋梗塞に対する保護効果を示すものであって、20aはMasson’ trichrome染色結果を可視化した結果であり、20bはLV断面積での線維化領域およびinfarcted壁厚さの百分率を計算した結果を示し(*、p<0.05、**、p<0.01、***、p<0.001)、20cはGFP、VEGF、ANG1またはsRAGE−iPSC処理された心臓組織でのRAGE発現を免疫組織化学的方法で測定した結果を示す蛍光イメージである。 図20aの続きである。 図20bの続きである。 sRAGE分泌iPSCの幹細胞保護効果を示すものであって、21aはAGE−albumin(AA)およびsRAGE−iPSCの共培養後のTUNEL(Terminal deoxynucleotidyl transferase dUTP nick end labeling)変化を示す結果であり、21bはPBS処理、AA処理、およびAGE−albumin処理後、sRAGE分泌iPSCの幹細胞と共培養されたiPSCsでのRAGE発現水準をウェスタンブロッティングで確認した結果である。 図21aの続きである。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明しようとするが、これは例示的なものに過ぎず、本発明の範囲を制限しようとするのではない。以下に記載された実施例は発明の本質的な要旨を逸脱しない範囲で変形できるのは当業者において自明である。
[退行性神経疾患(パーキンソン病)に対する効果]
参考例
1.PDマウスモデルの製作
動物実験は、C57BL/6Nマウス(20〜22gm)を使用して行った。8週齢の雄マウスを無作為に分けて食べ物と水を自由に摂取することができるようにして12時間の明周期/暗周期の温度−調節環境下で各ケージ当り5匹ずつ飼育した。本明細書で行われた全ての動物実験は、CACU動物センター倫理委員会の承認を受けて行った。適したPDモデルを確立するために、二カ月間0.5%(w/v)CMC(carboxymethyl cellulose)に懸濁させたrotenone(Sigma−Aldrich)を30mg/kgの量で1日1回経口投与した。マウスの体重は毎週モニタリングした。
2.幹細胞培養
PD動物モデルに処理される幹細胞として臍帯血由来間葉系幹細胞(UCB−MSC、Medi−post)を選択した。UCB−MSCを10%(w/v)牛胎児血清(FBS、Gibco(R) Life Technologies Corp.)および1%(w/v)ペニシリンおよびストレプトマイシン(Sigma−Aldrich)が補充されたアルファ−MEM培地(DMEM、Gibco(R) Life Technologies Corp.)で育てた。この細胞を5% CO、および加湿大気条件下の37℃に維持させた。UCB−MSC培養のために100mmディッシュを使用し、細胞を80%のconfluenceに移した。細胞をTrypsin ETDA(Typsin ETDA、Gibco(R) Life Technologies Corp)と共に37℃で5分間培養して分離(detachment)した。
3.可溶性RAGE(sRAGE)分泌UCB−MSCの製作
sRAGEを分泌するUCB−MSCを製作するために、AAVS1のsafe harbor部位を標的にするように設計されたmRNA Zinc Finger Nuclease(Sigma−Aldrich)を使用してUCB−MSCのトランスフェクションを行った。UCB−MSCのトランスフェクションは、次の条件でnucleofectionを使用して行った:two consecutive shock of 1000V、30ms pulse width。細胞を6個のウェルプレートに各プレート当り8×10個ずつ含むようにシーディングした。トランスフェクションされた細胞を37℃で7日間培養してこれら細胞を安定化させた。培地は7日間毎日交替した。
4.定位手術(Stereotaxic surgery)および組織準備
Rotenoneの経口投与後30日目に、動物を無作為に5個群に分けた:対照群(正常マウス未投与群)、PDマウスアルファ−MEM投与群、PDマウスsRAGE投与群、PDマウスUCB−MSC投与群、およびPDマウスsRAGE分泌UCB−MSC投与群。動物の手術前にZoletil 50(Virbac)とRompun(Bayer Korea)が3:1比率で混合された混合物を1ml/kg量で腹腔内投与して麻酔させた。マウスを定位装置(stereotaxic apparatus;Stoelting Co)の上に置いた。薬物をatlas of Paxinos and Watson(Atlas)によって、右側CS(anterior and posterior 0.4、medial and lateral 1.8、dorsal and ventral from Bregma 3.5mm)内に一方注入した。薬物注入は、自動化microinjector(kd Scientic)に付着された26ゲージHamilton注射器を使用して行った。10uM(マイクロモル)sRAGE3μlを自動化microinjectorを使用して分当り1uLの速度で徐々に注入した。その後、注射器を徐々に除去し手術傷口を縫合した後、抗生剤を局所的に処理した。FBSおよび抗生剤を含まないalpha−MEM培地3μlで1×10細胞を製作した。神経細胞に対する薬物投与効果を確認するために、50ml 1xPBSで心臓を通じて麻酔した後、4%(w/v)パラホルムアルデヒド(PFA)を含む冷却固定液50mlで灌流した。灌流後、脳を除去し、4%PFAで5時間固定させた後、20%(w/v)スクロース溶液で一晩保存した。凍害防止された(Cryoprotected)脳ブロックを低温維持装置(cryostat)で10μmスライスに切断した。
5.免疫染色(Immunostaining)
マウス脳の冷凍切片を1xPBSで5回洗浄し、タンパク質特異的抗体と共に培養した。正常ヤギ、ウサギまたは馬血清(Vector laboratories)を使用して抗体の非特異的結合を遮断した。4℃で一次抗体と一晩培養後、試料を1xPBSで洗浄し、室温で1時間二次抗体培養を行った。核の対照染色のために、試料をDAPI(4’6−diamino−2−phenilindole、1μg/ml、Sigma−Aldrich)と共に20秒間培養した。1xPBSで洗浄した後、Vectashield mounting media(Vector laboratories)を使用してcoverslipsをガラススライドの上にマウンティングし、LSM 710共焦点顕微鏡(Carl Zeiss)で分析した。
免疫染色に使用された一次抗体を下記の表2に列挙した:
免疫染色に使用された二次抗体を下記の表3に列挙した:
6.クレシルバイオレット染色(Cresyl violet staining)
マウス脳の冷凍切片を室温で5分間乾燥させ、1xPBSで10分間5回洗浄した後、多段階エタノールで培養した(95%エタノール15分、70%エタノール1分、および50%エタノール1分)。蒸留水で洗浄した後、脳組織を0.5% Cresyl violet acetate(Sigma−Aldrich)溶液で12分間染色し、蒸留水(1分)、50%エタノール(1分)、70%エタノール(2分)、95%エタノール(2回2分)、100%エタノール(1分)および最後にxylene(5分)で洗浄した。染色されたスライドを組織学的分析のためのDPX mounting medium(Sigma−Aldrich)でマウンティングした。
7.ウェスタンブロッティング(Western blotting)
脳組織をRIPA溶解緩衝液(AMRESCO)で準備し、1x protease inhibitor(ROCHE)を添加した後、超音波処理した。このように準備された組織を4℃で20分間14,000xgで遠心分離した。総タンパク質濃度は、BCA(Life technologies)を使用して製造会社の方法によって測定した。10%(w/v)ポリアクリルアミドゲル(Life technologies)で同量(20μg)のタンパク質を分離してPVDFメンブレン(Millipore Corp.)に移した。タンパク質特異的抗体でタンパク質を検出した。ECL(Animal Genetics Corp.)検出試薬を使用してメンブレン上の免疫反応性タンパク質を可視化させた。
ウェスタンブロッティングに使用された一次抗体を表4に列挙した:
ウェスタンブロッティングに使用された二次抗体を表5に列挙した:
8.MTT分析
HT22細胞(ATCC)を2×10個の量で各96ウェルプレートにシーディングした。シーディング後、細胞をAGE−アルブミン(Sigma−Aldrich)(50nM)で12時間処理した。前記細胞をAGE−アルブミン処理前に1時間sRAGE(cat.RD172116100、Biovendor;配列番号6)(50nM)と共に培養した後、12時間培養した。MTT分析(3−2,5−dipheniltetrazolium、Sigma−Aldrich)によって細胞死滅を評価した。黄色MTT化合物は、生きている細胞によってジメチルスルホキシド(MeSO)に溶解される青色formazenに変換される。0.5mg/ml MTTを各ウェルに添加して2時間培養し、DMSO(Sigma−Aldrich)を添加した。培養培地での青色染色強度は分光光度計で540および570nmで測定し、生存細胞の比例量(proportional amount)で示した。
9.行動試験(Behavior test)
9.1.ロータロッド試験(Rotarod test)
加速化ロータロッド(UGO Basile Accelerating Rotarod)を使用するロータロッドテストは、マウスを回転ドラム(直径3cm)に置き、各動物がロッド上で均衡を維持することができる持続時間を測定して行った。ロータロッドの速度は15〜16rpmにした。
9.2.ポールテスト(Pole test)
ポールテストはFleming et al(Neuroscience.2006 November 3;142(4):1245〜1253)を参照して行った。スティックを地面に垂直に付着した(直径1cm、高さ35cm)。マウスを床に面するスティック上端に置いて、フロアに到達した時に時間を測定した。時間測定前に二回のtraining trial施行後、3番目trial時の時間を測定した。
統計分析
全ての実験データは、平均±標準偏差(SD)で示した。統計的有意性はStudent’s t−testを使用して評価し、P≦0.05を有意であると見なした。
実施例1:sRAGE分泌UCB−MSCsの特性分析
1−1.donor sRAGE vectorの構築
sRAGE(cat.RD172116100、Biovendor;配列番号6)コーディング配列(GenBank Accession No.NM_001206940.1)を準備し、AAVS1 pZDonorベクター(Sigma Aldrich;図1のA)内に統合させた。前記ベクターの長さは5637bpであり、HA−LおよびHA−Rは相同組換えのために準備された。これらはAAVS1部位と正確に同一な配列であるので、二重鎖切断発生後自然復旧システム(相同組換え)を促進する。Homologous sequence insertは特定遺伝子配列(sRAGEコーディング配列)をknocking inするためにUCB−MSCの染色体に統合できる。Multiple Cloning Sites(MCS)は、sRAGEコーディング配列をAAVS1−pZDonorベクターに挿入するための多様な制限酵素部位を有する。
1−2.sRAGE分泌UCB−MSCsの製作のためのプラスミド準備
sRAGEを分泌するUCB−MSC(sRAGE分泌UCB−MSCs)を製作するためのinsertは、ヒトEF1−alphaプロモーター、sRAGE(配列番号6;sRAGEの分析を容易にするためにFlag標識された形態で使用される)コーディング配列、およびpolyA信号から構成した(図1のBおよび図15a参照)。ヒトEF1−alphaプロモーターとpolyA信号はそれぞれEF1−alpha−AcGFP−C1(Clontech)およびpcDNA3.1ベクター(Invitrogen)から増幅させた。前記insertは、制限酵素(EcoRIおよびNotI)を使用してAAVS1−pZDonorプラスミド内のEcoRIおよびNotI制限部位に挿入した。
図1は、pZDonor−AAVS1 puromycinおよびsRAGEコーディング配列の挿入情報を示す。
1−3.CRISPR/Cas9 RNPを用いたsRAGEコーディング遺伝子のUCB−MSCsの標的遺伝子内導入
AAS1遺伝子を標的とするmRNA CRISPR/Cas9 RNP(ToolGen,Inc;Cas9:Streptococcus pyogenes由来(配列番号4)、およびsgRNAのAAVS1標的部位:5’−gtcaccaatcctgtccctag−3’(配列番号7))をelectroporatorを使用してヒトUCB−MSCs細胞(CEFObio、Seoul、Korea)内に導入した。細胞内に導入されたmRNA CRISPR/Cas9 RNPはCRISPR/Cas9 RNPタンパク質になる。CRISPR/Cas9 RNPによる遺伝子編集技術を図2に模式的に示した。前記sgRNAは、次のヌクレオチド配列を有する:
5’−(標的配列)−(GUUUUAGAGCUA;配列番号1)−(ヌクレオチドリンカー)−(UAGCAAGUUAAAAUAAGGCUAGUCCGUUAUCAACUUGAAAAAGUGGCACCGAGUCGGUGC;配列番号3)−3’
(上記標的配列は配列番号7のAAVS1標的部位配列で“T”を“U”に変換した配列であり、上記ヌクレオチドリンカーはGAAAのヌクレオチド配列を有する)。
ここに、10μlのsRAGE配列(実施例1−2で準備されたベクター形態で使用される)およびトランスフェクション基質(transfect substrates)を使用して次の条件下でNucleofectionを行った;1050 volts、pulse width 30、pulse number 2、NEON Microporator(Thermo Fisher Scientific、Waltham、MA)使用。10細胞を60mm培養皿(BD Biosciences、San Jose、CA)に接種した後、注射前7日間37℃の5%CO培養器で安定化させた。培地は毎日交替した。
前記のように準備されたAAS1遺伝子内にsRAGEコーディング遺伝子が導入されたUCB−MSCsを継代培養して1〜4世代細胞(T1、T2、T3およびT4)を準備した:トランスフェクション後の第1世代(T1)、トランスフェクション後の第2世代(T2)、トランスフェクション後の第3世代(T3)、およびトランスフェクション後の第4世代(T4)。
1−4.sRAGE分泌ヒトUCB−MSCの特性分析
sRAGEタンパク質がsRAGE分泌UCB−MSC外に分泌されるため、sRAGE分泌水準を細胞を培養したconditioned mediumに対してウェスタンブロッティング(参考例7)を行って測定した。前記細胞から分泌されたsRAGEタンパク質はFlag抗体を使用して測定した。
対照群(sRAGEコーディング遺伝子が未導入UCB−MSC)、T1、T2、T3、およびT4に対するウェスタンブロッティング結果およびバンド強度をImage J softwareで定量化した結果を図3に示した。各バンドの強度はControl、T1、T2、T3およびT4でそれぞれ0、30174.41、1061.7、0および0と測定された。T1強度はT2バンド強度より28.4倍さらに高かった。
実施例2.sRAGE分泌UCB−MSCの神経細胞保護効果および運動改善効果
2−1.ロータロッドテスト(Rotarod test)
PDマウスの運動能力の変化を調査するためにロータロッドテストを行った(参考例9.1)。その結果を図4に示した。対照群(正常マウス)、PDマウス(未処理群)、sRAGE処理PDマウス、およびsRAGE分泌UCB−MSC処理PDマウスでの平均維持時間はそれぞれ65.54±10.73、29.30±13.48、47.65±17.68および58.19±18.70秒であった。図4で確認されるように、運動能力はsRAGE分泌UCB−MSCおよびsRAGE処理マウスで顕著に増加し、特にsRAGE分泌UCB−MSCを処理した場合、正常マウスと類似の程度までの運動能力回復を示した。
2−2.ポールテスト(Pole test)
動物行動回復をポールテストで検査して(参考例9.2)、その結果を図5に示した。対照群(正常マウス)、PDマウス(未処理群)、sRAGE処理PDマウス、およびsRAGE分泌UCB−MSC処理PDマウス(各グループ当り10匹)での平均維持時間はそれぞれ5.00±1.20、6.06±1.40、4.52±1.79および3.56±0.44と示された。図5で確認されるように、行動能力回復はsRAGE分泌UCB−MSCおよびsRAGE処理マウスで顕著に増加し、特にこれらグループは対照群より上昇した行動能力を示した。
2−3.マウス脳の組織学的分析
脳の多様な領域での細胞死滅を調査するために、次の3個グループのマウスのSN領域およびCS領域に対してCresyl violet staining(参考例6)を行って得られた染色イメージおよび神経細胞をImage J softwareで計数した結果を図6(SN領域)および図7(CS領域)に示した:対照群(正常マウス)、PDマウス(未処理群)、およびsRAGE分泌UCB−MSC処理PDマウス。
図6(SN領域結果)のAで神経細胞は紫色で染色され、各単一点は単一神経細胞を示す。ドーパミン性ニューロンは大部分SN領域に存在し、対照群の細胞数は453個である反面、PDマウスでは細胞数が127個に減少し、sRAGE分泌UCB−MSC処理PDマウスでは489個に劇的に増加した。このような結果は、sRAGE分泌UCB−MSCがSN領域で顕著な神経細胞保護効果を有するのを示す。
図7(CS領域結果)のAで神経細胞は紫色で染色され、各単一点は単一神経細胞を示す。対照群の細胞数は3949個である反面、PDマウスでは細胞数が3329個に減少し、sRAGE分泌UCB−MSC処理PDマウスでは3822個に劇的に増加した。このような結果はsRAGE分泌UCB−MSCがCS領域で顕著な神経細胞保護効果を有するのを示す。
2−4.PDマウス脳のCSでの小膠細胞活性化試験
AGE形成と小膠細胞(microglial cells)活性化を確認するために次の3個グループのマウス脳のCS(Corpus striatum)領域に免疫組織化学染色を行った(参考例5):対照群(正常マウス)、PDマウス(未処理群)、およびsRAGE分泌UCB−MSC処理PDマウス。前記得られた結果を図8に示した。図8に示されているように、対照群のマウス脳ではAGE(緑色)がほとんど発見されなかったが、PD脳ではAGE信号が主にCS領域(線条体領域)で観察され、Iba1(赤色、活性化された小膠細胞マーカー)もPDマウスの脳で主に観察され、PDマウスの脳は線状体(striatum)の全体領域で対照群マウスの脳より高い信号を示した。このような結果は、PD条件でさらに多くのAGEが形成され多くの小膠細胞が活性化されているのを示すと言える。図8の併合されたイメージは、Iba1がPDマウス脳の線状体(striatum)領域でAGEと共に共局在化するのを示す。
2−5.sRAGEおよびsRAGE分泌UCB−MSCのAGE−アルブミンによる神経細胞死滅に対する保護効果試験
神経細胞死滅に対するsRAGEおよびsRAGE分泌UCB−MSCの保護効果を示すためにMTT分析を行った(参考例8)。CS領域は主に神経細胞から構成されるため海馬の神経細胞(HT22)を次の3個の群に準備して神経細胞保護効果を試験した:対照群(未処理群)、AGE−アルブミン(50nM)処理群(AA)、およびAGE−アルブミン(50nM)+sRAGE(50nM)処理群(AA+sRAGE)。前記得られたMTT分析結果を図9に示した。図9に示されているように、AGE−アルブミンが処理されたHT22細胞(AA)では細胞死滅が誘発され細胞の生存率が顕著に減少した反面、AGE−アルブミンをsRAGEと共に処理した場合(AA+sRAGE)、細胞生存率(100.96%)が対照群(100%)と同等以上であると示された。このような結果は、sRAGEタンパク質がAGE−アルブミンによる損傷から神経細胞を保護するのを示す。
実施例3:神経細胞死滅に対する保護効果の機構確認
3−1.MAPK pathway試験−p38、Erk1/2およびJNKタンパク質がMAPK pathwayで細胞死滅に寄与する主要タンパク質である
PD動物モデルで起こった全般的な機構をタンパク質発現水準の変化によって調査した。PDマウスのCS領域から脳組織を分離しAGE−アルブミン(50nM)(AA)またはAGE−アルブミン(50nM)+sRAGE(50nM)を処理した後、ウェスタンブロッティングでMAPK pathway関与タンパク質発現を試験した(参考例7)。得られた結果を図10に示した。図10に示されているように、JNK、p38、ERK1/2およびこれらのリン酸化形態が検出され、p38、ErkおよびJNKの発現水準で変化を確認した。このような結果は、PDマウスでのこれら三つのタンパク質(p38、ErkおよびJNK)が神経細胞死滅に寄与して神経退行を誘導するのを示す。
3−2.Bax試験
AGE−RAGE依存経路に対するsRAGEの効果を試験するために、ウェスタンブロッティングを行って(参考例7)、その結果を図10に示した。図10に確認されるように、Bax(apoptotic cell marker protein)が観察され、AGE−アルブミンが処理された細胞でBaxの発現が増加した。しかし、sRAGEを共に処理した場合、Baxの発現水準が減少した。
[心血管疾患に対する効果]
実施例4:心臓疾患患者の大食細胞でAGE−アルブミンの合成および分泌
心筋梗塞または下肢虚血モデルの大食細胞でAGE−アルブミンの合成および分泌量を確認するためにELISAを用いてAGE−アルブミンの発現量を測定した。
4−1.細胞培養
in vitro研究のために、不滅化ヒトmacrophage cell(RAW264.7、Sigma−Aldrich)を使用した。大食細胞を10%熱−不活性化されたFBS(fetal bovine serum、Gibco)および20mg/mlのゲンタマイシン(Sigma−Aldrich)が添加された高濃度のグルコースを含有したDMEM(Dulbecco’s modified Eagle’s medium、Gibco)で成長させ、大食細胞を5%CO、37℃に維持させた。その後、大食細胞をhypoxia状態で培養した。
4−2.細胞内と培養培地に分泌されたAGE−アルブミンの発現量測定(ELISA)
既に合成されたアルブミンをアルブミン抗体で除去した後、細胞内と培養培地に分泌されたAGE−アルブミンの発現量をELISAを用いて測定した。具体的には、ヒト大食細胞にhypoxia処理した後、細胞溶解物(0.5μgタンパク質)および培養培地(0.1mgタンパク質)を用いて測定した。AGE−アルブミンの量は、ウサギ抗−AGE抗体(1:1000、Abcam)およびマウス抗−ヒトアルブミン抗体(1:800、Abcam)で測定した。HRP結合された抗−マウス二次抗体(1:1000、Vector Laboratories)を各ウェルに添加した。各ウェルにTMB(3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン)を加えて発色させ、同じ体積の2M HSOで停止させた。その後、ELISAプレートリーダー(VERSA Max、Molecular Devices)を用いて450nmで吸光度を測定した。
実施例5:ヒト大食細胞で心筋梗塞時AGE−アルブミンの合成と分泌増加
心筋梗塞は長期間の酸化的ストレスによって蓄積されると知られている。したがって、本実験ではヒト大食細胞でAGE−アルブミンの合成と分泌が酸化的ストレスによるものか確認するために、ヒト大食細胞に酸化的ストレス誘導物質である0〜1000μMの過酸化水素(H)を処理した後、細胞溶解物を用いて免疫ブロッティング分析を行った。また、ヒト大食細胞に抗酸化剤を処理してAGE−アルブミンの発現量が減少するかをELISA分析を通じて確認した。
結果は図13に示した。
図13に示されているように、前記結果によって、ヒト大食細胞でAGE−アルブミンの合成と分泌が増加されるのを確認することができた。
実施例6:ラットの心筋梗塞または下肢虚血モデルでAGE−アルブミンの分布および発現位置
6−1.動物モデル
重量が250〜300gの白ネズミ(Sprague Dawley)を準備してKetamine(50mg/kg)、xylazine(4mg/kg)を混合して麻酔した。実験動物の気管に16gaugeのcatheterを挿入して人工呼吸器と連結し、平らな板に横たえてテープで腕と脚と尾を固定した後に胸骨の左側で1〜1.5cm程度皮膚を縦に切開し大胸筋(pectoralis major muscle)と小胸筋の間を広げて五番目肋骨間空間を確認し、注意して肋間筋を横に1cm程度切開した。五番目、六番目肋骨の間にretractorを入れて上下に広げた後、通常白ネズミで胸腺(thymus)が心臓上部を覆って視野を遮るのでangle hookなどを用いて頭側に胸腺を引いた。左心臓動脈(left coronary artery)の形態を観察してどの範囲の血管枝を縛るか決定した後に肺動脈円錐(pulmonary conus)と左心耳(left atrial appendage)の尖った部分が交差する線の2〜3mmの下に位置するLAD(Left Anterior Descending artery)を6−0 silkで縛った。広げられた五番目、六番目肋骨を再び集め、切開した肋間筋をMAXON 4−0 filamentで縛った後、胸腔に残っている空気を23 Gauge needle注射器で抜いて肺が完全に広がるようにした。皮膚をMAXON 4−0 filamentを用いて縫合し、気管挿管したチューブを取り出して咽頭についている粘液を除去した。手術後に鎮痛剤((Buprenorphine 0.025mg/kg)を12時間ごとに皮膚注射した。
6−2.免疫組織化学検査(immunohistochemistry、IHC)
正常(normal)または心筋梗塞(Acute Myocardial Infarction;AMI)ラットの心臓組織で免疫組織化学を行った[S.M.Ahn et al.、PLoS ONE 3、e2829(2008)]。正常または心筋梗塞ラットの心臓組織を0.1M中性リン酸塩緩衝溶液内4%パラホルムアルデヒドで固定させ、30%スクロース溶液で一晩冷凍保管した後、低温維持装置(cryostat、Leica CM 1900)で10μm切片を準備した。パラフィン包埋組織を10μm厚さの切片に切断し、キシレンで脱パラフィンさせた後、一連の等級エタノールで再水和した。正常ヤギ血清(10%)を使用して非特異的タンパク質結合を遮断した。組織切片を下記抗体のうちの一つと共に4℃で一晩培養した:ウサギ抗−AGE抗体(Abcam)、マウス抗−ヒトアルブミン抗体(1:200、R&D System)、ヤギ抗−Iba1抗体(1:500、Abcam)。前記培養された組織切片をPBSで3回洗浄し、Alexa flour 633 anti−mouse IgG(1:500、Invitrogen)、Alexa flour 488 anti−rabbit IgG(1:500、Invitrogen)、またはAlexa flour 555 anti−goat IgG(1:500、Invitrogen)と共に室温で1時間培養した。二次抗体をPBSで3回洗浄した後、カバースリップをVectashield mounting medium(Vector Laboratories)を使用してガラススライドの上に設置し、レーザー共焦点蛍光顕微鏡(LSM−710、Carl Zeiss)で観察した。
結果は図12に示した。
図12に示されているように、心筋梗塞前または後のラットの心臓細胞でアルブミン(緑色)とAGE(赤色)が同じ位置で染色されるのを確認した。また、心筋梗塞ラットの血液単核細胞でアルブミンとAGEが広く分布されており、AGE−アルブミンの発現量が正常ラットより増加することを観察した。
実施例7:心筋梗塞モデルでの水溶性RAGE(sRAGE)のAGE−アルブミン合成抑制効果(in vivo)
心筋梗塞細胞モデルでRAGEの増加とsRAGEによるRAGE減少効果を確認するために、RAGE(赤色)およびDAPI(青色)染色して、これらの分布および発現位置をレーザー共焦点蛍光顕微鏡で観察した。
結果は図14に示した。
図14に示されているように、心筋梗塞モデルでsRAGEタンパク質を投与する前または後の細胞でRAGEが増加または減少するのを示した。また、これはMAPK信号伝達系のpSAPK/JNKおよびpp38の影響が最も大きいと確認された。
実施例8:心筋細胞でAGE−アルブミンによる細胞死誘導
ストレスによって活性化されたMAPK(Mitogen−Activated Protein Kinase)が神経細胞死を誘導すると報告されている。したがって、本実験では一次ヒト神経細胞でAGE−アルブミンが直接的に細胞死を誘導するかを確認するために、下記のような実験を行った。
8.1.ヒト心筋細胞培養
心筋細胞を5%FBS、5%HS(horse serum)、20μg/mlのゲンタマイシンおよび2.5μg/mlのアムホテリシンBが添加されたDMEM(培養培地)に懸濁させ、10cm培養皿に1×10cells/ml(10ml)でプレートした後、5%CO/95%大気下の培養器で37℃に維持した。in vitro培養2〜3週後、AGE−アルブミンで処理した後にアポトーシス−関連特性のために使用した。
8.2.細胞生存率(MTT assay)測定
ヒト心筋細胞を96−ウェル培養プレートにウェル当り2×10細胞で接種した。80%融合(confluence)に到達した後、一次ヒト神経細胞を様々な濃度(0、0.01、0.1、1、10、20μg/ml)のAGE−アルブミンまたは様々な濃度(0、0.5、1、5、10mg/ml)のアルブミンで処理した。処理24時間後、細胞をPBSで洗浄した後、細胞生存率をMTT[3−(4,5−dimethylthiazol−2−yl)−2,5−diphenyl tetrazolium bromide]assayを用いて測定した。各ウェルの吸光度は96−ウェルプレートリーダー(VERSA Max、Molecular Devices)を用いて540nmで測定した。
結果は図14に示した。
図14に示されているように、ヒト心筋細胞にAGE−アルブミンを処理した場合、AGE−アルブミンの濃度が増加するほど細胞生存率が減少して細胞死が誘導されるのを確認した。反面、一次ヒト心臓細胞にアルブミンを処理した場合、アルブミンの濃度に関係なく細胞生存率がほとんど変化がなくて細胞死が誘導されないのを確認した。
また、心臓細胞死に対する水溶性sRAGEの保護効果を確認するために、ヒト心筋細胞にsRAGE単独、AGE−アルブミン単独、またはsRAGE/AGE−アルブミンを共に処理した後に測定した。
結果は図14に示した。
図14に示されているように、ヒト心筋細胞にsRAGEとAGE−アルブミンを同時に処理した場合、細胞生存率が増加して細胞死が減少されるのを確認した。したがって、sRAGEが心筋細胞死に対して保護効果を有するということが分かる。
実施例9:人に適用可能な成長因子分泌幹細胞製作技術確立
CRISPR/Cas9 RNPを用いたsRAGE分泌細胞製作技術確立
−sRAGE分泌細胞製作
まず、pZDonor vector(Sigma Aldrich)にsRAGEの遺伝子(GenBank Accession No.NM_001206940.1)が挿入されたsRAGE遺伝子を含むpZDonorベクターを製作した(図15a参照)。また、AAVS1を標的にするCRISPR/Cas9 RNP((株)ToolGen)を準備した(Cas9:Streptococcus pyogenes由来のCas9タンパク質;AAVS1を標的とするsgRNAのターゲッティング配列:gucaccaauccugucccuag;全体配列は先に記載された一般式3参照)。
前記準備されたAAVS1を標的にするCRISPR/Cas9 RNPを含むベクターとsRAGEの遺伝子を含むpZDonorベクターを人の臍帯間葉系幹細胞(メディポスト)に共にtransfectionした。
CRISPR/Cas9 RNPは細胞ゲノム遺伝子中でAAVS siteを切断することによって所望の遺伝子(即ち、sRAGE遺伝子)を前記切断部位の間に挿入するようになり、これによってsRAGEを分泌する細胞が作られるようになる。前記製作された細胞のsRAGE分泌有無をウェスタンブロッティング、ELISA、および蛍光免疫染色(Flag)で試験し、その結果をそれぞれ図5bおよび図5cに示した。
また、前記準備されたCRISPR/Cas9 RNPの遺伝子編集(Indel:挿入および/または欠失)効率をJurkat細胞で試験してその結果を図6に示した(none:何もなくtransfection進行;sgRNA#1:1番配列targetするガイドRNAのみ入れて進行;sgRNA#2:2番配列targetするガイドRNAのみ入れて進行;Sp.cas9 only:cas9タンパク質のみ入れて進行;aRGEN1:1番targetするgRNAとcas9タンパク質を入れて進行;aRGEN2:2番targetするgRNAとcas9タンパク質を入れて進行;dRGEN1:1番targetするgRNAとcas9をコードするプラスミドを使用して進行;dRGEN2:2番配列をtargetするgRNAとcas9をコードするプラスミドを使用して進行)
前記図15および16に示された結果は下記の方法で得た:
幹細胞および特定物質分泌細胞の標準化分析
−RT−PCR分析
Trizol溶液を用いてRNAを抽出した後、olig−dT primerと逆転写酵素を用いてcDNAを合成した。cDNA合成は42℃で1時間行い、95℃で10分間反応して酵素活性を停止させた。確認しようとする遺伝子のprimerを製作した後、PCRを行った(プライマー:Fwd:5’−cggaactctgccctctaacg−3’;Rev:5’−tgaggaagagttcttgcagct−3’)。
−Western blot
分離されたタンパク質溶液のタンパク質濃度をBCA法で確認した後、一定量のタンパク質溶液を10%SDS−PAGE gelを用いて電気泳動した後、PVDF membraneでtransferした。1次抗体(Sigma Aldrich)と共に4℃で12時間反応させ、反応が終わると1次抗体を洗浄した後、HRPが結合された2次抗体(vector laboratories)と常温で1時間反応させた。反応が終わるとECL(Amersham)でタンパク質発現有無を分析した。
−免疫細胞化学−蛍光染色
固定された細胞を4℃で12時間1次抗体と反応させた後に洗浄し常温で1時間fluorescein−conjugated goat anti−rabbit IgGと反応させた。このように染色された細胞はglass slideの上に置いた後、Zeiss confocal microscopeで観察した。
製作されたヒト臍帯由来成長因子分泌幹細胞の特性分析
−製作された血管成長因子分泌機能性幹細胞を培養した後、幹細胞特性分析法で増殖能と細胞標識マーカー(免疫表現型)および多分化能力、そして移動能および分泌能などに対する検証を経た後、所定の基準によって優れた高効能sRAGE分泌幹細胞を選定した。前記選定されたsRAGE分泌幹細胞をsRAGE−UC−MSCと称した。
実施例10:心筋梗塞モデル心筋細胞死に対するsRAGE−UC−MSCの保護効果:
in vivo実験
心筋梗塞モデルで心筋細胞死に対するsRAGEの保護効果を確認するために、ラットの心筋梗塞モデルを製作し組織に前記実施例6で選定されたsRAGE−UC−MSCを注入した後(注入量:10ul*3回 総30ul、30ul内の総細胞数は1×10個である)、心筋細胞の数をクレシルバイオレット(Cresyl violet)で染色した後に顕微鏡で観察した。
結果は図17に示した。
図17に示されているように、ラットの心臓組織にsRAGE−UC−MSCを処理した場合、心筋梗塞領域が小さくなり線維化範囲が減った。
実施例11:下肢虚血モデル筋肉細胞死に対するsRAGE−UC−MSCの保護効果
in vivo実験:動物モデル製作(Rat lower limb ischemia model)
動物は、male Balb/c−nuマウスを使用した。動物モデル製作時、全ての環境は清潔で滅菌された場所で施行し、NO:O=1:1(v:v)、フォラン痲酔剤吸入によって麻酔させて行った。
麻酔後、約2cmほど皮膚を切開後、3−0 surgical silkで正確な部位に結紮(iliac arteriesあるいはsuperficial femoral arteriesとinguinal ligamentで5〜6mm下)した後、Skin clipを用いて皮膚を閉じた。
下肢虚血モデルで下肢筋肉細胞死に対するsRAGEの保護効果を確認するために、ラットの下肢虚血モデルを製作し、組織にsRAGE(タンパク質)を注入した後(注入量:0.8ugのsRAGE タンパク質が含まれている総8ul注入)、筋肉細胞をRAGE、TUNELおよびa−actininで染色した後に共焦点顕微鏡で観察した。
結果は図18aおよび18bに示した。図8a(A、C:in vitro;B、D:in vivo)および18bで、AAはAge−アルブミン投与群、IRは虚血−再灌流(Ischemia reperfusion)モデル群、sRAGEはsRAGE(タンパク質)投与群をそれぞれ意味する。
図18aおよび18bに示されているように、マウスの下肢組織にsRAGE−UC−MSCを処理した場合、RAGEとTUNELの発現が減った。また、これはpp38が関与するのを確認した。
実施例12.sRAGE−iPSCの製造および特性試験
sRAGEを分泌するiPSCを生成するために、pZDonorベクター(Sigma−Aldrich)にヒトEF1−αプロモーター、sRAGEコーディング配列、およびpoly A tailをクローニング方法で挿入して製作したsRAGEドナーベクター(図1のAおよび19a参照)およびCRISPR/CAS9 RNPシステムを使用してiPSCのトランスフェクション(Transfection)を行った。ガイドRNAは19番染色体でAAVS1と知られたsafe harbor siteを標的にするように設計した(Cas9:Streptococcus pyogenes由来(配列番号4)、sgRNAの標的部位:gtcaccaatcctgtccctag(配列番号7))。トランスフェクションは4D nucleofector system((Lonza)を使用して行った。トランスフェクション条件はウェブサイト上のLonzaプロトコル(cell type ‘hES/H9’)に提供されている条件に従った。P3 primary cell 4D nucleofector X kit L(Lonza、V4XP−3024)を使用してelectroporationを行った。2×10^5個のヒトiPSC(Korean National Stem Cell Bank)をcas9タンパク質15ug、gRNA20ugおよびsRAGEドナーベクター1ugでトランスフェクションさせて、sRAGEを分泌するiPSCを製造した。
トランスフェクション3日後に、トランスフェクションしたiPSCからゲノムDNAを分離して、iPSCのゲノムDNAでsRAGEのKI(knock−in)有無を決定した。PCRプライマ−はAAVS1 Fwd(iPSC自体配列)およびPuro rev(挿入配列)(AAVS1 FWD primer:CGG AAC TCT GCC CTC TAA CG;Puro Rev primer:TGA GGA AGA GTT CTT GCA GCT)で準備した。
PCRは56℃および30cycles条件で行い、電気泳動後、UV光下でバンドを観察した。前記得られた結果を図19bに示した。図9bはsRAGEの遺伝子が成功的にAAVS1サイトに統合されたのを示す。
sRAGEの発現および分泌水準を免疫ブロッティングおよびELISAで確認した。
まず、免疫ブロッティングは次のように行った:全体細胞溶解物をRIPA(radio immunoprecipitation assay)lysis buffer(ATTA、WSE7420)およびprotease inhibitor cocktail(ATTA、WSE7420)で準備した後、超音波処理した。前記準備された細胞溶解物を4℃で20分間17,000xgで遠心分離し、上澄液を収集した。10%ポリアクリルアミドゲル上で同量(30μg)のタンパク質を分離し200mAで2時間ニトロセルロースメンブレン(Millipore)に移した。5%non−fatskim milkを使用して室温で1時間非特異的抗体結合を遮断した。前記準備されたメンブレンを1次タンパク質特異的抗体(Sigma、F−7425)およびb−アクチン(Abcam、ab8227)と共に4℃で一晩インキュベーティングし、2次抗体と共に室温で1時間インキュベーティングした。数回洗浄後、enhanced chemiluminescence(ECL)を使用してタンパク質を検出した。
ELISAは次のように行った:human sRAGE(soluble receptor advanced glycation end products)ELISA kit(Aviscera Bioscience、SK00112−02)を使用して全体分泌された溶解性RAGEを定量した。ヒトsRAGE抗体が予めコーティングされており、稀釈緩衝液100μlが含まれている96−ウェルマイクロプレートに試料と標準溶液100μl(serial dilutionの逆順に)を添加した。その後、プレートを密封剤(seal)で覆って室温でマイクロプレートシェーカー上で2時間インキュベーティングした。インキュベーション後、溶液を全て吸引し洗浄液で4回洗浄した。working solutionに希釈された検出抗体100μlを各ウェルに添加した後、プレートを密封剤で覆って室温でマイクロプレートシェーカー上で2時間インキュベーティングした後、吸引および洗浄工程を繰り返して行った。HRP(Horse Radish Peroxidase)−接合された2次抗体100μlを各ウェルに添加し、光が遮断された室温条件でマイクロプレートシェーカー上で1時間インキュベーティングした後、吸引および洗浄工程を繰り返して行った。最後に、基質溶液100μlを各ウェルに添加し5〜8分間反応させた後、停止溶液100μlを加えて反応を終了させた。450nmに設定されたマイクロプレート判読機を使用して光学密度を測定した。
前記免疫ブロッティング(western blot)およびELISAを行って得られた結果を図19cに示した。図19cのウェスタンブロット結果から確認できるように、pzDonorベクターがトランスフェクションされたsRAGE−iPSCでFlagの発現が観察された。図19cの培地で全体sRAGEの分泌水準を示すELISA結果で示されているように、sRAGE−iPSCの培養培地で15.6ng/mlのsRAGEが検出され、これは、mock−iPSCの培地で0.8ng/mlのsRAGEが検出されたのと比較して、顕著に高い水準である。
実施例13.心筋梗塞(MYOCARDIAL INFARCTION;MI)モデリングおよびsRAGE−iPSC移植
体重290〜330g(8〜9週齢)のSprague−Dawley雄ラットに対してMIおよび再灌流過程を行って心筋梗塞を誘導した。簡単に説明すれば、ラットに挿管(intubated)およびvolume−cycled small−animal ventilatorを使用して換気(ventilated)を行った。手術の間に5% isofluraneで麻酔を維持させた。left anterior descending coronary artery(LAD)を確認した後、40分間6〜0ポリプロピレンで血管を連結させた。再灌流後、ハミルトン注射器を使用してPBS10ul(microliter)をGFP−iPSCまたはsRAGE−iPSC細胞(1×10)と共にまたは単独で梗塞周囲および梗塞領域に注入した。筋肉層と皮膚を縫合した後、回復するように置いた。虚偽手術群(sham−operated group)は前記と同一な実験手順を経たが、ligationおよび細胞移植は行わなかった。移植拒否反応を予防するために、細胞移植を受けたラットにcyclosporine A(10mg/kg/day)を投与した。全ての動物実験はGachon UniversityのLee Gil Ya Cancer and Diabetes InstituteのInstitute Animal Care and Use Committeeから承認を受けて行った(#LCDI−2014−0020)。
細胞移植4週後に動物を犠牲にした。心臓を切除し、PBSと氷−冷却された4%パラホルムアルデヒドで右側頸動脈を通じて灌流させた。組織を4%パラホルムアルデヒド(PFA、Sigma−Aldrich、158127)に4℃で一晩固定した後、脱水過程に移した。脱水後、組織をxyleneで2回それぞれ1.5時間クリアし、60℃でパラフィンに含浸させた。パラフィン含浸された(Paraffin−embedded)心臓組織を7μm厚さに切断した。
H&EとMasson trichrome染色を施行して梗塞大きさ、前壁(anterior wall)厚さおよび線維化の比率を測定した。H&EおよびMasson’ trichrome−stained切片を光学顕微鏡で観察し、collagen−delegated梗塞比率をblinded investigatorによって計算および分析した。梗塞部位の大きさと他の媒介変数はligation地点と心臓の頂点の間の中間水平断面で測定した。梗塞大きさは次の式で計算した:
% infarct size=(infarct areas/total left ventricle(LV area))X100
% infarct thickness=(anterior wall(infarct wall thickness)/septal wall thickness)X100
Viable LV area=total LV myocardial area−infarct myocardial area
前記得られた結果を図20a〜20cに示し、これら結果はsRAGE分泌iPSC処理によってラットの虚血性再灌流損傷された心臓(ischemic reperfusion injured heart)の心筋細胞(cardiomyocyte)死滅が抑制されるのを確認することができる。より具体的に、図20aは心筋梗塞部位の大きさを評価するために、手術およびGFP−iPSCまたはsRAGE−iPSC移植後28日目にMasson’ trichrome染色した結果を示す。図20aで青色はinfarction damageによる線維化部位を示し、赤色は心筋細胞を示す。前記図20aの結果をImage J softwareを使用して定量してLV断面積での線維化領域およびinfarcted壁厚さの百分率を計算して、図20bに示した。iPSC、VEGF−iPSCまたはANG1−iPSC投与群と比較して、sRAGE−iPSC投与群で線維化部位が有意に減少した。また、図20cに示されているように、組織RAGEはまたVEGFまたはANG1処理群と比較してsRAGE−iPSC処理群で有意に減少した。
実施例14.sRAGE分泌iPSCの幹細胞保護効果
免疫組織化学試験によってAGE−albumin(AA)処理iPSCでTUNELが増加するが、sRAGE分泌iPSC(sRAGE−iPSC)と共に培養した後には強度が減少するのを確認した(図21a参照)。また、PBS、AAまたはsRAGE−iPSCでRAGEのウェスタンブロッティング結果を図21bに示し、AA処理後のsRAGE−iPSC同時培養がiPSCsでのRAGE発現を減少させる結果を確認することができる。このような結果はsRAGE分泌iPSCが他のiPSCを含む幹細胞を保護する効果を有し(特に、AGE−albuminが蓄積される心筋梗塞のような環境で幹細胞保護効果を有する)、これを通じて幹細胞治療剤と共に併用されることによって前記幹細胞治療剤の効果を増進させることができるのとsRAGE分泌iPSCの他の幹細胞治療剤との併用用途を提案する。

Claims (9)

  1. 可溶性(soluble)の最終糖化産物受容体(Receptor for Advanced Glycation End products;RAGE)(sRAGE)を分泌する幹細胞を含むAGE(advanced glycation end−product;最終糖化産物)−アルブミンの分泌抑制またはAGE−アルブミンによる細胞死(アポトーシス)抑制用薬学組成物。
  2. 可溶性(soluble)の最終糖化産物受容体(Receptor for Advanced Glycation End products;RAGE)(sRAGE)を分泌する幹細胞を含む神経疾患の予防または治療用薬学組成物。
  3. 可溶性(soluble)の最終糖化産物受容体(Receptor for Advanced Glycation End products;RAGE)(sRAGE)を分泌する幹細胞を含む心血管疾患の予防または治療用薬学組成物。
  4. 前記幹細胞は、胚性幹細胞(embryonic stem cells)、成体幹細胞(adult stem cells)、人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cells;iPS cells)、および前駆細胞(progenitor cells)からなる群より選択された1種以上である、請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の薬学組成物。
  5. 前記幹細胞は、人工多能性幹細胞または間葉系幹細胞である、請求項4に記載の薬学組成物。
  6. 前記神経疾患は、パーキンソン病(Parkinson’s disease;PD)、筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis;ALS、ルーゲーリック病)、前頭側頭型認知症(frontotemporal dementia;FTD)、レビー小体認知症(dementia with Lewy bodies;DLB)、皮質基底核変性症(corticobasal degeneration)、多系統萎縮症(multiple system atrophy;MSA)、進行性核上性麻痺(progressive supranuclear palsy;PSP)、ハンチントン病(Huntington’s disease;HD)、または脊髄損傷(spinal cord injury)である、請求項2に記載の薬学組成物。
  7. 前記心血管疾患は、脳卒中、心筋梗塞、狭心症、下肢虚血、高血圧、または不整脈である、請求項3に記載の薬学組成物。
  8. 可溶性(soluble)の最終糖化産物受容体(Receptor for Advanced Glycation End products;RAGE)(sRAGE)を分泌する幹細胞を含む、幹細胞保護用組成物。
  9. 分離された可溶性(soluble)の最終糖化産物受容体(Receptor for Advanced Glycation End products;RAGE)(sRAGE)を分泌する幹細胞と分離された幹細胞を共培養する工程を含む、幹細胞保護方法。
JP2019560229A 2017-05-02 2018-05-02 sRAGEを分泌する幹細胞を含む神経疾患または心血管疾患の予防または治療用薬学組成物 Active JP7084418B2 (ja)

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
KR10-2017-0056433 2017-05-02
KR20170056433 2017-05-02
KR10-2017-0078196 2017-06-20
KR20170078196 2017-06-20
PCT/KR2018/005100 WO2018203664A2 (ko) 2017-05-02 2018-05-02 sRAGE를 분비하는 줄기세포를 포함하는 신경질환 또는 심혈관 질환의 예방 또는 치료용 약학 조성물

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020518618A true JP2020518618A (ja) 2020-06-25
JP7084418B2 JP7084418B2 (ja) 2022-06-14

Family

ID=64016151

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019560229A Active JP7084418B2 (ja) 2017-05-02 2018-05-02 sRAGEを分泌する幹細胞を含む神経疾患または心血管疾患の予防または治療用薬学組成物

Country Status (4)

Country Link
US (1) US20200289575A1 (ja)
JP (1) JP7084418B2 (ja)
KR (1) KR20200021449A (ja)
WO (1) WO2018203664A2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN118006559A (zh) * 2024-04-08 2024-05-10 首都医科大学宣武医院 一种受调控的多巴胺能神经细胞及其制备方法与应用

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
ZA200804718B (en) * 2005-12-29 2010-04-28 Anthrogenesis Corp Co-culture of placental stem cells and stem cells from a second source
WO2013103688A1 (en) * 2012-01-03 2013-07-11 The United States Of America, As Represented By The Secretary, Department Of Health And Human Services Human soluble receptors for advanced glycation end products (srage), methods of preparing human srage, and treatment methods using srage
KR101636139B1 (ko) * 2013-08-28 2016-07-06 가톨릭대학교 산학협력단 면역조절능이 우수한 sRAGE 과발현 간엽줄기세포 및 이를 포함하는 면역질환의 예방 또는 치료용 세포치료제 조성물

Non-Patent Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
BAYARSAIKHAN, E. ET AL.: "Microglial AGE-albumin is critical for neuronal death in Parkinson's disease: a possible implication", INTERNATIONAL JOURNAL OF NANOMEDICINE, vol. 10, JPN6021002296, 2016, pages 281 - 292, ISSN: 0004679897 *
BYUN, K. ET AL.: "Induction of neuronal death by microglial AGE-albumin: implications for Alzheimer's disease", PLOS ONE, vol. 7, no. 5, JPN6021002299, 2012, pages 37917, XP055570014, ISSN: 0004679898, DOI: 10.1371/journal.pone.0037917 *
GUO, CX. ET AL.: "Soluble receptor for advanced glycation end-products protects against ischemia/reperfusion-induced m", FREE RADICAL BIOLOGY & MEDICINE, vol. 94, JPN6021002306, 2016, pages 17 - 26, XP029518347, ISSN: 0004679902, DOI: 10.1016/j.freeradbiomed.2016.02.011 *
JIANG, X. ET AL.: "A soluble receptor for advanced glycation end-products inhibits myocardial apoptosis induced by isch", APOPTOSIS, vol. 20, no. 8, JPN6021002308, 2015, pages 1033 - 1047, ISSN: 0004679903 *
JURANEK, J.K. ET AL.: "Soluble RAGE Treatment Delays Progression of Amyotrophic Lateral Sclerosis in SOD1 Mice", FRONTIERS IN CELLULAR NEUROSCIENCE, vol. 10, JPN6021002301, 2016, pages 117, ISSN: 0004679899 *
TANG, S.C. ET AL.: "Functional role of soluble receptor for advanced glycation end products in stroke", ARTERIOSCLEROSIS, THROMBOSIS, AND VASCULAR BIOLOGY, vol. 33, no. 3, JPN6021002304, 2013, pages 585 - 594, ISSN: 0004679901 *
WANG, J. ET AL.: "Effects of bone marrow MSCs transfected with sRAGE on the intervention of HMGB1 induced immuno-infla", INTERNATIONAL JOURNAL OF CLINICAL AND EXPERIMENTAL PATHOLOGY, vol. 8, no. 10, JPN6021002302, 2015, pages 12028 - 12040, ISSN: 0004679900 *
千葉 朋希, 浅原 弘嗣: "CRISPR/Cas9によるゲノム編集", 実験医学, vol. 第33巻, 第20号, JPN6022000291, 2015, pages 3396 - 3401, ISSN: 0004679904 *
宇野 愛海: "用語解説 CRISPR-Cas9", 再生医療, vol. 第15巻, 第3号, JPN6022000292, 2016, pages 292 - 295, ISSN: 0004679905 *

Also Published As

Publication number Publication date
JP7084418B2 (ja) 2022-06-14
WO2018203664A2 (ko) 2018-11-08
WO2018203664A9 (ko) 2019-03-21
WO2018203664A8 (ko) 2019-11-28
KR20200021449A (ko) 2020-02-28
US20200289575A1 (en) 2020-09-17
WO2018203664A3 (ko) 2019-01-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6954890B2 (ja) ヌクレアーゼ媒介ゲノム遺伝子操作のための送達方法及び組成物
JP7085716B2 (ja) Rnaガイド遺伝子編集及び遺伝子調節
JP7012650B2 (ja) Dna結合ドメインと切断ドメインとを連結するための組成物
US20170088819A1 (en) Genetic correction of myotonic dystrophy type 1
US20140140969A1 (en) Methods and compositions for muscular dystrophies
Duarte et al. Genome editing for CNS disorders
JP6959369B2 (ja) アンジオポエチン−1またはvegfを分泌する幹細胞およびこれを含む心血管疾患の予防または治療用薬学組成物
JP2022078162A (ja) sRAGEを分泌する幹細胞を含むアルツハイマー病の予防または治療用薬学組成物
KR20210116531A (ko) 영양 장애형 표피 수포증 치료약
JP7084418B2 (ja) sRAGEを分泌する幹細胞を含む神経疾患または心血管疾患の予防または治療用薬学組成物
US20230381225A1 (en) Methods for the treatment of beta-thalassemia
US20200101173A1 (en) Genome Editing System For Repeat Expansion Mutation
WO2022018884A1 (ja) 栄養障害型表皮水疱症の治療薬
US20230212613A1 (en) Methods for targeted insertion of exogenous sequences in cellular genomes
KR20210030902A (ko) 영양요구 조절가능 세포를 사용한 유전자 요법 방법 및 조성물
JP2024510800A (ja) 高コレステロール血症を治療するための組成物及び方法
Gilmore Advancing Tools for Treating Usher Syndrome 1B and Elucidating the Role of Myosin VIIa in the Retinal Pigment Epithelium
Giacalone Treating retinal disease
KR20230131816A (ko) 저면역원성 줄기세포, 줄기세포로부터 분화되거나 유래된 저면역원성 세포및 이의 제조방법
KR20220017927A (ko) 영양요구 조절가능 세포를 사용한 방법 및 조성물
JP2024516161A (ja) 新規なomni-117、140、150~158、160~165、167~177、180~188、191~198、200、201、203、205~209、211~217、219、220、222、223、226、227、229、231~236、238~245、247、250、254、256、257、260及び262 crisprヌクレアーゼ
Poppe Gene targeting in human pluripotent cell-derived neural stem cells for the study and treatment of neurological disorders

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20191227

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20200312

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20200312

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210126

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20210422

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210721

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20210721

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220111

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220408

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220510

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220602

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7084418

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150