JP2020203287A - 放射性物質を除去するための捕集剤及びその製造方法 - Google Patents

放射性物質を除去するための捕集剤及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2020203287A
JP2020203287A JP2020155815A JP2020155815A JP2020203287A JP 2020203287 A JP2020203287 A JP 2020203287A JP 2020155815 A JP2020155815 A JP 2020155815A JP 2020155815 A JP2020155815 A JP 2020155815A JP 2020203287 A JP2020203287 A JP 2020203287A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
nanocellulose
prussian blue
complex
adsorbent
chemical substance
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2020155815A
Other languages
English (en)
Inventor
一郎 坂田
Ichiro Sakata
一郎 坂田
文志 古月
Fumiji Furuzuki
文志 古月
キリヤンキル ビピン アダヴァン
Drill Yankiru Bipin Adavan
キリヤンキル ビピン アダヴァン
弘太郎 熊谷
Kotaro Kumagai
弘太郎 熊谷
翔一 眞鍋
Shoichi Manabe
翔一 眞鍋
順 冨田
Jun Tomita
順 冨田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
University of Tokyo NUC
Nano Summit Co Ltd
Original Assignee
University of Tokyo NUC
Nano Summit Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by University of Tokyo NUC, Nano Summit Co Ltd filed Critical University of Tokyo NUC
Publication of JP2020203287A publication Critical patent/JP2020203287A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)
  • Water Treatment By Sorption (AREA)
  • Treatment Of Liquids With Adsorbents In General (AREA)
  • Removal Of Specific Substances (AREA)

Abstract

【課題】汚染水等に含まれる放射性物質等の標的とする化学物質を低減ないし除去するための捕集剤並びにこれを用いた方法及び装置を提供することを課題とする。また、プルシアンブルー等の吸着剤を使用した場合の溶出問題を解決することを課題とする。さらに、以上の課題を低コストで実現することを課題とする。【解決手段】標的とする化学物質に対して高い結合力ないし選択性を有する吸着剤(例えば、プルシアンブルー等)とナノセルロースとを含む捕集剤を担持させた親水性基材、並びにこれらの捕集剤又は親水性基材を利用した装置。【選択図】図1

Description

本発明は、セシウム、ヨウ素、トリウム、又はストロンチウム等の化学物質を低減ないし除去するために用いる捕集剤並びにこれを用いた方法及び装置に関するものである。
セシウム、ヨウ素、トリウム、又はストロンチウム等の化学物質、特にセシウム137、ヨウ素131、ストロンチウム90等の放射性物質によって汚染された水から、これらの放射性物質を除去ないし低減する手段として、これらの放射性物質を取り込むように設計されたゼオライトを用いる技術がある(例えば、特許文献1参照)。
また、ゼオライトよりもセシウムに対して高い結合力及び選択性を有するプルシアンブルー並びにその類似化合物を用いる技術や、ストロンチウムに対して高い結合力を示すアルギン酸のような高分子多糖類を用いる技術も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、ゼオライトは選択性が低いため、これを用いる方法による場合には目詰まりしたゼオライトを頻繁に交換しなければならず高コストになってしまい、さらには、低減ないし除去の対象となる化学物質が放射性物質である場合には、交換作業は容易ではないという問題がある。他方で、プルシアンブルー及びその類似化合物を使用する場合や、微小サイズのゼオライト(以下、単に「ゼオライト」という。)を使用する場合には、これらの物質が水に溶出しやすいという問題(以下「溶出問題」という。)があり、例えば、ウレタンやポリビニルアルコールの多孔質体へ安定的に担持させることが困難であった。
特表2007−526110号公報 特開2013−57575号公報
本発明は、汚染水等に含まれる放射性物質等の標的とする化学物質(例えば、セシウム、トリウム、ストロンチウム、ヨウ素等)を低減ないし除去するための、捕集剤並びにこれを用いた方法及び装置を提供することを課題とする。また、プルシアンブルーやゼオライト等の吸着剤を使用した場合の溶出問題を解決することを課題とする。さらに、以上の課題を低コストで実現することを課題とする。
本発明者は、溶出問題の原因は、プルシアンブルー及びその類似化合物がナノサイズであることや親水性が高いことにあるであろうとの考察の下、まず、ナノセルロースに対して鉄(III)イオンを結合させ、ナノセルロースと鉄(III)イオンの疑似錯体を形成させた後、かかる疑似錯体に対しヘキサシアノ鉄(II)酸等を結合させることで、ナノセルロース/プルシアンブルー疑似錯体を形成させた(図1及び図2参照)。そして、本発明者は、プルシアンブルーがナノセルロース/プルシアンブルー疑似錯体においてナノセルロースと疑似錯体を形成しているため、プルシアンブルー単独では水等の溶媒へ溶出せず、プルシアンブルー等の吸着剤を使用した場合の溶出問題を解決できることを見いだし、本発明を完成させた。本発明において吸着剤としてプルシアンブルーを使用した場合の、当該プルシアンブルーは、ナノセルロースをいわば鋳型として用いて合成した、不溶性プルシアンブルーといえる。
また、本発明者は、ナノセルロースには水酸基が含まれることから親水性基材に安定的に担持させられるだろうとの考察の下、ナノセルロース/プルシアンブルー疑似錯体を親水性基材に安定的に担持させることができることをも見いだした(図3参照)。
本発明によれば、汚染水等に含まれる標的とする化学物質を吸着・保持することで、汚染水等に含まれる標的とする化学物質を低減ないし除去することができる。例えば、セシウム、トリウム、ストロンチウム又はヨウ素、特に、放射性物質セシウム、放射性トリウム、放射性ストロンチウムによって汚染された汚染水中の放射性物質を、吸着・保持することで取り除くことができる。また、本発明によれば、吸着剤としてプルシアンブルーやゼオライト等を使用した場合の溶出問題を低減ないし防ぐことができる。さらに、本発明によれば、加工が容易な親水性基材に対して吸着剤(例えば、プルシアンブルー)とナノセルロース分散物とを含む捕集剤を安定的に担持させることで、捕集剤を担持させた親水性基材を最適な態様へ容易に加工することができる。
また、本発明によれば、以上の効果を低コストで実現することができる。
図1は、ナノセルロース/プルシアンブルー疑似錯体が形成される過程を示す図である。 図2は、ナノセルロース/プルシアンブルー疑似錯体を示す電子顕微鏡写真である。図2Aは、プルシアンブルー由来の鉄(Fe)を、図2Bは、プルシアンブルー由来の窒素(N)を、図2Cは、ナノセルロース由来の酸素(O)をそれぞれ示している。 図3は、ナノセルロース/プルシアンブルー/ポリビニルアルコール多孔質体の三次元構造を示す電子顕微鏡写真(SEM)である。 図4は、各溶液ごとの紫外可視透過スペクトル測定結果を示すグラフであり、縦軸は、透過率(%T)、横軸は、波長(nm)を示す。1は、プルシアンブルー(PB)標準コロイド水溶液(PB濃度は50ppm)の紫外可視透過スペクトルを、2は、実施例1の8)プルシアンブルーの溶出確認実験における紫外可視透過スペクトルを、3は、脱イオン水のみの紫外可視透過スペクトルを示している。
以下、本発明の実施形態を説明する。ただし、以下の実施形態は、発明内容の理解を助けるためのものであり、本発明を限定するものではない。
<捕集剤>
本発明における捕集剤は、ナノセルロースと吸着剤(例えば、プルシアンブルー、ゼオライト、アルギン酸等のキレート形成物質等)との疑似錯体であり、標的とする化学物質(例えば、セシウム、トリウム、ストロンチウム、ヨウ素等)に対して高い結合力ないし選択性を有する一種類又は複数種類の吸着剤(例えば、プルシアンブルー等)を含む捕集剤である。ここでいうナノセルロース/吸着剤の疑似錯体は、ナノセルロースに対して鉄(III)イオン等の陽イオンを結合させ、ナノセルロースと陽イオンの疑似錯体を形成させた後、かかる疑似錯体に対してヘキサシアノ鉄(II)酸などの錯イオンを結合させることで形成され、例えば、ナノセルロースとプルシアンブルーの疑似錯体がある。また、本発明における捕集剤では、複数種類の吸着剤を組み合わせても良いため、例えば、ナノセルロース、プルシアンブルー、及びゼオライトからなる疑似錯体や、ナノセルロース、プルシアンブルー、及びアルギン酸からなる疑似錯体がある。
本発明におけるナノセルロースとは、市販のセルロース(α-セルロース、酢酸セルロース等)を、アトライター、ボールミル、サンドミル、ビーズミル等の微細化処理装置を用いて平均の長さが10μmから1000μm程度であり平均の直径が1nmから800nm程度になるまで微細化したものを意味する。また、本発明におけるナノセルロース分散物は、市販のセルロース(α-セルロース、酢酸セルロース等)を、脱イオン水又はその他の分散媒体と共に、アトライター、ボールミル、サンドミル、ビーズミル等の微細化処理装置を用いて、溶媒内にセルロースを分散させる処理(以下「分散処理」という。)をすることで得ることができる。
ナノセルロース分散物の分散媒体としては、親水性溶媒を使用することができ、例えば、水、メタノール、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンを使用することができる。また、分散処理は、例えば、ナノセルロースと脱イオン水を、セルロースが脱イオン水に対して0.01〜10wt%の量比になるように調整し、アトライター、ボールミル、サンドミル、ビーズミル等を用いて混合することによって調製することができる。なお、ここでいう「分散」とは、溶解や懸濁を含む広義の分散を意味し、例えば、ナノセルロースが全て溶解している態様、全て懸濁している態様、一部が溶解し一部が懸濁している態様等を意味する。
本発明でナノセルロースと疑似錯体を形成するプルシアンブルーとしては、ヘキサシアノ鉄(II)塩化鉄(III)、フェロシアン化鉄(III)又はフェロシアン化鉄(II)と呼ばれるシアノ錯体やこれらの類似体を利用することができる。セシウムイオン等の標的とする化学物質に対して高い結合定数を有し標的とする化学物質と錯体ないし疑似錯体を形成することができる性質を有すればよく、特定の配位状態や配位数を持つ錯体ないし疑似錯体には限定されない。また、本発明で利用するプルシアンブルーとしては、その平均の粒径が1nm〜200nmであれば良いが、10nm〜20nmであることが好ましい。
本発明における標的とする化学物質とは、水中や土中に含まれる化学物質を意味し、例えば、セシウム、トリウム、ストロンチウム、ヨウ素が挙げられ、特に、放射性物質セシウム、放射性トリウム、放射性ストロンチウム、放射性ヨウ素が挙げられる。
本発明における捕集剤は、前記ナノセルロース分散物の濃度が0.01〜10wt%及びプルシアンブルー(MW = 859.23g/mol)の濃度が1.0mM〜0.5Mとなるようにし、分散処理前のナノセルロース1質量部に対してプルシアンブルーを0.1〜100質量部の比率にすることで、適当な媒体中で調製することができる。さらに、好ましくは水中で混合することで調製することができる。混合工程には特別な条件を必要とはせず、例えば、混合物全量が10リットルの場合は、4℃〜45℃で、30〜120分間の範囲で適宜調整することができる。このようにして調製される捕集剤は、ナノセルロース・プルシアンブルー疑似錯体のコロイド溶液として表すこともできる。
本発明では、捕集剤を担持させた親水性基材を用いて、汚染水等の水溶液中に含まれる又は固体に付着した(以下、単に「汚染水等に含まれる」という。)標的とする化学物質を吸着・保持して、汚染水等に含まれる標的とする化学物質を低減ないし除去することができる。
<親水性基材>
本発明では、捕集剤を担持させる基材として、親水性基材を使用できる。本発明における親水性基材としては、親水性多孔質体や親水性繊維がある。親水性多孔質体や親水性繊維は、天然の材料、人工の材料及び/又は合成の材料を含むことができ、また、天然のセルロースから製造された合成繊維などの天然材料から製造された合成材料を含むことができる。また、親水性多孔質体や親水性繊維は、ナイロンなどのポリアミド、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン、アクリル、モドアクリル、ゴム、プラスチック、熱可塑性プラスチック、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテルウレタン、ポリ塩化ビニル、ビニルニトリル、シリコン、ラテックス、それらの誘導体及びそれらの組み合わせ、並びにその他の吸収性の材料から形成することができる。吸着剤としてプルシアンブルーを用いた捕集剤を用いる場合には、親水性基材としてはポリビニルアルコールが好ましい。
本発明の作用メカニズムの詳細は明らかではないが、以下のようなものが考えられる。すなわち、本発明者は、プルシアンブルー等の吸着剤がナノセルロースに対して高い親和性を有すること、並びに、ナノセルロース/プルシアンブルー疑似錯体(図2)やナノセルロース/その他の吸着剤の疑似錯体が、広範囲のpH及び温度において安定的であることを見いだした。また、本発明者は、平均の長さが約5μmであり平均の直径が約4〜800nmであるナノセルロース1質量部に対して平均の直径が10〜200nm未満のプルシアンブルーが5質量部以上結合できることを見いだした。このため、ナノセルロースとプルシアンブルー等の吸着剤との間の疑似錯体の形成が、ナノセルロース/吸着剤の疑似錯体にとって、重要な相互作用となっていると考えられる。
また、本発明者は、プルシアンブルー等の吸着剤をポリビニルアルコール等の親水性基材の材料に加えた場合、プルシアンブルーやゼオライト等の吸着剤を単独でポリビニルアルコール等の親水性基材の材料に加え多孔質体や繊維を形成した場合と比べ、ポリビニルアルコール等の親水性基材に担持されるプルシアンブルーやゼオライト等の吸着剤の質量比が増加することを見いだした。そのメカニズムとしては、プルシアンブルー等の吸着剤と疑似錯体を形成しているナノセルロースが有する水酸基がポリビニルアルコール等の親水性基材が有する水酸基等の官能基と反応することで、ナノセルロース/吸着剤の疑似錯体が、ポリビニルアルコール多孔質体等の親水性基材に安定的に担持されるものと考えられる。
本発明では、標的とする化学物質を含む水溶液に、ナノセルロース/吸着剤の疑似錯体と親水性基材から構成されている多孔質体(以下、単に「スポンジ状捕集剤」と略称する)を加え、標的とする化学物質がスポンジ状捕集体中の吸着剤と優先的に複合体を形成することで、標的とする化学物質を低減ないし除去することができる。
本発明において標的とする化学物質を含む水溶液の電解質濃度は、天然の海水における塩濃度よりも高い範囲でも良く、例えば、溶液の質量%が3%以上となっても良い。また、本発明は、電解質を加えたり、電解質を含まない水を加えたりして、溶液中の塩濃度を調節する工程を含んでいてもよい。
本発明で用いられるスポンジ状捕集剤は、標的とする化学物質(例えば、セシウム、トリウム、ストロンチウム、ヨウ素等)を含む溶液と、容積比1:10〜1:10000で適当な容器(例えば、タンク、槽等)内で混合することで、溶液中のセシウム等の標的とする化学物質を捕捉して、捕集剤と複合体を形成することができる。混合には特別の条件や手段を必要とはしないが、約4℃〜50℃、5分間〜1時間の範囲で適宜調整して混合すればよく、必要に応じて攪拌を行なってもよい。
ナノセルロース/吸着剤の疑似錯体と親水性基材から構成されている多孔質体はスポンジ状ないしはスポンジ様の構造を取ることもできるため、セシウムやトリウム等の標的とする化学物質の吸着処理をした後、スポンジ状捕集剤を機械的に取り出すことで回収することができる。
本発明におけるスポンジ状捕集剤は、圧縮又は熱処理することで体積を減量することができる。
本発明では、スポンジ状捕集剤に含まれるプルシアンブルーによって、汚染水等の水溶液中に含まれる標的とする化学物質を吸着・保持して、汚染水等の水溶液中に含まれる標的とする化学物質の濃度を低減ないし除去することができる。
親水性基材を親水性多孔質体とする場合には、プルシアンブルー等の吸着剤とナノセルロースからなる捕集剤と親水性多孔質体の材料とを混合した後、親水性多孔質体の材料を公知の方法で発泡させることで作製することができる。吸着剤をプルシアンブルーとし、親水性多孔質体をポリビニルアルコールとする場合、ポリビニルアルコールに対する捕集剤の質量比は、2.5〜50%とすることが好ましい。また、親水性基材を親水性繊維とする場合には、捕集剤と親水性繊維の材料とを混合した後、捕集剤を親水性繊維に公知の方法で浸漬し含浸させることで作製することができる。
<ヨウ素除去用基材>
本発明は、セシウム、トリウム、ストロンチウム等の標的とする化学物質の濃度を低減ないし除去する工程と前後若しくは並行して、汚染水等に含まれるヨウ素濃度を低減ないし除去する工程を含んでいてもよい。この工程は、捕集剤を担持させた親水性基材にヨウ素を含む溶液を流通させることで行なうことができ、セシウムやトリウム等の標的とする化学物質の濃度を低減ないし除去する前後いずれの溶液に対しても行うことができる。
捕集剤及び親水性基材は、いずれも適当な径の管、筒、棟等の液体が流通可能な適当な容器に充填して使用することができる。また、放射性物質等を除染するための装置の一部として使用することもできる。
以下、本発明の実施例及び比較例を説明する。ただし、以下の実施例は、発明の内容の理解を助けるためのものであり、本発明を限定するものではない。
<プルシアンブルーの溶出確認実験>
(実施例1)
1)ナノセルロース分散液の調製
1リットルの脱イオン水に、セルロース粉末50gを加え、セルロースの粒が目視できない程度になるまで十分に分散処理を行い、ナノセルロース分散液を得た。
2)ポリビニルアルコール水溶液の調製
200mLの脱イオン水に20gのポリビニルアルコールを加えた後、150rpmで常に撹拌しながら90℃の水で3時間温浴加熱し、ポリビニルアルコール水溶液を調製した。
3)デンプン/ポリビニルアルコール混合液の調製
市販のジャガイモ由来のデンプン10gとトウモロコシ由来のデンプン10gを、100mLの脱イオン水に加え撹拌した後、これに2)で調製したポリビニルアルコール水溶液を加えてデンプン/ポリビニルアルコール混合液を調製した。次に、このデンプン/ポリビニルアルコール混合液を200rpmで常に撹拌しながら90℃の水で45分間温浴加熱し、透明なデンプン/ポリビニルアルコール混合液を調製した。
4)ナノセルロース/塩化鉄(III)混合液の調製
0.96M塩化鉄(III)10mLに対して、上記1)のナノセルロース分散液100mLを添加・攪拌し、塩化鉄(III)/ナノセルロース混合液を調製した。
5)ナノセルロース/プルシアンブルー/デンプン/ポリビニルアルコール混合液の調製
4)で調製したナノセルロースナノセルロース/塩化鉄(III)混合液に0.72Mフェロシアン化ナトリウムを10mL加え撹拌し、均一に懸濁させた後、このナノセルロース/プルシアンブルー混合液の懸濁混合液30mLを、3)で調製したデンプン/ポリビニルアルコール混合液に加え、ナノセルロース/プルシアンブルー/デンプン/ポリビニルアルコール混合液を調製した。この混合液を、容積が250mLになるまで、300rpmで常に撹拌しながら90℃の水で温浴加熱した。
6)ホルムアルデヒド及び硫酸の添加
5)で調製したナノセルロース/プルシアンブルー/デンプン/ポリビニルアルコール混合液を、冷水で20℃まで冷ました後、400rpmで常に撹拌しながら質量%が36%のホルムアルデヒド25mL及び質量%が95%の硫酸25mLを滴下して加えた。
7)ナノセルロース/プルシアンブルー/ポリビニルアルコール多孔質体の作製
6)で調製したホルムアルデヒド及び硫酸添加後のナノセルロース/プルシアンブルー/デンプン/ポリビニルアルコール混合液を、一晩の間55℃の水で温め続けた。このようにして調製されたプルシアンブルー/ナノセルロース/デンプン/ポリビニルアルコールの固体を、脱イオン水で洗浄し、ナノセルロース/プルシアンブルー/ポリビニルアルコール多孔質体を作製した。
8)プルシアンブルーの溶出確認実験
7)で作製したナノセルロース/プルシアンブルー/ポリビニルアルコール多孔質体を乾燥処理した後、乾燥したナノセルロース/プルシアンブルー/ポリビニルアルコール多孔質体0.80gを、脱イオン水40mLに添加し、20℃で、300rpmで24時間連続攪拌を実施した。そして、ナノセルロース/プルシアンブルー/ポリビニルアルコール多孔質体を取り出した後、残った溶液を紫外可視分光計(UV-Vis)で測定した。
図4のとおり、プルシアン ブルー(PB)標準コロイド水溶液(PB、50ppm)の透過スペクトルでは、680nm付近にブロードなピークが現れている。このブロードなピークは、Fe−Fe間電荷移動吸収として知られており、プルシアンブルーを示すピークである。これに対し、実施例1では、680nm付近にブロードなピークが現れず、また、その透過スペクトルは脱イオン水のみの場合の透過スペクトルと同じであるため、プルシアンブルーが多孔質体から溶出していないことが確認された。
本発明の捕集剤を用いることで、安全、安価、又は/及び容易に、汚染水等に含まれる標的とする化学物質(例えば、セシウム、ストロンチウム、ヨウ素等)を低減ないし除去できる。
また、本発明の捕集剤を担持させる親水性基材を加工が容易なものにすることで、除染の対象に応じて、最適な態様へ容易に加工することができ、最適な装置へ適用することができる。さらに、標的とする化学物質を吸着させた吸着剤(プルシアンブルー等)を環境に取り残すことなく、容易に回収することができるため、安全、安価、又は/及び容易に、標的とする化学物質を低減ないし除去することができる。

Claims (5)

  1. 標的とする化学物質を含む水溶液又は標的とする化学物質が付着した固体から当該標的 とする化学物質を除去ないし低減する捕集剤であって、
    当該捕集剤は、当該標的とする化学物質を吸着・保持することのできる吸着剤とナノセ ルロースからなる疑似錯体を含み、
    当該捕集剤において、吸着剤は鉄(III)イオンとヘキサシアノ鉄(II)酸が結合した不溶性プルシアンブルーであり、
    吸着剤とナノセルロースからなる疑似錯体は、鉄(III)イオンとナノセルロースからなる疑似錯体と錯イオンとが結合したものである、
    捕集剤。
  2. 請求項1記載の捕集剤を担持させた親水性基材。
  3. 請求項2記載の親水性基材を親水性多孔質体とする多孔質体。
  4. 標的とする化学物質を含む水溶液又は標的とする化学物質が付着した固体から当該標的とする化学物質を除去ないし低減する捕集剤の製造方法であって、
    当該捕集剤は、当該標的とする化学物質を吸着・保持することのできる吸着剤とナノセルロースからなる疑似錯体を含み、
    当該捕集剤において、吸着剤は陽イオンと錯イオンが結合することで形成されるものであり、
    当該陽イオンは、鉄(II)イオン又は鉄(III)イオンであり、
    吸着剤とナノセルロースからなる疑似錯体は、陽イオンとナノセルロースからなる疑似錯体に対して錯イオンを結合させることで形成される、
    捕集剤の製造方法。
  5. 請求項4記載の吸着剤を不溶性プルシアンブルーとし、陽イオンを鉄(III)イオン、錯イオンをヘキサシアノ鉄(II)酸とする、捕集剤の製造方法。
JP2020155815A 2015-02-23 2020-09-16 放射性物質を除去するための捕集剤及びその製造方法 Pending JP2020203287A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015033431 2015-02-23
JP2015033431 2015-02-23

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015219560A Division JP6851571B2 (ja) 2015-02-23 2015-11-09 放射性物質を除去するための捕集剤及びこれを担持させた多孔質体並びにこれらを用いた装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2020203287A true JP2020203287A (ja) 2020-12-24

Family

ID=56824553

Family Applications (4)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015219560A Active JP6851571B2 (ja) 2015-02-23 2015-11-09 放射性物質を除去するための捕集剤及びこれを担持させた多孔質体並びにこれらを用いた装置
JP2015242363A Active JP6850977B2 (ja) 2015-02-23 2015-12-11 放射性物質を除去するための捕集剤並びにこれを用いた方法及び装置
JP2020155815A Pending JP2020203287A (ja) 2015-02-23 2020-09-16 放射性物質を除去するための捕集剤及びその製造方法
JP2020155814A Pending JP2021007941A (ja) 2015-02-23 2020-09-16 放射性物質を除去するための捕集剤並びにその製造方法

Family Applications Before (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015219560A Active JP6851571B2 (ja) 2015-02-23 2015-11-09 放射性物質を除去するための捕集剤及びこれを担持させた多孔質体並びにこれらを用いた装置
JP2015242363A Active JP6850977B2 (ja) 2015-02-23 2015-12-11 放射性物質を除去するための捕集剤並びにこれを用いた方法及び装置

Family Applications After (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020155814A Pending JP2021007941A (ja) 2015-02-23 2020-09-16 放射性物質を除去するための捕集剤並びにその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (4) JP6851571B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6851571B2 (ja) * 2015-02-23 2021-03-31 ナノサミット株式会社 放射性物質を除去するための捕集剤及びこれを担持させた多孔質体並びにこれらを用いた装置
JP7113449B2 (ja) * 2018-06-12 2022-08-05 株式会社イノアック技術研究所 物質を吸着・除去するための吸着性発泡体およびその製造方法
JP7363120B2 (ja) * 2019-06-14 2023-10-18 Toppanホールディングス株式会社 化学物質吸着性複合粒子、化学物質吸着性複合粒子の製造方法、化学物質吸着性複合粒子を含む乾燥粉体、繊維シートおよび多孔体

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6851571B2 (ja) * 2015-02-23 2021-03-31 ナノサミット株式会社 放射性物質を除去するための捕集剤及びこれを担持させた多孔質体並びにこれらを用いた装置

Family Cites Families (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5330986A (en) * 1976-09-03 1978-03-23 Nippon Steel Chem Co Ltd Removing method for heavy metals contained in exhaust water
US5051189A (en) * 1989-01-31 1991-09-24 University Of Florida Method of removing an unwanted impurity from an aqueous material
JP3558807B2 (ja) * 1997-01-21 2004-08-25 三菱製紙株式会社 吸着分解シート
JP2003225559A (ja) * 2001-06-21 2003-08-12 Japan Science & Technology Corp 植物バイオマスを原料とする吸着剤
JP4462789B2 (ja) * 2001-09-03 2010-05-12 独立行政法人森林総合研究所 重金属吸着材及びその製造方法
US6835311B2 (en) * 2002-01-31 2004-12-28 Koslow Technologies Corporation Microporous filter media, filtration systems containing same, and methods of making and using
WO2005042587A1 (ja) * 2003-10-31 2005-05-12 Kowa Co., Ltd. セルロースiiリン酸エステル及びそれを用いた金属吸着材
JP2005262138A (ja) * 2004-03-19 2005-09-29 Robotsuto Meeshiyon Kk 卵殻膜を用いた有色溶液の脱色材及び脱色方法
JP2009203412A (ja) * 2008-02-29 2009-09-10 Inoac Corp 吸水性ポリウレタン発泡体
JP6032633B2 (ja) * 2011-07-05 2016-11-30 国立大学法人北海道大学 放射能汚染水中の放射性物質の除去方法及び装置
JP2013111511A (ja) * 2011-11-28 2013-06-10 Nano Summit Kk 超微粒子担持体、超微粒子担持装置、超微粒子担持体の製造方法及び超微粒子担持装置の製造方法
JP6046399B2 (ja) * 2012-07-05 2016-12-14 一般財団法人電力中央研究所 海水中ウランの捕集材の製造方法
JP5980599B2 (ja) * 2012-07-09 2016-08-31 ユニチカトレーディング株式会社 セシウム吸着用繊維構造物およびその製造方法
JP5744940B2 (ja) * 2013-03-07 2015-07-08 三重中央開発株式会社 放射性Cs汚染水の処理方法、放射性Cs吸着剤及びその製造方法
JP6112917B2 (ja) * 2013-03-11 2017-04-12 ダイワボウホールディングス株式会社 砒素吸着性再生セルロース成形体、その製造方法、砒素吸着材及び水処理材
CN105080503A (zh) * 2015-08-31 2015-11-25 齐鲁工业大学 利用生物质制备高吸附的纳米纤维素聚乙烯胺微凝胶的方法

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6851571B2 (ja) * 2015-02-23 2021-03-31 ナノサミット株式会社 放射性物質を除去するための捕集剤及びこれを担持させた多孔質体並びにこれらを用いた装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP6850977B2 (ja) 2021-03-31
JP2016155119A (ja) 2016-09-01
JP2016155116A (ja) 2016-09-01
JP6851571B2 (ja) 2021-03-31
JP2021007941A (ja) 2021-01-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2020203287A (ja) 放射性物質を除去するための捕集剤及びその製造方法
Lu et al. Fabrication of cross-linked chitosan beads grafted by polyethylenimine for efficient adsorption of diclofenac sodium from water
He et al. New insight into adsorption and co-adsorption of arsenic and tetracycline using a Y-immobilized graphene oxide-alginate hydrogel: Adsorption behaviours and mechanisms
Song et al. Recovery of lithium (I), strontium (II), and lanthanum (III) using Ca–alginate beads
De Decker et al. Carbamoylmethylphosphine oxide-functionalized MIL-101 (Cr) as highly selective uranium adsorbent
Kim et al. Adsorptive removal of cesium by electrospun nanofibers embedded with potassium copper hexacyanoferrate
Mu et al. Efficient removal of Cs+ and Sr2+ from aqueous solution using hierarchically structured hexagonal tungsten trioxide coated Fe3O4
JP6032633B2 (ja) 放射能汚染水中の放射性物質の除去方法及び装置
US20130039822A1 (en) Preparation of chitosan-based microporous composite material and its applications
RU2700051C2 (ru) Сорбент, содержащий микропористый материал, и способ его получения
KR101537668B1 (ko) 흡착제/하이드로젤, 그 제조 방법 및 이를 이용한 방사성 물질의 제거 방법
Yang et al. Facile preparation and adsorption performance of low-cost MOF@ cotton fibre composite for uranium removal
Oh et al. Enhanced immobilization of Prussian blue through hydrogel formation by polymerization of acrylic acid for radioactive cesium adsorption
Jiang et al. Fabrication of porous polyethyleneimine-functionalized chitosan/Span 80 microspheres for adsorption of diclofenac sodium from aqueous solutions
JPH1176807A (ja) セシウム分離材の製造方法
WO2011034327A2 (ko) 키토산을 함유하는 수처리용 흡착제 및 이의 제조방법
CN113877517A (zh) 一种用于去除放射性碘的硫化铋气凝胶吸附剂及其制备方法和应用
Bratskaya et al. Cryogels of carboxyalkylchitosans as a universal platform for the fabrication of composite materials
Bi et al. Phosphate group functionalized magnetic metal–organic framework nanocomposite for highly efficient removal of U (VI) from aqueous solution
Raj et al. Facile synthesis of reusable graphene oxide composite magnetic beads for removal of arsenic (III)
JP2013057575A (ja) 放射性物質により汚染された土壌の除染方法
Park et al. Generation of multi-functional core-shell adsorbents: simultaneous adsorption of cesium, strontium and rhodamine B in aqueous solution
Fu et al. Effective removal of cesium by ammonium molybdophosphate–polyethylene glycol magnetic nanoparticles
Lee et al. Simultaneous selective removal of cesium and cobalt from water using calcium alginate-zinc ferrocyanide-Cyanex 272 composite beads
Qin et al. Tannic acid-assisted prussian blue anchoring on membranes for rapid and recyclable removal of cesium

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20201012

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20211207

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20220621