JP2020198292A - 正極活物質及びそれを用いた二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】十分に高い放電容量を有する二次電池を実現するとともに、二次電池の放電容量維持率の低下を抑制する正極活物質を提供する。【解決手段】本開示の一態様における正極活物質10は、リチウム複合酸化物を含む粒子1と、リン酸アンモニウム化合物と下記式(1)で表される構造単位を含む重合体とを有し、粒子1を被覆する被覆層2と、を備える。[式(1)中、Rは、水素原子又はメチル基である。]【選択図】図1

Description

本開示は、正極活物質及びそれを用いた二次電池に関する。
非水溶媒を含む電解液は、非水電解質と呼ばれる。非水電解質を備える二次電池のサイクル特性を高めるためには、非水溶媒の分解を伴う副反応を抑制することが重要である。
副反応を抑制するために、その副反応の反応場となりうる正極活物質の表面について様々な改良が試みられている。例えば、特許文献1には、副反応を抑制するために、正極活物質に含まれるリチウム複合酸化物の粒子表面をmLi1+xAlxTi2-x(PO43・nLiOHで表される固体電解質によって被覆することが開示されている。
特開2018−206669号公報
従来の正極活物質を含む二次電池では、充放電サイクルの繰り返しに伴って放電容量維持率が著しく低下することがある。さらに、従来の正極活物質を含む二次電池は、十分に高い放電容量を有していないことがある。
本開示の一態様における正極活物質は、
リチウム複合酸化物を含む粒子と、
リン酸アンモニウム化合物と下記式(1)で表される構造単位を含む重合体とを有し、前記粒子を被覆する被覆層と、
を備える。
Figure 2020198292
[式(1)中、Rは、水素原子又はメチル基である。]
本開示は、十分に高い放電容量を有する二次電池を実現するとともに、二次電池の放電容量維持率の低下を抑制する正極活物質を提供する。
図1は、本実施形態にかかる正極活物質の断面図である。 図2は、本開示の正極活物質を含む二次電池を模式的に示す縦断面図である。 図3は、図2に示す二次電池の領域IIIにおける拡大断面図である。
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら説明する。ただし、本開示は、以下の実施形態に限定されない。
(正極活物質の実施形態)
図1は、本実施形態にかかる正極活物質10の断面図である。図1に示すように、正極活物質10は、粒子1及び被覆層2を備える。被覆層2は、粒子1を被覆している。被覆層2は、粒子1の表面全体を被覆していてもよく、粒子1の表面を部分的に被覆していてもよい。被覆層2は、膜状であってもよく、アイランド状であってもよい。被覆層2は、例えば、粒子1に直接接している。
粒子1は、リチウム複合酸化物を含む。粒子1は、リチウム複合酸化物を主成分として含んでいてもよい。「主成分」とは、粒子1に重量比で最も多く含まれた成分を意味する。粒子1は、実質的にリチウム複合酸化物からなっていてもよい。「実質的に〜からなる」は、言及された材料の本質的特徴を変更する他の成分を排除することを意味する。ただし、粒子1は、リチウム複合酸化物の他に不純物を含んでいてもよい。粒子1がリチウム複合酸化物を含むことによって、正極活物質10は、リチウムイオンを吸蔵及び放出することができる。
リチウム複合酸化物は、例えば、リチウム及び遷移金属を含む金属酸化物である。リチウム複合酸化物は、例えば、ニッケル、コバルト及びマンガンからなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。リチウム複合酸化物は、ニッケル及びコバルトからなる群より選ばれる少なくとも1つを含んでいてもよい。言い換えると、リチウム複合酸化物は、ニッケル、コバルト及びマンガンからなる群より選ばれる少なくとも1つと、リチウムとを含む金属酸化物であってもよく、ニッケル、コバルト及びリチウムを含む金属酸化物であってもよい。リチウム複合酸化物において、ニッケル、コバルト及びマンガンの原子数の合計値に対するニッケルの原子数の比率は、例えば、50%以上である。
リチウム複合酸化物は、例えば、結晶構造を有する。リチウム複合酸化物の結晶構造は、特に限定されない。リチウム複合酸化物は、例えば、空間群R−3m又はC2/mに属する結晶構造を有する。このようなリチウム複合酸化物では、二次電池の充放電に伴う結晶格子の膨張及び収縮が比較的小さい。そのため、このリチウム複合酸化物は、二次電池の非水電解質中で劣化しにくい。このリチウム複合酸化物を含む二次電池は、優れたサイクル特性を有する。さらに、リチウム複合酸化物によれば、放電状態の二次電池を組み立てることができる。
被覆層2は、リン酸アンモニウム化合物と下記式(1)で表される構造単位を含む重合体とを有する。本明細書では、式(1)で表される構造単位を含む重合体を「重合体P」と呼ぶことがある。
Figure 2020198292
[式(1)中、Rは、水素原子又はメチル基である。]
リン酸アンモニウム化合物は、リン酸イオン及びアンモニウムイオンを含む塩である。本明細書において、アンモニウムイオンは、NH4 +だけでなく、NH4 +に含まれる少なくとも1つの水素原子が置換基によって置換された第一級から第三級アンモニウムイオンも含む。アンモニウムイオンが含む置換基としては、例えば、炭化水素基が挙げられる。炭化水素基の炭素数は、例えば、1以上である。炭化水素基の炭素数の上限値は、特に限定されず、例えば、3である。炭化水素基は、鎖状であってもよく、環状であってもよい。炭化水素基は、例えば、飽和脂肪族基である。飽和脂肪族基としては、メチル基、エチル基、プロピル基などが挙げられる。炭化水素基に含まれる水素原子は、フッ素原子などのハロゲン原子によって置換されていてもよい。リン酸アンモニウム化合物において、アンモニウムイオンの一部は、リチウムイオンによって置換されていてもよい。
リン酸アンモニウム化合物は、下記式(2)で表される化合物であってもよい。
Lix(NR43-xPO4 (2)
ただし、式(2)において、xは、以下の関係式を充足する:0.10≦x≦2.90。複数のRは、互いに独立して、水素原子、又は、組成式Cαβγで表される飽和脂肪族基である。この飽和脂肪族基において、α、β及びγは、以下の関係式を充足する整数である:α≧1、β≧0、γ≧0、β+γ=2α+1。式(2)において、全てのRが水素原子であってもよい。
式(2)において、xの値は、例えば、次の方法によって特定できる。まず、正極活物質10について、TG−GC/MS(熱重量−ガスクロマトグラフ質量分析:Thermogravimetric Gas Chromatography-Mass Spectrometry)測定を行う。TG−GC/MS測定では、正極活物質10に含まれるリン酸アンモニウム化合物が熱分解し、NH3ガスが生じる。NH3ガスを定量分析することによって、リン酸アンモニウム化合物に含まれるアンモニウムイオンの量を特定できる。アンモニウムイオンの量は、正極活物質10についてTG−GC/MS測定を5回行い、得られた値に基づいて決定してもよい。次に、リン酸アンモニウム化合物に含まれるリン酸イオンの量を特定する。リン酸アンモニウム化合物に含まれるリン酸イオンの量は、例えば、誘導結合プラズマ(ICP)発光分光法によって特定できる。リン酸アンモニウム化合物に含まれるアンモニウムイオンの量及びリン酸イオンの量に基づいて、xの値を算出することができる。
式(2)のxの値は、例えば、リチウム複合酸化物の重量に対する被覆層2の重量の比率に応じて変動する。この比率が低ければ低いほどxの値が増加し、比率が高ければ高いほどxの値が減少する傾向がある。xの値は、正極活物質10の被覆層2を作製するときの条件及び周囲環境によっても変化することがある。
重合体Pは、式(1)で表される構造単位を含む限り、特に限定されない。重合体Pにおける式(1)で表される構造単位の含有率は、50mol%以上であってもよく、80mol%以上であってもよい。重合体Pは、実質的に式(1)で表される構造単位からなっていてもよい。重合体Pは、ポリ(メタ)アクリル酸リチウムであってもよく、ポリアクリル酸リチウムであってもよい。
重合体Pの重量平均分子量は、特に限定されない。重合体Pの重量平均分子量は、25000以上であってもよく、250000以上であってもよく、450000以上であってもよく、1000000以上であってもよい。重合体Pの重量平均分子量が大きければ大きいほど、二次電池の放電容量維持率の低下が抑制される傾向がある。重合体Pの重量平均分子量の上限値は、特に限定されず、例えば、3000000である。重合体Pの重量平均分子量は、25000以上1000000以下であってもよく、250000以上1000000以下であってもよい。
被覆層2におけるリン酸アンモニウム化合物の重量と重合体Pの重量との割合は、リン酸アンモニウム化合物の単一層又は重合体Pの単一層が形成されない限り任意の範囲であってもよい。被覆層2において、重合体Pの重量に対するリン酸アンモニウム化合物の重量の割合は、特に限定されず、1/9以上9/1以下であってもよく、2/8以上8/2以下であってもよく、4/6以上8/2以下であってもよい。
リチウム複合酸化物の重量に対する被覆層2の重量の比率Aは、特に限定されない。比率Aは、リチウム複合酸化物と二次電池に含まれる非水溶媒との副反応を十分に抑制する観点から、0.3wt%以上であってもよい。ただし、比率Aが高すぎると、リチウム複合酸化物と非水溶媒との間におけるリチウムイオンの移動が阻害されることがある。すなわち、比率Aが高すぎると、リン酸アンモニウム化合物及び重合体Pが抵抗成分として機能し、二次電池の放電容量が低下することがある。そのため、比率Aは、2.0wt%以下であってもよい。比率Aは、0.3wt%以上2.0wt%以下であってもよい。
正極活物質10の形状は、例えば、粒子状である。本明細書では、「粒子状」は、球状、楕円体状、鱗片状及び繊維状を含む。正極活物質10の平均粒径は、例えば、5μm以上50μm以下である。正極活物質10の平均粒径は、レーザー回折散乱法によって測定された粒度分布において、50%の累積体積百分率に相当する粒径(D50)を意味する。
正極活物質10は、例えば、次の方法によって作製できる。まず、下記式(3)で表される構造単位を含む重合体Qを準備する。
Figure 2020198292
[式(3)中、Rは、水素原子又はメチル基である。]
次に、重合体Qを含む溶液を調製する。この溶液の溶媒は、例えば、水である。この溶液に水酸化リチウムを加える。これにより、重合体Qに含まれるカルボキシル基が水酸化リチウムによって中和され、重合体Pが形成される。次に、エバポレーターなどを用いて、重合体Pを含む溶液を濃縮する。得られた濃縮物を乾燥することによって重合体Pが得られる。次に、重合体Pとリン酸アンモニウム化合物とを含む溶液を調製する。この溶液の溶媒は、例えば、水である。次に、溶液を粒子1に塗布する。例えば、溶液と粒子1とを混合することによって、溶液を粒子1に塗布できる。次に、溶液が塗布された粒子1を乾燥させることによって、正極活物質10を作製できる。
従来の正極活物質を含む二次電池では、二次電池の充電時に、正極活物質に含まれるリチウム複合酸化物と、非水電解質に含まれる非水溶媒との副反応が進行する。詳細には、二次電池の充電によって正極電位が上昇すればするほど、リチウム複合酸化物の還元力が向上する。これにより、リチウム複合酸化物に含まれる遷移金属が還元され、非水電解質に溶出する。一方、非水電解質では、非水溶媒の一部が酸化され、分解する。
これに対して、本実施形態の正極活物質10では、被覆層2に含まれるリン酸アンモニウム化合物及び重合体Pによって、粒子1の表面に絶縁性が付与されている。被覆層2によれば、リチウム複合酸化物に含まれる遷移金属の還元及び溶出が抑制される。特に、被覆層2によれば、リチウム複合酸化物から非水電解質に溶出しやすいニッケル、コバルト、マンガンなどの溶出も抑制できる。遷移金属の還元及び溶出が抑制されることによって、非水溶媒の酸化分解も抑制される。非水溶媒の酸化分解が抑制されることによって、二次電池の放電容量維持率の低下が抑制される。このように、本実施形態の正極活物質10によれば、二次電池のサイクル特性が向上する。さらに、被覆層2は、リチウム複合酸化物と非水溶媒との間におけるリチウムイオンの移動を比較的阻害しにくい。そのため、正極活物質10によれば、十分に高い放電容量を有する二次電池を実現することもできる。
(二次電池の実施形態)
図2は、本開示の正極活物質を含む二次電池100を模式的に示す縦断面図である。図2に示すように、二次電池100は、円筒形の電池ケース、巻回式の電極群14及び図示しない非水電解質を備える円筒形電池である。電極群14は、電池ケース内に収容されており、非水電解質と接している。
電池ケースは、有底円筒形の金属製容器であるケース本体15と、ケース本体15の開口部を封口する封口体16とによって構成されている。ケース本体15と封口体16との間には、ガスケット27が配置されている。ガスケット27によって、電池ケースの密閉性が確保されている。ケース本体15内において、電極群14の巻回軸方向における電極群14の両端には、絶縁板17及び18がそれぞれ配置されている。
ケース本体15は、例えば、段部21を有する。段部21は、ケース本体15の側壁を部分的に外側からプレスすることによって形成することができる。段部21は、ケース本体15の側壁において、ケース本体15によって規定された仮想円の周方向に沿って環状に形成されていてもよい。このとき、封口体16は、例えば、段部21の開口部側の面によって支持される。
封口体16は、フィルタ22、下弁体23、絶縁部材24、上弁体25及びキャップ26を備えている。封口体16では、これらの部材がこの順番で積層されている。封口体16は、キャップ26がケース本体15の外側に位置し、フィルタ22がケース本体15の内側に位置するように、ケース本体15の開口部に装着される。
封口体16を構成する上記の各部材のそれぞれは、例えば、円板形状又はリング形状である。上記の各部材は、絶縁部材24を除いて、互いに電気的に接続している。
電極群14は、正極11、負極12及びセパレータ13を有する。正極11、負極12及びセパレータ13は、いずれも帯状である。帯状の正極11及び負極12の幅方向は、例えば、電極群14の巻回軸に平行である。セパレータ13は、正極11と負極12との間に配置されている。正極11及び負極12は、これらの電極の間にセパレータ13を介在させた状態で渦巻状に巻回されている。
電極群14の巻回軸に垂直な方向における二次電池100の断面を観察したとき、正極11及び負極12は、これらの電極間にセパレータ13を介在させた状態で、ケース本体15によって規定された仮想円の半径方向に交互に積層されている。
正極11は、正極リード19を介して、正極端子を兼ねるキャップ26と電気的に接続されている。正極リード19の一端は、例えば、正極11の長さ方向における正極11の中央付近に接続されている。正極リード19は、絶縁板17に形成された貫通孔を通って、正極11からフィルタ22まで延びている。正極リード19の他端は、例えば、フィルタ22の電極群14側の面に溶接されている。
負極12は、負極リード20を介して、負極端子を兼ねるケース本体15と電気的に接続されている。負極リード20の一端は、例えば、負極12の長さ方向における負極12の端部に接続されている。負極リード20の他端は、例えば、ケース本体15の内底面に溶接されている。
以下では、二次電池100の構成について具体的に説明する。本実施形態の二次電池100では、正極活物質を除き、公知の材料を特に制限なく利用できる。
[正極11]
図3は、図2に示す二次電池100の領域IIIにおける拡大断面図である。図3に示すように、正極11は、例えば、正極集電体30及び正極合材層31を有する。正極集電体30及び正極合材層31のそれぞれは、例えば、帯状である。正極集電体30は、例えば、互いに向かい合う1対の主面を有する。「主面」とは、正極集電体30の最も広い面積を有する面を意味する。正極合材層31は、例えば、正極集電体30上に形成されており、正極集電体30の表面に配置されている。正極集電体30は、例えば、正極合材層31に直接接している。図3に示すように、正極11では、2つの正極合材層31が、それぞれ、正極集電体30の1対の主面上に形成されていてもよい。ただし、正極11では、1つの正極合材層31が正極集電体30の一方の主面上に形成されているだけであってもよい。正極11において、正極リード19と接続している領域、及び負極12と対向していない領域からなる群より選ばれる少なくとも1つでは、正極集電体30の一方の主面上のみに正極合材層31が形成されていてもよい。
正極集電体30の材料としては、例えば、金属材料が挙げられる。金属材料としては、ステンレス鋼、鉄、銅、アルミニウムなどが挙げられる。
正極合材層31は、上述した正極活物質を必須成分として含む。正極合材層31は、正極活物質を主成分として含んでいてもよい。正極合材層31における正極活物質の含有率は、例えば、80wt%以上99.5wt%以下である。正極合材層31は、導電材及び結着材からなる群より選ばれる少なくとも1つを任意成分としてさらに含んでいてもよい。正極合材層31は、必要に応じて、導電材及び結着材以外の添加剤を含んでいてもよい。
導電材は、例えば、炭素材料を含む。炭素材料としては、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、黒鉛などが挙げられる。カーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなどが挙げられる。正極合材層31は、導電材を1種又は2種以上含んでいてもよい。結着材としては、フッ素樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ゴム状重合体などが挙げられる。フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなどが挙げられる。正極合材層31は、結着材を1種又は2種以上含んでいてもよい。
正極集電体30と正極合材層31との間には、必要に応じて、導電性の炭素材料を含む層が配置されていてもよい。炭素材料としては、導電材について上述した材料が挙げられる。
正極11は、例えば、次の方法によって作製することができる。まず、正極合材層31の材料と分散媒とを含むスラリーを調製する。分散媒としては、水及び有機媒体からなる群より選ばれる少なくとも1つを用いることができる。次に、スラリーを正極集電体30の表面に塗布する。得られた塗膜を乾燥させた後に圧延することによって、正極11を作製できる。正極11が炭素材料を含む層を有する場合は、正極合材層31を作製する前に炭素材料を含む層を作製する。炭素材料を含む層は、例えば、次の方法によって作製することができる。まず、炭素材料を含む分散液を調製する。分散液を正極集電体30の表面に塗布する。得られた塗膜を乾燥させることによって炭素材料を含む層を作製できる。
[負極12]
負極12は、負極集電体40を備えている。図3に示すように、放電状態の二次電池100において、負極12は、例えば、負極集電体40のみからなる。このとき、二次電池100は、高い体積エネルギー密度を確保しやすい。本開示において、放電状態とは、二次電池100の定格容量をCと定義したときに、0.05×C以下の充電状態(SOC:State of Charge)まで二次電池100の放電を行った状態を意味する。放電状態は、例えば、0.05Cの定電流で、二次電池100の下限電圧まで二次電池100を放電した状態を意味する。二次電池100の下限電圧は、例えば、2.5Vである。
負極集電体40は、通常、導電性シートから構成されている。負極集電体40の材料は、金属、合金などの金属材料であってもよい。金属材料としては、例えば、リチウム金属及びリチウム合金が挙げられる。負極集電体40は、リチウム金属又はリチウム合金で構成されていてもよい。金属材料は、リチウムと反応しない材料であってもよい。このような材料には、リチウム金属及びリチウムイオンからなる群より選ばれる少なくとも1つと反応しない材料が含まれる。より具体的には、金属材料は、リチウムと合金及び金属間化合物のいずれも形成しない材料であってもよい。このような金属材料としては、例えば、銅、ニッケル、鉄、及びこれらの金属元素を含む合金が挙げられる。合金は、銅合金、ステンレス鋼などであってもよい。高い導電性を有し、二次電池100の容量及び充放電効率を向上させやすい観点から、金属材料は、銅及び銅合金からなる群より選ばれる少なくとも1つであってもよい。負極集電体40は、これらの金属材料を1種又は2種以上含んでいてもよい。負極集電体40は、金属材料以外の他の導電性材料を含んでいてもよい。
負極集電体40としては、箔、フィルムなどが利用される。負極集電体40は、多孔質であってもよい。高い導電性を確保しやすい観点から、負極集電体40は、金属箔であってもよく、銅を含む金属箔であってもよい。銅を含む金属箔としては、例えば、銅箔及び銅合金箔が挙げられる。金属箔における銅の含有率は、50wt%以上であってもよく、80wt%以上であってもよい。特に、金属箔は、金属として実質的に銅のみを含む銅箔であってもよい。負極集電体40の厚さは、例えば、5μm以上20μm以下である。
放電状態の二次電池100において、負極12が負極集電体40のみからなる場合、二次電池100を充電すると、負極12では、リチウム金属が析出する。詳細には、二次電池100を充電すると、非水電解質に含まれるリチウムイオンが負極12から電子を受け取る。これにより、リチウムイオンがリチウム金属に変化し、負極集電体40上に析出する。非水電解質に含まれるリチウムイオンは、非水電解質に添加されたリチウム塩に由来するイオンであってもよく、二次電池100の充電によって、正極活物質から供給されるイオンであってもよく、これらのイオンの両方であってもよい。析出したリチウム金属は、二次電池100の放電によって、リチウムイオンに変化し、非水電解質に溶解する。
放電状態の二次電池100において、負極12は、負極集電体40の表面に配置された負極活物質層をさらに備えていてもよい。負極活物質層は、負極活物質を含む。負極活物質としては、公知のリチウムイオン電池で使用される負極活物質を用いることができる。負極活物質としては、例えば、リチウム金属、リチウム合金、並びに、リチウムイオンを可逆的に吸蔵及び放出可能な材料が挙げられる。リチウム合金としては、リチウム−アルミニウム合金などが挙げられる。
リチウムイオンを可逆的に吸蔵及び放出可能な材料としては、炭素材料、無機材料などが挙げられる。炭素材料としては、例えば、黒鉛、ソフトカーボン、ハードカーボン、非晶質炭素などが挙げられる。無機材料は、例えば、ケイ素及びスズからなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。無機材料としては、例えば、ケイ素単体、ケイ素合金、ケイ素化合物、スズ単体、スズ合金、スズ化合物などが挙げられる。ケイ素化合物及びスズ化合物のそれぞれは、酸化物及び窒化物からなる群より選ばれる少なくとも1つであってもよい。
負極活物質層は、結着材をさらに含んでいてもよい。結着材としては、正極合材層31について上述したものを用いることができる。負極活物質層は、負極活物質及び結着材以外に、導電剤、増粘剤及び他の添加剤からなる群より選ばれる少なくとも1つをさらに含んでいてもよい。負極活物質層の厚さは、特に限定されず、放電状態の二次電池100において、例えば、30μm以上300μm以下である。
負極活物質層を形成する方法は、特に限定されない。負極活物質層は、例えば、電析法、蒸着法などの気相法を利用して、負極活物質を負極集電体40の表面に堆積させることによって作製することができる。負極活物質層は、負極活物質及び結着材を含む負極合剤を負極集電体40の表面に塗布することによって作製することもできる。負極合剤は、必要に応じて、負極活物質及び結着材以外の他の材料を含んでいてもよい。
負極活物質層がリチウムイオンを吸蔵及び放出可能な材料を含む場合、二次電池100を充電すると、負極活物質層がリチウムイオンを吸蔵する。次に、二次電池100を放電させると、この負極活物質層は、リチウムイオンを放出する。
負極12は、さらに保護層を含んでいてもよい。保護層は、例えば、負極集電体40の表面に形成されている。負極12が負極活物質層を有するとき、保護層は、負極活物質層の表面に形成されていてもよい。保護層によれば、負極12の表面における反応をより均一に進行させることができる。保護層によれば、例えば、負極12においてリチウム金属がより均一に析出しやすい。
保護層の材料としては、リチウムイオンの伝導を阻害しない材料が使用される。保護層は、例えば、有機物及び無機物からなる群より選ばれる少なくとも1つから構成される。有機物としては、リチウムイオン伝導性を有するポリマーなどが挙げられる。このようなポリマーとしては、ポリエチレンオキサイド、ポリメタクリル酸メチルなどが例示される。無機物としては、セラミックス、固体電解質などが挙げられる。セラミックスとしては、SiO2、Al23、MgOなどが挙げられる。
保護層を構成する固体電解質は、特に限定されず、例えば、硫化物系固体電解質、リン酸系固体電解質、ペロブスカイト系固体電解質、ガーネット系固体電解質などが挙げられる。比較的低コストで、入手も容易である観点から、固体電解質は、硫化物系固体電解質及びリン酸系固体電解質からなる群より選ばれる少なくとも1つであってもよい。
硫化物系固体電解質は、硫黄成分を含有し、リチウムイオン伝導性を有する固体電解質であれば特に限定されない。硫化物系固体電解質は、例えば、S、Li及びこれら以外の他の元素を含んでいてもよい。他の元素としては、例えば、P、Ge、B、Si、I、Al、Ga及びAsからなる群より選ばれる少なくとも1つが挙げられる。硫化物系固体電解質としては、Li2S−P25、70Li2S−30P25、80Li2S−20P25、Li2S−SiS2、LiGe0.250.754などが挙げられる。
リン酸系固体電解質としては、リン酸成分を含有し、リチウムイオン伝導性を有する固体電解質であれば特に限定されない。リン酸系固体電解質としては、Li1+XAlXTi2-X(PO43、Li1+XAlXGe2-X(PO43などが挙げられる。上記の組成式において、Xは、例えば、以下の関係式を充足する:0<X<2。Xは、以下の関係式を充足してもよい:0<X≦1。Li1+XAlXTi2-X(PO43は、例えば、Li1.5Al0.5Ti1.5(PO43である。
[セパレータ13]
セパレータ13は、例えば、イオン透過性及び絶縁性を有する。セパレータ13としては、例えば、多孔性シートが用いられる。セパレータ13としては、例えば、微多孔フィルム、織布及び不織布が挙げられる。セパレータ13の材料は、特に限定されず、高分子材料であってもよい。
高分子材料としては、オレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロースなどが挙げられる。オレフィン樹脂は、エチレン及びプロピレンからなる群より選ばれる少なくとも1つをモノマー単位として含む重合体を含んでいてもよい。この重合体は、単独重合体であってもよく、共重合体であってもよい。この重合体としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが挙げられる。
セパレータ13は、高分子材料の他に、必要に応じて、添加剤をさらに含んでいてもよい。添加剤としては、無機フィラーなどが挙げられる。
[非水電解質]
非水電解質は、非水溶媒及びリチウム塩を含む。リチウム塩は、非水溶媒に溶解している。非水溶媒は、特に限定されず、環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステル、環状カルボン酸エステル、鎖状カルボン酸エステル、鎖状エーテル、鎖状ニトリルなどを含む。環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステル、カルボン酸エステルなどは、酸化分解されやすい化合物である。本実施形態の正極活物質によれば、酸化分解されやすい化合物を含む非水溶媒を用いることができる。
環状炭酸エステルとしては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート及びこれらの化合物に含まれる水素原子の一部がフルオロ基によって置換された誘導体が挙げられる。フルオロ基を有する誘導体としては、フルオロエチレンカーボネート、トリフルオロプロピレンカーボネートなどが挙げられる。
鎖状炭酸エステルとしては、例えば、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート及びこれらの化合物に含まれる水素原子の一部がフルオロ基によって置換された誘導体が挙げられる。フルオロ基を有する誘導体としては、フルオロジメチルカーボネート、トリフルオロエチルメチルカーボネートなどが挙げられる。
環状カルボン酸エステルとしては、例えば、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン及びこれらの化合物に含まれる水素原子の一部がフルオロ基によって置換された誘導体が挙げられる。
鎖状カルボン酸エステルとしては、例えば、メチルアセテート、エチルアセテート、プロピルアセテート、メチルジメチルアセテート、メチルトリメチルアセテート、メチルプロピオネート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネート及びこれらの化合物に含まれる水素原子の一部がフルオロ基によって置換された誘導体が挙げられる。フルオロ基を有する誘導体としては、トリフルオロエチルアセテート、メチルトリフルオロプロピオネートなどが挙げられる。
非水溶媒は、上述の化合物を1種又は2種以上含んでいてもよい。
リチウム塩としては、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiN(SO2F)2、LiN(SO2CF32、リチウムビスオキサレートボレート(LiBOB(Lithiumbis(oxalate)borate))、リチウムジフルオロオキサレートボレート(LiDFOB(Lithiumdifluoro(oxalate)borate))などが挙げられる。リチウム塩は、例えば、LiBF4、LiPF6、LiN(SO2CF32、LiN(SO2F)2、LiBOB及びLiDFOBからなる群より選ばれる少なくとも1つを含んでいてもよい。非水電解質のイオン伝導率をより向上させる観点から、リチウム塩は、LiBF4、LiPF6、LiN(SO2F)2及びLiDFOBからなる群より選ばれる少なくとも1つを含んでいてもよい。非水電解質におけるリチウム塩の濃度は、特に限定されず、例えば、0.5mol/L以上3.5mol/L以下である。
非水電解質は、添加剤をさらに含んでいてもよい。添加剤によって、負極12上に被膜が形成されてもよい。添加剤に由来する被膜が負極12上に形成されることによって、二次電池100の充放電反応がより均一に進行しやすい。これにより、二次電池100において、高い放電容量が確保されるとともに、サイクル特性の低下がさらに抑制される。このような添加剤としては、ビニレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネートなどが挙げられる。添加剤は、これらの化合物を1種又は2種以上含んでいてもよい。
[その他]
本開示では、円筒形の電池ケースを備えた円筒形の二次電池100について説明している。ただし、本実施形態の二次電池100は、上記に限られない。二次電池100は、例えば、角形の電池ケースを備えた角形電池、アルミニウムを含むラミネートシートなどの外装体を備えたラミネート電池などであってもよい。ラミネート電池の外装体は、樹脂を含んでいてもよい。同様に、電極群14は、巻回型でなくてもよい。電極群14は、複数の正極と複数の負極とがセパレータを介して交互に積層された積層型の電極群であってもよい。
以下、本開示の実施形態を実施例に基づいてさらに具体的に説明する。ただし、本開示は、以下の実施例に限定されない。
<比較例1から3及び実施例1から17>
[二次電池の作製]
以下の手順で、図2に示す構造を有する二次電池を作製した。
(1)重合体P
まず、重量平均分子量100万のポリアクリル酸(和光純薬工業社製)を純水に溶解させ、水溶液を得た。水溶液に水酸化リチウムを加えることによって、ポリアクリル酸に含まれるカルボキシル基を中和した。次に、得られた溶液をエバポレーターによって濃縮した。真空乾燥機を用いて、得られた濃縮物を105℃で12時間乾燥させることによってポリアクリル酸リチウム(重合体P)を得た。
(2)正極活物質
まず、Li1.2Ni0.133Co0.133Mn0.5332で表されるリチウム複合酸化物でできた粒子を準備した。比較例1及び2では、この粒子を正極活物質として用いた。比較例3では、比較例1及び2で用いた粒子をポリアクリル酸リチウムによって被覆した。実施例1から17では、比較例1及び2で用いた粒子をリン酸トリアンモニウム及びポリアクリル酸リチウムによって被覆した。粒子の被覆は、次の方法によって行った。まず、ポリアクリル酸リチウムに対するリン酸トリアンモニウムの重量比が表1に示す値に調節されるように、ポリアクリル酸リチウム及びリン酸トリアンモニウムを混合した。次に、得られた混合物を純水に溶解させ、水溶液を得た。次に、得られた正極活物質において、リチウム複合酸化物の重量に対する被覆層の重量の比率Aが表1に示す値に調節されるように、上記の水溶液とリチウム複合酸化物の粒子とをメノウ乳鉢に加え、これらを混錬した。このとき、水溶液に含まれる水が蒸発し、リン酸トリアンモニウム及びポリアクリル酸リチウムが析出した。これにより、リチウム複合酸化物の粒子がリン酸アンモニウム化合物及びポリアクリル酸リチウムによって被覆された。得られた粒子を真空下105℃で12時間乾燥させることによって正極活物質を得た。
(3)正極
上記(2)で得た正極活物質と、導電材としてのアセチレンブラックと、結着材としてのポリフッ化ビニリデンとを100:3:1の質量比で混合した。得られた混合物に、分散媒としてN−メチル−2−ピロリドンを適量加えた。混合物及び分散媒を撹拌することによって、正極合材スラリーを調製した。
次に、正極集電体としてアルミニウム箔を準備した。アルミニウム箔の1対の主面の両方に正極合材スラリーを塗布した。得られた塗布膜を乾燥させ、乾燥物を得た。次に、ローラーを用いて、乾燥物の厚さ方向に乾燥物を圧縮した。得られた積層体を所定のサイズに切断することによって、正極集電体の1対の主面の両方に正極合材層を備える正極を得た。なお、正極集電体の主面のうち、一部の領域については、正極合材層を形成しなかった。この領域において、正極集電体が外部に露出していた。この領域において、アルミニウム製の正極リードの一端を正極集電体に溶接して取り付けた。
(4)負極
厚さ12μmの電解銅箔を所定のサイズに切断することによって負極を作製した。
(5)非水電解質
まず、表1に示す非水溶媒及びリチウム塩を準備した。非水溶媒は、2種類の化合物の混合物であった。表1には、非水溶媒における2種類の化合物の体積比も示されている。次に、リチウム塩を非水溶媒に溶解させることによって、液状の非水電解質を得た。非水電解質におけるリチウム塩の濃度は、1.0mol/Lであった。表1に示す非水溶媒及びリチウム塩は、以下のとおりである。
・非水溶媒
(a)FEC:フルオロエチレンカーボネート
(b)DMC:ジメチルカーボネート
(c)MA:メチルアセテート
・リチウム塩
(d)LiPF6:リチウムヘキサフルオロホスフェート
(e)LiFSI:リチウムビススルホニルイミド
(6)二次電池
不活性ガス雰囲気下で、セパレータを介して、上記(3)で得られた正極と、上記(4)で得られた負極とを積層した。セパレータとしては、ポリエチレン製の微多孔フィルムを用いた。詳細には、正極、セパレータ、負極及びセパレータをこの順番で積層した。得られた積層体を渦巻状に巻回することによって電極群を作製した。得られた電極群を袋状の外装体に収容した。外装体は、Al層を備えるラミネートシートから構成されていた。次に、外装体に非水電解質を注入し、外装体を封止した。これにより、比較例1から3及び実施例1から17の二次電池を得た。
[二次電池の評価]
得られた二次電池について、下記の手順で充放電試験を行うことによって、二次電池の放電容量及びサイクル特性を評価した。
まず、25℃の恒温槽内において二次電池の充電を行った。次に、20分間休止してから、二次電池の放電を行った。二次電池の充電及び放電の条件は、以下のとおりである。
(充電)
まず、電極の面積1平方センチメートル当たり10mAの電流で定電流充電を行った。定電流充電は、二次電池の電池電圧が4.7Vに達するまで行った。次に、4.7Vの電圧で定電圧充電を行った。定電圧充電は、電極の面積1平方センチメートル当たりの電流値が1mAに達するまで行った。
(放電)
電極の面積1平方センチメートル当たり10mAの電流で定電流放電を行った。定電流放電は、二次電池の電池電圧が2.5Vに達するまで行った。
上記の充電及び放電を1サイクルと定義する。充放電試験では、上記の充電及び放電を60サイクル行った。1サイクル目の二次電池の放電容量を初回放電容量と定義する。初回放電容量に対する60サイクル目の二次電池の放電容量の比率を放電容量維持率(%)と定義する。放電容量維持率は、二次電池のサイクル特性の指標として用いることができる。比較例1から3及び実施例1から17の二次電池の評価結果を表1に示す。表1には、非水電解質に使用した非水溶媒及びリチウム塩も併せて示す。
Figure 2020198292
比較例1及び2と実施例1から17との対比から明らかなように、正極活物質において、リチウム複合酸化物を含む粒子がリン酸アンモニウム化合物及び重合体Pを含む被覆層によって被覆されている場合、当該正極活物質を含む二次電池では、放電容量維持率の低下が十分に抑制されていた。言い換えると、この正極活物質を含む二次電池において、サイクル特性が向上していた。さらに、比較例3と実施例1から17との対比から明らかなように、被覆層がリン酸アンモニウム化合物を含むことによって、高い初回放電容量を有する二次電池が得られた。比較例3において、ポリアクリル酸リチウムのみからなる被覆層は、柔軟性に乏しく、硬かった。比較例3では、硬い被覆層がリチウムイオンの移動を阻害する抵抗成分として機能したと推察される。
比較例1及び2の対比からわかるとおり、カルボン酸エステルを含む非水溶媒は、炭酸エステルからなる非水溶媒に比べて、二次電池の放電容量維持率を低下させる傾向があった。しかし、実施例12及び13の対比からわかるとおり、本実施形態の正極活物質によれば、非水溶媒がカルボン酸エステルを含む場合であっても、高い放電容量維持率を実現できた。
実施例1から17からわかるとおり、リチウム複合酸化物の重量に対する被覆層の重量の比率Aは、0.3wt%以上2.0wt%以下であってもよい。
<実施例18から20>
表2に示す値の重量平均分子量を有するポリアクリル酸リチウムを用いたことを除いて、実施例12と同じ方法によって、実施例18から20の二次電池を作製した。得られた二次電池について、上述の充放電試験を行うことによって、二次電池の放電容量及びサイクル特性を評価した。結果を表2に示す。
Figure 2020198292
実施例12及び18から20と、比較例1との対比から分かるとおり、本実施形態の正極活物質によれば、ポリアクリル酸リチウムの重量平均分子量に関わらず、二次電池のサイクル特性が向上した。特に、実施例12、19及び20から、ポリアクリル酸リチウムの重量平均分子量が25万以上であるときに、二次電池のサイクル特性がより向上することがわかる。そのため、本実施形態の正極活物質において、ポリアクリル酸リチウムの重量平均分子量は、2万5千以上100万以下であってもよく、25万以上100万以下であってもよい。
本開示にかかる正極活物質は、二次電池のサイクル特性を向上させることができる。そのため、本開示にかかる正極活物質を含む二次電池は、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末などの電子機器、ハイブリッド、プラグインハイブリッドなどを含む電気自動車、太陽電池と組み合わせた家庭用蓄電池などの様々な用途に有用である。
1 粒子
2 被覆層
10 正極活物質
11 正極
12 負極
13 セパレータ
14 電極群
15 ケース本体
16 封口体
17,18 絶縁板
19 正極リード
20 負極リード
21 段部
22 フィルタ
23 下弁体
24 絶縁部材
25 上弁体
26 キャップ
27 ガスケット
30 正極集電体
31 正極合材層
40 負極集電体
100 二次電池

Claims (10)

  1. リチウム複合酸化物を含む粒子と、
    リン酸アンモニウム化合物と下記式(1)で表される構造単位を含む重合体とを有し、前記粒子を被覆する被覆層と、
    を備えた、正極活物質。
    Figure 2020198292
    [式(1)中、Rは、水素原子又はメチル基である。]
  2. 前記重合体がポリアクリル酸リチウムである、請求項1に記載の正極活物質。
  3. 前記リチウム複合酸化物の重量に対する前記被覆層の重量の比率が0.3wt%以上2.0wt%以下である、請求項1又は2に記載の正極活物質。
  4. 前記重合体の重量に対する前記リン酸アンモニウム化合物の重量の割合が1/9以上9/1以下である、請求項1から3のいずれか1項に記載の正極活物質。
  5. 前記リチウム複合酸化物は、ニッケル、コバルト及びマンガンからなる群より選ばれる少なくとも1つを含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の正極活物質。
  6. 前記リチウム複合酸化物は、空間群R−3m又はC2/mに属する結晶構造を有する、請求項1から5のいずれか1項に記載の正極活物質。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載の正極活物質を含む正極と、
    リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な負極活物質を含む負極と、
    非水溶媒と前記非水溶媒に溶解したリチウム塩とを含む非水電解質と、
    を備えた、二次電池。
  8. 正極集電体と請求項1から6のいずれか1項に記載の正極活物質を含む正極合材層とを有する正極と、
    負極集電体を有する負極と、
    非水溶媒と前記非水溶媒に溶解したリチウム塩とを含む非水電解質と、
    を備え、
    充電時に前記負極集電体上にリチウム金属が析出し、放電時に前記リチウム金属が前記非水電解質に溶解する、二次電池。
  9. 前記リチウム塩は、LiBF4、LiPF6、LiN(SO2CF32、LiN(SO2F)2、リチウムビスオキサレートボレート、リチウムジフルオロオキサレートボレートからなる群より選ばれる少なくとも1つを含む、請求項7又は8に記載の二次電池。
  10. 前記非水電解質における前記リチウム塩の濃度は、0.5mol/L以上3.5mol/L以下である、請求項7から9のいずれか1項に記載の二次電池。
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