JP2020164439A - 安定化した高内相w/o型乳化組成物及びこれを利用した化粧料 - Google Patents

安定化した高内相w/o型乳化組成物及びこれを利用した化粧料 Download PDF

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Abstract

【課題】乳化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルを使用する場合であっても、乳化状態の安定化が図られるようにした、高内相W/O型乳化組成物及びこれを利用した化粧料を提供する。【解決手段】(A)乳化剤と、(B)油と、(C)油ゲル化剤と、(D)水とを含み、水相の占める割合が70質量%以上であるW/O型乳化組成物であって、前記(A)乳化剤は、不飽和脂肪酸及び/又は分岐脂肪酸を残基に有するポリグリセリン脂肪酸エステルを含み、直鎖状の飽和脂肪酸のみを残基に有するポリグリセリン脂肪酸エステルを含まないことを特徴とする高内相W/O型乳化組成物である。前記(A)乳化剤は、前記直鎖状の飽和脂肪酸のみを残基に有するポリグリセリン脂肪酸エステルとして、オクタステアリン酸ポリグリセリル−6及びラウリン酸ポリグリセリル−10をいずれも含まないことが好ましい。【選択図】 なし

Description

本発明は、化粧料等への応用に適した乳化組成物に関し、より詳細には、油相に水相が分散してなるW/O型乳化組成物に関する。
一般に、乳化剤と油と水とを含む乳化組成物であって、分散相の割合が高いものは高内相乳化組成物と呼ばれている(特許文献1参照)。高内相乳化組成物のメリットとしては、油相に水相が分散してなるW/O型の乳化化粧料として、さっぱりとした使用感と高い保湿効果の両立が得られる点が挙げられる。一方、そのデメリットとしては、乳化状態を維持するのが難しく、経時安定性が低いことが挙げられる。
特開昭57−81827号公報
本発明者らの研究によると、高内相W/O型乳化組成物に乳化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルを使用すると、みずみずしさやしっとり感の使用感に優れていた。しかしながら、ポリグリセリン脂肪酸エステルのうち特定の種類のものを使用すると乳化状態の安定性が悪くなるという問題があった。
そこで、本発明の目的は、乳化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルを使用する場合であっても、乳化状態の安定化が図られるようにした、高内相W/O型乳化組成物及びこれを利用した化粧料を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1は、(A)乳化剤と、(B)油と、(C)油ゲル化剤と、(D)水とを含み、水相の占める割合が70質量%以上であるW/O型乳化組成物であって、前記(A)乳化剤は、不飽和脂肪酸及び/又は分岐脂肪酸を残基に有するポリグリセリン脂肪酸エステルを含み、直鎖状の飽和脂肪酸のみを残基に有するポリグリセリン脂肪酸エステルを含まないことを特徴とする高内相W/O型乳化組成物を提供するものである。
本発明に係る高内相W/O型乳化組成物によれば、乳化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルを使用したので、みずみずしさやしっとり感の使用感に優れている。そして、油ゲル化剤を使用したうえ、その乳化剤の配合を、不飽和脂肪酸及び/又は分岐脂肪酸を残基に有するポリグリセリン脂肪酸エステルを含み、直鎖状の飽和脂肪酸のみを残基に有するポリグリセリン脂肪酸エステルを含まないようにしたので、高内相W/O型の乳化状態の安定化が図られる。よって、化粧料等として好適に利用され得る。
本発明に係る高内相W/O型乳化組成物においては、前記不飽和脂肪酸及び/又は分岐脂肪酸を残基に有するポリグリセリン脂肪酸エステルは、該残基として、リシノレイン酸、オレイン酸、及びイソステアリン酸からなる群から選ばれた1種又は2種以上を有することが好ましい。
本発明に係る高内相W/O型乳化組成物においては、前記(C)油ゲル化剤は、グリセリン脂肪酸エステル、デキストリン脂肪酸エステル、イヌリン脂肪酸エステル、及び高級アルコールからなる群から選ばれた1種又は2種以上を含むことが好ましい。
本発明に係る高内相W/O型乳化組成物においては、該組成物は化粧料の形態であることが好ましい。
一方、本発明の第2は、上記の高内相W/O型乳化組成物を含む化粧料を提供するものである。
更に、本発明の第3は、(A)乳化剤と、(B)油と、(C)油ゲル化剤と、(D)水とを含み、水相の占める割合が70質量%以上であるW/O型乳化組成物の安定化方法であって、前記(A)乳化剤として、不飽和脂肪酸及び/又は分岐脂肪酸を残基に有するポリグリセリン脂肪酸エステルを含有させ、直鎖状の飽和脂肪酸のみを残基に有するポリグリセリン脂肪酸エステルを含有させないことを特徴とする高内相W/O型乳化組成物の安定化方法を提供するものである。
本発明に係る高内相W/O型乳化組成物の安定化方法によれば、高内相W/O型乳化組成物の乳化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルを使用したので、みずみずしさやしっとり感の使用感に優れている。そして、その高内相W/O型乳化組成物には油ゲル化剤が配合されているうえ、乳化剤の配合において、不飽和脂肪酸及び/又は分岐脂肪酸を残基に有するポリグリセリン脂肪酸エステルを用い、直鎖状の飽和脂肪酸のみを残基に有するポリグリセリン脂肪酸エステルを用いないようにしたので、高内相W/O型の乳化状態の安定化が図られる。よって、この安定化した高内相W/O型乳化組成物は、化粧料等として好適に利用され得る。
本発明に係る高内相W/O型乳化組成物の安定化方法においては、前記不飽和脂肪酸及び/又は分岐脂肪酸を残基に有するポリグリセリン脂肪酸エステルは、該残基として、リシノレイン酸、オレイン酸、及びイソステアリン酸からなる群から選ばれた1種又は2種以上を有することが好ましい。
本発明に係る高内相W/O型乳化組成物の安定化方法においては、前記(C)油ゲル化剤は、グリセリン脂肪酸エステル、デキストリン脂肪酸エステル、イヌリン脂肪酸エステル、及び高級アルコールからなる群から選ばれた1種又は2種以上を含むことが好ましい。
本発明に係る高内相W/O型乳化組成物の安定化方法においては、該組成物は化粧料の形態であることが好ましい。
本発明によれば、高内相W/O型乳化組成物に配合する乳化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルを使用したので、みずみずしさやしっとり感の使用感に優れている。そして、その乳化剤の配合を、不飽和脂肪酸及び/又は分岐脂肪酸を残基に有するポリグリセリン脂肪酸エステルを含み、直鎖状の飽和脂肪酸のみを残基に有するポリグリセリン脂肪酸エステルを含まないようにしたので、高内相W/O型の乳化状態の安定化が図られる。よって、化粧料等として好適に利用され得る。
本発明に係る高内相W/O型乳化組成物は、
成分(A)として乳化剤を、
成分(B)として油を、
成分(C)として油ゲル化剤を、
成分(D)として水を含み、水相からなる分散相の占める割合が70質量%以上である。
ここで、一般に乳化組成物の乳化状態として、油相中に水相が分散してなるW/O型の乳化状態を形成しているかどうかは、当業者に周知の方法により、例えば、試験管に入れた水に乳化物を滴下し、分散しなければW/O型の乳化状態であると判定することができる(希釈法)。また、例えば、乳化物にテスターの電極部分を接触させ電気伝導度を測定することによりW/O型の乳化状態であることを確認することができる(電気伝導度法)。更に、例えば、水溶性または油溶性色素を添加し、顕微鏡像によりW/O型の乳化状態であることを確認することができる(色素法)。
本発明に係る高内相W/O型乳化組成物は、水相からなる分散相の占める割合が70質量%以上99質量%以下であることが好ましく、74質量%以上95質量%以下であることがより好ましく、74質量%以上90質量%以下であることが最も好ましい。水相からなる分散相の占める割合が上記範囲未満であると、例えば、さっぱりとした使用感や高い保湿効果等、高内相W/O型乳化組成物に特徴的な性質が得られなくなる場合があるので好ましくない。
成分(A)の乳化剤としては、少なくともポリグリセリン脂肪酸エステルを用いる。乳化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルを使用すると、高内相W/O型乳化組成物に特徴的な性質とともに、みずみずしさやしっとり感の使用感に優れている。なお、ここで乳化剤とは、水と油を乳化させる機能性を有する物質一般を指し、例えば、界面活性剤と称される場合であっても、そのような機能性を有する限り、本発明の乳化剤として使用可能である。
本発明に用いるポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、一般に化粧料等に使用可能なものであればよく、特に制限はない。例えば、そのグリセリン構成部におけるグリセリンの平均重合度が1〜10、より好ましくは5〜10であってよい。また、例えば、その脂肪酸エステル構成部における脂肪酸の炭素数が10〜24、より好ましくは18〜22であってよい。更に、例えば、そのグリセリン構成部におけるグリセリン単位(モノグリセリン)当たりの、その脂肪酸エステル構成部における脂肪酸の分子数が、0.3以上程度、より典型的には0.5以上であってよい。
更に、皮膚と化粧料の親和性の観点からは、ポリグリセリン脂肪酸エステルは親油性のものを用いることが好ましく、その場合、親油度の指標となるHLB値としては、8以下であることが好ましく、4以下であることがより好ましい。HLB(Hydrophile−Lipophile Balance)値は、乳化剤を構成する分子の親油度/親水度のバランスによって算出される数値であり、乳化剤の性質を示す指標として当業者に周知の指標である(例えば、野々村美宗著「化粧品 医薬部外品 医薬品のための界面化学 基礎から応用まで」発行所:フレグランスジャーナル社、出版日:平成27年10月10日、第35−38頁参照)。また、市場に流通する乳化剤の多くは、その乳化剤に固有のHLB値とともに流通している。よって、そのような流通過程の表示に基づいて、上記HLB値が好ましいかどうかの判断をなし得る。
ただし、本発明においては、高内相W/O型乳化組成物の安定性の観点から、ポリグリセリン脂肪酸エステルとして、特に、不飽和脂肪酸及び/又は分岐脂肪酸を残基に有するものを用いる。この場合、不飽和脂肪酸としては、リシノレイン酸、オレイン酸、ヒドロキシステアリン酸、パルミトオレイン酸、エルカ酸、リノレン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、マカダミアナッツ脂肪酸等が挙げられる。分岐脂肪酸としては、イソステアリン酸、ネオペンタン酸等が挙げられる。その不飽和脂肪酸及び/又は分岐脂肪酸としては、ポリグリセリン脂肪酸エステルの1分子中に単一種類を有するものであってもよく、複数種類を有するものであってもよい。すなわち、ポリグリセリン脂肪酸エステルとして、その脂肪酸エステル構成部における脂肪酸として、不飽和脂肪酸及び分岐脂肪酸からなる群から選ばれた1種又は2種以上の残基を有するものを用いる。ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、不飽和脂肪酸及び分岐脂肪酸からなる群から選ばれた1種又は2種以上の残基のみを有するものを用いることが更により好ましい。
本発明に用いるポリグリセリン脂肪酸エステルを更に具体的に例示するとすれば、例えば、ポリリシノレイン酸ポリグリセリル−5、ポリリシノレイン酸ポリグリセリル−6、ポリリシノレイン酸ポリグリセリル−10、オレイン酸ポリグリセリル−2、オレイン酸ポリグリセリル−3、オレイン酸ポリグリセリル−4、トリオレイン酸ポリグリセリル−10、ペンタオレイン酸ポリグリセリル−10、ヒドロキシステアリン酸ポリグリセリル−10、デカマカダミアナッツ脂肪酸ポリグリセリル−10、ペンタイソステアリン酸ポリグリセリル−10等が挙げられる。
更に、本発明においては、上記のように用いようとするポリグリセリン脂肪酸エステルから、特に、直鎖状の飽和脂肪酸のみを残基に有するポリグリセリン脂肪酸エステルを除く。すなわち、これを使用しない。これにより、当該直鎖状の飽和脂肪酸のみを残基に有するポリグリセリン脂肪酸エステルによって、高内相W/O型乳化組成物の安定性が阻害されることがない。この場合、直鎖状の飽和脂肪酸としては、ステアリン酸、ラウリン酸等が挙げられる。
本発明において忌避すべきポリグリセリン脂肪酸エステルを更に具体的に例示するとすれば、例えば、オクタステアリン酸ポリグリセリル−6、ラウリン酸ポリグリセリル−10等が挙げられる。
成分(A)の乳化剤として、上記したポリグリセリン脂肪酸エステルは、その1種類のものを単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
成分(A)の乳化剤としては、上記したポリグリセリン脂肪酸エステルに属するもの以外にも、他の乳化剤を適宜併用してもよい。他の乳化剤としては、一般に化粧料等に使用可能なものを適宜選択して使用すればよいが、例えば、ショ糖、(モノ)グリセリン、ソルビタン、オキシエチレン等を親水部として有する脂肪酸エステルなどが挙げられる。高内相W/O型乳化組成物の乳化状態の安定性の観点からは、その脂肪酸エステル構成部における脂肪酸が不飽和脂肪酸である乳化剤が好ましい。例えば不飽和脂肪酸としてオレイン酸やエルカ酸などが挙げられ、なかでも、オレイン酸スクロース、エルカ酸スクロース等を用いるのが好ましい。また、使用感、安定性および乳化組成物の粘性の観点より、その脂肪酸エステル構成部における脂肪酸が飽和脂肪酸であるパルミチン酸やステアリン酸である乳化剤を併用してもよい。なかでもパルミチン酸スクロース、ステアリン酸スクロース等を用いるのが好ましい。
成分(A)の乳化剤として、上記したポリグリセリン脂肪酸エステルに属するもの以外の他の乳化剤は、その1種類のものを単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
ただし、上記したポリグリセリン脂肪酸エステルによる、みずみずしさやしっとり感を呈する使用感を得る観点からは、成分(A)の乳化剤の全量中に、上記したポリグリセリン脂肪酸エステルに属するもの以外の乳化剤の含有量は、0.1質量%以上50質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上25質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以上10質量%以下であることが更により好ましい。また、場合によっては、含まれないことが好ましい。
成分(A)の含有量(乳化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルに属するもの以外のものを含む場合には、ポリグリセリン脂肪酸エステルに属するものと、それ以外のものとの合計量として)としては、成分(B)〜(D)の配合量や他の原料の配合量との関係もあり、また、用いる乳化剤の種類によっても一概ではないが、典型的には、例えば、組成物全量中に0.1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上5.0質量%以下であることがより好ましい。この範囲を外れると、安定な高内相W/O型乳化組成物を調製できなくなる場合があるので好ましくない。また、上記したポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量としては、典型的には、例えば、組成物全量中に0.1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上5.0質量%以下であることがより好ましい。上記範囲を超えると、みずみずしさやしっとり感を呈する使用感を得る効果が得られない場合があるので好ましくない。また、上記範囲未満であると、安定な高内相W/O型乳化組成物を調製できなくなる場合があるので好ましくない。
成分(B)の油としては、一般に化粧料等に使用可能なものを適宜選択して使用すればよく、特に制限はないが、例えば、高内相W/O型乳化組成物を調製する観点からは、その調製温度(例えば80℃)で液体状となる油を用いることが好ましい。また、低粘で肌に塗布しやすい乳化液体状の化粧料とする観点からは、常温(25℃)で液体状となる油を用いることが好ましい。
具体的には、例えば、脂肪酸類とアルコール類とをエステル結合してなるエステル油である。エステル油としては、例えば、2−エチルヘキサン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸イソプロピル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、オレイン酸2−オクチルドデシル、ジ2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリイソステアリン酸グリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、2−エチルヘキサン酸ジグリセリド、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル等が挙げられる。低粘性及び安定性の観点からは、2−エチルヘキサン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル等が好ましい。
また、例えば、炭化水素系の非エステル油である。非エステル油としては、例えば、ミネラルオイル(流動パラフィン)、スクワラン、スクワレン、セレシン等が挙げられる。低粘性及び安定性の観点からは、ミネラルオイル、スクワラン等が好ましい。
また、例えば、シリコーン系のシリコーン油である。シリコーン油としては、例えば、ジフェニルシロキシトリメチコン、ジメチコン(ジメチルポリシロキサン)、フェニルトリメチコン、シクロペンタンシロキサン等が挙げられる。メイクなじみや、2種以上の油を使用する場合の他の油相成分との相溶性の観点からは、ジフェニルシロキシトリメチコン、シクロペンタンシロキサン等が好ましい。
また、例えば、植物油である。植物油としては、例えば、ホホバ油、オリーブ油、マカダミアナッツ油、ツバキ油、アボガド油、ローズヒップ油、ククイナッツ油、ヘーゼルナッツ油、メドウフォーム油等が挙げられる。安定性の観点からは、マカダミアナッツ油、メドウフォーム油等が好ましい。
成分(B)の油として、上記した油は、その1種類のものを単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
成分(B)の油としては、高内相W/O型乳化組成物を調製する温度(例えば80℃)で液体状となる油、もしくは常温(25℃)で液体状となる油に属するもの以外にも、他の油を適宜併用してもよい。他の油としては、一般に化粧料等に使用可能なものを適宜選択して使用すればよいが、例えば、化粧料の使用感を調整するとの観点から、例えば、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)などの半固形油や、ステアリン酸バチル、蜜蝋、コレステロールなどの固形油等が挙げられる。
上記した他の油は、成分(B)の油として、その1種類のものを単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
ただし、高内相W/O型乳化組成物の調製温度(例えば80℃)で液体状のものを用いる観点、もしくは低粘で肌に塗布しやすい乳化液体状の化粧料とする観点からは、成分(B)の油の全量中に、上記した他の油の含有量は、0.1質量%以上50質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上25質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以上10質量%以下であることが更により好ましい。また、場合によっては、含まれないことが好ましい。
成分(B)の含有量(上記した他の油を含む場合や2種類以上の油を含む場合には、それらの合計量として)としては、成分(A)、(C)、及び(D)の配合量や他の原料の配合量との関係もあり、また、用いる油の種類によっても一概ではないが、典型的には、例えば、組成物全量中に0.1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、5.0質量%以上25質量%以下であることがより好ましい。上記範囲を超えると、水相からなる分散相の占有比を維持し難くなる場合がある。また、上記範囲未満であると、W/O型の乳化状態を維持し難くなる場合がある。
成分(C)の油ゲル化剤としては、一般に化粧料等に使用可能なものを適宜選択して使用すればよく、特に制限はない。例えば、ベヘン酸グリセリル、(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリル等のグリセリン脂肪酸エステル、パルミチン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、(パルミチン酸/エチルヘキサン酸)デキストリン、(パルミチン酸/ヘキシルデカン酸)デキストリン、ステアリン酸イヌリン等の多糖と脂肪酸のエステル、バチルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコールや有機変性粘度鉱物等が挙げられる。なかでも、グリセリン脂肪酸エステル、デキストリン脂肪酸エステル等を用いることが好ましく、より具体的には、ベヘン酸グリセリル、パルミチン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリル等を用いることが好ましい。
成分(C)の油ゲル化剤として、上記した油ゲル化剤は、1種類のものを単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
成分(C)の含有量としては、成分(A)、(B)、及び(D)の配合量や他の原料の配合量との関係もあり、また、用いる油ゲル化剤の種類によっても一概ではないが、典型的には、例えば、組成物全量中におよそ0.05質量%以上程度含有せしめれば、安定な高内相W/O型乳化組成物の形成に寄与し得る。好ましくは0.1質量%以上であり、0.1質量%以上10質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以上5質量%以下であることが更により好ましく、0.1質量%以上3質量%以下であることが特に好ましい。上記範囲未満であると、高内相W/O型乳化組成物の乳化状態を安定化する効果に乏しくなる。また、上記範囲を超えて含有せしめても、その含有量に応じて乳化状態を安定化する効果に乏しく、かえって、安定な高内相W/O型乳化組成物の形成を妨げる場合がある。
成分(D)の水としては、例えば、精製水、蒸留水、イオン交換水、RO水、滅菌処理水等、一般に化粧料等に使用可能なものを適宜用いればよく、特に制限はない。
成分(D)の含有量としては、成分(A)〜(C)の配合量や他の原料の配合量との関係等によっても一概ではないが、典型的には、例えば、組成物全量中に20質量%以上96質量%以下であることが好ましく、30質量%以上95質量%以下であることがより好ましく、30%質量%以上90%以下が特に好ましい。上記範囲未満であると、水相からなる分散相の占有比を維持し難くなる場合がある。また、上記範囲を超えると、W/O型の乳化状態を維持し難くなる場合がある。
本発明に係る高内相W/O型乳化組成物には、上記した成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、一般に化粧料等に配合される成分、例えば、有機酸類、塩類、防腐剤、香料、色素等を何れも配合することができる。また、増粘のための増粘剤を配合してもよい。例えば、化粧料の使用感を調整する観点からは、キサンタンガム、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ケイ酸(Al/Mg)、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル重合体等の水系増粘剤を適宜配合してもよい。
また、例えば、機能性を付与する観点からは、下記に示すような水溶性有効成分を適宜配合してもよい。ただし、これらに限られず、皮膚に対してなんらかの有効性を与える物質として寄与し得る任意の成分であってよい。なお、上記水溶性有効成分について「水溶性」とは、高内相W/O型乳化組成物の水相からなる分散相によく溶解又は分散して、少なくともその水相からなる分散相中に実質量で存在し得る性質を有する成分であることを意味するものである。
(微生物発酵産物)
一般に化粧料等に配合される成分を乳酸菌(ビフィズス菌を含む)や酵母で発酵させた培養物、培養上清、その培養物及び/又は培養上清から水もしくは含水アルコール等により抽出した抽出物等が挙げられる。例えば、特公平02−040643号公報に記載されているような乳酸菌/牛乳発酵液、特許第4512265号公報に記載されているような乳酸菌/牛乳発酵液、特許第3795011号公報に記載されているような乳酸桿菌/アロエベラ発酵液、特許第3184114号公報に記載されているような豆乳/ビフィズス菌発酵液、特開2017−212894号公報に記載されているような乳成分含有培地の乳酸菌培養物をクリベロマイセス・マキシアヌスで発酵させた培養物、WO2016/117489公報に記載されているような乳成分含有培地の乳酸菌培養物をウィッカーハモマイセス・ピジュペリで発酵させた培養物等が挙げられる。微生物発酵産物は、これに含まれるアミノ酸等の成分が、皮膚に対して保湿作用などの有効性を与える物質として化粧料に用いられる。
(ヒアルロン酸及び/又はその塩)
微生物の発酵物やニワトリのトサカから抽出した抽出物等が挙げられる。具体的には、例えば、特公平4−6356号公報に記載されているようなグルコース含有培地をストレプトコッカスで発酵させた培養物等が挙げられる。ヒアルロン酸及び/又はその塩は、皮膚に対して保湿作用の有効性や良好な使用感を与える物質として化粧料に用いられる。
(植物抽出物)
昆布、ワカメ、モズク等の海藻類、チンピ、ヨモギ、エイジツ、ゲットウ、サクラ、シャクヤク、ツボクサ、ボダイジュ、特開2002−179581または特開2014−2184677号公報に記載されているような水丁香等の植物類を、水もしくはアルコール等により抽出した抽出物等が挙げられる。植物抽出物は、これに含まれるフラボノイド、ポリフェノール等の成分が、皮膚に対して保湿作用、抗酸化作用等の有効性を与える物質として化粧料に用いられる。
(グリチルリチン酸及び/又はその塩)
カンゾウから抽出した物質に対して、酸加水分解を行って得られたもの等が挙げられる。グリチルリチン酸及び/又はその塩としては、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸アンモニウム等が挙げられる。グリチルリチン酸及び/又はその塩は、皮膚に対して抗炎症作用等の有効性を与える物質として化粧料に用いられる。
(アスコルビン酸、その塩及び/又はその誘導体)
グルコースや発酵で得られた物質を原料にして、合成により得られた物質を結晶析出したもの、更にこれを合成や発酵により化学修飾した誘導体等が挙げられる。アスコルビン酸、その塩及び/又はその誘導体としては、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、リン酸アスコルビルマグネシウム、アスコルビン酸硫酸2ナトリウム、ラウリル3−グリセリルアスコルビン酸等が挙げられる。アスコルビン酸、その塩及び/又はその誘導体は、美白作用、真皮コラーゲン合成促進作用、抗酸化作用等の皮膚に対して有効性を与える物質として化粧料に用いられている。
上記した水溶性有効成分としては、1種類のものを単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
上記した水溶性有効成分の含有量としては、成分(A)〜(D)の配合量や他の原料の配合量との関係もあり、また、用いる水溶性有効成分の種類や配合目的によっても一概ではないが、典型的には、例えば、組成物全量中に乾燥固形分換算で0.01質量%以上5.0質量%以下であることが好ましく、0.02質量%以上3.0質量%以下であることがより好ましく、0.02質量%以上2.0質量%以下であることが更により好ましい。上記範囲未満であると、当該水溶性有効成分を配合したことによる作用効果を得難くなる場合がある。また、上記範囲を超えると、高内相W/O型乳化組成物の乳化状態を安定に維持し難くなる場合がある。
また、更なる使用感の向上や安定性の向上の観点からは、モノアルコール及び/又は多価アルコールを適宜配合してもよい。モノアルコール及び/又は多価アルコールとしては、一般に化粧料等に使用可能なものを適宜選択して使用すればよいが、上記水溶性有効成分を配合した高内相W/O型乳化組成物の乳化状態の安定化の観点からは、例えば、炭素数2〜6のモノアルコール、炭素数2〜6の多価アルコール、ポリオキシプロピレンジグリセリルエーテル等を用いることが好ましい。炭素数2〜6のモノアルコールとしては、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等が挙げられる。なかでも、エタノール、イソプロパノール等を用いることがより好ましい。炭素数2〜6の多価アルコールとしては、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、プロパンジオール、1,2−ヘキサンジオール等が挙げられる。なかでも、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール等を用いることがより好ましい。
上記したモノアルコール及び/又は多価アルコールとしては、1種類のものを単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
上記したモノアルコール及び/又は多価アルコールの含有量としては、成分(A)〜(D)の配合量や他の原料の配合量との関係もあり、また、用いるモノアルコール及び/又は多価アルコールの種類によっても一概ではないが、典型的には、例えば、組成物全量中に3.0質量%以上40質量%以下であることが好ましく、3.0質量%以上20質量%以下であることがより好ましく、5.0質量%以上15質量%以下であることが更により好ましい。この範囲を外れると、安定な高内相W/O型乳化組成物を調製できなくなる場合がある。
本発明に係る高内相W/O型乳化組成物は、通常、当業者に周知の調製方法のとおり、成分(B)の油を主体とし、油によく溶解し又は分散させることができる原料を混合もしくは分散させてなる油性原料と、成分(D)の水を主体とし、水によく溶解し又は分散させることができる原料を混合もしくは分散させてなる水性原料とを調製しておき、必要とあれば、適当な温度条件下、例えば室温〜80.0℃にて、油性原料に水性原料を少量ずつ添加しながら分散させることにより調製することができる。一旦乳化状態を形成した後は、例えば室温等に冷却してもよい。なお、上記した油ゲル化剤は、一般に油に親和性を有する場合が多いので、このような調製の際には、油性原料に混合もしくは分散させることが好ましい。また、成分(A)として、上記した不飽和脂肪酸及び/又は分岐脂肪酸を残基に有するポリグリセリン脂肪酸エステルとして親油性のものを用いる場合も、同様に、油性原料に混合もしくは分散させることが好ましい。一方、上記した水溶性有効成分を配合する場合や、上記したモノアルコール及び/又は多価アルコールを配合する場合は、一般に水に親和性を有する場合が多いので、このような調製の際には、水性原料に混合もしくは分散させることが好ましい。
本発明に係る高内相W/O型乳化組成物は、それをそのまま化粧料として用いてもよく、あるいは化粧料の原料として化粧料の製造工程で配合するようにして用いてもよい。具体的には、例えば、乳液、クリーム、クレンジング、マッサージ、サンスクリーン、化粧下地、クリームファンデーション等の形態の化粧料あるいはその原料として、好適に用いられる。なお、ここでいう化粧料は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律で定義されている医薬品、医薬部外品、化粧品を含む。
以下実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
[試験例1]
表1に示す配合で、水相からなる分散相の占める割合がおよそ76質量%である高内相W/O型乳化組成物を調製し、その乳化状態の安定性を評価した。具体的には、油相及び水相の各原料を秤量後、それぞれ80℃にて溶解・混合させ、80℃にて油相に水相を少量ずつ添加しながらディスパーミキサー(商品名「スリーワンモータBlh600」(撹拌翼φ40mm)、新東科学株式会社製)により、撹拌翼回転速度700rpmで分散させた後、35℃まで冷却した。
得られた調製物について、5℃、25℃、40℃、及び50℃の各温度条件下において、調製物が油相と水相に分離せずに乳化状態を保つかどうか、目視にて観察し、評価した。具体的には、1日目、7日目、15日目、2ヶ月目、及び1年2ヶ月目の各確認日において、下記の評価基準にしたがって、その安定性を評価した。
(安定性評価基準)
○:良好(見た目の分離なし)
△:やや不良(一部に分離がみられる)
×:不良(見た目の分離が顕著に認められる)
Figure 2020164439
その結果、調製例1−1と調製例1−2との比較にみられるように、高内相W/O型乳化組成物に油ゲル化剤であるベへン酸グリセリルを配合した調製例1−2では、それを配合しない調製例1−1に比べ、およそ15日目以降において安定性に差がみられるようになり、油ゲル化剤であるベへン酸グリセリルを配合しない調製例1−1では高内相W/O型乳化組成物の乳化状態を維持できなかったのに対して、油ゲル化剤であるベへン酸グリセリルを配合した調製例1−2では、50℃で1年2ヶ月目の評価サンプルの場合を除き、乳化状態が維持された。これに対し、調製例1−3では、調製例1−2と同じくベへン酸グリセリルが配合されているにもかかわらず、安定性向上効果は得られず、むしろ安定性が悪くなった。これは、調製例1−3では、油ゲル化剤として用いた製剤が、ベへン酸グリセリルに加えて、更に、一般に化粧品の乳化剤として知られるオクタステアリン酸ポリグリセリル−6を含むためではないかと考えられた。なお、ここでいう安定性の改善の判断は、化粧料等として利用される場合には、通常様々な温度帯に保管され、また、長時間保管されることが想定されることから、試験した保管条件で得られた結果を総合的に判断した。すなわち、少なくとも1つ以上の保管条件で安定性が改善されていることをもって、安定性が改善されていると判断した。
[試験例2]
表2に示す配合で、試験例1と同様にして、水相からなる分散相の占める割合が76質量%である高内相W/O型乳化組成物を調製し、その乳化状態の安定性を評価した。
Figure 2020164439
その結果、調製例2−1と調製例2−2との比較にみられるように、高内相W/O型乳化組成物に油ゲル化剤であるベへン酸グリセリルを配合しない調製例2−1では、それを配合した調製例2−2に比べ、5℃、25℃、及び50℃の温度条件における15日目の観察において不安定化がみられた。よって、試験例1の結果と同様に、本試験例による配合においても油ゲル化剤による安定化の効果が認められた。これに対し、調製例2−3では、調製例2−2と同じくベへン酸グリセリルが配合されているにもかかわらず、安定性向上効果は得られず、むしろ安定性が悪くなった。これは、調製例2−3では、配合中に、油ゲル化剤であるベへン酸グリセリルに加えて、更に、一般に化粧品の乳化剤として知られるラウリン酸ポリグリセリル−10を含むためではないかと考えられた。
[試験例3]
表3に示す配合で、試験例1と同様にして、水相からなる分散相の占める割合が85質量%である高内相W/O型乳化組成物を調製し、その乳化状態の安定性を評価した。
Figure 2020164439
その結果、調製例3−1と調製例3−2との比較にみられるように、高内相W/O型乳化組成物に油ゲル化剤であるベへン酸グリセリルを配合した調製例3−2では、それを配合しない調製例3−1に比べ、安定性が向上した。よって、試験例1、2の結果と同様に、本試験例による配合においても油ゲル化剤による安定化の効果が認められた。これに対し、調製例3−3では、調製例3−2と同じくベへン酸グリセリルを配合したにもかかわらず、高内相W/O型乳化組成物を形成できなかった。これは、調製例3−3では、配合中に、油ゲル化剤であるベへン酸グリセリルに加えて、更に、一般に化粧品の乳化剤として知られるラウリン酸ポリグリセリル−10を含むためではないかと考えられた。
[試験例4]
表4に示す配合で、試験例1と同様にして、水相からなる分散相の占める割合が85質量%である高内相W/O型乳化組成物を調製し、その乳化状態の安定性を評価した。
Figure 2020164439
その結果、調製例4−1と調製例4−2との比較にみられるように、高内相W/O型乳化組成物に油ゲル化剤であるベへン酸グリセリルを配合した調製例4−2では、それを配合しない調製例4−1に比べ、安定性が向上した。よって、試験例1〜3の結果と同様に、本試験例による配合においても油ゲル化剤による安定化の効果が認められた。これに対し、調製例4−3では、調製例4−2と同じくベへン酸グリセリルを配合したにもかかわらず、調製例4−2に比べて、40℃や50℃の温度条件における11日目の観察において不安定化がみられた。これは、調製例4−3では、配合中に、油ゲル化剤であるベへン酸グリセリルに加えて、更に、一般に化粧品の乳化剤として知られるラウリン酸ポリグリセリル−10を含むためではないかと考えられた。
[試験例5]
試験例1〜4に使用した油ゲル化剤の有効濃度を調べた。
具体的には、表5に示す配合のとおり、ベヘン酸グリセリルの濃度を0.1〜1質量%の範囲で変えて、その他は試験例1と同様にして、水相からなる分散相の占める割合が76質量%である高内相W/O型乳化組成物を調製し、その乳化状態の安定性を評価した。なお、表5に示す配合の調製例5−1としては、試験例2の調製例2−1の配合と同じであり、その結果で代用した。また、調製例5−4としては、試験例2の調製例2−2の配合と同じであり、その結果で代用した。
Figure 2020164439
その結果、表5に示されるように、油ゲル化剤であるベヘン酸グリセリルは、本試験例における配合においては0.1〜1質量%の濃度範囲で、高内相W/O型乳化組成物を経時安定化する効果が認められた。
[試験例6]
試験例1〜5に油ゲル化剤として使用したベヘン酸グリセリル以外の種類の油ゲル化剤についても、高内相W/O型乳化組成物を経時安定化する効果があるかどうか、その有効性を確認した。
具体的には、表6に示す配合のとおり、油ゲル化剤の種類を変えて、その他は試験例1と同様にして、水相からなる分散相の占める割合が76質量%である高内相W/O型乳化組成物を調製し、その乳化状態の安定性を評価した。なお、表6に示す配合の調製例6−1としては、試験例2の調製例2−1の配合と同じであり、その結果で代用した。
Figure 2020164439
その結果、表6に示されるように、油ゲル化剤として、ベヘン酸グリセリル以外にも、 (ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリル、ミリスチン酸デキストリン、(パルミチン酸/エチルヘキサン酸)デキストリン、(パルミチン酸/ヘキシルデカン酸)デキストリン、ステアリン酸イヌリン、又はベヘニルアルコールを配合した場合でも、無配合と比較して高内相W/O型乳化組成物の経時安定性が向上した。
[試験例7]
試験例1〜5に油ゲル化剤として使用したベヘン酸グリセリル以外の種類の油ゲル化剤についても、高内相W/O型乳化組成物を経時安定化する効果があるかどうか、その有効性を確認した。
具体的には、表7に示す配合のとおり、油ゲル化剤としてパルミチン酸デキストリンを使用し、その他は試験例1と同様にして、水相からなる分散相の占める割合が85質量%である高内相W/O型乳化組成物を調製し、その乳化状態の安定性を評価した。なお、表7に示す配合の調製例7−1としては、試験例4の調製例4−1の配合と同じであり、その結果で代用した。
Figure 2020164439
その結果、表7に示されるように、油ゲル化剤として、ベヘン酸グリセリル以外にも、 パルミチン酸デキストリンを配合した場合でも、無配合と比較して高内相W/O型乳化組成物の経時安定性が向上した。

Claims (9)

  1. (A)乳化剤と、(B)油と、(C)油ゲル化剤と、(D)水とを含み、水相の占める割合が70質量%以上であるW/O型乳化組成物であって、前記(A)乳化剤は、不飽和脂肪酸及び/又は分岐脂肪酸を残基に有するポリグリセリン脂肪酸エステルを含み、直鎖状の飽和脂肪酸のみを残基に有するポリグリセリン脂肪酸エステルを含まないことを特徴とする高内相W/O型乳化組成物。
  2. 前記不飽和脂肪酸及び/又は分岐脂肪酸を残基に有するポリグリセリン脂肪酸エステルは、該残基として、リシノレイン酸、オレイン酸、及びイソステアリン酸からなる群から選ばれた1種又は2種以上を有する、請求項1記載の高内相W/O型乳化組成物。
  3. 前記(C)油ゲル化剤は、グリセリン脂肪酸エステル、デキストリン脂肪酸エステル、イヌリン脂肪酸エステル、及び高級アルコールからなる群から選ばれた1種又は2種以上を含む、請求項1又は2記載の高内相W/O型乳化組成物。
  4. 化粧料の形態である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の高内相W/O型乳化組成物。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の高内相W/O型乳化組成物を含む化粧料。
  6. (A)乳化剤と、(B)油と、(C)油ゲル化剤と、(D)水とを含み、水相の占める割合が70質量%以上であるW/O型乳化組成物の安定化方法であって、前記(A)乳化剤として、不飽和脂肪酸及び/又は分岐脂肪酸を残基に有するポリグリセリン脂肪酸エステルを含有させ、直鎖状の飽和脂肪酸のみを残基に有するポリグリセリン脂肪酸エステルを含有させないことを特徴とする高内相W/O型乳化組成物の安定化方法。
  7. 前記不飽和脂肪酸及び/又は分岐脂肪酸を残基に有するポリグリセリン脂肪酸エステルは、該残基として、リシノレイン酸、オレイン酸、及びイソステアリン酸からなる群から選ばれた1種又は2種以上を有する、請求項6記載の高内相W/O型乳化組成物の安定化方法。
  8. 前記(C)油ゲル化剤は、グリセリン脂肪酸エステル、デキストリン脂肪酸エステル、イヌリン脂肪酸エステル、及び高級アルコールからなる群から選ばれた1種又は2種以上を含む、請求項6又は7記載の高内相W/O型乳化組成物の安定化方法。
  9. 前記高内相W/O型乳化組成物は、化粧料の形態である、請求項6〜8のいずれか1項に記載の高内相W/O型乳化組成物の安定化方法。
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