【発明の詳細な説明】
ローントラクタの車軸駆動装置
技術分野
本発明は、前輪と後輪の間の機体下腹部にモアを配設して成るリアディスチャ
ージ方式のローントラクタにおいて、その機体レイアウトに好適な車軸駆動装置
の構成に関する。
背景技術
従来、機体の下腹部に、原動機により駆動されるモアを装着し、後部に集草容
器を搭載したローントラクタであって、モアで刈り取った芝草を集草容器に放出
するシュートを、左右後輪の間を通して、機体前後方向に配設したリアディスチ
ャージ方式のローントラクタが、アメリカ特許第3969876号に開示されて
いる。このリアディスチャージ方式によれば、機体の外側への張り出しがなく、
また、芝草をダイレクトに後方へ放出案内できるので、補助吸引ファン等の設備
をなくすことが可能となる利点を備えている。
しかしながら、前記左右後輪の間のスペースは非常に狭く、そこへ前記シュー
トと、左右後輪駆動用の車軸駆動装置とを左右方向に並設することは非常に困難
であり、前記アメリカ特許第3969876号のものがそうしているように、車
軸駆動装置を構成する油圧無段式変速トランスミッションとデフ装置とを分離さ
せて別々のハウジングに収容し、該デフ装置をその狭いスペース内に配置し、そ
の変速トランスミッションは機体内の別の場所に配置させている。油圧無段式変
速トランスミッションの出力軸とデフ装置は、チェーンベルト機構によって連結
されている。よってこの車軸駆動装置は製造コストが高くなり、組立工程に時間
がかかる等の欠点があった。また、シュートが通過する一方の車軸が、他方の車
軸に比べて異常に長くなるので、撓み易くなり、デフ装置に設ける一方の長い車
軸に対する軸受の寿命が短くなる欠点があった。
また車軸駆動装置としては例えば、アメリカ特許第4914907号、アメリ
カ特許第4932209号に開示された技術のように、油圧無段式変速トランス
ミッションと、一対の車軸を差動的に結合するデフ装置とを共通のハウジングに
収容して一体化したものが公知とされている。これらの特許において、該トラン
スミッションは、可変容積型の油圧ポンプと固定容積型油圧モータの組合せで成
り、前記油圧ポンプと油圧モータは、L字形センタセクションに対して車軸の長
手方向に沿って並ぶように取り付けられているので、車軸駆動装置全体の幅が車
軸の長手方向に大きくなっていた。
よって、このような形態の車軸駆動装置は、リアディスチャージ方式のローン
トラクタの前記シュートが干渉してしまうので左右後輪間に配置できないもので
あった。
発明の開示
本発明の車軸駆動装置によれば、駆動輪の一方を第1駆動輪とし、他方を第2
駆動輪とし、一方の第1駆動輪を取り付ける短い寸法の第1車軸と他方の第2駆
動輪を取り付ける長い寸法の第2車軸を支持させたハウジングを機体フレームに
設置している。該ハウジングは、トラクタ機体フレームに設置され、前記第1駆
動輪の近傍に偏心又はオフセットした状態となっている。前記ハウジングは前記
車軸に対して略直角な方向に延伸する形状拡大領域を設けられている。この拡大
領域中に油圧無段式変速トランスミッションを備えさせるのである。これにより
、リアディスチャージタイプのローントラクタのシュートの横方に本発明の車軸
駆動装置を難なく設置することができるのである。
前記変速トランスミッションは取り扱い性を良くするために、油圧ポンプと油
圧モータとを互いに流体接続した油圧無段式に構成するのが望ましい。この場合
、幅の狭い形状拡大領域の中で前記油圧ポンプを前記車軸に対して遠い側に配置
することができ、そして、前記油圧モータは前記車軸に対して近い側に配置する
ことができる。
また、前記形状拡大領域の内部には前記油圧ポンプと前記油圧モータとを設置
するための、互いに略直角なポンプ設置面とモータ設置面とが設けられている。
前記油圧ポンプを前記ポンプ設置面に取り付けることにより前記油圧ポンプと連
結する入力軸が前記車軸に対して略垂直な方向に向けられ、前記油圧モータを前
記モータ設置面に取り付けることにより前記油圧モータと連結する出力軸が前記
車軸に対して略水平な方向に向けると良い。最近のローントラクタでは垂直クラ
ンク軸タイプの原動機が採用されていることが多く、そのトランスミッションの
入力軸を簡易なベルト伝動機構を用いて連結させることができ、一方、出力軸は
コストの安価な平歯車を用いて車軸に対して連結させることができる。
前記ハウジングに設けた前記第1、第2車軸を支持する軸受手段の内、前記第
1、第2の車軸の各々の末端側を支持する一対の軸受保持部はハウジングの幅寸
法を、前記形状拡大領域を含む前記ハウジングの長さ寸法よりも小さく規定する
のであり、これにより形状拡大領域は細長くなり、前記シュートの断面積を出来
るだけ大きくすることができる。
前記長い寸法の第2車軸はその中途箇所を前記機体フレームに設けた軸受装置
によって支持しておくのが望ましい。これにより、第2車軸は安定して支持され
るようになる。また、前記第2車軸は継手を介して分割可能に連結された少なく
とも2つの車軸部分により構成するのが望ましい。これにより、車軸駆動装置の
組立性、搬送性が良好となるのである。そして前記車軸部分の内の、前記他方の
第1駆動輪を取り付ける車軸部分は、前記機体フレームに設けた軸受装置によっ
て安定して支持される。
本発明の上記のような特徴および、更なる目的、及び新規性を図面の説明と共
に以下に詳しく説明する。
図面の簡単な説明
図1は本発明のローントラクタの全体側面図である。
図2は図1の2−2矢視側面断面図である。
図3は図2の3−3矢視側面断面図である。
図4は車軸駆動装置の第1実施例を示す、上半割ハウジングを外した状態の、
図3の4−4矢視側面断面図である。
図5は図4の5−5矢視断面図である。
図6は図4の6−6矢視断面図である。
図7は図4の7−7矢視断面図である。
図8は図4の8−8矢視断面図である。
図9は図8の9−9矢視断面図である。
図10は図4の10−10矢視断面図である。
図11は本発明のセンタセクションの斜視図である。
図12は車軸駆動装置の第2実施例の上半割ハウジングを外した状態の平面図
一部断面図である。
図13は図12の13−13矢視断面図である。
図14は図12の14−14矢視断面図である。
図15は図12の15−15矢視断面図である。
図16は第2実施例のセンタセクションの斜視図である。
図17は車軸駆動装置の第3実施例の上半割ハウジングを外した状態の平面図
一部断面図である。
図18は図17の18−18矢視断面図である。
図19は第3実施例のセンタセクションの斜視図である。
図20は第4実施例の車軸駆動装置の側面断面図である。
図21は図20の21−21矢視平面断面図である。
図22は図21の22−22矢視正面断面図である。
図23は第5実施例の車軸駆動装置の側面断面図である。
図24は図23の24−24矢視平面断面図である。
図25は図23の25−25矢視正面断面図である。
図26は第6実施例の車軸駆動装置の側面断面図である。
図27は図26の27−27矢視平面断面図である。
図28は図26の28−28矢視正面断面図である。
図29は第7実施例の車軸駆動装置の側面断面図である。
図30は図29の30−30矢視平面断面図である。
図31は図29の31−31矢視正面断面図である。
発明を実施するための最良の形態
以下の実施例の説明において、同符号で示される部分の説明は、特に記載が必
要でなければ繰り返さない。
図1〜図3において、ローントラクタは機体フレーム1前部上にエンジンEを
載置し、機体フレーム1前部に、操向自在な左右の従動(前)輪2,2を懸架し
、後部に、左右の駆動(後)輪3L,3Rを備えた車軸駆動装置を懸架し、後端
に集草容器4を図示しない作業機装着装置によって昇降可能に装着し、前記従動
輪2,2と駆動輪3L,3Rの間の機体の下腹部に図示しない昇降機構を介して
モア5を装着している。該モア5の後方排出口5aと前記集草容器4の入口とは
シュート6を通じて接続されている。該シュート6はモア5の後方排出口5aか
ら後斜め上方へ延び、車軸駆動装置の横方を通過し左右の駆動輪3L,3Rの間
を通って集草容器4の入口に連結されている。よって、該モア5によって刈り取
られた芝草は後方へ飛ばされ、シュート6を介して左右の駆動輪3L,3Rの間
を通過して集草容器4に収納される。本ローントラクタの座席は昇降の高さを適
切に調整することができる。
図1に示されるように、前記エンジンEの出力軸7上には2つのプーリー8,
9が固設されて、プーリー8からはベルト10を介してモア5の入力軸11上に
固設した第3プーリー12に動力を伝えてモア5を駆動できるように構成してお
り、これによって、モア5の切断刃5bを回転している(図2参照)。他方のプ
ーリー9にはベルト13を介して車軸駆動装置のハウジングより上方に突出した
入力軸であるポンプ軸29上に固設した第4プーリー15に動力を伝えるように
構成している。16は車軸駆動装置を冷却するために、プーリー15に固設した
冷却ファンである。
図3に示されているように、前記車軸駆動装置は、機体フレーム1の一部であ
る第1マウントメンバ1a,第2マウントメンバ1bに吊り下げられている。前
記車軸駆動装置は機体フレーム1の2つの側の一方に偏心的に配置されている。
図3に示されているように、車軸駆動装置の取付位置は左右駆動輪3L,3Rの
中心位置から、駆動輪3Lの側に変位して配置され、車軸駆動装置のハウジング
の左側が第1マウントメンバ1aに、その右側が、第1マウントメンバ1aの左
右中途部より下方へ延設した第2マウントメンバ1bにそれぞれ固定されている
。図3に示されているように、前記機体フレーム1は、機体の長手に駆動輪3L
の内側に隣接する部分に設けた第1マウントメンバ1aを備え、駆動輪3L,3
Rの略中央の位置に垂下して設けた第2マウントメンバ1bが懸架され、駆動輪
3Rの内側と隣接する部分に設けた軸受装置20を備える。
前記車軸駆動装置のハウジングは、その周辺の接合面を介して互いに接合され
る上半割ハウジング部分21と下半割ハウジング部分22とで構成される。前記
ハウジングが前記機体フレーム1の作動位置に取り付けられた時に、前記接合面
は略水平に配置される。
前記ハウジングの左側面からは、短い寸法の第1車軸17が突出し、そして、
右側面からは長い寸法の第2車軸18が突出している。第1車軸17の端部には
駆動輪3Lが取り付けられ、第2車軸18の端部には駆動輪3Rが取り付けられ
る。
そして、上半割ハウジング部分21の上面において、前記第1車軸17の末端
側に位置する(車軸駆動装置に近い)部分には第1マウントボス部210aが、
前記第2車軸18の末端側に位置する部分には第2マウントボス部210bが、
それぞれ形成されている。そして、前記第1マウントボス部210aに第1マウ
ントメンバ1aが連結され、前記第2マウントボス部210bに第2マウントメ
ンバ1bが連結される。このようにして前記ハウジングが、前記駆動輪のうち一
方の駆動輪3Lの側に偏心した作動位置に取り付けられる。このレイアウトは、
前記ハウジングと駆動輪3Rとの間のスペースを広く確保し、前記シュート6は
機体の中央からオフセットさせることができ、前記車軸駆動装置とシュート6は
互いに前後方向に沿うようにして機体フレーム1内に配置させることが可能とな
る。
前記第2車軸18の末端部(18a)は前記ハウジングで支持され、ハウジン
グの外に突き出た長い部分(18b)の中途箇所を前記軸受装置20によって支
持される。これにより、上半割ハウジング部分21に設ける、第1車軸17の末
端側を支持する軸受と、第2車軸18の末端側を支持する軸受との間の間隔を極
端に短くすることが可能となり、よって、ハウジングの幅(W)を短くすること
ができ、相対的に、前記シュート6の断面積を大きく設計することができる。
なお、第2車軸18は1本の長い軸に構成しても良いが、図3に示したように
ハウジング側で支持される車軸部分18aと、軸受装置20で支持される車軸部
分18bとに分割形成し、その両者を継手19により連結して構成する方が、車
軸駆動装置の組立、並びに搬送の容易性の点で有利である。
次に、前記駆動輪3L,3Rを変速駆動するための車軸駆動装置の具体的な構
成を図4〜図11を用いて説明する。上半割ハウジング部分21と下半割ハウジ
ング部分22を互いに接合することにより構成される車軸駆動装置のハウジング
内には潤滑油が充填されて後述する油圧無段式の変速トランスミッションTの作
動油としても利用される。前記第1車軸17,第2車軸部分18aは、該ハウジ
ングの接合面よりも上方の上半割ハウジング部分21の中で回転自在に支持され
ている。具体的には、図10に示すように、上半割ハウジング部分21の左右側
壁に中空円筒孔211,211を開口して第1軸受保持部が構成される。中空円
筒孔211,211に嵌入した転がり軸受100,100により前記第1車軸1
7,第2車軸部分18aの末端側が支持される、該中空円筒孔211,211の
開口外端はオイルシールによって塞がれている。
また、上半割ハウジング部分21の上壁内面には半円状の凹円弧面212,2
12を形成する一方、下半割ハウジング部分22の底壁内面には、ハウジングの
接合面を越える長さを有する突起220,220を一体的に形成している。該突
起220,220の端面には半円状の凹円弧面221,221が形成され前記凹
円弧面212,212と対向させることによって、一対の第2軸受保持部が構成
される。前記第2軸受保持部にブッシュ101,101を挟み込み、該ブッシュ
101,101により前記第1車軸17,第2車軸部分18aの基端側が支持さ
れる。
なお、前記凹円弧面212,212の中には、これよりも半径が大きい凹円弧
面213,213が形成され、前記凹円弧面221,221の中にも同様の大き
さの凹円弧面222,222が形成され凹円弧面213,213と凹円弧面22
2,222とが重ね合わされて環状の空洞部が構成されている。この空洞部の中
に転がり軸受(図示せず)を組み込むことにより、前記ブッシュ101,101
に代えて、第1車軸17と第2車軸18の基端側を支持できるようになっている
。このような軸受の組み替えは、前記車軸17,18に作用する負荷の大きさに
応じて行うとよい。即ち、負荷の小さい時には図10実施例に示すようなブッシ
ュ101,101の使用によりコスト低減が図られ、負荷の大きい時には転がり
軸受(図示せず)の使用により車軸の支持強度を高めることができるのである。
図10に示すように、前記第1車軸17,第2車軸部分18aの各々の基端部
は車軸駆動装置のハウジング内に同心状に突き合わされ、ハウジング内に収容さ
れたデフギア装置23によって差動的に結合され、その両端がハウジングの左右
外側方へ突出している。
図8と図10で最も分かるように、前記デフギア装置23における幅広の入力
歯車48は、その中心部に貫通孔480が形成され、この貫通孔480の中に前
記第1車軸17,第2車軸部分18aの基端部を差し込むことにより支持される
。そして、第1車軸17と第2車軸部分18aの各々にスプライン係合した傘歯
車49,49の間に挟み込まれて軸方向への移動が止められている。また、前記
入力歯車48の側面には、前記傘歯車49,49に対して噛み合うピニオン歯車
50,50、並びに、その枢支ピン51,51を収容する貫通孔481,481
が設けられている。該枢支ピン51,51の端部の円周面に平坦部が形成され、
前記貫通孔481,481に設けた平坦部と接当させることで、枢支ピン51,
51の自転が阻止される。以上の構成によりデフギア装置23は少ない部品点数
で簡素に構成される。
前記ハウジングを構成する上半割ハウジング部分21と下半割ハウジング部分
22のそれぞれの前部(ローントラクタの前に向かう部分又は前端部)は、車軸
の長手方向に対して直角な方向へ膨出されており、車軸駆動装置のハウジングは
、前記幅(W)(図4参照)よりも大きな寸法の長さ(L1)を有することにな
る。この形状拡大領域内に変速トランスミッションTのセンタセクション25が
取り付けられている。該センタセクション25は図11に示すように、互いに隣
り合った2つの互いに直角な上面250と側面251を備えた単一で細長い形状
をしており、その長手方向における前後の位置に、油圧ポンプを設置するための
ポンプ設置面40と、油圧モータを設置するためのモータ設置面41とが形成さ
れる。また図8に示すように、ポンプ設置面40の一部とモータ設置面41の一
部とは互いに前後方向で寸法(OL)だけ互いにオーバーラップしている。また
、モータ設置面41の中心は、前記ポンプ設置面40と平行して高さ(H1)だ
け下方にオフセットしている。 センタセクション25の上面250には、該ポ
ンプ設置面40に対して略面一なハウジング取付面42が形成されている。前記
ポンプ設置面40の表面を研磨加工する際に、ハウジング取付面42を研磨する
ことができるので、ポンプ設置面の表面加工時間が短縮されるように図られてい
る。前記ハウジング取付面42の中にはボルト挿通孔が設けられ、センタセクシ
ョン25は上半割ハウジング部分21の形状拡大領域の内壁に対して締結ボルト
によって固着される。センタセクション25のポンプ設置面40は前記車軸に対
して水平な方向に延伸して前記車軸から遠く離れた側に配置され、モータ設置面
41は前記車軸に対して垂直な方向に延伸して前記車軸に近い側に配置される。
なおポンプ設置面40とモータ設置面41とは、下半割ハウジング部分22の
形状拡大領域の内底壁を肉厚にしてここに一体的に設けても良い。しかしながら
、この実施例で示したように、ハウジングに対して分離可能なセンタセクション
25を用いる方が、ハウジングの加工が容易な点や、ハウジングの外に油が漏れ
ない点で有利である。
ポンプ設置面40には、図5に示すように、バルブプレート102が装着され
、この上に油圧ポンプを構成するシリンダブロック36が回転自在に配置されて
いる。前記シリンダブロック36の複数のシリンダ孔内には、付勢バネを介して
ピストン36a,36a・・・が往復動自在に嵌合され、シリンダブロック36
の回転軸心上に設けたスプライン孔にポンプ軸29が係合されている。ポンプ軸
29は、上半割ハウジング部分21とポンプ設置面40とで回転自在に支持され
ると共に、上半割ハウジング部分21から外へ突出した部分に前記プーリ15が
固定される。そしてピストン36a,36a・・・の頭部に、可動斜板28のス
ラストベアリング28aを接当させて、アキシャルピストンタイプで可変容積型
の油圧ポンプが構成されている。なお、油圧ポンプは、ラジアルピストンタイプ
のものやギアタイプのものを用いたものであっても良い。
前記可動斜板28の中央位置には前後方向に長い開口部が形成され、この中に
ポンプ軸29が挿通されている。可動斜板28の背部には凸円弧面を形成し、上
半割ハウジング部分21の上壁内面に形成した凹円弧面に対して摺接させてある
。これにより可動斜板28は前記凹円弧面に沿って前後方向へ傾動することがで
きる。該可動斜板28の接触面部を前記シリンダブロック36の回転軸心に対し
て傾動操作することで油圧ポンプからの油の吐出量及び吐出方向が変更される。
この可動斜板28を傾動操作するためのコントロール軸35が、図5に示すよう
に、水平方向に向けられて上半割ハウジング21の側面開口を閉鎖する蓋体38
に回動自在に支持されている。このコントロール軸35の外端にコントロールレ
バー35aを固設して図示しない変速操作具に連動連結される。またコントロー
ル軸35の内端には揺動アーム35bの基部が固定されている。該揺動アーム3
5bの先端に固定した球節部37がジョイントブロックを介して可動斜板28の
係合溝28bに係合している。前記コントロール軸35を回動させることにより
可動斜板28が前後方向に傾動をする。
本実施例に示した可動斜板28は、上半割ハウジング部分21の上壁内面の凹
円弧面に沿って傾動するクレドール型としたが、これに変えてトラニオン型の可
動斜板を取付できるように、前記コントロール軸35と同一軸線上に位置する、
上半割ハウジング部分21の内側壁の箇所に軸受孔も設けている。トラニオン型
の可動斜板の場合に軸受孔と蓋体38とによって各々のトラニオン軸が支持され
るのである。クレドール型の可動斜板は安価に製作できる利点を有し、またトラ
ニオン型では比較的操作力の低減が図れるといった利点があり、このどちらのタ
イプにも簡単に組み替えができるようになっている。
前記センタセクション25の側面251に形成したモータ設置面41にバルブ
プレート103が装着され、その上に油圧モータを構成するシリンダブロック4
4が回転自在に配置されている。該シリンダブロック44の複数のシリンダ孔内
に複数のピストン44a,44a・・・が往復動自在に嵌装されている。
また、該ピストン44a,44aの頭部は固定斜板45のスラストベアリング
45aと接当している。固定斜板45は上半割ハウジング部分21と下半割ハウ
ジング部分22との間に挟み込まれて固定されている。シリンダブロック44の
回転軸心上に設けたスプライン孔にモータ軸24が係合されてアキシャルピスト
ンタイプで固定容積型の油圧モータを構成している。なお、油圧モータはこの実
施例で挙げたタイプの他に、ラジアルピストンタイプのものやギアタイプのもの
を用いても良い。
シリンダブロック44の回転軸線は前記ハウジングの接合面と同一平面内に位
置している。モータ軸24の一端はモータ設置面41に支持され、他端は、上半
割ハウジング部分21と下半割ハウジング部分22との間に挟み込んだ軸受によ
り支持される。
前記した形状のセンタセクション25にそれぞれ油圧ポンプと油圧モータを設
置すると、ポンプ軸29とモータ軸24とは互いに直角な方向に向けられると共
に、ポンプ軸29はモータ軸24に対して長さ(L2)だけ前記車軸から離れる
方向へオフセットする。
前記センタセクション25のポンプ設置面40には、図4、図9、図11に示
すように一対のキドニーポート40a,40bが開口され前記シリンダブロック
36の油が吸入・排出されるようになっており、また、モータ設置面41にも一
対のキドニーポート41a,41bが開口され前記シリンダブロック44の油が
吸入・排出されるようになっている。センタセクション25の内部には、前記キ
ドニーポート40a,41aそして40b,41bのそれぞれを互いに連結して
、油圧ポンプと油圧モータの間で作動油を循環させるための直線油路25aとL
字形油路25bとが設けられ閉回路が構成されている。
油圧ポンプと油圧モータはこの閉回路を通じて互いに流体的に連結されており
、これらの組合せによって油圧式無段変速トランスミッションが構成されている
。油圧ポンプの容量を前記コントロールレバー35aの回動操作によって変更す
ることにより、油圧モータには無段階の出力回転が得られる。
閉回路を流れる圧油がセンタセクション25の外へ漏れて不足した分を補うた
めに作動油補給手段を設けている。この補給手段は前記油圧ポンプによる自給作
用を利用しても良いし、本実施例に示すようにチャージポンプ31を用いて構成
しても良い。
本実施例の前記チャージポンプ31は、具体的には図5、図7に示すように、
前記センタセクション25の下面に形成したチャージポンプ設置面43に、トロ
コイド式のチャージポンプを収容したチャージポンプケース30が装着されてい
る。該チャージポンプケース30の外周下面と下半割ハウジング部分22の開口
部223を閉鎖する蓋体33の底面との間にウェーブワッシャ34を介装して、
チャージポンプ31をチャージポンプ設置面43に対して密着させる方向に付勢
している。前記ポンプ軸29の下端部はセンタセクション25を貫通してチャー
ジポンプ設置面43より突き出てピンが植設されている。チャージポンプ31の
内歯車の中心部には係合孔が開口している。該係合孔の中にポンプ軸29の下端
部が差し込まれ、ポンプ軸29と内歯車が係合されている。該チャージポンプ3
1は、下方に突出したポンプ軸29の下端に固設されて、ポンプ軸29により駆
動される。
前記チャージポンプケース30は前記ハウジングの油溜まりの中に配置され、
チャージポンプ31の吸入部30aはチャージポンプケース30の下面に開口さ
れ、蓋体33におけるウェーブワッシャ34の設置部を一部切り欠いて形成した
溝33aを通じて、ハウジング内の油溜まりと接続している。そして、前記セン
タセクション25のチャージポンプ設置面43と蓋33の底面との間には、その
一端側と他端側をそれぞれ開口して成る環状の油フィルター32が挟みこまれて
固定されている。油フィルター32はチャージポンプ31とチャージポンプケー
ス30を包み込んでいるので、チャージポンプケース30の周囲の油は清浄化さ
れた状態にあり、この油が溝33aと吸入部30aを介してチャージポンプ31
に吸入される。
前記油フィルター32の保守点検を行う際には、蓋体33を下半割ハウジング
22から外すことによって、下半割ハウジング部分22の開口部223を通して
ハウジング外へ簡単に取り出すことができる。
チャージポンプ31から吐出された圧油は、チャージポンプ設置面43内に開
口した補給油路25cへ直接導入される。この時に、導入される圧力が前記ウェ
ーブワッシャ34の付勢力に相当する圧力以上であると、その圧力はチャージポ
ンプケース30を、ウェーブワッシャ34の付勢力に抗してチャージポンプ設置
面43から離れる方向に移動させ、チャージポンプ31とチャージポンプ設置面
43との間に隙間が生じる。この隙間から圧油の一部が油溜まりへ逃がされて、
油圧はウェーブワッシャ34の付勢力相当の圧力に調整される。チャージポンプ
31は吐出部と補給部の間を油が流通している間、チャージポンプ設置面43か
ら外され、吐出圧と付勢力相当の圧力に調整される。
図8に示すように、前記センタセクション25の形状によるとポンプ設置面4
0は、ハウジングの接合面と一致する第1平面(P1)に対して平行で高さ(H
1)だけ離れた、上半割ハウジング部分21の中の第2平面(P2)に位置する
。よって、前記ポンプ設置面40の反対側に位置するチャージポンプ設置面43
と前記下半割ハウジング部分22の底内面との間に広いスペースが形成され、こ
のスペースの中に余裕をもって前記チャージポンプ31や油フィルター32を収
容することができる。そして、車軸の中心から前記下半割ハウジング部分22の
底部までの高さ(H2)を小さくし、充分な地上高が確保される。
前記センタセクション25の閉回路を構成する前記油路25a,25bの開口
端には、図9に示すように、チェックバルブ50,50が配置されている。該チ
ェックバルブ50,50の入口側は、センタセクション25の中で一本の横断油
路25dによって相互連通されている。外横断油路25dはその中央位置で、セ
ンタセクション25の前記チャージポンプ設置面43に開口した補給油路25c
に連通している。前記チャージポンプ31の吐出部から補給油路25cへ導入さ
れた油はチェックバルブ50,50の入口側に到達し、ここで油路25a,25
bの低圧側に位置する方のチェックバルブ50,50を油圧力によって押し開い
て、その出口側から閉回路内へ常時補充されるようになっている。
前記チェックバルブ50,50には、センタセクション25の外方への突き出
る押しピン51,51を摺動自在に備え、該押しピン51,51の両端部はハウ
ジング内で単一の連結プレート52に接し、該連結プレート52の中央には解除
ロッド53が固設されている。該解除ロッド53の端部は上半割ハウジング分2
1から外へ突出されている。連結プレート52はセンタセクション25との間に
介装されたバネ54によって外方向へ付勢され、解除ロッド53を人為的に押し
込むことにより、押しピン51,51が同時にチェックバルブ50,50を押し
開いて入口側と出口側を連通させる。よって、油路25a,25bが横断油路2
5dを介して連通状態となり、油圧モータが空転できるようになる。
図4、図8に示すように、前記モータ軸24は前記車軸17,18に対して平
行に配置され、その間に互いに平行するカウンタ軸26を設けている。前記モー
タ軸24上にギヤ240が設けられており、該ギヤ240がカウンタ軸26上に
固設した大径ギヤ46と噛合している。また該カウンタ軸26の上の小径ギヤ4
7がデフギヤ装置23のリングギヤ48と噛合している。前記モータ軸24から
出力される動力は、この一連の歯車式減速伝動機構と前記デフギヤ装置23とを
介して車軸17,18に動力伝達している。
図4に示すように、前記モータ軸24に制動摩擦板63が固着され、上半割ハ
ウジング21にアーム64が固設され、該アーム64ー端にブレーキアクチュエ
ータ65が設けられて、図示しない操作レバーを回動することによってブレーキ
アクチュエータ65が制動摩擦板63を圧接してモータ軸24を制動できるよう
にしている。前記カウンタ軸26の軸心は前記第1平面(P1)内に位置してお
り、その両端は上半割ハウジング部分21と下半割ハウジング部分22との間に
挟み込まれた一対の軸受によって支持されている。
カウンタ軸26の大径歯車46の下部を収容するためのポケットが、図8に示
されているように、前記下半割ハウジング部分22の底部に突出形成されて前記
高さ(H2)が規定されている。
車軸17,18の軸心は前記第1平面(P1)内に配置しても良い。しかしな
がら、実施例のごとく第1平面(P1)より上方に配置する方が、最終の減速比
を大きくするために前記入力歯車48の径を大きく設計しても、該入力歯車48
の下部は、前記大径歯車46の下部よりも下に出ることがなく、そのための大径
歯車46のポケットを更に大きくする必要がなくなり、前記高さ(H2)を可能
な限り小さくできてハウジングの地上高が確保される点で好都合である。
また図4に示す如く、デフギア装置23はハウジング内において第2車軸部分
18aの側に変位配置され、これによって第2軸受保持部の一方の横側に空間が
形成され、この空間内に前記大径歯車46の一部を配置するようにしている。こ
れはハウジングの前後長が不必要に大きくなるのを抑制するのに有効である。
また上半割ハウジング部分21の内部には、図8に示したように、前記入力歯
車48の上部を覆う仕切り壁214が一体形成されている。この仕切り壁214
には油流通孔215が形成されている。そして、上半割ハウジング部分21の上
壁のうち、仕切り壁214の上方に位置する箇所には開口部216が形成され、
カバー体55で覆われている。カバー体55にはブリーザ装置56と、注油栓を
兼ねた検油棒57が備えられている。前記仕切り壁214とカバー体55との間
で囲まれた空間内に油とエアの境界が出来るように、規定された一定量の油がカ
バー体55を通じてハウジング内に充填される。油を充填する際にハウジング内
の油中に混入したエアは前記カバー体55の中のエア溜まりに集められる。仕切
り壁214の下方は油で満たされ、各種歯車が回転してもエア溜まりのエアが油
中に混入することは殆どない。車軸駆動装置が長時間にわたって稼動されて油の
体積が膨張すると、エア溜まりの体積が減ることによって油の体積膨張が許容さ
れる。
また、車軸駆動装置は第2実施例として図12〜16に示すように構成しても
良い。第2実施例の構成は、その殆どが第1実施例と同じであり、同じ部品には
第1実施例と同じ符号をつけてその説明を省き、変更を施した3点についてのみ
説明する。
ローントラクタにおいてモアを配置する下腹部に広いスペースが与えられてい
る場合には、ハウジングの形状拡大領域を可能な限り前方向に延伸させると共に
、ハウジングの幅を可能な限り圧縮する方が、更にシュートの容積増加を図るこ
とができる。
そのために第1の変更点は、ハウジングにおける形状拡大領域を細長くするこ
とと、そのような形状拡大領域に適応するようセンタセクション25の形状を工
夫したものである。即ち、センタセクション25の上面250と側面251に形
成されたポンプ設置面40とモータ設置面41とは、ポンプ設置面40の左右幅
内に対してモータ設置面41を寸法(L2)だけオーバラップするように形成す
ることにより、幅(Wa)の細長くなった形状拡大領域の中に、センタセクショ
ン25が無理なく納められている(図12)。油圧ポンプのシリンダブロック3
6は、第1実施例のものより車軸17,18から更に遠い側に配置されてポンプ
軸29からモータ軸24までの長さ(L2)が第1実施例(図8)のものよりも
大きく(図13)なっている。そして、油圧モータのシリンダブロック44に対
して油圧ポンプのシリンダブロック36の略半分がその寸法(L2)の分だけ車
軸の長手方向にオーバラップされている。本実施例には、第1実施例にあったよ
うな(図8)オーバラップOLはない。
ハウジングの形状拡大領域の先端部には第3のマウントボス部210cが設け
られて、機体フレームから垂下して設けた第3マウントメンバ(図示せず)に連
結される。これによってハウジングの全長(L1)が長くなっても、車軸駆動装
置が適正な作動位置より傾いてしまうことがない。
第2の変更点は、モータ軸24に施されている。即ち、モータ軸24の一端側
はハウジングの外へ延びて制動摩擦板63が設置される点は第1実施例とかわら
ないが、その他端側にはスプラインが刻設され、モータ設置面41の中心に設け
た貫通開放孔の中へ延伸している。そして、モータ軸24の他端側と向かい合う
ハウジングの接合面にブッシュを挟み込み、ここに、その一端と他端部とがそれ
ぞれハウジングの内方と外方とにそれぞれ延伸するようにして回転軸59を支持
している。モータ軸24の他端側は回転軸59の一端側と、スプライン係合して
、モータ軸24の動力を回転軸59を通じてハウジング外へ取り出せるようにな
っている。
回転軸59の外端側にはスプラインが刻設され、ここに前記制動摩擦板63を
取り付けてもよいし、或いは、動力取出軸としても良い。また、このようなこと
が不要であれば、回転軸59を取り外し、ハウジングの接合面にできた孔はシー
ルキャップを装着すれば良い。
第3の変更点は油圧ポンプの可動斜板にある。即ち、クレドール型に代えてト
ラニオン型の可動斜板60が使用されている。この可動斜板60の一方のトラニ
オン軸60aは上半割ハウジング部分21に装着した蓋体38で支持され、他方
のトラニオン軸60bは、上半割ハウジング部分21の内側壁に設けた軸受孔で
支持される(図14)。また前記トラニオン軸60aは蓋体38より外へ突出し
てコントロールレバー35aが取り付けられる。
また、車軸駆動装置は第3実施例として図17から19に示すように構成して
も良い。第3実施例の構造は、前記第2実施例のものに対して更に次の点が採用
されている。
即ち、センタセクション25は、上半割ハウジング部分21に対してボルト締
結するものではなく、その一部を上半割ハウジング部分21と下半割ハウジング
部分22との間に挾み込ませることにより、フローティング状態で形状拡大領域
の中に位置決め固定したのである。このためにセンタセクション25の左右側面
251にはハウジング取付面42’が突出形成され、また、センタセクション2
5の上面、及びその反対側の下面はハウジング取付面42’を形成している。セ
ンタセクション25をフローティング支持させることで締結ボルトが不要となり
、組立簡素化、低コスト化が図られる利点がある。
また、センタセクション25をフローティング支持するためにポンプ軸29、
モータ軸24はハウジングによって完全に支持される。即ち、ポンプ軸29の上
側は上半割ハウジング部分21に保持した軸受104によって支持し、下端部は
、ポンプ設置面40からチャージポンプ設置面43を貫いて、下半割ハウジング
部分22の側に保持した軸受105によって支持される(図18)。モータ軸2
4はモータ設置面41に対して貫通状態に配置され、貫通した一端側と他端側と
はそれぞれ、上半割ハウジング部分21と下半割ハウジング部分22の両方に挟
み込まれた軸受106,107によって支持される(図17)。
また以下に説明する実施例の車軸駆動装置も、第2,3実施例と同様、リア・
ディスチャージ・ローントラクタにおけるシュートの容積拡大を図るために、そ
のハウジングに形成する形状拡大領域を可能な限り細長く形成したものである。
車軸駆動装置の第4実施例の構造を、図20、図21、図22に基づいて説明
する。上半割ハウジング部分21と下半割ハウジング部分22とを重ねて形成さ
れた細長い形状拡大領域の中には、側面断面視で略L字状をしたセンタセクショ
ン25が配置され、上半割ハウジング部分21に固定されている。センタセクシ
ョン25の略水平な上面250にポンプ設置面40が形成され、略垂直な側面2
51にモータ設置面41が形成されている。そして、ポンプ設置面40を車軸1
7,18に対して遠い側に位置させ、また、モータ設置面41を車軸17,18
に対して近い側に位置させているのである。ポンプ設置面40上のポンプ軸29
は車軸17,18に対して略垂直に向き、モータ設置面41上のモータ軸24は
略水平で、かつ、車軸17,18に対して直角な方向に向いている。
油圧ポンプの可動斜板28はクレドール型に構成され、前述した第1実施例の
ものと同じ操作機構を用いて、上半割ハウジング部分21の内壁の凹円弧面に沿
って人為的に傾転操作することができる。
センタセクション25のポンプ設置面40に対して反対側の下面と下半割ハウ
ジング部分22の内底面との間に油フィルタ32が挟み込まれている。ハウジン
グ内の油は油フィルタ32により濾過され、前記下面に開口した補給ポート(図
示せず)に導かれる。
ポンプ設置面40に開口した一対のキドニーポート40a,40bの各々と、
モータ設置面41に開口した一対のキドニーポート41a,41bの各々とは、
一対の、略L字状の油路25a,25bによって互いに接続される。前記油路2
5a,25bの開口端部にはそれぞれ前記図9に示したチェック弁が配置される
。この実施例では作動油の補給を、油圧ポンプの自給作用を利用したものとなっ
ているが、前述したようなチャージポンプにより行ってもよい。
モータ軸24の軸心はハウジングの接合面と同一平面上に位置し、上半割ハウ
ジング部分21と下半割ハウジング部分22とに挟み込まれた軸受により回転自
在に支持される。
第1車軸17,第2車軸部分18aは下半割ハウジング部分22の中で回転自
在に支持される。即ち、第1車軸17,第2車軸部分18aの末端側は下半割ハ
ウジング部分22の円筒孔に保持させた軸受100により支持され、そして、第
1車軸17,第2車軸部分18aの基端側は下半割ハウジング部分22の中に配
置したブッシュ101により支持される。前記ブッシュ101は、上半割ハウジ
ング部分21に設けた、前記ハウジングの接合面を越える長さを有する脚部21
7と、下半割ハウジング部分22の凹円弧面との間に挟み込まれて固定されてい
る(図22)。
デフギア装置23はハウジング内で、一方の第2車軸部分18aの側に偏るよ
うに配置されている。前記モータ軸24は他方の第1車軸17に対して略直角な
向きで、かつ、その上方を横断しながらハウジングの後方側へ延伸し、その先端
はハウジングを突き抜け制動摩擦板63が固着される。
車軸17,18と平行なカウンタ軸26がハウジングの後端側に配置され、そ
の軸心はハウジングの接合面と同一平面上に位置している。カウンタ軸26は、
上半割ハウジング部分21と下半割ハウジング部分22とに挾み込まれた軸受に
よって回転自在に支持される。
モータ軸24とカウンタ軸26とは互いに直角な方向を向いているのて、両軸
を駆動的に連結する為に、モータ軸24には小ベベルギア240aが固定され、
カウンタ軸26には、該小ベベルギア240aに噛み合う大ベベルギア46aが
固定される。カウンタ軸26の小径ギア47からデフギア装置23のリングギア
48を介して車軸17,18に動力を伝達される。
次に、車軸駆動装置の第5実施例の構造を、図23、図24、図25に基づい
て説明する。ハウジングの細長い形状拡大領域の中に配置されるセンタセクショ
ン25はその本体を略平板形状とし、上半割ハウジング部分21の中に略水平状
態にして配置され、上半割ハウジング部分21の側に固定されている。センタセ
クション25の上面250にポンプ設置面40とモータ設置面41とが並んで形
成され、ポンプ設置面40を車軸17,18に対して遠い側に位置させ、そして
、モータ設置面を車軸17,18に対して近い側に位置させている。よって、油
圧ポンプのポンプ軸29と油圧モータのモータ軸24とは互いに平行して略垂直
な方向に向き、かつ、車軸17,18に対して直角な方向に向く。
ポンプ設置面40に開口した一対のキドニーポート40a,40bの各々と、
モータ設置面41に開口した一対のキドニーポート41a,41bの各々とは、
一対の直線状の油路25a,25bによって互いに接続される。
油圧ポンプの可動斜板28はクレドール型に構成され、前述した第1実施例の
ものと同じ操作機構を用いて、上半割ハウジング部分21の内壁の凹円弧面に沿
って人為的に傾転操作する事ができる。一方、油圧モータの固定斜板45は上半
割ハウジング部分21の内壁に形成した凹部の中に嵌入固定される。
ポンプ軸29とモータ軸24の各々は、上半割ハウジング部分21側に前後に
並設した軸受とセンタセクション25の前後に並設した軸受とによって回転自在
に支持される。
ハンジングの接合面と同一の平面内にカウンタ軸26が配置されている。カウ
ンタ軸26を支持するための一対の軸受は、センタセクション25のモータ設置
面41と反対側の下面から下向きに突出した一対の脚部252,252と、下半
割ハウジング部分22の内底面から突出した一対の脚部224,224との間に
挟み込まれる。この構造の採用によりハウジングにカウンタ軸26の軸受保持部
分を設ける必要がなくなり、形状拡大領域の幅(Wa)を更に圧縮できる利点が
ある(図24)。カウンタ軸26の一端はハウジングの外に突出して制動用摩擦
板63が固定される。
略垂直なモータ軸24はセンタセクション25を下向きに貫き、その下端部は
カウンタ軸26の略真上で略直角に位置する(図25)。モータ軸24の下端部
の小ベベルギア240aを固定し、カウンタ軸26には前記小ベベルギア240
aに噛み合う大ベベルギア46aを固定して両軸24,26が連結される。
カウンタ軸26の小径ギア47からデフギア装置23のリングギア48へ動力
が伝達される。デフギア装置23はハウジングの内部の、車軸部分18aの側に
偏って配置されている。車軸17,18の軸心はハウジングの接合面と同一の平
面内に位置し、第1車軸17の末端側と基端側はそれぞれ、上半割ハウジング部
分21と下半割ハウジング部分22との間に挟み込まれた軸受100とブッシュ
101によって支持される。一方、前記デフギア装置23を偏心配置することに
よって第2車軸部分18aの軸長寸法は極端に短くなり、これによって第2車軸
部分18aを、上半割ハウジング部分21と下半割ハウジング部分22との間に
挟み込まれたブッシュ101のみによって支持することが可能となる。
次に、車軸駆動装置の第6実施例の構造を、図26、図27、図28に基づい
て説明する。この構造は前記第5実施例のものと基本的に同じであるので、第5
実施例と対比して変更が施された次の4点についてのみ説明する。
第1の変更点は、制動摩擦板63の位置である。即ち、略垂直なモータ軸24
の上端部を上半割ハウジング部分21の上壁から突き抜けさせ、ここに制動摩擦
板63を取り付けている。第5実施例の、伝動トルクの大きいカウンタ軸26に
取付けたものと比較して、モータ軸24はカウンタ軸26より低い伝動トルクを
有するので、ブレーキ装置はより小さくコンパクトなものとなる。よって、車軸
駆動装置の幅は小さくなり、制動摩擦板63は、ハウジングから突出するポンプ
軸29と同じ側で、冷却ファン16の近傍に配置される。この制動摩擦板63は
冷却ファン16からの換気により効果的に冷却され、冷却ファン16からの換気
はまた、制動摩擦板63に集まったゴミを吹き飛ばす。
第2の変更点はセンタセクション25に施されている。即ち、センタセクショ
ン25のモータ設置面41の反対側の面から下向きに1つの脚部252を突出さ
せて設け、この脚部252と下半割ハウジング部分22とによってタウンタ軸2
6の一端側の軸受を支持しているのである。カウンタ軸26の他端側の軸受は上
半割ハウジング部分21と下半割ハウジング部分22とによって挟み込まれてい
る。脚部252は、センタセクション25から離れて、その平面の下に固設され
ている。
第3の変更点はデフギア装置23’にある。デフギア装置23’の入力歯車4
8’は第2車軸部分18a上に遊嵌支持され、ハウジングの一側壁に接近配置さ
れている。これにより第2車軸部分18aの軸長寸法はかなり短くされる。そし
て入力歯車48’のハウジングの他側壁を向く面にデフケース48aを固着して
いる。デフケース48a内で、第1車軸17と第2車軸部分18aの基端は互い
に隣接している。デフケース48aの中に枢支しピニオンギア50,50に対し
て、第1車軸17と第2車軸部分18aとの基端側にそれぞれ係止したサイドギ
ア49,49を噛合させることでデフギア装置23’が構成される。
第4の変更点は、第1車軸17と第2車軸部分18aの、ハウジングの接合面
に対するレイアウト、及び、その支持構造にある。車軸17,18の軸心はハウ
ジングの高さの略中間に位置することができ、車軸駆動装置のバランスを保って
いる。入力歯車48’によって下半割ハウジング部分22の底部に下向きの膨出
部ができるのを抑制でき、大きな地上高が確保される点である。
次に、車軸駆動装置の第7実施例の構造を図29、図30、図31に基づいて
説明する。
センタセクション25は第5,6実施例と同じように略平板形状をして上半割
ハウジング部分21に取り付けられるが、その本体は下半割ハウジング部分22
の中に略水平に配置されている。そして、センタセクション25の略水平な上面
の、車軸17,18から遠い側の部分にポンプ設置面40が形成され、そしてセ
ンタセクション25の略水平な下面の、車軸17,18に近い側の部分にモータ
設置面41が形成されている。
油圧モータのモータ軸24の上端側をセンタセクション25に軸受支持し、下
端部を下半割ハウジング部分22にて軸受支持している。ここでモータ設置面4
1上に油圧モータを組み付けるのが困難なようであれば、モータ軸24の下端部
を固定斜板45に軸受支持させて、該固定斜板45をセンタセクション25の下
面に締結するように構成すればよい。
モータ軸24はポンプ軸29に対して平行し略垂直な方向を向いてセンターセ
クション25の上面を突き抜け、その上端部に、カウンタ軸26の大ベベルギア
46aと噛み合う小ベベルギア240aを固定している。
ハウジングの接合面と同一の平面内でカウンタ軸26を支持するために、セン
タセクション25のモータ設置面41の反対側の面から上向きに突出した一対の
脚部252’,252’と、上半割ハウジング部分21の内壁から突出した一対
の脚部218,218とが設けられ、これらの間にカウンタ軸26の一対の軸受
が挾み込まれる。
第7の実施例を説明したが、これは発明の模範ではなく、限定的に解釈される
ものではない。発明は付随クレームとその同等のものによって限定される。
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フロントページの続き
(72)発明者 大橋 良太
兵庫県尼崎市猪名寺2丁目18番1号