JP2020198804A - 植物群落透過光センサユニット及び植物の生育状態判定方法 - Google Patents

植物群落透過光センサユニット及び植物の生育状態判定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】安定的に植物の生育状態を判定可能とする。【解決手段】可視光を検知する可視光センサ5と、近赤外光を検知する近赤外光センサ6とを備えて植物の生育状態を判定するための植物群落透過光センサユニット1は、透明なパイプ2と、パイプ2の両端を閉塞する一対の黒色のカバー板3,4と、を含み、パイプ2を鉛直方向に起立させた状態で上側のカバー板3の下面でパイプ2の内側中央部に、可視光センサ5と近赤外光センサ6とが、それぞれ受光面を下向きにして取り付けられている。【選択図】図1

Description

本発明は、植物の生育状態を正確に判定するために用いられる植物群落透過光センサユニットと、当該センサユニットを用いた植物の生育状態判定方法とに関する。
野菜・花き等の栽培過程において、生産者は毎日植物の生育状態を観察し、その生育状態(繁茂程度、葉色等)の主観的評価に基づく栽培管理条件の設定・変更(温・湿度、肥料成分、給液量等)を行っている。しかし、植物の生育状態の評価には高度な熟練を要し、特に栽培経験の少ない生産者は評価ミスによる栽培の不安定化が課題となっている。一方、熟練生産者であっても近年の極端な気象変動、新栽培管理技術(統合環境制御等)及び新品種の導入に即応するためには、同様な問題が生じることになる。したがって、植物の生育状態を適切に表現できる指標の構築は、栽培管理に対する意思決定の支援や制御の自動化を通じて、高品質・安定生産に大きく寄与すると考えられる。
そこで、植物の生育状態を非破壊・非接触で自動的に数値データとして把握できる指標として、葉面積指数(LAI)を用いる試みが知られている。例えば本件出願人は、特許文献1において、植物群落内外に散乱光センサを設置し、群落内光量の減衰程度からLAIを非破壊・非接触で評価できる「植物の生育段階判定方法及びシステム」を提供している。これは、植物群落内外の直達光をカットし散乱光量のみを測定するため、受光面の前方側を除く周囲を遮光した散乱光センサを、太陽直達光の影響の小さい北側方向に向けて、植物群落内外に一個ずつ計2個設置し、群落上のセンサ出力に対する群落内のセンサ出力差が大きいほどLAIが大きいと判定することが特徴となっている。
また、特許文献2では、可視光及び近赤外光を受感するセンサを用いた植物群落の波長別透過光比によって、LAIや光合成活性度を非破壊評価できる発明が開示されている。これは、植物群落のLAIが大きいほど可視光がクロロフィルに吸収されてより減衰するため、クロロフィル吸収量が大きい可視光に対するクロロフィル吸収量が小さい近赤外光の比率が大きくなるしくみを利用したものである。
特許第4991990号公報 特許第5410323号公報
特許文献1に記載の「植物の生育段階判定方法及びシステム」では、受光面が北方向のみで、かつ受光範囲が小さいため、植物葉の形状や栽植様式(株間、密度)によっては栽培初期等に近接した葉がセンサ開口部を遮蔽しLAIが過大評価される懸念がある。また、植物群落内外に計2個の散乱光センサが必要であり取り付けが煩雑で導入コストが上昇してしまう。さらに、LAI以外の生理的機能(葉のクロロフィル含量、光合成活性等)は評価ができない課題もある。
一方、特許文献2に記載のセンサでは、群落構造が充分に形成され群落内に直達光が入射しない条件での評価は可能であるが、野菜・花き類の栽培条件のような比較的LAIが小さく植物群落内に直達光が入射する可能性のある野菜・花き等の栽培条件では近赤外光と可視光との比が大きく変動し,安定値を得ることが困難となっている。実際、上方に向け光拡散資材で被覆した近赤外・可視光センサを用いて得られたイチゴ、ガーベラの近赤外光と可視光との比は大きく変動し、生育状態(LAI)等との相関関係はほとんど認められなかった。
そこで、本発明は、低コストな構成で、植物群落内に直達光が入射する可能性のある野菜・花き等の栽培条件であっても、且つLAIを含む生理的機能(葉のクロロフィル含量、光合成活性等)であっても、安定的に植物の生育状態を判定することができる植物群落透過光センサユニット及び植物の生育状態判定方法を提供することを目的としたものである。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、可視光を検知する可視光センサと、近赤外光を検知する近赤外光センサとを備えて植物の生育状態を判定するために用いられる植物群落透過光センサユニットであって、
透明なパイプと、パイプの両端を閉塞する一対の黒色のカバー板と、を含み、パイプを鉛直方向に起立させた状態で上側のカバー板の下面でパイプの内側中央部に、可視光センサと近赤外光センサとが、それぞれ受光面を下向きにして取り付けられていることを特徴とする。
なお、本発明の「生育状態」とは、LAIや繁茂程度といった生育段階の他、葉のクロロフィル含量や光合成活性といった生理機能も含む。以下同じ。
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成において、カバー板は、3cm角〜7cm角の正方形であり、パイプの長さは略10cmであることを特徴とする。
なお、「略10cm」は、10cmを含んでその前後に僅少の誤差を含む趣旨である。
上記目的を達成するために、請求項3に記載の発明は、植物の生育状態判定方法であって、
請求項1又は2に記載の植物群落透過光センサユニットを、パイプが起立する縦向き姿勢で植物群落内にセットして、パイプの周囲から入射する散乱光を可視光センサと近赤外光センサとで測定し、所定の時間帯での近赤外光と可視光との比を算出して、当該比に対応した生育状態を判定することを特徴とする。
上記目的を達成するために、請求項4に記載の発明は、可視光を検知する可視光センサと、近赤外光を検知する近赤外光センサとを備えて植物の生育状態を判定するために用いられる植物群落透過光センサユニットであって、
透明なパイプと、パイプの両端を閉塞する一対の黒色のカバー板と、パイプを水平方向に倒伏させた状態でパイプの上下でカバー板の間に架設されてパイプに上下方向で重なる一対の黒色の第2のカバー板と、を含み、パイプを水平方向に倒伏させた状態で一方のカバー板におけるパイプの取付側の面でパイプの内側中央部に、可視光センサと近赤外光センサとが、それぞれ受光面を他方のカバー板に向けて取り付けられていることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項4の構成において、第2のカバー板の幅は略7cmであり、パイプの長さは5cm〜10cmであることを特徴とする。
なお、「略7cm」は、7cmを含んでその前後に僅少の誤差を含む趣旨である。
上記目的を達成するために、請求項6に記載の発明は、植物の生育状態判定方法であって、
請求項4又は5に記載の植物群落透過光センサユニットを、パイプが倒伏する横向き姿勢で植物群落内にセットして、パイプの側方から入射する散乱光を可視光センサと近赤外光センサとで測定し、所定の時間帯での近赤外光と可視光との比を算出して、当該比に対応した生育状態を判定することを特徴とする。
本発明によれば、野菜・花き等の施設、露地栽培(人工光も含む)において植物群落透過光センサユニットを植物群落内に設置し、群落透過光の波長別光量比(近赤外光と可視光との比)を算出することによって、植物の生育状態(繁茂程度、LAI、光合成活性等)を非破壊・非接触で把握することができる。
特に、本センサユニットで測定された近赤外光と可視光との比は、LAIのような植物体のサイズや繁茂程度を表すだけではなく、葉層の光合成機能を反映した「光合成有効葉面積」を表現している。よって、本センサユニットで植物の生育状態を数値的に把握することによって、生産者は現在の生育状態に対する環境条件や養水分制御等栽培管理の適否を判断することができる。この適否判断に基づく栽培管理の調節・変更によって、生産目的に応じた野菜・花き類の収量、品質の最大化が可能となる。
また、当該発明は簡易な構造かつ小型で、しかも安価なフォトダイオードが活用できるため低コストでの実用化が期待され、野菜・花き栽培に広く受け入れられる可能性が高く、栽培安定化や規模拡大の促進に大きく寄与する。
特に、請求項2及び5に記載の発明によれば、上記効果に加えて、センサユニットのサイズの特定により、変動の小さい安定した近赤外光と可視光との比の測定が可能となる。
植物群落透過光センサユニットの説明図で、(A)が斜視、(B)が縦断面をそれぞれ示す。 図1のセンサユニットを用いた判定システムの説明図である。 植物群落透過光センサユニットの他の例の説明図で、(A)が斜視、(B)が横断面をそれぞれ示す。 人工光源下におけるキュウリLAIと近赤外光/可視光比との関係を示すグラフである。 ガーベラ栽培における近赤外光/可視光比の推移を示すグラフである。 ガーベラ栽培における近赤外光/可視光比とLAIとの関係を示すグラフである。 イチゴ栽培における近赤外光/可視光比の推移を示すグラフである。 イチゴ栽培における近赤外光/可視光比の推移(3日間の移動平均)を示すグラフである。 イチゴ栽培における近赤外光/可視光比(3日間の移動平均)とLAIとの関係を示すグラフである。 トマト栽培におけるデータ利用時間の違いによる近赤外光/可視光比の推移を示すグラフである。 イチゴ栽培における光強度の変化による近赤外光/可視光比の推移を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[植物群落透過光センサユニットの説明]
図1は、植物群落透過光センサユニット(以下単に「センサユニット」という。)1の一例を示す説明図で、(A)が斜視、(B)が縦断面を示している。
このセンサユニット1は、アクリル等の透明な円筒のパイプ2の両端に、平面視正方形で黒色に着色した上下一対のカバー板3,4を取り付けてなる。パイプ2の直径は、カバー板3,4の一辺よりも小さくなっている。上側のカバー板3の下面中央でパイプ2の内部には、フォトダイオード等を用いた可視光検知用センサ(以下「可視光センサ」という。)5と、近赤外光検知用センサ(以下「近赤外光センサ」という。)6とが、それぞれ受光面を下向きにした姿勢で固定されている。
このセンサユニット1は、図2に示すように、カバー板3を上にしてパイプ2が起立する縦向き姿勢で植物群落P内にセットすることで、上側がカバー板3で遮蔽されて直達光がカットされる。よって、パイプ2の周囲から入射する散乱光を効果的に測定することができる。ここでは可視光が植物のクロロフィルに吸収されて減衰し、吸収量が小さい近赤外光との比率が大きくなる。
この判定システムSにおいて、各センサ5,6の出力は、ケーブル7,7を介して外部のパーソナルコンピュータ等に設けた演算部10に入力される。演算部10では、所定の時間帯での平均値が演算されて、近赤外光と可視光との比(以下「近赤外光/可視光比」という。)が算出されて記憶部11に記憶される。但し、時間帯は任意に変更可能で、平均値の比でなく積算値の比であってもよい。
また、図3は、センサユニットの他の例を示す説明図である。このセンサユニット1Aでは、センサユニット1よりも長いパイプ2Aが横向きに用いられ、パイプ2Aの両端部にカバー板3,4がそれぞれ縦向きに取り付けられる、パイプ2Aとカバー板3,4との大きさの関係はセンサユニット1と同じである。よって、可視光センサ5及び近赤外光センサ6は、それぞれ受光面をカバー板4に向けた横向き姿勢でカバー板3に固定される。
さらに、パイプ2Aの上下には、カバー板3,4の上辺同士と下辺同士とを繋ぐ長方形状で黒色の一対のカバー板8,8が設けられている。このカバー板8,8がパイプ2Aに上下方向で重なることで、パイプ2Aは側面のみが露出している。
このセンサユニット1Aでは、カバー板8,8のどちらかを下にしてパイプ2Aが倒伏する図3の横向き姿勢で植物群落内にセットすることで、上側がカバー板8で遮蔽されて直達光がカットされる。よって、パイプ2Aの左右の側面から入射する散乱光を効果的に測定することができる。演算部10及び記憶部11との接続は図2の判定システムSと同様である。
以下、センサユニット1,1Aを区別する場合、センサユニット1を「縦置型センサ1」と言い、センサユニット1Aを「横置型センサ1A」という。
[各センサとLAIとの関係の検証]
図4は、人工光源(白色LED)下における給液栽培のキュウリのLAIと近赤外光/可視光比との関係を検証したグラフである。
左は、パイプ2の長さを5cm、カバー板(黒板)3,4を5cm角とした縦置型センサ(可視光センサとして浜松ホトニクス製の可視光用フォトダイオードS1133を、近赤外光センサとして浜松ホトニクス製の近赤外光用フォトダイオードS6775−01をそれぞれ使用)1と、パイプ2の長さを15cm、カバー板3,4を3cm角とした横置型センサ1Aとを用いた場合のグラフで、y(LAI)は、x(近赤外光/可視光比)の一次関数で表される。この関係式は、植物ごとに異なった定数を設定して記憶部11に記憶され、演算部10で演算される。Rは相関係数、Rは寄与率である。
右は、可視光センサ5と近赤外光センサ6とを受光面を上向きに設置して光散乱資材(ここではピンポン球を半割としたもの)でカバーしたセンサ(以下「対照センサ」という。)を用いた場合のグラフである。
このグラフで明らかなように、縦置型・横置型センサ1,1A何れにおいても、近赤外光/可視光比はキュウリLAIとの間に直線的な相関関係が見られた。一方、対照センサでは、葉が被さると値が急変し、LAIとの関係が変化した。このように、縦置型・横置型センサ1,1Aを用いた生育状態判定方法によれば、精度の高いLAIの非破壊評価(生育状態の判定)が可能であることが確認できた。
図5は、ガーベラの給液栽培において、図4と同じ横置型センサ1Aと対照センサとを用いて測定した近赤外光/可視光比の推移(2018年8月18日〜12月16日)を示すもので、各日では11:55−12:05の時間帯での平均値を示している。
また、図6は、図5の近赤外光/可視光比とLAIとの関係を示すもので、左が横置型センサ1A、右が対照センサとなっている。
これらのグラフで明らかなように、横置型センサ1Aにおいても、近赤外光/可視光比とLAIとは相関関係を示しており、近赤外光/可視光比によってLAIの非破壊評価が可能であることが分かった。なお、図5において、11〜12月で近赤外光/可視光比が一時的に減少しているものの、葉面積に大きな変化はない。これは、養分欠乏による葉の黄化が発生したことによる。このように近赤外光/可視光比は、LAIだけでなく、植物の生理機能に応じて変動することも確認できた。一方、対照センサにおいて、近赤外光/可視光比とLAIとの関係は、横置型センサ1Aのように密接となっていない。
図7は、イチゴ栽培において、図4と同じ縦置型センサ1と対照センサとを用いて測定した近赤外光/可視光比の推移(2018年10月2日〜2019年3月11日)を示すもので、各日では11:55−12:05の時間帯での平均値を示している。上が縦置型センサ1、下が対照センサとなっている。
また、図8は、図7のデータにおいて、各日のデータを、該当日の前2日を含む計3日間の平均としたもので、上が縦置型センサ1、下が対照センサとなっている。
さらに、図9は、図8の近赤外光/可視光比とLAIとの関係を示すもので、左が縦置型センサ1、右が対照センサとなっている。
これらのグラフで明らかなように、縦置型センサ1においても、近赤外光/可視光比とLAIとは相関関係を示しており、近赤外光/可視光比によってLAIの非破壊評価が可能であることが分かった。特に図8の3日平均データでは、近赤外光/可視光比の動態を明確化することができた。なお、縦置型センサ1の近赤外光/可視光比は、11月上旬、2月上旬、3月上旬に一時的な減少が見られたが、この時期にそれぞれ下葉除去作業を実施していることから、下葉除去の判別が可能と認められる。また、1月中旬以降の近赤外光/可視光比は減少傾向が見られたが、葉面積に大きな変化はない。これは、この時期に一部の肥料成分の給液トラブルに起因する葉の褐変が観察されたことから、生理障害も検知できると考えられる。
また、図9において、縦置型センサ1による近赤外光/可視光比(3日間の移動平均値)はイチゴLAIとの間に極めて密接な相関関係が見られた。一方、対照センサによる近赤外光/可視光比は、10月は増加が見られず、11月以降は増加が見られたが時折大幅な変動がみられ、LAIとの関係は縦置型センサ1に比べて密接ではなかった。
[データ利用時間と近赤外光/可視光比との関係の検証]
上記検証では、データの利用時間を正午付近のみとしているが、日中の幅広い時間帯で得られる近赤外光/可視光比とどのように異なるかを検証した。
図10は、トマトの長段栽培において、植物群落内に2個の縦置型センサ(縦置1、縦置2、パイプの長さ:10cm、カバー板(黒板):5cm角)を設置して測定した近赤外光/可視光比の推移(2019年1月5日〜2019年5月15日)を示すグラフである。ここでは上がテータ利用時間を正午付近(11:55〜12:05(10点/日))としたもの、下がデータ利用時間を日中(8:00〜16:00(480点/日))としたものとなっている。
この測定結果から、トマトのように背が高く、センサ上方に葉層がない栽培条件での測定では、光が上方から差し込む正午前後の時間帯のみのデータを利用するより、朝〜夕の日中の時間帯のデータを利用して幅広く平均した方が、変動が少なく安定した測定が可能であることが分かった。
[天候による光強度(PPFD)と近赤外光/可視光比との関係の検証]
天候(光強度(PPFD))による近赤外光/可視光比への影響を検証した。
図11は、イチゴ栽培において、植物群落内に縦置型センサ(縦置、パイプの長さ:10cm、カバー板(黒板):5cm角)と、横置型センサ(横置、パイプの長さ:15cm、カバー板(上黒板)の幅:7cm)と、光強度(PPFD)センサとを設置し、近赤外光/可視光比と温室内の光強度(PPFD)とを継続的(2019年3月16日〜2019年5月5日)に測定したグラフである。上が光強度センサのデータ、中が横置型センサのデータ、下が縦置型センサのデータとなっている。
この測定結果から、縦置、横置型センサの何れにおいても、近赤外光/可視光比は、天候の変動に基づいて温室内の光強度が極端に小さい場合に増加する傾向が見られた。従って、光強度が極端に小さい曇雨天日の近赤外光/可視光比のデータをキャンセルすることにより、適切な評価が可能となると考えられる。
[センサユニットのサイズとセンサ出力及び近赤外光/可視光比との関係の検証]
近赤外光/可視光比を安定的に測定できるセンサユニットの構造を明らかにするため、カバー板及びパイプのサイズを3パターンで変えて各パターンがそれぞれセンサ出力及び変動係数(c.v.)に及ぼす影響を検討した。
1.縦置型センサ
パイプの長さ(センサの高さ)を5cmとして、上下のカバー板のサイズを3段階(3cm角、5cm角、7cm角)に変えて、温室内で栽培中のイチゴ群落(草高約13cm)内に設置し、可視光センサ及び近赤外光センサの出力をそれぞれ1分間隔で測定・記録した(2019年3月20日〜29日)。測定した各センサ出力における平均値(8時−16時)及び変動係数(c.v.:標準偏差/平均値×100%)を求めた。結果を以下の表1に示す。
Figure 2020198804
表1より、カバー板のサイズが大きいほど可視光センサの出力は増加し、近赤外光センサの出力は減少する傾向が見られた。また、可視光センサのc.v.は5cm角のサイズが3cm角及び7cm角よりもやや小さく、近赤外光センサのc.v.はサイズが大きくなるほど大きくなる傾向が見られた。生育状態の指標である近赤外光/可視光比は、カバー板のサイズが大きくなるほど減少したが、そのc.v.に大きな相違は見られなかった。
次に、カバー板のサイズを5cm角として、パイプの長さを3段階(5cm、10cm、15cm)に変えて、カバー板を変えた場合と同じ条件で可視光センサ及び近赤外光センサの出力をそれぞれ1分間隔で測定・記録し、変動係数を求めた。結果を以下の表2に示す。
Figure 2020198804
表2より、可視光センサの出力は、パイプ長さ15cmが5cm、10cmよりも大きく、近赤外光センサの出力は、パイプ長さが大きいほど増加する傾向が見られた。また、c.v.は、可視光センサではパイプ長さ5cmが10cm、15cmより大きい傾向が見られ、近赤外光センサではパイプ長さが大きいほど小さくなる傾向が見られた。そして、近赤外光/可視光比は、パイプ長さが大きいほど減少したが、c.v.は10cmが最も小さい値となった。
以上の結果から、縦置型センサでは、カバー板のサイズは3cm角〜7cm角、パイプの長さ(センサの高さ)は10cmとすれば、変動の小さい安定した近赤外光/可視光比の測定が可能と認められる。
2.横置型センサ
パイプの長さを15cmとして、上下のカバー板の幅を3段階(3cm、5cm、7cm)に変えて、縦置型センサと同じ条件で可視光センサ及び近赤外光センサの出力をそれぞれ1分間隔で測定・記録し、変動係数を求めた。結果を以下の表3に示す。
Figure 2020198804
表3より、上下のカバー板の幅が大きいほど可視光センサ及び近赤外光センサの出力は減少したが、近赤外光センサのc.v.は増加傾向を示した。近赤外光/可視光比は、上下のカバー板の幅が増加するほど増加する一方、c.v.は減少する傾向となり、7cmで最小の値となった。
次に、上下のカバー板の幅を5cmとして、パイプの長さを3段階(5cm、10cm、15cm)に変えて、上記と同じ条件で可視光センサ及び近赤外光センサの出力をそれぞれ1分間隔で測定・記録し、変動係数を求めた。結果を以下の表4に示す。
Figure 2020198804
表4より、可視光センサ及び近赤外光センサの出力はパイプ長さ5cm、10cmに比べて15cmで大きい傾向が見られたが、パイプの長さによるc.v.の大きな差は見られなかった。近赤外光/可視光比は、パイプの長さが増加するほど減少したが、パイプ長さ15cmのc.v.は、5cm、10cmのc.v.よりやや大きい傾向が見られた。
以上の結果から、横置型センサでは、カバー板の幅は7cm、パイプの長さは5〜10cmとすれば、変動の小さい安定した近赤外光/可視光比の測定が可能と認められる。
このように、上記形態のセンサユニット1によれば、透明なパイプ2と、パイプ2の両端を閉塞する一対の黒色のカバー板3,4と、を含み、パイプ2を鉛直方向に起立させた状態で上側のカバー板3の下面でパイプ2の内側中央部に、可視光センサ5と近赤外光センサ6とが、それぞれ受光面を下向きにして取り付けられていることで、野菜・花き等の施設、露地栽培(人工光も含む)においてセンサユニット1を植物群落P内に設置し、群落透過光の波長別光量比(近赤外光/可視光比)を算出することによって、植物の生育状態(繁茂程度、LAI、光合成活性等)を非破壊・非接触で把握することができる。
特に、本センサユニット1で測定された近赤外光/可視光比は、LAIのような植物体のサイズや繁茂程度を表すだけではなく、葉層の光合成機能を反映した「光合成有効葉面積」を表現している。よって、本センサユニット1で植物の生育状態を数値的に把握することによって、生産者は現在の生育状態に対する環境条件や養水分制御等栽培管理の適否を判断することができる。この適否判断に基づく栽培管理の調節・変更によって、生産目的に応じた野菜・花き類の収量、品質の最大化が可能となる。
また、本センサユニット1は簡易な構造かつ小型で、しかも安価なフォトダイオードが活用できるため、低コストでの実用化が期待され、野菜・花き栽培に広く受け入れられる可能性が高く、栽培安定化や規模拡大の促進に大きく寄与する。
すなわち、上記形態のセンサユニット1及び植物の生育状態判定方法によれば、近赤外・可視光センサ5,6を用いた低コストな構成で、植物群落P内に直達光が入射する可能性のある野菜・花き等の栽培条件であっても、且つLAIを含む生理的機能(葉のクロロフィル含量、光合成活性等)であっても、安定的に植物の生育状態を判定することができる。
同様に、上記形態のセンサユニット1A及びセンサユニット1Aを用いた植物の生育状態判定方法によっても、透明なパイプ2Aと、パイプ2Aの両端を閉塞する一対の黒色のカバー板3,4と、パイプ2Aを水平方向に倒伏させた状態でパイプ2Aの上下でカバー板3,4の間に架設されてパイプ2Aに上下方向で重なる一対の黒色のカバー板8,8(第2のカバー板)と、を含み、パイプ2Aを水平方向に倒伏させた状態で一方のカバー板3におけるパイプ2Aの取付側の面でパイプ2Aの内側中央部に、可視光センサ5と近赤外光センサ6とが、それぞれ受光面を他方のカバー板4に向けて取り付けられている。これにより、近赤外・可視光センサ5,6を用いた低コストな構成で、植物群落P内に直達光が入射する可能性のある野菜・花き等の栽培条件であっても、且つLAIを含む生理的機能(葉のクロロフィル含量、光合成活性等)であっても、安定的に植物の生育状態を判定することができる。
なお、パイプ及びカバー板のサイズは上記形態の数値に限らず、適宜変更可能である。パイプの横断面形状も、円形に限らず、楕円形や長円形、六角形や八角形等の多角形であってもよい。
また、パイプ両端に取り付けるカバー板も、正方形に限らず、長方形や多角形、円形等も採用できる。
1,1A・・植物群落透過光センサユニット、2,2A・・パイプ、3,4・・カバー板、5・・可視光検知用センサ、6・・近赤外光検知用センサ、7・・ケーブル、8・・カバー板(第2のカバー板)、10・・演算部、11・・記憶部、P・・植物群落。

Claims (6)

  1. 可視光を検知する可視光センサと、近赤外光を検知する近赤外光センサとを備えて植物の生育状態を判定するために用いられる植物群落透過光センサユニットであって、
    透明なパイプと、
    前記パイプの両端を閉塞する一対の黒色のカバー板と、を含み、
    前記パイプを鉛直方向に起立させた状態で上側の前記カバー板の下面で前記パイプの内側中央部に、前記可視光センサと前記近赤外光センサとが、それぞれ受光面を下向きにして取り付けられていることを特徴とする植物群落透過光センサユニット。
  2. 前記カバー板は、3cm角〜7cm角の正方形であり、前記パイプの長さは略10cmであることを特徴とする請求項1に記載の植物群落透過光センサユニット。
  3. 請求項1又は2に記載の植物群落透過光センサユニットを、前記パイプが起立する縦向き姿勢で植物群落内にセットして、前記パイプの周囲から入射する散乱光を前記可視光センサと前記近赤外光センサとで測定し、所定の時間帯での近赤外光と可視光との比を算出して、当該比に対応した生育状態を判定することを特徴とする植物の生育状態判定方法。
  4. 可視光を検知する可視光センサと、近赤外光を検知する近赤外光センサとを備えて植物の生育状態を判定するために用いられる植物群落透過光センサユニットであって、
    透明なパイプと、
    前記パイプの両端を閉塞する一対の黒色のカバー板と、
    前記パイプを水平方向に倒伏させた状態で前記パイプの上下で前記カバー板の間に架設されて前記パイプに上下方向で重なる一対の黒色の第2のカバー板と、を含み、
    前記パイプを水平方向に倒伏させた状態で一方の前記カバー板における前記パイプの取付側の面で前記パイプの内側中央部に、前記可視光センサと前記近赤外光センサとが、それぞれ受光面を他方の前記カバー板に向けて取り付けられていることを特徴とする植物群落透過光センサユニット。
  5. 前記第2のカバー板の幅は略7cmであり、前記パイプの長さは5cm〜10cmであることを特徴とする請求項4に記載の植物群落透過光センサユニット。
  6. 請求項4又は5に記載の植物群落透過光センサユニットを、前記パイプが倒伏する横向き姿勢で植物群落内にセットして、前記パイプの側方から入射する散乱光を前記可視光センサと前記近赤外光センサとで測定し、所定の時間帯での近赤外光と可視光との比を算出して、当該比に対応した生育状態を判定することを特徴とする植物の生育状態判定方法。
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