JP2020204143A - 耐熱耐久性に優れた網状構造体 - Google Patents

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章文 安井
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洋行 涌井
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Abstract

【課題】ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーを使用した網状構造体においても、所定の硬度を有しつつ、高い温度下、高い湿度下でも圧縮残留歪が小さい、クッション等の用途に好適な網状構造体の提供。【解決手段】オレフィンブロック共重合体からなるポリオレフィン系熱可塑性エラストマー連続線状体で構成された三次元ランダムループ接合構造を持つ網状構造体を冷却後アニーリング処理して得られる網状構造体であって、網状構造体は繊維径が0.1〜3.0mmであり、見掛け密度が0.005〜0.20g/cm3であり、70℃での圧縮残留歪が30%以下であり、網状構造体を構成する樹脂をパルスNMR法により測定して得られた界面相の比率が40%以下である網状構造体。【選択図】図1

Description

本発明は、耐熱性と耐久性に優れたオフィスチェアー、家具、ソファー、ベッドパッド、マットレス、電車・自動車・二輪車・ベビーカー・チャイルドシート等の車両用座席、フロアーマット、衝突や挟まれ防止部材等の衝撃吸収用のマット等に好適な網状構造体に関するものである。
現在、家具、ベッド等寝具、電車・自動車・二輪車等の車両用座席に用いられるクッション材として、網状構造体が増えつつある。特許文献1および2に、ポリエステル系熱可塑性エラストマーを用いた網状構造体とその製造方法が開示されている。これは、ポリウレタンに由来する透湿透水性、通気性、蓄熱性、未反応薬品によるVOC、燃焼時の有毒ガス発生、リサイクル困難である等の問題を解決することができる点で優れている。これらの網状構造体はポリエステル系熱可塑性エラストマーに由来して高反発性に優れており、高反発クッションとして広く用いられている。
特許文献3には、α−オレフィンを用いた低反発網状構造体が開示されている。これは、低反発性と低温特性に優れた網状構造体として広く用いられつつある。しかしながら、近年ユーザーから要求される高いクッション性能と耐久性能を同時に達成することは難しくなりつつある。特に、素材がα−オレフィンであることによる耐熱性、耐湿熱性の乏しさが非常にネックとなっていた。
特許文献4および5には、熱寸法安定性に優れた網状構造体とその製法が開示されている。これは40℃下での寸法安定性を目指したものであり、一般的なα−オレフィンを用いて40℃での圧縮残留歪が5〜15%の例が開示されている。
特開平7−68061号公報 特開2014−194099号公報 特開2006−200118号公報 特許第5459438号公報 特許第5459439号公報
本発明は、上記の従来技術の課題を背景になされたもので、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーを使用した網状構造体においても、所定の硬度を有しつつ、高い温度下、高い湿度下でも圧縮残留歪が小さい、クッション等の用途に好適な網状構造体を提供することを課題とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究した結果、遂に本発明を完成するに到った。すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)レフィンブロック共重合体からなるポリオレフィン系熱可塑性エラストマー連続線状体で構成された三次元ランダムループ接合構造を持つ網状構造体を冷却後アニーリング処理して得られる網状構造体であって、前記網状構造体は繊維径が0.1〜3.0mmであり、見掛け密度が0.005〜0.20g/cmであり、70℃での圧縮残留歪が30%以下であり、網状構造体を構成する樹脂をパルスNMR法により測定して得られた界面相の比率が40%以下である網状構造体。
(2)前記網状構造体は、50℃、95%RHでの圧縮残留歪が20%以下である(1)に記載の網状構造体。
(3)前記網状構造体は、80℃、95%RHでの圧縮残留歪が35%以下である(1)に記載の網状構造体。
(4)オレフィンブロック共重合体が、エチレン/α−オレフィンブロック共重合体である(1)〜(3)のいずれかに記載の網状構造体。
(5)エチレン/α−オレフィンブロック共重合体が、エチレンを50〜95mol%、炭素数3以上のα−オレフィンを5〜50mol%含むブロック共重合体である(4)に記載の網状構造体。
(6)α−オレフィンが1−オクテンである(4)または(5)に記載の網状構造体。
(7)網状構造体の厚みが10〜200mmであり、25%圧縮時硬度が1.5〜30N/φ50mm以下である(1)〜(6)のいずれかに記載の網状構造体。
(8)連続線状体の断面形状が中空断面である(1)〜(7)のいずれかに記載の網状構
造体。
本発明により、高温、高湿熱下でも圧縮残留歪が小さい網状構造体を得ることが出来る。この網状構造体は、電車、自動車、二輪車等、特に夏場に高温となる環境であり、かつ乗員等から生じる汗の影響による高湿度になる環境においても、圧縮残留歪が小さいという効果を有する。さらに、冬場に用いられる電気毛布やヒーター、湯たんぽ等によって高温となる環境であり、かつ寝床内等の高湿度になる環境においても、圧縮残留歪が小さいという効果を有する。
パルスNMR法により得られる自由誘導減衰(FID)信号のグラフを例示した図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の網状構造体は、オレフィンブロック共重合体からなるポリオレフィン系熱可塑性エラストマー連続線状体を使用することが必要である。連続線状体で構成される網状構造と、連続線状体の素材である樹脂が有するゴム弾性との特徴を用いることで、クッション性を得ることが出来る。この網状構造体に対し、適切な樹脂、紡糸条件、後処理条件を採用することで、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーからなる網状構造体であっても、高温下、高湿熱下で圧縮残留歪が小さい、高い耐久性(耐へたり性)を持つ網状構造体を得ることが可能となる。また、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーを用いることで、再溶融により再生が可能となるため、リサイクルも容易となる。
なお、本発明における「オレフィンブロック共重合体」とは、マルチブロックまたはセグメント共重合体であり、線状に接合された2つまたはそれ以上の化学的に異なる領域またはセグメント(「ブロック」ともいう)を含む重合体、すなわち重合されたエチレン官能基に対して、ペンダント的またはグラフト的様式ではなく、末端同士で結合される、化学的に区別される単位を含む重合体をいう。
本発明の網状構造体の素材であるオレフィンブロック共重合体からなるポリオレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、エチレン/α−オレフィンからなるマルチブロック共重合体であることが好ましく、エチレンと炭素数3以上のα−オレフィンを共重合してなるものが好ましい。ここで、炭素数3以上のα−オレフィンとしては、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセンなどが挙げられ、好ましくは1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセンである。また、これら2種類以上を用いることもできる。
本発明におけるエチレン/α−オレフィンからなるマルチブロック共重合体のエチレンと炭素数が3以上のα−オレフィンの比率としては、エチレンを50〜95mol%、炭素数が3以上のα−オレフィンを5〜50mol%の範囲であることが好ましく、エチレンを70〜95mol%、炭素数が3以上のα−オレフィンを5〜30mol%の範囲で
あることがより好ましい。一般的に高分子化合物がエラストマー性を得るのは、高分子鎖内に、ハードセグメントおよびソフトセグメントが存在するためであることが知られている。本発明のオレフィンブロック共重合体からなるポリオレフィン系熱可塑性エラストマーにおいては、エチレンはハードセグメント、炭素数3以上のα−オレフィンはソフトセグメントの役割を担っていると考えられる。そのため、エチレンの比率が50mol%未満では、ハードセグメントが少ないため、ゴム弾性の回復性能が低下する。エチレンの比率はより好ましくは70mol%以上、さらに好ましくは75mol%以上、特に好ましくは80mol%以上である。一方、エチレンの比率が95mol%を超える場合は、ソフトセグメントが少ないため、エラストマー性が発揮されにくく、クッション性能が劣る。エチレンの比率はより好ましくは93mol%以下、さらに好ましくは90mol%以下である。
本発明の網状構造体を構成するオレフィンブロック共重合体からなるポリオレフィン系熱可塑性エラストマーの密度は、0.84〜0.94g/cmであることが好ましく、0.85〜0.92g/がより好ましく、0.86〜0.90g/がさらに好ましい。密度が0.94g/cmを超える場合は、樹脂中のハードセグメント部分が多すぎることを示しており、クッション性能が劣ること、および密度が高く、網状構造体自体が重くなる。密度が0.84g/未満であるとオレフィンブロック共重合体からなるポリエチレン系熱可塑性エラストマーのエラストマー性を発揮するためのハードセグメントが不足していることを示しており、ゴム弾性による回復性能が低下する。
本発明の網状構造体を構成するオレフィンブロック共重合体からなるポリオレフィン系熱可塑性エラストマーの融点は、90℃以上であることが好ましく、100℃以上がより好ましく、110℃以上がさらに好ましく、115℃以上が特に好ましく、120℃以上が最も好ましい。本発明において、融点が90℃未満であることは、樹脂中のハードセグメントを構成するエチレンの結晶構造が不十分であることを示している。融点の上限は特に限定されないが、オレフィンブロック共重合体からなるポリエチレン系熱可塑性エラストマーでは、通常融点は150℃以下である。
本発明の網状構造体を構成するオレフィンブロック共重合体からなるポリオレフィン系熱可塑性エラストマーの比熱は、2.26J/g・℃以上であることが好ましく、2.28J/g・℃以上がより好ましく、2.30J/g・℃以上がさらに好ましい。オレフィンブロック共重合体からなるポリオレフィン系熱可塑性エラストマーにおいて比熱が2.26J/g・℃以上であることは、樹脂中にハードセグメントの結晶構造が十分に存在していることを示している。比熱の上限は特に限定されないが、オレフィンブロック共重合体からなるポリエチレン系熱可塑性エラストマーでは、通常比熱は2.50J/g・℃以下である。
本発明の網状構造体を構成するオレフィンブロック共重合体からなるポリオレフィン系熱可塑性エラストマーの190℃におけるメルトフローレート(以下、「MFR」と言う)は、2〜20g/minであることが好ましく、3〜18g/minがより好ましく、4〜16g/minがさらに好ましい。オレフィンブロック共重合体からなるポリオレフィン系熱可塑性エラストマーにおいて190℃におけるMFRが20g/minを超えると、冷却による樹脂の固化速度が遅くなり、網状構造体を形成することが困難になる。また、190℃におけるMFRが2g/min未満では紡糸時の樹脂の吐出線速度が低くなり、連続線状体がループを描くことが困難となり、網状構造体が得られなくなる。
本発明の網状構造体を構成するオレフィンブロック共重合体からなるポリオレフィン系熱可塑性エラストマーとして、エチレン/α−オレフィンからなるマルチブロック共重合体を用いることが好ましいのは、一般的なランダム共重合体では、主鎖の連結鎖長が短く
なり、結晶構造が形成されにくく、耐久性が低下する。このマルチブロック共重合体を得る方法の一つとして、チェーンシャトリング反応触媒を用い、エチレンとα−オレフィンを共重合する方法が挙げられる。
本発明の網状構造体を構成するエチレン/α−オレフィンからなるマルチブロック共重合体は、結晶相、非晶相および界面相を所定の範囲で含有する。結晶相、非晶相および界面相の含有量はパルスNMR法を用い測定できる。パルスNMR法により得られる緩和時間の結果から、結晶相、非晶相および界面相の分離と、それぞれの量を定義することが出来る。
パルスNMR法のsolid echo(ソリッドエコー)法については、既知のため詳細は省略するが、主にガラス状および結晶性高分子などの緩和時間の短い試料の測定に用いられるものである。デッドタイムを見かけ上除く方法であり、2つの90°パルス(位相を90°変えて)印加する90°x−τ−90°yパルス法で、X軸方向に90°パルスを加えると、デッドタイム後に自由誘導減衰(FID)信号が観測される。FID信号が減衰しない時間τに、第2の90°パルスをy軸方向に加えると,t=2τの時点で磁化の向きがそろってエコーが現れる。得られたエコーは90°パルス後のFID信号に近似することが出来る。
パルスNMR法の解析結果から物性と相分離構造と組成との関連を解析する方法は既知である。パルスNMR法で得られる自由誘導減衰(FID)信号を最小二乗法によってスピン−スピン緩和時間T2の長い成分から順に差し引いて、波形分離することにより、3成分に分けることができる。緩和時間の長い成分が運動性の大きな成分であり非晶相として、緩和時間の短い成分が運動性の小さな成分であり結晶相として、緩和時間の中間の成分は界面相であると定義できる。ガウス型関数およびローレンツ型関数による計算式を用いて、各成分の成分量が求められる(例えば、「固体NMR(高分解能NMRとパルスNMR)によるポリウレタン樹脂の相分離構造解析」(DIC Technical Review No.12,pp.7〜12,2006)参照)。
本発明でのパルスNMR法の測定方法について詳説すると、以下の通りである。まず、直径1cmのガラス管に、1〜2mm角程度に刻んだ網状構造体サンプルを1〜2cmの高さまで詰めた試料を磁場の中に置き、高周波パルス磁場を加えた後の巨視的磁化の緩和挙動を測定すると、図1に示すように自由誘導減衰(FID)信号が得られる(横軸:時間(μ秒)、縦軸:自由誘導減衰信号)。得られたFID信号の初期値は測定試料中のプロトンの数に比例しており、測定試料に3つの成分がある場合には、FID信号は3成分の応答信号の和として現れる。一方、試料中に含まれる各成分は運動性に差があるため、成分間で応答信号の減衰の速さが異なり、スピン−スピン緩和時間T2が相違する。それにより、最小二乗法により3成分に分けることができ、スピン−スピン緩和時間T2の長い方から順にそれぞれ非晶相(L成分)、界面相(M成分)、結晶相(S成分)となる(図1参照)。非晶相は分子運動性の大きな成分、結晶相は分子運動性の小さな成分であり、その中間の成分が界面相となる。なお、上記パルスNMR法、ソリッドエコー法、スピン−スピン緩和時間T2については、特開2007−238783号(特には段落[0028]〜[0033])を参照することができる。
「スピン−スピン緩和時間(T2)」は分子運動性の指標として用いられ、数値が大きいほど運動性が高いことを示す。一般に、結晶相は運動性が低いのでT2が小さくなり、逆に非晶相のT2は高くなる。
スピンースピン緩和時間T2が分子運動性の尺度となる理由は、分子運動の相関時間τcとT2の関係から理解される。τcは、ある運動状態にある分子が分子衝突を起こす平均的な時間を表し、T2の値はτcの増加と逆比例して短くなることが知られている。こ
れは分子運動性が低下するにつれてT2が短くなることを示す。
「成分量(相量)」とはそれぞれの相の割合(質量%)であり、非晶相のT2が低い程、また、非晶相の割合が低い程、硬い樹脂となる。また、界面相が少ない程、結晶相と非晶相とが明確に相分離した構造となり、歪の起きにくい弾性特性を有する。逆に界面相が多い程、結晶相と非晶相の相分離が明確でない構造となり、遅延弾性特性を有する。
本発明の網状構造体を構成するエチレン/α−オレフィンからなるマルチブロック共重合体において、結晶相の緩和時間が11.4μs以下であることが好ましく、11.2μs以下がより好ましく、11.0μm以下がさらに好ましい。本発明において、結晶相の緩和時間が11.4μsより大きいことは、結晶相の構造が不十分であることを示している。下限は特に限定されないが、エチレン/α−オレフィンからなるマルチブロック共重合体においては、通常、1.0μs以上である。
本発明の網状構造体を構成するエチレン/α−オレフィンからなるマルチブロック共重合体は、界面相の分率が40質量%以下であることが好ましく、35質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましい。
界面相とは、ハードセグメントとソフトセグメントの界面であり、界面相の分率が少ないことは、ハードセグメントとソフトセグメントの界面が明確であること、およびハードセグメントとソフトセグメントの界面の数が少ないことを示している。
本発明の網状構造体を構成するエチレン/α−オレフィンからなるマルチブロック共重合体のように、密度が所定の範囲である、すなわち結晶構造を有する樹脂であり、ハードセグメントとソフトセグメントの界面相の比率が少ない樹脂は、界面相の比率が多い樹脂と比べて、結晶構造が十分な大きさで形成されていることを示している。この結果、高い融点、大きい比熱を有している、と考えられる。下限は特に限定されないが、エチレン/α−オレフィンからなるマルチブロック共重合体においては、通常、10質量%以上である。
結晶相の緩和時間、界面相比率は、使用する樹脂により変更出来ると同時に、熱処理を行うことにより、変更することが出来る。例えば、得られた網状構造体に対してアニーリング処理を行うことで、結晶相の緩和時間は短くなり、界面相比率は少なくなる。
本発明の網状構造体においては、必要に応じ、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー以外に、副材として、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン系熱可塑性エラストマーとしてスチレンイソプレン共重合体やスチレンブタジエン共重合体やそれらの水添共重合体などのポリマー改質剤をブレンドすることができる。さらに、フタル酸エステル系、トリメリット酸エステル系、脂肪酸系、エポキシ系、アジピン酸エステル系、ポリエステル系の可塑剤、公知のヒンダードフェノール系、硫黄系、燐系、アミン系の酸化防止剤、ヒンダードアミン系、トリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、ニッケル系、サリチル系などの光安定剤、帯電防止剤、過酸化物などの分子調整剤、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、カルボジイミド系化合物などの反応基を有する化合物、金属不活性剤、有機及び無機系の核剤、中和剤、制酸剤、防菌剤、蛍光増白剤、充填剤、難燃剤、難燃助剤、有機及び無機系の顔料を添加することができる。また、耐熱耐久性や耐へたり性を向上させるために、熱可塑性樹脂の分子量を上げることも効果的である。
本発明の網状構造体を構成する連続線状体の繊維径は、0.1〜3.0mmであり、0.2〜2.5mmが好ましい。繊維径は網状構造体がソフトな触感と必要な硬度を得るためには重要な要素である。繊維径が小さいとクッション性に必要な硬度が保てなくなり、逆に繊維径が大きすぎると硬くなり過ぎてしまう。繊維径が0.1mm未満だと網状構造体の緻密性やソフトな触感は十分であるが、必要な硬度を確保することが困難となる。一方、繊維径が3.0mmを超えると網状構造体の必要硬度の確保は容易となるが、触感が硬く、ごわごわした感じが顕著となる。
本発明の網状構造体の見掛け密度は、クッション性を決める重要な要素であり、用途に応じて設計され、0.005〜0.20g/cmであり、好ましくは0.01〜0.18g/cm、より好ましくは0.02〜0.15g/cmである。見掛け密度が0.005g/cmより小さいと網状構造体のクッション性に必要な硬度が保てなくなり、0.20g/cmを越えると網状構造体が硬くなり過ぎてしまう。
本発明の網状構造体の厚みは、クッション性に関わり、10mm〜200mm以下が好ましく、20〜120mmがより好ましい。厚みが10mm未満では網状構造体が薄すぎて底付き感を感じる。厚みが200mmを超えるとクッション材としての使用には厚過ぎてしまい快適性を損なう。
本発明の網状構造体の70℃圧縮残留歪は、30%以下であり、好ましくは27%以下であり、より好ましくは25%以下で有り、さらに好ましくは20%以下であり、特に好ましくは18%以下であり、最も好ましくは15%以下である。70℃圧縮残留歪が30%を超えると、耐久性(耐へたり性)に劣る網状構造体となる。70℃圧縮残留歪の下限値は特に限定されるものではないが、通常1%以上である。
なお、本発明における70℃圧縮残留歪とは、網状構造体を10cm×10cmの大きさに切断し、厚みを計測(処理前厚み:a)し、この厚みに対して50%圧縮状態にして70℃環境下に22時間放置した後、圧縮状態を開放し室温で30分間冷却して再度厚みを計測(処理後厚み:b)して、式{(a)−(b)}/(a)×100より算出される値である。この値が小さいほど、ヒーターや湯たんぽ等によって高温となる環境において使用しても網状構造体の厚みの減少(へたり)がおこりにくいと言える。つまり、高温環境で使用した際の厚み変化(へたり)の指標である。
本発明の網状構造体の50℃、95RH%圧縮残留歪は、20%以下であり、好ましくは19%以下であり、より好ましくは18%以下であり、さらに好ましくは15%以下である。50℃、95RH%圧縮残留歪が20%を超えると、耐久性(耐へたり性)に劣る網状構造体となる。50℃、95RH%圧縮残留歪の下限値は特に限定されるものではないが、通常1%以上である。
なお、本発明における50℃、95RH%圧縮歪とは、網状構造体を10cm×10cmの大きさに切断し、厚みを計測(処理前厚み:a)し、この厚みに対して50%圧縮状態にして温度50℃、湿度95RH%の環境下に22時間放置した後、圧縮状態を開放し室温で30分間冷却して再度厚みを計測(処理後厚み:b)して、式{(a)−(b)}/(a)×100より算出される値である。この値が小さいほど、通常のカーシートや車両用シート、布団内やこたつ内などの、高温で高湿度の環境において使用しても網状構造体の厚みの減少(へたり)がおこりにくいと言える。つまり、暖かく湿度のある環境で使用した際の厚み変化(へたり)の指標である。
本発明の網状構造体の8万回繰返し圧縮後硬度保持率は、68%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、72%以上がさらに好ましく、74%以上が特に好ましい。8万回繰返し圧縮後硬度保持率が68%未満であると、長時間使用により、網状構造体の硬さが低下してしまい、座り心地の変化につながる場合がある。8万回繰返し圧縮後硬度保持率の上限値は特に限定されるものではないが、通常95%以下である。
なお、本発明における8万回繰返し圧縮後硬度保持率とは、50%定変位繰返し圧縮後の25%圧縮時硬度保持率のことであり、この値が大きいほど繰返し変形による網状構造体の耐久性(へたり)がおこりにくいと言える。
本発明の網状構造体の85℃、95RH%圧縮残留歪は、35%以下であり、好ましくは31%以下であり、より好ましくは30%以下であり、さらに好ましくは28%以下であり、特に好ましくは25%以下である。80℃、95RH%圧縮残留歪が35%を超えると、耐久性(耐へたり性)に劣る網状構造体となる。80℃、95RH%圧縮残留歪の下限値は特に限定されるものではないが、通常1%以上である。
なお、本発明における80℃、95RH%圧縮残留歪とは、網状構造体を10cm×10cmの大きさに切断し、厚みを計測(処理前厚み:a)し、この厚みに対して50%圧縮状態にして温度80℃、湿度95%の環境下に22時間放置した後、圧縮状態を開放し室温で30分間冷却して再度厚みを計測(処理後厚み:b)して、式{(a)−(b)}/(a)×100より算出される値である。80℃、95RH%は夏場におけるカーシートや車両用シートなどで使用される上限の温度・湿度の環境と考えられ、この値が日常生活下において想定される使用時の、厚みの減少(へたり)の限界値であると言える。つまり、高温で高湿度の環境で使用した際の厚み変化(へたり)の限界の指標である。
本発明の網状構造体の25%圧縮硬度は1.5〜30N/φ50mmが好ましく、2〜20N/φ50mmがより好ましい。25%圧縮硬度が1.5N/φ50mm未満では網状構造体の硬度が低く、底付き感が出る。また、15N/φ50mmを超えると網状構造体の硬度が高く、好ましいクッション性が得られない。
本発明の網状構造体の65%圧縮硬度は、5N〜30N/φ50mmが好ましく、6〜25N/φ50mmがよりに好ましい。65%圧縮硬度が5N/φ50mm未満では網状構造体の硬度が低く、底付き感が出る。また、30N/φ50mmを超えると網状構造体の硬度が高く、好ましいクッション性が得られない。
本発明の網状構造体のヒステリシスロスは、25〜60%が好ましく、30〜55%がより好ましく、35〜55%がさらに好ましい。ヒステリシスロスが60%を越えると、弾性を感じることができなくなる。また、25%未満であれば網状構造体の回復力が大きすぎるために硬い感触の網状構造体となる。
本発明の網状構造体の製法の一例を述べる。特開平7−68061号公報等に記載された公知の方法で網状構造体は得られる。例えば、オレフィンブロック共重合体からなるポリオレフィン系熱可塑性エラストマーの融点より20〜120℃の範囲で高い溶融温度を用いオレフィンブロック共重合体からなるポリオレフィン系熱可塑性エラストマーを溶融させ、複数のオリフィスを持つ多列ノズルよりオレフィンブロック共重合体からなるポリオレフィン系熱可塑性エラストマーをノズルオリフィスに分配させる。該多列ノズルより溶融されたオレフィンブロック共重合体からなるポリオレフィン系熱可塑性エラストマーを下方に向け吐出させ、溶融状態で互いに線状を接触させることにより融着させ3次元構造を形成させる。3次元構造体は引取り装置に設置された引き取りネットで挟み込み冷却槽で冷却せしめた後、ニップローラーで挟み込むことで冷却槽から引き出し、水切り後、乾燥されて、両面または片面が平滑化した網状構造体を得ることが出来る。片面のみを平滑化させる場合は、傾斜を持つ引き取りネット上に吐出させて、溶融状態で互いに接触させて融着させ3次元構造を形成しつつ引き取りネット面のみ形態を緩和させつつ冷却する方法等を用いることが出来る。
本発明に使用されるオレフィンブロック共重合体からなるポリオレフィン系熱可塑性エラストマーは、従来使用されているポリオレフィン系熱可塑性エラストマーよりも融点が高いため、紡糸する際の押出温度を高く設定することが出来る。さらに比熱も従来のポリオレフィン系熱可塑性エラストマーよりも高いため、連続線状体がループを形成し、隣接する線状と接触、接点を形成する際により多くの熱量を有しており、このことが従来よりも強固な接点を形成することが可能となると考えられる。
本発明の網状構造体を得るためには、紡糸温度が重要であり、樹脂のMFRに応じて適正な範囲がある。MFR=2〜5g/minの樹脂では紡糸温度は融点+100〜140℃、MFR=5〜10g/minの樹脂では紡糸温度は融点+80〜100℃、MFR=10〜20g/minの樹脂では紡糸温度は融点+40〜80℃が適正な範囲である。適正な範囲より低温で紡糸すると、繊維が接点を形成する前に固まり、強固な接点を形成できない。また、適正な範囲よりも高温で紡糸すると水槽での冷却が十分ではなくなり、網状構造体を形成できなくなる。
本発明の網状構造体は、従来のポリオレフィン系熱可塑性エラストマーを用いた網状構造体よりも耐熱、耐湿熱性に優れるが、これは、線状同士の接点が強固なことが理由と考えられる。すなわち70℃の高温環境下、あるいは80℃、95RH%の高温高湿熱の環境下において圧縮等の外力を受けた際においても、線状同士の接点が強固なため、外力を網状構造体全体に分散することが可能となると考えられる。このため、応力の集中を避けることが出来、耐熱、耐湿熱性能に優れる、と考えられる。
本発明の網状構造体を得るためには、多列ノズルのオリフィスから吐出させるオレフィンブロック共重合体からなるポリオレフィン系熱可塑性エラストマーの単孔吐出量は0.5g/min以上が好ましく、0.7g/min以上がより好ましく、1.0g/min以上がさらに好ましい。単孔吐出量が0.5g/min未満では連続線状体が細くなりすぎて網状構造体を形成することが困難となると同時に、線状体自体が有する熱量が減少し、隣接する線状との強固な接点が形成されにくくなる。網状構造体が形成できる範囲であれば単孔吐出量の上限は特に限定されないが、7.0g/min以上となると、線状体自身が太くなりすぎるために網状構造体の形成が困難になると同時に、形成された網状構造体の冷却が困難となり、品位が劣る可能性が生じる。
本発明の網状構造体を得るためには、ノズル最下面と水面との距離、いわゆるエアギャップは500mm以下が好ましく、470mm以下がより好ましく、450mm以下がさらに好ましい。エアギャップが500mmより大きいと、線状体自体の熱量が減少してから隣接する線状との接点を形成することになり、強固な接点を形成できにくくなる。エアギャップの下限は特に限定されないが、網状構造体が形成できる範囲であれば短くてもよいが、100mm以上が好ましい。100mmより小さいと、隣接する線状との接触回数が減るために網状構造体の形成が困難になると同時に、形成された網状構造体の冷却が困難となり、品位が劣る可能性が生じる。
本発明の網状構造体を得るためには、引き取りネットの引取速度は10.0m/min以下が好ましく、7.0m/min以下がより好ましく、5.0m/min以下がさらに好ましい。引取速度が10.0m/minを超えると、線状が絡み合わず、接点を形成することができない場合がある。引取速度の下限は特に限定されないが、網状構造体を形成する範囲であれば遅くてもよいが、0.3m/min以上が好ましい。0.3m/minより遅いと接点を形成した後の冷却が遅くなり、品位が劣る可能性が生じる。
本発明の網状構造体を得るための方法の一つとして、冷却して得られた網状構造体に熱処理(アニーリング処理)を行うことも挙げられる。熱処理温度は70℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましく、90℃以上がさらに好ましい。熱処理はオレフィンブロック共重合体からなるポリオレフィン系熱可塑性エラストマーの融点以下で行われることが好ましく、融点より5℃低い温度、より好ましくは融点より10℃低い温度で処理することが好ましい。熱処理時間は1分以上が好ましく、10分以上がより好ましく、20分以上がさらに好ましく、30分以上が特に好ましい。熱処理時間は長い方が好ましいが、一定時間以上にしても熱処理の効果が増加せず、逆に樹脂の劣化を引き起こすため、熱処理時間は1時間以内で行うことが好ましい。
本発明の網状構造体を構成する連続線状体を、示差走査型熱量計にて測定すると、融解曲線において、室温(20℃)から融点以下に吸熱ピークを有することが好ましい。融点以下の吸熱ピークは2つ以上有する場合もあり、融点との近さやベースライン形状によってはショルダーになって現れる場合もある。この吸熱ピークを有するものは、吸熱ピークを有しないものに比べて耐熱耐湿熱性が向上する。パルスNMR法の測定の結果、および熱処理による耐熱耐湿熱性が見られる現象から考えると、非晶相はより界面相側へ、界面相がより結晶相側へと結晶構造に近い構造に再配列され、より安定な界面相を形成していると考えらえる。
本発明の網状構造体は、性能を低下させない範囲で樹脂製造工程、成型加工工程、後加工工程等、製品化する任意の工程において、防臭抗菌、消臭、防黴、着色、芳香、難燃、吸放湿等の機能付与を行うことが出来る。
本発明の網状構造体を構成する連続線状体の断面形状は特には限定されないが、中空断面や異型断面およびそれらの組み合わせとすることで好ましい抗圧縮性やタッチを付与することができる。圧縮特性は繊維径や用いる素材のモジュラスにより調整することが出来る。具体的には、連続線状体の繊維径を調整する方法、連続線状体の断面形状を異型断面や中空断面にする方法、用いる素材自体の硬度を変える方法等が挙げられる。異型断面としては三角形、四角形、十字型等の多辺形断面やそれらに突起を有する断面形状、星型、Y型、U字型およびそれらに突起を複数個有するもの等の異形断面が挙げられる。異形断面とすることで、抗圧縮性を付与できる。抗圧縮性は、用いる素材のモジュラスにより調整して、柔らかい素材では異形度を高くして、初期圧縮応力の勾配を調整できるし、ややモジュラスの高い素材では異形度を低くして座り心地が良好な抗圧縮性を付与する。
特に中空断面や異型断面を用いた際に、中空率や異型度を高くすると同一の圧縮特性を有する場合であっても、軽量化が可能となる可能性があり、自動車等の座席に用いると省エネルギ−化ができ、布団などの場合は、上げ下ろし時の取扱性が向上するなど、好ましい実施形態である。
網状構造体を構成する連続線状体を中空断面や異形断面とする方法としては、例えば、中空断面とする場合は、オリフィス形状を中空形成できるオリフィスを用いることで可能である。中空断面は網状構造体に使用するオレフィンブロック共重合体からなるポリオレフィン系熱可塑性エラストマーのバラス効果が大きい場合は中空率を高くし易いが、バラス効果が小さいものは、オリフィスの中空率をできるだけ高くしないと糸の中空率は高くならないので、用いる素材により最適なオリフィス形状を選択する必要がある。本発明の連続線状体における好ましい中空率は3〜80%であり、より好ましくは5〜60%であり、さらに好ましくは10〜50%である。中空率が3%未満では、中空の効果が不充分であり、80%を越えると断面と垂直の方向からの大きい力で応力集中を受けた場合中空断面が変形しやすくなり、極端な場合は中空潰れを生じて形態保持性が悪くなる。なお、断面形状は中空部を有していれば特に限定されないが、異形中空断面とすることで抗圧縮性が向上するので好ましい。
網状構造体を構成する連続線状体をシースコア構造に複合化して、融点差を利用し接合強力向上を狙うのも好ましい実施形態である。この場合は、シース成分とコア成分に使用する熱可塑性エラストマーの融点差が20℃以上の熱可塑性エラストマーを用いて、オリフィス直前でシースコア配分して吐出することで得ることができる。シース成分とコア成分に使用する熱可塑性エラストマーの融点差が30℃以上であることがより好ましい。網状構造体を構成する連続線状体をシースコア構造に複合化する場合の紡糸温度は低融点成分の融点より、少なくとも10℃以上高い温度で行うのが好ましい。
本発明の網状構造体は、多層構造のものも包含する。例えば、上面と下層を異なった繊維径の連続線状体で構成することができる。例えば、上層は繊維径の小さい連続線状体で構成しソフトにしつつ、下層は繊維径の大きい連続線状体で構成し硬度を持たせることで、ソフトな触感と底付き感の低減を両立することができる網状構造体とすることも好ましい実施形態である。多層にする方法は、網状構造体同士を積み重ねて側地等で固定する方法、加熱により溶融固着する方法、接着剤で接着する方法や縫製やバンド等で拘束する方法等が挙げられる。
以下に、実施例を例示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例中における特性値の測定および評価は下記のように行った。
(1)繊維径
試料を5cm×5cmの大きさに切断し、網状構造体からランダムに線状体を切り出した。採集した線状体の輪切り方向での繊維断面を、光学顕微鏡を適当な倍率で観察することで、繊維径を測定した(n=10の平均値)。
(2)中空率
試料を20cm×20cmの大きさに切断し、その試料よりランダムに20本の線状体を取り出した。線状体を輪切りにし、繊維軸方向に立てた状態でカバーガラスに載せ、光学顕微鏡で輪切り方向の繊維断面を観察し、繊維の外周面積(a)と中空面積(b)を算出した。中空率は次式により算出し、20本の平均値とした。
(中空率)=(b)/(a)(単位%)
この際、線状体の断面形状が中空形状のものを中空断面形状線状体と見なし、断面形状が中実断面形状線状体の場合は、中空断面形状線状体のみの平均値を求めた。
(3)試料厚みおよび見掛け密度
試料を8cm×10cmの大きさに4サンプル切り出し、無荷重で24時間放置した。その後、高分子計器製FD−80N型測厚器にて面積15cm2の円形測定子を使用し、各サンプル1か所の高さを測定し、その平均値を試料厚みとした。試料重さは、上記試料を電子天秤により計測した。見掛け密度は、試料厚みから体積を求め、試料の重さを体積で除した値で示した。(n=4の平均値)
(4)融点
TAインスツルメント社製 示差走査熱量計Q200を使用し、室温から昇温速度20℃/分で測定した吸発熱曲線から吸熱ピーク(融解ピーク)温度を求めた。
(5)比熱
TAインスツルメント社製 示差走査熱量計Q200を使用し、JIS−K7123 に準拠する方法で求めた。10℃で10min保持した後、10℃/minで70℃まで昇温し、70℃で10min保持し、ベースラインを合わせ、25℃における空のアルミパンとサンプルのヒートフローの差(H)と、25℃における空のアルミパンと基準物質のヒートフローの差(h)およびサンプルの重量(M)と基準物質の重量(m)より以下の式を用いて測定を行った。
比熱(J/g・℃)=(H/h)×(m/M)×(基準物質の比熱)
基準物質にはα-アルミナを用いて測定を行った。
(6)樹脂(レジン)の190℃におけるメルトフローレート(MFR)
「ASTM D1238」の測定法により、190℃、荷重2160gの条件下で測定を行った。
(7)樹脂(レジン)の密度
「ASTM D792」に準拠する方法で測定を行った。
(8)樹脂の組成分析
共鳴周波数125MHzの13C−NMR測定にて行った。測定装置にはBRUKER製AVANCE500を用い、溶媒には重ベンゼン/o−ジクロロベンゼン(20/80
vol%)を使用した。前述した溶媒に、試料を125℃以上で十分に溶解した後、110℃で測定を行った。積算回数は512回以上、繰り返し時間は1sec以上とした。
(9)結晶相の緩和時間
日本電子製パルスNMR測定装置(JNM−MU25)を用いて測定した。観測核は1H、測定磁場強度は0.58テスラ、観測周波数は25MHz、パルスモードはSolid−Echo法、RPパルス幅(Pw1)は2.0μs、パルス間隔(Pi1)は8.0μs、パルス繰り返し時間は500msで測定を行った。このようにして測定して得られた自動誘導減衰信号を最小二乗法によって長い成分から順に差し引いて3成分で解析を行い、緩和時間の短い成分を結晶相、長い成分を非晶相、中間の成分を界面相であると定義し、結晶相の緩和時間を求めた。
(10)界面相の分率
日本電子製パルスNMR測定装置(JNM−MU25)を用いて測定した。観測核は1H、測定磁場強度は0.58テスラ、観測周波数は25MHz、パルスモードはSolid−Echo法、RPパルス幅(Pw1)は2.0μs、パルス間隔(Pi1)は8.0μs、パルス繰り返し時間は500msで測定を行った。このようにして測定して得られた自動誘導減衰信号を最小二乗法によって長い成分から順に差し引いて3成分で解析を行い、緩和時間の短い成分を結晶相、長い成分を非晶相、中間の成分を界面相であると定義し、界面相の分率を求めた。
(11)25%圧縮時硬度
試料を8cm×10cmの大きさに切断し、20℃±2℃の環境下に無荷重で24時間放置した後、20℃±2℃の環境下にあるオリエンテック社製テンシロンRTM250(1kNロードセル使用)にてφ50mm、厚み3mmの加圧板を用いて、試料の中心部を10mm/minの速度で圧縮を開始し、荷重が0.3Nになる時の厚みを計測し、硬度計厚みとする。この時の加圧板の位置をゼロ点として、速度100mm/minで硬度計厚みの75%まで圧縮した後、速度100mm/minにて加圧板をゼロ点まで戻す。引き続き速度100mm/minで硬度計厚みの25%まで圧縮し、その際の荷重を25%圧縮時硬度とした:単位N/φ50mm(n=3の平均値)。
(12)65%圧縮時硬度
試料を8cm×10cmの大きさに切断し、20℃±2℃の環境下に無荷重で24時間放置した後、20℃±2℃の環境下にあるオリエンテック社製テンシロンRTM250(1kNロードセル使用)にてφ50mm、厚み3mmの加圧板を用いて、試料の中心部を10mm/minの速度で圧縮を開始し、荷重が0.3Nになる時の厚みを計測し、硬度計厚みとする。この時の加圧板の位置をゼロ点として、速度100mm/minで硬度計厚みの75%まで圧縮した後、速度100mm/minにて加圧板をゼロ点まで戻す。引き続き速度100mm/minで硬度計厚みの65%まで圧縮し、その際の荷重を65%圧縮時硬度とした:単位N/φ50mm(n=3の平均値)。
(13)ヒステリシスロス
試料を20cm×20cmの大きさに切断し、20±2℃の環境下に無荷重で24時間放置した後、20℃±2℃の環境下にあるオリエンテック社製テンシロンRTM250(1kNロードセル使用)にてφ50mm、厚み3mmの加圧板を用いて、試料の中心部を10mm/minの速度で圧縮を開始し、荷重が0.3Nになる時の厚みを計測し、初期厚みとする。初期厚み測定後のサンプルを20±2℃の環境下にあるオリエンテックス社製テンシロンRTM250(1kNロードセル使用)にてφ150mm、厚み20mmの圧縮板を用いて、50mm/minの速度で初期厚みの75%まで圧縮した後、ホールドタイム無しで、同速度で元の位置まで圧縮板を戻し(一回目の応力歪み曲線)、続けてホールドタイム無しで同作業(圧縮と戻し)を繰り返す(二回目の応力歪み曲線)。二回目の圧縮時応力曲線の示す圧縮エネルギー(WC)、二回目の除圧時応力曲線の示す圧縮エネルギー(WC‘)とし、下記式に従ってヒステリシスロスを求める。(n=3の平均値)
ヒステリシスロス(%)=(WC−WC‘)/WC×100
WC=∫PdT(0%から75%まで圧縮したときの仕事量)
WC‘=∫PdT(75%から0%まで除圧したときの仕事量)
(14)70℃圧縮残留歪
試料を8cm×10cmの大きさに切断し、(3)に記載の方法で処理前の厚み(a)を測定する。厚みを測定したサンプルを厚み(a)の50%圧縮状態に厚みを保持できる冶具に挟み、温度70℃、湿度23%に設定した乾燥機に入れ、22時間放置する。その後サンプルを取り出し、冷却して圧縮歪みを除き30分後に(3)に記載の方法で厚み(b)を求め、処理前の厚み(a)とから、式{(a)−(b)}/(a)×100より算出する:単位%(n=3の平均値)。
(15)50℃、95RH%圧縮残留歪
試料を8cm×10cmの大きさに切断し、(3)に記載の方法で処理前の厚み(c)を測定する。厚みを測定したサンプルを厚み(c)を50%圧縮状態に保持できる冶具に挟み、温度50℃、湿度95RH%に設定した恒温恒湿槽に入れ、22時間放置する。その後サンプルを取り出し、冷却して圧縮歪みを除き30分後に(3)に記載の方法で厚み(d)を求め、処理前の厚み(c)とから、式{(c)−(d)}/(c)×100より算出する:単位%(n=3の平均値)。
(16)85℃、95RH%圧縮残留歪
試料を8cm×10cmの大きさに切断し、(3)に記載の方法で処理前の厚み(c)を測定する。厚みを測定したサンプルを厚み(e)を50%圧縮状態に保持できる冶具に挟み、温度80℃、湿度95RH%に設定した恒温恒湿槽に入れ、22時間放置する。その後サンプルを取り出し、冷却して圧縮歪みを除き30分後に(3)に記載の方法で厚み(f)を求め、処理前の厚み(e)とから、式{(e)−(f)}/(e)×100より算出する:単位%(n=3の平均値)。
(17)8万回繰返し圧縮後硬度保持率
試料を30cm×30cmの大きさに切断し、(3)に記載の方法で処理前の厚みを測定する。厚みを測定したサンプルの25%圧縮時硬度を(11)に記載の方法で測定し、その値を処理前荷重(g)とする。その後、25%圧縮時硬度を測定したサンプルを、安田精機製作所のフォームラバー繰返し圧縮試験機で、20℃±2℃環境下にて30cm×30cm、厚み20mmの加圧板の間に挟み、処理前の厚みの50%の厚みまで1Hzのサイクルで圧縮回復を8万回繰り返す。8万回繰返し圧縮後の試料をフォームラバー繰返し圧縮試験機から取り出し、30分静置後、25%圧縮時硬度を(11)に記載の方法で測定し、その値を処理後荷重(h)とする。式(h)/(g)×100より8万回繰返し
圧縮後硬度保持率を算出する:単位%(n=3の平均値)。
[実施例1]
幅方向96mm、厚み方向の幅31.2mmのノズル有効面にオリフィスの形状は外径1mm、内径0.6mmのトリプルブリッジ中空形成性断面としたオリフィスを孔間ピッチ6mmの千鳥配列としたノズルを用いた。オレフィンブロック共重合体からなるポリオレフィン系熱可塑性エラストマーとしてエチレン/α−オレフィンからなるマルチブロック共重合体であるINFUSE D9530.05(ダウ・ケミカルズ社製)を100重量%使用し、紡糸温度240℃にて、単孔吐出量を1.0g/minとなる条件でノズル下方に吐出させた。ノズル面下18cmの距離に冷却水を配し、冷却水の温度を20℃とし、引き取りとしては、幅300mmのステンレス製エンドレスネットを有する引き取り装置を、コンベアの一部が水面上に一部出るように配した。コンベアの間隔は平行に幅20mmとし、溶融状態の吐出線状を曲がりくねらせル−プを形成して接触部分を融着させつつ3次元網状構造を形成させた。3次元網状構造体の両面を引き取りコンベアで挟み込みつつ、引き取り速度を0.75m/minで冷却水中へ引込み固化させ、両面をフラット化した後、所定の大きさに切断し、105℃熱風にて30分間アニーリング処理した。得られたポリオレフィン系熱可塑性エラストマーからなる網状構造体の特性を表1に示す。
なお、網状構造体を構成する樹脂の樹脂組成は、上記に記載の共鳴周波数125MHzの13C−NMR測定による方法にて行い、樹脂組成であるエチレンと1−オクテンのmol比率は以下の方法で測定した。
1−オクテンの共重合mol比率の決定は、以下の方法で決定した。
溶媒に使用したo−ジクロロベンゼンのピークは120〜140ppm付近に観測されるが、その内一番低磁場側に検出される1,2位の13Cピークを133.1ppmとする。その際、10.0〜50ppm付近に検出されるピークが1−オクテン共重合ポリエチレンに対応するピークである。さらに、その内、3級炭素のピークが38.2〜38.4ppmおよび35.9〜36.1ppmに、1級炭素のピークが14.0〜14.2ppmに、それ以外は2級炭素のピークに該当する。解析には、3級炭素のピーク(積分値の和=Aとする)と2級炭素のピーク(積分値の和=Bとする)を用い、以下の式で1-オクテン共重合mol比率(下式のX)を算出した。
A×100/{A+(B−A×6)/2}=X(mol%)
エチレンの共重合mol比率は以下の式により求めた。
Y=100−X(mol%)
以下の実施例においても、同様にして樹脂組成、共重合mol比率を測定した。
得られた網状構造体は、連続線状体の断面形状が円形の中空断面で中空率が30%、繊維径が0.78mmであった。得られた網状構造体は、本発明の要件を満たし、特に高温、高湿下での耐久性に優れた網状構造体であった。
[実施例2]
アニーリング温度を70℃にした以外は実施例1に従った。得られた網状構造体の特性を表1に示す。
得られた網状構造体は、連続線状体の断面形状が円形の中空断面で中空率が29%、繊維径が0.76mmであった。得られた網状構造体は、本発明の要件を満たし、特に高温、高湿下での耐久性に優れた網状構造体であった。
[実施例3]
使用するオレフィンブロック共重合体からなるポリオレフィン系熱可塑性エラストマーとして、エチレン/α−オレフィンからなるマルチブロック共重合体であるINFUSE
D9817.15(ダウ・ケミカルズ社製)を100重量%使用し、紡糸温度を220℃とした以外は実施例1に従った。得られた網状構造体の特性を表1に示す。
得られた網状構造体は、連続線状体の断面形状が円形の中空断面で中空率が25%、繊維径が0.68mmであった。得られた網状構造体は、本発明の要件を満たし、特に高温、高湿下での耐久性に優れた網状構造体であった。
[実施例4]
アニーリング温度を70℃にした以外は実施例3に従った。得られた網状構造体の特性を表1に示す。
得られた網状構造体は、連続線状体の断面形状が円形の中空断面で中空率が24%、繊維径が0.65mmであった。得られた網状構造体は、本発明の要件を満たし、特に高温、高湿下での耐久性に優れた網状構造体であった。
[実施例5]
使用するオレフィンブロック共重合体からなるポリオレフィン系熱可塑性エラストマーとして、エチレン/α−オレフィンからなるマルチブロック共重合体であるINFUSE
D9807.15(ダウ・ケミカルズ社製)を100重量%使用し、紡糸温度、単孔吐出量を表1に記載した条件に変更した以外は実施例1に従った。得られた網状構造体の特性を表1に示す。
得られた網状構造体は、連続線状体の断面形状が円形の中空断面で中空率が26%、繊維径が0.67mmであった。得られた網状構造体は、本発明の要件を満たし、特に高温、高湿下での耐久性に優れた網状構造体であった。
[実施例6]
紡糸温度を200℃にした以外は実施例1に従った。得られた網状構造体の特性を表1に示す。
得られた網状構造体は、連続線状体の断面形状が円形の中空断面で中空率が40%、繊維径が0.95mmであった。得られた網状構造体は、接点強度が若干弱くなるため、8万回繰返し圧縮後硬度保持率が少し劣る網状構造体であった。
[比較例1]
使用するポリオレフィン系熱可塑性エラストマーとして、エチレン/オクテンランダム共重合体であるENGAGE 8401(ダウ・ケミカルズ社製)を100重量%使用し、紡糸温度を190℃とした以外は実施例1に従った。得られた網状構造体の特性を表1に示す。
得られた網状構造体は、連続線状体の断面形状が円形の中空断面で中空率が11%、繊維径が0.5mmであった。得られた網状構造体は、圧縮残留歪が大きく、高温、高湿下での耐久性が悪い網状構造体であった。
[比較例2]
冷却後の熱処理(アニーリング)の条件を表1に記載した条件に変更した以外は比較例1に従った。得られた網状構造体の特性を表1に示す。
得られた網状構造体は、アニール時の条件により網状構造を維持できなかった。
[比較例3]
幅方向1050mm、厚み方向の幅50mmのノズル有効面にオリフィスの形状は外径2mm、内径1.6mmでトリプルブリッジの中空形成性断面としたオリフィスを孔間ピッチ5mmの千鳥配列としたノズルに、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーとしてメタロセン化合物を触媒として共重合されたエチレン/ヘキセンランダム共重合体であるニポロン(登録商標)−Z7P55A(東ソー株式会社製)を100重量%使用し、紡糸温度210℃にて、単孔当たり2.0g/minの速度でノズル下方に吐出させ、ノズル面26cm下に冷却水を配し、幅150cmのステンレス製エンドレスネットを平行に開口幅40mm間隔で一対の引取りコンベアを水面上に一部出るように配して、該溶融状態の吐出線状を曲がりくねらせループを形成して接触部分を融着させつつ3次元網状構造を形成させた。3次元網状構造体の両面を引取りコンベアで挟み込みつつ毎分1.15mの速度で冷却水中へ引込み固化させ両面をフラット化した後、ニップローラーで毎分1.1mの速度、すなわち速度比率4.3%で引き取り、所定の大きさに切断して70℃熱風にて30分間乾燥熱処理して、網状構造体を得た。得られた網状構造体の特性を表1に示す。
得られた網状構造体は、連続線状体の断面形状が中空断面で中空率が28%、繊維径が1.2mmであった。得られた網状構造体は、高温、高湿下での圧縮残留歪が大きく、耐久性が悪い網状構造体であった。
[比較例4]
エアギャップを50cmにした以外は実施例1に従った。エアギャップを広くしたため、繊維が接点を形成する前に固化し、接点を形成できず、網状構造体を得ることができなかった。
本発明により、高温、高湿熱下でも圧縮残留歪が小さい網状構造体を得ることが出来る。この網状構造体は、電車、自動車、二輪車等、特に夏場に高温となる環境であり、かつ乗員等から生じる汗の影響による高湿度になる環境においても、圧縮残留歪が小さいという効果を有する。さらに、冬場に用いられる電気毛布やヒーター、湯たんぽ等によって高温となる環境であり、かつ寝床内等の高湿度になる環境においても、圧縮残留歪が小さいという効果を有し、産業への寄与大である。

Claims (8)

  1. レフィンブロック共重合体からなるポリオレフィン系熱可塑性エラストマー連続線状体で構成された三次元ランダムループ接合構造を持つ網状構造体を冷却後アニーリング処理して得られる網状構造体であって、前記網状構造体は繊維径が0.1〜3.0mmであり、見掛け密度が0.005〜0.20g/cmであり、70℃での圧縮残留歪が30%以下であり、網状構造体を構成する樹脂をパルスNMR法により測定して得られた界面相の比率が40%以下である網状構造体。
  2. 前記網状構造体は、50℃、95%RHでの圧縮残留歪が20%以下である請求項1に記載の網状構造体。
  3. 前記網状構造体は、80℃、95%RHでの圧縮残留歪が35%以下である請求項1に記載の網状構造体。
  4. オレフィンブロック共重合体が、エチレン/α−オレフィンブロック共重合体である請求項1〜3のいずれかに記載の網状構造体。
  5. エチレン/α−オレフィンブロック共重合体が、エチレンを50〜95mol%、炭素数3以上のα−オレフィンを5〜50mol%含むブロック共重合体である請求項4に記載の網状構造体。
  6. α−オレフィンが1−オクテンである請求項4または5に記載の網状構造体。
  7. 網状構造体の厚みが10〜200mmであり、25%圧縮時硬度が1.5〜30N/φ50mm以下である請求項1〜6のいずれかに記載の網状構造体。
  8. 連続線状体の断面形状が中空断面である請求項1〜7のいずれかに記載の網状構造体。
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