JP2020201157A - 風向計測装置 - Google Patents
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Abstract
Description
一方、円筒状ヒータを取り囲むように45°ピッチで8つの熱電対を配置した風向風速計測装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、8つの熱電対で測定された温度に基づき風速及び風向きを算出している。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、物体の表面近傍における流れの向きを計測することができる風向計測装置を提供する。
フローセンサ部は基材シート上に設けられた加熱部を備える。このため、基材シート近傍の気体を加熱することができる。
フローセンサ部は加熱部を挟む又は取り囲むように配置された複数の温度センサを備える。このため、加熱部により加熱された気体が測定対象である流れにより移動し複数の温度センサの測定温度に温度差を引き起こす。この温度差から測定対象である流れの向きを算出することができる。
本発明の風向計測装置はスペーサを備えることが好ましく、前記スペーサは前記物体の表面と基材シートとの間に空気層を形成することができるように設けられることが好ましい。この空気層により、加熱部の熱が前記物体に伝わること及び前記物体の熱が温度センサに伝わることを抑制することができ、金属などの熱伝導率の高い物体の表面近傍における風向きを計測することが可能になる。
温度センサは、抵抗変化型のセンシング層を有することが好ましく、センシング層の厚さは30nm以上100μm以下であることが好ましい。このことにより、風向計測装置をシート状にすることができ、計測対象である流れが風向計測装置により乱されることを抑制することができる。
本発明の風向計測装置は基材シート上に複数のフローセンサ部を備えることが好ましい。このことにより、風向マップを作成することが可能になる。
また、本実施形態の風向計測装置20はスペーサ7を備えてもよい。
物体2は、例えば、航空機、鉄道車両、自動車、オートバイなどの移動体又はそのモデルである。また、物体2は、例えば高層ビル、橋梁などの建築物又はそのモデルである。また、物体2は、例えばガス管(ガス管の内部表面の流れを計測)である。移動体、建築物、ガス管などの表面11近傍における風向を計測することにより、計測結果を設計などに利用することができる。
物体2の熱伝導率が小さい場合、基材シート3は、物体2の表面11に直接張り付けることができるように設けることができる(例えば図5(b)(c))。このことにより、風向計測をより容易に行うことができる。
スペーサ7の材料は、例えばプラスチック、ゴムなどである。
スペーサ7は、フローセンサ部4を取り囲むように設けることができる。このことにより、加熱部5又は温度センサ6が物体2に接触することを抑制することができる。また、スペーサ7は、加熱部5と温度センサ6との間に配置され、加熱部5を取り囲むように設けることができる。
スペーサ7は、物体2の表面11と基材シート3との間隔が例えば0.1mm以上3mm以下となるように設けることができる。
また、風向計測装置20は、スペーサ7の代わりに断熱性を有する多孔質層を有してもよい。
風向計測装置20は1つのフローセンサ部4を有してもよく(例えば、図1、図2)、風向計測装置20は複数のフローセンサ部4を有してもよい。例えば、図3、図4に示した風向計測装置20は、3つのフローセンサ部4a〜4cを備えている。風向計測装置20が複数のフローセンサ部4を有することにより風向マップを作成することが可能になる。
風向計測装置20が複数のフローセンサ部4を有する場合、隣接する2つのフローセンサ部4の間隔(一方のフローセンサ部の端から他方のフローセンサ部の端までの最短距離)は、例えば1cm以上4cm以下とすることができる。
加熱部5は、基材シート3の計測対象である流れ側に設けられてもよい(例えば、図5(a)(c))。この場合、加熱部5の熱が気体(計測対象である流れ)に直接移動する。このため、フローセンサ部4の感度を高くすることができ、流速の速い風の向きを検出することが可能になる。この場合、風向計測装置20は、加熱部5上に保護層を有してもよい。また、この場合、基材シート3の材料に断熱性の高い材料(例えばスポンジなど)を用いてもよい。
加熱部5の形状は例えば円形とすることができる。
例えば、図1、図2に示した風向計測装置20のフローセンサ部4は、円状に並ぶように配置された8個の温度センサ6a〜6hを有し、加熱部5が円状配置の中心部に配置されている。
例えば、図3、図4に示した風向計測装置20は、3つのフローセンサ部4a〜4cを有している。フローセンサ部4aは4つの温度センサ6a〜6dを有し中心部に加熱部5aが配置され、フローセンサ部4bは4つの温度センサ6e〜6hを有し中心部に加熱部5bが配置され、フローセンサ部4cは4つの温度センサ6i〜6lを有し中心部に加熱部5cが配置されている。
センシング層の材料は、例えば、カーボンナノチューブ、白金、カーボンナノチューブと酸化スズとの混合体などである。
センシング層は、配線9により制御部と接続し、制御部でセンシング層の電気抵抗の測定値からセンシング層の温度を算出することができる。
温度センサ6は、基材シート3の計測対象である流れ側に設けられてもよい(例えば、図5(a)(c))。この場合、加熱部5により温められた気体が風により風下側に移動し、この移動してきた気体の温度を風下側の温度センサ6が測定する。このため、フローセンサ部4の感度を高くすることができ、流速の速い風の向きを検出することが可能になる。この場合、風向計測装置20は、温度センサ6上に保護層を有してもよい。また、この場合、基材シート3の材料に断熱性の高い材料(例えばスポンジなど)を用いてもよい。
加熱部5と温度センサ6との間隔(加熱部5の端部から温度センサ6の端部までの最短距離)は、例えば10μm以上20mm以下とすることができる。
図6(a)に示したような風向計測装置20を作製して第1風向計測実験を行った。基材シート3には38μm厚のPETフィルムを用い、加熱部5は厚さが約10μmの銀層(抵抗加熱型ヒーター)とした。温度センサ6a、6bのセンシング層はカーボンナノチューブとSnO2の混合層(抵抗型温度センサ)とした。加熱部5、温度センサ6a、6b及び配線は印刷法で形成した。温度センサ6aは風上側に配置し、温度センサ6bは風下側に配置した。また、加熱部5と温度センサ6との間隔を2.5mmとした風向計測装置20と、加熱部5と温度センサ6との間隔を5mmとした風向計測装置20と、加熱部5と温度センサ6との間隔を10mmとした風向計測装置20とを作製した。また、スペーサ7の材料はPDMSとし、物質2の表面11と基材シート3との間隔は1mmとした。
このような風向計測装置20を試験台(物質2)上に設置して風向計測実験を行った。
次に、図6(a)に示した矢印のように送風しながら加熱部5に電流を流し、上流側温度センサ6aと下流側温度センサ6bで温度測定を行った。そして温度センサ6a、6bの間の温度差を算出した。
図6(c)は加熱パワーを0.3W(加熱部の温度:約83℃)としたときの送風の流速と温度センサ6a、6bの間の温度差との関係を示したグラフである。図7(a)は加熱部5と温度センサ6との間隔を2.5mmとしたときの送風の流速と温度センサ6a、6bの間の温度差との関係を示したグラフである。加熱パワーは、0.1W(約41℃)、0.2W(約65℃)、0.3W(約83℃)又は0.4W(約108℃)とした。図7(b)は加熱部5と温度センサ6との間隔を5mmとしたときの送風の流速と温度センサ6a、6bの間の温度差との関係を示したグラフである。加熱パワーは、0.1W、0.2W、0.3W又は0.4Wとした。
また、温度センサ6a、6bの間の温度差は、流速が速くなっていくと線形関数的に増加し、流速がある程度速くなると温度差の上昇は小さくなった。従って、温度差から流速を算出することが可能である。
また、加熱部5と温度センサ6との間隔が狭いほど温度センサ6a、6bの間の温度差は大きくなり、加熱部5の温度が高いほど温度センサ6a、6bの間の温度差は大きくなった。このことから、加熱部5と温度センサ6との間隔を狭くし、加熱部5の温度を高くすることにより、より速い流速の風の向きや流速も計測できると考えられる。
図8、図9に示したグラフのように、スペーサ7を有さない風向計測装置では、温度センサ6a、6bの間の温度差はほとんど生じなかった。これは、加熱部5の熱が試験台に逃げてしまうためと考えられる。これに対し、スペーサ7を有する風向計測装置を用いて測定すると、流速0〜1.5m/sの範囲では流速が速くなるほど温度センサ6a、6bの間の温度差が大きくなった。従って、物体2が金属製である場合でも、スペーサ7を設けることにより風向及び風速を計測できることがわかった。
図1、2に示したような加熱部5の周りに8個の温度センサ6a〜6h(T1〜T8)を有する風向計測装置を作製した。各部分の材料は第1風向計測実験と同じである。図10(a)は作製した風向計測装置の写真である。図10(b)は加熱部に電流を流したときの風向計測装置の温度分布を示す画像である。図10(c)は(a)に示した方向Aの向きに空気を流したときの温度センサT1〜T8の温度差を示すグラフであり、図10(d)は(a)に示した方向Bの向きに空気を流したときの温度センサT1〜T8の温度差を示すグラフである。図10(c)(d)における温度差は、加熱部での加熱前の温度センサの測定温度と加熱部での加熱後の温度センサの測定温度との差である。
このように、風下に位置する温度センサの測定温度が上昇しており、温度センサT1〜T8の測定温度に基づき風向きを計測できることが実証された。
12個のフローセンサ部4a〜4lを備えた風向計測装置を作製した。各フローセンサ部4a〜4lは、図3、図4に示したフローセンサ部4a〜4cのように、加熱部5の周りに4つの温度センサ6を有している。各部分の材料は第1風向計測実験と同じである。作製した風向計測装置を半割パイプの凹曲面に張り付けた。風向計測装置の写真を図11(a)(b)に示す。
この風向計測装置に垂直な方向から風向計測装置の中心部(フローセンサ部4eとフローセンサ部4hとの間)に風を吹きつけ、フローセンサ部4a〜4lにおける風向きを計測した。
図12に示した計測結果から、半割りパイプの凹曲面に風を吹き付けると、凹曲面では吹きつけた部分から広がるように風が流れることがわかった。
Claims (6)
- 物体の表面近傍における風向を計測する装置であって、
前記物体の表面の少なくとも一部を覆うことができるように設けられた基材シートと、前記基材シート上に設けられた第1フローセンサ部とを備え、
第1フローセンサ部は、前記基材シート上に設けられた第1加熱部と、前記基材シート上に設けられた複数の第1温度センサとを備え、
複数の第1温度センサは、第1加熱部を挟む又は取り囲むように配置されたことを特徴とする風向計測装置。 - 複数の第1温度センサは、円状に並ぶように配置され、
第1加熱部は、複数の第1温度センサの円状配置の中心部に配置された請求項1に記載の風向計測装置。 - スペーサをさらに備え、
前記スペーサは、前記物体の表面と前記基材シートとの間に空気層を形成することができるように設けられた請求項1又は2に記載の風向計測装置。 - 第1加熱部及び複数の第1温度センサは、前記物体の表面と前記基材シートとの間に配置されるように設けられた請求項3に記載の風向計測装置。
- 第1温度センサは、抵抗変化型のセンシング層を有し、
前記センシング層の厚さは、100μm以下である請求項1〜4のいずれか1つに記載の風向計測装置。 - 前記基材シート上に設けられた第2フローセンサ部をさらに備え、
第2フローセンサ部は、前記基材シート上に設けられた第2加熱部と、前記基材シート上に設けられた複数の第2温度センサとを備え、
複数の第2温度センサは、第2加熱部を挟む又は取り囲むように配置された請求項1〜5のいずれか1つに記載の風向計測装置。
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