JP2020500161A - 抗kir3dl2剤による処置 - Google Patents

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Abstract

本開示は、CTCLの処置のためのKIR3DL2標的薬剤の使用に関する。本開示は、特に第1選択CTCLにおいて、CTCLの処置のための抗KIR3DL2抗体を使用する有利な処置レジメンを提供する。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2016年10月21日に提出された米国仮特許出願第62/410,880号明細書の利益を主張し、これらの開示は、あらゆる図面を含めて、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
配列表に対する参照
本出願は、電子形式の配列表と共に提出される。配列表は、サイズが53KBである、2017年10月18日に作られた「KIR−7_ST25」というタイトルのファイルとして提供される。配列表の電子形式の情報は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は、CTCLの処置のためのKIR3DL2標的剤の使用に関する。
様々なT細胞腫瘍およびB細胞腫瘍は、一次的または二次的のいずれかで皮膚に浸潤し得る。皮膚に存在する原発性皮膚リンパ腫は、診断時に真皮外疾患のエビデンスを一切伴わない。原発性皮膚リンパ腫は、組織学的に類似する全身リンパ腫とは完全に異なる臨床挙動および予後を有することが多く、二次的に皮膚に浸潤し得ることから、異なるタイプの処置が必要となる。皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)は、皮膚への新生Tリンパ球の局在化を特徴とするリンパ増殖性疾患の1群である。集合的に、CTCLは、非ホジキンリンパ腫(NHL)の1タイプとして分類される。CTCLの処置選択は、典型的に、皮膚浸潤の程度、皮膚病変のタイプ、ならびに癌が、リンパ節またはその他の内臓まで広がっているか否かに応じて異なる。菌状息肉症の場合、処置は、皮膚または全身を標的とし得る。セザリー症候群は、一般に、血液浸潤を特徴とし、通常、皮膚局所療法単独では処置されない。処置は、最善の長期利益を達成するために、単独で、または組み合わせて処方され得る。CTCLの皮膚局所療法は、斑および限定的なプラーク疾患の場合に有用であり、そうしたものとして、中でも、コルチコステロイド、レチノイド、またはイミキモドなどの局所処置、局所化学療法、局所放射線療法、メトトレキサート、循環光療法、紫外線(光線療法)が挙げられる。
近年では、悪性細胞の表面に発現されるタンパク質をターゲティングするいくつかの抗体治療剤が、CTCLの治療法として有望である。
アレムツズマブは、大部分のTおよびB細胞により発現される抗原であるCD52に対して特異的なヒト化IgG1κモノクローナル抗体であり、これは、CTCLおよびPTCLの治療に使用されており、通常の投与プロトコルは、30mgを3回/週である。しかし、いくつかの後ろ向き研究(retrospective study)および前向き研究(prospective study)は、セザリー症候群において優れた効果を示しているものの、アレムツズマブでの処置は、NKおよびT細胞の広範な排除を引き起こすため、血球減少および免疫排除を招く。さらには、非特許文献1は、それにもかかわらず、アレムツズマブ処置は、皮膚中のT細胞を完全には排除しないと報告した。アレムツズマブは、血液中の全てのT細胞を排除したが、皮膚常在Tエフェクターメモリー細胞の別種の集団は、療法後も皮膚中に残った。アレムツズマブによるT細胞排除は、血液中に一般に存在するが正常皮膚中には稀な細胞型である好中球の存在を必要とするが、これは、セントラルメモリーT細胞が血液と皮膚の間を再循環するので、排除されたのに対し、皮膚常在エフェクターメモリーT細胞は、固着性で、再循環しないために、残ったことを示唆している。
さらに近年では、モガムリズマブ(KW−0761)が、再発性/難治性CTCLおよびPTCLの治療剤として出現している。モガムリズマブは、CCR4を排除するヒト化抗CCR4モノクローナル抗体であり、CCR4+ATLL、PTCLまたはCTCLの処置のために日本で使用が承認されている。しかし、モガムリズマブもまた、正常なCCR4発現細胞を排除することから、正常調節T(TReg)細胞の排除を引き起こす。正常TReg細胞の排除は、移植片対宿主病の危険性により、後のもしくは併用される造血幹細胞移植、または特に安全性のために正しく機能する免疫系を必要とする他の治療剤を予め排除するという結果をもたらす。
CTCLの治療に有望な別の免疫療法薬は、CD30抗原をターゲティングし、CD30発現細胞を排除する抗体薬物コンジュゲートのブレンツキシマブベドチンである。Adcetris(商標)(ブレンツキシマブベドチン(Brentuximab vedotin))は、プロテアーゼ切断性リンカーにより、微小管阻害薬のモノメチルアウリスタチンE(MMAE)に結合した抗CD30モノクローナル抗体(クローンcAC10)である。一旦CD30に結合すると、ブレンツキシマブベドチンは取り込まれ、リンカーに対するリソソーム酵素の作用によりMMAEが放出されて、細胞死を引き起こす。ブレンツキシマブベドチンは、管理可能な毒性で、高い効力を示しているが、この処置は、正常なCD30発現免疫細胞、特に活性化B細胞およびT細胞もターゲティングし得る。一部の著者は、腫瘍環境内に放出されたMMAEが、調節T(TReg)細胞の排除による作用機構に寄与する可能性も示唆している。
最後に、KIR3DL2は、CTCLの標的として提案されている(たとえば、非特許文献2;および特許文献1を参照)。KIR3DL2/CD158kは、正常な循環NKおよびCD8+Tリンパ球上に発現される細胞表面受容体である。KIR3DL2は、CTCL細胞株およびSS患者から新しく単離されたCD4+PBLの表面上、ならびにCTCL患者の循環悪性腫瘍細胞中にも見出されている(非特許文献3)。非特許文献4は、フローサイトメトリーにより分析されるCD158k+血液リンパ球のパーセンテージと、セザリー症候群患者の大きな1群の細胞形態学により決定される異型循環細胞(セザリー細胞)のパーセンテージとの間の強度の正相関を報告し、循環CD4+CD158k+リンパ球が、悪性クローン細胞集団と一致することを報告している。したがって、KIR3DL2は、循環腫瘍負荷の評価、ならびにセザリー症候群患者の経過観察のマーカとして提案されている。特許文献2は、抗KIR3DL2抗体、特に、循環KIR3DL2発現腫瘍細胞または腫瘍細胞株に対するADCCの媒介に効率的な抗体を報告している。
国際公開第02/50122号パンフレット 国際公開第2014/044686号パンフレット
Clark et al.,2012 Sci.Trans.Med.4(117):117ra7(DOI:10.1126/scitranslmed.3003008) Ortonne et al.(2006)Blood 107(10):4030−4038 Nikolova et al.(2002)Leuk Lymphoma.43(4):741−746 Poszepczynska−Guigne J Invest Dermatol.(2004)122(3):820−3
CTCLのための様々な処置が利用可能であるが、それらの多くまたは大部分がその使用を制限する副作用を有し、そうしたものとして、腫瘍細胞の表面に発現されるタンパク質をターゲティングする抗体がある。特に、アレムツズマブおよびモガムリズマブによりそれぞれターゲティングされるCD52およびCC4は、正常細胞にも発現され、正常T細胞およびNK細胞の排除に関連する副作用を招き、さらには、他の利用可能な抗CTCL処置の後の使用または併用の範囲を制限する。したがって、CTCL処置の改善が求められている。
本開示は、T細胞増殖性疾患の血管外、特に皮膚部位での免疫応答を誘導するのに有効な量で、免疫調節剤としての排除用抗KIR3DL2剤の使用を提供する。この処置は、とりわけ、正常なKIR3DL2発現NK細胞およびT細胞の排除を引き起こすことなく、悪性KIR3DL2発現細胞を排除することができる。これらの薬剤は、特に、循環中の検出可能な悪性細胞の存在とは関係なく、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)の処置に使用することができる。これらの薬剤は、循環中に検出可能な悪性KIR3DL2発現細胞がまだない顕在型または進行型疾患を有する患者に有利に使用することができる。これらの薬剤は、循環中に有意な悪性細胞が少ないか、またはないことを特徴とする緩徐進行性もしくは早期T細胞リンパ腫(たとえば、CTCL)を有する患者の処置に有利に使用することができる。一実施形態では、T細胞リンパ腫(たとえば、CTCL)の第1選択処置として薬剤を有利に使用することができる。任意選択で、対象は、化学療法薬でまだ処置されていない。任意選択で、対象は、免疫療法薬(たとえば、モガムリズマブ、アレムツズマブおよび/またはブレンツキシマブベドチン)でまだ処置されていない。任意選択で、対象は、骨髄移植または造血幹細胞移植でまだ処置されていない。任意選択で、対象は、進行性疾患を有する。一実施形態では、骨髄移植または造血幹細胞移植前の患者を処置するために、薬剤を有利に使用することができる。
ADCC誘導性抗KIR3DL2抗体を有するヒト患者の再発性/難治性CTCLの臨床試験において、本発明者らは、驚くことに、極めて少量の抗KIR3DL2抗体(皮膚中のほんのわずかな数の悪性細胞、また特定の用量レベルでは、血液中の悪性細胞(もし存在すれば)のほんの一部に到達するのに十分な量)を受けた患者の皮膚病変に強力な抗腫瘍効果を観察した。
さらに、循環中に検出可能な悪性KIR3DL2発現細胞がない患者において、皮膚疾患(皮膚の紅皮症、プラークまたは斑点)に強力な抗腫瘍効果が観察された。
加えて、臨床試験からの分析は、循環中のKIR3DL2+細胞に対するほんの部分的/最小NK溶解活性をもたらすように投与される用量で、しかも、皮膚腫瘍(たとえば、高い腫瘍負荷を有する患者の腫瘍など)中の細胞上のKIR3DL2受容体の有意な占有を達成する量よりはるかに低い量の排除用抗KIR3DL2剤で処置すると、患者は、正常皮膚構造の回復、および疾患の皮膚部位でのKIR3DL2発現細胞の大幅な減少など、皮膚疾患の著しい改善を経験したことを明らかにした。
これらの結果は、KIR3DL2結合剤が、十分に長期(たとえば、10週間以上)にわたって循環中に活性をもたらすように投与されると、組織の疾患部分における作用が予想される低用量の治療剤にもかかわらず、組織(たとえば、皮膚)中の疾患を処置する上で有効となり得ることを示唆している。さらに、この処置は、有利なことに、他の処置で観察されるものとは異なり、循環中の正常なKIR3DL2発現NK細胞および/またはT細胞の排除を回避することができる。したがって、KIR3DL2結合剤は、限定されないが、早期および/または緩徐進行性疾患を有する個体をはじめとするCTCLの第1選択処置に特に有利に使用することができる。一実施形態では、疾患の早期および後期ステージの両方で、造血幹細胞または骨髄移植と組み合わせて(たとえば、その前に)KIR3DL2結合剤を使用する。一実施形態では、CTCLの第1選択処置のために、KIR3DL2結合剤を使用する。一実施形態では、造血幹細胞または骨髄移植に不適格である(たとえば、高い血液および/または皮膚腫瘍負荷により)対象のCTCLを処置するために、KIR3DL2結合剤を使用する。一実施形態では、KIR3DL2結合剤は、正常NK細胞および/またはT細胞の排除なしに、血液および/または皮膚腫瘍負荷の低減を達成し、対象を造血幹細胞または骨髄移植に対して適格にする。
本発明者らの研究では、抗KIR3DL2抗体の用量設定を決定するための新たなパラダイムを使用した。進行型疾患に関連する高い腫瘍負荷を有する個体の場合に特に高い血中濃度を要すると考えられる皮膚の固形腫瘍中の悪性細胞に対する十分なKIR3DL2占有を維持するのではなく、抗KIR3DL2抗体は、より低いが、たとえば少なくとも60%、80%、90%もしくは100%のNK溶解能力(%)をもたらす血液(たとえば、血清)中濃度を維持するのに十分な量および頻度の投与で、顕著な抗腫瘍応答を達成すると同時に、全ての患者に対して単一の投与レジメンを可能にした。これらの処置レジメンは、長期の処置期間および/またはいくつかの処置サイクルにわたって使用することができ、任意選択で、より高い投与頻度(もしくは高用量)を使用する誘導または負荷期間が先行する。特定の実施形態では、低い血液および/または皮膚疾患負荷を有する個体ならびに高い血液および/または皮膚疾患負荷を有する個体の両方で、単一の処置レジメン(たとえば、同じ投与量および頻度)を有利に使用することができる。
一実施形態では、正常NK細胞および/またはT細胞排除を引き起こさない共通処置レジメン(たとえば、同じ投与量および頻度)を、初期腫瘍負荷および/または病期とは関係なく個体に有利に使用することができ、この場合、共通処置レジメンの前に、より高い投与頻度で個体(たとえば、高腫瘍負荷を有する個体)に抗KIR3DL2抗体を投与する導入レジメンまたは負荷期間が実施される(任意選択で、共通処置レジメンおよび導入レジメンにおける抗体の投与当たりの用量は同じである。
一態様では、KIR3DL2受容体は、循環悪性および非悪性CD4(+)T細胞集団からクローンとして増殖するのではなく、疾患の皮膚症状に起因し得る。したがって、KIR3DL2は、緩徐進行性もしくは早期CTCLを含め、患者に血液浸潤がない(循環中に検出可能なKIR3DL2発現悪性細胞がない)場合、実際には、抗KIR3DL2結合剤による治療ターゲティングを行うことができるほどに、皮膚T細胞悪性腫瘍中に十分に発現されている可能性がある。上記に加えてまたは代わり、皮膚病変からの腫瘍細胞が循環に侵入(または再侵入)する可能性もあり、これによって、循環中の少数の腫瘍細胞の溶解は、皮膚におけるより広範な抗腫瘍応答に寄与するのを助ける。
一態様では、CTCLの処置に使用するための、KIR3DL2ポリペプチドに結合して、KIR3DL2発現細胞のエフェクター細胞媒介性溶解を引き起こすことができる薬剤が提供される。一実施形態では、CTCLは、疾患の組織症状、たとえば、掻痒症、紅皮症および/または皮膚腫瘍を有する。一実施形態では、第1選択処置として薬剤を使用する。一実施形態では、T細胞悪性腫瘍(たとえば、CTCL)を有する個体に、KIR3DL2ポリペプチドに結合して、KIR3DL2発現細胞のエフェクター細胞媒介性溶解を引き起こすことができる薬剤を投与するステップを含む方法が提供される。一態様では、後の骨髄移植または造血幹細胞移植に備え、T細胞悪性腫瘍(たとえば、CTCL)を有する個体の前処置に使用するための、KIR3DL2ポリペプチドに結合して、KIR3DL2発現細胞のエフェクター細胞媒介性溶解を引き起こすことができる薬剤が提供される。一態様では、疾患の組織症状を伴うT細胞悪性腫瘍(たとえば、掻痒症、紅皮症および/または皮膚腫瘍を伴うCTCL)を有するが、循環中の検出可能なKIR3DL2発現悪性細胞がない個体の処置に使用するための抗KIR3DL2結合剤が提供される。一態様では、緩徐進行性または早期CTCLを有する個体の処置に使用するための抗KIR3DL2結合剤が提供される。
一態様では、疾患の皮膚症状、たとえば、掻痒症、紅皮症および/または皮膚腫瘍を伴うCTCLを有する患者において、循環中のNK溶解能力が著しい抗腫瘍効果を誘導するのに十分となり得るわずかなEC10程度を達成するのに有効な量で、抗KIR3DL2結合剤を投与することができる。循環中のNK溶解能力としてわずかなEC10程度を維持した用量は、血液腫瘍負荷を低減し、循環中のNK溶解能力としてわずかなEC60程度を維持した用量は、正常皮膚構造を回復し、疾患の皮膚部位のKIR3DL2発現細胞を減少させる。したがって、一実施形態では、CTCLの皮膚症状を有するが、循環中に検出可能な悪性細胞がないか、または低レベルである個体の処置に使用するための抗KIR3DL2結合剤が提供され、ここで、抗KIR3DL2結合剤は、循環中のNK溶解能力が著しい抗腫瘍効果を誘導するのに十分となり得る程度のEC10を維持するのに有効な量で投与される。別の実施形態では、CTCLの皮膚症状および循環中の検出可能な(たとえば、より高レベルの)悪性細胞を有する個体の処置に使用するための抗KIR3DL2結合剤が提供され、ここで、処置は、NK溶解能力としてわずかなEC10程度を維持するのに有効な量での抗KIR3DL2結合剤の複数回投与を含む。
抗KIR3DL2結合剤によるKIR3DL2のターゲティングは、したがって、いくつかの治療状況において有利であり、さらには、循環および/または皮膚中の悪性細胞上のKIR3DL2発現の前試験を必要としない。さらに、抗KIR3DL2結合剤の使用は、様々な範囲の腫瘍負荷を有する集団内の全患者について皮膚疾患(たとえば、紅皮症、皮膚病変)の腫瘍細胞上の十分な受容体占有を維持する用量を必要とせず、しかも、循環中の少数のKIR3DL2発現腫瘍細胞(たとえば検出限界未満)、たとえば、皮膚病変から循環中に侵入する腫瘍細胞の排除を通して、および/または皮膚病変における抗体依存性細胞貪食(ADCP)の誘導を通して、より広範な抗腫瘍応答に寄与する正常免疫細胞(たとえば、NK細胞、CD8T細胞、γ−δT細胞)の能力から利益を受けることができる。
一態様では、こうした抗腫瘍応答を誘導することができる抗KIR3DL2剤の投与のための治療用レジメンが提供される。
一態様では、本明細書に開示される治療用レジメンは、循環中に検出可能な悪性細胞(たとえば、KIR3DL2発現悪性細胞)を有するT細胞リンパ腫(たとえば、CTCL)を有する個体、ならびに循環中にそうした検出可能な悪性細胞がないT細胞リンパ腫を有する個体の処置に合うように改変されるという利点を有する。特に、こうした患者を処置するために、単一の投与量および/または投与レジメンを使用することができ、循環中の悪性細胞のレベル(またはその欠如)に応じて異なる処置を施す必要が回避される。有利なことに、任意選択で、ある期間にわたって繰り返しおよび/または継続的に、高腫瘍負荷を有する患者を処置して、皮膚症状に対するより広範な応答を生み出すために、治療用レジメンを使用することができる。
一実施形態では、有利な処置は、NK溶解能力として少なくともEC10、EC60、EC80、EC90、またはEC100に相当する血液(たとえば、血清)中濃度をもたらす抗KIR3DL2剤の量および頻度を個体に投与するステップを含む。任意選択で、抗KIR3DL2剤の量および頻度は、皮膚中の(または皮膚病変もしくは腫瘍、たとえば進行型疾患ステージ、高腫瘍負荷または紅皮症内の)受容体飽和についてEC90、またはEC100を維持するものより低い。
本明細書に記載するいずれかの実施形態の一態様では、有利な処置は、NK溶解能力として少なくともEC10、EC60、EC80、EC90、またはEC100である血液(たとえば、血清)中濃度をもたらす抗KIR3DL2剤の量および頻度で複数回の投与を含む。任意選択で、少なくとも10週間、12週間、3ヶ月、4ヶ月または6ヶ月の期間にわたって療法を投与する。任意選択で、投与は、約1週間〜約2ヶ月ずつ間隔を置いて行う。任意選択で、抗KIR3DL2剤は、少なくとも4、6、8、10または20回投与する。任意選択で、抗KIR3DL2剤の量および頻度は、皮膚中の(または皮膚病変もしくは腫瘍、たとえば、進行型疾患ステージ、高腫瘍負荷または紅皮症内の)受容体飽和についてEC90、またはEC100をもたらすものより低い。
一実施形態では、有利な処置は、2回の連続した投与の間に、少なくとも10%、任意選択で少なくとも60%、任意選択で少なくとも80%、任意選択で少なくとも90%、または任意選択で少なくとも100%)のNK%溶媒能力をもたらす血液(たとえば、血清)中濃度を維持する量の抗KIR3DL2剤を個体に投与するステップを含む。
一実施形態では、有利な処置は、2回の連続した投与の間に、NK溶解能力として少なくともEC10、EC60、EC80、EC90、またはEC100である血液(たとえば、血清)中濃度を維持する量の抗KIR3DL2剤を個体に投与するステップを含む。一実施形態では、処置は、NK溶解能力として少なくともEC10、EC60、EC80、EC90、またはEC100である少なくとも血液(たとえば、血清)中濃度のトラフ濃度を維持する。
任意選択で、少なくとも10週間、12週間、3ヶ月、4ヶ月または6ヶ月の期間にわたって処置を投与する。
任意選択で、投与は、約1週間〜約2ヶ月ずつ間隔を置いて行う。
任意選択で、処置は、少なくとも4、6、8、10または20回の連続した抗KIR3DL2剤の投与を含む。
一実施形態では、個体は、抗KIR3DL2剤による処置前に、造血幹細胞移植または骨髄移植に適格である(適格を維持するか、もしくは適格にされる)。
一実施形態では、個体は、抗KIR3DL2剤による処置前に、造血幹細胞移植または骨髄移植に不適格であり、抗KIR3DL2剤による処置後に造血幹細胞移植または骨髄移植に対して適格にされる。
任意選択で、抗KIR3DL2剤による処置は、造血幹細胞移植または骨髄移植の前に行う。任意選択で、処置は、造血幹細胞移植または骨髄移植と組み合わせる。任意の実施形態では、処置方法は、抗KIR3DL2剤による処置後に、造血幹細胞移植または骨髄移植を個体に行うステップをさらに含む。
一実施形態では、組織症状を伴うT細胞悪性腫瘍の処置に使用するための、KIR3DL2ポリペプチドに結合して、KIR3DL2発現細胞のエフェクター細胞媒介性溶解を引き起こすことができる薬剤が提供され、ここで、処置は、血液浸潤を有する個体および血液浸潤のない個体のいずれにおいても有効である。
一実施形態では、T細胞悪性腫瘍(たとえば、CTCL)を有する個体に、KIR3DL2ポリペプチドに結合して、KIR3DL2発現細胞のエフェクター細胞媒介性溶解を引き起こすことができる薬剤を少なくとも1投与サイクルにわたり投与するステップを含む方法が提供され、上記サイクルにおいて、2回の連続した薬剤投与の間に、少なくとも10%、任意選択で少なくとも60%、80%、もしくは90%、または任意選択で100%の%溶媒能力を循環中に維持する量で薬剤を少なくとも2回投与する。たとえば、薬剤は、NK溶解能力として少なくともEC10、EC60、EC80、EC90、またはEC100の血液(たとえば、血清)中濃度を維持する量で投与する。一実施形態では、薬剤は、静脈内投与する。一実施形態では、少なくとも4、6、8または10回薬剤を投与し、任意選択で、連続した投与の間に1週間〜1ヶ月ずつ間隔をあける。一実施形態では、循環中に前記%溶解能力(またはEC値)をもたらす循環中濃度が、少なくとも10週間、任意選択で少なくとも3ヶ月、任意選択で少なくとも6ヶ月維持されるように、KIR3DL2ポリペプチドに結合する薬剤を投与する。一実施形態では、本方法は、組織症状を伴うT細胞悪性腫瘍を処置する方法であり、これは、血液浸潤を有する個体および血液浸潤のない個体のいずれにおいても有効である。一実施形態では、本方法は、T細胞悪性腫瘍(たとえば、CTCL)を有する個体を後の骨髄移植または造血幹細胞移植のために前処理する方法である。
任意選択で、いずれかの実施形態において、処置レジメンの前に、抗KIR3DL2結合剤をより高い量および/もしくは頻度で投与する導入または負荷期間を実施する。任意選択で、いずれかの実施形態において、処置レジメンの前に、抗KIR3DL2結合剤を同じ量で、しかしより高い頻度で投与する(たとえば、複数回の連続した投与で)導入または負荷期間を実施する。
任意選択で、抗KIR3DL2剤の量は、組織(たとえば、血管外組織、疾患組織、皮膚、進行型疾患ステージ、高腫瘍負荷もしくは紅皮症を含む皮膚病変または腫瘍内)中の受容体飽和についてEC80、EC90、またはEC100をもたらす量より少ない。
一実施形態では、抗KIR3DL2結合剤は、KIR3DL2発現細胞(たとえば、腫瘍細胞)のエフェクター細胞媒介性溶解を媒介する薬剤である。任意選択で、薬剤は、KIR3DL2ポリペプチド、またはそうしたポリペプチドを発現する免疫エフェクター細胞(たとえば、キメラ抗原受容体免疫エフェクター細胞)、抗体または他の化合物と結合する、抗原結合ポリペプチド、任意選択で、抗体またはその断片(たとえば、VHおよび/もしくはVLドメインを含むタンパク質)である。任意選択で、抗体は、排除用ポリペプチド(抗体)である。任意選択で、抗体は、KIR3DL2発現細胞に対してADCCおよび/もしくはADCPを指向させる単一特異性または多重特異性(たとえば、二重特異性)抗体である。
本明細書のいずれかの実施形態の一態様では、KIR3DL2結合剤は、ADCCを媒介することができるヒトIgGアイソタイプの抗KIR3DL2抗体を含み、少なくとも0.1μg/ml(または任意選択で少なくとも0.4、1、2、10μg/mL)、任意選択で60μg/mL未満もしくは100μg/mL未満、任意選択で2〜30μg/mL、任意選択で2〜60μg/mLの抗KIR3DL2抗体の血液(血清)濃度を達成する(および/または指定期間にわたって、もしくは2つの連続した投与の間に維持する)のに有効な量で少なくとも2回個体に投与される。一実施形態では、抗体は、毎週1回、2週間毎に1回、毎月(もしくは4週間毎に)1回、任意選択で毎月1回〜2ヶ月毎に1回、静脈内投与する。
これらの態様は、本明細書において提供される本発明の説明において、より詳細に説明され、さらなる態様、特徴、および利点は、本明細書において提供される本発明の説明から明らかになるであろう。
受容体取込み/循環を阻害する4℃でのインキュベーションは、少なくとも同等レベルの細胞表面KIR3DL2をもたらすことが予想されたが、抗体2B12(ヒトIgG1)での染色は、4℃よりも37℃の方が高かったことを示す。さらに、インキュベーション時間が長くなるほど、高い蛍光中央値が観察され、24時間のインキュベーション後に最大のKIR3DL2発現が観察された。 KIR3DL2レベルの抗体2B12(濃い線/正方形)およびアイソタイプ対照(薄い線/丸)の効果を示す。遊離受容体および2B12結合KIR3DL2受容体読み出しが相関し、類似のEC50を有することがわかる。一番右のパネルは、2B12との20時間のインキュベーションが、APCに結合した非競合抗KIR3DL2(mAb2)により検出される通り、細胞表面で総KIR3DL2受容体レベルを増加することを示している。 37℃で抗体2B12とのインキュベーションは、用量依存的様式で、KIR3DL2の表面発現を増加する(非競合抗KIR3DL2(mAb2)により、または2B12自体+二次Abにより検出される通り)ことを示す。この増加は、既に37℃で1時間後に観察され、24時間後にその最大値に達すると思われる。染色は、24時間後で最適である(総染色および検出されたAb結合受容体に関して)。 IPH4102のPKシミュレーションモデル、すなわち、並列一次経路および飽和性消失経路を含む2コンパートメントモデルを示す。 最大50週間にわたる患者のNK細胞のベースライン(1週目の1日目)からの%変化によって示されるように、IPH4102が、NK細胞の排除を引き起こさなかったことを証明する。 最大50週間にわたる患者のNK細胞の数(1μl当たりのNK細胞)によって示されるように、IPH4102が、NK細胞の排除を引き起こさなかったことを証明する。
本明細書において使用されるように、「1つの(a)」または「1つの(an)」は、1つ以上を意味してもよい。請求項において使用される場合、語「含む」と共に使用される場合、語「1つの(a)」または「1つの(an)」は、1つまたは2つ以上を意味してもよい。本明細書において使用されるように、「他の」は、少なくとも第2のまたはそれを超えるものを意味してもよい。
「含む」が使用される場合、これは、任意選択で、「〜から本質的になる」または「〜からなる」と交換することができる。
いつでも、「処置」は、疾患および抗KIR3DL2結合剤(たとえば抗体)に関して言及され、(a)疾患の処置を可能にする用量(治療有効量)で、たとえば上記におよび下記に指定される用量(量)で、そのような処置を必要とする温血動物、とりわけヒトに、抗KIR3DL2結合剤(たとえば薬学的に許容され得るキャリヤ材料中の)を投与するステップを含む(少なくとも1つの処置のための)、疾患の処置の方法;(b)疾患の処置のための抗KIR3DL2結合剤もしくは前記処置における(とりわけヒトにおける)使用のための抗KIR3DL2結合剤の使用;(c)疾患の処置のための医薬調製物の製造のための抗KIR3DL2結合剤の使用、疾患の処置のための医薬調製物の製造に抗KIR3DL2結合剤を使用する方法であって、薬学的に許容され得るキャリヤと抗KIR3DL2結合剤を混合するステップを含む方法、もしくは疾患の処置に適切な、有効用量の抗KIR3DL2結合剤を含む医薬調製物;または(d)本出願が提出される国において特許を受けるのに許容される主題に従うa)、b)、およびc)の任意の組合せを意味する。
本明細書において使用される用語「生検」は、診断を確立するためなどの検査の目的のための組織の摘出として定義される。生検のタイプの例は、シリンジに付けられた針を通してなど、吸引の適用によるもの;組織の断片の機器を用いる摘出によるもの;適切な機器による摘出によるもの;病変全体などの外科的切除によるもの;および同種のものを含む。
本明細書において使用される用語「抗体」は、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を指す。重鎖中の定常ドメインのタイプに依存して、抗体は、5つの主なクラスのうちの1つに割り当てられる:IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgM。これらのいくつかは、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、および同種のものなどのサブクラスまたはアイソタイプにさらに分けられる。例示的な免疫グロブリン(抗体)構造単位は、四量体を含む。それぞれの四量体は、同一の2対のポリペプチド鎖から構成され、それぞれの対は、1つの「軽」鎖(約25kDa)および1つの「重」鎖(約50〜70kDa)を有する。それぞれの鎖のN−末端は、抗原認識を主として担う約100〜110またはそれを超えるアミノ酸の可変領域を定める。可変軽鎖(V)および可変重鎖(V)という用語は、それぞれ、これらの軽鎖および重鎖を指す。異なるクラスの免疫グロブリンに相当する重鎖定常ドメインは、「アルファ」、「デルタ」、「イプシロン」、「ガンマ」、および「ミュー」とそれぞれ称される。異なるクラスの免疫グロブリンのサブユニット構造および三次元立体配置は、よく知られている。IgGは、それらが生理学的状況において最も一般的な抗体であるため、また、それらが研究所の環境において最も容易に作製されるため、本明細書において用いられる例示的なクラスの抗体となる。一実施形態では、抗体が、モノクローナル抗体である。ヒト化、キメラ、ヒト、またはそうでなければヒトに適した抗体が提供される。「抗体」はまた、本明細書において記載される抗体の任意の断片または誘導体も含む。「断片」は、インタクトな抗体の一部、一般に、抗原結合部位または可変領域を含む。抗体断片の例としては、Fab、Fab’、Fab’−SH、F(ab’)2、およびFv断片;ダイアボディ;連続したアミノ酸残基の非分断配列(本明細書では、「一本鎖抗体断片」もしくは「一本鎖ポリペプチド」と呼ぶ)から構成される一次構造を有するポリペプチドである任意の抗体断片、たとえば、限定されないが、(1)一本鎖Fv分子(2)関連する重鎖部分がなく、1つの軽鎖可変ドメインだけを含む一本鎖ポリペプチド、または軽鎖可変ドメインの3つのCDRを含むその断片、および(3)関連する軽鎖部分がなく、1つの重鎖可変ドメインだけを含む一本鎖ポリペプチド、または重鎖可変ドメインの3つのCDRを含むその断片など;ならびに抗体断片から形成される多重特異性(たとえば、二重特異性)抗体が挙げられる。中でも、ナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体または「dAb」が含まれる。
用語「〜に特異的に結合する」は、抗体が、タンパク質の組換え形態、その中のエピトープ、または単離標的細胞の表面に存在する天然のタンパク質を使用して評価されるように、競合結合アッセイにおいて、結合パートナー、たとえばKIR3DL2に結合することができることを意味する。競合結合アッセイおよび特異的な結合を決定するための他の方法は、下記にさらに記載され、当技術分野においてよく知られている。
抗体が、特定のモノクローナル抗体「と競合する」と言われる場合、抗体が、組換えKIR3DL2分子または表面に発現されるKIR3DL2分子のいずれかを使用する結合アッセイにおいてモノクローナル抗体と競合することを意味する。たとえば、試験抗体が、結合アッセイにおいてKIR3DL2ポリペプチドまたはKIR3DL2発現細胞への19H12、12B11、10F6、2B12、18C6、9E10、10G5、13H1、5H1、1E2、1C3または20E9の結合を低下させる場合、抗体は、19H12、12B11、10F6、2B12、18C6、9E10、10G5、13H1、5H1、1E2、1C3または20E9とそれぞれ「競合する」と言われる。
本明細書において使用される用語「親和性」は、エピトープへの抗体の結合の強度を意味する。抗体の親和性は、[Ab]×[Ag]/[Ab−Ag]として定義される解離定数Kdによって与えられ、[Ab−Ag]は抗体−抗原複合体のモル濃度であり、[Ab]は非結合抗体のモル濃度であり、[Ag]は非結合抗原のモル濃度である。親和性定数Kは、1/Kdによって定義される。mAbの親和性を決定する方法は、Harlow,et al.,Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,1988)、Coligan et al.,eds.,Current Protocols in Immunology,Greene Publishing Assoc.and Wiley Interscience,N.Y.,(1992,1993)、およびMuller,Meth.Enzymol.92:589−601(1983)において見ることができ、これらの参考文献は、参照により本明細書に完全に組み込まれる。mAbの親和性を決定するための当技術分野においてよく知られている1つの標準的な方法は、表面プラズモン共鳴(SPR)スクリーニングの使用である(BIAcore(商標)SPR分析デバイスによる分析によってなど)。
用語「エピトープ」は抗原決定基を指し、抗体が結合する抗原上のエリアまたは領域である。タンパク質エピトープは、結合に直接関与するアミノ酸残基および特異的な抗原結合抗体またはペプチドによって有効に遮断されるアミノ酸残基、すなわち、抗体の「フットプリント」内のアミノ酸残基を含んでいてもよい。それは、たとえば抗体または受容体と連結することができる複雑な抗原分子上の最も単純な形態または最も小さな構造エリアである。エピトープは、線状または立体構造/構造的なものとすることができる。用語「線状エピトープ」は、アミノ酸の線状配列(一次構造)上で連続しているアミノ酸残基から構成されるエピトープとして定義される。用語「立体構造または構造的エピトープ」は、全てが連続しているわけではなく、したがって、分子のフォールディング(二次、三次、および/または四次構造)によって互いに接近するようになる、アミノ酸の線状配列の隔てられた部分に相当するアミノ酸残基から構成されるエピトープとして定義される。立体構造エピトープは、3次元構造に依存する。用語「立体構造」は、そのため、多くの場合、「構造的」と区別なく使用される。
用語「細胞内取込み」、または「取込み」は、KIR3DL2ポリペプチドおよび/またはそれに結合する抗体について述べるとき、細胞の細胞外表面から細胞の細胞内表面へと1分子を輸送するプロセスを伴う分子の生化学的細胞事象を指す。分子の細胞内取込みを担うこれらのプロセスは、よく知られており、中でも、細胞外分子(たとえば、ホルモン、抗体、および小有機分子など)の取込み;膜結合分子(たとえば、細胞表面受容体など);ならびに細胞外分子に結合した膜結合分子の複合体(たとえば、膜貫通受容体に結合したリガンドまたは膜結合分子に結合した抗体など)の取込みを含み得る。したがって、「細胞内取込みを誘導および/または増大すること」は、細胞内取込みが開始されるならびに/または細胞内取込みの速度および/もしくは範囲が増大する事象を含む。
KIR3DL2発現細胞に関する用語「排除すること」、「排除する」、または「排除」は、サンプルまたは対象において存在するKIR3DL2発現細胞の数にマイナスの影響を与えるように、死滅させる、除く、溶解する、またはそのような死滅、除去、もしくは溶解を誘発することができるプロセス、方法、または組成物を意味する。細胞の排除は、たとえば、ADCCを介して起こり得る。
用語「剤」は、化学化合物、化学化合物の混合物、生体高分子、細胞、または生体物質から作製された抽出物を表すために本明細書において使用される。用語「治療剤」は、生物学的活性を有する剤を指す。
「ヒト化」または「ヒト」抗体は、1つ以上のヒト免疫グロブリンの定常および可変フレームワーク領域が結合領域、たとえば動物免疫グロブリンのCDRと融合された抗体を指す。そのような抗体は、結合領域が由来する非ヒト抗体の結合特異性を維持するが、非ヒト抗体に対する免疫反応を回避するように設計される。そのような抗体は、抗原投与に応じて特異的なヒト抗体を産生するように「操作された」トランスジェニックマウスまたは他の動物から得ることができる(たとえばGreen et al.(1994)Nature Genet 7:13;Lonberg et al.(1994)Nature 368:856;Taylor et al.(1994)Int Immun 6:579を参照されたい。これらの全教示は参照により本明細書に組み込まれる)。完全ヒト抗体はまた、全て当技術分野において知られている遺伝的または染色体トランスフェクション方法およびファージディスプレー技術によって構築することもできる(たとえばMcCafferty et al.(1990)Nature 348:552−553を参照されたい)。ヒト抗体はまた、インビトロ活性化B細胞によって生成されてもよい(たとえば、参照によりそれらの全体が組み込まれる米国特許第5,567,610号明細書および米国特許第5,229,275号明細書を参照されたい)。
「キメラ抗体」は、(a)定常領域またはその一部分が、抗原結合部位(可変領域)が異なるもしくは改変されたクラス、エフェクター機能、および/または種の定常領域またはキメラ抗体に新しい特性を与える完全に異なる分子、たとえば酵素、毒素、ホルモン、成長因子、薬剤などに連結されるように改変された、交換された、または取り替えられた;または(b)可変領域もしくはその一部分が、異なるもしくは改変された抗原特異性を有する可変領域と改変された、取り替えられた、もしくは交換された抗体分子である。
用語「Fcドメイン」、「Fc部分」、および「Fc領域」は、抗体重鎖のC−末端断片、たとえばヒトγ(ガンマ)重鎖のアミノ酸(aa)約230〜約aa450または他のタイプの抗体重鎖(たとえばヒト抗体についてはα、δ、ε、およびμ)中のその対応する配列またはその天然に存在するアロタイプを指す。別段の定めがない限り、免疫グロブリンについて共通して認められるKabatアミノ酸ナンバリングは、本開示の全体にわたって使用される(Kabat et al.(1991)Sequences of Protein of Immunological Interest,5th ed.,United States Public Health Service,National Institute of Health,Bethesda,MDを参照されたい)。
用語「NK%溶解能力」は、健常なドナー由来のNK細胞が、インビトロ細胞傷害性アッセイにおいて腫瘍細胞(たとえば、HUT78細胞)を溶解する能力を指し、これは、51Cr放出アッセイにおいて、得られた最大腫瘍細胞溶解のパーセンテージ(=腫瘍細胞溶解/飽和時の最大腫瘍細胞溶解×100)により測定される。エフェクターおよび標的細胞としてPBMCおよびHUT78細胞を使用する好適なアッセイの例を本明細書の実施例に記載する。NK溶解能力に関して「EC10」(または「EC60」、「EC80」、「EC90」、もしくは「EC100」)は、そのようなNK溶解能力に関してその最大応答または効果の10%(または「EC60」、「EC80」、「EC90」、もしくは「EC100」の場合には、それぞれ60%、80%、90%もしくは100%)を生み出す抗KIR3DL2剤の効果濃度を指す。
用語「抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性」または「ADCC」は、当技術分野においてよく理解される用語であり、Fc受容体(FcR)を発現する非特異的細胞傷害性細胞が標的細胞上の結合した抗体を認識し、続いて標的細胞の溶解を引き起こす細胞媒介性反応を指す。ADCCを媒介する非特異的細胞傷害性細胞は、ナチュラルキラー(NK)細胞、マクロファージ、単球、好中球、および好酸球を含む。
用語「単離された」、「精製された」、または「生物学的に純粋な」は、その天然の状態で見られるように通常それに付随する構成成分が実質的にまたは本質的にない材料を指す。純度および均一性は、ポリアクリルアミドゲル等電点電気泳動または高速液体クロマトグラフィーなどの分析化学技術を使用して典型的に決定される。調製物中に存在する主な種であるタンパク質は、実質的に精製される。
用語「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」は、アミノ酸残基のポリマーを指すために本明細書において区別なく使用される。用語は、1つ以上のアミノ酸残基が対応する天然に存在するアミノ酸の人工化学的ミメティックであるアミノ酸ポリマーならびに天然に存在するアミノ酸ポリマーおよび天然に存在しないアミノ酸ポリマーに適用される。
用語「組換え」は、たとえば細胞または核酸、タンパク質、もしくはベクターに関して使用される場合、細胞、核酸、タンパク質、もしくはベクターが異種核酸もしくはタンパク質の導入または天然の核酸もしくはタンパク質の改変によって修飾されたことまたは細胞がそのように修飾された細胞に由来することを示す。したがって、たとえば、組換え細胞は、細胞の天然の(非組換え)形態内で見られない遺伝子を発現するまたはそうでなければ異常に発現される、不十分に発現される、もしくは全く発現されない天然の遺伝子を発現する。
用語「修飾」は、アミノ酸の配列に関して述べるとき(たとえば、「アミノ酸修飾」)、ポリペプチド配列中のアミノ酸置換、挿入、および/または欠失を意味する。「修飾」または「アミノ酸修飾」とは、ポリペプチド配列中のアミノ酸置換、挿入、および/または欠失を意味する。本明細書において「アミノ酸置換」または「置換」とは、タンパク質配列中の所与の位置のアミノ酸を別のアミノ酸で置換することを意味する。たとえば、置換P14Sは、14位のプロリンがセリンで置換された、親ポリペプチドの変異体を指す。ポリペプチドの「変異体」は、参照ポリペプチド、典型的にはネイティブまたは「親」ポリペプチドと実質的に同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドを指す。ポリペプチド変異体は、ネイティブアミノ酸配列内の特定の位置に1つもしくは複数のアミノ酸置換、欠失、および/または挿入を有してもよい。
本明細書における文脈の範囲内で、ポリペプチドまたはエピトープ「に結合する」抗体という用語は、特異性および/または親和性により前記決定基に結合する抗体を示す。
用語「同一性」または「同一な」は、2つ以上のポリペプチドの配列の間の関係において使用される場合、一連の2つ以上のアミノ酸残基の間のマッチの数によって決定されるように、ポリペプチドの間の配列関連性の程度を指す。「同一性」は、特定の数学モデルまたはコンピュータープログラム(すなわち「アルゴリズム」)によって処理される、ギャップアライメント(もしあれば)を有する2つ以上の配列のより小さな配列の間の同一マッチのパーセントを測定する。関連するポリペプチドの同一性は、知られている方法によって容易に計算することができる。そのような方法は、Computational Molecular Biology,Lesk,A.M.,ed.,Oxford University Press,New York,1988;Biocomputing:Informatics and Genome Projects,Smith,D.W.,ed.,Academic Press,New York,1993;Computer Analysis of Sequence Data,Part 1,Griffin,A.M.,and Griffin,H.G.,eds.,Humana Press,New Jersey,1994;Sequence Analysis in Molecular Biology,von Heinje,G.,Academic Press,1987;Sequence Analysis Primer,Gribskov,M.and Devereux,J.,eds.,M.Stockton Press,New York,1991;およびCarillo et al.,SIAM J.Applied Math.48,1073(1988)において記載されるものを含むが、これらに限定されない。
同一性を決定するための方法は、試験された配列の間の最大のマッチをもたらすように設計される。同一性を決定する方法は、公的に入手可能なコンピュータープログラムにおいて記載される。2つの配列の間の同一性を決定するためのコンピュータープログラム方法は、GAP(Devereux et al.,Nucl.Acid.Res.12,387(1984);Genetics Computer Group,University of Wisconsin,Madison,Wis.)を含むGCGプログラムパッケージ、BLASTP、BLASTN、およびFASTA(Altschul et al.,J.Mol.Biol.215,403−410(1990))を含む。BLASTXプログラムは、National Center for Biotechnology Information(NCBI)および他の供給源から公的に入手可能である(BLAST Manual,Altschul et al.NCB/NLM/NIH Bethesda,Md.20894;Altschul et al.、前掲)。よく知られているSmith Watermanアルゴリズムもまた、同一性を決定するために使用されてもよい。
疾患の処置
本明細書に開示する抗KIR3DL2剤および投与レジメンは、任意選択で第1選択処置として、KIR3DL2発現T細胞リンパ腫、特にCTCL、任意選択でセザリー症候群(SS)、任意選択で菌状息肉症(MF)、任意選択で形質転換型MF、任意選択で進行期の疾患(たとえば、ステージIIB、III、IIIA、IIIB、IVA1、IVA2もしくはIVB)、任意選択で末梢血液浸潤を伴う疾患、任意選択で末梢血液中に検出可能なレベルもしくは高レベルのKIR3DL2発現悪性細胞を伴う疾患、任意選択で緩徐進行性もしくは早期疾患、任意選択でステージIA、IBもしくは、IIA疾患、任意選択で末梢血液浸潤を伴わない疾患、任意選択で末梢血液中に検出可能なレベルのKIR3DL2発現悪性細胞がないか、もしくはそれが低レベルである疾患を治療するために、有利に使用することができる。別の態様では、CTCLを有する個体のリンパ腫を予防する方法が提供される。別の態様では、CTCLを有する個体において、疾患の進行の危険性を抑制する、イニシエーションを経た細胞集団内のリンパ腫の危険性を軽減する方法が提供される。別の態様では、造血幹細胞または骨髄移植のために対象を前処置する、またはそれらに対して対象を適格にする方法が提供される。
皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)(下のイメージを参照)は、皮膚への新生T細胞の局在化を特徴とするリンパ増殖性疾患の1群である。集合的に、CTCLは、非ホジキンリンパ腫(NHL)の1タイプとして分類される。CTCLの世界保健機関−欧州癌研究・治療機構(World Health Organization−European Organization for Research and Treatment of Cancer)(WHO−EORTC)分類は、Willemze et al.(2005)Blood 105:3768−3785に記載されている。WHO−EORTCは、CTCLを、緩徐進行性臨床挙動を有するものと、侵攻型サブタイプを有するものとに区分する。第3のカテゴリーは、T細胞リンパ腫ではない前駆血液腫瘍(CD4+/CD56+血液−皮膚腫瘍、芽球性ナチュラルキラー(NK)細胞リンパ腫またはB細胞由来の原発性皮膚腫瘍)のカテゴリーである。緩徐進行性臨床挙動を有するCTCLは、菌状息肉症(MF)およびその変異型、原発性皮膚CD30+リンパ増殖性疾患(たとえば、原発性皮膚未分化大細胞型リンパ腫、リンパ腫様丘疹症)、皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫(暫定)および原発性皮膚CD4+小/中サイズ多形細胞型リンパ腫(暫定)を含む。侵攻型臨床挙動を有するCTCLは、セザリー症候群(SS)、成人T細胞白血病/リンパ腫、節外性NK/T細胞リンパ腫、鼻型、原発性皮膚末梢性T細胞リンパ腫、非特定、原発性皮膚侵攻型表皮向性CD8+T細胞リンパ腫(暫定)および皮膚γ/δ陽性T細胞リンパ腫(暫定)を含む。
最も一般的なCTCLは、MFおよびSSである。それらの特徴は、たとえば、Willemze et al.(2005)Blood 105:3768−3785に概説されており、その開示内容は、参照により本明細書に組み込む。MFのほとんどの症例において、その臨床的特徴、病歴、および組織形態学および細胞形態学的所見によって診断に到る。CTCLを炎症性皮膚疾患から識別するための別の診断基準は、分子アッセイ(たとえば、サザンブロット、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR))による皮膚生検材料中の優勢なT細胞クローンを明らかにすることである。また、遺伝子試験も考慮され得る。古典的菌状息肉症は、次の3つのステージに区分される:(1)斑(萎縮性もしくは非萎縮性):非特異性皮膚炎、体幹下部および臀部の斑;わずかな掻痒症/掻痒症なし;(2)プラーク:強度の痒みを伴うプラーク、リンパ節腫脹ならびに(3)腫瘍:潰瘍への傾向。セザリー症候群は、紅皮症および白血病により定義される。徴候および症状は、浮腫状皮垂、リンパ節腫脹、手掌および/または足底角皮症、脱毛症、爪ジストロフィー、外反ならびに肝脾腫大を含む。セザリー症候群の診断の場合、基準は、典型的に、分子または細胞遺伝学的方法によって示される末梢血液中の絶対セザリー細胞計数、免疫表現型異常、T細胞抗原および/またはT細胞クローンの喪失を含む。
CTCLステージは、TNM分類に従って、I、II、IIIおよびIV、ならびに場合に応じて、末梢血液浸潤を含む。菌状息肉症またはセザリー症候群(MF/SS)細胞を含む末梢血液浸潤は、さらに進行した皮膚ステージ、リンパ節および内臓浸潤ならびに短い生存期間と相関する。MFおよびSSは、International Society for Cutaneous Lymphoma(ISCL)および欧州癌研究・治療機構(European Organization for Research and Treatment of Cancer)(EORTC)により提案されている公式のステージ決定システムを有する。Olsen et al.,(2007)Blood.110(6):1713−1722;およびAgar et al.(2010)J.Clin.Oncol.28(31):4730−4739(その開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。SSおよびMF、ステージIV(IVA1、IVA2およびIVB)は、B2末梢血液浸潤(高い血液−腫瘍負荷;≧1,000/μLの陽性クローン含有セザリー細胞)を含み得る。SSおよびMFステージは、I(IAおよびIB)、II(IIAおよびIIB)、III(III、IIIAおよびIIIB)ならびにIV(IVA1、IVA2およびIVB)を含む。
循環中の悪性KIR3DL2+細胞のエフェクター細胞媒介性溶解を実現するために設計される処置は、ほんの少数の循環細胞(たとえば、疾患の細胞外症状における悪性細胞全体と比較して)の溶解を介する、循環中の限定数のエフェクター細胞の活性化を介する、ならびに/または皮膚病変中の限定数の悪性細胞に向けた抗体依存性細胞貪食(ADCP)、悪性細胞の排除を招く抗腫瘍応答の生成および皮膚病変の全般的疾患改善の誘導を介するものであってよい。応答は、NK溶解能力としてEC10をもたらすのに有効な特定の量の抗KIR3DL2結合剤を循環中に維持するように設計された様々な処置レジメンを用いて、KIR3DL2結合抗体の反復投与により達成された。投与レジメンは、血液浸潤が低いか全くない患者の皮膚病変を改善し、反復投与レジメンは、血液浸潤が高い患者の皮膚病変も改善した。
CTCLの診断時に、対象を抗KIR3DL2結合剤で処置することができる。正常NKおよびT細胞を維持しながら、悪性細胞を排除するために、腫瘍負荷とは関係なく、処置を用いることができる。したがって、この処置は、後のBMTまたはHSCTと適合性である。一実施形態では、本開示は、CTCLを有する対象を治療するための第1選択処置としての抗KIR3DL2結合剤の使用を提供する。本明細書に使用する用語「第1選択処置」は、CTCLの処置のために投与される第1タイプの全身薬物療法を指す。これは、診断後に最初に提供される単剤、併用または維持療法であってよい。
一態様では、個体のCTCLを処置する方法が提供され、この方法は、血液サンプルからの悪性細胞上のKIR3DL2発現の事前検査のステップなしで、抗KIR3DL2結合剤を個体に投与するステップを含む。
一態様では、個体のCTCLを処置する方法が提供され、この方法は、皮膚生検からの悪性細胞上のKIR3DL2発現の事前検査のステップなしで、抗KIR3DL2結合剤を個体に投与するステップを含む。
一態様では、循環中に検出可能なKIR3DL2発現悪性細胞(たとえば、KIR3DL2発現セザリー細胞)がない個体のCTCLを処置する方法が提供され、この方法は、抗KIR3DL2結合剤を個体に投与するステップを含む。一態様では、循環中に低レベルの検出可能なKIR3DL2発現悪性細胞(たとえば、KIR3DL2発現セザリー細胞)を有する個体のCTCLを処置する方法が提供され、この方法は、抗KIR3DL2結合剤を個体に投与するステップを含む。
一態様では、B2ステージ未満の末梢血液浸潤を有する個体のCTCLを処置する方法であって、抗KIR3DL2結合剤を個体に投与するステップを含む方法が提供される。任意選択で、個体は、1,000/μL未満のセザリー細胞腫瘍負荷を有するか、および/または陽性クローンがない。
一態様では、緩徐進行性CTCLを処置する方法であって、抗KIR3DL2結合剤を個体に投与するステップを含む方法が提供される。
一態様では、CTCLを処置する方法が提供され、この方法は、(a)CTCLを有する個体においてCTCLのステージおよび/または疾患予後を評価するステップ;および(b)個体が、ステージIIまたはIIIの疾患、任意選択でIIB、IIIAもしくはIIIBを有する場合、抗KIR3DL2結合剤を個体に投与するステップを含む。
一態様では、ステージI CTCLを処置する方法であって、抗KIR3DL2結合剤を個体に投与するステップを含む方法が提供される。一態様では、ステージII CTCLを処置する方法であって、抗KIR3DL2結合剤を個体に投与するステップを含む方法が提供される。一態様では、ステージIII CTCLを処置する方法であって、抗KIR3DL2結合剤を個体に投与するステップを含む方法が提供される。
一態様では、B2ステージ未満の末梢血液浸潤を有する個体のCTCLを処置する方法であって、抗KIR3DL2結合剤を個体に投与するステップを含む方法が提供される。任意選択で、個体は、血液腫瘍負荷がないか、または血液腫瘍負荷が低く、任意選択で、個体は、B0(有意な血液浸潤の非存在、たとえば、≦5%の末梢血液リンパ球が異型(セザリー)細胞である)またはB1(低い血液腫瘍負荷、たとえば、>5%の末梢血液リンパ球が異型(セザリー)細胞であり、B2の基準を満たさない)末梢血液浸潤を有する。
前述のいずれかの一態様において、CTCLを有する個体は、皮膚病変、任意選択で有意もしくは進行型皮膚疾患、任意選択でT2(皮膚表面の≧10%を覆う斑、丘疹、もしくはプラーク、任意選択でさらにT2a(斑のみ)またはT2b(プラーク±斑)、T3(少なくとも1つの腫瘍(≧1cm直径)または身体表面積の≧80%を覆うT4ステージ皮膚浸潤紅皮症)を有する。一実施形態では、個体は、多重および/または高い皮膚腫瘍負荷を有する。一実施形態では、個体は、直径1cm超の1つまたは複数の皮膚腫瘍を有する。
前述のいずれかの一態様において、CTCLを有する個体は、皮膚表面の≧10%を覆う斑、丘疹、またはプラークを有する。前述のいずれかの一態様において、CTCLを有する個体は、少なくとも1つの≧1cm直径の腫瘍を有する。前述のいずれかの一態様において、CTCLを有する個体は、身体表面積の≧80%を覆う紅皮症を有する。
実施形態において、CTCLを処置する方法が提供され、この方法は、(a)CTCLを有する個体におけるCTCLのステージおよび/または疾患予後を評価するステップ;ならびに(b)個体が、ステージIV疾患、任意選択でIVA1もしくはIVA2疾患、任意選択でIVB疾患を有する場合、抗KIR3DL2結合剤を個体に投与するステップを含む。
本開示の処置方法が、処置前にCTCLを特性決定するステップを含んでも、含まなくてもよいことは理解されよう。実施形態において、CTCLを処置する方法が提供され、この方法は、(a)個体が、CTCLの皮膚症状(たとえば、紅皮症、皮膚病変もしくは腫瘍)、任意選択で病原性KIR3DL2発現細胞を特徴とする皮膚症状を含むCTCLを有するか否かを決定するステップ;ならびに(b)個体が、CTCLの皮膚症状、任意選択で病原性KIR3DL2発現細胞を特徴とする皮膚症状を有する場合、抗KIR3DL2結合剤を個体に投与するステップを含む。任意選択で、個体が、CTCLの皮膚症状を含むCTCLを有するか否かを決定するステップは、皮膚病変の程度を明らかにするステップ;任意選択で、個体が、プラークおよび/または潰瘍性腫瘍を有する場合、抗KIR3DL2結合剤を個体に投与するステップを含む。任意選択で、個体が、CTCLの皮膚症状を含むCTCLを有するか否かを決定するステップは、皮膚疾患のステージ、たとえば、T2、T3、もしくはT4疾患を明らかにするステップを含む。任意選択で、個体が、CTCLの進行した皮膚症状、たとえばT2、T3、またはT4疾患を有する場合、抗KIR3DL2結合剤を個体に投与するステップを含む。
実施形態において、CTCLを処置する方法が提供され、この方法は、(a)CTCLを有する個体におけるCTCLのステージおよび/または疾患予後を評価するステップ;ならびに(b)個体が、緩徐進行性CTCLを有する場合、抗KIR3DL2結合剤を個体に投与するステップを含む。
本開示の処置方法が、処置前にKIR3DL2発現について腫瘍細胞を特性決定するステップを含んでも、含まなくてもよいことは理解されよう。実施形態において、CTCLを処置する方法が提供され、この方法は、(a)個体におけるCTCLの皮膚症状が、病原性KIR3DL2発現細胞(たとえば、紅皮症および/もしくは皮膚病変中のKIR3DL2発現細胞)を含むか否かを決定するステップ;ならびに(b)個体が、病原性KIR3DL2発現細胞を含むCTCLの皮膚症状を有する場合、抗KIR3DL2結合剤を個体に投与するステップを含む。
本開示の処置方法が、処置前にKIR3DL2発現について腫瘍細胞を特性決定するステップを含んでも、含まなくてもよいことは理解されよう。実施形態において、CTCLを処置する方法が提供され、この方法は、(a)個体から血液サンプルもしくは生検(たとえば、皮膚生検)を取得して、サンプルが、病原性KIR3DL2発現細胞(KIR3DL2+腫瘍細胞)を含むか否かを決定するステップ;および(b)サンプルが、病原性KIR3DL2発現細胞を含む場合、抗KIR3DL2結合剤を個体に投与するステップを含む。別の実施形態では、CTCLを処置する方法が提供され、この方法は、(a)個体から血液サンプルを取得して、サンプルが、病原性KIR3DL2発現細胞(KIR3DL2+腫瘍細胞)を含むか否かを決定するステップ;および(b)サンプルが、検出可能な病原性KIR3DL2発現細胞を含まない場合、抗KIR3DL2結合剤を個体に投与するステップを含む。
任意選択で、本方法は、さらに、疾患細胞が、その表面に異常リンパ球の他のマーカも発現しないか否かを決定するステップ、たとえば、細胞が、CD4、CD30、CD3、CD8細胞であるか否かを決定するステップも含む。
いくつかの態様では、CTCLの処置の後、寛解状態にあるか、またはそうでなければ第1の(1つもしくは複数の)抗CTCL療法(すなわち、非KIR3DL2による)に良好に応答しており、任意選択で低い血液腫瘍負荷を有する個体に抗KIR3DL2結合剤を投与することができる。
いくつかの態様では、疾患予後が不良であり、且つ/または再発し、第1の(1つもしくは複数の)治療剤に対して抵抗性であるか、または不応答性である個体に抗KIR3DL2結合剤を投与することができる。
本明細書には、血液腫瘍負荷が低いか、もしくは血液腫瘍負荷がない(および/または検出可能なKIR3DL2+腫瘍細胞がない)CTCLの両方、あるいは血液浸潤を伴う、または高い血液腫瘍負荷を伴う(および/または検出可能なKIR3DL2+腫瘍細胞を有する)CTCLの処置に使用することができる処置レジメンが提供される。しかし、これらのレジメンが、一方または他方のサブグループに個別に使用してもよいことは理解されよう。
一実施形態において、任意選択で、抗KIR3DL2結合剤は、低用量で、任意選択で、高い血液および皮膚腫瘍負荷を有する者を含む全ての患者において、皮膚疾患(たとえば、紅皮症、皮膚病変もしくは腫瘍)の腫瘍細胞上の十分な受容体占有を維持する量を下回るように設計された量で投与され;こうした用量は、循環中の少数のKIR3DL2発現腫瘍細胞(たとえば、検出限界未満)、たとえば、皮膚腫瘍から循環に侵入する腫瘍細胞の排除を介して、より広範な抗腫瘍応答をもたらし、および/または皮膚腫瘍における抗体依存性細胞貪食(ADCP)の誘導を介して、より広範な抗腫瘍応答をもたらす有利な特性を有し得る。一実施形態では、抗KIR3DL2結合剤の用量は反復され、特に、処置は、1回目、2回目、および任意選択でそれ以上の抗KIR3DL2結合剤の投与を含む。任意選択で、投与スケジュール(たとえば、2回の連続した投与の間隔)および用量は、NK溶解能力について少なくともEC10、EC60、EC80、EC90、またはEC100に対応する血液(たとえば、血清)中濃度をもたらす抗KIR3DL2結合剤のトラフレベルを維持するように選択される。
一部の実施形態において、抗KIR3DL2剤は、NK溶解能力として少なくともEC10、任意選択で、おおむねまたは少なくともおおむねEC60、EC80、EC90、またはEC100に相当する血液(たとえば、血清)中濃度を取得および/または維持するような用量および頻度で投与する。
任意選択で、本明細書に記載のいずれかの実施形態において、抗KIR3DL2剤の量および頻度は、毎週投与した場合、25mg/kg、20mg/kg、15mg/kg、10mg/kg、7.5mg/kgまたは6mg/kg体重ずつ提供されるものに相当する血液(たとえば、血清)中濃度をもたらす量より低い。任意選択で、本明細書に記載のいずれかの実施形態では、投与される抗KIR3DL2剤の量または用量は、25mg/kg、20mg/kgもしくは15mg/kg体重より低くなるように指定することができる。
本明細書に記載のいずれかの態様の別の実施形態において、処置方法は、CTCLの進行を抑制もしくは予防する、その寛解を維持する、もしくはCTCLの再発を予防する、またはCTCLのリンパ腫の再発を予防する方法である。本明細書に記載のいずれかの態様の別の実施形態において、処置方法は、関連期間にわたって生存の可能性を高める方法である。本明細書に記載のいずれかの態様の別の実施形態において、処置方法は、個体のクオリティオブライフを改善する方法である。本明細書に記載のいずれかの態様の別の実施形態において、処置方法は、個体における循環リンパ腫細胞(たとえば、セザリー細胞)の数を減少させる方法である。本明細書に記載のいずれかの態様の別の実施形態において、処置方法は、個体における血液腫瘍負荷を低減する方法である。
本明細書に記載のいずれかの態様の別の実施形態において、処置方法は、早期CTCLから、より進行したステージのCTCLへの進行を予防する方法である。本明細書に記載のいずれかの態様の別の実施形態において、処置方法は、早期ステージI、IIもしくはIIICTCLから、ステージIV CTCLへの進行を予防する方法である。本明細書に記載のいずれかの態様の別の実施形態において、処置方法は、血液腫瘍がないか、もしくは血液腫瘍負荷が低いCTCLから、血液腫瘍負荷または高い血液腫瘍負荷を有するCTCLへの進行を予防する方法である。本明細書に記載のいずれかの態様の別の実施形態において、処置方法は、B0またはB1血液腫瘍負荷を有するCTCLから、B2血液腫瘍負荷を有するCTCLへの進行を予防する方法である。
対象への抗KIR3DL2剤(たとえば、抗体もしくはその断片)の送達(単離されたタンパク質性結合剤としての直接投与、その表面に抗KIR3DL2結合タンパク質を発現するCARエフェクター細胞などの細胞としての投与、または内部の核酸、たとえば、抗KIR3DL2抗体コード核酸配列を含むポックスウイルス遺伝子導入用ベクターなどからのタンパク質性結合剤の発現のいずれかにより)ならびに本明細書に記載の他の方法の実施を使用して、本明細書に開示するCTCLのいずれか好適な態様を軽減、処置、予防、あるいはそうでなければ、改善することができる。処置は、非経口、たとえば静脈内投与することができ、特に、皮膚病変の異常リンパ球の増殖の抑制および/または改善、正常皮膚構造の回復および病原性T細胞の大幅な低減に有用となり得る。
本明細書に記載の特定の実施形態では、KIR3DL2結合剤は、少なくとも1投与サイクルにわたって個体に投与し、このサイクルにおいて、薬剤は、NK溶解能力として少なくともEC10、EC60、EC80、EC90、またはEC100に相当する血液(たとえば、血清)中濃度をもたらす量で少なくとも2回投与される。任意選択で、2回の連続した薬剤投与の間に、NK溶解能力として少なくともEC10、EC60、EC80、EC90、またはEC100に相当する血液(たとえば、血清)中濃度をもたらす濃度を達成、および/または維持するのに有効な量で薬剤を投与する。任意選択で、投与サイクルは、少なくとも1回目および2回目(ならびに任意選択で3回目、4回目、5回目、6回目、7回目および/または8回目もしくはそれ以上)の薬剤投与を含む。任意選択で、薬剤を静脈内投与する。任意選択で、処置は、少なくとも10週間、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月または6ヶ月の期間を有する。
本明細書に記載のいずれかの実施形態の一態様では、NK溶解能力として少なくともEC10、EC60、EC80、EC90、またはEC100である血液(たとえば、血清)中濃度をもたらす(たとえば、達成する、および/または維持する)量で、KIR3DL2結合剤を個体に投与する。
本明細書に記載のいずれかの実施形態の一態様では、NK溶解能力としてEC10〜EC70、EC10〜EC80、EC10〜EC90、またはEC60〜EC100に相当する血液(たとえば、血清)中濃度を少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも1ヶ月もしくは少なくとも2ヶ月にわたり維持する量で、KIR3DL2結合剤を個体に投与する。
本明細書に記載のいずれかの実施形態の一態様では、2回の連続した薬剤投与の間に、皮膚(たとえば、皮膚病変もしくは腫瘍)中のCTCL細胞上に実質的に十分なKIR3DL2占有を維持する量を下回る量で、KIR3DL2結合剤を個体に投与する。本明細書に記載のいずれかの実施形態の一態様では、2回の連続した薬剤投与の間に、NK溶解能力として少なくともEC50、EC70、EC80、EC90、またはEC100に相当する皮膚(たとえば、皮膚病変もしくは腫瘍)中の濃度を維持する量を下回る量で、KIR3DL2結合剤を個体に投与する。本明細書に記載のいずれかの実施形態の一態様では、ヒトIgGアイソタイプの抗KIR3DL2抗体、任意選択で、健常なボランティア由来のPBMCによるHuT78腫瘍溶解に関する51Cr−放出アッセイにおいて、100ng/ml未満、任意選択で1〜100ng/ml、任意選択で1〜50ng/ml、任意選択で約50ng/mlの、EC50を特徴とする抗体を、15、20もしくは30mg/kg体重を下回る量で(たとえば、毎週投与)個体に投与する。
本明細書に記載のいずれかの実施形態の一態様では、KIR3DL2結合剤は、ヒトIgGアイソタイプの抗KIR3DL2抗体、任意選択で、健常なボランティア由来のPBMCによるHuT78腫瘍溶解に関する51Cr−放出アッセイにおいて、100ng/ml未満、任意選択で1〜100ng/ml、任意選択で1〜50ng/ml、任意選択で約50ng/mlの、EC50を特徴とする抗体を含み、これを少なくとも0.1μg/ml(または、任意選択で少なくとも0.4、1.2もしくは10μg/ml)の抗KIR3DL2抗体の血液(血清)中濃度を達成する(および/または指定期間にわたって、もしくは2回の連続した投与の間に維持する)のに有効な量で個体に投与する。一実施形態では、毎週1回、2週間毎に1回、3週間毎に1回、毎月1回、任意選択で毎月1回〜2ヶ月毎に1回、抗体を静脈内投与する。一実施形態では、少なくとも7ng/ml(たとえば、10%溶解能力)、任意選択で少なくとも70ng/ml(たとえば、60%溶解能力)、任意選択で少なくとも0.4μg/ml(たとえば、80%溶解能力)、任意選択で少なくとも2μg/ml(たとえば、90%溶解能力)、任意選択で少なくとも10μg/ml(たとえば、100%溶解能力)、または任意選択で少なくとも20μg/ml、50μg/mlもしくは80μg/mlの抗KIR3DL2抗体の血液(血清)中濃度を、2回の連続した投与の間に)維持するのに有効な量で抗体を個体に投与する。
本明細書に記載のいずれかの実施形態の一態様では、KIR3DL2結合剤は、ヒトIgGアイソタイプの抗KIR3DL2抗体を含み、0.1〜0.5μg/ml、任意選択で0.4〜2μg/ml、任意選択で2〜7μg/ml、任意選択で2〜10μg/ml、任意選択で2〜50μg/ml、任意選択で10〜20μg/ml、任意選択で20〜50μg/ml、または任意選択で50〜100μg/mlの抗KIR3DL2抗体の最小(トラフ)血液(血清)濃度を、指定期間にわたって、もしくは2回の連続した投与の間に)維持するのに有効な量で個体に投与する。一実施形態では、毎月1回、任意選択で毎月1回〜2ヶ月毎に1回、抗体を静脈内投与する。
特定の血液濃度を達成するのに必要な抗体の量は、特定の抗体の特性に基づいて決定することができる。本明細書に記載のいずれかの実施形態の一態様では、KIR3DL2結合剤は、ヒトIgGアイソタイプの抗KIR3DL2抗体、任意選択で、健常なボランティア由来のPBMCによるHuT78腫瘍溶解に関する51Cr−放出アッセイにおいて、本明細書に開示する抗KIR3DL2抗体のそれと同等のEC50を特徴とする抗体を含み、(たとえば、本明細書に開示の抗体(たとえば、2B12抗体)のそれのEC50の1−logもしくは0.5−log未満もしくはそれ以内であるEC50、任意選択で100ng/ml未満、任意選択で1〜100ng/ml、任意選択で1〜50ng/ml、任意選択で約50ng/mlのEC50を有する。本明細書に記載のいずれかの実施形態の一態様において、KIR3DL2結合剤は、0.1〜0.75mg/kg、任意選択で0.2〜0.75mg/kg、任意選択で0.4〜1mg/kg、任意選択で0.75〜1.5mg/kg、任意選択で約0.01mg/kg、任意選択で約0.2mg/kg、任意選択で約0.75mg/kg、または任意選択で約1.5mg/kg体重の用量で個体に静脈内投与する。一実施形態では、0.1〜0.75mg/kg、任意選択で0.2〜0.75mg/kg、任意選択で0.4〜1mg/kg、任意選択で0.75〜1.5mg/kg、任意選択で約0.01mg/kg、任意選択で約0.2mg/kg、任意選択で約0.75mg/kg、任意選択で約1mg/kg、または任意選択で約1.5mg/kg体重の用量で、毎月1回、任意選択で毎月1回〜2ヶ月毎に1回、抗体を静脈内投与する。
本明細書に記載のいずれかの実施形態の一態様において、KIR3DL2結合剤は、0.75〜10mg/kg、任意選択で0.75〜1.5mg/kg、任意選択で1〜3mg/kg、任意選択で1.5〜3mg/kg、任意選択で3〜6mg/kg、任意選択で6〜10mg/kg、任意選択で約1mg/kg、任意選択で約1.5mg/kg、任意選択で約3mg/kg、任意選択で約6mg/kg、または任意選択で約10mg/kg体重の用量で個体に静脈内投与する。一実施形態では、1〜3mg/kg、任意選択で1.5〜3mg/kg、任意選択で3〜6mg/kg、任意選択で1.5〜8mg/kg、任意選択で6〜10mg/kg、任意選択で約1mg/kg、任意選択で約1.5mg/kg、任意選択で約3mg/kg、任意選択で約4mg/kg、任意選択で約6mg/kg、任意選択で10mg/kg体重未満、または任意選択で約10mg/kg体重の用量で、毎週1回(任意選択で2週間毎に1回)、または毎週1回〜毎月1回(もしくは4週間毎に1回)、抗体を静脈内投与する。
本明細書に記載のいずれかの実施形態の一態様において、KIR3DL2結合剤は、1〜3mg/kg、任意選択で1.5〜3mg/kg、任意選択で3〜6mg/kg、任意選択で6〜10mg/kg、任意選択で約1mg/kg、任意選択で約1.5mg/kg、任意選択で約3mg/kg、任意選択で約6mg/kgまたは任意選択で約10mg/kg体重の用量で個体に静脈内投与する。一実施形態では、1〜3mg/kg、任意選択で1.5〜3mg/kg、任意選択で3〜6mg/kg、任意選択で6〜10mg/kg、任意選択で約1mg/kg、任意選択で約1.5mg/kg、任意選択で約3mg/kg、任意選択で約6mg/kg、任意選択で10mg/kg体重未満、または任意選択で約10mg/kg体重の用量で、毎月1回〜2ヶ月毎に1回、抗体を静脈内投与する。
いずれかの実施形態において、mg/kgは、たとえば65kgまたは75kgの体重を用いて、用量のいずれかの固定用量当量として表すことができ、たとえば、10mg/kgの固定用量当量は、750mgとして規定することができる。
一実施形態では、個体(たとえば、本明細書に記載のCTCLを有する個体)のCTCLを処置する方法が提供され、この方法は、少なくとも1投与サイクルにわたってKIR3DL2結合剤を個体に投与するステップを含み、このサイクルにおいて、薬剤は、NK溶解能力として少なくともEC10、EC60、EC80、EC90、またはEC100である血液(たとえば、血清)中濃度をもたらす量で少なくとも2回投与される。任意選択で、2回の連続した薬剤投与の間に、NK溶解能力として少なくともEC10、EC60、EC80、EC90、またはEC100である血液(たとえば、血清)中濃度をもたらす濃度を達成、および/または維持するのに有効な量で薬剤を投与する。任意選択で、投与サイクルは、少なくとも1回目および2回目(ならびに任意選択で3回目、4回目、5回目、6回目、7回目および/または8回目もしくはそれ以上)の薬剤投与を含む。任意選択で、薬剤は静脈内投与する。
任意選択で、処置レジメンは、導入サイクルを含み得る。たとえば、ヒトIgGアイソタイプの抗KIR3DL2抗体、任意選択で、健常なボランティア由来のPBMCによるHuT78腫瘍溶解についての51Cr−放出アッセイにおいて、本明細書に開示する抗KIR3DL2抗体のそれと同等であるEC50を特徴とする(たとえば、本明細書に開示の2B12抗体のそれのEC50の1−logもしくは0.5−log未満もしくはそれ以内であるEC50を有する抗体、任意選択で、健常なボランティア由来のPBMCによるHuT78腫瘍溶解についての51Cr−放出アッセイにおいて、100ng/ml未満、任意選択で1〜100ng/ml、任意選択で1〜50ng/ml、任意選択で約50ng/mlのEC50を特徴とする抗体のためのレジメンは、以下:
(a)複数回の抗体投与を含む導入処置サイクルであって、少なくとも50、80、90、100、200もしくは300μg/ml、任意選択で50〜200μg/ml、任意選択で50〜100μg/mlの抗KIR3DL2抗体の最小(トラフ)血液(血清)濃度を、指定期間にわたって、もしくは2回の連続した投与の間に)維持するのに有効な量で抗体を個体に静脈内投与する導入サイクル、続いて
(b)複数回の抗体投与を含む処置サイクルであって、100μg/ml未満、任意選択で50μg/ml未満、任意選択で少なくとも0.1〜0.5μg/ml、任意選択で0.4〜2μg/ml、任意選択で2〜7μg/ml、任意選択で2〜10μg/ml、任意選択で2〜50μg/ml、任意選択で10〜20μg/ml、任意選択で20〜50μg/mlの抗KIR3DL2抗体の最小(トラフ)血液(血清)濃度を、指定期間にわたって、もしくは2回の連続した投与の間に)維持するのに有効な量で抗体を個体に静脈内投与する処置サイクル
を含み得る。一実施形態では、処置サイクル(b)で投与される量は、処置サイクル(a)で投与される量と同じであるが、投与の頻度はそれより低い。
ヒトIgGアイソタイプの抗KIR3DL2抗体の別の例示的な処置レジメンにおいて、処置は、以下:
(a)複数回(たとえば、少なくとも2、4、8、もしくは10回)の抗体投与を含む導入処置サイクルであって、1〜20mg/kg、任意選択で1〜10mg/kg、任意選択で1〜3mg/kg、任意選択で1.5〜3mg/kg、任意選択で3〜6mg/kg、任意選択で6〜10mg/kg、任意選択で約1mg/kg、任意選択で約1.5mg/kg、任意選択で約3mg/kg、任意選択で約6mg/kg、または任意選択で約10mg/kg体重の用量で、毎月約2、3もしくは4回、任意選択で毎週1回の頻度で、抗体を個体に静脈内投与する導入サイクル、続いて
(b)複数回(たとえば、少なくとも2、4、8、もしくは10回)の抗体投与を含む処置サイクル(たとえば、維持サイクル)であって、1〜20mg/kg、任意選択で1〜10mg/kg、任意選択で1〜3mg/kg、任意選択で1.5〜3mg/kg、任意選択で3〜6mg/kg、任意選択で6〜10mg/kg、任意選択で約1mg/kg、任意選択で約1.5mg/kg、任意選択で約3mg/kg、任意選択で約6mg/kg、または任意選択で約10mg/kg体重の用量で、1〜3ヶ月毎に約1回、任意選択で毎月約1回の頻度で、抗体を個体に静脈内投与する処置サイクル
を含む。一実施形態では、処置サイクル(b)で投与される用量(たとえば、1、1.5、3、6もしくは10mg/kg)は、処置サイクル(a)で投与される用量と同じである。
一実施形態では、正常NKおよび/またはT細胞排除を引き起こさない共通処置レジメン(たとえば、投与の同じ用量および同じ頻度)は、初期腫瘍負荷および/または病期と関係なく、個体に有利に使用することができ、この場合、共通処置レジメンの前に、より高い投与頻度で個体(たとえば、高腫瘍負荷を有する個体)に抗KIR3DL2抗体を投与する誘導レジメンまたは負荷期間が実施される(任意選択で、共通処置レジメンおよび誘導レジメンにおける抗体の投与毎の用量は同じである。
一実施形態では、癌(たとえば、固形腫瘍)を有する個体を治療する方法が提供され、この方法は、ヒトIgGアイソタイプの抗KIR3DL2抗体を少なくとも1投与サイクルで個体に投与するステップを含み、ここで、この方法は、以下:
a.0.75〜10mg/kg体重の用量、毎月2〜4回投与(たとえば、毎週1回投与)の頻度で、複数回の連続した静脈内投与により、抗体を投与する導入期間(またはサイクル)、ならびに
b.0.75〜10mg/kg体重の用量、毎月もしくは2ヶ月毎に1回投与(たとえば、毎週1回投与)の頻度で、複数回の連続した静脈内投与により、抗体を投与する維持期間(またはサイクル)
を含む。一実施形態では、維持期間内の1回目の投与は、負荷期間の最後の投与から1ヶ月以内に実施する。一実施形態では、(a)の導入サイクル中の各投与および(b)の維持期間中の各投与での用量は、同じである(たとえば、導入サイクルおよび維持期間中の両方で0.75mg/kg、1.5mg/kg、6mg/kgまたは10mg/kgを使用する)。
導入サイクルまたは期間を含む処置のいずれかの一実施形態では、導入期間は、4、5、6、7、8回またはそれ以上の投与を含む。一実施形態では、続く(たとえば、維持)期間は、少なくとも2、3、4、5、6、7または8回の投与を含む。一実施形態では、負荷期間および維持期間のいずれにおいても同じ用量で抗体を投与する。一実施形態では、導入期間および維持期間の各々が、0.75mg/kg体重の用量で抗体を投与するステップを含む。一実施形態では、導入期間および維持期間の各々が、1.5mg/kg体重の用量で抗体を投与するステップを含む。一実施形態では、導入期間および維持期間の各々が、3mg/kg体重の用量で抗体を投与するステップを含む。一実施形態では、導入期間および維持期間の各々が、6mg/kg体重の用量で抗体を投与するステップを含む。一実施形態では、導入期間および維持期間の各々が、10mg/kg体重の用量で抗体を投与するステップを含む。一実施形態では、抗体は、配列番号31のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。一実施形態では、抗体は、配列番号31のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;および配列番号26のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
任意選択で、本開示の処置は、KIR3DL2を発現する正常免疫細胞(たとえば、NK細胞、CD8T細胞、γδT細胞)の排除を引き起こさない。任意選択で、薬剤の量は、循環中のKIR3DL2発現腫瘍細胞(たとえば、そうした細胞が、たとえば血液腫瘍負荷が低い/ない個体において、ほとんどないか、または検出限界未満である場合)の排除を介して、たとえば、皮膚病変から循環中に侵入する腫瘍細胞の排除を介して、より広範な抗腫瘍応答をもたらすのに有効な量である。任意選択で、薬剤の量は、皮膚病変における抗体依存性細胞貪食(ADCP)の誘導を介して、より広範な抗腫瘍応答をもたらすのに有効な量である。
一態様では、本明細書に記載の処置レジメンのいずれかを、CTCLを有する個体の処置に使用し、その場合、処置レジメン(たとえば、抗KIR3DL2剤の同じ投与用量および頻度)を、SSを有する個体およびMFを有する個体に使用する。
一態様では、本明細書に記載の処置レジメンのいずれかを、CTCLを有する個体の処置に使用し、その場合、処置レジメン(たとえば、抗KIR3DL2剤の同じ投与用量および頻度)を、緩徐進行性疾患を有する個体および侵攻型疾患を有する個体に使用する。
一態様では、本明細書に記載の処置レジメンのいずれかを、CTCLを有する個体の処置に使用し、その場合、処置レジメン(たとえば、抗KIR3DL2剤の同じ投与用量および頻度)を、循環中に検出可能なKIR3DL2発現悪性細胞(たとえば、KIR3DL2発現セザリー細胞)がない個体、および循環中に検出可能なKIR3DL2発現悪性細胞(たとえば、KIR3DL2発現セザリー細胞)を有する個体に使用する。
一態様では、本明細書に記載の処置レジメンのいずれかを、CTCLを有する個体の処置に使用し、その場合、処置レジメン(たとえば、抗KIR3DL2剤の同じ投与用量および頻度)を、循環中に少数の検出可能なKIR3DL2発現悪性細胞(たとえば、KIR3DL2発現セザリー細胞)を有する個体、および循環中に多数の検出可能なKIR3DL2発現悪性細胞(たとえば、KIR3DL2発現セザリー細胞)を有する個体に使用する。
一態様では、本明細書に記載の処置レジメンのいずれかを、CTCLを有する個体の処置に使用し、その場合、処置レジメン(たとえば、抗KIR3DL2剤の同じ投与用量および頻度)を、血液腫瘍負荷が低いか、もしくはない個体、および血液腫瘍負荷(または高い血液腫瘍負荷)を有する個体に使用する。一実施形態では、血液腫瘍負荷がないか、または低腫瘍負荷は、B0(有意な血液浸潤の非存在、たとえば、≦5%の末梢血液リンパ球が異型(セザリー)細胞)またはB1(低い血液腫瘍負荷、たとえば、>5%の末梢血液リンパ球が異型(セザリー)細胞)である。一実施形態では、血液腫瘍負荷を有するか、または高い血液腫瘍負荷を有するものは、B2(高い血液腫瘍負荷:≧1,000/μLの陽性クローン含有セザリー細胞)である。
一態様では、本明細書に記載の処置レジメンのいずれかを、CTCLを有する個体の処置に使用し、その場合、処置レジメン(たとえば、抗KIR3DL2剤の同じ投与用量および頻度)を、早期CTCL(たとえば、ステージI、IIおよび/またはIII)を有する個体、ならびに後期CTCL(たとえば、ステージIV)を有する個体に使用する。
一態様では、本明細書に記載の処置レジメンのいずれかを、皮膚病変、任意選択で有意もしくは進行型皮膚疾患、任意選択でT2(皮膚表面の≧10%を覆う斑、丘疹、もしくはプラーク、任意選択でさらにT2a(斑のみ)またはT2b(プラーク±斑)、T3(少なくとも1つの腫瘍(≧1cm直径)または身体表面積の≧80%を覆うT4ステージ皮膚浸潤紅皮症)を伴うCTCLを有する個体の処置に使用する。一実施形態では、個体は、複数の且つ/または高い皮膚腫瘍負荷を有する。一実施形態では、個体は、直径1cm超の1つまたは複数の皮膚腫瘍を有する。
抗KIR3DL2結合剤は、薬剤が投与される特定の処置目的のために通常使用される処置および薬剤などの1もしくは複数種の他の処置または治療剤を用いた処置と組み合わせて使用してもよい。追加処置または薬剤は、処置しようとする特定の疾患もしくは状態の単剤療法における処置または薬剤のために典型的に使用される量および処置レジメンで通常投与される。処置方法では、KIR3DL2結合化合物および第2の治療剤または処置を順次投与することができる。KIR3DL2結合化合物は、第2の治療剤または処置の投与前に投与することができる。たとえば、KIR3DL2結合化合物は、第2の治療剤または処置の投与の約0〜30日前に投与することができる。一部の実施形態では、KIR3DL2結合化合物は、第2の治療剤または処置の投与の約30分〜約2週間、約30分〜約1週間、約1時間〜約2時間、約2時間〜約4時間、約4時間〜約6時間、約6時間〜約8時間、約8時間〜1日、または約1〜5日前に投与する。一実施形態では、処置は、骨髄移植または造血幹細胞移植である。一部の実施形態では、KIR3DL2結合化合物は、治療剤の投与と同時に投与する。
一実施形態では、対象は、骨髄移植または造血幹細胞移植による処置の前に、抗KIR3DL2剤による処置を受ける。たとえば、移植は、抗KIR3DL2剤による処置の終了後1、2または3ヶ月以内に投与することができる。
一実施形態では、抗KIR3DL2剤による処置は、以下:コルチコステロイド、ナイトロジェンマスタード、カルムスチン、局所タクロリムス(Protopic(登録商標))、イミキモド(Aldara(登録商標);3M Inc.)、局所レチノイド、およびレキシノイド(ベキサロテン;Targretin(登録商標);Ligand Pharmaceuticals,San Diego,CA))、モガムリズマブ、アレムツズマブ、ブレンツキシマブベドチン、ならびに紫外線療法(Psoralen+UVA(PUVA)、ナローバンドUVB、およびUVB)、光線力学療法(PDT)および全身照射、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、たとえばボリノスタット(スベロイルアニリドヒドロキサム酸、Zolinza(登録商標))およびRomidepsin(デプシペプチド、FK−228、Istodax(登録商標))、ヒストンデアセチラーゼアイソタイプ1、2、4および6を選択的に阻害する環状ペプチド、化学療法または併用療法、ゲムシタビン、抗葉酸剤類似体、たとえばPralatrexate(Folotyn(登録商標))、IMiDs(免疫抑制薬)、CC−5013(レナリドミド;Revlimid(登録商標))、CC−4047(Actimid)、およびENMD−0995、プロテオソーム阻害剤およびボルテゾミブ(Velcade(登録商標))からなる群から選択されるCTCLの追加治療剤または追加処置を用いた処置の前に行う。抗KIR3DL2剤は、前述の処置の1つもしくは複数を(またはいずれも)受けたことがない個体に有利に使用することができる。
一実施形態では、抗KIR3DL2剤組成物は、任意選択で別の治療剤を含まない。一実施形態では、抗KIR3DL2剤組成物は、単剤療法として、たとえば、抗KIR3DL2剤が投与される特定の処置目的の、特にCTCLの処置のための別の治療剤の併用投与なしで、使用してもよい。
KIR3DL2結合剤
KIR3DL2ポリペプチドに結合する薬剤(用語:抗KIR3DL2剤、KIR3DL2結合剤、抗KIR3DL2結合剤などと置き換え可能に使用される)は、KIR3DL2に結合するのに好適なあらゆる薬剤であってよく、本開示に従う官能性を有する。
KIR3DL2(CD158k)は、開示が参照により本明細書に組み込まれるPende et al.(1996)J.Exp.Med.184:505−518において記載される約140kDの3つのIgドメイン分子のジスルフィド結合ホモ二量体である。いくつかの対立遺伝子変異体がKIR3DL2ポリペプチドについて報告されており、これらのそれぞれは、用語KIR3DL2によって包含される。成熟ヒトKIR3DL2(allele *002)のアミノ酸配列は、下記に配列番号1において示され、21アミノ酸残基リーダー配列が省かれたGenbank受入番号AAB52520に対応する。
Figure 2020500161
また、配列番号1に示されるKIR3DL2の対立遺伝子変異体であるあらゆる核酸またはタンパク質、たとえば、少なくとも95%、97%、98%、99%、またはそれ以上のアミノ酸同一性を有するKIR3DL2タンパク質も包含される。
密接に関連するKIR3DL1(CD158e1)は、Colonna and Samaridis(1995)Science 268(5209),405−408において記載される約70kDの単量体分子である。KIR3DL1(CD158e2)ポリペプチド(allele *00101)をコードするcDNAは、Genbank受入番号L41269において示され、コードされるアミノ酸配列は、Genbank受入番号AAA69870において示される。一実施形態では、本明細書において言及されるKIR3DL1ポリペプチドが、allele *00101である。
KIR3DL2結合剤は、任意の好適な供給源から容易に得ることができ、たとえば、KIR3DL2結合剤は、様々な免疫グロブリンまたは非免疫グロブリンスカホールド、たとえば、ブドウ球菌プロテインAのZドメインに基づく抗体、改変クニッツ(Kunitz)ドメイン、ヒトフィブロネクチンIIIの第10細胞外ドメインに基づくモノボディもしくはアドネクチン、リポカリン由来のアンチカリン、DARPin(設計されたアンキリン反復ドメイン、多量体化LDLR−Aモジュール、アビマー(avimer)またはシステインリッチノッティンペプチドから製造することができる。たとえば、Gebauer and Skerra(2009)Current Opinion in Chemical Biology 13:245−255(その開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。特定の実施形態では、KIR3DL2結合剤は、抗体(または抗体断片)を含む。
CTCLの治療に使用するためのKIR3DL2結合剤(たとえば、抗体、抗体断片)は、たとえば、単離されたタンパク質の形態であってもよいし、または細胞(たとえば、T細胞、NK細胞もしくはNKT細胞などのCARエフェクター細胞)の表面に存在するか、または抗KIR3DL2抗体コード核酸配列を含むポックスウイルス遺伝子移入ベクターなどの内部の核酸によりコードされてもよい。キメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞を構築することができる。CARの例は、T細胞抗原受容体複合体ζ鎖の細胞内シグナル伝達ドメインに融合した細胞外単鎖抗体(scFv)を含み、しかも、T細胞、NKT細胞もしくはNK細胞などのエフェクター細胞中で発現されると、モノクローナル抗体の特異性に基づいて抗原認識(すなわち、KIR3DL2認識)を再指向させる能力を有するように操作される。一態様では、細胞内シグナル伝達ドメイン、膜貫通ドメイン(TM)およびKIR3DL2特異的細胞外ドメイン(たとえば、KIR3DL2に特異的に結合するモノクローナル抗体、たとえば、本明細書に開示する抗体の1つの可変重鎖および軽鎖領域に由来するドメイン)を含むKIR3DL2特異的キメラ免疫受容体を、細胞表面膜上に発現し、担持する遺伝子改変免疫細胞が提供される。さらに、KIR3DL2特異的キメラ免疫受容体、受容体をコードするDNA構築物、ならびに発現のために正しい配向で構築物を含有するプラスミド発現ベクターも提供される。
一実施形態において、KIR3DL2結合抗体は、ADCC、さらに任意選択でADCPをKIR3DL2発現細胞へと指向させる抗体である。
一実施形態において、本明細書に記載するいずれかの実施形態で使用される抗体は、KIR3DL2ポリペプチドに結合し、任意選択で、抗体は、KIR3DL1ポリペプチドには実質的に結合せず、ヒトKIR3DL2ポリペプチドに対して100ng/ml未満の(それより良い)、任意選択で1〜100ng/mlの結合親和性(K)を特徴とする。
抗体は、任意選択で、健常なボランティア由来のPBMCによるHuT78腫瘍溶解に関する51Cr−放出アッセイにおいて、100ng/ml未満、任意選択で1〜100ng/ml、任意選択で1〜50ng/ml、任意選択で25〜75ng/ml、任意選択で約50ng/mlのEC50を特徴とする。抗体は、任意選択で、健常なボランティア由来のPBMCによるHuT78腫瘍溶解に関する51Cr−放出アッセイにおいて、本明細書に開示する抗KIR3DL2抗体のそれと同等のEC50を特徴とする(たとえば、配列番号31のVHおよび配列番号25もしくは26のVLを有し、野生型もしくは修飾ヒトIgG1アイソタイプのFcドメインを含み、しかもADCCを媒介する本明細書に開示の2B12抗体のそれのEC50の1−logもしくは0.5−log未満もしくはそれ以内であるEC50を有する)。
例示的な抗KIR3DL2抗体は、たとえば、表面プラズモン共鳴(SPR)スクリーニング(BIAcore(商標)SPR分析装置を用いた分析など)により決定されて、KIR3DL2に関して、1×10−9M未満の平均解離定数(K)を特徴とし得る。任意選択で、抗KIR3DL2抗体は、KIR3DL2の場合、約1×10−8M〜約1×10−10M、または約1×10−9M〜約1×10−11MのKDを有する。
一態様では、KIR3DL2に特異的に結合する抗体は、以下の特性の1つもしくは複数(組合せが矛盾しない限り、それらのあらゆる組合せを含む)を特徴とすることができる:
(a)KIR3DL2ポリペプチドへの結合について、10−8M未満、好ましくは10−9M未満、または好ましくは10−10M未満のKdを有する;
(b)KIR3DL2ポリペプチドの残基1〜98または残基193〜292に対応するセグメント中の少なくとも1つの残基に結合する;
(c)KIR3DL2ポリペプチドへの結合について、抗体10F6、2B12、18C6、9E10、10G5、13H1、5H1、1E2、1C3および/または20E9と競合する;
(d)KIR3DL2ポリペプチドへの結合について(たとえば、ポリペプチド相互作用アッセイで)、KIR3DL2の天然リガンド(たとえば、HLAポリペプチド、任意選択でHLA−B27)と競合する;
(e)KIR3DL2発現細胞内へのKIR3DL2ポリペプチドの取込みを実質的に増大もしくは誘導せず、且つ/またはKIR3DL2発現細胞内に取り込まれない;
(f)KIR3DL2の天然リガンド(たとえば、HLAポリペプチド;HLA−B27)により誘導されるKIR3DL2シグナル伝達を阻害する、または阻害しない;
(g)KIR3DL1、KIR3DS1、KIR3DL3、KIR2DS1、KIR2DS2、KIR2DL3、KIR2DL1および/またはKIR2DS4ポリペプチドに実質的に結合しない;
(h)KIR3DL2ポリペプチドのアミノ酸残基R13、P14、S15、H23、A25、Q27、H32、G33、I60、G62、R78、L82、W226、I231および/またはR246のいずれかを1つもしくは複数を含むエピトープに結合する;ならびに
(i)KIR3DL2ポリペプチドの残基R13、P14、S15、H23、A25、Q27、H32、G33、I60、G62、R78、L82、W226、I231および/またはR246の1つもしくは複数に突然変異を有するKIR3DL2ポリペプチドに対して低い結合を有する。
本明細書に記載する実施形態のいずれかにおいて、抗体は、上の(a)〜(i)のいずれか1つまたは複数の特徴を特徴とし得る。本明細書に記載する実施形態のいずれかにおいて、抗体は、さらに(d)または(f)の特徴、任意選択でさらには上の(e)の特徴と組み合わせて、特徴(a)、(b)、(c)および(g)の特徴を特徴とし得る。任意選択で、抗体は、さらに特徴(h)および/または(i)を特徴とする。
一実施形態では、抗体は、ヒトに好適である。一実施形態では、抗体は、キメラであり、たとえば、非ヒトまたはマウス由来の可変領域、およびヒトまたは非マウス由来の定常領域を含む。一実施形態では、抗体は、ヒトもしくはヒト化抗体である。
一実施形態では、抗体は、Fcドメインを含むか、またはFcγR(たとえば、FcγRIIIA)により結合されるアイソタイプ、たとえばIgG1またはIgG3アイソタイプの抗体である。
ヒトKIR3DL2に結合する抗体の例として、抗体19H12、12B11、10F6、2B12、18C6、9E10、10G5、13H1、5H1、1E2、1C3または20E9が挙げられる。これらの抗体およびさらに別の抗体は、いずれも2013年9月17日に出願されたPCT/欧州特許出願公開第2013/069302号明細書およびPCT/欧州特許出願公開第2013/069293号明細書に記載されており、これらの抗体の開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。これらの抗体は、KIR3DL2に選択的に結合するが、KIR3DL1(またはKIR3DS1)には結合しない。抗体10F6、2B12、18C6、9E10、10G5、13H1、5H1、1E2、1C3または20E9は、たとえば、病原性KIR3DL2発現細胞に向けたADCCの誘導により、KIR3DL2発現標的の排除のために、たとえば個体に投与される治療剤として、使用することができるが、抗体12B11および19H12は、検出アッセイにおけるKIR3DL2陽性細胞の検出に特に効率的であり、12B11は、凍結組織切片を用いた免疫組織化学アッセイに有利であり、また19H12は、フローサイトメトリー検出に有利であることから、細胞の表面上のKIR3DL2発現の検出(たとえば、インビトロアッセイ)に使用する上で、抗体12B11および19H12が有利であろう。
抗体10F6、2B12、18C6、9E10、10G5、13H1、5H1、1E2、1C3または20E9の重鎖および軽鎖可変領域のアミノ酸配列を表Cに列挙する。具体的な実施形態では、抗KIR3DL2抗体は、モノクローナル抗体10F6、2B12、18C6、9E10、10G5、13H1、5H1、1E2、1C3または20E9のいずれかとほぼ同じエピトープもしくは決定基と結合し;任意選択で、抗体は、抗体10F6、2B12、18C6、9E10、10G5、13H1、5H1、1E2、1C3または20E9の抗原結合領域を含む。本明細書に記載の実施形態のいずれかにおいて、抗体10F6、2B12、18C6、9E10、10G5、13H1、5H1、1E2、1C3または20E9は、そのアミノ酸配列および/またはそれをコードする核酸配列を特徴とし得る。一実施形態では、モノクローナル抗体は、10F6、2B12、18C6、9E10、10G5、13H1、5H1、1E2、1C3または20E9のFabもしくはF(ab’)部分を含み得る。モノクローナル抗体は、10F6、2B12、18C6、9E10、10G5、13H1、5H1、1E2、1C3または20E9の重鎖可変領域を含む。一実施形態によれば、モノクローナル抗体は、10F6、2B12、18C6、9E10、10G5、13H1、5H1、1E2、1C3または20E9の重鎖可変領域の3つのCDRを含む。モノクローナル抗体は、10F6、2B12、18C6、9E10、10G5、13H1、5H1、1E2、1C3または20E9の可変軽鎖可変領域、または10F6、2B12、18C6、9E10、10G5、13H1、5H1、1E2、1C3または20E9の軽鎖可変領域の1つ、2つもしくは3つのCDRをさらに含み得る。任意選択で、前記軽鎖または重鎖CDRのいずれか1つもしくは複数は、1、2、3、4もしくは5以上のアミノ酸修飾(たとえば、置換、挿入または欠失)を含み得る。任意選択で、抗体10F6、2B12、18C6、9E10、10G5、13H1、5H1、1E2、1C3または20E9の抗原結合領域の一部もしくは全部を含む軽鎖および/または重鎖可変領域のいずれかをヒトIgGタイプの免疫グロブリン定常領域、任意選択でヒト定常領域、任意選択でヒトIgG1もしくはIgG3アイソタイプに融合させる。
別の態様では、抗体は、以下を含む:表Aに記載するアミノ酸配列、またはそれらの少なくとも4、5、6、7、8、9もしくは10個の連続したアミノ酸の配列を含む10F6、2B12、18C6、9E10、10G5、13H1、5H1、1E2、1C3または20E9のHCDR1領域(任意選択で、これらのアミノ酸の1つもしくは複数は、異なるアミノ酸で置換されていてもよい;表Aに記載するアミノ酸配列、またはそれらの少なくとも4、5、6、7、8、9もしくは10個の連続したアミノ酸の配列を含む10F6、2B12、18C6、9E10、10G5、13H1、5H1、1E2、1C3または20E9のHCDR2領域(任意選択で、これらのアミノ酸の1つもしくは複数は、異なるアミノ酸で置換されていてもよい);表Aに記載するアミノ酸配列、またはそれらの少なくとも4、5、6、7、8、9もしくは10個の連続したアミノ酸の配列を含む10F6、2B12、18C6、9E10、10G5、13H1、5H1、1E2、1C3または20E9のHCDR3領域(任意選択で、これらのアミノ酸の1つもしくは複数は、異なるアミノ酸で置換されていてもよい);表Bに記載するアミノ酸配列、またはそれらの少なくとも4、5、6、7、8、9もしくは10個の連続したアミノ酸の配列を含む10F6、2B12、18C6、9E10、10G5、13H1、5H1、1E2、1C3または20E9のLCDR1領域(任意選択で、これらのアミノ酸の1つもしくは複数は、異なるアミノ酸で置換されていてもよい;表Bに記載するアミノ酸配列、またはそれらの少なくとも4、5、6、7、8、9もしくは10個の連続したアミノ酸の配列を含む10F6、2B12、18C6、9E10、10G5、13H1、5H1、1E2、1C3または20E9のLCDR2領域(任意選択で、これらのアミノ酸の1つもしくは複数は、異なるアミノ酸で置換されていてもよい);表Bに記載するアミノ酸配列、またはそれらの少なくとも4、5、6、7、8、9もしくは10個の連続したアミノ酸の配列を含む10F6、2B12、18C6、9E10、10G5、13H1、5H1、1E2、1C3または20E9のLCDR3領域(任意選択で、これらのアミノ酸の1つもしくは複数は、欠失していても、または異なるアミノ酸で置換されていてもよい)。HCDR1、2、3およびLCDR1、2、3配列は、全て(または各々独立に)を、Kabatナンバリングシステム(各CDRについて表Aおよび/またはBに示される通り)のもの、Chotiaナンバリングシステム(各CDRについて表Aに示される通り)のもの、IMGTナンバリングシステム(各CDRについて表Aに示される通り)のもの、またはいずれか他の好適なナンバリングシステムのものとして、任意選択で指定することができる。
Figure 2020500161
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抗体10G5のヒト化VHおよびVLアミノ酸配列の例を表D中、配列番号13〜17および8〜12においてそれぞれ示す。一態様では、ヒトKIR3DL2ポリペプチドに結合する単離されたヒト化抗体が提供され、抗体は、以下:配列番号2において示されるアミノ酸配列SYTMHを含むHCDR1領域、またはその少なくとも3もしくは4アミノ酸の配列;配列番号3において示されるアミノ酸配列YINPSSGYTENNRKFを含むHCDR2領域、またはその少なくとも4、5、6、7、8、9もしくは10の連続したアミノ酸の配列;配列番号4において示されるアミノ酸配列LGKGLLPPFDYを含むHCDR3領域、またはその少なくとも4、5、6、7、8、9もしくは10の連続したアミノ酸の配列;配列番号5において示されるアミノ酸配列RASENIYSNLAを含むLCDR1領域、またはその少なくとも4、5、6、7、8、9もしくは10の連続したアミノ酸の配列;配列番号6において示されるアミノ酸配列AATNLADを含むLCDR2領域、またはその少なくとも3、4もしくは5の連続したアミノ酸の配列;配列番号7において示されるアミノ酸配列QHFWGTPYTを含むLCDR3領域、またはその少なくとも4、5、6、7、もしくは8の連続したアミノ酸の配列を含む。
一態様では、ヒトKIR3DL2ポリペプチドに結合するヒト化10G5抗体は、以下:
(a)配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR−H1;
(b)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR−H2;
(c)配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR−H3;
(d)配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR−L1;
(e)配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR−L2;
(f)配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR−L3;および
(g)ヒトフレームワーク配列
を含む。
一実施形態では、ヒト化抗体は、JH6と一緒にヒトサブグループVH1由来の重鎖フレームワークを含み、任意選択で、抗体は、IGHJ6*01と一緒に、IGHV1−46*03を含む。一実施形態では、ヒト化抗体は、ヒトサブグループVK1由来の軽鎖フレームワーク、任意選択でIGKV1−NL1*01を含む。
任意選択で、ヒトフレームワークは、1つまたは複数の突然変異、たとえば、KIR3DL2に結合する保持能力を示す復帰突然変異を含む。したがって、本発明の実施形態は、Abnumナンバリングを用いて、下記の残基:
10G5 VH:5、11、12、13、20、38、40、48、66、67、69、71、72a、75
のいずれか1つもしくは複数(または任意の組合せ)に復帰突然変異を有する復帰突然変異10G5重鎖変異体を含む。
Abnumアミノ酸ナンバリング命名法については、Abhinandan and Martin,(2008)Molecular Immunology 45:3832−3839に記載されており、その開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。Abnumシステムを用いた配列ナンバリングは、http://www.bioinfo.org.uk/abs/abnumで自動的に作成することもできる。しかし、当業者は、別のナンバリングシステムを用いて、Abnumナンバリングに対応する識別位置を見出すことができ、たとえば、Kabatナンバリングシステムを用いることができることは理解されよう(Kabat et al.(1991)Sequences of Protein of Immunological Interest,5th ed.,United States Public Health Service,National Institute of Health,Bethesda,MD)。
本発明のさらに別の実施形態は、したがって、下記の残基:
10G5 VL:17、18、40、45、48、70、76、100
のいずれか1つもしくは複数(または任意の組合せ)に復帰突然変異を有する復帰突然変異10G5軽鎖変異体を含む。
ヒト化抗体は、たとえば、ヒト化抗体の親和性、安定性、または他の特性を増強するために、ヒトフレームワーク配列に1つもしくは複数の追加突然変異(たとえば復帰突然変異)をさらに含んでもよい。
一態様では、ヒトKIR3DL2ポリペプチドに結合するヒト化10G5抗体は、以下:
(a)配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR−H1;
(b)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR−H2;
(c)配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR−H3;
(d)配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR−L1;
(e)配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR−L2;
(f)配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR−L3;および
(g)グルタミン(Q)残基が、VHドメインの39位およびVLドメインの38位に存在するヒトフレームワーク配列
を含む。任意選択で、ヒトフレームワーク配列は、1つまたは複数の復帰突然変異を含む。
39位のグルタミン(Q)残基は、ヒトVHフレームワーク配列内に天然に存在するものであってもよいし、または配列のアミノ酸置換もしくは他の修飾により導入してもよい。
別の態様では、ヒト化抗体は、配列番号13〜17の10G5のVHドメインに対して少なくとも約80%の配列同一性(たとえば、少なくとも約85%、90%、95%、97%、98%、またはそれ以上の同一性)を有するVHドメインを含み得る。別の特定の態様では、ヒト化抗体は、以下:(a)ヒトVHドメインに組み込まれた非ヒトCDR残基を含むVHドメインであって、VHドメインが、配列番号13〜17のヒト化10G5 VHと少なくとも約80%(たとえば少なくとも90%、95%、97%、98%)同一であるVHドメイン、および(b)ヒトVLドメインに組み込まれた非ヒトCDR残基を含むVLドメインであって、VLドメインが、配列番号8〜12のヒト化10G5 VLと少なくとも約80%(たとえば少なくとも90%、95%、97%、98%)同一であるVLドメインを含み得る。
抗体2B12のヒト化VHおよびVLアミノ酸配列の例を表D中、配列番号24〜28および30〜33においてそれぞれ示す。一態様では、ヒト化抗体は、以下:配列番号18において示されるアミノ酸配列TAGMQを含むHCDR1領域、またはその少なくとも3もしくは4の連続したアミノ酸の配列;配列番号19において示されるアミノ酸配列WINSHSGVPKYAEDFKを含むHCDR2領域、またはその少なくとも4、5、6、7、8、9もしくは10の連続したアミノ酸の配列;配列番号20において示されるアミノ酸配列GGDEGVMDYを含むHCDR3領域、またはその少なくとも5、6、7、もしくは8の連続したアミノ酸の配列;配列番号21において示されるアミノ酸配列KASQDVSTAVAを含むLCDR1領域、またはその少なくとも4、5、6、7、8、9もしくは10の連続したアミノ酸の配列;配列番号22において示されるアミノ酸配列WTSTRHTを含むLCDR2領域、またはその少なくとも3、4もしくは5の連続したアミノ酸の配列;および/または配列番号23において示されるアミノ酸配列QQHYSTPWTを含むLCDR3領域、またはその少なくとも4、5、6、7、もしくは8の連続したアミノ酸の配列を含む。
本明細書におけるいずれかの実施形態では、重鎖および軽鎖のCDR1、2、および3のいずれかが、その少なくとも4、5、6、7、8、9、もしくは10の連続したアミノ酸の配列によっておよび/または対応する配列番号において列挙される特定のCDRまたはCDRのセットと少なくとも70%、80%、85%、90%、もしくは95%の配列同一性を共有するアミノ酸配列を有するとして特徴付けられてもよい。
一態様では、ヒト化2B12抗体は、以下:
(a)配列番号18のアミノ酸配列を含むCDR−H1;
(b)配列番号19のアミノ酸配列を含むCDR−H2;
(c)配列番号20のアミノ酸配列を含むCDR−H3;
(d)配列番号21のアミノ酸配列を含むCDR−L1;
(e)配列番号22のアミノ酸配列を含むCDR−L2;
(f)配列番号23のアミノ酸配列を含むCDR−L3;および
(g)ヒトフレームワーク配列
を含む。
一実施形態では、ヒト化抗体は、JH6と一緒にヒトサブグループVH1および/またはVH7由来の重鎖フレームワークを含み、任意選択で、抗体は、IGHJ6*01と一緒に、IGHV7−4−1*02および/またはIGHV1−c*01を含む。一実施形態では、ヒト化抗体は、ヒトサブグループVK1および/またはVK4由来の軽鎖フレームワーク、任意選択でJH4と一緒に、IGKV4−1*01および/またはIGKV1−39*01、任意選択でIGKJ4*01を含む。
任意選択で、ヒトフレームワークは、1つまたは複数の突然変異、たとえば、復帰突然変異を含む。任意選択で、下のアミノ酸配列(配列番号29)の2B12重鎖変異体は、Abnumナンバリングを用いて、下記の残基:
2B12 VH:2、38、39、40、43、48、68、72c、91、108
のいずれか1つもしくは複数(または任意の組合せ)に復帰突然変異を有し得る。
Figure 2020500161
本発明のさらに別の実施形態は、したがって、下記の残基:
2B12 VL:3、8、9、21、43、71、78、104
のいずれか1つもしくは複数(または任意の組合せ)に復帰突然変異を有する復帰突然変異2B12軽鎖変異体を含む。
ヒト化抗体は、たとえば、ヒト化抗体の親和性、安定性、または他の特性を増強するために、ヒトフレームワーク配列に1つもしくは複数の追加突然変異(たとえば復帰突然変異)をさらに含んでもよい。
一態様では、ヒト化2B12抗体は、以下:
(a)配列番号18のアミノ酸配列を含むCDR−H1;
(b)配列番号19のアミノ酸配列を含むCDR−H2;
(c)配列番号20のアミノ酸配列を含むCDR−H3;
(d)配列番号21のアミノ酸配列を含むCDR−L1;
(e)配列番号22のアミノ酸配列を含むCDR−L2;
(f)配列番号23のアミノ酸配列を含むCDR−L3;および
(g)グルタミン(Q)残基が、VHドメインの39位およびVLドメインの38位に存在するヒトフレームワーク配列
を含む。任意選択で、ヒトフレームワーク配列は、1つまたは複数の復帰突然変異をさらに含む。
別の態様において、ヒト化抗体は、配列番号30〜33の2B12またはヒト化2B12のVHドメインに対して少なくとも80%の配列同一性(たとえば、少なくとも約85%、90%、95%、97%、98%、またはそれ以上の同一性)を有するVHドメインを含む。別の特定の態様では、ヒト化抗体は、以下:(a)ヒトVHドメインに組み込まれた非ヒトCDR残基を含むVHドメインであって、VHドメインが、配列番号30〜33のヒト化2B12 VHと少なくとも約80%(たとえば少なくとも90%、95%、97%、98%)同一であるVHドメイン、および(b)ヒトVHドメインに組み込まれた非ヒトCDR残基を含むVLドメインであって、VLドメインが、配列番号24〜28のヒト化2B12 VLと少なくとも約80%(たとえば少なくとも90%、95%、97%、98%)同一であるVLドメインを含む。
39位のグルタミン(Q)残基は、ヒトVHフレームワーク配列内に天然に存在するものであってもよいし、または、配列のアミノ酸置換もしくは他の修飾によって導入してもよい。
10G5または2B12抗体は、ネイティブまたは改変ヒトIgG定常ドメインをさらに含んでもよい。任意選択で、定常ドメインは、IgG1ドメインであり、任意選択で、Fc受容体結合を増大するための修飾をさらに含む。
Figure 2020500161
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一実施形態では、ヒト化2B12モノクローナル抗体は、以下:(a)配列番号31のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、(b)配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。
一実施形態では、ヒト化2B12モノクローナル抗体は、以下:(a)配列番号31のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、(b)配列番号26のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。
一実施形態では、ヒト化2B12モノクローナル抗体は、以下:(a)配列番号32のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、(b)配列番号26のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。
一実施形態では、ヒト化2B12モノクローナル抗体は、以下:(a)配列番号33のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、(b)配列番号26のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。
一実施形態では、ヒト化10G5モノクローナル抗体は、以下:(a)配列番号13のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、(b)配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。
一実施形態では、ヒト化10G5モノクローナル抗体は、以下:(a)配列番号14のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、(b)配列番号9のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。
一実施形態では、ヒト化10G5モノクローナル抗体は、以下:(a)配列番号15のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、(b)配列番号9のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。
一態様では、本明細書に記載の処置方法に従って使用される抗KIR3DL2剤は、配列番号1のKIR3DL2ポリペプチドの残基1〜192、残基1〜98、または99〜192に対応するセグメント(またはそのサブ配列)と少なくとも部分的に重複するか、またはセグメント中の少なくとも1つの残基を含むKIR3DL2ポリペプチド上のエピトープに結合する。一実施形態では、エピトープの重要な残基は全て、配列番号1のKIR3DL2ポリペプチドの残基1〜192、残基1〜98、または残基99〜192に対応するセグメント中にある。一実施形態では、抗体は、配列番号1のKIR3DL2ポリペプチドの残基1〜192、1〜98または99〜192に対応するセグメント中の1、2、3、4、5、6、7もしくはそれ以上の残基を含むエピトープに結合する。好ましくは、抗体が結合する残基は、KIR3DL2ポリペプチドの表面上に存在する。
一態様では、本明細書に記載の処置方法に従って使用される抗KIR3DL2剤は、R13、P14、S15、H23、A25、Q27、I60およびG62(配列番号1に関して)からなる群から選択される1、2、3、4、5もしくはそれ以上の残基を含むエピトープに結合し、且つ/またはR13、P14、S15、H23、A25、Q27、I60およびG62(配列番号1に関して)からなる群から選択される残基に突然変異を含むKIR3DL2ポリペプチドへの低い結合を有する。
本明細書に記載の突然変異に用いられる略記法は、以下の通りである:配列番号1に示される残基のナンバリングを用いて、野生型残基:ポリペプチド中の位置:突然変異残基。
一態様では、抗KIR3DL2剤は、KIR3DL2ポリペプチドの残基R13、A25および/もしくはQ27を含むエピトープに結合し、且つ/または残基R13、A25および/もしくはQ27に突然変異(配列番号1に関して)を有するKIR3DL2ポリペプチドに対して低い結合を有する。たとえば、抗体は、突然変異R13W、A25Tおよび/もしくはQ27Rを有するKIR3DL2ポリペプチドに対して低い結合を有する。任意選択で、エピトープは、これに加えて、残基I60および/もしくはG62の1つもしくは複数を含み(配列番号1に関して)、且つ/または抗体は、残基I60および/もしくはG62に突然変異(配列番号1に関して、たとえば、I60N、G62S)を有するKIR3DL2ポリペプチドに対して低い結合を有する。任意選択で、エピトープは、これに加えてまたは代わって、残基P14、S15および/もしくはH23の1つもしくは複数を含み(配列番号1に関して)、且つ/または抗体は、残基P14、S15および/もしくはH23に突然変異(配列番号1に関して、たとえばP14S、S15A、H23S)を有するKIR3DL2ポリペプチドに対して低い結合を有する。任意選択で、エピトープは、残基R32および/もしくはG33を含まず(配列番号1に関して)、且つ/または抗体は、残基R32および/もしくはG33に突然変異(配列番号1に関して、たとえばR32Hおよび/もしくはG33R)を有するKIR3DL2ポリペプチドに対して低い結合を有さない。任意選択で、エピトープは、残基F50および/もしくはR53を含まず(配列番号1に関して)、且つ/または抗体は、残基F50および/もしくはR53に突然変異(配列番号1に関して、たとえばF50A、R53S)を有するKIR3DL2ポリペプチドに対して低い結合を有さない。抗体は、残基Q56および/もしくはE57、ならびに/または残基F9および/もしくはS11に、結合する場合(たとえば、KIR3DL2−HLA B27およびHLA A3相互作用を遮断する抗体)も、または結合しない場合(たとえば、非内在化抗体)もあり;したがって、一実施形態では、任意選択で、エピトープは、残基F9、S11、Q56および/もしくはE57(配列番号1に関して)を含まず、且つ/または抗体は、残基F9、S11、Q56および/もしくはE57に突然変異(配列番号1に関して、たとえばF9SおよびS11A、Q56SおよびE57A)を有するKIR3DL2ポリペプチドに対して低い結合を有さず;別の実施形態では、任意選択で、エピトープは、残基F9、S11、Q56および/もしくはE57(配列番号1に関して)を含み、且つ/または抗体は、残基F9、S11、Q56および/もしくはE57に突然変異(配列番号1に関して、たとえばF9SおよびS11A、Q56SおよびE57A)を有するKIR3DL2ポリペプチドに対して低い結合を有する。任意選択で、エピトープは、残基H29および/もしくはF34を含まず(配列番号1に関して)、且つ/または抗体は、残基H29および/もしくはF34に突然変異(配列番号1に関して、たとえばH29S、F34A)を有するKIR3DL2ポリペプチドに対して低い結合を有さない。任意選択で、エピトープは、残基F9および/もしくはS11の1つ以上を含まず(配列番号1に関して)、且つ/または抗体は、残基F9および/もしくはS11に突然変異(配列番号1に関して、たとえばF9S、S11A)を有するKIR3DL2ポリペプチドに対して低い結合を有さない。
一態様では、抗KIR3DL2剤は、配列番号1のKIR3DL2ポリペプチドの残基I60および/もしくはG62を含むエピトープに結合し、且つ/または残基I60および/もしくはG62に突然変異(配列番号1に関して)を有するKIR3DL2ポリペプチドに対して低い結合を有する。たとえば、抗体は、突然変異I60Nおよび/またはG62Sを有するKIR3DL2ポリペプチドに対して低い結合を有し得る。任意選択で、エピトープは、これに加えてまたは代わって、残基P14、S15および/もしくはH23の1つもしくは複数を含み(配列番号1に関して)、且つ/または抗体は、残基P14、S15および/もしくはH23に突然変異(配列番号1に関して、たとえばP14S、S15A、H23S)を有するKIR3DL2ポリペプチドに対して低い結合を有する。任意選択で、抗体は、KIR3DL2ポリペプチドの残基R13、A25および/もしくはQ27に結合せず、且つ/または残基R13、A25および/もしくはQ27に突然変異を有するKIR3DL2ポリペプチド(たとえば、突然変異R13W、A25Tおよび/もしくはQ27Rに突然変異を有するKIR3DL2ポリペプチド)に対して低い結合を有さない。
一態様では、抗KIR3DL2剤は、配列番号1のKIR3DL2ポリペプチドの残基P14、S15および/もしくはH23を含むエピトープに結合し、且つ/または残基P14、S15および/もしくはH23に突然変異(配列番号1に関して、たとえばP14S、S15A、H23S)を有するKIR3DL2ポリペプチドに対して低い結合を有する。
一態様では、抗KIR3DL2剤は、(1)残基I60および/またはG62に突然変異(配列番号1に関して、たとえば、I60N、G62S)を有するKIR3DL2ポリペプチド、ならびに(2)残基P14、S15および/もしくはH23に突然変異(配列番号1に関して、たとえば、P14S、S15A、H23S)を有するKIR3DL2ポリペプチドに対して低い結合を示す。
一態様では、抗KIR3DL2剤は、KIR3DL2ポリペプチドの(a)残基R13、A25および/またはG27の1、2もしくは3つ、ならびに(b)残基I60および/またはG62の一方もしくは両方を含むエピトープに結合する。一態様では、抗体は、(a)残基R13、A25および/またはG27の1、2もしくは3つに突然変異、ならびに(b)残基I60および/またはG62の一方もしくは両方に突然変異を有するKIR3DL2ポリペプチドに対して低い結合を有する。
一態様では、抗KIR3DL2剤は、配列番号1のKIR3DL2ポリペプチドの残基R78および/もしくはL82を含むエピトープに結合し、且つ/または残基R78および/もしくはL82に突然変異(配列番号1に関して)を有するKIR3DL2ポリペプチドに対して低い結合を有する。たとえば、抗体は、突然変異R78HおよびL82Pを有するKIR3DL2ポリペプチドに対して低い結合を有し得る。任意選択で、エピトープは、これに加えて、残基K7、Y30、R31、P79、H80、S81、T83、G84、W85、S86および/もしくはA87の1つもしくは複数を含むか、または除外し(配列番号1に関して)、且つ/あるいは抗体は、残基K7、Y30、R31、P79、H80、S81、T83、G84、W85、S86および/もしくはA87に突然変異(配列番号1に関して)を有するKIR3DL2ポリペプチドに対して低い結合を有するか、または低い結合を有さない。一実施形態では、抗体は、KIR3DL2ポリペプチドの残基1〜98に対応するセグメント中の1、2、3、4、5、6、7もしくはそれ以上の残基を含むエピトープに結合し(配列番号1に関して)、任意選択でさらに、エピトープは、残基K7、Y30、R31、R78、P79、H80、S81、L82、T83、G84、W85、S86および/もしくはA87の1つもしくは複数(たとえば、1、2、3、4、5個)を含む。
一態様では、抗KIR3DL2剤は、配列番号1のKIR3DL2ポリペプチドの残基W226を含むエピトープに結合し、且つ/または残基W226に突然変異(配列番号1に関して)を有するKIR3DL2ポリペプチドに対して低い結合を有する。任意選択で、エピトープは、これに加えて、残基I231および/もしくはR246の1つもしくは複数を含み(配列番号1に関して)、且つ/または抗体は、残基I231および/もしくはR246に突然変異(配列番号1に関して、たとえばI231M、R246P)を有するKIR3DL2ポリペプチドに対して低い結合を有する。任意選択で、エピトープは、これに加えて、残基E239を含み(配列番号1に関して)、且つ/または抗体は、残基E239に突然変異(配列番号1に関して、たとえばE239G)を有するKIR3DL2ポリペプチドに対して低い結合を有する。
一態様では、抗KIR3DL2剤は、配列番号1のKIR3DL2ポリペプチドの残基I231および/もしくはR246を含むエピトープに結合し、且つ/または残基I231および/もしくはR246に突然変異(配列番号1に関して)を有するKIR3DL2ポリペプチドに対して低い結合を有する。
一態様では、抗KIR3DL2剤は、KIR3DL2ポリペプチドの残基W226と、残基I231および/またはR246の1つもしくは複数を含むエピトープに結合する。
一態様では、抗KIR3DL2剤は、残基W226に突然変異、ならびに残基I231および/またはR246の一方もしくは両方に突然変異を有するKIR3DL2ポリペプチドに対して低い結合を有する。
抗KIR3DL2抗体と、KIR3DL2突然変異体でトランスフェクトした細胞との結合を測定した後、抗KIR3DL2抗体が野生型KIR3DL2ポリペプチド(配列番号1)に結合する能力を比較する(開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2014/044686号パンフレットを参照されたい)。本明細書において使用される抗KIR3DL2抗体および突然変異体KIR3DL2ポリペプチドの間の結合の低下は、結合親和性の低下(たとえば、特定の突然変異体を発現する細胞のFACS試験などの知られている方法によってもしくは突然変異体ポリペプチドへの結合についてのBiacore試験によって測定されるように)および/または抗KIR3DL2抗体の全体の結合能力の低下(たとえば抗KIR3DL2抗体濃度対ポリペプチド濃度のプロットにおけるBmaxの減少によって証明される)があることを意味する。結合の著しい減少は、突然変異した残基が、抗KIR3DL2抗体への結合に直接関与するまたは抗KIR3DL2抗体がKIR3DL2に結合した場合に結合タンパク質の非常に近くにあることを示す。抗体エピトープは、このように、そのような残基を含んでいてもよく、そのような残基に空間的に隣接しているさらなる残基を含んでいてもよい。
いくつかの実施形態では、結合の著しい減少は、抗KIR3DL2抗体および突然変異体KIR3DL2ポリペプチドの間の結合親和性および/または能力が、40%超、50%超、55%超、60%超、65%超、70%超、75%超、80%超、85%超、90%超、または95%超、抗体および野生型KIR3DL2ポリペプチド(たとえば配列番号1において示されるポリペプチド)の間の結合と比較して低下していることを意味する。ある実施形態では、結合が、検出可能な限界未満まで低下する。いくつかの実施形態では、結合の著しい減少は、突然変異体KIR3DL2ポリペプチドへの抗KIR3DL2抗体の結合が、抗KIR3DL2抗体および野生型KIR3DL2ポリペプチド(たとえば配列番号1において示される細胞外ドメイン)の間で観察される結合の50%未満(たとえば45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、または10%未満)である場合に証明される。そのような結合測定値は、当技術分野において知られている様々な結合アッセイを使用して生成することができる。1つのそのようなアッセイの特定の例は、実施例の部において記載される。
一部の実施形態では、抗KIR3DL2抗体は、野生型KIR3DL2ポリペプチド(たとえば、配列番号1)の残基が置換されている突然変異KIR3DL2ポリペプチド、たとえば、実施例1に記載されているような突然変異体に対して有意に低い結合を呈示する。本明細書で使用される略記法において、フォーマットは以下の通りである:配列番号1に示される残基のナンバリングを用いて、野生型残基:ポリペプチド中の位置:突然変異残基。
任意選択で、抗体は、配列番号1の残基N99、H100、E130、H131、F132、V178、P179、H180、S181、P182、Y183、および/または残基Q184に置換を有するKIR3DL2ポリペプチドへの結合が低下している。
いくつかの実施形態では、抗KIR3DL2抗体が、配列番号1の配列を有する野生型KIR3DL2ポリペプチドに結合するが、任意の1つ以上(たとえば1、2、3、または4つ)の以下の突然変異を有する突然変異体KIR3DL2ポリペプチドへの結合が減少している:P179Tおよび/またはS181T(配列番号1に関して)。一実施形態では、突然変異体KIR3DL2への結合が、野生型KIR3DL2への結合と比較して、有意に低下している。
いくつかの実施形態では、抗KIR3DL2抗体は、野生型KIR3DL2ポリペプチド(たとえば配列番号1)中の残基1〜98、残基99〜292、または残基99〜192に対応するセグメント(またはそのサブ配列)中の残基が異なるアミノ酸により置換された突然変異体KIR3DL2ポリペプチドへの有意により低い結合を示す。
一態様では、抗体は、モノクローナル抗体10F6、2B12、18C6、9E10、10G5、13H1、5H1、1E2、1C3もしくは20E9と競合することができ、KIR3DL2分子上で、モノクローナル抗体10F6、2B12、18C6、9E10、10G5、13H1、5H1、1E2、1C3もしくは20E9と実質的に同じもしくはほぼ同じ、または同じエピトープまたは「エピトープ部位」を認識し、それと結合するか、またはそれに対して免疫特異性を有する。他の実施形態では、モノクローナル抗体は、抗体10F6、2B12、18C6、9E10、10G5、13H1、5H1、1E2、1C3もしくは20E9から構成されるか、またはその誘導体もしくは断片である。
抗体は、抗体10F6、2B12、18C6、9E10、10G5、13H1、5H1、1E2、1C3もしくは20E9と同じエピトープに結合し得るが、好適な抗体は、抗体がKIR3DL2に結合し、所望の機能性を有する限り、KIR3DL2ポリペプチドのいずれかの部分を認識して、それに対して増加し得ることは理解されよう。たとえば、KIR3DL2の任意の断片、たとえば、ヒトKIR3DL2、またはKIR3DL2断片の任意の組合せを免疫原として用いて、抗体を増加させることができ、抗体は、本明細書に記載のようにKIR3DL2発現NK細胞上で同様にふるまうことができる限り、KIR3DL2ポリペプチド内のあらゆる位置でエピトープを認識することができる。一実施形態では、認識されたエピトープは、細胞表面上に存在する、すなわち、それらは、細胞の外側に存在する抗体に接近可能である。任意選択で、エピトープは、抗体10F6、2B12、18C6、9E10、10G5、13H1、5H1、1E2、1C3もしくは20E9によって特異的に認識されるエピトープである。さらに、たとえば、異なる個体の間で最大の効果および標的域を有するKIR3DL2ポリペプチドに結合するために、KIR3DL2内の個別のエピトープを認識する抗体を組み合わせて使用することもできる。
抗体は、当技術分野において知られている様々な技術によって産生されてもよい。典型的に、それらは、KIR3DL2ポリペプチド、任意選択でヒトKIR3DL2ポリペプチドを含む免疫原による、非ヒト動物、任意選択でマウスの免疫化によって産生される。KIR3DL2ポリペプチドは、ヒトKIR3DL2ポリペプチドの完全長配列を含んでいてもよいまたはその断片もしくは誘導体、典型的に免疫原性断片、すなわち、KIR3DL2ポリペプチドを発現する細胞の表面上に曝露したエピトープを含むポリペプチドの一部分、任意選択で、10F6、2B12、18C6、9E10、10G5、13H1、5H1、1E2、1C3もしくは20E9抗体によって認識されるエピトープを含んでいてもよい。そのような断片は、典型的に、成熟ポリペプチド配列の少なくとも約7つの連続するアミノ酸またはその少なくとも約10の連続するアミノ酸を含有する。断片は、典型的に、受容体の細胞外ドメインに本質的に由来する。一実施形態では、免疫原が、典型的に細胞の表面の脂質膜中の野生型ヒトKIR3DL2ポリペプチドを含む。一実施形態では、免疫原が、任意選択で処置されたまたは溶解された、インタクトな細胞、特にインタクトなヒト細胞を含む。他の実施形態では、ポリペプチドが、組換えKIR3DL2ポリペプチドである。
抗原により非ヒト哺乳動物を免疫化するステップは、マウスにおける抗体の産生を刺激するために、当技術分野においてよく知られている任意の方法で実行されてもよい(たとえば全開示が参照により本明細書に組み込まれるE.Harlow and D.Lane,Antibodies:A Laboratory Manual.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY(1988)を参照されたい)。例示的なモノクローナル抗体の場合、次のステップは、免疫化非ヒト哺乳動物から脾細胞を単離した後、これらの脾細胞を不死化細胞と融合させて、抗体産生ハイブリドーマを形成するものである。一旦単離して、単一細胞懸濁液中に存在させたら、リンパ球を不死化細胞株と融合させることができる。
抗体はまた、たとえば全開示が参照により本明細書に組み込まれるWard et al.Nature,341(1989)p.544において開示されるように、免疫グロブリンのコンビナトリアルライブラリーの選択によって産生されてもよい。
KIR3DL2に結合する1つ以上の抗体の同定は、抗体競合を評価することができる様々な免疫学的スクリーニングアッセイのいずれかを使用して容易に決定することができる。多くのそのようなアッセイは、ルーチン的に実行され、当技術分野においてよく知られている(たとえば、参照により本明細書に詳細に組み込まれる、1997年8月26日に発行された米国特許第5,660,827号明細書を参照されたい)。本明細書において記載される抗体が結合するエピトープを実際に決定することは、本明細書において記載されるモノクローナル抗体と同じまたは実質的に同じエピトープに結合する抗体を同定するために決して必要とされないということが理解されるであろう。
たとえば、調べようとする試験抗体が、異なる由来動物から得られるか、または異なるIgアイソタイプのものである場合、単純な競合アッセイを使用することができ、その場合、対照(たとえば、10F6、2B12、18C6、9E10、10G5、13H1、5H1、1E2、1C3もしくは20E9)と試験抗体を混合(または血清吸着処理)してから、KIR3DL2ポリペプチドを含有するサンプルに適用する。このような競合試験での使用には、ウエスタンブロッティングおよびBIACORE分析の使用に基づくプロトコルが好適である。
特定の実施形態では、KIR3DL2抗原サンプルに適用する前の所定時間にわたって、対照抗体(たとえば、10F6、2B12、18C6、9E10、10G5、13H1、5H1、1E2、1C3もしくは20E9)を様々な量の試験抗体(たとえば、約1:10もしくは約1:100)と予め混合する。他の実施形態では、KIR3DL2抗原サンプルに対する曝露中に、対照および様々な量の試験抗体を単純に混合することができる。遊離抗体から結合抗体を(たとえば、非結合抗体を排除するための分離もしくは洗浄技法を用いて)、また試験抗体から10F6、2B12、18C6、9E10、10G5、13H1、5H1、1E2、1C3もしくは20E9を(たとえば、種特異的もしくはアイソタイプ特異的二次抗体または10F6、2B12、18C6、9E10、10G5、13H1、5H1、1E2、1C3もしくは20E9を検出可能な標識で特異的に標識することにより)識別することができる限り、試験抗体が、抗原に対する10F6、2B12、18C6、9E10、10G5、13H1、5H1、1E2、1C3もしくは20E9の結合を低減するかどうかを決定することができる。完全に無関係の抗体の非存在下での(標識)対照抗体の結合は、対照の高い値として役立ち得る。対照の低い値は、標識(10F6、2B12、18C6、9E10、10G5、13H1、5H1、1E2、1C3もしくは20E9)抗体を、全く同じタイプの非標識抗体(10F6、2B12、18C6、9E10、10G5、13H1、5H1、1E2、1C3もしくは20E9)とインキュベートすることによって得ることができ、その際、競合が起こって、標識抗体の結合が低減することになる。試験アッセイにおいて、試験抗体の存在下で標識抗体反応性の有意な低下は、実質的に同じエピトープを認識し得る試験抗体を示す。試験抗体は、たとえば、約1:10〜約1:100の範囲の10F6、2B12、18C6、9E10、10G5、13H1、5H1、1E2、1C3もしくは20E9:試験抗体の任意の比で、KIR3DL2抗原に対する10F6、2B12、18C6、9E10、10G5、13H1、5H1、1E2、1C3もしくは20E9の結合を、少なくとも約50%、たとえば少なくとも約60%、またはより好ましくは少なくとも約80%もしくは90%(たとえば、約65〜100%)低減し得る。たとえば、そのような試験抗体は、KIR3DL2抗原に対する10F6、2B12、18C6、9E10、10G5、13H1、5H1、1E2、1C3もしくは20E9の結合を、少なくとも約90%(たとえば、約95%)低減し得る。
競合も、たとえば、フローサイトメトリー試験により評価することができる。こうした試験では、所与のKIR3DL2ポリペプチドを担持する細胞をまず、たとえば10F6、2B12、18C6、9E10、10G5、13H1、5H1、1E2、1C3もしくは20E9と、次に、蛍光色素またはビオチンで標識した試験抗体とインキュベートすることができる。飽和量の10F6、2B12、18C6、9E10、10G5、13H1、5H1、1E2、1C3もしくは20E9とのプレインキュベーション時に得られた結合が、10F6、2B12、18C6、9E10、10G5、13H1、5H1、1E2、1C3もしくは20E9とのプレインキュベーションなしの抗体によって得られた結合(蛍光を用いて測定される)の約80%、約50%、約40%以下(たとえば、約30%、20%もしくは10%)であれば、抗体は、10F6、2B12、18C6、9E10、10G5、13H1、5H1、1E2、1C3もしくは20E9と競合すると言える。あるいは、飽和量の試験抗体とプレインキュベートした細胞上の標識10F6、2B12、18C6、9E10、10G5、13H1、5H1、1E2、1C3もしくは20E9抗体と達成された結合(蛍光色素またはビオチンによる)が、試験抗体とのプレインキュベーションなしで得られた結合の約80%、約50%、約40%以下(たとえば、約30%、20%もしくは10%)であれば、抗体は、10F6、2B12、18C6、9E10、10G5、13H1、5H1、1E2、1C3もしくは20E9と競合すると言える。
また、試験抗体を血清吸着処理してから、飽和濃度で、KIR3DL2抗原が固定化された表面上に適用する、単純な競合アッセイを使用してもよい。単純な競合アッセイでの表面は、たとえば、BIACOREチップ(または表面プラズモン共鳴分析に好適な他の媒体)である。続いて、対照抗体(たとえば10F6、2B12、18C6、9E10、10G5、13H1、5H1、1E2、1C3もしくは20E9)を、KIR3DL2飽和濃度で表面と接触させ、KIR3DL2と対照抗体の表面結合を測定する。この対照抗体の結合を、試験抗体の非存在下でのKIR3DL2含有表面に対する対照抗体の結合と比較する。試験アッセイでは、試験抗体の存在下での対照抗体によるKIR3DL2含有表面への結合の有意な低減は、試験抗体が競合し、対照抗体と実質的に同じエピトープを認識し得ることを示している。KIR3DL2抗原に対する対照(たとえば10F6、2B12、18C6、9E10、10G5、13H1、5H1、1E2、1C3もしくは20E9など)抗体の結合を少なくとも約30%以上、または約40%低減するいずれかの試験抗体を選択することができる。たとえば、そうした試験抗体は、KIR3DL2抗原に対する対照抗体(たとえば10F6、2B12、18C6、9E10、10G5、13H1、5H1、1E2、1C3もしくは20E9)の結合を少なくとも約50%(たとえば、少なくとも約60%、少なくとも約70%、またはそれ以上)低減することになる。対照および試験抗体の順序は逆転できる:すなわち、競合アッセイにおいて、対照抗体を初めに表面に結合させた後、試験抗体を表面と接触させてもよいことは理解されよう。たとえば、二次抗体の場合に認められる結合の低減(抗体が交差反応していると想定して)がより大きな規模になることが予想されるため、KIR3DL2抗原に対してより高い親和性を有する抗体をまず、表面に結合させる。こうしたアッセイの別の例は、Saunal(1995)J.Immunol.Methods 183:33−41に記載されており、その開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
抗体がエピトープ領域内で結合するかどうかの決定は、当業者に知られている方法で実行することができる。そのようなマッピング/特徴付け方法の1つの例として、抗KIR3DL2抗体に対するエピトープ領域は、KIR3DL2タンパク質において露出したアミン/カルボキシルの化学修飾を使用するエピトープ「フットプリント法」によって決定されてもよい。そのようなフットプリント法技術の1つの特定の例は、HXMS(質量分析法によって検出される水素−重水素交換)の使用であり、受容体およびリガンドタンパク質アミドプロトンの水素/重水素交換、結合、および逆交換が生じ、タンパク質結合に参加する主鎖アミド基は、逆交換から保護され、そのため、重水素化されたままであろう。関連する領域は、消化性タンパク質分解、ファストマイクロボア(fast microbore)高速液体クロマトグラフィー分離、および/またはエレクトロスプレーイオン化質量分析によって、この時点で同定することができる。たとえばEhring H,Analytical Biochemistry,Vol.267(2)pp.252−259(1999)Engen,J.R.and Smith,D.L.(2001)Anal.Chem.73,256A−265Aを参照されたい。適したエピトープ同定技術の他の例は、核磁気共鳴エピトープマッピング(NMR)であり、典型的に、遊離抗原および抗体などの抗原結合ペプチドと複合体を形成した抗原の2次元NMRスペクトル中のシグナルの位置が比較される。抗原は、典型的に、15Nにより選択的に同位体標識され、抗原に対応するシグナルだけがNMRスペクトルにおいて見られ、抗原結合ペプチドからのシグナルは見られない。抗原結合ペプチドとの相互作用に典型的に関与するアミノ酸に起源を有する抗原シグナルは、遊離抗原のスペクトルと比較して、複合体のスペクトルにおいて位置をシフトさせ、結合に関与するアミノ酸はそのように同定することができる。たとえばErnst Schering Res Found Workshop.2004;(44):149−67;Huang et Journal of Molecular Biology,Vol.281(1)pp.61−67(1998);およびSaito and Patterson,Methods.1996 Jun;9(3):516−24を参照されたい。
エピトープマッピング/特徴付けはまた、質量分析法方法を使用して実行することもできる。たとえばDownward,J Mass Spectrom.2000 Apr;35(4):493−503およびKiselar and Downard,Anal Chem.1999 May 1;71(9):1792−801を参照されたい。プロテアーゼ消化技術もまた、エピトープマッピングおよび同定の状況において有用になり得る。抗原決定基に関連する領域/配列は、プロテアーゼ消化によって、たとえば、KIR3DL2に対して約1:50の比率でトリプシンを使用することまたはpH7〜8でのo/n消化、その後に続く、ペプチド同定のための質量分析法(MS)分析によって、決定することができる。抗KIR3DL2バインダーによってトリプシン切断から保護されたペプチドは、続いて、トリプシン消化にかけられたサンプルおよび抗体とインキュベートされ、次いで、たとえばトリプシンによる消化にかけられたサンプルの比較によって、同定することができる(それによってバインダーについてのフットプリントを明らかにする)。キモトリプシン、ペプシンなどの他の酵素もまたまたはその代わりに、類似するエピトープ特徴付け方法において使用することができる。さらに、酵素的消化は、潜在的な抗原決定基配列が、表面に曝露されておらず、したがって、おそらく、免疫原性/抗原性の点から関連しない、KIR3DL2ポリペプチドの領域内にあるかどうかを分析するための迅速な方法を提供することができる。類似する技術の議論については、たとえばManca,Ann Ist Super Sanita.1991;27:15−9を参照されたい。
部位特異的突然変異誘発は、結合エピトープの解明に有用な他の技術である。たとえば、「アラニンスキャニング」では、タンパク質セグメント内のそれぞれの残基が、アラニン残基と交換され、結合親和性についての結果が測定される。突然変異が結合親和性の著しい減少に至る場合、それはおそらく結合に関与しているであろう。構造的エピトープに対して特異的なモノクローナル抗体(すなわち非フォールドタンパク質に結合しない抗体)は、アラニン置換が、タンパク質の全体的なフォールドに影響を及さないことを検証するために使用することができる。たとえばClackson and Wells,Science 1995;267:383−386;およびWells,Proc Natl Acad Sci USA 1996;93:1−6を参照されたい。
電子顕微鏡もまた、エピトープ「フットプリント法」に使用することができる。たとえばWang et al.,Nature 1992;355:275−278は、天然ササゲモザイクウイルスのカプシド表面上のFab断片の物理的フットプリントを決定するために、連係して適用した低温電子顕微鏡、3次元像修復、およびX線結晶解析を使用した。
エピトープ評価のための「標識遊離」アッセイの他の形態は、表面プラズモン共鳴(SPR、BIACORE)および反射型干渉分光法(RifS)を含む。たとえばFaegerstam et al.,Journal Of Molecular Recognition 1990;3:208−14;Nice et al.,J.Chromatogr.1993;646:159−168;Leipert et al.,Angew.Chem.Int.Ed.1998;37:3308−3311;Kroeger et al.,Biosensors and Bioelectronics 2002;17:937−944を参照されたい。
抗体と同じまたは実質的に同じエピトープに結合する抗体は、本明細書において記載される、1つ以上の例示的な競合アッセイにおいて同定することができることもまた、注目されるべきである。
一旦、KIR3DL2に結合することができるおよび/または他の所望される特性を有する抗体が同定されたら、それらはまた、典型的に、無関係なポリペプチドを含む他のポリペプチドに結合するそれらの能力について、本明細書において記載されるものを含む標準的な方法を使用して、評価されるであろう。理想的には、抗体は、KIR3DL2、たとえばヒトKIR3DL2にのみ実質的な親和性により結合し、無関係なポリペプチドに有意なレベルでは結合しない。しかしながら、KIR3DL2に対する親和性が、それが他の無関係なポリペプチドに対するものよりも実質的に大きい限り(たとえば5×、10×、50×、100×、500×、1000×、10,000×、またはそれを超える)、抗体は、本発明の方法における使用に適していることが理解されるであろう。
実施形態のいずれかの一態様では、本発明の方法に従って調製される抗体が、モノクローナル抗体である。他の態様では、抗体を産生するために使用される非ヒト動物が、げっ歯動物、ウシ、ブタ、家禽、ウマ、ウサギ、ヤギ、またはヒツジなどの哺乳動物である。
代替の実施形態によれば、KIR3DL2ポリペプチド上に存在するエピトープに結合する抗体をコードするDNAが、ハイブリドーマから単離され、適切な宿主の中へのトランスフェクションのための適切な発現ベクター中に置かれる。次いで、宿主は、抗体またはそのモノクローナル抗体のヒト化バージョン抗体の活性断片、抗体の抗原認識部分を含むキメラ抗体、もしくは検出可能な成分を含むバージョンなどのその変異体の組換え産生に使用される。
モノクローナル抗体、たとえば抗体10F6、2B12、18C6、9E10、10G5、13H1、5H1、1E2、1C3または20E9をコードするDNAは、従来の手順を使用して、容易に単離し、シークエンシングすることができる(たとえば、マウス抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)。一旦単離されたら、DNAは発現ベクターの中に置くことができ、これは、次いで、組換え宿主細胞におけるモノクローナル抗体の合成を達成するために、トランスフェクトされなければ免疫グロブリンタンパク質を産生しない大腸菌(E.coli)細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、または骨髄腫細胞などの宿主細胞の中にトランスフェクトされる。本明細書において別記されるように、そのようなDNA配列は、多くの目的のいずれかのために、たとえば抗体をヒト化する、断片もしくは誘導体を産生するために、または抗体の結合特異性を最適化するために、たとえば抗原結合部位中の抗体の配列を修飾するために、修飾することができる。
抗体をコードするDNAの細菌における組換え発現は、当技術分野においてよく知られている(たとえばSkerra et al.,Curr.Opinion in Immunol.,5,pp.256(1993);およびPluckthun,Immunol.130,p.151(1992)を参照されたい。
一実施形態では、抗体は、ADCCを介した(および任意選択でさらにADCPを介した)病原性KIR3DL2発現細胞(たとえば、腫瘍細胞)の排除を媒介することができる。一旦、抗原結合化合物が得られたら、それは、KIR3DL2発現標的細胞に向けてADCCを誘発する、その活性および/もしくは増殖を阻害する、ならびに/またはその除去を引き起こす能力について評価されてもよい。ADCCを誘発するまたはKIR3DL2発現標的細胞の活性の除去もしくは阻害に一般に至る抗原結合化合物の能力の評価は、方法の任意の適したステージで実行することができる。この評価は、治療上の使用のために定められた抗体(または他の化合物)の同定、産生、および/または開発に関与する様々なステップの1つ以上で有用になり得る。たとえば、活性は、候補抗原結合化合物を同定するためのスクリーニング方法との関連においてまたは抗原結合化合物が選択され、ヒトに適したものにする(たとえば、抗体の場合には、キメラまたはヒト化される)、抗原結合化合物を発現する細胞(たとえば組換え抗原結合化合物を発現する宿主細胞)が得られ、機能的抗体(もしくは他の化合物)を産生するその能力について評価される、および/またはある量の抗原結合化合物が産生され、活性について評価することになる(たとえば、産物のバッチもしくはロットを試験する)方法において、評価されてもよい。一般に、抗原結合化合物は、KIR3DL2ポリペプチドに特異的に結合することが知られているであろう。ステップは、複数(たとえばハイスループットスクリーニング方法を使用する非常に多数または少数)の抗原結合化合物を試験することを伴ってもよい。
ADCCの試験は、当技術分野において知られているものおよび本明細書における実験の実施例において記載されるものを含む、様々なアッセイによって実行することができ、決定することができる。ADCCの試験は、典型的に、抗KIR3DL2抗体が結合したKIR3DL2発現標的細胞(たとえばセリアック病細胞または他のKIR3DL2発現細胞)が、補体の関与を伴うことなく、Fc受容体を有するエフェクター細胞によって認識される細胞媒介性細胞傷害性を評価することを含む。KIR3DL2抗原を発現しない細胞は、コントロールとして任意選択で使用することができる。NK細胞傷害性の活性化は、サイトカイン産生(たとえばIFN−γ産生)または細胞傷害性マーカ(たとえばCD107動員)の増加を測定することによって評価される。一実施形態では、抗体が、サイトカイン産生の増加、細胞傷害性マーカの発現、またはコントロール抗体(たとえばKIR3DL2に結合しない抗体、マウス定常領域を有するKIR3DL2抗体)と比較して、標的細胞の存在下において少なくとも20%、50%、80%、100%、200%、もしくは500%の標的細胞溶解を誘発するであろう。他の実施例では、標的細胞の溶解が、たとえばクロミウム放出アッセイにおいて検出され、たとえば、抗体が、標的細胞の少なくとも10%、20%、30%、40%、または50%の溶解を誘発するであろう。
一実施形態では、抗KIR3DL2抗体は、細胞の表面に発現されるKIR3DL2の細胞内取込みを実質的に増大または誘導しない。本明細書で使用されるように、「取り込まれない」または「内在化しない」抗KIR3DL2抗体は、哺乳動物細胞(すなわち、細胞表面KIR3DL2)上のKIR3DL2への結合時に、細胞によって実質的に取り込まれない(すなわち、細胞内に侵入しない)ものである。
一実施形態では、抗KIR3DL2抗体は、特に悪性細胞上で、抗KIR3DL2抗体による結合のために利用可能な細胞表面KIR3DL2ポリペプチドの増加を引き起こすことができる。抗体は、一実施形態において、細胞表面(たとえば、悪性細胞の)上でのKIR3DL2ポリペプチドの発現レベルを高め得る。抗体は、一実施形態において、抗KIR3DL2抗体による結合のために利用可能な細胞表面上のKIR3DL2ポリペプチドの量または数を増加し得る。抗体は、一実施形態において、細胞表面上に存在するKIR3DL2ポリペプチドの蓄積を安定化、および/または引き起こすことができ、たとえば、抗体は、KIR3DL2ポリペプチドの受容体循環または取込みを低減し得る。たとえば、病原性CD4+T細胞上で、細胞表面KIR3DL2を増加する抗体は、より多数の抗体をKIR3DL2発現細胞(たとえば、標的細胞、悪性細胞)に結合させることができるため、高い効力を有する。一実施形態では、KIR3DL2発現細胞の表面上のKIR3DL2ポリペプチドに結合する単離されたモノクローナル抗体が提供され、ここで、抗体は、少なくとも1時間、3時間、6時間、12時間もしくは24時間にわたって細胞と接触させた(インビボもしくはインビトロで)後、細胞表面に検出可能なKIR3DLポリペプチドの量または数の増加を引き起こす。この増加は、対照抗体、たとえば、アイソタイプ対照、またはKIR3DL2に結合する別の抗体(たとえば、異なる重鎖および/もしくは軽鎖可変領域アミノ酸配列を有する抗体)との比較によるものでよい。
抗KIR3DL2抗体が、哺乳動物細胞上のKIR3DL2に結合時に内在化するか否か、またはKIR3DL2ポリペプチドが、細胞内取込み(たとえば、抗体により結合された時点で)を受けるか否かは、様々なアッセイによって決定することができ、こうしたアッセイとして、両方とも2013年9月17日に提出されたPCT/欧州特許出願公開第2013/069302号明細書およびPCT/欧州特許出願公開第2013/069293号明細書の実験例に記載されているものがある。たとえば、培地に添加された関連抗体の存在もしくは非存在下の組織培養皿内で細胞をインキュベートし、所望の時点で顕微鏡分析のために処理することができる。細胞内に取り込まれた標識抗体の存在は、放射性標識抗体を使用する場合、顕微鏡法またはオートラジオグラフィーによって直接視覚化することができる。任意選択で、顕微鏡法により、既知ポリペプチドまたは他の細胞成分との同時局在化を評価することができ;たとえば、エンドソーム/リソソームマーカLAMP−1(CD107a)は、取り込まれた抗体の細胞下局在化に関する情報を提供することができる。
抗体が、細胞表面のKIR3DL2ポリペプチドの数を増加することができるか否かの試験は、試験抗体をKIR3DL2発現細胞(たとえば、T細胞リンパ腫)と一緒にインキュベートし、インキュベーション期間後に細胞表面のKIR3DL2ポリペプチドを検出することによって実施することができる。KIR3DL2ポリペプチドは、好適な親和性試薬、たとえば、1または複数の抗体を用いて実施することができる。例示的なアッセイは、PCT/欧州特許出願公開第2013/069302号明細書およびPCT/欧州特許出願公開第2013/069293号明細書に示されている。たとえば、抗体は、対照抗体(たとえば、KIR3DL2に結合しない抗体、異なる抗KIR3DL2抗体)と比較して、試験抗体の存在下でのインキュベーション(たとえば、少なくとも1、3、6、12、24もしくは48時間にわたる)後に細胞表面に検出可能なKIR3DL2ポリペプチドの数の少なくとも20%、50%、75%または100%の増加を誘導し得る。任意選択で、インキュベーション後の細胞表面に検出可能なKIR3DL2ポリペプチドの数は、試験抗体を用いて検出可能な数である。任意選択で、インキュベーション後の細胞表面に検出可能なKIR3DL2ポリペプチドの数は、KIR3DL2に対する結合について試験抗体と競合しない第2の抗KIR3DL2抗体を用いて検出可能な数である。
一実施形態では、抗KIR3DL2抗体は、KIR3DL2とKIR3DL2のHLA天然リガンド同士の結合を検出可能に低減(または排除)するその能力について試験することができる。例示的なアッセイは、PCT/欧州特許出願公開第2013/069302号明細書およびPCT/欧州特許出願公開第2013/069293号明細書に示されている。一実施形態では、KIR3DL2ポリペプチドに結合する抗体が提供され、ここで、前記抗体は、KIR3DL2とKIR3DL2の第1HLA天然リガンド同士の結合を検出可能に低減(または排除)するが、KIR3DL2とKIR3DL2の第2HLA天然リガンド同士の結合は検出可能に低減(または排除)しない。
一実施形態では、抗体は、任意選択で、KIR3DL2とKIR3DL2のHLAクラスI−リガンド(たとえば、HLA−B27)同士の結合を検出可能に低減する。一実施形態では、抗体は、任意選択で、KIR3DL2とHLA−B27同士の結合を検出可能に低減するが、KIR3DL2とHLA−A3同士の結合は検出可能に低減しない。
KIR3DL2ポリペプチドに結合する剤が同定された場合、それを試験して、51Cr放出アッセイで測定される通り、インビトロ細胞傷害性アッセイにおいて腫瘍細胞(たとえば、HUT78細胞)を溶解するNK細胞の能力を試験することによって、指定「NK%溶解能力」を達成する濃度を、得られた最大腫瘍細胞のパーセンテージ(=腫瘍細胞溶解/飽和時の最大腫瘍細胞溶解×100)により決定することができる。エフェクター細胞および標的細胞としてPBMCおよびHUT78細胞を使用する好適なアッセイの例を本明細書の実施例に記載する。そうしたNK溶解能力に関してその最大応答または効果のEC10、EC60、EC80、EC90、またはEC100を決定するために、抗KIR3DL2剤を試験することができる。典型的に、NK細胞は、健常なヒトドナーに由来する、たとえばPBMC内のNK細胞である。異なるドナーからのサンプル、たとえば、10、20またはそれ以上のドナーサンプルを用いて好適な回数の実験を実施することができる。
ある実施形態では、抗体を産生するハイブリドーマのDNAが、たとえば、相同な非ヒト配列の代わりにヒト重鎖および軽鎖定常ドメインについてのコード配列を置換することによって(たとえばMorrison et al.,PNAS pp.6851(1984))または非免疫グロブリンポリペプチドについてのコード配列の全てもしくは一部を免疫グロブリンコード配列に共有結合することによって、発現ベクターへの挿入の前に修飾することができる。そのように、もとの抗体の結合特異性を有する「キメラ」抗体または「ハイブリッド」抗体が、調製される。典型的に、そのような非免疫グロブリンポリペプチドは、抗体の定常ドメインと置換される。
したがって、他の実施形態によれば、抗体が、ヒト化抗体である。抗体の「ヒト化」形態は、マウス免疫グロブリンに由来する最小限の配列を含有する、特異的なキメラ免疫グロブリン、その免疫グロブリン鎖、または断片である(Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2、もしくは抗体の他の抗原結合サブ配列など)。大部分について、ヒト化抗体は、もとの抗体の所望の特異性、親和性、および能力を維持しながら、レシピエントの相補性決定領域(CDR)由来の残基が、もとの抗体(ドナー抗体)のCDR由来の残基と交換されるヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。
いくつかの事例では、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク残基は、対応する非ヒト残基と交換されてもよい。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体においても、移入されるCDRもしくはフレームワーク配列においても見られない残基を含むことができる。これらの修飾は、抗体性能をさらに改良し、最適化するためになされる。一般に、ヒト化抗体は、CDR領域の全てまたは実質的に全てがもとの抗体のものに対応し、FR領域の全てまたは実質的に全てがヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものである、実質的に全ての、少なくとも1つの、典型的に2つの可変ドメインを含むであろう。ヒト化抗体はまた、最適には、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、典型的にヒト免疫グロブリンのものを含むであろう。さらなる詳細については、全開示が参照により本明細書に組み込まれるJones et al.,Nature,321,pp.522(1986);Reichmann et al,Nature,332,pp.323(1988);Presta,Curr.Op.Struct.Biol.,2,pp.593(1992);Verhoeyen et Science,239,pp.1534;および米国特許第4,816,567号明細書を参照されたい)。抗体をヒト化する方法は、当技術分野においてよく知られている。
ヒト化抗体を作製するのに使用されることになるヒト可変ドメイン、軽鎖および重鎖の両方の選択は、抗原性を低下させるのに非常に重要である。いわゆる「最適適合(best−fit)」方法によれば、抗体の可変ドメインの配列は、知られているヒト可変ドメイン配列の全ライブラリーに対してスクリーニングされる。次いで、マウスのものに最も近いヒト配列は、ヒト化抗体のためのヒトフレームワーク(FR)として許容される(Sims et al.,J.Immunol.151,pp.2296(1993);Chothia and Lesk,J.Mol.196,1987,pp.901)。他の方法は、軽鎖または重鎖の特定のサブグループの全てのヒト抗体のコンセンサス配列由来の特定のフレームワークを使用する。同じフレームワークは、いくつかの異なるヒト化抗体に使用することができる(Carter et al.,PNAS 89,pp.4285(1992);Presta et al.,J.Immunol.,151,p.2623(1993))。
KIR3DL2受容体に対する高い親和性および他の好都合な生物学的特性を保持しながら、抗体がヒト化されることはさらに重要である。この目標を達成するために、1つの方法によれば、ヒト化抗体は、親およびヒト化配列の3次元モデルを使用する、親の配列および様々な概念的なヒト化産物の分析のプロセスによって調製される。3次元免疫グロブリンモデルは、一般に入手可能であり、当業者によく知られている。候補免疫グロブリン配列の有望な3次元構造を示し、表示するコンピュータープログラムは、入手可能である。これらの表示についての検査は、候補免疫グロブリン配列の機能における残基の有望な役割の分析、すなわち、その抗原に結合する候補免疫グロブリンの能力に影響を及ぼす残基の分析を可能にする。このように、標的抗原に対する親和性の増加などの所望の抗体特質が実現されるように、FR残基は、コンセンサス配列およびインポート配列から選択し、組み合わせることができる。一般に、CDR残基は、抗原結合に直接、最も実質的に、影響を及ぼすことに関与する。
「ヒト化」モノクローナル抗体を作製する他の方法は、免疫化のために使用されるマウスとしてXenoMouse(Abgenix、Fremont、CA)を使用することである。XenoMouseは、その免疫グロブリン遺伝子が機能的ヒト免疫グロブリン遺伝子と交換されたマウス宿主である。したがって、このマウスによってまたはこのマウスのB細胞から作製されたハイブリドーマにおいて産生された抗体は、既にヒト化されている。XenoMouseは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,162,963号明細書において記載される。
ヒト抗体はまた、免疫化のために、ヒト抗体レパートリーを発現するように操作された他のトランスジェニック動物を使用することによって(Jakobovitz et al.,Nature 362(1993)255)またはファージディスプレー方法を使用する抗体レパートリーの選択によってなど、様々な他の技術に従って産生されてもよい。そのような技術は、当業者に知られており、本出願において開示されるモノクローナル抗体から出発して実行することができる。
抗KIR3DL2抗体がADCCを誘発する能力を考慮して、抗体は、抗体依存性細胞傷害性、肥満細胞脱顆粒、および食作用などのエフェクター機能ならびにリンパ球増殖および抗体分泌の調節などの免疫調節性シグナルに影響を与えることができる、Fc受容体に結合するそれらの能力を増加させる修飾をなすことができる。典型的な修飾は、少なくとも1つのアミノ酸修飾(たとえば置換、欠失、挿入)および/またはグリコシル化の改変タイプ、たとえば低フコシル化(hypofucosylation)を含む修飾ヒトIgG1定常領域を含む。そのような修飾は、Fc受容体:FcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)、およびFcγRIII(CD16)との相互作用に影響を与えることができる。FcγRI(CD64)、FcγRIIA(CD32A)、およびFcγRIII(CD16)は、活性化(すなわち免疫系増強)受容体であるが、FcγRIIB(CD32B)は、阻害(すなわち免疫系抑制)受容体である。修飾は、たとえば、エフェクター(たとえばNK)細胞上のFcγRIIIaに対するFcドメインの結合を増加させてもよい。
抗KIR3DL2抗体は、任意選択で修飾されたヒトIgG1またはIgG3アイソタイプのFcドメイン(またはその一部分)を含んでいてもよい。残基230〜341(Kabat EU)は、Fc CH2領域である。残基342〜447(Kabat EU)は、Fc CH3領域である。抗KIR3DL2抗体は、1つ以上の部分において1つ以上のアミノ酸修飾(たとえば置換、欠失、挿入)を有する変異Fc領域を含んでいてもよく、この修飾は、FcγR(活性化および阻害性FcγRを含む)に対する変異Fc領域の親和性および結合活性を増加させる。いくつかの実施形態では、前記1つ以上のアミノ酸修飾が、FcγRIIIAおよび/またはFcγRIIAに対する変異Fc領域の親和性を増加させる。他の実施形態では、変異Fc領域が、さらに、同等の親抗体(すなわち、Fc領域における1つ以上のアミノ酸修飾を除いて抗体と同じアミノ酸配列を有する抗体)のFc領域よりも低い親和性でFcγRIIBに特異的に結合する。たとえば、アミノ酸位置310および435のヒスチジン残基の一方または両方は、たとえばリシン、アラニン、グリシン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、メチオニン、トリプトファン、フェニルアラニン、セリン、またはトレオニンによって置換されてもよく(たとえばPCT公開国際公開第2007/080277号パンフレットを参照されたい)、そのような置換された定常領域は、活性化FcγRIIIAへの結合を減少させることなく、阻害性FcγRIIBへの結合の減少をもたらす。いくつかの実施形態では、そのような修飾が、親抗体と比較して、FcγRIIIAおよび/またはFcγRIIAに対する変異Fc領域の親和性を増加させ、また、FcγyRIIBに対する変異Fc領域の親和性も増強させる。他の実施形態では、前記1つ以上のアミノ酸修飾が、親抗体のFc領域と比較して、FcγRIIIAおよび/またはFcγRIIAに対する変異Fc領域の親和性を増加させるが、FcγRIIBに対する変異Fc領域の親和性を改変しない。他の実施形態では、前記1つ以上のアミノ酸修飾が、親抗体と比較して、FcγRIIIAおよびFcγRIIAに対する変異Fc領域の親和性を増強するが、FcγRIIBに対する親和性を低下させる。親和性および/または結合活性の増加は、親分子(修飾Fc領域なし)の結合活性を細胞において検出することができない場合、低レベルのFcγRを発現する細胞において、検出可能なFcγRへの結合またはFcγR関連性の活性をもたらす。
FcγRに対する分子の親和性および結合特性は、ELISAアッセイ、表面プラズモン共鳴アッセイ、免疫沈降アッセイを含むが、これらに限定されない、抗体−抗原またはFc−FcγR相互作用、すなわち、それぞれ、抗体への抗原の特異的な結合または FcγRへのFc領域の特異的な結合を決定するための、当技術分野において知られているインビトロアッセイ(生化学的または免疫学的ベースのアッセイ)を使用して決定することができる。
また、FcγRIIIaまたはFcRn結合に影響を与える(増強する)具体的な突然変異(IgG1 Fcドメイン中)も以下に示す。
Figure 2020500161
いくつかの実施形態では、変異Fc領域を含む分子が、Fc領域のCH3ドメインにおいて少なくとも1つのアミノ酸修飾を含む(たとえば、1、2、3、4、5、6、7、8、9つまたはそれを超えるアミノ酸修飾を有する)。他の実施形態では、変異Fc領域を含む分子が、アミノ酸231〜341に及ぶとして定義される、Fc領域のCH2ドメインにおいて少なくとも1つのアミノ酸修飾を含む(たとえば、1、2、3、4、5、6、7、8、9つまたはそれを超えるアミノ酸修飾を有する)。いくつかの実施形態では、分子が、少なくとも2つのアミノ酸修飾を含み(たとえば、2、3、4、5、6、7、8、9つまたはそれを超えるアミノ酸修飾を有する)、少なくとも1つのそのような修飾がCH3領域中にあり、少なくとも1つのそのような修飾がCH2領域中にある。アミノ酸修飾は、たとえばヒンジ領域中でなされてもよい。特定の実施形態では、本発明は、アミノ酸216〜230に及ぶとして定義される、Fc領域のCH1ドメイン中にアミノ酸修飾を包含する。
Fc修飾の任意の組合せ、たとえば、米国特許第7,632,497号明細書;米国特許第7,521,542号明細書;米国特許第7,425,619号明細書;米国特許第7,416,727号明細書;米国特許第7,371,826号明細書;米国特許第7,355,008号明細書;米国特許第7,335,742号明細書;米国特許第7,332,581号明細書;米国特許第7,183,387号明細書;米国特許第7,122,637号明細書;米国特許第6,821,505号明細書、および米国特許第6,737,056号明細書;国際公開第2011/109400号パンフレット;国際公開第2008/105886号パンフレット;国際公開第2008/002933号パンフレット;国際公開第2007/021841号パンフレット;国際公開第2007/106707号パンフレット;国際公開第06/088494号パンフレット;国際公開第05/115452号パンフレット;国際公開第05/110474号パンフレット;国際公開第04/1032269号パンフレット;国際公開第00/42072号パンフレット;国際公開第06/088494号パンフレット;国際公開第07/024249号パンフレット;国際公開第05/047327号パンフレット;国際公開第04/099249号パンフレット、および国際公開第04/063351号パンフレット;ならびにPresta,L.G.et al.(2002)Biochem.Soc.Trans.30(4):487−490;Shields,R.L.et al.(2002)J.Biol.Chem.26;277(30):26733−26740、およびShields,R.L.et al.(2001)J.Biol.Chem.276(9):6591−6604)において開示される様々な修飾の任意の組合せを作製することができる。
抗KIR3DL2抗体は、変異Fc領域を含んでいてもよく、変異Fc領域が、野生型Fc領域と比較して、少なくとも1つのアミノ酸修飾を含み(たとえば1、2、3、4、5、6、7、8、9つまたはそれを超えるアミノ酸修飾を有する)、分子が、野生型Fc領域を含む分子と比較して、エフェクター機能が増強されており、任意選択で、変異Fc領域が、221、239、243、247、255、256、258、267、268、269、270、272、276、278、280、283、285、286、289、290、292、293、294、295、296、298、300、301、303、305、307、308、309、310、311、312、316、320、322、326、329、330、332、331、332、333、334、335、337、338、339、340、359、360、370、373、376、378、392、396、399、402、404、416、419、421、430の、434、435、437、438、および/または439の任意の1つ以上の位置に置換を含む。
抗KIR3DL2抗体は、変異Fc領域を含んでいてもよく、変異Fc領域が、野生型Fc領域と比較して、少なくとも1つのアミノ酸修飾を含み(たとえば、1、2、3、4、5、6、7、8、9つまたはそれを超えるアミノ酸修飾を有する)、分子が、野生型Fc領域を含む分子と比較して、エフェクター機能が増強されており、任意選択で、変異Fc領域が、329、298、330、332、333、および/または334の任意の1つ以上の位置に置換(たとえばS239D、S298A、A330L、I332E、E333A、および/またはK334A置換)を含む。
一実施形態では、変異または野生型Fc領域を有する抗体が、抗体のFc受容体結合能力を増加させるグリコシル化パターンの改変を有していてもよい。そのような炭水化物修飾は、たとえば、グリコシル化機構の改変を有する宿主細胞において抗体を発現させることによって、達成することができる。グリコシル化機構の改変を有する細胞は、当技術分野において記載されており、組換え抗体を発現する宿主細胞として使用し、それによってグリコシル化の改変を有する抗体を産生することができる。たとえば、それぞれ、その全体が参照により本明細書に組み込まれるShields,R.L.et al.(2002)J.Biol.Chem.277:26733−26740;Umana et al.(1999)Nat.Biotech.17:176−1、および欧州特許第1,176,195号明細書;国際公開第06/133148号パンフレット;国際公開第03/035835号パンフレット;国際公開第99/54342号パンフレットを参照されたい。
一般に、グリコシル化の改変を有するそのような抗体は、「グリコ最適化され」、抗体は、非修飾抗体または天然に存在する定常領域を有する抗体と比較された場合に、ADCCおよびエフェクター細胞受容体結合活性の増強を含むが、これらに限定されないある望ましい特性をもたらす、特定のN−グリカン構造を有し、マウス骨髄腫NSOおよびチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(Chu and Robinson,Current Opinion Biotechnol.2001,12:180−7)、本明細書において実施例の部で産生されるHEK293T発現抗体、または組換え治療用抗体を産生するために一般に使用される他の哺乳動物宿主細胞系によって産生される。
哺乳動物宿主細胞において産生されたモノクローナル抗体は、それぞれの重鎖のAsn297にN結合型グリコシル化部位を含有する。抗体上のグリカンは、典型的に、複雑な二分岐構造であり、バイセクティングN−アセチルグルコサミン(バイセクティングGlcNAc)が非常に低くまたはなく、高レベルのコアフコシル化を有する。グリカン末端は、非常に低い末端シアル酸を含有しまたは全く含有せず、様々な量のガラクトースを含有する。抗体機能に対するグリコシル化の効果の検討については、Wright&Morrison,Trend Biotechnol.15:26−31(1997)を参照されたい。かなりの研究は、抗体グリカン構造の糖組成に対する変化がFcエフェクター機能を改変することができることを示す。抗体活性に寄与する重要な炭水化物構造は、アルファ−1,6連結を介して、Fc領域N結合型オリゴ糖の最も内側のN−アセチルグルコサミン(GlacNAc)残基に付加されたフコース残基であると考えられる(Shields et al.,2002)。
FcγR結合は、ヒトIgG1、IgG2、またはIgG3タイプのFc領域における保存Asn297に共有結合されたオリゴ糖の存在を必要とする。非フコシル化オリゴ糖構造は、最近、インビトロADCC活性の劇的な増加に関連付けられた。「Asn297」は、Fc領域における約位置297に位置するアミノ酸アスパラギンを意味し、抗体の軽微な配列変異に基づいて、Asn297はまた、数アミノ酸(通常+3アミノ酸以下)上流または下流に位置することができる。
歴史的に、CHO細胞において産生される抗体は、約2〜6%の非フコシル化された集団を含有する。アルファ6−フコシルトランスフェラーゼの基質であるGDPフコースまたはGDP糖中間体の欠乏に至る欠損GDP−マンノース4,6−デヒドラターゼを有するYB2/0(ラット骨髄腫)およびLecl3細胞株(CHO系のレクチン突然変異体)は、78〜98%の非フコシル化種を有する抗体を産生することが報告された。他の実施例では、RNA干渉(RNAi)またはノックアウト技術が、FUT8 mRNA転写物レベルを減少させるまたは遺伝子発現を完全にノックアウトするために細胞を操作するために用いることができ、そのような抗体は、70%までの非フコシル化グリカンを含有することが報告された。
KIR3DL2に結合する抗体は、Asn297で糖鎖によりグリコシル化されてもよい。一実施形態では、抗体が、FcyRIIIaへの抗体結合および/またはADCCを改善する、Fc領域における少なくとも1つのアミノ酸改変を含む定常領域を含むであろう。
一態様では、抗体が、それらの定常領域において低フコシル化(hypofucosylated)される。そのような抗体は、アミノ酸改変を含んでいてもよいまたは含んでいなくてもよいが、そのような低フコシル化をもたらすための条件下で産生されてもよいまたは処置されてもよい。一態様では、抗体組成物が、本明細書において記載されるキメラ、ヒト、またはヒト化抗体を含み、組成物中の少なくとも20、30、40、50、60、75、85、90、95%、または実質的に全ての抗体種が、フコースを欠くコア炭水化物構造(たとえば複雑な、ハイブリッド、および高マンノース構造)を含む定常領域を有する。一実施形態では、フコースを有するコア炭水化物構造を含む抗体がない抗体組成物が提供される。コア炭水化物は、好ましくは、Asn297の糖鎖であろう。
一実施形態では、抗体組成物、たとえばKIR3DL2に結合する抗体を含む組成物が、Asn297で糖鎖によりグリコシル化され、抗体が、部分的にフコシル化される。部分的にフコシル化された抗体は、Asn297の糖鎖内にフコースを欠く、組成物中の抗KIR3DL2抗体の割合が、20%〜90%、20%〜80%、20%〜50%、55%、60%、70%、もしくは75%、35%〜50%、55%、60%、70%、もしくは75%、または45%〜50%、55%、60%、70%、もしくは75%であることによって特徴付けられる。任意選択で、抗体が、ヒトIgG1またはIgG3タイプである。
糖鎖は、ヒト細胞由来の抗体のまたはげっ歯動物細胞、マウス細胞(たとえばCHO細胞)、もしくは鳥類の細胞において組換えで発現された抗体のAsn297に付加されたN結合型グリカンの特質を含む、任意の特質(たとえば、複雑な、ハイブリッド、および高マンノース構造の存在および割合)をさらに示すことができる。
一実施形態では、抗体は、細胞株がそれらのコア炭水化物においてフコースを欠くタンパク質を産生するように、フコシルトランスフェラーゼ酵素を欠く細胞において発現される。たとえば、細胞株Ms704、Ms705、およびMs709は、Ms704、Ms705、およびMs709細胞株において発現された抗体が、それらのコア炭水化物上にフコースを欠くように、フコシルトランスフェラーゼ遺伝子、FUT8(アルファ(1,6)フコシルトランスフェラーゼ))を欠く。これらの細胞株は、2つの交換ベクターを使用するCHO/DG44細胞におけるFUT8遺伝子の標的破壊によって作られた(開示が参照により本明細書に組み込まれるYamane et al.による米国特許出願公開第20040110704号明細書;およびYamane−Ohnuki et al.(2004)Biotechnol Bioeng 87:614−22を参照されたい)。他の例は、FUT8遺伝子を機能的に破壊するための、アンチセンス抑制、二本鎖RNA(dsRNA)干渉、ヘアピンRNA(hpRNA)干渉、またはイントロン含有ヘアピンRNA(ihpRNA)干渉の使用を含む。一実施形態では、抗体が、フコシルトランスフェラーゼをコードする、機能的に破壊されたFUT8遺伝子を有する細胞株において、そのような細胞株において発現された抗体が、アルファ1,6結合関連性の酵素を低下させるまたは除くことによって、低フコシル化を示すように発現される。
一実施形態では、抗体は、操作された細胞株において発現された抗体が、抗体のADCC活性の増加をもたらすバイセクティングGlcNac構造の増加を示すように、グリコプロテム(glycoprotem)修飾グリコシルトランスフェラーゼ(たとえばベータ(1,4)−N−アセチルグルコサミニル−トランスフェラーゼIII(GnTHI))を発現するように操作された細胞株において発現される(開示が参照により本明細書に組み込まれるUmana et al.による国際公開第99/54342号パンフレット;およびUmana et al.(1999)Nat.Biotech.17:176−180)。
他の実施形態では、抗体が、発現され、フコシル残基が、フコシダーゼ酵素を使用して切断される。たとえば、フコシダーゼアルファ−L−フコシダーゼは、抗体からフコシル残基を除去する(Tarentino,et al.(1975)Biochem.14:5516−5523)。他の実施例では、抗体を産生する細胞株を、グリコシル化阻害剤により処置することができる;Zhou et al.Biotech.and Bioengin.99:652−665(2008)は、アルファ−マンノシダーゼI阻害剤、キフネンシンによるCHO細胞の処置を記載し、非フコシル化オリゴマンノース型N−グルカンを有する抗体の産生をもたらした。
一実施形態では、抗体が、抗体のFc領域に結合するN−アセチルグルコサミンにフコシルを追加するための酵素活性が天然に低いまたは酵素活性を有していない細胞株、たとえばラット骨髄腫細胞株YB2/0(ATCC CRL1662)において発現される。細胞株の他の例は、Asn(297)連結炭水化物にフコシルを付加する能力が低下し、また、その宿主細胞において発現された抗体の低フコシル化をももたらす変異CHO細胞株、Led3細胞を含む(開示が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第03/035835号パンフレット(Presta et al);およびShields,RX.et al.(2002)J.Biol.Chem.277:26733−26740)。他の実施形態では、抗体が、低フコース含有量を有する抗体を天然にもたらす鳥類の細胞、たとえばEBx(登録商標)細胞(Vivalis、France)において発現される(たとえば国際公開第2008/142124号パンフレット)。低フコシル化グリカンはまた、植物起源の細胞株においても産生することができる(たとえば、開示が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第07/084926A2号パンフレット(Biolex Inc.)および国際公開第08/006554号パンフレット(Greenovation Biotech GMBH))。
抗体製剤
これらの組成物において使用されてもよい薬学的に許容され得るキャリヤは、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンなどの血清タンパク質、リン酸などの緩衝物質、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和野菜脂肪酸の部分的グリセリド混合物、水、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩などの塩または電解質、コロイドケイ酸、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、ポリエチレングリコール、および羊毛脂を含むが、これらに限定されない。この方法は、前記患者と前記組成物を接触させるステップを含む。そのような方法は、予防処置および治療目的の両方にとって有用となるであろう。
患者への投与に使用するために、患者への投与のために組成物を製剤化する。組成物は、非経口的に、特に静脈内注射または注入法により投与してよい。
組成物の滅菌注射用形態は、水性または油性懸濁液であってもよい。これらの懸濁液は、適した分散または湿潤剤および懸濁化剤を使用して、当技術分野において知られている技術に従って製剤されてもよい。滅菌注射用調製物はまた、無毒性の非経口的に許容され得る希釈剤または溶媒中の滅菌注射用溶液または懸濁液、たとえば1,3−ブタンジオール中の溶液であってもよい。用いられてもよい許容され得るビヒクルおよび溶媒の中には、水、リンガー溶液、および生理食塩液がある。そのうえ、滅菌不揮発性油は、溶媒または懸濁化媒体として従来から用いられている。この目的のために、合成モノまたはジグリセリドを含む、任意の、刺激がない不揮発性油が用いられてもよい。オレイン酸およびそのグリセリド誘導体などの脂肪酸は、とりわけそれらのポリオキシエチル化バージョンのオリーブ油またはヒマシ油などの天然の薬学的に許容され得る油のように、注射液の調製において有用である。これらの油溶液または懸濁液はまた、カルボキシメチルセルロースなどの長鎖アルコール希釈剤もしくは分散剤または乳剤および懸濁液を含む薬学的に許容され得る投薬形態の製剤において一般に使用される類似する分散剤を含有してもよい。Tween、Spans、および他の乳化剤などの他の一般に使用される界面活性剤または一般に薬学的に許容され得る固体、液体、もしくは他の投薬形態の製造において使用される生物学的利用率エンハンサーもまた、製剤の目的のために使用されてもよい。
いくつかのモノクローナル抗体は、Rituxan(商標)(リツキシマブ)、Herceptin(商標)(トラスツズマブ)、またはXolair(商標)(オマリズマブ)など、臨床状況において効率的であることが示され、類似する投与レジメン(すなわち製剤および/または用量および/または投与プロトコル)は、抗体と共に使用されてもよい。たとえば、医薬組成物中に存在する抗体は、100mg(10mL)または500mg(50mL)使い捨てバイアル中に10mg/mLの濃度で供給することができる。
さらなる態様および利点を以下の実験のセクションで開示するが、これらは、例示的とみなすべきであり、本出願の範囲を制限するものではない。
実施例1−KIR3DL2選択的抗体の生成
免疫化およびスクリーニング
KIR3DL2に結合するが、密接に関連するKIR3DL1に結合しない抗体は、米国特許出願公開第2015−0232556−A1号明細書に記載される、組換えKIR3DL2−Fc融合タンパク質によりマウスを免疫化することによって生成した。成長中のハイブリドーマの上清(SN)は、セザリー症候群細胞株(HUT78、COU−L)およびHEK−293T/KIR3DL2ドメイン0−eGFPに対してフローサイトメトリーによって試験した。最初のスクリーニングから選択した、可能性として興味深いハイブリドーマは、96ウェルプレート中で限界希釈技術によってクローニングした。第2のスクリーニングは、HUT78、COU−L、HEK−293T/KIR3DL1ドメイン0−eGFP、およびHEK−293T/KIR3DL2ドメイン0−eGFPに対してフローサイトメトリーによってサブクローンの上清を試験することによる、関心のあるハイブリドーマの選択を伴った。陽性のサブクローンは、腹水を産生するようにマウスに注射し、関心のある抗体は、ヒトKIR3DL2発現細胞への結合に基づく様々なアッセイフォーマットが後続するrec KIR3DL2チップを使用するBiacoreアッセイにおいて試験する前に精製した。
抗体の重(VH)および軽(VL)鎖の可変ドメインの配列は、それぞれの抗体のcDNAからPCRによって増幅した。増幅した配列は、アガロースゲル上に流し、次いで、Qiagen Gel Extractionキットを使用して精製した。次いで、VHおよびVL配列は、メーカーの指示に従ってInFusionシステム(Clontech)を使用して、Lonza発現ベクター(Double−Gene Vectors)の中にサブクローニングした。シークエンシングの後に、VHおよびVL配列を含有するベクターは、Promega PureYield(商標)Plasmid Maxiprep Systemを使用して、Maxiprepとして調製した。次いで、ベクターは、メーカー指示に従って、InvitrogenのLipofectamine 2000を使用するHEK−293T細胞トランスフェクションに使用した。生成された抗体は、とりわけ、10G5、2B12、19H12および12B11を含んだ。
エピトープマッピング
抗体は、一連のKIR3DL2突然変異体への結合についてさらに試験した。抗体19H12および12B11は、非突然変異野生型KIR3DL2(WTaKIR3DL2)への結合についていかなる損失も示さなかったが、P179TおよびS181T置換を有する突然変異体11ならびにV178AおよびH180S置換を有する突然変異体11A1への結合を損なった。そのため、これらの抗体19H12、18B10、および12B11の主要なエピトープは、残基P179、S181、V178、および/またはH180を含む。突然変異体11における位置179および181のこれらの残基は、KIR3DL1中に存在する残基に相当する(KIR3DL1はT179およびT181を有する)。残基P179およびS181は、特に、KIR3DL2のD1ドメイン内にかつHLA結合領域(すなわちHLA結合ポケット)のKIR3DL2タンパク質上の反対の面にある。抗体15C11、19H12、18B10、および12B11のそれぞれは、置換E130S、H131S、およびR145Sを有する突然変異体M11A4への結合を低下させた(15C11および19H12については結合の完全な損失)。突然変異体11における位置179および181のこれらの残基は、KIR3DL1中に存在する残基に相当する(KIR3DL1はT179およびT181を有する)。残基P179およびS181は、特に、KIR3DL2のD1ドメイン内にかつHLA結合領域(すなわちHLA結合ポケット)のKIR3DL2タンパク質上の反対の面にある。これらの突然変異残基に隣接する表面に曝露した残基もまた、たとえば、P179/S181エピトープの領域においてKIR3DL2の表面に位置するが、抗体の結合の損失をもたらさなかったKIR3DL2突然変異の領域(たとえば突然変異体5(残基P66)および突然変異体8(残基V127))の外側に位置する残基N99、H100、E130、H131、F132、V178、H180、P182、Y183、およびQ184(配列番号1に関して)を含めて、抗体のエピトープに寄与し得る。抗体2B12は、I60NおよびG62S置換を有する突然変異体への結合を損失し、P14S、S15A、およびH23S置換を有する突然変異体への結合が減少したが、あらゆる他の突然変異体への結合を失わなかった。そのため、これらの抗体の主要なエピトープは、残基I60および/またはG62を含む(また、エピトープは、任意選択で、P14、S15、およびH23の1つ以上をさらに含む)。残基60および62は、KIR3DL2のD0ドメイン内にある。残基14、15、23、60、および61は、KIR3DL2のD0ドメイン内にある。
抗体は、利用可能な細胞表面KIR3DL2受容体の数を増加する
第1部:
KIR3DL2発現細胞の2B12標識に対する染色条件の影響
この試験は、4℃または37℃、ならびに2時間、4時間または24時間のインキュベーション時間で、総細胞に対してゲーティングした、KIR3DL2発現細胞の2B12標識に対する染色条件の影響を評価することを目標とした。手短には、ウェル当たり100,000個のHUT78細胞を、0.0005μg/mlから出発して30μg/mlまでの2B12抗体の用量範囲(完全培地中の階段希釈1/3)と一緒にインキュベートした。使用するプロトコルは次の通りであった:4℃および37℃でのインキュベーション2時間;4時間および一晩;PFA固定を含む、または含まないRPMI10%中での染色;SB(150μl/w)で2回の洗浄;4℃で30分間の抗ヒトFc PEの添加;SB(100μl/w)で2回の洗浄;ならびにFACS CANTO IIを用いた検出。
結果を図1Aに示す。受容体取込み/循環を阻害する4℃でのインキュベーションは、少なくとも同等レベルの利用可能な細胞表面KIR3DL2をもたらすことが予想されたが、抗体2B12(ヒトIgG1)での染色は、4℃よりも37℃の方が高かった。さらに、インキュベーション時間が長くなるほど、高い蛍光中央値が観察され、24時間のインキュベーション後に最大のKIR3DL2発現が観察された。
第2部:
一晩のインキュベーション後のHUT78腫瘍細胞上での総、遊離および2B12結合KIR3DL2検出
この試験は、結合2B12(ヒトIgG1)、遊離(非抗体結合)細胞表面KIR3DL2ポリペプチド、および総細胞表面KIR3DL2ポリペプチドの量を観測することによって、細胞表面KIR3DL2レベルに対する抗体2B12との20時間インキュベーションの影響を評価することを目標とした。手短には、8.88μg/mlから出発する(漸減する)2B12抗体の用量範囲、1/3階段希釈、11の濃度を用いて、HUT78(100,000細胞/ウェル)を37℃で20時間インキュベートした。次の2つの染色条件を実施するために、用量範囲を2回反復して作製した:
−総KIR3DL2+結合KIR3DL2(GaH IgG Fc−PE+mAb2−APC(非競合抗KIR3LD2 mAb)(10μg/ml)
−遊離KIR3DL2:2B12−PE(10μg/ml)
染色バッファー中4℃で染色を1時間実施した後、FACS Canto II HTSで分析した。結果を図1Bに示す。濃い線/正方形は抗体2B12を表し、薄い線/丸は、アイソタイプ対照を表す。10μg/mlの2B12−PEと細胞をインキュベートして、非競合抗KIR3DL2抗体と共に遊離受容体を検出すると、遊離KIR3DL2受容体を検出できることがわかる。ヤギ抗ヒトIgG Fc−PE二次Abと一緒に細胞をインキュベートすることにより、2B12結合KIR3DL2受容体を検出できることがわかる。両方の読み出しは相関しており、類似のEC50を有する。一番右のパネルは、2B12との20時間のインキュベーションによって、非競合抗KIR3DL2抗体mAb2−APCにより検出される通り、細胞表面のKIR3DL2受容体レベルが増加することを示している。抗体2B12は、結合時の構造変化、細胞表面での受容体安定化/蓄積および/または取込み/再循環阻害を引き起こしている可能性がある。
第3部:
1、24または48時間後のHUT78腫瘍細胞上の総、遊離および2B12結合KIR3DL2検出
この試験は、抗体2B12との異なるインキュベーション期間後の総、遊離および2B12結合KIR3DL2の量を観測することによって、KIR3DL2受容体発現の動力学を評価することを目的とした。手短には、HUT78細胞(50,000細胞/ウェル)を、2B12(ヒトIgG1)、10μg/mlから出発する(漸減する)用量範囲、1/3階段希釈、11の濃度と一緒に、またはアイソタイプ対照(IC)、10μg/mlから出発する(漸減する)用量範囲、1/3階段希釈、11の濃度と一緒に完全培地中37℃で1時間、24時間もしくは48時間にわたってインキュベートした。次の3つの染色条件を実施するために、用量範囲を3回反復して実現した:
−結合KIR3DL2(4℃で30分):GaH IgG Fc−PE、
−遊離KIR3DL2+総KIR3DL2(4℃で1時間):2B12−PE(10μg/ml)+mAb2−APC(非競合抗KIR3DL2)(10μg/ml)、
−総KIR3DL2(4℃で1時間+30分):2B12(10μg/ml)+GaH IgG Fc−PE。
染色バッファー中4℃で染色を実施し、HTFC Intellicytで分析を実施した。
結果を図1Cに示す。これらの培養条件(96ウェルプレート、T0で50,000 HUT78/ウェル)で、細胞表面でのKIR3DL2検出は、いずれのAbも存在しない場合、減少する(mAb2−APC、2B12−PEまたは2B12+GaH−PE、Y軸の点により検出される通り)
37℃で2B12とのインキュベーションは、用量依存的様式で、KIR3DL2の表面発現を増加する(非競合mAb2により、または2B12自体+二次Abにより検出される通り)。アイソタイプ対照は、KIR3DL2に何らの変化も起こさなかった。この増加は、37℃で1時間後に既に観察され、24時間後にその最大値に達すると思われる。染色は、24時間後で最適である(総染色および検出されたAb結合受容体に関して)。
抗体は、セザリー症候群細胞株に内在化しない
抗体10F6、2B12、18C6、9E10、10G5、13H1、4B5、5H1、1E2、1C3および20E9、ならびに抗体AZ158(比較対照としての抗ドメイン0mAb)およびPCT出願国際公開第2014/044686号パンフレットおよび同第2014/044681号パンフレットに開示されている他の抗D1抗体の内在化を、HUT78 SS細胞株を用いて蛍光顕微鏡法により評価した。
材料および方法
10μg/mlの異なる抗体と一緒に、4℃で1時間Hut−78細胞をインキュベートした。このインキュベーション後、細胞を固定する(t=0時間)か、または37℃で2時間インキュベートした。次に、2時間インキュベートした細胞を固定し、染色した。Alexa594(Invitrogen,A11032)に結合したヤギ抗マウス抗体を用いて抗体を染色した。ウサギ抗LAMP−1抗体(Abcam,ab24170)を用いて、LAMP−1コンパートメントを染色し、FITC(Abcam,ab6717)に結合したヤギ抗ウサギポリクローナル抗体により明らかにした。Aptome装置(Zeiss)を用いて画像を取得し、Axiovisionソフトウェアを用いて解析した。
結果:
抗KIR3DL2 mAbは、赤色に見えたのに対し、LAMP−1コンパートメントは、緑色に見えた。抗体の添加時点で、赤色のKIR3DL2染色は、細胞表面に見えたのに対し、緑色のLAMP−1は、細胞内に緑色が見えた。しかし、抗体の添加から2時間後、抗体AZ158、13H1および4B5、ならびに抗D1抗体のそれぞれは、細胞表面の赤色染色の減少と共に、赤色染色の緑色染色との共局在化を引き起こし、これは、AZ158、13H1および4B5、ならびに抗D1抗体が急速に取り込まれたことを示している。しかしながら、抗体10F6、2B12、18C6、9E10、10G5、5H1、1E2、1C3および20E9は取り込まれず、抗体の添加から2時間後、赤色染色は、細胞表面全体に残った。
抗体は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)を介してKIR3DL2発現標的を死滅させることができる
ADCCメカニズムを通しての細胞溶解は、放射活性に基づく51Cr放出実験においてモニターした(予め負荷した標的細胞から放出される放射活性のレベルはそれらの死に比例する)。100万の標的細胞に37℃で1時間51Crを負荷し、3回洗浄した。3,000の細胞をウェル(U字底96ウェルプレート)毎に接種し、試験mAbを10または20μg/ml最終濃度で追加する(あるいは用量−応答関係が研究される場合、増加濃度)。エフェクター細胞は、定められたエフェクター:標的比(一般に10:1)で追加し、混合物を4時間、37℃でインキュベートした。上清は、Lumaplate装置で分析する。
実施例1で選択された抗KIR3DL2 mAbは、KIR3DL2トランスフェクトB221標的細胞を死滅させるために同じ最終濃度(10μg/ml)で試験した。mAbは、KIR3DL2発現B221標的に対するADCCを媒介するのに効果的であった。
実施例2−KIR3DL2発現ヒト腫瘍のマウス異種移植片モデルにおける活性
腫瘍細胞株B221およびRAJIはヒトKIR3DL2を発現するように作製した。B221−KIR3DL2およびRAJI−KIR3DL2モデルに使用した免疫を損なったマウスは、Charles River Laboratoriesから購入したNOD−SCIDとした。以下のモデルにおいて、500万のヒトB221−KIR3DL2またはRAJI−KIR3DL2腫瘍細胞(ビヒクルとしての100μl PBS中)は、0日目(D0)、すなわち処置開始(D1)の1日前にIV移植した。D1から、マウスは、PBS中で希釈した、様々な用量の抗KIR3DL2 mAb(用量はマウス体重に適応させた)、全実験の期間の間、1週間当たりに2回の注射によりIV処置した。
実験に応じて含められたコントロール群:
− 正常な/腫瘍成長に冒されていないコントロールとしてのPBS/プラセボ処置マウス;
− 無関係の抗原に対して向けられる、同じ用量のアイソタイプコントロール対応mAbを注射したマウス。
マウスは、計量し、モデルによっては2〜5日毎に臨床的症状について観察した。体重変化のパーセントは、腫瘍移植前のD0での体重または実験の間に達した最も高い体重と比較して計算した。マウスの死または重要な体重減少は、記録し、生存Kaplan−Meier曲線を書き、マウスのコントロール群と比較した生存における改善を計算するために使用した。
IgG2bアイソタイプマウス抗KIR3DL2 19H12抗体(週に二度300μg/マウスで与える)の効能は、SC B221−KIR3DL2異種移植片またはRAJI−KIR3DL2異種移植片(群当たりn=6 NOD−SCIDマウス)に対して別々に試験した。抗KIR3DL2抗体により処置した動物は、アイソタイプコントロール対応mAbにより処置したマウスと比較して生存の増加を示した。
実施例3−改善された検出方法はKIR3DL2陽性の腫瘍を明らかにする
RAJI−KIR3DL2モデルおよびRAJI−KIR3DL2細胞株由来の腫瘍生検材料を得、染色を、AZ158抗体(国際公開第2010/081890号パンフレットを参照されたい)または抗体12B11(実施例1を参照されたい)を使用して、凍結サンプルに対して実行した。KIR3DL2は、BenchMark XT Ventana Rocheによる免疫染色に適応させた標準的なプロトコルに従ってDAB色素生成検出によって抗KIR3DL2抗体により染色した。全ての染色コントロールアイソタイプ(mIgG1)およびコントロールについてDABを実行した。驚いたことに、AZ158は陰性であったが、同じ濃度(5μg/ml)の抗体の12B11抗体を使用した場合、腫瘍は陽性であった(図1を参照されたい)。抗体AZ158の濃度の上昇(50μg/mlまで)は、腫瘍サンプルを健康な組織と区別するのを可能にしなかった広範囲なバックグラウンド染色を発生させた。
次に、予めAZ158により染色した癌患者由来の腫瘍生検材料を抗体12B11を使用して再試験した。AZ158でKIR3DL2陰性であった生検材料を12B11により染色した(すなわち、KIR3DL2陽性になった)。
実施例4:NK溶解能力アッセイ
ADCCメカニズムを通しての細胞溶解は、放射活性に基づく51Cr放出実験でモニターした(予め負荷した標的細胞HUT78(LGC Standards Corp.から入手可能なATCC reference TIB−161(商標))から放出される放射活性のレベルはそれらの細胞死に比例する)。手短には、健常なドナーからのヒト末梢血液単核球(PBMC)をHUT78標的細胞株(KIR3DL2)と一緒に、用量範囲のIPH4102 mAb(ヒト化2B12 mAb)の存在下でインキュベートした。100のE:T比を用い、4時間クロミウム放出アッセイにおいてPBMCによるHUT78細胞溶解をモニターした。
エフェクター細胞調製
ヒト血液をCPTチューブ(n=6〜8チューブ/ドナー、7〜8mlの血液を含有する)に回収した。収集から30分以内に、低加速および低ブレーキを用い、室温(RT)にて、CPTチューブを1500gで30分間遠心分離した。遠心分離後、分離ゲル上の上清中の単核球を50mlコニカルチューブに移し(2〜3つのCPTチューブの内容物を1つの50mlチューブにプールする)、RPMI−1640で50mlまで補充した後、RTにて10分間600gで遠心分離した。全ての細胞ペレットを1つの50mlコニカルチューブに移し、50mlのRPMI−1640で洗浄した(RT、130gで10分の遠心分離)。残った赤血球(RBC)の溶解をこのステップで、細胞ペレットに1mlの低温NHClを添加し、RTで5〜10分間インキュベートすることにより、実施することができた。RBC溶解が必要な場合には、50mlのRPMI−1640でチューブを充填することにより追加の洗浄ステップを実施した(RT、130gで10分の遠心分離)。細胞ペレットを20mlのCCM中に再懸濁させた後、Cellometerセルカウンターを用い、トリパンブルー色素で死滅細胞を除外することにより、PBMCを計数した。
PBMC濃度は、標的細胞溶解アッセイ(51Cr放出、50μl/w=3×10細胞)の場合には、CCMで6×10細胞/mlに、またNK細胞活性化アッセイ(CD137発現、50μl/w=1.25×10細胞)の場合には、2.5×10細胞/mlに調節した。
標的細胞調製
HUT78標的細胞は、Cellometerセルカウンターを用い、トリパンブルー色素で死滅細胞を除外することによりカウントした。10細胞当たり50μCiの51Crを丸底14mlポリプロピレンチューブ内の細胞ペレットに添加し、37℃で1時間インキュベートすることにより、2.10細胞を51Crで標識した。クロミウム標識後、細胞を10mlのCCM(遠心分離5分、500g、RT)で細胞を3回洗浄した。Kovaslideを用い、トリパンブルー色素で死滅細胞を除外することにより、細胞をカウントした。細胞濃度を3×10細胞/ml(100μl/w=3×10細胞)に調節した。
mAb溶液調製
抗KIR3DL2抗体(1.6ml)、陰性アイソタイプ対照、1.6ml)およびアレムツズマブ(抗CD52、陽性対照、1.2ml)の4×溶液(最終200μl/w中50μl/w)をCCM中に調製し、卓上遠心分離機を用い、4℃、最大速度(16100g)で10分間遠心分離した(潜在的凝集体を排除するため)。
最高試験濃度は、アイソタイプ対照およびアレムツズマブが10μg/ml(すなわち、4×溶液として40μg/ml)、抗KIR3DL2抗体が8.88μg/ml(すなわち、4×溶液として35.5μg/ml)であった。アイソタイプ対照および抗KIR3DL2抗体について、400μlのmAb溶液を1.2mlのCCMに移すことにより、96ディープウェルプレート内で1/4階段希釈を実施した。両方のAbについて11の濃度を試験したが、アレムツズマブは、10μg/mlでのみ試験した。
アッセイ手順
mAb溶液(50μl/w)を96ディープウェルプレートからU底プレートに3回反復で移した。エフェクター細胞(PBMC、50μl/w)と、51Crを負荷した標的細胞(HUT78、100μl/w)とをウェルに添加した。最終E/T比は100/1である。標的細胞からの自発的および最大クロミウム放出を、培地中の標的細胞および培地+2%トリトンX−100中の標的細胞をそれぞれ含有する専用のウェル(プレート当たりn=8)内で測定した。プレートを300gで1分遠心分離した後、37℃で4時間インキュベートした。4時間のインキュベーション後、プレートを300gで3分間遠心分離してから、50μlの上清を、シンチレータを含むLumaplateに移した。上清を56℃で乾燥させ、培養上清中に放出されたクロミウムをTopCount NXT(商標)マイクロプレートシンチレーションカウンター(Perkin Elmer)を用いて、定量した。
標的細胞の特異的溶解は、下記の式:
Figure 2020500161
を用いて計算した。
実施例5−抗KIR3DL2抗体の用量設定を決定するための、NK細胞%溶解能力に基づくモデルの作製
治療用mAbの薬物動態は、通常、2コンパートメントモデルを用いてモデル化される(Dirks and Meibohm,2010;Lobo et al.,2004;Morell et al.,1970;Roskos et al.,2004)。実施例1に従って取得した抗KIR3DL2抗体2B12をヒト化し(表Dに示すVHおよびVLアミノ酸配列;また、開示内容が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2015/136052号パンフレットも参照されたい);抗体(IPH4102と称する)を全長ヒトIgG1アイソタイプ抗体として生成し、これをカニクイザルおよびマウスにおいて評価した。カニクイザルおよびマウス両方の前臨床PK結果によれば、IPH4102は、化合物特異的標的媒介作用を除き、ヒトにおいて他の治療用mAbと類似するPK特性を呈示することが予想される。SSおよびMF患者の場合、IPH4102は、KIR3DL2正常リンパ球に加えて、血液および組織中のKIR3DL2腫瘍細胞に結合するであろう。標的介在性薬物動態(TMDD)は、ヒトにおけるIPH4102のPKに影響し得ることが予想される。そのため、TMDDを表すためのパラメータをPKモデルに含めた。
最終PKシミュレーションモデルは、図2に例示するように、並列一次経路および飽和性消失経路を備える2コンパートメントモデルであった。IPH4102について予想されるヒトPKを説明するために、このTMDDモデルを使用することができるが、これは、以下のものを含む:
−コンパートメント間クリアランス(Q)と、セントラルおよび末梢コンパートメントについての分布容積(それぞれVcおよびVp)によって特徴付けられる、2コンパートメント分布(血液から末梢への)。
−単一クリアランスパラメータ、CLによって特徴付けられる、セントラルコンパートメントからの一次消失。
−それぞれセントラルおよび末梢コンパートメント内の完全飽和で利用可能なKIR3DL2抗原により結合され得るIPH4102の量を表す、セントラルおよび末梢最大標的結合能力(それぞれTBmaxcおよびTBmaxp)。
全身の動態は、会合速度定数、Kon、解離速度定数、Koff、およびKIR3DL2陽性細胞のターンオーバー速度、Kcellにより特徴付けられる。実際に、会合速度定数、Konは、Kon=Koff/Kとして決定され、ここで、Kは、KIR3DL2への結合のためのIPH4102の親和性である。
PKモデルは延長されて、ヒトにおけるIPH4102の予測血清濃度とヒトのNK細胞溶解能力との関連、ならびにKIR3DL2飽和予測を含む。
得られた最大腫瘍細胞溶解のパーセンテージ(=腫瘍細胞溶解/飽和時の最大腫瘍細胞溶解×100)により、たとえば51Cr放出アッセイで測定したIPH4102濃度(Conc)とNK溶解能力の間の関連を説明するために、単一の効力パラメータ、EC50と標準Emaxタイプの関係を使用した:
%NK溶解能力=100×Conc/(Conc+EC50
治療用mAbについてのコンパートメント内の最大標的結合(TBmax)は、以下:TBmax=Rec×Ccell×V×A×MWmAb×10
のように計算することができ、
ここで、
Recは、受容体密度=標的受容体の数/細胞であり、
cellは、コンパートメント内の標的陽性細胞の濃度(数/mL)であり、
Vは、コンパートメントの容積であり、
は、エンティティの数をモルに変換するためのアボガドロ数(Avogadro’s number)=6.023×1023/molであり、
MWmAbは、IPH4102の分子量=150,000g/molであり、
10は、gからngに変換する。
PK/PDモデルの構造を図1に示す。モデルの各コンパートメントのパラメータは、以下にさらに記載する通り、インビトロデータおよび文献の情報に基づいて取得した。
パラメータ(CL、Vc、Q、Vp)の値は、カニクイザルおよびマウス両方の前臨床PK結果に基づいて決定され、これらは、IPH4102が、ヒトにおける他の治療用mAbと類似するPK特性を呈示することが予想されることを示し、これは、ヒトにおけるIgGの標準2コンパートメントモデルを定義する。
血液中の正常免疫細胞に対する標的結合能力を決定した。手短には、健常なボランティアにおける非介入、単一施設記述的および前向き非盲検試験からの結果を用いて、KIR3DL2発現リンパ球の総数を決定した。総数40人のボランティアが登録し、これを2つのコホート、60歳未満の20人のボランティアから成るコホート1と、61歳超の20人のボランティアから成るコホート2に分けた。各ドナーの血液組成により付与される白血球(WBC)の数を用いて、フローサイトメトリーデータを正規化した。新鮮な白血球サンプルを処理してから、1群の蛍光色素結合mAb(8色の組合せ)で分析することにより、血液細胞サブセットを定めた。フローサイトメトリーのゲーティング戦略は、WBCのパーセンテージとして各細胞サブセットを表現することを目標とした。これらのパーセンテージおよび血液組成からのWBC数を用いることにより、様々な血液細胞サブセットを血液1μl当たりの細胞として定めた。PE標識抗KIR3DL2mAb(1〜10チューブの平均値)を用い、リンパ球中のKIR3DL2免疫細胞集団の絶対数(1〜10チューブの平均値)および飽和時のMESFを使用して、ヒトのリンパ球上のKIR3DL2受容体の総数を計算した。
KIR3DL2リンパ球の組織:血液比に関する具体的な情報は当初入手できなかった。そのため、組織中の正常免疫細胞に対する標的結合能力は、KIR3DL2を発現する血液リンパ球の数、ならびにKIR3DL2細胞が、他のリンパ球の一般的な分布と類似の分布を有するという想定に基づいて推定し、ここで、組織中の細胞の数は、血液中の約50倍高い。KIR3DL受容体密度は、血液と組織の間で同等であると想定された。
SS患者について、血液中の白血病腫瘍細胞に対する標的結合能力を評価した。SS患者の血液腫瘍細胞に対するIPH4102標的結合を評価するために、PE標識抗KIR3DL2mAbを用いて、血液組成計数および全血細胞中のCD3CD4KIR3DL2細胞の%に基づき、9人のSS患者においてKIR3DL2腫瘍細胞の総数を決定した。原発セザリー腫瘍細胞の細胞表面に発現したKIR3DL2分子の数を各患者について決定した。KIR3DL2腫瘍細胞(CD4CD3KIR3DL2)の絶対数の全測定値の平均を計算した。SS腫瘍細胞の細胞表面のKIR3DL2密度を評価した。
組織中の腫瘍細胞に対する標的結合能力に関して、皮膚の腫瘍T細胞の総数に関する具体的な情報がCTCL患者について当初入手できなかった。総皮膚常在T細胞は、200億細胞であると評価されたため、総腫瘍KIR3DL2T細胞がこのレベルを大きく超えることはないと仮定し、腫瘍細胞上のKIR3DL2密度中央値は、SS患者の循環腫瘍細胞と同様であると推定された。結果は、組織中の腫瘍細胞について得られたTBmaxが、SS患者に観察される循環腫瘍細胞上のKIR3DL2に対するIPH4102の標的結合能力と同じ範囲内に見出されるというものであった。
標的介在性動態の機構は、NKおよび腫瘍細胞の正常なターンオーバーに限定され、これらは、IPH4102濃度とは独立していると想定された。
インビトロ親和性(K)および解離速度(Koff)。KIR3DL2トランスフェクト細胞株、KIR3DL2発現セザリー症候群(SS)腫瘍細胞株、および患者血液サンプルから収集したSS原発腫瘍について実施した濃度−応答フローサイトメトリー実験において、PE標識IPH4102を用い、KIR3DL2に対するIPH4102インビトロ結合親和性を評価した。NK細胞にゲーティングした、健常なボランティア由来の全血に関するフローサイトメトリー実験、ならびに組換えヒトKIR3DL2タンパク質(Biacoreでの平均二価結合親和性を用いた表面プラズモン共鳴(SPR)実験において、KIR3DL2に対するIPH4102結合の濃度−応答を確認した。
KIR3DL2セザリー細胞株(HuT78もしくはCOU−Lなど)および原発性セザリー腫瘍細胞に対して、IPH4102を用いたインビトロ濃度−応答結合実験により、KIR3DL2発現レベルとは関係なく、細胞株および原発性セザリー細胞に対するIPH4102結合のEC50は類似する(HuT78については0.06μg/mL、COU−Lについては0.087μg/mL、患者の原発性腫瘍細胞に対しては0.07μg/mL)ことが判明した。結論として、血液中の腫瘍および免疫細胞に対するIPH4102の結合親和性をPK/PDモデルにおいて70ng/mlに設定した。一晩の染色条件では、PE標識は、KIR3DL2に対するIPH4102親和性に小さな影響しか及ぼさなかった。重要なことには、類似の親和性がSPRに見出された(Biacoreでの組換えKIR3DL2に対するIPH4102平均二価結合親和性、0.146nM、21.9ng/mlに相当、下の表に示す。組換えKIR3DL2からのIPH4102の解離速度は、SPR実験から取得した。KIR3DL2抗原結合活性を、2ステップ実験セットアップを用いて決定した。第1に、IPH4102サンプルを一定濃度でプロテインAチップに対して注射した(抗体捕捉ステップ)。第2に、捕捉された抗体に対してKIR3DL2−His抗原サンプルを一定濃度で注射し(抗原結合ステップ)、解離させた後、ベースライン補正(ブランク差し引き)のための再生バッファーを注射した。バッチ同士の比較のために、結合抗原と捕捉抗原の平均(n=3)反射率単位(RU)比を比較指数(0.4)として用いた。
二価結合についての解離速度の3つの測定値の平均を使用した(1.4×10−4−1、0.504h−1に相当)。
Figure 2020500161
生理的状況でのIPH4102の生物学的および潜在的毒性活性を評価するために、IPH4102のインビトロ濃度−応答アッセイを、HuT78細胞および漸増用量のIPH4102mAbと一緒に、同時インキュベートした15のヒト正常ドナーPBMCに対してインビトロで測定した。3つの読み出しを並行して調べた:CD137発現によるNK細胞の活性化(フローサイトメトリー)、PBMCによる標的細胞の溶解(古典的51Cr放出アッセイ)ならびに5つのサイトカインおよびケモカイン:IFN−γ、TNF−α、IL−6、IL−8、MCP−1の分泌。手短には、健常なドナーからのPBMCを、用量範囲のIPH4102mAbの存在下で、HuT78標的細胞株(KIR3DL2)と一緒にインキュベートした。20時間のインキュベーション後のPBMC中のNK細胞の活性化を、2.5:1のE:T(エフェクター:標的)比を用い、活性化マーカCD137を使用してモニターした。20時間のインキュベーション(CD137アッセイ)中に培養上清中のPBMCにより産生されたサイトカインをAlphaLISA technology(Perkin Elmer)を用いて定量した。並行して、実施例4に記載するように、100:1のE:T比を用いて、4時間の51Cr放出アッセイでPBMCによるHuT78細胞溶解をモニターした。
51Cr放出アッセイにおける健常なドナーPBMCによるHuT78腫瘍細胞溶解(NK細胞溶解能力)として、用量設定の決定のためのIPH4102安全性および薬理学的活性に最も関連するパラメータを選択した。51Cr放出アッセイにおける中央EC10およびEC50(±SD)は、それぞれ2(±2.8)ng/mlおよび45(±40)ng/mlであった。
したがって、IPH4102濃度(Conc)と、NK溶解能力の%:
NK溶解能力の%=100×Conc/(Conc+EC50
によって測定される腫瘍細胞溶解を媒介するNK細胞の最大能力の%との関連を表すために、単一の効力パラメータ、51Cr放出アッセイにおけるIPH4102のEC50、すなわち=45ng/mlとの標準Emaxタイプの関係を使用した。
最終パラメータを以下の表にまとめる。
Figure 2020500161
次に、ソフトウェアPhoenix WinNonLin version 6.4を用いて、PD/PKシミュレーションを実施し、GraphPad Prism 5 version 5.04を用いて、結果のプロッティングを行った。モデルは、WinNonLinにインプリメントし、これを用いて、様々な用量レベルについてヒトへのIPH4102の1時間のi.v.注入後、経時的にPKをシミュレートした。これに基づいて、ヒト初回投与(FIH)試験のための用量を決定した。MABEL計算のための選択薬理学的パラメータは、51Cr放出アッセイにおける健常なドナーPBMCによるHut78腫瘍細胞溶解であったが、これは、SS患者における生物学的IPH4102媒介応答の保守的評価であった。本発明者らは、HuT78腫瘍溶解のインビトロアッセイ(実施例4を参照)において低いが、認識可能な効果をもたらす用量を決定した。このアッセイにおける10%応答を低MABEL応答として採用した(E10=2ng/ml)。したがって、Cmaxで予め定めた10%51Cr放出をもたらす用量が特に重要であった。PKシミュレーションに基づいて、Cmax、CmaxでのNK溶解能力の%およびt=3〜6時間で達成された最大KIR3DL2占有を健常なドナー、MF(循環腫瘍細胞なし)およびSS(循環腫瘍細胞)患者で、様々な用量について予測し、FHDを0.1μg/kgとして決定するのに役立てた。
複数回用量第1相臨床試験の1回目および4回目用量後のシミュレートAUC0〜7日、Cmaxおよび蓄積指数を、MFおよびSS患者について下の表に示す。
Figure 2020500161
MFおよびSS患者において、0.1μg/kgの用量で、KIR3DL2占有は、3%未満を維持するため、IPH4102シミュレートNK細胞により媒介されるNK溶解能力の%は6%未満を維持するであろう。下の表は、MFおよびSS患者についてそれぞれ、1500μg/kgまでの用量レベルで、MF患者におけるサイクル1およびサイクル4の毎週反復投与について、CmaxおよびCトラフでの循環中のNK溶解能力の%の予測値に関するシミュレーションをまとめる。
Figure 2020500161
Figure 2020500161
実施例6−再発性/難治性CTCLのヒト第I相臨床試験
IPH4102(ヒト化IgG1抗KIR3DL2抗体2B12)は、現在、再発性/難治性CTCL患者への単剤IPH4102の反復投与を評価する、ヒト初回用量設定第1相試験(NCT02593045)で検証中である。
主要な目的は、用量制限毒性および有害事象を特性決定することにより、IPH4102の用量増加の安全性および耐容性を評価することである。副次的目的は、抗腫瘍臨床活性のPK、免疫原性およびシグナルを含む。探索的バイオマーカは、浸潤組織/コンパートメントにおけるKIR3DL2発現および非発現細胞を特性決定すること、ならびにIPH4102処置によるそれらの変化をモニターすることを目標とする。分子残存病変の測定を皮膚、血液および/またはリンパ節において実施する。SS患者への投与前に、自己腫瘍細胞に対するエクスビボNK細胞媒介性ADCCの評価も実施する。
試験は、2つの連続した部分、すなわち、用量漸増と、これに続くコホート拡大部分を有する。用量漸増部分は、加速漸増を含む3+3デザインを有し、最大耐量(MTD)または推奨される第2相用量(RP2D)を決定することを目標とする。試験した用量は、以下を含んだ:0.0001mg/kg、0.001mg/kg、0.01mg/kg、0.05mg/kg、0.2mg/kg、0.75mg/kg、1.5mg/kg、3mg/kg、6mg/kgおよび10mg/kg体重。拡大部分では、2つのCTCLサブタイプ特異的コホートが試験され、各コホートは、MTDまたはRP2Dをさらに探究するために、10人の追加患者を含むことになる。適格CTCL患者は、以前に少なくとも2つの抗腫瘍全身療法を受けていなければならない。センターで評価された、皮膚または血液中の悪性細胞でのKIR3DL2発現が参加のために必要とされる。
患者は、進行または許容できない毒性が現れるまで、IPH4102投与を毎週受けた。患者内用量漸増は、5週目の最初の完全な臨床評価を経なければ許可されず、しかも、より高い次の用量レベルが、安全委員会により安全と宣言されることを条件とする。
処置を受けた(またはまだ受けている)14人の患者のうち、11人はSSを、2人はMFを、1人はCD4+CTCL、他に特定されない(Not Otherwise Specified)(NOS)を有する。臨床評価は、腫瘍負荷の評価、ならびに皮膚、リンパ節、血液、および内臓における奏功の定義のために公開された推奨標準化スコアリングシステムに従い、Olsen et al.(2011)American Society of Clinical Oncology 29,2598−2607に記載されている複合的総合応答スコアおよび臨床エンドポイントの共通定義を用いることにより実施した。このシステムでは、総合完全奏功(CR)は、病変の全ての臨床エビデンスの完全な消失として定義され、全ての浸潤器官、すなわち、全てのTNMBカテゴリーにおいてCRが記録されて初めて達成され得る。これに対し、いずれかのTNMBカテゴリーにおける何らかの進行性疾患(PD)は、総合PDとみなす。中間の状況では、部分奏功(PR)または安定(SD)の総合スコアは、TNMBカテゴリー(Olsen et al.(2011)に記載、同上に従って達成される。実施される臨床評価は、以下を含んだ:
−投与前、次に、5週目(W5)、W14、W26、その後、処置の停止まで4週間毎に実施される全TNMBスコアリング(イメージングが必要な場合もある);
−投与前、5週目、次にW26まで2週間毎、その後4週間毎に皮膚特異的mSWAT測定を実施し;
−血液浸潤の評価(セザリー細胞計数または免疫表現型決定もしくは細胞形態学により)も、投与前、W5、次にW26まで2週間毎、その後4週間毎に実施する。
臨床試験は、依然として継続中である。試験に残った患者の臨床評価を下の表に詳しく記載する:
Figure 2020500161
上の表は、各患者が試験に登録した用量レベル、患者が受けたIPH4102投与の回数、CTCLサブタイプおよび試験登録時のTNMBステージも示す。3人の患者は、総合PRを経験し、それは、それぞれ28、74および70日間持続し、依然として進行中である。これらの奏功の発生のタイミングならびに発生時に投与された用量レベルも同じ列に記載する。
特にセザリー症候群患者の場合、血液中の臨床奏功に特別な注意が払われた。下の表に示すように、試験に参加した5人の患者のうち、2人はPRを達成し、1人は血液中CRを達成した。
Figure 2020500161
全体として、グレード1または2関連の有害事象(AE)のみが報告された。試験に参加した患者で、DLTまたはグレード3〜5いずれかに関連するAEを経験した者はいなかった。IPH4102に関連する皮膚発疹または感染症は、試験した最大用量まで観察されなかった。
エクスビボ機能性アッセイ結果から、SS患者のNK細胞が機能性であり、ADCCを介して自己腫瘍細胞を殺傷できることを確認した。
IPH4102は、NK細胞の排除を起こさなかった。図3は、最大50週間にわたり患者のNK細胞のベースライン(1週目の1日目)からの%変化を示す。図4は、最大50週間の期間にわたる患者のNK細胞の数(1μl当たりのNK細胞)を示す。
IPH4102の反復投与前および投与後に採取した皮膚生検から一次IHC結果を取得した。何人かの患者におけるKIR3DL2細胞の顕著な減少のエビデンスと共に、皮膚病変におけるIPH4102薬理活性のシグナルが、SSおよびMF患者の両方で観察された。代表的な例として、以下が挙げられる:
患者3は、MFを有し、0.01mg/kgの用量レベルで試験を開始した。彼は、スクリーニング時に2つの生検(B1およびB2)を採取され、それぞれ54%および26%のKIR3DL2細胞を含んだ。5週目に、B1(0.5%)にKIR3DL2染色の減少が観察されたが、B2(32%)には観察されず、W14には、両方の病変が、KIR3DL2細胞の減少(それぞれ1%および16%)を示した。この患者は、10週目から総合PRであった。
患者4は、セザリー症候群を有し、0.05mg/kgの用量レベルで試験を開始し、スクリーニング時に採取された皮膚生検中には52%のKIR3DL2細胞が含まれた。5週目に、顕著なKIR3DL2染色の減少が観察され、わずか4.4%の細胞がKIR3DL2であった。患者は、試験の10週目から、総合PRであり、血液中CRであった。
患者6は、SSを有し、0.05mg/kgで試験を開始した。スクリーニング生検は、17.5%のKIR3DL2細胞を示したが、5週目に3%まで減少した。この病変の経過も、スクリーニング時のプラークから、5週目には斑へと改善した。しかし、この患者は、依然として総合SD(皮膚のSDおよび血液中SDと共に)のままである。
患者7は、SSを有し、0.2mg/kgで試験を開始した。スクリーニング生検は、76%のKIR3DL2細胞を示し、5週目に安定を維持した(62%)。病変の経過も、プラークから斑へと改善したが、この患者は、総合SD(皮膚のSDおよび血液中SD)のままである。
結論として、臨床活性の一次徴候の中間分析は、IPH4102が、反復用量で進行性CTCL患者に有意な臨床利益を賦与することができ;奏功のあった患者が受けたのは、0.0001mg/kg(血液浸潤に対する奏功)または0.01mg/kg(皮膚疾患の奏功)という低い用量であったことを示している。血液中の臨床奏功(SS患者)は、非常に高い血液浸潤を有する患者(たとえば、試験登録時に19,000超の血液セザリー細胞/μLの血液を有した患者2にも観察された。興味深いことに、処置の期間中、抗腫瘍効果は、完全NK溶解活性よりかなり低いレベルで観察された。さらに、0.01mg/kgの用量レベルで、IPH4102は、多くとも非常に少数の皮膚中の悪性細胞しか到達しないことが予想される。
また、興味深いことには、血液浸潤のない患者(患者3、0.01mg/kg)において、抗腫瘍効果(皮膚中)が観察された。これは、IPH4102が、有意な血液浸潤のない緩徐進行性または早期CTCLを有する個体の処置に有用となることを示唆している。
さらに、IPH4102を静脈内で、さらには低量で、しかも、低用量および高用量にかかわらず、NK細胞(KIR3DL2を発現するNK細胞の有意な部分)の排除なしに投与することにより、皮膚疾患を処置することができれば、血液浸潤がある、もしくはない、且つ/または別の腫瘍負荷を有する患者に単一の投与レジメンを使用することができるため、有利である。CTCL患者の非常に広範な血液および皮膚腫瘍負荷にもかかわらず、IPH4102は、これらの高負荷患者における腫瘍細胞上のKIR3DL2を占有するのに必要となる量を下回る用量で、高い腫瘍負荷の場合であっても使用が有望であり、このことは、悪性細胞(たとえば、皮膚中)上のKIR3DL2の飽和を維持するために高い用量処置がこれらの患者に必要ではないこと、さらには、血液または皮膚腫瘍負荷のレベルとは無関係に、単一の非NK排除処置レジメンを使用できることを示唆している(組織中の十分な受容体占有の達成は、概して、循環中の十分な占有を達成するのに要する少なくとも10倍の抗体の血液濃度を必要とすると考えられる)。試験からの最終的な結果により、この初老且つ複数の治療歴を有する患者集団(n=25)において、IPH4102の優れた安全性プロフィールおよび有望な活性が確認された。1.5mg/kgの用量レベル以上(1.5、3、6および10mg/kg)で、どんな注射スケジュールであれ、血液腫瘍負荷とは無関係に全ての患者において、血液腫瘍細胞での飽和が達成された。それぞれ、セザリー症候群を有する20人の患者における客観的奏効率は、50%であり;ORR4(少なくとも4ヶ月超持続する奏功率)は40%であり、疾患制御率(DCR)は90%、奏功期間中央値(DOR)は、9.9ヶ月、無増悪生存率中央値(PFS)は、10.8ヶ月であった。データは、総合臨床奏功を有する患者だけではなく、安定を有する患者においても掻痒症に実質的な改善を示した。
本明細書において引用される刊行物、特許出願、および特許を含む全ての参考文献は、それらの全体が参照により、また、あたかもそれぞれの参考文献が、参照により組み込まれることが個々にかつ明確に示され、かつ本明細書においてその全体が示されるのと同じ程度まで(法律によって許可される最大限の程度まで)、本明細書において別記される特定の文献の組み込みが別々に提供されるにもかかわらず、本明細書に組み込まれる。
本発明を説明する文脈における用語「1つの(a)」および「1つの(an)」および「その(the)」ならびに類似する指示語の使用は、特に指定のない限りまたは文脈によって明らかに否定されない限り、単数および複数の両方を包含すると解釈されたい。
特に指定のない限り、本明細書において提供される厳密な値は全て、対応する近似値の代表である(たとえば、特定の因子または測定値に関して提供される全ての厳密な例示的な値は、適切な場合、「約」によって修飾される、対応する近似の測定値も提供すると考えることができる)。
要素に関して「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、または「含有する(containing)」などの用語を使用する本発明の任意の態様または実施形態の本明細書における記載は、特に指定のない限りまたは文脈によって明らかに否定されない限り、その特定の要素「からなる」、「から本質的になる」、または「を実質的に含む」本発明の類似する態様または実施形態について支持を提供することが意図される(たとえば、特定の要素を含むとして本明細書において記載される組成物はまた、特に指定のない限りまたは文脈によって明らかに否定されない限り、その要素からなる組成物を記載することが理解されるべきである)。
本明細書において提供されるあらゆる実施例または例示的な用語(たとえば「など」)の使用は、単に本発明をより明らかにすることが意図され、特に主張されない限り、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書中のいかなる用語も、本発明の実施にとって不可欠なものとして主張されていない要素を示すと解釈されるべきでない。

Claims (41)

  1. 血液浸潤を有する個体および血液浸潤のない患者の両方で有効な、組織症状を伴うT細胞悪性腫瘍の処置方法であって、前記方法が、T細胞悪性腫瘍を有する個体に、KIR3DL2ポリペプチドに結合して、KIR3DL2発現細胞のエフェクター細胞媒介性溶解を引き起こすことができる薬剤を、少なくとも1投与サイクルにわたって投与するステップを含み、ここで、前記薬剤は、前記薬剤の2回の連続した投与の間に、NK溶解能力として少なくともEC60、EC80、EC90、またはEC100の血中濃度を維持する量で、少なくとも2回投与される方法。
  2. 前記処置が、高い血液腫瘍負荷を有する個体および低い血液腫瘍負荷を有する個体の両方で有効である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記処置が、第1選択処置として使用される、請求項1〜2のいずれか1項に記載の方法。
  4. 前記個体が、骨髄移植または造血幹細胞移植を受けていない、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記薬剤が、静脈内投与される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記薬剤が、少なくとも4、6、8または10回投与され、任意選択で、連続した投与の間に、1週間〜1ヵ月ずつ間隔をあける、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記KIR3DL2ポリペプチドに結合する前記薬剤は、前記血中濃度が、少なくとも10週間、任意選択で少なくとも3ヶ月、任意選択で少なくとも6ヶ月にわたって維持されるような量および頻度で投与される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 組織症状を伴う前記T細胞悪性腫瘍が、CTCLである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記CTCLが、緩徐進行性CTCLまたはステージIIもしくはIIIのCTCLである、請求項8に記載の薬剤または方法。
  10. 前記処置または方法が、循環中1,000/μL未満のセザリー細胞を有する個体のT細胞増殖性疾患の処置または予防に使用される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記処置または方法が、循環中に検出可能なKIR3DL2発現悪性細胞が実質的にない個体のT細胞増殖性疾患の処置または予防に使用される、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記処置または方法が、高い血液腫瘍負荷、任意選択でB2末梢血液浸潤を有する個体のT細胞増殖性疾患の前記処置または予防に使用される、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記同じ投与レジメンが、ステージ2または3の菌状息肉症を有する個体のT細胞増殖性疾患の前記処置または予防に使用される、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 前記薬剤が、KIR3DL2ポリペプチドに特異的に結合し、ヒトCD16ポリペプチドに結合するヒトIgGアイソタイプのFcドメインを含む抗体である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 前記抗体が、ヒトγ1定常領域に融合した重鎖可変領域(VH)と、ヒトκ定常領域に融合した軽鎖可変領域(VL)とを含む完全長抗体である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 前記薬剤が、KIR3DL2ポリペプチドに特異的に結合し、抗KIR3DL2抗体による結合に利用可能な細胞表面KIR3DL2ポリペプチドの増加を引き起こすことができる抗体である、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
  17. 前記薬剤が、KIR3DL2ポリペプチドに特異的に結合し、ヒトIgG1アイソタイプ由来のFc領域を含み、健常なボランティア由来のPBMCによるHuT78腫瘍溶解についての51Cr−放出アッセイにおいて、(a)配列番号31のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、配列番号25もしくは26のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、およびヒトIgG1アイソタイプのFc領域を含む抗体のEC50の1−log未満もしくはそれ以内、ならびに/または(b)100ng/ml未満、任意選択で1〜100ng/mlである、EC50を特徴とする抗体である、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
  18. 前記抗体が、循環中、少なくとも0.4μg/ml、任意選択で少なくとも10μg/mlの濃度を維持する量で投与される、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
  19. 前記薬剤が、KIR3DL2ポリペプチドに特異的に結合する抗体であり、毎月1〜4回、0.75mg/kg〜10mg/kg、任意選択で特定の量で、任意選択で0.75mg/kg、1.5mg/kg、3mg/kg、6mg/kgおよび10mg/kg体重からなる群から選択される量で投与される、請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
  20. 前記処置の前に、毎月1〜2回投与の頻度、任意選択で毎月1回投与の頻度で、0.75mg/kg〜10mg/kg体重、任意選択で0.75mg/kg、1.5mg/kg、3mg/kg、6mg/kgおよび10mg/kg体重からなる群から選択される量で、複数回の連続した静脈内投与により、抗体を投与する導入期間(またはサイクル)が置かれる、請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法。
  21. 前記薬剤が、0.75mg/kg、1.5mg/kg、3mg/kg、6mg/kgおよび10mg/kg体重からなる群から選択される量で投与される、KIR3DL2ポリペプチドに特異的に結合する抗体であり、前記処置レジメンが、以下:
    前記量の前記抗体が、毎週1回投与の頻度で、複数回の連続した静脈内投与により投与される、導入期間(またはサイクル)、および
    前記量の前記抗体が、毎月1または2回投与の頻度で、複数回の連続した静脈内投与により投与される、処置期間
    を含む、請求項1〜20のいずれか1項に記載の方法。
  22. 投与毎に投与される抗体の量が、6mg/kgである、請求項1〜21のいずれか1項に記載の方法。
  23. 投与毎に投与される抗体の量が、10mg/kgである、請求項1〜21のいずれか1項に記載の方法。
  24. 前記個体が、皮膚にKIR3DL2を発現する病原性細胞を呈示する、請求項1〜23のいずれか1項に記載の方法。
  25. 前記疾患が、セザリー症候群、菌状息肉症またはNK/T細胞リンパ腫である、請求項1〜24のいずれか1項に記載の方法。
  26. 個体における前記処置または予防が、以下:
    a)2回の連続した薬剤投与の間に、所望のNK溶解能力のためのヒトの血中濃度、任意選択でNK溶解能力として少なくともEC10、EC60、EC80、EC90、またはEC100を維持する、KIR3DL2ポリペプチドに結合する薬剤の濃度を決定するステップ、および
    b)2回の連続した薬剤投与の間に、所望のNK溶解能力のための血中濃度を維持する任意の量および頻度で、KIR3DL2ポリペプチドに結合する前記薬剤を前記個体に投与するステップ
    を含む、CTCLの処置方法。
  27. 所望のNK溶解能力のためのヒトの血中濃度を維持する、KIR3DL2ポリペプチドに結合する薬剤の濃度を決定するステップが、51Cr放出アッセイで測定される通り、得られた最大腫瘍細胞のパーセンテージにより、健常なドナー由来のNK細胞およびHUT78腫瘍細胞を用いたインビトロ細胞傷害性アッセイにおいて薬剤をアッセイすることを含む、請求項26に記載の方法。
  28. 前記薬剤による処置の前に、血中のKIR3DL2発現悪性細胞を検出するステップの非存在を特徴とする、請求項1〜27のいずれか1項に記載の方法。
  29. 前記疾患が、CD4T細胞癌である、請求項1〜28のいずれか1項に記載の方法。
  30. 前記疾患が、CTCLである、請求項1〜29のいずれか1項に記載の方法。
  31. KIR3DL2ポリペプチドに結合する前記薬剤が、ヒトKIR3DL2ポリペプチドに対する結合について、抗体10F6、2B12、18C6、9E10、10G5、13H1、5H1、1E2、1C3または20E9と競合する、請求項1〜30のいずれか1項に記載の方法。
  32. 前記抗KIR3DL2剤が、KIR3DL2発現細胞中のKIR3DL2の細胞内取込みを実質的に増大または誘導しない、請求項1〜31のいずれか1項に記載の方法。
  33. 前記抗KIR3DL2剤が、任意選択で膜結合KIR3DL2の安定化によって、KIR3DL2発現細胞の表面でKIR3DL2発現の増大を引き起こすことができる、請求項1〜32のいずれか1項に記載の方法。
  34. 前記抗KIR3DL2剤が、KIR3DL2とその天然リガンドとの相互作用を妨害し、任意選択で、前記リガンドは、HLAタンパク質、任意選択でHLA−B27タンパク質である、請求項1〜33のいずれか1項に記載の方法。
  35. 前記抗KIR3DL2剤が、ヒトKIR3DL2に結合するが、ヒトKIR3DL1には結合しない、請求項1〜34のいずれか1項に記載の方法。
  36. 前記抗KIR3DL2剤が、ヒトKIR3DL2のD0またはD1ドメインに結合する、請求項1〜35のいずれか一項に記載の方法。
  37. 前記抗KIR3DL2抗体は、配列番号1の野生型KIR3DL2ポリペプチドと比較して、残基P179および/または残基S181に突然変異を有するKIR3DL2ポリペプチドへの結合が低下している、請求項1〜36のいずれか一項に記載の薬剤または方法。
  38. 前記抗KIR3DL2抗体は、配列番号1の野生型KIR3DL2ポリペプチドと比較して、残基I60および/または残基G62に突然変異を有するKIR3DL2ポリペプチドへの結合が低下している、請求項1〜36のいずれか一項に記載の方法。
  39. 前記抗体が、Kabatナンバリングに従い、抗体10F6、2B12、18C6、9E10、10G5、13H1、5H1、1E2、1C3または20E9のいずれかのVLおよびVH CDR1、2および3を含む、請求項1〜38のいずれか1項に記載の方法。
  40. 前記薬剤が、以下:(a)配列番号2(HCDR1)、配列番号3(HCDR2)および配列番号4(HCDR3)の配列をそれぞれ含む重鎖CDR1、2および3(HCDR1、HCDR2、HCDR3)、ならびに配列番号5(LCDR1)、6(LCDR2)および7(LCDR3)をそれぞれ含む軽鎖CDR1、2および3(LCDR1、LCDR2、LCDR3)、または(b)配列番号18(HCDR1)、配列番号19(HCDR2)および配列番号20(HCDR3)の配列をそれぞれ含む重鎖CDR1、2および3(HCDR1、HCDR2、HCDR3)、ならびに配列番号21(LCDR1)、22(LCDR2)もしくは23(LCDR3)をそれぞれ含む軽鎖CDR1、2および3(LCDR1、LCDR2、LCDR3)を含む、請求項1〜39のいずれか1項に記載の方法。
  41. 前記薬剤が、以下:
    (a)配列番号31のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む抗体;ならびに
    (b)配列番号31のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;および配列番号26のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
    からなる群から選択される抗体である、請求項1〜40のいずれか1項に記載の方法。
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