JP2020500153A - 抗pl2l60タンパク質抗体の抗腫瘍薬の製造における応用及び腫瘍治療方法 - Google Patents

抗pl2l60タンパク質抗体の抗腫瘍薬の製造における応用及び腫瘍治療方法 Download PDF

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Abstract

本公開は医薬技術分野に関し、PIWIL2遺伝子の異常発現を阻害する試薬及び抗PIWIL2遺伝子異常発現タンパク質抗体の、抗腫瘍薬の製造における応用を提供する。本公開はさらに抗腫瘍医薬組成物及び腫瘍治療方法を提供する。実験によって、接種するときにKAO3でヒト又はマウス腫瘍細胞を処理すると、マウス腫瘍の発生を効果的に阻害できることが確認される。また、KAO3を作成したリンパ腫、乳癌、肺癌及び子宮頸部癌に注射すると、腫瘍成長を著しく阻害し、担癌マウスの生存を延長させることができる。KAO3による阻害効果は腫瘍細胞表面で発現させたKAO3特異的抗原と関連する。KAO3はG2/M期に細胞周期を停滞させ、DNA合成を阻害し、補体を活性化させることで腫瘍アポトーシスを誘導する。従って、抗PL2L60 mAb(KAO3)は、癌を治療するための候補治療薬として期待できる。【選択図】図1

Description

本公開は生物医薬分野に属し、PIWIL2遺伝子の異常発現を阻害する試薬、抗PIWIL2遺伝子異常発現タンパク質抗体の抗腫瘍薬の製造における応用に関し、具体的には、抗PL2L60タンパク質抗体の抗腫瘍薬の製造における応用、及び上記試薬又は抗体を含む医薬組成物、並びに腫瘍治療方法に関する。
本願は、2017年09月07日に中国特許庁に提出された出願番号が201710800022.X、名称が「抗PL2L60タンパク質抗体の抗腫瘍薬の製造における応用」の中国特許出願の優先権を主張し、その全内容が本願の一部として援用される。
「癌免疫治療」は、免疫学原理及び方法を利用して、腫瘍細胞の免疫原性及びエフェクター細胞の死滅に対する感受性を向上させ、生体の抗腫瘍免疫応答を活性化・強化させて、免疫細胞及びエフェクター分子を宿主体内に注入し、生体の免疫系とともに腫瘍を殺滅して、腫瘍成長を阻害し、様々な癌に対して良好な治療効果を有するため、注目を集めている。
しかし、癌免疫治療のターゲットは大部分が個別化されるものであり、ほとんどのターゲットは、すべての種類の癌でなく、少数の癌のみに分布する。また、これらの分子ターゲットは、癌特異的ではなく、正常細胞の機能にも必須である。従って、従来の免疫治療のボトルネックは、造血及び固形癌で広く発現されている特異的でかつ広域スペクトルを有するターゲット又は抗原の欠如である。
本公開の目的は、PIWIL2遺伝子の異常発現を阻害する試薬の抗腫瘍薬の製造における応用、抗PIWIL2遺伝子異常発現タンパク質抗体の抗腫瘍薬の製造における応用、及び新規な抗腫瘍医薬組成物、並びに腫瘍治療方法を提供することを含む。
本公開の上記目的のうちの少なくとも1つの目的を達成させるために、本公開は、以下の技術案を用いることができる。
本公開の第1形態は、PIWIL2遺伝子の異常発現を阻害する試薬の抗腫瘍薬の製造における応用を提供することを含む。
本公開の第2形態は、抗PIWIL2遺伝子異常発現タンパク質抗体の抗腫瘍薬の製造における応用を提供することを含む。
上記抗腫瘍薬はリンパ腫、黒色腫、乳癌、肺癌、肝癌、膀胱癌、子宮頸部癌、前立腺癌、胃癌、白血病、結腸直腸癌、結腸癌、卵巣癌又は精巣生殖細胞腫瘍の抗腫瘍薬を含む。
さらに、本公開に係る抗PIWIL2遺伝子異常発現タンパク質抗体は抗PL2Lタンパク質抗体であり、たとえば抗PL2L80、PL2L80A、PL2L60、PL2L60A、PL2L50又はPL2L40タンパク質抗体であり、好ましくは抗PL2L60タンパク質抗体である。
上記変異体において、PL2L60は、主に前癌幹細胞(pCSCs)及び各種類のヒト及びマウス腫瘍細胞系に発現され、発現レベルが全長PIWIL2より遥かに高い。PL2L60はSTAT3及びBCL2遺伝子をアップレギュレートして腫瘍細胞の生存及び増殖をインビトロで促進してもよく、NF−κBとともに腫瘍の発生を促進してもよく、これは各種の組織における腫瘍発展の共通経路を示す可能性がある。重要なことは、PL2L60から誘導されるペプチドは各種タイプの癌に対する強い免疫源とすることができることである。研究の結果から示されるように、PL2Lタンパク質、特に抗PL2L60モノクローナル抗体は、癌細胞アポトーシスを直接誘導したり、細胞増殖を阻害したり、細胞周期を停滞させたりするという独特な能力を示し、また、PL2L60タンパク質は、pCSCにより誘導されて腫瘍免疫(NOTI)を自然発生させるターゲットの1つであり、癌免疫治療の一般的なターゲットである可能性がある。
さらに、本公開に係る抗PL2L60タンパク質抗体は、好ましくは、配列がSEQ ID NO:1に示されるKAO3モノクローナル抗体である。
さらに、PL2L60タンパク質がSTAT3及びBCL2遺伝子をアップレギュレートすることで腫瘍細胞の生存及び増殖をインビトロで促進できるため、抗PL2L60タンパク質抗体は、STAT3又はBCL2遺伝子活性化を阻害する抗体である。
さらに、KAO3抗体は、PL2Lタンパク質に対して特異的なCRA−T細胞を製造することが期待できる。
本公開の第3形態は、PIWIL2遺伝子の異常発現を阻害する試薬と、薬学的に許容されるアジュバントとで構成されてもよく、抗PIWIL2遺伝子異常発現タンパク質抗体と、薬学的に許容されるアジュバントとで構成されてもよい抗腫瘍医薬組成物を提供することを含む。
本公開の第4形態は、PIWIL2遺伝子の異常発現を阻害することを含む腫瘍治療方法を提供することを含む。
上記腫瘍治療方法では、好ましくは、配列がSEQ ID NO:1に示されるKAO3モノクローナル抗体でPIWIL2遺伝子の異常発現を阻害する。
腫瘍は、リンパ腫、黒色腫、乳癌、肺癌、肝癌、膀胱癌、子宮頸部癌、前立腺癌、胃癌、白血病、結腸直腸癌、結腸癌、卵巣癌及び精巣生殖細胞腫瘍のうちのいずれか1種を含み得る。
本公開の作用と効果は以下を含む。
本公開は、大量の実験により、PL2Lタンパク質が各種タイプの癌において幅広く発現しているため、固形及び造血幹細胞の免疫治療の広域スペクトルターゲットとして好ましいことを確認し、各種タイプのPL2Lタンパク質から、癌細胞アポトーシスを直接誘導したり、細胞増殖、細胞周期を阻害したりする独特な能力を発現できるPL2L60タンパク質を取得するとともに、該タンパク質については抗PL2L60 mAb(KAO3)を研究した。
実験した結果、接種するときにKAO3でヒト又はマウス腫瘍細胞を処理するとマウス腫瘍の発生を効果的に阻害できる。また、KAO3を作成したリンパ腫、乳癌、肺癌及び子宮頸部癌等に注射すると、腫瘍成長を著しく阻害し、担癌マウスの生存を延長させることができる。KAO3の阻害効果は腫瘍細胞表面で発現させたKAO3特異的抗原と関連する。KAO3はG2/M期で細胞周期を停滞させ、DNA合成を阻害し、且つ補体を活性化させることで腫瘍アポトーシスを誘導する。従って、抗PL2L60 mAb(KAO3)は、癌を治療する候補治療薬として期待できる。
従って、本公開は、抗PL2L60 mAbで抗腫瘍薬を製造するために新しい根拠を提供する。
PL2L60タンパク質の癌細胞における発現の結果である。(A)は、フローサイトメーターにより測定した抗PL2L60モノクローナル抗体の結合活性の結果であり、平板で培養した細胞系(2C4、326t−4、MDA−MB−231、A549及びHeLa)表面PL2L60タンパク質の発現をフローサイトメーターで分析する。cells tripperで細胞を収穫し、4℃条件においてPL2L60mAbで1時間染色し、次にAPC抱合ヤギ抗マウスIgMで染色し、BD C6ソフトウェアを用いて分析する。(B)は免疫蛍光染色により検出したPL2L60の腫瘍細胞表面における発現である。(C)は免疫蛍光染色により検出したPL2L60の癌細胞系における細胞内発現である。(D)及び(E)は、Western blottingで平板における癌細胞PL2L60タンパク質の発現を分析した免疫ブロットの結果である。マウスB16細胞系はLLC、E14、326t−4及び2C4を含み、ヒト細胞系はHCT116、HeLa、HepG2、A549及びMDA−MB−231を含む。(F−G)はマウス及びヒト腫瘍細胞株のPL2L60タンパク質発現の定量的分析である。 抗PL2L60 mAb KAO3による癌細胞増殖のインビトロ阻害及びアポトーシス誘導である。(A)は、位相差顕微鏡下で観察したmAb KAO3で48時間処理した後の癌細胞の形態であり、バーは25μmを示す。(B)は抗PL2L60モノクローナル抗体を48時間処理した後の癌細胞をフローサイトメトリーで分析したものである。(C)は抗PL2L60 mAbの48時間培養終了時の癌細胞に対する阻害作用である。(D)はmAb KAO3上清(μl/ml)による癌細胞アポトーシス誘導の用量依存性作用の概要である。 細胞周期の分布図である。(A)は2C4、326T−4、MDA−MB−231、A549 and HeLa 細胞系をKAO3で処理した後の細胞周期の分布図であり、(B)は対照群及び治療群のG0/G1期の細胞比率比較である。(C)はS期の細胞比率であり、(D)はG2/M期の細胞比率である。 癌細胞のKAO3前処理による腫瘍発生率への影響である。(A)−(E)はそれぞれ、2C4、326T−4、MDA−MB−231、A549 and HeLa細胞系をKAO3で前処理及びIgGで対照前処理した後の腫瘍発生率である(*はp<0.05、***はp<0.001である)。 KAO3で異なる段階の担癌マウスを処理する効果である。(A、D、G、J及びM)はKAO3培養上清で前処理し又は培地(R10F)を対照として前処理した癌細胞を接種したマウスの腫瘍大きさであり、次に対照治療を施す。A:2C4、D:326T−4、G:MDA−MB−231、J:A549、M:HeLa。(B、E、H、K、and N)は、培地(R10F)を対照として前処理した癌細胞を接種したマウスの腫瘍大きさであり、次にKAO3又は対照治療を施す。B:2C4、E:326T−4、H:MDA−MB−231、K:A549、N:HeLa。(C、F、I、L、O)はKAO3で前処理した癌細胞を接種したマウスの腫瘍大きさであり、次にKAO3又は対照治療を施す。C:2C4、F:326T−4、I:MDA−MB−231、L:A549、O:HeLa。(P)は異なる処理済みの腫瘍細胞の大きさである。2C4:35日、326T−4:30日、MDA−MB−231:100日、A549:100日、HeLa:100日。 補体依存細胞毒性(CDC)実験の分析結果である。CDC実験は本公開に説明された5種の細胞において行われ、(A)はPI陽性細胞の棒グラフである。(B)はPI陽性細胞の統計的分析である。死亡細胞の百分率は抗PL2L60 mAbの抗腫瘍効果と正相関する。マウスpCSCs 2C4及びヒト乳癌細胞系MDA−MB−231はCDC実験において最も強い腫瘍溶解作用を示し、マウスリンパ腫細胞系326T−4及びヒト肺癌細胞系A549はそれに次いでいる。ヒト子宮頸部癌細胞系HeLaのCDC効果は最も弱い。
本発明の実施例の目的、技術案及び利点をより明瞭にするために、以下、本公開の実施例における技術案を明瞭且つ完全に説明する。実施例において具体的な条件が明記されていない限り、通常の条件又は製造商が推薦する条件に従って行う。使用される試薬又は器械について、生産メーカーが明記されていない限り、いずれも市販される通常製品として購入できる。
以下、実施例及び図面を参照しながら、本公開について詳細に説明するが、下記実施例は本公開の範囲を限定するためのものでない。
本公開は、主にPIWIL2遺伝子の異常発現を阻害する試薬の抗腫瘍薬の製造における応用、及び抗PIWIL2遺伝子異常発現タンパク質抗体の抗腫瘍薬の製造における応用に関する。
上記PIWIL2は、通常、精巣に発現されるが、DNA損害後には体細胞に活性化されて、クロマチン再構築によりDNA修復を促進し得る、従って、幹細胞の自己再生及び維持において重要な役割を果たす。乳癌、肺癌、肝癌、膀胱癌、子宮頸部癌、前立腺癌、胃癌、白血病、結腸直腸癌、結腸癌、卵巣癌及び精巣生殖細胞腫瘍を含む各種の原発性腫瘍及び腫瘍細胞系においては、PIWIL2遺伝子の異常発現は観察された。
PIWIL2は、複数種のシグナル伝達経路を調整することで腫瘍の発生を促進し、Stat3/Bcl−XL経路の活性化により腫瘍細胞のアポトーシスや死亡を阻害することができる。しかしながら、市販品として入手するほとんどのPIWIL2特異的抗体はその変異体から全長PIWIL2を識別できない。なお、原発性乳癌及び子宮頸部癌の場合、全長PIWIL2タンパク質は主にアポトーシス性腫瘍細胞に検出されるが、生体の腫瘍細胞では検出されていない。それに対して、PIWIL2の変異体PL2Lタンパク質(例えばPL2L60)は、各種タイプの腫瘍組織及び腫瘍細胞系に大量で検出され、それは、PIWIL2の腫瘍形成機能が主にPIWIL2変異体媒介性であることを示す。
PIWIL2は、PL2L80、PL2L80A、PL2L60、PL2L60A、PL2L50及びPL2L40等のタンパク質を含む複数種の変異体を有する。いくつかの変異体は、標準的なプロモーターでなく、遺伝子内のプロモータにより転写されるようである。全長PIWIL2がDNA修復を媒介して、腫瘍発生初期のバリア遺伝子として作用し、腫瘍組織におけるアポトーシス性細胞死を促進できるが、PL2L60及びPL2L60Aなどのその変異体は腫瘍発生を促進できる。上記変異体のうち、PL2L60は主に前癌性幹細胞(pCSCs)及び各種タイプのヒトとマウスの腫瘍細胞系において発現され、レベルが全長PIWIL2より遥かに高い。インビトロ実験では、PL2L60はSTAT3及びBCL2遺伝子をアップレギュレートすることで、腫瘍細胞の生存及び増殖を促進する。NF−κBととともに腫瘍発生を促進することもでき、各種タイプの組織の腫瘍発展の共通経路である可能性がある。重要なことは、PL2L60から誘導されたペプチドが各種タイプの癌を標的とする強免疫原とすることができることである。また、PL2L60は、マウスの精巣細胞においても検出されることから、その配偶子発生又は発育での作用が示される。
発明者は、異化活性化したPIWIL2遺伝子の産物−PIWIL2(PL2L60)様タンパク質が広く各種の造血及び固形腫瘍において発現され、腫瘍細胞の増殖を促進してアポトーシスを阻害することで腫瘍の発生を媒介する。
従って、PIWIL2遺伝子の異常発現を阻害することで腫瘍を治療できる。つまり、PIWIL2遺伝子の異常発現を阻害する試薬又は抗PIWIL2遺伝子異常発現タンパク質抗体を抗腫瘍薬の製造に適用できる。
好ましくは、本公開に係る抗PIWIL2遺伝子異常発現タンパク質抗体はPL2Lタンパク質抗体であり、たとえば抗PL2L80、PL2L80A、PL2L60、PL2L60A、PL2L50及びPL2L40タンパク質抗体のうちの少なくとも1種を含み得る。
好ましくは、本公開に係る抗PIWIL2遺伝子異常発現タンパク質抗体は抗PL2L60タンパク質抗体である。
本公開の発明者は、主にPIWIL2に対する、mAb KAO1、mAb KAO2、及びmAb KAO3という3種のモノクローナル抗体(mAbs)を研究・開発した。免疫組織化学的染色測定及びタンパク質ブロッティング分析では、mAb KAO2及びmAb KAO3はPL2L60に対してmAbKAO1よりも強い親和力を有するものの、mAbKAO3はPL2L60に専用的に対するものであるため、癌を治療する候補治療薬として期待できるとされる。従って、本公開に用いる抗PL2L60タンパク質抗体は、好ましくは配列がSEQ ID NO:1に示されるKAO3モノクローナル抗体である。
また、本公開に係る抗PL2L60タンパク質抗体はSTAT3又はBCL2遺伝子活性化を阻害する抗体であってもよい。
さらに、本公開はさらに、たとえば上記PIWIL2遺伝子の異常発現を阻害する試薬と薬学的に許容されるアジュバントとで構成されてもよく、上記抗PIWIL2遺伝子異常発現タンパク質抗体と薬学的に許容されるアジュバントとで構成されてもよい抗腫瘍医薬組成物を提供する。
薬学的に許容されるアジュバントは薬物の生産及び処方の配合に使用される賦形剤及び添加剤であり、活性成分以外、薬物製剤に含まれる物質である。薬用アジュバントは、成形、担体、安定性向上以外、可溶化、溶解促進、徐放・放出制御等の重要な機能を有する。
好ましくは、薬用アジュバントは、たとえば充填剤、希釈剤、湿潤剤、接着剤、崩壊剤、潤滑剤、コーティング材、滴丸マトリックス及び凝縮液のうちの少なくとも1種を含み得る。具体的には、澱粉、デキストリン、乳糖、微結晶性セルロース、糖アルコール、エタノール、ゴムセメント、ポリエチレングリコール、メチルセルロース、カルボキシメチルスターチナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、アエロジル、タルカムパウダ及びクエン酸トリエチル等が挙げられる。
医薬組成物における抗体として、上記抗PL2Lタンパク質抗体が挙げられ、好ましくはKAO3モノクローナル抗体である。且つ、抗PL2Lタンパク質抗体は、PL2L60を標的とし及び/又はSTAT3及びBCL2を阻害する治療用抗体であってもよい。
なお、本公開に係る医薬組成物における抗体のアミノ酸配列はSEQ ID NO:1に示される配列、及び/又は複数アミノ酸残基の置換及び/又は欠失及び/又は添加により得られ且つSEQ ID NO:1と同じ生物学的活性を有する派生配列を含み得る。
また、本公開はさらに、PIWIL2遺伝子の異常発現を阻害することを含む腫瘍治療方法を提供する。好ましくは、上記KAO3モノクローナル抗体でPIWIL2遺伝子の異常発現を阻害する。ここでの腫瘍は、リンパ腫、黒色腫、乳癌、肺癌、肝癌、膀胱癌、子宮頸部癌、前立腺癌、胃癌、白血病、結腸直腸癌、結腸癌、卵巣癌及び精巣生殖細胞腫瘍のうちのいずれか1種を含む。
下記実施例において具体的な条件が明記されていない実験方法は、一般的には、通常の条件、又は製造メーカーにより推薦される条件に従って行われる。特に記載のない限り、物質の百分率及び部数はいずれも体積基準である。
本公開に用いる材料は以下のとおりである。
重症複合免疫不全(SCID)マウス:8〜12週齢のマウスを用いて、これらマウスは動物無害化施設に飼育される。
ヒト細胞系:ヒト乳癌細胞系MDA−MB−231、ヒト肺癌細胞系A549及びヒト子宮頸部癌細胞系HeLaはすべてアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC、Manassas、VA、USA)から入手される。細胞を10%のウシ胎仔血清(Gibco)及び0.1mg/mlのペニシリン−ストレプトマイシン(Gibco)が添加された補充されたDMEM(Gibco)に保存する。
マウスリンパ腫細胞系2C4及び326T−4は実験室において自ら製造される:細胞をCO2(v/v)5%を含む加湿インキュベーターに入れ、37℃でR10F(RPMI 1640に10mmol/Lのウシ胎仔血清を加え、5mmol/Lのグルタミン、50mmol/Lの2−メチルアセトフェノン、100U/mLのペニシリン及び100mg/mlのストレプトマイシンを補充する)に保存する。
抗PL2L60モノクローナル抗体(KAO3mAb、アイソタイプIgM)は、モノクローナル抗体の製造フローに従って実験室において自ら製造されるものであり、配列がSEQ ID NO:1に示される。
参照として、本公開におけるモノクローナル抗体の製造フローはたとえば(1)〜(5)を含む。
(1)動物免疫
動物免疫は、標的抗原でマウスを免疫して、マウスに感作Bリンパ細胞を発生させる過程である。一般的に6−8週齢のメスBalb/cマウスを用い、あらかじめ定められた免疫プログラムに従って免疫注射を行う。抗原は血液循環又はリンパ循環を介して末梢免疫器に入り、対応したBリンパ細胞がクローン、活性化、増殖、分化をして、感作Bリンパ細胞となるように刺激する。
(2)細胞融合
二酸化炭素ガスでマウスを殺して、無菌操作で脾臓を取り出し、平皿内で押して粉砕し、脾臓細胞懸濁液を調製する。用意した同系骨髄腫細胞とマウス脾臓細胞を所定比率で混合して、融和促進剤であるポリエチレングリコールを加える。ポリエチレングリコールの作用下で、各種のリンパ細胞が骨髄腫細胞と融和してハイブリドーマ細胞を形成する。
(3)選択的培養
選択的培養の目的は、融和したハイブリドーマ細胞をスクリーニングすることであり、好ましくは、たとえばHAT選択的培地を用いることができる。HAT培地において、融和していない骨髄腫細胞はヒポキサンチン−グアニンホスホリボシル基転移酵素がなく、挽回方法でDNAを合成できないため、死亡する。融和していないリンパ細胞はヒポキサンチン−グアニンホスホリボシル基転移酵素を有するが、それ自体がインビトロで長期的に生存できないため徐々に死亡する。融和したハイブリドーマ細胞だけは、脾臓細胞からヒポキサンチン−グアニンホスホリボシル基転移酵素を取得し、且つ骨髄腫細胞の無限増殖の特性を有するため、HAT培地において生存して増殖できる。
(4)ハイブリドーマ陽性クローンのスクリーニング及びクローン化
HAT培地に成長したハイブリドーマ細胞は、少数だけが所定の特異的モノクローナル抗体を分泌する細胞であることから、スクリーニング及びクローン化を行わなければならない。好ましくは、たとえば制限希釈法でハイブリドーマ細胞のクローン化培養を行うことができる。柔軟、迅速且つ特異的な免疫学方法を用いて、所要のモノクローナル抗体を生産できる陽性ハイブリドーマ細胞をスクリーニングして、クローン増幅を行う。それが分泌したモノクローナル抗体の免疫グロブリンクラス、サブクラス、特異性、親和力を全面的に同定し、抗原のエピトープ及びその分子量を認識した後、タイムリーに凍結保存する。
(5)モノクローナル抗体の大量製造
モノクローナル抗体を大量で製造する場合、動物インビボ誘導法及びインビトロ培養法を用いることができる。インビボ誘導法は以下を含む。Balb/cマウスを用いて、まず0.5mlの液体パラフィン又はプリスタンを腹腔内注射して前処理する。1−2週間後、ハイブリドーマ細胞を腹腔内接種する。ハイブリドーマ細胞がマウス腹腔内で増殖してモノクローナル抗体を発生させて分泌する。約1−2週間後、マウス腹部が膨張する。射出器で腹水を抽出し、大量のモノクローナル抗体を取得する。また、インビトロ培養法は以下を含む。ハイブリドーマ細胞を培養瓶に入れて培養する。培養過程において、ハイブリドーマ細胞がモノクローナル抗体を発生させて分泌し、培養上清を収集し、細胞及びその破片を遠心除去して、所要のモノクローナル抗体は得られ得る。
本公開の発明者はPIWIL2に対する、mAb KAO1、mAb KAO2、及びmAb KAO3という合計3種のモノクローナル抗体(mAbs)を研究・開発した。mAbKAO3がPL2L60専用であるため、以下の分析方法はいずれも好ましくはKAO3モノクローナル抗体を用いる。
以下、本公開に用いる分析方法及び実験結果について詳細に説明する。
一、分析方法
フローサイトメーター分析
参照として、たとえば0.25%のトリプシン−EDTA(1mM、Invitrogen)を用いて癌細胞を1−3分間解離し、セルソーティング緩衝液(1%のウシ胎仔血清を含むPBS)で細胞を洗浄し、次に4℃で抗PL2L60mAbsで1時間インキュベートする。細胞とフィコエリトリン抱合ヤギ抗マウスIgM(1:250希釈、Bioligend)を4℃で30分間インキュベートする。最終的に洗浄した後、細胞を1%のFBSを含むPBSで再懸濁させて、フローサイトメトリー(BD、San Jose、CA、USA)により分析する。細胞表面及び細胞内を蛍光抗体法で染色する。
表面を染色して、腫瘍細胞を収集し、PBSに腫瘍細胞を再懸濁させて、細胞濃度を5×106/mlにし、細胞懸濁液(1×10個の細胞/ウェル)0.2mLを96ウェルプレートに加える。細胞を(1000rpm、5分間)回転させて上清を捨てる。PBS 100μLに抗PL2L60モノクローナル抗体KAO3を加えて、5秒間回転させる。サンプルを4℃で30分間インキュベートする。PBSで細胞を2回洗浄する。上清を捨てて、1%パラホルムアルデヒドを含む100μlPBSを各ウェルに加えて、細胞を固定する。
細胞内染色の場合、カバースリップに培養した腫瘍細胞を2%パラホルムアルデヒドにおいて20分間固定し、次に洗浄し、その後、1%ウシ血清アルブミンを含むPBSで30分間ブロッキングする。室温下で、細胞と抗−PL2L60mAb(KAO3、1:100希釈)を1%ウシ血清アルブミンにおいてインキュベートする。1時間インキュベートした後、細胞を洗浄してFITCヤギ抗マウス抗体(IgM、Bioligend)とともにインキュベートする。染色剤、たとえば4′,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール二塩酸塩(DAPI、1:500)で細胞核を染色する。
Western blot
トリプシンで収穫する前、細胞サンプルを冷たいPBSで2回洗浄し、次にタンパク質で試薬分解細胞を抽出する。BCAタンパク質測定キット(Beyotime、Shanghai、China)を用いて全細胞分解物の総タンパク質濃度を測定し、次に12%ポリアクリルアミドゲルでタンパク質を分離し、ポリフッかビニリデン膜に移す。
TBS/ツイーン20(TBST)において5%ウシ血清アルブミン(BSA)を用いてブロッキングした後、4℃で特異的一次抗体を用いて一晩インキュベートし、TBS−Tで膜を5分間洗浄し、洗浄を3回繰り返す。次に、膜とセイヨウワサビペルオキシダーゼ抱合抗マウスIgM二次抗体(Santa Cruz Biotechnology,Santa Cruz,CA,USA)を室温下で1時間インキュベートし、次にTBSTで5分間洗浄して3回繰り返す。次にECL化学発光検出システム(Bio−Rad)で膜を分析する。
本研究には、抗PIWIL2ポリクローナル抗体(発明者のチームで製造される)抗体を用い、且つ画像がKodak Imaging Station 2000R(Eastman Kodak、USA)により取得される。
CCK−8分析
CCK−8分析(Dojindo,Japan)により抗PL2L60mAb(KAO3)による細胞活性への影響を評定する。CCK−8測定を行うために、細胞と濃度勾配(1、2、4及び8μg/ml)を有するKAO3とを最終体積200μLの10%FBS含有培地において混合し、同じ濃度のIgGを対照として用いる。次に、連続的に希釈したPL2L60抗体又は対照IgGを2×10個の細胞/ウェルの密度で平底96ウェルプレートに接種する。48時間インキュベートした後、CCK−8試薬10μLを96ウェル測定プレート(ウェルに新鮮なフェノールスルホンフタレインなし培地100μLが含まれる)の各ウェルに移し、プレートを37℃、5%COの湿潤雰囲気に1−4時間インキュベートする。次にSpectraR Max M5シリーズ(Molecular Devices)を用いて490nmでの吸光度(A)を記録する。
(Aサンプル−A空白)/(A対照−A空白)×100%により細胞活性を計算する。実験ごとに少なくとも3回繰り返し、実験ごとに3つの反復を設定する。
アポトーシス測定
KAO3で24時間処理した後、細胞を収穫して予備冷却したPBSで2回洗浄する。IgG2aアイソタイプ対照(Biolegend)を希釈し、次にアネキシンV(Biolegend)及びヨウ化プロピジウム(Sigma)を含む混合物を結合緩衝液において暗所で15分間インキュベートする。アネキシンV−APC及びPIでアポトーシス細胞を検出して、フローサイトメーター(BD、C6)を用いて分析する。初期のアポトーシス細胞をAnnexin V−APCアポトーシス検出キット(Biolegend)で測定する。ヨウ化プロピジウム(PI、Sigma)で染色してアポトーシス細胞核を検出する。合計3回の独立実験を行う。
細胞周期分析
細胞を冷凍した75%エタノールに固定して、PBSにおいて、100μg/mlリボ核酸酵素(Tiangen Biotech)と50μg/mL PI(Biolegend)を含有するヨウ化プロピジウム(PI)溶液で細胞周期分析染色を行い、細胞周期の各段階の細胞百分率をC6フローサイトメーター(BD)で測定する。
抗腫瘍実験
細胞(PBS 200μLあたりの細胞濃度が5×10である)をSCIDマウスの鼠蹊部に注射する。腫瘍が発生した後、担癌マウスを、群1、対照→対照群、群2、対照→KAO3、群3、KAO3→対照群、群4、KAO3→KAO3という4群にランダムに分ける。KAO3又はアイソタイプIgGを2週間原位置で注射する。2日おきにノギスで腫瘍の長さ及び幅を測定し、腫瘍の直径が2cmになると、マウスを安楽死させる。
補体依存性細胞毒性(CDC)分析
補体依存性細胞毒性(CDC)の標的細胞を5×10個の細胞/ウェルの濃度で平板に接種する。テスト抗体を所定の最終濃度で活性化又は熱不活性化(60℃、30分間)したヒト血清(25%最終血清濃度、Pathway Diagnostics、Dorking、UK)に加える。
平板を37℃で3時間インキュベートし、次に細胞活性試薬を加える。Triton1 X−100を対照細胞のウェルに加えて最大分解コントロールを作成する。37℃で1時間インキュベートした後、蛍光顕微鏡(Olymplus、Japan)により蛍光を測定する。
あらゆる実験データは少なくとも3回の独立実験から取得される。実験数値は平均値±標準偏差(SD)の形として示され、実験群と対応する対照をstudent tテスト(Student’s t−test)で比較する。3群以上の群を一元配置分散分析(ANOVA)で比較する。p値が0.05より小さいと、差は有意であるとみなされる。*はp値<0.05、**はp値<0.01、***はp値<0.001を示す。Kaplan−Meier生存曲線を用いて生存分析を行い、ログランクテストでテスト群間の有意差をテストし、Spearmanで相関係数を分析して測定する。
なお、上記分析方法における分析パラメータ、分析条件及び使用される試薬等はいずれも実験の具体的な条件及び状況に応じて適切に調整できる。
二、実験結果
タンパク質の癌細胞での発現
免疫組織化学的検出により、原発性乳癌及び子宮頸部癌の場合、全長PIWIL2タンパク質は主にアポトーシス性腫瘍細胞において検出されるが、生体腫瘍細胞にはほぼ検出されていない。それに対して、PIWIL2変異体PL2Lタンパク質(例えばPL2L60)は各種タイプの腫瘍組織及び腫瘍細胞系において大量で検出され、それは、PIWIL2の腫瘍形成機能が主にPIWIL2変異体で媒介される可能性があることを示す。従って、PL2Lタンパク質は、各種タイプの癌に幅広く発現されるため、固形及び造血幹細胞の免疫治療の広域スペクトルターゲットとして理想的である。
この仮説を検証するために、まず、モノクローナル抗体(mAb KAO3)でヒトとマウスの相同のPIWIL2ペプチドついて、PL2Lタンパク質の各種タイプの腫瘍細胞系の細胞表面での発現を研究する。細胞質以外、マウス造血前癌幹細胞(pCSCs)系2C4、癌幹細胞(CSC)系326T−4及びヒト乳癌細胞系MDA−MB−231、肺癌細胞系A549及び子宮頸部癌細胞系HeLaを含む腫瘍細胞系の表面に、PL2Lタンパク質はフローサイトメトリー及び蛍光顕微鏡(図1A−B)により検出される。
細胞内の蛍光抗体法分析(図1C)を行ったところ、Pl2L60タンパク質は主に各種タイプのヒト及びマウスの腫瘍細胞の細胞質に発現されており、異なる癌細胞には有意差がない。タンパク質ブロッティング(Western blotting)データに示されるように、PL2L60総タンパク質は、各種タイプのヒト及びマウスの腫瘍細胞系に高発現されており、pCSCs 2C4の細胞質での発現量が最も高い(図1D−G)。
KAO3 mAbの細胞毒性
インビトロ実験では、PL2L60はSTAT3及びBCL2遺伝子をアップレギュレートすることで腫瘍細胞の生存及び増殖を促進でき、さらにNF−κBタンパク質とともに腫瘍発生を促進できる。従って、PL2L60に対するモノクローナル抗体を生成することで癌増殖を阻害する抗体を開発した。現在、増殖を直接阻害してアポトーシスを誘導することのできる抗PL2L60抗体に関する公開報告がなかった。現在の研究では、新しく産生した抗PL2L60 mAbがこの能力を有するか否かを調べた。
KAO3mAbは、例えばMDA−MB−231、A549、HeLa、2C4及び326T−4などの癌細胞アポトーシスを誘導できる(図2)。KAO3治療前、対照群及び実験群の癌細胞の形態がほとんど一致し、対照細胞は良好に成長しており、多角形をして、48h培養した後、大きさが均一である。抗PL2L60mAb KAO3で細胞を48時間処理した後、高出力顕微鏡下で観察したところ、細胞クロマチンが失われて、細胞数が著しく減少し、細胞の形態が不規則的になり、いくつかの細胞が丸くなる。ハイパワー顕微鏡下で視認可能な核染色体及び減少した細胞質の空胞を観察した(図2A)。懸濁液における半独立細胞、アポトーシス細胞の数が急激に増加した(図2B及び図2C)。具体的には、異なる用量の抗PL2L60抗体で48時間(1、2、4及び8μl/ウェルのmAb KAO3上清液)処理した後、細胞活性は低下した(図2D)。
これらの結果から示されるように、抗PL2L60 mAb KAO3は5種の癌細胞株の細胞増殖を顕著に阻害できる(図2D)。全体的には、これらの結果は抗PL2L60 mAb(KAO3)がアポトーシス誘導方法により癌細胞の細胞毒性活性を誘導できる可能性があることを示した。
KAO3 mAb誘導癌細胞での細胞周期停滞
図3Aは抗PL2L60 mAb(KAO3)で処理した後の2C4、326T−4、MDA−MB−231、A549及びHeLaの細胞周期分布を示す。対照細胞に比べて、抗PL2L60 mAb(KAO3)で48h処理した後、癌細胞G0/G1期の割合が僅かに低下し、S期の細胞百分率があまり変化しない。G2/M期の細胞の数が増加する。A549細胞のG2/M期の細胞の数が最も多い。G0/G1及びG2/M期の割合が急激に増加し、S期の細胞百分率がMDA−MB−231及びHeLa細胞において急激に低下する。G0/G1、S及びG2/M期の2C4細胞の変化は最大である。326T−4細胞は有意な変化がない(図3B−図3D)。要するに、PI/FACS分析により示されるように、抗PL2L60 mAb(KAO3)は5種の癌細胞系において顕著なG2/M期停滞を引き起こす。
抗PL2L60 mAb KAO3による異種移植腫の治療
抗PL2L60モノクローナル抗体(KAO3)による治療が癌細胞成長を破壊するとともに癌細胞のアポトーシスをインビトロで誘導するため、KAO3は腫瘍成長のインビボ直接阻害に用いられ得るか否かを研究した。KAO3による腫瘍細胞の腫瘍形成性への影響を研究するために、腫瘍治療プログラムを、腫瘍発生の初期段階と腫瘍治療段階の2段階に分ける。
まず、ヒト及びマウス癌細胞をKAO3ハイブリドーマ又は培地の培養上清に懸濁させ、次にSCIDマウスに接種し、細胞をアイソタイプIgGで処理して対照とする。腫瘍が形成した後、異なる治療群の担癌マウスを2群に分け、2日おきに1群の担癌マウスにKAO3を原位置で注射し、別の1群にアイソタイプIgGを注射して対照とし、腫瘍成長を観察した。
腫瘍が発生した最初段階に、平均腫瘍直径が0.5cmに近くなったとき、異なる群の腫瘍発生率をカウントする。SCIDマウスではpCSCsの腫瘍発生がほとんど完全にKAO3mAbで阻害されることを発見した。観察した150日内に、33%のマウス(3/9)だけは接種後の10、67及び118日目に腫瘍を発生させた。それに対して、対照群のすべてのマウス(100%)は接種後の3週間内に腫瘍を発生させた。KAO3で前処理したMDA−MB−231細胞を接種したマウスの腫瘍発生率は50%であるが、対照群は83%である。他の3種の細胞系の腫瘍発生率は100%であり、KAO3前処理群と対照群とは差がない(図4A−図4E)。
腫瘍生長動力学による更なる分析から示されるように、KAO3で前処理したpCSCsの腫瘍成長速度は対照(中等処理)由来のpCSCsの腫瘍成長より低い(図5A)。対照群腫瘍にKAO3mAb上清50μlが注射された後、mAbで著しく阻害される(図5B)。KAO3mAbで前処理されたpCSCsからの、且つ67及び118日目に成長した腫瘍がほとんど完全にmAbで阻害される(図5C)。その結果から示されるように、mAb KAO3はpCSCsの腫瘍発生を効果的に予防し、作成された腫瘍の成長を阻害することができる。程度が異なるが、マウス造血幹細胞(CSCs、クローン326T−4)及び326T−4の同じ治療もSCIDマウスの腫瘍形成性又は腫瘍成長阻害を引き起こす(図5D−図5F)。
mAb KAO3もヒトPL2L60タンパク質を認識するため、2C4 pCSC系の処理と同じ方法を用いて、ハイブリドーマKAO3の培養上清でヒト乳癌細胞系MDA−MB−231、ヒト肺癌細胞系A549及びヒト子宮頸部癌細胞系HeLaを処理したところ、類似した結果を観察し、すなわち、KAO3mAbもヒト癌細胞の腫瘍発生及びSCIDマウスに作成された腫瘍成長を効果的に阻害できる(図5G−図5P)。その結果から明らかなように、mAb KAO3はヒト及びマウスの癌細胞を効果的に殺滅又は阻害できることを示した。
mAb KAO3の作用は2種の腫瘍に限定されず、程度が異なるが、マウス類造血幹細胞(CSCs、クローン326T−4)、ヒト肺癌細胞系A549及びヒト子宮頸部癌細胞系HeLaの同じ治療も腫瘍形成性又はSCIDマウスの腫瘍成長の阻害作用を引き起こす。これらの結果により、KAO3は腫瘍成長低下の点では対照よりも高い治療効果を有するという発見を証明する。KAO3はヒト及びマウス腫瘍のインビボ成長を阻害できる。
mAb KAO3の補体依存性細胞毒性(CDC)
インビトロ補体の存在下で、mAbが腫瘍細胞を殺滅できるため、抗腫瘍治療効果は補体依存性細胞毒性の腫瘍細胞表面PL2L60タンパク質の発現レベルと正相関する。従って、PL2L60タンパク質は、癌受動免疫治療の適切なターゲットでもある。
その結果から示されるように、マウスpCSC系2C4とヒト乳癌細胞系MDA−MB−231は、CDC実験において最も強い腫瘍溶解作用を示し、マウスリンパ腫細胞系326T−4及びヒト肺癌細胞系A549はそれに次いており、ヒト子宮頸部癌細胞系HeLaのCDC効果は最も弱い(図6A−B)。これらの結果はPL2L60タンパク質の癌細胞表面における発現レベルと一致する。さらに、抗PL2L60のmAb KAO3が腫瘍細胞表面のPL2L60タンパク質のターゲットであり、KAO3がCDC依存メカニズムによりその抗腫瘍作用を発揮できることを示す。
前記のとおり、PL2L60を標的とし及び/又はSTAT3及びBCL2の活性化を阻害する治療用抗体の発展は、腫瘍を解消するという巨大な潜在力を有する。
本研究では、自分の実験室で開発されたmAb KAO3を用いて、PL2Lタンパク質が癌免疫治療の通常ターゲットであるか否かをテストした。mAb KAO3の腫瘍発生及び腫瘍成長を阻害するときの発現の差異が癌細胞系(図1A−図1B)間の表面KAO3特異的抗原(すなわちPL2Lタンパク質)の発現と関連するが、細胞内発現に関係がなく(図1C−図1G)、原因はKAO3mAbの腫瘍発生阻害能力が表面KAO3 +細胞の百分率に関連することである。HeLa及び326T−4細胞系は他の細胞系よりも含まれたKAO3 +細胞が少なく、mAb KAO3処理に対する感受性が低い(図5)。従って、mAb KAO3の治療効果は表面PL2Lタンパク質の発現量により決定される。
抗PL2L60抗体がインビボで腫瘍を阻害するメカニズムはまだ不明である。公開されていない研究によれば、臨床環境において抗PL2L60抗体が癌細胞アポトーシスを直接誘導することを証明しているため、現在、このような抗体が腫瘍細胞の増殖を直接阻害できるか否かについてはまだ不明である。本研究では、KAO3 mAb処理により、ヒト及びマウス癌細胞の増殖が阻害され、細胞周期G2/M期の細胞の百分率が用量依存的に顕著に向上し、特にS期の2S4細胞の百分率が著しく低下する。
KAO3の抗腫瘍作用を研究した結果、癌細胞の細胞成長に対して強い阻害作用を有する。KAO3はG2/M期に細胞周期停滞を用量依存的に誘導し、次にアポトーシスを引き起こし(図2−図3)、微小管解重合又はNF−κB及びSTAT3核転位の阻害に繋がると考えられ、さらに転写活性が阻害されることを証明した。腫瘍異種移植モデルにおいて、KAO3は腫瘍成長を効果的に遅延させる(図4−図5)。研究結果によれば、抗PL2L60抗体が腫瘍細胞の増殖を阻害し且つアポトーシスを誘導できる直接根拠を提供する。
その結果から示されるように、PL2Lタンパク質は、癌免疫治療の有効ターゲットである。mAb KAO3が各種タイプの腫瘍細胞系(たとえばリンパ腫、黒色腫、乳癌、肺癌、子宮頸部癌、肝癌、膀胱癌、前立腺癌、胃癌、白血病、結腸直腸癌、結腸癌、卵巣癌又は精巣生殖細胞腫瘍を含む)に発現される表面PL2Lタンパク質を認識できることをはじめて見出した。mAb KAO3はG2/M期の細胞周期停滞の誘導及び補体の活性化により、インビボではヒト及びマウス腫瘍の発生を効果的に阻害でき、インビトロでは腫細胞の増殖を阻害できる。その阻害作用は腫瘍細胞系における表面KAO3 +細胞の数と緊密に関連する。
PL2L60の細胞表面での低発現は、インビトロ及びインビボでKAO3の治療に対して顕著な反応が発生する可能性があり、これはこれらの癌細胞の幹/前駆細胞性質に関連する。KAO3mAbの腫瘍幹/前駆細胞に対する阻害が非幹細胞癌細胞への作用より効果的であるため、pCSCsでのPL2L60の高レベル発現は、mAb KAO3の腫瘍形成性に対する阻害に対してより高感度である。なお、細胞系におけるPL2L60担持量の低い癌細胞は低腫瘍成長率に繋がる。これは、PL2L60を持っている癌細胞が各発育段階の幹/前駆細胞癌細胞、又はKAO3 mAbの唯一なターゲットを代表する可能性がある。これらの結果から、PL2Lタンパク質は腫瘍発生に重要な役割を果たし、このため、癌免疫治療の効果的な通常ターゲットであることが証明された。この発見は癌免疫治療のため新しい場面を提供する。
前記のように、PL2L60は癌治療のターゲット抗原として期待できる。PL2L60の特定抗原エピトープとして、あらゆるデータはKAO3モノクローナル抗体の抗腫瘍活性が顕著であることを示した。
以上、本公開の基本原理、主な特徴及び本公開の利点が示されて、説明された。当業者であれば、本公開は上記実施例で限定されず、上記実施例及び明細書の記載は本公開の原理を説明するためのものに過ぎず、本公開の精神及び範囲から逸脱することなく、本公開に対する様々な変更や改良が可能であり、それらの変更や改良がいずれも本公開の保護範囲に属することを理解すべきである。本公開の保護範囲は添付の特許請求の範囲及びその同等物により限定される。
本公開に係るPL2Lタンパク質は、各種タイプの癌において幅広く発現しているため、固形及び造血幹細胞の免疫治療の広域スペクトルターゲットとして好ましい。各種タイプのPL2Lタンパク質から、癌細胞アポトーシスを直接誘導したり、細胞増殖、細胞周期を阻害したりする独特な能力を発現できるPL2L60タンパク質、特に抗PL2L60 mAb(KAO3)を取得する。接種するときにKAO3でヒト又はマウス腫瘍細胞を処理すると、マウス腫瘍の発生を効果的に阻害できる。また、KAO3を作成したリンパ腫、乳癌、肺癌及び子宮頸部癌に注射すると、腫瘍成長を著しく阻害し、担癌マウスの生存を延長させることができる。KAO3による阻害効果は腫瘍細胞表面で発現させたKAO3特異的抗原と関連する。KAO3はG2/M期に細胞周期を停滞させ、DNA合成を阻害し、補体を活性化させることで腫瘍アポトーシスを誘導する。従って、抗PL2L60 mAb(KAO3)は、癌を治療するための候補治療薬として期待できる。

Claims (18)

  1. PIWIL2遺伝子の異常発現を阻害する試薬の抗腫瘍薬の製造における応用。
  2. 抗PIWIL2遺伝子異常発現タンパク質抗体の抗腫瘍薬の製造における応用。
  3. 前記抗PIWIL2遺伝子異常発現タンパク質抗体は抗PL2Lタンパク質抗体である、ことを特徴とする請求項2に記載の抗PIWIL2遺伝子異常発現タンパク質抗体の抗腫瘍薬の製造における応用。
  4. 前記抗PL2Lタンパク質抗体は抗PL2L80、PL2L80A、PL2L60、PL2L60A、PL2L50及びPL2L40タンパク質抗体のうちの少なくとも1種を含む、ことを特徴とする請求項3に記載の抗PIWIL2遺伝子異常発現タンパク質抗体の抗腫瘍薬の製造における応用。
  5. 前記抗PL2Lタンパク質抗体は抗PL2L60タンパク質抗体である、ことを特徴とする請求項4に記載の抗PIWIL2遺伝子異常発現タンパク質抗体の抗腫瘍薬の製造における応用。
  6. 前記抗PL2L60タンパク質抗体はKAO3モノクローナル抗体であり、前記KAO3モノクローナル抗体配列はSEQ ID NO:1に示される、ことを特徴とする請求項5に記載の抗PIWIL2遺伝子異常発現タンパク質抗体の抗腫瘍薬の製造における応用。
  7. 前記抗PL2L60タンパク質抗体はSTAT3又はBCL2遺伝子活性化を阻害する抗体である、ことを特徴とする請求項5に記載の抗PIWIL2遺伝子異常発現タンパク質抗体の抗腫瘍薬の製造における応用。
  8. 前記腫瘍は乳癌、肺癌、肝癌、膀胱癌、子宮頸部癌、前立腺癌、胃癌、白血病、結腸直腸癌、結腸癌、卵巣癌及び精巣生殖細胞腫瘍のうちのいずれか1種を含む、ことを特徴とする請求項2−7のいずれかに記載の抗PIWIL2遺伝子異常発現タンパク質抗体の抗腫瘍薬の製造における応用である。
  9. 請求項1に記載のPIWIL2遺伝子の異常発現を阻害する試薬と、薬学的に許容されるアジュバントとで構成される、ことを特徴とする抗腫瘍医薬組成物。
  10. 請求項2に記載の抗PIWIL2遺伝子異常発現タンパク質抗体と、薬学的に許容されるアジュバントとで構成される、ことを特徴とする抗腫瘍医薬組成物。
  11. 前記アジュバントは充填剤、希釈剤、湿潤剤、接着剤、崩壊剤、潤滑剤、コーティング材、滴丸マトリックス及び凝縮液のうちの少なくとも1種を含み、
    好ましくは、前記アジュバントは、澱粉、デキストリン、乳糖、微結晶性セルロース、糖アルコール、エタノール、ゴムセメント、ポリエチレングリコール、メチルセルロース、カルボキシメチルスターチナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、アエロジル、タルカムパウダ及びクエン酸トリエチルのうちの少なくとも1種を含む、ことを特徴とする請求項9又は10に記載の医薬組成物。
  12. 前記抗体は抗PL2Lタンパク質抗体である、ことを特徴とする請求項10に記載の医薬組成物。
  13. 前記抗体は抗PL2L80、PL2L80A、PL2L60、PL2L60A、PL2L50及びPL2L40タンパク質抗体のうちの少なくとも1種を含む、ことを特徴とする請求項10−12のいずれかに記載の医薬組成物。
  14. 前記抗体は抗PL2L60タンパク質抗体である、ことを特徴とする請求項10−13のいずれかに記載の抗体。
  15. 前記抗PL2L60タンパク質抗体は、配列がSEQ ID NO:1に示されるKAO3モノクローナル抗体である、ことを特徴とする請求項14に記載の抗体。
  16. 前記抗体は、PL2L60を標的とし及び/又はSTAT3及びBCL2を阻害する治療用抗体であることを特徴とする請求項10−12のいずれかに記載の抗体。
  17. 前記抗体のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:1に示される配列、及び/又は、複数のアミノ酸残基の置換及び/又は欠失及び/又は添加により得られ且つSEQ ID NO:1と同じ生物学的活性を有する派生配列を含む、ことを特徴とする請求項10−14のいずれかに記載の抗体。
  18. PIWIL2遺伝子の異常発現を阻害することを含み、好ましくは、配列がSEQ ID NO:1に示されるKAO3モノクローナル抗体でPIWIL2遺伝子の異常発現を阻害し、
    前記腫瘍は、乳癌、肺癌、肝癌、膀胱癌、子宮頸部癌、前立腺癌、胃癌、白血病、結腸直腸癌、結腸癌、卵巣癌及び精巣生殖細胞腫瘍のうちのいずれか1種を含む、ことを特徴とする腫瘍治療方法。
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