JP2020202199A - 外鉄形変圧器およびその製造方法 - Google Patents

外鉄形変圧器およびその製造方法 Download PDF

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美帆 藤井
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Sukenori Ito
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Abstract

【課題】本願は、レーストラック型コイルにL字型絶縁物を簡単に取り付けることが可能な外鉄形変圧器を提供する。【解決手段】レーストラック型コイル70の外側に積層鉄心を備えた外鉄形変圧器であって、レーストラック型コイル70のコイル直線部70aに2つに分離されてレーストラック型コイル70のコイル直線部70aおよびコイル直線部70aと直交する方向に配置された直線部用L字型絶縁物76,77と、レーストラック型コイル70のコイルコーナー部70bに2つに分離されてレーストラック型コイル70のコイルコーナー部70bに配置されたコーナー部用L字型絶縁物74と、レーストラック型コイル70と直線部用L字型絶縁物76,77との間に配置された第1絶縁物と、レーストラック型コイル70とコーナー部用L字型絶縁物74との間に配置された第2絶縁物とを備えたもの。【選択図】図18

Description

本願は、外鉄形変圧器およびその製造方法に関するものである。
外鉄形変圧器のコイルは、一般的に、内径側から銅線を巻き製造したレーストラック型コイルを複数枚製造し、それらのコイルを積み重ねたものを結線し構成される。コイル間には、放電防止のために平板状の絶縁物が挟まれており、コイル端部の放電防止には、Uの字状の絶縁物が取り付けられている。
このUの字状絶縁物は平板状の絶縁物をプレス加工して製作されるため、設計仕様によりコイルごとに異なる四隅のR部に対して、合致するものを製作することが困難である。コイルごとに異なる四隅のR部に対してUの字型絶縁物の寸法が合致しない場合、絶縁物とコイルの間に隙間が出来てしまう。そこで、レーストラック型コイルの銅線を巻く過程において、コイル端部の銅線間にスペーサを挿入して、Uの字状絶縁物に合致するようにコイル寸法を調整している。
上述したコイルのR部を調整してUの字絶縁物に合致させる方法以外に、先行技術(特許文献1)では、巻線前に柔らかい絶縁材料を挟み巻線時に内径方向に発生する力で、やわらかい絶縁物を潰して隙間を埋める方法が紹介されている。
特開平5−226166号公報
上述した従来の外鉄形変圧器は、コイル端部とUの字状絶縁物の隙間を埋めるために、コイルの銅線を巻く過程において、端部の銅線間にスペーサを挿入して、コイル寸法を調整している。この調整作業は、コイルの完成寸法を想像しながらスペーサ挿入量を決定する必要があるため、非熟練工には不可能であるという問題点があった。
また、巻線作業中に人の手でスペーサを挿入する必要があるために、巻線作業を自動化した場合でも無人化が出来ない。先行技術(特許文献1)の隙間を埋める構造では、巻線時に内径方向に発生する力で、やわらかい絶縁物を潰して隙間を埋めるため、巻き終わり後の完成したコイルに対しては適用できないという問題点があった。
本願は、上記のような課題を解決するための技術を開示するものであり、その目的は、放電防止の精度を上げることができる外鉄形変圧器およびその製造方法を提供するものである。
本願に開示される外鉄形変圧器は、銅線がレーストラック状に巻回して成形された平板状のレーストラック型コイルと、前記レーストラック型コイルの外側に配置された鉄心とを備えた外鉄形変圧器であって、前記レーストラック型コイルのコイル直線部に、2つに分離されて前記レーストラック型コイルの前記コイル直線部および前記コイル直線部と直交する方向に配置された直線部用L字型絶縁物と、前記レーストラック型コイルのコイルコーナー部に、2つに分離されて前記レーストラック型コイルの前記コイルコーナー部に配置されたコーナー部用L字型絶縁物と、前記レーストラック型コイルと前記直線部用L字型絶縁物との間に配置された第1絶縁物と、前記レーストラック型コイルと前記コーナー部用L字型絶縁物との間に配置された第2絶縁物とを備えたものである。
また、本願に開示される外鉄形変圧器の製造方法は、2つの直線部用L字型絶縁物と2つのコーナー部用L字型絶縁物を製造する工程と、銅線を巻回してレーストラック型コイルを製造する工程と、前記レーストラック型コイルに一つ目の前記直線部用L字型絶縁物を挿入する工程と、前記レーストラック型コイルと一つ目の前記直線部用L字型絶縁物との隙間に第1絶縁物を挿入する工程と、前記レーストラック型コイルに二つ目の前記直線部用L字型絶縁物を挿入する工程と、前記レーストラック型コイルに一つ目の前記コーナー部用L字型絶縁物を挿入する工程と、前記レーストラック型コイルと一つ目の前記コーナー部用L字型絶縁物との隙間に第2絶縁物を挿入する工程と、前記レーストラック型コイルに二つ目の前記コーナー部用L字型絶縁物を挿入する工程とを備えたものである。
本願に開示される外鉄形変圧器によれば、レーストラック型コイルのコイル直線部に2つの直線部用L字型絶縁物と2つのコーナー部用L字型絶縁物が挿入され、レーストラック型コイルと直線部用L字型絶縁物との間に配置された第1絶縁物、レーストラック型コイルとコーナー部用L字型絶縁物との間に第2絶縁物を配置したので、放電防止の精度を上げることができる外鉄形変圧器を得ることができる。
一般的な内鉄形変圧器を示す構成図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。 一般的な外鉄形変圧器を示す構成図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。 実施の形態1による外鉄形変圧器と比較するための一般的な外鉄形変圧器を示す斜視図である。 実施の形態1による外鉄形変圧器と比較するための一般的な外鉄形変圧器を示す図3のA−A線における断面図である。 実施の形態1による外鉄形変圧器と比較するための一般的な外鉄形変圧器の製造フローを示すフローチャート図である。 実施の形態1による外鉄形変圧器と比較するための一般的な外鉄形変圧器におけるレーストラック型コイルを示す正面図である。 実施の形態1による外鉄形変圧器と比較するための一般的な外鉄形変圧器におけるコイルグループを示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。 実施の形態1による外鉄形変圧器と比較するための一般的な外鉄形変圧器における巻線工程とコイルグループ組立工程の製造フローを示すフローチャート図である。 実施の形態1による外鉄形変圧器におけるレーストラック型コイルを製作する巻線機を示す斜視図である。 実施の形態1による外鉄形変圧器と比較するための一般的な外鉄形変圧器におけるレーストラック型コイルを示す正面図である。 実施の形態1による外鉄形変圧器と比較するための一般的な外鉄形変圧器における直線部用U字型絶縁物を示す斜視図である。 実施の形態1による外鉄形変圧器と比較するための一般的な外鉄形変圧器におけるコーナー部用U字型絶縁物を示す斜視図である。 実施の形態1による外鉄形変圧器と比較するための一般的な外鉄形変圧器における直線部用U字型絶縁物、コーナー部用U字型絶縁物を取り付けたレーストラック型コイルを示す正面図である。 実施の形態1による外鉄形変圧器と比較するための一般的な外鉄形変圧器を示す図13のB−B線における断面図である。 実施の形態1による外鉄形変圧器と比較するための一般的な外鉄形変圧器におけるレーストラック型コイルを示す正面図である。 実施の形態1による外鉄形変圧器と比較するための一般的な外鉄形変圧器を示す図15のC−C線における断面図である。 実施の形態1による外鉄形変圧器におけるコーナー部用L字型絶縁物を示す斜視図である。 実施の形態1による外鉄形変圧器におけるレーストラック型コイルを示す正面図である。 実施の形態1による外鉄形変圧器を示す図18のD−D線における断面図である。 実施の形態1による外鉄形変圧器における直線部用L字型絶縁物を示す斜視図である。 実施の形態1による外鉄形変圧器におけるコーナー部用L字型絶縁物を示す斜視図である。 実施の形態1による外鉄形変圧器の製造フローを示すフローチャート図である。 実施の形態1による外鉄形変圧器におけるコイルグループを示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
実施の形態1.
図1は一般的な内鉄形変圧器を示す構成図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。図2は一般的な外鉄形変圧器を示す構成図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。図3は実施の形態1による外鉄形変圧器を示す斜視図である。図4は実施の形態1による外鉄形変圧器を示す図3のA−A線における断面図である。図1は実施の形態1による変圧器を示す回路図である。図2は実施の形態1による変圧器を示す断面図である。
変圧器は、変圧器の構成要素であるコイル1と鉄心2の構造によって2つに大別される。図1に示すコイル1の内側に鉄心2がある構造の変圧器を内鉄形変圧器と称し、図2に示すコイル3の外側に鉄心4がある構造の変圧器を外鉄形変圧器と称し。本願は図2で示した外鉄形変圧器に適用する。
図3〜図16は本願の実施の形態1による外鉄形変圧器と比較するため、一般的な外鉄形変圧器について説明する。図3は外鉄形変圧器5の外観を示す斜視図であり、図4は図3のA−A線における断面図である。図4に示すように、外鉄形変圧器5は主に5つの要素で構成されている。複数枚のレーストラック型コイル51を積み重ね各コイルの銅線を結線し製造されるコイルグループ52、厚さ0.16mmから0.32mm程度の電磁鋼板を積み重ねた積層鉄心53、それらを覆う上部タンク54と下部タンク55、上部タンク54に取り付けるブッシング56などの外装品で構成されている。
図4において、レーストラック型コイル51のコイル直線部51aには直線部用U字型絶縁物71が配置され、レーストラック型コイル51のコイルコーナー部51bには、コーナー部用U字型絶縁物72が配置されている。57a,57bはスペーサ、58は絶縁紙、59はU字型絶縁紙、60はコイル支えである。
この外鉄形変圧器5は、図5に示すように、4つの製造工程に分けることができ、これらの4工程を経て完成に至る。図5は実施の形態1による外鉄形変圧器の製造フローを示すフローチャート図である。外鉄形変圧器5が完成に至るまで、第1工程の巻線工程、第2工程のコイルグループ組立工程、第3工程の鉄心組立工程、第4工程の外部組立工程の4つの工程を経る。それぞれの工程にて行う作業について説明していく。
初めの第1工程の巻線工程では、図6に示すコイル直線部51a、コイル端部51bを有するレーストラック型コイル51を必要数製造する。このとき、図6で示すように、コイルコーナー部51bの寸法を調整するため、銅線を巻く途中でスペーサ57a,57bを挟む。
第2工程のコイルグループ組立工程では、図7に示すように、レーストラック型コイル51とワッシャーと呼ばれる絶縁紙58を交互に積み重ねる。その後、放電防止対策を施すために、積み重ねたレーストラック型コイル51の間にU字型絶縁紙59を挟んでいき隙間を埋めていく。それらの作業を終え、図7に示すような一つのコイルグループ52とする。図7は外鉄形変圧器におけるコイルグループを示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
第3工程の鉄心組立工程では、コイルグループ52を下部タンク55の中に挿入し、コイルグループ52の外側に積層鉄心53を積み重ね、上部タンク54を被せる。
最後の第4工程の外部組立工程では、上部タンク54の周囲にブッシング56などの外装品を取り付ける。これらの図5に示した製造フローの4工程を経て外鉄形変圧器5は完成する。本願の実施の形態1による外鉄形変圧器における絶縁構造とその製造方法は、第1工程の巻線工程、第2工程のコイルグループ組立工程の一部にて適用される。
そこで、図5の第1工程の巻線工程と第2工程のグループ組立工程について詳細に説明する。それぞれの工程内の製造フローを図8に示す。図8に示すとおり、巻線工程は、図4に示すように、銅線64を巻いてレーストラック型コイル51を製造する工程となっており、レーストラック型コイル51を設計にて定められた必要数を製造する。そして、コイルグループ組立工程において、コイルを積み重ね、コイルを結線し、コイルに絶縁物を組み付ける。
製造するにあたって、図9に示すような巻線機61を用いて銅線64を巻枠63に巻き回し製造する。巻線機61を用いると、巻台62が自動で回り、銅線64が巻枠63に巻きとられていく。そうすることで、内側から外側へ自動で銅線64を巻いていくことができる。自動で銅線64を巻き回し、巻枠63から外したレーストラック型コイル70は図10のように完成する。
しかし、自動で銅線64を巻き回したレーストラック型コイル70の端部の寸法は、後のコイルグループ組立工程で挿入する図11、図12に示した直線部用U字型絶縁物71、コーナー部用U字型絶縁物72の寸法に合わせて隙間が生じないように決められた寸法とは異なる仕上がりになる。
もし、図10のような寸法を調整していないレーストラック型コイル70に直線部用U字型絶縁物71、コーナー部用U字型絶縁物72を挿入した場合、図13に示すようになる。図13は外鉄形変圧器における直線部用U字型絶縁物、コーナー部用U字型絶縁物を取り付けたレーストラック型コイルを示す正面図である。図14は外鉄形変圧器を示す図13のB−B線における断面図である。図13に示すように、レーストラック型コイル70のコイル直線部70aと直線部用U字型絶縁物71は合致し隙間は出来ないが、レーストラック型コイル70のコイルコーナー部70bのコイルコーナー部70b1,70b2,70b3とコーナー部用U字型絶縁物72のとの間には、図14に示すように隙間73が出来る。すなわち、レーストラック型コイル70のコイルコーナー部70b1とコーナー部用U字型絶縁物72のとの間に隙間73が出来る。
そのために、コーナー部用U字型絶縁物72が挿入されたときにレーストラック型コイル70との間に隙間73が生まれないよう寸法を調整する必要がある。よって、図6にて示すように、スペーサ57a,57bを挿入してレーストラック型コイル70の寸法を調整する必要があり、実作業では銅線64を巻き回す途中で巻線機61を停止させ手作業でコイル銅線64の間にスペーサ57a,57bを挿入している。レーストラック型コイル70へのスペーサ57a,57bの挿入は、作業者が寸法を調整したレーストラック型コイル51の完成形を想像しながら行っており、難易度が高い。
そのために、非熟練工には非常に難しい作業となっている。また、熟練工にとっても難易度の高い作業で、時間を要する作業である。これらの作業を終え、寸法が調整されたレーストラック型コイル51が必要数完成したら、第2工程のコイルグループ組立工程へと進む。
第2工程のコイルグループ組立工程では、図6に示した製造フローの通り、レーストラック型コイル51を積み重ねる作業、積み重ねたレーストラック型コイル51の各層のリード線を結線する作業、各層のレーストラック型コイル51へ側面から直線部用U字型絶縁物71、コーナー部用U字型絶縁物72を挿入する作業の3つの作業を行う。これらの作業を行うと図7のようなコイルグループ52が完成する。
まず、レーストラック型コイル51を積み重ねる作業では、コイル間にU字型絶縁紙59を挟みながらクレーンを用いて積み重ねていく。レーストラック型コイル51を必要数積み重ねた後、レーストラック型コイル51から飛び出すリード線をろう付けで結線していく。結線後、レーストラック型コイル51の側面側から直線部用U字型絶縁物71、コーナー部用U字型絶縁物72をそれぞれ決められた位置に挿入する。
各層のレーストラック型コイル51に直線部用U字型絶縁物71、コーナー部用U字型絶縁物72を挿入した際の1枚のレーストラック型コイルを図15に示す。図15は実施の形態1による外鉄形変圧器におけるレーストラック型コイルを示す正面図である。図15に示すように、レーストラック型コイル51の側面側から直線部用U字型絶縁物71、コーナー部用U字型絶縁物72をコイル外周部に合わせるように叩いて押し込み、コイル外径と直線部用U字型絶縁物71、コーナー部用U字型絶縁物72の内側が触れ合うまで押し込み続ける。
コイルコーナー部51bの寸法はコーナー部用U字型絶縁物72の寸法に合わせて調整しているので、コイルコーナー部51bにコーナー部用U字型絶縁物72を挿入しても、図14に示すような隙間73はできず、図15のC−C線における断面図である図16のように、レーストラック型コイル51のコイルコーナー部51bの側面とコーナー部用U字型絶縁物72の内側とが当接して合致している。
すなわち、レーストラック型コイル51のコイルコーナー部51bのコイルコーナー部51b1,51b2,51b3,51b4において、コイルコーナー部51b1とコイルコーナー部51b2との間にスペーサ57aが挿入され、コイルコーナー部51b2とコイルコーナー部51b3との間にスペーサ57bが挿入されている。そして、レーストラック型コイル51のコイルコーナー部51bのコイルコーナー部51b1とコーナー部用U字型絶縁物72の内側とが当接して合致している。
しかし、図16に示すように、側面側から叩き押し込むようにレーストラック型コイル51のコイルコーナー部51b1の側面に挿入しているため、レーストラック型コイル51のコイルコーナー部51b1とコーナー部用U字型絶縁物72との間に隙間73ができていないことを確認することはできない。
以上で述べた第1工程の巻線工程、第2工程のコイルグループ組立工程において、本願の実施の形態1を適用する。図17は実施の形態1による外鉄形変圧器におけるコーナー部用L字型絶縁物を示す斜視図である。図18は実施の形態1による外鉄形変圧器におけるレーストラック型コイルを示す正面図である。図19は実施の形態1による外鉄形変圧器を示す図18のD−D線における断面図である。図18は、寸法の調整を行わずに巻いたレーストラック型コイル70と、図20、図21に示す直線部用L字型絶縁物76,77と、図17に示すコーナー部用L字型絶縁物74とをそれぞれ2個、レーストラック型コイル70の外周に求められている寸法に合わせて取り付けていった状態である。
求められた寸法に合わせレーストラック型コイル70に、コーナー部用L字型絶縁物74、直線部用L字型絶縁物76,77を取り付けることで、図18に示すような形状となるが、コーナー部用L字型絶縁物74とレーストラック型コイル70との間、および直線部用L字型絶縁物76,77とレーストラック型コイル70との間には隙間ができる。
その隙間を埋めるため、図19に示す図18のD−D線における断面図のように、コーナー部用L字型絶縁物74とレーストラック型コイル70のコイルコーナー部70b1との間に第2絶縁物75を配置することにより、コーナー部用L字型絶縁物74とレーストラック型コイル70のコイルコーナー部70b1との間に生じる隙間を埋めている。直線部用L字型絶縁物76,77とレーストラック型コイル70との間に第1絶縁物(図示せず)を配置することにより、直線部用L字型絶縁物76,77とレーストラック型コイル70との間に生じる隙間を埋めている。
このようにして構成された本願の実施の形態1の製造方法は、図22に示す製造フローに則って行う。初めに、プレス加工にて、直線部用L字型絶縁物76,77と、コーナー部用L字型絶縁物74を製造する。次に、巻線機61を用いて自動で銅線64を巻回してレーストラック型コイル70を製造する。本願において、巻線機61でレーストラック型コイル70を製造する際には、巻き終わりまで無人で行い、図6で示すレーストラック型コイル51のように銅線間にスペーサ57a,57bを挿入してコイルコーナー部の寸法の調整を行う必要はない。
次に、レーストラック型コイル70のコイル直線部70aおよびコイル直線部70aと直交する方向に2つの直線部用L字型絶縁物76を挿入し、コイルコーナー部70bに近いコイル直線部70aおよびコイル直線部70aと直交する方向に2つの直線部用L字型絶縁物77を挿入する。
一つ目の直線部用L字型絶縁物76,77の短辺側をレーストラック型コイル70の側面に、長辺側をレーストラック型コイル70の底面に密着させ挿入する。挿入後、上から第1絶縁物を挿入し、隙間73を埋める。
隙間73が完全に埋まったら、2つめの直線部用L字型絶縁物76,77を上から取り付け、2つの直線部用L字型絶縁物76,77の短辺同士を密着させる。すべてのレーストラック型コイル70を図18のように本願を適用し、積み重ねる。
次に、レーストラック型コイル70のコイルコーナー部70bに2つのコーナー部用L字型絶縁物74を挿入する。レーストラック型コイル70のコイルコーナー部70bは寸法の調整を行っていない状態なので、あらかじめ製造したコーナー部用L字型絶縁物74の端部のR寸法とは合致しない。その状態のレーストラック型コイル70にコーナー部用L字型絶縁物74を図19に示すように取り付けると、2つのコーナー部用L字型絶縁物74a,74bとレーストラック型コイル70の間には隙間73ができる。
そこで、コーナー部用L字型絶縁物74を取り付ける際には、一つ目のコーナー部用L字型絶縁物74bの短辺側をレーストラック型コイル70の側面に、長辺側をレーストラック型コイル70の底面に密着させ挿入する。挿入後、上から第2絶縁物75を挿入し、隙間73を埋める。
このとき、隙間73を埋める第2絶縁物75は、絶縁紙(ブレスボード)を加工し隙間なく挟んでもよいし、樹脂材料を流し込んで固めてもよい。隙間73が完全に埋まったら、2つめのコーナー部用L字型絶縁物74aを上から取り付け、2つのコーナー部用L字型絶縁物74a,74bの短辺同士を密着させる。すべてのレーストラック型コイル70を図18のように本願を適用し、積み重ね図23に示すようにコイルグループ52にする。なお、第1絶縁物についても絶縁紙(ブレスボード)を加工し隙間なく挟んでもよいし、樹脂材料を流し込んで固めてもよい。
このように構成された本願の実施の形態1においては、次のような効果が生じる。従来は図13のようにレーストラック型コイル70のコイルコーナー部70bとコーナー部用U字型絶縁物72の間に生じる隙間73が発生しないようにするために、レーストラック型コイル70の寸法を図6に示すようにレーストラック型コイル70のコーナー部70bにスペーサ57a,57bを挿入し図6のように調整していた。
この方法で調整する際には、完成寸法を想像しながら挿入するスペーサ57a,57bの量を決定する必要があり、こういった難易度の高い現合作業は非熟練工には行えなかった。
また、銅線64を巻いている途中でこの調整作業を行わなければいけないために、銅線64を自動で巻くことができても作業の無人化をすることができなかった。
しかし、本願の実施の形態1は、隙間73を埋める第2絶縁物75の量を調整することでレーストラック型コイル70とコーナー部用L字型絶縁物74との間に生じる隙間73を埋めることが可能である。そのために、レーストラック型コイル70の寸法をあらかじめ調整する必要がなくなる。
よって、寸法の調整をせずにレーストラック型コイル70が完成するまで銅線を巻き続けることが可能になり、従来銅線巻き途中で発生していた難易度の高い現合作業を排除することができ、作業を無人で行うことができる。
さらに、従来の方法では寸法を調整したレーストラック型コイル51のコイルコーナー部51bにコーナー部用U字型絶縁物72を1つ取り付ける方法をとっていた。
しかし、本願の実施の形態1では、コーナー部用U字型絶縁物72をコーナー部用L字型絶縁物74の2つにした。そうすることで、従来の方法では目視できなかった隙間73を、コーナー部用L字型絶縁物74bを取り付けた段階で、目視することができるようになった。その隙間73を第2絶縁物75の量を調整しながら埋め、上方からコーナー部用L字型絶縁物74aで蓋をする構造にしたことで、従来の方法よりも確実に隙間73を生めることが可能になり、放電防止の精度を上げることができる。なお、直線部用L字型絶縁物76,77も2つにしたことにより、コーナー部用L字型絶縁物74と同様の効果を奏する。
本願は、様々な例示的な実施の形態及び実施例が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。
従って、例示されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
本願は、放電防止の精度を上げることができる外鉄形変圧器の実現に好適である。
5 外鉄形変圧器、52 コイルグループ、53 積層鉄心、64 銅線、70 レーストラック型コイル、70a コイル直線部、70b コイルコーナー部、73 隙間、74 コーナー部用L字型絶縁物、74a コーナー部用L字型絶縁物、74b コーナー部用L字型絶縁物、75 第2絶縁物、76 直線部用L字型絶縁物、77 直線部用L字型絶縁物

Claims (6)

  1. 銅線がレーストラック状に巻回して成形された平板状のレーストラック型コイルと、前記レーストラック型コイルの外側に配置された鉄心とを備えた外鉄形変圧器であって、前記レーストラック型コイルのコイル直線部に、2つに分離されて前記レーストラック型コイルの前記コイル直線部および前記コイル直線部と直交する方向に配置された直線部用L字型絶縁物と、前記レーストラック型コイルのコイルコーナー部に、2つに分離されて前記レーストラック型コイルの前記コイルコーナー部に配置されたコーナー部用L字型絶縁物と、前記レーストラック型コイルと前記直線部用L字型絶縁物との間に配置された第1絶縁物と、前記レーストラック型コイルと前記コーナー部用L字型絶縁物との間に配置された第2絶縁物とを備えたことを特徴とする外鉄形変圧器。
  2. 2つの前記直線部用L字型絶縁物は短辺と長辺を有し、一方側の前記直線部用L字型絶縁物の前記短辺と他方側の前記直線部用L字型絶縁物の前記短辺とが当接し、一方側の前記直線部用L字型絶縁物の前記長辺と他方側の前記直線部用L字型絶縁物の前記長辺とで前記レーストラック型コイルを挟持するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の外鉄形変圧器。
  3. 2つの前記コーナー部用L字型絶縁物は短辺と長辺を有し、一方側の前記コーナー部用L字型絶縁物の前記短辺と他方側の前記コーナー部用L字型絶縁物の前記短辺とが当接し、一方側の前記コーナー部用L字型絶縁物の前記長辺と他方側の前記コーナー部用L字型絶縁物の前記長辺とで前記レーストラック型コイルを挟持するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の外鉄形変圧器。
  4. 前記第1絶縁物および前記第2絶縁物は絶縁紙であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の外鉄形変圧器。
  5. 前記第1絶縁物および前記第2絶縁物は樹脂材料であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の外鉄形変圧器。
  6. 2つの直線部用L字型絶縁物と2つのコーナー部用L字型絶縁物を製造する工程と、銅線を巻回してレーストラック型コイルを製造する工程と、前記レーストラック型コイルに一つ目の前記直線部用L字型絶縁物を挿入する工程と、前記レーストラック型コイルと一つ目の前記直線部用L字型絶縁物との隙間に第1絶縁物を挿入する工程と、前記レーストラック型コイルに二つ目の前記直線部用L字型絶縁物を挿入する工程と、前記レーストラック型コイルに一つ目の前記コーナー部用L字型絶縁物を挿入する工程と、前記レーストラック型コイルと一つ目の前記コーナー部用L字型絶縁物との隙間に第2絶縁物を挿入する工程と、前記レーストラック型コイルに二つ目の前記コーナー部用L字型絶縁物を挿入する工程とを備えたことを特徴とする外鉄形変圧器の製造方法。
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