JP2020200361A - 複合樹脂組成物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の一実施形態の複合樹脂組成物は、水性分散媒と、水性分散媒に乳化している樹脂粒子と、水性分散媒に分散しているセルロースナノファイバー(CNF)と、を含有する。この複合樹脂組成物における樹脂粒子は、(メタ)アクリル系樹脂粒子、スチレン系樹脂粒子、及び(メタ)アクリロニトリル系樹脂粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む。そして、この複合樹脂組成物は、複合樹脂組成物をその不揮発分が0.01〜0.1質量%の範囲内となる量の水で希釈した液を測定用基材に滴下して乾燥させた試料を、原子間力顕微鏡により観察した場合に、CNFが分散し、かつ、そのCNFに樹脂粒子がまとわりついている構造が観察されるものである。
セルロースナノファイバー(CNF)は、複合樹脂組成物において、水性分散媒に分散して存在している。CNFの種類は特に制限されず、どのような種類のCNFでも使用可能である。CNFの種類としては、例えば、主に物理的・機械的解繊処理により得られたCNF(以下、「機械解繊型CNF」と記載することがある。)、及び主に化学的な解繊処理により得られたCNF(以下、「化学解繊型CNF」と記載することがある。)、並びにそれらを何れも主要な処理として組み合わせた処理により得られたCNF等を挙げることができる。それらのうちの1種のCNFを単独で用いてもよく、2種以上のCNFを併用してもよく、2種以上のCNFの混合物を用いてもよい。また、例えばパルプ等の原料(原料繊維)から製造したCNFを用いてもよいし、市販のCNF製品を用いてもよい。
複合樹脂組成物に含有されている水性分散媒としては、一般に樹脂エマルションにおいて用いられている水性分散媒と同様、水が好適であり、水のみを使用してもよいし、水と水溶性有機溶剤との混合物を使用してもよい。水溶性有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチルカルビトール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、及びN−メチルピロリドン等を挙げることができるが、これらに限定されず、また、水溶性有機溶剤の1種又は2種以上を使用してもよい。
樹脂粒子は、複合樹脂組成物において、水性分散媒に乳化して存在しており、水性分散媒とともに樹脂エマルションを形成しているものである。樹脂粒子は、(メタ)アクリル系樹脂粒子、スチレン系樹脂粒子、及び(メタ)アクリロニトリル系樹脂粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む。
1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+・・・Wn/Tgn
上記式中、Tgは、n種の単量体成分(単量体1〜n)の重合体(共重合体)のガラス転移温度(単位:K)を表す。W1、W2、・・・Wnは、n種の単量体成分の総量に対する各単量体(1、2、・・・n)の質量分率を表し、Tg1、Tg2、・・・Tgnは、各単量体(1、2、・・・n)の単独重合体のガラス転移温度(単位:K)を表す。例えば、後述する実施例で使用した単量体等を例に挙げると、その単量体の単独重合体のガラス転移温度は次の通りであり、それらの値を後述する実施例で製造した樹脂粒子のTgの算出に用いた。
n−ブチルアクリレート(BA):−55℃
メチルメタクリレート(MMA):105℃
スチレン(ST):100℃
アクリロニトリル:105℃
アクリル酸(AAc):105℃
アクリルアミド(AM):165℃
複合樹脂組成物は、必要に応じて、前述の(メタ)アクリル系樹脂粒子、スチレン系樹脂粒子、及び(メタ)アクリロニトリル系樹脂粒子以外の他の樹脂粒子や、前述のCNF以外の各種の添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、例えば、顔料及び染料等の着色剤、金属化合物、溶剤、可塑剤、分散剤、界面活性剤(乳化剤)、発泡剤、滑剤、ゲル化剤、造膜助剤、凍結防止剤、架橋剤、pH調整剤、粘度調整剤、防腐剤、防黴剤、殺菌剤、防錆剤、難燃剤、湿潤剤、消泡剤、酸化防止剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、安定剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤等を挙げることができる。これらの添加剤の1種又は2種以上を用いてもよい。
次に、前述に概要を挙げた、複合樹脂組成物の製造方法について、詳細に説明する。本発明の一実施形態の複合樹脂組成物の製造方法は、(メタ)アクリル系樹脂粒子、スチレン系樹脂粒子、及び(メタ)アクリロニトリル系樹脂粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂粒子が水性分散媒に乳化している樹脂エマルションと、セルロースナノファイバーとを、温度が50℃以上の条件下で接触させて、それらを混合する混合工程を含む。この混合工程により、水性分散媒と、水性分散媒に乳化している樹脂粒子と、水性分散媒に分散しているセルロースナノファイバーと、を含有する複合樹脂組成物を得る。なお、この複合樹脂組成物の製造方法の説明で用いられる樹脂粒子、水性分散媒、セルロースナノファイバー(CNF)等は、前述の実施形態に係る複合樹脂組成物の説明で挙げたものと同様に説明されるものである。
[1]水性分散媒と、前記水性分散媒に乳化している樹脂粒子と、前記水性分散媒に分散しているセルロースナノファイバーと、を含有する複合樹脂組成物であって、前記樹脂粒子は、(メタ)アクリル系樹脂粒子、スチレン系樹脂粒子、及び(メタ)アクリロニトリル系樹脂粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種を含み、前記複合樹脂組成物をその不揮発分が0.01〜0.1質量%の範囲内となる量の水で希釈した液を測定用基材に滴下して乾燥させた試料を、原子間力顕微鏡により観察した場合に、前記セルロースナノファイバーが分散し、かつ、そのセルロースナノファイバーに前記樹脂粒子がまとわりついている構造が観察される複合樹脂組成物。
[2]前記原子間力顕微鏡による観察において、前記セルロースナノファイバーを軸部とし、前記軸部に沿って前記軸部の周りに、前記樹脂粒子が葡萄の房状に集まっている構造が観察される上記[1]に記載の複合樹脂組成物。
[3]前記複合樹脂組成物中の前記セルロースナノファイバーの含有量が、前記複合樹脂組成物中の前記樹脂粒子100質量部当たり、0.1〜10質量部の範囲内である上記[1]又は[2]に記載の複合樹脂組成物。
[4]前記樹脂粒子は、不飽和カルボン酸系単量体、及び(メタ)アクリルアミド系単量体からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合性単量体に由来する構造単位をさらに含む上記[1]〜[3]のいずれかに記載の複合樹脂組成物。
[5](メタ)アクリル系樹脂粒子、スチレン系樹脂粒子、及び(メタ)アクリロニトリル系樹脂粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂粒子が水性分散媒に乳化している樹脂エマルションと、セルロースナノファイバーとを、温度が50℃以上の条件下で接触させて、それらを混合する混合工程を含み、前記混合工程により、前記水性分散媒と、前記水性分散媒に乳化している前記樹脂粒子と、前記水性分散媒に分散している前記セルロースナノファイバーと、を含有する複合樹脂組成物を得る、複合樹脂組成物の製造方法。
[6]前記混合工程は、前記セルロースナノファイバーを含有する水分散液、及び前記樹脂エマルションのいずれか一方に、いずれか他方を、前記いずれか一方の温度が50℃以上の条件下で添加する工程を含む上記[5]に記載の複合樹脂組成物の製造方法。
[7]前記混合工程は、前記いずれか他方の温度も50℃以上の条件下で、前記いずれか他方を前記いずれか一方に添加する工程を含む上記[6]に記載の複合樹脂組成物の製造方法。
[8]前記いずれか一方は、前記セルロースナノファイバーを含有する水分散液であり、前記いずれか他方は、前記樹脂エマルションであり、前記混合工程の前に、前記セルロースナノファイバーを含有する水分散液を50℃以上に加熱する加熱工程をさらに含み、前記混合工程は、前記加熱工程により50℃以上に加熱された前記セルロースナノファイバーを含有する水分散液に、前記樹脂エマルションを添加する工程を含む、上記[6]又は[7]に記載の複合樹脂組成物の製造方法。
[9]前記いずれか一方は、前記樹脂エマルションであり、前記いずれか他方は、前記セルロースナノファイバーを含有する水分散液であり、前記混合工程の前に、前記樹脂エマルションを50℃以上に加熱する加熱工程をさらに含み、前記混合工程は、前記加熱工程により50℃以上に加熱された前記樹脂エマルションに、前記セルロースナノファイバーを含有する水分散液を添加する工程を含む、上記[6]又は[7]に記載の複合樹脂組成物の製造方法。
[10]前記いずれか一方は、前記樹脂エマルションであり、前記いずれか他方は、前記セルロースナノファイバーを含有する水分散液であり、前記混合工程の前に、前記樹脂粒子を形成する単量体成分を、温度が50℃以上の条件下で乳化重合させて前記樹脂エマルションを得る重合工程をさらに含み、前記混合工程は、前記重合工程に続けて、前記重合工程で得られた、温度が50℃以上の前記樹脂エマルションに、前記セルロースナノファイバーを含有する水分散液を添加する工程を含む、上記[6]又は[7]に記載の複合樹脂組成物の製造方法。
以下の実施例1〜11では、予め製造しておいた樹脂エマルションを用いて、その樹脂エマルションと、セルロースナノファイバー(CNF)とを、特定の温度条件下で接触させて、それらを混合することにより、複合樹脂組成物を製造した。具体的には、実施例1〜8では、樹脂エマルションを特定の温度に加熱した後、それにCNFを含有する水分散液(約20℃)を添加し、実施例9では、樹脂エマルションに添加する際のCNFを含有する水分散液も特定の温度に加熱した条件とした。実施例10では、CNFを含有する水分散液を特定の温度に加熱した後、それに樹脂エマルション(約20℃)を添加し、実施例11では、CNFを含有する水分散液に添加する際の樹脂エマルションも特定の温度に加熱した条件とした。なお、相対的な評価を行い易くするため、各例において、樹脂(重合体)のガラス転移温度(Tg;理論値)が同等となるように、樹脂を形成する単量体成分の組成を調整した。
撹拌機、温度計、還流冷却器、及び滴下ロートを取り付けた四ツ口セパラブルフラスコに、脱イオン水53.5質量部を仕込み、撹拌しながら内温を80℃まで昇温させた。
一方、上記セパラブルフラスコとは別に、n−ブチルアクリレート(以下、「BA」と記載することがある。)42.9質量部、メチルメタクリレート(以下、「MMA」と記載することがある。)54.6質量部、アクリル酸(以下、「AAc」と記載することがある。)2.0質量部、及びアクリルアミド(以下、「AM」と記載することがある。)0.5質量部からなる単量体成分(総量100質量部)、並びにアニオン性乳化剤としてポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸アンモニウム2.0質量部(花王社製の商品名「ラテムルE−1000A」(固形分30質量%)6.7質量部)、及び脱イオン水38.0質量部を、ホモディスパーで乳化させ、プレエマルションを調製した。
次に、上記セパラブルフラスコ内の内温を80℃に維持しながら、そのセパラブルフラスコ内の脱イオン水に、調製したプレエマルションを滴下ロートから3時間かけて均一に滴下し、これと同時に、5質量%過硫酸アンモニウム水溶液6.0質量部を、3時間かけて均一に滴下した。それらの滴下終了後、80℃で3時間熟成して反応(重合)を終了させた。次いで、室温(23±2℃)まで冷却後、25質量%アンモニア水1.0質量部を添加して中和し、pHを調整して、(メタ)アクリル系樹脂粒子を含有する樹脂エマルション(不揮発分:約50質量%)を得た。なお、この樹脂エマルション中の(メタ)アクリル系樹脂粒子のTg(理論値)は15℃である。
比較例1では、調製例1で得られた樹脂エマルションをそのまま、比較例1の樹脂組成物として使用した。以下の実施例1〜7、9〜11及び比較例2〜7では、調製例1で得られた樹脂エマルションを複合樹脂組成物の製造に使用した。
撹拌機、温度計、還流冷却器、及び滴下ロートを取り付けた四ツ口セパラブルフラスコに、調製例1で得られた樹脂エマルションを入れ、80℃まで昇温させた。上記セパラブルフラスコ内の樹脂エマルションを80℃に維持した状態で、その樹脂エマルションに、機械解繊型CNF(ACC法によるCNF)を含有する水分散液(中越パルプ工業社製の商品名「nanoforest−S(BB−C)」(固形分1.2質量%)を固形分が0.75質量%になるように脱イオン水で希釈した液)133質量部(CNFとして1.0質量部)を、滴下ロートから1時間かけて均一に滴下した。その滴下終了後、室温(23±2℃)まで冷却し、得られた液を、120メッシュのろ布を用いてろ過し、CNFを含有する複合樹脂組成物を得た。
このようにして、水と、(メタ)アクリル系樹脂粒子と、その樹脂粒子(樹脂粒子を形成した単量体成分)100質量部に対して1質量部の機械解繊型CNFとを含有する複合樹脂組成物を製造した。
CNFを含有する水分散液を樹脂エマルションに添加する際の樹脂エマルションの温度条件を60℃に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法により、CNFを含有する複合樹脂組成物を製造した。
CNFを含有する水分散液を樹脂エマルションに添加する際の樹脂エマルションの温度条件を50℃に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法により、CNFを含有する複合樹脂組成物を製造した。
CNFを含有する水分散液の添加量を、400質量部(CNFとして3.0質量部)に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法により、CNFを含有する複合樹脂組成物を得た。このようにして、水と、(メタ)アクリル系樹脂粒子と、その樹脂粒子(樹脂粒子を形成した単量体成分)100質量部に対して3質量部の機械解繊型CNFとを含有する複合樹脂組成物を製造した。
CNFを含有する水分散液の添加量を、667質量部(CNFとして5.0質量部)に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法により、CNFを含有する複合樹脂組成物を得た。このようにして、水と、(メタ)アクリル系樹脂粒子と、その樹脂粒子(樹脂粒子を形成した単量体成分)100質量部に対して5質量部の機械解繊型CNFとを含有する複合樹脂組成物を製造した。
実施例1において使用した機械解繊型CNFを含有する水分散液133質量部を、化学解繊型CNFを含有する水分散液(日本製紙社製の商品名「cellenpia」(TEMPO酸化CNF標準品;固形分1.0質量%)を固形分が0.75質量%になるように脱イオン水で希釈した液)133質量部(CNFとして1.0質量部)に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法により、CNFを含有する複合樹脂組成物を得た。このようにして、水と、(メタ)アクリル系樹脂粒子と、その樹脂粒子(樹脂粒子を形成した単量体成分)100質量部に対して1質量部の化学解繊型CNFとを含有する複合樹脂組成物を製造した。
実施例1において使用した機械解繊型CNFを含有する水分散液133質量部を、化学解繊型CNFを含有する水分散液(日本製紙社製の商品名「cellenpia」(TEMPO酸化CNF短繊維品;固形分5.0質量%)を固形分が0.75質量%になるように脱イオン水で希釈した液)133質量部(CNFとして1.0質量部)に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法により、CNFを含有する複合樹脂組成物を得た。このようにして、水と、(メタ)アクリル系樹脂粒子と、その樹脂粒子(樹脂粒子を形成した単量体成分)100質量部に対して1質量部の化学解繊型CNFとを含有する複合樹脂組成物を製造した。
まず、調製例1で使用したアニオン性乳化剤の使用量を、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸アンモニウム1.9質量部(花王社製の商品名「ラテムルE−1000A」(固形分30質量%)6.3質量部)に変更したこと以外は、調製例1と同様の方法により、(メタ)アクリル系樹脂粒子(Tg(理論値):15℃)を含有する樹脂エマルション(不揮発分:約50質量%)を得た。また、機械解繊型CNF(ACC法によるCNF)を含有する水分散液(中越パルプ工業社製の商品名「nanoforest−S(BB−C)」(固形分1.2質量%)を固形分が0.75質量%になるように脱イオン水で希釈した液)133質量部(CNFとして1.0質量部)、アニオン性乳化剤として、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸アンモニウム0.1質量部(花王社製の商品名「ラテムルE−1000A」(固形分30質量%)0.3質量部)、及びカルボキシメチルセルロース(CMC)1.0質量部(第一工業製薬社製の商品名「セロゲン6A」(固形分100質量%))を混合し、CNFを含有する水分散液を得た。
次に、撹拌機、温度計、還流冷却器、及び滴下ロートを取り付けた四ツ口セパラブルフラスコに、上記で得られた樹脂エマルションを入れ、80℃まで昇温させた。上記セパラブルフラスコ内の樹脂エマルションを80℃に維持した状態で、その樹脂エマルションに、上記で得られたCNFを含有する水分散液を、滴下ロートから1時間かけて均一に滴下した。その滴下終了後、室温(23±2℃)まで冷却し、得られた液を、120メッシュのろ布を用いてろ過し、CNFを含有する複合樹脂組成物を得た。
このようにして、水と、(メタ)アクリル系樹脂粒子と、その樹脂粒子(樹脂粒子を形成した単量体成分)100質量部に対して1質量部の機械解繊型CNFと、1質量部のCMCとを含有する複合樹脂組成物を製造した。
樹脂エマルションにCNFを含有する水分散液を添加する前に、CNFを含有する水分散液も80℃に加熱しておき、80℃の樹脂エマルションに、CNFを含有する80℃の水分散液を添加したこと以外は、実施例1と同様の方法により、CNFを含有する複合樹脂組成物を得た。
撹拌機、温度計、還流冷却器、及び滴下ロートを取り付けた四ツ口セパラブルフラスコに、機械解繊型CNF(ACC法によるCNF)を含有する水分散液(中越パルプ工業社製の商品名「nanoforest−S(BB−C)」(固形分1.2質量%)を固形分が0.75質量%になるように脱イオン水で希釈した液)133質量部(CNFとして1.0質量部)を入れ、80℃まで昇温させた。上記セパラブルフラスコ内を80℃に維持した状態で、フラスコ内のCNFを含有する水分散液に、調製例1で得られた樹脂エマルションを、滴下ロートから1時間かけて均一に滴下した。その滴下終了後、室温(23±2℃)まで冷却し、得られた液を、120メッシュのろ布を用いてろ過し、CNFを含有する複合樹脂組成物を得た。
このようにして、水と、(メタ)アクリル系樹脂粒子と、その樹脂粒子(樹脂粒子を形成した単量体成分)100質量部に対して1質量部の機械解繊型CNFとを含有する複合樹脂組成物を製造した。
CNFを含有する水分散液に樹脂エマルションを添加する前に、樹脂エマルションも80℃に加熱しておき、CNFを含有する80℃の水分散液に80℃の樹脂エマルションを添加したこと以外は、実施例10と同様の方法により、CNFを含有する複合樹脂組成物を得た。
CNFを含有する水分散液を樹脂エマルションに添加する際の樹脂エマルションの温度条件を45℃に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法により、CNFを含有する複合樹脂組成物を得た。
CNFを含有する水分散液を樹脂エマルションに添加する際の樹脂エマルションの温度条件を40℃に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法により、CNFを含有する複合樹脂組成物を得た。
CNFを含有する水分散液を樹脂エマルションに添加する際の樹脂エマルションの温度条件を20℃に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法により、CNFを含有する複合樹脂組成物を得た。
CNFを含有する水分散液を樹脂エマルションに添加する際の樹脂エマルションの温度条件を20℃に変更したこと、及びCNFを含有する水分散液の添加量を400質量部(CNFとして3.0質量部)に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法により、CNFを含有する複合樹脂組成物を得た。
CNFを含有する水分散液を樹脂エマルションに添加する際の樹脂エマルションの温度条件を20℃に変更したこと、及びCNFを含有する水分散液の添加量を667質量部(CNFとして5.0質量部)に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法により、CNFを含有する複合樹脂組成物を得た。
実施例10において、CNFを含有する水分散液に樹脂エマルションを添加する際に、CNFを含有する水分散液を昇温させず、約20℃に維持した状態としたこと以外は、実施例10と同様の方法により、CNFを含有する複合樹脂組成物を得た。
以下の実施例12〜24では、樹脂粒子を形成する単量体成分を特定の温度条件下で乳化重合させて樹脂エマルションを得る工程に続けて(その樹脂エマルションを冷却せずに)、CNFを含有する水分散液(約20℃)を添加して、樹脂エマルションにCNFを複合させた複合樹脂組成物を製造した。なお、相対的な評価を行い易くするため、各例において、樹脂(重合体)のガラス転移温度(Tg;理論値)が同等となるように、樹脂を形成する単量体成分の組成を調整した。
撹拌機、温度計、還流冷却器、及び滴下ロートを取り付けた四ツ口セパラブルフラスコに、脱イオン水53.5質量部を仕込み、撹拌しながら内温を80℃まで昇温させた。
一方、上記セパラブルフラスコとは別に、n−ブチルアクリレート(BA)42.9質量部、メチルメタクリレート(MMA)54.6質量部、アクリル酸(AAc)2.0質量部、及びアクリルアミド(AM)0.5質量部からなる単量体成分(総量100質量部)、並びにアニオン性乳化剤としてポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸アンモニウム2.0質量部(花王社製の商品名「ラテムルE−1000A」(固形分30質量%)6.7質量部)、及び脱イオン水38.0質量部を、ホモディスパーで乳化させ、プレエマルションを調製した。
次に、上記セパラブルフラスコ内の内温を80℃に維持しながら、そのセパラブルフラスコ内の脱イオン水に、調製したプレエマルションを滴下ロートから3時間かけて均一に滴下し、これと同時に、5質量%過硫酸アンモニウム水溶液6.0質量部を、3時間かけて均一に滴下した。それらの滴下終了後、直ちに、機械解繊型CNF(ACC法によるCNF)を含有する水分散液(中越パルプ工業社製の商品名「nanoforest−S(BB−C)」(固形分1.2質量%)を固形分が0.75質量%になるように脱イオン水で希釈した液)133質量部(CNFとして1.0質量部)を、上記セパラブルフラスコ内に滴下ロートから1時間かけて均一に滴下し、そのまま80℃で3時間熟成した。その後、室温(23±2℃)まで冷却し、25質量%アンモニア水1.0質量部を添加して中和し、pHを調整して得られた液を、120メッシュのろ布を用いてろ過し、複合樹脂組成物を得た。
このようにして、水と、(メタ)アクリル系樹脂粒子と、その樹脂粒子(樹脂粒子を形成した単量体成分)100質量部に対して1質量部の機械解繊型CNFとを含有する複合樹脂組成物を製造した。この樹脂組成物中の(メタ)アクリル系樹脂粒子のTg(理論値)は15℃である。
CNFを含有する水分散液の添加量を、66.7質量部(CNFとして0.5質量部)に変更したこと以外は、実施例12と同様の方法により、CNFを含有する複合樹脂組成物を得た。このようにして、水と、(メタ)アクリル系樹脂粒子と、その樹脂粒子(樹脂粒子を形成した単量体成分)100質量部に対して0.5質量部の機械解繊型CNFとを含有する複合樹脂組成物を製造した。
CNFを含有する水分散液の添加量を、100質量部(CNFとして0.75質量部)に変更したこと以外は、実施例12と同様の方法により、CNFを含有する複合樹脂組成物を得た。このようにして、水と、(メタ)アクリル系樹脂粒子と、その樹脂粒子(樹脂粒子を形成した単量体成分)100質量部に対して0.75質量部の機械解繊型CNFとを含有する複合樹脂組成物を製造した。
CNFを含有する水分散液の添加量を、400質量部(CNFとして3.0質量部)に変更したこと以外は、実施例12と同様の方法により、CNFを含有する複合樹脂組成物を得た。このようにして、水と、(メタ)アクリル系樹脂粒子と、その樹脂粒子(樹脂粒子を形成した単量体成分)100質量部に対して3質量部の機械解繊型CNFとを含有する複合樹脂組成物を製造した。
CNFを含有する水分散液の添加量を、667質量部(CNFとして5.0質量部)に変更したこと以外は、実施例12と同様の方法により、CNFを含有する複合樹脂組成物を得た。このようにして、水と、(メタ)アクリル系樹脂粒子と、その樹脂粒子(樹脂粒子を形成した単量体成分)100質量部に対して5質量部の機械解繊型CNFとを含有する複合樹脂組成物を製造した。
実施例12において使用した機械解繊型CNFを含有する水分散液133質量部を、化学解繊型CNFを含有する水分散液(日本製紙社製の商品名「cellenpia」(TEMPO酸化CNF標準品;固形分1.0質量%)を固形分が0.75質量%になるように脱イオン水で希釈した液)133質量部(CNFとして1.0質量部)に変更したこと以外は、実施例12と同様の方法により、CNFを含有する複合樹脂組成物を得た。このようにして、水と、(メタ)アクリル系樹脂粒子と、その樹脂粒子(樹脂粒子を形成した単量体成分)100質量部に対して1質量部の化学解繊型CNFとを含有する複合樹脂組成物を製造した。
実施例12において使用した機械解繊型CNFを含有する水分散液133質量部を、化学解繊型CNFを含有する水分散液(日本製紙社製の商品名「cellenpia」(TEMPO酸化CNF短繊維品;固形分5.0質量%)を固形分が0.75質量%になるように脱イオン水で希釈した液)133質量部(CNFとして1.0質量部)に変更したこと以外は、実施例12と同様の方法により、CNFを含有する複合樹脂組成物を得た。このようにして、水と、(メタ)アクリル系樹脂粒子と、その樹脂粒子(樹脂粒子を形成した単量体成分)100質量部に対して1質量部の化学解繊型CNFとを含有する複合樹脂組成物を製造した。
撹拌機、温度計、還流冷却器、及び滴下ロートを取り付けた四ツ口セパラブルフラスコに、脱イオン水53.5質量部を仕込み、撹拌しながら内温を60℃まで昇温させた。
一方、上記セパラブルフラスコとは別に、n−ブチルアクリレート(BA)42.9質量部、メチルメタクリレート(MMA)54.6質量部、アクリル酸(AAc)2.0質量部、及びアクリルアミド(AM)0.5質量部からなる単量体成分(総量100質量部)、並びにアニオン性乳化剤としてポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸アンモニウム2.0質量部(花王社製の商品名「ラテムルE−1000A」(固形分30質量%)6.7質量部)、及び脱イオン水38.0質量部を、ホモディスパーで乳化させ、プレエマルションを調製した。
次に、上記セパラブルフラスコ内の内温を60℃に維持しながら、そのセパラブルフラスコ内の脱イオン水に、調製したプレエマルションを滴下ロートから3時間かけて均一に滴下し、これと同時に、5質量%過硫酸アンモニウム水溶液6.0質量部、及び10質量%亜硫酸水素ナトリウム水溶液2.5質量部を、3時間かけて均一に滴下した。それらの滴下終了後、直ちに、機械解繊型CNF(ACC法によるCNF)を含有する水分散液(中越パルプ工業社製の商品名「nanoforest−S(BB−C)」(固形分1.2質量%)を固形分が0.75質量%になるように脱イオン水で希釈した液)133質量部(CNFとして1.0質量部)を、上記セパラブルフラスコ内に滴下ロートから1時間かけて均一に滴下し、そのまま60℃で3時間熟成した。その後、室温(23±2℃)まで冷却し、25質量%アンモニア水1.0質量部を添加して中和し、pHを調整して得られた液を、120メッシュのろ布を用いてろ過し、複合樹脂組成物を得た。
このようにして、単量体成分100質量部に対して1質量部のセルロースナノファイバーを複合させた(メタ)アクリル系樹脂粒子を含有する樹脂エマルションを製造した。すなわち、水と、(メタ)アクリル系樹脂粒子と、その樹脂粒子(樹脂粒子を形成した単量体成分)100質量部に対して1質量部の機械解繊型CNFとを含有する複合樹脂組成物を製造した。なお、この樹脂エマルション中の(メタ)アクリル系樹脂粒子のTg(理論値)は15℃である。
実施例12において使用した単量体成分(総量100質量部)を、n−ブチルアクリレート(BA)42.3質量部、メチルメタクリレート(MMA)27.6質量部、スチレン(以下、「ST」と記載することがある。)27.6質量部、アクリル酸(AAc)2.0質量部、及びアクリルアミド(AM)0.5質量部からなる単量体成分(総量100質量部)に変更したこと以外は、実施例12と同様の方法により、CNFを含有する複合樹脂組成物を得た。このようにして、水と、(メタ)アクリル系樹脂粒子と、その樹脂粒子(樹脂粒子を形成した単量体成分)100質量部に対して1質量部の機械解繊型CNFとを含有する複合樹脂組成物を製造した。
実施例12において使用した単量体成分(総量100質量部)を、n−ブチルアクリレート(BA)42.2質量部、メチルメタクリレート(MMA)45.5質量部、アクリロニトリル(以下、「AN」と記載することがある。)9.8質量部、アクリル酸(AAc)2.0質量部、及びアクリルアミド(AM)0.5質量部からなる単量体成分(総量100質量部)に変更したこと以外は、実施例12と同様の方法により、CNFを含有する複合樹脂組成物を得た。このようにして、水と、(メタ)アクリル系樹脂粒子と、その樹脂粒子(樹脂粒子を形成した単量体成分)100質量部に対して1質量部の機械解繊型CNFとを含有する複合樹脂組成物を製造した。
実施例12において使用した単量体成分(総量100質量部)を、n−ブチルアクリレート(BA)41.9質量部、メチルメタクリレート(MMA)6.8質量部、スチレン(ST)48.8質量部、アクリル酸(AAc)2.0質量部、及びアクリルアミド(AM)0.5質量部からなる単量体成分(総量100質量部)に変更したこと以外は、実施例12と同様の方法により、CNFを含有する複合樹脂組成物を得た。このようにして、水と、スチレン系樹脂粒子と、その樹脂粒子(樹脂粒子を形成した単量体成分)100質量部に対して1質量部の機械解繊型CNFとを含有する複合樹脂組成物を製造した。
実施例12において使用した単量体成分(総量100質量部)を、n−ブチルアクリレート(BA)42.7質量部、メチルメタクリレート(MMA)6.8質量部、アクリロニトリル(AN)48.0質量部、アクリル酸(AAc)2.0質量部、及びアクリルアミド(AM)0.5質量部からなる単量体成分(総量100質量部)に変更したこと以外は、実施例12と同様の方法により、CNFを含有する複合樹脂組成物を得た。このようにして、水と、(メタ)アクリロニトリル系樹脂粒子と、その樹脂粒子(樹脂粒子を形成した単量体成分)100質量部に対して1質量部の機械解繊型CNFとを含有する複合樹脂組成物を製造した。
実施例12において使用した単量体成分(総量100質量部)を、n−ブチルアクリレート(BA)42.5質量部、及びメチルメタクリレート(MMA)57.5質量部からなる単量体成分(総量100質量部)に変更したこと以外は、実施例12と同様の方法により、CNFを含有する複合樹脂組成物を得た。このようにして、水と、(メタ)アクリル系樹脂粒子と、その樹脂粒子(樹脂粒子を形成した単量体成分)100質量部に対して1質量部の機械解繊型CNFとを含有する複合樹脂組成物を製造した。
実施例12における、CNFを含有する水分散液の代わりにそれに準ずる量の脱イオン水を滴下ロートから1時間かけて滴下したこと以外は、実施例12と同様の方法により、CNFを含有せず、水と、(メタ)アクリル系樹脂粒子とを含有する樹脂組成物を製造した。
実施例19における、CNFを含有する水分散液の代わりにそれに準ずる量の脱イオン水を滴下ロートから1時間かけて滴下したこと以外は、実施例19と同様の方法により、CNFを含有せず、水と、(メタ)アクリル系樹脂粒子とを含有する樹脂組成物を製造した。
撹拌機、温度計、還流冷却器、及び滴下ロートを取り付けた四ツ口セパラブルフラスコに、脱イオン水53.5質量部、機械解繊型CNF(ACC法によるCNF)を含有する水分散液(中越パルプ工業社製の商品名「nanoforest−S(BB−C)」(固形分1.2質量%)を固形分が0.75質量%になるよう脱イオン水で希釈した液)133質量部(CNFとして1.0質量部)を仕込み、撹拌しながら内温を80℃まで昇温させた。
一方、上記セパラブルフラスコとは別に、n−ブチルアクリレート(BA)42.9質量部、メチルメタクリレート(MMA)54.6質量部、アクリル酸(AAc)2.0質量部、及びアクリルアミド(AM)0.5質量部からなる単量体成分(総量100質量部)、並びにアニオン性乳化剤としてポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸アンモニウム2.0質量部(花王社製の商品名「ラテムルE−1000A」(固形分30質量%)6.7質量部)、及び脱イオン水38.0質量部を、ホモディスパーで乳化させ、プレエマルションを調製した。
次に、上記セパラブルフラスコ内の内温を80℃に維持しながら、そのセパラブルフラスコ内の脱イオン水とCNFを含有する水分散液との混合物に、調製したプレエマルションを滴下ロートから3時間かけて均一に滴下し、これと同時に、5質量%過硫酸アンモニウム水溶液6.0質量部を、3時間かけて均一に滴下した。しかし、CNFを含む凝集物が多量に生じてしまい、複合樹脂組成物を得ることができなかった。
撹拌機、温度計、還流冷却器、及び滴下ロートを取り付けた四ツ口セパラブルフラスコに、脱イオン水91.5質量部を仕込み、撹拌しながら内温を80℃まで昇温させた。
一方、上記セパラブルフラスコとは別に、n−ブチルアクリレート(BA)42.9質量部、メチルメタクリレート(MMA)54.6質量部、アクリル酸(AAc)2.0質量部、及びアクリルアミド(AM)0.5質量部からなる単量体成分(総量100質量部)、並びにアニオン性乳化剤としてポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸アンモニウム2.0質量部(花王社製の商品名「ラテムルE−1000A」(固形分30質量%)6.7質量部)、及び機械解繊型CNF(ACC法によるCNF)を含有する水分散液(中越パルプ工業社製の商品名「nanoforest−S(BB−C)」(固形分1.2質量%)を固形分が0.75質量%になるよう脱イオン水で希釈した液)133質量部(CNFとして1.0質量部)を、ホモディスパーで乳化させ、プレエマルションを調製した。
次に、上記セパラブルフラスコ内の内温を80℃に維持しながら、そのセパラブルフラスコ内の脱イオン水に、調製したCNFを含有するプレエマルションを滴下ロートから3時間かけて均一に滴下し、これと同時に、5質量%過硫酸アンモニウム水溶液6.0質量部を、3時間かけて均一に滴下した。しかし、CNFを含む凝集物が多量に生じてしまい、複合樹脂組成物を得ることができなかった。
各実施例及び比較例で得られた樹脂組成物について、不揮発分、粘度、分散状態、皮膜外観、引張強度、伸度、及びゲル分率をそれぞれ以下に述べる方法にしたがって、測定又は評価した。
JIS K6828−1:2003の規定に準じて、乾燥温度140℃、乾燥時間0.5時間の条件で、各樹脂組成物の不揮発分(固形分)(質量%)を測定した。
JIS K6833−1:2008の規定に準拠し、BH型回転粘度計(東機産業社製、BHII形粘度計)を用いて、回転速度10rpm、温度25℃の条件で、各樹脂組成物の粘度(mPa・s)を測定した。
製造した樹脂組成物を水で500質量倍に希釈し、不揮発分を0.01〜0.1質量%の範囲内に調整し、希釈液を得た。この希釈液を、測定用基材であるマイカ標準試料(日立ハイテクサイエンス社製)に1滴(0.04mL)滴下し、希釈液中の樹脂粒子が粒子形態をとれることが確認された温度23±2℃の環境下で、乾燥シリカゲルを封入したガラス製デシケータ内で24時間乾燥させて試料を作製した。この試料を原子間力顕微鏡(AFM;日立ハイテクノロジーズ社製の商品名「AFM5100N」)を用いて観察し、以下の評価基準にしたがって、CNF及び樹脂粒子の分散性を評価した。なお、比較例1、8及び9については、CNFを使用しなかったため、本評価の対象からは外した。また、このAFMによる観察結果の例として、実施例1及び5、並びに比較例4で得られた各観察画像(50μm角領域の観察画像と10μm角領域の観察画像)を図1に示す。
A:CNFが均一に分散されていて、CNFを含む凝集体がほとんど観察されず、ほぼ全てのCNFに、CNFを軸部とし、その軸部に沿う周囲に樹脂粒子が葡萄の房状に集まってまとわりついている構造が観察された。
B:CNFが均一に分散されていて、CNFを含む凝集体がほとんど観察されず、一部〜大部分のCNFに、CNFを軸部とし、その軸部に沿う周囲に樹脂粒子が葡萄の房状に集まってまとわりついている構造が観察された。
C:CNFを含む凝集体が観察され、それに伴い樹脂粒子も凝集しているような構造が観察された。
製造した樹脂組成物100質量部に、造膜助剤としてテキサノール10質量部を混合した混合液を、剥離基板上に塗布し、23℃、50%RHの環境下で1週間乾燥させて、長さ約210mm、幅約90mm、厚さ約0.6mmの皮膜を作製した。作製した皮膜を目視にて観察し、以下の評価基準にしたがって、皮膜の外観を評価した。この皮膜外観の観察結果の例として、実施例1〜3、比較例1、3及び4で得られた各皮膜の写真を図2に示す。
A:皮膜にひび割れはほとんど確認されず、CNFが均一に分散されていて凝集体がほとんど確認されなかった。
B:皮膜に小さなひび割れ(皮膜の一長辺に対するひび割れの総長さが100%以下のひび割れ)が確認されたが、CNFが均一に分散されていて凝集体がほとんど確認されなかった。
C:皮膜にひび割れはほとんど確認されなかったが、CNFを含む凝集体が確認された。
D:皮膜に大きなひび割れ(皮膜の一長辺に対するひび割れの総長さが100%超のひび割れ)が確認された。
製造した樹脂組成物100質量部に、造膜助剤としてテキサノール10質量部を混合した混合液を、23℃、50%RHの環境下で1週間乾燥させ、短冊状(測定部の長さ約40mm、幅約10mm、厚さ約0.6mm)の皮膜試料を作製した。その皮膜試料について、引張試験機(エー・アンド・デイ社製の商品名「テンシロン万能試験機 RTG−1210」)を用いて、23℃、引張速度300mm/minの条件にて引張試験を行い、引張強度(MPa)及び伸び(%)を測定した。
製造した樹脂組成物を60℃の環境下で20時間乾燥させ、厚さ約1mm、約20mm角の皮膜試料を作製し、この皮膜試料の質量W1(g)を測定した。この皮膜試料を酢酸エチルに浸漬させ、23℃、50%RHの環境下で20時間静置した。その後、予め質量W2(g)を測定しておいた200メッシュの金網を用いて、酢酸エチルに浸漬させた皮膜試料をろ過し、金網上に不溶分を得た。金網上の不溶分を80℃の環境下で6時間乾燥させ、金網上に乾燥不溶分を得た。この金網と、金網に付着し一体化している乾燥不溶分との総質量W3(g)を測定した。そして、以下の式により、ゲル分率を求めた。
ゲル分率(質量%)=((W3−W2)/W1)×100
Claims (10)
- 水性分散媒と、前記水性分散媒に乳化している樹脂粒子と、前記水性分散媒に分散しているセルロースナノファイバーと、を含有する複合樹脂組成物であって、
前記樹脂粒子は、(メタ)アクリル系樹脂粒子、スチレン系樹脂粒子、及び(メタ)アクリロニトリル系樹脂粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種を含み、
前記複合樹脂組成物をその不揮発分が0.01〜0.1質量%の範囲内となる量の水で希釈した液を測定用基材に滴下して乾燥させた試料を、原子間力顕微鏡により観察した場合に、前記セルロースナノファイバーが分散し、かつ、そのセルロースナノファイバーに前記樹脂粒子がまとわりついている構造が観察される複合樹脂組成物。 - 前記原子間力顕微鏡による観察において、前記セルロースナノファイバーを軸部とし、前記軸部に沿って前記軸部の周りに前記樹脂粒子が葡萄の房状に集まっている構造が観察される請求項1に記載の複合樹脂組成物。
- 前記複合樹脂組成物中の前記セルロースナノファイバーの含有量が、前記複合樹脂組成物中の前記樹脂粒子100質量部当たり、0.1〜10質量部の範囲内である請求項1又は2に記載の複合樹脂組成物。
- 前記樹脂粒子は、不飽和カルボン酸系単量体、及び(メタ)アクリルアミド系単量体からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合性単量体に由来する構造単位をさらに含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合樹脂組成物。
- (メタ)アクリル系樹脂粒子、スチレン系樹脂粒子、及び(メタ)アクリロニトリル系樹脂粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂粒子が水性分散媒に乳化している樹脂エマルションと、セルロースナノファイバーとを、温度が50℃以上の条件下で接触させて、それらを混合する混合工程を含み、
前記混合工程により、前記水性分散媒と、前記水性分散媒に乳化している前記樹脂粒子と、前記水性分散媒に分散している前記セルロースナノファイバーと、を含有する複合樹脂組成物を得る、複合樹脂組成物の製造方法。 - 前記混合工程は、前記セルロースナノファイバーを含有する水分散液、及び前記樹脂エマルションのいずれか一方に、いずれか他方を、前記いずれか一方の温度が50℃以上の条件下で添加する工程を含む請求項5に記載の複合樹脂組成物の製造方法。
- 前記混合工程は、前記いずれか他方の温度も50℃以上の条件下で、前記いずれか他方を前記いずれか一方に添加する工程を含む請求項6に記載の複合樹脂組成物の製造方法。
- 前記いずれか一方は、前記セルロースナノファイバーを含有する水分散液であり、前記いずれか他方は、前記樹脂エマルションであり、
前記混合工程の前に、前記セルロースナノファイバーを含有する水分散液を50℃以上に加熱する加熱工程をさらに含み、
前記混合工程は、前記加熱工程により50℃以上に加熱された前記セルロースナノファイバーを含有する水分散液に、前記樹脂エマルションを添加する工程を含む、請求項6又は7に記載の複合樹脂組成物の製造方法。 - 前記いずれか一方は、前記樹脂エマルションであり、前記いずれか他方は、前記セルロースナノファイバーを含有する水分散液であり、
前記混合工程の前に、前記樹脂エマルションを50℃以上に加熱する加熱工程をさらに含み、
前記混合工程は、前記加熱工程により50℃以上に加熱された前記樹脂エマルションに、前記セルロースナノファイバーを含有する水分散液を添加する工程を含む、請求項6又は7に記載の複合樹脂組成物の製造方法。 - 前記いずれか一方は、前記樹脂エマルションであり、前記いずれか他方は、前記セルロースナノファイバーを含有する水分散液であり、
前記混合工程の前に、前記樹脂粒子を形成する単量体成分を、温度が50℃以上の条件下で乳化重合させて前記樹脂エマルションを得る重合工程をさらに含み、
前記混合工程は、前記重合工程に続けて、前記重合工程で得られた、温度が50℃以上の前記樹脂エマルションに、前記セルロースナノファイバーを含有する水分散液を添加する工程を含む、請求項6又は7に記載の複合樹脂組成物の製造方法。
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