JP2020507346A - ミセル触媒作用によってdnaコンジュゲートを合成する方法 - Google Patents

ミセル触媒作用によってdnaコンジュゲートを合成する方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、DNAコード化化合物ライブラリーの一部を形成し得るキメラコンジュゲート分子のミセル触媒作用による合成方法であって、DNAにカップリングした有機スターター分子を、ミセル内に位置する触媒を用いてミセル触媒作用によって別の有機化合物と反応させ、DNA識別子タグにカップリングした有機候補化合物のコンジュゲートを形成する、方法に関する。【選択図】図1

Description

本発明は、ミセル触媒作用によって別の有機化合物と反応して、DNA識別子タグにカップリングした有機候補化合物のコンジュゲートを形成する、DNAとカップリングした有機スターター分子(starter molecule)を用いたミセル触媒作用によってDNAコード化化合物ライブラリーの一部を形成するDNAコンジュゲートを合成する方法に関する。本発明は、このようにして得られたコンジュゲート分子、及び該コンジュゲートを含むDNAコード化化合物ライブラリー、並びに本発明の方法に使用されるミセル及び水分散液に更に関する。
DNAコード化化学ライブラリー(DNA-encoded chemical libraries;DECL)は、創薬のためのツールである。DECL技術は、前例のないサイズの化学ライブラリーの合成及びスクリーニングを適度なコストで可能にする。DECLは、増幅可能な識別バーコードとして働くDNA断片上の個々の小有機化学部分の提示を特徴とする。ヒット化合物をDNAバーコードのPCR増幅及びシークエンシングによって容易に同定し、定量化することができることから、DNAタグは、非常に多くの化合物(最大数十億もの分子)の同時スクリーニングを可能にする。幾つかのアプローチがDECLの作成に用いられている。調製的有機合成及びコード化工程を交互に行うコンビナトリアルミックス−スプリット(mix-and-split)合成戦略が最も一般的である。
ライブラリー合成の前提条件は、有機化学部分の合成に用いられる合成手法のDNAとの適合性である。現在、この要件を満たす反応手法は、極めて限られている。したがって、DECLは、或る特定の化合物空間(chemical space)に偏り、可能な限り広い化合物空間をカバーするようにスクリーニングライブラリーを設計する試みと相反する。DECL合成研究の現在の課題は、DNAに適合した方法で、その後のコンビナトリアルライブラリー合成の起点となる小さな幾何学的に定義された(厳格な)スキャフォールドのDNAコンジュゲートを提供する新規の合成スキームの開発である。
上記の不利点を克服するために、本願では、ミセル内に位置する触媒によるミセル触媒作用をDNAとカップリングした化合物の合成に用いた。化学変換時にDNAを触媒から保護する能力及び逆に触媒をDNAによる毒作用から保護する能力は、非常に大きな可能性を有する。DNA核酸塩基が複数の金属配位部位を有するため、DNAタグの存在下でクロスカップリング反応を行うことが困難であることがよく知られている。
本発明者らは、DNAに付着した小有機分子上でミセル触媒作用によって該DNAに影響を及ぼすことなく化学反応を行うことができることを見出した。この目的で、鈴木カップリング反応を触媒固定化ミセル触媒作用の実現可能性を実証する一例として用いた。詳細には、ミセルのコア内に位置する固定化触媒を用いたミセル触媒作用の概念実証を得るために、NHC−パラジウム触媒をDNAコード化化学のミセル触媒鈴木反応に用いた。
第1の態様では、本発明は、キメラコンジュゲート分子のミセル触媒作用による合成方法であって、該キメラコンジュゲート分子が、
(A)第1の小有機分子と第2の小有機分子とを反応させることによって得ることができる小有機候補化合物と、
(B)第1のDNA識別子タグと、
を含み、小有機候補化合物が第1のDNA識別子タグに共有結合でコンジュゲートしており、上記方法は、
(a)水性溶媒中で、
(1)第1のDNA識別子タグに共有結合でコンジュゲートした第1の小有機分子を含むコンジュゲート出発分子と、
(2)第1のDNA識別子タグに共有結合で連結した第1の小有機分子と反応して、キメラコンジュゲート分子を生じる第2の小有機分子と、
(3)親水性ブロック及び疎水性ブロックを含み、該疎水性ブロックが第1の小有機分子と第2の小有機分子との間の反応を触媒する触媒で官能基化された両親媒性ブロック共重合体と、
を合わせることで、連続相として水性溶媒を含む反応混合物を得ることと、
なお、両親媒性ブロック共重合体を、反応混合物中の該両親媒性ブロック共重合体の最終濃度が該両親媒性ブロック共重合体の臨界ミセル濃度(CMC)を超える量で添加する;
(b)工程(a)において得られる反応混合物を、両親媒性ブロック共重合体のミセル形成及びミセルの内部での第1の小有機分子と第2の小有機分子との間の反応を可能にする条件に供することと、
(c)キメラコンジュゲート分子を反応混合物から精製することと、
を含む、方法に関する。
様々な実施の形態では、上記方法は、(d)工程(c)において得られるキメラコンジュゲート分子の第1のDNA識別子タグを、第2のDNA識別子タグにライゲートする工程を更に含む。
他の様々な実施の形態では、第1のDNA識別子タグ及び/又は第2のDNA識別子タグは、少なくとも4ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも5ヌクレオチド長、少なくとも6ヌクレオチド長、少なくとも10ヌクレオチド長又は少なくとも14ヌクレオチド長である。
更に他の様々な実施の形態では、第1のDNA識別子タグは、小有機候補化合物にリンカー基、好ましくはポリ(エチレングリコール)リンカー基によって共有結合で連結する。
様々な実施の形態では、第1のDNA識別子タグ又はリンカー基は、小有機候補化合物にアミド結合によって共有結合で連結する。
更なる実施の形態では、本発明は、第1の小有機分子が0を超えるlog P(分配係数)値を有する方法に関する。
様々な実施の形態では、第2の小有機分子は、0を超えるlog P(分配係数)値を有する。
他の様々な実施の形態では、第1の小有機分子は、(ヘテロ)芳香族有機部分、好ましくは芳香族部分、より好ましくはフェニル部分であり、該(ヘテロ)芳香族部分が少なくとも1つのハロゲン置換基、好ましくは臭素又はヨウ素で置換される。より好ましい実施の形態では、第1の有機部分は、フェニルヨージド部分である。
更に他の様々な実施の形態では、第2の有機分子は、有機ボロン酸又はボロン酸エステル、好ましくは(ヘテロ)芳香族ボロン酸又はボロン酸エステル、アルケン又はアルキンからなる群より選択される。
上記方法の様々な実施の形態では、両親媒性ブロック共重合体は、疎水性ブロックとしてポリ(スチレン−co−N−ビニルイミダゾール)を含む。
上記方法の更に様々な実施の形態では、両親媒性ブロック共重合体は、ポリ(アクリル酸エステル)、ポリ(アクリル酸)又はポリ(アクリルアミド)、好ましくはポリ(アクリルアミド)を含む。
様々な実施の形態では、触媒は、遷移金属触媒、好ましくはパラジウム、又はスルホン酸等の酸性基である。より好ましい実施の形態では、触媒は、N−複素環カルベンパラジウム錯体である。
様々な実施の形態では、第1の小有機分子と第2の小有機分子との間の反応は鈴木反応又はヘック反応である。
他の様々な実施の形態では、工程(b)を高温、好ましくは20℃以上、より好ましくは40℃以上、更により好ましくは50℃以上、更により好ましくは60℃以上であるが、好ましくは95℃未満で行う。
更に他の様々な実施の形態では、工程(b)を少なくとも1時間、より好ましくは少なくとも2時間、更により好ましくは少なくとも4時間の期間にわたって行う。
様々な実施の形態では、第2の小有機分子を第1の小有機分子に対して少なくとも50倍、好ましくは少なくとも100倍モル過剰に使用する。
更なる実施の形態では、工程(c)は、キメラコンジュゲート分子をクロマトグラフィー又は沈殿によって精製することを含む。
更なる態様では、本発明は、外側親水性部分と内側疎水性部分とを有し、(a)各々が親水性ブロック及び疎水性ブロックを含む複数の両親媒性ブロック共重合体分子であって、複数の両親媒性ブロック共重合体分子の親水性ブロックがミセルの外側親水性部分を形成し、複数の両親媒性ブロック共重合体分子の疎水性ブロックがミセルの内側疎水性部分を形成する、複数の両親媒性ブロック共重合体分子と、(b)DNAが主にミセルの外側に位置し、小有機候補化合物がミセルの内側に位置するようにミセル内に挿入された小有機候補化合物を含む少なくとも1つのキメラコンジュゲート分子とを含むミセルに関する。
別の態様では、本発明は、(a)本発明の1つ以上のミセルと(b)連続水相とを含む分散組成物に関する。
また更なる態様では、本発明は、本発明の方法によって得ることができるキメラ化合物(DNAコード化有機化合物)に関する。
また別の態様では、本発明は、本発明の方法によって得ることができるキメラ化合物の少なくとも1つを含むDNAコード化化合物ライブラリーも包含する。
上記で開示される実施の形態の全ての組合せが本発明の範囲に含まれることも意図されると理解される。
非限定的な実施例及び添付の図面と併せて考慮される場合、本発明は、詳細な記載を参照することによって、より一層理解されるであろう。
ミセル形成を用いたDNAの保護の説明図である。 アミドカップリングにより出発物質を調製する合成スキームを示す図である。 カップリング試薬としてHATUを用いたアミド結合形成の機構を示す図である。 未反応の出発物質6のキャッピングを示す図である。 DNA沈殿の説明図である。 Glen−Pak(商標)カートリッジの写真である。 ミセル形成Pd触媒3を用いて触媒される、DNA−ビフェニルコンジュゲート4を生じる六量体DNA−フェニルヨージドコンジュゲート1aとフェニルボロン酸2とのミセル触媒鈴木反応を示す図である。 反応条件の最適化に関するデータを示す図である。 ボロン酸/エステルのスクリーニングを示す図である。 スクリーニングしたボロネート2a〜agを示す図である。 PEGリンカーを用いない鈴木反応を示す図である。 アクリル酸を用いたヘック反応を示す図である。 ミセル形成Pd触媒3を用いて触媒される、図示したDNA−ビフェニルコンジュゲートを生じる14量体DNA−フェニルヨージドコンジュゲートとフェニルボロン酸2とのミセル触媒鈴木反応の生成物、及び生成物のMALDI−MSスペクトルを示す図である。 a)DNAコンジュゲート4、b)スルホン酸固定化両親媒性ブロック共重合体の構造を示す図である。
本発明者らは、驚くべきことに、一方がDNAタグにカップリングした2つの小有機分子が、ミセル触媒作用系において反応を行う場合にDNAに影響を及ぼすことなく互いに反応し得ることを見出した。概して、DNAは、触媒によって誘導される化学的変化に対する感受性が高い。ミセル触媒作用系は、DNAと触媒との空間的分離によりDNAの化学安定性を保護することが可能である。したがって、化合物を合成する本方法は、DNAにカップリングした反応物質(educts)が関与する反応に用いることができる化合物空間を広くし、例えばより多様なDNAコード化化学ライブラリー(DECL)の合成に有用であり得る。
第1の態様では、本発明は、キメラコンジュゲート分子のミセル触媒作用による合成方法であって、該キメラコンジュゲート分子が、
(A)第1の小有機分子と第2の小有機分子とを反応させることによって得ることができる小有機候補化合物と、
(B)第1のDNA識別子タグと、
を含み、小有機候補化合物が第1のDNA識別子タグに共有結合でコンジュゲートしており、上記方法は、
(a)水性溶媒中で、
(1)第1のDNA識別子タグに共有結合でコンジュゲートした第1の小有機分子を含むコンジュゲート出発分子と、
(2)第1のDNA識別子タグに共有結合で連結した第1の小有機分子と反応して、キメラコンジュゲート分子を生じる第2の小有機分子と、
(3)親水性ブロック及び疎水性ブロックを含み、該疎水性ブロックが第1の小有機分子と第2の小有機分子との間の反応を触媒する触媒で官能基化された両親媒性ブロック共重合体と、
を合わせることで、連続相として水性溶媒を含む反応混合物を得ることと、
なお、両親媒性ブロック共重合体を、反応混合物中の該両親媒性ブロック共重合体の最終濃度が該両親媒性ブロック共重合体の臨界ミセル濃度(CMC)を超える量で添加する;
(b)工程(a)において得られる反応混合物を、両親媒性ブロック共重合体のミセル形成及びミセルの内部での第1の小有機分子と第2の小有機分子との間の反応を可能にする条件に供することと、
(c)キメラコンジュゲート分子を反応混合物から精製することと、
を含む、方法に関する。
「ミセル触媒作用」という用語は、本明細書で使用される場合、ミセルを形成することが可能な両親媒性物質、ここでは両親媒性ブロック共重合体を、ミセルが形成し、反応が該ミセルの環境で生じ得るように、その臨界ミセル濃度よりも高い濃度で添加することによる溶液中での化学反応に関する。特定の理論に束縛されることを望むものではないが、上記反応の発生は、例えばミセル中のより高濃度の反応物、種のより有利な配向及び溶媒和、又は界面活性剤集合体のミセル擬似相における速度定数の増大によるものであり得ると考えられる。
「キメラコンジュゲート分子」という用語は、本明細書で使用される場合、通例好ましくは共有結合によって、互いに化学的に連結した2つ以上のタイプの分子を含む化合物を指す。キメラコンジュゲート化合物は、核酸、好ましくはDNA部分に共有結合した小有機候補化合物を含む。核酸は一本鎖であっても又は二本鎖であってもよく、好ましくは一本鎖又は二本鎖DNAであり、より好ましくは二本鎖DNAである。安定性を増大するように修飾されたDNA誘導体も包含される。共有結合のタイプは、所望の結合化学に応じて異なり得る。好適な化学結合は、当該技術分野で既知であり、限定されるものではないが、アミド結合、ジスルフィド結合、チオエステル結合、トリアゾール結合及びエステル結合が含まれる。DNAがアミノ基で修飾され、これが次いでカルボキシル基等の有機分子上のアミノ反応性基と反応する方法が好ましい。核酸部分及び有機分子がアミド結合によって連結するのが好ましい。
「小有機候補化合物」という用語は、炭素系化合物、特に小有機分子を指す。有機候補化合物は、限定されるものではないが、薬剤活性、抗生物質活性、殺虫活性、除草活性又は抗真菌活性等の生物活性を示し得る。有機候補化合物は、芳香族脂環式環若しくは環系、又はそれぞれのヘテロアリール若しくは複素環構造等の(複素)環構造を含むのが好ましい。
「(複素)環式」という用語は本明細書で使用される場合、2個〜20個、好ましくは2個〜14個の環炭素原子を有し、任意にO、S及びNから選ばれる1個〜5個の環原子を含有する、アニール及び縮合した環系を含む芳香族又は非芳香族の飽和した単環式、又は二環式若しくは三環式等の多環式の環系を意味する。好適な複素環系の非限定的な例としては、フラニル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、ピラゾリル、ピロリル、ピリジル、ピリミジル、ピリダジニル、チアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チエニル、カルバゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、インドリル、キノリニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、イソキノリニル、イソインドリル、アクリジニル、又はベンゾイソオキサゾリル等が挙げられる。好適な複素環の非限定的な例としては、アジリジニル、ピペリジニル、ピロリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、モルホニリル、チオモルホニリル等も挙げられる。小有機候補化合物は概して、本発明の方法では第1の小有機分子と第2の小有機分子とを反応させることによって得ることができる。一実施形態では、小有機候補化合物は、リピンスキーのルールオブファイブに従う又は従わない小分子、(環状)ペプチド、それらの混合物を含む群から選択することができる。
「有機分子」は、本明細書で使用される場合、リピンスキーのルールオブファイブに従う又は従わない小分子等の異なるクラスの分子を指す可能性がある。
「第1及び/又は第2の有機分子」という用語との関連での「小(Small)」は、本明細書で使用される場合、2個以上の炭素原子かつ最大50個の炭素原子、より好ましくは最大30個、最大29個、最大28個、最大27個、最大26個、最大25個、最大24個、最大23個、最大22個、最大21個、最大20個、最大19個、最大18個、最大17個、最大16個又は最大15個の炭素原子からなる化合物に関する。他の様々な実施形態では、「小」有機分子は、多くとも1500ダルトン、好ましくは多くとも700ダルトン、より好ましくは多くとも500ダルトンの分子量を有する。
また更なる実施形態では、第1及び/又は第2の小有機分子は、0を超えるlog P(分配係数)値を有する。第1の小有機分子が0を超える、好ましくは0.5超、1.0超、2.0超又は3.0超のlog P値を有するのが好ましい。log P値は、下記に規定される。
第1及び第2の小有機分子は、互いに反応することによって所望の候補化合物が形成されるように選択される。これを達成するために、両方の分子を、所望の反応を生じさせる官能基を含む上記で規定される有機部分から選択することができる。かかる基としては、限定されるものではないが、ハロゲン基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボニル基、アミン基、スルホネート基、ホスホネート基等、またアミド基等の上述の組合せだけでなく、ビニル基、アリル基及びアルケニル基等の炭素二重結合及び炭素三重結合を有する基も挙げられる。化合物の骨格構造は、アルカン、シクロアルカン、アリール又はそのそれぞれのヘテロ変異体であり得る。
このため、様々な実施形態では、小有機分子を、各々が最大20個の炭素原子を有する、線状若しくは分岐状の置換若しくは非置換アルキル、線状若しくは分岐状の置換若しくは非置換ヘテロアルキル、線状若しくは分岐状の置換若しくは非置換アルケニル、線状若しくは分岐状の置換若しくは非置換ヘテロアルケニル、線状若しくは分岐状の置換若しくは非置換アルキニル、線状若しくは分岐状の置換若しくは非置換ヘテロアルキニル、置換若しくは非置換シクロアルキル、置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換アリール、又は置換若しくは非置換ヘテロアリール、線状若しくは分岐状の置換若しくは非置換アルキルアリール、線状若しくは分岐状の置換若しくは非置換ヘテロアルキルアリールからなる群より選択することができる。
「アルキル」という用語は、単独で又は別の置換基の一部として、特に明記しない限り、完全に飽和し、二価及び多価ラジカルを含んでいてもよく、指定の炭素原子数を有する(すなわち、C〜C10は、1個〜10個の炭素を意味する)、直鎖(すなわち、分岐していない)若しくは分岐鎖、又はそれらの組合せを意味する。飽和炭化水素ラジカルの例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、シクロヘキシル、(シクロヘキシル)メチル、シクロプロピルメチル等の基、例えばn−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル等の同族体及び異性体が挙げられるが、これらに限定されない。
「アルキレン」という用語は、単独で又は別の置換基の一部として、限定されるものではないが、−CHCHCHCH−等のアルキルに由来する二価ラジカルを意味する。通例、アルキル(又はアルキレン)基は、1個〜24個の炭素原子を有し、10個以下の炭素原子を有する基が本発明では好ましい。「低級アルキル」又は「低級アルキレン」は、概して8個以下の炭素原子を有する、より短鎖のアルキル又はアルキレン基である。
「ヘテロアルキル」という用語は、単独で又は別の用語と組み合わせて、特に明記しない限り、少なくとも1個の炭素原子と、O、N、P、Si及びSからなる群より選択される少なくとも1個のヘテロ原子とからなり、窒素原子及び硫黄原子が任意に酸化していてもよく、窒素ヘテロ原子が任意に四級化していてもよい、安定した直鎖若しくは分岐鎖、若しくは環式炭化水素ラジカル、又はそれらの組合せを意味する。ヘテロ原子O、N、P及びS及びSiは、ヘテロアルキル基の任意の内部位置、又はアルキル基が分子の残りの部分に付着した位置に位置することができる。例としては、−CH−CH−O−CH、−CH−CH−NH−CH、−CH−CH−N(CH)−CH、−CH−S−CH−CH、−CH−CH、−S(O)−CH、−CH−CH−S(O)−CH、−CH=CH−O−CH、−Si(CH、−CH−CH=N−OCH、−CH=CH−N(CH)−CH、−O−CH、−O−CH−CH及び−CNが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、−CH−NH−OCH及び−CH−O−Si(CHのように最大2個のヘテロ原子が連続していてもよい。同様に、「ヘテロアルキレン」という用語は、単独で又は別の置換基の一部として、限定されるものではないが、−CH−CH−S−CH−CH−及び−CH−S−CH−CH−NH−CH−等のヘテロアルキルに由来する二価ラジカルを意味する。ヘテロアルキレン基については、ヘテロ原子が鎖末端のいずれか又は両方を占めていてもよい(例えば、アルキレンオキシ、アルキレンジオキシ、アルキレンアミノ、アルキレンジアミノ等)。さらに、アルキレン及びヘテロアルキレン連結基については、連結基の式が表記される方向は、連結基の配向を意味するものではない。例えば、式−C(O)R’−は、−C(O)R’−及び−R’C(O)−の両方を表す。上記のように、ヘテロアルキル基は、本明細書で使用される場合、ヘテロ原子を介して分子の残りの部分に付着した基、例えば−C(O)R’、−C(O)NR’、−NR’R’’、−OR’、−SR’及び/又は−SOR’を含む。「ヘテロアルキル」が列挙され、続いて−NR’R’’等のような特定のヘテロアルキル基が列挙される場合、ヘテロアルキル及び−NR’R’’という用語が余分又は相互排他的ではないことが理解される。むしろ、特定のヘテロアルキル基は、明確さを増すために列挙される。このため、「ヘテロアルキル」という用語は、−NR’R’’等のような特定のヘテロアルキル基を除外するものとして本明細書で解釈すべきでない。
「シクロアルキル」及び「ヘテロシクロアルキル」という用語は、単独で又は他の用語と組み合わせて、特に明記しない限り、それぞれ「アルキル」及び「ヘテロアルキル」の環式バージョンを表す。付加的に、ヘテロシクロアルキルについては、ヘテロ原子は、複素環が分子の残りの部分に付着した位置を占めることができる。シクロアルキルの例としては、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−シクロヘキセニル、3−シクロヘキセニル、シクロヘプチル等が挙げられるが、これらに限定されない。ヘテロシクロアルキルの例としては、1−(1,2,5,6−テトラヒドロピリジル)、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−モルホリニル、3−モルホリニル、テトラヒドロフラン−2−イル、テトラヒドロフラン−3−イル、テトラヒドロチエン−2−イル、テトラヒドロチエン−3−イル、1−ピペラジニル、2−ピペラジニル等が挙げられるが、これらに限定されない。「シクロアルキレン」及び「ヘテロシクロアルキレン」は、それぞれシクロアルキル及びヘテロシクロアルキルに由来する二価ラジカルを指す。
「ハロ」又は「ハロゲン」という用語は、単独で又は別の置換基の一部として、特に明記しない限り、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を意味する。付加的に、「ハロアルキル」等の用語は、モノハロアルキル及びポリハロアルキルを含むことが意図される。例えば、「ハロ(C1〜C4)アルキル」という用語は、限定されるものではないが、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、4−クロロブチル、3−ブロモプロピル等を含むことが意図される。
「アリール」という用語は、特に明記しない限り、単環であっても、又は縮合した若しくは共有結合で連結した複数の環(好ましくは1つ〜3つの環)であってもよい多価不飽和芳香族炭化水素置換基を意味する。「ヘテロアリール」という用語は、窒素原子及び硫黄原子が任意に酸化し、窒素原子(複数の場合もある)が任意に四級化した、N、O及びSから選択される1個〜4個のヘテロ原子を含有するアリール基(又は環)を指す。ヘテロアリール基は、炭素又はヘテロ原子を介して分子の残りの部分に付着することができる。アリール基及びヘテロアリール基の非限定的な例としては、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、4−ビフェニル、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル、3−ピラゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、ピラジニル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、2−フェニル−4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、3−イソオキサゾリル、4−イソオキサゾリル、5−イソオキサゾリル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、2−フリル、3−フリル、2−チエニル、3−チエニル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジル、4−ピリミジル、5−ベンゾチアゾリル、プリニル、2−ベンズイミダゾリル、5−インドリル、1−イソキノリル、5−イソキノリル、2−キノキサリニル、5−キノキサリニル、3−キノリル及び6−キノリルが挙げられる。上述のアリール環系及びヘテロアリール環系の各々の置換基は、下記の許容可能な置換基の群から選択される。「アリーレン」及び「ヘテロアリーレン」は、それぞれアリール及びヘテロアリールに由来する二価ラジカルを指す。
「アリールアルキル」という用語は、アリール基がアルキル基(例えばベンジル、フェネチル、ピリジルメチル等)に付着したラジカルを含むことが意図される。「ヘテロアリールアルキル」という用語は、アルキル又はアリール部分(例えば、メチレン基)の1個以上の炭素原子が、例えば酸素原子に置き換えられた上記の基(例えばフェノキシメチル、2−ピリジルオキシメチル、3−(1−ナフチルオキシ)プロピル等)を含む。
ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル又はヘテロアリールが特定の数の成員を含む場合(例えば、「3員〜7員」)、「成員」という用語は、炭素又はヘテロ原子を指す。
上記の用語(例えば「アルキル」、「ヘテロアルキル」、「アリール」及び「ヘテロアリール」)は各々、指定のラジカルの置換及び非置換の両方の形態を含むことが意図される。各タイプのラジカルの好ましい置換基を下記に提示する。
アルキル、ヘテロアルキル、アルキレン、アルケニル、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル及びヘテロシクロアルケニルラジカルの置換基は、限定されるものではないが、0〜(2m’+1)(ここで、m’は、かかるラジカル中の炭素原子の総数である)の範囲の数の−OR’、=O、=NR’、=N−OR’、−NR’R’’、−SR’、−ハロゲン、−SiR’R’’R’’’、−OC(O)R’、−C(O)R’、−COR’、−CONR’R’’、−OC(O)NR’R’’、−NR’’C(O)R’、−NR’−C(O)NR’’R’’’、−NR’’C(O)R’、−NR−C(NR’R’’R’’’)=NR’’’’、−NR−C(NR’R’’)=NR’’’、−S(O)R’、−S(O)R’、−S(O)NR’R’’、−NRSOR’、−CN及び−NOから選択される様々な基の1つ以上であり得る。R’、R’’、R’’’及びR’’’’は各々、好ましくは独立して水素、置換若しくは非置換ヘテロアルキル、置換若しくは非置換シクロアルキル、置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換アリール(例えば、1つ〜3つのハロゲンで置換されたアリール)、置換若しくは非置換アルキル、アルコキシ若しくはチオアルコキシ基、又はアリールアルキル基を指す。本発明の化合物が2つ以上のR基を含む場合、R基は各々独立して選択される。R’基、R’’基、R’’’基及びR’’’’基についても、これらの基の2つ以上が存在する場合に同じことが当てはまる。R’及びR’’が同じ窒素原子に付着する場合、窒素原子と化合して4員、5員、6員又は7員の環を形成することができる。例えば、−NR’R’’は、限定されるものではないが、1−ピロリジニル及び4−モルホリニルを含むことが意図される。上記の置換基の論考から、「アルキル」という用語が、ハロアルキル(例えば、−CF及び−CHCF)及びアシル(例えば−C(O)CH、−C(O)CF、−C(O)CHOCH等)等の水素基以外の基に結合した炭素原子を含む基を含むことが意図されることが当業者には理解される。
アルキルラジカルについて記載した置換基と同様、アリール基及びヘテロアリール基の置換基は多様であり、例えば0から芳香環系上の空の原子価(open valences)の総数までの範囲の数のハロゲン、−OR’、−NR’R’’、−SR’、−ハロゲン、−SiR’R’’R’’’、−OC(O)R’、−C(O)R’、−COR’、−CONR’R’’、−OC(O)NR’R’’、−NR’’C(O)R’、−NR’−C(O)NR’’R’’’、−NR’’C(O)R’、−NR−C(NR’R’’R’’’)=NR’’’’、−NR−C(NR’R’’)=NR’’’、−S(O)R’、−S(O)R’、−S(O)NR’R’’、−NRSOR’、−CN及び−NO、−R’、−N、−CH(Ph)、フルオロ(C〜C)アルコキシ及びフルオロ(C〜C)アルキルから選択され、ここでR’、R’’、R’’’及びR’’’’は、好ましくは独立して水素、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換ヘテロアルキル、置換又は非置換シクロアルキル、置換又は非置換ヘテロシクロアルキル、置換又は非置換アリール、及び置換又は非置換ヘテロアリールから選択される。本発明の化合物が2つ以上のR基を含む場合、R基は各々独立して選択される。R’基、R’’基、R’’’基及びR’’’’基についても、これらの基の2つ以上が存在する場合に同じことが当てはまる。
「アルケン」という用語は、本明細書で使用される場合、炭素及び水素のみから構成され、1つの炭素炭素二重結合を有し、一不飽和炭化水素の化学式C2n(式中、nは少なくとも2に等しい)を有する分子を意味する。nが少なくとも3、4、5又は6に等しいのが好ましい。最も好ましくは、nは多くとも6である。
第1の小有機分子は、その位置がミセル内部であることを確実にするために所望の疎水性を有するように選択されるのが好ましい。このため、アルキル基及びアリール基等の疎水性構造要素、並びにハロゲン等の置換基が好ましい。鈴木反応及びヘック反応については、第1の小有機分子は、フェニル等のハロゲン置換アリール部分であるのが好ましい。
「DNA識別子タグ」という用語は、本明細書で使用される場合、上記で規定される小有機候補化合物に共有結合でカップリングし、キメラコンジュゲート分子を形成するDNA配列を指す。本明細書で区別なく用いられる「ヌクレオチド」、「核酸分子」又は「核酸配列」という用語は、DNA(デオキシリボ核酸)分子、RNA(リボ核酸)分子、又はDNA及びRNAの両方を含む分子、好ましくはDNAに関する。或る特定の実施形態では、DNA若しくはRNAの誘導体、又はその修飾変異体を使用してもよい。かかる誘導体は、核酸の安定性を増大する構造要素を含み得る。上記分子は、それらの自然な遺伝学的状況及び/又は背景とは独立して生じ得る。「核酸分子/配列」という用語は更に、一本鎖形態又は二本鎖ヘリックスのいずれかの、リボヌクレオシドのリン酸エステル重合体形態(アデノシン、グアノシン、ウリジン又はシチジン;「RNA分子」)若しくはデオキシリボヌクレオシドのリン酸エステル重合体形態(デオキシアデノシン、デオキシグアノシン、デオキシチミジン又はデオキシシチジン;「DNA分子」)、又はホスホロチオエート及びチオエステル等のそれらの任意のリン酸エステル類似体を指す。二本鎖DNA−DNA、DNA−RNA及びRNA−RNAヘリックスが可能である。「核酸分子」、特に「DNA」又は「RNA」分子という用語は、分子の一次及び二次構造のみを指し、いかなる特定の三次形態にも限定するものではない。第1及び/又は第2のDNA識別子タグは、下記の天然及び/又は非天然塩基を含み得る。DNA識別子タグは、二本鎖であっても又は一本鎖であってもよい。好ましい実施形態では、DNA識別子タグは二本鎖である。DNA識別子タグは、小有機候補化合物又はリンカー基に共有結合でコンジュゲートし、キメラコンジュゲート分子を形成する。小有機候補化合物又はリンカー基は、DNA識別子タグの3’末端又は5’末端に付着することができる。好ましい実施形態では、小有機候補化合物又はリンカー基は、DNA識別子タグの5’末端に付着する。
本明細書で区別なく用いられる「DNA」又は「デオキシリボ核酸」は、ヌクレオチドが糖である2’−デオキシリボースとアデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)及びチミン(T)から選択される塩基とを含有する、ヌクレオチドの鎖に関する。
本明細書で区別なく用いられる「塩基」又は「核酸塩基」という用語は、デオキシリボ核酸(DNA)及びリボ核酸(RNA)の基本構成要素であるヌクレオシド内の糖に連結して見られる窒素含有生体化合物(窒素塩基)に関する。塩基対を形成し、互いに積み重なるそれらの能力は、DNA及びRNAのらせん構造を直接もたらす。主要な、すなわち標準の核酸塩基は、シトシン(DNA及びRNA)、グアニン(DNA及びRNA)、アデニン(DNA及びRNA)、チミン(DNA)及びウラシル(RNA)(それぞれC、G、A、T及びUと略される)である。A、G、C及びTがDNA中に見られることから、これらの分子はDNA塩基と呼ばれ、A、G、C及びUはRNA塩基と呼ばれる。ウラシル及びチミンは、ウラシルが5’メチル基を欠くこと以外は同一である。アデニン及びグアニンは、プリン(Rと略される)と呼ばれる二重環状分子の群に属する。シトシン、チミン及びウラシルは全て、ピリミジン(Yと略される)である。遺伝コードの通常部分として機能しない他の塩基は、非標準と称される。第1の及び/又は第2のDNA識別子タグに含まれ得る核酸塩基は、チミン、シトシン、ウラシル、4−アセチルシチジン、5−(カルボキシヒドロキシメチル)ウリジン、2’−O−メチルシチジン、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリジン、5−カルボキシメチルアミノメチルウリジン、ジヒドロウリジン、2’−O−メチルシュードウリジン、1−メチルシュードウリジン、3−メチルシチジン、5−メチルシチジン、5−メチルアミノメチルウリジン、5−メトキシアミノメチル−2−チオウリジン、5−メトキシカルボニルメチル−2−チオウリジン、5−メトキシカルボニルメチルウリジン、5−メトキシウリジン、ウリジン−5−オキシ酢酸−メチルエステル、ウリジン−5−オキシ酢酸、シュードウリジン、2−チオシチジン、5−メチル−2−チオウリジン、2−チオウリジン、4−チオウリジン、5−メチルウリジン、2’−O−アルキルウリジン、2’−O−アルキルチミジン、2’−O−アルキルシチジン及び3−(3−アミノ−3−カルボキシ−プロピル)ウリジンである。
ミセル触媒作用のために本明細書で使用される第1の小有機分子は、任意の市販のDNA修飾因子によって修飾された一本鎖又は二本鎖DNA配列に接続する。これらの修飾因子は、例えばGlen Research又はIba-Lifesciencesによって市販されている。DNA識別子タグは、DNA識別子タグの5’末端、3’末端、又は任意の内部ヌクレオチドで修飾因子にカップリングしてもよいが、5’末端が好ましい。修飾因子は、ホスホロアミダイト法によってDNA配列に導入するのが好ましい。修飾因子は、アミン、カルボン酸、チオール、ハロゲン化物、マレイミド、アミノオキシ、アルデヒド又は末端アルキン等の反応性基を含有する。反応物、すなわち第1の小有機分子は、これらの修飾因子にアミド結合形成、(チオ)尿素合成、アルキル化、ディールス−アルダー反応、ヒドラジン形成及びアジド−アルキン環化付加によってカップリングし、コンジュゲート出発分子が得られる。
市販の修飾因子の例は、末端修飾因子である5’−アミノ−C(6)−ホスフェートリンカー、3’−アミノ−C(7)−ホスフェートリンカー、及び内部修飾因子であるアミノ−C6 dTである。好ましい実施形態では、修飾因子は、その非コンジュゲート末端にアミン基を含有し、末端又は内部ヌクレオチド、好ましくは末端ヌクレオチドの5’−ホスフェート、3’−ホスフェート又は2’−ホスフェートにカップリングした、1個〜20個の炭素原子を有する線状又は分岐状のアルキル基である。
「水性」という用語は、本明細書で使用される場合、組成物中に使用される溶媒が主に水であり、すなわち少なくとも50体積%の水を含むことを意味する。したがって、「水性」及び「水系(water-based)」は、同義語とみなすことができる。「水性溶媒」という用語は、本明細書で使用される場合、蒸留水、脱イオン水、滅菌水等の水、主溶媒として水を含む緩衝液又は塩溶液を指す。水性溶媒は任意に、1つ以上の溶解した添加剤及び/又は賦形剤、特に水と混和し、ミセル形成に悪影響を及ぼさない有機共溶媒を含む。好ましい実施形態では、水性溶媒は、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%又は少なくとも99%(体積%)の水を含む。
「コンジュゲート出発分子」という用語は、本明細書で使用される場合、第1のDNA識別子タグに共有結合でコンジュゲートした第1の小有機分子を含む分子を指し、第1の小有機分子及びDNA識別子タグは、上記のように規定される。コンジュゲート出発分子の例は、例えば国際公開第2017/108741号(その全体が引用することにより本明細書の一部をなす)に該出願全体を通して開示されている。より詳細には、好適なコンジュゲート出発分子は、上記出願の7頁の最終段落から9頁の第1段落に記載されている。
「反応した」は、本明細書で使用される場合、キメラコンジュゲート分子を生じる、第1のDNA識別子タグに共有結合で連結した第1の小有機分子と第2の小有機分子との間の化学反応を指す。該反応は下記の触媒によって触媒され、ミセル中で生じる。反応としては、更に限定されるものではないが、合成反応、分解反応、単一置換反応若しくは二重置換反応、例えば酸化及び還元反応、錯体形成反応、酸塩基反応、沈殿反応、固相反応、又は光化学反応を挙げることができる。
「ブロック共重合体」という用語は、本明細書で使用される場合、2つ以上の異なるタイプの単量体サブユニットを含む共重合体を指し、ここで、単量体サブユニットは、1つのタイプの単量体サブユニットのみを含有するブロックにまとめられる。これらのブロックは、同じ重合体鎖中で異なるサブユニットを含有する他のブロックに共有結合で付着し、ブロック共重合体の単量体サブユニットは、例えばミセルを形成することによって、同様の単量体サブユニットと組織化する単量体サブユニットの親和性の結果として相分離配置(phase-segregated arrangement)を受ける。本願の両親媒性ブロック共重合体は、親水性ブロック及び疎水性ブロックを含む。好ましい実施形態では、両親媒性ブロック共重合体は、ジブロック共重合体である。「ジブロック共重合体」という用語は、本明細書で使用される場合、各々が異なるタイプの単量体サブユニットを有する2つの異なるタイプのブロック(ここでは、疎水性ブロック及び親水性ブロック)のみが存在するブロック共重合体を指す。「両親媒性」という用語は、本明細書で使用される場合、不連続な疎水性領域及び親水性領域を有する三次元構造を説明するものである。両親媒性重合体は、重合体骨格に沿って疎水性要素及び親水性要素の両方の存在を必要とする。
両親媒性ブロック共重合体の疎水性ブロック及び親水性ブロックは、単量体サブユニットを含み、親水性ブロックは少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%若しくは少なくとも95%の親水性単量体サブユニットを含むか、又は親水性単量体サブユニットからなり、疎水性ブロックは少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%若しくは少なくとも95%の疎水性単量体サブユニットを含むか、又は疎水性単量体サブユニットからなる。好ましい実施形態では、疎水性ブロック及び/又は親水性ブロックは各々、少なくとも10個の単量体サブユニット、好ましくは少なくとも20個、少なくとも30個、少なくとも40個又は少なくとも50個の単量体サブユニットを含む。
それぞれの重合体ブロックを形成するために、それぞれのタイプの単量体サブユニットを重合する。
「親水性」又は「親水性ブロック」という用語は、本明細書で使用される場合、水に対して親和性を有する共重合体の一部を説明又は意味するものである。好ましい実施形態では、「親水性」は、単量体単位と関連して本明細書で使用される場合、1.0未満、好ましくは0.75未満、0.5未満、0.25未満又は0.1未満のlog Pを有する分子を指す。
好ましい実施形態では、親水性ブロックの単量体サブユニットは、エチレンオキシド等の親水性アルキレンオキシド、(メタ)アクリルアミド、並びにそれぞれのアルキル/ヘテロアリール基が、例えばヒドロキシル等の官能基で任意に置換された、その親水性誘導体、例えばそのN−(短鎖)アルキル/ヘテロアリール及びN,N−(短鎖)ジアルキル/ヘテロアリール誘導体(具体例としては、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−アクリロイルモルホリン、N−(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド、N−アクリロイルピロリジン、N−ビニルピロリドンが挙げられるが、これらに限定されない);エチレン性不飽和アンモニウム単量体、例えばジアリルジメチルアンモニウムクロリドをベースとした第四級アンモニウム系重合体;(メタ)アクリル酸、及びエチレンオキシド単位、又はスルホン化若しくはカルボキシル化アルキル基を有するもののようなその親水性エステル、例えば2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、アクリル酸メチルエステルメトキシエチレン、ポリエトキシ(10)エチルメタクリレート、2−スルホエチルメタクリレート、3−スルホプロピルアクリレート、3−スルホプロピルメタクリレート;アスパラギン酸、グルタミン酸、L−リシン等のアミノ酸;ビニルアルコール、酢酸ビニル及び親水性ビニル、並びにアリルエーテル、例えば2−エトキシエチルビニルエーテル、2−メトキシエチルビニルエーテル、メチルトリ(エチレングリコール)ビニルエーテル、メチルビニルエーテル、ナトリウム1−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルスルホネート;オキサゾリン、及び2−アルキル置換2−オキサゾリン、例えば2−メチル−2−オキサゾリン、2−エチル−2−オキサゾリン等のその誘導体;エチレンイミン;並びにスチレンカルボキシレート/スルホネートをベースとするもののような親水性スチレンからなる群より選択される。
したがって、親水性ブロックは、ポリオキシアルキレン、(ポリ)アクリル酸、又はその親水性エステル若しくはアミド、ビニルアルコール等を含み得る。例えば、(ポリ)乳酸、(ポリ)グリコール酸又はその共重合体も可能である。
好ましい実施形態では、下記の単量体サブユニットを重合して、両親媒性ブロック共重合体の疎水性ブロックを形成する。
「疎水性」又は「疎水性ブロック」という用語は、本明細書で使用される場合、水に対する親和性が欠如した共重合体の一部を説明又は意味するものである。
好ましい実施形態では、「疎水性」は、単量体単位と関連して本明細書で使用される場合、少なくとも1.0、好ましくは少なくとも1.5、少なくとも2.0、少なくとも2.5又は少なくとも3.0のlog Pを有する分子又は分子の部分を指す。
好ましい実施形態では、疎水性ブロック又は各重合体の疎水性単量体サブユニットは、(ポリ)スチレン及びその疎水性誘導体、例えばアルキル−スチレン、例えばtert−ブチルスチレン、スチレン−co−[p−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシ−1−トリフルオロメチル)エチルメチルスチレン;ポリオレフィン、例えばポリプロピレン、エチレン−co−ブチレン、イソブチレン;3個以上のC原子を有する単量体を有するポリオキシアルキレン、例えばプロピレンオキシド、ブチレンオキシド;2−R2−オキサゾリン(R=2個より多いC原子を有するアルキル);アルキル部分及びアリール部分及びC6+ヘテロアルキル部分(アルキル鎖中に1個以上のヘテロ原子を含む炭素原子6個以上のアルキル部分)を有する(メタ)アクリレート類、例えばt−ブチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソ−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソ−デシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、N(n−ドデシル)メタクリルアミド、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、1−ヘキサデシル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−ナフチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート(C16/C18の混合物)、tert−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジイソプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、シンナモイルエチル(メタ)アクリレート、t−アミル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノメチルエーテルモノ(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、2−(N−モルホリノエチル)(メタ)アクリレート、1,1,2,2−テトラヒドロペルフルオロオクチルアクリレート;ジエンに基づく重合体、例えばブタジエン、イソプレン、N,N−ジメチルアミノイソプレンに基づく重合体;γ−ベンジル−L−グルタメート;ε−カプロラクトン;シロキサン、例えばジメチルシロキサンメチルフェニルシラン;疎水性アクリルアミド、例えば長鎖(C6+)アルキルアクリルアミド、例えばN−(n−オクタデシル)アクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、3−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、アクリロニトリル;イソシアネートに基づく単量体、例えばヘキシルイソシアネート及びイソシアノジペプチドからなる群より選択される。
好ましい疎水性ブロックは、ポリスチレン、疎水性ポリアクリレート及びポリアクリルアミドを含む。
様々な実施形態では、両親媒性ブロック共重合体は、上記の疎水性ブロックの少なくとも1つと上記の親水性ブロックの少なくとも1つとからなる組合せである。
「触媒」は、本明細書で使用される場合、化学的方法又はプロセスを容易にする化学剤を指す。一実施形態では、この用語は、それ自体が影響を受けることなく化学反応を開始又は加速する物質を指す。触媒は、炭化水素、酸化剤、溶媒及び化学変換の他の成分の間の化学反応を容易にする。
好ましい実施形態では、触媒は有機触媒、(遷移)金属触媒又は金属ナノ粒子(複数の場合もある)からなる群より選択することができる。「有機触媒」という用語は、本明細書で使用される場合、反応を触媒することが可能な有機分子を含む。好ましい実施形態では、有機触媒は有機酸又は有機塩基を含む。
好ましい実施形態では、有機触媒は、アルカンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、カルボン酸、第三級アミン、第二級アミン、例えばプロリン誘導体、チオ尿素及びイミダゾリノンからなる群より選択される。有機触媒は、アミド結合、ジスルフィド結合、チオエステル結合及びエステル結合等の当該技術分野で既知の好適な化学結合によって疎水性ブロックにカップリングすることができる。好ましい実施形態では、有機触媒は、2個以上の炭素原子、好ましくは最大50個の炭素原子、より好ましくは最大30個、最大29個、最大28個、最大27個、最大26個、最大25個、最大24個、最大23個、最大22個、最大21個、最大20個、最大19個、最大18個、最大17個、最大16個又は最大15個の炭素原子からなる化合物に関し得る。他の様々な実施形態では、有機分子は、多くとも1500ダルトン、好ましくは多くとも700ダルトン、より好ましくは多くとも500ダルトンの分子量を有する。
「遷移金属触媒」という用語は、本明細書で使用される場合、第VIII族の金属又は銅の塩、カルボニル化合物、キレート、又は三価ドナー基を有する配位子を含む錯体を含む、第1及び第2の小有機分子の反応に有用な任意の遷移金属を意味する。第VIII族金属としては、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir又はPtが挙げられる。錯体触媒は、三価ドナー原子を有する配位子を含むものであり、1つ以上の配位子によって錯体形成した第VIII族金属から構成される。これらの錯体は、第VIII族金属化合物と三価ドナー原子を有する配位子との反応によって形成される。かかる三価ドナー原子としては、リン、窒素、ヒ素、アンチモン及びビスマスが挙げられる。これらのタイプの錯体は当業者に既知であり、最も一般的にはリン型配位子を伴う(R. F. Heck, Palladium Reagents in Organic Syntheses, Academic Press, N.Y., N.Y., 1985, pages 1-7、S. G. Davies, Organotransition Metal Chemistry Applications to Organic Syntheses, Pergamon Press, N.Y., N.Y., 1985, pages 13-17を参照されたい)。最も一般的なリン型配位子の例としては、ホスフィンが挙げられ、中でもトリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン、ジシクロヘキシルフェニルホスフィン、ジフェニレンフェニルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィン、トリ−(p−クロロフェニル)ホスフィン、トリス(p−メトキシフェニル)ホスフィン、ビス−(ジフェニルホスフィノ)メタン、1,2−ビス−(ジフェニルホスフィノ)エタン、ビス−(ジシクロヘキシルホスフィノ)エタン、ビス−(2−ジフェニルホスフィノエチル)フェニルホスフィン、1,1,1−トリス−(ジフェニルホスフィノメチル)エタン、トリス−(2−ジフェニルホスフィノエチル)ホスフィン、1,1,4,7,10,10−ヘキサフェニル−1,4,7,10−テトラホスファデカン及び1,1−ビス−(ジフェニルホスフィノ)フェロセンが好ましい。錯体触媒は、三価ドナー原子を有する配位子と共に使用される。好ましい配位子は、上記に挙げたようなホスフィン又はホスフィン誘導体である。本発明による方法に使用することができるホスフィン及び第VIII族金属の相対量は、ホスフィン化合物中のリンのモル数と第VIII族金属のモル数との比率として最もよく表現される。好ましい触媒は、Rh、Pd、Ir及びRuの塩、カルボニル化合物、キレート又は錯体である。特に好ましい触媒は、RhCl、PdCl、PdBr、IrCl、Pd(OOCCH、(RhCl(CO)、パラジウムビストリフェニルホスフィン、パラジウムトリストリフェニルホスフィン及びPd(OAc)である。
他の好ましい実施形態では、金属(イオン)触媒を両親媒性ブロック共重合体の親油性ブロックに接続するために使用される金属(イオン)触媒及び配位子は、下記の触媒及び配位子の任意の組合せである。金属(イオン)触媒は、Pd(0)、Pd(II)、Co(II)、Au(I)、Ag(I)、Cu(I)、Cu(II)、Ru(II)、Rh(III)、Co(III)及びYb(III)からなる群より選択することができる。配位子は、N−複素環カルベン、ホスフィン誘導体、ホスフィン/窒素誘導体、サレン(salene)誘導体、ピリジン及びビピリジン誘導体、1,3−オキサゾリジン誘導体、ピラジニル誘導体、カンファー誘導体及びオキサゾリン誘導体からなる群より選択することができる。
第1の小有機分子と第2の小有機分子との間の反応を触媒する好ましい金属ナノ粒子は、金属成分としてのパラジウム、白金、金、銅、ルテニウム、ロジウム、鉄、コバルト、及びN複素環カルベン配位子誘導体又はホスフィン配位子誘導体をベースとした金属ナノ粒子である。「ナノ粒子」という用語は、本明細書で使用される場合、ナノスケール寸法の複合構造を示す。特に、ナノ粒子は通例、約1nm〜約1000nmの範囲のサイズの粒子であり、通常は球状であるが、ナノ粒子の組成に応じて異なる形態が可能である。ナノ粒子の外部の環境と接触するナノ粒子の部分は概して、ナノ粒子の表面とされる。本明細書に記載のナノ粒子では、サイズ制限を二次元に限定することができるため、本明細書に記載のナノ粒子は、約1nm〜約1000nmの直径を有する複合構造を含み、比直径は、ナノ粒子の組成及び実験的設計に応じたナノ粒子の使用目的によって異なる。例えば、適用されるナノ粒子は通例、約200nm以下、特に約1nm〜約100nmの範囲のサイズを有する。
「官能基化」は、触媒及び疎水性ブロックとの関連において本明細書で使用される場合、疎水性ブロックが触媒を含み、触媒が重合体の疎水性ブロックに結合していることを意味する。これにより触媒がミセル内部に局在化することが確実となる。疎水性ブロック及び触媒の例は、上記に提示されている。好ましい実施形態では、疎水性重合体ブロックは、(a)有機触媒、(b)遷移金属触媒と錯体形成する配位子、又は(c)触媒として機能する金属ナノ粒子に配位する官能基に共有結合する。
本明細書で使用される場合、「連続相」は、エマルション又は分散液中の分散不連続相の外部の相を指す。連続相は水性溶媒によって形成され、分散相はミセルを含む。
本明細書で使用される場合、「臨界ミセル濃度」すなわち「CMC」は、付加的な共重合体が実質的にミセルを形成する両親媒性ブロック共重合体の濃度を指す。通例、実質的にミセルが検出されなくなるまでの限界と実質的に全ての付加的な共重合体分子がミセルを形成するようになるまでの限界とを隔てる濃度範囲は比較的狭い。界面活性剤溶液(ここでは共重合体を界面活性剤と仮定することができる)の多くの特性が、濃度に対してプロットした場合、異なる比率でこの範囲の上下に変化するようである。この範囲の上下のかかる特性の位置を交差するまで外挿することにより、臨界ミセル化濃度又は臨界ミセル濃度(CMC)として知られる値を得ることができる。CMC値は、表面張力が安定化する濃度とみなすこともできる。さらに、界面活性剤のCMC値は、液体溶媒によって異なり得る。このため、界面活性剤のCMC値は、通例純水中で見られるCMC値とは異なる可能性がある。CMCを決定する方法は、当該技術分野で既知である。ミセルの形成に影響を与え得る界面活性剤濃度以外の他のパラメーターは、溶媒、温度、大気圧等であるが、これらに限定されない。これら全てのパラメーターが「ミセル形成を可能にする条件」をなすが、界面活性剤の濃度(すなわち、CMC)が最も重要であり、影響力が大きい可能性がある。一部の実施形態では、コンジュゲート出発分子及び/又は第2の小有機分子をトルエン等の有機溶媒に溶解した後、それらを他の成分と組み合わせて、ミセルを形成する。
「精製する」という用語は、本明細書で使用される場合、1つ以上の汚染物質、例えば未反応の反応物質又は中間化合物を反応混合物から除去することによって、反応混合物中のキメラコンジュゲート分子の純度を増大することを指す。汚染物質の「除去」は、完全な除去でなくてもよい。本願に従う「精製された」キメラコンジュゲート分子は通例、精製後の残存反応混合物の少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも80重量%、少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%又は少なくとも99重量%である。
好ましい実施形態では、触媒(並びに第1及び第2の小有機分子)は、指定の反応を触媒することが表1中に示される触媒(並びに第1及び第2の小有機分子)の群から選択される。
Figure 2020507346
Figure 2020507346
ここで、
Figure 2020507346
は、リンカー基は存在しない(nothing)か、各々が最大24個、好ましくは最大20個、より好ましくは最大18個の炭素原子を有する、線状若しくは分岐状の置換若しくは非置換アルキル、線状若しくは分岐状の置換若しくは非置換ヘテロアルキル、線状若しくは分岐状の置換若しくは非置換アルケニル、線状若しくは分岐状の置換若しくは非置換ヘテロアルケニル、線状若しくは分岐状の置換若しくは非置換アルキニル、線状若しくは分岐状の置換若しくは非置換ヘテロアルキニル、置換若しくは非置換シクロアルキル、置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換アリール、又は置換若しくは非置換ヘテロアリール、線状若しくは分岐状の置換若しくは非置換アルキルアリール、線状若しくは分岐状の置換若しくは非置換ヘテロアルキルアリールからなる群より選択され、
R、R、R、R、R、R、R及びRは独立して、各々が最大24個、好ましくは最大20個、より好ましくは最大18個の炭素原子を有する、線状若しくは分岐状の置換若しくは非置換アルキル、線状若しくは分岐状の置換若しくは非置換ヘテロアルキル、線状若しくは分岐状の置換若しくは非置換アルケニル、線状若しくは分岐状の置換若しくは非置換ヘテロアルケニル、線状若しくは分岐状の置換若しくは非置換アルキニル、線状若しくは分岐状の置換若しくは非置換ヘテロアルキニル、置換若しくは非置換シクロアルキル、置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換アリール、又は置換若しくは非置換ヘテロアリール、線状若しくは分岐状の置換若しくは非置換アルキルアリール、線状若しくは分岐状の置換若しくは非置換ヘテロアルキルアリールからなる群より選択される置換基であり、
Figure 2020507346
は、本明細書で規定されるDNA識別子タグであり、
「アリール」は、本明細書で規定される通りである。
好ましい実施形態では、
Figure 2020507346
は、最大20個の炭素原子を有する線状若しくは分岐状の置換若しくは非置換アルキル又は結合である。
「アルキン−アルデヒド−アミン三成分反応」という用語は、本明細書で使用される場合、反応物質(1)
Figure 2020507346
、(2)
Figure 2020507346
及び(3)
Figure 2020507346
が、
Figure 2020507346
へと変換される化学反応を指し、ここでR、R及びRは、上記で規定されるR、R及びRと同様であり、R、R及びRの少なくとも1つが本明細書に記載されるDNA識別子タグを含む。好ましい実施形態では、アルキン−アルデヒド−アミン三成分反応に使用される触媒は、Au(I)である。
「アゾメチンイリドと親双極子との3+2環化付加」という用語は、本明細書で使用される場合、反応物質(1)
Figure 2020507346
及び(2)
Figure 2020507346
が、
Figure 2020507346
へと変換される化学反応を指し、ここでR、R、R、R及びRは、上記で規定されるR、R、R、R及びRと同様であり、R、R、R、R又はRの少なくとも1つが本明細書に記載されるDNA識別子タグを含む。好ましい実施形態では、アゾメチンイリドと親双極子との3+2環化付加に使用される触媒は、Ag(I)又はCu(I)である。
「アルコールのアルデヒドへの酸化」という用語は、本明細書で使用される場合、(末端)アルコール基を有し、上記で規定されるリンカー基及びDNA識別子タグを含む分子が、(末端)アルデヒド基を有し、上記で規定されるリンカー基及びDNA識別子タグを含む分子へと酸化される化学反応を指す。該反応、特にその反応物質及び生成物は、H. Sand, R. Weberskirch, RSC Adv. 2015, 5, 38235-38242(引用することにより本明細書の一部をなす)に規定されている。好ましい実施形態では、アルコールのアルデヒドへの酸化は、Cu(II)によって触媒される。
「閉環メタセシス」という用語は、本明細書で使用される場合、2つの末端アルケンが反応してシクロアルカンを形成する化学反応を指す。2つのアルケンの少なくとも1つ及びシクロアルカンが上記のリンカー基及びDNA識別子タグを含む。好ましい実施形態では、閉環メタセシスは、Cu(II)によって触媒される。
「C−H結合官能基化/付加/環化カスケードによるインダゾールの合成」という用語は、本明細書で使用される場合、リンカー基及びDNA識別子タグを含む末端アルデヒドが、表1に記載されるアニリン誘導体と反応して、表1に記載されるリンカー基及びDNA識別子タグを含むインダゾール誘導体を形成する化学反応を指す。好ましい実施形態では、C−H結合官能基化/付加/環化カスケードによるインダゾールの合成は、Co(III)によって触媒される。
「アルドール反応」という用語は、本明細書で使用される場合、DNA識別子タグ及びリンカー基を含むβ−ヒドロキシカルボニル化合物(アルドール)を形成する、アルデヒド及びカルボニル基を含む化合物からなる群より選択される2つの反応物質の化学反応を指し、ここで、反応物質の少なくとも1つが本明細書に記載されるDNA識別子タグ及びリンカー基を含む。好ましい実施形態では、アルドール反応は、第二級又は第三級アミンによって触媒される。
「Boc脱保護」という用語は、本明細書で使用される場合、DNA識別子タグ及びリンカー基を含むアミンを形成する、DNA識別子タグ及びリンカー基を付加的に含むN−tert−ブトキシカルボニルを含む化合物の化学反応を指す。好ましい実施形態では、Boc脱保護は、アルカンスルホン酸又はベンゼンスルホン酸によって触媒される。
「ピクテ−スペングラー反応」は、トリプタミン等のβ−アリールエチルアミンがアルデヒド又はケトンとの縮合後に閉環を受ける化学反応である。したがって、反応物質はβ−アリールエチルアミン及びアルデヒド又はケトンであり、反応物質の少なくとも1つがDNA識別子タグ及びリンカー基を含む。生成した複素環もDNA識別子タグ及びリンカー基を含む。好ましい実施形態では、ピクテ−スペングラー反応は、アルカンスルホン酸又はベンゼンスルホン酸によって触媒される。
「ディールス−アルダー反応」という用語は、本明細書で使用される場合、コンジュゲートしたジエン及び置換アルケンが反応して置換シクロヘキセンを形成する化学反応を指す。反応物質の少なくとも1つ及び置換シクロヘキセン生成物がDNA識別子タグ及びリンカー基を含む。好ましい実施形態では、置換基は窒素である。より好ましい実施形態では、置換アルケンは、表1に記載される化合物である。さらに、他の好ましい実施形態では、ディールス−アルダー反応は、Yb(III)又はチオ尿素によって触媒される。
様々な実施形態では、上記方法は、(d)工程(c)において得られるキメラコンジュゲート分子の第1のDNA識別子タグを、第2のDNA識別子タグにライゲートする工程を更に含む。
「ライゲートする」は、本明細書で使用される場合、別個の一本鎖ポリヌクレオチドが互いに接合して単一分子を形成することを指す。これは排他的というわけではないが、一般にリガーゼを用いて達成される。「DNAリガーゼ」という用語は、本明細書で使用される場合、2つの異なるDNA鎖間の共有ホスホジエステル結合の形成、すなわちライゲーション反応を触媒する酵素のファミリーを指す。2つの原核生物DNAリガーゼ、すなわちATP依存性T4 DNAリガーゼ(T4ファージから単離される)、及び大腸菌(E. coli)に由来するNAD依存性DNAリガーゼが、分子生物学用途において必須のツールとなっている。どちらの酵素も、一方のポリ核酸の3’−ヒドロキシル基と、第2のポリ核酸の5’−ホスホリル基との間でのホスホジエステル結合の合成を、例えばどちらも第3のDNA鎖にハイブリダイズする2つの鎖間のニックで触媒する。このファミリーの酵素によって触媒されるライゲーション反応の機構は通例、3つの酵素段階を必要とする。最初の段階は、ATP又はNADのいずれかのα−ホスホリル基の攻撃を伴い、リガーゼ−アデニレート中間体の形成(AMPは、酵素のリシン残基に共有結合で連結する)、及びピロホスフェート(PP)又はニコチンアミドモノヌクレオチド(NAD)のいずれかの同時放出を生じる。酵素反応の第2の段階では、AMPが一方のDNA鎖の遊離5’ホスフェート末端の5’末端に転移され、DNA−アデニレートの中間体種を形成する。最終段階では、リガーゼが第2のDNA鎖の3’ヒドロキシル基によるDNA−アデニレート中間体種の攻撃を触媒し、ホスホジエステル結合の形成及び2つのDNA鎖間のニックの封着、並びにAMPの同時放出を生じる。関連酵素ファミリーであるRNAリガーゼは、類似の方法でRNA又はDNAにハイブリダイズしたニックRNA末端のライゲーションを触媒する。T4 DNAリガーゼは、少なくともUSB及びNew England Biolabsから市販されている。RNAリガーゼは、一本鎖DNAを一本鎖RNAにRNAの3’末端で容易にライゲートすることができる。RNAリガーゼは、RNAの5’末端をRNAの3’末端に容易にライゲートすることもできる。本明細書に記載のライゲーション反応は概して、市販され、New England Biolabs, Inc.のカタログに記載されているようなリガーゼを用いて達成される。リガーゼとしては、T4 RNAリガーゼ1及びT4 RNAリガーゼ2切断型等のATPを必要とするRNAリガーゼ、並びに実施例に記載されるT4 RNAリガーゼ2の突然変異体が挙げられる。
他の様々な実施形態では、第1のDNA識別子タグ及び/又は第2のDNA識別子タグは、少なくとも4ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも5ヌクレオチド長、少なくとも6ヌクレオチド長、少なくとも10ヌクレオチド長又は少なくとも14ヌクレオチド長である。
更に他の様々な実施形態では、第1のDNA識別子タグは、小有機候補化合物にリンカー基、好ましくはポリ(エチレングリコール)リンカー基によって共有結合で連結する。
本明細書で区別なく用いられる「リンカー」又は「リンカー基」という用語は、第1のDNA識別子タグを小有機候補化合物へと架橋する任意の作用物質又は分子を指す。このリンカーは、上記分子から化学的手段、酵素的手段によって、又は自然に除去され得る。一部の実施形態では、リンカーは、薬理学的に不活性であっても、又はそれ自体が追加の有益な薬理活性をもたらしてもよい。「スペーサー」という用語がリンカーの同義語として区別なく使用される場合もある。本開示において使用されるリンカーは、例えば脂質、ポリペプチド、オリゴヌクレオチド、重合体等を含み得る。2つ以上のリンカーが使用され得ることも本発明の範囲内である。例えば、第1のリンカーを第1のDNA識別子タグに付着させ、続いて第2のリンカーを第1のリンカーに付着させることができる。第3のリンカーを第2のリンカーに付着させること等もできる。
様々な実施形態では、第1のDNA識別子タグ又はリンカー基は、小有機候補化合物にアミド結合によって共有結合で連結する。
更なる実施形態では、本発明は、第1の小有機分子が0を超えるlog P(分配係数)値を有する方法に関する。
様々な実施形態では、第2の小有機分子は、0を超えるlog P(分配係数)値を有する。
本明細書で区別なく用いられる「分配係数」又は「P」は、平衡状態での多相系の2つ以上の相における化合物の化学的活性又は濃度の比率によって規定される係数を指す。例えば、二相系における分析物の分配係数(P)は、第1の相における分析物の濃度と第2の相における濃度との比率として規定することができる。多相系については、複数の分配係数が存在し得るが、各分配係数が第1の選択相及び第2の選択相における種の比率を規定する。任意の多相系における分配係数の総数が相の総数−1に等しいことが認識される。系の相が明示的に示されない場合、分配係数は、オクタノール/水分配係数であることが意図される。また、比率の対数は「log P」である。溶媒の一方が水であり、他方がオクタノール等の非極性溶媒である場合、log P値が親油性又は疎水性の尺度となる。規定の前例は、親油性及び親水性相型について常にそれぞれ分子及び分母に見られる。例えば、n−オクタノール(以下、単に「オクタノール」)及び水の二相系においては、
Figure 2020507346
となる。
好ましい実施形態では、第1の小有機分子のlog P値は0超、0.5超、1超、1.5超、2超、2.5超、3超、3.5超、4超、4.5超、5超、5.5超又は6超である。
第2の有機分子は、第1の小分子と同様に疎水性であり得るが、このことは、第2の小分子が同様にミセル内に入ることを確実にし得るその高い濃度ほど重要ではない。好ましい実施形態では、第2の有機分子は、少なくともその相当部分、例えば分子の総数の少なくとも10%がミセル内に位置するのに十分に疎水性である。ミセル内に位置する割合がより高いのが好ましい。好ましい実施形態では、第2の小有機分子のlog P値も、0超、0.5超、1超、1.5超、2超、2.5超、3超、3.5超、4超、4.5超、5超、5.5超又は6超である。
様々な実施の形態では、第1の小有機分子は、(ヘテロ)芳香族有機部分、好ましくは芳香族部分、より好ましくはフェニル部分であり、該(ヘテロ)芳香族部分が少なくとも1つのハロゲン置換基、好ましくは臭素又はヨウ素で置換される。より好ましい実施形態では、第1の有機部分は、フェニルヨージド部分である。
特に指定のない限り、「複素芳香族」という用語は、本明細書で使用される場合、単独で又は別の基の一部として、窒素、酸素又は硫黄等の1個、2個、3個又は4個のヘテロ原子を含む5員又は6員の芳香環、及びアリール環、シクロアルキル環、ヘテロアリール又はシクロヘテロアルキル環(例えばベンゾチオフェニル、インドール)と縮合したかかる環を指し、可能なN−オキシドを含む。複素芳香族化合物は、1つ〜4つの置換基、例えば上記に提示されるアルキル置換基又はアリール置換基のいずれかで任意に置換されていてもよい。ヘテロアリール基の例としては、以下のもの:
Figure 2020507346
等が挙げられる。
「芳香族部分」という用語は、本明細書で使用される場合、その当該技術分野において認識されている範囲に従って理解すべきであり、置換及び非置換の単核及び多核部分を含む。ヘテロ原子を有する芳香族性の部分も有用である。
本開示に使用することができる置換芳香族化合物は、芳香核に直接結合した少なくとも1つの水素原子を有するものとする。芳香環は、1つ以上のアルキル、アリール、アルカリル、アルコキシ、アリールオキシ、シクロアルキル及びハロゲン化物で置換されていてもよい。
本開示に使用することができる好適な芳香族部分としては、ベンジル、ナフチル、アントリル、ナフタセニル、ペリレニル、コロネニル(coronenyl)及びフェナントレニルが挙げられる。
本開示に使用され得る好適なアルキル置換された芳香族部分としては、トルエニル、キシレニル、イソプロピルベンジル、プロピルベンジル、α−メチルナフチル、エチルベンジル、メシチレニル、ドゥレニル(durenyl)、ブチルベンジル、シュードクメニル、o−ジエチルベンジル、m−ジエチルベンジル、p−ジエチルベンジル、イソアミルベンジル、イソヘキシルベンジル、ペンタエチルベンジル、ペンタメチルベンジル、1,2,3,4−テトラエチルベンジル、1,2,3,5−テトラメチルベンジル、1,2,4−トリエチルベンジル、1,2,3−トリメチルベンジル、m−ブチルトルエニル、p−ブチルトルエニル、3,5−ジエチルトルエニル、o−エチルトルエニル、p−エチルトルエニル、m−プロピルトルエニル、4−エチル−m−キシレニル、ジメチルナフチル、エチルナフチル、2,3−ジメチルアントラセニル、9−エチルアントラセニル、2−メチルアントラセニル、o−メチルアントラセニル、9,10−ジメチルフェナントレニル、及び3−メチル−フェナントレニルが挙げられる。より高分子量のアルキル芳香族炭化水素を用いることもでき、オレフィンオリゴマーとの芳香族炭化水素のアルキル化によって生成するもののような芳香族炭化水素が含まれる。かかる生成物は、当該技術分野でアルキレートと称されることが多く、ヘキシルベンジル、ノニルベンジル、ドデシルベンジル、ペンタデシルベンジル、ヘキシルトルエニル、ノニルトルエニル、ドデシルトルエニル、ペンタデシルトルエニル等が含まれる。
「フェニル」という用語は、本明細書で使用される場合、非置換のフェニルラジカル、又は反応性でないか、若しくはそうでなければ条件若しくは反応下で干渉性の任意のラジカル(単数又は複数)、例えば低級アルキル、低級アルコキシ、トリフルオロメチル、ブロモ、クロロ、フルオロ、ニトロ等によって置換されたフェニルラジカルを包含する。置換フェニルラジカルは、好ましくは上記に提示されるもの等の置換基を1つ〜3つしか有さず、さらに、これらの置換基は、フェニル核の様々な利用可能な位置に存在することができ、2つ以上の置換基が存在する場合、同じであっても又は異なっていてもよく、互いに様々な位置の組合せであってもよい。低級アルキル置換基及び低級アルコキシ置換基は各々、好ましくは1個〜24個の炭素原子を有し、これらは直鎖又は分岐鎖として配置され得る。好ましい置換基の例は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フルオロ、ブロモ、ヨード、クロロ、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ及びトリフルオロメチルラジカルである。
更に他の様々な実施形態では、第2の有機分子は、有機ボロン酸又はボロン酸エステル、好ましくは(ヘテロ)芳香族ボロン酸又はボロン酸エステル、アルケン又はアルキンからなる群より選択される。より好ましい実施形態では、第2の有機分子は、ピリミジン環を含有するボロン酸、チオフェンを含有するボロン酸及びアリールボロン酸からなる群より選択される。
「有機臭素酸」という用語は、本明細書で使用される場合、少なくとも1つのブロモ置換基を含む乳酸(2−ヒドロキシプロピオン酸)、コハク酸、フランジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、クエン酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、アクリル酸、シュウ酸及びグルコン酸等の有機酸を指す。「有機臭素酸エステル」という用語は、本明細書で使用される場合、少なくとも1つのブロモ置換基を含む、カルボン酸とアルコールとの反応によって形成される有機基等の有機エステルを指す。好ましい実施形態では、有機臭素酸及び/又は有機臭素酸エステルは、1つのブロモ置換基を有する。
上記方法の様々な実施形態では、両親媒性ブロック共重合体は疎水性ブロックとしてポリ(スチレン−co−N−ビニルイミダゾール)を含む。
上記方法の更なる様々な実施形態では、両親媒性ブロック共重合体はポリ(アクリル酸エステル)、ポリ(アクリル酸)又はポリ(アクリルアミド)、好ましくはポリ(アクリルアミド)を含む。
様々な実施形態では、触媒は、遷移金属触媒、好ましくはパラジウム、又はスルホン酸等の酸性基である。より好ましい実施形態では、触媒は、N−複素環カルベンパラジウム錯体である。
「遷移金属」という用語は、本明細書で使用される場合、最新のIUPACナンバリングの第3族〜第12族の元素の同義語である。遷移金属の例は銅(Cu)、銀(Ag)及び金(Au)である。
「酸性基」は、本明細書で使用される場合、電子対を受け取って配位結合を形成することができる基を意味し、塩基性基は、本明細書で使用される場合、電子対を供与して配位結合を形成することができる基を意味する。
様々な実施形態では、第1の小有機分子と第2の小有機分子との間の反応は鈴木反応又はヘック反応である。
「鈴木反応」という用語は、本明細書で使用される場合、パラジウム(0)又はパラジウム(II)錯体によって触媒される、カップリングパートナーがボロン酸及び有機ハロゲン化物であるカップリング反応を指す。
「ヘック反応」という用語は、本明細書で使用される場合、置換アルケンを形成する、塩基及びパラジウム(0)又はパラジウム(II)錯体等のパラジウム触媒(又はパラジウムナノ材料系の触媒)の存在下での不飽和ハロゲン化物(又はトリフレート)とアルケンとの化学反応である。
他の様々な実施形態では、工程(b)を高温、好ましくは20℃以上、より好ましくは40℃以上、更により好ましくは50℃以上、更により好ましくは60℃以上であるが、好ましくは95℃未満で行う。
更に他の様々な実施形態では、工程(b)を少なくとも1時間、より好ましくは少なくとも2時間、更により好ましくは少なくとも4時間の期間にわたって行う。
様々な実施形態では、第2の小有機分子は、第1の小有機分子に対して少なくとも50倍、好ましくは少なくとも80倍、少なくとも100倍、少なくとも120倍、少なくとも150倍、少なくとも180倍又は少なくとも200倍モル過剰に使用される。
更なる実施形態では、工程(c)は、キメラコンジュゲート分子をクロマトグラフィー又は沈殿によって精製することを含む。
「クロマトグラフィー」という用語は、本明細書で使用される場合、マトリックスと相互作用する分子(単数又は複数)を対象とする任意の分子分離法を含む。マトリックスは、固体若しくは多孔質ビーズ、樹脂、粒子、膜、又は任意の他の好適な材料の形態をとることができる。特に指定のない限り、クロマトグラフィーは、フロースルー法及びバッチ法の両方を含む。「クロマトグラフィーカラム」という用語は、本明細書で使用される場合、クロマトグラフィーマトリックスを有し、移動相、例えば流体サンプル又は緩衝液がカラムを通過することで、カラム内に保持されるマトリックスを通過することができるように構成された構成要素を指す。クロマトグラフィーは、複数の分離機構の使用に関する多次元クロマトグラフィーも含む(例えば、J.C. Giddings (1990), Use of Multiple Dimensions in Analytical Separations, in Hernan Cortes Editor, Multidimensional Chromatography: Techniques and Applications (1st ed. pp. 1), New York, NY: Marcel Dekker, Inc.を参照されたい)。液体クロマトグラフィー法の例としては、HPLC又はGPCが挙げられるが、これらに限定されない。
「沈殿」という用語は、本明細書で使用される場合、容器内に入った溶液からの不溶性化合物を指し、溶液相内で核生成した不溶性化合物が容器の表面上に「落下する」。
更なる態様では、本発明は、(a)各々が親水性ブロック及び疎水性ブロックを含む複数の両親媒性ブロック共重合体分子であって、複数の両親媒性ブロック共重合体分子の親水性ブロックがミセルの外側親水性部分を形成し、複数の両親媒性ブロック共重合体分子の疎水性ブロックがミセルの内側疎水性部分を形成する、複数の両親媒性ブロック共重合体分子と、(b)小有機候補化合物を含むキメラコンジュゲート分子であって、該小有機候補化合物が、第1のDNA識別子タグに共有結合でコンジュゲートした第1の小有機分子と第2の小有機分子とを反応させることによって得ることができる、キメラコンジュゲート分子とを含む、外側親水性部分と内側疎水性部分とを有するミセルに関し、ここで、小有機候補化合物は内側疎水性部分と接触し、第1のDNA識別子タグは外側親水性部分と接触する。
本明細書で使用される場合、「ミセル」は、疎水性内部を含む界面活性剤分子の集合体を指す。通常のミセルは、親水性外側シェルと疎水性内側コアとを有するミセルである。ミセル形成は、2つの力の結果として生じる。一方が分子の会合をもたらす引力であり、他方が明確に巨視的な相へのミセルの無制限の成長を防ぐ斥力である。ミセルは、外側親水性シェルと内側疎水性コアとを有する。重合体ミセルは、小さな粒径(200nm未満)を有する。重合体ミセルは、コア−シェル構造を特徴とする。重合体ミセルは、X−Yジブロック構造を有していてもよく、Xは親水性シェル部分であり、Yは疎水性コア重合体である。ポリ(エチレンオキシド)−ポリ(プロピレンオキシド)−ポリ(エチレンオキシド)(PEO−PPO−PEO)(X−Y−X)等のマルチブロック共重合体もミセルへと自己組織化することができ、当該技術分野で記載されている(FEBS Lett. 258 (1989) 343-345)。
「外側部分」という用語は、ミセルとの関連において本明細書で使用される場合、連続相と直接接触するミセルの表層を指す。「部分」という用語は、ミセルとの関連において本明細書で使用される場合、連続相と直接接触せず、外側部分に囲まれたミセルの層を指す。
「複数」は、本明細書で使用される場合、2又は3以上、特に2、3、4、5、6、7、8、9、10以上、より好ましくは100以上、500以上、1000以上、1500以上、3000以上、5000以上、10000以上又は50000以上として規定される。「1つ以上」は、本明細書で使用される場合、1、2又は3以上、特に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上、より好ましくは100以上、500以上、1000以上、1500以上、3000以上、5000以上、10000以上又は50000以上として規定される。
第3の態様では、本発明は、(a)本発明のミセルの1つ以上と、(b)連続相である水相とを含む分散組成物に関する。
本明細書で使用される場合、「分散液」は、液体連続相内に乳化した(emulgated)又は懸濁した第1の相である分散相を含む2相系に関する。分散相は、連続相に不溶性の固体又は連続相と混和しない液体であり得る。本発明では、分散相はミセルである。このため、分散液は、水中油型(o/w)エマルションを表すとみなすことができる。分散液は、安定している、すなわち有益な期間、例えば数分、数時間、数日等にわたって2つの別個の相に分離しないのが好ましい。
「配列」という用語は、本明細書で使用される場合、核酸分子の一次ヌクレオチド配列又はタンパク質の一次アミノ酸配列に関する。
上記に開示された実施形態の全ての組合せが本発明の範囲に含まれることも意図されると理解される。方法に関して本明細書に開示される全ての実施形態が同様に化合物、ライブラリー、ミセル及び分散液にも当てはまり、その逆も同様であることが更に意図される。
実施例1:出発物質及び陽性対照の調製
DNAを触媒から保護する考えから、DNAタグと小分子との間の親水性スペーサー部分(PEGリンカー)が、DNAがミセルの疎水性コアに固定化された触媒といかなる相互作用も有しないようにすると仮定した(図1)。反応に対するスペーサーの重要性を調査するために、PEGリンカーを用いない鈴木反応の出発物質も合成した。また、特性評価の際に反応生成物を比較するために陽性参照分子を合成した(図2)。
したがって、合成した第1の出発物質の組(6及び7)は、オリゴヌクレオチド配列の5’末端に存在するC−6アミノリンカーにカップリングしたポリエチレングリコールを有するものであった(図2)。オリゴヌクレオチドアダプター5の脱保護は、強い橙色を示すモノメトキシトリチルカチオンの形成によって観察することができた。色を観察することができなくなった時点で脱保護が完了し、6−アミノ−ヘキシル−5’−(3’−(dCdAdGdTdCdG)−5’)水素ホスフェート6及びカルボン酸によるアミドカップリングを行うことができた。アミドカップリングは、脱プロトン化カルボン酸11と共に活性エステル13を形成するHATU12によって媒介された(図3)。5’−アミノ−C6−リンカー6の第一級アミンの求核置換後にアミド結合が形成される。PEGリンカー7をカルボン酸として用いて、PEG化DNAコンジュゲート8を調製した。
代替的には、脱保護された6−アミノ−ヘキシル−5’−(3’−(dCdAdGdTdCdG)−5’)水素ホスフェート6を、p−ヨード安息香酸(図2)と共にPEGリンカーを有しない出発物質8にカップリングした。続いて、コンジュゲート8を用いて更なるアミドカップリングを行い、p−ヨード/p−ブロモ−安息香酸を先に記載したものと同じ方法で付着させた。その後のアミドカップリングを行わない場合に、第2のアミドカップリングの前に未反応の第一級アミンを6から遮断する必要がある。これは、キャッピング工程にわたって乾燥THF中の無水酢酸、ピリジン及びメチルイミダゾールを用いて行われる(図4)。
PEG(4)−カルボン酸7が重合を回避するためにFmoc保護アミン基を有する商業的供給源から得られることから、キャッピング工程の後にPEG化コンジュゲート8のアミン基をフルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)基によって保護する。このFmoc基を、DMF中の20%ピペリジン溶液によって脱保護する。Fmoc基の脱保護に続く第2のアミドカップリング工程から、出発物質1a及び1b並びに陽性参照分子4が得られる。オリゴヌクレオチドを固体支持体から切断した後、HPLC及びMALDI−TOF質量分析を用いて特性評価した。
出発物質及び陽性対照のMALDI MSスペクトルは、DNAコンジュゲートの実際の質量に対応するピークに従う強度が減少する一連のピークを示す。これらピークは全て、それぞれ約23単位異なり、ナトリウムイオンがオリゴヌクレオチドのホスフェート部分に結合するピークに対応する(データは示さない)。
実施例2:適切な分析法の特定
ミセル触媒鈴木反応の反応条件の最適化の前に、反応を分析する適切な方法を特定する必要があった。目下の問題は、少なくとも100倍過剰なボロン酸及び炭酸セシウムの各々の存在、並びに重合体の存在であった。
HPLC
最初の試みでは、反応混合物を水で希釈し、HPLCカラムに直接注入し、以下の問題が観察された:
1. フェニルボロン酸が出発物質1aに非常に近接して溶出した;及び、
2. ミセル形成重合体がカラムに張り付き、カラムを汚染することから、各分析後にカラムを十分に洗浄する必要があった。
MALDI−TOF質量分析
HPLC法がこの反応についての更なる研究の分析法として非効率的であるとされたため、次の選択肢は質量分析であった。先の実験と同様、2’,4’,6’−トリヒドロキシアセトフェノン(THAP)及びクエン酸アンモニウムをマトリックス混合物としてMALDI−MS標的プレート上に反応混合物を直接スポットした。結果は、過剰な不純物が存在する場合に典型的なスペクトルとして観察される、極めて乱れた質量スペクトルであった。かかるMALDI−MSスペクトルからは結論を導き出すことができないため、DNAサンプルの精製がロバストな分析に不可欠であり得る。
実施例3:DNAサンプルの精製
DNA沈殿
DNAは、それを水溶性とするリン酸骨格のために極性である。しかし、エタノールは、水よりも極性がはるかに低いため、DNAのリン酸基と正に帯電したイオンとの間のイオン結合の形成を容易にし(図5)、DNAを沈殿させることができる。
DNAを沈殿させることで、DNAがエタノール溶液から沈殿する一方で、(比較的)極性が低いフェニルボロン酸及びミセル重合体がエタノールに溶解したままであると仮定した。しかし、残念なことに、依然として相当な量の汚染物質がDNAと共に沈殿し、MALDI−MSスペクトルを乱すことが見出された。したがって、DNAサンプルをMALDI−MS標的プレート上に置く前に更に精製する必要があり得る。
ZipTip
ZipTipは、クロマトグラフィー媒体床が末端に固定された10μL容のピペットチップである。ZipTipは、非常に少量のオリゴヌクレオチドサンプルを分析前に精製し、より良好なデータ品質を得ることを目的とする。ZipTipを用いることで、更なる分析に使用することができる明瞭な質量スペクトルを得ることができた(データは示さない)。さらに、反応混合物を沈殿工程の前に酢酸エチルで洗浄し、可能な限り多くのフェニルボロン酸を除去した。
この方法は、多数のサンプルを分析する場合に、沈殿工程が通常は6時間〜8時間超かかり、ZipTip手順が困難なプロセスであることから大変なものであった。したがって、ライブラリーを合成する際にDNAサンプルを精製するのが効率的な方法であり得る。DNAコード化ライブラリーの合成にミセル触媒鈴木反応を用いるロバストな作業手順の開発が目的の1つであったことから、迅速かつ容易に準備することができる別のDNA精製方法を見出すことが望ましい可能性がある。
Glen−Pak(商標)
Glen−Pak(商標)は、基本的には3ミクロン〜5ミクロンのサイズのポリジビニルベンゼン充填剤(図6)であり、希水酸化アンモニウム又は水酸化アンモニウム/メチルアミン(AMA)に対して安定である。Glen−Pak(商標)は、ZipTipと同じ原理で機能する。すなわち、DNAを初めに高分子樹脂に結合させ、汚染物質を洗い流した後、精製DNAサンプルを樹脂から溶出させる。
Glen−Pak(商標)を用いることで沈殿工程を省くことが可能であり、したがって、反応混合物を酢酸エチルで洗浄した後、Glen−Pak(商標)カートリッジに直接注入することができた。DNAを溶出させることにより、ZipTipを用いずにMALDI−MSによってサンプルを直接分析することができた。このため、この精製方法を用いてロバストな分析法を確立することができた。さらに、この精製法は、反応の分析へのHPLCの使用を容易にすることが可能であった。
実施例4:反応条件の最適化
ZipTip分析手順を最適化したことから、次の工程は、ミセル触媒鈴木反応の最適化であった(図7)。反応条件の最適化のために、出発物質の生成物への変換に対する4つの因子、すなわち1)ボロン酸の量、2)塩基の量、3)温度及び4)時間の依存性を分析した。
DNAタグを有しない系では、炭酸セシウムが鈴木反応に使用するのに最も穏やかな最良の塩基であることが見出された。
反応条件及びおおよその変換率の表を下記図8に示す(番号1、2及び4については図7を参照する)。
温度への依存性
反応は、温度に対する明らかな依存性を示す(図8)。この温度依存性は、50当量過剰なボロン酸で観察することができる。室温での出発物質の生成物への変換はごく僅かであり、温度の上昇と共に変換の直線的増加が観察される。律速段階である鈴木カップリングの酸化的付加工程を起こすためには、場合によっては高温が必要であり得る。これは、パラジウムが0の酸化状態から+2の酸化状態まで変化するためである。
時間への依存性
反応は、時間に対する明らかな依存性を示す(図8)。依存性は、50当量過剰なボロン酸で観察することができる。
ボロン酸の量への依存性
反応は、ボロン酸の量に対する明らかな依存性を示す(図8)。ボロン酸の量は、時間及び温度等の他のパラメーターにも影響する。これは、図8から、ほぼ全ての反応条件がほぼ完全な変換を示す500倍過剰なボロン酸で見ることができる。かかる現象は、ミセルコア内に入り、触媒回路に関与するようになるフェニルボロン酸分子の数の統計的増加によって説明することができる。
塩基への依存は、顕著ではなく、塩基の量を100当量過剰から200当量過剰まで変化させた場合に出発物質の生成物への変換が殆ど変化しないことが分かる。
陰性対照実験
陰性対照条件として、反応成分、すなわち塩基、ボロン酸及びミセル形成重合体の各々を用いずに反応を行った。付加的に、ミセル形成の重要性を試験するために、CMC未満の濃度のミセル重合体を用いた反応も行った(データは示さない)。
予想したように、これらの成分を全く用いない場合に反応は起こらず、出発物質1aは未反応のままである。興味深いことに、反応がミセルの形成なしに起こらないことにも留意する(データは示さない)。
実施例5:反応及び触媒系の範囲
ボロン酸/エステルのスクリーニング(基質適用範囲(substrate scope))
信頼性の高い分析法を確立し、触媒固定化ミセル触媒作用を用いた鈴木カップリング反応に対して反応条件を最適化した後、この反応の基質適用範囲を試験する必要があった。この目的で、33個のボロン酸及びボロン酸エステル(2a〜ag)を、DNAコンジュゲート(1a及び1b)を用いてスクリーニングし、予想される生成物4a〜agを得た(図9及び図10)。
触媒系が基質適用範囲の点で融通が利くことを観察することができる(図10)。反応が水中で行われることから、生じる当面の問題は、幾つかのボロン酸が水に溶解することができないことである。この問題を克服するために、疎水性が高いボロン酸及びボロン酸エステル(ボロネート)をトルエンに溶解した。疎水性ボロン酸/ボロネートが水相へと移動し、ミセルのコア内に入って反応を受けることが観察された。したがって、共溶媒としてトルエンを使用する可能性により反応の基質適用範囲が拡大した。
ピリミジン環等の水溶性基を有する基質は、生成物への完全な変換を示し(エントリ2o)、より長時間のインキュベーションがミセルの疎水性コア内に入る分子の僅かな疎水性を引き起こし得ることが示された。チオフェン含有ボロン酸は、通常は単純パラジウム触媒では可能でない生成物への完全な変換を示し、この特定の触媒系の融通性が示された。他の注目すべき観察結果は、最適化反応条件で強電子求引性基を有するアリールボロン酸も生成物への完全変換を受けることであり(図10のエントリ2c、2d、2ae、2ag)、クロロ基を有するアリールボロン酸/エステルが、鈴木反応がクロロ基により起こった場合に副生成物を示さないことがNHC−パラジウム触媒について観察された。
基質2l及び2abは、出発物質の生成物への部分変換を示す。2lは、基質が水又はトルエンに完全に可溶化することができないことから完全な変換を受けず、2abは、おそらくは平衡状態で部分的にしかミセル内に入らないことから部分変換を示す。
PEGリンカーを用いない反応
反応は当初、触媒がDNAと接触しないことを確実にするために、DNAと疎水性小分子との間の親水性PEG(4)スペーサーを用いて行うように計画された。しかし、PEGリンカーを有しないDNA−小分子コンジュゲートを合成することによって、このスペーサーの重要性を試験した(図11の分子9)。図11に示されるように、PEGリンカーを有しないDNAコンジュゲート9を用いて反応を行い、生成物17を得た。
反応は実現可能であり、DNAタグへの損傷は見られなかった。PEGリンカーの概念を更なる実験でも残したが、PEGリンカーを用いなくとも同じ系を使用することができるという結果から、反応の融通性に関する見識が得られる。
他のパラジウム触媒反応
NHC−パラジウム触媒は、空気、水分等に対して安定した触媒系であり、様々なパラジウム触媒反応について非常に融通の利く触媒系でもある。したがって、別のパラジウム触媒反応、すなわちヘック反応を、この触媒系を用いて行った(図12)。ヘック反応が部分的に起こることが観察された(データは示さない)。
実施例6:スルホン酸固定化ミセル
スルホン酸が疎水性コア内に固定化された両親媒性ブロック共重合体(ABC)(図14b)を、DNA−小分子コンジュゲートとの相互作用について試験した。酸性環境は、DNAの脱プリンを引き起こす。したがって、ABC上のスルホン酸とDNAとの間で起こり得る相互作用を調査した。
この目的で、DNAコンジュゲート4(図14a)を、1本のエッペンドルフチューブ内の40μLの2%TFA溶液(溶液中に約10nmolのTFA)及び別のエッペンドルフチューブ内の10μLの1mM ABC溶液(10nmolのミセル)と共にインキュベートした。ABCのCMCが1μMであるため、その1mM溶液を使用したことに留意すべきである。DNAコンジュゲートを2つの溶液と共に18時間インキュベートした後、DNA−サンプルを、ZipTipによって精製し、分析のためにMALDI−MS標的プレート上に置いた。
2つのサンプルの質量スペクトルを分析することによって、2%TFA溶液と共にインキュベートしたDNAコンジュゲート4が脱プリンを受け、2399という元の質量に対応する質量シグナルが全く残らないことが観察された。代わりに、脱プリンに対応するピークが観察された。一方、ミセル溶液と共にインキュベートしたDNAコンジュゲート4は、脱プリンに対応するピークを示さず、分子全体が無傷であった(データは示さない)。
DNAコンジュゲート4には3つのプリン、すなわち2つのグアニン及び1つのアデニンが存在する。グアニンの除去に対応する質量2267(質量計算値=2263)が最小のピークであり、質量2149(質量計算値=2136)に対応する第2のグアニンの除去が最大のピークであることを観察することができる。このことは、グアニン基がより適切に脱プリンを受けるという予想される傾向を反映している。また、2016(質量計算値=2011)という質量のアデニンの除去に対応する別のピークが観察される。ミセル溶液と共にインキュベートしたDNAコンジュゲートは、変化を受けないため、スルホン酸がDNAと相互作用しないと結論付けることができる。さらに、このことは、DNAをミセル内に固定化された触媒から遮蔽することの概念実証にもなる(データは示さない)。
本明細書で引用される全ての文献が、その全体が引用することにより本明細書の一部をなす。
本明細書に実例として記載される本発明は、本明細書に具体的に開示されない任意の要素(単数又は複数)、限定(単数又は複数)のない状態で好適に実施されてもよい。したがって、例えば、「含む、含んでいる(comprising)」、「含む、含んでいる、挙げられる(including)」、「含有する、含有している(containing)」等の用語は、拡大的に、限定なく読まれるものとする。さらに、本明細書で採用される用語及び表現は、限定ではなく説明する用語として使用されており、かかる用語及び表現の使用において、示され記載される特徴又はそれらの一部の任意の等価物を除外する意図はなく、特許請求の範囲に記載の本発明の範囲において様々な変更が可能であることが認識される。したがって、本発明は好ましい実施形態及び任意の特徴によって具体的に開示されているが、本明細書に開示される好ましい実施形態及び任意の特徴に具体化される本発明の変更形態及び変形形態が当業者によって用いられてもよく、かかる変更形態及び変形形態は、本発明の範囲に含まれるものとすることが理解されるべきである。本発明を本明細書に広く一般的に記載した。一般的開示に含まれるより狭い種及び亜属集団(subgeneric groupings)の各々も本発明の一部を形成する。これは、削除される事柄が本明細書で具体的に挙げられているか否かに関わらず、その属から任意の対象を除く条件又は否定的な限定を伴う本発明の一般的記載を含む。加えて、本発明の特徴又は態様がマーカッシュ群に関して記載される場合、本発明がマーカッシュ群の任意の個々の成員又は成員のサブグループに関してもそれによって記載されることが当業者には認識される。本発明の更なる実施形態が添付の特許請求の範囲から明らかとなる。

Claims (15)

  1. キメラコンジュゲート分子のミセル触媒作用による合成方法であって、該キメラコンジュゲート分子が、
    (A)第1の小有機分子と第2の小有機分子とを反応させることによって得ることができる小有機候補化合物と、
    (B)第1のDNA識別子タグと、
    を含み、前記小有機候補化合物が前記第1のDNA識別子タグに共有結合でコンジュゲートしており、前記方法は、
    (a)水性溶媒中で、
    (1)前記第1のDNA識別子タグに共有結合でコンジュゲートした前記第1の小有機分子を含むコンジュゲート出発分子と、
    (2)前記第1のDNA識別子タグに共有結合で連結した前記第1の小有機分子と反応して、前記キメラコンジュゲート分子を生じる前記第2の小有機分子と、
    (3)親水性ブロック及び疎水性ブロックを含み、該疎水性ブロックが前記第1の小有機分子と前記第2の小有機分子との間の反応を触媒する触媒で官能基化された両親媒性ブロック共重合体と、
    を合わせることで、連続相として水性溶媒を含む反応混合物を得ることと、
    なお、前記両親媒性ブロック共重合体を、前記反応混合物中の該両親媒性ブロック共重合体の最終濃度が該両親媒性ブロック共重合体の臨界ミセル濃度(CMC)を超える量で添加する;
    (b)工程(a)において得られる前記反応混合物を、前記両親媒性ブロック共重合体のミセル形成及びミセルの内部での前記第1の小有機分子と前記第2の小有機分子との間の反応を可能にする条件に供することと、
    (c)前記キメラコンジュゲート分子を前記反応混合物から精製することと、
    を含む、方法。
  2. (d)工程(c)において得られる前記キメラコンジュゲート分子の前記第1のDNA識別子タグを、第2のDNA識別子タグにライゲートする工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記第1のDNA識別子タグ及び/又は前記第2のDNA識別子タグが少なくとも4ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも5ヌクレオチド長、少なくとも6ヌクレオチド長、少なくとも10ヌクレオチド長又は少なくとも14ヌクレオチド長である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記第1のDNA識別子タグが、前記小有機候補化合物にリンカー基、好ましくはポリ(エチレングリコール)リンカー基によって共有結合で連結する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記第1のDNA識別子タグ又は前記リンカー基が、前記小有機候補化合物にアミド結合によって共有結合で連結する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記第1の小有機分子が0を超えるlog P(分配係数)値を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記第2の小有機分子が0を超えるlog P(分配係数)値を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記第1の小有機分子が(ヘテロ)芳香族有機部分、好ましくは芳香族部分、より好ましくはフェニル部分であり、該(ヘテロ)芳香族部分が少なくとも1つのハロゲン置換基、好ましくは臭素又はヨウ素で置換される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記両親媒性ブロック共重合体が前記疎水性ブロックとしてポリ(スチレン−co−N−ビニルイミダゾール)を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記両親媒性ブロック共重合体がポリ(アクリル酸エステル)、ポリ(アクリル酸)又はポリ(アクリルアミド)、好ましくはポリ(アクリルアミド)を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記触媒が遷移金属触媒、好ましくはパラジウム、又はスルホン酸等の酸性基である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記第1の小有機分子と前記第2の小有機分子との間の反応が鈴木反応又はヘック反応である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 工程(b)を高温、好ましくは20℃以上、より好ましくは40℃以上、更により好ましくは50℃以上、更により好ましくは60℃以上であるが、好ましくは95℃未満で行う、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 工程(b)を少なくとも1時間、より好ましくは少なくとも2時間、更により好ましくは少なくとも4時間の期間にわたって行う、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記第2の小有機分子を前記第1の小有機分子に対して少なくとも50倍、好ましくは少なくとも100倍モル過剰に使用する、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
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