JP2020515632A - 免疫原性ペプチド組成物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、主要組織適合性複合体クラスI分子と結合して、対象において抗がん免疫応答を誘導することが可能なペプチド組成物に関する。特に、上記ペプチド組成物は、Four−jointed Box 1ペプチド及びメラノーマ抗原ファミリーD4bペプチドを少なくとも含む。本発明はさらに、対象において上記抗がん免疫応答を誘導するためのペプチド組成物及びペプチドワクチンの使用に関する。【選択図】なし

Description

本発明は、必要とする患者において抗腫瘍応答を増強するためのペプチド組成物に関する。
頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)は、肺がん、乳がん、胃がん、結腸直腸がん及び肝臓がんに続いて6番目に多いがんである(Ferlay et al.,2015)。扁平上皮細胞は皮膚の外層及び粘膜に見られるため、HNSCCは口、鼻及び喉の粘膜に発生する。
現在、治療法の選択肢は、手術、放射線療法、及び化学療法に限定されている。比較的新しいタイプのがん治療オプションである標的療法には、がん細胞を標的とする薬物の使用が含まれる。現在、アメリカ食品医薬品局(FDA)により唯一の承認されたHNSCCの標的療法は、上皮成長因子受容体(EGFR)の阻害剤として作用することによりがん細胞を標的とするセツキシマブ(cetuximab)である。患者が化学療法とセツキシマブの併用治療を受けた場合、化学療法のみを受けた患者と比較して、全生存期間の中央値は2.6ヶ月改善した(Vermorken et al.,2008)。
これらの患者の生存期間がわずかしか改善されていないことを考慮すると、代替のがん治療が支持されてきた。免疫療法は、患者の免疫系に依存して免疫応答を刺激することでがんと闘う治療法であり、様々な様式で機能する種々の治療法が含まれる。一部の免疫療法による治療は、身体の免疫系の阻害を排除するために使用されるが、他の免疫療法による治療は、がん細胞を特異的に検出し攻撃するように免疫系を訓練するように働く。
HNSCC患者における高い突然変異負荷と高レベルの腫瘍浸潤リンパ球の存在を示す新たな研究により、免疫療法は、HNSCCを治療するための妥当なアプローチであることが示されている。Nasman et al.2012ではさらに、浸潤性CD8T細胞の高密度とヒトパピローマウイルス感染陽性(HPV)及び陰性(HPV)両方の扁桃扁平上皮がん患者の臨床転帰との正の相関は、HNSCCの免疫原性を強調するものであると報告されている。
FDA承認の免疫療法による治療の2つの例としては、ニボルマブ(nivolumab)とペンブロリズマブ(pembrolizumab)があり、どちらも進行メラノーマ、非小細胞肺がん、及び腎細胞がんの治療に使用される抗プログラム細胞死タンパク質1(PD−1)モノクローナル抗体である。これらの免疫チェックポイント阻害剤は、頭頸部がん患者の治療において有望な結果を示しており、HNSCC患者群がニボルマブを投与された場合のHNSCC患者の全生存率は36%であり、これに対して標準治療群の生存率は16%であった。さらに、前者の群におけるこれらの患者は、後者の群の患者と比較して2.4ヶ月長く生存し、グレード3又はグレード4のイベントの報告はより少なかった(Ferris et al.,2016)。
再発又は転移性HNSCCの治療としてペンブロリズマブを投与された患者における客観的奏効率、つまり腫瘍サイズ縮小の完全奏効又は部分奏効は16%であった。
これらの結果は朗報であるが、利用可能なチェックポイント阻害剤免疫療法の有望な有効性にもかかわらず、治療患者の大部分は治療にまだ応答していない。完全に理解されてはいないが、抗腫瘍免疫は腫瘍ステージに対する影響及び転移制御の点で重要であるため、対象における強力な既存の抗腫瘍免疫応答が存在しないと、薬物の効率を妨げる可能性があると考えられる。
したがって、対象における抗腫瘍免疫応答を増強可能であり、その結果、現在の免疫療法の有効性を高める代替免疫療法アプローチが必要である。
したがって、本発明の目的は、患者における抗がん応答を誘発可能なペプチド組成物を提供することである。
本発明の別の目的は、患者における腫瘍の増殖を遅らせることが可能なペプチド組成物を提供することである。
本発明のさらなる目的は、患者における抗がん免疫応答を誘導するためのペプチドワクチンを提供することである。
本発明のこれら及び他の目的は、Four−jointed Box 1(FJX1)ペプチドと、メラノーマ抗原ファミリーD4b(MAGED4b)ペプチドと、を少なくとも含むことを特徴とするペプチド組成物の使用により達成される。
より具体的には、本発明によれば、ペプチド組成物(PV1)は、FJX1ペプチド(F1)とMAGED4bペプチド(M6)とを含み、対象における抗がん免疫応答を誘導するための主要組織適合性複合体(MHC)クラスI分子と結合する。
本発明の第2の態様は、PV1に係るペプチドワクチンに関し、ここで、上記ペプチドワクチンは、MHCクラスI分子と結合することにより対象において抗がん免疫応答を誘導するためのM6ペプチド及びF1ペプチドを少なくとも含む。
本発明はさらに、治療を必要とする対象において、頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)、乳がん、大腸がん、直腸がん、肺がん、前立腺がん、並びに、FJX1及び/又はMAGED4Bを発現している任意の他のがん種のうちいずれか1つであるか、又はその2つ以上の組み合わせを治療するための薬剤の製造における有効量のF1ペプチド及びM6ペプチドの使用であって、上記薬剤はMHCクラスI分子と結合して、上記対象において抗がん免疫応答を誘導することが可能である、上記使用に関する。
F1ペプチド及びM6ペプチドはMHCクラスI特異的であるため、上記ペプチド組成物は、一致するHLAサブタイプを有する対象のみに提供されることが好ましい。
図1は、HNSCC試料におけるMAGED4b及びFJX1の発現に関する図である。図1(a)に、IHC染色の強度スコアの代表的な画像を示す。図1(b)に、FJX1発現及びMAGED4b発現が見られる患者の割合を示す。 図2は、HNSCC患者におけるペプチド特異的T細胞の集団を示す図である。非ペプチド負荷対照を差し引いた後の、ペプチド負荷二量体(CD8、TCR、及びIgG1陽性Tリンパ球)を認識する抗原特異的T細胞の平均集団を示す。FJX1ペプチド(F1)、MAGED4bペプチド(M6)、及びPV1(M6及びF1)ペプチドを負荷した二量体タンパク質は、HNSCC患者由来の固有のT細胞によって認識される。図2に見られるように、PV1ペプチドは、F1又はM6のいずれかの単一ペプチド単独と比較して、より大きなT細胞集団によって認識可能である。 図3は、PV1ペプチドによるインビトロ刺激後、HNSCC患者により高レベルのサイトカインが分泌されることを示す図である。図3(a)はインターフェロンガンマ(IFNγ)を示す図である。図3(b)はエクスビボ細胞毒性(CTX)ELISPOTアッセイにおけるグランザイムB(Granzyme B)分泌を示す図である。 図4は、FJX1及びMAGED4bを異なる発現レベルで発現する患者のT細胞応答を誘発するPV1ペプチドの有効性を示す図である。図4(a)は、腫瘍組織のFJX1染色及びMAGED4b染色の異なる強度の代表的な画像を示す図である。図4(b)は、細胞傷害性ELISPOTアッセイにおけるPV1刺激に応答したIFNγ及びグランザイムBの分泌を示図である。これらの分泌は患者の生検におけるFJX1及びMAGED4Bの発現レベルと相関している。図4(c)は、腫瘍が少なくとも1つの標的抗原を高度に発現している患者のPBMC/T細胞が刺激されやすく、MAGED4B及びFJX1の発現が無視できる腫瘍と比較して、PV1刺激に応答したIFNγ及びグランザイムBの分泌においてより高いレベルで分泌することを示す図である。 図5は、Griessアッセイで測定したリポ多糖(LPS)と比較して、M6ペプチド、F1ペプチド、及びPV1ペプチドがマクロファージによる過剰な非特異的炎症反応を増加させなかったことを示す図である。 図6は、マウスで試験した場合のPV1ペプチドの免疫原性を示す図である。図6(a)は、PV1をワクチン接種したマウスでは、非負荷及び非関連ペプチド負荷二量体に曝露した場合のベースラインのみ又は無視できる応答と比較して、PV1負荷二量体に対して反応できるT細胞の有意な増加を認めることを示す図である。図6(b)は、PV1をワクチン接種したマウスがエクスビボELISPOTでPV1ペプチドを提示するT2細胞を認識し、用量依存的にIFNγ分泌を誘導できることを示す図である。 図7(a)は、ワクチン接種期間中のワクチン接種マウスの体重を示す図である。図7(b)は、ワクチン接種マウスの主要臓器(心臓、肺、腎臓、肝臓、及び脾臓)の画像を示す図である。 図8は、ビヒクル対照と比較した、PV1ペプチドをワクチン接種したマウスの腫瘍増殖を示す図である。 図9(a)及び図9(b)は、それぞれOSCC細胞株及びNPC細胞株のmRNAレベルでのFJX1タンパク質及びMAGED4bタンパク質の過剰発現を示す図である。 図10は、タンパク質レベルでの様々ながん細胞株におけるMAGED4b及びFJX1の発現を示す図である。図10(a)は、16種のORL細胞株(口腔がん細胞株)におけるMAGED4b及びFJX1の発現を示す図である。図10(b)は、不死化NP/NPC細胞株(鼻咽頭細胞株又は鼻咽頭がん細胞株)でのMAGED4b及びFJX1の発現を示す図である。図10(c)は、MAGED4Bの発現が通常の口腔ケラチノサイトでは検出されないのに対し、FJX1は低レベルで検出されることを示す図である。 図11(a)及び図11(b)は、TATA結合タンパク質(TBP:TATA−Box Binding Protein)に対して正規化された、The Cancer Genome Atlas(TCGA)データベース(https://cancergenome.nih.gov/)に由来する一致した正常試料とHNSCC試料のセットにおけるトランスクリプトームレベルでのFJX1及びMAGED4bの発現を示す図である。 図12は、肺がん細胞株(A549)、前立腺がん細胞株(PC3)、結腸直腸がん細胞株(HT−29、HCT−116)、及び乳がん細胞株(SKBR−3、MCF−7)を含む複数のがん細胞株におけるタンパク質レベルでのMAGED4B及びFJX1の発現を示す図である。
以下に本発明の実施形態をより詳細に説明することにより、好ましい実施形態の例及び本発明の範囲を当業者は十分に理解するであろう。しかしながら、本開示は、開示された通りの正確な形態に本発明を限定することを意図するものではなく、開示が十分かつ完全になることを意図して提供されるものであることを理解されたい。
免疫療法の一形態であるペプチドワクチンは、腫瘍形成抗原に基づいて設計されて、個体において同じ抗原を持つ腫瘍細胞に対する細胞傷害性免疫応答を刺激する働きをする。他の免疫療法に対するペプチドワクチン使用のいくつかの利点には、合成の容易さ、T細胞応答の誘導の有効性、及び多くの研究と試験で実証された安全性が含まれる(Slingluff CL, Jr,2011)。
しかし、既存のペプチドワクチンは、T細胞応答の誘導の信頼性が高いにもかかわらず、臨床的腫瘍退縮の誘導には限られた成功しか収めておらず、単一抗原ペプチドワクチンの有効性を制限する抗原の不均一性と抗原損失に関する懸念があった。したがって、HNSCCでのペプチドワクチンの成功を改善するには、より広範な免疫応答、特に複数の抗原に応答できる免疫応答の適応が望まれている。
Yoshitake et al.2015では、標準治療のみを受けた患者と比較して、患者の生存期間が3.5か月から4.9か月と1.4か月延長したため、HNSCCにおける複数の多抗原性ワクチンの同時使用は実際に利点があることが示されていることが報告されている。さらに、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)応答が生じるワクチン接種患者は、CTL応答が陰性の患者と比較して、全生存期間が延長する。これもまた、ペプチドワクチン、特に多抗原性ペプチドワクチンが、腫瘍細胞に対する細胞傷害性殺傷効果を誘発することにより、腫瘍細胞に対する患者の免疫応答を高めることができることを強く示している。
しかしながら、多抗原性ペプチドワクチンの開発は、干渉があるため簡単な功績とはならない。主要組織適合性複合体(MHC)分子は、獲得免疫系が外来分子を認識するために不可欠であり、適切なT細胞による認識のために細胞表面の病原体に由来する抗原に結合する働きをする。複数の多抗原性ペプチドワクチンを同時投与すると、低親和性ペプチドのMHC分子への結合が高親和性ペプチドによって競合的に阻害されるため、同じMHC分子に結合するワクチンのペプチドが互いに干渉する可能性がある。これまで、干渉が起こる可能性を減らすために、これらのワクチンを身体の異なる部位に投与することが提案されてきた。しかし、このアプローチは、特に患者に投与されるペプチドの数が増えると、非実用的である。
こうした事実にも関わらず、本願の発明者らは、口腔及び鼻咽頭がんの対象から採取した末梢血単核細胞(PBMC)を使用して動物モデルにおいてインビトロで抗腫瘍応答を誘導することで、以下「PV1」と称する二重抗原ペプチド組成物の免疫原性及び有効性を実証することに成功した。特に、PV1は、MHCクラスI分子と結合して、対象において抗がん免疫応答を誘導することが可能な少なくとも2つのペプチドを含む。これら少なくとも2つのペプチドは、Four−jointed Box 1(FJX1)及びメラノーマ抗原ファミリーD4b(MAGED4b)に由来するペプチドを含む。
「FJX1」又は「F1ペプチド」という用語は、その遺伝子、RNA産物、又はタンパク質産物を意味し、互いに交換可能に使用できることが理解されよう。
「MAGED4b」又は「M6ペプチド」という用語は、その遺伝子、RNA産物、又はタンパク質産物を指し、互いに交換可能に使用できることがさらに理解されよう。
「PV1」、「PV1組成物」、及び「PV1ペプチド」という用語は、M6及びF1のDNA、RNA又はタンパク質産物の組み合わせを指し、互いに交換可能に使用できることも理解されよう。
この多抗原性ペプチド組成物の開発中に、口腔がん及び鼻咽頭がんの対象におけるMAGED4b及びFJX1の発現パターンが初めて特定された。HNSCC腫瘍試料からなる組織マイクロアレイが得られ、FJX1及びMAGED4bの発現レベルは、組織スライドを抗MAGED4b抗体及び抗FJX1抗体でプロービングすることにより、免疫組織化学(IHC)法を使用して決定された。
HNSCC腫瘍試料で測定されたFJX1及びMAGED4bの発現レベルを以下に示す。

上記の表に見られるように、ほとんどすべての対象(94.7%)の腫瘍組織試料において、口腔がん(OSCC)の対象から得られた場合でも、鼻咽頭がん(NPC)の対象から得られた場合でも、MAGED4b又はFJX1の発現が示された。採取した94個の組織のうち、5個のNPC組織のみがFJX1及びMAGED4bのいずれの発現も示さなかった。OSCCの対象の100%がFJX1又はMAGED4bを発現した。
HNSCC試料でのMAGED4b及びFJX1の発現を図1にさらに示す。これは、HNSCC腫瘍組織試料でのMAGED4b及びFJX1の発現を示す。MAGED4b及びFJX1に対する抗体の免疫反応性を、陽性染色の腫瘍細胞の割合に基づいてスコア化した。強度0(陰性)、強度1(弱)、及び強度2〜3(強)の4点強度スコアリングシステムを図1(a)に示す。図1(b)は、FJX1及びMAGED4bが初期及び後期のOSCC腫瘍試料及びNPC腫瘍試料の両方で80%超発現していることが本発明者らによって明らかとなったことを反映している。
マレーシア特許番号第MY−148542−A号及びマレーシア特許出願番号第PI 2011003259号(どちらも本願の発明者らによる出願)では、FJX1が鼻咽頭がん患者で、MAGED4bが口腔がん患者でそれぞれ発現されることが示されたことについて考察している。
しかしながら、上述の通り、多抗原性ペプチド組成物における難しさは、これらのペプチドがMHC分子に結合するために互いに競合する可能性があり、これによりペプチド組成が無効となり得ることであると強調しておく。一方、本開示のPV1組成物中のF1ペプチド及びM6ペプチドの組み合わせは正反対であり、実際にペプチド組成物の有効性を増加させることが成功裏に示されており、これについては以下に詳述する。
PV1は、以下の表2及び表3に記載のアミノ酸配列を有するFJX1及びMAGED4bに由来するペプチドを含む。ペプチドの組み合わせの適合性を決定することとは別に、抗がん免疫応答を誘導するためにこれらのペプチドはMHCクラスI分子と結合可能であったことも不可欠であった。

本出願によれば、FJX1及びMAGD4bのペプチド配列の構造は修飾又は改変されてもよく、修飾又は改変にはペプチド配列中のアミノ酸の欠失、置換、又は挿入が含まれることが理解されるであろう。
FJX1及びMAGED4bは両方ともヒト白血球抗原A2(HLA−A2)エピトープに基づいて設計されているため、HLAサブタイプが一致する血液試料の対象のみが本発明者らによって採用された。HLA−A2タイピングは、フィコエリトリン(PE)標識抗HLA−A2抗体を使用してPBMC試料を染色することにより実施し、フローサイトメーターで分析した。
本研究の精度を維持するために、陽性対照、HLA−A2制限FluM由来ペプチド、及び非関連ペプチド対照としてのHLA−A2制限ヒト免疫不全ウイルス(HIV)ペプチドを含めた。両方の対照のアミノ酸配列を以下に示す。
上記ペプチドの純度を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用して決定したところ、その全てが80%超であった。
本発明によれば、上記ペプチドは、合成的に調整してもよく、自然発生した腫瘍又は病原性生物などの天然源から単離してもよい。
PV1の免疫原性の測定では、単離したPBMC内の内因性FJX1及びMAGED4b特異的CD8T細胞の存在を、F1ペプチド、M6ペプチド、及びPV1ペプチドを使用して、FluMペプチド及びHIVペプチドをそれぞれ陽性及び非関連ペプチド対照とし、二量体アッセイでまず試験した。ペプチド特異的二量体は、二量体ヒトHLA−A2:Ig融合タンパク質、β2−ミクログロブリン、及びペプチド(F1、M6、PV1、FluM、又はHIV)の混合物を一晩インキュベートすることによりまず調製した。翌日、調製した二量体に新たに単離したPBMCを加えてインキュベートし、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄した。次に、PBMCをPBSに再懸濁し、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)標識抗IgG1、PE標識抗CD8、及びアロフィコシアニン(APC)標識抗TCRα/β抗体で染色した。次に、PBMCを洗浄してPBSに再懸濁し、フローサイトメトリー分析にかけた。ここで、IgG1−FITC抗体、CD8−PE抗体、及びTCRα/β−APC抗体によって陽性染色して評価したPBMCによって、ペプチド特異的CD8T細胞の存在を決定した。特定のペプチドに特異的なCD8T細胞の割合を、ペプチド無しの染色で得られた値を差し引いた後の、ペプチド二量体陽性CD8T細胞の値として計算した。
図2に見られるように、非ペプチド負荷対照を差し引いた後の、ペプチド負荷二量体を認識する抗原特異的T細胞の平均集団を示す。F1ペプチド、M6ペプチド、及びPV1ペプチドを負荷した二量体タンパク質を、HNSCCの対象からの固有のT細胞によって認識することが可能であり、T細胞の7.1%がPV1ペプチドを認識し、これは、単一ペプチドM6又はF1単独と比較して、最も大きなT細胞集団である。これは、両方のペプチドを組み合わせて使用すると、PV1の免疫原性がより強くなることを示す。
次に、エクスビボ細胞毒性酵素結合免疫吸着(ELISPOT)アッセイを使用して、単一細胞レベルでT細胞を分泌するインターフェロンガンマ(IFNγ)サイトカイン及びグランザイムBサイトカインの存在を評価し、それぞれ標的抗原を過剰発現している標的細胞株に対する、患者由来のペプチドパルスCTLの応答を研究した。
エクスビボELISPOTアッセイ時に、PBMCを培地中のインターロイキン7(IL−7)タンパク質及びインターロイキン12(IL−12)タンパク質と共にインキュベートした後、PBMCを塩溶液で洗浄して完全培地に再懸濁した。次に、懸濁細胞をF1ペプチド、M6ペプチド、PV1ペプチド、FluMペプチド、及びHIVペプチドとそれぞれ混合し、抗ヒトIFNγ及びグランザイムBでコーティングしたELISPOTプレートでインキュベートした。次に、ELISPOTアッセイを、製造元の説明書を若干変更して実施した。具体的には、浮遊細胞をそれぞれのELISPOTプレートに一晩載置して、放出されたサイトカインを捕捉した。IFNγ検出抗体及びグランザイムB検出抗体を、ヒトAB血清を含むPBSで希釈し、翌日それぞれのプレートでインキュベートした。その後、プレートを洗浄し、希釈したストレプトアビジン標識二次抗体を添加し、さらにインキュベートした。次に、ニトロブルーテトラゾリウム及び5−ブロモ−4−クロロ−3’−インドリルホスフェート(BCIP/NBT)と基質を加えて、サイトカイン分泌T細胞によって形成されたスポットを視覚化した。最後に、検出されたスポットを定量化及び分析した。ここでは、ペプチドに曝露されていないバックグラウンド対照ウェルで形成されたスポットを差し引くことで、ペプチド特異的CTLを計算し、FluMペプチド及びHIVペプチドを、それぞれ陽性及び非関連ペプチド対照として使用した。
細胞毒性酵素結合免疫吸着(ELISPOT)アッセイを使用して、それぞれ標的抗原を過剰発現している標的細胞株に対する、患者由来のペプチドパルスCTLの応答を研究した。CTLを標的細胞と共培養し、この培養物をIL−7タンパク質及びインターロイキン2(IL−2)タンパク質を添加した完全培地に再懸濁し、IFNγのELISPOTプレート及びグランザイムBのELISPOTプレートに加えた。FJX1及びMAGED4bを発現する標的細胞に対するCTLの潜在的な殺傷能力を決定する前に、細胞懸濁液をさらにインキュベートしてCTLと標的細胞株との相互作用を可能にした。
図3から、PV1ペプチドによるインビトロ刺激後、HNSCC患者においてより高レベルのサイトカインが分泌されることが分かる。図3(a)及び図3(b)のグラフは、エクスビボ細胞毒性(CTX)ELISPOTアッセイにおけるIFNγ及びグランザイムBの分泌を示す。ペプチド刺激前は、M6、F1、及びPV1に対する元々のT細胞応答は低い。T細胞がペプチドパルス樹状細胞によって刺激された後では、細胞傷害性ELISPOTの結果は、PV1が標的細胞(195M及びC666.1F)に対して同等以上の細胞傷害性T細胞応答を誘導し、より高いレベルでIFNγ及びグランザイムBを分泌することを示した。
MAGED4b及び/又はFJX1を過剰発現した腫瘍を有する患者は、PV1の特異性を示すMAGED4b及び/又はFJX1を弱く発現している患者と比較して、PV1刺激後の応答が良好であることも見出された。
さらに詳しく説明すると、図4は、腫瘍組織のFJX1染色及びMAGED4b染色の強度に基づいた4群の対象を示す。図4(a)は、患者の腫瘍試料の染色におけるFJX1及びMAGED4bの異なる発現レベルの代表的な画像を示す。腫瘍に高レベルのFJX1又はMAGED4bを発現する患者は、これらのタンパク質の発現が低い患者と比較して、PV1で刺激すると反応が良好になり、細胞毒性ELISPOTアッセイにおいてより高いレベルのグランザイムB及びIFNγを分泌することが、図4(b)から理解できる。さらに、図4(c)では、両方の抗原を高レベルで発現している患者は、PV1で刺激された後、標的細胞に対してより良好な反応を示すが、両方の抗原を低レベルで発現する患者は刺激に反応しないことから、PV1ペプチドワクチンの特異性が示唆されていることが理解できる。
上記ペプチドが細胞毒性又は非特異的炎症応答を引き起こすかどうかを評価するために、マクロファージによる炎症応答を測定するためのGriessアッセイをまず用いて、M6ペプチド及びF1ペプチドによって誘発される炎症のレベルを評価した。マウスのマクロファージを、様々な濃度のM6ペプチド、F1ペプチド、及びPV1ペプチドで処理した。PBS中のジメチルスルホキシド(DMSO)を陰性対照として使用し、LPSを陽性対照として使用した。炎症の程度は、マウスマクロファージによって産生される誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)のレベルに基づいて間接的に測定した。
図5(a)は、M6ペプチド又はF1ペプチドによって誘発されるマウスマクロファージの炎症の程度を示す。M6ペプチドの存在下でのマウスマクロファージによる亜硝酸塩の産生は、投与されたM6ペプチドの濃度に関係なく、LPS刺激を受けたマウスマクロファージよりも7倍低かったことが分かる。同様に、これは、亜硝酸塩の放出量が陽性対照(LPS)の量より10倍少ないF1ペプチドの存在下におけるマウスマクロファージでも観察することができる。したがって、M6ペプチド及びF1ペプチドによる亜硝酸塩の低産生を考慮すると、iNOS発現のアップレギュレーションは上記ペプチドによって刺激されないことが示唆され、そしてM6ペプチド及びF1ペプチドによって誘発される炎症の程度が低かったことは、非抗原特異的応答を誘発することにより、望ましくない効果を引き起こすと予想されないことを示す。
図5(b)に見られるように、M6ペプチド及びF1ペプチドをPV1ペプチドとして組み合わせた場合、一貫性のある結果が示され、iNOS蓄積量はLPS処理群よりも有意に低かった。
次に、動物モデルでのPV1組成物の評価を決定するために、さらなる評価を行った。
患者PBMCを使用した二量体及びELISPOTアッセイから得られた結果を活用して、PV1の免疫原性及び有効性を、HLA−A2提示抗原に対するヒトT細胞免疫応答のモデリングを可能にするトランスジェニックマウスモデルを使用して評価した。
以下の表に示すように、マウスにワクチン接種して異なる6つの治療群に分けた。
ここで、DMSOはジメチルスルホキシド、PV1はM6ペプチド及びF1ペプチドを含む組成物、IFAは不完全フロイントアジュバントである。
ワクチン接種期間後、マウスを安楽死させ、マウス脾臓から免疫細胞を採取した。ワクチン接種したマウスのIFNγ分泌ペプチド特異的CD8T細胞の存在を、二量体アッセイを使用して決定し、ビヒクル対照群の結果と比較した。
次に、ELISPOTアッセイを使用して、ワクチン接種後にペプチドを提示するがん細胞を殺傷するために細胞毒性機能を実行できるT細胞の集団を評価した。
図6(a)に見られるように、PV1を500μgという低濃度でワクチン接種したマウスでは、ビヒクル対照マウスと比較して、PV1負荷二量体に対する高い認識を実証することができた。ワクチン接種したマウスは、非負荷及び非関連ペプチド(HIV)負荷二量体に曝露された場合にベースライン又は無視可能な応答を示したため、この応答はペプチド特異的である。
さらに、ワクチン接種マウスからの元々のT細胞は、PV1ペプチドを提示するT2細胞も認識することもでき、図6(b)に示すように、エクスビボELISPOTアッセイで用量依存的にこれらのT2細胞に対して殺傷活性を発揮することができた。これもまた、PV1ワクチン接種が、これらのマウスにおいてPV1認識T細胞を増加させ得るという示唆を示し、支持するものである。
有利なことに、ワクチン接種期間を通して、マウスの体重は週に1回測定されたことに留意されたい。この期間中に体重減少や有害事象は観察されなかった。さらに、心臓、肺、腎臓、肝臓、又は脾臓などの主要臓器は、PV1投与群すべてのマウスから採取されたが、これらのマウスでは局所毒性は観察されなかった。これについては、図7(a)及び図7(b)でさらに説明する。
PV1の濃度が500μgである場合に免疫原性試験においてPV1に対するT細胞認識を刺激することができたため、腫瘍増殖の遅延におけるPV1の有効性を決定するために、その後の評価では1000μgで試験することを選択した。ヒトHLA−A2(AAD)遺伝子及びMAGED4b遺伝子を発現する同系B16メラノーマ細胞を合計1 x 10個、マウスの皮下に移植した。腫瘍サイズが30〜50mmに達した後、マウスを2つの治療群にランダムに割り当てた。最初の群には、PV1ペプチドを1000μg含むフロイント不完全アジュバント(IFA)を投与した。一方、ビヒクル対照群には、5%DMSO含有PBSを投与した。週に2回腫瘍サイズを測定した。
図8に示されるように、PV1及びアジュバントで治療したマウスは、ビヒクル対照群と比較して腫瘍増殖の遅延を示したことが分かる。したがって、これは、PV1が腫瘍増殖を遅らせることが可能であることを示している。
上記の結果に基づいて、PV1は、腫瘍増殖を遅らせるのに効率的であり、ワクチン接種したマウスの主要臓器への悪影響があったとしてもごくわずかであることが強く示される。
PV1ペプチドワクチンは、インビトロ及びインビボの両方で免疫原性があることが実証されている。最も重要なことは、PV1の使用が、インビトロでMAGED4b及びFJX1を発現する標的がん細胞株に対して抗原特異的な細胞毒性を示し、インビボで腫瘍増殖を遅らせたことであり、HNSCCの治療用ワクチン候補としてのPV1の可能性を示唆している。有益なことに、PV1はHNSCC患者だけでなく、乳がん、結腸がん、肺がん、前立腺がん、及び直腸がんを患う患者にも恩恵をもたらす可能性がある。以下の表7において、本願発明者らは、MAGED4b及びFJX1が、乳がん、結腸がん、肺がん、前立腺がん、及び直腸がんの患者の腫瘍組織でも発現していることを示す。
上記の表7から、FJX1及び/又はMAGED4bが90%を超えるOSCC試料及びNPC試料で発現していることが分かる。これらの2つの抗原は、乳がん、結腸がん、肺がん、前立腺がん、及び直腸がんの患者の組織でも発現した。これらのがん種にかかっている対象の約97%は、MAGED4b又はFJX1のいずれかを発現することが測定された[表7(d)]。MAGED4b及びFJX1の発現は、これら5つのがん種の初期及び後期の両方の腫瘍で検出された(表7)。両方のタンパク質がこれらのがん種のほぼ半分で高度に過剰発現されていることを考えると、これは、HNSCC対象だけでなく、乳がん、結腸がん、肺がん、前立腺がん、及び直腸がんにかかっている対象を治療するために、FJX1及びMAGED4bを含むペプチド組成物を開発可能であることを強く示している。
本願によれば、上記ペプチド組成物はさらに、多抗原性ペプチドワクチンとして開発可能である。特に、少なくともFJX1ペプチド及びMAGED4bペプチドを含むワクチンは、MHCクラスI分子と結合することにより、対象の抗がん免疫応答を誘導する目的に開発可能である。好ましい実施形態では、MHCクラスI分子はHLA−A2分子である。
上記ペプチドワクチンは、利用可能ながん治療法と組み合わせて使用してもよい。免疫チェックポイント阻害剤を例にとると、単独で使用した場合、患者の免疫系を再活性化するには免疫チェックポイント阻害剤だけでは不十分な場合がある。しかし、PV1と組み合わせて使用すると、抗原特異的T細胞のレパートリーを増加させるアプローチにより、HNSCC患者の反応率をさらに高めることが可能であると考えられる。
しかしながら、がん治療法は免疫チェックポイント阻害剤のみに限定されず、他のがん治療法を含み得ることが理解されるであろう。
加えて、PV1及びPV1に対する免疫応答を高めるために選択されるがん治療法と組み合わせて、アジュバントを投与してもよい。フロイントアジュバントやヒト顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)などのアジュバントの例が有用となり得る。
あるいは、上記ペプチド組成物は薬剤の製造にも使用可能である。特に、有効量のFJX1及びMAGED4bは、それを必要とする対象のHNSCC、乳がん、結腸がん、直腸がん、肺がん、及び前立腺がんのうちいずれか1つ又は2つ以上の組み合わせを治療するための薬剤の製造に使用することが可能であり、ここで、上記薬剤は、MHCクラスI分子と結合して、上記対象に抗がん免疫応答を誘導することが可能である。
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態をさらに開示するために含まれる。しかしながら、以下の実施例で使用される技術は、本発明の実施において良好に機能するために本願発明者によって発見された技術を表し、したがって、その実施のための好ましい様式を構成すると考えることができる。当業者は、開示された特定の実施形態の変更を適応することが可能であり、本発明の範囲から逸脱することなく、同様又は類似の結果を得ることが可能である。
実施例1
材料及び方法
患者試料
この研究には、マレーシアの4つの紹介病院(Penang General Hospital、ペナン;Tengku Ampuan Rahimah Hospital、セランゴール;University of Malaya Hospital、クアラルンプール;及びTung Shin Hospital、クアラルンプール)から、新たに診断されたHNSCC患者が登録された。本プロジェクトは、マラヤ大学(University of Malaya)歯学部の治験審査委員会[参考文献:DF OS0910/0049(L)]、及びマレーシア保健省(Ministry of Health、Malaysia)の医学研究及び倫理委員会によって承認された(NMRR−09−944−4848)。
本研究の目的を全患者に説明し、血液試料の採取前に書面によるインフォームドコンセントを得た。
各患者のHLA分子タイプを決定するために血液試料を処理した。これについては、以下で詳細に説明する。全患者の人口統計情報を以下の表8に示す。
細胞株
口腔がん細胞株(ORL−48、ORL−115、ORL−136、ORL−150、ORL−153、ORL−156、ORL−166、ORL−174、ORL−188、ORL−195、ORL−196、ORL−204、ORL−207、ORL−214、ORL−215、及びORL−247)、鼻咽頭がん細胞株(NP69、NP640、HK1、TW01、C666.1、HeLa/S、及びHeLa/T)、乳がん細胞株(MCF−7及びSKBR−3)、結腸がん細胞株(HT−29及びHCT−116)、前立腺がん細胞株(PC−3)、肺がん細胞株(A549)、4つの正常口腔ケラチノサイト初代培養株(ORL−231、ORL−295、ORL−235、及びORL−232)、並びに2つの不死化鼻咽頭(NP)細胞株であるNP69及びNP460が本願発明者らによって使用された。HeLa/S及びHeLa/Tは、以前NPC細胞株と間違えられたHeLa細胞のバリアントであった(Ye et al. 2015)。これらの細胞株を購入し(Gibco、Thermo Fisher社、米国マサチューセッツ州)、2mMのL−グルタミン(Sigma Aldrich社、米国ミズーリ州)及び10%ウシ胎児血清(Gibco、Thermo Fisher社、米国マサチューセッツ州)を添加した推奨培地(口腔がん細胞株にはDMEM/F12、鼻咽頭がん細胞株、乳がん細胞株、結腸がん細胞株、及び肺がん細胞株にはRPMI−1640)で培養した。一方、ケラチノサイト−SFM(Gibco、Thermo Fisher社、米国マサチューセッツ州)を、正常な口腔ケラチノサイト及び非悪性鼻咽頭細胞株の培養に使用した。標的抗原であるORL195−MAGED4B(195Mと称する)及びHeLa/T−FJX1(HeLa/T−Fと称する)を過剰発現する細胞株を、ウエスタンブロット実験の陽性対照として使用した。FJX1を過剰発現するC666.1−A2細胞株(C666.1Fと称する)(イタリアがん研究センター(Centro di Riferimento Oncologico)のRicardo Dolcetti博士より提供)及びMAGED4Bを過剰発現するORL−195(195Mと称する)を、以下でさらに説明する細胞毒性ELISPOTアッセイの標的細胞株として使用した。本研究で使用される全ての細胞株は、本研究での使用に先立ち認証されている。
ペプチド
本実施例で使用されるペプチドは、FJX1(F1)及びMAGED4b(M6)に由来する2つのHLA−A2制限ペプチドで構成されている。HLA−A2制限FluM由来ペプチドを陽性対照として使用し、HIVペプチドを非関連ペプチド対照として使用した。上記ペプチドの配列は、表2〜表5に示すとおりである。本研究に使用された全てのペプチドは、JPT Peptide Technologies社(ドイツ、ベルリン)によって商業的に生産された。上記ペプチドの純度はHPLCを使用して決定及び保証され、ペプチドの純度結果は80%を超えていた。
定量的PCR(qPCR)
定量的PCR(qPCR)を使用して、OSCC細胞株及びNPC細胞株における2つの標的抗原であるM6抗原及びF1抗原のmRNAレベルを決定した。RNA精製キット(Nucleospin RNA II Purification Kit)(Macherey−Nagel社、デューレン、ドイツ)を使用して、16個のOSCC細胞株及び7個NPC細胞株の全てから全RNAを抽出し、オリゴ(dT)プライマー及びSuperscript II(Invitrogen、Thermo Fisher社、米国マサチューセッツ州)を使用したcDNA合成に用いた。配列検出システム(ABI Prism7500(登録商標)Sequence Detection System)(Applied Biosystems社、ドイツ)を使用して、標準のSYBR Greenプロトコルで定量的PCRを実行した。グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)を増幅し、内部対照として使用した。
使用したプライマーを以下に示す:
FJX1:
センス 5’CCCGCAAAGGTGTCTAAAAACT3’及び
アンチセンス 5’GTGCTGGCACAGTAAAGAATCCT3’;
MAGED4b:
センス 5’CCAGAATCAGAACCGAGA3’及び
アンチセンス 5’CCAAAATCTCCGTCCTCA3’;
GAPDH:
センス 5’GAAGGTGAAGGTCGGAGTC3’及び
アンチセンス 5’GAAGATGGTGATGGGATTTC3’。
正常な口腔組織及び鼻咽頭組織の発現レベルと比較した場合、相対発現の最小で2倍の増加を過剰発現しているとみなした。
ウエスタンブロット
1X HALTプロテアーゼ阻害剤カクテル(Pierce Biotechnology社、米国イリノイ州)を添加したRIPA溶解バッファー(5%NaDOC、1%SDS、25mMのHEPES、pH7.5、1MのHCl、1.5mMのMgCl、1mMのEDTA、1%Triton X−100、1mMのDTT)で細胞を氷上で溶解した。4℃で20分間、10000gで遠心分離した後、細胞溶解物を収集した。総タンパク質濃度は、Bradfordタンパク質アッセイ(Pierce Biotechnology社、米国マサチューセッツ州)を使用して決定した。50μgの総タンパク質を12%及び10%SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(それぞれFJX1タンパク質及びMAGED4bタンパク質の検出用)にかけ、イモビロン(Immobilon)−Pメンブレン(Millipore社、米国マサチューセッツ州)に転写した。ブロットを5%スキムミルク(0.1%Tween−20を含むトリス緩衝生理食塩水(TBST))で1時間ブロックし、以下の一次抗体とさらにインキュベートした:抗MAGED4B(1:1000、Sigma Aldrich社、米国ミズーリ州)及び抗−FJX1(1:2000、Aviva Systems Biology社、米国カリフォルニア州)。ブロットを0.1%Tween−20(TBS−T)を含むTBSバッファーで洗浄(各5分間、3回)し、その後、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(1:10000、Southern Biotech社、米国アラバマ州)と結合したそれぞれの二次抗体で1時間プローブした。洗浄(TBS−T)後、イメージングシステム(FluorChem HD2 Imaging System)(ProteinSimple社、米国カリフォルニア州)を使用して、高感度化学発光法により検出を行った。ブロットは、各実験のハウスキーピングコントロールとして、抗GAPDH抗体(1:1000、Trevigen社、米国メリーランド州)又は抗アクチン抗体(1:1000、Milipore社、米国カリフォルニア州)でプローブした。
免疫組織化学
本研究に含まれる、NPC(n=74)、OSCC(n=49)、及び179例の複数種のがん(乳がん:n=41、結腸:n=30、肺:n=48、前立腺:n=44、直腸:n=16)から構成される組織マイクロアレイ(TMA)スライドを、Biomax社(米国メリーランド州)から購入した。標的タンパク質の発現レベルは、Dakocytomation Envision+ Dual Link SystemHRP (DAB+)キット(Dako社、グロストルップ、デンマーク)を使用した検出システムに従って、抗MAGED4B抗体(1:100、カタログ番号HPA003554、Sigma Aldrich社、米国ミズーリ州)及び抗FJX1抗体(1:200、カタログ番号HPA059220、Sigma Aldrich社、米国ミズーリ州)を用いた免疫組織化学(IHC)により検出した。IHC分析は、PV1の有効性評価のために登録された患者由来のアーカイブされたFFPE OSCC組織切片及びNPC組織切片でも実施した。上記2つの抗体の免疫反応性は、陽性染色の腫瘍細胞の割合及び4点強度スコアリングシステムに基づいてスコア化した:0=陰性発現、1=弱陽性、2=中程度の陽性、3=強い陽性(Charafe−Jauffret et al.2004)。全てのIHC分析は、認定病理学者によって評価された。コアが欠落したか不完全な、又は評価するには腫瘍が少なすぎる組織マイクロアレイは、分析から除外した。
末梢血単核細胞の調製(PBMC)
OSCC患者又はNPC患者からの血液35mLをCPT Vacutainer(バキュテナー)チューブ(Becton Dickinson社、米国)に採取し、製造元の説明書に従ってPBMCを分離した。次に、PBMCをハンクス平衡塩溶液(HBSS)(Gibco、Thermo Fisher社、米国マサチューセッツ州)で洗浄し、5%熱不活性化ヒトAB血清(Gemini Bio−Product社、米国カリフォルニア州)、1Xペニシリン/ストレプトマイシン(Gibco、Thermo Fisher社、米国マサチューセッツ州)、及び2mM L−グルタミンを添加したロズウェルパーク記念研究所(RPMI:Roswell Park Memorial Institute)培地(Gibco、Thermo Fisher社、米国マサチューセッツ州)を含む完全培地に再懸濁した。次いで、単離されたPBMCを、HLA−A2:Ig二量体アッセイ、並びにエクスビボ細胞傷害性ELISPOTアッセイの使用によるHLAタイピングに使用したが、これについては以下で詳細に説明する。
血液検体のHLAタイピング
FJX1ペプチド及びMAGED4bペプチドの両方がHLA−A2特異的であることを考慮して、本発明者らは、一致するHLAサブタイプを有する血液試料のみを利用した。HLA−A2ステータスは、フィコエリトリン(PE)標識マウス抗ヒトHLA−A2抗体(クローンBB7.2、BD Pharmingen社、米国カリフォルニア州)を使用してPBMC試料を染色することにより決定した。PE標識マウス抗ヒトHLA IgG2b kアイソタイプ(クローンBB7.2、BD Pharmingen社、米国カリフォルニア州)及びマウス抗ヒトHLA−ABC(クローンDX17、BD Pharmingen社、米国カリフォルニア州)で染色したPBMCをそれぞれ陰性対照と陽性対照として使用した。染色用に、細胞を適切な抗体と共に4℃で1時間インキュベートし、洗浄し、血球計算器(FACSCanto 2 Cytometer)(BD Biosciences社、米国カリフォルニア州)で分析した。
二量体アッセイ
HLA−A2陽性NPA患者及びOSCC患者のPBMCにおける内因性FJX1及びMAGED4b特異的CD8T細胞の存在を、HLA−A2:Ig二量体アッセイを使用して評価した。1μgの可溶性組換え二量体であるヒトHLA−A2:Ig組換えタンパク質(BD Pharmingen社、米国カリフォルニア州)、0.25μgのβ2−ミクログロブリン(Sigma Aldrich社、米国ミズーリ州)、及び5μgのペプチド(F1、M6、又はPV1)を合わせてペプチド特異的二量体を調整し、37℃で一晩インキュベートした。完全培地(CM)及びβ2−ミクログロブリンを負荷した二量体をバックグラウンド対照として使用し、HIVペプチド及びβ2−ミクログロブリンを負荷した二量体を非関連ペプチド対照として使用し、β2−ミクログロブリンを有するFluM負荷二量体を陽性対照として使用した。翌日、新たに単離したPBMCを、別々の丸底ポリプロピレンチューブ(BD Falcon社、米国カリフォルニア州)の各ペプチド負荷二量体に加え、4℃で30分間インキュベートし、1mLのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄した。その後、細胞を100μLのPBSに再懸濁し、FITC結合ラット抗マウスIgG1(クローンA85−1、BD Biosciences社、米国カリフォルニア州)、PE結合マウス抗ヒトCD8(クローンHIT8a、BD Biosciences社、米国カリフォルニア州)、及びAPC結合マウス抗ヒトTCRα/β(クローンBW242/412、Miltenyi Biotech社、ドイツ)を用いて4℃で1時間染色した。次に、細胞を洗浄し、PBSに再懸濁し、血球計算器(FACSCanto 2 Cytometer)(BD Biosciences社、米国カリフォルニア州)を使用してフローサイトメトリー分析にかけた。ペプチド特異的CD8T細胞の存在は、IgG1、CD8、及びAPCに対して陽性であると評価された細胞によって決定した。特定のペプチドに特異的なCD8T細胞の割合を、ペプチド無しの染色で得られた値を差し引いた後の、ペプチド二量体陽性CD8T細胞の値として計算した。
エクスビボELISPOT
ELISPOTアッセイを使用して、単一細胞レベルでT細胞を分泌するサイトカイン(IFNγ及びグランザイムB)の存在を評価した。前述のように、エクスビボELISPOTを使用して、上記ペプチドを認識する患者PBMCからの固有T細胞を決定した(Lim et al.2014)。まず、PBMCを50ng/mLのIL−7及び10ng/mLのIL−12を含む培地で37℃で2時間インキュベートした。2時間のインキュベーション後、細胞を4mLのHBSS(Gibco、Thermo Fisher社、米国マサチューセッツ州)で洗浄し、200μLの完全培地に再懸濁した。次いで、懸濁した細胞を50μg/mLのF1ペプチド、M6ペプチド、PV1ペプチド、FluMペプチド、及びHIVペプチドと混合した。各混合物100μLを、抗ヒトIFNγ/グランザイムBでコーティングしたELISPOTプレートで一晩インキュベートした(Mabtech社、スウェーデン)。一晩インキュベートした後、ELISPOTアッセイを、若干修正した製造元の説明書に従って実施した。IFNγ検出抗体又はグランザイムB検出抗体をそれぞれのプレートに添加し、37℃で2時間インキュベートした。これに続いて、洗浄及びストレプトアビジン標識二次抗体の添加を行い、プレートを37℃で45分間さらにインキュベートした。両方の抗体を、0.5%ヒトAB血清(Gemini Bio−Products社、米国カリフォルニア州)を含むPBSで1:500に希釈した。基質(BCIP/NBT−plus substrate)を加えて、サイトカイン分泌T細胞によって形成されたスポットを可視化した。検出されたスポットは、アナライザー(CTL ELISPOT Analyzer)(Cellular Technology Limited社、米国オハイオ州)を使用して定量し、ソフトウェア(ImmunoSpot Professional Software)(Cellular Technology Limited社、米国オハイオ州)を使用して分析した。ペプチドに曝露されていないバックグラウンド対照ウェルで形成されたスポットを差し引くことで、ペプチド特異的CTLを計算し、FluMペプチド及びHIVペプチドを、それぞれ陽性及び非関連ペプチド対照として使用した。
樹状細胞(DC)及び細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の分離と培養
患者由来の樹状細胞を分離し、抗原提示細胞として使用した。簡潔には、PBMCをマクロファージ無血清培地(M−SFM)(Gibco、Thermo Fisher社、米国マサチューセッツ州)に再懸濁し、6ウェルプレートに播種し、37℃で1時間インキュベートした。インキュベーション後、PBMCから非接着細胞を回収し、HBSSでリンスし、IL−7を10ng/mL含む完全培地に再懸濁した。ウェルあたり約2〜5x10個の細胞を、丸底96ウェルプレートに播種した。その後、T細胞増殖のために、50μg/mLのペプチドを添加して37℃で2〜5日間細胞をインキュベートした。インキュベーションから生じた接着細胞を、樹状細胞(DC)の分化を誘導するために、100ng/mLのGM−CSF及び25ng/mLのIL−4の存在下で、M−SFMで2〜5日間37℃で培養した。細胞を培地を用いて除去することにより、分化したDCを培養皿から回収し、1.5mL遠心管に分注し、50μg/mLのペプチド(F1、M6、及びPV1)と共に37℃で2時間インキュベートした後、非接着PBMC由来の成熟T細胞に付与した。18〜24時間の共培養後、10ng/mLのIL−2をDC/T細胞培養に添加し、さらに24時間インキュベートした。インキュベーション後、IL−2を含む培地を新鮮な完全培地に交換し、さらに37℃で3〜5日間インキュベートして、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)を活性化した。その後、FJX1又はMAGED4b発現標的細胞に対する潜在的な殺傷能力を決定するために、CTLを増殖後細胞毒性ELISPOTアッセイで標的細胞(195M及びC666.1F)と共にインキュベートした。
細胞毒性ELISPOTアッセイ
細胞毒性ELISPOTアッセイを使用して、それぞれ標的抗原を過剰発現している標的細胞株に対する、患者由来のペプチドパルスCTLの応答を研究した。CTLを、エフェクター対標的比20:1で195M及びC666.1Fと共培養した。この培養物を20ng/mLのIL−7及びIL−2を添加した200μLの完全培地に再懸濁し、次に、IFNγ又はグランザイムBのELISPOTプレートの各ウェルに100μLを付与した。次に、細胞懸濁液を37℃で16時間さらにインキュベートした。その後、ELISPOTアッセイを上記と同様に実施した。
結果
患者の人口統計
本研究で使用するために、41人のHNSCC(NPC及びOSCC)患者から末梢血を採取した。これらのうち、約50%(20/41人)がHLA−A2陽性であり、その後の分析に使用した。これらの患者の中で、16/20人はNPC患者であり、4/20人はOSCC患者であった。これらのHLA−A2陽性患者の80%(16/20人)が進行性の病期(ステージIII及びステージIV)にあった。これらの患者の人口統計を表8に示す。20人のHLA−A2患者のうち、15人の患者からの試料を二量体アッセイにかけ、16人の患者からの試料を、エクスビボ細胞傷害性ELISPOTアッセイにかけた。残りの試料は、PBMCが不十分であったか、試料の品質が最適ではなかった(血液溶解)ため、実験から除外した。
MAGED4B及びFJX1は、HNSCCで過剰発現する腫瘍抗原である
本発明者らは、MAGED4b及びFJX1がそれぞれOSCC及びNPCで過剰発現しているのに対し、それぞれの正常な対応物では発現が無視できる程度であることを既に示した(Chong et al.2012、Chong et al.2009、Ahmad Zabidi MM 2011、Bose et al.2009)。本研究では、HNSCC試料の拡張セットでこれら2つの抗原の過剰発現をスクリーニングした。得られたデータは、FJX1がNPCとOSCCの両方の細胞株で過剰発現していることを示した。図9(a)に見られるように、それぞれ正常な口腔ケラチノサイト及び正常な鼻咽頭組織と比較した場合、mRNAレベルで2倍以上の増加が5/16株のOSCC(ORL−150、ORL−153、ORL−156、ORL−174、及びORL−48)、6/7株のNPC(HK1、TW01、TW04、及びC666.1)、及び不死化NP(NP69及びNP460)で検出された。特に、全てのOSCC(ORL−136を除く)細胞株及びNP/NPC細胞株は、正常な口腔ケラチノサイト[図10(c)]と比較して、タンパク質レベルで顕著なレベルのFJX1を発現することが観察された[図10(a)]。同様に、MAGED4Bの場合、mRNAレベルはOSCC細胞株ORL−153、不死化NP69、及びNPC細胞株C666.1で2倍を超えることが判明した[図9(b)]。注目すべきことに、全てのOSCC細胞株(ORL−195及びORL−48を除く)及び全てのNPC細胞株は、陽性対照と比較してタンパク質レベルでMAGED4Bのわずかな発現を示した[MAGED4Bを異所的に過剰発現する細胞、図10(a)及び図10(b)]。正常な口腔ケラチノサイトの初代培養では、MAGED4Bの発現は検出されなかった[図10(c)]。また、本発明者らは、TCGAデータベース(Cancer Genome Atlas N.2015)の正常データと一致する43の頭頸部がんのRNAseqデータを調査し、腫瘍コホートの60%超でFJX1の有意な上昇レベルが認められ[図11(a)、p<0.01]、一致した正常データと比較した場合、コホートの約40%でMAGED4Bのレベルが上昇していた[図11(b)、p<0.01]。
本発明者らは次に、OSCCコア及びNPCコア(総称してHNSCCとして知られる)からなる市販のTMAにおけるMAGED4B及びFJX1発現レベルに関するこれらの観察結果を検証した。代表的な染色を図1(a)に示す。概して、MAGED4B及びFJX1の両方の発現はタンパク質レベルで検出され、染色強度スコアは0、1、2、3の範囲であった。MAGED4B及びFJX1の発現は、OSCC試料の大部分で検出された(それぞれ49/49及び47/49)。一方、NPCの場合、両方のタンパク質(MAGED4B:58/63及びFJX1:64/74)の強い存在が検出された[表7(a)]。両方のTMAをまとめて分析した結果、本発明者らは、これらのHNSCC試料の94.7%(89/94)がMAGED4B又はFJX1のいずれかを過剰発現し、5.3%(5/94)の症例のみが両方の抗原に対して陰性であることを実証した[表7(b)]。ただし、FJX1の染色強度と組織の病期又は分化の程度との間に有意な相関は見られなかった。一方、MAGED4Bの発現レベルは、OSCC試料(p=0.016)及びNPC試料(p=0.007)の分化度と有意な相関が認められるが、以下の表に示すように、病期とは相関していなかった。
PV1を認識する内因性T細胞がHNSCC患者には存在する
MAGED4BとFJX1の両方がHNSCC患者に存在することが示されたため、MAGED4B及び/又はFJX1特異的CD8T細胞も存在すると推定される。本発明者らは、PV1ペプチド(MAGED4Bペプチド及びFJX1ペプチド)を認識可能なCD8T細胞(CD8、TCR、IgG1)の割合を二量体アッセイを使用して決定した。本発明者らが、分析した全てHNSCC試料(15/15)におけるPV1特異的CD8T細胞の存在を実証したところ、平均は非ペプチド負荷二量体対照で正規化した後に2.6%〜7.1%の範囲内であった(図2)。検出された平均内因性PV1特異的T細胞集団は、単一のF1(2.6%、p<0.001)又はM6特異的T細胞(4.6%、p=0.177)集団と比較して高く(7.1%)、両方のペプチドを組み合わせて使用する場合に、より強い免疫原性が得られることを示した。非負荷二量体対照と比較した場合、HIVペプチド負荷二量体を認識するT細胞集団間に有意差は観察されなかった(p=0.125)。T細胞集団は陽性対照を認識しているが、FluMペプチド負荷二量体は、非負荷二量体対照と比較して有意に高かった(p<0.001)。
次に、本発明者らは、PV1特異的CD8T細胞の存在をMAGED4B及びFJX1の発現と相関させた。MAGED4B抗原特異的CD8T細胞、FJX1抗原特異的CD8T細胞、及びMAGED4B−FJX1抗原特異的CD8T細胞の平均パーセンテージをカットオフとして使用して、患者を高抗原特異的T細胞及び低抗原特異的T細胞にグループ分けした。本発明者らは、F1、M6、及びPV1負荷二量体を認識する高レベルの抗原特異的T細胞を有する患者の約33%がFJX1及びMAGED4Bの両方を高レベルで発現していることを実証した。一方、両方の抗原を高度に発現する抗原特異的CD8T細胞のレベルが低い患者はわずか10%であった。驚くべきことに、以下の表に見られるように、FJX1及びMAGED4Bの両方の発現が最小限である患者は、常にF1抗原特異的T細胞、M6抗原特異的T細胞、及びPV1抗原特異的T細胞の割合が低かった。
PV1ペプチドはインビトロでHNSCC患者のT細胞から細胞傷害性サイトカインの分泌を誘導する
次に、本発明者らは、PV1ペプチドの使用により細胞傷害性T細胞のレベルを増加させることが可能かどうか判定を試みた。HNSCC患者(n=16、HLA−A2:Ig二量体アッセイで使用される試料と重複する15個の試料)における細胞傷害活性の誘導におけるPV1の有効性を決定するため、本発明者らは、M6、F1、又はPV1(F1+M6)のいずれかで、インビトロで患者のT細胞を刺激し、このT細胞をMAGED4B(195M)又はFJX1(C666.1F)を発現する標的細胞に曝露した。刺激の前に、エクスビボELISPOTアッセイにより、HLA−A2:Ig二量体アッセイでペプチド特異的T細胞が検出されたが、刺激前には、IFNγ及びグランザイムBサイトカイン分泌細胞(CSC)の集団は少なかった[図3(a)及び図3(b)]。図3(a)及び図3(b)に見られるように、M6、F1、又はPV1のいずれかでのインビトロ刺激後、細胞傷害性ELISPOT(CTX ELISPOT)アッセイにより、細胞溶解活性が増加し、エクスビボELISPOTでのサイトカイン分泌細胞集団と比較した場合、サイトカイン分泌細胞数がIFNγとグランザイムBの両方で増加したことが示された。全体として、M6ペプチド、F1ペプチド、又はPV1ペプチドに対するHNSCC患者T細胞の反応は、以前のペプチド刺激と比較した場合、細胞傷害性ELISPOTアッセイでサイトカイン分泌の2.4倍〜39.7倍の増加を示している。ただし、HIVペプチドは刺激後のIFNγ及びグランザイムB分泌のレベルの増加も引き起こしている。
T細胞活性化のレベルは、腫瘍がMAGED4B及びFJX1を高発現しているHNSCC患者でより高い
ELISPOTアッセイで使用された16の患者試料のうち、発明者らは12/16人の患者からアーカイブされたFFPE腫瘍塊を取得できた。次に、IHCを実施して、これらの腫瘍におけるMAGED4B及びFJX1の発現を測定した。次に、発明者らは、IHC染色強度に基づいて患者を4つの群(低FJX1、高FJX1、低MAGED4B、及び高MAGED4B)に分け[図4(a)]、ペプチドによる刺激後の細胞毒性ELISPOTアッセイにおける患者のT細胞応答を比較した。染色強度0は陰性、強度1は低発現、強度2〜3は高発現と分類される。FJX1又はMAGED4Bの発現が高い患者は、FJX1又はMAGED4Bの発現が低い患者と比較して、サイトカイン分泌細胞(IFNγ又はグランザイムBのいずれか)の数が多いことが示された[図4(b)]。また、本発明者らは、組織上でFJX1及びMAGED4Bの両方の発現レベルが低い患者は、腫瘍上でFJX1又はMAGED4Bのいずれかを高レベルで発現する患者と比較して、PV1刺激に対する反応が低いことを見出した[図4(c)]。このデータは、高レベルのFJX1又はMAGED4Bを発現しているHNSCC患者の免疫系がPV1ペプチドワクチンで刺激されやすいことを示唆している。
PV1は他のがん患者に有益な効果を与える可能性がある
他のがんにおけるFJX1及びMAGED4Bの発現を調査し、PV1療法の恩恵を受ける可能性のある患者コホートを特定するために、本発明者らは5つの最も一般的ながん(乳がん、肺がん、大腸がん、前立腺がん、及び直腸がん)を含むTMAのセットを使用してMAGED4B及びFJX1の発現を調査した。その結果、MAGED4Bの発現は5つのがんにおける全ての患者の80%超で検出され、同様の観察がFJX1発現で見られたが、大腸がん患者については約50%のみがFJX1陽性であったことが判明した。MAGED4B及びFJX1の両方の発現をまとめて分析したところ、本発明者は、乳房、結腸、肺、前立腺、及び直腸の腫瘍組織の90%超がMAGED4B又はFJX1の発現を有することを示した[表7(a)]。全体として、MAGED4B及びFJX1は、病期に関係なく、乳がん、結腸がん、肺がん、前立腺がん、及び直腸がんの腫瘍で過剰発現することが示された[表7(b)]。これら5種類のがんの細胞株(A549、肺がん;PC3、前立腺がん;HT−29、結腸直腸がん;HCT−116、結腸直腸がん;SKBR−3、乳がん;MCF−7、乳がん)のウエスタンブロット分析の結果、MAGED4Bの発現はA549細胞株及びPC3細胞株で高く、発現レベルはHCT−116、SKBR−3、及びMCF−7で弱いことが示された。一方、FJX1は、PC3を除く6つの細胞株のうち5つ(A549、HT−29、HCT−116、SKBR−3、及びMCF−7)で発現することが示され(図12)、PV1は、MAGED4B及び/又はFJX1を発現するこれらのがんを標的にする可能性があることが示唆された。
考察
多くの腫瘍は、精巣などの免疫特権部位(Inaoka et al.2011、Gjerstorff et al.2015)及び胚発生時(Lawrence et al.2011、Becker et al.2012)にのみ通常発現するタンパク質の調節解除された発現を有する傾向がある。これらの抗原の特有な発現により、抗原ががん治療の良い標的となる。本発明者らの以前の研究では、そのような過程において2つの腫瘍抗原であるFJX1及びMAGED4Bを同定した。これらは正常細胞では無視可能なレベルであるがNPC及びOSCCではそれぞれ過剰発現する(Chai et al. 2015、Chong et al.2012)。本研究では、本発明者らは、コホートをより多くの細胞株及び腫瘍試料に費やした。IHCデータは、ほとんどのOSCC腫瘍及びNPC腫瘍がMAGED4B又はFJX1のいずれかの過剰発現を有することを実証した。FJX1はHNSCC細胞株及び腫瘍組織の両方で過剰発現することが示されている。しかし、MAGED4Bについては、IHC染色が多数のHNSCC腫瘍組織で陽性染色を示したにもかかわらず、検出されたMAGED4Bの発現レベルはHNSCCがん細胞株で低かった。これは、長期培養環境での抗原の損失によるものである可能性があった。さらなる相関研究により、MAGED4Bの発現は腫瘍分化の程度と相関していることが明らかになったが、本発明者らは上記2つの抗原の発現と患者の病期分類との間に有意な相関を見出せなかった。OSCC及びNPCが頭頸部がん(HNSCC)のほとんどの症例を占めたため、本発明者らはMAGED4BとFJX1の両方がHNSCCの重要な標的になり得るという仮説を立てた。要約すると、本発明者らは、これらの2つの抗原がHNSCC患者の〜90%で過剰発現し、HNSCC患者の良好な治療標的として機能することを確認した。これに加えて、本発明者らは、MAGED4B及びFJX1が、乳がん、結腸がん、肺がん、前立腺がん、及び直腸がんを含む他のがん種の腫瘍に存在することも明らかにし、この事はこれらの2つの抗原を標的とすることは、HNSCC患者に恩恵をもたらすだけでなく、乳がん、結腸がん、肺がん、前立腺がん、及び直腸がんを患う患者にも利益をもたらす可能性があることを示した。
本発明者らは、それぞれOSCC及びNPCを標的とするMAGED4B特異的ペプチドワクチン及びFJX1特異的ペプチドワクチンを設計した。本発明者らは、それぞれMAGED4B由来及びFJX1由来のペプチドワクチンでOSCC患者及びNPC患者からのPBMCをパルスすることにより、標的がん細胞に対する細胞傷害性免疫応答を誘発できることを示した。しかし、腫瘍の不均一性、及びがん細胞が進行するにつれて抗原発現を失う可能性があること(Cecco et al.2011)から、治療法として単一の腫瘍抗原を標的にすることは常に不十分である。このような制限を克服するためには、複数の抗原を標的にしてより広範な免疫応答を誘導し、ほとんどの腫瘍の根絶を確実にし、抗原陰性クローンの選択を回避(Gerdemann et al.2011)すると同時に、より大きな患者コホートに恩恵があることが重要である。食道がん患者に関する以前の研究は、複数の抗原ペプチドワクチンが患者においてより強い免疫応答を誘発できることを示した。複数の抗原ペプチドワクチンに対するCTL応答を有する患者は、単一の抗原ペプチドに対するCTL応答を有する患者と比較して、全生存期間を改善する(Kono et al.2012)。現在の研究では、本発明者らは、MAGED4bとFJX1(PV1と命名)の両方のペプチドを組み合わせて、頭頸部がん患者を標的とする二重抗原ペプチドワクチンとしてのPV1の有効性の試験を試みた。
本発明者の結果から、二重抗原ワクチンPV1は単一のペプチドと比較して免疫原性が高いことが示された。二量体アッセイにおいて、M6又はF1ペプチドのみと比較した場合、より大きな固有T細胞集団がPV1を認識可能である。本発明者らは、T細胞のIFNγ及びグランザイムBを分泌する能力はインビトロでのペプチド刺激の前に減退したものの、細胞傷害性ELISPOTアッセイではIFNγ及びグランザイムBを分泌するT細胞集団レベルが増加することを観察した。PV1刺激後のIFNγ及びグランザイムB分泌は、単一のペプチドによる刺激と比較して、同じとはいかないまでも高かった。要約すると、頭頸部がんに対するMAGED4Bペプチド及びFJX1ペプチドの両方を含む二重抗原ペプチドの使用は、患者に恩恵をもたらすための更なる開発を余儀なくすることを当然とする。本発明者らは、非関連HIV−gagタンパク質ペプチドによるT細胞のプライミングについても観察し、T細胞から非特異的IFNγ及びグランザイムB分泌が誘導されることを観察した。Karlsson et al.2004によって以前に報告されたように、本発明者らは、この非特異的刺激は、インビトロでの刺激時に偽陽性応答を誘発する難溶性ペプチドによるものであると仮定した。したがって、難溶性のHIVペプチドは、ペプチド刺激後の細胞毒性ELISPOTアッセイの適切な非関連ペプチド対照とはなり得ない可能性がある。
重要なことには、本発明者のデータは、抗原発現レベルが高い患者のT細胞が再感作されやすく、PV1刺激に対する反応が良好であることを示した。この有望なデータは、PV1が抗原特異的に機能することを示しており、腫瘍上のMAGED4B又はFJX1の発現レベル又は存在に基づく患者スクリーニングは、PV1療法の重要な選択基準となり得る。
最近、2つの免疫チェックポイント阻害剤が、HNSCCの治療薬としてアメリカ食品医薬品局によって承認された。ニボルマブ(Nivolumab)(OPDIVO、Bristol−Myers Squibb Company社)は2016年11月に承認され、ペムブロリズマブ(Pembrolizumab)(KEYTRUDA、Merck&Co.、Inc.社)は2016年8月に承認が加速された。ただし、これらの薬剤を投与されたHNSCC患者の奏効率は、それぞれわずか13%(OPDIVO、Bristol−Myers Squibb Company社)(Ferris et al. 2016)及び16%(KEYTRUDA、Merck & Co., Inc.社)(アメリカ食品医薬品局、2016)であった。免疫の活性化と抑制の間のチェックとバランスを常に維持する免疫システムの複雑さにより(Chen L and Flies DB,2013)、免疫チェックポイント阻害剤のみを使用して免疫応答のブレーキを解除するだけでは、すでに減衰している患者の免疫システムを再活性化するには十分でないのかもしれない。腫瘍抗原に由来するがんワクチンなどの免疫原性免疫活性化因子との組み合わせは、エフェクターT細胞と制御性T細胞の比率を変更し、抗原特異的T細胞を増加させることにより、免疫応答をより効率的に活性化することが報告されている(Morse and Lyerly,2015、Mkrtichyan et al.2011、Avogadri et al.2014、Karyampudi et al.2014)。本発明者らによって実証されたように、二重抗原PV1ペプチドワクチンは免疫原性であり、HNSCC患者において抗腫瘍免疫応答を誘導することが可能であり、免疫チェックポイント阻害剤とPV1の組み合わせはHNSCC患者の奏効率を高める可能性があることを示唆している。
ただし、異なるペプチドはMHC分子に対して異なる結合親和性を有する可能性があるため、エピトープへの結合の競合を引き起こす可能性がある。したがって、FJX1ペプチドとMAGED4Bペプチドの両方のエピトープを確実に提示するためのより優れた製剤、又は身体の異なる部位に投与するなどのワクチン投与のより優れた戦略を検討し、さらなる調査が必要となる。全体として、本発明者らの結果は、単一のペプチドと比較して、PV1が同等のレベル以上の優れた性能を発揮したことを示した。FJX1又はMAGED4Bのいずれかを発現している腫瘍を持つHNSCC患者は、上記ワクチンの恩恵を受けることができる。本発明者らのデータは、PV1が乳がん、肺がん、前立腺がん、結腸がん、直腸がんなどの他のがん種の患者にも恩恵をもたらす可能性があることも示唆している。全身腫瘍組織量を制御するための十分な免疫応答及びPV1の有効性を生じさせる最適な用量は、現在、トランスジェニックインビボモデルを使用して評価中である。
実施例2
動物モデルでのPV1の評価
PV1は望ましくない炎症反応を増加させない
動物モデルを使用してPV1免疫原性を評価する前に、炎症反応を測定するGriessアッセイを使用して、M6及びF1ペプチドの毒性を評価した。マウスマクロファージ細胞株RAW264.7を、様々な濃度のM6ペプチド、F1ペプチド、又はPV1ペプチド(25μg/mL、50μg/mL、及び100μg/mL)で処理し、10%DMSO含有PBSを陰性対照として使用し、1ng/mLのリポ多糖類(LPS)を陽性対照として使用した。炎症の程度は、RAW264.7細胞によって産生される誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)のレベルに基づいて間接的に測定した。
図5(a)は、RAW264.7上のM6ペプチド又はF1ペプチドによって誘発される炎症の程度を示す。M6の存在下でのRAW264.7による亜硝酸塩の産生は、LPS刺激を受けたものより少なくとも7倍低かった(P<0.01)。放出された亜硝酸塩の量が陽性対照よりも10倍低かったF1治療群でも同じ傾向観察された(P<0.05)。これは、M6及びF1がiNOS発現のアップレギュレーションを刺激しないことを示唆し、これらの2つの標的ペプチドによって誘導される炎症の程度が低かったことをさらに示した。M6とF1をPV1として組み合わせると、PV1治療群のiNOS蓄積量はLPS治療群のiNOS蓄積量よりも有意に低いことが一貫して示された(10倍差、P<0.05)[図5(b)]。Griessアッセイの結果からは、PV1がインビトロで炎症を誘発しなかったことが示された。
PV1ワクチン接種は抗原特異的T細胞の活性化を増加させる
MAGED4Bペプチド6(M6)及びFJX1ペプチド1(F1)で構成される二重抗原PV1は、HNSCC患者から抽出した末梢血単核細胞(PBMC)を使用した試験により、免疫原性があることが示された。本研究は、トランスジェニックマウスモデルB6.Cg−Tg(HLA−A/H2−D)2Enge/Jを使用してPV1の免疫原性と有効性を評価することを目的としており、HLA−A2提示抗原に対するヒトT細胞免疫応答のモデリングを可能にする。
上記の表6に示すように、5つの異なる治療群でマウスに3週間連続してワクチン接種した(3回分投与)。4週目に、マウスを屠殺し、マウスの脾臓から免疫細胞を採取した。ワクチン接種したマウスのIFNγ分泌ペプチド特異的CD8T細胞の存在を、二量体アッセイを使用して決定し、媒体対照群と比較した。
結果から、PV1が免疫原性であることが示された。わずか500μgのPV1をワクチン接種した動物は、ビヒクル対照動物(5%DMSO含有リン酸緩衝生理食塩水(PBS))と比較して、PV1負荷二量体に対する高い認識を示した。ワクチン接種したマウスは、図6(a)に示すように、非負荷及び非関連ペプチド(HIV)負荷二量体に曝露された場合にベースライン/無視可能な応答を示したため、この応答はペプチド特異的である。
ELISPOTアッセイを使用して、本発明者らは、ワクチン接種後にペプチドを提示するがん細胞を殺傷するために細胞毒性機能を実行できるT細胞の集団を評価した。ワクチン接種した動物は、PV1を提示するT2細胞を認識し、用量依存的にこれらのT2細胞に対する殺傷活性を発揮することができ[図6(b)]、PV1ワクチン接種により、これらの動物におけるT細胞の認識が成功裏に増加したことを示唆している。
PV1は安全であり、ワクチン接種したマウスでは有害事象は観察されなかった。
ワクチン接種期間中、動物の体重を週に2回測定した。本発明者らは、全ての治療群において、4週間の免疫期間中に体重減少又は有害事象を観察しなかった[図7(a)]。
全ての治療群のマウスから採取した主要臓器(心臓、肺、腎臓、肝臓、及び脾臓)の病理学的報告では、全てのPV1治療マウスが正常範囲内にあることが示された。これらの動物では局所毒性は観察されなかった[図7(b)]。
PV1はマウスの腫瘍増殖を遅らせた
以前の免疫原性研究で、本発明者らは、PV1が500μgという低濃度で抗原特異的T細胞応答を誘導できることを示した。したがって、マウスの全身腫瘍組織量の減少におけるPV1の有効性を決定するために、1000μgのPV1を後続のアッセイで使用した。
AAD遺伝子及びMAGED4B遺伝子を発現する同系B16メラノーマ細胞を合計1×10個、マウスに移植した。腫瘍サイズが30〜50mmに達した後、マウスを2つの治療群にランダムに割り当てた。治療群には、PV1ペプチドを1000μg含むIFAを投与した。一方、ビヒクル対照群には、5%DMSO含有PBSを投与した。
腫瘍サイズを週に2回測定したところ、1000μgのPV1+IFAで処理したマウスは、ビヒクル対照(VC)群と比較して、腫瘍増殖遅延を示した(図8)。
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Claims (17)

  1. Four−jointed Box 1(FJX1)ペプチドと、メラノーマ抗原ファミリーD4b(MAGED4b)ペプチドと、を少なくとも含み、対象における抗がん免疫応答を誘導するための主要組織適合性複合体(MHC)クラスI分子と結合することを特徴とするペプチド組成物。
  2. 前記MHCクラスI分子が、ヒト白血球抗原A2(HLA−A2)分子である、請求項1に記載のペプチド組成物。
  3. 前記FJX1ペプチドが、配列番号1のペプチド配列を含む、請求項1に記載のペプチド組成物。
  4. 前記MAGED4bペプチドが、配列番号2の配列を含む、請求項1に記載のペプチド組成物。
  5. 前記ペプチド配列中の少なくとも1つのアミノ酸が欠失している、請求項3又は請求項4に記載のペプチド組成物。
  6. 前記ペプチド配列中の少なくとも1つのアミノ酸が置換されている、請求項3又は請求項4に記載のペプチド組成物。
  7. 前記ペプチド配列中に少なくとも1つのアミノ酸が挿入されている、請求項3又は請求項4に記載のペプチド組成物。
  8. 前記ペプチド組成物が、前記MHCクラスI分子と結合して、前記対象における前記抗がん応答を誘導するために、前記対象のサイトカイン分泌細胞を増加させる、請求項1に記載のペプチド組成物。
  9. 前記サイトカインが、インターフェロンガンマ(IFNγ)及びグランザイムB(Granzyme B)を含む、請求項8に記載のペプチド組成物。
  10. 前記抗がん免疫応答が、FJX1及び/又はMAGED4bががん細胞によって発現される場合に対象において誘導される、請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載のペプチド組成物。
  11. 前記がん細胞が、頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)細胞、乳がん細胞、結腸がん細胞、直腸がん細胞、肺がん細胞、及び前立腺がん細胞のうちいずれか1つであるか、又は2つ以上の組み合わせである、請求項10に記載のペプチド組成物。
  12. 請求項1〜請求項11のいずれか一項に記載のFJX1ペプチド及びMAGED4bペプチドを少なくとも含むワクチン。
  13. 前記ワクチンが、がん治療法と組み合わせて使用され得る、請求項12に記載のワクチン。
  14. 免疫チェックポイント阻害剤を含む、請求項13に記載のワクチン。
  15. 前記免疫チェックポイント阻害剤が、抗PD−1抗体を含む、請求項14に記載のワクチン。
  16. 前記抗がん免疫応答が、頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)、乳がん、結腸がん、直腸がん、肺がん、及び前立腺がんのうちいずれか1つ又は2つ以上の組み合わせに由来するがん細胞が前記対象において検出される場合に、誘導される、請求項13に記載のワクチン。
  17. 治療を必要とする対象における、頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)、乳がん、大腸がん、直腸がん、肺がん、又は前立腺がんのいずれか1つ又はその組み合わせを治療するための薬剤の製造における有効量のFour−jointed Box 1(FJX1)ペプチド及びメラノーマ抗原ファミリーD4b(MAGED4b)の使用であって、前記薬剤は主要組織適合性複合体(MHC)クラスI分子と結合して、前記対象において抗がん免疫応答を誘導することが可能である、前記使用。
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