JP2020503002A - 乳清タンパク質ミセルを含む乳清タンパク質とカゼイン供給源とによる、熱滅菌した高タンパク質でスプーン切れのよい栄養組成物 - Google Patents

乳清タンパク質ミセルを含む乳清タンパク質とカゼイン供給源とによる、熱滅菌した高タンパク質でスプーン切れのよい栄養組成物 Download PDF

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Abstract

本発明は、熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物であって、組成物の12〜20重量%の量でタンパク質供給源を含み、タンパク質供給源が、乳清タンパク質ミセルを含有する乳清タンパク質とカゼイン供給源とからなり、栄養組成物が、100s−1の剪断速度で測定して20℃にて400〜4000mPa.sの粘度を有する液体又は半液体の組成物である、栄養組成物に関する。本発明の熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物は、好ましくは、組成物の1.2〜2.4重量%のシステイン含有量を有する。【選択図】 なし

Description

本発明は、熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物であって、組成物の12〜20重量%の量でタンパク質供給源を含み、タンパク質供給源が、乳清タンパク質ミセルを含有する乳清タンパク質とカゼイン供給源とからなり、栄養組成物が、100s−1の剪断速度で測定して20℃にて400〜4000mPa.sの粘度を有する液体又は半液体の組成物である、栄養組成物に関する。本発明の熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物は、好ましくは、組成物の1.2〜2.4重量%のシステイン含有量を有する。本発明は更にまた、熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物の調製プロセスであって、組成物が、組成物の重量に基づいて12〜20重量%の量でタンパク質を含み、上記タンパク質が乳清タンパク質ミセルを含有する乳清タンパク質とカゼインとからなり、プロセスが、(i)乳清タンパク質ミセルを含有する乳清タンパク質からなる、タンパク質供給源の水溶液を準備するステップと、(ii)カゼインを含有するタンパク質供給源を添加するステップと、(iii)任意選択的に均質化処理を実施するステップと、(iv)間接UHT熱処理ステップを実施するステップと、(v)任意選択的に均質化処理ステップを実施するステップと、を含み、ステップ(i)〜(v)の後で、100s−1の剪断速度で測定して20℃にて400〜4000mPa.sの粘度を有する、熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物を得る、プロセスに関する。
最後に、本発明は、スプーン切れのよい栄養組成物を調製するための、及び/又は液体若しくは半液体のスプーン切れのよい栄養組成物の粘度を調整するための、乳清タンパク質ミセルを含有する乳清タンパク質とカゼイン供給源とからなる、タンパク質供給源の使用に関し、当該スプーン切れの良い栄養組成物は、12〜20重量%の総タンパク質を含む。本発明はまた、本発明の熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物を適用又は使用する、医療用途及び処置にも関する。
多くの場合、高タンパク質含有量を含有するスプーン切れのよい栄養組成物が得られると有利である。これは、例えば、高齢者は、製品を摂取する能力が次第に低下する場合があるためである。一方、運動中のスポーツマン若しくはスポーツウーマンは、栄養が必要な場合があるが、この栄養を摂取するのにかかる時間により、彼らのパフォーマンスが妨げられてはならない。
しかし、栄養になる液体又は半液体でスプーン切れのよい栄養組成物中のカロリー及び/又はタンパク質濃度を増加させるとき、これより、製品全体の粘度が上昇し、安定性が低下し(例えば、プロセス中又は貯蔵時にゲル化又は沈殿をもたらす)、また、組成物の食味にも不利な効果を有する。
タンパク質を含有する栄養製品の粘度を低下させる1つの方法は、かかる製品中のタンパク質供給源を加水分解すること、又は加水分解されたタンパク質供給源をかかる製品の調製に用いることである。しかし、このような方法は粘度を低減できるが、一般に、加水分解の結果として苦味のある製品が提供されるという不利益を被る。更にまた、これらの製品の構造を調節し、滑らかでスプーン切れのよい食感を得るために、デンプン及び/又はカラギーナンなどの他の親水コロイドなどの更なる成分も必要とされる。
従来のタンパク質加水分解プロセスは、製品を加熱ユニットへと移動させることによる加水分解時間後の酵素不活性化を含む、単純なバッチプロセスなどのバッチプロセスに基づく。工業規模のバッチプロセスでは、多くの場合、かなりの時間(典型的には、少なくとも1〜3時間)が必要である。更にまた、このようなプロセスは、タンパク質供給源の加水分解度に関してほとんど制御することができないため、結果として、実質的に苦味のある製品を提供する。このようなバッチプロセスの一例は、例えば、国際公開第2012/042013(A1)号に記載されている。
これらのプロセスにおいて、多くの要因が加水分解プロセスに影響するので、これらのプロセスの制御が難しくなり、苦味が強いか又は過度に粘稠であるため不適切であるかのいずれかである製品が得られるリスクが高くなる。
タンパク質を含有する栄養製品の粘度を低下させる別の方法には、それぞれ欧州特許第2230940(B1)号及び国際公開第2015/156672号に記載されているように、カゼインミセル又は架橋カゼインミセルを含むというものがあるが、どちらも本発明のように乳清タンパク質ミセルを利用するものではない。架橋によるカゼインミセルの変性が必要ということは、このような製品が「自然食品(all natural)」ではないとみなされる場合があり、この点が消費者にとって短所として見られる場合があることを意味する。また、この方法では、カゼインミセル又は架橋カゼインミセルによって得られる、苦味のある製品を完全に防げない。
最後に、乳清タンパク質は、必須アミノ酸(AA)(45%)の優れた供給源である。カゼイン(0.25gのシステイン/100gのタンパク質を含有)と比較して、スイート乳清タンパク質は7倍のシステインを含有し、酸乳清は10倍のシステインを含有する。システインは、グルタチオン(GSH)合成における律速アミノ酸である。グルタチオンは、ストレスを受けた際の体の防御において第一に重要な機能を有する、グルタミン酸システイン、及びグリシンでできているトリペプチドである。これらのアミノ酸は、ストレスを受けた際及び高齢者において必要性が増し得る。また、乳清タンパク質によるグルタチオン経口補給によって、HIV感染患者の血漿GSHレベルが増加することが示されている。
乳清タンパク質によりもたらされる他の健康上の利点としては、筋肉の発達及び構築の強化、並びに小児、成人、又は高齢者の筋肉維持、免疫機能の強化、認知機能の向上、糖尿病患者に適した血糖の調節、体重管理及び満腹感、抗炎症効果、創傷治癒及び皮膚修復、血圧の低下などが挙げられる。
乳清タンパク質は、例えば、カゼイン(PER=100)と比較して、より良好なタンパク質効率比(PER=118)を有する。PERは、このようなタンパク質が体重増加をいかに良好に支持するかを判定することにより評価されるタンパク質の品質の評価基準である。これは次の式によって算出できる:
PER=体重増加(g)/タンパク質摂取量(g)。
したがって、この問題点を背景とする本発明は、上記を考慮し、スプーン切れがよく、苦い味が少ない、又は好ましくは苦味がない、高タンパク質含有量を有する栄養組成物を提供するものである。更にまた、このようなスプーン切れのよい栄養組成物は、好ましくは、中程度の粘度を有するものとし、ゲルが非常に硬く、ひいては非常に粘度の高い従来技術の組成物に関する不利益に悩まされない。加えて、このようなスプーン切れのよい栄養組成物は、必須アミノ酸(AA)、特にシステインに富むものとする。最後に、本発明は、このようなスプーン切れのよい栄養組成物の調製が可能になるプロセスを提供することの、問題点に取り組む。
本発明者らは、驚くべきことに、乳清タンパク質とカゼインとからなるタンパク質供給源を用いることにより、好ましくは乳清タンパク質ミセルを含有する乳清タンパク質によって、苦い味がない、スプーン切れのよい組成物の調製が可能になることを見出した。更にまた、上記組成物は、組成物の、8〜20重量%、好ましくは10〜20重量%、より好ましくは12〜20重量%の高タンパク質含有量を有することができ、かつスプーン切れのよい組成物である。
本明細書で使用するとき、用語「粘度」は、流体が流動する際のとろみ又は抵抗の尺度を指す。本明細書に記載される「スプーン切れのよい」粘度を有する組成物は、ヨーグルトのような食感を有し、スプーン切れがよく、ゆっくりと流動し、又は流動することができないが、それでもなお、弱い粘稠度か又は最大限でゼリーのような粘稠度をもたらす。本発明の目的のために、このような粘度はまた、純粋な液体の組成物が非常に低い粘度を有すること、又は「硬質」組成物が非常に高い粘度を有することと比較して、「中程度の」粘度とも記載される。したがって、本発明に好適な粘性物としては、液体及び半液体の組成物、好ましくは以下に更に詳細に概説される粘度値を有する液体及び半液体の組成物が挙げられる。
したがって、本発明によると、背景にある問題点は、好ましくは、独立請求項に記載される熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物、及び更にまた、このような熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物の調製プロセス、並びに本特許請求の範囲に記載される独立請求項による使用によって解決される。従属請求項は、本発明の実施形態の好ましい態様について更に有利に例示する。
より好ましくは、本発明の背景にある問題点は、熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物であって、乳清タンパク質、好ましくは乳清タンパク質ミセルを含有する乳清タンパク質とカゼイン供給源とからなるタンパク質供給源を、組成物の12〜20重量%の量で含む、栄養組成物による第1の実施形態によって解決される。
好ましい態様によると、熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物は、液体又は半液体の組成物である。このような液体又は半液体の組成物は、好ましくは、100s−1の剪断速度にて測定して20℃で400mPa.sより高い、好ましくは20℃で700mPa.sより高い、好ましくは100s−1の剪断速度にて測定して20℃で400〜4000mPa.sの、好ましくは20℃で700〜1000mPa.sの、又は、100s−1の剪断速度にて測定して20℃で900〜1300mPa.sの、若しくは20℃で1100〜1600mPa.sの、若しくは20℃で1200〜1900mPa.sの、若しくは20℃で1500〜2100mPa.sの、若しくは20℃で1700〜2400mPa.sの、若しくは20℃で2100〜2700mPa.sの、若しくは20℃で2500〜3200mPa.sの、若しくは20℃で2900〜3500mPa.sの、若しくは20℃で3300〜3900mPa.sの、粘度を有する。
粘度は、例えば、プレート/プレートジオメトリ(直径60mm)及び1mmのギャップを備えたレオメータ(UMTCと一体となったHaake Rheostress 6000)を使用することなど、当業者に既知の方法によって測定してよい。0〜300s−1の制御された剪断速度勾配(線形増加)の流動曲線を20℃±0.1にて得ることができる。
好ましい態様によると、本発明のスプーン切れのよい栄養組成物は、組成物の25〜50重量%の量、好ましくは組成物の31〜45重量%の量で総固形分を有する。
更なる好ましい一態様によると、熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物は、組成物のカロリー密度として、少なくとも1.5kcal/mL、好ましくは少なくとも1.8kcal/mL、好ましくは少なくとも2.0kcal/mL、好ましくは少なくとも2.2kcal/mL、好ましくは少なくとも2.4kcal/mLを有することができ、好ましくは、カロリー密度は、典型的には1.5kcal/mL〜6kcal/mL、又は1.5kcal/mL〜3.5kcal/mL、又は1.8kcal/mL〜2.4kcal/mL、又は2.3kcal/mL〜2.8kcal/mL、又は2.6kcal/mL〜3.2kcal/mL、又は2.9kcal/mL〜3.5kcal/mLである。
いくつかの態様では、本発明の熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物は、5.5〜8.0のpH、好ましくは6.0〜7.0のpH、より好ましくは6.0〜6.5のpHを有することができる。本発明の熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物が、6.5〜7.2のpH、好ましくは6.7〜6.8のpHを有する場合、特に有利である。
タンパク質供給源
本発明の熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物の一態様によると、当該組成物中に含有されるタンパク質供給源は、乳清タンパク質とカゼイン供給源とからなり、乳清タンパク質は、好ましくは乳清タンパク質ミセルを含む。換言すれば、乳清タンパク質及びカゼイン供給源以外の他のタンパク質は、タンパク質供給源中に含有されない。
乳清タンパク質
本発明の熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物中に含有される乳清タンパク質は、例えば、乳清タンパク質分離物、酸性化乳清タンパク質分離物、乳清タンパク質濃縮物、乳清粉末、又は更なる乳清タンパク質供給源から選択されてもよい。好ましくは、乳清タンパク質供給源は脱ミネラル化される。
この観点から、任意の市販の乳清タンパク質分離物又は濃縮物、すなわち当該技術分野において既知の乳清タンパク質の任意の調製プロセスによって得られた乳清タンパク質、並びにかかるタンパク質から調製された乳清タンパク質画分、又はβ−ラクトグロブリン(BLG)、α−ラクトアルブミン、及び血清アルブミンなどのタンパク質を使用することができる。特に、チーズ製造における副生成物として得られるスイート乳清、酸カゼイン製造における副生成物として得られる酸乳清、牛乳の精密ろ過により得られる天然乳清、又はレンネットカゼイン製造における副生成物として得られるレンネット乳清を乳清タンパク質として使用することができる。乳清タンパク質は、単一供給源に由来するものであってもよく、又は任意の供給源の混合物に由来するものであってもよい。乳清タンパク質は、ミセル形成の前に、任意の変性又は加水分解ステップを受けないのが好ましい。したがって、乳清タンパク質は、典型的には、乳清タンパク質ミセル形成の前に、酵素処理、加熱変性、又は他の加水分解プロセスを受けず、すなわち、天然の乳清タンパク質であることが好ましい。本発明によると、天然乳清タンパク質は、ミセル形成プロセスにおいて使用され、その加水分解物ではないことが非常に好ましい。
本発明は、ウシ由来の乳清分離物に制限されず、ヒツジ、ヤギ、ウマ、及びラクダなどの全哺乳類動物種からの乳清分離物に関する。
また、本発明の熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物、及び更に本発明による本発明のプロセスは、ミネラル化、脱ミネラル化、又はわずかにミネラル化された乳清調製物にも適用される。「わずかにミネラル化された」とは、透析可能な又はダイアフィルトレーション可能な遊離ミネラルを除去した後の任意の乳清の調製を意味するが、これは例えば、乳清タンパク質濃縮物又は分離物の調製後、天然ミネラル化により乳清に付随するミネラルを保持する。これらの「わずかにミネラル化された」乳清の調製では、特定のミネラル強化はされていない。
乳清タンパク質中に含まれてもよい乳清タンパク質ミセルは、当業者によく知られた加工及び抽出技術によって乳清タンパク質から得ることができる。乳清タンパク質ミセルのこのような形成方法は、
a).乳清タンパク質水溶液のpHを、3.0〜8.0のpH、好ましくは5.8〜7.0のpH、より好ましくは6.0〜6.5のpHの値に調整するステップと(ここで、乳清タンパク質水溶液のpHが6.0〜6.5のpH、最も好ましくは6.2〜6.4のpH、最も好ましくは6.2〜6.3のpHの値に調整される場合、特に有利である)、
b).水溶液を、70℃と95℃未満との間の温度にさらすステップと、
c).任意選択的に、ステップb.で得られた分散液を濃縮するステップと、
を含んでもよい。
乳清タンパク質水溶液が脱ミネラル化された乳清タンパク質を含有する場合、ミセルを形成する上記のステップ(b)の前に、好ましくはカルシウムを添加する。
最も好ましくは、本発明の熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物に使用してもよい乳清タンパク質ミセルは、上記の任意選択的なステップc).などの濃縮するステップに供されていない。
好ましくは、本発明の熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物中に含有されてもよい乳清タンパク質ミセルは、本明細書に記載される本発明のプロセスによって調製される。
本発明の熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物について前に定義したように、乳清タンパク質ミセルを含有する乳清タンパク質は、当業者によく知られている技術によって提供又は調製されている。好ましくは、本発明の熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物中に含有されてもよい乳清タンパク質ミセルは、本明細書に上記記載された乳清タンパク質ミセルの形成方法によって調製される。
本明細書に記載された乳清タンパク質ミセルの形成方法により得ることができる乳清タンパク質ミセルは、形成中に粒径の減少をもたらすあらゆる機械的ストレスにさらされていない。この方法は、剪断なしの加熱処理中に乳清タンパク質ミセルの形成を生じさせる。
本発明で使用されてもよい乳清タンパク質ミセルは、本明細書に記載されたプロセスにより製造されてもよいが、これらに限定されるものではない。また、乳清タンパク質ミセルはこれに関連して、例えば、液体として又は粉末形態として提供されてよい。次いで、このような乳清タンパク質ミセル調製物を乳清タンパク質供給源に添加し、本明細書で定義される乳清タンパク質ミセルを含有する乳清タンパク質供給源を提供することができる。
乳清タンパク質ミセル(WPM)は、天然乳清タンパク質の加熱処理中における非常に限定されたpHでの自己組織化(w)により得られる、球形(天然カゼインミセルに近い規則的な形状)の単分散ミクロゲルである。
WPMは、次の特有の特徴及び特性を有する。
直径が100〜900nmの狭いサイズ分布及び0.2未満の多分散指数
500nmで測定した、10分間安定な濁度値(4%のタンパク質溶液について20〜50の吸光度単位)
TEM顕微鏡検査によって撮像されたとおりの球形。
WPM凝集体の最終構造は、乳化、カゼインミセル置換、白色化、発泡、テキスチャー化のような特性及び/又は充填剤の特性を付与する。WPMは、例外的な性質、すなわち、塩添加に対して安定であり、高濃度で低粘度であり、4〜5のpHでゲル化し、かつ低温殺菌又は殺菌に使用される加熱処理に対して高い安定性を有する性質を付与する特有の物理的特性(サイズ、電荷、密度、サイズ分布)を有する、20〜45%の乳清タンパク質濃度のミクロゲルである。
WPMは、正味の(負又は正)電荷が自己組織化によるこの特異的な凝集を生じさせる、非常に限定された厳密なpHに調整された天然乳清タンパク質溶液の加熱処理により得られる。これらの凝集体は、疎水性相互作用及びタンパク質表面に存在する電荷の非対称再分配に付随する静電斥力及び静電引力間のバランスによりもたらされる、特定の組織化された状態である。この現象は、純粋なβ−ラクトグロブリンの等電点のpH単位が0.7未満及び超(すなわちIEPが5.1において4.3及び5.8のpH)で発生する。
乳清タンパク質の疎水性が天然タンパク質構造に埋め込まれるため、乳清タンパク質ミセルの形成は室温では起こらない。
乳清タンパク質ミセル形成(自己組織化による球形単分散タンパク質ミクロゲルの形成)を生じさせるために、タンパク質立体配座の変更が必要である。この変更は、熱処理によって、ミセル形成の最初の初期段階中に、誘発される。この自己組織化現象は、最適な温度(すなわち85℃)に達した直後に、2.0のpHでの酸性化により元へ戻すことが可能である。この非常に酸性のpHブロックチオール/ジスルフィド互換体及び非安定化ミセル構造は速やかに分解される。通常の条件では、2.0のpHでの酸性化後に、熱処理によるチオール活性化に起因して、速い架橋が、一定温度でのインキュベーション(85℃で15分)中にミセルを安定化させ、このインキュベーション時間は、最長で45分又は120分まで長くなり得た。このインキュベーション後、乳清タンパク質ミセル形成は、自発的には可逆的にならない。タンパク質ユニットを回復するには、解離剤及び還元剤が必要である。
乳清タンパク質ミセルは、本発明のプロセスのステップ(i)において、in situプロセスにより形成されてよく、より好ましくは、上述の本発明のプロセスのステップ(i)のプロセスパラメータを使用して形成されてよく、これは、また上述の乳清タンパク質ミセルの形成方法に組み込むことができる。一方、in situで乳清タンパク質ミセルを製造する代わりに、本発明のプロセスのステップ(i)における乳清タンパク質ミセルは、例えば、液体として又は粉末の形態で、ステップa)の組成物にその乳清タンパク質ミセルを添加するステップによって用いることができる。
好ましくは、本発明の熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物の乳清タンパク質中に好ましくは含有される乳清タンパク質ミセルは、80%より多くのミセルが1μm未満のサイズを有するような粒径分布を、示すことができる。最も好ましくは、本発明の熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物のタンパク質供給源の乳清タンパク質に含まれてもよいミセルは、100nm〜1200nm、又は400nm〜900nm、より好ましくは500〜770nm、好ましくは200〜350nm、最も好ましくは500nm未満のサイズを有する。乳清タンパク質ミセルは、典型的には、透過電子顕微鏡(TEM)により球形として撮像される。ミセルの平均直径は、当業者によく知られた方法によって透過電子顕微鏡(TEM)により測定できる。理論に束縛されることを望むものではないが、ミセル形成中に、ミセルは「最大」サイズに達し、あらゆる追加のタンパク質分子をはねかえすミセルの全体的な帯電により、ミセルはそれ以上成長できなくなると考えられている。これにより、狭いサイズ分布が観察されることを説明できる。
更にまた、本発明の熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物の乳清タンパク質中に好ましく含有される乳清タンパク質ミセルは、当業者によく知られている様々な技術によって、栄養組成物中に含有されるか若しくは使用される乳清タンパク質中で、又はひいては最終製品中で、すなわち本発明のスプーン切れのよい熱滅菌した栄養組成物中で検出することができる。好ましくは、乳清タンパク質ミセルの分離の後に、例えば、そのζ電位を、国際公開第2007/110421号の例えば19〜20頁に記載のとおり測定してもよい。この観点から、好ましくは乳清タンパク質ミセルを含有する乳清タンパク質の測定されたζ電位が、ミセルを有さない乳清タンパク質供給源(乳清タンパク質ミセルを含有しない「未処理」乳清タンパク質)よりも負である場合、これは、乳清タンパク質ミセルの存在を示すエビデンスとなる。
乳清タンパク質ミセルの存在を示すために使用することができる別の方法は、例えば、500nmでの吸光度などによる濁度測定である。濁度の増加は、例えば、国際公開第2007/110421号の19頁の第2段落及び図2に記載のように、当該技術分野において既知である乳清タンパク質ミセル形成と関係している。
更にまた、乳清タンパク質ミセルの存在は、例えば、本発明の熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物中に含有される乳清タンパク質ミセルを分離することによっても分析することができ、及び任意選択的に、例えば上記で概説した方法によって乳清タンパク質ミセルを特徴付けることによっても分析することができる。同様に、乳清タンパク質ミセルは、本発明の熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物の調製に使用されるタンパク質供給源から、又は最終製品から分離することができ、任意選択的にそれを特徴付けることができる。
この観点から、本明細書に記載される本発明の熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物中で、乳清タンパク質ミセルの存在は、乳清タンパク質ミセル形成後の組成物の調製の任意のステップにて、乳清タンパク質ミセルの分離及び/又はその測定によって検出することができる。
例えば、本発明の加熱殺菌された組成物において利用される乳清タンパク質ミセルの純度は、残留可溶性乳清タンパク質の量を測定することにより得ることができる。乳清タンパク質ミセル及びカゼインミセルは、存在する場合、例えば、20℃及び26900gで15分間遠心分離することによって除去される。上清を使用して、Bordin et al.2001(Journal of Chromatography A,928,63〜76)の方法によって逆相HPLCを使用することにより、乳清タンパク質の量を決定する。値は通常、加熱処理前の初期値の百分率として表される。ミセル比率は、具体的には、次のとおり算出可能である。
カゼイン
本発明の加熱殺菌された組成物に用いられるカゼインは、任意の好適なカゼイン供給源から選択されてもよい。
好ましくは、タンパク質供給源中のカゼイン供給源は、カゼインミセル、カゼイン塩、乳タンパク質濃縮物、乳タンパク質分離物、又は乳粉末のうちの少なくとも1つから選択され、存在する場合、乳粉末は、スキムミルク又は全脂肪であってもよい。カゼイン又はカゼイン供給源はカゼインミセルを含有してもよい。
タンパク質供給源量
第1の特定された実施形態によると、本発明の熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物は、組成物の少なくとも8重量%の量でタンパク質供給源、好ましくは本明細書に定義されるタンパク質供給源を含有する。
より好ましくは、タンパク質供給源は、組成物の少なくとも10重量%、少なくとも12重量%、少なくとも14重量%、又は組成物の少なくとも16重量%の量で含有されてもよい。特に好ましい態様によると、タンパク質供給源は、8〜20重量%、好ましくは組成物の11〜20重量%又は13〜20重量%又は15〜20重量%の量で、あるいは組成物の8〜15重量%又は15〜20重量%の量で存在する。
更なる好ましい態様によると、タンパク質供給源は、本発明の熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物中に、組成物100g当たり最高20g、好ましくは11g〜20g、好ましくは12g〜16g、好ましくは13g〜15gのタンパク質濃度で存在してもよい。
乳清タンパク質の量
好ましい態様によると、本発明の熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物は、典型的には組成物の4.2〜14重量%の量で、好ましくは組成物の4.5〜13重量%の量で、より好ましくは組成物の4.5〜10重量%の量で、又は組成物の4.5〜9.5重量%、若しくは4.5〜9.0重量%、若しく4.5〜8.5重量%、最も好ましくは5.0〜7.5重量%の量で乳清タンパク質を含有する。前述のように、本明細書で使用されるタンパク質供給源中、及び最終的なスプーン切れのよい熱滅菌した栄養組成物中には、乳清タンパク質及びカゼインに加えて更なるタンパク質は存在しない。
最も好ましくは、本発明の熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物中で、乳清タンパク質を含むタンパク質供給源は、乳清タンパク質に基づいて、少なくとも35%、好ましくは少なくとも40%、又は更には45%若しくは50%の量で、乳清タンパク質ミセルを含有する。最も好ましくは、乳清タンパク質を含むタンパク質供給源は、乳清タンパク質に基づいて、40〜60%、より好ましくは少なくとも80%の量で乳清タンパク質ミセルを含有し、残りの可溶性凝集体又は可溶性タンパク質含有量は、乳清タンパク質に基づいて、好ましくは20%未満である。平均ミセルサイズは、多分散指数が0.260未満、好ましくは0.200未満であることを特徴とする。
好ましくは、本発明の熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物は、組成物の1.0〜5重量%の量で乳清タンパク質ミセルを含有し、最も好ましくは、本発明の熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物は、組成物の2.0〜3重量%、最も好ましくは2.5〜3.5重量%の量で乳清タンパク質ミセルを含有する。
カゼイン量
好ましい態様によると、本発明の熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物は、好ましくは組成物の3.5〜13重量%の量で、最も好ましくは組成物の5〜11重量%の量で、好ましくは8〜9重量%、若しくは8.5〜10重量%、若しくは9.5〜10.5重量%、又はこれらの上限と下限との組み合わせの範囲の量でカゼインを含有する。前述のように、カゼイン及び乳清タンパク質に加えての更なるタンパク質は、本明細書で使用されるタンパク質供給源中、及び最終的な熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物中に存在しない。
最も好ましくは、本明細書で使用される熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物及び/又はタンパク質供給源は、乳清タンパク質:カゼインを、35:65〜65:35、好ましくは40:60〜60:40、好ましくは45:55〜55:45の重量比で含む。特に好ましい態様では、カゼインは、乳清タンパク:カゼインの重量比が50:50で存在する。
システイン
熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物がシステインの豊富な供給源を提供することは、特に有利である。これに関連して、好ましくはタンパク質供給源は、本明細書で定義されるとおり乳清タンパク質及びカゼインを含有する。タンパク質供給源は、「他のタンパク質」乳清タンパク質及びカゼインを含まない場合がある。
システイン量
したがって、好ましくは、熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物は、タンパク質供給源の少なくとも1.2重量%の量でシステインを含む。好ましくは、熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物は、タンパク質供給源の1.2〜2.4重量%、より好ましくはタンパク質供給源の1.2〜1.32重量%と1.8〜2.2重量%との間の範囲の量でシステインを含み、このような範囲は、タンパク質供給源の、1.2〜1.32重量%及び1.9〜2.2重量%の量、例えば、1.2〜2.2重量%、又は1.2〜2.4重量%、若しくは1.3〜2.4重量%、若しくは1.5〜2.4重量%、若しくは1.8〜2.4重量%の量を明示的に包含する。
上記で定義されるとおり、システイン含有量は、好ましくはタンパク質供給源の全タンパク質含有量を考慮して定義される。本明細書について、当業者であれば、組成物を調製するとき、又は最終的な熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物を分析するとき、異なる成分、特に、カゼイン及び乳清タンパク質などの乳タンパク質の量を最初に別個の添加によって容易に識別することができ、ひいては本明細書に定義される乳清タンパク質及び/若しくはカゼイン又は両方からのみ生じるシステインの量を特定することができることに、留意されたい。
本明細書で使用されるタンパク質供給源は、乳タンパク質、特に乳清及びカゼインからのみで選択されるため、カゼイン量に対する乳清タンパク質の量もまた、Nicolai Z.Ballin et.al.in J.Agric.Food Chem.20016,54,pages 4131 to 4135に記載されるシステインの定量によって容易に決定することができ、これは参照により本明細書に組み込まれる。
この観点から、Ballinは、カゼイン共沈物及び乳粉末中の乳清タンパク質含有量を次の式を使用して算出したことについて記載している。
%乳清タンパク質=(X−0.25)/(3.0−0.25)×100
乳清及びカゼインなどの乳タンパク質のみが存在するため、このような計算により、好ましくは本発明の熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物中のシステイン量を算出することが可能になる。
システインを定量することは、乳清タンパク質を判定する目的で測定するのに有利なパラメータである。その理由は、カゼイン及び乳清タンパク質中のシステイン含有量は10倍以上異なり、かつシステイン変性を含有しない限り、システイン含有量はタンパク質構造とは無関係であるという事実のためである。
別の確度のシステイン含有量の測定は、欧州連合(EU)規制(ECC 2921/90 of 10th October 1990;Off.J.Eur.Commun.1990,22〜27)に従い、この規制では、「カゼイン以外の乳タンパク質含有量」(実際には乳清タンパク質)を、タンパク質と結合した−SH基及び−S−S−基を測定することによって決定すると、定義している。
これに関連して、カゼイン以外の乳タンパク質含有量は、タンパク質と結合する−SH基及び−S−S−基を測定することにより求められた含有量を意味し、参照値は、純粋なカゼイン及び乳清タンパク質についてそれぞれ0.25%及び3%である(1990年10月10日のECC2921/90)。同様に、上記のように、システイン及び乳清タンパク質のみが含有されるので、システイン含有量は、好ましくはタンパク質供給源の全タンパク質含有量を考慮していずれかで判定される。
その他の成分
更なる態様によると、本発明の熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物はまた、ビタミン、ミネラル、塩、及び微量元素から選択される微量栄養素も含み、これらは、単独又は組み合わせてのいずれかで、好ましくはタンパク質供給源によって既に提供されている微量栄養素に加えて、存在してもよい。
あるいは、いくつかの態様では、本発明の熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物はまた、微量栄養素を全く含有しない場合もある。
本明細書で使用するとき、用語「微量栄養素」は、ヒトの食事に極微量が必要とされるビタミン、(栄養素としての)ミネラル、及び/又は塩を指す。このような微量栄養素は、典型的にはタンパク質を含まない。
本明細書で使用するとき、用語「ビタミン」は、ほとんどの動物の栄養に微量が必須とされる、特に代謝プロセスの制御において補酵素及び補酵素前駆体として機能する任意の様々な有機的な物質を指す。ビタミンは、ホルモン(例えばビタミンD)、抗酸化剤(例えばビタミンC及びビタミンE)、並びに細胞のシグナル伝達、細胞増殖の制御、組織成長及び分化(例えばビタミンA)のメディエーターとしての機能などといった様々な生化学的機能を有する。数の最も大きいビタミンB複合体は、代謝において触媒及び基質としての機能を補助する生体分子の酵素補因子(補酵素)の前駆体として機能する。例えば、ビタミンB及びビタミンB12である。存在させることができるその他のビタミンとしては、ビタミンK、チアミン、リボフラビン、ナイアシン、葉酸、ビオチン、及びパントテン酸が挙げられる。
これに関連して、ミネラルは、好ましくは栄養素としてのミネラルであり、例えば、カルシウム、マグネシウム、リン、カリウム、ナトリウム、塩化物、及び硫黄、並びにそれらの塩などである。好ましくは、本発明の熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物中に、ミネラルとして、任意選択的に上記の少なくとも1つの更なる栄養素としてのミネラルとして、カルシウムが含有される。
本発明の熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物に必要とされる場合があり、使用してもよい更なるミネラルは、微量元素であり得る。このような微量元素は、典型的には、比較的少量で必要なミネラルであり、例えば、クロム、コバルト、銅、塩化物、フッ素、ヨウ素、マンガン、モリブデン、セレン、及び亜鉛である。
したがって、いくつかの態様では、本発明の熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物は、患者に適切な栄養を提供するのに有用なビタミン、ミネラル、及び微量元素の任意の組み合わせを含むことができる。ビタミン、ミネラル、及び微量元素は、混合物又は処方物の形態で使用できる。本発明の熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物中の、特定のビタミン及びミネラルの量は、当業者であれば決定することができる。
本発明者らは、驚くべきことに、本発明の熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物中の少量の一価金属イオンにより、本明細書に定義される上記組成物の中程度の粘度及び安定性を更に高めることができることを見出した。
好ましい態様によると、本発明の熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物は、典型的にはNa、Kから選択される総量の一価金属イオン、更にはナトリウム及びカリウムの合計(Na+K)を、少ない量、好ましくはタンパク質供給源のうち最大40mg/g、好ましくはタンパク質供給源のうち25mg/g未満、最も好ましくはタンパク質供給源のうち0〜5mg/g、又はタンパク質供給源のうち2〜10mg/g、若しくは8〜15mg/g、若しくは13〜20mg/g、若しくは18〜25mg/g、若しくは23〜30mg/g、若しくは28〜35mg/g、若しくは33〜40mg/gの量で、含む。
いくつかの態様では、本発明の熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物中のカリウムの量は、典型的にはタンパク質供給源のうち最大40mg/g、好ましくはタンパク質供給源のうち25mg/g未満、最も好ましくはタンパク質供給源のうち0〜5mg/g、又はタンパク質供給源のうち2〜10mg/g、若しくは8〜15mg/g、若しくは13〜20mg/g、若しくは18〜25mg/g、若しくは23〜30mg/g、若しくは28〜35mg/g、若しくは33〜40mg/gである。
更なる態様では、本発明の熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物中のナトリウムの量は、典型的にはタンパク質供給源のうち最大40mg/g、好ましくはタンパク質供給源のうち25mg/g未満、最も好ましくはタンパク質供給源のうち0〜5mg/g、又はタンパク質供給源のうち2〜10mg/g、若しくは8〜15mg/g、若しくは13〜20mg/g、若しくは18〜25mg/g、若しくは23〜30mg/g、若しくは28〜35mg/g、若しくは33〜40mg/gである。
上記の段落における一価金属イオンの濃度は、本発明のスプーン切れのよい栄養組成物中のタンパク質供給源中のタンパク質の総量に基づいており、好ましくはカゼインの総量、乳清タンパク質ミセルの総量、又は乳清タンパク質の総量に基づいており、より好ましくは、乳清タンパク質ミセルを含む乳清タンパク質の総量に基づいており、カゼイン供給源は、本発明の熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物中に存在している。
一態様によると、1つ以上のシトレートもまた、本発明のスプーン切れのよい栄養組成物中に含有されてもよい。好ましくは、シトレートはクエン酸三カリウムである。最も好ましくは、本発明のスプーン切れのよい栄養組成物は、組成物の0.1〜1重量%、又は熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物の0.3〜0.7重量%で、シトレートを含む。最も有利には、本発明のスプーン切れのよい栄養組成物は、組成物の0.2〜0.5重量%でシトレートを含む。
なおも更なる態様では、デンプン及び/又はカラギーナンなどの他の親水コロイドなどの他の成分は、好ましくは、本発明の熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物中に含まれない。
更なる態様によると、本発明の熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物はまた、食品マトリックスとして提供されてもよい。食品マトリックスは、本明細書で、液体若しくは半液体の形態又は粉末の形態、例えば、飲料、フードサプリメントなどの任意の種類の食品であるものとして定義される。上記の食品マトリックスは、本明細書で定義される本発明の熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物、並びに任意選択的に更に脂肪及び/又は炭水化物を含有してもよい。
好ましくは、本発明の熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物は、液体又は半液体である。
特に好ましい態様によると、本発明の熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物は、栄養組成物、栄養補助食品、乳児用フォーミュラ、フォローアップフォーミュラ、ベビーフードフォーミュラ、乳児用シリアルフォーミュラ又はグローイングアップミルク、乳児若しくは小児のフードサプリメント、小児用フォーミュラ、成人用栄養組成物、母体栄養補助食品、肥満処方物、高齢者用栄養組成物、又はヘルスケア処方物である。更にまた、いくつかの態様では、本発明の熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物は、栄養補助食品の形態であってもよく、又は栄養の唯一の供給源として使用してもよく、例えば十分な食事として提供されるものであってもよい。本明細書で使用するとき、用語「栄養補助食品」は、食物又は食事又は飲料に添加することのできる栄養素を指す。
上記に関連して、乳児は最長で1歳の年齢として定義され、小児は少なくとも1歳の年齢から7歳の年齢までとして定義される。
更にまた、これに関連して、フォローアップフォーミュラは、好ましくは成長した乳児の食事の変化を補完し、常乳よりもこの年齢の子供に必要な栄養により良く適合する、よりバランスのとれた完全食を提供するように設計されている。グローイングアップミルク(GUM)は、フォローアップフォーミュラのサブグループと考えることができ、また上記説明された定義に含まれる。このようなGUMは、より詳細には1歳以上、例えば1〜6歳の小児に必要な栄養に適合されている。一般に、GUMは、特定の年齢の小児に必要な栄養に特異的に適合されている。例えば、1〜3歳、3〜5歳、及び5歳以上の小児用のGUMが存在する。
最後に、母体用の栄養は、典型的に、妊婦及び授乳中の女性用のものとして定義され、妊娠を希望している女性への妊娠前ケアとしての投与も更にまた包含する。
好ましい一態様によると、食品マトリックスは、本明細書に記載の熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物に加えて、任意選択的に、炭水化物、プロバイオティクス、プレバイオティクス、ミネラル、増粘剤、緩衝剤又はpH調整剤、キレート剤、着色剤、乳化剤、賦形剤、風味剤、浸透剤、防腐剤、安定剤、糖、甘味料、食感付与剤、及び/又はビタミンのいずれかを含有してもよい。例えば、栄養組成物には、大豆レシチン、モノ及びジグリセリドのクエン酸エステルなどの乳化剤及び安定剤を含有させることもできる。任意選択的な成分は、任意の好適な量で添加することができる。
特定の実施形態によると、本発明の熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物を使用し、上記で定義した食品マトリックス、好ましくは飲料、フードサプリメント、より好ましくは栄養組成物、栄養補助食品、乳児用フォーミュラ、フォローアップフォーミュラ、ベビーフードフォーミュラ、乳児用シリアルフォーミュラ又はグローイングアップミルク、乳児又は小児のフードサプリメント、小児用フォーミュラ、成人用栄養組成物、母体栄養補助食品、肥満処方物、高齢者用栄養組成物、又はヘルスケア処方物を調製することができる。
更なる実施形態では、本発明の熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物はまた、好ましくは以下に記載されるように、医薬製品及び/又は栄養補助製品として使用することもできる。
なおも更なる実施形態は、本明細書に記載される本発明の熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物の使用に関するものであり、本明細書に初めに記載のもの、又は以下に記載される本発明のプロセスによって得られる又は得ることができるもののいずれかが、考えられる。一実施形態では、本発明の熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物は、栄養を必要とする人に栄養を提供するために使用されてもよく、ここで、当該人は、好ましくは高齢者、疾患状態の人、疾患状態から回復中の人、栄養不良の人、又はスポーツマン若しくはスポーツウーマン若しくは活発な高齢者などの健康な人である。
本発明の文脈内で、熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物の栄養成分は、上記で定義した食品マトリックスとして提供される場合、典型的には、製品の種類に応じて選択される、タンパク質、脂肪、及び炭水化物を含む。
好ましくは、脂肪は、熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物中に、上記で定義した食品マトリックスとして提供される場合、組成物の1〜15重量%、好ましくは組成物の3〜8重量%、又は5〜10重量%、若しくは7〜12重量%で含有される。
好ましくは、炭水化物は、熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物中に、上記で定義した食品マトリックスとして提供される場合、組成物の1〜40重量%、好ましくは組成物の5〜10重量%、又は8〜15重量%、若しくは13〜20重量%、若しくは18〜26重量%、若しくは23〜30重量%、若しくは28〜35重量%、若しくは33〜40重量%で含有される。
タンパク質は、熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物中に、上記定義した量で含有される。
なおも更なる実施形態は、12〜20重量%の総タンパク質を含む本明細書で定義されるスプーン切れのよい栄養組成物を調製するための、乳清タンパク質とカゼイン供給源とからなる、タンパク質供給源の使用に関するものであり、乳清タンパク質は、好ましくは本明細書で定義される乳清タンパク質ミセルを含有し、組成物は、好ましくは、タンパク質供給源の1.2〜2.4重量%の量でシステインを含有する。
別の実施形態では、本発明は、12〜20重量%の総タンパク質を含む、好ましくは本明細書で定義される乳清タンパク質とカゼイン供給源とからなる、液体又は半液体のスプーン切れのよい栄養組成物の粘度を調整するための、本明細書で定義され、好ましくは乳清タンパク質ミセルを含有する乳清タンパク質の、カゼイン供給源と組み合わせての使用に関するものであり、組成物は、好ましくは、タンパク質供給源の1.2〜2.4重量%の量でシステインを含有する。この組成物は、好ましくはpH5.5〜8、好ましくはpH6〜7、好ましくはpH6.0〜6.5を有し、最も有利には、この組成物は、pH6.5〜7.2、最も好ましくはpH6.7〜6.9を有する。
好ましくは、本発明の熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物は、当業者に適した任意のプロセスにより得ることができる。より好ましくは、本発明の熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物は、以下に更に詳細に定義されるプロセスによって得ることができる。
したがって、更なる実施形態によると、本発明の背景となる課題はまた、好ましくは、熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物、好ましくは本明細書で定義される熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物の、調製プロセスによっても解決される。したがって、本発明では、上記の熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物、好ましくは、本明細書に定義されるこのような組成物の調製プロセスによって得られる又は得ることができる熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物を記載する。この点に関して、上記プロセスでは、本発明の熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物に関して定義される量及び成分のいずれかを、含有してもよく又は適用してもよい。
プロセス
したがって、特に好ましい実施形態によると、本発明の背景にある問題点は、熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物の調製プロセスであって、組成物が、組成物の重量に基づいて、12〜20重量%の量でタンパク質供給源を含む、プロセスによって解決される。このタンパク質供給源は、乳清タンパク質とカゼイン供給源とからなり、乳清タンパク質は、好ましくは乳清タンパク質ミセルを含有する。このプロセスは、
(i)好ましくは乳清タンパク質ミセルを含有する乳清タンパク質の水溶液を提供するステップと、
(ii)カゼイン供給源を添加するステップと、
(iii)任意選択的に均質化処理ステップを実施するステップと、
(iv)本明細書で定義される間接UHT熱処理ステップを、好ましくは135〜140℃で実施するステップと、
(v)任意選択的に均質化処理ステップを実施するステップと、を含み、
ステップ(i)〜(v)の後で、好ましくは、100s−1の剪断速度で測定して20℃にて400〜4000mPa.sの粘度を有する、熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物を得るものである。
好ましくは、ステップは記載された順で実施される。
本発明のプロセスのステップ(i)
本発明のプロセスのステップ(i)により、好ましくは乳清タンパク質ミセルを含有する乳清タンパク質からなるタンパク質供給源の水溶液を提供する。
好ましくは、本発明のプロセスにおいて提供される乳清タンパク質供給源又は乳清タンパク質は、例えば、乳清タンパク質分離物、酸性化乳清タンパク質分離物、乳清タンパク質濃縮物、乳清粉末、又は更なる乳清タンパク質供給源から選択されてもよい。好ましくは、乳清タンパク質供給源は脱ミネラル化される。
この観点から、任意の市販の乳清タンパク質分離物又は濃縮物、すなわち当該技術分野において既知の乳清タンパク質の任意の調製プロセスによって得られた乳清タンパク質、並びに当該乳清タンパク質から調製された乳清タンパク質画分、又はβ−ラクトグロブリン(BLG)、α−ラクトアルブミン、及び血清アルブミンなどのタンパク質を使用することができる。特に、チーズ製造における副生成物として得られるスイート乳清、酸カゼイン製造における副生成物として得られる酸乳清、牛乳の精密ろ過により得られる天然乳清、又はレンネットカゼイン製造における副生成物として得られるレンネット乳清を乳清タンパク質として使用することができる。乳清タンパク質は、単一供給源からであってもよく、又は任意の供給源の混合物からであってもよい。乳清タンパク質は、ミセル形成の前に、任意の加水分解ステップを受けないのが好ましい。したがって、乳清タンパク質は、典型的には、乳清タンパク質ミセル形成の前に、酵素処理、又は加水分解プロセスを受けず、すなわち、天然乳清タンパク質であることが好ましい。本発明によると、天然乳清タンパク質が加水分解物ではなく、かつミセル形成プロセスに使用されることが非常に好ましい。
本発明は、ウシ由来の乳清分離物に制限されず、ヒツジ、ヤギ、ウマ、及びラクダなどの全哺乳類動物種からの乳清分離物に関する。また、本発明の熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物、及び更に本発明による本発明のプロセスは、ミネラル化、脱ミネラル化、又はわずかにミネラル化された乳清調製物にも適用される。「わずかにミネラル化された」とは、透析可能な又はダイアフィルトレーション可能な遊離ミネラルを除去した後の任意の乳清調製物を意味するが、これは例えば、乳清タンパク質濃縮物又は分離物の調製後、天然ミネラル化により乳清調製物に付随したミネラルを保持する。これらの「わずかにミネラル化された」乳清の調製では、特定のミネラル強化はされていない。
ステップ(i)において乳清タンパク質中に含有されてもよい乳清タンパク質ミセルは、当業者によく知られた加工及び抽出技術によって提供されてよい。
本発明のプロセスによって調製することができる乳清タンパク質ミセルは、好ましくは、本発明の熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物に関して定義される乳清タンパク質ミセルである。
好ましくは、本発明のプロセスのステップ(i)において用いることができる乳清タンパク質ミセルは、
a).乳清タンパク質水溶液のpHを、3.0〜8.0のpH、最も好ましくは5.8〜7.0のpH、好ましくは6.0〜6.5のpHの値に調整するステップと(ここで、より好ましくは、pHは、6.0〜6.4のpH、更により好ましくは6.0〜6.3のpHに調整される)、
b).ステップa).の水溶液を、70℃と95℃未満との間、好ましくは80〜85℃の温度にさらすステップと、
c).任意選択的に、ステップb.で得られた分散液を濃縮するステップと、
を含む、乳清タンパク質ミセルの形成方法によって生成される。
乳清タンパク質水溶液が脱ミネラル化された乳清タンパク質を含有する場合、ミセルを形成する上述のステップb).の前に、好ましくはカルシウムを添加する。
乳清タンパク質ミセルの形成方法は、ステップ(i)の一部であるサブステップを形成してもよい。
最も好ましくは、例えば、本発明のプロセスのステップ(i)及び(ii)において用いることができる乳清タンパク質ミセルは、上記の乳清タンパク質ミセルの形成方法の任意選択的なステップc).などの濃縮するステップに供されていない。
典型的には、ステップb).において、70と95℃未満との間、好ましくは80〜85℃での加熱は、例えば10秒〜2時間実施され、好ましくは、加熱は、10〜20分間実施される。
最も好ましくは、乳清タンパク質ミセルの形成方法のステップb).の後に、このようにして得た、好ましくは乳清タンパク質ミセルを含有する組成物を、20℃未満の温度まで、最も好ましくは10〜15℃に冷却する。次いで、この温度にて、本発明のプロセスのステップ(ii)が、好ましくは実施される。
上で詳細に記載された乳清タンパク質ミセルの形成方法により得ることができる乳清タンパク質ミセルは、最も好ましくは、形成中に生成された乳清タンパク質ミセルの粒径分布の減少をもたらすあらゆる機械的ストレスにさらされていない。この本発明の方法では、好ましくは、剪断なしの加熱処理中に自然な乳清タンパク質ミセルの形成が生じる。
最も好ましくは、本発明のプロセスのステップ(i)は、中に含有される80%より多いミセルが1μm未満の平均粒径を有するような粒径分布で、乳清タンパク質ミセルを含有する、乳清タンパク質を提供する。最も好ましくは、本発明のプロセスのステップ(i)において提供することができるミセルは、100nm〜1200nm、又は400nm〜900nm、より好ましくは500〜770nm、好ましくは200〜350nm、最も好ましくは500nm未満の平均粒径を有する。最も好ましくは、本発明のプロセスのステップ(i)において提供されるミセルの平均粒径は、500nm未満、例えば100nm〜500nm、又は200nm〜350nmである。
乳清タンパク質ミセルは、本発明の組成物のために本明細書で上述された当業者によく知られた多数の方法により、本発明の方法のステップ(i)及びステップ(ii)〜(v)のいずれかにおいて検出することができる。更にまた、乳清タンパク質ミセルの存在は、乳清タンパク質ミセル形成に続く本発明のプロセスの任意のステップにおける、好ましくは上記定義の方法を使用する乳清タンパク質ミセルの分離及びその測定によって検出することができる。
本発明のプロセスのステップ(ii)
本発明のプロセスのステップ(ii)においては、カゼイン供給源をステップ(i)の水溶液に添加する。これに関連して、本発明のプロセスに用いられるカゼイン供給源は、任意の好適なカゼイン供給源から選択されてもよい。
好ましくは、カゼインを含有するタンパク質供給源は、カゼインミセル、天然カゼイン、乳タンパク質濃縮物、乳タンパク質分離物、乳粉末のうちの少なくとも1つから選択されてもよく、存在する場合、乳粉末は、スキムミルク又は全脂肪であってもよい。
いくつかの態様では、本発明のプロセスのステップ(i)及び(ii)において提供されるタンパク質供給源又はその成分は、例えば、上記のような当業者によく知られた加工及び抽出技術によって、対応する原材料から得ることができる。
好ましい一態様によると、ステップ(i)又は(ii)の各々に続いて、水和ステップがあってもよい。乳清タンパク質供給源又はカゼインタンパク質供給源を、例えば粉末として添加する場合に、これは有利であり得る。
上記定義された本発明のプロセスにより、ステップ(i)及び/又は(ii)において本発明のプロセスに使用されるタンパク質供給源は、好ましくは、最終的な熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物の少なくとも8重量%の全量で提供される。より好ましくは、タンパク質供給源は、本発明のプロセスによって得ることができる、最終的な熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物の少なくとも10重量%、最終的な熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物の少なくとも12重量%、少なくとも14重量%、又は少なくとも16重量の全量で提供することができる。特に好ましい態様によると、タンパク質供給源は、最終的な熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物の、8〜20重量%の全量で、あるいは10〜15重量%、又は15〜20重量%の全量で、提供される。
更なる好ましい態様によると、タンパク質供給源は、本発明のプロセスによって得ることができる最終的な熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物のうち最大20g/100g、好ましくは本発明のプロセスによって得ることができる最終的な熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物のうち11g/100g〜20g/100g、好ましくは本発明のプロセスによって得ることができる最終的な熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物のうち12g/100g〜16g/100g、好ましくは13g/100g〜15g/100gのタンパク質濃度で、本発明のプロセスに提供することができる。
乳清タンパク質の量
好ましい態様によると、タンパク質供給源は、本発明のプロセスによって得ることができる、最終的な熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物が好ましくは最終的な熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物の4.5〜13重量%の量で、最も好ましくは、最終的な熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物の4.5〜10重量%、又は4.5〜9.5重量%、若しくは4.5〜9重量%、若しくは4.5〜8.5重量%、最も好ましくは5.0〜7.5重量%の量で乳清タンパク質を含有するように、提供することができる。
特に好ましい態様によると、タンパク質供給源は、本発明のプロセスによって得ることができる熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物が乳清タンパク質の量に基づいて少なくとも35%、好ましくは少なくとも50%の量で乳清タンパク質ミセルを含有するように、本発明のプロセスのステップ(i)において提供することができ、最も好ましくは乳清タンパク質を含むタンパク質供給源は、乳清タンパク質の量に基づいて、40〜60%、より好ましくは少なくとも80%の量で、乳清タンパク質ミセルを含有する。典型的には、残留可溶性凝集体又は可溶性タンパク質含有量は、好ましくは乳清タンパク質の量を基準として20%未満である。平均ミセルサイズは、多分散指数が0.260未満、好ましくは0.200未満であることを特徴とする。
いくつかの態様では、タンパク質供給源は、本発明のプロセスによって得ることができる熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物が組成物の1.0〜5重量%の量で乳清タンパク質ミセルを含有するように、本発明のプロセスのステップ(i)において提供することができる。最も好ましくは、本発明のプロセスは、組成物の2.0〜3重量%、最も好ましくは組成物の2.5〜3.5重量%の量で乳清タンパク質ミセルを含有する、熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物を提供する。
カゼイン量
なおも更に好ましい態様によると、カゼイン供給源は、熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物が、好ましくは組成物の3.5〜13重量%の量で、最も好ましくは本発明のプロセスによって得ることができる組成物の5〜11重量%の量で、好ましくは8〜9重量%、若しくは8.5〜10重量%、若しくは9.5〜10.5重量%、又はこれらの上限と下限との組み合わせの範囲の量でカゼインを含有するように、本発明のプロセスのステップ(ii)において提供することができる。好ましくは、本明細書で定義される「カゼイン供給源」はカゼインである。
最も好ましくは、カゼイン供給源は、熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物が好ましくは35:65〜65:35、好ましくは40:60〜60:40、好ましくは45:55〜55:45の重量比でカゼインを含有するように、本発明のプロセスのステップ(ii)において提供することができる。特に好ましい態様では、カゼインは、乳清タンパク質/カゼイン重量比が50:50で存在する。
システイン
本発明のプロセスによって提供される熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物がシステインの豊富な供給源を提供することは、特に有利である。これに関連して、タンパク質供給源は、単独で、本明細書で定義されるとおり乳清タンパク質とカゼインとを含有する。タンパク質供給源は、他のタンパク質を含まない場合がある。
システイン量
この目的のために、加えて又は代替的に、本発明のプロセスのステップ(ii)において、好ましくはタンパク質供給源の少なくとも1.2重量%の量でシステインを含有するように、好ましくはステップ(i)からの乳清タンパク質ミセルを含有する乳清タンパク質を含む水溶液と、カゼイン供給源とを混合する。
最も好ましくは、加えて又は代替的に、本発明のプロセスのステップ(ii)において、タンパク質供給源の1.2〜2.4重量%の量で、好ましくはタンパク質供給源の1.2〜1.32重量%及び1.8〜2.2重量%の範囲でシステインを含有するように(このような範囲には明示的に1.2〜1.32重量%及び1.9〜2.2重量%の量、例えば、好ましくはタンパク質供給源の1.2〜2.2重量%、又は1.2〜2.4重量%、又は1.3〜2.4重量%、又は1.5〜2.4重量%、又は1.8〜2.4重量%の量が含まれる)、好ましくはステップ(i)からの乳清タンパク質ミセルを含有する乳清タンパク質を含む水溶液と、カゼインを含有するタンパク質供給源と、を混合する。
上記で定義されるとおり、システイン含有量は、好ましくはタンパク質供給源の全タンパク質含有量を考慮して定義することができる。これに関連して、乳清タンパク質及びカゼインに加えて、「その他のタンパク質」は存在しない。この点に関して、本発明のプロセスにより組成物を調製するとき、当業者は、記載のプロセスのステップにおいて別々に添加することにより、異なる原材料、特にカゼイン及び乳清タンパク質などの乳タンパク質量、及びまたその他のタンパク質量も容易に識別することができ、これにより本明細書で定義されるとおり乳清タンパク質及びカゼインのみに由来するシステイン量を特定することができることに留意する。
カゼイン量に対する乳清タンパク質の量は、Nicolai Z.Ballin et.al.in J.Agric.Food Chem.20016,54,pages 4131 to 4135に記載されるシステインの定量によって容易に決定することができ、これは参照により本明細書に組み込まれる。
この観点から、Ballinは、カゼイン共沈物及び乳粉末中の乳清タンパク質含有量を次の式を使用して算出したことについて記載している。
%乳清タンパク質=(X−0.25)/(3.0−0.25)×100
乳清及びカゼインなどの乳タンパク質のみが存在するという条件で、このような計算により、好ましくは本発明の熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物中のシステイン量を算出することが可能になる。
システインを定量することは、乳清タンパク質を判定する目的で測定するのに有利なパラメータである。その理由は、カゼイン及び乳清タンパク質中のシステイン含有量は10倍以上異なり、かつシステイン変性を含有しない限り、システイン含有量はタンパク質構造とは無関係であるという事実のためである。
別の確度のシステイン含有量の測定は、欧州連合(EU)規制(ECC 2921/90 of 10th October 1990;Off.J.Eur.Commun.1990,22〜27)に従い、これによると、「カゼイン以外の乳タンパク質含有量」(実際には乳清タンパク質)を、タンパク質と結合した−SH基及び−S−S−基を測定することによって決定すると、定義している。
これに関連して、カゼイン以外のこのような乳タンパク質含有量は、タンパク質と結合する−SH基及び−S−S−基を測定することにより求められた含有量を意味し、参照値は、純粋なカゼイン及び乳清タンパク質についてそれぞれ0.25%及び3%である(1990年10月10日のECC2921/90)。同様に、上記のように、好ましくはシステイン及び乳清タンパク質のみが含有されるだけでなく、その他のタンパク質も含有される場合、システイン含有量は、タンパク質供給源の全タンパク質含有量を考慮していずれかで判定することができる。
本発明のプロセスのステップ(iii)及び(v)
加えて、本発明のプロセスの他の好ましい一態様によると、ステップ(iii)の後及び均質化処理(v)の前に、混合物を50〜60℃の温度まで予熱する。
本発明のプロセスの好ましい一態様によると、任意選択的な均質化ステップ(iii)及び(v)は、50バール超、好ましくは50〜400バール、好ましくは100〜400バール、より好ましくは200〜350バール、更により好ましくは250〜350バールで実施される。
最も好ましくは、任意選択的な均質化ステップ(v)は、10バール超、好ましくは15〜25バール、又は20〜30バール、若しくは25〜35バール、若しくは30〜40バールで実施される。
本発明のプロセスの更なる好ましい態様によると、ステップ(iii)の後に、好ましくは混合物を、15℃未満まで、好ましくは1〜5℃、又は3〜8℃、若しくは6〜12℃に冷却する。最も好ましくは、この冷却は、本明細書で定義される任意選択的なpH調整の実施前に実施するものであり、この任意選択的なpH調整は、例えば、本発明のプロセスのステップ(iv)の前に実施してもよい。この任意選択的な均質化は、2ステップ均質化として実施してもよく、又は1ステップ均質化として実施してもよい。この任意選択的な均質化の条件は、好ましくは上記で定義されるとおり、例えば、好ましくは100〜400バール、より好ましくは200〜350バール、更により好ましくは250〜350バールである。
本発明のプロセスのステップ(iv)
本発明のプロセスの好ましい一態様によると、間接熱処理ステップ(iv)は、間接UHT条件下で、典型的には130〜150℃、好ましくは135〜140℃、より好ましくは135〜137℃、同様により好ましくは136〜138℃にて、典型的には10〜50秒の時間、好ましくは25〜40秒の時間、より好ましくは25〜30秒、例えば、10秒、13秒、16秒、19秒、21秒、24秒、27秒、28秒、29秒、31秒、32秒、33秒、又は37秒、38秒、39秒、41秒、42秒、若しくは43秒、又はこれらによって形成される任意の範囲内の任意の値の時間にわたって実施される。
好ましくは、間接熱処理ステップ(iv)は、コイル状管状熱交換器(Ultra Coil UHT)を使用して間接UHTによって実施される。好ましくは、上記の間接加熱ステップでは、加熱媒体と製品との間に金属壁が存在し、その結果、製品は熱交換壁を介して間接的に加熱される。
好ましくは、上記の間接熱処理ステップ(iv)は、間接UHT条件下、好ましくは100〜400バール、より好ましくは200〜350バール、更により好ましくは250〜350バール、の圧力下で、好ましくは130〜150℃にて、好ましくは10〜50秒の時間にわたって実施される。
最も好ましくは、本発明のプロセスの、ステップ(iv)の後及び任意選択的なステップ(v)の前に、得られた混合物を95℃未満まで、好ましくは80℃未満又は70℃未満に冷却し、最も好ましくは、冷却は、40〜90℃、又は45〜55℃、若しくは50〜65℃、若しくは60〜75℃、若しくは70〜85℃、若しくは80〜90℃まで実施される。
その他の成分
本発明のプロセスのステップ(ii)における好ましい一態様では、脂肪、炭水化物、水、又はそれらの混合物から選択される少なくとも1つの更なる成分が添加されてもよく、これらは、一緒か又は好ましくは別々かのいずれかによって添加されてもよい。本明細書で使用するとき、脂肪という用語は、油という用語と同じ意味で用いられてよい。
好ましくは、本発明のプロセスによって得ることができる熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物の1〜15重量%、好ましくはステップ(i)〜(v)の後に得られる最終的なスプーン切れのよい栄養組成物の3〜8重量%、又は5〜10重量%、若しくは7〜12重量%での量の脂肪が存在するように、本発明のプロセスにおいて脂肪を添加する。
好ましくは、本発明のプロセスによって得ることができる熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物の1〜20重量%、好ましくはステップ(i)〜(v)の後に得られる最終的なスプーン切れのよい栄養組成物の3〜8重量%、又は5〜10重量%、若しくは7〜12重量%、若しくは18〜26重量%、若しくは23〜30重量%での量の炭水化物が存在するように、本発明のプロセスにおいて炭水化物を添加する。
最も好ましくは、脂肪を、ステップ(i)において提供された、好ましくは乳清タンパク質ミセルを含有する乳清タンパク質を含むタンパク質供給源の水溶液に最初に添加する。次いで、続いて炭水化物などのその他の成分を添加してもよく、その他の成分は、好ましくはステップ(ii)においてカゼインを含有するタンパク質供給源と別々に又は一緒に添加してもよい。
次いで、有利には、これを、好ましくは5〜25℃の温度で、最も好ましくは10〜15℃又は12〜20℃で撹拌することにより混合してもよい。
あるいは、撹拌機を使用して混合する代わりに、本発明のプロセスのステップ(i)において提供された乳清タンパク質ミセルを含有する乳清タンパク質を含む、水溶液に脂肪を添加した後に、得られた混合物を、好ましくは50〜400バール、好ましくは100〜400バール、より好ましくは200〜350バール、更により好ましくは250〜350バールで均質化してもよい。均質化は、最も好ましくは30〜60℃、好ましくは35〜45℃、又は40〜55℃、若しくは50〜60℃で実施される。この均質化は、2ステップ均質化として実施してもよく、又は1ステップ均質化として実施してもよい。
加えて、他の好ましい一態様によると、本発明のプロセスのステップ(i)〜(v)のいずれかにおいて、最も好ましくはステップ(ii)の後又は最中に、微量栄養素をタンパク質供給源に添加してもよい。
このような微量栄養素は、ビタミン、ミネラル、及び微量元素から選択されてもよく、これらは単独で又は組み合わせてのいずれかで存在させることができる。あるいは、本発明のプロセスに用いられるタンパク質供給源は、微量栄養素を全く含有せず、又は、微量栄養素が、本発明のプロセスに添加されない場合がある。
特に好ましい態様によると、ミネラル及び/又は塩含有量を、好ましくは本発明のプロセスのステップ(i)又はステップ(ii)のいずれかにおいて、タンパク質供給源に基づいて1.5〜5重量%、好ましくはタンパク質供給源に基づいて3.5〜7.5重量%又は同等、最も好ましくはタンパク質供給源に基づいて6.25〜7.25重量%の(全)量で、タンパク質供給源に添加してもよい。
本発明のプロセスの、ステップ(i)、好ましくは更にステップ(ii)における更なる態様では、タンパク質供給源の水溶液のミネラル及び/又は塩含有量は、最終的なスプーン切れのよい栄養組成物の2.5重量%未満の量、好ましくは0.2重量%未満の量である。
本発明のプロセスに用いられる特定のビタミン及びミネラルの量は、当業者により決定することができる。より好ましくは、このような特定のビタミン、ミネラル、及び/又はこれらの塩は、本発明の熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物について上記で定義されるとおりである。
好ましくは本発明のプロセスのステップ(i)又はステップ(ii)のいずれかにおいて、タンパク質供給源に添加されてもよい更なるミネラル及び/又は塩は、微量元素であってもよい。このような微量元素としては、例えば、クロム、コバルト、銅、塩化物、フッ素、ヨウ素、マンガン、モリブデン、セレン、及び亜鉛、並びに/又はこれらの塩が挙げられてもよい。
したがって、いくつかの態様では、任意の組み合わせのビタミン、特に、患者に適切な栄養を提供するのに有用なミネラル及び微量元素を、本発明のプロセスにおいて添加することができる。ビタミン、ミネラル、及び微量元素は、溶液として、又は粉末若しくは固形としてのいずれかで、混合物又は処方物の形態で添加することができる。
更にまた、特に好ましい態様によると、本発明のプロセスのステップ(i)〜(v)の後で得られる熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物は、苦味を全く有さない。
本発明のプロセスのいくつかの態様では、ステップ(i)〜(ii)、好ましくはまたステップ(iii)〜(v)は、5.5〜8のpH、又は6〜7のpH、又は6.0〜6.5のpH、又はpHで実施され、最も有利には、ステップ(iii)〜(v)は、6.5〜7.2のpH、最も好ましくは6.7〜6.8のpHで実施される。この観点から、pHが、5.5〜8のpH、好ましくは6〜7のpH、最も好ましくは6.0〜6.5のpHで維持されるように、ステップ(i)〜(v)のいずれかの後又は最中にpH調整を実施してもよい。最も有利には、ステップ(i)〜(v)のいずれかの最中に、pHは、6.5〜7.2、最も好ましくは6.7〜6.8のpHで維持される。
本発明のプロセスの好ましい態様によると、一般に、任意の酸又は塩基を使用して、pHを調整することができる。好ましくは、KOHなどの塩基を用いてpHを調整するが、NaOH、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化アンモニウム、又は水酸化カルシウムを含む他の塩基もまた、5.5〜8のpH、又は6〜7のpH、又は6.0〜6.5のpH、最も有利には6.5〜7.2のpH、最も好ましくは6.7〜6.9のpHにpHを調整するのに用いられてもよい。当業者は、pH調整に好適な他の手段を認識するだろう。好適な酸としては、例えば、クエン酸、酢酸、及び塩酸が挙げられる。
この目的のために、本発明のプロセスにおいて、前述の理由でタンパク質のうちの40mg/gを超えて一価金属イオン含有量を増加させない添加物のみが、好ましくは使用される。例えば、pH調整のためのクエン酸カリウム若しくは水酸化カリウム使用、又はNaClの使用は、好ましくは限定されるか、又は最も好ましくは避けるべきである。
本発明者らは、驚くべきことに、本発明のプロセスにおける少量の一価金属イオンが、そこから得られる熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物の中程度の粘度及び安定性を更に高めるので特に有利であることを見出した。
好ましい態様によると、乳清タンパク質とカゼインとを含む、好ましくは乳清タンパク質ミセルを含む、タンパク質供給源、すなわちステップ(i)及び(ii)の組み合わせたタンパク質供給源は、本発明のプロセスにおいて提供することができ、これにより、それによって得ることができる熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物が、典型的にはNa、Kから選択される総量の一価金属イオン、更にはナトリウム及びカリウム(Na+K)を、少ない量、好ましくはタンパク質供給源のうち最大40mg/g、好ましくはタンパク質供給源のうち25mg/g未満、最も好ましくはタンパク質供給源のうち0〜5mg/g、又はタンパク質供給源のうち2〜10mg/g、若しくは8〜15mg/g、若しくは13〜20mg/g、若しくは18〜25mg/g、若しくは23〜30mg/g、若しくは28〜35mg/g、若しくは33〜40mg/gの量で、含む。
いくつかの態様では、乳清タンパク質とカゼインとを含む、好ましくはまた乳清タンパク質ミセルも含む、タンパク質供給源、すなわちステップ(i)及び(ii)の組み合わせたタンパク質供給源は、本発明のプロセスにおいて提供することができ、これにより、熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物が、典型的には、タンパク質供給源のうち最大40mg/g、好ましくはタンパク質供給源のうち25mg/g未満、最も好ましくはタンパク質供給源のうち0〜5mg/g、又はタンパク質供給源のうち2〜10mg/g、若しくは8〜15mg/g、若しくは13〜20mg/g、若しくは18〜25mg/g、若しくは23〜30mg/g、若しくは28〜35mg/g、若しくは33〜40mg/gの量で、カリウムを含有する。
更なる態様では、乳清タンパク質とカゼインとを含む、好ましくは乳清タンパク質ミセルを含む、タンパク質供給源は、本発明のプロセスにおいて提供することができ、これにより、それによって得ることができる熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物が、典型的には、タンパク質供給源のうち最大40mg/g、好ましくはタンパク質供給源のうち25mg/g未満、最も好ましくはタンパク質供給源のうち0〜5mg/g、又はタンパク質供給源のうち2〜10mg/g、若しくは8〜15mg/g、若しくは13〜20mg/g、若しくは18〜25mg/g、若しくは23〜30mg/g、若しくは28〜35mg/g、若しくは33〜40mg/gの量で、ナトリウムを含有する。
上記の段落における一価金属イオンの濃度は、好ましくは、得られた/調製された熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物のタンパク質供給源中のタンパク質の総量、好ましくはカゼインの総量、好ましくは乳清タンパク質の総量に基づいており、典型的には、乳清タンパク質の総量を含む。
好ましい態様によると、乳清タンパク質とカゼインとを含む、好ましくは乳清タンパク質ミセルを含む、タンパク質供給源、すなわちステップ(i)及び(ii)の組み合わせたタンパク質供給源は、本発明のプロセスにおいて提供することができ、これにより、それによって得ることができる熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物が1つ以上のシトレートを含有する。好ましくは、シトレートはクエン酸三カリウムである。最も好ましくは、シトレートは、本発明のプロセスのステップ(i)及び/又は(ii)において添加され、これにより、それによって得ることができる熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物が、組成物の0.1〜1重量%、好ましくは、熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物の、0.2〜0.5重量%、又は0.3〜0.7重量%で、シトレートを含有する。
本発明の一態様では、デンプン及び/又はカラギーナンなどの他の親水コロイドなどの他の成分は、好ましくは、ステップ(i)〜(v)のいずれにも添加されず、これにより好ましくは、本発明のプロセスから得られる熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物が、デンプン及び/又はカラギーナンなどの他の親水コロイドを含有しない。
ステップ(i)〜(v)に続く本発明のプロセスの更なる態様では、熱滅菌した液体又は半液体のスプーン切れのよい栄養組成物は、本発明のプロセスの生成物として得られ、熱滅菌した液体又は半液体のスプーン切れのよい栄養組成物は、好ましくは上記のとおり定義され、より好ましくは、この液体又は半液体の組成物は、好ましくは、100s−1の剪断速度にて測定して20℃で400mPa.sより高い、好ましくは20℃で700mPa.sより高い、好ましくは100s−1の剪断速度にて測定して20℃で400〜4000mPa.sの、好ましくは20℃で700〜1000mPa.sの、又は、100s−1の剪断速度にて測定して20℃で900〜1300mPa.sの、若しくは20℃で1100〜1600mPa.sの、若しくは20℃で1200〜1900mPa.sの、若しくは20℃で1500〜2100mPa.sの、若しくは20℃で1700〜2400mPa.sの、若しくは20℃で2100〜2700mPa.sの、若しくは20℃で2500〜3200mPa.sの、若しくは20℃で2900〜3500mPa.sの、若しくは20℃で3300〜3900mPa.sの、粘度を有する。
ステップ(i)〜(v)に続く本発明のプロセスのいくつかの態様では、熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物を、任意選択的なステップ(vi)において乾燥して、好ましくは噴霧乾燥、凍結乾燥(freeze drying)して、凍結乾燥(lyophylisation)又は流動床凝集により粉末が形成される。
本発明のプロセスの特に好ましい態様によると、均質化処理ステップ(iii)の後及び加熱処理ステップ(iv)の前に、混合物を0〜5℃に冷却してもよい。この冷却は、好ましくは、5.5〜8のpH、又は6〜7のpH、又は6.0〜6.5のpHへの任意選択的なpH調整ステップの前にのみ実施される。pH調整ステップは、pHを6.5〜7.2のpH、最も好ましくは6.7〜6.8のpHとするものであるのが特に有利である。
好ましい態様によると、本発明のプロセスのステップ(i)〜(v)の後で得られた、熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物全体は、品質保持安定性がある。本発明のプロセスのいくつかの態様では、品質保持期間は、好ましくはいずれかの最終加工ステップ、より好ましくは最終加工ステップ(v)後から開始して少なくとも9ケ月間、好ましくは少なくとも1年間である。好ましくは、熱滅菌した液体又は半液体のスプーン切れのよい栄養組成物は、室温での品質保持安定性がある。
更にまた、いくつかの態様では、本発明のプロセスのステップ(i)〜(v)の後で得られる、熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物全体は、実質的に苦い味がなく、得られる液体又は半液体のスプーン切れのよい栄養組成物は、中程度の粘度、中程度の浸透圧を有し、ゲル化されていない、及び/又は凝集されていない。本明細書に記載される「スプーン切れのよい」粘度を有する液体又は半液体は、ヨーグルトのような食感を有し、スプーン切れがよく、ゆっくりと流動するか、又は更には流動しないものである場合もあるが、粘稠度はなおも弱い。
更なる態様では、本発明のプロセスのステップ(i)〜(v)の後で得られる、スプーン切れのよい栄養組成物全体は、改善された安定性、好ましくは長期間の品質保持期間を有する。
更なる実施形態によると、本明細書に記載される本発明の熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物の使用として、初めに記載のもの、又は本発明のプロセスによって得られる又は得ることができるもののいずれかが、考えられる。一態様では、本発明のプロセスによって得ることができる本発明のスプーン切れのよい栄養組成物は、飲料組成物である。
一実施形態によると、本発明のスプーン切れのよい栄養組成物は、疾患状態の人若しくは疾患状態から回復中の人、又は栄養不良の人に、栄養を提供する使用に特に好適である。
本明細書で使用するとき、用語「疾患」は、機能の撹乱又は異常;身体的又は精神的に病的な状態のいずれかを指す。
いくつかの態様では、このような疾患又は栄養不良の治療は、好ましくは、治療有効量の、本発明によって定義される熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物を、かかる組成物を必要とする対象に投与することによって達成される。特に好ましい態様によると、このような熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物を、1日1回、好ましくは1日2回、より好ましくは1日3回投与することとし、投与中好ましくは、本明細書で定義される、投与のための少なくとも1単位又は用量を提供する。投与において、1日当たりに投与されるエネルギーの総量は、上記で定義されるとおりであるのが好ましい。本明細書で使用するとき、用語「対象」は動物を指す。好ましくは動物は哺乳動物である。対象は、例えば霊長類(例えば、ヒト)、乳牛、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウス、魚、及び鳥など指す。いくつかの態様では、好ましくは、対象は、ヒトである。
本発明の熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物の「治療有効量」という用語は、対象の生物学的若しくは医学的応答を引き出す、又は症状を改善する、疾患の進行を遅らせる、若しくは疾患を予防するなどの、本発明のコンパウンドの量を指す。更なる態様では、このような「治療有効量」は、得られたままの、包装された用量又は単位である。
一実施形態によると、本明細書に記載される本発明の熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物として、最初に記載のものか、又は本発明のプロセスによって得られる若しくは得ることができるもののいずれかが、乳児(1歳未満の小児)での使用に好ましく好適である。いくつかの態様では、本発明のスプーン切れのよい栄養組成物はまた、成人及び小児による使用にも好適である。
一態様によると、本明細書に記載される熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物として、最初に記載のものか、又は本発明のプロセスによって得られる若しくは得ることができるもののいずれかは、栄養組成物、栄養補助食品、乳児用フォーミュラ、フォローオンフォーミュラ、ベビーフードフォーミュラ、乳児用シリアルフォーミュラ、又はグローイングアップミルク、乳児若しくは小児のフードサプリメント、小児用フォーミュラ、成人用栄養組成物、母体栄養補助食品、肥満処方物、高齢者用栄養組成物、又はヘルスケア処方物である。
いくつかの態様では、本明細書に記載される熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物として、最初に記載のものか、又は本発明のプロセスによって得られる若しくは得ることができるもののいずれかは、栄養を必要とする人に栄養を提供するために使用されてもよく、ここで、当該人は、好ましくは高齢者、疾患状態の人、疾患状態から回復中の人、栄養不良の人、又はスポーツマン若しくはスポーツウーマン若しくは活発な高齢者などの健康な人である。
本発明の様々な実施形態を上記した。これらの記載は例示を意図するものであり、限定を意図するものではない。したがって、以下に示す特許請求の範囲を逸脱することなく、記載とおり本発明に特定の変更を行ってもよいことは当業者にとって明らかである。
例えば、本明細書に記載されているように、「好ましい実施形態」は、「本発明の好ましい実施形態」を意味する。同様に、本明細書に記載されているように、「様々な実施形態」及び「別の実施形態」は、それぞれ「本発明の様々な実施形態」及び「本発明の別の実施形態」を意味する。
別途記載のない限り、本発明において、用語「少なくとも」は、典型的には、一連の要素のうち最低限のものを意味するものであり、一連の要素に含まれるすべての要素を指すものであることは理解されたい。当業者であれば、本明細書に記載の本発明の特定の実施形態に対する多くの均等物を認識するであろうし、又は通常の実験を超えない実験を用い調査可能であるだろう。このような均等物は、本発明に包含されるものと意図される。
本明細書及び添付の特許請求の範囲を通して、別途記載のない限り、用語「含む」及び「含んでいる」などのその変形は、記載の整数又はステップ又は整数群又は複数のステップを包含するものであり、任意の他の整数又はステップ又は整数若しくはステップ群を除外することを意味するものと理解される。本明細書で使用するとき、用語「含む」は、用語「含有する」で可換であり、本明細書で使用するとき、場合によっては用語「有する」で可換である。本明細書で使用するとき、「からなる」は、特許請求の範囲において明記されていない任意の要素、ステップ、又は原材料を排除する。本明細書で使用するとき、「本質的に〜からなる」は、特許請求の範囲の基本的及び新規特性に顕著に作用しない物質又はステップを排除しない。本明細書に記載のそれぞれの例において、用語「含む」、「から本質的になる」、及び「からなる」は、その他の2つの用語のいずれかにより可換な場合もある。
更にまた、本発明に記載された百分率は、特に別途指示しない限り、重量/重量%(w/w)又は重量/体積%(w/v)のいずれかと相互交換可能である。
最終的に、本開示で引用したすべての刊行物及び特許文献は、参照によりその全体が援用される。参照により本明細書の記載と矛盾する又は一致する文献が組み込まれるとき、本明細書の記載は任意のこのような文献の記載よりも優先される。
以降の図は、本発明を更に例示することを意図する。それらの図は、本発明の主題を制限することを意図するものではない。
本発明による乳清タンパク質ミセルの概略構造を示す。乳清タンパク質は、水素結合領域及び疎水結合領域があるように配置される。 物理的相互作用及び化学的相互作用の両方が乳清タンパク質ミセルに関与する: S:システインが有する接触可能なチオール/活性チオール。 −S−S−:乳清タンパク質ミセルを安定させるジスルフィド架橋。 実施例で使用される乳清ミセル分散物の、本発明のプロセスによる他の成分の添加前の顕微鏡写真を示す。 実施例で使用される乳清ミセル分散物の、本発明のプロセスによる他の成分の添加前の顕微鏡写真を示す。 実施例で使用される乳清ミセル分散物の、本発明のプロセスによる他の成分の添加前の顕微鏡写真を示す。 実施例で使用される乳清ミセル分散物の、本発明のプロセスによる他の成分の添加前の顕微鏡写真を示す。 実施例で使用される処方物の、間接UHT熱処理ステップを実施する前の顕微鏡写真を示す。 [β]ラクトグロブリン(BLG)の存在は、凝集体(矢の先)において免疫金標識によって示される。脂肪球(矢印)はなおも不均質であり、タンパク質凝集体はその表面に位置する。 実施例で使用される処方物の、間接UHT熱処理ステップを実施する前の顕微鏡写真を示す。 [β]ラクトグロブリン(BLG)の存在は、凝集体(矢の先)において免疫金標識によって示される。脂肪球(矢印)はなおも不均質であり、タンパク質凝集体はその表面に位置する。 実施例で使用される処方物の、間接UHT熱処理ステップを実施する前の顕微鏡写真を示す。 [β]ラクトグロブリン(BLG)の存在は、凝集体(矢の先)において免疫金標識によって示される。脂肪球(矢印)はなおも不均質であり、タンパク質凝集体はその表面に位置する。 実施例で使用される処方物の、間接UHT熱処理ステップを実施する前の顕微鏡写真を示す。 [β]ラクトグロブリン(BLG)の存在は、凝集体(矢の先)において免疫金標識によって示される。脂肪球(矢印)はなおも不均質であり、タンパク質凝集体はその表面に位置する。 実施例1の熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物の、間接UHT熱処理ステップの後の、顕微鏡写真を示す。 [β]ラクトグロブリン(BLG)の存在は、凝集体(矢の先)中の免疫金標識によって示される。脂肪球(矢印)はなおも不均質であり、タンパク質凝集体はその表面に位置する。 実施例1の熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物の、間接UHT熱処理ステップの後の、顕微鏡写真を示す。 [β]ラクトグロブリン(BLG)の存在は、凝集体(矢の先)中の免疫金標識によって示される。脂肪球(矢印)はなおも不均質であり、タンパク質凝集体はその表面に位置する。 実施例1の熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物の、間接UHT熱処理ステップの後の、顕微鏡写真を示す。 [β]ラクトグロブリン(BLG)の存在は、凝集体(矢の先)中の免疫金標識によって示される。脂肪球(矢印)はなおも不均質であり、タンパク質凝集体はその表面に位置する。 実施例1の熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物の、間接UHT熱処理ステップの後の、顕微鏡写真を示す。 [β]ラクトグロブリン(BLG)の存在は、凝集体(矢の先)中の免疫金標識によって示される。脂肪球(矢印)はなおも不均質であり、タンパク質凝集体はその表面に位置する。 実施例2の熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物の、間接UHT熱処理ステップの後の、顕微鏡写真を示す。 [β]ラクトグロブリン(BLG)の存在は、凝集体(矢の先)中の免疫金標識によって示される。脂肪球(矢印)はなおも不均質であり、タンパク質凝集体はその表面に位置する。 実施例2の熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物の、間接UHT熱処理ステップの後の、顕微鏡写真を示す。 [β]ラクトグロブリン(BLG)の存在は、凝集体(矢の先)中の免疫金標識によって示される。脂肪球(矢印)はなおも不均質であり、タンパク質凝集体はその表面に位置する。 実施例2の熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物の、間接UHT熱処理ステップの後の、顕微鏡写真を示す。 [β]ラクトグロブリン(BLG)の存在は、凝集体(矢の先)中の免疫金標識によって示される。脂肪球(矢印)はなおも不均質であり、タンパク質凝集体はその表面に位置する。 実施例2の熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物の、間接UHT熱処理ステップの後の、顕微鏡写真を示す。 [β]ラクトグロブリン(BLG)の存在は、凝集体(矢の先)中の免疫金標識によって示される。脂肪球(矢印)はなおも不均質であり、タンパク質凝集体はその表面に位置する。 実施例3の熱滅菌した栄養組成物の、直接蒸気注入(DSI)熱処理の後の、顕微鏡写真を示す。 実施例3の熱滅菌した栄養組成物の、直接蒸気注入(DSI)熱処理の後の、顕微鏡写真を示す。 実施例3の熱滅菌した栄養組成物の、直接蒸気注入(DSI)熱処理の後の、顕微鏡写真を示す。 実施例3の熱滅菌した栄養組成物の、直接蒸気注入(DSI)熱処理の後の、顕微鏡写真を示す。 例示的な本発明のプロセスの概略図である。見てわかるとおり、本発明のプロセスは、(i)乳清タンパク質溶液を加熱することによって、乳清タンパク質ミセルを含有する乳清タンパク質を含む、水溶液を提供することができる。次いでこれを冷却し、任意選択的に脂肪を添加し、続いて混合してもよい。次いで、(ii)カゼインを含有するタンパク質供給源を、塩及びCHOなどの他の任意選択的な成分と共に添加し、次いで、(iii)任意選択的に均質化した後、(iv)間接UHT熱処理ステップにより熱処理し、次いで(v)任意選択的に均質化してもよい。
以降の例は、本発明を更に例示することを意図する。それらの例は、本発明の主題を制限することを意図するものではない。
実施例1:本発明による例示的なプロセス
上記成分を含有する、本発明による熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物を、上記で定義される量を使用して以下のように調製した。脱ミネラル水及び乳清タンパク質分離物を50℃にて混合し、続いて30分間水和した。クエン酸5%を使用して、pH6.2までpH調整を行い、続いて混合物を85℃にて15分間加熱して、乳清タンパク質ミセルを形成し、次いで15℃まで冷却した。
次いで、大豆油を添加し、続いて15℃で混合した後、脱水グルコースシロップ(DE28−31)、クエン酸三カリウム、スクロース、風味剤、及び乳タンパク質濃縮物、85%のタンパク質含有量(カゼイン供給源)を添加し、40分間混合及び水和した。
次いで、混合物を50℃まで予熱し、続いて200+50バールで均質化した後、コイル状システム上にて138℃で30秒間、間接UHT処理を行った。次いで、これを20バールで均質化した後、50℃まで冷却し、その後で充填した。
こうして、上記のように、13重量%のタンパク質を含有する、本発明による熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物を、以下のプロファイルにより調製した。

注意:
25℃でのpH=6.7
20℃での密度、g/cm=1.12
総固形分=44.5g/100g
更にまた、アミノ酸プロファイルは以下のとおりであった。

シスチン+メチオニン合計[g/100g]=0.531
メチオニン/シスチン(比率)=1.740。
Ballin,2006にて報告された等式に基づいて算出した乳清/カゼイン比:42/58
%乳清タンパク質=(C−0.25)/(3.0−0.25)×100=42
C=100%のタンパク質に対するシスチンの百分率=1.40
上記の熱滅菌した液体又は半液体のスプーン切れのよい栄養組成物は、味/苦味が全くなかった。更にまた、これを、プレート/プレート形状(直径60mm)及び1mmのギャップを備えたレオメータ(Haake Rheostress 6000、UMTCと一体化)を使用して測定すると、20℃/100s−1で1277mPa.sの中程度の粘度を有していた。0〜300s−1の制御された剪断速度勾配(線形増加)の流動曲線を20℃±0.1にて得た。
更にまた、得られる液体又は半液体のスプーン切れのよい栄養組成物は、1年間にわたる品質保持安定性があった。
実施例2:本発明による例示的なプロセス
上記成分を含有する、本発明による熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物を、上記で定義される量を使用して以下のように調製した。脱ミネラル水及び乳清タンパク質分離物を50℃にて混合し、続いて30分間水和した。クエン酸5%を使用して、pH6.2までpH調整を行い、続いて混合物を85℃にて15分間加熱して、乳清タンパク質ミセルを形成し、次いで15℃まで冷却した。
次いで、大豆油を添加し、続いて15℃で混合した後、脱水グルコースシロップ(DE28−31)、クエン酸三カリウム、スクロース、風味剤、及び乳タンパク質濃縮物、85%のタンパク質含有量(カゼイン供給源)を添加し、40分間混合及び水和した。
次いで、混合物を50℃まで予熱し、続いて250+50バールで均質化した後、コイル状システムを使用して138℃で40秒間、間接UHT処理を行った。次いで、これを20バールで均質化した後、50℃まで冷却し、その後で充填した。
こうして、上記のように、13重量%のタンパク質を含有する、本発明による熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物を、以下のプロファイルにより調製した。

注意:
25℃でのpH=6.7
20℃での密度、g/cm=1.12
総固形分=44.5g/100g
更にまた、アミノ酸プロファイルは以下のとおりであった。

シスチン+メチオニン合計[g/100g]=0.531
メチオニン/シスチン(比率)=1.74。
Ballin,2006にて報告された等式に基づいて算出した乳清/カゼイン比:42/58
%乳清タンパク質=(C−0.25)/(3.0−0.25)×100=42
C=100%のタンパク質に対するシスチンの百分率=1.40
上記の熱滅菌した液体又は半液体のスプーン切れのよい栄養組成物は、味/苦味が全くなかった。更にまた、これを、プレート/プレート形状(直径60mm)及び1mmのギャップを備えたレオメータ(Haake Rheostress 6000、UMTCと一体化)を使用して測定すると、20℃/100s−1で1822mPa.sの中程度の粘度を有していた。0〜300s−1の制御された剪断速度勾配(線形増加)の流動曲線を20℃±0.1にて得た。
更にまた、得られる液体又は半液体のスプーン切れのよい栄養組成物は、1年間にわたる品質保持安定性があった。
実施例3:UHT直接蒸気注入を使用した比較例
上記成分を含有する、上記で定義される量を用い、低粘度の熱滅菌した液体の栄養組成物を以下のように調製した。脱ミネラル水及び乳清タンパク質分離物を50℃にて混合し、続いて30分間水和した。クエン酸5%を使用して、pH6.2までpH調整を行い、続いて混合物を85℃にて15分間加熱して、乳清タンパク質ミセルを形成し、次いで15℃まで冷却した。
次いで、大豆油を添加し、続いて15℃で混合した後、脱水グルコースシロップ(DE28−31)、クエン酸三カリウム、スクロース、風味剤、及び乳タンパク質濃縮物、85%のタンパク質含有量(カゼイン供給源)を添加し、40分間混合及び水和した。
次いで混合物を50℃まで予熱し、続いて250+50バールにて均質化し、65℃まで予熱し、続いて148℃にて5秒間直接蒸気注入によりUHT処理を行った。次いで、これを63℃まで冷却し、混合物を200+50バールにて均質化した後、25℃まで冷却し、その後で充填した。
こうして、上記のように、13重量のタンパク質を含有する、低粘度の熱滅菌した液体の栄養組成物を、以下のプロファイルにより調製した。

注意:
25℃でのpH=6.7
20℃での密度、g/cm=1.12
総固形分=44.5g/100g
更にまた、アミノ酸プロファイルに基づく計算を、以下のとおりにした。
シスチン+メチオニン合計[g/100g]=0.531
メチオニン/シスチン(比率)=1.74。
Ballin,2006にて報告された等式に基づいて算出した乳清/カゼイン比:42/58
%乳清タンパク質=(C−0.25)/(3.0−0.25)×100=42
C=100%のタンパク質に対するシスチンの百分率=1.40
この熱滅菌した液体の組成物を、プレート/プレート形状(直径60mm)及び1mmのギャップを備えたレオメータ(Haake Rheostress 6000、UMTCと一体化)を使用して測定すると、20℃/100s−1で82mPa.sの低い粘度を有していた。0〜300s−1の制御された剪断速度勾配(線形増加)の流動曲線を20℃±0.1にて得た。
実施例4:透過電子顕微鏡
プロトコル:
実施例2〜6によって調製した試料を受理後、PBS緩衝液(pH:7.3)中3.7%のパラホルムアルデヒドで固定する。固定した試料を4%水性寒天溶液内に埋め込み、氷上で固化させる。1mmの小立方体に切断し、次いで試料を30%〜100%の段階的な一連のエタノール溶液で脱水(各浴30分)し、及び100%エタノール溶液で3回1時間脱水する。次いで純粋な樹脂による3回それぞれ1時間ずつの最終浸透の前に、段階的な一連のLRホワイト樹脂を試料に徐々に浸透させる。重合を、60℃で48時間実施する。重合後、70nmの超薄切片を切り出し、100メッシュのニッケルグリッド上に収集する。
BLG免疫標識のため、グリッドを、Tris(pH7.4)中2.5%のBSA(重量/体積)溶液の液滴上に15分間置く。次いで、1/200の抗BLGを含有するTrisの液滴上に、グリッドを4℃で1晩かけて移す。これらをトリスで3回すすぎ、1/30に希釈されたプロテインA金15nmの滴上で30分間インキュベーションする。次いで、グリッドをトリスで3回すすぎ、最後のステップでは水で3回すすぐ。
試料は、80kV電子顕微鏡(FEI、オランダ)でLaB6フィラメントを使用するTecnai Spirit BioTWINを用いて撮像された。
結果を図2〜図6の顕微鏡写真に示す。
図2a〜図2dは、実施例で使用される乳清ミセル分散物の、他の成分を添加する前の顕微鏡写真を示す。
図3a〜図3dは、UHT熱処理ステップを実施する前の、実施例1〜3の処方物を示す。
図4a〜図4dは、コイル状システム上で、約138℃で約30秒間の間接UHT処理の後の、実施例1による最終的な熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物を示す。
図5a〜図5dは、実施例1の処方物のコイル状システム上で、約138℃で約40秒間の間接UHT処理の後の、実施例2による最終的な熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物を示す。
図6a〜図6dは、直接蒸気注入(DSI)熱処理の後の、実施例3の熱滅菌した栄養組成物を示す。
この顕微鏡写真から、スプーン切れのよい試料(図4a〜図4d及び図5a〜図5d)と低い粘度によって特徴付けられる試料(図6a〜図6d)との構造の差異を、明確に見ることができる。
すべての試料で乳清タンパク質ミセル(矢の先)の存在が示されたものの、スプーン切れのよい試料(図4a〜図4d及び図5a〜図5d)では、より大きいタンパク質凝集体(白い矢印)を特定することが可能であり、多くの場合、小さい脂肪球(矢印)も組み込んでいる。これらのより大きい凝集体は、間接UHT処理前には存在しなかった(図3a〜図3d)。このことは、これらが、コイル状システム上での間接熱処理中に形成されたことを示すものである。
図4a〜図4d、図5a〜図5d、及び図6a〜図6d(実施例1、2、及び3に対応)の各々で、多くのタンパク質凝集体(矢の先)が観察された。[β]ラクトグロブリン(BLG)の存在は、凝集体中の免疫金標識によって示される。これによっては凝集体外のBLGの存在が明らかにならない。
コイル状システム上で間接UHT処理により試料を処理するとき(図4a〜図4d及び図5a〜図5d)、ミセルが開口し再構築(とりわけ変形体2)されたように見える。図4a〜図4d及び図5a〜図5dで、小さい油滴を含有する、大きい凝集体を観察することが可能である。
コイル状システム上での120℃より高い間接UHT処理を含む、実施例1及び2のプロセス条件により、ミセル同士を合体させていたS−S結合の再構成がもたされたのかもしれない。更にまた、乳清タンパク質分離物に由来する乳清は、ミセル間で「糊」として機能することができる。
このデータは、コイル状システム上での間接UHT処理による上記処理の後の試料について、最終的な熱滅菌した栄養組成物中に乳清タンパク質ミセルが含有され、検出可能であったことを明確に裏付けている。
他方、低い粘度の試料(図6a〜図6d)は、大きい凝集体の存在を示さない。乳清タンパク質ミセル(矢の先)はなおも認識可能であり、多くの場合、脂肪球と密着しており、一般的に非常に小さい。また、その中の乳清タンパク質は、単に部分的に球状であること、及び脂肪球を安定化するとき変形するように見えることにも、注目すべきである。

Claims (18)

  1. 熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物であって、
    前記組成物の12〜20重量%の量でタンパク質供給源を含み、
    前記タンパク質供給源が、乳清タンパク質ミセルを含有する乳清タンパク質とカゼイン供給源とからなり、
    前記スプーン切れのよい栄養組成物が、100s−1の剪断速度で測定して20℃にて400〜4000mPa.sの粘度を有する液体又は半液体の組成物である、栄養組成物。
  2. 前記熱滅菌した栄養組成物が、前記タンパク質供給源の1.2〜2.4重量%の量でシステインを含有する、請求項1に記載の栄養組成物。
  3. 乳清タンパク質が、前記組成物の4.5〜9重量%の量で存在する、請求項1又は2に記載の栄養組成物。
  4. カゼインが、前記組成物の3.5〜13重量%の量で存在する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の栄養組成物。
  5. 前記組成物100g当たり最大20gのタンパク質濃度を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の栄養組成物。
  6. 栄養組成物、栄養補助食品、乳児用フォーミュラ、フォローアップフォーミュラ、ベビーフードフォーミュラ、乳児用シリアルフォーミュラ又はグローイングアップミルク、乳児若しくは小児のフードサプリメント、小児用フォーミュラ、成人用栄養組成物、母体栄養補助食品、肥満処方物、高齢者用栄養組成物、又はヘルスケア処方物である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の栄養組成物。
  7. 栄養を必要とする人に栄養を提供するのに使用するためのものであって、
    前記人が、好ましくは高齢者、疾患状態の人、疾患状態から回復中の人、栄養不良の人、又は、スポーツマン若しくはスポーツウーマン若しくは活発な高齢者などの健康な人である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の栄養組成物。
  8. 12〜20重量%の総タンパク質を含むスプーン切れのよい栄養組成物を調製するための、乳清タンパク質ミセルを含有する乳清タンパク質とカゼイン供給源とを含有するタンパク質供給源の使用であって、
    前記得られたスプーン切れのよい栄養組成物が、100s−1の剪断速度で測定して20℃にて400〜4000mPa.sの粘度を有する液体又は半液体の組成物である、使用。
  9. 前記組成物が、前記タンパク質供給源の1.2〜2.4重量%の量でシステインを含有する、請求項8に記載の使用。
  10. 12〜20重量%の総タンパク質を含む液体又は半液体のスプーン切れのよい栄養組成物の粘度を調整するための、カゼイン供給源と組み合わせての乳清タンパク質ミセルの使用であって、
    前記組成物が、好ましくは6〜8のpHを有し、
    前記得られたスプーン切れのよい栄養組成物が、100s−1の剪断速度で測定して20℃にて400〜4000mPa.sの粘度を有する液体又は半液体の組成物である、使用。
  11. 前記組成物が、前記タンパク質供給源の1.2〜2.4重量%の量でシステインを含有する、請求項10に記載の使用。
  12. 熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物の調製プロセスであって、
    前記組成物が、前記組成物の重量に基づいて12〜20重量%の量でタンパク質供給源を含み、
    前記タンパク質供給源が、乳清タンパク質ミセルを含有する乳清タンパク質と、カゼインとを含み、
    前記プロセスが、
    (i)乳清タンパク質ミセルを含有する乳清タンパク質を含む、タンパク質供給源の水溶液を準備するステップと、
    (ii)カゼインを含有するタンパク質供給源を添加するステップと、
    (iii)任意選択的に均質化処理ステップを実施するステップと、
    (iv)間接UHT熱処理ステップを実施するステップと、
    (v)任意選択的に均質化処理ステップを実施するステップと、を含み、
    ステップ(i)〜(v)の後で、100s−1の剪断速度で測定して20℃にて400〜4000mPa.sの粘度を有する液体又は半液体の組成物である、熱滅菌したスプーン切れのよい栄養組成物を得る、プロセス。
  13. 乳清タンパク質が、前記組成物の4.5〜9重量%の量で存在する、請求項12に記載のプロセス。
  14. カゼインが、前記組成物の3.5〜13重量%の量で存在する、請求項12又は13に記載のプロセス。
  15. ステップ(iv)において、前記間接熱処理ステップを、コイル状管状熱交換器を使用して間接UHT処理により実施する、請求項12〜14のいずれか一項に記載のプロセス。
  16. ステップ(i)〜(v)の後で、前記熱滅菌した栄養組成物を乾燥して、好ましくは噴霧乾燥して粉末を形成する、請求項12〜15のいずれか一項に記載のプロセス。
  17. ステップ(i)〜(v)の後で、前記得られた熱滅菌した栄養組成物が、前記タンパク質供給源の1.2〜2.4重量%の量でシステインを含有する、請求項12〜16のいずれか一項に記載のプロセス。
  18. 請求項12〜17のいずれか一項に記載のプロセスによって得ることができる、栄養組成物。
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