JP2008530246A - 機能性残基又は官能基を含む薬物動態学的に改善された化合物、及び上述の化合物を含む医薬組成物の製造方法 - Google Patents

機能性残基又は官能基を含む薬物動態学的に改善された化合物、及び上述の化合物を含む医薬組成物の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2008530246A
JP2008530246A JP2007556391A JP2007556391A JP2008530246A JP 2008530246 A JP2008530246 A JP 2008530246A JP 2007556391 A JP2007556391 A JP 2007556391A JP 2007556391 A JP2007556391 A JP 2007556391A JP 2008530246 A JP2008530246 A JP 2008530246A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
compound
lower alkyl
compounds
group
amide
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2007556391A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008530246A5 (ja
Inventor
イー. ルンド,フランシス
ダフィー,デイビッド
グロガン,マイケル
ケイツ,スティーブン
オステュニ,エマニュエル
シューラー,オリビエ
スウィートナム,ポール
Original Assignee
サーフェイス ロジックス,インコーポレイティド
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by サーフェイス ロジックス,インコーポレイティド filed Critical サーフェイス ロジックス,インコーポレイティド
Publication of JP2008530246A publication Critical patent/JP2008530246A/ja
Publication of JP2008530246A5 publication Critical patent/JP2008530246A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/33Heterocyclic compounds
    • A61K31/395Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins
    • A61K31/53Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins having six-membered rings with three nitrogens as the only ring hetero atoms, e.g. chlorazanil, melamine
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P15/00Drugs for genital or sexual disorders; Contraceptives
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P15/00Drugs for genital or sexual disorders; Contraceptives
    • A61P15/10Drugs for genital or sexual disorders; Contraceptives for impotence
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • A61P31/04Antibacterial agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P43/00Drugs for specific purposes, not provided for in groups A61P1/00-A61P41/00
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P9/00Drugs for disorders of the cardiovascular system
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P9/00Drugs for disorders of the cardiovascular system
    • A61P9/12Antihypertensives

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Cardiology (AREA)
  • Endocrinology (AREA)
  • Reproductive Health (AREA)
  • Heart & Thoracic Surgery (AREA)
  • Communicable Diseases (AREA)
  • Oncology (AREA)
  • Gynecology & Obstetrics (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Hydrogenated Pyridines (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Abstract

本発明は化合物の薬物動態学的特性及び/又は薬力学的特性の調節方法であって、当該化合物に少なくとも1つの官能ユニット又は官能基を取りつけ、それによりその非特異的結合特性及び/又は薬力学的特性を改善することを含む方法に関する。少なくとも1つの官能残基を含む化合物、及びこの化合物を含む医薬組成物を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明の背景
サイクリック・グアノシン3',5'-モノホスファート特異的ホスホジエステラーゼ(cGMP特異的PDE)阻害剤の生理学的及び臨床的な効果は、そのような阻害剤が平滑筋、腎臓、止血機能、炎症機能、及び/又は内分泌機能の調節が望まれる、様々な病状において有用性を持つことを示唆している。5型cGMP特異的ホスホジエステラーゼ(PDE5)は、血管平滑筋内の主要なcGMP加水分解酵素である。よって、PDE5の阻害剤は、これだけに制限されることなく、高血圧症、脳血管疾患、及び泌尿生殖系、特に勃起不全、を含めた心血管疾患の治療において適応があるかもしれない。
現在、PDE5の選択的抑制を提供する医薬品が入手可能である。Levitra(登録商標)の商品名で販売されているバルデナフィルは、PDE5の強力、且つ、選択的な阻害剤であり、そして、現在、勃起不全の治療に適応される。PDE5阻害剤の薬物動態学的特性を改善する必要性が存在している。
新たな医薬品の開発は、リード化合物の化学的及び生物学的な特性の慎重な最適化を必要とする。例えば、成功した薬物候補は、安全であって、意図した用途に対して有効でなければならない。さらに、前記化合物は、所望の薬物動態学的及び薬力学的特徴がなければならない。この困難な開発過程は、通常、大規模な実験を必要とする。多くの場合、最適な化合物を測定するための過程には、多くの場合、何千もの構造的に類似した化合物の調製を必要とするかもしれない。
可能性のある医薬品の有用性を限定することができる特性の中には、インビボにおいて化合物がタンパク質と複合体を形成する度合いがある。インビボに存在している化合物が、例えば、血液及び血漿の成分によって、高い割合で非特異的に結合される場合には、これは、その治療学的な機能を果たすための、組織が利用可能な遊離の化合物を非常に少量しか残さない。それ故に、様々なタンパク質及び他の血漿成分への化合物の結合は、所望の治療効果を達成するために、容認できないほど多い投与量の化合物を必要とするかもしれない。
伝統的アプローチでは、薬物動態学的特性を変更しようとした。
ポリエチレングリコールを用いた、生体分子の接合又は連結の過程、及び薬物送達システム、例えば、リポソーム、タンパク質、酵素、薬物、ナノ粒子、のペグ化は、タンパク質及びリポソーム医薬品の循環半減期を改善することによって、薬物動態を変更するために知られている方法である(Bhadraら、Pharmazie 2002年1月;5791):5-29を参照のこと)。ペグ化薬物は、酵素的分解から薬物を保護し、そして、薬物が腸を通過するのを可能にする、すなわち、経口利用可能性を与え、また、免疫系細胞によるペグ化薬物の認識を妨げる盾としても機能し、そして、腎クリアランスから薬物を保護する、薬物周囲に高分子量ポリエチレングリコール(PEG)シェルを持つ(Molineux、Cancer Treat Rev. 2002年4月;28補遺A:13-16ページを参照のこと)。その結果、ペグ化タンパク質は、例えば、減少した加水分解、及びより長い循環半減期に起因して改善された薬物動態を有する。抗癌剤は、長期に渡るか、又は反復性の本剤投与を必要とする準最適な薬物動態学的特徴を有する。ペグ化抗癌剤(例えば、ペグフィルグラスチム、ペグ化フィルグラスチム)は、1回化学療法サイクルあたり1度の投与だけで非修飾フィルグラスチムのものと少なくとも同等な薬効及び患者の耐容性を維持することが示された(Crawford、Cancer Treat Rev. 2002年4月;28補遺A:7~11ページを参照のこと)。他の化学療法薬であるペグ化リポソーム・ドキソルビシンは、非ペグ化又はリポソーム封入ドキソルビシンに比べてより有効で、且つ、低い心毒性であることがわかった(Crawford、2002年を参照のこと)。改善された薬物動態に加えて、ペグ化薬物は、削減された服薬スケジュール、例えば、体重ベースの用量よりむしろ固定用量を可能にする(Yowell及びBlackwell、Cancer Treat Rev. 2002年4月;28、補遺A:3-6ページを参照のこと)。ペグ化治療薬、例えば、タンパク質のPEGサイズ、その配置、及び取り付け部位が、薬物の薬物動態を決定するので、治療薬はタンパク質ごとを基礎として設計されなければならない(Harrisら、Clin. Pharmacokinet. 2001年、40(7):539-551ページ)。ペグ化作用物質の短所は、大きなPEG分子の立体障害に起因する標的部位における減弱された薬物活性の可能性である。PEG分子サイズは、タンパク質に対してというよりはむしろ小分子における関心事である。
本発明は、化合物内に少なくとも1つの機能単位又は官能基を組み込み、それにより、その薬物動態学的特性を改善するように設計することによる化合物の改善に関する。ある態様において、本発明は、化合物に少なくとも1つの機能単位又は官能基を取り付け、それにより、その非特異的結合特性と薬物動態学的特性を改善することによる化合物の薬物動態学的特徴の改善に関する。本発明の1つの態様において、少なくとも1つのサルコシン残基又はサルコシン誘導体が化合物に取り付けられるかもしれない。サルコシン・ユニットは、タンパク質結合を減少させ、それにより、遊離形態の化合物の量を増やす役割を果たす。例えば、化合物に取り付けられる機能性残基は、それらの化学構造がPEG技術で使用される基と異なる、例えば、機能性残基はエチレン・グリコール誘導体であるかもしれず、機能性残基は非常に低い分子量、例えば、標準的なペグ化に使用される5000ダルトン以上と比較して約100ダルトンのMW、のものである。従って、本発明の機能性残基を含む化合物の化学的又は生物学的活性は、より少ない立体障害、及び化合物の標的部位へのより高い薬物接近性に起因して変更されるわけではない。
発明の概要
本発明は、少なくとも1つの機能単位又は官能基を含む化合物に関し、ここで、上記機能性残基が、疎水基、エーテル、オリゴ(エチレン・グリコール)基若しくはその誘導体、アミン、アンモニウム塩、簡単なアミド(a simple amide)、アミノ酸ベースのアミド、クラウンエーテル、糖、又はニトリルである。本発明の更なる態様において、サルコシン残基又はオリゴマーを含む化合物が提供される。加えて、本発明は、少なくとも1つの機能単位又は官能基を含む化合物の医薬組成物に関する。本発明の態様の例において、サルコシン残基又はオリゴマーを含む組成物を提供する。
他の側面において、本発明は、概して、化合物に少なくとも1つの機能単位又は官能基を取り付け、それにより、その非特異的結合、及び/又は薬物動態学的特性を改善することによって化合物の薬物動態学的、及び/又は薬力学的特徴を調節する方法に関する。化合物への機能単位又は官能基の取り付けは、好ましくは、そのような修飾前の毒性に比べて増強された毒性を伴うことなく、これだけに制限されることなく、化合物の増強された経口吸収、高い生物学的利用能のために改善された代謝、減少したタンパク質結合、改善された血液脳関門を通過する能力、又はそれらの組合せを含めた、改善された生物学的及び化学的特性を有する活性物質を生み出す。好ましい態様において、活性物質は、改善された溶解性、低いIC50を有し、及び/又は元の化合物と比較して、かなり少量しかタンパク質結合しない。
一般に、官能基は、最小のH結合ドナー、多数のH結合アクセプタを特徴とし、且つ、総合的に中性電荷を持つことができる。本発明の化合物は、そのような官能基の既知の薬物への置換若しくは置き換え、又はそのような官能基を組み込むことによる新規な薬物の設計に起因する。前述の化合物は、リピンスキーのルール・オブ・ファイブに合致する傾向がある。しかしながら、そのような化合物に官能基を組み込むので、それらは、また、他の生物学的分子、特に血漿タンパクとの非特異的相互作用にも抵抗性がある。本発明の態様の例において、化合物に取り付けられる機能性残基は、疎水基、エーテル、オリゴ(エチレン・グリコール)若しくはその誘導体、アミン、アンモニウム塩、簡単なアミド、アミノ酸ベースのアミド、クラウンエーテル、糖、又はニトリルであるかもしれない。本発明の更なる態様の例において、化合物に取り付けられる官能基は、トリメチル-エチレンジアミン、メチル基、アセチル基、オキサルアミド、サルコシン残基、サルコシン・オリゴマー、又はサルコシン誘導体であるかもしれない。
詳細な説明
本発明の1つの側面は、広く、化合物に少なくとも1つの機能単位又は官能基を取り付けることによって化合物の薬物動態学的、及び/又は薬力学的特徴を調節して、活性物質を作り出す方法に関し、ここで、上記活性物質は、非修飾、すなわち、親化合物に比べて改善された薬物動態学的特性を有する。本発明の態様の例において、疎水基、エーテル、オリゴ(エチレン・グリコール)若しくはその誘導体、アミン、アンモニウム塩、簡単なアミド、アミノ酸ベースのアミド、クラウンエーテル、糖、若しくはニトリル、アミン基、オキサルアミド、サルコシン残基、サルコシン・オリゴマー、又はサルコシン誘導体が、化合物に取り付けられるかもしれない。好ましい態様において、サルコシン誘導体は、サルコシン残基又はオリゴマーのN末端の窒素原子への共有結合によって化合物に取り付けられる。他の好ましい態様において、サルコシンは、サルコシン残基又はオリゴマーのカルボキシ末端への共有結合によって化合物に取り付けられる。ある態様において、活性物質は、改善された生理化学的特性、薬物動態学、代謝、又は毒性特徴を有する。好ましい態様において、活性物質は、優れた溶解性、低いIC50を有し、及び/又は少なくとも1つの機能性残基を欠いた化合物と比べて、インビボにおいて、かなり少量しかタンパク質結合しない。
式(C)によって表される基は、化合物の薬物動態学的、及び/又は薬力学的特徴を調節し、そして、非修飾、すなわち、親化合物と比べて、改善された薬物動態学的特性をもたらすことができると考えられる。ある態様において、R4は、改善された生理化学的特性、薬物動態、代謝、又は毒性特徴を有する活性物質である。好ましい態様において、活性物質は、優れた溶解性、低いIC50を有し、及び/又は少なくとも1つの機能性残基を欠いた化合物と比べて、インビボにおけるタンパク質結合が実質的に少ない。
本発明の他の側面は、少なくとも1つの機能単位又は官能基を含む化合物に関する。態様の例において、少なくとも1つの取り付けられた機能単位又は官能基を含む化合物は、これだけに制限されることなく、化学物質、例えば、活性な薬物作用物質、及び生理活性物質、及びタンパク質を含む。化学物質は、これだけに制限されることなく、タンパク質及び酵素の阻害剤及びアクティベータ(例えば、PDE5、PDE1、PDE4、及びPDE6などのホスホジエステラーゼ、キナーゼ、成長因子レセプター、及びプロテアーゼ)、並びに化学療法化合物(例えば、抗新生物薬及び抗腫瘍性物質)を含む。本発明の態様の例において、疎水基、エーテル、オリゴ(エチレン・グリコール)若しくはその誘導体、アミン、アンモニウム塩、簡単なアミド、アミノ酸ベースのアミド、クラウンエーテル、糖、又はニトリルである機能性残基を少なくとも1つ含む化合物が提供される。本発明の他の態様の例において、トリメチル-エチレンジアミン、オキサルアミド、サルコシン残基、サルコシン・オリゴマー、サルコシン代謝産物、サルコシン-エチレンジアミン、又はその分岐類似体である機能性残基の少なくとも1つを含む化合物が提供される。好ましい態様において、サルコシン付加物は、サルコシン単量体又は二量体である。好ましい態様において、少なくとも1つの機能単位又は官能基は、N末端窒素原子への共有結合によって、又は機能単位又は官能基のカルボキシ末端への共有結合によって化合物に取り付けられる。ある態様の例において、サルコシンは、サルコシン残基又はオリゴマーのN末端窒素原子への共有結合によって化合物に取り付けられる。他の好ましい態様において、サルコシンは、サルコシン残基又はオリゴマーのカルボキシ末端への共有結合によって化合物に取り付けられる。ある特定の態様において、少なくとも1つの機能単位又は官能基は、化合物に取り付けられて、アミド、スルホンアミド、又はアミン官能基を形成する。ある態様の例において、サルコシンは、化合物に取り付けられて、アミド、スルホンアミド、又はアミン官能基を形成する。
加えて、本発明は、少なくとも1つの機能単位又は官能基を含む化合物の医薬組成物に関する。本発明の好ましい態様の例において、トリメチル-エチレンジアミン、メチル基、アセチル基、オキサルアミド、サルコシン残基、サルコシン・オリゴマー、サルコシン代謝産物、サルコシン-エチレンジアミン、その分岐類似体、又はサルコシン誘導体である機能性残基を少なくとも1つ含む医薬組成物が提供される。
これらの化学基を同定するための基本的なアプローチは、以下のとおりである:1)評価段階にある化学基一式が適切な連鎖基によって(平面又は3D)固体表面上に固定される。基は、それぞれが個別に計測されることができるように、空間的に分離して存在する、すなわち、それらは、アレイの状態で1つのチップ上;又は個々のチップ上;又はマイクロタイタプレートの別々のウェル内のいずれかで存在する。2)次に、試験又はアッセイが化学基一式に対しておこなわれて、化学基が合成的に分子に加えられると小分子のPK特性を改善する可能性がある特性を、それらが有するかどうか測定する。この段階にて固定された化学基に対して実施されたアッセイは、最適化されたPK特性を計測する小分子治療薬に対して実施されるアッセイに近い。アッセイは、通常、好適な試薬の添加と、それに続くインキュベーション期間と、それに続くいずれかの修飾を検出するための検出又は計測事象の形をとる。特性及びアッセイの例は以下に与えられる。3)化学基又は化学基一式が、表面アッセイ・システムを使用して着目の薬物動態学的特性に対する可能性のある明確な利益を有すると判断されると、次に、標的小分子が、SARによって決定された適切な位置に付加されたこの基(単数又は複数)と共に合成される。これらの化合物は、次に、着目の薬物動態学的特性を計測するのに使用される対応の、標準的アッセイにおいて試験される。
平面基板に対する代替アプローチは、各ビーズがアッセイ中に各基について空間的な隔離を提供するビーズ上に化学基を固定するものである。
本発明によると、個々の化合物は、例えば、既存のファルマコホアに関する知識に基づいて設計、そして、合成できる。本発明は、化合物のライブラリーの合成、及び/又はスクリーニングを更に含む。通常、化合物のライブラリーは、それぞれが1つ以上の官能基と組み合わされた、1つ以上の関連するコア部分、又はファルマコホアを含む。化合物は、空間的に扱われるか、又は固体支持体に固定される。
従って、本発明は、また、ファルマコホアを修飾し、そして、望ましい様式でそれらの薬物動態学的特性に影響する官能基を同定するための、例えば、面ベースのアレイによる、インデックス付きの化合物を使用した方法も含む。
一般に、修飾ファルマコホアのインデックス付きアレイは、以下のステップ:a)薬物官能基修飾化合物の普遍的なライブラリーを調製し;b)普遍的なライブラリーからの薬物官能基修飾化合物を、着目の医薬用薬物と接触させるか、又は組合せ;そしてc)修飾された薬剤化合物の相互作用/機能の強さを測定する、を含む方法で使用される。ステップ(c)における測定は、1つ以上の物理的、及び生化学的特性の評価を伴う。物理的特性には、例えば、脂溶性、溶解性、極性表面積などが含まれる。生化学的特性には、例えば、効力、標的特異性、安定性、生物学的利用能、及び化合物を他の方法で隔離して標的への到達を妨げる、宿主分子、特に、例えば、血清成分などの分子との最小非特異的相互作用が含まれる。
定義
便宜上、明細書、実施例、及び添付の特許請求の範囲で用いられるある特定の用語が、ここに集められている。
用語「機能単位又は官能基」は、本明細書中では、化合物又はタンパク質に取り付けられる残基を意味する。残基は、元素の1つの原子から最大で複合元素までを含む分子の構造成分であるかもしれず、ここで、上記複合元素は、官能基であるか、又は多くの機能性部分を含む。好ましい態様において、既知の活性化合物の置換基又は置き換え残基として取り付けられる機能性残基は、最小限の数の水素ドナー、多数の水素結合アクセプタを持ってもよく、且つ、中性電荷を持ってもよい。化合物の固有の機能的特性を変更しないことは、本明細書中では、残基の取り付けから生じた化合物又はタンパク質の修飾が、化合物の所望の化学的又は生物学的活性を減少させないか、又は有害な副作用、例えば、毒性、のいずれかを増強しないことを意味する。そのような機能単位又は官能基は、既存の機能単位又は官能基を置き換えるために化合物又はタンパク質に取り付けられるか、又は残基として既存の機能単位又は官能基に取り付けられるかもしれない。機能単位又は官能基は、化合物又はタンパク質に共有結合で取り付けられる。機能単位又は官能基は、タンパク質結合に対して不活性であるかもしれない。
用語「ヘテロ原子」は、本明細書中では、炭素又は水素以外のいずれかの元素の原子を意味する。好ましいヘテロ原子は、ホウ素、窒素、酸素、リン、硫黄、及びセレニウムである。
用語「アルキル」は、直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、シクロアルキル(脂環式)基、アルキル置換シクロアルキル、及びシクロアルキル置換アルキル基を含めた、飽和脂肪族基のラジカルを指す。好ましい態様において、直鎖又は分岐鎖アルキルは、その骨格内に30個以下(例えば、直鎖に関してC1〜C30、分岐鎖に関してC3〜C30)、そして、より好ましくは、20個以下の炭素原子を持つ。同様に、好ましいシクロアルキルは、それらの環状構造内に3〜10個の炭素原子を持ち、そして、より好ましくは、その環状構造内に5、6、又は7個の炭素を持つ。
炭素の数が別段指定されない限り、「低級アルキル」は、本明細書中では、先に規定されるようなアルキル基であるが、その骨格構造内に1〜10個の炭素、より好ましくは、1〜6個の炭素原子を持つものを意味する。同様に、「低級アルケニル」及び「低級アルキニル」も同様の鎖長を有する。好ましいアルキル基は、低級アルキルである。好ましい態様において、本明細書中にアルキルと表される置換基は、低級アルキルである。
用語「アラルキル」は、本明細書中では、アリール基で置換されたアルキル基を指す(例えば、芳香族基又は複素芳香族基)。
用語「アルケニル」及び「アルキニル」は、長さ及び可能な置換が先に記載のアルキルに類似しているが、それぞれ少なくとも1つの二重結合又は三重結合を含む、不飽和脂肪族基を指す。
用語「アリール」は、本明細書中では、0〜4つのヘテロ原子を含むかもしれない、5、6、及び7員の単環式芳香族基、例えば、ベンゼン、アントラセン、ナフタレン、ピレン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、及びピリミジンなどを含む。環状構造内にヘテロ原子を持つそれらのアリール基は、また、「アリール複素環」又は「複素芳香族」とも呼ばれるかもしれない。芳香族環は、1以上の環の位置にて、先に記載のとおり前述の置換基、例えば、ハロゲン、アジド、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホナート、ホスフィナート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、スルホンアミド、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族若しくは複素芳香族部分、-CF3、CN、又は同様のもので置換されるかもしれない。用語「アリール」は、また、少なくとも1つの環が芳香族であり、例えば、その他の環が、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、及び/又はヘテロシクリルであるかもしれない、2つ以上の炭素が2つの隣接する環に共通である(それらの環は「縮合環」である)2つ以上の環式環を持つ多環式環系をも含む。
用語、オルソ、メタ、及びパラは、それぞれ1,2-、1,3-、及び1,4-二置換ベンゼンに適用される。例えば、名称の1,2-ジメチルベンゼンとオルソ-ジメチルベンゼンは同義である。
用語「ヘテロシクリル」又は「複素環基」は、その環状構造が1〜4個のヘテロ原子を含む、3〜10員の環式構造、より好ましくは3〜7員の環を指す。複素環化合物は、また、多環化合物であるかもしれない。ヘテロシクリル基には、例えば、チオフェン、チアンスレン、フラン、ピラン、イソベンゾフラン、クロメン、キサンテン、フェノキサチン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、ピリミジン、フェナントロリン、フェナジン、フェナルサジン、フェノチアジン、フラザン、フェノキサジン、ピロリジン、オキソラン、チオラン、オキサゾール、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ラクトン、例えば、アゼチジノン及びピロリジノンなどのラクタム、スルタム、スルトンなどが含まれる。複素環式環は、1以上の位置にて、先に記載の置換基、例えば、ハロゲン、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホナート、ホスフィナート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族若しくは複素芳香族部分、-CF3、CN、又は同様のもので置換されてもよい。
用語「ポリシクリル」又は「多環基」は、2つ以上の炭素が2つの隣接する環に共通である、例えば、それらの環が「縮合環」である、2つ以上の環(例えば、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、及び/又はヘテロシクリル)を指す。隣接していない原子を通して結合される環は、「架橋」環と呼ばれる。多環化合物のそれぞれの環は、先に記載のとおり前述の置換基、例えば、ハロゲン、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホナート、ホスフィナート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族若しくは複素芳香族部分、-CF3、CN、又は同様のもので置換されてもよい。
本明細書中に使用される場合に、用語「ニトロ」は、-NO2を意味し;用語「ハロゲン」は、F、-Cl、-Br、又は-Iを示し;用語「スルフヒドリル」は、-SHを意味し;用語「ヒドロキシル」は、-OHを意味し;そして、用語「スルホニル」は-SO2-を意味する。
用語「アミン」及び「アミノ」は、技術分野で認識されており、そして、例えば、以下の一般式:
Figure 2008530246
{式中、
R、R’、及びR’’が、それぞれ独立に、原子価の規則によって許容される基、好ましくは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリール、及び複素環基を表す。}によって表すことができる、置換されていない及び置換されたアミンの両方を指す。
用語「アシルアミノ」は、技術分野で認識されており、そして、以下の一般式:
Figure 2008530246
{式中、
R及びR’が、先に規定されるとおりのものである。}によって表すことができる部分を指す。
用語「アミド」は、アミノで置換されたカルボニルとして技術分野で認識されており、そして、以下の一般式:
Figure 2008530246
{式中、
R及びR’が、先に規定されるとおりのものである。}によって表すことができる部分を含む。アミドの好ましい態様は、不安定である可能性があるイミドを含まない。
用語「アルキルチオ」は、それに取り付けられた硫黄基を持つ、先に規定される、アルキル基を指す。好ましい態様において、「アルキルチオ」部分は、-S-アルキル、-S-アルケニル、-S-アルキニル、及び-S-(CH2)m-R8{式中、m及びR8が、先に規定されるとおりのものである。}の中の1つによって表される。代表的なアルキルチオ基には、メチルチオ、エチルチオなどが含まれる。
用語「カルボニル」は、技術分野で認識されており、そして、以下の一般式:
Figure 2008530246
{式中、
Xが、結合であるか、又は酸素若しくは硫黄を表し、そして、
R及びR’が、先に規定されるとおりのものである。}によって表すことができる残基を含む。Xが酸素であり、且つ、R又はR’が水素でない場合には、前記の式は「エステル」を表す。Xは酸素であり、且つ、Rが先に規定されるとおりのものである場合には、前記部分は本明細書中ではカルボキシル基と呼ばれ、特に、Rが水素である時には、前記の式は「カルボン酸」を表す。Xが酸素であり、且つ、R’が水素である場合には、前記の式は「ギ酸」を表す。一般に、前記の式の酸素原子が硫黄によって置き換えられる場合には、前記の式は「チオールカルボニル」基を表す。Xが硫黄であり、且つ、R又はR’が水素でない場合には、前記の式は「チオールエステル」を表す。Xが硫黄であり、且つ、Rが水素である場合には、前記の式は「チオールカルボン酸」を表す。Xが硫黄であり、且つ、R’が水素である場合には、前記の式は「チオールギ酸」を表す。その一方、Xが結合であり、且つ、Rが水素でない場合には、前記の式は「ケトン」基を表す。Xが結合であり、且つ、Rが水素である場合には、前記の式は「アルデヒド」基を表す。
用語「アルコキシル」又は「アルコキシ」は、本明細書中では、それに取り付けられた酸素基を持つ、先に規定されるアルキル基を指す。代表的なアルコキシル基には、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、tert-ブトキシなどが含まれる。「エーテル」は、酸素によって共有結合的に連結された2つの炭化水素である。
用語「スルホナート」は、技術分野で認識されており、そして、以下の一般式:
Figure 2008530246
{式中、
R41が、電子対、水素、アルキル、シクロアルキル、又はアリールである。}によって表すことができる部分を含む。
用語、トリフリル、トシル、メシル、及びノナフリルは、技術分野で認識されており、そして、それぞれトリフルオロメタンスルホニル、p-トルエンスルホニル、メタンスルホニル、及びノナフルオロブタンスルホニル基を指す。用語、トリフラート、トシラート、メシラート、及びノナフラートは、技術分野で認識されており、そして、それぞれトリフルオロメタンスルホン酸エステル、p-トルエンスルホン酸エステル、メタンスルホン酸エステル、ノナフルオロブタンスルホン酸エステル官能基、及び上記基を含む分子を指す。
略語、Me、Et、Ph、Tf、Nf、Ts、Msは、それぞれメチル、エチル、フェニル、トリフルオロメタンスルホニル、ノナフルオロブタンスルホニル、p-トルエンスルホニル、及びメタンスルホニルを表す。有機化学者の当業者によって利用される略語のより総合的な一覧は、the Journal of Organic Chemistryのそれぞれの巻の創刊号に載っており;この一覧は、Standard List of Abbreviationsと表題の付いた表の中に主として示されている。前記の一覧の中に含まれる略語、及び、有機化学者の当業者によって利用される全ての略語が、本明細書中に援用される。
用語「スルホナート」は、技術分野で認識されており、そして、以下の一般式:
Figure 2008530246
{式中、
R41が、先に規定されるとおりのものである。}によって表されることができる部分を含む。
用語「スルホニルアミノ」は、技術分野で認識されており、そして、以下の一般式:
Figure 2008530246
によって表されることができる部分を含む。
用語「スルファモイル」は、技術分野で認識されており、そして、以下の一般式:
Figure 2008530246
によって表されることができる部分を含む。
用語「スルホニル」は、本明細書中では、以下の一般式:
Figure 2008530246
{式中、
R44が、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールから成る群から選択される。}によって表されることができる部分を指す。
用語「スルホキシド」は、本明細書中では、以下の一般式:
Figure 2008530246
{式中、
R44が、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アラルキル、又はアリールから成る群から選択される。}によって表されることができる部分を指す。
「セレノアルキル」は、それに取り付けられた置換セレノ基を持ったアルキル基を指す。アルキル上で置換されるかもしれない代表的な「セレノエーテル」は、-Se-アルキル、-Se-アルケニル、-Se-アルキニル、及び-Se-(CH2)m-R7{m及びR7が、先に規定されるとおりのものである。}の中の1つから選択される。
同じような置換は、例えば、アミノアルケニル、アミノアルキニル、アミドアルケニル、アミドアルキニル、イミノアルケニル、イミノアルキニル、チオアルケニル、チオアルキニル、カルボニル置換アルケニル又はアルキニルを製造するためにアルケニル及びアルキニル基に対しておこなわれるかもしれない。
本明細書中では、それぞれの表現、例えば、アルキル、m、nなど、の定義は、それがいずれかの構造物内に2個以上存在する時に、同じ構造物内の他の場所での定義から独立しているものとする。
「置換」又は「で置換される」は、そのような置換が置換される原子及び置換基の許容される原子価に合致しており、且つ、その置換が、例えば、転位、環化、排除などによる変換を自然に受けない安定化合物をもたらすという絶対的な条件を含む。
本明細書中では、用語「置換される」は、有機化合物の全ての許容される置換基を含むことが想定される。広範な側面において、許容される置換基には、有機化合物の非環式及び環状、分岐及び非分枝、炭素環及び複素環系、芳香族及び非芳香族の置換基が含まれる。実例となる置換基には、例えば、本明細書中で先に記載したものが含まれる。許容される置換基は、1つ以上であり、且つ、適切な有機化合物と同じか、又は異なってもよい。本願発明の目的のために、例えば、窒素などのヘテロ原子は、水素置換基、及び/又はヘテロ原子の原子価を満たす本明細書中に記載の有機化合物の許容される置換基のいずれかを持つことができる。本願発明は、有機化合物の許容される置換基によって、いかなる方法であろうとも制限されるものではない。
語句「保護基」は、本明細書中では、望ましくない化学転換から潜在的な反応性官能基を保護する一時的な置換基を意味する。そのような保護基の例には、カルボン酸のエステル、アルコールのシリルエーテル、並びにそれぞれアルデヒド及びケトンのアセタール及びケタールが含まれる。保護基化学反応の分野は、概説されている(Greene, T.W.;Wuts, P.G.M.、Protective Groups in Organic Synthesis、第2版;Wiley:New York、1991年)。
本明細書中では、用語「代謝産物」は、体内で代謝された化合物を指す。例えば、本発明の態様、化合物(1)(図2)は、体内で代謝されて、図9に示される代謝産物を生じさせる。
本発明には、また、前記化合物のいずれかの代謝産物も含まれる。好ましい代謝産物には、以下の式:
Figure 2008530246
によって表される化合物が含まれる。
表1〜3は、先に記載の(A)の修飾化合物の生物学的及び薬理学的な特性の一部をまとめている。表3には、いくつかのPDEに対する選択指数が含まれている。先に記載の化合物のタンパク質結合、透過性、及び溶解性は、表2に示されている。
本発明の化合物
本発明のある特定の化合物は、特定の幾何又は立体異性体で存在するかもしれない。本発明は、本発明の範囲内に収まる、cis-及びtrans-異性体、R体及びS体の鏡像異性体、ジアステレオマー、(D)体の異性体、(L)体の異性体、そのラセミ体混合物、並びにそれらの他の混合物を含めた全てのそういった化合物を想定する。付加的な不斉炭素原子が、例えば、アルキル基などの置換基内に存在するかもしれない。全ての前述の異性体、並びにその混合物が、本願発明に含まれるものとする。例えば、1つの態様において、化合物又は医薬組成物は、以下の構造:
Figure 2008530246
を有する化合物(2)の変形(a permutation of Compound 2)である。
この化合物の以下の異性体:
Figure 2008530246
が、本願発明に含まれる。
加えて、例えば、本発明の化合物の特定の鏡像異性体が所望される場合、それは、得られたジアステレオマー混合物が分離され、そして、補助基が切断されて、純粋な所望の鏡像異性体を提供する、不斉合成又はキラル補助基を用いた誘導によって調製されるかもしれない。あるいは、分子が、例えば、アミノなどの塩基性官能基、又は、例えば、カルボキシルなどの酸性官能基を含む場合には、ジアステレオマー塩は、適切な光学活性酸又は塩基を用いて形成され、それに続いて当該技術分野で周知の分別結晶又はクロマトグラフィー手段による、このように形成されたジアステレオマーの分割、その後の純エナンチオマーの回収がおこなわれる。
先に記載の化合物の想定された当量には、別の形でそれに相当し、そして、それと同じ一般的性質(例えば、鎮痛剤として働く)を有する化合物を含み、ここで、シグマ・アクセプタに結合する際の化合物の効力に悪影響を与えない置換基の1以上の単純な変化が作り出される。一般に、本発明の化合物は、容易に入手可能な出発物質、試薬、及び従来法の合成方法を使用して、例えば、以下で説明するように一般的な反応スキームにより説明される方法によって、又はその変法によって調製することができる。これらの反応において、それ自体で知られているが、本明細書中に述べられていない変異体を使用することもまた可能である。
本願発明の目的のために、化学元素は、Handbook of Chemistry and Physics、第67版、1986-87年、表紙裏のCAS版の元素周期表に従って特定される。
1つの態様において、本発明は、以下の式(A1):
Figure 2008530246
[式中、
R1が、低級アルキルであり;
R2及びR3が、独立に、低級アルキル、低級アルケニル、及び低級アルキニルから選択され、ここで、上記低級アルキル、低級アルケニル、及び低級アルキニルは、場合により、ハロゲン、低級アルコキシ、ヒドロキシ、CN、NO2、アミノ、アシルアミノ、アミド、カルボニル、及びアルキルチオの1つ以上で置換されてもよく;
Aが、N又はC-Hであり;
Bが、N、C-H、C-(SO2-R4)、又はC-CO-R4であり;
Dが、N、C-H、C-(SO2-R4)、又はC-CO-R4であり;
Eが、N又はC-Hであり;
ここで、A、B、又はEの中の1つだけが、Nであってもよく、且つ、B又はDのいずれか1つが、C-(SO2-R4)又はC-CO-R4であり;
R4が、以下の式:
Figure 2008530246
{式中、
各R5、R6、R7、及びR8が、独立に、H及び低級アルキルから選択され、ここで、上記低級アルキルは、場合により、ハロゲン、低級アルコキシ、ヒドロキシ、CN、NO2、アミノ、アシルアミノ、アミド、カルボニル、及びアルキルチオの中の1つ以上で置換されてもよく;且つ、加えて又はあるいは、
R6とR5が一緒に、5若しくは6員環を形成するか、又はR6とR7が一緒に、3〜6員環を形成し;
R9が、独立に、H及び低級アルキルから選択され、ここで、上記低級アルキルは、場合により、ハロゲン、低級アルコキシ、ヒドロキシ、CN、NO2、アミノ、アシルアミノ、アミド、カルボニル、及びアルキルチオの中の1つ以上で置換されてもよく;あるいは、
R8とR9が、それらが取り付けられている窒素と一緒に、5又は6員環を形成し;
nが、1〜4であり;そして、
mが、1〜6である。}によって表される基である。]によって表される化合物、又は、医薬として許容されるその塩、立体異性体、又は水和物を提供する。好ましい態様において、R2とR3は、独立に、低級アルキルから選択される。
式(C)によって表される基は、化合物の薬物動態学的、及び/又は薬力学的特徴を調節し、且つ、非修飾、すなわち、親化合物と比べて改善された薬物動態学的特性をもたらすことができると考えられる。ある態様において、R4は、改善された生理化学的特性、薬物動態、代謝、又は毒性特徴を有する活性物質である。好ましい態様において、活性物質は、優れた溶解性、低いIC50を持ち、及び/又は少なくとも1つの機能性残基を欠いた化合物と比べて、インビボにおいて、かなり少量しかタンパク質結合しない。
少なくとも1つの、式(C)によって表される残基の取り付けによって修飾した本発明の化合物は、修飾された非特異的なインビボにおけるタンパク質結合を含めた修飾された薬物動態学的特性を提供する。そのような最適な薬物動態学的特性は、修飾化合物の選択性又は効力のいずれをも損なわない。
本発明の化合物は、機能単位又は官能基を組み込むように設計でき、あるいは既存の化合物は、少なくとも1つの機能単位又は官能基、すなわち、残基の取り付けによって修飾できる;そのような後者の化合物には、化学的に又は生物学的に活性な分子である物質が含まれる。そのような化合物には、また、その所望の活性が当業者によって知られている治療薬又はタンパク質も含まれる。潜在的な化合物は、化合物の最少治療的有効量において治療効力のために必要とされる薬物効力、溶解性、及びに好適なタンパク質結合から成る所望のインビボ特性を提供する官能基の存在によって当業者により同定される。考慮されるべき更なる化合物特性には、化合物の経口吸収、代謝、血液脳関門を通過する能力、及び毒性が含まれる。少なくとも1つの機能性残基の取り付けによる修飾のために潜在的な化合物は、本明細書中で「親」化合物と互換性をもって呼ばれる。
親化合物は、必須のスケルトン、骨組み、又は骨格、すなわち、化合物の化学的又は生物学的活性に必要でない置換基、主として残基が、そこに取り付けられているが、これだけに制限されることなく、溶解性、及び/又はインビボにおけるタンパク質結合を含めた特性に影響を与えるかもしれないファルマコホアを含む。潜在的な親化合物は、例えば、ピペラジン基又はモルホリン基などの置換基の存在によって、本発明による残基を用いた修飾に関して選択されるかもしれない。置換基は、本発明の化合物を作り出すために、それ自体が残基で置換されるか、あるいは、残基によって置き換えられるかもしれない。
さらに、本発明の化合物は、新たに設計されるかもしれない。例えば、タンパク質結合に対する抵抗性を付与する官能基を組み込む骨格が、ドラッグ・デザインの出発点としては選ばれてもよい。あるいは、そのような骨格は、着目の化合物をスクリーニングするコンビナトリアル・ライブラリーの基礎となるかもしれない。
少なくとも1つの残基の取り付けによって修飾された本発明の化合物は、修飾されたインビボにおけるタンパク質結合を含めた修飾された薬物動態学的特性を提供する。そのような最適な薬物動態学的特性は、修飾化合物の選択性又は効力のいずれにも影響しない。本発明の薬物動態学的に改善された化合物は、好ましくは、非結合化合物の所望の治療効果を達成するために投与されるべき化合物の最少有効量を可能にし、それにより、投与量を減少させることを可能にする(そして、患者のコンプライアンスを改善できる)。化合物は、化合物の非特異的なインビボにおけるタンパク質結合を修飾することによって、親化合物を超える改善された薬物動態学的特性を提供する。少なくとも1つの残基の取り付けは、いくつかの化合物に関して非特異的なタンパク質結合を減少させるかもしれない。本発明の化合物の他の改善された薬物動態学的特性には、溶解性、経口利用可能性、代謝、脳血液関門を通過する能力、及び、すなわち、標的組織における、所望の組織内分布の提供が含まれる。
タンパク質結合の修飾は、表面技術、すなわち、溶液からのタンパク質の吸着に抵抗するそれらの能力のための表面の調製、及びスクリーニングに基づく。溶液からのタンパク質の吸着に抵抗力がある表面は、「タンパク質抵抗性」表面として当業者に知られる。官能基は、例えば、Chapmanら、Surveying for Surfaces that Resist the Adsorption of Proteins、J. Am. Chem. Soc. 2000年、122:8303-8304ページ;Ostuniら、A Survey of Structure-Property Relationships of Surfaces that Resist the Adsorption of Protein、Langmuir 2001年、17:5605-5620ページ;Holmlinら、 Zwitterionic SAMs that Resist Nonspecific Adsorption of Protein from Aqueous Buffer、Langmuir 2001年、17:2841-2850ページ;及びOstuniら、Self-Assembled Monolayers that Resist the Adsorption of Proteins and the Adhesion of Bacterial and Mammalian Cells、Langmuir 2001年、17:6336-6343ページ、に記載のとおりタンパク質抵抗性表面に存在する基を同定するためにスクリーニングされるかもしれない。
本発明の好ましい態様の例において、機能性残基には、これだけに制限されることなく、Ostuniら、Langmuir 2001年、17:5605-5620ページに記載のとおり、疎水基、エーテル、オリゴ(エチレン・グリコール)若しくはその誘導体、アミン、アンモニウム塩、簡単なアミド、アミノ酸ベースのアミド、クラウンエーテル、糖、又はニトリル、及び以下で示す他の好適な官能基が含まれ、上記文献の内容の全体、具体的には、表面タンパク質を非吸着、すなわち、タンパク質抵抗性の状態にするのに特に有効であった官能基、を本明細書中に援用する。図10A〜10Bは、本発明の化合物を作り出すために活性化合物の骨組み又は骨格に取り付けられるかもしれない様々な官能基の一部について説明している。
本発明の化合物には、先に議論のとおり、既存の非必須置換基の置き換え、及び/又は置換により、少なくとも1つの官能基である少なくとも1つの置換基の取り付けによって修飾がおこなわれるかもしれない、既知の活性化合物、すなわち、親化合物の可変の必須の骨組み又は骨格構造が含まれる。可変の必須の骨組み又は骨格構造は、本明細書中で、「A」、又は骨組み又はラジカルが少なくとも1つの機能性残基と共有結合を形成することができる活性化合物のラジカルと呼ばれる。既知の治療薬又はタンパク質を含めて、所望の活性を有する化学的又は生物学的に活性な分子の骨格又は骨組みには、これだけに制限されることなく、例えば、公開PCT出願WO 00/24745(Bunnageら)、WO 01/27112(Allertonら)、WO 02/074312(Allertonら)、米国特許番号第6,440,982 B1(Mawら)、及び同第6,583,147 B1(Yooら)に記載のとおり、サイクリック・グアノシン3',5'-一リン酸ホスホジエステラーゼ、cGMP PDE、例えば、cGMP PDE5の骨格構造が含まれる。
1つの態様において、化合物は、以下の式:
Figure 2008530246
{式中、
各R5、R6、R7、及びR8が、独立に、H及び低級アルキルから選択され、ここで、上記低級アルキルは、場合により、ハロゲン、低級アルコキシ、ヒドロキシ、CN、NO2、アミノ、アシルアミノ、アミド、カルボニル、及びアルキルチオの中の1つ以上で置換されてもよく;且つ、加えて又はあるいは、
R6とR5が一緒に、5若しくは6員環を形成するか、又はR6とR7が一緒に、3〜6員環を形成し;
R9が、独立に、H及び低級アルキルから選択され、ここで、上記低級アルキルは、場合により、ハロゲン、低級アルコキシ、ヒドロキシ、CN、NO2、アミノ、アシルアミノ、アミド、カルボニル、及びアルキルチオの中の1つ以上で置換されてもよく;あるいは、
R8とR9が、それらが取り付けられている窒素と一緒に、5又は6員環を形成する。}によって表される。
好ましくは、スルホニル基に取り付けられる官能基は、サルコシン誘導体又はオリゴマーである。好ましい態様は、以下の式:
Figure 2008530246
{式中、
R1、R2、及びR3が、独立に、H及び低級アルキルから選択され、ここで、上記低級アルキルは、場合により、ハロゲン、低級アルコキシ、ヒドロキシ、CN、NO2、アミノ、アシルアミノ、アミド、カルボニル、及びアルキルチオの中の1つ以上で置換されてもよい。}によって表される。
最も好ましい態様において、骨組み又は骨格は、以下の式(B):
Figure 2008530246
{式中、
Rが、共有結合による親化合物の硫黄への取り付けによって元のピペラジンを置き換える少なくとも1つの機能性残基を表す。}によって表されるPDE5阻害剤であるかもしれない。
化合物(A)又は(B)において、R4が、以下の式(C):
Figure 2008530246
{式中、
各R5、R6、R7、及びR8が、独立に、H及び低級アルキルから選択され、ここで、上記低級アルキルは、場合により、ハロゲン、低級アルコキシ、ヒドロキシ、CN、NO2、アミノ、アシルアミノ、アミド、カルボニル、及びアルキルチオの中の1つ以上で置換されてもよく;且つ、加えて又はあるいは、
R6とR5が一緒に、5若しくは6員環を形成するか、又はR6とR7が一緒に、3〜6員環を形成し;
R9が、独立に、H及び低級アルキルから選択され、ここで、上記低級アルキルは、場合により、ハロゲン、低級アルコキシ、ヒドロキシ、CN、NO2、アミノ、アシルアミノ、アミド、カルボニル、及びアルキルチオの中の1つ以上で置換されてもよく;あるいは、
R8とR9が、それらが取り付けられている窒素と一緒に、5又は6員環を形成し;
nが、1〜4であり;そして、
mが、1〜6である。}によって表される化合物であるかもしれない。
好ましい態様において、R4は、メチル-アミノ-ジメチルアセトアミドであり、以下の式(I):
Figure 2008530246
によって表される化合物を与える。
他の態様において、R4は、メチル-アラニン-ジメチルアミドであり、以下の式(II):
Figure 2008530246
によって表される化合物を与える。
他の態様において、R4は、2-メチルアミノ-2-トリメチル-プロピオンアミドであり、以下の式(III):
Figure 2008530246
によって表される化合物を与える。
他の好ましい態様において、化合物(A)に取り付けられるR4(式(C))について、mは、1又は2である。好ましくは、nは1である。
更なる態様において、化合物は、以下の式:
Figure 2008530246
{式中、
R1、R2、R3、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、及びR12が、独立に、H及び低級アルキルから選択され、ここで、上記低級アルキルは、場合により、ハロゲン、低級アルコキシ、ヒドロキシ、CN、NO2、アミノ、アシルアミノ、アミド、カルボニル、及びアルキルチオの中の1つ以上で置換されてもよく;且つ、加えて又はあるいは、
R6とR5、若しくはR8とR10が一緒に、5若しくは6員環を形成し、又はR6とR7、若しくはR10とR11が一緒に、3〜6員環を形成し;そして、
R9とR12が、それらが取り付けられている窒素と一緒に、5又は6員環を形成する。}によって表される。
先の態様について、好ましくは、R6、R7、R10、及びR11は各々水素である。より好ましくは、サルコシン二量体はスルホニル基に取り付けられ、そして、化合物は、以下の式:
Figure 2008530246
{式中、
R1、R2、及びR3が、独立に、H及び低級アルキルから選択され、ここで、上記低級アルキルは、場合により、ハロゲン、低級アルコキシ、ヒドロキシ、CN、NO2、アミノ、アシルアミノ、アミド、カルボニル、及びアルキルチオの中の1つ以上で置換されてもよい。}によって表される。最も好ましい態様において、R1はエチルであり、R2はメチルであり、そして、R3はプロピルである。
表1は、IC50及びCLogPを含めた、(B)によって表される先に記載の修飾化合物のある特定の特性をまとめる。
表2は、タンパク質結合、溶解性、及び非特異的結合を含めた、修飾化合物のある特定の特性をまとめる。先に記載の化合物のいくつかのPDEに対する選択指数が、表3に示されている。
本発明は、以下のステップ:(a)少なくとも1つの機能性残基で、化合物の必須でない残基、すなわち、可変骨組みを置き換えることによって、又は(b)少なくとも1つの機能性残基で、化合物の必須でない残基を置換することによって、既知の活性化合物に、非特異的タンパク質結合を減らす少なくとも1つの機能性残基を取り付け、それにより、化合物の薬物動態学的特性を改善する、を含む、化合物の薬物動態学的、及び/又は薬力学的特性を調節する方法に関する。
先に記載の方法の好ましい態様において、置換基又は置き換え残基として取り付けられる機能性残基は、最小限の数の水素ドナー、多数の水素結合アクセプタ、及び中性電荷を含む。
先に記載の方法において、既知の活性化合物に取り付けられる少なくとも1つの機能性残基は、疎水基、エーテル、オリゴ(エチレン・グリコール)若しくはその誘導体、アミン、アンモニウム塩、簡単なアミド、アミノ酸ベースのアミド、クラウンエーテル、糖、ニトリル、アミン基、オキサルアミド、サルコシン残基、サルコシン誘導体、又はサルコシン・オリゴマーであるかもしれない。好ましい態様において、薬物動態学的特性は、非特異的タンパク質結合である。
本発明は、以下のステップ:既知の活性化合物に、疎水基、エーテル、オリゴ(エチレン・グリコール)若しくはその誘導体、アミン、アンモニウム塩、簡単なアミド、アミノ酸ベースのアミド、クラウンエーテル、糖、又はニトリル、アミン基、オキサルアミド、サルコシン残基、サルコシン誘導体若しくはサルコシン・オリゴマーから成る群からの残基を取り付けて、第2の化合物を作り出す、を含む、化合物の薬物動態学的、及び/又は薬力学的特性を調節する方法に関する。
一般に、タンパク質結合は、ヒト血清成分又はその模倣体の中の1種類以上に結合する本発明の分子の能力を計測することによって評価される。1つの態様において、好適な機能性残基は、これだけに制限されることなく、血清タンパク質、そして、好ましくは、ヒト血清タンパク質を含めた血清成分の吸着に抵抗するそれらの能力について、前述の残基を含む表面のスクリーニングによって同定されてもよい。候補残基は、それらを固体支持体に取り付け、そして、タンパク質抵抗性について上記支持体を試験することによって、直接的にスクリーニングされるかもしれない。あるいは、候補残基は、医薬として着目の分子に組み込まれるか、又は連結される。前述の化合物は、固体支持体上で合成されるか、又は合成後に固体支持体に結合されるかもしれない。直接結合アッセイの限定されることのない例において、固定された候補機能性残基又はそのような残基を組み込んだ分子は、血清成分を結合するそれらの能力について試験される。血清成分が、検出のためのシグナル伝達部分で標識されてもよく、又はそのような血清成分に結合する標識二次試薬が使用されてもよい。
溶液からのタンパク質の吸着に抵抗性がある表面は「タンパク質抵抗性」表面として知られる。官能基は、例えば、Chapmanら、Surveying for Surfaces that Resist the Adsorption of Proteins、J. Am, Chem. Soc. 2000年、122:8303-8304ページ;Ostuniら、A Survey of Structure-Property Relationships of Surfaces that Resist the Adsorption of Protein、Langmuir 2001年、17:5605-5620ページ;Holmiin,ら、Zwitterionic SAMs that Resist Nonspecific Adsorption of Protein from Aqueous Buffer、Langmuir 2001年、17:2841-2850ページ;及びOstuniら、Self-Assembled Monolayers that Resist the Adsorption of Proteins and the Adhesion of Bacterial and Mammalian Cells、Langmuir 2001年、17:6336-6343年に記載のように、タンパク質抵抗性表面に存在している基を同定するためにスクリーニングされるかもしれない。
そのようなタンパク質抵抗性を提供する機能性残基の同定によって、当業者は、機能性残基が、活性化合物の官能基の置換によるか、又は活性化合物の必須でない官能基の置き換えによっておそらく取り付けられるだろう既知の生物学的又は化学的に活性な化合物の好適な化学スケルトン又は骨格を容易に決定する。例えば、先に議論したように、化合物上のピペラジン基の存在は、上述の基が機能性残基で置き換えられるか、又は置換されるかもしれないことを示唆する。当業者、例えば、医薬品化学者は、少なくとも1つの機能性残基で置換されるか、又は置き換えられることができる既知の活性化合物に対する他の好適な基に気付く。従って、化合物のコンビナトリアル・ライブラリーは、以下に記載のとおり、作り出されることができ、ここで、上記化合物は、(化合物の必須骨格が特定の所望の活性を有する)化合物、例えば、化合物(A)の活性部位、及びそれに取り付けられた少なくとも1つの機能性残基の結合を含む修飾化合物であり、ここで、各結合は、それに取り付けられた異なった機能性残基、例えば、式(C){式中、R基が、本明細書中に記載の様々な基から選択される。}によって表される残基、又は図10A〜10Bに示された様々な官能基を持つ。従って、ライブラリーは、修飾化合物の非特異的タンパク質結合を含めた改善された薬物動態学的、及び/又は薬力学的特性に関する、複数の異なる機能性残基のスクリーニングのために使用できる。
好ましい態様において、固体支持体自体は、血清成分との相互作用を最小にするように選ばれるか、又は修飾される。そのような支持体とアッセイ系の例は、本明細書中に援用される、国際出願WO 02/48676、WO 03/12392、WO 03/18854、WO 03/54515に記載されている。あるいは、本発明の分子は、液相中の血清成分の中の1種類以上と混合され、そして、非結合分子の量が測定されるかもしれない。
直接結合分析は、また、液相中で前もって形成されてもよい。例えば、試験化合物は、液相中で血清成分の中の1種類以上と混合され、そして、非結合分子が測定されるかもしれない。
好ましい態様の例において、減弱したタンパク質結合を有する分子は、以下のとおり同定される:無水物基で終端したチオール分子の自己集合単分子層が、金表面で形成される。次に、一端にアミン基を持ち、そして、例えば、もう一端に、アルブミンへの結合に抵抗するように設計された基を持つ小分子一式が、アミンと無水物の間の反応により前記表面に取り付けられる。分子一式は、金表面上の空間的にはっきりと区別できる領域にスポットされて、タンパク質結合に抵抗性があるかもしれない分子のアレイが作製される。次に、このアレイは、蛍光標識されたアルブミンを含む溶液に晒される。好適なインキュベーション期間の後に、金表面は、洗浄され、そして、蛍光スキャナによりスキャンされる。アルブミンを結合している固定された化学基は、蛍光シグナルの存在によって同定され;アルブミン結合に抵抗する基は、アレイのその部分に弱い蛍光を持つ。蛍光タンパク質が利用できない場合には、化学基へのタンパク質結合を検出するために、次に、着目のタンパク質に対する抗体が、蛍光二次抗体と組み合わせて使用されてもよい。抗体が利用できない場合には、アレイ内の個々の要素におけるタンパク質の存在を同定するために、例えば、表面プラズモン共鳴法(SPR)又はMALDI質量分析法などの非標識検出法が使用されてもよい。SPRには、また、化学基へのタンパク質の結合に関する動態学的情報を提供する利点がある。
この系の使用はアルブミンに限定されない;薬物動態学的に着目のあらゆるタンパク質が、結合可能性について試験されることができる。例えば、α-酸性糖タンパク質(AAG、AGP)及びリポタンパク質などの小分子に結合する血液タンパク質が、アレイに晒され、そして、タンパク質結合が検出されることができた。
本発明のある態様において、小分子治療薬に付加された時に、P-糖タンパク質(POP)への結合に抵抗し、それにより、流出物を減少させる潜在能力を有する化学基が、同定されるかもしれない。多剤耐性(MDR)が発現した場合には、これは、有効な治療を提供する抗癌剤の開発のために特に重要である。
前記方法は、また、例えば、トロンビン、アンチトロンビン、及び第Xa因子などのタンパク質への結合に抵抗し、それにより、血液凝固を制御する潜在能力を有する化学基を同定するためにも使用できた。
この方法は、また、タンパク質結合及びPK特性が非常に重要である、例えば、テストステロンや性ホルモン結合グロブリン(SHBG)などの、例えば、ホルモンとそれらの結合タンパク質、及びステロイドとそれらの結合タンパク質の場合に、補充又は代償療法として設計された治療薬を改善する基を同定するためにも有効である。
他の側面において、本発明は、以下のステップ:これだけに制限されることなく、活性物質、生理活性化合物、タンパク質、及び化学物質を含めた活性化合物のあらゆる前述の既知のスケルトン又は骨格から成る群から選択される第1の化合物に、以下の式(C):
Figure 2008530246
{式中、
R5、R6、R7、R8、及びR9が、H及び低級アルキルであるかもしれず、ここで、上記低級アルキルは、ハロゲン、低級アルコキシ、ヒドロキシ、CN、CO2、アミノ、アシルアミノ、アミド、カルボニル、及びアルキルチオで置換されてもよく;且つ、
R6とR5が一緒に、5若しくは6員環を形成するか、又はR6とR7が一緒に、3〜6員環を形成し;
R8とR9が、それらが取り付けられている窒素と一緒に、5又は6員環を形成することができ;
nが、1〜4であり;そして、
mが、1〜6である。}によって表される残基を取り付けて、第2の化合物を作り出す、を含む、化合物の薬物動態学的、及び/又は薬力学的特性を調節する方法に関する。
特定の態様において、本発明は、前記nが1又は2である前述の方法に関する。
特定の態様において、本発明は、前記nが1である前述の方法に関する。
特定の態様において、本発明は、化合物の薬物動態学的、及び/又は薬力学的特性を調節する方法であり、それによって、上記化合物が、以下の式(A1):
Figure 2008530246
{式中、
R1、R2、及びR3が、独立に、H、低級アルキル、低級アルケニル、及び低級アルキニルから選択され、ここで、上記低級アルキル、低級アルケニル、及び低級アルキニルは、場合により、ハロゲン、低級アルコキシ、ヒドロキシ、CN、NO2、アミノ、アシルアミノ、アミド、カルボニル、及びアルキルチオの中の1つ以上で置換されてもよい。}によって表されるものか、又は、医薬として許容されるその塩、立体異性体、又は水和物である方法であって、以下のステップ:
以下の式(C):
Figure 2008530246
{式中、
R5、R6、R7、R8、及びR9が、H及び低級アルキルであってもよく、ここで、上記低級アルキルは、ハロゲン、低級アルコキシ、ヒドロキシ、CN、NO2、アミノ、アシルアミノ、アミド、カルボニル、及びアルキルチオで置換されてもよく;且つ、
R6とR5が一緒に、5若しくは6員環を形成するか、又はR6とR7が一緒に、3〜6員環を形成し;
R8とR9が、それらが取り付けられている窒素と一緒に、5又は6員環を形成することができ;
nが、1〜4であり;そして、
mが、1〜6である。}によって表されるR4を取り付けて、第2の化合物を作り出す、を含むものに関する。
特定の態様において、本発明は、前記第2の化合物が、以下の式:
Figure 2008530246
{式中、
R1、R2、及びR3が、独立に、H、低級アルキル、低級アルケニル、及び低級アルキニルから選択され、ここで、上記低級アルキル、低級アルケニル、及び低級アルキニルは、場合により、ハロゲン、低級アルコキシ、ヒドロキシ、CN、NO2、アミノ、アシルアミノ、アミド、カルボニル、及びアルキルチオの中の1つ以上で置換されてもよい。}によって表される前述の方法に関する。
特定の態様において、本発明は、前記第2の化合物が、以下の式:
Figure 2008530246
{式中、
R1、R2、及びR3が、独立に、H及び低級アルキルから選択され、ここで、上記低級アルキルは、場合により、ハロゲン、低級アルコキシ、ヒドロキシ、CN、NO2、アミノ、アシルアミノ、アミド、カルボニル、及びアルキルチオの中の1つ以上で置換されてもよい。}によって表される前述の方法に関する。
特定の態様において、本発明は、前記化合物が、以下の式(B):
Figure 2008530246
によって表される前述の方法に関する。
特定の態様において、本発明は、前記R4が、メチル-アミノ-ジメチルアセトアミドであり、以下の式(I):
Figure 2008530246
によって表される化合物を与える前述の方法に関する。
特定の態様において、本発明は、前記R4が、メチル-アラニン-ジメチルアセトアミドであり、以下の式(II):
Figure 2008530246
によって表される化合物を与える前述の方法に関する。
特定の態様において、本発明は、前記R4が、2-メチルアミノ-2-トリメチル-プロピオンアミドであり、以下の式(III):
Figure 2008530246
によって表される化合物を与える前述の方法に関する。
特定の態様において、本発明は、化合物(A)に取り付けられるR4(式(C))に関して前記mが、1又は2であり、好ましくは、nが、1である、前述の方法に関する。
特定の態様において、本発明は、前記最初の化合物が、これだけに制限されることなく、活性物質、生理活性化合物、タンパク質、及び化合物を含めた活性化合物の既知のスケルトン又は骨格である、前述の方法に関する。例えば、前記化合物は、式(A)又は(B)によって表される化合物であるかもしれない。
本発明は、また、前記の化合物のいずれかの代謝産物を含む前述の方法に関する。本発明の1つの態様において、代謝産物は、以下の式(D):
Figure 2008530246
{式中、
R1が、低級アルキルであり;
R2及びR3が、独立に、低級アルキル、低級アルケニル、及び低級アルキニルから選択され、ここで、上記低級アルキル、低級アルケニル、及び低級アルキニルは、場合により、ハロゲン、低級アルコキシ、ヒドロキシ、CN、NO2、アミノ、アシルアミノ、アミド、カルボニル、及びアルキルチオの中の1つ以上で置換されてもよく;
Aが、N又はC-Hであり;
Bが、N、C-H、C-(SO2-NH-R13)、又はC-CO-NH-R13であり;
Dが、N、C-H、C-(SO2-NH-R13)、又はC-CO-NH-R13であり;
Eが、N又はC-Hであり;
ここで、A、B、又はEの中の1つだけが、Nであってもよく、且つ、B又はDのいずれか1つが、C-(SO2-NH-R13)又はC-CO-NH-R13であり;
R13が、低級アルキルである。}によって表される構造を有するかもしれない。
好ましい態様において、R2及びR3は、独立に、低級アルキルから選択される。更に好ましい態様において、R13は、メチルである。
好ましい代謝産物は、以下の式(D1):
Figure 2008530246
{式中、
R1、R2、及びR3が、化合物(A)について先に規定されたとおりのものであり、そして、
R13が、低級アルキルから選択され、好ましくは、メチルである。}によって表される化合物を含む。好ましい態様は、以下の式:
Figure 2008530246
によって表される化合物を含む。
式(D)及び(D1)によって表される化合物、医薬として許容されるその塩、立体異性体、水和物、又はプロドラッグは、患者に直接的に投与されるかもしれない。あるいは、式(D)及び(D1)の化合物は、親化合物又はプロドラッグの投与後に患者の体内で形成されるかもしれない。よって、1つの態様において、本発明は、式(D)又は(D1)によって表される化合物をヒト対象に投与することによって、PDE、特にPDE5を抑制する方法に向けられる。本発明の更なる態様は、例えば、代謝を受けた結果として、インビボにおいて式(D)又は(D1)によって表される化合物を形成するプロドラッグを、ヒト対象に投与することによって、PDE、特にPDE5を抑制する方法に向けられる。
本発明の前述の方法によって誘導されるある特定の化合物は、特定の幾何又は立体異性体で存在するかもしれない。本発明は、本発明の範囲内にある、そのcis-及びtrans-異性体、R体及びS体の鏡像異性体、ジアステレオマー、(D)体の異性体、(L)体の異性体、ラセミ体混合物、並びにその他のその混合物を含めた前述の化合物の全てを想定する。付加的な不斉炭素原子が、例えば、アルキル基などの置換基内に存在しているかもしれない。全てのそのような異性体、並びにその混合物が、本願発明に含まれている。例えば、1つの態様において、化合物又は医薬組成物は、以下の構造:
Figure 2008530246
によって表される化合物(2)の変形である。
この化合物の以下の異性体が本願発明に含まれている:
Figure 2008530246
加えて、例えば、本発明の化合物の特定の鏡像異性体が望まれる場合、得られたジアステレオマー混合物が分離され、そして、補助基が切断されて、純粋な所望の鏡像異性体が提供される、不斉合成、又はキラル補助基を用いた誘導によってそれを調製することができる。あるいは、分子が、例えば、アミノなどの塩基性官能基を含むか、又は、例えば、カルボキシルなどの酸性官能基を含む場合には、ジアステレオマー塩は、適切な光学的に活性な酸又は塩基を用いて形成され、それに続いて当該技術分野で周知の分別結晶又はクロマトグラフィー手段による、そのように形成されたジアステレオマーの分割、その後の純エナンチオマーの回収がおこなわれる。
合成小分子は、多くの場合、腸内で溶解され、身体によって吸収され、そして、治療標的に達するそれらの能力を制限する難溶解性を有する。逆に、一部の分子は、非常に親水性であるので、それらは細胞を囲む疎水性膜を通り抜けることができず、それによりそれらの治療標的に達することができない。それ故に、合成化学者が小分子の溶解性を増強するか、又は親水性を減弱する化学基が望ましい。
下記の事項は、小分子の溶解性を改善できる基を同定するための表面ベースの方法を説明する。マレイミド基で終端されたチオール分子の自己集合単分子層が、金表面において形成される。一端にチオール基を持ち、そして、もう一端に親水性である基を持つ小分子一式は、次に、チオールとマレイミドの間の反応により表面に取り付けられる。分子一式は、金表面上の空間的にはっきりと区別できる領域にスポットされて、小分子の溶解性を増強するかもしれない分子のアレイが作製される。次に、極性(例えば、水)及び疎水性(例えば、オクタノール)の液体の両方の液滴が、前記アレイの各要素上に置かれる。次に、各要素上の2種類の液体の接触角が、角度計を使用して前記アレイの各要素にて計測される。あるいは、化学基を提示する表面における特定の液体の湿潤性は、上から見た時の液滴によって覆われた表面積を計測することによって測定されてもよい(高い接触角は狭い面積の液滴をもたらし;低い接触角はより広い面積を覆う)。化学基を提示する表面上の液体の接触角は、その液体(溶媒)とその化学基の混和性に反比例する。例えば、それが表面に提示された時に、水が高い接触角を持つ化学基、例えば、メチル(CH3)などは、水との低い混和性を有する、すなわち、それは小分子の溶解性を減弱する傾向がある。逆に、それが表面に提示された時に、水との低い接触角を持つ化学基、例えば、カルボキシル(COOH)などは、水との高い混和性を有する、すなわち、それは小分子の溶解性を増強する傾向がある。それ故に、溶解性を改善するか、又は親水性を減弱する基を同定するために、表面上での接触角を使用して、化学基一式を迅速にスクリーニングすることができる。このアプローチは、溶解性に対する、本発明に従って使用される化学基の効果を評価するのに使用できる。
細胞の脂質膜を通過する小分子の能力に関する一般的なパラメーターは、Pがオクタノールと水の間の化合物の分配係数である、logPである。それ故に、オクタノールと水に関する、化学基を提示する表面の相対接触角は、化合物のlogPに対するそれらの潜在的な効果に関して、多数の化学基一式を格付けするための迅速で、実証的な方法を提供する。
小分子の溶解性のpH依存性は、異なるpHの溶液の接触角を計測することによって、この方法で対処されるかもしれない。この場合、logPに相当するパラメーターは、logDであり、ここで、Dは、様々なpHにおける、オクタノール中の全ての化合物種の合計濃度対、水中の全ての化合物種の合計濃度の比として規定される分配係数である。それ故に、異なるpHで計測された接触角は、logDに対して同等な計測値の見込みを提示する。
それは、また、細胞膜及び複数の細胞を通過して能動的に輸送されるそれらの能力、又はそのような輸送に対するそれらの抵抗性に関して候補化合物をスクリーニングするためにも有用である。例えば、医薬として有用な抗癌分子が、標的腫瘍細胞から外への能動輸送のためにそれらの有効性が制限される可能性があることは周知である。同様に、脳毛細血管内皮細胞の単層が、底側から頂端側へヴィンクリスチンを一方向に輸送し、抗癌剤が中枢神経系に入るのを事実上妨げていることが観察された。場合によっては、化学基の価値は、非特異的なタンパク質結合を減弱することに加えて、それらの作用部位に向かって受動的又は能動的輸送を高める、及び/又は作用部位からの輸送を抑制することによって薬物動態を改善することである。
脳は、小分子が入り込むことが最も難しい組織の1つである。神経血管接合部は、密接であり、そして、脳から外への小分子の取り除きに主に関与する活性なほんのわずかな輸送体を含む。(細胞間結合間の)傍細胞経路は、小分子が利用できないが、(細胞膜を通した)経細胞経路だけは利用できる。古くから、脳を標的とする分子、例えば、ベンゾジアゼピン系薬などは、それらが細胞膜中を通るのを可能にするように疎水性である。当発明は、タンパク質抵抗性を与え、そして、例えば、ベンゾジアゼピン系薬;これは大部分を占める血清タンパク質への結合のせいで高用量を必要とする、などの分子に関する過剰なタンパク質結合のよくある問題を緩和する化学基の検索に適合する。PGP結合剤の同定に関して先に記載したアプローチが、脳内の改善された滞留時間のために分子を最適化するのに役に立つ。
医薬として活性な物質の能動輸送の評価のための、様々な細胞型の単層を用いたいくつかモデル系が利用可能である。例えば、腸と血流の間の物質の能動輸送を評価するために、Caco-2小腸上皮細胞の単層を使用できる。頂端部から側底への、及びその逆の物質の流れを可能にする表面上に蒔かれた時、そのような細胞は、生理学的な吸収と生物学的利用能をシミュレートするために使用できる生体膜を形成する。他の例において、マウス脳毛細血管内皮細胞(MBEC)株は、中枢神経系の中、及び外への能動輸送を評価するために確立された。そのような細胞の他の例は、HT29ヒト結腸癌腫細胞である。さらに、トランスフェクト細胞を使用して、特定の輸送タンパク質を発現する単層が確立されるかもしれない。例えば、Sasakiら、(2002年)J. Biol. Chem. 8:6497ページは、有機陰イオンの輸送を研究するために、二重トランスフェクト・マディン-ダービー・イヌ腎臓細胞単層を使用した。
透過性を調べるために、もちろん、細胞単層の代替手段を利用できる。代替手段は、通常、能動輸送ができる生物学的構造を含み、且つ、これだけに制限されることなく、実験動物、及び人工マトリックスに播種した細胞からインビトロで作り出された再構成臓器又は膜から得られた消化管器官を含む。
身体の酵素が、特に、肝臓及び腸においてそれらを代謝するので、潜在的な治療薬である多くの小分子は体内では有効でない。例えば、CYP450酵素は、小分子の第I相酸化を引き起こし、それにより、その治療学的な影響にプラス又はマイナスの結果となるかもしれないそれらの物理的及び生物学的な特性を変更する。CYP450酵素による酸化に抵抗する化学基は、治療標的に対するそれらの効力に影響を及ぼさずに小分子の代謝を調節するのに有用である可能性がある。あるいは、酸化酵素の犠牲標的としての機能を果たし、それにより、活性なファルマコホアを避けて代謝経路をそらす化学基を同定することが望ましいかもしれない。このアプローチは、代謝に影響されやすいファルマコホアのための新しいプロドラッグ、及び/又は代謝保護基につながるかもしれない。
小分子の代謝特徴を調節する化学基を同定する1つの方法は、以下のとおりである:無水物基で終端されたチオール分子の自己集合単分子層が、金表面で形成される。次に、一端にアミン基、そして、例えば、もう一端に、CYP450による酸化に抵抗するように設計された基を持つ小分子一式が、アミンと無水物の間の反応により前記表面に取り付けられる。この分子一式は、金表面の空間的にはっきりと区別できる領域にスポットされ、酵素的酸化に抵抗するかもしれない分子のアレイが作製される。次に、このアレイは、CYP450酵素を含む溶液、例えば、ミクロソーム調製物に晒される。そのようなミクロソームは、CYP450クラスの主要なアイソザイムの全てで得られる。好適なインキュベーション時間、アレイが酵素に晒された時点で、金表面は、洗浄され、そして、MALDI質量分析計(MS)内に置かれる。次に、表面に固定された化学基一式の化学的組成が、金上のアレイ内の各要素において質量分析を実施することによって測定される(先の開示を参照のこと)。化学基が酵素によって修飾された場合、これが、それらの質量分析スペクトルの変化によって明らかにされる。化学基がCYP450によって修飾されなかった場合、それらの質量スペクトルは、酵素に晒す前と変わらなかった。修飾に抵抗する基は、CYP450による酸化に影響されやすい小分子上の基を置き換えるための良い候補物である。
代謝安定性又は特徴
このアプローチは、ヒト起源のCYP450酵素を含むミクロソームに限定されない。このアプローチは、異なる種の異なる代謝経路を予測(及び、説明)するためにまとめてスクリーニングするために、多くの種からの天然のミクロソーム調製物と共に使用できる。これらのデータは、前臨床的な検討に最適な動物種を選ぶのに役立つだろう。
同様に、小分子の還元と加水分解を引き起こす他の第I相酵素による修飾に抵抗する基は、これらの酵素にこれらのアレイを晒し、そして、MALDI-MSにより上記アレイを読み出すことによって同定できるだろう。第II相酵素による結合と合成に抵抗する基は、アレイを酵素及び補因子に晒し、そして、MALDI-MSにより上記アレイを読み出すことによって同定できる。
薬物間相互作用
同じ様式で、表面アレイ・アプローチは、小分子治療の毒性を増強するかもしれない危険な薬品間相互作用を同定するために使用できた。この方法で、既存の薬物(例えば、アスピリン及び抗ヒスタミン剤)において見られる共通の「代謝」モチーフ一式が、表面上に固定される。次に、表面は、潜在的な治療薬と混合したCYP450ミクロソームに晒され、その後、固定されたモチーフの代謝が、MALDI-MSを使用して分析される。試験化合物がCYP450による、固定された基の代謝を妨げるならば、この結果は、潜在的な薬品間相互作用を示唆するかもしれない。この例はPK性能を向上させる化学基の同定の範疇にないが、それは、表面アレイ・アプローチの幅広い有用性を示す。
有毒性
我々は、また、どのCYP450が特定の化学基の代謝にかかわるか同定するためにこの形式を使用できた。この情報は、それらのCYP450に一定の突然変異を持つ特定の亜集団のために薬物を設計することにつながるかもしれない。
小分子は、細胞に対して有毒であるので、多くの場合、治療薬として役に立たない。それ故に、毒性を減弱する基が、そのような分子を改善するのに有益であるだろう。以下の事項は、毒性に対する化学基一式の効果をスクリーニングするための方法を説明する。化学基の溶液が、平面基板上のアレイにスポットされ、そして、乾かされる。次に、着目の細胞型が、アレイ上に単層として成膜される。次に、分子一式が、細胞単層を通して、細胞内にエレクトポレーション処理される。インキュベーション時間後に、前記アレイは細胞の生存率についてスキャンされる。死細胞を含むあらゆる領域が、エレクトポレーション処理した化学基が有毒であることを示すだろう。
医薬組成物
他の側面において、本発明は、1種類以上の医薬として許容される担体(添加物)、及び/又は希釈剤と共に処方される、これだけに制限されることなく、先に記載の化合物及び図面に示されているものを含めた本発明の化合物の1種類以上を、治療的有効量で含む、医薬として許容される組成物を提供する。以下で詳細に説明するように、本発明の医薬組成物は、以下の:(1)例えば、水薬(水性又は非水性の溶液又は懸濁液)、例えば、口腔、舌下、及び全身吸収を狙った錠剤、ボーラス、散剤、顆粒剤、舌への適用のためのペースト剤の経口投与;(2)例えば、無菌の溶液若しくは懸濁液、又は徐放性製剤としての、例えば、皮下、筋肉内、静脈内、又は硬膜外注射による非経口投与;(3)例えば、クリーム、軟膏剤、制御放出パッチ、又は皮膚に塗布されるスプレーとしての局所適用;(4)例えば、ペッサリー、クリーム、又はフォームとしての腟内又は直腸内;(5)舌下;(6)眼科用;(7)経皮;又は(8)経鼻、に適合させたものを含めた固体又は液体の形態での投与のために特別に処方されるかもしれない。
語句「治療的有効量」は、本明細書中では、いずれかの治療に適用できる妥当な利益/リスク比、例えば、いずれかの治療に適用できる妥当な副作用にて、少なくとも1種類の動物細胞亜集団において、いくつかの所望の治療効果を生み出すのに有効である化合物、材料、及び本発明の化合物を含む組成物の量を意味する。
語句「医薬として許容される」は、正しい医学的判断の範囲内で、妥当な利益/リスク比に見合った毒性、刺激、アレルギー応答などの問題、又は合併症を有するヒト及び動物の組織と接触した状態での使用に好適な化合物、材料、組成物、及び/又は投与形態を表すために本明細書中で利用される。
語句「医薬として許容される担体」は、本明細書中では、対象の化合物をある臓器若しくは体の部分から他の臓器若しくは体の部分に運搬又は輸送するのに関与する、医薬として許容される材料、組成物、又は溶媒、例えば、液体又は固体の増量剤、希釈剤、賦形剤、製造助剤(例えば、滑沢剤、タルク、ステアリン酸マグネシウム、カルシウム、亜鉛、又はステアリン酸)、あるいは溶剤カプセル化材料を意味する。それぞれの担体は、製剤の他の成分と適合し、且つ、患者に有害でないという意味において「許容される」ものでなければならない。医薬として許容される担体としての機能を果たす材料のいくつかの例には、以下の:(1)例えば、ラクトース、グルコース、及びショ糖などの糖;(2)例えば、コーンスターチ、及びジャガイモ・デンプンなどのデンプン;(3)例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、及び酢酸セルロースなどのセルロース及びその誘導体;(4)トラガント末;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)タルク;(8)例えば、ココアバター及び坐剤ワックスなどの賦形剤;(9)例えば、ラッカセイ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、及びダイズ油などのオイル;(10)例えば、プロピレン・グリコールなどのグリコール;(11)例えば、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、及びポリエチレングリコールなどのポリオール;(12)例えば、オレイン酸エチル及びラウリン酸エチルなどのエステル;(13)寒天;(14)例えば、水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;(15)アルギン酸;(16)発熱因子を含まない水;(17)等張食塩水;(18)リンゲル液;(19)エチルアルコール;(20)pH緩衝液;(21)ポリエステル、ポリカーボネート、及び/又はポリ無水物;並びに(22)医薬製剤で利用される他の無毒性の適合物質が含まれる。
前記に示したように、当該化合物のある特定の態様は、例えば、アミノ又はアルキルアミノなどの塩基性官能基を含むかもしれず、それにより、医薬として許容される酸と共に医薬として許容される塩を形成することができる。この点で、用語「医薬として許容される塩」は、本発明の化合物の、比較的無毒な、無機及び有機酸付加塩を指す。これらの塩は、投与溶媒中又は投与形態の製造工程のその場で、あるいは遊離塩基形態の精製された本発明の化合物を、好適な有機又は無機酸と別々に反応させ、そしてその後の精製中にそのように形成された塩を分離することによって調製することができる。代表的な塩には、臭化水素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トシル酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチル酸塩、メシル酸塩、グルコヘプトン酸塩、ラクトビオン酸塩、及びラウリルスルホン酸塩などが含まれる(例えば、Bergeら、(1977年)"Pharmaceutical Salts"、J. Pharm. Sci. 66:1-19ページ)。
対象の化合物の医薬として許容される塩には、例えば、無毒の有機又は無機酸からの、上記化合物の従来の無毒性塩又は四級アンモニウム塩が含まれる。例えば、そのような従来の無毒性塩には、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸等などの無機酸から生じるもの;並びに、例えば、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パルミチン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2-アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イソチオン酸などの有機酸から調製された塩が含まれる。
他の場合には、本発明の化合物は、1つ以上の酸性官能基を含んでもよく、それにより、医薬として許容される塩基と共に医薬として許容される塩を形成することができる。用語「医薬として許容される塩」は、これらの事例において、比較的無毒の、本発明の化合物の無機及び有機塩基付加塩を指す。これらの塩は、投与溶媒中、又は投与形態の製造工程においてその場で、あるいは遊離酸形態の精製された化合物を、医薬として許容される金属カチオンの水酸化物、炭酸塩、又は重炭酸塩などの好適な塩基か、アンモニアか、又は医薬として許容される一級、二級、若しくは三級有機アミンと別々に反応させることによって同様に調製することができる。代表的なアルカリ塩又はアルカリ土類塩には、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、及びアルミニウム塩などが含まれる。代表的な有機アミンは、エチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジンなどを含めた塩基付加塩の形成に有用である(例えば、Bergeら、前記を参照のこと)。
湿潤剤、乳化剤、及び滑沢剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウムやステアリン酸マグネシウムなど、並びに着色剤、放出剤(release agents)、被覆剤、甘味料、香味及び着香料、保存料、並びに抗酸化剤もまた組成物中に存在してもよい。
医薬として許容される抗酸化剤の例には、以下の:(1)例えば、アスコルビン酸、塩酸システイン、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウムなどの水溶性抗酸化剤;(2)例えば、アスコルビル・パルミテート、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、α-トコフェロールなどの油溶性抗酸化剤;及び(3)例えば、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などの金属キレート剤が含まれる。
本発明の製剤には、経口、鼻腔内、(頬側及び舌下を含む)局所、直腸、膣内、及び/又は非経口投与に好適なものが含まれる。製剤は、都合よく、単位投与形態で与えられてもよく、そして、薬学の技術分野で周知のいずれの方法によって調製されてもよい。単回投与形態の製造のために担体材料と混ぜ合わせることができる有効成分の量は、特定の投与様式、治療される宿主に依存して異なる。単回投与形態の製造のために担体材料と混ぜ合わせることができる有効成分の量は、一般に、治療効果を生じる化合物の量になる。一般に、100%のうち、この量は、約0.1%〜約99%、好ましくは約5%〜約70%、最も好ましくは約10%〜約30%の有効成分の範囲をとる。
特定の態様において、本発明の製剤は、シクロデキストリン、セルロース、リポソーム、ミセル形成剤、例えば、胆汁酸、並びに高分子担体、例えば、ポリエステル及びポリ無水物から成る群から選択される賦形剤を含む。
本発明の化合物。特定の態様において、前述の製剤は、本発明の化合物を経口で生物学的に利用可能なものにする。
これらの製剤又は組成物を製造する方法は、本発明の化合物を、担体と、場合により1種類以上の副成分と結合させるステップを含む。一般に、製剤は、本発明の化合物を、液体担体、微粉化した固体担体、又はその両方と、均一、且つ、密に結合させ、次に、必要に応じて、その生成物を形成することによって調製される。
経口投与に好適な本発明の製剤は、有効成分としてそれぞれが本発明の化合物の所定の量を含む、カプセル剤、カシェ剤、丸薬、錠剤、(風味を付けた主成分、通常、ショ糖及びアカシア又はトラガントを使用する)ロゼンジ、散剤、顆粒剤、又は水性若しくは非水性液体中の溶液若しくは懸濁液として、又は水中油又は油中水の乳化液として、又はエリキシル剤又はシロップ剤として、又は(例えば、ゼラチンやグリセリン、又はショ糖やアカシアなどの不活性基材を使用した)香錠、及び/又は口内洗剤などの形態であるかもしれない。本発明の化合物は、また、ボーラス、舐剤、又はペースト剤として投与されるかもしれない。
経口投与のための本発明の固体剤形(カプセル剤、錠剤、丸薬、糖衣錠剤、散剤、顆粒剤、トローチなど)において、有効成分は、例えば、クエン酸ナトリウム若しくはリン酸二カルシウムなどの医薬として許容される担体の1種類以上、及び/又は以下の:(1)例えば、デンプン、ラクトース、ショ糖、グルコース、マンニトール、及び/又はケイ酸などの充填剤又は増量剤;(2)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ショ糖、及び/又はアカシアなどの結合剤;(3)例えば、グリセロールなどの湿潤剤;(4)例えば、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモ若しくはタピオカ・デンプン、アルギン酸、一部のケイ酸塩、及び炭酸ナトリウムなどの崩壊剤;(5)例えば、パラフィンなどの溶液緩染剤;(6)例えば、四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、及び、例えば、ポロキサマー及びラウリル硫酸ナトリウムなどの界面活性剤;(7)例えば、セチルアルコール、グリセロール・モノステアレート、及び非イオン性界面活性剤などの湿潤剤;(8)例えば、カオリン及びベントナイト粘土などの吸収剤;(9)例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固形ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸、及びその混合物などの滑沢剤;(10)着色料;並びに(11)例えば、クロスポビドン又はエチルセルロースなどの制御放出剤、のいずれかと混合される。カプセル剤、錠剤、及び丸薬の場合には、医薬組成物は、また、緩衝剤を含む可能性もある。似たような種類の固体組成物は、また、ラクトース、又は乳糖、並びに高分子量ポリエチレン・グリコールなどのような賦形剤を使用した、軟らかいシェルや硬いシェルで覆われたゼラチンカプセルの増量剤として利用されるかもしれない。
錠剤は、場合により、1種類以上の副成分と共に、圧縮又は成形によって作られるかもしれない。圧縮錠は、結合剤(例えば、ゼラチン若しくはヒドロキシプロピルメチル・セルロース)、滑沢剤、不活性な希釈剤、保存料、崩壊剤(例えば、デンプン・グリコール酸ナトリウム若しくは架橋カルボキシメチルセルロース・ナトリウム)、界面活性剤、又は分散剤を使用して製造することができる。成形錠剤は、不活性な液体希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物を好適な機械により成形することによって作ることができる。
本発明の医薬組成物の錠剤などの固体剤形、例えば、糖衣錠剤、カプセル剤、丸薬、及び顆粒剤などは、場合により、例えば、腸溶コーティングなどの医薬を処方する技術分野で周知の他のコーティングなどのコーティング及びシェルを用いて得られるか、又は製造されるかもしれない。それらは、また、例えば、所望の放出特徴を提供するための様々な割合のヒドロキシプロピルメチル・セルロース、他の重合体マトリックス、リポソーム、及び/又はミクロスフェアを使用して、その場所に有効成分のゆっくりとした又は制御された放出を提供するように処方されるかもしれない。それらは、迅速な放出のために処方される、例えば、凍結乾燥されるかもしれない。それらは、例えば、細菌保持フイルターを通す濾過によって、又は使用直前に、滅菌水中、若しくは何か他の無菌の注射用媒質中に溶解することができる無菌の固体組成の形態で滅菌剤を組み込むことによって殺菌されるかもしれない。これらの組成物は、また、場合により、乳白剤も含むかもしれず、そして、有効成分を、場合により、遅延様式で、消化管の特定の部分のみで、又はそこで優先的に放出する組成物であるかもしれない。使用できる埋め込み組成物の例には、高分子物質及びワックスが含まれる。有効成分は、また、適切な場合、1種類以上の先に記載の賦形剤を伴う、マイクロカプセル封入形態であってもよい。
本発明の化合物の経口投与用の液体投与形態には、医薬として許容されるエマルジョン剤、マイクロエマルジョン剤、溶液剤、懸濁液剤、シロップ剤、及びエリキシル剤が含まれる。有効成分に加えて、液体投与形態には、例えば、水又は他の溶剤などの当該技術分野で一般的に使用される不活性な希釈剤、可溶化剤、並びに、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、オイル(特に、綿実油、ラッカセイ油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、及びゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリル・アルコール、ポリエチレングリコール、及びソルビタン脂肪酸エステルなどの乳化剤、そして、その混合物が含まれる可能性がある。
不活性な希釈剤以外に、経口組成物には、また、例えば、湿潤剤、乳化剤及び懸濁化剤、甘味料、香味料、着色料、着香料、及び保存料などの補助剤が含まれる可能性がある。
懸濁液には、活性化合物に加えて、例えば、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレン・ソルビトール、及びソルビタン・エステル、微細結晶性セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天、及びトラガントなどの懸濁化剤、並びにその混合物が含まれる可能性がある。
直腸又は膣内投与用の本発明の医薬組成物の製剤は、坐剤として与えられるかもしれず、上記坐剤は、1種類以上の本発明の化合物を、室温にて固体であるが、しかし、体温にて液体であり、これにより、直腸又は膣腔内で溶け、そして、活性化合物を放出する、例えば、ココアバター、ポリエチレングリコール、坐剤ワックス、又はサリチラートを含めた好適な「刺激性がない」賦形剤又は担体1種類以上と混合することによって調製されるかもしれない。
膣内投与に好適な本発明の製剤は、また、当該技術分野で適切であることが知られるような担体を含んでいるペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム、又はスプレー製剤を含む。
本願発明の化合物の局所又は経皮投与用の投与形態には、散剤、スプレー剤、軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、溶液剤、パッチ剤、及び吸入剤が含まれる。活性化合物は、無菌状態下、医薬として許容される担体、そして、必要とされるかもしれない、いずれかの保存料、バッファー、又は噴射剤と混合されるかもしれない。
軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤、及びゲル剤には、本願発明の活性化合物に加えて、例えば、動物性及び植物性脂肪、オイル、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルク、並びに酸化亜鉛などの賦形剤、又はその混合物が含まれるかもしれない。
散剤及びスプレー剤には、本願発明の化合物に加えて、例えば、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、及びポリアミド粉末などの賦形剤、又はこれらの物質の混合物が含まれる可能性がある。スプレー剤は、例えば、クロロフルオロ炭化水素や揮発性の非置換炭化水素などの通例の噴射剤、例えば、ブタンやプロパンなどをさらに含むことができる。
経皮パッチには、体内への、本発明の化合物の制御されたデリバリーを提供する利点が加えられた。そのような投与形態は、適切な媒質中に化合物を溶解又は分散させることによって作り出すことができる。皮膚を通過する化合物の流れを増強するために、吸収促進剤を使用することもできる。そのような流れの速度は、律速膜を備えるか、又は化合物を重合体マトリックス若しくはゲル内に分散させることによって制御できる。
眼軟膏、散剤、溶液などの眼科用製剤もまた本願発明の範囲内にあると考えられる。
非経口適用に好適な本願発明の医薬組成物には、1種類以上の医薬として許容される無菌の等張水性若しくは非水性溶液、分散液、懸濁液、エマルジョンと組み合わせて、又は使用直前に無菌注射用溶液又は分散液に再構成することができる無菌の散剤と組み合わせて、1種類以上の本発明の化合物が含まれ、上記医薬組成物には、糖、アルコール、抗酸化剤、バッファー、静菌剤、製剤を対象とする受容者の血液と等張の状態する溶質、又は懸濁化剤若しくは増粘剤が含まれるかもしれない。
本発明の医薬組成物に利用されるかもしれない好適な水性及び非水性担体の例には、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、及びその好適な混合物、例えば、オリーブ油などの植物油、並びに、例えば、オレイン酸エチルなどの注射用有機エステルが含まれる。適切な流動性は、例えば、コート剤、例えば、レシチンなどの使用によって、分散液の場合の必要とされる粒径の維持によって、そして、界面活性剤の使用によって維持できる。
これらの組成物は、また、例えば、保存料、湿潤剤、乳化剤、及び分散剤などの補助剤も含むかもしれない。対象化合物に対する微生物の作用の予防は、例えば、パラベン、クロロブタノール、ソルビン酸フェノールなどの様々な抗菌剤及び抗真菌剤の包有によって確実になるかもしれない。組成物中に、例えば、糖、塩化ナトリウムなどの等張剤を含むこともまた望ましいかもしれない。加えて、注射可能な医薬形態の持続的吸収は、例えば、モノステアリン酸アルミニウムやゼラチンなどの吸収を遅らせる作用物質の含有によってもたらされるかもしれない。
場合によって、薬物の効果を延長するために、皮下又は筋肉内注射からの薬物の吸収を遅くすることが望ましい。これは、難水溶性を有する結晶質又は非結晶質材料の液体懸濁液の使用によって達成されるかもしれない。そのとき、薬物の吸収速度は、言い換えると、結晶サイズ及び結晶形態に依存するかもしれない溶解速度に依存する。あるいは、非経口投与薬物形態の持続的吸収は、薬物をオイル溶媒中に溶解又は懸濁させることによって実現される。
注射用デポー形態は、例えば、ポリラクチド−ポリグリコリドなどの生分解性高分子中で対象化合物のマイクロカプセル封入マトリクスを形成することによって作り出される。薬物対重合体の比率、及び利用した特定の重合体の性質によって、薬物放出速度を制御できる。他の生分解性高分子の例には、ポリ(オルトエステル)やポリ(無水物)が含まれる。デポー注射用製剤は、また、体組織に適合するリポソーム又はマイクロエマルジョン中に薬物を封入することによって製造される。
本発明の化合物が医薬品としてヒトや動物に投与される時、それらは、それ自体で与えられてもよく、又は医薬として許容される担体と組み合わせて、例えば、0.1〜99%(より好ましくは、10〜30%)の有効成分を含む医薬組成物として与えられてもよい。
本発明の調製物は、経口的に、非経口的に、局所的に、又は経直腸的に与えることができる。それらは、もちろん、各投与経路に好適な形態で与えられる。例えば、それらは、錠剤又はカプセル剤の形態で、注射剤、吸入剤、点眼薬、ペースト剤、坐剤によって、注射、注入、若しくは吸入によるその他の投与;ローション又は軟膏によるその他の局所投与;坐剤によるその他の経直腸投与によって投与される。経口投与が好まれる。
語句「非経口投与」及び「非経口的に投与された」は、本明細書中では、経腸以外の投与様式、及び通常注射による局所投与を意味し、そして、これだけに制限されることなく、静脈内、筋肉内、動脈内、くも膜下腔内、嚢内、眼窩内、心内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、及び胸骨内注射、並びに注入が含まれる。
語句「全身投与」、「全身に投与された」、「末梢投与」、及び「末梢に投与された」は、本明細書中では、それが患者の体に入り、それにより、代謝及び他の同じような過程に晒されるような、中枢神経系に直接投与される以外の化合物、薬物、又は他の物質の投与、例えば、皮下投与を意味する。
これらの化合物は、例えば、スプレー剤による場合に、経口、経鼻を含めた、散剤、軟膏、若しくはドロップ剤による場合に、経直腸、腟内、非経口、嚢内、及び局所を含めた、頬側及び舌下を含めたいずれかの好適な投与経路によって、療法のためにヒト又は他の動物に投与されるかもしれない。
選択された投与経路に関係なく、好適な水和形態、及び/又は本発明の医薬組成物の状態で使用されるかもしれない本発明の化合物は、当業者に知られている在来法によって医薬として許容される投与形態に処方される。
本願発明の医薬組成物中の有効成分の実際の投与量レベルは、特定の患者、組成物、及び投与方法に関して所望の治療反応を、その患者への毒性なしに達成するのに有効である量の有効成分を得るように変更されるかもしれない。
選択された投与量レベルは、利用される本発明の特定の化合物、又はそのエステル、塩、若しくはアミドの活性、投与経路、投与の時間、利用される特定の化合物の排泄又は代謝速度、吸収の速度及び程度、治療の持続期間、利用される特定の化合物と組み合わせて使用されるその他の剤、化合物、及び/又は材料、治療されている患者の年齢、性別、体重、病態、健康全般、及び事前病歴、並びに医学分野で周知のそのような要因を含めた様々な要因に依存する。
当該技術分野で通常の技量を有する医師又は獣医は、容易に、必要とされる医薬組成物の有効量を決定し、そして指示することができる。例えば、医師又は獣医は、所望の治療効果を達成するために必要とされるものに比べてより低レベルの医薬組成物中に利用される本発明の化合物の用量から開始して、そして、所望の効果が達成されるまで投与量を徐々に増やすことができる。
一般に、本発明の化合物の好適な日用量は、治療効果を生じるのに有効な最も低い用量である化合物量である。そのような有効量は、一般に、先に記載の要因に依存する。一般に、患者への本願発明の化合物の経口、静脈内、脳室内、及び皮下用量は、指示された鎮痛作用を使用する時、1日につき、体重1キログラムあたり約0.0001〜約100mgの範囲に及ぶ。
必要に応じて、活性化合物の有効な日用量は、場合により、単位投与形態として、1日を通じて適切な間隔にて別個に投与される2、3、4、5、6回、又はそれ以上の下位用量(sub-doses)として投与されるかもしれない。好ましい投薬は、1日あたり1回の投与である。
本発明の化合物に関して、単独で投与することは可能であるが、医薬製剤(組成物)として当該化合物を投与することが望ましい。
本発明による化合物は、他の医薬品から類推した、ヒト又は獣医学の薬剤における使用のためのいずれか都合よい方法による投与のために処方されるかもしれない。
他の側面において、本発明は、先に記載のとおり、1種類以上の医薬として許容される担体(添加物)、及び/又は希釈剤と共に処方される、治療的有効量の1種類以上の対象化合物を含む医薬として許容される組成物を提供する。以下で詳細に説明されるように、本発明の医薬組成物は、以下の:(1)例えば、水薬(水性又は非水性の溶液又は懸濁液)、錠剤、ボーラス剤、散剤、顆粒剤、舌への塗布のためのペースト剤の経口投与;(2)例えば、無菌溶液又は懸濁液として、例えば、皮下、筋肉内、又は静脈内注射による非経口投与;(3)例えば、皮膚、肺、又は粘膜に塗布されるクリーム剤、ペースト剤、又はスプレー剤としての局所適用;又は(4)例えば、ペッサリー剤、クリーム剤、又はフォーム剤としての腟内又は直腸内;(5)舌下又は頬側;(6)眼科用;(7)経皮;又は(8)経鼻、に適合させたものを含めた固体又は液体形態での投与のために特別に処方されるかもしれない。
用語「治療」は、また、予防、療法、及び治癒も包含するものとする。
この治療を受ける患者は、霊長類の動物、特に、ヒト、並びに、例えば、ウマ、ウシ、ブタ、及びヒツジなどの他の哺乳動物;並びに一般に、家禽及びペットを含めた、困っているあらゆる動物である。
本発明の化合物は、前述のとおりに、又は医薬として許容される担体との混合物で投与されてもよく、そして、例えば、ペニシリン、セファロスポリン、アミノグリコシド、及び糖ペプチドなどの抗微生物剤と組み合わせて投与されてもよい。よって、結合治療(Conjunctive therapy)には、後続のものが投与される時に、最初に投与されたものの治療的効果が完全になくならないやり方で、活性化合物の連続した、同時の、及び別々の投与が含まれる。
動物飼料への本発明の活性化合物の添加は、好ましくは、有効量の活性化合物を含む適切な飼料プレミックスを調製し、そして、完全な割当量でプレミックスを盛り込むことによって実施される。
あるいは、有効成分を含む中間濃縮物又は飼料サプリメントが、飼料に混合されてもよい。そのような飼料プレミックス及び完全な割当量が調製され、そして、投与されることができる方法は、参考文献(例えば、"Applied Animal Nutrition"、W. H. Freedman and CO.、San Francisco, U.S.A.、1969年又は"Livestock Feeds and Feeding"、O and B books, Corvallis, Ore., U.S.A.、1977年)に記載されている。
ミセル
最近、製薬業は、一部の親油性(不水溶性)医薬作用物質の生物学的利用能の改善のために微細乳化技術を導入した。例には、Trimetrineが含まれる(Dordunoo, S. K.ら、Drug Development and Industrial Pharmacy, 17(12)、1685-1713ページ, 1991年、及びREV 5901(Sheen, P. Cら、J Pharm Sci 80(7)、712-714ページ、1991年)。とりわけ、微細乳化は、循環系の代わりにリンパ系への吸収を優先的に導き、それによって、肝臓を迂回し、そして、肝胆道循環における化合物の破壊を防ぐことによって高められた生物学的利用能を提供する。
本発明の1つの側面において、製剤は、本発明の化合物から形成されたミセルと、少なくとも1種類の両親媒性担体を含み、ここで、上記ミセルは約100nmより小さい平均直経を持つ。より好ましい態様は、約50nmより小さい平均直経を持つミセルを提供し、そして、より一層好ましい態様は、約30nmより小さい、又は約20nmより小さい平均直経を持つミセルを提供する。
全ての好適な両親媒性担体が想定されている一方で、現在、好ましい担体は、一般的に、一般に安全と認められる(GRAS)性質を有し、そして、本発明の化合物を可溶化でき、且つ、その溶液が(例えば、ヒトの胃腸管内に見られるものなどの)複合水相と接触するようになった時に、後の段階でそれを微細乳化するものである。通常、これらの要求を満たす両親媒性成分は、2〜20のHLB(親油性対親水性バランス)値を有し、そして、それらの構造はC-6〜C-20の範囲内の直鎖脂肪族ラジカルを含んでいる。例は、ポリエチレングリコール化脂肪性グリセリド、及びポリエチレングリコールである。
特に好ましい両親媒性担体は、飽和、及び単不飽和ポリエチレングリコール化脂肪酸グリセリド、例えば、完全に又は部分的に硬化された様々な植物油から得られるものなどである。そのようなオイルは、カプリン酸を4〜10、カプリン酸を3〜9、ラウリン酸を40〜50、ミリスチン酸を14〜24、パルミチン酸をA-14、及びステアリン酸を5〜15%含む、特に好ましい脂肪酸組成物を伴う、対応する脂肪酸のトリ、ジ、及びモノ脂肪酸グリセリド、並びにジ及びモノ・ポリエチレングリコール・エステルから有利に成るかもしれない。両親媒性担体の他の有用なクラスには、飽和、又は単不飽和脂肪酸(SPANシリーズ)又は対応するエトキシ化類似体(TWEENシリーズ)を伴う、部分的エステル化ソルビタン、及び/又はソルビトールが含まれる。
Gelucireシリーズ、Labrafil、Labrasol、又はLauroglycol(全てGattefosse Corporation, Saint Priest, Franceによって製造及び流通されている)、PEG-モノ-オレイン酸塩、PEG-ジ-オレイン酸塩、PEG-モノ-ラウリン酸塩及びジ-ラウリン酸塩、レシチン、ポリソルベート80など(米国及び世界中の多くの企業によって製造及び流通されている)を含めた市販の両親媒性担体が、特に想定される。
重合体
本発明における使用に好適な親水性重合体は、すぐに水に溶ける、ベシクル形成脂質に共有結合により取り付けられることができ、そして、有毒作用なしにインビボにおいて許容される(すなわち、生物学的に適合する)ものである。好適な重合体には、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリラクティック(ポリラクチドとも呼ばれる)、ポリグリコール酸(ポリグリコリドとも呼ばれる)、ポリラクティック−ポリグリコール酸共重合体、及びポリビニールアルコールが含まれる。好ましい重合体は、約100又は120ダルトン〜最大で約5,000又は10,000ダルトン、そして、より好ましくは、約300ダルトン〜約5,000ダルトンの分子量を持つものである。特に好ましい態様において、重合体は、約100〜約5,000ダルトンの分子量を持つ、そして、より好ましくは、約300〜約5,000ダルトンの分子量を持つポリエチレングリコールである。特に好ましい態様において、重合体は、750ダルトンのポリエチレングリコール(PEG(750))である。本発明に使用される重合体は、標準的なペグ化技術で使用される5000ダルトン以上の大きなMWと比較して、約100ダルトンの非常に小さな分子量を持つ。重合体は、また、その中の単量体の数によって規定され;本発明の好ましい態様は、少なくとも約3つの単量体から成る重合体である3つの単量体から成るそのようなPEG重合体(約150ダルトン)を利用する。
本発明における使用に好適であるかもしれない他の親水性重合体には、ポリビニールピロリドン、ポリメトキサゾリン(polymethoxazoline)、ポリエチルオキサゾリン、ポリヒドロキシプロピル・メタクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド、及び、例えば、ヒドロキシメチルセルロース又はヒドロキシエチルセルロースなどの誘導体化セルロースが含まれる。
特定の態様において、本発明の製剤には、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアルキレン、アクリル酸及びメタクリル酸エステルの重合体、ポリビニル重合体、ポリグリコリド、ポリシロキサン、ポリウレタン及びその共重合体、セルロース、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、乳酸及びグリコール酸の重合体、ポリ無水物、ポリ(オルソ)エステル、ポリ(酪酸)(poly(butic acid))、ポリ(吉草酸)、ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)、多糖、タンパク質、ポリヒアルロン酸、ポリシアノアクリレート、並びにその混ぜ合わせ物、混合物、又は共重合体から成る群から選択される生体適合性ポリマーが含まれる。
シクロデキストリン
シクロデキストリンは、それぞれ、ギリシャ文字のα、β、又はγによって示される、6、7、又は8個のグルコース単位から成る環状オリゴ糖である。6個未満のグルコース単位を含むシクロデキストリンが存在することは知られていない。グルコース単位は、α-1,4-グルコシド結合によって連結される。糖単位のいす形配座の結果として、(C-2、C-3にて)全ての第2ヒドロキシル基は、環の片面に配置され、しかし一方で、C-6にて全ての第1ヒドロキシル基は、反対面にある。その結果として、外面は親水性であり、シクロデキストリンを水溶性にする。対照的に、シクロデキストリンのくぼみは、それらが原子C-3及びC-5の水素、及びエーテル様酸素によって裏打ちされているので、疎水性である。これらのマトリクスは、例えば、17β-エストラジオールなどのステロイド化合物を含めた様々な比較的に疎水性の化合物との複合体形成を可能にする(例えば、van Udenら、Plant Cell Tiss. Org. Cult. 38:1-3-113ページ(1994年))。複合体形成は、ファン・デル・ワールス相互作用と、水素結合形成によって行われる。シクロデキストリンの化学的性質の総括的総説について、Wenz, Agnew. Chem. Int. Ed. Engl., 33:803-822ページ(1994年)を参照のこと。
シクロデキストリン誘導体の物理化学的特製は、置換の種類と程度に大きく依存する。例えば、それらの水中での溶解性は、不溶性(例えば、トリアセチル-β-シクロデキストリン)〜147%の可溶性(w/v)(G-2-β-シクロデキストリン)の範囲に及ぶ。加えて、それらは多くの有機溶剤中に可溶性である。シクロデキストリンの特性は、それらの溶解性を増強又は減弱することによって、様々な製剤成分の溶解性の制御を可能にする。
多数のシクロデキストリンと、それらの調製方法が説明されてきた。例えば、Parmeter(I)ら(米国特許番号第3,453,259号)及びGrameraら(米国特許番号第3,459,731号)は、電気的に中性なシクロデキストリンについて説明した。他の誘導体には、カチオン特性を有するシクロデキストリン[Parmeter(II)、米国特許番号第3,453,257号]、不溶性な架橋化シクロデキストリン(Solms、米国特許番号第3,420,788号)、及びアニオン特性を有するシクロデキストリン[Parmeter(III)、米国特許番号第3,426,011号]が含まれる。アニオン特性を有するシクロデキストリン誘導体の中に、カルボン酸、亜リン酸、亜ホスフィン酸、ホスホン酸、リン酸、チオホスホン酸、チオスルフィン酸、及びスルホン酸が、親シクロデキストリンに付加された[Parmeter(III)、前記を参照のこと]。さらに、スルホアルキル・エーテル・シクロデキストリン誘導体が、Stellaら(米国特許番号第5,134,127号)によって説明された。
リポソーム
リポソームは、水性内部区画を囲んでいる少なくとも1つ脂質二重膜から成る。リポソームは、膜のタイプとサイズによって特徴付けられてもよい。小単層ベシクル(SUVs)は、1枚の膜を持ち、且つ、通常、直径が0.02〜0.05μmの範囲に及ぶ;大単層ベシクル(LUVS)は、0.05μmより大きい。大オリゴ・ラメラ・ベシクル及び多重層ベシクルは、多数の、通常、同心性の、膜の層を持ち、そして、通常、0.1μmより大きい。いくつかの非同心性の膜を持つリポソーム、すなわち、より大きなベシクル内に包含されているいくつかのより小さいベシクルは、多小胞ベシクルと呼ばれる。
本発明の1つの側面は、本発明の化合物を含むリポソームを含む製剤であって、上記リポソーム膜が高められた運搬能力を有するリポソームを提供するように処方された製剤に関する。あるいは又は加えて、本発明の化合物は、リポソームのリポソーム二重層内に含まれるか、又はその上に吸着されるかもしれない。本発明の化合物は、脂質界面活性剤と凝集し、そして、リポソームの内部空間の中に運ばれるかもしれず;これらの場合には、リポソーム膜は、活性作用物質−界面活性剤凝集体の崩壊作用に抵抗するように処方される。
本発明の1つの態様によると、リポソームの脂質二重層は、PEG鎖が、脂質二重層の内部表面からリポソームによって封入された内部空間内に伸び、及び脂質二重層の外側から周囲の環境に伸びるように、ポリエチレングリコール(PEG)により誘導体化された脂質を含む。
本発明のリポソーム内に含まれる活性物質は、可溶化された形態で存在する。界面活性剤と活性物質の凝集体(例えば、着目の活性物質を含むエマルジョン又はミセルなど)は、本発明によるリポソームの内部空間内に閉じ込められるかもしれない。界面活性剤は、活性物質を分散及び可溶化するように作用し、そして、これだけに制限されることなく、様々な鎖長(例えば、約C. sub. 14〜C. sub. 20)の生物適合性リゾホスファチジルコリン(LPCs)を含めた、いずれかの好適な脂肪の、脂環式の、又は芳香族の界面活性剤から選択されるかもしれない。それらがミセル/膜融合を抑制するように作用し、且つ、界面活性剤分子への重合体の添加が界面活性剤のCMCを減少させ、そして、ミセル形成を助けるので、例えば、PEG−脂質などのポリマー−誘導体化脂質もまたミセル形成に利用できる。マイクロモルの範囲でCMCsを有する界面活性剤が好まれ;より高いCMC界面活性剤が、本発明のリポソーム内に閉じ込められたミセルを調製するために利用されるかもしれないが、しかしながら、ミセル界面活性剤単量体は、リポソーム二重層の安定性に影響することもあり得、且つ、所望の安定性のリポソームを設計する要因であるだろう。
本発明によるリポソームは、当該技術分野で知られる様々な技術のいずれかによって調製されるかもしれない。例えば、米国特許番号第4,235,871号;公開されたPCT出願WO 96/14057;New RRC、Liposomes:A practical approach、IRL Press、Oxford(1990年)33-104ページ;Lastc DD、Liposomes from physics to applications、Elsevier Science Publishers BV, Amsterdam、1993年を参照のこと。
例えば、本発明のリポソームは、例えば、リポソーム内で所望される誘導体化脂質の最終的なモル%に相当する脂質濃度にて、脂質グラフト化重合体で構成されたミセルに、前もって形成されたリポソームを晒すことにより、前もって形成されたリポソーム内に親水性重合体により誘導体化された脂質を拡散させることによって調製することができる。親水性重合体を含むリポソームは、また、当該技術分野で知られるように、均質化処理、脂質領域の水和、又は射出技術によっても形成されるかもしれない。
他の代表的な処方手順において、活性物質を、最初に、疎水性分子を容易に可溶化するリゾホスファチジルコリン、又は(重合体グラフト化脂質を含めた)他の低CMC界面活性剤中に超音波処理によって分散させる。得られた活性物質のミセル懸濁液が、次に、好適なモル%の重合体グラフト化脂質、又はコレステロールを含む乾燥脂質サンプルの再水和のために使用される。次に、脂質と活性物質の懸濁液に、当該技術分野で知られる射出技術を使用することでリポソームが形成され、そして、得られたリポソームが、標準的なカラム分離によって封入されていない溶液から分離された。
本発明の1つの側面において、リポソームは、選択された粒径範囲内の実質的に均一のサイズを持つように調製される。1つの有効なサイジング方法は、選択された一定の細孔サイズを有する一連のポリカーボネート膜を通したリポソームの水性懸濁液の射出を伴い;上記膜の細孔サイズはその膜を通した射出によって生み出されるリポソームの最大サイズにほぼ相当する。例えば、米国特許番号第4,737,323号(1988年4月12日)を参照のこと。
放出修飾物質
本発明の製剤の放出特性は、封入材料、封入された薬物の濃度、及び放出修飾物質の存在に依存する。例えば、放出は、例えば、胃の中のような低いpHで、又は腸内のように高いpHでのみ放出されるようにpH感受性コーティングを使用して、pH依存性になるように操作されてもよい。胃の通過後まで放出が起こるのを防ぐために、腸溶コーティングを使用できる。胃における初期放出と、それに続く腸における後期放出を得るために、異種材料中に封入されたシアナミドの多重コーティング又は混合物を使用できる。放出は、また、水の取り込み又はカプセル剤からの拡散による薬物の放出を増加させることができる塩又は細孔形成剤の含有によって操作されてもよい。薬物の溶解性を修飾する賦形剤もまた、放出速度を制御するのに使用できる。マトリックスからの放出、又はマトリックスの分解を促進する作用物質もまた、組み込むことができる。それらは、薬物に加えられてもよく、分離相として(すなわち、粒子として)加えられてもよく、又は化合物に依存して重合体相中に同時に溶解されてもよい。あらゆる場合において、その量は、0.1〜30%(w/w重合体)であるだろう。分解促進剤のタイプには、例えば、硫酸アンモニウムや塩化アンモニウムなどの無機塩、例えば、クエン酸、安息香酸、及びアスコルビン酸などの有機酸、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、及び水酸化亜鉛などの無機塩基、並びに例えば、硫酸プロタミン、スペルミン、コリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、及びトリエタノールアミンなどの有機塩基、そして、例えば、Tween. RTM.及びPluronic. RTM.などの界面活性剤が含まれる。材料(すなわち、水溶性化合物、例えば、無機塩や糖など)に微細構造を加える細孔形成剤が、粒子状物質として加えられる。範囲は、1〜30%(w/w重合体)であるべきである。
取り込みは、また、消化管内の粒子の滞留時間を変更することによっても操作できる。これは、例えば、粘膜吸着性重合体で粒子をコーティングするか、又はそれを封入材料として選択することによって達成できる。例には、例えば、キトサン、セルロース、特に、ポリアクリレート(本明細書中では、ポリアクリレートは、アクリラート基及び修飾アクリラート基を含む重合体、例えば、シアノアクリレートやメタクリレートなどを指す)などの遊離カルボキシル基を持つほとんどの重合体が含まれる。
コンビナトリアル・ライブラリー
対象の化合物は、この項で説明されるコンビナトリアル合成の方法を使用することで合成できる。化合物のコンビナトリアル・ライブラリーは、医薬、農薬、他の生物学的又は医学的に関連のある活性、又は関連物質の資質のスクリーニングのために使用されるかもしれない。本発明の目的のためのコンビナトリアル・ライブラリーは、所望の特性に関して一緒にスクリーニングされるかもしれない化学的関連化合物の混合物であり;上記ライブラリーは、溶液の状態か、又は固体支持体に共有結合で連結された状態であるかもしれない。1回の反応での多くの関連化合物の調製は、実施される必要があるスクリーニング工程の数を大いに減少させ、簡素化する。適切な生物学的、医薬的、農薬的、又は物理的な特性に関するスクリーニングは、従来の方法によっておこなわれるかもしれない。
ライブラリーの多様性は、様々な異なるレベルで作り出される可能性がある。例えば、コンビナトリアル・アプローチに使用される基板アリール基は、コア・アリール部分に関して多種多様なもの、例えば、環状構造に関して多様、であってもよく、及び/又は他の置換基に関して変更されてもよい。
様々な技術が、小有機分子のコンビナトリアル・ライブラリーを作成するために当該技術分野において利用可能である。例えば、Blondelleら、(1995年)Trends Anal. Chem. 14:83ページ;the Affymaxの米国特許番号第5,359,115号及び同第5,362,899号:Ellmanの米国特許番号第5,288,514号:StillらのPCT公開WO 94/08051;Chenら、(1994年)JACS 116:2661ページ:Kerrら、(1993年)JACS 115:252ページ;PCT公開WO 92/10092、WO 93/09668、及びWO 91/07087;並びにLernerらのPCT公開WO 93/20242)を参照のこと。従って、約16〜1,000,000ダイバーソマー(diversomers)以上の単位の様々なライブラリーが、合成され、そして、特定の活性又は特性に関してスクリーニングされることができる。
代表的な態様において、置換されたダイバーソマーのライブラリーは、例えば、基板の1つの場所に配置された、加水分解性基又は光分解性基によって重合体ビーズに連結される、StillらのPCT公開WO 94/08051に記載の技術に適合させた対象反応を使用することで合成できる。Stillらの技術によると、ライブラリーは、ビーズ一式の上で合成され、各ビーズはそのビーズ上の特定のダイバーソマーを同定するタグ一式を含む。酵素阻害剤を発見するのに特に好適である1つの態様において、ビーズを、透析膜の表面上に分散させてもよく、そして、ビーズ・リンカーの溶解によって、ダイバーソマーをビーズから放出した。各ビーズからのダイバーソマーは、それが酵素アッセイと関係がある場合には、膜を越えてアッセイ区間に拡散する。多くのコンビナトリアル方法論の詳細な説明が、以下に提供されている。
直接的な特徴付け
コンビナトリアル化学の分野において高まっている傾向は、例えば、サブ-フェムトモル量の化合物の特徴付けのため、及びコンビナトリアル・ライブラリーから選択された化合物の化学構造の直接的な決定のために使用されることができる、例えば、質量分析法(MS)などの技術の感度を利用することである。例えば、ライブラリーが不溶性支持マトリックス上に提供された場合には、化合物の個別の集合が、最初に、支持体から放出され、そして、MSによって特徴付けされてもよい。他の態様において、MSサンプル調製技術の一部としてのMALDIのようなMS技術は、特に、不安定な結合がマトリックスへの化合物をつなぎ留めるために元来使用される場合に、マトリックスから化合物を放出するために使用されてもよい。例えば、ライブラリーから選択されたビーズは、マトリックスからダイバーソマーを放出し、MS分析法のためにダイバーソマーをイオン化するためにMALDIステップにおいて放射線照射されてもよい。
マルチピン合成法
対象の方法に関するライブラリーは、マルチピン・ライブラリー形式を選ぶことができる。簡単に言えば、Geysenと共同研究者(Geysenら、(1984年)PNAS 81:3998-4002ページ)は、マイクロタイタプレート形式で配列されたポリアクリル酸で格子をつけたポリエチレン製のピン上での並列合成によって化合物ライブラリーを作り出す方法を導入した。Geysenの技術は、マルチピン方法を使用することで1週間あたり何千もの化合物の合成、スクリーニングに使用でき、そして、つなぎ留められた化合物が、多くのアッセイに再利用できる。純度の評価、及び更なる評価のために合成後に化合物が支持体から切り離されることができるように、適切なリンカー部分もまた、ピンに付加されている(Brayら、(1990年)Tetrahedron Lett 31:5811-5814ページ;Valerioら、(1991年)Anal Biochem 197:168-177ページ;Brayら、(1991年)Tetrahedron Lett 32:6163-6166ページを参照のこと)。
分割−結合−再結合
さらに他の態様において、化合物の多様なライブラリーは、分割−結合−再結合ストラテジーを利用することでビーズ一式の上に提供できる(例えば、Houghten(1985年)PNAS 82:5131-5135ページ;及び米国特許番号第4,631,211号;同第5,440,016号;同第5,480,971号を参照のこと)。簡単に言えば、名称が示すとおり、縮重がライブラリーに導入される場合にそれぞれの合成ステップにて、ビーズは、ライブラリー内の特定の位置に加えられるべき異なる置換基の数に等しい別々の群に分けられ、異なる置換基が別々の反応により結合され、そして、上記ビーズは、次の相互作用のために1つのプールに再結合される。
1つの態様において、分割−結合−再結合ストラテジーは、化合物合成が多孔性のポリプロピレン・バッグ内に密封された樹脂上で起こるHoughtenによって最初に開発された、いわゆる「ティーバッグ」法と類似のアプローチを使用して実施することができる(Houghtenら、(1986年)PNAS 82:5131-5135ページ)。置換基は、適切な反応液中にバッグを置くことによって化合物を担持している樹脂に結合されるが、その上、例えば、樹脂洗浄や脱保護などの全ての一般的なステップが、1つの反応器内で同時に実施される。合成の終わりに、各バッグは単一化合物を含む。
光で指示された、空間的にアドレス可能な平行化学合成によるコンビナトリアル・ライブラリー
化合物の同一性が合成基板上のその位置によって与えられるコンビナトリアル合成のスキームは、空間的にアドレス可能な合成と呼ばれる。1つの態様において、コンビナトリアル工程は、固体支持体上の特定の位置への化学試薬の添加を制御することによって実施される(Dowerら、(1991年)Annu Rep Med Chem 26:271-280ページ;Fodor, S. P. A.(1991年)Science 251:767ページ;Pirrungら、(1992年)米国特許番号第5,143,854号;Jacobsら、(1994年)Trends Biotechiiol 12:19-26ページ)。フォトリソグラフィーの空間分解能が、小型化をもたらす。この技術は、光解離性保護基を用いた保護/脱保護反応の使用を通じて実施されてもよい。
この技術の要点は、Gallopら、(1994年)J Med Chem 37:1233-1251ページの中で説明されている。合成基板は、光解離性ニトロベラトリルオキシカルボニル(NVOC)保護アミノ・リンカー又は他の光解離性リンカーの共有結合を通じた結合を想定している。光は、連結のための合成支持体の特定の領域を選択的に活性化するのに使用される。光による光解離性保護基の除去(脱保護)は、選択された領域の活性化をもたらす。活性化後に、それぞれアミノ末端に光解離性保護基を担持する最初のアミノ酸アナログ一式は、表面全体に晒される。連結は、前のステップにおいて光によって対処された領域にのみ現れる。反応は止められ、プレートは洗浄され、そして、基板には第2のマスクを通して再び照射され、第2の保護されたビルディング・ブロックとの反応のために別の領域が活性化される。マスクのパターン、及び反応物質の配列が、生成物とそれらの位置を規定する。この工程はフォトリソグラフィー技術を利用するので、合成できる化合物の数は、適切な分解能で扱うことができる合成部位の数によってのみ制限される。それぞれの化合物の位置は、正確に知られており;したがって、他の分子との相互作用が、直接的に評価できる。
光誘導化学合成において、生成物は、照射のパターンと、反応物質の添加順序に依存する。リソグラフィー・パターンを変えることによって、多くの異なる試験化合物一式を同時に合成でき;この特徴は、多くの異なるマスキング・ストラテジーの発生につながる。
コードされたコンビナトリアル・ライブラリー
更に他の態様において、対象の方法は、コード化されたタグ付与システムを用いて提供された化合物ライブラリーを利用する。コンビナトリアル・ライブラリーからの活性化合物の同定における最近の改良点は、所定のビーズが受けた反応ステップを一意的にコードするタグを使用した化学的指標付与システム、及び、推測により、それが持つ構造を利用する。概念的に、このアプローチは、活性が発現されたぺプチドに由来するが、活性ペプチドの構造は対応するゲノムDNA配列から推定される、ファージ・ディスプレイ・ライブラリーによく似ている。合成コンビナトリアル・ライブラリーの最初のコード化には、コードとしてDNAを利用した。順序付け可能なバイオオリゴマー(例えば、オリゴヌクレオチドとぺプチド)によるコード化、及び追加的な順序付け不可能なタグによるバイナリ・コード化を含めた、他の様々なコード化形態が報告された。
コンビナトリアル合成ライブラリーをコードするためにオリゴヌクレオチドを使用する原理は、1992年に説明され(Brennerら、(1992年)PNAS 89:5381-5383ページ)、そして、そのようなライブラリーの例が、翌年に登場した(Needlesら、(1993年)PNAS 90:10700-10704年)。Arg、Gln、Phe、Lys、Val、D-Val、及びThr(3文字アミノ酸コード)の全ての組合せで構成され、そのそれぞれが特異的なジヌクレオチド(それぞれ、TA、TC、CT、AT、TT、CA、及びAC)によってコードされた名目上77(=823,543)個のぺプチドのコンビナトリアル・ライブラリーは、固体支持体上でのペプチド及びオリゴヌクレオチド合成の一連の交互循環によって調製された。この作業において、ビーズにおけるアミン連結機能性は、(ここでは、1:20の比で)オリゴヌクレオチド合成のための保護OH基、及びペプチド合成のための保護NH2基を作り出す試薬とビーズを同時にプレインキュベートすることによって、ペプチド又はオリゴヌクレオチド合成に関して明確に差別化された。完成した時には、タグは、それぞれ、コードを運搬する69mers、14ユニットから成った。ビーズ結合ライブラリーは、蛍光標識抗体とインキューベートされ、そして、強く蛍光を発した結合抗体を含むビーズが、蛍光活性化細胞選別装置(FACS)によって回収された。DNAタグは、PCR法によって増幅され、配列決定され、そして、予測されたぺプチドが合成された。前述の技術に従って、対象の方法における使用のために、化合物ライブラリーが、生成されてもよく、ここで、タグのオリゴヌクレオチド配列は、特定のビーズが受けた連続的なコンビナトリアル反応を識別し、それにより、ビーズ上の化合物の同一性を提供する。
順序付け可能なバイオオリゴマーによるタグ付与
オリゴヌクレオチド・タグの使用は、非常に感度の高いタグ解析を可能にする。たとえそうだとしても、その方法は、タグとライブラリー・メンバーの同時合成を交互に起こすのに必要とされるオルソゴナルな保護基一式の慎重な選択を必要とする。更に、タグ、特に、リン酸及び糖アノマー連鎖の化学不安定性は、非オリゴマー・ライブラリーの合成に用いることができる試薬及び条件の選択を制限する可能性がある。好ましい態様において、ライブラリーには、アッセイのための試験化合物ライブラリー・メンバーの選択的脱離を可能にするリンカーが利用される。
ぺプチドは、また、コンビナトリアル・ライブラリーのタグ付与分子としても利用された。2つの代表的なアプローチが、当該技術分野で説明されており、その両方には、コード化及びリガンド鎖が交互に合成される固相に分岐リンカーが利用される。1つ目のアプローチ(Kerr JMら、(1993年)J Am Chem Soc 115:2529-2531ページ)では、合成におけるオルソゴナリティーは、コード鎖のための酸不安定の保護、及び化合物鎖のための塩基不安定の保護を利用することによって達成される。
もう1つのアプローチ(Nikolaievら、(1993年)Pept Res 6:161-170ページ)では、分岐リンカーが、コード化ユニットと試験化合物が、共に、樹脂上の同じ官能基に取り付けられることができるように利用される。1つの態様において、切断がコード物及び化合物の両方を含む分子を放出するように、切断可能なリンカーが分岐点とビーズの間に配置されてもよい(Ptekら、(1991年)Tetrahedron Lett 32:3891-3894ページ)。他の態様において、切断可能なリンカーは、試験化合物をビーズから選択的に分離でき、コード物を残すことができるように置かれてもよい。コード基の潜在的な干渉なしに試験化合物のスクリーニングに基を可能にするので、この最終構築物は特に有益なものである。ペプチド・ライブラリー・メンバー、及びそれらの対応するタグの独立した切断及び配列決定の当該技術分野における例は、そのタグがペプチド構造を正確に予測できることが確認された。
順序付け不可能なタグ付与:バイナリ・コード化
試験化合物ライブラリーのコード化のもう1つの形態は、バイナリ・コードとして使用される順序付け不可能なエレクトロフォン・タグ付与分子(non-sequencable electrophone tagging molecules)一式が利用される(Ohlmeyerら、(1993年)PNAS 90:10922-10926ページ)。代表的なタグは、電子捕獲ガスクロマトグラフィー(ECGC)によってフェムトモル・レベル未満でそれらのトリメチルシリル・エーテルとして検出可能であるハロ芳香族アルキル・エーテルである。アルキル鎖の長さ、並びに芳香族ハロゲン化物置換基の性質及び位置の差異が、原理上は240個(例えば、1012個より多く)の異なる分子をコードできる、少なくとも40個のそのようなタグの合成を可能にする。原報(Ohlmeyerら、前記)では、タグは、光切断可能なo-ニトロベンジル・リンカーを介してペプチド・ライブラリーの利用可能なアミン基の約1%に結合した。ペプチド様又は他のアミン含有分子のコンビナトリアル・ライブラリーを調製する時に、このアプローチは都合がよい。しかしながら、原則的にあらゆるコンビナトリアル・ライブラリーのコード化を可能にする、より用途の広いシステムが開発された。ここで、化合物は、光切断可能なリンカーを介して固体支持体に取り付けられるだろうし、そして、タグは、ビーズ・マトリックス内へのカルベン挿入を介したカテコール・エーテル・リンカーを通して取り付けられる(Nestlerら、(1994年)J Org Chem. 59:4723-4724ページ)。このオルソゴナルな取り付け方針は、溶液中でのアッセイ、そして、タグ一式の酸化解離後のECGCによる解読のためのライブラリー・メンバーの選択的脱離を可能にする。
当該技術分野におけるいくつかのアミド連結ライブラリーが用いられるが、アミン基に取り付けられたエレクトロホリック・タグによるバイナリ・コード化に利用されているが、ビーズ・マトリックスへのこれらのタグの直接取り付けることで、コード化コンビナトリアル・ライブラリーにおいて調製されることができる構造物のはるかに幅広い多用途性が提供される。このように取り付けられたタグ及びそれらのリンカーは、ビーズ・マトリックス自体とほとんど同じくらい不活性である。エレクトロホリック・タグが固相に直接取り付けられる、2つのバイナリ・コード化コンビナトリアル・ライブラリーが報告され(Ohlmeyerら、(1995年)PNAS 92:6027-6031ページ)、そして、対象の化合物ライブラリーを作り出すための手引きを提供する。両ライブラリーは、ライブラリー・メンバーが光解離性リンカーによって固体支持体に連結され、そして、タグが強力な酸化によってのみ切断可能なリンカーを通して取り付けられた、オルソゴナルな取り付けストラテジーを使用することで構成された。ライブラリー・メンバーは、固体支持体から繰返し部分的に光で溶出されることができるので、ライブラリー・メンバーを多重解析に利用できる。連続した光溶出は、また、非常に高い処理能力を有する反復スクリーニング・ストラテジーを可能にする:まず最初に、複数のビーズが、96ウェル・マイクロタイタープレート内に入れられ;2番目に、化合物が、部分的に取り外され、そして、アッセイ・プレートに移され;3番目に、金属結合アッセイで、活性なウェルを同定し;4番目に、対応するビーズが、新しいマイクロタイタープレート内に単独で再整列され;5番目に、1つの活性物質が同定され;そして、6番目に、構造が解読される。
これまでに大まかに説明してきた本発明は、以下の実施例を参照することによってより容易に理解されるが、上記実施例は、単に、本発明の特定の側面及び態様の例証を目的として含まれているだけであり、本発明を限定するものではない。
実施例1
化合物(1)の製造
Figure 2008530246
メタノール/塩化メチレン(1:9、1.2mL)中、サルコシン・ジメチル・アミド(0.22mmol)及びトリエチルアミン(0.6mmol)の溶液を、塩化スルホニル(0.122mmol)で処理し、そして、23℃で4時間、撹拌した。透明な溶液を塩化メチレン(10mL)で希釈し、そして、10%のクエン酸水溶液で洗浄した。分離した水層をジクロロメタン(10mL)で抽出し、そして、合わせた有機層を塩水で洗浄し、そして、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。真空中での濃縮からの透明なオイルを、シリカ・ゲルクロマトグラフィー(溶出液として酢酸エチル中、0.6%の水/1.2%のメタノール)によって精製して、87%の収率で白色の固体を得た。
実施例2
化合物(3)の製造
Figure 2008530246
N-メチル-アミノイソブチル・ジメチルアミド(0.22mmol)及びスルホニル・クロリド(0.122mmol)の溶液を、フラスコ内に入れ、そして、乾性1,2-ジクロロエタン(10mL)から3回濃縮した。残渣を乾性ジクロロメタン及びトリエチルアミン(0.6mmol)中で元に戻し、そして、4-(ジメチルアミノ)ピリジン(2.5mg)を加えた。混合物を、23℃で8時間、撹拌した。透明な溶液を、塩化メチレン(10mL)で希釈し、そして、10%のクエン酸水溶液で洗浄した。分離した水層をジクロロメタン(10mL)で抽出し、そして、合わせた有機層を、塩水で洗浄し、そして、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。真空中での濃縮からの透明なオイルを、シリカ・ゲルクロマトグラフィー(溶出液として酢酸エチル中、0.6%の水/1.2%のメタノール)によって精製して、87%の収率で白色の固体を得た。
実施例3
バルデナフィル(Levitra(登録商標))は、PDE5の選択的阻害剤である。バルデナフィル及び当該技術分野で知られている類似体の構造を、活性及び薬物動態学的特性に関して比較した。本発明の化合物の設計は、改善された薬物動態学的特性を示す新しい治療薬を提供するために官能基を使用して分子を修飾することを含んだ。官能基は、活性よりむしろ薬物動態学的特性に影響するように配置された。設計及び合成された化合物一式は、上記一式のその他の要素の代謝産物であると予測される要素を含んだ。
試験された置換の中で、サルコニン(sarconine)誘導体のメチル-アミノ-ジメチルアセトアミドが、タンパク質結合の減少をもたらした一方で、効力及び溶解性を維持した。
ホスホジエステラーゼ阻害を、当業者に知られる方法によって測定した。試験した化合物の大部分が、バルデナフィルと同程度の活性を持っていた。大部分の化合物のPDE-I、PDE-3、及びPDE-6と比較したヒトPDE-5に関する選択性もまた同程度のものであった。
表1. 機能性残基の取り付けによって修飾された化合物の特性
Figure 2008530246
Figure 2008530246
Figure 2008530246
表2. 化合物Aの置換によって形成された化合物の生理化学的及び薬物動態学的データ
Figure 2008530246
表3. PDE-5の選択性データ:化合物Aの置換によって形成された化合物に関するPDE-5、PDE-1、PDE-3、及びPDE-6に対する選択性の比較
Figure 2008530246
Figure 2008530246
Figure 2008530246
本明細書に引用した特許及び刊行物の全ては、それらの全体を本明細書中に援用する。
同等物
当業者は、本明細書中に説明した発明の特定の態様に対する多くの同等物を認識するか、又は、せいぜい日常的な実験を使用することで確認することができる。そのような同等物が、添付の特許請求の範囲によって網羅されるものとする。
活性化合物(化合物(B))であるPDE5阻害剤の骨組み又は骨格を表し、上記化合物は、本発明の新規化合物を作り出すために、R基として機能性残基又は官能基で置換されるかもしれない。 本発明の化合物(1)を示す。 本発明の態様を表す各種化合物を示す。 本発明の化合物(2)を示す。 本発明の態様を表す各種化合物を示す。 本発明の化合物(3)を示す。 化合物(3)の変形を示す。 バルデナフィルとして知られる既知の活性化合物を示す。 化合物(1)の代謝産物を示す。 薬物動態学的に改善された本発明の化合物を調製するために使用される可能性があるいくつかの官能基を表す(Ostuniら、Langmuir 2001年、17:5605-5620ページより)。これらの官能基はタンパク質表面を抵抗性にするのに有効である。 薬物動態学的に改善された本発明の化合物を調製するために使用される可能性があるいくつかの官能基を表す(Ostuniら、Langmuir 2001年、17:5605-5620ページより)。これらの官能基はタンパク質表面を抵抗性にするのに有効である。

Claims (23)

  1. 化合物の薬物動態学的特性、及び/又は薬力学的特性の調節方法であって、以下のステップ:
    少なくとも1つの官能基で、既知の活性化合物の(a)必須でない残基を置き換えるか;又は(b)必須でない残基に上記少なくとも1つの官能基を置換することによって上記化合物に少なくとも1つの官能基を取り付け、それによって、上記化合物の薬物動態学的特性を改善する、
    を含む前記方法。
  2. 前記少なくとも1つの官能基が、疎水基、エーテル、オリゴ(エチレン・グリコール)基若しくはその誘導体、アミン、アンモニウム塩、簡単なアミド、アミノ酸ベースのアミド、クラウンエーテル、糖、ニトリル、アミン基、オキサルアミド、サルコシン残基、サルコシン誘導体、又はサルコシン・オリゴマーから選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記官能基が、サルコシン残基又はサルコシン誘導体である、請求項2に記載の方法。
  4. 前記薬物動態学的特性が、減弱した非特異的なタンパク質結合である、請求項1に記載の方法。
  5. 化合物の薬物動態学的特性、及び/又は薬力学的特性の調節方法であって、以下のステップ:
    既知の活性化合物に、疎水基、エーテル、オリゴ(エチレン・グリコール)若しくはその誘導体、アミン、アンモニウム塩、簡単なアミド、アミノ酸ベースのアミド、クラウンエーテル、糖、又はニトリル、アミン基、オキサルアミド、サルコシン残基、サルコシン誘導体、又はサルコシン・オリゴマーから成る群からの残基を取り付けて、第2の化合物を作り出す、
    を含む前記方法。
  6. 前記活性化合物がバルデナフィルである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記調節された化合物が、以下の式:
    Figure 2008530246
    [式中、
    R1が、低級アルキルであり;
    R2及びR3が、独立に、低級アルキル、低級アルケニル、及び低級アルキニルから選択され、ここで、上記低級アルキル、低級アルケニル、及び低級アルキニルは、場合により、ハロゲン、低級アルコキシ、ヒドロキシ、CN、NO2、アミノ、アシルアミノ、アミド、カルボニル、及びアルキルチオの中の1つ以上で置換されてもよく;
    Aが、N又はC-Hであり;
    Bが、N、C-H、C-(SO2-R4)、又はC-CO-R4であり;
    Dが、N、C-H、C-(SO2-R4)、又はC-CO-R4であり;
    Eが、N又はC-Hであり;
    ここで、A、B、又はEの中の1つだけが、Nであってもよく、且つ、B又はDのいずれか1つが、C-(SO2-R4)又はC-CO-R4であり;そして
    R4が、以下の式:
    Figure 2008530246
    {式中、
    各R5、R6、R7、及びR8が、独立に、H及び低級アルキルから選択され;ここで、上記低級アルキルは、場合により、ハロゲン、低級アルコキシ、ヒドロキシ、CN、NO2、アミノ、アシルアミノ、アミド、カルボニル、及びアルキルチオの中の1つ以上で置換されてもよく;且つ、加えて又はあるいは、
    R6とR5が一緒に、5若しくは6員環を形成するか、又はR6とR7が一緒に、3〜6員環を形成し;
    R9が、独立に、H及び低級アルキルから選択され;ここで、低級アルキルは、場合により、ハロゲン、低級アルコキシ、ヒドロキシ、CN、NO2、アミノ、アシルアミノ、アミド、カルボニル、及びアルキルチオの中の1つ以上で置換されてもよく;あるいは、
    R8とR9が、それらが取り付けられている窒素と一緒に、5又は6員環を形成し;
    nが、1〜4であり;そして、
    mが、1〜6である。}によって表される基である。]によって表される化合物であるか、あるいは医薬として許容されるその塩、立体異性体、又は水和物である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記式中、
    Aが、C-Hであり;
    Bが、C-Hであり;
    Dが、C-(SO2-R4)であり;そして、
    Eが、C-Hである、請求項7に記載の方法。
  9. 前記式中、mが、1又は2である、請求項8に記載の方法。
  10. 前記式中、nが、1である、請求項9に記載の方法。
  11. 前記式中、
    R1が、エチルであり;
    R2が、メチルであり;
    R3が、プロピルであり;
    Aが、C-Hであり;
    Bが、C-Hであり;
    Dが、C-(SO2-R4)であり;そして、
    Eが、C-Hである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記調節された化合物が、以下の式:
    Figure 2008530246
    {式中、
    各R5、R6、R7、及びR8が、独立に、H及び低級アルキルから選択され、ここで、上記低級アルキルは、場合により、ハロゲン、低級アルコキシ、ヒドロキシ、CN、NO2、アミノ、アシルアミノ、アミド、カルボニル、及びアルキルチオの中の1つ以上で置換されてもよく;且つ、加えて又はあるいは、
    R6とR5が一緒に、5若しくは6員環を形成するか、又はR6とR7が一緒に、3〜6員環を形成し;
    R9が、独立に、H及び低級アルキルから選択され、ここで、上記低級アルキルは、場合により、ハロゲン、低級アルコキシ、ヒドロキシ、CN、NO2、アミノ、アシルアミノ、アミド、カルボニル、及びアルキルチオの中の1つ以上で置換されてもよく;あるいは、
    R8とR9が、それらが取り付けられている窒素と一緒に、5又は6員環を形成する。}によって表される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記調節された化合物が、以下の式:
    Figure 2008530246
    {式中、
    R1が、低級アルキルであり;
    R2及びR3が、独立に、低級アルキル、低級アルケニル、及び低級アルキニルから選択され、ここで、上記低級アルキル、低級アルケニル、及び低級アルキニルは、場合により、ハロゲン、低級アルコキシ、ヒドロキシ、CN、NO2、アミノ、アシルアミノ、アミド、カルボニル、及びアルキルチオの中の1つ以上で置換されてもよく;
    R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12が、独立に、H及び低級アルキルから選択され、ここで、上記低級アルキルは、場合により、ハロゲン、低級アルコキシ、ヒドロキシ、CN、NO2、アミノ、アシルアミノ、アミド、カルボニル、及びアルキルチオの中の1つ以上で置換されてもよく;且つ、加えて又はあるいは、
    R6とR5若しくはR8とR10が一緒に、5若しくは6員環を形成するか、又はR6とR7若しくはR10とR11が一緒に、3〜6員環を形成し;そして、
    R9とR12が、それらが取り付けられている窒素と一緒に、5又は6員環を形成する。}によって表される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  14. 前記調節された化合物が、以下の式:
    Figure 2008530246
    {式中、
    R1、R2、R3、R5、R8、R9、及びR12が、請求項13で規定されるとおりのものである。}によって表される、請求項13に記載の方法。
  15. 前記調節された化合物が、以下の式:
    Figure 2008530246
    {式中、
    R1が、低級アルキルであり;そして、
    R2及びR3が、独立に、低級アルキル、低級アルケニル、及び低級アルキニルから選択され、ここで、上記低級アルキル、低級アルケニル、及び低級アルキニルは、場合により、ハロゲン、低級アルコキシ、ヒドロキシ、CN、NO2、アミノ、アシルアミノ、アミド、カルボニル、及びアルキルチオの中の1つ以上で置換されてもよい。}によって表される、請求項14に記載の方法。
  16. 前記調節された化合物が、以下の:
    Figure 2008530246
    Figure 2008530246
    から選択される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  17. 前記調節された化合物が、以下の式(D):
    Figure 2008530246
    {式中、
    R1が、低級アルキルであり;
    R2及びR3が、独立に、低級アルキル、低級アルケニル、及び低級アルキニルから選択され、ここで、上記低級アルキル、低級アルケニル、及び低級アルキニルは、場合により、ハロゲン、低級アルコキシ、ヒドロキシ、CN、NO2、アミノ、アシルアミノ、アミド、カルボニル、及びアルキルチオの中の1つ以上で置換されてもよく;
    Aが、N又はC-Hであり;
    Bが、N、C-H、C-(SO2-NH-R13)、又はC-CO-NH-R13であり;
    Dが、N、C-H、C-(SO2-NH-R13)、又はC-CO-NH-R13であり;
    Eが、N又はC-Hであり;
    ここで、A、B、又はEの中の1つだけが、Nであってもよく、且つ、B又はDのいずれか1つが、C-(SO2-NH-R13)又はC-CO-NH-R13であり;そして、
    R13が、低級アルキルである。}によって表される化合物であるか、あるいは医薬として許容されるその塩、立体異性体、又は水和物である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  18. 前記式中、R13がメチルである、請求項17に記載の方法。
  19. 前記式中、R2及びR3が、独立に、低級アルキルから選択される、請求項17に記載の方法。
  20. 前記化合物が、以下の式(D1):
    Figure 2008530246
    {式中、
    R1が、低級アルキルであり;
    R2及びR3が、独立に、低級アルキル、低級アルケニル、及び低級アルキニルから選択され、ここで、上記低級アルキル、低級アルケニル、及び低級アルキニルは、場合により、ハロゲン、低級アルコキシ、ヒドロキシ、CN、NO2、アミノ、アシルアミノ、アミド、カルボニル、及びアルキルチオの中の1つ以上で置換されてもよく;そして、
    R13が、低級アルキルから選択される。}によって表される化合物であるか、あるいは医薬として許容されるその塩、立体異性体、又は水和物である、請求項17に記載の方法。
  21. 前記式中、R13がメチルである、請求項20に記載の方法。
  22. 前記式中、R2及びR3が、独立に、低級アルキルから選択される、請求項20に記載の方法。
  23. 前記化合物が、以下の式:
    Figure 2008530246
    によって表される、請求項20に記載の方法。
JP2007556391A 2005-02-18 2006-02-21 機能性残基又は官能基を含む薬物動態学的に改善された化合物、及び上述の化合物を含む医薬組成物の製造方法 Pending JP2008530246A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US65451905P 2005-02-18 2005-02-18
PCT/US2006/006047 WO2006089275A2 (en) 2005-02-18 2006-02-21 Methods of making pharmacokinetically improved compounds comprising functional residues or groups and pharmaceutical compositions comprising said compounds

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008530246A true JP2008530246A (ja) 2008-08-07
JP2008530246A5 JP2008530246A5 (ja) 2011-08-18

Family

ID=36917158

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007556391A Pending JP2008530246A (ja) 2005-02-18 2006-02-21 機能性残基又は官能基を含む薬物動態学的に改善された化合物、及び上述の化合物を含む医薬組成物の製造方法

Country Status (19)

Country Link
US (1) US20110172422A1 (ja)
EP (1) EP1848437A4 (ja)
JP (1) JP2008530246A (ja)
KR (1) KR20080015391A (ja)
CN (1) CN101287468A (ja)
AU (1) AU2006213984A1 (ja)
BR (1) BRPI0608356A2 (ja)
CA (1) CA2598270A1 (ja)
CR (1) CR9383A (ja)
EA (1) EA200701752A1 (ja)
IL (1) IL185347A0 (ja)
MX (1) MX2007010142A (ja)
NI (1) NI200700211A (ja)
NO (1) NO20074741L (ja)
NZ (1) NZ560962A (ja)
SG (1) SG174829A1 (ja)
UA (1) UA95604C2 (ja)
WO (1) WO2006089275A2 (ja)
ZA (1) ZA200707506B (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020507346A (ja) * 2017-02-14 2020-03-12 テクニシェ ウニヴェルシテート ドルトムント ミセル触媒作用によってdnaコンジュゲートを合成する方法

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CR9465A (es) 2005-03-25 2008-06-19 Surface Logix Inc Compuestos mejorados farmacocineticamente
EP2705753A1 (en) 2006-08-24 2014-03-12 Surface Logix, Inc. 2-Phenyl-imidazolotriazinone compounds as PDE5 inhibitors

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002518500A (ja) * 1998-06-20 2002-06-25 バイエル アクチェンゲゼルシャフト 7−アルキル−及びシクロアルキル−置換イミダゾトリアジノン
JP2008530247A (ja) * 2005-02-18 2008-08-07 サーフェイス ロジックス,インコーポレイティド 薬物動態学的に改善された化合物

Family Cites Families (23)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CH445129A (fr) * 1964-04-29 1967-10-15 Nestle Sa Procédé pour la préparation de composés d'inclusion à poids moléculaire élevé
US3459731A (en) * 1966-12-16 1969-08-05 Corn Products Co Cyclodextrin polyethers and their production
US3453257A (en) * 1967-02-13 1969-07-01 Corn Products Co Cyclodextrin with cationic properties
US3426011A (en) * 1967-02-13 1969-02-04 Corn Products Co Cyclodextrins with anionic properties
US3453259A (en) * 1967-03-22 1969-07-01 Corn Products Co Cyclodextrin polyol ethers and their oxidation products
US4235871A (en) * 1978-02-24 1980-11-25 Papahadjopoulos Demetrios P Method of encapsulating biologically active materials in lipid vesicles
US4631211A (en) * 1985-03-25 1986-12-23 Scripps Clinic & Research Foundation Means for sequential solid phase organic synthesis and methods using the same
US4737323A (en) * 1986-02-13 1988-04-12 Liposome Technology, Inc. Liposome extrusion method
US5143854A (en) * 1989-06-07 1992-09-01 Affymax Technologies N.V. Large scale photolithographic solid phase synthesis of polypeptides and receptor binding screening thereof
KR0166088B1 (ko) * 1990-01-23 1999-01-15 . 수용해도가 증가된 시클로덱스트린 유도체 및 이의 용도
US5359115A (en) * 1992-03-26 1994-10-25 Affymax Technologies, N.V. Methods for the synthesis of phosphonate esters
US5288514A (en) * 1992-09-14 1994-02-22 The Regents Of The University Of California Solid phase and combinatorial synthesis of benzodiazepine compounds on a solid support
US5480971A (en) * 1993-06-17 1996-01-02 Houghten Pharmaceuticals, Inc. Peralkylated oligopeptide mixtures
US5440016A (en) * 1993-06-18 1995-08-08 Torrey Pines Institute For Molecular Studies Peptides of the formula (KFmoc) ZZZ and their uses
US5362899A (en) * 1993-09-09 1994-11-08 Affymax Technologies, N.V. Chiral synthesis of alpha-aminophosponic acids
HU228196B1 (en) * 1997-11-12 2013-01-28 Bayer Pharma AG 2-phenyl substituted imidazotriazinones, process for their preparation and pharmaceutical compositions thereof
US5958886A (en) * 1998-01-13 1999-09-28 Sigma-Tau Pharmaceuticals, Inc. Carnitine-containing peptides and a method for using the same
KR100353014B1 (ko) * 1998-11-11 2002-09-18 동아제약 주식회사 발기부전 치료에 효과를 갖는 피라졸로피리미디논 화합물
CA2323008C (en) * 1999-10-11 2005-07-12 Pfizer Inc. Pharmaceutically active compounds
GB9924020D0 (en) * 1999-10-11 1999-12-15 Pfizer Ltd Pharmaceutically active compounds
IL150022A0 (en) * 1999-12-24 2002-12-01 Bayer Ag Imidazo [1,3,5] triazinones and the use thereof
ES2231311T3 (es) * 1999-12-24 2005-05-16 Bayer Healthcare Ag Triazolotriazinonas y su uso.
US6794387B2 (en) * 2001-03-28 2004-09-21 Pfizer Inc. Pharmaceutically active compounds

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002518500A (ja) * 1998-06-20 2002-06-25 バイエル アクチェンゲゼルシャフト 7−アルキル−及びシクロアルキル−置換イミダゾトリアジノン
JP2008530247A (ja) * 2005-02-18 2008-08-07 サーフェイス ロジックス,インコーポレイティド 薬物動態学的に改善された化合物

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020507346A (ja) * 2017-02-14 2020-03-12 テクニシェ ウニヴェルシテート ドルトムント ミセル触媒作用によってdnaコンジュゲートを合成する方法
JP7094029B2 (ja) 2017-02-14 2022-07-01 テクニシェ ウニヴェルシテート ドルトムント ミセル触媒作用によってdnaコンジュゲートを合成する方法

Also Published As

Publication number Publication date
WO2006089275A2 (en) 2006-08-24
NZ560962A (en) 2011-12-22
CR9383A (es) 2008-06-19
US20110172422A1 (en) 2011-07-14
EA200701752A1 (ru) 2008-04-28
AU2006213984A1 (en) 2006-08-24
EP1848437A4 (en) 2012-04-25
CN101287468A (zh) 2008-10-15
BRPI0608356A2 (pt) 2009-12-29
MX2007010142A (es) 2007-12-07
CA2598270A1 (en) 2006-08-24
UA95604C2 (ru) 2011-08-25
WO2006089275A3 (en) 2006-12-21
NI200700211A (es) 2008-07-24
NO20074741L (no) 2007-11-14
ZA200707506B (en) 2009-08-26
IL185347A0 (en) 2008-02-09
SG174829A1 (en) 2011-10-28
EP1848437A2 (en) 2007-10-31
KR20080015391A (ko) 2008-02-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5956661B2 (ja) 薬物動態的改良型化合物
JP2010510214A (ja) Bclタンパクの結合パートナーとの相互作用を阻害するための化合物および方法
JP2014055136A (ja) 薬物動態が改善された化合物
JP2008530246A (ja) 機能性残基又は官能基を含む薬物動態学的に改善された化合物、及び上述の化合物を含む医薬組成物の製造方法
AU2006213985B2 (en) Pharmacokinetically improved compounds
JP2003513020A (ja) 新規なトロパン類似体
CN104557908A (zh) 一类四氢原小檗碱类化合物、其制备方法及应用

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090216

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090223

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090223

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20090216

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110630

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120221

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20120717