JP2020196758A - O/w型乳化組成物 - Google Patents

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【課題】皮膚への使用感および/または塗布感に優れたO/W型乳化組成物、具体的には使用時にべたつかず、肌なじみのよいO/W型乳化組成物を提供する。また上記使用感とは別に、または上記使用感に加えて、肌に載せて塗り伸ばすときに感じる独特な塗布感(厚み感)を有するO/W型乳化組成物を提供する。【解決手段】 下記成分を含むことを特徴とするO/W型乳化組成物:(A)セラミド類、(B)非イオン界面活性剤、(C)シア脂、及び(D)水。【選択図】なし

Description

本発明は、O/W型(水中油型)乳化組成物に関する。より詳細は、皮膚への使用感、及び塗布時の感触に優れたO/W型乳化組成物に関する。
セラミドは、人の皮膚の表皮(角層)に存在する細胞間脂質である。加齢等により角層内のセラミドは減少していくことが知られており、それに伴い皮膚は乾燥して皺などを生じ、またバリア機能の低下によりアレルゲン等の侵入を招き、炎症やかゆみを生じることになる。このような症状に対して、セラミドを外用することが有効であるが、外用組成物にセラミドを配合すると、塗布時の使用感が悪く、べたついたり、肌なじみが悪い等の問題があった。また、眉間、目元、ほうれい線といった乾燥や小じわができやすい局所においては外用組成物を皮膚の上に載せて指で塗り広げるときに感じられる感触(塗布感)が重要であり、塗りこむ感覚、具体的には始めは一定の抵抗感(乳化組成物の保型感)を感じながらも徐々に肌に馴染んでいく感覚(本明細書においてこれを「厚み感」とも称する)を付与することが望ましい。
このようなセラミドを含有する外用組成物の使用感を向上する方法として、セラミドと特定の構造のリン酸トリエステルを含有させることでべたつきがなく使用感を良好にする技術(特許文献1)等が提案されているが、まだまだ十分なものとは言えず、改良の余地がある。
また、前記「厚み感」に類似する感触として「コク感」を乳化組成物に付与する技術が特許文献2に記載されているが、セラミドを含有する外用組成物に「コク感」を付与する方法については記載されていない。
特開平9−67224号公報 特開2011−21007号公報
本発明の目的は、皮膚への使用感および/または塗布感に優れたO/W型乳化組成物、具体的には使用時にべたつかず、肌なじみのよいO/W型乳化組成物を提供することである。また本発明の目的は、上記使用感とは別に、または上記使用感に加えて、肌に載せて塗り伸ばすときに感じる独特な塗布感(厚み感)を有するO/W型乳化組成物を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねていたところ、後述する実験例に示すように、(A)セラミド類、(B)非イオン界面活性剤、(C)シア脂、及び(D)水を組み合わせてO/W型の乳化組成物に調製することにより、上記の使用感に優れた外用組成物、並びに上記の使用感に加えて塗布感を有する外用組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。また、当該O/W型の乳化組成物の上記効果は、(A)〜(D)成分に加えて、(E)アニオン性増粘剤、(F)炭化水素、及び/又は(G)多価アルコールを配合することでより増強することを確認した。
本発明は、これらの知見に基づいて完成したものであり、下記の実施形態を有する。
(I)O/W型乳化組成物
(I−1)下記成分を含むことを特徴とするO/W型乳化組成物:
(A)セラミド類、
(B)非イオン界面活性剤、
(C)シア脂、及び
(D)水。
(I−2)さらに(E)アニオン性増粘剤を含有することを特徴とする、(I−1)記載のO/W型乳化組成物。
(I−3)さらに(F)炭化水素を含有することを特徴とする、(I−1)又は(I−2)に記載するO/W型乳化組成物。
(I−4)さらに(G)多価アルコールを含有することを特徴とする、(I−1)〜(I−3)のいずれかに記載するO/W型乳化組成物。
(I−5)(A)を0.1〜3重量%、(B)を4〜8重量%、及び(C)を0.5〜2重量%の割合で含有する(I−1)〜(I−4)のいずれかに記載するO/W型乳化組成物。
(I−6)皮膚外用剤である(I−1)〜(I−5)のいずれかに記載するO/W型乳化組成物。
(II)使用感向上方法/塗布感向上方法
(II−1)(A)セラミド類を含有するO/W型乳化組成物の使用感向上方法または/および塗布感向上方法であって、(A)セラミド類に加えて(B)非イオン界面活性剤、(C)シア脂、及び(D)水を配合してO/W型の乳化状態に調製することを特徴とする方法。
(II−2)O/W型乳化組成物に、さらに(E)アニオン性増粘剤を配合することを特徴とする、(II−1)記載の方法。
(II−3)O/W型乳化組成物に、さらに(F)炭化水素を配合することを特徴とする、(II−1)又は(II−2)に記載する方法。
(II−4)O/W型乳化組成物に、さらに(G)多価アルコールを配合することを特徴とする、(II−1)〜(II−3)のいずれかに記載する方法。
(II−5)(A)を0.1〜3重量%、(B)を4〜8重量%、及び(C)を0.5〜2重量%の割合で配合する(II−1)〜(II−4)のいずれかに記載する方法。(II−6)O/W型乳化組成物が皮膚外用剤である(II−1)〜(II−5)のいずれかに記載する方法。
本発明のO/W型乳化組成物は、セラミド類を有効成分として含有しながらも、べたつき感が有意に抑制され、また肌なじみも良く、肌に対する使用感が優れている。また本発明のO/W型乳化組成物は、上記使用感に加えて、または上記の使用感とは別に、肌に載せて塗り伸ばすときに独特な塗布感(厚み感)を有している。つまり、本発明によれば、肌に対する使用感および/または塗布感(厚み感)に優れた乳化組成物を提供することができる。
(I)O/W型乳化組成物
本発明の乳化型医薬組成物は、乳化形態を有し、少なくとも下記成分を含むことを特徴とする:
(A)セラミド類、
(B)非イオン界面活性剤、
(C)シア脂、及び
(D)水。
以下、これらの各成分について説明する。
(A)セラミド類
本発明が対象とするセラミド類には、セラミド(天然セラミド、ヒト型セラミド、植物性セラミド等)の他、セラミド類縁体(擬似セラミド等)が含まれる。
ここでセラミド (ceramide) はスフィンゴ脂質の一種であり、スフィンゴシンのアミノ基に長鎖脂肪酸がアミド結合した化合物群の総称である。スフィンゴシンの構造(N−アシル基の構造など)及び長鎖脂肪酸の構造の違いにより11種類に細分化(セラミド1〜11)されている(例えば、Robson KJ, Stewart ME, Michelsen S, Lazo ND, Downing DT.: 6-Hydroxy-4-sphingenine in human epidermal ceramides. J Lipid Res. 1994 Nov;35(11):2060-8;及び、石田賢哉ら「特集1 機能性原料としてのセラミドとその応用『天然型セラミドの開発と応用 角層細胞間脂質に着目した光学活性セラミド製剤』」FRAGRANCE JOURNAL 2004-11:23-32)。
本発明においては上記のセラミドの構造を有していれば何れのセラミドでも使用でき、動物または植物由来のセラミドの他、有機合成により得られたセラミドを用いてもよい。またこれらには不斉炭素が存在し、光学活性体、ラセミ体(光学不活性体)が存在するが、本発明ではその何れもが使用できる。好ましいのは光学活性体である。なかでも好ましくは、セラミド1、セラミド2、およびセラミド3である。商業的に入手可能なセラミドとしては、例えばセラミド1(商品名;CERAMIDE I(エボニックジャパン株式会社製)))、セラミド2(商品名:CERAMIDE TIC-001(高砂香料工業株式会社製))セラミド3(商品名:CERAMIDE III(エボニックジャパン株式会社製))等が挙げられる。
セラミド類縁体には、セラミドと構造及び性質が類似した擬似セラミド、及びそれらの成分からの抽出物や誘導体(スフィンゴシン誘導体)が含まれる。当該セラミド類縁体には、特開昭62−228048号公報、特開昭63−216812号公報、特開昭63−227513号公報、特開昭64−29347号公報、特開昭64−31752号公報、および特開平8−319263号公報などに記載されているセラミド類似構造物質が含まれる。具体的には、下記一般式(1)で示される化合物、及び一般式(2)で示される化合物から選択される化合物を挙げることができる。
Figure 2020196758
[式中、R1bは炭素数10〜26の炭化水素基、R2bは炭素数9〜25の炭化水素基を示し、Xは−(CH−を示す。なお、nは2〜6の整数を示す。]
Figure 2020196758
[式中、R及びRは同一または異なって炭素数1〜40のヒドロキシル化されていてもよい炭化水素基を示し、Rは炭素数1〜6のアルキレン基又は単結合を示し、Rは水素原子、炭素数1〜12のアルコキシ基又は2,3−ジヒドロキシプロピルオキシ基を示す。但し、Rが単結合であるときはRは水素原子である。]
なお、上記式(1)及び(2)中、炭化水素基としてはアルキル基又はアルケニル基を好適に挙げることができる。
セラミド類は、1種単独で使用してもよいし、また2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。好ましいセラミド類は、ヒト型(光学活性体)セラミドであり、なかでも前述するように、セラミド1、セラミド2、およびセラミド3からなる群から選択される少なくとも1種を挙げることができる。これら3種のセラミドは2種以上、好ましくは3種組み合わせて使用することが好ましい。例えば3種を組み合わせて使用する場合、セラミド2を100重量部とした場合、これに対してセラミド1を0.002〜300重量部、およびセラミド3を0.24〜300重量部の割合で併用することができる。好ましくはセラミド1を0.00495〜100重量部、およびセラミド3を1.25〜149.5重量部の割合である。
本発明のO/W型乳化組成物中に含まれるセラミド類の割合としては、少なくとも表皮角質層のバリア機能や保湿機能を補うとともに、本発明の効果(使用感および/または塗布感)を損なわない量であればよく、その限りにおいて特に制限されるものではない。通常、本発明のO/W型乳化組成物100重量%あたり0.1〜3重量%の範囲で適宜選択することができる。好ましくは0.2〜3重量%、より好ましくは0.5〜3重量%である。
(B)非イオン界面活性剤
本発明が対象とする非イオン界面活性剤には、エーテル型、エステル・エーテル型、及びエステル型の非イオン性の界面活性剤が含まれる。
ここでエーテル型非イオン界面活性剤としては、例えば炭素数10〜18の高級アルコールにエチレンオキサイド(EO)を付加重合することで得られるポリオキシエチレン(POE)アルキルエーテル(AE);アルキルフェノールにEOを付加重合することで得られるポリオキシエチレン(POE)アルキルアリルエーテル;およびポリプロピレングリコールにエチレンオキシド(EO)を付加重合することで得られるポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールなどを上げることができる。またエステル・エーテル型非イオン界面活性剤としては、例えば多価アルコールの脂肪酸エステルにEOを付加した化合物、具体的にはポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどを挙げることができる。さらに、エステル型の非イオン界面活性剤としては、ポリグリセリン、グリセリン、ソルビタン、シュガー、プロピレングリコールなどの高級アルコール脂肪酸エステルを挙げることができる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。
なかでも、エステル型非イオン界面活性剤は、本発明の効果(使用感および/または塗布感)を発揮するうえで好適に使用できる界面活性剤である。エステル型非イオン界面活性剤の具体的な例としては、制限されないものの、ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、及びショ糖脂肪酸エステルが挙げられる。
これらのエステル型非イオン界面活性剤を構成する脂肪酸としては、制限されないものの、好ましくは炭素数8〜24の飽和又は不飽和の脂肪酸を挙げることができる。炭素数8〜24の飽和脂肪酸としては、カプリル酸(8:0)、ペラルゴン酸(9:0)、カプリン酸(10:0)、ラウリン酸(12:0)、ミリスチン酸(14:0)、ペンタデシル酸(15:0)、パルミチン酸(16:0)、マルガリン酸(17:0)、ステアリン酸(18:0)、アラキジン酸(20:0)、ベヘン酸(22:0)、及びリグノセリン酸(24:0)を挙げることができる。炭素数8〜24の不飽和脂肪酸としては、パルミトレイン酸(16:1)、オレイン酸(18:1(9))、バ
クセン酸(18:1(11))、及びネルボン酸(24:1)等の二重結合を1つ有する不飽和脂肪酸;リノール酸(18:2(9,12))、8,11-エイコサジエン酸(20:2(8,11))等の二重結合を
2つ有する不飽和脂肪酸;(9,12,15)−リノレン酸(18:3)、(6,9,12)−リノレン酸
(18:3)、及びエレオステアリン酸(18:3(9,11,13))、及び5,8,11-エイコサトリエン酸(20:3(5,8,11))等の二重結合を3つ有する不飽和脂肪酸を挙げることができる好ましくは炭素数10〜18の飽和脂肪酸であり、より好ましくは炭素数12〜18の飽和脂肪酸である。
エステル型非イオン界面活性剤のなかでも、好ましくはポリグリセリン脂肪酸エステル、およびグリセリン脂肪酸エステルである。
ここでポリグリセリン脂肪酸エステルとして、好ましくは2〜10個のグリセリンが縮合したポリグリセリンと炭素数8〜24の飽和又は不飽和の脂肪酸からなるエステルを挙げることができる。より好ましくは4〜10個のグリセリンが縮合したポリグリセリンと炭素数12〜18の飽和脂肪酸からなるエステルである。またグリセリン脂肪酸エステルとして、好ましくは炭素数8〜24の飽和又は不飽和の脂肪酸からなるエステルであり、より好ましくは炭素数12〜18の飽和脂肪酸からなるエステルである。
これらのポリグリセリン脂肪酸エステルの中でも、具体的にはラウリン酸ポリグリセリル−6、ミリスチン酸ポリグリセリル−6、ステアリン酸ポリグリセリル−6、ラウリン酸ポリグリセリル−10、ミリスチン酸ポリグリセリル−10、ステアリン酸ポリグリセリル−10が挙げられ、グリセリン脂肪酸エステルの中でも、具体的にはミリスチン酸グリセリル、ステアリン酸グリセリル、オレイン酸グリセリルが挙げられる。
本発明のO/W型乳化組成物中に含まれる非イオン界面活性剤の割合としては、本発明の効果を発揮する量であればよく、その限りにおいて特に制限されるものではない。通常、O/W型乳化組成物100重量%あたり4〜8重量%の範囲で適宜選択することができる。好ましくは5〜8重量%、より好ましくは5.5〜8重量%を例示することができる。
(C)シア脂
シア脂は、アカテツ科のシアーバターノキの種子の胚から得られる、ステアリン酸とオレイン酸を主な組成とする植物性脂肪であり、シアバター(英: shea butter)とも称さ
れる。
本発明のO/W型乳化組成物中に含まれるシア脂の割合としては、本発明の効果を発揮
する量であればよく、その限りにおいて特に制限されるものではない。通常、O/W型乳化組成物100重量%あたり0.5〜2重量%の範囲で適宜選択することができる。好ましくは0.75〜2重量%、より好ましくは1〜2重量%を例示することができる。
(D)水 水はその種類を特に問うものではなく、例えば、精製水、蒸留水、イオン水、滅菌水、及び海洋深層水などを、制限なく使用ができる。好ましくは精製水である。本発明のO/W型乳化組成物における当該水の配合割合は、通常20〜95.4重量%の範囲から適宜設定することができる。好ましくは25〜90重量%であり、より好ましくは30〜90重量%である。
本発明のO/W型乳化組成物は、少なくとも上記(A)〜(D)成分を含有するものであればよいが、さらに下記の(E)アニオン性増粘剤、(F)炭化水素、及び(G)多価アルコールからなる群から選択される少なくとも1種を配合することもできる。以下にこれらの成分について説明する。
(E)アニオン性増粘剤
本発明のO/W型乳化組成物は、前述する(A)〜(D)成分に加えて、さらに(E)アニオン性増粘剤を含有していてもよい。
アニオン性増粘剤としては、制限されないものの、例えばカルボキシメチルセルロース、ヒアルロン酸、アルギン酸、キサンタンガム、カラギーナン、アラビアゴム、グアーガム、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、ポリアクリル酸ナトリウム等の高分子増粘剤を例示することができる。
これらのアニオン性増粘剤は天然由来であっても、合成由来であってもよく、特にその起源を制限するものではない。また1種単独であっても、また2種以上を任意に組み合わせた混合物であってもよい。好ましくは、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、及びキサンタンガムである。
本発明の効果をより効果的に奏するために、アニオン性増粘剤を2種以上組み合わせて用いることができる。特に制限されないものの、かかる組み合わせには、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル重合体及びキサンタンガムの組み合わせ、カルボキシビニルポリマーとアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体の組み合わせ、カルボキシビニルポリマーとキサンタンガムの組み合わせ、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体とキサンタンガムの組み合わせが含まれる。好ましくはカルボキシビニルポリマーとアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体の組み合わせである。
本発明のO/W型乳化組成物における当該アニオン性増粘剤の配合割合(2種以上を併用する場合は総量)は、O/W型乳化組成物100重量%あたり通常0.025〜1重量%の範囲から適宜設定することができる。好ましくは0.05〜1重量%であり、より好ましくは0.05〜0.5重量%である。
(F)炭化水素
本発明のO/W型乳化組成物は、前述する(A)〜(D)成分、または(A)〜(E)成分に加えて、さらに(F)炭化水素を含有していてもよい。後述する実験例に示すように、(A)〜(D)成分、特に(A)〜(E)成分に加えて(F)成分を配合することで、使用時のべたつき感が改善され、また塗布時に厚み感を感じることができるO/W型乳化組成物を調製することができる。
炭化水素は、本発明の効果を損なわないものであって、外用組成物、特に例えば化粧料
分野において使用可能な成分であればよく、特に限定されるものではないが、通常、分子量200〜1000000であるものが好ましく、中でも常温(25℃)で液状のものが好ましい。例えば、水添ポリイソブテン、α−オレフィンオリゴマー、植物性スクワラン、スクワラン、流動パラフィン、プリスタン、ミネラルオイル、及びワセリン等が挙げられる。これらは1種単独で使用しても、また2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。これらの炭化水素の中でも、本発明の効果が得られやすいことから、好ましくはスクワラン、植物性スクワラン、流動パラフィン、ミネラルオイルであり、より好ましくはスクワラン、植物性スクワランである。
本発明のO/W型乳化組成物における炭化水素の配合割合は、通常1〜30重量%の範囲から適宜設定することができる。好ましくは2.5〜30重量%であり、より好ましくは5〜25重量%である。
(G)多価アルコール
本発明のO/W型乳化組成物は、前述する(A)〜(D)成分、(A)〜(E)成分、または(A)〜(F)成分に加えて、さらに(G)多価アルコールを含有していてもよい。後述する実験例に示すように、(A)〜(D)成分、(A)〜(E)成分、特に(A)〜(F)成分に加えて(G)成分を配合することで、使用感(べたつきのなさ、肌なじみ)に優れたO/W型乳化組成物を調製することができる。
多価アルコールは、本発明の効果を損なわないものであって、外用組成物、特に例えば化粧料分野において使用可能な成分であればよく、特に限定されるものではないが、例えば、炭素数2〜6、水酸基数2〜4の多価アルコールを使用することができる。具体的には、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール(トリメチレングリコール)、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール(テトラメチレングリコール)、2−ブテン−1,4−ジオール、1,5−ペンタンジオール(ペンタメチレングリコール)、1,2−ペンタンジオール、イソプレングリコール(イソペンチルジオール)、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、及びジプロピレングリコール、ペンチレングリコールなどの2価アルコール;グリセリン(濃グリセリンを含む)、及びトリメチロールプロパンなどの3価アルコール;並びにジグリセリン、ペンタエリスリトール、及び1,2,6−ヘキサントリオールなどの4価アルコール等が挙げられる。
これらの中でも、本発明の効果をより効果的に発揮できる観点から、好ましくは1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール及びグリセリンであり、より好ましくは1,3−ブチレングリコール、及びグリセリンである。
本発明のO/W型乳化組成物における多価アルコールの配合割合は、通常O/W型乳化組成物100重量%あたり0.1〜10重量%の範囲から適宜設定することができる。好ましくは0.1〜5重量%であり、より好ましくは0.1〜3重量%である。
(H)O/W型乳化組成物に配合するその他の成分(任意成分)
本発明のO/W型乳化組成物には、本発明の効果を損なわない範囲であれば、その形態等に応じて、他の成分を適宜選択し、1種又は2種以上を併用して配合できる。例えば、皮膚吸収促進剤(皮膚浸透促進剤)、美白剤、保湿剤、抗炎症剤、抗しわ剤、血行促進剤、及び局所麻酔剤等の機能成分を挙げることができる。
具体的には以下のものが挙げられる。
(H-1)皮膚吸収促進剤(皮膚浸透促進剤)としては、セラミド類の経皮浸透性を高め
、皮膚への吸収を促進する作用を有するものを使用することができる。かかるものとして、例えば、脂肪酸・脂肪酸エステル(オレイン酸、ミリスチン酸イソプロピル、中鎖脂肪酸トリグリセライド等)、生分解性促進剤(アルキルエステル、アミノカプロン酸)、その他、アミノ酸、テルペン類、ピロリドン類、尿素、リン脂質、各種の溶媒(ポリオール、低級アルコール、高級アルコール、ジメチルフルスルフォキシド等)を制限なく例示することができる。
(H-2)美白剤としては、アルブチン、ビタミンC、ビタミンC誘導体、システイン、
及びトラネキサム酸等を制限なく例示することができる。
(H-3)抗炎症剤としては、ロキソプロフェンナトリウム、インドメタシン、フルルビ
プロフェンナトリウム、マレイン酸クロルフェニラミン、グリチルレチン酸、及びグリチルリチン酸二カリウム等を制限なく例示することができる。
(H-4)抗しわ剤としては、ヒアルロン酸、コラーゲン、レチノール、ヘパリン類似物
質、尿素等を制限なく例示することができる。
(H-5)血行促進剤としては、ビタミンE、ショウキョウチンキ、セージエキス、ヨモ
ギエキス、プラセンタ等を制限なく例示することができる。
(H-6)局所麻酔剤としては、リドカイン、ジブカイン、ブピバカイン等をを制限なく
例示することができる。
また本発明のO/W型乳化組成物に配合できる任意成分として、乳化製剤の調製に一般的に使用される油性成分、安定化剤、防腐剤、緩衝剤、及びpH調整剤等の各種添加剤を挙げることができる。
(H-7)油性成分としては、高級アルコール、植物油、及び植物ステロール(フィトス
テロール等)が挙げられる。
高級アルコールとしては、炭素数6以上、より好ましくは炭素数6〜30の脂肪族アルコールが挙げられる。当該油性成分は、常温(25℃)で固形のものが好ましい。具体的には、セタノール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ラノリンアルコール等が挙げられる。これらの高級アルコールは、1種単独で用いてもよいし、また2種以上を併用してもよい。
植物油としては、マカデミア種子油、ホホバ種子油、カニナバラ果実油、ヤシ油、アボガド油、オリーブ油、杏仁油、ククイナッツ油、グレープシード油、サフラワー油、スイーツアルモンド油、トウモロコシ胚芽油、ヒマワリ油、ヘーセルナッツ油、ホホバワックス、及びローズヒップ油等が挙げられる。これらの植物油は、1種単独で用いてもよいし、また2種以上を併用してもよい。
植物ステロール(フィトステロール)は、植物の細胞膜中に存在し、二重結合を持つシトステロールを始め、スチグマステロール、カンペステロール、ブラシカステロール、フコステロールや二重結合を持たないステロール等の混合物である。本発明に使用される植物ステロールは特に限定するものではなく、例えば、大豆、米、小麦、ゴマなどの穀物;大根、キャベツ、リンゴ、レタスなどの果物や野菜;その他ヒマワリ、菜種、ヤシ、棉実、樹木の皮などからの抽出品、精製品などが挙げられる。抽出される植物原料の種類は特に限定するものではないが、好ましくは植物油の脱臭工程により産出されるスカム等より分離して得られる植物ステロール、パルプの製造の際に副産物として得られるステロールを挙げることができる。
(H-8)pH調整剤の一例として、塩酸、硫酸、リン酸、ポリリン酸、ホウ酸等の無機
酸;乳酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、シュウ酸、グルコン酸、フマ
ル酸、プロピオン酸、酢酸、アスパラギン酸、イプシロン−アミノカプロン酸、グルタミン酸、アミノエチルスルホン酸等の有機酸;炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等の無機塩基;モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、リジン等の有機塩等を挙げることができる。
(H-9)防腐剤の一例として、ブチルパラベン、メチルパラベン、プロピルパラベン、
エチルパラベン、安息香酸ナトリウム、フェノール及びベンジルアルコール等を挙げることができる。
(H-10)安定化剤の一例として、ジブチルヒドロキシトルエン、エデト酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、及び乾燥亜硫酸ナトリウム等を挙げることができる。
(H-11)緩衝剤の一例として、ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、イプシロン−アミノカプロン酸、アスパラギン酸、及びアスパラギン酸塩等を挙げることができる。
(H-12)その他の成分として、カルボキシメチルスターチナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、セルロース、乳糖、ハードファット、D−ソルビトール、中鎖脂肪酸トリグリセリド、トウモロコシデンプン等を挙げることができる。
(I)O/W型乳化組成物の調製方法及び使用方法
本発明のO/W型乳化組成物は、上記(A)〜(D)成分、さらに必要に応じて、(E)〜(H)に記載するいずれか少なくとも1種の成分を混合し、75〜85℃程度の温度になるように加熱した後、ホモジナイザーやホモミキサーや攪拌機などの混合機を用いて所定条件で乳化するなど、周知の方法で調製することができる。
ここで、本発明のO/W型乳化組成物は、その硬度を特に制限するものではないが、通常15〜120g、好ましくは20〜100g、より好ましくは30〜80gとなるように
調整される。なお、硬度は、レオメーター「型式:CR−500DX(サン科学、アダプター直径20mm、円形)」を使用して下記方法による測定値である。
(方法)
試料(乳化組成物)40gを直径約4cm、高さ3cmの円形ジャー容器に入れ、室温下(25℃付近)において測定する(定深度測定、測定速度38mm/分)。測定時の最大荷重(g)を測定値として採用する(測定回数1回)。
本発明のO/W型乳化組成物は、液状〜半固形状の水中油型乳化組成物であって、皮膚外用剤として用時に好適に使用することができる。当該皮膚外用剤の形態として、具体的には半固形状の軟膏及びクリームを例示することができる。このように、本発明の乳化組成物は半固形状態を有しており、使用時に手にとりやすく、展延性が良好であり、べたつきが少なく、肌になじみやすく、使用感も優れている。さらに、塗布時に保形感を有し肌に塗り込んでいく感覚を感じながらも徐々に肌に馴染んでいく塗布感(厚み感)に優れている。
本発明のO/W型乳化組成物は、目的に応じて、外用医薬品、外用医薬部外品、及び化粧品のいずれかの態様に調製することができる。なお、化粧品としての形態は特に限定されるものではないが、例えばスキンケア化粧品としてマッサージクリーム、モイスチャークリーム、リップクリーム等;メーキャップ化粧品としてファンデーション、口紅、ほほ紅、アイシャドウ等とすることができる。上記化粧品には、一般に化粧品に用いられてい
る各種化粧品成分を適宜配合することができる。
またO/W型乳化組成物は、通常、1日1回〜複数回、適時、対象とする皮膚に塗布して使用される。なおこの場合、O/W型乳化組成物の一回塗布量中に含まれるセラミドの量としては、制限されないものの、1〜30mg/g程度を例示することができる。
(II)使用感向上方法/塗布感向上方法
本発明は(A)セラミド類を含有するO/W型乳化組成物の使用感向上方法を提供する。また本発明は(A)セラミド類を含有するO/W型乳化組成物の塗布感向上方法を提供する。ここで使用感としては、肌使用時のべたつきのなさおよび/または肌なじみ感を挙げることができる。また塗布感としては厚み感を挙げることができる。その詳細は(I)に説明した通りであり、その記載をここに援用することができる。
当該方法は、当該O/W型乳化組成物の調製に際して、上記(A)成分に加えて、さらに(B)非イオン界面活性剤、(C)シア脂、及び(D)水を配合することで実施することができる。これらの成分に加えて、さらに(E)アニオン性増粘剤、(F)炭化水素、及び(G)多価アルコールからなる群から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする。
本発明の方法で使用する(A)セラミド類、(B)非イオン界面活性剤、(C)シア脂、(D)水、(E)アニオン性増粘剤、(F)炭化水素、及び(G)多価アルコールの種類、並びにその配合割合は、上記(I)で説明した通りである。従って、当該発明において、上記(I)における(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)及び(G)の記載を援用することができる。
本発明のO/W型乳化組成物の使用感向上方法/塗布感向上方法において、対象とする乳化組成物の調製方法も上記(I)で説明した通りである。従って、当該発明において、上記(I)における当該記載を援用することができる。
本発明の使用感向上方法によれば、後述する実験例に示すように、セラミド類を含有す
るO/W型乳化組成物を肌に塗布した際のベたつきを抑え、肌なじみを向上することが可能になる。本発明の塗布感向上方法によれば、後述する実験例に示すように、セラミド類を含有するO/W型乳化組成物を肌に塗布する際の感触(厚み感)をO/W型乳化組成物に付与し向上することが可能になる。
以下、実験例及び実施例に基づいて、本発明を具体的に説明する。但し、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
実験例1 O/W型乳化組成物の調製及び評価
(1)被験試料の調製
表1記載の組成からなるO/W型乳化組成物(実施例1〜6,比較例1)を調製した。具体的には、それぞれ調製した水相(精製水、アニオン性増粘剤[アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、カルボキシビニルポリマー、キサンタンガム]、pH調整剤))及び油相(前記水相成分以外の成分)を混合し、乳化状態になるまで撹拌して、各O/W型乳化組成物(実施例1〜6,比較例1、いずれもpH7)を調製した。
(2)試験方法
5名の化粧品評価専門パネラーに、上記で調製した各O/W型乳化組成物を下記の試験条件で手の甲に塗布してもらい、その使用感(肌なじみ、べたつき感)及び塗布感(厚み
感)を下記の判断基準に従って評価してもらった。各実施例1〜6及び比較例1について、各評価項目毎に5名のパネラーの評点を合計した。また、これらの評価項目(肌なじみ、べたつき感、厚み感)の合計評点を、各実施例(及び比較例1)毎に総計し、各O/W型乳化組成物の総合評価とした。
(a)試験条件
塗布環境:温度25℃、相対湿度40〜50%
塗布方法:O/W型乳化組成物0.2gを手の甲に置き、反対の手の人指し指の腹部を用いて2×2cmの範囲で円を描くように塗り込んだ。
(b)判断基準
<肌なじみ>
手の甲に置いた乳化組成物を指で塗り広げていくにつれて、乳化組成物が肌に吸収されていく感覚を5段階で評価する。最高評価を評点5とし、最低評価を評点1として、1点刻みで評価する(下記の「べたつき感」及び「厚み感」も同じ)。具体的には、その感覚が強い場合を「5:良い」とし、その程度が弱くなるにつれて「4:やや良い」、「3:どちらでもない」、「2:やや悪い」、及び「1:悪い」と判断した。なお、「悪い」とは「塗り広げても組成物が肌上に残存し、塗り終わりまでに長時間を要することから、肌に吸収されていく感覚が悪いと感じる」ことを意味する。
<べたつき感>
乳化組成物を塗り終わった際の手の甲の塗布部に感じるべたついた感覚を5段階で評価する。具体的には、そのべたつき感がないか若しくはほぼない場合を「5:良い」とし、べたつき感が増すにつれて「4:やや良い」、「3:どちらでもない」、「2:やや悪い」、及び「1:悪い」と判断した。
<厚み感>
「手の甲に置いた乳化組成物の保形性」、「塗り広げていく際の塗り応え」、及び「塗り終わった際の皮膚の塗布感」を、それぞれ下記の基準に基づいて5段階で評価した。
Figure 2020196758
各評価項目、総合評価の合計評点について下記の基準で判断した。
Figure 2020196758
(3)試験結果
結果を表4に示す。
Figure 2020196758
この結果からわかるように、(A)セラミド、(B)非イオン界面活性剤、及び(D)水を含有するO/W型乳化組成物(比較例1)に、(C)シア脂を配合することで(実施例4)、使用感(べたつき感、肌なじみ)が有意に改善されるとともに、塗布時に厚み感を感じるようになった。さらにこれに(F)炭化水素を配合することで(実施例2及び3)使用感及び厚み感が増し、その効果は(F)炭化水素の量を増やすことで増強した。さらにまたこれに多価アルコールを配合することで(実施例1、5及び6)、使用感(べたつきのなさ、肌なじみ)が増した。
実施例7〜12
表5及び6に記載する処方に従って、実験例1と同様の方法により、本発明のO/W型乳化組成物(実施例7〜12、実施例11のpHは7)を調製した。
Figure 2020196758
Figure 2020196758

Claims (1)

  1. 下記成分を含むことを特徴とするO/W型乳化組成物:
    (A)セラミド類、
    (B)非イオン界面活性剤、
    (C)シア脂、及び
    (D)水。
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