JP2020511400A - ヒドリドシランの製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、触媒としてカチオン性Si(II)化合物の存在下でSi−H基を含むシロキサンを反応させるヒドリドシランの製造方法に関する。

Description

本発明は、触媒としてのカチオン性Si(II)化合物の存在下でヒドリドシロキサンを反応させることによってヒドリドシランを製造する方法に関する。
ヒドリドシラン及びヒドリドシロキサンは、技術において重要な役割を果たす。一般にヒドロシリル化と呼ばれるビニル化合物のこの付加は、例えば、シリコーンポリマーを架橋するのに使用され、炭素スペーサーを介して官能基をケイ素中心に連結するのに広く使用されている。
ヒドリドシランは、特にエレクトロニクス産業において工業的に重要である。例えば、ジメチルシランは、誘電体コーティングを製造するためにCVD法において使用される。
したがって、非常に可燃性で非常に反応性のヒドリドシランを製造するための、複雑でなく、信頼性があり、費用対効果の高い方法が、工業的に非常に重要である。特に、エレクトロニクス産業におけるヒドリドシランの適用には、高純度の要件がある。例えば蒸留によるヒドリドシランのその後の精製により、必要な安全関連の負担に起因して製造方法のコストがかなり増加する。
WO2007/005037は、触媒として一般式BRのルイス酸性ホウ素化合物、特にホウ素化合物B(Cの存在下でヒドリドシランを製造できる方法を記載している。不均化とも呼ばれるこの反応では、ヒドリドシランはSi−H基を含むシロキサン(siloxanxes)から形成され、Si−H基を含む高分子量のシロキサンも形成される。実施例及びMacromolecules 2006,39,3802に記載されているこの方法の欠点は、シロキサン環が望ましくない副生成物としてかなりの程度で形成されることである。さらなる欠点は、触媒B(Cが、触媒的に不活性な化合物、特にジメチル(ペンタフルオロフェニル)シランを形成する反応の過程で消費されることである。このため、反応が早期に停止するリスクが存在する。したがって、高い転化率のためには、比例的に多量の触媒を使用しなければならず、そのためこの方法はかなり費用がかかる。また、形成された分解生成物、特にジメチル(ペンタフルオロフェニル)シランは、その揮発性が高いために、形成されたH−シランから完全に分離することができず、それによって生成されたシランの品質の低下を受け入れなければならないというリスクもある。
国際公開第2007/005037号
Macromolecules 2006,39,3802
したがって、本発明の目的は、明記した欠点を有さないヒドリドシランの製造方法を提供することからなる。
本発明は、触媒としてカチオン性Si(II)化合物の存在下でSi−H基を含むシロキサンを反応させるヒドリドシランの製造方法に関する。
驚くべきことに、カチオン性Si(II)化合物は、指定された反応に触媒作用を及ぼし、一般に知られている高い化学反応性にもかかわらず、ルイス酸性ホウ素化合物とは対照的に反応条件下で安定であり、それによってこの製造方法が著しく単純化されることが見出された。ルイス酸性ホウ素化合物B(Cを用いると、反応後にいくつかのフッ素含有副生成物が見られ、これらはもはや触媒活性を示さない。また一方、フッ素含有有機化合物は毒性学的懸念があり、そのため工業的に望ましくない。
使用されるカチオン性Si(II)化合物の対イオンは、B(C のようなフッ素含有ボラネート(boranate)であることが多いが、これらは反応条件下で安定であり、分解して揮発性フッ素化合物を生成することはない。
さらなる利点は、カチオン性Si(II)化合物を用いると、形成されるシロキサン環が大幅に少なくなることである。
最後に、カチオン性Si(II)化合物の反応性はアニオンの選択により制御でき、このことは技術的に有利である。
この方法では、ヒドリドシランに加えて、Si−H基を含むより高分子量のシロキサンが形成される。
本方法に使用されるSi−H基を含むシロキサンは、好ましくは一般式Iを有する。

HSiO(1/2)Z (I)

式中、
Zは一般式Iaを表す。

(SiO4/2(RSiO3/2(R SiO2/2(R SiO1/2 (Ia)

及びRは各々独立して炭化水素基、ハロゲン原子又は水素原子であり、
は各々独立して水素、ハロゲン、非分岐、分岐、直鎖、非環式又は環状の、飽和又は一価不飽和若しくは多価不飽和のC1〜C20炭化水素基、又は非分岐、分岐、直鎖又は環状の、飽和又は一価不飽和若しくは多価不飽和のC1〜C20炭化水素オキシ基であり、いずれの場合も個々の非隣接CH基は酸素原子又は硫黄原子で置換することができ、個々のCH基は窒素原子で置換することができ、いずれの場合も炭素原子はハロゲン置換基を有していてもよく、及び
a、b、c及びdはいずれの場合も各々独立して1〜10000の整数値であり、
ここで、a、b、c及びdの合計は、少なくとも1の値を有する。
基R及びRは、特に好ましくは、各々独立して、水素、ハロゲン、非分枝、分枝、非環式又は環状の、飽和又は一価不飽和若しくは多価不飽和C1〜C20炭化水素基である。
基R及びRは、特に好ましくは、各々独立して、水素、塩素、直鎖飽和C1〜C10基、環状飽和又は一価不飽和若しくは多価不飽和のC1〜C10炭化水素基である。
基R及びRは、最も特に好ましくは、各々独立して、水素、塩素、直鎖又は分枝の飽和C1〜C3基、環状飽和又は一価不飽和若しくは多価不飽和のC1〜C6炭化水素基である。
基R及びRの好ましい例は、水素、塩素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、フェニル及びベンジルである。
炭化水素基Rは、好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、フェニル基又はベンジル基である。
炭化水素基Rは、好ましくは、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基又はイソプロポキシ基である。
好ましくは、a、b、c及びdは、各々独立して、0〜1000、特に好ましくは0〜500、特に好ましくは0〜100の整数値である。
a、b、c及びdの合計は、好ましくは少なくとも1〜10、特に1〜5である。
一般式Iの異なるシロキサンの混合物を使用することもできる。
本発明による方法において形成されるヒドリドシランは、好ましくは一般式IIを有する。

Si (II)

式中、基R及びRは、上記に特定した定義及び好ましい定義を有する。
使用される一般式Iのシロキサンの例は、1,1,2,2−テトラメチルジシロキサン、1,1,1,2,2−ペンタメチルジシロキサン、1,1,2,2,3,3−ヘキサメチルトリシロキサン、1,1,1,2,2,3,3−ヘプタメチルトリシロキサン、1,1,2,2,3,3,4,4−オクタメチルテトラシロキサン及び一般式IIの高級ホモログ:H−SiMe−O−(SiMe−O)−SiMe−O−SiMe−H又は
H−SiMe−O−(SiMe−O)−SiMe−O−SiMe
(式中、nは0〜10000の値を有することができる。)である。
この反応は、1種以上のカチオン性Si(II)化合物の存在下で起こる。
好ましくは、一般式IIIのカチオン性Si(II)化合物

([Si(II)Cp]a− (III)

が使用され、式中、
Cpは、基Rにより置換された一般式(IV)のπ−結合シクロペンタジエニル基であり、
Figure 2020511400
は、任意の一価の基又は多価の基であり、これ(ら)もまた互いに結合して縮合環を形成することができ、
a−は任意の原子価aのアニオンであり、これは反応条件下でカチオン性ケイ素(II)中心と反応せず、及び
aは、1〜6の整数値を有する。
シクロペンタジエニル基Cpは、単に負に帯電した芳香族5員環系C からなるシクロペンタジエニルアニオンを意味すると理解される。
基Rは、各々独立して、好ましくは水素、直鎖又は分枝の、非環式又は環状、飽和又は一価不飽和若しくは多価不飽和のC1〜C20アルキル又はアリール、特に好ましくはC1〜C3アルキル、特に好ましくはメチル基である。
基Rの例は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、sec−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基のようなアルキル基;n−ヘキシル基のようなヘキシル基;n−ヘプチル基のようなヘプチル基;n−オクチル基及び2,4,4−トリメチルペンチル基等のイソオクチル基のようなオクチル基;n−ノニル基のようなノニル基;n−デシル基のようなデシル基;n−ドデシル基のようなドデシル基;n−ヘキサデシル基のようなヘキサデシル基;n−オクタデシル基のようなオクタデシル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基及びメチルシクロヘキシル基のようなシクロアルキル基;フェニル基、ナフチル基、アントリル基及びフェナントリル基のようなアリール基;o−、m−及びp−トリル基、キシリル基、メシチレニル基及びo−、m−及びp−エチルフェニル基のようなアルカリール基;並びにベンジル基、α−及びβ−フェニルエチル基のようなアラルキル基である。
a−は、無機又は有機のいずれでもよい。好ましくは、aは1、2又は3、特に1の値を有する。
は、好ましくは、ハロゲン、又はBF 、ClO 、AlZ 、MF (式中、Z=ハロゲン及びM=P、As又はSb)、又はテトラアリールボレートアニオン(ここで、アリール基は、好ましくは、フェニル又はフッ素化フェニル又はペルフルオロアルキル基によって置換されたフェニル)、例えば、カーボレート(carborate)アニオンのような一価多面体アニオン、又はアルコキシメタレートイオン及びアリールオキシメタレートイオンのような錯アニオンである。
アニオンXの例は、テトラクロロメタレート[MCl(式中、M=Al、Ga)、テトラフルオロボレート[BF、ヘキサフルオロメタレート[MF(式中、M=As、Sb、Ir、Pt)、ペルフルオロアンチモネート[Sb11、[Sb16及び[Sb21、トリフレート(=トリフルオロメタンスルホネート)[OSOCF、テトラキス(トリフルオロメチル)ボレート[B(CF、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)メタレート[M(C(式中、M=B、Al、Ga)、テトラキス(ペンタクロロフェニル)ボレート{B(CCl]}、テトラキス[(2,4,6−トリフルオロメチル(フェニル))ボレート{B[C(CF]}、[ビス[トリス(ペンタフルオロフェニル)]ヒドロキシド{HO[B(C、クロソカーボレート(chloso−carborate)[CHB11Cl、[CHB11Br、[CHB11(CHBr、[CHB1111、[C(Et)B1111、[CB11(CF12及びB12Cl11CN(CH、テトラ(ペルフルオロアルコキシ)アルミネート[Al(ORPF、トリス(ペルフルオロアルコキシ)フルオロアルミネート[FA1(ORPF、ヘキサキス(オキシペンタフルオロテルル)アンチモネート[Sb(OTeFである。
特に好ましい錯アニオンXの概要は、例えば、Krossingら、Angew.Chem.2004,116,2116に見出すことができる。
一般式IIIのカチオン性Si(II)化合物は、化合物Si(II)Cpに酸性Hを付加することによって調製することができ、その際、アニオン性Cp基の一つがプロトン化された形で除去される。

Si(II)Cp+H−>Si(II)Cp X+CpH
酸HXのアニオンXは、カチオン性ケイ素(II)化合物の対イオンを形成する。
一般式IIIのカチオン性Si(II)化合物の調製方法は、Science 2004,305,pp.849−851に記載されている。
Figure 2020511400
一般式IIIのカチオン性Si(II)化合物は、その中で酸(Cp)+B(C (Cp=ペンタメチルシクロペンタジエニル)の助けを借りて形成される。この場合、対イオンX=B(C である式IIIの化合物が得られ、これは非常に容易に結晶化され得、したがって特に容易に単離され得る。しかし、一般式IIIの化合物は、他のブレンステッド酸を添加することによっても製造することができ、そのアニオンが上記で特定した弱配位の必要条件に対応する酸が好ましい。
カチオン性ケイ素(II)化合物のさらなる例は、以下の構造であり、
Figure 2020511400
その製造は、Soら、Chem.Eur.J.2013,19,11786、Driessら、Angew.Chem.Int.Ed.2006,45,6730、Filippou,Angew.Chem.Int.Ed.2013,52,6974,Sasamoriら、Chem.Eur.J.2014,20,9246及びInoueら、Chem.Commun.2014,50,12619(DMAP=ジメチルアミノピリジン)に記載されている。
上記の式において、Rは、炭化水素基である。好ましくは、基Rは、各々独立して、アルキル基、特にC1〜C20−アルキル基、又は置換若しくは非置換のフェニル基、特に好ましくは分枝アルキル基又は2,6−ジアルキル化フェニル基である。Halは、ハロゲンであり、好ましくは塩素、臭素又はヨウ素である。基Rの例は、メチル、イソプロピル、tert−ブチル、2,6−ジイソプロピルフェニル又は2,4,6−トリイソプロピルフェニルである。
カチオン性Si(II)化合物の重量比率は、Si−H基を含むシロキサンの総質量を基準として、好ましくは少なくとも10−5重量%(0.1ppm)かつ最大で20重量%、特に好ましくは少なくとも10−4重量%(1ppm)かつ最大で5重量%、特に好ましくは少なくとも10−3重量%(10ppm)かつ最大で1重量%である。
本発明による反応は、1種以上の溶媒の添加の有無にかかわらず行うことができる。Si−H基を含むシロキサンを基準として、溶媒又は溶媒混合物の比率は、好ましくは少なくとも0.1重量%かつ最大で重量の1000倍、特に好ましくは少なくとも10重量%かつ最大で重量の100倍、特に好ましくは少なくとも30重量%かつ最大で重量の10倍である。
使用される溶媒は、好ましくは非プロトン性溶媒、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン若しくはトルエンのような炭化水素、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン若しくは1,2−ジクロロエタンのようなクロロ炭化水素、ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、アニソール、テトラヒドロフラン若しくはジオキサンのようなエーテル、又は例えばアセトニトリル若しくはプロピオニトリルのようなニトリルであることができる。
反応は、大気圧で又は減圧下又は高圧下で実施することができる。
圧力は、好ましくは少なくとも0.01barかつ最大で100bar、特に好ましくは少なくとも0.1barかつ最大で10barであり、特に好ましくは反応は大気圧で実施される。
本発明による反応は、好ましくは少なくとも−100℃から最高で+250℃の間、特に好ましくは少なくとも−20℃から最高で150℃の間、特に好ましくは少なくとも0℃から最高で100℃の間の温度で行われる。
反応中に同様に形成される高級シロキサンと比較して、一般式IIのかなり揮発性の高いシランは、蒸留によって特に簡単な方法でシロキサンから除去することができる。このようにして、分離をすでに反応中に実施することができる。
上記の式に関係する上記の記号はすべて、いずれの場合も各々が互いに独立した定義を有する。すべての式において、ケイ素原子は四価である。
いずれの場合も特に指定のない限り、すべての量及びパーセンテージは重量を基準とし、すべての温度は20℃である。
ガスクロマトグラムは、Agilent社のモデルA6890プラスガスクロマトグラフを用いて記録した。使用したカラム:HP−5、No.US2441516H、30m、0.32mm、0.25μm、温度:5℃/分で40〜120℃;10℃/分で120〜300℃;注入器:290℃、スプリット1:250、1.0μl、キャリアガスHe 1.5ml/分;検出器:FID、320℃。生成物は真正物質との比較により同定した。
以下の実施例では、いずれの場合もH−NMR分光法によって転化率を決定した。この目的のために、生成したシランの水素の積分(δ=3.8におけるジメチルシラン、δ=4.0におけるトリメチルシラン)及びδ=4.7〜4.8におけるシロキサン部分の全水素の全積分を決定し、次式に従って転化率を計算した。

転化率(%)=100×I(シラン)/[I(シロキサン)+I(シラン)]
[実施例1]:(π−Me)SiB(C の存在下での1,1,1,2,2−ペンタメチルジシロキサンの不均化
すべての作業工程をAr下で行った。
296mg(2.00ミリモル)のペンタメチルジシロキサンを1.0mlのd−ジクロロメタンに溶解し、1.8mg(0.0021ミリモル、0.11モル%)の(π−Me)SiB(C を20℃で添加した。反応をNMR分光法により監視した。45分後、反応物のペンタメチルジシロキサンはもはやNMR分光法によって検出できず、NMRはH基を含むより高分子量のシロキサンの形成を示す。シランであるジメチルシラン及びトリメチルシランは70:30のモル比で形成された。
転化率=95%
[実施例2]:(π−Me)SiB(C の存在下での1,1,2,2−テトラメチルジシロキサンの不均化
すべての作業工程をAr下で行った。
269mg(2.00ミリモル)のテトラメチルジシロキサンを1.5mlのd−ジクロロメタンに溶解し、1.9mg(0.00226ミリモル、0.11モル%)の(π−Me)SiB(C を振盪しながら室温(約23℃)で添加した。30分後にピリジンで反応を停止させ、反応混合物をNMR分光法で調べた。形成されたシランは、もっぱらジメチルシランであった。
転化率=70%
他の生成物は、ガスクロマトグラフィーにより決定した。真正物質との比較(カッコ内の保持時間及び面積%)により以下の生成物、すなわち1,1,2,2−テトラメチルジシロキサン(2.14分、15%)、ピリジン(3.24分、41%)、1,1,2,2,3,3−ヘキサメチルトリシロキサン(3.95分、8.6%)、1,1,2,2,3,3,4,4−オクタメチルテトラシロキサン(7.99分、1.5%)、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5−デカメチルペンタシロキサン(12.85分、8.6%)、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−ドデカメチルヘキサシロキサン(17.23分、7.0%)、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−テトラデカメチルヘプタシロキサン(20.08分、5.1%)、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8−ヘキサデカメチルオクタシロキサン(22.16分、3.3%)が検出され、ジメチルシランはこの場合には検出されなかった。シロキサン環はガスクロマトグラフィーでは検出されなかった。
[実施例3]:(π−Me)SiHB(C の存在下での1,1,2,2−テトラメチルジシロキサンの不均化
すべての作業工程をAr下で行った。
269mg(2.00ミリモル)のテトラメチルジシロキサンを1.5mlのd−ジクロロメタンに溶解し、1.4mg(0.00207ミリモル、0.10モル%)の(π−Me)SiHB(C を室温(約23℃)で振盪しながら添加した。30分後にピリジンで反応を停止させ、反応混合物をNMR分光法で調べた。形成されたシランはもっぱらジメチルシランであった。
転化率=45%
シロキサン環は、ガスクロマトグラフィーでは検出されなかった。
[例4](非発明的、シロキサン環の形成):
<B(Cの存在下での1,1,2,2−テトラメチルジシロキサンの不均化>
268mg(2.00ミリモル)のテトラメチルジシロキサンを1.5mlのd−ジクロロメタンに溶解し、1.1mg(0.00215ミリモル、0.11モル%)のB(Cを振盪しながら室温(約23℃)で添加した。30分後にピリジンで反応を停止させ、反応混合物をNMR分光法で調べた。形成されたシランはもっぱらジメチルシランであった。
転化率=65%
他の生成物はガスクロマトグラフィーで決定したが、この場合ジメチルシランは検出されなかった。真正物質との比較(保持時間及び面積%)により、以下の生成物、すなわちピリジン(3.20分、22%)、1,1,2,2,3,3−ヘキサメチルトリシロキサン(3.92分、11.8%)、ヘキサメチルシクロトリシロキサン(4.27分、0.8%)、1,1,2,2,3,3,4,4−オクタメチルテトラシロキサン(7.97分、0.6%)、オクタメチルシクロペンタシロキサン(8.26分、10.0%)、デカメチルシクロペンタシロキサン(12.49分、0.9%)、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5−デカメチルペンタシロキサン(12.80%、1.0%)、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−ドデカメチルヘキサシロキサン(17.21分、7.0%)、テトラデカメチルシクロヘプタシロキサン(20.03分、7.3%)が検出された。
[例5](非発明的、ルイス酸性ホウ素触媒の分解生成物の検出)
すべての作業工程をAr下で行った。268mg(2.00ミリモル)のテトラメチルジシロキサンを1.5mlのd−ジクロロメタンに溶解し、1.1mg(0.00215ミリモル、0.1モル%)のトリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素を添加した。ジメチルシランが生成した。19F−NMRスペクトルでは、いくつかのフッ素含有副生成物の形成を確認した。1時間の反応時間後、ジメチル(ペンタフルオロフェニル)シラン(M=225)の形成をGC/MS分析により検出した。GCにおける相対な面積割合は0.2%であった。

Claims (10)

  1. 触媒としてカチオン性Si(II)化合物の存在下でSi−H基を含むシロキサンを反応させるヒドリドシランの製造方法。
  2. 使用されるSi−H基を含むシロキサンが、好ましくは一般式Iを有する、請求項1に記載の方法。

    HSiO(1/2)Z (I)

    [式中、
    Zは一般式Iaを表す。

    (SiO4/2(RSiO3/2(R SiO2/2(R SiO1/2 (Ia)

    及びRは各々独立して炭化水素基、ハロゲン原子又は水素原子であり、
    は各々独立して水素、ハロゲン、非分岐、分岐、直鎖、非環式又は環状の、飽和又は一価不飽和若しくは多価不飽和のC1〜C20炭化水素基、又は非分岐、分岐、直鎖又は環状の、飽和又は一価不飽和若しくは多価不飽和のC1〜C20炭化水素オキシ基であり、いずれの場合も個々の非隣接CH基は酸素原子又は硫黄原子で置換することができ、個々のCH基は窒素原子で置換することができ、いずれの場合も炭素原子はハロゲン置換基を有していてもよく、及び
    a、b、c及びdはいずれの場合も各々独立して1〜10000の整数値であり、
    ここでa、b、c及びdの合計は、少なくとも1の値を有する。]
  3. 基R及びRが、各々独立して、水素、塩素、直鎖飽和C1〜C10基、環状飽和又は一価不飽和若しくは多価不飽和のC1〜C10炭化水素基である、請求項2に記載の方法。
  4. 炭化水素基Rが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、フェニル、ベンジル、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ又はイソプロポキシから選択される、請求項2又は3に記載の方法。
  5. a、b、c及びdの合計が1〜10である、請求項2〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 一般式IIIのカチオン性Si(II)化合物

    ([Si(II)Cp]a− (III)

    が使用され、式中、
    Cpは、基Rにより置換された一般式IVのπ−結合シクロペンタジエニル基であり、
    Figure 2020511400
    は、一価の基又は多価の基であり、この基又はこれらの基もまた互いに結合して縮合環を形成することができ、
    a−は、原子価aのアニオンであり、これは反応条件下でカチオン性ケイ素(II)中心と反応せず、及び
    aは、1〜6の整数値を有する、請求項2〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 基Rが、各々独立して、水素、直鎖又は分枝の、非環式又は環状の、飽和又は一価不飽和若しくは多価不飽和のC1〜C20アルキル又はアリールである、請求項2〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. aが1の値を有する、請求項2〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. が、ハロゲン、又はBF 、ClO 、AlZ 、MF (式中、Z=ハロゲン及びM=P、As又はSb)、又はテトラアリールボレートアニオン(式中、アリール基は、フェニル又はフッ素化フェニル又はペルフルオロアルキル基によって置換されたフェニル)、カーボレートアニオン、アルコキシメタレートイオン及びアリールオキシメタレートイオンから選択される、請求項2〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. カチオン性Si(II)化合物の重量比率は、Si−H基を含むシロキサンの総質量を基準として、10−5重量%(0.1ppm)〜5重量%である、請求項2〜8のいずれか一項に記載の方法。
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