JP2020203811A - 窒化物半導体結晶の製造方法および窒化物半導体結晶基板 - Google Patents

窒化物半導体結晶の製造方法および窒化物半導体結晶基板 Download PDF

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Abstract

【課題】低い転位密度で高品質な窒化物半導体結晶が得られる窒化物半導体結晶の製造方法および低い転位密度で高品質な窒化物半導体層を有する窒化物半導体結晶基板を提供する。【解決手段】窒化物半導体結晶の製造方法は、基板10上に、ファセット面をもつ三次元成長モードで、第一の凹部を含む凹凸表面を有する第一の半導体結晶を成長させる第一の結晶成長工程と、前記凹凸表面を研磨により平坦な表面に加工する第一の加工工程と、前記平坦な表面のうち転位の存在する領域をエッチングにより加工することで第二の凹部を形成する第二の加工工程と、二次元の成長モードで前記第二の凹部を覆うように前記第一の半導体結晶よりも転位密度が低い第二の半導体結晶を成長させる第二の結晶成長工程とを含む。【選択図】図2

Description

本開示は、窒化物半導体結晶の製造方法および窒化物半導体結晶基板に関する。
窒化ガリウム(GaN)に代表されるIII族窒化物系化合物半導体、いわゆる窒化物半導体は、発光ダイオード(LED;Light Emitting Diode)またはレーザーダイオード(LD;Laser Diode)などの光デバイス、あるいは、トランジスタなどのパワーデバイス等の材料として注目を集めている。
この種の窒化物半導体は、例えば、III族元素であるインジウム(In)、ガリウム(Ga)およびアルミニウム(Al)とV族元素である窒素(N)とからなる多元混晶の化合物半導体であり、一般式がInGaAl1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)で表される。以下、多元混晶の窒化物半導体は、それぞれの構成元素記号の配列、例えば、GaN、AlInN、GaInN、AlGaInN等で略記される。
現在、窒化物半導体によって構成された窒化物半導体デバイスのベース基板として用いられている基板の中で最も高品質なものはホモエピ基板となるGaN基板であるが、市販のベース基板には、サファイア基板またはGaAs基板などの異種基板上にHVPE(Hydride Vapor Phase Epitaxy:水素化物気相成長)法で厚膜成長されたバルクから切り出した基板もある。窒化物半導体デバイスのベース基板は、その品質の指標である表面における貫通転位密度が10cm−2台前半に留まっており、より転位密度の低い高品質な基板が求められている。
従来よりも低転位密度で高品質のGaN基板を実現するために、アモノサーマル法またはNaフラックス法といった液相成長法、あるいは、パターン基板を用いた選択成長による低転位化など、様々な手法が検討されているが、いずれも量産レベルには到達していないのが現状である。
また、特許文献1には、低い転位密度の窒化物半導体層を得ることができる窒化物半導体層の製造方法が開示されている。図13は、特許文献1に開示された従来の窒化物半導体層の製造方法を模式的に示す図である。
特許文献1に開示され方法では、図13の(a)に示すように、窒化物半導体層200の貫通転位200aに関連したピットを起点に凹部が拡大するような成長条件で窒化物半導体層200を成長させて、拡大された凹部の一部に保護膜250を形成することにより選択的なマスクを形成し、その後、図13の(b)に示すように、保護膜250が形成されていない平坦部からの横方向成長により凹部を埋め込んでいる。
特許第5571679号公報
しかしながら、特許文献1に開示された従来の方法にもいくつかの課題があり、低い転位密度の窒化物半導体基板を得るための方法としては一般的になっていない。具体的には、この方法では、凹部が拡大する条件で窒化物半導体結晶を成長させるため、凹部の深さおよび直径が大きくなる。このため、凹部を埋め込んで平坦にするために必要な膜厚および成長条件の制約がかなり大きい。例えば、凹部の深さおよび直径が大きすぎると、保護膜上にも品質の低い窒化物半導体が堆積してしまい、かえって品質が劣化することもある。また、保護膜の形成位置が凹部のランダムな形状に強く依存し、安定した成長エリアが確保しにくいことも課題になっている。
本開示は、このような課題を鑑みてなされたものであり、低い転位密度で高品質な窒化物半導体結晶が得られる窒化物半導体結晶の製造方法および低い転位密度で高品質な窒化物半導体層を有する窒化物半導体結晶基板を提供することを目的とする。
本開示に係る窒化物半導体結晶の製造方法の一態様は、基板上に、ファセット面をもつ三次元の成長モードで、第一の凹部を含む凹凸表面を有する第一の半導体結晶を成長させる第一の結晶成長工程と、前記凹凸表面を研磨により平坦な表面に加工する第一の加工工程と、前記平坦な表面のうち転位の存在する領域をエッチングにより加工することで第二の凹部を形成する第二の加工工程と、二次元成長モードで前記第二の凹部を覆うように前記第一の半導体結晶よりも転位密度が低い第二の半導体結晶を成長させる第二の結晶成長工程とを含む。
この構成により、第一の結晶成長工程で成長した第一の半導体結晶よりも貫通転位密度が低減された第二の半導体結晶を形成することができる。これにより、低い転位密度で高品質な窒化物半導体結晶を得ることができる。
また、本開示に係る窒化物半導体結晶の製造方法の一態様において、前記第一の結晶成長工程では、ガリウム酸化物をガリウム原料として用いた気相成長法により前記第一の半導体結晶を成長させるとよい。
この構成により、第一の結晶成長工程において、転位の集中部となる凹部の中心点の数を効果的に低減することができるので、より低い転位密度を実現するために好適な下地層として第一の半導体結晶を形成することができる。したがって、より低い転位密度で高品質な窒化物半導体結晶を得ることができる。
また、本開示に係る窒化物半導体結晶の製造方法の一態様において、前記第二の結晶成長工程では、金属ガリウムをガリウム原料として用いた気相成長法により前記第二の半導体結晶を成長させるとよい。
この構成により、第二の結晶成長工程において、転位集中部の転位を合体・消滅させながら、1mm以上の膜厚でさらに低い転位密度の第二の半導体結晶を形成することができる。したがって、より低い転位密度で高品質な窒化物半導体結晶を得ることができる。
あるいは、本開示に係る窒化物半導体結晶の製造方法の一態様において、前記第二の結晶成長工程では、ガリウムを含む有機金属を原料として用いた気相成長法により第二の半導体結晶を成長させてもよい。
この構成により、結晶成長条件を適切に選択することで比較的に薄い膜厚で転位集中部の転位をさらに低減した第二の半導体結晶を形成することができる。したがって、より低い転位密度で高品質な窒化物半導体結晶を得ることができる。
また、本開示に係る窒化物半導体結晶の製造方法の一態様において、前記第一の窒化物半導体層の第一の凹部の密度が5×10cm−2以下であるとよい。
この構成により、転位の集中部となる第一の凹部の中心点の数を効果的に低減することができるので、より低い転位密度を実現するために好適な下地層として第一の半導体結晶を形成することができる。したがって、さらに低い転位密度で高品質な窒化物半導体結晶を得ることができる。
また、本開示に係る窒化物半導体結晶の製造方法の一態様において、前記第一の結晶成長工程では、前記第一の凹部以外の平坦部が表面に占める割合が10%以下であるとよい。
この構成により、転位の集中していない領域を十分に減少させて第一の半導体結晶を形成することができるので、続く第二の結晶成長工程において、効果的に転位が低減された第二の半導体結晶を形成することができる。したがって、さらに低い転位密度で高品質な窒化物半導体結晶を得ることができる。
また、本開示に係る窒化物半導体結晶の製造方法の一態様において、前記第二の凹部の平均深さが前記第一の凹部の平均深さよりも小さいとよい。
この構成により、第二の結晶成長工程において、第二の凹部が埋め込まれずに平坦化されないという不具合が発生することを抑制できる。したがって、低い転位密度でさらに高品質な窒化物半導体結晶を得ることができる。
また、本開示に係る窒化物半導体結晶の製造方法の一態様は、前記第二の加工工程の後に、前記第二の凹部を保護膜により選択的に被覆する保護膜形成工程を含み、前記第二の結晶成長工程では、前記保護膜が形成されていない部分から前記第二の半導体結晶を成長させてもよい。
この構成により、転位集中部のみを被覆および保護した状態で第二の結晶半導体を成長させることができるので、転位がより低減された第二の半導体結晶を形成することができる。したがって、さらに低い転位密度で高品質な窒化物半導体結晶を得ることができる。
また、本開示に係る窒化物半導体結晶基板の一態様は、酸素濃度が1019cm−3以上の第一の窒化物半導体層と、前記第一の窒化物半導体層よりも酸素濃度の低い第二の窒化物半導体層とを備え、前記第一の窒化物半導体層と前記第二の窒化物半導体層との界面における貫通転位が存在する領域において、前記第一の窒化物半導体層に凹部が形成されており、前記第二の窒化物半導体層の前記第一の窒化物半導体層との界面と反対側の表面における貫通転位密度は、前記界面における前記第一の窒化物半導体層の転位密度の50%以下である。
この構成により、低い転位密度で高品質な窒化物半導体結晶を有する窒化物半導体結晶基板を実現できる。
また、本開示に係る窒化物半導体結晶基板の一態様において、前記第一の窒化物半導体層の前記凹部の密度が5×10cm−2以下であるとよい。
この構成により、従来の窒化物半導体層よりも貫通転位が低減された窒化物半導体層を有する窒化物半導体結晶基板を実現できる。
また、本開示に係る窒化物半導体結晶基板の一態様において、前記第二の窒化物半導体層の前記第一の窒化物半導体層との界面と反対側の面近傍における(1−102)面のX線ロッキングカーブの半値幅が前記第一の窒化物半導体層における前記第二の窒化物半導体層との界面近傍における(1−102)面のX線ロッキングカーブの半値幅よりも小さいとよい。
この構成により、従来の窒化物半導体層よりもさらに貫通転位が低減された窒化物半導体層を有する窒化物半導体結晶基板を実現できる。
また、本開示に係る窒化物半導体結晶基板の一態様において、前記第一の窒化物半導体層の前記凹部に選択的に誘電体保護膜が形成されているとよい。この場合、前記誘電体保護膜は、酸化物または窒化物によって構成されているとよい。
この構成により、転位集中部のみを被覆および保護した状態で第二の窒化物半導体層を形成することができるので、より転位密度が低減された高品質な窒化物半導体層を有する窒化物半導体結晶基板を実現できる。
また、本開示に係る窒化物半導体結晶基板の一態様は、前記第二の窒化物半導体層に接する第三の窒化物半導体層をさらに備え、前記第三の窒化物半導体層のシリコン濃度は、前記第二の窒化物半導体層のシリコン濃度よりも大きいとよい。
この構成により、リーク電流が少なく、耐圧が高い窒化物半導体デバイスを作製するために好適な窒化物半導体結晶基板を実現できる。
低い転位密度で高品質な窒化物半導体結晶を有する窒化物半導体結晶基板を実現できる。
実施の形態1に係る窒化物半導体結晶基板の断面図である。 実施の形態1に係る窒化物半導体結晶基板の製造方法の工程フロー図である。 実施の形態1に係る窒化物半導体結晶基板の製造方法の各工程の断面図である。 GaN基板に成長させたGaN結晶の鳥瞰SEM像である。 図4のGaN結晶の表面SEM像である。 図4のGaN結晶の表面のピット形状を模式的に示す図である。 第一の加工工程により平坦化したGaN結晶の表面CL像である。 第二の加工工程によりピット形成エッチングを実施した後のGaN結晶の表面SEM像である。 第一の窒化物半導体層の厚みとピット密度との関係を示す図である。 実施の形態1の変形例に係る窒化物半導体結晶基板を模式的に示す断面図である。 実施の形態2に係る窒化物半導体結晶基板の断面図である。 実施の形態2に係る窒化物半導体結晶基板の製造方法の工程フロー図である。 実施の形態2に係る窒化物半導体結晶基板の製造方法の各工程の断面図である。 特許文献1に開示された窒化物半導体層の製造方法を説明するための図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、および、構成要素の配置位置や接続形態などは、一例であって本開示を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
また、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、各図において縮尺等は必ずしも一致していない。なお、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
(実施の形態1)
まず、実施の形態1に係る窒化物半導体結晶基板1の構成について、図1を用いて説明する。図1は、実施の形態1に係る窒化物半導体結晶基板1の断面図である。
本実施の形態に係る窒化物半導体結晶基板1は、III族窒化物半導体結晶によって構成された半導体基板であり、図1に示すように、基板10と、基板10の上に形成された第一の窒化物半導体層20と、第一の窒化物半導体層20の上に形成された第二の窒化物半導体層30とを備える。
基板10は、窒化物半導体を結晶成長させるための下地基板である。本実施の形態において、基板10は、主面が(0001)面のGaN基板である。
第一の窒化物半導体層20および第二の窒化物半導体層30は、半導体結晶によって構成されている。具体的には、第一の窒化物半導体層20および第二の窒化物半導体層30は、窒化物半導体を結晶成長させることにより形成された窒化物半導体結晶によって構成されている。
第一の窒化物半導体層20は、基板10の表面に結晶成長された窒化物半導体結晶によって構成されている。第二の窒化物半導体層30は、第一の窒化物半導体層20の表面に結晶成長された窒化物半導体結晶によって構成されている。したがって、第一の窒化物半導体層20と第二の窒化物半導体層30とは接している。
第一の窒化物半導体層20には、貫通転位20aが存在する。また、第二の窒化物半導体層30には、貫通転位30aが存在する。第二の窒化物半導体層30の第一の窒化物半導体層20との界面と反対側の表面における貫通転位密度は、当該界面における第一の窒化物半導体層20の貫通転位密度よりも低い。本実施の形態において、第二の窒化物半導体層30の第一の窒化物半導体層20との界面と反対側の表面における貫通転位密度は、当該界面における第一の窒化物半導体層20の貫通転位密度の50%以下である。
第一の窒化物半導体層20の第二の窒化物半導体層30側の表面には、複数の凹部21と平坦部22とが形成されている。凹部21は、第一の窒化物半導体層20と第二の窒化物半導体層30との界面における貫通転位20aおよび30aが存在する領域に形成されている。本実施の形態において、第一の窒化物半導体層20の凹部21の密度は、5×10cm−2以下である。第二の窒化物半導体層30は、第一の窒化物半導体層20の凹部21を埋め込むようにして第一の窒化物半導体層20の上に形成されている。
また、第一の窒化物半導体層20の酸素濃度は、第二の窒化物半導体層30の酸素濃度よりも高い。つまり、第二の窒化物半導体層30の酸素濃度は、第一の窒化物半導体層20の酸素濃度よりも低い。本実施の形態において、第一の窒化物半導体層20の酸素濃度は、1019cm−3以上である。
次に、本実施の形態に係る窒化物半導体結晶の製造方法について説明する。以下、本実施の形態に係る窒化物半導体結晶の製造方法は、窒化物半導体結晶基板1の製造方法として、図2および図3を用いて説明する。図2は、実施の形態1に係る窒化物半導体結晶基板1の製造方法の工程フロー図であり、図3は、同窒化物半導体結晶基板1の製造方法の各工程を模式的に示す断面図である。
図2に示すように、本実施の形態に係る窒化物半導体結晶基板1の製造方法は、第一の結晶成長工程(S11)と、第一の加工工程(S12)と、第二の加工工程(S13)と、第二の結晶成長工程(S14)とを含む。
図2に示すように、まず、ベースとなる下地基板として基板10を用意し、第一の結晶成長工程(S11)を行う。図3の(a)に示すように、第一の結晶成長工程(S11)では、基板10の上に、ファセット面をもつ三次元の成長モードで、第一の凹部21aを含む凹凸表面である表面20Sを有する第一の半導体結晶を成長させる。具体的には、ファセット面をもつ凹凸形状からなる三次元の成長モードで形成される第一の凹部21aの中心に転位を集中させることで転位密度を低減させながら第一の半導体結晶を成長させて第一の窒化物半導体層20を成膜する。
基板10は、窒化物半導体を結晶成長できる基板であれば材質は特に限定されるものではないが、本実施の形態では、10cm−2台前半の転位密度を持つ市販のGaN基板を基板10として用いた。この場合、基板10として、主面が(0001)面のGaN基板を用いてもよい。また、基板10は、主面に対して0〜3°程度傾斜したオフ基板のGaN基板であってもよい。
第一の結晶成長工程(S11)では、基板10上に、ガリウム酸化物をガリウム原料として用いた気相成長法により第一の半導体結晶を成長させる。具体的には、ガリウム酸化物をガリウム原料としてOVPE法(Oxide Vapor Phase Epitaxy:酸化物気相成長法)により基板10上に第一の半導体結晶を成長させることで、基板10上に第一の窒化物半導体層20を堆積する。
例えば、OVPE法では、酸化ガリウム(Ga)を水素雰囲気中などの還元雰囲気中で還元したり金属ガリウム(Ga)を水蒸気(HO)雰囲気中などの酸化雰囲気中で酸化したりすることで得たGaOガスをIII族原料として用いるとともに、アンモニア(NH)ガスをV族原料として用いることで、基板10上にGaN結晶を成長させることができる。
金属Gaを原料とする場合の反応系は以下に示す通りである。金属Gaを加熱し、この状態で反応性ガスであるHOガスを導入する。導入されたHOガスは、Gaと反応してGaOガスを生成する(式1)。生成されたGaOガスと、別ラインから供給したNHガスを反応させることで基板上にGaN結晶を生成することができる(式2)。
2Ga+HO→GaO+H・・・(式1)
GaO+2NH→2GaN+HO+2H・・・(式2)
より具体的には、OVPE装置のリアクタ炉内に基板10としてGaN基板を導入した後、水素(H)およびNHの混合雰囲気中で約1000℃まで昇温し、その後、NHとOVPE原料室で生成したGaOとを微量供給しながら1200℃までさらに昇温した後に、約50μm/hの成長速度でGaN結晶を成長させることで、第一の窒化物半導体層20としてGaN層を400μm積層する。その後、降温し、基板10に第一の窒化物半導体層20が成膜されたエピ膜付き基板を、OVPE装置のリアクタ炉から搬出する。
このように成膜された第一の窒化物半導体層20を構成する第一の半導体結晶の表面20Sは、成長表面であり、ファセット面をもつ三次元の成長モードで生成された凹凸表面である。本実施の形態において、第一の半導体結晶の表面20Sは、第一の窒化物半導体層20の表面であり、ピットである複数の第一の凹部21aを有する。また、第一の基板10から第一の窒化物半導体層20の厚み方向に延びる貫通転位20aが第一の窒化物半導体層20の内部に発生するが、第一の結晶成長工程(S11)では、成長表面が多数のピット(第一の凹部21a)からなる三次元成長モードで第一の半導体結晶を成長させて、ピットの中心(凹凸の底部)には転位の集中部23が形成されている。つまり、ピットの中心に転位を集中させている。これにより、転位密度を低減させながら第一の半導体結晶を成長させることができる。
次に、図2に示すように、第一の結晶成長工程(S11)の後に、第一の加工工程(S12)を行う。図3の(b)に示すように、第一の加工工程(S12)では、第一の結晶成長工程で結晶成長させた第一の半導体結晶の凹凸面である表面20Sを研磨により平坦な表面に加工する。つまり、第一の半導体結晶の表面20Sを平坦化する。
具体的には、第一の窒化物半導体層20の第一の半導体結晶の表面20Sに研削・研磨加工を施すことで、表面20Sを凹凸表面から平坦な表面に加工する。例えば、最表面はCMP(Chemical Mechanical Polishing:化学的機械研磨)により加工ダメージ層を取り除き、表面ラフネスが1nm以下の平坦度になるまで第一の半導体結晶の表面20Sの研磨を行う。
次に、図2に示すように、第一の加工工程(S12)の後に、第二の加工工程(S13)を行う。図3の(c)に示すように、第二の加工工程(S13)では、平坦化した第一の半導体結晶の平坦な表面のうち転位の存在する領域をエッチングにより加工することで、第一の半導体結晶の表面にピットである複数の第二の凹部21bを形成する。つまり、第一の窒化物半導体層20の表面に複数の第二の凹部21bを形成する。
具体的には、第一の窒化物半導体層20における第一の半導体結晶の平坦化された表面に対して、水酸化カリウム(KOH)と水酸化ナトリウム(NaOH)とを1:1で溶融したエッチャントにより420℃の高温で10minのウェットエッチングを行うことで、第一の半導体結晶であるGaN結晶の表面の転位部分を選択的にエッチングすることで複数のピットとして第二の凹部21bを形成する。第二の凹部21bの密度は、5×10cm−2以下であるとよい。また、第二の凹部21bの平均深さは、第一の半導体結晶の第一の凹部21aの平均深さよりも小さい方がよい。
次に、図2に示すように、第二の加工工程(S13)の後に、第二の結晶成長工程(S14)を行う。図3の(d)に示すように、第二の結晶成長工程(S14)では、第一の半導体結晶の第二の凹部21bを覆うように二次元成長モードで第一の半導体結晶よりも転位密度が低い第二の半導体結晶を成長させる。本実施の形態では、第一の半導体結晶の複数の第二の凹部21bを埋め込むように二次元成長モードで第二の半導体結晶を成長させている。なお、複数の第二の凹部21bの全てが必ずしも埋め込まれていなくてもよく、複数の第二の凹部21bの大部分が埋め込まれていればよい。
第二の結晶成長工程(S14)では、第一の半導体結晶の上に、金属ガリウムをガリウム原料として用いた気相成長法により第二の半導体結晶を成長させる。具体的には、第二の凹部21b(ピット)が形成された第一の半導体結晶の表面に、金属ガリウムをガリウム原料としてHVPE法(Hydride Vapor Phase Epitaxy:水素化物気相成長法)により二次元成長モードで第二の半導体結晶を成長させることで、表面が平坦な第二の窒化物半導体層30を第一の窒化物半導体層20の上に堆積する。
例えば、HVPE法では、金属ガリウム(Ga)を塩化水素(HCl)ガスなどの塩素系ガスにより反応させたGaClガスをIII族原料として用いるとともに、アンモニア(NH)ガスをV族原料として用いることで、第一の窒化物半導体層20の上にGaN結晶を成長させることができる。
各反応の反応式は以下に示す通りである。金属Gaを加熱し、この状態で反応性ガスであるHClガスを導入する。導入されたHClガスは、Gaと反応してGaClガスを生成する(式3)。生成されたGaClガスと、別ラインから供給したNHガスを反応させることで第一の窒化物半導体層20上にGaN結晶を生成することができる(式4)。
Ga+HCl→GaCl+1/2H・・・(式3)
GaCl+NH→GaN+H+HCl・・・(式4)
より具体的には、HVPE装置のリアクタ炉内に第一の窒化物半導体層20が堆積された基板10を導入した後、水素およびNHの混合雰囲気中で約1000℃まで昇温し、その後、NHとHVPE原料室で生成したGaClとを微量供給しながら1050℃までさらに昇温した後に、約200μm/hの成長速度でGaN結晶を成長させることで、第二の窒化物半導体層30としてGaN層を200〜2000μm積層する。その後、降温し、基板10に第一の窒化物半導体層20および第二の窒化物半導体層30が成膜されたエピ膜付き基板を、HVPE装置のリアクタ炉から搬出する。
このように成膜された第二の窒化物半導体層30を構成する第二の半導体結晶は、HVPE法により二次元成長モードで成長されて、第一の半導体結晶よりも転位密度が低くなっている。具体的には、第二の結晶成長工程(S14)では、第一の窒化物半導体層20から第二の窒化物半導体層30の厚み方向に延びる貫通転位30aが第二の窒化物半導体層30の内部に発生するが、第二の窒化物半導体層30の転位密度は、第一の窒化物半導体層20の転位密度よりも小さくなっている。
次に、本実施の形態に係る窒化物半導体結晶基板1の製造方法の効果等について、本開示の手法を得るに至った経緯および具体的な実施例を含めて説明する。
本実施例において、第一の結晶成長工程(S11)では、上記のように、OVPE法によってGaN膜を成長させている。この第一の結晶成長工程においては、成長条件を適時調整することで、成長中の表面にファセット面が現れた凹凸形状で成長が進む、いわゆる三次元成長モードで成長を行っている。この場合、成長温度および原料供給レート、V族/III族の原料比、過飽和比、H分圧などを調整することで、三次元成長モードと二次元成長モードを切り替えることも可能である。
一般的な窒化物半導体結晶の気相成長法であるHVPE法においても、成長条件および下地層の工夫により、三次元成長モードと二次元成長モードとの切り替えは可能であるが、本発明者らの検討の結果、OVPE法の方が三次元成長モードの成長条件幅が広く、より完全な三次元成長モードで半導体結晶が成長することが分かってきた。本実施例においては、具体的な成長条件として、Ga原料室温度を1125℃とし、基板温度を1225℃とし、Ga原料室のH流量を4slmとし、Ga原料室のO流量を0.02slmとし、反応室へのNH流量を1.5slmとした。また、加えてキャリアガスとしてNとHを適時流した。なお、成長条件は、設備構成により変化するため、設備に合わせて調整が可能であることは説明するまでもない。
ここで、この成長条件で実際に成膜したGaN膜の表面状態について、図4、図5Aおよび図5Bを用いて説明する。図4は、市販のGaN基板を用いてOVPE法によりGaN基板上に三次元成長モードで成長させたGaN結晶を400μm堆積したウェハの表面および劈開面の鳥瞰SEM像である。また、図5Aは、その表面SEM像であり、図5Bは、そのGaN膜のピット形状の模式的に示す図である。なお、OVPEの成長条件は、ファセット面が安定してGaN結晶が成長する三次元成長モードの条件に設定している。
図4の表面SEM像および図5Aのピット形状の模式図から分かるように、GaN結晶である第一の半導体結晶の表面には、ピットである複数の第一の凹部21aを有する凹凸表面が形成されている。具体的には、GaNの最表面の形状は、ファセット面で形成される大小のピットと隣接するピットとの接合部である稜線のみで形成されており、c面の平坦部はほぼ存在しない。また、ファセット面のある三次元ピットを形成した状態でGaN結晶を成長した場合には、ファセット面に含まれる貫通転位は、成長の進行とともにファセット面の成長方向に転位の位置が動いていくため、図5Bの模式図で示されるように、成長膜厚とともに転位がピット(第一の凹部21a)の中心部に集まっていくことがよく知られている。ピットの中心に集まった転位は、それぞれの転位のバーガースベクトルが消滅則を満たす場合には合体・消滅が可能であり、一か所に転位を集めることで転位密度の低減を図ることができる。
同様の手法はHVPE法でも用いられているが、HVPE法の場合、二次元成長モードの安定性が相対的に高いため、ファセット成長を誘発する三次元成長モードの条件においても、一定の割合で二次元成長モードの平坦部が残ってしまい、転位の低減が発生しないエリアが残存してしまう。このため、従来は、ピット中心の密度の面内の平均値としては10cm−2台前半までしか転位を低減出来なかった。
しかしながら、本実施の形態のように、OVPE法を用いて三次元成長モードのGaN結晶を成膜した場合には、平坦部がほぼなくなること、および、成長膜厚とともにピット同士が合体してピットサイズが大きくなっていくことなどの特徴により、10cm−2台までピット中心の密度を低減できることが分かった。
そして、このOVPE法により市販のGaN基板に三次元成長モードで生成されたGaN結晶に対して第一の加工工程(S12)を行って、GaN結晶の凹凸表面を研磨した。図6は、第一の加工工程によりGaN結晶からなる第一の窒化物半導体層を平坦化した後の表面をカソードルミネッセンス(CL)法で観察した結果を示す図である。
GaN結晶の貫通転位部分は、CL法において暗点として観察されることが知られており、暗転密度を評価することでGaN結晶表面の貫通転位密度を同定できる。図6において、暗点で観測される部分は、研磨加工前にピット(第一の凹部21a)の中心であった場所に対応しており、その密度は、8×10cm−2程度であった。密度を計測する位置および領域サイズにもよるが、観測の結果、ピット(第二の凹部21b)の密度は、おおむね5×10cm−2以下に収まっていることが明らかになった。
しかしながら、低倍率(図6の左側)で大きな暗点として観察されている部分を高倍率で観察すると、一つの暗点に見える部分は小さな暗点がバンドルした集合体であることが分かった(図6の右側)。これは、ピットの中心に集められた転位群が合体・消滅せずに存在している状態であるといえる。そして、バンドルした転位を個別にカウントすると転位密度は、10cm−2台後半から10cm−2台前半になっており、転位の合体・消滅が不十分な状態であることが分かった。
さらに、研磨して平坦化した後のGaN結晶に対して第二の加工工程(S13)を行って、エッチングによりGaN結晶の表面に第二の凹部21bとしてピットを形成した。図7は、第二の加工工程によりピット形成エッチングを実施した後のGaN結晶の表面SEM像である。
図7に示すように、第一の窒化物半導体層20としてGaN結晶を堆積した時のピット密度およびCL観察時の暗点に対応したピットが形成されていることが確認でき、その密度は、同じく8×10cm−2程度であった。第二の加工工程により、上記のCL像においてバンドルしていた暗点(=貫通転位)の集合体が1つのピット(第二の凹部21b)を形成している。このピットの大きさおよび深さは、単体の転位をエッチングした場合よりも大きく、深くなる傾向がある。また、エッチング時間を長くすることでピットのサイズをさらに大きくすることも可能である。
ここで、OVPE法による三次元成長モードで第一の窒化物半導体層20を成膜したときの第一の窒化物半導体層20の厚みとピット密度との関係について、図8を用いて説明する。図8は、第一の窒化物半導体層20の厚みを変えたときのピット密度(第一の凹部21aの密度)の変化をプロットしたものである。図8に示すように、300μm程度の膜厚で、10cm−2台のピット密度が実現できていることが分かる。従来のHVPE法では、10cm−2以下のピット密度を得るためには1mm以上の膜厚が必要であったが、OVPE法を用いることで、転位の集中が少なく薄い厚みの第一の窒化物半導体層20を成膜できることが分かった。この理由は、明らかになっていないが、OPVE法においては、三次元成長モードがより安定であるために、ピット同士の合体が起きやすく平坦部が残らないこと、および、ファセット成長部において酸素濃度が非常に高くなることなどが影響していると考えられる。
しかしながら、OVPE法では、成長レートを速くし過ぎると気相反応が増大して多結晶の発生が促進されてしまうことで結晶品質が悪くなるという課題があるので、実際に適用可能な成長レートが50μm/h程度に留まっている。そのため、1mm以上の膜厚で成長をすることは、コスト面からみても不利であった。また、三次元成長モードのまま厚膜化を行うと、ファセットの面方位によって不純物の取り込み効率が異なるために、面内にピット分布を反映した不純物濃度分布が出来てしまうことも課題であった。
そこで、本発明者らは、OVPE法による三次元成長モードの後に二次元成長モードで平坦化することを試みた。しかしながら、OVPE法だけでは、一旦三次元化した凹凸の大きい表面を平坦化する条件を見出すことが出来なかった。
また、本発明者らは、OVPE法により三次元成長モードで成長させたGaN結晶の三次元表面に、続けてHVPE法により二次元成長モードの成長条件で平坦化することも試みた。しかしながら、HVPE法は、二次元成長モードがOVPE法よりも安定であるために、成長条件の調整により平坦化を進めることは可能であるものの、GaN結晶の表面の凹凸が非常に大きくなってしまい、第一の加工工程の研磨により平坦化するのに必要なGaN結晶の厚みが非常に大きくなってしまうという別の課題が生じることが明らかになった。
さらに、本発明者らは、OVPE法により三次元成長モードで成長させたGaN結晶に対して、第一の加工工程によりGaN結晶の凹凸表面の凹凸部を除去して平坦にした後に、HVPE法で第二の窒化物半導体層30としてGaN結晶を平坦に堆積することを考えて実施してみた。しかしながら、HVPE法では、完全な二次元成長モードでGaN結晶の成長が進むために、第一の窒化物半導体層20として成膜したGaN結晶の表面の第一の凹部21a(ピット)の中心に集中していた転位群が再び分散してしまい、ピット密度(=転位密度)が増大する傾向があることが分かった。
これらの課題を解決するために、本発明者らが鋭意検討した結果、第一の結晶成長工程においてOVPE法により三次元成長モードで成長させたGaN結晶によって構成された第一の窒化物半導体層20に対して、第一の加工工程により第一の窒化物半導体層20の表面を平坦化した後に、第二の加工工程により転位の集中部のみをエッチングしてピット(第二の凹部21b)を形成する工程を加えることで、従来の課題を解決することができることを見出した。適切なエッチング方法および適切なエッチング条件を選択することで、転位の集中部を選択的にエッチングしてピットを形成することができる。
本実施例では、第二の加工工程として、KOHとNaOHのアルカリ溶液を用いたウェットエッチングを採用したが、エッチングの具体的な方法は適時選択することができ、他のエッチング薬液を使う方法によってピットである第二の凹部21bを形成しても構わない。
例えば、リン酸(HPO)の高温エッチング、硫酸(HSO)とリン酸の混合溶液によるエッチング、または、紫外光を照射しながらKOHなどのアルカリ溶液でエッチングを行うPECエッチング(Photo−Enhanced Chemical Etching)などの窒化物半導体のピット形成が可能なエッチング手法を用いても構わない。また、HClガス、ClガスまたはHガスを用いた気相エッチングによりピットを形成することも可能である。なお、気相エッチングの場合は、OPVEまたはHVPEのリアクタ炉内でエッチング処理を行うことも可能である。
本実施例において、第一の加工工程で平坦に加工した第一の窒化物半導体層20の表面は、CMPなどのダメージレスの加工により結晶成長が可能な状態(いわゆるエピレディ表面)になっている。そして、第一の窒化物半導体層20を構成するGaN結晶の表面における転位の集中部のみにピットを意図的に形成することで、その後、HVPE法による第二の結晶成長工程において、第二の窒化物半導体層30を構成するGaN結晶の表面の大部分が二次元成長モードの平坦成長を行いながらピット部分のみをファセット成長させて転位の集中部における転位の合体・消滅を促進した後に最終的に完全に平坦化を行うことが可能になった。
また、第一の窒化物半導体層20を成膜する第一の結晶成長工程においては、OVPE法にて結晶成長を行うことで、300〜400μmの厚みでも100μm以上の段差の凹凸が形成されることが明らかになっており、それぞれの凹凸の大きさのばらつきが非常に大きい。このため、第一の加工工程で表面を完全には平坦化せずに一部に凹凸をそのまま残す程度に平坦化して、第二の加工工程でのエッチングを省略し、そのまま第二の結晶成長工程を行うことも可能ではあるが、この方法では、転位の集中部で平坦化されてしまった部分と凹凸で残存する部分とが混ざったり残っている凹凸の深さのばらつきが大きかったりするなどの課題があり、第二の結晶成長工程において転位を低減する効果が限定的になってしまう。このため、本実施の形態のように、一旦、完全に平坦化した後に、転位の集中部分のみを選択的にエッチングしてピット化した方が第二の結晶成長工程での転位を低減できる効果が大きいことが分かった。
以上のように、本実施の形態に係る窒化物半導体結晶の製造方法の特徴は、第一の結晶成長工程において第一の半導体結晶に大きな凹凸形状を効率的に形成することで、転位の集中を促進する第一段階と、第一の加工工程において第一の半導体結晶の表面を平坦化した後に、第二の加工工程において、転位の集中部だけを選択的にピットを形成する第二段階とを有することである。これらのプロセスにより、第一の結晶成長工程で成長させた第一の半導体結晶の凹凸の深さの大きさまたはばらつきを、深さがより浅く、均一な深さのピットに形成し直すことが可能になる。例えば、図7に示したように、ピット形成エッチング後のピットサイズは、直径30μm以下あり、で深さも50μm以下になっているものがほとんどであった。
そして、その後の第二の結晶成長工程において、第一の半導体結晶の表面に第二の半導体結晶を成長させることで、第一の半導体結晶のピットに集中している転位の合体・消滅を促進した後に平坦化するので、より低転位の第二の半導体結晶で構成された第二の窒化物半導体層を形成することができる。具体的には、本実施の形態における第二の結晶成長工程においては、初期100μmの厚みまではピットを拡大する成長条件で成長を行い、その後に平坦化する成長条件で成長を行うことで、ピットの転位の低減を促進することが可能となり、第二の結晶成長工程において形成した第二の窒化物半導体層30の表面における貫通転位密度を第一の結晶成長工程で形成した第一の窒化物半導体層20の表面の50%以下にすることができる。
また、第一の結晶成長工程でOVPE法により第一の半導体結晶を成長させることで、上記のように、第一の半導体化粧の最表面の形状は、ファセット面で形成された、大小のピットと隣接するピットとの接合部である稜線のみで構成され、c面の平坦部はほぼ存在しないが、転位がピット内にあることで効率よく転位の合体・消滅を発生することにつながるため、c面の平坦部は全くないことが望ましい。図5Aにおいて、第一の半導体結晶における第一の凹部21a(ピット)以外の平坦部が表面に占める割合は、5%以下であり、さらに広い領域の評価においても、OVPE法の成長条件を調整することで、10%以下にできることが明らかになっている。
また、本実施の形態において、第二の結晶成長工程では、HVPE法を用いた気相成長法によって第二の半導体結晶を成長させたが、これに限らない。例えば、第二の結晶成長工程では、ガリウムを含む有機金属を原料として用いた気相成長法により第二の半導体結晶を成長させてもよい。具体的には、MOVPE法(Metal Organic Vapor Phase Epitaxy:有機金属気相成長法)による気相成長法により第二の半導体結晶を成長させて第二の窒化物半導体層30を形成してもよい。なお、MOVPE法においても初期の数μm〜10μm程度まではピットを拡大する成長条件で成長を行い、その後に平坦化を促進する成長条件で第二の半導体結晶を成長させることで、より低い転位密度の窒化物半導体結晶を得ることができる。また、MOVPE法を用いる場合、成長レートが1〜10μm/h程度と比較的遅いため、第二の窒化物半導体層30の厚みは100μm以下、より好ましくは50μm以下であると良い。また、MOVPE法は、HVPE法よりも薄い膜厚で平坦化する必要があるため、第二の加工工程で第一の半導体結晶に形成するピット(第二の凹部21b)は、比較的小さめに形成するとよく、例えば直径10μm以下で深さも10μm以下であるとよい。
また、本実施の形態では、基板10として市販のGaN基板を用いたが、窒化物半導体を結晶成長できる基板であれば、基板10の材質は何でもよい。例えば、基板10としては、GaN結晶の成長においてはホモエピ基板となるGaN基板、または、AlN、サファイア、Si、SiC、GaAs、ZnO、Ga、ScAlMgO、グラファイト、グラフェンなどによって構成された異種基板が挙げられる。また、基板10として、異種基板上にMOVPE法などでGaN膜を堆積したGaNテンプレート基板も用いることもできる。なお、異種基板上のヘテロエピ成長の場合には、材質の熱膨張係数の差による反りが課題になることがあるため、凹凸加工により応力緩和を施した基板を用いてもよい。
また、本実施の形態における窒化物半導体結晶基板1では、第一の窒化物半導体層20から第二の窒化物半導体層30へ向かって貫通転位密度が減少するため、第二の窒化物半導体層30の(10−12)面のX線ロッキングカーブの半値幅が第一の窒化物半導体層20のX線ロッキングカーブが小さくなる。なお、本実施の形態においては、非対称面である(10−12)面での結晶性評価を実施したが、(0002)面といった対称面または(11−22)面といった非対称面などで結晶性を比較しても大小関係は同じになるため、(0002)面等の対称面または(11−22)面等の非対称面で結晶性評価を実施してもよい。
また、本実施の形態において、第二の窒化物半導体層30を形成した後に基板10および第一の窒化物半導体層20を除去することで、第二の窒化物半導体層30のみからなる窒化物半導体結晶基板を作製してもよい。この場合、表面および裏面を適切に加工することで、単一層の自立GaN基板として使用することができる。さらに、第二の結晶成長工程において、第二の半導体結晶を1000μmを超えるような厚膜に成長した場合には、一回の結晶成長で複数枚の自立GaN基板を得ることもできる。
また、本実施の形態において、第二の窒化物半導体層30を形成した後に基板10を除去して第一の窒化物半導体層20と第二の窒化物半導体層30との二層の窒化物半導体層からなる窒化物半導体結晶基板を作製してもよい。この場合も、表面および裏面を適切に加工することで、自立GaN基板として使用することができる。第一の窒化物半導体層20は、OVPE法による三次元成長モードの第一の半導体結晶によって構成されており、酸素(O)濃度が1019cm−3以上であって抵抗率が10−4Ω・cm半ばの非常に低抵抗な半導体層であるため、このような窒化物半導体結晶基板は、特に縦方向(基板10の厚み方向)に電流を流す半導体デバイスのベース基板に適している。なお、キャリア濃度が大きすぎると転位の集中部でのリークなどを誘発するおそれがあるが、第二の窒化物半導体層30のキャリア濃度を低めにすることで、リークの発生を抑制することができ、窒化物半導体結晶基板の耐圧性能の向上が図れる。
また、本実施の形態における窒化物半導体結晶基板1は、基板10の上に第一の窒化物半導体層20と第二の窒化物半導体層30との二層構造であったが、これに限らない。例えば、図9に示される窒化物半導体結晶基板1Aのように、上記実施の形態1における窒化物半導体結晶基板1において、第二の窒化物半導体層30の後に第三の半導体結晶を成長させて、第二の窒化物半導体層30に接する第三の窒化物半導体層40をさらに備えていてもよい。この場合、第三の窒化物半導体層40のシリコン(Si)濃度は、第二の窒化物半導体層30のシリコン濃度よりも大きいとよい。このように、第一の窒化物半導体層20と、シリコン濃度の低い第二の窒化物半導体層30およびシリコン濃度の高い第三の窒化物半導体層40とを含んだ三層構造の窒化物半導体結晶基板1Aであってよい。このような三層構造にすることで、窒化物半導体結晶基板1Aの上に作製する半導体デバイス構造に合わせた基板特性を実現することができる。なお、第三の窒化物半導体層40は、第二の窒化物半導体層30と同じ手法で堆積してもよいし、異なる手法で堆積してもよい。この場合、基板10を除去することで、第一の窒化物半導体層20と第二の窒化物半導体層30と第三の窒化物半導体層40との三層の窒化物半導体層からなる窒化物半導体結晶基板を作製することが可能である。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2に係る窒化物半導体結晶基板2について、図10を用いて説明する。図10は、実施の形態2に係る窒化物半導体結晶基板2の断面図である。
図10に示すように、本実施の形態に係る窒化物半導体結晶基板1Aは、上記実施の形態1に係る窒化物半導体結晶基板1において、さらに、第一の窒化物半導体層20の凹部21に選択的に形成された保護膜50を備える。
具体的には、保護膜50は、第一の窒化物半導体層20の凹部21および平坦部22のうち凹部21のみに形成されている。また、保護膜50は、第一の窒化物半導体層20の凹部21を埋め込むように形成されている。
保護膜50は、絶縁材料によって構成された誘電体膜からなる誘電体保護膜である。本実施の形態において、保護膜50は、酸化物または窒化物によって構成されている。一例として、保護膜50は、二酸化シリコンによって構成されたSiO膜である。
次に、本実施の形態に係る窒化物半導体結晶の製造方法について、図11および図12を用いて説明する。本実施の形態においても、窒化物半導体結晶の製造方法は、窒化物半導体結晶基板1Aの製造方法として説明する。図11は、実施の形態2に係る窒化物半導体結晶基板1Aの製造方法の工程フロー図であり、図12は、同窒化物半導体結晶基板1Aの製造方法の各工程を模式的に示す断面図である。
図11に示すように、本実施の形態に係る窒化物半導体結晶基板1Aの製造方法は、第一の結晶成長工程(S21)と、第一の加工工程(S22)と、第二の加工工程(S23)と、保護膜形成工程(S24)と、ピット埋込マスク形成工程(S25)と、第二の結晶成長工程(S26)とを含む。
本実施の形態における、第一の結晶成長工程(S21)、第一の加工工程(S22)および第二の加工工程(S23)の各工程は、上記実施の形態1における、第一の結晶成長工程(S11)、第一の加工工程(S12)および第二の加工工程(S13)の各工程と同じである。なお、本実施の形態でも、基板10として、10cm−2台前半の転位密度を持つ市販GaN基板を用いた。
具体的には、まず、図11に示すように、基板10を用意して、第一の結晶成長工程(S21)を行う。図12の(a)に示すように、第一の結晶成長工程(S21)では、上記実施の形態1と同様に、GaN基板である基板10上にOVPE法にて三次元成長モードで第一の半導体結晶を成長させることで第一の窒化物半導体層20を堆積した。より具体的には、OVPE装置のリアクタ炉内に基板10としてGaN基板を導入した後、水素(H)およびNHの混合雰囲気中で約1000℃まで昇温し、その後、NHとOVPE原料室で生成したGaOとを微量供給しながら1200℃までさらに昇温した後に、約50μm/hの成長速度でGaN結晶を成長させることで、第一の窒化物半導体層20としてGaN層を400μm積層する。その後、降温し、基板10に第一の窒化物半導体層20が成膜されたエピ膜付き基板をOVPE装置のリアクタ炉から搬出する。この際、上記実施の形態1と同様に、成長表面が多数のピット(第一の凹部21a)からなる三次元成長モードで第一の半導体結晶を成長させて、ピットの中心部(凹凸の底部)には転位の集中部23が形成されている。
次に、図11に示すように、第一の結晶成長工程(S21)の後に、第一の加工工程(S22)を行う。具体的には、図12の(b)に示すように、上記実施の形態1と同様にして、第一の窒化物半導体層20の第一の半導体結晶の表面20Sに研削・研磨加工を施すことで表面20Sを凹凸表面から平坦な表面に加工する。例えば、最表面はCMPにより加工ダメージ層を取り除き、表面ラフネスが1nm以下の平坦度になるまで第一の半導体結晶の表面20Sの研磨を行う。
次に、図11に示すように、第一の加工工程(S22)の後に、第二の加工工程(S23)を行う。具体的には、図12の(c)に示すように、上記実施の形態1と同様にして、第一の半導体結晶の表面にピットである複数の第二の凹部21bを形成する。より具体的には、第一の窒化物半導体層20における第一の半導体結晶の平坦化された表面に対して、水酸化カリウム(KOH)と水酸化ナトリウム(NaOH)とを1:1で溶融したエッチャントにより420℃の高温で10minのウェットエッチングを行うことで、第一の半導体結晶であるGaN結晶の表面の転位部分を選択的にエッチングすることで複数のピットとして第二の凹部21bを形成する。
そして、本実施の形態では、第二の加工工程の後に、第二の凹部21bを保護膜50により選択的に被覆する工程を含む。具体的には、図11に示すように、第二の加工工程の後に、保護膜形成工程(S24)およびピット埋込マスク形成工程(S25)を含む。
図12の(d)に示すように、保護膜形成工程(S24)では、ピット(第二の凹部21b)を形成した第一の半導体結晶の表面に保護膜50を形成する。具体的には、第一の半導体結晶からなる第一の窒化物半導体層20の第二の凹部21bを埋めるように第一の窒化物半導体層20の上に、スピンコートで塗布が可能なスピンオングラス(SOG:Spin on Glass)材料を用いてSiO膜からなる保護膜50を形成する。本実施の形態では、スピンコーターでSOG溶液を第一の窒化物半導体層20の表面に塗布した後、O雰囲気中で500〜600℃で1時間ほど焼きなましを行うことで保護膜50として200nmの厚みのSiO膜を成膜した。
なお、保護膜50は、CVD法またはスパッタ法でも成膜することができる。ただし、次工程で、ピットのみに保護膜50を選択的に残存させるために、保護膜50の平坦性を上げておく必要がある。このため、CVD法又はスパッタ法よりも、SOGによって保護膜50を形成する方がよい。
次に、保護膜形成工程(S24)の後に、ピット埋込マスク形成工程(S25)を行う。図12の(e)に示すように、ピット埋込マスク形成工程(S25)では、形成した保護膜50をドライエッチングにより選択的に除去する。本実施の形態では、保護膜50をスピンコートで塗布して成膜しているので保護膜50の表面の平坦性が高く、ピット(第二の凹部21b)での保護膜50の厚みが平坦部より厚く形成されている。この点を利用して、マスクなしで基板10上の全面の保護膜50を200nmだけ除去すると、ピットの内部のみに自己形成的に保護膜50を残存させることができる。つまり、ピットの内部のみにマスクとして保護膜50を形成することができる。
次に、図11に示すように、ピット埋込マスク形成工程(S25)の後に、第二の結晶成長工程(S26)を行う。図12の(f)に示すように、本実施の形態における第二の結晶成長工程でも、第一の半導体結晶の第二の凹部21bを覆うように二次元成長モードで第一の半導体結晶よりも転位密度が低い第二の半導体結晶を成長させているが、本実施の形態では、第二の凹部21bには保護膜50が埋め込まれているので、本実施の形態における第二の結晶成長工程では、保護膜50が形成されていない部分から第二の半導体結晶を成長させる。
具体的には、ピット(第二の凹部21b)の内部が保護膜50で保護された第一の窒化物半導体層20の表面にHVPE法により二次元成長モードで第二の半導体結晶を成長させることで表面が平坦な第二の窒化物半導体層30を第一の窒化物半導体層20に上に堆積する。より具体的には、HVPE装置のリアクタ炉内に第一の窒化物半導体層20が堆積された基板10を導入した後、水素およびNHの混合雰囲気中で約1000℃まで昇温し、その後、NHとHVPE原料室で生成したGaClとを微量供給しながら1050℃までさらに昇温した後に、約200μm/hの成長速度でGaN結晶を成長させることで第二の窒化物半導体層30としてGaN層を200〜2000μm積層する。その後、降温し、基板10に第一の窒化物半導体層20および第二の窒化物半導体層30が成膜されたエピ膜付き基板をHVPE装置のリアクタ炉から搬出する。
このように成膜された第二の窒化物半導体層30を構成する第二の半導体結晶は、上記実施の形態1と同様に、HVPE法により二次元成長モードで成長されて、第一の半導体結晶よりも転位密度が低くなっている。
本実施の形態と実施の形態1との違いは、本実施の形態では、エッチングにより第一の半導体結晶に形成したピット(第二の凹部21b)の内部に保護膜50を形成する点にある。この点の技術的意義について、以下説明する。
上記実施の形態1で説明したように、第一の半導体結晶のピットの底部に集中している転位を合体・消滅させることで、第一の半導体結晶より転位を低減させて第二の半導体結晶を成長させることが可能になるが、ピットのファセット成長を行いながらの転位の低減は厚みに対する速度がそれほど速くないという課題がある。
そこで、本実施の形態では、第一の半導体結晶の上に第二の半導体結晶を形成する前に、第一の半導体結晶のピットの内部に保護膜50を埋め込み形成している。これにより、第二の半導体結晶を成長させる際に、転位の結晶成長方向への延伸を強制的に停止させることができる。これにより、下層からの貫通転位の延伸に伴う合体・消滅ではなく、周辺の結晶膜からの横方向成長による合体に伴う新たな転位発生のメカニズムをメインとして第二の半導体結晶を成長させることができる。したがって、最小数の転位のみが発生しやすい状況を作り出すことが可能になり、より効果的に第二の半導体結晶の転位を低減することが可能になる。この結果、より低い転位密度で高品質な窒化物半導体結晶基板1Aを得ることができる。
なお、本実施の形態では、保護膜50として、SiOのスピンオングラス材料を用いたが、これに限らない。例えば、保護膜50の材料としては、酸化物材料または窒化物材料など、GaN結晶を成長させる際のマスクとして機能する材料であれば、任意の材料を用いることができる。また、保護膜50の成膜方法については、スピンオングラスが最も簡便な手法ではあるが、他の成膜方法を用いて第一の半導体結晶のピットの内部を埋め込むように保護膜50を形成してもよい。
また、本実施の形態では、第一の半導体結晶のピット部分に保護膜50が形成されるため、第二の結晶成長工程をMOVPE法で成長する場合には、より薄い膜厚で転位が低減されて平坦な第二の半導体結晶を成長させて第二の窒化物半導体層30を成膜することができる利点がある。
(変形例)
以上、本開示に係る窒化物半導体結晶基板および窒化物半導体結晶の製造方法などについて、実施の形態1、2に基づいて説明したが、本開示は、上記実施の形態1、2に限定されるものではない。
例えば、実施の形態1で説明した変形例については、実施の形態2にも適用することができる。
また、上記実施の形態1、2では、第一の窒化物半導体層20および第二の窒化物半導体層30を構成する窒化物半導体として、GaNを例示したが、これに限らない。例えば、第一の窒化物半導体層20および第二の窒化物半導体層30を構成する窒化物半導体としては、AlInN、GaInN、または、AlGaInNなどであってもよい。
その他に、上記実施の形態1、2に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態1、2における構成要素および機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
本開示の技術は、従来よりも貫通転位密度が低い窒化物半導体結晶基板を得ることができるので、窒化物半導体結晶基板を用いた種々の窒化物半導体デバイス等に広く利用することができる。
1、1A、2 窒化物半導体結晶基板
10 基板
20 第一の窒化物半導体層
20a、30a 貫通転位
20S 表面
21 凹部
21a 第一の凹部
21b 第二の凹部
22 平坦部
23 転位の集中部
30 第二の窒化物半導体層
40 第三の窒化物半導体層
50 保護膜

Claims (14)

  1. 基板上に、ファセット面をもつ三次元成長モードで、第一の凹部を含む凹凸表面を有する第一の半導体結晶を成長させる第一の結晶成長工程と、
    前記凹凸表面を研磨により平坦な表面に加工する第一の加工工程と、
    前記平坦な表面のうち転位の存在する領域をエッチングにより加工することで第二の凹部を形成する第二の加工工程と、
    二次元成長モードで前記第二の凹部を覆うように前記第一の半導体結晶よりも転位密度が低い第二の半導体結晶を成長させる第二の結晶成長工程とを含む、
    窒化物半導体結晶の製造方法。
  2. 前記第一の結晶成長工程では、ガリウム酸化物をガリウム原料として用いた気相成長法により前記第一の半導体結晶を成長させる、
    請求項1に記載の窒化物半導体結晶の製造方法。
  3. 前記第二の結晶成長工程では、金属ガリウムをガリウム原料として用いた気相成長法により前記第二の半導体結晶を成長させる、
    請求項1又は2に記載の窒化物半導体結晶の製造方法。
  4. 前記第二の結晶成長工程では、ガリウムを含む有機金属を原料として用いた気相成長法により前記第二の半導体結晶を成長させる、
    請求項1又は2に記載の窒化物半導体結晶の製造方法。
  5. 前記第二の凹部の密度が5×10cm−2以下である、
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の窒化物半導体結晶の製造方法。
  6. 前記第一の結晶成長工程では、前記第一の凹部以外の平坦部が表面に占める割合が10%以下である、
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の窒化物半導体結晶の製造方法。
  7. 前記第二の凹部の平均深さが前記第一の凹部の平均深さよりも小さい、
    請求項1〜6のいずれか1項に記載の窒化物半導体結晶の製造方法。
  8. 前記第二の加工工程の後に、前記第二の凹部を保護膜により選択的に被覆する工程を含み、
    前記第二の結晶成長工程では、前記保護膜が形成されていない部分から前記第二の半導体結晶を成長させる、
    請求項1〜7のいずれか1項に記載の窒化物半導体結晶の製造方法。
  9. 酸素濃度が1019cm−3以上の第一の窒化物半導体層と、
    前記第一の窒化物半導体層よりも酸素濃度の低い第二の窒化物半導体層とを備え、
    前記第一の窒化物半導体層と前記第二の窒化物半導体層との界面における貫通転位が存在する領域において、前記第一の窒化物半導体層に凹部が形成されており、
    前記第二の窒化物半導体層の前記第一の窒化物半導体層との界面と反対側の表面における貫通転位密度は、前記界面における前記第一の窒化物半導体層の貫通転位密度の50%以下である、
    窒化物半導体結晶基板。
  10. 前記第一の窒化物半導体層の前記凹部の密度が5×10cm−2以下である、
    請求項9に記載の窒化物半導体結晶基板。
  11. 前記第二の窒化物半導体層の前記第一の窒化物半導体層との界面と反対側の面近傍における(1−102)面のX線ロッキングカーブの半値幅が前記第一の窒化物半導体層における前記第二の窒化物半導体層との界面近傍における(1−102)面のX線ロッキングカーブの半値幅よりも小さい、
    請求項9または10に記載の窒化物半導体結晶基板。
  12. 前記第一の窒化物半導体層の前記凹部に選択的に誘電体保護膜が形成されている、
    請求項9〜11のいずれか1項に記載の窒化物半導体結晶基板。
  13. 前記誘電体保護膜は、酸化物または窒化物によって構成されている、
    請求項9〜12のいずれか1項に記載の窒化物半導体結晶基板。
  14. 前記第二の窒化物半導体層に接する第三の窒化物半導体層をさらに備え、
    前記第三の窒化物半導体層のシリコン濃度は、前記第二の窒化物半導体層のシリコン濃度よりも大きい、
    請求項9〜13のいずれか1項に記載の窒化物半導体結晶基板。
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