JP2020509374A - 早期膵がん検出アッセイ - Google Patents

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Abstract

本明細書には、バイオマーカーパネルTNC−FN III−C、TFPI、及びCA19−9の発現を計測することを含む、膵がん、特に早期膵がんを検出する方法が提供される。発現はマルチプレックスELISAなどのELISAによって決定し得る。更に本明細書には、膵がんを有すると同定された対象を処置する方法が提供される。

Description

本願は、2017年2月24日に出願された米国仮特許出願第62/463,348号明細書の利益を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に援用される。
本発明は、国立衛生研究所(National Institutes of Health)から付与された助成金第CA111302号に基づく連邦政府の支援を受けて行われた。連邦政府は本発明に一定の権利を有する。
1.発明の分野
本発明は、概して分子生物学及び医学分野に関する。より詳細には、本発明は、膵がんの早期検出用バイオマーカーに関する。
2.関連技術の説明
膵管腺がん(PDAC)は米国におけるがんによる死亡原因の第4位であり、ほとんどの患者は、外科的切除がもはや治療上の選択肢でなくなった時点で局所進行性疾患(約30%)又は遠隔転移(約50%)を示す(Conlon et al.,1996;Rahib et al.,2014)。早期の切除可能な段階でのPDAC診断の影響は、5年生存率を30%以上に改善すると推定され、疾患を早期に診断することができたならば、PDAC患者の死亡率が実質的に低下するであろうことが示唆される(Chu et al.,2010)。
残念ながら、早期PDACを検出するバイオマーカーは存在しない。現在のゴールドスタンダードである血液ベースのバイオマーカーCA 19−9は、この疾患の早期検出に必要な特異性に欠ける(Chu et al.,2010)。PDACバイオマーカーを同定しようと試みられているが、複数の盲検化バリデーションに耐える、且つCA19−9を改良する単一のマーカー又はマーカーの組み合わせを生み出すことはできていない。従って、新規バイオマーカーパネルが現在のPDAC早期検出用のゴールドスタンダードバイオマーカーを改良することが求められているが、未だ対処されていない。
本開示の特定の実施形態は、がんの検出用、特に膵がんの早期検出用バイオマーカーパネルに関する。第1の実施形態において、抗原TNC−FN III−C、TFPI、及びCA19−9の発現を計測するアッセイが提供され、このアッセイは、複数の抗原を抗TNC−FN III−C抗体、抗TFPI抗体、及び抗CA19−9抗体に接触させて抗原抗体複合体を形成すること;及び抗体の各々に個別的に結合する検出可能部分を使用して抗原抗体複合体を検出することであって、それにより抗原TNC−FN III−C、TFPI、及びCA19−9の発現を計測することを含む。一部の態様において、アッセイはインビトロ又はインビボアッセイである。
一部の態様において、複数の抗原は生体試料から入手される。特定の態様において、生体試料は、組織、手術標本又は生検標本、パラフィン包埋組織、凍結組織インプリント、末梢血、尿、又は穿刺吸引物である。詳細な態様において、試料は血漿試料などの血液試料である。一部の態様において、生体試料は、遺伝性がんの家族歴を有する対象など、がんのリスクがある対象から入手される。詳細な態様において、生体試料は、50歳超、例えば60、65、70、75歳、又はそれ以上の対象から入手される。一部の態様において、対象は以前にがんと診断されたことがない。特定の態様において、対象は糖尿病及び/又は慢性膵炎の検査を受けたことがない。他の態様において、対象は糖尿病及び/又は慢性膵炎の検査を受けたことがあり、それを有しないと確定されている。
特定の態様において、検出することは、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ウエスタンブロット、又は免疫組織化学を実施することとして更に定義される。一部の態様において、1、2、又は3つのELISAが実施される。詳細な態様において、ELISAはサンドイッチELISAである。具体的な態様において、サンドイッチELISAはマルチプレックスELISAであり、ここでは2又は3つの抗原が同時に検出される。一部の態様において、抗体は表面にコンジュゲートされる。特定の態様において、本方法は、抗原抗体複合体の形成後に洗浄して、抗原抗体複合体になっていない抗原を除去することを更に含む。一部の態様において、本方法は、洗浄ステップの後に3つの抗原の各々に特異的な検出抗体を加えることを更に含む。詳細な態様において、検出抗体はビオチン化される。従って、一部の態様において、検出することは、ストレプトアビジンコンジュゲートフルオロフォアを加えること、及びフルオロフォアを計測することを含む。
一部の態様において、試料は希釈されていない。他の態様において、試料は、少なくとも50倍、例えば少なくとも75倍、100倍、150倍、200倍、又はそれ以上希釈される。
一部の態様において、検出可能部分は、抗体を複数の抗原と接触させる前に抗体に結合される。一部の態様において、検出可能部分は、蛍光プローブ、放射性プローブ、又は光増感剤を含む。詳細な態様において、蛍光プローブは、インドシアニングリーン(ICG)、フルオレセインイソチオシアネート(fluoresceine isothiocyanate)(FITC)、及び/又はIRDye800を含む。一部の態様において、抗体に結合した検出可能部分は、光学イメージング、超音波、磁気共鳴画像法(MRI)、陽電子放射断層撮影法(PET)、単一光子放射型コンピュータ断層撮影法(SPECT)、又は光線療法によって検出される。一部の態様において、複数の抗原は組織に含まれる。特定の態様において、組織は腫瘍である。詳細な態様において、組織はヒト組織である。
特定の態様において、計測することは、3つの抗原の各々の発現を対照試料における発現と比較することを含む。一部の態様において、対照試料は健常対象から単離される。他の態様において、対照試料は良性疾患対象から単離される。特定の態様において、対照試料と比較したときの3つの抗原の発現増加ががん又は前駆病変の存在を示す。
一部の態様において、本方法は、画像診など、膵がん用の更なる診断アッセイを実施することを更に含む。一部の態様において、がんは早期膵がんなどの膵がんである。詳細な態様において、早期膵がんはステージI(例えばステージIA又はステージIB)又はステージII(例えばステージIIA又はステージIIB)膵がんである。一部の態様において、前駆病変は膵がん前駆病変(PanIN)である。
一部の態様において、アッセイの特異度は少なくとも0.8、例えば0.81、0.82、0.83、0.84、0.85、0.86、0.87、0.88、0.89、0.90又はそれ以上である。特定の態様において、アッセイの正確度は少なくとも0.7、例えば0.71、0.72、0.73、0.74、0.75、0.76、0.77、0.78、0.79、0.80、又はそれ以上である。詳細な態様において、アッセイのAUCは少なくとも0.90、例えば0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99又はそれ以上である。
一部の態様において、本方法は、3つの抗原の存在と組み合わせて対象の共変量を分析することを更に含む。特定の態様において、共変量は、年齢、性別、施設、喫煙、及び/又は飲酒を含む。一部の態様では、ロジスティック回帰モデルを使用して、患者症例及び健常又は良性疾患を分離するためのバイオマーカーパネル+年齢、性別、施設、喫煙及び飲酒の組み合わせが作られてもよい。
別の実施形態において、本開示は、対象の膵がんを処置する方法を更に提供し、この方法は、1つ以上の抗がん療法を対象に投与することを含み、ここで対象は、抗原TNC−FN III−C、TFPI、及びCA19−9の発現が対照におけるそれらの抗原の発現と比較したとき増加していることが同定される。一部の態様において、対照は健常対象である。
特定の態様において、抗原の発現増加は、対象から入手された試料でELISAを実施することにより決定される。詳細な態様において、抗原の発現増加は、本実施形態の方法(例えば、複数の抗原を抗TNC−FN III−C抗体、抗TFPI抗体、及び抗CA19−9抗体に接触させて抗原抗体複合体を形成すること;及び抗体の各々に個別的に結合する検出可能部分を使用して抗原抗体複合体を検出することであって、それにより抗原TNC−FN III−C、TFPI、及びCA19−9の発現を計測すること)により決定される。一部の態様において、試料は血漿試料である。詳細な態様において、膵がんは早期膵がんである。
一部の態様において、1つ以上の抗がん療法は、化学療法、放射線療法、遺伝子療法、手術、ホルモン療法、抗血管新生療法、及び/又は免疫療法である。
更に別の実施形態において、抗原TNC−FN III−C、TFPI、及びCA19−9に特異的な一組の抗体を含む膵がんの検出用キットが提供される。本キットは、プレート又はアレイ、洗浄溶液及び検出試薬など、ELISA又は他の抗体検出アッセイを実施するための試薬を更に含み得る。
更なる実施形態は、がん細胞の検出方法を提供し、この方法は、生体試料を入手すること;生体試料を抗TNC−FN III−C抗体、抗TFPI抗体、及び抗CA19−9抗体に接触させること;及び試料への抗TNC−FN III−C抗体、抗TFPI抗体、及び抗CA19−9抗体の結合を検出することを含み、ここでは対照と比較したときの3つの抗原の発現増加ががん細胞の存在を示す。一部の態様において、本方法はインビトロ又はインビボである。
特定の態様において、生体試料は、手術標本又は生検標本、組織、パラフィン包埋組織、凍結組織インプリント、末梢血、尿、又は穿刺吸引物である。詳細な態様において、試料は血漿試料などの血液試料である。一部の態様において、生体試料は、遺伝性がんの家族歴を有する対象など、がんのリスクがある対象から入手される。詳細な態様において、生体試料は50歳超の対象から入手される。一部の態様において、対象は以前にがんと診断されたことがない。特定の態様において、対象は糖尿病及び/又は慢性膵炎の検査を受けたことがない。他の態様において、対象は糖尿病及び/又は慢性膵炎の検査を受けたことがあり、それを有しないと確定されている。
特定の態様において、検出することは、ELISAを実施することとして更に定義される。一部の態様において、1、2、又は3つのELISAが実施される。詳細な態様において、ELISAはサンドイッチELISAである。具体的な態様において、サンドイッチELISAはマルチプレックスELISAであり、ここでは2又は3つの抗原が同時に検出される。一部の態様において、抗体は表面にコンジュゲートされる。特定の態様において、本方法は、抗体抗原複合体の形成後に洗浄して、抗原抗体複合体になっていない抗原を除去することを更に含む。一部の態様において、本方法は、洗浄ステップの後に3つの抗原の各々に特異的な検出抗体を加えることを更に含む。詳細な態様において、検出抗体はビオチン化される。従って、一部の態様において、検出することは、ストレプトアビジンコンジュゲートフルオロフォアを加えること、及びフルオロフォアを計測することを含む。
一部の態様において、試料は希釈されていない。他の態様において、試料は、少なくとも50倍、例えば少なくとも75倍、100倍、150倍、200倍、又はそれ以上希釈される。
特定の態様において、計測することは、3つの抗原の各々の発現を対照試料における発現と比較することを含む。一部の態様において、対照試料は健常対象から単離される。他の態様において、対照試料は良性疾患対象から単離される。一部の態様において、がんは早期膵がんなどの膵がんである。詳細な態様において、早期膵がんはステージI(例えばステージIA又はステージIB)又はステージII(例えばステージIIA又はステージIIB)膵がんである。一部の態様において、前駆病変はPanIN病変である。
一部の態様において、アッセイの特異度は少なくとも0.8、例えば0.81、0.82、0.83、0.84、0.85、0.86、0.87、0.88、0.89、0.90又はそれ以上である。特定の態様において、アッセイの正確度は少なくとも0.7、例えば0.71、0.72、0.73、0.74、0.75、0.76、0.77、0.78、0.79、0.80、又はそれ以上である。詳細な態様において、アッセイのAUCは少なくとも0.90、例えば0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99又はそれ以上である。
別の実施形態において、抗原TFPIの発現を計測する方法が提供され、この方法は、複数の抗原を抗TFPI抗体に接触させて抗原抗体複合体を形成すること;及び抗TFPI抗体に個別的に結合する検出可能部分を使用して抗原抗体複合体を検出することであって、それにより抗原TFPIの発現を計測することを含み、ここでは対照と比較したTFPIの発現増加が前がん病変の存在を示した。一部の態様において、前がん病変はPanIN病変である。特定の態様において、検出することは、ELISAを実施することとして更に定義される。特定の態様において、検出することは、免疫組織化学又はウエスタンブロット、又は抗体抗原複合体を検出するための当該技術分野において公知の任意の方法を実施することとして更に定義される。
特定の態様において、複数の抗原は生体試料から入手される。一部の態様において、生体試料は、手術標本又は生検標本、組織、パラフィン包埋組織、凍結組織インプリント、末梢血、尿、又は穿刺吸引物である。一部の態様において、血液試料は血漿試料である。特定の態様において、生体試料は、がんのリスクがある対象又は遺伝性がんの家族歴を有する者から入手される。
特定の態様において、検出可能部分は、抗体を複数の抗原と接触させる前に抗体にコンジュゲートされる。一部の態様において、検出可能部分は、蛍光プローブ、放射性プローブ、又は光増感剤を含む。特定の態様において、抗体にコンジュゲートした検出可能部分は、光学イメージング、超音波、磁気共鳴画像法(MRI)、陽電子放射断層撮影法(PET)、単一光子放射型コンピュータ断層撮影法(SPECT)、又は光線療法によって検出される。
一部の態様において、本方法は、3つの抗原の存在と組み合わせて対象の共変量を分析することを更に含む。特定の態様において、共変量は、年齢、性別、施設、喫煙、及び/又は飲酒を含む。
以下の詳細な説明から、本発明の他の目的、特徴及び利点が明らかになるであろう。しかしながら、詳細な説明及び具体的な例は本発明の好ましい実施形態を示唆しているものの、当業者には、この詳細な説明から本発明の趣旨及び範囲内にある様々な変更及び修正が明らかになるであろうため、例示として提供されるに過ぎないことが理解されなければならない。
以下の図面は本明細書の一部をなし、本発明の特定の態様を更に実証するために含められる。本発明は、本明細書に提供される具体的な実施形態の詳細な説明と併せてこれらの図面のうちの1つ以上を参照することにより更に良く理解することができる。
TexGenコホート1におけるバイオマーカーパネル性能。TexGenコホートのステージI/IIA[1A]、ステージIIB[1B]、全ステージII[1C]及び全早期がん[1D]と健常対照との識別におけるバイオマーカーパネルの受診者動作特性(ROC)曲線。AUCを計算し、ブートストラップ法を用いてその95%信頼区間(CI)を推定した。P値は両側としたとともに、ブートストラッピングに基づく。
EDRNリファレンスセットコホート3におけるバイオマーカーパネル性能。[2A]ステージIA/IB/IIAと健常対照との識別におけるバイオマーカーパネルのROC曲線。[2B]糖尿病及び膵炎の病歴のないコホートでのステージIA/IB/IIAと健常対照との識別におけるバイオマーカーパネルのROC曲線。[2C]ステージIIBと健常対照との識別におけるバイオマーカーパネルのROC曲線。[2D]糖尿病及び慢性膵炎の病歴のない試料でのステージIIBと健常対照との識別におけるバイオマーカーパネルのROC曲線。AUCを計算し、ブートストラップ法を用いてその95%CIを推定した。P値は両側とし、ブートストラップ標準誤差推定を用いたZ検定に基づく。略称:AUC、曲線下面積。
EDRNリファレンスセットコホート3におけるバイオマーカーパネル性能。[3A]EDRNリファレンスセットでの全早期がんと健常対照との識別用バイオマーカーパネルモデルのROC曲線。[3B]糖尿病及び慢性膵炎の病歴のない試料での全がんと健常対照の識別におけるバイオマーカーパネルのROC曲線。AUCを計算し、ブートストラップ法を用いてその95%CIを推定した。P値は両側とし、ブートストラップ標準誤差推定を用いたZ検定に基づく。
対照マウス及びPanINを代表するKCマウスからの血清におけるTFPI ELISA分析。
例示的実施形態の説明
90%を超える膵臓腺がん(PDAC)患者はその疾患が原因で死亡し、そのため早期疾患の検出が決定的に重要となる。切除可能なステージで検出されると、PDAC5年生存率は大規模施設において30%にも上り、2cm未満のリンパ節転移陰性腫瘍で30〜60%及び約10mm未満の極めて小さい腫瘍で60%と推定されている(Ryan et al.,2014;Mayo et al.,2012;Ishikawa et al.,1999;Tsuchiyya et al.,1986)。現在のゴールドスタンダードである血液ベースのバイオマーカーCA19−9は、早期検出に必要な適中度に欠ける。一部の研究では、CA19−9性能を改善し得るマーカーが同定されているが、それらの研究は末期膵がんに限られるか、又はバイオマーカーが早期膵がんにおける複数の盲検化バリデーション試験を用いて検証されていない。更に、現在のバイオマーカーは、感度及び特異度が一般集団スクリーニングに十分な高さであることが示されていない。一般にアッセイは、DNA、マイクロRNA、又は多重プロテオミクス手法を多数のマーカーと共に用いるが、その臨床移行は困難で、時間及び費用がかかる。
本開示の特定の実施形態は、膵がん、特に早期膵がん並びにPanIN病変などの前がん病変の検出用バイオマーカーパネルを提供する。提供されるバイオマーカーパネルは複数の盲検化バリデーションで検証されたもので、特に本研究で使用した十分にアノテートされた大規模な早期試料コホートにおいてCA19−9の性能及び正確度を大幅に改善した。加えて、本開示のバイオマーカーパネルは、使い易く、迅速な結果を提供し、且つ単一の血液試料しか必要としない1つ以上のサンドイッチELISAアッセイ(例えば、3つ全てのバイオマーカーをスクリーニングするためのマルチプレックスELISA)など、臨床で使用し得る。興味深いことに、本バイオマーカーパネルは糖尿病及び慢性膵炎状態と無関係であることが示されたため、一般集団スクリーニングに使用し得る。
具体的には、本研究では、最適化されたアイソフォームTNC−FN III−Cが膵がんの新規バイオマーカーとして同定された。TNC−FN III−C及びTFPIはCA19−9の性能を改善することが分かった。これらの3つのバイオマーカーのパネルについて、早期膵がんの大規模試料コホートを使用した2つの盲検化バリデーションで妥当性が確認されたとともに、CA19−9の性能を一貫して増加させることが示された。従って、このパネルは、早期PDACを検出するCA 19−9の予測力に統計的有意性を加え、従って外科的に切除可能なPDACの早期検出用アッセイとして臨床的有用性を有する。
従って、本明細書に提供される一つの方法は、健常又は良性疾患対照と比較したときのバイオマーカーパネルTNC−FN III−C、TFPI、及びCA19−9のレベルの変化を検出することにより、早期膵がんを含めた膵がんの存在を決定することを含む。バイオマーカーは、ELISA、ウエスタンブロット、免疫組織化学、又は他の抗体ベースの検出方法によって計測し得る。本方法は、フルオロフォア又はラジオアイソトープなど、光学イメージング又は超音波によって検出し得る造影剤に結合した抗体を含み得る。バイオマーカーパネルの発現レベルが変化していると同定された対象は、膵がんに関して処置され得るか、又は早期膵がん検出のための画像診及び更なる臨床検査に回され得る。
加えて、本研究では、TFPIをPanIN病変などの前がん病変のバイオマーカーとして使用し得ることが見出された。従って、更なる実施形態は、PanIN病変の検出のためなどの、試料又は組織中のTFPIを計測する方法を提供する。
I.定義
本明細書で使用されるとき、指定の構成成分に関して「本質的に含まない」とは、本明細書では、指定の構成成分が一切組成物中に意図的に配合されていない、及び/又は混入物として若しくはごく微量に存在するに過ぎないことを意味して使用される。従って、組成物の任意の意図されない混入によって生じる指定の構成成分の総量は0.05%をはるかに下回り、好ましくは0.01%を下回る。最も好ましいのは、指定の構成成分が標準的分析方法で検出できない量である組成物である。
ここで明細書において使用されるとき、「a」又は「an」は1つ以上を意味し得る。ここで特許請求の範囲において使用されるとき、語句「〜を含む(comprising)」と共に使用される場合には、語句「a」又は「an」は1つ又は1つより多いことを意味し得る。
特許請求の範囲における用語「又は」の使用は、いずれか一方のみの選択を指すこと又はそれらの選択肢が相互排他的であることが明示的に指示されない限り、「及び/又は」を意味して使用され、しかしながら本開示は、いずれか一方のみの選択及び「及び/又は」を指すという定義を支持する。本明細書で使用されるとき「別の」は、少なくとも第2又はそれ以上を意味し得る。
本願全体を通じて、用語「約」は、ある値が、その値の決定に用いられる装置、方法に固有の誤差の変動、又は試験対象間に存在する変動を含むことを指して使用される。
本明細書で使用されるとき、用語「対象」はヒト又は非ヒト哺乳類又は動物を指す。非ヒト哺乳類には、家畜動物、伴侶動物、実験動物、及び非ヒト霊長類が含まれる。非ヒト対象にはまた、具体的には、限定なしに、ニワトリ、ウマ、雌ウシ、ブタ、ヤギ、イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、ミンク、及びウサギも含まれる。一部の実施形態において、対象は患者である。本明細書で使用されるとき、「患者」は、医師又は他の医療従事者に相談したことのある、それから助言を受けたことのある、又は処方若しくは他の勧めを受けたことのある者を含め、医師又は他の医療従事者の管理下にある対象を指す。
用語「処置」又は「処置すること」には、病態(例えば膵がん)の予防、改善、防止又は治癒が含まれることが意図される。病態(例えば膵がん)が始まった後の処置は、病態、及び/又はその関連症状を低減し、改善し又は完全に消失させること、又はその悪化を防止することを目標とする。病態が始まる前の対象の処置は、病態が発生するリスクを低減し、及び/又は病態が実に発生した場合にその重症度を下げることを目標とする。本明細書で使用されるとき、用語「防止する」は、病態の発生リスクがある対象が障害を発生する確率の低下をもたらす対象の予防的処置、及び既に確立している障害の更なる発生の抑制を指す。
「抗がん」剤は、例えば、がん細胞の死滅の促進、がん細胞におけるアポトーシスの誘導、がん細胞の成長速度の低減、転移発生率又は転移数の低減、腫瘍サイズの低減、腫瘍成長の阻害、腫瘍又はがん細胞への血液供給の低減、がん細胞又は腫瘍に対する免疫応答の促進、がんの進行の防止又は阻害、又はがんを有する対象の寿命の増加によって対象のがん細胞/腫瘍に負の影響を及ぼす能力を有する。
用語「治療利益」又は「治療上有効である」は、本願全体を通じて使用されるとき、その病態の医学的処置に関して対象のウェルビーイングを促進する又は亢進させるものであれば何でも指す。これには、限定はされないが、疾患の徴候又は症状の頻度又は重症度の低減が含まれる。例えば、がんの処置には、例えば、腫瘍サイズの低減、腫瘍の侵襲性の低減、がんの成長速度の低減、又は転移の防止が関わり得る。がんの処置はまた、がんを有する対象の生存を延ばすことも指し得る。
用語「抗体」は本明細書では最も広義に使用され、具体的には、モノクローナル抗体(完全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及びそれが所望の生物学的活性を呈する限りにおいて抗体断片を包含する。
用語「発現レベルを決定する」は、本明細書で使用されるとき、1つ又は複数の遺伝子の量、例えばmRNAの量を定量的、半定量的又は定性的に確定又は計測するための、試料、例えば対象の試料及び/又は対照試料に対するプローブ、プライマー又は抗体などの遺伝子特異的試薬及び/又は方法の適用を意味する。例えば、遺伝子レベルは、例えば、免疫組織化学、ELISA、ウエスタンブロット、免疫沈降などを含むイムノアッセイ(ここでは、抗体、例えば標識された抗体などのバイオマーカー検出剤がバイオマーカーに特異的に結合し、例えばポリペプチドバイオマーカーの量の相対的又は絶対的確定を可能にする)、ハイブリダイゼーション及びPCRプロトコル(ここでは、例えば、マイクロアレイ解析、定量的RT−PCRなどのRT−PCR、遺伝子発現連鎖解析(SAGE)、ノーザンブロット、デジタル分子バーコード技術、例えばNanostring:nCounter(商標)解析、及びTaqMan定量的PCRアッセイを含めたプローブベース及び増幅ベースの方法を例えば含め、プローブ又はプライマー又はプライマーセットを使用して核酸バイオマーカーの量が確定される)を例えば含め、幾つもの方法によって決定することができる。ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織試料又は細胞におけるmRNAインサイチュハイブリダイゼーションなど、他のmRNA検出及び定量化方法を適用することもできる。この技術は、現在、QuantiGene(登録商標)ViewRNA(Affymetrix)によって提供されており、これは増幅システムに特異的に結合してハイブリダイゼーションシグナルを増幅する各mRNAに対するプローブセットを使用する;この増幅されたシグナルは、標準的な蛍光顕微鏡又はイメージングシステムを使用して視覚化することができる。このシステムは、例えば、不均一試料;例えば、試料に同じ組織切片に存在する正常及び腫瘍細胞がある場合の転写物レベルを検出及び計測することができる。記載されるとおり、TaqManプローブベースの遺伝子発現解析(PCRベース)もまた、組織試料中の遺伝子発現レベルの計測、例えばFFPE試料中のmRNAレベルの計測に用いることができる。端的には、TaqManプローブベースのアッセイは、mRNA標的に特異的にハイブリダイズするプローブを利用する。このプローブは、各末端に付加されたクエンチャー色素及びレポーター色素(蛍光分子)を含有し、mRNA標的への特異的ハイブリダイゼーションが起こった場合にのみ蛍光を発する。増幅工程中、ポリメラーゼ酵素のエキソヌクレアーゼ活性によってプローブからの消光剤及びレポーター色素の脱離が生じ、蛍光発光が起こり得る。検出システムによってこの蛍光発光が記録され、シグナルが計測される;これらのシグナル強度を用いて試料中の所与の転写物(遺伝子発現)の存在量が計算される。
本明細書で使用されるとおりの用語「試料」には、患者から入手された任意の生物学的標本が含まれる。試料としては、限定なしに、全血、血漿、血清、赤血球、白血球(例えば、末梢血単核球)、管洗浄液、乳頭吸引物、リンパ液(例えば、リンパ節の播種性腫瘍細胞)、骨髄穿刺液、唾液、尿、排泄物(即ち糞便)、喀痰、気管支洗浄液、涙、穿刺吸引物(例えば、腫瘍などの標的を対象とする細針吸引によって採取されるか、又は乳輪周囲など、正常細胞のランダムな試料採取である)、任意の他の体液、組織(例えば、腫瘍組織)、例えば腫瘍の生検(例えば、針生検)又はリンパ節の生検(例えば、センチネルリンパ節生検)、及びその細胞抽出物が挙げられる。一部の実施形態において、試料は全血又はその分画成分、例えば、血漿、血清、又は細胞ペレットである。
用語「増加した」、「上昇した」、「過剰発現する」、「過剰発現」、「過剰発現した」、「上方制御する」、又は「上方制御される」は、同義的に、がんを有する患者からの生体試料中、例えば血漿中に、がんを有しない患者からの生体試料と比較して検出可能な程度に高いレベルで存在するバイオマーカーを指す。この用語には、がんを有しない患者からの試料と比較したときの、がんを有する患者からの試料における転写、転写後プロセシング、翻訳、翻訳後プロセシング、細胞局在(例えば、細胞小器官、細胞質、核、細胞表面)、並びにRNA及びタンパク質安定性に起因した過剰発現が含まれる。過剰発現は、mRNA(即ち、RT−PCR、PCR、ハイブリダイゼーション)又はタンパク質(即ち、ELISA、免疫組織化学的技法、質量分析、Luminex(登録商標)xMAP技術)を検出するための従来技術を用いて検出することができる。過剰発現は、がんを有しない患者からの試料と比較して10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又はそれ以上であり得る。特定の例では、過剰発現は、がんを有しない患者からの試料と比較して1倍、2倍、3倍、4倍、5、6、7、8、9、10、又は15倍又はそれ以上高い転写又は翻訳レベルである。
「標識」、「造影剤」又は「検出可能部分」は、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、化学的、又は他の物理的手段によって検出可能な組成物である。例えば、有用な標識としては、32P、蛍光色素、高電子密度試薬、酵素(例えば、ELISAで一般的に使用されるとおりのもの)、ビオチン、ジゴキシゲニン、又は例えばペプチドへの放射標識の取り込みによって検出可能にすることができる、若しくはペプチドとの特異的反応性を示す抗体の検出に使用されるハプテン及びタンパク質が挙げられる。
本明細書で使用されるとき、用語「バイオマーカー」は、同定又は定量化しようとする組織試料又は細胞からの任意の生物学的特徴を指す。バイオマーカーは、開始、進行、重症度、病理、攻撃性、悪性度、活性、無能力、死亡率、罹患率、疾患細分類又はその他の、1つ以上の生物学的過程、発病過程、疾患、若しくは治療介入への反応の根底にある特徴の計測に有用又は潜在的に有用であり得る。バイオマーカーは、事実上、タンパク質及びその断片、ペプチド、ポリペプチド、プロテオグリカン、糖タンパク質、リポタンパク質、糖質、脂質、核酸、有機又は無機化学物質、天然高分子、及び小分子など、分析しようとする試料中に存在する、且つ試料から単離し、又は試料において計測することのできる任意の生物学的化合物である。
本明細書で使用されるとき、用語「検出すること」は、試料中におけるバイオマーカーの存在を指示する標識部分からのシグナルを観察することを指す。検出には、特定の検出可能部分を検出するための当該技術分野において公知の任意の方法を用いることができる。例示的検出方法としては、限定はされないが、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、電気的、光学的又は化学的方法が挙げられる。
II.膵がん検出
A.生体試料
本開示の特定の実施形態は、試料中のある種の抗原又はバイオマーカー(例えば、TNC−FN IIIC、TFPI、及び/又はCA19−9)の発現の検出及び定量化に関する。本明細書で使用されるとき、用語「生体試料」は、全生物又はその組織、細胞若しくは構成成分の部分集合を指し得る。「生体試料」はまた、全生物又はその組織、細胞若しくは構成成分の部分集合、又はその画分若しくは一部分から調製されたホモジネート、ライセート、又は抽出物も指し得る。典型的には、生体試料はアッセイの実施前に希釈される。生体試料の非限定的な例としては、尿、血液、脳脊髄液(CSF)、胸水、喀痰、及び腹水、膀胱洗浄液、分泌物、口腔洗浄液、組織試料、タッチプレップ、又は穿刺吸引物が挙げられる。試料は、限定はされないが、血液、組織生検、髄液、髄膜液、尿、肺胞液を含む体液及び組織試料を含み得る。一部の実施形態において、生体試料は、細胞株、細胞培養物又は細胞懸濁液であってもよい。好ましくは、生体試料は、その試料の由来となった親細胞に存在するDNA及び/又は発現産物の量及びタイプに対応する。生体試料は、ヒト又は非ヒト対象からのものであってもよい。詳細な実施形態において、試料は血漿試料である。アッセイはまた、手術中など、インビボ組織にも適用され得る。
B.バイオマーカー
本開示は、膵がんの検出用バイオマーカーパネルを提供する。本パネルは、バイオマーカーTNC−FN III−C、TFPI、及びCA19−9を含む。TNC−FN III−C及びTFPIは両方とも、2マーカーパネルとして(例えば、TNC−FN III−C/CA19−9又はTFPI/CA19−9)、及び3マーカーパネルとして(例えば、TNC−FN III−C/TFPI/CA19−9)、膵がんの検出におけるCA19−9の性能を高める。本バイオマーカーパネルは、CA19−9ゴールドスタンダードアッセイによる膵がん検出のAUC、特異度、並びに感度及び正確度を改善する。TNC−FN III−Cを加えることによってアッセイの特異度が高まることにより、本パネルは、患者をCTスキャン、MRI又は超音波などの更なる画像検査に送ることができるような程度まで偽陽性症例数を削減する。
1.CA19−9
CA19−9は、ルイス血液型タンパク質に関係する腫瘍関連ムチン糖タンパク質抗原である。高CA 19−9は、最も一般的には膵がんに関連するが、結腸直腸がん、肺がん、及び胆嚢がんなどの他のがんもまたレベルの上昇を引き起こし得る。高CA 19−9レベルはまた、胆石、胆管閉塞(黄疸)、膵炎、嚢胞性線維症、及び肝疾患など、非がん性病態によっても引き起こされ得る。
理想的な腫瘍マーカーは、偽陽性診断を避けるため、所与の腫瘍型に特異的で、且つ感度が極めて高いものでなければならない。しかしながら、CA 19−9は、その不十分な感度、ルイス血液型陰性(Lea−b−)集団における偽陰性結果、及び閉塞性黄疸によって引き起こされる高い偽陽性結果(10〜60%)に起因して、こうした基準を満たさないように見える(Wu et al.,2013)。
2.TNC−FN III−C
テネイシンCは、4つのドメインで構成される細胞外マトリックス糖タンパク質である。1つのサブユニットはN端側末端にTAドメイン、次に上皮成長因子様配列ドメイン(EGF様ドメイン)、フィブロネクチンIII型(FN III)繰り返しドメイン、及びC端側末端にフィブリノゲン様ドメインを有する。FN IIIドメインには選択的スプライシングを受けるドメインがあり、それがテネイシンCの幾つかの変異体タイプを生じさせる。組織においては、これらのサブユニットはN端側コイル状ドメインでねじれることにより三量体を形成し、ジスルフィド結合によって六量体を形成する。正常組織にはテネイシンCの低分子量変異体が存在するが、本開示は、膵がんで発現するテネイシンCの高分子変異体、TNC−FN III−Cを同定した。従って、このアイソフォームを膵がんのバイオマーカーと同定したのは本研究が初めてである。
3.TFPI
組織因子経路インヒビター(TFPI)は、クニッツ型セリンプロテアーゼインヒビターとして働く抗凝固タンパク質である。TFPIは、第Xa因子を可逆的に阻害することのできる単鎖ポリペプチドである。Xaが阻害される一方、続いてXa−TFPI複合体もまたFVIIa−組織因子複合体を阻害することができる。血管における不適切な血栓形成は、とりわけ心筋梗塞、脳卒中、及び肺塞栓症など、心血管疾患を引き起こし得るため、FPIはTF誘導性血栓形成の調節において重要と考えられている。TFPIは、単独で、又は組み合わせで、PanINなどの前がん病変の検出用バイオマーカーとして使用することができる。
C.検出方法
バイオマーカーパネルの発現レベルは、ELISA、ウエスタンブロッティング、質量分析、キャピラリー免疫検出法、等電点電気泳動、免疫沈降法又は免疫組織化学によって計測されてもよい。他の方法としては、検出のが挙げられ、抗体ベースの光学イメージング、超音波イメージング、MRIイメージング、PETイメージング、及び光線療法が挙げられる。詳細な実施形態において、本方法は、TNC−FN IIIC、TFPI、及びCA19−9などの1つ以上のバイオマーカーの発現を検出するため1つ以上のELISAアッセイを実施することに関する。
酵素結合免疫吸着アッセイ、即ちELISAは、複数のバイオマーカーの差次的発現の計測に用いられ得る。ELISAアッセイには多くの変形例がある。ELISA検査は、分析物の直接検出、間接的検出、競合検出、又はサンドイッチ検出にフォーマット化され得る。全て、固体表面、概してマイクロタイタープレートへの抗原又は抗体の固定化を基礎とする。当初のELISA法は、目的のバイオマーカータンパク質を含有する試料の調製、試料によるマイクロタイタープレートのウェルのコーティング、特異的抗原を認識する一次抗体との各ウェルのインキュベーション、未結合抗体の洗浄除去、次に抗体抗原複合体の検出を含む。抗体−抗体複合体(antibody−antibody complexes)は直接検出されてもよい。一次抗体が、検出可能な産物を生じる酵素などの検出系にコンジュゲートされる。抗体−抗体複合体(antibody−antibody complexes)は間接的に検出されてもよい。例えば、一次抗体は、上述のとおり検出系にコンジュゲートされている二次抗体によって検出される。次にマイクロタイタープレートがスキャンされ、強度のローデータが当該技術分野において公知の手段を用いて発現値に変換され得る。シングルプローブ及びマルチプローブキットが、供給業者、例えばMeso Scale Discovery(MSD)から入手可能である。
一つのELISA法では、目的のバイオマーカーに特異的に結合する抗体などの第1の結合剤、又は捕捉結合剤を好適な固相基材又は担体上に固定化する。次に検査生体試料を捕捉抗体と接触させて、所望の時間にわたってインキュベートする。洗浄により未結合の材料を除去した後、次にバイオマーカー上の別の重複しないエピトープに結合する第2の抗体、検出抗体を使用して捕捉抗体へのポリペプチドバイオマーカーの結合を検出する。検出抗体は、好ましくは検出可能部分に直接、或いは間接的にコンジュゲートされる。かかる方法に利用し得る検出可能部分の例としては、限定はされないが、化学発光剤及び発光剤;フルオレセイン、ローダミン及びエオシンなどのフルオロフォア;ラジオアイソトープ;比色剤;及びビオチンなどの酵素−基質標識が挙げられる。
別の実施形態において、ELISAは競合的結合アッセイであり、ここでは標識された検出抗体の代わりに標識されたバイオマーカーが使用され、その標識されたバイオマーカーと検査試料中に存在する任意の非標識バイオマーカーとが捕捉抗体への結合に関して競合する。捕捉抗体に結合するバイオマーカーの量は、検出された標識バイオマーカーの割合に基づき決定することができる。
特定の実施形態において、バイオマーカー又はバイオマーカーに結合した抗体は、検出可能部分で直接又は間接的に標識される。検出可能薬剤の役割は、タンパク質マーカー(又はその断片)への結合剤の結合によって形成される複合体の視覚化を可能にすることにより診断方法の検出工程を促進することである。検出可能薬剤は、計測することのできるシグナルであって、且つその強度が分析下の試料中に存在するタンパク質マーカーの量に関係する(好ましくは比例する)シグナルがそれによって生成されるように選択することができる。ポリペプチド及び抗体などの生体分子の標識方法は当該技術分野において周知である。本開示の実施では、多種多様な検出可能薬剤のいずれを使用することもできる。好適な検出可能薬剤としては、限定はされないが、様々なリガンド、放射性核種、蛍光色素、化学発光剤、マイクロパーティクル(例えば、量子ドット、ナノ結晶、蛍光体など)、光増感剤、酵素(ELISAで用いられるもの、即ち、セイヨウワサビペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼなど)、比色標識、磁気標識、及びビオチン、ジゴキシゲニン又はその他の、抗血清又はモノクローナル抗体を利用可能なハプテン及びタンパク質が挙げられる。
抗体は、様々な罹患器官、組織又は細胞型のイメージング及び診断に利用される造影剤に付加されてもよい。抗体は、造影剤として用いられるフルオロフォア又は放射性トレーサーで標識されるか、又はそれとコンジュゲートされてもよい。多くの適切な造影剤が、金属キレート錯体、ラジオアイソトープ、蛍光マーカー、又はその存在を比色マーカーを使用して検出することのできる酵素(限定はされないが、ウレアーゼ、アルカリホスファターゼ、(セイヨウワサビ)過酸化水素酵素及びグルコース酸化酵素など)を使用したタンパク質又はペプチドへのその付加方法と同様に、当該技術分野において公知である。一部の実施形態において、イメージング用コンジュゲートはまた、核手法によるイメージングを組み合わせるためラジオアイソトープで二重標識され、ユニークな環状構造にされ、結合親和性及び薬物動態に関して最適化されることにもなる。かかる薬剤は、限定はされないが、経口投与、吸入、皮下(sub−q)、静脈内(I.V.)、腹腔内(I.P.)、筋肉内(I.M.)、又は髄腔内注射を含めた当業者に公知の、又は以下に更に詳細に記載するとおりのあらゆる方法によって投与することができる。
一部の態様において、造影剤はフルオロフォアなどの発色団である。本開示での使用に好適な例示的フルオロフォアとしては、ローダミン、ロドール、フルオレセイン、チオフルオレセイン、アミノフルオレセイン(aminofiuorescein)、カルボキシフルオレセイン(carboxyfiuorescein)、クロロフルオレセイン、メチルフルオレセイン、スルホフルオレセイン(sulfofiuorescein)、アミノロドール、カルボキシロドール、クロロロドール、メチルロドール、スルホロドール;アミノローダミン、カルボキシローダミン、クロロローダミン、メチルローダミン、スルホローダミン、及びチオローダミン;シアニン、インドカルボシアニン、オキサカルボシアニン、チアカルボシアニン、メロシアニン、シアニン2、シアニン3、シアニン3.5、シアニン5、シアニン5.5、シアニン7、オキサジアゾール誘導体、ピリジルオキサゾール、ニトロベンズオキサジアゾール、ベンズオキサジアゾール、ピレン(pyren)誘導体、カスケードブルー、オキサジン誘導体、ナイルレッド、ナイルブルー、クレシルバイオレット、オキサジン170、アクリジン誘導体、プロフラビン、アクリジンオレンジ、アクリジンイエロー、アリールメチン誘導体、オーラミン、クリスタルバイオレット、マラカイトグリーン、テトラピロール誘導体、ポルフィン、フタロシアニン及びビリルビン;l−ジメチルアミノナフチル−5−スルホネート、l−アニリノ−8−ナフタレンスルホネート、2−p−トルイジニル(touidinyl)−6−ナフタレンスルホネート、3−フェニル−7−イソシアナトクマリン、N−(p−(2−ベンズオキサゾリル)フェニル)マレイミド、スチルベン類、ピレン類、6−FAM(フルオレセイン)、6−FAM(NHSエステル)、フルオレセインdT、HEX、JOE(NHSエステル)、MAX、TET、ROX、TAMRA、TARMA(商標)(NHSエステル)、TEX 615、ATTO(商標)488、ATTO(商標)532、ATTO(商標)550、ATTO(商標)565、ATTO(商標)RholOl、ATTO(商標)590、ATTO(商標)633、ATTO(商標)647N、TYE(商標)563、TYE(商標)665、及びTYE(商標)705が挙げられる。詳細な態様において、発色団はTAMRAである。
検出可能部分としては、限定はされないが、フルオロデオキシグルコース(FDG);2’−フルオロ−2’デオキシ−1β−D−アラビノフラノシル(arabionofuranosyl)−5−エチル−ウラシル(FEAU);5−[123I]−2’−フルオロ−5−ヨード−1β−D−アラビノフラノシル−ウラシル;5−[124I]−2’−フルオロ−5−ヨード−1β−D−アラビノフラノシル−ウラシル;5−[131I]−2’−フルオロ−5−ヨード−1β−D−アラビノフラノシル−ウラシル、5−[18F]−2’−フルオロ−5−フルオロ−1−β−D−アラビノフラノシル−ウラシル;2−[11I]−及び5−([11C]−メチル)−2’−フルオロ−5−メチル−1−β−D−アラビノフラノシル−ウラシル;2−[11C]−2’−フルオロ−5−エチル−1−β−D−アラビノフラノシル−ウラシル;5−([11C]−エチル)−2’−フルオロ−5−エチル−1−β−D−アラビノフラノシル−ウラシル;5−(2−[18F]−エチル)−2’−フルオロ−5−(2−フルオロ−エチル)−1−β−D−アラビノフラノシル−ウラシル、5−[123I]−2’−フルオロ−5−ヨードビニル−1−β−D−アラビノフラノシル−ウラシル;5−[124I]−2’−フルオロ−5−ヨードビニル−1−β−D−アラビノフラノシル−ウラシル;5−[131I]−2’−フルオロ−5−ヨードビニル−1−β−D−アラビノフラノシル−ウラシル;5−[123I]−2’−フルオロ−5−ヨード−1−β−D−リボフラノシル−ウラシル;5−[124I]−2’−フルオロ−5−ヨード−1−β−D−リボフラノシル−ウラシル;5−[131I]−2’−フルオロ−5−ヨード−1−β−D−リボフラノシル−ウラシル;5−[123I]−2’−フルオロ−5−ヨードビニル−1−β−D−リボフラノシル−ウラシル;5−[124I]−2’−フルオロ−5−ヨードビニル−1−β−D−リボフラノシル−ウラシル;5−[131I]−2’−フルオロ−5−ヨードビニル−1−β−D−リボフラノシル−ウラシル;又は9−4−[18F]フルオロ−3−(ヒドロキシメチル)ブチル]グアニンを挙げることができる。
一部の態様において、造影剤は放射性核種である。好適な放射性核種標識は、Tc、In、Ga、Cu、F、Lu、Y、Bi、Ac、及び他の放射性核種アイソトープである。特に、放射性核種は、とりわけ、111In、99mTc、94mTc、67Ga、66Ga、68Ga、52Fe、69Er、72As、97Ru、203Pb、62Cu、64Cu、67Cu、186Re、188Re、86Y、90Y、51Cr、52mMn、157Gd、177Lu、161Tb、169Yb、175Yb、105Rh、166Dy、166Ho、153Sm、149Pm、151Pm、172Tm、121Sn、177mSn、213Bi、142Pr、143Pr、198Au、199Au、18F、123I、124I、131I、75Br、76Br、77Br、及び82Brを含む群から選択される。これらの放射性核種はカチオン性であり、コンジュゲートのキレート基によってキレーターと錯体化して標識組成物を形成することができる。
検出可能標識又はシグナル生成材料を検出する方法、及び/又はその定量化方法は、標識の性質に依存する。適切な酵素によって触媒される反応の産物は、限定なしに、蛍光性、発光性、若しくは放射性であってもよく、又はそれは可視光若しくは紫外光を吸収し得る。かかる検出可能標識の検出に好適な検出器の例としては、限定なしに、X線フィルム、放射能カウンター、シンチレーションカウンター、分光光度計、比色計、蛍光光度計、ルミノメーター、及びデンシトメーターが挙げられる。検出方法のいずれも、反応の任意の好適な調製、処理、及び分析を可能にする任意のフォーマットで実施することができる。これは、例えば、マルチウェルアッセイプレート(例えば、96ウェル又は386ウェル)であっても、又は任意の好適なアレイ若しくはマイクロアレイを用いてもよい。様々な薬剤のストック溶液は、手作業で、又はロボットで作成することができ、続くピペッティング、希釈、混合、分配、洗浄、インキュベーション、試料読み取り、データ収集及び分析は全て、検出可能標識の検出能を有する市販の分析ソフトウェア、ロボティクス、及び検出計器を使用してロボットで行うことができる。イメージングは、光学イメージング、超音波、PET、SPECT、MRI、又は光線療法によってもよい。
一部の態様において、1つ以上のアッセイはサンドイッチELISAアッセイであってもよい。3つのバイオマーカーが、各バイオマーカー用の3つの別個のプレート若しくはスライド上又は各バイオマーカー用の別個のウェルを備えた1つのプレート若しくはスライド上などで、3つの別個のELISAアッセイにより検出されてもよい。
特定の実施形態において、抗原特異的抗体は、担体又は支持体(例えば、ビーズ、磁性粒子、ラテックス粒子、マイクロタイタープレートウェル、キュベット、又は他の反応槽)に固定化されてもよい。好適な担体又は支持体材料の例としては、アガロース、セルロース、ニトロセルロース、デキストラン、Sephadex(登録商標)、Sepharose(登録商標)、リポソーム、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリルアミド類、ポリスチレン、斑糲岩、ろ紙、磁鉄鉱、イオン交換樹脂、プラスチックフィルム、プラスチックチューブ、ガラス、ポリアミン−メチルビニル−エーテル−マレイン酸共重合体、アミノ酸共重合体、エチレン−マレイン酸共重合体、ナイロン、絹などが挙げられる。結合剤は、第1の結合剤に特異的な第2の結合剤を使用して間接的に固定化されてもよい(例えば、担体又は支持体上にコーティングされたヒツジ抗マウスIgG Fc断片特異抗体を用いてタンパク質マーカーに特異的なマウス抗体が固定化されてもよい)。
他の態様において、3つのバイオマーカーは、バイオマーカーのうちの2つ又は3つを同時に検出するマルチプレックスELISAにより検出されてもよい。例えば、マルチプレックスELISAは、サブアレイに捕捉抗体がスポッティングされた抗体アレイを含んでもよく、そこで試料がインキュベートされ、非特異的タンパク質が洗い流され、このアレイが、ビオチン化検出抗体のカクテル、続いてストレプトアビジンコンジュゲートフルオロフォアと共にインキュベートされ、それが蛍光レーザースキャナによって視覚化される(例えば、QuantibodyマルチプレックスELISAアレイ、RayBiotech)。
検査試料中の幾つかの異なるバイオマーカーの存在は、マルチプレックスELISAなどのマルチプレックスアッセイを用いて同時に検出することができる。マルチプレックスアッセイは、ハイスループットである、必要な試料が少量である、及び広いダイナミックレンジの濃度にわたって異なるタンパク質を検出可能であるという利点を提供する。特定の実施形態において、かかる方法はアレイを利用し、ここでは複数のバイオマーカーに特異的な複数の結合剤(例えば、捕捉抗体)がメンブレンなどの基材上に固定化され、各捕捉抗体が基材上の特定の予め決められた位置に配置される。かかるアレイを利用したアッセイの実施方法としては、例えば、米国特許出願公開第2010/0093557A1号明細書及び同第2010/0190656A1号明細書(これらの開示は本明細書によって参照により具体的に援用される)に記載されるものが挙げられる。
例えば、フローサイトメトリー、化学発光又は電子化学発光(electron−chemiluminesence)技術の利用に基づく幾つかの異なるフォーマットのマルチプレックスアレイが当該技術分野において周知である。ビーズベースのマルチプレックスアレイとしても知られるフローサイトメトリーマルチプレックスアレイとしては、BD Biosciences(Bedford,Mass.)からのサイトメトリービーズアレイ(CBA)システム及びLuminex Corp.(Austin,Tex.)からのマルチアナライトプロファイリング(xMAP(登録商標))技術が挙げられ、これらは両方とも、フローサイトメトリーによって識別可能なビーズセットを利用する。各ビーズセットは特異的捕捉抗体でコーティングされる。ビーズセット上に形成された特異的捕捉抗体−バイオマーカー複合体に、蛍光標識又はストレプトアビジン標識された検出抗体が結合する。ビーズセットの差によって複数のバイオマーカーを認識し、計測することができ、発色又は蛍光発生がフローサイトメトリー分析を用いて検出される。
別のフォーマットにおいて、Quansys Biosciences(Logan,UT)からのマルチプレックスELISAでは、96ウェルマイクロタイタープレートの同じウェル内の複数のスポットに複数の特異的捕捉抗体(1つのスポットに1つの抗体)がコーティングされる。次に、プレート上の対応するスポットにある複数のバイオマーカーが化学発光技術を用いて検出される。
抗体マイクロアレイもまた、複数のバイオマーカーの差次的発現の計測に使用し得る。このため、複数の抗体がアレイ化され、マイクロアレイ又はバイオチップの表面に共有結合的に取り付けられる。目的のバイオマーカータンパク質を含有するタンパク質抽出物が、概して蛍光色素又はビオチンで標識される。標識されたバイオマーカータンパク質が抗体マイクロアレイと共にインキュベートされる。洗浄により未結合のタンパク質が除去された後、マイクロアレイがスキャンされる。蛍光強度ローデータは、当該技術分野において公知の手段を用いて発現値に変換されてもよい。
D.イメージング
特定の実施形態において、本開示は、検出可能部分を有する抗体を使用して標的抗原をイメージングする方法を企図する。抗体は、当該技術分野において公知の様々な方法によって検出し得る蛍光及び/又は放射能で標識することができる。
核磁気共鳴(NMR)及び磁気共鳴画像法(MRI)は、試料を外部磁場に曝して核の共鳴周波数を検出することにより試料(領域)にあるアイソトープを同定するための技法である。MRIスキャナは、典型的には1.5〜7テスラ強度、又はそれ以上の磁石からなる。磁場及びラジオ波を用いて体内のプロトンが励起される。これらのプロトンは励起後に緩和し、コンピュータプログラムがこのデータをヒト組織の画像に変換する。特定の実施形態において、本開示は、造影前画像を撮ることを企図する。組成物の注入後、造影後画像が撮られる。
NMRは、典型的には、一定磁場の印加下における磁性核スピンの整列(分極)、及び電磁放射線、通常は高周波(RF)パルスを用いることによるこの核スピンの整列の摂動を伴う。所与の搬送周波数のパルスは、その搬送周波数を中心とするある範囲の周波数を含む。近似方形波のフーリエ変換は、主周波数の隣接領域における周波数からの寄与を含む。NMR周波数の範囲はミリ秒〜マイクロ秒高周波パルスの使用を可能にする。
単一光子放射型コンピュータ断層撮影法(SPECT)は、ガンマ線を用いたイメージング技法である。ガンマカメラを使用すると、検出情報が典型的には断面スライスとして提示され、これは必要に応じて再フォーマット化し、又は操作することができる。γ線放射ラジオアイソトープ(放射性核種)を対象に注入する。ラジオアイソトープは、望ましい特性を有する分子を含むか、又はそれにコンジュゲートされ、例えば、マーカーラジオアイソトープがリガンドの葉酸塩に付加されている。これにより、リガンド、例えば葉酸塩とラジオアイソトープとの組み合わせ(放射性医薬品)を体内の目的の場所に運び、そこに結合させることが可能になるため、次には(アイソトープのγ線放射によって)ガンマカメラでリガンド濃度を確かめることが可能になる。
陽電子放射断層撮影法(PET)は、三次元画像を生成するイメージング技法である。このシステムは、陽電子放出放射性核種(トレーサー)によって間接的に放射されるガンマ線の対を検出する。次にコンピュータ解析によって領域内のトレーサー濃度の三次元画像が作成される。放射性トレーサーアイソトープが対象の例えば血液循環中に注入される。典型的には、目的の組織中でトレーサーが濃縮されるようになる間の待機期間がある;次に対象をイメージングスキャナに置く。ラジオアイソトープは、それが陽電子放出減衰を起こすことに伴い、電荷が逆の電子の反粒子である陽電子を放出し、最終的には電子と相互作用することができる点まで減速し、ほぼ反対方向に動く一対の(γ)光子を生じる。これらがスキャニング装置で検出される。この技法は、ほぼ反対方向に動く光子対の並行又は同時検出に依存する(スキャナは組み込まれた僅かな方向誤差許容範囲を有する)。対に至らない(即ちタイミングウインドウ内で)光子は無視される。同時計数直線(応答線、又はLORとも称される)に沿って光子源の位置が突き止められる。このデータを使用して画像が生成される。
600nm〜850nmの波長域を有する光は近赤外スペクトル域の範囲内にあり、約400nm〜約500nmの波長域の範囲内にある可視光とは対照的である。従って、本開示の診断方法の実施において使用される励起光は、本開示の化合物が取り込まれた領域から得られる蛍光を明確に見ることができ、且つそれが周囲組織の自己蛍光とは異なるように、赤外波長で組織を照射して化合物を励起させる少なくとも1つの光波長を含むことになる。励起光は単色又は多色であってもよい。このように、本開示の化合物は、蛍光プローブが約600nm未満の波長で蛍光を発するものであれば所望の診断画像の入手に用いられるであろうフィルタリング機構を使用する必要がなくなるため、有利である。このように、本開示の化合物は、健常組織から反射して蛍光像の分解能不足を引き起こし得る波長の励起光がもたらす結果として不明瞭な診断画像が生成されることを回避する。
診断検査室、診療所及び外科手技用手術室には、適切な波長の光を生じるランプなど、本開示の診断方法の実施に有用な光学的放射スペクトルの光波長を生じる頭上照明が備え付けられてもよい。かかる照明は、単に手術室内の他の照明を消し(それにより調査中の身体部位の組織から可視的に反射され得る外部光をなくし)、近赤外波長の励起光で体腔又は外科的に作られた開口を照らして、観察者(例えば外科医)の眼が直接受け取る蛍光像が主に視野内にある1つ又は複数のフルオロフォアから発せられる蛍光像となるようにすることにより、本開示の診断方法の実施において利用することができる。
イメージング実施形態のいずれの範囲内においても、本明細書に開示される方法は、対象領域からの画像をコンピュータ又はコンピュータ可読媒体に記録する工程を更に含み得る。特定の実施形態において、本方法は、評価中の対象を代理する医療専門家に記録された画像を転送することを更に含み得る。
一部の態様において、本開示の化合物は、標的細胞型(例えば、最近動員され、分化したマクロファージ)の少なくとも1つの細胞への化合物の結合を可能にする時間及び条件下でかかる化合物を投与することにより、腫瘍の同定に用いられる。次に、結合した化合物が光学的に検出され、従って結合した本開示の標的化合物から放射される近赤外波長の蛍光の存在により、生体試料中にその標的細胞型が存在することが示されたことになる。
本開示の方法における使用に有効なコンジュゲート化合物の量は、コンジュゲートの分子量、その投与経路、及びその組織分布を含め、多くのパラメータに依存する。抗原特異的抗体は、カテーテル留置又は外部イメージング手技の前に1用量以上(例えば、約1〜約3用量)で投与することができる。用量数は、他の要因の中でも特に、化合物の分子量、その投与経路、及びその組織分布に依存する。
抗体は、腫瘍に関して評価下にある患者に非経口的に、例えば、静脈内に、皮内に、皮下に、筋肉内に、又は腹腔内に、薬学的に許容可能な担体と組み合わせて投与されてもよい。好適な非経口投与手段としては、有針(マイクロニードルを含む)注射器、無針注射器及び注入法が挙げられる。
E.使用方法
本開示の態様は、例えば、対象から細胞又は組織試料を入手すること、並びに3つのバイオマーカーTNF−FN III−C、TFPI、及びCA19−9の発現の変化があるかに関してかかる試料をアッセイすることによる、対象のがんの発症、進行、又は退縮の診断又はモニタリング方法を含む。本明細書で使用されるとき、用語「がん」は、身体器官及びシステムの正常な働きを妨げ得る無制御な細胞増殖を指し、原発性腫瘍及び転移性腫瘍の両方を含む。元の部位から移動して重要臓器に播種する原発性腫瘍又はがんは、最終的には罹患臓器の機能悪化による対象の死亡につながり得る。転移は、原発性腫瘍部位と異なる、原発性腫瘍から他の身体部分へのがん細胞の播種によって生じるがん細胞又はがん細胞群である。転移は最終的には対象の死亡をもたらし得る。
がんとしては、限定はされないが、基底細胞がん、胆道がん;膀胱がん;骨がん;脳・CNSがん;乳がん;子宮頸がん;絨毛がん;結腸直腸がん;結合組織がん;消化器系がん;子宮内膜がん;食道がん;眼がん;頭頸部がん;胃がん;上皮内新生物;腎がん;喉頭がん;白血病;肝がん;肺がん(例えば小細胞及び非小細胞);ホジキン及び非ホジキンリンパ腫を含むリンパ腫;黒色腫;骨髄腫;神経芽細胞腫;口腔がん(例えば、口唇、舌、口腔、及び咽頭);卵巣がん;膵がん;前立腺がん;網膜芽細胞腫;横紋筋肉腫;直腸がん;腎がん;呼吸器系がん;肉腫;皮膚がん;胃がん;精巣がん;甲状腺がん;子宮がん;泌尿器系がん、並びに他のがん腫及び肉腫が挙げられる。詳細な実施形態において、本方法によって診断又は処置される対象は、早期膵がんなどの膵がんを有する対象である。
本明細書に記載される方法は、がんに関する患者のスクリーニングに使用することができ、又はがんと診断された患者のモニタリングに使用することができる。例えば、スクリーニングモードでは、膀胱がんの早期検出を目的に、膵がんのリスクがある患者がスクリーニングされる。本明細書に記載される方法は、単独で、又は他の検査と併せて使用することができる。一般に、血漿試料でELISAが実施され、バイオマーカーパネルの発現の変化が決定される。3つのバイオマーカーの発現変化を有する患者は更に調べられ、必要に応じて適切な処置を受けることができる。処置後、患者は、本明細書に記載される方法を用いてがんの再発に関してモニタされる。
一部の実施形態において、検査試料は、膵がん又は前がん病態を有する対象からの試料であってもよく、一方、対照試料は、がんを有しない及び/又は前がん病態を有しない対象からの試料であってもよい。
F.抗がん剤
一部の実施形態において、本方法は、3つのバイオマーカーTNC−FN III−C、TFPI、及びCA19−9の発現の変化を検出することにより、対象が膵がんなどのがんを有することを同定する。更なる実施形態において、本開示は、1つ以上の抗がん療法を投与することにより、がんを有すると同定された対象を処置する方法を提供する。
1つ以上の抗がん療法は、放射線療法、手術(例えば、腫瘍摘出術及び乳房切除術)、化学療法、遺伝子療法、DNA療法、ウイルス療法、RNA療法、免疫療法、骨髄移植、ナノ療法、モノクローナル抗体療法、又は前述の組み合わせであってもよい。抗がん療法は、アジュバント又はネオアジュバント療法の形態であってもよい。
一部の実施形態において、抗がん療法は、小分子酵素阻害薬又は抗転移剤の投与である。一部の実施形態において、抗がん療法は、副作用を抑える薬剤(例えば、制吐剤など、処置の副作用の発生及び/又は重症度を減らすことを目的とした薬剤)の投与である。一部の実施形態において、抗がん療法は放射線療法である。一部の実施形態において、抗がん療法は手術である。一部の実施形態において、抗がん療法は放射線療法と手術との併用である。一部の実施形態において、抗がん療法はガンマ線照射である。一部の実施形態において、抗がん療法は、PBK/AKT/mTOR経路を標的とする療法、HSP90阻害薬、チューブリン阻害薬、アポトーシス阻害薬、及び/又は化学的予防剤である。抗がん療法は、当該技術分野において公知の化学療法剤のうちの1つ以上であってもよい。
最初の抗がんは、免疫チェックポイント療法などの追加的ながん療法に対してその前、その最中、その後、又は様々な組み合わせで投与され得る。投与は、同時〜数分〜数日〜数週間の範囲の間隔が置かれ得る。最初の抗がん療法が追加的な治療剤と別個に患者に提供される実施形態では、概して、2つの化合物がなおも有利な併用効果を患者に及ぼすことが可能であり得るように各送達時点間に著しく長い期間が過ぎなかったことを確実にし得る。そのような場合、第1の抗がん療法及び第2の抗がん療法を互いに約12〜24又は72時間以内、より詳細には互いに約6〜12時間以内に患者に提供し得ることが企図される。状況によっては処置時間を大幅に延ばすことが望ましい場合もあり、ここではそれぞれの投与間に数日(2、3、4、5、6、又は7)〜数週間(1、2、3、4、5、6、7、又は8)が経過する。
1.化学療法
本実施形態においては多種多様な化学療法剤を使用することができる。用語「化学療法」は、がんを処置するための薬物の使用を指す。「化学療法剤」は、がんの処置において投与される化合物又は組成物を含意して使用される。こうした薬剤又は薬物は、細胞内でのその活性様式、例えばそれが細胞周期に影響を与えるかどうか、及びどのような段階で与えるかによって分離される。或いは、薬剤は、それがDNAを直接架橋する能力、DNAにインターカレートする能力、又は核酸合成に影響を与えることにより染色体異常及び有糸分裂異常を誘導する能力に基づき特徴付けられてもよい。
化学療法剤の例としては、チオテパ及びシクロスホスファミドなどのアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファン、及びピポスルファンなどのスルホン酸アルキル類;ベンゾデパ(benzodopa)、カルボコン、メツレデパ(meturedopa)、及びウレデパ(uredopa)などのアジリジン類;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド(trietylenephosphoramide)、トリエチレンチオホスホラミド(triethiylenethiophosphoramide)、及びトリメチロールメラミン(trimethylolomelamine)を含めた、エチレンイミン類及びメチルメラミン類(methylamelamines);アセトゲニン類(特にブラタシン及びブラタシノン);カンプトテシン(合成類似体トポテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC−1065(そのアドゼレシン、カルゼレシン及びビゼレシン合成類似体を含む);クリプトフィシン類(特にクリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成類似体KW−2189及びCB1−TM1を含む);エリュテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチイン;スポンジスタチン;クロラムブシル、クロルナファジン、シクロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノブエンビキン(novembichin)、フェネステリン(phenesterine)、プレドニムスチン、トロホスファミド、及びウラシルマスタードなどのナイトロジェンマスタード類;カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、及びラニムスチン(ranimnustine)などのニトロソ尿素類(nitrosureas);エンジイン系抗生物質(例えば、カリケアマイシン、特にカリケアマイシンγlI及びカリケアマイシンωI1)などの抗生物質;ダイネミシンAを含めたダイネミシン;クロドロネートなどのビスホスホネート類;エスペラミシン;並びにネオカルチノスタチン発色団及び関連する色素タンパク質エンジイン系抗生物質発色団、アクラシノマイシン類(aclacinomysins)、アクチノマイシン、アントラマイシン(authrarnycin)、アザセリン、ブレオマイシン類、カクチノマイシン、カラビシン(carabicin)、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン類(chromomycinis)、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ドキソルビシン(モルホリノドキソルビシン、シアノモルホリノドキソルビシン、2−ピロリノ−ドキソルビシン及びデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシンCなどのマイトマイシン類、ミコフェノール酸、ノガラマイシン(nogalarnycin)、オリボマイシン類、ペプロマイシン、ポルフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、ケラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、及びゾルビシン;メトトレキサート及び5−フルオロウラシル(5−FU)などの代謝拮抗薬;デノプテリン、プテロプテリン、及びトリメトレキサートなどの葉酸類似体;フルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、及びチオグアニンなどのプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、及びフロクスウリジンなどのピリミジン類似体;カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、及びテストラクトンなどのアンドロゲン類;ミトタン及びトリロスタンなどの抗副腎薬;フォリン酸(frolinic acid)などの葉酸補充剤;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトレキセート(edatraxate);デフォファミン(defofamine);デメコルシン;ジアジコン;エフロルニチン(elformithine);酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダミン(lonidainine);メイタンシン及びアンサマイトシン類などのメイタンシノイド類;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール(mopidanmol);ニトラクリン(nitraerine);ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸;2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK多糖複合体;ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2”−トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン類(特に、T−2毒素、ベルカリンA(verracurin A)、ロリジンA及びアングイジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara−C」);シクロホスファミド;タキソイド類、例えば、パクリタキセル及びドセタキセル ゲムシタビン;6−チオグアニン;メルカプトプリン;シスプラチン、オキサリプラチン、及びカルボプラチンなどの白金配位錯体;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP−16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ノバントロン;テニポシド;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;イリノテカン(例えば、CPT−11);トポイソメラーゼ阻害薬RFS 2000;ジフルオロメチルオルニチン(difluorometlhylornithine)(DMFO);レチノイン酸などのレチノイド類;カペシタビン;カルボプラチン、プロカルバジン、プリカマイシン(plicomycin)、ゲムシタビン(gemcitabien)、ナベルビン、ファルネシルタンパク質転移酵素(farnesyl−protein tansferase)阻害薬、トランス白金、及び上記のいずれかの薬学的に許容可能な塩、酸、又は誘導体が挙げられる。
2.放射線療法
DNA損傷を生じさせる、且つ広範に用いられている他の因子としては、γ線、X線として一般に知られるもの、及び/又は腫瘍細胞へのラジオアイソトープの標的化した送達が挙げられる。マイクロ波、陽子線照射(米国特許第5,760,395号明細書及び同第4,870,287号明細書)、及び紫外線照射など、他の形態のDNA損傷因子もまた企図される。これらの因子は全て、DNA、DNAの前駆体、DNAの複製及び修復、並びに染色体のアセンブリ及び維持に広範囲の損傷を与える可能性が最も高い。X線の線量範囲は、長期間にわたって(3〜4週間)50〜200レントゲンの1日用量から2000〜6000レントゲンの単回用量までの範囲である。ラジオアイソトープの線量範囲は幅広く異なり、アイソトープの半減期、放出される放射線の強度及び種類、及び新生細胞による吸収量に依存する。
3.免疫療法
がん処置との関連において、免疫療法薬は、概して、がん細胞を標的化して破壊するために免疫エフェクター細胞及び分子の使用に頼る。リツキシマブ(RITUXAN(登録商標))は、その例である。免疫エフェクターは、例えば、腫瘍細胞の表面上の何らかのマーカーに特異的な抗体であってもよい。抗体単独が療法のエフェクターとして働いてもよく、又はそれは、他の細胞が実際に細胞死滅に影響を及ぼすように動員してもよい。抗体はまた、薬物又は毒素(化学療法薬、放射性核種、リシンA鎖、コレラ毒素、百日咳毒素等)にコンジュゲートされて、ターゲティング薬剤として働いてもよい。或いは、エフェクターは、腫瘍細胞標的と直接、或いは間接的に相互作用する表面分子を担持するリンパ球であってもよい。様々なエフェクター細胞には、細胞傷害性T細胞及びNK細胞が含まれる。
抗体−薬物コンジュゲートが、がん療法薬の開発に向けた画期的手法として現れている。がんは世界の主な死亡原因の一つである。抗体−薬物コンジュゲート(ADC)は、細胞殺傷薬物に共有結合的に連結されたモノクローナル抗体(MAb)を含む。この手法は、MAbのその抗原標的に対する高い特異性と極めて強力な細胞傷害性薬物とを組み合わせるもので、集積した抗原レベルの腫瘍細胞にペイロード(薬物)を送達する「武装した」MAbがもたらされる。薬物の標的化送達はまた、正常組織におけるその曝露も最小限に抑え、毒性の低下及び治療指数の改善がもたらされる。2つのADC薬物、2011年にADCETRIS(登録商標)(ブレンツキシマブベドチン)及び2013年にKADCYLA(登録商標)(トラスツズマブエムタンシン又はT−DM1)がFDAによって承認されたことにより、この手法の妥当性が確認された。現在、30種を超えるADC薬物候補ががん処置に向けた臨床試験の様々な段階にある(Leal et al.,2014)。抗体エンジニアリング及びリンカー−ペイロード最適化がますます成熟しつつあることに伴い、新規ADCの創薬開発は、この手法に好適な新規標的の同定及びバリデーション並びにターゲティングMAbの生成への依存が増している。ADC標的の2つの基準は、腫瘍細胞における発現の上方制御/高いレベル及びロバストなインターナリゼーションである。
免疫療法の一態様において、腫瘍細胞は、ターゲティングに適した、即ち他の大多数の細胞に存在しない何らかのマーカーを担持しなければならない。多くの腫瘍マーカーが存在し、それらのうちの任意のものが、本実施形態との関連におけるターゲティングに好適であり得る。一般的な腫瘍マーカーとしては、CD20、がん胎児性抗原、チロシナーゼ(p97)、gp68、TAG−72、HMFG、シアリルルイス抗原、MucA、MucB、PLAP、ラミニン受容体、erb B、及びp155が挙げられる。免疫療法の別の態様は、抗がん効果を免疫刺激効果と組み合わせることである。免疫刺激分子もまた、サイトカイン類、例えば、IL−2、IL−4、IL−12、GM−CSF、γ−IFN、ケモカイン類、例えば、MIP−1、MCP−1、IL−8、及び成長因子、例えば、FLT3リガンドを含め、存在する。
現在研究されている、又は使用されている免疫療法の例は、免疫アジュバント、例えば、ウシ型結核菌(Mycobacterium bovis)、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)、ジニトロクロロベンゼン、及び芳香族化合物(米国特許第5,801,005号明細書及び同第5,739,169号明細書;Hui and Hashimoto,1998;Christodoulides et al.,1998);サイトカイン療法、例えば、インターフェロンα、β及びγ、IL−1、GM−CSF、及びTNF(Bukowski et al.,1998;Davidson et al.,1998;Hellstrand et al.,1998);遺伝子療法、例えば、TNF、IL−1、IL−2、及びp53(Qin et al.,1998;Austin−Ward and Villaseca,1998;米国特許第5,830,880号明細書及び同第5,846,945号明細書);及びモノクローナル抗体、例えば、抗CD20、抗ガングリオシドGM2、及び抗p185(Hollander,2012;Hanibuchi et al.,1998;米国特許第5,824,311号明細書)である。本明細書に記載される抗体療法と共に、1つ以上の抗がん療法が利用されてもよいことが企図される。
一部の実施形態において、免疫療法は免疫チェックポイント阻害薬であってもよい。免疫チェックポイントは、シグナル(例えば共刺激分子)をオンにするか、又はシグナルをオフにするかのいずれかである。免疫チェックポイント遮断の標的となり得る抑制性免疫チェックポイントとしては、アデノシンA2A受容体(A2AR)、B7−H3(別名CD276)、B及びTリンパ球アテニュエーター(BTLA)、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA−4、別名CD152)、インドールアミン2,3−ジオキシゲナーゼ(IDO)、キラー細胞免疫グロブリン(KIR)、リンパ球活性化遺伝子−3(LAG3)、プログラム死1(PD−1)、T細胞免疫グロブリンドメイン及びムチンドメイン3(TIM−3)及びT細胞活性化のV−ドメインIgサップレッサー(VISTA)が挙げられる。詳細には、免疫チェックポイント阻害薬はPD−1軸及び/又はCTLA−4を標的とする。
免疫チェックポイント阻害薬は、小分子などの薬物、組換え形態のリガンド又は受容体であってもよく、又は詳細にはヒト抗体などの抗体である(例えば、国際公開第2015016718号パンフレット;Pardoll,Nat Rev Cancer,12(4):252−64,2012;両方とも参照により本明細書に援用される)。免疫チェックポイントタンパク質の公知の阻害薬又はその類似体が使用されてもよく、詳細には、キメラ化、ヒト化又はヒト形態の抗体が使用されてもよい。当業者には公知であろうとおり、本開示で言及されるある種の抗体については、代替的及び/又は等価な名称が使用されていることもある。かかる代替的及び/又は等価な名称は、本開示との関連においては同義的である。例えば、ランブロリズマブがまた、代替的且つ等価な名称MK−3475及びペンブロリズマブでも知られていることは公知である。
一部の実施形態において、PD−1結合アンタゴニストは、PD−1のそのリガンド結合パートナーへの結合を阻害する分子である。ある具体的な態様において、PD−1リガンド結合パートナーはPDL1及び/又はPDL2である。別の実施形態において、PDL1結合アンタゴニストは、PDL1のその結合パートナーへの結合を阻害する分子である。ある具体的な態様において、PDL1結合パートナーはPD−1及び/又はB7−1である。別の実施形態において、PDL2結合アンタゴニストは、PDL2のその結合パートナーへの結合を阻害する分子である。ある具体的な態様において、PDL2結合パートナーはPD−1である。アンタゴニストは、抗体、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、又はオリゴペプチドであってもよい。例示的抗体が、米国特許第8,735,553号明細書、同第8,354,509号明細書及び同第8,008,449号明細書(全て参照により本明細書に援用される)に記載されている。本明細書に提供される方法に用いられる他のPD−1軸アンタゴニストは、米国特許出願公開第20140294898号明細書、同第2014022021号明細書、及び同第20110008369号明細書(全て参照により本明細書に援用される)に記載されるなど、当該技術分野において公知である。
一部の実施形態において、PD−1結合アンタゴニストは抗PD−1抗体(例えば、ヒト抗体、ヒト化抗体、又はキメラ抗体)である。一部の実施形態において、抗PD−1抗体は、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、及びCT−011からなる群から選択される。一部の実施形態において、PD−1結合アンタゴニストは、イムノアドヘシン(例えば、定常領域(例えば、免疫グロブリン配列のFc領域)に融合したPDL1又はPDL2の細胞外部分又はPD−1結合部分を含むイムノアドヘシンである。一部の実施形態において、PD−1結合アンタゴニストはAMP−224である。ニボルマブ、別名MDX−1106−04、MDX−1106、ONO−4538、BMS−936558、及びOPDIVO(登録商標)は、国際公開第2006/121168号パンフレットに記載される抗PD−1抗体である。ペンブロリズマブ、別名MK−3475、Merck 3475、ランブロリズマブ、KEYTRUDA(登録商標)、及びSCH−900475は、国際公開第2009/114335号パンフレットに記載される抗PD−1抗体である。CT−011、別名hBAT又はhBAT−1は、国際公開第2009/101611号パンフレットに記載される抗PD−1抗体である。AMP−224、別名B7−DCIgは、国際公開第2010/027827号パンフレット及び国際公開第2011/066342号パンフレットに記載されるPDL2−Fc融合可溶性受容体である。
本明細書に提供される方法において標的とし得る別の免疫チェックポイントは、CD152としても知られる細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA−4)である。ヒトCTLA−4の完全cDNA配列はGenBank受託番号L15006を有する。CTLA−4はT細胞の表面上に見られ、抗原提示細胞の表面上のCD80又はCD86に結合したときの「オフ」スイッチとして働く。CTLA4は、ヘルパーT細胞の表面上に発現する、且つT細胞に抑制シグナルを伝達する免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーである。CTLA4はT細胞共刺激タンパク質CD28と同様であり、両方の分子が、抗原提示細胞上のそれぞれB7−1及びB7−2とも称されるCD80及びCD86に結合する。CTLA4はT細胞に抑制シグナルを伝達し、一方、CD28は刺激性シグナルを伝達する。細胞内CTLA4もまた調節性T細胞に見られ、その機能に重要であり得る。T細胞受容体及びCD28を介したT細胞活性化は、B7分子に対する抑制性受容体であるCTLA−4の発現増加につながる。
一部の実施形態において、免疫チェックポイント阻害薬は、抗CTLA−4抗体(例えば、ヒト抗体、ヒト化抗体、又はキメラ抗体)、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、又はオリゴペプチドである。
本方法における使用に好適な抗ヒトCTLA−4抗体(又はそれに由来するVH及び/又はVLドメイン)は、当該技術分野において周知の方法を用いて生成することができる。或いは、当該技術分野で認められている抗CTLA−4抗体を使用することができる。例えば、本明細書に開示される方法においては、米国特許第8,119,129号明細書;国際公開第01/14424号パンフレット、同第98/42752号パンフレット、及び同第00/37504号パンフレット(CP675,206、別名トレメリムマブ;旧称チシリムマブ);米国特許第6,207,156号明細書;Hurwitz et al.,1998;Camacho et al.,2004;及びMokyr et al.,1998に開示されている抗CTLA−4抗体を使用することができる。前述の文献の各々の教示は本明細書によって参照により援用される。これらの当該技術分野で認められている抗体のいずれかとCTLA−4への結合に関して競合する抗体もまた使用することができる。例えば、ヒト化CTLA−4抗体が、国際公開第2001014424号パンフレット、及び同第2000037504号パンフレット、及び米国特許第8,017,114号明細書に記載されている;全て参照により本明細書に援用される。
例示的抗CTLA−4抗体はイピリムマブ(別名10D1、MDX−010、MDX−101、及びYervoy(登録商標))又はその抗原結合断片及び変異体である(例えば、国際公開第01/14424号パンフレットを参照のこと)。他の実施形態において、抗体はイピリムマブの重鎖及び軽鎖CDR又はVRを含む。従って、一実施形態において、抗体は、イピリムマブのVH領域のCDR1、CDR2、及びCDR3ドメイン、並びにイピリムマブのVL領域のCDR1、CDR2及びCDR3ドメインを含む。別の実施形態において、抗体は、上述の抗体と同じCTLA−4上のエピトープとの結合に関して競合し、及び/又はそれに結合する。別の実施形態において、抗体は、上述の抗体と少なくとも約90%の可変領域アミノ酸配列同一性(例えば、イピリムマブと少なくとも約90%、95%、又は99%の可変領域同一性)を有する。
CTLA−4を調節する他の分子としては、米国特許第5,844,905号明細書、同第5,885,796号明細書及び国際公開第1995001994号パンフレット及び同第1998042752号パンフレット(全て参照により本明細書に援用される)に記載されるなどのCTLA−4リガンド及び受容体、及び米国特許第8,329,867号明細書(参照により本明細書に援用される)に記載されるなどのイムノアドヘシンが挙げられる。
4.手術
がんを有する人の約60%が何らかのタイプの手術を受けることになり、手術には、予防、診断又は病期判定、治癒、及び緩和のための手術が含まれる。治癒手術は、がん性組織の全て又は一部が物理的に取り除かれ、切り取られ、及び/又は破壊される切除を含み、本実施形態の処置、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、遺伝子療法、免疫療法、及び/又は代替療法など、他の療法と併せて用いられ得る。腫瘍切除は、腫瘍の少なくとも一部の物理的除去を指す。腫瘍切除に加えて、手術による処置には、レーザー手術、凍結手術、電気手術、及び顕微鏡下手術(モース術)が含まれる。
がん性細胞、組織、又は腫瘍の一部又は全てを切り取ると、体に空洞が形成され得る。処置は、追加的な抗がん療法によるその範囲の灌流、直接注射、又は局所適用によって達成されてもよい。かかる処置は、例えば、1、2、3、4、5、6、又は7日毎、又は1、2、3、4、及び5週間毎又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12ヵ月毎に繰り返されてもよい。これらの処置は同様に様々な投薬量であり得る。
5.他の薬剤
他の薬剤を単独で、又は他の抗がん療法と組み合わせて使用して処置の治療有効性を改善し得ることが企図される。こうした追加的な薬剤には、細胞表面受容体及びGAPジャンクションの上方制御に影響を及ぼす薬剤、細胞増殖抑制剤及び分化剤、細胞接着阻害薬、アポトーシス誘導物質に対する過剰増殖細胞の感度を増加させる薬剤、又は他の生物学的薬剤が含まれる。GAPジャンクションの数が増えることにより細胞間シグナル伝達が増加すれば、隣接過剰増殖細胞集団に対する抗過剰増殖効果が高まり得る。他の実施形態では、細胞増殖抑制剤又は分化剤を本実施形態のある種の態様と組み合わせて使用して、処置の抗過剰増殖有効性を改善することができる。細胞接着阻害薬は、本実施形態の有効性を改善することが企図される。細胞接着阻害薬の例は、接着斑キナーゼ(FAK)阻害薬及びロバスタチンである。更に、抗体c225など、アポトーシスに対する過剰増殖細胞の感度を増加させる他の薬剤を本実施形態のある種の態様と組み合わせて使用して処置の有効性を改善し得ることが企図される。
III.キット
また、血漿試料に対してELISAアッセイを実施して膵がんなどのがんを検出するためのキットも本発明の範囲内にある。かかるキットの例は、3つのバイオマーカーに特異的な抗体のセットを含み得る。本キットは、血漿試料中のバイオマーカーの発現変化を同定するためのELISAアッセイの実施に関する抗体の使用説明書を更に含み得る。本キットは、がん患者からのバイオマーカーパネルの発現上昇が膵がんリスクの増加の指標であることを指示する診断目的の説明書を更に含み得る。本キットは、血漿中のバイオマーカーパネルの発現変化が、患者を更なる診断検査に送るべき、及び/又は膵がんに関して抗がん剤で処置すべき指標であることを指示する説明書を更に含み得る。
一部の実施形態において、キットは、ストレプトアビジンコンジュゲート抗体など、検出試薬を更に含み得る。一部の実施形態において、キットは、限定はされないが洗浄緩衝液を含め、試薬及び緩衝液を更に含み得る。一部の実施形態において、キットは、マウント剤及び/又は1つ以上の対照ELISAプレートを更に含み得る。
IV.実施例
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を実証するために含まれる。当業者は、以下の実施例に開示される技法が、本発明者によって本発明の実施で良好に機能することが発見された技法に相当し、従ってその実施に好ましい態様を成すと考え得ることを理解するはずである。しかしながら、当業者は、本開示を踏まえて、開示される具体的な実施形態に多くの変更を行うことができ、それでもなお本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく同様又は類似の結果を達成し得ることを理解しなければならない。
実施例1−膵がんの遊走シグネチャの分析及びバリデーション
盲検化CLIA認定臨床検査室研究における遊走シグネチャパネルバリデーション:本研究で新規膵がんバイオマーカーとして同定されているスプライス型のTNC、TNC−FN III−Cを使用して、TFPIに関してはサンドイッチELISA(Balasenthil et al.,2011)及びTNCに関しては最適化したサンドイッチELISAを用いて遊走シグネチャの臨床検査室再現性を試験した。以前実施された遊走シグネチャアッセイを盲検化したCLIA検査室において同一の試料で繰り返した。20例のPDACステージIV血漿試料及び20例の健常対照をCA 19−9、TNC−FN III−C及びTFPIに関してスクリーニングした。患者特性は表5に示す。結果は、CLIA検査室においてマーカーアッセイがロバストで再現性があったことを示しており、TFPI、TNC−FN III−C及びCA19−9の組み合わせパネルについてAUCは両方の検査室で0.92に達し(95%CI=0.82〜1.00)、対してCA19−9単独に基づく性能は低かった(AUC0.71、95%CI=0.52〜0.90MDACC)及びAUC−0.72(95%CI=0.54〜0.90CLIA検査室)。AUC及び最適カットオフにおける感度/特異度の値を表6に示す。これらのCA19−9アッセイはまた、FDA承認済みのキットでも以前比較されており、事実上同じ結果が得られることが分かっている(Haab et al.,2015)。
早期PDACにおけるプレバリデーション研究:次に早期血漿コホート1を使用してELISAアッセイを実施した(表1)。ステージI/IIA PDACコホート(n=30)対健常対照(n=30)では、遊走シグネチャマーカーによってCA 19−9の性能が0.72から0.84のAUCに改善された(図1A及び表2)。しかしながら、健常対照と比較したステージIIB(n=22)では、TFPI及びTNC−FN III−Cとゴールドスタンダードとの組み合わせで0.98(95%CI=0.95〜1.00)の極めて高いAUC値が得られており、これはCA19−9単独に基づくものよりも統計的に有意に良好である(図1B及び表2)。全てのステージIIがんを一つにまとめたものでは(ステージIIA/IIB)(n=57)、TNC−FN III−C及びTFPIを個々に加えるとCA 19−9性能が改善され、TNC−FN III−C+CA 19−9及びTFPI+CA 19−9についてAUCはそれぞれ0.92(95%CI=0.86〜0.97)及び0.97(95%CI=0.94〜0.99)で、組み合わせパネルについて全体的AUCは0.97(95%CI=0.93〜0.99)であり、CA19−9が統計的に有意に改善された(P=0.03)(図1C及び表2)。最終的な分析では、3つのバイオマーカーの組み合わせパネルを調べた。結果は、全早期がん(ステージI及びII)(n=85)対健常対照(n=30)について、遊走シグネチャパネルが0.83から0.92のAUCへとCA 19−9の性能を改善した点で統計的に有意であった(P=0.04)(図1D及び表2)。
バリデーション研究の最適カットオフを設定するため、及び早期PDAC検出に向けた診断マーカーパネルの更なる精緻化のため、コホート1を訓練コホートとして使用して統計モデル及びリスクスコアを構築した。全てのがんと対照との間の比較における前進選択を用いて、CA19−9、TFPI及びTNC−FN III−Cの組み合わせバイオマーカーパネルを選択した。ロジスティック回帰モデルに基づき、RS=0.0816×CA19−9+0.0783×TFPI+0.0229×TNC−FN III−Cを用いてリスクスコア(RS)を決定した。最適カットオフは5.79とした。CA19−9単独のパネルについては、RS=0.0855×CA19−9、及び最適カットオフは1.12であった。バイオマーカーパネルの性能及びその最適カットオフを2つの盲検化した独立のバリデーションコホートで試験した。
リスクスコア及びカットオフを用いた早期コホート2盲検化バリデーション:遊走シグネチャパネルの性能及びコホート1から導出した対応するカットオフをコホート2の早期PDAC対慢性膵炎症例又は健常対照においてバリデートした(表1)。盲検化バリデーション分析については、ステージIIB(n=23)対慢性膵炎(n=24)の比較において、CA19−9のパネルで0.84のAUC(95%CI=0.72〜0.96)が得られ、一方、3マーカーパネルでは0.86(95%CI=0.74〜0.96)とやや高いAUCとなった。バリデーション結果の詳細な概要は表7に提供する。
EDRNリファレンスセットの盲検化バリデーション:次に、NCIによって複数の施設から同様のSOPを用いて確立された252例の試料のEDRNリファレンスセットで遊走シグネチャマーカーの性能を分析した。ステージIA/IB/IIA症例(n=55)と健常対照(n=61)との判別については、CA 19−9単独(0.74のAUC(95%CI=0.64〜0.84)と比較して、組み合わせバイオマーカーパネルではリスクスコア及び決定されたカットオフを用いてAUCが0.79(95%CI=0.70〜0.87)に改善された(図2A及び表3)。カットオフに基づく対応する平均感度及び特異度(正確度)は、CA19−9の0.66から組み合わせバイオマーカーパネルの0.77に統計的に有意に改善された(P<0.001)。更に、組み合わせバイオマーカーパネルでは、ステージIA/IB/IIA症例(n=55)対慢性膵炎(n=62)におけるCA 19−9性能が統計的に有意に改善され、AUCは0.69(95%CI=0.58〜0.79)から0.75(95%CI=0.65〜0.84)になった(P=0.045);対応する正確度は0.57から0.72に改善された(P<0.001)。更に、糖尿病及び膵炎の病歴がない部分集団だけを含むようにコホートを層別化することにより、CA 19−9の性能に関して認め得る改善が観察された。ステージIA/IB/IIA症例(n=30)対健常対照(n=50)のこの部分集団内においては、組み合わせモデルでCA 19−9 AUCが0.78(95%CI=0.66〜0.89)から0.87(95%CI=0.77〜0.95)に改善された(図2B及び表3)。コホート1から決定したカットオフに基づく対応する正確度は、CA19−9の0.65から組み合わせバイオマーカーパネルの0.82に統計的に有意に改善された(P<0.001)。
ステージIIB PDAC(n=42)対健常対照(n=61)のバリデーション結果から、CA 19−9単独についての0.83のAUC(95%CI=0.74〜0.91)と比較して組み合わせバイオマーカーパネルのAUCは0.87(95%CI=0.80〜0.94)であり(図2C及び表3)、正確度が0.71から0.79に統計的に有意に改善された(P=0.03)ことが示された。ステージIIB症例(n=42)対慢性膵炎(n=62)については、組み合わせバイオマーカーモデルでCA 19−9のAUCは0.77(95%CI=0.67〜0.86)から0.83(95%CI=0.74〜0.91)に改善され(P=0.05)、対応する正確度が0.62から0.74に統計的に有意に改善された(P=0.009)。22例のステージIIB症例及び50例の健常対照に基づく糖尿病及び膵炎の病歴のないサブコホートの中では、CA19−9についての0.88のAUC(95%CI=0.77〜0.96)と比較して組み合わせモデルパネルのAUCは0.93(95%CI=0.87〜0.98)であった(図2D及び表3);対応する正確度は0.76から0.83に改善された。従って、組み合わせバイオマーカーモデルは、特に糖尿病又は膵炎のない症例についてゴールドスタンダード性能を改善したことから、コホートを層別化すれば、AUC値が臨床的有用性に達し得る患者を同定し得ることが示唆される。
次に、全早期がん(n=98)対全健常対照(n=61)の複合的分析に基づきバイオマーカーパネルの性能をバリデートした。結果から、CA19−9と比べた本バイオマーカーパネルの分類性能の統計的に有意な改善が示された。詳細には、CA 19−9のAUCは0.78(95%CI=0.71〜0.85)であり、これがバイオマーカーパネルによって0.83(95%CI=0.76〜0.89)に統計的に有意に改善された(図3A及び表3、P=0.045);対応する正確度もまた0.68から0.78に統計的に極めて有意に改善された(P=0.001)。全早期がん(n=98)対慢性膵炎(n=62)のバリデーションもまた、CA 19−9の統計的に有意な改善(AUC値についてP=0.01及び正確度についてP<0.001)を示した(表3)。急性良性胆管閉塞コホート対早期PDACの分析もまた、全早期がん対良性疾患血漿についてCA 19−9を上回る組み合わせモデルの性能の改善を示し、但し統計的に有意でなかった(表8)。更に、糖尿病及び膵炎の病歴のない部分集団(n=52早期PDAC症例及びn=50健常対照)の中では、CA 19−9単独の0.82のAUC(95%CI=0.73〜0.90)と比較して、組み合わせ遊走シグネチャモデルでは0.89のAUC(95%CI=0.82〜0.95)の統計的に有意な増加が得られた(P=0.03)(図3B及び表3);対応する正確度は0.69から0.82に統計的に有意に改善された(P<0.001)。
EDRNリファレンスセットにおけるバリデーション結果は、CA 19−9に遊走シグネチャを加えることがPDACの早期検出に価値があること、並びにコホートを糖尿病及び慢性膵炎のないサブコホートに層別化することによって全体的パネルの性能の改善が観察されることを明確に実証している。
年齢及び糖尿病状態を含む追加リスク因子の評価:EDRNリファレンスセットデータに基づき、年齢及び糖尿病状態と組み合わせた3つのマーカーの性能をEDRNリファレンスセットからの結果に基づき更に調査した。この分析のため、完全コホートでは年齢、及び糖尿病状態を加え、又は糖尿病及び慢性膵炎のないサブコホートでは年齢のみを加えて、3つ全てのマーカーを含めて各症例/対照群にロジスティック回帰モデルをフィッティングし直した。モデル性能の結果は表4に示す。詳細には、糖尿病及び慢性膵炎のないサブコホートでは、導出されたリスクスコアは、ステージIA/IB/IIA、ステージIIB、又は全早期がんと健常対照との判別に関して、それぞれ0.90、0.93、及び0.90のAUCを実現した。早期がん及び健常対照のロジスティック回帰モデルの結果は表3に示す。
結論として、本研究は、早期PDAC症例と健常対照との判別におけるTFPI及びTNC−FN III−Cの役割、並びにPDAC早期検出に向けてCA 19−9性能を改善するバイオマーカーとしてのその潜在的能力を実証する。導出された遊走シグネチャ及びCA 19−9マーカーパネルをEDRNリファレンスセットを代表するコホート3において使用すると、全早期がんを健常対照及び慢性膵炎の両方と識別するAUCの統計的に有意な改善が観察された。更に、コホート1で導出された最適カットオフに基づくと、全早期がんと健常対照及び慢性膵炎との識別について、コホート3でCA 19−9と比べて正確度の劇的な改善が観察された。結果は、本組み合わせマーカーパネルモデルが、CA 19−9と組み合わせて使用したとき、PDACの早期検出に向けた高い感度及び特異度の更に正確な検査を提供し得ること、及びこのパネルが糖尿病及び慢性膵炎リスクと無関係であることを示している。更に、早期PDACの全症例をEDRNコホートに組み合わせたとき結果は強化され、症例及び対照の複数の組み合わせについて統計的有意性が実証された。
実施例2−材料及び方法
臨床コホート:CLIA検査室バリデーション研究には、20例の後期ステージIV PDAC及び20例の正常対照の血漿コホートを使用した。早期プレバリデーションコホート1には、85例の早期PDAC症例:ステージI(n=28)、ステージII(n=57)、及びTexGenリポジトリ、テキサスメディカルセンター(Texas Medical Center)コンソーシアムから入手した30例のGIスクリーニング対照を含む115例の試料が含まれた。ピッツバーグ大学(University of Pittsburgh)からの早期盲検化バリデーションコホート2には、64例の試料:ステージIIB(n=23)、慢性膵炎(n=24)、及びGI対照(n=17)が含まれた。早期盲検化バリデーションコホート3は、98例の早期PDAC症例:ステージIA(n=7)、IB(n=8)、II(n=1)、IIA(n=40)、IIB(n=42)、62例の慢性膵炎対照、31例の急性胆管閉塞対照及び61例の健常対照を含む252例の血漿試料のNCI早期発見研究ネットワーク(Early Detection Research Network:EDRN)膵がんリファレンスセットである(Haab et al.,2015)。研究プロトコルは治験審査委員会で承認されており、全ての患者が書面によるインフォームドコンセントを提出した。
ELISAアッセイ:TFPIに関するELISAアッセイを以前の記載どおり実施した(Balasenthil et al.,2011)。サンドイッチELISAによってFN III−Cドメインを検出するヒトテネイシンC(FN III−C)ELISAキット(IBL−America、Minneapolis,MN)を使用して、テネイシンCの血漿レベル[FN III−C]を決定した。試料を50倍希釈し、次にFN III−Cドメインに特異的な抗ヒトテネイシンC(19C4MS)マウスIgG MAbをプレコートしたELISAプレートにおいて37℃で60分間インキュベートした。簡潔に言えば、ウェルを洗浄緩衝液で7回洗浄した後、セイヨウワサビペルオキシダーゼコンジュゲート抗ヒトテネイシンC(4F10TT)Abを加え、4℃で30分間インキュベートした。ウェルを緩衝液で洗浄し(9回)、色原体溶液を加え、暗所下室温で30分間インキュベートした。反応を停止させ、30分以内にELISAプレートリーダー(Spectramax Plus384、Spectramax Plus190、Molecular Devices及びiMarkマイクロプレートリーダー、BioRad)を使用して読み取った。結果はデュプリケートウェルの平均吸光度である。以前の記載どおりCA 19−9 ELISAを実施して報告し、ここでこのCA 19−9 ELISAアッセイは、他の2つのCA19−9アッセイと共に、同様の性能を示した((Balasenthil et al.,2011;Haab et al.,2015)。
統計手法:統計的検定は全て両側とし、0.05未満のP値を統計的に有意と見なした。
CLIA分析:ロジスティック回帰モデルを用いてPDACを健常対照と識別した。最適感度及び特異度のリスクスコアの閾値を決定するため、点(0,1)からの距離の値[(1−感度)+(1−特異度)]が最小となる点を計算した(DeLong et al.,1998)。統計的分析は全て、Stata 13.1ソフトウェア(Stata Corporation)を使用して実施した。
早期コホート1(TexGenコホート)の分析:ロジスティック回帰モデルを用いてマーカーの性能を分析し、CA 19−9と比べた本パネルの集合的性能を同定した。ROC曲線及びAUCを計算し、500例のブートストラップ試料に基づきその95%パーセンタイルブートストラップ信頼区間(CI)を推定した。コホート1を訓練セットとして使用して、CA 19−9単独の使用と比較したTFPI及びTNC−FNIII−Cを加えることによる性能の改善を評価した。前進選択法を用いて、且つAUCの値を考慮に入れて、最適なマーカーの組み合わせのパネルを導出した。CLIA分析と同じ手法を用いて、対応するリスクスコアの最適カットオフを決定した。
早期コホート2(ピッツバーグ大学コホート)及び3(EDRNリファレンスセット)における盲検化バリデーション:コホート1から導出された最終的な選択パネル及びその最適カットオフを2つの独立した患者コホート(コホート2及び3)でバリデートした。コホート3におけるリファレンスセット症例の大部分は糖尿病及び膵炎の病歴がないものであったため、このサブコホートにおいてもまたバリデーションを実施した。コホート1から導出されたパネルに基づき実験的ROC曲線を作成し、対応するAUCを計算した。また、コホート1から導出されたカットオフに基づき感度、特異度、並びに平均感度及び特異度(これ以降「正確度」と称する)も計算した。AUC、感度、特異度、及び正確度の推定について、500例のブートストラップ試料に基づき95%パーセンタイルブートストラップ信頼区間を求めた。ブートストラップ標準誤差推定を用いたZ検定に基づきバイオマーカーパネルとCA19−9単独のパネルとの間の性能の差に関するP値を計算した。分析は全て、R統計ソフトウェア(cran.r−project)を使用して実施した。
臨床リスク因子を組み込んだコホート3における更なる探索的分析:バイオマーカーパネル(コホート1で導出された)をコホート3においてバリデートした後、計測される臨床リスク因子の組み込みについて、年齢及び糖尿病状態を含むコホート3で更に調べた。ロジスティック回帰モデルを用いて、各症例及び対照群を分離するための、候補マーカー(TFPI及び/又はTNC−FN III−C)とCA 19−9+年齢及び糖尿病状態(糖尿病及び慢性膵炎のないサブコホートでは含まれない)の組み合わせを導出した。予測リスクスコアに基づき実験的ROC曲線を作成し、対応するAUCを計算した。AUC、感度、及び特異度の推定について、500例のブートストラップ試料に基づき95%パーセンタイルブートストラップ信頼区間を求めた。ここではブートストラップ試料毎にロジスティック回帰モデルをフィッティングし直している。
実施例3−遊走シグネチャバイオマーカーパネルの更なるバリデーション
遊走シグネチャバイオマーカーパネルの追加的なバリデーションとして、本遊走シグネチャバイオマーカーパネルを使用して使用するELISAアッセイを行い、39例の早期PDAC及び89例の健常対照からなる国際がん研究機関(International Agency for Research:IARC)からの独立した盲検血漿試料セットにおいてその性能を分析した。このアッセイに関して統計的分析を実施した。IARCセットを使用した全早期PDAC対全健常コホートについて(表12)、両方のバイオマーカーとCA19−9の組み合わせでは、CA19−9がAUC0.81(95%CI=0.72〜0.90)から0.86のAUC(95%CI=0.78〜0.93)へと有意に改善された。分析に追加の共変量(*年齢+性別+施設+喫煙歴+飲酒歴)を含めると、組み合わせパネルではAUCが0.90(95%CI=0.84〜0.96)に更に改善された。利用したアルゴリズムが実施例1で確立されたものと異なったことに伴い結果は有意で、この場合もやはり、複数の盲検試料セットにおいて本バイオマーカーパネルがCA19−9性能を改善したことを示しており、このバイオマーカーパネルの臨床的価値を強調するものである。
野生型対照に対して膵がん前駆病変(PanIN)を含む血漿KC膵臓遺伝子操作マウスモデル(GEMM)ではTFPIレベルが上昇する:KC GEMMモデルからの血清中で遊走シグネチャマーカーの一つ、TFPIをスクリーニングした。このGEMMモデルは、PanINと称される前駆病変が存在する膵がんの発症を忠実に再現し、PDAC発症前の決まった時点で調べることができる。GEMM手法は、a)ヒト膵管腺がん(PDAC)の遺伝子操作マウスモデル(GEMM)がヒト疾患の臨床的及び分子的特徴を忠実に再現する、及びb)適切なGEMMにおける血液試料の連続的プロファイリングが、膵がん前駆病変PanINの検出に特異的な高感度且つ高特異的統合バイオマーカーパネルを開発するまたとない好機を提供するという仮説に基づく。ヒト患者PanINは主に腺がんと同時に検出されるため、これはヒト試料では不可能である。また、GEMMモデルがヒト膵腫瘍を特徴付ける組織学的病変を忠実に再現することに加えて、ヒト患者で観察されるものと極めてよく似た線維形成性間質及び炎症反応もまた呈することも強調しておく必要がある。従って、目標は、本バイオマーカーパネルが膵がん又は膵がんになる運命の前駆病変をその病変の切除によって根治が見込めると想定し得る場合に検出することのできる最も早期を同定することである。
対照野生型マウスに対してステージ分類されたPanIN病変(ステージ1〜3)を含むマウスから単離したプール血漿において、市販のELISAアッセイによりTFPIレベルを調べた。8匹のPanIN病変を含むKCマウス対3匹の野生型対照からの血漿において、TFPIレベルの有意な差が観察された(図)。結果から、TFPIを膵がん発症前の前駆病変の早期検出に使用し得ることが示された。
ここに開示され、及び特許請求される方法は全て、本開示を踏まえれば過度の実験なく作製及び実行することができる。本発明の組成物及び方法が好ましい実施形態に関連して説明されているが、当業者には、本明細書に記載される方法に、及び方法の工程又は一連の工程において、本発明の概念、趣旨及び範囲から逸脱することなく変形例を適用し得ることは明らかであろう。より具体的には、本明細書に記載される薬剤の代わりに、化学的にも生理学的にも関連性のある特定の薬剤が用いられてもよく、一方で同じ又は類似の結果が実現し得ることは明らかであろう。当業者に明らかなかかる類似の代替例及び改良例は全て、添付の特許請求の範囲により定義されるとおりの本発明の趣旨、範囲及び概念の範囲内にあると見なされる。
参考文献
以下の参考文献は、それが本明細書に示されるものを補足する例示的な手順上又は他の詳細を提供する限りにおいて、具体的に参照により本明細書に援用される。
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国際公開第2001014424号パンフレット
国際公開第2006/121168号パンフレット
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米国特許第8,354,509号明細書
米国特許第8,735,553号明細書
米国特許出願公開第2010/0093557号明細書
米国特許出願公開第2010/0190656A1号明細書
米国特許出願公開第20110008369号明細書
米国特許出願公開第2014022021号明細書
米国特許出願公開第20140294898号明細書
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Claims (87)

  1. 抗原TNC−FN III−C、TFPI、及びCA19−9の発現を計測するためのアッセイであって、
    (a)複数の抗原を抗TNC−FN III−C抗体、抗TFPI抗体、及び抗CA19−9抗体に接触させて抗原抗体複合体を形成すること;及び
    (b)前記抗体の各々に個別的に結合する検出可能部分を使用して前記抗原抗体複合体を検出することであって、それにより前記抗原TNC−FN III−C、TFPI、及びCA19−9の発現を計測すること
    を含むアッセイ。
  2. インビトロアッセイである、請求項1に記載のアッセイ。
  3. インビボアッセイである、請求項1に記載のアッセイ。
  4. 前記複数の抗原が生体試料から入手される、請求項1に記載の方法。
  5. 前記生体試料が、手術標本又は生検標本、パラフィン包埋組織、凍結組織インプリント、末梢血、尿、又は穿刺吸引物である、請求項4に記載の方法。
  6. 前記試料が血液試料である、請求項4に記載の方法。
  7. 前記血液試料が血漿試料である、請求項6に記載の方法。
  8. 前記生体試料が、がんのリスクがある対象又は遺伝性がんの家族歴を有する者から入手される、請求項4に記載の方法。
  9. 前記生体試料が50歳超の対象から入手される、請求項4に記載の方法。
  10. 前記対象が以前にがんと診断されたことがない、請求項8又は9に記載の方法。
  11. 前記対象が糖尿病及び/又は慢性膵炎の検査を受けたことがない、請求項10に記載の方法。
  12. 前記対象が糖尿病及び/又は慢性膵炎を有しないと確定されている、請求項10に記載の方法。
  13. 検出することが、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を実施することとして更に定義される、請求項1に記載の方法。
  14. 1、2、又は3つのELISAが実施される、請求項13に記載の方法。
  15. 前記ELISAがサンドイッチELISAである、請求項14に記載の方法。
  16. 前記サンドイッチELISAがマルチプレックスELISAであり、ここでは2又は3つの抗原が同時に検出される、請求項15に記載の方法。
  17. ステップ(a)の前記抗体が表面にコンジュゲートされる、請求項1に記載の方法。
  18. ステップ(a)後に洗浄して、抗原抗体複合体になっていない抗原を除去することを更に含む、請求項17に記載の方法。
  19. 前記洗浄ステップの後に前記3つの抗原の各々に特異的な検出抗体を加えることを更に含む、請求項18に記載の方法。
  20. 前記検出抗体がビオチン化される、請求項19に記載の方法。
  21. 検出することが、ストレプトアビジンコンジュゲートフルオロフォアを加えること、及び前記フルオロフォアを計測することを含む、請求項20に記載の方法。
  22. 前記試料が希釈されていない、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
  23. 前記試料が少なくとも50倍希釈される、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
  24. 前記検出可能部分が、ステップ(a)の前に前記抗体に結合される、請求項1に記載の方法。
  25. 前記検出可能部分が、蛍光プローブ、放射性プローブ、又は光増感剤を含む、請求項24に記載の方法。
  26. 前記蛍光プローブが、インドシアニングリーン(ICG)、フルオレセインイソチオシアネート(fluoresceine isothiocyanate)(FITC)、及び/又はIRDye800を含む、請求項25に記載の方法。
  27. 前記抗体に結合した前記検出可能部分が、光学イメージング、超音波、磁気共鳴画像法(MRI)、陽電子放射断層撮影法(PET)、単一光子放射型コンピュータ断層撮影法(SPECT)、又は光線療法によって検出される、請求項24に記載の方法。
  28. 前記複数の抗原が組織に含まれる、請求項24に記載の方法。
  29. 前記組織が腫瘍である、請求項28に記載の方法。
  30. 前記組織がヒト組織である、請求項28に記載の方法。
  31. 計測することが、前記3つの抗原の各々の発現を対照試料における発現と比較することを含む、請求項1に記載の方法。
  32. 前記対照試料が健常対象から単離される、請求項31に記載の方法。
  33. 前記対照試料が良性疾患対象から単離される、請求項31に記載の方法。
  34. 対照試料と比較したときの前記3つの抗原の発現の増加ががん又は前駆病変の存在を示す、請求項31〜33のいずれか一項に記載の方法。
  35. 前記がんが膵がんである、請求項34に記載の方法。
  36. 前記膵がんが早期膵がんである、請求項35に記載の方法。
  37. 前記早期膵がんがステージI又はステージII膵がんである、請求項36に記載の方法。
  38. 前記前駆病変が膵がん前駆病変(PanIN)である、請求項34に記載の方法。
  39. 前記ステージII膵がんがステージIIA又はステージIIB膵がんである、請求項37に記載の方法。
  40. 前記アッセイの特異度が少なくとも0.8である、請求項34〜39のいずれか一項に記載の方法。
  41. 前記アッセイの正確度が少なくとも0.7である、請求項34〜39のいずれか一項に記載の方法。
  42. 膵がんに関する画像診を実施することを更に含む、請求項34〜39のいずれか一項に記載の方法。
  43. 1つ以上の抗がん療法を対象に投与することを含む、対象の膵がんを処置する方法であって、前記対象は、抗原TNC−FN III−C、TFPI、及びCA19−9の発現が対照における前記抗原の発現と比較したとき増加していることが同定される、方法。
  44. 前記対照が健常対象である、請求項43に記載の方法。
  45. 前記抗原の前記発現増加が、前記対象から入手された試料でELISAを実施することにより決定される、請求項43に記載の方法。
  46. 前記抗原の前記発現増加が、請求項1に記載の方法に従い決定される、請求項43に記載の方法。
  47. 前記試料が血漿試料である、請求項45に記載の方法。
  48. 前記膵がんが早期膵がんである、請求項43〜47のいずれか一項に記載の方法。
  49. 前記1つ以上の抗がん療法が、化学療法、放射線療法、遺伝子療法、手術、ホルモン療法、抗血管新生療法、及び/又は免疫療法である、請求項43〜47のいずれか一項に記載の方法。
  50. 抗原TNC−FN III−C、TFPI、及びCA19−9に特異的な一組の抗体を含む膵がん検出用キット。
  51. (a)生体試料を入手すること;
    (b)前記生体試料を抗TNC−FN III−C抗体、抗TFPI抗体、及び抗CA19−9抗体に接触させること;及び
    (c)前記試料への前記抗TNC−FN III−C抗体、抗TFPI抗体、及び抗CA19−9抗体の結合を検出すること
    を含むがん細胞のインビトロ検出方法であって、対照と比較したときの前記3つの抗原の発現増加ががん細胞の存在を示す、方法。
  52. 前記生体試料が、手術標本又は生検標本、パラフィン包埋組織、凍結組織インプリント、末梢血、尿、又は穿刺吸引物である、請求項51に記載の方法。
  53. 前記試料が血液試料である、請求項4に記載の方法。
  54. 前記血液試料が血漿試料である、請求項53に記載の方法。
  55. 前記生体試料が、がんのリスクがある対象又は遺伝性がんの家族歴を有する者から入手される、請求項4に記載の方法。
  56. 前記生体試料が50歳超の対象から入手される、請求項4に記載の方法。
  57. 前記対象が以前にがんと診断されたことがない、請求項55又は56に記載の方法。
  58. 前記対象が糖尿病及び/又は慢性膵炎の検査を受けたことがない、請求項57に記載の方法。
  59. 前記対象が糖尿病及び/又は慢性膵炎を有しないと確定されている、請求項57に記載の方法。
  60. 検出することが、ELISAを実施することとして更に定義される、請求項1に記載の方法。
  61. 1、2、又は3つのELISAが実施される、請求項60に記載の方法。
  62. 前記ELISAがサンドイッチELISAである、請求項61に記載の方法。
  63. 前記サンドイッチELISAがマルチプレックスELISAであり、ここでは2又は3つの抗原が同時に検出される、請求項62に記載の方法。
  64. ステップ(a)の前記抗体が表面にコンジュゲートされる、請求項1に記載の方法。
  65. ステップ(a)後に洗浄して、抗原抗体複合体になっていない抗原を除去することを更に含む、請求項64に記載の方法。
  66. 前記洗浄ステップの後に前記3つの抗原の各々に特異的な検出抗体を加えることを更に含む、請求項65に記載の方法。
  67. 前記検出抗体がビオチン化される、請求項66に記載の方法。
  68. 検出することが、ストレプトアビジンコンジュゲートフルオロフォアを加えること、及び前記フルオロフォアを計測することを含む、請求項67に記載の方法。
  69. 前記試料が希釈されていない、請求項1〜59のいずれか一項に記載の方法。
  70. 前記試料が少なくとも50倍希釈される、請求項1〜59のいずれか一項に記載の方法。
  71. 計測することが、前記3つの抗原の各々の発現を対照試料における発現と比較することを含む、請求項1に記載の方法。
  72. 前記対照試料が健常対象から単離される、請求項71に記載の方法。
  73. 前記対照試料が良性疾患対象から単離される、請求項71に記載の方法。
  74. 前記がんが膵がんである、請求項34に記載の方法。
  75. 前記膵がんが早期膵がんである、請求項74に記載の方法。
  76. 前記早期膵がんがステージI又はステージII膵がんである、請求項75に記載の方法。
  77. 前記ステージII膵がんがステージIIA又はステージIIB膵がんである、請求項76に記載の方法。
  78. 抗原TFPIの発現を計測する方法であって、
    (a)複数の抗原を抗TFPI抗体に接触させて抗原抗体複合体を形成すること;及び
    (b)前記抗TFPI抗体に個別的に結合する検出可能部分を使用して前記抗原抗体複合体を検出することであって、それにより前記抗原TFPIの発現を計測すること
    を含み、対照と比較したTFPIの発現増加が前がん病変の存在を示した、方法。
  79. 前記前がん病変がPanIN病変である、請求項78に記載の方法。
  80. 前記検出することが、ELISAを実施することとして更に定義される、請求項78に記載の方法。
  81. 前記複数の抗原が生体試料から入手される、請求項78に記載の方法。
  82. 前記生体試料が、手術標本又は生検標本、組織、パラフィン包埋組織、凍結組織インプリント、末梢血、尿、又は穿刺吸引物である、請求項81に記載の方法。
  83. 前記血液試料が血漿試料である、請求項78に記載の方法。
  84. 前記生体試料が、がんのリスクがある対象又は遺伝性がんの家族歴を有する者から入手される、請求項78に記載の方法。
  85. 前記検出可能部分がステップ(a)の前に前記抗体にコンジュゲートされる、請求項78に記載の方法。
  86. 前記検出可能部分が、蛍光プローブ、放射性プローブ、又は光増感剤を含む、請求項85に記載の方法。
  87. 前記抗体に結合した前記検出可能部分が、光学イメージング、超音波、磁気共鳴画像法(MRI)、陽電子放射断層撮影法(PET)、単一光子放射型コンピュータ断層撮影法(SPECT)、又は光線療法によって検出される、請求項85に記載の方法。
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