JP2020514391A - 超長鎖多価不飽和脂肪酸、エロバノイドヒドロキシル化誘導体、および使用方法 - Google Patents

超長鎖多価不飽和脂肪酸、エロバノイドヒドロキシル化誘導体、および使用方法 Download PDF

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Abstract

オメガ−3超長鎖多価不飽和脂肪酸(n−3 VLC−PUFA)、および/またはエロバノイドとして知られているそれらの内因性ヒドロキシル化誘導体を含む、化合物、医薬組成物、美容組成物および皮膚用組成物、または栄養補助食品組成物が提供される。本開示は、神経保護、器官および組織の保護または回復、加齢に関係する疾患および状態の予防または減速、ならびに老齢化進行中での機能維持のための方法を提供する。

Description

関連出願の相互参照
本願は、それらの全体が参照により本明細書に援用される、2017年3月20日出願の米国仮特許出願の第米国仮特許出願第62/473,697号、および2017年12月22日出願の米国仮特許出願第62/609,531号の利益を主張する。
連邦政府による資金提供を受けた研究開発に関する記載
本発明は、アメリカ国立衛生研究所によって授与された契約番号第EY005121号および第GM103340号の下、政府の支援により作製された。政府は、本発明において、ある特定の権利を有する。
本開示の分野
本開示は、オメガ−3超長鎖多価不飽和脂肪酸(n−3 VLC−PUFA)、およびエロバノイドとして知られているそれらのヒドロキシル化誘導体に関係する、器官保護、疾患予防、健康回復、およびアンチエイジングの化合物、組成物、および使用方法に関する。
背景
ヒトの老齢化進行は回避不可能であるが、近年の発見は、恒常性を破壊する、および/あるいは細胞および組織の損傷を加速しかつ加齢に関係する疾患および状態の発現を促進する要因の同定を導いた。例えば、非代償性酸化ストレスへの長期間の曝露、損傷した細胞および細胞残屑の蓄積、ならびに細胞の修復および細胞クリアランスの遅延は、慢性炎症、癌、神経変性疾患、心血管疾患、脳血管疾患などの加齢に関係する状態および疾患の発現に関連する。恒常性を破壊し、細胞損傷および細胞死(細胞老化)を加速する重要な要因を低減することにより、加齢に関係する疾患および状態を予防または遅延させて、生活の質を改善し、ヒトの寿命を増加させることが可能である。
加齢に関係するおよび加齢に関係しない炎症、変性、神経変性、外傷性、皮膚性、および心血管疾患としては、全世界的に非常に多数の人々が冒されている多数の疾患が挙げられる。ほとんどの場合、これらの疾患ならびに関係する状態および障害は、治療が困難であり、生活の質の悪化および/または寿命の低減に至り、依然として主な満たされていない医学的必要性を残している。
本開示の範囲の炎症、変性、または神経変性の疾患および状態としては、異常なまたは調節不全の炎症応答によって恒常性が破壊されている急性および慢性障害が挙げられる。これらの状態は、非代償性酸化ストレス、キモカイン、サイトカイン、血液/組織関門の破損、自己免疫疾患、細胞中にカルシウムが過剰に含まれるカルシウム調節異常、ミトコンドリア調節異常、遺伝的感受性である遺伝的要因、遺伝子多型もしくは遺伝性状態、エピゲノム修飾、または白血球、単球/マクロファージ、ミクログリア、アストロサイト、もしくは過剰な量の細胞傷害促進を誘発する実質細胞、細胞および/もしくは器官恒常性の炎症促進/撹乱物質に関わる他の状態を含む、数々の炎症要因によって開始および媒介される。これらの疾患は、皮膚、筋肉、胃、腸、肝臓、腎臓、肺、眼、耳、および脳を含む、広範な組織および器官に生じる。これらの疾患は、副腎皮質ステロイド、非ステロイド性抗炎症薬物、TNFモジュレーター、COX−2阻害物質などの抗炎症剤によって現在治療されている。
全身性炎症または変性疾患および状態は、心臓、筋肉、胃、腸、肝臓、腎臓、および肺などの重要な器官に影響を及ぼし得、関節リウマチ、アテローム性動脈硬化、および狼瘡などの加齢に関係する慢性的な炎症性疾患に至る場合がある。
眼部の炎症または変性疾患および状態は、典型的には、角膜、視神経、線維柱帯、および網膜に影響を及ぼす。有効な予防または治療なしでは、緑内障、白内障、糖尿病網膜症、および加齢黄斑変性(AMD)などの視力を失う眼疾患に至る場合がある。
アルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症、虚血性脳卒中、外傷性脳傷害、てんかん、筋萎縮性側索硬化症などの脳に関係する炎症、変性、または神経変性の疾患および状態は、多くの場合、早老、認知機能不全、および死を引き起こす。
皮膚炎症または変性疾患および状態は、多くの場合、日焼け、または皮膚炎症(皮膚炎または湿疹)、アトピー性皮膚炎(アトピー性湿疹)、乾燥肌を含む他の要因からの皮膚損傷から、または過剰なふけを生じる皮膚の異常な細胞増殖から生じる。日焼けまたは他の要因からの皮膚損傷は、湿疹、乾癬、アトピー性皮膚炎、または神経皮膚炎などの多数の疾患および状態と関連し、紫外線への曝露および他の種類の接触皮膚炎によって生じ得る。加えて、ある特定の全身性疾患および状態から生じるそう痒症は、様々な炎症および他の種類の刺激からの皮膚のかゆみを誘発し、掻く必要が生じ、それによりさらなる皮膚損傷または皮膚外観の変化に至る場合がある。
非常に進歩したにもかかわらず、多くの場合、器官損傷、慢性疾患、および老齢化の加速に至る、炎症、神経炎症、変性または神経変性の疾患および状態の病態生理学に関する理解は、依然としてよく理解されていない。したがって、器官保護、加齢に関係する疾患および状態の予防、ならびに全体的な健康回復は、依然として主な満たされていない医学的必要性を残している。また、炎症、神経炎症、過剰増殖性、または乾燥肌状態からの皮膚組織の有効な保護は、手付かずである。具体的には、皮膚損傷、皮膚外観の変化、および皮膚老齢化の病態生理学に関しては、依然として明らかには理解されていない。身体の最も大きな器官である皮膚は、保護および支持を提供し、ヒトの全体的な外観および幸福感における重要な役割を果たしている。
皮膚健康、皮膚機能、および皮膚外観の全体的な重要性を考慮すると、皮膚の保護および全体的な皮膚健康のための方法の開発に、多くの労力が注がれている。最新の治療は、多くの場合、多くの種類の皮膚損傷を有効に予防または治療することができず、また皮膚の菲薄化および筋力低下などの副作用も有する、副腎皮質ステロイドの経皮送達、またはビタミン、ミネラル、もしくはハーブ成分を含有するオイルおよびローションの使用に関与している。そのような調製物は、いくらかの保護を提供することができるが、有効に損傷した皮膚を保護し、皮膚損傷を予防し、皮膚健康を回復し、皮膚外観を改善し、皮膚老齢化を遅延させる、化合物、組成物、および方法を開発する必要性は満たされていない。
本開示はまた、器官保護、疾患予防、健康回復、栄養向上、およびアンチエイジングのこれまで知られていなかった化合物、組成物、および方法に関する。具体的には、本開示は、疾患発現に直面したときの、細胞および器官機能の保護、健康的な組織および器官の回復、老齢化の遅延、ならびに加齢に関係する疾患および状態の予防に関する。本開示はまた、炎症、変性、神経変性、外傷性、心血管、加齢に関係する疾患および状態を含む、広範な疾患および状態の治療または予防、ならびに日光への曝露、老齢化、または他の原因の結果として損傷した皮膚または回復した皮膚の予防および治療に関する。
オメガ−3長鎖多価不飽和脂肪酸20または22炭素オメガ−3多価不飽和脂肪酸(n−3またはn3 PUFA)、すなわちエイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、またはドコサペンタエン酸(DPA)の抗炎症および消炎症効果の発見により、これらの有益な脂質分子およびある特定の種類のそれらの酵素的ヒドロキシル化誘導体は、治療目的で、ならびに重度の炎症の予防および管理のための栄養補助食品または健康補助食品としてますます使用されている。
本開示は、少なくとも23個の炭素原子の炭素鎖を含有するオメガ−3超長鎖多価不飽和脂肪酸化合物(n3 VLC−PUFA)のこれまで知られていなかった有益な効果に関する。
本開示はまた、n3 VLC−PUFAが、これまで知られていなかった生物活性、炎症応答の有益なモジュレーターとしての機能を呈し、破壊された機能の回復を促進する、エロバノイドとして知られる治療的に有益なヒドロキシル化誘導体に内因的に変換されるという、これまで知られていなかった所見に関する。
要するに、本開示は、予防的、保護的、回復的、治療的、または栄養的用途に使用するためのオメガ−3超長鎖多価不飽和脂肪酸(n3 VLC−PUFAまたはn−3 VLC−PUFA)、およびそれらのヒドロキシル化誘導体(エロバノイド)に関与する化合物、組成物、および方法に関する。
本開示の概要
オメガ−3超長鎖多価不飽和脂肪酸(n3 VLC−PUFA)、および/またはエロバノイドとして知られているそれらの内因性ヒドロキシル化誘導体を含む、化合物、医薬組成物、美容組成物および皮膚用組成物、または栄養補助組成物が提供される。本開示は、神経保護、器官および組織の保護または回復、加齢に関係する疾患および状態の予防または減速、ならびに老齢化進行中での機能維持のための方法を提供する。
n3 VLC−PUFAは、エロバノイド(ELV)と名付けられた、これまで知られていなかった種類のいくつかのVLC−PUFA ヒドロキシル化誘導体にインビボで変換され、機能的統合性が破壊されている組織および器官を保護し、これらの進行性の損傷を予防することが可能である。
脳および網膜の神経性細胞および組織におけるn3 VLC−PUFAは、神経性ストレス状態に応答して局所的に放出され、局所的な神経保護を提供して神経の生残を確実にするエロバノイドに、酵素により変換される。
加齢に関係する細胞老化は、n3 VLC−PUFAに関係するある特定の化合物およびそれらの対応するエロバノイド(ELV)を提供することにより、有効に抑制することができる。したがって、本開示は、健康を揺るがす状態ならびに加齢に関係する疾患および状態の予防および治療に関する。具体的には、本開示は、重要な組織および器官の機能および統合性を保護し、これらを脅かす障害を予防し、老齢化の加速を予防し、細胞老化を遅延させる化合物、組成物、および方法を提供する。
本開示は、持続性の炎症、傷害、または外傷がきっかけとなる、多くの器官の撹乱からの保護、予防、および治療を促進することができる化合物、組成物、および方法を提供する。
したがって、本開示の1つの態様は、少なくとも23個の炭素原子をその炭素鎖内に有する少なくとも1つのオメガ−3超長鎖多価不飽和脂肪酸を含む、組成物の実施形態を包含する。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも23個の炭素原子をその炭素鎖内に有する、少なくとも1つのn3 VLC−PUFAを含み、n3 VLC−PUFAは、カルボン酸、カルボン酸エステル、カルボン酸塩、またはリン脂質誘導体の形態であり得る。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、n3 VLC−PUFA化合物は、式AまたはB:
Figure 2020514391
からなる群から選択され得、式中、mは0〜19であり得かつ−CO−ORはカルボン酸基またはその塩もしくはエステルであり得、かつここで、−CO−ORはカルボン酸基であり得かつ化合物AまたはBがそれらの塩であり得る場合にその塩のカチオンは医薬的に許容可能なカチオンであり得、かつ−CO−ORがエステルの場合にRはアルキル基であり得る。
いくつかの他の実施形態では、本開示の、n3 VLC−PUFA化合物は、mが0〜19であり得る式C、D、E、またはF:
Figure 2020514391
からなる群から選択される、リン脂質の形態であり得る。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、組成物は、医薬的に許容可能な担体をさらに含み得、かつ、レシピエント対象の組織の病理学的状態またはレシピエント対象の組織の病理学的状態の発現を低減するのに有効な量の少なくとも1つのオメガ−3超長鎖多価不飽和脂肪酸を送達するために製剤化され得る。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、病理学的状態は、レシピエント対象の組織の老齢化または炎症であり得る。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、組成物は、レシピエント対象の皮膚に少なくとも1つの超長鎖多価不飽和脂肪酸組織を局所的に送達するために製剤化することができる。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、病理学的状態は、レシピエント対象の神経学的組織の病理学的状態であり得る。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも1つの栄養成分をさらに含み得、かつ組成物は、レシピエント対象に少なくとも1つの超長鎖多価不飽和脂肪酸を経口的または非経口的に送達するために製剤化することができる。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、少なくとも1つのオメガ−3超長鎖多価不飽和脂肪酸は、約26個〜約42個の炭素原子をその炭素鎖内に有し得る。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、少なくとも1つのオメガ−3超長鎖多価不飽和脂肪酸が、32個または34個の炭素原子をその炭素鎖内に有し得る。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、オメガ−3超長鎖多価不飽和脂肪酸は、5個または6個の交互の二重結合をシス型でその炭素鎖内に有し得る。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、オメガ−3超長鎖多価不飽和脂肪酸は、14Z,17Z,20Z,23Z,26Z,29Z)−ドトリアコンタ−14,17,20,23,26,29−ヘキサエン酸、または(16Z,19Z,22Z,25Z,28Z,31Z)−テトラトリアコンタ−16,19,22,25,28,31−ヘキサエン酸である。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、少なくとも1つのオメガ−3超長鎖多価不飽和脂肪酸は、14Z,17Z,20Z,23Z,26Z,29Z)−ドトリアコンタ−14,17,20,23,26,29−ヘキサエン酸、または(16Z,19Z,22Z,25Z,28Z,31Z)−テトラトリアコンタ−16,19,22,25,28,31−ヘキサエン酸であり得る。
本開示の別の態様は、少なくとも23個の炭素原子をその炭素鎖内に有する少なくとも1つのエロバノイドを含む組成物の実施形態を包含する。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、組成物は、医薬的に許容可能な担体をさらに含み得、かつレシピエント対象の組織の病理学的状態を低減するのにまたはレシピエント対象の組織における老齢化の少なくとも1つの影響を遅延させるのに有効な量の少なくとも1つのエロバノイドを送達するために製剤化することができる。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、病理学的状態は、レシピエント対象の組織の老齢化または炎症であり得る。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、組成物は、レシピエント対象の皮膚に少なくとも1つのエロバノイドを局所的に送達するために製剤化することができる。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、病理学的状態は、レシピエント対象の神経学的組織の病理学的状態であり得る。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも1つの栄養成分をさらに含むことができ、かつ組成物は、レシピエント対象に少なくとも1つのエロバノイドを経口的または非経口的に送達するために製剤化することができる。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、少なくとも1つのエロバノイドは、モノヒドロキシル化エロバノイド、ジヒドロキシル化エロバノイド、アルキニルモノヒドロキシル化エロバノイド、およびアルキニルジヒドロキシル化エロバノイド、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され得る。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、少なくとも1つのエロバノイドは、エロバノイドの組み合わせであり得、この組み合わせは、モノヒドロキシル化エロバノイドおよびジヒドロキシル化エロバノイド;モノヒドロキシル化エロバノイドおよびアルキニルモノヒドロキシル化エロバノイド;モノヒドロキシル化エロバノイドおよびアルキニルジヒドロキシル化エロバノイド;ジヒドロキシル化エロバノイドおよびアルキニルモノヒドロキシル化エロバノイド;ジヒドロキシル化エロバノイドおよびアルキニルジヒドロキシル化エロバノイド;モノヒドロキシル化エロバノイド、ジヒドロキシル化エロバノイド、およびアルキニルモノヒドロキシル化エロバノイド;モノヒドロキシル化エロバノイド、ジヒドロキシル化エロバノイド、およびアルキニルジヒドロキシル化エロバノイド;ならびにモノヒドロキシル化エロバノイド、ジヒドロキシル化エロバノイド、およびアルキニルモノヒドロキシル化エロバノイド アルキニルジヒドロキシル化エロバノイドからなる群から選択され、各エロバノイドは独立して、ラセミ混合物、単離されたエナンチオマー、または、1つのエナンチオマーの量が別のエナンチオマーの量よりも多いエナンチオマーの組み合わせであり、かつ各エロバノイドは独立して、ジアステレオマー混合物、単離されたジアステレオマー、または、1つのジアステレオマーの量が別のジアステレオマーの量よりも多いジアステレオマーの組み合わせである。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、モノヒドロキシル化エロバノイドは、式G、H、I、またはJ:
Figure 2020514391
からなる群から選択され得、式中、mは0〜19であり得かつ−CO−ORはカルボン酸基またはその塩もしくはエステルであり得、かつここで、−CO−ORはカルボン酸基であり得かつ化合物式G、H、I、またはJがそれらの塩であり得る場合にその塩のカチオンは医薬的に許容可能なカチオンであり得、かつ−CO−ORがエステルの場合にRはアルキル基であり得る。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、組成物は、等モル量のエナンチオマーGおよびHを含み得、エナンチオマーは、ヒドロキシル基を担持しているn−6炭素において(S)または(R)キラリティを有する。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、組成物は、量のエナンチオマーIおよびJを含み得、エナンチオマーは、ヒドロキシル基を担持しているn−6炭素において(S)または(R)キラリティを有する。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、組成物は、GまたはHの一方のエナンチオマーをGまたはHの他方のエナンチオマーの量を超える量で含み得る。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、組成物は、IまたはJの一方のエナンチオマーをIまたはJの他方のエナンチオマーの量を超える量で含み得る。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、ジヒドロキシル化エロバノイドは、式K、L、M、およびN:
Figure 2020514391
からなる群から選択され得、式中、mは0〜19であり得かつ−CO−ORはカルボン酸基またはその塩もしくはエステルであり得、かつここで、−CO−ORはカルボン酸基であり得かつ化合物K、L、M、またはNがそれらの塩であり得る場合にその塩のカチオンは医薬的に許容可能なカチオンであり得、かつ−CO−ORがエステルであり得る場合にRはアルキル基であり得、かつここで、化合物KおよびLは各々、n−3、n−7、n−15、およびn−18の位置で開始する4つのシス炭素−炭素二重結合を有しn−9およびn−11の位置で開始する2つのトランス炭素−炭素二重結合を有する炭素鎖内に、合計23個〜42個の炭素原子を有し、かつ化合物MおよびNは各々、n−3、n−7、およびn−15の位置で開始する3つのシス炭素−炭素二重結合を有しn−9およびn−11の位置で開始する2つのトランス炭素−炭素二重結合を有する炭素鎖内に、合計23個〜42個の炭素原子を有する。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、組成物は、等モル量のジアステレオマーKおよびLを含み得、ジアステレオマーは、n−6の位置において(S)または(R)キラリティのいずれか、およびn−13の位置において(R)キラリティを有する。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、組成物は、等モル量の1つ以上のジアステレオマーKおよびLを含み得、ジアステレオマーは、n−6の位置において(S)または(R)キラリティのいずれか、およびn−13の位置において(S)または(R)キラリティのいずれかを有する。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、組成物は、KまたはLの一方のジアステレオマーをKまたはLの他方のジアステレオマーの量を超える量で含み得る。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、組成物は、等モル量のジアステレオマーMおよびNを含み得、ジアステレオマーは、n−6の位置において(S)または(R)キラリティのいずれか、およびn−13の位置において(R)キラリティを有する。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、組成物は、等モル量の1つ以上のジアステレオマーMおよびNを含み得、ジアステレオマーは、n−6の位置において(S)または(R)キラリティのいずれか、およびn−13の位置において(S)または(R)キラリティのいずれかを有する。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、組成物は、MまたはNの一方のジアステレオマーをMまたはNの他方のジアステレオマーの量を超える量で含み得る。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、アルキニルモノヒドロキシル化エロバノイドは、式O、P、Q、またはR:
Figure 2020514391
からなる群から選択され得、式中、mは0〜19であり得かつ−CO−ORはカルボン酸基またはその塩もしくはエステルであり得、かつここで、−CO−ORはカルボン酸基であり得かつ化合物O、P、Q、またはRがそれらの塩であり得る場合にその塩のカチオンは医薬的に許容可能なカチオンであり得、かつ−CO−ORがエステルであり得る場合にRはアルキル基であり得、かつここで、化合物OおよびPは各々、n−3、n−12、n−15、およびn−18で開始する位置に位置する4つのシス炭素−炭素二重結合を有しn−7の位置で開始する1つのトランス炭素−炭素二重結合とn−9の位置で開始する1つの炭素−炭素三重結合とを有する炭素鎖内に、合計23個〜42個の炭素原子を有し、かつ化合物QおよびRは各々、n−3、n−12、およびn−15の位置で開始する3つのシス炭素−炭素二重結合を有しn−7の位置で開始する1つのトランス炭素−炭素二重結合とn−9の位置で開始する1つの炭素−炭素三重結合とを有する炭素鎖内に、合計23個〜42個の炭素原子を有する。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、組成物は、等モル量のエナンチオマーOおよびPを含み得、エナンチオマーは、ヒドロキシル基を担持しているn−6炭素において(S)または(R)キラリティを有する。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、組成物は、等モル量のエナンチオマーQおよびRを含み得、エナンチオマーは、ヒドロキシル基を担持しているn−6炭素において(S)または(R)キラリティを有する。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、組成物は、OまたはPの一方のエナンチオマーをOまたはPの他方のエナンチオマーの量を超える量で含み得る。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、組成物は、QまたはRの一方のエナンチオマーをQまたはRの他方のエナンチオマーの量を超える量で含み得る。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、エロバノイドは、式S、T、U、またはV:
Figure 2020514391
からなる群から選択されるアルキニルジヒドロキシル化エロバノイドであり得、式中、mは0〜19であり得かつ−CO−ORはカルボン酸基またはその塩もしくはエステルであり得、かつここで、−CO−ORはカルボン酸基であり得かつ化合物S、T、U、またはVがそれらの塩であり得る場合にその塩のカチオンは医薬的に許容可能なカチオンであり得、かつ−CO−ORがエステルであり得る場合にRはアルキル基であり得、かつここで、化合物SおよびTは各々、n−3、n−15、およびn−18で開始する位置に位置する3つのシス炭素−炭素二重結合を有しn−9およびn−11で開始する位置に位置する2つのトランス炭素−炭素二重結合とn−7の位置で開始する1つの炭素−炭素三重結合とを有する炭素鎖内に、合計23個〜42個の炭素原子を有し、かつ化合物UおよびVは各々、n−3およびn−15の位置で開始する2つのシス炭素−炭素二重結合を有しn−9およびn−11で開始する位置に位置する2つのトランス炭素−炭素二重結合とn−7の位置で開始する1つの炭素−炭素三重結合とを有する炭素鎖内に、合計23個〜42個の炭素原子を有する。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、組成物は、等モル量のジアステレオマーSおよびTを含み得、ジアステレオマーは、n−6の位置において(S)または(R)キラリティのいずれか、およびn−13の位置において(R)キラリティを有する。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、組成物は、等モル量の1つ以上のジアステレオマーSおよびTを含み得、ジアステレオマーは、n−6の位置において(S)または(R)キラリティのいずれか、およびn−13の位置において(S)または(R)キラリティのいずれかを有する。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、組成物は、SまたはTの一方のジアステレオマーをSまたはTの他方のジアステレオマーの量を超える量で含み得る。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、組成物は、等モル量のジアステレオマーUおよびVを含み得、ジアステレオマーは、n−6の位置において(S)または(R)キラリティのいずれか、およびn−13の位置において(R)キラリティを有する。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、組成物は、等モル量の1つ以上のジアステレオマーUおよびVを含み得、ジアステレオマーは、n−6の位置において(S)または(R)キラリティのいずれか、およびn−13の位置において(S)または(R)キラリティのいずれかを有する。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、組成物は、UまたはVの一方のジアステレオマーをUまたはVの他方のジアステレオマーの量を超える量で含み得る。
ある特定の有利な実施形態では、本開示は、神経保護、器官保護、および組織保護に好適な、効力のある神経保護、組織保護、および神経回復作用を与える目的で、少なくとも1つの提供される化合物、および/または提供される組成物を有効な量で提供する。
他の実施形態では、本開示は、日光または他の原因によって損傷されたか、または皮膚老齢化によって影響を受けた皮膚の有効な保護、予防、または治療のための、化合物、および皮膚用組成物、または美容組成物を提供する。提供される化合物、組成物、および方法は、皮膚細胞の生残およびその正常な機能を誘発し、皮膚を保護し、皮膚健康および皮膚外観を改善し、皮膚老齢化を遅延させる。
本開示は、皮膚疾患、網膜疾患、心血管疾患、胃腸/肝臓疾患、および脳疾患へ適用するための、化合物、組成物、および方法に焦点を当てている。提供される化合物および組成物の独特な構造、生合成、および機能は、当初、以下の図に要約されるように、脳および網膜において研究されていた。本開示のさらなる態様は、添付の図面と併せて以下に記載の様々な実施形態の詳細な説明を考察すると、容易に理解されるであろう。
オメガ−3(n−3またはn3)超長鎖多価不飽和脂肪酸(n3 VLC−PUFA)からのエロバノイド(ELV)の仮定的な生合成のスキームを概略的に示している。 n3 VLC−PUFAの仮定的な生合成のスキームを概略的に示している。 図3A〜3Kは、培養された初代ヒト網膜色素上皮細胞(RPE)からのエロバノイドELV−N32およびELV−N34の生成および構造的特徴を示している。図3Aは、各々が立体化学的に純粋な形態で調製された、中間体(1、2、および3)からのELV−N32およびELV−N34の合成のスキームを概略的に示している。エナンチオマー的に純粋なエポキシド出発材料を使用することによって、中間体2および3の立体化学を、事前に定義した。中間体1、2、および3の繰り返しカップリングを介して最終ELV(4)を組み立て、メチルエステル(Me)またはナトリウム塩(Na)として単離した。図3Bは、ELV−N32を標準物質として示している、C32:6n3、内因性モノヒドロキシ−C32:6n3、およびELV−N32の溶出プロファイルを示している。ELV−N32のMRMは、標準物質ELV−N32の溶出するときのピークよりも早い2つの大きな溶出ピークを示し、同じ断片化パターン(挿入されているスペクトルに示される)を示し、それらが異性体であることを示唆している。図3Cは、ELV−N32およびELV−N34の完全な娘分子のスキャンのクロマトグラムを示している。図3Dは、ELV−N32の断片化パターンを示している。図3Eは、C34:6n3およびELV−N34の溶出プロファイルを示している。図3Fは、内因性ELV−N34のUVスペクトルを示し、275nmでλmax、268および285nmでショルダーを有する、NPD1に類似するトリエンの特色を示している。図3Gは、ELV−N32の断片化パターンを示している。図3Hは、内因性ELV−N32の完全な断片化スペクトルを示している。図3Iは、ELV−N32標準物質を示し、標準物質からの全ての主なピークが内因性ピークに一致することを示している。しかしながら、内因性ELV−N32は、標準物質には現れないより多くの断片を有し、異なる異性体を含んでいることを示唆している。図3Jは、標準物質ELV−N34に一致する内因性ELV−N34ピークの完全な断片化スペクトルを示している。図3Kは、ELV−N34異性体の存在を示している。 図4A〜4Kは、神経性細胞培養物からのエロバノイドELV−N32およびELV−N34の構造的特徴を示している。大脳皮質を混合した神経性細胞を、各々OGD条件下で10μΜの32:6n3および34:6n3と培養した。図4Aは、各々が立体化学的に純粋な形態で調製された、中間体(a、b、およびc)からのELV−N32およびELV−N34の合成のスキームを概略的に示している。エナンチオマー的に純粋なエポキシド出発材料を使用することによって、中間体bおよびcの立体化学を、事前に定義した。中間体a、b、およびcの繰り返しカップリングを介して最終ELV(d)を組み立て、メチルエステル(Me)またはナトリウム塩(Na)として単離した。図4Bは、挿入図に、32:6n3、内因性モノヒドロキシ−32:6、ELV−N32、およびELV−N32標準物質を示している。ELV−N32のMRMは、標準物質ELV−N32が溶出するときのピークよりも早い2つの大きな溶出ピークを示しているが、それらは同じ断片化パターンを示し、それらが異性体であることを示唆している。図4Cは、図4Aと同じ特色が、34:6n3およびELV−N34に示されたことを示している。図4Dは、内因性ELV−N32のUVスペクトルは、トリエンの特色を示しているが、これらはこの濃度では一定でないことを示している。図4Eは、内因性ELV−N32の完全な断片化スペクトルを示している。図4Fは、内因性ELV−N34のUVスペクトルを示し、275nmでλmax、268および285nmでショルダーを有する、NPD1に類似するトリエンの特色を示している。図4Gは、内因性ELV−N34の断片化パターンを示している。図4Hは、内因性ELV−N32の完全な断片化パターンを示している。図4Iは、ELV−N34標準物質を示し、標準物質からの全ての主なピークが内因性ピークと一致しているが、完璧な一致ではなく、内因性ELV−N34が、標準物質には現れないより多くの断片を有することを示し、異性体を含有し得ることを示唆している。図4Jは、ELV−N34の完全な断片化スペクトルを示し、内因性ELV−N34ピークは、標準物質ELV−N34に一致している。図4Kは、示唆されるELV−N34異性体の存在を示している。 図5Aおよび5Bは、神経性細胞培養物中のELV−N32およびELV−N34の検出を示している。OGD条件下で、細胞を各々5μΜのC32:6n3およびC34:6n3と培養した。図5Aは、VLC−PUFA C32:6n3、内因性27−ヒドロキシ−32:6n3、内因性27,33−ジヒドロキシ−32:6n3(ELV−N32)、および立体制御した全有機合成を介した立体化学的に純粋な形態で調製した合成ELV−N32を示している。内因性ELV−N32のMRMは、合成ELV−N32標準物質のMRMと良好に一致している。図5Bは、ELV−N34のMRMよりも多いピークを有する同じ特色が、図5AのC34:6n3およびELV−N34に見られたことを示し、異性体の可能性を暗示している。 図6Aは、特異的マーカーZO−1(閉鎖帯−1)、RPE65、MITF(小眼球症関連転写因子)、およびβ−カテニンを使用する初代ヒトRPE細胞の免疫染色の共焦点画像を示している。図6Bは、培養中の異なる継代の初代ヒトRPE細胞の形態を示す、光学顕微鏡画像を示している。倍率バー、50μm。 図7A〜7Lは、UOS下でのヒトRPE細胞中の32:6n3および34:6n3による細胞保護を示している。図7Aは、ヒトRPE細胞(ARPE−19細胞)中のC32:6n3およびC34:6n3の、濃度に依存する抗アポトーシス作用を示している。12−ウェルプレート中のコンフルエント(80%)ARPE−19細胞を8時間血清欠乏させ、UOSを誘発し、次いで50〜500nMのC32:6n3または34:6n3遊離酸で16時間チャレンジした。処理した細胞を採取し、ヘキスト陽性の核濃縮細胞を検出した。データは、3つの独立した実験の、15ウェルでのヘキスト陽性の核濃縮細胞の数の平均である。図7Bは、DHA(100nM)と32:6n3および34:6n3(各250nM)との、16時間の細胞保護の比較を示している。血清欠乏させたARPE−19細胞にUOSを導入し、図7Aに記載のようにアポトーシス細胞死を検出した。結果は、3つの独立した実験の平均である。図7Cは、UOS下でのRPE中のC32:6n3およびC34:6n3によるSIRT1のアップレギュレーションを示している。UOSの影響下でのRPE中のC32:6n3およびC34:6n3に対するPD146176、15−LOX−1阻害物質の効果は、SIRT1のアップレギュレーションを誘発した。明記されない限り、結果は、3つの独立した実験(各実験に9ウェル)の平均である。図7Dは、15−LOX−1阻害物質PD146176が、UOS下でのRPE細胞中のC32:6n3またはC34:6n3によって誘発されたIdunaのアップレギュレーションを減衰させることを示している。図7E〜7Iは、UOS下でのARPE−19細胞への、C32:6n3またはC34:6n3の抗アポトーシスタンパク質およびアポトーシス促進タンパク質への効果を示している。UOS下でのARPE−19細胞への、上記のタンパク質のアップレギュレーションおよびダウンレギュレーションへのC32:6n3およびC34:6n3の効果の、ウェスタンブロット検出。図7Eは、抗アポトーシスタンパク質Bcl−2へのC32:6n3またはC34:6n3の効果を示している。図7Fは、抗アポトーシスタンパク質Bc−xLへのC32:6n3またはC34:6n3の効果を示している。図7Gは、アポトーシス促進タンパク質BaxへのC32:6n3またはC34:6n3の効果を示している。図7Hは、アポトーシス促進タンパク質BimへのC32:6n3またはC34:6n3の効果を示している。図7Iは、アポトーシス促進タンパク質BidへのC32:6n3またはC34:6n3の効果を示している。図7Jは、UOS下でのRPE細胞中の、C32:6n3およびC34:6n3による、濃度に依存する(100および250nM)、阻害(1型)のアップレギュレーションを示している。図7Kは、初代ヒトRPE細胞生残率へのNPD1(200nM)、C32:6n3、またはC34:6n3(3μΜ)の効果を示している。図7Lは、10μΜのPD146176の存在下での、初代ヒトRPE細胞におけるC32:6n3またはC34:6n3による細胞保護を示している。エラーバー、SEM;*p<0.05。 図8Aは、(パネルa〜d)VLC−PUFA 32:6n3および34:6n3が、非代償性酸化ストレス(UOS)によって誘発された初代ヒトRPE細胞死を改善することを示している。パネルa:未処理(対照)RPE細胞;パネルb:16時間のUOSを行ったRPE細胞;パネルc:16時間のUOS+32:6n3のRPE細胞;パネルd:16時間のUOS+34:6n3のRPE細胞。32:6n3または34:6n3が添加されると、細胞死が予防された(パネルcおよびd)。細胞培養物の典型的な領域を各パネルの右側画像に表している。核をヘキスト染色で標識し、死細胞をハイライト表示している。これらを、強度閾値アルゴリズムを使用して分離し、Image Jマクロ(左欄)を使用して数えた。図8Bは、生細胞(対照細胞)および死細胞(UOS細胞)の定量化は、核のサイズに基づいて示している。エラーバー、SEM;*p<0.05。図8Cは、32:6n3または34:6n3を添加すると、細胞死が予防されたことを示している。 図9A〜9Cは、15−LOX−1阻害物質が、32:6n3および34:6n3によって媒介された、UOSに対する初代ヒトRPE細胞の細胞保護を改変しなかったことを示している。血清枯渇させた初代ヒトRPE細(図9A、パネルaおよびb)、および低血清の初代ヒトRPE細胞(図9A、パネルcおよびd)を、15−リポキシゲナーゼ−1(15−LOX−1)阻害物質(10マイクロモル、PD146176)と1時間培養し、次いで16時間酸化ストレス(H/TNFα)を施して、アポトーシスを誘発した(図9A、パネルa〜d、図9C)。32:6n3および34:6n3の追加は、ヒトRPE細胞(図9A、パネルbおよびd、図9C)を細胞死から保護した。細胞培養物の典型的な領域を、図9A、パネルa〜d、右欄に表している。核をヘキスト染色で標識し、死細胞をハイライト表示している。これらを、強度閾値アルゴリズムを使用して分離し、Image Jマクロを使用して数えた(図9A、パネルa〜d、左欄)。図9Bは、生細胞(対照細胞)および死細胞(UOS細胞)の定量化は、核のサイズに基づいて示している。エラーバー、SEM;*p<0.05。 図10A〜10Hは、ELV−N32およびELV−N34は、恒常性促進タンパク質を多量に向上させ、UOS下でのRPE細胞中の細胞損傷タンパク質を多量に減少させることを示している。図10Aは、UOS下での、濃度に依存する(100および250nM)ARPE−19細胞中のSIRT1のアップレギュレーションを示している。結果は、3つの独立した実験の平均である。図10Bは、UOS下でのRPE細胞中のELV−N32およびELV−N34によって誘発されたIdunaのアップレギュレーションへの、PD146176の効果を示している。図10Cは、UOS下でのRPE細胞中のELV−N32およびELV−N34の細胞保護能力を示している。リポキシゲナーゼ阻害物質のアポトーシス阻害への効果。図10Dは、UOS下でのARPE−19細胞中の抗アポトーシスタンパク質Bcl−2、Bcl−xL、およびアポトーシス促進タンパク質Baxへの、ELV−N32 NaまたはELV−N32 Meの効果を示している。図10Eは、UOS下でのRPE中のアポトーシス促進タンパク質Bim(e)の誘発への、ELV−N32 NaまたはELV−N32 Me、およびELV−N34 NaまたはELV−N34 Meの効果の比較を示している。図10Fは、UOS下でのRPE中のアポトーシス促進タンパク質Bid(f)の誘発への、ELV−N32 NaまたはELV−N32 Me、およびELV−N34 NaまたはELV−N34 Meの効果の比較を示している。図10Gは、ARPE−19細胞中のUOSによって誘発されたアポトーシスの、濃度に依存する(50、100、250、および500nM)ELV−N32 NaまたはELV−N34 Meによる低減を示している。図10Hは、UOS下でのARPE−19細胞中のELV−N32またはELV−N34によるプロヒビチン(1型)のアップレギュレーションが、濃度に依存する(100および250nM)ことを示している。エラーバー、SEM;*p<0.05。 図11A〜11Dは、アディポネクチン受容体1の遺伝子除去は、網膜中のVLC−PUFAおよびその誘導体の枯渇に至ることを示している。図11Aは、食事によるDHA、または食事に由来する18:3n3が、肝臓によって供給され、AdipoR1によって捕捉され、続いてPRCの内節でELOVL4によってVLC−PUFAへ伸張され、DHAも含有するホスファチジルコリン分子種へ組み込まれることを示している。毎日のPRC外節の再生中、これらのホスファチジルコリン分子種は、ロドプシンと相互作用し、放出および食作用の後、RPE細胞の一部となる。UOSまたは他の恒常性撹乱物質は、VLC−PUFA放出のきっかけとなる。それぞれヒドロペルオキシ形態、次いでELV−N32またはELV−N34を生成するC32:6n3およびC34:6n3を示している。図11Bは、AdipoR1ノックアウト(KO)マウスの網膜中の遊離C32:6n3のプールサイズが、WTのものと比較して減少することを示している。挿入図1は、KOおよび野生型(WT)のELV−N32を示し、挿入図2は、WTのモノヒドロキシ32:6n3、ELV−N32のヒドロペルオキシ前駆体の安定誘導体を示し、KOでは検出可能なシグナルがないことを示している。図11Cは、AdipoR1 KOマウスの網膜中の遊離34:6n3の同様のプールサイズが、WTのものと比較して減少することを示している。挿入図1は、KOおよびWTのELV−N32を示し、挿入図2は、WTのモノヒドロキシC34:6n3、ELV−N34のヒドロペルオキシ前駆体の安定誘導体を示し、KOでは検出可能なシグナルがないことを示している。図11Dは、RPE細胞がPRC機能的統合性を維持し(左側)、右側はアディポネクチン受容体1(AdipoR1)の除去がDHA利用能をスイッチオフし、PRC変性が続くことを示している。 図12Aおよび12Bは、本開示のエロバノイドが、網膜変性における神経保護および光受容細胞の統合性を維持する役割を果たすことを示している。図12Aは、エロバノイド経路が、遅発性網膜変性症(L−ORD)によって影響を受けたファミリーに由来する多能性幹細胞iPSC−RPEを減少させたことを示している。この疾患は、CTRP5における変異(S163R)に起因する。L−ORD患者からの網膜色素上皮細胞(RPE)と、影響されていない兄弟細胞とに区別した多能性幹細胞(iPSC)を使用した。細胞を、およそ5つの光受容体外節(POS)/細胞を供給した無血清培地で4時間培養して、放出および乳頭食作用を繰り返すか、または1μΜの32:6および34:6遊離脂肪酸(VLC−PUFA)と0.5%の血清を含有する培地で24時間培養した。培地および細胞をLC−MS/MSに基づく代謝リピドーム分析(metabolipidomic analysis)用に収集した。代謝リピドーム分析は、iPSC−RPEを供給したPOSまたはVLC−PUFAが、偏光の様式でエロバノイド生合成中間体(27s−ヒドロキシ32:6 n−3および29s−ヒドロキシ34:6 n−3)を、主に細胞の頂端側で安定的に分泌することを示した。対照iPSC−RPEは、患者と比較して、顕著により多くエロバノイドELV−N32およびELV−N34を分泌する。図12Bは、POSまたはVLC−PUFAの不在下の対照では、27s−ヒドロキシ32:6 n−3がまだ検出されたが、患者のiPSC−RPEでは検出されなかったことを示している。また、DHA由来の脂質メディエーター、ノイロプロテクチンD1(NPD1)は、対照に顕著に高く分泌されることが見出された(p<0.05)。NPD1およびエロバノイドは、同じリン脂質前駆体に由来するので、両方の脂質メディエーターの不足がL−ORDに生じ得る。 図13A〜13Dは、初代皮質ニューロンにおける脱酸素脱グルコース方法(OGD)のインビトロモデルを示している。オメガ−3VLC−PUFAおよびエロバノイドは、神経性ストレスに応答して局所的に放出され、脱酸素脱グルコース方法に曝露させた皮質ニューロンの保護を提供する。図13Aは、OGD培地は、対照培地(OGDなし)よりも、より多くの遊離脂肪酸(FA32:6およびFA34:6)を放出することを示している。図13Bは、27−S−ヒドロキシ32:6がOGD培地(赤色)で検出されたが、対照培地(青色)は、ごくわずかな量の27−S−ヒドロキシ32:6を有することを示している。可能性のあるELV−N32ピークを表すELV−N32の娘分子スキャンを(挿入図に)示している。図13Cは、29−S−ヒドロキシ34:6がOGD培地で検出されたが、対照培地は、ごくわずかな量の29−S−ヒドロキシ34:6を有することを示している。図13Dは、非常に良好に一致する、27−S−ヒドロキシ32:6の完全な断片化パターンと、可能性のある娘分子の理論値を示している。 図14A〜14Cは、エロバノイドが、細胞損傷および細胞死(細胞老化)を加速する重要な要因を抑制し、加齢に関係する細胞死ならびに関係する疾患および状態の遅延をもたらし、ヒトの寿命の増加を生じることを示している。図14Aは、エロバノイドが、老化シグナル伝達経路の活性化を抑制することを示している。図14Bは、オートファジー因子(ATG3、ATG5、ATG7、ベクリン−1)の発現を誘発し、オートファジーによるオリゴマーAβペプチドのクリアランスおよび除去をもたらすことによって、エロバノイドがオートファジーを活性化し、それにより細胞老化の進行を抑制することを示している。オートファジーのプロセスに関与する遺伝子は、100を超える。以下の遺伝子は、AMD疾患において高い。図14Cは、エロバノイドが、オリゴマーAβペプチドによって誘発された炎症促進因子(CHF、IL−1β)の遺伝子発現を低減することを示している。 図15A〜15Lは、ELV−N32およびELV−N34が、脱酸素脱グルコース方法(OGD)またはNMDA興奮毒性に曝露させた大脳皮質を混合した神経培養物の保護を誘導したことを示している。図15Aは、培養中の大脳皮質および海馬ニューロンの形態を示す明視野画像(10×)を示している。図15Bは、染色したβΙΙΙチューブリン、GFAP、およびヘキストの、インビトロで12日間培養した大脳皮質ニューロン(DIV12)の代表的な免疫蛍光画像を示している。図15Cおよび15Fは、細胞を固定しヘキスト33258で染色することによって評価した、NMDA(50μΜ)興奮毒性(図15C)またはOGD(図15F)のいずれかに曝露させた大脳皮質ニューロン、および(500nM)の濃度のELV−N32−NaまたはELV−N34−Meによって誘導された神経保護を示している。(****p<0.0001、***p<0.001、および**p<0.05、n=9、一元配置ANOVA、続いてHolm−Sidak多重比較検定)。図15Dおよび15Gは、それぞれNMDA(図15D)またはOGD(図15G)の存在下で、ヘキスト陽性の核を数えるために適用したバイアスなしの画像分析方法、および核濃縮した核対非核濃縮した核の度数分布を示している。図15Eおよび15Hは、それぞれNMDA(図15E)またはOGDストレス(図15H)によってチャレンジした、ヘキスト陽性の核の閾値およびサイズ排除を示す代表的な画像を示している。図15I〜15Lは、NMDA(図15Iおよび15J)またはOGD(図15K〜15L)に曝露させた後、カルセイン陽性の細胞を数えることによって評価した、ELV−N32−NaまたはELV−N34−Meによって誘導された神経保護を示している。 図16A〜16Iは、ELV−N32およびELV−N34が、非代償性酸化ストレス、脱酸素脱グルコース方法(OGD)、またはNMDA興奮毒性に曝露させた、大脳皮質を混合した神経培養物および海馬神経培養物の保護を誘発したことを示している。図16Aは、非競合性のNMDA受容体アンタゴニストMK801マレイン酸(ジゾシルピン)(10μΜ)、またはノイロプロテクチンD1(NPD1)(100nM)、またはELV−N32−Na(200nM)、またはELV−N32−Me(200nM)の存在下で、培養中の大脳皮質を混合したニューロンをNMDA(100μΜ)興奮毒性に曝露させた後、MTTアッセイによって評価した、細胞生残率を示している。(#p<0.001 n=6、一元配置ANOVA、続いてHolm−Sidak多重比較検定)。図16Bおよび16Cは、それぞれTNFα(10ng/mL)プラスH(50μΜ、100μΜ、または200μΜ)による非代償性酸化ストレス(図16B)、またはNMDA興奮毒性(25μΜ、50μΜ、または100μΜ)(図16C)のいずれかに曝露させた後の皮質ニューロンの、200nM濃度でのELV−N32−NaまたはELV−N32−Meの神経保護効果を示している。バイアスなしの画像分析、およびヘキスト陽性の核を数えることにより、細胞生残率を評価した。(#p<0.0001、および*p<0.05、n=9、一元配置ANOVA、続いてHolm−Sidak多重比較検定)。図16Dおよび16Eは、1μΜの濃度のELV−N32−Na、ELV−N32−Me、ELV−N34−Na、またはELV−N34−Meの存在下でOGDに曝露させた後、ヘキスト染色(図16D)およびMTTアッセイ(図16E)によって評価した細胞生残率を示している。(#p<0.0001、**p<0.001、および*p<0.05、n=9、一元配置ANOVA、続いてHolm−Sidak多重比較検定)。図16Fおよび16Gは、(500nM)濃度のELV−N32−NaまたはELV−N34−Meの存在下または不在下でのOGDストレス後の、ヘキスト陽性の細胞を数えることによって、培養中の海馬ニューロン(DIV12)(図16F)または皮質ニューロン(DIV12)(図16G)において評価した神経保護を示している。(500nM)濃度を添加したときの32:6または34:6もまた、神経保護を示した。図16Hおよび16Iは、ヘキスト染色および細胞を数えることによって評価した、ELV−N32−Na、またはELV−N34−Na、または32:6、または34:6(500nM)の存在下または不在下での、NMDA(50μΜ)(図16H)またはOGD(図16I)のいずれかに曝露させた培養中の大脳皮質を混合したニューロン(DIV28)を示している。 培養中の皮質ニューロン(DIV12)をそれぞれNMDA(50μΜ)(グラフA〜C)またはOGD(グラフE〜G)に曝露させた後の、ELV−N32−NaまたはELV−N32−Me(500nM)のいずれかの存在下のヘキスト陽性の核を数えること、およびバイアスなしの画像分析によって評価した細胞生残率を示している。3つの別々の実験からの結果。(#p<0.0001、**p<0.001、および*p<0.05、n=9、一元配置ANOVA、続いてHolm−Sidak多重比較検定)。32:6(250nM)は、NMDA興奮毒性を減衰させることができ(グラフD)、34:6(250nM)は、OGD(#p<0.0001、および**p<0.001)に曝露させた培養中の皮質ニューロン(DIV28)の神経保護を誘導した(グラフH)。 図18A〜18Iは、ELV−N32およびELV−N34が、脱酸素脱グルコース方法(OGD)または非代償性酸化ストレス(UOS)に曝露させた、大脳皮質を混合した神経培養物または海馬を混合した神経培養物の保護を誘導したことを示している。図18Aは、90分のOGDにチャレンジした大脳皮質を混合した神経培養物(DIV12)の代表的な画像を示している。(500nM)濃度のELV−N32 NaまたはELV−N34 Meで12時間処理した後、細胞を固定し、ヘキスト33258で染色したところ、OGDの結果としての核濃縮、およびELV−N32 NaまたはELV−N34 Meによって誘導された神経保護を示した。図18Bは、図18Aからのデータの概要を示している(***p<0.0001および**p<0.001、n=9、一元配置ANOVA、続いてHolm−Sidak多重比較検定)。図18Cおよび18Dは、それぞれOGD+ELV−N32 Na(図18C)またはOGD+ELV−N34 Me(図18D)の存在下で示される、ヘキスト陽性の核を数えるために適用したバイアスなしの画像分析方法、および核濃縮した核対非核濃縮した核の相対度数分布%を示している。核ピークの左側へのシフトによって示されるように、OGDストレスを施すと、細胞は、核濃縮を受けた。ELV−N32 NaまたはELV−N34 Meのいずれかで処理すると、対照の核集団のピークに向かって正に右側へシフトし、細胞生残がこれらの新規の脂質メディエーターによって誘導されたことを示している。核濃縮した核対非核濃縮した核を定義するための核の限界粒径を、黒の破線によって表し、長方形でハイライトしている。図18Eは、90分のOGDチャレンジに曝露後の、大脳皮質を混合した神経培養物(DIV12)の、カルセイン陽性の細胞を数えることによって評価した、ELV−N32 NaまたはELV−N34 Meによって誘導された神経保護を示している(****p<0.0001、n=3、一元配置ANOVA、続いてHolm−Sidak多重比較検定)。図18Fは、90分のOGDチャレンジに曝露させ、続いて1μΜの濃度のELV−N32 Me、ELV−N32 Na、ELV−N34 Me、またはELV−N34 Naで処理された後の、大脳皮質を混合した神経培養物(DIV12)の、MTTアッセイによって評価した細胞生残率を示している。(#p<0.0001、**p<0.001、および*p<0.05、n=9、一元配置ANOVA、続いてHolm−Sidak多重比較検定)。図18Gおよび18Hは、(500nM)の濃度のELV−N32 NaまたはELV−N34 Meの存在下または不在下で、海馬を混合した神経培養物(DIV12)にOGDストレスを施した後のバイアスなしの画像分析、続いてヘキスト陽性の核を数えることによって評価した、ELV−N32 Na、ELV−N34 Na、32:6、または34:6によって誘導された神経保護を示している。(500nM)の濃度で添加されると、それぞれ90分のOGDを施された、32:6または34:6(#p<0.0001、n=3 一元配置ANOVA、続いてHolm−Sidak多重比較検定)(図18G)、または皮質を混合した神経培養物(DIV28)(#p<0.0001、**p<0.001および*p<0.05、n=3、一元配置ANOVA、続いてHolm−Sidak多重比較検定)(図18H)は、神経保護を示した。図18Iは、皮質を混合した神経培養物(DIV12)にTNFα(10ng/mL)およびH(50μΜ、100μΜ、または200μΜ)の添加によって誘発された非代償性酸化ストレス(UOS)を12時間施した後、ヘキスト陽性の核を数えることに続いて、バイアスなしの画像分析によって評価した、200nMの濃度のELV−N32 NaまたはELV−N34 Naによって誘導された神経保護を示している(#p<0.0001および*p<0.001、n=9 一元配置ANOVA、続いてHolm−Sidak多重比較検定)。 図19A〜19Hは、ELV−N32およびELV−N34が、NMDA興奮毒性に曝露させた大脳皮質を混合した神経培養物の保護を誘発したことを示している。図19Aは、12時間のNMDA興奮毒性を施した大脳皮質を混合した神経培養物(DIV12)の代表的な画像を示している。(100μΜ)の濃度のNMDAと共に(500nM)濃度のELV−N32 NaまたはELV−N34 Meで12時間処理した後、細胞を固定し、ヘキスト33258で染色したところ、NMDA興奮毒性の結果としての核濃縮、およびELV−N32 NaまたはELV−N34 Meによって誘導された神経保護を示した。図19Bは、(図19A)からのデータの概要を示している(****p<0.0001および**p<0.05、n=9、一元配置ANOVA、続いてHolm−Sidak多重比較検定)。図19Cおよび19Dは、それぞれNMDA+ELV−N32 Na(図19C)またはNMDA+ELV−N34 Me(図19D)の存在下で、ヘキスト陽性の核を数えるために適用したバイアスなしの画像分析方法、および核濃縮した核対非核濃縮した核の相対度数分布%を示している。核ピークの左側へのシフトによって示されるように、NMDA興奮毒性を施すと、細胞は、核濃縮を受けた。ELV−N32 NaまたはELV−N34 Meのいずれかで処理すると、対照の核集団のピークに向かって正に右側へシフトし、細胞生残がこれらのエロバノイドによって誘導されたことを示している。核濃縮した核対非核濃縮した核を定義するための核の限界粒径を、破線によって表し、長方形でハイライトしている。図19Eは、12時間の(100μΜ)の濃度のNMDAチャレンジに曝露後の、大脳皮質を混合した神経培養物(DIV12)の、カルセイン陽性の細胞を数えることによって評価した、ELV−N32 NaまたはELV−N34 Meによって誘導された神経保護を示している(****p<0.0001、n=3、一元配置ANOVA、続いてHolm−Sidak多重比較検定)。図19Fは、非競合性のNMDA受容体アンタゴニストMK801マレイン酸(ジゾシルピン)(10μΜ)、またはELV−N32 Na(200nM)、またはELV−N32 Me(200nM)の存在下で、培養中の大脳皮質を混合したニューロン(DIV12)をNMDA(100μΜ)興奮毒性に曝露させた後の、MTTアッセイによって評価した、細胞生残率を示している。(#p<0.001 n=6、一元配置ANOVA、続いてHolm−Sidak多重比較検定)。図19Gは、大脳皮質を混合したニューロン(DIV12)をNMDA興奮毒性(25μΜ、50μΜ、または100μΜ)に曝露させた後の、200nMの濃度でのELV−N32 NaまたはELV−N32 Meの神経保護効果を示している。バイアスなしの画像分析、およびヘキスト陽性の核を数えることにより評価した、細胞生残率。(#p<0.0001、および*p<0.05、n=9、一元配置ANOVA、続いてHolm−Sidak多重比較検定)。図19Hは、ヘキスト染色および細胞を数えることによって評価した、ELV−N32 Na、またはELV−N34 Na、または32:6、または34:6(500nM)の存在下または不在下で、NMDA(50μΜ)に曝露させた培養中の大脳皮質を混合したニューロン(DIV28)を示している。(#p<0.0001、n=3、一元配置ANOVA、続いてHolm−Sidak多重比較検定)。 図20A〜20Dは、ELV−N32およびELV−N34は、虚血性脳卒中後の神経学的/挙動スコアを改善し、ペナンブラを保護し、MRIの病変体積を低減することを示している。図20Aは、MCAo(60分)中の、および治療後の様々な時間の合計神経学的スコア(正常スコア=0、最大スコア=12)を示している。60分のMCAoで、全ての動物は、(可能な12のうちの)11のスコアを有した。エロバノイドで治療したラットは、ビヒクル(脳脊髄液;CSF)で治療した群と比較して、1、3、および7日目に顕著に改善した神経学的スコアを有した。図20Bは、7日目にT2WIから算出した虚血コア、ペナンブラおよび合計病変体積は、ビヒクル群と比較して、エロバノイド治療によって顕著に低減されたことを示している。図20Cおよび20Dは、代表的なT2WI、擬似画像、コア/ペナンブラ(図20C)、および7日目のT2WIから算出した3D梗塞体積(図20D)を示している。Coreおよびペナンブラを、脳全体から抽出した。ペナンブラ同定には、算出的MRI法階層的領域スプリッティングを使用して、ビヒクルで、およびエロバノイドで治療した動物におけるCoreおよびペナンブラ)組織を自動的に同定した。ビヒクルで治療したラットの虚血コアおよびペナンブラに、浮腫形成と一致する、T2高信号が観察された。対照的に、エロバノイドで治療した動物は、より小さい病変サイズを有した。3次元再構築は、7日目の各群の同じ動物からである。示されている値は、平均±SD(群当たりn=5〜6)である。*p<0.05、対CSF群(繰り返し測定ANOVA、続いてBonferroni検定)。 図21A20Cは、ELV−N32およびELV−N34は、実験的虚血性脳卒中によって誘発された神経損傷およびアストロサイト細胞の損傷を減衰させることを示している。図21Aおよび21Bは、代表的な、NeuN、SMI−71およびGFAPで染色した全ての群からの脳の断面を示している。ビヒクル(脳脊髄液;CSF)で治療したラットは、広範囲にわたる神経損失、GFAP反応性アストロサイトおよびSMI−71陽性血管の低減を示した。対照的に、エロバノイドでの治療は、NeuN、SMI−71、およびGFAP陽性の細胞を増加させた。図21Cは、皮質(欄a、b、およびc)、および線条体(欄s)のNeuN、SMI−71、およびGFAP陽性の細胞数の領域の位置を示す、冠状脳の図(前頂+1.2mm)を示している。NeuN陽性ニューロン、SMI陽性血管、およびGFAP陽性アストロサイトの数は、虚血コアおよび異なるペナンブラ領域(a、b、およびc)へのエロバノイド治療によって増加された。示されている値は、平均±SD(群当たりn=5〜6)である。*、ビヒクルとは顕著に異なる(p<0.05;繰り返し測定ANOVA、続いてBonferroni検定による)。 図22A〜22Dは、ELV−N32およびELV−N34は、NVU破壊を減らし、虚血性脳卒中後の脳梗塞を低減することを示している。図22Aは、柔組織内の免疫グロブリンG(IgG)の免疫検出によって評価した、NVU崩壊を示している。IgG染色は、NVU崩壊を示した。ビヒクル(脳脊髄液;CSF)で治療したラットは、皮質および皮質下部に、増加したIgG免疫反応性を示した。ELV−N34−NaまたはELV−N34−Meでの治療は、皮質におけるより少ないIgG染色を示し、染色はほぼ梗塞のコア(皮質下部)に局在化していた。図22Bは、ELV−N34−NaおよびELV−N34−Meが、皮質、皮質下部、および脳半球全体(合計)で、IgG免疫反応性が顕著に低減したことを示す、棒グラフを示している。示されている値は、平均±SD(群当たりn=5〜6)である。*p<0.05、対ビヒクル群(繰り返し測定ANOVA、続いてBonferroni検定)。図22Cは、ビヒクルおよびエロバノイドで治療したラットからの、ニッスルで染色した脳の断面を示している。ビヒクルで治療したラットは、大きな皮質および皮質下の梗塞を示している。対照的に、エロバノイドで治療したラットは、ほぼ皮質下領域に、より少ない広範囲にわたる損傷を示している。図22Dは、皮質、皮質下、および抑制された合計梗塞体積を示している。全てのELV治療は、ビヒクルで治療した群と比較して、皮質、皮質下、および合計梗塞体積を劇的に低減した。示されている値は、平均±SD(群当たりn=5〜6)である。*、ビヒクルとは顕著に異なる(p<0.05;繰り返し測定ANOVA、続いてBonferroni検定による)。 図23A〜23Cは、エロバノイドは、神経保護を提供し、外傷性脳損傷(TBI)に続く神経学的不足を改善することを示している。合計神経学的スコアは、32個の炭素の、または34個の炭素のエロバノイドメチルエステルのナトリウム塩での治療後に、顕著に低減された。図23Aおよび23C:静脈内注射を介した送達;図23B:硬膜下注射を介した送達。SDラットに適度な流体衝撃傷害(FPI)モデルを施し、メチルエステル(ME)もしくはナトリウム塩(Na)(ELV−N32−ME、ELV−N34−ME、ELV−32−Na−d2、ELV−N34−アルキン)として32個および34個の炭素のエロバノイド、またはビヒクル(脳脊髄液;CSF)で治療した(1μg/ラット当たり)。TBIの後1時間で、硬膜下の空間に治療を送達した。動物は、1、2、3、7、または14日目に神経挙動調査(正常=0、最大不足=12)を受けた。全てのELV治療は、CSFで治療した群と比較して、1日目から神経学的スコアを改善し、その改善は、2週間の生残期間中ずっと持続した。示されている値は、平均±SEM(群当たりn=6〜8)である*対応する生理食塩水の群とは顕著に異なる(P<0.05;繰り返し測定ANOVA、続いてBonferroni検定)。ELV−N34−アルキン(IV、300μg/動物当たり)。全ての動物は、1、2、3、7、または14日目に神経挙動調査(正常=0、最大不足=12)を受けた。 モノヒドロキシル化エロバノイドG、H、I、J、O、P、Q、Rの全合成のスキーム1を示している。試薬&条件:(a)カテコールボラン、加熱、(b)N−ヨード−スクシンイミド、MeCN;(c)4−クロロブチロール−2−イン−1、CsCO、NaI、CuI、DMF、(d)CBr、PPh、CHCl、0℃、(e)エチニル−トリメチルシラン、CuI、NaI、KCO、DMF、(f)リンドラー触媒、H、EtOAc、(g)NaCO、MeOH、(h)Pd(PPh、CuI、EtN:(i)BuNF、THF、(j)リンドラー触媒、H、EtOAc、またはZn(Cu/Ag)、MeOH、(k)NaOH、THF、HO、次いでHCl/HOで酸性化、(I)NaOH、KOHなど、またはアミン、イミンなど。 ジヒドロキシル化エロバノイドK、L、S、およびTの全合成のスキーム2を示している。試薬&条件:(a)CuI、NaI、KCO、DMF、(b)カンファースルホン酸(CSA)、CHCl、MeOH、室温、(c)リンドラー触媒、H、EtOAc、(d)DMSO、(COCl)、EtN、−78℃、(e)PhP=CHCHO、PhMe、還流、(f)CHI、CrCl、THF、0℃、(g)触媒Pd(Ph、CuI、PhH、室温、(h)BuNF、THF、室温、(i)Zn(Cu/Ag)、MeOH、40℃、(j)NaOH、THF、HO、次いでHCl/HOで酸性化、(k)NaOH、KOHなど、またはアミン、イミンなど。 ジヒドロキシル化エロバノイドM、N、U、およびVの全合成のスキーム3を示している。試薬&条件:(a)シアヌル酸クロリド、EtN、アセトン、室温、(b)(3−メチルオキセタン−3−イル)メタノール、ピリジン、CHCl、0℃、(c)BF.OEt、CHCl(d)BuLi、BF.OEt、THF、−78℃、次いで1、(e)BuPhSiCl、イミダゾール、DMAP、CHCl、室温、(f)カンファースルホン酸、CHCl、ROH、室温、(g)リンドラー触媒、H、EtOAc(h)DMSO、(COCl)、EtN、−78℃、(i)PhP=CHCHO、PhMe、還流、(j)CHI、CrCl、THF、0℃、(k)触媒。Pd(Ph、CuI、PhH、室温、(I)BuNF、THF、室温、(m)Zn(Cu/Ag)、MeOH、40℃(n)NaOH、THF、HO、次いでHCl/HOで酸性化、(o)NaOH、KOHなど、またはアミン、イミンなど。 32個の炭素のジヒドロキシル化エロバノイドの全合成のスキーム4を示している。 34個の炭素のジヒドロキシル化エロバノイドの全合成のスキーム5を示している。
本開示の詳細な説明
本開示をより詳細に説明する前に、本開示は、記載の特定の実施形態に限定されるものではなく、当然変動し得るものとして理解されるものである。また、本開示の範囲が添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、本明細書で使用される用語は、ただ特定の実施形態を説明する目的のためであり、限定を意図するものではないことが理解されるものである。
値の範囲が提供される場合、その背景に明確に示されない限り下限の単位の10分の1までの、その範囲の上限と下限との間の各々の介在する値、および任意の他に記載の値またはその記述の範囲に介在する値が、本開示内に包含されると理解されるものである。これらのより小さな範囲の上限および下限は、独立して、より小さい範囲に含まれ得、また、本開示内に包含され、任意に具体的にその記述の範囲の限界が除外される。記述の範囲が、上限および下限のうちの一方または両方を含む場合、それらの含まれる限界のうちのいずれかまたは両方を除外する範囲もまた、本開示に含まれる。
定義されない限り、本明細書に使用される全ての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野における当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと同様または等価の任意の方法および材料は、本開示の実践または試験にも使用され得るが、有利な方法および材料をここに記載する。
本明細書に引用される全ての出版物および特許は、各個々の出版物または特許が、参照により援用されると具体的かつ個々に示され、本開示への参照により本明細書に援用され、引用される出版物と関係する方法および/または材料を説明するものとして、参照により本明細書に援用される。任意の出版物の引用は、出願日以前の開示に対するものであり、本開示が、以前の開示に基づくそのような出版物に先んじる権利がないと承諾するものとして解釈されるべきではない。さらに、提供される出版物の日付は、実際の出版日とは異なり得、個々に確認する必要があり得る。
本開示を閲覧すると当業者には明らかであろうように、本明細書に記載され示される個々の実施形態の各々は、本開示の範囲または趣旨から逸脱することなく、他のいくつかの実施形態のうちのいずれかの特色と容易に区別されることができるか、または組み合わせることができる別個の成分および特色を有する。任意の列挙される方法は、列挙される事象の順序で実行しても、理論的に可能な任意の他の順序で実行してもよい。
本開示の実施形態は、示されない限り、当該技術分野内である、医薬、有機化学、生化学、分子生物学、薬理学、毒性学などの技法を用いるであろう。そのような技法は、文献に完全に説明されている。
本明細書および添付の特許請求の範囲に使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、背景に明確に示されない限り、複数の指示物を含むことに留意しなければならない。したがって、例えば、「1つの支持体(a support)」への言及は、複数の支持体を含む。本明細書において、および続く特許請求の範囲において、対照的な意図が明確でない限り、以下の意味を有するものとして定義されるであろう数々の用語について参照する。
本明細書で使用される場合、以下の用語は、明記されない限り、それらが本来有する意味を有する。本開示では、「含む(comprises)」、「含んでいる(comprising)」、「含有している(containing)」、および「有する(having)」などは、米国特許法においてそれが本来有する意味を有し得、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」など、「から本質的になる(consisting essentially of)または「から本質的になる(consists essentially)」などを意味し得、本開示によって包含される方法および組成物に適用されるとき、本明細書に開示のものなどの組成物を指すが、追加の構造的な基、組成物成分、または方法工程(または上記の類似物または誘導体)を含有し得る。しかしながら、そのような追加の構造的な基、組成物成分、または方法工程などは、対応する本明細書に開示の組成物または方法のものと比較して、組成物または方法の基本的かつ新規の特徴に、物質的に影響を及ぼさない。
様々な実施形態について記載する前に、以下の定義を提供し、特に示されない限りそれを使用するべきである。
定義
本明細書で使用される場合、アルキル、アルコキシ、カルボニルなどの命名法を、化学技術分野における当業者によって一般に理解されるように使用する。本明細書で使用される場合、アルキル基としては、最大約20個の炭素、または1〜16個の炭素を含有する、直鎖、分岐鎖、および環状アルキルラジカルを挙げることができ、直鎖または分岐鎖である。本明細書のアルキル基としては、限定されないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、およびイソヘキシルが挙げられる。
本明細書で使用される場合、低級アルキルとは、約1個または約2個の炭素〜最大約6個の炭素を有する炭素鎖を指す。好適なアルキル基は、飽和または不飽和であり得る。さらに、アルキルは、C1−C15アルキル、アリル、アレニル、アルケニル、C3−C7ヘテロ環、アリール、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、オキソ、チオ、アルコキシ、ホルミル、カルボキシ、カルボキシアミド、ホスホリル、ホスホン酸塩、ホスホンアミド、スルホニル、アルキルスルホン酸塩、アリールスルホン酸塩、およびスルホンアミドからなる群から選択される置換基で、1つ以上の炭素上で一回以上置換されていてもよい。加えて、ある特定の実施形態では、アルキル基は、最大10個のヘテロ原子、1、2、3、4、5、6、7、8、または9個のヘテロ原子置換基を含有し得る。好適なヘテロ原子としては、窒素、酸素、硫黄、およびリンが挙げられる。
本明細書で使用される場合、「シクロアルキル」とは、ある特定の実施形態では3〜10個の炭素原子の、他の実施形態では、3〜6個の炭素原子の単環式系または多環式系を指す。シクロアルキル基の環系は、縮合、架橋、またはスピロ連結した様式で一緒に結合され得る、1つの環、または2つ以上の環で構成され得る。
本明細書で使用される場合、「アリール」とは、3〜16個の炭素原子を含有する芳香族単環基または多環基を指す。本明細書で使用される場合、アリール基は、最大10個のヘテロ原子、ある特定の実施形態では1、2、3、または4個のヘテロ原子を含有し得るアリールラジカルである。アリール基はまた、任意選択的に1回以上、ある特定の実施形態では、1〜3回、または4回アリール基または低級アルキル基で置換されていてもよく、他のアリールまたはシクロアルキル環に縮合されていてもよい。好適なアリール基としては、例えば、フェニル、ナフチル、トリル、イミダゾリル、ピリジル、ピロイル、チエニル、ピリミジル、チアゾリル、およびフリル基が挙げられる。
本明細書で使用される場合、環が、水素、アルキル、アリル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、クロロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、カルボキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、カルボキシアミド、シアノ、オキソ、チオ、アルキルチオ、アリールチオ、アシルチオ、アルキルスルホン酸塩、アリールスルホン酸塩、ホスホリル、ホスホン酸塩、ホスホンアミド、およびスルホニルからなる群から選択される1つ以上の置換基を有する場合、かつさらに環が、炭素環式、ヘテロ環式、アリールまたはヘテロアリール環を含む1つ以上の縮合環も含有する場合、環は、1つ以上の窒素、酸素、硫黄またはリン原子を含み得る最大20個の原子を有するものとして定義される。
本明細書で使用される場合、アルケニルおよびアルキニル炭素鎖は、明記されない場合、2〜20個の炭素、または2〜16個の炭素を含有し、直鎖または分岐鎖である。ある特定の実施形態では、2〜20個の炭素のアルケニル炭素鎖は1〜8個の二重結合を含有し、ある特定の実施形態では、2〜16個の炭素のアルケニル炭素鎖は1〜5個の二重結合を含有する。ある特定の実施形態では、2〜20個の炭素のアルキニル炭素鎖は1〜8個の三重結合を含有し、ある特定の実施形態では、2〜16個の炭素のアルキニル炭素鎖は1〜5個の三重結合を含有する。
本明細書で使用される場合、「ヘテロアリール」とは、環系の原子のうちの、1つ以上、一実施形態では1〜3個がヘテロ原子、すなわち、限定されないが窒素、酸素、または硫黄を含む炭素以外の元素である、ある特定の実施形態では、単環式または約5〜約15員の多環式芳香環系を指す。ヘテロアリール基は、任意選択的に、ベンゼン環に縮合していてもよい。ヘテロアリール基としては、限定されないが、フリル、イミダゾリル、ピロリジニル、ピリミジニル、テトラゾリル、チエニル、ピリジル、ピロリル、N−メチルピロリル、キノリニル、およびイソキノリニルが挙げられる。
本明細書で使用される場合、「ヘテロシクリル」とは、環系の原子のうちの1〜3個がヘテロ原子、すなわち、限定されないが窒素、酸素、または硫黄である、一実施形態では3〜10員の、別の実施形態では4〜7員の、さらなる実施形態では5〜6員の、ある特定の実施形態では1つ以上の単環式または多環式非芳香族環系を指す。ヘテロ原子が、窒素である実施形態では、窒素は、任意選択的に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アシル、グアニジノで置換されているか、あるいは窒素が、四級化されて上記の置換基から選択されるアンモニウム基を形成してもよい。
本明細書で使用される場合、「アラルキル」とは、アルキルの水素原子のうちの1つがアリール基によって置き換えられているアルキル基を指す。
本明細書で使用される場合、「ハロ」、「ハロゲン」、または「ハロゲン化物」とは、F、Cl、Br、またはIを指す。
本明細書で使用される場合、「ハロアルキル」とは、水素原子のうちの1つ以上がハロゲンによって置き換えられているアルキル基を指す。そのような基としては、限定されないが、クロロメチルおよびトリフルオロメチルが挙げられる。
本明細書で使用される場合、「アリールオキシ」とは、Rがフェニルなどの低級アリールを含むアリールである、RO−を指す。
本明細書で使用される場合、「アシル」とは、例えば、それらのうちの全てが任意選択的に置換されていてもよい、アルキルカルボニル、シクロアルキルカルボニル、アリールカルボニル、またはヘテロアリールカルボニルを含む−COR基を指す。
本明細書で使用される場合、「n−3」または「n3」、「n−6」または「n6」などは、多価不飽和脂肪酸またはそれらの誘導体の慣習的な命名法を指し、二重結合(C=C)の位置が、脂肪酸または脂肪酸誘導体の炭素鎖の端部(メチル末端)から数えた炭素原子に存在する。例えば、「n−3」とは、脂肪酸または脂肪酸誘導体の炭素鎖の末端から3番目の炭素原子を意味する。同様に、「n−3」または「n3」、「n−6」または「n6」などはまた、脂肪酸または脂肪酸誘導体の炭素原子に位置するヒドロキシル基(OH)などの置換基の位置を指し、数字(例えば3、6など)は、脂肪酸または脂肪酸誘導体の炭素鎖の端部から数えたものである。
本明細書で使用される場合、任意の保護基および他の化合物の略語は、指示されない限り、それらの一般的な使用法、認識されている略語、またはIUPAC−IUB Commission on Biochemical Nomenclature((1972)Biochem.11:942−944参照)に従う。
本明細書で使用される場合、末端カルボキシル基「−COOR」を有して示されている本開示の化合物の化学的構造では、「R」は、アルキル基などのカルボキシルに共有結合している基を指すことを意図している。代替的に、カルボキシル基は、「−COO」として負の電荷を有し、Rは、金属カチオン、アンモニウムカチオンなどを含むカチオンであることをさらに意図する。
本明細書で使用される場合、「対象」は、動物であり、典型的には、患者などのヒトを含む哺乳類である。
本明細書で使用される場合、化合物の「医薬的に許容可能な誘導体」としては、その塩、エステル、エノールエーテル、エノールエステル、アセタール、ケタール、オルトエステル、ヘミアセタール、ヘミケタール、酸、塩基、溶媒和物、水和物、またはプロドラッグが挙げられる。そのような誘導体は、そのような誘導体化のための既知の方法を使用して、当業者によって容易に調製され得る。生成される化合物は、実質的な毒作用がなく、動物またはヒトに投与することができ、医薬的に活性であるか、またはプロドラッグであるかのいずれかである。
医薬的に許容可能な塩としては、Ν,Ν’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、アンモニア、ジエタノールアミン、および他のヒドロキシアルキルアミン、エチレンジアミン、N−メチルグルカミン、プロカイン、N−ベンジルフェネチルアミン、1−パラ−クロロベンジル−2−ピロリジン−1’−イルメチルベンゾイミダゾール、ジエチルアミン、および他のアルキルアミン、ピペラジンおよびトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンなどのアミン塩;限定されないが、リチウム、カリウム、およびナトリウムなどのアルカリ金属塩;限定されないが、バリウム、カルシウム、およびマグネシウムなどのアルカリ土類金属塩;限定されないが、亜鉛などの遷移金属塩;ならびに限定されないが、リン酸水素ナトリウムおよびリン酸ジナトリウムなどの他の金属塩;ならびに限定されないが、塩化水素および硫酸塩などの鉱酸の塩も挙げられ、ならびに限定されないが、酢酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、酪酸塩、吉草酸塩、およびフマル酸塩などの有機酸の塩が挙げられるが、これらに限定されない。
医薬的に許容可能なエステルとしては、カルボン酸、リン酸、ホスフィン酸、スルホン酸、スルフィン酸、およびボロン酸を含む酸性基のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、シクロアルキル、およびヘテロシクリルエステルが挙げられるが、これらに限定されない。
医薬的に許容可能なエノールエーテルとしては、Rが、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクリルである、式C=C(OR)の誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。医薬的に許容可能なエノールエステルとしては、Rが、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクリルである、式C=C(OC(O)R)の誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
医薬的に許容可能な溶媒和物および水和物は、1つ以上の溶媒分子もしくは水分子、または1〜約100個、または1〜約10個、または1〜約2、3、もしくは4個の溶媒分子もしくは水分子を含む化合物の複合体である。
本明細書で使用される場合、「製剤」とは、製品の明細書および/または使用条件を含む、特定の最終使用のための最適な特性を提供するために選択された、化合物、混合物、または溶液の成分の任意の集合体を意味し、それらを含むであろう。製剤という用語は、水中油型乳濁液および油中水乳濁液、ペースト、粉末、および懸濁液を含む、液体、半液体、コロイド溶液、分散液、乳濁液、ミクロ乳濁液、およびナノ乳濁液が挙げられるであろう。本発明の製剤はまた、美容的担体、賦形剤、結合物質、および充填剤などの他の非毒性化合物を含んでも、それらと共に包装されていてもよい。具体的には、本発明の実用に考慮される許容可能な美容的担体、賦形剤、結合物質、および充填剤は、本発明の製剤を、経口送達に適した化合物にする、かつ/あるいは商業的に許容可能な貯蔵寿命を呈するように安定性を提供するものである。
本明細書で使用される場合、用語「投与」とは、硝子体中、眼球内、眼球、網膜下、脊髄内、静脈内、皮下、経皮、皮内、頭蓋内、局所などへの投与を使用して、対象に治療的に有効な量の製剤または医薬組成物を提供することを指す。本発明の製剤または医薬組成物は、単独で投与することができるが、選択される投与経路および標準的な医薬的な実施に基づいて選択された他の化合物、賦形剤、充填剤、結合物質、担体、または他のビヒクルと共に投与してもよい。投与は、無菌水溶液もしくは非水溶液、または生理食塩水;クリーム;ローション;カプセル;錠剤;顆粒;ペレット;粉末;懸濁液、乳濁液、またはミクロ乳濁液;パッチ;ミセル;リポソーム;ビヒクル;マイクロインプラントを含むインプラント;点眼剤;他のタンパク質およびペプチド;合成ポリマー;ミクロスフェア;ナノ粒子などを含む、注射可能な溶液などの、担体またはビヒクルを用いてもよい。
本発明の製剤または医薬組成物はまた、限定されないが、グルコース、ラクトース、アカシアガム、ゼラチン、マンニトール、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ガラクトース、オリゴ糖および/または多糖、デンプンペースト、三ケイ酸マグネシウム、タルク、コーンスターチ、デンプン断片、ケラチン、コロイドシリカ、ジャガイモデンプン、尿素、デキストラン、デキストリンなどを含む、医薬的に許容可能な担体、賦形剤、結合物質、および充填剤などの他の非毒性化合物を含んでも、それらと共に包装されていてもよい。具体的には、本発明の実用に考慮される医薬的に許容可能な担体、賦形剤、結合物質、および充填剤は、本発明の化合物を、硝子体中送達、眼球内送達、眼球送達、網膜下送達、脊髄内送達、静脈内送達、皮下送達、経皮送達、皮内送達、頭蓋内送達、局所送達などに適するようにするものである。さらに、包装材料は、可塑性ポリマー、シリコーンなどの生物学的に不活性であるか、または生物活性が欠如するものであってもよい。また、包装されるかつ/あるいは送達される組成物/製剤の有効性に影響を及ぼさずに、対象によって内部で消化されることができる。
本発明の製剤の異なる形態を、異なる個体への、および単一の個体の異なる必要性への両方に適合するように較正してもよい。この概念の実行は複雑であり、必要な調査は困難である。しかしながら、本製剤は、全ての個体の全ての原因に対抗する必要はない。むしろ、必要な原因に対抗することにより、本製剤は、身体および脳を正常な機能に回復させるであろう。次いで、身体および脳自体が、残りの不具合を修正するであろう。ADの原因の1つ1つを修正可能な薬物はあり得ないが、本製剤は、その可能性を最大限にするであろう。
本明細書で使用される場合、用語「治療的に有効な量」とは、治療される疾患もしくは状態の症状のうちの1つ以上をある程度緩和するであろう、投与される組成物または医薬組成物の実施の量、および/または治療される対象が発症しているかもしくは発症のリスクがある状態または疾患の症状のうちの1つ以上をある程度予防するであろう量を指す。本明細書で互換的に使用される場合、「対象」、「個体」、または「患者」とは、脊椎動物、好ましくは哺乳類、より好ましくはヒトを指す。哺乳類としては、限定されないが、マウス、サル、ヒト、家畜、スポーツ動物、およびペットが挙げられる。用語「ペット」としては、犬、猫、モルモット、マウス、ラット、ウサギ、フェレト等が挙げられる。家畜という用語としては、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ニワトリ、ブア、ウシ、ロバ、リャマ、アルパカ、七面鳥などが挙げられる。
「医薬的に許容可能な賦形剤」、「医薬的に許容可能な希釈剤」、「医薬的に許容可能な担体」、または「医薬的に許容可能なアジュバント」とは、一般に安全で、非毒性の、生物学的にも望ましい医薬組成物の調製に有用な、賦形剤、希釈剤、担体、および/またはアジュバントを意味し、獣医での使用および/またはヒトの医薬的な使用に許容可能な賦形剤、希釈剤、担体、およびアジュバントが挙げられる。本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、「医薬的に許容可能な賦形剤、希釈剤、担体、および/またはアジュバント」としては、1つ以上のそのような賦形剤、希釈剤、担体、およびアジュバントが挙げられる。
本明細書で使用される場合、「医薬組成物」または「医薬製剤」は、哺乳類、特にヒトなどの対象に投与するのに好適な、活性薬剤または成分の医薬的に許容可能な担体または賦形剤との組み合わせを指し、インビトロ、インビボ、またはエクスビボでの診断的、治療的、または予防的使用に好適な組成物を作製する、組成物または医薬組成物を包含することを意味する。「医薬組成物」は、無菌であり、好ましくは、対象内に望ましくない応答を誘導する可能性のある汚染物質を含まない(例えば、医薬組成物中の化合物が、医薬品等級である)。医薬組成物は、溶出性ステントデバイス、溶出性カテーテルデバイス、血管内バルーン、吸入などによる、経口、静脈内、口腔、直腸、非経口、腹腔内、皮内、気管内、筋肉内、皮下を含む、数々の異なる投与経路を介してその必要のある対象または患者に投与するために設計することができる。
用語「投与」とは、本開示の組成物を対象に導入することを指す。組成物の有利な投与経路の1つは、局所的投与である。しかしながら、経口、静脈内、皮下、腹膜、動脈内、吸入、膣、直腸、経鼻などの任意の投与経路、脳脊髄液、静脈もしくは動脈のいずれかの血管内への導入、または身体区画への点滴を使用することができる。
本明細書で使用される場合、「治療」および「治療する」とは、疾患または障害の症状のうちの1つ以上を寛解するかまたはそうでなければ有益に変化させる任意の様式で、状態、疾患、または障害と闘う目的の、対象の管理および処置を指す。この用語は、症状もしくは合併症を軽減もしくは緩和する;状態、疾患、もしくは障害の進行を遅延させる;状態、疾患、もしくは障害を治癒または排除する;および/または状態、疾患、もしくは障害を予防する目的で活性化合物を投与するなど、患者が患っている所与の状態に対する完全な治療スペクトラムを含むことを意図し、「予防する」または「予防」は、状態、疾患、または障害の発症を妨害する目的の、患者の管理および処置を指し、症状または合併症の発現リスクを予防または低減する活性化合物の投与を含むことが理解されるものである。
治療される患者は、好ましくは哺乳類、具体的には人間である。治療はまた、本明細書で提供される疾患を治療するための使用など、本明細書の組成物の任意の医薬的使用を包含する。
本明細書で使用される場合、用語「栄養成分」とは、タンパク質、炭水化物、ビタミン、ミネラル、および、本開示の機能性成分、すなわち食品を消費する人に特定の利益を生じることを意図する成分を含む他の有益な栄養素などを指す。炭水化物は、グルコース、スクロース、フルクトース、デキストロース、タガトース、ラクトース、マルトース、ガラクトース、キシロース、キシリトール、デキストロース、ポリデキストロース、シクロデキストリン、トレハロース、ラフィノース、スタキオース、フルクトオリゴ糖、マルトデキストリン、デンプン、ペクチン、ガム、カラギーナン、イヌリン、セルロース系化合物、糖アルコール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、キシリトール、ラクチトール、イソマルト、エリスリトール、ペクチン、ガム、カラギーナン、イヌリン、水素化難消化性デキストリン、水素化デンプン加水分解物、高度分岐マルトデキストリン、デンプン、およびセルロースであってもよいが、これらに限定されない。
栄養タンパク質、炭水化物などの市販の供給源およびそれらの使用は既知であるか、または加工食品配合物の技術分野における当業者によって容易に確認されることができる。
栄養成分を含む本開示の組成物は、限定されないが、「スナックサイズの」、または「一口サイズの」組成物、すなわち食品バーとして通常考慮され得るよりも小さくてもよい、食品調製物であり得る。例えば、食品バーは、消費者が食べるためにより小さな部分に割ることを可能にするように意図されるかまたは穿孔されていてもよいか、あるいは食品「バー」は、長い棒形状の製品ではなく小さな一片であってもよい。より小さな一片は、個々にコーティングするか衣掛けしてもよい。それらは、個々にまたは群で包装されてもよい。
食品としては、限定されないが、均質な塊に基づかない固体材料などを挙げることができる。食品は、限定されないが、ダーク、ライト、ミルク、またはホワイトチョコレートを含むチョコレート、キャロブ、ヨーグルト、他の菓子類、ナッツ、または穀物などで、コーティングされるか衣掛けされてもよい。コーティングは、複合的な菓子のコーティング、または非菓子(例えば、砂糖を含まない)のコーティングであってもよい。コーティングは、滑らかであってもよく、あるいは固体粒子または小片を含有してもよい。
考察
加齢に関係するおよび加齢に関係しない炎症、変性、神経変性、外傷性、皮膚性、および心血管疾患としては、全世界的に非常に多数の人々が冒されている多数の疾患が挙げられる。ほとんどの場合、これらの疾患ならびに関係する状態および障害は、治療が困難であり、生活の質の悪化および/または寿命の低減に至り、依然として主な満たされていない医学的必要性を残している。
本開示の組成物によって低減あるいは排除され得る炎症、変性、または神経変性疾患および状態は、限定されないが、異常なまたは調節不全の炎症応答によって恒常性が破壊されている急性および慢性障害が挙げられる。これらの状態は、非代償性酸化ストレス、キモカイン、サイトカイン、血液/組織関門の破損、自己免疫疾患、細胞中にカルシウムが過剰に含まれるカルシウム調節異常、ミトコンドリア調節異常、遺伝的感受性である遺伝的要因、遺伝子多型もしくは遺伝性状態、または白血球、単球/マクロファージ、ミクログリア、アストロサイト、もしくは過剰な量の細胞傷害促進を誘発する実質細胞、細胞および/もしくは器官恒常性の炎症促進/撹乱物質に関わる他の状態を含む、数々の炎症要因によって開始および媒介される。これらの疾患は、皮膚、筋肉、胃、腸、肝臓、腎臓、肺、眼、耳、および脳を含む、広範な組織および器官に生じる。これらの疾患は、副腎皮質ステロイド、非ステロイド性抗炎症薬物、TNFモジュレーター、COX−2阻害物質などの抗炎症剤によって現在治療されている。
変性疾患としては、重要な細胞および組織の進行性の損失に関与し、ひざ、股関節、または他の関節の軟骨の損失などの変形性関節症など、機能の進行性障害を生じる状態が挙げられる。他の変性疾患は、細胞および細胞内恒常性摂動に関わり、心臓疾患、アテローム性動脈硬化、癌、糖尿病、腸疾患、骨粗鬆症、前立腺炎、関節リウマチなどが挙げられる。
神経変性疾患としては、細胞組織の進行性の死滅が機能障害に至る、脳、網膜、脊髄および末梢神経の重疾患のうちのいくつかが挙げられる。これらは、免疫もしくは炎症障害、および/または遺伝性の状態もしくは老齢化に起因する。それらとしては、多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、加齢黄斑変性、網膜色素変性、緑内障などの遺伝性の眼疾患などの網膜変性疾患が挙げられる。
眼部の炎症または変性疾患および状態は、典型的には、角膜、視神経、線維柱帯、および網膜に影響を及ぼす。有効な予防または治療なしでは、緑内障、白内障、糖尿病網膜症、および加齢黄斑変性(AMD)などの視力を失う眼疾患に至る場合がある。
網膜変性疾患は、非常に多くの人々が冒されている失明の主な原因である。網膜変性は、網膜の光受容細胞の進行性のおよび偶発的な死滅によって引き起こされる網膜の変質である。一般的な網膜変性疾患の例としては、網膜色素変性、加齢黄斑変性、およびスタルガルト病が挙げられる。米国単独で50,000〜100,000人の人々が網膜色素変性に冒されており、黄斑変性は、米国の55歳以上の失明の主な原因であり、1千万人超の人々が冒されている。これらおよび他の網膜変性疾患に有効な治療はない。
網膜変性疾患について、光受容細胞の進行性の損失に関与する詳細な分子のメカニズムは、依然として未知であり、今日利用可能な治療によって、これらの重篤な疾患を有効に治療すること、および失明を予防することは不可能である。網膜の光受容細胞を確実に生残させる網膜変性疾患の予防および治療のための方法が、必要とされている。
全身性炎症または変性疾患および状態は、心臓、筋肉、胃、腸、肝臓、腎臓、および肺などの重要な器官に影響を及ぼし得、関節リウマチ、アテローム性動脈硬化、および狼瘡などの、加齢に関係する慢性的な炎症性疾患に至る場合がある。
アルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症、虚血性脳卒中、外傷性脳傷害、てんかん、筋萎縮性側索硬化症などの脳に関係する炎症、変性、または神経変性の疾患および状態は、多くの場合、早老、認知機能不全、および死を引き起こす。
皮膚炎症または変性疾患および状態は、多くの場合、日焼け、または皮膚炎症(皮膚炎または湿疹)、アトピー性皮膚炎(アトピー性湿疹)、乾燥肌を含む他の要因からの皮膚損傷から、または過剰なふけを生じる皮膚の異常な細胞増殖から生じる。日焼けまたは他の要因からの皮膚損傷は、湿疹、乾癬、アトピー性皮膚炎、または神経皮膚炎などの多数の疾患および状態と関連し、紫外線への曝露および他の種類の接触皮膚炎によって生じ得る。加えて、ある特定の全身性疾患および状態から生じるそう痒症は、様々な炎症および他の種類の刺激からの皮膚のかゆみを誘発し、掻く必要が生じ、それによりさらなる皮膚損傷または皮膚外観の変化に至る場合がある。
非常に進歩したにもかかわらず、多くの場合器官損傷、慢性疾患、および老齢化の加速に至る、炎症、神経炎症、変性または神経変性の疾患および状態の病態生理学の理解は、依然としてよく理解されていない。
したがって、器官保護、加齢に関係する疾患および状態の予防、ならびに全体的な健康回復は、依然として主な満たされていない医学的必要性を残している。また、炎症、神経炎症、過剰増殖性、または乾燥肌状態からの皮膚組織の有効な保護は、手付かずである。具体的には、皮膚損傷、皮膚外観の変化、および皮膚老齢化の病態生理学は、依然として明らかには理解されていない。
今日利用可能な治療では、これらの重篤な疾患を有効に治療すること、または重要な機能の進行性障害を遅らせることは不可能である。酸化ストレスまたは他の恒常性破壊を受けている重要な細胞を確実に生残させる方法が、必要とされている。したがって、炎症、神経炎症、変性、および神経変性疾患を管理するための優れた治療は、現在手付かずである。
本開示は、神経変性疾患および網膜変性疾患を含む炎症、および変性疾患を予防および治療するための化合物、組成物、および方法の実施形態を包含する。これは、ある特定のオメガ−3またはオメガ−6超長鎖多価不飽和脂肪酸(n3またはn6 VLC−PUFA)、およびそれらの関連するヒドロキシル化誘導体の重要な保護的役割に関する新しい所見に基づいている。
調査は、ある特定の長鎖多価不飽和脂肪酸(LC−PUFA)が、炎症および関係する状態に重要な役割を果たしていることを示した。これらとしては、アラキドン酸(ARA、C20:4n6、すなわち20個の炭素、4個の二重結合、オメガ−6)、エイコサペンタエン酸(EPA、C20:5n3、20個の炭素、5個の二重結合、オメガ−3)、ドコサペンタエン酸(DPA、C22:5n3、22個の炭素、5個の二重結合、オメガ−3)、およびドコサヘキサエン酸(DHA、C22:6n3、22個の炭素、6個の二重結合、オメガ−3)を含む、18〜22個の炭素を含有するオメガ−3(n3)およびオメガ−6(n6)多価不飽和脂肪酸が挙げられる。
LC−PUFAは、リポキシゲナーゼ型酵素を介して生物学的に活性なヒドロキシル化PUFA誘導体に変換され、炎症および関連する状態に重要な役割を果たす生物学的に活性な脂質メディエーターとして機能する。これらのうちで最も重要なのは、ある特定の炎症に関係する細胞中で、リポキシゲナーゼ(LOまたはLOX)酵素(例えば15−LO、12−LO)の作用を介して生成されるヒドロキシル化誘導体であり、なかでも抗炎症、消炎症、神経保護、または組織保護作用を含む、効力のある作用を有するモノ−、ジ−、またはトリ−ヒドロキシル化PUFA誘導体の形成を生じる。例えば、ノイロプロテクチンD1(NPD1)、15−リポキシゲナーゼ(15−LO)の酵素作用を介して細胞中で形成される、DHAからのジヒドロキシ誘導体は、定義されるR/SおよびZ/Eの立体化学的構造(10R,17S−ジヒドロキシ−ドコサ−4Z,7Z,11E,13E,15Z,19Z−ヘキサエン酸)、ならびに立体選択性の効力のある抗炎症、恒常性回復、消炎症、生物活性を含む独特の生物学的特性を有することを示した。NPD1は、神経炎症シグナル伝達およびタンパク質恒常性をモジュレートし、神経再生、神経保護、および細胞生残を促進することを示している。
他の重要な種類の脂肪酸は、n3およびn6 LC−PUFAを24〜42個の炭素(C24−C42)を含有するn3およびn6 VLC−PUFAに伸長するエロンガーゼ酵素を含有する細胞中で生成される、n3およびn6超長鎖多価不飽和脂肪酸(n3 VLC−PUFA、n6 VLC−PUFA)である。これらのなかで最も重要なものは、28〜38個の炭素(C28−C38)を有するVLC−PUFAであると思われる。代表的な種類のVLC−PUFAとしては、C32:6n3(32個の炭素、6個の二重結合、オメガ−3)、C34:6n3、C32:5n3、およびC34:5n3が挙げられる。これらのVLC−PUFAは、エロンガーゼ酵素、具体的にはELOVL4(超長鎖脂肪酸4の伸長)の作用を通じて生物学的に誘導される。VLC−PUFAはまた、具体的にはホスファチジルコリンのある特定の分子種中のスフィンゴ脂質およびリン脂質を含む、複合脂質でアシル化される。
ELOVL4の生合成的役割およびVLC−PUFAの生物学的機能は、数々の近年の調査対象であり、網膜、脳、精巣、および皮膚での潜在的な役割が示唆されている。これらのVLC−PUFAは、膜組織での機能を示すと考えられ、健康に対するそれらの重要性がますます認識されている。
網膜、中枢神経系ならびに脳の肝要な部分におけるVLC−PUFAの重要性が示されている。例えば、常染色体優性なスタルガルト様黄斑ジストロフィー(STGD3)、若年発症型の網膜変性疾患は、小胞体(ER)残留/逆送シグナルのない短縮されたELOVL4タンパク質(重要なエロンガーゼ酵素)をもたらし、VLC−PUFAの生合成の深刻な減少を生じる、ELOVL4遺伝子のエクソン6の変異によって引き起こされる。また、年齢が一致した対照のドナーの眼と比較して、加齢黄斑変性(AMD)ドナーの眼では、網膜に低いVLC−PUFAのレベルおよび異常に低いn3/n6比が生じる。劣性のELOVL4変異は、深刻な神経学的表現型を有するシェーグレンラルソン症候群(SLS)によく似た魚鱗癬、発作、精神遅滞、および痙攣性四肢の診断的特色を示し、中枢神経系および皮膚の成長に対するVLC−PUFA合成の重要性を暗示している。
VLC−PUFAは、光受容体の外膜のリン脂質に組み込まれることが見出され、光受容体の長寿ならびにそれらのシナプス機能および神経接続性に重要な役割を果たすことが示された。したがって、光受容細胞のアポトーシスを予防することが可能なVLC−PUFAに基づく生理活性な誘導体は、スタルガルト様黄斑ジストロフィー(STGD3)、およびX連鎖型若年性網膜分離症(XLRS)、男性の若年性黄斑変性の主な原因である、RS1遺伝子の変異によって引き起こされる遺伝性の早期発症網膜変性疾患を含む、様々な種類の網膜変性疾患に治療的な利益を提供することができる。この状態は、顕著な光受容体シナプス障害を示し、利用可能な治療がない。
本開示の実施形態によって包含される化合物、組成物、および方法は、脳および網膜の、具体的には網膜色素上皮細胞および光受容体の、生残シグナル伝達を誘発するためのn3 VLC−PUFAの使用に関与する。
n3 VLC−PUFAの生合成経路:n3 VLC−PUFAの生合成は、22個の炭素および6個の交互のC=C結合(C22:6n3)を含有するドコサヘキサエン酸(DHA)、および22個の炭素および5つの光後のC=C結合(C22:5n3)を含有するドコサペンタエン酸(DPA)などの、それらの炭素鎖に偶数のみの炭素を含有する低級炭素PUFAから始まる。n3 VLC−PUFAの生合成は、基質としてのDHAまたは他の短鎖PUFAの利用能、ならびにある特定のエロンガーゼ酵素、例えばELOVL4の存在および作用を必要とする。図1および2に要約されるように、これらの22個の炭素のオメガ−3長鎖脂肪酸(n3 LC−PUFA)は、ELOVL4などのエロンガーゼ酵素の基質であり、ELOVL4などは、カルボキシル末端に1回で2個の炭素のCHCH基を添加し、最大少なくとも42個の炭素のうちの少なくとも24個の炭素を有する炭素鎖を含有するn3 VLC−PUFAを形成する。
ドコサヘキサエン酸(DHA、C22:6n3、1は、ホスファチジルコリン分子種(3)の2の位置に組み込まれ、エロンガーゼ酵素によって長鎖n3 VLC−PUFAに変換される。エロンガーゼ酵素ELOVL4による伸長(超長鎖脂肪酸−4の伸長)は、超長鎖オメガ−3多価不飽和脂肪酸(C32:6n3およびC34:6n3を含むn3 VLC−PUFA、2の形成をもたらし、これは、次いでホスファチジルコリン分子種、3の1の位置に組み込まれる。2の位置にDHAおよび1の位置にn3 VLC−PUFAが存在することにより、病理学的状態にチャレンジするとき、ニューロンおよび他の重要な細胞の種類の潜在的な生残を増幅する、冗長的、相補的、かつ相乗効果的な細胞保護および神経保護作用を提供すると思われる。
n3−VLC−PUFA、3のリポキシゲネーションにより、モノヒドロキシ化合物(例えばELV−27SおよびELV−29S、4、ならびにジヒドロキシ誘導体、例えばELV−N32およびELV−N34、5を含む、エロバノイドと称される、n3−VLC−PUFAの、酵素によるヒドロキシル化誘導体の形成をもたらす。エロバノイドELV−N32は、20R,27S−ジヒドロキシ32:6誘導体(ニューロプロテクチン様の20(R),27(S)−ジヒドロキシパターンを有する32個の炭素、6個の二重結合エロバノイド)である。エロバノイドELV−N34は、22R,29S−ジヒドロキシ34:6誘導体(22(R),29(S)−ジヒドロキシパターンを有する34個の炭素、6個の二重結合エロバノイド)である。
図2は、ドコサヘキサエン酸(DHA、C22:6n3)の光受容体への送達、光受容体外節膜再生、およびエロバノイドの合成を示している。DHAまたは前駆体C18:3n3は、DHAそれ自体として食事によって得られる(図1)。それらは、全身性循環(主に門脈系)によって肝臓へ運ばれる。肝臓内に入ると、肝細胞は、DHAをDHA−リン脂質(DHA−PL)に組み込み、次いでリポタンパク質として脈絡毛細管板、神経血管ユニットへ、および他の組織の血管へ輸送する。
DHAは脈絡毛細管板から基底膜を渡り(図2)、網膜の裏側に並ぶ網膜色素上皮(RPE)細胞によって吸収されて、光受容体の内節に送られる。この、肝臓から網膜への標的送達経路は、DHAロングループ(DHA long loop)と称される。
次いでDHAは、光受容体間マトリックス(IPM)を通り、光受容体内節へ送られ、光受容体外節、細胞膜、細胞小器官のリン脂質に組み込まれる。大部分は、乳頭膜の生合成(外節)に使用される。新しいDHAに富んだ乳頭は、光受容体外節の底部で合成され、古い乳頭は、RPE細胞に向かって先端に押される。光受容体の先端は、毎日RPE細胞によって貪食され、最も古い乳頭が除去される。生じたファゴソームは、RPE細胞内で分解され、DHAは、新しい乳頭膜の生合成のために、光受容体内節に戻されて再利用される。この局所的な再利用は、22:6ショートループ(short loop)と称される。
エロバノイドは、光受容体内節のELOVL4(超長鎖脂肪酸−4の伸長)によって生合成されたオメガ−3超長鎖多価不飽和脂肪酸(n3 VLC−PUFA)から形成される。したがって、C1にVLCオメガ−3FA(C34:6n3が示されている)およびC2にDHA(C22:6n3)を含有する内節のホスファチジルコリン分子種が、光受容体膜の生合成に使用される。このリン脂質は、ロドプシンと強く関連することが見出されている。日々の生理的なプロセスとしてRPE細胞で乳頭が貪食されると、潜在的な恒常性が乱され、ホスホリパーゼA1(PLA1)が、sn−1のアシル鎖を開裂し、C34:6n3を放出し、エロバノイド(例えばエロバノイド−34、ELV−N34)の形成に至る。エロバノイド合成に使用されなかったVLCオメガ−3脂肪酸は、ショートループを通じて再利用される。
したがって、生合成的な理由から、天然および生合成に由来するn3 VLC−PUFAは、少なくとも24個の炭素〜少なくとも42個の炭素(すなわち24、26、28、30、32、34、36、38、40、42個の炭素)の範囲の、偶数のみの炭素を含有する。したがって、最大少なくとも41個の炭素(すなわち23、25、27、29、31、33、35、37、39、41個の炭素)のうちの少なくとも23個の範囲の奇数のみの炭素を含有するn3 VLC−PUFAは、天然ではないが、合成化学的方法および方策を使用して合成および製造することができる。
網膜および脳でのエロバノイドELV−N32およびELV−N34の立体制御された全合成および構造的特徴:図3および4に要約されるように、ELV−N32(27S−およびELV−N34は、3つの重要な中間体(1、2、および3)から合成され、各々は、立体化学的に純粋な形態で調製された。エナンチオマー的に純粋なエポキシド出発材料を使用することによって、中間体2および3の立体化学を、事前に定義した。中間体1、2、および3の繰り返しカップリングにより、メチルエステル(Me)またはナトリウム塩(Na)として単離されたELV−N32およびELV−N34(4)に至った。合成材料ELV−N32およびELV−N34は、培養されたヒト網膜色素上皮細胞(RPE)(図3)、および神経性細胞培養物(図4)から得た、それらの炭素鎖と同じ数の炭素を有する内因性エロバノイドと一致した。
エロバノイドの実験的検出および特徴決定:実験証拠は、DHA由来の17−ヒドロキシ−DHAおよびジヒドロキシ化合物NPD1(10R,17S−ジヒドロキシ−ドコサ−4Z,7Z,11E,13E,15Z,19Z−ヘキサエン酸)に類似する分子構造を有するモノヒドロキシおよびジヒドロキシn3 VLC−PUFA誘導体である、エロバノイドの生合成的形成を実証する。エロバノイドは、酵素により生成された、32個の炭素の(ELV−N32)および34個の炭素の(ELV−N34)n3 VLC−PUFAのヒドロキシル化誘導体であり、初代ヒト網膜色素上皮細胞(RPE)の培養物(図3A〜3K)および神経性細胞培養物(図4A〜4K)でまず同定された。
本開示は、6個または5個のC=C結合を有することに加えて、n3 VLC−PUFAに関係する炭素鎖を有し、1つ、2つ、またはそれ以上のヒドロキシル基も含有する化合物を提供する。この種類の化合物は、n3 VLC−PUFAの保護作用および神経保護作用を担い得るとの仮説に基づき、32:6n3および34:6n3VLC−PUFA脂肪酸を添加された、培養中のヒト網膜色素上皮細胞にそれらの存在を同定しようと探索した。結果は、32:6n3および34:6n3VLC−PUFA脂肪酸の両方から、モノヒドロキシエロバノイド誘導体およびジヒドロキシエロバノイド誘導体を示した。これらのエロバノイド(ELV−N32、ELV−N34)の構造を、立体制御された全有機合成を介して立体化学的に純粋な形態で調製された標準物質と比較した(図5Aおよび5B)。
眼部疾患および状態におけるn3 VLC−PUFAおよびエロバノイドの有益な使用:眼部の炎症または変性疾患および状態は、典型的には、角膜、視神経、線維柱帯、および網膜に影響を及ぼす。有効な予防または治療なしでは、緑内障、白内障、糖尿病網膜症、および加齢黄斑変性(AMD)などの視力を失う眼疾患に至る場合がある。網膜細胞におけるELOVL4変異および/またはn3 VLC−PUFAの存在の低減は、変性、神経変性、および網膜変性疾患と関連し、過度かつ持続性の炎症環境とつながるという証拠が増えている。したがって、網膜の細胞および組織の、主要な役割を果たすことが知られているn3 VLC−PUFAの構造、特性、および潜在的な効果が、評価された。
神経外胚葉由来の有糸分裂後の網膜細胞、中枢神経系の肝要な部分である、ヒト網膜色素上皮(RPE)細胞を使用して、実験を行った。これらの細胞は、それら自体を傷害から保護し、他の細胞を保護する、具体的には光受容体の生残など、多数のメカニズムを豊富に与えられている。それらは、ヒトの身体の最も活性な食細胞であり、光受容体および視覚の健康にとって重要であり、神経栄養因子および他の有益な物質を分泌する能力を有する。
常染色体優性なスタルガルト様黄斑ジストロフィー(STGD3)、および加齢黄斑変性(AMD)などの網膜変性疾患におけるn3 VLC−PUFAの有益な役割は、以下によって裏付けられる:(a)n3 VLC−PUFAは、網膜で生合成され、網膜で主要な役割を果たすことが知られている、(b)エロバノイドELV−N32およびELV−N34は、培養中の初代ヒト網膜色素上皮細胞(RPE)で発見され、構造的に特徴があった(図1、6Aおよび6B)、(c)ELOVL4は、DHA(C22:6)のn3 VLC−PUFAへの変換に関与する重要な酵素である、(d)エロンガーゼ酵素ELVOL4のある特定の変異は、STGD3およびAMDなどの網膜変性疾患に至る、(e)ELOVL4生成物を含有する網膜細胞にDHAを捕捉するために必要なタンパク質の遺伝子除去は、VLC−PUFAのレベルの極端な減少を生じ、結果として網膜変性を生じる、(f)RPE細胞での非代償性酸化ストレス(UOS)は、早期の網膜変性疾患に関連する、(g)n3 VLC−PUFA C32:6n3およびC34:6n3は、リポキシゲナーゼ阻害物質で緩和することができない(図9A〜9C)UOSに曝されたヒトRPE細胞に細胞保護を提供する(図7A〜8Cに示される)、(h)エロバノイドELV−N32およびELV−N34は、抗アポトーシスタンパク質のアップレギュレーションおよび光受容細胞の生残を促進することによって(図11A〜11D)、UOS下のヒトRPE細胞に細胞保護を提供する(図10A〜10G)、(i)エロバノイドELV−N32およびELV−N34は、遅発性網膜変性(L−ORD)における光受容細胞の統合性を促進する(図12Aおよび12B)。
図14A〜14Cに示されるように、エロバノイド(ELV)はAβペプチドにより誘発される網膜色素上皮細胞の老化進行を和らげる。Aβ42、アミロイド生成経路の最終生成物は、加齢黄斑変性(AMD)のドルーセンの成分であり、アルツハイマー病(AD)の老人斑の成分である。インビボでOAβの効果を模倣するために、生後6か月のマウスを使用し、網膜下にOAβ単独、OAβ+ELV、およびELV単独を注射した。注射しなかったマウスを陰性対照として使用し、PBSを注射したマウスをシャムとして使用した。注射量は、PBS、10μΜのOAβ、10μΜのOAβ+200ngのELV−32、200ngのELV−32単独、10μΜのOAβ+200ngのELV−34、または200ngのELV−34単独を含有する2μlであった。注射から3日後、眼杯からのmRNAを単離し、q−PCRを使用して遺伝子発現を分析した。次いで、7日目に、マウスに光干渉断層撮影(OCT)分析を施し、次いで眼を摘出し、組織学、全載RPE染色、ウェスタンブロッティング(WB)用に処理した。OCTおよび組織学(データは示さず)では、OAβが網膜変性を誘発し、網膜の厚さは、対照ならびにELV治療群と比較するとOAβを注射した群でより薄かったことがわかる。ZO−1での全載染色では、OAβによってタイトジャンクションも破壊されたことが明らかになった。興味深いことに、ELVとOAβとの併用注射は、ELVがRPE層の形態および恒常性を回復することができたことを示した。さらに、WB分析では、p16INK4aのタンパク質レベル、老化マーカーが、OAβ群ではアップレギュレーションされたが、ELV併用治療および対照群では抑制された。最後に、遺伝子発現分析は、ELVが、OAβ注射がきっかけであった老化およびAMDマーカーの両方のレベルを低減し、OAβを注射した群ではダウンレギュレーションされたRPE機能的遺伝子の発現を誘発したことを示した。このデータは、ELV−32およびELV−34が、老化、AMD、および炎症に関連する遺伝子発現をダウンレギュレーションすることにより、かつRPE機能的遺伝子の発現を維持することにより、RPEおよび網膜をOAβが誘発した老化から保護し、結果として網膜の構造および恒常性の維持を生じることを実証した。
エロバノイド(ELV)化合物:1.ELV C32:6−アセチレンメチルエステル;2.ELV C32:6−NPD1様のナトリウム塩;3.ELV C34:6−アセチレンメチルエステル;4.ELV C32:6−NPD1様のメチルエステル;5.ELV C34:6−NPD1様のメチルエステル。
オートファジーのプロセスに関与する遺伝子は、100個を超える。以下の遺伝子は、AMD疾患において高い。
ATG3(オートファジー関連3) この遺伝子は、ユビキチン様結合酵素をコードし、ユビキチン化様の系の成分であり、真核生物におけるオートファジー、劣化、ターンオーバー、細胞質成分の再利用の過程に関与する。このタンパク質は、細胞死中のオートファジーの調節で役割を果たすことが知られている。
ATG5(オートファジー関連5) この遺伝子によってコードされるタンパク質は、オートファジータンパク質12と組み合わさって、ユビキチン様結合系において、E1様の活性化酵素として機能する。コードされたタンパク質は、オートファジー小胞の形成、酸化損傷後のミトコンドリアの品質制御、生得的な抗ウィルス免疫応答の負の調節機構、リンパ球の成長および増殖、MHC II抗原提示、脂肪細胞分化、およびアポトーシスを含む、いくつかの細胞過程に関連する。
ATG7(オートファジー関連7) この遺伝子は、E1様の活性化酵素をコードし、オートファジーおよび細胞質を液胞に輸送するために不可欠である。コードされたタンパク質はまた、長くなった代謝ストレス中に、p53依存性の細胞周期経路をモジュレートすると考えられている。これは、神経線維膜トラフィッキング、神経線維恒常性、マイトファジー、脂肪分化、および造血幹細胞維持を含む、複数の機能に関連している。
BECN1(ベクリン1) この遺伝子は、欠乏によって誘発されるオートファジー、劣化の異化過程を調節するタンパク質をコードする。コードされたタンパク質は、小胞トラフィッキング過程を媒介する、ホスファチジルイノシトール−3−キナーゼ(PI3K)複合体の成分である。このタンパク質は、発癌、神経変性、およびアポトーシスを含む、複数の細胞過程で役割を果たすと考えられている。
老化した細胞は、細胞サイズの増加、リソソームの加水分解酵素の老化に関連するβ−ガラクトシダーゼ(SA−β−GAL)の酵素的作用の誘発など、いくつかの際立った特徴を有する。(2)。これらの特色の他に、p16INK4a、p21CIP1、p27KIPおよびp53を含む老化シグナル伝達経路の活性化もある。(3)
p16INK4a(サイクリン依存性キナーゼ阻害物質2A、サイクリン依存性キナーゼ4阻害物質A、またはいくつかの他の同義語としても知られる)は、腫瘍抑制タンパク質である。このタンパク質は、CDKN2A遺伝子によってコードされる。p16は、G1期〜S期への細胞進行を遅らせることによって、細胞周期の調節に重要な役割を果たす。
p21Cip1(p21Waf1、サイクリン依存性キナーゼ阻害物質1、またはCDK相互作用タンパク質1としても知られる)は、全てのサイクリン/CDK複合体を阻害することが可能である、サイクリン依存性キナーゼ阻害物質(CKI)である。このタンパク質は、CDKN1A遺伝子によってコードされる。p21は、p53作用の主な標的を表し、したがって、DNA損傷を細胞周期の休止と関連付けることに関連している。
p27Kip1(サイクリン依存性キナーゼ阻害物質1Bとしても知られる)は、酵素阻害物質である。このタンパク質は、CDKN1B遺伝子によってコードされる。これは、サイクリン依存性キナーゼ(Cdk)阻害物質タンパク質のCip/Kipファミリーに属するタンパク質をコードする。コードされたタンパク質は、サイクリンE−CDK2またはサイクリンD−CDK4複合体に結合し、活性化を防止し、したがってG1での細胞周期の進行を制御する。これが、多くの場合、細胞周期阻害物質タンパク質と称されるのは、その主な機能が、細胞分割周期を停止するかまたは遅らせるためである。
p53(腫瘍タンパク質p53、腫瘍抑制遺伝子p53としても知られる)はまた、細胞周期阻害物質である。このタンパク質は、TP53(ヒト)およびTrp53(マウス)によってコードされる。複数のストレッサーは、直接的またはキナーゼを通して間接的にp53を活性化することができる。その結果、全てのサイクリンを阻害し、細胞休止を引き起こす。
データは、n3 VLC−PUFA、またはそれらのエロバノイド(例えばELV−N32、ELV−N34)の、緑内障、白内障、糖尿病網膜症、スタルガルト様黄斑ジストロフィー(STGD3)、および加齢黄斑変性(AMD)を含む網膜変性疾患、ならびに他の眼部疾患および状態の治療を含む、眼における治療的使用または予防的使用に対する裏付けを提供する。
脳疾患および状態におけるn3 VLC−PUFAおよびエロバノイドの有益な使用:VLC−PUFAおよびエロバノイド経路は、脳を含む中枢神経系(CNS)、および神経性細胞で活性である。
ELV−N32(NaまたはMe形態)またはELV−N34(NaまたはMe形態)は、培養中の大脳皮質を混合した神経性細胞または海馬細胞に適用すると、非代償性酸化ストレス、NMDAによって誘発された神経の興奮毒性、またはOGDの損傷の影響を克服することが可能である。大部分の発作は、自然の虚血性発作であり、酸素およびグルコースの枯渇により、ミトコンドリアの損傷に関与する事象のカスケードに至り、最終的には神経の死滅に至る。したがって、インビトロのOGDモデルは、ELVが関与する細胞で起こる事象および想定される根本的な神経保護のシグナル伝達経路を解明する機会を提供する。ELV−N32およびELV−N34の両方は、神経保護を誘導し、神経の細胞毒性を克服する。32個の炭素のオメガ−3VLC−PUFA(C32:6n3)ELV前駆体は、2時間の再曝気相、続いて90分のOGD障害後、250nMの用量で適用されると、大脳皮質ニューロンに神経保護を提供することが可能であった。結論として、内因的に生成されたエロバノイド(ELV−N32またはELV−N34)は、培養中の大脳皮質および海馬ニューロンにおいて、NMDA、非代償性酸化ストレス、またはOGDのようないくつかのストレッサーによって誘発された神経傷害を改善した。これらの新規の生物活性脂質は、脂質メディエーターの新しい部類に属し、エロバノイド(ELV)と称され、C1およびC2の位置に2つのPUFAを有するリン脂質分子種に由来する。
全てのELV治療は、2時間の実験的虚血性脳卒中後1時間で送達され、7日間の生存期間にわたり、神経学的回復を改善した。局所虚血に続く脳浮腫の急速な誘発は、発作後の不健全性および死亡の主な原因である。最大の保護は、皮質(ペナンブラ領域)で、また皮質下領域でも検出された。組織病理学により、皮質のおよび皮質下の領域でより小さな梗塞が、より少ない、全ての細胞に関係する損傷、より高密度な好酸性の領域、梗塞周辺に沿ったニューロンの縮小を有したことが明らかになり、これらの全てがエロバノイドで治療したラットで検出された。
大脳虚血は、細胞、分子、および代謝事象の複雑なカスケードを起こし、非可逆的な脳損傷に至る。死滅したニューロンおよび傷害を受けた組織は、傷害を受けた組織に血流から侵入する活性化された常在性のミクログリアおよび/またはマクロファージによって貪食される。ペナンブラ中の生残しているアストロサイトおよび活性化ミクログリアは、修復メカニズムに関与する成長因子、サイトカイン、および細胞外マトリックス分子を生成することによって、神経の統合性の回復を促進することができる。結果は、ELV治療が、皮質におけるNeuN陽性のニューロン、GFAP陽性の反応性アストロサイトの数、およびSMI−71陽性の血管密度を増加させたことを実証している。血管統合性は、神経形成およびシナプス形成を促進し、ひいては機能回復の改善に貢献する。
大脳虚血後、BBB統合性は弱められ、脳の柔組織に分子が無制御に進入することを可能にし、虚血によって引き起こされた損傷を悪化させる。患者において、BBB統合性の損失は、悪化した発作の転帰と関連している。内因性IgGの脳柔組織への浸入によるBBBの虚血性破壊を測定した。ELV−N34−NaおよびELV−N34−Meを用いた治療は、局所大脳虚血によって誘発されたBBB破壊を減衰させた。
新しく同定されたELVは、脱酸素脱グルコース方法、またはNMDA受容体によって媒介された興奮毒性を受けているニューロンを保護した。さらに、ELVは、梗塞の体積を減衰させ、虚血コアおよびペナンブラを救出し、BBB損傷を減らし、神経学的/挙動回復を伴う細胞生残を促進した。新規のELV療法は、局所虚血性脳卒中および炎症/恒常性破壊に関わる他の状態を治療する可能性を有すると提唱されて当然である。
CNSにおけるELOVL4およびn3 VLC−PUFAの有益な役割を、本明細書に提供する:(a)ELOVL4は、神経性細胞を含むCNSで発現し、DHA(C22:6)のn3 VLC−PUFAへの変換に関与する、(b)初代皮質ニューロンにおける脱酸素脱グルコース方法(OGD)のインビトロモデルでは、n3 VLC−PUFAは、OGDに応答して初代皮質ニューロンによって放出され、モノヒドロキシエロバノイド27(S)−ヒドロキシ−32:6n3(図13B)および29(S)−ヒドロキシ−34:6n3(図13C)に酵素により変換される。しかしながら、ニューロンがOGDに曝されていない対照の中膜では、n3 VLC−PUFA(例えばC32:6n3およびC34:6n3)およびモノヒドロキシエロバノイドのレベルは、ごくわずかである(図13Bおよび13C)。
図13A〜13Dに示されるように、n3 VLC−PUFA(例えばC32:6n3およびC34:6n3)は、脱酸素脱グルコース方法(OGD)に応答してSDラットの胚から初代皮質ニューロンによって内因的に放出され、酵素によって29(S)−ヒドロキシ−34:6n3および27(S)−ヒドロキシ−32:6n3を含むエロバノイドに変換される。ニューロンがOGDに曝されていない対照の中膜では、VLC−PUFA(例えばC32:6n3およびC34:6n3)およびエロバノイドのレベルは、ごくわずかである。インビトロOGDモデルを確立し、SDラットの胚から初代混合皮質ニューロンを培養した。DIV12では、細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄し、グルコースを含まないNeurobasal培地(Gibco)で30分間培養した。その後、細胞をモジュール式培養チャンバ(Billups−Rothenberg Inc.)に入れ、OGD用に37℃の嫌気性チャンバ(95%Nおよび5%CO)で90分間培養した。90分OGDに曝露させた後、細胞を元の培地[0.5mMグルタミンおよびPen Strep(50U/ml)(Gibco)と共に、2%B27(Gibco)および2%N−2(Gibco)サプリメントを含有するNeurobasal培地(Gibco)]に戻し、正常酸素圧のチャンバ(37℃、5%CO)で12時間維持した。正常酸素圧の(対照)条件では、ニューロンをPBSで洗浄したが、他の細胞にOGDストレスを施す120分の間、通常の培地[0.5mMグルタミンおよびPen Strep(50U/ml)(Gibco)と共に、2%B27(Gibco)および2%N−2(Gibco)サプリメントを含有するNeurobasal培地(Gibco)]で維持した。これに続いて、OGDストレスを受けた細胞の時間に一致するように、連続して通常の培地交換を対照細胞に施した。
12時間後、対照およびOGDプレートの両方を氷冷したリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄し、LC−MS/MS分析用に細胞を削り落とし、メタノール中に収集した。液抽出脂質抽出方法を使用して、収集した細胞培養培地から脂肪酸を抽出した。分析用に、抽出物を液体クロマトグラフィータンデム質量分析器に充填した。脂肪酸、モノヒドロキシ脂肪酸誘導体(27−S−ヒドロキシ32:6および29−S−ヒドロキシ34:6)、ELV−N32(20,27−ジヒドロキシ−脂肪酸32:6n3)、およびELV−N34(22,29−ジヒドロキシ−脂肪酸34:6n3)を分析した。比較のため、試料を内部標準物質(AA−d8)に正規化した。
おそらく、OGDは、モノヒドロキシエロバノイド放出のきっかけとなり、初代皮質ニューロンを保護するELV−N32およびELV−N34は、より低い度合いであった。これらのデータは、n3 VLC−PUFAおよびエロバノイドの神経保護的役割を示唆している。
エロバノイドELV−N32およびELV−N34は、(a)OGD(図18A〜18I)またはNMDA毒性(図15A〜15Lおよび図19A〜19H)に曝露させた大脳皮質ニューロン、(b)非代償性酸化ストレス(UOS)、脱酸素脱グルコース方法(OGD)、またはNMDA興奮毒性(図16A〜16I)に曝露させた大脳皮質を混合した培養物および海馬神経培養物、の保護を誘導し、細胞生残率を評価した(図17)。
エロバノイドELV−N32およびELV−N34は、虚血性脳卒中後の神経学的/挙動スコアを改善し、ペナンブラを保護し、MRIの病変体積を低減する(図20A〜2D)。
エロバノイドELV−N32およびELV−N34は、実験的虚血性脳卒中によって誘発された神経損傷およびアストロサイト細胞の損傷(図21A〜21C)を減衰させる。
エロバノイドELV−N32およびELV−N34は、虚血性脳卒中後の神経血管ユニット(NVU)の破壊を減らし、脳梗塞を低減する(図22A〜22D)。
エロバノイドELV−N32およびELV−N34は、神経保護を提供し、外傷性脳損傷(TBI)に続く神経学的不足を改善する(図23A〜23C)。
共に、データは、アルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症、虚血性脳卒中、外傷性脳損傷、てんかん、ならびに筋萎縮性側索硬化症などの脳に関係する炎症、変性、または神経変性疾患および状態の治療を含む、脳におけるn3 VLC−PUFAおよびエロバノイド(例えばELV−N32、ELV−N34)の、治療的または予防的使用の可能性を裏付けている。
全身性および/または加齢に関係する疾患および状態におけるn3 VLC−PUFAおよびエロバノイドの使用:炎症、自己免疫、変性、神経変性、ストレスに関係する、加齢に関係する、または外傷性の状態から生じる全身性疾患は、心臓、筋肉、胃、腸、肝臓、腎臓、および肺などの重要な器官に影響を及ぼし得、関節リウマチ、心血管疾患、脳血管疾患、アテローム性動脈硬化、狼瘡などの、加齢に関係する慢性炎症疾患、ならびに他の加齢に関係する疾患および状態に至る場合がある。慢性疾患および状態を予防する重要な細胞および器官の機能を保護するそれらの独特な有益な役割を考慮すると、提供されるn3 VLC−PUFAおよび/またはエロバノイド化合物が、これらの広範な慢性疾患および状態の治療に有効であると期待されている。
皮膚疾患および状態におけるn3 VLC−PUFAおよびエロバノイドの有益な役割:皮膚炎症または変性疾患および状態は、多くの場合、日焼け、または皮膚炎症(皮膚炎または湿疹)、アトピー性皮膚炎(アトピー性湿疹)、乾燥肌を含む他の要因からの皮膚損傷から、または過剰なふけを生じる皮膚の異常な細胞増殖から生じる。日焼けまたは他の要因からの皮膚損傷は、湿疹、乾癬、アトピー性皮膚炎、または神経皮膚炎などの多数の疾患および状態と関連し、紫外線への曝露および他の種類の接触皮膚炎によって生じ得る。加えて、ある特定の全身性疾患および状態から生じるそう痒症は、様々な炎症および他の種類の刺激からの皮膚のかゆみを誘発し、掻く必要が生じ、それによりさらなる皮膚損傷または皮膚外観の変化に至る場合がある。
皮膚健康、皮膚機能、および皮膚外観の全体的な重要性を考慮すると、皮膚の保護および全体的な皮膚健康のための方法の開発に、多くの労力が注がれている。最新の治療は、多くの場合、多くの種類の皮膚損傷を有効に予防または治療することができず、また皮膚の菲薄化および筋力低下などの副作用も有する、副腎皮質ステロイドの経皮送達、またはビタミン、ミネラル、もしくはハーブ成分を含有するオイルおよびローションの使用に関与している。そのような調製物は、いくらかの保護を提供することができるが、有効に損傷した皮膚を保護し、皮膚損傷を予防し、皮膚健康を回復し、皮膚外観を改善し、皮膚老齢化を遅延させる、化合物、組成物、および方法を開発する必要性は満たされていない。
提供される化合物は、皮膚および他の組織に、十分な保護的、神経保護的、回復的、および他の有益な効果を有するが、限られた量で局所的に生合成される。提供される化合物の局所的な供給は、経時的な、皮膚損傷および皮膚老齢化の結果として損傷した組織に必要な保護を提供するには不十分であろう。
したがって、皮膚に直接的かつ局所的に吸収されることができる様式で、提供される化合物の組成物を提供することにより、提供される化合物および組成物は、損傷または老齢化による影響を受けた皮膚に顕著な利益を提供し、皮膚健康の回復、皮膚外観の美容的改善、および皮膚老齢化の遅延を生じるであろう。
加齢に関係する皮膚組織の損傷を抑制することにより、かつ神経損傷を予防し神経機能を回復することにより、提供される化合物、組成物、および方法は、損傷されることから皮膚を保護し、皮膚健康および皮膚外観を改善し、皮膚老齢化を遅延させることが可能である。皮膚を含む重要な細胞および器官の機能を保護するそれらの独特な有益な役割を考慮すると、提供されるn3 VLC−PUFAおよび/またはエロバノイド化合物は、皮膚に関係する炎症、自己免疫、変性、または神経変性皮膚疾患および状態を含む、広範な皮膚疾患および状態の治療に有効であると期待されている。
総じて、上記のデータおよび分析は、提供される化合物、皮膚用組成物または美容組成物、および提供される化合物を皮膚組織に使用する方法は、炎症、乾燥、老齢化、または他の原因によって損傷された皮膚の保護、予防、および治療を提供することが可能である本開示の根拠を提供する。
潜在的な治療法としてのn3 VLC−PUFAの有益な役割:本明細書に記載の概念およびデータは、網膜変性疾患、ならびに脳、CNS、ならびに炎症または変性疾患および状態に関係する他の満たされていない治療に関係する疾患の予防および治療の潜在的な治療法としての、提供されるn3 VLC−PUFAおよび/またはエロバノイド化合物の有益な使用に対する裏付けを提供する。
本開示の化合物の起源:提供される化合物は、自然に発生する天然の組織から単離されなかったが、ヒト細胞と、化学的に合成されたn3−VLC−PUFAとを組み合わせた人工的実験の結果から得た。HPLCおよび質量分析器を使用すると、この合成エロバノイド化合物の一般構造は、ヒト網膜色素上皮細胞で生合成された化合物、または神経性細胞培養物で検出された化合物と一致した。しかしながら、現時点では、天然の、具体的に定義された立体化学を有する提供されるモノ−およびジ−ヒドロキシル化エロバノイドは知られていない。さらに、提供される化合物は、天然資源から得られないが、市販の材料で開始する、当該技術分野で既知の立体制御した合成方法を適合させることによって調製される。提供される調製方法は、合計炭素数22個以下の炭素を有する化合物とは顕著に異なるn3 VLC−PUFAの独特な疎水性特性に対して好適に設計された。
本開示は、立体化学的に純粋な構造を有し、薬理学的作用を化合物に与えることを可能にする追加の構造的特色および特性を有するように化学的に合成し改変した化合物を包含する。提供される化合物は、それらの化学的および生物学的安定性を向上し、薬物送達の様々な形態に関与する治療的適用におけるそれらの使用を可能にする、カルボン酸エステルまたはカルボン酸塩の形態の化学的に修飾された医薬的に許容可能な誘導体である。
本開示はまた、標的の細胞および組織に到達することができる様式で対象に送達される能力を向上する、提供される化合物の薬理学的に有効な組成物を提供する。
n3 VLC−PUFAおよびエロバノイドの全体的に有益な使用:本開示は、皮膚疾患、眼部疾患、神経外傷を含む脳疾患を含む、広範な全身性炎症、変性、および神経変性疾患を予防および治療するための、化合物および組成物を提供する。
本開示によって提供される化合物および組成物は、非代償性酸化ストレスまたは他の恒常性破壊を受けているある特定の細胞の恒常性を回復し、細胞生残シグナル伝達を誘発することが可能である。
本開示はまた、遊離カルボン酸もしくはそれらの医薬的に許容可能な塩として、もしくはそれらの対応するエステル、または他のプロドラッグ誘導体として、オメガ−3超長鎖多価不飽和脂肪酸のヒドロキシル化誘導体を含有する、提供される化合物および組成物の使用方法を提供する。提供される化合物は、市販の材料から開始する、当該技術分野で既知の方法を適合させることによって容易に調製することができる。
提供される化合物および医薬的に許容可能な担体を含有する医薬組成物を投与することによって、恒常性の均衡を回復し、正常な機能を維持するために不可欠である、ある特定の細胞の生残を促進する。提供される化合物、組成物、および方法は、炎症、変性、および神経変性疾患の予防的および治療的処置に使用することができる。
本開示は、特定の生物学的な内在性の細胞/器官の応答を模倣して、有効性、選択性を達成し、副作用を回避し、生物活性を維持することによって、これらの状態の開始および早期進行の重要なステップを標的にする。
化合物
「エロバノイド」と称される、オメガ−3超長鎖多価不飽和脂肪酸およびそれらのヒドロキシル化誘導体に基づく化合物が、本明細書に記載される。
オメガ−3超長鎖多価不飽和脂肪酸は、AもしくはB:
Figure 2020514391
の構造、またはそれらの誘導体を有し、式中、Aは、合計23個〜42個の炭素原子を炭素鎖内に含有し、かつ6個の交互のシス炭素−炭素二重結合がn−3、n−6、n−9、n−12、n−15およびn−18の位置で開始し、かつ、Bは、合計23個〜42個の炭素原子を炭素鎖内に含有し、かつ5個の交互のシス炭素−炭素二重結合がn−3、n−6、n−9、n−12およびn−15の位置で開始する。Rは、水素、メチル、エチル、アルキル、または、カチオン、例えば、アンモニウムカチオン、イミニウムカチオン、もしくは、限定されないがナトリウムカチオン、カリウムカチオン、マグネシウムカチオン、亜鉛カチオン、もしくはカルシウムカチオンを含む、金属カチオンであり得、かつ、mは0〜19の数である。
本開示のオメガ−3超長鎖多価不飽和脂肪酸は、末端カルボキシル基「−COOR」を有し得、「R」は、アルキル基などのカルボキシルに共有結合している基を指すことを意図している。代替的に、カルボキシル基は、「−COO」として負の電荷を有し、Rは、金属カチオン、アンモニウムカチオンなどを含むカチオンであることをさらに意図する。
いくつかのオメガ−3超長鎖多価不飽和脂肪酸では、mは、0〜15からなる群から選択される数である。したがって、脂肪酸成分が、合計24、26、28、30、32、34、36、または38個の炭素原子をその炭素鎖内に含有する場合、mは、1、3、5、7、9、11、13、または15から選択される数であり得る。他のオメガ−3超長鎖多価不飽和脂肪酸では、脂肪酸成分が、合計23、25、27、19、31、33、35、または37個の炭素原子をその炭素鎖内に含有する場合、mは、0、2、4、6、8、10、12、または14からなる群から選択される数である。いくつかのオメガ−3超長鎖多価不飽和脂肪酸では、脂肪酸成分が、合計28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、または38個の炭素原子をその炭素鎖内に含有する場合、mは、5〜15からなる群から選択される数である。いくつかのオメガ−3超長鎖多価不飽和脂肪酸では、脂肪酸成分が、合計32個または34個の炭素原子をその炭素鎖内に含有する場合、mは、9〜11からなる群から選択される数である。
いくつかの実施形態では、オメガ−3超長鎖多価不飽和脂肪酸は、カルボン酸である、すなわちRは、水素である。他の実施形態では、オメガ−3超長鎖多価不飽和脂肪酸は、カルボン酸エステルであり、Rは、メチル、エチル、またはアルキルである。オメガ−3超長鎖多価不飽和脂肪酸がカルボン酸エステルであるとき、Rは、限定されないが、メチルまたはエチルであってもよい。いくつかの実施形態では、オメガ−3超長鎖多価不飽和脂肪酸は、カルボン酸エステルであり、Rは、メチルである。
いくつかの実施形態では、オメガ−3超長鎖多価不飽和脂肪酸は、カルボン酸塩であり得、Rは、アンモニウムカチオン、イミニウムカチオン、または、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、マグネシウムカチオン、亜鉛カチオン、もしくはカルシウムカチオンからなる群から選択される金属カチオンである。いくつかの有利な実施形態では、Rは、アンモニウムカチオンまたはイミニウムカチオンである。Rは、ナトリウムカチオンまたはカリウムカチオンであり得る。いくつかの実施形態では、Rは、ナトリウムカチオンである。
本開示のオメガ−3超長鎖多価不飽和脂肪酸または誘導体は、その炭素鎖内に32個または34個の炭素を、および、n−3の位置で開始する6個の交互のシス二重結合を有し得、式A1(14Z,17Z,20Z,23Z,26Z,29Z)−ドトリアコンタ−14,17,20,23,26,29−ヘキサエン酸)、または式A2(16Z,19Z,22Z,25Z,28Z,31Z)−テトラトリアコンタ−16,19,22,25,28,31−ヘキサエン酸):
Figure 2020514391
を有する。
オメガ−3超長鎖多価不飽和脂肪酸のいくつかの実施形態では、カルボキシル誘導体は、グリセロールに由来するリン脂質の一部であり、これが当該技術分野で既知の方法を用いることによって、構造AまたはBのn3 VLC−PUFAのカルボン酸の形態で、および構造C、D、E、またはF:
Figure 2020514391
によって表される形態で開始して、容易に調製することができ、ここで、CまたはEは、合計23個〜42個の炭素原子を炭素鎖内に含有し、かつ6個の交互のシス炭素−炭素二重結合がn−3、n−6、n−9、n−12、n−15およびn−18の位置で開始し、かつ、DまたはEは、合計23個〜42個の炭素原子を炭素鎖内に含有し、かつ5個の交互のシス炭素−炭素二重結合がn−3、n−6、n−9、n−12およびn−15の位置で開始する。有利な実施形態では、mは、0〜15からなる群から選択される数である。他の実施形態では、脂肪酸成分が、合計24、26、28、30、32、34、36、または38個の炭素原子をその炭素鎖内に含有する場合、mは、1、3、5、7、9、11、13、または15から選択される数である。さらなる有利な実施形態では、脂肪酸成分が、合計23、25、27、19、31、33、35、または37個の炭素原子をその炭素鎖内に含有する場合、mは、0、2、4、6、8、10、12、または14からなる群から選択される数である。
いくつかの実施形態では、脂肪酸成分が、合計28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、または38個の炭素原子をその炭素鎖内に含有する場合、mは、5〜15からなる群から選択される数である。いくつかの実施形態では、脂肪酸成分が、合計28、30、32、34、36、または38個の炭素原子をその炭素鎖内に含有する場合、mは、5、7、9、11、13、または15からなる群から選択される数である。他の実施形態では、脂肪酸成分が、合計27、29、31、33、35、または37個の炭素原子をその炭素鎖内に含有する場合、mは、4、6、8、10、12、または14からなる群から選択される数である。有利な実施形態では、脂肪酸成分が、合計32個または34個の炭素原子をその炭素鎖内に含有する場合、mは、9〜11からなる群から選択される数である。
本開示のモノヒドロキシル化エロバノイドは、構造G、H、I、またはJ:
Figure 2020514391
を有し得、ここで、化合物GおよびHは、n−3、n−9、n−12、n−15、およびn−18の位置で開始する5個のシス炭素−炭素二重結合とn−7の位置で開始する1つのトランス炭素−炭素二重結合とを有する炭素鎖内に、合計23個〜42個の炭素原子を有し、化合物IおよびJは、合計23個〜42個の炭素原子を炭素鎖内に有し、かつ1つのトランス炭素−炭素二重結合がn−3、n−9、n−12、およびn−15の位置で開始しかつ4個のシス炭素−炭素二重結合がn−7の位置で開始し、Rは、水素、メチル、エチル、アルキル、またはアンモニウムカチオン、イミニウムカチオンからなる群から選択されるカチオン、または、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、マグネシウムカチオン、亜鉛カチオン、もしくはカルシウムカチオンからなる群から選択される金属カチオンであり、かつmは、0〜19からなる群から選択される数であり、かつ、化合物GおよびHは、等モル混合物として存在してもよく、化合物IおよびJは、等モル混合物として存在してもよく、提供される化合物GおよびHは主に、定義される(S)または(R)キラリティをヒドロキシル基を担持している炭素において有する1つのエナンチオマーであり、かつ、化合物GおよびHは主に、定義される(S)または(R)キラリティをヒドロキシル基を担持している炭素において有する1つのエナンチオマーである。
本明細書においてかつ本開示の他の構造で使用される場合、本開示の化合物は、末端カルボキシル基「−COOR」を有して示され、「R」は、アルキル基などのカルボキシルに共有結合している基を指すことを意図している。代替的に、カルボキシル基は、「−COO」として負の電荷を有し、Rは、金属カチオン、アンモニウムカチオンなどを含むカチオンであることをさらに意図する。
本開示のモノヒドロキシル化エロバノイドのいくつかの実施形態では、mは、0〜15からなる群から選択される数である。他の有利な実施形態では、脂肪酸成分が、合計24、26、28、30、32、34、36、または38個の炭素原子をその炭素鎖内に含有する場合、mは、1、3、5、7、9、11、13、または15から選択される数である。他の実施形態では、脂肪酸成分が、合計23、25、27、19、31、33、35、または37個の炭素原子をその炭素鎖内に含有する場合、mは、0、2、4、6、8、10、12、または14からなる群から選択される数である。
いくつかの実施形態では、脂肪酸成分が、合計28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、または38個の炭素原子をその炭素鎖内に含有する場合、mは、5〜15からなる群から選択される数である。いくつかの実施形態では、脂肪酸成分が、合計28、30、32、34、36、または38個の炭素原子をその炭素鎖内に含有する場合、mは、5、7、9、11、13、または15からなる群から選択される数である。他の実施形態では、脂肪酸成分が、合計27、29、31、33、35、または37個の炭素原子をその炭素鎖内に含有する場合、mは、4、6、8、10、12、または14からなる群から選択される数である。有利な実施形態では、脂肪酸成分が、合計32個または34個の炭素原子をその炭素鎖内に含有する場合、mは、9〜11からなる群から選択される数である。
いくつかの実施形態では、本開示のモノヒドロキシル化エロバノイドは、カルボン酸である、すなわちRは、水素である。他の実施形態では、化合物は、カルボン酸エステルであり、Rは、メチル、エチル、またはアルキルである。有利な実施形態では、化合物は、カルボン酸エステルであり、Rは、メチルまたはエチルである。有利な実施形態では、化合物は、カルボン酸エステルであり、Rは、メチルである。他の有利な実施形態では、化合物は、カルボン酸塩であり、Rは、アンモニウムカチオン、イミニウムカチオン、または、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、マグネシウムカチオン、亜鉛カチオン、もしくはカルシウムカチオンからなる群から選択される金属カチオンである。いくつかの有利な実施形態では、Rは、アンモニウムカチオンまたはイミニウムカチオンである。他の有利な実施形態では、Rは、ナトリウムカチオンまたはカリウムカチオンである。有利な実施形態では、Rは、ナトリウムカチオンである。
本開示のジヒドロキシル化エロバノイドは、構造K、L、M、またはN:
Figure 2020514391
を有し得、ここで、化合物KおよびLは、n−3、n−7、n−15、およびn−18の位置で開始する4個のシス炭素−炭素二重結合とn−9、n−11の位置で開始する2つのトランス炭素−炭素結合とを有する炭素鎖内に、合計23個〜42個の炭素原子を有し、かつ化合物MおよびNは、n−3、n−7、n−12、およびn−15の位置で開始する3個のシス炭素−炭素二重結合とn−9、n−11の位置で開始する2つのトランス炭素−炭素結合とを有する炭素鎖内に、合計23個〜42個の炭素原子を有し、Rは、水素、メチル、エチル、アルキル、または、アンモニウムカチオン、イミニウムカチオンからなる群から選択されるカチオン、または、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、マグネシウムカチオン、亜鉛カチオン、もしくはカルシウムカチオンからなる群から選択される金属カチオンであり、かつmは、0〜19からなる群から選択される数であり、化合物KおよびLは、等モル混合物として存在してもよく、化合物MおよびNは、等モル混合物として存在してもよく、化合物KおよびLは主に、定義される(S)または(R)キラリティをヒドロキシル基を担持している炭素において有する1つのエナンチオマーであり、かつ、提供される化合物MおよびNは主に、定義される(S)または(R)キラリティをヒドロキシル基を担持している炭素において有する1つのエナンチオマーである。
本明細書においてかつ本開示の他の構造で使用される場合、本開示の化合物は、末端カルボキシル基「−COOR」を有して示され、「R」は、アルキル基などのカルボキシルに共有結合している基を指すことを意図している。代替的に、カルボキシル基は、「−COO」として負の電荷を有し、Rは、金属カチオン、アンモニウムカチオンなどを含むカチオンであることをさらに意図する。
本開示のジヒドロキシル化エロバノイドのいくつかの実施形態では、脂肪酸成分が、合計28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、または38個の炭素原子をその炭素鎖内に含有する場合、mは、5〜15からなる群から選択される数である。有利な実施形態では、脂肪酸成分が、合計28、30、32、34、36、または38個の炭素原子をその炭素鎖内に含有する場合、mは、5、7、9、11、13、または15からなる群から選択される数である。他の実施形態では、脂肪酸成分が、合計27、29、31、33、35、または37個の炭素原子をその炭素鎖内に含有する場合、mは、4、6、8、10、12、または14からなる群から選択される数である。有利な実施形態では、脂肪酸成分が、合計32個または34個の炭素原子をその炭素鎖内に含有する場合、mは、9〜11からなる群から選択される数である。
いくつかの本開示のジヒドロキシル化エロバノイドは、カルボン酸である、すなわちRは、水素である。他の実施形態では、本開示のジヒドロキシル化エロバノイドは、カルボン酸エステルであり、Rは、メチル、エチル、またはアルキルである。有利な実施形態では、化合物は、カルボン酸エステルであり、Rは、メチルまたはエチルである。有利な実施形態では、化合物は、カルボン酸エステルであり、Rは、メチルである。
他の実施形態では、本開示のジヒドロキシル化エロバノイドは、カルボン酸塩であり、Rは、アンモニウムカチオン、イミニウムカチオン、または、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、マグネシウムカチオン、亜鉛カチオン、もしくはカルシウムカチオンからなる群から選択される金属カチオンである。いくつかの有利な実施形態では、Rは、アンモニウムカチオンまたはイミニウムカチオンである。他の有利な実施形態では、Rは、ナトリウムカチオンまたはカリウムカチオンである。有利な実施形態では、Rは、ナトリウムカチオンである。
本開示のアルキニルモノヒドロキシル化エロバノイドは、構造O、P、Q、またはR:
Figure 2020514391
を有し得、ここで、化合物OおよびPは、n−3、n−12、n−15、およびn−18の位置で開始する4個のシス炭素−炭素二重結合とn−7の位置で開始する1つのトランス炭素−炭素結合とn−9の位置で開始する1つのトランス炭素−炭素三重結合とを有する炭素鎖内に、合計23個〜42個の炭素原子を有し、かつ化合物IおよびJは、n−3、n−12、およびn−15の位置で開始する3個のシス炭素−炭素二重結合とn−7の位置で開始する1つのトランス炭素−炭素結合とn−9の位置で開始する1つの炭素−炭素三重結合とを有する炭素鎖内、合計23個〜42個の炭素原子をに有し、Rは、水素、メチル、エチル、アルキル、または、アンモニウムカチオン、イミニウムカチオンからなる群から選択されるカチオン、または、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、マグネシウムカチオン、亜鉛カチオン、もしくはカルシウムカチオンからなる群から選択される金属カチオンであり、かつmは、0〜19からなる群から選択される数であり、化合物OおよびPは、等モル混合物として存在してもよく、化合物QおよびRは、等モル混合物として存在してもよく、提供される化合物OおよびPは主に、定義される(S)または(R)キラリティをヒドロキシル基を担持している炭素において有する1つのエナンチオマーであり、かつ、提供される化合物OおよびPは主に、定義される(S)または(R)キラリティをヒドロキシル基を担持している炭素において有する1つのエナンチオマーである。
本明細書でおよび本開示の他の構造で使用される場合、本開示のアルキニルモノヒドロキシル化エロバノイドは、末端カルボキシル基「−COOR」を有して示され、「R」は、アルキル基などのカルボキシルに共有結合している基を指すことを意図している。代替的に、カルボキシル基は、「−COO」として負の電荷を有し、Rは、金属カチオン、アンモニウムカチオンなどを含むカチオンであることをさらに意図する。
いくつかの実施形態では、mは、0〜15からなる群から選択される数である。他の実施形態では、脂肪酸成分が、合計24、26、28、30、32、34、36、または38個の炭素原子をその炭素鎖内に含有する場合、mは、1、3、5、7、9、11、13、または15から選択される数である。
さらなる実施形態では、脂肪酸成分が、合計23、25、27、19、31、33、35、または37個の炭素原子をその炭素鎖内に含有する場合、mは、0、2、4、6、8、10、12、または14からなる群から選択される数である。いくつかの実施形態では、脂肪酸成分が、合計28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、または38個の炭素原子をその炭素鎖内に含有する場合、mは、5〜15からなる群から選択される数である。実施形態では、脂肪酸成分が、合計28、30、32、34、36、または38個の炭素原子をその炭素鎖内に含有する場合、mは、5、7、9、11、13、または15からなる群から選択される数である。他の実施形態では、脂肪酸成分が、合計27、29、31、33、35、または37個の炭素原子をその炭素鎖内に含有する場合、mは、4、6、8、10、12、または14からなる群から選択される数である。いくつかの実施形態では、脂肪酸成分が、合計32個または34個の炭素原子をその炭素鎖内に含有する場合、mは、9〜11からなる群から選択される数である。
いくつかの実施形態では、本開示のアルキニルモノヒドロキシル化エロバノイドは、カルボン酸である、すなわちRは、水素である。他の実施形態では、本開示のアルキニルモノヒドロキシル化エロバノイドは、カルボン酸エステルであり、Rは、メチル、エチル、またはアルキルである。実施形態では、本開示のアルキニルモノヒドロキシル化エロバノイドは、カルボン酸エステルであり、Rは、メチルまたはエチルである。
いくつかの実施形態では、Rは、メチルである。他の実施形態では、本開示のアルキニルモノヒドロキシル化エロバノイドは、カルボン酸塩であり得、Rは、アンモニウムカチオン、イミニウムカチオン、または、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、マグネシウムカチオン、亜鉛カチオン、もしくはカルシウムカチオンからなる群から選択される金属カチオンである。いくつかの実施形態では、Rは、アンモニウムカチオンまたはイミニウムカチオンである。他の実施形態では、Rは、ナトリウムカチオンまたはカリウムカチオンである。実施形態では、Rは、ナトリウムカチオンである。
アルキニルジヒドロキシル化エロバノイドは、S、T、U、またはV:
Figure 2020514391
の構造を有し得、ここで、化合物SおよびTは、n−3、n−12、n−15、およびn−18の位置で開始する3個のシス炭素−炭素二重結合を有しn−9およびn−11の位置で開始する2つのトランス炭素−炭素二重結合とn−7の位置で開始する1つの炭素−炭素三重結合とを有する炭素鎖内に、合計23個〜42個の炭素原子を有し、かつ、化合物UおよびVは、合計23個〜42個の炭素原子を炭素鎖内に有し、かつ2つのシス炭素−炭素二重結合がn−3およびn−15の位置で開始し、2つのトランス炭素−炭素二重結合がn−9およびn−11の位置で開始しかつ1つの炭素−炭素三重結合がn−7の位置で開始し、Rは、水素、メチル、エチル、アルキル、またはアンモニウムカチオン、イミニウムカチオンからなる群から選択されるカチオン、または、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、マグネシウムカチオン、亜鉛カチオン、もしくはカルシウムカチオンからなる群から選択される金属カチオンであり、かつ、mは、0〜19からなる群から選択される数であり、化合物SおよびTは、等モル混合物として存在してもよく、化合物UおよびVは、等モル混合物として存在してもよい。
いくつかの実施形態では、提供される化合物SおよびTは主に、定義される(S)または(R)キラリティをヒドロキシル基を担持している炭素において有する1つのエナンチオマーであり、かつ提供される化合物UおよびVは主に、定義される(S)または(R)キラリティをヒドロキシル基を担持している炭素において有する1つのエナンチオマーである。
本明細書でおよび本発明の他の構造で使用される場合、本発明の化合物は、末端カルボキシル基「−COOR」を有して示され、「R」は、アルキル基などのカルボキシルに共有結合している基を指すことを意図している。代替的に、カルボキシル基は、「−COO」として負の電荷を有し、Rは、金属カチオン、アンモニウムカチオンなどを含むカチオンであることをさらに意図する。
いくつかの実施形態では、脂肪酸成分が、合計28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、または38個の炭素原子をその炭素鎖内に含有する場合、mは、5〜15からなる群から選択される数である。実施形態では、脂肪酸成分が、合計28、30、32、34、36、または38個の炭素原子をその炭素鎖内に含有する場合、mは、5、7、9、11、13、または15からなる群から選択される数である。他の実施形態では、脂肪酸成分が、合計27、29、31、33、35、または37個の炭素原子をその炭素鎖内に含有する場合、mは、4、6、8、10、12、または14からなる群から選択される数である。実施形態では、脂肪酸成分が、合計32個または34個の炭素原子をその炭素鎖内に含有する場合、mは、9〜11からなる群から選択される数である。
いくつかの実施形態では、提供される化合物は、カルボン酸である、すなわちRは、水素である。
他の実施形態では、提供される化合物は、カルボン酸エステルであり、Rは、メチル、エチル、またはアルキルである。実施形態では、提供される化合物は、カルボン酸エステルであり、Rは、メチルまたはエチルである。実施形態では、提供される化合物は、カルボン酸エステルであり、Rは、メチルである。他の実施形態では、提供される化合物は、カルボン酸塩であり、Rは、アンモニウムカチオン、イミニウムカチオン、または、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、マグネシウムカチオン、亜鉛カチオン、もしくはカルシウムカチオンからなる群から選択される金属カチオンである。いくつかの実施形態では、Rは、アンモニウムカチオンまたはイミニウムカチオンである。他の実施形態では、Rは、ナトリウムカチオンまたはカリウムカチオンである。実施形態では、Rは、ナトリウムカチオンである。
有利な実施形態では、本開示は、名称:メチル(S,14Z,17Z,20Z,23Z,25E,29Z)−27−ヒドロキシドトリアコンタ−14,17,20,23,25,29−ヘキサエン酸を有する、式G1のモノヒドロキシル化された32個の炭素のメチルエステル;名称:ナトリウム(S,14Z,17Z,20Z,23Z,25E,29Z)−27−ヒドロキシドトリアコンタ−14,17,20,23,25,29−ヘキサエン酸を有する、式G2のモノヒドロキシル化された32個の炭素のナトリウム塩;名称:メチル(S,16Z,19Z,22Z,25Z,27E,31Z)−29−ヒドロキシテトラトリアコンタ−16,19,22,25,27,31−ヘキサエン酸を有する、式G3のモノヒドロキシル化された34個の炭素のメチルエステル;または名称ナトリウム(S,16Z,19Z,22Z,25Z,27E,31Z)−29−ヒドロキシテトラトリアコンタ−16,19,22,25,27,31−ヘキサエン酸を有する、式G4のモノヒドロキシル化された34個の炭素のナトリウム塩を提供する。
Figure 2020514391
他の有利な実施形態では、本開示は、名称:メチル(14Z,17Z,20R,21E,23E,25Z,27S,29Z)−20,27−ジヒドロキシドトリアコンタ−14,17,21,23,25,29−ヘキサエン酸を有する、式K1のジヒドロキシル化された32個の炭素のメチルエステル;名称:ナトリウム(14Z,17Z,20R,21E,23E,25Z,27S,29Z)−20,27−ジヒドロキシドトリアコンタ−14,17,21,23,25,29−ヘキサエン酸を有する、式K2のジヒドロキシル化された32個の炭素のナトリウム塩;または名称:メチル(16Z,19Z,22R,23E,25E,27Z,29S,31Z)−22,29−ジヒドロキシテトラトリアコンタ−16,19,23,25,27,31−ヘキサエン酸を有する、式K3のジヒドロキシル化された34個の炭素のメチルエステル;または名称:ナトリウム(16Z,19Z,22R,23E,25E,27Z,29S,31Z)−22,29−ジヒドロキシテトラトリアコンタ−16,19,23,25,27,31−ヘキサエン酸を有する、式K4のジヒドロキシル化された34個の炭素のナトリウム塩を提供する。
Figure 2020514391
他の実施形態では、本発明は、名称:メチル(S,14Z,17Z,20Z,25E,29Z)−27−ヒドロキシドトリアコンタ−14,17,20,25,29−ペンタエン−23−イン酸を有する、式O1のアルキニルモノヒドロキシル化された32個の炭素のメチルエステル;名称:ナトリウム(S,17Z,20Z,25E,29Z)−27−ヒドロキシドトリアコンタ−17,20,25,29−テトラエン−23−イン酸を有する、式O2のアルキニルモノヒドロキシル化された32個の炭素のナトリウム塩;名称:メチル(S,16Z,19Z,22Z,27E,31Z)−29−ヒドロキシテトラトリアコンタ−16,19,22,27,31−ペンタエン−25−イン酸を有する、式O3のアルキニルモノヒドロキシル化された34個の炭素のメチルエステル;名称:ナトリウム(S,16Z,19Z,22Z,27E,31Z)−29−ヒドロキシテトラトリアコンタ−16,19,22,27,31−ペンタエン−25−イン酸を有する、式O4のアルキニルモノヒドロキシル化された34個の炭素のナトリウム塩を提供する。
Figure 2020514391
他の有利な実施形態では、本発明は、名称:メチル(14Z,17Z,20R,21E,23E,27S,29Z)−20,27−ジヒドロキシドトリアコンタ−14,17,21,23,29−ペンタエン−25−イン酸を有する、式S1のアルキニルジヒドロキシル化された32個の炭素のメチルエステル;名称:ナトリウム(14Z,17Z,20R,21E,23E,27S,29Z)−20,27−ジヒドロキシドトリアコンタ−14,17,21,23,29−ペンタエン−25−イン酸を有する、式S2のアルキニルジヒドロキシル化された32個の炭素のナトリウム塩;または名称:メチル(16Z,19Z,22R,23E,25E,29S,31Z)−22,29−ジヒドロキシテトラトリアコンタ−16,19,23,25,31−ペンタエン−27−イン酸を有する、式S3のアルキニルジヒドロキシル化された34個の炭素のメチルエステル;または名称:ナトリウム(16Z,19Z,22R,23E,25E,29S,31Z)−22,29−ジヒドロキシテトラトリアコンタ−16,19,23,25,31−ペンタエン−27−イン酸を有する、式S4のアルキニルジヒドロキシル化された34個の炭素のナトリウム塩を提供する。
Figure 2020514391
提供される化合物の調製方法および製造方法:本開示の提供される化合物は、図24〜28に示されるスキーム1〜5に要約されるように、市販の材料から開始する、当該技術分野で既知の方法を適合させることによって容易に調製することができる。
スキーム1(図24)は、nが9であり、脂肪酸鎖が、合計32個の炭素原子を含有し、R基が、メチルまたはナトリウムカチオンである、O型の化合物の立体制御された全合成のための、詳細な手引きを示している。具体的には、スキーム1は、メチルペンタデカ−14−イン酸(S1)で開始する、化合物ELV−N32−MeおよびELV−N32−Naの合成を示している。ヘプタデカ−16−イン酸(T1)で開始することにより、このプロセスは、化合物ELV−N34−MeおよびELV−N34−Naを得る。本開示では、ELV−N32−MeおよびELV−N32−Naのアルキニル前駆体、すなわち13a、13b、15a、および15bはまた、提供される化合物XおよびZのうちのものである。スキーム1は、この種類の反応では典型的である反応条件を用いることにより、提供される化合物を調製するための試薬および条件を提供する。
スキーム2(図25)は、スキーム1でも使用された中間体2、5、および7で開始することによる、ジヒドロキシル化エロバノイドKおよびL、ならびにそれらのアルキン前駆体SおよびTの全合成を説明している。保護されている(R)エポキシド4の中間体15への変換、ならびに7と15とのカップリング、続いて中間体17への変換は、文献の手順に従って行うことができる(Tetrahedron Lett.2012;53(14):1695−8)。
中間体2もしくは17の間、または中間体5もしくは17の間の触媒作用によるクロスカップリング、続いて脱保護することにより、アルキニル化合物SおよびTの形成に至り、次いでこれらを選択的に還元してジヒドロキシル化エロバノイドKおよびLを形成する。加水分解および酸性化によって、対応するカルボン酸を得、これに当量の対応する塩基を添加してカルボン酸塩に変換することができる。少なくとも23個の炭素および最大42個の炭素をそれらの炭素鎖内に有するK、L、S、およびT型のジヒドロキシル化エロバノイドは、アルキン出発材料7の炭素数を変動させることによって同様に調製することができる。
スキーム3(図26)は、スキーム1でも使用された同じアルキニル中間体2および5を用いることによる、MおよびN型の、ならびにそれらのアルキン前駆体UおよびVの、5個の不飽和二重結合を有するジヒドロキシル化エロバノイドの全合成を示している。(Tetrahedron Lett.2012;53(14):1695−8)。
一般的な中間体22の合成は、カルボン酸18で始まり、既知の方法論を使用して、オルトエステル19に変換される(Tetrahedron Lett.1983,24(50),5571−4)。リチウム化アルキンのエポキシド1との反応により、中間体21を得、これをヨウ化物中間体22に変換し、同様に16を17に変換する。中間体2または5と、22との間の触媒作用によるクロスカップリング、続いて脱保護することにより、アルキニルジヒドロキシエロバノイドUおよびVの形成に至り、次いでこれらを選択的に還元して、ジヒドロキシル化エロバノイドMおよびNを形成する。
加水分解および酸性化により、対応するカルボン酸を得、これに当量の対応する塩基を添加してカルボン酸塩に変換することができる。少なくとも23個の炭素および最大42個の炭素をそれらの炭素鎖内に有するM、N、U、およびV型のジヒドロキシル化エロバノイドは、アルキンカルボン酸18の炭素数を変動させることによって同様に調製することができる。
スキーム4(図27)は、アルキンメチルエステル23、中間体15、およびアルキン中間体2で開始する、32個の炭素のジヒドロキシル化エロバノイドの立体制御された全合成を示している。具体的には、このスキームは、32個の炭素のアルキニルエロバノイド化合物ELV−N32−Me−アセチレンの全合成、ならびにエロバノイドメチルエステルELV−N32−Me、エロバノイドカルボン酸ELV−N32−H、およびエロバノイドナトリウム塩ELV−N32−Naへのその変換を示している。
スキーム5(図28)は、アルキンメチルエステル30で開始する、スキーム4と同じ反応シーケンスを用いることによる、34個の炭素のジヒドロキシル化エロバノイドの立体制御された全合成を示している。
具体的には、このスキームは、34個の炭素のアルキニルエロバノイド化合物ELV−N34−Me−アセチレンの全合成、ならびにエロバノイドメチルエステルELV−N34−Me、エロバノイドカルボン酸ELV−N34−H、およびエロバノイドナトリウム塩ELV−N34−Naへのその変換を示している。
スキーム1〜5(図24〜28)に提示されている化学反応はまた、少なくとも23個の炭素および最大42個の炭素をそれらの炭素鎖内に有する、追加のモノヒドロキシル化およびジヒドロキシル化エロバノイドの全合成に容易に適合させることができる。
疾患の治療のための医薬組成物:他の実施形態では、本開示は、医薬的に許容可能な担体中に、治療的に有効な量の、本明細書に提供される化合物またはそれらの塩のうちの1つ以上を含有する医薬組成物の製剤を提供する。
提供される組成物は、1つ以上の本明細書に提供される化合物またはそれらの塩、ならびに医薬的に許容可能な賦形剤、希釈剤、担体、および/またはアジュバントを含有する。化合物は、好ましくは、経口、口腔、鼻腔内、膣、直腸、眼球投与用の、硝子体内にインプラントされている、眼の表面上のコラーゲンもしくは他の物質に埋め込まれているリザーバ、もしくはナノデバイス、もしくはデンドリマー、または非経口投与用の無菌液もしくは懸濁液、皮膚パッチならびに経皮パッチ調製物、および乾燥粉末吸入器から徐放性の、溶液、懸濁液、錠剤、分散性錠剤、ピル、カプセル、粉末、徐放性製剤、またはエリキシル剤などの好適な医薬調製物へと製剤化される。提供される製剤は、点眼剤などの液滴の形態であってもよく、医薬製剤は、抗酸化剤および/または眼疾患の治療用の既知の薬剤をさらに含有してもよい。典型的には、上述の化合物は、当該技術分野で周知の技法および手順を使用して、医薬組成物へと製剤化される(例えば、Ansel Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms、Fourth Edition 1985、126参照)。
本開示の有利な実施形態は、遊離カルボン酸もしくはそれらの医薬的に許容可能な塩として、またはそれらの対応するエステルもしくはそれらのリン脂質誘導体として、様々な形態の提供される化合物を含有する医薬組成物を提供する。他の有利な実施形態では、本開示は、遊離カルボン酸、またはそれらの医薬的に許容可能な塩として、またはそれらの対応するエステルとして、超長鎖多価不飽和脂肪酸のn−3〜n−18の間に位置する位置に1つまたは2つのヒドロキシル基を含有する、1つ以上のエロバノイドを含有する医薬組成物を提供する。
さらなる有利な実施形態では、本開示は、全年齢の皮膚の維持および保護用の、ならびに皮膚疾患または障害の治療用の医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態では、皮膚疾患または障害は、皮膚炎症、皮膚過増殖、または乾燥肌に関与する。
実施形態では、本開示は、皮膚炎、湿疹、アトピー性皮膚炎、神経皮膚炎、光接触皮膚炎、乾燥湿疹、脂漏性湿疹、汗疱、貨幣状湿疹、静脈湿疹、疱疹状皮膚炎、神経皮膚炎、および自家感作性皮膚炎、放射線によって誘導される皮膚炎症、または乾癬からなる群から選択される、皮膚疾患または障害の治療用の組成物を提供する。
提供される組成物では、1つ以上の化合物または医薬的に許容可能な誘導体は、好適な医薬担体またはビヒクルと混合される。化合物は、上述のように、製剤化の前に、対応する塩、エステル、エノールエーテルもしくはエステル、酸、塩基、溶媒和物、水和物、またはプロドラッグとして誘導体化され得る。組成物中の化合物の濃度は、投与時に疾患、障害、または状態の症状のうちの1つ以上を治療、予防、または改善する、送達に有効な量である。
本明細書に記載のように、組成物は、当該技術分野で既知の方法を適合させることによって、容易に調製することができる。組成物は、医薬製剤の成分であり得る。医薬製剤は、神経変性疾患を含む、炎症または変性疾患を治療するための既知の薬剤をさらに含有してもよい。提供される組成物は、脂肪酸のプロドラッグ前駆体として機能することができ、疾患の部位に局在化すると遊離脂肪酸に変換されることができる。
本開示はまた、疾患または状態の予防、回復、または治療での使用のための包装されている組成物または医薬組成物を提供する。本開示によって提供される他の包装されている組成物または医薬組成物は、疾患または状態を治療するための組成物を使用するための指示書のうちの少なくとも1つを含む、証印をさらに含み得る。キットは、受容者に対して上に列挙された成分の様々な組み合わせを投与するための、当該技術分野で既知の適切な緩衝剤および試薬をさらに含む。
医薬製剤:本開示の実施形態は、本明細書で同定された組成物または医薬組成物を含み、1つ以上の医薬的に許容可能な賦形剤、希釈剤、担体、天然もしくは合成抗酸化剤、および/またはアジュバントと共に製剤化することができる。加えて、本開示の実施形態は、1つ以上の医薬的に許容可能な補助物質と共に製剤化された組成物または医薬組成物を含む。具体的には、組成物または医薬組成物は、1つ以上の医薬的に許容可能な賦形剤、希釈剤、担体、および/またはアジュバントと共に製剤化され、本開示の組成物の実施形態を提供することができる。
多種多様な医薬的に許容可能な賦形剤は、当該技術分野で既知である。医薬的に許容可能な賦形剤は、例えば、A.Gennaro(2000)“Remington:The Science and Practice of Pharmacy”20th edition、Lippincott,Williams&Wilkins;Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems(1999)H.C.Ansel et al.,eds.,7th ed.、Lippincott,Williams&Wilkins、およびHandbook of Pharmaceutical Excipients(2000)A.H.Kibbe et al.,eds.,3rd ed.Amer.Pharmaceutical Assoc.を含む、種々の出版物に詳細に記載されている。ビヒクル、アジュバント、担体、または希釈剤などの医薬的に許容可能な賦形剤は、一般に容易に入手可能である。さらに、pH調節剤、および緩衝剤、等張化剤、安定化剤、湿潤剤などの医薬的に許容可能な補助物質が、一般に容易に入手可能である。
本開示の一実施形態では、組成物または医薬組成物は、所望の効果を生じることが可能な任意の手段を使用して、対象に投与することができる。したがって、組成物または医薬組成物は、治療的投与用に種々の製剤へ組み込むことができる。例えば、組成物または医薬組成物は、適切な医薬的に許容可能な担体または希釈剤と組み合わせることによって、医薬組成物へと製剤化することができ、錠剤、カプセル、粉末、顆粒、軟膏、溶液、坐薬、注射、吸入剤、およびエアロゾルなどの固体、半固体、液体または気体の形態で調製物へと製剤化することができる。
組成物または医薬組成物用の好適な賦形剤ビヒクルは、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールなど、およびそれらの組み合わせである。加えて、必要に応じて、ビヒクルは、微量の湿潤剤、または乳化剤、抗酸化剤、またはpH緩衝剤などの補助物質を含有してもよい。そのような剤形を調製する方法は、当業者には既知であるか、または本開示の考察時に明らかであろう。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Company,Easton,Pennsylvania,17th edition,1985を参照されたい。投与される組成物または製剤は、いかなる場合においても、治療される対象の望ましい状態に到達するのに適切な量の組成物または医薬組成物を含有するであろう。
本開示の組成物は、徐放性の、または制御された放出マトリックスを備えるものを含み得る。加えて、本開示の実施形態は、徐放性製剤を使用する他の治療と併せて使用することができる。本明細書で使用される場合、徐放性マトリックスは、酵素もしくは酸−塩基加水分解によって、または溶解によって分解可能である、通常ポリマーである材料で作製されたマトリックスである。身体に挿入されると、マトリックスは、酵素および体液によって作用する。徐放性マトリックスは、望ましくは、リポソーム、ポリラクチド(ポリ乳酸)、ポリグリコリド(グリコール酸のポリマー)、ポリラクチドco−グリコリド(乳酸とグリコール酸とのコポリマー)、ポリ無水物、ポリ(オルト)エステル、ポリペプチド、ヒアルロン酸、コラーゲン、コンドロイチン硫酸、カルボン酸、脂肪酸、リン脂質、多糖、核酸、ポリアミノ酸、フェニルアラニン、チロシン、イソロイシン、ポリヌクレオチド、ポリビニルプロピレン、ポリビニルピロリドン、およびシリコーンなどのアミノ酸などの生体適合性材料から選択される。例示的な生分解性のマトリックスとしては、ポリラクチドマトリックス、ポリグリコリドマトリックス、およびポリラクチドco−グリコリド(乳酸とグリコール酸とのコポリマー)マトリックスが挙げられる。別の実施形態では、本開示の医薬組成物(ならびに組み合わせ組成物)は、制御された放出系で送達することができる。例えば、組成物または医薬組成物は、静脈内注入、インプラント型浸透圧ポンプ、経皮パッチ、リポソーム、または他の投与モードを使用して投与されてもよい。一実施形態では、ポンプを使用してもよい(Sefton(1987)CRC Crit.Ref.Biomed.Eng.14:201、Buchwald et al.(1980).Surgery 88:507、Saudek et al.(1989).N.Engl.J.Med.321:574)。別の実施形態では、ポリマー材料が使用される。さらに別の実施形態では、制御された放出系は、療法の標的近位に置かれるので、全身用量の一部のみを必要とする。さらに別の実施形態では、制御された放出系は、療法の標的近位に置かれるので、全身の一部のみを必要とする。他の制御された放出系は、Langer(1990).Science 249:1527−1533による考察に論じられている。
別の実施形態では、本開示の組成物(ならびに別個のまたは一緒の組み合わせ組成物)としては、組成物を送達するために本明細書に記載の組成物または医薬組成物を、縫合、包帯、およびガーゼなどの吸収性材料、または外科用ステープル、ジッパー、およびカテーテルなどの固相材料の表面上へのコーティングに浸透させることによって形成されたものが挙げられる。この種類の他の送達系は、本開示の観点から、当業者にはすぐに明らかになるであろう。
別の実施形態では、本開示の組成物または医薬組成物(ならびに別個のまたは一緒の組み合わせ組成物)は、徐放性製剤の一部であってもよい。徐放性剤形は、“Pharmaceutical dosage form tablets”,eds.Liberman et.al.(New York,Marcel Dekker,Inc.,1989)、“Remington−The science and practice of pharmacy”,20th ed.,Lippincott Williams&Wilkins,Baltimore,MD,2000、および“Pharmaceutical dosage forms and drug delivery systems”,6th Edition,Ansel et al.,(Media,PA:Williams and Wilkins,1995)などの標準的な参照文献に記載されるように調製することができる。これらの参照文献は、錠剤、およびカプセル、ならびに錠剤、カプセル、および顆粒の形態の徐放性剤形を調製するための、賦形剤、材料、装置、およびプロセスに関する情報を提供している。これらの参照文献は、錠剤、およびカプセル、ならびに錠剤、カプセル、および顆粒の形態の徐放性剤形を調製するための、担体、材料、装置、およびプロセスに関する情報を提供している。
組成物または医薬組成物の実施形態は、1回以上の用量で対象に投与することができる。投与される特定の組成物または医薬組成物、症状の重篤度、および対象の副作用に対する感受性に応じて、用量レベルを変動させることができることを、当業者は容易に理解するであろう。所与の化合物の有利な投与量は、多様な手段によって当業者により容易に決定される。
一実施形態では、複数回の用量の組成物または医薬組成物が投与される。組成物または医薬組成物の投与の頻度は、例えば、症状の重篤度など多様な要因のうちのいずれかに応じて、変動し得る。例えば、一実施形態では、組成物または医薬組成物は、月1回、月2回、月3回、隔週(qow)、毎週1回(qw)、週2回(biw)、週3回(tiw)、週4回、週5回、週6回、一日おき(qod)、毎日(qd)、1日2回(qid)、1日3回(tid)、または1日4回、投与することができる。上述のように、一実施形態では、組成物または医薬組成物は、1〜10日の期間にわたって1日1〜4回投与される。
前記組成物または医薬組成物類似物の投与期間、例えば、組成物または医薬組成物が投与される期間は、例えば、患者の応答など多様な要因のうちのいずれかに応じて変動し得る。例えば、組み合わせまたは別個の組成物または医薬組成物は、約1日〜1週間、約1日〜2週間の期間にわたって投与することができる。
本開示の組成物および医薬組成物の、状態または疾患の治療に有効であり得る量は、標準的な診療技法によって決定することができる。加えて、インビトロまたはインビボアッセイを任意選択的に用いて、最適な投与量の範囲を特定するのを助けることができる。用いられる正確な用量はまた、投与経路に依存してもよく、専門家の判断、および各患者の状況に従って決定されてもよい。
投与経路:本開示の実施形態は、インビボおよびエクスビボ方法を含む薬物送達、ならびに投与の全身経路および局所経路に好適な任意の使用可能な方法および経路を使用して、対象(例えばヒト)に活性薬剤を投与するための、方法および組成物を提供する。投与経路としては、鼻腔内、筋肉内、気管内、皮下、皮内、硝子体内、局所用途、静脈内、直腸、経鼻、経口、ならびに他の経腸、および非経口の投与経路が挙げられる。投与経路は、必要に応じて、組み合わせても、薬剤および/または所望の効果に応じて調節してもよい。活性薬剤は、単一回用量でまたは複数回用量で投与することができる。
n−3 VLC−PUFAおよびそれらの生物起源の誘導体は、細胞内で形成され、ヒトの食事の成分ではない。本明細書に提供される新規の化合物の有利な投与経路としては、経口、ならびに腸での吸収、内蔵−肝臓、および血液眼関門から眼までバイパスするための眼球表面、硝子体中、および網膜下注射を含む非経口投与が挙げられるであろう。提供される製剤は、点眼剤などの液滴の形態、または眼疾患の治療用の任意の他の慣習的な方法で送達されてもよい。
吸入投与以外の非経口投与経路としては、限定されないが、局所、経皮、皮下、筋肉内、眼窩内、被嚢内、髄腔内、胸骨内、および静脈内経路、すなわち消化管を通る以外の任意の投与経路が挙げられる。非経口投与は、組成物の全身送達または局所送達に影響を及ぼすように行うことができる。全身送達が望ましい場合、投与は、典型的には、局所投与または粘膜投与で吸収される侵襲性または全身性の医薬調製物に関与する。一実施形態では、組成物または医薬組成物はまた、経腸投与によって対象に送達することもできる。経腸投与経路としては、限定されないが、経口、および直腸(例えば、座薬を使用する)送達が挙げられる。
皮膚または粘膜を通じた組成物または医薬組成物の投与方法としては、限定されないが、好適な医薬調製物の局所適用、経皮導入、注射、および上皮投与が挙げられる。経皮導入では、吸収促進剤またはイオン導入法が好適な方法である。イオン導入法は、数日間以上の期間、破壊されていない皮膚を通して、電気パルスを介して連続的にそれらの製品を送達する、市販の「パッチ」を使用して達成してもよい。
本開示によって提供される化合物および組成物は、酸化ストレスまたは他の恒常性破壊を受けているある特定の細胞の恒常性を回復し、生残シグナル伝達を誘発することが可能である。本開示はまた、遊離カルボン酸もしくはそれらの医薬的に許容可能な塩として、もしくはそれらの対応するエステル、または他のプロドラッグ誘導体として、超長鎖多価不飽和脂肪酸のヒドロキシル化誘導体を含有する、提供される化合物および組成物の使用方法を提供する。提供される化合物は、市販の材料から開始する、当該技術分野で既知の方法を適合させることによって容易に調製することができる。
エロバノイド誘導体ELV−N32−Me、ELV−N32−Na、ELV−N34−MeおよびELV−N34−Naによって例示されるような、提供される化合物の生物活性は、標的のヒト細胞に到達し、細胞内に入ることによって、または/および膜結合受容体の作用によってのいずれかでそれらの生物学的作用を与える能力に寄与する。あるいは、提供される化合物は、細胞内受容体(例えば核膜)を介して作用することができ、したがって、重要なシグナル伝達事象に影響を及ぼすことによって具体的に作用するであろう。提供される化合物および医薬的に許容可能な担体を含有する医薬組成物を投与することによって、恒常性の均衡を回復し、正常な機能を維持するために不可欠である、ある特定の細胞の生残を促進する。提供される化合物、組成物、および方法は、炎症、変性、および神経変性疾患の予防的および治療的処置に使用することができる。本開示は、特定の生物学的な内在性の細胞/器官の応答を模倣して、有効性、選択性を達成し、副作用を回避し、生物活性を維持することによって、これらの状態の開始および早期進行の重要なステップを標的にする。
したがって、本開示の1つの態様は、少なくとも23個の炭素原子をその炭素鎖内に有する少なくとも1つの超長鎖多価不飽和脂肪酸を含む、組成物の実施形態を包含する。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、組成物は、医薬的に許容可能な担体をさらに含み得、かつ、レシピエント対象の組織の病理学的状態またはレシピエント対象の組織の病理学的状態の発現を低減するのに有効な量の少なくとも1つの超長鎖多価不飽和脂肪酸を送達するために製剤化され得る。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、病理学的状態は、レシピエント対象の組織の老齢化または炎症であり得る。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、組成物は、レシピエント対象の皮膚に少なくとも1つの超長鎖多価不飽和脂肪酸組織を局所的に送達するために製剤化することができる。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、病理学的状態は、レシピエント対象の神経学的組織の病理学的状態であり得る。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも1つの栄養成分をさらに含み得、かつ組成物は、レシピエント対象に少なくとも1つの超長鎖多価不飽和脂肪酸を経口的または非経口的に送達するために製剤化することができる。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、少なくとも1つの超長鎖多価不飽和脂肪酸は、約26個〜約42個の炭素原子をその炭素鎖内に有し得る。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、少なくとも1つの超長鎖多価不飽和脂肪酸が、32個または34個の炭素原子をその炭素鎖内に有し得る。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、超長鎖多価不飽和脂肪酸は、5個または6個の二重結合をシス型でその炭素鎖内に有し得る。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、超長鎖多価不飽和脂肪酸は、14Z,17Z,20Z,23Z,26Z,29Z)−ドトリアコンタ−14,17,20,23,26,29−ヘキサエン酸、または(16Z,19Z,22Z,25Z,28Z,31Z)−テトラトリアコンタ−16,19,22,25,28,31−ヘキサエン酸である。
本開示の別の態様は、少なくとも23個の炭素原子をその炭素鎖内に有する少なくとも1つのエロバノイドを含む組成物の実施形態を包含する。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、組成物は、医薬的に許容可能な担体をさらに含み得、かつレシピエント対象の組織の病理学的状態を低減するのにまたはレシピエント対象の組織における老齢化の少なくとも1つの影響を遅延させるのに有効な量の少なくとも1つのエロバノイドを送達するために製剤化することができる。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、病理学的状態は、レシピエント対象の組織の老齢化または炎症であり得る。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、組成物は、レシピエント対象の皮膚に少なくとも1つのエロバノイドを局所的に送達するために製剤化することができる。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、病理学的状態は、レシピエント対象の神経学的組織の病理学的状態であり得る。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも1つの栄養成分をさらに含むことができ、かつ組成物は、レシピエント対象に少なくとも1つのエロバノイドを経口的または非経口的に送達するために製剤化することができる。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、少なくとも1つのエロバノイドは、モノヒドロキシル化エロバノイド、ジヒドロキシル化エロバノイド、アルキニルモノヒドロキシル化エロバノイド、およびアルキニルジヒドロキシル化エロバノイド、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され得る。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、少なくとも1つのエロバノイドは、エロバノイドの組み合わせであり得、組み合わせは、モノヒドロキシル化エロバノイドおよびジヒドロキシル化エロバノイド;モノヒドロキシル化エロバノイドおよびアルキニルモノヒドロキシル化エロバノイド;モノヒドロキシル化エロバノイドおよびアルキニルジヒドロキシル化エロバノイド;ジヒドロキシル化エロバノイドおよびアルキニルモノヒドロキシル化エロバノイド;ジヒドロキシル化エロバノイドおよびアルキニルジヒドロキシル化エロバノイド;モノヒドロキシル化エロバノイド、ジヒドロキシル化エロバノイド、およびアルキニルモノヒドロキシル化エロバノイド;モノヒドロキシル化エロバノイド、ジヒドロキシル化エロバノイド、およびアルキニルジヒドロキシル化エロバノイド;ならびにモノヒドロキシル化エロバノイド、ジヒドロキシル化エロバノイド、およびアルキニルモノヒドロキシル化エロバノイド アルキニルジヒドロキシル化エロバノイドからなる群から選択され、各エロバノイドは独立して、ラセミ混合物、単離されたエナンチオマー、または、1つのエナンチオマーの量が別のエナンチオマーの量よりも多いエナンチオマーの組み合わせであり、かつ各ジヒドロキシル化エロバノイドは独立して、ジアステレオマー混合物、単離されたジアステレオマー、または、1つのジアステレオマーの量が別のジアステレオマーの量よりも多いジアステレオマーの組み合わせである。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも23個の炭素原子をその炭素鎖内に有する少なくとも1つの超長鎖多価不飽和脂肪酸をさらに含み得る。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、少なくとも1つの超長鎖多価不飽和脂肪酸は、約26個〜約42個の炭素原子をその炭素鎖内に有し得る。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、少なくとも1つの超長鎖多価不飽和脂肪酸は、5個または6個の二重結合をシス型でその炭素鎖内に有し得る。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、少なくとも1つの超長鎖多価不飽和脂肪酸は、14Z,17Z,20Z,23Z,26Z,29Z)−ドトリアコンタ−14,17,20,23,26,29−ヘキサエン酸、または(16Z,19Z,22Z,25Z,28Z,31Z)−テトラトリアコンタ−16,19,22,25,28,31−ヘキサエン酸であり得る。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、モノヒドロキシル化エロバノイドは、式G、H、I、またはJ:
Figure 2020514391
からなる群から選択され得、式中、nは0〜19であり得かつ−CO−ORはカルボン酸基またはその塩もしくはエステルであり得、かつここで、−CO−ORはカルボン酸基であり得かつ化合物式G、H、I、またはJがそれらの塩であり得る場合にその塩のカチオンは医薬的に許容可能なカチオンであり得、かつ−CO−ORがエステルの場合にRはアルキル基であり得る。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、医薬的に許容可能なカチオンは、アンモニウムカチオン、イミニウムカチオン、または金属カチオンであり得る。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、金属カチオンは、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、マグネシウムカチオン、亜鉛カチオン、またはカルシウムカチオンであり得る。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、組成物は、等モル量のエナンチオマーGおよびHを含み得、エナンチオマーは、ヒドロキシル基を担持している炭素において(S)または(R)キラリティを有する。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、組成物は、量のエナンチオマーIおよびJを含み得、エナンチオマーは、ヒドロキシル基を担持している炭素において(S)または(R)キラリティを有する。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、組成物は、GまたはHの一方のエナンチオマーをGまたはHの他方のエナンチオマーの量を超える量で含み得る。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、組成物は、IまたはJの一方のエナンチオマーをIまたはJの他方のエナンチオマーの量を超える量で含み得る。
本開示の本形態のいくつかの実施形態では、モノヒドロキシル化エロバノイドは、式:
Figure 2020514391
をそれぞれ有する、(S,14Z,17Z,20Z,23Z,25E,29Z)−27−ヒドロキシドトリアコンタ−14,17,20,23,25,29−ヘキサエン酸メチル(G1)、(S,14Z,17Z,20Z,23Z,25E,29Z)−27−ヒドロキシドトリアコンタ−14,17,20,23,25,29−ヘキサエン酸ナトリウム(G2)、(S,16Z,19Z,22Z,25Z,27E,31Z)−29−ヒドロキシテトラトリアコンタ−16,19,22,25,27,31−ヘキサエン酸メチル(G3)、および(S,16Z,19Z,22Z,25Z,27E,31Z)−29−ヒドロキシテトラトリアコンタ−16,19,22,25,27,31−ヘキサエン酸ナトリウム(G4)からなる群から選択され得る。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、ジヒドロキシル化エロバノイドは、式K、L、M、およびN:
Figure 2020514391
からなる群から選択され得、式中、mは0〜19であり得かつ−CO−ORはカルボン酸基またはその塩もしくはエステルであり得、
かつここで、−CO−ORはカルボン酸基であり得かつ化合物式K、L、M、またはNがそれらの塩であり得る場合にその塩のカチオンは医薬的に許容可能なカチオンであり得、かつ−CO−ORがエステルの場合にRはアルキル基であり得る。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、医薬的に許容可能なカチオンは、アンモニウムカチオン、イミニウムカチオン、または金属カチオンであり得る。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、金属カチオンは、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、マグネシウムカチオン、亜鉛カチオン、またはカルシウムカチオンであり得る。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、組成物は、等モル量のジアステレオマーKおよびLを含み得、ジアステレオマーは、n−6の位置において(S)または(R)キラリティのいずれか、およびn−13の位置において(R)キラリティを有する。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、組成物は、等モル量のジアステレオマーMおよびNを含み得、ジアステレオマーは、n−6の位置において(S)または(R)キラリティのいずれか、およびn−13の位置において(R)キラリティを有する。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、組成物は、KまたはLの一方のジアステレオマーをKまたはLの他方のジアステレオマーの量を超える量で含み得る。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、組成物は、MまたはNの一方のジアステレオマーをMまたはNの他方のジアステレオマーの量を超える量で含み得る。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、ジヒドロキシル化エロバノイドは、式:
Figure 2020514391
をそれぞれ有する、(14Z,17Z,20R,21E,23E,25Z,27S,29Z)−20,27−ジヒドロキシドトリアコンタ−14,17,21,23,25,29−ヘキサエン酸メチル(K1)、(14Z,17Z,20R,21E,23E,25Z,27S,29Z)−20,27−ジヒドロキシドトリアコンタ−14,17,21,23,25,29−ヘキサエン酸ナトリウム(K2)、(16Z,19Z,22R,23E,25E,27Z,29S,31Z)−22,29−ジヒドロキシテトラトリアコンタ−16,19,23,25,27,31−ヘキサエン酸メチル(K3)、および(16Z,19Z,22R,23E,25E,27Z,29S,31Z)−22,29−ジヒドロキシテトラトリアコンタ−16,19,23,25,27,31−ヘキサエン酸ナトリウム(K4)からなる群から選択され得る。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、アルキニルモノヒドロキシル化エロバノイドは、式O、P、Q、またはR:
Figure 2020514391
からなる群から選択され得、式中、mは0〜19であり得かつ−CO−ORはカルボン酸基またはその塩もしくはエステルであり得、かつここで、−CO−ORはカルボン酸基であり得かつ化合物O、P、Q、またはRがそれらの塩であり得る場合にその塩のカチオンは医薬的に許容可能なカチオンであり得、かつ−CO−ORがエステルであり得る場合にRはアルキル基であり得、かつここで、化合物OおよびPは各々、n−3、n−12、n−15、およびn−18で開始する位置に位置する4つのシス炭素−炭素二重結合を有しn−7の位置で開始する1つのトランス炭素−炭素二重結合とn−9の位置で開始する1つの炭素−炭素三重結合とを有する炭素鎖内に、合計23個〜42個の炭素原子を有し、かつ化合物QおよびRは各々、n−3、n−12、およびn−15の位置で開始する3つのシス炭素−炭素二重結合を有しn−7の位置で開始する1つのトランス炭素−炭素二重結合とn−9の位置で開始する1つの炭素−炭素三重結合とを有する炭素鎖内に、合計23個〜42個の炭素原子を有する。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、アルキニルモノヒドロキシル化エロバノイドは、式:
Figure 2020514391
をそれぞれ有する、(S,14Z,17Z,20Z,25E,29Z)−27−ヒドロキシドトリアコンタ−14,17,20,25,29−ペンタエン−23−イン酸メチル(O1);(S,17Z,20Z,25E,29Z)−27−ヒドロキシドトリアコンタ−17,20,25,29−テトラエン−23−イン酸ナトリウム(O2);(S,16Z,19Z,22Z,27E,31Z)−29−ヒドロキシテトラトリアコンタ−16,19,22,27,31−ペンタエン−25−イン酸メチル(O3);および(S,16Z,19Z,22Z,27E,31Z)−29−ヒドロキシテトラトリアコンタ−16,19,22,27,31−ペンタエン−25−イン酸ナトリウム(O4)からなる群から選択され得る。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、医薬的に許容可能なカチオンは、アンモニウムカチオン、イミニウムカチオン、または金属カチオンであり得る。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、金属カチオンは、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、マグネシウムカチオン、亜鉛カチオン、またはカルシウムカチオンであり得る。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、組成物は、等モル量のエナンチオマーOおよびPを含み得、エナンチオマーは、ヒドロキシル基を担持している炭素において(S)または(R)キラリティを有する。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、組成物は、等モル量のエナンチオマーQおよびRを含み得、エナンチオマーは、ヒドロキシル基を担持している炭素において(S)または(R)キラリティを有する。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、組成物は、OまたはPの一方のエナンチオマーをOまたはPの他方のエナンチオマーの量を超える量で含み得る。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、組成物は、QまたはRの一方のエナンチオマーをQまたはRの他方のエナンチオマーの量を超える量で含み得る。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、エロバノイドは、式S、T、U、またはV:
Figure 2020514391
からなる群から選択されるアルキニルジヒドロキシル化エロバノイドであり得、式中、mは0〜19であり得かつ−CO−ORはカルボン酸基またはその塩もしくはエステルであり得、かつここで、−CO−ORはカルボン酸基であり得かつ化合物S、T、U、またはVがそれらの塩であり得る場合にその塩のカチオンは医薬的に許容可能なカチオンであり得、かつ−CO−ORがエステルであり得る場合にRはアルキル基であり得、かつここで、化合物SおよびTは各々、n−3、n−15、およびn−18の位置で開始する3つのシス炭素−炭素二重結合とn−9、n−11の位置で開始する2つのトランス炭素−炭素二重結合とn−7の位置で開始する1つの炭素−炭素三重結合とを有する炭素鎖内に、合計23個〜42個の炭素原子を有し、かつ化合物UおよびVは各々、n−3およびn−15の位置で開始する2つのシス炭素−炭素二重結合とn−9およびn−11の位置で開始する2つのトランス炭素−炭素二重結合とn−7の位置で開始する1つの炭素−炭素三重結合とを有する炭素鎖内に、合計23個〜42個の炭素原子を有する。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、医薬的に許容可能なカチオンは、アンモニウムカチオン、イミニウムカチオン、または金属カチオンである。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、金属カチオンは、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、マグネシウムカチオン、亜鉛カチオン、またはカルシウムカチオンである。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、アルキニルモノヒドロキシル化エロバノイドは、式:
Figure 2020514391
をそれぞれ有する、(14Z,17Z,20R,21E,23E,27S,29Z)−20,27−ジヒドロキシドトリアコンタ−14,17,21,23,29−ペンタエン−25−イン酸メチル(S1);(14Z,17Z,20R,21E,23E,27S,29Z)−20,27−ジヒドロキシドトリアコンタ−14,17,21,23,29−ペンタエン−25−イン酸ナトリウム(S2);(16Z,19Z,22R,23E,25E,29S,31Z)−22,29−ジヒドロキシテトラトリアコンタ−16,19,23,25,31−ペンタエン−27−イン酸メチル(S3);および(16Z,19Z,22R,23E,25E,29S,31Z)−22,29−ジヒドロキシテトラトリアコンタ−16,19,23,25,31−ペンタエン−27−イン酸ナトリウム(S4)からなる群から選択され得る。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、組成物は、等モル量のジアステレオマーSおよびTを含み得、ジアステレオマーは、ヒドロキシル基を担持している炭素において(S)または(R)キラリティを有する。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、組成物は、等モル量のジアステレオマーUおよびVを含み得、ジアステレオマーは、n−6の位置において(S)または(R)キラリティのいずれか、およびn−13の位置において(R)キラリティを有する。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、組成物は、SまたはTの一方のジアステレオマーをSまたはTの他方のジアステレオマーの量を超える量で含み得る。
本開示の本態様のいくつかの実施形態では、組成物は、UまたはVの一方のジアステレオマーをUまたはVの他方のジアステレオマーの量を超える量で含み得る。
本開示の他の組成物、化合物、方法、特色、および利点は、以下の図面、詳細な説明、および実施例を調査すると、当業者には明らかであるか、または明らかになるであろう。全てのそのような追加の組成物、化合物、方法、特色、および利点は、本明細書内に含まれ、本開示の範囲内であることが意図される。
実施例1
皮質ニューロンの初代培養物:計画的に妊娠させた生後2か月のSprague−Dawley(SD)ラットから採取した受精後18日の胚(E18)から皮質の初代培養物および海馬ニューロンの初代培養物を採取した(Charles River Lab.、Wilmington、MA)。要するに、計画的に妊娠させたSDラットを安楽死させ、胚を無菌条件で収集した。解剖して、氷で冷やした鉗子によって胚の脳を取り出し、氷冷したハンクス平衡塩(HBSS)(GIBCO)を含有するペトリ皿に置いた。解剖顕微鏡下で髄膜を除去し、皮質組織をマイクロ剪刀で小片に刻んだ。これらの組織を、トリプシン−EDTA(HBSS中0.025%)およびDNase Iを含有する15mlのチューブに移した。チューブを37℃のチャンバで15分間培養し、5分ごとに撹拌した。5mlの10%FBSでトリプシン化を停止させた後、これらの組織を熱加工したパスツールピペットで15回砕いた。細胞集塊を2分間静置し、上清を15mlのエッペンドルフチューブに移した。70μm孔径のフィルター(Corningセルストレーナー)を通して上清を濾過し、1000rpmで5分間遠心分離した。次いで、0.5mMのグルタミン、50U/mlのペニシリン/ストレプトマイシンと共に2%のB27(GIBCO)および2%のN(GIBCO)サプリメントを含有するNeurobasal培地(GIBCO)に細胞を再懸濁した。
Neubauer血球計数板を使用して細胞を数えた。細胞1×10個を、ポリ−D−リシンでコーティングした12ウェルの細胞培養皿(CORNING)に播種し、培養器(37℃、5%CO)で培養した。まず、24時間後培養培地を交換し、次いで3日ごとに培地の半分を未使用の培地と交換した。結果として、クラス−III−βチューブリン、GFAP、およびヘキスト33258染色によって決定して、およそ90%純粋なニューロンを得た。非代償性酸化ストレス、OGD、またはNMDA興奮毒性に曝露させるまで細胞を約2週間培養中に維持した。
実施例2
抗体:以下の抗体を使用した:β−カテニン(カタログ#sc−7963、ロット#K0812)Santa Cruz Biotechnology:(使用した濃度1:50)、ZO−1(カタログ#187430、ロット#1633993A)Life Technologies:(使用した濃度1:100)、MITF(カタログ#ab59232、ロット#GR52475−3)ABCAM:(使用した濃度1:250)、RPE65(カタログ#ab78036、ロット3GR254004−1)、ABCAM:(使用した濃度1:250)。
実施例3
ヒトRPE細胞培養物:眼の病気のないドナーの眼から調製した初代ヒト網膜色素上皮(RPE)細胞をプレートに置き、8代継代後形質転換させた。細胞を、T75フラスコ内の、10%FBS、5%NCS、MEM−NEAA(ThermoFisher Scientific、Waltham、MA)、1×ペニシリン/ストレプトマイシン、および10ng/mlのFGFを含有するMEM培地中で培養し、37℃、5%CO、相対湿度99%で24〜48時間、続いて10μΜの遊離32:6および34:6脂肪酸混合物で24時間培養した。
図6Aおよび6Bは、特異的マーカーZO−1(閉鎖帯−1)、RPE65、MITF(微小眼炎に関連する転写因子)、およびβ−カテニンを使用した初代ヒトRPE細胞の免疫染色、ならびに培養中の異なる継代の初代ヒトRPE細胞の形態を示している光学顕微鏡を示している。T−75mMのフラスコ内の10%FBSを含有するDMEM F−12培地で、ARPE−19細胞を増殖および維持し、5%COを常に供給しながら37℃で培養した。6ウェルプレート内で75〜80%の密集度で(DMEM/F12+10%FBS中で72時間増殖)、曝露前に8時間、細胞を血清欠乏させた。
実施例4
UOSおよびVLC−PUFAへのRPE細胞の曝露:細胞生存アッセイ実験用に、同時にhRPE細胞をNPD1(200nM)、32−6、34−6(各々3μΜ)脂肪酸、または32−6および34−6の両方を同時に処理した。全ての実験期間中、hRPE培地に3μΜの32−6および34−6を補給した。OS誘発の1時間前に15lox−1阻害物質(10μΜ)を細胞に添加し、実験期間中ずっと保持した。細胞を4%のPFAで固定し、ヘキストで染色した。
6ウェルプレート内で75〜80%の密集度で(DMEM/F12+10%FBS中で72時間増殖)、曝露前に8時間、ARPE19細胞を血清欠乏させた。血清欠乏させた細胞を、TNF−α(Sigma−Aldrich、St.Louis、MO)(10ng/ml)およびH(600μΜ)で処理して、酸化ストレスを誘発し、アポトーシスの検出およびタンパク質分析用に採取する16時間前(アポトーシス)に、および6時間前(ウェスタンブロット)に、酸化ストレスと同時にVLC−PUFA(C32:6n3およびC34:6n3)の濃度を増加させながら(50〜500nM)チャレンジした。いくつかの実験では、100nMの濃度のDHAおよび1μΜの濃度の15−LOX−1阻害物質PD146176を添加して、ストレス化のRPE細胞を処理した。細胞抽出物を作製し、Bio−Rad(Hercules、CA)タンパク質試薬によってタンパク質濃度を調節し、ウェスタンブロット分析用に使用した。
実施例5
タンパク質の分析:Bcl−2ファミリータンパク質、SIRT1、およびプロインヒビチン(Proinhibitin)(1型)、およびIdunaタンパク質を、ウェスタンブロット分析によって分析した。要するに、20〜25μg当量の各々の細胞抽出物に、125Vで2時間、4〜12%ゲル(Promega)で電気泳動を施した。タンパク質をI−ブロット転写機器によってニトロセルロース膜に転写した。Bcl−2、Bcl−xL、Bax、Bid、Bim、SIRT1、およびプロヒビチン(1型)(Santa Cruz Biotechnology)、およびIduna抗体(Neuro−Mab Lab、UCLA、Los Angeles、CA.)に特異的な初代抗体で、一晩4℃で膜に処理を施し、二次抗体、ヤギ抗マウスIg:ホースラディッシュペルオキシダーゼ、およびホースラディッシュペルオキシダーゼと共役させた抗ビオチン抗体で45分間探索し、次いでECLキット(Amersham)を使用してタンパク質を評価した。
実施例6
免疫細胞化学法および細胞アポトーシス評価:8ウェルスライドチャンバで、免疫細胞化学アッセイを実施した。要するに、4%のパラホルムアルデヒド(FA)中で20分間細胞を固定し、PBS中0.1%のTriton X−100で透過化処理した。室温の1×PBS中10%のウシ血清アルブミン(BSA)中で1時間、非特異的なエピトープを遮断した。初代抗体を一晩4℃で培養することによって免疫染色した。1:250で希釈したAlexa Fluor555と共役させた二次抗体(MeridianLife Science Inc.、Memphis、TN、USA)で、試料を2時間室温で染色し、核をヘキスト(2μΜヘキスト33258)で染色した。Zeiss LSM510共焦点顕微鏡および Zeiss Axioplan−2デコンボリューション顕微鏡で、写真を撮影した。
細胞死を評価するために、hRPEおよびARPE−19細胞を15分間メタノールで固定し、1×PBSで洗浄し、次いでロック溶液(Promega)に溶解した2μΜのヘキストで充填し、撮像前にさらに15分間培養した。次いで、Zeiss LSM510共焦点顕微鏡を使用して、UV蛍光下で細胞を観察した。画像を記録し、自動化したバイアスのない方法を使用することによって細胞アポトーシスを評価した。
実施例7
RPE細胞中のエロバノイドELV−N32およびELV−N34のLC−MS/MS:ヒトRPE細胞(ABC細胞p#19)をT75フラスコ内で24〜48時間培養し、続いて10μΜの遊離32:6および34:6脂肪酸混合物と24時間培養した。24時間の血清枯渇の後、すぐさま1mMのHO2で細胞を24時間培養した。液液抽出脂質抽出方法を使用して、収集した細胞培養培地から脂肪酸を抽出し、続いて質量分析した。分析用に、抽出物を液体クロマトグラフィータンデム質量分析器(LC−MS/MS)に充填した。脂肪酸、モノヒドロキシ脂肪酸誘導体(27−ヒドロキシ−脂肪酸C32:6n3および29−ヒドロキシル−脂肪酸34:6n3)、およびELV−N32(20,27−ジヒドロキシ−脂肪酸C32:6n3)、およびELV−N34(22,29−ジヒドロキシ−脂肪酸C34:6n3)を分析した)。ELV−N32およびELV−N34、ならびにそれらの重水素で標識した誘導体ELV−N32−d2およびELV−N34−d2を立体制御した化学合成によって調製し、細胞によって生成された誘導体とマッチさせるために使用した。
実施例8
光酸化ストレス:C57/Bl6野生型およびAdipoR1ノックアウトマウスを、21〜23℃に温度制御した、12時間:12時間の明−暗サイクルの室内に収容した。光によって誘発された酸化ストレスでは、マウスを1時間の明るい光に曝露させた(8列の22W、10インチ円形白色蛍光灯、FTC8T9/CW;Electric、Fairfield、CT;18 klux;270μΕ m−2s)。光への曝露後、動物を頸椎脱臼によって犠牲にし、眼を摘出した。角膜、光彩、およびレンズを廃棄し、網膜を眼杯の残部から分離した。次いで、これらの組織を瞬間冷凍した。同じ遺伝子型の動物からの網膜を一緒に貯蔵した。脂質抽出、およびLC−MS/MSに基づくリピドーム分析用に試料を処理した。
実施例9
脱酸素脱グルコース方法(OGD)、NMDA興奮毒性、または非代償性酸化ストレス(UOS)への曝露:インビトロ脱酸素脱グルコース方法(OGD)モデルを確立した。SDラットの胚から初代皮質ニューロンを培養した。インビトロ(DIV)12日目に、リン酸緩衝生理食塩水で細胞を洗浄し、グルコース不含Neurobasal培地(GIBCO)中で30分間培養した。次いで、細胞を、モジュール式培養器チャンバに入れ、OGD用に37℃の嫌気チャンバ(95%N、5%CO)で90分間培養した。
90分のOGD曝露後、細胞を元の培地(0.5mMグルタミン、50U/mlペニシリン/ストレプトマイシンと共に2%B27(GIBCO)および2%N(GIBCO)サプリメントを含有する、Neurobasal培地(GIBCO))に戻し、正常酸素圧のチャンバ(37℃、5%CO)に2時間置いた。次いで、ELV−N32またはELV−N34[500nM]のいずれかを含有する培地と培地交換し、正常酸素圧のチャンバ(37℃、5%CO)に12時間維持し、その後細胞を試料採取し、前述(25〜28)とは異なる方法を使用して細胞生存を評価した。(25μΜ、50μΜ、または100μΜ)濃度のNMDAの添加によって、またはTNFα(10ng/mL)およびH(50μΜ、100μΜ、または200μΜ)の添加によってのいずれかで、培養中の大脳皮質を混合した神経性細胞または海馬細胞を、NMDAまたは非代償性酸化ストレス(UOS)のいずれかに12時間曝露させた。12時間後、ELV−N32、ELV−N34、32:6、または34:6の存在下での細胞生存および神経保護を評価した。
実施例10
ヘキスト染色およびバイアスなしの画像分析:カルシウムまたはマグネシウムを含有しない1×ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(DPBS)(GIBCO)で細胞を洗浄し、氷冷した4%パラホルムアルデヒド(PFA)を使用して10分間固定し、続いて100%メタノール中で15分培養した。1×リン酸緩衝生理食塩水(PBS)pH7.4(GIBCO)で細胞を洗浄し、20μΜヘキスト33258(分子プローブ)を含有するPBS中で20分間培養した。次いで、1×PBSで細胞を3回洗浄し、顕微鏡で撮像するまで4℃の1×PBS中で貯蔵した。
Zeiss510Metaレーザー共焦点顕微鏡およびLSM510Metaソフトウェアを使用して、4×4のタイルモザイク1つを各ウェルの中心から捕捉した。画像分析ソフトウェアImageJ(National Institutes of Health、Bethesda、MD)に画像を取り込み、カスタムマクロを使用してバッチ処理した。ヘキスト染色した核の各画像にOtsu自動閾値を適用し、検出した各々の対象の領域を記録した。<10μmの面積を有する対象を分析から除外した。非核濃縮した核の百分率を概算するために、非核濃縮であると想定された対象を超えて限界粒径値を選択した。様々な細胞集団からの核サイズ分布の形状に基づいて、核濃縮の限界粒径を選択した。Microsoftエクセルに結果を書き出し、分析した。
実施例11
カルセインAM−ヨウ化プロピジウム生/死アッセイおよびMTT3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミドアッセイ:20μLの成分A(カルセイン−AM)と20μLの成分B(ヨウ化プロピジウム)と使用する生/死細胞毒性キット(Invitrogen)の両方の成分を組み合わせて、10mLの溶液を調製した。12ウェル細胞培養プレートの各ウェルに、50μLのこの溶液を添加し、正常酸素圧のチャンバ(37℃、5%CO)で1〜2時間細胞を培養した。次いで、Olympus Fluoviewレーザー共焦点顕微鏡を使用して、細胞を撮像した。NIH画像分析ソフトウェアImageJに画像を取り込み、緑と赤とのチャネルを分離した。セルカウンターを使用して、画像を計数して、生細胞(緑)および死滅した核(赤)の数を決定した。Microsoftエクセルに結果を書き出し、分析した。
MTTアッセイは、代謝的に活性な細胞による、黄色のテトラゾリウム塩MTTの、紫色のホルマザン結晶への開裂に基づく。アッセイを実施して、各治療群の初代皮質ニューロンの生存を測定した。要するに、メチルチアゾリルジフェニル−テトラゾリウムブロミド(MTT)(Sigma−Aldrich)(5mg/mlおよび100μL/ウェル)を、12−ウェルプレート内の細胞に添加し、正常酸素圧のチャンバ(37℃、5%CO)で2時間培養した。次いで、染料に対する生細胞中のコハク酸デヒドロゲナーゼの作用に起因して生成された青いホルマザン還元生成物を1mLのイソプロピルアルコールに溶解し、96ウェルプレートの三連ウェルに移し、490nMでMolecular Probes Spectramaxマイクロプレートリーダーを使用して、その吸収を読み取った。細胞生残の百分率として結果を表した。
実施例12
中大脳動脈梗塞および右側脳室内へのカニューレのインプラント:体重280〜340gのオスSprague−Dawleyラット(Charles River Lab.、Wilmington、MA)を水は制限せずに一晩絶食させた。麻酔の10分前に、アトロピン硫酸塩(0.5mg/kg、i.p.)を注射した。70%亜酸化窒素および30%酸素の混合物中の3%のイソフルランで、麻酔を誘発した。全てのラットを経口挿管し、機械的に人工呼吸させた。人工呼吸中、動物をパンクロニウム臭化物(0.6mg/kg、i.p.)で麻痺させた。血液サンプリングおよび薬物注入のために、右側脳室および静脈にカテーテルをインプラントした。外科手順前および手順中、動脈血ガス、血漿グルコース、静脈血圧、および心拍数の一連の分析を行った。MCAo中および前後の、直腸(CMA/150温度制御器、CMA/Microdialysis AB、Stockholm、Sweden)および頭蓋(側頭筋;Omega Engineering、Stamford、CT)の温度をしっかりと監視した。犠牲にするまで毎日、直腸温度および体重を監視した。
ラットに、管腔内フィラメントによる2時間の右中大脳動脈梗塞(MCAo)を施した。要するに、右総頸動脈(CCA)の分岐部を頸部正中線切開を通じて露出させ、外頸動脈の後頭動脈の分岐部を単離し、結紮し、解剖した。内頸動脈(ICA)を慎重に単離した後、軽い抵抗を感じるまで、ポリ−L−リシンでコーティングされた3−0モノフィラメントを、ICAを通ってMCAに前進させた。首の切開部を絹縫合糸で閉じ、次いで、動物を回復させた。MCAoの2時間後、同じ麻酔の組み合わせで、ラットに再度麻酔をかけた。温度プローブを再度挿入し、腔内の縫合を慎重に除去した。7日間、動物に食物と水を制限せず与えた。
縫合除去の30分後、治療投与のために、脳内注入用カニューレを各ラットの右側脳室にインプラントした。3%イソフルランでラットに麻酔をかけ、前頂とラムダとの間に水平に、頭蓋に定位固定機器を固定した。定位座標(前頂まで0.2mm後端、正中線まで2mm側方、および硬膜下5mm)を使用して、無菌のステンレス鋼のカニューレ(5mm長)を側脳室にインプラントした。治療が完了した後、カニューレを除去した。
実施例13
治療:ナトリウム塩(Na)またはメチルエステル(Me)としてエロバノイド(ELV)を人工脳脊髄液(CSF)に溶解し、2時間のMCAoの1時間後に右側脳室に投与した。以下のELVを使用した:ELV−N32−Na、ELV−N32−Me、ELV−N34−Na、およびELV−N34−Me(5μg/50μl)、またはCSF(50μl)。治療群を隠して、研究者によって全ての治療を施した。
実施例14
神経学的/挙動試験:次いで、治療群を隠して、MCAo後1、2、3および7日目に60分(MCAo中)の挙動試験を観察者によって実施した。バッテリーは、以前使用した2つの試験からなり、様々な見地の神経学的機能を評価した:(1)動物が尾部で懸垂されている間の上半身の姿勢を調査するための、姿勢反射試験(2)視覚、触覚、および自己受容性感覚刺激に対する前肢運動応答における感覚運動統合を調査するための、前肢運動試験。0〜12(正常スコア=0、最高スコア=12)の尺度で神経学的機能を等級付けた。MCAo中60分で高い等級の反側脳半球の不足(スコア、10〜11)を示さなかったラットを、さらなる研究から除外した。
実施例15
核磁気共鳴(MRI)画像取得ならびに合計病変体積、コア体積、およびペナンブラ体積の分析:89mm(ID)受信コイル(Bruker Biospin、Billerica、MA)を装備した11.7TBruker Advance 8.9cm水平ボア機器を使用して、4%パラホルムアルデヒドで固定した7日目の脳に高解像度エクスビボMRIを実施した。T2強調画像(T2WI)、拡散強調画像(DWI)、3D体積、および見かけの拡散係数(ADC)マップを収集した。T2およびADCマップをそれぞれ、T2WIおよびDWIから算出した。階層的領域スプリッティング(HRS)を使用して、コアおよびペナンブラ体積(合計病変=コア+ペナンブラ)をT2緩和および水分移動性(ADC)から自動的に同定した。HRSによるペナンブラ組織の決定を、各脳のレベルのPWI/DWIの差分を使用することによって確認した。PWIと異常なADCとの間の差(拡散−灌流の不一致)(正常な組織と比較した2STD上昇または低減)として、ペナンブラを同定した。
実施例16
組織病理学および免疫組織化学的検査:MCAoの7日後、3%イソフルラン、70%酸化窒素、および残りが酸素でラットに再度麻酔をかけ、0.9%生理食塩水、続いて4%パラホルムアルデヒドで経心腔的灌流した。脳を除去し、MultiBrain.RTM Technology(NeuroScience Associates、Knoxville、TN)を使用して、ゼラチンマトリックスに埋めた。梗塞体積を定量化するために、9つの標準化した冠状レベル(前頂レベル:+5.2、+2.7、+1.2、−0.3、−1.3、−1.8、−3.8、−5.0および−7.3mm)でCCDカメラ(QICAM Fast 1394、QIMAGING、British Columbia、Canada)を使用して、組織学的な断面をデジタル化した(MCIDコア画像化ソフトウェア;InterFocus Imaging Ltd.、Cambridge、England)(30)。電動焦点顕微鏡BX61VS(Olympus、Japan)を10×対物鏡を使用して、脳の断面を画像化した。実験群を隠して、調査者は、皮質および皮質下の梗塞の区域、ならびに各区分の左脳半球および右脳半球の輪郭をはっきりさせた。断面積と区画間の距離、および抑制された脳腫脹との積分の積として、梗塞体積を計算した。
同側外側脳半球と反側外側脳半球との差によって、脳浮腫を測定した。隣接する区分に免疫組織化学的検査手順を実施し、虚血コアおよびペナンブラにおける特定の血管および神経性因子を同定した。以下の抗体を使用した:血管マーカーとしてラット血液脳関門(SMI−71、BioLegend、San Diego、CA);反応性アストロサイトを標識するためのグリア原線維酸性タンパク質(GFAP、Agilent Tech.Santa Clars、CA);ならびにニューロンに特異的な核タンパク質(NeuN、Chemicon/Millipore、Billerica、MA)およびBBB崩壊を検出するためのビオチン化抗ラット免疫グロブリン(IgG)抗体(BioLegend、San Diego、CA)。中央病変のレベル(前頂レベル−0.3mm)で、皮質および線条体における陽性の細胞および免疫陽性の血管の数を数えた。高倍率(倍率×40)の顕微鏡視野当たりの陽性の細胞および血管の数としてデータを表した。
共焦点レーザー顕微鏡(LSM510、Carl Zeiss MicroImaging、Irvine、CA)を使用して断面画像を得、続いて特定の実験的プロトコルを行った。Zenソフトウェア(Carl Zeiss MicroImaging)を使用して212.3μm×212.3μmの寸法で画像を取得した。ImageJソフトウェアを使用して、画像分析を行った。実験条件を隠して、調査者によって分析を行った。IgG染色強度を計算し、前述のように(23、31)、虚血による損傷を評価したものと同じレベルで平均した。IgG染色の強度を計算するために、画像をグレースケールに変換し、平均グレー値を記録および比較した。ImageJソフトウェアは、「0」の数値を黒のピクセル、および「1」の数値を白のピクセルに割り当てる。グレーのグラデーションには、ピクセル明るさの増加とピクセル暗さの減少との間の数値を割り当てる。そのように、画像の明瞭性を相反する平均グレーとして、IgG強度値を表現した。全ての断面を、同時に、同じ設定で、明度またはコントラストを調節せずに撮像した。IgG染色強度を、同側脳半球全体および反側脳半球全体、ならびに皮質および線条体で測定した。
実施例16
統計的分析:細胞培養物について:全ての結果は、平均±SEMとして表した。一元配置ANOVA(分散分析)、続いてSidak多重比較検定を使用して、全ての実験からのデータを評価した。Graphpad Prismソフトウェア7.02版を使用して、統計的分析を実施した。p<0.05の値を統計的に有効であるとみなした。
虚血性脳卒中について:値を平均±SDとして提示する。繰り返し測定ANOVA、続いて多重比較を修正するためのBonferroni手順を、経時的な神経挙動スコア、および冠状レベルにわたる梗塞領域の群間での比較のために使用した。両側スチューデントのt検定を2つの群の比較に使用した。p<0.05での差は、統計的に有効であるとみなした。
実施例17
混合された神経培養物中のELV−N32およびELV−N34の構造および立体化学:NPD1の全合成のための以前報告した方法論を適合させることによる、立体制御された全有機合成を介して調製した化合物と直接比較することを通じて、新規のエロバノイドELV−N32およびELV−N34の完全な構造および立体化学を確立した。液体クロマトグラフィータンデム質量分析(LC−MS/MS)用に重水素で標識した誘導体を合成することによって、これらの構造的な割り当てのさらなる確証を確立した。
ELV−N32およびELV−N34を、立体制御された全化学合成によって調製した(図4A)。完全に定義された構造および立体化学を有するこれらの合成ELVの利用能により、これらの混合された神経性細胞培養物由来のELVにおける、完全なR/S立体構造、ならびにZ/E型の二重結合を決定することが可能になった。また、内因的に生成された分子とそれらをLC−MS/MSでマッチさせることによって、合成立体化学的に純粋な、重水素で標識したELVを生成し、それらの構造および立体化学を確認した。
ELVおよびそれらの前駆体の両方を、OGDストレス化の細胞中で検出した。(図4B〜4K)m/z499−>93および499−>401MRM推移をELV−N32検出(図4B)に、m/z527−>93および527−>429推移をELV−N34検出(図4C)に使用した。それらの対応するモノヒドロキシ前駆体では、27−ヒドロキシ−C32:6n3にはm/z483−>385(図4B)、29−ヒドロキシル−C34:6n3にはm/z511−>413(図4C)を使用した。さらなる同定には、ELVに完全な断片化を実施し、合成によって生成された標準物質と良好に一致するものを見出した。両方のELVは、共役トリエン構造と一致する275nmでのUV最大値を有した(図4Dおよび4F)。
培養中の混合された神経性細胞に由来する生物起源のELVと合成ELVをマッチさせた後に、ELV−N32およびELV−N34の完全な構造および立体化学を確立した。ELV−N32(elovanoid neuroprotectin−like, derived from a 32− carbon omega−3 polyunsaturated fatty acid)、およびELV−N34(elvanoid neuroprotectin−like, derived from a 34−carbon omega−3 polyunsaturated fatty acid)の構造を、以下として決定した:ELV−N32:(14Z,17Z,20R,21E,23E,25Z,27S,29Z)−20,27−ジヒドロキシド−トリアコンタ−14,17,21,23,25,29−ヘキサエン酸(図1E);ELV−N34:(16Z,19Z,22R,23E,25E,27Z、29S,31Z)−22,29−ジヒドロキシtetra−トリアコンタ−16,19,23,25,27,31−ヘキサエン酸(図4G)。
実施例18
非代償性酸化ストレス、脱酸素/脱グルコース、またはNMDAによって誘発された興奮毒性における、ELVによる神経保護:200nMの濃度で、ナトリウム塩ELV−N32−NaまたはメチルエステルELV−N32−Meは、10ng/mLの腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)およびH(50μΜ、100μΜ、または200μΜ)の添加によって誘発した非代償性酸化ストレスに12時間曝露させた培養中の大脳−皮質を混合した神経性細胞に神経保護を引き出した。ELV−N32−NaまたはELV−N32−Meによって和らげられたアポトーシスした細胞は、用量に依存して増加した(図16B)。
OGDによって誘発された神経性細胞死に対する、ELV−N32またはELV−N34の神経保護的生物活性を決定するために、培養中の大脳皮質を混合した神経性細胞または培養中の海馬ニューロンを、90分間OGDに曝露させた。2時間の再曝気後、ELV−N32またはELV−N34を、200nM、500nM、または1μΜの濃度のいずれかで添加し、次いで、ヘキスト陽性の核を数えること、またはカルセイン陽性の細胞を数えること、またはMTTアッセイのいずれかによって、細胞生存を評価した。全ての異なる条件および濃度下で、ELV−N32−Na、ELV−N32−Me、ELV−N34−Na、またはELV−N34−Meは、OGD単独に曝露させた細胞と比較すると神経保護を誘導することが見出された(図15F〜15H、15K、および15L;図16D〜16G、および16I)。さらに、結果はまた、前駆体34:6が、OGD曝露後に添加されると、250nMほどの低い濃度で神経保護を誘導することができることを示した(捕足図1H)。
さらに、25μΜ、50μΜ、または100μΜの濃度での12時間のNMDA曝露により、培養中の大脳−皮質を混合した神経性細胞および海馬ニューロンの神経死を誘発し(図15C〜15E、および15−15、J;図16A、16C、および16H)、この神経死は、NMDAと同時に添加されると、200nMまたは500nMの濃度のいずれかでELV−N32(NaまたはMe)またはELV−N34(NaまたはMe)のいずれかを添加することによって補われた。細胞が25μΜ、50μΜ、または100μΜの濃度のいずれかでNMDAに曝露されると用量に依存してアポトーシス核が増加し、増加は、ELV−N32−NaまたはELV−N32−Meの存在下では補われた。1つの実験では、100nMの濃度のNPD1と共に200nMのELV−N32(NaまたはMe)を添加することによる相乗効果の有無を試験した。ELV−N32−NaおよびELV−N32−Meの両方は、12時間の100μΜのNMDA興奮毒性に対して、神経保護における相乗効果を示した(図16A)。しかし、NPD1を添加したELV−N32−Meは、NPD1と一緒のELV−N32−Naよりも、効力があった。NMDA興奮毒性はまた、非競合的なNMDA受容体アンタゴニストMK801マレイン酸(ジゾシルピン、10μΜ)の添加によって、克服することができることが見出された。ELV−N32−NaまたはELV−N32−Meのいずれかと一緒にMK801およびNPD1を添加することにより、ELV−N32−NaまたはELV−N32−Me単独によって誘導された神経保護を改善した。加えて、500nMの濃度の前駆体34:6は、NMDA受容体によって媒介される興奮毒性を減衰させる(図16H)。
実施例19
虚血性脳卒中後の、ELVによって誘発された神経学的改善および保護の維持:限局性の虚血性脳卒中は、70〜80%の患者に感覚運動および認知機能の障害をもたらし、発作直後に片側不全麻痺を示す。2時間の中大脳動脈梗塞(MCAo)の1時間後、右側脳室に、定位にインプラントした注入カニューレを通して、ELVを投与した。げっ歯類におけるMCAoに続く機能の不足は、感覚運動の不足によく似ており、任意の発作療法の最終目標は、神経学的/挙動機能の回復であるため、感覚運動バッテリーの2つの試験を使用して、実験的虚血性脳卒中に続く神経学的不足を検出した。
脳脊髄液(CSF)群と比較して、全てのELVで治療した動物は、最大7日間の生残期間を維持する様式で、神経学的スコアを大きく改善した(図20A)。CSFで治療したラットは、この期間中重篤な機能障害を呈し続けた。T2強調画像(T2WI)は、大きな病変を明らかにし、CSFで治療したラットの虚血コアおよびペナンブラに、浮腫形成と一致する、T2高信号が観察された(図20Bおよび20C)。対照的に、虚血コアおよびペナンブラ体積(T2WIから算出)は、全てのELV治療によって顕著に低減された(図4B)。合計病変体積は、CSFで治療した群と比較して、ELV−N32−Na、ELV−N32−Me、ELV−N34−Na、およびELV−N34−Meで顕著に(それぞれ、60%、56%、99%、および91%)低減された(図20B)。MCAo後7日目に、T2WIから3次元(3D)病変体積を算出した(図20D)。病変体積は、エロバノイド治療で劇的に低減され、脳の皮質下領域にのみほぼ局在化された(図20D)。
実施例20
ELVによって減衰された細胞損傷、血管統合性、およびBBB破壊:7日目に、免疫組織化学的検査を使用して大脳梗塞と深く関係するニューロン、アストロサイト、および血管を調査した。CSFで治療したラットは、皮質および皮質下の領域に関与する神経性要素、グリア要素、および血管要素の損失を特徴とする、大きな病変を呈した(図21Aおよび21B)。
対照的に、ELVで治療したラットは、CSFで治療した群と比較して、皮質中のNeuN陽性細胞、GFAP陽性細胞、およびSMI−71陽性血管の数が増加し、より少ない梗塞を示した。NeuN、SMI−71、およびGFAP(図21Cの図に描かれている領域)での細胞数は、全てのELV治療が、NeuN陽性ニューロンおよびGFAP陽性の反応性アストロサイトを増加し、血管統合性を保護したことを示した(図21C)。ほぼ全てのELV治療(ELV−N32−Naを除く)の結果として、ペナンブラ組織内に、より高密度のGFAPに富む瘢痕組織が水平に形成されて、血管密度(SMI−71)が増加した。したがって、血管密度の向上は、神経形成およびシナプス形成を促進すると思われ、ひいては修復の改善、最終的には機能回復の改善に寄与する。
内因性IgGの脳柔組織への浸入による血液脳関門(BBB)の虚血性破壊を、最初に測定した(図22Aおよび22B)。MCAo後の同側脳半球で、IgG染色強度を観察した(図22A)。7日目の染色強度は、CSF、ELV−N32−NaおよびELV−N32−Meで治療した群間では同様であった。対照的に、ELV−N34−NaおよびELV−N34−Meでの治療は、皮質において顕著により低いIgG染色を示し、染色は、梗塞のコア(皮質下部)にほぼ局在化していた。加えて、全脳半球からの(合計)IgG免疫反応性免疫反応性が低減された(図22B)(全ての動物は順調に生残した)。CSFで治療したラットからの脳は、右脳半球の皮質および皮質下領域の両方に関連する全壊死(pannecrotic)病変を呈した(図22C)。対照的に、ELV化合物で治療したラットの梗塞のサイズは、ほとんど皮質下領域でより少ない範囲にわたる損傷を示した。CSFで治療した群と比較して、ELVによって媒介される保護は、前頭−頭頂の皮質(組織は57〜96%救われた)および皮質下部(73〜75%)で広範囲であった(図22D)。合計梗塞体積、抑制された脳腫脹は、全てのELVで治療した群で55〜91%と劇的に低減された(図22D)。
実施例21
RPE細胞、ELV構造、および立体化学:DHAに由来する脂質メディエーターノイロプロテクチンD1(NPD1;10R,17S)−ジヒドロキシドコサ−(4Z,7Z,11E,13E,15Z,19Z)−ヘキサエン酸)の、以前報告した全合成の方法論を適合させることによる、立体制御した全な有機合成を介して調製した化合物との直接比較を通じて、新規の32個および34個の炭素のエロバノイドELV−N32およびELV−N34の完全な構造および立体化学を確立した。液体クロマトグラフィータンデム質量分析(LC−MS/MS)用に重水素で標識した誘導体(ELV−N32−d2およびELV−N34−d2)を合成することによって、これらの構造的な割り当てのさらなる確証を確立した。ELV−N32およびELV−N34を、立体制御された全な化学合成によって調製した(図3A)。完全に定義された構造および立体化学を有する合成材料の利用能により、これらのヒト初代RPE細胞に由来するELVにおける、完全なR/S立体構造、ならびにZ/E型の二重結合を決定することが可能になった。特異的マーカーZO−1(閉鎖帯−1)、RPE65、MITF(微小眼炎に関連する転写因子)、およびβ−カテニンを使用した、ならびに培養中の異なる継代の光学顕微鏡形態の初代ヒトRPE細胞の免疫染色の共焦点画像が、図6Aおよび6Bに示されている。
要するに、これらの細胞を24〜48時間培養し、続いて10μΜの遊離32:6,n6プラス34:6,n6と24時間培養した。次いで、24時間の血清枯渇の後に、1mMのHで細胞を24時間培養した。培養培地を収集し、脂質を抽出し、分析のために液体クロマトグラフィータンデム質量分析器(LC−MS/MS)に充填した。また、合成立体化学的に純粋な、重水素で標識したELVも生成し、内因的に生成された分子とそれらをLC−MS/MSでマッチさせることによって、それらの構造および立体化学を確認した。ヒト初代RPE細胞培養培地に由来するエロバノイドとマッチさせた後、ELV−N32(32Cオメガ−3多価不飽和脂肪酸に由来する)およびELV−N34(34Cオメガ−3多価不飽和脂肪酸に由来する)の完全な構造が、以下のとおりに確認された:ELV−N32:(14Z,17Z,20R,21E,23E,25Z,27S,29Z)−20,27−ジヒドロキシド−トリアコンタ−14,17,21,23、25,29−ヘキサエン酸;ELV−N34:(16Z,19Z,22R,23E,25E,27Z,29S,31Z)−22,29−ジヒドロキシtetra−トリアコンタ−16,19,23、25,27,31−ヘキサエン酸。
UOS下のRPE細胞中でELVおよびそれらの前駆体VLC−PUFAの両方が検出された(図3B〜3K)。検出用に、ELV−N32にはm/z499→93および499→401MRMの推移、ELV−N34にはm/z527→93および527→429の推移を使用した。対応する前駆体では、27−ヒドロキシ−32:6n3にはm/z483→385、29−ヒドロキシル−34:6n3にはm/z511→413を使用した。さらなる同定には、ELVに完全な断片化を実施し、標準物質と良好に一致するものを見出した。
実施例22
ELV N32およびN34は効力のある細胞保護を誘導する:遊離32:6n3または34:6n3は、ARPE−19細胞でUOSに対する保護を誘導し(図7Aおよび7B)、リポキシゲナーゼ阻害物質がこの効果を遮断する(図10C)ことが示されている。32:6n3および34:6n3VLC−PUFAの、ヒトRPE細胞恒常性および生残率をモジュレートする効力を試験するために、UOSを受けているヒトRPE細胞を両方のVLC−PUFA(各々3μΜ)およびNPD1(200nM)と16時間培養した。H(800μΜ)の添加により、アポトーシスを誘発した(50%の細胞死)。32:6n3および34:6n3の両方は、細胞死を首尾よく予防し(それぞれ4%および18%)、NPD1は、アポトーシスを11%まで低減した(図7Kおよび7L)。
酸化ストレス刺激は、15−リポキシゲナーゼ−1(15−LOX−1)の活性化を通じてDHAの酵素的酸化を開始し、NPD111の生合成をもたらす。NPD1は、DHAに由来するストレスに応答する脂質メディエーターであり、細胞運命の決定に直接関与するタンパク質の活性および含有量のモジュレーションを促進することによって、酸化ストレスと直面したRPE細胞の生残シグナル伝達を向上する。
事前に12時間血清枯渇させたhRPE細胞を、15リポキシゲナーゼ1(15−LOX−1)阻害物質(PD146176)(1時間10μΜ)と培養し、次いで、32:6n3および34:6n3(各々3μΜ)の混合物を併せた600μΜのH/TNF−αに、16時間浸漬させた。したがって、15−LOX−1阻害物質は、細胞保護実験で使用したよりもより低い濃度のHで細胞を感化する。H/TNF−αの添加によりRPE細胞アポトーシスが誘発され、32:6n3および34:6n3の混合物での治療は、首尾よく細胞死を予防し(図7I)、15−LOX−1は、初代ヒトRPE細胞を使用するこの遊離脂肪酸細胞保護メカニズムに関与していないことを示している。
実施例23
32:6n3および34:6n3 VLC−PUFAは抗アポトーシスおよび生残促進タンパク質発現を向上する:図7A〜7Kでは、32:6n3および34:6n3が、生残促進BcL2およびBcL−xの発現をアップレギュレーションし(図7Eおよび7F)、アポトーシス促進タンパク質Bax、Bim、およびBidをダウンレギュレーションする(図7G〜7I)。さらに、32:6n3および34:6n3 sの恒常性促進効果は、濃度に依存する(図7J)。サーチュイン−1(SIRT1)の発現は、15−LOX−1阻害物質の存在下で増強された(図7C)一方で、阻害物質のIduna発現に対する効果は影響を受けなかった(図7D)。
実施例24
ELV N32およびN34はRPEのアポトーシスを減衰する:ELVは、UOSによって誘発されたRPE細胞のアポトーシスを阻害することが可能かどうかを試験した。図10Cに示されるように、ELV−N32−NaおよびELV−N34−Naは、200nMの濃度で、UOSによって媒介されるRPE細胞のアポトーシスの減衰を模倣する。興味深いことに、1μΜの濃度の、2つの異なる15−LOX−1阻害物質(15−LOX−1阻害物質またはPD146176)は、UOSを受けているRPE細胞のアポトーシスの、ELVによって媒介された阻害を補うことが可能であった(図10C)。UOSによって誘発されたアポトーシス細胞死は、RPE細胞中のELV−N32−NaまたはELV−N34−Meによって、濃度(50〜500nM)に依存する様式で減衰され、最も高い阻害は、500nM(ナトリウム塩およびメチルエステルの形態の両方)であり、最も低くは50nMであった(図10G)。
実施例25
ELVは恒常性促進タンパク質および抗アポトーシスタンパク質をアップレギュレーションする:ELVが、UOSを受けているRPE細胞中で生残促進タンパク質および恒常性促進タンパク質の発現を向上するかどうかを調査した。図10Aaは、ELV−N32−NaおよびELV−N34−Naが、UOS RPE細胞中でサーチュイン1(SIRT1)を用量に依存する様式で(100−200nM)アップレギュレーションし、ELV−N32−Naが、SIRT1のアップレギュレーションにおいてELV−N34−Naよりもより効力があることを示している。ELV−N32−NaおよびELV−N34−Naは、200nMの濃度で、UOS下のRPE細胞中でIdunaの発現を向上した(図10B)。PD−146176、15−LOX−1の阻害物質は、1μΜの濃度で、UOSを受けているARPE−19細胞のこれらの効果を遮断した。プロヒビチン(1型)、細胞生残タンパク質は、UOSを受けているRPE細胞中で、濃度に依存する様式で(100〜200nM)ELV−N32およびELV−N34(ナトリウム塩およびメチルエステルの形態)の両方によってアップレギュレーションされた(図10H)。図10Dでは、ELV−N32−NaまたはELV−N34−Naが、多量の抗アポトーシスタンパク質Bcl−2およびBcl−xLを向上したことが示されている。その一方で、アポトーシス促進Bax、Bim、およびBidは、ELV−N32またはELV−N34(ナトリウム塩またはメチルエステル)によって減少される(図10D〜10F)。ナトリウム塩またはメチルエステルのいずれかによってBcl−2およびBcl−xLがアップレギュレーションされる(図10D)一方で、Bax、Bim、およびBidダウンレギュレーションされる(図10D〜10F)ことに留意すると興味深い。
実施例26
AdipoR1はDHA取り込みおよびELV形成を調節する:RPE細胞は、PRC機能的統合性を維持し、それらの活動停止は、網膜変性のいくつかの形態の発現に関与している(図11D)。RPE細胞の機能のうちの1つは、PRC再生中にDHAを回収し、新しい外節乳頭膜の生合成のためにそれを光受容体間マトリックスを通してPRC内節に戻すことである37。近年、アディポネクチン受容体1(AdipoR1)は、光受容細胞に対するDHA利用能に必要であり28、単一のアミノ酸の変異は常染色体優性な網膜色素変性の原因となる38ことが見出された。この受容体の遺伝子除去により、PRC変性、および網膜でのVLC−PUFA合成のシャットオフに至る。AdipoR1ノックアウト(KO)マウス(赤)の網膜中の、プールサイズの遊離C32:6n3および34:6n3は、WT(青)のものと比較して、極端に減少している。さらに、KO(赤)のELV−N32およびELV−N34は、検出不能である。モノヒドロキシ32:6n3およびC34:6n3、ELV−N32およびELV−N34のそれぞれのヒドロペルオキシ前駆体の安定誘導体は、野生型(青)とは異なり、KO(赤)において検出可能なシグナルが欠如している(図11Bおよび11C)。
実施例27
ELVはPRC統合性を維持するRPE細胞を保護する:ELOVL4による光受容体の内節におけるDHA伸長は、VLC−PUFAの生合成、およびPRC乳頭膜内のホスファチジルコリンのC1の位置へのそれらの挿入をもたらす。しかしながら、ストレス条件下では、これらのVLC−PUFAは、モノ−およびジ−ヒドロキシVLC−PUFA(ELV)合成のためにPLA1によって開裂される(図11A)。マウス網膜中の光によって誘発された酸化ストレスは、遊離VLC−PUFA、32:6n3および34:6n3、ならびにそれらのモノ−およびジ−ヒドロキシ誘導体の生成のきっかけとなる(図11A)。AdipoR1 KOマウスでは、検出可能な量のこれらの分子は見られない(図5b、c、赤曲線)。したがって、VLC−PUFA前駆体DHAの欠如は、網膜変性を生じ(図11D)、遊離VLC−PUFAオメガ−3分子種およびELVの生合成の著しいダウンレギュレーションによって進行する。
参照文献
Figure 2020514391
Figure 2020514391
Figure 2020514391

Claims (57)

  1. 少なくとも23個の炭素原子をその炭素鎖内に有する少なくとも1つのオメガ−3超長鎖多価不飽和脂肪酸を含む、組成物。
  2. 医薬的に許容可能な担体をさらに含み、かつ、レシピエント対象の組織の病理学的状態またはレシピエント対象の組織の病理学的状態の発現を低減するのに有効な量の前記少なくとも1つのオメガ−3超長鎖多価不飽和脂肪酸を送達するために製剤化されている、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記病理学的状態が、前記レシピエント対象の組織の老齢化または炎症である、請求項1に記載の組成物。
  4. レシピエント対象の皮膚に前記少なくとも1つのオメガ−3超長鎖多価不飽和脂肪酸組織を局所的に送達するために製剤化されている、請求項2に記載の組成物。
  5. 前記病理学的状態が、前記レシピエント対象の神経学的組織の病理学的状態である、請求項2に記載の組成物。
  6. 少なくとも1つの栄養成分をさらに含み、かつ、レシピエント対象に前記少なくとも1つのオメガ−3超長鎖多価不飽和脂肪酸を経口的または非経口的に送達するために製剤化されている、請求項1に記載の組成物。
  7. 前記少なくとも1つのオメガ−3超長鎖多価不飽和脂肪酸が、約26個〜約42個の炭素原子をその炭素鎖内に有する、請求項1に記載の組成物。
  8. 前記少なくとも1つのオメガ−3超長鎖多価不飽和脂肪酸が、32個または34個の炭素原子をその炭素鎖内に有する、請求項7に記載の組成物。
  9. 前記オメガ−3超長鎖多価不飽和脂肪酸が、5個または6個の二重結合をシス型でその炭素鎖内に有する、請求項1に記載の組成物。
  10. 前記オメガ−3超長鎖多価不飽和脂肪酸が、14Z,17Z,20Z,23Z,26Z,29Z)−ドトリアコンタ−14,17,20,23,26,29−ヘキサエン酸、または(16Z,19Z,22Z,25Z,28Z,31Z)−テトラトリアコンタ−16,19,22,25,28,31−ヘキサエン酸である、請求項1に記載の組成物。
  11. 少なくとも23個の炭素原子をその炭素鎖内に有する少なくとも1つのエロバノイドを含む、組成物。
  12. 医薬的に許容可能な担体をさらに含み、かつ、レシピエント対象の組織の病理学的状態を低減するのにまたはレシピエント対象の組織における老齢化の少なくとも1つの影響を遅延させるのに有効な量の前記少なくとも1つのエロバノイドを送達するために製剤化されている、請求項11に記載の組成物。
  13. 前記病理学的状態が、前記レシピエント対象の組織の老齢化または炎症である、請求項11に記載の組成物。
  14. レシピエント対象の皮膚に前記少なくとも1つのエロバノイドを局所的に送達するために製剤化されている、請求項11に記載の組成物。
  15. 前記病理学的状態が、前記レシピエント対象の神経学的組織の病理学的状態である、請求項11に記載の組成物。
  16. 少なくとも1つの栄養成分をさらに含み、かつ、レシピエント対象に前記少なくとも1つのエロバノイドを経口的または非経口的に送達するために製剤化されている、請求項11に記載の組成物。
  17. 前記少なくとも1つのエロバノイドが、モノヒドロキシル化エロバノイド、ジヒドロキシル化エロバノイド、アルキニルモノヒドロキシル化エロバノイド、およびアルキニルジヒドロキシル化エロバノイド、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項11に記載の組成物。
  18. 前記少なくとも1つのエロバノイドが、エロバノイドの組み合わせであり、前記組み合わせが、モノヒドロキシル化エロバノイドおよびジヒドロキシル化エロバノイド;モノヒドロキシル化エロバノイドおよびアルキニルモノヒドロキシル化エロバノイド;モノヒドロキシル化エロバノイドおよびアルキニルジヒドロキシル化エロバノイド;ジヒドロキシル化エロバノイドおよびアルキニルモノヒドロキシル化エロバノイド;ジヒドロキシル化エロバノイドおよびアルキニルジヒドロキシル化エロバノイド;モノヒドロキシル化エロバノイド、ジヒドロキシル化エロバノイド、およびアルキニルモノヒドロキシル化エロバノイド;モノヒドロキシル化エロバノイド、ジヒドロキシル化エロバノイド、およびアルキニルジヒドロキシル化エロバノイド;ならびにモノヒドロキシル化エロバノイド、ジヒドロキシル化エロバノイド、およびアルキニルモノヒドロキシル化エロバノイド アルキニルジヒドロキシル化エロバノイドからなる群から選択され、各エロバノイドが独立して、ラセミ混合物もしくはジアステレオマー混合物、単離されたエナンチオマー、または、1つのエナンチオマーの量が別のエナンチオマーの量よりも多いエナンチオマーの組み合わせである、請求項11に記載の組成物。
  19. 少なくとも23個の炭素原子をその炭素鎖内に有する少なくとも1つのオメガ−3超長鎖多価不飽和脂肪酸をさらに含む、請求項11に記載の組成物。
  20. 前記少なくとも1つのオメガ−3超長鎖多価不飽和脂肪酸が、約26個〜約42個の炭素原子をその炭素鎖内に有する、請求項19に記載の組成物。
  21. 前記少なくとも1つのオメガ−3超長鎖多価不飽和脂肪酸が、5個または6個の二重結合をシス型でその炭素鎖内に有する、請求項19に記載の組成物。
  22. 前記少なくとも1つの超長鎖多価不飽和脂肪酸が、14Z,17Z,20Z,23Z,26Z,29Z)−ドトリアコンタ−14,17,20,23,26,29−ヘキサエン酸、または(16Z,19Z,22Z,25Z,28Z,31Z)−テトラトリアコンタ−16,19,22,25,28,31−ヘキサエン酸である、請求項19に記載の組成物。
  23. 前記モノヒドロキシル化エロバノイドが、式G、H、I、またはJ:
    Figure 2020514391
    からなる群から選択され、
    式中、
    nが0〜19でありかつ−CO−ORがカルボン酸基またはその塩もしくはエステルであり、
    かつここで、
    −CO−ORがカルボン酸基でありかつ化合物G、H、I、またはJがそれらの塩である場合に前記塩のカチオンが医薬的に許容可能なカチオンであり、かつ
    −CO−ORがエステルである場合にRがアルキル基である、請求項17に記載の組成物。
  24. 前記医薬的に許容可能なカチオンが、アンモニウムカチオン、イミニウムカチオン、または金属カチオンである、請求項23に記載の組成物。
  25. 前記金属カチオンが、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、マグネシウムカチオン、亜鉛カチオン、またはカルシウムカチオンである、請求項24に記載の組成物。
  26. 前記組成物が等モル量のエナンチオマーGおよびHを含み、前記エナンチオマーが、ヒドロキシル基を担持している炭素において(S)または(R)キラリティを有する、請求項23に記載の組成物。
  27. 前記組成物が等モル量のエナンチオマーIおよびJを含み、前記エナンチオマーが、ヒドロキシル基を担持している炭素において(S)または(R)キラリティを有する、請求項23に記載の組成物。
  28. GまたはHの一方のエナンチオマーをGまたはHの他方のエナンチオマーの量を超える量で含む、請求項23に記載の組成物。
  29. IまたはJの一方のエナンチオマーをIまたはJの他方のエナンチオマーの量を超える量で含む、請求項23に記載の組成物。
  30. 前記モノヒドロキシル化エロバノイドが、式:
    Figure 2020514391
    をそれぞれ有する(S,14Z,17Z,20Z,23Z,25E,29Z)−27−ヒドロキシドトリアコンタ−14,17,20,23,25,29−ヘキサエン酸メチル(G1)、(S,14Z,17Z,20Z,23Z,25E,29Z)−27−ヒドロキシドトリアコンタ−14,17,20,23,25,29−ヘキサエン酸ナトリウム(G2)、(S,16Z,19Z,22Z,25Z,27E,31Z)−29−ヒドロキシテトラトリアコンタ−16,19,22,25,27,31−ヘキサエン酸メチル(G3)、および(S,16Z,19Z,22Z,25Z,27E,31Z)−29−ヒドロキシテトラトリアコンタ−16,19,22,25,27,31−ヘキサエン酸ナトリウム(G4)からなる群から選択される、請求項23に記載の組成物。
  31. 前記ジヒドロキシル化エロバノイドが、式K、L、M、およびN:
    Figure 2020514391
    からなる群から選択され、
    式中、
    mが0〜19でありかつ−CO−ORがカルボン酸基またはその塩もしくはエステルであり、
    かつここで、
    −CO−ORがカルボン酸基でありかつ化合物K、L、M、またはNがそれらの塩である場合に前記塩のカチオンが医薬的に許容可能なカチオンであり、かつ
    −CO−ORがエステルである場合にRがアルキル基である、請求項17に記載の組成物。
  32. 前記医薬的に許容可能なカチオンが、アンモニウムカチオン、イミニウムカチオン、または金属カチオンである、請求項31に記載の組成物。
  33. 前記金属カチオンが、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、マグネシウムカチオン、亜鉛カチオン、またはカルシウムカチオンである、請求項32に記載の組成物。
  34. 前記組成物が等モル量のジアステレオマーKおよびLを含み、前記ジアステレオマーが、ヒドロキシル基を担持しているn−6炭素において(S)または(R)キラリティを有する、請求項31に記載の組成物。
  35. 前記組成物が等モル量のジアステレオマーMおよびNを含み、前記ジアステレオマーが、ヒドロキシル基を担持しているn−6炭素において(S)または(R)キラリティを有する、請求項31に記載の組成物。
  36. KまたはLの一方のジアステレオマーをKまたはLの他方のジアステレオマーの量を超える量で含む、請求項31に記載の組成物。
  37. MまたはNの一方のジアステレオマーをMまたはNの他方のジアステレオマーの量を超える量で含む、請求項31に記載の組成物。
  38. 前記ジヒドロキシル化エロバノイドが、式:
    Figure 2020514391
    をそれぞれ有する(14Z,17Z,20R,21E,23E,25Z,27S,29Z)−20,27−ジヒドロキシドトリアコンタ−14,17,21,23,25,29−ヘキサエン酸メチル(K1)、(14Z,17Z,20R,21E,23E,25Z,27S,29Z)−20,27−ジヒドロキシドトリアコンタ−14,17,21,23,25,29−ヘキサエン酸ナトリウム(K2)、(16Z,19Z,22R,23E,25E,27Z,29S,31Z)−22,29−ジヒドロキシテトラトリアコンタ−16,19,23,25,27,31−ヘキサエン酸メチル(K3)、および(16Z,19Z,22R,23E,25E,27Z,29S,31Z)−22,29−ジヒドロキシテトラトリアコンタ−16,19,23,25,27,31−ヘキサエン酸ナトリウム(K4)からなる群から選択される、請求項31に記載の組成物。
  39. 前記アルキニルモノヒドロキシル化エロバノイドが、式O、P、Q、またはR:
    Figure 2020514391
    からなる群から選択され、
    式中、
    mが0〜19でありかつ−CO−ORがカルボン酸基またはその塩もしくはエステルであり、
    かつここで、
    −CO−ORがカルボン酸基でありかつ化合物O、P、Q、またはRがそれらの塩である場合に前記塩のカチオンが医薬的に許容可能なカチオンであり、かつ
    −CO−ORがエステルである場合にRがアルキル基であり、
    かつここで、
    化合物OおよびPが各々、n−3、n−12、n−15、およびn−18の位置で開始する4つのシス炭素−炭素二重結合とn−7の位置で開始する1つのトランス炭素−炭素結合とn−9の位置で開始する1つの炭素−炭素三重結合とを有する炭素鎖内に、合計23個〜42個の炭素原子を有し、かつ
    化合物QおよびRが各々、n−3、n−12、およびn−15の位置で開始する3つのシス炭素−炭素二重結合とn−7の位置で開始する1つのトランス炭素−炭素結合とn−9の位置で開始する1つの炭素−炭素三重結合とを有する炭素鎖内に、合計23個〜42個の炭素原子を有する、請求項17に記載の組成物。
  40. 前記アルキニルモノヒドロキシル化エロバノイドが、式:
    Figure 2020514391
    をそれぞれ有する(S,14Z,17Z,20Z,25E,29Z)−27−ヒドロキシドトリアコンタ−14,17,20,25,29−ペンタエン−23−イン酸メチル(O1);(S,17Z,20Z,25E,29Z)−27−ヒドロキシドトリアコンタ−17,20,25,29−テトラエン−23−イン酸ナトリウム(O2);(S,16Z,19Z,22Z,27E,31Z)−29−ヒドロキシテトラトリアコンタ−16,19,22,27,31−ペンタエン−25−イン酸メチル(O3);および(S,16Z,19Z,22Z,27E,31Z)−29−ヒドロキシテトラトリアコンタ−16,19,22,27,31−ペンタエン−25−イン酸ナトリウム(O4)からなる群から選択される、請求項39に記載の組成物。
  41. 前記医薬的に許容可能なカチオンが、アンモニウムカチオン、イミニウムカチオン、または金属カチオンである、請求項39に記載の組成物。
  42. 前記金属カチオンが、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、マグネシウムカチオン、亜鉛カチオン、またはカルシウムカチオンである、請求項41に記載の組成物。
  43. 前記組成物が等モル量のエナンチオマーOおよびPを含み、前記エナンチオマーが、ヒドロキシル基を担持している炭素において(S)または(R)キラリティを有する、請求項39に記載の組成物。
  44. 前記組成物が等モル量のエナンチオマーQおよびRを含み、前記エナンチオマーが、ヒドロキシル基を担持している炭素において(S)または(R)キラリティを有する、請求項39に記載の組成物。
  45. OまたはPの一方のエナンチオマーをOまたはPの他方のエナンチオマーの量を超える量で含む、請求項39に記載の組成物。
  46. QまたはRの一方のエナンチオマーをQまたはRの他方のエナンチオマーの量を超える量で含む、請求項39に記載の組成物。
  47. 前記エロバノイドが、式S、T、U、またはV:
    Figure 2020514391
    からなる群から選択されるアルキニルジヒドロキシル化エロバノイドであり、
    式中、
    mが0〜19でありかつ−CO−ORがカルボン酸基またはその塩もしくはエステルであり、
    かつここで、
    −CO−ORがカルボン酸基でありかつ化合物S、T、U、またはVがそれらの塩である場合に前記塩のカチオンが医薬的に許容可能なカチオンであり、かつ
    −CO−ORがエステルである場合にRがアルキル基であり、
    かつここで、
    化合物SおよびTが各々、n−3、n−15、およびn−18の位置で開始する3つのシス炭素−炭素二重結合を有しn−9およびn−11で開始する位置に位置する2つのトランス炭素−炭素二重結合とn−7の位置で開始する1つの炭素−炭素三重結合とを有する炭素鎖内に、合計23個〜42個の炭素原子を有し、かつ
    化合物UおよびVが各々、n−3およびn−15の位置で開始する3つのシス炭素−炭素二重結合を有しn−9、n−11で開始する位置に位置する2つのトランス炭素−炭素二重結合とn−7の位置で開始する1つの炭素−炭素三重結合とを有する炭素鎖内に、合計23個〜42個の炭素原子を有する、請求項17に記載の組成物。
  48. 前記医薬的に許容可能なカチオンが、アンモニウムカチオン、イミニウムカチオン、または金属カチオンである、請求項47に記載の組成物。
  49. 前記金属カチオンが、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、マグネシウムカチオン、亜鉛カチオン、またはカルシウムカチオンである、請求項48に記載の組成物。
  50. 前記アルキニルモノヒドロキシル化エロバノイドが、式:
    Figure 2020514391
    をそれぞれ有する(14Z,17Z,20R,21E,23E,27S,29Z)−20,27−ジヒドロキシドトリアコンタ−14,17,21,23,29−ペンタエン−25−イン酸メチル(S1);(14Z,17Z,20R,21E,23E,27S,29Z)−20,27−ジヒドロキシドトリアコンタ−14,17,21,23,29−ペンタエン−25−イン酸ナトリウム(S2);(16Z,19Z,22R,23E,25E,29S,31Z)−22,29−ジヒドロキシテトラトリアコンタ−16,19,23,25,31−ペンタエン−27−イン酸メチル(S3);および(16Z,19Z,22R,23E,25E,29S,31Z)−22,29−ジヒドロキシテトラトリアコンタ−16,19,23,25,31−ペンタエン−27−イン酸ナトリウム(S4)からなる群から選択される、請求項47に記載の組成物。
  51. 前記組成物が等モル量のジアステレオマーSおよびTを含み、前記ジアステレオマーが、n−6の位置において(S)または(R)キラリティのいずれか、およびn−13の位置において(R)キラリティを有する、請求項46に記載の組成物。
  52. 前記組成物が等モル量のジアステレオマーUおよびVを含み、前記ジアステレオマーが、n−6の位置において(S)または(R)キラリティのいずれか、およびn−13の位置において(R)キラリティを有する、請求項47に記載の組成物。
  53. SまたはTの一方のジアステレオマーをSまたはTの他方のジアステレオマーの量を超える量で含む、請求項47に記載の組成物。
  54. UまたはVの一方のジアステレオマーをUまたはVの他方のジアステレオマーの量を超える量で含む、請求項47に記載の組成物。
  55. 式C、D、E、またはF:
    Figure 2020514391
    からなる群から選択されるリン脂質化合物と、許容可能な担体とを含む、組成物。
  56. 医薬的に許容可能な担体をさらに含み、かつ、レシピエント対象の組織の病理学的状態またはレシピエント対象の組織の病理学的状態の発現を低減するのに有効な量を送達するために製剤化されている、請求項55に記載の組成物。
  57. 少なくとも1つの栄養成分をさらに含み、かつ、レシピエント対象に前記少なくとも1つのエロバノイドを経口的または非経口的に送達するために製剤化されている、請求項55に記載の組成物。
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