JP2020197582A - 光学機器の調整方法、調整支援方法、光学システム、光学機器 - Google Patents

光学機器の調整方法、調整支援方法、光学システム、光学機器 Download PDF

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Abstract

【課題】フォーカスと収差の両方を良好に調整する技術を提供する。【解決手段】調整方法は、標本の画像を取得する顕微鏡の調整方法である。調整方法は、標本の第1の画像のコントラストが高くなる方向に、顕微鏡に含まれる焦準部を動かす工程と、標本の第2の画像のコントラストが高くなる方向に、顕微鏡で生じる収差量を調整する工程と、を含む。第2の画像の周波数成分の平均値は、第1の画像の周波数成分の平均値よりも高い。【選択図】図3

Description

本明細書の開示は、光学機器の調整方法、調整支援方法、光学システム、光学機器に関する。
顕微鏡に代表される高い開口数を有する光学機器を用いた標本の観察では、カバーガラスの厚さのわずかな違いによって球面収差が大きく変化する。これは、観察対象面の深さが変化した場合も同様である。このように観察環境に応じて変動する球面収差を補正するための手段として、従来から対物レンズの補正環が知られている。
補正環は、対物レンズ内のレンズを光軸方向に移動させることで球面収差を補正するものである。補正環では球面収差を補正することによって焦点も移動してしまう。このことから、フォーカスと球面収差との両方を良好に調整する作業は容易ではない。このため、従来から様々な技術が提案されている。
例えば、特許文献1には、焦点位置を所定範囲内に抑えながら球面収差を補正することができる、収差補正レンズと対物レンズとの間の位置関係を記述したデータを、あらかじめ記憶しておくことが記載されている。そして、そのデータに従って球面収差を補正する技術が記載されている。
特開2018−205069号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術によってフォーカスと収差の両方を良好に調整するためには、対物レンズ毎で且つ標本毎に予めデータを記憶しておく必要がある。そのため、様々な対物レンズ及び標本が使用され得る状況に対処することは困難である。
以上のような実情を踏まえ、本発明の一側面に係る目的は、フォーカスと収差の両方を良好に調整する技術を提供することである。また、本発明の別の一側面に係る目的は、フォーカスと収差の両方を良好に調整する際の収差を調整し易くすることを可能とする技術を提供することである。
本発明の一態様に係る調整方法は、標本の画像を取得する光学機器の調整方法であって、前記標本の第1の画像のコントラストが高くなる方向に、前記光学機器に含まれる焦準部を動かす工程と、前記標本の第2の画像のコントラストが高くなる方向に、前記光学機器で生じる収差量を調整する工程と、を含み、前記第2の画像の周波数成分の平均値は、前記第1の画像の周波数成分の平均値よりも高い。
本発明の一態様に係る調整支援方法は、標本の画像を取得する光学機器の調整支援方法であって、前記標本の第1の画像が表示されている期間中にフォーカス合わせの終了を検出すると、前記標本の第2の画像を表示装置に表示させる工程と、前記第2の画像が表示されている期間中に収差補正の終了を検出すると、前記第1の画像を前記表示装置に表示させる工程と、を含み、前記第2の画像の周波数成分の平均値は、前記第1の画像の周波
数成分の平均値よりも高い。
本発明の一態様に係る光学システムは、標本の画像を取得する光学機器であって、対物レンズと、前記対物レンズと前記標本の間の距離を変更する焦準部と、収差を補正する補正装置と、を含む光学機器と、前記光学機器を制御する制御装置と、を備える。前記制御装置は、前記標本の第1の画像のコントラストが高くなる方向に、前記焦準部を動かし、前記標本の第2の画像のコントラストが高くなる方向に、前記補正装置の設定を変更して前記光学機器で生じる収差量を調整し、前記第2の画像の周波数成分の平均値は、前記第1の画像の周波数成分の平均値よりも高い。
本発明の別の態様に係る光学機器は、標本の画像を取得する光学機器であって、球面収差を補正する補正環を備えた対物レンズと、球面収差を強調する光学素子と、を備える。
上記の態様によれば、フォーカスと収差の両方を良好に調整することができる。
顕微鏡システム1の構成の例示した図である。 制御装置20の構成を例示した図である。 調整処理のフローチャートの一例である。 焦点面の調整方法を説明するための図である。 顕微鏡100の構成を例示した図である。 変調素子の変調パターンの一例を示した図である。 第1の実施形態に係る自動調整処理のフローチャートである。 変調素子の変調パターンの別の例を示した図である。 焦点面の調整方法を説明するための別の図である。 変調素子の変調パターンの更に別の例を示した図である。 変調素子の変調パターンの更に別の例を示した図である。 変調素子の変調パターンの更に別の例を示した図である。 変調素子の変調パターンの更に別の例を示した図である。 変調素子の変調パターンの更に別の例を示した図である。 変調素子の変調パターンの更に別の例を示した図である。 変調素子の変調パターンの更に別の例を示した図である。 変調素子を配置する位置を説明するための図である。 顕微鏡200の構成を例示した図である。 顕微鏡300の構成を例示した図である。 顕微鏡400の構成を例示した図である。 顕微鏡500の構成を例示した図である。 顕微鏡600の構成を例示した図である。 顕微鏡700の構成を例示した図である。 顕微鏡800の構成を例示した図である。 変調素子の変調パターンの更に別の例を示した図である。 補正過剰状態と補正不足状態を説明するための図である。 補正過剰状態において形成される像と補正不足状態で形成される像の違いについて説明するための図である。 変調素子の変調パターンの更に別の例を示した図である。 変調素子の変調パターンの更に別の例を示した図である。 変調素子の変調パターンの更に別の例を示した図である。 変調素子の変調パターンの更に別の例を示した図である。 変調素子の変調パターンの更に別の例を示した図である。 変調素子の変調パターンの更に別の例を示した図である。 変調素子の変調パターンの更に別の例を示した図である。 変調素子の変調パターンの更に別の例を示した図である。 変調素子の変調パターンの更に別の例を示した図である。 変調素子の変調パターンの更に別の例を示した図である。 変調素子の変調パターンの更に別の例を示した図である。 変調素子の変調パターンの更に別の例を示した図である。 変調素子の変調パターンの更に別の例を示した図である。 変調素子の変調パターンの更に別の例を示した図である。 変調素子の変調パターンの更に別の例を示した図である。 変調素子の変調パターンの更に別の例を示した図である。 変調素子の変調パターンの更に別の例を示した図である。 変調素子の変調パターンの更に別の例を示した図である。 変調素子の変調パターンの更に別の例を示した図である。 変調素子の変調パターンの更に別の例を示した図である。 第2の実施形態に係る半自動調整処理のフローチャートである。 第3の実施形態に係る自動調整処理のフローチャートである。
図1は、顕微鏡システム1の構成の例示した図である。図2は、制御装置20の構成を例示した図である。以下、図1及び図2を参照しながら、顕微鏡システム1の構成について説明する。
顕微鏡システム1は、光学システムの一例であり、顕微鏡10と、制御装置20を備えている。顕微鏡システム1は、さらに、図1に示すように、表示装置30と、入力装置(キーボード41、マウス42、ハンドル43)を備えてもよい。
顕微鏡10は、標本Sの画像を取得する光学機器である。顕微鏡10は、例えば、撮像装置11と、光源(光源12、光源13)と、対物レンズ14と、補正環15と、ステージ16と、コンデンサ17を備えている。
撮像装置11は、入射した観察光を電気信号に変換するイメージセンサを含むデジタルカメラである。イメージセンサは、例えば、CCD(Charge Coupled Device)イメージ
センサ、CMOS(ComplementaryMetal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどであり、二次元イメージセンサである。なお、撮像装置11は、カラーカメラであってもよい。撮像装置11が取得した標本Sの画像は、撮像装置11から制御装置20へ出力される。
光源12と光源13は、例えば、水銀ランプ、キセノンランプ、LED光源などである。
光源12と光源13は、照明法に応じて切り替えて使用される。光源12は、落射照明に使用される光源である。光源13は、透過照明に使用される光源である。
対物レンズ14は、レボルバに装着された顕微鏡対物レンズである。対物レンズ14には、補正環15が設けられている。補正環15は、対物レンズ14を構成するレンズの一部を光軸方向に動かすことで球面収差を補正する補正装置である。補正環15の設定(つまり、レンズの位置)を変更する。これにより、補正環15は、対物レンズ14で生じる収差量、ひいては顕微鏡10で生じる収差量を調整することができる。補正環15は、例えば、制御装置20からの指示に従って設定が変更される電動補正環であってもよい。補正環15の設定は、例えば、ハンドル43を操作することによっても変更可能である。
ステージ16は、標本Sが配置される。ステージ16は、例えば、電動ステージであってもよく、対物レンズ14と標本Sの間の距離を変更する焦準部である。なお、顕微鏡10は、対物レンズ14を光軸方向に動かす構造を有してもよい。その場合、対物レンズ14を光軸方向に動かす構造が焦準部である。焦準部の位置は、例えば、ハンドル43を操作することによっても変更可能である。
制御装置20は、顕微鏡10を制御する制御装置である。制御装置20は、画像処理結果に基づいて焦準部を動かしてもよく、また、画像処理結果に基づいて補正環15の設定を変更してよい。また、制御装置20は、入力装置からの信号に応じて焦準部を動かしてもよい。また、制御装置20は、入力装置からの信号に応じて補正環15の設定を変更してもよい。
制御装置20は、例えば、標準的なコンピュータである。制御装置20は、図2に示すように、プロセッサ21、メモリ22、補助記憶装置23、可搬記憶媒体27を駆動する媒体駆動装置24、I/Oインタフェース25を備える。これらの構成要素はバス26によって相互に接続されている。
プロセッサ21は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(GraphicsProcessing Unit)などを含む任意の処理回路である。プロセッサ21は、補助記憶装置23又は可搬記憶媒体27に格納されているプログラムをメモリ22に展開して実行することでプログラムされた処理を行う。プロセッサ21は、プログラムを実行してプログラムされた処理を行うことで、後述する図3に示す処理を行ってもよい。
メモリ22は、例えば、RAM(Random Access Memory)である。メモリ22は、プログラムの実行の際に、補助記憶装置23又は可搬記憶媒体27に格納されているプログラムまたはデータを記憶するワークメモリとして機能する。補助記憶装置23は、例えば、ハードディスク、フラッシュメモリであり、主に各種データ及びプログラムの格納に用いられる。媒体駆動装置24は、光ディスク、コンパクトフラッシュ(登録商標)等の可搬記憶媒体27を収容するものである。補助記憶装置23と可搬記憶媒体27は、それぞれプログラムを記憶した非一過性のコンピュータ読取可能記憶媒体の一例である。
I/O(Input/Output)インタフェース25は、例えば、USB(UniversalSerial Bus)インタフェース回路、HDMI(High-Definition MultimediaInterface)回路などである。I/Oインタフェース23には、例えば、顕微鏡装置10、表示装置30、及び入力装置(キーボード41、マウス42、ハンドル43)が接続されている。
なお、制御装置20は、図示しないNW(Network)インタフェースを備えてもよい。
NWインタフェースは、例えば、無線通信モジュールであってもよく、LAN(Local Area Network)カードなどであってもよい。制御装置20は、NWインタフェースを経由して顕微鏡システム1の外部の装置からデータを受信してもよい。また制御装置20は、NWインタフェースを経由して顕微鏡システム1で取得したデータを外部の装置へ送信しても良い。
なお、図2に示す構成は、制御装置20のハードウェア構成の一例である。制御装置20はこの構成に限定されるものではない。制御装置20は、汎用装置ではなく専用装置であってもよい。例えば、ソフトウェアプログラムを読み込んで実行するプロセッサ21の代わりに又は加えて、専用設計の電気回路を備えてもよい。
表示装置30は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイなどである。入力装置(キーボード41、マウス42、ハンド
ル43)は、顕微鏡システム1の利用者が直接操作する装置である。入力装置は、利用者の操作に応じた情報を制御装置20に入力する。顕微鏡システム1は、キーボード、マウス、ハンドルに加えて又は代わりに、他の入力装置、例えば、ジョイスティック、タッチパネルなどを含んでもよい。
図3は、調整処理のフローチャートの一例である。図4は、焦点面の調整方法を説明するための図である。以下、図3及び図4を参照しながら、フォーカスと収差の両方を良好に調整する顕微鏡10の調整方法について説明する。
顕微鏡システム1は、図3に示すように、まず、標本Sの第1の画像を利用してフォーカス合わせを行う(ステップS1)。フォーカス合わせは、焦準部を動かして標本Sと対物レンズ14の間の距離を変更することによって行われ、評価基準としては、画像のコントラストが使用される。ステップS1は、制御装置20が、標本Sの第1の画像のコントラストが高くなる方向に、焦準部を動かす工程である。第1の画像は、第1の画像に含まれる周波数成分の平均値が後述する第2の画像に含まれる周波数成分の平均値よりも低いという特徴を有している。
なお、画像のコントラストの算出方法は特に限定しないが、例えば、Brenner Gradientであってもよい。Brenner Gradientは、近隣画素の画素値の差分の二乗を所定領域内で積分したものである。積分する所定領域は、画像全体であっても、画像中の注目領域であってもよい。
さらに、顕微鏡システム1は、標本Sの第2の画像を利用して収差補正を行う(ステップS2)。収差補正は、顕微鏡10で生じる収差量を調整することによって行われる。より具体的には、補正環15の設定を変更して顕微鏡10で生じる収差量を調整によって行われる。収差補正の評価基準としては、フォーカス合わせと同様に、画像のコントラストが使用される。ステップS2は、制御装置20が、標本Sの第2の画像のコントラストが高くなる方向に、対物レンズ14の設定を変更して顕微鏡10で生じる収差量を調整する工程である。第2の画像は、第2の画像に含まれる周波数成分の平均値が前述した第1の画像に含まれる周波数成分の平均値よりも高いという特徴を有している。
なお、第1の画像と第2の画像は、第2の画像の周波数成分の平均値が第1の画像の周波数成分の平均値よりも高いという関係を有していればよい。つまり、第1の画像と第2の画像は、画像に含まれる平均的な周波数成分の高低によって定まる。従って、本明細書でいう低周波数と高周波数は、特に明記しない限り、絶対的なものではなく、相対的なものである。
その後、顕微鏡システム1は、フォーカス合わせで移動したフォーカス移動量、又は、収差補正で変化した収差量が閾値未満になったか否かを判断する(ステップS3)。そして、変化した収差量が閾値未満になった場合に、調整処理を終了する。収差補正後のフォーカス合わせでフォーカス移動量が十分に小さい状態、又は、フォーカス合わせ後の収差補正で収差量の変化が十分に小さい状態は、フォーカスずれがなく良好に収差が補正されていると考えられるからである。
図4は、球面収差に関する縦収差図である。球面収差は、高い開口数に対応する光線ほど強く屈折することに起因する現象である。球面収差が良好に補正されていない状態では、図4の線Lに示すように、高い開口数に対応する光線と低い開口数に対応する光線が異なる位置にフォーカスする。これは、球面収差が良好に補正されている状態では、高い開口数に対応する光線と低い開口数に対応する光線が同じ位置にフォーカスすることを意味している。図3に示す調整方法は、球面収差のこの特徴を利用したものである。
なお、図4に示すフォーカス位置F1、フォーカス位置F2は、それぞれ低い開口数に対応する光線がフォーカスする位置を、高い開口数に対応する光線がフォーカスする位置を例示している。また、図4に示す領域R1、領域R2は、それぞれ低い開口数に対応する空間周波数領域を、高い開口数に対応する空間周波数領域を例示している。
図3に示す調整方法において、フォーカス合わせと収差補正とを比較したときに、第2の画像、つまり、相対的に高い周波数成分を収差補正に利用する理由は、以下のとおりである。即ち、球面収差は開口数の3乗に比例しており、球面収差の変動の影響は、高い開口数の光線によって形成された画像、つまり、第2の画像において顕著に表れるからである。従って、第2の画像に基づいて収差補正を行うことで、第1の画像に基づいて収差補正を行う場合よりも、容易に且つ高い精度で収差補正することが可能となる。
一方、図3に示す調整方法において、フォーカス合わせと収差補正とを比較したときに、第1の画像、つまり、相対的に低い周波数成分をフォーカス合わせに利用する理由は、以下のとおりである。第1の画像では、球面収差によるコントラストの変動が小さい。そのため、球面収差が十分に補正されていない状態であっても、球面収差が補正された状態におけるフォーカス位置(以降、理想フォーカス位置)に近い位置にフォーカスを合わせることができるからである。従って、第1の画像に基づいてフォーカス合わせを行うことで、第2の画像に基づいてフォーカス合わせを行う場合よりも、容易に且つ高い精度でフォーカスを理想フォーカス位置に近づけることができる。
さらに、図4に示すフォーカス位置F1とフォーカス位置F2が互いに十分に近づき、且つ、両方が理想フォーカス位置に近づいている場合には、第2の画像に基づく収差補正の工程と第1の画像に基づくフォーカス合わせの工程を繰り返したときに、それぞれの工程における調整量(焦準部の移動量、補正環15の回転量)が十分に小さくなる。従って、図3に示す調整方法では、焦準部の移動量又は補正環15の回転量の少なくとも一方に基づいて、調整を終了するタイミングを容易に判断することができる。
従って、顕微鏡システム1によれば、図3に示す調整方法を行うことで、フォーカスと収差の両方を良好に調整することができる。以下、上述した調整方法の具体例についてさらに詳細に説明する。
[第1の実施形態]
図5は、顕微鏡100の構成を例示した図である。本実施形態に係る顕微鏡システムは、顕微鏡10の代わりに顕微鏡100を備える点が、図1に示す顕微鏡システム1とは異なる。その他の構成は、顕微鏡システム1と同様である。
顕微鏡100は、落射照明を用いた明視野観察を行う顕微鏡であり、対物レンズ101と、切り替えて使用される変調素子(変調素子102、変調素子103)と、スプリッタ104と、結像レンズ105と、撮像装置106と、レンズ107を備えている。
ここで、変調素子103は、取得される画像の球面収差を強調する光学素子である。この変調素子103が観察光路中に挿入されて観察のために使用されることにより、使用しない場合に比べ球面収差が強調される。このため、球面収差を補正し易くすることができる。
対物レンズ101は、補正環を有する顕微鏡対物レンズである。スプリッタ104は、照明光路と観察光路を分岐するスプリッタであり、例えば、ハーフミラーである。レンズ107は、照明光路上に配置されたレンズである。変調素子102と変調素子103は、
照明光及び観察光を変調する変調素子である。変調素子102と変調素子103は、例えば、図示しないターレットによって、対物レンズ101の瞳位置又はその近傍に、選択的に配置される。
図6は、変調素子の変調パターンの一例を示した図である。図6に示す変調パターンL1は、例えば、変調素子102が有する透過率分布を示し、図6に示す変調パターンH1は、例えば、変調素子103が有する透過率分布を示している。なお、黒は、透過率が低い領域を、白は透過率が高い領域を示している。
互いに異なる変調パターンL1と変調パターンH1を比較すると、変調パターンL1は光軸近傍に高い透過率分布を有するのに対して、変調パターンH1は光軸から離れた領域に高い透過率分布を有している。このため、変調パターンL1を光路上に配置している状態では、顕微鏡100は、比較的低い開口数に対応する光線に基づいて、第1の画像を取得する。一方、変調パターンH1を光路上に配置している状態では、顕微鏡100は、比較的高い開口数に対応する光線に基づいて、第2の画像を取得する。以降では、切り替えて使用される変調素子のうち、より低い周波数成分に対応する変調素子を第1の変調素子と記し、より高い周波数成分に対応する変調素子を第2の変調素子と記す。
図7は、本実施形態に係る自動調整処理のフローチャートである。以下、図7を参照しながら、顕微鏡100の自動調整方法について説明する。
図7に示す自動調整処理が開始されると、制御装置20は、まず、顕微鏡100を制御してオートフォーカスを行う(ステップS11)。ステップS11では、制御装置20は、変調素子102と変調素子103の両方を光路外に配置した状態で、オートフォーカスを行う。
次に、制御装置20は、第2の変調素子である変調素子103を光路上に挿入する(ステップS12)。これにより、顕微鏡10の光学系の瞳関数が変更される。その後、制御装置20は、補正環を所定量だけ回転し(ステップS13)、顕微鏡10で第2の画像を取得し(ステップS14)、ステップS14で取得した第2の画像のコントラストを算出する(ステップS15)。制御装置20は、ステップS13からステップS15の処理を繰り返しながらコントラストが最大となる補正環の設定を探索し、コントラストが最大となったときに収差が補正されたと判断する(ステップS16)。
ここでは、例えば山登り法を用いてもよい。制御装置20は、補正環を所定量ずつ回転させていく。算出されるコントラストは最大値を過ぎたところで下がり始める。そのとき制御装置20は、コントラストが最大値となった補正環の位置に戻す。この戻された位置を収差の補正された位置と制御装置20は判断する。
収差補正が終了すると、制御装置20は、変調素子103を光路外に移動して第1の変調素子である変調素子102を光路上に挿入する(ステップS17)。これにより、顕微鏡10の光学系の瞳関数が変更される。その後、制御装置20は、焦準部を所定量だけ移動し(ステップS18)、顕微鏡10で第1の画像を取得する(ステップS19)。そして、制御装置20は、ステップS19で取得した第1の画像のコントラストを算出する(ステップS20)。制御装置20は、ステップS18からステップS20の処理を繰り返しながらコントラストが最大となる焦準部の位置を探索し、コントラストが最大となったときにフォーカスがあったと判断する(ステップS21)。
フォーカス合わせが終了すると、制御装置20は、フォーカス合わせで移動した焦準部の移動量が閾値未満か否かを判定する(ステップS22)。閾値は、十分に小さい値であ
れば特に限定しないが、例えば、対物レンズ101の開口数に依存する焦点深度であってもよい。
制御装置20は、移動量が閾値未満であれば(ステップS22YES)、図7に示す処理を終了する。一方、移動量が閾値未満でなければ(ステップS22NO)、ステップS12に戻って、移動量が閾値未満となるまで、収差補正とフォーカス合わせを繰り返す。
以上のように、本実施形態に係る顕微鏡システムによれば、図7に示す自動調整方法を行うことで、フォーカスと収差の両方を良好に調整することができる。また、図7に示す自動調整方法では、処理開始から終了まで人間が顕微鏡システムに指示を与える必要がなく、完全に自動でフォーカス合わせと収差補正を行うことができる。
第1の変調素子と第2の変調素子として、図6に示すパターンを有する変調素子を例示したが、変調素子が有するパターンはこの例に限らない。第1の変調素子は、例えば、図8に示す変調パターンL2で示す透過率分布を有してもよく、第2の変調素子は、例えば、図8に示す変調パターンH2で示す透過率分布を有してもよい。
この場合も、第1の変調素子を用いて取得される第1の画像は、図9に示すように、第2の変調素子を用いて取得した画像に比べて球面収差の影響を受けにくいため、理想フォーカス位置に近くにフォーカスを合わせることができる。また、第2の変調素子を用いて取得される第2の画像は、図9に示すように、第1の変調素子を用いて取得した画像に比べて球面収差の影響を受けやすい。そのため、球面収差をより高い精度で補正することができる。
なお、図9に示すフォーカス位置F11、フォーカス位置F2は、それぞれ第1の画像に対応するフォーカス位置を、第2の画像に対応するフォーカス位置を例示している。図9に示す領域R11、領域R2は、それぞれ第1の画像に含まれる周波数成分を示す領域を、第2の画像に含まれる周波数成分を示す領域を例示している。
図8に示す変調パターンL2で示す透過率分布は、変調素子を用いることなく実現することができる。従って、図8に示す変調パターンL2と変調パターンH2の切り替えは、第2の変調素子(球面収差を強調する光学素子)を光路に挿脱することによって実現可能である。この場合、切り替え作業の負担が軽減されるとともに、光学システムに必要な光学素子の数も減らすことができる。
図10から図16は、変調素子の変調パターンの更に別の例を示した図である。本実施形態に係る顕微鏡システムは、図10から図16に示す変調パターンの組み合わせ(変調パターンL3と変調パターンH3から変調パターンL9と変調パターンH9)を使用してもよく、その場合も、球面収差の影響を受けにくい画像と球面収差の影響を受けやすい画像の両方を取得することができる。
顕微鏡100は、より具体的には、第1の変調素子と第2の変調素子は、以下の条件式を満たすことが望ましい。ここで、f(r)は第1の変調素子の透過率分布である。g(r)は第2の変調素子の透過率分布である。rは光軸からの距離である。L1は第1の変調素子に入射したときの軸上光線束の半径である。L2は第2の変調素子に入射したときの前記軸上光線束の半径である。
なお、図8などのように第1の変調素子を用いることなく第2の変調素子(球面収差を強調する光学素子)を光路に挿脱することを考慮すると、条件式(1)の各パラメータは、以下のように言い換えることができる。球面収差を強調する光学素子を使用して観察を行うときにその光学素子を配置する顕微鏡100内の領域を、対象領域と定義すると、f(r)は球面収差を強調する光学素子を使用しない場合における対象領域の透過率分布である。g(r)は球面収差を強調する光学素子の透過率分布である。rは光軸からの距離である。L1は球面収差を強調する光学素子を使用しない場合における対象領域に入射したときの軸上光線束の半径である。L2は球面収差を強調する光学素子に入射したときの軸上光線束の半径である。ここで、この言い換え表現は、図8だけではなく、図6、図10から図16、図25、及び、図28から図47についても適用可能である。つまり、矢印の左右にある変調素子を択一的に使用する場合、左側にある第1の変調素子を使用するときは球面収差を強調する光学素子を使用しないときに該当し、右側にある第2の変調素子を使用するときは球面収差を強調する光学素子を使用するときに該当する。
条件式(1)を満たすことで、第2の変調素子を用いて取得した画像の周波数成分の平均値が第1の変調素子を用いて取得した画像の周波数成分の平均値に比べて高くなる。このため、球面収差の影響を受けにくい画像と球面収差の影響を受けやすい画像の両方を取得することが可能となる。
以上では、対物レンズ101の瞳位置又はその近傍に変調素子を配置する例を示した。しかし、変調素子が配置される位置は、対物レンズ101の瞳位置又はその近傍に限らない。瞳位置又はその近傍である図17に示す位置P1の代わりに、対物レンズ101の瞳と光学的に共役な位置P2又は位置P3に配置されてもよい。位置P2、位置P3は、それぞれ透過照明光路上、落射照明光路上にある瞳共役位置又はその近傍である。これらの位置であっても、高い開口数の光線と低い開口数の光線は、空間的に異なる位置を通過するため、変調素子によって周波数成分を制限することができる。
また、変調素子は、図17に示す位置P4に配置されてもよい。位置P4は、対物レンズ101と結像レンズ105の間の位置であり、位置P4には、対物レンズ101によって形成された平行光線束が通過する。位置P4においても近軸領域内においては、高い開口数の光線と低い開口数の光線が空間的に異なる位置を通過している。このため、位置P4に変調素子を配置した場合であっても、視野の中心付近の情報のみを使用することで、球面収差の影響を受けにくい画像と球面収差の影響を受けやすい画像の両方を取得することが可能となる。
顕微鏡100で明視野観察を行う場合を例に説明したが、顕微鏡が蛍光顕微鏡の場合には、変調素子は少なくとも観察光を変調する位置に配置されることが望ましく、例えば、図17に示す位置P1又は位置P4に配置されることが望ましい。また、顕微鏡が多光子励起顕微鏡やシート照明顕微鏡の場合には、変調素子は少なくとも照明光を変調する位置に配置されることが望ましい。また、顕微鏡がディスク走査型の顕微鏡の場合には、変調素子は回転ディスクよりも物体側に配置されることが望ましい。なお、顕微鏡が共焦点顕微鏡の場合には、変調素子は、明視野観察と同様に照明光又は観察光の少なくとも一方を変調する位置に配置されることが望ましい。
以上では、顕微鏡システムが第1の画像と第2の画像を時間的に順番に取得する例を示した。しかし、第1の画像と第2の画像は同時に取得されてもよい。図18から図24は、顕微鏡100の変形例の構成を例示した図である。本実施形態に係る顕微鏡システムは、顕微鏡100の代わりに、図18に示す顕微鏡200から図24に示す顕微鏡800を含んでもよい。なお、顕微鏡200から顕微鏡800は、いずれも第1の画像と第2の画
像を同時に取得することができる。
図18に示す顕微鏡200は、対物レンズ201、結像レンズ202、複数のレンズ(レンズ203、レンズ206、レンズ209)、ハーフミラーであるスプリッタ204、2つの変調素子(変調素子205、変調素子208)、及び、2つの撮像装置(撮像装置207、撮像装置210)を含んでいる。
顕微鏡200では、変調素子205で高い開口数に対応する光線を遮断することで、撮像装置207が第1の画像を取得し、変調素子206で低い開口数に対応する光線を遮断することで、撮像装置208が第2の画像を取得する。
図19に示す顕微鏡300は、対物レンズ301、変調素子302、結像レンズ303、複数のレンズ(レンズ304、レンズ306、レンズ308)、偏光ビームスプリッタであるスプリッタ305、及び、2つの撮像装置(撮像装置307、撮像装置309)を含んでいる。なお、変調素子302は、偏光板302aと偏光板302bからなる。そして、変調素子302では、偏光板302aと偏光板302bは互いに直交する偏光方向を有する偏光を透過する。
顕微鏡300では、スプリッタ305で偏光板302aを通過した偏光と偏光板302bを通過した偏光が分離されることで、撮像装置307が第1の画像を取得し、撮像装置309が第2の画像を取得する。
図20に示す顕微鏡400は、対物レンズ401、結像レンズ402、複数のレンズ(レンズ403、レンズ405、レンズ408)、開口が形成されたミラー404、及び、2つの撮像装置(撮像装置406、撮像装置408)を含んでいる。
顕微鏡400では、ミラー404において、高い開口数に対応する光線が反射し、低い開口数に対応する光線が透過することで、撮像装置406が第1の画像を取得し、撮像装置408が第2の画像を取得する。
図21に示す顕微鏡500は、対物レンズ501、結像レンズ502、複数のレンズ(レンズ503、レンズ506、レンズ510)、ハーフミラーであるスプリッタ504、2つの変調素子(変調素子505、変調素子508)、プリズム509、及び、撮像装置507を含んでいる。
顕微鏡500は、スプリッタ504とプリズム509を用いて第1の画像と第2の画像を同じ撮像装置507で取得する点を除き、顕微鏡200と同様である。
図22に示す顕微鏡600は、共焦点顕微鏡である。顕微鏡600は、スキャナ601、変調素子602、複数のレンズ(レンズ603、レンズ605)、偏光ビームスプリッタであるスプリッタ606、及び、2つの光検出器(光検出器607、光検出器608)を含んでいる。なお、変調素子602は、偏光板602aと偏光板602bからなり、偏光板602aと偏光板602bは互いに直交する偏光方向を有する偏光を透過する。
顕微鏡600では、スキャナ601でデスキャンした光束に対して変調素子602で変調する。そして、PBS606で偏光板602aを通過した偏光と偏光板602bを通過した偏光が分離されることで、光検出器607が低周波数成分を検出し、光検出器608が高周波数成分を検出する。第1の画像は、光検出器607で検出された低周波数成分に基づいて生成される。そして、第2の画像は、光検出器608で検出された高周波数成分に基づいて生成される。
図23に示す顕微鏡700は、対物レンズ701、変調素子702、結像レンズ703、偏光ビームスプリッタであるスプリッタ704、λ/4板705、プリズム706、及び、撮像装置707を含んでいる。なお、変調素子702は、偏光板702aと偏光板702bからなる。そして、偏光板702aと偏光板702bは互いに直交する偏光方向を有する偏光を透過する。
顕微鏡700では、PBS704で偏光板702aを通過した偏光と偏光板702bを通過した偏光が分離される。PBS704で反射した偏光は、λ/4板705内を往復することで偏光方向が変換され、PBS704を透過する。これにより、第1の画像と第2の画像が同じ撮像装置707で取得される。
図24に示す顕微鏡800は、対物レンズ801、変調素子802、結像レンズ803、及び、撮像装置804を含んでいる。なお、変調素子802は、波長フィルタ802aと波長フィルタ802bからなり、波長フィルタ802aと波長フィルタ802bは互いに異なる波長の光を透過する。撮像装置804は、カラーカメラであり、RGBの各成分を区別して検出する。
顕微鏡800では、変調素子802で高い開口数に対応する光線の波長と低い開口数に対応する光線の波長を異ならせる。これにより、第1の画像と第2の画像が同じ撮像装置804で取得される。
第1の変調素子と第2の変調素子が光軸に対して対称な特性を有する例を示したが、第1の変調素子と第2の変調素子は光軸に対して非対称な特性を有してもよい。例えば、第1の変調素子は、図25に示す変調パターンL10で示す透過率分布を有してもよく、第2の変調素子は、図25に示す変調パターンH10で示す透過率分布を有してもよい。変調パターンH10は、第2の変調素子に入射した光束のうち半分を完全に遮断する特性を有している。
例えば、変調パターンL10を有する第1の変調素子を用いて第1の画像を取得し、第1の画像に基づいてフォーカス合わせを行う。その後に、変調パターンH10を有する第2の変調素子を用いて第2の画像を取得する。この場合を考える。球面収差が過剰に補正されている場合には、図26(a)に示すように、第1の画像に基づくフォーカス位置FPよりも近い位置に光が集光する。これに対して、球面収差が補正不足の場合には、図26(b)に示すように、第1の画像に基づくフォーカス位置FPよりも離れた位置に光が集光する。この違いによって、図27に示すように、補正過多の状態と補正過小の状態では、画面の中心から互いに反対方向にずれた位置に画像(画像31、画像32)が表示されることになる。
従って、図25に示す変調パターンH10を用いることで、制御装置20は、補正過多の状態と補正過小の状態を画像に基づいて容易に識別することが可能となる。このため、収差補正を行う場合に収差補正の方向(つまり、補正量を増やす方向と減らす方向)を誤ってしまうことを回避することができる。その結果、より短時間で収差補正を行うことが可能となる。
なお、非対称な変調パターンは、収差補正に限らず、フォーカス合わせで使用されてもよい。フォーカス合わせに使用し場合には、焦準部を移動すべき方向を特定することが可能となる。また、収差補正とフォーカス合わせの両方で非対称な変調パターンが使用されてもよい。例えば、図28から図47に示す変調パターンの組み合わせ(変調パターンL11と変調パターンH11から変調パターンL30と変調パターンH30)を使用しても
よい。なお、これの変調パターンを用いた場合でも、球面収差の影響を受けにくい画像と球面収差の影響を受けやすい画像の両方を取得することができる点は、図6、図8、図10から図16に示す変調パターンを使用した場合と同様である。
[第2の実施形態]
図48は、本実施形態に係る半自動調整処理のフローチャートである。本実施形態に係る顕微鏡システムの構成は、第1の実施形態に係る顕微鏡システムと同様である。本実施形態に係る顕微鏡システムは、図7に示す自動調整処理の代わりに、図48に示す半自動調整処理を行う点が、第1の実施形態に係る顕微鏡システムとは異なっている。
図48に示す半自動調整処理が開始されると、制御装置20は、まず、顕微鏡100に第1の画像を取得させる(ステップS31)。そして、制御装置20は、顕微鏡100が取得した画像を表示装置30に表示させる(ステップS32)。なお、本実施形態では、ステップS31の前に、利用者が手動で第1の変調素子を光路上に配置する。
その後、制御装置20は、フォーカスが合っているか否かを判断する(ステップS33)。ここでは、制御装置20は、例えば、表示装置30に表示された画像を確認した利用者によってフォーカス合わせの終了指示が入力されたか否かによってフォーカスが合っているか否かを判断してもよい。利用者が手動で焦準部を操作してフォーカス合わせを行い、フォーカス合わせの終了指示を入力すると、制御装置20は、フォーカスが合っていると判断する。
さらに、制御装置20は、半自動処理を終了するか否を判定する(ステップS34)。ここでは、制御装置20は、例えば、第1の画像が表示されている期間中の焦準部の移動量が閾値未満であるか否かによって、半自動処理を終了するか否を判定してもよい。
半自動処理を終了しないと判定すると、制御装置20は、顕微鏡100に第2の画像を取得させる(ステップS35)。そして、制御装置20は、顕微鏡100が取得した画像を表示装置30に表示させる(ステップS36)。なお、本実施形態では、ステップS35の前に、利用者が手動で第2の変調素子を光路上に配置する。
その後、制御装置20は、収差が補正されているか否かを判断する(ステップS37)。ここでは、制御装置20は、例えば、表示装置30に表示された画像を確認した利用者によって収差補正の終了指示が入力されたか否かによって収差が補正されているか否かを判断してもよい。利用者が手動で補正環15を操作して収差補正を行い、収差補正の終了指示を入力すると、制御装置20は、収差が補正されていると判断する。
さらに、制御装置20は、半自動処理を終了するか否を判定する(ステップS38)。ここでは、制御装置20は、例えば、第2の画像が表示されている期間中の補正環15の回転量が閾値未満であるか否かによって、半自動処理を終了するか否を判定してもよい。
半自動処理を終了しないと判定すると、制御装置20は、ステップS31に戻り、半自動処理を終了すると判定するまで、上述した処理を繰り返す。
以上のように、本実施形態では、制御装置20は、第1の画像が表示されている期間中にフォーカス合わせの終了を検出すると、第2の画像を表示装置30に表示させる。また、制御装置20は、第2の画像が表示されている期間中に収差補正の終了を検出すると、第1の画像を表示装置30に表示させる。図48に示す半自動調整方法を行うことによっても、フォーカスと収差の両方を良好に調整することができる。また、図48に示す半自動調整方法は、電動補正環や電動焦準部を有しない顕微鏡システムにも適用可能である。
[第3の実施形態]
図49は、本実施形態に係る自動調整処理のフローチャートである。本実施形態に係る顕微鏡システムの構成は、第1の実施形態に係る顕微鏡システムと同様である。本実施形態に係る顕微鏡システムは、図7に示す自動調整処理の代わりに、図49に示す自動調整処理を行う点が、第1の実施形態に係る顕微鏡システムとは異なっている。図7に示す自動調整処理では変調素子の切り替えによって第1の画像と第2の画像の間で取得する画像が切り替わるのに対して、図49に示す自動調整処理では、画像処理によって第1の画像と第2の画像を生成する点が異なっている。
図49に示す自動調整処理が開始されると、制御装置20は、まず、顕微鏡100を制御してオートフォーカスを行う(ステップS41)。ステップS41の処理は、図7のステップS11の処理と同様である。
次に、制御装置20は、補正環を所定量だけ回転し(ステップS42)、顕微鏡10で画像を取得する(ステップS43)。さらに、制御装置20は、ステップS43で取得した画像に対して画像処理を施して第2の画像を生成する(ステップS44)。ステップS44で行う画像処理は、例えば、ステップS43で取得した画像をフーリエ変換して瞳画像を生成し、瞳画像に空間周波数フィルタを適用し、フィルタ適用後に得られた画像を逆フーリエ変換する処理であってもよい。なお、空間周波数フィルタは、例えば、ハイパスフィルタである。
その後、制御装置20は、ステップS44で生成した第2の画像のコントラストを算出する(ステップS45)。制御装置20は、ステップS42からステップS45の処理を繰り返しながらコントラストが最大となる補正環の設定を探索する。そして、制御装置20は、コントラストが最大となったときに収差が補正されたと判断する(ステップS46)。
収差補正が終了すると、制御装置20は、焦準部を所定量だけ移動し(ステップS47)、顕微鏡10で画像を取得する(ステップS48)。さらに、制御装置20は、ステップS48で取得した画像に対して画像処理を施して第1の画像を生成する(ステップS49)。ステップS49で行う画像処理は、例えば、ステップS49で取得した画像をフーリエ変換して瞳画像を生成し、瞳画像に空間周波数フィルタを適用し、フィルタ適用後に得られた画像を逆フーリエ変換する処理であってもよい。なお、空間周波数フィルタは、例えば、ローパスフィルタである。
その後、制御装置20は、ステップS49で生成した第1の画像のコントラストを算出する(ステップS50)。制御装置20は、ステップS47からステップS50の処理を繰り返しながらコントラストが最大となる焦準部の位置を探索する。制御装置20は、コントラストが最大となったときにフォーカスがあったと判断する(ステップS51)。
フォーカス合わせが終了すると、制御装置20は、フォーカス合わせで移動した焦準部の移動量が閾値未満か否かを判定する(ステップS52)。制御装置20は、移動量が閾値未満であれば(ステップS52YES)、図49に示す処理を終了する。一方、移動量が閾値未満であれば(ステップS52NO)、ステップS52に戻って、移動量が閾値未満となるまで、収差補正とフォーカス合わせを繰り返す。
以上のように、本実施形態に係る顕微鏡システムによれば、図49に示す自動調整方法を行うことで、図7に示す自動調整方法を行う場合と同様に、フォーカスと収差の両方を良好に調整する。また、処理開始から終了まで人間が顕微鏡システムに指示を与える必要
がなく、完全に自動でフォーカス合わせと収差補正を行うことができる点も、同様である。本実施形態に係る顕微鏡システムは、変調素子を必要としないため、既存の顕微鏡システムをそのまま利用することができる。
なお、本実施形態では、第1の画像と第2の画像の両方を画像処理によって生成する例を示したが、第1の画像と第2の画像の少なくとも一方が画像処理によって生成されてもよい。
上述した実施形態は、発明の理解を容易にするための具体例を示したものであり、本発明の実施形態はこれらに限定されるものではない。上述した実施形態の一部を他の実施形態に適用しても良い。光学機器の調整方法、調整支援方法、及び、光学システムは、特許請求の範囲の記載を逸脱しない範囲において、さまざまな変形、変更が可能である。
上述した実施形態では、補正環を用いて球面収差を補正する例を示したが、補正装置は、補正環に限らない。例えば、補正環の代わりに、デフォーマブルミラー、空間的に区画された複数の領域を個別に制御可能な位相変調器などを用いて球面収差を補正してもよい。また、位相変調器は、球面収差に限らず任意の収差の補正に用いられてもよく、さらに、フォーカス合わせのために焦準部の代わりに用いられてもよい。
上述した実施形態では、コントラストが最大となったときにフォーカス合わせ又は収差補正を終了する例を示したが、コントラストが閾値以上に達した場合にフォーカス合わせ又は収差補正を終了してもよい。十分にコントラストが高い状態は、フォーカス合わせが合っている又は収差が補正されているとみなすことができる場合があるためである。
1 顕微鏡システム
10 顕微鏡
11 撮像装置
14、101、201、301、401、501 対物レンズ
15 補正環
16 ステージ
20 制御装置
21 プロセッサ
22 メモリ
23 補助記憶装置
27 可搬記憶媒体
30 表示装置
31、32 画像
41 キーボード
42 マウス
43 ハンドル
100、200、300、400、500、600、700、800 顕微鏡
102、103、205、208、302、505、508、602、702、802
変調素子
L1〜L30、H1〜H30 変調パターン
F1、F11、F2、FP フォーカス位置

Claims (20)

  1. 標本の画像を取得する光学機器の調整方法であって、
    前記標本の第1の画像のコントラストが高くなる方向に、前記光学機器に含まれる焦準部を動かす工程と、
    前記標本の第2の画像のコントラストが高くなる方向に、前記光学機器で生じる収差量を調整する工程と、を含み、
    前記第2の画像の周波数成分の平均値は、前記第1の画像の周波数成分の平均値よりも高い
    ことを特徴とする調整方法。
  2. 請求項1に記載の調整方法において、さらに、
    前記光学機器で前記第1の画像を取得する工程と、
    前記光学機器で前記第2の画像を取得する工程と、を含む
    ことを特徴とする調整方法。
  3. 請求項2に記載の調整方法において、さらに、
    前記第1の画像を取得する工程と前記第2の画像を取得する工程の間で、前記光学機器の光学系の瞳関数を変更する工程と、を含む
    ことを特徴とする調整方法。
  4. 請求項2又は請求項3に記載の調整方法において、
    前記第1の画像を取得する工程は、第1の変調素子で照明光又は観察光の少なくとも一方を変調する工程を含み、
    前記第2の画像を取得する工程は、前記第1の変調素子とは異なる透過率分布を有する第2の変調素子で照明光又は観察光の少なくとも一方を変調する工程を含む
    ことを特徴とする調整方法。
  5. 請求項4に記載の調整方法において、
    以下の条件式を満たすことを特徴とする調整方法。

    ただし、f(r)は前記第1の変調素子の透過率分布であり、g(r)は前記第2の変調素子の透過率分布であり、rは光軸からの距離であり、L1は前記第1の変調素子に入射したときの軸上光線束の半径であり、L2は前記第2の変調素子に入射したときの前記軸上光線束の半径である。
  6. 請求項1に記載の調整方法において、さらに、
    前記光学機器で取得した画像に対して画像処理を施して前記第1の画像又は前記第2の画像の少なくとも一方を生成する工程と、を含む
    ことを特徴とする調整方法。
  7. 請求項6に記載の調整方法において、
    前記第1の画像又は前記第2の画像の少なくとも一方を生成する工程は、前記光学機器で取得した画像をフーリエ変換した瞳画像に空間周波数フィルタを適用する工程を含む
    ことを特徴とする調整方法。
  8. 請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の調整方法において、
    前記光学機器で生じる収差量を調整する工程は、前記光学機器に含まれる補正環を調整する工程を含む
    ことを特徴とする調整方法。
  9. 標本の画像を取得する光学機器の調整支援方法であって、
    前記標本の第1の画像が表示されている期間中にフォーカス合わせの終了を検出すると、前記標本の第2の画像を表示装置に表示させる工程と、
    前記第2の画像が表示されている期間中に収差補正の終了を検出すると、前記第1の画像を前記表示装置に表示させる工程と、を含み、
    前記第2の画像の周波数成分の平均値は、前記第1の画像の周波数成分の平均値よりも高い
    ことを特徴とする調整支援方法。
  10. 請求項9に記載の調整支援方法において、さらに、
    前記光学機器で前記第1の画像を取得する工程と、
    前記光学機器で前記第2の画像を取得する工程と、を含む
    ことを特徴とする調整支援方法。
  11. 請求項10に記載の調整支援方法において、さらに、
    前記第1の画像を取得する工程と前記第2の画像を取得する工程の間で、前記光学機器の光学系の瞳関数を変更する工程を含む
    ことを特徴とする調整支援方法。
  12. 請求項10又は請求項11に記載の調整支援方法において、
    前記第1の画像を取得する工程は、第1の変調素子で照明光又は観察光の少なくとも一方を変調する工程を含み、
    前記第2の画像を取得する工程は、前記第1の変調素子とは異なる透過率分布を有する第2の変調素子で照明光又は観察光の少なくとも一方を変調する工程を含む
    ことを特徴とする調整支援方法。
  13. 請求項12に記載の調整支援方法において、
    以下の条件式を満たすことを特徴とする調整支援方法。

    ただし、f(r)は前記第1の変調素子の透過率分布であり、g(r)は前記第2の変調素子の透過率分布であり、rは光軸からの距離であり、L1は前記第1の変調素子に入射したときの軸上光線束の半径であり、L2は前記第2の変調素子に入射したときの前記軸上光線束の半径である。
  14. 請求項9に記載の調整支援方法において、さらに、
    前記光学機器で前記第1の画像を取得する工程と、
    前記光学機器で取得した画像に対して画像処理を施して前記第2の画像を生成する工程と、を含む
    ことを特徴とする調整支援方法。
  15. 請求項14に記載の調整支援方法において、
    前記第2の画像を生成する工程は、前記光学機器で取得した画像をフーリエ変換した瞳画像に空間周波数フィルタを適用する工程を含む
    ことを特徴とする調整支援方法。
  16. 標本の画像を取得する光学機器であって、対物レンズと、前記対物レンズと前記標本の間の距離を変更する焦準部と、収差を補正する補正装置と、を含む光学機器と、
    前記光学機器を制御する制御装置と、を備え、
    前記制御装置は、
    前記標本の第1の画像のコントラストが高くなる方向に、前記焦準部を動かし、
    前記標本の第2の画像のコントラストが高くなる方向に、前記補正装置の設定を変更して前記光学機器で生じる収差量を調整し、
    前記第2の画像の周波数成分の平均値は、前記第1の画像の周波数成分の平均値よりも高い
    ことを特徴とする光学システム。
  17. 請求項16に記載の光学システムにおいて、
    前記補正装置は、球面収差を補正する補正環を含む
    ことを特徴とする光学システム。
  18. 請求項9又は請求項10に記載の光学システムにおいて、
    前記光学機器は、顕微鏡を含む
    ことを特徴とする光学システム。
  19. 標本の画像を取得する光学機器であって、
    球面収差を補正する補正環を備えた対物レンズと、
    前記球面収差を強調する光学素子と、を備えた
    ことを特徴とする光学機器。
  20. 請求項19に記載の光学機器であって、
    以下の条件式を満たすことを特徴とする光学機器。

    ただし、f(r)は前記光学素子を使用しない場合における対象領域の透過率分布であり、前記対象領域は、前記光学素子を使用して観察を行うときに前記光学素子を配置する前記光学機器内の領域である。g(r)は前記光学素子の透過率分布であり、rは光軸からの距離であり、L1は前記光学素子を使用しない場合における前記対象領域に入射したときの軸上光線束の半径であり、L2は前記光学素子に入射したときの前記軸上光線束の半径である。
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