JP2020203995A - 強化材を再生する方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、回収した強化材の強度低下を抑制することでき、強化材の形状を保つことができる、強化複合材料からの強化材の再生方法を提供することを目的とする。【解決手段】処理溶液及び/又は熱を用いて強化複合材料の母材と強化材とを分離して強化材を再生する方法において、a)再生した前記強化材の強度が再生する前の前記強化材の強度の80%以上であり、かつb)前記強化材の再生前後での形状保持率が90%以上であるか、又は、a)再生した前記強化材の強度が再生する前の前記強化材の強度の90%以上であり、かつb)前記強化材前記強化材の再生前後での形状保持率が80%以上である、強化材の再生方法。【選択図】なし

Description

本発明は、強化材を再生する方法に関する。
複合強化材料とは、母材である樹脂に、炭素繊維、ガラス繊維、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維、有機系高強度繊維、無機系充填材、金属系充填材、カーボンナノチューブ、セルロースナノファイバー等の強化材を複合化して成型される材料である。その特徴は強度が高く、鉄等の金属に比べて軽いことである。その特徴を活かして、エネルギー効率の向上に大きく貢献する素材として、一部の自動車や航空機等に加え、風車のブレード等にも利用され始めている。強化材の1つである炭素繊維の生産量は、2015年の6万トンから2020年の14万トンへ、5年間で2倍以上の増大が予想されている。炭素繊維はまず、石油からアクリロニトリルという化学物質を合成し、それを糸にしたアクリル繊維を製造する。そして、数千度という高温で炭化処理することによって炭素繊維が製造される。炭素繊維はそのまま使われる事もあるが、多くは連続繊維や不織布、チョップド等様々な形態に加工され、更に様々な種類の樹脂と複合することにより、複合強化材料の1つである炭素繊維強化プラスチック(CFRP)として使用されている。
炭素繊維強化プラスチックは、強い、硬い、錆びない、腐らない等優れた材料特性を持っているが、それ故に廃棄方法が課題である。一般的なプラスチックは容易に燃焼させることができるが、炭素繊維は高度にグラファイト化された構造であるため燃えにくい。したがって、国内では炭素繊維強化プラスチックの端材や廃材は産業廃棄物として粉砕後、埋め立て処分されている。粉砕されて、埋め立て処分された炭素繊維は、生分解されずに海洋プラスチック汚染の原因物質となってしまう。
そこで、使用後の複合強化材料から強化材を分離回収し、再利用する方法が提案されている。
例えば、低酸素状態で500〜700℃の高温で炭素繊維強化プラスチックを処理することで、母材である樹脂成分を熱分解させて炭素繊維のみを回収する方法である。また、二段階熱分解法という技術も開発された。その技術は、一段階目である程度まで樹脂成分を熱分解し、そこから可燃性ガスを回収する。そのガスを加熱用の燃焼ガスとして活用することで、燃料の消費を低減する。その後、二段階目で再び熱分解し、繊維表面に残った樹脂成分を熱分解して除去する方法である(例えば、特許文献1参照。)。
また、過熱水蒸気を利用する方法も提案されている。過熱水蒸気とは飽和蒸気を更に過熱することにより、ある圧力において飽和温度以上の蒸気温度を持つ水蒸気のことである。この過熱水蒸気を用いて、母材である樹脂成分を効率よく熱分解させて炭素繊維のみを回収する方法である(例えば、特許文献2参照。)。
また、特定の有機溶剤に樹脂成分を溶解させる手法も提案されている。処理温度が100〜150℃という低温であることと、ウェットプロセスなので樹脂の残存がないために、回収した炭素繊維の強度が低下しないことが特徴である(例えば、非特許文献1参照。)。
更に、メタノールを8Mpa以上の高圧装置に入れることで、超臨界状態にして樹脂を溶解する方法も提案されている。この方法も処理温度が240℃程度と比較的低温のため、回収した炭素繊維の強度は低下しないことが特徴である(例えば、特許文献3参照。)。
特許第5347056号公報 特許第5876968号号公報 特開2013−203826号公報
日立化成テクニカルレポートNo.42(2004.1)
しかしながら、上述した従来提案されている技術は、下記のような問題点を有している。
特許文献1に提案されている熱分解法は、樹脂の熱分解ガスの毒性という課題がある。熱硬化性炭素繊維強化プラスチックの主要な樹脂であるエポキシ樹脂は、熱分解によってガン原生物質の疑いがあるビスフェノールAが生成するため、注意を要する。また、回収した炭素繊維の強度が70〜80%に低下してしまうことである。これは、高温処理をすることによって炭素繊維の表面に微小なクラックが入ってしまうためである。更に、炭素繊維は樹脂と複合化して炭素繊維強化プラスチックに加工する際、繊維に表面処理をして樹脂との親和性を上げる必要がある。熱分解法で回収した炭素繊維は、表面に発生したクラックと樹脂の残渣のために、表面処理を阻害してしまう。そのため、熱分解法で回収した炭素繊維を用いて炭素繊維強化プラスチックを製造した場合、炭素繊維自体の強度低下に加えて、更に70〜80%の強度低下が発生してしまう。
特許文献2に提案されている過熱水蒸気法は、前述の熱分解法と同様に高温処理をすることによって回収した炭素繊維の強度が低下してしまう。また、熱分解の効率を向上するためにロータリーキルンを用いているが、装置に入れることができる大きさにする必要があるため、処理する炭素繊維強化プラスチックを粉砕しなくてはならない。そのため、長繊維状の炭素繊維を回収することができず、再び母材と複合化するためには強化材を中間基材に加工する際に不織布やフィラー等一部の形状に限られてしまい、そのために再加工された強化複合材料の用途も限定されてしまう。
非特許文献1に提案されている常圧溶解法は、溶解できる樹脂がPET等のポリエステル系に限られるため、処理できる炭素繊維強化プラスチックに制限がある。熱可塑性樹脂を用いた炭素繊維強化プラスチックは、使用される樹脂の種類が豊富で、PET(ポリエステル)、PP(ポリプロピレン)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PA(ポリアミド)等多岐にわたっている。しかし、それらを一目で見分けることは難しい。専用の機器を用いて分析することは可能だが、回収した炭素繊維強化プラスチックの部品を一つずつ分析して選別することは現実的ではない。
特許文献3に提案されている超臨界法は、高圧装置が非常に高コストになることと、大型化が難しく実用的ではない。
上述したように、従来提案されている複合強化材料からの強化材の分離回収方法は、処理できる複合強化材料の種類に制限がある方法や、回収した強化材の強度低下や粉砕による形状変化がある方法のため、複合強化材料へ再び活用する際にその複合化の方法や強化複合材料の用途に制限がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、回収した強化材の強度低下を抑制することでき、強化材の形状を保つことができる、強化複合材料からの強化材の再生方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の強化複合材料から強化材を回収する方法により、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下の通りである。
〔1〕
処理溶液及び/又は熱を用いて強化複合材料の母材と強化材とを分離して強化材を再生する方法において、
a)再生した前記強化材の強度が再生する前の前記強化材の強度の80%以上であり、かつb)前記強化材の再生前後での形状保持率が90%以上であるか、又は、a)再生した前記強化材の強度が再生する前の前記強化材の強度の90%以上であり、かつb)前記強化材前記強化材の再生前後での形状保持率が80%以上である、
強化材を再生する方法。
〔2〕
前記強化材が、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維、有機系高強度繊維、無機系充填材、カーボンナノチューブ、セルロースナノファイバーからなる群から選ばれる少なくとも1つを含む、〔1〕に記載の強化材を再生する方法。
〔3〕
前記強化材が、炭素繊維、ガラス繊維、カーボンナノチューブからなる群から選ばれる少なくとも1つを含み、繊維長が20mm以上である、〔2〕に記載の強化材を再生する方法。
〔4〕
A)硫酸を電気分解することによって、酸化性活性種を含む処理溶液を得る工程、
B)前記処理溶液に、使用後又は製造工程から廃棄される端材である前記強化複合材料を浸漬して、母材を分解、除去する工程、
C)前記母材が除去された強化材を洗浄、乾燥することで、前記強化材を再生する工程、
を含む、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の強化材を再生する方法。
〔5〕
〔2〕〜〔4〕のいずれかに記載の強化材を再生する方法により再生された強化材を用いて、連続繊維又は不織布である中間基材を再生する方法。
〔6〕
〔5〕に記載の中間基材を再生する方法により再生された中間基材を用いて、前記中間基材と母材とが複合化されている強化複合材料を再生する方法。
〔7〕
〔2〕〜〔4〕のいずれかに記載の強化材を再生する方法により再生された強化材を用いて、強化複合材料を再生する方法。
〔8〕
D)再生した前記強化材を母材と複合化することで、強化複合材料を再生する工程、
を含む、〔7〕に記載の強化複合材料を再生する方法。
〔9〕
〔7〕又は〔8〕に記載の強化複合材料を再生する方法を用いて、再生する前の前記強化複合材料を航空機、自動車、宇宙船、船舶、汽車からなる群から選ばれる少なくとも1つの輸送機器に使用し、再生した前記強化複合材料を再び前記輸送機器に使用する、強化複合材料の循環型社会を実現する方法。
本発明によれば、回収した強化材の強度低下を抑制することができ、強化材の形状を保つことができる、強化複合材料からの強化材の再生方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と言う。)について詳細に説明する。なお、本発明は以下の記載に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
初めに、本実施形態の強化材の再生方法において用いられる強化複合材料について記載する。
〔強化複合材料〕
本実施形態の強化複合材料とは、樹脂等の母材中に繊維やフィラー等の異種材料である強化材を複合化することによって、強度が向上された材料である。複合化の手法は、特に限定されることなく、水素結合や分子間力等の相互作用を利用する手法であってよく、分散、付着、接着、吸着、担持、配置等としてよい。
強化複合材料は、母材、強化材、その他の添加剤等を含んでよい。
〔強化材〕
本実施形態の強化材とは、強化複合材料の母材となるマトリックス樹脂に複合化又は分散される材料のことで、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維、有機系高強度繊維、無機系充填材、カーボンナノチューブ、セルロースナノファイバー等が挙げられる。
強化材には繊維状のものと粒子状のものがあり、定義は明確でないが、一般的に、アスペクト比(長さ/幅)が大きい(例えば、アスペクト比が、100以上、好適には200以上)のものが繊維状と呼ばれており、アスペクト比(長さ/幅)が小さい(例えば、アスペクト比が、200未満、好適には100未満)のものが粒子状とされている。
炭素繊維とは、アクリル繊維又はピッチ(石油、石炭、コールタール等の副生成物)を原料に高温で炭化して作った繊維のことである。
ガラス繊維とは、ガラスを融解、牽引して繊維状にしたものである。
金属繊維とは、塑性加工(圧延等)のほか,溶融紡糸法,CVD法等により、ステンレス,アルミニウム,鉄,ニッケル,銅等の金属を糸状に加工したものである。
有機系高強度繊維とは、ポリアミド、ポリエステル、アクリル、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール、ポリイミド等の樹脂を繊維化したものである。
これらの繊維は連続繊維や不織布等の中間基材に加工されて母材と複合化される。
連続繊維とは、すべての繊維が互いに平行に並んでいる一方向層の形態で用いられる長繊維のことで、編んだり、織ったりして用いることができる。また一方向層を様々な方向に積層することで擬似等方性や直交性、異方性のある板をつくることができる。
不織布とは、繊維を織らずに絡み合わせたシート状のものである。不織布は繊維を熱・機械的又は化学的な作用によって接着又は絡み合わせる事で布にしたものを指す。
無機系充填材を構成する元素としては、例えば、周期律表1〜16族の元素が挙げられる。この元素は、特に限定されるものではないが、周期律表2〜14族に属する元素が好ましい。その具体例としては、2族元素(Mg、Ca、Ba等)、3族元素(La、Ce、Eu、Ac、Th等)、4族元素(Ti、Zr、Hf等)、5族元素(V、Nb、Ta等)、6族元素(Cr、Mo、W等)、7族元素(Mn、Re等)、8族元素(Fe、Ru、Os等)、9族元素(Co、Rh、Ir等)、10族元素(Ni、Pd、Pt等)、11族元素(Cu、Ag、Au等)、12族元素(Zn、Cd等)、13族元素(Al、Ga、In等)、及び14族元素(Si、Ge、Sn、Pb等)が挙げられる。
これら元素を含む無機化合物としては、例えば、酸化物(複合酸化物を含む)、ハロゲン化物(フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物)、オキソ酸塩(硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、過塩素酸塩、炭酸塩等)、一酸化炭素、二酸化炭素及び二硫化炭素等の陰性の元素と上記元素とから形成される化合物、並びに、青酸、青酸塩、シアン酸塩、チオシアン酸塩及び炭化物等の塩が挙げられる。
1つの無機系充填材は、上記元素のうち1種又は2種以上を含んでいてもよい。複数種の元素は、粒子中に均一に存在していても、偏在していてもよく、ある元素の化合物の粒子の表面が、別の元素の化合物によって被覆されていてもよい。これら無機系充填材は、単独で使用しても、複数を組み合わせて使用してもよい。
このなかでも好ましい無機系充填材は、特に限定されるものではないが、例えば、シリカ、ジルコニア、チタン、亜鉛、鉄、銅、クロム、カドミウム、炭素、タングステン、アンチモン、ニッケル、及び白金からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含む。
カーボンナノチューブとは、炭素によって作られる六員環ネットワーク(グラフェンシート)が単層あるいは多層の同軸管状になった物質である。炭素の同素体で、フラーレンの一種に分類されることもある。
セルロースナノファイバーとは、幅15ナノメートル程度まで細くした木のセルロース繊維のことである。
本実施形態では、強化複合材料における強化材の含有量としては、強化複合材料を100質量%として、10〜80質量%であることが好ましい。好適には、下限は、15質量%以上20質量%以上であり、また、好適には、上限は、75質量%以下70質量%以下である。
〔母材〕
本実施形態の母材とは、強化複合材料のマトリックスとして用いられる樹脂のことで、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂が用いられる。
熱可塑性樹脂とは、ガラス転移温度又は融点まで加熱することによって軟らかくなり、目的の形に成形できる樹脂を指す。一般的に、熱可塑性樹脂は切削・研削等の機械加工がしにくい事が多く、加温し軟化したところで金型に押し込み、冷し固化させて最終製品とする射出成形加工等が広く用いられている。例として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS樹脂、塩化ビニル樹脂、メタクリル酸メチル樹脂、ナイロン、フッ素樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル樹脂等が挙げられる。
熱硬化性樹脂とは、加熱すると重合を起こして高分子の網目構造を形成し、硬化して元に戻らなくなる樹脂を指す。使用に際しては、流動性を有するレベルの比較的低分子の樹脂を所定の形状に整形し、その後加熱等により反応させて硬化させる。接着剤やパテでA液(基剤)とB液(硬化剤)を混ぜて使うタイプがあるが、これは熱硬化性樹脂のエポキシ樹脂で、混合により重合反応が起こっている。熱硬化性樹脂は硬くて熱や溶剤に強い。例として、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン等が挙げられる。
本実施形態では、強化複合材料における母材の含有量としては、強化材を100質量部として、20〜90質量部であることが好ましい。好適には、下限は、25質量部以上、30質量部以上であり、また、好適には、上限は、85質量部以下、80質量部以下である。
〔その他の添加剤〕
その他の添加剤としては、特に限定されず、難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、光吸収剤、離型剤、滑剤、各種安定剤、帯電防止剤、染顔料や、前述の複合化において用いられる各種反応剤等が挙げられる。
本実施形態では、強化複合材料におけるその他の添加剤の含有量としては、強化複合材料を100質量%として、0.01質量%以下、80質量%以下としてよい。
(強化材の再生方法)
本実施形態の強化材の再生方法は、処理溶液及び/又は熱を用いるものとしてよく、電解硫酸法を用いるものが好ましい。
電解硫酸法とは、硫酸溶液を電気分解することにより得られた酸化性活性種を含む処理用溶液に、母材と強化材とからなる強化複合材料を浸漬することにより、母材が水と二酸化炭素とに分解し、分解後の分解物が該処理用溶液に溶解され、その後、強化材を処理用溶液から取り出すことを特徴とする複合材の処理方法である。
酸化性活性種とは、所定電流、所定電圧にて硫酸溶液を電気分解することで生成されるものであり、具体的には、ヒドロキシラジカルやペルオキソ硫酸、ペルオキソ二硫酸等である。
具体的には、本実施形態の強化材の再生方法は、
A)硫酸を電気分解することによって、酸化性活性種を含む処理溶液を得る工程、
B)前記処理溶液に、使用後又は製造工程から廃棄される端材である前記強化複合材料を浸漬して、母材を分解、除去する工程、
C)前記母材が除去された強化材を洗浄、乾燥することで、前記強化材を再生する工程、
を含む。
硫酸溶液は、硫酸(H2SO4)と水(H2O)とからなる溶液である。硫酸溶液中に含まれる硫酸の濃度は30〜95重量%が好ましく、さらに好ましくは50〜80重量%である。硫酸の濃度が30重量%未満の場合は、強化複合材料の母材を分解するために必要な酸化性活性種の量を得ることができず、母材の分解に長時間を要する。なお、濃度98重量%の濃硫酸においても、電気分解の方法を工夫しさえすれば酸化性活性種を生成させることは可能ではあるが、電気分解の際において電流が流れにくいことから酸化性活性種の生成量が極端に低下したり、電気分解に使用する電極の寿命が極端に短くなることから好ましくはない。
なお、電気分解した酸化性活性種を含む処理用溶液に濃硫酸や塩酸、硝酸を加えてもよい。また、処理用溶液に過酸化水素やペルオキソ硫酸のような過酸化物を添加してもよい。この場合、強化複合材の母材の分解速度を速める効果が得られる。
硫酸溶液の電気分解では、白金電極やカーボン電極等が使用できるが、濃度の高い硫酸溶液の電気分解にあっては、耐久性の面から、金属板表面に薄膜状にダイヤモンドコーティングされたいわゆるダイヤモンド電極を用いることができる。硫酸溶液の電気分解装置としては、ダイヤモンド電極を用いた隔膜式の電解セルを用いることが好ましい。
電気分解の通電条件は、ダイヤモンド電極の場合、電流密度を0.01〜10A/cm2、電圧0.1〜100Vであればよいが、電極の種類、硫酸溶液の硫酸濃度、硫酸溶液の液量等によって適宜変更される。
なお、電気分解は、閉鎖系にて行う必要があり、閉鎖した硫酸溶液循環系にて、所定量の硫酸溶液を循環させながら行うことが好ましい。循環方法としては、ポンプ等を利用して電極面に対して平行方向に50mL/分以上の流量で通液する方法、電気分解によって発生するガスの流れに従って対流させる自然循環による方法でもよい。
電気分解の処理時間は、硫酸溶液の量、硫酸濃度、硫酸溶液の流量、通電条件等によって適宜変更されるが、硫酸溶液1L当たり0.5〜10時間処理することが酸化性活性種を効率的に生成させる点で好ましい。
陰極液及び陽極液に硫酸溶液を用いて電解する硫酸電解方法の場合は、両極に濃度の異なる硫酸を用いてもよい。特に、本発明では、濃度の高い硫酸を電気分解して得られた酸化性活性種を含む硫酸溶液が強化複合材料の母材の分解を促進する上で有効であることから、陽極側の硫酸濃度を高くし、陰極側の硫酸濃度を低くすることが電極の寿命を長くする上で好ましい。
硫酸溶液の電気分解するための電源としては、考えられる様々な装置類から電気を調達することが可能であるが、太陽電池のようないわゆる再生可能エネルギーより生成された電気を用いることが好ましい。また、電気分解で発生した水素(陰極より発生)と酸素(陽極より発生)を回収して、発電や熱に変換することもできる。
得られた酸化性活性種を含む硫酸溶液を、強化複合材料の母材を分解させるための処理槽に供給する方式としては、ポンプ等で電解装置から連続して処理槽に供給する方式(連続式)、閉ざされた系内で硫酸溶液を循環させて電気分解処理後に系内から処理用溶液を採取し、処理槽に処理用溶液を供給する方式(バッチ式)のいずれでもよい。また、採取された処理用溶液を加熱又は冷却、加圧できる装置を組み合わせてもよい。
なお、強化複合材料を処理した後の処理用溶液は繰り返し使用することができるため、回収して濃度調節し、再度酸化性活性種を生成させるための電気分解を行うための硫酸溶液として再利用することができる。
酸化性活性種を含む処理用溶液は、強化複合材料の母材の分解を高めるために加熱することが好ましい。加熱温度は処理用溶液の沸点にも関係するが、好ましくは100℃以上の温度で加熱して使用することが強化複合材料の母材を効率的に短期間に分解する上で好ましい。加熱温度は、硫酸溶液の沸点以下の温度でもよく、大気圧又は不活性ガス下で加熱される。なお、処理用溶液の加熱の際、加圧あるいは減圧下で行ってもよい。
(強化材、中間基材、強化複合材料)
本実施形態において、前述の本実施形態の強化材の再生方法を用いて製造される、強化材、中間基材、強化複合材料の詳細について、以下に記載する。
本実施形態において、前述の本実施形態の強化材の再生方法により再生したとき、再生した強化材の強度が再生する前の強化材の強度の80%以上であり、かつ強化材の再生前後での形状保持率が90%以上であることが好ましい。
また、本実施形態において、前述の本実施形態の強化材の再生方法により再生したとき、再生した強化材の強度が再生する前の強化材の強度の90%以上であり、かつ強化材の再生前後での形状保持率が80%以上であることが好ましい。
なお、強化材の強度は、後述の実施例に記載の方法で測定されるものをいう。また、再生前後での形状保持率は、後述の実施例に記載の方法で測定されるものをいう。
さらに、本実施形態において、前述の本実施形態の強化材の再生方法により再生したとき、再生した強化材の強度が再生する前の強化材の強度の90%以上であり、かつ強化材の再生前後での形状保持率が90%以上であることがより好ましい。
本実施形態において、強化材として繊維状のものを用いた場合、再生した強化材の繊維長は、0.5μm以上であることが好ましく、より好ましくは1μm以上であり、さらに好ましくは10mm以上である。
本実施形態では、前述の本実施形態の強化材の再生方法により再生した強化材を適宜加工して、中間基材を作製してよい。
本実施形態の中間基材は、再生した強化材を含む連続繊維又は不織布としてよい。
本実施形態では、樹脂等の母材中に前述の再生した強化材や上述の中間基材を複合化することによって、再生した強化複合材料を作製してよい。
本実施形態において、前述の本実施形態の強化材の再生方法を用いて強化複合材料を再生したとき、再生した強化材した強化材を用いて再生した強化複合材料の強度が、再生する前の強化材を用いて作成した強化複合材料の強度の65%以上であることが好ましく、より好ましくは70%以上であり、さらに好ましくは75%以上であり、また、80%以下であることが好ましく、より好ましくは90%以下である。
なお、強化複合材料の強度は、後述の実施例に記載の方法で測定されるものをいう。
(強化複合材料の再生方法)
本実施形態の強化複合材料の再生方法は、前述の本実施形態の強化材の再生方法を用いるものであり、
A)硫酸を電気分解することによって、酸化性活性種を含む処理溶液を得る工程、
B)前記処理溶液に、使用後又は製造工程から廃棄される端材である前記強化複合材料を浸漬して、母材を分解、除去する工程、
C)前記母材が除去された強化材を洗浄、乾燥することで、前記強化材を再生する工程、
D)再生した前記強化材を母材と複合化することで、強化複合材料を再生する工程、
を含む。
(強化複合材料の循環型社会を実現する方法)
本実施形態の強化複合材料の循環型社会を実現する方法は、前述の本実施形態の強化複合材料の再生方法を用いるものであり、
再生する前の前記強化複合材料を航空機、自動車、宇宙船、船舶、汽車からなる群から選ばれる少なくとも1つの輸送機器に使用し、再生した前記強化複合材料を再び前記輸送機器に使用するものとしてよい。
以下、具体的な実施例、比較例を挙げて本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例、比較例においては以下の方法により測定及び評価を行った。
<強化複合材料の作成>
強化材:各実施例及び比較例に記した強化材100質量部
母材:
・エポキシ樹脂:
エピコート828(ジャパンエポキシレジン株式会社製)20質量部
エピコート834(ジャパンエポキシレジン株式会社製)20質量部
エピコート1001(ジャパンエポキシレジン株式会社製)25質量部
エピコート154(ジャパンエポキシレジン株式会社製)35質量部
・硬化剤:DICY7(ジャパンエポキシレジン株式会社製)4質量部
・リン化合物:ノーバレッド120(燐化学工業株式会社製)3質量部
・硬化促進剤:オミキュア24(ピイ・ティ・アイジャパン株式会社製)5質量部
・ポリビニルホルマール:ビニレックK(チッソ株式会社製)5質量部
これら原料を以下に示す手順でニーダーにて混合し、ポリビニルホルマールが均一に溶解したエポキシ樹脂組成物を得た。
(a)各エポキシ樹脂原料とポリビニルホルマールとを150〜190℃に加熱しながら1〜3時間攪拌し、ポリビニルホルマールを均一に溶解する。
(b)樹脂温度を90〜110℃まで降温し、リン化合物を加えて20〜40分間攪拌する。
(c)樹脂温度を55〜65℃まで降温し、ジシアンジアミド、及び3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレアを加え、該温度で30〜40分間混練後、ニーダー中から取り出して樹脂組成物を得る。
(d)調製した樹脂組成物をリバースロールコータを用いて離型紙上に塗布して樹脂フィルムを作製した。樹脂フィルムの単位面積あたりの樹脂量は、25g/m2とした。
(e)次に、単位面積あたりの強化材重量が100g/m2となるように、強化材をシート状に均一に整列させ、上記樹脂フィルムを強化材の両面から重ね、加熱加圧して樹脂組成物を含浸させ、一方向プリプレグを作製した。
(f)上記プリプレグを150℃、30分間で硬化することで評価サンプルを作成した。
<強化材の強度比>
強化材の強度を以下の方法にて測定した。
繊維状の強化材については、万能引っ張り試験機(株式会社島津製作所製EZ TEST−5N)を用いて23℃、引っ張り速度:1.5mm/分にて長さ方向の強度を測定した。強度としては任意の80個の繊維状の強化材の平均を用いた。
粒子状の強化材については、微小圧縮試験機(株式会社島津製作所製MCT−510)を用いて23℃、負荷加重:1000mNにて強度を測定した。
強度としては任意の50個の粒子状の強化材の平均を用いた。
強化材の強度比(%)は、下記式にて算出した。
強化材の強度比(%)=100×(強化複合材料から分離回収した強化材の強度/複合化前の強化材の強度)
<形状保持率>
形状保持率の算出は、走査型プローブ顕微鏡(株式会社島津製作所製SPM−9700)を用いて、強化材の直径を測定し、再生前後での直径の比率を計算することによって、行った。
繊維状の強化材については、幅方向の直径を測定した。直径としては任意の10個の繊維状の強化材の平均を用いた。
粒子状の強化材については、長径及び短径の平均を測定し、その平均の値の任意の10個の粒子状の強化材についての平均を用いた。
形状保持率(%)は、下記式にて算出した。
形状保持率(%)=100×(強化複合材料から分離回収した強化材の直径/複合化前の強化材の直径)
<母材との密着性>
再生強化材の母材との密着性は、複合材料界面特性評価装置(東栄産業株式会社製HM410)を使用し、マイクロドロップレット法により接着性を評価することによって、行った。
分離回収した再生強化材を複合材料界面特性評価装置にセッティングし、装置上で溶融したエポキシ樹脂エピコート828(ジャパンエポキシレジン株式会社製)のドロップを炭素繊維フィラメント上に形成させ、室温で十分に冷却し、測定用の試料を得た。
再度、測定試料を装置にセッティングし、ドロップを装置ブレードで挟み、炭素繊維フィラメントを装置上で0.06mm/分の速度で走行させ、炭素繊維フィラメントからドロップを引き抜く際の最大引き抜き荷重Fを測定した。
次式により界面剪断強度τを算出し、炭素繊維フィラメントとポリプロピレン樹脂との接着性を算出した。
界面剪断強度τ(単位:MPa)=F/πdl
(F:最大引き抜き荷重、d:炭素繊維フィラメント直径、l:ドロップの引き抜き方向の粒子径)
この測定及び算出を20回行い、その平均値を下記の指標にて評価した。
〇(良好):40MPa以上
×(不良):40MPa未満
<再生強化複合材料の強度比>
再生強化複合材料の強度の測定は、JIS K7077記載の方法に準じ、シャルピー衝撃試験機(米倉製作所株式会社製)にて行った。
3±0.2mm厚の一方向積層板から、0°方向が長さ方向になるように幅10±0.2mm、長さ80±1mmの試験片を切り出し、試験片支持台間の距離60mm、ハンマーの回転軸まわりのモーメント300kgf・cm、持上角度134.5°として試験片中央に衝撃を与え、試験片破断後のハンマーの振り上がり角度からシャルピー衝撃値を求めた。
再生強化複合材料の強度比は、下記式にて算出した。
強度比(%)=100×(分離回収した強化材を用いて再作成した強化複合材料の強度/分離回収処理前の強化複合材料の強度)
[実施例1]
強化材として、炭素繊維:トレカT700SC−12K−50C(東レ株式会社製)を用いた。
強化複合材料からの強化材の分離回収方法は、電解硫酸法を用いた。
具体的には、電極面積7cm2のダイヤモンド電極を用い、電極を水冷しながら、隔膜式の電解セル内で濃度60%の硫酸水溶液を電気分解して酸化性活性種を含む処理用溶液を作製した。1回で電気分解する硫酸水溶液の量は100mLであった。電流は0.3〜1.0A/cm2、電圧は17〜20V、処理時間は120分であった。
作製した酸化性活性種を含む処理用溶液500mLに、強化複合材料200gを処理溶液に浸漬した。浸漬条件は150℃、10時間であった。
分離回収された強化材の特性及びその強化材を用いて再作成された強化複合材料の評価結果を下記表1に示す。
[実施例2]
強化材として、炭素繊維:トレカT700SC−12K−50C(東レ株式会社製)を用いた。
強化複合材料から強化材を分離回収する前に繊維長20mmに切断した以外は、実施例1と同様の方法にて強化材を分離回収し評価を行った。分離回収された強化材の特性及びその強化材を用いて再作成された強化複合材料の評価結果を下記表1に示す。
[実施例3]
強化材として、ガラス繊維:RS440 RR−520(日東紡績株式会社製)を用いた。
実施例1と同様に強化複合材料から強化材を分離回収し評価を行った。分離回収された強化材の特性及びその強化材を用いて再作成された強化複合材料の評価結果を下記表1に示す。
[実施例4]
強化材として、ガラス繊維:RS440 RR−520(日東紡績株式会社製)を用いた。
強化複合材料から強化材を分離回収する前に繊維長20mmに切断した以外は、実施例1と同様の方法にて強化材を分離回収し評価を行った。分離回収された強化材の特性及びその強化材を用いて再作成された強化複合材料の評価結果を下記表1に示す。
[実施例5]
強化材として、アラミド繊維:ケブラー29(東レ・デュポン株式会社製)を用いた。
実施例1と同様に強化複合材料から強化材を分離回収し評価を行った。分離回収された強化材の特性及びその強化材を用いて再作成された強化複合材料の評価結果を下記表1に示す。
[実施例6]
強化材として、シリカ粒子:SO−C4(株式会社アドマテックス製)を用いた。
実施例1と同様に強化複合材料から強化材を分離回収し評価を行った。分離回収された強化材の特性及びその強化材を用いて再作成された強化複合材料の評価結果を下記表1に示す。
[実施例7]
強化材として、カーボンナノチューブ:ZEONANO SG1010(ゼオンナノテクノロジー株式会社製)を用いた。
実施例1と同様に強化複合材料から強化材を分離回収し評価を行った。分離回収された強化材の特性及びその強化材を用いて再作成された強化複合材料の評価結果を下記表1に示す。
[実施例8]
強化材として、セルロースナノファイバー:BiNFi−s IMA−1005(株式会社スギノマシン製)を用いた。
実施例1と同様に強化複合材料から強化材を分離回収し評価を行った。分離回収された強化材の特性及びその強化材を用いて再作成された強化複合材料の評価結果を下記表1に示す。
[実施例9]
強化材として、炭素繊維:トレカT700SC−12K−50C(東レ株式会社製)を用いた。
強化複合材料から強化材を分離回収する前に繊維長10mmに切断した以外は、実施例1と同様の方法にて強化材を分離回収し評価を行った。分離回収された強化材の特性及びその強化材を用いて再作成された強化複合材料の評価結果を下記表1に示す。
[比較例1]
強化材として、炭素繊維:トレカT700SC−12K−50C(東レ株式会社製)を用いた。
強化複合材料からの強化材の分離回収方法は、熱分解法を用いた。
具体的には、作成した複合強化材料200gを燃焼炉に入れて、窒素雰囲気下、600℃、5時間処理することによって母材を熱分解し、強化材を分離回収した。
分離回収された強化材の特性及びその強化材を用いて再作成された強化複合材料の評価結果を下記表2に示す。
[比較例2]
強化材として、ガラス繊維:RS440 RR−520(日東紡績株式会社製)を用いた。
強化複合材料からの強化材の分離回収方法は、比較例1と同様に熱分解法を用いた。
ガラス繊維が熱により溶融してしまい、強化材を分離回収することができなかった。
[比較例3]
強化材として、アラミド繊維:ケブラー29(東レ・デュポン株式会社製)を用いた。を用いた。
強化複合材料からの強化材の分離回収方法は、比較例1と同様に熱分解法を用いた。
母材と共に強化材のアラミド繊維も熱分解してしまい、強化材を分離回収することができなかった。
[比較例4]
強化材として、シリカ粒子:SO−C4(株式会社アドマテックス製)を用いた。
強化複合材料からの強化材の分離回収方法は、比較例1と同様に熱分解法を用いた。
シリカ粒子が熱により溶融してしまい、強化材を分離回収することができなかった。
[比較例5]
強化材として、カーボンナノチューブ:ZEONANO SG1010(ゼオンナノテクノロジー株式会社製)を用いた。
強化複合材料からの強化材の分離回収方法は、比較例1と同様に熱分解法を用いた。
分離回収された強化材の特性及びその強化材を用いて再作成された強化複合材料の評価結果を下記表2に示す。
[比較例6]
強化材として、セルロースナノファイバー:BiNFi−s IMA−1005(株式会社スギノマシン製)を用いた。
強化複合材料からの強化材の分離回収方法は、比較例1と同様に熱分解法を用いた。
母材と共に強化材のセルロースナノファイバーも熱分解してしまい、強化材を分離回収することができなかった。
[比較例7]
強化材として、炭素繊維:トレカT700SC−12K−50C(東レ株式会社製)を用いた。
強化複合材料からの強化材の分離回収方法は、過熱水蒸気法を用いた。
具体的には、作成した複合強化材料200gを燃焼炉に入れて、燃焼炉へ過熱水蒸気発生装置UPSS(トクデン株式会社製)を用いて発生させた過熱水蒸気を導入し、窒素雰囲気下、600℃、5時間処理することによって母材を熱分解し、強化材を分離回収した。
分離回収された強化材の特性及びその強化材を用いて再作成された強化複合材料の評価結果を下記表2に示す。
[比較例8]
強化材として、ガラス繊維:RS440 RR−520(日東紡績株式会社製)を用いた。
強化複合材料からの強化材の分離回収方法は、比較例7と同様に過熱水蒸気法を用いた。
ガラス繊維が熱により溶融してしまい、強化材を分離回収することができなかった。
[比較例9]
強化材として、アラミド繊維:ケブラー29(東レ・デュポン株式会社製)を用いた。を用いた。
強化複合材料からの強化材の分離回収方法は、比較例7と同様に過熱水蒸気法を用いた。
母材と共に強化材のアラミド繊維も熱分解してしまい、強化材を分離回収することができなかった。
[比較例10]
強化材として、シリカ粒子:SO−C4(株式会社アドマテックス製)を用いた。
強化複合材料からの強化材の分離回収方法は、比較例7と同様に過熱水蒸気法を用いた。
シリカ粒子が熱により溶融してしまい、強化材を分離回収することができなかった。
[比較例11]
強化材として、カーボンナノチューブ:ZEONANO SG1010(ゼオンナノテクノロジー株式会社製)を用いた。
強化複合材料からの強化材の分離回収方法は、比較例7と同様に過熱水蒸気法を用いた。
分離回収された強化材の特性及びその強化材を用いて再作成された強化複合材料の評価結果を下記表2に示す。
[比較例12]
強化材として、セルロースナノファイバー:BiNFi−s IMA−1005(株式会社スギノマシン製)を用いた。
強化複合材料からの強化材の分離回収方法は、比較例7と同様に過熱水蒸気法を用いた。
母材と共に強化材のセルロースナノファイバーも熱分解してしまい、強化材を分離回収することができなかった。
Figure 2020203995
Figure 2020203995
実施例1〜9によれば、母材の種類によらず全ての強化複合材料に適応でき、回収した強化材の強度低下がなく、更に粉砕等の処理が必要ないために強化材の形状を保つことができる、強化複合材料からの強化材の分離回収方法が示された。
比較例1、5、7、11では、再作成した強化複合材料の強度低下が大きいため、活用できる用途に制限があり、高い信頼性が必要である輸送機器用の強化複合材料に供給することができない。
比較例2〜4、6、8〜10、12では、強化材を分離回収することができなかった。
この方法を用いることで、回収した強化材を再び強化複合材料として活用する際に、複合化の方法や強化複合材料の用途に制限がなくなるため、使用量が年々増大している航空機、自動車、宇宙船、船舶、汽車等の輸送機器に使用した強化複合材料の廃材や端材を、再び輸送機器用の強化複合材料に加工することが可能となる。すなわち、大量の強化複合材料から回収された大量の強化材を、使用量が増大している輸送機器用の強化複合材料に供給することで、余剰の強化材を発生させることなく循環させることが可能となる。

Claims (9)

  1. 処理溶液及び/又は熱を用いて強化複合材料の母材と強化材とを分離して強化材を再生する方法において、
    a)再生した前記強化材の強度が再生する前の前記強化材の強度の80%以上であり、かつb)前記強化材の再生前後での形状保持率が90%以上であるか、又は、a)再生した前記強化材の強度が再生する前の前記強化材の強度の90%以上であり、かつb)前記強化材前記強化材の再生前後での形状保持率が80%以上である、
    強化材を再生する方法。
  2. 前記強化材が、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維、有機系高強度繊維、無機系充填材、カーボンナノチューブ、セルロースナノファイバーからなる群から選ばれる少なくとも1つを含む、請求項1に記載の強化材を再生する方法。
  3. 前記強化材が、炭素繊維、ガラス繊維、カーボンナノチューブからなる群から選ばれる少なくとも1つを含み、繊維長が20mm以上である、請求項2に記載の強化材を再生する方法。
  4. A)硫酸を電気分解することによって、酸化性活性種を含む処理溶液を得る工程、
    B)前記処理溶液に、使用後又は製造工程から廃棄される端材である前記強化複合材料を浸漬して、母材を分解、除去する工程、
    C)前記母材が除去された強化材を洗浄、乾燥することで、前記強化材を再生する工程、
    を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の強化材を再生する方法。
  5. 請求項2〜4のいずれか一項に記載の強化材を再生する方法により再生された強化材を用いて、連続繊維又は不織布である中間基材を再生する方法又は。
  6. 請求項5に記載の中間基材を再生する方法により再生された中間基材を用いて、前記中間基材と母材とが複合化されている強化複合材料を再生する方法。
  7. 請求項2〜4のいずれか一項に記載の強化材を再生する方法により再生された強化材を用いて、強化複合材料を再生する方法。
  8. 又は D)再生した前記強化材を母材と複合化することで、強化複合材料を再生する工程、
    を含む、請求項7に記載の強化複合材料を再生する方法。
  9. 請求項7又は8に記載の強化複合材料を再生する方法を用いて、再生する前の前記強化複合材料を航空機、自動車、宇宙船、船舶、汽車からなる群から選ばれる少なくとも1つの輸送機器に使用し、再生した前記強化複合材料を再び前記輸送機器に使用する、強化複合材料の循環型社会を実現する方法。
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