別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に言及されるすべての刊行物及び特許は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
以下に提供される用語の説明は、本明細書で使用される場合、かつ別途指定されない限り、それらの用語に適用される。
「化合物」という用語は、その塩及び溶媒和物(例えば、水和物)を含む。
「同位体組成」という用語は、所与の原子に存在する各同位体の量を指し、「天然同位体組成」は、天然に存在する同位体組成または所与の原子の存在度を指す。それらの天然同位体組成を含有する原子は、本明細書において「非濃縮」原子とも称され得る。別途指定されない限り、本明細書に記載される化合物の原子は、その原子の任意の安定した同位体を表すことを意味している。例えば、別途記載されない限り、位置が具体的に「H」または「水素」と指定される場合、位置はその天然同位体組成で水素を有すると理解される。
「同位体的に濃縮された」という用語は、その原子の天然同位体組成以外の同位体組成を有する原子を指す。「同位体的に濃縮された」は、その原子の天然同位体組成以外の同位体組成を有する少なくとも1つの原子を含有する化合物も指し得る。本明細書で使用される場合、「アイソトポログ」は、同位体的に濃縮された化合物である。
「同位体濃縮」という用語は、その原子の天然同位体組成の代わりに、分子の所与の原子における特定の同位体の量の組み込みの割合を指す。例えば、所与の位置での1%の重水素の濃縮は、所与の試料において1%の分子が特定の位置で重水素を含有することを意味する。天然に存在する重水素の分布が約0.0156%であるため、非濃縮出発材料を使用して合成された化合物における任意の位置での重水素濃縮は、約0.0156%よりも高い。
「同位体濃縮係数」という用語は、同位体組成と特定の同位体の天然同位体組成との間の比率を指す。
本明細書に提供される化合物に関して、特定の原子位置が重水素または「D」を有すると指定される場合、その位置での重水素の存在度は、実質的に、約0.0156%である重水素の天然存在度よりも大きいと理解される。重水素を有すると指定される位置は、典型的には、ある特定の実施形態では、各指定の重水素原子において少なくとも1000(15%重水素組み込み)、少なくとも2000(30%重水素組み込み)、少なくとも3000(45%重水素組み込み)、少なくとも3500(52.5%重水素組み込み)、少なくとも4000(60%重水素組み込み)、少なくとも4500(67.5%重水素組み込み)、少なくとも5000(75%重水素組み込み)、少なくとも5500(82.5%重水素組み込み)、少なくとも6000(90%重水素組み込み)、少なくとも6333.3(95%重水素組み込み)、少なくとも6466.7(97%重水素組み込み)、少なくとも6600(99%重水素組み込み)、または少なくとも6633.3(99.5%重水素組み込み)の最小同位体濃度係数を有する。
本明細書に提供される化合物の同位体濃縮及び同位体濃縮係数は、質量分析法及び核磁気共鳴分光法を含む、当業者に既知の従来の分析方法を使用して決定され得る。
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される塩(複数可)」という用語は、様々な無機酸及び有機酸から調製される塩を含むが、これに限定されない。塩基性化合物の薬学的に許容される酸付加塩を調製するために使用され得る酸は、非毒性の酸付加塩、すなわち薬理学的に許容されるアニオンを含有する塩を形成するものである。好適な有機酸としては、マレイン酸、フマル酸、安息香酸、アスコルビン酸、コハク酸、酢酸、ギ酸、シュウ酸、プロピオン酸、酒石酸、サリチル酸、クエン酸、グルコン酸、乳酸、マンデル酸、桂皮酸、オレイン酸、タンニン酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、グリコール酸、グルタミン酸、グルコン酸、グルカロン酸、サッカリン酸、イソニコチン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、もしくはパモ酸(すなわち、1,1’−メチレン−ビス−(2−ヒドロキシ−3−ナフトエート)酸、またはそれらの同位体的に濃縮された類似体が挙げられるが、これらに限定されない。好適な無機酸としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、リン酸、もしくは硝酸、またはそれらの同位体的に濃縮された類似体が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書に提供される化合物、官能基、及び薬学的に許容される塩のすべては、1つ以上の位置に1つ以上の同位体的に濃縮された水素原子を有し得る。例としては、同位体的に濃縮されたアルコール、カルボン酸、及びカルボン酸エステルが挙げられるが、これらに限定されない。
「溶媒和物」という用語は、溶質、例えば本明細書に提供される化合物の1つ以上の分子、及び化学量論量もしくは非化学量論量で存在する溶媒の1つ以上の分子によって形成された複合体または凝集体を指す。好適な溶媒としては、水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、及び酢酸が挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、溶媒は薬学的に許容される。ある特定の実施形態では、複合体または凝集体は結晶形態である。ある特定の実施形態では、複合体または凝集体は非晶質形態である。溶媒が水である場合、溶媒和物は水和物である。水和物の例としては、半水和物、一水和物、二水和物、三水和物、四水和物、及び五水和物が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で使用される場合、「共結晶」という用語は、構成要素が原子、イオン、または分子であり得る、少なくとも2つの構成要素から構成される結晶構造を指す。
「多形」という用語は、化合物またはその複合体の固体結晶形態を指す。同じ化合物の異なる多形は、異なる物理的、化学的、及び分光特性を呈し得る。
「約」または「およそ」という用語は、当業者によって決定されるときの特定の値についての許容可能な誤差を意味し、これはどのように値を測定または決定するかに部分的に依存する。ある特定の実施形態では、「約」または「およそ」という用語は、標準偏差が1、2、3、または4以内であることを意味する。ある特定の実施形態では、「約」または「およそ」という用語は、所与の値または範囲の50%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、または0.05%以内であることを意味する。
化合物を「実質的に含まない」組成物を指す場合、「実質的に含まない」という用語は、組成物が約20重量%以下、約10重量%以下、約5重量%以下、約3重量%以下、約1重量%以下、約0.5重量%以下、約0.2重量%以下、約0.1重量%以下、約0.01重量%以下、約0.001重量%以下、または約0.0001重量%以下の化合物を含有することを意味する。
化合物または組成物を指す場合、「実質的に純粋」という用語は、化合物または組成物が約80重量%以上、約90重量%以上、約95重量%以上、約96重量%以上、約97重量%以上、約98重量%以上、約99重量%以上、約99.5重量%以上、約99.9重量%以上、約99.95重量%以上、約99.99重量%以上、約99.995重量%以上、約99.999重量%以上、約99.9995重量%以上、または約99.9999重量%以上の純度を含有することを意味する。
本明細書で使用される場合、「プロセス」という用語は、化合物の調製について本明細書に開示される方法を指す。当業者に周知である本明細書に開示されるプロセス及び方法(例えば、出発材料、試薬、保護基、溶媒、温度、反応時間、及び/または精製)に対する修正も本開示により包含される。
「添加すること」、「反応させること」、「接触させること」、及び「混合すること」という用語は、1つの反応物、試薬、溶媒、触媒、または反応基を別の反応物、試薬、溶媒、触媒、または反応基と接触させることを指すように互換的に使用される。別途指定されない限り、反応物、試薬、溶媒、触媒、及び反応基は、個々に、同時に、もしくは別個に添加され得、及び/または任意の順序で添加され得る。それらは、熱の存在下または不在下で添加され得、任意選択で、不活性雰囲気(例えば、N2またはAr)下で添加され得る。ある特定の実施形態では、「反応させること」という用語は、反応基が同じ分子にある場合、インサイツ形成または分子内反応も指し得る。
反応を指す場合、「実質的に完了」という用語は、反応が約50%以下、約40%以下、約30%以下、約20%以下、約10%以下、約5%以下、約4%以下、約3%以下、約2%以下、約1%以下、約0.5%以下、約0.1%以下、または約0.05%以下の残留出発材料を含有することを意味する。
本明細書で使用される場合、かつ別途指定されない限り、「治療する」、「治療すること」、及び「治療」という用語は、疾患もしくは障害、または疾患もしくは障害に関連する1つ以上の症状の根絶または緩和を指す。ある特定の実施形態では、これらの用語は、疾患または障害の蔓延または悪化(そのような疾患または障害を有する対象への1つ以上の予防薬または治療薬の投与に起因する)を最小限に抑えることを指す。いくつかの実施形態では、これらの用語は、特定の疾患の症状の発現後の他の追加の活性薬剤を伴うまたは伴わない本明細書に提供される化合物の投与を指す。
本明細書で使用される場合、かつ別途指定されない限り、「予防する」、「予防すること」、及び「予防」という用語は、疾患もしくは障害、またはそれらの1つ以上の症状の発現、再発、または蔓延の予防を指す。ある特定の実施形態では、これらの用語は、特に本明細書に提供される疾患または障害のリスクがある患者への症状の発現前に他の追加の活性化合物を伴うまたは伴わない本明細書に提供される化合物での治療またはその投与を指す。これらの用語は、特定の疾患の症状の阻害または低減を包含する。特に疾患の家族歴を有する患者は、ある特定の実施形態では、予防レジメンの対象である。加えて、症状再発の病歴を有する患者も、予防の有力な対象者である。この関連で、「予防」という用語は、「予防的治療」という用語と同義に使用され得る。
本明細書で使用される場合、かつ別途指定されない限り、「管理する」、「管理すること」、及び「管理」という用語は、疾患もしくは障害、またはその1つ以上の症状の進行、蔓延、もしくは悪化の予防または緩徐を指す。多くの場合、対象が予防薬及び/または治療薬から得る有益な効果は、疾患または障害の治癒をもたらさない。この関連で、「管理すること」という用語は、疾患またはそれらの1つ以上の症状の再発を予防または最小限に抑えるための特定の疾患に罹患していた患者の治療を包含する。
本明細書で使用される場合、かつ別途指定されない限り、化合物の「治療有効量」とは、疾患もしくは障害の治療もしくは管理に治療的利点を提供するか、または疾患もしくは障害に関連する1つ以上の症状を遅延させるもしくは最小限に抑えるのに十分な量である。化合物の治療有効量とは、単独での、または疾患もしくは障害の治療もしくは管理に治療的利点を提供する他の療法と組み合わせた治療薬の量を意味する。「治療有効量」という用語は、全体的な療法を改善するか、疾患もしくは障害の症状もしくは病因を低減もしくは回避するか、または別の治療薬の治療効力を増強する量を包含し得る。
本明細書で使用される場合、かつ別途指定されない限り、化合物の「予防的有効量」とは、疾患もしくは障害またはその1つ以上の症状を予防するか、あるいは疾患もしくは障害またはその1つ以上の症状の再発を予防するのに十分な量である。化合物の予防有効量とは、単独での、または疾患もしくは障害の予防に予防的利点を提供する他の薬剤と組み合わせた治療薬の量を意味する。「予防有効量」という用語は、全体的な予防を改善するか、または別の予防剤の予防効力を増強する量を包含し得る。
別途指定されない限り、「対象」という用語は、本明細書において、霊長類(例えば、ヒト)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウスなどを含むがこれらに限定されない、哺乳動物などの動物を含むように定義される。特定の実施形態では、対象はヒトである。
構造またはその一部の立体化学が、例えば、太字または破線で示されていない場合、構造またはその一部は、その構造のすべての立体異性体を包含すると解釈されるものとする。
別途指定されない限り、本明細書に提供される化合物の図示される化学構造と本明細書に提供される化合物の化学名との間に矛盾がある場合には、化学構造が優先される。
化合物
4’−アリールメトキシイソインドリン化合物、及びその薬学的に許容されるアイソトポログ、立体異性体、塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、または共結晶が本明細書において提供される。
一実施形態では、式(I)の化合物(「化合物I」):
あるいはそのアイソトポログ、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶が本明細書において提供される。
式(I)の化合物は、3−(1−オキソ−4−((4−((3−オキソモルホリノ)メチル)ベンジル)オキシ)イソインドリン−2−イル)ピペリジン−2,6−ジオンの化学名を有する。
一実施形態では、本化合物は、(S)−3−(1−オキソ−4−((4−((3−オキソモルホリノ)メチル)ベンジル)オキシ)イソインドリン−2−イル)ピペリジン−2,6−ジオン(「化合物I−S」)、あるいはそのアイソトポログ、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶である。化合物I−Sは、式(I−S)を有する:
一実施形態では、本化合物は、(R)−3−(1−オキソ−4−((4−((3−オキソモルホリノ)メチル)ベンジル)オキシ)イソインドリン−2−イル)ピペリジン−2,6−ジオン(「化合物I−R」)、あるいはそのアイソトポログ、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶である。化合物I−Rは、式(I−R)の構造を有する:
一実施形態では、実質的に純粋な化合物Iが本明細書において提供される。一実施形態では、化合物I及び1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物が本明細書において提供される。一実施形態では、実質的に純粋な化合物I及び1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物が本明細書において提供される。一実施形態では、化合物Iの溶媒和物が本明細書において提供される。一実施形態では、化合物Iの水和物が本明細書において提供される。一実施形態では、水和物は一水和物である。
一実施形態では、実質的に純粋な化合物I−Sが本明細書において提供される。一実施形態では、化合物I−S及び1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物が本明細書において提供される。一実施形態では、実質的に純粋な化合物I−S及び1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物が本明細書において提供される。一実施形態では、化合物I−Sの溶媒和物が本明細書において提供される。一実施形態では、化合物I−Sの水和物が本明細書において提供される。一実施形態では、水和物は一水和物である。
一実施形態では、実質的に純粋な化合物I−Rが本明細書において提供される。一実施形態では、化合物I−R及び1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物が本明細書において提供される。一実施形態では、実質的に純粋な化合物I−R及び1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物が本明細書において提供される。一実施形態では、化合物I−Rの溶媒和物が本明細書において提供される。一実施形態では、化合物I−Rの水和物が本明細書において提供される。一実施形態では、水和物は一水和物である。
一実施形態では、式(I)の化合物のアイソトポログ、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶が本明細書において提供される。
薬物動態(「PK」)、薬力学(「PD」)、及び毒性プロファイルを改善するための医薬品の同位体濃縮(例えば、重水素化)は、いくつかのクラスの薬物によって以前に実証されている。(例えば、Lijinsky et.al.,Food Cosmet.Toxicol.,20:393(1982);Lijinsky et.al.,J.Nat.Cancer Inst.,69:1127(1982);Mangold et.al.,Mutation Res.308:33(1994);Gordon et.al.,Drug Metab.Dispos.,15:589(1987);Zello et.al.,Metabolism,43:487(1994);Gately et.al.,J.Nucl.Med.,27:388(1986);Wade D,Chem.Biol.Interact.117:191(1999)を参照されたい)。
特定の理論によって制限されるものではないが、薬物の同位体濃縮は、例えば、(1)望ましくない代謝物を低減または取り除くために、(2)親薬物の半減期を増加させるために、(3)所望の作用を達成するために必要とされる投与回数を減少させるために、(4)所望の作用を達成するために必要な投与量を減少させるために、(5)いずれかが形成される場合、活性代謝物の形成を増加させるために、及び/または(6)特定の組織における有害な代謝物の産生を減少させるために、及び/または併用療法が意図的であるか否かにかかわらず、併用療法用のより有効な薬物及び/またはより安全な薬物を作製するために使用され得る。
原子のその同位体のうちの1つへの置換により、しばしば、化学反応の反応速度に変化がもたらされ得る。この現象は、速度論的同位体作用(「KIE」)として知られている。例えば、C−H結合が化学反応の律速ステップ(すなわち、最高の遷移状態エネルギーを有するステップ)中に破壊される場合、重水素のその水素への置換は、反応速度の減少を引き起こし、このプロセスは遅くなるであろう。この現象は、重水素速度論的同位体作用(「DKIE」)として知られている。(例えば、Foster et al.,Adv.Drug Res.,vol.14,pp.1−36(1985);Kushner et al.,Can.J.Physiol.Pharmacol.,vol.77,pp.79−88(1999)を参照されたい)。
DKIEの規模は、C−H結合が破壊される所与の反応の速度と、重水素が水素と置換される同じ反応の速度との比率として表すことができる。DKIEは、約1(同位体作用なし)〜非常に大きい数、例えば、50以上の範囲に及び得、この反応は、重水素が水素に置換される場合、50倍以上遅い場合があることを意味する。特定の理論によって制限されるものではないが、高いDKIE値は、部分的に、不確定な原理の結果であるトンネリングとして知られている現象による可能性がある。トンネリングは、少量の水素原子に起因しており、またトンネリングが生じるのはプロトンを伴う遷移状態が、必要とされる活性化エネルギーの不在下で時々形成することができるためである。重水素は水素よりも大きな質量を有しているため、この現象を受けている確率は統計的に非常に低い。
三重水素(「T」)は、研究、核融合炉、中性子発生装置、及び放射性医薬品に使用される水素の放射性同位体である。三重水素は、核内に2個の中性子を有し、かつ3に近い原子量を有する水素原子である。それは、非常に低い濃度で環境において天然に生じ、最も一般には、T2Oとして見出される。三重水素はゆっくり壊変し(半減期=12.3年)、ヒトの皮膚の外層を貫通することができない低エネルギーベータ粒子を放出する。内部被曝は、この同位体に関連する主な危険であるが、顕著な健康リスクがもたらされるには多量に摂取しなければならない。重水素と比較して、より少ない量の三重水素が有害なレベルに到達する前に消費されなければならない。三重水素(「T」)の水素への置換は、それでも重水素よりも強い結合をもたらし、数の上ではより大きな同位体作用を付与する。同様に、炭素に対する13Cまたは14C、硫黄に対する33S、34S、または36S、窒素に対する15N、及び酸素に対する17Oまたは18Oを含むが、これらに限定されない他の元素に対する同位体置換により、同様の速度論的同位体作用がもたらされ得る。
動物の身体は、治療薬などの外来物質をその循環系から取り除く目的のための様々な酵素を発現する。そのような酵素の例としては、腎排泄のためにこれらの外来物質と反応し、より極性の中間体または代謝物に変換するための、チトクロムP450酵素(「CYP」)、エステラーゼ、プロテアーゼ、リダクターゼ、デヒドロゲナーゼ、及びモノアミンオキシダーゼが挙げられる。医薬化合物の最も一般的な代謝反応のいくつかは、炭素−水素(C−H)結合の、炭素−酸素(C−O)または炭素−炭素(C−C)パイ結合のいずれかへの酸化を伴う。得られた代謝物は、生理学的条件下で安定しているか、または不安定であってもよく、親化合物に対して実質的に異なる薬物動態、薬力学、ならびに急性及び長期毒性プロファイルを有し得る。多くの薬物に関して、そのような酸化は迅速である。したがって、これらの薬物は、複数のまたは高い1日投与量の投与を必要とすることが多い。
したがって、本明細書に提供される化合物のある特定の位置での同位体濃縮は、天然同位体組成を有する同様の化合物と比較して、本明細書に提供される化合物の薬物動態、薬力学、及び/または毒性学プロファイルに影響を及ぼす検出可能なKIEをもたらす可能性がある。ある特定の実施形態では、重水素濃縮は、代謝中のC−H結合切断部位で行われる。
さらに、多くの化合物のラセミ化は、キラル中心でのC−H結合の破壊を伴い、重水素の選択的な組み込みにより遅延することができる。したがって、ある特定の実施形態では、キラル中心のラセミ化が重水素の選択的な組み込みにより遅延される、式(I)の化合物のアイソトポログ、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶が本明細書において提供される。一実施形態では、式(I)のキラル中心位置での重水素の選択的な組み込みが本明細書において提供される。
ある特定の実施形態では、式(I)の化合物の1つ以上の原子位置が重水素で同位体的に濃縮される、式(I)の化合物のアイソトポログ、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶が本明細書において提供される。一実施形態では、式(II)の化合物:
またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶が本明細書において提供され、式中、1個以上のY原子(すなわち、Y
1、Y
2、Y
3、Y
4、Y
5、Y
6、Y
7、Y
8、Y
9、Y
10、Y
11、Y
12、Y
13、Y
14、Y
15、Y
16、Y
17、Y
18、Y
19、Y
20、Y
21、Y
22、Y
23、Y
24、及びY
25)は、重水素で同位体的に濃縮された水素(複数可)であり、任意の残りのY原子(複数可)は、非濃縮水素原子(複数可)である。ある特定の実施形態では、示されるY原子のうちの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24個、またはすべてが、重水素で同位体的に濃縮されており、任意の残りのY原子(複数可)は、非濃縮水素(複数可)である。
一実施形態では、Y25は非濃縮水素である。
一実施形態では、式(II)の化合物は、式(II−S)の化合物:
またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶である。
一実施形態では、式(II)の化合物は、式(II−R)の化合物:
またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶である。
一実施形態では、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、Y8、Y9、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15、Y16、Y17、Y18、Y19、Y20、Y21、Y22、Y23、Y24、及びY25のうちの1個が重水素で同位体的に濃縮されている水素であり、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、Y8、Y9、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15、Y16、Y17、Y18、Y19、Y20、Y21、Y22、Y23、Y24、及びY25のうちのその他は非濃縮水素原子である。一実施形態では、重水素濃縮原子はY5である。
一実施形態では、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、Y8、Y9、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15、Y16、Y17、Y18、Y19、Y20、Y21、Y22、Y23、Y24、及びY25のうちの2個が重水素で同位体的に濃縮されている水素原子であり、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、Y8、Y9、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15、Y16、Y17、Y18、Y19、Y20、Y21、Y22、Y23、Y24、及びY25のうちのその他は非濃縮水素原子である。一実施形態では、重水素濃縮原子のうちの1個はY5である。一実施形態では、Y25は非濃縮水素である。
一実施形態では、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、Y8、Y9、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15、Y16、Y17、Y18、Y19、Y20、Y21、Y22、Y23、Y24、及びY25のうちの3個が重水素で同位体的に濃縮されている水素原子であり、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、Y8、Y9、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15、Y16、Y17、Y18、Y19、Y20、Y21、Y22、Y23、Y24、及びY25のうちのその他は非濃縮水素原子である。一実施形態では、重水素濃縮原子のうちの1個はY5である。一実施形態では、Y25は非濃縮水素である。
一実施形態では、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、Y8、Y9、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15、Y16、Y17、Y18、Y19、Y20、Y21、Y22、Y23、Y24、及びY25のうちの4個が重水素で同位体的に濃縮されている水素原子であり、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、Y8、Y9、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15、Y16、Y17、Y18、Y19、Y20、Y21、Y22、Y23、Y24、及びY25のうちのその他は非濃縮水素原子である。一実施形態では、重水素濃縮原子のうちの1個はY5である。一実施形態では、Y25は非濃縮水素である。
一実施形態では、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、Y8、Y9、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15、Y16、Y17、Y18、Y19、Y20、Y21、Y22、Y23、Y24、及びY25のうちの5個が重水素で同位体的に濃縮されている水素原子であり、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、Y8、Y9、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15、Y16、Y17、Y18、Y19、Y20、Y21、Y22、Y23、Y24、及びY25のうちのその他は非濃縮水素原子である。一実施形態では、重水素濃縮原子のうちの1個はY5である。一実施形態では、Y25は非濃縮水素である。
一実施形態では、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、Y8、Y9、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15、Y16、Y17、Y18、Y19、Y20、Y21、Y22、Y23、Y24、及びY25のうちの6個が重水素で同位体的に濃縮されている水素原子であり、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、Y8、Y9、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15、Y16、Y17、Y18、Y19、Y20、Y21、Y22、Y23、Y24、及びY25のうちのその他は非濃縮水素原子である。一実施形態では、重水素濃縮原子のうちの1個はY5である。一実施形態では、Y25は非濃縮水素である。
一実施形態では、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、Y8、Y9、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15、Y16、Y17、Y18、Y19、Y20、Y21、Y22、Y23、Y24、及びY25のうちの7個が重水素で同位体的に濃縮されている水素原子であり、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、Y8、Y9、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15、Y16、Y17、Y18、Y19、Y20、Y21、Y22、Y23、Y24、及びY25のうちのその他は非濃縮水素原子である。一実施形態では、重水素濃縮原子のうちの1個はY5である。一実施形態では、Y25は非濃縮水素である。
一実施形態では、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、Y8、Y9、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15、Y16、Y17、Y18、Y19、Y20、Y21、Y22、Y23、Y24、及びY25のうちの8個が重水素で同位体的に濃縮されている水素原子であり、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、Y8、Y9、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15、Y16、Y17、Y18、Y19、Y20、Y21、Y22、Y23、Y24、及びY25のうちのその他は非濃縮水素原子である。一実施形態では、重水素濃縮原子のうちの1個はY5である。一実施形態では、Y25は非濃縮水素である。
一実施形態では、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、Y8、Y9、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15、Y16、Y17、Y18、Y19、Y20、Y21、Y22、Y23、Y24、及びY25のうちの9個が重水素で同位体的に濃縮されている水素原子であり、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、Y8、Y9、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15、Y16、Y17、Y18、Y19、Y20、Y21、Y22、Y23、Y24、及びY25のうちのその他は非濃縮水素原子である。一実施形態では、重水素濃縮原子のうちの1個はY5である。一実施形態では、Y25は非濃縮水素である。
一実施形態では、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、Y8、Y9、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15、Y16、Y17、Y18、Y19、Y20、Y21、Y22、Y23、Y24、及びY25のうちの10個が重水素で同位体的に濃縮されている水素原子であり、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、Y8、Y9、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15、Y16、Y17、Y18、Y19、Y20、Y21、Y22、Y23、Y24、及びY25のうちのその他は非濃縮水素原子である。一実施形態では、重水素濃縮原子のうちの1個はY5である。一実施形態では、Y25は非濃縮水素である。
一実施形態では、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、Y8、Y9、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15、Y16、Y17、Y18、Y19、Y20、Y21、Y22、Y23、Y24、及びY25のうちの11個が重水素で同位体的に濃縮されている水素原子であり、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、Y8、Y9、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15、Y16、Y17、Y18、Y19、Y20、Y21、Y22、Y23、Y24、及びY25のうちのその他は非濃縮水素原子である。一実施形態では、重水素濃縮原子のうちの1個はY5である。一実施形態では、Y25は非濃縮水素である。
一実施形態では、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、Y8、Y9、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15、Y16、Y17、Y18、Y19、Y20、Y21、Y22、Y23、Y24、及びY25のうちの12個が重水素で同位体的に濃縮されている水素原子であり、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、Y8、Y9、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15、Y16、Y17、Y18、Y19、Y20、Y21、Y22、Y23、Y24、及びY25のうちのその他は非濃縮水素原子である。一実施形態では、重水素濃縮原子のうちの1個はY5である。一実施形態では、Y25は非濃縮水素である。
一実施形態では、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、Y8、Y9、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15、Y16、Y17、Y18、Y19、Y20、Y21、Y22、Y23、Y24、及びY25のうちの13個が重水素で同位体的に濃縮されている水素原子であり、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、Y8、Y9、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15、Y16、Y17、Y18、Y19、Y20、Y21、Y22、Y23、Y24、及びY25のうちのその他は非濃縮水素原子である。一実施形態では、重水素濃縮原子のうちの1個はY5である。一実施形態では、Y25は非濃縮水素である。
一実施形態では、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、Y8、Y9、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15、Y16、Y17、Y18、Y19、Y20、Y21、Y22、Y23、Y24、及びY25のうちの14個が重水素で同位体的に濃縮されている水素原子であり、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、Y8、Y9、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15、Y16、Y17、Y18、Y19、Y20、Y21、Y22、Y23、Y24、及びY25のうちのその他は非濃縮水素原子である。一実施形態では、重水素濃縮原子のうちの1個はY5である。一実施形態では、Y25は非濃縮水素である。
一実施形態では、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、Y8、Y9、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15、Y16、Y17、Y18、Y19、Y20、Y21、Y22、Y23、Y24、及びY25のうちの15個が重水素で同位体的に濃縮されている水素原子であり、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、Y8、Y9、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15、Y16、Y17、Y18、Y19、Y20、Y21、Y22、Y23、Y24、及びY25のうちのその他は非濃縮水素原子である。一実施形態では、重水素濃縮原子のうちの1個はY5である。一実施形態では、Y25は非濃縮水素である。
一実施形態では、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、Y8、Y9、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15、Y16、Y17、Y18、Y19、Y20、Y21、Y22、Y23、Y24、及びY25のうちの16個が重水素で同位体的に濃縮されている水素原子であり、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、Y8、Y9、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15、Y16、Y17、Y18、Y19、Y20、Y21、Y22、Y23、Y24、及びY25のうちのその他は非濃縮水素原子である。一実施形態では、重水素濃縮原子のうちの1個はY5である。一実施形態では、Y25は非濃縮水素である。
一実施形態では、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、Y8、Y9、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15、Y16、Y17、Y18、Y19、Y20、Y21、Y22、Y23、Y24、及びY25のうちの17個が重水素で同位体的に濃縮されている水素原子であり、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、Y8、Y9、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15、Y16、Y17、Y18、Y19、Y20、Y21、Y22、Y23、Y24、及びY25のうちのその他は非濃縮水素原子である。一実施形態では、重水素濃縮原子のうちの1個はY5である。一実施形態では、Y25は非濃縮水素である。
一実施形態では、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、Y8、Y9、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15、Y16、Y17、Y18、Y19、Y20、Y21、Y22、Y23、Y24、及びY25のうちの18個が重水素で同位体的に濃縮されている水素原子であり、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、Y8、Y9、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15、Y16、Y17、Y18、Y19、Y20、Y21、Y22、Y23、Y24、及びY25のうちのその他は非濃縮水素原子である。一実施形態では、重水素濃縮原子のうちの1個はY5である。一実施形態では、Y25は非濃縮水素である。
一実施形態では、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、Y8、Y9、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15、Y16、Y17、Y18、Y19、Y20、Y21、Y22、Y23、Y24、及びY25のうちの19個が重水素で同位体的に濃縮されている水素原子であり、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、Y8、Y9、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15、Y16、Y17、Y18、Y19、Y20、Y21、Y22、Y23、Y24、及びY25のうちのその他は非濃縮水素原子である。一実施形態では、重水素濃縮原子のうちの1個はY5である。一実施形態では、Y25は非濃縮水素である。
一実施形態では、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、Y8、Y9、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15、Y16、Y17、Y18、Y19、Y20、Y21、Y22、Y23、Y24、及びY25のうちの20個が重水素で同位体的に濃縮されている水素原子であり、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、Y8、Y9、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15、Y16、Y17、Y18、Y19、Y20、Y21、Y22、Y23、Y24、及びY25のうちのその他は非濃縮水素原子である。一実施形態では、重水素濃縮原子のうちの1個はY5である。一実施形態では、Y25は非濃縮水素である。
一実施形態では、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、Y8、Y9、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15、Y16、Y17、Y18、Y19、Y20、Y21、Y22、Y23、Y24、及びY25のうちの21個が重水素で同位体的に濃縮されている水素原子であり、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、Y8、Y9、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15、Y16、Y17、Y18、Y19、Y20、Y21、Y22、Y23、Y24、及びY25のうちのその他は非濃縮水素原子である。一実施形態では、重水素濃縮原子のうちの1個はY5である。一実施形態では、Y25は非濃縮水素である。
一実施形態では、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、Y8、Y9、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15、Y16、Y17、Y18、Y19、Y20、Y21、Y22、Y23、Y24、及びY25のうちの22個が重水素で同位体的に濃縮されている水素原子であり、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、Y8、Y9、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15、Y16、Y17、Y18、Y19、Y20、Y21、Y22、Y23、Y24、及びY25のうちのその他は非濃縮水素原子である。一実施形態では、重水素濃縮原子のうちの1個はY5である。一実施形態では、Y25は非濃縮水素である。
一実施形態では、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、Y8、Y9、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15、Y16、Y17、Y18、Y19、Y20、Y21、Y22、Y23、Y24、及びY25のうちの23個が重水素で同位体的に濃縮されている水素原子であり、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、Y8、Y9、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15、Y16、Y17、Y18、Y19、Y20、Y21、Y22、Y23、Y24、及びY25のうちのその他は非濃縮水素原子である。一実施形態では、重水素濃縮原子のうちの1個はY5である。一実施形態では、Y25は非濃縮水素である。
一実施形態では、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、Y8、Y9、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15、Y16、Y17、Y18、Y19、Y20、Y21、Y22、Y23、Y24、及びY25のうちの24個が重水素で同位体的に濃縮されている水素原子であり、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、Y8、Y9、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15、Y16、Y17、Y18、Y19、Y20、Y21、Y22、Y23、Y24、及びY25のうちのその他は非濃縮水素原子である。一実施形態では、重水素濃縮原子のうちの1個はY5である。一実施形態では、Y25は非濃縮水素である。
一実施形態では、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、Y8、Y9、Y10、Y11、Y12、Y13、Y14、Y15、Y16、Y17、Y18、Y19、Y20、Y21、Y22、Y23、Y24、及びY25のすべてが重水素で同位体的に濃縮された水素原子である。
一実施形態では、式(III)の化合物:
またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶が本明細書において提供され、式中、1個以上のY原子(すなわち、Y
1、Y
2、Y
3、Y
4、Y
6、Y
7、Y
8、Y
9、Y
10、Y
11、Y
12、Y
13、Y
14、Y
15、Y
16、Y
17、Y
18、Y
19、Y
20、Y
21、Y
22、Y
23、Y
24、及びY
25)は、重水素で同位体的に濃縮された水素(複数可)であり、任意の残りのY原子(複数可)は、非濃縮水素原子(複数可)である。ある特定の実施形態では、示されるY原子のうちの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23個、またはすべてが、重水素で同位体的に濃縮されており、任意の残りのY原子(複数可)は、非濃縮水素(複数可)である。
一実施形態では、式(III)の化合物は、式(III−S)の化合物:
またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶である。
一実施形態では、式(III)の化合物は、式(III−R)の化合物:
またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶である。
一実施形態では、式(IV)の化合物:
またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶が本明細書において提供され、式中、1個以上のY原子(すなわち、Y
1、Y
2、Y
3、Y
4、Y
5、Y
6、Y
7、Y
11、Y
12、Y
17、Y
18、Y
19、Y
20、Y
21、Y
22、Y
23、及びY
24)は、重水素で同位体的に濃縮された水素(複数可)であり、任意の残りのY原子(複数可)は、非濃縮水素原子(複数可)である。ある特定の実施形態では、示されるY原子のうちの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16個、またはすべてが、重水素で同位体的に濃縮されており、任意の残りのY原子(複数可)は、非濃縮水素(複数可)である。
一実施形態では、式(IV)の化合物は、式(IV−S)の化合物:
またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶である。
一実施形態では、式(IV)の化合物は、式(IV−R)の化合物:
またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶である。
ある特定の実施形態では、化合物IIのグルタルイミド部分上の1個以上のY原子は重水素濃縮されている。ある特定の実施形態では、化合物IIのイソインドリノン部分上の1個以上のY原子は重水素濃縮されている。ある特定の実施形態では、化合物IIのグルタルイミド部分及びイソインドリノン部分の両方上の1個以上のY原子は重水素濃縮されており、すなわち、グルタルイミド部分及びイソインドリノン部分について上記に示される重水素化の任意の組み合わせが包含される。例えば、本明細書に提供される特定の化合物は、表1〜4において以下に列挙される化合物、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物を含み、表示「D」は重水素濃縮原子位置を示し、すなわち、所与の化合物を含む試料は、重水素の天然存在度を超えて、示される位置(複数可)に重水素濃縮を有する。
表1:式(II)の重水素濃縮化合物:
表2:式(II)の重水素濃縮化合物:
表3:式(II)の重水素濃縮化合物:
表4:式(II)の重水素濃縮化合物:
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される化合物は、上記の表1〜4の本明細書に開示される重水素置換の任意の組み合わせであり得る。換言すると、表1に示される重水素化グルタルイミド部分、表2に示される重水素化イソインドリン部分、表3に示される重水素化フェニルアルキル部分、及び表4に示される重水素化モルホリン部分の任意の組み合わせが本明細書において包含される。
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される化合物は、表1〜4のいずれか1つの化合物の立体異性体、またはその任意の組み合わせであり得る。一実施形態では、表1〜4のいずれか1つの化合物のS−エナンチオマーまたはその重水素置換の任意の組み合わせが本明細書において提供される。一実施形態では、表1〜4のいずれか1つの化合物のR−エナンチオマーまたはその重水素置換の任意の組み合わせが本明細書において提供される。例えば、以下のS−エナンチオマー及びR−エナンチオマーが本明細書において提供される。
治療方法
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される化合物を使用して、様々な疾患もしくは障害を治療、予防、及び/または管理する方法が本明細書において提供される。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される化合物を使用して、様々な疾患または障害を治療する方法が本明細書において提供される。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される化合物を使用して、様々な疾患または障害を管理する方法が本明細書において提供される。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される化合物を使用して、様々な疾患または障害を予防する方法が本明細書において提供される。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される化合物を使用して、様々な疾患または障害を治療及び管理する方法が本明細書において提供される。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される化合物を使用して、様々な疾患または障害を治療及び予防する方法が本明細書において提供される。
本明細書に記載される方法のいずれかにおいて使用するための本発明の化合物も本明細書において提供される。
疾患または障害の例としては、がん、血管新生に関連する障害、免疫不全障害、異常ヘモグロビン症及び関連障害(例えば、貧血)、TNFα関連障害、ならびに他の様々な疾患及び障害が挙げられるが、これらに限定されない。
ある特定の実施形態では、治療有効量の本明細書に提供される治療化合物を対象に投与することを含む、炎症性疾患、障害、または状態を治療、予防、及び/または管理する方法が本明細書において提供される。
ある特定の実施形態では、疾患は、狼瘡、強皮症、またはシェーグレン症候群である。ある特定の実施形態では、疾患は、狼瘡または強皮症である。一実施形態では、疾患は、全身性エリテマトーデスである。一実施形態では、疾患は強皮症である。
ある特定の実施形態では、治療有効量の本明細書に提供される治療化合物を、強皮症を有する対象に投与することを含む、強皮症またはその症状を治療、予防、及び/または管理する方法が本明細書において提供される。ある特定の実施形態では、治療有効量の本明細書に提供される治療を、強皮症を有するまたは強皮症を有するリスクがある対象に投与することを含む、強皮症またはその症状を治療、予防、及び/または管理する方法が本明細書において提供される。
ある特定の実施形態では、強皮症は、局在性、全身性、限局性、またはびまん性強皮症である。
ある特定の実施形態では、全身性強皮症は、CREST症候群(石灰沈着症、レイノー症候群、食道機能不全または運動不全、強指症、及び毛細血管拡張症)を含む。強皮症は、全身性硬化症または進行性全身性硬化症としても知られる。
ある特定の実施形態では、疾患はレイノー病である。ある特定の実施形態では、全身性硬化症は、強皮症肺疾患、強皮症腎クリーゼ、心徴候、筋力低下(疲労または限局性CRESTを含む)、胃腸管運動不全及び痙攣、ならびに中枢、末梢、及び自律神経系の異常(三叉神経痛に続く手根管症候群を含む)を含む。それは、うつを含む一般的な能力障害も含み、生活の質に影響を及ぼす。
ある特定の実施形態では、限局性強皮症は、手、顔、首、またはそれらの組み合わせに限定される。
ある特定の実施形態では、びまん性強皮症は、皮膚硬直を含み、手首より上(または肘)でも生じる。ある特定の実施形態では、びまん性全身性硬化症は、強皮症を伴わず、内臓線維症を含むが皮膚硬直がない、あるいは家族性進行性全身性硬化症である。
ある特定の実施形態では、強皮症は、疾患関連消耗などの消耗と関連がない。
ある特定の実施形態では、治療有効量の本明細書に提供される治療を、それを必要とする対象に投与することを含む、強皮症の以下の症状:(i)皮膚の漸進的な硬化、肥厚、及び硬直(例えば、手、顔、及び足などの四肢において)、(ii)皮膚変色、(iii)四肢のしびれ、(iv)光沢のある皮膚、(v)チョークのような白色の液体が発生する皮膚の表面下の白色の小塊、(vi)レイノー食道機能不全(寒冷または精神的ストレスに曝されたとき血管の痙攣により生じる手の疼痛、しびれ、及び/または変色)、(vii)毛細血管拡張症(例えば、手、掌、前腕、顔、及び唇上の赤色斑)、(viii)関節の疼痛及び/またはこわばり、(ix)手及び足の腫脹、(x)皮膚のそう痒、(xi)指のこわばり及び湾曲、(xii)指関節及び肘などのある特定の関節の外側の潰瘍(痛み)、(xiii)胸やけ、嚥下困難、下痢、過敏性腸、及び便秘などの消化器障害、(xiv)疲労及び脱力、(xv)息切れ、(xvi)関節炎、(xvii)脱毛、(xviii)内臓障害、(xix)指潰瘍、または(xx)指の自然切断のうちの1つ以上を低減、阻害、または予防するための方法が本明細書において提供される。
いかなる特定の理論にも拘束されるものではないが、本明細書に提供される治療、本明細書に提供される化合物は、皮膚の抗線維化作用をもたらし得る、Th1免疫応答を増強し、Th2免疫応答を抑制すると考えられている。
ある特定の実施形態では、治療有効量の本明細書に提供される治療化合物を対象に投与することを含む、強皮症を有する対象の皮膚厚を改善または低減するための方法が本明細書において提供される。ある特定の実施形態では、皮膚厚は、約20%、約25%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%以上低減される。
ある特定の実施形態では、治療有効量の本明細書に提供される治療化合物を対象に投与することを含む、強皮症を有する対象を治療する際の1つ以上の臨床エンドポイントを達成するための方法が本明細書において提供される。
ある特定の実施形態では、治療有効量の本明細書に提供される治療化合物を対象に投与することを含む、強皮症を有する対象の死亡率、呼吸性死亡率、及び/または呼吸性入院を減少させるための方法が本明細書において提供される。
ある特定の実施形態では、治療有効量の本明細書に提供される治療を対象に投与することを含む、強皮症を有する対象の改変Rodnanスキンスコアを改善するための方法が本明細書において提供される。ある特定の実施形態では、改変Rodnanスキンスコアにおける改善は、約5、約10、約15、または約20ポイント以上である。
ある特定の実施形態では、治療有効量の本明細書に提供される治療化合物を対象に投与することを含む、強皮症を有する対象の皮膚厚を改善または低減するための方法が本明細書において提供される。ある特定の実施形態では、皮膚厚は、約20%、約25%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%以上低減される。
ある特定の実施形態では、治療有効量の本明細書に提供される治療化合物を対象に投与することを含む、強皮症を有する対象の皮膚硬結を改善または低減するための方法が本明細書において提供される。
ある特定の実施形態では、治療有効量の本明細書に提供される治療化合物を対象に投与することを含む、強皮症を有する対象の皮膚の状態に関する指数(dermatology quality of life index)を改善するための方法が本明細書において提供される。
ある特定の実施形態では、治療有効量の本明細書に提供される治療化合物を対象に投与することを含む、強皮症を有する対象の肺機能を改善するための方法が本明細書において提供される。
ある特定の実施形態では、治療有効量の本明細書に提供される治療化合物を対象に投与することを含む、強皮症を有する対象の一酸化炭素拡散能を改善するための方法が本明細書において提供される。ある特定の実施形態では、対象の一酸化炭素拡散能は、一酸化炭素に対する肺の拡散能(DLco)において約10%、約20%、約25%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%以上の改善により改善される。
ある特定の実施形態では、治療有効量の本明細書に提供される治療化合物を対象に投与することを含む、強皮症を有する対象のMahler呼吸困難指数を改善するための方法が本明細書において提供される。ある特定の実施形態では、Mahler呼吸困難指数における改善は、約4、約5、約6、約7、約8、約9、または約10ポイント以上である。
ある特定の実施形態では、治療有効量の本明細書に提供される治療化合物を対象に投与することを含む、強皮症を有する対象のSaint George呼吸器質問表(Saint George’s Respiratory Questionnaire)スコアを改善するための方法が本明細書において提供される。ある特定の実施形態では、Saint George呼吸器質問表スコアにおける改善は、約4、約8、約12、約16、約20、約24、約28、約32、約36、約40、約44、約48、約52ポイント以上である。
ある特定の実施形態では、治療有効量の本明細書に提供される治療化合物を対象に投与することを含む、強皮症を有する対象のUCLA強皮症臨床試験コンソーシアム胃腸管スコア(UCLA scleroderma clinical trial consortium gastrointestinal tract score)を改善するための方法が本明細書において提供される。
ある特定の実施形態では、治療有効量の本明細書に提供される治療化合物を対象に投与することを含む、強皮症を有する対象の指潰瘍を治療または予防するための方法が本明細書において提供される。
ある特定の実施形態では、治療有効量の本明細書に提供される治療化合物を対象に投与することを含む、強皮症を有する対象の血流依存性血管拡張を改善するための方法が本明細書において提供される。
ある特定の実施形態では、治療有効量の本明細書に提供される治療化合物を対象に投与することを含む、強皮症を有する対象の6分間歩行距離を改善するまたは増加させるための方法が本明細書において提供される。ある特定の実施形態では、6分間歩行距離における改善は、約200メートル、約250メートル、約300メートル、約350メートル、約400メートル以上である。
ある特定の実施形態では、治療有効量の本明細書に提供される治療化合物を、エリテマトーデスを有する対象に投与することを含む、エリテマトーデスまたはその症状を治療、予防、及び/または管理する方法が本明細書において提供される。
ある特定の実施形態では、治療有効量の本明細書に提供される治療化合物を、エリテマトーデスを有するリスクのある対象に投与することを含む、エリテマトーデスまたはその症状を予防する方法が本明細書において提供される。
ある特定の実施形態では、この疾患は、全身性エリテマトーデス(SLE)、皮膚エリテマトーデス(CLE)、また薬物誘導性狼瘡である。
「全身性エリテマトーデス」という句は、本明細書において、SLE及び狼瘡と互換的に使用され、当該技術分野に既知の疾患のすべての徴候(寛解及び発赤を含む)を指す。SLEにおいて、Bリンパ球の異常な活動亢進及び免疫グロブリンガンマ(IgG)自己抗体の異常な大量産生が重要な役割を果たす。この病理学的プロセスは、Ig被覆細胞の隔離及び破壊、補体タンパク質の固定及び切断、ならびにケモタキシン、血管作動性ペプチド、及び破壊酵素の組織への放出をもたらす(Hahn BH.Systemic Lupus Erythematosus.In:Kasper DL,Braunwald E,Fauci AS,Hauser SL,Longo DL,Jameson,JL,editors.In:Harrison’s Principles of Internal Medicine(16th edition);New York(US):McGraw−Hill;2005.pp.1960−1967)。
SLEの症状は、人により異なり、現れては消える場合がある。大半の患者において、症状は、関節痛及び腫脹を含む。頻繁に侵される関節は、指、手、手首、及び膝である。一部の患者は関節炎を発症する。他の一般的な症状には、深呼吸したときの胸痛、疲労、原因のない発熱、全身の不快感、不安、または気分不良(倦怠感)、脱毛、口腔内痛、リンパ節腫脹、日光過敏、皮疹(頬及び鼻梁にわたる「蝶」型紅斑)が含まれ、SLEを有する人の約半分に影響を及ぼし、一部の患者において、発疹は日光で悪化し、発疹はまた広がる場合がある。
他の症状は、身体のどの部分が侵されているかに依存し、以下を含み得る:
脳及び神経系:頭痛、しびれ、刺痛、発作、視覚問題、人格変化、
消化管:腹痛、吐き気、及び嘔吐、
心臓:異常な心拍リズム(不整脈)、
肺:喀血及び呼吸困難、ならびに
皮膚:斑状の皮膚色、寒いときに色が変わる指(レイノー現象)。
一部の患者は皮膚症状のみを有する。これは円板状狼瘡と呼ばれる。
ある特定の実施形態では、この疾患は、中程度、重度、または非常に重度のSLEである。本明細書で使用される場合、「重度のSLE」は、患者が1つ以上の重度のまたは命にかかわる症状(溶血性貧血、広範な心臓または肺の浸潤、腎疾患、または中枢神経系湿潤など)を有するSLE状態を指す。
ある特定の実施形態では、治療有効量の本明細書に提供される治療化合物を対象に投与することを含む、SLEを有する対象を治療する際の1つ以上の臨床エンドポイントを達成するための方法が本明細書において提供される。
ある特定の実施形態では、治療有効量の本明細書に提供される治療化合物を対象に投与することを含む、SLEを有する対象の全生存、客観的奏効率、無増悪期間、無増悪生存期間、及び/または治療成功期間が不十分であるための方法が本明細書において提供される。
ある特定の実施形態では、本明細書に提供されるある特定の治療化合物は、形質芽球期に対するヒト一次記憶CD19+B細胞分化の阻害剤として機能する。いかなる特定の理論にも拘束されるものではないが、本明細書に提供されるある特定の治療化合物は、未成熟期の細胞を遮断し、それによって高レベルの免疫グロブリンを産生することができる形質芽球の数を減少させると考えられている。この作用の機能的意義は、これらの分化培養における免疫グロブリンG(IgG)及び免疫グロブリンM(IgM)産生の減少である。
ある特定の実施形態では、治療有効量の本明細書に提供される治療化合物を対象に投与することを含む、免疫関連疾患、障害、または状態を治療、管理、または予防するための方法が本明細書において提供される。
ある特定の実施形態では、治療有効量の本明細書に提供される治療化合物を対象に投与することを含む、不適切なもしくは望ましくない免疫応答に起因する、またはそれに関連する疾患、障害、もしくは状態を治療する方法が本明細書において提供される。
ある特定の実施形態では、治療有効量の本明細書に提供される治療化合物を対象に投与することを含む、免疫抑制により有益に治療することができる疾患、障害、または状態を治療する方法が本明細書において提供される。
ある特定の実施形態では、免疫関連疾患、すなわち、不適切なもしくは望ましくない免疫応答に起因する、またはそれに関連する疾患、障害、もしくは状態は、シェーグレン症候群、ANCA誘導性血管炎、抗リン脂質抗体症候群、重症筋無力症、アジソン病、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群、抗リン脂質抗体症候群(原発性または続発性)、喘息、自己免疫性胃炎、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性内耳疾患、自己免疫性リンパ増殖性疾患、自己免疫性血小板減少性紫斑病、バロー病、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、セリアック病、シャーガス病、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、瘢痕性類天疱瘡(例えば、粘膜類天疱瘡)、寒冷凝集素症、デゴス病、疱疹状皮膚炎、本態性混合型クリオグロブリン血症、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、ギラン・バレー症候群、橋本甲状腺炎(橋本病;自己免疫性甲状腺炎)、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病、IgA腎症、若年性関節炎、扁平苔癬、メニエール病、混合性結合組織病、限局性強皮症、ナルコレプシー、神経性筋強直症、小児自己免疫性溶連菌感染関連性精神神経障害(PANDA)、尋常性天疱瘡、悪性貧血、結節性多発動脈炎、多発性軟骨炎、リウマチ性多発筋痛症、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、レイノー病(レイノー現象)、ライター症候群、再発性多発軟骨炎、リウマチ熱、シェーグレン症候群、全身硬直症候群(メルシュ−ヴォルトマン症候群)、高安動脈炎、側頭動脈炎(巨細胞性動脈炎)、ぶどう膜炎、血管炎(例えば、エリテマトーデスに関連がない血管炎)、白斑、またはウェゲナー肉芽腫症である。
一実施形態では、本明細書に提供される化合物、例えば、式(I)の化合物、あるいはそのアイソトポログ、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶を患者に投与することを含む、がんを治療及び予防する方法が本明細書において提供される。
別の実施形態では、本明細書に提供される化合物、例えば、あるいはそのアイソトポログ、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶を患者に投与することを含む、がんを管理する方法が本明細書において提供される。
リンパ腫、特に非ホジキンリンパ腫を治療または管理する方法が本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、予後因子を使用した、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)を含むが、これに限定されない、非ホジキンリンパ腫(NHL)を治療または管理するための方法が本明細書において提供される。
がんの治療を以前に受けているが、標準療法に対して非応答性であり、また以前に治療を受けていない患者を治療する方法も本明細書において提供される。いくつかの疾患または障害がある特定の年齢群でより一般的であるが、患者の年齢にかかわらず、患者を治療する方法が本明細書において提供される。一実施形態では、対象とする疾患または状態を治療する試みにおいて手術を受けた患者、ならびに手術を受けなかった患者を治療する方法が本明細書において提供される。がんを有する患者は、異種の臨床徴候及び様々な臨床転帰を有するため、患者に施される治療は、患者の予後に応じて異なり得る。当業者であれば、過度の実験を行うことなく、特定の二次薬剤、手術の種類、及びがんを有する個々の患者を治療するために効果的に使用され得る非薬物系標準療法の種類を容易に決定することができるであろう。
本明細書で使用される場合、「がん」という用語は、固形腫瘍及び血液学的または血液由来腫瘍を含むが、これらに限定されない。「がん」という用語は、膀胱癌、骨癌、血液癌、脳癌、乳癌、子宮頸癌、胸癌、結腸癌、子宮内膜癌、食道癌、眼癌、頭部癌、腎臓癌、肝臓癌、リンパ節癌、肺癌、口腔癌、頸部癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、直腸癌、胃癌、精巣癌、咽喉癌、及び子宮癌を含むが、これらに限定されない、皮膚組織、臓器、血液、及び血管の疾患を指す。特定のがんとしては、進行悪性腫瘍、アミロイドーシス、神経芽細胞腫、髄膜腫、血管周囲細胞腫、多発性脳転移、多形膠芽腫、膠芽細胞腫、脳幹神経膠腫、予後不良悪性脳腫瘍、悪性神経膠腫、再発性悪性神経膠腫、未分化星状細胞腫、未分化乏突起膠腫、神経内分泌腫瘍、直腸腺癌、デュークスC&D結腸直腸癌、切除不能結腸直腸癌、転移性肝細胞癌、カポジ肉腫、核型急性骨髄芽球性白血病、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、皮膚B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、低悪性度濾胞性リンパ腫、悪性黒色腫、悪性中皮腫、悪性胸水中皮腫症候群、腹膜癌、乳頭状漿液性癌、婦人科肉腫、軟部組織肉腫、強皮症、皮膚血管炎、ランゲルハンス細胞組織球増殖症、平滑筋肉腫、進行性骨化性繊維形成異常症、ホルモン不応性前立腺癌、切除高リスクの軟部組織肉腫、切除不能肝細胞癌、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、くすぶり型骨髄腫、無症候性骨髄腫、ファロピウス管癌、アンドロゲン非依存性前立腺癌、アンドロゲン依存性第IV期非転移性前立腺癌、ホルモン非感受性前立腺癌、化学療法非感受性前立腺癌、乳頭状甲状腺癌、濾胞状甲状腺癌、髄様甲状腺癌、及び平滑筋腫が挙げられるが、これらに限定されない。
ある特定の実施形態では、がんは、血液由来腫瘍である。ある特定の実施形態では、血液由来腫瘍は、転移性である。ある特定の実施形態では、血液由来腫瘍は、薬物耐性である。ある特定の実施形態では、がんは、骨髄腫、白血病、またはリンパ腫である。
ある特定の実施形態では、がんは、固形腫瘍である。ある特定の実施形態では、固形腫瘍は、転移性である。ある特定の実施形態では、固形腫瘍は、薬物耐性である。ある特定の実施形態では、固形腫瘍は、肝細胞癌、前立腺癌、卵巣癌、または膠芽腫である。
ある特定の実施形態では、腎機能障害を有する患者における疾患を治療、予防、及び/または管理する方法が本明細書において提供される。ある特定の実施形態では、腎機能障害を有する患者におけるがんを治療、予防、及び/または管理する方法が本明細書において提供される。ある特定の実施形態では、疾患、老化、または他の患者因子によるものであるが、これらに限定されない、腎機能障害を有する患者に対して適切な投与量の調節を提供する方法が本明細書において提供される。
ある特定の実施形態では、治療有効量の、本明細書に提供される化合物、例えば、式(I)の化合物、あるいはそのアイソトポログ、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶を、多発性骨髄腫の治療、予防、及び/または管理を必要とする患者に投与することを含む、多発性骨髄腫を治療、予防、及び/または管理する方法が本明細書において提供される。一実施形態では、多発性骨髄腫は、再発性/不応性多発性骨髄腫である。
ある特定の実施形態では、デキサメタゾンと組み合わせて、治療有効量の、本明細書に提供される化合物、例えば、式(I)の化合物、あるいはそのアイソトポログ、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶を、多発性骨髄腫の治療、予防、及び/または管理を必要とする患者に投与することを含む、多発性骨髄腫を治療、予防、及び/または管理する方法が本明細書において提供される。一実施形態では、多発性骨髄腫は、再発性/不応性多発性骨髄腫である。一実施形態では、併用療法は、1回以上の28日サイクルで投与される。一実施形態では、式(I)の化合物、あるいはそのアイソトポログ、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶は、21日間毎日投与され(例えば、1〜21日目)、その後7日間の休薬が続く(例えば、22〜28日目)。一実施形態では、併用療法は、1回以上の7日間サイクルで投与される。一実施形態では、式(I)の化合物、あるいはそのアイソトポログ、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶は、5日間毎日投与され(例えば、1〜5日目)、その後2日間の休薬が続く(例えば、6〜7日目)。一実施形態では、デキサメタゾンは、7日間に1回投与される。一実施形態では、デキサメタゾンは、各28日間サイクルの1、8、15、及び22日目に投与される。一実施形態では、デキサメタゾンは、約10mg〜約50mgの投与量で投与される。一実施形態では、デキサメタゾンは、約20mg〜約40mgの投与量で投与される。一実施形態では、デキサメタゾンは、20mgの投与量(例えば、>75歳の対象において)で投与される。一実施形態では、デキサメタゾンは、40mgの投与量(例えば、≦75歳の対象において)で投与される。一実施形態では、デキサメタゾンは経口投与される。
ある特定の実施形態では、治療有効量の式(I)の化合物、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、互変異性体、もしくはラセミ混合物を、腎機能障害を伴う再発性/不応性多発性骨髄腫を有する患者に投与することを含む、腎機能障害またはその症状を有する患者における再発性/不応性多発性骨髄腫を治療、予防、及び/または管理する方法が本明細書において提供される。
一実施形態では、有効量の、本明細書に提供される化合物、例えば、式(I)の化合物、あるいはそのアイソトポログ、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶を、腎機能障害を伴う再発性/不応性多発性骨髄腫を有するリスクがある患者に投与することを含む、腎機能障害またはその症状を有する患者における再発性/不応性多発性骨髄腫を予防する方法が本明細書において提供される。
ある特定の実施形態では、腎機能障害を有する患者における再発性/不応性多発性骨髄腫を治療、予防、及び/または管理するための方法が本明細書において提供される。
ある特定の実施形態では、治療有効量の本明細書に提供される治療化合物を対象に投与することを含む、がんを有する対象の全生存、客観的奏効率、無増悪期間、無増悪生存期間、及び/または治療成功期間を増加させるための方法が本明細書において提供される。
ある特定の実施形態では、化合物の治療または予防有効量は、約0.005〜約1,000mg/日、約0.01〜約500mg/日、約0.01〜約250mg/日、約0.01〜約100mg/日、約0.1〜約100mg/日、約0.5〜約100mg/日、約1〜約100mg/日、約0.01〜約50mg/日、約0.1〜約50mg/日、約0.5〜約50mg/日、約1〜約50mg/日、約0.02〜約25mg/日、または約0.05〜約10mg/日である。
ある特定の実施形態では、治療または予防有効量は、約0.005〜約1,000mg/日、約0.01〜約500mg/日、約0.01〜約250mg/日、約0.01〜約100mg/日、約0.1〜約100mg/日、約0.5〜約100mg/日、約1〜約100mg/日、約0.01〜約50mg/日、約0.1〜約50mg/日、約0.5〜約50mg/日、約1〜約50mg/日、約0.02〜約25mg/日、または約0.05〜約10mg/日である。
ある特定の実施形態では、治療または予防有効量は、約0.1、約0.2、約0.5、約1、約2、約5、約10、約15、約20、約25、約30、約40、約45、約50、約60、約70、約80、約90、約100、または約150mg/日である。
一実施形態では、本明細書に記載される状態に対する、本明細書に提供される化合物、例えば、式(I)の化合物、あるいはそのアイソトポログ、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶の推奨される1日投与量範囲は、約0.5mg〜50mg/日の範囲内であり、好ましくは1日1回の単回投与量または1日を通して分割投与量で与えられる。いくつかの実施形態では、投薬量は、約1mg〜約50mg/日の範囲である。他の実施形態では、投薬量は、約0.5〜約5mg/日の範囲である。1日あたりの特定の投与量には、0.1、0.2、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50mg/日が含まれる。
特定の実施形態では、推奨される出発投薬量は、0.5、1、2、3、4、5、10、15、20、25、または50mg/日であり得る。別の実施形態では、推奨される出発投薬量は、0.5、1、2、3、4、または5mg/日であり得る。投与量は、15、20、25、30、35、40、45、及び50mg/日に増大されてもよい。特定の実施形態では、化合物は、約25mg/日の量で、NHL(例えば、DLBCL)を有する患者に投与され得る。特定の実施形態では、化合物は、約10mg/日の量で、NHL(例えば、DLBCL)を有する患者に投与され得る。
ある特定の実施形態では、治療または予防有効量は、約0.001〜約100mg/kg/日、約0.01〜約50mg/kg/日、約0.01〜約25mg/kg/日、約0.01〜約10mg/kg/日、約0.01〜約9mg/kg/日、約0.01〜約8mg/kg/日、約0.01〜約7mg/kg/日、約0.01〜約6mg/kg/日、約0.01〜約5mg/kg/日、約0.01〜約4mg/kg/日、約0.01〜約3mg/kg/日、約0.01〜約2mg/kg/日、または約0.01〜約1mg/kg/日である。
投与された投与量はまた、mg/kg/日以外の単位で表され得る。例えば、非経口投与のための投与量は、mg/m2/日として表され得る。当業者であれば、所与の対象の身長もしくは体重のいずれかまたはそれらの両方に対する投与量をmg/kg/日からmg/m2/日に変換する方法を容易に理解するであろう(www.fda.gov/cder/cancer/animalframe.htmを参照されたい)。例えば、65kgのヒトに対する1mg/kg/日の投与量は、38mg/m2/日とほぼ同等である。
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法のうちの1つで治療される患者は、本明細書に提供される化合物、例えば、式(I)の化合物、あるいはそのアイソトポログ、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶の投与前に、抗がん療法で治療されていない。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法のうちの1つで治療される患者は、本明細書に提供される化合物、例えば、式(I)の化合物、あるいはそのアイソトポログ、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶の投与前に、抗がん療法で治療されている。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法の1つにより治療される患者は、抗がん療法に対し薬物耐性を発達させている。
治療される疾患及び対象の状態に応じて、本明細書に提供される化合物、例えば、式(I)の化合物、あるいはそのアイソトポログ、あるいはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶は、経口、非経口(例えば、筋肉内、腹腔内、静脈内、CIV、嚢内注射もしくは注入、皮下注射、または埋植)、吸入、鼻腔、膣、直腸、舌下、または局部(例えば、経皮もしくは局所)投与経路により投与され得る。本明細書に提供される化合物、例えば、式(I)の化合物、あるいはそのアイソトポログ、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶は、単独で、または好適な投薬単位で各投与経路に適切な薬学的に許容される賦形剤、担体、アジュバント、及びビヒクルと一緒に製剤化され得る。
一実施形態では、式(I)の化合物、あるいはそのアイソトポログ、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶は、経口投与される。別の実施形態では、式(I)の化合物、あるいはそのアイソトポログ、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶は、非経口投与される。また別の実施形態では、式(I)の化合物、あるいはそのアイソトポログ、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶は、静脈内投与される。
式(I)の化合物、あるいはそのアイソトポログ、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、または共結晶は、単回投与、例えば、単回ボーラス注射、または経口錠剤もしくは丸剤などとして、または徐々に、例えば、時間をかけた持続注入もしくは時間をかけた分割ボーラス投与などとして送達することができる。本化合物は、必要な場合、例えば、患者が安定した疾患もしくは退行を経験するまで、または患者が疾患進行もしくは許容し難い毒性を経験するまで、繰り返し投与され得る。例えば、固形腫瘍に関して安定した疾患とは、一般に、測定可能な病巣の直交する直径が、最後の測定から、25%以上増大していないことを意味する。固形腫瘍の治療効果判定のための(RECIST)ガイドライン、Journal of the National Cancer Institute 92(3):205−216(2000)。安定した疾患またはそれらの欠如は、X線、CAT、PET、またはMRI走査及び他の一般に受け入れられた評価様式を使用し画像化されている、患者症状の評価、健康診断、腫瘍の視覚化などの、当該技術分野において既知の方法により決定される。
式(I)の化合物、あるいはそのアイソトポログ、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、または共結晶は、1日1回(QD)投与され得るか、または1日2回(BID)、1日3回(TID)、及び1日4回(QID)などの複数の1日投与量に分割され得る。加えて、投与は、連続して(すなわち、連続した日にわたって毎日、または毎日)、間欠的に、例えば、サイクルで(すなわち、数日間、数週間、または数ヶ月の休薬期間を含む)あり得る。本明細書で使用される場合、「毎日」という用語は、式(I)の化合物などの治療化合物が、例えば、ある期間にわたって、1日1回または1回超投与されることを意味するよう意図されている。「連続」という用語は、式(I)の化合物などの治療化合物が、少なくとも10日間〜52週間の中断なしの期間にわたって毎日投与されることを意味するよう意図されている。本明細書で使用される場合、「間欠的」または「間欠的に」という用語は、規則的な間隔または不規則な間隔のいずれかで、停止及び開始することを意味することが意図されている。例えば、式(I)の化合物の間欠的投与は、週に1〜6日間の投与、サイクル投与(例えば、連続した2〜8週間にわたって毎日投与、その後、最大1週間の投与なしの休薬期間)、または隔日投与である。本明細書で使用される場合、「サイクル」という用語は、式(I)の化合物などの治療化合物が、毎日または連続して投与されるが、休薬期間を伴うことを意味するよう意図されている。
いくつかの実施形態では、投与頻度は、約1日投与量から約1月投与量までの範囲である。ある特定の実施形態では、投与は、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回、2日に1回、週2回、週1回、2週間毎に1回、3週間毎に1回、または4週間毎に1回である。一実施形態では、式(I)の化合物、あるいはそのアイソトポログ、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶は、1日1回投与される。別の実施形態では、式(I)の化合物、あるいはそのアイソトポログ、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶は、1日2回投与される。また別の実施形態では、式(I)の化合物、あるいはそのアイソトポログ、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶は、1日3回投与される。なおも別の実施形態では、式(I)の化合物、あるいはそのアイソトポログ、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶は、1日4回投与される。
ある特定の実施形態では、式(I)の化合物、あるいはそのアイソトポログ、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶は、1日〜6ヶ月間、1週間〜3ヶ月間、1週間〜4週間、1週間〜3週間、または1週間〜2週間にわたって1日1回投与される。ある特定の実施形態では、式(I)の化合物、あるいはそのアイソトポログ、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶は、1週間、2週間、3週間、または4週間にわたって1日1回投与される。一実施形態では、式(I)の化合物、あるいはそのアイソトポログ、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶は、1週間にわたって1日1回投与される。別の実施形態では、式(I)の化合物、あるいはそのアイソトポログ、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶は、2週間にわたって1日1回投与される。また別の実施形態では、式(I)の化合物、あるいはそのアイソトポログ、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶は、3週間にわたって1日1回投与される。なおも別の実施形態では、式(I)の化合物、あるいはそのアイソトポログ、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶は、4週間にわたって1日1回投与される。
第2の活性薬剤
本明細書に提供される化合物、例えば、式(I)の化合物、あるいはそのアイソトポログ、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶は、本明細書に提供される方法及び組成物において、他の薬理学的に活性な化合物(「第2の活性薬剤」)と組み合わせることができる。ある特定の組み合わせは、特定の種類の疾患または障害、ならびにそのような疾患または障害に関連する状態及び症状の治療において相乗作用し得る。本明細書に提供される化合物、例えば、式(I)の化合物、あるいはそのアイソトポログ、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶は、ある特定の第2の活性薬剤に関連する有害作用を軽減するようにも作用し得、その逆も同様である。
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される化合物、例えば、式(I)の化合物、あるいはそのアイソトポログ、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶は、治療有効量の1つ以上の追加の活性薬剤と組み合わせて、またはそれと交互に投与される。第2の活性薬剤は、小分子及び大分子(例えば、タンパク質及び抗体)(それらの例は本明細書において提供される)、ならびに幹細胞を含む。本明細書に提供される化合物の投与と組み合わせて使用することができる方法及び療法としては、望ましくない血管新生に関連する、またはそれを特徴とする疾患及び状態を治療、予防、または管理するために現在使用されている手術、輸血、免疫療法、生物学的療法、放射線療法、及び他の非薬物に基づく療法が挙げられるが、これらに限定されない。
一実施形態では、追加の活性薬剤は、アルキル化剤、アデノシン類似体、グルココルチコイド、キナーゼ阻害剤、SYK阻害剤、PDE3阻害剤、PDE7阻害剤、ドキソルビシン、クロラムブシル、ビンクリスチン、ベンダムスチン、フォルスコリン、リツキシマブ、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される。
一実施形態では、追加の活性薬剤はリツキシマブである。別の実施形態では、追加の活性薬剤はプレドニゾンである。
一実施形態では、グルココルチコイドはヒドロコルチゾンである。一実施形態では、グルココルチコイドはデキサメタゾンである。
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される化合物、例えば、式(I)の化合物、あるいはそのアイソトポログ、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶は、ドキソルビシン(Doxil(登録商標))、ビンクリスチン、及び/またはデキサメタゾン(Decadron(登録商標))と組み合わせて再発性または不応性多発性骨髄腫を有する患者に投与される。一実施形態では、本化合物はデキサメタゾンと組み合わせて投与される。
1つ以上の第2の活性成分または薬剤は、本明細書に提供される方法及び組成物において使用され得る。第2の活性薬剤は、大分子(例えば、タンパク質)または小分子(例えば、合成無機、有機金属、もしくは有機分子)であり得る。
大分子活性薬剤の例としては、造血成長因子、サイトカイン、ならびにモノクローナル及びポリクローナル抗体が挙げられるが、これらに限定されない。活性薬剤の具体的な例は、抗CD40モノクローナル抗体(例えば、SGN−40など);抗CD38薬物(例えば、ダラツムマブなど);ヒストンデアセチラーゼ阻害剤(例えば、SAHA及びLAQ824など);熱ショックタンパク質−90阻害剤(例えば、17−AAGなど);インスリン様成長因子−1受容体キナーゼ阻害剤;血管内皮成長因子受容体キナーゼ阻害剤(例えば、PTK787など);インスリン成長因子受容体阻害剤;リゾホスファチジン酸アシルトランスレラーゼ阻害剤;IkBキナーゼ阻害剤;p38MAPK阻害剤;EGFR阻害剤(例えば、ゲフィチニブ及びエルロチニブHCLなど);HER−2抗体(例えば、トラスツズマブ(Herceptin(登録商標))及びペルツズマブ(Omnitarg(商標))など);VEGFR抗体(例えば、ベバシズマブ(Avastin(商標))など);VEGFR阻害剤(例えば、flk−1特異的キナーゼ阻害剤、SU5416、及びptk787/zk222584など);P13K阻害剤(例えば、ワートマニン);C−Met阻害剤(例えば、PHA−665752など);モノクローナル抗体(例えば、リツキシマブ(Rituxan(登録商標))、トシツモマブ(Bexxar(登録商標))、エドレコロマブ(Panorex(登録商標))、及びG250など);及び抗TNF−α抗体である。小分子活性薬剤の例としては、抗がん剤及び抗生物質(例えば、クラリスロマイシン)が挙げられるが、これらに限定されない。
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される化合物、例えば、式(I)の化合物、あるいはそのアイソトポログ、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶は、キメラ抗原受容体もしくはキメラT細胞受容体、またはCAR−T細胞と組み合わせて投与される。CD19、CD22、CD123、及びBCMAはすべてCAR T細胞の標的となっている。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される化合物、例えば、式(I)の化合物、あるいはそのアイソトポログ、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶は、1つ以上のチェックポイント阻害剤(複数可)と組み合わせて投与される。一実施形態では、本明細書に記載される併用療法は、本明細書に記載される化合物と組み合わせて投与される1つのチェックポイント阻害剤を含む。別の実施形態では、本明細書に記載される併用療法は、本明細書に記載される化合物と組み合わせて投与される2つのチェックポイント阻害剤を含む。また別の実施形態では、本明細書に記載される併用療法は、本明細書に提供される方法に関して、本明細書に記載される化合物と組み合わせて投与される3つ以上のチェックポイント阻害剤を含む。なおも別の実施形態では、本明細書に記載される併用療法は、本明細書に記載される1つ以上の二次活性薬剤と組み合わせて投与される1つのチェックポイント阻害剤を含む。本明細書に記載される化合物及び本明細書に記載される第2の治療薬と組み合わせて投与される1つ以上のチェックポイント阻害剤の投与も本明細書において企図される。
本明細書で使用される場合、「免疫チェックポイント阻害剤」または「チェックポイント阻害剤」という用語は、1つ以上のチェックポイントタンパク質を完全にまたは部分的に低減する、阻害する、それと干渉する、または調節する分子を指す。特定の理論によって制限されるものではないが、チェックポイントタンパク質は、T細胞活性化または機能を調節する。CTLA−4及びそのリガンドCD80及びCD86、ならびにPD−1とそのリガンドPD−Ll及びPD−L2などの多くのチェックポイントタンパク質が、既知である(Pardoll,Nature Reviews Cancer,2012,12,252−264)。これらのタンパク質は、T細胞応答の共刺激または阻害相互作用に関与すると思われる。免疫チェックポイントタンパク質は、自己寛容性、ならびに生理学的免疫応答の期間及び程度を調節して維持すると思われる。免疫チェックポイント阻害剤は、抗体を含むか、または抗体から誘導される。
一態様では、チェックポイント阻害剤は、CTLA−4阻害剤である。一実施形態では、CTLA−4阻害剤は、抗CTLA−4抗体である。抗CTLA−4抗体の例としては、米国特許第5,811,097号、同第5,811,097号、同第5,855,887号、同第6,051,227号、同第6,207,157号、同第6,682,736号、同第6,984,720号、及び同第7,605,238号に記載されるものが挙げられるが、これらに限定されず、これらはすべて、それらの全体が本明細書に組み込まれる。一実施形態では、抗CTLA−4抗体は、トレメリムマブ(別名、チシリムマブまたはCP−675,206)である。別の実施形態では、抗CTLA−4抗体は、イピリムマブ(別名、MDX−010またはMDX−101)である。イピリムマブは、CTLA−4に結合する完全ヒトモノクローナルIgG抗体である。イピリムマブは、Yervoy(商標)という商品名で販売されている。したがって、1つ以上のCTLA−4阻害剤及び本明細書に記載される化合物を含む併用療法が本明細書において提供される。ある特定の場合では、併用療法は、トレメリムマブ(チシリムマブまたはCP−675,206)及び本明細書に記載される化合物を含む。併用療法は、イピリムマブ(MDX−010またはMDX−101)及び本明細書に記載される化合物を含み得る。そのような併用療法は、本明細書に記載される濃度及び量で、CTLA−4阻害剤及び本明細書に記載される化合物を含み得る。
別の態様では、チェックポイント阻害剤は、PD−1/PD−L1阻害剤である。PD−1/PD−L1阻害剤の例としては、米国特許第7,488,802号、同第7,943,743号、同第8,008,449号、同第8,168,757号、同第8,217,149号、ならびにPCT特許出願公開第WO2003042402号、同第WO2008156712号、同第WO2010089411号、同第WO2010036959号、同第WO2011066342号、同第WO2011159877号、同第WO2011082400号、及び同第WO2011161699号に記載のものが挙げられるが、これらに限定されず、これらはすべて、それらの全体が本明細書に組み込まれる。
一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、PD−1阻害剤である。一実施形態では、PD−1阻害剤は、抗PD−1抗体である。一実施形態では、抗PD−1抗体は、ニボルマブ(別名、ONO−4538、BMS−936558、もしくはMDX1106)またはペンブロリズマブ(別名、MK−3475、SCH 900475、もしくはランブロリズマブ)である。一実施形態では、抗PD−1抗体は、ニボルマブである。ニボルマブは、ヒトIgG4抗PD−1モノクローナル抗体であり、Opdivo(商標)という商品名で販売されている。別の実施形態では、抗PD−1抗体は、ペンブロリズマブである。ペンブロリズマブは、ヒト化モノクローナルIgG4抗体であり、Keytruda(商標)という商品名で販売されている。また別の実施形態では、抗PD−1抗体は、ヒト化抗体CT−011である。単独で投与されたCT−011は、再発時にAMLの治療の際に応答を示すことができなかった。また別の実施形態では、抗PD−1抗体は、融合タンパク質AMP−224である。
したがって、PD−1阻害剤及び本明細書に記載される化合物を含む併用療法が本明細書において提供される。一実施形態では、抗PD−1抗体及び本明細書に記載される化合物を含む併用療法である。別の実施形態では、ニボルマブ(ONO−4538、BMS−936558、及びMDX1106)及び本明細書に記載される化合物を含む併用療法である。また別の実施形態では、ペンブロリズマブ及び本明細書に記載される化合物を含む併用療法である。なおも別の実施形態では、CT−011及び本明細書に記載される化合物を含む併用療法である。また別の実施形態では、AMP−224及び本明細書に記載される化合物を含む併用療法である。本明細書に記載される濃度及び量で、PD−1阻害剤及び本明細書に記載される化合物を含むそのような実施形態。
別の態様では、チェックポイント阻害剤は、PD−L1阻害剤である。一実施形態では、PD−L1阻害剤は、抗PD−L1抗体である。一実施形態では、抗PD−L1抗体は、デュルバルマブ(MEDI4736)である。別の実施形態では、抗PD−L1抗体は、BMS−936559(別名、MDX−1105−01)である。したがって、PD−L1阻害剤及び本明細書に記載される化合物を含む併用療法が本明細書において提供される。一実施形態では、デュルバルマブ及び本明細書に記載される化合物を含む併用療法である。別の実施形態では、BMS−936559(MDX−1105−1)及び本明細書に記載される化合物を含む併用療法である。そのような実施形態は、本明細書に記載される濃度及び量で、PD−L1阻害剤及び本明細書に記載される化合物を含む。なおも別の実施形態では、併用は、本明細書に記載される1つ以上の二次活性薬剤と組み合わせてデュルバルマブなどのPD−L1抗体を含む。
なおも別の態様では、チェックポイント阻害剤は、PD−L2阻害剤である。一実施形態では、PD−L2阻害剤は、抗PD−L2抗体である。一実施形態では、抗PD−L2抗体は、rHIgM12B7Aである。したがって、本明細書に記載される抗PD−L2阻害剤及び本明細書に記載される化合物を含む併用療法が本明細書において提供される。一実施形態では、rHIgM12B7A及び本明細書に記載される化合物を含む併用療法である。そのような実施形態は、本明細書に記載される濃度及び量で、PD−L2阻害剤及び本明細書に記載される化合物を含む。
なおも別の態様では、チェックポイント阻害剤は、リンパ球活性化遺伝子3(LAG−3)阻害剤である。一実施形態では、LAG−3阻害剤は、可溶性Ig融合タンパク質IMP321である(Brignone et al.,J.Immunol.,2007,179,4202−4211)。別の実施形態では、LAG−3阻害剤は、BMS−986016である。したがって、本明細書に記載されるLAG−3阻害剤及び本明細書に記載される化合物を含む併用療法が本明細書において提供される。一実施形態では、IMP321及び本明細書に記載される化合物を含む併用療法である。別の実施形態では、BMS−986016及び本明細書に記載される化合物を含む併用療法である。そのような実施形態は、本明細書に記載される濃度及び量で、LAG−3阻害剤及び本明細書に記載される化合物を含む。
なおも別の態様では、チェックポイント阻害剤は、B7阻害剤である。一実施形態では、B7阻害剤は、B7−H3阻害剤またはB7−H4阻害剤である。一実施形態では、B7−H3阻害剤は、抗B7−H3抗体MGA271である(Loo et al.,Clin.Cancer Res.,2012,3834)。したがって、B7阻害剤及び本明細書に記載される化合物を含む併用療法が本明細書において提供される。一実施形態では、本明細書に記載されるB7−H3阻害剤及び本明細書に記載される化合物を含む併用療法である。別の実施形態では、本明細書に記載されるB7−H4阻害剤及び本明細書に記載される化合物を含む併用療法である。なおも別の実施形態では、MGA271及び本明細書に記載される化合物を含む併用療法である。そのような実施形態は、本明細書に記載される濃度及び量で、本明細書に記載されるB7阻害剤及び本明細書に記載される化合物を含む。
別の態様では、チェックポイント阻害剤は、TIM−3(T細胞免疫グロブリンドメイン及びムチンドメイン3)阻害剤である(Fourcade et al.,J.Exp.Med.,2010,207,2175−86、Sakuishi et al.,J.Exp.Med.,2010,207,2187−94)。したがって、一実施形態では、本明細書に記載される濃度及び量で、TIM−3阻害剤及び本明細書に記載される化合物を含む併用療法である。
別の態様では、チェックポイント阻害剤は、OX40(CD134)アゴニストである。一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、抗OX40抗体である。一実施形態では、抗OX40抗体は、抗OX−40である。別の実施形態では、抗OX40抗体は、MEDI6469である。したがって、一実施形態では、OX40アゴニスト及び本明細書に記載される化合物を含む併用療法である。別の実施形態では、抗OX40抗体及び本明細書に記載される化合物を含む併用療法である。なおも別の実施形態では、抗OX−40及び本明細書に記載される化合物を含む併用療法である。また別の実施形態では、MEDI6469及び本明細書に記載される化合物を含む併用療法である。そのような実施形態は、本明細書に記載される濃度及び量で、本明細書に記載されるOX40アゴニスト及び化合物を含む。
なおも別の態様では、チェックポイント阻害剤は、GITRアゴニストである。一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、抗GITR抗体である。一実施形態では、抗GITR抗体は、TRX518である。したがって、GITRアゴニスト及び本明細書に記載される化合物を含む併用療法が本明細書において提供される。一実施形態では、抗GITR抗体及び本明細書に記載される化合物を含む併用療法である。別の実施形態では、TRX518及び本明細書に記載される化合物を含む併用療法である。そのような実施形態は、本明細書に記載される濃度及び量で、本明細書に記載されるGITRアゴニスト及び化合物を含む。
なおも別の態様では、チェックポイント阻害剤は、CD137アゴニストである。一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、抗CD137抗体である。一実施形態では、抗CD137抗体は、ウレルマブである。別の実施形態では、抗CD137抗体は、PF−05082566である。CD137アゴニスト及び本明細書に記載される化合物を含む併用療法が本明細書において提供される。一実施形態では、抗CD137抗体及び本明細書に記載される化合物を含む併用療法である。別の実施形態では、ウレルマブ及び本明細書に記載される化合物を含む併用療法である。なおも別の実施形態では、PF−05082566及び本明細書に記載される化合物を含む併用療法である。そのような実施形態は、本明細書に記載される濃度及び量で、本明細書に記載されるCD137アゴニスト及び化合物を含む。
別の態様では、チェックポイント阻害剤は、CD40アゴニストである。一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、抗CD40抗体である。一実施形態では、抗CD40抗体は、CF−870,893である。CD40アゴニスト及び本明細書に記載される化合物を含む併用療法が本明細書において提供される。一実施形態では、抗CD40抗体及び本明細書に記載される化合物を含む併用療法である。別の実施形態では、CF−870,893及び本明細書に記載される化合物を含む併用療法である。そのような実施形態は、本明細書に記載される濃度及び量で、本明細書に記載されるCD40アゴニスト及び化合物を含む。
また別の態様では、チェックポイント阻害剤は、組換えヒトインターロイキン−15(rhIL−15)である。したがって、一実施形態では、本明細書に記載される濃度及び量で、rhIL−15及び本明細書に記載される化合物を含む併用療法である。
別の態様では、チェックポイント阻害剤は、IDO阻害剤である。一実施形態では、IDO阻害剤は、INCB024360である。別の実施形態では、IDO阻害剤は、インドキシモドである。したがって、本明細書に記載されるIDO阻害剤及び本明細書に記載される化合物を含む併用療法が本明細書において提供される。一実施形態では、INCB024360及び本明細書に記載される化合物を含む併用療法である。別の実施形態では、インドキシモド及び本明細書に記載される化合物を含む併用療法である。そのような実施形態は、本明細書に記載される濃度及び量で、本明細書に記載されるIDO阻害剤及び化合物を含む。
ある特定の実施形態では、上記の併用療法は、本明細書に記載されるチェックポイント阻害剤(同じまたは異なるクラスのチェックポイント阻害剤を含む)のうちの2つ以上を含み得る。さらに、本明細書に記載される併用療法(例えば、本明細書に記載される化合物及び1つ以上のチェックポイント阻害剤)は、本明細書に記載される疾患を治療するために適切であり、当該技術分野で理解される、本明細書に記載される別の活性薬剤と組み合わせて使用することができる。一実施形態では、別の活性薬剤はステロイドである。一実施形態では、別の活性薬剤はコルチコステロイドである。一実施形態では、別の活性薬剤はデキサメタゾンである。
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される化合物、例えば、式(I)の化合物、あるいはそのアイソトポログ、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶は、1つ以上のチェックポイント阻害剤(複数可)と組み合わせて、そしてさらにデキサメタゾンと組み合わせて投与される。
本明細書に提供される化合物と組み合わせることができる特定の第2の活性化合物は、治療、予防、または管理される具体的な適応症により異なる。
例えば、がんの治療、予防、または管理のための、第2の活性薬剤としては、セマキサニブ、シクロスポリン、エタネルセプト、ドキシサイクリン、ボルテゾミブ、アシビシン、アクラルビシン、アコダゾール塩酸塩、アクロニン、アドゼレシン、アルデスロイキン、アルトレタミン、アンボマイシン、酢酸アメタントロン、アムサクリン、アナストロゾール、アントラマイシン、アスパラギナーゼ、アスペルリン、アザシチジン、アゼテパ、アゾトマイシン、バチマスタット、ベンゾデパ、ビカルタミド、ビサントレン塩酸塩、ビスナフィドジメシラート、ビゼレシン、硫酸ブレオマイシン、ブレキナルナトリウム、ブロピリミン、ブスルファン、カクチノマイシン、カルステロン、カラセミド、カルベチマー、カルボプラチン、カルムスチン、カルビシン塩酸塩、カルゼレシン、セデフィンゴール、セレコキシブ、クロラムブシル、シロレマイシン、シスプラチン、クラドリビン、クリスナトールメシラート、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン塩酸塩、デシタビン、デキソルマプラチン、デザグアニン、デザグアニンメシラート、ジアジクオン、ドセタキセル、ドキソルビシン、ドキソルビシン塩酸塩、ドロロキシフェン、ドロロキシフェンシトラート、ドロモスタノロンプロピオナート、デュアゾマイシン、エダトレキサート、エフロールニチン塩酸塩、エルサミトルシン、エンロプラチン、エンプロマート、エピプロピジン、エピルビシン塩酸塩、エルブロゾール、エソルビシン塩酸塩、エストラムスチン、エストラムスチンリン酸ナトリウム、エタニダゾール、エトポシド、リン酸エトポシド、エトプリン、ファドロゾール塩酸塩、ファザラビン、フェンレチニド、フロクスウリジン、リン酸フルダラビン、フルオロウラシル、フルロシタビン、ホスキドン、ホストリエシンナトリウム、ゲムシタビン、ゲムシタビン塩酸塩、ヒドロキシ尿素、イダルビシン塩酸塩、イホスファミド、イルモホシン、イプロプラチン、イリノテカン、イリノテカン塩酸塩、酢酸ランレオチド、レトロゾール、酢酸ロイプロリド、リアロゾール塩酸塩、ロメトレキソールナトリウム、ロムスチン、ロソキサントロン塩酸塩、マソプロコール、マイタンシン、メクロレタミン塩酸塩、酢酸メゲストロール、酢酸メレンゲストロール、メルファラン、メノガリル、メルカプトプリン、メトトレキサート、メトトレキサートナトリウム、メトプリン、メツレデパ、ミチンドミド、ミトカルシン、ミトクロミン、ミトギリン、ミトマルシン、ミトマイシン、ミトスペル、ミトタン、ミトキサントロン塩酸塩、ミコフェノール酸、ノコダゾール、ノガラマイシン、オルマプラチン、オキシスラン、パクリタキセル、ペグアスパルガーゼ、ペリオマイシン、ペンタムスチン、硫酸ペプロマイシン、ペルホスファミド、ピポブロマン、ピポスルファン、ピロキサントロン塩酸塩、プリカマイシン、プロメスタン、ポルフィマーナトリウム、ポルフィロマイシン、プレドニムスチン、プロカルバジン塩酸塩、ピューロマイシン、ピューロマイシン塩酸塩、ピラゾフリン、リボプリン、サフィンゴール、サフィンゴール塩酸塩、セムスチン、シムトラゼン、スパルフォサートナトリウム、スパルソマイシン、スピロゲルマニウム塩酸塩、スピロムスチン、スピロプラチン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、スロフェヌル、タリソマイシン、テコガランナトリウム、タキソテレ、テガフール、テロキサントロン塩酸塩、テモポルフィン、テニポシド、テロキシロン、テストラクトン、チアミプリン、チオグアニン、チオテパ、チアゾフリン、チラパザミン、トレミフェンシトラート、酢酸トレストロン、リン酸トリシリビン、トリメトレキサート、トリメトレキサートグルクロナート、トリプトレリン、ツブロゾール塩酸塩、ウラシルマスタード、ウレデパ、バプレオチド、ベルテポルフィン、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンクリスチン、ビンデシン、硫酸ビンデシン、硫酸ビネピジン、ビングリシナートスルファート、硫酸ビンロイロシン、ビノレルビンタートラート、硫酸ビンロシジン、硫酸ビンゾリジン、ボロゾール、ゼニプラチン、ジノスタチン、及びゾルビシン塩酸塩が挙げられるが、これらに限定しない。
他の第2の薬剤としては、20−epi−1,25ジヒドロキシビタミンD3;5−エチニルウラシル;アビラテロン;アクラルビシン;アシルフルベン;アデシペノール;アドゼレシン;アルデスロイキン;ALL−TKアンタゴニスト;アルトレタミン;アンバムスチン;アミドックス;アミホスチン;アミノレブリン酸;アムルビシン;アムサクリン;アナグレリド;アナストロゾール;アンドログラホリド;血管新生阻害剤;アンタゴニストD;アンタゴニストG;アンタレリックス;抗背側形成タンパク質(anti−dorsalizing morphogenetic protein)−1;抗アンドロゲン、前立腺癌;抗エストロゲン;抗新生物薬;アンチセンスオリゴヌクレオチド;アフィジコリングリシネート;アポトーシス遺伝子モジュレーター;アポトーシス調節剤;アプリン酸;ara−CDP−DL−PTBA;アルギニンデアミナーゼ;アスラクリン;アタメスタン;アトリムスチン;アキシナスタチン1;アキシナスタチン2;アキシナスタチン3;アザセトロン;アザトキシン;アザチロシン;バッカチンIII誘導体;バラノール;バチマスタット;BCR/ABLアンタゴニスト;ベンゾクロリン;ベンゾイルスタウロスポリン;ベータラクタム誘導体;ベータアレチン;ベータクラマイシンB;ベツリン酸;bFGF阻害剤;ビカルタミド;ビサントレン;ビサジリジニルスペルミン;ビスナファイド;ビストラテンA;ビゼレシン;ブレフレート;ブロピリミン;ブドチタン;ブチオニンスルホキシミン;カルシポトリオール;カルホスチンC;カンプトテシン誘導体;カペシタビン;カルボキサミド−アミノ−トリアゾール;カルボキサミドトリアゾール;CaRest M3;CARN700;軟骨由来阻害剤;カルゼレシン;カゼインキナーゼ阻害剤(ICOS);カスタノスペルミン;セクロピンB;セトロレリクス;クロリン;クロロキノキサリンスルホンアミド;シカプロスト;cis−ポルフィリン;クラドリビン;クロミフェン類似体;クロトリマゾール;コリスマイシンA;コリスマイシンB;コンブレタスタチンA4;コンブレタスタチン類似体;コナゲニン;クラムベシジン816;クリスナトール;クリプトフィシン8;クリプトフィシンA誘導体;クラシンA;シクロペンタンアントラキノン;シクロプラタム;シペマイシン;シタラビンオクホスフェート;細胞溶解因子;シトスタチン;ダクリキシマブ;デシタビン;デヒドロジデムニンB;デスロレリン;デキサメタゾン;デキシホスファミド;デキシラゾキサン;デキシベラパミル;ジアジコン;ジデムニンB;ジドックス;ジエチルノルスペルミン;ジヒドロ−5−アザシチジン;ジヒドロタキソール、9−;ジオキサマイシン;ジフェニルスピロムスチン;ドセタキセル;ドコサノール、ドラセトロン;ドキシフルリジン;ドキソルビシン;ドロロキシフェン;ドロナビノール;デュオカルマイシンSA;エブセレン;エコムスチン;エデルフォシン;エドレコロマブ;エフロールニチン;エレメン;エミテフル、エピルビシン;エプリステリド;エストラムスチン類似体;エストロゲンアゴニスト;エストロゲンアンタゴニスト;エタニダゾール;リン酸エトポシド;エキセメスタン;ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フィルグラスチム;フィナステリド;フラボピリドール;フレゼラスチン;フルアステロン;フルダラビン;フルオロダウノルニシン塩酸塩;ホルフェニメクス;フォルメスタン;ホストリエシン;ホテムスチン;ガドリニウムテキサフィリン;硝酸ガリウム;ガロシタビン;ガニレリクス;ゼラチナーゼ阻害剤;ゲムシタビン;グルタチオン阻害剤;ヘプスルファム;ヘレグリン;ヘキサメチレンビスアセトアミド;ヒペリシン;イバンドロン酸;イダルビシン;イドキシフェン;イドラマントン;イルモホシン;イロマスタット;イマチニブ(Gleevec(登録商標))、イミキモド;免疫賦活剤ペプチド;インスリン様成長因子1受容体阻害剤;インターフェロンアゴニスト;インターフェロン;インターロイキン;イオベングアン;ヨードドキソルビシン;イポメアノール、4−;イロプラクト;イルソグラジン;イソベンガゾール;イソホモハリコンドリンB;イタセトロン;ジャスプラキノリド;カハラリドF;ラメラリン−Nトリアセテート;ランレオチド;レイナマイシン;レノグラスチム;硫酸レンチナン;レプトルスタチン;レトロゾール;白血病阻害因子;白血球アルファインターフェロン;リュープロリド+エストロゲン+プロゲステロン;リュープロレリン;レバミゾール;リアロゾール;直鎖ポリアミン類似体;脂溶性二糖類ペプチド;脂溶性白金化合物;リソクリンアミド7;ロバプラチン;ロンブリシン;ロメトレキソール;ロニダミン;ロソキサントロン;ロキソリビン;ルートテカン;ルテチウムテキサフィリン;リソフィリン;溶解性ペプチド;マイタンシン;マンノスタチンA;マリマスタット;マソプロコール;マスピン;マトリリシン阻害剤;マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤;メノガリル;メルバロン;メテレリン;メチオニナーゼ;メトクロプラミド;MIF阻害剤;ミフェプリストン;ミルテホシン;ミリモスチム;ミトグアゾン;ミトラクトール;マイトマイシン類似体;ミトナフィド;マイトトキシン線維芽細胞成長因子−サポリン;ミトキサントロン;モファロテン;モルグラモスチム;Erbitux、ヒト絨毛性ゴナドトロピン;モノホスホリルリピドA+マイコバクテリウム細胞壁sk;モピダモール;マスタード抗がん剤;マイカペルオキシドB;マイコバクテリア細胞壁抽出物;ミリアポロン;N−アセチルディナリン;N置換ベンズアミド;ナファレリン;ナグレスチプ;ナロキソン+ペンタゾシン;ナパビン;ナフテルピン;ナルトグラスチム;ネダプラチン;ネモルビシン;ネリドロン酸;ニルタミド;ニサマイシン;一酸化窒素モジュレーター;ニトロキシド抗酸化剤;ニトルリン;オブリメルセン(Genasense(登録商標));O6−ベンジルグアニン;オクトレオチド;オキセノン;オリゴヌクレオチド;オナプリストン;オンダンセトロン;オンダンセトロン;オラシン;経口サイトカイン誘発剤;オルマプラチン;オサテロン;オキサリプラチン;オキザウノマイシン;パクリタキセル;パクリタキセル類似体;パクリタキセル誘導体;パラウアミン;パルミトイルリゾキシン;パミドロン酸;パナキシトリオール;パノミフェン;パラバクチン;パゼリプチン;ペグアスパラガーゼ;ペルデシン;ペントサン多硫酸ナトリウム;ペントスタチン;ペントロゾール;ペルフルブロン;ペルホスファミド;ペリリルアルコール;フェナジノマイシン;フェニルアセテート;ホスファターゼ阻害剤;ピシバニール;ピロカルピン塩酸塩;ピラルビシン;ピリトレキシム;プラセチンA;プラセチンB;プラスミノーゲン活性化阻害剤;白金錯体;白金化合物;白金−トリアミン錯体;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニゾン;プロピルビス−アクリドン;プロスタグランジンJ2;プロテアソーム阻害剤;プロテインAをベースとする免疫モジュレーター;プロテインキナーゼC阻害剤;プロテインキナーゼC阻害剤、微細藻類;プロテインチロシンホスファターゼ阻害剤;プリンヌクレオシドホスホリラーゼ阻害剤;プルプリン;ピラゾロアクリジン;ピリドキシ化ヘモグロビンポリオキシエチレン複合体;rafアンタゴニスト;ラルチトレキセド;ラモセトロン;rasファルネシルタンパク質転移酵素阻害剤;ras阻害剤;ras−GAP阻害剤;脱メチル化レテリプチン;レニウムRe186エチドロネート;リゾキシン;リボザイム;RIIレチナミド;ロヒツカイン;ロムルチド;ロキニメクス;ルビジノンB1;ルボキシル;サフィンゴール;サイントピン;SarCNU;サルコフィトールA;サルグラモスチム;Sdi 1模倣物;セムスチン;老化誘導阻害剤1;センスオリゴヌクレオチド;シグナル伝達阻害剤;シゾフィラン;ソブゾキサン;ボロカプテイト;フェニル酢酸ナトリウム;ソルベロール;ソマトメジン結合タンパク質;ソネルミン;スパルホス酸;スピカマイシンD;スピロムスチン;スプレノペンチン;スポンジスタチン1;スクアラミン;スチピアミド;ストロメライシン阻害剤;スルフィノシン;超活性血管作動性腸管ペプチドアンタゴニスト;スラジスタ;スラミン;スワインソニン;タリムスチン;タモキシフェンメチオダイド;タウロムスチン;タザロテン;テコガランナトリウム;テガフール;テルラピリリウム);テロメラーゼ阻害剤;テモポルフィン;テニポシド;テトラクロロデカオキシド;テトラゾミン;タリブラスチン;チオコラリン;トロンボポエチン;トロンボポエチン模倣物;サイマルファシン;サイモポエチン受容体アゴニスト;サイモトリナン;甲状腺刺激ホルモン;スズエチルエチオプルプリン;チラパザミン;二塩化チタノセン;トップセンチン;トレミフェン;翻訳阻害剤;トレチノイン;トリアセチルウリジン;トリシリビン;トリメトレキサート;トリポレリン;トロピセトロン;ツロステリド;チロシンキナーゼ阻害剤;チルホスチン;UBC阻害剤;ウベニメクス;泌尿生殖器洞誘導成長阻害因子;ウロキナーゼ受容体アンタゴニスト;バブレオチド;バリオビンB;ベラレゾール;ベラミン;バーディン;ベルテポルフィン;ビノレルビン;ビンキサルチン;バイタクシン;ボロゾール;ザノテロン;ゼニプラチン;ジラスコルブ;及びジノスタチンスチマラマーが挙げられるが、これらに限定されない。
特定の第2の活性薬剤としては、2−メトキシエストラジオール、テロメスタチン、多発性骨髄腫細胞におけるアポトーシスの誘発剤(例えば、TRAIL)、スタチン、セマキサニブ、シクロスポリン、エタネルセプト、ドキシサイクリン、ボルテゾミブ、オブリメルセン(Genasense(登録商標))、レミケード、ドセタキセル、セレコキシブ、メルファラン、デキサメタゾン(Decadron(登録商標))、ステロイド、ゲムシタビン、シスプラチナム、テモゾロミド、エトポシド、シクロホスファミド、テモダール、カルボプラチン、プロカルバジン、グリアデル、タモキシフェン、トポテカン、メトトレキサート、Arisa(登録商標)、タキソール、タキソテール、フルオロウラシル、ロイコボリン、イリノテカン、キセロダ、CPT−11、インターフェロンアルファ、ペグ化インターフェロンアルファ(例えば、PEG INTRON−A)、カペシタビン、シスプラチン、チオテパ、フルダラビン、カルボプラチン、リポソームダウノルビシン、シタラビン、ドキセタキソール、パシリタキセル、ビンブラスチン、IL−2、GM−CSF、ダカルバジン、ビノレルビン、ゾレドロン酸、パルミトロナート、バイアキシン、ブスルファン、プレドニゾン、ビスホスホネート、三酸化ヒ素、ビンクリスチン、ドキソルビシン(Doxil(登録商標))、パクリタキセル、ガンシクロビル、アドリアマイシン、エストラムスチンリン酸ナトリウム(Emcyt(登録商標))、スリンダク、及びエトポシドが挙げられるが、これらに限定されない。
皮膚疾患の治療、予防、及び/または管理に使用することができる第2の活性薬剤の例としては、角質溶解剤、レチノイド、α−ヒドロキシ酸、抗生物質、コラーゲン、ボツリヌス毒素、インターフェロン、ステロイド、及び免疫調節剤が挙げられるが、これらに限定されない。具体的な例としては、5−フルオロウラシル、マソプロコール、トリクロロ酢酸、サリチル酸、乳酸、乳酸アンモニウム、尿素、トレチノイン、イソトレチノイン、抗生物質、コラーゲン、ボツリヌス毒素、インターフェロン、コルチコステロイド、transレチノイン酸、ならびにコラーゲン、例えば、ヒト胎盤コラーゲン、動物胎盤コラーゲン、Dermalogen、AlloDerm、Fascia、Cymetra、Autologen、Zyderm、Zyplast、Resoplast、及びIsolagenが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書に提供される化合物、例えば、式(I)の化合物、あるいはそのアイソトポログ、あるいはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶、及び第2の活性薬剤の患者への投与は、同じまたは異なる投与経路により同時にまたは順次生じ得る。特定の活性薬剤に用いられる特定の投与経路の好適性は、活性薬剤自体(例えば、それが血流に入る前に分解することなく経口投与され得るか)及び治療される疾患に依存する。本明細書に提供される化合物の投与の1つは経口である。第2の活性薬剤または成分の投与経路は当業者に既知である。例えば、Physicians’Desk Reference(60th ed.,2006)を参照されたい。
ある特定の実施形態では、第2の活性薬剤は、静脈内または皮下に、約1〜約1000mg、約5〜約500mg、約10〜約350mg、または約50〜約200mgの量で1日1回または2回投与される。第2の活性薬剤の特定の量は、使用される特定の薬剤、治療または管理される疾患の種類、疾患の重症度及び病期、ならびに患者に同時に投与される本明細書に提供される化合物及びいずれの任意選択の追加の活性薬剤の量(複数可)に依存する。
本明細書の他の箇所に論じられるように、手術、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、生物学的療法、または免疫療法が挙げられるが、これらに限定されない従来の療法に関連する有害作用または望ましくない作用を低減、治療、及び/または予防する方法も包含される。本明細書に提供される化合物及び他の活性成分は、患者に、従来の療法に関連する有害作用の発生前、発生中、または発生後に投与され得る。
移植療法での使用
本明細書に提供される式(I)の化合物、あるいはそのアイソトポログ、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶は、移植片対宿主病(GVHD)のリスクを低減するために使用され得る。したがって、移植療法と組み合わせて、式(I)の化合物、あるいはそのアイソトポログ、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶を投与することを含む、がんを治療、予防、及び/または管理する方法が本明細書において包含される。
当業者が認識しているように、がんの治療は、しばしば、疾患の病期及び機序に基づいている。例えば、回避不能な白血病性形質転換は、がんの特定の病期で発症するため、末梢血幹細胞の移植、造血幹細胞調製物、または骨髄が必要であり得る。本明細書に提供される式(I)の化合物、あるいはそのアイソトポログ、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶、及び移植療法の併用使用は、独特かつ予想外の相乗作用をもたらす。特に、式(I)の化合物、あるいはそのアイソトポログ、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶は、がんを有する患者において移植療法と同時に与えられる場合、追加のまたは相乗作用をもたらし得る免疫調節活性を呈する。
式(I)の化合物、あるいはそのアイソトポログ、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶は、移植療法と組み合わせて機能し、移植の侵襲的手技に関連する合併症及びGVHDのリスクを低減することができる。臍帯血、胎盤血、末梢血幹細胞、造血幹細胞調製物、もしくは骨髄の移植前、移植中、または移植後に、式(I)の化合物、あるいはそのアイソトポログ、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶を患者(例えば、ヒト)に投与することを含む、がんを治療、予防、及び/または管理する方法が本明細書において包含される。本明細書に提供される方法において使用するのに好適な幹細胞のいくつかの例は、米国特許第7,498,171号に開示されており、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
一実施形態では、式(I)の化合物、あるいはそのアイソトポログ、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶は、自己末梢血前駆細胞の移植前、移植中、または移植後に、多発性骨髄腫を有する患者に投与される。
別の実施形態では、式(I)の化合物、あるいはそのアイソトポログ、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶は、幹細胞移植後に、再発性多発性骨髄腫を有する患者に投与される。
また別の実施形態では、式(I)の化合物、あるいはそのアイソトポログ、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶、及びプレドニゾンは、自己幹細胞の移植後に、多発性骨髄腫を有する患者に維持療法として投与される。
また別の実施形態では、式(I)の化合物、あるいはそのアイソトポログ、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶、及びデキサメタゾンは、多発性骨髄腫を有する患者に移植後のリスクを下げるための救済療法として投与される。
また別の実施形態では、式(I)の化合物、あるいはそのアイソトポログ、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶、及びデキサメタゾンは、自己骨髄の移植後に、多発性骨髄腫を有する患者に維持療法として投与される。
また別の実施形態では、式(I)の化合物、あるいはそのアイソトポログ、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶は、高投与量のメルファランの投与及び自己幹細胞の移植後に、化学療法応答性多発性骨髄腫を有する患者に投与される。
また別の実施形態では、式(I)の化合物、あるいはそのアイソトポログ、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶、及びPEG INTRO−Aは、自己CD34選択的末梢幹細胞の移植後に、多発性骨髄腫を有する患者に維持療法として投与される。
また別の実施形態では、式(I)の化合物、あるいはそのアイソトポログ、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶は、抗血管新生を評価するために、新たに診断された多発性骨髄腫を有する患者に移植後の地固め化学療法と共に投与される。
なおも別の実施形態では、式(I)の化合物、あるいはそのアイソトポログ、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶、及びデキサメタゾンは、高投与量のメルファラン及び末梢血幹細胞の移植で治療された後に、DCEP強化後の維持療法として多発性骨髄腫を有する65歳以上の患者に投与される。
一実施形態では、式(I)の化合物、あるいはそのアイソトポログ、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶は、自己末梢血前駆細胞の移植前、移植中、または移植後に、NHL(例えば、DLBCL)を有する患者に投与される。
別の実施形態では、式(I)の化合物、あるいはそのアイソトポログ、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶は、幹細胞移植後に、NHL(例えば、DLBCL)を有する患者に投与される。
サイクリング療法
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される予防薬または治療薬は、患者に周期的に投与される。サイクリング療法には、一定期間の活性薬剤の投与と、それに続く一定期間の休薬を含み、この連続的投与を繰り返す。サイクリング療法により、療法の1つ以上に対する耐性の発達を低減すること、療法の1つの副作用を回避もしくは低減すること、及び/または治療の有効性を改善することができる。
したがって、ある特定の実施形態では、本明細書に提供される式(I)の化合物、あるいはそのアイソトポログ、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶は、約1週間または2週間の休薬期間を伴って4〜6週間のサイクルで単回投与量または分割投与量で毎日投与される。サイクリング方法はさらに、投与サイクルの頻度、回数、及び長さを増加することができる。したがって、ある特定の実施形態では、典型的には単独で投与されるときよりも多いサイクルにわたる、本明細書に提供される化合物、例えば、式(I)の化合物、あるいはそのアイソトポログ、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶の投与が本明細書において包含される。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される化合物、例えば、式(I)の化合物、あるいはそのアイソトポログ、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶は、第2の活性成分も投与されていない患者に投与量制限毒性を典型的に引き起こすであろうより多い数のサイクルにわたって投与される。
一実施形態では、式(I)の化合物、あるいはそのアイソトポログ、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶は、約0.1〜約150mg/日の投与量で3または4週間毎日連続的に投与され、その後1または2週間の休薬が続く。
別の実施形態では、式(I)の化合物、あるいはそのアイソトポログ、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶、及び第2の活性成分は経口投与され、式Iの化合物の投与は、4〜6週間のサイクル中、第2の活性成分の30〜60分前に生じる。ある特定の実施形態では、式(I)の化合物、あるいはそのアイソトポログ、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶、及び第2の活性成分の組み合わせは、サイクル毎に約90分間にわたって静脈内注入により投与される。ある特定の実施形態では、1サイクルは、約0.1〜約150mg/日の式(I)の化合物、あるいはそのアイソトポログ、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)、プロドラッグ、クラスレート、多形、もしくは共結晶、及び約50〜約200mg/m2/日の第2の活性成分の3〜4週間にわたる毎日の投与、及びその後の1または2週間の休薬を含む。ある特定の実施形態では、併用治療が患者に施される間のサイクル数は、約1〜約24サイクル、約2〜約16サイクル、または約4〜約3サイクルの範囲である。
医薬組成物及び剤形
医薬組成物は、個々の単一の単位剤形の調製において使用され得る。本明細書に提供される医薬組成物及び剤形は、本明細書に提供される化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、立体異性体、クラスレート、またはプロドラッグを含む。医薬組成物及び剤形は、1つ以上の賦形剤をさらに含み得る。
本明細書に提供される医薬組成物及び剤形は、1つ以上の追加の活性成分も含み得る。任意選択の第2のまたは追加の活性成分の例は上に記載される。
本明細書に提供される単一の単位剤形は、患者への経口、粘膜(例えば、鼻腔、舌下、膣、頬、直腸)、非経口(例えば、皮下、静脈内、ボーラス注射、筋肉内、または動脈内)、局部(例えば、点眼薬または他の眼科用調製物)、経皮、または経皮的投与に適している。剤形の例としては、錠剤;カプレット;カプセル、例えば、軟質弾性ゼラチンカプセル;カシェ;トローチ;ロゼンジ;分散液;懸濁液;粉末;エアロゾル(例えば、鼻腔スプレーまたは吸入器);ゲル;患者への経口または粘膜投与に適した液体剤形、懸濁液(例えば、水性または非水性液体懸濁液、水中油型エマルジョン、または油中水型液体エマルジョン)、溶液、及びエリキシル剤を含む;患者への非経口投与に適した液体剤形;局部投与に適した点眼薬または他の眼科用調製物;ならびに再構成されて、患者への非経口投与に適した液体剤形を提供することができる減菌固体(例えば、結晶または非晶質固体)が挙げられるが、これらに限定されない。
剤形の組成、形状、及び種類は、典型的には、それらの使用に応じて異なる。例えば、疾患の急性治療に使用される剤形は、同じ疾患の慢性治療に使用される剤形が含むよりも多い量の活性成分のうちの1つ以上を含有し得る。同様に、非経口用剤形は、同じ疾患を治療するために使用される経口用剤形が含むよりも少ない量の活性成分のうちの1つ以上を含有し得る。特定の剤形が使用されるこれら及び他の方法が互いに異なることは当業者に容易に理解されるだろう。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th ed.,Mack Publishing,Easton PA(1990)を参照されたい。
ある特定の実施形態では、医薬組成物及び剤形は、1つ以上の賦形剤を含む。好適な賦形剤は、薬学の分野の当業者には周知であり、好適な賦形剤の非限定的な例が本明細書に提供される。特定の賦形剤が医薬組成物または剤形への組み込みに適しているかどうかは、剤形が患者に投与される方法を含むがこれに限定されない、当該技術分野で周知の様々な因子に依存する。例えば、錠剤などの経口用剤形は、非経口用剤形における使用に適していない賦形剤を含有し得る。特定の賦形剤の好適性はまた、剤形中の特定の活性成分に依存する。例えば、同じ活性成分の分解は、ラクトースなどのいくつかの賦形剤により、または水に曝されたときに加速され得る。第一級または第二級アミンを含む活性成分は、そのような加速された分解を特に受けやすい。したがって、存在する場合、少量のラクトース他の単糖類、または二糖類を含有する医薬組成物及び剤形が提供される。本明細書で使用される場合、「ラクトース不含」という用語は、存在する場合、存在するラクトースの量が活性成分の分解速度を実質的に増加させるのに不十分であることを意味する。
ラクトース不含組成物は、当該技術分野で周知である賦形剤を含んでもよく、例えば、U.S.Pharmacopeia(USP)25−NF20(2002)に列挙されている。一般に、ラクトース不含組成物は、薬学的に相溶性であり、薬学的に許容される量で活性成分、結合剤/充填剤、及び潤滑剤を含む。ある特定の実施形態では、ラクトース不含剤形は、活性材料、微結晶性セルロース、アルファ化デンプン、及びステアリン酸マグネシウムを含む。
水はいくつかの化合物の分解を促進し得るため、活性成分を含む無水の医薬組成物及び剤形も提供する。例えば、水(例えば、5%)の添加は、時間の経過に伴う製剤の貯蔵寿命または安定性などの特徴を判定するために、長期保管のシミュレーションを行なう手段として、薬学的分野に広く受け入れられる。例えば、Jens T.Carstensen,Drug Stability:Principles&Practice,2d.Ed.,Marcel Dekker,NY,NY,1995,pp.379−80を参照されたい。実際には、水及び加熱は、いくつかの化合物の分解を加速する。したがって、水分及び/または湿気が、製剤の製造、取り扱い、包装、保管、輸送、及び使用中に一般的に接触するため、製剤に対する水の作用は、非常に重要であり得る。
無水の医薬組成物及び剤形は、無水または低水分含有成分、及び低水分または低湿度条件を使用して調製され得る。ラクトース、及び第一級または第二級アミンを含む少なくとも1つの活性成分を含む医薬組成物及び剤形は、製造、包装、及び/または保管中に、水分及び/または湿気との実質的接触が予想される場合、無水であることが好ましい。
無水医薬組成物は、その無水性質を維持するように、調製及び保管されるべきである。したがって、ある特定の実施形態では、無水組成物は、好適な処方キットに含まれ得るように、水への曝露を阻止するために既知の材料を使用して包装される。好適な包装の例としては、密封ホイル、プラスチック、単位投与量容器(例えば、バイアル)、ブリスターパック、及びストリップパックが挙げられるが、これらに限定されない。
活性成分が分解される速度を低減する1つ以上の化合物を含む医薬組成物及び剤形も提供される。本明細書において「安定剤」と称されるそのような化合物は、アスコルビン酸、pH緩衝液、または塩緩衝液などの抗酸化剤を含むが、これに限定されない。
賦形剤の量及び種類と同様、剤形中の活性成分の量及び特定の種類は、限定されないが、患者に投与される経路などの因子に応じて異なり得る。ある特定の実施形態では、剤形は、約0.10〜約500mgの量の本明細書に提供される化合物を含む。他の実施形態では、剤形は、約0.1、1、2、5、7.5、10、12.5、15、17.5、20、25、50、100、150、200、250、300、350、400、450、または500mgの量の本明細書に提供される化合物を含む。
他の実施形態では、剤形は、約1〜約1000mg、約5〜約500mg、約10〜約350mg、または約50〜約200mgの量の第2の活性成分を含む。当然のことながら、第2の活性薬剤の特定の量は、使用される特定の薬剤、治療または管理される疾患または障害、ならびに本明細書に提供される化合物及び患者に同時に投与されるいずれの任意選択の追加の活性薬剤の量(複数可)に依存する。
経口用剤形
経口投与に適している医薬組成物は、錠剤(例えば、咀嚼錠剤)、カプレット、カプセル、及び液体(例えば、香味シロップ)などの別個の剤形として提供され得る。そのような剤形は、所定の活性成分の量を含有し、当業者に周知の薬学方法により調製され得る。一般に、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th ed.,Mack Publishing,Easton PA(1990)を参照されたい。
本明細書に提供される経口用剤形は、従来の薬剤調合技法に従って、少なくとも1つの賦形剤と密接な混和で活性成分を組み合わせることにより調製される。賦形剤は、投与に所望される調製の形態に応じて多種多様な形態を取り得る。例えば、経口用液体またはエアロゾル剤形に使用するのに適した賦形剤には、水、グリコール、油、アルコール、香味料、防腐剤、及び着色料が含まれるが、これらに限定されない。固形の経口用剤形(例えば、粉末、錠剤、カプセル、及びカプレット)に使用するのに適した賦形剤の例としては、デンプン、糖、微結晶性セルロース、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤、及び崩壊剤が挙げられるが、これらに限定されない。
ある特定の実施形態では、経口用剤形は錠剤またはカプセルであり、この場合、固形の賦形剤が用いられる。ある特定の実施形態では、錠剤は、標準的な水性技法または非水性技法によりコーティングされ得る。そのような剤形は、薬学方法のいずれかにより調製され得る。一般に、医薬組成物及び剤形は、活性成分を液体担体、微粉化固体担体、またはそれらの両方と均一かつ密接に混和し、次いで、必要に応じて生成物を所望の外観に成形することにより調製される。
例えば、錠剤は圧縮または型成形により調製され得る。圧縮された錠剤は、好適な機械内で、任意選択で賦形剤と混合された、粉末または顆粒などの自由流動形態の活性成分を圧縮することにより調製され得る。型成形された錠剤は、好適な機械内で不活性液体希釈剤で湿らせた粉末状化合物の混合物を型成形することにより作製され得る。
本明細書に提供される経口用剤形に使用することができる賦形剤の例としては、結合剤、充填剤、崩壊剤、及び潤滑剤が挙げられるが、これらに限定されない。医薬組成物及び剤形に使用するのに好適な結合剤としては、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、または他のデンプン、ゼラチン、アカシアなどの天然及び合成のゴム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、他のアルギン酸、粉末状のトラガカント、グアーゴム、セルロース及びその誘導体(例えば、エチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ナトリウムカルボキシメチルセルロース)、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、番号2208、2906、2910)、微結晶性セルロース、ならびにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
微結晶性セルロースの好適な形態としては、AVICEL−PH−101、AVICEL−PH−103 AVICEL RC−581、AVICEL−PH−105(FMC Corporation,American Viscose Division,Avicel Sales,Marcus Hook,PAから入手)として販売されている材料及びそれらの混合物を含むが、これらに限定されない。特定の結合剤は、AVICEL RC−581として販売されている微結晶性セルロース及びナトリウムカルボキシメチルセルロースの混合物である。好適な無水または低水分賦形剤または添加剤としては、AVICEL−PH−103(商標)及びStarch1500LMが挙げられる。
本明細書に提供される医薬組成物及び剤形で使用するのに適した充填剤の例としては、タルク、炭酸カルシウム(例えば、顆粒または粉末)、微結晶性セルロース、粉末状セルロース、デキストレート、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、アルファ化デンプン、及びこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。医薬組成物中の結合剤または充填剤は、ある特定の実施形態では、医薬組成物または剤形の約50〜約99重量パーセントで存在する。
崩壊剤は、水性環境に曝されたときに崩壊する錠剤を提供するために組成物で使用され得る。多すぎる崩壊剤を含有する錠剤は保管中に崩壊する可能性があるが、少なすぎる崩壊剤を含有するものは所望の速度でまたは所望の条件下で崩壊しない可能性がある。したがって、活性成分の放出を不利に変えることがない、少なすぎず、多すぎない十分な量の崩壊剤が、経口用剤形を形成するために使用され得る。使用される崩壊剤の量は、製剤の種類に基づいて異なり、当業者に容易に認識され得る。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、約0.5〜約15重量パーセントの崩壊剤、または約1〜約5重量パーセントの崩壊剤を含む。
医薬組成物及び剤形に使用され得る崩壊剤には、寒天、アルギン酸、炭酸カルシウム、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、他のデンプン、アルファ化デンプン、他のデンプン、粘土、他のアルギン、他のセルロース、ゴム、及びこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
医薬組成物及び剤形で使用され得る潤滑剤としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱物油、軽鉱物油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、他のグリコール、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、水素化植物油(例えば、ピーナッツ油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブオイル、トウモロコシ油、及びダイズ油)、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル、寒天、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。追加の潤滑剤としては、例えば、シロイドシリカゲル(AEROSIL200、W.R.Grace Co.of Baltimore,MDにより製造されている)、合成シリカの凝固エアロゾル(Degussa Co.of Plano,TXにより販売されている)、CAB−O−SIL(Cabot Co.of Boston,MAにより販売されている発熱性二酸化ケイ素生成物)、及びこれらの混合物が挙げられる。仮に使用される場合、潤滑剤は、それらが組み込まれる医薬組成物または剤形の約1重量パーセント未満の量で使用され得る。
ある特定の実施形態では、固形の経口用剤形は、本明細書に提供される化合物、無水ラクトース、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、ステアリン酸、コロイド状無水シリカ、及びゼラチンを含む。
制御放出剤形
本明細書に提供される活性成分は、制御放出手段により、または当業者に周知である送達デバイスにより投与され得る。例としては、米国特許第3,845,770号、同第3,916,899号、同第3,536,809号、同第3,598,123号、及び同第4,008,719号、同第5,674,533号、同第5,059,595号、同第5,591,767号、同第5,120,548号、同第5,073,543号、同第5,639,476号、同第5,354,556号、同第5,733,566号(それらのそれぞれは参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるものが挙げられるが、これらに限定されない。そのような剤形は、様々な割合で所望の放出プロファイルを提供するために、例えば、ヒドロプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、ゲル、透過性膜、浸透圧システム、多層コーティング、微小粒子、リポソーム、ミクロスフェア、またはこれらの組み合わせを使用して、1つ以上の活性成分の緩徐なまたは制御放出を提供するために使用され得る。本明細書に記載されるものを含む当業者に既知の好適な制御放出製剤は、本明細書に提供される活性薬剤と共に使用するために容易に選択され得る。ある特定の実施形態では、制御放出のために適合された錠剤、カプセル、ゲルキャップ、及びカプレットなどの、これらに限定されない経口投与に適した単一の単位剤形が提供される。
ある特定の実施形態では、制御放出薬学的生成物は、それらの非制御対応物により達成されたものを超えて薬物療法を改善する。ある特定の実施形態では、医療における制御放出調製物の使用は、最小限の時間で状態を治癒させるまたは制御するために用いられる最低限の薬物物質を特徴とする。制御放出製剤の利点には、薬物活性の延長、投薬頻度の低減、及び患者コンプライアンスの増加が含まれる。加えて、制御放出製剤を使用して、作用開始の時間または薬物の血中濃度などの他の特性に影響を及ぼすことができ、したがって、副(例えば、有害)作用の発生に影響を及ぼすことができる。
ある特定の実施形態では、制御放出製剤は、所望の治療または予防作用を素早くもたらす量の薬物(活性成分)を最初に放出し、長期間にわたってこのレベルの治療または予防作用を維持する他の量の薬物を徐々にかつ継続的に放出するように設計されている。ある特定の実施形態では、一定の薬物レベルを体内で維持するために、薬物は、代謝されて体から排泄される薬物の量を補う速度で剤形から放出され得る。活性成分の制御放出は、pH、温度、酵素、水、もしくは他の生理的条件または化合物を含むが、これらに限定されない様々な条件により刺激され得る。
非経口用剤形
非経口用剤形は、皮下、静脈内(ボーラス注射を含む)、筋肉内、及び動脈内を含むが、これらに限定されない様々な経路により患者に投与され得る。ある特定の実施形態では、非経口用剤形の投与は、汚染物質に対する患者の自然の防衛機構を避け、したがって、これらの実施形態では、非経口用剤形は、減菌であるか、または患者に投与する前に減菌することができる。非経口用剤形の例としては、注射のための準備ができている溶液、注射のために薬学的に許容されるビヒクルに溶解または懸濁する準備ができている乾燥生成物、注射のための準備ができている懸濁液、及びエマルジョンが挙げられるが、これらに限定されない。
非経口用剤形を提供するために使用することができる好適にビヒクルは、当業者に周知である。例としては、注射用水(USP);塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、デキストロース注射液、デキストロース及び塩化ナトリウムの注射液、ならびに乳酸リンゲル注射液などであるが、これらに限定されない水性ビヒクル;エチルアルコール、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコールなどであるが、これらに限定されない水混和性ビヒクル;ならびにトウモロコシ油、綿実油、ピーナッツ油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、及び安息香酸ベンジルなどであるが、これらに限定されない非水性ビヒクルが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書に開示される活性成分のうちの1つ以上の溶解度を増加させる化合物も非経口用剤形に組み込まれ得る。例えば、シクロデキストリン及びその誘導体は、本明細書に提供される化合物の溶解度を増加させるために使用され得る。例えば、米国特許第5,134,127号(参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
局部及び粘膜用剤形
本明細書に提供される局部及び粘膜用剤形には、スプレー、エアロゾル、溶液、エマルジョン、懸濁液、点眼薬、もしくは他の眼科用調製物、または当業者に既知の他の形態が含まれるが、これらに限定されない。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,16th and 18th eds.,Mack Publishing,Easton PA(1980&1990)及びIntroduction to Pharmaceutical Dosage Forms,4th ed.,Lea&Febiger,Philadelphia(1985)を参照されたい。口腔内の粘膜組織を治療するのに適した剤形は、口腔洗浄剤としてまたは経口ゲルとして製剤化され得る。
本明細書に包含される局部及び粘膜用剤形を提供するために使用され得る好適な賦形剤(例えば、担体及び希釈剤)及び他の材料は、薬学分野の当業者に周知であり、所与の医薬組成物または剤形が適用される特定の組織に依存する。ある特定の実施形態では、賦形剤には、非毒性であり、薬学的に許容される溶液、エマルジョン、またはゲルを形成するための、水、アセトン、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタン−1,3−ジオール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、鉱物油、及びこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。保湿剤または湿潤剤も医薬組成物及び剤形に添加され得る。追加の成分の例は当該技術分野で周知である。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,16th and 18th eds.,Mack Publishing,Easton PA(1980&1990)を参照されたい。
医薬組成物または剤形のpHも1つ以上の活性成分の送達を改善するために調整され得る。また、溶媒担体の極性、そのイオン強度、または張度が送達を改善するために調整され得る。送達を改善するために、ステアレートなどの化合物を医薬組成物または剤形に添加して、1つ以上の活性成分の親水性または親油性を変更することもできる。他の実施形態では、ステアレートは、製剤の脂質ビヒクルとして、乳化剤もしくは界面活性剤として、または送達増強剤もしくは浸透増強剤として機能し得る。他の実施形態では、活性成分の塩、溶媒和物、プロドラッグ、クラスレート、または立体異性体を使用して、得られる組成物の特性をさらに調整することができる。
キット
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される活性成分は、同時にまたは同じ投与経路で患者に投与されない。ある特定の実施形態では、活性成分の適切な量の投与を容易にし得るキットが提供される。
ある特定の実施形態では、キットは本明細書に提供される化合物の剤形を含む。キットは、オブリメルセン(Genasense(登録商標))、メルファラン、G−CSF、GM−CSF、EPO、トポテカン、ダカルバジン、イリノテカン、タキソテール、IFN、COX−2阻害剤、ペントキシフィリン、シプロフロキサシン、デキサメタゾン、IL2、IL8、IL18、Ara−C、ビノレルビン、イソトレチノイン、13 cis−レチノイン酸、またはその薬理学的に活性な変異体もしくは誘導体、またはそれらの組み合わせなどの追加の活性成分をさらに含み得る。追加の活性成分の例としては、本明細書に提供されるものが挙げられるがこれらに限定されない。
他の実施形態では、キットは、活性成分を投与するために使用されるデバイスをさらに含み得る。そのようなデバイスの例には、シリンジ、点滴袋、パッチ、及び吸入器が挙げられるが、これらに限定されない。
キットは、移植用の細胞または血液、及び1つ以上の活性成分を投与するために使用することができる薬学的に許容されるビヒクルをさらに含み得る。例えば、活性成分が非経口投与用に再構成する必要のある固体形態で提供される場合、キットは、活性成分を溶解して非経口投与に適した粒子不含滅菌溶液を形成することができる好適なビヒクルが入った密封容器を含み得る。薬学的に許容されるビヒクルの例としては、注射用水(USP);塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、デキストロース注射液、デキストロース及び塩化ナトリウムの注射液、ならびに乳酸リンゲル注射液などであるが、これらに限定されない水性ビヒクル;エチルアルコール、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコールなどであるが、これらに限定されない水混和性ビヒクル;ならびにトウモロコシ油、綿実油、ピーナッツ油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、及び安息香酸ベンジルなどであるが、これらに限定されない非水性ビヒクルが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される場合、これらのプロセス、スキーム、及び実施例において使用される記号及び規則は、特定の略語が具体的に定義されるかにかかわらず、最近の科学文献、例えば、Journal of the American Chemical Societyまたはthe Journal of Biological Chemistryに使用されているものと一致する。具体的であるが、制限することなく、以下の略語は実施例及び本明細書を通して使用され得る:g(グラム);mg(ミリグラム);mL(ミリリットル);μL(マイクロリットル);M(モル);mM(ミリモル);μM(マイクロモル);eq.(当量);mmol(ミリモル);Hz(ヘルツ);MHz(メガヘルツ);hrまたはhrs(時間);min(分);及びMS(質量分析)。別途指定されない限り、本明細書に提供される化合物中の水含量は、カールフィッシャー(KF)法により決定される。
以下の実施例のすべてに関して、別途指定されない限り、当業者に既知の標準的な検査及び精製方法が利用され得る。別途指定されない限り、すべての温度は、℃(摂氏度)で表される。別途記載されない限り、すべての反応は室温で行われた。本明細書に図示される合成方法論は、特定の実施例の使用を通して適切な化学を例示することが意図され、本開示の範囲を示すものではない。
一般合成スキーム
一実施形態では、化合物I−S及びその重水素アイソトポログは、以下の反応スキームに従い調製することができる。
当業者であれば、対応する重水素濃縮出発材料(例えば、フェニル部分上の重水素濃縮)が使用される場合、追加のアイソトポログが調製され得ることを理解するであろう。ラセミ出発材料、中間体、または生成物は、対応するエナンチオマーを提供するために、キラル分離または他のキラル分解技法によっても分解することができる。
実施例1 化合物I−Sの調製
ステップ1:4−(4−(クロロメチル)ベンジル)モルホリン−3−オンの調製
撹拌棒を備えた250mLの3つ首丸底フラスコに、DMF(60mL)及び水素化ナトリウム(1.4g、36mmol)を入れた。混合物を0℃に冷却し、モルホリン−3−オン(3.0g、30mmol)を入れた。ガス発生が停止した後、1,4−ビス(クロロメチル)ベンゼン(6.2g、36mmol)を一度に入れた。反応混合物を20℃まで温め、20℃で19時間撹拌した。反応をHCl(1N、36mL)でクエンチし、水を添加し(24mL)、混合物を酢酸エチルで抽出した(120mL×3)。合わせた有機層を水(60mL×3)及びブライン(60mL)で洗浄した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過した。濾液を蒸発乾固させた。残渣をクロマトグラフィー(120gのシリカゲルカラム、DCM−DCM中10%MeOHで溶出、40分で勾配0〜10%)により精製して、表題化合物(1.5g、21%収率)を得た。
1H NMR(300 MHz,DMSO−d
6)δ 3.25(t,J=5.2 Hz,2H,CH
2),3.73−3.90(m,2H,CH
2),4.12(s,2H,CH
2),4.55(s,2H,CH
2),4.75(s,2H,CH
2),7.27(d,J=7.9 Hz,2H,Ar),7.42(d,J=8.1 Hz,2H,Ar)。
ステップ2:(S)−tert−ブチル5−アミノ−5−オキソ−4−(1−オキソ−4−((4−((3−オキソモルホリノ)メチル)ベンジル)オキシ)イソインドリン−2−イル)ペンタノエートの調製
撹拌棒を備えた40mLの反応バイアルに、4−(4−(クロロメチル)ベンジ−ル)モルホリン−3−オン(1.00g、4.17mmol)、(S)−tert−ブチル 5−アミノ−4−(4−ヒドロキシ−1−オキソイソインドリン−2−イル)−5−オキソペンタノエート(1.40g、4.17mmol)、炭酸カリウム(1.44g、10.43mmol)及びN,N−ジメチルホルムアミド(8.34mL)を入れた。反応混合物を45℃で18時間加熱した後、20℃に冷却した。50mLの酢酸エチル及び10mLの水を順次添加し、混合物を5分間撹拌した。有機層を分離し、水(5mL×4)、ブライン(5mL)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過した。濾液を蒸発乾固させて、発泡体様固体として表題化合物(2.2g、収率98%)を得た。この生成物を、さらに精製することなく次のステップで使用した。1H NMR(300 MHz,DMSO−d6)δ 1.32(s,9H,CH3),1.94−2.23(m,4H,CH2,CH2),3.23−3.30(m,2H,CH2),3.82(t,J=5.1 Hz,2H,CH2),4.12(s,2H,CH2),4.34−4.60(m,4H,CH2,CH2),4.71(dd,J=4.1,10.1 Hz,1H,CH),5.23(s,2H,CH2),7.18(br.s.,1H,NH),7.30(dd,J=1.9,7.9 Hz,4H,Ar),7.40−7.52(m,3H,Ar),7.56(br.s.,1H,NH)。
ステップ3:(S)−3−(1−オキソ−4−((4−((3−オキソモルホリノ)メチル)ベンジル)オキシ)イソインドリン−2−イル)ピペリジン−2,6−ジオン(化合物I−S)の調製
撹拌棒及び蒸留装置を備えた50mLのジャケットフラスコに、アセトニトリル(30mL)中の(S)−tert−ブチル 5−アミノ−5−オキソ−4−(1−オキソ−4−(4−((3−オキソモルホリノ)メチル)ベンジルオキシ)イソインドリン−2−イル)ペンタノエート(1g、1.860mmol)及びベンゼンスルホン酸(0.088g、0.558mmol)を入れた。ジャケットを92℃に加熱し、混合物を窒素掃気下で蒸留した。10mLのアセトニトリルを蒸留した後、追加のアセトニトリルを入れて、20倍(体積)の一定の体積を維持した。エンドポイントに達するまで(生成物に対して非環状中間体NMT2%)、反応をHPLCにより監視した。反応混合物を10倍に蒸留した後、一晩20℃に冷却した。沈殿物を濾過し、ケーキをアセトニトリル(5mL×2)で洗浄して、オフホワイト色の固体として粗生成物を得た。2つのバッチを行い、正味1.1gの生成物を得、平均収率は64%であった。バッチ1、0.51g、収率59%;バッチ2、0.59g、収率69%。1H NMR (300 MHz,DMSO−d6)δ 1.92−2.06(m,1H,CHH),2.43(d,J=4.3 Hz,1H,CHH),2.55−2.68(m,1H,CHH),2.80−3.04(m,1H,CHH),3.26(t,J=5.1 Hz,2H,CH2),3.81(t,J=5.1 Hz,2H,CH2),4.11(s,2H,CH2),4.19−4.48(m,2H,CH2),4.55(s,2H,CH2),5.11(dd,J=5.0,13.1 Hz,1H,CH),5.24(s,2H,CH2),7.31(dd,J=7.9,11.1 Hz,4H,ArH),7.42−7.54(m,3H,ArH),10.97(s,1H,NH)。
撹拌棒を備えたヨーロッパ型の50mLのジャケットフラスコに、粗生成物(1.1g、2.37mmol)及びアセトニトリル(11mL、10×)を入れた。混合物を30分間還流に加熱し、混濁した混合物を2時間20℃に冷却した後、20℃で1時間撹拌した。固体を濾過し、アセトニトリル(3×5mL)で洗浄し、40℃の真空下で一晩乾燥させて、白色の固体として87%の収率で0.96gの表題化合物を得た。元素分析:計算値:C25H25N3O6+0.8 H2O C 62.83;H 5.61;N 8.79;実測値:C 62.90;H 5.56:N 8.89。KF 4.95%.1H NMR(300 MHz,DMSO−d6)δ 1.92−2.06(m,1H,CHH),2.43(d,J=4.3 Hz,1H,CHH),2.55−2.68(m,1H,CHH),2.80−3.04(m,1H,CHH),3.26(t,J=5.1 Hz,2H,CH2),3.81(t,J=5.1 Hz,2H,CH2),4.11(s,2H,CH2),4.19−4.48(m,2H,CH2),4.55(s,2H,CH2),5.11(dd,J=5.0,13.1 Hz,1H,CH),5.24(s,2H,CH2),7.31(dd,J=7.9,11.1 Hz,4H,ArH),7.42−7.54(m,3H,ArH),10.97(s,1H,NH)。13C NMR(75 MHz,DMSO−d6):δ 22.36,31.20,45.09,45.59,48.25,51.59,63.21,67.40,69.31,114.98,115.26,127.83,128.02,129.82,129.97,133.32,135.67,136.66,153.47,166.07,167.99,170.96,172.82。
実施例2
ナトリウムの小片を、i−PrOH(100mL)中の2−アミノ(
2H
4)エタン−1−オール(0.10mol)の溶液に添加する。混合物を50℃で加熱した後、氷水浴中で冷却する。クロロ酢酸エチル(0.09mol)を0℃で添加する。混合物を80℃で加熱する。生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製して、(5,5,6,6−
2H
4)モルホリン−3−オンを得る。
実施例3
ナトリウムの小片を、i−PrOH(100mL)中の2−アミノ(2,2−
2H
2)エタン−1−オール(0.10mol)の溶液に添加する。混合物を50℃で加熱した後、氷水浴中で冷却する。クロロ酢酸エチル(0.09mol)を0℃で添加する。混合物を80℃で加熱する。生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製して、(5,5−
2H
2)モルホリン−3−オンを得る。
実施例4
ナトリウムの小片を、i−PrOH(100mL)中の2−アミノ(1,1−
2H
2)エタン−1−オール(0.10mol)の溶液に添加する。混合物を50℃で加熱した後、氷水浴中で冷却する。クロロ酢酸エチル(0.09mol)を0℃で添加する。混合物を80℃で加熱する。生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製して、(6,6−
2H
2)モルホリン−3−オンを得る。
実施例5
ナトリウムの小片を、i−PrOH(100mL)中のエタノールアミン(0.10mol)の溶液に添加する。混合物を50℃で加熱した後、氷水浴中で冷却する。クロロ(
2H
2)酢酸エチル(0.09mol)(Stack et al.,Journal of the American Chemical Society,112(7),1990,2716−29)を0℃で添加する。混合物を80℃で加熱する。生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製して、(2,2−
2H
2)モルホリン−3−オンを得る。
実施例6
DMF(60mL)中の水素化ナトリウム(36mmol)の混合物を0℃に冷却する。この溶液に5,5,6,6−d
4−モルホリン−3−オン(30mmol)を入れる。1,4−ビス(クロロメチル)ベンゼン(36mmol)を入れる。反応混合物を20℃に温め、20℃で撹拌する。反応をHCl(1N、36mL)及び水(24mL)でクエンチする。混合物を酢酸エチル(120mL×3)で抽出する。合わせた有機層を水(60mL×3)及びブライン(60mL)で洗浄する。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過する。濾液を蒸発乾固させる。残渣をクロマトグラフィー(120gのシリカゲルカラム)により精製して、5,5,6,6−d
4−4−((4−(クロロメチル−d
2)フェニル)メチル−d
2)−モルホリン−3−オンを得る。
実施例7
DMF(60mL)中の水素化ナトリウム(36mmol)の混合物を0℃に冷却する。この溶液にモルホリン−3−オン(30mmol)を入れる。1,4−ビス[クロロ(
2H
2)メチル]ベンゼン(36mmol)(Holland et al.,Journal of the Chemical Society,Perkin Transactions 2:Physical Organic Chemistry,10,1990,1651−5)を混合物に入れる。反応混合物を20℃に温め、20℃で撹拌する。反応をHCl(1N、36mL)及び水(24mL)でクエンチする。混合物を酢酸エチルで抽出する。合わせた有機層を水及びブラインで洗浄する。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過する。濾液を蒸発乾固させる。残渣をクロマトグラフィーで精製して、4−[{4−[クロロ(
2H
2)メチル]フェニル}(
2H
2)メチル]モルホリン−3−オンを得る。
実施例8
DMF(60mL)中の水素化ナトリウム(36mmol)の混合物を0℃に冷却する。この溶液に(5,5,6,6−
2H
4)モルホリン−3−オン(30mmol)を入れる。1,4−ビス[クロロ(
2H
2)メチル]ベンゼン(36mmol)(Holland et al.,Journal of the Chemical Society,Perkin Transactions 2:Physical Organic Chemistry,10,1990,1651−5)を混合物に入れる。反応混合物を20℃に温め、20℃で撹拌する。反応をHCl(1N、36mL)及び水(24mL)でクエンチする。混合物を酢酸エチルで抽出する。合わせた有機層を水及びブラインで洗浄する。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過する。濾液を蒸発乾固させる。残渣をクロマトグラフィーで精製して、4−[{4−[クロロ(
2H
2)メチル]フェニル}(
2H
2)メチル](5,5,6,6−
2H
4)モルホリン−3−オンを得る。
実施例9
以下の類似体を実施例6〜8の方法を使用して調製する。
実施例10
4−[{4−[クロロ(
2H
2)メチル]フェニル}(
2H
2)メチル](5,5,6,6−
2H
4)モルホリン−3−オン(1.00g)、tert−ブチル(4S)−5−アミノ−4−(4−ヒドロキシ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)−5−オキソペンタノエート(1.40g)、炭酸カリウム(1.44g)、及びN,N−ジメチルホルムアミドの溶液を45℃で18時間加熱した後、20℃に冷却する。酢酸エチル及び水を添加する。有機層を、水、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過する。濾液を蒸発乾固させ、クロマトグラフィーにより精製して、tert−ブチル(4S)−5−アミノ−5−オキソ−4−(1−オキソ−4−{[(4−{[3−オキソ(5,5,6,6−
2H
4)モルホリン−4−イル](
2H
2)メチル}フェニル)(
2H
2)メチル]オキシ}−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)ペンタノエートを得る。
実施例11
4−[{4−[クロロ(
2H
2)メチル]フェニル}(
2H
2)メチル](5,5,6,6−
2H
4)モルホリン−3−オン(1.00g)、tert−ブチル(4S)−5−アミノ−4−(4−ヒドロキシ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)−5−オキソ(4−
2H)ペンタノエート(1.40g)、炭酸カリウム(1.44g)、及びN,N−ジメチルホルムアミドの溶液を45℃で18時間加熱した後、20℃に冷却する。酢酸エチル及び水を添加する。有機層を、水、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過する。濾液を蒸発乾固させ、クロマトグラフィーにより精製して、tert−ブチル(4S)−5−アミノ−5−オキソ−4−(1−オキソ−4−{[(4−{[3−オキソ(5,5,6,6−
2H
4)モルホリン−4−イル](
2H
2)メチル}フェニル)(
2H
2)メチル]オキシ}−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)(4−
2H)ペンタノエートを得る。
実施例12
アセトニトリル(30mL)中のtert−ブチル(4S)−5−アミノ−5−オキソ−4−(1−オキソ−4−{[(4−{[3−オキソ(5,5,6,6−
2H
4)モルホリン−4−イル](
2H
2)メチル}フェニル)(
2H
2)メチル]オキシ}−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)ペンタノエート(1.860mmol)及びベンゼンスルホン酸(0.558mmol)の混合物を92℃に加熱する。混合物を窒素掃気下で蒸留する。追加のアセトニトリルを入れて、20倍(体積)の一定の体積を維持する。反応混合物を20℃に冷却する。残渣をクロマトグラフィー(シリカゲルカラム)により精製して、(3S)−3−(1−オキソ−4−{[(4−{[3−オキソ(5,5,6,6−
2H
4)モルホリン−4−イル](
2H
2)メチル}フェニル)(
2H
2)メチル]オキシ}−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)ピペリジン−2,6−ジオンを得る。
実施例13
アセトニトリル(30mL)中のtert−ブチル(4S)−5−アミノ−5−オキソ−4−(1−オキソ−4−{[(4−{[3−オキソ(5,5,6,6−
2H
4)モルホリン−4−イル](
2H
2)メチル}フェニル)(
2H
2)メチル]オキシ}−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)(4−
2H)ペンタノエート(1.860mmol)及びベンゼンスルホン酸(0.558mmol)の混合物を92℃に加熱する。混合物を窒素掃気下で蒸留する。追加のアセトニトリルを入れて、20倍(体積)の一定の体積を維持する。反応混合物を20℃に冷却する。残渣をクロマトグラフィー(シリカゲルカラム)により精製して、(3S)−3−(1−オキソ−4−{[(4−{[3−オキソ(5,5,6,6−
2H
4)モルホリン−4−イル](
2H
2)メチル}フェニル)(
2H
2)メチル]オキシ}−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)(3−
2H)ピペリジン−2,6−ジオンを得る。
実施例14 アッセイ
hPMBCにおけるTNFα阻害アッセイ
正常なドナーからのヒト末梢血単核細胞(hPBMC)は、Ficoll Hypaque(Pharmacia,Piscataway,NJ,USA)密度遠心分離により得られる。細胞は、10%AB+ヒト血清(Gemini Bio−products,Woodland,CA,USA)、2mM L−グルタミン、100U/mlのペニシリン、及び100μg/mlのストレプトマイシン(Life Technologies)で補充されたRPMI1640(Life Technologies,Grand Island,NY,USA)中で培養される。
PBMC(2×105細胞)は、3つ組で96ウェル平底Costar組織培養プレート(Corning,NY,USA)において平板培養される。細胞を、化合物の不在下または存在下で、1ng/ml最終で、LPS(Salmonella abortus equiから、Sigmaカタログ番号L−1887,St.Louis,MO,USA)で刺激する。本明細書に提供される化合物をDMSO(Sigma)に溶解し、使用直前に培養培地中でさらなる希釈を行う。すべてのアッセイにおける最終DMSO濃度は約0.25%であり得る。化合物は、LPS刺激の1時間前に細胞に添加される。次いで、細胞を、37℃で、5%CO2中で18〜20時間インキュベートし、次いで、上清を収集し、培養培地で希釈し、ELISA(Endogen,Boston,MA,USA)によりTNFαレベルについてアッセイする。IC50を、上限100%及び下限0%に制限し、可変勾配を可能にする(GraphPad Prism v3.02)、非線形回帰のシグモイド用量応答を使用して計算する。
T細胞によるIL−2及びMIP−3αの産生
10cmの組織培養皿あたり1×108PBMCを、37℃、5%CO2インキュベータ中に30〜60分間、10mlの完全培地(10%熱不活性化牛胎児血清、2mM L−グルタミン、100U/mlのペニシリン、及び100μg/mlのストレプトマイシンで補充したRPMI1640)に設置することにより、PBMCは接着単球が枯渇される。皿を培地ですすぎ、すべての非接着PBMCを除去する。1×108非接着PBMC毎に以下の抗体(Pharmingen)及びDynabead(Dynal)混合物を使用して、T細胞を負の選択により精製する:0.3mlのヒツジ抗マウスIgGビーズ、15μlの抗CD16、15μlの抗CD33、15μlの抗−CD56、0.23mlの抗CD19ビーズ、0.23mlの抗HLAクラスIIビーズ、及び56μlの抗CD14ビーズ。細胞及びビーズ/抗体混合物を、4℃で30〜60分間、反転回転させる。精製したT細胞をDynalマグネットを使用してビーズから取り除く。典型的な収率は、フローサイトメトリーにより約50%のT細胞、87〜95%のCD3+である。
組織培養96ウェル平底プレートを、PBS中5μg/ml、ウェルあたり100μlで、抗CD3抗体OKT3で被覆し、37℃で3〜6時間インキュベートし、次いで、T細胞が添加される直前に完全培地100μl/ウェルで4回洗浄する。化合物を丸底組織培養96ウェルプレートで最終の20倍に希釈する。最終濃度は約10μM〜約0.00064μMである。本明細書に提供される化合物の10mMストックを、2%DMSO中200μMの最初の20倍希釈に完全に1:50希釈し、2%DMSO中に1:5に系列希釈する。化合物を200μlの培養物あたり10μlで添加して、0.1%の最終DMSO濃度を得る。培養物を37℃、5%CO2で2〜3日間インキュベートし、上清をELISA(R&D Systems)によりIL−2及びMIP−3αについて分析する。IL−2及びMIP−3αレベルを、ある量の本明細書に提供される化合物の存在下で産生された量に正規化し、EC50を、上限100%及び下限0%に制限し、可変勾配を可能にする(GraphPad Prism v3.02)、非線形回帰のシグモイド用量応答を使用して計算する。
細胞増殖アッセイ
細胞株(例えば、Namalwa,MUTZ−5,UT−7及び様々なNHL細胞株)は、Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH(Braunschweig,Germany)から得る。細胞株KG−1は、American Type Culture Collection(Manassas,VA,USA)から得る。3H−チミジン組み込みにより示される細胞増殖は、以下のようにすべての細胞株において測定される。
細胞を、培地において、ウェルあたり6000細胞で96ウェルプレートにおいて平板培養する。5%CO2の湿潤インキュベータにおいて、37℃で72時間、3つ組で、約0.25%DMSOの最終濃度で約100、10、1、0.1、0.01、0.001、0.0001、及び0μMの化合物で細胞を前処理する。次いで、1マイクロキューリーの3H−チミジン(Amersham)を各ウェルに添加し、5%CO2の湿潤インキュベータにおいて、37℃で6時間、細胞を再度インキュベートする。セルハーベスター(Tomtec)を使用して細胞をUniFilter GF/Cフィルタプレート(Perkin Elmer)上に採取し、プレートを一晩乾燥させる。Microscint 20(Packard)(25μl/ウェル)を添加し、プレートをTopCount NXT(Packard)において分析する。各ウェルを1分間計数する。細胞増殖の阻害パーセントは、すべての3つ組を平均化し、DMSO対照(0%阻害)に正規化することによって計算される。各化合物を、3つの別個の実験において、各細胞株において試験する。最終IC50を、上限100%及び下限0%に制限し、可変勾配を可能にする、非線形回帰のシグモイド用量応答を使用して計算する。(GraphPad Prism v3.02)。
免疫沈降及び免疫ブロット
細胞(例えば、様々なNHL細胞株)を、DMSOまたはある量の本明細書に提供される化合物で1時間処理した後、10U/mlのEpo(R&D Systems)で30分間刺激する。細胞溶解液を調製し、Epo受容体Abで免疫沈降させるか、またはSDS−PAGEにより直ちに分離するかのいずれかである。免疫ブロットを、Akt、ホスホ−Akt(Ser473またはThr308)、ホスホ−Gab1(Y627)、Gab1、IRS2、アクチン、及びIRF−1Abでプローブし、ImageQuantソフトウェア(Molecular Dynamics)を使用して、Storm860 Imagerで分析する。
細胞周期分析
細胞をDMSOまたはある量の本明細書に提供される化合物で一晩処理する。細胞周期のためのヨウ化プロピジウム染色は、製造業者のプロトコルに従い、CycleTEST PLUS(Becton Dickinson)を使用して行われる。染色後、細胞を、ModFit LTソフトウェア(Becton Dickinson)を使用して、FACSCaliburフローサイトメトリーにより分析する。
アポトーシス分析
細胞を、様々の時間点でDMSOまたはある量の本明細書に提供される化合物で処理した後、アネキシン−V洗浄緩衝液(BD Biosciences)で洗浄する。細胞をアネキシン−V結合タンパク質及びヨウ化プロピジウム(BD Biosciences)と共に10分間インキュベートする。試料を、フローサイトメトリーを使用して分析する。
ルシフェラーゼアッセイ
Namalwa細胞を、製造業者の指示書に従い、1×106細胞あたり4μgのAP1−ルシフェラーゼ(Stratagene)、及び3μlのリポフェクタミン2000(Invitrogen)試薬でトランスフェクトする。トランスフェクトの6時間後、細胞をDMSOまたはある量の本明細書に提供される化合物で処理する。ルシフェラーゼ活性を、シフェラーゼ溶解緩衝液及び基質(Promega)を使用してアッセイし、ルミノメーター(Turner Designs)を使用して測定する。
実施例15
インビトロヒトB細胞分化培養系を使用して、化合物I−Sの、形質細胞分化及び免疫グロブリン産生を制御する転写因子の発現に対する作用を、以下の手順に従い検証した。
ヒト末梢血単核細胞の精製
25ミリリットルのヒトバフィーコートを、2つの50mLの円錐管のそれぞれに入れ、25mLの減菌Hank緩衝生理食塩水液(HBSS)を各円錐管に添加した。管を反転により穏やかに混合した。15ミリリットルの室温のFicoll−Paque Plus(GE Healthcare;カタログ番号17−1440−02)を4つの50mLの円錐管のそれぞれに入れた。次いで、25mLのバフィーコート/HBSS混合物を穏やかかつゆっくりFicollの頂部に重ねた。試料を450rpmで35分間遠心分離した。単核細胞を含有する界面を2つの50mLの円錐管に移し、各円錐管の体積を、HBSSを使用して合計50mLに調整した。管を1200rpmで10分間遠心分離した。細胞を、5mLの赤血球溶解緩衝液(Boston Bioproductsカタログ番号IBB−197)と共に5分間インキュベートした。細胞をHBSS中で再度洗浄し、1000rpmで10分間回転させた。細胞ペレットを20mLのB細胞培地(Iscoveの改変Dulbecco培地+10%プレミアム牛胎児血清[PFBS]、1%ペニシリン/ストレプトマイシン[P/S]、及び5μg/mLのヒトインスリン)に再懸濁し、30ミクロンフィルタを通してピペット操作し、細胞計数器を使用してアリコートを計数した。
CD19+細胞のためのB細胞濃縮
精製したPBMC(2×108細胞)のアリコートを管に設置し、1200rpmで5分間遠心分離した後、上清を廃棄した。各管の細胞を、4mLのRobosep Buffer(StemCell Technologiesカタログ番号20104)に再懸濁し、14mLのポリスチレン丸底管(BDカタログ番号352057)に移し、十分に混合した。次いで、200μLのEasySep Human B細胞濃縮カクテル(StemCell Technologiesカタログ番号19054)を各管に添加した。試料をボルテックスにかけ、室温で10分間インキュベートした。次に、300μLのEasySep磁性粒子(ボルテックスした)(StemCell Technologiesカタログ番号19054)を各管に添加した。試料をボルテックスにかけ、室温で5分間インキュベートした。5分のインキュベーション後、5mLのRobosep緩衝液を各管に添加し、細胞懸濁液を、上下にピペット操作することにより十分に混合した。各管を直ちに銀のマグネット(StemCell Technologiesカタログ番号18001)に設置し、室温で5分間インキュベートした。インキュベーション後、1回の連続動作を用いて、マグネット及び管を反転させ、各管から所望の画分を50mLの円錐管の中に注いだ。単一ドナーからの濃縮したPBMC試料を合わせた。合わせた画分を1200rpmで5分間遠心分離した後、上清を廃棄した。濃縮したCD19+細胞を5mLのB細胞培地に再懸濁し、細胞計数器で計数した。
B細胞分化アッセイ
ステップ1−B細胞活性化−0日目〜4日目:新しいB細胞カクテルを、50μg/mLのヒトトランスフェリンをB細胞培地(10%PFBS、1%P/S、及び5μg/mLのヒトインスリンを有するIscove培地)に添加することにより調製した。実験に必要な必要体積の培地を、0.22ミクロンフィルタを通して濾過した。B細胞分化カクテル(最終濃度):組換えヒトインターロイキン(IL)−2(20U/mL)、IL−10(50ng/mL)、IL−15(10ng/mL)、CD40リガンド/TNFSF5/ヒスチジンタグ(50ng/mL)、ポリヒスチジンマウスIgG1抗体(5μg/mL)、及びODN2006−Human TLR9リガンド(10μg/mL)を細胞に添加する。5ミリリットル(1×105/mL)のCD19+B細胞を、6ウェル平底プレート(最終細胞数=5×105/ウェル)の各ウェルに添加した。5マイクロリットルの化合物またはDMSOの1倍溶液を各試験ウェル(0.1%最終濃度のDMSO)に添加し、37℃で4日間インキュベートした。
ステップ2−形質芽球生成−4日目〜7日目:細胞を採取し、細胞計数器で計数し、フロー分析のためにアリコートを取り出し、残りの細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄した。新しいB細胞カクテルを、1μg/mlのヒトトランスフェリンをB細胞培地(10%PFBS、1%P/S、及び5μg/mLのヒトインスリンを有するIscove培地)に添加することにより調製した。実験に必要な必要体積の培地を、0.22ミクロンフィルタを通して濾過した。組換えヒトIL−2(20U/mL)、IL−10(50ng/mL)、IL−15(10ng/mL)、及びIL−6(50ng/mL)からなるB細胞分化カクテル(最終濃度)を細胞に添加した。新しいB細胞カクテルを細胞に添加した。細胞を元のウェルに戻し、体積を5mLに調整した。5マイクロリットルの化合物またはDMSOの1倍溶液を各試験ウェル(0.1%最終DMSO)に添加し、37℃で3日間インキュベートした。
4日目及び7日目に、細胞を採取し、細胞計数器で計数した。次いで、細胞の一部をフロー分析のために取り出し、残りの細胞をRLT緩衝液で溶解し、RNA抽出及び遺伝子発現のために−80℃で保管した。上清をアリコートに分け、免疫グロブリンアッセイのために−20℃で凍結させた。
試験化合物ストック溶液及び希釈液の調製
すべての試験物質を量り、減菌100%ジメチルスルホキシド(DMSO)(Research Organics,Cleveland,OH)に溶解して40mMのストック溶液を作製した。実験設計に基づいて40mMストック溶液の希釈物をアッセイにおいて使用して最終試験化合物濃度を得た。
リボ核酸の抽出及び遺伝子発現
QIAGEN RNeasyミニスピン−カラムキット(カタログ番号74104)を使用して、全リボ核酸(RNA)調製のためにQiacube RNA抽出機器(Qiagen,Valencia,CA)で、分化したB細胞(上記のB細胞分化アッセイを参照されたい)を採取した。逆トランスクリプターゼキット(Applied Biosystems)を使用して、精製したRNAをサーマルサイクラー(MJ Research,Inc.,St.Bruno,Quebec,Canada)でcDNAに逆転写した。遺伝子発現アッセイを、3つ組で、7500リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)システム(Applied Biosystems)を使用して行った。グリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子発現アッセイ対照を各試料に対して実行し、正規化対照として使用した。各遺伝子に関して、各実験内の試料の値は、その特定の時間点に関して対応する0.1%DMSO処理値に正規化された。
免疫グロブリンアッセイ
上清(上記のB細胞分化アッセイを参照されたい)を採取し、IgG及びIgM産生についてELISAにより分析した(ZeptoMetrix Corp,Buffalo,NY)。
細胞表現型
分化したB細胞(上記のB細胞分化アッセイを参照されたい)を採取し、計数し、4mLの管あたり約1×106細胞以下のアリコートに分けた。細胞を染色緩衝液で1回洗浄した。次に、細胞を、次いで10%ヒト血清/PBSで、2〜8℃で20分間遮断した。遮断後、細胞を1200rpmで5分間遠心分離し、上清を廃棄した。実験設計に従い、100μLの残りの緩衝液に20μLの様々なBD Pharmigenフロー抗体を添加した。細胞を20〜30分間室温で染色した。次いで、細胞を染色緩衝液で2回洗浄し、上清を廃棄した。次に、500μLの染色緩衝液またはPBSを管に添加した。試料を直ちに分析するか、または4℃で一晩保管した。細胞をマウス抗ヒトCD20及びCD38、CD19、及びCD27、またはそれぞれのアイソタイプ対照抗体で染色した。すべての試料を、蛍光活性化細胞選別FACSCantoフローサイトメーター、FACSDiva分析ソフトウェア(BD Bioscience)、及びFlowJo Analysisソフトウェアを使用して分析した。
細胞生存率アッセイ
生細胞数を決定するために、B細胞(上記のB細胞分化アッセイを参照されたい)を0.4%トリパンブルー(Gibcoカタログ番号15250)で染色し、2つ組の試料で、Countess自動細胞計数器(Invitrogen)を使用して生細胞を計数した。
結果
形質細胞系統への一次ヒトB細胞分化のインビトロモデルにおいて、化合物I−Sは用量依存的にCD20−CD38+形質芽球(PB)の割合を低減し、CD20+CD38−活性化B細胞(ABC)の割合を増加させた(図1)。細胞計数(図2)は、4日目及び7日目に行われ、化合物I−Sは7日間の培養中にB細胞の生存率を低減することが分かった。遺伝子発現分析を分化したB細胞を用いて7日目に行った(図3)。化合物I−Sは、用量依存的かつ顕著に形質細胞系統転写因子IgJ、IRF−4、BLIMP−1、OBF−1、及びXBP−1の発現を阻害した。化合物I−Sは、胚中心系統B細胞転写因子BCL−6の発現を減少させなかった。化合物I−Sは、形質芽球分化中にIgM及びIgGの産生を顕著に阻害した(図4及び図5)。
BCL6=B細胞CLL/リンパ腫6胚中心系統転写因子;BLIMP−1=Bリンパ球誘導性成熟タンパク質1プラマ細胞系統転写因子;IgJ=免疫グロブリンJ鎖遺伝子;IRF−4=インターフェロン調節因子4形質細胞系統転写因子;OBF−1(POU2AF1)=POUクラス2関連因子1;XBP−1=X−box結合タンパク質1形質細胞系統転写因子。
これらの知見は、化合物I−Sが形質細胞系統へのB細胞分化を阻害する可能性を有することを示し、化合物I−Sが自己抗体の過剰産生を特徴とするSLEなどの自己免疫障害の治療に有用であり得ることを示唆する。
上記の実施形態は、単に例示であることが意図され、当業者であれば、単なる日常的な実験を使用して、特定の化合物、材料、及び手順の多くの等価物を認識するか、または確認することができるであろう。すべてのそのような等価物は、特許請求される主題の範囲内にあると考えられ、添付の特許請求の範囲によって包含される。
本明細書で言及される特許、特許出願、及び刊行物はすべて、それらの全体が本明細書に組み込まれる。本出願におけるいずれの参考文献の引用または特定は、そのような参考文献が特許請求される主題の先行技術として利用可能であることを承認するものではない。