JP2020198033A - 硬貨繰出装置および貨幣処理装置 - Google Patents

硬貨繰出装置および貨幣処理装置 Download PDF

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一馬 菅原
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英生 西田
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Abstract

【課題】小さな径の硬貨から、大きな径の硬貨まで、収納された硬貨を1枚ずつ搬送路に繰出すことが出来る硬貨繰出装置を提供する。【解決手段】表面に複数の突起39を有し、傾斜状態で回転可能に設けられ、回転時に複数の突起により硬貨を引っ掛けて上昇させる円盤31と、円盤の表面との間に硬貨を収容する空間を形成するカバーと、複数の突起39に引っ掛けられて上昇した硬貨を、複数の突起39から外し所定の傾斜角度に維持して搬送する搬送路24aと、搬送路24aを2枚が搬送方向に連続して搬送される硬貨のうちの先頭の硬貨を、搬送路24aから外して空間に落下させる分離ディスク33と、を有する。【選択図】図6

Description

本発明は、硬貨繰出装置および貨幣処理装置に関する。
従来、紙幣および硬貨を含む貨幣の入出金処理を行う貨幣処理装置が知られている。この種の貨幣処理装置としては、例えば、小売店や飲食店に設置される自動釣銭機や、金融機関に設置される入出金機等がある。
特許文献1には、硬貨受入口により機体内に投入された硬貨を金種別に選別し、その金種に対応する収納繰出部に収納するとともに、収納繰出部に収納されている硬貨を当該収納繰出部から繰り出して機体外に出金する硬貨繰出装置が開示されている。
硬貨受入口により機体内に投入された硬貨は、例えば、貯留繰出装置に一時的に貯留される。貯留繰出装置は、傾斜した状態の回転する円盤を備えている。円盤の表面には、貯留された硬貨を引っ掛ける複数の突起が設けられている。貯留繰出装置は、円盤の表面に設けられた複数の突起により、貯留された硬貨を1枚ずつ引っ掛けて上昇させ、搬送路に繰出す。搬送路に繰出された硬貨は、その硬貨の金種に対応する収納繰出部に収納される。
特開2012−174035号公報
ところで、世界には、径の小さな硬貨から径の大きな硬貨まで、様々な径の硬貨が存在する。貯留繰出装置は、様々な径の硬貨を搬送路に繰出せるよう、円盤表面に複数の突起を配置することが考えられる。
しかしながら、幅広い範囲の径の硬貨を搬送路に繰出せるよう、円盤表面に複数の突起を配置すると、複数の突起に、例えば、径の小さな硬貨が2枚並んで引っ掛けられる場合がある。この場合、2枚の硬貨は、2枚並んで(接触または近接した状態で)搬送路に繰出される。2枚の硬貨が、並んで搬送路を搬送されると、2枚の硬貨のそれぞれは、対応する金種の収納繰出部に適切に選別されなくなる場合がある。
そこで本発明は、小さな径の硬貨から、大きな径の硬貨まで、収納された硬貨を1枚ずつ搬送路に繰出す技術を提供することを目的とする。
本発明の硬貨繰出装置は、表面に複数の突起を有し、傾斜状態で回転可能に設けられ、回転時に前記複数の突起により硬貨を引っ掛けて上昇させる円盤と、前記円盤の表面との間に硬貨を収容する空間を形成するカバーと、前記複数の突起に引っ掛けられて上昇した硬貨を、前記複数の突起から外し所定の傾斜角度に維持して搬送する搬送路と、前記搬送路を2枚が搬送方向に連続して搬送される硬貨のうちの先頭の硬貨を、前記搬送路から外して前記空間に落下させる分離体と、を有する。
本発明の貨幣処理装置は、上記の硬貨繰出装置を有する。
本発明によれば、小さな径の硬貨から、大きな径の硬貨まで、収納された硬貨を1枚ずつ搬送路に繰出すことができる。
第1の実施の形態に係る貨幣処理装置の外観斜視図である。 貨幣処理装置の内部構成を示す側面図である。 貨幣処理装置の内部構成を示す正面図である。 硬貨繰出装置の内部構成を示す正面図である。 貨幣処理装置を正面から見たときの搬送路の断面図である。 硬貨繰出装置を円盤の表面側から見た図である。 分離カムの斜視図である。 硬貨繰出装置の一部が示してある。 2枚並んだ硬貨のうち外側の硬貨を落下させる原理を説明する図である。 片寄レバーを説明する図である。 小径の硬貨が円盤に1枚引っ掛けられ上昇する場合を説明する図である。 硬貨繰出装置の一部を円盤の表面側から見た図である。 分離ディスクの斜視図である。 図12のA−A矢視断面図である。 ガイド上を通過する硬貨が搬送路に送出される様子を示した図である。 ガイド上を通過する硬貨が落下する様子を示した図である。 分離ディスクによる硬貨の落下を説明する図である。 分離ディスクによる硬貨の落下を説明する図である。 分離ディスクによる硬貨の落下を説明する図である。 分離ディスクによる硬貨の落下を説明する図である。 分離ディスクによる硬貨の落下を説明する図である。 分離ディスクによる硬貨の落下を説明する図である。 先頭の硬貨の落下を向上させる構造を説明する図である。 第2の実施の形態に係る硬貨繰出装置の一部を円盤の表面側から見た図である。 周方向に2枚並んだ硬貨のうちの先頭の硬貨を落下させる動作を説明する図である。 2枚重なった硬貨のうちの上側の硬貨を落下させる構造を説明する図である。 図21のB−B矢視断面図である。 図9のC−C矢視断面図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る貨幣処理装置1の外観斜視図である。以下では、貨幣処理装置1に対し、図1に示すような3軸の座標を設定する。貨幣処理装置1の−y軸方向側が、装置の正面側である。貨幣処理装置1の正面側には、例えば、後述する入金口11および出金口12が設けられている。貨幣処理装置1の+y軸方向側が、装置の背面側である。
まず、貨幣処理装置1における入金処理、出金処理、および回収処理について簡単に説明する。入金処理は、入金された硬貨を計数し、入金額を確定する処理である。出金処理は、所定の出金情報に基づいて硬貨を出金する処理である。出金情報は、例えば、操作表示部(図示せず)または上位装置(外部装置)から指定される。操作表示部は、例えば、貨幣処理装置1の筐体の上面であって、入金口11の後方に設けられてもよい。
出金情報は、出金すべき金額であってもよいし、出金すべき硬貨の金種と枚数とであってもよい。貨幣処理装置1が自動釣銭機である場合は、出金処理は釣銭硬貨を払い出す処理を含む。また、貨幣処理装置1が両替機である場合は、出金処理は両替硬貨を払い出す処理を含む。
回収処理は、装置の内部にある硬貨を、装置の外部に回収する処理である。回収処理では、装置の内部にあるすべての硬貨を回収してもよいし、一部の硬貨のみを回収してもよい。回収処理は、例えば、硬貨を回収ボックス(図2の回収ボックス27を参照)に収納して回収する方法と、出金口12から回収する方法とがある。
図1に示すように、貨幣処理装置1は、入金口11と、出金口12と、を有している。入金口11は、貨幣処理装置1の筐体の上面に配置されている。入金処理において、利用者が投入した硬貨は、入金口11から機内に受け入れられる。
入金口11には、例えば、様々な金種の硬貨が投入される。言い換えれば、入金口11には、様々な径の硬貨が投入される。機内に受け入れられた硬貨は、自重により、硬貨繰出装置(図2の硬貨繰出装置21を参照)に送られる。硬貨繰出装置は、貯留繰出装置と呼ばれてもよい。
出金口12は、装置前面であって、入金口11の下方に設けられている。出金口12には、貨幣処理装置1に収納された硬貨が出金される。また、出金口12には、入金の際のリジェクト硬貨が出金される。
なお、貨幣処理装置1は、紙幣および硬貨の入出金処理を行う貨幣処理装置であってもよい。
図2は、貨幣処理装置1の内部構成を示す側面図である。図2において、図1と同じものには同じ符号が付してある。図2に示す貨幣処理装置1は、図1に示した貨幣処理装置1に対し、一部形状等を変更して図示している。図2に示すように、貨幣処理装置1は、硬貨繰出装置21と、プーリ22と、ベルト23と、搬送路24a〜24cと、収納繰出部25と、搬送路26と、回収ボックス27と、を有している。図2には、硬貨C1〜C4も示してある。
硬貨繰出装置21は、入金口11の下方に配置され、入金口11に投入された硬貨を一時的に収納(貯留)する。図2の硬貨C1は、入金口11から投入され、硬貨繰出装置21に一時的に収納された硬貨を示している。硬貨繰出装置21は、一時的に収納された硬貨C1を、1枚ずつ搬送路24aに繰出す。
硬貨繰出装置21は、図2に示すように、円盤31と、ガイド32と、分離ディスク33と、を有している。円盤31の表面には、硬貨を引っ掛ける複数の突起が設けられている。円盤31は、図2において、時計回りに回転する。円盤31が時計回りに回転すると、硬貨C1は、円盤31の表面に設けられた複数の突起に引っ掛けられ、上昇する。図2の硬貨C2は、円盤31の複数の突起に引っ掛けられ、上昇する硬貨を示している。
図3は、貨幣処理装置1の内部構成を示す正面図である。図3において、図1および図2と同じものには同じ符号が付してある。図3に示す貨幣処理装置1は、図1に示した貨幣処理装置1に対し、一部形状等を変更して図示している。
図3に示すように、硬貨繰出装置21の円盤31は、鉛直方向に対して所定角度で傾斜している。これにより、図2に示した硬貨C2の平面は、円盤31の表面に寄りかかりる(接する)。また、図2に示した硬貨C2の周面は、円盤31の表面に設けられた複数の突起(図3では図示せず)に引っ掛けられ、円盤31の回転により上昇する。
図3には、硬貨繰出装置21が備えるプーリ34が示してある(図2では、プーリ34の図示を省略している)。プーリ34は、円盤状の分離ディスク33の上面に重なるように設けられている(図14の分離ディスク33およびプーリ34を参照)。
また、図3には、硬貨繰出装置21が備えるカバー35が示してある。カバー35は、円盤31の表面を覆うように硬貨繰出装置21に設けられている。
図4は、硬貨繰出装置21の内部構成を示す正面図である。図4において、図2および図3と同じものには同じ符号が付してある。図4に示す硬貨繰出装置21は、図2および図3に示した硬貨繰出装置21に対し、一部形状等を変更して図示している。
図3で説明したように、カバー35は、円盤31の表面を覆うように硬貨繰出装置21に設けられている。カバー35は、円盤31の表面との間に硬貨を収納する空間A1を形成している。入金口11に投入された硬貨は、自重により、空間A1に落下する。図4の硬貨C1は、空間A1に収納された硬貨を示している。
ガイド32は、板状の部材であり、平状の面が円盤31の表面に対向するように配置される(図6のガイド32を参照)。ガイド32の上面32aは、略水平方向に沿って延在する(図6のガイド32の上面32aを参照)。ガイド32の上面32aの厚さt1は、空間A1に一時的に収納された硬貨C1の周面が乗る厚さを有している(図2のガイド32に乗っている硬貨C3を参照)。ガイド32の円盤31の表面と対向する面には、円盤31の表面に設けられた複数の突起(図4では図示を省略)が通過するための3つの溝が形成されている。ガイド32は、円盤31によって上昇する硬貨を、円盤31から分離し、搬送路24aに案内する。
図2の説明に戻る。硬貨C1は、回転する円盤31の表面に設けられた複数の突起に引っ掛けられ、硬貨C2に示すように上昇する。硬貨繰出装置21によって上昇する硬貨は、硬貨C3に示すようにガイド32の上面32aに乗ることによって、円盤31から分離され、搬送路24aに繰出される。
搬送路24aは、硬貨繰出装置21の上方に配置され、硬貨繰出装置21によって繰出された硬貨を1枚ずつ搬送する。搬送路24aは、略水平方向に沿って延在し、硬貨繰出装置21から繰り出された硬貨を、貨幣処理装置1の背面(+y軸方向)に向かって搬送する。搬送路24bは、湾曲形状(ここでは半円弧形状)を有し、搬送路24aから送られた硬貨の搬送方向を逆方向に変える。搬送路24cは、略水平方向に沿って延在し、搬送路24bから送られた硬貨を貨幣処理装置1の正面(−y軸方向)に向かって搬送する。
ベルト23は、プーリ22と、プーリ34とに張架された無端ベルトである。ベルト23は、プーリ22およびプーリ34のいずれか一方に取り付けられたモータ(図示せず)の駆動に伴い、一方向(図2では反時計回り)に循環移動する。
ベルト23は、ピン23aを有している。図2では、ピン23aは、3つしか示していないが、ベルト23の全周にわたり等間隔に配置(4以上配置)されている。ピン23aは、硬貨繰出装置21から搬送路24aに繰出された硬貨の周面の後側を押す。硬貨C4は、ピン23aによって、周面の後側が押される硬貨を示している。搬送路24a上の硬貨C4は、ピン23aによって、周面の後側が押されることにより、貨幣処理装置1の背面に向かって搬送される。
図5は、貨幣処理装置1を正面から見たときの搬送路24aの断面図である。図5において、図2と同じものには同じ符号が付してある。
図5に示すように、搬送路24aは、傾斜した側面S1と、底面S2とによって形成されている。側面S1と底面S2とは、略90度をなしている。底面S2の−y軸方向側は、ガイド32の上面32aとつながっている。搬送路24a上を搬送される硬貨C4の平面は、搬送路24aの側面S1によって支持され、硬貨C4の周面の下端は、底面S2で支持される。すなわち、硬貨C4は、所定の傾斜角度(側面S1の傾斜角度)に維持され、搬送路24a上を搬送される。
側面S1と底面S2とで支持された硬貨C4は、ベルト23に設けられたピン23aによって、硬貨C4の周面の後側が押され、搬送路24bに向かって搬送される。硬貨C4は、搬送路24bで方向が転換され、搬送路24cへ搬送される。搬送路24b,24cも搬送路24aと同様に側面と底面とを有している。
図2の説明に戻る。硬貨繰出装置21は、搬送路24a,24cを搬送される硬貨を選別する複数の選別部(図示せず)を有している。選別部は、搬送路24a,24cに沿って、配置されている。例えば、搬送路24aに沿って、3つの選別部が配置され、搬送路24cに沿って、5つの選別部が配置されている。
複数の選別部(例えば、8個)のそれぞれと、複数の収納繰出部25(図2の例では、8個)のそれぞれとは、シュート(図示せず)によってつながっている。選別部は、識別部(図示せず)の識別結果に基づいて、搬送路24a,24cを搬送される硬貨を金種ごとに選別し、シュートを介して、収納繰出部25に向けて送出する。
収納繰出部25は、搬送路24aの下方に複数配置される。例えば、収納繰出部25は、鉛直方向に3段(上段:2つ、中段:3つ、下段:3つ)となるよう配置されている。収納繰出部25は、すべて同一の構成を有してもよい。収納繰出部25は、搬送路24a,24cにより搬送され、シュートを介して送出された硬貨を収納する。また、収納繰出部25は、収納された硬貨を1枚ずつ搬送路26に繰り出す。
収納繰出部25には、上記したように、選別部によって金種が選別された硬貨が収納される。従って、収納繰出部25のそれぞれは、硬貨の金種と紐付けられ、収納繰出部25のそれぞれには、特定の金種の硬貨が収納される。
収納繰出部25は、回転する円盤25aと、カバー25bと、を有している。円盤25aは、硬貨繰出装置21の円盤31と同様に、鉛直方向に対して所定角度で傾斜して配置され、傾斜姿勢で回転する。カバー25bは、円盤25aの表面を覆うように形成されている。カバー25bは、円盤25aの表面との間に、選別部で選別された硬貨を収納する空間を形成している。
ここで、図3を用いて収納繰出部25を説明する。円盤25aは、図3に示すように、表面に複数の突起を有している。円盤25aは、図3において、時計回りに回転する。円盤25aが時計回りに回転すると、選別部により選別されて収納繰出部25に収納された硬貨は、複数の突起に引っ掛けられ、上昇する。図3の硬貨C11は、円盤25aの複数の突起に引っ掛けられ、上昇する硬貨を示している。
図3に示すように、収納繰出部25は、ガイド25cを有している。ガイド25cは、板状の部材であり、円盤25aの表面に対向するように配置される。円盤25aによって上昇する硬貨は、例えば、図3の硬貨C12に示すように、ガイド25cの上面に乗ることによって、円盤25aから分離され、搬送路26に繰出される。なお、ガイド25cの円盤25aの表面と接する面には、円盤25aの表面に設けられた複数の突起が通過するための3つの溝が形成されている。
収納繰出部25から繰り出される硬貨の繰出し方向は、搬送路24a〜24cによる硬貨の搬送方向と略直交する。例えば、搬送路24aによる硬貨の搬送方向は+y軸方向、搬送路24cによる硬貨の搬送方向は−y軸方向であるのに対し、収納繰出部25から繰り出される硬貨C12の繰出方向は、+x軸方向である。
図2の説明に戻る。搬送路26(搬送ベルト)は、出金処理または回収処理において、収納繰出部25のそれぞれから繰り出される硬貨を出金口12に搬送する。搬送路26は、搬送部26aと、搬送部26bを有する。搬送部26aは、収納繰出部25の下方において、略水平方向に延在する。収納繰出部25から繰り出される硬貨は、搬送部26aの上に落下する(例えば、図3に示した硬貨C12は、ガイド25cの上面を伝って搬送部26aの上に落下する)。搬送部26bは、搬送部26aから搬送される硬貨を上昇させ、出金口12に搬送する。
回収ボックス27は、搬送路26の下方に配置される予備収納部である。回収ボックス27は、貨幣処理装置1に対して着脱自在に設けられる。回収ボックス27は、例えば、回収処理において使用される。また、回収ボックス27は、例えば、収納繰出部25からオーバーフローした硬貨が、搬送路26によって回収ボックス27に搬送されるオーバーフロー処理でも使用される。利用者は、貨幣処理装置1から回収ボックス27を取り出すことにより、回収用の硬貨を回収ボックス27ごと回収することができる。
ところで、硬貨繰出装置21は、収納された硬貨を1枚ずつ上昇させ、搬送路24aに繰出す。例えば、図2の硬貨C2に示すように、硬貨繰出装置21は、収納された硬貨を1枚ずつ上昇させる。これにより、1つのピン23aは、図2に示すように、1枚の硬貨C4を搬送する。その結果、搬送路24a〜24cを搬送される硬貨は、選別部で適切に選別される。
一方、硬貨繰出装置21が、収納された硬貨を、例えば、2枚並んで(図9に示す2枚並んだ硬貨C21,C22を参照)上昇させ、搬送路24aに繰出す場合について考える。この場合、2枚並んで上昇する硬貨は、2枚並んでガイド32に繰出され(図17Aを参照)、1のピン23aは、2枚の硬貨を並んで搬送する。搬送路24a〜24cを搬送される2枚の並んだ硬貨は、選別部で適切に選別されない可能性がある。例えば、2枚の並んだ硬貨は、異なる金種であり、異なる選別部で選別される。硬貨が2枚並んで搬送されていると、選別部は、1枚だけをシュートに送出できず、2枚を同時にシュートに送出する場合があり、2枚の異なる金種の硬貨を選別できずに、1つの収納繰出部25に収納する場合がある。
このように、円盤31において、2枚並んで硬貨が上昇すると、選別部で硬貨が適切に選別されない場合がある。円盤31の複数の突起の配置パターンは、硬貨を1枚ずつ上昇させるため、貨幣処理装置1が扱う硬貨の径に合わせ、何種類か用意されている。例えば、円盤31の複数の突起の配置パターンは、3種類用意される。円盤31の複数の突起の配置パターンは、例えば、下記の硬貨の直径に合わせ、3種類用意される。
パターン1.直径16.0mm〜26.5mm
パターン2.直径17.9mm〜28.5mm
パターン3.直径19.41mm〜31.65mm
パターン1の円盤31は、直径16.0mm〜26.5mmの硬貨であれば、1枚ずつ上昇させることができる。パターン2の円盤31は、直径17.9mm〜28.5mmの硬貨であれば、1枚ずつ上昇させることができる。パターン3の円盤31は、直径19.41mm〜31.65mmの硬貨であれば、1枚ずつ上昇させることができる。
世界の国々には、様々な径の硬貨が存在する。そのため、貨幣処理装置1が用いられる国に合わせ、円盤31を交換することが考えられる。例えば、A国で流通している硬貨の直径は、直径16.0mm〜26.5mmの範囲内にあるとする。この場合、硬貨繰出装置21の円盤31には、パターン1の円盤31を用いる。また、B国で流通している硬貨の直径は、直径19.41mm〜31.65mmの範囲内にあるとする。この場合、硬貨繰出装置21の円盤31には、パターン3の円盤31を用いる。
このように、円盤31を複数種類準備すると(上記例の場合、パターン1,2,3の3種類を準備)、コストがかかる。また、国に合わせ、円盤31を交換すると、コストがかかる。
コスト低減を図るため、幅広い範囲の直径の硬貨を、1種類の円盤で上昇させるよう、円盤31の表面に複数の突起を配置することが考えられる。しかし、そのように複数の突起を配置すると、複数の突起に、複数枚の硬貨が引っ掛けられる場合がある(例えば、図9の硬貨C21,C22を参照)。例えば、直径14.0mm〜33.0mmの硬貨を上昇させるよう、円盤31の表面に複数の突起を配置すると、複数の突起には、複数枚の硬貨が引っ掛けられる場合がある。
そこで、硬貨繰出装置21は、幅広い範囲の直径の硬貨を上昇させるとともに、上昇した硬貨を1枚ずつ搬送路24aに繰出す。
図6は、硬貨繰出装置21を円盤31の表面側から見た図である。図6において、図2〜図4と同じものには同じ符号が付してある。図6に示すように、硬貨繰出装置21は、分離カム36と、片寄レバー37と、第1の突起38と、第2の突起39と、を有している。
分離カム36は、円盤31の周囲(近傍)であって、円盤31の上半分側に配置されている。また、分離カム36は、円盤31の周囲であって、回転する円盤31の周縁が上昇する側に配置されている。例えば、円盤31は、図6において、時計回りに回転する。円盤31の右半分の周縁は下降し、左半分の周縁は上昇する。従って、図6では、分離カム36は、円盤31の周囲であって、円盤31の左半分側に配置されている。言い換えると、分離カム36は、円盤31の硬貨が上昇する側(例えば、図2の硬貨C2が上昇する側、つまり、円盤31の左半分側)の周囲であって、円盤31の上半分側の周囲に配置されている。
分離カム36は、円盤31の表面側から見ると円形状を有している。分離カム36は、分離カム36の周縁が、円盤31の周縁に近接するように配置されている。分離カム36は、円盤31と同様に、鉛直方向に対して所定角度で傾斜している。
分離カム36は、例えば、モータ(図示せず)の駆動によって回転する。分離カム36の回転方向は、円盤31の回転方向と逆方向である。図6では、円盤31は、時計回りに回転するので、分離カム36は、反時計回りに回転する。
片寄レバー37は、円盤31の周囲であって、分離カム36の下方に設けられている。片寄レバー37は、軸37aと、支持部材37bと、軸37cと、ベアリング37dと、を有している。
支持部材37bは、板状の部材である。支持部材37bは、軸37aによって、硬貨繰出装置21の筐体に対し、回転可能に固定されている。ベアリング37dは、2枚の板状の支持部材37bに挟まれている。ベアリング37dは、軸37cによって、支持部材37bに対し、回転可能に固定されている。
第1の突起38は、円盤31の表面に設けられている。第1の突起38は、円盤31の中央部に設けられ、円盤31の径方向に面38aを有している。図6の例では、第1の突起38は、円盤31の表面に6個、放射状に一定の角度(60度)ごとに設けられている。
第2の突起39は、円盤31の表面に設けられている。第2の突起39は、第1の突起38より外側に設けられ、円盤31の周方向に面39aを有している。図6の例では、第2の突起39は、円盤31の表面に6個、放射状に一定の角度(60度)ごと設けられている。
第1の突起38は、隣り合う2つの第2の突起39の間に配置されている。言い換えれば、第1の突起38の面38aから見た円盤31の径方向の位置には、第2の突起39が配置されていない。
硬貨繰出装置21に収納された硬貨は、隣り合う2つの第2の突起39の間に位置し、第2の突起の面39aによって支持され、上昇する(図2の硬貨C2を参照)。第2の突起39によって上昇した硬貨は、自重により、鉛直下方に落下しようとする。鉛直下方に落下しようとする硬貨は、第1の突起38の面38aによって支持される(図2の硬貨C3の左隣の硬貨を参照)。これにより、円盤31によって上昇する硬貨は、落下することなく、ガイド32に運ばれる。
第1の突起38および第2の突起39は、幅広い範囲の径の硬貨を上昇させるように、円盤31の表面に配置されている。例えば、第1の突起38および第2の突起39は、直径14.0mm〜33.0mmの硬貨を上昇させるように、円盤31の表面に配置されている。幅広い範囲の径の硬貨を上昇させるように、第1の突起38および第2の突起39を、円盤31の表面に配置すると、隣り合う2つの第2の突起39の間には、径の小さな硬貨が2枚入り込む場合がある。分離カム36は、上昇する硬貨が1枚となるように、1枚の硬貨を円盤31から分離し、空間A1に落下させる。
図7は、分離カム36の斜視図である。図7に示す分離カム36は、図6に示す分離カム36に対し、一部形状等を変更して図示している。分離カム36は、略円筒形状を有し、低所と高所とが設けられた円筒端面を有している。例えば、分離カム36は、図7に示すように、平状の低所36aと、低所36aより高い平状の高所36bと、を有している。
図8は、硬貨繰出装置21の一部が示してある。図8において、図6および図7と同じものには同じ符号が付してある。図8に示す硬貨繰出装置21は、図6および図7に示した硬貨繰出装置21に対し、一部形状等を変更して図示している。なお、図8では、分離カム36の低所36aと高所36bとを区別しやすいように、高所36bにハッチングが付してある。また、図8には、図3および図4で示したカバー35の一部断面が示してある。また、図8の矢印A11は、分離カム36の回転方向を示している。図8の矢印A12は、円盤31の回転方向を示している。
分離カム36の低所36aの面は、円盤31の表面と面一、または円盤31の表面より低くなっている。分離カム36の高所36bの面は、円盤31の表面より高くなっている。
円盤31の回転と分離カム36の回転は、同期している。分離カム36は、円盤31が60度回転すると1回転する。例えば、上記したように、第1の突起38および第2の突起39は、円盤31の表面に6個、等角に設けられている。従って、分離カム36は、第1の突起38および第2の突起39が、分離カム36の前を通過する度に1回転する。言い換えれば、分離カム36は、上昇する硬貨が分離カム36の前を通過する度に1回転する。
図8の硬貨C21〜C24は、円盤31の第2の突起39に引っ掛けられ、上昇している硬貨を示している。硬貨C21,C22は、円盤31の径方向に並んで、円盤31の第2の突起39に引っ掛けられている。硬貨C23,C24は、硬貨C21,C22の上に乗っている。
硬貨C21は、第2の突起39と、第1の突起38の面38aとに支持され、上昇を続ける。硬貨C24は、第1の突起38の面38aに支持されていないため、自重により空間A1に落下する。硬貨C23も、硬貨C24と同様に、自重によって、空間A1に落下する。つまり、硬貨C23,C24は、上昇によって、自重により、空間A1に落下する。
硬貨C22は、自重により、空間A1に落下しようとするが、硬貨C21に阻まれる。しかし、硬貨C22は、硬貨C22の一部が、回転する分離カム36の高所36bと接触し、円盤31の表面からすくい上げられて(浮かされて)、空間A1に落下する。
つまり、硬貨C21〜C24のうち、硬貨C21,C22の上に乗っている硬貨C23,C24は、円盤31の回転により上昇すると、自重により空間A1に落下する。そして、円盤31に残る2枚の硬貨C21,C22のうち、外側の硬貨C22は、分離カム36によって円盤31の表面からすくい上げられ、空間A1に落下する。これにより、1枚の硬貨C21が上昇し、ガイド32に繰出される。なお、硬貨C23,C24は、硬貨C22が分離カム36によってすくい上げられる前に、自重により空間A1に落下する。
カバー35は、円盤31の周縁31aに沿って設けられた側壁35aと、分離カム36に近づくにつれ、円盤31の周縁31aから離れるように設けられた側壁35bと、を有する。例えば、カバー35は、図8の点線A13を境に、矢印A14の方向側においては、円盤31の周縁31aに沿う形状となっている。また、カバー35は、図8の点線A13を境に、矢印A15の方向側においては、円盤31の周縁31aから離れる形状となっている。
第1の突起38および第2の突起39は、円盤31の径方向に2枚並んで硬貨を引っ掛けた場合、外側の硬貨の一部が、円盤31の周縁31aからはみ出るように、円盤31に配置されている。例えば、円盤31の径方向に2枚並んで引っ掛けられている硬貨C21,C22の外側の硬貨C22は、硬貨C22の一部が円盤31の周縁31aからはみ出ている。また、第1の突起38および第2の突起39は、所定以上の径の硬貨(図9の点線で示す硬貨C25)を1枚引っ掛けた場合、その硬貨の一部が、円盤31の周縁31aからはみ出るように、円盤31に配置されている。カバー35の側壁35bは、外側の硬貨C22の一部が、円盤31の周縁31aからはみ出てもよいように、また、所定以上の径の硬貨の一部が、円盤31の周縁31aからはみ出てもよいように、円盤31の周縁31aから離れる形状となっている。
なお、第1の突起38および第2の突起39は、最小径の2枚の硬貨を、円盤31の径方向に並んで引っ掛けるように円盤31に配置されてもよい。言い換えれば、円盤31の径方向に2枚並んで引っ掛けられる硬貨は、最小径の硬貨であってもよい。また、第1の突起38および第2の突起39は、所定径以下の2枚の硬貨において、円盤31の径方向に並んで引っ掛けるように円盤31に配置されてもよい。
図9は、2枚並んだ硬貨のうち外側の硬貨を落下させる原理を説明する図である。図9において、図8と同じものには同じ符号が付してある。なお、図9には、硬貨C21,C22より径の大きい硬貨C25が点線で示してある。硬貨C25は、硬貨C21,C22が円盤31の第1の突起38および第2の突起39に引っ掛けられているとき、円盤31に引っかからない。つまり、硬貨C25は、1枚だけで円盤31の第1の突起38および第2の突起39に引っ掛けられる。
上記したように、第1の突起38および第2の突起39は、円盤31の径方向に2枚並んで硬貨を引っ掛けた場合、外側の硬貨C22の一部が、円盤31の周縁31aからはみ出るように、円盤31に配置されている。例えば、外側の硬貨C22は、点線枠A21の部分が、円盤31の周縁31aからはみ出ている。
また、第1の突起38および第2の突起39は、所定以上の径の硬貨C25を1枚引っ掛けた場合、硬貨C25の一部が、円盤31の周縁31aからはみ出るように、円盤31に配置されている。例えば、硬貨C25は、点線枠A22の部分が、円盤31の周縁31aからはみ出ている。なお、第1の突起38および第2の突起39は、最大径の硬貨C25を1枚引っ掛けた場合に、硬貨C25の一部が、円盤31の周縁31aからはみ出るように、円盤31に配置されてもよい。
硬貨C22の円盤31の周縁31aからはみ出る部分と、硬貨C25の円盤31の周縁31aからはみ出る部分とは、円盤31の異なる箇所からはみ出る。例えば、点線枠A21に示す硬貨C22の円盤31の周縁31aからはみ出る部分は、点線枠A22に示す硬貨C25の円盤31の周縁31aからはみ出る部分より低い位置にある。従って、硬貨C25の円盤31の周縁31aからはみ出る部分が先に、図9の位置P1に到達し、その後、硬貨C22の円盤31の周縁31aからはみ出る部分が図9の位置P1に到達する。なお、図9の位置P1は、円盤31の周縁31aからはみ出た硬貨C22,C25の一部が通過する位置であり、回転する分離カム36の低所36aおよび高所36bが通過する位置である。
分離カム36は、上記したように、円盤31の回転に同期して回転する。例えば、分離カム36は、第1の突起38が分離カム36の前を通過する度に1回転する。従って、分離カム36は、回転する円盤31に引っ掛けられた硬貨C22,C25の上昇に同期して、回転する。例えば、分離カム36は、硬貨C25の円盤31の周縁31aからはみ出た部分が位置P1を通過する際、低所36aが位置P1に位置するよう回転する。また、分離カム36は、硬貨C22の円盤31の周縁31aからはみ出た部分が位置P1を通過する際、高所36bが位置P1に位置するよう回転する。
分離カム36の低所36aの面は、円盤31の表面と面一またはそれより低くなっている。硬貨C25が位置P1を通過する際、位置P1には、分離カム36の低所36aが位置している。従って、硬貨C25は、分離カム36と接触せず位置P1を通過し、そのまま上昇する。
分離カム36の高所36bの面は、円盤31の表面より高くなっている。硬貨C22が位置P1を通過する際、位置P1には、分離カム36の高所36bが位置している。従って、2枚並んだ硬貨C21,C22のうち、外側の硬貨C21は、分離カム36の高所36bと接触し、円盤31の表面からすくい上げられ、円盤31から分離される。円盤31から分離された硬貨C22は、空間A1に落下し、円盤31には、硬貨C21が残る。
このように、第1の突起38および第2の突起39は、2枚並んだ硬貨C21,C22のうちの外側の硬貨C22の一部が、円盤31の周縁31aからはみ出るように円盤31の表面に配置される。分離カム36は、硬貨C25とは接触せずに、円盤31の周縁31aからはみ出る硬貨C22の一部と接触し、硬貨C22を空間A1に落下させる。硬貨C22の円盤31の周縁31aからはみ出る部分と、硬貨C22の円盤31の周縁31aからはみ出る部分とは、点線枠A21,A22に示すように、円盤31の異なる箇所からはみ出る。
また、分離カム36は、硬貨C22の一部と接触する第1の位置(位置P1)と、硬貨C25の円盤31の周縁31aからはみ出る部分と接触しない第2の位置との間を移動する高所36bを有する。高所36bは、硬貨C22の円盤31の周縁31aからはみ出る部分が位置P1を通過する際に、位置P1に移動する。高所36bは、硬貨C25の円盤31の周縁31aからはみ出る部分が位置P1を通過する際、第2の位置(例えば、図10に示す位置)に移動する。これにより、円盤31によって上昇する1枚の硬貨C25は、そのまま上昇してガイド32に繰出される。円盤31によって上昇する2枚の硬貨C21,C22のうち、硬貨C22は、分離カム36によって円盤31から分離され、空間A1に落下する。
図10は、片寄レバー37を説明する図である。図10において、図6〜図9と同じものには同じ符号が付してある。
硬貨C25は、円盤31の第2の突起39に引っ掛けられ上昇するとき、カバー35の側壁35bの内側35baに接しながら上昇する場合がある。片寄レバー37のベアリング37dは、側壁35bの内側35baに接しながら上昇する硬貨C25に接触し、硬貨C25を第1の突起38の面38aに寄せる(載置させる)。硬貨C25は、第1の突起38の面38aに載置されることにより、安定した状態でそのまま上昇する。
片寄レバー37は、軸37aを中心軸として、図10の矢印A31の方向に回転可能に硬貨繰出装置21の筐体に設けられている。片寄レバー37は、矢印A31の方向に回転しても、例えば、ねじりばね(図示せず)によって、図10に示す位置に戻るようになっている。片寄レバー37に無理な力が働いても、片寄レバー37は、矢印A31の方向に逃げるので、片寄レバー37の破損等を抑制できる。
図11は、小径の硬貨が円盤に1枚引っ掛けられ上昇する場合を説明する図である。図11において、図10と同じものには同じ符号が付してある。図11には、図10に示した硬貨C25より小径の硬貨C26が示してある。
硬貨C26は、円盤31の第2の突起39に引っ掛けられ上昇するとき、カバー35の側壁35bの内側35baに接しながら上昇する場合がある。片寄レバー37のベアリング37dは、硬貨C26が小径の場合、硬貨C26に接触しても、硬貨C26を第1の突起38の面38aに寄せられない場合がある。
片寄レバー37によって、第1の突起38の面38aに寄せられなかった硬貨C26は、そのまま上昇すると、分離カム36の高所36bに接触する。高所36bに接触した硬貨C26は、図11の点線A32に示すように、第1の突起38の面38aに寄せられる。
図9に示した硬貨C22も、図9で説明したように、分離カム36の高所36bに接触する。しかし、図9では、硬貨C21が存在するため、硬貨C22は、第1の突起38の面38aに寄せられない(移動しない)。そのため、図9の硬貨C22は、分離カム36によって、円盤31からすくい上げられ、空間A1に落下する。これに対し、図11では、第2の突起39には、1枚の硬貨C26しか引っ掛けられていない。従って、分離カム36の高所36bに接触する硬貨C26は、第1の突起38の面38aに寄せられる。
以上説明したように、円盤31に引っ掛けられた2枚の硬貨は、分離カム36によって1枚にされる。そして、硬貨は、1枚の状態でガイド32に繰出される(図2の硬貨C3を参照)。しかし、円盤31に引っ掛けられた2枚の硬貨は、分離カム36によっても1枚にされない場合がある。例えば、図9に示した硬貨C22は、分離カム36によって適切にすくい上げられない場合がある。この場合、ガイド32には、2枚の硬貨が並んで繰出される(図17Aを参照)。そこで、図2および図6に示した分離ディスク33は、ガイド32に繰出された2枚の硬貨のうち、1枚の硬貨を空間A1に落下させる。
図12は、硬貨繰出装置21の一部を円盤31の表面側から見た図である。図12において、図6と同じものには同じ符号が付してある。なお、図12には、図5で説明した搬送路24aの側面S1および底面S2が示されている。
ガイド32は、円盤31の上半分側であって、円盤31上に重なるように配置されている。また、ガイド32は、円盤31上であって、回転する円盤31の周縁が下降する側に配置されている。例えば、円盤31は、図12において、時計回りに回転する。円盤31の右半分の周縁は下降し、左半分の周縁は上昇する。従って、図12では、ガイド32は、円盤31の右半分側に配置されている。
分離ディスク33は、円盤31の周囲であって、ガイド32の上方に設けられている。分離ディスク33は、円盤31と同様に、傾斜した状態で硬貨繰出装置21の筐体に設けられている。分離ディスク33は、図12に示すように、平状の低所33aと、低所より高い平状の高所33bと、を有している。
図13は、分離ディスク33の斜視図である。図13に示す分離ディスク33は、図12に示す分離ディスク33に対し、一部形状等を変更して図示している。図13において、図12と同じものには同じ符号が付してある。
分離ディスク33は、略円筒形状を有している。分離ディスク33は、円筒端面に平状の低所33aと、低所33aより高い平状の高所33bと、高所33bに設けられた突起33cと、を有している。分離ディスク33は、周縁の2か所において、扇状の低所33aが形成されている。低所33aは、分離ディスク33の中心に対して対称の位置に形成されている。
突起33cは、分離ディスク33の中心部に設けられている。突起33cには、図3に示したプーリ34が取り付けられる。すなわち、プーリ34は、分離ディスク33の上面に重なるようにして取り付けられる。なお、プーリ34と分離ディスク33との間には、隙間が設けられている(図14の分離ディスク33とプーリ34との間を参照)。
図12の説明に戻る。分離ディスク33は、図12において、反時計回りに回転する。分離ディスク33は、円盤31の回転に同期して回転する。例えば、分離ディスク33は、円盤31が120度回転すると1回転する。言い換えれば、第1の突起38がガイド32を通過する度に、分離ディスク33の2つの低所33aのうちの1つが、ガイド32に近づく。
分離ディスク33の回転により、分離ディスク33の上面に設けられたプーリ34(図3および図14を参照)も回転する。プーリ34には、ピン23aを有するベルト23(図2および図5のベルト23およびピン23aを参照)が掛けられている。ガイド32の上面32aに乗った硬貨は、円盤31の回転による勢いによって、搬送路24aに向かって進む。そして、ガイド32の上面32aに乗った硬貨は、分離ディスク33とプーリ34との間の隙間を通り、周面の後方がベルト23のピン23aによって押され、搬送路24a上を搬送される。
ガイド32の上面32aは、搬送路24aの底面S2とつながっている。搬送路24aの側面S1は、ガイド32の上面32aの上部にも形成され、円盤31の周縁31aの近傍まで伸びている。側面S1は、分離ディスク33の高所33bの面と面一(同じ高さ)になっている。なお、「同じ」には、「略同じ」が含まれてよい。
硬貨繰出装置21は、分離ディスク33の周囲に窪み40を有している。窪み40は、搬送路24aの側面S1に形成されていると捉えてもよい。窪み40は、搬送路24aの側面S1から窪んでいる(側面S1より低くなっている)。分離ディスク33の低所33aの面は、窪み40と面一、または窪み40の面より低くなっている。
図14は、図12のA−A矢視断面図である。図14において、図12と同じものには同じ符号が付してある。なお、図14には、プーリ34も示してある。
図14に示すように、搬送路24aの側面S1は、分離ディスク33の高所33bの面と同じ高さになっている。窪み40の面は、搬送路24aの側面S1より低くなっている。窪み40の底面は、分離ディスク33の低所33aの面と同じ高さになっている。ガイド32の上面32aと、搬送路24aの側面S1とは、略90度をなしている。搬送路24aの側面S1の傾斜角と、分離ディスク33の傾斜角とは、同じになっている。
図15は、ガイド32上を通過する硬貨C31が搬送路24aに送出される様子を示した図である。図15において、図14と同じものには同じ符号が付してある。硬貨C31は、例えば、貨幣処理装置1が扱う硬貨のうちの最小径の硬貨である。図15では、分離ディスク33は、高所33bが最下点に位置するように回転している。
図15の両矢印A36に示すように、ガイド32の上面32aから、分離ディスク33の高所33bまでの距離は、硬貨C31の直径より小さくなっている。これにより、ガイド32の上面32aに乗っている硬貨C31の周縁の上端は、分離ディスク33の高所33bに接触する。
分離ディスク33の高所33bの面は、搬送路24aの側面S1の面と同じ高さになっている。従って、硬貨C31の傾斜角度は、硬貨C31が搬送路24aを搬送されるときの傾斜角度(図5に示す硬貨C4の傾斜角度)に維持される。従って、ガイド32の硬貨C31は、空間A1に落下せず、搬送路24aに送出される。
図16は、ガイド32上を通過する硬貨C32が落下する様子を示した図である。図16において、図14と同じものには同じ符号が付してある。硬貨C32は、例えば、貨幣処理装置1が扱う硬貨のうちの最小径の硬貨である。図16では、分離ディスク33は、低所33aが最下点に位置するように回転している。
図16の両矢印A37に示すように、ガイド32の上面32aから、分離ディスク33の低所33aの端(低所33aが終わり、高所33bとなる部分)までの距離は、硬貨C31の直径より大きくなっている。これにより、硬貨C32の周縁の上端は、分離ディスク33の低所33aに接触する。なお、両矢印A37に示す距離は、ガイド32上を2枚並んで搬送され得る硬貨の径より大きければよい。
分離ディスク33の低所33aの面は、搬送路24aの側面S1の面より低くなっている。従って、硬貨C32の傾斜角度は、大きくなり、硬貨C32の下端は、ガイド32の上面32aから外れる。ガイド32の上面32aから外れた硬貨C32は、図16の矢印A38に示すように、空間A1に落下する。
図17A〜図17Fは、分離ディスク33による硬貨の落下を説明する図である。図17A〜図17Fにおいて、図12〜図16と同じものには同じ符号が付してある。図17A〜図17Fに示す分離ディスク33等は、図12〜図16に示す分離ディスク33等に対し、一部形状等を変更して図示している。
図17A〜図17Fには、位置P2が示してある。位置P2は、ガイド32上を2枚並んで送出される硬貨C51,C52のうち、先頭の硬貨C51がガイド32上から落下する位置を示している。
図17Aに示すように、ガイド32上には、2枚の硬貨C51,C52が並んで繰出される場合がある。硬貨C51,C52が2枚並んで搬送路24a,24cを搬送されると、選別部で硬貨が適切に選別(分離)できない場合がある。分離ディスク33は、図17B〜図17Fを用いて説明するように、ガイド32上に2枚並んで繰出された硬貨C51,C52のうち、先頭の硬貨C52をガイド32から外して空間A1に落下させる。
図17Bに示すガイド32上の硬貨C51,C52は、図17Aに示す硬貨C51,C52よりも搬送路24aの方向へ移動している。また、図17Bに示す分離ディスク33は、図17Aに示す分離ディスク33よりも、反時計回りに回転している。
図17Bでは、位置P2の上方には、分離ディスク33の低所33aが位置している。位置P2の前に位置している先頭の硬貨C51は、円盤31および側面S1に支持されている。このため、先頭の硬貨C51は、ガイド32から落下しない。
図17Cに示すガイド32上の硬貨C51,C52は、図17Bに示す硬貨C51,C52よりも搬送路24aの方向へ移動している。また、図17Cに示す分離ディスク33は、図17Bに示す分離ディスク33よりも、反時計回りに回転している。
図17Cでは、位置P2の上方には、分離ディスク33の低所33aが位置している。先頭の硬貨C51の中心は、位置P2に位置している。中心が位置P2に位置している先頭の硬貨C51の上端は、分離ディスク33の低所33a側に傾く(図16の硬貨C32を参照)。このため、先頭の硬貨C51の下端は、ガイド32から外れる。なお、硬貨C51の側面S1によって支持される面積(側面S1と接する面積)は、硬貨C51の面積の半分以下となっている。
図17Dに示すガイド32上の硬貨C52は、図17Cに示す硬貨C52よりも搬送路24aの方向へ移動している。また、図17Dに示す分離ディスク33は、図17Cに示す分離ディスク33よりも、反時計回りに回転している。図17Dでは、ガイド32の上面32aから外れた先頭の硬貨C51が空間A1に向け落下している。
図17Eに示すガイド32上の硬貨C52は、図17Dに示す硬貨C52よりも搬送路24aの方向へ移動している。また、図17Eに示す分離ディスク33は、図17Dに示す分離ディスク33よりも、反時計回りに回転している。
図17Eでは、位置P2の上方には、分離ディスク33の高所33bが位置している。硬貨C52の先端は、位置P2に位置している。先端が位置P2に位置している硬貨C52の上端は、分離ディスク33の高所33bに支持される(図15の硬貨C31を参照)。このため、硬貨C52は、搬送角度(例えば、図5に示す側面S1の傾斜角度)が維持され、ガイド32から外れない。
図17Fに示すガイド32上の硬貨C52は、図17Eに示す硬貨C52よりも搬送路24aの方向へ移動している。また、図17Fに示す分離ディスク33は、図17Eに示す分離ディスク33よりも、反時計回りに回転している。
図17Fでは、位置P2の上方には、分離ディスク33の高所33bが位置している。硬貨C52の中心は、位置P2に位置している。中心が位置P2に位置している硬貨C52の上端は、分離ディスク33の高所33bに支持される(図15の硬貨C31を参照)。このため、硬貨C52は、搬送角度が維持され、ガイド32から外れない。なお、硬貨C52は、搬送路24aに送出されるまで、分離ディスク33の高所33bに支持される。つまり、2枚並んでガイド32に繰出された硬貨C51,C52のうち、先頭の硬貨C51は、空間A1に落下され、後方の硬貨C52は、搬送路24aへ送出される。
このように、分離ディスク33は、先頭の硬貨C51の傾斜角度を変更して、先頭の硬貨C51をガイド32から外し、空間A1に落下させる。分離ディスク33は、先頭の硬貨C51の傾斜角度を所定の角度(搬送角度)から変更する低所33aと、後方の硬貨C52の傾斜角度を維持する高所33bとを有する。分離ディスク33の低所33aおよび高所33bは、円盤31の回転に同期して、位置P2に交互に到来する。低所33aは、先頭の硬貨C51が位置P2を通過する際、位置P2に到来し、先頭の硬貨C51の傾斜角度を搬送角度から変更して先頭の硬貨C51を空間A1に落下させる。高所33bは、後方の硬貨C52が位置P2を通過する際、位置P2に到来し、後方の硬貨C52の傾斜角度を搬送角度に維持してガイド32を通過させる。
これにより、ガイド32上を2枚並んで搬送される硬貨C51,52のうち、前方の硬貨C51は、空間A1に落下され、後方の硬貨C52は、搬送路24aに送出される。なお、ガイド32は、円盤31から分離した硬貨を搬送している。また、ガイド32の上面32aは、搬送路24aとつながっている。従って、ガイド32は、搬送路24aの一部と捉えてもよい。ガイド32は、搬送路24aの硬貨を円盤31から分離する部位と捉えてもよい。
図18は、先頭の硬貨C51の落下を向上させる構造を説明する図である。図18において、図17と同じものには同じ符号が付してある。
図18に示すように、窪み40には、切欠き41が形成されている。切欠き41は、傾斜角度が変更された先頭の硬貨C51の周縁と接触し、先頭の硬貨C51を堰き止める。切欠き41は、硬貨C51の搬送方向とは逆の方向に折り返され、先頭の硬貨C51の周縁と接触するように形成される面を有する。
このように、硬貨繰出装置21は、切欠き41によって、硬貨C51が空間A1に確実に落下するようにする。例えば、分離ディスク33によって落下される硬貨C51は、分離ディスク33によって傾斜角度が変更されても、推進力によって、搬送路24a方向に移動する場合がある。切欠き41は、そのような硬貨C51の空間A1への落下を確実にする。
以上説明したように、硬貨繰出装置21は、表面に第1の突起38および第2の突起39を有し、傾斜状態で回転可能に設けられ、回転時に第1の突起38および第2の突起39により第1の硬貨、または、第1の硬貨よりも径の大きい第2の硬貨を引っ掛けて上昇させる円盤31と、円盤31の表面との間に硬貨を収容する空間A1を形成するカバー35と、円盤31の径方向において第1の突起38および第2の突起39により2枚並んで引っ掛けられた第1の硬貨のうちの外側の硬貨を、第1の突起38および第2の突起39から分離して空間A1に落下させる分離カム36と、を有する。これにより、硬貨繰出装置21は、小さな径の硬貨から、大きな径の硬貨まで、収納された硬貨を1枚ずつ搬送路24aに繰出すことができる。
また、硬貨繰出装置21は、第1の突起38および第2の突起39に引っ掛けられて上昇した硬貨を、第1の突起38および第2の突起39から外し所定の傾斜角度に維持して搬送する搬送路24aと、搬送路24aを2枚並んで搬送される硬貨のうちの先頭の硬貨を、搬送路24aから外して空間A1に落下させる分離ディスク33と、を有する。硬貨繰出装置21は、小さな径の硬貨から、大きな径の硬貨まで、収納された硬貨を1枚ずつ搬送路24aに繰出すことができる。
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態では、遠心力を利用して硬貨を繰出すタイプの硬貨繰出装置の例について説明する。
図19は、第2の実施の形態に係る硬貨繰出装置50の一部を円盤51の表面側から見た図である。図19に示すように、硬貨繰出装置50は、円盤51と、突起52と、カバー53と、分離カム54と、を有している。
円盤51は、鉛直方向に対して所定角度で傾斜している。円盤51は、例えば、図19において時計回りに回転する。円盤51は、収納された硬貨が遠心力によって円盤51の径方向に移動する速度で回転する。
円盤51の表面には、突起52が設けられている。突起52は、円盤51の周縁51aに、例えば、8個設けられる(図19では、8個のうち5つの突起52が示してある)。突起52は、最小径の硬貨を、周方向に2枚並んで引っ掛けるように配置されてもよい。また、突起52は、所定径以下の2枚の硬貨において、円盤51の周方向に並んで引っ掛けるように円盤51に配置されてもよい。
カバー53は、円盤51の表面を覆うように硬貨繰出装置50に設けられている。カバー53は、円盤51の表面との間に、入金口11から入金された硬貨を収納する空間を形成している。カバー53は、第1の実施の形態で説明したカバー35と同様に、円盤51の周縁51aに沿って設けられた側壁と、分離カム54に近づくにつれ、円盤51の周縁51aから離れるように設けられた側壁と、を有する。例えば、カバー53は、図19の矢印A44を境に、円盤51の周縁51aから離れている。
分離カム54は、例えば、図7に示した分離カム36と同様の形状を有している。分離カム54は、低所54aと、高所54bとを有している。図7では、低所54aと高所54bとを区別しやすいように、低所54aにハッチングが付してある。
分離カム54は、図19において、反時計回りに回転する。分離カム54は、円盤51に同期して回転する。分離カム54は、突起52が分離カム54の前を通過する度に1回転する。図19の例では、円盤51に8個の突起52が設けられているので、分離カム54は、円盤51が45度回転すると1回転する。
硬貨C61〜C64は、例えば、貨幣処理装置1が扱う硬貨のうちの最小径の硬貨である。点線で示す硬貨C65は、例えば、貨幣処理装置1が扱う硬貨のうちの最大径の硬貨である。硬貨C65は、硬貨C61〜C64が突起52に引っ掛かっているとき、突起52に引っ掛からない。つまり、硬貨C65は、1枚だけで突起52に引っ掛かる。
突起52は、径方向に並んだ硬貨C61,C63のうち、円盤51の中心側の硬貨C63を、カバー53によって形成される空間(以下、単に空間と呼ぶことがある)に落下させる形状を有している。また、突起52は、径方向に並んだ硬貨C62,C64のうち、円盤51の中心側の硬貨C64を空間に落下させる形状を有している。例えば、図19の矢印A41に示す突起52の周縁51aからの高さは、図19の矢印A42に示す周縁51aから硬貨C63の中心までの距離より短くなっている。これにより、硬貨C63は、円盤51によって上昇すると、突起52から外れて空間に落下する。同様に、硬貨C64も円盤51によって上昇すると、突起52から外れて空間に落下する。
また、突起52は、硬貨C65を引っ掛けたとき、硬貨C65を突起52から空間に落下させない形状を有している。例えば、図19の矢印A41に示す突起52の周縁51aからの高さは、図19の矢印A43に示す周縁51aから硬貨C65の中心までの距離より高くなっている。これにより、硬貨C65は、突起52から外れず上昇を続ける。
上記したように、円盤51の突起52に引っ掛けられた硬貨C61〜C64のうち、円盤51の中心側の硬貨C63,C64は、突起52から外れ空間に落下する。従って、突起52には、円盤51の周方向に並んだ2枚の硬貨C61,C62が残る。分離カム54は、円盤51の周方向に並んだ硬貨C61,C62のうち、円盤51の回転方向において先頭(以下、単に先頭と呼ぶことがある)である硬貨C62を空間に落下させる。
図20は、周方向に2枚並んだ硬貨のうちの先頭の硬貨を落下させる動作を説明する図である。図20において、図19と同じものには同じ符号が付してある。図20に示す点線の硬貨C73は、例えば、貨幣処理装置1が扱う硬貨のうちの最大径の硬貨である。
上記したように、カバー53は、分離カム54に近づくにつれ、円盤51の周縁51aから離れるように設けられた側壁を有する。また、図20の両矢印A51に示すように、硬貨C72の中心と、硬貨C73の中心との円盤51の周方向における位置は異なる。言い換えれば、硬貨C72の中心を通る径方向の直線と、硬貨C73の中心を通る径方向の直線とは重ならない。従って、硬貨C72の円盤51の周縁51aからはみ出る部分と、硬貨C73の円盤51の周縁51aからはみ出る部分とは、円盤51の異なる箇所からはみ出る。例えば、点線枠A52に示す硬貨C72の円盤51の周縁51aからはみ出る部分は、点線枠A53に示す硬貨C73の円盤51の周縁51aからはみ出る部分に対し、先頭の位置にある。従って、硬貨C72の円盤51の周縁51aからはみ出る部分が先に、図20の位置P11に到達し、その後、硬貨C73の円盤51の周縁51aからはみ出る部分が図20の位置P11に到達する。なお、図20の位置P11は、円盤51の周縁51aからはみ出た硬貨C72,C73の一部が通過する位置であり、回転する分離カム54の低所54aおよび高所54bが通過する位置である。
分離カム54の低所54aの面は、円盤51の表面と面一またはそれより低くなっている。分離カム54の高所54bの面は、円盤51の表面より高くなっている。先頭の硬貨C72が位置P11を通過する際、位置P11では、分離カム54の低所54aが高所54bに切り替わる。従って、硬貨C72は、分離カム54によってすくい上げられ空間に落下する。
硬貨C73が位置P11を通過する際、位置P11には、分離カム54の高所54bが位置している。硬貨C73は、略円筒形状の分離カム54の側面に接触し、分離カム54によってすくい上げられない。硬貨C73は、そのまま上昇する。硬貨C72の後方の硬貨C71も同様に、略円筒形状の分離カム54の側面に接触し、分離カム54によってすくい上げられず、そのまま上昇する。このように、硬貨繰出装置50は、周方向に2枚並んで上昇する硬貨C71,C72のうちの先頭の硬貨C72を空間に落下させる。
図21は、2枚重なった硬貨のうちの上側の硬貨を落下させる構造を説明する図である。図21において、図20と同じものには同じ符号が付してある。図21では、図20に対し、一部形状等を変更して図示している。
図21に示すように、硬貨繰出装置50は、円盤51の周縁51aの周囲に設けられた平状のプレート55と、プレート55の周囲に設けられた平状のプレート56と、を有している。プレート55の面は、円盤51の表面と面一またはそれより低くなっている。プレート56の面は、プレート55の面より高くなっている。なお、図20では、プレート56の図示を省略している。
硬貨C81,C82は、重なった状態で円盤51の突起52に引っ掛けられている。なお、硬貨C82は、硬貨C81の下にある。
硬貨C83は、硬貨C81が円盤51によって上昇したときの硬貨を示している。硬貨C84は、硬貨C82が円盤51によって上昇したときの硬貨を示している。図21では、円盤51が回転した様子の図示を省略している。硬貨C83は、遠心力によって、円盤51の外側の方向に移動している。硬貨C84は、以下で説明するプレート55とプレート56との段差により、プレート55の上を上昇する。
図22は、図21のB−B矢視断面図である。図22において、図21と同じものには同じ符号が付してある。図22に示すように、プレート56の面は、プレート55の面より高くなっている。プレート55とプレート56の段差は、硬貨C83,C84の厚さより小さくなっている。これにより、2枚重なった硬貨C83,C84(硬貨C81,C82)のうち、下の硬貨C84(硬貨C83)は、プレート55とプレート56の段差に引っかかる。そして、下の硬貨C84(硬貨C83)は、円盤51の突起52に引っ掛けられたまま上昇する。一方、上の硬貨C83(硬貨C81)は、遠心力によって円盤51の外側に移動する。円盤51の外側に移動した上の硬貨C83(硬貨C81)は、円盤51の突起52から外れる。上の硬貨C83(硬貨C81)は、円盤51の突起52から外れると、空間に落下する。
図22では、プレート55とプレート56の段差は、硬貨C83,C84の厚さより小さくなっているが、硬貨C83,C84の厚さと同じであってもよい。プレート55とプレート56の段差は、例えば、硬貨繰出装置50が扱う硬貨のうち、最も厚さの薄い硬貨の厚さと同じまたはそれより小さければよい。
以上説明したように、硬貨繰出装置50は、表面に突起52を有し、傾斜状態で回転可能に設けられ、回転時に突起52により第1の硬貨、または、第1の硬貨よりも径の大きい第2の硬貨を引っ掛けて上昇させる円盤51と、円盤51の表面との間に硬貨を収容する空間を形成するカバー53と、円盤51の周方向において突起52により2枚並んで引っ掛けられた第1の硬貨のうちの先頭の硬貨を、突起52から分離して空間に落下させる分離カム54と、を有する。これにより、硬貨繰出装置50は、小さな径の硬貨から、大きな径の硬貨まで、収納された硬貨を1枚ずつ搬送路に繰出すことができる。
(変形例1)
径方向に2枚並んで引っ掛けられた硬貨のうちの外側の硬貨を円盤から分離する方法は、第1の実施の形態で説明した分離カム36に限られない。また、周方向に2枚並んで引っ掛けられた硬貨のうちの先頭の硬貨を円盤から分離する方法は、第2の実施の形態で説明した分離カム54に限られない。例えば、硬貨繰出装置21は、図9に示した位置P1に、外側の硬貨C22が位置した場合、硬貨C22を円盤31から分離させる突起を備えてもよい。
図23は、図9のC−C矢視断面図である。図23において、図9と同じものには同じ符号が付してある。図23では、硬貨繰出装置21は、分離カム36の代りに突起61を有している。突起61は、例えば、図9に示した位置P1に配置されている。
突起61は、円筒形状を有している。突起61の上端面は、通常、円盤31の表面より下に位置している。突起61の上端面は、円盤31の径方向に2枚並んだ硬貨C21,C22のうち、外側の硬貨C22が位置P1を通過する際、円盤31の表面より上側に突出する。これにより、硬貨C22は、円盤31から分離される。突起61は、例えば、ソレノイド等によって、図23の両矢印A61の方向に可動させてもよい。第2の実施の形態で説明した硬貨繰出装置50も、例えば、図20に示した位置P11に、突起を有してもよい。
(変形例2)
第1の実施の形態で説明した分離カム36は、反時計回りに回転するとしたが、時計回りに回転してもよい。これによっても、硬貨繰出装置21は、径方向に並んで引っ掛けられた2枚の硬貨のうちの外側の硬貨を空間A1に落下できる。また、第2の実施の形態で説明した分離カム54は、反時計回りに回転するとしたが、時計回りに回転してもよい。これによっても、硬貨繰出装置50は、周方向に2枚並んで引っ掛けられた2枚の硬貨のうちの先頭の硬貨を空間に落下できる。
1 貨幣処理装置
11 入金口
12 出金口
21 硬貨繰出装置
22 プーリ
23 ベルト
24a〜24c 搬送路
25 収納繰出部
25a 円盤
25b カバー
25c ガイド
26 搬送路
27 回収ボックス
31 円盤
31a 周縁
32 ガイド
32a 上面
33 分離ディスク
34 プーリ
35 カバー
36 分離カム
36a 低所
36b 高所
37 片寄レバー
38 第1の突起
39 第2の突起
40 窪み
41 切欠き
50 硬貨繰出装置
51 円盤
51a 周縁
52 突起
53 カバー
54 分離カム
54a 低所
54b 高所
55,56 プレート
61 突起

Claims (9)

  1. 表面に複数の突起を有し、傾斜状態で回転可能に設けられ、回転時に前記複数の突起により硬貨を引っ掛けて上昇させる円盤と、
    前記円盤の表面との間に硬貨を収容する空間を形成するカバーと、
    前記複数の突起に引っ掛けられて上昇した硬貨を、前記複数の突起から外し所定の傾斜角度に維持して搬送する搬送路と、
    前記搬送路を2枚が搬送方向に連続して搬送される硬貨のうちの先頭の硬貨を、前記搬送路から外して前記空間に落下させる分離体と、
    を有する硬貨繰出装置。
  2. 前記分離体は、前記先頭の硬貨の傾斜角度を変更して、前記先頭の硬貨を前記搬送路から外し前記空間に落下させる、
    請求項1に記載の硬貨繰出装置。
  3. 前記分離体は、
    前記先頭の硬貨の傾斜角度を前記所定の傾斜角度から変更する変更部と、
    前記搬送路を搬送される2枚の硬貨のうちの後方の硬貨の傾斜角度を前記所定の傾斜角度に維持する維持部と、
    を有する請求項2に記載の硬貨繰出装置。
  4. 前記変更部および前記維持部は、前記円盤の回転に同期して、前記搬送路の所定の位置に交互に到来し、
    前記変更部は、前記先頭の硬貨が前記所定の位置を通過する際前記所定の位置に到来し、前記先頭の硬貨の傾斜角度を前記所定の傾斜角度から変更して前記先頭の硬貨を前記空間に落下させ、
    前記維持部は、前記後方の硬貨が前記所定の位置を通過する際前記所定の位置に到来し、前記後方の硬貨の傾斜角度を前記所定の傾斜角度に維持して前記所定の位置を通過させる、
    請求項3に記載の硬貨繰出装置。
  5. 前記分離体は、回転体である、
    請求項1から4のいずれか一項に記載の硬貨繰出装置。
  6. 前記分離体は、前記搬送路上の硬貨を繰出し口に搬送するベルトを回転させるプーリと同軸上に設けられる、
    請求項5に記載の硬貨繰出装置。
  7. 前記搬送路上には、傾斜角度が変更された前記先頭の硬貨の周縁と接触し、前記先頭の硬貨を堰き止めて前記搬送路から外す切欠きが設けられている、
    請求項2から6のいずれか一項に記載の硬貨繰出装置。
  8. 前記切欠きは、硬貨の搬送方向とは逆の方向に折り返し、前記先頭の硬貨の周縁と接触するように形成される面を有する、
    請求項7に記載の硬貨繰出装置。
  9. 請求項1から8のいずれか一項に記載の硬貨繰出装置を有する硬貨処理装置。
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