JP2020196321A - 油圧式車軸駆動装置 - Google Patents

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哲也 川谷
杉本 洋
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洋 杉本
道雄 塚本
Michio Tsukamoto
道雄 塚本
大裕 村島
Daisuke Murashima
大裕 村島
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Abstract

【課題】従来に比べさらなる小型化が実現された油圧式車軸駆動装置を提供する。【解決手段】車軸駆動装置1は、車軸2L・2Rと、センターケース31によって互いに流体接続される油圧ポンプ39及び油圧モータ33を有するHST3と、HST3の出力を前記車軸に伝達する減速ギア列4と、車軸2L・2Rを支持するとともに、内部にHST3と減速ギア列4を収容して油溜まりとする車軸駆動ケース10と、を備え、車軸駆動ケース10は、その内部に、HST3と減速ギア列4を設置するための単一の空間を有する収容室10aを形成し、収容室10aの上部を形成する上ハウジング11と、収容室10aの下部を形成する下ハウジング12により構成され、下ハウジング12が略立方体状の内部空間を有する。【選択図】図3

Description

本発明に係る少なくとも一つの実施例は、油圧式車軸駆動装置に関する。
油圧ポンプと油圧モータを流体接続した油圧式無段変速装置(以下、HSTと呼ぶ)を備えた油圧式車軸駆動装置が知られている。従来、このような油圧式無段変速装置を備えた油圧式車軸駆動装置は、車軸駆動ケースを備えており、該車軸駆動ケースの内部に前記HSTと、前記油圧モータの回転出力を減速する減速ギア列と、を収容するとともに、該車軸駆動ケースによって、車軸を回転可能に支持する構成が一般的である。
このような構成の油圧式車軸駆動装置では、例えば、特許文献1に示す如く、前記車軸駆動ケース内は油で満たされており、その内部に隔壁を設けて、前記HSTを収容する空間(HST室)と、前記減速ギア列を収容する空間(ギア室)に区画する構成が一般的である。HSTは、この油を作動油として用いるが、減速ギア列から発生するギアの磨耗粉が油と一緒にHST内に取り込まれないように互いの収容空間を仕切っているのである。
近年、このような油圧式車軸駆動装置を搭載する作業車両(例えば、モアや除雪機等)のさらなる小型軽量化へのニーズに応えるべく、油圧式車軸駆動装置のさらなる小型化へのニーズが存在している。しかしながら、車軸駆動ケースの内部に隔壁を設ける従来構成の油圧式車軸駆動装置では、既にスペース効率の改善等の検討が十分に行われていることもあり、さらなる小型化を実現することが困難になっている。
米国特許第特5836159号明細書
本発明は斯かる現状の課題に鑑みてなされたものであり、従来に比べさらなる小型化が実現された油圧式車軸駆動装置を提供する。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
前記事項を達成すべく、油圧式車軸駆動装置は、車軸と、センターケースによって互いに流体接続される油圧ポンプ及び油圧モータを有する油圧式変速装置と、前記油圧式無段変速装置の出力を前記車軸に伝達するギア機構と、前記車軸を支持するとともに、内部に前記油圧式変速装置と前記ギア機構を収容して油溜まりとするケースと、を備え、前記ケースは、その内部に、前記油圧式変速装置と前記ギア機構を設置するための単一の空間を有する収容室を形成し、前記収容部の上部を形成する上部ケーシングと、前記収容部の下部を形成する下部ケーシングにより構成され、前記下部ケーシングが略立方体状の内部空間を有する構成とする。
以上のように、ケース内のHSTを収容する領域とギア機構を収容する領域間の隔壁を省略することで、ケースの小型化が図られ、これにより、油圧式車軸駆動装置の小型化を図ることができる。また、コンパクト化された車軸駆動装置において、ケース内の保有油量を確保することができる。
また、前記事項を達成すべく、前記油圧式車軸駆動装置は、前記収容室において、少なくとも2以上のマグネットが配置されている。
以上のような構成により、ケース内で発生した鉄系の磨耗粉をマグネットで捕集することができる。これにより、磨耗粉の噛み込み等に起因する不具合の発生を抑制できる。
また、前記事項を達成すべく、前記油圧式車軸駆動装置は、前記収容室の底面に、前記マグネットが配置されている。
以上のような構成により、停止時等において下部に滞留沈殿する磨耗粉を効率よく捕集することができる。これにより、磨耗粉の噛み込み等に起因する不具合の発生をより確実に抑制できる。
また、前記事項を達成すべく、前記油圧式車軸駆動装置は、前記ギア機構を構成するギアのうち、少なくとも前記車軸上に固設されるファイナルギアを焼結品とし、他のギアはスチール製としている。
以上のように、大径で重量のあるギアを安価に加工製作できる焼結品とすることで低コスト化が図られる。スチール品に比べて柔らかい焼結品では、歯車噛合い時に歯面が削られ磨耗し易いものの、大径ギアであるため噛合い頻度が少ないので許容することができる。なお、削られた焼結品の摩耗粉はマグネットで吸着される。
また、前記事項を達成すべく、前記油圧式車軸駆動装置は、前記油圧モータのモータ軸上に配置され前記ギア機構のひとつである出力ギアと、前記モータ軸上に配置されたブレーキディスクを有する前記車軸を制動するためのブレーキ手段と、をさらに備え、前記ブレーキディスクを焼結品で構成している。
以上のような構成とすれば、ブレーキディスクは制動時にのみ磨耗するものであり、出力ギアはスチール品であるので、製造コストを抑えつつケース内における磨耗粉の発生量を抑制することができる。
以上の、またはその他の特徴及び効果については、添付の図面を参照して、以下の発明の詳細な説明にて明白になる。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
本発明によれば、従来に比べさらなる小型化が実現された油圧式車軸駆動装置を提供することができる。
車軸駆動装置の上ハウジングを取り外した状態の平面一部断面図である。 図1のA−A位置における車軸駆動装置の断面図である。 図1のB−B位置における車軸駆動装置の断面図である。 図1のC−C位置における車軸駆動装置の断面図である。 図1のD−D位置における車軸駆動装置の断面図である。 図1のE−E位置における車軸駆動装置の断面図である。 図1のF−F位置における車軸駆動装置の断面図である。 下ハウジングによる車軸の支持形態を示す部分斜視図である。 車軸駆動ケースにおけるマグネットの配置を示す斜視図である。 車軸駆動ケースによるマグネットの保持状態を示す部分斜視図である。 上ハウジングによるセンターケースの支持状態を示す斜視図である。 固定斜板ホルダーを上下反転させる状況を示す斜視図である。 可動斜板ホルダーに対するプレートの組み付け状況を示す斜視図であり、図13(A)は組み付け後の状態を示す斜視図であり、図13(B)は分解斜視図である。 センターケースを示す斜視図であり、図14(A)は前方右斜め上方から見た斜視図であり、図14(B)は後方右斜め上方から見た斜視図である。 図17のJ−J位置におけるHST(センターケース部分)の断面図である。 図17のK−K位置におけるHST(センターケース部分)の断面図である。 図15のG−G位置におけるHST(センターケース部分)の断面図である。 図15のH−H位置におけるHST(センターケース部分)の断面図である。 HSTの油圧回路図である。 図1のX−X位置におけるデフロック機構の部分断面図である。
次に、発明の実施の形態を説明する。以下、添付の図面を参照しつつ、いくつかの実施例について説明するが、実施例も図面も、あくまで一例であって限定的なものではない。なお、いくつかの図面において、同じ要素には同じ符号が付されている。
<油圧式車軸駆動装置の構成>
油圧式車軸駆動装置の構成について説明する。なお、以下の説明では、図中に示す矢印のように、油圧式車軸駆動装置の前後方向、左右方向、上下方向を規定している。
図1〜図7に示すように、本発明に係る油圧式車軸駆動装置の一実施形態である車軸駆動装置1は、車軸駆動ケース10を有する。車軸駆動ケース10は、上ハウジング11と下ハウジング12とが複数のボルトにより締結されて構成される。車軸駆動ケース10は、その内部に密閉された単一の空間である収容室10aを備えており、作動油を貯めるタンクとしての役割を果たしている。
車軸駆動ケース10の内部に形成される収容室10a内には、HST3、減速ギア列4、差動ギア装置5、デフロック機構6、ブレーキ機構7等が配設されている。そして、収容室10aは、HST3の駆動およびHST3および減速ギア列4の潤滑に用いられる油(作動油)で満たされている。収容室10aのうち減速ギア列4を収容する部分は、左側にオフセットされており、かつ、当該部分は、差動ギア装置5を収容する部分より前方の部分である。そして、収容室10aのHST3を収容する部分は、減速ギア列4を収容する部分の右側で、かつ、差動ギア装置5を収容する部分より前方の部分である。
このように、車軸駆動装置1では、車軸駆動ケース10の内部に、一体の収容室10aが設ける構成としており、換言すれば、車軸駆動ケース10内部のHST3や減速ギア列4等を配置する部分の間に隔壁を設けない構成としている。このため車軸駆動ケース10は、HST3と減速ギア列4との間の隔壁を省略した分だけ、左右方向の大きさを小さくすることが可能になっており、小型化が図られている。
右車軸2Rは上ハウジング11を貫通するよう延設され、上ハウジング11の右外側端部内のブッシュ(ニードル軸受)15にて軸支されている。左車軸2Lは上ハウジング11を貫通するよう延設され、上ハウジング11の左端部内のブッシュ15にて軸支されている。左右の車軸2L、2Rそれぞれの内端部は、収容室10a内の後部に配置されている。詳しくは、左右の車軸2L、2Rの内端部は、差動ギア装置5におけるリングギア51の軸芯孔に嵌入されて互いに対峙している。
また、図8に示すように、左車軸2Lの右端部は、該左車軸2Lが挿通された角ブッシュ(ニードル軸受)18にて軸支されている。角ブッシュ18は、下ハウジング12に形成された軸受台座部12aに形成された角型の凹部12bに嵌めこまれ、下ハウジング12により支持されている。右車軸2Rの左端部は、該右車軸2Rが挿通された角ブッシュ(ニードル軸受)19にて軸支されている。角ブッシュ19は、下ハウジング12に形成された軸受台座部12aに形成された角型の凹部12bに嵌めこまれ、下ハウジング12により支持されている。車軸駆動装置1では、左右の各車軸2L・2Rを各角ブッシュ18・19で軸支する構成とすることによって、各車軸2L・2Rの位置決めが容易になり、車軸駆動装置1を組み立てる際の作業効率の向上が図られている。
また、図1〜図7に示すように、下ハウジング12は、略立方体状の内部空間を有しており、車軸駆動ケース10の収容室10aは、オイルフィルタ20の配置部(後述する油溜まり16)以外を一連の平面状とした底面10bを備えている。このように車軸駆動ケース10では、底面10bを平坦な形状とし、車軸駆動ケース10の底部側の外形形状における凹凸を減らすことで、車軸駆動ケース10の小型化を図っている。また、車軸駆動装置1では、下ハウジング12に略立方体状の内部空間を形成することにより、小型化を図りつつ車軸駆動ケース10内(収容室10a)の保有油量を確保している。
また、図9に示すように、車軸駆動ケース10の収容室10a内には、適宜の位置にマグネット17を配置している。マグネット17は、減速ギア列4を構成する各ギアの摩耗等により生じる鉄系の摩耗粉を捕集するための手段である。本実施形態で示す例では、収容室10a内に合計4個のマグネット17を設けており、従来の車軸駆動装置に比してマグネット17の配置数を増やしている。車軸駆動ケース10では、HST3を配置する部位と減速ギア列4を配置する部位の間の隔壁を省略しているが、摩耗粉をマグネット17で捕集することによって、減速ギア列4の周囲で生じた摩耗粉がHST3の周囲に拡散することを抑制している。これにより、HST3において摩耗粉の噛み込みに起因する不具合が生じることを抑制している。
なお、本実施形態で示した車軸駆動装置1では、収容室10a内の摩耗粉を捕集するために、合計4個のマグネット17を設けているが、マグネット17は、収容室10a内の従来のHST室に相当する部分に少なくとも1個と、従来のギア室に相当する部分に少なくとも1個の、合計2個以上設ける構成とすることが好ましい。
図9および図10に示すように、収容室10a内の上ハウジング11側には、マグネット17を保持するための凹状の部位であるホルダー部11hが形成されている。また、収容室10a内の下ハウジング12側には、上ハウジング11と下ハウジング12を接合したときに、ホルダー部11hに対面するように配置された当たり部12cが形成されている。そして、ホルダー部11hに収容されたマグネット17は、上ハウジング11と下ハウジング12を接合したときに、当たり部12cが当接することで、ホルダー部11hに保持されるように構成されている。
さらに、図4に示すように、下ハウジング12の底面10bには、オイルフィルタ20の周囲を取り囲むように、シート状のマグネット21を配設している。マグネット21を底面10bに配置することで、停止時等において底面10bに滞留沈殿するギア等の磨耗粉を効率よく捕集することができる。これにより、HST3において摩耗粉の噛み込みに起因する不具合が生じることを確実に抑制している。さらに、オイルフィルタ20にはその内部に、穴あきコイン状のマグネット22を支持させてあり、オイルフィルタ20内に侵入した微細な鉄系の摩耗粉は、マグネット22で捕捉されるように構成している。
<HST>
図1〜図7に示すように、HST3は、上ハウジング11に対して4本のボルト38で固定されるセンターケース31と、該センターケース31に取り付けたアキシャルピストン型の油圧ポンプ39と、該センターケース31に取り付けたアキシャルピストン型の油圧モータ33とを有している。センターケース31の後半部には水平面31hが形成されており、この水平面31hに油圧ポンプ39を取り付けて、該油圧ポンプ39が該センターケース31の後半部より上方に延設されるように構成している。また、センターケース31の前半部の右側面に鉛直面が形成されており、この鉛直面に油圧モータ33を取り付けて、該油圧モータ33がその左方に配置された減速ギア列4に連係されるように構成している。
油圧ポンプ39の回転軸芯(すなわち、HST3の入力軸)である鉛直のポンプ軸34は、その下部が、センターケース31の後半部内にて軸支されており、上方に延出して、その上端部を車軸駆動ケース10の上ハウジング11の上端より上方に突出させている。このポンプ軸34の上端部には、入力プーリ8及び冷却ファン9を固設している。入力プーリ8にはベルト(図示せず)が巻回され、該ベルトを介して、入力プーリ8を、内燃機関等の原動機に駆動連結している。
左右の車軸2L、2Rを支持する車軸駆動装置1は、ポンプ軸34上に設けた入力プーリ8より原動機(図示せず)からの動力が入力され、この動力を、減速ギア列4及び差動ギア装置5を介して左右の車軸2L、2Rへと出力するよう、構成されている。
センターケース31の前半部には油圧モータ33の受部となる鉛直面31vが形成されており、この鉛直面31vに油圧モータ33を取り付けて、該油圧モータ33がセンターケース31の該前半部より右方に延設されるものとしている。油圧モータ33の出力軸であるモータ軸35は、センターケース31の左方より突出され、その先端に、油圧モータ33からの回転出力が出力されるモータ出力ギア41が配置されている。また、モータ軸35におけるモータ出力ギア41の配置部よりもさらに先端側には、ブレーキディスク70が配置されている。そして、油圧モータ33は、モータ軸35上に固設されたモータ出力ギア41を介して、減速ギア列4に連係されている。
車軸駆動装置1では、モータ出力ギア41とブレーキディスク70とを別体で構成しており、モータ出力ギア41とブレーキディスク70を、それぞれ異なる素材で構成できるようにしている。そして、車軸駆動装置1では、モータ出力ギア41を通常のスチール製とし、ブレーキディスク70を焼結品としている。車軸駆動装置1では、モータ出力ギア41をスチール製とすることで、モータ出力ギア41の製造コストを抑えている。
図11に示すように、車軸駆動装置1では、上ハウジング11の上部内面より支持壁11aが突設されている。支持壁11aは、HST3のセンターケース31を支持するための部位であり、ボルトボス状の2本の柱部11b・11bとその間を繋ぐ壁部11cとにより構成されている。また、壁部11cには、軸孔11dが形成されている。軸孔11dは、各トラニオン軸のうちの一方である第一トラニオン軸40bを軸支するための孔部である。柱部11b・11bの端面にはボルト孔11p・11pが形成される。
そして、センターケース31の前記水平面31hにおいてボルト孔11p・11pと対向する部位には、孔部31e・31fが形成され、2本のボルト38・38を挿通して柱部11b・11bのボルト孔11p・11pに螺合させることにより、上ハウジング11に対して固定される。第一トラニオン軸40bを軸支するための軸孔11dは、2本のボルト38・38が螺合される柱部11b・11bの間、即ち、各柱部11b・11bに形成された2箇所のボルト孔11p・11pの間に形成されている。このような構成では、ボルト孔の間のスペースを有効に活用することができるため、支持壁11aを設けても車軸駆動ケース10の小型化を妨げることがない。また、このような構成では、柱部11b・11bが壁部11cの補強としての役割を兼ねることで、車軸駆動ケース10に対してセンターケース31を堅固に支持しつつ、軸孔11dの強度を確保することができる。
そして、車軸駆動装置1は、オイルフィルタ20を備えている。車軸駆動装置1の下ハウジング12の下部は油溜まり16となっており、この中に、可変容積型の油圧ポンプ39と固定容積型の油圧モータ33とを閉回路を介して流体接続してなるHST3と、油圧モータ33のモータ軸35と、減速ギア列4とを収容している。そして、車軸駆動ケース10内におけるHST3は、センターケース31に形成性された一対の油路32a・32bによって油圧ポンプ39と油圧モータ33とを流体接続して構成されている。該油路32a・32bの両端にはそれぞれキドニー状のポートが開口され、前記水平面31hと前記鉛直面31vとにそれぞれ位置してシリンダブロック33a、39bのシリンダに連通している。
<固定斜板>
図1〜図7に示すように、油圧モータ33の付設面である鉛直面31vに、シリンダブロック33aが回転自在に支持されており、該シリンダブロック33aの複数のシリンダ33c・33c・・・内に、付勢バネを介して複数のピストン33b・33b・・・が往復動自在に嵌装されている。該ピストン33b・33b・・・の頭部は固定斜板37に当接している。固定斜板37は、油圧モータ33の回転軸線に対して所定角度を維持するよう固定斜板ホルダー45に対して固定されている。
図5に示すように、固定斜板ホルダー45は、上ハウジング11と下ハウジング12との間に挟み込まれて固定されている。上ハウジング11には支持面11fが形成され、下ハウジング12には支持面12dが形成されている。各支持面11f・12dは、車軸駆動ケース10において対向する位置に形成されている。
固定斜板ホルダー45の上下端部には、上ハウジング11の支持面11fおよび下ハウジング12の支持面12dに接触する平面部である被支持面45aが形成されている。上下の各被支持面45a・45aは互いに平行である。また、固定斜板ホルダー45のそれぞれの被支持面45aには、2箇所のピン45b・45bが突設されている。上ハウジング11の支持面11fには、ピン45b・45bに対応する位置にピン孔11g・11gが形成されており、かつ、下ハウジング12の支持面12dには、ピン45b・45bに対応する位置にピン孔12e・12eが形成されている。
そして、車軸駆動ケース10は、モータ軸35の軸線を含む平面上で分離接合可能な少なくとも2つの各ハウジング11・12により構成されており、各ハウジング11・12を接合して車軸駆動ケース10を構成したときに、固定斜板ホルダー45を挟み込む各支持面11f・12dが、各ハウジング11・12に設けられている。このような構成では、車軸駆動ケース10に対する固定斜板ホルダー45の組み付けを容易に行うことができる。
そして、固定斜板ホルダー45では、上下端部の被支持面45a・45aの中間の位置に、軸受孔45cを設けている。軸受孔45cは、モータ軸35を支持するための軸孔であり、軸受孔45cとモータ軸35の間にはブッシュ(ニードル軸受)45dを介設している。
このような構成により、固定斜板ホルダー45は、上ハウジング11と下ハウジング12との間に挟み込まれて固定されている状態で、上下の各ピン45bによって位置決めされている。また、固定斜板ホルダー45の各ピン45b・45bの各軸心は、同一平面上に位置し、かつ、上下の各ピン45b・45bの軸心を一致させるように配置している。このため、固定斜板ホルダー45は、上下を反転させても、軸受孔45cの位置を変えずに、上ハウジング11と下ハウジング12との間に挟み込んで固定できるように構成されている。
そして、図12に示すように、車軸駆動装置1では、固定斜板ホルダー45を上下反転させることで固定斜板37の角度を反転でき、これにより、搭載する車両の仕様に応じて油圧ポンプ39における可動斜板39aの傾動方向に対する車軸2L・2Rの回転方向を容易に変更することができる。
<油圧モータの軸支部>
図1および図5に示すように、センターケース31の油圧モータ33の配置面である鉛直面31vの中心部裏側には、凹部31cが形成されており、該凹部31cにベアリング31dが嵌め入れられている。また、センターケース31には、その軸線が鉛直面31vに直交する軸孔31bが形成され凹部31cに連通している。
油圧モータ33の回転軸芯(すなわち、HST3の出力軸)である左右水平のモータ軸35は、その左部が、ベアリング31dにて軸支されている。また、モータ軸35の右部は、センターケース31の前半部より右方に向けて延設され、さらに油圧モータ33のシリンダブロック33aを貫通して、その右方に配置された固定斜板ホルダー45によって軸支されている。より詳しくは、モータ軸35の右端部は、固定斜板ホルダー45に形成された軸受孔45cにおいて軸支されており、モータ軸35と軸受孔45cとの間には、ブッシュ45dが介設されている。
このように、油圧モータ33のモータ軸35は、左部がセンターケース31に形成されたベアリング31dによって軸支されており、右部が固定斜板ホルダー45に形成された軸受孔45c(ブッシュ45d)によって軸支されている。そして、車軸駆動装置1では、モータ軸35の軸支部を、センターケース31の外側に配置した固定斜板ホルダー45によって担わせることで、センターケース31の小型化を実現している。また、センターケース31の小型化を図りつつ、モータ軸35の軸ブレを抑制し、後述の大径カウンタギア43に対するモータ出力ギア41の噛合姿勢を良好に保って歯面の異常磨耗を低減させることが可能になっている。
<油圧ポンプ>
図1〜図7および図13に示すように、可動斜板39aは、油圧ポンプ39の作動油吐出量及び吐出方向を変更すべく可動斜板39aを傾動操作する容積変更手段であり、可動斜板ホルダー40によって保持されている。可動斜板ホルダー40は、ホルダー本体40aと、該ホルダー本体40aに分離不能な第一トラニオン軸40bと、分離可能な第二トラニオン軸40cとを備えている。第一トラニオン軸40bと第二トラニオン軸40cは、一対で可動斜板39aの回動軸を構成している。
上ハウジング11の支持壁11aに形成された軸孔11dには、車軸2L・2Rに対して平行な第一トラニオン軸40bが回転自在に支持されている。上ハウジング11の右側壁に形成された孔部11eには、車軸2L・2Rに対して平行で、車軸駆動ケース10の外部へと延びる第二トラニオン軸40cが回転自在に支持されている。両軸40b・40cは同一軸線上に配置される。そして、第二トラニオン軸40cの外端部には、コントロールレバー39dが取り付けられている。また、上ハウジング11内における第二トラニオン軸40cの内端部には、後述するオリフィス63・64に対する遮閉手段となる略扇形のプレート65が取り付けられている。コントロールレバー39dは、車両に備えられたレバーやペダル等の変速操作具(図示せず)に対してリンク機構(図示せず)を介して連結されている。
このような、可動斜板39a、各トラニオン軸40b・40cによる容積変更手段の構成において、コントロールレバー39dを回動させると、各トラニオン軸40b・40cを回動軸として、その回動軸まわりに可動斜板39aを傾動操作することができ、これに伴い、油圧ポンプ39からの作動油の吐出量が変更され、その結果、油圧モータ33(即ち、モータ軸35)の駆動回転数及び回転方向が制御される。
<可動斜板ホルダーの構成>
図13に示すように、可動斜板ホルダー40は、ホルダー本体40aの左端部に形成されている孔部40dに対して分離自在に第二トラニオン軸40cを挿通し、ボルト40eによって、第二トラニオン軸40cをホルダー本体40aに固定することで一体的に構成される。第二トラニオン軸40cのホルダー本体40a側の端部には、二面幅状に切り取られた凹部40fを有し、第二トラニオン軸40cの円筒状外周部が凸部となって、凹凸溝を構成している。
また、プレート65には、第二トラニオン軸40cを挿通するための孔部65aが形成されている。そして、孔部65aは、第二トラニオン軸40cの凹部40fに対応する二面幅状の凸部65bを有する形状であり、孔部65aの円筒状内周部が凹部となって、凹凸溝を構成している。
そして、孔部65aに第二トラニオン軸40cを挿通したときに、第二トラニオン軸40c側の凹凸溝と、プレート65側の凹凸溝が互いに係止し合うことで、プレート65が第二トラニオン軸40cに対して軸線方向に対してスライド可能で相対回転不能となる。
また、可動斜板ホルダー40を上ハウジング11に組み付ける際には、第一トラニオン軸40bを軸孔11dに挿通するために、第一トラニオン軸40bの長さの分だけ、ホルダー本体40aを左内壁側に寄せなければならないため、その分の余裕(隙間)を確保しておく必要がある。プレート65は、そのための隙間を利用して、ホルダー本体40aと上ハウジング11と左内壁との間に配置される。
なお、本実施形態では、第二トラニオン軸40cに二面幅状の凹部を形成して凹凸溝を形成した場合を例示しているが、第二トラニオン軸40cに形成する凹凸溝、およびこれに対応するプレート65側の凹凸溝の形態はこれに限定されるものではなく、ローレットなど種々の形態を採用し得る。
<可動斜板ホルダーの組み付け手順>
可動斜板ホルダー40を上ハウジング11に組み付ける際には、まず、第二トラニオン軸40cは外しておいた状態で、第一トラニオン軸40bを軸孔11dに挿通し、ホルダー本体40aおよび第一トラニオン軸40bを所定位置に配置する。このとき、ホルダー本体40aの孔部40dと上ハウジングの孔部11eの各軸心位置を同一軸心上に配置させておく。
次に、ホルダー本体40aと上ハウジング11の左内壁との間の隙間に、プレート65を配置する。このとき、プレート65の孔部65aの軸心位置を、ホルダー本体40aの孔部40dおよび上ハウジング11の孔部11eの軸心位置と同一軸心上に配置させておく。
次に、上ハウジングの孔部11e、プレート65の孔部65a、およびホルダー本体40aの孔部40dに対して、第二トラニオン軸40cを挿通する。このとき、第二トラニオン軸40cの凹部40fにより、プレート65の凸部65bを係止させる。
最後に、ボルト40eによって、第二トラニオン軸40cをホルダー本体40aに締結して、上ハウジング11に対する可動斜板ホルダー40の組み付けを完了する。
車軸駆動装置1では、第一トラニオン軸40bをホルダー本体40aに固定するためのボルト等が不要であるため、第一トラニオン軸40bの軸長を短くすることができ、これにより、小型化が図られている。また、ボルトの締め付け箇所が削減されるため、車軸駆動装置1では、組立作業の効率化が図られる。
<センターケースの油路>
図1〜図7および図14〜図18に示すように、HST3を構成するセンターケース31には、油路32a・32b・32c・32d・32e・32f・32g・32h・32k・32m・32n・32pが形成されている。油路32a・32bは、センターケース31の背面から前方に向かって、上下に並んで平行に穿設されている。
油路32bからは右方向に向かって水平な油路32eが分岐されており、その外側開口端部において拡径された油路32dが形成されている。油路32dは、上側のIDSバルブ61にて閉塞されている。
油路32aからは右方向に向かって水平な油路32eが分岐されており、さらに油路32eからは後方向に向かって水平な油路32fが分岐されている。そして油路32fからは、前記油路32eと平行するように右方向に向かって水平な油路32gが分岐されており、その外側開口端部において拡径された油路32hが形成されている。油路32hは、下側のIDSバルブ62にて閉塞されている。
また、センターケース31には、下方に向けて開放された吸油ポート32kが形成されている。吸油ポート32kは、内部ポート32nにより油路32aに連通し、かつ、内部ポート32mにより油路32bに連通している。さらに、吸油ポート32kは、内部ポート32pにより油路32fに連通している。吸油ポート32kと油溜まり16との間にはオイルフィルタ20が設けられており、油溜まり16に溜まっている作動油を、オイルフィルタ20を介してセンターケース31内に吸油できるように構成している。油路32aと内部ポート32mとの間、油路32bと内部ポート32nとの間、および油路32fと内部ポート32pとの間にはチャージチェックバルブ(後述するチャージチェックバルブ90)が介設されている。なお、油路32eの末端開口部はプラグ67にて封止している。
<チャージチェックバルブ>
HST3は、閉回路を循環する作動油が減少したとき、作動油が、油溜まり16よりオイルフィルタ20を介して、さらに、チャージチェックバルブ(以下、CVとも呼ぶ)90を介してHST3の油圧ポンプ39と油圧モータ33間の閉回路(一対の油路32a・32b)のうちの低圧側から補給されるように構成している。
そして、図14〜図19に示すように、HST3では、同一構成のCV90が、センターケース31に形成された油路32aと油路32bにそれぞれ設けられている。以下の説明では、油路32aに設けるCV90を第一CV90Aとも呼び、油路32bに設けるCV90を第二CV90Bとも呼ぶ。
また、HST3では、油路32bより分岐された油路32fにおいて、第二CV90Bと並列に第三のCV90(以下では、第三CV90Cと呼ぶ)が設けられている。油路32bは、油路32aに比して経路長が長いため、油路32bに対しては作動油が自吸されにくい。HST3では、経路長がより長い油路32b側に、CV90を並列で設けることによって、油路32bに対する作動油の自吸性能を補うように構成している。
<IDS(内部緩衝機構)>
図1〜図7および図14〜図18に示すように、上下の各IDSバルブ61・62は、ピストン状部材により構成され、それぞれ油路32d・32hにおいて、油路の軸線方向に進退自在に構成されている。各IDSバルブ61・62は、それぞれ各油路32a・32bに常時連通する外向き開口状の上部のオリフィス63と下部のオリフィス64を穿設しており、該オリフィス63・64を介して閉回路内の圧油が車軸駆動ケース10内の油溜まり16に連通している(即ち、ドレン可能となっている)。即ち、各IDSバルブ61・62は、センターケース31において、油圧ポンプ39と油圧モータ33との間で循環する作動油の一部を、油溜まり16に排出可能としている。
そして、各IDSバルブ61・62の外端面にプレート65を常時摺接させることで、IDS(InternalDampingSystem:内部緩衝機構)60を構成している。
IDS60は、容積変更手段たる可動斜板39aが中立復帰する間、各IDSバルブ61・62の端面がプレート65を押圧して可動斜板39aが中立に戻る速度を緩めることにより、また、二次的には、各オリフィス63・64を介して閉回路内の圧油をドレンすることにより、ダイナミックブレーキ及び前後進発進時の衝撃を緩和するために、設けられるものである。
各IDSバルブ61・62の内端と油路32d・32hの内端との間にはそれぞれコイルバネ66・66を介装して、各IDSバルブ61・62を外向きに付勢している。即ち、各IDSバルブ61・62は、各油路32a・32b内の油圧とコイルバネ66・66の付勢力とにより外向きに押圧されており、この閉回路の油圧とコイルバネ66・66の付勢力との総合による各IDSバルブ61・62のプレート65に対する摩擦力は、第二トラニオン軸40cに巻装したコイル状かつ捩じり状の中立復帰バネ80(中立付勢手段)のそれよりも小さく設定している。また、プレート65の各IDSバルブ61・62が接触する側とは反対側には、各IDSバルブ61・62により押圧されてプレート65が撓むことを抑制するために、プレート65の当該反対側に接触する接触部材69を配置している。
また、プレート65における各IDSバルブ61・62との接触面には、溝部86・87が形成されている。溝部86は、上側のIDSバルブ61との接触領域に形成されている溝部であり、該溝部86に上側のIDSバルブ61のオリフィス63が位置しているときに、溝部86を介して油路32aから作動油を流出させることができるように構成されている。溝部87は、下側のIDSバルブ62との接触領域に形成されている溝部であり、該溝部87にIDSバルブ62のオリフィス64が位置しているときに、溝部87を介して油路32bから作動油を流出させることができるように構成されている。
<バイパス機構>
図1〜図7に示すように、牽引時に車軸を空転可能とすべく、油路32a・32bを油溜まり16に開放するためのバイパス操作レバー55が、上ハウジング11の上方に配置されている。バイパス操作レバー55の基部は、上ハウジング11の上壁に垂直方向に回動自在に軸支されたバイパスレバー軸56の上端に固定され、該バイパスレバー軸56の下端はセンターケース31の内部まで延びている。また、センターケース31の内部には、該センターケース31により支持したシリンダブロック33aの回転摺動面に当接可能な押しピン57(図5参照)を配置しており、該押しピン57の端面が、バイパスレバー軸56の下端側面に形成した平坦面と当接するように構成している。そして、車両の牽引時に運転手がハウジング外部のバイパス操作レバー55を操作すると、バイパスレバー軸56が回動され、その下端の平坦面が傾いて押しピン57をシリンダブロック33a方向へ押し込み、押しピン57が鉛直面31vとシリンダブロック33aとの密着状態を開放して、油路32a・32bが車軸駆動ケース10内の油溜まりと連通し、モータ軸35が自由に回転できるようになる。
本実施形態では、油圧ポンプ39のシリンダブロック39bの直径が、油圧モータ33のシリンダブロック33aの直径に比して小さい。そして、シリンダブロック39bに形成されるピストン(プランジャ)を収容するためのシリンダの総容積が、シリンダブロック33aに形成されるピストン33bを収容するためのシリンダの総容積に比して小さい。そして、車軸駆動装置1では、油圧ポンプ39のシリンダブロック39bの1回転あたりの吐出および吸入油量が、油圧モータ33のシリンダブロック33aの1回転あたりの吐出および吸入油量に比して少なくなっており、油圧ポンプ39のポンプ軸34の回転数に比べ、油圧モータ33のモータ軸35の回転数が減速されている(油圧減速を行う構成である)。
<減速ギア列>
前記油圧減速に加えて、図1〜図7に示すように、収容室10a内に配される減速ギア列4は、モータ出力ギア41、カウンタ軸42、大径カウンタギア43、小径カウンタギア44、そして、減速ギア列4の最終列に位置するファイナルギアであり、かつ、差動ギア装置5の入力ギアでもあるリングギア51よりなる。
モータ出力ギア41は、モータ軸35の左端部に固設されている。また、モータ軸35のさらに左端側には、ブレーキディスク70が固設されている。つまり、車軸駆動装置1において、モータ出力ギア41はブレーキディスク70よりも右側(HST3に近接する側)に配置されており、このような配置によって、車軸駆動ケース10の小型化を可能にしている。
カウンタ軸42は左右水平方向に延設され、その前方のモータ軸35と、その後方の差動ギア装置5との間に配設されている。カウンタ軸42の左端は、車軸駆動ケース10によって支持されており、カウンタ軸42の右端は、センターケース31に形成された軸孔31gによって支持されている。
従来の構成では、収容室10aの内部に隔壁を設けて、収容室10aを、HST3が収容される部位(HST室)と減速ギア列4が収容される部位(ギア室)とに区画し、カウンタ軸42の右端を、当該隔壁によって支持する構成が一般的である。本実施形態の車軸駆動装置1では、小型化を図るべく前記隔壁を省略しているため、カウンタ軸42の右端をセンターケース31により支持する構成としている。
カウンタ軸42には小径カウンタギア44が装着され、その後端がリングギア51に噛合している。小径カウンタギア44には大径カウンタギア43が固設されており、大径カウンタギア43の前端がモータ出力ギア41に噛合している。車軸駆動装置1において、大径カウンタギア43は小径カウンタギア44に噛合号するリングギア51よりも右側(HST3に近接する側)に配置されており、このような配置によって、車軸駆動ケース10の小型化を可能にしている。
こうして、減速ギア列4は、モータ出力ギア41、大径カウンタギア43、及び小径カウンタギア44を介して、モータ軸35よりリングギア51へと動力を伝達するよう構成されている。
そして、減速ギア列4を構成する各ギアのうち、リングギア51のみは焼結品とし、その他のモータ出力ギア41、大径カウンタギア43、および小径カウンタギア44は、スチール品としている。車軸駆動装置1では、少なくとも、大径で重量のあるリングギア51を焼結品とすることで、リングギア51の製造コストを抑えている。また、減速ギア列4を構成する各ギアの中で最も大径であり低回転で噛み合い頻度が少ないリングギア51を焼結品とすることで、摩耗粉の発生量を抑制している。
<ブレーキ装置>
図1および図2に示すように、収容室10aの前端部内にはモータ軸35を制動するためのブレーキ機構7が配設されている。ブレーキ機構7は、モータ軸35上に固定されたフランジ状のブレーキディスク70と、ブレーキ軸部の一例である鉛直のカム軸71と、ブレーキシュー72と、ブレーキパッド73とを備える。ブレーキシュー72及びブレーキパッド73は車軸2L、2Rを制動するブレーキ部の一例である。
カム軸71は車軸駆動ケース10に枢支されており、その上部は車軸駆動ケース10から上方へ突出している。一方、収容室10a内において、カム軸71には鉛直のカム面71aを有する断面視半円状の部分が形成されている。カム面71aはカム軸71とブレーキディスク70の前端部との間に配されるブレーキシュー72と対峙している。
ブレーキ機構7では、ブレーキパッド73が車軸駆動ケース10の壁に装着されており、ブレーキシュー72と前記ブレーキパッドとの間にブレーキディスク70の前端部を配するものとしている。通常は、図1に示すように、カム面71aがブレーキシュー72に対し平行に延設される非制動位置に位置するようにカム軸71を回動方向に位置決めしており、これにより、ブレーキディスク70をブレーキシュー72及びブレーキパッド73より離し、ブレーキがかからない状態でモータ軸35の回転を保持している。
そして、車軸駆動装置1では、ブレーキ機構7を構成するブレーキディスク70を、モータ出力ギア41とは別体とし、制動時にのみ摩耗するブレーキディスク70を焼結品とすることによって、摩耗粉の発生を抑制している。
<デフ機構>
図1〜図7に示すように、差動ギア装置5は、リングギア51と、2つのピニオンギア52と、第一サイドギア53と、第二サイドギア54とを備える。リングギア51は、図3に示すように、軸孔51aと、2つのギア孔51bと、嵌入孔が形成されたプレート51cと、を有する。軸孔51aは、リングギア51の中心部に形成された貫通孔であり、左車軸2L及び右車軸2Rを受けるものである。ギア孔51bは、軸孔51aの両側にそれぞれ形成された貫通孔であり、ピニオンギア52を受けるものである。プレート51cは、デフロック機構6を受けるものである。
ピニオンギア52の一対が、リングギア51のギア孔51b内に、支軸52aを介してそれぞれ回転自在される。第一サイドギア53は、リングギア51の一側面である左側面に配置され、左車軸2Lにスプライン嵌合される。第二サイドギア54は、リングギア51の他側面である右側面に配置され、右車軸2Rにスプライン嵌合される。第一サイドギア53と第二サイドギア54は、2つのピニオンギア52に噛み合う。
このような差動ギア装置5によれば、左車軸2Lと右車軸2Rとを差動回転させることができる。
<デフロック機構>
図1〜図7および図20に示すように、デフロック機構6は、デフロックスライダ81、デフロックフォーク82、バネ83、を組み合わせて構成されている。ここで、リングギア51のプレート51cには、デフロックピン84が嵌入するための凹部51dが形成されている。この凹部51dに対応して、デフロックスライダ81のリングギア51に対面する側には、デフロックピン84が突設されている。
デフロックスライダ81の位置は、デフロックアーム85aの操作による回動軸85の回動に応じてデフロックフォーク82が回動し、その回動により、デフロックスライダ81が、左車軸2L側のデフロック位置と、右車軸2R側のデフロック解除位置とのうちのいずれかに切り換えられる。デフロックスライダ81はバネ83によってデフロック解除位置の方向へ常時付勢されている。運転者がバネ83のバネ力に抗して回動軸85を回動させて、デフロックスライダ81を、凹部51dにデフロックピン84が嵌入される位置であるデフロック位置まで変位させることによって、デフロック機構6を作動させることができる。
以上の説明は本発明に係る特定の実施例についてのものであって、本発明の精神を逸脱しない限りいくつもの変容が可能である。添付の請求の範囲は、本発明の真実の範囲及び精神の及ぶところでのこのような応用をカバーすることを意図したものである。
したがって、本願にて開示した実施例は全て例示的なものと考えるべきものであって限定的なものと考えるべきではない。本発明の範囲は、以上の明細書よりもむしろ以下の請求の範囲にて表示されているものであって、請求の範囲の意味するところと均等の範囲内に該当する程度のあらゆる変更についても、その中に含まれるものとすべきである。
1 車軸駆動装置(油圧式車軸駆動装置)
2L・2R 車軸
3 HST(油圧式変速装置)
4 減速ギア列(ギア機構)
7 ブレーキ機構(ブレーキ手段)
10 車軸駆動ケース
10a 収容室
10b 底面
11 上ハウジング(上部ケーシング)
12 下ハウジング(下部ケーシング)
17 マグネット
31 センターケース
33 油圧モータ
35 モータ軸
39 油圧ポンプ
41 モータ出力ギア
51 リングギア(ファイナルギア)
70 ブレーキディスク

Claims (5)

  1. 車軸と、
    センターケースによって互いに流体接続される油圧ポンプ及び油圧モータを有する油圧式変速装置と、
    前記油圧式無段変速装置の出力を前記車軸に伝達するギア機構と、
    前記車軸を支持するとともに、内部に前記油圧式変速装置と前記ギア機構を収容して油溜まりとするケースと、
    を備え、
    前記ケースは、
    その内部に、前記油圧式変速装置と前記ギア機構を設置するための単一の空間を有する収容室を形成し、
    前記収容室の上部を形成する上部ケーシングと、前記収容室の下部を形成する下部ケーシングにより構成され、
    前記下部ケーシングが略立方体状の内部空間を有する
    ことを特徴とする油圧式車軸駆動装置。
  2. 前記収容室において、
    少なくとも2以上のマグネットが配置されている請求項1に記載の油圧式車軸駆動装置。
  3. 前記収容室の底面に、前記マグネットが配置されている請求項2に記載の油圧式車軸駆動装置。
  4. 前記ギア機構を構成するギアのうち、少なくとも前記車軸上に固設されるファイナルギアを焼結品とし、他のギアはスチール製とした請求項1に記載の油圧式車軸駆動装置。
  5. 前記油圧モータのモータ軸上に配置され前記ギア機構のひとつであるモータ出力ギアと、
    前記モータ軸上に配置されたブレーキディスクを有する前記車軸を制動するためのブレーキ手段と、
    をさらに備え、
    前記ブレーキディスクを焼結品で構成した請求項4に記載の油圧式車軸駆動装置。
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