JP2018008306A - 異種金属材料の接合方法 - Google Patents

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Hirotaka Komuro
裕貴 小室
藤谷 泰之
Yasuyuki Fujitani
泰之 藤谷
道下 幸雄
Yukio Doge
幸雄 道下
杉村 忠士
Tadashi Sugimura
忠士 杉村
雄三 今川
Yuzo Imagawa
雄三 今川
周平 吉津
Shuhei Yoshizu
周平 吉津
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Abstract

【課題】異種金属材料の接合方法において、十分な接合強度を確保することができる。
【解決手段】炭素鋼で構成される第1接合部材31と炭素鋼より硬度の低い軟質材料(アルミニウム合金)で構成される第2接合部材32とを突合せて接合する方法において、第1接合部材31の接合面31aと第2接合部材32の接合面32aとの間に炭素鋼よりクロム含有量及びニッケル含有量の多い接合介在部材33を配置して互いに接触するように支持するステップと、摩擦攪拌接合用工具10のピン部22を回転しながら接合介在部材33の近傍に位置する第2接合部材32に押し込むステップと、第2接合部材32に押し込まれたピン部22を回転しながら接合方向Bに沿って移動するステップとを有する。
【選択図】図4

Description

本発明は、鉄系の金属材料とアルミニウム系やチタン系などの金属材料とを摩擦撹拌接合法により接合する異種金属材料の接合方法に関するものである。
摩擦撹拌接合法(Friction Stir Welding法)は、2つの金属部材の接合面が互いに接触するように突合わせて固定し、この突合せ部に回転ピン部を押し込み、回転しながらこれを移動することで、固相状態による塑性流動現象を生じさせて接合するものである。この摩擦撹拌接合法を用いて鉄系の金属材料とアルミニウム系などの軟質金属材料とを接合することが考えられている。この場合、鉄系の金属材料と軟質金属材料とを突合わせて固定し、この突合せ部における軟質金属材料側に回転ピン部を回転しながら押し込んで移動することで、軟質金属材料の固相状態による塑性流動現象を生じさせて接合する。
ところが、摩擦撹拌接合法を用いて鉄系の金属材料とアルミニウム系などの軟質金属材料とを接合すると、十分な接合強度を得ることが困難となる。この十分な接合強度を得ることができない要因としては、鉄系の金属材料とアルミニウム系などの軟質金属材料の接合面間に生じる金属間化合物が非常に脆いことが挙げられる。
このような問題を解決するものとして、例えば、下記特許文献1に記載されたものがある。特許文献1に記載された異種金属の接合方法は、異種金属である鋼材とアルミニウム合金材とを異材接合するに際し、両材料の間にこれら材料とは異なる第3の金属として、鋼材に亜鉛めっき層を形成した状態で重ね合わせ、接合界面にAlとZnの共晶溶融金属を生じさせて接合するものである。
特許第4601052号公報
上述した従来の異種金属の接合方法は、異種金属である鋼材とアルミニウム合金材との間に鋼材に亜鉛めっき層を形成した状態で重ね合わせて接合界面に共晶溶融金属を生じさせるものであり、鋼材とアルミニウム合金材とを突き合わせ状態で加熱する必要があり、作業が大掛かりなものとなり、設備コストが上昇してしまう。
本発明は上述した課題を解決するものであり、十分な接合強度を確保することができる異種金属材料の接合方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するための本発明の異種金属材料の接合方法は、炭素鋼と前記炭素鋼より硬度の低い軟質材料とを突合せて接合する異種金属材料の接合方法において、前記炭素鋼の接合面と前記軟質材料の接合面との間に前記炭素鋼よりクロム含有量及びニッケル含有量の多い接合介在部材を配置して互いに接触するように支持するステップと、摩擦攪拌接合用工具のピン部を回転しながら前記接合介在部材の近傍に位置する前記軟質材料に押し込むステップと、前記軟質材料に押し込まれた前記ピン部を回転しながら接合方向に沿って移動するステップと、を有することを特徴とするものである。
従って、炭素鋼の接合面と軟質材料の接合面との間にクロムとニッケルを含む接合介在部材を配置して突き合わせ支持し、回転するピン部を軟質材料に押し込んで接合方向に沿って移動することで、炭素鋼と軟質材料を摩擦攪拌接合法により接合する。このとき、回転するピン部により接合介在部材の近傍で軟質材料が摩擦攪拌されることで発熱して塑性流動が発生し、炭素鋼と接合介在部材と軟質材料が接合される。このとき、接合介在部材と軟質材料は、クロムの酸化膜とアルミニウムの非結晶酸化膜を介して接合することとなり、両者の接合面での金属間化合物の発生が抑制される。そのため、炭素鋼と軟質材料との間に十分な接合強度を確保することができる。
本発明の異種金属材料の接合方法では、前記ピン部を回転しながら前記軟質材料に押し込んだ後に前記接合介在部材側に移動するステップが設けられることを特徴としている。
従って、ピン部を回転しながら軟質材料に押し込んだ後に接合介在部材側に移動することで、接合介在部材を十分に加熱させ軟化してからツールを適正位置に移動するため、ピンの欠損を抑制できる。
本発明の異種金属材料の接合方法では、前記軟質材料に押し込まれた前記ピン部を回転状態のままで、前記接合介在部材側に移動しながら接合方向に沿って移動することを特徴としている。
従って、ピン部を回転しながら接合介在部材側に移動しながら接合方向に沿って移動することで、ピン部を徐々に接合介在部材側の適正位置に移動することができる。
本発明の異種金属材料の接合方法では、前記接合介在部材は、前記炭素鋼の接合面に肉盛り溶接により形成されたステンレスクラッド鋼であることを特徴としている。
従って、炭素鋼の接合面に事前に肉盛り溶接によりステンレスクラッド鋼を形成して接合介在部材を配置することで、摩擦撹拌接合法によりステンレスクラッド鋼と軟質部材を接合すればよく、安価で容易に炭素鋼と軟質部材を接合することができる。
本発明の異種金属材料の接合方法では、前記接合介在部材は、ステンレス鋼板であることを特徴としている。
従って、接合介在部材をステンレス鋼板とすることで、事前に肉盛り溶接などの作業が不要となり、摩擦撹拌接合法により炭素鋼とステンレス鋼板と軟質部材を接合すればよく、作業性を向上することができる。
本発明の異種金属材料の接合方法では、前記接合介在部材は、厚さが前記摩擦攪拌接合用工具のショルダ部の半径寸法から前記ピン部の半径寸法を減算した値の1/2以下に設定され、前記軟質材料に押し込まれた前記ピン部を回転状態のままで、前記接合介在部材の平面部を超えて前記炭素鋼の接合面の手前まで移動しながら接合方向に沿って移動することを特徴としている。
従って、接合介在部材の厚さを摩擦攪拌接合用工具のショルダ部やピン部の外径に応じた最適厚さに設定することで、回転するピン部により軟質材料と共に接合介在部材の一部を適正に摩擦攪拌することで発熱させ、塑性流動により混合させることができ、十分な強度を持って接合することができる。
本発明の異種金属材料の接合方法では、前記炭素鋼と前記軟質材料と前記接合介在部材の表面を冷却しながら前記ピン部を接合方向に移動することを特徴としている。
従って、炭素鋼と軟質材料と接合介在部材の表面を冷却しながら摩擦撹拌接合することで、炭素鋼と軟質材料と接合介在部材は、摩擦撹拌により発生する発熱が抑えられ、表面の温度上昇を抑制して厚さ方向の温度分布を小さくすることができ、板厚方向の金属間化合物の厚さのバラつきを抑制することができる。
本発明の異種金属材料の接合方法では、前記摩擦攪拌接合用工具のショルダ部の外方から前記炭素鋼と前記軟質材料と前記接合介在部材の表面に向けて冷却材を噴出しながら前記ピン部を接合方向に移動することを特徴としている。
従って、ショルダ部に冷却材の流路を設ける必要がなく、冷却設備の導入を容易として設備コストの増加を抑制することができる。
本発明の異種金属材料の接合方法では、前記摩擦攪拌接合用工具のショルダ部の先端面から前記炭素鋼と前記軟質材料と前記接合介在部材の表面に向けて冷却材を噴出しながら前記ピン部を接合方向に移動することを特徴としている。
従って、ショルダ部に対向する炭素鋼と軟質材料と接合介在部材の表面を冷却材により直接冷却することができ、冷却効率を向上することができる。
本発明の異種金属材料の接合方法では、前記ピン部を前記軟質材料の厚さ方向に貫通させ、前記ピン部における軸方向の両端部を支持して回転しながら接合方向に移動することを特徴としている。
従って、軟質材料の厚さ方向に貫通したピン部を軸方向の両端部で支持して回転することとなり、厚さの厚い炭素鋼と軟質材料の接合に対して適正な摩擦撹拌接合法を適用することができる。
本発明の異種金属材料の接合方法によれば、炭素鋼の接合面と軟質材料の接合面との間に炭素鋼よりクロム含有量及びニッケル含有量の多い接合介在部材を配置し、摩擦攪拌接合用工具のピン部を回転しながら接合介在部材の近傍に位置する軟質材料に押し込み、接合方向に沿って移動するので、接合介在部材と軟質材料は、クロムの酸化膜とアルミニウムの非結晶酸化膜を介して接合することとなり、両者の接合面での金属間化合物の発生が抑制され、炭素鋼と軟質材料との間に十分な接合強度を確保することができる。
図1は、第1実施形態の異種金属材料の接合方法を実施するための摩擦攪拌接合用工具を表す正面図である。 図2は、異種金属材料の接合方法を表す2つの接合部材の断面図である。 図3は、異種金属材料の接合方法を表す2つの接合部材及び接合介在部材の断面図である。 図4は、異種金属材料の接合方法を表す概略断面図である。 図5は、異種金属材料の接合方法を表す概略平面図である。 図6は、異種金属材料の接合方法で接合された部材の引張強度試験の結果を表す表である。 図7は、第2実施形態の異種金属材料の接合方法を表す2つの接合部材及び接合介在部材の断面図である。 図8は、異種金属材料の接合方法を表す概略断面図である。 図9は、異種金属材料の接合方法を表す概略平面図である。 図10は、第3実施形態の異種金属材料の接合装置を表す概略図である。 図11は、第4実施形態の異種金属材料の接合装置を表す概略図である。 図12は、第5実施形態の異種金属材料の接合装置を表す概略図である。
以下に添付図面を参照して、本発明に係る異種金属材料の接合方法の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の異種金属材料の接合方法を実施するための摩擦攪拌接合用工具を表す正面図である。
第1実施形態において、図1に示すように、摩擦攪拌接合用工具10は、図示しない駆動装置の出力軸に保持される回転軸11と、この回転軸11の先端部に装着されるヘッド部12とを有している。このヘッド部12は、回転可能な回転体21と、この回転体21の回転軸心上を先端側に突出したピン部22と、回転体21の先端側で外径寸法がピン部22より大きいショルダ部23とを有している。そして、ピン部22は、ショルダ部23の先端面から所定長さだけ突出している。
回転体21は、円柱形状をなし、回転軸11の先端部に一体に固定されてなり、この回転軸11と共に回転可能となっている。ピン部22は、回転体21と同心の円柱(または、円錐台形状)をなし、この回転体21の先端部に突出するように一体に固定されてなり、回転体21と共に回転可能となっている。ショルダ部23は、回転体21の先端側で外径寸法がピン部22より大きい円柱形状をなしている。この場合、ショルダ部23は、先端面が回転体21の軸方向に直交する平面としたが、先端面が回転体21の先端側で外周部からピン部22に向かって先端側に突出するように傾斜した傾斜面としてもよい。
第1実施形態の異種金属材料の接合方法は、この摩擦攪拌接合用工具10を用いて鉄系の金属材料からなる接合部材と、アルミニウム系(または、チタン系)の金属材料からなる接合部材とを摩擦撹拌接合法により接合するものである。
図2は、異種金属材料の接合方法を表す2つの接合部材の断面図、図3は、異種金属材料の接合方法を表す2つの接合部材及び接合介在部材の断面図、図4は、異種金属材料の接合方法を表す概略断面図、図5は、異種金属材料の接合方法を表す概略平面図である。
図2に示すように、第1接合部材31は、炭素鋼(または、低合金鋼)であって、接合面31aが形成されている。第2接合部材32は、炭素鋼(または、低合金鋼)より硬度の低い軟質材料であって、本実施形態では、アルミニウム合金であり、接合面32aが形成されている。本実施形態の異種金属材料の接合方法は、第1接合部材31の接合面31aと第2接合部材32の接合面32aとを突合せて摩擦攪拌接合法により接合するものである。
炭素鋼である第1接合部材31とアルミニウム合金である第2接合部材32を摩擦攪拌接合法により接合する場合、接合面31a,32a間に生じる金属間化合物により接合強度が低下する。そこで、本実施形態では、図3に示すように、炭素鋼である第1接合部材31とアルミニウム合金である第2接合部材32との接合面31a,32a間に、炭素鋼よりクロム含有量及びニッケル含有量の多い接合介在部材33を介在させ、図4及び図5に示すように、摩擦攪拌接合法により接合する。
即ち、本実施形態の異種金属材料の接合方法は、炭素鋼である第1接合部材31とアルミニウム合金である第2接合部材32との接合面31a,32a間に炭素鋼よりクロム含有量及びニッケル含有量の多い接合介在部材33を配置して互いに接触するように支持するステップと、摩擦攪拌接合用工具10のピン部22を回転しながら接合介在部材33の近傍に位置する第2接合部材32に押し込むステップと、第2接合部材32に押し込まれたピン部22を回転しながら接合方向に沿って移動するステップとを有している。
また、本実施形態の異種金属材料の接合方法は、ピン部22を回転しながら第2接合部材32に押し込んだ後に接合介在部材33側に移動するステップが設けられる。即ち、第2接合部材32に押し込まれたピン部22を回転状態のままで、接合介在部材33側に移動しながら接合方向に沿って移動する。
具体的に説明すると、本実施形態にて、図3に示すように、接合介在部材33は、炭素鋼である第1接合部材31の接合面31aに肉盛り溶接により形成されたステンレスクラッド鋼であり、接合面33aが形成されている。
そして、図4及び図5に示すように、炭素鋼である第1接合部材31の接合面31aに形成されたステンレスクラッド鋼である接合介在部材33の接合面33aと、アルミニウム合金である第2接合部材32の接合面32aとが接触するように突き合わせて支持する。そして、まず、図示しない回転工具移動機構により摩擦攪拌接合用工具10を移動し、ピン部22を接合介在部材33の近傍に位置する第2接合部材32の上方に位置させる。次に、摩擦攪拌接合用工具10の回転軸11を矢印A方向に回転し、ピン部22を下降して先端部を第2接合部材32の表面に押し付ける。
すると、回転するピン部22と第2接合部材32との摩擦により第2接合部材32が発熱し、この第2接合部材32が塑性流動し、ピン部22が第2接合部材32の深さ方向へ内部に入り込んでいき、ショルダ部23の先端面が各部材31,32,33の表面に当接する。このとき、ピン部22は、外周面が接合介在部材33の接合面33aと所定隙間を空けて、あるいは、外周面が接合介在部材33の接合面33aにわずかに接触した状態にある。そこで、第2接合部材32に押し込まれたピン部22を回転状態のまま、接合介在部材33側に移動しながら接合方向Bに沿って移動する。
このピン部22の移動により第2接合部材32だけでなく、接合介在部材33の一部も塑性流動し、第2接合部材32の一部と接合介在部材33が混合する。なお、ピン部22の接合介在部材33への押し込み量は、接合介在部材33の厚さより少ないものであり、第1接合部材31には到達しない。そのため、ピン部22は、接合介在部材33側へ所定の押し込み量だけ移動し、接合方向Bに沿って各部材31,32,33と平行に移動すると、接合介在部材33の厚さが減少して新規な接合面が形成され、且つ、接合方向Bの後方に接合部34が形成されることとなり、第2接合部材32と接合介在部材33とが摩擦攪拌接合法によって接合される。
この摩擦攪拌接合用工具10を用いた摩擦攪拌接合法による第1接合部材31(接合介在部材33)と第2接合部材32との接合方法にて、第1接合部材32の接合面31aに形成された接合介在部材33は、第1接合部材31を構成する炭素鋼よりクロム含有量及びニッケル含有量の多いステンレスクラッド鋼である。第1接合部材31を構成する炭素鋼は、クロムが1%前後、ニッケルが2%前後含有しているが、第2接合部材32を構成するステンレスクラッド鋼は、オーステナイト系であって、クロムが18%以上、ニッケルが8%以上含有している。そのため、第2接合部材32を構成するアルミニウム合金と接合介在部材33を構成するステンレスクラッド鋼は、各接合面32a,33aが密着し、ピン部22により摩擦撹拌されて塑性流動したとき、クロムの酸化膜とアルミニウムの非結晶酸化膜を介して接合することとなり、両者の接合面32a,33aでの金属間化合物の発生が抑制される。そのため、第1接合部材31(接合介在部材33)と第2接合部材32は、十分な接合強度をもって接合されることとなる。
ここで、従来の異種金属材料の接合方法と第1実施形態の異種金属材料の接合方法における引張強度の相違について説明する。図6は、異種金属材料の接合方法で接合された部材の引張強度試験の結果を表す表である。
図6に示すように、試料No,1が第1実施形態の異種金属材料の接合方法により接合した部材であり、試料No,2とNo,3が従来の異種金属材料の接合方法により接合した部材であり、試料No,2とNo,3とは、接合速度(ピン部22の移動速度)が相違している。第1実施形態の異種金属材料の接合方法とは、接合介在部材33を用いたものであり、従来の異種金属材料の接合方法により接合とは、接合介在部材33を用いていないものである。また、引張強さは、異なる接合方向の3カ所で試験を行ったものである。
No,3の従来の異種金属材料の接合方法により接合した部材は、接合速度が速すぎて接合することができなかった。No,2の従来の異種金属材料の接合方法により接合した部材は、平均の引張強さが7Mpaであり、最大の引張強さが9Mpaであった。一方、第1実施形態の異種金属材料の接合方法により接合した部材は、平均の引張強さが110Mpaであり、最大の引張強さが160Mpaであった。
このように第1実施形態の異種金属材料の接合方法にあっては、炭素鋼で構成される第1接合部材31と炭素鋼より硬度の低い軟質材料(アルミニウム合金)で構成される第2接合部材32とを突合せて接合する方法において、第1接合部材31の接合面31aと第2接合部材32の接合面32aとの間に炭素鋼よりクロム含有量及びニッケル含有量の多い接合介在部材33を配置して互いに接触するように支持するステップと、摩擦攪拌接合用工具10のピン部22を回転しながら接合介在部材33の近傍に位置する第2接合部材32に押し込むステップと、第2接合部材32に押し込まれたピン部22を回転しながら接合方向Bに沿って移動するステップとを有する。
従って、第1接合部材31の接合面31aと第2接合部材32の接合面32aとの間に接合介在部材33を配置して突き合わせ支持し、回転するピン部22を第2接合部材32に押し込んで接合方向Bに沿って移動することで、第1接合部材31と第2接合部材32を摩擦攪拌接合法により接合する。このとき、回転するピン部22により接合介在部材33の近傍で第2接合部材32が摩擦攪拌されることで発熱して塑性流動が発生し、第1接合部材31と接合介在部材33と第2接合部材32が接合される。このとき、接合介在部材33と第2接合部材32は、クロムの酸化膜とアルミニウムの非結晶酸化膜を介して接合することとなり、両者の接合面32a,33aでの金属間化合物の発生が抑制される。そのため、第1接合部材31と第2接合部材32を適正に接合して両者の間に十分な接合強度を確保することができる。
第1実施形態の異種金属材料の接合方法では、ピン部22を回転しながら第2接合部材32に押し込んだ後に接合介在部材33側に移動するステップを設けている。従って、回転するピン部22により第2接合部材32と共に接合介在部材33の一部が摩擦攪拌されることで発熱して塑性流動が発生し、接合介在部材33を十分に加熱させ軟化してからツールを適正位置に移動するため、ピンの欠損を抑制できる。
第1実施形態の異種金属材料の接合方法では、第2接合部材32に押し込まれたピン部22を回転状態のままで、接合介在部材33側に移動しながら接合方向Bに沿って移動する。従って、ピン部22を徐々に接合介在部材33側の適正位置に移動することができる。
第1実施形態の異種金属材料の接合方法では、接合介在部材33を第1接合部材31の接合面31aに肉盛り溶接により形成されたステンレスクラッド鋼としている。従って、第1接合部材31の接合面31aに肉盛り溶接によりステンレスクラッド鋼を形成して接合介在部材33を配置することで、摩擦撹拌接合法によりステンレスクラッド鋼を構成する接合介在部材33と第2接合部材32を接合すればよく、安価で容易に第1接合部材31と第2接合部材32を接合することができる。
[第2実施形態]
図7は、第2実施形態の異種金属材料の接合方法を表す2つの接合部材及び接合介在部材の断面図、図8は、異種金属材料の接合方法を表す概略断面図、図9は、異種金属材料の接合方法を表す概略平面図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
第2実施形態において、図7に示すように、第1接合部材31は、炭素鋼(または、低合金鋼)であり、第2接合部材32は、炭素鋼(または、低合金鋼)より硬度の低い軟質材料である。本実施形態では、図7に示すように、炭素鋼である第1接合部材31とアルミニウム合金である第2接合部材32との接合面31a,32a間に、炭素鋼よりクロム含有量及びニッケル含有量の多い接合介在部材35を介在させ、図8及び図9に示すように、摩擦攪拌接合法により接合する。
即ち、本実施形態の異種金属材料の接合方法は、炭素鋼である第1接合部材31とアルミニウム合金である第2接合部材32との接合面31a,32a間に炭素鋼よりクロム含有量及びニッケル含有量の多い接合介在部材35を配置して互いに接触するように支持するステップと、摩擦攪拌接合用工具10のピン部22を回転しながら接合介在部材35の近傍に位置する第2接合部材32に押し込むステップと、第2接合部材32に押し込まれたピン部22を回転しながら接合方向に沿って移動するステップとを有している。
また、本実施形態の異種金属材料の接合方法は、ピン部22を回転しながら第2接合部材32に押し込んだ後に接合介在部材35側に移動するステップが設けられる。即ち、第2接合部材32に押し込まれたピン部22を回転状態のままで、接合介在部材35側に移動しながら接合方向Bに沿って移動する。
具体的に説明すると、本実施形態にて、図7に示すように、接合介在部材35は、ステンレス鋼板であり、炭素鋼である第1接合部材31の接合面31aと、アルミニウム合金である第2接合部材32の接合面32aとの間に介在される。
そして、図8及び図9に示すように、炭素鋼である第1接合部材31の接合面31aとステンレス鋼板である接合介在部材35の接合面35aが接触すると共に、接合介在部材35の接合面35bとアルミニウム合金である第2接合部材32の接合面32aとが接触するように突き合わせて支持する。そして、まず、図示しない回転工具移動機構により摩擦攪拌接合用工具10を移動し、ピン部22を接合介在部材35の近傍に位置する第2接合部材32の上方に位置させる。次に、摩擦攪拌接合用工具10の回転軸11を矢印A方向に回転し、ピン部22を下降して先端部を第2接合部材32の表面に押し付ける。
すると、回転するピン部22と第2接合部材32との摩擦により第2接合部材32が発熱し、この第2接合部材32が塑性流動し、ピン部22が第2接合部材32の深さ方向へ内部に入り込んでいき、ショルダ部23の先端面が各部材31,32,35の表面に当接する。このとき、ピン部22は、外周面が接合介在部材35の接合面35aと所定隙間を空けて、あるいは、外周面が接合介在部材35の接合面35aにわずかに接触した状態にある。そこで、第2接合部材32に押し込まれたピン部22を回転状態のまま、接合介在部材35側に移動しながら接合方向Bに沿って移動する。
このピン部22の移動により第2接合部材32だけでなく、接合介在部材35の一部も塑性流動し、第2接合部材32の一部と接合介在部材35が混合する。なお、ピン部22の接合介在部材35への押し込み量は、接合介在部材35の厚さより少ないものであり、第1接合部材31には到達しない。即ち、ピン部22の外径をD1、ショルダ部23の外径をD2とし、接合介在部材35の厚さをTとするとき、接合介在部材35の厚さTをショルダ部23の半径寸法D2/2からピン部22の半径寸法D1/2を減算した値の1/2以下に設定する。
0<T≦(D2−D1)/4
そして、第2接合部材32に押し込まれたピン部22を回転状態のままで、接合介在部材35の一方の接合面(平面部)35bを超えて他方の接合面(平面部)35a、つまり、第1接合部材31の接合面31aの手前まで移動しながら接合方向Bに沿って移動する。そのため、ピン部22は、接合介在部材35側へ所定の押し込み量だけ移動し、接合方向Bに沿って各部材31,32,35と平行に移動すると、接合介在部材35の厚さがT1まで減少して新規な接合面35cが形成されることとなる。すると、接合介在部材35と第2接合部材32は、接合方向Bの後方に接合部36が形成され、第1接合部材31と接合介在部材35は、圧着された接合面31a,35aに伝熱されて接合される。その結果、第1接合部材31と接合介在部材35と第2接合部材32が摩擦攪拌接合法によって接合される。
この摩擦攪拌接合用工具10を用いた摩擦攪拌接合法による第1接合部材31(接合介在部材35)と第2接合部材32との接合方法では、第2接合部材32を構成するアルミニウム合金と接合介在部材35を構成するステンレス鋼板は、各接合面32a,35aが密着し、ピン部22により摩擦撹拌されて塑性流動したとき、クロムの酸化膜とアルミニウムの非結晶酸化膜を介して接合することとなり、両者の接合面32a,35aでの金属間化合物の発生が抑制される。そのため、第1接合部材31(接合介在部材35)と第2接合部材32は、十分な接合強度をもって接合されることとなる。
このように第2実施形態の異種金属材料の接合方法にあっては、第1接合部材31の接合面31aと第2接合部材32の接合面32aとの間に炭素鋼よりクロム含有量及びニッケル含有量の多い接合介在部材35を配置して互いに接触するように支持するステップと、摩擦攪拌接合用工具10のピン部22を回転しながら接合介在部材35の近傍に位置する第2接合部材32に押し込むステップと、第2接合部材32に押し込まれたピン部22を回転しながら接合方向Bに沿って移動するステップとを有する。
従って、回転するピン部22により接合介在部材35の近傍で第2接合部材32が摩擦攪拌されることで発熱して塑性流動が発生し、第1接合部材31と接合介在部材35と第2接合部材32が接合される。このとき、接合介在部材35と第2接合部材32は、クロムの酸化膜とアルミニウムの非結晶酸化膜を介して接合することとなり、両者の接合面32a,35aでの金属間化合物の発生が抑制される。そのため、第1接合部材31と第2接合部材32を適正に接合して両者の間に十分な接合強度を確保することができる。
第2実施形態の異種金属材料の接合方法では、接合介在部材35をステンレス鋼板としている。従って、事前に肉盛り溶接などの作業が不要となり、摩擦撹拌接合法により炭素鋼である第1接合部材31とステンレス鋼板である接合介在部材35とアルミニウム合金である第2接合部材32を接合すればよく、作業性を向上することができる。
第2実施形態の異種金属材料の接合方法では、接合介在部材35は、厚さTが摩擦攪拌接合用工具10のショルダ部23の半径寸法D2/2からピン部22の半径寸法D1/2を減算した値の1/2以下に設定され、第2接合部材32に押し込まれたピン部22を回転状態のままで、接合介在部材35の接合部35aを超えて第1接合部材31の接合面31aの手前まで移動しながら接合方向Bに沿って移動する。従って、接合介在部材35の厚さTをショルダ部23やピン部22の外径に応じた最適厚さに設定することで、回転するピン部22により第2接合部材32と共に接合介在部材35の一部を適正に摩擦攪拌することで発熱させ、塑性流動により混合させることができ、十分な強度を持って接合することができる。
[第3実施形態]
図10は、第3実施形態の異種金属材料の接合装置を表す概略図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
第3実施形態において、図10に示すように、摩擦攪拌接合用工具10は、図示しない駆動装置の出力軸に保持される回転軸11と、この回転軸11の先端部に装着されるヘッド部12とを有している。回転軸11は、装置フレーム41に軸受42を介して回転自在に支持されている。ヘッド部12は、回転可能な回転体21と、この回転体21の回転軸心上を先端側に突出したピン部22と、回転体21の先端側で外径寸法がピン部22より大きいショルダ部23とを有している。
第3実施形態の異種金属材料の接合装置は、炭素鋼で構成される第1接合部材31とアルミニウム合金で構成される第2接合部材32とステンレスクラッド鋼で構成される接合介在部材33の表面を冷却しながらピン部22を接合方向Bに移動することで、第1接合部材31と接合介在部材33と第2接合部材32を接合するものである。
装置フレーム41は、その長手方向(回転軸11の軸方向)に沿って冷却材供給路43が形成され、この冷却材供給路43は、基端部が冷却材供給源に連結され、先端部が装置フレーム41の先端部に開口している。そのため、冷却材供給路43によりショルダ部23の外方から第1接合部材31と接合介在部材33と第2接合部材32の表面に向けて冷却材を噴出することができる。
即ち、第1接合部材31の接合面31aに形成された接合介在部材33の接合面33aと、第2接合部材32の接合面32aとが接触するように突き合わせて支持する。そして、摩擦攪拌接合用工具10を移動し、ピン部22を下降して先端部を第2接合部材32の表面に押し付ける。すると、回転するピン部22と第2接合部材32との摩擦により第2接合部材32が発熱し、この第2接合部材32が塑性流動し、ピン部22が第2接合部材32の深さ方向へ内部に入り込んでいき、ショルダ部23の先端面が各部材31,32,33の表面に当接する。このとき、冷却材供給路43からの冷却材をショルダ部23の外方から第1接合部材31と接合介在部材33と第2接合部材32の表面に向けて噴出する。すると、冷却材により第1接合部材31と接合介在部材33と第2接合部材32の表面が冷却される。
そして、第2接合部材32に押し込まれたピン部22を回転状態のまま、接合介在部材33側に移動しながら接合方向Bに沿って移動する。すると、ピン部22の移動により第2接合部材32だけでなく、接合介在部材33の一部も塑性流動し、第2接合部材32の一部と接合介在部材33が混合する。そのため、ピン部22は、接合介在部材33側へ所定の押し込み量だけ移動し、接合方向Bに沿って各部材31,32,33と平行に移動すると、接合介在部材33の厚さが減少して新規な接合面が形成され、且つ、接合方向Bの後方に接合部34が形成されることとなり、第2接合部材32と接合介在部材33とが摩擦攪拌接合法によって接合される。
この摩擦攪拌接合用工具10を用いた摩擦攪拌接合法による第1接合部材31(接合介在部材33)と第2接合部材32との接合方法では、第2接合部材32を構成するアルミニウム合金と接合介在部材33を構成するステンレスクラッド鋼は、各接合面32a,33aが密着し、ピン部22により摩擦撹拌されて塑性流動したとき、クロムの酸化膜とアルミニウムの非結晶酸化膜を介して接合することとなり、両者の接合面32a,33aでの金属間化合物の発生が抑制される。また、冷却材により第1接合部材31と接合介在部材33と第2接合部材32の表面が冷却されることで温度上昇が抑制されることでも、第2接合部材32と接合介在部材33の各接合面32a,33aでの金属間化合物の発生が抑制される。そのため、第1接合部材31(接合介在部材33)と第2接合部材32は、十分な接合強度をもって接合されることとなる。
このように第3実施形態の異種金属材料の接合方法にあっては、第1接合部材31と接合介在部材33と第2接合部材32の表面を冷却しながらピン部22を接合方向に移動している。
従って、炭第1接合部材31と接合介在部材33と第2接合部材32は、冷却材により摩擦撹拌により発生する発熱が抑えられ、表面の温度上昇を抑制して厚さ方向の温度分布を小さくすることができ、板厚方向の金属間化合物の厚さのバラつきを抑制することができる。
第3実施形態の異種金属材料の接合方法では、ショルダ部23の外方から第1接合部材31と接合介在部材33と第2接合部材32の表面に向けて冷却材を噴出しながらピン部22を接合方向に移動している。従って、ショルダ部23に冷却材の流路を設ける必要がなく、冷却設備の導入を容易として設備コストの増加を抑制することができる。
[第4実施形態]
図11は、第4実施形態の異種金属材料の接合装置を表す概略図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
第4実施形態において、図11に示すように、摩擦攪拌接合用工具10は、図示しない駆動装置の出力軸に保持される回転軸11と、この回転軸11の先端部に装着されるヘッド部12とを有している。回転軸11は、装置フレーム41に軸受42を介して回転自在に支持されている。ヘッド部12は、回転可能な回転体21と、この回転体21の回転軸心上を先端側に突出したピン部22と、回転体21の先端側で外径寸法がピン部22より大きいショルダ部23とを有している。
第4実施形態の異種金属材料の接合装置は、炭素鋼で構成される第1接合部材31とアルミニウム合金で構成される第2接合部材32とステンレスクラッド鋼で構成される接合介在部材33の表面を冷却しながらピン部22を接合方向に移動することで、第1接合部材31と接合介在部材33と第2接合部材32を接合するものである。
ショルダ部23は、内部に冷却材供給路51が形成され、この冷却材供給路51は、基端部が装置フレーム41の形成された連結路(図示略)を介して冷却材供給源に連結され、先端部がショルダ部23の先端面に開口している。そのため、冷却材供給路51によりショルダ部23の先端面から第1接合部材31と接合介在部材33と第2接合部材32の表面に向けて冷却材を噴出することができる。
即ち、第1接合部材31の接合面31aに形成された接合介在部材33の接合面33aと、第2接合部材32の接合面32aとが接触するように突き合わせて支持する。そして、摩擦攪拌接合用工具10を移動し、ピン部22を下降して先端部を第2接合部材32に表面に押し付ける。すると、回転するピン部22と第2接合部材32との摩擦により第2接合部材32が発熱し、この第2接合部材32が塑性流動し、ピン部22が第2接合部材32の深さ方向へ内部に入り込んでいき、ショルダ部23の先端面が各部材31,32,33の表面に当接する。このとき、冷却材供給路51からの冷却材をショルダ部23の先端面から第1接合部材31と接合介在部材33と第2接合部材32の表面に向けて噴出する。すると、冷却材により第1接合部材31と接合介在部材33と第2接合部材32の表面が冷却される。
そして、第2接合部材32に押し込まれたピン部22を回転状態のまま、接合介在部材33側に移動しながら接合方向Bに沿って移動する。すると、ピン部22の移動により第2接合部材32だけでなく、接合介在部材33の一部も塑性流動し、第2接合部材32の一部と接合介在部材33が混合する。そのため、ピン部22は、接合介在部材33側へ所定の押し込み量だけ移動し、接合方向Bに沿って各部材31,32,33と平行に移動すると、接合介在部材33の厚さが減少して新規な接合面が形成され、且つ、接合方向Bの後方に接合部34が形成されることとなり、第2接合部材32と接合介在部材33とが摩擦攪拌接合法によって接合される。
この摩擦攪拌接合用工具10を用いた摩擦攪拌接合法による第1接合部材31(接合介在部材33)と第2接合部材32との接合方法では、第2接合部材32を構成するアルミニウム合金と接合介在部材33を構成するステンレスクラッド鋼は、各接合面32a,33aが密着し、ピン部22により摩擦撹拌されて塑性流動したとき、クロムの酸化膜とアルミニウムの非結晶酸化膜を介して接合することとなり、両者の接合面32a,33aでの金属間化合物の発生が抑制される。また、冷却材により第1接合部材31と接合介在部材33と第2接合部材32の表面が冷却されることで温度上昇が抑制されることでも、第2接合部材32と接合介在部材33の各接合面32a,33aでの金属間化合物の発生が抑制される。そのため、第1接合部材31(接合介在部材33)と第2接合部材32は、十分な接合強度をもって接合されることとなる。
このように第4実施形態の異種金属材料の接合方法にあっては、ショルダ部23の先端面から第1接合部材31と接合介在部材33と第2接合部材32の表面に向けて冷却材を噴出しながらピン部22を接合方向に移動している。
従って、第1接合部材31と接合介在部材33と第2接合部材32は、冷却材により摩擦撹拌により発生する発熱が抑えられ、表面の温度上昇を抑制して厚さ方向の温度分布を小さくすることができ、板厚方向の金属間化合物の厚さのバラつきを抑制することができる。また、ショルダ部23に対向する第1接合部材31と接合介在部材33と第2接合部材32の表面を冷却材により直接冷却することができ、冷却効率を向上することができる。
[第5実施形態]
図12は、第5実施形態の異種金属材料の接合装置を表す概略図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
第5実施形態において、図12に示すように、摩擦攪拌接合用工具60は、図示しない駆動装置の出力軸に保持される一対の回転軸11A,11Bと、この回転軸11A,11Bの先端部に装着されるヘッド部12A,12Bとを有している。ヘッド部12A,12Bは、回転可能な回転体21A,21Bと、この回転体21A,21Bの回転軸心上を先端側に突出したピン部22と、回転体21A,21Bの先端側で外径寸法がピン部22より大きいショルダ部23A,23Bとを有している。
第5実施形態の異種金属材料の接合装置は、炭素鋼で構成される第1接合部材31とアルミニウム合金で構成される第2接合部材32とステンレスクラッド鋼で構成される接合介在部材33における厚さ方向の両方からピン部22を支持し、このピン部22を接合方向に移動することで、第1接合部材31と接合介在部材33と第2接合部材32を接合するものである。
即ち、第1接合部材31の接合面31aに形成された接合介在部材33の接合面33aと、第2接合部材32の接合面32aとが接触するように突き合わせて支持する。そして、第2接合部材32における接合介在部材33の近傍の位置にピン部22が挿通可能な貫通孔を形成する。ここで、ヘッド部21Aを下降し、ピン部22を第2接合部材32の貫通孔に挿通し、ピン部22の下端部をヘッド部21Bにより支持する。そして、ピン部22の回転を開始し、接合介在部材33側に移動しながら接合方向Bに沿って移動すると、回転するピン部22と第2接合部材32との摩擦により第2接合部材32が発熱し、この第2接合部材32が塑性流動する。
このとき、ピン部22の移動により第2接合部材32だけでなく、接合介在部材33の一部も塑性流動し、第2接合部材32の一部と接合介在部材33が混合する。そのため、ピン部22は、接合介在部材33側へ所定の押し込み量だけ移動し、接合方向Bに沿って各部材31,32,33と平行に移動すると、接合介在部材33の厚さが減少して新規な接合面が形成され、且つ、接合方向Bの後方に接合部34が形成されることとなり、第2接合部材32と接合介在部材33とが摩擦攪拌接合法によって接合される。
この摩擦攪拌接合用工具10を用いた摩擦攪拌接合法による第1接合部材31(接合介在部材33)と第2接合部材32との接合方法では、第2接合部材32を構成するアルミニウム合金と接合介在部材33を構成するステンレスクラッド鋼は、各接合面32a,33aが密着し、ピン部22により摩擦撹拌されて塑性流動したとき、クロムの酸化膜とアルミニウムの非結晶酸化膜を介して接合することとなり、両者の接合面32a,33aでの金属間化合物の発生が抑制される。そのため、第1接合部材31(接合介在部材33)と第2接合部材32は、十分な接合強度をもって接合されることとなる。
なお、この第5実施形態にて、上下のヘッド部12a,12b側に第3実施形態や第4実施形態の冷却材供給路43,51を設けてもよい。すると、上下のヘッド部12a,12b側から冷却材により第1接合部材31と接合介在部材33と第2接合部材32の表面が冷却されることで温度上昇が抑制されることで、第2接合部材32と接合介在部材33の各接合面32a,33aでの金属間化合物の発生が抑制される。
第5実施形態の異種金属材料の接合方法にあっては、ピン部22を第2接合部材32の厚さ方向に貫通させ、ピン部22における軸方向の両端部をヘッド部21A,21Bにより支持して回転しながら接合方向に移動する。
従って、厚さの厚い第1接合部材31と第2接合部材32の接合に対して適正な摩擦撹拌接合法を適用することができる。
10,60 摩擦攪拌接合用工具
11,11A,11B 回転軸
12,12A,12B ヘッド部
21,21A,22B 回転体
22 ピン部
23,23A,23B ショルダ部
31 第1接合部材
31a,32a,33a 接合面
32 第2接合部材
33 接合介在部材(ステンレスクラッド鋼)
34 接合部
35 接合介在部材(ステンレス鋼板)
36 接合部
41 装置フレーム
42 軸受
43,51 冷却材供給路

Claims (10)

  1. 炭素鋼と前記炭素鋼より硬度の低い軟質材料とを突合せて接合する異種金属材料の接合方法において、
    前記炭素鋼の接合面と前記軟質材料の接合面との間に前記炭素鋼よりクロム含有量及びニッケル含有量の多い接合介在部材を配置して互いに接触するように支持するステップと、
    摩擦攪拌接合用工具のピン部を回転しながら前記接合介在部材の近傍に位置する前記軟質材料に押し込むステップと、
    前記軟質材料に押し込まれた前記ピン部を回転しながら接合方向に沿って移動するステップと、
    を有することを特徴とする異種金属材料の接合方法。
  2. 前記ピン部を回転しながら前記軟質材料に押し込んだ後に前記接合介在部材側に移動するステップが設けられることを特徴とする請求項1に記載の異種金属材料の接合方法。
  3. 前記軟質材料に押し込まれた前記ピン部を回転状態のままで、前記接合介在部材側に移動しながら接合方向に沿って移動することを特徴とする請求項2に記載の異種金属材料の接合方法。
  4. 前記接合介在部材は、前記炭素鋼の接合面に肉盛り溶接により形成されたステンレスクラッド鋼であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の異種金属材料の接合方法。
  5. 前記接合介在部材は、ステンレス鋼板であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の異種金属材料の接合方法。
  6. 前記接合介在部材は、厚さが前記摩擦攪拌接合用工具のショルダ部の半径寸法から前記ピン部の半径寸法を減算した値の1/2以下に設定され、前記軟質材料に押し込まれた前記ピン部を回転状態のままで、前記接合介在部材の平面部を超えて前記炭素鋼の接合面の手前まで移動しながら接合方向に沿って移動することを特徴とする請求項5に記載の異種金属材料の接合方法。
  7. 前記炭素鋼と前記軟質材料と前記接合介在部材の表面を冷却しながら前記ピン部を接合方向に移動することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の異種金属材料の接合方法。
  8. 前記摩擦攪拌接合用工具のショルダ部の外方から前記炭素鋼と前記軟質材料と前記接合介在部材の表面に向けて冷却材を噴出しながら前記ピン部を接合方向に移動することを特徴とする請求項7に記載の異種金属材料の接合方法。
  9. 前記摩擦攪拌接合用工具のショルダ部の先端面から前記炭素鋼と前記軟質材料と前記接合介在部材の表面に向けて冷却材を噴出しながら前記ピン部を接合方向に移動することを特徴とする請求項7に記載の異種金属材料の接合方法。
  10. 前記ピン部を前記軟質材料の厚さ方向に貫通させ、前記ピン部における軸方向の両端部を支持して回転しながら接合方向に移動することを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の異種金属材料の接合方法。
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