JP2020196022A - 接合方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】硬度が高い金属部材同士を好適に接合することができる接合方法を提供することを課題とする。【解決手段】第一金属部材1と第二金属部材2の端部同士の隙間に断面矩形の補助部材10を挟み込み、突合せ部J1,J2を形成する突合せ工程と、回転する回転ツールFを補助部材10の表面10a側から挿入するとともに、攪拌ピンF2のみを補助部材10に接触させ攪拌ピンF2の基端側を露出させつつ、攪拌ピンF2の少なくとも基端側の外周面を第一金属部材1及び第二金属部材2に接触させた状態で、突合せ部J1,J2に沿って回転ツールFを相対移動させて第一金属部材1と第二金属部材2とを補助部材10を介して接合する接合工程と、を含むことを特徴とする接合方法である。【選択図】図2
Description
本発明は、接合方法に関する。
例えば、特許文献1には、一対の板状の金属部材を、回転ツールを用いて摩擦攪拌接合する発明が開示されている。当該発明では、一対の金属部材の間に金属部材よりも軟質の補助部材を介設し、当該補助部材に回転ツールを挿入して摩擦攪拌を行うというものである。硬度の高い金属部材同士を摩擦攪拌接合すると、回転ツールの損傷が激しく、工具コストが増加するという問題がある。しかし、当該発明によれば、軟質の補助部材に回転ツールを挿入して摩擦攪拌を行うため、硬度の高い金属部材同士を好適に接合することができる。
従来の接合方法では、回転ツールの攪拌ピンが円柱状を呈するため、補助部材への挿入が困難となるという問題があった。また、回転ツールのショルダ部を金属部材に接触させた状態で摩擦攪拌を行うため、摩擦攪拌装置に作用する負荷が大きくなるという問題があった。
このような観点から、本発明は、硬度が高い金属部材同士を好適に接合することができる接合方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するために、本発明は、先細りの攪拌ピンを備えた回転ツールを用いて一対の金属部材を接合する接合方法であって、アルミニウム合金から形成された第一金属部材と、アルミニウム合金から形成された第二金属部材と、前記第一金属部材及び前記第二金属部材よりも硬度が低いアルミニウム又はアルミニウム合金から形成された断面矩形の補助部材を準備する準備工程と、前記第一金属部材と前記第二金属部材の端部同士を向い合せて、前記端部同士の隙間に前記補助部材を挟み込み、前記第一金属部材の端面と前記補助部材の一方の側面とを突き合わせるとともに、前記第二金属部材の端面と前記補助部材の他方の側面とを突き合せて突合せ部を形成する突合せ工程と、回転する前記回転ツールを前記補助部材の表面側から挿入するとともに、前記攪拌ピンのみを前記補助部材に接触させ前記攪拌ピンの基端側を露出させつつ、前記攪拌ピンの少なくとも基端側の外周面を前記第一金属部材及び前記第二金属部材に接触させた状態で、前記突合せ部に沿って前記回転ツールを相対移動させて前記第一金属部材と前記第二金属部材とを補助部材を介して接合する接合工程と、を含むことを特徴とする。
かかる接合方法によれば、先細りの攪拌ピンを備えた回転ツールを用いるため、補助部材に容易に挿入することができる。また、攪拌ピンのみを補助部材に挿入するため、摩擦攪拌装置に作用する負荷を軽減することができる。また、第一金属部材及び第二金属部材よりも軟質の補助部材に回転ツールを挿入するため、回転ツールの寿命を長くすることができる。また、攪拌ピンと第一金属部材及び第二金属部材とを接触させることにより接合強度を高めることができる。
また、前記補助部材の裏面側に、浮き防止のための突起部を備え、前記突合せ工程では、前記突起部が前記第一金属部材及び前記第二金属部材の少なくとも一方に係止するように前記第一金属部材と前記第二金属部材とを突き合わせることが好ましい。
かかる接合方法によれば、補助部材の表面側への浮き上りを防ぐことができるため、より好適に接合することができる。
また、本発明は、先細りの攪拌ピンを備えた回転ツールを用いて一対の金属部材を接合する接合方法であって、アルミニウム合金から形成された第一金属部材と、アルミニウム合金から形成された第二金属部材と、前記第一金属部材及び前記第二金属部材よりも硬度が低いアルミニウム又はアルミニウム合金から形成された断面矩形の補助部材を準備する準備工程と、前記第一金属部材の端部と前記第二金属部材の側面とを突き合せて、前記第一金属部材の端部と前記第二金属部材の側面との隙間に前記補助部材を挟み込み、前記第一金属部材の端面と前記補助部材の一方の側面とを突き合せるとともに、前記第二金属部材の側面と前記補助部材の他方の側面とを突き合わせて突合せ部を形成する突合せ工程と、回転する前記回転ツールを前記補助部材の表面側から挿入するとともに、前記攪拌ピンのみを前記補助部材に接触させ前記攪拌ピンの基端側を露出させつつ、前記攪拌ピンの少なくとも基端側の外周面を前記第一金属部材及び前記第二金属部材に接触させた状態で、前記突合せ部に沿って前記回転ツールを相対移動させて前記第一金属部材と前記第二金属部材とを補助部材を介して接合する接合工程と、を含むことを特徴とする。
かかる接合方法によれば、先細りの攪拌ピンを備えた回転ツールを用いるため、補助部材に容易に挿入することができる。また、攪拌ピンのみを補助部材に挿入するため、摩擦攪拌装置に作用する負荷を軽減することができる。また、第一金属部材及び第二金属部材よりも軟質の補助部材に回転ツールを挿入するため、回転ツールの寿命を長くすることができる。また、攪拌ピンと第一金属部材及び第二金属部材を接触させることにより接合強度を高めることができる。また、第一金属部材と第二金属部材とを垂直に接合することができる。
また、前記補助部材の裏面側に、浮き防止のための突起部を備え、前記突合せ工程では、前記突起部が前記第一金属部材及び前記第二金属部材の少なくとも一方に係止するように前記第一金属部材と前記第二金属部材とを突き合わせるこが好ましい。
かかる接合方法によれば、補助部材の表面側への浮き上りを防ぐことができるため、より好適に接合することができる。
本発明に係る接合方法によれば、硬度が高い金属部材同士を好適に接合することができる。
[第一実施形態]
本発明の第一実施形態について、適宜図面を参照しながら説明する。第一実施形態に係る接合方法は、準備工程と、突合せ工程と、接合工程とを行う。図1に示すように、本実施形態では、第一金属部材1と第二金属部材2とを摩擦攪拌接合する。以下の説明における「表面」とは、「裏面」の反対側の面を言う。
本発明の第一実施形態について、適宜図面を参照しながら説明する。第一実施形態に係る接合方法は、準備工程と、突合せ工程と、接合工程とを行う。図1に示すように、本実施形態では、第一金属部材1と第二金属部材2とを摩擦攪拌接合する。以下の説明における「表面」とは、「裏面」の反対側の面を言う。
図1に示すように、準備工程は、第一金属部材1、第二金属部材2及び補助部材10を用意する工程である。第一金属部材1及び第二金属部材2は、板状の金属部材である。第一金属部材1及び第二金属部材2は、摩擦攪拌可能な金属であれば特に制限されないが、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金を用いる。第一金属部材1及び第二金属部材2は、本実施形態では、JISH5302 ADC12(Al-Si-Cu系)等のアルミニウム合金鋳造材を用いている。
第一金属部材1は、端部に形成された端面1a、表面1b及び裏面1cを備えている。端面1aは、表面1bおよび裏面1cに対して垂直になっている。第二金属部材2は、端部に形成された端面2a、表面2b及び裏面2cを備えている。端面2aは、表面2bおよび裏面2cに対して垂直になっている。第一金属部材1及び第二金属部材2の板厚は同一である。
補助部材10は、第一金属部材1と第二金属部材2との間に介設される部材である。補助部材10は、第一金属部材1よりも硬度の低い金属で形成されている。補助部材10は、例えば、JIS A1050,A1100,A6063等のアルミニウム合金展伸材で形成されている。補助部材10は、断面矩形を呈する長尺の部材にて構成されている。
補助部材10は、表面10aと、側面10b,10cと、裏面10dを備えている。側面10b,10cは、表面10aおよび裏面10dと垂直になっている。側面10b,10cは互いに平行になっている。
突合せ工程は、図2に示すように、第一金属部材1、第二金属部材2及び補助部材10を突き合わせつつ架台Kに固定する工程である。突合せ工程では、第一金属部材1の端面1aと、第二金属部材2の端面2aとの間に補助部材10を配置する。第一金属部材1の端面1aと、補助部材10の側面10bとが概ね面接触するように突き合わされて突合せ部J1が形成される。第二金属部材2の端面2aと、補助部材10の側面10cとが概ね面接触するように突き合わされて突合せ部J2が形成される。補助部材10の表面10aは、第一金属部材1の表面1b及び第二金属部材2の表面2bと面一になる。補助部材10の裏面10dは、第一金属部材1の裏面1c及び第二金属部材2の裏面2cと面一になる。
ここで、図2に示すように回転ツールFは、基部F1と、攪拌ピンF2とで構成されている。回転ツールFは、例えば、工具鋼で形成されている。基部F1は、摩擦攪拌装置の回転軸に接続される部位である。攪拌ピンF2は、基部F1から垂下し、先細りとなっている。攪拌ピンF2の先端には、回転中心軸に対して直交する平坦面F3が形成されている。平坦面F3は、補助部材10の表面10aの幅寸法よりも小さい直寸法で形成されている。攪拌ピンF2の上端部の直径寸法は、補助部材10の表面10aの幅寸法よりも大きい。
攪拌ピンF2の外周面には、螺旋溝が刻設されている。本実施形態では、回転ツールFを右回転させるため、基端側から先端側に向かうにつれて螺旋溝が左回りで形成されている。なお、回転ツールFを左回転させる場合は、基端側から先端側に向かうにつれて螺旋溝が右回りで形成されている。このようにすると、塑性流動化した金属が螺旋溝に導かれて先端側に移動するため、バリの発生を抑制することができる。
接合工程は、図3に示すように、回転ツールFを用いて第一金属部材1と第二金属部材2とを摩擦攪拌接合する工程である。接合工程では、右回転させた回転ツールFの攪拌ピンF2を補助部材10の表面10aの幅方向中央に挿入して、補助部材10の長手方向に沿って相対移動させる。このとき、攪拌ピンF2の下端部の外周面は、第一金属部材1の端面1a及び第二金属部材2の端面2aに接触させず、攪拌ピンF2の上端部の外周面は、第一金属部材1の端面1a及び第二金属部材2の端面2aに接触させた状態である。攪拌ピンF2の上端部の外周面は、第一金属部材1の端面1aの上端部及び第二金属部材2の端面2aの上端部とで、上端に向かうに連れて接触代が大きくなるように接触している。
接合工程では、攪拌ピンF2のみを第一金属部材1、第二金属部材2及び補助部材10に接触させ、攪拌ピンF2の基端側は、第一金属部材1及び第二金属部材2から露出した状態で摩擦攪拌を行う。攪拌ピンF2の平坦面F3は、架台Kに接触しない範囲で深い位置まで挿入する。回転ツールFを補助部材10に沿って相対移動させ、終了位置に達したら回転ツールFを補助部材10から離脱させる。以上により、突合せ部J1,J2が一の工程で同時に摩擦攪拌接合される。回転ツールFの移動軌跡には塑性化領域Wが形成される。
以上説明した本実施形態に係る接合方法によれば、先細りの攪拌ピンF2を備えた回転ツールFを用いるため、補助部材10の表面10aに容易に挿入することができる。また、攪拌ピンF2のみを補助部材10に挿入し、攪拌ピンF2の基端側は露出させた状態で摩擦攪拌するため、摩擦攪拌装置に作用する負荷を軽減することができる。
また、第一金属部材1及び第二金属部材2よりも軟質の補助部材10に回転ツールFを挿入するため、回転ツールFの寿命を長くすることができる。また、攪拌ピンF2の上端部のみを第一金属部材1及び第二金属部材2と接触させるに留めるため、第一金属部材1及び第二金属部材2の硬質の金属が補助部材10側に多く混入するのを防ぐことができるため、より接合強度を高めることができる。
また、攪拌ピンF2は先細りの形状であるため、攪拌ピンF2と第一金属部材1及び第二金属部材2とが大きく接触するのを防ぐことができる。
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態に係る接合方法について説明する。図4は、本発明の第二実施形態に係る接合方法の突合せ工程を示す断面図である。第二実施形態に係る接合方法は、準備工程と、突合せ工程と、接合工程とを行う。第二実施形態では、補助部材10Aの形状が第一実施形態と主に相違する。本実施形態では、第一実施形態と相違する部分を中心に説明する。
次に、本発明の第二実施形態に係る接合方法について説明する。図4は、本発明の第二実施形態に係る接合方法の突合せ工程を示す断面図である。第二実施形態に係る接合方法は、準備工程と、突合せ工程と、接合工程とを行う。第二実施形態では、補助部材10Aの形状が第一実施形態と主に相違する。本実施形態では、第一実施形態と相違する部分を中心に説明する。
図4に示すように、第一金属部材1及び第二金属部材2は第一実施形態と同一である。補助部材10Aは、断面矩形形状の本体部11と、本体部11の裏面(底部)10dから下方に突出する突起部12を備えている。突起部12は、本体部11の裏面(底部)10dよりも幅広となる断面矩形(横長の長方形)状を呈する。突起部12は、補助部材10Aの長手方向の全長に渡って形成されている。なお、突起部12は、補助部材10Aの長手方向に沿って断続的に形成してもよい。架台Kには、突起部12が挿入される断面矩形の凹部K1が形成されている。
突合せ工程では、第一金属部材1と、第二金属部材2と、補助部材10Aとを突き合わせて架台Kに固定する。突合せ工程では、まず、補助部材10Aの突起部12を凹部K1に挿入する。例えば、架台Kの手前側又は奥側の凹部K1の開口部から突起部12を挿入する。
次に、第一金属部材1及び第二金属部材2を補助部材10の両側から突き合わせる。突起部12は、第一金属部材1の裏面1c及び第二金属部材2の裏面2cにそれぞれ係止される。第一金属部材1の端面1aと、補助部材10の側面10bとが突き合わされて突合せ部J1が形成される。第二金属部材2の端面2aと、補助部材10の側面10cとが突き合わされて突合せ部J2が形成される。
接合工程では、回転ツールFを用いて突合せ部J1,J2に対して摩擦攪拌接合を行う。本実施形態では、第一実施形態と同じ要領で摩擦攪拌接合を行う。なお、接合工程が終了したら、突起部12を切除する切除工程を行ってもよいし、突起部12をそのまま残してもよい。
以上説明した第二実施形態によっても第一実施形態と略同等の効果を奏することができる。例えば、摩擦攪拌接合の接合長が長くなると、それに伴って補助部材10も長く形成する。このような場合に摩擦攪拌接合を行うと、補助部材10が上方に浮き上がってしまうという問題がある。しかし、第二実施形態によれば、補助部材10に突起部12を設けているため、補助部材10の浮き上がりを防ぐことができる。これにより、第一金属部材1及び第二金属部材2に対する補助部材10の位置ずれを防ぐことができるため、より好適に摩擦攪拌接合することができる。
なお、本実施形態では、突起部12が第一金属部材1及び第二金属部材2の両方に係止するように設定したが、補助部材10Aが浮き上がらないように、第一金属部材1及び第二金属部材2のいずれか一方に係止させるようにしてもよい。
[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態に係る接合方法について説明する。図5は、本発明の第三実施形態に係る接合方法の準備工程を示す斜視図である。第三実施形態では、図5に示すように、第一金属部材1Bと第二金属部材2Bとを直交させて接合する点で他の実施形態と相違する。
次に、本発明の第三実施形態に係る接合方法について説明する。図5は、本発明の第三実施形態に係る接合方法の準備工程を示す斜視図である。第三実施形態では、図5に示すように、第一金属部材1Bと第二金属部材2Bとを直交させて接合する点で他の実施形態と相違する。
第三実施形態に係る接合方法では、準備工程と、突合せ工程と、接合工程とを行う。準備工程では、第一金属部材1B、第二金属部材2B及び補助部材10Bを用意する。第一金属部材1Bは、板状を呈し、端面1Ba、側面1Bb,1Bcを備えている。側面1Bb,1Bcは上下方向に広がり、端面1Baは、側面1Bb,1Bcに対して垂直になっている。第二金属部材2Bは、板状を呈し、端面2Ba、側面2Bb,2Bc(図5中、上下の面)を備えている。端面2Baは上下方向に広がり、側面2Bb,2Bcは水平になっている。第一金属部材1Bと第二金属部材2BとはL字状に突き合わされる。
補助部材10Bは、断面矩形形状の本体部11Bと、本体部11Bの裏面(L字の入隅(内隅)側の面)10Bdから上方に突出する突起部12Bとを備えている。本体部11Bは、表面10Ba、側面10Bb,10Bc(図5中、上下の面)及び裏面10Bdを備えている。突起部12Bは、本体部11の裏面10Bdよりも上方に幅広となる断面矩形(縦長の長方形)状を呈する。突起部12は、補助部材10Bの長手方向の全長に渡って形成されている。なお、突起部12は、補助部材10Aの長手方向に沿って断続的に形成してもよい。
突合せ工程は、図6に示すように、第一金属部材1Bと第二金属部材2Bとの間に補助部材10Bを介設し、第一金属部材1Bと第二金属部材2Bとを垂直(L字状)に突き合わせる工程である。本実施形態では、第一金属部材1B及び第二金属部材2Bの入隅(内隅)側に架台K2を配置して、両者を付き合わせる。架台K2には、突起部12Bが挿入される断面矩形の凹部K2aが形成されている。凹部K2aは、補助部材10Bの長手方向に延設されている。突合せ工程では、まず、補助部材10Aの突起部12を凹部K2aに挿入する。
次に、第一金属部材1及び第二金属部材2を補助部材10の両側からL字状に突き合わせる。突起部12Bは、第一金属部材1の側面1Bbに係止される。第一金属部材1Bの端面1Baと、補助部材10Bの側面10Bbとが突き合わされて突合せ部J3が形成される。第二金属部材2Bの側面2Bbと補助部材10Bの側面10Bcとが突き合わされて突合せ部J4が形成される。第一金属部材1Bと第二金属部材2Bとは垂直になっている。
接合工程は、図6及び図7に示すように、回転ツールFを用いて突合せ部J3,J4を摩擦攪拌接合する工程である。接合工程では、回転ツールFの攪拌ピンF2のみを補助部材10Bの表面10Baに挿入し、攪拌ピンF2の基端側の一部を露出させた状態で補助部材10Bに沿って相対移動させて突合せ部J3,J4に対して摩擦攪拌接合を行う。
また、本実施形態では、攪拌ピンF2の回転中心軸Zを水平にしつつ、攪拌ピンF2を補助部材10Bの表面10aBの幅方向中央に挿入して、補助部材10Bの長手方向に沿って相対移動させる。このとき、攪拌ピンF2の先端部の外周面は、第一金属部材1Bの端面1Ba及び第二金属部材2の側面2Bbに接触させず、攪拌ピンF2の基端部の外周面は、第一金属部材1Bの端面1Ba及び第二金属部材2Bの側面2Bbに接触させた状態となっている。攪拌ピンF2の基端部の外周面は、第一金属部材1Bの端面1Ba及び第二金属部材2Bの側面2Bbとで、基端側に向かうに連れて接触代が大きくなるように接触している。
接合工程では、攪拌ピンF2のみを第一金属部材1B、第二金属部材2B及び補助部材10Bに接触させ、攪拌ピンF2の基端側は、第一金属部材1B及び第二金属部材2Bから露出した状態で摩擦攪拌を行う。攪拌ピンF2の平坦面F3は、架台K2に接触しない範囲で深い位置まで挿入する。回転ツールFを補助部材10Bに沿って相対移動させ、終了位置に達したら回転ツールFを補助部材10から離脱させる。以上により、突合せ部J3,J4が一の工程で同時に摩擦攪拌接合される。回転ツールFの移動軌跡には塑性化領域Wが形成される。なお、接合工程が終了したら、突起部12Bを切除する切除工程を行ってもよいし、突起部12Bをそのまま残してもよい。また、本実施形態において、突起部12Bを省略した補助部材を用いてもよい。
以上説明した第三実施形態に係る接合方法によっても、第一実施形態と略同等の効果を得ることができる。また、本実施形態では、第一金属部材1Bと、第二金属部材2Bとを垂直に接合することができる。さらに、補助部材10Bの浮き上がりを防ぐことができるので、第一金属部材1B及び第二金属部材2Bに対する補助部材10Bの位置ずれを防ぐことができるため、より好適に摩擦攪拌接合することができる。
[第四実施形態]
次に、本発明の第四実施形態に係る接合方法について説明する。図8は、本発明の第四実施形態に係る接合方法の準備工程を示す斜視図である。第四実施形態では、図8に示すように、第一金属部材1Cと第二金属部材2Cとを重ね合わせつつ突き合わせる点で他の実施形態と相違する。
次に、本発明の第四実施形態に係る接合方法について説明する。図8は、本発明の第四実施形態に係る接合方法の準備工程を示す斜視図である。第四実施形態では、図8に示すように、第一金属部材1Cと第二金属部材2Cとを重ね合わせつつ突き合わせる点で他の実施形態と相違する。
第四実施形態に係る接合方法では、準備工程と、突合せ工程と、接合工程とを行う。準備工程では、第一金属部材1C、第二金属部材2C及び補助部材10Cを用意する。第一金属部材1Cは、板状を呈し、端面1Ca、表面1Cb及び裏面1Ccを備えている。端面1Caは、表面1Cb及び裏面1Ccに対して垂直になっている。
第二金属部材2Cは、板厚部と板薄部からなる段差部を備えた形状になっている。第二金属部材2Cは、第一端面2Ca、第一表面2Cb、第二端面2Cc、第二表面2Cd及び裏面2Ceとを有する。第一端面2Caは、第一表面2Cbに対して垂直になっている。第二端面2Ccは、第二表面2Cd及び裏面2Ceに対して垂直になっている。
補助部材10Cは、断面矩形の長尺の部材にて構成されている。補助部材10Cは、表面10Caと、側面10Cb,10Ccと、裏面10Cdを備えている。側面10Cb,10Ccは、表面10Caおよび裏面10Cdと垂直になっている。側面10Cb,10Ccは互いに平行になっている。
突合せ工程は、図9に示すように、第一金属部材1Cと第二金属部材2Cとを重ね合わせつつ、補助部材10Cを介設して突き合わせる工程である。突合せ工程では、第一金属部材1Cの裏面1Ccと、第二金属部材2Cの第二表面2Cdとが重ね合わされて突合せ部J7が形成される。また、補助部材10Cの側面10Cbと第一金属部材1Cの端面1Caとが突き合わされて突合せ部J5が形成される。また、補助部材10Cの側面10Ccと第二金属部材2Cの第一端面2Caとが突き合わされて突合せ部J6が形成される。
接合工程は、図10に示すように、回転ツールFを用いて第一金属部材1Cと第二金属部材2Cを摩擦攪拌接合する工程である。接合工程では、右回転させた回転ツールFの攪拌ピンF2を補助部材10Cの表面10Caの幅方向中央に挿入する。接合工程では、本実施形態では攪拌ピンF2の下端部の外周面は、第一金属部材1Cの端面1Ca及び第二金属部材2Cの第一端面2Caに接触させず、攪拌ピンF2の上端部の外周面は、第一金属部材1Cの端面1Ca及び第二金属部材2Cの第一端面2Caに接触させた状態で、攪拌ピンF2を補助部材10Cに沿って相対移動させる。
接合工程では、攪拌ピンF2のみを第一金属部材1C、第二金属部材2C及び補助部材10Cに接触させ、攪拌ピンF2の基端側は、第一金属部材1C及び第二金属部材2Cから露出した状態で摩擦攪拌を行う。攪拌ピンF2の平坦面F3は、第二金属部材2の第二表面2Cdに接触しない範囲で深い位置まで挿入する。回転ツールFを補助部材10Cに沿って相対移動させ、終了位置に達したら回転ツールFを補助部材10Cから離脱させる。以上により、突合せ部J5,J6が一の工程で同時に摩擦攪拌接合される。回転ツールFの移動軌跡には塑性化領域Wが形成される。
以上説明した第四実施形態によっても第一実施形態と略同等の効果を奏することができる。
[第五実施形態]
次に、本発明の第五実施形態に係る接合方法について説明する。図11は、本発明の第五実施形態に係る接合方法の準備工程を示す断面図である。第五実施形態に係る接合方法は、準備工程と、突合せ工程と、接合工程とを行う。第五実施形態では、補助部材10CAの形状が第四実施形態と主に相違する。本実施形態では、第四実施形態と相違する部分を中心に説明する。
次に、本発明の第五実施形態に係る接合方法について説明する。図11は、本発明の第五実施形態に係る接合方法の準備工程を示す断面図である。第五実施形態に係る接合方法は、準備工程と、突合せ工程と、接合工程とを行う。第五実施形態では、補助部材10CAの形状が第四実施形態と主に相違する。本実施形態では、第四実施形態と相違する部分を中心に説明する。
図11に示すように、第一金属部材1Cは第四実施形態と同一である。第二金属部材2Cの第二表面2Cdには、凹溝部15が形成されている。凹溝部15は断面矩形状に形成されている。
補助部材10CAは、断面矩形状の本体部11と、本体部11の裏面(底部)10Cdから突出する突起部12とを備えている。突起部12は、本体部11の裏面(底部)10Cdよりも幅広となる断面矩形(横長の長方形)状を呈する。突起部12は、補助部材10Cの長手方向の全長に渡って形成されている。なお、突起部12は、補助部材10CAの長手方向に沿って断続的に形成してもよい。突起部12は、第二金属部材2Cの凹溝部15に挿入される。
突合せ工程では、第一金属部材1Cと、第二金属部材2Cと、補助部材10CAとを突き合わせて架台Kに固定する。突合せ工程では、まず、補助部材10CAの突起部12を凹溝部15に挿入する。例えば、凹溝部15の手前側又は奥側の開口部から突起部12を挿入する。次に、第四実施形態と同じ要領で、各部材を突き合わせて突合せ部J5,J6,J7を形成する。接合工程は、第四実施形態と同一である。
以上説明した第五実施形態によっても、第四実施形態と略同等の効果を奏することができる。また、突起部12を備えることにより、補助部材10CAの浮き上がりを防ぐことができる。
以上本発明の実施形態について説明したが、本発明の趣旨に反しない範囲で適宜設計変更が可能である。例えば、第二〜第五実施形態に係る接合工程でも、攪拌ピンF2の上端部(基端部)の外周面と、第一金属部材及び第二金属部材は接触させたが、これに限定されるものではない。塑性化領域が第一金属部材及び第二金属部材に到達するようにすれば、回転ツールFの攪拌ピンF2と第一金属部材及び第二金属部材とを接触させずに摩擦攪拌接合を行ってもよい。
1 第一金属部材
1a 端面
2 第二金属部材
2a 端面
10 補助部材
12 突起部
J1 突合せ部
J2 突合せ部
F 回転ツール
F2 攪拌ピン
1a 端面
2 第二金属部材
2a 端面
10 補助部材
12 突起部
J1 突合せ部
J2 突合せ部
F 回転ツール
F2 攪拌ピン
Claims (4)
- 先細りの攪拌ピンを備えた回転ツールを用いて一対の金属部材を接合する接合方法であって、
アルミニウム合金から形成された第一金属部材と、アルミニウム合金から形成された第二金属部材と、前記第一金属部材及び前記第二金属部材よりも硬度が低いアルミニウム又はアルミニウム合金から形成された断面矩形の補助部材を準備する準備工程と、
前記第一金属部材と前記第二金属部材の端部同士を向い合せて、前記端部同士の隙間に前記補助部材を挟み込み、前記第一金属部材の端面と前記補助部材の一方の側面とを突き合わせるとともに、前記第二金属部材の端面と前記補助部材の他方の側面とを突き合せて突合せ部を形成する突合せ工程と、
回転する前記回転ツールを前記補助部材の表面側から挿入するとともに、前記攪拌ピンのみを前記補助部材に接触させ前記攪拌ピンの基端側を露出させつつ、前記攪拌ピンの少なくとも基端側の外周面を前記第一金属部材及び前記第二金属部材に接触させた状態で、前記突合せ部に沿って前記回転ツールを相対移動させて前記第一金属部材と前記第二金属部材とを補助部材を介して接合する接合工程と、を含むことを特徴とする接合方法。 - 前記補助部材の裏面側に、浮き防止のための突起部を備え、
前記突合せ工程では、前記突起部が前記第一金属部材及び前記第二金属部材の少なくとも一方に係止するように前記第一金属部材と前記第二金属部材とを突き合わせることを特徴とする請求項1に記載の接合方法。 - 先細りの攪拌ピンを備えた回転ツールを用いて一対の金属部材を接合する接合方法であって、
アルミニウム合金から形成された第一金属部材と、アルミニウム合金から形成された第二金属部材と、前記第一金属部材及び前記第二金属部材よりも硬度が低いアルミニウム又はアルミニウム合金から形成された断面矩形の補助部材を準備する準備工程と、
前記第一金属部材の端部と前記第二金属部材の側面とを突き合せて、前記第一金属部材の端部と前記第二金属部材の側面との隙間に前記補助部材を挟み込み、前記第一金属部材の端面と前記補助部材の一方の側面とを突き合せるとともに、前記第二金属部材の側面と前記補助部材の他方の側面とを突き合わせて突合せ部を形成する突合せ工程と、
回転する前記回転ツールを前記補助部材の表面側から挿入するとともに、前記攪拌ピンのみを前記補助部材に接触させ前記攪拌ピンの基端側を露出させつつ、前記攪拌ピンの少なくとも基端側の外周面を前記第一金属部材及び前記第二金属部材に接触させた状態で、前記突合せ部に沿って前記回転ツールを相対移動させて前記第一金属部材と前記第二金属部材とを補助部材を介して接合する接合工程と、を含むことを特徴とする接合方法。 - 前記補助部材の裏面側に、浮き防止のための突起部を備え、
前記突合せ工程では、前記突起部が前記第一金属部材及び前記第二金属部材の少なくとも一方に係止するように前記第一金属部材と前記第二金属部材とを突き合わせることを特徴とする請求項3に記載の接合方法。
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